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1970/12/03 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 外務委員会 第2号
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1970/12/03 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 外務委員会 第2号

#1
第064回国会 外務委員会 第2号
昭和四十五年十二月三日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 十二月二日
   辞任          補欠選任
    野坂 参三君      岩間 正男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長谷川 仁君
    理 事
                石原慎太郎君
                木内 四郎君
                増原 恵吉君
                西村 関一君
    委 員
                鹿島守之助君
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                廣瀬 久忠君
                三木與吉郎君
                山本 利壽君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
                黒柳  明君
                岩間 正男君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長心得     大河原良雄君
       外務省条約局長  井川 克一君
       外務省国際連合
       局長       西堀 正弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (中国問題に関する件)
 (沖縄の港湾管理権問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長谷川仁君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 昨二日野坂参三君が委員を辞任され、その補欠として岩間正男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(長谷川仁君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○羽生三七君 きょうは主として中国問題についてお伺いをしたいと思いますが、さきに佐藤総理が所信表明で述べたことに関連した問題を最初にお尋ねをいたします。本来なら、これは総理にお尋ねすべき性質のものでありますが、予算委員会等の開会がまださだかでありませんので、この席で愛知外相にお尋ねいたします。
 御承知のように、中国問題がカナダ、イタリーをはじめとする諸国の中国承認及び国連における動向と関連をして全く新しい段階を迎えたことは、これは言うまでもないことであります。アメリカの中国封じ込め政策の破綻は今日では全く明瞭になったわけで、また、これに同調してきた日本としても、あらためて新しい選択を迫られているのが今日の段階ではないかと思います。要するに、このことは、道理の前に無理やごり押しは通用しなくなったことを意味していると思います。
 ところで、歴代の内閣が、日本政府が、中国との国交回復を拒否しもっぱら台湾に密着する政策を進めてきた最大の理由として政府があげているものは、国際信義ということに要約されると思います。この点について私の見解を述べながら外相の見解を承りたいのでありますが、国際信義の必要なことはもう言うまでもありません。しかし、中国問題について日本は国際信義を果たすべき相手を間違えたのではないかということであります。この点について、私は昭和二十七年一月の参議院本会議での代表質問の際に当時の吉田総理に、国府の選択が後日アジアの平和に重大な障害を及ぼすことになるのではないかと指摘したことがあります。そのときの速記録をここに持っておりますが、そのとき私は、外交にたんのうな吉田総理としてはまことに拙劣な選択をすることになるのではないか、こういう警告をしました。これは条約締結前の話であります。それはとにかく、日本がこの対中国問題について選択を誤ったということは、これは間違いのない事実だと思います。これが今日の不幸な事態の根源であるし、また同時に、日本政府が身動きのできない状態になっていることのそもそもの出発点となっているのではないかと思います。したがって、国際信義という問題を、新しく、より高く、より広い次元でもう一度あらためて再検討する時期に来ているのではないか、こう考えるわけであります。これは総理もしばしば言われているし、外相も言われているし、また、日本の歴代政府が対中国問題について台湾政府密着の問題であげる唯一の理由が国際信義でありますから、国際信義の選択すべき相手を間違えたのではないか、この際それを改める必要があるのではないかということをお尋ねする次第であります。
#5
○国務大臣(愛知揆一君) 最初にお述べになりました、従来からの政府の対中国政策は誤りであったということを前提に御質問でございますが、政府として、従来この複雑な問題に処してきた、とってきた政府の態度、方針というものは、あえて申し上げますが、賢明な措置であったと私は確信いたしております。
 それから次に、情勢が変化したではないかということは、国連の代表権の扱い方、あるいはそれに先立ってのイタリーの承認、カナダの承認、また最近ではエチオピアの承認というふうな事態が相次いで起こっておりますから、そういう状態を踏まえましてこれからどういう対策を講じていくかということについては、これは総理の演説にもありますように、国際信義ということももちろんでございましょうし、日本の国益、国際緊張の緩和というような基本的な考え方に基づいて周到に慎重に検討してまいりましたというのが、今日における政府の基本的態度である、こういうわけでございます。
#6
○羽生三七君 ただいまの御答弁の中で、このような複雑な問題をいまの形で処理してきたことは賢明だと言われましたが、実は、この単純な問題を複雑にしたのが政府のそもそもの出発点の間違いなんです。それを私は言っているわけなんです。現在複雑だったということはわかりますが、出発点においては決して複雑ではなかった。その選択のあやまちが今日の複雑な情勢を招来した唯一の原因であるということを申し上げているわけであります。
 その次に、やはり総理があげておる問題は国益という問題であります。これもしばしば言われます「国際信義あるいは国益に照らして」ということ、国益とは具体的に一体どういう内容を持っているのかということです。これは今春の予算委員会の総括の際に、私、佐藤総理に私なりの見解を申し上げました。私どもの理解するところでは、長期的に見て国民大多数の幸福と平和こそ国益――すなわち国民的利益――の内容であるべきだと思う。それはとりもなおさず、国民大多数の意思や希望に沿う政策、方向であるべきだと思います。ところが、日中国交正常化については大多数の国民がこれを望んでいることは、これはいまや明白な事実だと思います。したがって、むしろ国益に反しているのは、アメリカとともに国民政府に気がねをして、正当な中国問題の解決の道を歩もうとしない政府の側にあるのではないか。国益の具体的な内容はいかなるものであるかということをお尋ねする次第であります。
#7
○国務大臣(愛知揆一君) まず最初に、複雑な問題にみずからしたではないかという点にお答えしたいと思います。これはあえて日本だけではなくて、イタリーにしてもカナダにしても、他の外国の場合でも、この問題に取り組みましてから一つの決着を得るまでには非常に長期の時間と努力がかかっているということから見ましても、やはり国際的に複雑な問題だということも私は言えると思うのでありまして、いわんや、隣国であり、長年の特殊の関係があるところでありますだけに、日本としては非常に複雑な問題だと私は今日でも言わざるを得ないと思いますし、また、日本が求めて複雑にしたというふうには考えておりません。
 次に、国益とは何ぞやというお尋ねでありますが、これはただいまお話しのとおり、長期的にも、また当面から申しましても、時間的にも、いろいろの要素を考えなければならないし、国民大多数のしあわせのためということが基本でなければならない、これはもうまさにそのとおりだと私も考えます。同時に、今度はその内容を考えてまいりますと、国益の中の一番やっぱり基礎になるものは、たとえばセキュリティ――日本国民の安全ということも十分考えていかなければならない。こういうこともその要素の中に入るということを私は看過するわけにはいかないのではないか、こういうふうにも考えるわけでございます。
#8
○羽生三七君 日本国の安全を看過するわけにはいかぬと、これは当然の話でありますが、その安全はいかにして確立されるかという問題は、これからだんだん触れてまいりまするが、第三点は、やはり総理が所信表明で触れておる問題でありますけれども、極東の緊張緩和という問題であります。これがいま外相の触れられた問題とも関連するわけであります。この極東における最大の緊張要因といわれるものが、日本と中国がいまだ国交が正常化しておらぬということに大きなウエートがかかっておることは、これは当然だろうと思います。日本政府はこれ以外に朝鮮問題をあげるかもしれませんが、やはり最大の課題は中国問題だろうと思います。したがって、極東緊張緩和が日本の安全にとって重要な問題だ――これは外相も言われましたが――とするならば、日本政府が日中問題解決のために従来の姿勢を改めて、問題解決の本質と取り組んでこの問題を処理しない限り、実際に緊張緩和は実現しないのではないか。いまのような状態を続けている限り、いつまでたってもこの緊張は緩和をしない、そういうことになると思います。私は、おそらく外相は、それは解決のしかたの問題だろうと言われると思いますが、それは、あとこれからだんだん触れていきますが、緊張緩和は日中間の正常化によってもたらされる。この見解についてお尋ねいたします。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) 国際緊張緩和ということは、中国問題に限らず、日本の一番基本的な政策である。同時に、国際的にも望まれるべき筋合いの問題であろうと思いますから、中国問題とこれから周到に真剣に取り組んでまいります場合にも、やはり日本の周辺で、いかなる問題についても、いかなる国も、武力にたよって問題の解決をするというようなことがまず第一に是正されるという、そういう角度から、ただいまもお話がございましたように、今後いろいろの解決策との関連においても、一番基本的に考えていかなければならない問題、こういうふうに考えてまいりたいと思います。
#10
○羽生三七君 どうも外相、基本的な問題を、本質に触れることを避けながら、ずらしておるという感じがいたすのであります。これは中国問題に対する日本の政治姿勢そのものを、いまの外相の表現で端的にあらわされたと思うのでありますが、そこで、総理は国連での演説で、また、この間の所信表明の場合にも言っておられましたが、分裂国家問題に触れておられます。外相も御承知のように、この問題も私は今春の予算委員会の際、国連総会の二十五周年記念総会に総理が出席されるならば、分裂国家問題に触れ、しかも、その中の三つがアジアの中にあるという現実を踏まえて、まず緊張緩和に資するためにこの問題を解決することを訴えるべきだ、こう私は総理に要請をしたことがありますが、そのことは総理が国連で言われましたけれども、しかし、問題は、そういう問題を指摘しながら、現実には中国問題に対しては重要事項指定方式の指定の当事国になって、中国問題の解決の正当な方向をむしろ阻害しておる。これは分裂国家の解決ということを言いながら、実際にはこれをむしろそのまま引き続いていまの事態を継続させるようなことを現に政府がやっておるわけですから、これは非常に大きな矛盾ではないかと思いますが、この点はいかがですか。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) 分裂国家の問題を取り上げましたその気持ちというのは、羽生委員が前に御指摘になったそういう気持ちと私は通っていると思うんです。ただ、これを今後どういうふうに解決するかということについては、総理の国連演説等にも出ておりますように、これはいわゆる超大国の経過における点から考えての責任ということも指摘せざるを得ないし、同時に、全世界の人たちがそういう気持ちで解決に当たってもらいたい。具体的には平和的な話し合いで何とか解決ができないものだろうかということを示唆したのであって、具体的な方法論にまで入っておるわけではない。これがこの演説等にあらわれた考え方である、こういうふうに思いますので、中国問題につきましても、これはこれからいろいろの角度から御意見を承ることができてしあわせと思いますけれども、だんだん順を追うて私もお答えをいたしたいと思います。
#12
○羽生三七君 そこで、この所信表明演説、まあこれは総理自身の責任で述べられたものですが、おそらく外交問題では愛知外相と一体と考えますので、重ねてお伺いいたしますが、所信表明演説の中で総理は分裂国家問題に触れながら、「分裂国家問題の解決は、わが国の安全保障の問題としても重大な関心を抱かざるを得ない」と指摘して、「そして分裂国家問題に大きな責任を持つ米ソ二大国が、より深い関心を払うことを期待するとともに、全世界が勇気を持ってこの問題の平和的解決に役立つ国際環境をつくり出すよう努力すること」を訴えておるわけですね。これはよくわかります。わかりますが、そうすると、これはいわば問題の解決を完全に米ソ両国あるいは全世界にゆだねて、それを世界が勇気を持ってやってくれと言っているわけですね。それでは、いま外相の言われた、中国に一番近い日本、しかも、日華事変以来長い間の関連を持つこの日本が、この問題については一言も解決の具体策に触れることなしに、すべてのげたを米ソ両国及び全世界に預けて、しかも、それらの国々が勇気を持ってやれと――これは驚くべきことですね。実はこのような日本自身の主体性のない演説が、残念ながら国連においてわが日本国代表である首相の演説に反響がわかなかった大きな理由ではないかと思う。私は、党は違いますが、正しい方向を主張して総理が国連で大いに世界の反響を呼ぶようなことを実は期待しておった。しかし、それにもかかわらず、各国代表の多くが全く何らの反響を示さず退場するというような場面に出っくわしたということは、まことに私どもとしても遺憾であります。このような自主性のない外交で一体いいとお考えになるのか。しかも、遠い国ならいざ知らず、外相の言われたように、最も近い隣国、しかも、歴史的に深い関連を持つ中国に対してこのような自主性のない外交が正当とお考えになるかどうかお伺いいたします。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、御批判は別としまして、たとえば中国問題にいたしましても、これからいろいろの御意見が伺えると思いますけれども、日本自身は、武力を行使したりして解決をしようということは毛頭考えてもいないしその意図のないことは、あまりにも私は明らかではないかと思います。したがって、中国問題につきましても、他国の、あるいは当事者の、武力を用いないということに対する勇気のある態度を願望するというのは、日本の立場として、他国への呼びかけであって、これは当然なことではないだろうかと、まあ、私はこういうふうに考えるわけであります。
#14
○羽生三七君 それではお答えになっておらぬと思うんですね、それは外国に勇気を求めて、日本は知らぬ顔をして、世界はうまくやってくれということなんで。武力行使ということは、よその国が中国に攻めてくることを言っておるんではないと思います。中国北京と国府台湾のこれは内政問題です。したがって、武力行使云々をこの中国問題の解決にからめて言われることは、これは意味をなさないと思うんです。
 そこで、日本は国連で、中国問題の決着がつくまで、日本としては従来の態度、方針を変えないということなのかどうか。つまり、米ソ両国なりあるいは世界が勇気を持って問題を処理せよと言っておる。したがって、その時点まで日本は日本自身の自主的な外交というものは何もないのか。つまり、国連で決着のつく時点で初めて日本が態度を明らかにするのか。その辺は一体どうなんでありますか。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) いまのお尋ねの中にはいろいろな問題が含まれていると思うんですけれども、たとえば、中国の問題は内政問題である――ということについても、またいろいろの議論があり得る問題だと思いますし、また、内政問題なら武力を行使してもいいのかどうかという問題もあろうかと思います。それから、日本の国益ということから申しましても、周辺に武力闘争が起こるということは、先ほど私が申しましたが、国益の中の一つの大きな要素であるところの日本のセキュリティということからいって、これに対しては重大なる関心と意見を表明すべきじゃないか、そういうふうに考えられるわけです。
 それから、御質問の本体の、それなら、あなたまかせでそれに乗るのかと、こういうことでありますけれども、一番最初の御質問に戻るかもしれませんけれども、いろいろの新しい情勢も起こっておりますし、こういうことは中国問題を考える場合のこれまた一つの大きな要素でございますから、国連の今後のたとえば代表権の問題にしばってみても、従来のようなやり方だけでいいかどうかということについては、慎重に検討していくという中に私は入れて考えていきたいと思います。いつまでも従来のやり方が必ずしもいいかどうかということについては、これは十分再検討しなければならないと思っております。二十五回総会までのところにおきましては、先ほど申しましたように、従来のやり方が私はよかったと思いますけれども、この時点に立って今後を展望すれば、それらの点を慎重に新たに検討する必要がここに起こってきたという認識を私は持っておるわけでございます。
 それから、ただ、これはまたあとでいろいろの御議論があると思いますけれども、重要事項として扱うということは、かねがね私も言っておりましたけれども、国連のこれは運営の問題にかかわることであって、今回の代表権問題の投票の結果を見ましても、中国を承認しあるいは加盟に賛成をして態度を明白にしている有力な国々の中にも、重要事項指定方式には賛成投票しているところが相当あるということは御承知のとおりでございますから、これらの点は、やはり今回の投票にあらわれた各国の態度等についても相当真剣に分析し、そこから各国の動向というようなものの見通しをつけていくということももちろん私は大切な要素であると思います。日本が中国に対してどういうふうに主体的に考えていくかということとこれは相関連する問題だ、こういうふうに認識しております。
#16
○羽生三七君 重要事項指定問題と国連の動向についてはまた後刻触れますが、そうすると、いま外相のお答えの中にありましたことですけれども、いままでのところはこういうやり方をしたが、将来これらの情勢を検討して――つまり、再検討することも十分あり得ると言われましたが、このことは、結局つまり、米ソ両国なり同連加盟の世界諸国がすべて態度を決定するまでは日本は何も動かないということではないと。――考えるというだけなら、いまだって考えておるでしょうから。そういう場合に、国連の最終決定がある以前においても、日本が日本なりの行動をとることもあり得る――考えるだけではこれは意味ないですから――そういう理解でよろしゅうごさいますか。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) 考えるということは実行が前提でございますから、そういうふうに御理解をいただきたい。
#18
○羽生三七君 それから、内政問題であるが武力行使しないほうがよろしい――それは当然であります。幾ら内政問題であろうと、武力行使するようなことは適当でない。しかし同時に、日本なりあるいは関係諸国、国連が、武力を行使しなくともこの問題が解決できるような条件をもう全力をあげてさがし求めなければならないということを前提にして私はお尋ねをしておるわけであります。
 そこで、いま外相の触れた代表権の問題に触れていくわけですが、国連における正統な代表権は、台湾にではなく中国本土、北京政府にあるということは、今日は世界の大勢となっております。これは理論ではなく、現実の国連の表決の上にあらわれております。ただ問題は、台湾の処遇をどうするかで意見が分かれている。これは言うまでもなく、台湾問題は中国の内政問題であります。私はそれを前提にして言っているんでありますが、しかし、それにもかかわらず、台湾が中国を代表する唯一の正統な政府であるという、そういう理解をする国は、今日世界ではほとんどないのではないでしょうか。そこで、日本政府が国民政府と条約を結んでいるということで、この類例のない虚構――フィクションを今後ともなおお続けになるお考えなのかどうか。この点を伺いたい。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) 私の、というか、政府の意見というのは慎重にいま検討中でございますから、客観的にお答えをしたいと思うのです。
 やはり、国連の代表権の扱いだけに、いまと同様に、しぼって客観的な情勢を見てみましても、約百三十の国が国連に加盟しているわけですけれども、今度の表決の結果を見てみると、これはアルバニア決議案にいたしましても二つの要素があるわけですけれども、その二つの要素に対するこの票にあらわれた各国の動向ということを考えてみますと、まず第一に、棄権が非常に多かったということです。これらの国々は、どちらを代表させるべきかということ、あるいは国府の追放ということ、そのいずれに、どういう考え方であったのかということは、全部が棄権ですから、捕捉はなかなかできませんですね。
 それから、先ほど申しました重要事項のほうの問題とすれば、承認したり加盟促進している国でも、重要事項に賛成している国が相当多い。これはまあ客観的な事実であって、いろいろこれから国際的な流れを検討していく上においては、やはり一つの大きな資料として考えていくべき問題ではなかろうかと思います。
 それから、いまも、世界の大勢の方向がきまったというお話でございましたけれども、票の上などにあらわれているところでは、百三十の中の三分の一ぐらいのところではないかと思います。
 それから今度は、承認と代表権問題とは必ずしも法律的には同じではないかもしれませんが、二国間で承認している国と、していない国、国府を承認している国と、していない国ということになると、やはり現状では国府を承認している国のほうが六十四ですか五ですか、それから、北京政府のほうを承認し、二国間で正常な外交関係を持っているものは五十五か六だったと記憶いたしております。こういう現状ですから、それだけに限定して客観的な資料として分析してみればそういう事実であるということは申し上げられると思います。
#20
○羽生三七君 表決の数でいえばいま外相の言われたとおりでしょうが、私の言いたいことは、いまのとうとうたる世界の流れを言っておるわけであります。
 そこで、次の問題は、選択の誤りを正すべきではないかということです。これはさきにも触れましたが、太平洋戦争はもとより、日本はそれ以前から中国に対してどういうことをやってきたか、これはあらためて私がここで申し上げるまでもないことと思います。そういう犠牲をしいてきたのは、ここは中国本土の人民に対してであります。したがって、本来なら、世界のいずれの国にも先がけて日本が中国と国交を回復して、あるいは中国の国際社会への復帰について貢献をしなければならぬ立場にあるのに、逆に、日本はこの問題でいまや世界のしんがりをつとめかねない情勢のもとにあるわけです。いまの外相の答弁で、必ずしもしんがりとは考える必要はないかもしれませんが、そういう情勢にある。したがって、バスに乗りおくれるとかどうとかいう問題ではないと思います。本来なら先頭のバスの運転席にすわらなければいけない日本なんです。それを、バスに乗りおくれるとか乗りおくれないとか、全く見当違いの議論をやっておりますが、先頭のバスの運転席にすわって、正当な選択を世界に先がけてやらなければならなかった日本のいまの姿勢を私は言っておるわけです。昔から、「あやまちを改むるにはばかることなかれ」ということをいわれておりますが、私はいまの日本に当てはまることばはこれだと思います。中華人民共和国との国交を回復して戦争の終結を実現すること、これが真の国際信義の履行にもなるし、国益にもなる。それから、国民政府に対しては、条理を尽くして説得すればいいと思います。あらゆる条理を尽くして十分理解を深める。――そんなことをやる必要はないと言う人もあるでしょう。そんなことは一刀両断のもとに決断すればいいと言うかもしれませんが――一方において、私がいま申し上げたような立場をとりながら、他方においては、そういう条理を尽くし、しかし、最終的な決断は、もちろんそのことのいかんにかかわらず、下さなければなりませんが、そういう意味で私は、やはり選択のあやまちを改める時期が今日ではないかということを強く外相に訴えたいのであります。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) 従来、今日までとってまいりました政策は、私が冒頭に申しましたように、この複雑な情勢の中では、とり得る賢明な政策であったと私は考えますし、それから、これはよく総理も言われることなんですけれども、蒋介石政府といいますか国民政府、これを相手に日華戦争が戦われた。非常な不幸なことである。これに対して日華平和条約で戦争終結ということができた。こういう角度に立ったのが日華平和条約の沿革であり背景であったと考えるわけでございます。この従来の政策に対する御批判はいろいろとおありだろうと思いますが、われわれとしては今後いかにすることが最善であるかということに考えを及ぼしていきたい。そうして、バスというお話がありましたが、おことばを返すようですけれども、政府としては、最も安全なバスの運転手になりたい。必ずしも先頭のバスの運転手にならなくても、最も安全運転の、自信のある運転手になりたいという意欲でこれから取り組んでまいりたいと思っております。
#22
○羽生三七君 バス論議はあとにしまして、そこで次は日中大使級会談の問題でありますが、これは第六十三国会でもこの問題に触れましたし、また今国会でもこの問題に触れられております。また、私が五月の本会議でこの問題で緊急質問をした際には、佐藤総理はこう答えられております。「日中間の相互理解を促進するため、高い次元からも、大使級会談に限らず政府間の接触に応ずる用意があります。この用意があるということは、私どもの申し込みととられてもしかるべきものだと思います」、こう答弁されたわけです。したがって、あのときの答弁が中国に対する申し込みと受け取ってくれ、こういうことでございました。しかし、その後中国側からは何の反応もなかったことは御承知のとおりであります。もっとも、これは反応があるはずはないと思います。国連で重要事項指定の当事国になって、また、日米共同声明で台湾の問題を取り入れて、その上に台湾に対する援助を強化する。こういう政策をとっておる日本が、口先だけ大使級会談と言っても、すぐに中国が乗るとは私は思いません。私はあとから触れますが、その前のこれは予算委員会ですが、ちゃんと注文をつけております。大使級会談をやるならば、単に抑留者の釈放という議題だけではだめです、中国が乗るであろう新しい条件をプラスして提案をしなさい――と言っておったのでありますが、報道によると、政府は今春、在仏日本大使館を通じて在仏中国大使館に大使級会談の開催を正式に申し入れたといわれております。しかしながら、これは拒否されたといわれております。その場合は、おそらく、いま私が触れました抑留者の釈放だけを議題にしてということであったと思いますが、いずれにしても、そういう事実があったのかどうか。これは新聞報道にちゃんと出ておりますが、この点をお伺いいたします。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) この大使級会談の御質問でございますけれども、いまも御指摘のように、これは当初は抑留邦人の問題というような人道的な問題で、かつ、すみやかな措置を要するような問題でありますから、こういう問題について大使級会談をやりたいという意思は、まあ微妙な問題ですから、いつ、どこで、どういうふうにということはごかんべん願いたいと思いますけれども、日本政府の意図を表明いたしましたことは事実でございます。それから、いろいろの機会に国会を通し、あるいはその他のそれに準ずる公式の場所でも大使級の会談ということは提唱いたしておりますから、これは北京にも通じておることと私は考えます。
 その次の、現在どういう考え方だとのお尋ねでございますけれども、私は、現在の考え方は、抑留邦人というようなことも非常に大事なことでございますけれども、政府間で相互の立場を尊重しながらとにかくひとつまず話し合ってみようという意味で、こちらは、いつ、いかなる場所でありましても門戸を開いておりますという姿勢を現にとっている次第でございます。
#24
○羽生三七君 現在の時点では、たとえばこの外務委員会を通じて、いま外相が言われたような形で、いつでも大使級会談を開く用意がある、あるいは門戸を開く、そういう形で、中国が何らかの反応を示すような、そんな甘い期待ができる情勢は過ぎ去ったと思います。これは、もう少し前ならいざ知らず、今日ではもっと、御承知のように、多くの国々が、もうそんなこまかい問題ではなしに、堂々と北京政権を承認するというような事態に発展しておるのでありますから、人道的な問題にしても、単に抑留者の釈放等という――まあ、その他も含むのでしょうが――程度で話し合いの希望があれば、こちらは応じてもいいということで開かれる可能性というものは私はほとんどないと思います。しかし、それにしても、もし何らかの開かれる可能性があるとするならば――あるかないかは別として――あるとしても、一体何を話し合うのかということです。それはいまの抑留者釈放問題等もありますが、それ以外の問題にはいま外相は触れておらない。したがって、いまの世界の大きな流れの中で、やはり中国も何らかの期待を持つであろう程度の話し合いということをも含めての前進的な姿勢で会談に応ずる用意があるということを明らかにしつつ、何らかの機会を通じて、それが在仏大使館かあるいはその他の国のしかるべき国の大使館を通じるなり、あるいは直接日本が何らかの方法で相手側に意思を伝えるなり、そういうやり方をしなければ、ただ国会の答弁を通じて相手の反応を待つというような時代は過ぎ去ったのではないかということを私は考えるわけで、したがって、正式に日本が今日の国際情勢を踏まえて、より前進的な姿勢であらゆる問題を話し合う用意があるということを明らかにしつつ、何らかの話し合いの糸口の開ける道を求めるべきではないかと思いますが、御所見を伺います。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) いまのお尋ねでは、方法論の問題と、それから何を話すつもりなのだということと、二つの御質疑の内容があると思いますけれども、まあ、この方法論というようなことについては、ただいまもちょっと触れましたけれども、微妙な外交上の方法論でもございますから、これはいろいろの考え方もないではないわけでございますけれども、いまそれ以上お答えすることをひとつ差し控えさしていただきたいと思います。
 それから、何を話すのかということでございますけれども、これはまずその道が開けることが前提でありますし、それから、いろいろ話を進める上において何から何まで用意をして、応酬要領をきちっとして話し合いに入るという方法もございましょうし、また、こちらから言えば、実情に対してもずいぶん、誤解とはあえて申しませんけれども、日本国内の事情、ことに政府のとっている態度や見解というようなことについて率直にこちらも話したい、聞いてもらいたい。向こうの言い分といいますか、考え方も十分聞いてみたい。これが、長年の間の複雑な状況で推移してまいりました間柄でありますだけに、そういうアプローチもまた一つ、方法論の選択としてよい道ではないか。私としては大体そういうふうに考えております。
#26
○委員長(長谷川仁君) 速記をちょっととめて。
  〔午前十時四十七分速記中止〕
  〔午前十一時三分速記開始〕
#27
○委員長(長谷川仁君) 速記を起こして。
#28
○羽生三七君 そこで、中国問題については次の国連総会まで持ち越しのような形になっておりますが、しかし、実際には、それ以前に安保理事会で中国問題の討議が行なわれる可能性があるようにいわれておるのですが、これはどうですか。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) あり得ます。
#30
○羽生三七君 その可能性があるとの御答弁ですが、そうなると、来年の総会まで考えておる、態度をきめるなんということじゃなしに、安保理事会の討議の中で、日本が単に総会で一票を投じたというような態度と違って――総会に一票を投じたことで済まされるような状態とは違って――何らかの意思表示をせんならぬ。ここでは投票をするんではなく、討議をするんですから、日本の意思を明らかにしなければならぬことが起こるのは、これは必然だと思います。したがって、そんなに一年間もゆっくり考えておるということじゃなしに、やはりある程度、日本が積極的に対中国問題についての考え方を固めていく必要が起こってくるのではないかと思いますが、その辺のお考えを承りたいと思います。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) 政府といたしましても、先ほど来申し上げておりますように、新しい国際的な動きも現にあったわけでございますから、来年になればいいというような、来年の総会までにというようなことでなく、ほんとうに真剣に取り組んでまいらなければならない。すでにいろいろの検討は従来からも実はやっておりますけれども、あらためて努力を新たにいたしつつある次第でございます。
#32
○羽生三七君 そこで、先ほど外相が触れられた重要事項指定方式の再検討の問題ですが、これは私が言うまでもないことなんですけれども、カナダはこの問題の表決において中国招請に賛成しながらも重要事項指定決議案にも賛成しました。これは、先ほど外相がそういう国もあるということを言われたことに当てはまるわけです。しかし同時に、重要事項指定決議案が多数の意思を押えるために使われるようなことがあれば明年は重要事項決議案に反対するという態度を再三にわたってカナダは明らかにしておるわけですね。したがいまして、この重要事項は、いわゆるアルバニア型決議案には賛成をしたが重要事項指定方式にも同時に賛成をしておるから、たいして問題はないというようなことで済まされる情勢ではないところへ私は来ておると思います。これは要するに、重要事項指定方式が問題の重要性を意味することに使われる表決方式ではなしに、むしろ、中国の国連復帰を阻止するために使われるという、そういう可能性をも含めておるためにカナダがこういう態度を明らかにしたと思います。また、外相が記者会見の際に、要するに、三分の二多数を要しない単純多数決でよいという態度は日本は賛成しかねると、単純多数決に反対で、三分の二多数決ということを重ねて外相が記者会見で言われておるように新聞に出ておりますが、これは記事の間違いなんでしょうか。先ほど、再検討ということを言われたこととこれは矛盾するように思うのですが、その辺はどうでありますか。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) まず、私が先ほど申し上げましたのは、事実を言っておるわけでございますから、その点はちょっと一言つけ加えさせていただきたいと思います。
 重要事項指定の先般の決議に賛成した中には、カナダ、イタリア、英国、オーストリアというように、アルバニア型決議案にも賛成している国が含まれておるという、この事実を指摘しただけでありまして、これらの国が――今度は見通しの問題として申し上げますならば――将来もこの態度を維持していくのかどうかということについては保証はございませんことは御指摘のとおりだと私も見ております。特にカナダについては、ただいまお話がありましたように、ことしは重要問題決議案を支持するけれども、将来どうであるかということについては態度を留保しておりますから、こういう点から申しますと、これらの国々が来年はこういう形の決議案が出たときにどういう態度をするであろうかということについては、おそらく態度の変更ということが出てくる可能性が相当あるのではなかろうか。また、そうなればそれに追随する国も出てくることも、これはまあ見通しの問題ですけれども、予想されないことはない。したがって、私が申し上げておりますことは、日本政府のとってまいりました従来の方針ですね、これを今後も引き続いて維持していくということが不適当であるというふうに考えるほうがいいのではないかというような気持ちを、現在、私は持っておりますけれども、しからば、そのオールターナティブとしてどういうかっこうがいいかというようなことは内容の問題に触れるわけでございますから、ただいまのところ、慎重に政府としては考究をいたしておると、こういうのが現状であります。
#34
○羽生三七君 中国問題はこれで終わりますけれども、いずれにしても、世界の大勢がどうかということを別にしても、先ほど来私が申し上げましたように、中国と最も深い関係にあり、しかも、歴史的なこの諸条件を踏まえて、私は、日本が、アジアの平和のためにも、また、外相がしばしば言われる日本の安全保障のためにも、また、極東の緊張緩和のためにも、あるいは長い将来の日中関係を展望する場合においても、すみやかに従来の選択の――これは見解の違いになるかもしれませんが、私から言うならば、選択のあやまちを正す方向において最善の努力を尽くされることを希望いたしておきます。
 それから最後に一言だけ、これは中国問題以外に――中国問題にも関連するわけですが――お伺いしたいことは、先日衆議院の下平正一君の代表質問に対して総理がこういうことを言っておられますですね。それはこういうことです。――言うまでもなく中国が一つであることは従来政府が堅持してきた。双方が全中国の主権を主張している現状において、わが国は締結した条約に基づいて国際信義を重んじ、国民政府との外交関係を続けており、これを変える気はない。日米共同声明の関連部分は、沖縄の祖国復帰に伴い、わが国の防衛区域が拡大したのに伴う当然の帰結を述べたものであって、極東の平和と安全こそ極東における緊張緩和の前提である。――ということで、要するに、日米共同声明の台湾に関する部分は、これは不適当ではないかという指摘に対して、これは沖縄の祖国復帰に伴い、わが国の防衛区域が拡大したのに伴う当然の結果だと、こう総理は答弁の中で答えられたわけですね。そこで、従来、安保条約は、言うまでもなくわが国の平和と安全を確保するもので、全く防衛的なものといわれておる。それが、ただ沖縄が祖国日本に復帰をして安保の起用区域が延びたということで、それが自動的に台湾問題を共同声明に入れるのは当然だと、しかも、そういう他地域の問題を日本の本土の場合と同列に並べて同じ価値評価をしてあたりまえではないかという答弁は、これは私、非常な論理の飛躍というか、非常なあやまちではないか。これは安保条約の質的変化に伴う当然の帰結を政府みずからがむしろ認めたような結果になっておるではないか。この部分の総理の答弁は、これは私は非常に不適当だと思うのですが、外相の見解はいかかでしょうか。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) この問題につきましては、沖縄返還が具体的問題になりましてから論議か大いにかわされてきたところでございます。沖縄が返還になりましても安保条約というものが質的に変化することはないという点は、あらゆる機会に表明してまいりましたとおりでございまして、日本及び日本を含む極東の安全ということで安保条約ができておる。その性格並びにその運用については何らの変更なしに今後も続けられるということが沖縄返還の具体的な返還基本要領でございますから、その範囲内でこの総理の答弁も御解釈をいただきたいと思います。
#36
○羽生三七君 まだたくさんありますが、本日はこの程度にいたします。
#37
○森元治郎君 少しからだの調子が悪いんで、十分用意した御質問はできないのですが、思いついたことだけを伺ってみたいと思います。したがって、問題はあちこちに飛びます。
 一つは、この中国の代表権問題で、国連のニュースはお互いに非常に注目をして読んでおったわけです。佐藤総理が勢い込んで登壇したところが、参列の代表の方々はばらばらと出て行ってしまった。自民党の偉い人で私の友だちなどは、外務省の出先、何やってんだ、大体あのころ安保理事会なんか開かして、そうして総理の演説を聞く人をなくするような、たるんでいるじゃないかと言って、たいへんおこっておりました。
 これはどういうことなんですか。愛知さんは英語で演説したから聞いている人はわかる。佐藤さんは日本語でしょう。これはまあ聞いてもわからぬからだろうけれども、そういう手抜かりがないのか。どんなふうでしたか。
#38
○国務大臣(愛知揆一君) 記念総会での佐藤総理の演説の日に、たまたま前広に私の承知していなかった点が手抜かりといえば手抜かりであったと思いますけれども、ソ連代表の演説があったあとで安保理事会の秘密会議が開かれることになったその関係で、暫時そのままで――ちょうど、いましがた私がしばらく休憩をお願いしたんですが、そのままの形で、安保理事会の秘密会議に行く人が退席する間、暫時そのままでいわば休憩になった。それから佐藤さんの演説が開始されたわけです。
 安保理事会は外務大臣の秘密会議ということでございましたから、そのために出席するというので席を立った人はもうきわめて少数でございます。その理事会の日程を延ばすとか、日本の総理大臣の演説をそこで取りやめてあとに延ばすとかいうようなことができたかどうかというようなことについてはいろいろの考え方もありましょうけれども、国連の議事の進行の慣行からいたしますと、どうもやむを得なかったことではないかと思われます。
 それから、率直に申しまして、ソ連のグロムイコ代表の演説というものは、たまたま中近東その他の急迫した問題を控えておった関係もございましょう。まあ、俗にいえば、聴衆が多かったわけでございます。グロムイコ演説が済んだからといって、それだけを聞きに来た人がある程度退席した。これはまあそれと必ずしも関連のないことであろうかと思います。同時に、しかし、総理の演説が終わりましてから、御承知のように、二十五総会のときの日本の議席は、たまたまこれも偶然なことですが、一番最前列の一番まん中でございます。席のぐあいも必ずしもよくなかった。これはしかし抽せんできまることですから何ともいたし方はございません。席のぐあいがそういう状態であるにもかかわらず、多くの各国の代表――私も日本代表の席におって間近に見ておるわけですけれども――二十人ほどの各国の代表が列をなして佐藤総理に握手を求めに来て、最前列であるだけに、次の登壇者にはたいへん迷惑をかけた結果になったと思いますけれども、これほどの人数の人が握手を求め、おめでとうと言ったという例も、またこれもあまりない例だと、私は現に見て、この点はたいへん私もうれしく思ったわけでございます。次の番がニュージーランドの代表でございましたが、そして、佐藤総理の演説が終わりましてから相当多数が退場いたしました。これもいたし方ないことかと思いますけれども、ニュージーランドの代表はたいへん演説がやりにくかったんじゃないか。これに比較すれば、暫時そのままでということで、若干の休憩を――四、五分間ではありましたが――佐藤総理の演説の前にハンブロ議長が取りはからってくれたことは、これまた日本の代表に対する配慮であると、私はこういうふうに感じております。
 事実は以上申し上げたとおりでございますが、まあ、何ぶんにも、御案内のように国連には国連の議事規則もあり運営の慣行もございますから、日本だけで日本だけの都合のいいようにという運営のしかたを、百二十七カ国の代表の総会において、そうそうこちらのいいようにだけはできないということは、各国とも御同様ではないかと思いますが、しかし、あえて私は弁解はいたしませんが、事実はそのとおりでございます。
 今後そういうようなことに処する場合におきましては、なお一そうの、何と言ったらいいでしょうか、周到な、考え得るいろいろの方策というものは必要じゃないかと思いますが、たとえば、安保理事会の中に日本が入っていなかったというようなことも実際上はやりにくいところがある。今回は、非常任ではありますけれども、安保理事会の一員になりましたので、そういう点でも相当の変化は見られると思います。
 それから、多少次元の低いことになりますけれども、国連の事務局に有能な日本人職員を相当数送り込むというようなことが今後できますれば、そういう点でも相当改善ができるのではないか、こういうふうに考えております。
#39
○森元治郎君 その自民党の偉い幹部の人はそう言っておこったけれども、私はそれはちょっと無理だと思ったのは、安保理事会の常任理事国でもないことはさておいて、世界における日本の評価というのは、まだ米ソなどにははるかに追いつかない。おそらく米ソの代表がしゃべるときにはたくさんの人が入っていると思う。私は、なくなったケネディの演説を国連で聞きましたが、それは満員なくらいになりました。佐藤さんのときはおそらく四、五割だったろう。四、五割でも上等だと評価する人もある。私は、世界における日本の声価が――いま中国問題を中心に大きな両方の戦いをやっているときに、日本の発言というのはそんなに高くよそから評価されておらなかったのだから、よほどの努力をしなければならぬという感じを受けたのですが、どんなものですか。その点は大臣、どうですか。
#40
○国務大臣(愛知揆一君) 私、いま詳細に私の感想や意見やあるいは遺憾の意を表しているわけでございます。それ以上申し上げることはございません。いろいろこれから改善の余地もありましょうし、しかし、基本は、やはり日本の国連における立場もまた相当これから変化があって向上することを期待しております。
#41
○森元治郎君 ただ、感じられることは、大臣もちょっと最後に触れられたが、国連、国連と言いながら、何といっても国連の事務局、一番これが策謀の根拠地ですから、事を運ぶいわゆる議事進行についても、いままではインドですか、インドなどがのさばっていて、なかなかわれわれの思うとおりにいかない。これにやはり相当な力を本気になって注ぎ込まなければだめだということ。
 もう一つは、外交官の出先の代表の連中も御苦労はしただろうと思う。しかし、任地は変わる。「国連専門屋」といってあそこに長く常駐する大使級の連中もいない。国連の場というのは名演説ばかりが能じゃないので、これは議運活動の比重の多い場ですよね。議運の感覚が外交官にないのじゃないか。ですから、専門の連中をひとつ教育して――私も国会議員になって、初めのときは演説ばかり質問ばかりが国会議員の「花」かと思ったら、ほんとうの勝負は見えないところでやっているのですよね、おぜん立ては。だから外交官も、これからいよいよ来年の国連総会ではたいへんなことになるんでしょう。とすれば、ひとつ国会にでも引っぱり出してきて、よく議運の場の傍聴でもさしてもらって、どういうようにやりとりをやるか――これはほんとですよ――大事な勉強をさせるようにしないと、議事の運営で、勝てるものも勝てなくなる。たいへんな不利になる。そういうような特殊外交官教育はどうですか。
#42
○国務大臣(愛知揆一君) いま森委員のお話しになったことは私もそのものずばり同感するのです。議運というおことばがありましたが、私もまさに議運ということばを、そのときも、まあ内輪では使っているわけですけれども、ところが、議運の委員に出ていないということでは議運で働く場所もないわけですね。そういう点では今後改善の余地のあるところであると思います。
#43
○森元治郎君 それでは、かたい話に戻りまして、あちこち話は飛びますが、きょうの私の質問の気持ちは、中国問題というのはあまりに広く深く、一つの問題をとって言ったって終わるものじゃない。何だかわからなくなってきたので、政府は何を考えておられるのか、そのはっきりしたものがこれだというのならばわれわれも的確なる質問ができると思うんです。だから、そういう意味で御質問を申し上げまするが、先ほど羽生さんの触れた南西諸島が日本の防衛範囲に入ったからその地域の平和の維持には重大なる関心があるのは当然だということ、その意図するところは、簡単なことばで言えば、台湾が武力解放などはやってもらっては困る、ごめんこうむりたいということを腹に納めての発言のように受け取るのだが、そうだと思って間遠いないでしょうね。
#44
○国務大臣(愛知揆一君) 私もそう思います。同時に、台湾のほうも、可能性とか意図は私もわかりませんけれども、台湾のほうも、大陸反攻というようなことはいかがかと思いますね。要するに、両方とも武力で解放したり大陸に攻め上がるというこの考え方はやめて、われわれの安心できるようにしていただきたいと思うのは私一人ではないのじゃないかと思うのです。
#45
○森元治郎君 私はその点をもっと――陰にこもったような抽象的なことを言わないで、代表権問題で北京と台湾が抗争しているおりから、この問題解決に力がそがれるようなことがあってはいけないという点を特にえり抜いて大きくやっぱり宣言することが、今後のこの問題取り扱いについての大事なことだと思うのですよ。その点はどうも日本の政府の腹が抽象的に走っている。力を使うようになったのではとても話にならない、少なくもいずれが正統なる代表権かは話し合いできめるべきで力は絶対反対、この点だけでも特にえり抜いて私は声を大にして言うべきだと思います。台湾のほうの場合はアメリカとの共同防衛もありますし、アメリカが、そんなことでは応援できないと言えば、台湾ひとりではできるものではないから、この点は問題ないが、特にこの点を強調されることがこの問題の将来に明るい光を投げるのだろうと思うのです。そこで、一体日本は、日本政府は国際信義を守って、台湾との平和条約を結んである以上、これとの国交関係を維持していく。東洋人的な感覚から信義と言うのならば、いいときばかりのおつき合いじゃなく、悪いとき――全世界で台湾が孤立してしまう、あるいは国連から追い出されるかもしれない、あるいはみずから出るかもしれない、そうなってもとことんまで同甘共苦とか死生を共にするというまでの決意があるのかどうか、いかがでしょう。
#46
○国務大臣(愛知揆一君) そういうお尋ねでございますと、私の答えは抽象的にならざるを得ないので、国際信義ということも大事な一つの要素でございます。国益も大切であるし、緊張緩和も大切でございます。この基礎の上に立って政府としては真剣に慎重にただいま検討中でございますから、ただいま森委員の御意見を、私は建設的な御意見としてきわめてありがたく拝聴いたしておきます。
#47
○森元治郎君 あちこち話は飛びますが、このごろあまりあちこちに出ないのだけれども、台湾の人民の声を聞くべきだというのがつい五、六年先ごろまでは世界でよくあちらこちら学者、政治家、ジャーナリストが言っておりましたが、最近消えました。蒋介石もいまは台湾を押えておりまするけれども、これは外省人で、外から入ってきて乗っかっておるわけで、あそこにいる千数百万のもともと住んでいる人の気持ちというのは、どこにも政治の面にあらわれてこないのですね。こういうことはテーク・ノートする必要ありと思いますか。それはもう完全に蒋介石の治下にあって何らその必要はないのだとお考えになりますか。
#48
○国務大臣(愛知揆一君) その辺のところになりますと、やはり日本の政府の立場におきまして、ただいまの段階でとやかくコメントすべきときではないと、そう思っております。
#49
○森元治郎君 答弁はつらいだろうけれども、政府の段階でというあれですが、まあ、大臣少し時間をあげますから、落ちついてことばを整理し、表現をじょうずにして、もうちょっとお述べを願いたいと思います。そうですよ、これ、ケアレスなこと言っちゃたいへんですから。しかし、この問題はやはり一つの問題として将来必ず起こってくる問題だと思うので、あらかじめ政治家の愛知さんの気持ちをひとつ――政策でないですよ――聞きたい。
#50
○国務大臣(愛知揆一君) やはりこういう問題になりますと、たいへんけっこうなことなんでありますけれども、よく私が申しますが、日本の国会は全く自由に、かつ、外国に対しても開けておりますだけに、事柄の性格あるいは微妙な段階の場合における発言は、ことに政府としては慎まなければならない。将来国民的なコンセンサスの上に立って日本の国益を伸ばすという大目的を貫徹するために、小出しにちょこちょこ公の発言などをしますことは私はいかがかと思いますので、いまの点については答弁を留保さしていただきたい。
#51
○森元治郎君 それでは、従来政府は、台湾は中国のただ一つの代表だと言い、北京もそう言っているので困っているのだ、ひとつ両者が平和的に話し合ってきめてくれと、こういうことをしばしば総理の口からも、あるいは木村俊夫といったか、官房の副長官も、そういう趣旨のことを言っている。これは日本は困っているのだ、おまえら二人で話してくれ、二人が平和的に話がつくまでは台湾をおれは承認して待っているから、いずれかにきまったらそちらに切りかえよう、たまたま台湾にまとまるならいまのままでよろしい、北京にまとまるなら切りかえましょう――こういうあなたまかせ、あなたがやってくれ、待っているからと、こういうことなんですか。これは素朴な表現を私は使うのですが、問題はむずかしいですから、しろうとがわかるように、外務委員会の先生たちでわかってもしかたがない、国民がわからなければいけないと思うので、そういう砕けたやわらかい形での質問をしてみたのですがね。
#52
○国務大臣(愛知揆一君) その事柄の、何と申しますか、事理からいえば、双方ともに、一つの中国であるというきわめて強い主張をしておって、そして、わがほうのみが唯一の合法政権であるという主張をしておりますことが現状でございますね。そして、やはりそういう中国の争いというか、この問題についてはどうかお内輪でひとつ結論を出していただきたい。隣国とは言いながら非常な重大な関心を持っている日本ではあるけれども、どうなさいよと言うことは不遜の態度であると、事理からいえば、私はそういうことであると思います。ただ、御注文は、お話し合いはあくまで平和にやっていただきたい、武力解放というようなことはこれはお隣としても迷惑なことですから、これはやめていただきたい。これが私は事柄の筋書きとしての考え方だと思うのです。そしてそう言うからには、その内輪のお話し合いでどういう結論が合意されるにしても、その合意された結果についてはこれはそのまま日本としては、ああそうですかと言って認めて、そこと国交その他の正常化ということができるというのが私はこのことの筋道だと思うのです。ですから、政府の考え方というものは、その限りにおいては私はいま明白であろうかと思います。ところが、それから先、こんなことを言っていたって、おまえまかせでどうなんだということはみんな考えるところですから、そこまでのところに参りますと、今後どういうふうに持っていったらいいか。あるいは一方においては、中国の内輪の問題だけじゃなくて、国連の代表権の扱いというような問題を考えてみても、これはまた国際的な大きな動きがあり、日本としてもそれに対してはやはり十分な配慮と、聞くべき意見は聞いていかなければならない。こういうことじゃないかと思います。ですから、相当多角的に情勢を十分注視しながら、日本としての主体性で安全なバスを仕立てるようにしなければならない。したがって、先ほど羽生委員に対してもお答えいたしましたが、そんなにのんべんだらりとしているわけではもちろんございませんけれども、やはり慎重で真剣であらねばならないというのが私は政府の態度だと、これは国民の皆さまに対しても私はその態度をよく理解していただけると思っております。
#53
○木内四郎君 ちょっと関連。
 中国問題、特に台湾との関係でありますが、非常にデリケートな問題が多いようでありますから、いかがでしょうか、これをもし外務大臣の御意向で、秘密会議にでもして、円卓会議というよりも秘密会議の形で答弁していただくほうがいいというお考えなら、そういうふうにしていただいたらどうかということなんですが。
#54
○委員長(長谷川仁君) 外務大臣、これに対してどうですか、御意見は。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) それはもう委員会でおきめになることであれば、いかようでも。
#56
○委員長(長谷川仁君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#57
○委員長(長谷川仁君) 速記を起こしてください。
#58
○森元治郎君 ほんとうにこの問題はずばり言わないと理解ができないのですよ。だから、きょう最初に申し上げたように、きょうは、どんなお考えか、気持ちでもいい、政策がなければ気分でもいい、あるいは無責任な発言でも、こんなふうなことを考えているんだがでもいいから聞きたい。そうでないと質問ができないと私は思う。そういう意味で伺ったわけなんです。
 それでは、これは答えにくいかもしらぬが、一体台湾というものの処理を自民党の方たち、政府はどうしようとしているのか。これはぎりぎりに行きますと、代表権は北京だからといって、中共の施政下に台湾がすっぽりと組み込まれて、もはや出入りもできない、商売もできない、何もできないじゃ困る。たとえ北京に一本化されても、なおかつ台湾とは従来どおりの――まあ香港と言ったらいいかな――従来どおりの行き来ができ、自由な交際ができるように残されるならばと考えているのだが、未練というものが台湾問題に一番大きな問題じゃないか。未練――捨ててはしまったが、日本の統治がよかったせいで――年寄りの人が言いますけれども――台湾人はたいへん日本人に好意を持っている。この好意を持っている台湾人をみすみす共産中国の中に渡しちゃうのはたえ切れないという、こういう感情論も理論の底にはなかなか大きな力として働いているんじゃないか。これを払拭すれば、台湾問題は私は解決はわりにやさしいんじゃないか。この人間的な感情、伝統的な感情といいますか、これはなかなか政治の上では、オーデル・ナイセをとっても、独ソ国境でも、独波国境でも、ポーランド――ソビエト国境でも、感情の問題というのは、どうしても議論や説得ではなかなかきかないものなんですね。それは断ち切れないものを持っている。単なる防衛政策上とか軍事上とかあるいは通商上とか、そういうのじゃなくて、気持ちの上の整理ができていない。これは台湾問題をむずかしく――何とかして台湾を従来のまま、たとい北京の施政下に入っても、その道が残されるならば考えようがある。これはアメリカも日本も持っているんじゃないかと思うのですが。
#59
○国務大臣(愛知揆一君) これは国内の情勢分析のお話でございますからなにでございまするが、そういうふうな見方も私はあると思います。
 それから、これは顧みて他をお答えするようですけれども、先ほど羽生委員にお答えしたように、日本の国民的な考え方とは別に、代表権の国連での扱いの過程を見ましても、やはりいろいろの考え方がある。たとえばヨーロッパのある国も、とにかくこれが当たっているかどうかわかりませんけれども、国連の不偏性という原則から考えても、台湾というところに千四百万人の人口があって、そして相当にいい状態を国民が享受しているというこの二十数年にわたる事実を黙視することはできないので、代表権問題の扱い方ということについては慎重にならざるを得ない。むしろ中には、この現状というものを、法律上の承認という問題とは必ずしも限らないかもしれませんが、何とかしてその事実を承認し、かつ、これを支持しなければならないという意見がある。それからアルバニア決議案に対して賛成をした国の中でも、どうもアルバニア決議案の後段については、本来はそこは割り切れないんだけれども、中共加盟ということに重点を置いて、これにとにかく賛成はしたという国もあるようでありますから、そういうふうな国際的な、国連的な場においても、やはり台湾のステータスというものは相当関心の深い問題であるということは客観的に言えるのではないかと思います。日本の国民感情の分析というようなことについては、ただいまお話しになりましたようなことも事実であるということは、私もそうだと思いますけれども、それとは離れて、そういう国際的なものの見方をしているところも相当ある。したがって、賛成・反対という表決の上で賛成が勝っておりますが、どちらとも意思表示ができなかったところが相当あるがために、国連全体の中では三分の一に達しないという程度のところがアルバニア決議案に対しての賛成の国であった、これが客観的事実であったということも、これからいろいろ考えてまいりまする上の一つの資料ではある。これは先ほど申し上げたとおりに考えておるわけでございます。
#60
○森元治郎君 もう法律論とか、国連憲章の解釈とか、不偏性とかいういわゆる技術上の問題とかを全部除いて、とことんの質問をしておるわけでありまして、台湾というようなものは断ち切りがたい感情を持って、台湾住民がいまの国民政府の施政下の台湾であろうと中共の施政下に入ろうと、いままでどおり何とかいく道はないだろうか、そういう従来どおりのつき合いをしたいという気持ちがあるんじゃないか、自民党及び政府の方々は。これはどうですか。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) 政府は、繰り返すようですが、中国問題に対して新しい場面でどういうふうにかじをとるのが一番いいかということについては、慎重に考えつつあるわけであります。
 それから、自民党のほうは、私からお答えすべき筋でないかもしれませんが、実は昨日も報道されておりますけれども、中国問題小委員会で、きわめて熱心に、相当の時間、いろいろフリー・トーキングをいたしましたが、私も政府の意図というものは表明しておりませんけれども、私もむしろ一党員という立場で自由討議に加わっておるのでございますが、まだコンセンサスがきっちりできておる段階ではございません。いろいろの角度から、中には相反する意見もございましょうし、また、ある点では大体こういう考え方かということが察知できる程度のことはありますけれども、コンセンサスとして討議をまとめる段階ではまだございません。
#62
○森元治郎君 あと五分しかないですから……。
 そこで、問題はやはり日中――北京と日本とのほんとうの腹を割った話し合いが大事になってくるわけで、大使級会談といって、総理も国会の答弁でも、さらに力を入れて軌道に乗せて推進していきたいと衆議院の代表質問に答えられておりますが、従来の抑留邦人のことから発して、この構想は本気になって推進すべきだと思うんです。そして、羽生さんの質問に対するお答えを伺っても、何を話するのかということについては、ばくとしているような御答弁で非常に不満ですね。思い切って自由に話してみる、そのことを整理してしっかり腹をつくることができると思うが、まだできていないようなお話で、ただ接触してみて何を考えているか聞こうかということでは、向こうは寄りつかない。私は、外交官レベルで話をするにしても、その大使は本省の訓令によって動くわけですね。ですから、訓令は閣議の決定を経て訓令が出るのだと思う。そのぐらいならば、もうこのぐらいに中共問題が身近になってきたいまとなっては、内閣を代表する閣僚――外務大臣でもどなたでもいい、あるいは国務大臣の肩書きを持った方が会談に乗り出す。それには、もちろんお話する質問条項、答弁内容も整理して、確たる政策を確立して閣僚級の人が話をしたい、話をされるというほうがいいんではないか、いまとなっては。そうしたことによって台湾もおこらないぐらいに事態は進んできていると思うんですが、そこまでの決断があるか。
 そして、時間ないから続けますが、ずばりはっきり、なぜ台湾にわれわれがこうやって固執――固執といいますか――台湾に固執するかということの理由の中には――政府側の言い分ですよ――あそこは通商路にあたっている。あの辺でお互いに武力抗争でも始められたら困る。軍事上、あそこへあんたのほうが来て、大砲だの何だの置いて防衛されては、南西諸島は目の前二百マイル以内にある、こっちは非常に心配だというようなことをあけすけに話をして、こっちの危惧するところを――向こうは日台条約を廃棄するとかなんとか言ってくるかしれませんが、堂々と応じる政策をつくって閣僚級で話をする。これは単に委員会で、北京まで届けよう――北京の人は聞いているだろう、聞いてくれというような中途はんぱな、空に向けてしゃべるのではなくて、ずばり手紙を向こうに出して、時、所はあなたのほうにまかせる、われわれは閣僚級を派遣して懇談したいという手紙を出して、話の糸口をつけるぐらいのことをやる段階に来ているのじゃないか。そのくらい積極性があってもいいんじゃないか。
 これで質問を終わります。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) いろいろ示唆のある建設的な御意見を承りましてまことにありがとうございますが、現在、政府としては、何べんも申しますように、国民的ないろいろの角度からの御意見も十分耳を傾けながら最善の方法と内容を積み上げていきたい、こういう姿勢で積極的に前向きに本件に取り組んでいきたいという考えでおりますけれども、いまこの段階で、どういう方法論でどうやるかということについては、まだ申し上げるまでの段階に至っておりません。
#64
○森元治郎君 やっぱり、何かの機会に自由にお話をする機会を持ちたいと思います。
#65
○黒柳明君 いま大臣の御答弁を聞いておりますと、先日の衆参の本会議の総理の所信表明演説に対する代表質問の答弁、ないし、その演説の中に盛られた内容、それからはちょっと進歩しているんじゃないかというような感じがするわけですが、国連におきましてのアルバニア決議案がああいう結果で出たあと、本村官房副長官あたりが非常に積極的に、重要事項方式あたりはことし一ばいでなくなるんじゃないか、こういうようなことが新聞報道では出ましたけれども、その後代表質問を中心にして、非常にやはり慎重かつ現実的なということで、抽象的な答弁しか出てこなかった。総理の演説の中でも非常にばくとしたものしかなかった。それから、ただいまの外務大臣の話ですと、まあ重要事項指定方式は不適当になるのではなかろうかとか、昨日の自民党小委員会におきましても、この問題はかわる案をつくる必要があるんじゃないか、こういうようなことで、若干でも取り組む姿勢が見えたんじゃなかろうかということも感じられないでもないんですけれども、中国に対する態度というものが、何がしかの前向きの方向に行こう、柔軟な姿勢をとろう、こういう打ち合わせでもしたのか、あるいは統一見解でもまとまったのか、そこらあたり、若干時間の相違がありますけれども、ちょっと変わっているような態度が出てきた、こう思うんですが、その点、いかがでしょうか。
#66
○国務大臣(愛知揆一君) 統一見解というお話でしたけれども、統一見解というような形で出すまでのところにはまだ来ておりません。しかし、申すまでもありませんが、総理大臣の演説は閣議決定を経ておりますし、それから、重要な問題についてのお答えの基礎は、その人によって表現は多少違うかもしれませんけれども、政府としては合意をして、その上に立って申し上げているわけですし、そういうことでございまして、いま別に統一見解というようなことは考えておりません。
#67
○黒柳明君 要するに、国際世論に動かされながらわが国の対中政策がきまっていくのか、それとも、政府独自の主体性を持ってこの対中政策というものをきめていくのか、この辺が非常に政府の姿勢が弱いと、私たち、こう思わざるを得ないし、何か国際世論に振り回されているんじゃないかという感じもしないわけではありません。これはもう国連におけるああいう結果――まあ、外務大臣は、特別にショックを受けるようなものでもない、いままで考えられたことであったと、こうは言うものの、何かああいうアルバニア方式というものの賛否が逆転したことを一つの契機にしまして、つい先国会までは対中政策を変えない、こういうことを言っていたのが、現実にはもう重要事項指定方式あたりはもう不適当じゃないか、こういうふうに見ざるを得ないような局面に来ているわけです。あるいは別に代案を考えざるを得ないような方向にも来ているわけですね。ですから、何か、政府の主体性を持って国連においてもこの中国問題に対処していくという姿勢が非常に欠けているんじゃなかろうか、であるならば、今後も、よく言われますように、次から次にカナダが、イタリアが、あるいはベルギーが、あるいはルクセンブルグがと、こういう承認国がふえるに従って日本政府のほうがやはりあわててきて、やはりじらされてきて、中国のほうはだんだんゆっくりかまえて、追われていくのは日本政府じゃなかろうか。やがては米中というものも急速に接近する可能性も将来は出てくるんじゃなかろうか。そういう、何か外国のことを見つつ日本政府の態度をきめてきたような、あるいは、これからもきめていくような感じを受けるんですが、もっともっと主体性を持って、むしろ日本政府としての独自の案を各国に先がけて打ち出すぐらいのやっぱり日中間の緊密性はあるし、そういう必要性があると、こう思うんですけれども、その辺、いかがでしょう。
#68
○国務大臣(愛知揆一君) これはやはり御指摘のように、日本が主体的に、中国との間がどういうかっこうが一番望ましいかということを積み上げて政策を形成するということが私は大事だと思いますけれども、同時に、代表権問題がこれだけ国連の舞台においても真剣に討議されている状態であるし、それから、各国それぞれの立場の中国問題に対する政策というものもあるわけですから、この国連を中心とする動きについても、決して私は二次的に考えるわけにはいかないと思うんです。相関して、関連させて日本の外交の歩む道というものを考えていかなければならない。やはり国際的な環境からいってどういう道がいいのかという一つのコンセンサスができてくれば、あるいは大多数の意見でそれがだんだん一つの形に固まってくれば、それも十分尊重していかなければならないと思います。あくまでこれは相関関係ですけれども、しかし、姿勢としては、やはり日本が主体的に中国政策はどうあるべきかということを常に中心に考えて、そしてその考え方がまとまるに従って、そういう方向へ国連なり国際的な動きができるだけ日本の望むような方向に導かれてくるような活動を展開していくということがこれからのとるべき順序だろうと、まあこういうように考えております。
#69
○黒柳明君 そうすると、日本の希望どうりにやっぱり国連の方向が行くことが望ましいと、これは当然ですけれども、やっぱりいままで見ましても、何かこれじゃ、日本が主体的にあるいは積極的に国連で中国政策を打ち出したかというと、こういうこともなかったんじゃなかろうか。私たち、いろいろなことを打ち出したこともありますけれども。今回の国連の演説でも、何かアメリカ代表に追随したような演説も、これは偶然の一致といえば一致でしょうけれども、そういうことも見られております。ですから、こういう国連における大使の演説のあと、今後も日米間の中国問題についての接触は続けていくと。続けていくことはけっこうだと思うんですけれども、何か続けていくということが飛躍しまして、あるいはそれが現実的なのかもわかりませんけれども、あくまでもアメリカの態度というものに日本が追随してきたようなこういう誤解を、あるいは錯覚を与えている。これはもういなめない事実かと思うんですけれども、一方中国のほうは、非常に最近のカナダないしイタリアに対する態度を見ても柔軟性があるように思えるんですけれども、この点、外務大臣としては中国の態度、これはテーク・ノート方式、いわゆるフランス方式、イギリス方式でもないカナダ方式という新しいものがここに出たんですけれども、この中国の柔軟性ということについて外務大臣はどのようなお考えを持っていましょうか。
#70
○国務大臣(愛知揆一君) 北京政府の態度の問題ですけれども、日本に対する態度においては何ら現在までのところ変化がないように見ております。しかし、たとえば国連に対する関係というようなことになりますと、御案内のように、アルバニア決議案に賛成し、かつ、この票が多かったということに対して、その協力に対する感謝の気持ちが中華人民共和国から表明されておる。こういう点から見ましても、かつては国連というようなものに、国際社会というようなものに対しては孤立的であり、これを問題にしないというかたい態度であったことがかなり変化が見られつつあるというふうに観測して間違いないんじゃないだろうかと思います。ですから、率直な希望を申しますれば、大使級会談等が開かれて、そして、ここで先ほど来いろいろ建設的な御意見も伺いましたけれども、まず相互が相互の立場を尊重し、そして内政には干渉しない、そして武力不行使というようなことが基本的な前提となって、相互のとにかく話し合いができるというようなことが行なわれれば、私は相当のここに道が開けてくるんではないだろうかという期待を持っておりますことは事実でございます。
#71
○黒柳明君 中国のICBMが七二年か三年と。来年あたりもこの代表権問題は相当転換を迫られるときですから、何も二年後、三年後の問題じゃないと思いますけれどもね、やっぱりICBMの実戦配置ということ、これが中国の国内情勢あるいは国際情勢に与える変化もやっぱり相当影響力あると思うんです。そうすると、ますます中国側というものは国連加盟に対して、むしろ諸外国のほうが中国を国際社会に引っぱり出そうという傾向が強まってくるんじゃないか、こういうことも考えられますし、中国のほうは、第二次的な報復手段であって決して攻撃には使わないと。アメリカのほうはやっぱりそういう声明は残念ながらしてないわけですが、こういうICBMの実戦配置、これが二年後か三年後に迫っているそういう時期、そういうときは、やっぱり非常に中国側の国内問題の安定度がこれはもう考えられますし、あるいはそれに対応する諸外国の態度も相当急激に変化してくると思うんですけれどもね。現状においては日本政府の態度というものは残念ながら暗中模索と、こういうことです。で、いま言われている重要事項指定確認方式の変わったものを何か考えたい、必要があるんじゃないかと。そうすると、あくまでもこれが中国を国連からボイコットするための代案を考えるのか。こういうことで、重要事項指定方式に対する政府の考えというものはいろいろあると思うんですけれども、客観的にはこの方式というものは中国国連加盟を阻止する案である、こういう認識はこれはもう変わらないと思うんですけれども、いま考える、これから慎重に検討する案というのは、国連加盟を阻止することを考える案、そういう何ものかが出てくるのか、その点、いかがでしょう。
#72
○国務大臣(愛知揆一君) 御承知のように、ことしの二月にたとえば拡散防止条約に日本政府としては調印をいたしました。その際に、ああいうふうなマルティの条約であって、しかも、それによって害を受けるものは、どこの国のものだったって国民、人民であるわけですから、そういう利害に関するようなものは、いかなるイデオロギーの国でも、あるいは未承認の国であっても、これに参加の道をあけて呼びかけをして、こういう条約には参加をすることが望ましいのだということは、日本政府として明らかにしております。それから、たとえばほかの例を申しますと、いまハイジャック防止についても、ICAO条約改定というか、新条約ということが国際的に考えられておりますが、日本政府としては、未承認国もこれに参加する、やつ。はりオール・ステーツ・フォーミュラというものが条約として望ましい。こういうものについては、まずどこの分裂国家も双方とも参加するように、日本としては常にそういう態度で呼びかけをしておるわけです。このICAOの条約はどういう形になりますか、いま国際的に真剣に検討されておる状況でございますけれども、日本政府としてはそういう立場をとっておるわけでございますから、そういう面でも日本政府としての態度を明らかにしているくらいなのでありますから、終局的に中共が国際社会に、いろいろの意味で、あらゆる意味で復帰することが望ましいということは、私は基本的な考え方であってしかるべきであると思います。
#73
○黒柳明君 そうすると、その基本的考えを土台にして、あくまでも代案になるであろうもの、あるいはいま政府が真剣に取り組み新しい努力をしているものは、積極的に中国を国連に加盟させるような方向で考えていると、こう言えるわけですか。
#74
○国務大臣(愛知揆一君) ただ、何でもかんでもということにはならないのじゃないでしょうか。たとえば、先ほど申しましたように、やはり何といっても武力を前提にするような考え方というものは、どこの国に対しても日本としては十二分に主張していきたいことだと思います。ですから、先ほど来申しておりますように、かりに北京との対話の場ができた場合には、どういうふうなこちらが態度でいくか、これが一つある。そして折衝を進めていくという行き方が一つ。それから、国際社会の中でも私はもう非常に複雑な問題だと思っております、国際的にも。そうでないという御意見も先ほど来伺いましたけれども、やはり非常に複雑な問題だと思いますし、そして、要するに、ずっと前の内閣のときでありましょうけれども、やはり歓迎されて、公正な立場で、国連憲章の精神というようなものあるいは考え方というようなものが十分のみ込まれて、歓迎されて国際社会に入ってくることが望ましいということは、どうしても考えていかなければならぬ問題じゃないかと思いますけれども、具体的にそれならばどういう考え方、どういうアプローチをしたらいいかということについては、先ほど来申しておりますように、いま私の、というか、政府の意見を申し上げる段階ではない、これが現状でございます。
#75
○黒柳明君 ちょっと答弁がはっきりしなかったのですが、そうすると、別な角度で。――先日新華社を通じて、二十七日か八日だったと思いますけれども、中国側の意図として、中国は一つだと、これはいままでの台湾、中国が双方で確認し合ったことを述べただけだと、これは政府の政策じゃないのだと、こういうような談話が新華社を通じて中国側の意図として出てきましたけれども、それに対して政府の言う中国は一つというのは、台湾なのかあるいは北京政府なのか。ここら辺がまた、従来もあるいはこれからも一つの論争の焦点になろうかと思うのですけれども、中国は一つというその政府の考え、いま何か武力がどうだとか国際情勢が複雑だとか、こういう御答弁で、ちょっと私の質問に対する答えがはっきりしなかったのですけれども、中国は一つ、こういう内容については、政府はいまのままで、このままいくおつもりなのか。それとも、中国は一つというこの内容、要するに、北京なのか台湾なのかということがはっきりしませんと、その重要事項確認方式の代案なるものも、これはもう従来と何ら変わらない方式になっちゃう。もう中国側に受け入れられるような内容ではない。こういうことになろうかと思うのですけれども、その点、いかがでしょう。
#76
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来申しておりますように、双方の当事者が一つの中国ということを非常に強く主張しておられるのですから、それに対してとやかく言うべきではない、これはそちらさまの内輪の問題として平和的に解決をしていただきたいというのが日本政府の願望であって、こいう姿の一つの中国になっていただきたいなどと言うことは、私は控えたほうがいいんじゃないか。しかし、あくまでそれは平和的な話し合いでお願いしたいのであって、武力使用というようなことになれば、隣国としても世界的にも迷惑なことですから、それだけはやめていただきたい。お話し合いができましたら、その結論がどういうことになるのか、これはこちらが関与しないことですからわかりませんけれども、その形が、話し合いの姿ができたらそれを認めていくというのが日本政府の態度であって私はしかるべきだと思います。同時に、現状はどうかと言われるならば、過去の経過、背景、状況からいいまして、日華平和条約というものは国民政府との間に結んでおりますから、その点についていまはどうなのかといえば、中華民国――国民政府との間にそういう条約を結んでいるということは事実なんであります。これは事実のことである。しかし、考え方としては、いま申しましたような、いわば三つの基本的な考え方、つまり、話し合いで平和的にやってください、その結果がどう出ようともその結果はわれわれとしてそのまま認めていきたい、武力行使だけはやめていただきたい、これがやっぱり基本的な考え方であってしかるべきではないかと思っておりますけれども、これをさらに、何といいますか、選ぶほうとして、どういうそれならば内容でどういうふうなアプローチを、たとえば日中の接触ができた場合にどういうふうなアプローチをするか、あるいは国連その他を通じて国際社会において日本がどういう態度をとるかというような点については、まだ政府としては何ら決定いたしておりません。こういうわけです。
#77
○黒柳明君 これからのことで、何か非常に暗中模索というような感じがしますけれども、現実問題として、日台関係、先ほども若干問題になりましたが、借款の問題、貿易量の問題、あるいはときによると年に一回開かれる日華協力委員会の問題、こういう点について、やっぱり日中関係を一歩でも改善するためには、日台問題について当然何らかの考慮を払わなければならぬのじゃなかろうか。こういう点で、日中を越える日台の貿易量、あるいは、まあ非常に不必要ではなかろうかと思われるような借款供与ないしはこの日華協力委員会、ここでの何か中国敵視政策みたいな、これは政府の関与するところではないとは思いますけれども、やっぱり自民党の大ものがここに入っておりますしね。こういうことであります。ここらあたりに何か歯どめをする、こういうことも、いま政府が考えている積極的な取り組む姿勢の中でも、必要な、あるいは現実に行なわれるのは、こういうところから行なわれて、手を打っていかなければならぬのじゃないかと、こう思うのですけれども、こういうことに対するお考えはいかがでしょう。
#78
○国務大臣(愛知揆一君) 中国に対して日本がどうあるべきかということの方法論、やり方等については慎重に検討しているということの中には、いま示唆されたようなことを含めて考えていかなければならない問題だと思っております。
#79
○黒柳明君 最後に、先日も自民党の外交調査会長の小坂さんが、当然こういう問題は積極的に歯どめをしていくべきだ、ここから始めなければならないと、こういうようなことを新聞の座談会で発言いたしましたけれども、こういう問題もぜひ――これは先ほど台湾問題ではいろいろ御意見もお伺いしたいというような大臣のお考えも吐露されましたけれども、ぜひこういう点からまず第一歩の対中姿勢というもの――中国側にも非常に柔軟的な面があるわけですから、日本側も従来よく言われてるリップ・サービスと、 こういうことだけじゃなくして、やっぱり一歩でも半歩でも現実的な前進の政策を出すと、そういうお考えもある、こういうことは私ばもういま伺っておりますけれども、ぜひともこういう問題、早急に手をつけていただいて、何かこういう問題について一つの政府の確信なり、あるいは政府の閣議決定なりを出していくと、こういうことからこの中国問題の解決……、そうすると、いま外務大臣がおっしゃったような真剣に取り組んでいると、あるいは新しい努力をするというようなお話が、これはもう確かじゃないかと、こういう安堵感を国民にも与えますし、それから中国側にもやっぱり積み重ね方式で日中の正常化という一つの糸口を与えるんじゃないかと、こういうことがあります。まあ、ほかにもいろいろそういう解決策はあるかと思うんですけれども、従来はそれは出てこなかった。今回はぜひともその現実的な施策というものをやっていただきたいと、こういう要望を含めまして、ひとつ最後にこれについてもう一回御答弁を、積極的御答弁をいただきたいと思います。
#80
○国務大臣(愛知揆一君) これはリップ・サービスじゃなくて、ほんとうに真剣にいまお話のありましたようなことを十分胸に入れてとくと考えていきたいと思います。
#81
○岩間正男君 沖縄の金武(きん)湾におけるアメリカのガルフ石油会社に対する港湾管理権の問題をめぐって二、三お聞きしたいと思うんです。これはまあ非常に今後の対米外交の政府の姿勢をはかるバロメーターとして重要だと思う。で、外相は去る十一月十七日の衆議院外務委員会で、戸叶里子議員の質問に対して次のように答えています。「ガルフ会社に対して六十年間の管理権が与えられた旨の報道についてでありますが、問題にされております指令にはこのような規定は全然ございません」、こう答えていられる。また、松本善明議員に対しては、六十年間の管理権を与えたことについて次のように答弁されてます。「事実であるとするならば抗議どころではないと思います。私は率直に申しまして、詳細な、お調べになりましたことと同じような程度に私自身調べておりませんから、その点は留保いたしますけれども、そういうことがあろうはずはございません」、このように答弁されているわけです。ところがその後、二十七日の春日一幸議員の代表質問に対する本会議の答弁では、六十年間の管理運営権の付与をお認めになったようにも受け取れる答弁をされてる。
 そこでまあお聞きするわけですが、米民政府がガルフ会社に対して金武湾港の六十年間の管理運営権を与えたというのは事実なのかどうか、あるいはこれは事実でないのか、この点からお聞きをしたいと思います。
#82
○国務大臣(愛知揆一君) いま衆議院の外務委員会あるいは本会議における質議応答を引用されてのお尋ねでございましたが、率直にお答えいたしたいと思います。私は衆議院の外務委員会で松本委員から御質問のありましたときには、そこにも留保しておりますように、こまかい指令とかコントラクトとかというものは報告を受けておりませんでしたから、原則論をお答えいたしたわけでございます。その後調べましたところ等は事務当局から説明をさせることにいたしたいと思いますけれども、本件につきまして、念のためあるいは事前に米側と種々とことんまで調べてみましたところは次のとおりでございます。本年の八月一日に指令第一号を発出しました事実関係については、ガルフ社は従来から琉球政府及び米民政府と協議を続けていたところ、昨年十一月に至って同社は米民政府に対して同社の精油基地である平安座(あんざ)島周辺の公有水面の使用及び所要の建造物の建設、運営、維持等についての許可方の申請をして、米民政府はこれに対して許可を与えました。さらに米民政府は、同湾内航行の安全、海水の油濁防止等についての同社の管理責任及び権限を明確にすることが適切であると考えて、本年八月一日にその指令を発出したということであります。しかしながら、米民政府、ガルフ社とも、本件管理権に固執するものでなく、琉球政府と協議を続けていきたいという意向であります。日本政府としても、琉球政府と米民政府との間の協議によりまして、公正、妥当な解決が得られるものと確信いたしております。いずれにせよ、復帰後の沖縄における港湾の管理については本土の関係法令がそのまま適用になりますから、右の指令は、効力を失うことになりますので、これに基づくガルフ社の管理権も消滅することになる。これが私の理解しているところであって、要するに、復帰後の沖縄におけるこうした管理権というものは復帰と同時に本土の関係法令がそのまま適用になる。このことについては関係者一同了解をいたしておると、これが実情でございます。
#83
○岩間正男君 ただいま御答弁によりますと、衆議院の外務委員会における答弁は、そのときまで大臣が事情を知らずに言われた答弁だと、こういうふうに承っておきます。
 そこで、大臣は米民政府の指令、許可などのたぐいが施政権返還後効力を失うということをこれは承認されるわけですか。これはどうなんですか。
#84
○国務大臣(愛知揆一君) これは本土の法令が復帰と同時に適用になりますから、その前に出しておりました民政府の指令というものは効力を失うことは他の問題と同様でございます。
#85
○岩間正男君 それば当然だと私は思います。また、本土法令が適用されるのもこれは当然だと思いますが、これはよろしゅうございますね。いかがですか。
#86
○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございます。
#87
○岩間正男君 しかし、それなら、適用する本土法令がない場合は適用のしようがないのではないかと思うのですね。このことも当然のことでありますけれども、大臣はこういう問題にはこれは触れていられないわけです。ところが、先月の十七日、ちょうど衆議院で外務委員会が行なわれたそのとき、同時に並行して本院の沖縄対策特別委員会でこの問題が審議されたわけですね。そのときに運輸省港湾局の課長も出席して行なわれたわけですが、ここで明らかになったことは、港湾の管理権についての法律である港湾法は、このガルフによって建設された金武湾港にはこれは適用されない、こう言っている。また、港湾法の適用を受けない港湾の場合も、施設を建設しようとするときは許可を必要とするが、すでにもう建設されているものについては適用すべき条文がないということが明らかになったはずです。これはまあ北米第一課長もこの委員会には出席をしておられたわけでありますから、このことは明らかだと思うんです。ここにその記録がございますから、これはまあ明確だと思うんです。だから、そうなりますというと、現行の本土法は適用されようが、現にない本土法は適用のされようがないわけですから、したがって、金武湾については地方自治体や港湾局の管理はこれは行なわれない。ガルフの指令の十項の管理権だけが残る。よしんば指令を取り消すということが起こったにしましても、この関係には変わりはないと思うのです。そして、港則法を守ってガルフが管理する限り、ガルフの管理権は実質的返還後もこれは生き残る。それとも、金武湾を閉鎖させるなり、あるいはガルフを追い出すなり、港湾施設を破壊するなり、こういうことをするならいざ知らず。しかし、まあそういうことはこれは佐藤内閣では当然考えられないことですね。そうすると、大臣のいまのような一般論では、具体的事実に処する答弁にはなり得ない。あとへ問題をこれは当然残すことになると考えるのですが、この点、いかがですか。
#88
○政府委員(大河原良雄君) 許可並びに指令の内容につきまして大臣から先ほど御答弁がございましたとおりでございますが、いずれにしましても、一九七二年に復帰の時点におきましては、一九六九年十一月に与えられましたガルフ社に対する水面使用権、それからさらに追っかけまして本年八月一日に発出されました指令に基づく同水域の管理権、これは日本法令の適用、その時点において、大臣から答弁ございましたように、失効するということについて米側関係者も十分了承いたしておりますので、その時点におきまして本土の関係法令の適用によりまして処置される、こういうことになるわけでございます。
#89
○岩間正男君 いまのは答弁にならぬのじゃないですか。つまり、すでにできているこういうものについてはこれは適用はできないということになっている。これは適用の規定がないわけでしょう。港湾法にはこれはないわけなんです。そうなったらどうなるかという問題ですよ、私の聞いているのは。
#90
○政府委員(大河原良雄君) 私の理解しておりますところでは、たとえば現在沖縄におきましては本土の港則法に相当する法律がございません。それをカバーいたしますために本年八月の指令が発出されたと、こういうふうに承知いたしておりますので、本土法が現在そのまま沖縄には及んでおりませんものは当然でございますし、また、本土法にそのまま相当するもので沖縄には現在ないものもあるとこういう状況でございますから、復帰の時点におきまして十分そこらは本土法の適用を行なうように措置されるということになるであろうと、こういうふうに考えております。
#91
○岩間正男君 それも答弁にはならぬと思うのです。私は復帰後のことについていま聞いているのですよ。復帰後で本土法をどう適用するか。その本土法には、しかし、すでにできているものにはこれは適用する規定がないわけです。明らかなんだ。第一課長も来ているでしょう。これは明確に出ているわけですよ。これは時間の関係でやるわけにはいかぬのですけれども、ちゃんと明確にされているわけなんです。これをまた繰り返すわけにはいかないわけですが、ところが、実際はそれに対する答えになりませんよ。どうなるのですか。その点、もう一ぺん重ねてお聞きしたいのです。
#92
○政府委員(大河原良雄君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、復帰の時点におきましては現在の指令はその限りにおいて効力を失うということにつきましては、米側も十分了承いたしているところでございます。したがいまして、復帰後の問題につきましては、本土法令によって措置されるということになるわけでございます。
#93
○岩間正男君 それは私は否定していないし、それは政府も認めているところでしょう。ところが問題は、これから建設しようとするものについての適用法令はあるわけですよ。ところが、すでに建設している場合にはこれは適用ができない。そうすると、依然として実体は残っているのです。建設されて、それでもうある既成事実なんですね。そうすると、これはどうなるのかと私は聞いている。そこのところをやっぱり明確にしない限りは、これは具体的な措置にはならぬと思うのです。ここを明確にしておかなければ困るのじゃないですか。法的に不備なんです、これは。そうすれば、法令でも改正しますか。そうしてこれを適用しますか。どうします。そこのところがいま問題の焦点ですよ。
#94
○政府委員(大河原良雄君) 復帰後におきまして本土法が全面的に適用されるということにつきましては、米側並びに当該ガルフ社自身が十分了承いたしているところでございまして、復帰後の問題につきましては、復帰準備の一環といたしまして関係当局において十分検討が行なわれているというふうに私は理解しております。
#95
○岩間正男君 どうもそこのところは答弁に私は依然としてならぬと思うのですね。私は、それは復帰後本土法が適用されないなどとか、そういうようなことは言っていないのです。そうなることは当然だと思っている。その点は認めている。法令の中に、これから建設するものについてはこれはちゃんと適用する法律はあるわけです。ところが、すでに建設済みのものに対して、既成事実に対しては、これは適用する規則がないのだ。その場合に、この本土法を何ぼ適用したって、既成事実としてすでにもうガルフの建設はちゃんとできているのでありますから、これは困るじゃないかということを問題にしているのです。そうすると、本土法を適用するといったって、いわばそこに該当する条項のないものをどんなに適用したって、問題の解決にはならぬでしょう。そこを言っているのです。これはどうです。
#96
○政府委員(大河原良雄君) この問題は本土政府といたしましては運輸省の所管でございますけれども、運輸省におきまして、この問題について、復帰後の問題として十分検討が行なわれているというふうに承知いたしております。
#97
○岩間正男君 それは外交は、そういうたとえば条文だけきめたって、具体的にどうなるかということは、そこの実態をつかまえないではこれは何にもならないのですよ。だから私は、あなた方がガルフに港湾を使わせない、そういう意思なのか。これはどうなんだ。それとも、やっぱり依然として使わせるのかどうか。使わせないという目的でやるのだったらこれは別でしょう。しかし、そうでないでしょう、あなたたちの腹は。したがって、これは管理権を否定するものではない。それとも、返還後は水域の占用は一切認めない、こういう外務省の意向なんですか。どうなんですか。
#98
○政府委員(大河原良雄君) ガルフ社が現在米民政府から与えられました許可並びに指令によりまして行使しております権利は、復帰の後には、かかる許可に基づくものとしては消滅いたすということにつきましては先ほど来御答弁申し上げているとおりでございますが、現実にガルフ社がすでに平安座島周辺におきまして行なっております施設その他につきましては、この実態に照らしまして十分適切な措置がとられる、こういうことでございます。
#99
○岩間正男君 これは運輸省とちゃんと話し合って、外交の具体的な事実ですから、この問題はいまのような答弁でここを逃げちゃいけない問題ですよ。あなたたちの当然の具体的方針としてこれは明確にされなくちゃならぬ。そうしますと、当然いまの既成事実は残る。それに対する適用はこの法にはない。なければ、これはどういうふうにするかということを具体的な提案としてやらなければ、これは復帰には間に合わないじゃないですか。この点を明確にしておきます。
 こういう形で官庁がばらばらになっていてはだめなんです。統一された見解を明確に本委員会に出してもらいたい。いまの問題は明確なんです。
 次にお聞きします。米民政府がガルフに六十年間の港湾管理運営権を与えたのは、琉球政府に必要な法制がないし、必要な措置もとっていないからだと先ほど大臣言われた。そうして大臣も、代表質問に対する答弁で、安全や汚染防止についてのガルフ社の管理責任を明確にさせるためだったと、この点について触れていられる。だから、アメリカもガルフも管理権に固執しないという、こういうことも言っておるわけです。しかし、指令を私たちは検討したわけですよ。あなたたち一部分その点だけを言っていますけれども、どうなんです。指令の内容を検討しますと、第一に、指令の第五項には、ガルフに対して一切の公租公課を免除しているんですね。これと安全、汚染に対する責任の明確化、そのためにこういう指令を出したんだと言っておりますけれども、これは一部分でしょう。外相の説明はこれとどう関係があるんです。それから指令第八項を言いますけれども、米軍による金武湾港の緊急使用、これを規定しています。いざというときに、重大なときにはそのまま使用するんだということをはっきり規定しておるのです。こういう点についての説明は抜いておられるわけです。これが金武湾の安全、汚染に関する責任を明確にするために出された。これは非常に一部分だけのこの指令を出した理由をこの説明に使っておられた。これで説明されておるのですが、いまの公租公課の問題、それから、軍のいざというときに緊急事態に対する使用、こういう問題について、これはどういうことになるか、これにお答え願いたい。
#100
○政府委員(大河原良雄君) 指令の内容によりますと、当該水面において航行の安全をはかる、あるいは油濁の防止をはかる、こういうような公の役割りにひとしいものをガルフ社が便宜上引き受ける、それに伴う措置でございますので、その面に関する限りは公租公課を免除されるということでございまして、ガルフ社の企業活動に対する公租公課の問題とは全然別個であるというふうに承知いたしております。
#101
○岩間正男君 それから、緊急使用の場合は。
#102
○政府委員(大河原良雄君) その面に関しましても、その水域の航行安全という見地からの措置でございまして、米軍が使用いたします際にも、その限りにおいてこの管理権との関係を持ってくる、こういうことでございます。
#103
○委員長(長谷川仁君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#104
○委員長(長谷川仁君) 速記を始めて。
#105
○岩間正男君 それはそういうことを言っていますけれども、この指令の持っておる意味というのは非常に重大ですね。これは今後に尾を引くんですよ。こういう点に対して、やはりもっと明確な態度を取るべきだと思うのですよ。こういう問題については、これは向こうと問い合わせしたり、そういうことはしてないんじゃないか。やっているのですか。やっているのなら、それについて明確にしてもらいたい。
 また大臣は、租界のようなものになるという懸念は全くないということを言われましたね、衆議院の説明で。しかし、一部には、返還の時点で本土の各種規則、法規に触れるものについてはフリーゾーンを設置してそこに封じ込めるという、こういう説明をしておるこれは閣僚もおるわけですね。そうだとすると、実質上租界というものが成り立つんじゃないか、ガルフのような場合。これはフリーゾーンを設けてそこに封じ込む。そこでは国内法の規制からの逸脱を許すというようなことになれば、政府としては、こういう方針をすでに決定しておるのかどうか。ところが、具体的に言いますというと、どうも山中長官とあなたの答弁というのは全く食い違っておるわけですよ。租界は認めない。ところが、一方フリーゾーンというその中にそういうようなものは入れる。ことに、かけ込み投資の昨年の十一月以降のものにはそういうことをするのだということをはっきり同じ衆議院で答弁しているのです。その辺の問題の食い違いというのは、これは統一した政府の見解があるのかどうか。この辺、非常に重大なんです。これは沖縄の県民は非常にこの問題に関心を持っているわけです。私は金武湾の周辺等はずいぶん実地を見ましたが、どうですか、この点についてお聞きしたい。
#106
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま大河原局長から御答弁申し上げた点は、要するに、要約すれば、民政府が与えた権限、何といいますか、布令ですか指令ですか、それは根拠がなくなってしまうわけです。ですから、岩間さんの御心配のように、復帰後それに対して日本の本土の法制というものが不備であれば事実問題として施設は残るのじゃないか、それに対する監督その他がどうなるかということが一つの焦点だと思いますが、これはこわさない限りは施設は残るでしょうから、それに対して本土にはそれに適当な法令がないということならば、法令の整備をするとか、必要なら行政上の措置をするということで解決できる問題じゃないかと思います。
 それから、第二段の、租界ということは全然考えておりません。フリーゾーンというのはもともと、御承知のように、沖縄県民の間でも、ある特定の場所を限って、自由港というようなものをつくったらどうかという案が従来からありますので、それについての所見をあわせて山中君が答弁の中に入れたのだと思いますけれども、フリーゾーンということについてまだ政府として最終的な決定した考え方じゃございません。いずれにしても、そういうものをつくった場合におきましては、これは日本側が日本の制度としてつくるかどうかという問題であって、アメリカの施設をそのまま日本の主権外に、あるいは「本土並み」の除外例としていくという考え方ではございません。念のために申し上げます。
#107
○岩間正男君 そこは日本がそれを承認するとかどうかということは、復帰後の方針として非常に重大な問題です。
 時間が十分ございませんので十分意を尽くしませんでしたが、結局、大臣の答弁にあったとおり「事実であるとするならば、抗議どころではない」、そういう性格のものだと思うのです。しかし、事実だったわけですね。そして、問題になってきたのでアメリカ当局はいろいろ弁解しているというのが現状じゃないか。これは現に取り消していないわけですね。その上、今日の論議からも明らかになったように、やはり弁解も抜け道だらけであって、つじつまの合わないところがあります。しかも、日米共同声明第九項は、アメリカ企業の利害について留意することをはっきり約束しているわけです。佐藤総理の代表質問に対する答弁でも、沖縄が返還後日米信頼関係のワク内で円満に運びたい、こう答えているわけです。これでは既成事実を認めざるを得ないのじゃないか、こう思うのです。そうすると、アメリカ当局に対してこの指令の取り消し、金武湾の水域使用許可の取り消しについて即時要求し、復帰後の既得権として残らないということになれば、初めて「抗議どころではない」という大臣の衆議院での答弁が生きると思うのです。やはりここを明確にするのがいまの対米外交の中で重要な課題だと思うのですが、最後にこの点に関する御答弁をいただきたい。
#108
○国務大臣(愛知揆一君) 指令を取り消すとかどうとかという問題じゃなくて、返還の時点にその指令の根拠がなくなってしまう、その指令自身が消滅するということになるわけでございますから、それ以後はまあいまの施設なり何なりが残る。それをどう処理するかは日本側の自主的な権限においてこれを処理する。こういうことになるわけでございますから、私は事の筋道は非常にはっきりしているのではないかと思います。
#109
○委員長(長谷川仁君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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