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1970/12/15 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 農林水産委員会 第3号
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1970/12/15 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第064回国会 農林水産委員会 第3号
昭和四十五年十二月十五日(火曜日)
   午前十時二十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十一日
    辞任         補欠選任
     津島 文治君     小林 国司君
     矢野  登君     任田 新治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         園田 清充君
    理 事
                亀井 善彰君
                高橋雄之助君
                達田 龍彦君
                村田 秀三君
                沢田  実君
    委 員
                河口 陽一君
                小枝 一雄君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                鈴木 省吾君
                田口長治郎君
                任田 新治君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                川村 清一君
                北村  暢君
                武内 五郎君
                前川  旦君
                宮崎 正義君
                河田 賢治君
   衆議院議員
       農林水産委員長
       代理理事    三ツ林弥太郎君
   国務大臣
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
   政府委員
       農林政務次官   宮崎 正雄君
       農林大臣官房長  太田 康二君
       農林省農林経済
       局長       小暮 光美君
       農林省農政局長  中野 和仁君
       水産庁長官    大和田啓気君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局食品化学課長  小島 康平君
       農林水産技術会
       議事務局研究参
       事官       川井 一之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農薬取締法の一部を改正する法律案及び農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案を一括して議題といたします。
 この際、両案に対して衆議院の修正点について、衆議院農林水産委員長代理理事三ツ林弥太郎君から説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長代理三ツ林弥太郎君。
#3
○衆議院議員(三ツ林弥太郎君) 農薬取締法の一部を改正する法律案並びに農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案に対する衆議院における修正の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、農薬取締法の一部を改正する法律案の修正の趣旨を御説明申し上げます。
 修正の第一点は、登録農薬の販売が禁止された場合、当該農薬の回収規定を設けたことであります。
 すなわち、販売禁止措置がとられた農薬が回収されることなく、農家等農薬使用者のもとにそのまま放置されることは、これら危険な農薬が販売禁止後もなお使用されるおそれがあり、これが改正案の趣旨とする農薬安全使用確保の徹底を欠くといった事態を招くことは十分考えられるところであります。
 このため修正案は、かかる事態の発生を防止するため、製造業者もしくは輸入業者または販売業者は、販売禁止にかかる農薬につきこれを防除業者その他の農薬使用者から回収するようつとめる旨の規定を設けたことであります。
 修正の第二点は、指定農薬の使用にあたっての指導体制を定めたことであります。
 指定農薬は、その残留毒性等により人畜に被害を及ぼすおそれがある農薬であり、これが使用にあたっては、農林大臣の定める使用基準の厳守、または都道府県知事の許可を必要とする等のきびしい使用規制が行なわれ、これに違反した場合は罰則の規定が設けられているのであります。このため、これら指定農薬の使用にあたっては、農薬使用につき十分の知識をもった者の指導のもとにこれを行なわせ、その使用基準等の厳守の徹底をはかる必要があるのでありまして、修正案はかかる点にかんがみ、指定農薬の使用に際しては、農業改良普及員もしくは病害虫防除員またはこれらに準ずるものとして都道府県知事が指定する者の指導を受けるようつとめる旨の規定を設けたものであります。農業改良普及員、病害虫防除員等に対する農薬安全使用のための研修の強化等の措置と相まって、本修正により農薬の安全かつ適正な使用が期待されるのであります。
 衆議院農林水産委員会において、十二月九日、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により全会一致をもって修正すべきものと議決し、翌十日の本会議において修正されました。
 次に農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案の修正の趣旨を御説明申し上げます。
 修正の第一点は政令で定める特定有害物質について、カドミウムその他の物質として、法に例示したことであります。
 修正の第二点は、都道府県知事が汚染対策地域を指定する場合に、汚染地域の市町村長は、当該地域を汚染対策地域に指定するよう都道府県知事に対し、要請することができる道を開いたことであります。
 修正の第三点は、右の市町村長の要請に対応し、都道府県知事が対策地域のうち特別地区を指定する場合においても当該市町村長は、都道府県知事に対し、特別地区として指定するよう要請することができることといたしました。
 修正の第四点は、農林大臣が、農用地の土壌の汚染防止に関し、関係行政機関の長または関係地方公共団体の長に対し、他の法令に基づき必要な措置をとることを要請するものとすることについて、必要な措置を要請し、または勧告するものとすることに改めたことであります。
 修正の第五点は、都道府県知事は、農用地の土壌の汚染に関し、必要に応じて調査測定を実施し公表することとしている点について、十分に調査測定をなし得るよう「必要に応じて」を削除することといたしました。
 修正の第六点は、国及び都道府県の援助について、必要な助言、指導その他の援助を行なうようにつとめるものとする点を、必要な助成、指導その他の援助を行なうようにつとめるものとすることに改めたことであります。
 衆議院農林水産委員会において、十二月十日、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により全会一致をもって修正すべきものと議決し、同日の本会議において修正されました。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(園田清充君) これより農薬取締法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#5
○北村暢君 農薬取締法の一部改正案についての審議にあたりまして、私はまず政府のこの公害問題に対する基本的な考え方について大臣にお伺いしておきたいと思うのであります。それは、無過失責任の問題について、個々の事態についてこの問題を処理していくという考え方で今後検討するということのようでありますが、これについて農薬等についてもいわゆる農薬公害という問題が最近非常に強く出てきたわけなんですが、この問題について一体責任がどこにあるかというような点について非常に不明確な問題が次々に起きてきている。そういうことで、この農薬関係における無過失責任の問題について、一体大臣は今後どのように対処していこうとしているのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
 ということは、具体的な例をあげれば、けさの毎日新聞にも、中学生の集団高血圧の問題が出ています。これは埼玉県の百間中学校のいわゆる若年者の高血圧の問題がいま問題になっておって、それは農薬に原因するものであろうというので、来春の学会において発表する、医学会の総会において発表するという記事が出ているわけなんですが、これが、集団高血圧が農薬に原因するのかしないのかということは、まだはっきりしておらないのかもしれませんけども、そういうことが出てきている。そうすると、これは一体、この有機燐系の農薬によって集団高血圧が出たということになれば、登録農薬を使い、そうして使用方法に基づいた使用をやっておってそういう被害が出てきた、こういう問題が出てきた場合に、一体これはだれの責任になるのかという問題が出てくるだろうと思います。そういう点について、一体この農薬取締法に基づいて、農薬に関する行政をやっている立場にある農林省として、これらの問題について将来どう対処していくか。これはまあ大部分は厚生省に関連する問題でもあるかと思いますけれども、農薬の主管官庁は農林省でありますから、当然これは関係ないとは言えないだろうと思うのですね。厚生大臣おられれば厚生大臣にお伺いしたいのですけれども、これは。各委員会があって、厚生大臣なかなか出席できません。そういう点で、まあ農薬の主管官庁である農林省としては、この無過失責任の問題について、いま申したような例からいって、いままでどんな検討がなされ、将来どういうふうに対処していこうとしておるのか、この点をまずお伺いしておきたい。
#6
○国務大臣(倉石忠雄君) 公害につきましては、政府もこのまま放置いたしておくわけにはいきませんので、政府にいままで、御存じのように、それぞれの所管の省でそれぞれのお考えを持ち、対策を講じておったわけでありますが、それでは不十分であるということで、政府部内に公害対策本部を設けまして、総理みずからその本部長になって、各省はそれぞれの所管事項の範囲内の問題を、それぞれ重複する面もありますし、あるいは交錯する面もありますので、ばらばらな行政をやらないで、公害対策本部に全部集中して、そこでそれぞれの検討をし、統制ある対策をやっていくべきである、こういうことで本部が設けられたわけであります。したがって、私は行政能率を発揮するためにはこのほうが非常にいいと思っておるわけであります。そこでただいまお話のありましたような当然無過失賠償責任という問題がこの公害問題に相伴って出てくるわけであります。そこでこの問題につきましては、今回の議会でも十四の立法をお願いしておるようなわけでありますので、そこで各省それぞれいろいろな見解を持ちますし、また個々別々のケースについてそれぞれの意見が出てくるわけでありますが、こういう一般的な、普遍的な問題については、きわめて重大な問題でもあるので、政府として公害対策本部で検討をいたしまして、なるべくすみやかにその態度を明確にして措置をいたしてまいりたいと、こういうことでありますので、公害対策本部で政府全体としての考えを統一して対処してまいりたい、こういう考え方であります。
#7
○北村暢君 公害対策本部で統一して問題の処理に当たる、こういう考え方、それはそれでいいと思うのですけれども、統一して当たるにあたって、関係各省全部それぞれ関係あるわけですね。ですからその統一して当たるのに、処置するにあたって各省の態度というものが持ち寄られて、そこで統一ある見解というものができるんだと思うのですね。したがってそういう点についての各省の担当の――農薬なら農薬取り締まりをやっておる農林省として、この無過失責任の問題についてどういう見解でその統一された機関に臨むのか、そのことを聞いておるわけです。これは政府の答弁でも私は農林大臣の表現のしかたと他の大臣の表現のしかたと若干ニュアンスの違いがあるように受け取ったのですがね。そういうような点からして、主管官庁の農林省は一体無過失責任の問題についてどういう態度でその統一されたところへいって発言なり、意思表示なりするのかということが気になっています。そういうことで、総合化されちゃって、農林省の分担は統一されたところでやるんだということで責任のがれをしたような感じを受ける。だから私は具体的にいま農薬が原因と思われる集団高血圧の問題について例を出して、こういう場合の無過失責任の問題について一体農林省はどういう態度でいかれるのですかと、こう聞いておるわけです。それを総合化されちゃって、うちのほうはまだ何とも意見もなければ何もないということでは、ちょっと私はこの場を逃げるだけのことでしかすぎないと、こういうふうに思うのですがね、どうなんですか。
#8
○国務大臣(倉石忠雄君) 無過失によって損害賠償の責めを負うということは、一方から考えれば 民法上の重大な問題であることはおわかりのとおりでございますので、各省ばらばらな意見をそのまま言っておるよりは、政府全体としてこういう場合にはどう、こういう場合にはどうという検討をした上で政府としての統一ある措置をいたしたい、こういうのでありますから、それには農林省は自分の見解はもちろんいろいろ出し合わなければなりません、各省とも。その上で方向をきめてまいらなければならぬと思いますが、どういうふうなきめ方になるかということはこれから検討をしてみないとわからないことでありますが、私どもは、そこでわれわれの考え方はいろいろデータに基づいて主張をいたさなければなりません。政府の見解というものをひとつまとめて出そうではないか、こういう考えでありますので、それまではまあ私どもとしては政府の考えはこうだというわけにはいかないと、こういうことであります。
#9
○北村暢君 かりにですね、だから私がいま一つの例を出した。これはもう来年の学会でこの集団高血圧の問題が報告されて、これが農薬に原因した。ところが農民は使用においてあやまちがなかった。登録されたりっぱな農薬を使ったその結果がこういう集団高血圧になったという場合に、また製薬会社も登録をしてりっぱに農薬として使用していいということだ。そういう場合に一体だれにこの責任があるのか、そういう問題なんですよ。
 これは、農薬を所管する農林省としてはそれが原因でこの集団高血圧が起こったということになれば一体だれに責任があるかということをこれはやはり当然検討されなければならないと思うのですがね。だから私具体的な例を出してこれを聞いているわけなんですがね。そういうのは農林省は検討したこともないし、今後起こってみなければわからないから検討してないならしてないで、具体的な農薬の、これは農林省の所管なんでしょう。それでこういう事故が、公害が起こったといった場合にですよ、農林省が何ら見解もなければどうしていいのかわからないというのじゃ、これ今後の農薬行政をやっていく上において問題があるのではないかと思うから具体的に聞いているわけなんです。それも答えられないですか。
#10
○国務大臣(倉石忠雄君) そういう個々のケースにつきましてはいままあ新聞の記事を御指摘になりましたが、われわれのほうでは因果関係がはたしてどういうものであるかということもやはり技術的に検討しなければならないでしょうし、しかもわれわれの指導のとおりにやっておってなおかつ被害が出てまいったというようなことになりますればこれを取り消しの処分をするなり、それから賠償責任の問題も出てまいりましょう。そういうことについてはそれぞれ私どもといたしましての見解は出るわけでありますが、その無過失賠償責任という問題について、民法上のそういう大きな問題についてはばらばらなことをせずに政府全体としての態度を決定いたしてまいりたいので、もうちょっとさらに――いまはまあ国会でみな忙しいときであります、さらに続けて検討いたして政府の方針をきめる、こういうことでございます。
#11
○北村暢君 まあなかなか大臣は勇み足の答弁はしない大臣ですから、慎重な答弁しかしないので、これ以上押し問答やっても進みそうもありませんから、私はこの問題はこれでやめますけれども、どうもこの問題に対する農林省の取り組みというものが従来欠けているんじゃないかということを私は心配しているんです。ということは、今日までの農薬の行政というものは、農薬取締法の成立過程からいって、農薬の成分なり、品質なり、こういうものに重点が置かれ、三十八年かに、いわゆる毒性の問題が出て、指定農薬制度が設けられたという程度で、とにかく農業生産の増産に対する農薬の効果という、こういう面からしかとらえていなかった。今度の改正で初めてこの農薬の公害という問題をとらえて改正がなされるわけですね。そういうことでいままでこういう問題についてこの農薬公害といわれるような問題について、データもなければ経験もない、ところが急速にこの農薬が伸びてまいりましたので、いろいろな公害が出てきた、出てきたところでいま非常にとまどっておる状態なんだ、私はそう思いますね。次から次へ出てくる問題について、何らの準備もなければデータも持っておらぬ、こういう状態です。しかし農薬のほうはどんどん先行して、登録点数もばく大にふえてきている、こういう状態でしょう。したがって、そういう面からいって、無過失責任だの何だのという問題について、いままで農林省内部で検討すらしたことがないのではないかと思うのですよ。それを農林大臣はうまく公害対策本部で統一的な処理をするというようなことで、それはそれなりにおっしゃるとおりなんでありますけれども、私は将来、これは必ず問題になることだが、今日までそういう点について非常に欠けている点があったんじゃないかと私は思うのです。したがってしつこくお伺いしたわけなんですけれども、当然これは農林省としても、主管官庁が農林省なんですから、必ずこれは問題になる。これは先般の除草剤の問題のときにも、厚生省へ行けば農薬は農林省だ、毒性について農林省へ行けば厚生省だと、とにかく責任のなすり合いのようなことで、どこに真剣にこの問題を考えているかということについて非常に大きな疑問を持っている。ですからお伺いしているわけでありまして、まあ今後この問題については私は次の土壌汚染のところでもこれは当然出てくる問題ですから、あらためてまた次の機会にやることにいたしまして先へ進みたいと思います。
 そこで、先ほど申しましたように、米の全国平均の反収が昭和三十一年当時三百五十キロ程度、ところが最近四、五年では四百五十キロ前後ということで、三割強の増収がはかられている。これは農業技術の進歩によりまして、早期栽培あるいは密植、多肥とともに農薬の大量使用ということがこの米の増産に非常に大きな役割りを果たしていると思う。他の農産物についても農薬の大量使用というものが増産に大きな貢献をしていることは、もうこれは否定できない事実であります。そこで、このいわゆる農薬の公害とも言われるものが、いま直接公害あるいは急性のいろいろな農薬の公害が起こってきているわけでありますが、これについて一体政府の考え方というものが、今度の法律改正の目的等にも出ているわけでありますが、この目的のところで、「農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与することを目的とする。」ということで、この農業生産の安定ということがこの農薬の取り締まりの目的にあげられておるわけなんです。そこで佐藤総理も言っているように、経済の発展はあくまでも手段なんだ、環境の整備ということ、これが基本である、こういうことを言っておるんですが、一体農林省のものの考え方というものはどちらに重点があるのか、この目的から判断するというとやはり農薬の取り締まりの目的というのは農業生産を安定させるためのほうに重点があるのか、国民の健康保護のほうに重点があるのかですね、これがどっちが優位しているのかちょっと疑わしい目的になっておると思うのです。従来の感覚からすれば、これは当然のことなんでありますけれども、ところが最近の公害問題がやかましくなってきてからは、まず国民の保健ということがあるいは生活の環境の保全ということが優先的に考えられなければならない、こういうふうに思うんですけれども、一体、この目的を新たに設けたわけですが、その目的の表現のしかたにおいて、基本的な政府の考え方というものが那辺にあるのか。農薬の問題に対する政府の考え方が変わったのか変わらないのか、ここら辺に疑問を感ずるわけなんですけれども、ひとつ所見をお伺いしておきたい。
#12
○国務大臣(倉石忠雄君) お示しのございましたように、最近だんだんと技術が進歩してまいりました。それに加えて、農薬のようなものが、農薬それ自体として効果のあるいろいろな薬剤が発明され、それの散布中に中毒事故や、食品中に残留農薬による国民の健康への影響など、問題となるに至ることが、御承知のようにたいへんふえたわけです。そういう農業を取り巻く環境のもとで、今回農薬取締法の一部を改正いたしまして、毒性、残留性等についてきびしい検査を実施して、危険な農薬を排除し、また一部の農薬について使用をきびしく規制することといたしたわけでありますが、こういうことによりまして、人畜に対する危険のない、無害な農薬の生産と、安全にして適正な使用を確保いたしまして、国民の健康の保護をはかることといたしたわけでありますが、北村さんも御存じのように、農業というのはそれ自体を維持することによって環境の保全ということも伴ってまいるわけでございまして、他の工業などとはその点において同じ産業でも著しい相違があると思いますし、またいま私が申しましたように、農薬を気をつけることによって国民の健康の保護をはかることもできる、それからまた国民に必要な食糧を安定的に供給する上で、農薬というものがやはり今日の状況から見まして、その生産をあげてまいるためには欠くべからざるものとなっておる事情等を考慮いたしまして、これら安全無害な農薬をもって農業生産の安定的成長をはかってまいりたい、こういう考え方でございますので、もちろん環境保全が一番大事なことでありますけれども、御存じのように、もし農薬を全然使用しないというふうなことでありますというと、環境の保全も困難になってまいりますし、せっかくの農業それ自体が荒廃するようなことにもなるわけでありますので、その辺は他の工業等とは比較にならないのではないかと思いまして、私どもそういう趣旨でこの目的を定めておるわけであります。
#13
○北村暢君 目的については若干――大臣は農薬を使うことが環境の保全になる、こういう見解のようですが、また農業生産の安定をはかる意味において大事だ、そのことを否定するわけではもちろんないのですけれども、ただ生産が上がれば少々の公害が起きてもやむを得ないという感覚、これはやはり改めるべきでないか、農民も決してそのことは望んでおらないのです。私もよく農業団体の皆さんとも懇談しますが、やはり消費者が農民のつくったものを安心して食べてもらえると、ここに問題があるんですよ。ですからどういう農薬を使ったと、したがってこれは絶対に安全ですと、こう言って安心をして消費者に食べてもらいたい。これは農民も農業団体もそう考えている。そういう危険性のない食糧を提供するというのが、農民のほんとうの考え方だろうと思う。一時の収穫が多くて所得が上がったといっても、出したものが市場で食品検査で、いわゆる有害物質が入っておるということになれば、これはたいへんなことで、そのことによる農民の被害というのは、かえって大きくなって出てくるのでありますから、それは望んでいないのですよ。ですからまず国民食糧として絶対安全であるということを農民は望んでいるわけです。したがって政府が農薬を登録し、登録された農薬でこういうふうに使えるということで使った、その農薬で自信を持ってやって、そして市場に出た食べものが食品公害――食糧として不適である。こういう問題が出てきたという場合に、これはもう農民としては決して望むところではない。そういう意味において、まず安全であるということを第一義的に農民は望んでおる。農民はこの薬を使ったならばどういう害があって、人体にどうなる、こうこうだということは実際わからないわけですよね。もう政府の登録したものは、使用基準に従って使えば安全だと信じ込んでいるのですよ。それが今日キュウリの汚染の問題とか農作物の汚染の問題として市場で騒がれてきているわけでしょう。こういうことは望んでいないわけですよ。
 ですからそういう意味において、私は目的がまず安全であるということ、それが農民もまた期待しておる。何かしらこの農薬の問題を論議するときに、あまりきびしくやるというと、農業生産ががた落ちするのではないか、そういうような感覚で論議になるわけなんですけれども、危険性の問題についても追及することを手控えておこう。そのことは決して長い目で見て、将来の農民のためにプラスになるということにはならない。この際やはり私は農民もまた安全であることの指導を望んでいるわけなんですから、これをやはり農薬取り締まりの目的として堂々と出すべきである、こういうふうに思うのです。何か農薬を使うことが大事なんで、ということで安全性のほうがこう従になるというようなことでは、これはせっかくの法律改正する際における立場として私はまずいのではないかというふうに思うのです。ですから政府は責任をもって農薬を取り締まりしているのだから、市場に出たものについては絶対に安全なんだということを消費者に理解してもらう、そういう目的でなければならない、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
#14
○国務大臣(倉石忠雄君) いままでいろいろ北村さんの御意見ずっと長いことおつき合いをして承っております。その間全部が全部一致しないときもありますが、ただいまのくだりは、もう全部全くそのとおり同感でございまして、目的もそういう趣旨でございまして、もうただいまおっしゃいましたような方向で農林省は安心してやってもらえるように、そういうことに重点を置いて指導してまいりたいし、また農薬につきましてもそういう見地に立ってひとつ万遺憾なきを期するように、なお今後ともそういう方針で指導してまいるつもりであります。
#15
○北村暢君 そこで従来の農薬の使い方が、いわば農薬メーカーの宣伝的なものに若干乗ぜられているんじゃないかという感じがする。ということは、病虫害の発生する徴候のもうない時期に予防的ということでもって農薬をまき散らす、いわば農薬を乱費しているという傾向すらあるのではないかということが言われているわけです。それでいま最も安いBHC、DDT等が生産中止をする、ドリン系はほとんど禁止状態、こういうことで従来農家で、日本の農業が大量に使っていた農薬が次々とこの製造中止、使用禁止というような形でいまきております。そういうようなことで大量の農薬使用を伝統とする農業技術というもの、あるいは経営の方法というものは大きく反省する時期にきているのではないかということが言われている。また戦前の農業のようにまず病害虫に強い品種を、いわゆる有機肥料による健全な農産物の育成をして、病虫害に強い作物をつくっていく、こういうような非常にオーソドックスな農業技術というものが検討されなければならないのではないかというような意見が若干出てきているようです。そういうような点からいって、一体農薬に対する、大量の農薬使用の農業技術というものについて反省すべきであるという意見が若干出てきている。これについていままでの、農産物増産一点張りのこの農林省の指導、農薬使用についての指導というものが転換されなければならないのではないかという意見がありますが、農林省は一体今後どういう施策をとり、指導していかれるのか、この点をお伺いしたい。
#16
○政府委員(中野和仁君) ただいまの御指摘でございますが、お話のようにこの十数年非常に日本では農薬の使い方がふえてきております。その点につきましていま御指摘のありました点の問題も私もあろうかと思います。そこで農林省といたしましては、一つにはやはり急性毒性なり残留性の多いような農薬をやめていきまして、低毒性のものに切りかえるということを、もうしばらく前から努力をしてきております。と同時に来年度でございますが、これは私のほうの農林水産技術会議のほうでございますけれども、農薬に生物農薬と申しましょうか、天敵を加えた総合的な防除の方法をどうしたらいいかということも試験研究をやるということで、相当な予算要求を現在やっております。そこでわれわれとしましてはできるだけ、先ほど仰せになりました予防的にむやみにまくということはもう当然やめなければなりません。そのために過去から病害虫発生予察事業ということもやっておりますけれども、今後ともやはりそういう点には十分注意して、適正な量を適当な時期にまくということに気をつけていかなければならないと思うわけでございます。ただそうかといいまして、たとえば除草剤の例を引いてみますと、除草剤には問題のある農薬もあるわけでございますが、それを全部やめてしまって、もう一ぺん田の草取りを腰をかがめて手の労働だけでやるということも、なかなか今後の農業を考えますといけないわけでございます。やはり低毒性の農薬に切りかえて農業生産の安定をはかっていく、そういう面での試験研究、それと行政指導が合わさっていくべきだというふうに考えております。
#17
○北村暢君 次に今度の法改正の中で登録制度の改善について、従来の薬効、薬害に関する試験成績調書に加えて、毒性、残留性に関する試験成績調書を提出しなければならないことを規定しておるわけなんですが、この毒性の問題については従来農林省は、これは厚生省の毒物劇物取締法に基づいてやるということで、農林省では毒物劇物の問題については触れておらないのですが、の毒性の試験成績調書というのは一体どういう内容のものを考えておるのか。それと厚生省の所管である毒物劇物取締法との関係は一体どういうふうに処理されるのか。これらの関係について若干お聞きしたい。
#18
○政府委員(中野和仁君) 御指摘の毒物及び劇物取締法との関係は急性毒性の問題でございますが、これにつきましては、試験成績をとる場合に、急性毒性試験検査、これは主としてネズミを用いた経口の投与試験というのをやっております。それから、もう一つは魚類に対する毒性試験、これにつきましては現在すでに公定検査法できめておりまして、コイを用いて試験をやっております。こういうことで、試験をやりました結果、厚生省にその試験成績を送りまして、そこで毒物なるか劇物なるかということを指定をしていただきます。その結果をもちまして農薬の登録をするということにいたしております。
#19
○北村暢君 そうしますと、毒性の試験成績調書というのは、厚生省の所管の毒性担当を経てその成績調書をつけて出すということのようですがね。そこで、毒性の問題についてお伺いしますが、これは急性毒性、慢性毒性いろいろあるようですが、催奇性というのがいま問題になってきているわけです。いわゆる除草剤の二四五T等の催奇性の問題が問題になってきているのだが、この毒性の中に催奇性というのはどういうふうに取り入れられるつもりなのか。二四五Tは現在、劇物でもなければ毒物でもございません。それで登録された農薬です。その登録される内容については、おそらく催奇性の問題については触れられておらない。いないはずです。しかし、現実にこれは国際的な問題になっている。ですから、今後、毒性の問題と関連して、催奇性の問題はどのように取り扱うのか。この際お答えいただきたいと思います。
#20
○政府委員(中野和仁君) 権威ある御回答はあるいは厚生省からいただいたほうがいいかと思いますが、いま御指摘の二四五Tの問題、当委員会でもしばしばお話があったわけですが、これにつきましては、やはり催奇性も毒性の一種ではないかと私も思います。ただ、これにつきまして、アメリカにおきまして、妊娠初期のネズミに多量に投与した場合に奇形児の発生が増加するという報告があるようでございますが、人に対する影響はまだはっきりしておりません。そこで、アメリカにおいては、森林用には使うということになっておりますが、また一方、スウェーデンでもそういう問題が起こってきましたけれども、スウェーデン政府の調査では、これがまだ否定されておるような状況でございます。いずれにしましても、催奇性もやはり毒性の一つだと思われますので、それが明確であれば、やはりそういう試験をいたしました結果、ぐあいが悪ければ当然登録は保留をするとか、あるいは現在流通しておるもの、たとえばこれは今度の改正法によりまして取り消しをするということになるわけでございます。具体的には、二四五Tの問題については、まだ私のいま申し上げたようなのが諸外国の事例のようでございます。
#21
○北村暢君 厚生省はその点についての担当者は見えてないのですね。――見えているのですか。
 それじゃ厚生省にお伺いしますが、いま中野局長から御答弁ありましたが、若干答弁あいまいで、現実にどのようにするのか。いま直ちに問題になっている問題でありますからね。現在の登録農薬としては、催奇性の問題は考慮に入っておらずに登録されているわけですね。ところが、国際的にいま問題になっているそれについて、一体厚生省は、催奇性の問題を毒性とみなして毒物劇物等の取り締まりの対象にする、こういう方針なのかどうなのか。いかなる検討をされているのか。この点をお伺いしたい。
#22
○説明員(小島康平君) 厚生省といたしましては、先ほどのお話の毒物劇物の取り締まりの立場、もう一つは私どもの食べものの中に残ってまいります農薬の食品衛生法による取り締まりと、両面からやっておるわけでございます。毒物劇物は、これは急性の中毒を主体といたしましたものでございまして、それを取り扱う者が被害を受けないようにという立場でございまして、先生のお話の催奇形のようなものは、この毒物劇物のほうは考えないことになっておるわけでございます。それからもう一つ、食品につきます残留農薬のほうは、これは急性中毒などが起きてはたいへんでございまして、慢性という立場から考えておるわけでございまして、当然、そういった立場から、催奇形ということも考えなければならないということでございます。
 ところが、農薬につきましては、厚生省が取り締まりを始めましたのが最近でございまして、現在私どもとしては十四食品についてその残留基準をこしらえたわけでございますが、同時に、一昨年から、農林省のほうと御相談をいたしまして、新しい登録農薬については、毒性という面からそれ以前にはあまり十分チェックはされていなかったものを、今後は登録の際に十分なチェックを行なうということで、一昨年から、毒性資料の提出というものを新農薬の登録申請の際につけさせまして、それを私どものほうへ御送付をいただいて、そうしてこれを私どものほうの委員会にかけまして、その意見を農林省のほうへ御回答をした上で新農薬の登録が行なわれるということになったわけでございます。しかしながら、非常に残念なことに、わが国におきます大学その他公共的な研究機関というものがまだ不十分でございまして、新しい農薬について十分な慢性毒性の試験を行なうということを農薬の登録者に義務づけるということが当時の事情としてはむつかしい状況にありましたので、現在は三カ月間の亜急性毒性というものの提出を義務づけまして、それによって非常に大幅な安全率をとりまして、登録をよしとする、登録を可とするというようなことにいたしまして、その後、農林省で登録が行なわれました後におきまして、私どもの国立衛生試験所において慢性毒性試験、それから先生のお話がございました催奇性の試験の実施をいたしまして、その安全性を確かめる。その上で農林省が広く使用を実際に認めていくというような形にしたいということで、現在それを実施しているところでございます。
 それからまた、一昨年以前におきまして許可になりました農薬、これにつきましては、残念なことにそういったシステムがとられていなかったわけでございますが、それらの農薬の主要なものの多くは、すでに国外におきましてそういった試験がございますものが多うございます。それからまた国連のWHO等で評価したものもございますので、そういう資料を参考にする。そうしてまた私どもとしては、そういう資料のないものにつきましては、これは別に計画を立てまして、私どものほうで、昭和三十九年から国立衛生試験所におきまして、慢性毒性試験の洗い直しと、それからまた現在は催奇形試験のないものについては催奇形試験というものを実施いたしました。こういった計画で、大体昭和四十八年ごろまでには過去において許可になった農薬についてもすべて洗い直しをするというような計画を立てて現在実施しているところでございます。しかしながら、これは先ほどお話しいたしましたように、食品に残留する農薬でございまして、先生いまお話しの二四五Tつきましては、これは食品に関係のない森林等で使用されるというようなことでございますので、これにつきましては、私どもあの二四五Tが問題があるという御報道がありましたときに、農林省のほうとも御相談をいたしまして、これは人間に接触するようなところでは使わないでいただきたいということで、農林省のほうもそのような御指導をなさっているというふうに承っております。
 以上でございます。
#23
○北村暢君 一応の説明はわかりますがね、この二四五Tの催奇性の問題について今後検討をして毒性に入るか入らないかということについてこれからやると、こういうことですね。ですが、これは森林で使うものだから人間の接しないようなところで使えばいいんだと、こう簡単にはいかないのでありましてね、現実にヘリコプターでこれを散布しておる。その場合に付近の農作物に飛んでいって農作物が枯れたという事例が現実にある。そして、それに対して補償も――補償というか見舞い金というか、そういうものを実際にやっておる、こういう事態があるわけです。従来も農林省の、林野庁の説明を聞いても、アメリカでも使用は農村に近いところ、農作物をやっているところ、飲料水に使うような河川、そういうものに近いところでは使わないことにしている。条件つきで使っているんだから、日本でも使って差しつかえない、こう言うんだけれども、アメリカの森林地帯というのは人里離れて人のいないところ、これはまあ飛行機で伐採その他に行って、その伐採をするというような奥地であって、人間のいないところで使う、そういうことであって、日本国内から言えば、これはどこへ行っても、どんな山奥に行っても人家のないところはないくらいになっているでしょう。そういうことであり、実際に使った例からいって、そういういま申したようなあやまちが起こっている事実がある。一体地元民は非常に不満、不安がっておる。なおかつこれは絶対安全なんだといって使っている。こういうことなんで、この問題は前の委員会でも私やりましたから詳しいことは申し上げませんけれども、とにかく二四五Tそのものの催奇性ではなくして、いわゆる來雑物のディオキシンが催奇性なんだということを言われているようでありますけれども、最近では二四五Tそのものが催奇性があるんだということがアメリカの雑誌等でも報道されており、政府自体もそれを認めるという段階、しかもこれはきょうの毎日新聞でも出ておりますように、ベトナムの枯葉作戦に使ったのが、この二四五T。長野のお医者さんがベトナムへ行って、実際にこの奇形の――これを使ったと思われるところにおける奇形児の幾つかの写真を持って帰られる。きょうの毎日新聞では、これ、写真出ておりますね。こういう奇形児が発生する、そういうことが実際に出ておるし、もうスウェーデンでもトナカイの奇形が大量に出たというので、生産を停止しておる。そういう国際的な実証がどんどん出ておる。ところが日本ではいまだ何らの研究もされていない。そして研究なしに安全だと称してそして使っておる。催奇性の問題が出る以前は、催奇性だなんということはまず問題にされていなかった。登録する際にも催奇性の問題は問題になっていない。その後出てきている。こういう状態なんです。したがってこの毒性の問題についてですね、いままでの登録農薬全部再検討するというのでありますから、しかもこの国際的にこういう大きな問題になっているものをですね、林野庁はいま使っておる。いま国があげて公害を絶滅しようとしているときにですよ、国みずからがこの二四五Tをヘリコプターからばらまいておる。こういうことが一体感覚として許されることなのかどうなのかですね。したがって私は先ほど目的のところでも言ったように、これは農薬として農業だけの問題である。これは林業用の農薬であって、今度の改正の対象にはならない。りっぱにこれは農薬取締法によって登録されておる農薬である。そこまで今度の改正の中で当然考えられるべきであったと思う。これは抜けておるんです。
 そこで私、大臣にお伺いしたいんですが、これは来年の春、直ちにこれは林野庁等が使う使わないで各地で大問題になる。それの中で林野庁は絶対安全なんだから、絶対使うということでもってですね、なわ張りをして、なわを張って住民を入れないようにして、そしてこれを使用しよう。まいたあとには人も入れない。禁止をする。いろいろ使用の方法等あるんでしょうけれども、それまでしてこの国みずからが公害をばらまかなければならないという理由はどこにもないと思うのです。したがってこれはですね、先ほどの食品化学課長から御説明がありましたが、全く農林省と厚生省のこの問題に対して、人のいないところで使えばいいんだと、こういう簡単な割り切り方をしているというところに非常に大きな問題がある。これはひとつ差し迫って使うか使わないかの問題でありますから、大臣からこれはこの際はっきりこの問題に対する今後の方針なりそれから使用その他についての具体的な問題についての処置についてどう対処せられるのか、この際お伺いしておきます。
#24
○国務大臣(倉石忠雄君) 二四五Tの問題はこの前もお話がございましたけれども、これは厚生省の専門家の御意見も十分に聞きながら善処してまいりたいと思っております。なお研究をしなければいけないと思います。で、御存じのように、ただいまはもうこれを使う適期でありませんのでいまは使っておりませんし、私しろうとでよくわかりませんが、何十年に一回使っていくもののようでありますけれども、十分にひとつ慎重に検討してまいりたい。これが毒性が明確になりますれば、もちろん登録を取り消すことは当然でありますから、十分に検討いたしてまいりたいと思っております。
#25
○北村暢君 いまの大臣の認識じゃ困るのですよ、何十年に一回しか使わないんだからというようなこと。それはそこの場所はそうかもしれぬけれども、造林地というのは毎年毎年続いて使うのですよ。その地域には何年か続けて使うということです。何十年間に一回しか使わないんだから被害がないような答弁のしかたじゃ困る、それは。これはいまも大臣おっしゃるように、いま使っておらないし、これからも使うのにも慎重にというような御答弁ですけれどもね。これは現実に私の問いたいことは、公害の問題でも政府のやることは後手後手。後ほど聞きますけれども、とにかく牛乳の汚染の問題、母乳の汚染の問題、厚生省もその問題が出てこなければ対策を講じない。これだって、使った結果奇形児が出たらあわ食って対策を講ずるというのでは後手になるんじゃないですか。これだけ国際的にいま問題になって、スウェーデンでも、アメリカでも使用を中止する、生産を中止すると言われているものを日本の試験研究機関はそういうものに全然タッチしておらぬから、したがって、これはまだわからない。わからないから、人のいないようなところで使ってください、こういう程度のことでものごとを処理されたんでは奇形児が出てくるんですよ、またこれは。奇形児が出てきた場合に一体、あわ食って処置してもおそいから、これだけ国際的に問題になっている農薬は安全性が確認せられるまでは登録されているとしても使用中止というくらいのことは、これは当然じゃないですか。どうですか、大臣。
#26
○国務大臣(倉石忠雄君) いまアメリカ、それからスウェーデンのお話がありましたけれども、用いる場所に規制がされておるところと、おらないところとあるようでありますけれども、禁止はまだされておりません。御存じのとおりであります。スウェーデンでもまだ明確な専門家の決定がなされておりません。私どもはそういう、とにかく問題になっておるのでありますから、十分に専門家の研究を掘り下げてやらなければならない、こう思っておるわけでございます。
#27
○北村暢君 どうもね、ぼくはしつこくやりますよ、これは。回答が出るまで。ということはね、林野庁は使うときにこれは安全ですと、こう言っているのですよ。この資料もありますがね。林業薬剤協会から出しているパンフレットでも、あぶないということは一つも書いていない。安全ですと、まあ使い方についてももちろんあるでしょうけれどもね。それでいま紛争起こしているのですよ、これは。これは下北の北限のサルの問題、あれはあなた大きな問題になりましたでしょう。あれも二四五Tをまいたからです。それで、自然保護の立場から地元民が反対しているが、林野庁は使った結果、北限のサルの保護について影響があったかなかったか、簡単にそれは直ちに結果が出たというものではないでしょう、これは。が、しかしね、これはそれだけやはり自然保護の問題から問題になっている問題なんですよね。ですから、私は、いま大臣のおっしゃられるように、アメリカでも使用禁止になっておらない、条件つきで使ってもいいことになっておる。スウェーデンでもあまりはっきりしておらぬ。国際的に問題になっておるが、その取り扱いについてはいろいろだと、こうおっしゃられる。しかし、このアメリカで条件つけて使っておるというのも、これはアメリカの森林の状態というものを御存じかどうか知りませんけれども、これと、あれですよ、日本のようにちょっと一時間や三十分自動車に乗って行って伐採したり、木植えたり、造林やったりというような、とにかく町から飛行機に乗って行って現場に行くというようなところにある森林で人間の住んでおらないところと、日本のようにすぐそばに人家があるというところとでは比較にならないですよ。アメリカで使っているから日本でも使ってもいいという、比較すること自体がおかしいのです。そういう、アメリカでも使っているから日本でも使ってもいいんだと、こういうことにはならないのです。そういう点を私は特に申し上げたい。
 しかもこれを使ったために事故が起こっているのですよ。カボチャが枯れちまったり何だりして、ここへまくべき予定のやつが風でもってほかへ行ってしまうとか、あるいはヘリコプターへ積んで行く途中で、途中にこぼして行ったとか、運ぶ間に問題が起こったとか、いろいろな問題が現実に起こっているのです。具体的な例がある。しかもそれは催奇性で非常に問題になっておるのです。実例としてもベトナムの枯れ葉作戦に使ったりするのと同じです。それを日本のいまの国有林で使っているのは、薄めているからいいとか何とかね、そういうことにはならないのです、これは。そういう問題でありますから、ひとつ、これは今度の改正の中に含まれておらない。行政措置として、これから厚生省も催奇性そのものについて試験しなければならないというのですね。これはちょっと奇形の問題ですから、普通の試験よりも長くかかるかもしれません。長くかかると言われますがね、そういう試験の結果を待ってというわけにはいかないのだろうと思う。したがって、行政措置でもって――登録はされているけれども、そういう国際的な問題が出てきているのだから、行政措置としてこれは使用方法について措置をするというのは当然でないですか。これはDDT一つ、BHC一つとったって、政府は行政措置でもってあれはやっているわけでしょう。二十年間も安全だと思って使ってきたものが残留性の問題が出てきている、あわてて行政措置で製造、使用を中止している、こういうやり方をとっているわけでしょう。したがって、これは二四五Tについても当然措置してしかるべきだと思うんです。いかがですか。
#28
○国務大臣(倉石忠雄君) よくひとつ検討しなければならないと思います。大事なことでありますので十分研究したいと思います。
#29
○村田秀三君 ちょっと関連して。いま北村委員の意見それから大臣の答弁を聞いておりまして、大臣に私ちょっと確かめてみたいことがあるんですが、先ほどの答弁の中で、問題になっておるようでありますから十分に検討、研究をして善処をすると、こういうことがありました。その問題になっておるという大臣の問題意識というのはどういうことなんですか。いま北村委員がいろいろ発言をいたしておりまして、毒性が明らかに確認でき、それが住民に大きな影響を与えておる、こういう問題意識のとらえ方を大臣が確認するとするならば、いま問題のあるものを十分に検討、研究はするけれども、使っておってもよろしいんだという結論にはならないですよ、これは明らかに。もしもほんとうに毒性も確認され、そして住民にも大きな被害を与えておる、こういうことであるならば、禁止はともかくとしても、十分にその結論が出るまでは使用を保留するというのがこれが常識的、しかも誠意のある回答だと思うんですね。その辺はどうなんですか。
#30
○国務大臣(倉石忠雄君) いまの二四五Tについてお話のありましたのはそれの催奇性のことでございます。したがって、その催奇性ということにつきましては、先ほど農政局長もお答えいたしましたけれども、マウスに対して何十時間やったらその中の一部に催奇性があらわれてきたというふうな報告が出ておりますと、こういうことでありますので、私どものほうではそういうことについて十分研究しなければいけませんと。それからスエーデンの報告も出ております。これには、医者の報告でありますけれども、そういうことについての有害性を証明いたしておりません。それらのことを勘案いたしますが、とにかくただいまのように御心配のこともあるようでありますから、至急にひとつそういう問題について掘り下げて検討しなければなりますまいと。そこでわれわれのほうの専門家たちがこれはまずいということになればもちろん登録は取り消さなければなりません。こういうことを言っているんであります。こちらが掘り下げて検討いたしましょうということを申し上げておるわけでございます。
#31
○村田秀三君 重ねてお伺いしますけれども、まあ至急に検討するということでありますが、これは現実的に見てどの程度の期間を要するんですか。同時に、そこまでやはり疑念を持って大臣が処置しようとするならば、これは明らかにいま使用しておるものは保留しなければならない。これは明らかですよ。それでなければ何のために論議しているんだかわからない。そうじゃありませんか。これは法案はいま出ているわけですからね。その辺が十分に究明できなければ、解明できなければそう軽々とこの法案を処理するわけにはいかぬと思う。
#32
○国務大臣(倉石忠雄君) 二四五Tについては、もうこれは前々からいろいろ御意見がありまして、差しつかえないという意見もあれば、差しつかえがあるという意見もあるわけであります。判明いたしておりませんので、これはもっと掘り下げて研究しなければなりません。したがって当局においては専門家を督励してこれの研究を掘り下げてさらに進めましょう、こういうことを申しておるわけであります。
#33
○村田秀三君 しつこいようですが、判明しておりませんと考えるならば、そう思うならば使っちゃいかぬですよ、これは。やはり判明しておらない。まあ疑念もある、疑念は全然ないというのですか。それはいままで私も林野庁から説明を聞きました。安全なんだ、安全に対処すると言う。それでもなおかつ被害が出ておる現実、こういう状況の中で、これはもう疑念ありませんと言うのか。まあいろいろ意見が出てくるので、まあ判明するまで一手やってみましょうかというような、何といいますか、その場限りの考え方なのか。もしも疑念があり、判明しないからと言うならば、これは使用を保留するというのが当然たてまえじゃないですか、そうじゃありませんか。
#34
○国務大臣(倉石忠雄君) 適期がもう過ぎておるんでありますから、いまはそういうものは使っておりませんということはさっき申し上げました。そこで、判明しておらないけれども被害が出ておるではないかというお話でありますが、そういう被害が出ておるということについてもうわさだけでは困るのでありまして、私どものほうとしては、やはり農薬というのはほかの農薬もそうでありますが、飲んだり何かすれば被害がある、しかし、使用方法について指導をいたしておることは御存じのとおりでありますので、したがってそういう用い方等について十分注意しなければならぬことは当然のことでありますが、この二四五Tそれ自体について世界でもいろいろな意見があるようでありまして、したがって私どもとしては技術的に自信のある回答のできるように検討しなければならない、こういうことを言っておるわけであります。
#35
○北村暢君 いまの、専門家が慎重に検討してということ、専門家と言ったってこの催奇性についての専門家なんていやしないんですよ。厚生省だってやっていない。専門家というのは、どこの国でどんなことをやっているか、アメリカはどうだこうだと文献さがしているだけだ、じょうだんじゃないですよ、あなた。アメリカではこの催奇性についての実験はもうすでにやられたデータというのがあるんですよ。二四五Tが催奇性があって、実際にひよこを使った実験がなされて、もう大量の奇形のひよこが出ているというのも出ているんですよ。そういう文献をさがしているだけではありませんか。ただ、それの取り扱いについて、政府がどういう取り扱いになっているかということが大臣の言われるように明瞭でないというだけなんです。催奇性はあるんですよ、これは。そういう証明はアメリカの政府自体も認めているんですよ――認めているんですよ。したがって、専門家が慎重に検討するといったって、いま厚生省のこと言ったように、催奇性についてはまだだれも実験をしている人は日本の国内にいないんです、専門家はいないんですよ。だから、疑わしきは使わずで、これは使うべきでないのじゃないか。しかもその奇形の出た試験もなされているし、実際に奇形のベトナムにおける実例も出ているし、そこへ実際に行った人は政府に対してこの使用を中止するように要望するということをきょうの新聞でも出ている。出ているのですよ。だからいま村田君から確かめられておるのですが、私は大臣が現在使ってないと言うけれども、現在は使わないのは、これは冬は使わないのです。春の広葉の灌木とかそういう雑草の出るときに使う薬なんです。現在使っておりません。ことしの六月には使っているのですよ。現在使ってないと言うけれども、ことしは使っているのですよ。来年の春、使うか使わないかをいま私は答弁を求めているのですよ。だから、慎重に検討すると言うから、私は来年の春についても林野庁はとにかく地域における紛争を排除してまで使おうとしている、一回も使わないということは言ったことはない。林野庁自体も塩素酸ソーダのほうは安全だけれども、二四五Tについては問題があるということはわかっている。わかっていながら使おうという方針はいま変えてない。だから私はしつこく聞いているのです。これは次々に出てくる。ですから大臣の、慎重に検討するということは、そういう意味において、私は来年の六月この薬を使う時期に十分慎重に対処するということは、危険性その他の情勢等も判断して、当時、国際的に問題になっているけれども、まだデータその他も林野庁としても不足だから、そういうような点で検討不十分であるからというふうに答弁をされておる、慎重に検討します、こういう答弁だった。ですからいまの大臣の答弁もそういう意味において私は受け取っている。実際に来年の春使用するまでには、これは使うか使わないかをやはり農林省としては態度を行政指導として決定しなければならないことだと思いますが、そういう意味においてひとつ慎重にやっていただきたい。
 それから次に、残留農薬の許容量が最近改められましたが、そこでまず残留農薬の許容量について現在の許容量の決定が九農薬、十四作物ですか、になったのですか。ですから、これは昭和四十八年を目標に四十八品目何がしかの計画を持っているというのでありますが、先ほどのこの御説明をいただきましたように、所管になったのが非常に新しいので、これから、いままで登録されたものについても検討していく、こういうようなことのようです。これは、アメリカではすでにその農薬問題について百四十農薬、二百品目について規制措置がとられておる。日本の場合約十年おくれておると、こう言われておるわけなんですが、そういう点についてこれは厚生省の能力からいって四十八年で四十八品目程度で、これで農薬については絶対安心して、農作物を消費者が安心して食べられるというふうになるのだと、こういうふうな説明をされているようですがね、一体、四十八年までのんびりこうやっていっていいものなのかどうか。アメリカのデータ等を入手して早急にこれは何か促進する方法がないのかどうだろうかお伺いしたいのですが。このアメリカの百四十農薬、二百品目というのはそういうデータをもうお持ちになっておるのかどうなのか、そこら辺のところをまずお伺いしたいと思います。
#36
○説明員(小島康平君) 私どもは、先生のお話のように昭和四十八年までに大体主要な四十八農作物について残留基準をきめることでやっておるわけでありますが、決してそれで満足しておるわけではございませんで、それに引き続きましてさらにその他の農作物についても順次基準をきめてまいりたいと考えておる次第でございます。しかしながら私どもとしては、国民の健康、保健を守る立場からとりあえず主要な四十八食品について作業を急ぐということでやっておるわけでございますが、先生の御指摘もありましたように、非常に研究機関の能力あるいは私どもの行政組織というものが薄弱でございますこれは、アメリカの五分の一、十分の一程度でございます、なかなか、精一ぱいにやっておりますが思うようにまいりませんというような実情でございます。
 それから、アメリカの資料は私ども持っておりますが、その中には、アメリカは百五十なり二百なりの農作物がきまっておるわけでございますが、その中には私どもの生活にあまり関係のない、たとえて申しますとラズベリーでございますとかいろいろなベリー類とかいろいろな珍らしい農作物も含まれているわけでございます。私どもが現在計画しております四十八年までの計画は大体において八百屋で売っているほとんどのものを網羅できるというふうに考えている次第でございます。
 それから、アメリカの資料等を使って作業が進められないかというようなお話でございますが、私どもとしては農薬の人体に及ぼす影響の資料、つまり毒性データ等につきましては、これはアメリカのみならず世界各国の資料というものをできるだけ使わしていただいておるわけでございますが、残留許容量につきましてはアメリカの残留許容量というものは私どもから見ますと非常に不完全である、最近におきまして、アメリカではDDTの許容量を下げまして大体日本のに合わせております。アメリカでは以前この許容量を設定いたしましたために、毒性から来ます一日の許容摂取量というようなものにつきましては私どもから見ますと非常に不完全でございまして、参考にならないというふうに考えておる次第でございます。私どもとしては、きちんとしたデータに基づいたきちんとした資料で定めていきたいということで現在農林省と御協力をいたし作業を急いでおる次第でございます。
#37
○北村暢君 そこで、今度の残留農薬の許容量の、米の場合ですが、許容量にはガンマBHC〇・三、DDT〇・三の残留を許容量として認めてるわけですね。ところが農林省の農薬残留に関する安全使用基準によりますというと、ガンマBHC、DDTは使用しないということになっておるわけですね。これはどういう理由でそういうふうにしたんですか。
#38
○説明員(小島康平君) ガンマBHCとDDTにつきましては御案内のとおり農林省のほうで行政指導でこの生産を中止され、またその使用についても制限をされたわけでございます。ただ私どもとしてこの規格を現在定めましたのは、従来残っておりますDDTあるいはBHC等が使用された場合、あるいはまたそういうものが土壌から吸収された場合、それから、まあ現在、米については輸入品はほとんどないと存じますが、そういったような事態があった場合に備えまして作成いたしましたもので、こういうものは全く米について将来使用せず、入ってこないということになりました際には、たとえば検出せずと、ゼロにするというようなこともあると存じまして、そういうような観点から定めたわけでございまして、先生御指摘のように全く使わなくなるというようなことになりますれば、またあるいは使わず、残ってこないということになりますれば、さらにこれは農林省のほうと御相談をいたしまして限度を変えるというようなことでやってまいりたい。また、限度を置いておきませんと、輸入品等につきましての取り締まりができませんので、限度というものはやはり置いておいたほうがよろしいんではないかというふうに考えております。
#39
○北村暢君 限度はね、わかってるんですよ。ですから、厚生省側が残留農薬の許容量が玄米についてDDT〇・三、ガンマBHC〇・三と、これはわかる。これができてから農林省の安全使用基準というものをあとできめてるわけでしょう。したがって農林省に聞いてるわけなんです。厚生省はこれだけ許容量がよろしいと言ってるのに、農林省は使用しないと言うのは、どういう理由で使用しないのかと、こういうことです。
#40
○政府委員(中野和仁君) 玄米につきましてはただいまお話のように〇・三という許容量があるわけでございますが、稲について使用しないといたしましたのは、最近ずっと起こってまいりました例の牛乳に、稲わらを通じてBHCが牛乳の中に入ってそれが人体に影響があるということになっておりますので、すでにことしは穂ばらみ期以後は使用するなということを指導いたしてやっております。したがいまして、来年以降には稲にはBHCを使うなという、そちらのほうの面から安全使用基準としてはこういうふうにきめたわけでございます。
#41
○北村暢君 そこでね、そういう理由だろうと思うんです、私もね。稲についてはBHCは使わないと、そういう安全使用基準をきめた、それは牛乳を――稲わらを食べて牛乳が汚染されるから、この安全基準で稲に使用しないということをきめた、それはそれなりに理屈はわかるのですが、それでは、母乳にいま残留農薬の汚染が出てまいりましたね。妊婦は稲わらを食うわけじゃないですから(笑声)、これでは防げませんね。じゃあ母乳の残留農薬が出てきてる問題について、どうやって防ぐ対策が、安全基準ができるんですか。あなたのいまの、牛乳に残留農薬が出るから、稲わらを通じて出るから稲に使用しないという。ほかのものにはDDTは使うわけです。使っているわけですね。現実にキュウリその他に出てきてる。まだ残留農薬の許容量のきまってないニンジンその他にも出てきてる、こういう状態。一体母乳の残留農薬の汚染について防止するのにはどうすればいいんですか。そのことは今度のこの法案に関連をして、農薬残留の安全使用基準についていかなる配慮がなされたか、これをお伺いします。
#42
○政府委員(中野和仁君) 母乳の問題につきましては、本日の各新聞に出ております。これを読みますと、農林省の技術研究所の残留研究室でこういうことを言っておるという話でございます。われわれのほうとしましては、まだわれわれの耳にまでそういうことが達しておりません。至急調べまして対処をすべきだと考えておりますが、一般論といたしまして、もしBHCがそういう母乳に非常に残留しまして影響があるということになりますれば、これはBHCの使い方をもちろん再検討しなければならぬわけでございます。そのために今度の改正案でも指定農薬制度というのを拡大いたしまして、作物残留性農薬あるいは土壌残留性農薬につきましては指定農薬にするということにいたしております。で、現在考えておりますのは、もう稲には使わないということでありますし、それからいまのところはわれわれとしましては森林、果樹、野菜には使用時期あるいは使用回数を制限して使っていいんではないかというふうに現在考えておりまして、もしこれを指定農薬にする場合にはそういうぐあいに考えておるわけでございますが、今度はもう少し詰めてみた上で、この法改正ができました際には、指定農薬として取り扱いますかどうか、その辺は至急検討いたしたいと思います。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
#43
○北村暢君 この母乳の汚染の問題はいま始まったことでないですよ。きょうの新聞が初めてじゃない、御存じのとおり。これはもう秋田の学会でも発表されておりますし、それから大阪でもこれは母乳に出たというので非常に驚いたですね。それまでは農林省も厚生省もわからぬ。農薬の公害というものについてそれくらい進んでおらぬですね。これが国立衛生研究所とかなんとかで発見されたとかというんならいいけれども、全部これはあれでしょう、地方のお医者さんが研究したとか、いまの、きょうの新聞にあります、東京の主婦、妊婦からも、母乳からも発見せられる。一体国立衛生研究所とかなんとかというのは何をやってるのか、ほかでお医者さんが各個ばらばらにやって、学会に発表されて、あわててこの対処策をとっておる。厚生省もいま母乳の汚染の問題について、実態について最近ようやく乗り出したようでございます。したがって、この法案を出す段階においては、局長が正直に答弁したように、牛乳についての汚染についてはこの安全使用基準では配慮されているのです、これは。厚生省がわざわざ〇・三までよろしいと、こういう許容基準を出しているのに対して、稲には使用しないんだという農林省のこれは牛乳に対する措置はとられている。ところが、母乳に対しては、いまおっしゃるとおり、今後すみやかに検討いたしましてと、こう言うのですね。これはやってなかったのです、この法案を検討するまで。
 しかし、牛乳についても母乳についてもこれはもう大体わかっておったですよ。牛乳にある。これは国立衛生研究所の人も、牛乳にあるくらいだから母乳にもあるであろうということは予想はついておったけれどもやらなかっただけだと、こう国立衛生研究所の方は言っておる。もう予想しておったわけです、母乳に出るということは。したがってこれは、この法案を出すときまでに、牛乳には考えたけれども、母乳はあまりむずかしくてこれは手に負えないのでやらないのかどうなのか知りませんけれども、できなかった、母乳は。牛乳は、まあこれ問題は、牛乳も問題ですけれども、母乳はこれは乳児に直接影響する、非常にその反応の出やすいあれでしょう。乳児に直接影響する問題です。これがわかりませんでしたとか何とかではこれは通らないと思うのですね。至急検討いたしますというのですけれども、一体農林大臣、いかに農林省、厚生省のこの農薬問題についてのいままでの研究が不十分であり、ずさんであるかということははっきりしている。これは、はたから出てこなければやらない仕組みになっている。
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
だから私は、先ほどサリドマイドよりもはるかに危険な245Tの問題を事前に処理せいということを盛んに言っているのもそこだ。事が起こってからでなければやらない。
 こういう点について、一体これに対する対策というものは、まあ至急というか、とにかくこれ急ぐとかなんとかという問題ではない。いま直ちにでもこれはまず安全にするということを手を打ってから、慎重に手を打っておいてから、あとで慎重であったことは間違いであったって、それくらい私は悪くないと思う。そういう点について、いま中野局長からいかにも苦しい答弁だったと思うが、聞いたんですけれども、これは事母乳に関する問題ですからね。それだけ重大な問題を、農林大臣、あなたは所管をしているのですよ。公害問題これだけうるさく言われている、だから私は先ほど来「目的」のところでもやかましく言ったのはそこなんです。農林省のものの考え方というものを根本的に改めてもらわなければならない。まあ厚生省も同じなんですけれども、そこまで研究が進んでいないということなんでしょうけれども、ぜひひとつ、この問題は非常に重要でございまするので、農林大臣からひとつこれは政治的な感覚でものを処理してもらってはいけませんから、私は大臣の見解をお伺いしておきたい。
#44
○国務大臣(倉石忠雄君) 母乳に出てきているということは、たいへんなことだと思います。それが、新聞の記事が技術的にも真実であるとすればこれは政府としてもたいへんなことであると思います。そこで、公害対策本部というものもございまして、そこには厚生省はもちろん全面的に入っておるわけでありますので、そういう専門家たちに十分急いで研究してもらいまして、万遺漏なきを期してまいりたいと思っております。
#45
○北村暢君 厚生省にお伺いしますが、先ほど申したように、この母乳の汚染の問題については、厚生省としても追跡調査なりなんなりやってですね、原因究明をしなければならないだろうと思うのですが、これは確かにおくれているわけですね。一体これはどのくらいかかるのですか。何かこう大臣のお話では、どこもみんな総合公害対策本部に持ち込んで、うやむやに何だかこうわからなくなってしまうということでは困るのです。これはその厚生省の調査なり何なり、実際に母乳が汚染がされたのかされないのか確かめて、それでなければ対処できない、こういうお答えのように聞こえるのですけれどもね。いままでやってなかったことが怠慢なんで、しかもこの問題がいま始まったことではない、予測されておった問題なんです。それに対策がないのですよ、これ、検討をして対策を講ずる――まあ何もなかったから、検討するより方法ないでしょうけれども、もっとこれはやはり、牛乳に対してこれだけ安全使用基準というものについて配慮がなされたことば明らかなんです、これは。ところが母乳についてはなかった、これも事実なんです。そこでこの母乳に対して安全使用基準をきめる際に配慮がされなかったことに問題がある。したがってこの公害対策本部まで持ち込んでうやむやにするのではなくして、農林大臣は安全使用基準をきめる責任を持っているわけです。そのほかにも行政権限を持っているわけなんです。だから私は、ひとつこの母乳の汚染の問題について、安全使用基準と関連して農林省がいかなる対策を講ずるのか、明確にひとつ答弁してもらいたい。
#46
○国務大臣(倉石忠雄君) 対策本部に持ち込んでうやむやにする意思はちっともありませんで、政府が中心で、政府全体がそこに参加いたして、分裂のないようにいたそうというわけでありますから、十分各省の持っておる技術を動員いたしまして、いまのようなことについては、研究をいたして、万遺憾なきを期するようにいたしたい、こういう考えであります。
#47
○北村暢君 うやむやにしないということだけはわかりましたけれども、十分検討して確実につかんでから……。何年かかるのですか、確実につかむまで。これはごく簡単に一月や二月でできるのですか。いま、この法案を出すようになりましてから、農林省も厚生省も非常な努力をして許容基準を追加し、そうして安全使用基準をふやして、ここ二、三ヵ月の間に非常な前進をしているのですよ。それは、農林省なり厚生省の努力は、それなりに認める。わずか二、三カ月の間にこれだけ前進しているのですよ。問題が出るというと、すぐまた手を打たなければならないというので、また二、三カ月したらまた前進するかもしれませんが。大臣のおっしゃる慎重に、確実に資料を把握してなんということが、それを待っていたんでは母乳の汚染はどんどん進む。しかも、これは農家の妊婦だけではなしに、秋田においても農家と関係のない一般の市民の妊婦の方から、東京の妊婦の方から、こういうものが出てきた。ですからこれにすみやかに対処しないというと、これは全国的な問題になってくると、これを見ざるを得ないのですね。しかも非常に広範囲に出てきている、しかもそれは乳幼児で毒性に非常に敏感な問題で、これはもう緊急性という点からいったら非常に緊急性のある問題だと思うのですよ。ですから本部でもって確実に資料を検討し、結論を得てからというのでは、それも必要でしょうけれども、一体どのぐらいの期間を見通してそういう御発言をされているのか、非常に心配なわけですよ。ですから、先ほどからその点を、私は大臣に政治的判断で答弁を求めている。緊急性についてもう少し具体的に応急措置なり何なりでとれないものかどうなのか、大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#48
○国務大臣(倉石忠雄君) 技術者に研究をすぐしてもらうことでありますので、私ここでどうこうと言うことはできないわけでありますが、これはBHCが出てきたということでありますが、BHCはすでに製造を禁止いたしておりますので、どういう経路でどういうことになって新聞に出てきておるようなことになったかということにつきまして、もちろんやはり技術的にすぐ調査しなければならないとおっしゃるように、緊急にひとつそれは研究をいたしまして対処しなければなりません。このように考えております。
#49
○委員長(園田清充君) これにて、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十六分開会
#50
○委員長(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き農薬取締法の一部を改正する法律案に対し質疑を続行いたします。
#51
○北村暢君 午前に引き続いて御質問申し上げますが、まず牛乳、母乳の汚染の問題について、農林大臣の対処について御所信を承りましたが、この問題についてまだ残されている問題は、牛乳の汚染、母乳の汚染について、食品衛生上の許容基準というのがはっきりしていないわけです。厚生省は牛乳について〇・一PPMを目標に行政指導をしてきた。しかし国際的な基準からいえば、これは非常に高いわけですね。一体この牛乳の、農薬の残留の許容基準というのは、いつごろきめられるのか。どういう段階になっているのか。そしてそれまでの間、どのような対処の仕方で行政指導をされようとするのか。この点まずお伺いしたい。
#52
○説明員(小島康平君) まず第一に、牛乳の中のBHCの基準でございます。これは今年度じゅうに、つまり三月末までの間に作成するということで、現在作業を急いでおるところでございます。
 それから、先生御指摘のように現在牛乳中のBHC含量を下げるために努力をしておるわけでございますが、国際的な基準というのはまだきまってはおりませんで、実は案が出ておるところでございます。実は牛乳というのは、直接に農薬を使用するわけではございませんで、結局牛が飼料として食べましたものからBHCがやってくるわけでございまして、国際的に現在考えておりますのは、実際残存基準と申しまして、実際にどの程度入っているかという一つの尺度を定めようということでございまして、それが日本の場合には、その尺度の案よりも相当高い数字が出ているというような状況でございまして、実はこれが、一昨年の末でございましたか、そういうことが発見されました際に、こういう問題にどう対処するかということで、厚生省としては急遽食品衛生調査会等の専門家の御意見もお伺いした次第でございますが、現在、こういったBHC等の農薬につきましては、WHOで定めております人体許容摂取量というものがございまして、それは、BHCを一生の間食べ続けていても問題ないという量を定めておるわけでございますが、その許容量というのは、動物実験の結果に対しまして相当幅広い安全率をもってきめているというようなことから、実は当時、牛乳から摂取いたしますBHC量あるいは野菜等から摂取いたしますBHC量等を計算いたしまして、これはいろいろなケースを予想いたしまして計算いたしましたところ、通例のおとなの場合には許容量以内に入る。しかし、一部、児童のような牛乳をたくさん飲む場合を予想いたしますと、許容量をはみ出るというようなことがわかったのでございますが、対策といたしましては、こういうものを一生取り続けるということのないように、できるだけ早く下げてしまうというのが望ましいということでございました。その結果、農林省のほうにも御相談をいたしまして、BHCを根本から断ち切ってしまうということで、製造も中止され、また使用の面も、牛乳等にBHCがこないような御配慮をいただいておるところでございまして、私どもとしては、こういった安定性の強い有機塩素剤、つまり、使いましたあとも長い間どろの中に残る。そして、それがいろいろな形でわれわれのからだに入ってくる。そして現在われわれのからだの中の脂肪の中にも相当蓄積しているわけでございますが、こういうものを一刻も早く下げてしまうためにはもとを断ち切らなければいけないということで、農林省のほうとも御相談して、BHCの生産中止、使用制限というような手を打っておるような次第でございまして、いま御説明いたしましたように、牛乳につきましても対策をいろいろ立てておる次第でございますが、最近の情勢を見ますと、BHCの牛乳中の含量というものは相当下がってまいっておるという状況でございます。
#53
○北村暢君 母乳の関係については、どういうような状況になっていますか。
#54
○説明員(小島康平君) 母乳につきましては、厚生省といたしましてはどの程度の汚染が全国的にあるかという調査を現在進めておるところでございますが、私ども、根本的な問題といたしましては、この母乳中のBHCというものはいろいろな食べものから入っておる。特にBHCの入ってくるもとを調べてみますと、実際の農作物中の含量というものは意外と寄与率が少ない。やはり牛乳とか肉とかいうものが主要なソースになっているようでございまして、これを下げれば母乳中の含量が下がるという大体目標を立てまして、総合的に、先ほども御説明いたしましたように、もとから断ち切って、われわれの環境からBHCを少なくしていくということがやはり根本的な解決ではなかろうかということで進めておる次第でございます。
#55
○北村暢君 そういう大まかな対策はそれなりに理解できるのですけれども、母乳の許容限度というようなもの、これは国際的にも資料があるのかないのか。そういうものが検討されるべきものなのか。そういう必要がないのかどうか。牛乳において基準を検討するということになれば、母乳に残留農薬の汚染が行なわれているということがはっきりすれば、当然これは許容の限度というものが検討されるべきでないかと考えられるわけですがね。これについては、現況はどうなっているのか。どういう検討がされておるのか。この点をお伺いいたします。
#56
○説明員(小島康平君) 母乳につきましては、国際的にも許容基準をきめるという作業は行なわれていないものでございます。また、私どもいろいろ資料を調べましたが、母乳についての資料というものはあまり世界的にないようでございます。で私どもがやはり基準にいたしますのは、母親がどの程度までBHCをとって差しつかえないかという問題だと存じます。結局BHCを母親がとる量が多うございますと、母乳の中に排せつが多くなってまいります。したがいまして私どもとしては、母親のとる食物というものから極力BHCを追い出していく。つまり、日本人全体が現在BHCというものにわりあい高い濃度で暴露されているということでございまして、これを下げて、とにかく日本の土の中、あるいはいろいろな農作物の中から追い出してしまう。これは、どろの中にあるものは大体BHCの場合には五年が半減期といわれておりますが、毎年分解して減っていくわけでございまして、私どもとしては、そういった環境から追い出してしまうという形でこれを早急に減らしてしまえば、その場合、現在母乳の中にある程度高く出ているケースがございましても、そういうものを、そういう形でのBHCの摂取というものを一生の間続けないで、もう数年でそれが終わってしまうというような形にしますれば具体的な障害が出てこないというような判断をして、進めている次第でございます。
#57
○北村暢君 いまの御答弁ですが、若干、新聞報道等から見ますというと、心配な点が私は残るのじゃないかと思うのです。いま御説明ありましたように、母乳に対する残留農薬の汚染、これは日本でのきわめてまれな事態だろう。ほかでわかっていないことがわかってきているわけですね。したがってデータもなければ何もないので、おそらく厚生省もたいへんなこれはショックであり、あわてて検討をするという事態だと思うのです、率直に言って。そこでいま、一生を通じての残留農薬のBHCの摂取量というものについて言われたのですけれども、新聞の伝えるところでは、一生もさることながら、乳児に与える影響は非常に敏感であるわけでしょう。何年もかかってこれが母体の摂取量を減らすということよりも、いま非常に高い数値で残留汚染が行なわれている。これが乳児に与える影響というのが非常に敏感である。これ一生だなんて言っていられない問題なんですね。そういうふうに新聞等では報道をしておるわけです。ですから恒久対策として考えられることは、私はまあ当然いまの説明で理解できるのですけれども、乳児の点についてはどうも認識がいまの説明では私は非常に不十分じゃないか、こう思うのですね。ですからそういう面で厚生省の取り組み方についても、どうも新聞報道等を見ましても、これに関連している国立衛生試験所の方々の談話的なものを見ましても、母乳汚染がいままで調査されなかっただけの話で、調べれば他の地域でも秋田と同じようなケースが起こるのではないかということを予測しているのですよね。そして農家の主婦でなしに一般の家庭の主婦からも出ている。これは非常に重要視してその原因がどうであるかということについて追跡調査しなければならない、こういうことです。これからされるということなんでしょうけれどもね。しかもそれが非常に乳児に敏感に影響する、肝臓、腎臓等に非常に大きな障害が出てくる、こういう問題を取り上げているわけですね。ですからこの問題は私は先ほど農林大臣にもお話ししましたように、非常に緊急性があるし、そういう性格のものでないか、こういうふうに判断していますので、あなたのいまの説明では若干納得しないわけなんで、そういう面についての対処のしかたというものについて不十分じゃないかと思うのです。見解をひとつ聞いておきたい。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
#58
○説明員(小島康平君) 先生のおっしゃられるとおり、これは非常に重大な問題でございまして、私ども昨年の牛乳汚染の発見という問題が起こりましたときに、これは非常に重大な問題である、ということは、これは全国的にBHCの汚染が広がっているということでございまして、つまりBHCの使用量がここ数年の間に非常に増大して、それがいろいろな形でわれわれの体へ取り込まれてきているということでございます。ところが、牛乳が汚染したから、じゃかわりのもっときれいな牛乳はないかというと、これは日本中汚染していてそういうことはできない。そして牛乳というものはやはり子供や何かの重要な食品であるということでこれをとめるということにもいかない。とめるということがやはり子供の健康その他に重大な支障を与えるということでございまして、私どもとしては専門の先生方と御相談いたしました結果、早急にこれを引き下げる、BHCの含有量を引き下げることによって問題が発生しないということでやっておるわけでございますが、母乳につきましても私どもとしてはこれを早急に下げるということでやってまいりたい。そうして現在WHO等の定めておりますBHCの許容量というものは、これはやはり幼児、病弱者等も十分に考慮に入れました相当な安全率を加味した数字でございまして、私どもとしてはそういう面で早急にこれを下げてやれば具体的障害が起こるおそれはないという判断に立っております。また従来ございます実験でも、BHCはあぶらの中へ溶け込むわけでございますが、これは比較的代謝が早うございまして、もし全くBHCを含まないような脂肪を大量に含んだえさを与えますと、一週間くらいでその半分が排せつされてしまうというような資料もございますので、BHCを下げて、つまりわれわれの環境の中にあるBHCを下げ、そうして牛乳の中の含有量を下げ、肉の中の含有量を下げというような手段をとってまいりますれば、やはりそれに並行してどんどん下がっていくということをわれわれは期待しておりまして、先生のおっしゃるように、これを直ちになくしてしまうというようなことができればよろしいわけでございますが、私どもとしてはもとを断ち切って早急にこれを下げるということが可能な手段であるというふうに考えて全力を尽くしておる次第でございます。
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
#59
○北村暢君 そこで、いま申したようにDDT、BHC、それからドリン系の農薬、いわゆる有機塩素系の農薬は、生産中止あるいは使用を中止するというような方向で進んでおりますから、近い将来においてBHCが検出されることも少なくなってくる、これはおっしゃるとおり理解するのです。そこで、現在までのある農薬の使用において、最も安くて一番きくBHCが製造中止になっているわけですね、行政指導で。そうして低毒性の農薬を開発しているというのでありますけれども、事米に関する限り、しかも稲作について、農薬の使用量は約五〇何%か、半分以上は稲作に農薬を使われているわけですね。そうして稲にきくDDT、BHC、ドリン系、こういうものが使用されないということになって、有機燐剤のEPNが使われるように、これだけは稲に使ってもいいようになっておりますね、それですから、一番安くて一番きく農薬が使えなくて、他に求めるということになれば、これは有機燐剤のEPNに集中してくるのじゃないかというふうに考えられるわけなんです。農林省の安全使用基準についても、EPNについては、規制はしておりますけれども、使用をすることになっておる。したがって今後における農薬の中に占めるEPNの比重というのは非常に高くなるのじゃないかというふうに思われます。
 ところで、きょうの新聞に出ました中学生の集団高血圧というのは、この原因が有機燐剤なんですね、有機燐剤である。しかも若年者の高血圧というのは、これはきょうの新聞によるのは埼玉県の百間中学校なんですけれども、これは各地に若年者の高血圧というのが出てきている。こういう問題が出てきて、しかもこれが眼底検査の結果、目に障害がきて悪くすれば失明をする、こういうふうにいわれておるわけですね。次から次とこの農薬についてこういう問題が出てきて、これは結局この稲作については使う農薬が非常に限定されるようなかっこうになってくるし、低毒性の農薬の開発もやっておるが、一体こういうふうに生産中止――BHC、DDTの生産中止、さらにパラチオンはもうこれは登録まで抹消しておるという状態になってきますというと、今後稲に対する農薬というのは、どうもこの資料で見る限り、EPNが主役を占めるように考えられるし、それがまた今度の中学生の集団高血圧の原因になっている有機燐剤というものですね、そういう点について、これは今後稲に対する農薬についてどういうものが考えられるのか、指導をどういうふうにされようとするのか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
#60
○政府委員(中野和仁君) その稲について申し上げる前に、ちょっと全体の概略を申し上げておきたいと思いますが、いま使われている農薬で残留性の多いものというのは全体の有効成分の割合でいいますと四%です。出荷額でいいますと大体一五%、慢性毒性が大きいといわれておるものは有効成分の割合でいいますと全体の約三%、それから出荷額で一七%ということになっております。したがいまして全農薬が全部あぶないということではございません。一部でございます。
 そこで、いまお話しのパラチオンが、これは製造をもう禁止をいたしまして、それから登録も返納させたわけでございますが、これはパラチオンにかわりまして世界的にも評価されておりますスミチオンという代替農薬がもうすでにできております。これを非常に使うようになっております。それからBHCにつきましてはすでにデナポンあるいはネオバールとかカーバメート剤、これは慢性毒性が小さくて動物の体内には蓄積されないというものが開発されておりまして、それを使うというようなことで、いまお話しのようななるほどBHCが安くてよかったのがなくなるということでございますが、それにあわせまして代替薬品についてすでに研究も進んでおりますし、実用化も進んでおりますので、当面稲作には支障があるというふうにはわれわれ考えておりません。
#61
○北村暢君 EPNについてはどうなんですか。
#62
○政府委員(中野和仁君) EPNにつきましては食品の残留許容量がきめてありまして、これはすでに安全許容基準をつくっておりますので、それほどふえてくるというふうにはわれわれ考えておりません。
#63
○北村暢君 使用量についてはどうなんですかということを聞いている。
#64
○政府委員(中野和仁君) 今後の傾向としてはふえるよりもむしろ減る見通しを持っております。
#65
○北村暢君 そうしますと、きょうのこの問題になりました中学生の集団高血圧、これが有機燐剤というものが原因だろうと、こういうふうにいわれているのですが、この問題についてはどの程度いままで国立衛生試験所等において検討がされておるのか。これも先ほどの農林省の話でも、どうもこれが農薬のせいであるかどうだかということがはっきりしないというような点も若干伺ったような気もしますが、この問題は非常に各地であるようですね。しかもこれはあちこちで集団検診をやった際に出てきている問題で、若年の高血圧なんというのは、これは昔はなかったのでしょうけれども、最近非常に多く出てきている。しかも十五、六歳というようなほんとうの中学生、高校生というようなところに多く出ているのですね。こういう問題について、あちこちにあることはわかっておったのでしょうけれども、厚生省の国立衛生試験所等でこれに対応策があったのかないのか。それからまたそういうような点について厚生省としては今後、こういう問題がどんどん出てきているところを見ますというと、これまた早急に対処しなければならない問題のようです。と同時に、この有機燐系のパラチオン、テップ等は先ほど話がありましたように登録も抹消していると言うのですが、まだ先ほど言ったEPNというようなものが有機燐剤として使われておる、残っておるわけです。この許容基準というのが、有機燐剤について今度残留許容量というものが示されたわけですね、そして農林省もこれに対応して安全使用基準というものをきめているのですが、こういうものを検討する際に、当然この若年者の高血圧の問題等もあるということがわかっておって、これが今回追加されたのかどうなのか。そこら辺の事情、そして今後のこれに対する対策等についてお伺いしたい。
#66
○説明員(小島康平君) 有機燐剤の問題につきましては本年の六月にやはり東大眼科の石川先生が目の奇病に関係があるという御発表をなさいました。私ども直ちに石川先生に御連絡をとりまして、食品衛生調査会の専門学者と御一緒に検討を行なっていただきました。その結果、どうもはっきりしないが目の奇病は農薬に由来するものであるというようなことに意見が大体まとまったわけです。そしてその農薬がどういうふうにわれわれのからだに影響するかという問題につきましては有機燐剤は非常に分解性が高いために食品にはほとんど残らない。おそらく環境汚染でそれが直接にたとえばからだに付着をするとか、そういった面から影響があるんではないかというような考え方が大体よろしいのではないかという結論だったわけでございます。それで、私どもといたしましては実は農薬が環境汚染等を通じまして影響を与えるのは農民の方が一番大きいというふうに考えまして実は予算の要求をいたしまして本年度二千万円という研究委託費をいただきましてこれを農村医学会のほうに実はお願いいたしまして、農民の健康と農薬の関係というものをお願しておるわけです。その中にこういったような問題の追究をお願いしておりまして、実は長野県の佐久病院を中心といたしまして現在研究が行なわれている次第でございまして、こういう研究につきましては実は広くやはり農民の方の健康調査、それから長い間の追跡調査というものが心要でございますので、早急にその結論を待ちたいというふうに考えておる次第でございます。そうして、私どもとしてはこの有機燐剤というものが食品の中には残りませんが、そういった環境汚染で人体に影響があるという問題につきましては、これが不断たとえばわれわれのからだの中の酵素に関係のありますコリンエステラーゼというようなものに継続的に影響がある。それが影響してくるのではないかということでこういうものは使用の際に農民の方がそれに接触しないようなやはり使い方というものを考えなければいけないんじゃないかというようなことで農林省のほうとも御相談をしておる次第でございまして、農林省のほうにおかれましてもこういったものの使用につきまして今後ともいろいろと、たとえば集団防除の実施等につきまして御配慮を賜っておるというふうに承っております。
#67
○北村暢君 いまの説明からも、これは口から入るのじゃなくて大気汚染からの関係だと、こう言っている。確かにそうらしいので、これはやはり空中散布の問題があるのです。そこでこの従来の使用基準等を見ますというと、使用の方法や収穫前の使用の禁止の期間あるいは使用回数の制限というような問題がこの安全使用基準として農林省ではいろいろ決めておるわけです。で、現在非常に技術が進んでまいりまして農薬をヘリコプターによる空中散布をやる、これがだんだん普及してきているわけです。そこでやはり空中散布していい薬とそうでない薬とを区分してこれを安全使用基準の中に入れるべきでないかというような感じがしているんです。この空中散布をするときには、その気象条件なり何なり配慮をして、目的のところに散布するようにもちろんやるのでしょうけれども、これは機械なり手でまくのと違って、ヘリコプターでまくのでありますから、どうしてもこれはやや高いところからまく結果になる。したがってこれは風の吹きようでもって吹きだまりも出れば、予定しないところまで行ってしまうということは起こり得るわけですね。これは先ほど来お話のありました林業関係の除草剤をまくのにも、いまどんどんヘリコプターを使っているわけです。したがって、これは風のかげんで予定のところへ行かないで、ほかへ行ってしまったりしていろいろな被害が起こったり何なりしているわけなんです。したがって、この安全使用基準というものの中に、空中散布の問題について、私はやはりぜひ考えるべき筋合いがあるのではないかと、こう思うのです。いまの有機燐剤の問題も、口から入るのでなくて、大気の汚染によって起こる可能性が多いというのですから、そうなればますますこれは空中散布等については不適だと、こういうことにならざるを得ない。それに対する規制というものは何もない。これは私は一考を要する問題だと思いますが、見解を聞いておきたい。
#68
○政府委員(中野和仁君) お話しのように空中散布が、農業生産の合理化の面から非常にふえてまいりました。農林省といたしましては、農林水産航空事業促進要綱というものをすでにつくりまして、それに基づいて実施要領をつくり、かつ実施基準までこまかくつくりまして、現在実施をしておるわけでございますが、その場合に毒物のような毒性の強い農薬は使わないように、すでにそれは使用させないというふうに禁止をしております。それから、散布時に公衆衛生問題があり、あるいは先ほどからお話の出ておりますようないろいろ飛び散っての被害ということがございますので、そういうことの予防措置は十分とった上でやる。例をあげてみますと、まきますときには地元の全体の了解をとるということを前提にしてやっておるわけでございますが、なお、薬の面から言いましても、粉をまきますと、かなり飛び散るということがございますので、ただいまは粒に変えていこうということで、かなり実用化も進んでおります。専用の散布装置が開発されますれば、大幅にそれは変えられるのではないかというふうに考えておるわけでございます。それから、なお、市街地周辺ではすでに使わせないという指導をいたしております。
 そこで、それじゃ今度の法案にそういうことがないではないかというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、非常にあぶない薬はもうまかさないということにまずしまして、そのために今度の法案の改正で、ただいままでは安全使用基準をつくっておりますのは、それは食品残留関係だけで、農林省と、厚生省の残留許容量に応じて安全使用基準をつくっておりますけれども、今度は、それはありませんで、それ以外の農薬につきましても必要なものについては安全使用基準をつくって、それを守らせるという方法をとりたい。したがいまして、航空防除の場合は、特にこの問題が、御指摘のようなこともありますので、農林省といたしましては、当然、安全使用基準をつくってやるということになるわけでございます。
#69
○北村暢君 いまの安全使用基準をつくって空中散布をやる場合、特別にその行政指導でやっていくということのようですが、これはやっぱり、せっかく農薬の残留に関する安全使用基準というものを出すんですから、ここに空中散布についての一項を入れたって何にもおかしくないんですよ、これは該当するものがあるかないか、それはわかりませんけれども。ですから、それの上になおかつ安全を期する意味において、行政指導において使用方法なり何なりを詳しく指示、指導するということは、これはあって差しつかえありませんけれどもね、私は、この安全使用基準の中に、やはり空中散布について、これは非常に大きな要素なんだから、一つ入れておくということは――まずこれに入れておいて指示をするということは検討していいと思うんですよ、これ。何もこれは法律でも何でもないんですからね。ですから、親切なのは、行政措置その他は親切なほど、丁寧なほどいいわけですから、間違い起こらないようにすべきなんですから、いまの有機燐剤の点から言ってもそういうことが考えられると思うんです。
 それからもう一つ、これは希望としていまは申し上げておきますから、ひとつ配慮していただければけっこうです。
 それは、先ほどの厚生省の方の御答弁で、これは農民に多いんだろうと、こう言うんですけれども、農民は農民かもしれぬけれども、子供さんなんですよね、これ、かかっているのは。だから、直接農薬の散布に携わっていない中学生とか高校生とか、まあたまたま農村地帯だから、関係あるんだろうといえばそうだけれども、そういう人に多いわけですね。だから、これもまたわれわれの常識の範囲で、中学生とか何かの集団の高血圧なんというのは、これは非常にショッキングな事実ですね、これ。
 ですから、まあいろいろ御説明ありましたから、もう時間も時間ですから、私はこれ以上申し上げませんけれども、これもどうも事実ができてからあわてて対策を講ずる。これは、厚生省、非常にお得意のところで、常にそうなっているわけなんですけれども、一般の被害をこうむっている者から言わせれば、これはたいへんなことなんでして、ものが起らなければこれはやらない。これはもう何回も繰り返し言っているんですけれども、そういう事態、非常にこれは遺憾だと思うんです。しかも、将来性のある中学生の集団高血圧、しかも場合によっては失明をするというようなことでは、これはたいへんな事態でありますから、これもすみやかなる対処をお願しておきたいと思うんです。
 次に、作物残留性農薬、それから土壌残留性農薬、水質汚濁性農薬、これも政令で指定するようになっているようですが、一体、どういうものを考えておられるのか、この点御説明願いたい。
#70
○政府委員(中野和仁君) ちょっと御答弁する前に、先ほど空中散布の話がございました。ただいまつくっております安全使用基準というのは、これは食品中の残留性の分しか農林省はつくっておりませんが、今度改正法案が通りますれば、われわれはそれをもとにいたしまして、当然空中散布の問題につきましても、必要な安全使用基準はきちっとつくるつもりでございます。
 ただいまお尋ねの指定農薬を政令でどうするかという問題でございますが、これは作物残留性のものにつきましては、現在考えておりますのBHC、DDT、エンドリン、砒酸鉛でございます。これは有効成分でしますと四種類でございますが、乳剤、粉剤、剤型で分けますと十二種類になる予定でございます。それから土壌残留性のものにつきましては、有効成分で二種類、剤型といたしますと四種類、アルドリンとディルドリンを指定いたしたいと考えております。水質性汚濁農薬につきましては一つでございますが、剤型といたしまして二種類、これはすでに現在指定農薬にしておりますPCP、これを指定したいということを考えておりますが、この問題はいろいろ先ほどから御指摘がございますように、科学的な研究が進むに応じてまたこれは当然追加になるというふうに考えております。
#71
○北村暢君 いまの作物残留性農薬等の政令指定の予定の品目をお伺いしましたが、その中に砒酸塩、PCPというのは入るのでしょうか。それらまた今度安全使用基準が設定されますと、EPN、それから有機砒素剤等は考えられるのか、考えておられないのかどうなのか、この点についてお伺いしたい。
#72
○政府委員(中野和仁君) 先ほど申し上げましたように、作物残留性農薬として砒酸塩は指定をするつもりでおります。ただいまお尋ねのEPN、有機砒素は、ただいまのところはまだ指定農薬にするというところまで考えておりません。
#73
○北村暢君 EPNと有機砒素は作物残留性が低い、こういうことなのでしょうか。考え方としてですね、厚生省の残留農薬許容量というものがきめられ、それに対応して安全使用基準というものをきめた。農薬については、やはり指定農薬として取り扱ったほうがいいのではないかというふうに思われるのです。今度、EPNが新たに安全使用基準がきめられるわけですが、これについてですね、有機砒素剤、EPN、これをやはり残留性が低いという程度のものであるならば、やはり政令で指定すべきでないか、そうして残留基準がきめられて許容量がきめられ、安全使用基準がきめられるんでありますから、使用についても、政令で指定することによってこのやはり使用の方法等について厳重にやはり指導がなされる、そういう意味において、このEPN、有機砒素剤というものを指定して、政令で指定をして取り扱うべきではないか、このように思うのですが、いまのところEPN、有機砒素剤は考えておらないというのは、作物残留性という心配が全然ないから指定しない、こういうのかどうなのか。若干でもあれば指定して使用を規制するほうが妥当である、このように思うのですが、いかがですか。
#74
○政府委員(中野和仁君) 今回の法律体系といたしまして、結局人畜に被害を与えるようなものは初めから登録は保留をするなり、事後でも取り消しをするというのが一つの段階。その次の段階が、使用方法いかんによりましてはかなり問題があるというものについては指定農薬にする。それから、そこまではいかない普通の方法でやっておれば――といいますのは、安全使用基準を守ってやっておれば問題はない、というのは安全使用基準によってやらしたい。こういう三つの段階にわれわれ考えておるわけでございます。ただいまのところEPNにつきましては、われわれわかっておる範囲では残留性は大きくはないというふうに見ております。
 それから、御指摘の有機砒素につきましてはほとんど残留はしないというふうに考えておりますので、先ほど申し上げましたように、安全使用基準を守って農薬の使用をすればそれでいいんではないかというふうに考えておるわけでございますが、これはたとえでございますが、EPNは非常に残留性が強い、農家の安全使用基準だけでは無理だということになれば、当然後ほどまた指定をするということになるかもわかりませんけれども、現在のところはそういうふうに判断をしております。
#75
○北村暢君 この点は後ほど理事会でもはかってもらって、どうもいまの局長の答弁では若干納得しませんので、ということは、EPNが現在のところは農家の安全使用基準にまかして差しつかえない、政令に指定するまでもない、こういうことのようですが、全然農作物に残留性がないということではないし、大事をとる意味においても残留許容量を厚生省がきめ、安全使用基準を農林省がきめるという農薬なんですから、しかも、非常に数ある中から危険度の高いものから指定してきているんでしょうから、また条件のわかっているものから指定してきているのでしょう。この少ない安全使用基準をきめたものを、農家の使用にまかしていい――これではやはり消費者は若干納得できないのではないですか。私は、若干でも残ればこれに指定をして、政令できめて、そして使用を厳重にやらして安心させるという意味において私はこの使用の面からいえば消費者の面からも安心する面において行政的にプラスするのじゃないか、このように思うのです。ですからどうもいまのところはそうだけれども、将来危険であれば入れることもあるという程度のものであれば、この少なくとも厚生省の許容基準量が示され、安全使用基準をきめた、これ以外の農薬もたくさんあるわけですから、せめてこれだけが政令に全部乗ってきたということになれば一番行政的にも単純に説明できるのではないかと思うのですね。そういうそれすらも必要ないというならばこれは問題外ですけれどもね。そういう意味においてこれの取り扱いについてはひとつ理事さんのほうであとで取り扱いを協議していただきたいと思いますね。それで質問はその程度で省略をいたします。
 それから次に最後に防除の組織の問題についてお尋ねいたしますが、先ほど法案の修正がなされまして、防除組織についての修正があったわけでありますが、現在の防除員は植防法第三十三条かと思いましたが規定されているわけです。それでこの防除員を今後の農薬使用上の防除の事業に使っていくという考え方があるようですが、この植防法の第三十三条の防除員の性格というのは病害虫発生の予防的な端緒をつかむというところにねらいがある。当初はそのようですね。ですから農薬全体についての防除組織とは若干性格が違っている。当初の目的とはだいぶ違ってくるのではないか。いわば病害虫発生に関連しますからそれらに関する農薬の使用等についてはもちろんその効果、薬効なり何なりの指導、予察、そういう面において指導するというのはあれでありますが、農薬全体ということになれば、これは除草剤まで含むわけですね。さらに今後農薬の考え方が天敵まで含めてこう考えるということになってくるというふうになれば、これはだいぶ性格が違ってくるのじゃないかと思うのですね。そういうふうに思うのですが、現在のこの法律の規定のままの防除員で今後の農薬取締法の防除組織として末端の組織としてこれを使っていくということについて矛盾はないのか、さらにこの防除組織等について防除員など指導に当たっている者が一万八百名おるようですけれども、今後の組織についてどのように考えておられるか、この二点。
#76
○政府委員(中野和仁君) 防除の問題でございますが、御指摘のように植防法の三十三条では発生予察ということばをあげております。経過的には発生予察という面が中心でありましたけれども、先ほどからるる御議論ありましたように、いろいろ問題が起こっております。そこで、われわれといたしましては防除員を中心にやっぱり末端の防除体制が確立しておりませんと、農薬の取り締まりの面での制度が幾ら整備されましても、これはむだであるかもわかりません。そこで、当初は稲を中心としての制度でございましたけれども、この予察事業そのものも果樹の方向、あるいは蔬菜の方向までかけてきております。と同時に防除員を中心に毎年講習会をやりまして、その場合に単に予察のことだけでございません、この法律にもございますように「その他防除に関する事務」、非常に事務ということばがまあ何と言いましょうか、こういう事務ということばでございますので非常に低く見えますけれども、これはわれわれは業務と読みまして非常に広範な職務指導をさせるための講習会等もやっております。
 そこで、もう一つの問題は、単に一万八百人の病害虫防除員だけではもちろん末端まで浸透いたしません。やはりできますれば共同防除の方向に持っていくべきだということで、過去から農林省もいろいろな手を打ってまいりましたけれども、最近三カ年におきましても共同防除の指導に相当な予算措置も講じておる。それが一応ことしで終わりましたので、なお来年はそういう防除組合等を中心にしまして安全管理施設についてたとえばいろいろな助成でございますとか、あるいは農薬を使いましたあとの容器の始末をさせるための焼却炉もつくってやるとか、そういうようなことを考えております。
 先ほど最初に申し上げましたようにやはり末端での防除が病害虫防除員、それから県におりまして末端に配置されております農業改良普及員、それから農協の営農指導員、共済組合の防除担当員、こういう方々が中心になりまして、できるだけ農家に農薬が適正にかつ安全に使われるような指導をすべきであるということでわれわれ考えて、またそういう方向で努力をしたいと思っております。
#77
○北村暢君 これで終わりますが、最後にいまの防除組織の共同防除その他の考え方についてはそのとおりだと思うのですけれども、これもせっかく残留許容量、安全使用基準、これをきめまして指導するわけでありますけれども、使うのは農民なわけですね、末端の農民、非常に訓練された共同組織、共同防除であれば、あまり問題は起こらないのでありますけれども、農薬でありますから個々の農家がこれは水田、果樹その他で必ずしも共同防除のみとは限らないわけです。個々の農民が使う場合がある、多くあるわけですね。その場合に確かにBHCはもう使ってはいけないという指導がされている。しかし許容基準もある、水田には使わなかったけれども、ほかのものに使った。もう生産も中止しているのだが使っているということがある。この許容基準なり何なりに違反して使うということはあり得ることだと思うんですね。そういう面についての監視的な機構なんというものはないわけなんですね。しかもそればかりでなしに、農薬による事故というのが非常に多いですね、そういうような面からいって、使用方法等について、末端教育するのだが、実際にそのように行なわれているかどうかということを確かめる方法というものはない。あくまでも指導行政としてやっているということであります。
 これでやはり問題になるのは、事故が起きない場合はそれでいいわけなんですが、事故が起きた場合に、一体実際に使用基準なり何なりに基づいてやったのかどうなのかということが、これは問題になるんだろうと思うんですよ。これは、いやそのとおりやりましたと言えば、これはなんの証拠もないということになるのです。そういう面における安全性についての監視機構というようなものはもちろんないわけなんですが、そういう面についての指導なり対処の方法なりというものはどのようになされているのか、これだけお伺いして私の質問を終わります。
#78
○政府委員(中野和仁君) 本来農薬を使う農家が、まずまっ先にその辺は全部注意しなければならぬはずでございます。農薬の表示についても、いろいろ注意事項が書いてあります。それをまず守っていただくのが第一番だと思います。
 それから二番目の指定農薬につきましては、販売店におきましても譲渡先を、どこだというふうに今度の法律改正でこれは明確にして、帳簿につけておきまして、三年間保存さしておくという措置もとっております。
 それから衆議院の御修正によりまして、指定農薬につきましては、できるだけこれは病害虫防除員、それから改良普及員、その他知事の指定する者の指導を受けなさいということにしております。
 もう一つの面では食品衛生との関連で、食品衛生監視員がその辺の監視はしておられるということになるわけでありまして、われわれとしましては、あらゆる面を通じてそういうことが農家に徹底するようにいたしたい。これはつけ足しでございますが、大体ほとんどの県でも、農家まで徹底するように、防除ごよみ等をつくりまして、全部配付しておりまして、まっ先にわれわれとしましては農家に、農薬の使い方の自覚といいましょうか、それを求めるのを前提にしました上の指導をしていくというふうに考えております。
#79
○宮崎正義君 午前からいままでに引き続きまして論じられてまいりましたその中で、なるたけ重複を避けるようにしていきたいと思いますが、大事の点につきましては、やはり念のためにたださなければならないところはただしていきたいと思っております。したがいましてその第一条の目的の考え方についてでありますが、農薬取締法の一部を改正する法律案の提案理由の説明の中に、大臣も、「わが国の農業にとりましては、その生産を安定させる上で農薬の使用は欠くことのできないものでありますが、反面、近年において農薬散布中の事故の発生や農作物等への農薬の残留等の問題が生じてまいりました。」、さらには提案理由の補足説明で「農薬取締法は、農薬の品質の保全を目的とした取締規定を主たる内容として昭和二十三年に制定され、今日に至っているのでありますが、最近における残留農薬対策の重要性にかんがみ、残留性の著しい農薬についての取り締まりの強化等に関する規定を整備することに伴い今回本法の目的規定を新設することとし、農薬取締法は、農薬の安全かつ適正な使用の確保をはかり、」、このように補足説明でもいわれておりまして、二十三年の七月一日の農薬取締法、さらにはこの第一条に付属した事項になるわけでありますが、この農薬の問題につきましては私が五十一国会、すなわち四十一年の三月の十六日の本院の予算委員会におきまして質問をしております。さらに、この農薬がいかに大事な問題であるかということを考えまして、昭和四十三年五十八国会においても取り上げまして、その折には農薬の権威者ともいわれております東京歯科大学の上田教授を参考人として招きまして、かなりこまかくこのことも政府にただしました。この時点においてこの農薬を、法を改正したならば今日この公害問題が起きてくる時点において論じられることもなく一歩先んじてやれたはずであります。この予算委員会で私が問いただしましたことについて、総理大臣及び農林大臣、政府委員の方々が回答をいたしております。その会議録を大臣はお読みくださったでしょうか、いかがでございましょうか。
#80
○国務大臣(倉石忠雄君) このたび改正案作成の途中で、いろいろそういう御意見のありましたところを調べたことはありますけれども、いまそのときの速記録を記憶しているかどうか、それははっきりいたしておりません。
#81
○宮崎正義君 私は少なくとも現総理大臣が答弁をいたしておりますし、またその当時の農林大臣、また五十一国会、五十八国会と農林大臣がずっと日本の農政を担当しておられ、そしてまたいま農林大臣はおかわりになったというものの、対日本の農政というものは一貫してどうしていかなければならないのかという、そのビジョン、未来性という総合農政の立場の上からどういうふうなことが審議され、そして運行されてきておるか、実践面においてどういうふうな変化をしてきているか、どういう進捗をしているかというふうなことを、私は当然大臣の立場としておやりになるのがほんとうじゃなかろうかと思うのですが、この点いかがでございましょうか。
#82
○国務大臣(倉石忠雄君) それはお説のとおりに存じます。
#83
○宮崎正義君 いまのことを局長にお伺いします。
#84
○政府委員(中野和仁君) 私たちも当然宮崎先生のお話になります、こういうふうに農薬をめぐりましていろいろな問題が起きてきておりますので、それを農薬の面からできるだけ安全無害な農薬をという意味での適正な使用、それからその他の制度をつくっていくという、そういう気持ちで今回この改正案を提案したわけでございます。
#85
○宮崎正義君 私のお伺いしているのは、当時私が質問をいたしまして政府でお答えになりましたその点がどのように進捗しておるか、実際の担当をやっておられる局長のほうからこの点はこういうふうになっていると言われるようなことがあってしかるべきだと思うのですが、たとえば低毒性の問題につきましては、こういうふうな劇物あるいは毒物あるいは指定毒物というような位置づけといいますか、そういったものに対するいわばそれをどういうふうに取り扱っていくのかというようなことも質問をいたしております。一つの例をあげればそういうことでありますし、またさらにはいろいろありますが、天敵の問題等についても、当時の四十三年と今日の状態ではどういうふうな運びになっているかというようなこと等について、お気づきの点があれば言っていただきたいと思います。
#86
○政府委員(中野和仁君) 宮崎先生の当時の発言、私、申しわけありませんでしたけれども、そのものを直接読んでおりませんので、あるいはいまのお尋ねと趣旨が違うかもわかりませんが、まず一つ、低毒性農薬の問題につきましては、当時御指摘になった――私もただいま考えましてもそのとおりだと思います。農林省としましても、できるだけ低毒性農薬の開発促進というのはやっていかなければならない、またそういう方向でひとつ進めてきております。
 それからもう一つは、四十三年から残留性あるいは毒性の問題についても、これは法律にはございませんけれども、行政指導といたしまして、これを新規の登録にはそういう試験書をつけさせるということをやってきてまいっております。
 それから天敵の問題につきましても、われわれのほうの農林水産技術会議のほうでいろいろな調査研究をその後進めておりますし、現在、ことしから行政面といたしましても、ミカンにつきましてもうすでに天敵の実用化を始めるための予算を組んでおりまして、来年もこれを継続いたしたいということで、低毒性の農薬あるいは天敵も含めた総合的な防除体制の整備ということは、御指摘のような方向で進んでおるとわれわれは考えております。
#87
○宮崎正義君 そこで、午前中から論議されておりますが、公害対策基本法の改定をされるにあたって、経済の健全な発展との調和がはかられるようということが問題点となっておりまして、その面から取り上げて考えますと、農業生産の安定ということについて先ほどまで論議をされておりましたけれども、明らかに農薬の毒性に関する問題がるると言われておりました。この毒性なり残留するといわれているものの毒性があっても使用しているじゃないか、こういう点から考えていきますと、安定というのはどれを安定とするのか、人為なのか、あるいは農業自体ということを言っているのか、安定ということについての私は大臣からの意見を伺っておきたいと思います。
#88
○国務大臣(倉石忠雄君) このごろ農薬の種類や使用量の増加に伴いまして、毒性の強い農薬がありまして、そういうものを散布、使用いたしますときに、途中で中毒事故や食品中の残留農薬による国民の健康への影響など、たくさん問題が出てまいったわけでありますが、こういう農薬の関係いたしております問題の環境の中で、今回農薬取締法の一部を改正して、毒性それから残留性等についてきびしい検査を実施いたしまして、危険な農薬を排除し、あるいは一部の農薬について使用をきびしく規制をいたす、こういたしましたことは御存じのとおりでありますが、こういうことによって人畜に対する危険のない、無害な農薬の生産と、安全かつ適正な使用を確保して国民の健康の保護をはかる、こういうことを私どもは法の目的といたしておるわけでありますが、他方、国民に必要な食糧を安定的に供給する上で農薬が欠くべからざるものとなっておる事情をも考慮いたしまして、これら安全無害な農薬をもって農業生産の安定をはかってまいりたい、先ほど北村さんにも申し上げましたように、同じ産業でありましてもほかの工業などと違いまして、農業を守ることそれ自体がやはり環境を守ることであり、緑を守ることによって、われわれ人類の必要な酸素を供給することができるのでございまするので、農業も安定し、同時に先ほどお話にもありましたように農薬の生産、そういうものもいまの安全を確保し得る範囲内において的確に使用されることによって安全性を保てるんではないか、こういうことを考えながら私どもは本法の目的といたしたい、こう思っておるわけであります。
#89
○宮崎正義君 大臣のいまの御答弁が、ちょうど私が四十一年の三月の十六日の五十一国会のときに取り上げました。勘定してみますと五年間経過しておるわけであります。その五年間経過しておりますことがいまやっと御答弁がありましたような形になってきているわけですが、いずれにいたしましても農業それ自体を維持すること、そのことがまた国民の生活を維持することであるというようなお話ですけれども、この取締法が、当初私が質問をしたときから考えてみまして、なぜその当時にこのように真剣に取っ組まなかったのか。先ほど北村委員と大臣との間のお話の中にありました技術者が技術的にやるのであるから、またその技術者に緊急的にやらせるようにするんだと、こういうふうな答弁もあったように思うわけです。なぜ政府は四十一年に取り上げましたこの重大な問題をいまのような真剣さで取っ組まなかったのか、そこに大きな私は禍があったというようなことをしみじみと感ずるわけであります。したがってその当時から考えますと、この安定ということが保たれていなかった。すでにまたいま――私は方々を歩きました。私の承知しているところでは、まだ農協にもどっさり使用禁止の指定されている農薬が倉庫にもありますし、また農家にも保存をされております。聞くところによると、いまのところは使用する農薬がないからこれを使う以外にないんだと言って渡されたというようなことも聞いておりますし、現に使用しているところにも私は行って見ております。こういう実情にある状態をなぜそのまま――この公害問題というものが起きる前に適切な指導がされなかったか、この点を非常に遺憾とする次第であります。したがいまして、多少の毒性、すなわち低毒性のものでも、今後の農業に使用していくのかどうかということになれば、安定ということは、今日までの事実が立証している点から考えてみても、農業が安定するために国民の健康ということがあとになるんじゃないか、このようにも考えられるわけです。したがいましてくどいようでありますが、この点についてもう一度明確にしていただきたいと思うわけであります。
#90
○国務大臣(倉石忠雄君) 公害問題につきましては、わが国は終戦以来とにかくお互いがああやってたたきのめされた敗戦のどん底から立ち上がって、お互いの国を興し、お互いの生活を盛り立てようということで、なりふりかまわず一生懸命で働きました。それが今日わが国のこういう成功になったもとだと思います。したがいまして、おそらく日本人ほとんどが他を顧みるいとまもなく経済復興に全力をあげたことだと思います。しかし若干安定してみますというと、いろいろな問題が起きてきております。そこで政府は決して――いまお話しのように私ども自体としてもっと早くやるべきではなかったか、これはもうそうだと思います。しかし私ども、たとえば終戦のとき台湾から軍隊の引き揚げ船で引き揚げて来ました。鹿児島へ上陸したんでありますが、アメリカ軍はわれわれを並べておいてまっ裸にして頭からDDTをまきました。私は化学工業会社の社員でありましたけれども、これは何であろうか、こんなもので消毒ができるならば、これはいい金もうけになるなと思っておりました。やがて東京にたどりついて、私のつとめておりました会社はソーダ会社でありますので、DDTを大量に製造いたしまして、つい最近までやりました。しかし、そのころは化学のほうをやった技師がたくさんおったのでありますけれども、このDDTについて、いまほどの毒性についてだれも何とも言いませんでした。ところが最近になって、たとえば、大掃除なんていうときに区役所は畳を外へ干して、今度は入れるときには新聞紙を敷いて、DDTをまけということを長い間教えておりまして、だれもふしぎに思いませんでした。私どもはそういうことを考えてみますと、われわれの知恵が足りなかったのかもしれませんし、そういう点は不勉強であったのかもしれませんが、そういうことで、残念ながら、ことにわれわれは化学的にはしろうとでございまするので、いま一つDDTの例を申し上げましたけれども、諸般の問題にやっぱりそういうところがあったと思います。しかし、おそくともこれは今日のように政府全体として対策本部をつくって、ただいまお話のございましたように全力をあげて公害を防止しよう。いまは日本だけじゃございませんで、人類は地球を守ろうと言い合っております。ほっておけば、地球の生物が死滅するかもしれません。そういうことのないように、われわれは自分の分担の限りにおいては少なくとも早くやろうと、こういうことで、とりあえず今度の十四法案のものをお願いいたしておるわけでありますが、これで満足いたしておるわけではございません。皆さま方のお知恵も拝借し、さらにまた研究も続けてまいりまして、われわれの所期の目的が達成されるように全力をあげて努力したいと、こういうのが私ども政府の念願とし、またねらっておるところでございます。
#91
○宮崎正義君 大臣がDDTのお話をされて、市中で農薬が無意識に使われていたことも、こちらが考え方が足りなかったからそのまま過ごしてきたのだ。――なるほど私どもそう思うがゆえに、それだけに真剣にならなきゃならないと思います。いまのお話から押していきまして、たとえば、稲作の場合なんかを見ますと、米の全国平均の反当たり収穫は三十一年の三百五十キロからここ三、四年の間に四百五十キロ、大体三割程度ふえてきております。これは早期栽培と密植、多肥の普及した点であると、こういうふうに言われておりますが、早植えをすれば稲の生長期がちょうど真夏に当たって生育がよい。普通に植えるよりも反当たり一、二俵は収穫がふえるであろう。その上に密植を併用して、同じ面積に植える苗数をふやし、肥料をたっぷり加えるとさらに増収も可能である。だがその反面に早期栽培はよく生育する真夏が病害虫の発生しやすい時期に当たってくる。その上密植すれば風通しが悪くなって、病害虫の発生の温床になってきてしまって、どうしても農薬を大量に使って害虫を防除するということになってくる。このように農家はいままで米の生産にそういうふうなことをしながら寄与してきた。最近の過剰的な豊作になってきたことはいま申し上げたようなことでありますが、こうした行き方も無知といえば無知、それを早期に指導しなかったということも言えると思いますし、こういう点から考えまして、農薬の公害がどれだけのものであるかということをまだ農家自身は、山間地のほうの農家自身はあまり深刻に考えていない。そういう問題もあるのかというようないまだにそういう人たちもいるわけであります。こういう面からいきますと、今日までの指導行政というものが非常に不備であったんじゃないか、このようにも思うわけであります。いま大臣のお話からDDTを体にまかれた、掃除のあとにDDTまくとかという点から考え合わせてみても、農業自体にも、農家自体にもこうしたきらいがあるということは私はいなめないと思うわけです。そこで先ほどお話がありましたけれども、これらに対する農薬の今後の問題をどうして徹底さしていくか、公害というものをどうして徹底さしていくか、この点について所見を伺っておきたいと思います。
#92
○政府委員(中野和仁君) 先ほど北村先生からもそのお尋ねがあったのでございますが、われわれといたしましては、まずやはり農薬取締法の制度を今回御提案申し上げておりますようなふうに、まず、変えていただき、制度的に整備をしたい。その整備された制度を、今度は末端に徹底させたいということでございます。そのために先ほども申し上げましたが、今後は残留性あるいは毒性について問題のあるような農薬はまず登録をしない、保留するということに、まずいたします。
 それから二番目には一ぺん登録したものでありましても、その後の科学的な知見によりまして、これは人畜に被害があるということが明らかなものについては、事後でもこれは登録の取り消しあるいは使用方法の変更ということをやります。
 それから使い方いかんによりましては問題がある、こういう農薬につきましては指定農薬にしていく。そしてそれ以外の農薬につきましても、できるだけたくさんのものについて安全使用基準をきめてやっていこう、こういうふうな制度にしてあるわけでございますが、これを徹底させる意味におきましては、やはり末端の組織が整備されてまいりませんと、農家の自覚を促すことはもちろんでありますけれども、整備の必要があるというふうに考えております。そこで病害虫防除員、これは全国百八十カ所、五百十六人発生予察の関係で人を置いておりますけれども、そういう防除所を中心に、そして末端において一万八百人の防除員を置いております。これの訓練というようなことを通じまして、それから別の面では共同防除の促進、直ちに全部が共同防除というふうには、日本の農業の実態としてまいりませんけれども、できるだけ共同防除の方向に持っていくということで指導の徹底をはかって、できるだけ安全無害な農薬が使われて、農業生産の安定ができる方向に持っていきたいというふうに考えております。
#93
○宮崎正義君 いまお話がありましたその中で、毒性の点で四十三年から慢性毒性の試験成績を提出するよう指導がされておるようでありますが、登録審査の実績とか、あるいはその成果は今日どのようになっていましょうか。
#94
○政府委員(中野和仁君) 四十三年以来新規の化合物で申請がありましたものは十八件でございます。その十八件を厚生省のほうへ送っていま検査をしてもらったわけでございますが、そのうち七件は安全な評価が済んで実用化されております。したがいましてあとの十一件はただいままだ検査中と、こういうことになろうかと思います。
#95
○宮崎正義君 厚生省のほう、どうなんですか。
#96
○説明員(小島康平君) いま農林省のほうから御説明のあったとおりでございまして、私どもとしては農林省のほうから資料をお送りいただきましたものを私どもの食品衛生調査会にございます農薬に関係いたします部会へかけまして、先生方の御意見をいただいた上で農林省のほうへ御回答をいたしまして、そして登録をしていただいているというような状況でございます。
#97
○宮崎正義君 そこで厚生省と農林省間の通達の面だけをちょっと取り上げてみますと、農薬の残留問題についていろいろ両省ともが調査しているわけですが、私の手元にあるものから読みますと、歩調が同一でない、同じように同時に問題に取り組んでないというような面があるわけですけれども、たとえば昭和三十九年に厚生省の残留農薬問題についての調査開始が行なわれている、これは水銀は他の農薬に切りかえる指導が通達内容として出されているわけです。この時分にはまだ農林省は何にもやってない。それから昭和四十二年になりまして、農林省から通達が出まして、残留問題についての調査開始、こういうふうに時期的に相当ずれているように思えるわけです。さらには四十三年の三月三十日に、農薬残留に関する安全使用基準について農林事務官から通達が出ております。その前の四十二年の五月二十三日に非水銀系農薬の使用促進について農政局長から北海道知事、各地方農政局長あてに水銀を他の農薬に切りかえる指導というふうに、その水銀の問題につきましても三十九年と四十二年と、こんなような同一農薬のことについてでも同一歩調がとられてない、こういう点はどうなんですかね。
#98
○政府委員(中野和仁君) 水銀の問題についての経過は私いま詳しく存じませんのでちょっと御答弁申し上げかねるわけでございますが、最近におきましてはそういうことはございません。きちっと厚生省とよく連絡をとった上でやっておりますので、今後はそういう心配はないとわれわれ考えております。
#99
○宮崎正義君 私いま水銀の一例をとっただけでありまして、先ほどからBHCの問題がずいぶん出ておりますが、これなんかにつきましても相当に時期的に違いがあるわけでありますが、ただ単に私は水銀系のものを取り上げているということじゃなくて、一例を申し上げただけであります。要は、先ほどから牛乳の農薬残留問題について論議をされておりましたけれども、これだって当然同一歩調でいかなきゃなりませんし、残留農薬のことについては総体的にはやはり同じような歩調でいかなければなりませんし、先ほど来のやり取りを聞いておりましても、厚生省の分野とそれから農林省の分野というところの出したり入れたりするという関係で相当時期的にずれている、その間に被害をこうむっているものはその間にもどんどん被害を受けている、こういうところに私は大きな問題があるんだろうと思います。いま局長のお話ですと、最近はないと言われておりますけれども、私は二、三そういうことは事例のあることも知っておりますけれども、こういう点が国見に大きく影響していく問題点ではなかろうかと思うわけです。この点について厚生省の考え方と農林省の考え方を、担当の人の今日やっている現況を話していただきたいと思います。
#100
○説明員(小島康平君) 農林省と厚生省の行政は非常に密接にこの農薬の問題については関連しておりますので、先ほど農政局長からも御答弁がありましたように、私どもとしてはよく連絡をとって協力をしてやっておるつもりでおりますが、ただBHC等の問題につきましては、非常に緊急な問題であり、準備ができたところから直ちにいろいろな施策を実行していく、また調査を進めていくということで、たとえば農林省のほうの御通知が出ない先に私どものほうが出るというようなことも、先生から御指摘のあったように外部的には不統一のように見える点もあったかと存じますが、私どもとしては十分に連絡をとってやるという根本的な精神におきましてはどうも変わりはあるわけではございませんで、先生の御指摘のあった点につきましては、今後とも十分留意いたしまして協力体制を十分にいたしまして進めてまいりたいと存じます。
#101
○政府委員(中野和仁君) ただいま厚生省からもお話がありましたが、農林省といたしましても、たとえば毒性の問題につきましては、これは毒劇物取締法がありますので、厚生省の御判断によって農薬を登録するということもやっておりますし、それから最近の食品中の残留性の問題につきましても、厚生省でおきめになる前にわれわれのほうにも御相談をいただいております。そして厚生省が御発表になる日に同時に農林省といたしましては、そういう残留許容量のもとではどんな農薬の使い方をしたらいいのかという安全使用基準というのを同日に出すということでただいまはやっておるわけです。
#102
○宮崎正義君 毒性、劇性とそれから特定毒物という三段階に分かれておりますけれども、この基準として、化学的にLD50というのが、動物の半数が致死量に至る数値が基準になっているというのが経口毒性の場合だと、こう言われておりますけれども、吸入毒性の基準あるいはまた皮膚粘膜に対する刺激性の判断、その診断をどういうふうな基準に求めているか、この点について御説明願いたいと思います。
#103
○説明員(小島康平君) 厚生省は新しい農薬の登録にあたりましては、急性の毒性の面と慢性の毒性の面と両方から評価をいたすわけでございますが、急性の毒性の面につきましては、毒劇物取締法の観点から評価をいたすわけでございます。この際には農林省のほうから回ってまいります資料のうち、先生御指摘のありましたLD50、どのくらいの量をとると死ぬかという量によりまして毒劇物の指定を行なうわけでございます。それからまたその際に、これが皮膚粘膜等に付着いたしまして非常に強力な毒性を示すものにつきましては、先ほどのLD50とあわせまして、非常に毒性の強いものについては特定毒物というような指定を行ないまして、その使用法等につきまして政令をもちまして非常にきびしい使用の規制を行ないまして、事故の発生を防ぐということで、この件につきましても、使用法等の規制につきましては、農林省のほうと十分に御連絡をとりまして規制をするというたてまえをとっておるわけでございます。
#104
○宮崎正義君 そこで、厚生省の方にお伺いするのですが、農林省のほうの関係もこれはないじゃないのです、農林省のほうで使わしているわけですが、ネズミ退治をやる、麦をつぶして赤い色をつけてやっておりますが、これは市販をされておりますが、これ何種類ぐらいありますか。
#105
○説明員(小島康平君) 実は先生、まことに申し分けないのでございますが、ネズミ退治につきましては私、所管外でございますが、先生の御指摘のございました麦に色をつけますのは、おそらくモノフルオール酢酸を使ったものだと思いますが、どのくらいの製剤が許可になっているか、現在私つまびらかにしておりませんが、場合によりましては、先生のところに資料を担当課から提出させたいと存じます。
#106
○宮崎正義君 実は、これが大きな牧草の畑なんかにしみ込んでくるという場合もあるわけです。ちょうどネズミの出入りするところにまかれるわけですが、それから野ウサギの場合でも相当利用されているわけですが、この毒物が相当原野に流れ、またたんぼに流れ、牧草地に流れている。それで非常に泣いているわけです。いまちょうどその時期で、盛んにやっているわけです。こういう実情なんかごらんになりましたでしょうか。どうですか。
#107
○政府委員(中野和仁君) 私、まだそのネズミの被害といいましょうか、そういうところを見たことはございません。
#108
○宮崎正義君 村野庁の人はいないのでしょうからわかりませんでしょうが、これは野ウサギあたりにも相当やっているわけですが、帯状にまきましてやっているわけです。これが相当大きな被害を与えているわけです。この点ひとつ御研究願いたいと思います。
 それから、先ほどの厚生省の課長の御答弁がありましたその内容、分析したもの、メーカーの名前、それらを委員長ひとつ資料としてお願いしたいと思います。
 次にお伺いしたいんですですが、この第十二条の二ですか、「作物残留性農薬の使用の規制」、これで使用禁止になった農薬の処置についてはどう規定されるのでしょうか、制約される農薬ですね。
#109
○政府委員(中野和仁君) ただいまお尋ねの十二条の二は、これは作物残留性農薬の使用を規制しますから、これは使用禁止はいたしません。むしろお話の問題は、第六条の三によりまして、現在登録を受けている農薬でございますが、人畜に被害を与えるおそれがあるというようなことからやむを得ず――やむを得ずというのはおかしいのですけれども、そういう人畜に被害を与えるような事態を防止するため、必要あるときは農林大臣が取り消しをいたします、登録を。そういたしますと、これは製造しても販売できませんので、薬としてはそこでとまるわけでございますが、取り消されるまでの間に流通しているという問題があるわけです。そうしますと、これはこれ以上使えないということになりますと、そのまま廃棄をいたしますか、あるいは一カ所に回収をしてまた廃棄をするか、いずれかのどういう方法かをとらなければならないということになるわけでございます。
 その点につきましては、衆議院のほうでも御修正がございまして、登録が取り消された場合には、製造業者、販売業者が回収につとめなければならないということになっておるわけでございます。国としまして、あるいは県としましても、そういうふうな農薬につきましては最も――その取り消された具体的な農薬でありますから、どういうふうにやったらいいかは具体的になりませんとわかりませんけれども、最も適当な処分方法を考えました上で、当然行政指導すべきであるというふうに考えます。
#110
○宮崎正義君 そうです。私の間違いだ。十二条でない。六条ですね。
 それで、いま流通の途中というお話もありましたけれども、たとえば手持ちのやつなんかは、どういうことになるのでしょうか。これは確かに衆議院の修正では、回収ということになっておりますが、今度そのどう処理をするか、また、農家に対する補償ですね。ご存じのように、農家といえばもう借金で貧乏、非文化的な生活を営んでいるというようなイメージを持っているというほど貧しい農家の方々が、貧困であるという人たちが保有している場合、その人たちに対する補償というか、弁償というか、そういったような助成というものはどう考えるのか。それからもう一つは、回収をしたけれども、そのあと処置はどういうふうにしていくのか。この二点について。
#111
○政府委員(中野和仁君) 回収の問題は、先ほどちょっと抽象的にお答えいたしましたが、禁止された農薬がどういうものかによると思います。一例をあげますと、いもち病に非常によくきくという薬だったわけですが、それがあとに残りまして、キュウリに影響が出てくるという問題がございまして、これは自発的にと申しましょうか、登録を取り下げをさせた問題がございます。その場合は、これはブラスチンという薬ですが、これは都市のごみと混ぜまして、圧縮して固めまして、外側からコールタールでまぶしまして、鉄火石という名前ですが、鉄火石にした上で海中深く投棄をした、こういうことがあるわけです。したがいまして、どの薬はどういうふうに処理したがいいかということは、やはり政府として、あるいは個別的な場合は県の場合もありますけれども、どうしますかということを具体的に考えなければ、抽象的にはこれはなかなかどうするということは言いにくいのではないかと思います。ある物につきましては、回収をいたしますよりも、農家個々に地中に埋めさせてしまうこともいいものもあるかもしれません。その辺は、具体的な薬をどうするかということがわかりませんと、ちょっと具体的な措置は申し上げかねると思いますので、いま、一例を申し上げたわけです。
 それから助成の問題でございますが、やはりいままでいいということで登録があったわけでございますけれども、その後の科学的な技術の進歩と申しましょうか、それは人畜に有害であるということがわかりました場合には、やはりこれは製造業者、販売業者、農家といわず、これは使わないという社会的な義務が私はあると思います。したがいまして、これを法的にだれが補償するかという問題はないと思います。しかし、私的といいましょうか、そういう民事上の問題といたしまして、農家と販売業者、製造業者との間での話は、別途あろうかと思います。
#112
○宮崎正義君 そこが問題なんですが、直接に農家がなかなか買うことができない。農協から当然入ってくる。また農林省の登録番号が入っております。農協ではこれを使えといって渡している。それが実際上使用しちゃいかぬということで、金を出して買っておるわけですから、その使用しない分を農協で引き取るのか、引き取らしていくのか。そういったような行政指導というのはどういうことになるのでしょう。
#113
○政府委員(中野和仁君) ただいまも申し上げましたように、薬によりまして、あるいはもうささいな量でありますれば、農家個々が地中に埋めてしまうなり何なりしまする場合もあろうかと思います。若干、大量になった場合、それからまた農家の手元に置いておいてはいけないといったような場合には、販売業者、それから製造業者が協力して回収につとめるということに私はなると思います。
#114
○宮崎正義君 何しろ数が、品種が多いし、なかなか容易じゃないと思うことはわかります。わかりますけれども、この処理ということがあとあとまで問題になってくる。回収だけでは済まない。回収即それは処理じゃなければならないというふうなことから、まずもってその農薬の分析というものはもうできているわけですから、どこのどの地方にはどういうもの、たとえば新潟ならば北興五とかいうような、地域によっては大体きまっているわけです、使用されているものが。そうすれば、いまその行政指導をしようと思えば分析もそれでされているわけですから、使用上の注意とか、これはどれだけの成分がどれだけ含まれているということはわかっているわけです。ですから、当然もうこの指示はできると思います。その点は急がなければならないと思います。
 それから、ここに一つの例を申し上げますと、これは鳥取県ですが、宮崎先生もおいででありますが、鳥取県のほうでは農協が買い戻しをしておりますね。「鳥取県は、十三日農薬適正使用協議会を開き、DDT、BHC、ヒ素、鉛、パラチオン、ディルドリン、アルドリン、エンドリン、有機水銀など国の定めた九種類の規制農薬について∇かわりの農薬で防除できる病害虫には使用を禁止する∇現在農家が持っている分は全部農協が買戻しをする、という方針を決めた。」と、このようになっておりますが、かなりの量だと思います。金額にしてみると案外少ないといっては申しわけありませんけれども、鳥取県全体ですから、これは約一千万くらいあると思うのです。それにしてもかなりの負担だと思います。
 それから、神奈川県の例は、「農家手持ちも回収」する。「規制農薬一挙に禁止」と。このように神奈川県では、「農畜産物への農薬残留毒が、消費者、生産者双方で問題化しているが、県農協中央会、経済連は二十一、二十二日、BHC、DDTなど国の使用規制農薬を一挙に使用禁止し回収する方向を確認した。これに基づき代替農薬を明らかにする一方、回収金負担、廃棄方法などについて県との協議をすすめていく。この確認にさきがけ、県経済連は県下農協での使用制限農薬の在庫を調査したが金額にして三百七十一万五千四百九十二円に及んでいた。これに農家の手持ち量を加えると相当額に上るものと予想され」ると、まあこのように、あとずっと長くなりますから申し上げませんけれども、一挙に回収はするけれども、あとその処理ということをどのようにするかということがどこもうたってないわけです。また、ほかにもこういうことがあるかわかりませんけれども、いま私が申し上げましたように、すでにわかっているものは当然こうすべきである。これは焼却するものであるとか、これは谷合いを掘って入れるべきであるとか、いろいろな指示の方法というものも早くしませんと、非常に困っているのはこういう回収したところの問題点が起きてきているわけです。この点について、なお明確にしていただかなければならないのじゃないか、こう思うわけで、その品種によってはこういうふうにするのだということをいっときも早くするように私は希望申し上げたいと思います。
 それから十二条の五、「農薬安全使用基準」でございますが、これは、「農林大臣は、農薬の安全かつ適正な使用を確保するため必要があると認めるときは、農薬の種類ごとに、その使用の時期及び方法その他の事項について農薬を使用する者が遵守することが望ましい基準を定め、これを公表するものとする。」と、こうなっておりますが、この御説明をひとつ願いたいと思います。
#115
○政府委員(中野和仁君) 今回の改正案におきましては、農作物なりあるいは土壌への残留性の程度から見ましてきびしく規制をしたほうがいいというものにつきましては、作物残留性農薬なり土壌残留性農薬という指定をしまして、これは農林大臣が使用基準をきめてそれに従わせる。従わないものは罰則をかけるということにしておりますが、それ以外の農薬につきましても、現在は農薬の包装に使用方法等を書かしておりますけれども、それだけでは不安があるといったようなものもございますので、これは行政指導の根拠といたしまして、農林大臣ができるだけここにありますように多くの農薬につきまして、農薬の種類ごとに使用の時期なり方法なりをきめましてこれを公表する。公表したものを県を通じ末端まで徹底さして、農家の手元までそれが行き渡るようにして、できるだけ農薬というものは安全な使用をさせるのだというための基礎をつくりましてこれを公表する、こういう趣旨でございます。これには罰則はかけておりません。
#116
○宮崎正義君 私はその罰則のことなんですがね。なぜ罰則をかけなかったのか、その理由ですね。
#117
○政府委員(中野和仁君) それで最初に申し上げたわけでございますが、そういう罰則をかけるようにしてしか使えない農薬については、これは当然指定農薬といたしまして十二条の二ないし十二条の四で指定農薬にいたします。そうして農林大臣が基準をきめて、それを守らなければ罰則がかかるということにしておりますが、そういうきびしく規制をしなくてもいい農薬につきましては行政指導という意味で使用基準をつくりまして公表すると、こういう趣旨でございます。
#118
○宮崎正義君 次に、先ほど私はネズミとりの件を出しましたのですけれども、これはなぜかといいますと、一般家庭に、先ほど大臣が御答弁なさいましたように、非常に防虫剤としての販売がされているわけですね。これの問題はどういうふうに今後規定されていこうとするか。片っ方は、農業関係では相当きびしい規定がされるけれども、DDTとかいまだに一般家庭に使われているわけですね。こういうのはどういうふうな行政指導をしようとするのか。これは厚生省のほうの関係になるのですがね。
#119
○説明員(小島康平君) 一般家庭で使われております防虫剤につきましては、薬務局がこの生産及び流通の取り締まりに当たっておるわけでございまして、実は昨年BHCによる牛乳汚染問題が出ましたときに、家庭内で使う殺虫剤、防虫剤のようなものがどの程度この問題に寄与しているかということで、生産量あるいはその使用の実態等を当たってみましたところ、実際問題として防虫剤から人間のからだに入るということは、ほとんど特別な場合を除いて考えられないのであります。そしてまたその特別な場合としては、食物のあるようなところでそれを使用するというようなことでございました。こういう面につきまして表示等でそういうところで使わないようにという指導を徹底させるということで、現在特に規制は行なわれていないというような実情でございます。
#120
○宮崎正義君 家庭内の野菜でも相当使っております。野菜を庭先でやっておりますね。あれには相当使われておるわけです。これは同じだと思うのですがね。この点についていまのお話だとちょっと納得できかねるのですがね。この点についてのお考えをはっきりさしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
#121
○説明員(小島康平君) ただいま私の説明が足りないで申しわけなかったのですが、私御説明しましたのは、家庭内で蚊の防除とかノミなどの駆除に使う薬剤のことを申し上げました。家庭菜園等で農薬が使われるということになりますと、これはまた問題が別になってくるわけでございまして、そういうものが医薬品としての取り締まりを受けるものでございましたら、そういう面は薬務局のほうで十分取り締まりを行なわせるように私のほうからも伝えまして検討させたいと思います。また農薬として流通経路に乗っているものでございましたら、これは当然に農林省のほうで手当てをなさっているものと私了解しております。
#122
○宮崎正義君 DDTなんかきれいなちょうどジュースの粉の袋みたいなああいう形のもので市販されているわけです。したがって何でもないのだと思ってまた間違って飲むかもわかりません。あまりにもきれいです。そんなようなものを売っておりますので、この点なんかも相当な規制をしていかなければいけないのじゃないか、このように思うわけです。いま御答弁がありましたことを守っていただきたいと思います。
 それから次に、先ほどちょっと私触れましたのですが、天敵のことでございますが、これはいまさら私が申し上げることもありませんし、また五十八回国会のときにも、この天敵を強く取り上げまして私は要望もし、また政府の態度、そういうものをこまかくお伺いもし、また政府の御答弁もはっきりしておりますが、この点がどう変わってきているのか先ほどのお話だとよくわかりませんので、詳細にひとつお願いしたいと思いますが、五十八回国会ですから、四十三年の四月の五日の分です。これにこまかく私は質問をしております。それに対する政府答弁がございますが、それからどのような研究をしているのか。政府答弁の中には「国では若干の天敵につきまして、国が県に増殖を委託いたしまして、求めに応じて配付するというような事業もやっておるような状況でございます。」と、このように答弁がありますが、今日どんなふうにしておるか伺っておきたいと思います。
#123
○説明員(川井一之君) 天敵の研究につきましては、これは研究面としましても非常に重要な研究である。で、非常にこれは生化学的に基礎的な問題もございますので、これにつきましては研究サイドといたしましてもかなり前からいろいろな問題に取り組んでいっておるわけでございます。若干これまでの経緯を申し上げますと、昭和三十二年度から森林病害虫、これにつきまして生態的な防除の研究を始めております。その後永年作物に対する問題、あるいはマツカレハの防除の問題、あるいは牧草の病害虫の問題、そのほか針葉樹のタマバエ、その他かんきつ園における天敵と、いろいろなものを対象に研究いたしてきております。そのほかに、以上申し上げました天敵のこん虫あるいはウイルスを利用する研究以外に、最近化学物質でこん虫の繁殖力を阻害してしまうということによって繁殖を押えるという不妊物質、さらにこん虫を化学物質で性的に誘引するという性フェロモン、そういう新しい方法も加味いたしましてこれまでいろいろ研究を実施してきておるわけでございますが、その結果幾つか実用化されているものも出てきておる状況でございます。なおこれにつきましては今後非常に重要な研究でもございますので、さらに研究の成果を拡大したいという考え方でございまして、四十六年度予算におきましていわゆる大型研究といたしまして害虫の総合的防除法に関する研究というものを現在予算を要求いたしております。この内容は、いま申し上げました天敵のこん虫あるいはウイルス、それからいろいろな化学的な、先ほど申し上げました不妊性の物質とかあるいは性フェロモン、そういういろいろな方法を総合いたしまして、総合的に防除していくという研究を進めていきたいというような状況でございます。
#124
○政府委員(中野和仁君) いまの研究機関でやっておりますものの実用化という面でございますが、国のほうで補助をいたしましてすでに事業化しているものがございます。それをちょっと先ほど申し上げたわけでございますが、ミカンのカイガラムシ等、害虫の天敵、これ三種類ございますが、これにつきまして本年度から三カ年計画で延べ三十件を目標にいたしまして増殖施設を設置する経費、四十五年は千二百七十五万四千円でございますが、予算を計上し、すでに実施の段階に入っております。それからまたバレイショの害虫、ジャガイモガというのがあるのですが、それの天敵につきまして、やはり増殖して放し飼いをするための補助としまして、これはことしの予算でございますが、二百九十七万九千円というものを実施することにいたしております。それからなお、農薬の登録といたしまして、生物農薬として天敵の登録をやっておるわけでございますが、過去に、二十九年に一つありましたが、これはあまりきかないようでございますが、昭和四十五年になりまして寄生バチ剤というので、これはナシ、リンゴの害虫の防除で、こういうのがすでに農薬としても登録されております。以上でございます。
#125
○宮崎正義君 県に増殖を委託しているということですが、これはどうなんですか。
#126
○政府委員(中野和仁君) 私が先ほど申し上げましたのは、現在、神奈川、岡山、広島、愛媛、徳島、長崎、静岡、和歌山、鹿児島でございますが、先ほど申し上げました三種類の天敵を増殖いたしますような金を県に補助金を出して県にやってもらっているわけであります。
#127
○宮崎正義君 いまの愛媛、岡山、神奈川、広島、鹿児島、和歌山、それからどこですか。
#128
○政府委員(中野和仁君) もう一度申し上げますと、神奈川、岡山、愛媛、広島、徳島、長崎、静岡それから和歌山、鹿児島のみかんの産地でございます。
#129
○宮崎正義君 みかんだけはやっているわけですね。今度の改正法案の中に自然保護のための処置の規定というものがないように思うのですが、この点から私はいまの天敵の問題等をあげまして、もちろん取締法にもはっきり「前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農薬とみなす。」、天敵の場合にはこれははっきりしております。自然保護のための処置という規定というものはどういうふうに考えておられるのですか。
#130
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、農薬を散布することによりまして、たとえばトンボがいなくなったとかあるいはドジョウがいなくなったとか、いろいろそういうお話がございます。それからまたそういうことになっておりますが、ただいまのところそこまで具体的に、それでは農業生産に有害な害虫を殺しましてトンボや何かは生かしておく、こういう薬がなかなかございませんので、トンボや何かに害のある農薬というのをまくな、こういうふうにはなかなか現段階ではまいりません。そういうことがございますのと、それから自然の環境の保護というのを考えた場合、そのことはもっともなことだと私たちも考えておりますけれども、それにどういう農薬をまいたり、どういうふうに自然が変わっていくのかそういう因果関係がございますが、そういうことがまだ解明されておりません。そこで直接今度の改正案の中にはそういうことは盛り込んでおりませんが、やはりわれわれといたしましては、今後ともできるだけ低毒性の農薬の開発を進めるということが一つだと思います。
 それからもう一つは、先ほどもあるいは話が出たかと思いますが、むやみやたらに農薬をまくというよりも、やはり適期に適量に農薬を使った防除をするという指導をしていきまして、極力自然環境の保護にもつとめる必要があるというふうに考えておるわけでございます。
#131
○宮崎正義君 いまお話がありましたように、日本の情緒というのですか、詩にも文章にもいろいろ書かれたホタルとかトンボとかいうものがだんだんなくなってきている、非常に自然美が失われてきているという点を考えまして、私たちのやはりからだのことを考えてみましてもまことにうまく構造ができているというふうに、しろうとはしろうとなりに考えるのです。ばい菌が入れば白血球が一生懸命活動してそうして一分後にはそのばい菌を撲滅してしまうというような、一つの例をあげますと、やはりわれわれのからだ自体がもうまことにふしぎな自然の配慮になっております。したがいましてこういう面から考えていきましても、当然自然を保っていくということについて、法律案の中に書かれなかったということは、考えておられたのでしょうけれども、それが条文としてあらわれてこなかった。むずかしいから、むずかしいからと言っていれば、これはいつまでたってもむずかしいことになるわけです。やはり糸口を設けるためには一つの成文化していくものがなければいけない、このように私は思うわけです。最近ではキツネもいなくなった、イタチもいなくなった、キジもいなくなってきたというような野性動植物が非常に失われてきているということは、これは大きな問題になっている。したがってこういう面から考えていきますと、この天敵ということは自然保護のための処置の規定というものが大きく取り上げられなければならない、こう思うわけです。したがって今回の改正法律案の中に当然この問題は入れてしかるべきだ、さもなければこの天敵に対する研究成果と相まっての考え方の中に自然保護のための処置の規定というものがなされていいのじゃないか、このように思うわけですが、これは法律改正についてのことですから大臣にも伺っておきたいと思います。――もう一回申し上げましょうか。局長からお話しになりますか。
#132
○政府委員(中野和仁君) ただいまも御答弁申し上げましたように、われわれといたしましても農薬を使用することによって自然の環境を非常にこわしてしまうということが望ましくないということは十分承知しているわけでございます。ただ先ほども申し上げましたように、農薬をどういうふうに使うと自然の環境がどういうふうに破壊されていくのかという因果関係等も、われわれまだ勉強が足りないという面もございまして的確にわかりません。そこで取り締まり法規を直す場合にはやはりどういう薬をどういうふうに詰めれば何を――たとえば今度の場合は人畜を中心にしまして水産動植物等までは入れてございますけれども、それ以上にトンボあるいはホタルということになってまいりますと、それを禁止してどうなるかという、それを生かせるために農薬を禁止してどうなるかということまで詰めた上でやりませんとできませんものですから、今回はそこまで、ホタルやトンボを生かす環境をつくるための農薬規制というところまでは直接いかなかったわけでございます。それで先ほど申し上げましたように、やはりできるだけ低毒性の農薬をつくるとか、あるいは御指摘の天敵の研究を進めてそれの実用化をはかるとか、または現在使っております農薬につきましてもそれの使用を適期に適量しか使わせない、できるだけ使うのを控えるという方向で当面対処する、そしてその自然環境との関連につきましてはもう少し研究が深まった上で考えなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#133
○宮崎正義君 トンボとそれからホタルの関係だけじゃなくて、要するに私の申し上げているのは飛行機なんかで散布しますね。そしたらまた、あるいは大量に使う場合があるわけです。そういうときに自然のバランスをくずしてしまう、それが主体なんです。それに伴って情緒の面の話を出したわけなんです。ですから当然飛行機で散布するときはまた一カ所に多量に使っていることをやっているのですから、それで自然のバランスがくずれるのではないか、そのためにやはり規制をしていくべきじゃないかということを言っているわけなんです。
#134
○政府委員(中野和仁君) 失礼いたしました。トンボを例にとって悪かったわけでございますが、いまのお話しの大量に農薬を使う、特に空中散布はそのとおりでございますが、これは先ほど北村先生の御質問にもございまして、私もお答え申し上げたわけでございますが、空中散布の場合はいま申し上げましたように大量に使うものですから、やはり使い方を十分これは注意しなければなりません。そこで村の段階でも協議会をつくらせまして、市町村を中心に農協、共済組合等入りましてつくらせまして毒性のある農薬は使わせないということをすでにやっております。それからまき方についても、あらかじめその農薬を散布される周辺の人家には全部通知をいたしまして、よく了解をとった上でやるということもやっておるわけでございまして、そういう面での使用につきましては、先ほども申し上げましたようにこれは安全使用基準でよく徹底をさせるようにいたしたいと考えております。
#135
○宮崎正義君 いまお話しのそれはわかるのです。私は自然のバランスをこわすということが心配なんです。したがって使用についての注意は当然であります。使用上の問題にこれからずっと入っていこうと思いましたのですが、いまお話があって何とかならないかという時間の制限を食っちゃったものですから、どうも使用上の問題に入れなくなっちゃったんですけれども、いずれにしましても私の申し上げているものだけ取り上げていただきたいのは、大量に使えば必ず自然というのはバランスがくずれる。ですからそういうものは自然保護のための処置という規制がやっぱりほしいのじゃないか、こういう意味で申し上げておるわけですから、大臣、ひとつ御答弁を。
#136
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のような御意見について全く私どもも同感でございまして、やはりしばしば申し上げておりますように、これで私どもはいいと、満足しておるわけではありませんので、自然のバランスを失わないようにということは最終的に一番大事なことでありますので、先ほど局長も申し上げました、なるべく低毒性で、しかも有効なものを逐次開発してまいって、いまのお話のような、バランスをそこなわないようにやってまいりたい、こういうことについては全く同感でございますのでそういう方向で努力をいたしたいと思います。
#137
○宮崎正義君 低毒性、低毒性という低毒性の論議をするとまた長くなるんですが、低毒性が多数のものに重なっていけば猛毒に変わっていくという、そういう資料もだいぶ集めてきょう私は持って来たわけですけれども、最後に、これをお伺いしてやめたいと思います。
 農薬検査所及び本年度に新設される財団法人の残留農薬研究所があるようですが、農薬による環境汚染、残留毒性に対する調査研究が、はたして考えられている研究所だけでよろしいのかどうなのか。先ほど厚生省の食品課長の御答弁の中にも何かちょっと見受けられましたが、研究機関が不十分のためというお話がございまして、不十分といってもこれは人命尊重の上からいえばこれは放任できない。研究所が足りないから、また検査所が足りないからということだけではこれは私はいけないんじゃないかと思うわけです。先ほど、御答弁の中にそういうふうなことがありましたのでまことに遺憾だと思うんですが、研究機関が不十分だったらばなぜ十分なようにしないのか。人命がとおといのかどうなのか。人命を先にするのかしないのかということを関連で言おうかと思いましたが、関連するとまた長くなるのでやめちゃったわけです。その点非常にことばじりをつかまえてまことに恐縮ですけれども、これは許せないと思うんです、放任を。研究機関が不十分のためにいままでこうだ、ああだということじゃなくて、こうしていくんだという積極的な姿勢というものがなくちゃならない。そういう上から、私がいま申し上げたのは、農薬の検査所、この残留農薬の研究所、これらが十分今日の公害問題と騒がれているに対処していけるだけのことが十分であるかどうか、この点担当の係の方と、最後に農林大臣の所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
#138
○政府委員(中野和仁君) 農薬検査所の問題でございますが、御指摘のように私どもとしてもいまの体制で十分だとは思っておりません。現況は四十七名で、予算が約九千四百万円でございます。最近でもやはり残留問題がやかましくなりましてから農薬の残留検査課というものもつくりました。しかしそれでも足りませんので来年度といたしましてはもう一つ技術調査課というのをつくりまして土壌の問題なり水質汚濁の問題なりを取り上げて検査の面から強化をはかりたいということで、来年は若干名の増員とそれから予算もいまの五割増し程度の要求をただいまいたしておりまして、大蔵省と折衝をしているところでございます。
 それから、残留農薬研究所の問題につきましては、現在の県の試験所あるいは大学等にメーカーのほうが委託をしまして、その試験成績書を公的機関の判断というのでつくっておりますので、これでは足りませんので、本年度の予算によりまして、残留農薬研究所という財団法人をつくるということにいたしまして、国としましては一億円の補助をことししたい。来年は、いま要求中でございますが、一億五千万円を補助いたしまして、全体として約七億の研究所をつくりまして、これができ上がって活動を開始いたしますと、われわれとしましては、残留農薬問題、これで全部解決したとはもちろん申せませんけれども、いまよりは相当程度促進されるのではないかと考えております。
#139
○国務大臣(倉石忠雄君) いま政府委員からお答えいたしましたようなことでありまして、なお、これで満足はしておるわけではありませんが、政府も、この財団法人残留農薬研究所にさらにこれからも助成をすることにいたしまして、ここを活用してできるだけのことをいたしたいと、こう思っております。
#140
○委員長(園田清充君) この際厚生省当局に申し上げます。
 先ほどの宮崎委員の御要求の資料について早急に御提出を願います。
#141
○川村清一君 もう具体的な問題につきましては北村委員、宮崎委員からそれぞれ御質問がございました。時間もだいぶおそくなりましたので、私は何点かにしぼって基本的な問題だけについてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一に、大臣にお尋ねいたしたいのですが、この臨時国会は、公害国会と言われておりますくらいの国会でございまして、政府は十四件に及ぶ公害関係法案を提案して、国会で審議をしておるわけであります。佐藤総理の口をかりると、この法案が全部成立いたしまして日本の公害関係制度というものは、世界に冠たるものである、こう言って自慢をしておるくらいであります。しかしながら、一方マスコミのいろんな評価を聞きますというと、一連の公害法案は、まあ底抜けのザル法案である、こういったような評価をしておるわけでございます。現在この委員会で審議しております農薬取締法の一部改正法律案が成立いたした場合におきましては、農薬公害を完全に一体防除することができるのかどうか、農林大臣は自信と確信を持ってこの法案を提案されておるのかどうか。この点についてまず大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。
#142
○国務大臣(倉石忠雄君) 現行法ができましたころは、いまほどいわゆる公害問題について国民の関心がなかったころでございまして、法制定の目的がだいぶ、何と申しますか、いまピントが合っていないのじゃないかというふうな感じをいたします。私どもはこれを改正いたしまして、現在の状況に即した方向で大方国民の御期待に沿うように修正いたしたい、こういう考え方から改正案を出したわけでございます。しばしば申し上げますように、人間の知識というものは限りなく伸びてまいりますものですから、これから先どういうものができてくるかわかりません。そういうことを考えてみますというと、私どもはこういう法律が一〇〇%完備しておるなどとは決して思っておりませんし、われわれもまた、さらに検討を続けてまいらなければなりませんが、一応いま、この法に盛られてありますことで、現状は処理していくことができるのではないかと、こういうふうに考えております。
#143
○川村清一君 政策を実現するためにはこれはお金がかかる。法律を改正しても、その運用に金をかけなければ効果があがらないことは言うまでもないわけであります。そこで、この法律改正をいたしましてこれを運用するにあたって、四十六年度予算というものについては十分配慮されておるのかどうか。ただいま宮崎委員の御質問に対して局長はいろいろ御説明されておりましたが、八月の概算要求の中に、現在、この法律改正をいたしましてこれを運用し、効果をあがらせるための予算要求がなされておるのかどうか、この点をひとつお尋ねしたいと思う。
#144
○政府委員(中野和仁君) 八月末に概算要求いたしました際に、われわれのほうではもう農薬取締法をどう直そうかという検討をしておりまして、そういう線に沿って予算要求はしております。たとえて申し上げますと、残留農薬の対策の調査といたしましては、四十五年までは私のほうの技術会議のほうで試験研究の立場から調査をしておりましたけれども、もはやもう行政に移すべきだということで、来年度は一億のこの残留問題を調査するための予算を要求をいたしております。それからそういうことをやりますために、すでにこれは四十四年と四十五年でございますが、もう分析機器等は全部整備を完了いたしました。それから先ほど申し上げました天敵の予算要求、それから残留農薬研究所というものの予算要求というのがございます。それから防除関係の問題にやはり重点を置かなければなりませんので、来年度は農薬安全管理対策事業ということで約二億の予算要求をいたしております。それの中身は、焼却炉をつくりましたり、あきびんの破砕機を設備させましたり、それから広報車を整備したりということで、これは四カ年計画で三百六十カ所にそういう施設をつくりたいということで予算要求をいたしております。それからなお、病害虫防除諸費関係といたしましては、病害虫防除諸費、それから機動力増強費それから病害虫発生予察事業費、それから末端の病害虫防除員の活動費、これらについてあるいは四、五割近く、あるいは五割ないし倍を要求して、大蔵省とただいま折衝をしておるところであります。
#145
○川村清一君 大蔵省に予算要求をなされたことはわかりましたが、それで万全の策とは言われないと思いますが、これは逐年そういうような方向でやっていただきたいのですが、要は、今度はその予算を獲得できるかどうか、倉石農林大臣は佐藤内閣における実力者でございますから、ぜひひとつ大蔵省に要求したやつは獲得するようにひとつ努力していただきたい、かように思います。
 次に、農薬による被害者は、農作物を食糧として消費するいわゆる消費者であることは間違いございませんが、しかし、ある意味におきましては、その農作物をつくる生産農業者も農薬公害の被害者である、私はかように考えております。そこで、この法案の策定にあたって、いわゆる農林省は農政の立場から、農業者のサイドから、どのような配慮を払われたのかどうか、この点をひとつ御説明を願います。
#146
○政府委員(中野和仁君) 今回この法律を改正いたしまして、「目的」を新設いたしましたわけでございます。おそらく、これは昭和二十三年の法律でございますから「目的」がありませんでしたけれども、当時「目的」が書いてありますれば、農薬の登録の制度を設けて、そして品質の適正化をはかって、農業生産の維持、増進、と書いてあったはずでございます。ところが、けさほど来御議論がいろいろあるように、公害問題がございます。そこで今回こういうふうな「目的」にいたしまして、一面では、登録制度を強化すると同時に、販売、使用についてもきびしく農家の使用を規制する面がございます。しかし、これは品質の適正化と同時に、やっぱり安全適正な使用ということで、農家も被害から守らなければならぬという気持ちが入っているわけでございます。と同時に、もう少し大局的に見ますれば、これはしばしば大臣が御答弁になっておられるわけでございますが、一方では有益な――有益なと申しましょうか、安全無害な農薬に切りかえまして、そして農家が安心して、安定的な食糧を国民に供給できるという立場も必要なわけで、そこで今回ば「農業生産の安定」というのと、「国民の健康保護」、それからなお「生活環境の保全」ということまで入れましてわれわれ考えたわけでございます。安全無害という前提のもとで、農業生産の安定をはかるということが今回のわれわれの立場でございます。
#147
○川村清一君 この問題につきましては、時間があればあとでまた具体的にお尋ねしますが、次に、いただいた参考資料について私はいろいろ質問するわけですが、この参考資料によりますれば、四十四年度の農薬生産額は八百六十六億、四十年の五百二億に対して三百六十四億増加しておるわけであります。それからこの資料の十四ページの流通機構図によりますと、農薬メーカーの取引高は約八百十五億、しかも農薬製造業者というのは三百五十社ありますけれども、そのうち、全農薬の九〇%のシェアを四十社で持っている。これはこの資料にあるわけです。こういうことになっているんですが、そうすると、農薬の大メーカー、大資本メーカーというのがあって、これがほとんど農薬を独占しておると、こう言っても過言でないと思うのでありますが、この農薬取締法の改正をするにあたって、そういう農薬の大メーカーから、何か圧力と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、何かありませんでしたか。
#148
○政府委員(中野和仁君) 実は私たちこの農薬取締法を改正いたします場合に、われわれだけの知恵ではいけないと思いまして、事前に各方面の方の御意見を伺ったほうがいいんではないかということから、数回懇談会を開きまして、その際にも、言論機関の方々、それから農薬の流通業者、それからメーカー代表としては工業会の会長さん、それから医学関係の方、それから農業技術者の関係の方、各方面の御意見を伺ったわけであります。そこでも種々の御議論がございました。しかし、最終的には、いま提出しております法案の原形といいましょうか、こういうことに大体したいのだということをお話し申し上げまして、懇談会の会長から、こういうふうな議論の中身であるということをいただいたわけでございますが、その際にも、特に、そういうことで圧力があったとかということは全然ございませんでした。それ以外にも、別途、いろいろなことをわれわれのほうに非常に注文がついたということも私は耳にしておりません。
#149
○川村清一君 公害罪の立案の過程において、財界からいろいろ圧力があって、政府案が変わったといったようなことで、マスコミにいろいろ評価されておりますので、まあ私もそういうようなことがなかったのかといったようなひとつの危惧があったものですからお尋ねしたわけでありますけれども、何もないとなればこれはけっこうなことであります。
 さて、この資料の十九ページを見ますと、四十三年に「四作物五農薬の残留許容量および安全使用基準を設定」した、それから「新規農薬の登録に際し、残留等に関する検査を開始」した、こういうことになっておるわけです。そして四十四年には「BHC、DDTの製造を中止」した、それから「パラチオン、TEPPの製造を中止」した、こういうことになっておる。この資料を見まして、それから前のほうにいきまして七ページの「わが国における主要な農薬について」ということの表を見ますというと、どうも私は納得いかないわけです。四十四年に製造禁止したところの農薬――BHCとかDDTとか、この農薬がいわゆる有機塩素系の農薬が、これをずっと見ますというと、ほかの農薬に比べて使用量がきわだって多いんですね。そして毒性を見ますというと、慢性毒性はすべて大である。それから作物残留も中あるいは大である、こういったような四十四年に製造を禁止した残留毒性の強い、こういう農薬が、この年にほかの農薬に比べて非常に多く使用されておるということは、これは農薬行政を取り扱っている農林省の行政指導に欠陥があったのではないか、責任があるのではないか、かように考えるんですが、この点はどういうふうに説明されますか。
#150
○政府委員(中野和仁君) いまの六ページをごらんいただきますと、四十四農薬年度というのは四十三年の十月から四十四年九月と書いてございますが、四十四年度と申し上げますのは農薬年度で表示しております。ここにもう一ぺんそこに書かなかったのは恐縮でございますが、これは四十四年の九月までの出荷額でありまして十億になっております。BHCの製造を業界に自粛を求めて製造を中止させましたのが四十四年の十二月でございます。したがってこの数字はそれ以前の数字でございまして、十二月に製造を中止させたものですから、ことし非常に減ってしまった、こういうことになるわけですが、まだ四十四農薬年度の資料を出しておりませんので、いま川村先生のお話のようにあるいは誤解を受けたかと思いますが、内容はそういうことでございます。
#151
○川村清一君 それは役人的な御答弁でございまして、一般常識的に考えますと、製造を中止するという、そういう決定は急にきょう中止するというようなことでなくて、少なくとも農林省という役所が非常にたくさん製造しておるこの農薬を製造を中止しろというのですからこれは重大問題なんですね。こういう決意をするまではやっぱり相当期間がかかっておると思うのです。これは非常にあぶないからということで厚生省のほうからも非常に急いだということで、そしてそういう決定がなされると思うのですよ。急にそういうことになるのではなくて、こういう処置がなされるには時間的経過があると思うのですよ。ですから、これらはあぶないぞといったようなことがどうせわかっているはずです。それがこの年にたくさん使用されておるということは、何といっても行政責任者である農林省としては責任はやっぱり感じなければならぬ。責任までいかなくても行政上、指導行政上やはり欠くるところがあったということをあなた自身が認めなければならないと思うのです。これが一般常識的な考え方ではないかと思いますが、どうですか。
#152
○政府委員(中野和仁君) その点は多少説明させていただきたいと思いますが、牛乳がBHCに汚染されているということで問題になりましたのは昨年の夏です。アメリカで問題になりましたのも同時期でございます。そこでいろいろ検討の結果、急遽農林省としましては十二月に業界に自粛を求めて中止をさせたわけでございまして、数年間検討しておったという事態ではございませんでした。そういう事態でございますので、この十二月に禁止をさせたということは四十五年度はもう製造をさせないようにということでございますので、四十五年度以降はそんなに製造がないわけでございます。その以前から長い間漏れておったとか何とかいうことではありません。
#153
○川村清一君 そういうことをあなたがおっしゃるとさらに別の意見を申し述べたくなってくるのですが、この十九ページの表を見ますと、アメリカにおきましては昭和二十九年に、「食品医薬品法を改正、農薬の残留許容量設定をはじめる。」とこうなっておる。これは二十九年。そうすると、日本では四十三年に「四作物五農薬の残留許容量および安全使用基準を設定」したとなっておる。四十三年の四作物五農薬、この五農薬というものの中には、一体BHCやDDT、そういったものは含まれておらないのですか、どうなんですか。含まれておるのですか、いないのですか。
#154
○説明員(小島康平君) それは含まれております。
#155
○川村清一君 含まれておるとすれば、四十三年にこの五農薬の残留許容量及び安全使用基準を設定したのですから、当然四十四年には、このあぶないBHCやDDTを製造中止させたのですから、これは四十四年において農家の使用につきまして当然何らかの行政指導があってしかるべきです。それがないとすれば、まさに怠慢だと言っても私は言い過ぎではないと思う。私は責めておるわけじゃないのだから、そういう言いのがれをしないでやはり答えてもらわなければいかぬと思うのですが、どうですか。
#156
○政府委員(中野和仁君) 四十三年にBHCの許容量ができました際には農林省は安全使用基準をつくって指導したわけでございますが、先ほど申し上げましたのは、牛乳についてはまだ残留許容量はございません。ございませんでしたが、非常に問題になりまして、農林省としては事前に製造を中止させたということでございます。この辺を御了解いただきたいと思います。
#157
○川村清一君 あなたと議論しておってもそれは尽きないからやめます。
 そこでこの法律改正でございますが、今度は登録にかかわる審査を強化した、これは確かに前進したと私はそう認めるわけであります。そこでいまお聞きしたいのは、現在までの登録行政の仕組みというものはどういうふうになっておるのですか。今度は登録の申請に際して提出すべき書類に毒性及び残留性に関する試験成績を記載した書類を加える、こういうふうになっておりますが、現在までは、現行法では登録行政の仕組みというものはどういうふうな形になっておりますか。
#158
○政府委員(中野和仁君) 現在は、この法律では登録業者が登録申請をいたします場合に薬効と薬害の試験成績書をつけてきて農林大臣に提出をするわけであります。それを農薬検査所において検査をいたしまして登録すべきかどうかをきめておるわけでございますが、先ほどからも申し上げておりますように、農薬残留問題がやかましくなりました四十三年以降は行政指導といたしまして、新規化合物の農薬につきましては、薬効、薬害のほか、毒性の残留性の試験成績書をつけてこい、つけてこなければ登録申請は受け付けないということにいたしております。それを今回行政指導ではありませんで、正式に法律といたしまして、毒性及び残留性の試験成績書をつけさせるということにいたしたわけでございます。
#159
○川村清一君 ですからそういうふうに法律的にそういうことを制度化したということは確かに前進したと私は認めておる。しかし今度は問題が一つあるわけです。農林省の農薬検査所ですか、先ほどの話を聞くと財団法人なんですか、どうなんですか。農薬検査所にはたして今度は毒性及び残留性に関する試験成績を記載した書類が出された場合において、現在農薬検査所で厳重に審査するだけの能力があるのかどうか。これが私にとっては非常に疑問なんです。その機能を果たすことができるのかどうか、設備的に、また人員なりあるいは技術的に。そういう能力がなければ、こういう法律で規制いたしましても全く絵にかいた餅にすぎないものになりませんか。この参考資料をみるというと、四十四年に有効登録件数五千六百九十八件、四十年に四千三百五十五件、年々新たに平均三百件ずつ増加している。そこで、現在の農薬検査所の実態はどうなんですか。そこで、こういうふうに法律を改正いたしまして、この検査所の機構というものをどういうふうに改善しようとしておるのか。あなたがさっき予算を一億か要求したとか何とか言っておりましたが、その要求どおり予算がついた場合において、これがほんとうに機能できるのかどうか。この点を説明していただきたいと思います。
#160
○政府委員(中野和仁君) 先ほど申し上げましたのは、農薬検査所と残留農薬研究所の話しと、二つ申し上げたわけでございますが、農薬検査所、これは農林省の付属機関、国立の機関でございます。そこで、この農薬検査所におきましては、最終的に農薬についての検査をしまして登録をするかどうかをきめる機関でございますが、それと同時に市販の農薬につきましての品質検査、抜き取り検査等もやっております。残留農薬研究所と申しますのは、残留問題が非常に問題になりました際に、新規の農薬について残留性があるかどうかの検査をします場合に、業者だけがそういう検査をいたしまして、いきなり農薬検査所に運び込んでまいりましても、もちろん手が足りません。そこで、現在の取り扱いといたしましては、こういうメーカーが新規の農薬をつくりました際には、まず公的な機関の実施ししました試験の結果の成績書もあわせてつけろということにいたしております。そこで、メーカーの試験成績書と、たとえばいまの残留問題につきますれば、残留農薬研究所ができますれば、そこなり、あるいはむしろ大学の研究機関でもかまいませんし、場合によっては試験所に頼む場合もありましょうけれども、そういう公的機関の判断した試験とともにつけ加えまして、検査所に持ってきて、その上で検査をするわけでございます。なおそこで足りません場合は、追試験等もやりました上で判定をする。こういう仕組みになっておるわけでございます。
#161
○川村清一君 ですから、私のお聞きしたいことは、検査書をつけて、農林省に登録申請いたしますね。農林省でそれを今度検査するわけでしょう。それをそのままうのみにして、ストレートで登録するわけではないのでしょう。農林省自体が農林省の責任においてでなければ、農薬取締法の所管官庁として行政的にそれはあまり無責任な話で、結局農林省が検査をするわけでしょう。その農林省の農薬の検査機能というものが、現在の機構というものが、そういう大学や何かで検査してきた検査書をつけてきたものをさらに検査して、そうしてこれはそのとおりであるかどうかということを検査するだけの能力を持っておるかどうかということをお伺いしたいのですけれども、能力を持っていないとすれば、それはつけてきたものをそのまま認めるということと同じことでしょう。ですからそれをさらに検査するだけの能力を持つためには、これは設備的にも人員的にも、技術的にも、相当権威のあるものをつくらなければ、私は意味がないんじゃないかと。そういうことが現在できるのか。そうしてそういうものをつくるためにどういうように具体的に進めておるのか。そのためには一体どのくらい金がかかるかといったようなことまでいかなければできないと思うのですが、これどうですか。
#162
○政府委員(中野和仁君) もちろん、先ほども申し上げましたように現在の機構、人員で満足だということは申し上げられません。しかし、現在おる職員は能力がございます。しかしそれだけではもちろん足りませんので、先ほど申し上げましたように、来年も増員要求をし、かつ予算といたしましても、課の新設をはじめといたしまして、ことし一億足らずのところ、一億五千万以上にしてほしいということで、いま大蔵省とせっかく折衝中であるわけでございます。われわれとしては、いよいよ農薬問題がこう問題になってきておりますので、今後ともその拡充には努力をしたいと考えておるわけでございます。
#163
○川村清一君 ですから、私はその点が大事だと思うのです。それでさっき一番先に聞いたのは、法律を改正しても、その運用でほんとにこの立法の趣旨を生かす効果をあげるためには、金をかけなければだめだということを申し上げているのは、そのことなんであります。
 で、この提案理由の補足説明のところを読んでみますと「農薬の登録に際し、その残留性等に関する審査を強化することとし、登録を申請する者は残留性等に関する試験成績を記載した書類を提出しなければならないこととするとともに、検査の結果、登録を保留して品質の改良等を指示することができる場合として、次の場合を加えることといたしております。」、すなわち、「検査の結果、登録を保留して品質の改良等を指示することができる」、この能力を持たなければならないのでしょう。大学のえらい先生方が試験をやって、その試験結果表をつけてきたものを、さらに検査して、そうして検査の結果、登録を保留する、あるいは品質の改良等を指示することができる、そういう検査所を農林省が持たなければ、それは農林省としてのやはり権威がないのではないか。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
農薬取締法を所管する行政官庁としての権威がないのではないか。もしそれが完全に働いておれば、大臣が、いろいろ世の中が進むから、いまこれであってもまたこうなると、それはわかるのです。わかりますけれども、そのあとに「その一は、その農薬が申請書に記載された使用方法等に従い使用された場合に、農作物等の汚染が生じ、かつ、その汚染した農作物等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるときであります。」、これは、この農薬が直接人畜に被害を生ずるおそれ、そのおそれがあるということを認める、この認める一体能力を持たなければならない。「その二は、その農薬が申請書に記載された使用方法等に従い使用された場合に、農地等の土壌の汚染が生じ、かつ、その汚染により汚染される農作物等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるときであります。」、これも、間接的に人畜に被害を生ずるおそれがあるという、そのおそれを指摘できる、そういう能力を持たなければならない。「その三は、その種類の農薬が、申請書に記載された使用方法等に従い一般的に使用された場合に、その使用に伴うと認められる水質の汚濁が生じ、かつ、その汚濁された水等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるときであります。」、
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
このおそれがやはり発見されなければならないわけですから、そういう、法律にこういうことをきめたというならば、それだけの機能を持つところのものがしっかりできなければ何もならないのではないか、ということを私は申し上げているのです。これはどうですか。
#164
○政府委員(中野和仁君) 農林省の農薬検査所におきましては、こういう能力がありますので、今回、農林大臣があぶないと思った場合は保留してやれるということをしておるわけであります。はっきり申し上げておきますが、農林省としてはそういう能力がございます。
#165
○川村清一君 そういうたいへん自信のある答弁がなされましたので、これからの農薬行政の推移を非常に関心を持って注目しているということを、ここではっきり申し上げておきます。
 次に、職権による変更の登録及び登録の取消しに関する規定について申し上げたいのですが、登録を受けた後に、登録に係る使用方法に従って使用された場合にもなお人畜に対する被害、農作物または土壌の汚染、水質の汚濁等が生ずると認められた場合は、この使用方法を変更する、または使用方法の変更によってもその使用に伴う安全を確保し得ない農薬によってはその登録を取り消すことになるわけでありますが、登録農薬の取り締まり、それから農薬の登録行政、これは農林省でやる。それで、この登録されたものがこういうふうなことで登録を取り消すといったような場合においては、これは農林省は責任は全然ないわけですか。
#166
○政府委員(中野和仁君) 登録の性格をまず申し上げたほうがよろしいかと思いますが、登録というのは品質の適正を確保しますために一定の要件を備えておればこれを公に表示をするという制度でございます。したがいまして、先ほど御指摘もありましたように、保留事項が二号から何号まで書いてございます。そういうところに該当するものは農林大臣は登録を保留しまして、品質の改善の指示をします。それでも直してこない場合は、これは登録を却下するわけでございます。ところが、当時の技術水準におきますればそれはオーケーだというような農薬があるわけでございますが、その後の毒性の解明なりあるいは分析技術の進歩その他によりまして、あとになりましてこれは人畜に危害があると、あるいは農薬を使いますことによりまして農作物に残留して人畜に危害があるということがわかるわけです。そのときはそういう最初に登録いたしましたものでありますけれども、それはやはり人畜に危害を与えるという観点からしますと、これは当然取り消すべきであると。したがいまして、農林大臣の責任において職権で取り消すということに今回したわけでございます。
#167
○川村清一君 ですからそのことを聞いているんです。登録することが非常に今度はむずかしくなったわけですね。そこで、先ほど聞きましたように登録審査という行政が非常に強化されたと、それだけの能力が農林省の農薬検査所なりあるいは残留性毒性の検査場なりの機構においてそれだけの機能を持てるのかどうかと、それだけの力を持っているのかどうかということをお聞きしたら、胸を張ってもう実力が十分あるとあなたおっしゃったから――そういうような厳重な審査を経て登録されたんですよ。それで公表されたんですよ。このものが今度は職権によって登録を取り消すと、こうなった場合において、その場合に、それほど力のある、自信のあるあれをもって登録を決定し、公表したものが、それが登録取り消しだと。職権によって登録取り消しだと。それは時代の進展によって絶対ないとは言い得ないけれども、そうなった場合に、その登録行政をやった農林省の責任はないかどうかということを私は聞いているんですよ。ほかの行政にはそういうむずかしい段階を経て官庁が認可なり許可したものが、何か変わったから簡単に許可を取り消す、認可を取り消すなんということはちょっとないでしょう。それをもしやったとするならば、許可取り消し、認可取り消しをされた行政のやっぱり責任になるわけです。ところが、これは至って簡単にそういうことができるようなことに書いてあるから、その場合に、その登録をした農林省には一体責任は存在しないのかということを私はお尋ねしている。
#168
○政府委員(中野和仁君) 申請がありました場合に、そのときの最新の技術によりまして検査をしておるわけでございますから、そのあと毒性の解明なりあるいは分析の技術が進んでまいりまして――当時は全然科学者といえともわからなかったことがあり得るわけでございます。しかし、そのわかった際に、やはり人命にかかわることであるということになりますれば、これは取り消すのが当然でございます。その場合に、前のときにそれがわからなかったからということで、私は法的な責任はないというふうに考えております。
#169
○川村清一君 私も法的な責任を何も聞いているのではなくて、道義的な責任か何の責任かはわからぬけれども、責任が全然ないとは言えないでしょうということをお尋ねしているのです。
#170
○政府委員(中野和仁君) 言われる意味がちょっとわからないのですが、先ほどるる申し上げておりますように、最新の技術で検査した結果これは登録して差しつかえないということになったわけでございます。その後のいろいろな進歩なり変化の問題でございますので、その前にやった人の責任を問うということは、これはできないと思います。
#171
○川村清一君 ですから、そのいろいろな技術の進歩なりあるいは行政の進化なり、そういうことは私も認めるから、一回きめたことは絶対変わらないということを言っているのではないのですよね。しかしながらこの取り消されたことによって影響を受ける人がだいぶあるわけだ。これはやはり利害関係に結びつくわけですよ。ですから、そうなった場合において法的責任を追及する、あるいは道義的責任はどうとかこうとかと言わぬけれども、責任はこれはやっぱりあると私は思うのです。ですから、こういうようなことにならないように慎重の上にも慎重を期してやはり検査をすべきじゃないか。それから五年たち六年たってまた変わったと――先ほどの倉石農林大臣のDDTの話のように、全く変わってしまえばこれはしようがないけれども、やはりそれは一年か二年でこれで取り消しだということになって、これでも農林省はちっとも責任はございませんなんと言ってもそんなことは世間に通用しないということを私は申し上げている。さて今度はこの規定の施行にあたっての事実認定なんですが、一体どこでこの農薬は残留毒性が多くてこれはもうだめだと、登録は取り消しというような、その事実を認定する一体機関はどこですか。
#172
○政府委員(中野和仁君) これはこの法律の規定にもございますが、農業資材審議会の意見を聞いてそして農林大臣が判断をされまして取り消しをするということになるわけでございます。
#173
○川村清一君 その審議会にそういう問題を出すところはどこですか。提案する、この問題について一体その審議会の意見を徴する機関はどこですか。
#174
○政府委員(中野和仁君) 農林大臣が審議会の意見を聞かれるわけでございます。
#175
○川村清一君 農林大臣は何でこれ事実を認定しますか、これはこうだということを。この農薬はこうであるけれどもこうであるから認定を取り消さなければ、登録を取り消さなければならないということを、農林大臣はやっぱりそういうことをきめるのでしょう、そうして最終的な意思決定はその審議会でされますけれども、農林大臣は何によってそういうことを決定されますか。
#176
○政府委員(中野和仁君) それは出てきます問題によっていろいろなことがあろうかと思いますが、当然学会それから科学者その他の御意見がいろいろ出てくるわけでございます。そしてたとえばまあ学界でこれは有害だというようなことがきまりますれば当然農林大臣はそれを受けて御判断になるということになるわけでございますが、今度の審議会にはそういう各方面の方を入れた上で、そこで公正な審査をしてもらった上でやろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#177
○川村清一君 そうしますと、毒物及び劇物取締法並びに食品衛生法を所管している厚生省との関係はどういうことになりますか。
#178
○政府委員(中野和仁君) 現在登録されております薬につきまして、厚生省でも先ほどもお話がございましたが、毒性の問題については引き続き御研究になっておるわけでございます。そこでの結論が出ますれば当然厚生大臣が農林大臣にこれはあぶないぞというようなことでこちらに御通知があるわけでございまして、その辺は緊密な連絡をつけた上でやりたいというふうに考えております。
#179
○川村清一君 いろいろまだお聞きしたいこともございますが、時間がなくなりましたのでもうやめますが、農薬のことばまたあとで別な委員からさらに重ねて御質問があろうかと思いますので、私は漁業の測面から農薬公害を一応考えてみたいと思うのですが、水産庁長官にお尋ねしますが、水産庁としては農薬による水産被害というものについてどのように調査されておりますか、把握されておるか、被害の実態などをもし御存じであったら御説明いただきたい。
#180
○政府委員(大和田啓気君) 農薬によります漁業被害は、たとえば三十一年の有明海、これはパラチオンによるものでございます。それから三十七年度に、有明海、琵琶湖、これはPCPによるものでございます。また、四十年度に、有明海、不知火海、大村湾等、これは低塩分と農薬流入とがいわば複合して魚介類が斃死したという事件でございますが、相当大がかりの漁業被害がいま申し述べたような所でございましたが、この二、三年は幸いにして農薬による被害というものはごくわずかでございまして、私ども県から漁業公害についての報告をとっておりますが、ここ二、三年は大体二件ないし三件程度でございまして、それほど大きな被害はないわけでございます。
#181
○川村清一君 中野局長さんですか、この資料を見ますと、魚毒というのはドリン系の農薬――アルドリン粉剤、ディルドリン乳剤等に魚毒というものが、それからエンドリン乳剤、ドリン系のものになりますね。あとはなくて、そしてPCP、これが魚毒であるということになっておりますから、ドリン系の農薬がなくなった場合においてはこの魚毒というものは大体ないと、こういうようなことになりますか。ぼくは、この参考資料でそういうふうに理解するのですが、どうでしょう。
#182
○政府委員(中野和仁君) PCPは、御指摘のように魚毒性がございますので、これは今度の法律改正前からすでに指定農薬にいたしておりまして、知事が規則で許可制にしております。さらに、ただいま御指摘のドリン系のものは、これはエンドリンでございますが、これは魚毒性が大きいということになっておりますから、これは水田には使っておりません。畑にしか使わないようにしておりますし、場所によっては使ってはいけないということを、行政指導でございますが、ただいままでは知事の指定でこういう場所しか使えないということをやらしております。
#183
○川村清一君 それでは、変な話を聞くようですが、水産庁長官ね、たんぼあたりに昔ですとドジョウがずいぶんいましたね。これはドジョッコやフナッコやという、こう歌さえありますが、ドジョウやフナというものが、これは上のほうに工場も何もない、いわゆる工場排水とかそういうものがちっともない、いわゆる農薬がないというようなところでドジョウもフナも何にもいなくなったというのは、これは一体何が原因しているのでしょうね。
#184
○政府委員(中野和仁君) ドジョウがいなくなったのは、どうもやっぱりPCPが一番大きな原因のようでございます。そこで、これはいまMOといいましたでしょうか、という魚毒性の少ない薬が開発されつつありますので、順次それに切りかえていけばまたドジョウが生き返るということもあろうかと思うわけでございます。(笑声)
#185
○川村清一君 じゃ、ぜひドジョウが生き返るような、そういう農薬を開発して使っていただきたいということをお願いします。
 それで、水産庁長官にいろいろお尋ねしたいのですが、時間がないからまとめて言いますがね、今度の公害関係十四法案の中に、これは漁業と関係している法案がずいぶんあるわけです。現在経済企画庁所管になっておる水質汚濁防止法案、それから海洋汚染防止法案、これ運輸省、それから廃棄物処理法案、厚生省、こういう法案は全部漁業に大きな関係があるのですが、これらの法案立法については、水産庁としては一体関与しているのか。あなたは意見を申し述べているのかどうか。ほんとうはこの法律を審議している委員会に全部行って質問したいと思うのだが、それができないので、まとめて水産庁長官に聞いておくのですが、どうですか。
#186
○政府委員(大和田啓気君) 私ども一つ一つの法案について、まあ私たちの立場から十分検討いたしまして、相当修正意見も各省に出しておるわけです。その結果相当法案をつくる段階におきまして私どもの意見が通りまして、その二、三を申し上げますと、たとえば水質汚濁防止法案で、熱による排出水の汚染を規制することができるようにしたことがその一つでございます。また海洋汚染防止法案では、四十七条の三項に、油、廃棄物の排出によって漁場の効用が著しく低下し、あるいは低下するおそれがある場合は、農林大臣が運輸大臣に対してこの法律に基づく必要な措置を要請することができるという、そういう規定を特別に入れたわけでございます。また公害対策基本法で、水質汚濁の中に、「水質以外の水の状態又は水底の底質」の変化が含まれるようにしたこともその一つでございます。
 あとこまかく申し上げればたくさんございますけれども、おもな点を申し上げれば以上でございます。
#187
○川村清一君 この海洋水質汚濁によって全国の水産業においてどのくらい被害を受けているか、被害状況というものを水産庁はつかんでいらっしゃるかどうか。総額幾らですか。
#188
○政府委員(大和田啓気君) 四十三年、四十四年、これは県からの報告の集計でございますけれども、油その他の事故による突発的なものと、それから水質がだんだん悪くなって、自然に漁業に被害が生じたというものとを含めまして、四十二年度におきまして約百八十億、四十三年度において約百四十億という、そういう報告を県から受けております。
#189
○川村清一君 いまおっしゃったように、百六十億なりまた百四十億なりという大きな被害を、これはまあ特に沿岸漁民が中心となって被害を受けておるわけですから、農薬もさることながら、この方面にもっとやっぱり力を入れていただかなければならないと、私はさように判断するわけであります。特に私が持っておる資料によりますというと、海上保安庁で調査した海水汚濁の発生回数というのですが、これは油によるものが四十四年には二百七十三件、油以外のものが三十五件、三百八件ございます。それから産業廃棄物等の海洋投棄量というものは、産業廃棄物が五百五十三万トン、下水のどろですね、これが四万トン、ふん尿が五百十七万トン、しゅんせつ土砂が千三百三十九万トン、合計二千四百十三万トンと、こういったようなものが流れ、これが海洋に放棄されまして、そうして被害を非常に受けておるわけでございますから、水産行政は農林省所管行政でございますので、まあひとつ水産庁長官のほうに、農林大臣が特にひとつがんばっていただきたいということを私ばお願い申し上げたいのです。
 そこでこれらのものを全部まとめて、最後に農林大臣にお聞きしたいのですが、農薬の問題を取り上げてみても、いわゆる農林省行政と厚生省行政が非常に大きくからまっておる。ここは農林省だ、こっちのほうは厚生省だ。それから、同じ農林省行政の中の今度水産行政になってきますというと、いま申し上げましたように経済企画庁が関係する、運輸省が関係する、通産省が関係するといったように、もう全くまちまちなんですね。そこで何とかそれを、そういう公害を一本化した行政機構――大臣言わせるといわゆる公害対策本部とか何とかとおっしゃいましたが、そういうものでなくして、環境保全省というか、またその他の、名前には必ずしもこだわりませんけれども、そういう公害を一元的に取り扱うところの行政機構等が必要ではないかとつくづく思うんですが、農林大臣の立場から、いかがなものでしょうか。倉石農林大臣はそういうような私の考え方に賛成していただけないか、どうしても反対であるか、その点を最後にお聞きしたい。
#190
○国務大臣(倉石忠雄君) 行政能率を上げますためには、いろいろなやり方があると思うんでありますが、まあ役所の機構などもやっぱり時代の移り変わりに従ってうまくいくように変えることも一つのやり方だと思います。昔は農商務省がありましたけれども、いまは農・商のほうは分離して一つの省をつくっておりますが、やっぱり私は、政府がとりあえず各省ばらばらな行政が行なわれないために、統一的に、しかも強力な施策ができますように、公害対策本部というものを設けて、そこでみなが持ち寄って、政府としての相談もし、意見の決定もいたして、そうして各省の窓を通じて行政が行なわれるという、こういうやり方が当面必要なことではないかと思っております。
 いまのお話しのようなことにつきましては、そういう御意見がございましたことを行政管理庁にもよく言って聞かせまして、参考にいたしたいと思います。
#191
○河田賢治君 じゃ、きょうは、あすは大臣が来れないそうですから、大臣にだけ聞くところをひとつ質問したいと思います。
 きょうはだいぶいろいろな同僚委員が問題について聞かれたので、できるだけそれらと重複しないように質問したいと思いますが、農薬行政の基本的な姿勢というものについて、まず尋ねたいわけです。
 これは、御承知のように、かつてDDTやそれからまたBHCなどについては、昭和四十一年に信濃毎日新聞で発表された。これはもう主として長野県のお医者さんの関係からでありますが、このときにもうすでにこの薬は、非常に農薬は危険だということが警告されているのですね。ところが、これがずっとほうっておかれて、そうして昭和四十四年になって厚生省がDDTあるいはBHCなどの有機塩素系殺虫剤の新規許可を一時ストップした。しかし、これは自発的にやったんでなくして、大体において、当時アメリカの農務省が同じ塩素系の殺虫農薬の使用を一カ月間停止するという発表があったために、あわててこれがなされたというふうに言われております。さらに、このDDTやBHCなどがアメリカでもだんだんとこの問題が大きくなって、そうして十一月にアメリカ政府はついにDDTの使用を今後二年間全面禁止するという方針をとった、こういう実情があるわけです。そうして、これに基づいてBHCやその他ドリン剤などもアメリカでは厚生教育長官の諮問機関が勧告をした。この状況に基づいてわが国でも十一月の十四日に厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会が、キャベツや、ホウレンソウ、あるいはイチゴ、ナシ、日本茶など八食品に残留するBHCやエンドリン等の八種類の農薬の許容量をここで答申し、そうしてこれを昭和四十三年に発表されて残留許容量がきまったということがいわれております。そうしてついにこの農薬も、DDTは、昨年の十月、第四回国際農薬学会が日本で開かれたときにもいろいろ問題があって、これらには発ガン性の問題が取り上げられるというような状態になった。そうしてとうとう十一月いよいよアメリカ政府がDDTを全面的に禁止するという方針を打ち出した。そこでわが国の農薬業界も進んで製造禁止の自粛措置をとるに至った、こういうふうにいわれております。
 この間いろいろ農林省でも行政措置がとられたわけでありますが、こういうふうに農薬の問題は、きわめて最近の問題ではありますけれども、主として日本の医者やあるいはまたいろんな学会でも問題になりながら、これまで十分取り上げられずに、そうしてアメリカのいわば決定があればそれにこたえて直ちに日本でもやるというような、こういう、いわばアメリカ一辺倒的に追随したような行政がこの面では見られるわけであります。こういうことでは、御承知のとおり農薬についてもアメリカと日本との風土や自然条件その他も、作物等々によって若干違いはありますけれども、やはり日本の農薬については日本がみずから進んで研究もし、調査もし、いろんな事実も、データも集めて、しかも良心的な民間の人々が、これらに対して何らかの問題を起こしたときには、直ちに政府はこれを取り上げてその実情も調査し、そうしてもっと各方面の人の研究ないしはいろいろな調査を広範に行なって、早くこれは決定することが必要だと思うわけです。こういう点で今日農薬行政を担当されておる農林大臣に、一体自主的に日本の農薬行政をやっていこうとされるのか、依然としてこうした、今日、官庁の中にもありますアメリカ追随のようなやり方で日本の農薬行政を進めていかれようとしておるのか、この辺についてまず質問したいと思います。
#192
○国務大臣(倉石忠雄君) 私はアメリカのことはよくわかりませんが、自主的にやってまいるつもりであります。
#193
○河田賢治君 厚生省の方に聞きますが、先ほど北村委員からも話がありましたが、昭和四十八年までに野菜などを四十種類ぐらいですか、検討して基準を決定するというお話しでありますが、この牛乳やあるいは肉、卵あるいはまたこれらの加工品であるバターとか、こういうものについては一体厚生省はいつごろに一応完了される予定ですか。今日御承知のとおりだんだんと食生活も肉とかその他のものが食生活の中の、いわば米やその他よりも使用量が多くなり、このほうがふえてまいっておるわけですね。しかも先ほど来問題になっております母親の母乳の中にはすでに危険な農薬が残留しておるという地帯がありますが、一体厚生省は日本の国民の生命あるいはまた生活環境、こういうものをほんとうによくするために命をあずかるいわば責任があるわけですが、こういう問題については、野菜は一応計画が立っておるようでありますが、肉類その他についてはいかがでしょうか。現に高知県の衛生試験所ではこれらの諸問題についてずっとデータを出しておるわけですね。こういう点についてどのような見込みを持っておられるか聞きたいと思うんです。
#194
○説明員(小島康平君) 牛乳につきましては昭和四十六年の三月末日までにという予定で現在作業が進んでおるわけです。そのほかの肉あるいは卵につきましては、それに引き続きまして順次基準を決定するということで作業が進んでおります。
#195
○河田賢治君 あなたのほうではそういう目標があるんでしょうけれども、しかし国民にしてみればいろいろ毎日毎日いろんな食料を摂取しておる、この中に、幼い子供に飲ませる母親の乳の中に農薬が残留しておる。非常な不安を持つわけでしょう。これは一体、先ほども問題になりましたが、厚生省の現在試験能力に要するに限りがあるからいますぐできないのか、それとも一応野菜をやり、徐々にこの中に畜産物あるいは加工品を取り入れていこうというお考えなんですか。こういう問題については、ただそういう方向だけというのは――どういう根拠を持ってこのようにおくれるのか。今日公害問題がやかましくいわれている。もちろん農薬は公害の一つの中に入っておりませんけれども、しかし大体において同じ性格を持っているわけですね。こういう問題について、この公害法案がたくさん出たときに生命をあずかる厚生省がこの際早くこの試験研究や、あるいはいろんな調査材料を集めて、あるいは追試験をやっていくとか、こういうお考えはないわけですか。
#196
○説明員(小島康平君) 私どもは厚生省に働いている公務員といたしまして、できることならばやりたいということでございますが、先生の御指摘がございましたように、試験能力には限りがございます。したがいまして、われわれとしては精一ぱいやっているわけでございますが、なかなか一ぺんにすべてをきめるというわけにはまいりませんで、順次必要なものから定めていくということでやっている次第でございます。
#197
○河田賢治君 しかし、現に地方の衛生試験所等々でこういう肉、バター、それから牛乳、牛肉、鶏肉、豚肉、動物飼料等々、ここではもうすでにちゃんとBHCのアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、こういうものをずっと研究しているわけですね。もちろん全研究機関がこれをやったわけではないでしょうけれども、少なくとも日本の研究機関の中でこういうものができておるという事実をあなた方は知っておるわけですか。
#198
○説明員(小島康平君) 高知県の衛生研究所では、私ども厚生省のほうと協力していろいろ仕事をやっておいてくださいまして、私どもとしては常にその連絡をとりまして、そういった資料を参考にいたしまして私どもの行政を進めているわけでございます。また高知県のみならず全国の都道府県の衛生研究所の検査体制の充実ということは、私ども常に心がけておりまして、また検査に当たる人間の特別訓練とかいうようなことも毎年実施しているような次第でございまして、私どもとしてはこの農薬の行政というものは先ほど先生も御指摘がありましたように、日本のスタートは非常におくれていたわけでございますので、何とかしてこのおくれを取り返して、そうして都道府県においてきちんとした取り締まりができるようにということで、私どもは努力を重ねている次第でございます。
#199
○河田賢治君 こういう研究機関でなされたものを基礎にして十分な、これは完全なものとはいえないにしても、最低限今日の人命と健康を保障するような最低限をきめるとか、そうして許容量をきめるとかいうことはできぬことはないと思うのですね。おそらく地域的に高知県から出れば、あるいは北海道なり、あるいは他の二、三カ所の全国の中の試験場にもこれを依頼してやれば、これは私はできると思うんですね。そうすれば、それでまず一応押えて、そして最低基準をさらに完全なものにしていくという方法はとれると思うんです。それをあなたのほうでは、おれのところの設備だけではこれしかできぬから昭和四十八年とか五十年とか、今日のようにこの急激な、生活環境も変わり、経済も非常に変わってまいる時代に、そう五年も六年もこういう問題で国民の不安をかもし出すということは、私はあなたは大臣でないからなんですけれども、そういう無責任な態度であってはならぬと思うんです。
#200
○説明員(小島康平君) 私は決して無責任であるとは思っておりません。牛乳につきましては、先生の御指摘のように、私どもとしては研究委託費をもちまして全国の都道府県に依頼をいたしまして、現在調査をしているわけでございまして、その結果をもとにして来年の三月をめどに基準を設定したい。ただ、いま私どもとしては全力を尽くしておりますのは、牛乳の中のBHCをさらに早く下げるということでございまして、下げるのと並行いたしまして、そして来年の三月ごろまでに極力下げまして、そこで基準を設定するという作業をしているわけでございます。それから昭和四十八年をめどに私どもは主要四十八の農作物について基準設定の作業を急いでいるわけでございますが、これにつきましては、実は国の研究機関だけではとてもこの作業ができませんので、来年度におきましては、都道府県に協力を依頼して、都道府県に委託費を流しまして一緒に協力をしてもらって分析に当たってもらう、そしてその結果を私どもが利用させていただいて基準をきめるという計画を立てておる次第でございます。
#201
○河田賢治君 まあこの脂肪中の平均値、高知県から出しました場合、私はこれがどの程度に身体の許容に影響があるかないかということはわかりませんが、専門的ですから。少なくとも高知県産牛乳では、BHC、これはアルファ、ベータ、ガンマ、デルタを集めて九・八二となっておる。ところが、牛肉になりますと、一三・六八というような非常に高い値を出しておりますね。ですから、こういう点から見ましても、おろそかに、今日この問題をほうっておくわけにいかぬと思うのですよ。だから研究機関も相当、多少の予算も回わし、若干の資材も買えばやってくれるところあるでしょうから、こういうものは早く私はきめるべきだと思うわけです。
 さて、その次に、厚生省のほうでは農薬の許容量ですね、こういうものをおきめになるわけですね。しかし、農林大臣にお伺いしますが、動物特に豚とか牛とかあるいは鶏、こういうものは商品になるときは厚生省で、いわゆる食品となるわけですが、しかし、これが生育する段階は一体これは農林省の責任になりますか、どうなりますか。
#202
○政府委員(中野和仁君) 家畜の所管はもちろん農林省でございますから、広い意味では農林省の責任になるかと思います。ただ、いまの問題にしぼって考えますと、いまお話で盛んに出ておりました肉や卵のあの許容量からさかのぼってといいましょうか、そういうことで判定をしまして、家畜のえさというものをつかまえてこれをどう持っていくかということだと私は考えますので、厚生省の作業の進むのに合わせまして当然農林省としても家畜のえさのほうも畜産局と相談をしながらやるべきものだと思います。
#203
○河田賢治君 なるほど厚生省が一番この人間の要するに残留農薬やその他の毒性問題についてはいわば決定権を持っているわけですから、農林省はそれに合わしておやりになるけれども、しかし、残留農薬やその他の慢性毒性のこういうような農薬が、要するにまた品物になればこれは厚生省へ移るわけです。しかし品物になるまでの卵を生む鳥が、あるいは小さいのを育てる、あるいは牛も子牛を育てる、あるいは業者によってはいろいろこういう生育の段階だけを一つ受け持つところがあるわけですね。その場合も、一体動物の機能障害やなんかについての御研究はなさっておるんですか。生育上、それが非常に困難になるとかいうようなことについて。
#204
○説明員(川井一之君) 農薬が家畜に及ぼす影響についての試験でございますが、これにつきましては牛乳につきまして、今年度緊急にBHCの研究を実施いたしておりますが、先ほどのお話にもありましたように、作物に対する農薬残留の研究でございますが、これにつきましては、四十二年から四十五年度まで四年間にわたりまして、二十一作物、四十七農薬につきましてその安全使用基準をつくるための技術的なデータを出すということで、これは一応今年度で完了したわけでございます。これに引き続きまして、今後やはり畜産物、あるいは家畜に対するいろいろな影響という問題が問題として大きくなってきておりますので、これにつきましては、四十六年度から四十九年度ということで、来年度からさらに本格的な研究を進めるということで、現在予算を要求いたしておりますが、この内容につきましては、もちろんいろいろな農薬が、家畜に対する影響と申しましても、これは家畜の体内で、あるいは生育期によって、いろいろ経緯があり、あるいはからだの中で分解をしていく、あるいはそういうものに対する家畜の衛生学的な影響、さらにそういう家畜の体内における分析方法、これも作物とは違いまして、いろいろ基礎的な分析方法を開発するとか、いろいろ問題があると思いますが、そういう問題を含めまして、一応家畜及び畜産物に対する影響に関する研究というものを考えております。現在、四十六年度予算におきましては約二千三百万程度のものを一応……。
 以上でございます。
#205
○河田賢治君 研究についてはお説のとおりだと思うんですが、先ほど来要するに残留農薬やあるいは毒性農薬等々について、いわばそれらが早くつかまれなきゃならぬ、そのためには何らかの基準量を農林省独自で持つ、これは生育に要するに必要なんだ、肉になっちまったり卵になっちまえば、これは厚生省の領分になるわけですけれども、農林省独自でもってこれを早く規制する、そうしてできる限り満足な食品になるようなやはり手だてが必要じゃないかと思うんです。厚生省のほうの基準ができ、それを待って使用基準だけをやっていくというようなことでなくて、積極的に畜産物の生育、そして満足な肉あるいは乳になるというようなためには、こういうものの最低の基準をきめるとか、何らかの農林省独自のやはり私は処置が必要じゃないかと思うんです。また、御承知のとおり世界的にも、この農薬の使用なんかについてはどの程度、これは勧告で、あるいは実施になっているか知りませんけれども、一九六三年、これは厚生省のほうが主として関係すると思うんですけれども、WHO、FAO等の専門部が、一日当たりの農薬の摂取許容量というものをきめているわけですね。国際的にもやはりこうしたものができておるんですから、これらに、そのまま取り入れることはしないにしても、一応こういう国際的な諸学者が認めたようなものはできるだけ早くひとつ取り入れて、そしてまず最低限の動植物の生育をはかっていく、これが農林省の私は仕事でないかと思うんです。こういう点について、農林省はそういう独自のこういう許容量や何かをおきめになることはないんですか。
#206
○政府委員(中野和仁君) 私、先ほど申し上げましたように家畜のえさが農薬に汚染をされるという問題はあるかと思いますが、農薬によって動物そのものに危害を与える場合はございますけれども、それの慢性毒性その他の関係というのは、これはなかなか、先ほど研究機関のお話もございましたけれども、その辺を詰めなければわからないと思います。むしろやはりいま一番問題でありますのは、人間の健康との関係でございますから、そういう卵なり肉なりにどういうふうに家畜の飼料が影響してくるかというところから入って調べるべきだということを考えておりまして、ただ、
 いますぐに農林省が独自でどういうものをつくれ
 るかというところまでは申し上げかねる段階でございます。
#207
○河田賢治君 人間のほうがこういう動物よりもわりあいに強いのですよ。成長しておる期間から
 いいましても、人間がこのごろ七十歳と言われております。しかし牛とかあるいは鶏というものは、大体において短いわけでしょう、成育が。そうすると何も人間と同じであるはずはないのだし、いろんなこれらの動物の機能障害というものも起こってくると思うのです。やはりそういうものも早く調べて、そして少なくとも農林省が畜産などについて十分な許容量をきめて、これに沿ってさらにこれの標準を引き上げるような努力をするというこの自主性がなければ、私はしっかりしたこういう農薬に対する行政というもの、指導というものが、厚生省待ちではぐあい悪いのじゃないかと思うのです。その点を私は伺いたいわけです。
#208
○説明員(川井一之君) いまお話にありますように、家畜の衛生に関するいろいろな影響、これは当然農林省独自の問題がございまして、これにつきましては現在もかなり専門的ないろいろな問題を進めておるわけであります。なお、今後ももちろん家畜の影響というものにつきましては、農林省としての問題としていろいろ研究いたしてまいりますけれども、これらのものが人間の食品になっていくという関係におきましては、やはり人間の健康との関連においてまたそれらの評価もいたさなければならぬという関連もございますので、人間の衛生に関する問題につきましては、厚生省とできるだけ歩調をそろえまして研究を進めていくという態度で考えております。
#209
○河田賢治君 ここで押し問答してもいつになっても果てないと思いますので、次に移りますが、今度の農薬取締法の改正問題について、全国農業協同組合中央会、それから全国販売農業協同組合連合会、全国購買農業協同組合連合会、この三者の名前で関係議員のところへ、「農薬の安全使用ならびに農産物の安全確保に関する要請について」、こういう文書がきております。これは衆議院の同僚のところへきたわけですけれども、この中に農薬の問題についてこういうことがありますね、「農薬残留許容量の設定等規制に関する事項」「農薬の使用禁止の措置をとったばあいは、残留農薬許容量の設定をおこなわないこと。またすでに設定している場合は廃止すること。」、なかなかこの文章だけではちょっと私たちの頭に入りかねるようなところがあるのですが、こういう問題について一体農林大臣はどのようにお考えになるか。つまり使用禁止した農薬ですね、これについて残留農薬許容量の設定を行なわないとか、あるいはすでに設定している場合は廃止する、こういう案が要望されているわけです。まあ農林省へきたかどうかわかりませんけれども、これは非常に農協が御承知のとおり農薬の使用などについてば相当大きな使命を持っております。また農薬をも製造しておるのが農協の別会社としてあるわけですが、こういう考えが農協の指導者の中にあるわけですが、こういう問題については、大臣いかにお考えですか。
#210
○国務大臣(倉石忠雄君) 私いま初めて承るものですから、事務当局からお答えさせます。
#211
○政府委員(中野和仁君) おそらく私もこまかくそこまで団体のほうから具体的には聞いておりませんけれども、使用が禁止されてその農薬がなくなりましたら、残留許容量というのをきめておく必要はないんじゃないかという単純な趣旨ではないかと思います。しかし、先ほどのどなたかの先生方のお尋ねにもありました際に厚生省もお答えになっておられましたが、残留許容量については輸入農産物についての問題もあると思うんです。したがいまして、もうある農薬が日本からなくなったら、その分は要らないという簡単に断言はできないんじゃないか。これはやはり慎重に検討を要するんではないかと私は考えますが、最終的には厚生省の御見解によるというふうに考えております。
#212
○説明員(小島康平君) ある農薬の使用が禁止された場合に、その農薬の基準が残っておりましても、使用するものにとっては何ら差しつかえはないんじゃないかというふうに考えております。それからまた、その際に基準をそのままにしておかないと、いま農政局長から説明ございましたように、輸入品等が入ってきた場合にそれはそのまま受け入れてしまうということになるわけでございますので、私どもとしては、やはり国民保健の立場から、でき得ればすべての農薬について、日本で使用していなくても、世界中の農薬について基準をつくるということが最終目標ではないかというふうに考えておりますので、日本で使用禁止になりましても、基準を廃止するということは行なわないほうがよろしいのではないかというふうに考えております。
#213
○河田賢治君 これは使用しなくても他の作物には、ある一定の特定の作物に対するたとえば、ここで例をあげてみますと稲に対するBHCとか、あるいはキュウリに対するエンドリンというようなことになると思います。この一つの品目については使用しないといっても、これは業者としてみれば、業者の立場に立てば何かほかに使いたいわけですね。どうもそういうところが含まれているようにわれわれは考えるわけです。政府としてこれをとらないということをおっしゃったんですから、ここで安心をしたわけですが、しかし、農協の幹部がこういう考えを持っているということはひとつ指摘しておかなければならぬと思うんです。
 それからもう一つは、やはりこの問題についてこういう問題があるのです。「農産物の残留農薬検査結果の公表については慎重を期し、人体に及ぼす影響などについて適正な周知を行ない、消費者に無用の不安を与えないよう配慮すること。」、これは説明文のほうですけれども、大体において公表をできるだけ慎重にしてくれという、こういう項目があるわけですね。大臣、ひとつこれについてお考えを述べていただきたいと思います。
#214
○国務大臣(倉石忠雄君) 残留農薬の検査結果の公表のことでありますが、その検査の結果や許容量の持つ意味は正しく報道され、そしてまた消費者その他の関係者に必要以上の不安を与えることのないようにつとめることが必要ではないかと、このように考えます。
#215
○河田賢治君 ここではもちろん消費者に無用の不安を与えないといっても、現に母乳にエンドリンとかDDTとかBHCが入っているというきょうの新聞のようなことが出ればだれしも不安を持つわけです。しかし公表する、あるいは新聞なんかにそういう検査結果が出た場合に率先してやはり私たちはこのことを明らかにする、そしてそれに対する、そこから教訓を学んで再びこういう農薬の被害の出ないような、使用方法が間違っていればどうするとか、あるいは農薬自身に問題があればこれらを一時停止するというような、こういう処置をとるわけですから、こういう問題については私は明らかに公表したほうが、すべての人にとってもすることがまた責任でもあると思うのですが、農協の方々はできるだけこういう発表を、公表を慎重にしてもらいたいわけですから、やみからやみにできれば葬ってもらいたい――とまでは言っておりませんけれども、そういう意図はこの文章の中にあるわけです、この文章の中に。これは私は正しくないと思いますね。やはりこの点は、今日農協が、農薬取締法の規則に基づきまして、知事が農協の代表を入れて使用基準やその他についてやはり一応意見を聴取するような都道府県もあるわけですから、こういうような考え方では、今日の農薬公害といわれるほど頻発しておる問題について、特に農協自身が防除やその他についてはたくさんなまた薬もつくり、防除する人々も出しておる、そういう責任を持つところがこういう考えを持っておられたのでは、私はほんとうに将来を案ずるわけですね。農林大臣は、農協の今後の、これ直接の国家機関ではありませんけれども、しかし農協に対する指導というものはやはり農林大臣がやるべきだと思うのですが、こういう点について、ほかの項目では政府に対するいろいろな要請がございますよ、しかし、この二つの項目についてはどうしても私たちは受け取れない問題があるわけですが、今後の農協の指導について、特に今後も農薬なんぞの使用は相当農協の人人が責任を分担されるわけですから、こういう点について一応私は農協の今後の指導の問題としてひとつ承っておきたいと思います。
#216
○国務大臣(倉石忠雄君) 最初申し上げましたように、私はその文書をまだ拝見しておりませんので何とも言えないのでありますが、二番目のほうの、残留農薬の検査結果について、それは慎重にやってもらいたいと言われるのは、私は一向さしつかえないのではないか、その文章からだけ受ける印象は、そういうふうに感じます。そこで、先ほど申し上げましたように、やはりこういう問題で、お使いになる農家、それから農産物を消費していただく消費者という関係者に必要以上の不安を与えることのないようにするということは、関係者のみな大事な態度ではないかと思うのでありまして、そういうふうようにつとめていくようにいたしたい、こういうふうに思っております。
#217
○河田賢治君 時間が非常に迫られておりますので、あと一問だけ。農協の問題は、今後こういう問題を含んでいるということだけを知っておいてもらいたいと思うのです。
 そこで、この農薬のいわば毒性あるいはまた残留農薬等々で、今日だいぶ存庫もあるようです、製造業者には。で、輸出の問題ですね。今度の法案の改正の中には、農薬の輸出については全然触れられておらぬわけですね。アメリカあたりでは国内で禁止したようなものは国外にも出さぬという、こういう方向をとっておるようでございますが、少なくとも今日、日本の東南アジア開発途上国等に対する資本の進出やあるいは商品の進出、また同時に日本の大資本があそこでずいぶん農園その他、水田なんかも経営して、そうしてその地域の人々に販売する、あるいはまた将来は日本へも相当のものを輸入してこようというふうな、こういう考えを持っておりますから、これは前の委員会でも私は話したとおりでありますが、こういう問題について、一体日本の国で、またアメリカあたりでも、DDTやBHC等についていえば使用の禁止をしている、こういう明らかなものまで、今日まで東南アジアの開発途上国に、しかもまだ農業やその他のいわば文化水準の遅れたところなんですね、そこで日本のこういう製造業者が、とにかくあり余ったものは、日本で使えないから東南アジアへでも持っていって売りさばけというようなことが考えられるわけです。現に韓国、中国等々へは相当、四十四年度の統計を見ても出ております。そうしますと、まあ経済大国で日本がだいぶ世界じゅうの中でもう世界第二番目の国民であるとか国であるとかいって、今日非常にその点では強調されておりますけれども、東南アジアのおくれた諸国に対しては、われわれ日本人としてもこれらの国に対して十分なそういう資本家がかってなまねをせぬように、そしてまた向こうの人が農薬やその他によって害されないような処置をとるということが、いわば日本の現在の時点からしましても私は道義的にも人道的にもこういう問題は、農薬の輸出等について、特に危害のある農薬等については輸出の規制をすべきではないかと、こういうふうに考えますが、農林大臣はいかがですか。
#218
○国務大臣(倉石忠雄君) まあ外国は、それぞれ外国と申しましてもたくさんあるわけでありますが、いろいろな国で農作物やその農薬の使用対象がそれぞれの国によって違うだろうと思います。そこで、農薬というのはやはりそれらの国で自分八の国の農作物に必要なものを求めるわけでありますからして、それぞれ自分の国で必要な農薬というものについてはそれぞれの研究をしておられるはずでございますから、そういう点で相手国の、つまり輸入されるであろう相手国の研究にまって、彼らが必要であるというならばこれはまた別ではないでしょうか。したがって私は、相手国が、自分の国に国民もおり農業もあるわけでありますから、それに必要だと考えられたらそのように対処されるがいいんではないか。私どもわざわざ世界じゅうにこれはだめだこれはだめだといって広告するというのもどうかと思うのでありまして、相手国が主権国家でありますので、その国のやはり独自性を尊重するということが必要な態度ではないか。問い合わせがあれば、わが国ではこういうふうに稲作等には考えますよというようなことはもちろん親切にやってあげる必要はありますけれども、相手国の自主的な態度を尊重するというのが一番いいんではないかと、このように考えております。
#219
○河田賢治君 ちょっと問題があります。なるほど対等の文化程度であり、施設なんぞについても十分なものがあるという場合ならそれはそういうことが言えるのです。現に日本でも農薬について十分な研究機関がまだない、あるいは足りないといって、いま研究し始めたところでしょう。しかも東南アジア諸国は今日どんな状態かということは、もう倉石農林大臣はよく御存じのはずなんです。なるほど研究機関や向こうのいろんな大学、あるいはその他の研究機関がそういうものをしてみたいという要求があれば何ですけれども、現に東南アジア諸国では、日本の資本の進出や商品の進出等についてはアニマルだ、エコノミックアニマルだと言われるほど、いわば何でも日本にあり余ったものはどんどん向こうへ持っていく、これはアメリカも同じですけれども、そういう態度があるわけですね。その場合に一応は政府はそういうものの規制をする。日本で害があるものは、やはり東南アジアだってずいぶん米作地帯たくさんあるわけですから、そういうところは何も相手の国が断わらなければ、幾ら売ってもいいというようなものじゃないと思うのですよ。それはやはり私どもは考えの違いかもしれませんけれども、人道的にもまた政治的にも、日本がそういう責任を負うべきだ。これはもう当然日本で使えないものは廃棄するのは当然なんですよ。それを外国へ持っていってまあ黙っているから、買え買え、日本ではこんなに増産できたというようないい面ばかりを言って、そうして大きな被害を与えるようなことは、決して後世の日本人がこの東南アジアの諸国の民族から、尊敬されるやり方ではないと私は思うのです。この点についてもう一度だけお聞きしまして私の質問を終わります。
#220
○国務大臣(倉石忠雄君) 何か誤解されているのじゃないかと思うのですが、私が申しているのは、いまあなたがおっしゃったように、われわれよりもおくれている国であるならば、それぞれの国々がわが国の農業のためにこういうものを使いたいのだが教えてもらいたいというならば、どこまでも親切に御指導をいたしましょうと、その上で彼らがどういうふうにおやりになるかは、自主性を尊重すべきである、われわれに期待されて指導を求められるならば、われわれの経験は十分お話をしてあげましょうと、こう申しておるのであって、何でもかんでも買え買えと言って押しつけるのではないのであります。
#221
○河田賢治君 もう一言。では、日本の資本が向こうで土地を買う、あるいは土地を合弁で持つ。こういうところで、日本の資本家は、要するに向こうで農作物をつくればこれには農薬を使うでしょう。絶対ないとあなたは保証できますか。こういう場合もあり得るのですよ。同じ主権国家だといいましても、資本の動くところ、ここにはもう商品がどんどん出ていきます。それほどまた、日本の資本家も、人並みはずれていい人物ばかりじゃないのです。
 まあこれについてお答えがなければこれで私は打ち切りますが、とにかくそういう問題が現にいろいろな問題について起こっているわけですから、農林大臣、ほんとうに日本の人民が、あるいは日本民族が、アジアにおいてすばらしい発展をし、また道義的にもりっぱな民族だといわれるようになるのには、その程度のことは農林省としてもするのは私は当然だと思うのです。このことだけを申しまして私は終わります。
#222
○委員長(園田清充君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。午後六時七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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