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1970/12/17 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 商工委員会 第6号
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1970/12/17 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 商工委員会 第6号

#1
第064回国会 商工委員会 第6号
昭和四十五年十二月十七日(木曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十七日
    辞任         補欠選任
     宮崎  正義君    矢追 秀彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                大谷藤之助君
                川上 為治君
                近藤英一郎君
                竹田 現照君
    委 員
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                植木 光教君
                剱木 享弘君
                平泉  渉君
                山本敬三郎君
                大矢  正君
                小柳  勇君
                林  虎雄君
                上林繁次郎君
                矢追 秀彦君
                渡辺  武君
   国務大臣
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      谷村  裕君
       通商産業大臣官
       房長       高橋 淑郎君
       中小企業庁長官  吉光  久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       大蔵省銀行局特
       別金融課長    北田 栄作君
       中小企業庁計画
       部庁       斉藤 太一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○下請中小企業振興法案(第六十三回国会内閣提
 出、第六十四回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#2
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 本日、宮崎正義君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(大谷藤之助君) この際、川上石炭対策に関する小委員長から発言を求められております。川上小委員長。
#4
○川上為治君 昨日の小委員会で協議の結果、三井鉱山砂川鉱業所で発生したガス爆発事故の実情調査のため、閉会中委員派遣を行なうことに意見の一致を見ましたので、委員長においてよろしくお取り計らいくださいますようにお願い申し上げます。
#5
○理事(大谷藤之助君) 承知いたしました。さよう取りはからいます。
#6
○理事(大谷藤之助君) 下請中小企業振興法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○小柳勇君 昨日の委員会で質問する予定でありましたが、緊急に地元の党のほうから招請がありまして、九州へ参りまして失礼いたしました。お許しください。
 きょう下請中小企業振興法案について質問いたします。
 まず通産大臣に質問いたしますが、先般、欧州諸国の大企業と中小企業との関係を視察してまいりましたが、フランス、イタリアあるいは北欧諸国などで、大企業と中小企業との関係というものは、あまり明確でありませんで、特に中小企業だから保護しなきゃならぬというような特別立法などもないように見受けました。日本では大企業と中小企業とをはっきり対置しまして特別の立法をいたしておりますけれども、諸外国で現在の日本のように中小企業を特別法で保護しているような国について、大臣いろいろお調べもあると思いますけれども、どういうところがそういうふうな特別立法で保護しているか、大臣の見聞のところをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。中小企業庁長官でもけっこうです。
#8
○政府委員(吉光久君) ヨーロッパあるいはアメリカにおきまして、中小企業は、日本と違いまして非常に近代化されておるわけでございますけれども、特に中小企業のシェアにいたしましても、アメリカの場合、日本と違いまして、定義は二百五十人以下ということになっておりますけれども、シェアで見ますと約九六・二%程度、あるいはまたイギリスにおきましては九一・二%、この場合の定義はもっと小さくなっております。それから西ドイツにおきましては九八・七%というふうに、非常に大きなシェアを占めておるわけでございますが、これらの中小企業は、いずれも加工度の高い部門におりまして――産業全体の構成が加工度の高い産業の構成をとっておりますけれども、その中におきまして、いわゆる有機的な企業群の一員として、部品あるいは加工工程の一部を担当するというふうな姿をとっておるわけでございます。したがいまして、これらの国々におきますところの中小企業の生産性は非常に高うございまして、大体アメリカにおきましては、これは平均値でございますけれども、大企業に比べまして約八割程度というくらいの生産性の高さを保持いたしておりますし、同時にまた、その生産性の高さと賃金べースの関係というふうなものが大体バランスのとれた形をとっておるわけでございます。高い生産性のもとで高い賃金が支払えると、そういうふうな企業形態をとっておるようでございます。いまイギリスにおきましては、一部中小企業の問題が起こりつつあるわけでございますけれども、これは経済全体の鎮静、沈滞化といいましょうか、そういうふうなことに伴いまして中小企業問題というふうな問題意識が持ち上がり、経済諮問委員会で中小企業問題についてどういうふうな方策をとるべきであるかという点についての研究が進められておるというふうに伺っております。
 それから特に政府が援助措置をとっておりますのはアメリカが一番強いと思うわけでございますけれども、これは主として金融面を中心にいたしましての助成措置が中心でございまして、日本のような三機関というふうなものにかわりまして、中小企業庁が自分で金融の援助をし、あるいはまた中小企業庁が官公需調達の隘路につきまして打開を行なうというふうな、そういう立場で中小企業施策を講じておるのが現状だろうと考えております。
#9
○小柳勇君 いま長官のおっしゃいましたように、私もまあわずかな見聞でありますから、十分の調査はできませんでしたけれども、あまり大企業中小企業と、はっきり分けまして、日本のようにもう中小企業は中小企業庁長官のほうにおまかせして、いわゆる通産省は大企業を中心にというような、そういうようなはっきりしたものがないのですね。たとえばイタリアではもう中小企業が非常に率が多いものですから、商工中小企業省と、こういうことで、日本の通産省と中小企業庁と、こう分けないようなことで、主として中小企業に対策を立て、特にそれは金融措置である、いま長官がおっしゃいましたようなことを私も感じました。日本で中小企業基本法をつくりましたのが昭和三十八年でございますけれども、中小企業基本法をつくりましたときの日本の大きないわゆる産業の中における中小企業の地位というものを、国民もだが、国会も非常に心配をしたから基本法ができたと考えます。その昭和三十八年ごろの日本の中小企業の実態を考えてみまして、欧州でも米国でもそういうような情勢がないですね。これは高度経済成長の一つの大きなひずみだと思いますが、欠陥だと思いますけれども、昭和三十八年ごろから今日まであの三十八年基本法をつくりました状態が現在なお続いておるわけです、日本の中小企業の実態の中に。こういうものを通産大臣はいかにお考えでしょうか。経済企画庁長官もしておられたことでありますから、全般的な問題としてどういうふうに大臣はとらえておられるか、聞きたいと思います。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 中小企業基本法がつくられましたころとただいまの時点、これから先への展望を比べますと、私はやはり一つ大きな根本的な環境の変化というのは、前回も申し上げたところでございますけれども、労働力の不足ということではないかと考えております。従来、大企業と中小企業の賃金格差というものは相当大きかったわけでございますけれども、毎月きまって支払われる賃金に関する限り、現在非常に格差が縮まってまいりました。もちろんいわゆる福利施設等の付帯的なもので申しますと、相当まだ格差がございますが、現金給与に関する限り非常に格差が縮まって、ほとんどなくなってきたと申し上げてもよろしいくらいであります。そのことは中小企業の側にとりましては、生産性を上げてまいりませんと十分な賃金を支払うことができないということを意味するわけでありまして、その点から中小企業自身が生産性の向上、省力化、近代化というふうなことをせざるを得ない、自衛上もせざるを得ないという立場に追い込まれるに至ったと考えておるわけでございます。他方で、大企業の立場から見ますと、かつては中小企業というものを、景気の好、不況に際しまして、いわば自分の緩衝帯、バッファーとして使ってきたきらいがございまして、景気が悪くなりますと中小企業のほうから仕事を大企業のほうが吸い上げる、よくなりますと中小企業のほうにそれをまたおろすというようなことを繰り返してまいりましたから、中小企業自身は、注文が非常に不安定であるという悩みを絶えず持っておったわけでございます。ところがこのようになりまして、労働力が非常に逼迫してまいりましたので、大企業自身も中小企業との関連で仕事の分野を好、不況にかかわらず、はっきり協定しておきませんと、いざとなったときに仕事を出す先が見つからない、受け手がないというようなことになってまいったように思います。したがいまして労働力の逼迫ということが、両者にただいま申しましたような影響を与えるに至りまして、相対的に申しますと中小企業の位置というものが、数年前に比べますとかなり力関係で高くなってきた、強くなってきた、まだ十分と申し上げられませんが、そのような明らかに傾向線上にいるのではないかというふうに考えます。他方で、技術革新が進んでまいりますと、最近はよく付加価値あるいは情報価値というようなものがいわれるようになりましたが、大企業はある程度まあ素材はもちろんさようでございますが、仕事の上でもあらごなしというようなところまでしかやれない、そうこまかい情報価値をつけるということは大量生産の立場から申しますと不可能でございますから、そこで、そういう加工度の高い部分あるいは情報価値あるいは付加価値の高い部分というものは、もう少し小回りのきく経営にまかせざるを得ないということになりまして、それが中小企業の独特の分野になりつつある、そういう情報価値の部分は付加価値としては高いわけでありますので、それによって中小企業も従来より高い賃金が払えると、こういう関係になってきたかと思います。すなわち、労働力の需給関係と技術革新と、その両方から従来の親企業と中小企業との関係というものがかなり変化しつつある。しかも、このことはさらにもっと時間の経過とともにはっきりしてくるのではないかというふうに判断をいたしておりますわけで、今回のこの法案を提出いたしました基本には、そのような判断が働いておるわけでございます。
#11
○小柳勇君 長官に御質問しますが、諸外国では特別に日本のように中小企業を保護するきめこまかな立場がないにかかわりませず、中小企業や小規模企業が主体性を持ちながら産業界に貢献しておる、さっき長官のおっしゃったとおりです。金融措置についてはこまかいいろいろの措置があるようです。これは連合会にもあります。国としても金融措置の手だてはあるようでありますけれども、日本のように法律でいろいろな面で保護するような立法はないわけであります。にもかかわりませず、中小企業が主体的に、しかも産業界をリードして発展しておるということですね。これは日本と対比しましてどういうところにその原因があるのでしょう。
#12
○政府委員(吉光久君) 諸外国におきましては、経済の全般的な近代化というようなものが相当早くから進んでまいっておりまして、要するに近代化の線に沿って経済が発展してまいったというのが現状であったかと思うわけでございますけれども、日本の場合におきましては、実は明治以来そういう近代化された産業の姿をそのまま日本の風土の中に輸入してまいったというところに日本的特徴が出てまいるもとがあったのではないかと思うわけでございます。すなわち、資本蓄積が欧米諸国に比べまして劣っております。したがいまして大企業も劣っておりますので、それらを補完するために一連の中小企業群というものが一つの意味を持ち、同時にまた、豊富で低廉な、しかも優秀な労働力があったということのために、ともすれば機械装置に頼らないで人的能力のほうに依存する依存度が非常に強くなってまいる、そのことがまた同時に、これだけの大きな人口をかかえておる国でございますので、非常に過小過多と申しましょうか、そういうふうな企業群の発生のささえにもなっておったというところから近代産業が出発いたしました関係上、日本特有の中小企業金融問題が芽ばえ、そしてそれが時とともに定着してまいっておるというふうなことで推移してまいっておったのではないかと思うわけでございます。したがいまして、先ほど来お話しございましたように、基本法を制定いたしましたその当時と現在と、中小企業のシェアはほとんど同じでございますし、製造額あるいは出荷額等に占めます中小企業のウェートもほとんど同じように推移いたしておるわけでございまして、その間の、いまも大臣からお話しございましたような労働力不足というのが、その日本的風土に対する一つの大きな刺戟となり、機械化への道を歩み、近代化の道を歩むというふうな、そういう姿が現在行なわれておるということでございまして、特に施策の重点も、そういう意味から中小企業の構造高度化問題等につきまして施策の重点が動いてまいっておるというのが現状ではないかと思うのでございます。
#13
○小柳勇君 欧米先進国の工業は長い歴史を持っていまして、それから近代化の速度も、大企業も中小企業も零細企業も、ほとんど一緒に進んでおる。ただ、労働力のバランスについては、いま長官がおっしゃったとおりと私も考えます。それと対比してこの十数年の間の日本の産業、特に工業の発展を見まして、いま大臣や長官がおっしゃったとおりだと思いますけれども、もう一度重ねて聞きますが、中小企業基本法ができました三十八年ごろと現在ここでいまこの下請中小企業振興法案を論議しておる現在と、大体年月にして七年ばかり経過いたしておりますが、中小企業基本法をつくりました当時の大企業対中小企業の関係と現状とは、大きく違うとお考えになるのか、たいして違わないとお考えになるのか、まず大臣から一言お聞かせいただきたい。
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段に言われましたお尋ねは、私は非常にむずかしい興味の深いお尋ねだと思うのでございますが、ヨーロッパの場合とわが国の場合と、まあいま長官が申し上げたこととあるいは同じ、類似なことを私も申し上げることになるのかもしれませんが、ヨーロッパの場合北欧――北欧と申しますか、ドイツ、スイス、フランスあたり、イギリスまで含めましてと、イタリー、スペインあたりとは、多少意味合いが違うのかもしれませんけれども、やはり中世からギルドのようなものが御承知のようにございまして、そこで技術というものが、かなり、いわゆるクラフツマンシップと言うのでございましょうか、技術というものがかなり縦割りで発達していったのではないだろうか。そこで、そういういわば手に職を持った人たちは自分の生活ができるように自分の技術を売っていった。いわば単純労働でないそういう技術の発達というものがあったのではないかと思います。そこへ産業革命がまいりまして少しごたごたするわけでありますが、一ぺん産業革命が単純な筋肉労働を吸収したことは、やはりたしかでございますけれども、それに対するまた反省が起こりましたのと、ギルドというものがやはり結果としましては社会の中に生き続けましたから、ヨーロッパの労働というものは、とにかくいわゆるレーバーダンピングというようなことが比較的ございませんで、自分の生計費をもとに自分の技術を売る、そういう価格の割り出し方をしたのではないだろうか。それに比べますと、わが国の場合には、長いこといわゆるレーバーダンピングのようなものがございました。またそうしなければぎりぎりの生活もできないというような情勢がかなり長いこと続いてまいりましたので、どうやらそういう歴史的な違いというものがあったのではないか。わが国にもいわゆる職人気質というふうなものはもちろんございましたけれども、それでは経済の広い分野をカバーしたものではありませんでしたし、ギルドといったような、クラフツマンシップといったようなものでもなかったと思いますので、そういう背景の違いがあったのではないかというふうに思います。しかし、この問題は非常に興味のある、また意味合いの深いお尋ねでございますので、私どもも少し勉強いたしたいと思います。
 それで、中小企業基本法がつくられましたときといまと、環境が非常に違っておるかどうかというお尋ねでございますが、私は、やはり非常に違ってきたのではないか。しかも、はっきり労働力不足というものがもう疑いもなくいまとらえられておりますから、これからのわれわれの先への展望もかなりはっきりしてまいりました。それが親企業と中小企業の関係に与えます影響は、先ほど申し上げたとおりでございます。中小企業基本法が制定されました当時、あるいはさかのぼりまして下請代金支払遅延等防止法ができましたころというのは、私どもが何とかして中小企業というのを一つの方向へ持っていきたい、そういう異欲が国会にも政府にもございまして、それでああいう法体系でそれをこっちのほうに引っ張っていこう、引っ張っていこうと努力したわけでございますけれども、客観情勢がややそういうところになかった。意識のほうが確かに先へ立ったわけでございますけれども、いわば、まあたとえて申しますと、近代化しなさい、省力化しなさいと申しましても、人間が安く雇えるならばそのほうが経営的にもいいし、また安易であるというようなことが中小企業の側にございましたから、なかなか私どもが言う意識のほうに必ずしもついてきてくれない、そういう情勢が、また客観情勢が熟していなかったと申すこともできるかと思います。しかし、いまや省力化とか近代化とかいうことは、私どもがもはやお説教する必要はさらさらございませんので、自衛としてそうせざるを得ないという情勢となり、また情勢はさらにきびしくなるということが中小企業者どなたにとってもはっきりしておりますので、ようやく私どもが当時考えたような意識が現実問題として実現せざるを得ないような環境になってきたのではないか、そういう判断をいたすわけでございます。
#15
○小柳勇君 中小企業基本法を一ぺんずうっと読み直してみまして、いま大臣がおっしゃったように書いてあるわけです。いまから七年前の法律ですけれども、労働力不足のことだってちゃんと書いてございます。もう現状をそのままずばり基本法に書いてあるわけですね。したがって、七年前にできましたこの法律が通産省なり中小企業庁で完全に消化され、あるいはこれを国民として、産業人として完全に消化されておるあるば、いまこのような法律が必要ではないのではないかと、私はこれを読みながら考えたわけです。もう一回重ねて長官に質問いたしましょう。欧州先進諸国の工業国で、特に下請中小企業振興法なんという保護立法をつくらなくとも、中小企業、零細企業が主体性を持ってどんどん発展し、産業界に貢献しておる。わが国は近代化促進法があります。きょうまたこの法案を審議しなきゃなりませんが、そうしなければ中小企業、小規模企業がやっていけない。そこには一体どういう根本的には理由があるのであろうか。私もいろいろ検討もし、模索しておりますけれども、一体根本的にはどこに原因があるのであろうか。長官から御意見を聞きたいと思います。
#16
○政府委員(吉光久君) 日本の中小企業もだんだんと近代化への道を歩んでおるわけでございますけれども、現在いま問題になっております下請関係について考えますと、やはり相当近代化への道を歩みながらも、なおかつ一部前近代的な要素が下請関係の中に残っておる。その前近代的要素と申しますものは、先ほどもお答え申し上げましたような、そういう豊富で、しかも優秀な、しかも安い労働力が多数に存在しておったというふうな、そういう前提から近代工業を歩み始めたわけでございますので、そこらの残滓と申しましょうか、要素がまだ依然として残っておる面があるということは、まことに残念でございますけれども、現実の姿として肯定せざるを得ないのではないかと思うわけでございます。したがいまして、そういう残っております残滓を早く近代化してまいるということが必要であるというふうに考えておるわけでございまして、決して好ましいわけではないわけでございますけれども、現実にまだそういう関係が残っておるというふうな意味から、したがいましていま基本法をお引きになりましたけれども、基本法の十八条後段に書かれております下請関係を近代化するその方策を今回御提案申し上げておるところでございます。
#17
○小柳勇君 時間もないので本論のほうに入ってまいりたいと思いますが、そういたしますと、下請中小企業振興法案の一番大きなねらいは、基本法ができました当時から今日まで、まず第一は労働力の不足である、それから技術革新などに追いついていくための近代化促進である。大きく柱を二つに、いろいろありましょうけれども、二つに考えてもよろしいんじゃないかと思うが、そのために下請中小企業振興法案なるものが提出されておるというように、大ざっぱに考えてよろしいですか。
#18
○政府委員(吉光久君) そのとおりでございまして、それらに対応いたしまして、現在の親企業と下請企業とのあり方について関係を正してまいる必要がある一このように考えておるわけでございます。
#19
○小柳勇君 親企業と下請企業との関係ですね、これも特殊な、さっき長官のおことばをかりますというと、前近代的な日本の産業の中の残された部分、前近代的な部分がこういう親と子との関係を生んでおるんだと、そういうふうな理解でございますか。
#20
○政府委員(吉光久君) 相対的な現象でございまして、一方におきまして産業全体が近代化の方向を歩んでおります。ところが他方におきまして下請企業もそういう近代化への道は歩んでおるわけではございますけれども、ともすれば前近代的な、長年日本的風土の中で育っておりましたそういう関係が、ともすればまだ残滓として出てまいるというふうな関係にあるわけでございます。したがいまして、この法律でねらっておりますのは、むしろ下請企業に実力をつけると申しましょうか、その経営管理力なりあるいはまた企業体質なり、そういうふうなものにつきまして、下請に実力をつけてまいるというふうなことが、下請企業が親企業との関係におきまして自主的に事業が運営できる姿になるのではなかろうか、こういう意味から下請企業の体質強化をはかってまいるというふうな必要があるというふうに考えたわけでございまして、その一つの手法としまして今回提案いたしましたような手法を採用いたしたわけでございます。
#21
○小柳勇君 中小企業基本法のもとに近代化促進法が生まれておりますが、近代化促進法の生まれました後の中小企業、小規模企業の近代化の促進の速度、この法律がどういうふうに、どのくらい消化されておるか、その速度についてはどのように理解されておりますか。大臣から……。
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) 長官からお答えいたさせます。
#23
○政府委員(吉光久君) 近代化促進法が施行されましてから、対象業種といたしまして、大体百三十業種程度のものが指定されたわけでございます。この近代化促進法及びその他の一般的な経営意識の変革と申しましょうか、そういうふうなものの効果といたしまして、たとえば生産性の分野におきましても、中小企業の生産性も相当程度伸びてまいっております。もちろん十全というわけにはまいらないわけでございますけれども、過去に比べまして、相当程度の生産性の伸びが見られているわけでございます。ただ、この近代化促進法は御承知のとおり業種別にやっております関係上、特に下請関係の企業を多く持っております二次、三次というふうな、そういうところまでの下請関係を持っておりますそういう業種につきましては、必ずしも十全であったというふうには言えない面もあろうかと思っております。近代化促進法の直接対象となっております業種のうちのいわばあるレベル以上のものにつきましては、相当の効果を発揮いたしておったと思うわけでございますけれども、必ずしも二次、三次等の下請に至るまでの、かゆいところに手の届くところまでは施策は浸透していなかったというのが現状ではないかと思います。
#24
○小柳勇君 計画部長から答えてもらってもいいですが、具体的な数字を。いまのいわゆる日本の産業、大きな産業の分野で、工業でいいのですが、工業の分野で、いわゆる親企業というものと、皆さん考えている中小企業、小規模企業の勢力分野ですね、それを会社の数、あるいは事業所の数、それから生産の産業の分野、力関係ですね、それをどういうふうに把握しておられますか。
#25
○説明員(斉藤太一君) 製造業の出荷額で申しますと、昭和四十二年の統計でございますけれども、中小企業の出荷額が、それが五〇・一%でございますが、それに対しまして三百人以上のいわゆる大企業の出荷額は四九・九%でございまして、大体製造業の半々ぐらいが大企業と中小企業とで生産がされております。
#26
○小柳勇君 その中小企業まず五割、五割の中小企業、これは小規模企業も入っていると思いますけれども、この大企業の線を除きましたものが近代化しなければならぬ。労働力も確保しなければならぬ。それが大きな狙いだと思いますね。これが今回のこの法律によりましてこの五割のうちの何割ぐらいがこの法律の恩恵を受けるのですか。
#27
○説明員(斉藤太一君) 製造業が大体企業数で申しますと約六十万ぐらいでございます。そのうちで下請を営んでおります中小企業が約三十万企業ありまして、企業数のうちの下請企業の占める割合も大体ほぼ半分でございます。
#28
○小柳勇君 そうしますと四分の一、いまの中小企業のうちの四分の一ぐらいがまず一つの対象として考えられる。その中でいろいろまた条件ありましょうけれども、そのように把握してよろしゅうございますか。
#29
○説明員(斉藤太一君) 失礼いたしました。最初に申しましたのは出荷額の中の大企業と中小企業の出荷割合でございますけれども、企業数で申しますと、ほとんどが中小企業でございますので、企業数で申しますと、結局製造業の企業数のほとんどが中小企業でございまして、その中小企業の中の下請がまた半分、こういった割合になります。
#30
○小柳勇君 それで、中小企業の中の半分が下請でありますから、その半分のうちでどのくらいがこの法律の対象としてお考えになっておりますかということです。
#31
○説明員(斉藤太一君) この法律では、先生御承知のように振興基準と申しまして下請企業と大企業のよるべき基準を定める条項がございますが、第三条、第四条でございますが、この関係は全下請中小企業を対象に考えております。
 それから第五条以下のいわゆる振興事業計画と申しまして、特定の業種につきまして、その下請企業の近代化をはかるという部分は、業種を政令で指定をいたしまして、順次その近代化をはかっていくことにいたしておりますが、その関係は業種の指定の幅によりまして、そのどの程度のものがこの対象に入ってくるか、業種の指定のやり方によろうかと存じます。
#32
○小柳勇君 業種の指定など具体的なものはあとでやりますけれども、いま序論的な論争の中で、まず事業所として大部分が、約九割ぐらいが中小企業、零細企業でしょう、数からいいますと。その中で半分が下請になりますと、その下請の中で今度指定するものは鉄鋼、繊維など若干ですね。したがって、この法律でいま頭の中にみんなが対象としているのはその下請中小企業、小規模企業の中のおよそ何割ぐらいをわれわれは考えてよろしいか、こう質問しているわけです。
#33
○政府委員(吉光久君) 先ほども計画部長からお答え申し上げますように、製造業全体で約六十万あるわけでございますけれども、そのうち下請企業の数が約三十万でございまして、約五割強になりますけれども、五割程度でございます。そのうち数が圧倒的に多うございますのは、やはり何と申しましても機械でございますとかあるいは繊維製品関係でございますとか、これらあたり実は中小企業数も多うございますし、同時に下請企業の数も七割から八割に近いところまでが、これらの業種における下請企業数でございます。したがいまして、先ほど申しました約三十万の下請企業のうちこの下請企業数の多いところから重点的に取り上げてまいるわけでございますけれども、これは逐次指定業種の数をふやしてまいるつもりでおるわけでございまして、したがいまして、現在この中の幾つをこの法律の適用対象として取り上げるというふうなところまでの最終的な結論を得ていないわけでございますけれども、たとえば機械関係が指定されますれば、それに応じまして機械関係の下請全体で約九万、三十万のうちの九万あるわけでございます。したがいまして三分の一に近いところが指定されるということになりますし、また逐次この指定の分野をふやしてまいりますので、だんだんとその範囲は広くなってまいるというふうに御了解いただきたいのでございます。
#34
○小柳勇君 まあ具体的に一応腹の中にはきまっておるでしょうけれども、長官はあんまり発表されませんけれども、今年度予算が、もう金があるわけですね、実際。ありますから、法律が通りましたらさっそく本年度中に資金は貸し出しも行なわなけりゃなりませんから、いままだはっきりきまっておらぬでは論議にならぬわけでしょう。したがって、またあとに論議は返りますけれども、いまちょうど長官発言されましたから、この法律が通ったといたしますと、内々でどのくらいの事業所を対象にして十五億の予算が消化されようとするのか、そこのところをもう少し、ついでですから説明しておいてもらいたいと思うんですよ。
#35
○政府委員(吉光久君) さしあたりすでに準備が整っているものでございますけれども、機械関係が中心でございまして、機械関係の下請企業の数が、先ほどもお答え申しあげましたように、約九万というふうに申し上げましたが、そのうちからさらにたとえば自動車部品でございますとかあるいは工作機械、産業機械、家電関係あるいは計量器、測定器その他重電等を含めまして約五万五千の下請企業を擁するような、それくらいの業種をさしあたり指定いたすつもりでおるわけでございまして、大体機械関係の六割程度のものが最初に指定されるということになろうかと思っております。もちろんまだこれは指定までの間に審議会その他の御意見をお伺いする場面がございますので、したがいまして、ある程度の異同もあろうかと思いますけれども、現在事務的に準備いたしておりますのは機械関係の約六割がこの初年度に指定されるというふうな準備状況になっております。
#36
○小柳勇君 まあ業者からも要請があるし、継続審議の法案ですから急いできょうここに審議しておりますので、振興基準がまだできていない、業種の指定もはっきりしていないで、もう十二月ですから、三月までに間に合いますか。
#37
○政府委員(吉光久君) この第三条の振興基準につきましては、近代化審議会の議を経るということになっておりますので、したがいまして、役所だけの考えで決定するわけにまいりませんけれども、事務的な準備体制は現在整いつつございます。したがいまして、この法律が成立されました暁には、できるだけ早く近代化審議会を開きまして、今年のうちにすぐにこの法律が完全に活動し得るような体制を早急に整えたいということで、そのほうの準備もただいまいたしておるところでございます。
#38
○小柳勇君 話をもう少しもとに戻しまして、まあ諸外国の例を言っては何ですけれども、先進諸国では、このようなきめこまかい中小企業の保護立法がないにかかわりませず、中小企業、零細企業が自主性を持ち、主体性を持って発展している。わが国では七年前に中小企業基本法ができた。この基本法の中にも、もういま申し上げることがみんな書いてあるわけです。しかも、それに近代化促進法なるものもできておる。近代化促進法でもいまおっしゃったようなことがずっと書いてあるわけですよ。したがって、そういう法律が完全に消化されていくならば、ここに、この何割かを対象とする下請中小企業振興法案なるものがなくとも、労働力の不足の解消とか近代化促進というものはできるのではないかと、基本的にそう思うんですがね。なぜ重ねて屋上屋的に考えられる下請中小企業振興法案なるものをつくらなければならないか。もう一回長官から御答弁願いたい。
#39
○政府委員(吉光久君) 御承知のように近代化促進法におきましては業種別の指定をやるわけでございます。したがいまして、たとえば業種別横割り的にそれが集約化あるいは合併あるいはまた業務提携その他いろいろの規模の利益を追求し、あるいはまた多品種少量生産であるものにつきまして、少品種大量生産の方向へのあるいは設備への歩みを続けてまいるというふうな、そういうふうないわば業種別の横割りで近代化をはかってまいろうというふうなことが中心になっておるわけでございまして、それはそれとして相当の効果をあげておるわけでございますけれども、下請企業の現実の姿を見ますと、こういう業種別の横割りの施策になじまないものというふうなものが現にあるわけでございまして、これは、いわば仕事全体を、仕事の流れに沿って、そこで解決していかなければならない側面かと思うわけでございますけれども、親事業者、一次下請、二次下請あるいは三次下請、またそれらのものが業種別にいろいろと総合的にからみ合うと申しましょうか、入り組み合っておるのが現実の姿でございます。したがいまして、近代化促進法の不備を補い、真に下請事業者の体質強化に役立つような、そういう側面を考えなければ、下請関係の近代化あるいは下請事業者の自主性の確保ということは非常にむずかしいのではないであろうか。こういう角度から、実はいままでの近代化促進法に対する一つの補足的な体系ということで、今回の法案を御提案申し上げたわけでございます。
#40
○小柳勇君 そういたしますと、その何%かの対象になる下請事業者の方は、長官のおっしゃるとおりに希望が持てましょうが、その他の方ですね、この法律の対象にならない指定中小企業とならない方のためには、どういう特別な配慮をされますか、今後。
#41
○政府委員(吉光久君) 本法の対象は、下請企業のほとんどすべてのものを網羅いたしておると思っておるのでございますけれども、あえて本法の対象外になっておりますもの――これは製造業あるいは加工業、修理業その他はすべて本法の対象になっておるわけでございますけれども――たとえば運輸業あるいは建設業というふうなものも下請関係にあるという事態の業務というものもあるかと思うわけでございますけれども、いまの建設業につきましては、別途業法がございますし、また建設関係における下請関係と製造関係におきます下請関係とは、必ずしも同じ手法で解決するになじまない分野があるのではないだろうかという意味で、建設業法の一部改正におきまして、その下請関係につきましての法措置を含めました立法が、現在、国会に提案されておると伺っておるわけでございますが、そういうような特殊分野に属するものを除きましては、一応本法の対象とするということで考えておるわけでございます。もちろん本法の対象の中にも、御承知のとおり二種類ございます。三条の振興基準は広く親事業者と下請事業者との間の望ましい姿、順守すべき姿、ルールというふうなものを確立いたしたいと考えておるわけでございまして、これは広く本法の対象になります下請事業者全体について適用されるものでございます。また、振興事業協会が下請につきましてのいろいろの取引のあっせんをいたしましたり、その他の相談ごとに応ずることになっておりますけれども、これもまた広く本法の適用対象となる下請事業者につきまして、全面的に適用されるというふうに考えておるわけでございます。ただ、第五条の振興事業計画につきましては、これはやはり国際競争力の強化その他の観点から、逐次その対象範囲を広げてはまいりますけれども、下請事業者のある部分から出発して、そうして逐次その範囲を広げるというふうな対象の適用のしかたを考えておるわけでございまして、この部分につきましては一部の業種から適用されてまいるということになろうかと思うわけでございます。ただ、この法律のたてまえはそういうことでございますけれども、同時にまた一般的な中小企業施策等をもこの運用の問題と合わせからめまして、たとえば機械設備の貸与についての事業でございますとか、あるいは近代化資金の補助制度でございますとか、そういうふうなものも、実は全般的に中小企業施策として準備されておりますので、この法案成立を契機といたしまして、それらの運用が一般の下請企業にまでこまかく浸透しておるかどうかという点につきましても、あらためて見直しを行ない、下請振興に役立つような運用方針を確立いたしたいと考えております。
#42
○小柳勇君 非常に高邁な理想ですけれども、十五億円の金というのは、大企業だったら一社か二社の設備資金ぐらいの金額だと思うんですけれども、いま長官がおっしゃいましたような大理想を実現させるために、十五億という金はどういうふうに考えておりますか。これはどういうふうに使いますか。
#43
○政府委員(吉光久君) 十五億円は、実はこの法律が施行されます初年度でございますので、いろいろと施行準備の過程で時間的な経過が必要であろうというふうに考えましたので、十五億円で下請企業の体質強化ができるというふうには考えられないわけでございます。これは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましても、この初年度ということを前提に置きまして、特別ワクを考えておったわけでございます。したがいまして、初年度という特殊事情のない来年度以降におきましては、もちろんこういう数字では足りませんので、業種指定の数、その他下請事業振興計画の提出されるであろう見込み、その他等勘案いたしまして、相当大幅な資金を確保してまいる必要があるのではないだろうかと思っております。
 なお、このワクにつきましては、予算的にそういう公庫等に対しまして、特別ワクは設定されますけれども、そのワクをさらに上回った要請があるというふうな段階におきましては、さらに弾力的にそこらの要請にこたえ得るような措置を考えてみたいと思っております。
#44
○小柳勇君 大臣、いま長官がおっしゃいましたように、金が今年度は初年度でありますが、それでもわずか十五億、来年度は一体どのくらいこの対策としてお考えですか。
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま長官から後段で申し上げましたように、弾力的に措置ができるということが前提でございますけれども、予算要求としては七十億円の要求をいたしておるわけでございます。
#46
○小柳勇君 金の問題はまたあとで論議いたしますが、次は親企業ですね、親事業者というものはどのくらいの数を把握しておられますか。
#47
○説明員(斉藤太一君) 機械工業におきまして、先ほど長官がお答え申しましたように下請が大体九万ございますが、それに対します親事業者の数は、資本金一千万円以上を親事業者と見まして算定いたしますと、大体七千社でございます。
#48
○小柳勇君 この場合は一千万円以上を親事業者と見るわけですか。
#49
○説明員(斉藤太一君) この法律の定義におきましては、親企業と下請企業の定義を、親は下請よりも資本金が大きいもの、逆に申しますと、資本金で見まして大きいものが小さいものへ製造、修理等の委託をする場合、その関係を親子関係と見る、こういうふうに定義をいたしておりますので、資本金が小さいものも、それよりさらに小さいものへ下請に出します場合に、すべて親企業になり得るわけでございますが、一応統計のとり方といたしまして、いま一千万円以上で親企業を拾ってみましたところ、七千社ございます。
#50
○小柳勇君 この法律は、親企業と下請企業とが事業計画を話し合いまして金を借りるわけですが、悪口言いましたならば、親事業者に対する援助振興法案ではないかという気さえするわけです。普通事業をやりますと、やはり自分の下請企業をちゃんと大事にしておかなければなりませんものですから、普通ならば親企業が金を借りてきて、貸して設備する面があるわけですね。そういうものをこの法律でもって助けてやる面、今度は一千万円以上ということでありますから、その面も大事でしょうけれども、悪く言えば下請中小企業振興法じゃなくて、親企業の振興法案ではないかとも考えるが、それにしても金があまりにも少ないわけですね。したがって金額の増額も考えていただきますが、そこで、いままでのいわゆる中小企業の関係法では、資本金五千万円以下、従業員三百人以下が通説でございますけれども、今度はその五千万円というのを、いま一千万円ということまで下がりましたね、これは親企業のほうの関係でしょうが、それは中小企業でも親企業になり得ることを言われたことだと思いますね。あと、近代化促進法なりあるいは支払遅延等防止法などとの関連で親企業対中小企業の関係で争いが起こった場合に、矛盾は発生しないでしょうか。
#51
○政府委員(吉光久君) 本法におきます定義は、あくまでも下請関係を近代化しようというふうなところにねらいを置いておりますので、したがいまして中小企業の定義は、近代化促進法で言う中小企業の定義と全く同じでございますけれども、下請関係にあるというその関係をつかまえる一つの指標といたしまして、資本金の場合には資本金が大きいほうから小さいほうへ、あるいはまた従業員だけでは、要するに個人企業の場合におきましては、従業員の多いほうから小さいほうへというふうないわゆる委託関係が、だれからだれに行なわれるかというめどといたしまして、大小の概念を入れたわけでございます。したがいまして、中小企業そのものの定義につきましては、近代化促進法の定義と全く同じでございまして、その間、混同が起こってまいるということはないかと思うわけでございます。なお、このような大きいものから小さいものへというふうな考え方は、実は下請代金支払遅延等防止法においてもとられておるところでございまして、考え方といたしましては、そういうふうな考え方を基本的に取り入れてまいっておる、こういうことでございます。
#52
○小柳勇君 中小企業の定義の問題で、中小企業基本法でも五千万円ということになっておりますけれども、あれからもうすでに七年たっておりますが、この中小企業五千万円及び三百人のところでいいか悪いかのことで論議されたことございませんか。
#53
○政府委員(吉光久君) すでに基本法が制定されましてから七年有余経たわけでございます。したがいまして、その間にいろいろの、経済活動が大きくなり、あるいはまた貨幣価値の変動等もあるというふうなところから、中小企業の定義をもう一回見直したらどうだということが議論されておるわけでございまして、先般総理府に置かれました中小企業政策審議会の御答申でもこの点につきましては触れられておるわけでございますけれども、ただ、現実の問題といたしまして、相当生産性は向上いたしておりますし、あるいはこれは機械設備等を保有することによって生産性が相当向上いたしておるというふうなところから、資本金概念または従業員概念のほうで相当程度カバーできるのじゃないか、こういう御意見もございます。と同時に、また他方におきまして、中小企業の定義をこれは一部拡大しろと、こういう意見に対しましては、拡大しっぱなしでは小規模層に対する施策の量、充実が期せられなくなるのではないか、こういうふうな御意見もあるわけでございまして、したがいまして、政策審議会のほうにおきましては、この問題についてさらに慎重に検討するようにというふうな答申をいただいたところでございます。ただ、全体の経済規模も大きくなってまいっておりますし、現実の中小企業の定義が現在の経済情勢下において適正であるかどうか、やはりこの際十分に検討をいたす必要があろうかと思っておるところでございまして、私どもも事務的にその準備に現在入っておる段階でございます。
#54
○小柳勇君 まあその問題は再々商工委員会でも論議しておることでありますから、その問題だけもう一回別の機会でお話を聞きたいと思いますが、次に中に入ってまいりますが、労働力確保と近代化促進というのが大きな柱であるとすると、この法案の柱である労働力確保ということについては、この法律ではほとんど意味ないのではないか、力がないのではないかと思いますが、労働力確保の面で何かこの振興基準関係のサイドの問題でお考えありますか。
#55
○政府委員(吉光久君) 今回の法案の中で直接的に関連してまいりますのは、振興事業計画に関連いたしまして共同利用施設事業というふうなものが規定されておるわけでございますけれども、この共同利用施設事業の中には労働者の福祉施設というふうなものも入るということにいたしておるわけでございまして、一般的な労働福祉施策のほかに、さらにこういう共同利用施設事業というふうなものが行なわれます場合、これに税制上の優遇措置を講じまして、これらの福祉施設が確保されるということにやってまいりたいと思うわけでございますけれども、直接的な手段といたしましては、いまのような点だけでございます。ただ、この法案を離れまして、やはり中小企業全般に対しますところのいろいろの福祉施設の設置というふうなことにつきましては、他の手段を用いまして配慮いたしてまいりたいと考えております。
#56
○小柳勇君 次は、この法律ができますと、いままでよりも一そう親子の関係が緊密になりまして、大企業が中小企業、小規模企業を引っぱり回し、拘束し、自主性をなくするような結果になりはせぬか、そういう心配をいたしますが、この点はいかがでしょうか。
#57
○政府委員(吉光久君) この法律があくまでも下請企業につきましてその自主性を確保させようというところから出発いたしておるのでございますので、ただいまのような御懸念あろうかと思いますけれども、法律の運用におきまして十分に注意をしてまいりたいと思うわけでございます。
 その第一は、第三条の振興基準の作成についてでございます。この振興基準の作成におきまして、従来にあるようないわゆる下請関係というものを近代化するそのための基準をここで策定いたし、これを公表いたすわけでございます。その中に十分にそういう観点からの基準を盛りまして、一般に公表し、また、親事業者にも順守してもらうというふうなことを考えておるわけでございます。
 それから第二に、振興事業計画の作成にあたりまして、個別的な親事業者と下請事業者とで計画をつくるというふうな方向をやめまして、下請事業者の組織体でございます事業協同組合と親事業者で振興事業計画を作成する、こういう方法を用いましたのも、やはり組織の力で親事業者と話し合いを進めてまいるということが非常に重要である、またそれが下請事業者の自主性が確保されるもとであるというふうなところから、そういう規定のしかたにいたしたわけでございます。それから同時にまた、第五条の振興事業計画を審査するにあたりまして、その承認の基準があるわけでございますけれども、その承認の基準の中で、こういうふうな事項を達成するのに必要な適格性を有するものであることということを承認基準に入れておるわけでございまして、それが真に下請事業者のための組織である事業協同組合であるかどうかという点についても、この一号の「適格性を有するものであること。」というところで審査をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 さらに、先ほどお答え申し上げました振興基準の中で、衆議院のほうで御修正いただきました「組織化の推進に関する事項」というふうな事項も振興基準の中で定めることになっておりますので、こういうふうないろいろな手段を通じまして下請の自主性確保ということにつとめてまいりたいと考えます。
#58
○小柳勇君 いまおっしゃいました衆議院修正の第三条の二項の五号、「下請事業者の組織化の推進に関する事項」というのがございますけれども、この点、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
#59
○政府委員(吉光久君) 中小企業者、特に下請事業者につきまして、これが健全な育成をはかりますためには、やはり自主的な組織化が進められてまいるということが非常に重要な事項になろうかと思うわけでございます。ともすれば組織化をすることにつきまして親事業者があるいは妨害行為に出るというふうな事例も全然ないわけではないわけでございます。そういう意味から、親事業者に対しましては、下請事業者が組織化を推進するにあたりまして、これに対する妨害工作というふうなことをやってはならないし、同時にまた下請事業者も、真に自分の問題として組織化を進めてまいるというふうなことが必要になってまいろうかと思うわけでございまして、そういうふうな一般のあるべき姿につきましてこの振興基準において規定をいたしたい、こう考えております。
#60
○小柳勇君 時間が足りませんので詳しく論議できませんが、中小企業基本法の十三条にも「事業の共同化又は相互扶助のための組織の整備、」云々と書いてあるわけです。これに「必要な施策を講ずるものとする。」と書いておりますのに、なおいままで不備だったからこういう修正が出たものと思いますから、この組織化の推進に関しては十分ひとつ前向きで強力な対策を立てていただきたいと思います。それが自主的な下請中小企業の一番大きな発展策と思います。
 そこで、この下請ということばを非常に気にする人がおるわけです。この前、八月ころ、私のほうの県の関係者、市の関係者及び業者の団体を集めてこの法案についてのいろいろ討論会をやりましたときに、現在完全な下請事業なんていうものはございませんよ、したがって下請中小企業と言わないで、協力中小企業くらいのところにしておいてくれぬか。たとえば安川電機などは安川電機協力協同組合というのがあります。略号を安協というのですけれども、下請企業なんて言わないのですよ。それは下請の人も言いますし、県や市の担当官もそういうことを言っていました。現在完全な下請なんていうのはないのですから、下請中小企業と言わないで、協力中小企業振興法案くらいにひとつ法案の名前を変えてくれぬかという切なる声がございました。これはきょうは間に合いませんから、次の機会に……。ほかの関連法がありますから、関連法の修正も一緒にやらなければなりませんから……。そういう発言があったということを御記憶願いたいと思うのです。
 そこで、親と子との関係を公平にするためには振興協会を強化しなければならない。衆議院のほうでもそういう決議が出たようでありますが、振興協会を強化する方法についていかようにお考えでございますか。
#61
○政府委員(吉光久君) 現在下請企業振興協会は全国で十五あるわけでございますけれども、下請企業の多い地域から逐次数をふやしておりますが、それらの増設はもちろんでございますけれども、今度の法案で特に衆議院のほうで御修正になり、新しくつけ加えられました事項等が処理されるにふさわしいような機構を考えなければならないのではないかと思っておるわけでございます。この下請企業振興協会の機構、人員等につきまして、新しく与えられました仕事に応じて相当強化してまいりたいというふうに考えるわけでございますが、特に苦情または紛争についてのあっせんまたは調停につきまして、新しく衆議院のほうで修正追加されたわけでございますが、この苦情紛争のうちで直接的に下請代金支払遅延等防止法に関連する部分につきましては、これは申し上げるまでもないわけでございますけれども、公正取引委員会と非常に強力な行政機構のほうで処理していただくことになっておりますので、その部面はこの中には入ってこないものというふうに考えておるわけでございますが、その他につきましてのあっせん、調停等についての仕事がここに新たに付加されてまいったわけでございますので、したがいましてそれにふさわしい機構というふうなもの、さらにその内容に応じて早急に結論を出したいと思っておるところでございます。さしあたりの問題といたしましては、現にございます振興協会の強化につとめますけれども、同時にまたこの仕事をやるにふさわしい内容、人的構成というふうなものにつきまして早急に運用基準で強化策を考えてまいりたいと考えます。
#62
○小柳勇君 これは大臣にお聞きおき願いたいと思うのですが、現在、振興協会が十五あるというのですが、少なくとも各都道府県一カ所くらいずつはあってしかるべきじゃないかと思いますし、しかもそれがいま民法の公益法人でございますが、特殊法人にして強力な協会にしなければ、せっかく法律ができましても、公正取引委員会だけでは十分な法律の監視ができない、活用ができないのではないかと思います。したがって下請企業振興協会の強化指導について、長官から答弁いただきましたけれども、大臣からも御答弁願っておきたいと思います。
#63
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の趣旨については実は私も同様に考えておりまして、ことに衆議院におきまして十一条の御修正がありまして、二号に「下請取引に関する苦情又は紛争について相談に応じ、その解決についてあっせん又は調停を行なう」という御修正がございました。この「解決についてあっせん又は調停」は、いわゆる法的な強制力を伴ってはおらない趣旨の御修正と思いますけれども、行く行くはそういうことに発展する、あるいはすることがむしろ好ましいことであるかもしれません。そういうことになりますと、この法人格というものについてもおのずから考える必要が出てくるであろう。ともかくただいまの段階でも、この振興協会というのは全国に、しかも権威のある姿で育成強化をしていかなければならない、これは御指摘のとおりだと思いますので、そのようにやってまいりたいと思います。
#64
○小柳勇君 次は、下請代金支払遅延等防止法の運用の問題でございますけれども、この法律はほとんどざる法であるという意見が強いわけです。で、これは公取のほうでもあるいは通産省のほうでもいろいろ監視してもらっておると思いますけれども、現在親企業で一千万円以上の延べ払いを要求するところもある。公取などに報告する義務を商工中金などが負ったらどうかと、たとえば手形について、金融機関ではわかるはずであるから、公正取引委員会などに報告して、そうして直ちに支払い遅延をさせないような方向にする、こういうようなことが意見として出ているのですけれども、中小企業庁長官及び公取委員長から意見を聞きたいと思います。商工中金などが報告すべきである、こういう意見が強力に出ております。
#65
○政府委員(谷村裕君) ただいま、ざる法であるというような意見もあるというふうに言われましたのですが、私どもといたしましてはこの法律の運用をできるだけ一生懸命にやるつもりで、年に相当数の調査あるいは指導勧告等の実績もあることでございます。しかし、なおかつ運用をさらに強力に進めてまいりたいと思っております。御指摘のポイントは、いかにしてそういうたとえば悪い手形を出したような実態をつかまえるか、あるいは現実にたいへん支払いがおそいというような実態をつかまえることができるかということでございまして、たとえば金融機関等においてそういうことを知った場合に報告してもらうというふうな制度をつくったらどうかと、かような御提案だろうかと思います。私どもといたしましては、報告義務を課するというふうな形のものは、やはりいかがかとまだ思っておりますけれども、広く協力者あるいは協力団体というものを現在においては活用いたしております。中小企業の方々のつくっていらっしゃる団体、あるいはその団体の方ではないけれども、地方でそういう問題について非常に熱心にやっていらっしゃる方、かような方を私どものいわば協力者としましてそういう方にもお集まりいただいたり、あるいはそういう方々からいろいろ事情を伺ったり、個別のケースを、場合によれば申告していただく、本人じゃなかなかできない場合でも、わきからしていただく、さようなことをいたしております。したがいまして、たとえば商工中金というふうに言われますけれども、ある意味でそういうことの御協力をいただく先として、中小金融をやっておられるようなところを考えるということも実行上私どものやり方として考えていくことができるのではないか、かように思っております。
#66
○小柳勇君 次に、公正取引委員会をもう少し強化すべきであると、こういう意見が相当強いんです。現在は人数も少なく、仕事をしようにも仕事ができない。だから支払遅延等防止法がざる法ではないかというような意見すらございますが、公正取引委員会の強化について、委員長から御意見をいただきたいと思います。
#67
○政府委員(谷村裕君) まあすべての官庁がそうでございますけれども、やはりその仕事をやってまいります上にはそれ相応の体制を固めなければならないと思います。私も率直な気持ちから申しますと、何と申しますか、公正取引委員会の人をふやし、あるいは予算をふやすというふうな形でいくことももちろんこれは大事でございますけれども、だんだん、先ほどお話も出ておりましたように、人手の関係もむずかしゅうございます。
 それから行政組織全体としてのやはり効率化ということも考えなきゃならないと思います。で、公正取引委員会の委員長の立場として申すのはいかがかと思いますが、そういうことじゃだめだとおっしゃるかもしれませんけれども、私どもの強化も大事かと思いますが、行政各部、各庁それぞれがやはりこういった問題についての体制を整備していただく、公取委員長が横っちょにいて何かやかましいことを言うと言うことじゃなしに、行政各部、各庁全体がそういう姿でひとつ動いていくようなくふうをいたしませんと、これからの行政組織の上からはなかなかむずかしいのじゃないかと、さような気持ちを私は持っております。
#68
○小柳勇君 総理大臣の答弁みたいなことですが、各省ともに事あるごとにわれわれもぶち当ってまいりますから、ひとつ公取のほうも強化するような方向で活動してください。
 それから下請取引改善協力員というのがおられる。この制度を知っておるのがあまりおらぬのではないか。現在全国で五十人の協力員が年間三千円の謝礼金で年に一、二度集まって下請法の運用などについて意見を聞いておるようです。この際、このような制度があるから、思い切って人員を増加して手当を支給して、振興協会とも連携を保ちつつ下請企業の自主的発展を援助する体制をつくるべきではないか、こういう強力な意見がございますが、いかがでございますか。
#69
○政府委員(谷村裕君) おっしゃるとおりだと思います。私、先ほど申しました意味で、わずかにまだ五十人という程度のいわゆる公取モニターでございますが、できるだけそういう方々を広げて、そうしてさっきお話が出ておりました、おれの縄張りだ、おれのモニターだということではなしに、たとえば中小企業庁のほうでいろいろ協力団体、協力会のようなものを、さっき申されたような協会でございますか、そういったようなものも整備されていくならば、そういうところもみんな一緒になって中小企業関係の、あるいは下請関係のことをやるようにしなければならない。私どもとしても、私のほうのそういう協力者をさらに活用していくようにつとめたいと思います。
#70
○小柳勇君 通産大臣、いまの具体案ですけれども、せっかくあるんですからもうちょっとこれを活用して、五十人でなくて、この際人員をふやし、予算をつけて、そうしてただ意気込みだけではなくて、もっと前向きに下請中小企業振興のために働いてもらうという体制をつくってもらいたいと思います。同時に、最後でございますが、冒頭にもお話がありましたように、諸外国では法律よりもむしろ金融措置で中小企業を守っているんです。だからこの法律も大事ですけれども、もうちょっと金融の幅をふやして、中小企業関係の金融の幅をふやすと同時に、手続を簡素化して、あまりめちゃなことは言わぬで、そうして金融の面でもっとカバーしてやれば、親子関係などの自主的な発展ももっとスムーズにいくのではないかと思います。そういうところが一番中心じゃないかと思う。私もずっと諸外国を見て歩きまして、大企業と中小企業との対立などというものはあまりないんですね。よくさぐってみますと、法律はないけれども、政府も財界も一体となって中小企業や手工業を金融の面でカバーし、税制の面でカバーしておる。そういうことでおのずから大企業に堂々と立ち向かっておる姿を見てまいりましたので、そういう面でもひとつこの法律ができると同時に、体制を整えて施策をつくってもらいたいと思いますが、いかがでございましょう。
#71
○国務大臣(宮澤喜一君) それは確かに私も御指摘のとおりだと思います。よく私ども中小企業関係の金融三機関ということを申し上げるわけでございますけれども、そうしてこの年末にもまた貸し出しワクをふやしたりいたしておりますが、実際はそういう金融機関に、中小企業ことに小企業でございますが、出入りできるかどうかということになりますと、たいへんやはり帳簿だとかなんとかいうむずかしいことになる場合も多いので、これは私はやはり中小企業の経営指導といいますか、経理まで含めまして、そういうまた指導員がおるわけでございますけれども、そういうことを進めてまいりませんと、なかなか政府の施策が実際の末端まで届かないという、そういう例をしばしば私どもも見ておるわけでございますから、そういう指導なり改善のための教育なりということは、もっとつとめていかないといけないと思います。法律よりは金融ということは、言われたとおりなんですけれども、これもまたわが国の一つの多少おかしなたてまえでありますが、法律ができますとそれに伴って金融のほうの別ワクであるとか特利であるとかいうことが可能になるような、そういう行政の仕組みがまた一つございまして、そういうことも実は考えまして今回御提案をいたしたようなわけでございます。
#72
○小柳勇君 終わります。
#73
○矢追秀彦君 小柳委員のほうからかなりきめのこまかい質問が出ましたので、私のほうはまた観点を変えまして、ダブる点もあるかと思いますけれども、初めにこの下請中小企業振興法の第一条にある「下請関係にある中小企業者が自主的にその事業を運営」する、この自主的な運営、先ほどもいろいろお話がございましたけれども、これは完全にこの自主性というものが貫かれるという保証は私はあまりないんじゃないかと、このように思いますので、まずこの自主性を重んじられるということは、どういうふうなことでこの法律の中ではうたわれておるか、まずそれを聞きたいと思います。
#74
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は先だっても申し上げましたので、あるいは繰り返しになれば恐縮でございますが、先だって、たとえば、例は必ずしも適切ではございませんかもしれませんが、まあ植民地が宗主国から独立するときに云々ということを申し上げました。で、戦争によって独立するのも一つの方法でございますけれども、できることならば両者が話し合いの上で独立をしていくということのほうが歴史的にも望ましいケースが多い。その場合は、何といってもいままで縁が深うございますから、宗主国のほうが一番事情がわかっておってそのプログラムを書いてやる、それを手伝うというようなことは好ましいでございましょう。そうして独立をして、もう宗主国にぶらさがらずにあっちこっちと自由にひとつ貿易もやりなさいということがいいのではないか、これはたとえば適切でございませんがということで申し上げました。この法律案が下請中小企業の自主性確保のために親企業にある程度の協力をさせるということについて、それはむしろ親企業のほうになるのではないかという御批判がときどきあるわけでございますが、この法律の中では親としてすべきこと、さりとてそれを越えてしてはならないこと、それからまた一つの下請関係に入った場合に、他の人間との関係ができるのを一方の親は妨害してはならないというようなこと、そういったようなことを随所に実は規定をいたしまして、そういう関係の中から下請企業が独自性を確立していくという構想につきまして、ただいま御質問の点は各所に実は配慮しておるつもりでございます。
#75
○矢追秀彦君 親企業が下請企業を利用する要因については、どのようにお考えですか。
  〔理事大谷藤之助君退席、理事竹田現照君着席〕
#76
○政府委員(吉光久君) いろいろの要因があるわけでございます。今回の中小企業白書でも、最近の親企業はどういうふうな意識から下請企業を使っておるかということにつきまして御報告を申し上げたところでございますけれども、従来の例からいきますと、いずれかといえば下請企業を景気のバッファーに使う、そういうふうな観点から下請を使い、あるいはまた単価の切り下げと申しますか、そういうふうな観点から下請を使うというふうな例が多かったわけでございますけれども、だんだんと昨今はそこらの様相が変わってまいっております。これは四十三年に親企業に対しまして、その外注理由について調査いたしたところでございますけれども、一番大きい回答は、まず設備なり労働力等が節約できるというのが七一・五%でございます。また相手方のほうに専門技術があるために、そのために下請を使っているという、下請の専門技術というふうなことを尊重いたしておりますのが五四・九%でございます。こういうふうなことでございまして、景気のバッファーにというのが一六・七%でございます。だんだんと下請企業の独自の存在分野というふうなものが確立されてまいりまして、その専門分野というふうなものを利用することが、親企業にとっても効率的であるというふうな、そういう角度から下請企業を利用しておるという例が多いのではないだろうかと思います。
#77
○矢追秀彦君 いまの統計は親企業でとらえたわけでしょう。逆の下請企業から、どういうふうに利用されておると感じておるか、そういうのはございませんか。両方合わせないと、はっきりしない。――なければ、あとでもよろしいですが、ありましたらあとでお願いしたいと思います。
 いま、そういうふうに変わっておるという点は、私も全然否定するわけではございませんけれども、やはり実際景気のバッファーに使っていないといっても、不況になった場合は、やはりそういう問題が出てくると思うわけです。今回のこの法案の中では、この景気のバッファーとして利用されないという歯どめといいますか、そういう点はうたわれておるのでしょうか。
#78
○政府委員(吉光久君) 先ほどのお答えを先にさしていただきまして、引き続きまして、ただいまの御質問に対してお答えさせていただきたいと思います。
 実は、手元に持っております下請構造調査でございますけれども、いろいろの意識があるわけでございますが、やはりその中で注目すべきものは、将来独立専門化の方向に持ってまいりたいと、その手段といたしまして二つの方法があるわけでございます。一つは、共同化、協業化によりまして独立専門化への道を歩みたいというふうな、そういう関係と、それから、やはり大きな会社との取引関係を強固にしながら、だんだんと独立専門化の方向に進んでまいりたい、この二つの意見が出ておるわけでございます。
  〔理事竹田現照君退席、理事大谷藤之助君着席〕
 いずれかといえば、取引関係を強化しながら独立専門化の方向に入ってまいりたい、こういうふう
な回答のほうが多いようでございます。
 それから、ただいまの御指摘の不況との関連の問題でございます。実は、ともすれば、しわが下請事業者のほうに寄りがちでございますけれども、今回はそこらの弊害を除去いたしますために、順守基準あるいは振興事業計画等におきましても、発注分野の明確化でございますとか、あるいはまた発注方法の改善というふうなことを順守事項としてきめてまいりたいと思うわけでございまして、これは、特に急に外注がとめられる、あるいはまた急に数字が小さくなるというふうなことになったのでは、下請の真の意味の近代化ができないというところに着目をいたしておるわけでございまして、発注が平準化してまいること、あるいはまた長期の発注にだんだんとなってまいること、すべて望ましい事項でございますので、そういう点につきまして、この振興基準には盛ってまいりたいと考えておるわけでございます。したがいまして、そういうことを前提にいたしまして、個別、具体的な親事業者と下請協同組合との間に振興事業計画が組まれるわけでございますけれども、その中におきましても、そういう事項は重要な要素として取り上げてまいりたいと考えておるわけでございます。したがいまして、ここらの運用を通じまして、従来のように急に外注を切る、急に外注を減少してまいるというふうな、そういうふうなことが行なわれることによりまして下請企業に重大な影響を及ぼすという面が多かったわけでございますけれども、そこらの姿勢を正してまいりたいと考えます。
#79
○矢追秀彦君 いま、そういう景気のバッファーに利用されないための基準あるいは振興事業計画の設定ということを言われましたが、じゃ、その計画が不況の場合に変更されなければならないと、そのときには届け出をして承認を受ける、こうなっておるわけですが、そういった場合、変更を承認する、しない、その辺の基準といいますか、判断は、何を基準としてされるわけですか。
#80
○政府委員(吉光久君) 御指摘のように、七条で振興事業計画の変更についての規定があるわけでございまして、「事業計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。」ということで、承認が必要になってまいるわけでございまして、この発注分野でございますとか、あるいは発注方法というふうなものは、実は振興事業計画のいわば中核をなすものでございます。したがいまして、こういうふうな事業計画ができました後に、新たに相当の技術革新等があるような、そういう理由がある場合を除きましては、この変更の承認は軽々に行なわるべきものではないというふうに考えるわけでございまして、ただ単に景気が悪くなったからというふうな、そういうふうな事情によって変更の承認を申請いたしました場合には、ただそれだけの理由によりましては変更はなさるべきではない。したがいまして、変更についての承認は行なわない、こういうことで考えてまいりたいと思っています。
#81
○矢追秀彦君 そうすると、最初下請の組合と親企業が話し合いをして、その事業計画ができて、そういう点がきちっとしておれば、安心するのもあれですけれども、極端に言いますと、将来の不況というものがいろいろ取りざたされておっても、下請企業としては安心して仕事をしてよいと、こう考えてよろしいですか。
#82
○政府委員(吉光久君) まさに、そういう親事業者の協力を前提にいたしまして、こういう振興事業計画を作成するということでございます。そこらの親事業者の発注分野が明確にされ、あるいは発注方法が具体的に提示されておるというふうなことを前提にいたしまして、設備の近代化等が行なわれてまいるわけでございますので、したがいまして、その中核がくずれるような形での計画の変更ということについては、承認はいたしませんということを申し上げたわけでございまして、したがいまして、従前と違いまして、下請はここらの振興事業計画が作成されることによりまして、相当自主性が確保できることになるのではないかというふうに考えます。
#83
○矢追秀彦君 この下請企業が、だんだんこの法案に言われているとおり強くなってきた場合、その取引先をやはり広めてくると思うのですけれども、一たんその親企業の系列に入って仕事をしておって、能力がかなりゆとりができた場合、やはりほかとも仕事をしたい、取引をしたいということが出てきた場合、この親企業からの妨害というか、そういった点に対する歯どめというのは、これはうたわれておるでしょうか。
#84
○政府委員(吉光久君) 確かにお話のように一つの企業が自主性を持ってまいりますためには、それぞれの企業がそれぞれ経営を多角化していく。要するに取引の相手方を多角化してまいるということが、真に自主性を持ち得るゆえんになろうかと思うわけでございます。そういう意味から実はこの振興基準の中におきましても、そういう下請企業が他の企業者と取引することについて親側は妨害してはならない趣旨の振興基準を定めてまいる定めていくつもりでおるわけでございます。間々、ややもしますと、そういうふうな親の妨害行為があるということを伺うわけでございますけれどもやはりこの法律が下請関係を近代化しようということをねらいといたしておりますので、この第三条の振興基準におきまして明確にうたうと同時に、また同時に振興事業計画が作成されるようなそういう事業体につきましても、そこでの自主性確保がどうなっておるかという点につきまして、これを承認するにあたりまして慎重に見てまいりたいと考えます。
#85
○矢追秀彦君 いまの問題ですが、悪く考えますと、親企業がよその仕事はできないような、そういうような計画、あるいはそういうような基準をつくってしまう。そうすると、実際圧力的な妨害とか、もう仕事をやらぬぞとか、そういうことではなくて、そういうもとからそういうふうな計画を、基準をつくってしまう、そういうケースが出てくるのではないか。そういうふうな場合に対してはどういう処置を講ぜられますか。
#86
○政府委員(吉光久君) もともとこの第三条の振興基準の中で、一般的に親事業者と下請事業者とのあるべき姿ということについて規定をいたしたいわけでございまして、いまのような下請事業が取引を多角化することについて親事業者が妨害しないというふうなことにつきましては、この振興基準で明定いたすつもりでいるわけでございます。この明定されました振興基準を前提にいたしまして、それぞれの主務大臣は親事業者あるいは下請事業者の指導、助言に当たってまいるわけでございまして、そこらを中心にした一つの行政体系が出てまいるわけでございますが、また、ここらに掲げました振興基準は、同時に五条のほうの個別具体的な振興事業計画を承認いたします場合の承認基準としても引用されておるわけでございます。したがいまして、この振興基準に合わないそういう現実の事業計画が出てまいりました場合には、それはその点において承認されないということになるわけでございまして、その点につきまして現実の審査にあたりましては十分配慮してまいりたいと考えます。
#87
○矢追秀彦君 時間がありませんので次の問題に入りますが、下請企業振興協会、これは現在十五カ所ありますけれども、その人員とそれから業務の実績についてお示しを願いたい。
#88
○政府委員(吉光久君) 現在下請企業振興協会は下請業者の現実の数字の多い県を中心にいたしまして十五振興協会が設けられております。この中には一都道府県のみならず二府県にまたがって一つの振興協会で仕事をしておる協会もあるわけでございまして、その職員の数は合計いたしまして九十三名でございます。
 その業績でございますけれども、これは従来主として下請取引のあっせんを中心とし、そのほかの指導、相談業務に携わっているわけでございますが、本年の九月末にこれらの協会であっせんいたしました件数は約一万六千件でございます。また相談件数は約一万件というふうなことでございまして、そういう意味で相当の成果をあげているのではないかと考えております。
#89
○矢追秀彦君 まあ相当の成果をあげておると言われましたけれども、いまの一万六千件とそれから相談件数の一万件ですが、いままでの全部のトータルですね。実際最初できたのが昭和四十年度で二カ所ですが、そういう年度別、それから事業所別のデータというものを私ども持っておりませんので、ありましたらまたあとでいただきたいのですが、実際の数というのはそういうふうに分けますと非常に少ないのじゃないか、こう考えるのですけれども、相当の実績といま言われましたけれども、私はちょっとそういった点で非常に少ない。ということは、ここへはあまりみな行かないと思うのですね。要するに仕事をもらう相談、親企業の仕事をもらいたいというような場合に、やはりいろいろなほかの機関というより、むしろいろいろなつてをたどったり、そういうようなことでの折衝というのが多くて、この協会を通してきちっとした仕事をもらうという例はほとんど少ないのではないか。したがって、金額が非常に少ない、こういうことが言えるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#90
○政府委員(吉光久君) 御承知のとおり、いまもお話の中にございましたように、この振興協会ができました最初が四十年でございます。逐次全国的に数がふえていったわけでございます。振興協会ができました経緯は、やはり三十九年、四十年の不況というものを前提にいたしまして、下請企業のほうで仕事をさがしてもなかなか仕事が入らないというふうな、そういう状況のもとにスタートいたしたわけでございます。したがいまして、景気の下降期におきましては相当の仕事をこういう振興協会を通じましてあっせんをしてまいるというふうなことが多かったわけでございます。現在もこれは親事業者あるいは下請事業者が、この振興事業協会にこういうふうなことでこうというふうな登録をいたしておりまして、そのつど仕事についてのあっせん依頼が親事業者あるいは下請事業者双方から出てまいっておるわけでございます。現実にこの振興協会があって、そこで仕事のあっせんをしてもらったというふうなことで、この振興協会について相当喜んでおられる下請事業者の方々も多いように私ども聞いておるわけでございます。何分そういう親事業者と下請事業者との間の連絡パイプとしての仕事のあっせんでございますので、この振興協会の事業内容も、いままで以上にできるだけ広域化してまいることが非常に重要ではないかと思うわけでございまして、その点さらに将来の振興協会のあり方といたしまして、できるだけ仕事内容を広域化してまいるという方向で進みますならば、従来にも増してその成果をあげることができるのではないかと考えます。
#91
○矢追秀彦君 この中の人員の問題でありますけれども、たとえば大阪を例にとりますと、役員の構成が十五になっております。ところが、いま四十五年の十月現在で大阪の指導員が六名、それから補助員が六名、計十二名、役員のほうが数が多いわけです。これは愛知におきましても名古屋においての指導員が六、補助員が五、富山が含まれておりますが、計十一名、役員のほうは二十一名こういうふうに役員ばかり多くて実際やる人の数が非常に少ない。こういうふうなことでは、私は実際の業務というのは、はたしてどれだけ円滑にいっておるのかどうか疑問を持たざるを得ないのですけれども、人員構成の問題については、現在のこの事情をどう考えておられるか、もし改善されるとするならばどういう方向を考えておられるのか、その点をお伺いしたい。
#92
○政府委員(吉光久君) 現在、御指摘になりました大阪あるいは愛知の例でございますけれども、これらはいずれも財団法人でございまして、ほとんど県のほうで出捐をいたしまして財団の寄付行為をいたしましてできておる協会でございます。確かに役員の数、大阪の場合十五名というふうに多いようでございますけれども、専任はわずかでございまして、ほとんど非常勤の役員というのが中心になっておるわけでございます。職員はこれは専任の職員だけでございます。大阪の場合におきまして十三人、これは指導員が七名と指導補助員が六名ということで十三名いますけれども、これは専任の指導員でございます。ただ、今回の法律の改正によりましてこの振興協会の業務内容につきましてさらにその拡充が行なわれたのでございますので、この法案の成立を契機といたしまして振興協会の人的構成につきまして、与えられました指導内容にふさわしいように再検討をいたしたいと考えております。
#93
○矢追秀彦君 この振興協会に対するいわゆる親企業側からの見方はどういうふうに見ているのか、また、どういうふうに協力をしておるのか、またこの法律案ができた後は、これに対して大きな協力を親企業にやらせる自信がおありなのか、その点いかがですか。
#94
○政府委員(吉光久君) 親企業によりましていろいろと違う点があるわけでございますけれども、昨今のように仕事量を継続して維持してまいりますためにどうしても下請企業につきましてその拡大充実をはかっていかなければならないというふうな、そういう状況におきましては、親企業も積極的に振興協会を利用いたしておるわけでございます。この利用のしかたにつきましては、振興協会によりまして多少の差はございますけれども、おおむね親事業者が振興協会に登録事業者として登録をいたしております。それからあっせんをしてもらいたい下請事業者のほうも振興協会のほうに登録をいたしております。その登録をいたしております事業者が振興協会のほうに対しまして、下請企業につきましての実情なり希望条件、一定の要件を示しましてあっせんを依頼いたしてまいるわけでございまして、その要件を振興協会のほうでは聞いた上で、その要件に合うような下請を紹介いたすわけでございますけれども、相手方の内容によりましてはさらにその要件について下請側の希望に合致するよう、親事業者に対してもさらにまたあっせんを行なうというふうなことで、両方の仕事を一致させるように続けておるようでございまして、親事業者としてもこの振興協会について、そういの意味で仕事のあっせんという点につきまして従来相当の関心を持っておったということができるのではないかと思います。
#95
○矢追秀彦君 協会の下請取引のあっせんがうまくいった場合はよろしいのですけれども、うまくいかなかった場合ですね、これはどうなりますか。それからもう一つ。相談に来た場合、登録をしている下請企業が非常に力が弱くて、とてもあっせんできるようなものではない、そういう場合はそれに対してはどういう指導をされるのか、あるいはどこかほかで何かの処置を講ぜられるような方向へ持っていかれるのか、その点はどうですか。
#96
○政府委員(吉光久君) 振興協会のあっせんは、あくまでもこれはあっせんでございます。したがいまして、できるだけ両者の希望条件がいれられるように振興協会のほうで取りまとめ役をやるわけでございます。したがいまして、振興協会としてはやはり両者の言い分が充足されて、うまく契約が成立していくことを望んでおるわけでございますが、もちろんこれは両者の話し合いの問題でございますので、お尋ねございましたように、必ずしもうまくいかないケースもあり得るということは当然想像されるところでございます。それからうまくいかないようでございました場合に、下請企業サイドのほうの設備能力等について、もし劣っているというふうなことが判明いたしました場合には、むしろこの下請企業をどう近代化さしていくかということの問題に関連してまいるわけでございますので、積極的に総合指導センターその他との連携のもとに、他の手段を用いました下請企業にとりましての近代化施策が必要になってまいるかと思うわけでございます。これはむしろ他の中小企業施策との結びつきの問題として積極的に解決されるべき問題ではないかと思うわけでございます。
#97
○矢追秀彦君 いまの中小企業のほかの施策との結びつきなんですけれども、これは実際いま口では言われましたけれども、具体的にどういうふうになるのか、そういう点の有機的な総合的な対策を、この法案が通ったのを機会に、私はやらなきゃならぬと思うのですが、いま言われたようにそういう近代化をしなきゃならぬ場合には指導センターへ回す、そこではそれを受けてきちっとそれに対する融資の問題あるいは労働人員の供給の問題等もそこで解決する。それに対して今度は指導センターがやったことについては、あるいは信用金庫だとかいろいろな機関が金を出す、そういう有機的なつながりというものがもっと確立されないと、大体こういうものはここで仕事は終わってしまうのが実情だと思うわけです。いまお話伺っていますと、協会はただあっせんだけだ、非常に何かうしろ向きといいますか、要するに消極的な姿勢のように感ずるわけです。あまり積極的にやると、やはり自由経済というのがいまの基本原則ですから、その点はそこなわれるかもしれませんが、その点はじっとしていて相談を持ち込まれるのを待っている、来たら適当にまとめる。それでは下請企業は将来成長していかないのじゃないか、こう思うのですけれども、そういった点、大臣の答弁をいただきたいと思います。
#98
○政府委員(吉光久君) 御承知のように下請企業振興協会が、ただ漫然とお客を待つという態度では、りっぱな成果はあげられないということは御指摘のとおりだと思うわけでございます。したがいまして、この振興協会につきまして、さっきの役員のほうの問題等ございましたけれども、財団法人でできておりますのは、県あるいは特定の市からの寄付行為によってできているものが多いわけでございます。この振興協会と各都道府県にございます中小企業総合センターとの結びつきというものを、従来も一部ルートはついておりますけれども、必ずしも十全でないという面もあろうかと思いますけれども、新しくこれが立法化されました暁におきましては、そこらの連携につきまして、従前以上の配慮が必要であろうかと思うわけでございます。指導業務につきましては、この振興協会とそれから商工会あるいは商工会議所等の経営指導員の指導業務、同時にまた各都道府県にございます総合指導センターとの指導業務、これらと密接な連携をもってやっておるわけでございます。この振興協会に登録された下請事業者に対する指導業務は、さらにそれと関連して考える必要があろうかと思うわけでございます。同時にまた、それぞれのセンターにおきましては、これはそれぞれの都道府県の商工課の仕事としてやっておるところもございますけれども、こういう零細中小企業に対しまして、いわゆる機械貸与制度というふうな制度を運用いたしておりますし、あるいはまた設備近代化資金というものの補助をいたしておるわけでございますので、そこらの有機的な連携のもとに、いま御指摘ございましたような資質の向上につとめてまいる必要があろうかと思います。
#99
○矢追秀彦君 大臣にお伺いしたいんですけれども、いまの点と、結局中小企業基本法ができたのは昭和三十八年で、もう七年にもなるわけですから、中小企業に対する対策はいままでいろんな面からやられてきたわけです。相当いろんな法律もありますし、かなり予算の面でもお金も出ておるわけです。ところが、いまだにやはり中小企業の問題というのは古くて新しい命題といいますか、いまなお問題はいろいろあるわけですし、現実にいまの日本経済の中において非常に重要なポイントを占めながらも、力はまだまだ弱い。今回ひとつこの下請を育てようとされてつくられたんですけれども、結局その中小企業対策というものが、やはりいまの状態から見ますと、案外大企業というものがどうしても優先してくる。結局今回できた法律案でも下請企業を強めて実質的な事業活動ができるように、それを育てると言われますけれども、へたな運用になれば、結局逆に親のほう、特に一番そのもとである大企業というものに完全に系列化をされてしまったり、利用されてしまう。そういう面が私は必ず出てくるんじゃないか、そういう点で中小企業、先ほども小柳委員からもかなりこの問題についてありましたけれども、中小企業というものを今後どのように持っていかれるのか、それから先ほど長官からもお答えいただきましたけれども、その横の連携といいますか、いろんな施策の連携ですね。これはもっとスムーズに私はいかなければいけないと、こう思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#100
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、前段の問題でございますけれども、幸いにして十幾つかの下請企業振興協会というものがございますので、この法律案では現にあるそれらの協会に対して必要なと思われる規定を十一条、十二条にも設けたわけでございますけれども、もし現にこういう民法三十四条の法人がございませんでしたら、この法律でこういう協会のようなものをつくらなければならなかったのではないかという程度に私どもこの振興協会というものの役割りを重視したいと思います。そういう意味で、先ほどから御指摘のありますように、今後全国各都道府県にこういうものができ、そうして信頼される事業、業務の運営をいたしますように積極的に行政指導いたしていきたいと考えておるわけでございます。
 それから後段の問題は、まさに御指摘のとおりでございますけれども、冒頭今日申し上げましたように、やはり労働需給の逼迫ということと、それから付加価値あるいは加工工程といったようなものが複雑化して、そこから大きな付加価値が生まれるというような、こういう情勢の変化を背景にいたしまして、中小企業というものがそういういわゆる素材でないところの付加価値あるいは情報価値を付加している。そういうところに中小企業でなければできない仕事というものがだんだん出てきたわけでございますので、そういう形で中小企業というものを育成していきたい。一つはいわゆる近代化促進法でございますけれども、この法律は仕事の流れに沿いまして体系化していきたいと、こう考えておるわけでございます。
#101
○矢追秀彦君 時間がありませんので簡単にお伺いしたいのですが、これは公正取引委員会にお伺いしますけれども、拘束預金の問題でありますけれども、まあ非常にいままでいろいろの措置をおやりになりまして、かなり改善をされておりますけれども、取引委員会の調べのデータによりますと、昭和四十二年十一月を契機としてテンポというのが非常に鈍ってきておりまして、特に今年の五月ぐらいでは少し悪化の傾向になってきてお奇この点の原因といいますか、こういう傾向はどういうのが原因とお考えになっておるのか。さらに今後はどういうふうな手を打ってそれを改善されるのか、その点をお聞きします。
#102
○政府委員(谷村裕君) まず原因のほうでもありますが、この私どものほうの調査は、御承知のよに中小企業等を何ぼか選びまして、そこに調査表を送り、回答をいただくという形でいたしております。回答率も三割に足りないというふうなことで、必ずしも全部をうまく把握しているかどうかわかりませんから、簡単にはいろいろそれから推測することはできないのでございますけれども、やはり一般的にいって景気の動向を多少反映したものがあるのではないかと思います。
 それから今後の問題でございますが、本来このようなことは指導官庁でありますところの、所管庁であります大蔵省のほうで常に通達等を通じまして、また金融機関に対する検査等を通じまして指導を進めていただいておるところでございまして、まずそちらのほうに強力にやはりやっていただくことが必要でございますが、私どもとしましては、それを進めていただくいわばわきからの検討資料といたしまして、不公正な取引方法にならないかという意味での調査をしておるわけでございますが、特に最近におきましてはその形式的な拘束ということよりも、実質的にいろいろこう話して預金をつなぎとめるというふうなやり方がいろいろな形でふえてきておる業種、その相手方の人だけじゃなくて、たとえば従業員のものも持ってきてくれというような形でもって、預金競争も激しくはございましょうが、そういうような手口と申しますか、やり方もふえておるようでございますので、そういう面にもこれから実態調査の手をいろいろと進めていこうと、かように考えております。そうして大蔵省のほうの指導も厳正にやっていただくことを希望したいと存じております。
#103
○矢追秀彦君 大蔵省にお伺いしますけれども、いま委員長が言われたいままでのその基準が、大蔵省からも通達として出されて、まあ自粛の基準はあるわけですけれども、結局その辺をうまくくぐってやるのがふえてきておる。これに対してどういうふうにされていくのか。あるいはそういうまた基準をもっときびしいものにされるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#104
○説明員(北田栄作君) 実は私政府関係機関の関係の担当でございまして、直接そういうのを担当しておりませんので、具体的なことについていま答弁する用意を――ちょっとできかねるのでございますが、歩積み両建ての件につきましては、いまお話ありましたように、前々から厳重に指導監督をいたしており、検査等をいたしておりまして、目下こういったことにつきまして年末金融等を控えまして特に指導を厳重にいたしておるような状況でございます。
#105
○矢追秀彦君 最後にこの問題について大臣にお伺いしたいのですが、結局行政的にもいろいろまだやれる点があると思いますし、また法律的な面でももっと現在の状態から強めていくと、そういうようなことも考えていかなければ、やはりだんだんいわゆる銀行のこの預金の争いというのは非常に強いわけです。まあ家におりましてもしょっちゅう銀行屋さんはだいぶ来ると思うのです。私まだ統計とったことないですけれども、相当いろいろなのが来ておるようでございまして、個人の家でもこんなに来るのですから、中小企業とか特に事業やっておるところでは相当いろいろな、パチンコ屋の宣伝ぐらいのことで来ているような結局現状であります。やはり歩積み両建てに対してはかなり改善はされたものの、やはり今度はその基準をくぐって、法律の目をくぐってやるのがかなり出てきておる。実質的にはやはり拘束預金というものになってしまっておる。そういった点で行政指導あるいは法律改正の点について、どういうふうな御意見をお持ちか、その点をお伺いして終わりたいと思います。
#106
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が政府を代表してと申すわけにはまいらぬわけでございますけれども、私の見ておりますところでは、まだずいぶんそういうことが全国にあるように思います。したがって、よほどこれはしっかり行政の指導をしてもらわなければ困るという感じを持っております。大蔵大臣にもそういうことは私はしばしば申し上げておるところでございます。
#107
○渡辺武君 私は前回の質問の中で、この政府の提出しております法案に定めてあります振興基準ですね、これを見てみますと、衆議院のほうで若干修正はされておりますが、修正前の政府の原案に関する限り、この振興基準が下請企業の生産性の向上、製品の品質、性能の改善、設備の近代化、技術の向上あるいは親企業の発注分野の明確化などを中心としておりますけれども、しかし下請企業の当面している困難の一番大きな原因は、むしろ親企業の下請企業に対する収奪あるいはまた横暴というところに一番大きな原因があるんじゃないかということを申し上げました。その一番大きなものは、いまさら私申し上げるまでもないことですけれども、下請企業に対するコストの不当な引き下げの要求だとか、あるいはまたいろいろな差別的な処置あるいは発注の不安定なこと、さらにはまた検収の遅延やあるいは場合によっては不当な拒否をやるというような、さらには手形サイトの長期化など、支払い条件の非常に悪いこと、あるいは原材料などの買い入れを下請企業に強制するというような点、これらのことがいま下請企業が解決を求めている一番切実な問題じゃないだろうかというふうに考えますが、この政府の原案によります振興基準の中には、まさにこういう中小企業が解決を求めている一番切実な問題についての解決策ではなくして、むしろ親企業のほうが下請企業に要求しているいろいろな措置、たとえばコスト引き下げあるいはまた製品の質の向上、あるいは下請の再編成、さらにはまた系列や支配の強化というようなことにこたえることが眼目になっているんじゃないか。さっき別の委員が、これは下請企業振興じゃなくして親企業振興法案じゃないかというようなことをおっしゃっておられましたが、まさにそういう性格を持っておるものじゃないかというような点について質問したわけであります。
 ところで、重ねて伺いたいんですけれども、主務大臣が、この法案によりますと振興基準をつくり、そうして下請企業、親企業に対して指導、助言を行なう、それからまた振興計画がつくられた場合には、それに承認を与える、さらには財政、税制上の優遇措置を行なうというようなことになっておりますけれども、先ほど私申しましたコストの不当な切り下げの要求あるいはまた下請企業に対する差別だとか、あるいはまた発注の不安定さだとか、あるいはまた検収の遅延や拒否あるいは支払い条件の非常に悪いこと等々の、いま下請企業が解決を求めている切実な問題について、それを改善する振興計画が出された場合に、はたして主務大臣がこれを承認なさるかどうか、その点をまず伺いたい。そうしてそういうような場合にも、金融上、税制上などの優遇措置が一体保証されるものかどうなのか、その点をあわせて伺いたいと思います。
#108
○国務大臣(宮澤喜一君) 表現はあるいは多少違うかもしれませんけれども、ただいま言われましたような問題が下請企業につきまして間々ありますことは私は御指摘のとおりであると思います。そこでそのような悪い習慣、公正でない関係をどのようにして直していくかということになるわけでございますけれども、親企業と下請企業だけにまかせておきましては、力関係でなかなか簡単には直らない。世の中はそういうことが改善されるような方向に向かっておりますことは冒頭に申し上げましたとおりですけれども、やはりそこは主務大臣なりが間に入りまして、そうして公平な立場からそういう条件を改善していくということが必要なのではないだろうか。現状はいま渡辺委員が言われましたようなことを間々まだ見るのでございますから、それを改善していく方法いかんということが、この法案を御提案いたしました基本的な構想でありまして、したがって、振興基準にもそういうことを定め、また振興計画はそれを具体化するというようなことで、私どもできるだけ下請に対して不公正な条件がないように、あればそれを改善していく方向で承認をしていきたいと考えておるわけでございます。
#109
○渡辺武君 政府がいわば介入して、いま私が申し上げたような問題の解決をはかっていくというような御趣旨の御答弁だったと思いますけれども、先ほど申しましたように、政府が最初提案されたこの法案を見てみますと、振興基準としてきめなきゃならぬ事項の一番最初にうたっているものは、「下請事業者の生産性の向上及び製品の品質又は性能の改善に関する事項」というようなことをうたっているわけですね。だから私言うのです。そのほかまだ第二、第三などと出ておりますけれども、これはほとんど、いま資本取引の自由化などで内外の競争の激化にさらされている親企業が、これがもう少しコストを下げなければならぬが、これを下請企業の犠牲によってやりたいとか、あるいはその製品の質を高めなければならぬが、これまた下請企業にその方面の努力を要求していかなければならぬとか、あるいは下請関係を二次下請、三次下請等々で再編して、そうして集中発注あるいはまたその他のやり方でまず一番頂点のところに発注をがんとおろしておいて、そうして二次、三次という形で収奪関係をさらに複雑に有効にやっていこうというようなことをいま要求しているわけですね。それにぴたっとこたえるような振興基準をつくるというようなことになっているわけです。それでは私は下請企業がいま切実に求めている問題の解決にならぬと思うのですね。先ほどから中小企業庁長官の御答弁を伺っておりますと、この下請企業の自主性を尊重するとか、あるいはまたいま言ったような問題を解決するのだというようなことを言っておられますけれども、そういう文言が初めてこの法案の中に盛り込まれたのは、衆議院での修正点で初めて盛り込まれているのです。私は政府の基本的な姿勢は、こういうことが盛り込まれても、なおかつ最初の姿勢と変わらないのじゃないだろうか、結局親企業の立場に立って下請企業をどのように親企業の望む鋳型にはめ込むかという立場が貫かれているのじゃないかというふうに考えるのです。
 そこで具体的に聞きますけれども、それじゃ下請企業が一番求めている適正な下請単価にしてほしいというような要求が振興計画に盛り込まれた場合には、その適否を一体大臣はどういうようにして判断なさるのか。あるいはまた不当な差別措置が行なわれている、こういう問題はなかなか隠微な問題で、これは政府当局としてはなかなかつかみにくいと思うのですね。しかし業者が自主的に団体をつくって、そういう問題を検討して、その改善の計画を立てるということであれば、これは表面化してくる。その場合に、その要求の適否をどのようにして判断されるのか。あるいは検収の遅延だとかあるいはまた検収拒否だとかいうような問題、親企業はいろいろな口実をつけますよ、そういう場合に。その場合に下請企業の言うほうが正しいのか、あるいは親企業の言い分が正しいのか、どこで一体判断されるか、そういう点を伺ってみたいと思います。
#110
○政府委員(吉光久君) 最初にこの法案が親事業者のほうの立場に立って立案されたのではないか、こういう御指摘があったわけでございます。実は私ども最初から下請事業者の自主性をどう尊重してまいるかという立場に立ちましてこの法案の検討を行なったわけでございまして、先ほど二項のところの四号、五号を衆議院で修正になって初めてここにこういう文言が載っておるやの御指摘であったわけでございますけれども、実はこの四号、五号、非常に重要な事項でございます。私どもも非常に重要な事項として振興基準に盛るべきものであるというふうな考え方でいましたけれども、この四号、五号という列記のしかたをしないで、四号の中に一括、他の振興のために必要な事項と同時に考えておったわけでございまして、ただ、それではこの振興基準の重要事項が表面に明文をもって書かれていない、こういう御批判をいただいたわけでございまして、気持ちにおきましては、新しく追加されました四号も五号も振興基準で定めるべく準備をいたしておったところでございます。私ども法律の案を準備いたします段階で、はっきりと明文で表示しておったほうがよかったというふうに考えますけれども、気持ちにおきましては、これは従前の四号の中で規定するつもりでおったところでございます。
 ところで、いまの具体的な振興事業計画につきまして、こういう問題についていろいろな規定がされました場合にどのように判断するか、こういう御指摘であったかと思います。実はこの具体的な振興事業計画に書かれます事項、いろいろあるわけでございますが、たとえばこの振興基準で単価の決定の方法につきまして、単価の決定につきましては両者で協議してきめますとか、あるいはまた親事業者が下請単価を決定いたします場合には下請事業者の現実に持っておる設備その他の要件をよく参酌するということが必要であろうかと思うわけでございます。一方的に幾らというふうな単価がそのままの形で押しつけられるという形は好ましくないことでございます。したがいまして、そういうふうなことで決定の方法につきまして振興基準ができるわけでございますけれども、その振興基準に沿った形で具体的な計画がなされるということを要求いたしておるわけでございまして、この品物については幾らというふうに個別具体的に金額を規定するということは、これは振興事業計画は非常にいろいろと内容に富んでおる問題でございますので、具体的に幾ら、何円何銭というふうな、そういうふうなきめ方ではなくて、むしろどういうふうなきめ方で単価をきめてまいりますというふうな、基本的な考え方が振興事業計画にも出てまいるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、その振興事業計画に出てまいりました基準が振興基準に合致しておるかどうかという点について審査をいたすことになろうかと思うわけでございます。
 それからなお、先ほどお話がございました検収遅延とか拒否とか、あるいはいろいろのお話がございましたけれども、これらに関します具体的な事項につきましては、実は下請代金支払遅延等防止法のほうの体系で処理される事項につきましては、これはあくまでも不公正な取引の問題といたしまして公正取引委員会のほうの所轄として取り締まり法の体系で処理してまいるというふうに考えておるわけでございまして、代金の支払いのほうの取り締まり法の体系に属するものと、それからこちらのほうはむしろ下請中小企業を体質的に強化振興してまいろうというふうな体系に属するもの、二つに分けておりますので、その点御了承いただきたいと思うわけでございます。
#111
○渡辺武君 まああとからはどんな説明もつくのだなという感じで伺っておりましたけれども、時間もないので先に急ぎますけれども、この点だけははっきりと申し上げておきたいと思うのです。中小企業庁長官盛んに御答弁の中で強調しておられる下請関係の近代化というようなことばも、衆議院の修正で初めて入ったものです。この原案には入っていなかった。むしろ下請関係の近代化じゃなくて、原案のほうは下請企業の設備の近代化というところが重点であったこと、これはもう明らかなんです。
 それからまた先ほども申し上げましたような、中小企業がいま切実に解決を求めている、したがってまた親企業と中小企業との関係においては、それを解決しなければ下請企業の振興はあり得ないという問題、こういう問題については、やはりこの第三条二項四号ですか、四号の「その他」云々という中に一括してただいわれているにすぎなかったということは、これはもう明らかな事実です。結局のところ、これを重視されておらなかったというふうにしか判断できないと思う。私は今後の行政の中でその点を特に改めていっていただく必要があるのじゃないかと思うのです。
 さて、そこでなお伺いたいことは、振興計画ですね、これは下請業者の団体とそれから親企業とが一緒になってつくるのだということをおっしゃいましたけれども、それではもし親企業の同意や承認が得られなかった場合に、この振興計画というものはできるのかできないのか、これをまず伺いたい。
#112
○政府委員(吉光久君) 第五条の振興事業計画はあくまでも話し合いによって作成してまいろうと、こういう考え方でございます。したがいまして、できる場合、できない場合、両方あり得るかと思うわけでございます。ただ、昨今におきましては、親事業者も下請事業者の近代化ということにつきまして相当の関心をもっておりますし、下請事業者に対する考え方というふうなものは相当変わってまいっておりますので、そういう意味から、こういう振興事業計画の協力につきまして基本的には賛成してくれるものであるというふうに考えておるわけでございますけれども、しかし中にはそういう点につきまして必ずしも好意を持たないというふうな事業者もあろうかと思うわけでございます。この第五条でそういう振興事業計画をつくって下請事業の振興をはかってまいるということの必要性等につきましては、さらに私どもといたしましても積極的にあらゆる機会をつかまえて指導してまいる必要があろうかと思うわけでございまして、一般的には第四条の指導、助言というふうなこの根拠規定をもとにいたしまして、親事業者に対して積極的に指導、助言をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
 今回、衆議院のほうで御修正いただきまして新しく第四項が入ったわけでございますけれども、親事業者に対しまして下請のほうの組合のほうから積極的に協議したいという申し出がございましたときには、その作成に協力しなければならないというふうな規定を修正で入れていただいたわけでございまして、この四項の運用につきましても、私どもせっかくこういう規定が入っておるわけでございますので、この規定をもとにいたしまして、親事業者に対しましても積極的に指導、助言につとめてまいりたいと考えます。
#113
○渡辺武君 この単価の問題だとか支払い条件の問題だとかというものは、これは親企業と下請企業との間で一番利害関係のぶつかるところで、私申しあげるまでもなく、長官よく御存じだと思う。そういう一番利害関係のぶつかり合うところの問題ですね。この問題をどのようにして解決していくかということを考えた場合に、親企業の同意がなければ振興計画はつくることができない、こういうふうな法の仕組みになっている。つまり親企業の同意の範囲内でしか振興計画をつくることはできないのです。これは。親企業のほうは力があるのです。その親企業の同意があって初めて振興計画がつくられるというようなことになってくれば、はたしてここでつくられる振興計画というものが、下請企業が自主的に自分の問題を解決するために最もいいと思うようなものが出てくるのか、私はそれは非常に危険だと思う。結局のところは、これは親企業の意思、これが第一になって、そうしてその親企業の意思に沿ったように振興計画が一つくられるということになってしまう。現実の力関係はそうなってくると思う。私はこういうようなことではなくして、親企業の同意や承認がなくとも、下請企業の団体が自分の直面している諸問題を解決するための具体的な改善計画、これを提出する。そういうことができるようにしなきゃならぬと思う。そしてもしそういうことをやることによって親企業が下請企業に対して不当な差別措置、報復措置をとるような場合には、これを禁止し、場合によってはきびしく処罰するという措置をとって初めてほんとうの下請企業の振興計画というものが、下請企業自身の中から自主的に生み出されてくると思う。私はこの法案ではそれが逆になっていると思う。ですから私は言うんです。そういう親企業の承認がなければつくられないような振興計画を出しておいて、そうして先ほど申しましたような親企業の立場に立ったようなこの振興基準、これに照らして大臣が承認する承認しないというようなことをやれば、結局のところこれは親企業振興計画になってしまうんじゃないか。どうでしょうその点は。
#114
○政府委員(吉光久君) この法案で考えております親事業者と下請事業者の関係でございますけれども、これを実は親と下請という関係をいわば敵対概念と申しましょうか、対置概念と申しましょうか、お互いがお互いを敵対概念としてつかまえるというつかまえ方ではなくて、親事業者と下請事業者の間の機能的な協力関係と申しましょうか、そういう概念でつかまえていろいろの体質強化策を立てようといたしておるところでございます。したがいまして、これが親企業のためにのみ、下請をいじめるために使われるとかいうふうなことは、初めから予想いたしていないのでございますけれども、万が一そういうふうなそういう具体的なケースが振興事業計画の中で出てまいることがあるといたしますると、これは実は第六条のところに振興事業計画につきましてその「承認の基準」を規定いたしておるわけでございますけれども、この承認基準が振興基準を援用いたしておるところでございまして、この振興基準に照らして適切であるかどうかということを判断の要素にいたしておるところでございます。したがいまして、一方的に親企業にのみ都合のいいような、そういう振興事業計画が出されるといたしますれば、この基準に該当しないということで、承認が拒否さるべき性格のものであろうかと思うわけでございます。
 それから、先ほどの具体的な御質問の中で、具体的に単価その他につきましての御指摘があったわけでございますが、これらのいまの具体的な御指摘の分野に属するものは、やはり下請代金支払遅延等防止法の体系で取り締まりを強化してやるべき筋のものであろうかと考えておるわけでございまして、その分野はこの法律の振興事業の体系にはそのままの形では入ってまいらないというふうに考えておるところでございます。
#115
○渡辺武君 時間がきましたので最後に一問だけして終わりたいと思います。なおこの法案にはそのほかいろいろ問題点がたくさんあると思うのですが、時間の関係で、はしょるとは言いません一、二の点だけ指摘しておきたいと思います。
 一つは、親事業者と下請企業団体とが一緒になって振興計画をつくるということになりますと、各親企業ごとに、親企業・下請企業でワンセットですね、ワンセットで振興計画が出てくるということになるわけですから、したがってどうしてもこれは下請企業の従属性が親企業の指導のもとで強まっていくということに私はならざるを得ないと思う。先ほどの御答弁では対立的に見るかどうかというような形でおっしゃったけれども、問題は対立的に見るかどうかという見方の問題じゃない。現実に利害関係が相反しているからこそ下請企業の人たちからは親企業のいろんな問題について改善の要求が出てくるわけでありますからして、したがってこれは見方の問題じゃなくして、そういう現実に存在している問題はどのように解決するかということだと思うのです。さてそこで、先ほどもちょっと申しましたけれども、やはり下請企業のそういう問題を正しく解決するためには、下請企業が自主的に団結して、自分たちの要求を自主的にまとめていくということを、法によって保障をする必要がある。親企業が承認しようと同意しようと、あるいはそれに反対しようと、それにはとらわれることなく下請企業がみずからの要求を自主的に提起する、そのことを法で認める必要があると思うのですね。それで、もしそういう動きに対して親企業が報復的な処置を行なうような場合には、それをきびしく取り締まる。こうして初めて下請企業の自主的な振興ということが可能になると思う。こういうことを前提として、先ほどは下請代金支払遅延等防止法の範囲内だ、支払いの問題だとおっしゃいましたけれども、あれも各委員がそれぞれ口をそろえて指摘されたように、もうざる法の典型だと言われている。あの法律ができてからでも、この手形のサイトの長期化あるいはまた下請条件の悪化というのは、これはもうあとを断たないのです。それはいろんな理由もあると思うけれども、一つには、あの法がざる法であるということが大きな原因だと思う。やはりこの点を改善しなければならぬ。特に私はいま下請企業、中小企業全体が非常な金融困難に落ち込んでいる状況の中で、政府関係金融機関、これの改善をもっと徹底的に進めるべきだと思います。たとえば商工組合中央金庫・その他に対する政府の出資、投資をもっとふやさなければいかぬ。そうして資金コストを下げて、安い金利の長期の融資を中小企業に保障することができるように、もっと身を入れて改善してほしい。そうするならば、こんな法は私は必要でないと思う。そういうことをおやりになるおつもりがおありかどうか伺って終わりたいと思います。
#116
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから承っておりますと、たとえば振興基準の「下請事業者の生産性の向上及び製品の品質又は性能の改善」、これなどは親企業のためではないかと言っておられるわけですけれども、自分の企業の生産性を向上し、製品の品質、性能をよくするということは、おそらくこれを望まない下請企業というのは私はないだろうと思う。下請企業のためになるから、必ずそれは親企業にとって不利である、親企業のためになることは必ず下請企業にとっては不利である、何かそういうふうにお考えのように思いますが、私どもはそういうふうには考えていない。確かに力関係ということはございます。ございますが、両方の間で利害調整をするということも、またあるわけでございまして、もし御説のごとくであるならば、下請企業の改善というものは、親に対する闘争にしかやりようがないということになるのではないか。私どもはそういうふうに考えておりません。私どもの考えておりますことは、力関係が確かに下請のほうが強くないのでありますから、このたびのような方法によって、親と下請の関係を政府も介入して適正なものにしていきたい。それが下請企業の自主性の回復及び強化につながる道であるというように考えているわけでございます。したがって、渡辺委員のお考えのようにたどっていきますと、この問題を結局親と下請の協力の形で解決するということ、その構想そのものが間違っているのである、こう言っておられるのかと思いますが、私どもはそうは考えていないわけでございます。なお最後に言われました政府関係機関の金融機関の問題は、これはまさにそのとおりであろう。私どもそういう方向で努力をいたすべきだと思います。
#117
○渡辺武君 私の考えの問題について言われたので、ちょっと誤解があると思うので、一言だけ。
 いま大臣が私の考えについて言われましたがね、誤解があるようですから一言だけ申しあげておきますけれども、下請企業の設備が近代化するとか、品質が向上するとか、そのことがそっくりそのまま親企業のためになっちゃって、下請企業のためには何もならないのだというふうに私は考えているのではないのです。そうじゃない。それも必要でしょう、大いにやらなければならぬことです。しかし一番根本の問題は、親企業の横暴によって下請企業がいろいろ苦しめられている。下請単価をどんどん切り下げる、せっかく設備を改善しても、まるでもって下請企業に何のメリットもないどころか、ずっとコストを、手元を見ては下げてきているのが大体現状なんです。そういう関係の改善を前提条件にしなければ、下請企業の設備の合理化、改善といっても、これは結局のところ親企業のためになってしまう。そのことを私は言っているのです。ですから、いま下請業者が最も切実に解決を求めているのは、それは大臣も言われるように、設備の近代化その他を求めていることは、これは明らかだ。しかしそれだけじゃない。むしろ最も求めているのは、下請関係そのものの改善です。独占大企業、親企業の横暴を、これを何とか解決してほしい、これが一番の切実な問題です。これを抜きにしてこういう法案が出てくるから、だから私は言っている。あなた方は本気でこの下請関係の改善ということを考えるならば、まず一番最初に、法の趣旨として第一条にそのことがはっきり盛り込まれてしかるべきである。ところが政府原案にはこれは出ていない。法の体系そのものがそうなっていないのですよ。そうして業者が団結して何とか解決したいという希望を逆手にとって、それに親企業の承認がなければ事業計画はつくることができない。そうしてさらにまた主務大臣がこの振興基準に照らしてそれを承認しなければ下請企業に対する特別な融資その他の優遇措置もない、こういう仕組みになっている。結局のところ、これは親企業の立場を、これを第一にして、それに合致したように下請企業を持っていこうということにすぎない、そのことを私は言っているのです。誤解のないように。
#118
○理事(大谷藤之助君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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