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1970/12/15 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 運輸委員会 第4号
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1970/12/15 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 運輸委員会 第4号

#1
第064回国会 運輸委員会 第4号
昭和四十五年十二月十五日(火曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十一日
    辞任         補欠選任
     鬼丸 勝之君     木村 睦男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         温水 三郎君
    理 事
                岡本  悟君
                金丸 冨夫君
                谷口 慶吉君
                藤田  進君
    委 員
                佐田 一郎君
                重政 庸徳君
                平島 敏夫君
                前田佳都男君
                渡辺一太郎君
                鈴木  強君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                田代富士男君
                三木 忠雄君
                中村 正雄君
                山田  勇君
   国務大臣
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
   政府委員
       経済企画庁審議
       官        西川  喬君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       運輸大臣官房長  高林 康一君
       運輸大臣官房審
       議官       見坊 力男君
       運輸省海運局長  鈴木 珊吉君
       運輸省船舶局長  田坂 鋭一君
       運輸省港湾局長  栗栖 義明君
       運輸省自動車局
       長        野村 一彦君
       海上保安庁長官  手塚 良成君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       運輸省船員局長  佐原  亨君
       気象庁海洋気象
       部長       今井 一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○海洋汚染防止法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(温水三郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 海洋汚染防止法案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入るのでありますが、衆議院において修正議決されておりますので、まず、衆議院における修正点について説明を聴取いたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#3
○委員長(温水三郎君) 速記を起こして。
 見坊審議官。
#4
○政府委員(見坊力男君) 海洋汚染防止法案に対する衆議院修正の趣旨説明を朗読いたします。
 ただいま説明を求められました海洋汚染防止法案に対する衆議院における修正点について御説明申し上げます。
 修正の要旨は、港湾法第二条第五項に規定する港湾施設に、船舶及び海洋施設において生じた廃棄物の受け入れのための施設を加えること並びに同法第二条第五項第十三号に規定する港湾施設としての港湾役務提供用船舶に、船舶及び海洋施設において生じた廃棄物の受け入れの用に供する船舶を加えることであります。
 修正の趣旨を簡単に申し上げますと、今回の海洋汚染防止法案におきましては、船舶及び海洋施設において生じた廃棄物を海洋へ排出することは原則として禁止されますので、それらの廃棄物は、具体的には陸上に揚げ、または他の船舶がこれを収集し、最終的には市町村等の設置する廃棄物処理施設において処理されることを要しますので、港湾管理者においてそれらの廃棄物の受け入れについて必要な施設、たとえば廃棄物の揚げ場、集積施設、廃棄物受け入れ船等を設置または保有し運営することがきわめて重要となるのであります。この点にかんがみ、船舶及び海洋施設において生じた廃棄物の受け入れのための施設と受け入れの用に供する船舶を、港湾管理者の管理整備する港湾施設として追加しようとするものであります。
 以上であります。
#5
○委員長(温水三郎君) 本案に対し質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○瀬谷英行君 運輸大臣がお見えになっておりますので、大臣に、公害防止のための運輸行政のあり方について質問をしたいと思います。
 連合審査等が行なわれまして、いろいろ公害問題について質疑が行なわれましたが、その質疑の中にはいろいろな問題がありましたけれども、私、聞いておりまして、交通公害等についての質問はあまり突っ込んで行なう時間的ゆとりがなかったように記憶いたしておりますので、交通公害の問題、それから排気ガスによる大気汚染の問題、こういったようなことについて、これは運輸大臣として責任を持たなければならない事項でもあろうかと思いますので、これについて質問したいと思うわけです。
 まず、排気ガスによる大気の汚染なんですけれども、東京周辺では、たとえば牛込の柳町で鉛の分量がこれだけあったといったようなことでたいへん問題になりました。ところが、たとえば埼玉県で、国道の一七号線でもっていろいろ調査をした結果によりますと、大宮の川越街道との交差点、これから東松山との交差点、こういったようなところでは牛込の柳町を上回る鉛害が数字的に発見をされたということを聞いたわけです。そうすると、こういう排気ガスによる大気の汚染ということは単に東京にとどまらず、東京を中心とする国道の渋滞区域には軒並みあらわれているということになると思うのです。そういう問題を解決をするために道路の幅を一メートルや二メートル広げたくらいでは問題はとうてい解決しないということになるし、それから自動車の規制でありますけれども、まず、道路の面から問題を解決しようと思えばこれはバイパス道路等をつくらなければならない。バイパス道路をつくってみても、たとえば東名高速道路あるいは名神、こういう道路にしても、今日ちょっと連休でもあるとたちどころに渋滞をしてしまうということでありますので、まず、排気ガスの問題を解決しようと思えば、自動車の構造上の問題からかからなければならぬと思うのです。この構造上の問題ということになると、通産省等の所管になるとは思いますけれども、まず、この排気ガスの問題に関して規制をしようとするならば政府としてどうしようとされておるのか、これらの点について最初にお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(橋本登美三郎君) 御質問のように、公害問題の中で運輸省の所管しておる問題は排気ガスの問題、それから騒音の問題等があるわけであります。もちろん、これに関連していわゆる交通事故等の問題等がありますが、これは必ずしも直接の私のほうの所管ではありませんけれども、犯人は自動車でありますからして、間接的には重要な関係を持っておるわけであります。
 そこで、排気ガス問題が、いまおっしゃるように、はたして単にこれを規制するだけでできるか、あるいはまた、バイパス等をつくることによって所期の目的を達し得るかということになりますると、お話のように万全を期しがたいということであろうかと思いますが、一応運輸省の所管としては、いかにしてこの排気ガスを――一酸化炭素その他窒素酸化物等にいたしましても、あるいは鉛等をなるべく早い機会に徹底的に規制する技術開発問題があるわけであります。御承知のように、アメリカにおきましては非常にきつい規制案が法案として提案をされておるようでありまするが、なかなかアメリカにおいても問題があるようであります。マスキー法案によりますというと、その九〇%の一酸化炭素を取り除け、しかもこれを一九七五年までに完成せよというのが法案の内容のようであります。いま運輸省が規制いたしておりますのは、大体現在アメリカの政府が考えておると同じように七グラム程度のものを――大体同じようでありますが、その程度を一九七五年の目標にしておる。しかしこれは最低のところをそれ以上に、もちろんこれは技術開発上もっと進んだものができるわけでありますが、いろいろ自動車の種類もありますし、また、メーカーの力等もありますものですから、日本にしてもアメリカにしても最低値のところで押えておる。それに対してマスキー法案はもっと強力にこれをやれということで、目下、アメリカの上下院において連合協議をしておるようでありますが、しかし日本の場合におきましても、従来きめました一九七五年の状態は、これは何とかして努力して、一年でも二年でも、もっと早くこれを規制するということに進めざるを得ないだろうと思います。鉛等の公害については、大体、一九七五年においてはほとんどゼロに近いものを出すことができるだろうと考えておりますが、一酸化炭素等については必ずしもそこまでは進んでおらない。しかし自動車の構造上の問題からは、このような方向を通産省に対して強く要請をしたい。もちろん、いまお話がありました交差点あるいは非常に自動車の交通量の多いところは、やはりバイパスもしくは立体交差等によってそのガスが一カ所に停滞しないような措置、これも必要であろうと思います。しかし一カ所に停滞しないといいましても、大気中に含まれるガスの量は同じでありますから、決して好ましい状態ではない。そうなりますというと、結局、長い目の長期計画という点からいえば、新しい技術の開発、すなわち電気自動車等の開発を急ぐ必要があろうし、あるいは、場所によってはモノレール等によって全くガスの出ない、そういうようなものも大量交通機関としては考えるという、まあ総合交通政策といいますか、そういう面をも積極的に考えていかなければならない、かように考えておる次第であります。
#8
○瀬谷英行君 厚生省の環境衛生局長も見えておるようですが、環境衛生という観点からすると、大気の汚染というのは、これはもう相手かまわずに何というか、たとえば宮城の前から桜田門あるいは日比谷にかけての自動車の交通量というのはたいへんなものなんですね。そうすると、まず皇居なんかは最も汚染された空気に囲まれているのじゃないかという気がするわけです。あれだけの空間、といっても周辺がみんな排気ガスでもって取り囲まれている。皇居前の松なんというのは、確かにその気で見れば精彩がないようでありますが、昔だったらそういうことは考えられたことはないと思うのですけれども、今は皇居の前だとか、あるいは国会周辺だとか、あるいは新宿、銀座といった盛り場は最も空気が悪いところということになっているのじゃないかという気がいたしますけれども、環境衛生という点からすると、排気ガスの濃度が、要するに、人間の健康にふさわしくない濃度というものが地域別にはかなり立証されるのじゃないかと思うのですけれども、そういうような調査が行なわれておるのかどうか、そういう点を参考までに厚生省のほうに伺いたいと思います。
#9
○政府委員(浦田純一君) 本日手元にその詳細な資料は持ち合わせはございませんが、全国的に排気ガスあるいはばいじん、ばい煙、煙突あたりから出ますばいじんによりまして大気がかなり汚染されておるということにつきましては、これは厚生省といたしましても全国的に調査を進めているところでございまして、たとえば東京都内におきましては約七カ所においてその調査を常時やっておるところでございます。その結果によりますと、たとえば落下いたしますばいじんにつきましては、いわゆる粉じんにつきましては、平面的に見ました場合では、逐次減っているといったようなものもございますが、一酸化炭素あるいは鉛といったようなものになりますと、この逐年の変化といたしましては、逐次この汚染がふえてきておるという状況であることはいなめないと思います。全般的に見ました場合に、大気中のこれらの有毒、有害な物質は増加の傾向にあるということが言えると思います。
#10
○瀬谷英行君 私は、去年こういう経験があるのですけれども、秋でしたが、正丸峠の頂上から東京を見たことがあるのです。そのときはまさに抜けるような青空だったのです。非常にいい天気だったから、たぶんこれは山のてっぺんからのながめはすばらしいだろうと思って期待をして、車でもって正丸峠の上に立って東京方面を見たとき、そうしたらあの近辺は抜けるような青空なんだけれども、東京のほうを見ると乳色にかすんじまっておるわけですね。要するにスモッグにおおわれている。実に極端な違いをまのあたりに見せつけられてびっくりしたのです。建設委員会の関係でヘリコプターで首都圏の上空を飛んで回ったことがあるのです。そのときも、横浜から東京、要するに京浜地帯の上空は乳色の、まあ何というか、雲のかさのようなものが上をおおっているわけです。で、三多摩から埼玉県あるいは千葉県あたりをぐるっと回ると、そっちのほうは青空なんです。千葉県から東京と横浜あたりにかけてその上に乳色のスモッグが屋根をかけたように上をおおっている。そういうのを実際に見て、大気の汚染というのはまさにその下に暮らしていればわからないけれども、高いところから見れば一目りょう然だということを感じたわけです。ああいう汚染された空気というのは、これは排気ガスだけじゃなくて、いろんなものが含まれていると思うのですけれども、こういう環境の健康に及ぼす罪悪の度合いというものは、普通の者にはわからないと思いますね。だから、その点、地域別に、どういう大気の汚染というものが健康に影響しているか、医学的に見て、たとえば肺ガンの患者が多いとか、呼吸器系の患者が多いとかいうのは四日市のような特別のところははっきりしているでありましょうが、四日市でなくとも、京浜地帯とか、あるいは阪神地帯だとか、こういう特殊な地域において差別があらわれているのじゃないかという気がするので、それらの点についての調査といったようなこと、対策といったようなこと、これは行なわれておるのかどうか、この点もお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(浦田純一君) 大気の汚染と申しましても、その原因物質としてはいろいろあるわけでございます。たとえば硫黄酸化物、これは主として重油等の燃焼によって生ずるものでございます。それから降下ばいじんと申しますか、石炭などの燃えがらがそのままちりとなって空中に浮遊して落ちてくる。あるいは、先ほどから御指摘の自動車の排気ガス、たとえば一酸化炭素、あるいは鉛、あるいはまた窒素酸化物といったように、一口に大気汚染と申しましてもその中に含まれている原因物質は多種多様でございます。一方、この影響を受けます人体側にとってみますと、それぞれの原因物質についてそれぞれの特異な影響があらわれるわけでございます。たとえば硫黄酸化物にいたしますと、粘膜をやられる。したがいまして、場合によりましては気管支炎といったようなものも起こす。それから、ばいじんでございますと、やはりそれが呼吸器に吸われまして、場合によっては肺の中に達しまして、肺のいろいろな病気になります。また、目などの粘膜に入りまして炎症を起こす。それから、鉛ですと、これは呼吸器から結局は血中に入りまして、いろいろの臓器の障害を起こすといったようなことで、それぞれ原因物質によりまして起こる病気も違うわけでございますが、また、全般的にそれらが相複合しまして、健康に影響を及ぼすという複合の作用も十分考えられると思います。
  〔委員長退席、理事金丸冨夫君着席〕
 いままでの調査並びに学問的の研究の成果によりますと、それぞれの物質についてそれぞれの病変というものは病理的にも確かめられておる点が多いのでございますが、残念ながら一つ一つのこれらの物質が一人一人の個人に対してどの程度どのように影響したかということになりますと、非常にその点の因果関係の立証はむずかしい点が残るわけでございます。集団的にある地域でどのような反応が起こっておるかといった、いわゆる疫学的な集団的な把握でございますと、たとえば四日市においては、ほかの大気汚染がより少ない地区に比べまして慢性気管支炎の発生率が高い。あるいは川崎、横浜あたりでも、そのような事実がある。また、全体的に見ました場合に目の疫患が多い。そういったような全体的な疫学的な判断からは、それらの大気汚染がその地域の住民の健康に悪影響を及ぼしているといったようなことが言えるのでございます。これらにつきましては、私どもそれぞれの地域についての調査あるいは学界における研究、いろいろとデータの持ち合わせがございますが、いずれも、結論といたしましてはそのようなことであろうと存じます。
#12
○瀬谷英行君 こういう環境が悪くて、要するに空気が悪くて健康をむしばまれるといったようなことは、交通事故のように目に見える現象ではないので非常にむずかしいと思うんです。じわじわ健康がむしばまれるというかっこうになると思うので、対策としてもそれだけにわりあいとゆうちょうに進められるというきらいがあるのではないかという気がいたします。しかし、この大もとになります問題を解決するためには、その場しのぎではとても問題が解決しないような気がする。そこで、まず交通公害の問題を取り上げてみましても、たとえば渋滞による大気の汚染という問題と同時に交通事故の問題もあると思います。それから騒音の問題もあるし、通勤難といったような問題もある。こういったもろもろの問題を解決しようと思えば、まずどこから始めなければならないかということになってくると思うんです。その場合に、自動車だけではどうにもならない。交通体系ということを考えるならば、新幹線もあるいは地下鉄も通して大量輸送ということを行なって自動車の渋滞を最小限度に食いとめるといったようなことも必要になってくると思うんです。それでは新幹線なりあるいは国鉄、私鉄の輸送力を増強しようという場合に、私鉄も先般運賃は値上げしたけれども、積極的に新しい線区を開発しようという意欲がないように思われます、最近では。つまりコストに合わないので、輸送力増強のために新線を開発するという話はあまり聞いておりません。国鉄に至っては赤字を理由として現在線の強化すら怠っておるというのが現状ではないか。そうすると、やはり国として大量交通輸送のための必要な投資を積極的に行なう、そうして地下鉄なりあるいは国鉄あるいは私鉄の輸送力を増強するといったようなことがかなり必要になってくるのではないかという気がするのですけれども、運輸大臣としては、こういう大量輸送の問題について、はたして積極的に取り組むという気持ちを持っておられるのかどうか、予算の編成を前にいたしまして、特にその点をお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(橋本登美三郎君) 御意見ごもっともであります。その前に、私心配しておりますのは、御承知と思いますけれども、運輸省としては自動車の排気ガスの規判を新車について四・五、それから使用車については五・五という規制を設けてやっておるわけですが、それにいたしましても、四十四年度の実際を見ますというと、大体一日のいわゆる重量トンで示しますというと、窒素酸化物が四百トン、炭化水素が約七百トンという膨大な数量でありますが、これは四十八年までは大体上昇になるのです。先ほどのような規制をしましても、おそらく窒素酸化物につきましては四十八年には五百トン、百トンふえてくる、大気中には。それから炭化水素についてはあまりふえませんで、大体七百トンでおさまるわけですが、逆に窒素酸化物はふえていく。四十八年以降いまの規制を続けて、四十八年に規制する、五十年に規制するというので非常にダウンしまして、五十五年には、四十四年を一といたしますと〇・三、三分の一になる。しかも車の数は四千万台をこえるという、こういう状況でも、なおかつ五十五年には三分の一まで減らすことができますからして、昭和三十八年度の状態におろすことができますが、問題は、ことしは日がありませんけれども、四十六年、四十七年、四十八年の三カ年の間は多少でもふえていく。こういう状態は、これは非常に皆さんが御心配になるいろいろの、もろもろの病気を引き起こす原因になる。さて、このままの状態でいいかどうかということをお互いに考えなければならない時期に入っておる。それで、これは技術開発の問題でありますから、私がここで断定することはできませんけれども、従来の規制を、特に使用車等についてはもう少しやっぱり思い切って強化する必要があるんじゃないか。これはひとつ自動車局において検討をしてもらいたいと思う。これから二年、三年まだふえるという状態ではたいへんなことでありますから、なるべくこれを短期間に増加傾向を押えるために、いわゆる排気ガスの数量を、相当無理であっても、ある程度これを極端に制限することを検討してみる必要があるんではないか、こういうことであります。
 それからもう一つは、その点がなかなか実際上からいってむずかしいということになれば、これは運輸省だけの仕事ではできかねる問題であります。あるいは国家公安委員会なり、あるいは厚生省なり、関係者と協議して、そこでやはり都内に入ってくる自動車の数を、交通の問題だけではなく、交通が混雑するという問題だけじゃなく、そういうような大気汚染というような面からも、それを規制することを考えるべき時期が来るのではないか。はたしてこれが法律上そういうことができるかどうかという問題があります。自動車の場合はみずからが加害者である。こういうような大気汚染の上においてはみずからが加害者で、同時に被害者になるわけであります。同じ人が加害者であり、被害者になるわけです。ほとんど自動車を使用しない人はありませんからして、自分が持っておろうが、持っておるまいが、ほとんどの人が自動車に乗るわけでありますから、考えようによっては加害者であり、被害者である。こういうような特殊な状態でありますからして、そういう点を十分に理解してもらって、行政指導の面でできるかどうか。ある程度の汚染度が考えられる場合は、これは大都会で、あるいは集中的に車が使われない状態を考える必要が出てきはしないか。しかし、この問題はいろいろ法律上の問題もありましょうし、その他の問題がありますから、なかなか簡単には処置できない。で、長期展望から言うなれば、いまおっしゃったとおりであります。やはりこの大都市交通というものを自動車に主として依存することなく、他の機関、たとえば地下鉄とか、あるいは市内乗り入れ線等の私鉄とか、あるいはバスとかいうものにだんだんと切りかえる考え方をしていかなければなりませんけれども、なかなか工事自体がそう急速に一年、二年でもってこれを完成することがむずかしいということのために、いま申し上げた四十六年、四十七年、四十八年にこれが間に合うかといえば、これは間に合わないといったような状態にあると思います。そこで、そういう意味において、いま言ったような暫定措置を真剣に検討していかなければなりません。
 なお、いまお話のあった、国鉄も赤字である、私鉄もなかなか経営が苦しいということからして、積極的な措置の意欲がないのではないかというようなお話でありますが、せんだっての私鉄の料金を改正するにあたっては、各社を呼びまして、ぜひとも五カ年計画はこれを達成するように、それに必要な資金は開銀等によってできるだけのめんどうを見る――こういうことで、来年度におきましても、運輸省の考え方としては、従来の倍ぐらいのものを、ひとつ私鉄にも開銀の金を使わせまして、そうして五カ年計画を遅滞なく進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。しかし、何といっても、これは相当の期間を要する、一年、二年じゃなくして、三年、五年という長期間を要するのでありますからして、将来の展望としては、おっしゃるような方針で積極的にこれはやっていかなくちゃならぬ。しかし、いま目の前に迫っておるこの公害、この問題に対しては、やっぱり別途の方法を考えないと間に合わないのではないか、かように心配しておるのであります。
#14
○瀬谷英行君 排気ガスの問題から言うなら、私は、自動車の単価がかりに多少高くなっても、規制を強化させなきゃならない時期じゃないかと思うんですね。ほっとけば幾何級数的に自動車の数はふえる、大気の汚染は最悪の状態になる、こう思うんです。したがって、これは抜本的な解決ということが言えるかどうか疑問ですけれども、やはりとりあえずのところ、外国へ輸出をする自動車と国内で販売をする自動車に差別をつける必要はないと思うんですよ。やはり外国へ輸出する自動車と同様に国内で使う車についても、排気ガスの規制というものは厳密に行なうようにすべきだろうというふうに思うわけです。その点いままではどうも甘さがあったような気がするのです。この点を政府として一体どういうふうにするかという点を明らかにしてもらいたいということが一つ。
 それから大量輸送の問題ですけれども、この間私は武蔵丘陵森林公園というのをちょっと視察してみたのです。これは建設省の都市局の計画で、だいぶ前に閣議できまって、国営森林公園を埼玉県にこしらえるというプランです。その公園に行ってみました。これは百万坪でありますから、万博の会場と同じくらいのものです。公園の中の整備というのは大体予定どおりに進行しておると思う。これは昭和四十七年に完成する予定になっております。しかも、公園そのものの計画を見ますと、最高十万人の利用者を見込んでおる、こういうことでございます。ところが、その周辺の道路あるいは鉄道といったような問題になりますと、まるきり手がついていないと同じなんですね。関越自動車道路というのは四十八年の十一月に完成するようになっている。関越自動車道路を使用しようとしても四十七年の開園には間に合わない。それから国鉄も私鉄も、東武鉄道がその近辺に駅をつくるという計画のほかは、特別にこの公園の利用者のために便宜をはかるということはいまのところ考えていないわけです。熊谷並びに東松山、どちらからも五、六キロの距離なんです。しからば、そこに引っ込み線をつくるとか、モノレールをつくって人を運ぶ計画があるかといえば、地元から要望があるけれども、実際問題としては何も計画がない。しかも、その公園が最初からのもくろみどおりの十万人の人を集めるとなれば、その近辺はまさに交通公害で動きのとれない状態になるということが予測されるわけです。一方においては公園を着々とつくっているといいますが、そのつくっている工事事務所の当事者は、公園は予定どおりにできていると思いますが、道路なり交通のほうがそれに間に合わないから、公園の完成を少しおくらせなければいけないのじゃないか、こういうことを言っておる。こんなばかげたことはないと思うのですね。万博は、でき上がると同時に交通が、地下鉄にしても、道路にしても全部それに合わせるように計画をしてきた。ところが、こういう同じ国営の森林公園でありながら、片っ方は、公園のほうは四十七年にできる、道路のほうはまるきりお先まっ暗、鉄道に至っては何にも考えていない、それで人だけ十万人集めよう、何を考えているのかという気がするわけです。
 こんな問題一つ取り上げてみても、交通の問題というのはきわめて立ちおくれている。排気ガスとかいろいろの問題は、これはもう四十八年、四十九年、五十年にはこうなるという数字がわかっておってもなかなか手が打てない。四十七年に完成をする公園に対してすら、道路なり鉄道のほうはまるきり歩調がこれにそろっていないということを見ると、私は、政府の対策というものがどうも何かばらばらなような気がしてしようがない。
 そこで、それじゃ輸送力を増強するという計画が予定どおりに行ない得るのかどうか、こう心配をせざるを得ません。いま東京都の人口というのは、その人口の増加の割合が鈍ってきている。そうしてその周辺に移っております。埼玉県、神奈川県、千葉県、こういった周辺の県の人口がどんどんふえています。周辺の人口がふえるということは、それだけ通勤者がふえるということです。通勤者がふえるということは間違いないんだけれども、その通勤輸送のほうは全然テンポが合っていない。先ほど私が申し上げた公園の問題と同じですよ。こういうことでは交通公害もますますひどくなる一方じゃないか。これはやっぱり抜本的に政府としては解決を迫られている問題じゃないかという気がするんですがね。全国的にも過疎過密という問題はあるかと思いますけれども、当面の急務として、こういう交通公害を解決するために、政府として思い切って公共投資を飛躍的に増大させるといったような考え方はないものかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
#15
○国務大臣(橋本登美三郎君) 都市交通の問題は、運輸省におきましては大都市交通圏の問題として目下検討を進めておりますが、検討するまでもなく、お話しのように非常に大混雑をしていることは事実であります。ただ、御承知のような地価の問題、あるいは地下鉄にしましても、あるいは市街化の交通路線にしましてもこんな状態でありますから、したがって、どういう形でどういうふうに持ってくるか。たとえば武蔵野線等を考えて複々線の工事を進めております。あるいはまた、常磐線にしましても四十七年度までには取手まで、複々線の工事を進めておる。あるいは成田方面の郊外、いわゆる通勤線にしましても、国鉄あるいは京成等、特に国鉄は複々線工事を進めておる。こういうぐあいにまあやってはおるんでありますけれども、それらが、いまおっしゃったような通勤通学というものが都会に集中しておる現状に必ずしもマッチはしておらない。こういう点においてはまことに残念ではありますけれども、より一そう計画的に進めていく考えでおります。
 ただいまお話のありました埼玉の、すなわち秩父の国立公園、これは明治百年事業として行なわれているわけでありますが、この場合これは当然、道路は計画されておりますが、お話しのように関越道路は一年間ぐらいおくれるということでございますが、それに自動車が走れる道路はもちろんできると思います。この間に、お話しのようなモノレールもしくはその他の交通機関を考える必要はありはしないかということでありますが、いま直ちに運輸省としては直接には考えてはおりません。国鉄においても考えてはおらない。と申しますのは、たとえばマキシマム十万人の人が公園に来るにいたしましても、やはりこの程度の距離の短いところを必ずしも――モノレールはあの辺においては適当であろうと思いますけれども、国鉄のようないわゆるレールをもって、軌道をもってこれをつなぐ必要があるかという問題があるのみならず、一つには国民嗜好といいますか、観光地に行く場合に、私のところもこれは観光地なんですが、やはり祭日、日曜日あるいは土曜日というようなときに、マイカー族というのは自分の車で行ってみたいという欲望が一方にある。私のところなども鉄道ができたんですが、鉄道ができたにもかかわらず、もちろん鉄道には相当の人が乗っておりますけれども、なおマイカー族というものが入ってくる。こういう場合において、なかなか個人の欲望を一方的に押えつけることが困難な状態であります。しかし、駅から公園までの間は、道路の整備に従ってやはりこれは大量輸送のできるバスを導入するということは当然必要であろうし、また、その措置はやっていきたいといような考え方で、場所によってはモノレールあるいは軌道等を考える、場所によっては大量輸送のできるバスを導入することによって一般の人の便宜を取り計らう、こういう方針でやってまいりたいと思いますので、いま申しましたように、マイカー族をはたして押えられるか、まあ東京都内に入ってくることはだんだんと少なくなってまいりましょうけれども、せめて祭日、日曜日、自分の自動車で子供と一緒に行きたいという欲望があるわけで、これをどう押えていくかという問題が別個の問題としてあろうかと思います。
#16
○瀬谷英行君 マイカー族の問題なんですがね、その前に、やはり自動車の排気ガスの規制についてひとつこれは積極的な考え方で臨んでほしいと思いますので、その点についての大臣の考え方をお聞かせ願いたい。
 自動車新税といったような話がいろいろ流布されております。自動車新税がどういう目的でもって考えられておるのか、まだ具体的にはなっておりませんけれども、数量を規制するという考え方にあるのか、あるいは質的な問題も考えておるのか、とにかく自動車新税ということを考える以上は、これは自動車の質的な規制も、それから量的な規制も両方新税と同時に考えていかなければならぬじゃないかと、こう思います。いいとか悪いとかいうことを現在のところ論評する段階ではないので、考え方についてもこの機会にお聞かせ願えるものならお聞かせを願いたいと、こう思います。
 それからマイカー族の問題について大臣から御答弁がございましたから、ついでながら申し上げますけれども、私も最近の連休でもってこりたことがあるのです。たとえば長瀞というところがあります。その長瀞まで行く道路が連休のときなんかまるっきりつながってしまって、何十キロも動きがとれない。その列の中に入ってしまうと、こっちは長瀞に遊びに行くわけではありませんけれども、長瀞の先の秩父まで行くんですけれども、その列に入ってしまうとどうにもならぬわけですよ。またいで行くわけにはいかないし、行くも帰るもならない。エスカレターか、動く歩道に乗ったような何とも困った経験があるのです。というのも、国道が二車線なら二車線のところへ東京方面からどっと車が押し寄せると、直ちにじゅずつなぎ現象が出てくる。しかも長瀞近辺にまとまった駐車場がないということもあると思うのです。それと同じ現象が武蔵丘陵明治百年記念の森林公園ができたとすると、考えられるんじゃないか。この公園に至る道路は、いまのところはやはり二車線の県道しかない。しかも関越自動車道ができて、その自動車道のインターチェンジから公園の入口までの道路は十六メートル道路でもって予定をしたということになりますと、せいぜいやはり二車線かそこらです、歩道を入れますからね。そうすると、マイカー族が東京方面から押しかけるという場合に、やはりこの周辺がもう詰ままってしまうということがいまから目に見えておるわけです。目に見えておるにもかかわらず、この国道を四車線にして整備をするといったような計画がなかなか進展していないわけですね。県のほうでもいま有料道路をどこかにつくろうかといって思案をしておるという段階です。これは思いやられるわけですね。
 それから、利用者の流れというものを分析をした数字もこの間見せてもらったんですけれども、たとえばマイカー族が何十万、鉄道利用者が何十万、その他というのがあるが、その他というのはどういう人を当て込んでいるのか、私は聞いてみたんですね。自動車でもなければ鉄道でもない、その他というのは歩いていくほかはない。歩いていくにしては少し駅からの距離があり過ぎると思って、その点がわからなかったのですが、ところが、園内にサイクリング・ロードをつくるので、自転車で行く人がふえるだろう。自転車で行く人を見込んで十五万といったような数字をはじいている。しかし、実際問題として狭い県道でダンプカーが二台すれ違うと一ぱいになってしまう、そんなところを自転車でもって行くということになると、公園に行くまで命がもたない、そういう状態なんですね。ところが、まるっきり交通計画というのはまあいいかげんなんです。自転車で行くのもけっこうだし自動車で行くのもけっこうだけれども、その自動車がもう延々として何十キロも行列をつくるということになると、これは周辺の人はたいへんに迷惑をします。それから急ぎの用の人はなおさら困ってしまうし、消防自動車とか救急車はこれまた動きがとれない。こういう問題は、公園をつくるといったような場合には、公園に先行して道路の計画、交通の問題というものは当然考えるべきだと思う。そういう交通問題というものは、建設省と運輸省との間の連絡がとれていないのかどうか知りませんけれども、ばらばらであるというのはきわめて遺憾だと思います。それらの点は、結果的には交通公害をまた大きくして、そのときになって何をやっているのだと言われることがいまから目に見えておりますから、私は一つ明治百年の森林公園を、具体例をあげましたけれども、これらの問題についても、これは早急に運輸大臣としても関係方面と折衝をして、対策を講じてほしいということをこの機会に申し上げておきたいと思います。いまの問題について大臣からひとつ……。
#17
○国務大臣(橋本登美三郎君) 御意見ごもっともでありますからして、建設大臣ともその点については協議をして、遺憾のないような措置を講じたいと思います。
 ただ、御承知のように、最近の大規模公園というものは、鉄道輸送路から相当離れたというか、多少離れた地点に設定をする。これは一つにはいろいろ問題があります。さような事情でありますから、いずれかといえば主たる問題は建設省の問題になろうと思います。公園を道路によってどこまで鉄道とつなぐか、こういう問題になろうと思いますが、しかし、ものによっては鉄道がある程度これをカバーするということもあると思いますので、これらを含めて検討していくようにいたしたい、かように考えております。
#18
○瀬谷英行君 排気ガスの問題を……。
#19
○国務大臣(橋本登美三郎君) 排気ガスの規制は、先ほど申しましたように、四十六年から四十八年までは、従来の統計によりますというと必ずしも減っていかない。車のふえる率が多いので、それで使用車に対する従来の規制でよいかどうか、これを強化する必要が個人的にはあるのじゃないかということがありますので、この点を検討させたいと思います。
 なお、自動車新税の問題は関係方面で検討しておるようであります。この主たる目的は、先ほど来お話のございましたように、交通の円滑なるシステムを組むために、しかもこれを急速に実現する、その財源として使いたいというのが主たる目的のようであります。必ずしも車の増加を防ぐということが目的でない。結果的にはそういうことのあらわれかどうか知りませんけれども、主たる目的はいわゆる交通関係の整備のためにその財源として考えていきたいということが目的と聞いております。
#20
○瀬谷英行君 公園関係の整備ということになりますと、これはやはり運輸省の所管になってきます。だから、まず運輸省としてその計画というものを――どれだけ予算がかかるか、財源という問題が出てくると思いますけれども、ある程度積極的に交通体系の問題を立案する必要があるのじゃないか。立案をした結果、財源はこれくらい必要とするという問題が出てくると思います。そうすれば、その財源をどういうところに求めるかという問題ともつながってくると思いますけれども、ほっておいたのではなかなか現在の交通問題は打開できない。
 そこで、いま提案をされております海洋汚染防止法の問題に入っていきたいと思うんですけれども、法律の目的とするところは、船舶及び海洋施設から油や廃棄物を排出することを規制するということでありますけれども、これは日本だけが幾ら力んでみてもできることじゃない。これらの規制というのは、当該船舶の船長がある程度の権限を持ってやることになると思うのでありますが、油の規制にいたしましてもあいまいな点があるわけです。
  〔理事金丸冨夫君退席、委員長着席〕
たとえば、瞬間排出率が一海里当たり六十リットル以下であるといったようなことだとか、濃度が一〇〇PPM未満であるといったようなことが書いてあります。それらは規制をするといっても一々監督するわけにはいかないわけですね。船自体がこのきまりを守るということでないとできないということになる。そうすると、一切は船長の責任と権限において行なうということになってくるわけです。
 それから、「海岸からできる限り離れて」排出するということは、「できる限り離れて」というのは一体どの程度離れるのか、数字的にはあまり明確でないわけです。こういう点は一体どういう規制をするのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#21
○国務大臣(橋本登美三郎君) 御承知のように、海岸汚染防止法という法律案はかなりきつい法律案であります。おっしゃるように、いま日本だけが一生懸命やってもはたしてこの結果が実現できるかというように、日本が先がけてやる法案であります。油に関しましては、次の国会で皆さんの批准を受けます国際条約の中でこれが規定されておりますからして、油に関する限りは国際的にこれは守られる。ただし、それにしても日本の国内法はもっときついものがあります。船についてのトン数がタンカーの場合はゼロというので、たとえ五十トン、二十トンのタンカーでもこれは出してはいけないということになりますから、国際条約よりもかなりきついわけであります。しかし、これらをやりますためには、ことに沿岸の海洋の汚染を防止するためにはこの法律だけではとうていできません。そこで廃棄物処理法あるいは水濁防止法、こういう関係法案と一緒にこれは立証されなければならぬわけであります。
 そこでビルジの排出についての規制がありますが、その程度にまで一応これが処理されておるものであるなれば、これは適当なところに廃棄してもまあ弊害はないであろうといういろいろの積算の上からそういう数字を出しております。しかし、それにしても一定の海岸から離れたところでやってほしいというのは、一つは、これは一般船に対する問題もありますからして、そうしますというと、一般船は、たとえば小型旅客船もあり、あるいは小型貨物船もあります。そういうものは、東京湾なら東京湾の中で申しますというと、必ずしもまん中を通ってずっと海洋に出るわけのものでもないわけであって、あるいは沿岸伝いに航行する船もあるわけであります。そういう場合におきましても、できるだけ離れてほしいというのは、まあ大ざっぱに言うなれば、港則法を適用した海域内をなるべく避けて、もう少し外へ出たようなところまで出たときに捨てるなら捨てるということで、したがって、船によって措置が違う。大型、たとえばカーフェリーのようなものが通るということであると、これは最短距離を通ってたとえば東京から北海道に行くということになりますと、これは相当離れたところに捨てることが可能であります。しかし、沿岸伝いに行く小船になりますと、必ずしも遠くまで行ってまた戻ってくるということもできない。しかし、なるべく沿岸の近くで捨てないようにしてもらいたい、各種の船の態様いかんによってその航路自体も違ってくる、しかし、それにしてもあまり沿岸に近いところでは捨てないようにしてもらいたいという意味で、そこでもって何百メートルとかいうようなそういう制限のキロ数ができないのは、船の態様によって歩く道が異なる、しかし、それにしても近づいたときに捨てるな、なるべく離れたときに捨てろとこういうような措置を講ぜざるを得ないのは、いま申したように、船の種類あるいは仕事の内容の相違等によって一律にこれは規定することができなかったと、こういう意味であります。
#22
○森中守義君 船舶局長にちょっとお尋ねします。船内設備によりまして廃油あるいは廃棄物、こういうものの処理を行なうような設備はできないのかどうか。
 それから厚生省の環境衛生局長にお聞きしますが、たしか通産省が、もうすでに四年あるいは五年時間が経過しておると思うのですが、長崎の三菱造船所に依頼をして風洞実験をやったことがある。これが、正確に、実験の結果というものが厚生省に把握をされておるかどうか。たしか、これは重化学工業などを中心にした場合、地上から大体百メートルないしは百十メートルぐらいのところに逆転層というものができる。逆転層を破った場合には排煙の拡散距離が非常に長い。かなりそのばいじんの被害あるいは汚染度というものが薄らいでくる。したがって、一度私は、公害防止事業団に、煙突を百二十メートルぐらいまでに引き上げること、それといま一つは、集じん装置というものはいまいろいろあるようですが、高度の集じん装置でその防止ができる、こういう二点がさしずめ大きな問題になるということを、もうずいぶん前でしたけれども一度議論したことがあるのです。当時、通産省も、あるいは厚生省も、風洞実験の結果を早く出してくれ、それによって相当の手当てをしたいという答弁を記憶しております。ところが、今回出してまいりました十四法案の中に、大気汚染関係などもあるようですが、そういう風洞実験の結果による煙突の高さないしは集じん装置の設備内容、こういうものがあまり正確に出されていないのですけれども、あとのほうはこの法案に直接関係ないのですけれども、その辺の状況はどうなっているか、ひとつ船舶局長と厚生省、いずれも要約でけっこうですからお答え願っておきたいと思います。
#23
○政府委員(田坂鋭一君) 船内におきます廃油の処理につきましては、油水分離装置並びに油受け装置並びに廃油貯蔵タンク、こういうものが船内において処理設備としてございます。油水分離装置、分離機につきましては、四十一年から改良にかかりまして、四十三年度におきまして型式承認制度を設けております。漏油受け装置並びに貯蔵タンクにつきましては、これは船内で造船工事として設備できるものでございます。いずれも船内で処理ができるようになっていると存じます。
#24
○森中守義君 田坂さん、そういうふうな開発を徐々にやるということですが、この法案によれば、十分の五でしたか、何か助成措置が講ぜられておるわけですから、開発の終了段階になれば、当然これは対象になるのですか。
#25
○政府委員(田坂鋭一君) 油水分離装置につきましては、おおむね開発は終了しておるものと考えます。今後なされなければなりませんのは、これらの基準をさらに国際的に明確化する、あるいは性能の向上をはかるということかと存じております。
#26
○政府委員(浦田純一君) 煙突の高さと、それからそれによりまして大気中に排煙が拡散しまして、いわゆる着地濃度というところで実際に人体なりあるいは作物その他の生物に被害を及ぼす状況、これにつきましては、長崎の三菱造船所の中での結果につきましては私つまびらかにしておりませんが、三島地区、あるいは千葉、四日市その他につきましては、実際にそこでの実地における調査並びに模型における実験で、煙突の高さと、それからそれの高さに応じての拡散のしかたというものについてはかなりの調査結果を得ております。問題は、このごろは、拡散しまして、結局薄められまして着地濃度そのものを下げるというねらいと、それから御指摘の集じん装置によりまして排出の出口で押えていくという考え方と、もう一つ、これはことに重油の硫黄分の含量でございますが、いま一番大気汚染で問題になっておりますのは、何と申しましても硫黄酸化物、SO2あるいはSO3、こういったものが一番問題でございますので、もう一つの考えとしては、燃料の中に含まれているそういった成分そのものを押えていく、いわゆる脱硫化ということでございまして、いま考え方といたしましては、いわゆる環境基準というものを達成していくためにその三つの組み合わせでいくというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、ただ単に煙突だけを高めるということでなくて、三つの組み合わせ――たとえば煙突の高さをそう高くできない場合には十分な集じん装置をつける、あるいは、場合によってはさらに低硫黄の重油を使っていただく、こういったような三者のコンビネーションでやっていただくというような方向でいままでの調査結果に基づいて考えてまいっておるわけであります。
#27
○森中守義君 関連ですから、これで終わりますがね。さっき申し上げたように、通産省が長崎の三菱造船所に依頼したのは大体もう六年ぐらい前だったと記憶します。それでかなり内容的に充実した答えが出る、こういったように私は聞いておるのであります。確かにいま言ったような三つのものをセットするということは、これは非常に当然のことだと思うのですが、その煙突の高さ、それと集じん装置、まあいずれも相当それぞれの企業が金を伴うことなんでしょうけれども、これはひとつこういうむずかしい事態でもありますから、ある程度法律によって――風洞実験の結果というものが権威あるものだと思いますから、ある程度附則なり何なりによって義務づける方向に行くべきではないか。それが一つと、それと防止事業団が見えていませんけれども、基本法制定の時代に防止事業団体に相当高額の国費が入れられておるわけですが、最近いろいろ聞いてみますと、どちらかといえば開店休業の状態である、各企業から防止事業団に対して資金需要の申し入れなどが全くない。まあこの辺も私、問題だと思うのですよ。これはあなたのほうの直接所管ではありませんけれども、そういうすでに確立をされた機関があり、しかもその風洞実験などがもうとっくの昔に答えが出ているにもかかわらず、こういうものが実際の行政上の問題として裁量外に置かれているということは非常に遺憾だと思うわけです。そういう意味でもっと防止事業団を活用するとか、あるいはそういうものを企業に対してもすすめていく、あるいはきちんとしてやるべきことは義務づけるという、こういうことをこの際私はお願いしておきたいと思います。
#28
○政府委員(浦田純一君) 先ほど少し説明のことばが足りませんでしたので、あるいはその点御了解いただけなかったかと思いますが、煙突の高さと、それから排出されまして拡散されたガスがどのようになっていくか、着地濃度がどうなるかということも含めまして、これらにつきましても現在の大気汚染防止法の中で一つの数式によって算出しておるわけでございます。これらの数式と申しますのは、いずれもそれぞれの地域における実際上の調査並びに風洞実験その他によりまする実験室での研究の結果、そういったものを合わせましてでき上がったものでございます。したがいまして、私その点三菱造船所におきましての実験が具体的にどのような部分、どのようなところに役立っておる、その数式を出したのに役立っておるということはいまつまびらかにいたしませんけれども、全般としてこういったような形でもって行政に生かされているということは申し上げてよろしいのではないかと思っておるわけでございます。また、十分にこれらの研究成果については今後とも取り入れて行政に資してまいりたいという考えでおります。
 公害防止事業団の融資状況につきましては、私ちょっとその点の数字はつまびらかにしておりませんが、順次こういった事業に対しまして事業団が重点的に融資を考えていくというたてまえでございますので、その点についても趣旨が徹底し、利用がふえていくように私どもとしてもつとめたいと思っております。
#29
○瀬谷英行君 海上保安庁長官にちょっと質問したいと思うんですけれども、海上保安庁長官は海洋の汚染状況について必要な監視を行なわなければならないということになっているし、地方公共団体の長に汚染を通知しなければならないとか、要するに海上保安庁長官の仕事というのはたいへんにふえてきたような気がするんです。当初は海のよごれまで海上保安庁の仕事になると思ってなかったんじゃないかと思うんですけれども、この法案によって非常に多くの仕事が出てきた。一体、海上保安庁が現在の体制でもってできるのかどうかという心配があるわけです。どの程度可能なのか、現在の海上保安庁の体制というのは海水の汚濁のことまで考えた体制になっているんじゃないと思うんですね。ほとんど現在の体制のままで監視を行なわなきゃならない、こういわれてみても、東京湾だけの監視じゃないんです。海ということになるとたいへん広いわけですよ。この広い海の監視をどうやってやるのかという点、だれが考えたってちょっと気がかりな点です。現在の要員、あるいは現在の船舶、あるいは飛行機、こういうもので間に合うのかどうか。この法律を厳密に行なうという場合に、海上保安庁としてはどの程度の予算的な裏づけを必要とするのか、あるいは要員なり船舶の拡充をしなければならないという点についてお伺いしたいと思います。
#30
○政府委員(手塚良成君) 海上公害の問題につきまして、海上保安庁の体制、今後のあり方ということでございますが、ここ二、三年来やはり公害の問題が非常にやかましくなってまいりましたについて、私どもは港則法二十四条というのを極力活用するたてまえで一部そういった仕事に現体制のもとで従事をしてまいりました。で、私どもの体制は、現有船艇がこういったものに関与します船は二百九十九隻、飛行機が固定翼を含めまして二十一機という現態勢でございます。定員的には約一万一千人おりますが、船に乗っております者は約その半分、これらのものについて、現状におきましても、特に船などについては質の面が劣勢だという御指摘を皆さん御体験の上で、また、私ども常日ごろ痛感しておりますが、いろいろ御指導があるわけで、今度新たにこういったような新しい海洋面の任務がふえてまいりますについては、そういった従来いわれております内容について必ずしも十分だとは思っておりません。しかし、こういう面について、新しい仕事のやり方というものについては十分な考慮を払って任務の万全を期したい。たとえば、やはりこういった汚染の問題が出ます海域というものはある程度重点的に警戒体制をしく。何といいましても、東京湾大阪湾、瀬戸内海、九州の洞海湾、こういったところが最も重点海域であろうと考えるわけで、こういった重点海域にひとつ公害体制を重点的にしく。特に公害の問題、油の取り締まりについては航空機が非常に効果があると考えますので、こういったヘリコプター等の活用というものをこういう面で十分にやっていきたい。また、組織の面等につきましても、実はこの十月一日から実行したのでありますが、大臣の御指示もございまして、現在海域を管轄します四管区本部に公害監視センターなるものを発足さして、一部専門的な教育を施すように準備態勢をしいておりますが、こういったものについては今後なお強化をはかる。あるいはやはり官民協力態勢というものがこういうものにはぜひ必要でございますので、そういった面は従前以上に強化する。あるいは乗り組み員自体の自主的な油に対する観念というようなものがどうしても必要でございますから、そういう面についての指導、教育といいますか、そういうものを強化する等々のことをもちまして実際面の効果ある体制をしていきたい。しかし、なお将来におきまして、いまの要員等それぞれにつきまして不十分な点は考えられますので、今後の予算その他の面に適宜な増強の措置を講じていきたい、かように考えております。
#31
○瀬谷英行君 それではきょうのところはあと一問で私の質問を終わりたいと思いますが、大臣にお伺いしたいんですが、海上保安庁の仕事はうんとふえてきた、しかし予算的な裏づけがないと、法律だけこしらえても実際の効果をあげることができない。そういう意味では海上保安庁そのものの体制というものをもっと強化する必要があるのではないか、そういうことはだれが考えても考えられることです。来年度の予算の面で海上保安庁の体制の強化ということを考えておられるのかどうかということが一つ。
 それから外洋はともかくとして、湾内の汚染というものは、これは思い切った規制をしなければできないのではないか。だから、たとえば東京湾なら東京湾にタンカーが入らないようにする、そうして湾外でもって何とか油をパイプライン等を通じて運ぶとかいう方法を講ずることができないと、湾内に入れておいて汚染をしないように監視するといったようなことをいっても非常にむずかしいんじゃないかという気がするわけです。それに、東京湾自身がかなりもうすでによごれてきている。芝浦の埠頭なんかに行ってみると、海のにおいじゃなくて、どぶのにおいですよ、もう。だから、ヘドロは富士、田子の浦だけじゃないと思うんですね。田子の浦のヘドロも、これはたいへん始末に困る問題ですけれども、あれだってやはり外洋投棄はいけない、陸じゃ困る、持っていき場所がないわけです。月の世界にでも運ぶ以外に方法がないということになる。しかし、何とかしなければならぬということになると思うんですがね。ああいう問題は、やはり国でもって方法を考える以外にないと思う。田子の浦の港自身がヘドロでもって使えなくなるという問題は、東京湾でも、伊勢湾でも、あるいはあっちこっちの湾でも、そういう現象が多かれ少なかれ出てくると思うんです。それらの問題を根本的に解決をするために、大臣としてはかなり思い切った措置を必要とするんじゃないかという気がするんですけれども、その点についてひとつ蛮勇をふるうつもりはないのかどうか、その点をお伺いをして、私の質問は、きょうのところは終わりたいと思います。
#32
○国務大臣(橋本登美三郎君) お話のとおり、最近東京湾のみならず、大阪湾にしても、伊勢湾にしても、瀬戸内海にいたしましても、非常に汚染の度がだんだんとひどくなってまいっておる状態であります。根本的なこれらの清掃といいますか、公害除去の問題は、海洋汚染防止法の問題というよりは、公害基本法の立場からして、そこでいわゆる公害、ヘドロ等の処置は、これはもう当然積極的に考えていかなければならぬということで、運輸省としては、どちらかといえば、港湾機能が阻害されるという意味では被害者でありますから、積極的にこの措置を関係方面に要請しまして、予算措置も講じていきたい。
 なお、海上保安庁の監視体制ですが、私は、早くもこういう問題が出てまいりましたので、この法案のできます前に監視センター等を設置して、そうして、すでに行動に出ておるわけであります。しかしお話のように、広い海の問題を現在の陣容で十分かといえば、もちろんこれは不十分であります。したがって、来年度予算につきましては、積極的に人員あるいは巡視船の代替建造等を強化して、これは大蔵省に対しても強く要請して万全の措置を講じたい。かつまた、組織問題があります。これをどういう形で組織するか。この法案によりますれば通報義務といいますか、一般の人からも、そういうものがあったら知らせてほしい、こういう措置も考えておりますので、一口に監視体制と言いましても、万全の措置を講ずると言いましても、何せ広い海でありますから、現在の陣容を何倍にしましても、これで完全だ、こういうことは言い切れないのであります。したがって、問題は、これは当然のことながら、一般国民のいわゆる道徳心にも待たなければならぬ。こういう意味において、私は海上保安庁長官に相談をいたしまして、来年の四月一日から一カ月間、海をきれいにしましょう――まあ目的は海洋汚染防止法の趣旨の宣伝でありますけれども、海をきれいにしましょうという月間運動を四月一日から一カ月間実施してみたい。それは運輸省、海上保安庁及び各都道府県及び船舶関係の各種団体、あるいは海員組合、あるいは漁業組合、あるいは海に関するいろいろの団体がありますから、その愛好団体等の共催によりまして、そうして一方においては、海岸の事業としては海洋の正常化を実施する。ごみ、油を取り除くことをやってみる。第二には、海洋汚染防止法の趣旨を普及するために、必要があれば、映画ができればたいへんけっこうなんですが、映画あるいはポスター、パンフレット等によって、とにかく国民の協力によって海をきれいにしましょう、まず自分の沿岸地帯をきれいにしていく、こういうことをお互いがやはりやっていく必要があろうと思うのです。十分の効果があがる、あがらないの問題は第二として、とにかくこれだけの世界的な法案でありますからして、ぜひひとつ日本の国民が率先して、いわゆる七つの海をきれいにするのだというまず心がまえをつくっていく、かような意味での月間運動をやってみたい、かように考えております。お話のような監視体制の強化につきましては、四十六年度予算の上ではできるだけ最善を尽くしてがんばってみたい、かように考えております。
#33
○委員長(温水三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#34
○委員長(温水三郎君) 速記を始めて。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時四十八分開会
#35
○委員長(温水三郎君) 休憩前に引き続き運輸委員会を再開いたします。
 海洋汚染防止法案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#36
○田代富士男君 最初、大臣にお尋ねしたいと思いますが、海洋汚染防止法案の原案の要綱の段階
 でいろいろ検討なされたことも聞いております。その原案の目的というものは、公海や海への海洋施設からの油やそういう廃棄物を排出する規制をもとにして考えた法案だと思いますが、その原案の段階におきまして、港湾管理者に廃油処理施設を計画的に整備させるようになっていたと、そのようにわれわれも聞いております。特に、一定規模以上の石油精製業者、また造船業者など廃油処理施設を整備させるものとすると、そのように規定されておりましたが、これが政府提出の法案になってまいりましたおりには、こういう今回の海洋汚染防止法案の骨子とも言うべきものが全部落とされてしまっている。これは衆議院の審議の段階においても、このことは何回も議論されたことと思います。しかし、これは一番骨子じゃないかと思いますが、これにはいろいろいわれております。まあ、このようなことを考えていきますと、このような法案ができてはたして所期の目的がれ成されるのかどうか、そういうことを考えますれば、いま提出されております海洋汚染防止法案のこの法案だけで所期の目的が達成されるのであるか疑わしいじゃないかと、そういうように思いますし、一番最初に、運輸大臣はこの件につきまして、運輸省の原案と政府提出の法案との中におきまして、そのような結果を生んだということに対しまして、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、最初にお伺いいたしたいと思います。
#37
○国務大臣(橋本登美三郎君) 田代さんの御質問でありますが、御質問の趣旨の中において誤解がありますから、その点は御訂正を願います。政府原案の場合に限らず、運輸省原案の場合におきましても全く同一の原案でありまして、運輸省原案が手直しされて政府原案に変わったということは絶対ありません。
 ただ、御承知のように、法案を一つつくる際は、関係事務当局等が集まっていろいろの意見を述べ合うわけでありますから、その述べ合う場合において、こうしてはどうであろうか、ああしてはどうであろうかという意見が出ることは当然であります。初めから案が自然に生まれておるわけではありませんから、したがって、案をつくる場合においていろいろの意見が各事務当局なり関係者から出て、そうして大体の意見がまとまったところで運輸省原案なるものができます。したがって、運輸省原案ができた段階においては、いま申したような事実は全くありません。したがって、政府関係においても、運輸省原案がそのまま政府原案として承認を受けたと、こういうことであります。
 いまお話しになるように、それならば現在の法案によって清浄化といいましょうか、法案の目的が達成できるかどうかという御意見であります。これについては廃油処理施設の問題が中心であろうと思いますが、廃油処理施設については計画的にこれを設置してまいりますからして、したがって、これらの需要に対して十分にまかない得るという前提に立っておるわけであります。ただ、問題は、いかなる法案であっても、この法案を守ろうといういわゆる順法精神がなければ、これはどうにもしようがない。したがって、順法精神を守ると同時に、その順法精神を守りいい状態をつくってあげる、こういうことはもちろん必要であります。しかしながら、この法案が、いわゆる裏において守られないことを前提としての法案であるならば、これはもう問題にならない。したがって、当然運輸省としてはもちろん、これは守られるような措置を十分に施設の上においてもあるいは監督の上においても行なうわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、この法案は将来のいわゆる資源の確保、あるいは人間というものが生きがいのある社会状態をつくっていく上においては非常に重要な目的を持っておるのでありますからして、したがって、人類全体がこの法案に対して協力する体制、もちろんこれは前提であります。たとえば、監視体制にいたしましても、いかに監視体制をつくりましても、これも裏から破ろうという者があれば、ちょうど石川五右衛門ではありませんけれども、とうていこれは防ぎ得ないのでありますから、何としても大前提としては、お互いにこの法律は守っていこうと、こういうことが力強く叫ばれなければいけないのでありまして、この点につきましても、できるだけこの法案の趣旨徹底方につきまして、先ほど申しましたように処置をいたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#38
○田代富士男君 いま運輸大臣が申されました、人間の生きがいのある社会をつくるために、また将来の資源開発のためにも、どうしてもわれわれの日本の国の一番大事な環境である海の問題に取り組んでいきたいという運輸大臣の御決意を聞きましたけれども、その目的の第一条に、「海洋の汚染を防止し、もって海洋環境の保全に資することを目的とする。」と、このように最初に述べていらっしゃいます。いまお話を承ったこともこの中に含まれるかと思いますが、この第一条の目的、これによって実行性とメリットはどこにあるのか、これをもう一度お聞かせを願いたいと思うのです。第一条の目的の精神についてお願いいたします。
#39
○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいま田代委員がお読みのとおりに、この法律の目的は、最終的には「海洋の汚染を防止し、もって海洋環境の保全に資することを目的とする。」という大目的を掲げております。今日、公害がやかましくいわれるときに、このような大目的を持った法案というものは、少なくともなかなか実行の上においてはむずかしい点もあろうと思いますけれども、しかしやらなければならぬ問題である。そこで一方においては、この前段のほうにおいて、海洋に油または廃棄物を捨てることを原則としてやめていこう、それは規制しよう、そういうことによって、では、それをやるためには廃油などの適正な処理をこの法律の中できめておこうと――なぜ廃棄物の規制について書いてないかというと、廃棄物については、御承知のように、廃棄物処理法という別個の法律があります。その法律でこれは処理していく。しかし、廃油の処理についてはほかに法律がありません。これによって、この法律の中でこれを処理していこうと、こういうことで、この二つの方法が適正に、しかも厳格に行なわれることを前提として環境保全を十分になし遂げよう。また、これが行なわれるのであるならば、この目的は私は十分に――十分というのは語弊がありますけれども、大原則としては保全されるのではないか、また保全されることを目的としておる、こういうことで御了承を願います。
#40
○田代富士男君 いまも申されたと思いますが、これは海洋の汚染防除のための措置だと思いますが、ここで最も大事なことは、海洋のみずからの浄化作用、このメカニズム、キャパシティーというものを科学的な根拠をもって運輸省として把握されていらっしゃるのか、その点をひとつお聞かせを願いたいと思います。
#41
○国務大臣(橋本登美三郎君) お話のように、自然にはみずからの浄化作用というものがあります。これは海に限りません。陸上においても同様であります。ただ、そのみずからの持つ浄化作用というものにはやはり能力において限度があるのではないか。しかしながら、残念ながら現在の科学者の間においては、どの程度まで、たとえば海なら海というものが、海流あるいはそういうもののためにどの程度まで浄化作用が能力として的確に把握できるかという研究だけはまだできておりません。しかし、最近のいわゆる生態学者といいますか、エコロジーをやっている学者の間では、いわゆる技術開発――経済成長、産業開発、こういうものを考える場合には、そのものによって生まれたものがまず公害を伴わないことが原則、同時にまた、その生まれたものが、いわゆる帰結と言っておりますが、もとに帰る、帰結、完結の技術開発を伴うべきである。もしそういうことが実際上できないのであるなれば――ものによってはできないものがあります。そういうものについては、これは人類が使用することをある程度制限すべきではないか、こういう一つの法則がこれからの未来社会といいますか、これからの大法則ではないか、こういう議論を最近の新しい学者は言っております。
 そこで、この中の、いまお話のあったみずから浄化する作用、これについては、ただいま申しましたように、どういうものがどの種類までやれるかという数字的な根拠は、世界の学者においてもこれはまだ明確にされておりません。そこで、もちろんこれらが正確になって、そうしてその範囲においてどう処理するかということを考えることのほうがより正確であることは間違いありませんけれども、その学者の研究を待っておったのでは、これは海上も陸上も汚染されてしまう。こういう意味において、それらの研究は研究として進められる一方、原則として、これを海洋に投棄することによって起きる汚染を防止していく、こういう処置を講ずることがやはり一つの政治の手段でありますので、したがって、そのような研究の結果を待たず、とりあえず原則として海洋には油もしくは廃棄物を投棄しない、全面禁止である、こういう前提に立って、ただ、少数の例外については、あるいは暫定的には将来影響がありましょうけれども、これを考えていく。原則的には全面禁止である、こういう原則に立ってこの汚染防止法という法案は成り立っておるわけであります。
#42
○田代富士男君 いま大臣も申されたとおりに、浄化作用の実態というものは世界の学者の間でも明確にされていない。それを待てないから、現在このような法案をつくって全面的な海上への油や廃棄物の規制をやっていこうという措置はわかりましたが、この第一条の精神に基づいて考えますと、三つに考えられます。いまのままにしておりますと徐々に汚染されていく、これはやむを得ないという考え方、第二番目には、いまのままの現状維持でいくのか、それから第三番目は、現在汚染された、そういうものをよくしていくという、そういうような三つの面からとられるのじゃないかと思いますが、この第一条の目的では、「海洋の汚染を防止し、もって海洋環境の保全に資することを目的とする。」、このようにしておりますが、この趣旨というものは、この三つのうちどの部分に資するのであるか、この点はどうでしょうか。
#43
○国務大臣(橋本登美三郎君) お話のあったうちでこの法案の目的とするものは、現状よりも悪くしてはいけない、したがって、汚染度を高めないようにしていこう――しかし、それならば現在の汚染度をどうするか。こういう問題は、現在汚染された状態は他の法案、たとえば公害基本法等によって積極的に防除事業を行なっていく、田子の浦の問題等もしかりであります。そこで、運輸省といたしましては、これは運輸省だけではありませんが、運輸省の範囲内の仕事といたしましては、東京湾をはじめとして瀬戸内海、伊勢湾、大阪湾、全国の主要ないわゆる汚染があると思われる港湾については、昭和四十五年度の予算で総額三千五百万円をもって海底のいい、悪い状態等の底質の調査を進めております。これによって、どこから手をつけていくべきかという問題もあると同時に、もう一つは、洞海湾のような非常におそるべき汚染度でありまして、身命に危険のあることは御承知のとおりであります。こういうものになりますというと、どういうものが含まれているかということを調査すると同時に、どういう方法でこれを除去すべきか、人命その他に影響がないためにはどういう方法でこれを除去すべきかという問題も検討していかなければならない。むやみに、どろがあるから捨てるということができない。たとえば田子の浦の場合においては、下にたまっておって港湾の機能を阻害しておるわけであります。だからといって、あれをオープンでしゅんせつすれば危険が事実上あったということからして、その除去方法についても検討を加えなければならない。もちろん、これは運輸省自体が考えるべき問題だけではありません。運輸省としては、技術的な協力、援助等によって、当然港湾管理者がやるべきものでありますけれども、一応専門的な知識を持っておりますので、運輸省がそういう方面の積極的な協力によってこれらを処理していくという防除対策、これなどがいままでの汚染度をなくしていくという一つの仕事になります。しかし、この法案自身は、これ以上よごしちゃいかぬ、いままでの汚染状態を直すことは別個の方法として考えられる、そうして今後よごれないようにしていくためにはこういう法律案が必要である、こういう前提に立ってこの法案ができております。
#44
○田代富士男君 いま三つの案を提出した一番最初の趣旨というものは、現状以後はよごさないための法案であると大臣申されましたが、いま申されるとおりに非常によごれております。私も大阪湾の実地調査にも行きました。洞海湾も行きました。伊勢湾も全部行っております。私は大阪ですから、とにかく大阪の話をしますと、大阪の木津川で水をくみ上げて、そのときに、おすしの材料に使いますこのくらい大きいハマチとタイを入れてみた。何分もつか。ハマチが、時間にして十分少々すると平衡を失ってきておる。正確には、二十二、三分でハマチは完全に死んでしまった。タイは、腐ってもタイと昔からいわれるように、まだしぶとい。それでも一時間目に完全に死んでしまった。一緒に行きました同郷の新聞記者の皆さん方も実はびっくりしておりました。それよりもひどいのが北九州の洞海湾です。洞海湾の水に入れましたら三分もたないんです。ここまでよごれ切っておるんです。だから魚が住まない。これはこの法案に直接関係がないんですけれども、一応は、大臣とすれば、全体の責任としてこういう実態も御存じでなくちゃならないのじゃないかと思うわけなんです。
 これは私が申しますとおりに、現在の状況を清掃するということはなかなかできないんじゃないかと思います。これはたいへんなことだと思います。そういうところへ現在防止法案で検討されている不法投棄がなされているのです。いろいろな事実があります。私も大阪のいろいろな港湾関係者の業者に聞きました。廃油が一トンどのくらいで購入されて、どのように処理されておるか、実情も追跡をしてみました。現在は不法投棄です。その事実を私は追跡調査をしました。また、海上投棄できない場合は陸上に捨てております。それで被害が起きておる。廃油を陸上に捨てた場合には土が固まらない。捨てた当時は固まっていても下から浮いてくる。そういうような悪影響が大阪に起きております。西淀川区の中島というところがそういう一切の廃棄場所に大阪ではされております。土が浮いてきている。これでは、一番最初に私申し上げました廃油処理施設の整備というものが、そういう現実の姿を見て私は必要だと痛感した次第です。
 いま大臣が、この法案は以後のことを中心とした問題だ、現状についてもやるとおっしゃるけれども、工場からの廃液、船舶からの廃液、海洋施設からの廃液、それは行ってみなければなかなかわからない。魚の死んだ姿を見たときに、いま大臣は生きがいのある環境をつくらなくちゃならない――人間としての生きがいというものが、いま世の中で取り上げられておりますが、これは人間的な生命の尊厳、人間尊重というその精神に立ってこれはやっていかなくちゃならないと思いますが、この法案は現時点から先の問題ですから、それに焦点を合わせますと、船舶からの油性汚水の発生量はどのくらいに見込んでいらっしゃるのか、それをお尋ねしたい。
#45
○政府委員(見坊力男君) 油性汚水量といたしましては、全体で、これは四十四年につきまして推定したわけでございますが、約二千万トンでございます。
#46
○田代富士男君 もうちょっと具体的にお願いいたします。
#47
○政府委員(見坊力男君) これは油送船の場合と油送船以外の場合と二つございますが、油送船の場合に百五十トン以上が現行法で規制されておりましたが、今回のこの法案で百五十トン未満も適用対象にするということにいたしました。その隻数が三千百隻ほどございます。それから発生いたしますバラスト水、それからタンク洗浄水、それからビルジも発生いたしますが、そういうものの合計並びにタンカー以外の船舶につきましては、現行が五百トン以上に適用になっておりましたのを三百トン以上ということに規制対象を広げております。現行の五百トン以上が二千五百隻ございましたが、それに三百トンまで広げましたので、新たに千九百隻ほどふえたわけでございます。それのタンカー並びにタンカー以外の船舶の油性汚水を合計いたしますと、全体の九九%がこの法案によりまして規制されるということになります。逆に申しますと、一般船舶につきましては三百トン未満は適用対象外になっております。それの隻数が四万三千隻ございますが、これから出ますものはビルジでございまして、量としては非常に小さい、全体の一%程度であるという状況でございます。
#48
○田代富士男君 そうしますと、いま概略の数字をお聞きいたしましたが、一番最初にお尋ねしました自浄作用によって、こういうものも解決できるものと解決されないものとありますが、これだけの数量と自浄作用との関係につきましてはどのような見通しを持っていらっしゃるのでしょうか。
#49
○政府委員(見坊力男君) 自浄作用につきましては、先ほど大臣からお話がございましたとおり、われわれも、まだ学問的には未開拓の分野で、計数的にも明らかにされていないというふうに聞いておりますが、われわれももちろんそういう自浄作用というものが明らかになる、計数的にも、あるいは生物学的、あるいは海象・気象条件等の関係等明らかになるということが非常に望ましいわけでございますが、現実、先生のお話もございましたように、海洋が非常に汚染をしておる、われわれはこれを結果を待って法案化するということではおそ過ぎるということで、この全面原則禁止ということで法案化に踏み切ったわけでございます。
#50
○田代富士男君 それで、私がお聞きしたいことは――自浄作用がはっきりしてないということをいま申されました。ところが、第四条の中には、「何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない。ただし、次の各号の一に該当する油の排出については、この限りでない。」、このようにいわれまして、ずっとるる書いてあります。第四条二項の二号には、「瞬間排出率が一海里当たり六十リットル以下である」、また、第三号には、「排出される油一万立方センチメートル当たり一立方センチメートル未満である」、また、第三項には、「タンカー以外の船舶で総トン数三百トン未満のものからのビルジの排出については、適用しない。」、同じく第五項の二号にも、「一海里当たり六十リットル以下である」と、あるいは三号にも、ここに書いてありますとおりに、排出されるこれは「一万五千分の一以下である」、あるいは四号には、「五十海里をこえる海域において行なわれること。」とか、いろいろこのように数字が示されております。このような数字が示されるからには、何かを基準として出さない以上は、こういう数字は出てこないと思うのです。で、いまのお話でも理解できないことはございませんけれども、むずかしいのじゃないかと思うのです、その事実は。しかし、これだけのものをずいぶん二、三カ月にわたって運輸省の首脳の皆さんが検討されたということも聞いておりますし、それだけ検討されたならば、これだけを出すに至った、どういうものを基準として出されたのか、こういう自浄作用との関係も御研究なさったのじゃないかと思いますが、この点についてお答えを願いたいと思います。
#51
○政府委員(見坊力男君) 第四条にございます、これらの数字の問題でございますが、そもそもその数字を申し上げる前提といたしまして、船舶からの油の排出の規制につきましては、一九五四年の海水の油濁防止条約に基づいて現行法があるわけでございますが、昨年のIMCOの総会におきまして、そのもとになっておりました条約が改正になりました。その改正のおもな点と申しますのは、現行の条約では、沿岸から五十海里以内は投棄禁止ということでございましたが、改正条約では全海域投棄禁止という条約改正案になっておるわけでございます。そこで、この法案の油に関しまする規定は、改正条約の線に沿ってその内容をここに法案化したものでございます。したがいまして、第四条に、まず「何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない」、これが原則でございます。それから一項の一号、二号に、これは違法性を阻却するような緊急やむを得ない場合を書いてあるわけでありますが、それ以下の二号に書いてございます、ただいまお話がございました、一海里当たり六十リットル以下とか、あるいは三号の一〇〇PPM未満というようなこと、このことは、条約では、まずこの一、二、三の条件が満たされれば、海洋汚染という観点からは、この程度であれば差しつかえないということで条約の中に取り入れられたものでございます。それでこれは一、二、三すべてを満たす場合でございまして、一つではございません。で、この数字につきましては、これはイギリスで実験された結果によりまして、国際的にIMCOで検討された結果、現在の技術水準等に照らして実行可能な数字である、そしてまた、海洋汚染のおそれが少ないものとして条約に採択されたのでございます。
#52
○田代富士男君 まあ一つ一つについてお伺いしたいと思いましたが、時間の制限もありますし、これは省きたいと思いますが、第六条に、今回、「油濁防止管理者を選任しなければならない」、このようになっております。で、この油濁防止管理者についてお伺いしたいと思うんですが、これは海技免許を持つ者であるならばだれでもこの責任者になれるのか、どういう資格審査があるのか、その点についてお願いしたいと思うんです。
#53
○説明員(佐原亨君) 海技免状と申しますと、船舶職員法では、船長免状あるいは航海士、機関士、通信士ということになっておりますが、後ほど第二項で規定が出てまいりますように、「油の取扱いに関する作業の経験」という要件が重なりますので、自然に通信士ははずれるものと思います。したがいまして、甲板科士官、機関科士官のいずれかになるかと思います。船の慣例といたしまして、ビルジ関係につきましては機関部の所管になっております。バラストについては甲板部の所管になっている船が多いということを聞いておりますが、船の性格により、船のウエートによりまして甲板科士官あるいは機関科士官、いずれかの中から選ばれる、このように考えております。
#54
○田代富士男君 そうしますと、油濁防止管理者を選任するわけですが、こういう人が選任されると同時に、それぞれいろいろなことが――この法案を見ていきますと、ビルジの排水防止設備、これもしなくちゃならぬ、あるいはバラスト水のそういう処理についてもいろいろ規制されております。特にバラスト水の場合は、東京湾では川崎に行く途中で全部流されてしまう、そういうことも聞いております。そういうわけで、こういうようなことも全部――油濁防止管理責任者を選任しなくちゃならないわけなんですが、このバラスト水の排出の場合も、これはあとに出てくると思いますが、記録をつけなくちゃならないというのがありますが、川崎まで行かない間に流されてしまっているというような実情であります。そうした場合に、この排出の自動機械といいますか、タクシーでいうならばタコメーターみたいなものがあるならば、こういう油濁防止管理者をつくるということとあわせまして管理も行き届くんじゃないかと思います。また、このビルジの排水防止装置、これもつけなくちゃならない。
 この法案の附則の第一条をずっと読んでいきますと、この附則の第一条のところには、その時期についていろいろ個々に記載されておりますが、「公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」、また、四条、五条、八条の規定は、「公布の日から起算して一年六月を経過した日又は千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約第十六条の規定に基づき」、ずっとこのように第一条に書いてありますが、このようにいろいろ今度新しく規制を設けられておりますが、こういうすべてが期限づきにされておりますが、いままでこういうものはあまり規制されていなかったものを一度にすると、はたしてこのように規定された期限内にできるのであるかどうか。
 ビルジの排出防止機ですが、これは最近の新造船にはこういうものは完備されていると思います。しかし、七、八年前の船、これも聞いてみました、船の関係者に。そのような設備というものはされているといえばされている、されていないといえばされていない。機械はついていてもそれが動いていない、そういう船も多々ある、そういうことも聞いております。これはそういうものも七、八年前の船と新造船とはずいぶん違いがあります。また、このように今度油濁管理責任者ひとつにしましても、これは通信士以外の人ならだれでもできるといいましても、これはそうたやすくできるものではない。公布の日からと、こうなりますと、私はこの法案が通ったと仮定するならば、六ヵ月以内にこれをしなければならない、すぐにできるものか、そんな簡単なものであるか、そういうことをいろいろ考えますれば、この法案をつくるために皆さん方が御研究なさいましたけれども、はたしてそれは実がなるかどうか、そのような規定をつくっても旧態依然で、そのまま過ごされていったならば何にもならないと思いますが、こういう全体を含めて大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#55
○国務大臣(橋本登美三郎君) 事務的な問題もあるようでありますから、私の足らないところは政府委員のほうから答弁いたします。
 問題は、この法律案は、海洋をきれいにしましょう、そうして住みよい人類の地球というものをつくろう、こういうことが目的ですから、やらないという前提であればこんな法律案は要らないのであります。やろうという前提ですからして、したがって、これは何としても、多少の費用がかかっても、もし機械の整備が悪いならば改善してもらわなければならない。もちろん、適当に、この検査を行ないますからして、そのような不備な機械は直してもらわなければならないし、もし、不法投棄をすれば、罰則によってこれは処罰される。処罰するのが目的ではありませんから、お互いに海をきれいにしましょうということで、気をつけてもらえばできることであります。
 したがって、ただ問題は、先ほどからお話を聞いておりますと、一海里当たり六十リットル以下は差しつかえないという例外規定です、六十リットル以下は差しつかえない、やむを得ないということですが、ただ問題は、これは海事協会等の機関においてこれらの問題を先ほど申しましたようにいろいろ実験した結果、この程度であれば、海の汚濁にならないだろうということでありますが、将来、現在の船の十倍、二十倍、百倍、こういうように船がふえてきた場合に、はたして一海里当たり六十リットル以下であればいいものか、その他の条項があります。これは問題があろうと思います。しかし、現時点では、それ以上のことをやるためにはやはり負担が大き過ぎるという問題があろうと思うんです。したがって、一応国際条約では――この法案は国際条約で規定したものをそのまま受け入れたんですが、それは日本だけが特別の規定をすれば、日本だけが余分の負担をしなければなりません。また、日本だけでは規制にならぬのでありますから、こういう点は国際条約と足並みをそろえるということが当然です。そこで、先ほど来お話があるように、六十リットル以下ならば自浄能力に差しつかえないのかという御質問になろうかと思いますが、現状この程度の船ならば、国際会議においてこれだけのものならばいいだろうと、こういう結論が出たものだと思います。しかしながら今後十年、二十年、あるいは長い目で見て三十年とかいう将来、船の増加した場合、六十リットル以下というものではたして合うかどうか、これは疑問があると思います。その場合においては、当然これは国際会議においてこの規制を強化していくということも、これは考えなければならない。こういうこととあわせて、やはりこの目的を達成するためには、国際間の十分なる協調と、また全人類、地球の人々が十分にこれは考えていく、こういう前提に立って、この目的を達成するというのがこの法案の目的でもあります。
#56
○田代富士男君 で、いまも話してまいりましたけれども、油記録簿というもの、今後これを監視していくことに第八条でなっておりますね、「備え付けなければならない。」で。しかし、こういうことはないと思いますけれども――大臣が一番最初に、この法を順法していくという精神がなくてはならないということを第一番に申されたとおり、守らねばなりませんけれども、いま申しますとおりに、バラストを現実に海に捨ててしまっている、そういうことが現実にあるわけです。そういった場合に、うその帳簿をつける以外にない、こうした場合に発見できるのかどうか。そうして、これを犯した場合の罰則の規定は、第五十八条でございましたかに罰則の規定がありますけれども、罰則はあるけれども、これは証拠固めがなかなかむずかしいと思うんです。現物があるわけじゃない。そういうわけで、この点に対するお考えはどうか。これだけの、第八条という項目がありますけれども、どうお考えになっていらっしゃるのか、この点についてお答え願いたい。
#57
○国務大臣(橋本登美三郎君) この法案の中で、お互いに通報する義務といいますか、まああまりいいことじゃありませんけれども、人の悪いことを通報するなんということはいいことではないけれども、なかなか監視体制は、日本の船だけでも五万前後の船がありますから、そういう船に対する監視体制をいかに強化するにしても、一つ一つの船に一人を乗っけなければこれは完全にはできませんし、まあ乗っけたとところで、その者が結託をしたらそれはまた防げないということでありますから、何といっても道徳心の高揚がまず第一であります。しかしながら、こういう通報義務あるいはつけ人監視を十分にする、そうして順法精神をもってお互いに考えるということであるならば、ある程度これは目的を達成し得る。また同時に、記録をせよという規定があります。これもうそを書いたならばどうにもならぬじゃないかというけれども、うそを前提にするというと、この法案は成り立ちません。いかなる法案でも一応これはやってもらえるという前提に立たざるを得ないんです。
 それからバラストを現実に捨てているんじゃないかというお話であります。これは規定を越えてさようなことをしておる者もありましょうが、ただ、現行の規定では沿岸五十海里は禁止しておりますが、沿岸五十海里以遠のところは、これはいまのところは禁止していないというような抜け穴が一つあることも私は間違いだろうと思うんです。今度の法律では、これはできません。沿岸五十海里以内であろうと、以外であろうと、とにかく七つの海で船から捨ててはいけないということになっておりますので、今度は抜け穴がありません。国際条約がそうであったのです。沿岸五十海里以内では捨ててはいけないということは、それ以外のところでは捨ててもいいということになる。そうなりますと、人情のしからしめるところ、ごみは海に捨てていいんだというようなこともあったんだと思いますが、今度は全面禁止でありますから、さような抜け穴もありませんから、私は、この法律案が通り、国際条約が批准されれば、相当効果がある、さように考えております。
#58
○田代富士男君 いま効果があるとおっしゃいますけれども、これでいろいろ検査をする場合に――今度の予算編成におきまして人員の増加をお願いされているという話も聞いておりますけれども、現在までの仕事にプラスしてこういう仕事がなされるわけなんです。こういう検査に従事する人は一体だれがやるのか。ただでさえも人が足らない。はたしてやる仕事をきめても、それはもう人員を削られたりしてなかなかできない。そうすれば、これははたして実現可能であるかどうか。その点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。
#59
○政府委員(手塚良成君) 今度のこの法律の中にも明定されておりますが、海洋の汚染防止についての一般的な監視、取り締まりの責任というのが海上保安庁にあるというふうに明記されておるわけです。で、私どものほうでは従来も港則法等によるこういった種類のことをやっておりますが、今度この法律が施行され、あるいは水質汚濁防止法あるいは廃棄物処理法、そういった一連、関連の法律が施行されました際に、それらをあげて監視するということは、先ほど来お話がありますように、なかなかたいへんな仕事になるわけでございます。従来の海上保安庁の体制自体におきましても必ずしも十分ではないという御批判を、御激励と一緒に、受けているような状態でございます。しかしながら、できるだけこういった問題についての監視体制というものにくふうと努力をいたしまして、これらの措置に万全を期したいと考えるわけですけれども、特に船艇等の質の向上、あるいはこういった公害防止に非常に重要な役割りを果たします航空機、ヘリコプター、こういったものについての充足、あるいは専門的な要員の養成拡充、こういったものについては大方の御協力、御指導を受けて、私どもは万全を期して整備をはかりたい、かように考えております。
#60
○田代富士男君 いまヘリコプターとか、いろいろな体制で臨むとおっしゃいましたが、私も全国に配置されてありますそういう機数を調べてみました。これは海上保安庁に協力するためでもありますけれども、とうていいまの数では足らないと思うのです。この法律でこのとおりに規制していこうと思うならば、もっと充実しなくちゃならない問題じゃないかと思いますが、この問題については一応差しおきたいと思います。
 そこで、第十条二項の一号に「日常生活に伴い生ずるごみ、」とか、いろいろと載っております。また、十八条二項一号にもいろいろ規定されたものが載っておりますが、このようなものはどこまでを限定されるのか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。また、衆議院の段階におきましても、こういう廃棄物の受け入れ施設、こういうことにつきましての修正案等も検討されておりますけれども、こういう十条、十八条はどこまでを許すのかということについてお尋ねしたいと思います。
#61
○政府委員(見坊力男君) お尋ねの十条二項一号並びに十八条二項の一号でございますが、これは第十条全体が、思想といたしましては、「何人も、海域において、船舶から廃棄物を排出してはならない。」という大原則をまず規定いたしまして、この第二項では、これはやむを得ないものという考え方でございます。
 それで、第二項一号の「船舶内にある船舶その他の者の日常生活に伴い生ずるごみ、ふん尿若しくは汚水又はこれらに類する廃棄物の排出」、これは船舶内にある船員、旅客等が、通常生活を行なっておりまして、それから出るごみ、ふん尿、汚水等につきましてはやむを得ない。たとえば、はしけ等の水上生活者あるいは小船等で業務を行なう者等につきましても、これは生活そのものが水上であるということもございますし、また、その発生量から見ましても、量的にもそう大きな問題ではないということで、これをはずしてございます。
 ただ、カッコ内にございますが、搭載人員の規模が一定以上のものにつきましては、その排出の海域、排出方法につきましてはこれを規制をしていこう。具体的に考え方を申し上げますと、たとえば、これは船の航海距離によって異なりますが、百人ないしは三百人というような搭載人員がある船につきましては――それからその船にためられたごみ、あるいはためられたふん尿等につきましては、港則法に基づく港の区域の中とか、あるいは東京湾、大阪湾、伊勢湾というような内湾等につきましては、これは排出を規制していこうというふうに考えているわけでございます。
#62
○田代富士男君 そこで、この第十条の二項一号に、人員の規模においてそれをきめられておりますが、これは人員の規模と同時に、航海距離、あるいは航海日数でもけっこうですけれども、それから船の大きさ、そういうものも関係してくるんじゃないかと思うんですが、人員だけがここでは定められておりますけれども、その点の考え方はどうでしょうか。
#63
○政府委員(見坊力男君) ここで問題になりますのは、ごみ、ふん尿、汚水等でございまして、これは船の大きさと直接関係があるというよりも、そこで生活をしておる人の数が直接問題があるということでございます。非常に大きなトン数の船であっても、機械化されている場合には、その乗り組み船員も少ないというような場合もございますので、むしろそこでどのくらいの人がごみを発生し、ふん尿を出すというか、そういう点がむしろ問題なので、搭載人員を押えたわけでございます。
#64
○田代富士男君 次に、第十一条でございますが、十一条に、廃棄物排出船はここに載っておりますけれども、この法案の第二条、「何人も、油又は廃棄物の排出その他の行為により海岸を汚染しないように努めなければならない。」という目的の中にうたわれておりますが、ここにおいては特別に廃棄物排出船の登録のところでこういうふうにされていますけれども、これは特定の場合だとは思いますけれども、こういう例外が拡大されまして、何でも海洋に投棄、廃棄することができるという抜け穴になる可能性がありますけれども、もっとこの辺は検討する余地がないか。ただこれだけでなくて、もうちょっと検討の余地がないかと思いますが、その点はどうですか。
#65
○政府委員(見坊力男君) 第十一条の規定の趣旨は、廃棄物排出船について海上保安庁長官の登録を受ける義務を課してあるわけでありますが、これは第十条によりまして、海洋に投棄することがやむを得ない、しかも、海洋を汚染するおそれが少ないもの、そういう廃棄物を海洋に捨てる場合にそれを運ぶ船でございますが、その船につきましても、第十二条の一項の五号にございますように、「廃棄物の積込み及び排出のための設備その他の運輸省令で定める船舶の設備及び構造の概要」を提出させるようになっておりますが、一定の基準によりまして、その船が廃棄物を積んでいる場合に、波に洗われてそれが外に出るというようなことがないように、あるいは構造的にも途中で漏れることがないというような一定の技術的基準に適合させて、それからまた、新たな公害の発生源になることがないようにチェックをしていこう、また、取り締まり上もその実態を十分把握していこうという趣旨でございますので、この廃棄物排出船の十一条の規定は、ただいまお話がありましたように、これが一つの抜け穴になるんではないかという御心配はないんではないかとわれわれは考えております。
#66
○田代富士男君 それから、ずっと飛びまして三十九条でございますが、三十九条に「大量の油の排出」、このようにずっと書かれてございまして、応急の措置を講じなくちゃならない、このようになっておりますが、「大量の油の排出があったときは、」という状態はどういう状態のときか、応急の措置をとるという応急の措置はどのようにとるのであるか、この点についてお尋ねしたいと思います。
#67
○政府委員(手塚良成君) 「大量の油」の内容につきましては運輸省令できめることになっておりますけれども、ただいま一応考えておりますことは、この法の精神といたしますところは、こういったものが流れて応急の措置を各原因者がとり、関係者がそれに協力、応援をする、それらができないときには国でもってこの応急の措置をしていく、こういう内容を持たせるようなことで、こういった緊急の場合の防除措置をやっていくという内容のものでございます。いまのような措置をとらない場合に罰則をかける、そういった一連の趣旨に徴しまして、この大量の油というものをどの程度にすべきであるかということを考えるわけでございます。
 で、そういった趣旨に徴しまして、油の状態は、いろいろな場合でいろいろな状態があると思す。いま同じ量のものでも沿海で流れる場合、遠洋で流れる場合、あるいは湾内でも特定の場所その他でいろいろ違うというふうに思いますが、その辺具体的には今後、相当技術的な内容でもございますので、十分学識経験者等の意見も徴して最終結論を得たいと考えておりますが、とりあえずただいま考えておりますのは、そういった地域別、場所別の状態を一応区別をいたしたい。量的にいたしましても、あまりささいなもので、こういったことをひんぱんに義務づけて処罰の対象にするなんということはまずかろうということで、概略で申し上げますと、約一トン以上くらいの油を基準にしたらいかがであろうかというふうな素案を考えておる程度でございます。
#68
○田代富士男君 いま地域別、場所別というような考え方である、基準にして一トン以上の油である、こういうことですが、この前東京湾でも事故が起きました。あのように多量の油を排出した場合の応急処置として、私は船の関係者にこのことも尋ねてみました。あなたたちが実際船に乗っていてそういう事故が起きた場合には、どうしてもらえるのだと。そのときに、私は船の専門家じゃありませんから聞いてみましたら、その油が流れないようにオイルフェンスで囲んでしまうのだ、そして囲んだ中で中和剤でもって中和さしてしまうんだ、こういう処置をいまわれわれはやってきております、そういう意味の話を私はお聞きいたしました。それで私はそれからまた話を聞きまして、中和剤を使っているのか、じゃあ、そのオイルと中和剤との対比はどのくらいですかと尋ねてみましたら、いま長官が申されましたとおりに、一トン以上の場合が大量の油の一応の基準に考えていると、そのように申されましたが、一トンのオイルを中和させるには一トンの中和剤が必要である、このようにその人は私に話してくれました。そうしますと、その中和剤をもってすれば確かに中和するかわかりませんけれども、油自身の汚染というものもこれはたいへんなことです、それも守らなくちゃならないけれども、今度は一トンの油のために一トンの中和剤を使う、そうすれば、中和剤によるところの公害もこれは考えなくちゃなりませんと、そういうような話を私は伺ったわけなんです。その場合に、これは二重の公害になって、二重に海が汚染されるじゃないか、そのように私はしろうとながらの考えですけれども、心配したわけなんですけれども、こういうことに対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思うんです。
#69
○政府委員(手塚良成君) 油が流れましたときの措置は、いま先生お話しのとおり、直ちにオイルフェンスでもってその油を囲って、一定範囲から漏油しないようにする、そしてそれを中和剤で中和をさせるというのがただいままでのところでとり得る最適の措置ということになっております。
 ただ、御指摘の、一トンの油を中和させるのに一トンかかるという点につきましては、私どもでただいま考えておる資材の配備その他の基準としましては、一トンの油であればその二割を使えば一応中和をされるというふうに考えております。その以前に、油が流れましたらまずその全体の八割は吸引機によって油そのものとして吸引する、残った二割のものについて、その二割の量の二割の中和剤を投入することによって中和をさせる、こういうふうにすれば一応処理できると考えておるわけです。
 ただ、その際の中和剤に種類がございまして、乳化分散型と沈降型というのがある。この沈降型というのは、私もあまり化学的なことはよくわかりませんが、要するに油ごと下に沈めてしまうという式のものであって、この種類のものを使いますと、水産資源には非常に悪影響を来たすということになっておりまして、大体世界的にもこの型のものはもはや現在は使わないという大勢のようでございます。日本でも、私どもも指導いたしまして、ほとんどこれはいま使わないようになっております。もう一つの種類は乳化分散型というものだそうでございまして、これはいわゆる石けんで油を洗うと油が落ちてなくなるというような原理のもののようでございます。このものも、前段の沈降型のような大きな被害はございませんが、やはり水産資源に完全に無害というわけにはいかないというようなことのようであります。ただ、このものを使う場合は、油そのものを放てきしておきますと、その油そのものによる公害のほうが非常に大きいというような場合に使うというようなことでございまして、現在私ども、あるいは民間等で主として備蓄して使うことにしておりますのはこの型のものでございます。やはり無害になるように現在さらに研究をする必要があり、関係のところへ私どももお願いをして研究を続けておるものでございます。
#70
○田代富士男君 いま無害にするように研究中だということでありますが、これは直接そういう仕事に従事している人にも聞きましたが、実際はこれはたいへんな公害になる。油も公害ですけれども、中和剤もこれは公害になりますよ。表面に目立たないだけですよ。そういうことを教えられまして、私もいまから研究したいと思いまして、まだ深くは研究しておりませんけれども、まあ、この前お聞きしたところでありますが、公害のないように研究を早くお進めいただきたいと、そのように念願いたします。
 それから四十六条でございますが、四十六条のところに、「海上保安庁長官及び気象庁長官は、」と、このようにいろいろお互いの海洋環境の保全のために業務に関連した連携を持っていこうと、科学的調査をすることになっておりますが、現在具体的な研究目標はどのようになされておるのか、両方からお聞かせ願いたいと思います。
#71
○政府委員(手塚良成君) 海上保安庁は、この中の水路事務につきまして、その業務の成果及び資料を汚染防止、環境保全のために活用する、さらにこれらに関連をいたしまして、そういう目標のための科学的調査をする、こういうことに規定づけされるわけでございます。
 直接業務の内容といたしましては、海象観測という問題と、水路測量という二つのものが本件に関係すると思います。海象観測では、御承知かとも思いますが、海流の観測、それから潮汐、潮流の観測、こういうものが本件の関連の内容で、こういった観測によりまして、油及び廃棄物の必要な投棄場所を選ぶとか、あるいは排出された油及び廃棄物の拡散状況の推定をするとか、あるいは海洋汚染状況の概括的な把握をするという際に、これらの業務内容の成果が活用されると思います。水路測量の面におきましては、港湾、沿岸、海洋の測量をやる、測量に基づいた海の基本図というものをつくる、あるいは海底の地質構造の測量をやるというのがございまして、これらによりまして、やはり廃棄物の投棄場所、あるいはその方法、あるいは投棄量の選定、こういったことに活用し、役立て得ると考えております。
#72
○説明員(今井一郎君) 気象庁の業務を御説明申し上げます。
 気象庁は、大小六隻の観測船によりまして、日本の気象に密接に影響いたします日本周辺の海域の海洋調査を定常的に行なっております。調査項目は水温、比重その他化学成分、それからプランクトン、放射性物質、海流の方向と速度、そういうようなものを観測いたしております。これらを観測することによりまして、海洋の循環を調べ、大気と海洋の相互作用を明らかにして、気象と海洋の予測に役立てるのが目的でございます。しかし、この中には海洋汚染に直接関係ございますものもありますし、また、観測結果の分析によりまして海水の運動の実態がつかめますと、汚染物質がどういうふうに流れるか、どういうふうに薄まっていくかということを推定するための資料としても使うことができるわけでございます。
 大体以上でございます。
#73
○田代富士男君 それでは大体プランクトンの調査等もやっていらっしゃるということですが、酸素の供給源であります植物性のプランクトンの現状ですけれども、動物性プランクトンが異常発生して、現在植物性のプランクトンがどんどん動物性のプランクトンに食われている、そういうような実情が指摘されております。このような、ただでさえも酸素がなくなってきております地球上に酸素を供給しなきゃならないけれども、酸素自身が減ってきておる。ジャンボジェット機が羽田からニューヨークまで飛んだら、六万人の人が必要とする酸素がなくなる、そういうことを聞いております。むろん供給源を大事にすればいいけれども、植物性のプランクトンはどんどん減ってきている、動物性のプランクトンが異常発生している、こういうような事態も気象庁ではおつかみになっていらっしゃると思うんです。そういうことも海上保安庁の力とお互いに連携をとりながら密接にやっていらっしゃると思いますが、この動物性のプランクトンの異常発生につきましてどのような見方をしていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
#74
○説明員(今井一郎君) 気象庁の海洋業務は、先ほど申しましたように、気象に関係のある海況の観測の目的でプランクトンを観測いたしておりまして、現在汚染が進んでおりますのは小さい湾内などがおもだと思いますので、気象庁では十分に把握いたしておりません。
#75
○田代富士男君 気象庁ではいま調査項目をいろいろ述べられましたが、海上保安庁のほうでは、その実情はどのようになっているのか。いま大きな問題になっておりますが、われわれ人間は酸素がなかったら生きていけません。この地球上には三十億の人が必要とする酸素がありますが、いま三十六億から三十七億のわれわれが住んでおります。酸素の供給をしていかなくちゃならない、その供給源のプランクトンがおかされていっている。それを気象庁では掌握していない。海上保安庁のほうは掌握されておるのか。
#76
○政府委員(手塚良成君) 私のほうもプランクトン一般ということで従来やっておるわけではないわけですが、ただいま瀬戸内海あるいは伊勢湾、三河湾等で近年においてたいへんな問題になっております赤潮に対しまして、一種の公害、広義の意味の公害であろうということで、これらに対する一種の監視というような意味で、従来一部の仕事はやっております。そのやりました調査によりますと、当庁で把握いたしましたのは、昨年で約二十件あると推定いたしております。本件についての私どもの措置といたしましては、水産行政の主務官庁でありますところの水産庁の出先機関あるいは県の水産担当課、こういうところと連絡を密にいたしながら本件の対策について協議をしております。特に瀬戸内におきましては、赤潮対策研究協議会というのが広島県の農政部主催で設けられておりますが、こういった協議会に私どもの当該担当者がそのメンバーとしてこれにあずかって、いろいろ私どものほうで提供し得る資料の提供等を行ないながら、合同で対策を検討しておる、こういった状態でございます。
#77
○田代富士男君 では、その問題はまた別の機会にいたしまして、四十八条についてでございますが、これは定期検査、抜き打ちの検査というような二通りを考えていいものかどうか、この四十八条はどうでしょうか。また、四十八条についてちょっと御説明願いたいと思います。
#78
○政府委員(手塚良成君) 報告徴収等の権限をきめてありますが、この中で、船舶あるいは海洋施設、それらの事務所にいろいろ立ち入り検査するということが書いてあり、あるいはビルジ排出防止装置、油濁防止規程、油記録簿、そういうものの検査ということをやるようなことになっております。これは私どものほうの今後の監視体制一般あるいは取り締まりというもののやり方との関係で、非常に重要な規定になってまいります。で、従来も一部やっておりますが、取り締まり強調週間というふうなものを設けながら、法の趣旨の徹底をはかり、また、必要な検査、取り締まりをやっておりますが、今後の問題といたしましては、やはりここにありますような趣旨を生かしまして、随時、適時こういう立ち入り検査をやると同時に、また、一定の、きまった強調週間を設けて、定期的にこういうものをやるというようなことで、そういう併用のもとで平時の監視体制を強化していき、取り締まり、予防の効果を発揮したい、かように考えております。
#79
○田代富士男君 ここで私は一番最初にも、橋本運輸大臣に、この廃油処理施設が完備していないためにさまざまな問題が起きていることを申し上げました。大阪の例でも申したとおりに、不法投棄ということが内々になされておるわけです。こういうわけで、これをすみやかに実現を見てもらわなければならぬじゃないかと思いますが、それで、港湾管理者すなわちこれは市町村の自治体が多いわけですが、これは以前に廃油処理施設整備計画ができておりますが、現在それが全国で九つですか、しか整備されていない。それで現在はやみのまま、お互いに知りながら、あるいは知らないながらといいながら不法投棄されておるというのが実情じゃないかと思いますが、計画では、四十八年の三月までにこういう計画が完成しなくてはならないようにされておりますけれども、そういう整備がはたして指導監督の責任者であります大臣の立場としてなされるのか、なさなければならぬのですが。最初大臣が申されたとおりに、順法するという精神をこれは実現していかなければならないけれども、これは廃油処理設備の設置義務を設けるべきであるのですが、この点につきまして大臣に一番最初にお話し申し上げましたけれども、いまるる述べてまいりましたが、それとあわせてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
#80
○国務大臣(橋本登美三郎君) 廃油処理施設の義務づけをなぜしなかったか、また、しなくてよろしいかという問題でございますが、実はこの問題が法案のできる前に、すでに、御承知のような油による海の汚濁を防止する法案が提出されました際に、運輸省としては年次計画で四十七年までに三十四港、大体五十五カ所にいわゆる廃油処理施設を設置するという方針を固めまして、四十五年度中に相当の数が完成を見るわけであります。大体三十三カ所できることになっております。しかし、今度は海全体に対して油の規制をするということになったものでありますから、海中投棄が認められませんので、当然その数量もふえてまいります。こういうことからして、目下海運局においてこの法案に対処すべく追加を検討いたしておりまして、なお三十数港を追加して、かつまた数においても相当数を追加して、これを順次行なっていくという方針を立てております。
 そこでお話は、製油業者に対して義務づける必要はないかという御意見と、あるいは港湾管理者に対して必要はないかということであろうと思いますが、製油業者につきましては、大体現在みずから自主的に設置をいたしております。同時にまた、将来、タンカーにつきましては、東京湾のようなところあるいはその他のところにおきましても、パイプライン・システムをつくろう、できれば三、四年のうちにこれの完成を見たいという方針をとっておりますので、したがって、かなりある場所に限定をしてつくればいいということにもなろうと思います。なお、港湾管理者につきましては、この法案にもありますように、その設備については二分の一の助成を行ないます。またもう一つには、港湾法等によってその廃油処理施設というものは港湾計画の中に入れなければならぬ。もし従来の港湾についてその施設がない場合は、大臣がこれを勧告してそういうものをつくらせることができる。その場合に、もちろん二分の一の費用負担を行なう。こういうようなことになっておりますので、特に義務規定にしませんでもこれは大体対処し得るのではないか、まあ対処し得る方針で考えておるわけでございます。
 ただ、衆議院において問題になりましたのは、当初、政府委員のほうから読みましたように、廃棄物の処理についての陸上施設についてこの法案の中に明記してないが、これはやっぱり必要があるんじゃないかと、こういう御意見であります。ただ、従来この法案をつくります際は、陸上における廃棄物処理施設というものは廃棄物処理法の中で処理していくと。事実、港湾にもその設置をするわけでありますが、ただ実際上数が少ないことでもありますので、これを船がそっちこっち持って歩くということもたいへん不便である、こういうことからして――しかし、廃棄物処理法上のいわゆる焼却その他の制度を含めたような本格的なものをつくる必要はなかろう。ただ、海上の船の中にたまったものを陸上のある一定のところに置くような受け入れ施設を置くぐらいは考える必要がありはしないか、こういう御意見であって、もっともでもありますので、それを一応臨時に置くような廃棄物の受け入れ場所、これは港湾法の中の改正によってそれを設置しよう、こういうことでその修正を行なったのであります。ということは、たとえば木材船のような場合は、荷揚げ等によって陸上へ落ちました木材の皮は、これは陸上施設によって処理し得る。しかし、船の中にも相当量のものが残るわけでありますが、そういうものを従来はおそらく海上の適当なところへ捨てておったのだろうと思うんです。今度はこれはできなくなる。そういうことから不便を感ずるのでありますからして、したがって、そういうものを陸上の一定の場所に置く、もしくは小さな船に出てまいりました廃棄物は、廃棄物船という船をつくってそれが巡回してそれを受け入れる、こういうことを考えようと、こういうことで、特に義務づけなくとも、これらの計画を着実に実行していくならば、これは目的を達成し得るのではないか、また、その方針である、こういうことでそのようにいたしたのであります。
 この機会にひとつお願いでありますが、従来も各委員会でいろいろの貴重なる御意見を拝聴いたしておりますし、きょうも貴重なる御意見を拝聴いたしておりますが、ただ私ひとつお願いと申し上げますのは、どうもこういう法律をつくっても海はきれいにならないのじゃないか、不法投棄がどうもなかなかつかまらないのじゃないか、こういうような親切なる御意見はごもっともではありますけれども、この法律でもってきれいにならないじゃないかというようなことが一種の常識になりますというと、これはまあかえって逆な結果になりはしないか、その意味においてはひとつ皆さんから、厳格にこの法律をやれ、そうして監視も十分厳重にしろ、もし不法投棄をする者があるならば、これは断じて許すなという、強い激励のことばを賜わりたい、それによって関係者も十分心してやることになるだろうと思うので、その点はお願いといいますか、お願いの意味において申し上げる次第であります。
#81
○田代富士男君 それで、最後のほうは、罰則の規定が五十五条以下にずっと載っております。この中で特に五十五条第一項第五号あるいは五十六条第二号の規定では、場合によっては港湾管理者たる地方自治体の長、これは即知事や市町村長等に当たりますが、罰則規定ではこれが罰せられることが起こり得るということが書いてありますが、いま橋本運輸大臣のお話にありましたとおり、一応尊重するならばまさかこのようなことは起きないと思うところなんです。というわけで、大臣からの要望も承りましたけれども、公害防止が世論として大きく惹起しているときだけに、監督官庁であります運輸省も、いまの精神を、われわれも受けますけれども、公害防止の精神に立ってがんばっていただきたい。それには、第五十条に「国は、ビルジ排出防止装置」云々から始まりまして、「必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。」、このように第五十条にありますけれども、公害防止に対する施設の設置、改善に伴う資金の確保、技術的な助言その他の援助が私はちょっと少ないのじゃないかと思うのです。で、大臣の言い分はわかりましたけれども、この点に対してはいかがでございましょうか。
#82
○国務大臣(橋本登美三郎君) この五十条の問題は、資金の問題、技術協力でありますが、資金の問題につきましては、開銀当局あるいは中小企業公庫といいますか、それらの公的機関に連絡を十分にいたしてまいっておりますが、今後ともそういうような必要な事態が起きました場合は、積極的に運輸省が中に立って、そうして金融措置を講ずるようにいたしたいと思います。また、技術援助につきましても、必要なる、かつまた可能なる意味における技術協力については、最善の努力を払って、この法律が円満に施行できるように処置いたしたいと、かように考えております。
#83
○田代富士男君 この際、これは次の委員会に回したいと思いますが、ちょっとだけ申し上げたいと思います。いま公害の問題を取り扱っておりますが、同じ海の問題ですが、船員の労働問題でございます。これはきょう時間の関係でできませんものですから、ここに提示しておきたいと思いますが、四国海運局高松支局にすでに書類は出されておりますけれども、船員の雇用問題について、運輸省に調査をお願いしておりましたけれども、その後どのようになったのか、また、これは簡単な報告でけっこうですが、また、その詳しい報告書は後ほど提出していただきたい、そして、この問題につきましては次回の委員会に回したいと思いますから、この問題につきまして簡単な御答弁だけをお願いしたいと思います。
#84
○説明員(佐原亨君) ただいま先生御指摘の問題が四国で起こっておるという話を、実は私昨日承りました。陳述書もまいっておるようでございますが、担当課長の話では、まだその陳述書だけではいろいろ不明な点がございますし、それから船舶所有者の言い分も一応聞く必要がございます。それで、高松支局と申されましたけれども、管轄いたしておりますのは松山支局でございますので、松山支局の労務官のほうにさっそく連絡いたしまして調査を命ずるつもりでございます。後ほど先生方に御報告にあがります。
#85
○田代富士男君 最後に、いま、海洋汚染防止法案という、国際条約にもないような世界に先がけてつくられました条文をこの法案として出していただきましたが、世界の海洋国日本として、また、国際条約改正のオピニオン・リーダーとしての政府の決意と大臣のお考えをお聞きしまして、最後にしたいと思います。
#86
○国務大臣(橋本登美三郎君) 御承知のように、昨年十月に調印されました、いわゆる改定されました条約は、まだ一国だけしか批准を完了いたしておりません。次の国会にこの条約は皆さんの御審議にかけまして、他の国に先がけてその批准をいたしたいと思います。かつまた、来年二月の一日に、ヨーロッパ関係だけではありますけれども、アメリカは参加いたしておりませんが、海運国会議が二月一日日本の主催で東京で開かれます。その際に、日本ではこのような法律をつくって、そうして積極的に海の清浄化に努力をする、各国もこれに御協力を願いたい、かつまた、国際条約の承認も急いでやってほしいという意味の強い決意を述べ、あるいは、必要によっては決議案の採択までやっていきたい、かように考えておる次第であります。
#87
○委員長(温水三郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時二十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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