くにさくロゴ
1970/12/15 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 社会労働委員会 第3号
姉妹サイト
 
1970/12/15 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第064回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十五年十二月十五日(火曜日)
   午後一時五十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十四日
    辞任         補欠選任
     中沢伊登子君     村尾 重雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐野 芳雄君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                吉田忠三郎君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                横山 フク君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
                村尾 重雄君
                喜屋武眞榮君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     伊東 正義君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
   政府委員
       厚生大臣官房長  高木  玄君
       厚生大臣官房国
       立公園部長    中村 一成君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       厚生省薬務局長  加藤 威二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○廃棄物処理法案(内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度等に関する調査
 (米ぬか油中毒事件に関する件)
○自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十四日、中沢伊登子君が委員を辞任され、その補欠として村尾重雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐野芳雄君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○大橋和孝君 貴重な時間をかりまして、カネミ油のその後の問題について、大臣のひとつ所見をお伺いしたいと思うわけであります。
 斎藤厚生大臣もまた内田厚生大臣も、このカネミライスオイルの問題に対しましては、被害者あるいはまたカネミのライスオイルの被害者を守る婦人の会の懇談会、あるいはまたそうした集会に参られまして、被害者の救済措置のいろいろな要請に対して、いままで公害に準じたいという旨のことを回答されておりましたし、また同時に、そうした方向で進むということを大臣はいろいろ言明しておられたわけでありますが、現在に至りまして、これに準じた措置として一体具体的に何か出てきているのか。非常に時間も経過いたしているにかかわらず、まだまだその治療の面も不十分であるし、あるいはまたいろんな面からいって、そういう被害者たちが非常に困窮な状態あるいはまた苦しい状態におられるのにかかわらず、やはり公害等に準じた処置を積極的にやるというそういう言明をしておきながら、われわれとしては、まだそれを受けておられない、こういうように見えるわけでありますが、これに対して具体的方策、何をされたのですか。
#5
○国務大臣(内田常雄君) カネミの事件で、あれカネミ倉庫株式会社というのは、自分のところが食用油をつくりながら、その食用油をつくる装置が破れておって塩化ジフェニールとかいう油でない物、また食品衛生法上添加物として認められているようなものでない物をあやまって混入さしていると思うんで、そのために非常に多くの方々にお気の毒な症状を発生させたということは、これは私が厚生大臣になってからではございませんにいたしましても、まことにけしからぬ行為だと思うと同時に、それらの災害を受けられました患者さん方はまことにお気の毒な状態にあると心から思うわけでございます。一方においては医療上の問題もございますし、他方においては生活上の問題もあろうかと思いますが、私が報告受けておるところによりますと、医療と申しても医療の治療方法が確立されておらないと、どうしてなおしていいか、そこのところが確立されていないというようなこともあると聞いておりますので、何とかいたしまして国のほうも医療研究の方面を督励をしたり、また必要な助成もいたしまして、これの治療方法を確立させたいということを第一とし、それから次には、これらの病気におかされた方々の生活上のこともおもんばかりまして、これは、御承知のとおり、正面からそのための生活保障をするという仕組みは現在ないわけでございます。これは公害による被害者についてもそういう方法はない。これは国会においても、先般のこの国会における公害の連合審査におきましても問題になっているところでございまして、制度上のそういうものはないわけでありますけれども、何とかめんどうを少しでも見てあげる方法はないか、これは生活扶助とかいうようなことはもちろんありますが、しかし生活扶助の対象におちいるようなことは、そこまでいかなくても何らかの方法はないかということで、私が、一つの方法として、世帯更生資金の貸し付け制度というものがありますので、何かそれの幅を広げられる便宜の方法を講じて、そうしてその更生資金の貸し付け等をもって可能な範囲においては対処するように研究をしてほしいということを厚生当局にも私が要望をいたしました。それで十分だということではございませんが、世帯更生資金の貸し付けにつきましては、この場合が一部カバーをできますようなぐあいに、ことしになりましてから大蔵省と相談の結果、改正もされたようなわけでございます。一方、これは会社側が一体どれだけの責任を感じているかということにもなるわけでございますが、刑事訴追の問題にもなっておるとも聞きますし、また民事上の損害賠償請求も行なわれていると聞いておりますので、これらの事件が、私の判断では、これはほかのものから――それこそ無過失責任の問題を論ずるまでもなく、ほかの原因からカネミ油症というものが起こっているのではなしに、あの熱交換の際における媒体である塩化ジフェニールが油の中に混入したということは、これは厚生省の判断においても間違いないわけでありますので、会社といたしましても十分責任を感じて、できるだけの補償なり救済なりの態度をきめられるべきであると私は正直に考えております。
#6
○委員長(佐野芳雄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#7
○委員長(佐野芳雄君) 速記を起こして。
 本件に関する調査は後刻行なうことにいたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(佐野芳雄君) 廃棄物処理法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますが、本案は衆議院におきまして修正議決されましたので、この際、衆議院における修正部分について、衆議院社会労働委員長代理伊東正義君から説明を聴取いたします。衆議院議員伊東正義君。
#9
○衆議院議員(伊東正義君) 私は衆議院の社会労働委員会を代表して、廃棄物処理法案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 その要旨は、まず第一に、廃棄物の処理のみならず、清掃もこの法律の対象であることを明確にするため、題名を廃棄物の処理及び清掃に関する法律とするとともに、第一条のこの法律の目的に生活環境を清潔にすることを加えるものとしたことであります。
 第二に、事業者の製造、加工、販売等にかかる製品、容器等が廃棄物となった場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならないこととして、事業者の責務を強化するものとしたことであります。
 第三に、市町村長が一般廃棄物処理業の許可をする場合の要件について、市町村による一般廃棄物の処理が困難である場合を加えることとしたことであります。
 以上のほかに所要の条文整理を行なうものとしたことであります。
 以上でございますので、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#10
○委員長(佐野芳雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本案につきましては、 本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(佐野芳雄君) 先ほどに引き続きまして、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
#12
○大橋和孝君 いま大臣は、これは無過失責任じゃないから会社がやるべきだと、やっているじゃないかというお話でありますけれども、そのやられている状態を厚生大臣が見られまして、あのようなことでは、やはりその被害を受けた人たちは非常にいま塗炭の苦しみに落ちていると、こういうようなことであなたが大臣として、そういう守る人の会あたりでいろいろお話しになって、もっと公害なんかと同じように取り組んで、もっと優遇をしましょうと、非常にあたたかいおことばを賜ったわけであります。けれども、いまお話の中にもありましたように、これが何にもされていないので提訴されておる。一部分は払われたけれども、それはとても常識的に考えまして十分な補償にはなっていないだろうと思う。いまの状態では非常にいろいろな問題がありますが、そういうことも含めますと、やはりもっと前向きの姿勢でやろうというお気持ちができにくいことはいまおっしゃったとおりでありましょうけれども、何かもう少し具体的にその方法をあらわすべきではないか、こういうふうに思うわけであります。たとえて言うならば、もっと貸し付け金も何とかするとか、あるいはまた、当分の間は政府のほうでこれを補償しながら、あとから工場との責任分担を考えるとか、いろいろな面があろうと思うのでありますが、少なくともその分を、公害で打ち出されているようなものを――この問題は経過がもう長いわけでありますから、何かすべきだと私は思うのでありますが、大臣どうでございますか。
#13
○国務大臣(内田常雄君) いまも申し上げましたように、これは私が就任いたしましてから、国のほうももう少し研究費ばかりでなしに、生活面でも何か知恵はないかということで、実は、私自身が世帯更生資金、あれを何とか運用できないかということで言い出しまして、これを実は、きょうここにもお見えでございますが、カネミの患者の皆さん方の代表が、ことしの春ぐらいに私のところへお見えになりました。私は大臣室に入っていただきまして、いろいろな苦衷も聞きまして、検討をすべきお約束もいたしまして、その直後にいまの世帯更生資金の貸し付け等につきまして何らか便宜の方法――あれはなかなか貸し付け方法は厳重になっているようでございまして、いろいろの種類がございますが、いまのカネミの油症のためにお困りの方々に無条件で貸し付けられるというものではないようでございますが、それを何か条件をゆるめる等のことをして、貸し付けの方法をゆるめる、こういうことを申しまして、それが全面的でないにいたしましても、ある程度貸し付けの道が緩和されたということは一つの方法でございます。
 もっとも、その前からこれは私が報告を受けておりますところによりますと、現地の福岡県なり北九州市なりというようなところでも心配をされて、生活資金として若干の――これは最高十五万円とか何とかというわずかなもののようでありますが、貸し付けの道も開かれておるとも聞いておりますが、そういうことで、病状がすっかりなおるまでもつほどの金でもございませんので、患者の方々の生活上の苦痛は、私はほんとうに心からお察しをいたしておるわけであります。ところが、生活保障の問題になりますと、さっき申しますように、結局お金の問題であり、制度上、国の支出の問題としては道が開かれておりません。これは、公害の水俣病にいたしましても、イタイイタイ病にいたしましても、あるいは硫黄酸化物によりまするぜんそく等の病気につきましても、先ほども申しましたように、今度の国会でも生活保障上の問題が提起されてはおりますけれども、その道がないというようなことで、私もほとほとその点につきましてはどうすべきか、さらに前向きの立場は捨てませんけれども、いまここでこうしてあげましょうということが申せないことは正直に申してまことに残念でありますけれども、しかし、これはいろいろの知恵を出しまして、なお、の上とも患者の皆さま方にも身体上の苦痛もあるでしょうが、せめて精神上の安心感を持っていただけるようなことは引き続いて研究はいたしたいと思います。
 それから、それより何より、病気を早くなおす方法を究明することが一番肝心でございますが、これらの研究費につきましても、ここ両三年、国からも助成をいたしまして続けておるようでございます。これもだんだんほっておきますと、先細りになるおそれなしとしませんので、きょうもこうやって患者の皆さまお見えになって、症状も――私は先ほど衆議院の大臣室でもお目にかかりましたが、皆さんの直接の声も聞いておりますので、これらの治療のための研究費というようなものも、これがそのまま先細りして消えてしまうということでなしに、続けて国もできる限りの支出をもするようにつとめてまいりたいと考えております。
#14
○大橋和孝君 何か非常に大臣も気持ちは十分お持ちで、私もそう思っておるわけですけれども、しかし、事実問題を見てみますと、なかなかそうはいっていない。特に私がここで申し上げたいのは、被害者の中には仕事を休まなければならぬ、あるいはまた職を離れなければならぬ、あるいはまた休職のような状態にもなる、欠勤もしなければならぬ。そういうふうにして油症の患者さんは病気に伴うところの臨時支出も非常にふえているわけですね、まだ病気もありますから。こういうふうに生活に対して非常にいろいろな悪条件が加わってきて、いま生活に困っていらっしゃる方が非常にふえてきている。物価も高くなり、あるいはまたいろいろな情勢の中ではなかなか被害者の方々は病気の一方の苦しみと同時に、生活のいろいろな負担もふえてまいりますから、非常に苦しい状態です。しかも職を離れることができないという状態になっている人たちは二重三重の苦しみだと思うのですね。ところが、いま生活保障のための実質的な内容というものを見ますと、なかなか救済措置を受けたというような形にはまだまだ足りないわけです。大臣にはいろいろ配慮してもらって、貸し付け資金なんかもやってもらいました。それによりますと、これは一家族七千五百円、しかも、それは半年は据え置くけれども、半年でこれを返さなければならぬ、こういうような状態になってきますと、なかなかこれは金額の上からいっても微々たるものであろうと思う。とてもとてもこんなことでは貸し付けされても十分な保障ということには立ち至っていないわけですね。ですから、これはほんとうにこういう病気で困っておる人たちが救われるようなものをもっと出すようにいろいろ考えてもらわなければいけないのじゃないか、こういうふうに私は思うわけですが、その点はいかがでございますか。
#15
○国務大臣(内田常雄君) 大橋さんのおっしゃることは私もよくわかるわけであります。しかし、こうした加害者といいますか、被害を与えた会社がはっきりいたしております場合にも、あるいはまた公害のようにはっきりしておりません場合にも、いま私がたびたび申しますように、国がそのものずばりで生活救済を、生活保護とかということ以外に、あるいはまたいまの貸し付け金以外にやる方法が開かれておらないというような現在の状況でありますので、これらにつきましても、これは公害などともあわせまして今後研究が当然進められるべきだと考え、前向きの姿勢で取り組んでまいりたいと思います。
 また、会社のほうも、聞くところによりますと、これは会社の責任であることを自覚しているからだと私は思いますけれども、医療費の保険でカバーされない自己負担分は会社が負担するとか、あるいは通院のための交通費とか、見舞い金のようなものも若干は支出されたようにも聞いておりますけれども、私は訴訟を起こされていることは起こされているとしましても、会社側ももっと進んで積極的なめんどうをみるようなことをやるべきではないかとほんとうに私は思うわけでありまして、訴訟の結果を待つというようなことでは、これはもう私は、会社の社会的責任というものも果たされていないのじゃないかという気がしてなりません。機会を得ましたならば、会社の幹部にも私のこの気持ちを申し入れをいたしまして、もちろんこの会社に対しましては、この事件のありました後、業務停止というものをかけたはずでございましょうけれども、さらに会社の幹部にも私の気持ちを伝えて、そして訴訟外におきましてもできるだけのめんどうを見てもらうようなことの要望を私はしたいとほんとうに思っております。
#16
○大橋和孝君 大臣のおっしゃいましたように、会社が責任を持たなければならぬ、今度のような場合は無過失責任じゃなしに、その製造工程においてあやまちがあったのだから、それは大臣も同じ御意見だと思います。ところが現実を見ていただきますと、非常に困った人が提訴をしている。なかなか大臣のような気持ちになって会社側が補償しないわけですね、いま。ですから私がここで申し上げたいのは、この世帯更生資金の貸し付けですね、これは一定のワクがありまして、基準があると思うのであります。けれども、それは公害の見地からいいましても、今度のような場合は、このワクを拡大してたくさん貸し付けていただく。そしてその金を返す場合には、会社とその間に交渉が進んでいって、会社が負担をしていけばいいことになって、国に返すのは会社が返すこともあり得るわけですね。そういう意味から考えましても、ここでこの貸し付け資金の額を一定にしておかないで、この場合ひとつ現状に即して、やはり出費も要るし、非常に物価も高くて困っておる、こういう状態だったらこれぐらいやろうということでワクの拡大ができないのですか。それを何かひとつ省内でまとめて、これを拡大するようにする、できなかったら法律改正してでもいいから私はこれをやるべきだと、こう思うのですが、貸し付けなんですから、貸し付けておくだけなんですから。それで被害者がまず一定に保障されていく、そしてあとはその会社との話し合いによって返す分を考えていけばいいわけだろうし、あるいはまたその会社のいろいろな結果でどうなったにしても、いまのところこの苦しいところをカバーしていく、こういうふうなことが一番必要じゃないかと思うのですが、これをひとつやってもらえませんか。
#17
○国務大臣(内田常雄君) 私も気持ちとしては全く同じ気持ちで、ことに厚生大臣というのは大蔵大臣じゃございませんで、金のことをけちけちしたり、しぼったりすることが役目じゃございませんので、できることならばひとつ大橋さんとも、ともどもそういうこともいたしたいと思いますが、昨年の暮れに制定され、ことしから発効いたしたばかりの公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法というものにおいてさえも生活保障のほうは見られないような仕組みでございます。これがまあ問題点ではございますが、これらのこととも関連しながら、これはやはり国の一つの制度でいろいろの諸般の影響する関係もございますので、そういうことも含みながら私は検討の対象として続けさせていただきたいと思います。
#18
○大橋和孝君 非常にいまのこの資金を貸し付けるということ自身、いろいろいま大臣のおっしゃっているような問題はありましょう。けれども、そういうことをしなきゃ実際困っている人を救済できないのですね。ですからこの問題に対しては、ぜひひとついま大臣がおっしゃいましたように、至急――あまり日にちをかけておったらだめなんですから、至急やって、今度すべての公害に対しても必ずしも国ばかりが責任を持たなくてもいい、公害を出す企業が責任を持つことはこれは当然でございますから、これを出すように、そういう企業に対してのきびしい指導もしてもらわなければならぬけれども、しかし、それをせんならぬからといって、いま困っている人をほっておいたら困っている人は実にかわいそうなんですから、それはだれが救済するかといえば、やはり厚生省にそれをやってもらわなかったら、弱い老いじめになってしまうのですから、そういう意味で、救済の問題はひとつどういうようにするかということを大至急に検討して、関係各省が話し合いを進める、あるいはまたいろいろなその決定機関をして、すぐでもこれはやってもらいたい。これはいろいろ調べてみましたけれども、そんな大げさなことをしなくとも、ワクの拡大はもっと簡易にできると私は思うわけでありますが、いずれにしましても、それを短期間にやるということをひとつ大臣に腹をきめていただきたいと思うのですが、決意のほどを聞かしてください。
#19
○国務大臣(内田常雄君) たびたび申すようで恐縮でございますが、ずばりできなくとも、私、そういう人助け大臣でありますので、何かそのいい方法をともどもひとつ考えさせていただきまして、少しでも患者の方々の肉体上、精神上の苦痛を救えるようにいたしたいと思います。これは決して私は弁解を言うわけではございませんが、これに限らず、たとえば予防接種等の不安の問題に対する措置でありますとか、あるいはべーチェットその他の研究に関する問題でありますとか、最近では小児ガンの問題とか、いろいろ取り上げられておりますが、いままでなかなかできないと思った問題でも、ほんとうにやはり誠心誠意があると、少しずつでもできていっている問題が実はございますので、もう一つその上にさらにいいことを、やるべきことを進めていくというような気持ちで督励をいたしてまいるように、私自身も努力してまいりたいと思います。
#20
○大橋和孝君 ぜひひとつこれはお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、先ほど大臣がはからずも申しましたこの治療法でございます。治療法の問題を予算的に見ますと、今年度の予算ですね、これは歴年の予算もあるわけでありますが、四十三年度あるいはまた四十四年度、四十五年度とだんだん少なくはなっておりますが、その金額で申しますと、二千二百六十五万二千円というのが科学技術庁の関係で、厚生省関係では二百万くらいを中毒の問題、疫学的な研究に出されているのが四十三年ですね、四十四年に技術庁の関係では三千六十七万七千円ですか、そうしてまた厚生省関係では百五十万円ちょっと出ているわけですね。こういうように組まれているのですが、四十五年に至っては、これが一千万円になっているわけですね。こういうように非常に減額されているのですが、四十六年度を聞いてみますと、何かこれは来年度では五百九十六万一千円くらい要求しておられる、こういうように聞いているわけでありますが、この内容を聞いてみますと、全国に患者が千十四名もおられるということですが、全国的に二回巡回検診する、こういうことで金額が組まれておる。そうなると技術開発、治療に対する研究、こういうものに対しては非常に削られてしまっているという形になるのですね。これは先ほど大臣も触れられましたけれども、こういう問題をもっと積極的にやらなければ治療法は確立しないと言っているにもかかわらず、これができていないということは、治療というものと研究というものを打ち切ったのかと、私はこういうように考えなければならないと思うのです。同時に九州の帝大で、この油症の研究班長樋口謙太郎教授が十二月二十二日に九大において研究会を持ち、そうしてその油症の治療法と研究に関する新しいテーマを決定して、後日厚生省にもこれを上申するように言っておられる。それから福岡県の県議会、これにおきましても全党一致で、カネミのこの被害者の生活と治療を保障する救済措置と治療研究費の予算増額を意見書として政府に対しても提出する動きがある。そうすると地方の福岡県の議会におきましても、あるいはまたこの研究班であるところの九大におきましてもテーマをきめてやろうとしているのに、来年度に対して予算は削ってしまって、検診だけということになったならば、これは一体全体来年度からこの基礎研究だとか治療研究費、これを打ち切ってしまうということになるんではないかということで患者さんあるいは被害者の側では心配しておるわけです。こういうようなことであれば、これはたいへんなことであります。わずか五百九十六万一千円になったということ自身がものすごい私は減額だと思うのです。いまさらその減額された理由、あるいは今後これに対してどういうようにお考えなのか。大臣はいま研究、治療の開発の面にも力を入れるとおっしゃっていましたけれども、予算の面からみますと、案外そうではないといわれているわけですね。こういう点につきまして、大臣の前向きのお考えをひとつ。
#21
○国務大臣(内田常雄君) その研究費の助成費の組み方は、私はつまびらかによく仕組みを知りませんが、厚生省に幾つかの袋がございまして特別研究費とか厚生科学研究費とかいうような袋がございまして、その袋の中で、大体どの病気の研究のためにはどれだけ、また次の病気のためにはこれだけというような分け方をするはずでございます。でありますから、カネミ油症の分だけ四百何万円といって初めから予算を組むわけではございません。ただ、こういうものに対する需要といいますか、必要性がいろいろの面において起こってきておりますので、これらの研究費でも、新しいものが出てくると新しいものに食われるというようなことも、おそらくあるのではないかと思いますので、何年間か続いてやってきたものは、勢いそれが薄くなるというようなことに、これはほうっておけばなる。また科学技術庁のほうにもそういう研究費のプールを持っておりまして、研究の調整費――ですから何か新しい病気なり、あるいは研究体制というものが起こりまして、私どもが用意をいたしております袋の金では足りないときに、科学技術庁のほうからその調整費を出してもらってやるわけでありますが、それが二年、三年というようなことになりますと、科学技術庁のほうの調整費も取りにくくなる、こういう問題もおそらくあるわけだろうと思います。あるわけだろうと思いますが、要するにカネミの油症というものは治療法が確立されたわけでもなく、また、たいへん進んで、もうこれはほうっておいても自然にあとはもう全くその方式に従っての治療だけの問題だというところまできていないと私は思いますので、これはもう何年目だから少なくてもいいということにはしないで、できる限り袋の中からそちらによけいに仕分けして出すように、局長もここにおりますので、お話を聞いておるわけでありますから、努力をさせるようにいたしたいと思います。もっとも初めのころの研究費というものは、その研究のためのいろんな装置費とか設備費とかいうようなものも必要でございますので、そういう面の助成費も入っておったが、これは三年目、四年目になりますと、そういう設備費、装置費というものは不要にいたす――まあ不要でないかもしれませんけれども、大蔵省式の方式でやりますと、それはあるはずだと、こういうようなことで、そういうものが落ちるというようなこともございますかもしれませんが、その辺はせっかくこういう議論もお互いにしておるわけでありますから、自然消滅でだんだんなくなってしまうというようなことがないように、私もできる限り力を注いでいくようにいたしたいと考えます。
#22
○大橋和孝君 大臣のお気持ちも非常にそれはけっこうでありますけれども、実際から言うと、金額の上にあらわれて減ってきている。しかも、それは先ほど大臣がおっしゃったとおりに、プールの中から出せると、こう言っておられますけれども、いままでの、たとえば科学技術庁からの調整費をもらうにしてももらいにくくなってくると、おっしゃったとおりなんですね。こういうことが先行してしまいまして、いま私ちょっと調べてみましたところによると、九大ではかなり今度新しいテーマに取り組んでこれをやろうと、それで研究もしようと意気込んでいるわけですね。それはあとこちらのプールの中から出してあげます、足らなんだら予備費の中で考えますと、こうおっしゃいましても、実際いままで出ておったやつがぐんと減ってしまう、年々減ってしまうということになると、わりあいその効果が目立たないから、立った研究業績が出てこないから、徐々にしりしぼみになってくる、事実上そうなっちゃうわけですね、いろいろ大臣がそう思っておっしゃってただいても。ですからそれを非常に憂うるものです。こういう問題は、それがずっと行政の中にそういう一貫したものがありますから、たとえばいろいろな治療のまだ打ち立てられていない病気というものがあって、開発がおくれているわけです。これは外国あたりでもいろいろな薬が開発されてやっておりますけれども、それ以上に早く、日本はこれだけの技術進歩をしているわけですから、すぐこれを追っかけてやるというように予算措置が講ぜられたならば、もっと日本でも外国以上の何と申しますか、そういう技術開発がでて、患者さんたちにも喜んでもらえるような状態がくるわけですね。イタイイタイ病にしましてもそうでありましょう。筋ジストロフィーなんか、いろいろなものがあるわけですが、こういうものに対してもう少し予算をつけてやったら、日本では、外国に比べてトップを切っていいような開発ができているということもあり得ると思うわけですが、ついやはりこの例にも見るように予算措置が足りない。だんだんしぼんでいくという状態がいろいろなところに波及をしておるわけで、少なくともこの問題については、大臣いまおっしゃったように、ぱっとひとつ前向きに出していただいて、お話によれば、九大でもそういうことをやっておりますし、あるいはまたその他福岡県の議会のほうでもそういう前向きに政府に対しての要請もしようとしておるわけですから、そういうところともタイアップをしながら、そうしてそこでカネミの問題についてはひとつ研究費を出そう、もういまのワクの中であるならば、そこの中からどれだけ出してやろうというくらいの意気込みを見せてもらわないと、案外このままでいきますと、五百九十六万一千円だと、これはもう検診をしたり調べてみるだけの予算だということになっちゃいますから、これではどうしても私は相ならぬと思うのですね。ですから、この点ひとつ大臣の前向きの決意を聞いて、私もう時間が時間ですから、これを終わりたいと思いますから、この問題はひとつそういう意味で、いままでの難病あるいはまたいままだ開発されていない病気、こういうものを一方で見ながらこの問題については取り組んでやろう、こういうような形でやってもらいたいと思うのですが、その点いかがですか。
#23
○国務大臣(内田常雄君) 議論をいたす私はつもりも全くございませんで、全く同じ気持ちでございます。ことに大橋先生はお医者さんでいらっしゃいますので、あなたのおっしゃることは専門的見地から見てそのとおりだろうと思いますので、先生のおっしゃることに十分耳を傾けて進んでまいりたいと思います。もっとも金額の多寡ということよりも、いま局長から発言さしてもいいのですが、中身の研究助成が薄くなるということではちっともないそうでございます。額の問題はいろいろ動きましても、中身の問題は薄くなる――さっきの装置費とか設備費とかいう問題とも関連して、額が動いて中身が薄くなるということにはしてきていないのだそうでございますが、しかしそんなことよりも、先生のおっしゃることをよく聞きまして、できるだけ前向きで進んでまいりたいと考えております。
#24
○委員長(佐野芳雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度にいたします。
#25
○委員長(佐野芳雄君) 次に、自然公園法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#26
○吉田忠三郎君 ただいま議題となりました本法律案を審議するにあたりまして、私はこの国会に社会党、公明党、民社党の三党共同提案にかかわる環境保全基本法を提案した立場でこの法律案の審議に参加をいたしたいと思うのであります。
 先般、大臣から提案理由の説明がなされましたけれども、この法律案は、簡単に申し上げますと、第一に国、公共団体、さらには事業者、利用者、それぞれ努力をしなければならない責務を明らかにしたことがその一つじゃないか。第二は、そのための管理、清掃の保持、清潔の保持とでも申しましょうか、この点が第二。第三には、それぞれの指定された公園、つまり国立公園におきましては厚生大臣、国定公園におきましては都道府県知事の許可を要することを明らかにいたしたものではないかと私は考えるのであります。そこで、私はこの法律の基本となるべき問題点をこの機会に若干質問したいと思いますが、大臣の答弁についても衆議院段階におけるようなことではなくして、具体的な明快な私は答弁を要求いたしておきたいと思うのでございます。したがいまして、私も簡潔に具体的に問題点を指摘をしてみたいと存じます。
 その第一は、汚水排出設備の新設を行なった場合、その資金に対する金融等々について厚生省は一体具体的なものをどのように考えているかということであります。大臣、繰り返します。つまり汚水排出施設等新たに設備をしたものに対して、その資金に対する厚生省として金融上の措置をどう考えているか、この点をまず第一点お伺いをいたしておきたいと思います。
#27
○国務大臣(内田常雄君) 吉田委員から御発言のございました湖沼、湿原等に施設をして汚水を排出する行為を許可行為に限ることにいたしましたが、それらの場合、通常多くはその湖沼等のまわりにこのごろ立ち並んでおります旅館あるいはレストラン、レストハウスと申しますか、あるいは料理屋等のものが多いと考えられます。これらに対しましては、幸い厚生省所管に環境衛生金融公庫がございますので、必要な資金が生じました場合には、できる限りこの環境衛生金融公庫からも資金の貸し出しをさせるように道を開いてまいる考え方でございます。また環衛等の対象にならない事業もございましょうが、そういう場合には中小企業金融公庫なり、あるいはまた業種によっては商工中金なりのほうに、類似の金融機関に働きかけまして所要資金につきましてはできるだけあっせんをいたしてまいる、こういう考え方でおります。
#28
○吉田忠三郎君 そうしますと、大臣あとあと審議をいたす廃棄物処理法案、これとも関連いたすわけですが、これはもう必ずといっていいほど金融の伴う問題が起きてくると思うのです。その場合に、厚生省はただ単にいままでの三庫の金融制度をあっせんしてやる、これだけですか。
#29
○国務大臣(内田常雄君) 補助金を出すことはおそらくはできないかとも思います。また、廃棄物処理法案はきょう議題になっておりませんが、それらの処理は、言うまでもなく市町村、あるいは今度新しく都道府県、こういうものが入ってまいりますので、そういうものが出資する新しい企業体というものができないこともございませんが、そういう場合には、これば御承知のとおり、補助金もあるかとも思いますし、また還元融資、つまり起債等の道によって市町村、都道府県に起債のめんどうを見てまいる、これは廃棄物などにつきましてはそういう規定を新しく入れておいたような次第でございます。
#30
○吉田忠三郎君 そうしますと、あなたがこの間提案したときには、これは第一に、つまり国定公園なりあるいは国立公園等々ですよ。その景観を保持するために国、都道府県、それから事業者、利用者ということになって、その責務というものを、従前から見ますると、より強めて明らかにする、こういう提案理由の説明ですよ。
 さて金融の面を聞いたら、今度はいまの環衛のことをあなたは前もって答えられたのですが、その関係になってくると、今度はどうも事業者と、場合によっては利用者だけにその面は負担をさせられていくというような懸念があると感ずるのですが、その点はどうですか。
#31
○国務大臣(内田常雄君) いまのその環境衛生金融公庫などから貸し出しをいたします場合にも、それはやはり排水をするもの、排水といってもただ水を出すのでなしに、何らかの排水施設をつくるでございましょうから、その排水施設をつくる事業者、その事業者にただ責任だけを課して――自己資金等がある場合にはよろしゅうございますが、どうしても自己資金の支弁ができないような場合には、その事業者に環衛金融公庫等から金を貸し出すということで、一般の利用者のほうに負担をかけると、こういう趣旨ではございません。
#32
○吉田忠三郎君 そうしますと、従前この環境衛生金融公庫で扱っておったような方向で金融面については取り扱う、こういうことですか。
#33
○国務大臣(内田常雄君) 環衛金融公庫の貸し付けには何か設備の例をあげたり何かいたして、こういう設備については据え置き期間がどうで、償還期間がどうとかというものがございますから、場合によってはこの自然公園法による排水施設というような項目を加えて、そうして据え置き期間なりあるいは償還期間なりというようなもの、これを業務方法書なんかにつけなければならない場合もあるかとも思いますが、一般的に申しますと、従来の環衛公庫の貸し出し方式と同じでございます。
#34
○吉田忠三郎君 そうしますと、今度具体的に四十六年度の予算要求時期が来ていますね。そこで、厚生省の関係金融公庫のワクの拡大はどの程度やっていますか。
#35
○国務大臣(内田常雄君) これは腰だめだというとしかられるかもしれませんが、かなりこれは財政投融資は予算よりも多少そこに弾力性があるものという期待のもとに、一千億円余りの貸し出し計画のもとに財政投融資を要求いたしております。そうなりますと、このものがどの部分に入っておるかという間仕切りまではしてございませんが、これはこれからやる問題になるわけでありますが、私は、対象として取り入れ得るものと考えております。
#36
○吉田忠三郎君 その一千億というのは全般にわたるものですよ、大臣。
#37
○国務大臣(内田常雄君) そのとおり。
#38
○吉田忠三郎君 ですから、いま自然公園法の一部を改正しようとするわけですからね。そこで、冒頭で言ったように、三つの柱がある、この法律にはねらいがありますよ。だから法律を提案する限りにおいては、新年度予算編成期ですから、当然それを含んだ、この改正した法に伴う金融措置の概略でけっこうですが、そういうものが試算されなければ空文にひとしい法律でありませんか。毎年国会で問題になるように、法律は改正するけれども金融面は伴っていない、こういうことになりませんか。
#39
○国務大臣(内田常雄君) おことばを返して恐縮でありますが、私などの考えでは、自然公園の中の湖沼の付近にそういう営業を営むものは、国が金を出してやるからきたない水を出さないような設備をしなさいということばかりでなしに、できる限り自分で金をくめんしてでもそういう設備をやって、そうして公園の中をよごさないようにしなさいという、こういう頭が実は先に立っております。しかしそのことを言ってみても、できないものはできないということになったらこれはどうしようもありませんので、できるだけその間の設備資金等が要るものについては、必要ならあっせんはすることあるべしということで、初めからこれだけの金を貸してやるからと、こういうことでなくても、私は、業者の頭もまた私どもの頭も切りかえる意味において、自然公園というものは景色だけいいようにしておけばいいのだ、大きい建物を建てさせなければいいのだということでいままできていると思いますが、そうではなしに、小さい建物でも、建物をつくることは、いままでのたてまえからは許可承認になったといたしましても、それが排出する水等につきましては、むしろ自然公園をよごさない、きれいなものをきれいなまま保つという見地からこういうような条項も設け、また今度のような改正もいたしました。こういう次第でございます。
#40
○吉田忠三郎君 公園をきれいにしようじゃないかというその見地は、われわれも同感なんです。ですから、野党として社会党、公明党と民社党が共同で基本法を提案しているわけですよね。冒頭申し上げましたように、その立場で私は聞いているわけです。しかし、きれいごとを言ったってだめですよ。そう言っても、既設のものはもとより、新設だってあり得るわけでしょう。その場合、先ほど来聞いた、従前の政府三庫の金融制度を活用したらいいんだと、そのためのあっせんをするということが答えられているのですね。ですから、私はあえて金融面で聞いているのだ。そこで、政府三庫を活用するということになるならば、予算の編成期なんだから、この法律に伴ってどの程度の資金ワクの増というものを見込んだかということを具体的に聞いている。具体性がないじゃないですか。
#41
○国務大臣(内田常雄君) 予算の編成期でございますが、財政投融資、またこういう公庫などの貸し出し計画と予算とは、御承知のように、款項目の編成みたいなものが違いますので、予算におけるような形でなしに、これは金庫、公庫等の全体資金繰りの中でやることでございますので、そのために国立公園、どこの分が何万円という仕切りはしてございませんが、心がまえとしては、どうしても金が要る場合にはいまお答えしたとおりと、こういうことでございます。
#42
○吉田忠三郎君 これは、このことだけで実は私はここで了承するつもりはございません。毎回、法律をつくる場合にこういうことが問題になりますと同時に、政令であるとか省令等々で、たとえば金融をあっせんする場合においても、そう簡単に――いま大臣冒頭に言ったとおりなんですから、基本の思想は、もう原則としては、大臣は金融措置をとらないという思想が流れているわけですからね、いま答えられたとおりです。ですから、結果的には、この国会の場ではそれで答弁をしておりまするけれども、現実にはそういうことは当てはまらない、こういうことになろうと私は思うのですよ。
 しかし自然公園、国定公園にしても公園そのものは、自然というものを保全してやはりきれいにしたほうがいいわけですからね。そのことについては、私どもは、むしろ逆に積極的な法案を出しているので、あえて反対をするどころか賛成するのでありますが、そう言っても、やはりその中にありまする既存の施設についても、施設が老朽してまいりますと取りかえなければならない、あるいは新設の場合、やっぱり金が伴うのですよ。その場合の財政資金運用として、当然金融面を考えてやらなければ、法律は単なる空文化になるおそれがあるのじゃないかと聞いている。大臣は、一千億の範囲内でそういうものがあれば運用する、こう言うけれども、どうもこの法律を改正するために先般大臣が提案理由を説明した迫力は、私はないような感じがしますがね。
#43
○国務大臣(内田常雄君) これはまあ議論をいたすつもりじゃないんですが、国立公園の中で宿屋なり料理屋なんというものは、これは自分の金でやられるものが大部分だろうと思います、よくはわかりませんけれども。したがって、自然公園の中にきたない水を流さないくらいの設備は、自分の金でも私はやってもらいたい。しかし、こういう法律までつくってやらせるわけでありますから、自分の金がどうしてもない場合にはあっせんをしようと、こういうわけでございまして、そのために何円何十銭予定してあると、こういうことにはなっておらぬこと吉田さん御承知のとおりでありますが、口先だけではそういうことを言うが事実はあっせんもしない、金も出ないだろうというつもりでもございませんので、国ができるだけ、ない場合には金もあっせんしながら、汚水を流す施設というようなものについては、国立公園をよごさないようなこと、これは自分のうちの分だけでございまして、ほかの廃棄物処理の場合における多数の家から廃棄物を集めてきてやるというような、大がかりな何億の金がかかるというようなものではないと考えられますので、ある程度は自分の金でやりながら、またどうしても金がない場合には、たとえば環衛金融公庫の対象になるような業者も多かろうから、あっせんはしようと、こういうことでございます。
#44
○吉田忠三郎君 大臣ね、ここは参議院の場だからそういう答え方をしている。大臣、あなた衆議院で附帯決議つけられているでしょう、このことについて。これについては、衆議院段階において、その資金に対する金融上の措置を講ずることと、かなりきつい付帯条件がついているのですよ。あなたは、法律が通過するときに、その附帯決議を尊重して云々ということを申されていますよ。そうすると、そのことといまの答えじゃおおよそ開きがあるように思う。私はこれだけでは納得できない。あなたと財政上議論しようなんという気はないが、この附帯決議はどうですか。
#45
○国務大臣(内田常雄君) まことにこの附帯決議のとおり、私は、でき得る限り御趣旨に沿うように努力いたしますというお答えをいたしておるので、きょうのお答えも、それでは金をどうするかとおっしゃられますので、それはでき得る限り環境衛生金融公庫等の資金のあっせんをいたすと。しかし、それなら、それがどれだけに積み上げになっているかということになると、それはこれだけの積み上げになっているということで予定はいたしておりませんけれども、まあ千億余りの資金計画でこれは大蔵省のほうへ要求いたしておりますので、その中からこの程度の割り当てはいたし得るものと考えて準備をいたすつもりでおります。
#46
○吉田忠三郎君 参議院段階ではこれから審議ですから、審議過程におきましてわれわれいろいろ検討しますけれども、とりあえずは、衆議院の段階ですでにこういう資金に対する金融上の措置を講ずることという条件をつけられておりますることで、あなた善処すると答えているのですから、そのことをお忘れなく、予算編成期には極力大蔵省と折衝することを私は要望しておきます、冒頭に。
 それから、次の問題ですが、今後、古都等を指定した際に、すでに既存のものが施設として残っておるものがある。その場合に、そうした施設から汚水が排出をされたり、あるいは特別地域内の河川に汚水の排出が伴ってきたような場合に、厚生省はいかなる行政指導をするのかですね。これもこの法律案だけでは、あるいは趣旨の説明だけでは明確でありませんから、参議院にこの法律がきょう議題になったわけですから、この機会に具体的に明らかにしていただきたい。
#47
○国務大臣(内田常雄君) 自然公園の中を、ことに湖沼の水などをきれいにいたしますためには、これからよごさないような施設をさせることももちろん大切でありますが、既存の業者等がきたないままの水を出し続けるということも、これまた困ったことでございますので、これらにつきましては、現行法による施設管理法などの改善を指導をいたしまして、そして適切な措置を講じさせる。これはお尋ねがまだございませんでしたが、いまの金融などの問題につきましても、その場合も同じように、でき得る限り必要な場合にはあっせんもしなければなるまいと考えます。
#48
○吉田忠三郎君 あっせんのこともさることながら、そういう問題が生じた場合に、具体的に厚生省としてどういう行政指導をするのかということ、これは金融の面ばかりじゃないですよ、金融の面じゃない。あなた方がこれから古都などを新たに指定地域にしますね、それから特別指定地域がございますね、すでに。そういうところに既存の施設がございましょう。それから具体的に汚水が排出をしたり、あるいはこの特別保護地区等々の河川にこの汚水が排出されるような場合があり得ると、そういうことに対して厚生省は具体的にどういう行政措置をとるのか、この法律、案の中ではそれをうかがえないですからね、あなたの提案理由の説明もないわけだから。――わかりましたか。
#49
○国務大臣(内田常雄君) はい、わかりました。
 新しく特別保護地区等に指定するところに既存の施設があって、それが汚水等を出している場合も、これは出されちゃ困るわけでありますから、この法律に直接触れないにいたしましても、それは今度新しくそういう区域の中に入りますので、それらの汚水を流し出す施設につきましては、これは改造を指導する、こういうことでいかなきゃならぬものだと考えます。
#50
○吉田忠三郎君 それは改造をただ指導するだけですか。
#51
○国務大臣(内田常雄君) いや、先ほども申しましたように、そういうものにつきましても、改造させるんですから、その必要な金がどうしてもないから心配してくれというようなことになります場合には、その金のあっせんもでき得る限りいたすべきだと考えます。
#52
○吉田忠三郎君 これは改造をいろいろ指導するんでしょうけれども、それでもなおかつ適正に行なわないという場合には、それらの措置はどういうふうにとるんですか。
#53
○国務大臣(内田常雄君) 政府委員がいろいろ研究していることでございますから、お答えをいたさせます。
#54
○政府委員(中村一成君) ただいま大臣から御説明しましたように、自然公園法の政令でもちまして、厚生大臣または都道府県知事は、自然公園内におきまして事業をやっている者に対しまして必要なる勧告をするということができるようになっておりまして、命令することができるようになっておりますので、それに従いまして、それを根拠にいたしまして、いわゆる行政的な指導をいたしていくわけでございます。
#55
○吉田忠三郎君 極端な聞き方になるけれども、勧告、命令を聞かなかった場合はどうしますか。これは罰則規定ありませんからね、この法律には。どうですか。
#56
○政府委員(中村一成君) 政令の規定に従いまして、原状回復の命令ができることになっております。原状回復命令を出しまして、それで従わないときは行政庁がみずから執行いたしまして、そしてあとで費用の請求をするというふうになっております。
#57
○吉田忠三郎君 そうすると、政令の定めに従いまして強制執行すると、こういうことですな。
#58
○政府委員(中村一成君) さようでございます。
#59
○吉田忠三郎君 そこで、三つ目に伺いますが、今後は厚生大臣、都道府県知事の許可制にするわけですね。その場合に問題になると想定されるものは汚水の排出の許可基準ですね、この基準が問題になると思う。これはどんなような基準を厚生省は考えているのか。
#60
○政府委員(中村一成君) きわめて重要な問題でございます。したがいまして私どもといたしましては、この許可の基準につきましては次のようなふうにいたしたいと思っております。まず湖沼等の水質につきまして、自然景観としてこれを見ます場合におきましては、重要な点は透明度とかあるいは水の色というものの問題になるわけでございますが、個々の湖沼水域ごとにそれは違っておりますので、したがいまして個々の湖沼、湿原、河川ごとに定めていきたいと思っております。
 そこで第一の考え方といたしましては、特別保護地区の湖沼につきましては、自然景観をこれは厳正に維持しなければならない地区でございますので、湖沼の水質の透明度、水の色等もまた特性を持っておるものが多いわけでございます。したがいまして原則としてこの特別保護地区の湖沼等への人為的排水は全然許可しないという方針でございます。
 それから第二に海中公園地区でございますが、これは海中の動植物を保護し、水を通してこれらを観賞するということが目的でございますから、したがいまして海中公園地区への人為的排水も許可しない。
 それから第三番目に特別地域内の湖沼でございますが、これにつきましては二つの点から基準を考えております。第一が自然環境の基準でございます。湖沼の汚染の最大許容限度と申しますのは、自然公園の場合におきましては湖が富栄養湖、栄養に富んでおる富栄養湖となっては困るわけでございまして、貧栄養湖、栄養が貧しいという字でございます。貧栄養湖の範疇にとどまって、いなくてはならない、それが限界である、こういうふうに考えるわけでございます。それから一般に富栄養湖と貧栄養湖とはどの程度の、どういう区別がその指標として考えられるかということでございますが、透明度でございますと五メートル、それから水質指標といたしましてはおおむねBODが〇・五PPM、それから窒素が〇・一五PPM、燐が〇・〇二PPMであると言われております。これらを参考といたしまして、先ほど申しましたとおり個々の湖の現況を総合的に勘案いたしまして、清澄な状態が保ち得る段階に設定いたしたいと思っております。
 その次が排水基準でございますが、汚濁源は主として旅館、食堂等からの人間生活に伴う汚水でございます。これらのうち、屎尿浄化槽及び下水の終末処理施設からの排水は、これは建築基準法あるいは下水道法で定められました基準に従って排水するものは、もちろんそれでいいことにいたしまして、厨房、浴場等からの雑排水につきましては、浄化槽または沈でん池を整備することによりましてやっていきたいと考えております。
 これらの措置によりましても、なお当該湖等の環境基準を上回るような事態がある、あるいはおそれがある場合等においては、その旅館等の施設そのものをも新増設を制限する、こういうようにいたしたいと考えております。
#61
○吉田忠三郎君 大臣、いま局長が答えられた内容を大臣も聞いておったと思う。この法律を改生するにあたって最も私は重要なものは許可基準だと思うのです、重要なものは。それだけにこの基準を設定する場合にあたっては適正を期さなければならないことだと私は思うのでございますがね、大臣はどう考えますか。
#62
○国務大臣(内田常雄君) そのとおりであると思います。
#63
○吉田忠三郎君 大臣は同感だということですから、次に移ります。
 それからこの特別の地域内に民有地が存在をしていた場合に、厚生省はどういう措置をとるか。
#64
○国務大臣(内田常雄君) まあ、いささか観念論になって恐縮でございますが、でき得る限り民有地は国が買い上げると、あるいは少なくとも県等をして買い上げさせて、その買い上げ費の助成をすると、こういうことにいたしたいと私どもは考えておりまして、従来もそういう方向で処理をいたしてまいってきているわけでありますが、これは予算の制約がございまして、なかなか思うとおりにもまいっておりません。私の記憶では、四十五年度あたりのそういう国立公園内の――ことに特別区域ということになるのでございましょうが、買い上げの予算というものはせいぜい五千万円程度あったと思いますが、何とかこれもふやしたいということで、四十六年度の概算要求ではこの三倍ぐらいの要求を出しておるわけでありますが、でき得る限り国有地、少なくとも公有地を多くいたしまして、一方においては、国民にその公用制限などというものをかけて負担をさせることを少しでもやわらげるとともに、また国が積極的にそういうものは国の所有権のもとにおいて、そして理想的な管理運営ができるようにいたしたいという考えで進んでおります。
#65
○吉田忠三郎君 提案理由の説明の第二でもなされておりますように、国、都道府県の管理、監督、そのことを強めていますよね。ですから、この法律の趣旨に照らしてみますると、当然その管理体制を拡充していく上においても、この民有地の買い上げ制度というものは拡充されなくてはならぬものじゃないかという感じがするのですがね、この点はどうですか。
#66
○国務大臣(内田常雄君) 全く私も同感でございます。ただ銭の問題でございまして、なかなか思うとおりにいかぬという実は悩みが従来ございます。
#67
○吉田忠三郎君 何もかも私が質問すると、同感でございます、しかしいかんせん銭の関係で思うようにいかない、これではこの法律を提案した姿勢じゃないですよ、大臣。そういう問題があればこそ厚生大臣は積極的に閣議で発言したり、あるいはいま予算の編成期でございますからね、しかも年内編成でやるということですから、かなりこれはもう各省庁で予算の細目は煮つまっている段階だと思いますね。そういう点をやっぱり大臣は把握をしてもう少し歯切れのいい、前向きの答弁をしなければだめですよ。趣旨は同感である、しかしお金のことでとても思うようにいきません、これではこの法律を出した趣旨に合わないじゃないですか。
#68
○国務大臣(内田常雄君) まことにお説のとおりで、このことに限って申しますとそうなんでございますが、厚生大臣もなかなかつらい立場にございまして、あれもふやさなければならぬ、これもふやさなければならぬと、こういうことばかりでございまして、実は私も作戦的に、大蔵省に対しましては二五%増しの概算というようなことですと何もできませんものですから、わざわざある種の要求は八月三十一日からおくらせまして、二五%の外へ持っていってそして勝負をつけるというようなことをやっております。でありますからこの概算要求のことも、これは私が隣の部長からこう言いなさいといって知恵をつけられて申したわけではないので、ちゃんとおぼえておって私自身が言ったことでございますが、ことしの五千万円が来年の一億五千万円にそのままなってくれればこれは一番いいのでありますが、その方向で私もできるだけ努力をいたしたい。さらにまたその翌年はそれをさらにふやしてまいるというような努力をもちろん怠るつもりはございません。
#69
○吉田忠三郎君 大臣、それと関連いたしまして、あなたがこの間から力説をして提案理由を説明したんですがね。その第二というのは「国又は地方公共団体は、」云々と、こうありますね、この提案理由の説明に。そこで「管理者とともに、その清潔の保持につとめるものとしたことであります。」と、こう結んでいますがね。これを具体的な施策として施行する場合に、かなり厚生省として管理事務所の機能、要員あるいは設備、管理員の増員等々の問題が起きてくると思うのです。
 この法律がかりに今国会で成立したとするならば、厚生省はこの面について具体的にどういう施策を持っているのか、これもこの法律では明らかでないから、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
#70
○国務大臣(内田常雄君) これはまあ吉田さんに私が迎合するわけじゃないが、全くそのとおりでございます。いろいろなことを言いましても、国立公園に対する少なくとも国の管理体制というものはもう非常に微力過ぎると思います。たしか国家公務員であります管理員などの数もせいぜい数十名、四、五十名くらいしかおらないはずでございまして、あとは都道府県知事にもお願いをいたしたり、またこれはやはり国立公園、国定公園というようなことでございますので、国民全体にこれらの公園を愛好する、自然を愛好するという気持ちが、意識がだんだん強くなってきておりますことも事実でございますので、足らざるところは、現在のところでは民間のボランティアと申しますか、そういう方々に国立公園の指導員、そういう名前でございましたか、そういう仕事をお引き受けいただきまして、そういう方々がたしか二、三百名でございましたか、四、五百名おりまして、それらの方々が国、地方公共団体の固有の職員とともに国立公園のその管理あるいは利用者の指導について御協力をいただいているという状況でございますが、これらの国の管理体制あるいは管理事務所などにつきましてもさらに強化いたさなければならない、こういう気持ちを私は持っておるものでございます。
#71
○吉田忠三郎君 大臣、現況のその実態はいま申されたとおりですよ。私どもも、去年の閉会中の調査案件にこれをきめて実態調査しましたがね、いま大臣答えられたとおりです。それではいけないわけでしょう。だから今度この法律を改正するにあたっては、こういう機会にこそその是正なり改善に向けて努力しなければ私はならないと思います。具体的には、あなたも提案理由の第二で説明しているんです。ですから当然起きてくる管理事務所の機能なり、施設の改善なりあるいは管理員の増員というのが起きてくるんですよ。それに対する具体的な計画を持たないでこういう法律を提案しているということになりますれば、これはたいへんな問題になりますよ。しかもこの間本会議で、どうなんですか、こうした問題の国家公務員等々の定員問題が質問されて、行管の長官の答えでは、本年から年次計画で〇・九%削減をいたしましょう、こういう答えをしていますね、本会議で。こういうこととかね合わせてみて、厚生大臣の所見を聞いておきたい、こう思うがゆえに聞いている。
#72
○国務大臣(内田常雄君) 私に対するたいへんありがたい御激励だと思うわけでありまして、一般の国家公務員を三年計画で引き続いて減員をするという、全体としてはこういう中におきまして私どもはやらなければならないことが多い。そのことをやるためには、やっぱり公務員の数を減らすどころではない。これは国立公園の分野のみならず、私どもがお預かりをいたしております国立病院、国立療養所などの問題につきましても非常に頭が実は痛い。ことに筋ジストロフィーあるいは重症心身障害児の施設を国などでお引き受けいたしまして、国立療養所でお預かりをして、そしてそれらの育成保護というようなこともやります際に、人を減らされたのではそれができません。国立公園についても全く同じでありますので、そこに私は苦心をいたしておりますが、まあ国会の諸先生からそうやって御激励いただきますと、私ども非常に励みにもなり、また主張をしやすいところであると考えておりますので、私ども、先ほど来申しますように、国家公務員数十名では、国立公園を人間最後の聖域として管理運営いたしていくのには十分でないという趣旨を十分部内におきましても強調いたしまして、そうして強化につとめてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
#73
○吉田忠三郎君 大臣、いまの前の答弁ですね、管理の現況と運営の実態を答えられましたですね。このことはやはり非常に大切です。ですから野党三党の共同提案なるものにかかわる環境保全基本法にはそのことが十分うたわれているのです。そこで、私はもう冒頭にその立場を明らかにして聞きますよと、こう言ってあるわけですから、そのものずばり聞きますが、この法律をもとに政府、国あるいは都道府県がやるべきこと、あるいは事業者がやるべきこと、同時に利用者、――利用者というのは国民大多数ですね。ですから国民大多数によってやっていただくものというのは、何といっても自然保護の精神というものを徹底させなくちゃだめだと、徹底させなくちゃいかぬと思う。ですから厚生省には幾つかの憲章がありますね、児童憲章とか、いろいろ幾つかの憲章があるでしょう。ですから、たとえて言いますれば、自然保護の憲章というような仮称のものを立てて、そういうものを可及的すみやかに制定する必要があるんじゃないかと思う。そうでなければ幾ら法律を改正し、つくってそれぞれの所要の措置をとっても、自然を保護していくという思想に欠けておっては全くこれは意味がありませんからね。いわゆるこの第一条で要請している意味はそこらあたりにあるんじゃないかと考えるんで、特に私ども野党三党が提起した環境保全基本法ですね、この精神というのはここにあるわけですが、この点は大臣はどうお考えですか。
#74
○国務大臣(内田常雄君) ぜひ私は自然保護憲章というものがほしいと考えますが、幸いあれは国立公園審議会の中の有志の方々が主になっておられると思いますが、林修三さんという人がおられます。これはいま首都高速道路公団の理事長ですか、なさっており、また数年前まで内閣の法制局長官をしておられた方ですが、その人がお役目柄ではなしに、ほんとうにいま吉田さんが述べられたような精神を体現されて、そうしてその自然保護憲章というものをつくりたいが、私に賛成かと言ってこの春相談に見えられたことがございます。私は全く賛成であり、同意の旨を申し出まして、そうしていまの林さんを中心とする有志の方々が自然保護憲章というものをつくられつつありまして、先般第一次草案のようなものをお届けくださったことがございますので、間もなくこの草案でなしにもう一歩進められたものをつくられてくださるはずであります。私ども、むろん異存がございませんので、協力いたして、その憲章を――これはどういう形になるのか知りませんが、関係の諸団体などもありますので、それらの方々とその憲章を発表する方式なども考えまして、自然保護憲章というものを、この法律のほんとうの裏打ちをなす――自然環境というものがこれから人間が生きていく上の聖域であると、私は実はそんなことばをよく言うんでありますが、そういったような裏打ちをなす意味においてぜひ高らかにうたい上げていきたいと考えておるものでございます。
#75
○吉田忠三郎君 それともう一つは、当然公園内の自然環境というものを保護しなくてはいけませんね。そこでいまのこれは人との関係になりますが、この公園内には多くの森林が存在しておる、生息しておりますね。それと自然の植生などありますが、そうしたものの保護、たとえば荒らされておる面なきにしもあらずですよ、災害等々もございましてね。私は去年十和田湖を視察をしました。りっぱな公園でありまするけれども、かなり荒廃した面がありますね、自然が。こういう点を復元しなくてはならぬと思うんですよ。先ほど申し上げたように人の問題ともからみますけれども、厚生省は、この復元をするためにどういう具体的な計画と、どういうやり方を持っているかということを、せっかくのこれは自然公園法の改正案ですから、こういうものを審議するときに明らかにしてもらいたいと思う。この場を通してやっぱりそういう計画というものを国が明らかにして、いまの前の質問の国民に協力してもらうものはもらわなければいかぬと思うんですがね、大臣どうですか。
#76
○国務大臣(内田常雄君) その森林などの植生といいますか、これは私正直に申し上げましてよくわからないのですが、植えるという字と生まれるという字を書くようでございますが、その植生状況の調査、あるいはこれは自然の生体系といいますか、そういうことについての調査もぜひやりたいという野心を国立公園部長以下持っておりまして、そのための予算要求を実は明年度において若干いたしております。従来、こんなことの調査をしておりますのは、私の承知しているところでは――これはもしかすると間違いであるかもしれませんが、文部省の文化庁がある種の植物についてやってきておったようでございまして、その結果を厚生省のほうがお借りをいたしまして、そういうものをたよりに植物分布といいますか、植物の植生についての対応策というようなことを研究もいたしてきておったようでございますけれども、とうていそれだけで足りるものではありませんので、文化庁のふんどしで相撲をとるということでなしに、私どもがもう主としてこの問題に取り組んでいくと、こういう体制をとろうと、こういうことを国立公園部長からいつも私に主張されております。これはひとつ部長に補足していただきたいと思います。
#77
○政府委員(中村一成君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、明年度の予算といたしまして、植生の調査あるいは湖沼水質の調査の関係で三千七百万円を要求しておるんでございまして、これは大臣が申し上げましたような趣旨で調査を行ないたいと思いますが、こういう調査に基づきまして、森林の所有者に対しまして必要な場合におきましてはその復元を命ずると、こういう行政的な措置をとりたいと思っておりまして、これは法律でございますと、法律の二十一条によりますところの原状回復命令という規定に基づいて行なうわけでございます。
#78
○吉田忠三郎君 きょうは、この法律案第一日目でありますから、私だけ質問をするというわけにはいきませんし、各党おいでになりますからね。ですから最後にもう一つだけ質問して終わりたいと思います。これも財政上の問題ですが、提案理由の第一をそのまま受けて、これを守っていくということになりますれば、当然公園内の清掃の実施であるとかあるいは清潔を保持するためには多種多様の経費というものは見込まれてくると思うんですよ。見込まれてくると思うんです。その場合に、国は国として、厚生省はこれは予算を見るんであろうと思うから、都道府県段階、あるいは場合によっては事業者も該当するかもわかりません。わかりませんが、そうした事柄について財政援助の措置というのは、厚生省はどう考えておるのか。
#79
○国務大臣(内田常雄君) これは、実は私事を申して恐縮でございますが、私の郷里山梨県ですが、静岡県との境に富士山がございまして、富士山も低くなるんではなしに、登山者の廃棄物で高くなるだろうとさえ実は言われておりまして、富士山をきれいにする会という民間団体が、地元の新聞社の社長の主唱で、この数年間できております。できておりますが、それはボランティアの方々を集めたり、地元の市町村の協力によってやるわけなんですが、いつも費用に困るわけでございまして、厚生省としても、何らかのお手伝いをしてあげたいと思いましても、正面からそういうお金がありません。そこで、国立公園協会――自然公園協会でありましょうか、あるいはそういう民間団体に呼びかけて、そしてもっぱら精神的のお手伝いをするとかあるいはパンフレットぐらいを出して、そしてボランティアの呼びかけをするぐらいのところがせいぜいのようでございますが、それは国立公園をきれいにするためには堂々とそのくらいの予算は――国が全部やる必要はない、もちろん都道府県も、地元の市町村もまたいろんな関係団体もお金を持ってもらうことはいいんでしょうが、国だけ徒手空拳で呼びかけるということであってはならぬじゃないかと、少しは予算もやっぱり出すべきだということで、実は明年度初めてでしょうか、あるいはいままで要求はしたけれども削られてしまったのかもしれませんが、これは約七、八千万円程度であったと思いますが、その助成費を予算として要求をいたしております。これなんかひとつほんとうに概算要求ではなしに予算に計上いたしまして、そして今度の自然公園法の改正の趣旨がそういう面からも裏づけがあってできるようにいたしたいと、こういう熱意を持っておるものでございます。
#80
○吉田忠三郎君 大臣が答えられましたがね。国、都道府県、それと事業者、利用者それぞれの立場において努力すべき責務を明らかにいたしました、こうなっているのですね。ですから責任の所在を明らかにいたしたということですよね。それであればこそ、より私は財政的なものが伴ってきた場合に、国は国の分野で積極的にその財政援助の措置というものを考えなくちゃならぬのだと思うのですよ。先ほど言ったように、私だけ質問するわけにはまいりませんから、この点については特に十分な配慮をすることを私は強く要望しておきたいと思います。
 それからもう一つは、部長、きわめて君たちは不親切だよ。こういう法律を出すには特別な扱いをこの委員会としてはしたはずだ。本付託になる前に提案理由の説明を受けたということは、われわれは、できるだけ今国会において提案されたものは十分な審議をして、政府を叱吃激励、鞭撻して、国民の負託にこたえたいという精神からそういう扱いをこの委員会でしたはずなんだ。この法律の一番問題になるのは、先ほども指摘したように、許可を強めるわけですから、その基準をきめることが一番私は問題になると思う。さいぜん長長と答弁しておりましたが、そういうものがあるとするならば、あらかじめ基準設定については、こういう基準でやるんですよというくらいのものをわれわれ国会議員、委員に提示するのが君たちの仕事じゃないのか。これからでもおそくないよ。この関係の資料を提示をすることを要求をして私の質問を終わります。
#81
○政府委員(中村一成君) ただいま御指摘のございました資料等につきまして、早急に提出いたします。
#82
○渋谷邦彦君 今回の改正法案の趣旨は、私どもよく読ましていただきまして、おおむね了解しているわけでありますが、要は自然公園法第一条の目的をさらに明確にしてその保護、また規制をはかっていこう、こういうことだろうと私は理解しておるわけであります。ところが今回のこの公害国会といわれている臨時国会におきましてたくさんの法律案が出まして、当委員会において近く審議の予定とされております廃棄物処理法案がまた出てくるわけでありますが、この中にも第十何条でしたか、清潔の保持ということについてございますね。一体そういうような中身とこの自然公園法の中身というものがどういうふうに調整されていくのか、またどういうふうに法の適用というものを受けていくかということをまず伺っておきたいと思います。
#83
○政府委員(中村一成君) 今回の清掃法の改正をいたしておりますところの廃棄物処理法と自然公園法との関係でございますが、生活環境保全につきましては、これは改正されました形におきましては、原則といたしまして、廃棄物処理法は自然公園の区域にも適用に相なるわけでございまして、その上に自然公園法の規定をもちまして国及び地方公共団体に対しましてさらに清掃に関する義務が強化される、こういうことになるわけでございます。それで、自然公園の清掃につきましては、母法といたしまして廃棄物処理並びに清掃法の規定によりまして市町村にその義務が課せられるということになりまして、さらにその根本的な法規の上で、そこに住んでおるところの住民あるいは利用者に対しましての義務がございますが、現在の自然公園法でも、利用者につきましては、これが自然公園をよごすものに対しましてはそれを禁止すると、そしてそれに従わないときには罰則の規定があるわけでございます。しかしながら、自然公園法では、従来、先ほど大臣のお答えにございましたように、国または地方公共団体が積極的に自然公園を管理する立場において、清掃に責任を持つという規定がございませんでしたが、それが今回の改正で入って、国、地方公共団体の責務をさらに重からしめたと、こういうふうになっているわけでございます。
#84
○渋谷邦彦君 そうなりますと、今度国及び地方公共団体の責務が非常に重くなってくると、これは一面においては非常によろしいと私は思うんですよ。それだけ国及び地方公共団体が全責任を持って自然の景観というものの保持に当たるということになるんでございますけれども、しかし、少なくともこうしたことは、もうだいぶ前から公害というものの発生と相まって予測されていた課題ではなかったろうかと、こう思うわけですね。たとえば湖沼の問題が入っておりますけれども、実際に大臣自身が湖沼のよごれ状態というものをごらんになったことがあるかどうか、私わかりませんけれども、まあ聞きしにまさるひどい状況が全国至るところにその広がりを見せようとしている。この法律の中身をずっとこう見てまいりますと、いわゆる厚生大臣の指定された特別地域に限るような、そういう印象を受けるわけです。それでいいのかどうなのか。じゃ、ほかのこれに類する自然公園については、どういうふうなこれから扱いがされていくのか。国立公園、国定公園、都道府県立公園というものがあるわけですけれども、全部の自然公園に及ぶのかどうなのか、その点はいかがですか。
#85
○国務大臣(内田常雄君) 私は、何というか、一つの信念のようなものを持っておりまして、これは今回の他の公害法、水質保全法あるいは大気汚染防止法とも関係があるんでございますが、いままでのこれらの公害立法なるものが、いわば汚染局地対応主義でできておりました。でありますから、幾ら水質保全法というものがございましても、それは四十八水域とか何とかというようなのだけ、つまりいまよごされているところだけ指定水域にして、そしてそれをこれ以上によごないようにというか、あるいはそのよごれを三年、五年、十年計画で回復させるような、そういう法律であり、また大気汚染防止法にいたしましても指定地域というものがございまして、よごされている地域、またさらによごれることが確実であるような地域だけを公害防除の対象にいたしておったことに実は不満を持っておりまして、この自然公園のごときものは、現にそうよごれていないということで、ほとんど全部の湖沼などが指定水域からはずれておりまして、またその付近の大気というものも、大気汚染防止法の指定地域からはずれておりましたので、これまでの体系でいく限り、いわば四日市でもあるいは千葉市原でも川崎でも、そういうところに新しい工場の立地をする、よごすのは困るけれども、新しくやりたいの指定地域内に行って、あるいは指定水域内に行ってよごしなさい、それならば環境基準にひっかかることはないというんで、よごされてないところをよごすなら差しつかえないというようなたてまえになっていたことに非常に不満を覚えまして、国立公園のうち一番大切な地域については、これを聖域としてもう特別の、別個の、厚生大臣が公害大臣としてではなしに、自然管理大臣として指定をすべきだというような実は姿勢を持っておりました。ところが、幸い今回公害関係のそれらの立法が汚染局地対応主義から全水域、全国を対象とするようになりましたので、したがって第一義的には国立公園の地域にも、また国立公園の中の水域にも、すべて水質汚濁防止法も大気汚染防止法もかかることになりましたので、排出基準も全部これにひっかかってまいります。でありますから、ほんとうならそれでいいのかもしれませんが、しかしやはり国立公園の中の水や地域は非常にきれいであるべきで、また現によごれている湖水もありますけれども、それはよごされていないものが多うございますので、それについてはさらに別個の見地から規制をすべきだということでこの法律の改正案になりましたわけでございます。したがって、何でもかんでもやるということになるというと、大気汚染防止法なりあるいは水質汚濁防止法とひっかかりますので、その辺の調整の結果、特別保護地域ではありません、それよりもう少し広い特別区域まではいま言う聖域として、これはもう一つ厚生大臣の直接権限、あるいはまた同じ都道府県知事に権限を委任しましても、公害知事としての都道府県知事ではなしに、公園知事としての都道府県知事に別個の許可権を与えると、こういうことにいたしたわけでございます。したがって二重の見地からここには水質の規制がかかる、こういうわけでございます。
 実はもっと詳しく申し上げますと、水を担当する経済企画庁の方面からも、そんなことはこっちでやることだからよけいなことはしなくてもよろしいと、こういう話も出ましたが、公害対策本部あるいは法制局等でいろいろやり合いました結果、最小限の目玉だけは譲れないということで、いわば水質保全との関係で二重規制、こういうことに相なったわけでございます。
#86
○渋谷邦彦君 公園部長、特別地域と特別保護地区、代表的なものを五つ六つあげてください。
#87
○政府委員(中村一成君) 湖の関係を例を追って申し上げますと、たとえば北海道に阿寒国立公園がございます。そこの阿寒国立公園におきまして、特別地域と普通地域に分かれるわけでございますが、その特別地域とさらにその特別地域の中で特別保護地区というのに入る部分がございまして、いま先生の御指摘で申し上げますと、非常に規制のきつい特別保護地区に入ります湖といたしましては、おもなるものとしましては摩周湖、阿寒湖、それからパンケトー、ペンケトー、この四つの湖が特別保護地区に入る湖でございまして、それから特別地域に入りますのが屈斜路湖、それからオンネトー、この二つの湖がおもなものでございます。
#88
○渋谷邦彦君 琵琶湖と諏訪湖はどうですか。
#89
○政府委員(中村一成君) 諏訪湖は、これは長野県の自然公園の区域に入っておりません。それから琵琶湖は、国定公園の普通地域に入っております。
#90
○渋谷邦彦君 そうしますと、この法律では適用を受けないということになりますか、これは。
#91
○政府委員(中村一成君) この二つの湖につきましては、先ほど大臣がお答えいたしました水質汚濁防止法の規定によって保護されるということでございます。
#92
○渋谷邦彦君 やはり先ほど大臣の答弁を聞いておりましても、特に水質の汚濁については二重に規制をかけたという、そうでもしないと、確かにおっしゃるとおり、いままでの状態を排除できるというその保証がおそらく不可能ではないかと思う場合もあるんですね。指導員の問題、監視員の問題等々、そういう人の問題もからんでまいります。二重三重にしておけばこの第一条に掲げられた目的達成のためにはきわめて有効ではないか。昔からわれわれの脳裏に刻みこまれてきた湖といえば琵琶湖あるいは諏訪湖というふうに、その日本の代表的な湖をどうしてこの法律の適用から除外しなければならないのかという一つの疑問が残るわけですね。いま部長があげられたその公園は、全部主として北海道をあげられた。ところが国立公園の中に支笏湖が入っている。先般北海道へ参りましたときに、この支笏湖ですら最近汚染がだんだん広がってきているということを地元の方から聞いたことがございます。もう支笏湖あたりがよごされてくるということになれば、いわんやほかの地域の湖沼についてはもう言うまでもないんじゃないか。まあ支笏湖についてはどの程度までによごされているか私はわかりません、われわれもまだ未調査でございますから。しかし、その他の地域については少なくとも手を入れ、そして調査をしたつもりであります。むしろそういうわれわれ国民の心の中に残る公園というものをどうして除外しなければならないのかという疑問がわいてくるのですね。だから、そういう地域をどうして除外しなければならないのか、その背景と理由をもう一ぺんおっしゃってください。
  〔委員長退席、理事上原正吉君着席〕
#93
○国務大臣(内田常雄君) 全く私は同感でこれまでまいりました。いろいろの湖を知っておりますが、それらについては水質保全法の指定水域にさえもなっていない。こういうことは、いままでの水質保全法というものあるいは大気汚染防止法でもそうでございますが、先ほども述べたように、その汚染局地対応主義というものであったがゆえに、琵琶湖にもあるいは諏訪湖にも、それは隅田川ほどよごれておらぬと、こういうことではずされておったと思うわけでありますが、私は、もうそれじゃだめだという意見を常々持っております。今度はみな規制がかかりました。しかも、これは御承知のように、湖水については、あれは四段階ぐらいの規制のその環境基準があるわけでありまして、琵琶湖なり諏訪湖をどの辺の強さの規制のしかたの区域に入れるかということは、知事に権限を委譲いたしましたので、地元の知事がその何段階かの、御承知のとおりのA、B、C、Dかなんかありますが、そのどれにするかということをきめるわけでございますが、いずれにいたしましても今度はその規制を受けます。しかしその規制のしかたも、まあ諏訪湖とか琵琶湖とかいうものは私はかなりよごれてしまっていると思いますので、摩周湖と同じようなぐあいにかけるわけにはおそらくいくまいと思いますので、そこに問題があるわけでございますが、少なくとも芦ノ湖とか、あるいは私どもの郷里のことをあげて恐縮でありますが、山中湖などというものは、これは特別地域に入っておりますので、あれについては神奈川県の知事だとか山梨県の知事だとかがどの辺の段階に当てはめた規制をするかは別として、今度の国立公園法のこの改正条文の適用で、これはこっちから汚水流出は認めないという規制をかけると、こういうことになるわけでございます。でありますから、まあほんとうから申しますと、国立公園のほうがもっと先に、国立公園は聖域だという考え方で、諏訪湖でも琵琶湖でもその規制をかけておればよかったかもしれませんし、あるいはまた水質保全法なんという法律が昭和三十三年にできたんですから、そのときにやっぱり国立公園的な頭があって、諏訪湖、琵琶湖よごすベからずということで指定区域かなんかに入れてくだされば、今日ほどのよごれはなかったと思うと残念でございますけれども、とにもかくにもこれ弧中心――目玉のところは二重規制、そうでないところでも水域には全部それぞれの規制がかかると、こういうことになります。琵琶湖、諏訪湖につきましても、規制をかける際は、これはこっちで規制をかけるわけじゃありません、都道府県知事でございますが、でき得る限りきつい規制をかけてもらうように私どもも要望をしたり、協力をしたりいたすべきだと私は考えております。
#94
○渋谷邦彦君 これに関連いたしまして、今度新たに海中公園地域内における規制というものが強化されるという条文が一項目入っておるわけですね。これは非常にばく然とした地域の広大なところを規制するわけでありますが、実際今度の法律でその目的を達成することが可能でございますか、その可能だという保証がありますか。
#95
○政府委員(中村一成君) 海中公園地区につきましては、御承知のとおり、現在指定いたしましたところは非常に海水のきれいなところで動植物に特異なものがあるところを指定いたしておりますので、この地区におきましては法律の今回の改正によりまして十分にその清潔さが保てるというふうに考えております。
  〔理事上原正吉君退席、委員長着席〕
#96
○渋谷邦彦君 手おくれにならないために伺うんですけれども、たとえばいま返還が迫っている沖繩の問題、これについてここに書いてあるところを見ますと、汚水を排出しようとする者は、国立公園にあっては厚生大臣の云々と、こうありますね。もうすでにその工場なり建物ができてから、そこから廃液を出そうとする場合には厚生大臣なり都道府県知事の許可を受けなければならないと、こういう意味に解釈してよろしいんでございましょうか、それともその建つ前に、その地域を保護するために排出する以前にそのいわゆる地域の設定を当然――先ほどの答弁の中にもそれにからんだ問題がありましたけれども、やるという方向でこの法律の精神は生かされているんだと理解してよろしいのか、どちらなのかですね。もう一ぺん言いますよ。すでにできた建物の中から廃液を出すと、その出す場合には大臣の指定を受けなくちゃならぬ、これはいいですね。しかし沖繩の場合は、これから新しくその工場群というものがいまできる可能性があるわけです、石油コンビナートをはじめとして。それでなくともどんどんよごされつつあるといういま勢いで進んでるわけですね。今度新たに建つ場合には、先ほどの答弁にあったように、その地域を指定してやらせないように、その地域には工場群を建てさせないようにする方向でこれからも国としてアドバイスをしていくか、何か適当な方法で――復帰後じゃ間に合いませんから。いずれにしてもそういうような考え方を持ってるのかどうなのか。
#97
○政府委員(中村一成君) 従来、現行法におきましても、自然公園の中におきましてたとえば工作物、家をつくるという場合には、これは許可を得なければつくれないということになっております。今後は、たとえば工作物をつくりますという場合に、工作物をつくる許可を得る場合にあわせて、排水をする場合におきましては、それはまた一つの排水を許すか許さないかということが一つ加わったと、こういうふうになるわけでございます。したがいまして、ただいま沖繩を例にお引きになってお話でございますので、沖繩につきましても、私ども海中公園につきまして考えておりますのは、沖繩におきましては西表島と石垣島の間の海域でございますか、その付近が非常にサンゴ礁その他熱帯魚もおりますし、海中景観がすぐれておりますので、大体あの付近の海域が海中公園地区として予想されているわけでございますが、現在のところにおきまして、おそらくあの海域に対しますところの排水は、いまのところにおきましては問題はないかと思いますが、しかしながら復帰までの間、私どもも十分琉球政府と連絡をとりまして、そういうようなものが何と申しますか、できないようにと申しますか、あらかじめ保護の見地からも十分考慮してもらうように指導をしてもらおうと実は考えておるところでございます。
#98
○渋谷邦彦君 これは、山中長官もいまの問題については非常に力説をされていた点でございます。まあ海中公園というと、私はすぐそれを思い出すのですよ。西表はまだ地域的には開発されていない地域ではありますけれども、将来工場群の進出がないという保証は何もないわけです。ですから、大臣、いかがですか、部長の答弁と間違いありませんか。大臣の確約を一ぺん得ておいたほうがよろしいと思います。
#99
○国務大臣(内田常雄君) 部長の申したとおりでけっこうだと思います。
#100
○渋谷邦彦君 その方向でやはりぜひとも日本にもこういうすばらしいところがあるんだということで、せっかくこういう自然公園法という法律があるのですから、残しておきたい、いわんや国内においてはなおのことだと思うのですね。
 そこで、現在厚生省当局が把握している範囲で、特別地域あるいは特別保護地区で汚染されているのではあるまいかという疑いのある湖沼がございましょうか。
#101
○政府委員(中村一成君) 私どものほうで現在おそれておりますのは、国立公園でございますと、日光国立公園の中の湯ノ湖という湖がございます。それと富士箱根国立公園の中では芦ノ湖、この二つの湖につきましては早急に手を打たなくちゃいけない、こういうふうに考えております。
#102
○渋谷邦彦君 具体的には、どういう手をお打ちになりますか。
#103
○政府委員(中村一成君) 両地域とも、公園の両地域と申しますか、正確に申し上げますと、芦ノ湖の場合におきましては、自然公園の指定以前におきまして相当民家等もございましたし、旅館その他がございましたので、それらの既設のものにつきましてあるいは今回の改正法以前に排水いたしておるものが相当多うございますので、芦ノ湖の場合におきましてはなかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、実は、これは地元の箱根町当局が下水につきましての整備につきまして非常に積極的な努力をしておられるのでございまして、私ども箱根町と共同いたしましてこれに当たろうとしているのでございます。それからもう一つの湯ノ湖の場合でございますが、これはまだ湯ノ湖の付近の私どものほうで集団自衛をいたしておるのでございますけれども、その付近におきましては、まださほど数も多うございませんし、旅館等の。したがいまして、これにつきましても日光市と地元の管理事務所が相談をいたしておりますが、これにつきましては数も少のうございますので、何とか原状回復が早くできるのじゃないかと考えておる次第でございます。
#104
○渋谷邦彦君 いまあげられた地域以外にはございませんか。
#105
○政府委員(中村一成君) 国立公園、国定公園内の特別地域に入っておるものにつきましては、いまのところは、私どものほうの基準からみまして、まだそれをこしておるものはないというふうに考えております。
#106
○渋谷邦彦君 いままで環境基準にいたしましても、厚生省が発表なさった基準と申しますか、むしろ高過ぎるのじゃないか、こういう評価もいま議論の焦点になっておるわけでありますが、これまた後々の議論の際に譲るといたしまして、次は、いずれにしてもこの法律が改正されて、その法の精神というものが生かされるためには具体的に実効をどういうふうに見届けるかということが非常に大きな問題だと私は思うのですね、いずれの場合でも。法律はできた、そのままザル法にひとしいような形骸化されたような存在になってしまっているというようなことだってないとは言い切れない。しかも、この法律は昭和三十二年ですか、制定されていますね。それ以来公害とい問題が全然最近に至るまで騒がれなかったということはないはずです。ならば、当然いままでの然公園法のワクの中でも十分そうした自然の景観をそこなう問題に対しては、いまここであらためて問題にするようなことではなかったのではないか。厚生大臣、しばしば非常におそきに失したというそういう趣旨のことを答弁なさっておりますげれども、今後はそういうことでは間に合わないということを非常に強く感ずるわけであります。したがいまして、ただいま申し上げたように、この法の執行を円滑に運営するためには、現在、当局としてはどういう考え方でもってこれを進めようとされるのか。指導員の問題、いろいろその確認のしかたですね、それをお聞かせいただきたい。
#107
○国務大臣(内田常雄君) これはいろいろ申し上げましても言いわけがましくなりますし、私が年じゅう出張して歩くわけにもまいりませんが、私が非常に期待をいたしますことは、厚生省ばかりでなしに、今日各都道府県におきましても、公害に対する意識が非常に高まってまいりましたし、また一方におきましては、単に積極的によごれを防ぐといういわゆる狭義の公害対策ではなしに、自然環境というものを人間の最後の聖域として守っていこうと、そういう意識が非常に強くなっておりますことを、私がわずかの範囲の接触でありますけれども、見てとっておりますので、厚生省は厚生省で、さっき述べましたように、できるだけ監視員もふやすように努力もいたしますし、またいままでのような自然の景観保護といったような自然公園行政から、むしろ自然環境保全というようなことにも目を転じまして、行政の方向を変えてまいりますし、都道府県なんかでもそういうことが、これは渋谷先生もお気付きだと思いますが、むしろある府県においては、府県が実によくやっておるところがあります。これは一々名前をあげませんが、そういうことが全国に行きわたりつつあるので、厚生省からも今度の改正の趣旨をよく都道府県にも地元にも徹底をさせまして、そしてわずかの短い条項の改正でありますが、この趣旨を生かしていく。新しいものについてはもちろん、古いものにつきましても、現在ある法規で改善命令も出せることになっておりますし、また村の場合にはできるだけ資金のあっせんもするというようなこともやりながら、また公園の少なくともいままである特別保護地区あるいは特別地域というものが自然のきれいさを保つようなことにあらゆる努力を続けてまいる、こういうことをやってまいりたいつもりで、単にここで法律の改正で、ただ作文だけをして終わるということであってはならぬと私は心から考えております。
#108
○渋谷邦彦君 法律ができましても、何もわざわざ違反者をつくれと、こういうことではないはずであります。したがって、そういう法律違反というものが起きない事前の防止というものが非常に私は大事だと思います。
 いまも地方自治体のほうへ十分指導啓蒙して、そういうことのないように事前の措置につとめたいたという御趣旨でありますけれども、はたしてそれでこれのチェックができるかどうかということもやはり疑問としてまだ残るわけであります。いままでこうした自然公園法がございまして、具体的にチェックした結果、どういう問題が指摘され、そしてそれが是正されてきたか。むしろこれは技術的な面でございますので、公園部長のほうから伺ったほうがよろしいと思うのですが。
#109
○政府委員(中村一成君) 最近におきまして、自然公園行政の中で特に問題となりましてやっておりますのが森林の問題、伐採の問題あるいは道路が植生等に及ぼす影響等が非常に大きな問題として各地で起こっております。たとえば、九州におきまする霧島屋久国立公園の屋久島におきますところの屋久杉の伐採の問題とか、あるいは最近奥多摩町におきますところの道路の建設に伴いますところの土砂によりまして川魚がいなくなるというような問題、あるいはやはり奥多摩におきますところの森林の伐採の問題あるいは林道の計画が特別保護地区あるいはその付近を通ることによるところの高山植物の破壊の問題、こういうようないろいろなケースが最近起こっておりますけれども、そういうようなケースにつきましては、私どもといたしましては、関係の官庁並びに地方庁等とも連絡をとりますが、それで、そういうことにつきまして自然公園、特に自然公園の中の重要な部分につきましては是正を求めるという措置をとっておりますが、最近におきましては、先ほどの大臣のお答えにもございましたとおり、そういう自然保護に関するところの考え方というものが非常に高まってまいりまして、だんだんいろいろなケースが改善をされておるというふうに私どもとしては理解をいたしておるところでございます。
#110
○渋谷邦彦君 今度の場合は、国及び地方自治体、事業者また利用者と、それぞれの責任が示されているわけでありますが、とりわけこの中でも事業者にとって汚水の排出というものが何といっても焦点ではなかろうかと思います。これはいろいろな法律に関係が出てまいります。その際に、先ほども問題になっておりましたが、とりわけ中小企業の汚水処理という問題が何といっても急を要する、また解決を迫られる問題ではなかろうかと私思うのであります。
 この問題についての財政措置あるいは金融等の問題については、また明日あるいは明後日、公害防止事業団の理事長を参考人として私呼んでおりますので、また具体的にこまかく伺っていきたいと思うのでありますが、先ほど大臣は環境衛生金融公庫の話を出された。しかし、それで十分であるとはとうてい言えない、また政府関係金融機関というものがございますから、その方面からの融資も考えていきたい等々述べられましたけれども、公害防止事業団については、その業務内容、業務目的というものから、あるいは合致しないせいか、あそこがわりあいに使われていない。確かに事業計画、また事業執行状況については、私も資料を持っておりますので、いささか理解をしているつもりではございますが、設立以来、はたしてその目的にかなうような事業計画を持って、とりわけ中小企業に対する汚水処理のための金融措置というものを国でやってもらっているだろうかということがやはりここでまた問題になるのではないかと思うのですが、もう一度その辺の問題ですね、公害防止事業団の状況等、これは簡単に知っている範囲で。これをもっと幅広く利用できないだろうか、おそらく汚水処理についてはもうたいへんな問題だと思うのです。国としては金が出ないというのですから、結局、事業者は何らかの形で金融を受けて自分で処理していかなければならない。これはもうどうしようもない事態だろうと思うのです。そうしませんと、一方では今度どんどんどんどんきびしい規制で取り締まりが始まりますから、それではもう経済の自立というものをまた妨げることになりますので、その辺をどういうふうにこれから隘路というものを、なかんずく、金融財政援助という問題について切り開いていかれるのか。国として十分な手当てができなければ、せめて税制措置の問題であるとか、そういうことも当然考えていただかなければならないのではないか。その辺はいかがでしょうか。足りないところはまた後日に譲りますから。
#111
○国務大臣(内田常雄君) 公害防止事業団のことも、私は、さっき政府金融機関の中につけ加えて申し上げようと思って、ここまで実は出ましたが、あれはいろいろ貸し出しについての条件等がございまして、はたしてそれがいけるだろうかという若干私は疑念を持ちます。でありますので、ことさら私は申しませんでしたが、やれる場合にはもちろん、公害防止事業団がせっかくありまして、厚生省、通産省の共同管理でございますから、活用いたしてまいるようにいたしたいと思います。それらのことにつきましては、もう可能な機関をできるだけじょうずに組み合わせてやってまいりたいと考えております。
#112
○渋谷邦彦君 きょうは、いままで伺った答弁をもう一度整理をいたしまして、また後日に継続的にお尋ねをしたい、こう思います。ただ、ただいま申し上げました公害防止事業団の今後のあり方というものにつきましては、大臣よりやはり責任ある御答弁を私はいただきたいと思うし、それに伴って現在の事業団法というものを改正する必要があるのではないだろうかということもございますので、その辺もひとつお含みの上、明日かあるいは明後日の質疑の際にお伺いしたいと思いますので、その点だけを申し上げて、私のきょうの質問は終わらしていただきます。
#113
○喜屋武眞榮君 私は、特に自然公園法に関連して、沖繩のかかえておる問題について、幾つかの質問をいたしたいと思います。
 まずその前に、今国会が公害国会であるといわれておるそのとおりに、聞けば聞くほど本土においては産業公害、企業公害でほんとうに憂慮にたえない問題が一ぱいあるということを私沖繩から参りまして、ひしひしと感じておる次第でございます。
 ところで、その立場からの公害は、沖繩は、先ほども述べてくださったとおりに、まさに処女地といってもいいくらい、これからだと、ぼちぼち企業公害もいま憂慮されつつありますが、それほど本土に比較して、まあ当面の問題となっておるのは二、三あるわけでございますが、全般的に申し上げましてこれからだと。今後の問題として、ころばぬ先のつえとしてこれを徹底的に完全に実行させる、そういう方向に持っていくことによって防止できると、こう思っておる次第でございますが、ところか本土では見られない――この前も私強調いたしましたが、いわゆる基地公害、基地あるがゆえに起こっておるところの公害、毒ガスの問題あるいはB52による爆音の問題、あるい燃える井戸水の問題、それから基地の中の沖繩と言われている状態からかもす外人犯罪の問題、この数々の問題が、まさに皆さんが論じておられる公害以上の深刻な不安と危険が日にち毎日積み重なってきておる、そういう状態でございます。そこで私たちは、このような沖繩を、七二年に向けて完全復帰をかちとる、いわゆる基地もない、毒ガスもない、B52もない、原潜入港による汚染もない平和な島沖繩を取り戻していく、こういう願いを持って絶えずそれを要求し、訴え続けておるわけであります。皆さんもおっしゃるとおり、沖繩は空も海も自然もまことに美しい。この自然を、立地条件を私たちは復帰に向けて沖繩こそ東洋のナポリ、日本のナポリたらしめたい、こういう願いを持っておるわけでございます。
 そこで、琉球政府といたしましても、十カ年経済開発計画を打ち出して、その中にこの自然公園の問題も含まっておるわけでございますが、ところで、この自然公園の、いま琉球政府における自然公園法に基づいた県立自然公園が三つばかりいまあげられておるわけでございますが、このことはぜひ復帰に向けて、いま論ぜられておる国立公園、国定公園に沖繩を指定してもらいたい、こういうものがその中にも含まっておるわけであります。そこで政府としましても、その方向に向かっていま具体的に計画を進めておるわけでありますが、ところで日本政府とされましても、七二年復帰に向けて最近加速度的にいろいろの立場からの調査がひんぱんになってきておるわけでございます。その場合に、琉球政府のこの計画と、日本政府の計画とがかみ合わない形で一方的に調査を進めていくならば必ずそこに食い違いが出て、そして実現困難なことに際会しないとも限りません。そこで沖繩における立場からは、その自然の開発と、それから保護あるいはこれの利用、その三者がうまくかみ合っていきませんというと、先般来心配されておりますこの公害の問題にからみついてたいへんなことになるわけでございます。
 そこでお尋ねしたいことは、一問一答の形で時間をかけてお尋ねしたいとも思いますが、だいぶおそくもなっておりますので、一応今回は問題を五、六問お尋ねいたしまして、それに対して、いま進められつつある調査実態の中でどのようにこれが具体化しておるのであるか、また考えられておるのであるか、そういう点を詳しくお答え願いたい。
 このように御要望いたしまして、まず第一点は、日本政府の進められておる調査と琉球政府の計画とが常にその時点、時点で緊密な連絡提携のもとにかみ合わせて調査が進められておるのであるかどうか、そのことを明らかにしていただきたいということが第一点。
 第二点は、沖繩における国立あるいは国定公園などの自然公園に対する方針をどのように考え、計画をしておられるか、その方針を示してもらいたい。
 第三点は、先ほどもちょっと出ました西表島を国立公園に指定して保護をはかるとともに、公園利用の促進をはかることは、沖繩側といたしましても望んでおることでございます。ところが、これによって西表島の開発、産業的な開発が島の人人の生活を阻害することはないだろうかという、一面またその心配を持っているわけでございます。その面との、いわゆる開発と保護、利用の関連におけることに対するお考え。
 第四問は、西表島を国立公園とした場合に、その利用促進のための施設はどのように整備する方針であられるか、そのことについてお聞かせ願いたい。
 第五問は、西表島の人々は北部、北側の周回道路と縦断道路により西表島を周回することのできる道路の一日も早く完成してもらうことを望んでおるわけでありますが、厚生省の調査団は、縦断道路は原生林の破壊をもたらすので反対しておる、こういうことも聞かされておるのでありますが、このことに関する見解を伺いたい、これが第五点でございます。
 次に第六問は、沖繩本島には、現在、先ほど申し上げました三つの政府立公園がございますが、自然公園としての整備が立ちおくれておるのも事実でございます。沖繩経済にとって観光収入、いわゆる復帰した暁、あるいは基地が撤収された基地経済に変わる経済開発として、第三次産業の観光ということを非常に重要産業の一つに考えておるわけでありますが、この観光収入は重要な位置を占めるとともに、沖繩の有する亜熱帯のすぐれた自然景観地は全国民にとって、あるいは国際的にも貴重な野外レクリエーションの場を提供することになると確信いたしております。そこで自然公園としての整備に対し、何としても国の手厚い援助を行なって整備の促進をはかるべきであると考えておりますが、どうお考えでありましょうか。
 最後の第七問は、沖繩諸島の海岸は亜熱帯的なすぐれた景観を有し、特にサンゴ礁を中心とする海中は美しい美観を呈しておる。国際的にもまことに優秀であるということも聞かされておるのであります。この美しいサンゴ礁の発達したところが多いのでございます。これらのサンゴ礁の保護と利用及び漁業との調整をどのように両立させていくかということが非常に重大な問題であるわけであります。
 以上の七つについて、まとめて御質問をいたしたわけでありますが、ひとつ一問一問、できるだけ時間の許す限り納得のいく、また県民にもその期待にこたえていただくよう、要望も兼ねまして私の質問を終わりたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
#114
○国務大臣(内田常雄君) まず喜屋武議員がこのたび沖繩から選出せられまして、私が厚生大臣としてお答え申し上げること、まことにうれしく思います。
 お尋ねの数点でございますが、これは沖繩の施政権が日本と一体になりました場合には、もちろんその自然公園法がそのまま適用を沖繩にされますので、現在ある沖繩の政府立公園法というものがそのまま吸収をされる。幸いいまの沖繩の政府立公園法というものは、わが国の自然公園法と同じ内容のものだと聞いておりますので、その辺の問題はあるまいかと思いますが、そういう前提のもとに、厚生省から、本年に入りまして三月と十一月に現地の調査に関係の職員が参りましたが、その際、厚生省が単独で行動することなく、琉球政府とも十分協議の上調査をいたしました。その辺に食い違いはないはずでございます。
 ところで、今後の指定をどうするかということになりますが、いまの西表島の自然林あるいは周辺の海域なども調査の対象にいたしましたが、これはその結果に基づきまして、最近のうちに、つまり施政権の返還を待つことなく、いまの沖繩の政府立公園法に基づく政府立公園としてまず指定をしていただくような打ち合わせを進めるようにいたしております。と申しますのは、これはみなさんが御心配のように、施政権復帰を待つまでもなく、いまのうちに沖繩の法律でこれを指定しておかないと、その地域が非常に荒らされてしまって、施政権復帰後、日本の自然公園法が施行されたときには、もう非常に姿の変わったようなことにならないように、いまの沖繩の法制をまず事前に活用しておくと、こういう趣旨でございますので、おあげになりました現在ある沖繩の三つの政府立公園のほかにもう一つか二つか政府立公開が近くふえると、こういうことに相なることと私は理解をいたしております。
 なお、その際の指定につきましては、御懸念がございましたように、その地域の県民の生活を非常に阻害すると、奪うというようなことになっては、これはまた自然公園の趣旨が生きませんので、島の人々の生活の実態にかんがみまして、それらの方々の生活を阻害しないように、十分沖繩の当局とも、現地とも打ち合わせをいたしまして、その辺のバランスには、つまり線引きあるいはいろいろの事項の制限等につきましては、注意をいたしてまいらなければならないと考えます。
 それから第四番目の、これは新しく指定をされます場合のいろんな施設の促進と申しますか、利用促進の方法でございますが、もちろん指定をいたします以上は、そのすぐれた景観、あるいはまた自然の環境が十分その人々のレクリエーションにもなり、また人々の心を慰めるというようなやはり施設を同時に伴うようにいたしたい考えでございまして、たとえば歩道でございますとか、あるいは国民宿舎のようなもの、これは国立あるいは沖繩政府立でつくるということになるわけではございませんで、おそらくは地元の地方公共団体などに対する財政投融資というようなことでやることになるだろうと思いますが、そういう国民宿舎なんか等もあわせて整備をするように考えてまいりたいと思っております。
 それから周辺道路、なかんずくこの縦貫道路につきましては、風致と申しますか、自然環境の破壊に関連して厚生省のほうで考え方もあるようでございますが、これは現地を見てまいりました公園部長のほうからお答えをいたさせます。
 それから六番目の、現在ある三つの政府立公園については整備が立ちおくれておるということにつきましても、今度はとにかく沖繩は日本と一体になるわけでありますので、いまあるものにつきましても、新しくつくるものばかりでなしに、いろいろのさっき申しましたような線に沿って必要な整備を促進することにつきまして、これはまあ全体の予算等の問題になりますので、これだけ取り上げてというわけにはまいりませんが、山中国務大臣のほうと十分相談をいたしまして対応策をとってまいりたいと思っております。
 また、沖繩の諸島の海岸あるいは海中にすぐれたサンゴ礁等による景観地があること等も私どものほうの調査をいたした者から報告を受けておりますが、それらを、自然公園と申しますか、当面、政府立公園に指定します際に、地元の漁業者との調整の問題がもちろん出てくるだろうと思います。これは本土における海中公園などの指定の場合についても同じような問題があったわけでございますので、沖繩につきましては、特に沖繩の産業の特殊性にかんがみまして、単に自然の景観を維持したりあるいは海中の自然環境を維持すればいいというだけの観点にとらわれずに、地元の漁業者等と十分に協議をいたして、そして地元の方々の生計を阻害しないように、地元の方々の産業が成り立つような、そういう配慮のもとに措置をいたしていかなければならぬと思います。漁業権の問題、もちろん同じような趣旨で処置をいたしてまいりたいと思います。
#115
○政府委員(中村一成君) 西表の道路の問題、お尋ねでございますが、私ども並びに自然公園審議会の委員の方々が現地をごらんになりまして、西表の道路の問題につきましては、こういうふうに考えておるのでございますが、この点はもとより今後琉球政府あるいは地元と調整を要するのじゃないかと思いますけれども、まず西表の島の方々は、先生あるいは御存じかと思いますけれども、島の北部の回遊道路と、それから島の縦貫道路を通しまして、そうして西表島をぐるっと回るといったような道ができること、しかもそれを早期に完成を望んでおられるのでございます。ところが、特にこの審議会の学者の方々のごらんになりましたところによりますというと、西表の原生林は照葉広葉樹林としては世界に誇るべきものである、これはすばらしいものであるとして、ここの地域を分断するような道路をつくりました場合におきましては、この原生林というものが非常に侵される。しかもその侵され方が程度がひどい。原生林であるがゆえに、なおさらそういう道路をつくりました場合におけるところの損害の程度がひどくなってくるということと、それからもう一つは、中央におきますところの土質が砂質でございまして、くずれやすいという点がございまして、道路のみならず、道路をつくったその周辺がずっとくずれていくといったような地質だそうでございます。しかしながら、北部のほうの回遊道路は、これは周辺に農林業がございまして、開発もされておる地域でございます。それから地質的にも非常に固いところであって、道路をつくっても効果があがる、建設も容易であるというふうなことでございまして、政府の援助といたしましては、まず北部の周辺を回るところの道路というものをまず第一につくるべきである、こういう見解でございました。島民の方の中央の縦貫道路との問題は、これはそういう点におきましてなかなか調整がむずかしい問題でございますが、これにつきましては、先ほども申しましたが、早急に調整をはかりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
#116
○喜屋武眞榮君 最後に御要望を申し上げます。
 いまお聞きいたしまして、まあある程度安心もし、また大きな期待も寄せるわけでありますが、どうか沖繩県民が二十五年も求めずして切り離された犠牲と、その中で求めておるその気持ちを二十五年のこの空白を束にしていろいろな面における格差を是正してもらう、なおプラスアルファをもって抱き取ってもらうべきことが当然の義務であるし責任である、こう思うわけです。ところが、私たちが気になりますことは、これはたいへん失礼な言い分かもしれませんが、アメリカの支配下にあっていろいろの問題の堆積した中で、そしてその間にある日本政府のまた関連において、どうも幾たびかいわゆる絵にかいたもちみたような計画案や理想案やあるいはなだめ案が今日まで聞かされてきたわけでございます。そこから起こる県民の不信感といいますか――今後は別でありますが、少なくともいままでの日本政府の沖繩に対する、あるいはアメリカの施政権者としての態度は、日本政府の言うこと、アメリカの言うことは、なってみなければわからない、手にとってみなければわからない、手放しで喜べるものではない、こういった不信感がいっぱいあるということも事実であります。
 どうかひとつこのすばらしい計画を一刻も早く、一日も早く実現をしていただいて、単なる絵にかいたもちを見せられていつの日までもこれを待ち望むといったような、このような形ではなく、一刻も早くひとつ実現に移していただいて、このようにやってあげておるじゃないか、こういう満足を、喜びを与えてくださるよう、また日本政府の義務と責任においてこたえてほしいということを強く重ねて要望申し上げまして、今後に期待したいと、こう思っております。よろしくお願いいたします。
#117
○委員長(佐野芳雄君) 大臣、よろしいですか。
#118
○国務大臣(内田常雄君) はい。
#119
○委員長(佐野芳雄君) 他に御発言もなければ、案に対する本日の質疑はこの程度にいたします
#120
○委員長(佐野芳雄君) この際、参考人の出席要求についておはかりいたします。
 廃棄物の処理法案審査のため、同法案審査中必要に応じて公害防止事業団の役職員を参考人として出席を求めることとし、その人選、日時は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ござませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○委員長(佐野芳雄君) 御異議ないと認め、犬う決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト