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1970/12/10 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 法務委員会 第2号
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1970/12/10 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 法務委員会 第2号

#1
第064回国会 法務委員会 第2号
昭和四十五年十二月十日(木曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十五日
    辞任         補欠選任
     小平 芳平君     阿部 憲一君
     山田 徹一君     浅井  亨君
    ―――――――――――――
   委員長の異動
 十一月二十五日小平芳平君委員長辞任につき、
 その補欠として阿部憲一君を議院において委員
 長に選任した。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 憲一君
    理 事
                後藤 義隆君
                亀田 得治君
                浅井  亨君
    委 員
                上田  稔君
                江藤  智君
                木島 義夫君
                堀本 宜実君
                山崎 竜男君
                松澤 兼人君
   衆議院議員
       発  議  者  畑   和君
   国務大臣
       法 務 大 臣  小林 武治君
   政府委員
       法務省刑事局長  辻 辰三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○事業活動に伴つて人の健康等に係る公害を生じ
 させた事業者の無過失損害賠償責任に関する法
 律案(衆議院送付、予備審査)
○連合審査会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 議事に先立ちまして一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび私、法務委員長に選任されました。微力ではございまするが、委員各位の御指導、御協力をいただきまして、円満なる当委員会の運営を行ないたいと思います。何分ともよろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#3
○委員長(阿部憲一君) 理事の補欠選任についておはかりいたします。
 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、補欠選任を行ないたいと存じます。
 選任につきましては、先例により委員長にこれを一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に浅井亨君を指名いたします。
#5
○浅井亨君 よろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○委員長(阿部憲一君) 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案を議題といたします。
 まず政府から趣旨説明を聴取いたします。小林法務大臣。
#7
○国務大臣(小林武治君) 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案について、その趣旨を説明いたします。
 この法律案は、最近における公害の実情にかんがみ、事業活動に伴って人の健康にかかる公害を生じさせる行為等について特別の処罰規定等を設けることとするものであります。
 申すまでもなく、公害を抑止するには、まずもって、的確にして強力な行政諸施策の実施を必要とするのでありまして、刑事司法の関与する分野にはおのずから限界があり、その果たすべき役割りも補充的なものでありますが、現行の刑法の規定及び関係法令の罰則が公害の実態に照らして必ずしも十分なものとは言いがたい状況にあることにかんがみ、この際、新たに特別の処罰規定等を設けることにより、現下特に問題とされている人の健康にかかる公害の防止に資するため、この法律案を提出することとした次第であります。その意味におきまして、この法律案は、その内容において他の公害関係行政法規との調和をはかりつつ、総合的な公害防止対策の一環として、公害の防止に寄与しようとするものであります。
 この法律案の骨子は、次のとおりであります。
 第一は、各種公害のうち、人の健康にかかるもののみを対象としている点であります。
 公害対策基本法第二条にいう「公害」には、人の健康にかかる被害のほか、生活環境にかかる被害も含まれておりますが、公害による健康上の被害の防止が当面の課題として強く要請されていることのほか、人の健康にかかる被害と生活環境にかかる被害とでは、それを生じさせる行為に対する可罰的評価にかなりの差異があること。公害による生活環境にかかる被害の態様は千差万別で類型性に欠けていること等にかんがみ、当面、人の健康にかかる被害のみを対象とすることが適当であるとする考えによるものであります。
 第二は、事業活動に伴う有害物質の排出により、公衆の生命または身体に危険を生じさせる行為を処罰すべき行為の基本類型として定めている点であります。
 まず、事業活動に伴って生ずる公害に限った趣旨は、今日問題とされている人の健康にかかる公害のほとんど大部分が何らかの事業活動に関連して生ずるものであり、家庭暖房、家庭排水等の日常生活に伴うものは、その性質上、これを事業活動に伴うものと同等に評価してこの法律案の対象に含めることは妥当でないとする考えによるものであります。次に、公衆の生命または身体に危険を生じさせた段階で処罰することといたしました理由は、人の健康にかかる公害の防止をはかるためには、現実に人の健康を害する結果の発生を待つまでもなく、公衆の生命、身体に危険を生じさせた段階で、これを処罰し得るものとしなければ十分な効果を期待することができないからであります。
 第三は、行為者のほか、法人等の事業主をも処罰し得るものとするため、いわゆる両罰規定を設けることとしている点であります。
 この法律案が対象としている公害を発生させる行為は、事業活動の一環として行なわれるものでありますので、直接の行為者である従業者等のほかに当該事業活動の主体である事業主をも処罰するたてまえをとることが、事柄の実態に照らして必要かつ当然であると考えるからであります。
 第四は、厳格な条件のもとに推定規定を設けることとしている点であります。
 公害の実態を見ますと、特定の工場または事業場から人の健康を害する物質が大量に排出されており、現に公衆の生命または身体に危険な状態が発生しておりましても、同種物質の混入等により、その工場または事業場から排出された物質と右の危険状態との結びつきを確証し得ない場合もあり得るものと考えられます。そこで、このような公害現象の特殊性にかんがみ、人権保障の要請を十分考慮しつつ、厳格な条件のもとに右の排出された物質と現に発生している状態との関係を推定するものとする規定を設けることとしたのであります。
 そのほか、この種事件の特殊性、複雑性等にかんがみ、その適正かつ妥当な処理をはかるため、事業主に対する公訴の時効期間及び第一審の裁判権について、それぞれ所要の措置を講ずることといたしております。
 以上が人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
#8
○委員長(阿部憲一君) 本案に対する自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(阿部憲一君) 事業活動に伴って人の健康等に係る公害を生じさせた事業者の無過失損害賠償責任に関する法律案を議題といたします。
 発議者衆議院議員畑和君から趣旨説明を聴取いたします。畑和君。
#10
○衆議院議員(畑和君) ただいま議題となりました事業活動に伴って人の健康等に係る公害を生じさせた事業者の無過失損害賠償責任に関する法律案につき、日本社会党、公明党、民社党の三党を代表いたしまして、提案の理由及びその内容の概略を御説明いたします。
 今日、四大公害裁判といわれる、熊本及び新潟水俣病、四日市ぜんそく、及びイタイイタイ病患者による訴訟が、きわめて難航している最大の理由は、加害者企業に故意または過失があったかどうか、の究明にあります。これが重大な論点になるのは、加害者側に故意または過失がないとするならば、被害者に対する損害賠償を命じることが、原則的に不可能だからであります。
 このように、公害にかかる民事訴訟において、無過失賠償責任制度が確立していないために、被害者は、長引く訴訟と過重な訴訟費用の負担にあえぎながら、加害者側の故意または過失を立証するために、みずから苦渋に満ちた努力を続けなければなりません。
 民事上の無過失賠償責任制度は、すでに鉱業法、水洗炭業法、労働基準法などで確立していることを勘案するならば、公害訴訟にこれを適用できない合理的な理由はどこにもございません。この制度がないまま、被害者救済制度を設けてみても、それはざるで水をくむがごとしといわなければならないのであります。
 これが本法案の提案理由であります。
 次に、本法案の概要を御説明いたします。
 第一は、本法案は、公害問題についての企業側の損害賠償責任について、民法の故意過失主義という一般原則に対する重大な特例を規定しようとするものであります。
 第二は、本法案の眼目とするものは、事業者は、事業活動に伴って排出する物質によって、人の生命または人の食用に供される動植物の生産にかかる人の権利を侵害したときは、故意または過失がなくても、その損害を賠償する責めに任ずる、としたことであります。すなわち、公害を発生させた事業者に、無過失責任、換言すれば一種の結果責任を負わせんとするものであります。
 なお、本法案の対象となる損害は、まず人の生命と健康、次いで人の食用に供される動植物の生産にかかわる人の財産権に限定しました。食用動植物の生産にかかる財産権の侵害を対象といたしましたのは、これら動植物の被害が、直接人間の生存につながるものだからであります。
 また、本法案の適用を受ける事業者の範囲は、右の公害を生ずる可能性の最も大きい製造加工業者、土木建築業者、運送事業者などであります。
 以上、本法案を提出いたしました理由及びその大要について御説明申し上げました。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いするものであります。
#11
○委員長(阿部憲一君) 本案に対する自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(阿部憲一君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。
 公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案、騒音規制法の一部を改正する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、公害対策特別委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議がございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 また、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案について、公害対策特別委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合には、これを受諾することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会につきましては、委員長においてあらかじめ公害対策特別委員長と協議いたしました結果、公害関係法案が付託されている八委員会の連合審査会を開会することとし、その日取りは、一応明十一日及び十二日の二日間、いずれも午前十時から開会することになりましたので、御了承をお願いいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十時三十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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