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1970/12/16 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 商工委員会 第5号
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1970/12/16 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 商工委員会 第5号

#1
第064回国会 商工委員会 第5号
昭和四十五年十二月十六日(水曜日)
   午前十時三十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十六日
    辞任         浦欠選任
     矢追 秀彦君     宮崎 正義君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                大谷藤之助君
                川上 為治君
                近藤英一郎君
                竹田 現照君
    委 員
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                植木 光教君
                剱木 亨弘君
                八木 一郎君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                大矢  正君
                林  虎雄君
                上林繁次郎君
                宮崎 正義君
                矢追 秀彦君
                渡辺  武君
   国務大臣
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
   政府委員
       経済企画庁審議
       官        西川  喬君
       経済企画庁国民
       生活局長     宮崎  仁君
       通商産業政務次
       官        内田 芳郎君
       通商産業大臣官
       房長       高橋 淑郎君
       通商産業省公害
       保安局公害部長  柴崎 芳三君
       通商産業省公益
       事業局長     長橋  尚君
       工業技術院長   太田 暢人君
       中小企業庁長官  吉光  久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       農林省蚕糸園芸
       局砂糖類課長   小島 和義君
       通商産業大臣官
       房審議官     礒西 敏夫君
       特許庁長官    佐々木 学君
       建設省都市局参
       事官       石川 邦夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (三井鉱山砂川鉱業所におけるガス爆発事故に
 関する件)
○水質汚濁防止法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#2
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 内田通商産業政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。内田政務次官。
#3
○政府委員(内田芳郎君) 三井砂川炭鉱災害について御報告を申し上げます。
 十二月十五日、北海道空知郡上砂川の三井鉱山株式会社三井砂川炭鉱におきましてガス爆発が発生し、死亡十五名、重軽傷者二十二名、行くえ不明四名、合計四十一名の多きにのぼる方々が罹災されました。
 通商産業省といたしましては、この事故の知らせに接しまして、札幌鉱山保安監督局長及び本省の石炭課長はじめ鉱務監督官を現場に急行させまして、行くえ不明者の救出に全力をあげるとともに、本日、小宮山政務次官を現地に派遣し、原因の究明等に当たらせることといたしております。
 現場は、坑道の崩落の危険性もあるために、救護隊による救出作業は困難をきわめており、現在なお四人の方が行くえ不明となっております。
 災害の原因につきましては、行くえ不明者の救出後、徹底的に究明する方針でありますが、先般の三省炭鉱における事故にもかんがみ、石炭鉱山における爆発災害の根源の絶滅につき関係者の注意を喚起した直後、このような重大な災害の発生を見ましたことはまことに遺憾でございます。不幸にいたしまして事故にあわれて死亡された方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、今後、通商産業省といたしましては、かかる災害を惹起させることのないよう、かたい決意を持って保安対策を一そう推進してまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#4
○理事(大谷藤之助君) 水質汚濁防止法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○竹田現照君 先日の連合審査の際に私から質問し、長官から、最初の質問に何か訂正のような答弁がありましたね、環境基準の問題について。私は、経済の発展の調和をはかりつつ云々という、この文句を削られることによって当然に環境基準の変更があってしかるべきだ、そういうふうにお聞きしたことに対する訂正の答弁がありましたが、あらためて委員会でお尋ねをすると、こういうことにして打ち切ってありますけれども、あの点を最初にもう一度。
#6
○国務大臣(佐藤一郎君) あのときには失礼いたしました。御質問がよく聞こえなかったことがあったものですから、それですから、むしろ訂正というより答弁を落としたような感じでございまして、違った問題をお答えしたような感じだったものですから、あとから正確を期する意味でお答えしました。
 それで、あのときもお答えしたのでございますが、この環境基準の設定は本年の四月になってやっております。そして、もうその当てはめ行為はこの九月になってやっておるわけでございます。そういうようなことで、最近における公害の実情というものを政府としても十分頭に置いて、現時点において可能な限りの望ましい環境基準というものをつくっておるようなつもりでございます。
 そこで、一方において調和条項につきましても、すでに政府は春からその問題についても十分検討しておったようなわけで、このたびその削除を御提言申し上げておるようなことであるものですから、十分そうした関係は頭に置いて、そうして行なわれたものであるという考えを持っておるために、いまさしあたって全面的な改正、こういうようなことはいたさないつもりでございます。ただ、環境基準を設定いたします際にも、一応お断りをしてございます、閣議決定でお断りをしておりますけれども、随時必要に応じてこれを改めていく、こういう気持ちでございますから、決して現在一ぺんきめたものを固定して考える、こういう気持ちは持っておりませんけれども、ただ、全面改正ということを目下考えてはおらない、こういうことを申し上げたわけであります。
#7
○竹田現照君 私はものの考え方として、国民の健康にかかわる基準と生活環境にかかわる基準と、二つに、現行の水質保全法ではそういう二元的な解釈をしておりますけれども、特に生活環境にかかわる基準は、発展の調和条項と関連をしながらつくられたものですからね。とすれば、この条項の削除によって、ものの考え方の本質というものを当然に考えてしかるべきでないか。そういう考え方で健康にかかわる基準と全く同じものの考え方に立って改定がされていいんじゃないか、そういうふうに思うものですからお尋ねしておるわけです。
#8
○国務大臣(佐藤一郎君) 私ども、前からその点については、調和の規定というものはあるけれども、その調和の規定があるために生活環境の基準の設定について妥協的な考えを持っているというつもりはないし、そういうことで運用してはいないのだということをすでに申し上げておったのですが、しかしいろいろと議論の種にもなるということで削除いたしたわけですが、この削除自身の検討も、もうそのころには始めておったわけです。ですから、われわれとしては公害問題の処理については、調和条項が形式的に削除されていようがいまいが、もうこれを決定した段階において、そうした気持ちでもってすべての仕事をやっておった、こういうことを申し上げたわけであります。
#9
○竹田現照君 なぜこんなことを聞くかというと、企画庁のほうでこれを立案なさった方の書かれた下水道協会誌によりますと、私がいま質問している面は、たとえば水域指定、こういうものがちょっとネックになっているようなことが書かれていますから、とすると、その点がはずされているからいいんじゃないか、ネックになっているものがはずされたのなら、そういうかっこうで改定されていいんじゃないかと、そういうふうに私は思っているものですから聞いているわけですよ。
#10
○国務大臣(佐藤一郎君) この例の地域の指定制度というのは、本来排水基準のほうのものの考え方だと思うのでございます。環境基準というのは、基本法によりまして、いかなる水域でも望ましい基準を行政目標として設定していく。ただ現状におきましては、まだ地域指定で、いわゆる問題の起こったところからやっていくという手順があるものですから、ですから排水基準と環境基準と、いわゆる一体でというか、大体、地域を同じように指定をしてまいりましたけれども、本来のものの考え方が違うのでありまして、環境基準は望ましい行政の目標でございます。そういう意味において、われわれは手が余裕ができる限り、できるだけ進めてまいろうと、こういう方針で今日まできておるようなわけでございます。そういう意味において行政上望ましい基準というものは、これは決して個々の排水基準と違いまして、まず理想的な姿というものを最初に設定しなきゃならぬものでございますから、この四月に設定いたしたものが大きく変わると、こういう筋のものではない、こういう意味で申し上げた次第でございます。
#11
○竹田現照君 それで、今度の法律も水の排出を規制をするということに力点が置かれておりますね。ところが排水基準をつくるということよりは、私はむしろ環境基準がどうあるべきかということのほうがより重要だと思うのです。衆議院でも何かそういうような話があったようですが、会議録が出ておりませんから、やりとりがちょっとわかりませんけれども、排出基準をつくっても、それは濃度というのはつかめると思うんですね、しかし絶対量というものはつかめないということになる、水なり空気なりのよごれは。ですから水でうんと薄めれば基準をパスするんだと、そういう排出基準だけをきめるということは、一つのからくりだと私は思いますが、そういう排出の基準ということじゃなくて、環境という全体の薄さの中に拡散されている量、これをやっぱり問題にしなければ、私は水や空気の汚染という問題は根本的に解決しないんじゃないか。総量問答というものがなされているようなわけですから、ここでも総量というのは規制の対象になっておりませんから……。この点はいかがですか。総量規制というようなことがやはりやられるべきじゃないかと、そう思うんですけれども、いかがですか。
#12
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ環境基準と排水基準の関係でございますが、環境基準は望ましい姿、行政上の目標である。そうしてこの環境基準を実現するためには、排水規制だけでは足りないわけですから、排水規制以外にもいろいろほかの対策もあわせ行なって初めて環境基準というものの実現が期せられるわけであります。したがって同じものでありませんが、しかし排出規制というものが同時に環境基準を実現するための有力な手段である、有力な制度であることも一面において否定できません。そこで、今度はその排水規制を行なう際に、ただ基準を設定するだけでは不十分で、量も考えるべきじゃないかと、こういうお話であろうと思います。確かに私たち排水基準をもともときめますときも、実は一定の大体平均的な排水量というものを頭に置いて、そうしてやっておるわけです。もともと一定の排水量を前提にしないと、基準の計算が出てこないはずでございます。そういう意味におきまして、届け出のところにおいてももともと排水量というものを出していろわけです。ただ排水量は工場の運営上相当変化いたします。ですからこのきわめて変化しやすい量そのものを規制するということは、実際問題としてむずかしい。要するに基準が守られればいいわけでありますから、ですから排水量にもわれわれ十分注目はいたしますけれども、直接の規制は排水に置こう。そうして何か非常に設備が変わったり排水量がふえてくる、こういうことになりました場合には、環境基準を維持するためには今度は排水基準をきびしくしなければなりません。そういう際にはわれわれは排水基準を変えていこう、こういう考えを持っております。
#13
○竹田現照君 この間の連合審査のときにちょっと漏れておる点を先にお尋ねしておきますけれども、この間も建設大臣との間に下水道の整備の問題について質問を行ないましたけれども、あのやりとりの中でも、下水道が完備されるまでにはかなりの期間がかかるということだけははっきりしておるわけですね。そうなると、家庭排水といわゆる都市排水、こういうようなものによる水質の汚染防止、これはここ当分望めないというようなふうに私は思うのですけれども、たとえば東京都の場合でも下水道法に定める高級処理をやったあとの放流水でも二〇PPMですか、これを汚濁限界の五PPMまでにすることはたいへんな仕事だと、金もかかる、こういうことを言われておりますね。その点と今度の水質のこの法律との関係というものをどういうふうに関連をさせてお考えになっておりますか。
#14
○説明員(石川邦夫君) 下水の排水の基準は下水道法できまっておるわけでございますが、これは先生おっしゃられましたBOD二〇PPMというのが現在の基準でございます。ただ水質汚濁防止法、前の水質保全法によりまして、それに加えられる値があります場合は、そこまで上げていかなければならないというふうなことになっておるわけでございまして、そういう意味で、下水道の放流水とそれから水質汚濁防止法の環境基準あるいは排水基準、これはリンクしておるというふうな形になっておるわけでございます。
#15
○竹田現照君 それから重ねて建設省にお尋ねしますけれども、この終末処理場で家庭排水とか工場排水が処理されればそれで終わりだということですけれども、いま非常に問題なのは、この終末処理場に残る汚泥の処置をどうするかということが、私は専門家でないからわかりませんけれども、問題なのだそうですね。ですから有害金属とか、これは焼くこともできない、それから海に投げ捨てる、あるいは埋め立てる、こういうことについて一体どうなるのか。これはこの間もヘドロの問題でいろいろやりとりがありましたけれども、終末処理場のいろいろそういう問題と、水の汚染に関連する問題に対して、どういうふうに処置をされようとなさっておるのか、その対策もひとつあわせてお伺いいたします。
#16
○説明員(石川邦夫君) 下水道に入ってきます有害物質、これは主として家庭からは出ませんので、工場排水が多いわけでございますが、これにつきましては、下水道に入る前に除外施設によりまして取り除くということになっているわけでございます。しかし、やはり異様な物でも入ってまいりまして汚泥の中に入ってくるというケースがあるわけでございます。現在汚泥につきましてはいろいろな処理の方法がございまして、陸上処理、埋め立て等に使いますものと、それから焼却しますもの、あるいは農薬等に、土壌剤等に使いますものというふうに分かれているわけでございますが、一番問題なのは、いま先生おっしゃられました有害物質が入ってきた場合にこれをどうするかということでございます。先ほど申し上げましたように、有害物質は原則としては工場排水の段階で取り除くということになっておりますので、非常に少ないわけでございますけれども、やはりそういう問題につきましては今後十分技術的な検討を重ねていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。現在では、先ほど申しましたように拡散しないような形で処理する。陸上処理が七〇%でございますが、あるいは焼却する。そういう有害でないものにつきましては、一部土壌剤等に使っておるということでございます。今後いろいろな物質がふえまして、やはり技術的な問題が、おっしゃられますように残っているわけでございますが、この点についての検討がまだ残されているわけでございますが、前回衆議院におきましてもこの点につきまして修正がございました。政令の定める基準に従って処理しなければならないというような修正がございましたわけでございますので、われわれとしても十分検討してまいりたい、こういうふうに考えます。
#17
○竹田現照君 現状はこの汚泥の問題で何か被害というようなものが――現実に被害というよりは水質保全の上に影響を与えておるということはないのですか。
#18
○説明員(石川邦夫君) そういう、これがために非常に影響があるということは聞いておりません。
#19
○竹田現照君 汚泥の問題が、きめられた水質基準との関連においていま御答弁がありまして、いろいろこれからの研究課題もあると言っておりますが、これはいまの水質基準とあわせて見て支障がないかどうか。現状では支障がないと、そういうふうに理解してよろしいのですか。
#20
○説明員(石川邦夫君) 現状では差しつかえないと思います。
#21
○竹田現照君 衆議院のほうと関連するかもしれませんけれども、水質保全行政の問題が非常にたくさんの省にまたがっているので、これはなかなかうまくいかない。これを統一をして総合的な対策を進める必要があるのではないか。これはまあほかの法律でも同じでありますけれども、特にこの水という問題については、このことが早急にやられる必要があるのではないかと私は思いますけれども、その点はいかがですか。
#22
○国務大臣(佐藤一郎君) 全くお説のとおりであろうと思います。それで、御存じのように今回は所管大臣もずいぶん整理をいたしまして、経企庁長官を中心とすることになったというようなわけであります。しかし、もちろん行政といたしましては、実施上の関連をそれぞれの立場から各省が持っておることも事実でありますからして、それらの連絡調整の機関というものは必要である。そしてその際の調整力を強化していく、こういうことで今回の所管の整理も行なわれた、こういうふうに考えております。
#23
○竹田現照君 長官、環境保全庁ですか、こんなようなものが必要だということをお答えになったということをちょっと新聞で見ましたけれども、そういうようなかっこうで行政の一元化というふうなことをやられるのもけっこうでしょうが、それが当面、実際問題として無理ならば、これを河川管理者にやらせるとか、あるいは建設省がやっている砂防ダムあるいはしゅんせつ等密接な関係があるものは、個々に切り離して、そういうものにやらせるとか、特に河川のようなものは河川の管理者が一番よく知っているわけですから、緊急の場合でもそのことが措置できる。そういうこと考えますけれども、そういう点はいかがでしょうか。
#24
○国務大臣(佐藤一郎君) 大体水質の問題は、それぞれの河川についていえば河川管理者、港湾についていえば港湾の管理者、そうした者が第一次的に責任を持つべき性質のものだと私も思っております。ただしかし、そういうふうにいろいろと今日の体系が複雑な体系になっております。しかも利害関係に立つ各省はそれぞれ重要な関心を持っておる。そういうことで、どこかで調整をいたさなければならぬ。そういうことから、水質についてはそれがほかのいわゆる公害の中でも特に複雑な関係があるということから、企画庁でもって調整をする、こういうふうに沿革的に成立してきたわけであります。
#25
○竹田現照君 この法案の三条で、地方で上乗せができるという問題が知事に与えられるということになっていますけれども、二つ以上の県にわたる河川について、都道府県によって違った基準になる場合なんかが想定をされますね。北海道なんか一つだからいいんですけれども。この場合、経企庁長官が一応勧告することになっていますが、府県によって勧告が必ず守られるというような保証というものは一体どういうふうになさろうとなさっているのか。二つ以上にわたる河川の水質の上乗せ、これを、いま私が心配するようなことを解決するために、そういう関係都道府県が協議をする、協議をしなければならない、そういうような規定というものを設ける必要が生ずるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(佐藤一郎君) ここのところは非常にむずかしいところで、われわれも非常に苦心したところでございます。一方において、従来国でやっておったような仕事を府県に移す。それで、府県に移すからには府県の知事の意向というものをまず尊重しなければならぬ。地方自治という立場がございますから、府県と国との関係をどういうふうに位置づけるか、これは非常にデリケートでございます。移すからにはもう府県にできるだけまかす、これが地方自治の本旨である。しかし、いま竹田さんの御指摘になったような場合十分あり得ることでございます。そこで、いま御指摘になりました第四条の前の第三条の第五項でもってとにかく上乗せ基準を設けるときには、一応経企庁長官に通知だけはしてくれ――ほんとうはいまのような考えでいけば協議と言いたいところですけれども、しかし、せっかく府県知事を中心にしてやるという体制を確立したのですから、まあ通知が精一ぱいだということで、通知を受ければ実質的に国としていろいろな意見を申し上げることもできる機会が与えられるということで、いわば遠慮といいますか、この五項というようなものを設けて、通知の制度にしたわけであります。実際問題といたしましては、今後水質の上乗せが各府県においてなされますけれども、技術的にも、それから財政的にも、いろいろと国が援助を行なっていかなければならない問題がたくさんございます。そうして中央を中心にしたやはり調整の必要な事項もございます。でございますから、これらは行政上の実際において今日までわれわれも木曽川をはじめ数河川にまたがる問題について、ずいぶん企画庁が間に立って調整を行なってきておりますが、そうした事実上の調整、行政上の指導、こういうようなことをやっていこう、そして関係の府県は、当然その当該府県に対して意見を申し述べることができるように、ここにも規定してございますけれども、そういうように今後行政指導によって調整をはかっていこう、また、それで十分ではなかろうか、しかしあくまでも主体は府県である、こういうたてまえをとりつつ、いま御心配になったような点も解決していこう、こういうつもりであります。
#27
○竹田現照君 その場合、私が心配するのは、たとえばAの県はいわゆる上乗せで、もう少しきびしくしよう、ところが隣の県はそういうことも考えない、あるいは三つ四つにまたがる場合、その次はAと同じだというようなことになって、経企庁のほうで勧告するとか、いろいろな行政上の措置その他あるいは財政の問題ということになると、結果的に金のある県というものはかなり水質基準をきびしくしたり、あるいは地方公共団体自体で金を補助するとかなんとかいう措置もできるでしょうけれども、金のないような県はそのこともできないということになると、同じ河川がばらばらになるということになると、結局において上乗せということができない。上乗せしようとするところの県の希望というものが果たされないというような結果が生ずるのじゃないか、そう思うのですけれども、これはどうなんですか。最も汚濁がひどいところ――だんだん流れていく間に薄くなっていくでしょうけれども――一番濃いところができないような場合、そういうことは想定されないですか。私は想定されると思うのですけれども、そういう場合はお考えにならないですか。
#28
○国務大臣(佐藤一郎君) もともと府県にこれをお願いするという考えを持ったときから十分そういう問題は起こり得ることは予想しております。それからまた、今日までのわれわれの経験から言いましても、下流県は非常に神経質になっているけれども、上流県はどっちかというと、わりあいにゆるい基準にしたい、わりあいにのんきに考えている、そういうようなこともありまして、そういう立場の相違というものは、やはり今後も多少出てくると思います。しかし全体の環境基準というものが設定されまして、そして今度その行政目標に近づけるように、そのために下流はこういう姿でなきゃならぬし、上流はこういうふうにしなきゃならぬという数値は、おのずから出てくるわけであります。でありますから府県知事も、当然、同時に法的な立場から見ても、そうそう自分の判断だけで突っ走るというわけにはいかない。これは環境基準を守るための結果として出てくる。いわば環境基準を守る義務があるわけですから。そういう基本的な、そういう道義的な基準というものを頭に置いて、良識のある行政活動が行なわれるというふうにわれわれは期待していますし、また、できるだけ自治を尊重しながらそういうふうにやっていきたい。そして実際問題としては、やはり企画庁が間に入って調整しなければならぬようなことも十分想定されるわけでありますから、上乗せ基準をきめるときには御通知を受けて、そしてこれについて十分意見を申し述べる機会を与えられる、こういうことでまあ勧告というようなこともいたしたわけでございまして、この勧告というのは、よく言われますように単なる事実上の助言とは違う。やはり法律上の条文にはっきりと明記した一つの制度でございますからして、こうした勧告を受けるということは、やはり府県知事の立場からしても十分尊重さるべきものである。これを、ただ命令というような形にしないところに国と地方との微妙な関係があるわけでございまして、実際上これを処理していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
#29
○竹田現照君 そうすると、知事に上乗せの権限を与えると言うけれども、そのことは、与えるという法律上の精神条項みたいなものになってしまって、結果的には国の基準と、そういうことになってしまうんじゃないかと私は思うのですけれどもね。実際上そういう心配は当たらないですか。私がいまお伺いをしている心配というようなものが実際問題として……。何にもならないのじゃないか、法律はそうはきめておるけれども。
#30
○国務大臣(佐藤一郎君) 両方からおっしゃっておられるのですけれども、しかし、いまあなたがお話しになったように、調整の必要を生ずることもあると、こういう御指摘でありますから、ですから、まあここいらのところは勧告ぐらいのところでちょうどいいんじゃないか、実際上の調整をはかれるような道は開こうと、こういうことでございまして、これはそういう意味におきましても、あくまで自治体というものを尊重してできている制度である、こういうふうに言えると思います。
#31
○竹田現照君 次に、水質保全というものを十分にやっていこうとすれば、やはり私は出てきたものをどうこうするというよりは、未然に防ぐということが大事になってきますね。そうすると、工場を建てるとかやれどうだとかこうだとかいう問題で、当然立地規制、こういうことが事前に防止をするという上においてどうしても必要になってくる。そこでこの立地規制の権限を地方自治体に付与することが妥当でないか。それとまた、土地問題がどうしてもからんでまいりまするけれども、そういうような場合はどうなさいますか。
#32
○政府委員(宮崎仁君) 確かに御指摘のような問題が考えられなければならない基本問題であることは、そのとおりだと思います。ただ、この立地規制という面は、言ってみれば水質の汚濁防止という観点だけではなくて、いわゆる過密問題あるいはそれ以外の環境問題等も含めまして、国全体としての制度として考えるべきものであろうと思います。で、現在は御承知のように各市の地域開発計画等によってこういったものの大筋がきめられておるわけでございます。これを個々の工場の規制までもっていくかどうかというところは、いろいろ議論のあるところでございまして、私どもとしては現段階でそこまでのことをやる必要は必ずしもないのではないか、むしろその計画等による誘導政策ということが現段階では適当ではなかろうかと、こういう判断をいたしております。で、この法律の体系といたしましては、届け出制ということがつくられてございまして、水質汚濁という観点から見て、人の健康なり生活環境という観点から見て、その工場の設置が、もとの計画のままでは困るというような場合には計画変更を命ずることもできるようになっておりますし、また、必要な場合には工場の設置そのものもやめさせることもできるようになっておる、こういう形でこの法律の運用をしてまいりますれば、水質汚濁防止という観点からは、工場の立地が水質汚濁に非常に重大な障害をもたらすというようなことは、この法律の制度において十分防ぎ得る、こう思っております。
 それから土地問題のことでございますが、これも非常に大きな問題でございます。先般、地価問題の閣僚協議会等でかなり大きないろいろの政策がきめられておりますが、こういったものを逐次実施していくことによって地価あるいは土地問題というものを基本的には解決していくべきものであろう、こう考えております。
#33
○竹田現照君 特に私は、中小企業なんというものは、この排出基準が厳密にやられることによって工場を移すとか移さないとかいう問題が当然に起こってくる。しかしこれは金がかかる。そうすると、結果的には、大気汚染の煙突の問題と同じで、大きなところは高い煙突を建てるけれども、しかし総量規制じゃないから、その点ははずしておる。中小企業は煙突が短い、その部分だけでだめだと、そういうようなことで、この水の場合にも同じことが言えると思うのですね。ですから、まあ日商あたりが、この法律が通ることによって中小企業などは場合によってはぶつつぶれてしまうものが出てくるというような、反対の意向も表明されておりますけれども、その土地問題、あるいは立地規制、こういうような問題と、特に中小企業に対する取り扱い、こういうような問題については、これは経企庁の所管でなく、中小企業庁のほうに関係するのかもしれませんけれども、この法律の施行に伴って想定をされるそういうような問題についてはどういうふうにお考えになりますか。
#34
○政府委員(柴崎芳三君) 中小企業につきましてもこの法律で定められました基準が厳格に適用されまして、その面から非常に大きい影響が出てくるであろうということは、われわれも十分認識しておる次第でございますが、そのための対策といたしましては、やはり中小企業が採用できるような、できるだけ効率的なかっコストもあまり高くないような技術開発をまず進める。それから第二点といたしましては、特にメッキとかあるいは染色その他の特に汚水を出す業界に対しましては、共同処理施設というような形で、できるだけグループ化した形の処理体系をつくりたいということ、それからさらに第三点といたしましては、公害防止事業団、あるいは中小企業振興事業団あるいは中小公庫等を通じまして、低利の、かつ長期の質のいい金を供給して、背後から援助したいというように、三点に重点を置いて対策を進めるつもりでございますが、その過程におきまして、やはり中小企業団地の造成というような考え方が以前よりは一そう強力に進められなければならないのではないかということで、そういったような角度から問題を取り上げましていろいろの助成措置を考えていきたい、かように考えております。
#35
○竹田現照君 これは中小企業庁長官をお呼びしてないのであれなんですが、これは経企庁の立場からでもですが、この法律を効果的に運用するためにも、この際大気汚染その他関連する法律とも関連をして、別のこういう公害対策の面からも中小企業の近代化の促進あるいは構造改善、そういうようないろいろの問題というものを考え、かつそれに対する財政措置、そういうようなことというものを考えてしかるべきだと思いますが、いままでは公害対策というような面からの中小企業の近代化というような面は、あまり提起をされておらないわけですけれども、問題は公害対策、これがさらに進められれば、中小企業問題がたいへんなんですから、したがって公害対策の面からの近代化の促進ということが、荏苒として日を待つというのじゃなくて、緊急の問題として措置すべきことで、私は一中小企業庁の問題ではないと当然考えるんですが、これは長官の考えをお伺いしたいと思います。
#36
○国務大臣(佐藤一郎君) 全く御指摘のとおりだと私どもも考えております。中小企業対策の重点が公害問題に移っていくことは、これは明白でございます。御存じのように中小企業の対策については、融資、税制各方面において政府といたしましてもできるだけの施策について推進をはかっておるところでございますが、今後特に公害ということを頭に置いてその方面の施策の推進をはかっていかなければならない。これはもう通産省、中小企業庁、当然そういう方向でもって推進するようにこれから心がけるものと、こう考えております。
#37
○竹田現照君 それで、どこの委員会でも、連合審査でもいわれるんですけれども、政省令委任の事項が非常に多いわけですけれども、排出基準その他の問題で政省令を出される場合の参考にちょっとお聞きをしたいんですけれども、この間も通産大臣に電力事業との関連についてお尋ねをいたしましたけれども、いま電力事業に限定してお聞きしてけっこうですけれども、あちらこちらで公害防止協定というものがずいぶんたくさん全国的にできておるそうですけれども、お伺いするところ五百以上あるそうですね、ところがこの公害防止協定は結んだけれども、しかしその後いろいろと問題が起きている、そういうところがずいぶん各地の新聞に出ていますけれども、これからお考えになろうとする、また現に考えられている政省令等に、この公害防止協定等を十分に参考になさってけっこうだと思うんですけれども、そういう考えはあるんですか。
#38
○政府委員(柴崎芳三君) 先生御指摘の公害防止協定は、その内容を調べてみますと全く千差万別で色とりどりでございまして、われわれの見る限り、主として重点が大気汚染、大気汚染の中でもSO2汚染について地上濃度なりあるいは燃料のS分なり、そういうところに重点を置いた協定が多いわけでございますが、もちろん中には排水につきましても相当厳重な規制を協定しておるところもままあるわけでございますが、一般的に申しまして地域の特性を考えた上での協定でありますために、その地域の特性に応じた非常にシビアな基準値が設けられておる場合がままあるわけでございますが、今回のいろいろの基準の策定にあたりましては、あるいはその関連の政省令につきましては、全く新しい立場でいろいろの問題点を一ぺんよく掘り下げまして、できるだけ地域の実情に合いました方策を確立したいという考え方でございますので、個々の協定にどの程度アプライできるか、その点ははっきりまだ確言はできないわけでございますが、考え方といたしましては、十分地域の特性を盛り上げましたいろいろの基準なりあるいは体制なりというものを考慮してこれからの政省令の作成にあたりたいというのが基本的な考え方でございます。
#39
○竹田現照君 これはたとえば大昭和の富士の問題ばかりではなくして、同じ大昭和で北海道の白老でもやはりこういう協定があったようですが、しかし協定は約束違反だというので漁民が七億も八億もの損害賠償を盛んにごたごたやっておりますね。ですから、いまお話しのように千差万別でしょう、協定は。それは企業がその協定を結ばれる相手方との力の関係もあるでしょうし、あるいはまた企業側とそれ以外のものとの、たとえば水なら水、大気なら大気に対する認識あるいはその知識、そういうものの差異によっても、うんと悪く言えば企業側にごまかされて低い形で協定を結ばれる場合もないわけではない、むしろ漁民の場合なんかそういうことが多いのではないかと思うのですけれども、しかし、この政省令は経企庁がやるんですね、水のことですから。いま全国的に五、六百といわれておるそういう公害協定というものを十分に参考にされて経企庁が政省令を制定される。その場合に、世上よく、通産省は企業の側に立つからということで、経企庁がそういうものをつくるときにどうしてもブレーキがかかると、そういうようなことが、真偽は別として、いわれるわけですから、この点は十分配慮なさっておつくりになると、そういうふうに私は思いますが、よろしゅうございますか。
#40
○政府委員(宮崎仁君) 先ほど長官から御説明いたしましたように、今度の法律の非常に大きな特色は、いわゆる基準設定の上乗せと申しておりますが、国より非常にきびしい基準を都道府県知事がきめることができるようになっております。そこで、いま御指摘の公害防止協定、これは内容はいろいろあるのでございますが、一つの問題は、やはり工場なら工場の周辺の環境をある程度の水準に保ちたいということで、そのための排出の基準のようなものをきめておるという面があると思います。こういった面は、今回の制度改正によりまして、当然地元の都道府県がやるわけでございますから、
  〔理事大谷藤之助君退席、理事川上為治君着
  席〕
そういった従来の協定なり何なりの線というものを考慮して上乗せが行なわれるようになるのではないかと、こういうように考えております。これを国として公害防止協定に合うようにしろとかなんとかいうようなことを指導するつもりはございませんけれども、これは当然そういうふうになっていくのではないかと考えております。
 それからこの防止協定の内容としてはいろいろの対策をやるということが書いてあるわけでございますが、こういった問題につきましては、今度の法律の政省令と直接関係が出てくる分というのは比較的少ないのじゃないかと思いますけれども、先ほど御説明をいたしました環境基準の当てはめ行為というものがやはりございまして、これは今後都道府県知事にまかされることになると思うのですが、そういう際に、いろいろの対策も、環境基準を達成するための手段として、あるいは配慮事項というような形で県のほうでおきめを願い、それを国としても援助していく、こういう形になっていくのではないかと思います。
#41
○竹田現照君 大体政省令というのは、この法律が通ると、われわれあまり国会でとやかく言う機会もありませんし、とかくまかせっぱなし、白紙委任のかっこうになってしまうわけですけれども、そこで、これからもこの問題はずっと尾を引くわけですから、経企庁に公害防止協定等を集めたものがあるというようなことを聞いていますけれども、将来のわれわれのこの問題に取り組む考え方として、ちょっと参考の資料としてお聞きしたいと思いますけれども、ありましたら出していただけますか。
#42
○政府委員(宮崎仁君) 経済企画庁としては、公害防止協定を特に資料としてまとめておるというものはないのでございますけれども、自治省その他関係省にそういった資料があるようでございますから、そういうものがございましたならば、いただきまして提出をいたしたいと思います。
#43
○竹田現照君 次に、地方への権限委譲ですけれども、私は、問題は地方自治体の受け入れ体制の問題だと思いますね。この法律で、たとえば河川の常時監視なんということが義務づけられていますね。これはしかし特定の指定水域じゃなくて、今度は領海を含むすべての河川になるようですから、これはもうたいへんな人と金が必要になってくる。そうすると、人だけ集めたって、これはわからない人間集めたってしようがないわけですから、これはこの間の法務大臣の、監視官制度との関係もございますけれども、そういうことについてどういうふうに留意をされていくのか。自治体に移した、おまえのほうは常時監視する責任があるんだということで、事故が起こったときはそれは都道府県知事の責任だと、こういうようなことを言われても、これは間尺に合わないことなんですけれども、そういうことについて予算なりあるいはまたそれが実行でき得るような受け入れ体制を整備をさせる。そのためにどうすればいいんだ、こうすればいいんだと、こういうようなことについてどうお考えになっているのか。さしむき四十六年度のもう予算が編成をされる段階でありますけれども、どの程度この予算措置を現在考えられているのか、この点お伺いいたしたいと思います。
#44
○政府委員(宮崎仁君) 水質汚濁の問題につきましては、従来権限が国にあったわけでございますが、実際の事務としては都道府県に委託をしてやっておるものが多いわけでございます。したがいまして、現在まででも各種の基準設定の調査あるいはアフターケアの調査というようなこともやっておりますので、そういった関係の組織なりあるいは熟練者というような者がおるわけでございます。自治省の調べですと、現在公共団体で公害関係の職員というのは大体三千四百人ぐらいおるということでございますが、これは水質以外ももちろん入っておるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、今後上乗せ基準等が設定をされてくる。また一律基準によりまして全水域の監視ということも必要になるわけでございますが、そういうことに応じまして地方の組織の整備をはかっていかなければならないと思います。これにつきましては、国において研修をするとか、あるいはほかの組織から適当な人を公害関係のために回していただくとか、いろいろのことをしていただかなければならないと思います。この点につきましては、自治省ともいろいろ御相談をいたしておりまして、この法律の施行までにそういった体制をできるだけ整備していきたいと思っておる次第でございます。
 それから予算的な措置でございますが、従来は、いま申し上げましたように委託調査でございますので、比較的予算額もわずかで、特定の水域だけやっておったわけでございますが、来年度からはこういった都道府県のほうが中心になってやることになりますので、国の予算としてこの仕事に対して補助金を出していきたいと思っております。現在、水質の監視のための調査の補助金としましては一億八千六百万円ほどを要求いたしております。前年度は、委託費でございますけれども、千八百万程度、事業でわずかでございますが、今度はかなり大きな規模のものを考えていかなければならぬと思っております。そのほか水質調査、基準設定のための調査の補助金として約一億一千五百万ということで、財政的にも十分考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
#45
○竹田現照君 私はこの法律に関連している点だけを聞きますけれども、法務大臣の言っている監視官制度と、たとえば公共用水域の状況の常時監視に当たる者、これらはどういうふうな関係に――これからの研究課題だと言われればそれまでですけれども、少なくとも法律の中では都道府県知事に常時監視を義務づけているわけですから、それが当然行なわれるという前提で法律というものは立案をされたと理解をいたしますけれども、まあ衆議院の審議の過程で監視官制度というようなものがちょっとひょうたんからこまのようなかっこうでああいう答弁になったのでしょうけれども、あれとの関係はどういうふうにお考えになりますか。
#46
○政府委員(宮崎仁君) この法律に基づきます監視測定等の仕事は、先ほど申しましたように、現在も調査委託等の形である程度やっておるわけでありますが、この仕事の性質から見まして、大体河川管理者である都道府県の土木関係の職員であるとか、あるいは港湾管理者、これも土木関係の職員ですが、こういう出先の職員というものに相当やっていただかなければならぬと思っております。一方保健所という問題ですが、これは分析その他のことについてお手伝いを願うようになると思います。そういうかっこうで現在あります組織を有効に使っていくというかっこうでこの仕事をやっていくのが適当じゃないかと私どもはいま考えておりますが、いずれにいたしましても、この点は自治省とよく御相談をして今後の体制整備をはかっていきたいと思っております。
 ただいま御指摘の監視官というお話でありますが、これは公害対策本部のほうで現在検討中でございまして、これを国の官吏としてこういうものをつくるのが適当か、あるいは大体公害関係は都道府県にほとんど委任されていきますから、都道府県の職員でやったほうが適当かというようなことがいろいろ検討されておるようでございますが、まだ結論が出ておらないというふうに聞いております。
#47
○竹田現照君 地方の土木関係者とか保健所といっても、実際問題としていまそういうところの仕事をここまで拡充するということがはたして可能かどうかというようなことは、われわれしろうとがそういうところを実際に見てみても、非常に無理なところがある。特に水なんというものは、こうやって持っていったって、全部が検査されるのにああだ、こうだというようなことで、右から左にすぐ結果がわかるというような体制あるいはそういう設備というものは現実にないわけなんですね。自治体、県によってはわずか四、五人しかいない。そういうことをやっている人は四、五人しかいないというようなことも聞いている。東京都で三百何人ですか。東京都のようなところでそうなんですから、小さな府県になると、実際問題として人員を充足させるだけでもたいへんだ、そう思いますが、これはまあ自治省と、いずれ審議の時間もありますから、十分御相談の上、あらためてひとつお答えをいただきたい、そう思います。
 それから公害防止の技術の研究開発というものは、これは水ばかりに限らず全般的な問題でありますけれども、特に水質行政に関係をするもの、これもまあ通産省だ農林省だと、それぞれ所管が分かれているのでしょうけれども、その所管が分かれているからうまくいかないのですけれども、都市、産業の廃棄物の処理技術だとか、あるいは石油の漏出規制とか、あるいは農薬汚染だとか、そういう、この法律に関係する部面だけでもかなり整備充実をはからなければなりません。そのための金も要る。こういう点については、これは科学技術庁がやるのか、どこがやるのか。各省ばらばらじゃまずいのですけれども、これは政府のいまの公害対策本部あるいは経済企画庁がやられようとするのか、その点はどういうように話は進められておるのですか。
#48
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘のように公害克服のための技術開発というのは非常に重大な問題でございまして、四十六年度の予算要求でも通産省、農林省あるいは建設省その他関係省でいろいろと施策を出しておられまして予算要求をしておられるところでありますが、こういったものの総合的な調整なり推進は、やはり公害対策本部というものが中心になっていただくことになるものと思っております。
#49
○竹田現照君 なぜ聞くかというと、いまの水質保全法ができたときも、「水質に関する科学的試験研究機関を整備充実すると共に、必要に応じ、一元的試験研究機関を設立し、もって水質保全の万全を期すること。」、こういう附帯決議があるわけですね。十何年たってこのことが実現していないわけです。十何年たってできないことがこの新法によって可能か。またそういうふうな附帯決議が必要だ、附帯決議はしたけれども、また十年たたなければできない、こういうことでは百年河清を待つみたいなものですから、これはどうなんですか。現行の法律ができるときの附帯決議の問題と、現状。
#50
○国務大臣(佐藤一郎君) これは公害対策本部の山中長官も、この方面の研究機関的なものを検討しておるように私は聞いております。まあ現在の法体系ができましたのが昭和三十三年でございまして、もちろんそのときから公害そのものはあったわけでありますが、竹田さんも御存じのように、こういう最近の状態でございます。いよいよその方面についての認識が深まってきた今日でございますから、対策本部で鋭意検討中ということで、われわれも期待を持っておるわけであります。
#51
○竹田現照君 まあいずれにしても、実効のある機関というものを早急に設立することが私は必要だと思います。それとともに――特許庁長官おいでですね――いま特許庁はばく大な審査をかかえていることだけは十分承知しておりますけれども、公害防止の技術開発というか、こういうものの審査は、可能な限り馬力をかけまして、早期公開、こういうようなことの措置というものはとるお考えはございませんか。
#52
○説明員(佐々木学君) 特許庁におきます審査の処理がたいへんおくれておりますことは申しわけないと思っております。
  〔理事川上為治君退席、理事大谷藤之助君着
  席〕
先般の国会におきまして改正されました新法の措置その他によりまして、できるだけ早く出願を処理していきたいということで、現在鋭意検討中でございます。
 御指摘の公害問題につきましては、なかんずく非常に重要な問題でございますので、重点的な審査をやっていきたいというふうに考えるわけです。具体的には、審査官の増員、あるいは一人の審査官が数部門を担当しておる場合に、公害防止技術を多少含んでいる部門を重点的にやっていく。そうしてまた必要があればその部門にも審査官を投入することによりまして、部門の中では先願主義に従いながらも、部門全体として早く審査をやっていくというふうなことを考えております。すでに内燃機関の排気ガス、これが出願が最も多いわけでございますけれども、こうしたものにつきましてはそういう処置をとりまして現在促進中でございます。
#53
○竹田現照君 前の国会で特許法審議のときに、公害問題の、いま私が質問したようなことは、私も聞きませんでしたし、大体審議の過程の中に出なかったように記憶しますけれども、いま長官のおっしゃったいろいろと先願権の問題あるいは審査官の充足の現状、こういうものからいって、なかなかむずかしいのですけれども、特許法九十三条に、公共の利益のための通常実施権の設定、こういうことをこの場合は適用はでき得ないものですか。
#54
○説明員(佐々木学君) 特許法の九十三条は、特許発明を実施することが公共の利益のために特に必要である場合に通商産業大臣が強制実施権の設定ができるという規定でございます。公害防止技術につきましては、国民の生活に関連する面が非常に大きいわけでございますから、公害防止技術につきましては、その九十三条が適用になるケースが、可能性がかなりあるのではないかというふうに考えております。したがってこの九十三条の運用につきましては、そういう申し出がありました場合に、個々の事案に即しまして具体的にその特許発明を実施することが公共の利益に合致するかどうか、前向きで検討したいと思います。
#55
○竹田現照君 時間もあれですから、もう一点お尋ねいたします。長官、地下水の汚濁防止というものは非常にむずかしい、そういうことを衆議院でお答えになっておりますけれども、汚濁防止規定というものはむずかしいからつくらないというわけにはいきませんが、むずかしいことはむずかしいでしょうけれども、これはいつごろになったらできる見通しなんですか。
#56
○国務大臣(佐藤一郎君) われわれもできましたらこれの規制を、竹田さんのおっしゃったような方向で解決したいと思っておったのですが、基準が立たないのであります、目下のところ残念ながら。基準が立たないものを罰則にかけて規制する対象にするということはできないと、こういう話で残念ながら今回は引き下がらざるを得なかった。それというのが、いま御指摘になったように汚水というものを浸透させたときに、それがどういう結果をもたらすのか、地下水との関係その他のメカニズムが十分わからない、こういうところからきておるのです。でありますから、これについてはなお専門家を督励して、そうしてこの方面の解明をできるだけ急ぐ、こういうつもりでおります。われわれ、もともとそういう気持ちでおったわけで、したがって、いま何カ月とか何年とかいう具体的なことを申し上げることはできませんけれども、われわれとしてもできるだけ急ぎたい。そうしてやはりこうした方面で漏れのないようにすることによって初めて汚濁の防止の完ぺきを期することができるわけです。できるだけ急いでこの方面の基準をつくるようにしたい、こう思っています。
#57
○竹田現照君 地下水の禁止規定が、これは今度の法律の十四条三項ですけれども、これに関連して農林省、経企庁にも関連してお答えをいただきたいんですけれども、こういういま問題が出ているわけです、これは農林省は御存じですか。北海道の中斜里のホクレンのビート工場、これはホクレンが約三十億円をかけてこの工場をつくった。これが完成すると年間一千万トンにものぼる廃液がサケの漁場である斜里川に流される。そこで漁民が猛反対をした。結局北海道庁の調停案というものが出された。ところが、私はこの調停案が今度の法律との関連で問題だと思うんですけれども、国有地に――この部分だけ新聞の記事を読んでみますと「廃液の残り六〇ないし七〇%をパイプで送り砂地に浸透させる。このため最小限二十五ヘクタールの国有林を払い下げてもらう」ということで調停案が出され、農林省との間に北海道と折衝が進められているようであります。その後どうなったかわかりませんけれども、幾ら国有林でありましても、そして地下水で汚染の度合いどういうことになるのか、これは現状ではわからないとしても、新しいこの法律がいまもしできるとするならば、これが通過をする場合に、水質保全行政を委譲される地方公共団体が、この法律に盛られている十四条三項ですかに違反をするような調停案が出されて、もしこれが適用をされるということになると、はなはだ疑問に思うわけですけれども、こういうことがいいのか悪いのか。現状は一体農林省どうなっておるのか。また国有地を払い下げてまで、これを地下水に浸透させることのもう明らかなこういう措置がとられるということが妥当であるのかどうなのか。これは最後に長官にお答えをいただいて質問を終わります。
#58
○説明員(小島和義君) ただいまお話のございました中斜里工場の増設の件につきましては、当初ホクレンが計画いたしましたものは、ごく最近に北海道で同じようにビート糖の新工場をつくりました日本甜菜製糖の根室工場と同様に、全量活性汚泥法で処理するというのがホクレンの原案でございます。ところが、関係の漁民のほうからは、この斜里川というのは非常に水量が少ないということもございまして、活性汚泥法処理だけでは不十分である、たまたま近隣のでん粉工場におきまして、これは個人営の小さなものでございますが、海浜地に廃水を浸透させるということを行ないまして成功をおさめておる事例がございます。主として地元の斜里町そして漁民関係の方々の御意見でございますが、全量これを海岸まで送水いたしまして海浜地の砂丘の中に浸透させるということをやれば関係者としては満足する、こういうふうな意見がございましたために、そのような方式をとるということについて両者の意見が一致をいたしたわけでございます。ところが、たまたまその対象として考えられました海岸が国有林であり、かつ保安林である、なかんずくその海岸の中にカシワあるいはミズナラというふうな比較的珍ししい樹木の天然林が相当含まれているということがありまして、自然保護というものを強調される立場の方々からも強い反対が出てまいりまして、その結果、北海道におきましてはあらためて北大の教授その他公害問題、自然保護問題その他につきましての学識経験者を集めまして調査委員会をつくりまして、その結論に基づきまして、当初の全量浸透というのをやや縮小いたしまして、一部は活性汚泥法により処理する、残りは海浜地に浸透させるということによりまして、自然保護と公害対策というものの融和点を見出そうということで努力をいたしておるわけでございまして、私どもと同じ農林省の林野庁で、国有林のこれは貸し付けということで問題が提起されておりますが、現在この道庁から出されました案を中心にいたしまして解決案というものを検討中でございまして、私どものほうからお答えするのもいかがかと思いますが、問題が公害対策という問題と自然保護という、これまた文化的に非常に意義のある行政目的との融和点でございますので、今後もあらゆる知恵をしぼりまして、何らかの融和点を見出したいというふうに考えております。
#59
○政府委員(宮崎仁君) いま農林省のほうから御答弁がありましたが、この水質汚濁防止法案第十四条三項で規定しております「有害物質を含む汚水」といいますのは、御承知のとおり、いわゆる健康項目といわれておりますような「有害物質を含む汚水」という意味でございますから、法律上の問題としては、このビート工場からの排水というもの、大体これは問題になりますのはおもにBODとかSSとかいうようなものが問題になるわけでございまして、法律に直接違反をしてくるというものではございませんけれども、いずれにしても、こういった地下浸透方式というような形でやっていくということは、あまり好ましい方法とはわれわれ考えておりません。この辺はできるだけ今後の行政指導をしてまいりまして、工場内でできるだけ処理するとか、あるいは無害なかっこうで排水するというような方法でやっていただくように、今後ともやってまいりたいと思います。
#60
○林虎雄君 竹田委員の御質問の関連的な意味で、ごく簡単に関係各省にお伺いいたしたいと存じます。公害国会といわれますように、公害問題が大きく取り上げられて、先般は連合審査も行なわれ、それぞれの角度から検討されてまいったと思いますが、特にきょうは水質汚染の問題につきまして竹田委員からいろいろ質問があったわけでございますが、私思いますに、水質汚染の一番大きな原因と申しますか、もちろん経済成長あるいは人口の都市集中というところに大きな原因があると思いますけれども、第一にわが国が下水道設備の立ちおくれということが一番大きな遠因であり、原因ではないかというふうに思われるわけであります。先般ヨーロッパのほうをちょっと見てまいりましたが、各都市などはほとんど――近代的な都市といわれるような、先進国といわれるような国々は、かなり小さな町でも下水道は御承知のように完備しております。ところがわが国だけは東京都もまだ不十分であるというような状態で、この下水道の立ちおくれということが一番大きな原因ではなかろうかというふうに思われます。今日ようやく下水道問題というものが大きく取り上げられて、全国の各市町村においてもそれぞれ計画がなされておると思いますが、そこで承りたいことは、一体全国で特に必要とされております下水道計画を立てている市町村の概数は一体どのくらいあるだろうか、さらにそれを完成するに要するところの財政的な費用といいますか、要する費用ですね、それは一体どの程度かかるものであるかという点。さらにその財源等について、国ではどのように考えておられるか、もちろん短期間でこれが全部完成するとは思いませんけれども、概数を承りたい、こう思うわけです。それに関連しまして、先ほどの竹田委員から質疑がありましたように、下水道つくっても結局終末処理場が重要でありまして、終末処理場に堆積される汚泥の始末というものについて、なかなか名案がないように聞いておるわけであります。あるいは海に捨てるあるいは埋め立てに使うというふうにしても、おのずから限度があり、海に近い都市ではとにかく、山の中の都市では海に捨てる方法がないというように、汚泥がどんどんたまっておる、この始末というものは容易でないと思いますが、これのための化学的な処理の方法等を研究されたことがあるかどうか、この研究の見通しといいますか、成果があればそれをまず承りたいと思います。
#61
○説明員(石川邦夫君) 下水道を現在やっておる都市は二百五十五でございます。全国市町村三千二百余りのうち二百五十五の都市におきまして下水道をやっております。それから下水道をヨーロッパ並みに一〇〇%市街地に普及するということを推定いたしますと、昭和六十年度までにおおよそ十五兆円の財政的な費用がかかるというふうに一応想定いたしております。それから財源でございますが、下水道事業に対する財源については、これは現在の公共下水道、市町村の事業でございまして、国の補助金それから起債、それから市町村の自主財源このうちに受益者負担金等も入りますが、こういう費用で現在建設いたしておるわけでございます。それから第四点の汚泥の処理につきましては、先ほども竹田先生にお答え申し上げましたように、技術的に非常に問題があるが、今後特に技術開発を急ぐべき問題であるというふうに思います。今後の検討にまつという面も多いわけですが、現在におきましては陸上処理、埋め立て、それから投棄それから他の物質に利用する場合、それから焼却というふうなことで処理いたしております。
#62
○林虎雄君 終末処理はなかなか容易ではない問題であると同時に、どうしてもこれを解決しなければ下水道計画をつくってもなかなか地元としても納得しかねるような状態もあるようであります。そこで、時間もありませんので、午前中ということでありますから、三点だけ関係各省に具体的な問題についてお聞きしたい。
 諏訪湖でございますが、これは魚族の繁殖でも一単位当たりの収穫量は全国一だといわれておったし、また観光地としても著名でありますが、新産都市に指定されておりますように、大中小工場が密集しておりまして、諏訪湖自体が汚水のため池になっておるような状態であって、先般も魚あるいは貝の中から有毒の金属物が発見されたということで大騒ぎになったことがございまして、経企庁はじめ建設省あるいは厚生省等で係官が何回も行って調査され、資料等も持っておると思いますが、やはり諏訪湖へ流れる工場排水、特にみその食品工場がありまして、これも県下で最大の生産量を誇っておると思いますが、その汚水が流れ込むわけです。ですから二重に汚染されて、この写真を持っておりますので、あとで見ていただきたいと思いますが、そのように、どろ沼というより終末処理場のため池になっておるというような状態でありますから、したがって下水道を一刻も早くつくりたい、県のほうでも真剣になって幹線下水道の計画調査を進めております。地元もそれに伴って進めておりますけれども、いまお答えになりましたように非常に巨額の金がかかるわけでありますから、したがって、巨額の金がかかるとともに、おびただしい町村が下水道計画を進めておるということでありますから、この順位というものの取り方をどのようにお考えになっておるか、いろいろ資料もいろいろの条件によってありましょうが、たとえば諏訪湖のような場合、順位をとる場合に、十五兆円もかかるのを一挙にというわけにもまいりませんが、なるべくすみやかに着工しなければならないという地元の強い要望がありますが、順位の取り方についてまず承りたい。
#63
○説明員(石川邦夫君) 諏訪湖につきましては、御指摘のように四十四年に調査が行なわれました。流域下水道を前提とする調査が行なわれました。御指摘のように、諏訪湖ははなはだしいものになっておりまして、排出規制と同時に、どうしても流域下水道を諏訪湖畔にずっと回しまして公共下水道をそれへつけまして処理して天竜川に流すということで現在考えておるわけでございます。大体流域下水道の総事業費は百七十億程度になるだろうというふうに計画されておるわけでございます。われわれとしましては、本年流域下水道の要望といいますか、必要性というものが非常に多いわけでございますので、明年度より発足させたいと思っております第三次五カ年計画の中におきまして、諏訪湖も重点の一つとして取り上げまして極力推進したいというふうに考えております。
#64
○林虎雄君 こまかいことを承りたいが、また他日に譲りたいと思います。
 次に、諏訪湖のしゅんせつですね、汚泥によってだんだん埋まってきておる。もともと二メートル五十平均の非常に浅い諏訪湖でありますのに、そこに汚泥が流入してきておる、あるいは洪水のたびに土砂が流入して一そう浅くなって、ほとんどもう沼だかどろ沼だかわからないような状況になっております。ですから、しゅんせつということが浄化の一つの条件であるというふうに思います。で、国のほうでも天竜川からずっと堤防を強化し、諏訪湖から流れる水の量を強化する意味で着々と進められてまいりまして、ようやく去年から諏訪湖しゅんせつの予算が取れたようで、大体本年度七千五百万円ですか、かなり従来よりも多くなっておりますが、しかし七千五百万円では、ちょうど流入する土砂と同じくらいしかしゅんせつができないわけです。十三万立米のことし計画のようでありますけれども、それでは同じことを繰り返すにすぎない、せっかくしゅんせつしても流入する土砂が同じくらいということならば、これは百年河清を待つということになるわけです。ですから、もっと予算を増額をするように地元としても要請しておると思いますが、建設省のほうも明年以降の計画等があったらひとつ承りたい。
#65
○政府委員(西川喬君) 建設省の河川局のほうの所管でございますが、河川局が見えていないようでございまして、詳細なことはまたあらためてお聞き願いたいと存じますが、私ども経企庁のほうにおきまして、諏訪湖の排水基準設定のためのいろいろ部会の関係で審議しております間に聞きましたところによりますと、一応深さ二メートルまで、これが一番水質に影響しているということで、深さ二メートル以上の汚泥をしゅんせつするということで、一応、その汚濁の著しい湖岸付近でございますが、それの二メートルのところ、これにつきましては、現在計画では一応昭和四十八年度までに完了するというふうなことを建設省のほうからその審議の途中において聞いております。正確なことは、あらためて河川局のほうにお聞き願いたいと思います。
#66
○林虎雄君 具体的な数字は後日に譲ろうと思います。
 それから経企庁のほうでありますが、これも竹田委員から質問がありました工場廃液、工場汚水を防止する設備につきまして相当予算が必要である。それは企業者負担というものが原則でございますけれども、諏訪地方のように、大というのはわずかで中小企業がおびただしい数にのぼっておりますだけに、自己負担によって防除施設を行なうということは非常に困難だと思います。したがって、こういうものについて、ただいま竹田委員の質問に長官お答えになりましたが、財政融資あるいは利子補給等考えられておると思いますが、もっと積極的に助成その他、中小企業が水質保全のための設備が十分できるように、可能であるように考えていただかなければならないと思いますが、もう一ぺん長官のお考えを承りたいと思います。
#67
○国務大臣(佐藤一郎君) 今般、こういうふうに水質を初めといたしまして公害関係の立法が出たわけでありますが、中小企業の問題は御指摘のとおりでございます。いまこの系統の問題をやはり片づけなければ、なかなか水質汚濁の防除というものはできないわけでございますから、先ほども通産省からも説明がありましたけれども、今後この方面に対する政府の財政的な施策というものを相当進めないと片づかない、そういう考えを私も持っております。できるだけひとつそうした方向でもって推進するようにいたしたい、こう思っております。
#68
○上林繁次郎君 最初にお尋ねをしたい点は、この法案の第五条ですが、この第五条は特定施設の設置に関しての届け出ですね。この届け出る内容は六項目にわたっておりますけれども、これは届け出ればいいということですか、それでおしまい……。届け出をすればいいということですか。
#69
○政府委員(宮崎仁君) この第五条にいいます届け出は、先ほども御説明いたしましたように、特定施設を持ったような工場、事業場が設置しようというときに、こういった内容の届け出をしていただくという規定でございまして、この届け出を都道府県知事が受けるわけでございますが、その内容を見まして、水質汚濁の観点から見て差しつかえないかどうかということを見まして、もし改善が必要であるというならば、計画変更命令、あるいは場合によっては工場の計画そのものを廃止してもらうということも考えているわけでございます。
#70
○上林繁次郎君 これはいわゆる法案の目的ですね。そういった立場からいって、やはり完ぺきな体制をつくっていくという必要があると思う。そこで、この届け出ということになると、私はちょっと弱いんじゃないかと思う。やはり目的からいってこれは許可制にすべきではないか。チェックするということをあなたはおっしゃるのですから、そこまでやるならば、今度は許可にしたほうがいいのではないか。そのほうが一そう水質汚濁防止の実効をあげることができるのではないか、そういうもとにもなるのではないか、こういうふうに思うのですが、許可制という問題どうですか。
#71
○政府委員(宮崎仁君) この問題はだいぶ部内でも実は議論した問題でございます。ただ、わが国の行政の実態というものを踏まえて考えてみますと、許可制というような形をとりました場合に、都道府県知事がこの工場の計画を見て、これでよろしいと許可をするわけでありますが、そのあとにおいて、どうも予定通りの水質処理ができてない場合に、これは改善命令を出さなければならぬわけでございますが、何となくやはり許可をしたということによって既得権のようなものが生まれてしまうというような実態が出てくるのではないかというようなことも実は問題として出されまして、やはりいままでやってまいりましたいろいろの実績等から見ましても、内容的にはほとんど許可制と同じような強い規制をいたしますが、届け出という形で運用するほうが現在のわが国の実態には合うのではないか、こういう判断で実は届け出という形でやりたい、こういうことにした次第でございます。
#72
○上林繁次郎君 そうしますとね、その辺のところはよくわかりません。専門的に考えて許可制よりも届け出制のほうがいいのだという、その辺のいまのあなたの説明、ちょっとわかりにくいのですけれどもね。
 それでは第十五条を見ますと、「都道府県知事は、公共用水域の水質の汚濁の状況を常時監視しなければならない。」こういうふうにあるわけです。「常時監視しなければならない。」、こうあるのですよね。ほんとうにそうだとすると、こんなことを実際にできますか、常時知事が監視する……。
#73
○政府委員(宮崎仁君) この法第十五条の規定は、常時監視の一般原則をうたったものでございまして、これを実際にやっていく手段として第十六条の「測定計画」等の規定があるわけでございます。結局常時監視といいますけれども、これは地点をきめましてそうしてそういう測点において定時的な観測をやっていくというようなことが運用上のやり方になると思います。さらに現在自動測定記録計のようなものの開発も進めておりますが、そういったものが出てまいりますと、測定における常時監視ということが実態的にもはっきりと裏づけが出てくるわけでございますが、現在そういった測定器が完全に開発されておりませんので、当面は定時的な観測をやっていくという形において、この水域の状態というものを見てまいる、こういうふうになるだろうと思います。
#74
○上林繁次郎君 私が聞いているのは、こういう法律をつくっても、実際には効果がないじゃないかということが前提になるかもしれませんがね。特定の水域だけを監視させるというお話だったのですが、それじゃもう一歩進んだ体制ができるまでは、そのほかからもし水域が汚濁されるような状態になっても、それはやむを得ないと、こういうことになるんですか。
#75
○政府委員(宮崎仁君) この測定計画としてやりますものが特定水域に限るというつもりはございませんので、やはり一律基準というものが全国の全水域にかかるわけでございますから、それに必要な測定はやはりやっていく、こういうことでございまして、その頻度あるいは測点の密度というような点で、最初から十全を期すということは、先ほど御指摘がございましたように職員の数、その他の点で問題は若干あるかと思いますけれども、たてまえとしてはそういう形でやってまいりたいと思っておる次第でございます。
#76
○上林繁次郎君 これだけで議論のようなことをやってみても始まりませんので……。ちょっとしかしこれは最初のあなたの話では、特定だということだったんで、だとするならば、全水域にわたってやはり監視をしていかなければならないということだと思うんですね。そうだとすると、こういったことはあまり実効はあがらないんじゃないか、もっとほんとうに実効のあがるあり方というか、体制というものをつくっていかなければならないんじゃないか、こういうような考えでいまお尋ねをしたわけですけれども、それでは公害基本法第十三条には「政府は、公害の状況をは握し、及び公害の防止のための規制の措置を適正に実施するために必要な監視、測定、試験及び検査の体制の整備に努めなければならない。」、こういうふうにあるわけなんですけれども、この監視体制と測定、試験、検査、こうありますね、この監視体制について、いままでどういうような体制が、またどのような規模でそういったものができておるか。またあわせて、これからどういうような考え方をそれに対して持っているか、その点ひとつお答え願いたいと思います。
#77
○政府委員(宮崎仁君) 従来は水質保全法によりまして基準を指定水域、特定の水域だけについてきめましたわけでございます。そういうものにつきましては、それぞれの産業の所管官庁が規制をしてまいるわけでございますが、大体この事務は都道府県知事に委任をされております。したがいまして従来もそういった基準の順守が行なわれているかどうかということは、アフターケアの調査ということを言っておりますが、そういった形での調査を実施してまいりまして、そうしてこれを果たしてまいったわけでございます。今回こういう形で指定水域という制度が全水域に及ぶことになりますし、また都道府県の上乗せ基準ということで測定の水域もふえてまいると思います。そういう体制に応じまして測定計画という形でこれを拡充してまいる、こういう必要があろうと思います。これには測定を実施いたしますのは必ずしも県だけではございませんで、たとえば直轄河川については建設省の出先の地方建設局がやる場合もございましょう、そのほか国の出先機関あるいは市町村で実施するものもあると思います。こういうものを測定計画という形で都道府県知事のところで一つの計画にまとめまして、そうして実際の仕事は分担をしてやっていく、こういうかっこうでこの仕事の万全を期してまいりたいと思っておる次第でございます。
#78
○上林繁次郎君 お話はよくわかります。お話はよくわかるんですけれども、何といっても法律でもって人の健康を害するような状態あるいはまた環境の汚染、こういうものをなくしていこうという目的があるわけですね。なるほど理屈の上ではわかる、理屈の上ではわかるけれども、実際に工場がその法律を守らない場合にはどうなるかということ、こういった問題もあると思います。現にいままでも曲がりなりにも法律があった、しかしそれが守られていない、それが現実です。ですから、これからも、そういったことは絶対ないのだ、この法律ができればと、そういったことが言えないわけです。ですからそうなると、いろいろ規制することは大事なことではあるけれども、もう一歩それを実効あらしめるためには、これはやはり実効をあげるだけの体制というものが必要だと思うのです。そのためには、私は皆さんの論議の的になっております監視官制度、監視官という問題、これは非常に大きな問題だろうと思います。そこで、先ほどのお話を聞いていると、あまり具体性がないし、はっきりしないのですけれども、現在の時点でそういういわゆる監視官に対する考え方、と同時に、それが大事だとするならば、今後どの程度監視官というものが必要なのかということも考えていかなければならぬ。その辺はどういうふうに考えておりますか。
#79
○政府委員(宮崎仁君) この法律を実施してまいるために都道府県の仕事が相当大きくなってまいります。それに応じて組織あるいは予算的な面で整備をしてまいらなければならないということは先ほどお答えを申したとおりでございます。この点につきましては、予算的にいま大蔵省に要求をいたしておりますが、組織その他の問題は、これから自治省とも相談をして、この法律が施行されるまでにできるだけ体制を整えたいと思うわけでございます。
 いま御指摘の監視官制度の問題でございますが、これは先般労働基準局の調査等が行なわれまして、かなりの問題があったというようなことも契機になったようでございますが、この監視官制度というものを設けてはどうかということが公害対策本部を中心に検討されておるということでございます。これをどういう形でやったほうがいいかということについては、若干意見もございまして、そういった面をいま検討しておられる、こういうことでございます。その進捗状況は、どの辺までいっておるのか私も直接タッチしておりませんのでわかりませんが、そういう方向で考えておられると承知をいたしております。
#80
○上林繁次郎君 私はいま申し上げたとおりでして、考え方としては監視官制度というのは最も大切じゃないかと、こう考えます。そこでその点を、ここまできているのですから、もっと本腰を入れて、どういう体制、どの程度の陣容、またこれに対する技術的な育成の問題もあると思うのですね。いろいろあると思います。
 そこで今度は問題を変えますけれども、先ほど知事は全域にわたってはそういったことはできない。まあ測定器の開発、こういうようなことをいまお話になったけれども、私は最もそれは大切なことだと思うのです。そこでそういうテレメーター、これの開発はいつごろまでにできる見通しですか。
#81
○政府委員(宮崎仁君) この自動測定器につきましては、現在でも数社そういったものを試作したものがございまして、現在建設省あるいは私のほうもこれを試験的に取り入れてやってみようかということで、四十六年度の予算で要求をいたしております。この辺は建設省とよく打ち合わせましてひとつ急速に開発をはかってまいりたいと思っております。
#82
○上林繁次郎君 その自動測定器ですけれども、これは私は急ぐ必要があると思うのです。一応の体制ができても、まだまだ抜け道が幾らでもあると思うのです。そこで、たとえばいろいろな例があるんですよ。新聞に報道されているんですけれども、何回勧告をしても相変わらず流す。検査に行ったときにはちゃんと稼働している、装置がですね。ところが夜になると流されちゃうというような例はいままでたくさんあるわけです。そういうものの監視というのは、これはなかなか容易なことではない。したがって、やはりそういう自動測定器というものは常時働いているというところにこの法律の実効が上がってくる、それが原因であるというふうにも思いますので、それは私は、よそでやってくれるだろうという考え方でなくて、少なくともこれだけのものを成立させよう、これだけの法律を成立させようという意欲を持っているんですから、そういう具体的な問題についても本腰を入れて私はやっていくべきである。特に測定器についても、これはもっともっと本腰を入れて、こっちから押していくくらいの姿勢で取り組んでいかなければならないんじゃないか、こう思います。
 時間が幾らもありませんので次に行きます。
 先日、予算委員会でわが党の矢追委員がちょっと触れた問題でございますけれども、まあ具体的に言うとそういうことなんですが、その前に、今度の国会に十四の法案が提出された、だけれども、これはだれ人が考えても骨抜きである、形骸化された、こういう見方をしているわけです。そこで、そういった状態は大いに国民の期待を裏切ったんだと、こういうことが言えると思う。そこで、その責任をどのように政府として反省をしておるのかという点からひとつお尋ねしたい。
#83
○国務大臣(佐藤一郎君) まあいろいろと伝えられてはおりますけれども、現在考えられる立場からいたしまして、政府としても最善の努力をしてこの立案も行なわれたと、こう考えております。そういうことでございまして、われわれとしては、問題は今度つくったこの法律をいかに運用していくか、この適正な運用がこれから一番大事であろうと考えています。
#84
○上林繁次郎君 まあ運用、それは大事なことでありますけれども、その内容が大事でないということは私は言えないと思う。内容が骨抜きになったということでいろいろ議論がわいているわけですから。その内容が充実しておれば、その内容が充実した上で運用をはかれば、その運用もりっぱということが言えるかもしれないけれども、内容はいいかげんで運用だけりっぱにやろう、その考え方は私はちょっといただけません。いずれにしてもその辺の議論をしてもしようがありませんが、それでは骨抜き骨抜きといわれるこの法案のそういうふうになった原因といいますか、まあ法務大臣は法務大臣の権限によるものである、そういうふうに言っておりますけれども、重要な部分が削除されたいわゆる経過といいますか、理由というか、そういった点についてひとつはっきりとお聞かせ願いたい。
#85
○国務大臣(佐藤一郎君) 重要な部分というのをひとつ具体的に御指摘願えれば幸いであります。
#86
○上林繁次郎君 おそれがあるとかないとかという問題が盛んに論議されたわけです。それは私に長官が聞き直さなくても、重要な部分と言えば、いままでさんざんっぱら論議されたのだから、わかっていると思うのですよ。
#87
○国務大臣(佐藤一郎君) いや、実はこの法律案の直接の問題か、それとも公害罪法の関係か、ちょっと不明な点もありましたから、あえてお聞きしたいんですが、公害罪法の問題につきましては法務大臣もたびたび答弁をしておるわけでございますし、私もそれについて直接タッチをいたしておったわけではございませんけれども、しかし現状において、あの公害罪法というものができたこと自体が、これはたいへんな進捗である、こういうことをやはり前提にして考えるべきではなかろうか、こう思います。
 問題は、むしろ、それの運営がほんとうに行なわれるかどうかということでありまして、現在、現状から見て言えば非常に飛躍的な条件の進歩であろう、こういうふうにわれわれは考えておるわけでありまして、その案のできる過程において、それはいろいろ議論がございました。罪刑法定主義の立場というものも現在なかなか強い立場でございますからして、そこらとの調整ということも十分に考えなければならない。しかし、それにしても、これだけ強い制度というものができた、そういうようなことで、そうした総合的な考え方に立って、最終的にああいう案に落ちついたものと私は考えております。
 詳しいことは私は直接タッチしたわけではございませんけれども、まあわれわれが見ましても相当進歩が行なわれたと、こう見ていいんじゃないかと思っています。
#88
○上林繁次郎君 私もこの法案が後退しておるんだということを言っているんではない。確かに、おっしゃるとおり前進しておる。しかしなお、だからといって、前進したからそれでいいというものではないので、こういうふうに審議をしているということは、その中で、もう一歩も二歩も前進していくために話し合いをやっているわけですから、そういった点をひとつ誤りないように……。
 そうしますと、よくいわれる財界からの圧力でこれが変えられたんだというような、そういったことは絶対にない、こういうことになりますか。
#89
○国務大臣(佐藤一郎君) これは私も仄聞しておりますが、財界が直接にこのことについて政府側とタッチしたことも一度もございませんし――まあ新聞等にそういう記事が出ておったようであります。しかし、どういう根拠で出たのかわかりませんが、あるいは財界側の一部の人が希望を表明した、それが記事になったとか、いろいろあると思いますが、政府自身が財界と直接接触し、そうしてこれを変えたという経緯は一切ございません。
#90
○上林繁次郎君 また話が変わりますけれども、公害を発するような企業からの政治献金というものは今後やめるべきじゃないか、こう思いますけれども、この点、どうでしょうか。
#91
○国務大臣(佐藤一郎君) この問題は、これももう予算委員会で総理はじめ何回もお答えになっておるところに尽きておるのではないかと思います。政治献金の問題は、実は私も自分で直接所管しているわけではございませんので、いま私が答弁をすることが適当かどうか知りませんが、いずれにしても、問題はそうした企業サイドの考え方が一方的にこの法の運用に影響するようなことのないように、こういう問題であろうと思います。そういう意味においては、ひとつその点について十分政府を御信頼いただく以外にないと思うのであります。
 私たちも、せっかくこういう法律を苦労してつくりましても目的を達しないのでは何にもならないわけでございます。政府といたしましては、もちろんこの法律のつくられた経緯にもかんがみ、公害問題の重大性にもかんがみて、ひとつ十分この目的を達し得るように指導してまいらなければならない、こういう決意を持っております。
#92
○上林繁次郎君 この点についてもう一つ、いわゆる公害防止のためにこの法律ができた。世間では、この法案が骨抜きである、それは財界と政界との癒着じゃないか、こういうようなことをいまも盛んにうわさされておるわけです。そういうものを打ち消すためにも、私はこういう企業からは金はもらわぬという姿勢は、やっぱり国民に対して、そうでなかったんだという一つの姿勢を示すことにもなるのじゃないか、こういう意味で私は大事なことじゃないかと思いますが、そういった意味で、もうひとつ十分に検討をしていく余地があるんじゃないか、こう思いますが、その点どうでしょうか。
#93
○国務大臣(佐藤一郎君) これはむしろ現在の政党のあり方というか、政治献金問題全体の問題の判断であろうと私は考えております。まあいろいろとうわさもあり、いろいろと報道もなされておりますが、しかし、率直に見て、今回のこの公害立法というものが大きく公害行政を前進させている、こうしたことははっきり言えますし、政府もまたその熱意があったればこそこうやって御審議を願う段階にまできたわけでございますから、そこのところはひとつ公害問題というものについての責任の重さというものを十分政府が感じてやっておることである、したがってまた今後の運用もその線に沿って行なわれるものである、こういうことは十分ひとつ御了解をいただきたいと思うのであります。
#94
○上林繁次郎君 それでは具体的にお尋ねしてみたいのですけれども、鹿児島県の喜入でざいますね、ここではいままでに三回の原油漏れがあった。そういった事件があったんですけれども、その経過、いきさつ、こういった点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
#95
○説明員(礒西敏夫君) 具体的な問題でございますので私からお答えさしていただきます。
 ただいま先生のおっしゃいました日本石油喜入基地株式会社における原油流出の事故の問題を申し上げます。
 四十四年の十月の五日に第一回目が起こりまして、ポンプ及びストレーナーを分解修理中にもかかわりませず、誤ってバルブを開き通油いたしましたために、約三十キロの原油が流出し、そのうち約五キロリッターが海上に流出した。こういうのが第一回目でございます。
 二回目はタンカーからの漏洩事故でございますが、これは本年の五月の二十八日でございます。ワールド・チーフ号のバラスト水の出水の際に船員のシー・バルブの誤った操作によりまして原油が約四キロリッターが海上に流出するというのが第二回目。
 第三回目は、ことしの十月の二十二日でございますが、ベルゲピック号のバラスト水出水の際に、船員のシー・バルブの誤った操作によりまして約一キロ海上に流出した。こういうふうなことでございます。
#96
○上林繁次郎君 それではこのCTS基地の誘致にあたって県漁連と日石との間に漁業補償の協定がなされておりますけれども、このときの山中長官のとった行動、こういったことについて、おわかりでありましたらひとつお聞かせ願えませんか。
#97
○説明員(礒西敏夫君) 全く存じておりません。
#98
○上林繁次郎君 全く御存じないということでは話になりませんが、それでは、いままでこういう立ち会い、これは山中長官が協定書に立会人として名を連ねていることはわかりますね。わかるでしょう、詳しい行動はわからなくても。
#99
○説明員(礒西敏夫君) 日本石油喜入基地株式会社が昭和四十二年に設立されましたときに、喜入町漁業協同組合と漁業補償の協定書を締結したということは会社から伺っておりますが、その内容及びそういう署名の問題については存じておりません。
#100
○上林繁次郎君 長官が立会人になっていることだけはわかりますね。大体公害補償の場合、そういう場合には国会議員が立会人になるということはおそらくないんじゃないか、大体県知事サイドでこれが処理されるというか、そういうことなんですけれども、そういう意味でも長官が立会人になったということは、それはいろいろな意味でやはり国民から誤解を招く原因になると、こういうふうに思われるんですけれども、その点どうお考えになりますか。
#101
○国務大臣(佐藤一郎君) 矢追さんがやはり予算委員会で質問されまして、山中長官自身が何か答えられたようであります。当然自分は県漁連の会長の立場として立ち会ったと、こういう返事があったと覚えておりますが、それ以上のことは知りません。
#102
○上林繁次郎君 私も知らないではないのですけれども、やはり、意地が悪いようなことになるかもしれませんけれども、長官があのときに慎しみますということを言われましたね。ということは、やはりそういう立場に立つべきではないということ。ということは、やはり大企業と癒着していたんじゃないか、そういうふうな実証になるのではないか、そういうふうに感じますが、どうでしょうか。
#103
○国務大臣(佐藤一郎君) 私はちょっとそこは何ともわからないことでございますから、御返事のしようがありませんけれども、もちろん山中長官がそういう癒着を考えて立ち会われたということはとうてい考えられないことでございまして、当然、漁連の会長という立場でやられたことと思っております。
#104
○上林繁次郎君 先へ進みます。日石の喜入原油基地にタンカーが入るときには「油送船停泊規則」ですね、または「喜入基地安全チェックリスト」、こういったものに従って、二十一項目にわたってのチェック事項があるのですね。これを守らないで、これに違反した事故が発生したときにはこの損害を補償すると、こういう誓約書を船長と喜入との間で結んでおるわけです。これはよろしいですね。だけれども、いまも話がありましたけれども、外国船の問題はこれはチェックのしようがないですよ。たとえば操作のミスであるとかいう、いわゆる熟練度のチェックですね。相手の、特に外国船は、これはおれの国だというようなものの考え方をしておる。これに対してチェックのしようがないでは済まないと思う。やはりこれは何とかこれに対する対策を立てないと、今後も、もういままで三回あったわけですけれども、三回が四回になり、四回が五回になる、そういうようなおそれがあるわけです。ですからそういういわゆる対策について、やはり外国船に対する対策、こういった点を十分考えていかなければならぬと思うのですが、この点どういうふうにお考えでしょうか。
#105
○政府委員(柴崎芳三君) 外国船であろうとも、領海内におきましては、おそらく港則法に定められた法的な規制は適用されますので、そういった意味の先生御指摘のチェックは、港則法の規則その他につきましては完全にできるかと思います。
 それからさらに外国船が直接にその基地の受け入れ側のパイプと接続する場合に、その操作の誤りでよくこういう事故が起こるわけですけれども、これは受け入れ側の技術上の問題、受け入れ側の技術監督の問題を特に強化することによりまして私は絶滅できるのではないかと考えますが、現在そういう方針で、三回の事故に基づきまして、十分反省するように強力に指導しておるのが実態でございます。
#106
○上林繁次郎君 お話わかります。その接続の問題よくわかります。そういう場合でない場合はどうです。いままで事実あったわけです、事故が。それはいろいろと規制できるというのですが、どういう規制をなさっておりますか。
#107
○政府委員(柴崎芳三君) 現在までの事故が、船と基地の施設をつなぐその接続をされたバルブの開閉に基づいた事故の例であるというぐあいにわれわれは聞いておるわけでございます。したがいまして、この点は先ほど申し上げましたように、受け入れ会社側の技術体制を十分整備することによりまして絶滅を期したい、かように考えておる次第でございます。
#108
○上林繁次郎君 それさえ整備すれば外国船は事故を起こさない、こう考えていいですか。
#109
○政府委員(柴崎芳三君) 外国船だけではなく、日本の船舶につきましても、おそらくそういった技術上の問題は一般的な問題といたしまして慎重にやらなければならないし、また一般的なルールに従いまして厳重に監視監督をしなければならぬというぐあいに考えておりますので、そういった方向で絶滅できるかと思います。
#110
○上林繁次郎君 外国船についての補償問題はうなりますか。
#111
○政府委員(柴崎芳三君) その補償の問題につきましては、現在検討不足で、正確な答弁ができないことはまことに恐縮でございますが、一般的にタンカーにつきましては、世界的なレベルでそういった事故その他に関する補償あるいは保険がございまして、そういったもので十分カバーされるのではないかと考えております。
#112
○上林繁次郎君 明確でないようですけれども、その辺が私は問題だと思います。その点を、それは抜け道になっちゃいますから、幾ら国のほうで規制をしても、よそから来てよごされて、それについては何の補償も取れないということでは抜け道になります。よごされるし、地元民は困るし、その辺を十分にやっぱり対策を立てなければならないと思いますが、その点強く要望しておきます。
 最後に、いままで三度の原油漏れ事件があったのですけれども、これの処理にあたっての損害額、それから漁業補償、こういうものがこの三回どういうように行なわれてきたのか、その内容についてひとつお聞かせを願いたいと思います。
#113
○説明員(礒西敏夫君) 第一回目のバルブの誤った操作による原油の流出の問題につきましては、海上における原油をオイルフェンスで囲みまして、その大部分を沈降剤を入れましてそれを回収するというふうなことがございますので、それにおける会社側の処理損害額が約千八百万円、それに対する漁業の問題が出てまいりまして、漁業補償額が九百二十万円、第二回目のタンカーよりの漏洩事故の問題につきましては、先ほどと同じような処理をいたしまして完全回収をしております。会社側の処理損害額は約千八百万円、漁業補償はなし。第三回目の問題につきましては、現在処理損害額、いわゆる会社側の損害額は九百万円で、漁業の問題については目下話し合い中、いわゆる交渉中、こういうふうに承っております。
#114
○上林繁次郎君 損害額、補償額よくわかりました。そこで、これはこれでもってほんとうに地元は納得したのですか。漁業補償のほうは。
#115
○説明員(礒西敏夫君) 第一回目、第二回目の問題はすでに片づいた問題だと聞いております。第三回目の問題は現在交渉中と申しますか、漁業の関係についての申し入れを受けておるというふうに聞いております。
#116
○上林繁次郎君 聞いておりますですから、確認したわけでありませんね。
#117
○説明員(礒西敏夫君) さようでございます。
#118
○上林繁次郎君 私は、地元のいわゆる漁業補償については絶対に納得していない。損害額が千八百五十八万、これは第二回。それで補償額はゼロ。そんなばかなことがあるわけないでしょう、常識的に考えて。ですからこれはおかしいですよね。第三回目はいま交渉しているということなんですが、これはよほどきちっと目を通してやらないと、結局地元民が苦しまなければならぬ、こういうことが言えると思います、納得をしていないということを前提にして。この問題については山中長官は立ち会い人になっているわけですよ。これをそういう立場で何かやはり関係しましたか、この補償については。納得をしないということです。
#119
○説明員(礒西敏夫君) その点については何ら聞いておりません。
#120
○上林繁次郎君 私もわかりませんけれども、この協定書を読みますと、「前項の損害額については県漁連と日石が協議して定める。この場合において協議が整わないときは立会人の調停によるものとする。」、こうあるのです。この協定書からいうと、いわゆる納得しないという前提で、第二回なんか特に納得しないという、これを前提にして、この場合、それでは長官はこの協定書に基づいて立ち会ったのか立ち会わなかったのかということなんですけれども、これはわからないというわけですか。
#121
○説明員(礒西敏夫君) 全然そういう問題についてはわかっておりません。
#122
○上林繁次郎君 最後に……。おそらく立ち会っていないと思います。そうなりますと、この協定書には、いま読み上げたとおりあるわけです。それで誘致のときにはこういうふうにこの協定害に立ち会い人として立っておる。それで問題が起きて、そして地元は納得しない。そのときにはほおかぶりで全然知らない。これでは長官の立場はますます悪くなるんじゃないか。いわゆる国民の側から見れば、これはあくまでもやはり会社が損をするようなことについては出てこない、こういうふうに見られてもしようがないんじゃないか、こういう具体的な例からいっても。こういう一歩前進、二歩前進した法律をつくっても、頭のほうでものの考え方が、公害に対するそういう考え方では、私は十分にこの法律の実効をあげることができないんじゃないか。いわゆる政治姿勢の問題といいますか、こういうものを強く感じるわけです。そういった点ひとつ十分に政府のほうはその姿勢を正してこの問題に取り組んでいただきたい。そういうことを要望して終わりたいと思います。
#123
○渡辺武君 この水質汚濁防止法案によりますと、排水基準については一般的には政府が総理府令できめることになっております。これは三条第一項に定められております。さらに、都道府県知事にいわゆる上乗せ権が第三項で認められておるということであります。知事に上乗せ権が認められたということ、これは従来に比べて改善された点であるというふうに私ども思いますけれども、さて、この排水基準と環境基準との関係が明確に定められておりません。環境基準というのは、私申し上げるまでもなく、人の健康、それからまた生活環境を守る、このためにつくられるものであります。したがいまして、環境の急速な根本的な改善もしくは維持、したがって環境基準の確保のために排水基準を設定する。つまり排水基準を設定するにあたって、環境の急速な改善、維持あるいは環境基準を確保するということをはっきりと法に明示すべきだというふうに思いますけれども、その点、長官はどんなふうにお考えになっておられるか、お答えいただきたいと思うのです。
#124
○国務大臣(佐藤一郎君) この環境基準は、御存じのように基本法のほうでもってこれを規定しています。基本法の形を見ますと、まず、いわゆる望ましい行政目標としての環境基準を設定すべきである、その条文に続いて、そのあとでもって排出規制の措置を講じなければならない、こういうことを書いてありまして、当然のことでありますけれども、もうすでに基本法においてそうした関係というものを想定しておりますし、望ましい行政目標である環境基準を達成する、そのために排出の規制を行なうんだ、十条によってそういうことが書いてございます。そこで、基本法にこの考え方を譲ってあるわけです。そしてそれを前提として、われわれとしては排水基準の規定を中心にしてこっちの法律に書いてある。ただし念のために、この第三条の第三項に「政令で定める基準に従い、」という条文がございます。この政令の中にもう一回この基準を設けるについては、環境基準の達成を目途とする、こういう一項目を政令で入れようかと、こういうふうに考えています。
#125
○渡辺武君 いま、基本法及び政令でそうした点を明示するというお答えがありましたけれども、水質汚濁防止については、いまここに出されている法律案が、これが一番基本的なものになると思うのですね。したがって、この法案の中にその点をやはりはっきりと明示するということが私は必要じゃないだろうかというふうに思います。そこで、その点に関連して少し伺いたいと思いますが、水質汚濁防止の場合に、排水基準は以前からきまっておったけれども、環境基準のほうの設定がずいぶんおくれておったのじゃないかというふうに思われますが、その辺の事情を少しお答えいただきたいと思います。
#126
○政府委員(宮崎仁君) たしかに、旧水質保全法の考え方が、指定水域についての水質基準、現在の法律ですと排水基準でございますが、これをきめてまいるという形で法律の体系ができております。その実施法として工場排水等があったわけでございます。しかしその後、公害基本法が制定をせらるということになりまして、環境基準というのが設けられることになったわけでございます。この環境基準と排水基準の関係は、長官が先ほど御説明いたしたとおりでございますが、この規定が、この法律ができましたので、これに基づいて環境基準をきめようという作業を急いでまいりまして、本年の四月にその方針を決定いたしました。具体的なその当てはめにつきましては、八月から九月にかけてこれを行なったわけでございます。そういったことの関係が若干前後がございますので、環境基準をあとからきめるようになりましたけれども、今後の運用としては、環境基準のほうを先行してきめるか、あるいはこの都道府県知事の上乗せのような場合には同時に作業をするというようなやり方できめてまいりたいと思っております。
#127
○渡辺武君 たしか排水基準が一番最初、水質についてきめられたのは昭和三十七年からだったと思いますね。ところが、いまのお答えによりますと、ことしの四月から環境基準のほうは設定されたということになるわけです。三十七年から四十五年の間は環境基準なくて排水基準がきめられたということになっているかと思うのです。私は、そういうふうにして、いわば環境基準がない、だからして水質が、一般的に川なり海なりがどのように汚染されているかどうかということにかかわりなくいわば排水基準がきめられたというような事態が、これが水質の汚濁を防止するのに十分でなかったことの一つの原因だったのじゃないだろうかというふうに思われます。しかも、それも指定水域の範囲内のことであって、指定水域外については排水基準もきめられていないというような状態で、いわば汚染は野放しにされていたという状態だったのじゃないかと思いますね。それで、やはりこうした経験から学んで、この水質汚濁防止法案、この中にも法として、はっきり明示する、そうして国が今後排水基準をいろいろ設定する場合は当然のことですけれども、同時に知事がそれに上乗せするというふうな場合についても、環境基準を確保するということとリンクさして、そうして設定するというふうに明示すべきじゃなかろうか。特にやはり環境の全体としての改善あるいはまた維持ということが非常にいま重大な問になってきているわけで、その点を特に強調していく意味においても、法の中に明示したほうがいいんじゃないかというふうに思います。その点重ねてどうでしょうか。
#128
○政府委員(宮崎仁君) この関係は、先ほども御説明をいたしましたように、公害対策基本法第九条にいう環境基準というのは、政府の行政の目標として望ましい基準をきめたわけでございます。きめるたてまえでございます。で、これを実施、達成するための手段といたしまして、この十条の排出規制というようなものがございますが、そのほか、御承知のように下水道の整備であるとか、あるいは各種の対策事業も、やはりそういうふうなものが総合的に行なわれまして環境基準の達成が期せられるわけでございます。まあそういうことでございますので、この水質汚濁防止法のほうで一義的にこの環境基準を引き合いにして、これで排水基準との関係をきめるということは、そういう意味でもちょっとむずかしいという技術的な問題がございます。一方は行政の目標でありますし、それを達成する主たる手段には違いありませんけれども、その他のものも含めて環境基準が達成されるというような形になりますので、先ほど長官から御説明をいたしましたように、条例で上乗せ基準をきめる場合、これが最も具体的な環境基準との関係が出るわけでございますが、この際に環境基準の達成を目途とするというようなことを考えたらどうだろうか、こういうふうにしたわけでございます。もちろんこの環境基準、今後もきめてまいるわけでございますが、こういった上乗せ基準に合うような特定水域につきましては、環境基準の当てはめ行為と申しております具体的水域についてきめます基準の設定作業でございますが、これは私ども都道府県知事に委任をしてまいりたいと思っております。そういうところでこの環境基準と都道府県知事できめる上乗せ基準の関係を調整してまいりたい、こういうふうに考えております。
#129
○渡辺武君 私がしつこくこの水質汚濁防止法案そのものの中に――その辺の原則ですよ――環境基準の達成ということと排水基準の設定、これをはっきりリンクさせるような項目を盛り込むべきじゃないかというふうに申しますのは、やはり法にそのように盛り込むことによって、私は政府そのものも今後の行政をそういう点で法でワクをかけることができる。もちろん知事が上乗せする場合もそれと同じことが言えると思う。なぜそういうことを申し上げるかと申しますと、これはたとえばいま環境基準を達成するために排水基準をまあ設定するということを原則とすべきだということを言っていますが、その環境基準そのものの設定ですね、これが私は従来の政府の設定は非常に甘いものだったんじゃないかというふうに思うんです、言ってみれば。国民が望んでいるような環境の急速な改善ということから、かなりほど遠い、いわば現状追認的な設定のしかたをやってきたんじゃなかろうかというふうに思うからなんです。たとえば例をあげてみますと、東京の隅田川ですね、これはもう皆さん御存じだと思いますけれども、この水域の類型、これはEということになっておりましてそうして達成期間はハということになっております。Eというのはどういうことかといえば、これはBOD一〇PPMというのがいわば達成目標ということになろうかと思うんですね。そしてハというのはそれがまあ五年以上で可及的すみやかな期間ということになっていると思うんです。昔は隅田川といえばこれは都鳥も飛び白魚も泳ぐ、もちろん人間も泳ぐことができるというようなきれいな川だったと思うんですね。ところが政府の環境基準の達成目標が一OPPMということになりますと、水からにおいがちょっと取れるぐらいのところです。いまの隅田川は、これはBOD一八PPMといわれている。これは大体どぶと同じことです。悪臭立ちのぼるどぶと同じような状態、これがいまの隅田川の状態だと思うんです。それが五年以上もかかってやっと一〇PPM、つまりやっとにおいが取れる程度の汚染度まで改善していくんだと、こういう努力目標になっているわけですね、しかも五年目はどのくらいかといえば五年目は一二PPMということで、建設省の資料で調べてみますと、努力目標が達成されるには大体さらに十五年、したがって合計二十年はかかるだろうということになっているんです。国民の、特に都民が要望しているのは隅田川はもっともっときれいになってほしいということだと思うんですよ。少なくとも人が泳げる程度の状態にしてほしいということだと思うんです。それが二十年かかってしかもやっと川からにおいが取れる程度だという環境基準の設定のしかたをしているんです。もう一つ例をあげましょう。たとえば福岡県の大牟田、あそこは御承知のように三井の町といわれている。そしてあの大牟田川、あれは五色の川といわれるように工場の廃液によってどろどろになっているんです。私も行ってみましたけれども。そして特に三井製錬所が出す廃液で有明海全体が汚染されているという生ような事態がいま生まれてきているわけですね。三井の工場がこれが廃液について十分な防止装置をさえするならば、これはたちまちのうちに私は浄化できると思うんです。ところが大牟田川の目標は何か、五年以内に一〇PPMにすればいいと、こういう環境基準の設定になっている。こんな甘い基準を設定している。ここに政府の態度の甘さが私はあると思うんです。ですから環境全体の急速な改善、あるいはまた維持、そうしてまたこの環境基準の確保という点を原則として排水基準をきめなきゃならぬという趣旨のことを、この本法そのものに盛り込むことは、私はどうしても必要だと思うんです。その点どうでしょうか。
#130
○国務大臣(佐藤一郎君) いままでも御説明しましたが、環境基準と排水基準の関係はすでに基本法でも明らかにされておるところであります。そういう意味において特にこの法律にもう一回そうした点を特に繰り返すこともない、ただ、そういう意味において一応基準のほうでは特にそのことはうたってありませんが、今回都道府県の上乗せという行為が特に行なわれるものですから、そこで私どもとしては都道府県については国で定めたところの環境基準というものと合わせてやってもらう必要があるということで、特に政令でもってそっちのほうにもう一回はっきり出そう、こういうようなつもりでやっておるわけであります。渡辺さんのお話も私よくわかるのでありますが、ただ、それはいまのようなことを繰り返して事態が改まるという問題でもないというふうに私は感じております。むしろ実際問題としてできるだけお話しのように環境基準の問題をシビアに今後やっていかなければならない。そうしてまた環境基準の問題があるということよりも、私は当てはめ行為にやはり大事な点があるのではないか、その当てはめ行為は、今後府県知事に委任する、こういうふうにしてございますから、こういうことでだいぶ事態は改善されていく、こういうふうに考えております。
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#131
○理事(大谷藤之助君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として宮崎正義君が選任されました。
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#132
○渡辺武君 いま長官の御答弁もありましたし、それから先ほどの御答弁の中でも、今後は環境基準にはっきりリンクさせていきたいという御趣旨のことを言われておったわけですけれども、具体的に伺っていきたいと思いますけれども、この、本法が成立した場合、経済企画庁としては、いわば排水基準ですね、全国一律で適用する排水基準、これを設定するだろうと思うのですね。いま作業が進んでいると思いますけれども、たとえば健康項目についてどのような排水基準を考えておられるのか、これをちょっと伺いたい。
#133
○政府委員(宮崎仁君) 健康項目につきましては、現在御承知のように環境基準として一応八項目の物質につきましてのいわゆる環境基準がきまっておりまして、これとの関係を見ながら一律の排水基準をきめたいと思っております。そこで、この環境基準はいわば公共水域における濃度を示すわけでございますが、これと排水の際の濃度との関係は、希釈の問題もございまして、大体排水のときの濃度の十分の一に希釈されるというのが通常のようでございます。したがいまして環境基準の十倍程度というところを目安にしてきめてまいろうか、こういうようないま素案を持っております。なお、これは関係各省そのほかといろいろ相談いたしまして固めたいと思っております。
#134
○渡辺武君 素案の段階ですから、さらに改善されるということは一応期待できるとしましても、素案をつくる場合でも、やはり私先ほど申しましたように、この環境の急速な改善あるいはまた環境基準の確保あるいはまた達成ということを原則として考えていってほしいと思うんです。なぜかといいますと、私もあなたのほうからいまおっしゃった素案なるものをいただいております。見てみますと、確かにたとえば砒素の場合で申しますと、環境基準の場合は〇・〇五PPM、ところが排水基準の素案では〇・五PPMということで十倍出してもいいということになっております。ところが、アルキル水銀とかシアン化合物、こういうようなものは水の中に、公共用水域に検出されてはならないということが、これが環境基準になっておるわけですね。ところがどうですか、アルキル水銀については、これは排水基準では検出されないことになっておりますが、シアンについては一PPMまで出してもよい、排出してもよいということになっておる、公共用水域で検出してはならないのだ、こういう環境基準をきめておきながら、排出する場合に一PPMまでは出してもよいのだ、こういうことになっておるのじゃないですか。それからいま申しましたように、環境基準の十倍までは排出してもよいということは、これまたきわめて不当なきめ方だと思う。なぜかといえば、この健康項目にかかわっている物質ですね、これは人体の健康に特別に非常に有害な影響があるというものなんですね。ですから十倍に希釈されようと何であろうと、これが公共用水域に出されるということについては極力これは防がなければならぬ。それを十倍までは出していいというようなことを政府が排水基準として出していくということになりますと、これは環境全体を政府がここまで汚染してもいいんだということを言うに私は等しいと思う。この法律の中にも私は環境基準の達成あるいは環境の急速な改善、あるいは汚染されていない環境の維持ということを原則として排水基準がきめられていないんじゃないだろうかというふうに思わざるを得ないんです。生活項目についてはどうですか。
#135
○政府委員(宮崎仁君) いまの御意見でございますが、たとえばシアンにつきまして環境基準で「検出されないこと」と書いてありますのは、下に測定方法が書いてございますが、誤差ということがございまして、〇・一ぐらいのところが検出できるかどうかの限界になるんだそうでございまして、その十倍ぐらいのところが一PPMということでございまして、別にこれまでよごしてよろしいというつもりは毛頭ございません。〇・一ということは検出されないという限界である、こういうふうに御理解願いたいと思います。また特に水域の状況によってはこうした一律基準は不満足ということはあり得るわけでございますが、先ほどから申しております上乗せ基準によりましてそういった場合にはさらにきびしい基準を設けてよろしいわけでございまして、こうした点は、私どもは十分これで目的を果たせるのではないかと考えております。
 それから生活環境でございますけれどもBODとかSSとかいろんな問題がございますけれども、一律基準としてきめるというのにはなかなかむずかしい点がございます。現在私どもが考えておりますのは一般の家庭排水、大体BOD一二〇PPMぐらいといわれておりますが、その辺のところを目安にして一律基準をきめてはどうか。これにつきましては大体上乗せということが原則として行なわれるであろうというふうに考えております。
#136
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#137
○理事(大谷藤之助君) 速記をつけて。
#138
○渡辺武君 私はいまのやはり生活環境項目についてもそういう排水基準のきめ方、これはやはり環境の汚染、これ以上環境を汚染しない、あるいは環境基準を達成するんだという観点からかなりはずれたきめ方じゃなかろうかというふうに考えざるを得ないんですね。たとえばいまおっしゃったBOD一二〇PPMということですね、先ほど私隅田川の例をあげましたけれども、二十年ばかりかけてそうして達成する目標というのがBOD一〇PPM、そこまでにしたい、こういうわけでしょう。そうすると、さっきちょっと問題にしました健康項目についての排出基準のきめ方から考えてみますと、環境基準の十倍ぐらいは出してもいいんじゃないかという議論だったわけです。その同じ議論で考えてみましても一〇PPMまで達成するためには少なくとも一〇〇PPMですね、排水基準は一〇〇PPMということになろうかと思うんです。ところが一般的に政府がきめる生活項目についての排水基準は一二〇PPM、それよりももっと汚染されたものを出していいというようなきめ方をしているわけです。ですからこういうところにもやはり政府、特に担当されているあなた方が、環境基準を達成するという点から離れて、別の要因でいろいろ考えながら排水基準をきめようとしているということが私はあらわれていると思う。そういうことを防ぐためにも、本法の中に、もちろん基本法に載っているということはこれはけっこうなことである、しかし、同時にこの本法の中にもその点を明確にして、そうして国もその点を義務を負うし、行政上もその点を厳守していくし、同時に知事が上乗せをしていく場合にもそういう点を基準にしてやっていくというふうにする必要があるのです。私は時間がなくなったので、まだ環境基準を基礎にして排水基準をきめるという原則をやらなければたいへんなことになりそうだということの幾つかの例を申し上げたいと思いますけれども、本日はこれで終わっておきますが、伺った点については御答弁いただきたいと思います。
#139
○政府委員(宮崎仁君) どうもこの仕組み全体についての御理解が願えないようでございますが、一律基準といいますのは、いわゆるシビルミニマムといわれているものでございまして、たとえば隅田川の地区だけにシビルミニマムでいいというようなことはございません。したがいまして環境基準を定めておりますが、同時に排出基準もつくられているという形でございます。そういう形で、今度は都道府県知事がやることになりますけれども、それぞれの環境に応じた上乗せをやっていただくことによって全体としてよい環境を保つように持っていく、こういう考えにわれわれも全く徹しておるわけでございます。ここはひとつ御理解願いたいと思います。
 なお、隅田川について基準を達成するのに二十年かかるというお話でございますが、そうゆうちょうなことを考えておるつもりはございません。何と言いましてもこの環境基準を隅田川について達成していくためには膨大な下水道投資、特に高度処理と言っておりますが、現在技術開発中の一〇PPMくらいの排水基準になるような高度処理をしなければなるまい。そういうことも含めましてこれから下水道五ヵ年計画が来年からつくられるわけでございますが、そういうものによって取り組んでいくわけでございまして、また、五年ではできませんけれども、なるべく早い期間にこれを達成したいと思っている次第でございます。
#140
○理事(大谷藤之助君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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