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1970/12/16 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 社会労働委員会 第4号
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1970/12/16 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 社会労働委員会 第4号

#1
第064回国会 社会労働委員会 第4号
昭和四十五年十二月十六日(水曜日)
   午前十時三十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十六日
    辞任         補欠選任
     占部 秀男君     和田 静夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐野 芳雄君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                吉田忠三郎君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                高田 浩運君
                玉置 和郎君
                徳永 正利君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                横山 フク君
                占部 秀男君
                大橋 和孝君
                和田 静夫君
                小平 芳平君
                村尾 重雄君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
   政府委員
       厚生省薬務局長  加藤 威二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
 本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○渋谷邦彦君 毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案の中身を拝見いたしますと、主として運搬上における危険を防止するということで新たなる規制をここへ加えようと、このような趣旨のようでございます。当局の方々の説明を伺いましても、確かに最近運搬途上において事故が非常にふえている。しかも、それが地域住民に対して多大の被害といいますか、またそれに伴う影響があるということを伺っております。そこで、この毒物、劇物については非常に詳細にわたり別表一にその中身が述べられておりますけれども、専門家でない限りはそれがどういう一体成分であるのか、それがまき散らされた場合に、どういう被害を地域住民に与えるのかというようなことについては、実際にはわからない場合のほうが多い、専門家でない限りは。しかし、実際問題として、最近では福井においてもあるいはその他の地域においても、毒物劇物を積載いたしまして、途中で自動車事故を起こして、影響を受けておるという事実が報告されておるわけです。
 そこで、まず最初にこうした趣旨のもとに新たな改正を今度提案された点から考えまして、はたして今回の改正だけで十分そうした事故あるいは被害の予防というものが果たせるであろうかどうであろうかということについて、まず大臣の答弁を伺っておいたほうがよろしいと思います。
#4
○国務大臣(内田常雄君) 毒物劇物取締法というのは、御承知のように、従来は必ずしも大衆との関係における公害関係に着目するよりも、毒物劇物の商品としての取り扱いの規制をいたした法律のようでございます。あたかも昨日の自然公園法が自然の景観を保存するというような見地からつくられておりましたのに対して、新しい環境保全的な要素の規定を加えましたと同じように、今回この毒物劇物取締法におきましても、単にその商品取り扱い法だけではなしに、それがやはり大衆と接触する面について、大衆の安全を守る。したがってまた、その公害的見地の予防的の処置をすると、こういう必要最小限度のことをこの際入れるべきだと、こう考えまして、大体三点ぐらいを今度の改正の主眼といたしましたが、その一つには、この運搬途上における運搬の方法などにつきまして、従来は対象になっていなかった毒物劇物の運搬の方法等につきまして一つの基準を守らせると、こういうことを三点のうちの一つといたしたわけであります。従来でもこの運搬に関する規制が全然なかったわけではございませんが、特定毒物と申しまして、毒物の中でも特に影響の強い大体十種類ぐらいの化学薬品であると思いますが、それにつきましては運搬上の規制あるいは基準がございました。しかし、今回はそれだけにとどまらず、毒物劇物全部につきまして、特定毒物と同じような、あるいはまた特定毒物とは違った、薬品の性格に応じました輸送上の注意事項のようなものも基準として設けて、そしていまお話がございましたような事故をでき得る限り防いでいきたい。これをもってして、この法律だけでそういう毒物劇物の輸送途上の事故が全く皆無になるとは私は考えませんので、この法改正の趣旨によりまして、私どもは、やはり関係官庁――これは大体がタンクローリーのような、ああいう自動車で運ばれるも一のが多いと思いますので、道路運送法とか道路運送車両法を主管する運輸省なり、また毒物劇物そのものを生産するほうの通産省なり、そういう行政官庁とも、今度の法律改正の趣旨につきまして、その実施面において十分な行政上の指導方針などを打ち合わせて万全を期していきたいと、こういう考えでおります。
#5
○渋谷邦彦君 今回の改正の趣旨が、主として、いま申し上げておりますように、運搬の途上における事故に伴う被害を防止しようということは十分わかるのでありますけれども、それ以外に、この取締法によって毒物劇物の被害というものが十分に防止できていたのかどうなのか。必ずしもその運搬の途上だけではなくして、あるいは実際に固定した場所においても、この毒物劇物の流失、あるいは事故に伴う流失によって地域住民の被害というものが過去においてあったのかどうなのか。今回の改正によって十分今後とも被害を防止するという保証が確立されると、そのように判断されるのかどうなのか。まずその点については薬務局長のほうから事実関係等について――詳しくは必要ありません。最近の事例について一、二述べていただきたい。そして同時に、その例を通して、だから絶対に今後とも防止できる可能性というものは考えられる、そういうような方向について御説明をいただきたいと思います。
#6
○政府委員(加藤威二君) 私どもといたしましては、毒物劇物取締法によりまして、毒劇物の取り締まりを従来やってきておるわけでございますが、残念ながら毒劇物による事故が皆無というわけにはいかなかったわけでございます。それで、事故といたしましては、運搬途上の事故というのがことに最近増加いたしております。今度の法律でも、先生御指摘のように、一つの重点として運搬中の事故防止のために、運搬に際してのいろんな取り締まりの措置を新たに加えたということも、最近の運搬事故が多いということに特に留意してそういう措置を講じたわけでございます。
 具体的に若干、いろいろございますが、比較的被害の多い例を申し上げますと、ごく最近では、四十五年の九月に、千葉県の市川市で弗化水素という劇物をトラックで運んでおりましたところ、それがガードの下をくぐるときに、入れておる入れもののバルブがそのガードにぶつかりまして破損いたしまして、約五トン入れておりました弗化水素が全量流れ出たという事故がございました。それで人身事故といたしましては、運転手と消防士三名が二十日間程度のやけどと、それから住民約七十名が治療を受けるというような事故がございました。
 それから、やはり四十五年の六月でございますが、栃木県小山におきまして、塩素を運んでおりましたトラックが急ブレーキによって、入れておりましたボンベのバルブがゆるみ、ガスが噴出した。そのために住民約百名が中毒を起こしたというような事例もございます。
 こういう事例が最近非常にふえてきておるということでございます。たとえば、四十三年には約四件程度の運搬の途上の事故でございましたが、四十四年にはそれが十五件にふえているというようなことで、非常にそういう事故がふえているというのが一つでございます。
 それからさらに事故といたしましては、農薬の中に毒劇物の含まれている農薬がございまして、これも先生御承知と思いますが、農薬でいろいろ事故が起こっているという例もございます。また、その他の事故といたしましては、例の電気メッキにおきまして、シアンが流れ出ているというような事例も最近出ておる。こういうようなことでございまして、まあ公害の源泉としての毒物劇物については、さらに厳重に取り締まっていく必要があるというようなことで、今回毒劇法の改正をお願いいたしたわけでございます。
 これで完ぺきを期せるかどうかという点につきましては、私どもこれで完全でございますということはなかなか申し上げかねると思いまするけれども、これによって相当毒劇物の被害防止については前進をしたというぐあいに解釈いたしておりますので、この法案を御審議いただき、通過をお願いできますれば、その新しい法律のもとで、われわれもさらに格段の努力をして、毒劇による事故をできるだけ防いでまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
#7
○渋谷邦彦君 いずれにしても、今後産業経済の発展が後退するということは考えられない。したがって、それに伴い今後さらに毒物劇物の使用量というものの用途、それから範囲がさらに拡大されることは当然予想される。これは厚生省当局も指摘されているところであります。したがって、いま御答弁の中にもございましたように、絶対に防止できるという保証が残念ながら確信はないという趣のお話でございましたけれども、それでは困るわけですね。したがって、いままで起こった事故の因果関係、その背景というものはどこにあったかということをもう一歩突っ込んで考えてみる必要はなかろうかと、その点いかがですか。
#8
○政府委員(加藤威二君) まず、運搬の事故等につきましては、やはり毒劇の運送に当たります運送業者、まずこういう者、それから現実に運搬いたします運転者というような、そういう向きにおきまして毒劇物の運搬についての注意が不足していたというようなことが非常に運搬につきましては大きな原因になるのではないかという感じがいたします。電気メッキ業等につきましては、これは零細企業が非常に多いわけでございまして、そういう零細企業の電気メッキ業者に対するシアンの取り扱い等につきまして、これは行政上のほうのあれもあるかもしれませんけれども、PRが足りないとか、あるいはそういう零細事業主の不注意というようなことによりまして事故が起こっているというぐあいに感ぜられるのでございます。たとえば運搬の事故につきましては、直接的にはそういう運搬業者とかあるいは運転者の不注意ということもございますが、やはり国といたしましても、運搬については、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、特定毒物という猛毒の毒物についてだけ運搬の基準を設けて、一般の毒劇物については運搬の基準を設けていなかったという点、そういう点もからみまして、やはり運搬業者あるいは運転者等に毒劇物の取り扱いの注意が欠けておったというようなことが原因ではないかというぐあいに考えるわけでございます。
#9
○渋谷邦彦君 そこで、特に焦点になっておりますのは、運搬中における事故、それによるところの被害、これが切っても切れない関係性があるということは、いま述べられたとおりだと思います。そこで、やはりその因果関係を考えてみますと、端的に言えば、しろうとがいわゆる毒劇物に対する専門的な知識、あるいはそれに準ずるある程度の常識的な理解というものがないために、あるいは自動車の暴走あるいは不注意等によって起こった事故が意外なところまで発展するということになりますると、まず運搬する人自体が何か一つの資格を持たなければできないような仕組みにする必要がないだろうか。やはりある程度いま申し上げたような理解があれば非常に用心して運搬するでありましょうし、そうして十二分に事故を防ぐための心配りというものをもって行なうことができるのではないだろうか、こういうふうに考えるのですけれども、今回の改正でも、依然としてそういう点についての明快な方向というものが裏づけされていないわけですね、これについて大臣どうですか。
#10
○国務大臣(内田常雄君) たとえば今日現行の毒物劇物取締法におきましては、毒物劇物を製造する者、販売する者というものが登録業者に実はなっておるわけであります。違反があった場合には登録の取り消しをする、罰則もかかる、こういうことでございますが、運送については、さあ、どうかということまで実は考えました。正直のところ、この法律を制定いたします過程におきまして。これは登録業者にすべきではないか、さあ、どうかということを考えましたところが、これはもちろん公害対策本部に関係各省庁が集まりまして協議をいたしましたが、この運送業者は道路運送法によりまして運輸大臣のすでに免許業者になっておるということが一つと、それからまた運送いたします者は、この法律によりましても毒物劇物取扱業者というようなことばでございましたか、一つの指定のことばがございまして、そういう取扱業者となった者は毒物劇物取扱主任責任者というような者を置かなければならない、こういうことに現在でもなっておるわけでございます。
 そこでその運輸省の免許業と、またこの法律による同じ免許を得た者について、もう少し上に乗っけた許可制度とか登録制度とかいうものがはたして必要かという実は議論もいたしましたが、結局これは免許業者であるから、この法律による規制は他の法律によってかぶるものであるので、特にあわせて免許業者、登録業者――これは結局同じものでありますが、法制上のたてまえとしてはそこまでやらなくてもいいと、こういうふうなことに落ち着きました。そこで問題は、結局その運搬する車両なんかについていろいろな私は基準をつくる必要はこれはどうしてもやらせなければならぬと思います。現在毒劇物については表示の方法がありまして、毒物は赤いところへ白い文字を書くのでございますが、劇物はまた白いところに赤い文字を書くというようなことでございまして、その物につきましてはそれぞれ危険なものであるという表示がされておりますけれども、それを運ぶ車両についてはその毒物劇物運搬中というような、赤い旗が立っているか、黄色い旗が立っているか、そういうようなことはしてないように私は実は思いまして、少なくともそういうことをやらせてまいる。また中に毒物、劇物が入っているわけでありますから、タンクローリーであれば何でもよいということではなくて、やはりその形とか、鋼板の厚さとか、容器というようなことについても基準を設けてまいるとか、あるいは積載方法、また私はこういうことまで言っておるのでございますが、それが可能なら検討の上運送の時間というようなことまで一つの基準に入れることができるかどうか、つまり夜中、なるべく夜中の時間を運ばせるとか、あるいはその輸送の経路なんかにつきましても狭いところは通させないで、何車線以上の道路を走らせるとかいうようなことも可能かどうか、そこまでも検討させた上でこの運送上の基準というものをしっかりつくってほしい。この基準につきましては、現在でも、先ほど申しましたように、特定毒物につきましてはこの法律の施行令でございましたか、それぞれその特定毒物の態様に応じました運送上の基準がずっと載っております。載っておりますから、今度この法律の改正によりまして対象にする毒物全部をいまある特定毒物についての運送基準にそのまま当てはめていけばいいのかもしれませんが、しかし、この際、私は特定毒物についても一緒にこの運送上の基準について再検討をして、そうしてそれとあわせて今度の対象となる毒物劇物の運送基準というものをしっかりつくらせるようにいたしたいと、こういうことを考えます。もちろんこれ取扱業者でありますので、取扱主任責任者という者が置かれていることは先ほど申しましたとおりでありますが、そういうものの指導監督というようなことにつきましては、さらに一そう、法律までつくるわけでありますので、徹底したことをやらせなければいけないと思っております。
#11
○渋谷邦彦君 そこまで考えていただくならば、いま御答弁にもございましたように、登録あるいは免許、これは業者というよりもその事業をやっている最高責任者が受けるものであって、実際にその劇物、毒物を扱う運転者の方自体が直接受けておるわけではない。私は、そこで先ほど申し上げましたように、もし運転者の方にそういう専門的な知識がないにいたしましても、必ず助手席にその専門家を乗せるとかあるいは技術者を乗せる、絶えず注意し合いながらその運搬上に最善の努力を尽くす必要があるではないだろうか、それが一つです。
 それから、道路運送法についても、今後再検討して十分事故のない防止につとめなければならないという趣旨のことをいま述べられました。その辺の関係ですね、運輸省あたりとどういうふうに連携をとられて、いませっかく大臣が理想として前向きに述べられたそのことが今後具体的に実施されていくのか。むしろいま非常に大事なことは、計画よりもむしろ実施の段階でどうするかということのほうが非常に大きな問題じゃないか。この二点についてもう一ぺんお話をいただけないだろうか。
#12
○国務大臣(内田常雄君) とにかく、いままでは特定毒物でない限りは、一般の毒物劇物というものにつきましては運送上の制約までしないたてまえになっておりましたのを、今度の改正におきましては、その対象にしていただくという改正案を提案いたしておりますから、それをもって能事終われりとせず、改正ができました暁――と申しますよりも、この法律制定の過程におきましても、運輸省あるいは通産省の関係方面とも今度こういうことを、厚生省は国民の健康を守ったりあるいはまた生活環境を保持するためにやることにしておるから協力されたいという申し入れをいたしまして、相談の上でこの法律をつくっておりますので、いま御注意がありました点につきましては、行政上の課題として、いま直接関係がありますのは運輸省、通産省、それにまあ国家公安委員会と申しますか、警察庁、そういう方面でございましょうから、十分連絡を密にして、そして少しこり性といわれるかも一しれませんが、どうせやった以上は行政上の措置の万全を私は徹底させるようにいたしたいと考えております。
#13
○政府委員(加藤威二君) 先生御質問の第一点は、専門家を、その毒物劇物について詳しい者を置く必要がないかという御質問が第一点だったと思いますが、これは確かにそのとおりでございまして、現行法におきましても、そういう毒物劇物を扱います事業所等には毒物劇物取扱責任者というのを設置する義務を置いております。そうして、その責任者になりますには、責任者の資格といたしましては、たとえば薬剤師でなければいかぬとか、あるいはそうでなければ高等学校で応用化学を終了した資格がある者とか、あるいは都道府県知事の行なう試験に合格した者、そういう者の中から毒物劇物取扱責任者というものを置かなければいかぬ、こういう規定になっておりまして、今度これを毒物劇物の運搬業者にも拡大いたしますので、運搬業者も当然毒物劇物取り扱い責任者を置かなければならない、毒物劇物を運搬する運搬業者はそういう取扱責任者を置かなければならない、こういう義務がかかってくるわけでございます。
 それから運輸省との関係については、いま大臣が申し上げたとおりでございますが、道路運送法では、三十条だったと思いますけれども、運送の安全の規定がございます。それと、それは当然毒劇物運搬の場合にも、その安全の規定というものが働くというふうに私ども解釈しておるわけでございまして、したがって毒物劇物の運搬について非常に粗漏があったという場合には、その道路運送法にも違反するわけでございます。非常な悪質な場合には、道路運送法による免許の取り消しということも、これは私のほうとも連絡をとってやってもらうというようなことまで、悪質な場合にはそういう措置も道路運送法でとれるわけでございます。この運用につきましては、運輸省と私どもとできるだけ協力をいたしまして、万全を期していきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
#14
○渋谷邦彦君 それから事故の発生については、いま主として述べてまいりました点は、自己の不注意によって起こる事故でございます。ところが事故というのは、申すまでもなく、自分で起こす以外に他動的に起こる場合がございます。追突であるとか、そういう不測の事態に対応するためにも、現在考えられております毒物劇物の運搬車、この構造というものについてはどういうチェックがなされているのでしょうか。
#15
○政府委員(加藤威二君) 現在、先ほど申し上げましたように、特定毒物について運搬上の基準がございますが、今後この新しい法律に基、つきまして、私どもも政令の手直しをしてまいりたいと思いますが、現在の政令について御説明申し上げますと、一つはやはり車そのものについてはあまり規定が現在のところはないわけでございますが、その入れもの、毒劇物を入れる容器について相当厳重に規定いたしております。たとえば容器としては、工業標準化法に基づく日本工業規格一六〇一号、これは鋼鉄製のドラムかんということでございますが、その鋼鉄製のドラムかんの第一種に適合するドラムかん、したがって非常に厚いドラムかんというようなことでございますが、それと同等以上の強度を有するドラムかんを使用しなければならないというようなことが一つのその例でございますが、そういう運搬する容器についていろいろ規定してございます。それからその口がねは上についてなければいかんとか、それからその容器を車に積む積み方の方法、たとえばドラムかんをやたらに積み重ねないとか、そういういろいろ積み方の方法についての規定がございます。車そのものについての規定は、現在のところはないわけでございますが、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、表示の問題とか、そういうものについても今後は車それ自体につけるというようなことも一考えてまいりたいというぐあいに考えております。
#16
○渋谷邦彦君 確かに述べられたその規定に従えば、たとえ道路に転倒いたしましても事故は起きない、こういうふうにそのまま受け取れば感ずるわけですけれども、先ほど御答弁がありましたように、すでにもう千葉県においては実際被害が出ているわけですね。はたして規格どおりの容器に入れたものであっても、事故が絶対起きないということはあり得ない。やはりそういうこともあり得るのではないか。しからばその場合には、一体これからどういうふうにさらにその点を検討し、容器の点についても一十分な配慮をする必要があるかどうか、こういうことが当然問題になるわけですね。事故がなければいいですよ、実際にあるのですから。それに、おそらくはいま局長が述べられた規格に基づいた容器の中に入れたものが流出するなりあるいは飛び出すなりいたしまして、被害を受けたのだ。要するに、これから毒物劇物につきましてはいろいろなことが想定されるだろうと思うのです。はたして現在の法律において定められた規格だけで十分防止ができるのかどうか。もし防止ができないとするならば、現段階において絶えずどういうチェックのしかたがなされているかどうなのか。チェックすると同時に、今度はその不備な点についてはどういうふうに行政指導して、業者なりに対して改めさせようとする努力がいままでなされてきたのか、この点いかがですか。
#17
○国務大臣(内田常雄君) 事実上の問題なりは局長に補足いたさせますが、まず第一に、先ほどから申しますように、従来事故を起こしているものの私は全部であると思いますが、聞いておりますところによりますと、それは運送については規制がない一般の毒物劇物であったようでございます。さっきの弗化水素は、これは毒物ではございますが、特定毒物になっておらぬわけでありますが、運送についての特別の規制はない。ただ、保管とか所持とかいうことについては規制はございますが、運送について特別厳重な基準がない。そこで今度はそういういままでなかったものを、公害的な見地から、また冒頭に申し上げましたような国民大衆との接触の面から、これを特定毒物と別にしないで、全部そういう輸送上の規制の対象にして厳重にやらせよう、こういうことでございますので、しかもそれは規制だけする形にしておいて、どうせ事故は防げないのだから事故が起きたらまたそのときに考え直そう、穴埋めしようということでなしに、今度は大きな穴埋めをするわけでございますから、その際に、さっきも申しましたように、いろいろの点、容器ばかりでなしに自動車についても、また運送上の容器についても制約をいたしたわけでございますが、容器ばかりでなしに、その容器を載せる自動車についても、またその自動車の走らせ方についても、まあ私どもの知恵の及ぶ限りのひとついろいろな注意をいたし、基準、規制の方法を考えようと、こういうつもりでおります。
 実は、私はこの点については若干経験がございまして、いやな経験が。私は若いときに通商産業省の政務次官をいたしておりました。昭和三十五年ころであったと思いますが、そのころ私は始終国会に来てあやまり係をやらされましたのは、火薬類の運送中の事故が非常に起きまして、火薬類取締法という法律があるわけでございますが、その運送上におきまして、だんだん交通が混雑してくる時間であったと思いますが、これはもう始終事故を起こしまして、まあ今日の炭鉱の事故ほどではないでございましょうが、始終事故を起こしまして、私はいつも国会に来て陳謝、謝罪をしなければならぬというようなことで、あれをなんとか事故を起こさないようにしたいということで、ずいぶん火薬類取締法の運送上の規制につきましていやな思いの苦労をさせられたことがございますので、私は局長にも言っておるのでありますが、火薬類取締法上における運送上の規制等も十分参考にして今度の規制基準はつくってほしい、こういうことも実は申しておるような次第でございます。できるだけやります
#18
○渋谷邦彦君 ことばじりをとらえるわけじゃありませんけれども、いま容器のことについてお話がありましたように、まだ十分とはいえないという現状のように承りました。そこで、やはりこの容器についても今後の新しい問題として当然検討の対象になるのじゃないだろうかというふうに思われるわけであります。その点についても、今後事故の発生を防ぐという見地から十分取り組んでいただきたい。
 それから次には、先ほども答弁の中にございましたように、この表示のしかたでありますけれども、確かに黄色い何かきわめて小さい旗みたいなものに毒物劇物という表示があるようでありますけれども、やはりこの事故を防ぐためには、自分自身もそうであると同時に、まわりの者も注意しなければならないということは言うまでもないと私は思うのですね。この表示のしかたについても、きわめて明確さを欠くんではないだろうか。やはりまわりの人の注意を喚起すると、こういう意味におきましても、もっと明確な表示のしかたというものが必要になりはせぬかと、このように感ずるのですが、この点はいかがですか。
#19
○国務大臣(内田常雄君) そのことについても私が触れたとおりでありまして、毒物劇物そのものを入れておく容器については、赤に白とか、白に赤とかという表示があるのですが、それを運んでおる車には赤い旗も黄色い旗も立てないはずでございます。でありますから、これはいまの特定毒物という、毒物中のまた特別毒物を運ぶ規制があるのでありますが、その場合においてすら、まあそれは特定毒物については事故がなかったからいいようなものでありますが、そういう赤い旗も黄色い旗もないはずでありますので、私は、この機会に、特定毒物のみならず、今度輸送上の規制の対象にする一般の毒物劇物を運ぶ場合においても、その容器に赤白のいまの毒物であるという表示のみならず、車全体に、赤い旗にするか黄色い旗にするか、いまおっしゃるとおり、一般のそのほかの者が、走っている車を見ても、あっ、こわいものが通るということがわかるように、旗なり標識なり立てるようにしなさいと、これは火薬についてもそういうことをさせましたので、私の頭にそんな記憶が残っておりましたので、局長にそういうことを勧告を実はいたしております。
#20
○渋谷邦彦君 確かに毒物劇物という表示は、危険物というたしか表示をつけた車が走る場合があります。これは危険物はいろいろなことが含まれるでしょうけれども、大臣の答弁のように、いまこうして質疑をしている最中にもあるいはそういう事故が起きているかもしれない、あるいはそういう事故が起きるであろうその危険性が非常に迫ってきているかもしれない、こういうことが考えられますので、まずできることから早速にこれを取り上げて、とにかく明確にそれを表示して、まわりの人も一十分に注意をしながら、そういう事故の起きないように、当然当局として配慮すべきじゃないだろうか、このように私は思うわけであります。いずれにしても、いま大臣の答弁のように、これはさせる方向に持っていくというふうに理解をいたしますので、これは早急にやっていただきたい問題の一つではないだろうか、こう思うわけであります。
 次に、実際にそういう事故が起こった場合に、いつも問題になることは、被害者に対する補償問題なんですね。これはもういつもこじれにこじれちゃって、これは不可抗力の事故であるがゆえに地域住民に対する補償はということになりまして、まあ、払う場合もある、払わない場合もある、あるいは払っても非常に少ない額の、おそらく治療費にも満たないような、そういう補償しかできない、いろいろなことがいままでございました。そういう事態がこれからも起きないとは限らないのでございますけれども、いろいろなその補償問題の中でも、こうした問題が案外に置き忘れられる場合が非常に多いのじゃないだろうか、この点についてはいままでどういうふうに行なわれてきたかですね。当然業者の負担ということになるのでありましょうけれども、それがこじれたような場合、どういう一体解決の方法を当局としては迅速にそれを進めてこられたか、この点はいかがですか。
#21
○政府委員(加藤威二君) 毒物劇物取締法は、私どもで毒物劇物取締法によって毒物劇物の取り締まりをやっておるわけでございますが、これは毒物劇物の危険性をできるだけ防ぐということでございまして、はなはだ申しわけないことでございますが、いま先生の御指摘のように、その毒物劇物の事故が起こらないようにするという、あるいは起こった場合のその危害防止の措置をどうするかということはやっておるわけでございますが、それに伴う損害をどうするかということについては、私どものほうといたしましては、現在のところ、その結果がどうなったかということについては資料を持ち合わせていないわけでございます。これは、いまも先生触れられましたように、おそらく民事上の損害賠償ということで、とにかくそういう事故を起こした側が当然それは賠償責任があるというぐあいに法律ではなると思いますけれども、支払い能力その他の点において必ずしも被害者の納得のいくような額が支払われたかどうかという点については非常に疑問が多いと思いまするけれども、そういう点について、私どもといたしましては、まことに申しわけございませんが、現在のところ資料を持ち合わせておらないわけでございます。
#22
○渋谷邦彦君 私はね、そうした問題が当委員会を通じましても、何回か過去においてもあったのですけれどもね。せっかくこうしていま法律案が上程されておりますときに、そういうやはり資料というものもいろいろ立証する上から必要なものではないだろうかと、こう思うのですね。それは当局としても当然掌握をされていなければならない問題であると同時に、われわれとしても掌握をしていなければならない。そうでありませんと、こうした法律の審議についても、きわめて具体性を欠く、何かしり切れトンボみたいなことになるので、一番忘れられた補償というような問題について、一体、政府当局はどういうふうに取り組もうとしている姿勢があるのだろうかということが非常に心配になるわけですね。その点、大臣いかがですか。
#23
○国務大臣(内田常雄君) 被害が発生した場合の被害者の損失補償という問題の処理は、きわめて私は重大にして、当事者にとっては大切なものであると思いますが、この毒物劇物取締法なり、行政法の範囲においては、私どもは、この毒物、劇物を製造したり扱う業者のその品物に対する管理、監督ということを行政上の立場から取り締まることを主眼といたしておりますので、それらの損失賠償のことについてまでは、この法律のたてまえ上からはこれは触れられないわけであります。別個の――まあ、これは火薬類においてもそうかもしれませんし、その他交通上のいろいろの事故がございましょうが、そういうことをひっくるんだような、今日の稠密社会における事故等による損失につきましての私法上の特別規定でもうくるという場合におきましては、何かこういうものもそれに接触する面があるだろうと思いますが、行政法の範囲においては、これはまあこの法律の体系においては取り上げ得ない問題であると思います。また聞いてみますると、私どもは予防的見地において事故が多発しないように十分管理、監督を厳重にしていこうということでございますが、事故が一件もないことを期待しております。従来の事故について、多発ということばではありますけれども、そのいまの公害関係の疾病、その他の損失が多発しているのともちょっと態様が違いまして、それらの資料につきましては、都道府県から私どものほうに報告を特別取らない限り、それらの損失のあと始末ということについては、現在わかっておらないはずでございます。
#24
○渋谷邦彦君 ただ、この種の問題は、えてして受ける立場の人は地域住民である。それで、やはり地域住民が被害を受けた場合に、究極は、これは政治的な問題にまで発展する可能性が幾多いままでもございます。そういう点から考えましても、この政治的な配慮というものと、それから行政上の業者に対する指導というものは、これは当然不可分の関係ではないだろうか。そういう点が、ただまかせっぱなし――これは業者の責任において一切をやらせるのであるというならそれもいいかもしれませんけれども、しかし、問題は必ずそこまで発展するということですね。発展しないという保証は何にもないわけでありますから、それと先ほどもお話しがありましたように、この種毒物劇物を扱う場合の運送業者等々は、えてして中小企業の人たちが多いということになりますというと、この支払い能力等においても当然幾多の問題が起こることが想定されるわけであります。ならば、そういう問題が起こる前に、当局にしても、そうした問題を仮定しながら絶えずその不測の事態に対応できる、そういう体制というものを常にとる必要があるんではないだろうかということから、あえてその補償という問題に論及したわけなんです。はたしてそうしたことが起こった場合に、業者にも支払い能力がないといった日にはどこに持っていきようがあるのかということが常に――終着点と言うのでございましょうか、解決されるべきその終着点というものがぼけてしまいまして、結局は被害を受けたほうの人は受け損というようなことではまずいのではないか。そこにもいま申し上げた政治的な配慮とともに、政治姿勢というものをきちんと示していく必要がありはしないかというふうに考えるわけでありますので、その点についても、やはり大臣は政治的な立場から考えるべきではないのか。もし、そういうところにまだ整理をして、なるほどそれを詰めていく必要があるとするならば、その考え方を伺いたい、こう思うわけであります。
#25
○国務大臣(内田常雄君) あまり長くは申しませんが、これはやはり民事上の損害賠償請求の問題でございますので、こういう問題も稠密度社会において起こった場合にどう処するかということになりますと、これは行政法の範囲では律し得ないところでありまして、どうしても法務省その他の方面の知恵を借りまして、そうして新しい社会の傾向に対応する立法として処置すべきものだと私は考えております。
#26
○渋谷邦彦君 そこで、局長に私お願いしたいことがございますけれども、先ほど全然資料の持ち合わせがないと。実際にそういう事故が起こって損害が発生したその被害状況、またはその補償が実際なされたかどうかというものにつきまして一番新しい資料を、しかも、それは何もこまかいところまで必要ございませんので、代表的なものでけっこうでございますから、それを御提出いただきたい、こう思いますが、いかがですか。
#27
○政府委員(加藤威二君) 全部というわけにはまいりませんけれども、何か最近起こりました比較的多くの人に損害といいますか、傷害を与えたというような事故若干を選びまして、その補償関係がどうなっているのかということを至急調査して、御報告申し上げたいと思います。
#28
○渋谷邦彦君 次に法律の中の第二十二条の二ですね、「厚生大臣又は都道府県知事は、」云々とありまして、「その製造方法又は使用する容器若しくは」、着色の状況でしょうか、「の改善を命ずることができる。」と、このような一項目があるわけです、先ほど来からずっと述べてまいりましたように。ただ、この「ことができる」ということになりますと非常に弱い、受け方が。いま事故防止ということが非常に大きな課題としてこの法律案の改正ということにまで発展している、そういう見地から、これはやはり義務規定として「命じなければならない。」とすべきではないだろうかというふうに感ずるのでございますけれども、その点いかがですか。
#29
○政府委員(加藤威二君) 二十二条の二は、いわゆる特定家庭用品について、毒劇物を含有している特定家庭用品について新たに規制をするという新しい条文でございますが、先生御指摘の点につきましては、その特定家庭用品が政令で定める基準に適合していないと認めるときは、厚生大臣がその業者に対してその製造方法の改善とかあるいは使用する容器とか、被包の改善を命ずることができると、この点でございますが、これは法律上の慣例用語でございまして、そういう政令で定める基準に適合していない場合に、厚生大臣は改善命令を出しても出さなくても一いいという規定ではないわけでございまして、何といいますか、厚生大臣に一つの権限付与の「命ずることができる。」というこの「できる。」は、権限付与の意味の規定でございまして、そういう場合に厚生大臣に改善命令を出す権限を与えたということでございます。そういたしました場合には、これは基準に合致しないときは厚生大臣としては改善命令を与えるのがこれは当然でございまして、そういう場合、気が向かなければ与えなくてもいいという規定ではないわけでございます。したがって、先生御指摘のように、「命じなければならない。」という意味と事実上同じでございまして、法令用語としては、こういう厚生大臣とか都道府県知事の場合には普通何々「することができる。」というのが大体の法令用語になっておりまして、その場合に、ただ「できる。」というのは、してもしなくてもいいということではなくて、やるべきときには当然行政の担当者としてはむしろやるべき義務があるぐらいの、そういう読み方をしておるところでございますので、法律上の慣例用語でございますので、趣旨は先生のおっしゃるとおりでございますので、しいて「命じなければならない。」ということに改める必要はないというぐあいに考えておるわけでございます。
#30
○渋谷邦彦君 いずれにしても、先ほど来からの御答弁のとおり、今後こうした毒物・劇物以外に一般国民に理解のない、認識のない問題についての事故の多発ということは絶滅を期さなければならない、これはもう大臣としても言うまでもない決意をこれから持たれて、それに対する措置を講ぜられるであろうと、こう思うのでございますけれども、ともあれ、今後いずれにしてもこの被害というものが絶対に地域住民に及ばない、また同時にこの法律の精神というものがよく生かされていくように、その運営の方法については万全の措置をとっていただきたい。ただし、そのために今度必要以上に運搬業者あるいはそれを扱う特定の個人に対して不安を与えたり、あるいは仕事上においてやりにくいというような印象を与えるようなやり方というものは、これまた絶対に避けていただきたい。私は当局に対する強い要望を申し上げますと同時に、重ねて今後こうした毒物劇物による被害をその地域住民に絶対及ぼさないという確信を持ってこの法律の精神を生かしていただきたいということを要望しまして私の質問を終わらしていただきたいと思います。
#31
○国務大臣(内田常雄君) 渋谷委員の仰せられますような考え方のもとに、私どもも、今度毒物劇物法のいままでの保守的な商品管理的な性格を一歩前に出したわけでありますので、御趣旨を十分体しまして、そして広く国民に対する危害の予防、防止、排除ということに行政的にもつとめるようにいたしてまいりたいと考えます。
#32
○吉田忠三郎君 同僚議員の渋谷君からかなり関係の面が質問されまして、それぞれの答えがございましたので、できるだけ重複を避けまして、簡潔に質問したいと思いますから、これまた的確に、簡単明瞭に、しかも実のある答弁を厚生大臣から私は求めたいと思います。
 きわめてこの法律は簡単な法律ですが、最後にその理由が簡単に述べられておりますが、おもに「毒物及び劇物の取扱いの適正を図るためその運搬等の技術上の基準を定める」、「日常生活の用に供される毒物及び劇物について成分等の基準を定めてその安全な使用を確保する」、これがこの法律案の末尾に理由として付されておるわけです。そのことが提案されたときの説明にも三つに分類されておりますが、そのことについて法律だけではわれわれは十分理解ができませんから、この点を二つ、三つ伺っておきたいと思います。
 法の条文で問題になりますのは、十三条、十五条、十六条、二十二条、これが大体改正点の問題点だと私は理解しております。ただ、いずれもこの条文をやがて法律から政令に置きかえて、それぞれここに書かれております理由のような所期の目的を達成しようというものだと思うのであります。法律の中にも「政令で定める」という字句が非常に多いのであります。
 そこで第一点として伺いますのは、もとより政令の改正も伴っていると思いますから、厚生省がいま考えられているこれに基づく政令というのはどんなような内容のものか、明らかにしていただきたいと思います。
#33
○政府委員(加藤威二君) 十三条の二の規定でございますが、十三条の二は、現在の家庭におきまして相当毒物劇物の入っておりますものが家庭用品として使われております。たとえば便所の便器を洗います洗浄液というようなものには相当多量の塩酸等が含まれて、それ自体が毒物に該当する、こういうものがあるわけでございますが、そういうものについては、政令で定めるものについて、その成分の含量、容器、被包について政令で定める基準、この点でございますが、まずそういうものについては、政令は現在まだ成案はできておりませんけれども、これにつきましては、私どもの考えておりますのは、一つはたとえば塩酸等が含まれているという場合には、たとえば便所の洗浄液には塩酸なら塩酸は何%以上は含んじゃいかぬというような毒劇の必要にして最小限といいますか、そういう毒劇の含有量をまずきめるというのが一つでございます。これはその品物によって、またその用途によって毒劇の含有量というものをそれぞれ別個にきめてまいりたいと思います。
 それからもう一つは、容器について基準をきめていく。容器の基準によりましては、非常に使いますときに、たとえば急に液体が飛び出して目に入るとか、そういうような事故がときどきあるようでございますので、とにかくそういう容器の基準、要するにそれを使います場合に一般の人たちに危害を及ぼさないような、そういう形などの容器についての基準、これもまた具体的になってまいると思うのでございますが、そういうものについて基準をつくっていこう、大体そういう考え方でおるわけでございます。
#34
○吉田忠三郎君 いまの答えではっきりしたのは、まだ成案はできていない、成案はできていないとしても、厚生省としては案がないということでは私はないと思う。全く白紙で法律だけ先行さしたというものではないと思う。この法律を出すにあたっては、省内の会議を何回かやり、大臣も閣議にこれを提案して了承を得たものでしょう。ですから全く白紙ではないと思う。ですから厚生省の素案があると思う。そうでなければ、この法律にも書いておりまするように、公布の日から起算をして六カ月をこえない範囲内に具体的なそういう措置をとるというのでしょう。そうでなければこういう法律を提案できないということになる。ですから、この際、私は、そういう素案でけっこうですから、この法律の審議中に各委員に資料として出していただきたい。そうでなければ、われわれが、ただ条項的に書いてある法律だけを議論しても、どう一体法律が政令にゆだねられるか、置きかえられるか、それが具体的に施行する場合に、これは毒物劇物だけに国民としてたいへんな問題がある法律なんです。ですから、そういう内容をわれわれとしても一ある程度知っておかないと、これはやはり問題になりますから、そういう点資料要求しておきます。いいですか。
#35
○政府委員(加藤威二君) 政令につきましては、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、容器の材質とか厚さとか、弾性あるいは腐食性、そういったものの基準をつくるという考え方でおりますが、具体的にどういうものについてはどういう数量の基準である、たとえば含有量にいたしますと、どういう家庭用品についてはどういう毒劇物を何%というようなことにつきましては、これは薬事審議会で毒劇物の調査会というのがございますので、そこに至急に諮問をいたしまして、そしてそこの専門家の御意見を伺って個々にきめてまいる、こういう方針でおりますので、個々の数字については、まだ今国会中に御提出申し上げるということはちょっとお約束いたしかねますけれども、何と申しますか、基準の大ざっぱな、こういうものについてこういう基準をつくっていきたい、そういう資料ならこれは御提出できるということでございます。
#36
○吉田忠三郎君 またまた局長奇妙な詭弁的な答弁をするからいかぬというのです。薬事審議会というのは、一体何ですか。厚生大臣の諮問機関じゃないか。法律を提案した限りにおいては、国民を代表するこの委員会というのが最高じゃないの。そこにそういう概略的なものを提示しないで、薬事審議会におはかりをしてなどというのは不見識だよ、君は。そういうものでは私はないと思う。大臣どうですか。厚生省としてそういうお考えがあるはずだ。審議会というのは、あなたの諮問機関じゃないですか。何の権威があるんです。国会に法律を提案しておいて、その法律さえ通ったら、今度は逆にあなたの諮問機関に諮問して意見を求めたり、議論をすることは、私は悪いとは言ってはいないのだが、この法律を審議するにあたり、たとえば十三、十五、十六、二十二条、いずれも政令にゆだねられているじゃないですか。そういう重大な問題をこれは含んでいる。大臣、どうなんですか、これは。そういうでたらめな答弁では、私は審議に参加できませんよ。
#37
○国務大臣(内田常雄君) 法律の構成というものは、これはもう吉田さんも御承知のように、原理原則や大筋のことを法律できめまして、具体的にどういう物品を選ぶかということは政令にまかしたり、また基準や方法については政令にまかされているということが通常の形でございますので、この法律の仕組みもそうなっております。そこで結論から申しますと――よろしゅうございます。大体政令でどういうことを考えているかということを、私は明日中にでもお届けをいたすようにいたします。ただ、これはいま局長からもお話がありましたように、「家庭用品」とは何かというと、おおむねこういうものを想定をして政令できめるつもりである、その家庭用品の中にはどういう劇物毒物が入っておるはずであるから、こういうものをきめる予定であるということをもちろん想定をいたしておるのでございますから、その可能な限りにおきまして政令に盛り込むべきおもな事項の内容を差し上げたいと思います。これは各条項についておおむね同じような趣旨で差し上げたいと思います。ただ、何が何%かということになりますと、これは専門の学者を集めて――薬事審議会になりますかどうですか、専門の学者を集めて、この辺とこの辺までは許容限度だというような議論もございましょうから、そういうことはまた別で、現実に政令をきめますときに、政令のみならず、場合によってはさらにこまかいパーセンテージ等につきましては告示等の場合もあり得るかもしれませんけれども、大筋はおっしゃるとおりでございますから、ごらんにいれるようにいたしたいと思います。
#38
○吉田忠三郎君 せっかくの大臣の答弁ですから、それでけっこうだと思います。当然その細部については政令あるいは省令、大臣が言ったように告示ということもあろうと思いますけれども、そういうことをいま私どもは言っているんじゃないのです。大体厚生省の姿勢を言ってるんですよ、姿勢を。各省庁は、法律を出すまでには大体政令に置きかえる場合の考え方くらいは示しますよ。厚生省一回だってあったですかね、ないじゃないですか。こういうところが厚生省の役人の姿勢というのは私はけしからぬと思う。けしからぬと思います。もともと審議会などというのは役人の隠れみのだといって批判されているでしょう。そういうことを少しでも是正するためにも、せっかくの法律を出したんですから、何も考え方を持たないで法律を改正するはずはないんだから、国会に提案するはずはないんだから、その大綱ぐらいを関係の委員の人々に前もって提示するのは当然じゃないですか。役人の仕事ですよ、これは全部。ゴルフ遊びやっているばかりが役人の仕事じゃないんだ。今後、ぜひこういう関係については大臣が十分監督指導してもらいたいと私は思います。まず、これが一つ。
 そこで、この政令の考え方というのは、われわれは示されていませんから伺うのでありますが、たとえば十三条の運搬についての安全基準を定める場合ですね。そうしてまいりますと、その基準の定め方というものは、大体これは厚生省だけでできるはずがありませんから、厚生省としてどの程度の基準ということを考えているのか。それからその考え方に基づいて、取り締まり官庁と十分これは連携もとらなければならぬだろうし、協議もしなければならぬ、協力もまた求めなければならぬと思うんだが、この点は一体大臣どう考えておるかということと、それから具体的に法が公布されて施行の段階ですが、監督をしていく場合に、いま前段に申し上げたと同じように、相互に協力し合わなければこの実効は決してあがらないと私は思う、いままでの例から見て。大体いままですべてこういうものができたとしてもばらばらですよ。ばらばら行政のために、先ほど渋谷君も申されたように、たとえば補償の関係等についてはたいへん被害者が迷惑をしている、被害者である国民は大多数が。言いかえれば国民が迷惑をするんだ。だから、こういう点についてはこの法律をいま審議するにあたって私は言いたいのでありますが、そういうもののつまり相互協力、これは絶対必要だと私は思うんですが、大臣はどうですか。
#39
○国務大臣(内田常雄君) おっしゃるとおり必要だと考えております。
#40
○吉田忠三郎君 前のほうはどうですか、役人の姿勢のことについて。
#41
○国務大臣(内田常雄君) 十三条というお話がございましたが、十三条は運送の規定ではないはずでありますが……。
#42
○吉田忠三郎君 十六条です。
#43
○国務大臣(内田常雄君) 十六条は新しく運送の規定を――これを私どもしかられるくらいならやらぬほうがいいと思うのですが、こういうことをやって、いまの特定毒物だけでなしに、毒物劇物全部がもとよりこれは危険なものでありますから、運送について安全な方法なり基準を定めることが私はいいと思いましてやるわけであります。やります以上は、厚生省は、御存じのように、実力のない役所でありまして、現地にいろんな出張所も持っておりませんから、どうしてもこれは運輸省なりあるいは警察庁なり、あるいはまた製造元であります通産省とも十分協力いたしまして、そうしてこの法律をつくります際も、こういうことをやって取り締まるが通産省よろしいか、ま運輸省もひとつ協力してほしいと、こういうことで実は私どもよかれと思ってこの法律の規定をいたしておりますので、これが国会で成立いたします以上は、私どもがやりました目的が達せられますように行政上の連絡を十分ひとつやりまして、そうして遺憾なきを期するような姿勢をとってま
 いるつもりでやっております。
#44
○吉田忠三郎君 大臣ね、ぼくはしかっているんじゃないんだよ。それは一言多い、答えが。ぼくはしかっているんじゃないんだ。この法律に基準を定めると、こうなっていますから、その基準というものは厚生省としてどういうことを考えているのか。しかし、これは厚生省だけではないだろう。いま大臣も答えられたように、運輸省もあれば通産省もあれば法務省もあれば警察庁もあるんですね。そういう関係を緊密な協議をし、連絡をし、協力を求めなければその基準設定についてもたいへんだろうと、こう言っておるんです。この点はどうかと言っておる。
 それからもう一つは、またあとであなた答えられましたけれども、法を施行する場合といえども一、いま申し上げたような関係の相互協力がなければこの法律の実効をあげることはできないのじゃないか、このことと、もう一つは、あなた大臣なんだから、役人の姿勢の問題について言ったんですからね、この点はどう指導監督するつもりですか。
#45
○国務大臣(内田常雄君) 輸送上の基準をつくりますにつきましても、さっき申しましたように、厚生省だけではできません。またおっしゃるとおりでございまして、厚生省だけではできませんので、運輸省、通産省その他の方面とも協議をいたしまして、こういうことをやりたいから協力をしてほしいということを常に相談をしてまいっておりますが、具体的に政令をきめます際には、これはなお一そう有効にして可能な範囲の基準というものをつくってまいりたい。そのおおむねの対象となりますものは、大体タンクローリーで運びます場合に、そのタンクの容量でありますとかあるいは場合によっては形状、あるいはまたそのタンクの鋼板の厚さあるいはバルブの構造というようなことにつきましても、でき得る限り政令で基準をきめるようにいたすのがよかろうと考えております。また積載方法なんかにつきましても、これはさっき局長からもちょっと御説明をいたしたことにも関連いたしますが、積み重ね方などにつきましても、つまり積載方法などにつきましても基準をきめるがよろしいと考えますし、あるいはまた標識の問題などにつきましても、いままでは毒物劇物の運送については取り締まりそのものの特別の規定がなかったわけでありますけれども、特定毒物などにつきましては運送上の取り締まりがあって、なおかつ車両全体に赤い旗とか黄色い旗とか、危険物が通るというような意味の旗を立てておらないと思いますので、私は、今度の場合はこの運送方法についての政令で定める基準にはやはり毒物劇物の入っている容器についての表示ばかりでなしに、車そのものについて標識というようなものもこれはやはりきめるような方法をとらせたほうがいいと、こういうふうに考えております。これらにつきましては、おっしゃるとおり、関係のその行政官庁ともよく意見も聞いて、そして繰り返しますが、有効にして可能な方法の中身の政令をきめてまいりたいと思います。
 なおかつ私は、まあここにおられる厚生省の諸君の姿勢でありますが、私も微力でありますが、政治家として、今回国民の健康とか福祉とかいうことを担当する厚生大臣に指名を受けて就任をいたしておりますので、私自身が官僚に押しまくられるというようなことは、これは私はそういう考えは全くありませんで、国会の皆さん方の言うことも十分承り、また国民、世論のあり方というようなものも常に注意をいたしまして、政治家としての立場から厚生省の役人の諸君を引っ張ってまいりたいと、こういうつもりでおりますので、よろしくまた御協力と御指導をいただきたいと思います。
#46
○吉田忠三郎君 せっかく大臣の答弁ですから、それは私は了承しますが、そこで引き続き伺いますが、メッキを扱う業者が排出する――専門的な薬品の名前ですが、無機シアン化合物というのがございます。それを含有した廃液というのは、メッキを扱う場合に必然的にこれはついてまわるものですか、たいへんなこれは毒物であり劇物でありますね。そこで、一体これの処理について厚生省は管理、監督の面でどういう行政指導を必要としているのか、これを聞かしていただきたいと思います。
#47
○国務大臣(内田常雄君) 技術的な細目は担当官から補足させていただきますが、メッキ工場が、私の記憶では四、五千あるんではないかと思います。これはおおむねおっしゃるとおり、先ほどもお話がございましたが、中小企業が多いと思いますが、それらが無機シアン化合物という毒物を必然的に出すわけでありますので、従来からもその毒性の除去、処理等については一応の処理基準というものが政令できまっておりました。おりましたが、これは正直に告白をいたしますと、これは私がつくったわけじゃありませんが、私は、実は公害大臣になるつもりでいろいろそういうこともさわってみましたところが、あの規定は少しゆるふんだと私は見ている点もございますので、これは直さにゃいかぬということを常々実は思っておりました。しかるところ、今般公害関係法律の改正が行なわれることになりまして、水質保全法、工場排水の規定法というものが改正をされまして一本になりまして、従来はこの水質の規制なども、これは経済企画庁所管の法律でございます。経済企画庁と、それにそういう有毒物質を排水する工場等を管理する通産省が若干加担をいたしておる法律でございますが、この法律は、御承知のように、指定水域になっておりますから、必ずしも全国にあるメッキ工場のある地域を水質保全法あるいは工排法が網羅しているとは思っておりませんでしたけれども、今度指定水域ということをやめまして、全水域にその水質保全法の適用をいたす改正案がこの国会に出され、したがって、その原因になりますところの工場等につきましても、地域に関係なく、この従来の工場排水規制法、今度の新しい水質汚濁防止法の適用を受けるようなことになりましたので、向こうの法の体系において、メッキ工場といえども有毒物質排出源として規制を受けることになったわけでございます。しかし、向こうは、そういう工場あるいは排出源という見地から対象にいたしますし、シアン化合物というものは毒物劇物として毒劇法の対象になっておりますから、向こうの法律改正で相当このシアン化合物についての管理が行き届くことになったし、こっちはほうっておけばいいとは私は考えませんで、こっちはこっちでできるだけやはり穴埋めはすべきであると、こういう考えに立ちまして、ここで、法律ではおそらく政令で定める毒物劇物を含有する物質ということになっておりますが、いま御指摘のようなシアン化合物などを第一にあげまして、そうして、いままでのそれの処理のやり方なんかで不十分なところを直させたり、さらにまた一たん廃棄されたものをさらに回収させるというような命令までも都道府県知事が出せるような、そういう仕組みまでもすべきだということを言い出しまして、そうして、こちらはこちらで物の見地から押えてまいる、こういう形で若干の規定を入れたというわけでございます。
#48
○吉田忠三郎君 局長、何かありますか、専門的なことですが。
#49
○政府委員(加藤威二君) 電気メッキ業者の排出するシアンの排水の処理につきましては、一応現在は政令で二PPM以下という基準をつくっておったわけでございますが、これを水質汚濁防止法との関連で――水質汚濁防止法は今度御審議いただいておる法律案でございますが、この基準によりますと一PPM以下というものになるわけで、それと合わす必要があるということで、現在政令改正の手続をいたしておりまして、一PPM以下にしてなら流してもいい、こういう指導をしておるわけでございます。
 それで、このメッキ工場は非常に零細企業が多いわけでございまして、その取り締まりもなかなか困難な面があるということで、往々にして電気メッキ業者の中で、シアンのその基準以上の形で流しているという向きが相当あるようでございますが、これは今後とも毒劇物の監視員等がフルに指導をいたしまして、そういう処理を誤らないようにという指導をしてまいりたいと思います。
 それで、シアン廃水の処理方法といたしましては、いろいろな方法がございまして、たとえば塩素ガス法とかあるいは電解法等いろいろ方法があるようでございますが、一番最も一使われておる方法といたしましては、次亜塩素酸ナトリウム法という非常に専門的な用語で、私もよくわかりませんけれども、シアンを塩化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウム、窒素、水、そういうものに分解して流すというような方法が一番使われているというぐあいに聞いておるわけでございます。
#50
○吉田忠三郎君 そこで局長、その政令を改めて、従前のも一のから見ると一PPMくらい基準を強めるわけですね、今度。それの取り締まり、管理、監督、この点については監視員等々で十分その万全を期して扱っていきたい、こういう答えですよ、要約すると。監視員というのは何人いますか、いま。
#51
○政府委員(加藤威二君) 全体で約二千人ばかりでございますが、ただ残念ながら専任は百四十三名程度でございまして、あとは一般の薬事監視員というようなものと兼任しておるのがございまして、それを合わせまして約二千人、全国で二千人ということでございます。これは大体都道府県に置かれておるということでございます。
#52
○吉田忠三郎君 これは毒物とかあるいは薬物のみならず、国民の食料品等についても一問題が起きていますね、たいへんな問題が起きていますね。この百四十三名で十分ですか。それとあわせて、来年度予算でこの監視員の増員を要求していますかね。
#53
○政府委員(加藤威二君) 確かに先生おっしゃるように、食品衛生等でもいまなかなかたいへんでございますが、食品衛生監視員というのは、これはまた別に相当数、数字は私はっきり覚えておりませんが、相当数おるはずでございます。それで、約二千人と申しますが、これはおもに薬事監視員と兼務しておる。したがって、一般の薬とそれから毒劇と両方やっておる者が非常に多いと、こういうことでございます。その増員につきましては、これは一応交付税でやっておりますので、自治省とも今後の折衝で、できるだけ交付税のほうでこういう監視員の数を増してもらうようにという折衝をいたしたいと思っております。それから事務費的な経費につきましては、これも交付税でございますが、来年度予算では約四倍程度の事務費の増というものを要求いたしておるわけでございます。
#54
○吉田忠三郎君 この事務経費は四倍くらいという話だけれども、人手が――いまあなた説明しておるように、百四十三名の専任ですね。これで今度この基準を強めるわけですから、答えられたとおり。で、これを完全に指導したり、取り締まったり、あるいは管理したり、監督する場合、これは足らないでしょう、それだけじゃ。その場合に、もう年内に予算編成するわけですから、政府の方針は。これから考えるんじゃなくて、どの程度か考えているんじゃないの、人間の要求は。考えていませんか、いなければいないでけっこうですよ。
#55
○国務大臣(内田常雄君) これは私からお答えをして、もし間違っておればひとつ局長、課長から補足をさせていただきますが、いま吉田さんがお尋ねになりました点が実は一番私ども厚生省の泣きどころなんです。つまり、厚生省は、食品衛生法をつくりましても毒物劇物取締法をつくりましても、みずから手足を持たない仕組みの役所なんでございます。これはもう言うまでもなく、こういうことは、昔は内務省でやっておりまして、内務省の衛生局あるいは社会局等々の系統を引いてまいりましたから、都道府県、今日ではそれに特に保健所を置きますところの政令市というものがございますが、これは都道府県と並べて厚生省では考えておりますが、それが厚生省の第一線の手足と、こういうわけでございますので、これは労働省のように労働基準監督官を置くとか、あるいは大蔵省のように税務署みたいなものを置いて国税をとるという仕組みができませんので、どうしても都道府県を第一線に使っていかざるを得ないわけでございますので、こうした場合におきましても、結局、自治省と相談して、地方交付税の基準財政需要の中に、これはもう新しい予算要求ではございませんで、その地方交付税が二兆ぐらい出てくると思いますが、そのうちの計算の根拠として、こういうものをひとつ基準財政需要の中にこれだけ入れてくれというようなことをやるわけで、国費で厚生省所管予算に組むと、実はこういうわけのものではないわけでございます。それが一点。
 もう一つは、これはだれでもいいというわけじゃございませんで、やっぱり一種の専門技術者でなければなりません。少なくとも薬剤師、あるいは薬なり応用化学なり、そういう方面の知識のある人ということになりますと、都道府県と自治省等に交渉いたしまして、ワクをふやしましても、なかなか実際そういう人がいま最も得られない種類の人だということで、私ども、これは実は正直に言うと泣きどころになっておりまして、一人が二役も三役も兼ねておる。毒物劇物監視員をやったり、薬事監視員をやったり、また、ある場合には食品衛生監視員の資格も持っているというようなことになるわけでございますが、しかし、幸い今日食品にいたしましても、薬品にいたしましても、こういう毒物劇物などの取り締まりにいたしましても、国民の世論が、これは非常にやってもらわないとお互いの生活が不安だという、そういう意識が強くなってまいっておることと私は考えますので、でき得る限り都道府県とも、知事さん方とも相談をして、そのほうに人を集めていただいたり、自治省に相談をして、そのほうに交付税の傾斜をつけていただくというようなことをやってまいらなければならないと考えております。
#56
○吉田忠三郎君 実態は大臣のおっしゃるとおりですよ、われわれが調査して見たって。ですから、この点につきまして大臣とあまり多く時間をとっていますと、毒が回って中毒になるくらいですわ。ですからこの辺で私は小言をやめますが、もう一つ関連して伺いますと、この法律では、農薬についてはうたっていませんね。それから農薬といえども毒物であり、劇物であることは間違いない。それは農薬の取り扱いが適正でないために、全国的にたくさんの事故を起こしておりますね。そのための中毒も発生している、こういう現況でございます。そこで、この法律を改正するにあたって、これを契機に農薬の正しい取り扱い方というものを厚生省としても示してまいらなければならぬのじゃないか。特に最近はカドミウムの問題がありますね。カドミウム、これはたいへんな問題ですわ、ただ単に農薬だけながめるのじゃなくて。ですから、そういう意味で、万が一不幸にしてこの扱い方が適正でなくして中毒になったような場合、これは応急措置を取らなくちゃならないと思うのです。もとより、そのためには周知徹底もさせなくちゃならない、こういうことが伴ってまいります。これなどは、一体これと関連して厚生省はどう考えていますか。
#57
○国務大臣(内田常雄君) 何でも私がお答えするようになっちゃって恐縮ですが、今度たいへんうまい仕組みができました。それは御承知の農薬取締法の改正案が今度の公害関係の重要な法律の一つとして出てまいりまして、その中に農薬の適正使用基準という項目を設けまして、そしていまの適正使用につきましていろいろな指導や、周知や、そういうことを農林省自身が法律上の義務として音頭を取っていただけることになりました。ところで、農薬には、いまお話のとおり毒物劇物の、つまり急性毒性を持っている物質を使う場合と、それから急性毒性ではない、ここに掲げるような毒物劇物ではないが、慢性毒性、三年か五年かそれを使っておりますと、体内に蓄積して、そうしてしまいには母乳からも出てくるというようなことも御承知のとおりでございますが、そういう慢性毒性のものと両方ございまして、急性毒性の問題につきましては、この毒物劇物取締法においてさわっておりまして、農林省が農薬取締法において登録をいたします際には、最近では厚生省と打ち合わせまして、そして使用基準なり、それの適正使用ということを実際上やってまいります。これが今度法文で書いております慢性毒性のも一のにつきましては、従来から使われておる農薬についても一、厚生省が大体一つの農薬について二年間くらい時間がかかるのでございまして、お金もかかるのでございますが、それをできる限り洗い直しております。また新しく登録する農薬につきましても、慢性毒性につきまして、農林省は、これは登録申請者からいろいろな研究や証明の資料をつけさせることになっておりますが、その研究や証明の資料を厚生省のほうに出していただきまして、厚生省がそれならだいじょうぶだと、こういう判断を下さない限り農林省は登録をしない、こういうように、農薬に関します限りは農林省と厚生省が二人三脚のような形で処理する仕組みが最近だんだん出てまいりました、非常に私は進歩を来たしつつあると考えますし、この上とも御注意をいただきましたので――なおこれは私どものほうの局で言いますと、薬務局長がここにおられますが、それと食品関係を管轄しております環境衛生局の両方にまたがりますが、私からもよくそういう立場から指導、要望をしてまいりたいと考えております。
#58
○吉田忠三郎君 この点は、各省庁のいつも非難されるなわ張り争いをするということじゃなくて、十分連携をとり、協議をして万全を期してもらいたいと思います。まあ、私は意見を持っていますよ。私の意見ならば、本来的に言えば、農薬といえども薬品ですから、これは厚生省が所管すべきものだと思うのですが、ひとつ大臣が答えられておるように、今度法律が出ていますから、こちらのほうはこちらのほうとして、当然これは毒物劇物に該当するわけですから、そういう点はなわ張り争いをすることのないようにして、しかもそれぞれの大臣が具体的に実効のあがるように連携をとっていただきたい、この点は要望しておきます。
 それから、この法律では、運搬業者に対してその安全を保持するために規制を強めることになっているんですね。また、取締法によって、新たに運搬業者だけじゃなくして、これは処理をしていく業者もおりますね、あと始末をしていく業者ですね。こういう業者などはやっぱり登録制にする必要があるんじゃないか。そういう制度がないためにたいへんやはり行政上苦労も多かろうし、また当然発見できるものも発見できないでしょう。ですから、法律はあるけれども、取り締まりの対象から漏れているんじゃないか。漏れるより、のがれるものがありますね。ですから、これは私の意見が入りますけれども、こういう機会に登録制にしたらどうか、こう思うのですが、この点について大臣の所見を伺いたい。
#59
○国務大臣(内田常雄君) 吉田先生がおっしゃるそのことも実は議論になりました。ところが、これがちょうど運送業者が道路運送法上、運輸省のあれが免許事業でありますために、毒物劇物を運送させる運送業者についてもこちらの登録業者にしないで、ただ毒物劇物取扱業者にするという法律の適用のもとに毒物劇物取扱責任者というものを置くにとどめたことは、先ほど渋谷先生の御質問に対してお答え申し上げたと同じような形で、この毒物劇物の処理業者、あと始末の業者、これはちょうど今度前の清掃法を全面的に改めまして、廃棄物処理法で廃酸、廃アルカリなど、そういう産業廃棄物の処理業者は許可制に実はなりました。そちらの廃棄物処理法の処理業としても許可制になりますので、これとそちらの毒物劇物取締法のほうにおける取扱業者としての立場からのこの取扱責任者の必置義務というようなことを合わせまして、それでいくのがよかろうと。廃棄物のほうでも許可業者にすると、こちらでも要登録業者にするというようなことになるのも二重措置になる、万一、そちらの毒物劇物取締法上の違反があった場合には直ちに廃棄物処理法のほうでも許可の取り消しをする、こういうようなこともできるわけだからということで、いま御意見ございました点も検討いたしながら、この際は許可業者にしなかった、こういう次第でございます。
#60
○吉田忠三郎君 大臣ね、いまは意見を申し述べるにとどまりましたが、運搬については道路運送事業法による許認可事業ですけれども、これは厚生省の所管ではありません。運輸省の所管でありますが、いまだに許認可制でありながら、つまり無免許、これは白ナンバーでありますね、このものが全国に至るところにおるわけでしょう。ダンプにしても、その他貨物自動車等々たくさんあります、そういうものが。この取り締まりもたいへんです。これはここの問題じゃありませんが、そういうものがこの法律に基づいて毒物及び劇物を取り扱って運搬した場合に、これは道路運送法の関係だけでチェックできませんよ。それからもう一つは、許可制のところでチェックできるような意味の答弁がありましたが、これだってなかなかたいへんだと思うのです。こういう毒物、劇薬ですから。こういうものの運搬を規制するための法律改正ですから、私は、二重になろうと三重になろうといいと思う。国民の利益のためには二重になろうと三重になろうといい。ですから、いま直ちにということではありませんが、ぜひひとつ、そういう関係省庁もございますから、これもあわせて協議したりあるいは議論をし合って、やはり将来は、この法律は、単独法で業者を登録制にする、このくらいのところまでやらないと、私は法律の前進にならないと思うのですがね、どうでしょうか。
#61
○国務大臣(内田常雄君) 私が申し上げたとおり、あるいは告白したとおり、これは厚生省としては、そういうこともあえて持ち出したのですが、さっき吉田先生の御意見にありましたように、実施面につきましては、運輸省なり、関係省庁と緊密な連絡をしなければできない面がたくさんありますが、なわ張り争いとかどうとかというわけでございませんけれども、おれのほうで免許業者にしておるのに、おまえのほうが飛び込んでそれをまた登録業者にするのかということではなしに、この際は争わないで実効を上げていこうということで、私どものほうは実は引っ込みました。しかし、おっしゃるとおり、これは危険物運送業でございますし、危険物処理業者でございますので、将来に向かって検討の対象にすべきことだと私も思います。
#62
○吉田忠三郎君 次に、先ほど渋谷君も言いましたが、家庭用品の明示がうたわれておるのですね。そこで、いままでこうした問題について非常に家庭用品に対して消費者、国民の側からその明示がはっきりしていないという苦情、世論というものがございますね。この際、この法律をいま制定するにあたって、こういう点をきちっと整備をして正確にしてかつ具体的に明示をさせるように抜本的に厚生省とすれば改善しなくちゃならぬと思うのですよ。こういう点はどうお考えになっていますか。これは先ほど大臣が答えられておりました。しかし、これは二十二条できめておるのですね。この十六条の関係では大臣は別な政令等々でそういう面等についても何とか規制していきたいという意味のことを言ってましたから、それはそれとして、この法律の十六条の中では運搬業者に対する表示、これが明示するようになっていません、この法律では。そこで、その運搬業者に対するものは先ほど答えられましたから答弁求めませんけれども、家庭用品については、いま申し上げたように、正確に、しかも具体的に、どんなしろうとが見ても一見直ちにわかるように抜本的な改善をする必要があると私は思うのですがね。
#63
○国務大臣(内田常雄君) まことにごもっともなことだと思います。厚生省がせっかくこういう法律の改正までいたしまして、家庭用品等に含まれる毒物劇物の分量とか、入れものとか、あるいはその他の基準をきめましても、まあこれはそのとおりちゃんとなっておれば今度は安全の家庭用品には在るわけでございましょうが、一般消費からすれば、その中にどういう劇物毒物がどのくらい入って、使用上の注意事項がどうだということぐらいは私は表示させるのがいいことだと思います。ともかくそれにつきましてはすでに法律が――これは通産省が所管の法律というといけないのかもしれませんが、天下の法律になっているわけなんでしょうが、家庭用品品質表示法というのがあるから、厚生省で言ってもらえば、自分のほうの所管をするその家庭用品表示法のほうによってそれらの表示等についても明確にすることを協力すると、こういう通産省の話だそうでございますので、厚生省所管物資についてだけ、家庭用品に含まれるこの毒物についてだけ別個の規定を設けるのもいかがかと思いますので、この段階におきましては、現行の家庭用品品質表示法の運用によって御懸念のある点は処理してまいりたいと、こう思っております。
#64
○吉田忠三郎君 どうもその辺になってくると大臣も歯切れがちよっと悪いですね。消極的なような感じがするのですね。
#65
○国務大臣(内田常雄君) そうじゃないですよ。他の省のことですからあまり言うと……。
#66
○吉田忠三郎君 ですから、他の省庁のことであろうけれども、家庭用品に在りますれば、厚生省所管のものもありますから、悪い面はみならう必要ないので、厚生省独自のものだってあるので、から、そういうものは積極的にやっぱり抜本的的に改善していくという方向にむしろ厚生省が先べんつけたっていいじゃないですか、そういう点は。
 もう一つは、そのことはその程度でけっこうですが、先ほど登録制の問題を強く意見として申し上げたのですが、それをなぜ言ったかというと、冒頭に、運搬業者に対する安全という名のもとに規制を強めていくわけですよ。強めていくわけですから、そこでその場合に今度はそうした生産業者であるとか、あるいは運搬業者も一そうでありますけれども、当然廃棄等々になったものについては回収するということをここに書いてありますね。つまり厚生省の基準に合致しないものは回収を命令する、こう法律になっていますね。そうしますと、命令をしたが、今度はその命令に従わない、こういう場合について、それぞれの関連の省庁の法律はありまするけれども、ここまで規制をした法律が出されているとすれば、この法律の中にも罰則規定というものを明示してよかったのじゃないか。これは法理論の問題ですが、こう思うのですがね。この関係はどうお考えになり、またそういうものが生じた場合に厚生省はどう具体的にそれを扱うのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
#67
○国務大臣(内田常雄君) そのこともよくわかります。実はあした御審議をいただきます廃棄物処理法におきましても二段がまえになっておりまして、みだりにそのごみとか採尿とかいうものを廃棄したものは罰金刑をかけることになっております。ところが今度の改正法、廃棄物処理法では廃棄したものを回収しろ、こういう命令を都道府県知事あるいは市長が出せることになっているわけでありまして、その命令に従わないときには、今度罰金ばかりでなしに体刑を科される、こういう二段がまえに実はなっております。ところがこの劇物毒物のほうもそうなっていると、いままででも廃棄規制とか処理規制というものがありまして、こういうことをしてはならない、それに違反した場合は罰金だ、こういうことになっておれば、この今度の改正で回収を命じた場合に、その回収に応じないものは罰金ばかりでなしに体刑を科する、こういけばいいわけでありますが、実は現在の法律のほうが、もう廃棄しただけで、基準に違反して廃棄しただけで、罰金のみならず、たしか三年くらいの懲役刑が規定してありますので、まあ初めから重いほうの体刑までかけちゃっているものでございますから、いまさら廃棄しただけでは罰金で、今度回収命令ができたから回収命令に従わぬものだけに体刑をかける、こういうことに形を整えるというか、ある場合には後退するのもいかがなものか、むしろ現在の体刑、罰金ということで処置していく、そのかわり回収命令に従わないものは、これは登録業者であれば登録の取り消しもするし、それからまた回収命令を出しているのでありますから、行政執行法、行政代執行法と申しますか、都道府県知事が代執行をして、回収処置をやって、そしてその費用を業者から徴収するということもできるからというようなことで、この点の罰則は現行の罰則の中に含めた、こういうことでございました。
#68
○吉田忠三郎君 このことについては、あとあとの委員会でもまたさらに詰めて私伺ってみたいと思っています。
 そこで、その次は毒物及び劇物に対してそれぞれ厚生省は検討して指定いたしますね、指定を。その指定をする場合に、当然のことでありますけれども、急性の毒性というものを最重点に置くのだと思うのです。であるけれども、そのことだけではこの法の精神からいって効を奏しないと思うのであります。特に最近問題になっているのは、やはり催奇性の問題もたいへん大きな問題になっていますね。ですからこういうものも考慮して、総合的な毒性ということについての判断で、的確にこの把握をしておいて指定をしなければいけないのではないか、そういう性格のものではないのか、こういう感じが私はするのですが、これは大臣じゃなくても、専門家おりますし、こういうことについて私専門じゃありませんから、どちらでもけっこうですから、厚生省の考え方を聞かせていただきたいと思うのです。
#69
○政府委員(加藤威二君) 現在、毒劇法におきまして、毒物劇物の指定にあたりましては、急性毒性というものに着目いたしまして、一応急性毒性の基準をきめまして、それによって毒物に該当するか、劇物に該当するかという判定をしているわけでございます。実験動物にある一定の毒物劇物を与えまして、そのうちの五〇%の動物が死ぬ量、これを基準にいたしまして、その量が少ないほど毒性が強いと、こういうことで、そういう量で一つの基準をつくって毒物劇物の指定を行なっているわけでございますが、先生御指摘のとおりに、しかしそういう毒物、劇物にぴったり急性毒性の面からは一致しなくても、相当毒性も強く、しかも催奇性のあるようなものについては、あまり急性毒性ということだけにこだわらないで、少しそういうものを広げて毒劇の中へ取り入れて取り締まりをしていったほうがいいじゃないかという御意見が各方面にあるわけでございます。特に、最近具体的になりましたのは、いわゆる2・4・5Tという――これは除草剤でございますか、これが相当問題になっておるわけでございます。これが催奇性を生ずるような、そういう毒性があると、しかも毒劇法に該当するほど毒性は強くないけれども、相当毒性が強いわけでございますが、基準よりはちょっとはずれる。しかし、急性毒性のほかに、そういう催奇性のような特殊な毒性を持っている、そういうものをやはり入れたらどうかという御意見がいろいろあるわけでございます。私どもといたしましては、やはりそういういろんな物質が新たに出てまいりますので、旧態依然としていつまでも一つの毒物劇物を急性毒性というものだけに押し込めていくということについては、やはり時代の要請に合わないのではないかという感じもいたしますので、いま先生御指摘の点については、前向きの姿勢で検討してまいりたいというぐあいに考えております。
#70
○吉田忠三郎君 これは局長が答えられたとおり、いま林野庁で問題になってますね。山菜採取して、住民がその山菜を食べたら中毒になったという問題から端を発して、林野庁でたいへん問題になってます。大量散布するのは林野庁ですからね。ですからこれは林野庁といえども政府機関ですからね、これは非常に社会的な問題になっていますから、それだけにぼくは念を押したいんですわ。ぜひこの点は前向きに、いま前向きにということばがありましたが、もう超前向きにこの問題を扱っていただきたいと私は思う。答弁は必要でありません。皆さんのほうが専門ですからね。
 最後に一つ大臣に伺っておきますがね。まあ、いろいろ前段が渋谷委員、後段私はずっと幾つかこの問題聞いてきましたがね、聞いてみて、それぞれ答えられておりますけれども、この法律の実効を目指して私ども聞いたつもりなんですけれども、効をあげることを望んで質問したつもりであります。ですから、その効をあげるためには、何といたしましても、いまの厚生省の監視体制では私は十分だと思いません。先ほどちょっと触れましたがね。ですから、やはり監視体制というものを強化拡充していくという方向がとられなければ、これはただ単に、きのうも私申し上げましたが、空文に終わる危険性がありますよ。それと、これまた、その委任事務になって、都道府県に非常に委任事務が流れていくのですが、監視員の充実ということも、これは優先して考えなければ効があがりませんよ。これは局長ね、あなたこの法律を立案したが、ここに来て、われわれが聞いたら、国会答弁――先ほど冒頭に言われたとおり、できるだけ国会議員に食らいつかれないように答弁してりゃいいというようなことではいかぬ。実際問題として、この法律の効をあげるためには末端の監視員が一番苦労するのだと思います。大臣もおっしゃったように、国民というのはしろうとです、私も含めて。劇物、毒物の知識は監視員の専門的な人が充実されないと、この法律の効果は果たされないと思いますが、この点について大臣の決意を伺って私は質問を終わりたいと思います。きょうは、もう一時近いですから。
#71
○国務大臣(内田常雄君) 仰せのとおりでございまして、いま劇物毒物監視員というのが三千何人おりましても一、専任者がきわめてわずかだという状況で、この法律の完全な施行ができるとはとうてい思いません、私も。ですから、これはどういう方法によりますか、これも検討させながらしっかり改正法が実行されますように、また改正法でなくても、現行法でもそれが実施されないという問題もあると思いますが、また、今日の執行体制を中央でも地方でも強めてまいるような努力をいたしたいと考えます。なお登録業者はもちろんのこと、その毒物劇物取扱者として企業の中に毒物劇物取扱責任者といいますか、そういうものを必置する義務になっておりますが、そういうやはり自己監査、自己管理、取り締まりということも私は大切なことであると思いますので、そういう者の氏名届け出等につきましても、一片の形式に流れることでなしに、ほんとうにその企業の中にあって責任を持ってもらえるような人を指名してもらうようにつとめながら、御趣旨を十分体してまいりたいと考えております。
#72
○渋谷邦彦君 質問が終わったからどうかと思うのですが、一つだけ補足的に伺っておきたいと思います。
 今回の毒物劇物取り締まりについては、主として人体に、いわゆる健康を害するという立場に立っての取り締まり、こういうことだと思うのです。これはいままだ研究不足で調べていないかもしれませんが、家畜、特に鶏、豚等に対する農薬、それから所管が違うとおっしゃって答弁できないかもしれませんが、そういう問題についての被害防止ということは十分考えられているのでしょうか。
#73
○国務大臣(内田常雄君) 先ほども吉田さんからちょうど同じような趣旨のお話がございました。これはそういうこともございまして、今度農薬取締法の中に安全使用基準というわざわざ項目を設けまして、そうしていままでは単に行政上の親切からやっておった指導ということを法律上の義務として十分配意をするように相なりました。また、もともとそういうものが急性毒性であれ慢性毒性であれ、両面を厚生省のほうも農林省のほうとよく打ち合わせて、そうして分析検査などもいたしまして、農薬に関する限りは、そういうことを言うと農林省に叱られるかもしれませんが、従来は厚生省はあまりさわるなといったようなかっこうもありましたが、最近は二人三脚のつもりでやっておりますので、二人三脚でやってまいりたいと思います。
 また、これは一言多くてよけいなことでありますが、抗生物質についても同じでございまして、これは取り締まらなければいけないと思います。これは所管が違いますけれども、そのほうもやらしております。
#74
○委員長(佐野芳雄君) 本案に対する午前中の質疑はこの程度にいたしまして、暫時休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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