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1970/12/10 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 内閣委員会 第4号
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1970/12/10 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 内閣委員会 第4号

#1
第064回国会 内閣委員会 第4号
昭和四十五年十二月十日(木曜日)
   午前十時四十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十日
    辞任         補欠選任
     源田  実君     山崎 竜男君
     田中 茂穂君     星野 重次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 尚治君
    理 事
                石原幹市郎君
                八田 一朗君
                足鹿  覺君
                上田  哲君
    委 員
                源田  実君
                佐藤  隆君
                柴田  栄君
                玉置 猛夫君
                長屋  茂君
                星野 重次君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                鶴園 哲夫君
                矢山 有作君
                峯山 昭範君
                片山 武夫君
                岩間 正男君
   国務大臣
       法 務 大 臣  小林 武治君
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       法務政務次官   大竹 太郎君
       法務大臣官房長  安原 美穂君
       法務省入国管理
       局長       吉田 健三君
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務大臣官房長  佐藤 正二君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長心得     大河原良雄君
       外務省条約局長  井川 克一君
       外務省国際連合
       局長       西堀 正弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
   説明員
       警察庁警備局参
       事官       渡部 正郎君
       法務大臣官房秘
       書課長      石原 一彦君
       法務大臣官房会
       計課長      伊藤 榮樹君
       法務省民事局第
       一課長      住吉 君彦君
       法務省矯正局長  羽山 忠弘君
       公安調査庁次長  内田 達夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○外務省設置法及び在外公館に勤務する外務公務
 員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○矢山有作君 質問に入りますが、その前に、私はいささか不満であるので、そのことをはっきり申し上げておきたいと思うのです。というのは、きのう定例日でないのに、与党側のたっての要求でわれわれのほうは委員会の開催に応じたわけですけれども、質問の途中で、与党の議員の方が、委員長以外は、理事以下全員おらなくなってしまった。そういう状況の中で、質問続行が不能になったわけです。私はこれは国会みずからがみずからの権威を落とす、そのために与党が手をかしているということになるんじゃないかと思うわけで、この点、私は与党の諸君にきびしい反省を求めたいと思います。私としては、当然、いま非常な問題になっておる在日朝鮮人の国籍問題でありますから、大臣に出席をしていただいて御質問申し上げるというのが本意であります。しかしながら、いろいろと運営の都合もあるようですから、千歩も万歩も譲って、まょうのところは大臣がおられない状態の中で質疑を申し上げますが、そのつもりでひとつ政府のほうも御答弁をいただきたいと思うわけです。
 まず最初にお伺いしたいと思いますのは、国籍問題で考えてみますと、きのうの議論というものがいろいろな角度でまた蒸し返しになるようなおそれもありますが、できるだけきょうは蒸し返しを避けまして、私どもの考え方というものを整理をして申し上げて御見解を承りたいと思います。
 質問に入る前に、前にというのですか、質問の第一としてまず申し上げたいのは、外国人登録法の第九条の第一項、第十条の二によって、事務処理に当たっている市町村長は外国人登録の訂正を受け付ける法的義務があると私は解釈すべきではないかと思っておるわけです。国籍欄に韓国と記入するか、あるいは朝鮮と記入するか、そのことによってその取り扱いを区別するのは、私は外国人登録法自体の違反であるというふうに考えておるわけですが、これについて政府側のまとまった見解としてお伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(吉田健三君) 第一点の、外国人登録法第十条の二におきます市町村長の訂正義務というのは、明白な誤まりであることが客観的にわかっている場合は、市町村長はそれを訂正をしておかなければならない。たとえば「一郎」と書くべきところを何らかのミスで「二郎」と、棒が一本つけ加わって書いてありますと、その登録があとあと影響を及ぼしますので市町村長においてそれを訂正する、この趣旨で書かれているのが第十条の二でございます。
 第二点の、国籍欄に国籍を書き込むのが外国人登録法の本旨でございますが、朝鮮半島出身者に関しましては、この外人登録制度ができましたときに、日本から離れて外国人にはなったわけでございますが、平和条約が成立するまでは法律的には日本人であるという複雑な要素を持っておりますので、朝鮮半島出身者である、日本人ではないということで外人登録欄の国籍欄にその旨の記載をしていただいている、こういうことになっております。
#5
○矢山有作君 私の質問に十分答えていただいたとは思っておりませんが、私はまず第一点として申し上げたいのは、朝鮮民主主義人民共和国の存在というのは、だれも否定することのできない客観的事実であろうと思うんです。であるからこそ、日本政府も最近になってこの客観的な厳重な事実、これを尊重して卓球選手に朝鮮民主主義人民共和国の呼称を認めておるはずであります。さらにいままでの会議録を見てみますと、法務省の民事局では国籍朝鮮というのが統一的な扱いとして行なわれておるということを聞いております。こういうように、客観的に存在する事実というものをことさら法の運用において否定をしようとするんでは、私は法は成り立たないと思う。法というのは、やはり常識を一番の基本として私は組み立てられておるものであろうと思うんです。そうであるならば、客観的な事実として存在しておるそのことをことさら無視するような法の運用というのは、これは一般の常識から見て許されないことであり、そういう事実を無視した法の運用というのは、これは法の運用のたてまえからして大きな間違いであろう、こう思うわけです。でありますから、私は外国人登録法の運用の上からは、この客観的事実、厳重な事実に即して朝鮮というものの国籍を認めるのが至当である、こういう考え方を持っております。
 それからもう一つ、外国人登録法上の在日朝鮮人は外国人であるということは、これは否定できないことなんです、これは外国人。しかも、その在日朝鮮人、これは国籍離脱の自由はあるはずです。在日朝鮮人がたとえば韓国籍を持っておったといたしましても、国籍離脱の自由はあるはずです。そして、これは在日朝鮮人がどこの国籍を取得しようかということも、これは在日朝鮮人の権利であろうと思うのであります。ところが、一方、国の側から見た朝鮮民主主義人民共和国は、在日朝鮮人を自国の公民であるとこれまで何度も主張してきております。そうすると、韓国籍を持っておる在日朝鮮人が、その国籍を離脱することは、これは固有の権利として認められなきゃならぬし、その在日朝鮮人が朝鮮籍を得ようとすることも、これはだれも妨げることはできない。しかも、朝鮮民主主義人民共和国は在日朝鮮人を自国の公民であると認めておる。であるとするならば、私は韓国籍から朝鮮籍への書きかえを日本政府が拒むということ自体がこれは私はたいへんな人権の侵害である。これが外国人登録法の運用の上からいっても私は許されることではない、こういうふうに思うわけです。それから、訂正の場合に、たとえば外国人登録法施行規則の九条の二などを見ますと、訂正する場合には、「外国人の旅券に基き」云々ということが言ってあるようですね。ですから、たとえば在日朝鮮人の扱いの場合には旅券があれば旅券、旅券がないという場合には、いわゆる自国国民であることを証明する国民登録証ですか、そういったもので訂正をやるんだと、こういうことを主張しておられると思うんです。ところが、在日朝鮮人が旅券なり、あるいは国民登録証といったようなものを手に入れることができないという歴史的な背景があった。だから、たとえば終戦直後においては旅券に基いてやるということができないし、また法律上厳重にいうならば、その当時は外国人の扱いをしたけれども、日本人としての国籍があったというようなことで朝鮮籍に扱われたでしょう。そうすると、これは私がそういういろいろないきさつから考えて旅券提示を求める、あるいは国民登録証の提示を求めるということは、これは朝鮮民主主義人民共和国に籍を求めようとする在日朝鮮人には不可能なことなんです。そうするならば、その在日朝鮮人の歴史的な背景から考えて、私はそこまで要求すべきではない。むしろ在日朝鮮人の意向と、そうして朝鮮民主主義人民共和国の出方、これで私は判断したらいいと思うのです。あくまでも朝鮮民主主義人民共和国側の国民登録証なり、あるいは旅券を要求されるというのであれば、それがなければ書き換えに応じられないというのならば、朝鮮民主主義人民共和国の往来の自由を認め、あるいは積極的にそうした国民登録証などが得られるような便宜を供与すべきだと思う。そういう道を閉ざしておいて、そうして訂正を拒むというのは、私はこれは間違いじゃないか、どうなんでしょう。
#6
○政府委員(吉田健三君) 幾つかの問題点を御質問なされたわけでありますが、第一に、北鮮に政権があるというこの客観的事実はこれを否定いたしませんが、昨日も申しましたように、法律的には国家として認められていない国である。したがって、法律上の手続においてはそこに問題がある、こういうことを御了承いただきたいと思います。
 第二点に、韓国籍の人が離脱して北鮮の国籍を取ることは、当然、離脱の自由と国籍を新しく選択する自由があるのではないか、それをはばむのは基本的人権に反する措置を取っているのではないかという御趣旨だったかと思いますが、この点は繰り返し御説明いたしておりますように、日本政府は何ら関係しておらない問題でございます。ある外国人、つまり現在韓国人である人が、韓国の国籍を取っている人が韓国の国籍に従ってその離脱の手続を取って新しいどこかの国の国籍を取られるということを私たちは何ら阻害もしておりませんし、かつ、日本政府の関係している問題でないわけでございます。ただ、ある国におきましては、御承知のように、その国民がその国籍を離脱していきます際の非常に細かい規定を持っている国がありまして、年齢が四十五歳になるまでは国籍の離脱を認めないとか、そういった規定を持っている国家もあるわけでございます。しかし、それはそれぞれの国が決定していることでありまして、日本のほうからとやかくいうべき筋合いのものではなかろうと思うわけであります。したがいまして、韓国人の方が、現在韓国の国籍を持っている人が北鮮の国籍を取られるか、あるいはソ連の国籍を取られるか、あるいはアメリカの国籍を取られるか、それは本人がその手続に従って自由におやりになればいいことで、私たちは何ら干渉いたしておりません。外国人登録の上から問題になりますのは、私たちはその人がどこの国籍を持っておりますということを窓口で示していただいたときに、ちょうど登記でいいますと、その人が印鑑証明を持ってこられたことによって、なるほどこの人は本人に間違いないということで登記をするように、入管行政の登録の窓口では、その外国人が自分の身分を証明する旅券もしくはこれに代わるものを提示されることによって、これをただ客観的に登録するだけでございます。したがいまして、ある書類を持ってきていただかないと、本人が、おれは何国人だ、おれは何国人だといわれても、こちらのほうからはそれを決定する方法がない、ましてあなたは何国人のはずだ、あるいはあなたは何国人にならなければならないんだということをこっちが言う筋合いではないわけでございます。
 そこで第三点の、しからば北鮮の証明をする書類をわがほうが認めて、これで受けつけてくれるか、こういうことでありますが、御指摘のとおり、現在はそういう旅券もしくは国籍証明書は北鮮に関しては出されておりませんし、また根本に返りますが、北鮮の政府というものを私たちは承認しておりませんので、その政府の発行する書類なり、そういった公文書の公権力というものにつきましては、法律上これを同様に取り扱うことができない、こういう立場にあるわけでございます。しからば、窓口に申請してきた人を全部ドアを締めて不可能をしいているんではないか、こういう点に触れられたように思いますが、私たちは決してそうではございませんので、昨日も申しましたように、すでにこういう事情のもとに、自分は朝鮮人であったものが韓国籍をとったんだから、もう一度朝鮮に戻るんだ、それは誤りによってそうなったんだ、あるいは自分の意思じゃなかったのにそういうふうに登録がなっているんだ、そういう証明をしていただいた場合には、これを本省に聞いていただくと、私たちのほうで関係の資料を全部調べ、また本人が韓国に申請する意思がなかったということを客観的に推定できるような蓋然性というものを、当時の状況を判断いたしまして、許可すべきものに許可しておる、だから現在、法務省のほうに市町村から経伺されてきた申請に対しまして、すでに二千数百件のものが許可になっておる、私たちはそういう手続をとって進めていただきたい、こういうことをお願いしておる次第でございます。
#7
○矢山有作君 いろいろおっしゃいましたが、話を詰めていけば、要するに朝鮮民主主義人民共和国は未承認国である、日本と国交がないからだということが唯一の理由になっておると思います、すべての根源は。ところが、私が先ほど言ったように、厳然と存在する客観的な事実、しかも日本政府すら最近は朝鮮民主主義人民共和国という呼称を許すという状況にある、そういうときに、その客観的な事実の存在を否定する法の運用をやろうというところに無理があるんだ、このことだけは私どもは強調せざるを得ない。法の運用というものはやはり客観的な事実に基づいて、それを尊重しながら運用するというのがほんとうのあり方だろうと思います。それをやらぬところに非常に無理が生じておると思うんです。
 それから、もう一つ私どもの言いたいのは、在日朝鮮人が韓国籍を離脱したいというのは、それは国内法でいろいろ手続があるかどうか知りませんが、離脱をするという意思が明確になっており、そして朝鮮民主主義人民共和国のほうがこれを自国の公民と認めるということがあるんなら、在日朝鮮人のいままでの歴史的な背景、経過からいって、そこに国民登録証を求めたり、旅券を求めて、明らかな証拠がなければやらないというのは、それは一つの無理なんだということをきのうから言っているわけです。
 それからもう一つは、訂正の場合に窓口は締めておらぬ、韓国と記載したことが誤りであったということが証明されるならば訂正にやぶさかでないと、こうおっしゃっておるわけです。しかしながら、四十年から四十五年の間に韓国籍から朝鮮籍へ訂正された者はわずか百三十人ほどしかいないわけです。ただ最近になって、この八月以来、市町村長が独自の判断でこの訂正をやり出した。その時期から後になって、法務省が経伺に基づいて訂正をやるという案件が、市町村長の独自の判断でやった案件よりも上回ったという現象が出てきた。これは、私は市町村長が外国人登録法の正しい運用でこれをやるべきだというので勇敢にやっておる、それに押されて法務省が最近それを早めただけの話だろうと、私どもは、うがった見方といわれるかもしれませんけれども、思っているのです。第一に、韓国籍に訂正をしたことが誤りだったということ、あるいは何か手続上にそごがあったということを客観的に証明されたらということをおっしゃるのですが、これは客観的な証明が非常にむずかしいということは、もう私はきのう議論したことですから、これ以上申し上げません。要するに、全体として私が最終的に申し上げたいことは、一つは法の運用において、客観的な事実の存在を重視して法の運用をやってもらいたいということが一つであります。しかも国籍については、国籍選択の自由、離脱の自由、そうして朝鮮民主主義人民共和国がとっておる態度、これを十分認識してやってもらいたいということであります。その際に明確な旅券等を要求するということは現在の情勢から困難なんでありますから、そのことはあなた方知っておられると思う。あくまでもそれを口実にされるなら、私は国交回復がないから、あるいは未承認国だから、そういったような朝鮮民主主義人民共和国の公民であるという証明が得られないということを、その得られないことの状態に置いたままそんなことを言うというのは、これは人道上も許されないと思うんです。むしろ、未承認国であろうと、そこまで政府が国籍の問題についてがんばられるなら、私は在日朝鮮人が朝鮮民主主義人民共和国の公民であるという証明を得られるように、積極的に協力する姿勢があってもいいと思うんです。そのことが、私はこれまで政府がとってきたこの問題に関する方針の混乱といいますか、非常な無方針といっていい、そのあり方の反省の上に立って私はそれを要求するわけです。というのは、たとえば一九六五年の統一見解の発表までは、朝鮮籍も韓国籍もいずれも符号だといってごく手軽い扱いをされておったのです。それが一夜にして、韓国籍は国籍になり、朝鮮というのはこれは単なる用語であるというふうな変化を遂げられたわけですから、これはまさに在日朝鮮人にしてみれば詐欺にかかったようなものだと思うのです。こういうような扱いをしてきたという反省の上に立って、私は積極的に朝鮮民主主義人民共和国の公民であるという証明が得られる、そういう道を開いた上でものを言っていただきたいと思います。
 一つところでとまっておっても、これは幾ら言っても議論のすれ違いだろうと思うのです。そこで次に移りますが、私はやはり通達だとか、法の運用基準、こういったものは法律に従ってやられる場合、法の趣旨を生かす場合にのみこれが有効に作用するのであって、それが曲げられた場合には、私はそれはそのことのほうが違法だと思うわけです。でありますから、私は今回とっておる市町村の外国人登録法の運用――まあきのうの話でいいますと革新首長のところが多いという話でありますが、そこのとっておる外国人登録法の運用が正しいと思っております。そのことを申し添えておきます。
 それからもう一つ次にお伺いしたいのは、三十八年の十二月六日の法務省通達ですね、これは法務省管登合第七〇三号でありますが、これによりますと、「理由の如何を問わず、原票等の国籍欄を「韓国」から「朝鮮」に書換えることは、原則として認めない。ただし、特別な事情によりこれを認めるべきであると思料されるものについては、市町村長は、都道府県を経由し、事前に法務省に経伺する」というふうにしてあります。でありますが、私がいままで言ってきた議論からして、こうした通達を出すこと自体が、これは非常な間違いじゃないか。韓国籍への書きかえはこれはもう市町村の窓口で認めておる。ところが朝鮮籍への書きかえについては原則としてこれを認めない。それどころではありませんね、さらに四十年の十月二日ごろに、この書きかえ申請を受理することすら市町村の窓口で拒否しろ、受理しないで、預かり扱いにしろというような極秘通達も法務省から出ておると、こういうふうに聞いておりますが、そういう事実がありますか。だとするならば、これこそ私は法務省の独断的な扱い、法を無視した扱いもきわまれりと言わなければならぬと思うんですが、どうでしょう。
#8
○政府委員(吉田健三君) 通達はこの外人登録法という法律を運用していくための補充的な説明の役割りを果たしているわけでございますから、私たちはこれは合法的であり、その手続きは守っていただく必要があるというふうに考えております。
 ただいま御指摘の昭和四十年の通達につきましては、いま私の手元の書類つづりから調べておりますので、わかりましてから御返事申し上げたいと思います。
#9
○矢山有作君 この管登合第七〇三号ですら、韓国籍についてはこれを優遇し、朝鮮籍については不当な扱いをする、これは私どもは外国人登録法のたてまえからいったら違法なものだと思っているわけですが、それだけでなしに、さらにそれに追い打ちをかけるように、書きかえ申請、訂正の申請があったときに窓口で一切受けつけるな、どうしても受けつけなければならないときには預かり扱いにしろと、こういうふうな指導をするに至っては越権もはなはだしい、法無視もはなはだしいと思うんですが、これ、やっておるはずです。わかりませんか。
#10
○政府委員(吉田健三君) 以前の書類でございますので、いま調べているところでございますが、受けつけてはいけないということはおそらくないはずだと思いますが、いまもう一度確認いたしまして責任ある御返事を申し上げます。
#11
○矢山有作君 それではその間ほかの質問に入っております。
 きのうのお話で聞きますと、田川の市長に対しては職務執行命令を出し、それが拒否された、そこで訴訟提起のたしか方針であるというふうに伺ったわけですが、私はここまで至る間に、実際この外国人登録法の運用の問題について、自治体の首長と法務省とが十分話し合われたことがあるのかどうかということを聞きたいんです。特に法務省のいままでの在日朝鮮人の国籍の扱いに対する方針があやふやであって混乱をしておるという事実があるわけですから、そういうふうな上に立って外国人登録法を市町村長が運用していく場合にいろいろ問題があったと思うんですね。その点について、この状態に至るまでに市町村長と法務省とがじっくり話し合ったのかどうか、それとも法務省はいままでの経緯にこだわって一方的な考え方を押しつけるために終始してこられたのか、その辺はどうなんですか。
#12
○政府委員(吉田健三君) 地方自治体の独立性ということを十分尊重して、お互いに了解し得るべき点があるならば、これを尊重したいという精神で連絡をとってやってまいったつもりでございます。
#13
○矢山有作君 ただ連絡をとってまいったといっても、その連絡は、単なる通知を出したり何かをするんでなしに、私は、あなた方が革新市長と言っているそういう方面から、積極的にこの問題について話し合いを申し込まれてきたことがあったと思うんですが、そのときはもう話し合いはされなかったわけでしょう。どうなんですか。
#14
○政府委員(吉田健三君) 幾つかの場合に話し合いを行なっております。
#15
○矢山有作君 私はこういう問題については、先ほども言いましたように、これまでの法務省のとってきた方針なり、あるいはそれに基づいて法の解釈上いろいろな問題があるわけですから、私は十分な話し合いで打開していく努力をやられるべきだったろうと思いますが、いまの答弁だとやったという話です。私どもは十分煮詰まった話し合いはされておらないというふうに聞いておりますので、法務省のいまの御答弁とは食い違うわけですが、訴訟提起の方針だということで地方自治体をおどしあげることだけが能ではないのでありまして、特に問題のある事件でありますから、これは十分な私は話し合いをやっていただきたいと思うんです。訴訟の提起をされたからといって、法務省のほうが大手を振って、これで訴訟で勝てるんだというふうにお考えになったら、いささか考え過ぎではないか。これまでの国籍に対する扱いからいって、法務省も自分たちのいわゆる不統一というか、その点はやはり十分反省があってしかるべきじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。
 そこで次に、もう一つ聞いておきたいと思いますのは、職務執行命令訴訟中に首長の任期が切れた場合には、これは一体どうなるんですか。これはいろいろ学説も分かれておると思うんですがね。
#16
○政府委員(吉田健三君) その点に関しましては、まだ仮定の問題であるわけでございますが、いまの時点では。私自身も地方自治法の詳細な専門ではございませんので、専門家の意見を確かめてから御返事申し上げたいと思います。
#17
○矢山有作君 しかし、局長さん、これはそう軽く言える問題ではないでしょう。田川市の問題についてどうされるかと言って聞いたら、この委員会の席上で、行政訴訟提起の方針だと言って言い切られたわけですから、行政訴訟を提起すると言った以上は、その訴訟提起をした場合に、一体その訴訟の継続中に、結論が出ないうちに首長の任期が切れた場合には一体どうなるのかということを、これはよくお考えになっておかぬと、これは重大な問題だと思うんですよ。だから、この点の研究が不十分であるということであれば、きょう私はあえて追及いたしませんけれども、この点は十分研究があってしかるべきだろうと思います。この点については学説も分かれておるようでありますけれども、どちらの判断に立つかで重大な相違が結論には出てくるはずでありますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
 まあいろいろときのう来、行ったり戻ったり、あるいは重複を繰り返しながらいろいろと議論をしてきたわけでありますけれども、私どもはこの国籍問題の扱いについては、まとめて申し上げますと、今日まで在日朝鮮人というものの歴史的な背景、さらに在日朝鮮人の国籍に対する戦後の政府の扱い方等々から考えましたときに、いまのように韓国籍を取得する者についてはきわめてこれは、何というのですか、優遇をし、朝鮮籍取得についてはきわめてきびしく規制をしていくというやり方は、私どもは在日朝鮮人の間に差別を持ち込むし、さらに、在日朝鮮人の人権侵害にもつながる重大な問題であろうと思います。特に外国人登録法の運用につきましては、政府としては朝鮮民主主義人民共和国を承認しておるとか、していないとかということに力点を置いてお考えになっておるようでありますけれども、私どもは、法の運用というものは、やはり存在する客観的事実を尊重して法の運用をしないというと、そこに大きな矛盾撞着を起こすということは、今日の在日朝鮮人の国籍問題で明らかに証明をされておると思うのです。したがいまして、私どもは、この扱いについては客観的な事実を尊重するという立場に立っての法の運用というものを強く希望いたすわけであります。あくまでもそういう点にこだわられるのであるならば、私はこの国籍の扱いについて、いまのように朝鮮民主主義人民共和国と在日朝鮮人の往来、あるいは通信、これらについてきびしい制限をするのでなしに、少なくとも在日朝鮮人の人権に関する、身分に関する重大な問題でありますから、これについての国籍選択については、政府が言っておるように、国民登録証、旅券が必要であると言うなら、それが得られるような便宜というものを最高限度に私は在日朝鮮人に与えていく、それが当然のやり方ではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、この問題に対する政府のやり方に対してはきわめて不満であり、きわめて違法な扱いであるということを私どもは申し上げて、きょうは、これまでの質問を終わりたいと思います。
 質問を終わったあとで申し上げるのもおかしな点もありますが、先ほど言いました四十年の十月二日に出した、私が指摘した通達、これについてはひとつ後ほど何らかの方法で御連絡を願いたいと思います。いいですね。
#18
○政府委員(吉田健三君) 御返事いたします。
#19
○委員長(西村尚治君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#20
○委員長(西村尚治君) 速記を始めて。
#21
○鶴園哲夫君 法務省の設置法がかかりました機会に、機構の問題について法務省の見解を承っておきたいと思いますが、実際は、この間の十一月二十日の機構の簡素化についての閣議決定、この問題は御承知のように人事院の勧告の完全実施に伴いまして、それと同時に、そういった趣旨の閣議の取りきめが行なわれまして、それに基づいて十一月の二十日に機構の問題についての閣議決定が行なわれておりますから、したがいまして、給与法を審議します際に、あるいはその際に行政管理庁長官も出席を願って、それでその席上で伺いたいと思っているわけですけれども、せっかく法務省の設置法がかかっておりますから、あの閣議決定について、法務省に関係する分について見解をひとつ伺っておきたいと思います。御承知のように、閣議決定の中の、第2の1の(1)になりますが、ブロック機関を持っている、そういう下にある県の機関、これを原則として五年の間に廃止するという考え方ですね。これは法務省だけの問題ではなくて、運輸省もありますし、建設省もありますし、農林省もありますし、いろいろほかの各省にも関係しているわけですけれども、この問題についての法務省に関係しましての分、つまり民事局の下にあります管区にある法務局、それから各県にあります四十一あります地方法務局、その場合の、四十一あります地方法務局、これを廃止するという考え方だと思うのですけれども、これについての法務省のひとつ見解をまず最初に伺っておきたいと思います。
#22
○説明員(石原一彦君) 先生御指摘のように、十一月二十日付の閣議決定によりまして、ブロック機関の下にある府県単位機関はできるだけ廃止するということ、零細機構を廃止するということがきまったわけでございます。法務省の一応該当される庁を最初に申し上げますと、ただいま御指摘の地方法務局がございます。そのほか保護観察所、地方公安調査局があるわけでございます。それから零細庁といいますか、その関係では、法務局並びに地方法務局の支局、出張所が入ります。保護観察所の支部等も入ってくるわけでございます。行政改革の点で、閣議決定でございますので、われわれとしても大いに内部的に検討をいたしておりますが、いわゆる行政機能を低下さしてはなりませんし、一方におきましては職員の待遇の問題、あるいは職員の士気の問題にも関係いたすものでございますので、ただいま関係局と協議をいたしまして、どういうふうな対処方法をとるかについて慎重に検討中でございます。
#23
○鶴園哲夫君 これは先ほど申し上げましたように、給与を審議します際には、いわゆる行管長官に対しましても、さらに内容の具体的なものに入って伺いたいと思っておりますが、きょうは法務省だけの問題につきまして、いま私がここで問題にいたしております、よく私どもの身のまわりで密接な関係のありますところの登記所の関係ですね。これは各省それぞれ違うと思うのですけれども、たとえば国税局、これは御承知のとおりすぐ目の前にあるわけですが、また密接な関係がありますが、これは御承知のように十一の国税局が、管区といいますか、十一の管区があって、そして税務署が大体四百九十ぐらいですか、ある。したがって、県の段階ではそういう機関を置いてない。何かこれが一つの機構のモデルみたいに考えられておるというような気がするわけなんですけれども、たとえば、いま問題になっております民事局の場合、出張所の場合、これは私も従来から法務省設置法がかかりますたびに、いろいろ論議いたしましたですけれども、出張所だけでも今日でも約手七百ぐらいの、千七、八百でしょうね、出張所があります。さらに支局だけでもこれまた二百六、七十か二百八十くらいの支局がありますし、それから仕事そのものがなかなか、窓口を直接国民に開いておる、しかも非常に土地建物というたいへんに広いものを相手にした仕事なんですが、そういうたいへん地方に散らばっている、千七百も散らばっているそういう機関というものを、県の段階を除いて管区で監督するとかというやり方は、これは行政能率の上から言いましても非常に私は問題があるのじゃないかというふうに思うわけでして、ですから行政機構として一つの典型とも考えられますところの国税局、十一ある国税局と、そして四百九十ぐらいある税務署と、こういう機構とはこれは別に、ある意味では質的に違ったものとして考えていく必要があるのではないか。ただ、ブロックがどうだ、県がどうだと、県のやつをなくするのだという考え方には非常に問題があるのではないかというふうに思っているのですけれども、そういう点について法務省に何かお考えがあるならひとつ伺っておきたいと思います。
#24
○説明員(石原一彦君) ただいま御指摘のように、法務局の支局、出張所約千八百でございまして、地方法務局がそれぞれ監督等を行なっておるわけでございます。そこで、地方法務局を廃止いたしますと、ブロック機関であるいわゆる法務局が直接それを監督することになるわけでございますが、八つの機関で千七、八百のものが一体監督ができるかどうかにつきましては問題があるのではないかと思っております。ただ閣議決定の、先生も御指摘されました第1の(1)のところで、一応、ブロック機関の下にある府県単位機関は廃止すると、こうなっておりますが、現地事務を処理する機関としては残せる余地があるわけでございます。そこで、法務局の仕事の内容を見ますと、国の行政事務を単に分掌していくだけではございませんで、いわば窓口事務といたしまして、民衆の方がお客さまとして来るわけでございます。役所の都合だけで廃止するということも非常にむずかしいのではないかということもございまして、その実態、特殊性につきまして目下行政管理庁にいろいろ説明している段階でございます。いまきまった御方針ということでございますが、目下、政府部内で担当省の間に協力関係によりましていろいろ説明している段階でございますので、これ以上申し上げることはひとつ御容赦願いたいと思うのでございますが、先ほど申し上げましたし、先生も御指摘のように、行政能率、事務能率、行政事務能率の実施に支障を来たさないような方法を十分考慮いたしまして、対策を考えているということでございます。
#25
○鶴園哲夫君 閣議決定の中で、いま秘書課長が御指摘になりました、県単位の機関を廃止する、なお、これに伴って特に必要がある場合は、「特定の現地的事務を処理する機関を所要の地に配置する。」と、こういうことが載っているわけなんですけれども、地方法務局を単に廃止をして、それをこういう名前に変えるというだけにすぎないような気がするのです。こういうものは、ややもしますと府県の機関はなくなってしまって看板を塗りかえたという、実際の仕事をやる上でそうならざるを得ないのではないかと思いますね。そうしますと、こういうものは単に名前を変えただけで実質は変わらない、かえってむしろ業務の上についてはこれは国民に与える、国民の受け取り方としましても妙な感じになってしまう。むしろこのまま置いて、特に看板だけ塗りかえるような――機構を取り扱っている者としてはどうも納得できないのですね、私はこれはどうかと思いますけれども。実際、管区の法務局、あるいは県にあります地方法務局、そういうところへ若干伺う機会があるのですけれども、さらに支局、それから出張所へ伺ってみますというと、これは県よりもむしろ管区のほうが問題があるのではないかという気がするくらいですね、はっきり申し上げかねますけれども、県の機関というのはこれは廃止してはならないのではないか、どうしてもあれだけの、千七、八百という出張所があるわけですから。しかもそれがたいへん忙しい職場になっておりまして、しかも国民の財産を管理しているという非常に貴重な仕事をしておりますし、最近また非常に多忙表きわめている、そういう役所ですから、県の機関を廃止するということは、これはたいへんだと思う。まあ、管区がどうだということはちょっと言い切れませんけれども、県の機関を廃止するということは、これはどうもたいへんじゃないかと、このように、日ごろそういう感じを持っておりますけれども、今回はその県の段階を廃止しろという考え方ですね、ですから、先ほど秘書課長からお話がありましたように、行政能率の点からいいまして、県の段階というものを廃止するということについては、これは問題があるようなお話ですけれども、私もそう思います。県の段階を廃止するということは、これはたいへんなことじゃないかというふうに思いますし、名前を変えてみましてもこれは特定のところ、特に必要がある場合、「所要の地に配置する。」とありますね、これはやっぱり各県漏れなく置かざるを得ないわけでありまして、どこかの県だけなくなるというわけにはいかないわけでありますね、そうしますというと、これは県単位の機関が残るということになるわけでありますし、それだけに単に看板の塗りかえだけでは意味がない。単に機構の簡素化という、うわべを飾っただけにすぎない。まあ往々にして機構というのはそういうような面がありますけれども、そういうものにすぎなくなるのじゃないかというふうに私は考えるわけですけれども、こういう考え方について、いまのブロックの問題についてどうお考えになっておられますかというのも含めまして、私はブロックの法務局というのが必要でないとかということを言うのではなくて、軽重を問うなら、ブロックよりも県のほうがはるかにこれは重要じゃないかという気がしているものですから、それを含めましてひとつ意見を伺っておきたいと思います。
#26
○説明員(石原一彦君) 法務局の仕事の実態につきまして、御理解のあるおことばをいただきまして感謝しているところでございますが、すでに御承知のように、地方法務局、法務局ともに登記、戸籍へ供託あるいは人権相談、それから訟務と、いずれも現在の国民生活に密着しておりまして、国民の権利保全のために必要な事務をいたしておるわけでございます。それが簡単に廃止できるものではないということは常識をもっていたしましてもはっきりしているところでございまして、その意味におきまして、私どもの実情を当面の窓口、行政管理庁のほうに十分説明をしている段階でございます。なお、ブロック機関と地方法務局とのどちらが大事かという点でございますが、今度の閣議決定では、ブロック機関につきましては八つ以上あるところを縮まらないかという趣旨の文はございますが、当面いまのブロック機関を廃止するとは言っていないわけでございまして、その点を対象にいたしますことは、はたしていかがなものであろうかということでおりますし、またそういう関係から、いまこの段階で私の口からブロック機関と地方法務局のことについて申し上げることは、やや軽々には申し上げにくい段階にございますので、その点はひとつ御了承を願いたいと思います。
#27
○鶴園哲夫君 まあごもっとものお話で、そのとおりだと思います。で、私も冒頭に申し上げましたように、やはりこの問題は行政管理庁長官に御出席を願って論議をしなければならぬと思っております。どうも非常に画一的な決定といいますか、まあ閣議決定すればそういうことになるのだろうと思いますけれども、しかし、各省の関係でまいりますとどうも画一的なように見受けられますね。ですから、先ほど申しましたように、これはどうしても、建設省の設置法か、あるいは給与法を審議します場合に、行政管理庁長官に出席願いまして具体的に論議をいたしたいと思っております。この点についてはこの程度で終わります。
 次に、法務省の設置法がかかりますと、いつも私は機会あるごとに法務省のほうに要望やお伺いをするわけですけれども、出張所にいきますと、まあ最近はほとんどの庁舎がよくなりました。しかし、入ってみますというと、公務員とそうでない人、ちょっと区別がつかないですね。庁舎に入ってみますというと、一体公務員は何人いらっしゃるのかとまず伺いたくなる。どう見ても公務員でないような方々もだいぶ入っておられる。伺ってみますというと、場合によりますと公務員は三人しかいない。で、公務員以外の人が一生懸命法務局の庁舎の中で公務員に劣らず仕事をしておる。これはもう至るところ、出張所やら支局にいきますと、これはしょっちゅう見る風景なんです。これは県の法務局でもそうです。中に入ってみますと非常にたくさんの人がいらっしゃって、こんなにいらっしゃるわけがないと思いますと、どうもやはり外からの人が――それが単にものを聞きにきているとかなんていうのじゃなくて、実際に机の上で仕事をしている、要するに、仕事をしているという感じですね。事務をとってるという感じの状況なんですね。それで、私はまあ機会がありますと、内閣委員会におりました関係もありまして、一体これはどういうことなんだろうというふうに聞くわけです。そうしますと、アルバイトの人も入っておられるのですね。アルバイトといいますか、臨時職員といいますか、そういう人もおられるようですけれども、それ以外に業者の側の、業者といいますか、不動産の関係とか、あるいは土地改良区とか、あるいは区画整理とか、そういうところから相当の人が入り込んで、そして中には机を持ち込みまして、公務員と同じように事務をとって仕事をしておられるという感じですね。そういう問題について、これは一体どういうふうに法務省としては、あるいは民事局としては考えていらっしゃるのかというのを日ごろ思うのですけれども、その点についてひとつ見解を伺っておきたいと思うのです。
#28
○説明員(住吉君彦君) 民事局長はただいま衆議院の法務委員会に出席いたしておりますので、私からかわってお答えをいたします。
 御指摘のとおり、確かに法務局の庁舎内といいますか、職場の中に定員職員、それから賃金職員、それから部外の方という、まあ三種の人たちが中で仕事をいたしております。特に問題は部外の方々の応援をいただいておるという点でございます。これにつきましては、当面、対応策といたしましては増血措置をはかりたいということとあわせて、事務の機械化といいますか、できるだけ人手でやる必要のないものは機械にゆだねたいということで、その方面の予算措置につきまして大蔵省といろいろ協議を重ねております。いずれにいたしましても、部外の方々に応援をいただかなければ事務処理が円滑にいかないという点につきましては、たいへん役所の姿勢といたしまして申しわけないことであると考えております。いま申しましたような方策を講ずべく、せっかく努力をいたしておりますので御了承をいただきたいと思います。
#29
○鶴園哲夫君 私はちょうど十年ぐらい前に同じような問題を伺ったわけです。それから十年たって、ますます減少しているのではなくて、ますますどうもそういう傾向が盛んなようですね。つまり正規の公務員、正規の公務員というとおかしいが、国家公務員のほかに外から入って仕事をしていらっしゃる方が非常に多い。これはどうも減っているのではなくて、だんだん増加しているというふうな感じを持つわけなんです。感じじゃなくて、私はそう思っております。それで、いまお話のように、確かに定員の増につきまして努力をしておられるわけです。毎年何がしかの定員が増加しているということは承知いたしておりますが、なかなかその問題が解消しないで、いま私が申し上げたように、だんだん込んできているという状況じゃないかと思いますね。で、かつてこの委員会でも問題になったことがありまして、それは法務局で登記料として一体どのくらいの手数料を取っておられるのか、収入があるのかというふうに伺ったこともありまして、今日一千億ぐらいの手数料の収入があるのだ。それで、これを問題にいたしましたときも、たいへんな収入があるのだから、そういう点からいえばちょびちょびした定員の増員ではなくて、相当程度増員を思い切ってやったらいいんじゃないかという論議も行なわれまして、たしかこの委員会で附帯決議がついたような私は記憶もあるわけです。ところが依然として、いま私が申し上げたように、解決に向いているのではなくて、ますます部外者のほうがふえる。全体はどうかわかりませんけれども、私が行くところではそうですね。東京の場合もそうですね。それから私のほうの県でも行くところはそういう状況ですね。一体どういうわけでこれが解決の方向に向いていないのかどうか、その点についてひとつお尋ねをしたいわけです。
#30
○説明員(住吉君彦君) 昨今、部外応援といいますか、これの目立つ事象の原因の一つは、やはり公共事業が年々相当活発になっておりまして、特に登記所の体制といたしましては、たとえば土地改良とか、あるいは国土調査等は主として農村地区で活発に行なわれております。それを受けましての登記事務の処理機関といたしましては、比較的小規模庁が対応する登記所としてございます。ところが、いま申しますような公共事業は、集団的にと申しますか、俗語で恐縮でございますが、いわば集中豪雨的に殺到してまいります。多人数の大ぜいの定員をかかえております大規模の登記所でございますと、ある程度人のやりくりができまして、御迷惑をかけずに済むとは思いますけれども、いま申しますような特殊登記は、そのような事情がございまして、なかなか定員職員でもって対応しきれない面がございます。そういう場合に私どもといたしましては、もよりの登記所から定員職員の応援を出すというような態勢も一方にしいております。それから先ほど申しましたように、事務の機械化、合理化でございますが、この点につきましては、やはり登記所が高度に分散をしておるというところにも一つの原因があるのではないかと考えます。もう少しこの支局、出張所が集約できますと、ある程度まとまった機械が入れられるとか、あるいは事務処理工程が分業になじむということになろうかと思いますけれども、ただいま例にあげました土地改良、あるいは国土調査等々の特殊登記事件は一人庁――たった定員職員が一人しかいない、あるいは二人しかいない、三人しかいないという、比較的登記所の機構で見ますと、小人数庁に事件が出てまいりますものですから、そういう異常な事象が依然として解消できないということであろうかと思います。先生の御質問におことばを返すようでございますけれども、年々その部外応援がふえておるということは私はないと思っております。
#31
○鶴園哲夫君 登記出張所の近くにも建物ができまして、あっちにも建物が建つ、こっちにも建物が建って、そこの人が登記所に出勤しているのですね。そういうところは相当あるのではないですか。もう一緒におったほうがいいのではないかと私ども思うくらいです。区別がつかぬのはなお悪い、われわれ外から見ました場合に。もう事務所をつくっておるのですから。建物をつくってしまっているのですから。そしてもう出勤しておるわけです、一緒に。区別がつかないこういう役所というのはちょっと珍しいですね。それが減っているというふうに私は思えませんですね。むしろそういう形態が順次にやはりふえているのではないか。その登記所の隣にも隣にも建物ができまして、そこからもう出勤しておるわけです。あっちに行ったりこっちに行ったりして仕事をしておる。同じように中で仕事をしているようなものだ。それで差しつかえないものですか。仕事の面について、あるいは登記の面について、差しつかえないものかどうか。あるいは問題が起きないのかどうかという点ですね。私は国民の立場から言いますと、非常に迷惑だと私は思っている。それというのは、登記所の登記簿を独占しておるのですから、国民は借りようと思ってもできないのです、つかまえておりますから。一日じゅうでも、三日でも四日でも握っておる。それを見せろと言っても見せるわけにいかない、握っておるのですから。そこはちょっと、私は多少問題があるのではないかと思うのです。そういう点について。
#32
○説明員(住吉君彦君) ただいまの御質問は、おそらく司法書士の事務所ではないかと思います。
#33
○鶴園哲夫君 司法書士だけではない。土地改良もつくっているのです。
#34
○説明員(住吉君彦君) 土地改良は、登記所の近くに固有の事務所を持って日々登記所のほうに出勤しておるという事例は、これは数としては少のうございます。全国的に見ますと、登記所のもよりに建物を持って、そこから出勤しているという状況が一般的だということでございますれば、比較論といたしましては司法書士事務所のほうではないかと思いますが、司法書士事務所に事務員がおりまして、そういう事務員諸君が登記所に出てまいりまして、御指摘のように、その登記簿を独占して、一般公衆の閲覧を妨げているという事象は、あるいは二部にはあるかと存じますけれども、その点につきましては、昨今情報化時代と申しますか、登記簿の謄本、抄本の需要が急増してまいりました。そのために性能のいい複写機等を備えまして、できるだけその需要に沿うような供給体制を可能な限りにおいて講じておりますけれども、やはり該当の登記簿の中から所要の登記用紙を取り出し、そうして複写機にかけるところまではこれは手作業でやるのでございますから、その点の手不足から司法書士の事務員が登記所に入ってきているという事実、これはございます。そういうことによって国民一般が迷惑し、あるいはその事務処理上いろいろな不都合が生ずるのではないかという御指摘でございます。登記簿の競合と言いますか、たとえば登記簿が数筆の、あるいは数個の土地、建物が一つのバインダーに入っております。そうして登記所の職員が登記簿に書き込む作業も、あるいは一般に閲覧に供する場合でも、同一の登記簿が数個の事務処理工程において競合するという状況は、これはございます。したがいまして、現在とっております方策は、一冊の登記簿の中にできるだけ土地の筆数あるいは建物の個数を少なくしよう、すなわち、言いかえますならば、登記簿の薄手化、これを現に実施しておりまして、一般公衆の方々にできるだけ御迷惑のかからないように、ある特定の人が終日その登記簿を独占して他の利用を妨げるということのないように、極力職場でもそのほうの監視をいたしておりますし、いま申しますように、登記簿の薄手化もはかりまして、利用状況が潤滑に処理できるように考慮しております。
#35
○鶴園哲夫君 確かに薄手化というものははかられておるようですけれども、これは終日どころの騒ぎではないですね。これはもう、まず一週間ぐらい前に申し込まなければというようなこともあるのじゃないですか、東京の場合は。なかなかそれはそう進んでいるようではないようですね。まあ登記所の運営そのものについても問題がありますですね。いまの司法書士の問題をめぐっての問題、いろいろありますけれども、われわれ一般国民として行っての感じは、これはとてもたいへんだという感じですね。ちょっとわれわれでは寄りつけないという感じですけれども、そういう点についての薄手化とか何とかいう努力をなさっていらっしゃるのでしょうが、いつも問題になります定日増の問題についてどういうような努力を払われておるのか。私の記憶では、大体一年に二百名近く、百二、三十名か百七、八十名程度増員にはなっているように記憶しておりますですけれども、しかし、法務局としては、あるいは法務省としては、定員としては何か相当大きなものを要求している。四けたぐらいのものを要求している。確かにその程度の人は要るのだろうと思うのですね。しかし、実際はまあ二けたか三けたもいいところじゃないか。非常に少ないという感じですね。そういう面についての前進はもう少しはかれぬものかどうかということをいつも感じるのです。そういう点について見解を伺っておきたいと思います。
#36
○説明員(住吉君彦君) 御案内のとおり、総定員法ができまして、国家公務員の総ワクというものはできるだけふやさないということが政府の姿勢でございましょうし、その定員増の問題につきましては、行政管理庁あるいは大蔵省等々におきましていろいろ御協議の上、法務局につきましても、私どもの話を十分聞かれた上で査定がなされているわけでございますが、われわれのほしいのは、いま先生御指摘のとおり、四けたの定員増ということを期待しておりますけれども、諸般の事情で年々三けた台にとどまっておるということにつきまして、さらにわれわれの努力の不足を反省しながら、来年度の予算の編成にあたりましても十分の努力をいたしたいと考えております。先ほども申しましたように、なるほど手作業で相当数の事務処理をやっておりますけれども、その手作業から機械作業へ移行できるものは、できるだけ機械にゆだねるという努力もやはり欠くべきではなかろうかと思います。現在法務局でせっかくいただきました定員も、新人採用難というような世情を反映いたしまして、十分欠員の補充もできないという状況にございますので、そういう二つの方策をかね合わせて、場合によれば、現在の法務局の所掌する業務の中で、法律上の規制から、場合によれば、そこである程度はしおれるといえば語弊がございますが、省略してもいい事務工程があるのではないかという法制上の問題、それから機械化の問題、合理化の問題、それから定員増というような、そのような各種の問題を総合して、極力努力をいたしておるつもりでございます。
#37
○鶴園哲夫君 まあ私が先ほど申し上げたように、登記の手数料として一千億円の収入がある。ですから、その三けたよりもっと大きい定員の増というものがあってしかるべきじゃないだろうか。そして実際の登記所の状況等見ますと、これはやはりもうだれが見てもそういう増というのは必要だという感じを非常に強く持つわけですね。それはもっとぜひこれはやはり主張なさる必要があるんではないか。もちろん主張なさっていらっしゃると思いますですけれども、ただ、私はもう一つここで申し上げたいのは、長いこと問題になっておりました税通の問題ですね。これはこの委員会でも私は何回も論議をいたしまして、何年、そうして民事局長とも直接民事局長の部屋で何回かお話をしたことがあるのです。まあこの七、八年たちまして、七年くらいになりますですね。どうやらこれが廃止になるということになったのです。私は何回かこの委員会における論議、それから直接民事局長の部屋でこの問題についてのいろいろ論議をいたしまして、どうも法務省というと語弊がありますけれども、私が直接のほうの扱った限りでは、どうも民事局というのは弱い、腰が。税通の問題に至っては非常に弱いという強い印象を受けたのですね。まあどうやらこれは片づくようなことになったのですけれども、同じようなことが私は定員の問題についても、ふやすという問題についても法務省というのは弱いのではないか。弱いというと語弊があるかもしれませんけれども、各省と若干違った部局長、課長の構成にもなっておりますから、行政官としてはふなれだという点があるいはあるのかもしれませんですけれども、私はあると思っております。どうもまあ一口で言えば弱い。税通のごときをなぜもっとできないのかという感じを非常に持ちました。これは定員化の問題についてもそういう印象を持っているわけです。ですからこの委員会でも、一千億円か、あるいは七、八百億円の収入というものはあるのではないか、そういう点も材料にして、積極的にその定員の増加について努力すべきじゃないかという話まであるくらい、妙な話ですけれども、そういう話があるくらいですから、私はいま定員の問題についても、もう少し積極的な努力を要望したいです。ひとつ事務次官か民事局長見えておられますか、見えてない――一ぺん民事局長の顔を見た上で聞きたいと思うのです。税通問題も弱いと私は思いますね。一ぺん見解を聞いておきたい。
#38
○政府委員(大竹太郎君) 非常に実情を御理解しての御質問でございまして、恐縮しているわけでございますが、先ほど課長から答弁いたしましたように、この登記管理の仕事は、土地改良、公共事業等の関係もございまして、御承知のように年々多少はふやしておりますけれども、それ以上に仕事がまあふえるという実情からいたしまして、なかなかいまお話しのありましたように、外部の手伝いも受けなければならぬというようなわけでございまして、今後も人員の増加の面につきましては努力をしてまいりたいと思いますが、先ほど課長からも話がございましたし、また、御質問の中にもございましたが、これはやはり登記所の出張所の中には一人庁なんというのも現在あるわけでございますので、これはやはり先ほどお話がございましたような統合というような面から、少なくとも三人とか五人以上にいたしまして、そういたしますれば、この機械の利用その他もかなりできるわけでございますので、そういう面からも考えていきたいと思うわけでございますが、同時にまた、国家総定員法の関係からいたしますと、よその庁のことを申し上げて恐縮でありますが、法務省内部だけの関係では、なかなか定員法の関係もございまして、むずかしいわけでございますから、やはり行政管理庁その他からいたしまして、役所の中では、時代の変遷からいたしまして、相当減員できる役所もあるやに聞いておるわけでございますので、そういう面と、そういう役所とのかね合わせの上で、法務省の特にこの登記管理関係の人間を相当にふやして、いままで以上相当にふやしていただくわけにはまいらないものか、そうしていただきたいということで、私どももその方面からも行政管理庁その他にもお話をしているわけでございます。
 いずれにいたしましても、この登記事務というのは、国民の権利義務に関する役所でございますので、先ほども御質問がありましたように、だれでもが入ってきて、大事な書類その他をかってに――相当の監督はしておりますけれども、それを何といいますか、自由に取り扱っているというようなことは、たいした間違いもいままでのところはないようでございますけれども、そういうような面から見ましても、非常に不都合なことでございますので、そういう面からいたしましても、御趣旨に沿うように努力したいというふうに考えております。
#39
○委員長(西村尚治君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時七分開会
#40
○委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 委員の異動についてお知らせいたします。
 源田実君が辞任せられ、山崎竜男君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#41
○委員長(西村尚治君) 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#42
○峯山昭範君 今回の法務省設置法の一部を改正する法律案の審議に際しまして、二、三質問したいと思います。
 私は、今回の中に出てまいります拘置所移転等、種々問題もございますが、実はこの当局から出されました資料によりましても、監獄法というのが記載されておりますんですが、監獄法というこれにつきましては、種々衆議院の委員会等でも質問がされているようでありますが、実はいろいろ読んでみまして感じましたことをちょっと質問したいと思うんですが、監獄法という法律は一体どういう法律なのかですね、基本的な考え方を教えてもらいたいわけでありますが、要するに国と受刑者といいますか、在監者といいますか、そういうような人たちの、国といわゆる在監者との間の法律関係を規定したものであるのか。または私がまあ感じるところ、どうもそうでもなさそうな感じなんですね。いわゆる行刑の管理といいますか、そういう人たちに対する訓令といいますか、または執務規定といいますか、そういうふうなものが中心になっているようにも思うわけです。それで私はこの基本的な理念は一体どういうぐあいになっているのか。少なくとも私が思うのには、この監獄法という法律は、少なくとも受刑者の法律的な地位を高めるものでなければならない。こういうぐあいに私は思うのですが、この点について最初に大臣の考え方を伺っておきたいと思います。
#43
○国務大臣(小林武治君) これは端的に申せば、要するに確定判決を受けた者を社会から隔離して収容する。同時に受刑者がその適当な生活をする。そしてあとうならば社会復帰ができるような教育その他の面においても配慮をすると、こういうことでございまして、要は刑務所というものがあって、その刑務所の目的にかなう運用のしかたを監獄法できめると、こういうことでありまして、このお話しの、いままだ監獄法などということばを使わざるを得ないことを非常に残念に思いますが、そういうことでございます。
#44
○峯山昭範君 ということは、どうも監獄法という法律、いま大臣も残念とおっしゃいましたが、この点についてもあとでまたお伺いしたいのですけれども、少なくとも国の刑罰、刑事訴訟法なり、そういうふうなあらゆる法律によって罰せられるところの、いわゆる受刑者、在監者といいますか、そういう人たちと国とのいわゆる法律関係というもの、そういうふうなものを規定した法律じゃないように私は思うんです。もっとわかりやすく言いますと、受刑者の身分保障的なものが実際この法律の中に盛り込まれていないように思うわけです。要するに、この法律全部を見てみましても、この総則の第一条からぱっと見ましても、初めに普通は法律の目的とか何とか、いろいろなものがあるわけですが、この法律ではしょっぱなから「監獄ハ之ヲ左ノ四種トス」、こういうぐあいにありまして、相当古い法律でありますので、不備なところもあるとは思うんですが、いずれにしても、私はもっと何というか、受刑者の地位向上を目ざしたような法律にすべきではないかと思うんですが、こういう点についてはいかがでしょう。
#45
○国務大臣(小林武治君) 何しろ明治四十一年の法律がまだ生きておると、こういうことでございまして、その後いまの受刑者収容のいろいろの量刑について社会の考え方も変わっておると、したがって戦後は人権擁護と、こういうふうに確定判決を受けた者もやっぱり人権はあると、人権擁護の立場において考えなきゃならぬと、まあいろいろ学説、議論がありますが、要するに社会悪に対して社会を守る、多少のいましめ的の要素と、もう一つは教育的の要素しというものが非常にその後変わってきておりまして、教育によって社会復帰を早くにひとつ可能ならしめる方途を講ずると、昔のような単なるこらしめのための手段ではないと、こういう考え方をいたしておるわけでありまして、実際の運用面においては、いまのような考え方が出てきておるのでありますが、法律そのものが変わっておらぬから、いかにも旧時代的な、単なるこれを隔離して、そして懲戒をするんだと、こういうふうな考え方が多く出ておる。したがって早く直すことが、とにかくいまの人権擁護的なものの考え方を入れたもので改正するということが急を要するというふうに思っております。
#46
○峯山昭範君 大臣のおっしゃるとおりだと思います。まあ、法律がこうであるから、現実に人権を無視されたような扱いをしているとは私も思いませんし、昔のようにいましめとか、こらしめというふうな点より、いま大臣おっしゃいましたような、確かに教育的な、または更生的な面に力を入れてやっていらっしゃるとは思います。いずれにしても、そういう点に力を入れて、今後改正される場合、そういう点にも取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、すでにこの問題については、先般、日本弁護士連合会からも、現行の監獄法の改正につきましては、すでにいろんな意見書等が出ておるようでありますが、まず先ほどから大臣おっしゃっておりますように、監獄ということばについては、私も実は今回の改正法が出るまで詳細に見ておりませんでした。実際今回のこの法律が出まして、この法律を読んでみますと、至るところに監獄、何といいますか、暗い印象を与えるようなことばが続いているわけです。先ほどもおっしゃいましたように、確かに調べてみますと、四十一年に制定されて以来、ほとんど改正がされておらない。しかも昔の何といいますか、牢獄といいますか、そういうような感じの非常に暗い印象を与えるわけです。現実に法務省内の部局では、調べてみますと、大正十一年まであった監獄局というのは矯正局に変わっておりますし、また、監獄の名称でありましたのが刑務所と、こうそれぞれ変わっておりますし、私はこの監獄という名前自体がすでに改正するほうがいいのじゃないか、現在私たちの時代に不相応、こういうぐあいに思うのですが、まずこの名称の問題については、大臣いかがでしょう。
#47
○国務大臣(小林武治君) これはもうとうに改正すべきで、大正何年かに、すでに実際においては日本では監獄というものはない、刑務所あるいは拘置所と、こういうふうに呼んでおりまして、とうに当然いまの実際の施設を刑務所と称する際に改正すべきものをそのままにしておいたと、しかし、時代は進むから、この監獄法をそのまま施行できないと、こういうことのために、これらはほとんど省令、通達、公達、こういうふうなもので切り張りでもって始末をしてきておると、こういう状態でございます。
 これはまあ非常に遺憾な状態でありまして、現に私どもは監獄ということばは使っておりません。したがって、今度の法律改正にもそういう前時代的なことばを追放する、こういうことに大きなねらいがあり、私どもはまだ名前はきめていませんが、たとえば行刑施設法とか行刑法とかいう、そういうふうな名前にしたいと、少なくとももう監獄なんということばは早くにひとつ追放しなきゃならぬ、かように考えております。
#48
○峯山昭範君 全く大臣のおっしゃるとおりだと思います。
 そこでまあこの監獄ということばにかわることばでありますけれども、外国では一体どういうふうな名前を用いているのか、また、日本のこういうような刑務所と外国の刑務所とは、一体どういう点がおもに違うのか、そこら辺のところについて概略お伺いしたいのです。
#49
○説明員(羽山忠弘君) 名称の点でございますが、英米におききしてはプリズンということばを使っておりまして、これはずっと使われておるように思います。ドイツにおきましては、日本の監獄というようなことばに相当いたしますゲフェングニスというのがございましたのが、その後、日本語にいたしますと行刑施設と申しますか、シュトラーフアンシュタルトということばに直っております。最近の国際連合の規定等によりますると、やはり行刑施設的な感じの用語が多いように思います。
 それから処遇でございますが、処遇で著しく違いますのは、刑の内容といたしまして各国によっていろいろ状況は違いますけれども、まあ刑罰の執行――いずれも刑罰の執行でごさいますが、その非常につらいという度合いがだんだんと緩和される。たとえて申しますと、日本の旧北海道開発時代、大雪の降っているところに囚人を繰り出して森林を開発し、道路をつくったと、非常につらい、いわゆる苦役、懲役という感じでございますが、最近は工場などにおきましても、凍結を防止する程度のあたためる装置を入れるというふうに、だんだんと苦痛を緩和するという方向に一口に申し上げれば行っているのではないかと思うわけでございます。
#50
○峯山昭範君 大体のことはわかりましたんですが、先ほど大臣から、この監獄法の改正についてはすでにもう大正年間から改正する話が出ておったと、名前等についてもそうでありますが、次にその改正の内容ですが、すでに監獄法改正準備会ですか、というのができて、ことしの五月ごろまで百六十回ですか、相当の会合を開いて審議を重ねていると、このように私聞いているわけでありますが、現在どういうぐあいになっているのか。改正のめどといいますか、こういうふうなものはいつごろできる予定なのか、そこら辺のことについてお伺いしておきたいと思います。
#51
○国務大臣(小林武治君) 私も、率直に申して、法務大臣になるまでは監獄なんということばはもうなくなった、監獄法というものはもうないと、こういうふうに思っておって、調べてみたら監獄法というのがあったからして、私もびっくりいたしたのであります。したがいまして、こういう前時代的な法律がまだ行なわれておるなんということは、場合によったら、法務省は怠慢ではないかとさえ私は国会でも申したのでありますが、長い間これはもう準備会等で議論ばかりしておって、結論を出さない。これは一番悪いことでありまして、何年議論したって結論が出ない。したがって私は、これはとにかく二つも三つも意見があれば、その一つにきめる以外にないのだからきめていきなさい、こういうことで、私は先般の通常国会におきましても、次の国会には必ず提出いたしますと、こういうことを言明したのでありまして、それによりましていま作業を進めている。私が、二、三日前にも、局長さんにも次官さんにも、次の通常国会にとにかく出す、これを前提にして進めろ、しかし、この法律は、やっぱり刑法なんかの関係が非常に強いから、やっぱり法制審議会に付議しなければならぬということでありまして、私はどうしても三月の初めくらいまでには国会に提出したい、それには法制審議会でも一カ月余の審議期間が必要であろうから、少なくとも一月下旬までには法制審議会に付議すべしと、こういうことを私は事務当局に強く指示をし、それで、それはそういたしましょうということになっております。ですから、そういうことで私は国会には少なくとも三月初めには提出しなければなるまいと、こういう予定でいま、要するにもう次官が先頭に立って、みんなこれはきめなさいということでやっておりますから、そういう順序であるということを申し上げておきます。
#52
○峯山昭範君 そこで、どうか、長い期間検討しておられましても、いま大臣おっしゃるとおりだと私は思います。そこで、この改正の基本的な精神をひとつ聞いておきたいのでありますが、やはり、先ほどからちょっと言っておりますように、改正する場合は、何といいましても、新しい憲法のもとに基本的人権という問題が相当重く、今回の新しい憲法でもうたわれておりますが、この監獄法の中にも、やはり、私はこういうふうな受刑者または在監者といいますか、そういう人たちの基本的人権を保障し、基本的人権を尊重するという考え方がやっぱり基本に流れていなければならないと私は思うのです。
 そういうふうな意味で、また違う面から言いますと、受刑者の何といいますか、処遇といいますか、刑務所の中におきますところの処遇ですね、そういうような問題並びに社会復帰といいますか、先ほどは教育という話がございましたが、社会復帰または本人の更生を助長させるようなものでなければ、私はいけないと思うのですが、この点について大臣の考えをお伺いしておきたいと思います。
#53
○国務大臣(小林武治君) もう全くお話しのような方針で法全体を貫くべきであるというふうに考えて、その準備をいたしておる、こういうことでございます。私ども、いまの人権保障的な考えを入れろ、あるいは中の処遇においてもそういうことを基本にして考えろ、そういうことにいたしておりますし、それから現在作業などについても非常に前近代的なことが行なわれている、こういう方面においても非常な改善をしていかなければならぬというふうに思っておりますが、もしもう少し詳細にということでありますれば、矯正局長のほうで一応の案ももうおつくりになっておりますから、局長のほうから御答弁させたい、かように考えます。
#54
○峯山昭範君 矯正局長の御答弁あとでいただきたいんですが、特に受刑者の処遇の問題については、先般私たちも内閣委員会の視察で北海道等を回ってまいりまして、現実に私たちもこの目で確認してまいりました。たびたび私たちも、北海道だけでなくて、大阪近郊等も私も行ってまいりましたのですが、いろいろな問題がやっぱりあると思います。何といいましても、私たちは刑務所の中へ入ることはなかなかございませんので、刑務所の中での生活は一体どういうぐあいになっているのか、または衣服とか寝具なりというものは満足なものであろうか、また、北海道等に参りましたときにも、冬は雪がこのぐらい積もるとか、いろんな話がありますと、冬はどういうぐあいになっているのであろうか、火の問題もありますが、そういうような問題やら、食料、食べものは一体どういうぐあいになっているのか、または受刑者が病気になった場合はどういうぐあいになっているのか、医者は足りているのであろうかというようなことが、非常に私たちとしては、そういうところへ参りましても関心の深い点であります。
 そういうような一つ一つにつきましても、実は弁護士連合会の意見書の中にも、そういうような問題について一つ一つ指摘をいたしておりますが、こういうような問題について、概略、大体どういうぐあいになっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#55
○説明員(羽山忠弘君) ただいまお尋ねの点は、去る十月十四日付で日弁連の会長さんの成富先生から法務大臣あてに出された要望書のことだと思うのでございます。この内容につきましては、御承知のように九点あるわけでございます。そこで、その九点につきましては、一つ一つ検討さしていただいておりますが、大体われわれのいま考えておる方向と同じような方向で、できるだけこの御趣旨に沿ってまいりたいと思っております。
#56
○峯山昭範君 ぜひその趣旨に沿ってやってもらいたいと私は思っておるわけでありますが、その中で第一点だけお伺いしたいんですが、先ほども作業の問題について大臣からも答弁ございましたのですが、作業賞与金というものですか、何というのでしょうか、この問題について、作業給与金ですか、賞与金というのですか、一体どのくらい支給されているのかということで、私もちょっとだけ調べてみましたら、一カ月、全国のいろんな刑務所、そういうところの、平均六百円から八百円という記事がちょっと出ておりました。これはどういうあれかわかりませんが、六百円から八百円と、昔は六百円で最近は上がって八百円、私は一日八百円かと思ったら一カ月八百円と、こうなっていたのですが、これはミスプリントかもわかりませんけれども、もしこれがそうであるとすれば、非常に私はもう低いのじゃないかと、こういうぐあいに思うわけです。実際問題。一九六〇年ですか、ロンドンで開かれました犯罪防止、犯罪者処遇の世界会議でも、原則として、社会と同一のできばえであれば同一賃金を与えるという基本的なことが、国際的な会議でもきめられていると思うのですが、しかしその中には、同一のできばえであればということがありますが、同一のできばえではなくて劣っているということがあるかもしれませんけれども、実際にはすぐれている面も私はあると思うのですね。そういう点から考えてみて、あまりにも少ないじゃないか、実際問題。こういうふうな受刑者の皆さんが中でそういうぐあいにかせいだお金というのが、釈放後の更生資金といいますか、そういうようなものになるにいたしましても、非常に私は少ないと思うのですよ。ですから、少なくとも私は、現在のやはり十倍といいますとちょっと多いかどうか知りませんけれども、普通でいえば少ないと思うのですね。ですからその点やはり、何だかこういう点についてももっと検討を加えるべきじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、この点いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(小林武治君) これはもともと労働対価として考えられたのじゃないということでございます、初めできたのは。したがっていまの世間の労働対価と比べてどうこうということでない、こういうお話ですが、しかし私ども考えまして、それにしても少な過ぎるのじゃないかということで、私どもは今度の監獄法改正などに伴って、労働対価でなくてもいいから、賞与を相当に大幅にひとつ増額をすべきであるということもひとつ予算関係でいま考えております。
 それからもう一つ、私はこれ非常に不合理だと思うのは、働いて、そして賞与にしても、働いたらとにかく本人のもの、それがいまの予算では、実におかしいことは、出ていく人だけのことを毎年予算にとっておる。ことし釈放されるものが何人おって、それの合計が大体幾らだ、こういうことでやっておるものですから、だから五年も十年もおる人は、一年でも、一月でも計算して、それを本人の所得分にして、私は利息もつけて考えなければいけないのじゃないか。いまのような勘定は非常に私は不合理だ。ある期間を区切って本人の所得として、そして本人の所有物として保管をしてやる、こういうふうな考え方をしなければいかぬ。何年働いても、ただ前のものを累計して支払っておる、これは非常に不合理である。これをすぐに直しなさい、いまの方法においても直していいのじゃないか、法律を直さぬでも直したらいいのじゃないかということを当局に申しておるのでありますが、いろいろとにかく作業問題につきましても非常に不合理な点が多いし、私がいま大きく考えておることは、作業会計というものをつくったらどうか、刑務所の作業特別会計というものをつくってやれば、いまのようにどんぶり勘定と申しましょうか、非常にあいまいなことが直るということで、収入、支出を会計でつくりなさい。大蔵省にも交渉を私はしておりますが、まだ矯正当局のほうにおいてなかなかそういう運びにならぬでおりますが、これらも、作業問題は全く私は根本的に変えなければならぬ。そのためには作業特別会計をつくりなさいというようなことまで申しておるのでありまして、いま峯山委員のおっしゃること、私はまことにそのとおりだと、さように考えます。
#58
○峯山昭範君 よくわかりましたのですが、それに伴って、それじゃもう一点この点についてお伺いしておきたいのですが、最近の犯罪の傾向といいますか、こういうようなものは、どういうようになっているのですか。今回も新しい刑務所ができるわけでありますが、現在監獄法のもとに刑務所とか少年刑務所、拘置所等が全部で七十三ですか、幾つかあると聞いておりますが、ここに収容する人数と実際収容者との割合とか、これは最近の一番新しいのでけっこうですが、最近の収容者の傾向を、これは犯罪がふえておるとか、減っておるとか、犯罪白書等にも出ておると思うのですが、そこら辺の傾向等については大体どういうふうになっておるか、一点お伺いしておきたいと思います。
#59
○国務大臣(小林武治君) 私はここで正確に申し上げるつもりはございませんが、大体収容力というものは十一万人くらいが大体の予算定員と申しますか、妙な定員でございますが、そういうような収容力を持っておる。しかし、これは出入りが相当に激しいということでありますが、平均しまして、その全体の収容力の六割ちょっと余くらいしかいまの収容人員はない。すなわち世間が景気がよくなって、働けばみな食える、こういう時代になれば当然犯罪は減る。この傾向を反映いたしまして相当ないま余裕が出ておる。すなわち六割程度ではないか、そういうふうに思っております。
#60
○峯山昭範君 刑務所の問題はもう一点お伺いして終わりたいと思うのでありますが、受刑者の災害補償ですね。これはどういうふうになっておりますでしょうか。もし中で、いろいろな問題あると思うのでありますが、この点についてお伺いしたい。
#61
○国務大臣(小林武治君) これは災害補償も考えなければなりません。それで補償もいたしております。ほかに比べてたとえば多い少ない、こういうことはありまするが、要するに作業中とか、あるいは要するに刑務所内における事故による死傷というものについては補償をするということで、そういう予算的な措置も講じております。
#62
○峯山昭範君 次に大臣に、先ほど同僚の議員から秘書課長さんにお尋ねのあった問題でありますが、大臣お見えになりましたのでさらに確認しておきたいのですが、先般の給与の勧告の際に、「行政機構の簡素合理化の推進について」という閣議決定がございました。その閣議決定の中で、特に府県単位の機関の廃止という問題が出てまいりました。その二番目に、地方の支分部局等の整理再編成の問題ですが、「原則として五年間に、府県単位機関を廃止する」ということが出ておるのですが、当然法務省としましてもこの問題について検討をやっていらっしゃると思うのですが、私は非常にこれは国民の生活に密接な関係のある機関ばかりであります。そういうような面から考えて、ここら辺のことについてはどういうぐあいに検討をしていらっしゃるのか、そこら辺のところについてお伺いしたいと思うのです。
#63
○国務大臣(小林武治君) 私はいま登記制度というものが日本の、要するに一般の市民の権利確保と安定、こういうことについて非常な重要な役目を果たしておると思います。その上いまのレジャーブームその他によって、日本中の土地が全部移動を始めておる。要するに所有権の移動をしておる。こういうことで、私はいまの登記事務ほど激増しておる事務はほかにあるまいと考えておるのでありまして、先般私は閣議の際におきましても、減員あるいは配置転換いろいろな問題があるが、少なくとも登記事務についてはさような考えを適用すべきでないというふうに発言をしておったのでございます。ただ私ども、いま登記所というのは大体全国で千七、八百ある。これは中には一人の職員しかおらぬ。非常にいろいろな不便があるから、こんなに非常に交通事情もよくなれば、一人の登記所などはこれは市民もかなり迷惑だ、そういうふうな考え方からして、ある程度登記所は整理統合いたしたい、こういうふうに思っておりまして、その立案はいまいたしておりますが、しかし、何といたしましても、交通がどんなによくなっても、少しでも登記所が遠くなるということは、市民にとってたいへんな問題であるから、いつもこの法案を立案しながら、国会方面からも非常な反対が出ておる。個々の問題になると、これをやめては困る、これを移しては困る、こういうような非常に強い要望が出てきます。しかし、私は、登記所そのものは、いまのような事務能率等の関係からも、一人局などはできるだけ統合してまいりたいというふうに考えておりますが、いまの地方法務局というものは、単に登記所の統轄をしておるばかりではありません。ここでは人権擁護と政府が相手になる訟務関係、訴訟関係を地方支所ごとに扱っておる。こういうことで、単なる登記所の上部機構というふうには思っておりませんので、この法務局のいまの廃止とかいうことについては、私どもはそういうことのないようにできるだけいたしたい。これを他の各省の県庁所在地の役所と同じように見てもらっては困る。行管等においても、多少誤解というか、見違いがあるのじゃないかというふうなことをいま話をしておるのでありまして、行管の長官にも法務局の整理については相当なひとつ考えをもってもらいたい、今日の段階では事務的にひとつよく煮詰めてもらいたい、こういうことでありますから、事務的にいまいろいろ交渉しておりますが、私どもは、地方法務局についてはいまのような考えを持って、ひとつ政府部内でも相談をし、そしてまた廃止というようなことであるなら、これは考え直してもらわなければならぬということを、私も前面に出てその話を進めておる、こういうところでございます。
#64
○峯山昭範君 私たちは、この行政改革の問題については、いずれにしても行政改革は賛成でありますけれども、やはり国民に対するサービスといいますか、私たちの生活に密接に関係のある機関については一考を要する、こういうふうに、いま大臣がおっしゃったとおりでありますが、そこでちょっとだけお伺いしたいんですが、地方法務局と法務省との間にあります八つの法務局ですが、この中間の法務局については、これはどういうぐあいに考えていらっしゃるか、この点については閣議決定でも何でも出てないのでありますが、先ほどもちょっとこの点について触れられませんでしたけれども、中には法務省は、よその省と違って中間の、いわゆるブロック別にある八つのやつをなくしたらどうだと言ってきた人もいるわけですけれども、ここら辺の考え方についてはどういうぐあいにお考えになっていらっしゃるか、私はその中身が、どういう仕事をしているか、実は詳しく知りませんので、そこら辺のところもあわせてお伺いしたいと思います。
#65
○国務大臣(小林武治君) いまの各ブロック別の法務局は、これは大体検察も、裁判所の高等裁判所に対応して高等検察庁がある、こういうことでいまの訟務関係も、いま私が申すように、地方裁判所はもとより、高等裁判所関係のことはいまのブロックの法務局でやり、そしてそのブロックの法務局がまた地方裁判所の方面に応援にいき、相談にもあずかる、こういうことでやっております。訟務関係と、それからしでいまの人権擁護関係をこのブロックの法務局がやっておる。しかし、ブロックの法務局には現業の登記事務も一緒に付設しておると、こういうふうなことでございまして、いま私どもは、政府の段階においてもこのブロック別の法務局をどうこうするという問題は起きておりません。
#66
○峯山昭範君 この問題はそのくらいにしまして、次に今回の法案そのものについてお伺いしたいんですが、今回の法案の中で、実は東京拘置所が移転するわけでありますが、実際問題として拘置所ができて相当の歴史もありますし、その当時ずいぶん町の中心から離れて刑務所が設置されておりましても、現在もう町の中心になってきたというようなところがずいぶんあるんじゃないかと私は思うんですが、現在地元からも刑務所を移転してほしいというような要望も出ているんじゃないかと思うんですが、そういうふうな事情にある刑務所は、現在一体全国にどのくらいあるのか、これを伺いたいと思います。
#67
○説明員(羽山忠弘君) 本所と支所と含めまして、移転してほしいという要望が出ておりますのは約三十件でございます。
#68
○峯山昭範君 そこで、三十カ所も現に出ておるといたしますと、地元からの要望も出ておりますし、国民のいまそういうふうな要望、地元の住民の要望にこたえる意味からも、将来は必ず移転する方向に進めるんだと私は思うのですが、今回東京刑務所の移転につきましても、あと地の問題については、もうすでに衆議院で相当やっておりますので、私もあまりやりませんけれども、いずれにしても刑務所の移転について基本的に考えなくてはいけない問題というのはいろいろあると思うんですね。一体どういうふうな考え方を持ってその刑務所を移転するのか、移転する場合の基準となる問題ですね。これはどういうぐあいに考えていらっしゃるのか、またこういうぐあいな三十カ所について今後の方針ですね、これはどういうぐあいに考えていらっしゃるか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
#69
○説明員(羽山忠弘君) 会計関係のことは会計課長が後にお答えいたすと思いますが、矯正実務の面からいたしますると、町の発展を阻害するというようないろいろ御事情がございまする場合には、刑務所は適当な場所にかわるべきだというふうに思うのでございます。そのときに私どものほうとしましては、処遇が決して悪くならないようにということが第一でございます。第二は、収容者だけまいるものではございませんので、どうしても職員がついてまいりますので、職員の生活、特に子弟の教育とか、あるいはお医者さんの問題というようなことがつきまといますので、そういうことが解決されるということ、まあ二つの基準でございます。
#70
○峯山昭範君 私は、実は何と言いますか、今回の東京拘置所みたいに相当いろいろな問題がもう出まして、どうしても早急に設置法を通さなければならない、こういうふうになっておりますのですが、これから移転する場合ですね、東京刑務所の場合はとにかく、いろいろ調べてみますと、売り渡しの契約等、四十二年に行なっていらっしゃるわけですね。そうして新都再開発センターというような会社をつくって売り渡していらっしゃる。そこで、もうすでに移転がきまっておる、その前に閣議決定等あったと思いますが、いずれにしましても、私はこの設置法というこの問題は、この設置法がちゃんと通ってからいろいろな問題をするのが筋じゃないかと、こう思うのです。最近国家行政組織法の改正という問題が相当問題になりまして、来国会で部局の廃止を政令でやろうというような話も出ております。そういうようなときに、こういうふうな問題は、少なくとも設置法が通って、事前にちゃんと処理をして、その上でその移転等について実質やっていく、そういうふうな姿勢が私は大事じゃないかと思うのですが、ここら辺のことについてはどういうような御見解を持っていらっしゃるか、お伺いしておきたいと思います。
#71
○説明員(伊藤榮樹君) 刑務所の移転につきましては、将来とも御指摘のように次々起こるわけでございますが、たとえばいま御指摘の東京拘置所の問題をとりますと、現在小菅刑務所と申しておりますところがやがて東京拘置所になるわけでございます。しかしながら、建物が全部できてしまいませんと、現在小菅刑務所のありますところに東京拘置所という看板をかけることができないわけでございまして、したがいまして、設置法との関係におきましては、やはりおおむね完成に近づいて、大体数カ月以内にその施設の看板として新しい名称がかけられるという段階になりませんと設置法の問題にはならないのではないかと思います。しかしながら、御指摘の御趣旨はきわめてよくわかるわけでございまして、そういう意味におきまして、本件の問題につきましても、昭和四十一年度の予算案におきまして国庫債務負担行為をお願いします際に詳細御説明を申し上げておった次第でございます。
#72
○峯山昭範君 いずれにしましても、その点については、まあ刑務所ができちゃってからそういうふうなのが現実に多いわけです。たとえば、事件は違いますけれども、農業者大学校とか、いろいろな問題、ずいぶんこの内閣には出てまいりました。できちゃって仕事やっておる、名前だけ変えるのに設置法提出する、そういうようなのがいままでにもたびたびありました。そういうようなことでは私はよくないのじゃないか、こういうぐあいに思っておるわけです。
 そこで、まああと二、三聞いて終わりたいと思うのですが、今回東京拘置所は小菅ですかに移転するにあたって、相当受刑者の収容人員もふえるし、建物面積も相当増加するわけですね。そのために職員の増加といいますか、補充といいますか、そういうような点は、職員が相当不足するのじゃないかと、そういうように思うのですが、そこら辺のところはどういうように処理をされるのか、お伺いしておきたいと思います。
#73
○説明員(羽山忠弘君) 東京拘置所が小菅にまいりますのは、受刑者でございませんで、被告でございます。で、約二千五、六百の定員の拘置所ができるわけでございますが、それは現在の拘置所の要員と、それから黒羽に移転いたします宇都宮刑務所の要員と、それから小菅の刑務所の要員の中からまかなうということに相なっております。
#74
○峯山昭範君 刑務所の問題についてはもう一点お伺いしたいと思うのですが、さっき質問すればよかったのですが、受刑者の食事ですね、これちょっといろいろ聞いてはいるのですが、その主食の割合を麦と米と逆にしたとかですね、というようなことを聞いておりますのですが、前、麦が六割でお米が四割だったのを、お米を六割にして麦を四割にしたとか、こういうふうな話も聞いているのですが、これは要するに最近非常にお米が余っておりますから、そういう点かもしれませんが、やはり受刑者にまさか古米ばかり食べさせているわけじゃ私はないと思うのですが、ここら辺のところは、もし古米だけなんということになると、やはり人権問題にもなると思うのですが、ここら辺のところはどういうぐあいになっているのか、それから一日当たりの食事の費用というのはどのくらいなのか、また副食費というのもあると思うのですが、そういうようなのはどれぐらいなのか、そこら辺のところをお伺いしておきたいと思います。
#75
○説明員(羽山忠弘君) 従前、重さでございますが、重さで麦が六、お米が四というのが、本年から麦も米も五分と五分というふうに直ったわけでございます。われわれは明年度はさらにお米のほうを少し逆に六にして、麦を四にしていただきたいということで、目下折衝中でございます。で、ただいま古米ということを御指摘でございますが、外米が主でございまして、古米があまり使われておりません。これは値段の関係があろうかと思うのでございます。
 それから副食の費用でございますが、労働の種類によりまして五等級に分けまして、一番多いところが全体で三千カロリー、副食は六百カロリーであったと思います。その価格でございますが、平均いたしますと一日約百円でございまして、主食が約五十五円ぐらい、それから副食が約四十五円ぐらい、こういうことになっておりまして、主食のほうはまあまあというところでございますが、副食費がやや足りなくて、これも目下改善に努力しておるところでございます。
#76
○峯山昭範君 ぜひともそういう点にも改善をしていただきたいと思います。
 それから、次に入国管理事務所の問題について一点だけお伺いしたいと思うのですが、この入国管理事務所がことしも五カ所増設になるわけでありますが、毎年何かこの増加の傾向にあるようでありますが、ことしの増設の分でも定員が十名ほど、最低十名ほどふえるようでありますが、この辺の人員の充足は、これはどういうぐあいにやっていらっしゃるのか。実際問題として三年五%削減の問題、また来年度九%という、この次の九号というふうに続いて定員削減の問題もあるわけでありますが、このただ単に充当していくというのも、これは限度が私はあると思うのですよ。そこら辺のところは一体どういうぐあいになっているのか、お伺いしたいと思うのです。実際問題として、入国管理事務の非常に繁雑な中でがんばっている様子を、私も現実に大阪の伊丹の飛行場等で見てまいりました。非常にたいへんで、昼夜三交代で、何といいますか、これカードの整理というのですかね、あれを猛烈な勢いでやっているのを見てまいりましたが、たいへんな様子であります。こういうような点も考えてみますと、人数の多いところは、それが何とかなるにいたしましても、小人数のところは、またそれぞれ問題があると思うのですが、それぞれこういう点について、どういうぐあいに今後対処されていかれるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#77
○政府委員(吉田健三君) 入管業務の内容に御理解ある御発言をいただいたわけでございますが、ただいま設置法の改正で御審議をいただいております港出張所は、それぞれの中心地区にある事務所、たとえば宮古港でございますと、仙台の事務所から人間をさいて、そこに二名派遣する。港事務所がふえたことによって定員増は行なわれていないわけでございます。したがいまして、こういう状態で、今後港出張所がふえますと、非常に定員上問題が出てくると思いますので、近い将来総合的に再検討する必要があろうかと私たちは考えておる次第でございます。全体といたしまして若干の増員になっておりますのは、当然減で削減するものを押し戻して、飛行場その他の業務がふえておりますので定員が増になっておる結果、全体で定員が増加するという結論が出てきておるのが実際の姿でございます。
#78
○峯山昭範君 こういうような出張所が今回五カ所できるわけでありますが、この資料の中にもそれぞれ表がありますが、船舶の入港船舶数ですか、それとか正規の出入国者数とか、特例上陸者数等の表がついておりますが、こういうような出張所は、実際問題として入国審査官一名、入国警備官一名の二名で、それこそ最低限だと思うのですが、非常に少ない人数でこういうような出張所が設置されるわけでありますけれども、こういうような出張所が設置される場合は、何を基準にしてこういうような事務所を設置されるのか、実際にこういうような二名の定員で十分これでやっていけるのか、ここら辺のところはどうでしょう。
#79
○政府委員(吉田健三君) いまちょっとお触れになられましたように、各地方で産業がどんどん開発されてきますと、原材料の輸出入という問題がありまして、港が方々に拡張されてきておる。そこにどうしても外国船が入ってくる。そこでその年間の一定の基準から見た外国船の数が入る港に出張所をつくってまかなっていく、二人庁で現在処置いたしておりますが、もし船が多数一時に入りまして、業務がふくそういたしますときは、その管轄しております入国管理事務所のほうから応援隊を繰り出して応急手当てをする、そういう状態でやっております。
#80
○峯山昭範君 これで私は終わりますけれども、逆に、こういうぐあいに法律上相当な出張所ができておりますが、現在はこういうぐあいに毎年確かに船も入ってきている。それで特別に上陸する人もいる。しかし、いろいろな文化の発達といいますか、経済情勢も変わってきていると思うのですよ。そうすると、私は廃止したほうがいいんじゃないかというようなところもあるんじゃないかと思うのですが、ここら辺のところはどういうようになっているのか。さらに法務省が十月に発表した出入国管理の実態というものによりますと、十年で六倍ですか、空と海の両方から相当のそういうような海外渡航者も入ってきて、パンク寸前だという話も聞いておるのですが、そういう点をどういうぐあいに検討されているのか。そういう点もできるだけ合理的に検討されて運営をしていただきたい、こういうぐあいに思います。
#81
○政府委員(吉田健三君) 港の数につきましては、出入国指定港というものをつくりまして、そこに外国船が出入国するようになるわけでございますが、一定の基準量から現在判断いたしまして、ある数までいきましたら、それ以上やたらに港がふえることもなかろう。大体一つの港でその周辺の産業開発地域に対する手当てが済んでいくという傾向にございますので、必ずしも無尽蔵にふえていくものと思っていませんが、同時に、御指摘のように、基準量を下回ってきて不必要になった港はこれをやめていくという方向で検討しておりますが、現在のところは一向に船舶の出入が減っておらないのが日本の経済の状況でございます。
#82
○岩間正男君 私はいわゆる三島事件、この問題に関連した法務省並びに警察、こういうところの処置についてお伺いしたいと思うんです。この問題は非常に国民に衝撃を与えた問題であり、そうして、しかも、その背景は軍国主義の復活の問題と非常につながってくると思うのです。クーデターを起こして憲法を改正する、それがねらいの問題でありましたので、その背景は非常に重大な問題を含んでおると言わざるを得ないと思うのです。そこで、そういう取り締まりに当たっている公安調査庁に対しましてまず最初にお聞きしたいと思うんでありますが、いわゆる三島事件、この中での「楯の会」、この「楯の会」というものは一体どういう種類の団体といままで公安調査庁は見ていたのか、この点についてお聞きしたいと思います。
#83
○説明員(内田達夫君) 「楯の会」は、昭和四十三年十月ごろに結成されまして、三島由紀夫を会長とし、主として学生が構成員でございます。その活動と申しますか、やっておることは、その学生を自衛隊に体験入隊をさせる、あるいは月に一回ぐらいの例会を開いて研究会をやる、そういった種類の活動をやっておったわけでございまして、まあ私のほうとしては、さような学生などの心身鍛練を目的としたまあ右寄りの団体である、さように考えていたわけでございます。
#84
○岩間正男君 これはどうなんです、一体。右翼団体と見ておったのですか、どうなんです。この問題についてそういう立場からこれを調査をしておったのかどうか、これはいかがですか。
#85
○説明員(内田達夫君) いま申し上げましたように、青年、学生の心身鍛練を目的としておるような団体であると、危険な破壊活動等を行なうようなものではなかろうと、さように考えておりましたので、正規の右翼団体として深い調査をやっておりませんでした。
#86
○岩間正男君 そうすると、正規の右翼団体としては見ていなかった、したがってこれについてほとんど調査もしていなかった、そういうことが言われるわけですね。ここにやはり非常に大きな穴があったんじゃないかというふうに考えるわけですがね。この危険というものはなかったんですか。そういう心配というものは一体なかったんですか。なぜ一体こういうような判定をされたのか。ここのところ、単に心身鍛練の団体である、学生である、こういうふうに見ておられたというんですが、そうすると、この実態に対して公安調査庁というのは、もう何ですか、調べもしなかった。評判だけ聞いておったんですか、どういうタッチのしかたをしたんですか。全然しなかったんですか。
#87
○説明員(内田達夫君) 「楯の会」につきましては、結成以来これがどういう目的あるいはどういう性格のものであるかということについて、その動向等注目はしておりましたが、しかしながら、これまで、かつてさような破壊的な危険な行動と申しますか、そういうことに出たことが全然なかったわけでございます。したがいまして、破壊的な団体としての正規の調査はしていなかったのでございます。
#88
○岩間正男君 公安調査庁は、そういう危険のおそれがないというような場合には、これはタッチしないと、そういうことなんですか。いまのお話だというと、そういう危険がないと、こういうことだから全然これにタッチしないということなんですか、どうですか、おそれのない場合にはこれはやらぬと、こういうことですか。
#89
○説明員(内田達夫君) 破防法に基づきまして、団体として破壊的な行為をやってきた、やったことのある団体、これを調査の対象として取り上げておりまして、ただ、そのようなおそれと申しましても、いろいろ程度問題がございますが、具体的な危険性が感じられないといったようなものについてまで、広く調査はいたしていなかったわけでございます。
#90
○岩間正男君 これは私はなぜこういうことをお聞きしているかというと、あなたたちの行動についてはなお詳細にあとで聞きますけれども、どうです、左翼団体や革新団体の動きについては、全くそのような行動に出ていなくても、これに対して絶えず取り締まり――背後からこれを尾行するとか、あるいは実際身辺につきまとうとか、そういうことをしょっちゅうやっているじゃないですか。そして現在どうなんです。これは破防法容疑団体などということで、ことに共産党、それから朝鮮の総連、それから全学連、こういうところは、あなたたちはいまだにこれは容疑団体という、絶えずそういう立場をとっているんでしょう、おそれということで。何らそういう具体的な行動がないのにつきまとっているのがあなたたちの大部分の任務じゃないですか。そうじゃないですか。これはもう何回もいままで委員会で論議してきたところです。具体的な事実は何ぼでもこれはあげることができるわけですね。ところが、そっちのほうだけは一生懸命やっていて、そうして右翼の取り締まりというような点については、いまのような形で、ほとんどタッチをしていなかった。危険のない団体、直接行動をしたのに、おそれはないんだ、こういうことで全然これは等閑視しておった。こういう公安調査庁全体のあり方としてこれは私は非常に重大な意味を持っているとただいまの答弁で思う。この点はどうなんですか。その点について伺いたい。
#91
○説明員(内田達夫君) 左翼あるいは右翼を問わず、破壊活動に出るおそれが非常に多いという場合には、現に破壊活動を行なっていないものでも、過去に破壊活動を行なった団体であるかどうかというような点から見まして調査を続けておるわけでございます。共産党の例をお出しになりましたのですが、共産党につきましても調査はやっております。その点につきましては、過去において共産党が破壊活動に出たことのある団体であると、私のほうでそのように認めておりますので、調査をしておるわけでございます。
#92
○岩間正男君 私の聞いているのには答えていないようですね。ここでその論議をやりだすというと、共産党の綱領がどうだという問題にもいかなければならない。そういうようなはっきりした、わが党が公然と出しておるそういう決定について、いつでもあなた方は過去はどうだった、こうだった、過去についてだってたいていそれはあんたたち自身がその問題をこれはずいぶん過大にやった問題が多いです。そういう形でやっておるのだが、こういう問題については、右翼の行動についてはほとんどタッチしていない、こういうことを言っているのですけれども、今度の「楯の会」につきまして、たとえば「「楯の会」のこと」というので三島由紀夫が書いている文章があります。こういうものはあなた方の手に当然入っていると思うのですが、入ってないのがおかしいのだ、どうですか。いま言ったような性格なのかどうか。たとえばそういうものを知っているのかどうなのか、どうですか。
#93
○説明員(内田達夫君) 三島由紀夫の書いた小説あるいは論文、大部分は入手しております。
#94
○岩間正男君 たとえば「「楯の会」のこと」というので三島由紀夫が書いた文章があります。こういうものは知っていますか。
#95
○説明員(内田達夫君) あることは承知をしておりますが、全部私は読んだわけではございません。
#96
○岩間正男君 こういうことを言っているでしょう。「「楯の会」のこと」、「会員になるには、陸上自衛隊で一ヶ月の訓練を受け、その一ヶ月を落伍せずに勤め上げることが要求されるからである。会員になると、月一回の例会に出、又十名一単位の活動に従事したりした末、一年後にはふたたび自衛隊に短期間に入って、レフレッシャー・コースを受ける」、こういうふうなことを書いている。そうすると、これなんかは自衛隊との関連であとで当委員会でも問題にしたいと思うのでありますけれども、これは年間に自衛隊へ二、三日の入隊だということは認める、そういうことを政策としてとっている。これ自身当然当委員会でも論議されなければならないし、これは問題になっている課題なんですね。当人自身が五十日も入っている。そういうような形でつくられたところのこれは団体なんです。これははっきりしていると思うのです。それなのに、あんたたちはこういう問題については知っていると言ったけれども、知っているのなら、出してもらいたいのだけれども、実際はこれは見たことはあるけれども、詳しくは知らないなどということで、実際はこれは調査していないということをちゃんと語っていると思うのです。しかも、これは右翼団体じゃないというような認定でしょう。これは文化団体くらいに見ておったのですか、どうなんですか。
#97
○説明員(内田達夫君) 先ほど申しましたように、主として学生の心身鍛練を目的とした団体でありまして、単なる文化団体と思っておったわけではありません。
#98
○岩間正男君 これは法務大臣にお伺いします。
 これは単なる学生の心身鍛練を目的としておった団体ですかどうですか。結果ならはっきりしている。たとえば公安調査庁はそういう認定をしておった。そうすると、全く事態をつかんでいなかった、こういう形で公安調査庁はこの問題の処理をしておったということが明白なんです。ところが事実はどうですか。あまりにも明らかなんです。これは結果論だから言っておるのではない。この結果を起こすその事前に対してどういう一体姿勢で臨んでいるかというところが問題だから私は聞いておる。公安調査庁そのものの性格が、今日こういう問題、さらにいわゆる革新団体に対する非常に度を過ぎた態度、こういうものとの対比において大きく問題にされなければならないものを持っておるから私は質問しておるわけです。これは法務大臣どうですか。公安調査庁の次長のいま「楯の会」なるものに対する認識の度合いというものが、この全体でありませんけれども、重要な点は出されたわけで、これは正しかったとお考えになりますか。正しくなかったとお考えになりますか。
#99
○国務大臣(小林武治君) これは公安調査庁の姿勢がいまここではっきりわかって、それはまことにけしからぬというあなたの御意見で、公安調査庁も、あなたの論難についてはこれから反省されて事後を処理されると思います。私もいま結果論的から見れば、必ずしも妥当であったと、こういうことには思いませんが、ただ、いままでの経過でそこまで考えられなかったと、こういうふうなことは、結果論から見て、私は必ずしも妥当とは思わない、こういうことでございます。
#100
○岩間正男君 その経過だって、もしも慎重に処する態度があったらこれはできますよ。これはいまあとでこれは証拠をあげます。いま大臣は、これは正しくなかったと認められたわけですね。その正しくなかった原因はどこから来たかと思いますか。つまり、やぶにらみをやっておった。しかも、色めがねで公安調査庁は見ておる。そういうことがはっきり出てきた。大臣のただいまの答弁はそういうことを証明しておると思うのです。大臣、そういうことについて当然公安調査庁そのものの姿勢を正すということが今日重要な課題になっておると思いますが、そうお考えになりますか、なりませんか。
#101
○国務大臣(小林武治君) いま私がお答え申し上げたように、公安調査庁もいま岩間委員の御意見は今後の仕事の上の参考にされるであろうと、こういうふうに思います。
#102
○岩間正男君 もう一つお答えになりません。つまり、そのような色めがね的な運営姿勢をとってきたのでありますが、その原因はどこにあったというふうにお考えになっていらっしゃいますか。これは大臣の御認識の程度を伺っておくことが非常にこの問題を処することに重要な問題でありますから。
#103
○国務大臣(小林武治君) 左右いずれにしても暴力なり破壊的行動については同じ見方をしていくべきであると、こういうことは当然でありまして、ただこの問題がそういうえらい何か特別な底意があっていまのような扱いをしたとは私は思っておりません。
#104
○岩間正男君 つまり、一方だけに非常に厳重な態勢で臨み、一方は非常にゆるやかな、ある場合には非常に無関心という程度にしている。そういうことからこういうゆがみが起こると、こう考えてよろしいのでありますか。
#105
○国務大臣(小林武治君) 私は、いま申したように、左右いずれにしろ破壊活動については公安調査庁は気をつけて注意をしていくべきであって、この問題について特にいまの左右を別にする考えがあったためにいま次長からお話しのあったような取り扱いがされたと、こういうふうには私は思っておりません。
#106
○岩間正男君 そういうことを言われますけれども、まあ実際はほとんどこれは野放しなんですね。ここに「右翼事典」というのがあります。これお持ちでしょう。あなたたちがお持ちにならなければ、これ、商売にならぬ。お持ちですか。この中に「楯の会」入っていますか、入っていませんか。これがわからなきゃ次長はつとまらぬでしょう。何やっとるかわからぬ。姿勢がわからぬ。大臣は知っていますか。どうです。これ、お持ちですか、お持ちでないか。入っているか入ってないかはいまの段階で聞いている。それ、調べてないとおかしいのだ。入っていますか、入っていませんか。テストですよ。
#107
○説明員(内田達夫君) 事典は役所にはございます。「楯の会」も入っておると聞いております。
#108
○岩間正男君 どういうことを書いております、その運動方針を。この事典の中にある運動方針をあなたのほうからやっぱり知らせていただいたほうがいいと思います。どうでしょう。どういう運動方針。あなたがさっき答弁したようなことになっておるかどうか、明確に。いかがですか。事典お持ちになってるだろうから。あるんでしょう。――持ってきてない。それだからいけない。それじゃこれしかたがないね。それじゃ、「右翼事典」の中に運動方針が書いてあります。こう書いてありますな。「国家の非常時の場合、自衛隊の後方警備、警戒、民兵の主力になって戦おうとしている。」、これが運動方針ですよ。どうなんです。そうするとあなた、これさえも見てないんですね。まあ見てなかったということははっきりした。あるということは聞いておる。そして、そういうことで実際はこの文書さえもこれ調べていない。その上に立ってさっきのような答弁がなされているんです。ところが、実際はそうでしょう。彼らの主張だってそれはいままで何回もそういうことを言っているわけですよ。単なる三島文学じゃないんだ。もう小説家三島というのは、これは当然過去に、ある場合には蒸発しているかもしれない。この時点では違っているのです。行動人としての三島になっているはずだ、そのねらっていることはドン・キホーテとかどうとか、これは別問題として。そうでしょう。そういう事態に対して、当然私はこのようなものをはっきり調べることが必要だと思うんですがどうなんです。これは認められますか。認められませんか。どうです。
#109
○説明員(内田達夫君) 「事典」にはなるほどさように書いてあると思います。しかしながら、私のほうといたしましては、文書で書いたことだけでは破壊的な団体と認定するわけにはまいりません。
#110
○岩間正男君 そんなこと言っているけれども、あなたたちはいつでもたとえば共産党のことを言うとき、ものを引っぱり出して、そしてやるんじゃないですか。少しも筋が通ってない。共産党の綱領にはこう書いてある、過去の綱領にはこうある、現在の綱領にはこう、はっきりしているでしょう。そういうものにはちゃんと、統一の戦線をつくってこの社会の多数を取り、そうして日本の革命を推進すると言っている。これは明確だ。そうでしょう。ところが、そういう問題は、過去の文献をあなたたち持ってきて、これをいつでもやっているところだ。関次長のときに、私は何回この問題で討論したかわからないのですよ、あなたの先輩だと思いますがね。そうして、この前、これは余談ですが、たまたま新幹線で隣に乗っておって、あなたどうだ、あのとき聞かれたな、どうだと言ったら、いやあと言っていましたよ。そういうことを言わざるを得ないような行動をやっているじゃないですか。こういう問題だと思います。私に聞かれてそうして――私が公安調査庁じゃないんですよ。あなたが公安調査庁でしょう。それなのに、まるでとんでもないそういう答弁をせざるを得ないところに今日のあなたたちの姿勢があるんだ。その次に「現況」というのが書いてあります。たとえば「例会(月一回)と訓練(月二回)を通して、方法論の研究と準軍事的な肉体訓練を行なっている。とくに体験入隊で基礎的なことをマスターしている。」、こう書いてあるのです。こういうことさえも調べなかったのですか。これ、時間をなにするから持っていきなさい。あなたのほう、なければ不便でしょう、こっちだけ見ていることになると。これは事実そう書いてある。これも、そう書いておるでしょう――こういうことでは私は話にならないと思う。ここが一切の姿勢を語っているのだ。今度の問題に対する処理が、公安調査庁の姿勢を語っているのです。
 大臣に伺います。どうでしょうか。こういうような「右翼事典」というようなものに明らかに書かれていることさえ、これは次長は実は御存じなかった。そういう体制で、これは単に学生の身体訓練の団体として、そういう認定のもとにこれに対処しておった。こういうことが明白になったのでありますけれども、少なくともこの問題についてはもっと調べる必要があったのだと思うのでありますが、大臣の御所見を伺いたい。
#111
○国務大臣(小林武治君) これが、まあ結果的に見れば、多少不注意と申すか、不用意なところがあったということを、岩間委員は論難をしておる。私も多少そういうところがあろうと。したがって、これから気をつけなさい、こういうことじゃないかと思いますが、そういうことでひとつ了承を得たいと思います。
#112
○岩間正男君 まあ大臣からそういう注意があったのでありますが、しかし、これは単に私は観念だけの問題では片がつかない問題だ。公安調査庁の、これは組織体制を見れば明らかじゃないか。そういうことをやろうといっても、やるような体制になっておりますか、私はお聞きしたい。公安調査庁の、これは四十五年度でけっこうでありますが、人員は何人、そうして、その中で予算は幾ら、そのうち調査費は幾ら、ちょっとお伺いします。
#113
○説明員(内田達夫君) 四十五年度の予算――本年度でございますが、三十七億円余りでございます。
#114
○岩間正男君 それから人員です。
#115
○説明員(内田達夫君) 人員は、全調査官及びその他の職員まで含めまして千九百五十名ぐらいでございます。
#116
○岩間正男君 その三十七億余万円の中の調査費はどのくらいになっていますか。
#117
○説明員(内田達夫君) 調査活動費でございますが、調査活動費は九億七千万円。
#118
○岩間正男君 この機構について伺いたいんですが、まあ長官がおって、次長さんがおって、それから、総務部、それで総務課長、職員課長、資料課長、審理課長、参事官、参事官ということになっておりますが、この調査第一部ですね、第一課長、第二課長、第三課長、第四課長、参事官、それから、調査第二部長、第一課長、第二課長、第三課長、参事官ということになっておりますが、この仕事は、これはどういうふうになるのですか。調査第一部というのは、これは何をする――任務は何なんです。
#119
○説明員(内田達夫君) 第一部は主として左翼でございます。左翼関係の調査でございます。
#120
○岩間正男君 そうすると、この第一課長は何をやるのです、左翼のうちの。
#121
○説明員(内田達夫君) 第一部の事務の総括的な仕事をやっております。
#122
○岩間正男君 ついでに二、三、四と言ってください。
#123
○説明員(内田達夫君) 二課は労働関係あるいは大衆団体、三課は官公庁、五現業方面の調査、四課は学生を中心としてやっております。
#124
○岩間正男君 ついでに調査第二部を伺いましょうか。第二部の第一課は何をやるのですか。
#125
○説明員(内田達夫君) 第二部は右翼関係、それから外事関係、つまり外国共産党、思想関係、それから朝鮮総連の関係でございます。そのうちの一課が朝鮮総連を担当し、二課が外事関係、三課が右翼であります。
#126
○岩間正男君 そうすると、人員をお伺いしますが、調査第一部の人員はどのくらいです。
#127
○説明員(内田達夫君) 調査第一部は、本庁だけでございますが、本庁だけの調査第一部は百五十名くらいです。
#128
○岩間正男君 ついでに第二部、いかがです。
#129
○説明員(内田達夫君) 第二部は百名くらいです。
#130
○岩間正男君 これは本庁だけですか。
#131
○説明員(内田達夫君) 本庁だけです。
#132
○岩間正男君 そうしますと、第三課だけが右翼関係なんですね。この人員はどのくらいです。
#133
○説明員(内田達夫君) 大体二十名くらいです。
#134
○岩間正男君 そうすると、両方合わせて二百五十人のうち二十人ということになりますね、右翼関係はね。そうですね。あとは朝鮮総連を含めて、それからほとんどこれはいわゆる労働者であり、革新団体であり……。共産党どこに入っているのですか。共産党は何課に入っているのですか、ついでに聞いておきます。
#135
○説明員(内田達夫君) これは一部の各課に共通しております。
#136
○岩間正男君 そうすると、これは一〇%足らずですね、八・九%くらいしかない。これが右翼に対するあれでしょう。
 法務大臣にお伺いします。こういう構成を見れば明らかなんです。これは本庁だといいますが、本庁のこの形はおそらくこれは地方の公安調査局にもこういう形がとられている。これでほんとうに一体右翼のそういう問題についてタッチできますか。どうなんです。これが三島事件というものが野放しの中でこのようなショッキングな問題を起こした一つの原因だとお考えになりますか、なりませんか、どうです。
#137
○国務大臣(小林武治君) これは一がいにも言えないが、あるいは手不足のことがあるかもしれません。しかし、いずれにしましても、いま岩間委員がいろいろ言われていることが、やはり公安調査庁も今後の実務の参考としていろいろ考えるというふうに考えます。
#138
○岩間正男君 私は何も弾圧機関を、スパイ機関をふやせなどと言っているわけではありません。だから、ここは誤解されないでほしいのですが、必要もない民主団体に対して非常に取り締まりを強化しておる。そうして実際は軍国主義復活、日本の反動的暗黒の体制、そういう方向に関係のある団体については非常にこれは軽微なそういう警備陣しかしいてなかった。おそらく予算もそういう関係でありましょう。そうして次長さんは、実際はこの「右翼事典」に出ているそういう事態さえも、これはお読みになっていらっしゃらなかったということが明らかになったわけです。これが三島事件というふうなもの、そうしてこれは非常に今後右翼に対しましていろいろな影響を持つだろう。日本の反動体制の中にこれは非常にやはりいろいろな関係を持つだろうと思うのでありますが、そういう中でこういう体制で公安調査庁はいいと、こういうふうにお考えになっておりますか。これは大臣にお聞きします、これは次長では答えられないでしょうから。
#139
○国務大臣(小林武治君) いままでの御質問で、どういうことであるかということはこれはおわかりになったと思うのです。だからして、やはり公安調査庁というものは全体の仕事の上で適当にあんばいしていくべきであり、いまあるいは御批判としてこれでは不足であろう、こういうことにお話が出たのでありますが、私もそういうふうな御意見は参考にして注意をいたしたい、こういうことでございます。
#140
○岩間正男君 とにかく現在必要でないところ、そういう民主団体の運動とか、そういうものに対するやり方、あるいは革新団体、あるいはまた、わざわざ容疑団体などというようなものをつくってそういう体制を強化する方向をとっておりますが、今度の事件はこういうところから起こって、機構上の欠陥、姿勢の欠陥、そういう問題をこれははらんでおるのでありますから、これは大臣においても十分に検討をしていただきたいと思うのです。それで、これは例をあげれば数限りなくありますが、きょうは時間の関係で具体的な例については省いておきます。これは後日に聞くことにしたいと思います。
 次に、今度の三島事件で刀剣が、これは関孫六と聞いておりますけれども、白昼公然と持ち歩かれたのですね。これは警備局参事官ですか、警備局長は見えてないな。――それではお聞きしますが、当然、銃砲刀剣類所持等取締法によれば、今度のこの刀剣というものは許可されておったやに考えられるのですが、これは許可されておりましたか、どうですか。
#141
○説明員(渡部正郎君) 許可されておりました。
#142
○岩間正男君 何月何日です。それから許可の条件。当然これは許可の事件が必要なわけだ。三条一項ですか。
#143
○説明員(渡部正郎君) 許可の日時は、資料を持ってきておりませんのでよく承知しておりません。
#144
○岩間正男君 わからないのですか。許可の条件はあなた調べなければこれはまずいわね。これは白昼とにかくこういう刀剣が持ち歩かれ、それが自衛隊の門をくぐってだれも怪しむ者がなかった。それがものをいったわけだ、最後には。そういうことになりますと、この法律で取り締まる警察庁の立場として、この問題でぐっとこなければならないはずだが、きましたか。そのときどうでしたか。これは全然こなかったですか、この問題が起きたときに。関孫六といわれるこの刀剣はいつ一体どんな条件で許可したのか。これは当然国会で質問されるぐらいのことが頭にこなければ優秀な官僚とは言えないと思うのです。
#145
○説明員(渡部正郎君) ちょっといま調べておりますからお待ちください。
#146
○岩間正男君 そうしますと、ついでに資料を要求しておきたいのですが、公安調査庁の機構そのもの、たとえば人員ですね。全体の本庁における人員で、総務部はどういうふうになっておるのか。それから調査第一部はどうなっておるのか。これは一課、二課、三課、四課、この人員はどのくらいおるのか。それから調査第二部、この人員は何人おるのか。こういうようなことについて資料としてちょうだいいたしたいと思いますが、ようございますか。
#147
○説明員(内田達夫君) よろしゅうございます。
#148
○岩間正男君 これはぜひひとつお願いします。検討する必要がある。
 それからもう一つの問題は、答弁されるでしょうが、答弁されても、同時に資料としていただきたいですね、いかがでしょうか。
#149
○説明員(渡部正郎君) はい、よろしゅうございます。
#150
○岩間正男君 これは許可の条件がわからないというのはちょっと困るね。いますぐわかりますか。
#151
○説明員(渡部正郎君) わかりませんのは許可の日時でございますけれども、これは美術品として価値があるということで、文化庁長官の登録を受けて所持を許可されているものでございます。
#152
○岩間正男君 これは三島個人のものだったですか。
#153
○説明員(渡部正郎君) さようでございます。
#154
○岩間正男君 許可の条件ですね、これは美術品としてということですか。
#155
○説明員(渡部正郎君) さようでございます。
#156
○岩間正男君 そうすると、これもまあ結果論になるわけですけれども、これに対して美術品として許可したものについては全然これは警備しないと、こういうことになるわけですか。
#157
○説明員(渡部正郎君) 文化庁長官の登録を受けて所持を許可されております刀剣類でございましても、正当な理由がない場合に持ち運びをすることは法律で禁止されております。
#158
○岩間正男君 今度のやつはどうなんです。
#159
○説明員(渡部正郎君) 今度の場合は、事件当日、三島が自宅から東部方面総監部に自動車で運搬いたしましたので、事実上警察が刀を持っているということを発見するチャンスがなかったわけでございますけれども、所持自体が正当であったかどうかという点を検討いたしますと、法律的には正当な所持とは言えない状況であったと思います。
#160
○岩間正男君 そうすると、これは取り締まりの手抜かりは認められるということになるわけですか。
#161
○説明員(渡部正郎君) 自動車で運ばれる場合には職務質問等にかかる可能性が非常に少ないわけでございまして、残念でございましたけれども、その途中で発見するに至っておりません。
#162
○岩間正男君 これももう学生の心身の鍛練団体だとか、あるいは文化団体類似のそういうものだというふうにこれは見ているから、いまのようなところは、おそらく何も今度だけこの刀剣をこれは持ち運んだんじゃないだろうと思う。いままでの場合に、ことにこれは指揮刀だというようなことを言ったわけでしょう。ですから、これは一時に自衛隊に三十日も四十五日も入隊になったのですから、そういうときにもこれは持って行ったのじゃないですか。それからいままでもいろいろパレードをやったり、指揮をやったわけでしょう。こういうときにこの軍刀は使われておったのじゃないですか。どうなんですか。そういうことについてもこれは調査はないのですか。
#163
○説明員(渡部正郎君) 今度の事件以前にその軍刀が使われたということは聞いておりません。
 ついででございますけれども、刀剣の所持の関係につきましては、一般的には非常にきびしい取り締まりをやっておりまして、四十四年度中三千件ぐらい不法所持ということで取り締まりをやっているのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今度の場合、自動車の中であったものですから発見されるに至らなかったわけでございます。たいへん残念に思っております。
#164
○岩間正男君 今度の事件だけを私は言っておるのじゃなくて、今度の事件に至るまで、その事前にこれが取り締まられておったらこの事件を相当セーブすることができたと、こういうふうに思うのですね。だから、姿勢の問題ですよ。三島というのは文化人で小説家だ、そういうようなことでこれはやっぱりゆるみがあったのじゃないか。そういうのは、結果論においては、人にこれによって傷害を与える、こういう事態になる。そしてみずからの命を断つというようなそういうところまでこれはいったわけです。そうすると、これに対する取り締まりのそういう不備というものは、これはお感じになっていらっしゃるわけですね。そういう点はどうなるのですか。
#165
○説明員(渡部正郎君) 刀剣は美術品として許可されておりますものでも不法に使われる危険があるわけでございますから、今後といたしましては、その取り締まりをさらに厳重にしたいと思っております。
#166
○岩間正男君 まあ、この問題はやはりほんとうに国民の世論を聞けばいいのですが、どうもルーズだ。こういう問題は全く野放しになっている。特定の人にこのような野放しで、一方だけにはこれはきびしい、こういうことで実際いいのかどうか。こういうことが、いまさらながら、この問題を契機として警備の問題について出てくるわけですね、これは大臣もそれはお認めになりますか、どうですか。
#167
○国務大臣(小林武治君) これはまあ、これからの問題としても十分注意していかなければならぬ問題であるというふうに思います。
#168
○岩間正男君 次に伺いたいのでありますが、時間もあと十五分しかございませんので、これは大臣にもたぶん来ているのじゃないかと思いますが、青年思想研究会本部というところから私にこの書類が届いております。これは同時に全体の代議士に配ったというふうに聞いておるわけですね。しかし、これはやはり三島事件に関係して「三島由紀夫の死に関する私達の見解」「青年思想研究会本部」、こういう形でこれは送られてきております。
 まず第一に、大臣、お読みになりましたか。
#169
○国務大臣(小林武治君) 読んでおりません。
#170
○岩間正男君 この中でいろいろなことを書いております。これ、全文読む時間の余裕がないと思うのでありますけれども、こういうことがありますね、三島氏の死を見る視点の違いは、人によっていろいろな違った受けとり方をしています。三島氏のあの壮烈な死に対して、佐藤首相は「気狂い沙汰」と事もなげに片づけていますが、「気狂い沙汰」というような逃げ口上では、一国の宰相としての政治的責任は逃がれることはできません。外界からのいささかな隙間の風もいとって、四選という柔かい布団にくるまって、天下泰平の惰眠をむさぼっている佐藤首相には、三島氏の憂国のまごころが「気狂い沙汰」としか受けとれないのだろうか。こんな愚劣な発言をする人を首相にいただいている日本国民は、何と不幸な国民であろうか。」、こういうような文章もございます。それから、そういうようなことをいろいろ述べまして、最後に、「ただひたすら自分達の心の奥底に三島氏の生死をかけた「祈りと行」を深くがっちりと受けとめて、私達の今後の国づくりの中に生かすことが真の意味の追悼と確信いたします。」、こういうような三島賛美に近い文章が述べられているわけですね。それで、お聞きしたいのですが、大臣、この青年思想研究会本部というのは、どういう性格の団体ですか。これも公安調査庁ですか。
#171
○説明員(内田達夫君) 青年思想研究会、これは略して青思会と呼んでおりますが、これは昭和三十五年四月ごろに結成された、右翼団体の二十八団体からできておる協議団体でございます。
#172
○岩間正男君 これもまあ「右翼事典」によらざるを得ないのですが、この信条としてどういうことを述べておるわけですか。
#173
○説明員(内田達夫君) ただいま記憶しておりません。
#174
○岩間正男君 人員少ないですからね、二十人くらい。しかし、二十人でも真剣になって調べればわかるだろうと思うのですが、「信条」にこう書いています。「国の為には血を流せ、」、「家族のためには汗を流せ。」、こう書いてありますね、この前のほうの、「国の為には血を流せ、」、これは非常にやはり右翼の一つの思想から来ているのじゃないかと思うのですね。どういうふうにこの団体はつかんでおられますか、公安調在庁。
#175
○説明員(内田達夫君) 右翼団体の協議体でございまして、高橋正義という者が会長になっております。おもなる活動と申しますか、昨年の八月に新潟県の山奥の奥只見というところで隊員を数十名集めて夏季練成会をやった。これは週刊誌等でも紹介されておりましたが、この右翼団体の構成員の青年に対する練成会、練成といったような活動をやっておる団体と承知しております。
#176
○岩間正男君 ここに「週刊サンケイ」の記事があるわけです。十二月二十一日号の「週刊サンケイ」の記事に児玉誉士夫氏が、これはただいまあなたが言われた奥只見の問題について発言しておる。これはお読みになりましたかな、なっていませんか、なっておらないのですか。
#177
○説明員(内田達夫君) 最近のでございますか。――それは読んでおりません。
#178
○岩間正男君 それでは私が読みましょう。「奥只見でやったのは、昨年の夏でした。」――これは軍事訓練のことです――「池上本門寺での武装訓練は、昨年の10・21です。あのとき、どうしてそういうことをしたかというと、警察官の力には限界がある。もし、あのとき、全学連その他が武器を持ち、銃やダイナマイトで東京の官庁街や銀座の商店街を破壊し、混乱におとしいれた場合には、警察力ではダメだ、必ず軍隊が出なけりゃならん。しかし、軍隊が出るには、おそらく五時間や十時間はかかるだろう。その間、われわれがからだで防いでやれ、ということだったんです。あのとき、本門寺に集結したのは五百人で、猛訓練をしました。」、こういうことが児玉氏のことばとして語られているわけです。「週刊サンケイ」の記事です。大臣に伺います。こういう民兵的な、しかも軍隊の補助機関のようなこういうことをやる団体、この右翼団体の行動についてはこれをお認めになりますのですか、ならないのですか。
#179
○国務大臣(小林武治君) 認めないとお答え申し上げます。
#180
○岩間正男君 公安調査庁長官に伺います。これについてはどのような調査をされるのか、今後このような団体についてどのような対処をされるのか、はっきり伺いたいと思うのであります。
#181
○説明員(内田達夫君) ただいま春思会の昨年の池上本門寺における訓練と申しますか、さようなこともその当時承知しております。かような集会等につきましては、事前にその集会の行なわれること等を情報で知りまして、調査官を派遣して視察をさせたり、その動向に対しては、少ない人員でありますので行き届きませんけれども、できる限りの動向調査をやらしております。
#182
○岩間正男君 この調査はこれはいつごろわかるのですか。これは一つの例だと思います。三島氏の問題と関連して今後の、これは大臣がはっきりそう言われた、こういうものは認めない、非合法的な活動ですね。これは当然公安調査庁の任務の、いわゆるあなたたちの守備範囲になるわけです。そうなりますと、これについてはっきりした明快な、大臣のただいまの答弁からいいましても、当然明快な態度を天下に明らかにしなければならぬ、そういう責任を持っておるわけです。あなたたち三十七億の金を使っているのですからね。役に立たないということは何にもなりはしない。そうして実際は民主団体の民主的な活動をつけ回している。それでたいへんな調査活動費が使われておることを私は何回かこれは委員会で、いままで決算委員会等で明らかにしてきておるのです。不要なところに金が使われている。実にこれはひどいことがなされている。私自身も一ぺんそういうひどい目にあったことがある。私のおふくろが死んだので、そのおふくろのお悔やみに行くというので見舞い金を取り、旅費を取り、そうして実際は二重スパイみたいな役割りをした者を私は摘発したことがあります。まぎれのない公安調査庁の職員でありました。そのとき課長が私のところへやってきて、あなた知っているだろうとかなんとかいうことを言った。それで私はその正体を追及したらたいへん問題になったことありますが、こういうことをやっておるのです。そういう方面には相当たいへんな金が流れておって、しかも、こういうほんとうに日本の軍国主義につながっていくような、再び暗黒につながるような、こういう問題についてはこれを等閑に付するというようなことは、これは絶対に許されないと思うのですが、これは大臣どうですか。この点については明確な政府の姿勢というものを私はここで明らかにされる必要があると思いますが、いかがでしょう。
#183
○国務大臣(小林武治君) これはもう一般的に申し上げるしかありませんで、社会秩序を乱すとか暴力とかいうことは取り締まらなければならぬということは、当然そういうことでございます。
#184
○岩間正男君 一般的というのではなく、私は具体的にいまあげたのです。池上本門寺でとにかくそういうことをやっておる。こういうものについてやっぱり明確に対処するという姿勢でなければ政府の姿勢というものは非常にあいまいで、実際はこういうところを目こぼしをやっておるのではないかということを言われてもしかたがないじゃないか。
 もう一つ伺いたいのですが、この文章、三島氏の壮烈な死をいたみ、私たちの今後の国づくりの中に生かすというようなことを言われておるわけです。こういうような態度については、これは大臣、どう思いますか。大臣、この文章について調べられたか。まず公安調査庁にお聞きしたい。これは調べられたか。
#185
○説明員(内田達夫君) その文章は承知しておりません。
#186
○岩間正男君 それでは大臣いかがです。これで終わりにしましょう。大臣、いまの答弁。
#187
○国務大臣(小林武治君) これはもう一つの事件が起きれば千差万別な意見が出ますから、そういう意見もあるかということで、そういうことで私は承っておきます。
#188
○岩間正男君 しかし、これは容認されますか。これは日本の憲法の精神からいって容認されますか。あなたの立っていられる、これは少なくとも議会制民主主義の立場に立って容認できますか。この点だけは明確にされなければこれはたいへんなことになります。どうですか。
#189
○国務大臣(小林武治君) いま私が申し上げたように、私は読んだこともありませんし、いまお読みになったことを聞いておる。だから、あまり正確に認識するというわけにはまいりませんし、第一、いろいろな意見のあることを、私どもがすぐにこれがいいの悪いのということはなかなかできかねる。こういうこともあります。あなたがおっしゃったことも、それはいけない、あるいはいいということを私は申すわけではありませんが、われわれも責任ある立場にあるから、いろいろの意見を聞いてすぐにいい悪いということはどうかと、こういうふうに考えます。
#190
○岩間正男君 これは大臣の発言としては重大なものを含んでおると思うのであります。そうでしょう。民主主義を守り、そうしてその精神のもとに憲法が行なわれている。憲法を破壊するような行動、あるいはこれを暴力的に転覆するようなそういうものに対して、あなたの隣に公安調査庁という役所を持っているんでしょう。その役所まで総捨しておられる法務大臣の御答弁としては、私は聞き捨てならないことばだと、これは思うのです。一つの限度があります、はっきり。日本の平和国家としてのそういう理念の上に立てばどういうところが限度で、どういうのが許せないかということだけは、これはいやしくも法務大臣の見解として明確にされないというのはこれはどうかと思うのです。これは大臣に――私はよく自民党と右翼団体の癒着の問題が問題にされている。そういう中でこういう問題が起こってきているのでありますから、これについて非常に党そのものの体質が問われている。そういう問題も持っているのですから、これは政党の大臣として、ただいまのような御答弁では、これはたいへんな問題を私は持っておると思う。まあ時間が参りましたから、この質問はこれで終わりますが、いずれまた後刻こういう問題についてお伺いします。
#191
○説明員(渡部正郎君) 先ほど岩間議員から御質問ございました、三島の所持しておりました日本刀の登録の年月日がわかりましたので御報告させていただきます。四十四年の九月の二十日でございます。先ほど資料提出のお話がございましたが、これをもってかえさせていただきたいと存じますが、よろしゅうございますか。
#192
○岩間正男君 使用目的はそれでいいのですね。
#193
○説明員(渡部正郎君) 美術品として登録をしております。よろしゅうございますか。
#194
○岩間正男君 それでは委員長、終わります。
#195
○足鹿覺君 時間もあまりないようでありますから、法案そのものの内容について若干法務大臣、関係当局にお尋ねをいたします。
 まず第一に、刑務所等の設置、廃止及び移転関係についてでありますが、東京拘置所の移転、小菅刑務所の廃止について、今回小菅に移転する東京拘置所の敷地あとは株式会社新都市開発センターに払い下げられると、かように聞いております。同センターは、この見返りとして旭川、黒羽、川越、岡山、小菅、浦和各刑務所等を設置することになっているようでありますが、新都市開発センターというものを調べてみますると、その性格は株式会社であり、財界の大どころがずらりと顔を並べておいでになります。問題は、池袋副都心を整備するということが目的のようでありますが、そのことそれ自体は、私はよく内容がわかりませんからとやかく言うわけではありませんが、聞くところによると、川越、岡山等はすでにセンターの取得の見返りとして、その会社の手によって建設が進められている、また進める考えである、かように聞いておりますが、事、いやしくも刑務所という特殊な建築物を、このような機関の協力を得なければ建設その他司法行政が進められないのでありますか。独自の立場に立って法務行政を進められる上において、このような社団法人でもなければ社会福祉法人でもない、法人格は株式会社でありますが、そういうものとどのような立場でさようなお取りきめをなさらなければならないのでありますか。その基本について大臣に明らかにしていただきたいと思うのです。
#196
○国務大臣(小林武治君) 国の財産の譲渡と払い下げと、こういうものは従来とも原則として公共団体を対象としておりまして、ただ、この問題につきましても、東京都その他といろいろ交渉したのでありまするが、結局において不可能である、こういうことで、例外中の例外としてこの問題についてはいまお話しのような会社と契約をした。こういうことに相なっておるのでありまして、これは私ども刑務所が全国的にも非常に老朽でありあるいは繁華地にあって、いろいろな点において難点がある。こういうことで、できるだけ刑務所の移転をこの際はかりたい、かように考えまして、全国的にこれを実施しております。それにつきましても、また法務省が土地を買って家をつくる、こういうことよりか、特別な会計制度をつくりまして交換と、こういうふうなことによって処理することが一番近道であるというふうなことで、方々において大体において自治団体がその既設のものを引き取って、そのかわりに土地また建物等をつくって政府に提供する、こういう方法をとっておりまするが、刑務所自体は特殊な建物でありまするから、結局は法務省が設計をし監督をする、こういうことで、事実は金を払ってもらうと、こうふうな形にしておるのであります。したがいまして、東京都の刑務所の問題につきましては、衆議院等においてもいろいろの批判を受けておるのでありますが、これは例外中の例外として実施するものであり、また心配をされるような事態をきびしく考えまして、そうしてさような弊害のないような方法をとるということで、要するに、いままでの場所というものは、大体もう繁華地にあるために非常な土地価格を持っている。こういうものを払い下げるかわりに、その対価に当たる建物をつくてもらう。こういう方法をほかでもみなとっておるのでございます。ただ、いまお話しのような会社を相手にしたことがどうか、こういう問題があります。しかし、その相手にした弊害はきびしく除く、こういう方針で当たっておるのであります。
#197
○足鹿覺君 これらについて、売却、取得につきましては特定国有財産整備特別会計において行なわれておるようでありますが、巣鴨の東京拘置所の敷地あとの売却価格及び各刑務所の取得価格は何ほどでありますか。
#198
○説明員(伊藤榮樹君) 正確な数字を申し上げますとたいへん端数がございますので、御理解に便なように多少まるくして申し上げますと、現在東京拘置所があります敷地を渡します際の評価額が五十三億六千万円余り、これに対しましてこれと交換に国が取得します施設が、黒羽刑務所、新東京拘置所、川越少年刑務所、浦和拘置支所、岡山刑務所、旭川刑務所、この六施設、合計いたしまして四十七億となるわけでございます。
#199
○足鹿覺君 購入価格の内容を見ますと、「昭和四十二年二月二十七日付で、法務省及び大蔵省と「国有財産売払い及び購入契約」を締結した。」。同契約によりますと、東京拘置所のあと地の払い下げを受けたものとして、「その見返りとして払下げ価額にほぼ見合う下記六ケ所の刑務所及び拘置所を建設する。」、「ほぼ見合う」ということになっておりますが、「ほぼ見合う」ということはどういうことですか。内容的にはどういうことですか。
#200
○説明員(伊藤榮樹君) 東京拘置所の処分によって得られます金額の約五十三億円、これに大体近い額の建物をちょうだいし、その差額が約六億六千万円でございます。これを現金で相手方から国庫へ納付していただく、こういう決済になっております。
#201
○足鹿覺君 そういうことは国有財産売り払いに関する整備特別会計法に合致しておるものでありますか。一たん特別会計に入れて、それから当然支出していくべき性格のものでありませんか。
#202
○説明員(伊藤榮樹君) 一言沿革を申し上げますとおわかりいただけると存じますが、特定国有財産整備特別会計が発足いたしましたのは四十五年度――本年度からでございまして、その以前は国有財産法並びにこれの附属法規によりまして建築交換方式という方式をとっておりました。この時代におきましては、ほぼ対等額において交換をし、差額を国と相手方の閥で決済をするというのがたてまえでございます。このたてまえで発足いたしましたけれども、本年度、御指摘の特別会計ができましたにつきまして、この工事の未済分をそれに移しかえた、こういう技術的な処理があったわけでございます。
#203
○足鹿覺君 第六十三国会の衆議院予算分科会での説明では、巣鴨の売却価格は五十三億六千一百万円余となっております。刑務所等の取得価格は、ただいま申されましたように四十七億四百万円余、その差額はどういうふうに処理いたしておるのですか。
#204
○説明員(伊藤榮樹君) 全部の移行が終わりました段階で差額を相手方が国庫へ納付することになっております。
#205
○足鹿覺君 いつ納付になったのですか。手続は完了しておるのですか。
#206
○説明員(伊藤榮樹君) この契約の末期が昭和四十六年三月三十一日でございますので、その時点で納付になるわけでございます。
#207
○足鹿覺君 契約には、四十六年末ということの契約になっており、その時点において差額を納入するという契約になっておるのですか。
#208
○説明員(伊藤榮樹君) 契約の内容をさらに分解して言いますと、建物をいつまでに仕上げるということと、それから仕上がった建物を国に引き渡すということ、引き渡しが終わった段階でいつ差額を決済をすると、この三つの日時が段階を追って契約の内容になっておりまして、契約されました刑務所の建物はすべて本年――昭和四十五年度十二月三十一日までに完成をするということになっております。完成いたしますと、逐次これを国側におきまして検査をいたしまして、間違いなくできておるということを認めた上で引き取りまして、引き取りましてから所有権移転をいたします。その段階で代金の差額の決済をいたします。その差額の決済の終期が四十六年の三月三十一日、こういうことでございます。
#209
○足鹿覺君 東京拘置所の払い下げについては昭和四十二年二月にすでに行なわれているということでありますが、いまのお話によりますと、その間相当期間がありますね、いまの御説明とは。そうしますと、当然特別会計に納付されるものを、相当長期間にわたって歳入に実額が計上されないという矛盾が出てくると思いますが、そういうことを、法務省というような厳格な官庁がそういう便法をおやりになってよろしいのですか。
#210
○説明員(伊藤榮樹君) 実は東京拘置所の現在の敷地建物を引き渡しますのが昭和四十六年の三月三十一日でございますので、卑近な例で恐縮でございますが、先に差金をいただきますと、おつりを先にもらって、こちらの払う金をあとで払うという関係になるわけでして、要するに、こちらが東京拘置所のあき家になりました土地建物を引き渡しますと、そうすると差金の授受が行なわれる、こういうことでございまして、若干説明が不十分でございました。
#211
○足鹿覺君 見返りとして建設される六カ所の刑務所等については、いまもお話しがあったように、旭川、川越、浦和等は過去の法改正で名前の見えておるものもありますが、四十五年度中には全部建設計画は完了し、引き渡されるということの保証はあるんですか。
#212
○説明員(伊藤榮樹君) 先ほど名前をあげました六カ所の施設のうち、旭川刑務所、岡山刑務所、川越少年刑務所及び浦和拘置支所、この四つにつきましてはすでに引き渡しを終わりまして、現に受刑者その他を収容して業務を開始しております。東京拘置所と黒羽刑務所の二つが残っておるわけでございますが、先ほど御説明しましたように、本年末日、年末が工期でございまして、私もしばしば行って実見をいたしておりますが、その工期までに完成する。そうしますと工事検査の上引き渡しを受ける、こういうことになると思います。
#213
○足鹿覺君 このケースは独特のケースのようですね。美濃部都知事が実現する前の契約のようでありますが、契約の全文等はこの際一々朗読することはめんどうでありますから、後刻御提示願えますか、資料として。
#214
○説明員(伊藤榮樹君) 契約の内容を後刻差し上げます。
 なお、ただいまのお尋ねの中に出ておりました特殊のケースであるということは、一つの建物を渡して六つを取得する。その六つが同町にでき上がるのではなく、わりあい施設の規模の小さいものからだんだんでき上がって、次々に国に引き渡されてくる。一等最後にでき上がったものが引き渡されたところで、国が今度は国のものを相手方に渡して差金の授受をして決済をする。こういう複数対一個の交換であるという意味においてやや特殊である。それから、冒頭に大臣が御説明されましたように、相手方が、やむにやまれない事情があるとはいいながら、地方公共団体等でない。この二点がこの交換契約の特色かと思います。
#215
○足鹿覺君 もう一ぺん差額の問題に触れますが、契約当時における差額と、積算された差額と、今日の情勢とは相当開きがあると思いますが、差額はその当時契約された差額として国師へ入りますか。確実に。
#216
○説明員(伊藤榮樹君) 差額は確実に国庫へ入ります。
#217
○足鹿覺君 その保証はありますね。
#218
○説明員(伊藤榮樹君) 納付がなければ契約を解除する等のことに法律上なるわけでございます。
#219
○足鹿覺君 契約を解除するといったって、事実その者に建設を委託しているのでしょう。そうすると、言うならば、交換をするようなかっこうになるのですね。ですから、解除するにもしようがないが、厳格にその当時契約した差額金は間違いなく入りますかということを聞いているのです。
#220
○説明員(伊藤榮樹君) 間違いなく入ります。
#221
○足鹿覺君 物価の値上がりその他を理由にして、差額の算定に相違が出てきやしませんかということを聞いているのです。
#222
○説明員(伊藤榮樹君) 間違いなく入ります。
 一言つけ加えますと、こちらへ受け取ります建物の建設に要します価格が現実に高騰いたしましても、その高騰部分は相手方において危険を負担いたすことになっておりますので、この差額は間違いなく入ります。
#223
○足鹿覺君 その池袋副都心の開発の内容は各方面多岐にわたっているようでありますが、特に四十八年から五カ年拘束されるという施設の用途指定の内容は何ですか。
#224
○説明員(伊藤榮樹君) 用途指定の内容は三点でございます。第一点は、都市計画事業といたしまして特許を受けておるものでございまして、道路のインターチェンジをつくること、これが第一でございます。それから第二は、都市計画事業として同所に大きな駐屯場をつくることでございます。それから第三は、同所に東京都市計画自動車駐車場事業の許可を受けておりますバスターミナルを建設すること、これでございます。
#225
○足鹿覺君 この計画書を見ますと、三十六階建、てのビルも建設するという具体的計画が盛られておるようでありますが、この三十六階のビルの建設については地元住民には何の還元もないのでありますか。何か問題があるように私どもは仄聞をしておるのでありますが、地元との同意は完全に得ておるのでありますか。
#226
○説明員(伊藤榮樹君) 要するに東京拘置所のあと地の計画として現在考えられておりますのは、ただいま申しますように、非常に大ざっぱに言いますと、地下三階から地上三階のところまでが国から用途を指定されたものに利用すると、その上におおむね三十六階程度の建物を建てて、これを都市開発センターが経営をするという大ざっぱな計画でございますが、その中には、地元の住民の福祉になるような、たとえば児童会館でございますとか集会場とか、体育館というようなものも設置するように計画上いたしておりますのでございます。ただ地元の方々からいま二、三話が出ておりますのは、この会社の役員の中に地元の方が入っておらないというようなことなどがいろいろ問題になっておるようでございます。そこで同会社、すなわち新都市開発センターといたしましては、現在地元の方といろいろ話をしまして、この建物で御迷惑をかけるというようなことがあってはなりませんし、さらに地元のためになるようないろんなくふうを取り込んでいくようにこれから鋭意相談してまいるとかいうふうに申しておる次第でございます。
#227
○足鹿覺君 これは法務大臣に、重要な問題でありますので政治的な判断もあろうと思いますが、いまの事務的答弁ではばくとしておりますが、地元住民に対する還元の問題、代表者の選任の問題、それとの合意の問題、そういう点について遺憾なきを大臣としては確約がいただけますか。
#228
○国務大臣(小林武治君) これは衆議院でも申し上げたのでありますが、その後いろいろ地元の要望が出ておる。それをただ会社にぶつけるということでなくて、ひとつ法務省を通じて出してもらいたいと。で、私どもも適宜の意見を付して、これは私は権利、義務の問題でありませんが、当事者として会社のほうに強く要望するということを申しておるのでありまして、もっともと思われることはわれわれもぜひそういうことの実現されるように、会社に対して押しつけるというわけじゃありませんが、要望をして、その実現を期しておると、こういうことでございます。
#229
○足鹿覺君 これは元来国において行なうべき性質のものを、民間資金の導入等を必要とする関係もあって、こういう特殊の経営方式をとられたと思います。その点はわからぬではありませんが、いまの大臣の御答弁は会計課長答弁を裏づけるに足る強い御意向とは受け取りがたいのであります。地元との合意の問題、地元との還元の問題、運営参加の問題等は、これは相手が株式会社でありましょうとも、国の息のかかった特殊なケースでありますから、そういうあいまいな御答弁ではなくして、はっきりとそれらの点については法務省としても責任を持って対処する、こういう御答弁はないのでありますか。
#230
○国務大臣(小林武治君) これはおことばがありまするが、国がしてもらいたい、すべしという条件はもう契約の際につけてあると、そして、いまのようなことは当時から言われたこともあるし、その後出たこともあると、こういうことでございますから、私どもが法務官の、国の権限として会社にこれを強要する、こういう立場にはないと思うのでありますが、ごもっともなことは、国が一方の当事者であるだけに、そういうことはできるように強く私どもの意向を伝える、会社に折衝する、こういうことを考えておるのであります。
#231
○足鹿覺君 会社に強く折衝するということはすでにおやりになっておるべきことであり、これからするということでは、いかにお役所仕事とはいえ、将来に属することであって、すでになされておるのが当然ではありませんか。
#232
○説明員(伊藤榮樹君) やや法律的あるいは技術的な面がございますので、私から御説明申し上げますが、国といたしましては、その東京拘置所あと地を払い下げます条件としましては、先ほど申しましたように、大ざっぱに言って地下三階から地上三階まではこういうふうなものをつくってくれということを用途指定として申しておりますが、その上に三十六階を建てるか――非常に仮定の議論を申し上げて恐縮でございますが、三十六階を建てるか三十七階を建てるか、三十八階を建てるかということは、国としては権利として会社に申すことはできないまあ契約内容になっておるわけでございます。しかしながら、もともと法務省の施設があったあと地でございます。その利用につきましては、私ども重要な関心を払わざるを得ませんので、ひとつ会社とよく話をしまして、会社に対して助言すべきことは助言をして、いやしくも元法務省の建物のあったところがこんなふうになって、地元住民の反感を買っておるといわれることのないように何とか注意をして、できるだけのことをしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#233
○足鹿覺君 非常に弱い答弁ですな。少なくともいままでの御説明の経緯から見、この会社の性格から考え、しかも国有林産の特別会計の面から見ましても、当然国がもっと積極的な指導的な発言をし、その実現を期する、こういう御発言なら私も納得いきますが、いまのような助言程度で、それは会社のこの大どころの看板を見ただけで、とてもあなた方が助言をしたくらいなことでは、ちょっとやそっと押しても突いても動く人たちではないと私は見受けますが、現在の佐藤内閣のバックボーンをなす大ものぞろいです。とても太刀打ちにならぬと思いますが、あなたたちは自信をもってやる勇気と用意がありますか。法務大臣どうですか。必要があればそのお名前を申し上げてもいいのですが、たいへんなメンバーです。
#234
○国務大臣(小林武治君) 筋道から言えば、契約をするとき、みんなそのお互いの条件というものができておりますから、いまお話しのようなことは、その後住民からもいろいろな問題が出てきていると、したがって私は法律論として、権利として政府が押しつけるわけにはまいらぬ、しかし一方の当事者であるわれわれは、ぜひそういうふうにしてもらいたいと、これは法律論的にいえば、道義的の問題でありまして、私は契約自体が、あるいはいまから見まして、そういうことまでなぜつけておかなかったかと、こういう議論が出てきておりまするが、あとになってから、これは法律論として、権利としてわれわれが主張することは困難であろうと、しかし、やはり住民の意向というものは、これは重視しなければならぬということで、私どもがそういうことを会社に要請をする、これはあくまでも要請はしなきゃなりませんが、権利として会社に押しつけることはおそきに失したと申すか、これは別なことばでありますが、いまはそういうふうな立場にないと、こういうことでございます。
#235
○足鹿覺君 要するに当時の契約が甘過ぎたということですね。それはお認めにならざるを得ないでしょう。
#236
○説明員(伊藤榮樹君) 今日の時点でいろんなお考えがあろうと思いますが、事の起こりは、昭和三十三年に閣議了解がございまして、首都圏整備計画遂行上、東京拘置所はあそこからのくべきだと、早くのくべきだということがまずあったわけでございます。そこで、のくためにはどうしたらいいかと。一番いいのが地方公共団体であと地を引き受けていただければよろしいというので、東京都などと鋭意折衝いたしましたが、要します資金量その他の関係でお引き受けがどうしてもない。そこで、いわば次善、三善の策として、株式会社新土地開発センターに売り払うということになったわけでございまして、そういう形で処分いたします際におきましては、地上三階までの部分について国からしっかりとした用途指定をして、それをのんでもらうという以上の条件をかりにつけたといたしますと話がまとまらないと、こういう事情があったわけでございまして、事の起こりは、東京拘置所はあそこからのくべきだと、のくためにはどういう方法があるかということで、いろいろ考えた末結んだのが現在の契約であるわけでございます。
#237
○足鹿覺君 私の聞いたところによりますと、元衆議院事務総長の大池真君が当時の役員に入っておられると聞いておりますが、私の手元にあります四十五年八月二十八日のこの会社の役員名簿の中には全然見当たりませんが、これは退社をなさったんですか。いやしくも衆議院の事務総長という重い職責にあった人を送られたということは、それなりに、この仕事の公共性からかんがみて、ただ単に役員に準ずる、捨て場としておいでになったものだとは思いませんが、この名簿にはありませんが、どういういまお立場でありますか。
#238
○説明員(伊藤榮樹君) 大池真氏は、この会社ができましたときから取締役をしておられまして、後に代表取締役社長となっておったわけでございますが、かねてからもうぼつぼつ、引かしてほしいという御希望があったようでございまして、先ほど御指摘の本年八月二十八日に取締役を退任されまして、現在は株主の一員というだけの地位でございます。
#239
○足鹿覺君 株主ですか。
#240
○説明員(伊藤榮樹君) 要するに会社の役員その他ではなくなっておられます。
#241
○足鹿覺君 それは総株数の中の相当の大株主なんですか、ただ名義的に若干の株を持っているという程度のものですか。
#242
○説明員(伊藤榮樹君) 株式会社新土地開発センターの資本金は六十四億円でございますが、その六十四億円に比べればおそらくわずかな株数だと思います。
#243
○足鹿覺君 大池君はそうすると、他へ何か転出をされて、会社をみずから進んで出られたのでありますか。財界その他の有力者が暗に大池君をその地位から去らしめた、こういうことはないのですか。
#244
○説明員(伊藤榮樹君) 不確かなことを申し上げてもしょうがございませんから、客観的な事実だけ申し上げますが、第六十三国会で衆議院の内閣委員会に大池氏が参考人として出られましたときに、あまりこういう社長の仕事は好きじゃない。率直に言うと、いい人があったらやめたいという趣旨のことを委員会で申されたように記憶しております。
#245
○足鹿覺君 お聞きのように、これは衆議院では参考人等まで、大池君を呼んで慎重に御審議になっておるのですね。われわれももう少し事態を明らかにしたいと思いますが、これ以上押し問答をいたしましても、どうも審議日程から言って、これだけに時間を費していると先に進めませんが、どういうふうにお取りはからいいただけますか。
#246
○委員長(西村尚治君) 暫時休憩いたします。
   午後三時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時二分開会
#247
○委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 本案に対する審査は後刻に譲りたいと存じます。暫時休憩いたします。
   午後四時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三十五分開会
#248
○委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 委員の異動についてお知らせをいたします。
 本日、田中茂穂君が委員を辞任され、星野重次君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#249
○委員長(西村尚治君) 外務省設置法及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#250
○足鹿覺君 ちょっと足を痛めておりますので、すわったままで失礼いたします。
 外務省設置法の一部改正の具体的な問題に入る大前提といたしまして、若干外務大臣の御所見を承りたいと思います。
 御承知のように、昨日、約三カ月間の日子を費やしまして、自民、社会、民社、公明、共産と、かつてない五党所属の国会議員が一堂に会しまして、日中国交回復促進議員連盟が結成されましたことは、外務大臣も御承知のとおりであろうと思います。
 昨日、現在の連盟の参加者を見ますると、自民が衆参合計して九十一名、社会が百四十一名、公明七十一名、民社三十六名、共産六名、合計三百四十五名の大きに達しておるのでございます。なお、伝え聞くところによりますと、次々とこの趣旨に賛同いたされまして、加盟者は増加しつつあるという現状でございます。
 この連盟の目的とするところは、規約第二条にありますごとく、「日中両国の国交を回復して法律上の戦争状態を終結し、両国永久の友好親善の基礎をつくることを目的とする。」と、かようにうたっておるわけでございます。外務大臣の御所属の自由民主党からも、先ほど述べたごとく、多数の御参加を得、今後おそらく両院の過半数をこえる国会の総意に近い声ともならんかという情勢でありますが、この日中国交回復促進議員連盟に対する外務大臣としての御見解、なかんずく、「日中両国の国交を回復して法律上の戦争状態を終結し、両国永久の友好親善の基礎をつくることを目的とする。」、この趣旨に対する御所見を承りたいと思います。
#251
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまお述べになりました各党共同の連盟が発足いたしました。その事実並びに規約等の関係も私はよく承知いたしておる次第でございます。政府といたしましても、かねがね申しておりますように、この中国問題という、日本にとりましてもまことに重大な案件につきましては、国内のいろいろの議論というものに十分留意することはもちろんでありますし、また、よく総理大臣も施政演説等でも表明しておりますように、日本の国益から申し、また、国際緊張の緩和ということから申しましても、現在中国本土に八億の国民がおりまして、これが戦後二十数年にわたって実際上の存在としておられるということについては、この事実を客観的に認め、かつ、これとの間にも、従来はいろいろ日本の国益という点に立脚いたしまして、政府として最も適切だと思う方策をとってきたつもりでございますけれども、今後におきまして、いま申しましたような基本的な立場に立って十分各方面からの御意見を伺いながら、中国政策というものを日本のためにどうあるべきであるか、また、同時に、国際的な環境の中でどういうふうにこれを進めていったらいいのかということにつきまして、真剣に検討をいたしておるわけでございます。
 ただいまのところ、政府といたしまして慎重な検討の段階でございまして、政府としてこういうふうに新しく歩み出すことが適当であるということについて具体的にまだ申し上げるところまで達しておりませんけれども、今後真剣に、慎重に検討してまいりたいと思っております。そういう際でもございますから、こうした各党共同のこういう連盟ができ、そこで活発な御論議が行なわれますことにつきましては、政府といたしましても十分敬意を表してまいりたいと考えております。
#252
○足鹿覺君 きわめて抽象的な御答弁であったと思いますが、最後に敬意を表する、かようなおことばがあったと聞き取りました。私が特にこの問題について外相の見解を求めておりますのは、従来の日中国交回復に対する政府の政経分離方式あるいは覚え書き方式等によっていくということでは、とうてい目的が貫徹できない、したがって国交を回復し、法律上の戦争状態をまず終結することが、両国永久の友好親善の大前提である、こういう合意に達した規約であります。あなた方の党からも参加しておられるのであります。わが党はもちろん、公明党も民社党も全員加盟であります。また、その後の情勢を聞きますと、共産党も全員加盟を申し込んでおられる、かように聞いておるのであります。といたしますならば、当然これは一党一派の問題ではなくして、国民を代表する国会の声である。こういうわれわれは評価をすべきだと思いますが、敬意を表せられることはけっこうでありますが、どのように具体的にこれを評価し、この精神をくみ取っていかれようとしておるのか、その点について踏み込んだ御見解が承れないとすれば、基本的な考え方を明らかにされることがこの際必要ではなかろうかと思います。いかがですか。
#253
○国務大臣(愛知揆一君) 正常化ということのことばがよく使われますし、それからまた、平和状態と申しますか、戦争状態の終結というような考え方もいまも言及されたところでございますけれども、こういうことばにも、あるいは法律的、条約的にもいろいろの解釈なり経緯なりもございますから、端的にいまお述べになりましたような説について、いま直ちに政府の見解として申し上げることはございません。
 しかし、私どもの考え方といたしましては、この中国問題ということの一つの非常なむずかしい問題として、いわゆる一つの中国問題ということがございますけれども、われわれの考え方といたしましては、北京の政府も台北の政府も、いずれも一つの中国ということに非常な力を入れ、非常な強い主張があるわけでございますが、本来これはそれらの両者の内輪の問題として平和的に解決を話し合いでしてもらいたい。これが第三国といいますか、隣国の日本の政府としての立場でなければならないと思っておるわけでございます。事柄の条理上そういうふうに考えるべきものである。そうして幸いにしてその結果というものが一つの結論ができましたならば、これを認めていくというのが日本政府としての立場でなければならない、かようにまず考えております。そうして、こうした平和的な話し合い、解決の方法ということについては、こいねがわくば、武力の行使というようなことが考えられないで、かりにも武力の行使というようなことがあれば、これは隣国としてもたいへんなことであり、また国際的にも非常に大きなことになりますから、そういうことはぜひ避けて解決をしてもらいたい。こういうふうな基本的な考え方でおるわけでございますが、同時に、他面におきましては、国際社会におきましても、今回の国連における代表権問題の取り扱い等につきましても、御承知のような状況でございますから、いろいろと各国の考え方というものもございます。これもまた十分に分析し、参照していかなければならない問題だと思いますが、なかなか一言にして政府の立場からいって、今日ただいまの段階でクリアカットな御回答を申し上げるところまでにいっていない。それほど複雑で、また重大な問題である。こういう認識の上に立っておりますので、ただいまおしかりをいただいたように、非常に抽象的な答えではないか、まことにごもっともだと思いますけれども、ただいまの段階では、以上のような基本的な考え方を申し上げるにとどめさせていただきたいと思います。
#254
○足鹿覺君 中国をめぐる最近の情勢は重大な転機にきておると思うのです。
 従来、日本政府が漫然と続けてきた政策は、昨日の会合が一つの契機となって、転機を挙党一致迫る姿であろうと思いますが、そのような評価は間違いでありましょうか。外務大臣としてはどうする、こうするということは具体的に言えないが、認識の問題として、少なくとも転機にきておる、それは昨日の日中国交回復促進議員連盟の結成が一つの事実として示されておる、かように国民は受けとめておると思いますが、いかがですか。
#255
○国務大臣(愛知揆一君) 転機に際会している、私はやはりそういうふうな認識を持っております。昨日何時でございますか、昨日のある時間におきましても三百四十五人の衆参両院の議員が、党派をこえて、本件に対しまして非常な熱意を示しておられる。これはほかの問題ではなかなかこういうことはないことである。
 それだけに、これを重要な問題として受けとめるということにつきましての認識におきましては、私も十分認識しておるつもりでございます。
#256
○足鹿覺君 その点はお認めになったようでありますが、先ほども外務大臣みずからお述べになりましたように、最近の情勢の変化、すなわちカナダ、イタリアが相次いで中華人民共和国政府――自今北京と言いますが、北京政府を中国の唯一の合法政府として承認し、国連においては台湾政府にかわって北京政府に中国代表権を与えるというアルバニア提案が過半数の賛成を得た。しかし相変わらず政府は重要事項指定方式の提案国となって、あるいは賛成国となって、指定方式が可決されて、ついに中国の国連参加は実現を見るに至らなかったことは非常に遺憾に存じます。中国の国連加盟は、このようにして今年も阻止されましたが、賛否の差はびっくりするような、予想以上に接近をし、中国の国際社会への復帰は強い現実性をもって票数の上にあらわれておると思います。これらをお考えになっても、国際的に国連をめぐる動き一つを見ましても、国際的な大きな流れが中国承認の方向に動きつつあるということに対して、従来と同じ政策をお続けになることは許されない、かように思いますが、この点について、国際的なこの流れに対して、いかに対処されようとしておるのでありますか。その大体の流れに対する外務大臣の認識と、これに対する御所見を明らかにしていただきたいと思います。
#257
○国務大臣(愛知揆一君) イタリア、カナダが承認をした、この事実も総理の所信表明の中にも織り込んである次第でございまして、こういう点につきましての認識評価というものも、政府といたしましてもいたしておることは申し上げるまでもないところであると思います。
 それから国連のアルバニア決議案あるいは重要事項指定決議案、これらに対しても従来とは違った動きが出てきておるということも、これはもう客観的な事実としてこれを承認し、また評価いたしておるわけであります。ただ、この表決等の状況をどういうふうにおまえは評価しているかというお尋ねでございましたが、なかなかこれも複雑でございまして、表決の結果は申し上げるまでもなく御承知のような状況でございますけれども、たとえば、この決議案等について棄権した国が意外に多かった。それらの棄権の根拠等については、いろいろの立場がございますようでございますけれども、たとえば中共加盟には賛意を表するけれども、国府の除名といいますか、追い出しといいますか、これにはどうも賛成しがたいという考え方の国が相当多かったようにも分析いたされますし、それから重要事項指定方式に賛成の票の中には、すでに中共を承認し、あるいは加盟について賛成投票をしておるところで、なおかつ重要事項指定方式に賛成をしておるという状況でもございますので、もちろん日本として、主体的に中国政策を考えます場合、一番大事なのは国内の世論であり、また、国益に立脚していかなければなりませんけれども、同時に国際的な動きというようなこと、あるいはそれらの国々の見解というようなものも十分これは資料としても検討していかなければならないのではなかろうか、あるいはまた、まあ言い過ぎになるかもしれませんけれども、イタリア、カナダの場合、あるいはその後のエチオピアの承認ということもございましたわけでございますけれども、何と申しましても、これらの国々の中国に対する関心、あるいは具体的な国益というものは、日本に比べますと比べものにならない程度に薄いわけで、いわば気が軽いというようなことも、またこれは十分考えなければなるまい。いろいろの点を総合勘案してみまして、政府といたしましては、先ほど申しましたように真剣に検討を続けておるわけでございますが、ただいまの時点でどうすることが一番よろしいということを結論をもって表明するまでに至っておりません。これが現在の状況でございます。
#258
○足鹿覺君 いろいろ御所見を伺いましたが、要するに政府は、依然として台湾政府を唯一の中国の合法政府とすることに固執しているようですね。それは時代錯誤であり、日本国民の現在及び将来の利益に反すると、昨日の五党の国会議員による総会宣言は指摘しておるのであります。
 そこで承りますが、台湾政府が大陸に復帰する可能性が全く存在しない以上、日華平和条約が大陸に適用されることはあり得ない、私どもはかように判断をいたしますが、外務大臣の御判断はいかがでありますか。
#259
○国務大臣(愛知揆一君) この点は、まずこの純粋な条約論と申しますか、それからまた、条約のできたときの状況判断、その後の経過というようなことを前提として申しますれば、従来から、そして今日に至るまで、日華平和条約というものができておる。その条約は、いまお答えいたしましたような前提から言えば、これはたとえば戦争状態の終了というようなことは、大陸全体に効力が及ぶという見解をずっととってきたわけでございます。この現存の条約がこうであるということをただいま御説明いたしたわけでございますが、将来にわたってこれをどういうようにやっていくかということについては、基本的な非常に大きな問題でございますから、これについて、先ほど来述べておりますように、たいへんクリアカットなお答えができませんけれども、将来の中国政策ということについては、慎重に検討していきたいということを申し上げるにとどめておきたいと思います。
#260
○足鹿覺君 日華平和条約第一条によりますと、両国間の戦争状態は、「この条約が効力を生ずる日に終了する。」ということになっております。この規定を大陸に適用されることはあり得ません。これはもう明らかであります。日中両国間にはしかも依然として法的戦争状態が存在し、かつ継続するものと見なければならぬという御見解でありますか、具体的に言うと。
#261
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほどお断わりいたしましたように、この条約の締結されたときの趣旨、それから純粋に条約論から申しますれば、この第一条というものは中国全体に適用されているものであると、政府は従来からこういう見解をとってきたわけでございます。
#262
○足鹿覺君 外務大臣、それはあまりにも、あなた、御答弁としては従来の経緯を踏まえてそういうことをおっしゃるのでしょうが、現在日ソの大使交換等の事の起こりを回顧いたしますと、私は北村徳太郎団長、わが党の野溝勝団長のもとに、一員として昭和三十年であったと思いますが、中国を経てソ連に参りました。同地に約一カ月余滞在をし、ソ連の首脳部と会見しました。そして、両国間の戦争状態終結をうたった平和条約、すなわち国交回復ということには一挙にはならないが、日ソ共同宣言の点については、これはわれわれ間の話し合いによってある程度自信を得たと、かように考え、帰国後、当時鳩山総理に、われわれ親善使節団が初めて戦争後ソ連の地を踏んだ経緯も申し上げ、滞在間におけるいろいろな話し合いを通じて、共同宣言の調印ということは当面第一段階としてとるべきではないか、こういうことを御進言をいたしたことがございます。それが直接の原因とは考えませんし、いまはなき鳩山さんが大政治家としての感覚を持ち、これまた故人となられた河野さんがお供をされまして、御不自由な手押し車に乗ってモスコーを訪問され、そしてついに第一段階としての日ソ共同宣言が調印をされ、今日のごとく、日ソ間の親善状態が発生するに至ったことは御承知でありましょう。
 いまあなたの言われる第一条の日華平和条約の問題を言われますが、七億の国民を持つ大陸にいまだこの条約が効力を持つなどということは、これはあまりにも非現実的であり、外交は少なくとも現実における効力を主として行なわなければならない問題であって、理論をもてあそび、いたずらに事を遷延することが目的ではないはずであります。賢明な外務大臣がそのようなことのわからないはずは私はないと思う。少なくとも一挙に事がならないとするならば、日ソ間におけるいま述べたような実情等もあり、第一段階としてとり得る手段はあるではありませんか、それを、あくまでも第一条の大陸への適用を主張されるということは、さきに一つの転機を迎えたと言明されながら、後段においては、依然として台湾政府を唯一の合法政府とすることに固執しておられるからそういう御議論になるのではありませんか。その点はいま一応よくお考えになって御答弁を願いたいと思います。
#263
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど念を入れてお答えをいたしたつもりでございますが、この日華の平和条約は、第一条のできたときの経過その他から申しますと、「日本国と中華民国との間の戦争状態は、」ということになっておりますから、国と国との関係において戦争状態が終結したと、こういうふうな――これは経過並びに条約論、純粋な条約論的なことを申し上げるわけでございます。
 それから、いま中国に対する転機が来ていると申し上げたことは、さっき申し上げたとおりでありまして、その認識の上に立って今後どうするかということについては、先ほども申しましたように、一つの中国ということが双方の大きな主張であり、そこが一つの難点になっておりますが、それに対する私の願望と申しますか、基本的な考え方を申し上げたわけでございます。
 それから、今後中国政策に対してどうしていくかということについては、そういったような考え方の上に立ちまして、また、先ほど来お述べになりましたような御意見も十分に聞きながら、今後の処するべき最善と思われる道を検討しておるというのが現在の状態でございます。
#264
○足鹿覺君 アメリカの軍事占領下並びにその直後の段階におきましては、国交回復は不可能であったと、そういう状態であったと思います。が、ゆえに、私どもは日中貿易促進連盟を結成いたしまして、その面から国民外交を展開してまいりました。しかし、現在はその貿易の促進すら正常な国交なしには不可能になってきておるではありませんか。これを一体どのように打開なさる御所存でありますか。
#265
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、先ほど申しましたように、今日まで政府として選択してまいりました政策というものは、それなりに適切であったと、そして貿易もどこの世界の国よりも中国本土との間には御承知のように非常な発展と申しますか、成績をあげております。それはそれなりに、関係の方々の非常な御努力に対して敬意を表すると同時に、かくのごとき成績を示しているということはけっこうであったことだと、こういうふうに考えておりますが、これからどういうふうにさらに発展するかということにつきましては、中国政策全体の観点から申しましても、十分に検討してまいるべきであると、かような考え方でおります。
#266
○足鹿覺君 後段に述べられた御答弁ですね。私の共同宣言方式について、具体的にはいかがですか。
#267
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども申しましたように、そういう御意見につきましても、十分政府としても一つのお考えとして考えてまいりたいと思っております。ただ日ソ共同宣言のことも言及されましたけれども、これはその国との間の共同宣言という方式でなければ、やはりまた効力が発生できないわけで、一方的に日本側だけが申しましただけでも、これは成果をあげるというわけではございませんので、やはり中国政策全体の問題として慎重に取り扱っていきたいものである、かように考えております。
#268
○足鹿覺君 どうも台湾政府の問題が頭の中にあって、それ以上前進がいまのところ見られないようでありますが、日中間の法的な戦争状態に少なくとも終止符を打つということは、これは台湾政府との関係とは別問題でしょう。そうじゃないですか。それも否定なさるんですか。
#269
○国務大臣(愛知揆一君) それは関係両国間の合意による共同宣言ということも一つの私は方式であろうと思いますけれども、やはりこの点になりますと、先ほど来申しておりますような一つの中国論というようなものについての、実際的にきわめて扱いにくい問題があるということを考慮の中に入れなければ、そしてまた、その点についても明快な政府の態度というものがなければ、そういう方法も実効をあげることができない。そこで基本的な、いろいろ申し上げましたような上に立っての、やはり総体的な全体の政策との関連においてこれは考えられなければならぬ問題である、かように存じております。
#270
○足鹿覺君 ではお聞きしますが、日本政府として、当面日中国交を回復せしめるための必要な措置としては、具体的にどういうことをお考えになっているのですか。
#271
○国務大臣(愛知揆一君) これについては、これもくどくなりまして、またおしかりを受けるかもしれませんが、政府としては、こういう状況下にございまして、慎重に方途を考えなければならない、かような認識に立っておりますけれども、その具体的な、この件についてはこうする、こういうことについてはこうするということを、まだ申し上げるまでに政府としての見解が固まっておりません。こういうことを申し上げておるわけでございます。
#272
○足鹿覺君 政府としては固まっておらない。私どもが仄聞しておるところによりますと、アルバニア提案以降、外務省の中にあっても、この情勢をすなおに認識すべきであるという議論も急激に高まっておるやに聞いております。つまり、論議が急速に高まってきておるということであろうかと思います。固まっておらないということは、論議をしておるが、結論になかなか到達しにくい、かように私は解釈いたします。そういう解釈の上に立って、たとえばどういう点が問題となって論議をされ、固まっておらぬのですか。
#273
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、国連の代表権問題の採決の結果が出ましたときにも、これはそのまま敬虔な気持ちで私は受け取って今後に処しなければならないということを公に申したわけでございまして、それは今日もちろん変わらざる気持ちでございます。外務省内におきましても、中国問題については、かねがね一番大切な問題として研究につとめてまいりましたが、特に最近におきましても、いろいろの角度から真剣に論議を戦わしておりますので、ただいま仰せられましたように、検討を進めておるが、具体的に結論は出ていない、これが現状でございます。
 それならばどういうことを問題にしているのか、これは抽象的になりますけれども、日本の国益、それから国際緊張の緩和につながるような線、あるいはまた国際信義――これもいろいろの意味が含まれておりますけれども、そういう点を十分に分析し、見通しをつけ、そうして国内にいろいろの活発な御意見がございますが、これを十分に取り上げて、いわばこういう重大な問題につきましては、国民的にいろいろの議論や意見が戦わされることが望ましいことである、こういうふうに考えておりますが、それらを十分に取り入れて、あるいは分析し、そして政府としての最善と思う方途を探究し、かつ国際的にもそういう考え方を展開していくべき問題である。それだけに政府といたしましては、きわめて慎重ならざるを得ない。率直に申し上げまして、これが政府のただいまの立場でございます。
#274
○足鹿覺君 つまりいろいろ表現は、外交官でありますから、あなたは豊富でありますが、私どもは野人でありますから端的に言わせていただきますと、日本政府は台湾政府との国際信義ということにやはりこだわっておられるんではないですか。そのことにこだわっておられるから前進がないのではないでしょうか。端的に私はそういうふうに受けとめますが、どうですか。
#275
○国務大臣(愛知揆一君) この点は先ほども触れましたが、日本政府だけの問題ではございませんで、国連の代表権を審議いたしました国連の場におきましても、表決にあらわれ、あるいは表決には棄権という形であらわれませんでしたけれども、やはりこの問題が国際的にも非常な関心のまとであるということは言えるのでございますから、いわんや日本といたしましても、この問題についての処理ということについてはほんとうに慎重にならざるを得ない、これはそういうふうに考えておるわけでございます。そうしてまた、イタリアの場合、カナダ等の場合におきましても、御案内のように台湾に対する中華人民共和国政府の態度、見解というものについてはテークノートする、あるいはその見解に対してはチャレンジもしないが、エンドースもしないという、この結果に至りますまでに、実に長い時間がかかったということも、これまた事実なんでございまして、やはり日本のみならず、この問題につきましては、それぞれの立場において、また先ほど申しましたように、日本から見ればきわめて気軽な立場にあるような、そういう国々でも、本件については非常な処理に苦労をされたという事実を見ましても、政府といたしましては、真剣に検討せざるを得ない問題の一つであると、かように考えておる次第であります。
#276
○足鹿覺君 あまりきょうは長くやるつもりではありませんが、要するに、としますと、台湾との信義関係のみではない、とするとアメリカ問題ですね、あるいはアメリカに気がねをし、またはアメリカに気がねをする理由としては、ある程度依存をしておる、そういったような国々、そういった面が国際信義の問題から今日まで日本をして踏み切ることができなかった、中国問題について踏み切ることができなかった、そのようにも判断できます。要するに、アメリカの軍事力のアジアからの引き揚げは、これは外務大臣希望するといなとを問わず、これはテンポが早くなると思いますね。この点はお認めになりますか。
#277
○国務大臣(愛知揆一君) ニクソン大統領によって表明されている公式の幾つかの大きな見解、たとえばグアム・ドクトリン等を含めまして、アメリカはアメリカなりの見解を持っておりますし、また、いわゆるオーバー・コミットメントはいたしたくないということは、私はアメリカといたしましても当然考えていることであろうと思います。一方、日本といたしましても、やはりアメリカとの関係あるいはアジア諸国との関係、あるいはその他の国々との間の協調関係ということも、これまた十分考えていかなければならない大きな要素であることは当然であろうと思います。
#278
○足鹿覺君 最後に、これ以上時間もだいぶおそくなってきましたので申し上げません。別の機会に触れますが、あらゆる点から総合的に考えてみて、日中間に平和な国交関係を樹立することは、あなた方も必要とお認めになっておる。これはテンポの問題だと、かように解釈してよろしいでしょうか。
#279
○国務大臣(愛知揆一君) 冒頭にも申し上げましたように、事実として長い間にわたりまして八億の国民が中華人民共和国政府のもとに統治されている。しかもこれが隣国であって、日本とは歴史的にも、また将来におきましても、イデオロギーは違うかもしれませんけれども、正常な関係に入りたいというのは、これはだれしもの願望である。政府ももちろんそういう考え方を持っているということは、私は基本的な考え方として申し上げられると思います。
#280
○足鹿覺君 テンポの問題、テンポを早めなさいということは、どうですか。
#281
○国務大臣(愛知揆一君) それから同時にテンポというお尋ねでございますけれども、これは一方においては非常に急ぐ、早くやれと、期限を切ってでもやれという御意見は、私は承知いたしておりますけれども、大切な問題でありますから、期限を切ってというふうなことは、少し性急に過ぎるのではないだろうかと考えておりますから、そういう意味ではテンポの問題ということも言えるかと思います。
#282
○足鹿覺君 要するに日中間に平和な国交関係を樹立することは、私どもは焦眉の急務であると考えます。いま私は質問の中で期限を切れとは申しておりません。焦眉の急務である、したがって、それをお認めになった以上、われわれは、政府が万難を排して決断をされる段階である、かように断言しても言い過ぎでないと思います。いわんや各党の有志とはいえ、国会過半数になんなんとする超党派の合意によって、「日中関係の停滞を打開し、アジアの平和とアジアの諸民族の交歓を回復して、国民の胸に新しい希望の火を点ずるため、たゆまざる努力を行なうことを誓う。」と、総会宣言が昨日の日中回復促進議員連盟の総会において採択されたということは、きわめて歴史的な事実であろうと存じます。これを尊重され、これを重視し、すみやかに決断されることを強く要望いたしまして、本日の私の質疑はこの程度でとどめます。
#283
○委員長(西村尚治君) 暫時休憩いたします。
   午後五時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時三十四分開会
#284
○委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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