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1970/12/17 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 内閣委員会 第7号
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1970/12/17 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 内閣委員会 第7号

#1
第064回国会 内閣委員会 第7号
昭和四十五年十二月十七日(木曜日)
   午前十時五十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十七日
    辞任         補欠選任
     二木 謙吾君     中山 太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 尚治君
    理 事
                石原幹市郎君
                八田 一朗君
                足鹿  覺君
                上田  哲君
    委 員
                佐藤  隆君
                柴田  栄君
                玉置 猛夫君
                中山 太郎君
                長屋  茂君
                星野 重次君
                安田 隆明君
                山本茂一郎君
                鶴園 哲夫君
                矢山 有作君
                山崎  昇君
                峯山 昭範君
                片山 武夫君
                岩間 正男君
   国務大臣
       国 務 大 臣  荒木萬壽夫君
       国 務 大 臣  中曽根康弘君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       人事院総裁    佐藤 達夫君
       人事院事務総局
       給与局長     尾崎 朝夷君
       総理府人事局長  栗山 廉平君
       行政管理庁行政
       管理局長     河合 三良君
       防衛庁長官官房
       長        宍戸 基男君
       防衛庁防衛局長  久保 卓也君
       防衛庁人事教育
       局長       江藤 淳雄君
       防衛庁参事官   鶴崎  敏君
       防衛庁参事官   高瀬 忠雄君
       防衛施設庁長官  島田  豊君
       大蔵政務次官   藤田 正明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
   説明員
       防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 本日、二木謙吾君が委員を辞任せられ、中山太郎君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(西村尚治君) 審議に入りますに先立ちまして一言ちょっと申し上げておきますが、先回も資料提出の問題につきまして政府側に要望したわけですけれども、けさの理事会におきまして、重ねてこの資料の提出をもう少し迅速にしてもらいたい、それから答弁等につきましても、大いにひとつ誠意をもって当たっていただきたい、そういうことを確認をいたしましたので、この点特に防衛庁側に申し上げておきます。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(西村尚治君) 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○上田哲君 昨日、政府側の答弁を保留してありますので、答弁を要求いたします。
#6
○政府委員(藤田正明君) 昨日、上田委員から、基地従業員の離職に関して、現在防衛施設庁のほうからいろいろと大蔵省に要求が出ておるはずだが、それについての大蔵省の態度はどうであろうか、こういうふうな御質問があったと聞いております。それについてお答えいたします。
 四十四年の四月に、特別給与のほうは大幅に増額いたしまして今日に至っております。しかしながら、いろいろ物価の上昇その他のこともございますので、この際、大蔵省といたしまして、この問題は慎重に取り扱いたいと思っておりますけれども、前向きか横向きか、うしろ向きかとおっしゃいますと、まあ前向きに取り組み対処いたしたい、かように考えております。
#7
○上田哲君 昨日この問題の答弁、つまり答弁の姿勢をめぐって委員会の審議が中断をしたという経緯があります。財政当局が十分検討されての弁でありますから、私としては、その趣旨を最大限に前向きに受け取って、すでに防衛庁長官及び施設庁長官が非常に積極的な姿勢でこの問題には取り組みたいという表明があるわけですから、そうした政策意図を財政当局の意図によって引き戻すことのないように、予算編成期を前にしていろいろ数字の上では表明しにくい問題があることわかりますけれども、ぜひひとつ御努力をいたきたい。手続上の問題はそうだと思うんですけども、まあ金があるかないかというようなことあります。金がないということにはならぬだろというまあ現場の人たちの気持ちもあります。いうのは、一番多かったときには二十九万人の地労働者がいたわけであります。これは現在三九千人になっております。この間、厚生年金の強制適用を受けて、厚生年金のかけ捨てでそのまま終わってしまった人たちが、ざっとその引き算である二十万人以上おるわけでありますから、そのかけ捨て分だけでも百億くらいになるはずだと、そういうふうに考えれば、これは納め込んでいっているわけですから、それではたとえば、これは算術的にはいかないにしても、金がない、そのために十分な対策が講じられないということにはならないだろう。あとは財政難ということではなくて、どれだけの政策意図を持つかということになるんだろうと思うのです。そういう意味でぼくは、この問題については財政難だからというようなこと、あるいは財政技術論上の言いわけになるのじゃなくて、現に推定百億というような金を資金運用部でやっているわけなんですから、これをひとつ師走の風が吹きすさぶ中で、一万人というような大量解雇がうわさされていて、ほとんどはそんなに若い人たちではないのですから、ある意味ではこの二十五年間の日本の安保体制のひずみを集中的に受け取っている人であるために、ぜひひとつ御努力をいただきたい。財政難ということは、ひとつそういう意味からいっても理由にはならないだろうという点について、もう一言いただきたいと思います。
#8
○政府委員(藤田正明君) 実態が、私たちにとりましてまだはっきりしない点がございます。一万人ということがよく言われておりますが、正式な通知はまだ受け取っていないのであります。そのような実態がはっきりいたしておりませんので、いまここで財政的に余裕があるとか、十分に対処できるとかということが申し上げられないわけでありますが、何せ予算の編成途中でございますので、確たることを申し上げられないのは残念でありますけれども、ただいま申し上げましたように、前向きに、どちらかと言えば、われわれといたしましては前向きに取り組んでおるという姿勢を申し上げまして答弁といたしたいと思います。
#9
○上田哲君 大蔵大臣においでいただくということになっておりまして、大蔵大臣のかわりということで、形としては詰めてないものとして、政務次官もおいでいただいて、昨日の分を含めて最大限前向きに御答弁をいただいたというふうに理解をいたします。どうかひとつその辺が防衛庁及び施設庁の考え方と財政当局とずれがあったということでなしにお願いをいたしたいと思います。
 防衛庁長官にその点でもう一言御確認申し上げたいのですが、そうした財政措置を伴う問題とは別に、解雇についての、いわば削減計画を推進するに伴って出てくる解雇についての当然な手続上の問題があります。全駐労から出ている考え方は、従来われわれが言い続けてきたことでありますけれども、一つに米軍兵力削減計画並びにそれに対応する対策が確立されるまでは個々の人員整理を行なわないこと。それから、人員整理を行なう場合は必ず九十日以上の予告期間を確保する。それから、労働者を解雇し、業者切りかえを行なわないこと。それから、基地の返還にあたっては、労働者の集団就職を含め継続雇用のでき得るような転用計画を早急に確立すること。この四点について、ひとつこのとおりいこうじゃないかという御決意をしっかり承りたいと思います。
#10
○国務大臣(中曽根康弘君) 離職者がもし出ます際には、われわれとしては誠心誠意、離職者のための対策を講ずるように努力してまいりたいと思います。特に九十日の予告期間の問題は、現在いろいろ内面的にも強硬にいま話を続けておりまして、ぜひともこれは確実に実行するように努力してまいりたいと思っております。そのほかの点につきましては、必ずしも私いまの四カ条につきまして内容を詳細に知悉しておりませんが、できるだけ努力すると、こういうことでまいりたいと思うわけであります。
#11
○上田哲君 たとえばこの四点は、できるだけ努力をする、最大に努力をするということですから、全体としてはそういうふうに受けとるのですが、たとえばいま長官自身が口にされた九十日の問題、現に十月十五日をめぐって山田弾薬庫でそれが踏みにじられているということがあります。フランクリンとの話し合いがそのまま適用されてなかったという問題もあって、九月二十九日の参議院内閣委員会で中曽根長官から、九十日問題については今後とも最大の努力をするということがありました。どうでしょう。たとえばここで具体的に承らないとお経になってしまうんですが、いまおっしゃった九十日は、そうでなければ、その予告期間を確保しなければ人員整理をしないということについて、日本政府として十分な決意を持つということでよろしいですか。
#12
○国務大臣(中曽根康弘君) 極力そういう努力をするということで御了解願いたいと思います。
#13
○上田哲君 これは極力努力では私は納得しないので、双方が納得するような特別なたとえば財政措置を付しての、あるいは離職対策を完璧に付しての意味で例外処置があるということは、これはわからないではない。しかしこれは原則の問題です。しかも両国で合意している原則なんですから、これは極力であっては困る。これは原則としては断固として守るということは、極力のもう一つ上でしっかりお約束をいただかないと、現に目先に迫っている、あしたに迫っている問題があるわけですから、その点はもう一度御決意をしっかり、これは単に政策意図であるとか、精神的な決意であるとかいうことではなくて、行政意思としてどうなんだということを伺いたいと思います。
#14
○国務大臣(中曽根康弘君) 先方との話し合いで、こちらが強く申し入れたのに対して、向こうの答えは、極力九十日を守るように努力する、こういうことでありまして、それ以上のことは、先方の回答を得てからでないと私はここで公言することはできないのであります。ですからこの九十日を必ず守るように当方としては先方に全力をもって努力してみます。こういうことしか申し上げられないのであります。
#15
○上田哲君 当方としては全力をふるって、つまり最大限にそのことを厳守するということでありますから、そのことを確認しておきます。せっかくひとつ、相手方のその意味での協定無視をするような暴挙を許すことのないように最大限、まさに最大限の努力を重ねて要望しておきます。それで、それにしても問題は不確定要素、相手があることだということばで逃げ込まれてしまう。不確定要素の中にいる、きわめて不安定な状態にある基地労務者の諸君でありまして、そういう態様そのものに対しても、明日すでに全駐労としては二十四時間ストライキという指令が出ております。こういう事態についてどのようにお考えですか。
#16
○国務大臣(中曽根康弘君) われわれのほうの正当な要求は、できるだけ先方にのむように努力をいたしまして、混乱や紛争が回避されるように私たちとしては努力していきたいと思っております。
#17
○上田哲君 回避するように努力をすると言われるので、回避する努力というのは、一つには、何よりもまずアメリカ側に対しての政府の交渉姿勢にあると思います。もう一つは、当面の対象者である基地労働者の諸君に対して、どのような意思疎通をはかるかということであると思います。現にもう明日に迫っているストライキであります。明日ということの接点は、私はつまびらかにはわかりませんが、まぎれもなくとらえられるところは、国会が終わってしまってはたいへんだという意識があると思います。野党の攻撃などという次元をこえて、与野党一致して取り上げなければならないこの基地問題についての限られた少数――三万に満たない諸君の先行きの問題については、ぜひひとつ力強い意思疎通への努力、問題解決への努力、熱意というものが必要だと思います。回避のために努力を尽くすということであるならば、私は施設庁長官がこの紛争を前にしてその三万の諸君の代表と話し合いをされるということが、何よりも具体的な誠意の表示であると思います。施設庁長官はこの事態を前にして全駐労の諸君と話し合うということを約束されますか。
#18
○政府委員(島田豊君) 従来からしばしば全駐労の代表の皆さん方からお話を承っておりまして、私どもとしては誠意をもって努力したいと思います。明日のストを控えまして、きょうでも再び代表の方とお会いすることについてはやぶさかではありませんので……。
#19
○上田哲君 ちょっと聞こえません。
#20
○政府委員(島田豊君) やぶさかではありませんので、できるだけそういう方向で努力したいと思います。
#21
○上田哲君 まあ、私もまだよく慣れませんけども、国会答弁は、そういう方向で努力するか、とりはからうとかいうことばがあるのでが、これはもうイエスかノーしかない。会って話をするかどうかということですから、それらの御答弁は直ちに防衛庁長官の言われたように、ゆえなき紛争、混乱を回避する、あたりまえのことなんですから、そのために、全駐労の諸君からでは直接交渉はできないのでありますから、その代理者としてその先頭に立っていただく最大限の決意が表明された以上、いわばその辺の意思疎通を欠くことのないように十分ひとつ直ちに、あしたのきょうなんでありますが、話し合いをしていただくということを御確認いただけたわけですね。
#22
○政府委員(島田豊君) そのとおりでございます。
#23
○上田哲君 了解をいたしました。先ほど来の財政当局の御答弁も含めて、どうかひとつ、ある意味では二十五年間積みに積んできたわが国の一つの何といいますか、苦悩のあらわれでもありますから、この問題についてはひとつ何とかして、職場を返せということがいえない特殊な事情にある、それはまた一つの国益に沿っている立場なんでありますから、どうかこれが十二月、風も冷たくなっている正月間近に、政府のあるいは政治の力がいかにも冷たくそこに加わってきたということがないように、そういう問題について、金高でいったってたいしたことないのですから、払い込んである金もあるわけですから、どうかひとつそういう面については最大限に努力をしていただくということを、あしたになり、あさってになれば、軽々に私どもはこういう話をしつらえて皆さん方に意向を問うことができないことになりますので、くれぐれも国会が終わったら妙なことになったということがないように、ぜひこれはお願いをしておきたいと思います。
 防衛庁長官にお伺いをいたしたいのです。昨日米軍の在日基地からの撤退計画の問題をいろいろ縦から横から斜めから、いろいろ伺ったのでありますが、どうも御回答がありませんでした。これはそれなりに唇をかむしかないでありましょうが、同じ答えることができないと言われた内閣委員会の防衛庁長官の答弁と全く同じ日に、つまりきのう同じこの参議院の沖繩北方問題特別委員会では、外務大臣がこの問題について意見を表明されておられます。こまかい速記録はこちらの権限外でありますから、事務的に間に合っておりませんが、その大要を述べるならば、愛知外務大臣は、在日米軍全体が相当な縮小計画を考え、事務的に検討していることは事実であって云々、それから途中飛ばしますけれども、二十一日に日米安保協議委員会を開き、米軍縮小計画をハイ・レベルの話し合いの場に上げる、こういうようなことを述べております。一体これは愛知外務大臣の勇み足であるのか、あるいはわれわれの情報が違っているのか、それとも全くほかの理由に基づくのか。あえて内閣不統一なんということを大げさに言うつもりはありませんけれども、私どもは内閣委員会というのは防衛問題についての本委員会であると思っております。そこで外務大臣がこのような答弁をされることが、本委員会で防衛庁長官から全く片言隻句も聞くことはできないということは、はなはだ遺憾であると思っております。私はそのこと自体をここで問題にしようとは思いませんが、すでに同じ日に同じ院で、他の委員会で、日米安保協議委員会を構成している一方の閣僚がこういう意思表示をされているということを踏まえて、防衛庁長官から率直に、すでに人口に膾炙し切っている問題ではありますから、こうした問題について、第一に日米安保協議委員会がいつ開かれるのか、そして今日まで伝えられておる限り米軍の撤退計画がどのようなものと了知できるのか、またそれに対してわがほうはどのような見解で交渉に入るのか等々について重ねて御見解を承りたいと思います。
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 安保協議委員会の開催案件等は、これは外務大臣の権限でございまして、私のほうで外務大臣が言う以前にこれを発表することはできないのであります。安保協議委員会は安保条約の執行に関する協議委員会でございまして、それは外務大臣の所掌事項になっているからであります。でありますから、外務大臣は当然の権限に基づいて、ここで表明したのでありますけれども、防衛庁当局としては、外務大臣が言う前に私から言うわけにいかない、そういう事情を御了承願いたいと思います。
 それから在日米軍の問題につきましても、外務大臣の言ったとおりのことであります。そして事務的な内容についてはまだ意見の一致しない点もあり、非常に流動的な要素もあり、特に雇用問題についてはわれわれはいま非常に強い主張をしている最中でございますし、そういう意味からも事務的にもまだ部会の意思が一致してないところがあります。そういうところが一致して関係方面でしかるべしと判定したときに表明できるわけでございます。そういう事情をぜひ御了承いただきたいと思います。
#25
○上田哲君 そうしますと、主務大臣が外務大臣である、したがって、向こうが言わない間は――私どもは、それならば同時にスタートということができるんじゃないかと思いますが、それは言いますまい。実態的にお伺いしたいが、外務大臣の言われるとおりであるという意味は、今度は米軍撤退計画についての大ワクが出てきたならば、内ワクについては主務官庁は防衛庁になるわけですから、防衛大臣にお伺いするわけですが、一言で言えば岩国、佐世保などで在日米軍は来年六月末までに出動部隊はほとんど撤退するというふうに理解してよろしいですな。
#26
○国務大臣(中曽根康弘君) 内容につきましては、もうしばらく御猶予願いたいと思います。どの地点がどういうふうになるということは、まだいろいろ雇用問題等も控えておりまして、いろいろ折衝しておる最中の要素が多いのであります。
#27
○峯山昭範君 関連で申し上げますけれども、実際問題この本回の基地の問題につきましては、まず相当詳細にわたって新聞等にも報道されているわけです。それについてきのうからわが同僚議員がずいぶんいろんな方面から質問しているにもかかわらず、一言もお漏らしにならないというのは、私たち得心がいかないわけです。ただ申し上げられません、また、事務レベルで云々という話では、とてもじゃありませんけれども、私たちこの審議の際にあたりまして、全部きまってしまって、みんな明らかになったことを私たちは再度ここでやるということは恥ずかしいですよ。ほんとうのところ、基地の撤退計画というものは全部明らかになって、それから国民のほとんどが周知の事実になってから当委員会でそのいろんな問題を取り上げてやるということは、全くもってけしからぬと思うんです、私は。概略こうなっているとか、いきさつはこうであるとか、ある程度の何らかの反応なり、また何らかの資料なり、何らかの発言があってしかるべきじゃないか。そういうことが報道されてない新聞なんていま一つもありません。そういうふうな意味からも、きのうからいろいろ基地の問題、あとで詳細やりたいとは思っておりますけれども、一言もはっきりされないということは、ほんとうに私はいまの大臣の答弁だけでは、とてもじゃありませんけれども、得心がいかないんです。こういう問題について審議を進めること自体が私はいかぬと思うんです。大臣どうですか。
#28
○国務大臣(中曽根康弘君) きのうもお答えいたしましたが、五月十九日の安保協議委員会でわれわれのほうからその問題を言い出し、そして七月の事務レベルの会議、そして私がレアードに会いましたときの話、それから今度は事務レベルで相当継続的にその問題をやっております。そういう形で流れてきておるのでありまして、やはり外交交渉に類することは、双方の意見が一致してセットするまでは、やはり公表するのははばかるのが国際信義でもあります。そういう意味で中身を申し上げることはできないのであります。これが一致して公表してよろしいという部会の意見がお互いに確認されればいいと思うんですけれども、新聞はいろいろな方面から取材なさって発表されることは御自由でありますが、当局としてはやはりそういう外交上の信義は守らなければならない、こういう立場にあるわけであります。
#29
○岩間正男君 関連。大体、防衛庁長官はいま、主務大臣の所管だから言えないと言っておりますが、都合のいいときだけそういうこと言うんじゃないですか。この前の濃縮ウランの問題どうした。これはまさに科学技術庁長官のあれは主管だ。ところがあなたはこの前アメリカに行ったとき、もうほんとうに権限逸脱だとわれわれも思って、これも問題になったんですが、そういうときはやるんですね。
 もう一つお聞きしたいのは、外務と防衛の連絡会議というのがあるはずでしょう。そこでこれは何回いままで連絡会議が行なわれたのですか。そうして日米安保協議委員会が持たれる前に事前に打ち合わせをされる、そういうことにしたら、これは主務大臣の所管だから言えないというような形でいま答弁を拒否されているのでありますが、あなたは都合いいときだけそういうことになる、これは歴然たるいままでのあなたのやり方ですね。それはまずいと思う。いま峯山委員からも意見が出されましたように、とにかく新聞上にはもう出ている。そういうものが当委員会であとのほうでしか実際わからないというようなことで、当委員会の審議権というものは非常に薄くなる。こういう点をはっきり踏まえて答えてください。それから、これは事務当局も少しはっきり答弁の中で、何でも秘密主義をとっているんだな。どうもこれはいまの自衛隊の性格そのものが非常にそういうふうに傾いているのに関係して重大な問題だ。答弁を求めます。
#30
○国務大臣(中曽根康弘君) われわれとしては、できるだけ許す範囲内の最大限において当委員会に御報告申し上げたいと思っておりますが、外交交渉に関する部面は、やはり国際的な慣例や信義を重んじなければならぬところがありまして、言いたくても言えないのが非常に残念なのであります。しかし、これを許される環境になればすみやかに報告申し上げたいと思います。
#31
○矢山有作君 中曽根長官にお伺いしたいのですが、防衛庁は外交交渉に関する問題についてだけ口がかたいのじゃないのですよ。この前、第四次防衛力整備計画の発表のときのいきさつを見てみましても、あの発表になる直前の委員会で問題になったときに、全然内容は言えないということであなたおっしゃらなかった。ところが間もなしに第四次防衛力整備計画が詳細に新聞紙上に出た。私はその内容がほしい。新聞だけで論議していると、それはあなたは新聞がかってに書いたのだと言って逃げるから、実際に知りたいと思って、内閣委員会の調査室を通じて資料要求をやった。そうしたところが、半ぺら紙一枚か二枚の第四次防衛力整備計画概要とか何とかいうのを持ってきた。ところが新聞には、日経にしたところで朝日にしたところで、毎日にしたところで詳細なものが載っているわけです。どうしてこれが出せないのだということで何べん防衛当局に交渉したかわかりませんよ。それでも出さない。議院には出さない。最終的に内容は届いたけれども、これは議院に提出はできないというような条件をつけて出す。そのやり方を見ていると、必ずしも私は外交交渉に関する問題だけ口がかたいのではない。防衛庁はすべての問題についてできるだけ国会に知らせないという立場をとっているのじゃないかと思います。そういうことは許されるのですかね。あくる日の新聞には――幾ら聞いても黙っておって、二、三日たったら新聞に出る。そういうことがあったらお互いにあなたも国会に席を置いているわけでしょう。大臣ではあるけれども、あなたは国会に席を持っている。お互いに国会軽視の風潮をつくっているのじゃないですか。お互いじゃない、あなたのほうで国会軽視の風潮をつくっているのじゃないかと思います。そういうような態度を改めてもらわなければならぬと思います。そのときどきの言いわけではすまぬのです。
#32
○国務大臣(中曽根康弘君) いま四次防につきましては、午前中矢山委員から御質問がございましたが、あの日の午後に党の各部会の了承を得て、それで公表するという段取りであったわけです。党の了承を得ないうちに公表することはできないというのが、われわれの党のたてまえでもあります。そういう意味で午前中は申し上げることができなかった。午後、国防部会その他の了承を得まして、この了承を得ましたから発表したわけでありまして、たまたまそういう日程になっておったので発表できなかったことはたいへん恐縮に存じておる次第でございます。
#33
○矢山有作君 恐縮などという話じゃないですよ。たとえ党の国防部会に相談できないから発表できないという、それは言い抜けにしかすぎないんじゃないですか。あなた方がやっていることはすべて公式の場で議論されたときには発表しないで、その発表しない口実は、外交交渉に関係のあるものとか、あるいは自民党の部会に相談をしていないからとか、いろいろなそのときについての都合のいい口実をこしらえられるわけだ。そして一切公式の場であなた方の口から発表をしない。そして新聞を通じてまず出してしまう。そういうことをやってるんじゃないですか。そんな都合のいい言いわけは許されませんよ。いいですか。
#34
○上田哲君 私は、各委員からいま鋭い追及がありましたけれども、まあパターンとしまして、新聞には言うけれども国会では言わぬじゃないかというふうにしたくはないです。新聞報道機関というものは、どんなに官庁が口を閉ざしていても、どういう形ででもそれを取材してそれを書く。閉ざしていれば閉ざしているほど書くということは、それは取材の自由、まさに言論の自由でありますから、これが先行することは私は当然のことだし、そこにやっかみを持とうとは思わない。大いにひとつこれは報道機関の取材の自由を守るのが当然のことだと思います。そこをひとつ間違っていただいては困ります。
 ただ、具体的な事例として言いたいのは、国会で党の責任者を目の前に据えて質問をするについても、あまりにも、新聞、テレビは公器でありますから、そこで明らかにされている、人口に膾炙している、一定の権威を付与されている公知の事実についても、なおうかがいがたい理由によって、われわれがそれを説明として受け取ることができない。こういうことは、私はやっぱり言論の自由を守るデモクラシーの原理において同じように国会の権威にかかわるものである。あるいは国政調査権の権威にかかわる問題であろうというふうに思います。具体的に申し上げれば、なるほど四次防の計画はまだ防衛庁案は三月に提案するものであるし、構想について新防衛力整備計画案ということで防衛庁長官が与党である自民党に発表されたのだから、この時間的な部分については一籌を輸することはやぶさかではありません。しかし、それはここまで大きな関心を集めて、ここまで大きな財政措置を伴うものであれば、可及的すみやかにわれわれに対して説明をなさる努力があるのが、国民的合意とかコンセンサスということばを口にされる当然な政治的見識、配慮であると私は思います。それが一つ。
 それから百歩を譲るとしても、なぜならば、それは試案であり、党の範囲の問題であるということであれば、指をくわえることはしかたがないとしても、防衛白書は一体どうでありましょう。防衛白書はまぎれもなく党のために出されたのではありますまい。間違いなく国民に向かって、あの中に書かれているように、国民の理解を求むるためだといわれるならば、一体、防衛白書が一般マスコミ、その他の報道機関を通じて正規に報道されたそのときに、私たちの手には届いていない。あくる日にしかわれわれのところには届けられたかったということは、どういうことでありますか。枝葉末節をとらえて私は言うつもりじゃないから今日まで問題にしておりません。しかし、あらゆるところで口を閉ざして、ほかの理由がついて、国益であるとか外交上の秘密であるとかといわれるならば、たとえばその一日のズレはどういうものでありますかとか、明らかにほかの部分には報知されて、そういう全体に報知されなければならないものであるならば、これはわれわれに対して第一義的に防衛白書は届けられてしかるべきである。そういう時間的な手続的な問題、私はやいのやいの言うことはたいへん次元が低くなるから、あえて問題にいたしませんが、抽象的な御答弁で精神論で終始されるというのならば、その一点について伺いたいと思います。
#35
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛白書でも、それからいわゆる四次防でも、やはり非常に政治的な影響が多い問題で、党の了承を得て発表する、そういう形をとっておったわけです。防衛白書がその後お手元にいくのが遅延をいたしたとしますれば、これはわれわれの落ち度でありまして、今後はすみやかにお届けするように努力をいたします。
#36
○上田哲君 落ち度と言われるのですから、それは追及しません。ただ、もう一ぺん申し上げておきます。四次防の構想については、党に出されるのだから、順序が逆に落ちてくるのはいいと言っているのです。しかたがないと言っているのです。防衛白書を言っているのは、党のほうへ持っていった分だけおくれたと言っているのじゃありません。党のほうで、自民党に持っていった分だけおくれたというのじゃない。報道機関含めて一般的に公知されたその時点よりも一日おくれてでなければ内閣委員会の委員であるわれわれの手元に届いていなかったということなんです。私はそこのところで四次防とは違うのだということを申し上げているので、重ねてこのことを一生懸命強くつく気持ちはありませんけれども、そのことはひとつ明らかにしておきます。
 施設庁長官、私、こんなことは言いたくないのだけれども、そういう広報体制と言いましょうか、周知体制と言いましょうか、ものごとを明らかにしようという態勢が率直に認められないから申し上げる。例として言うが、私がきのうの朝までに資料の提出を求めていた件は何であるか御存じですか。
#37
○政府委員(島田豊君) 承知しておりません。
#38
○上田哲君 見てごらんなさい。施設課長はいませんか。私はおとといの晩、正規に委員部を通じて説明のできる人を呼んでもらいたいと言って、そうして施設課長が来ました。施設課長に対して、私は正式に施設庁長官に連絡をしてもらいたい。時間を付して、内容について資料の提出を求めた。言っていないじゃないですか。こういうつまらぬことがあるのです。これがないから、私は根本的に内閣委員会で、国会で問題を明らかにしない姿勢なんだなんていうことを無理やりに言いつのろうとは思いません。ちょっと施設庁長官、こっち向いて。事務局黙っていなさい。いまここで出しなさいなんでつまらぬことを言っているのじゃない。姿勢を言うのだから。ちょろちょろするものが多過ぎるからいかぬ。国会の権威が落ちますよ。こちらの質問の能力も弱いから、データ収集能力も間に合わない部分があるから、肺臓をえぐるような、寸鉄人を刺すような質問ができないということは、そっちの責任にはしません。いまわれわれは事務の手不足で、まあ忙しさはある。しかし、そんなところをそちら側の責任にしようとは思わないが、現実に正規の代表を呼んで、時間を付して具体的に説明を求め、資料の提出を求めた。出せないならば出せないという返事がくるのがあたりまえでしょう。まるっきりこれを拒否してやろうという腹であっても、そこに当然のルールが存在をし、ルールを守ろうとする見識があるならば、出せないということの返事がくるのがあたりまえ。知らないのですか、待っていたのですよ。下世話に言えば、これはなめられた。そうした、そういうことばになってはいけないから、あなた方の誠意が足りないのだということばに私は置きかえるが、そういう姿勢が根底にあるから、何を聞こうとわからないのですよ。これは三百議席ですか、国益ですか、それとも、参議院は第二院だとも言うのですか。きょうの理事会で委員長が表明をしたことばはたいへん抽象的です。しかし、これは与野党一致して、見解を統一したことは、少なくとも同じことを百ぺん聞かれても百ぺん答えるべきものだ。国政審議権というもののこれは権威というものです。衆議院はどうであったか問うところではない。衆議院はどうであったかということになるようなことを聞かないように努力をするのは、われわれの側の努力でやるべきだとは十分に思うけれども、そういう形でまかり通ると思っているようなところで、こんな大きな問題を論じられていいものかどうかということは私はあるだろうと思います。枝葉末節にわたって言うほど時間もないし、興味もありません。だから資料が一日おくれたとか、施設庁長官が、それを了知していなかったということを大きくあげつらって審議の引き延ばしなどということをはかるようなけちな根性は持ち合わせておらぬ。ただ、そういう小さなところに象徴されるように、はなはだあなた方のところのビューロクラシーは本邦最高の権威の通りやすいと言われている。その防衛庁の施設庁長官のところに、前の日に具体的に施設課長を呼んで、名刺をもらって、具体的に、二分や三分じゃありません、二時間半にわたって私は説明を受けた。そこで、これはだめだ、あれはだめだと言うから、きのうの質問がゆるくなったかもしれない。そういう配慮の上でこの資料要求は出せるだろうと思ったところが出ないわけです。もう一方の資料は一月たったら出しましょうということで六カ月たった。防衛庁長官は、ずっと全部そろえるということは無理だろうが――それはそれでいいけれども――そのときははっきり出すと言ったことが二枚舌だ。再答弁は私は別に施設庁長官に求めません。それではいけないだろうということはおわかりですね、一言でいいんですよ。
#39
○政府委員(島田豊君) 私どもとしては、できるだけ資料につきましては誠意を持ってお渡ししているつもりですが、ただいまの問題は内局の施設課長のほうへお見えになったのでございまして、その内局の施設課長の直接の問題ではないのでございます。
#40
○上田哲君 そんなことはわかっていますよ。あなたが施設庁なのか防衛庁本庁なのか、それは聞きましたよ。名刺もありますよ、お見せしましょうか。
#41
○政府委員(島田豊君) 私が聞いていなかったのはそういうことでございまして……。
#42
○上田哲君 だからそれはわかっているけれども、そんなことじゃありませんよ。施設庁は外局だから、そういう言い方をされるなら、私はもう少しものを言わなきゃいけない。簡単でいいと言うたじゃないですか。全然関係ないところじゃあるまいし、それじゃ何で施設庁のほうから説明者をよこさなかったか、委員部に答弁求めましょうか。私は何も防衛庁のほうからここまで来てくれと言ったわけじゃない。説明のできる人が来てくれということを要求をした。それに対してあなたのほうがよこしたのはその人じゃないか。施設課長じゃないか。その人に対して私のほうも、あなたはセクションは違うけれども、あなたで施設庁に通るかと言ったら、通りますと言うから、それじゃあなたを通して資料を要求しますということになったんですよ。実に役人的じゃないか。ちょっとばかり縄張りが違うから、だから私は通じてなかった。そんなことを言ったら内閣はみんなばらばらになるということを言いたいんですか。そういう言いのがれをしていて事がすむと思ってはいけないということを言っているんですよ。私の言っておることは間違いじゃないでしょう。そういうことではいけないということをあなたが認めると言ったら議論は先へ行こうと言っているのに、まだそういうことを言いたがるのなら、まだ幾らでもありますよ。
#43
○政府委員(島田豊君) 私が配慮が足りなかったということを申し上げるつもりはありません。私どもとしては、誠心誠意を持って周到な資料を出すつもりでおります。ただ、施設課長のほうで私のほうに連絡をしなかったのは、施設課自体で処理できると、こういうふうに判断したためだと思いますので、そのことを申し上げたかったわけです。基本的にはもちろん誠心誠意、御協力あるいは資料の提出につきましては、できるだけのことをしたい、こういうふうに考えております。
#44
○上田哲君 まだそんなことを言っている。言いがかりをつけて議論したくないからいいかげんにやめさせてください。あなた方がそんな議論を誘発するんだ。時間がもったいないじゃないか。与党の理事に申し上げるが、こういうことを言っておったら責任をとりませんよ。まじめな答弁についてきょうも理事会で確認した。会期は出したの晩まで。これでいいんですか。こんなことに時間をかけようとは思っていないんだ。思っていないことはおわかりでしょう。委員長、答弁してください。
#45
○委員長(西村尚治君) 委員長から施設庁長官に申し上げますが、いろいろ出ていること、とにかく最善を尽くして、誠意を持って努力してください、それだけおっしゃってください。
#46
○上田哲君 そんなこと言ってるんじゃないですよ。あなたのことばの中で、施設課長が自分で処理できると思ったに違いないからという言い方がいけないと言ってるんですよ。できるはずじゃない。できてないじゃないですか。やる気があればすぐできる。それはあなた方のフィールドの問題じゃないですか。内閣委員が自分の当然与えられている職務遂行の行為として、この問題について施設庁長官から資料の提出を求めた。あなたから連絡をしてもらって、正式にこれは何べんも念を押した。私が要求したのに対して、来たのは施設庁長官でなくて施設課長が来たのだから、セクションが違うけれども、向こうからの資料を持ってきてもらうように、くどいけれども、これは正式に言ってるんだということを念を押している。処理したかしないかということは、返答が来たか来ないかということ以外の何ものでもないじゃないですか。そういう言い方をいつまでも繰り返しているということでは、国政の何たるか、役人根性の一番悪いところだ。そんなことばまで言わせなければいけないのか。委員長、正確に問題をとらえて、ぴしゃりとおっしゃい。
#47
○石原幹市郎君 関連で。先ほどあなたから私の名前が出たから……。
#48
○上田哲君 名前は出さない。
#49
○石原幹市郎君 私のほうを向かれたから、私ちょっと御答弁いたしますが、施設庁長官も、部内の連絡がなかったということはまことに遺憾であるというようなことを先ほど来から表明をしておるように私は受け取っておるんです。だから、そういうふうに言っておるんだから、施設庁長官もその程度で、それ以外のことはあまりつけぬように答弁してもらって、この議事の進行をはかっていただくように協力願いたい。
#50
○上田哲君 時間のむだだったと思います。私は、てにをはだけでものを言っているような、たへんいやな気持ちがしている。私は、その辺のところがどういうふうに突きくずそうとしてもくずせない壁だと思う。こんなところで長広舌をふるって大演説するつもりじゃないけれども、これじゃ国会審議と言えない。こっちも努力するけれども、あなた方も一歩踏み込んで固める努力を私は防衛庁長官にこの点特に求めたいと思う。あなたは防衛委員会をつくろうということをしきりに言われておる。私はあるときこれを軍縮委員会と言いかえた。場合によっては安全保障委員会というような機関が考えられることは、今後の日本の最重要課題と取り組むために十分な配慮、歯どめのもとならば適当であると考えております。ところがあなたがしきりに防衛委員会と言われておるけれども、一体、防衛委員会をつくればこういう情報が出るとでも言うのですか。そうでなければ出さないとでも言うのですか。一体こんなことでは防衛問題を国会で議論するということは事実上できないじゃないですか。与野党の差が非常に開いているから、国会のやりとりだけは適当にやっておけばいいというタクティクスならしかたがない。それなら言うことはやぼですからそれ以上申し上げない。私はそれ以上申し上げない。しかし、この一点だけははっきり言っておきたい。防衛庁長官の言われる国民的合意を得たいというのは、これからの防衛問題の三つの柱の一本の重要なポイントになってくる。ところがそのために資料の提出を求めても、このように拒まれる。あるいは人口に十分膾炙した公知の事実についての説明をもかくも拒まれるということとの関係はどうなっているのか、そこを伺いたい。
#51
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁内部の不統一はよく戒心いたしまして、御期待に沿うように改革してまいりたいと思います。なお、国会の答弁その他につきましては誠心誠意、事情の許す限り、国会を中心にして答弁するようにしていきたいと心得ております。
#52
○上田哲君 防衛委員会について言ってください。
#53
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛委員会につきましては、私はこれだけ膨大な予算を使い、また国民の関心を呼んでいる防衛庁や、安全保障問題につきましては、やはり国会でしかるべき専門の委員会をおつくりいただいて、勧告し、あるいはその運用について批判をいただくことが、われわれにとってはありがたいと思っているわけです。しかし、それがつくれないからといって、発言や資料が影響されるということはいたしません。国会法の命、ずるところに従いまして誠実に発言し、かつ資料を提出していきたいと思います。
#54
○上田哲君 もう一言ですから。誤解があるといけないからですが、私はここでこちら側の立場を総合的に代表して防衛委員会あるいはそれに類するような委員会をつくるほうがいいということを申し上げたいのではない、このことを念のために申し上げておきますが、お伺いしたいのは、長官の言われる防衛委員会のような機関ができるならば、一体いまこれほど口をかたくしているいろんな問題で、データなり情報なりが、あるいは見解なりが、そこならば出るという意味があるんですか。
#55
○国務大臣(中曽根康弘君) つくったからといっていまの内閣委員会より誠意を持ってさらにやるとか、そういうことではありません。ただ、いろんな角度から多面的に質問が行なわれ、監督が行なわれるだろうと、そういうふうに考えておるわけであります。
#56
○足鹿覺君 いままでの論議とは別個に、昨日の委員会におきまして、上田委員のわが国の核武装方針をただす質疑に対して、中曽根長官の答弁はまことに重大な内容を含んでいると思われる点がございますので、この際、理事会の承認を得まして若干の時間をいただいて、政府の姿勢なり長官の御所見をただしたいのであります。
 すなわち、昨日、上田委員の質問によって、米国の核抑止力がなくなった場合、わが国は核武装の方向に進むのではないかとの質問に対しまして、中曽根長官は、わが国の核武装は国民のコンセンサスによって決定さるべき旨の発言を行なわたことは、御承知のとおりであります。このことは、国民のコンセンサスが許すならば容易に核武装をなし得ることを示し、政府が核武装への志向を表面化してきたことを私は警戒せざるを得ないのであります。
 ここにそのときの速記録も取り寄せてありますので、間違いなく私は指摘しておると思いますが、そこで、そういう御所見に対して第一点お伺いいたしたいのは、コンセンサスが許すならばという考えを実際に適用をしていく場合、何を基準とし、いかなる方法でその測定をなさる御所存でございますか。たとえば国民投票等によって国民の意思を測定するという方法もないではないと思いますが、いわゆるコンセンサスが許すならばと、非常に前向きの、かつてない、国会の審議上初めての重大な御発言であったように受け取りますので、この点はきわめて重大でありますので、何を基準とし、いかなる方法によってそのコンセンサスを実際に適用せんとするならばなさんとしておられるのであるか、これを抽象論ではなくして、あなたは国民の意見をよく聞き、政治が、いわゆるシビリアン・シュープレマシーという基礎に立って判断をすべきだろうと思うのでありますと述べ、次いで、「防衛というのは憲法や法律に従ってやらなければならぬ、これが第一義です。」と、「それと同時に、国民のコンセンサス、国民の大多数の支持というものが基本であります。だから国民の世論や国民の意見というものをよく聞いて、賢明な判断をして」云々と、こういうことをおっしゃっておりますが、私の集約は間違いないと思うんです。で、これはどのようにあなたはこれを実際に適用していく場合ですね、このようなコンセンサスを求められる所存でありますか。一方において憲法を第一義とすると言いながら、あたかも憲法をそのままにして、これを隠れみのにしてコンセンサスということによっては核武装もあり得る、こういう大胆にして具体的な御答弁をなされたということに対して、私どもは容認できないと思うのでありますが、その点についてあなたの具体的な、実際に適用をなさる場合にはどういう方法によってコンセンサスを求められようとしておるのか。私は憲法第九条の現存する限りそのようなことは断じてできないはずだと思うんです。この点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
#57
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、昨日の答弁で、核武装への志向を持ったことはございませんし、核武装の意思も持っておりません。いまおっしゃいました核武装への志向が表面化したと申されましたが、これは私の考えでありませんので、この点は御了承を願いたいと思います。
 それから委員の御質問の中に、アメリカの核抑止力がきかなくなった場合にはどうするのか、こういうお話でございましたが、私はそれに対して、その御質問に対しては、私は論理学的に言ったので、政策論として言ったのではないわけです。そのときは憲法や法律その他に従いながらもそのときの情勢で考えるということに論理的にはなるでしょう。しかし、その場合、やはり法規のほかに国民のコンセンサスというものが非常に重大な要件であると思いますが、私はしかし核武装はとりません。そのほうが賢明であると思います。理由はこれこれであります。日本の列島の構成とか、そのほかの幾つかの理由を申し上げました。それで私の考えは一貫して核武装を否定している考えであります。このことはここでもあらためて申し上げておきたいと思います。
#58
○足鹿覺君 上田君の質問は先ほど申し上げたとおりでありまして、長官のこれに対する御答弁は繰り返し上田君の御質問に対して御答弁になっておるのであります。たとえば次に、「しかし、国民の大多数の意見、世論というのは、やはり政治としては尊重しなければならない。」、こういうこともおっしゃっておられます。つまり、コンセンサスを得るならば、国民がコンセンサスによって許すならば――かりにこうも解釈できますが、それのコンセンサスということを、あなたが許すならばという考え方をお示しになったから、コンセンサスとはいかなる手段、方法をもってあなたは測定されますかと、こういうことを伺っておるのです。昨日の前言をおひるがえしになったということは、私はこれは御反省になったのか、昨日おっしゃったことを、上田質問との関連については、長い質問でありましたからあるいはお忘れになっておるかもしれませんが、ちゃんとここに速記録がありますので、これ以上は申し上げませんが、いかなる方法によってコンセンサスというものを測定なさるのですか。あなたがこのような大胆な御発言をなさったということに対しては非常に私どもは重視しておるのです。先ほども申しましたが、くどくなりますようですが、国民投票ということもこれも場合によってはあり得るでしょう。他に何かお考えになっておるのですか。そうでなくして、憲法をそのままにしておいて、事実上にあなたが既成事実をつくってきて、ある時期にこれを国民のコンセンサスを得たと理解されるというようなそういう方法ですか。
 一例を申し上げますと、本年の四月十四日の参議院予算委員会第二分科会におきまして、あなたは原潜保有問題について、原子力推進の船舶が普通化すれば原子力潜水艦をつくる、原子力基本法には抵触しない旨を発言をされておるのですよ。さらに十月に発表されました、先ほどから問題の防衛白書では、小型核兵器の保有は法理的には可能だが、政策的に核武装をしないとし、核保有への道をあけているのではないかという野党の指摘を受けておられることは御記憶に新たでありましょう。とするならば、核武装への志向は枚挙にいとまありません。あなたがいま前言をひるがえされましても、この私があげた事例によっても、政府なり、あなたなりが何をお考えになっておるかということは自明ではありませんか。それをすべてを否定をされて、そしてさようなことは今後一切考えておらない、かような先ほどの御答弁と解してよろしいのでありますか。
  〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
#59
○国務大臣(中曽根康弘君) きのうの私のコンセンサス云々という発言は、民主主義政治の一般論としての立場を援用したのです。それで核武装の問題につきましては、これはきのうもきょうも私は変わっておりません。私はこれを否定しておるわけです。これは日本列島の構造とか、あるいは第二撃能力が意味がないとか、いろいろ申し上げて、私はそれには賛成していない、否定であります、そういうことも申し上げておるわけであります。そういうことでぜひ御了解願いたいと思います。
#60
○足鹿覺君 速記録は膨大なものでありますが、否定ということはあなたは明確におっしゃっておりません。しかし、きょう明確にこれを否定するのだと、しかし国民のコンセンサスを得るならばというただしがついておるわけでありまして、そのコンセンサスを得るならば核武装を容認してもいいと、こういう点がひっかかっておるわけなんです。その点についてのあなたの御見解を、私は過去の御発言等を踏まえてお尋ねをしておるのでありまして、その点については、いま事例をあげましたときに、小型核兵器の保有は法理的には可能だ、いわゆる基本論としては可能なんだ、それはいいのだ。しかし政策姿勢として核装備をしないという考え方に立っておられる。これは小型核兵器に関連する予算委員会の論争の中であなたが見解を表明しておられる。としますと、小型であろうと大型であろうと、核武装への方向を志向しておられる。そのためのコンセンサス問題は、一歩具体的になって、ではどうして国民的合意を得るか、こういうことについては民主主義のルールであるから、やはり政治としては尊重しなければならない、こういう御答弁になってきのうは出てきておる。それを私は言っておるのですが、あなたのいまの、そういうことを言った覚えはないと、また現実そう考えておらないと、具体的に御答弁になっておりますけれども、それだけでは解決しない。いわゆるコンセンサスを得るならばと、また、過去のあなたの発言から見て、また昨日の上田発言においても、法理的には――上田君は論理的ということばを使われましたが、いわゆる政策姿勢の問題として、憲法は憲法だと、しかし政策姿勢としては、国民のコンセンサスを得るならばこれはやれるのだと、われわれがさような印象に受け取めることも決して私はこじつけではないと思うのです。ですから国民的合意ということは、どういう手段方法によって測定をされますかと、もし仮定の上で答えられないなら答えられない、そういうことも具体的には考えておらない、こういうなら御答弁になると思うのですけれども、その点肝心なところをひとつ。
#61
○国務大臣(中曽根康弘君) コンセンサスにわるところは、私は民主主義政治における一般論して申し上げたので、いまのコンセンサス等にする具体的なアイディアというのは持っておりせん。
#62
○足鹿覺君 あなたは一般論的な形で言ったのだとおっしゃいますけれども、いま私が指摘いたしましたけれども、上田発言の一番中心になった点で、上田委員は二回もこれを確認しておるのですね。そうですね、そうです、とあなたは言っておる。だからこれについては私どもはきわめて重大な発言である、いわゆる国民のコンセンサスを必要とお認めになっておるのですから、コンセンサスを得る手段方法は、その測定の方法はどうかと、こういうことを聞いておるのですが、それらも全部何にも考えていない、今後もやらない、こういう御言明ならば、私はこの問題はひとつ一区切りつけて次に行きますが、この点はっきりしていただきたい。
#63
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は核武装なんか考えておりませんので、いまのコンセンサスを得る具体的方法、判定の基準等については何にも考えておりません。
#64
○足鹿覺君 これは質問者が上田君でありますから、昨日の経緯はまた上田君によって明らかになると思いますが、あなたは過去においてみずからおっしゃったことについては一言もここでは御弁明にならない。そして私の質問に対しても、いい悪いは別として、積極的なあなたのそれ以上の発言をされないということは、非常に日ごろのあなたの態度とは違う。きのうのことばが勇み足であったと、かように理解もできるかと思いますが、そういうやりとりは別といたしまして、長官や政府の言う国民のコンセンサスとは、自分に都合のよい解釈で、従来、私が先ほど指摘したような方法でもって国民を誘導し、そして適当な時期を見てこれをコンセンサスを得たものなりと、こういう一方的な解釈と進行をはかってきておられます。たとえば現在の自衛隊の前身であります警察予備隊は、国民のコンセンサスを得て誕生したものでありますか。そうではないでしょう。あれだけのごうごうたる反対の中に政府が一方的につくられ、そしてこれが漸次警察予備隊が今日自衛隊として東南アジア、大洋州諸国が脅威の目を持ち、アメリカですら日本の軍事大国を警戒するがごとき立場をとるがごとき実態を備えておるわけなんです。
 ですから既成事実をだんだんつくって、そうしてその上にこれは国民的合意だと、こういう過去の例から、政府のやり方を見ましても、既成事実をつくって、あとからいろいろ国民の同意を得たという、そういうやり方をなさろうとしておる実績がありますので、私はこの点についてあなたの真意を伺ったわけなんです。で、コンセンサスの問題は、民主主義のルールに従って政治一般の問題として述べておるのだといういまの御答弁は、長官、それは違いますよ。この点は当の御本人が、上田君がおられますから、上田君に昨日の質問をもう一応要約して述べてもらう。決して政治一般の通念をさしておるあなたの御答弁とは受けとめがたい御答弁であったわけなんであります。それならそれで自分の答弁に遺憾な点があったと、こういうふうに御釈明になりますならば、私はあえてこれ以上は申し上げませんが、しかし、多くの委員諸公が聞いておられましたが、私のこれは独断ではありません。したがって、この問題で、あなたの昨日、上田君とのやりとりについて、政治通念として民主主義のルールとして一般的に言ったのであるかどうかという点を、いま一応御確認をしておきますが、あれは速記録に載っておることは御否認をなさる、こういうことでありますと、これは非常に食言問題も起きかねまじきことだと思うのです。国民のコンセンサスというものをよく考えてみなければならない、「やはり国民のコンセンサスというものをよく考えなければいかぬと、こういう政治家としての立場を申し上げておるわけであります。」と、あなたはあなたの所信を述べておられますよ。それを中曽根さん、いまの御答弁はあなた自身もじくじたるものがあるでしょう。私もあげ足をとるなどということは、私は日ごろから毛頭そういう考えを持っておりません。お互いが虚心たんかいにこういう重大な問題についてはやはりやりとりをすべきものだと、それが国会の国民の信にこたえるものである。国民の疑惑を解くためにもきわめて重大であると考える。また、現在日本が軍事大国化への方向を志向しつつあるという諸外国の誤解も解く道であるかと思うから私は申し上げておるわけです。どうですか、その点は、もう一度。
#65
○国務大臣(中曽根康弘君) 憲法や法律等を守って政治は行なわるべきでありまして、その点も私は申し上げておるところであります。しかし、民主主義政治というものは、やはり国民世論、国民のコンセンサスというものが基礎で運行さるべきもので、議会政治というものはそれを意味するものだろうと私は思います。そういう考えに立って、政治家の基本的考えとして、コンセンサスを中心に民主主義を運用していくという心がまえを私は申し上げたのです。
 この核武装に関する問題につきましては、前から議会でも申し上げ、また外にも申し上げておるように、私は核武装に対しては反対論者であります。その点はいまでも一貫して変わっていないのです。もしことばが足りないで誤解を受けたといたしましたら、それは遺憾に存じます。
#66
○上田哲君 核武装の問題について、この際ひとつはっきりした統一見解とでもいいましょうか、理解の確認をしようじゃありませんか。私は、確かに長官がきのうの御答弁の中で、核武装はいたしませんということをはっきり言っておられることも確認をいたします。四次防には核武装の計画もありませんと言っておられることも確認をいたします。ただ問題となるのは、いま長官が言われたことばそのものをとれば、たったいま、私は政治家の責任として論理を申し上げたのでありますと、政治家の責任として論理を申し上げるというところに、たいへんいま問題が混乱をしてくるパターンがあるんです。先ほど足鹿委員が言われたように、現に防衛白書その他の最近公刊されている政府の統一見解の中には、明らかに政策責任、政策意図というものと論理というものが分けて論じられている。私たちは核武装はしないけれども、論理的には――もっと言えば法理的にはこのことはできないことではない。自衛隊の違憲問題もそうです。そういうパターンが進行しております。そのパターンが問題なのでありまして、ことばで言うならば、政策責任という立場と、それから下敷きになる論理というものがぴったりくっついていれば問題はない。これが遊離するということをお認めになって、いまの長官自身のことばの混乱のように、政治家の責任として論理を申し上げたんだということになると、これは混在をしてしまって、われわれは、いかに長官が政策責任として核武装をしないつもりだ、するのは賢明でないと思うと言われても、私はそう思うけれども、論理はそういってしまうんだからしかたがないんだということになるのではないか。世の中がそういうふうに進んでいかないということであればいいんですが、さなきだに、いわれなきことだと言われるけれども、軍国主義批判とかいうことが非常に大きく海外の主張の主軸になっておる。あるいは最近も著名な作家のいろいろな問題も起きたりなどする。こういう現象が起きているときであるし、世間全般が何となくまた古い歴史にさか戻りすることがないだろうかという不安を持っているという状況をうしろにかまえれば、国民のコンセンサスというようなものも非常に不安になってくる。だからそういう長官の言われる論理というものと政策責任というものとは、どういうことになるのかということをはっきりしておかないと、いかに今日責任ある政治家が、おれはこう思うということをしきりに言われても、私は、先ほどから申し上げておるように、長官がしないとか、核武装は四次防には入れてないということはここに確認をしております。しかし、あす直ちにそのことをやるとは思っていない。これはまた賢明か賢明でないかということに尽きることのようですけれども、そうは思わないけれども、それならば、それは政策責任としてはっきり追求し切るという姿勢がなければいけないが、そこに論理というものが出てくると、法理論では認められるが、われわれはしないのだ。しからば政策意図が変わったら、その論理の帰するところ、政策がまたついていってしまうことになるのではないかという不安感がある。これはやっぱり私は明確にしておかなければならぬことだと思うんです。そこでそういう形で、その論理の責任を、私はきのうは政策意図としては長官の言うことはわかる、私が従来言っていることではないかと、皆さんよく知っております。その政策意図の責任論が論理とどれくらいからんで、その論理に対してどう責任論をとられるかということを聞きたいわけですから、だから私は、それは政治責任、政策責任というものと論理が混在しているから、論理を聞こうと言ったんです。さか立ちしておると思う。
 そこで論理の話をします。論理の問題は三つあります。第一に、長官の言われたことばは、国民の大多数がそれを希望するならば、そういう方向になるということも論理だ、私は核武装させたくはないが、国民の大多数がそういうことを考える場合にはそれが論理だと言われた。私はそういう論理がわれわれの社会を構成している基本的な原理をくつがえすものであるかどうかについては、基本的な分析と見識が必要だと思っています。例をとらえて簡単に言うならば、ヒットラーは多数決によって多数決原理を葬りました。国会の中で多数決によって民主主義を葬りました。多数決という形式さえとるならば、あるいは、もっとあいまいもことした国民的コンセンサスという、とらえどころのないと長官も言われたが、また、その意図を持っていない、方法論を持っていないと言われたが、そういうコンセンサスというとらえどころのないようなものを下敷きにして、そして国民の大多数の意思ということを、たとえばこういうシチュエーションの中でとられることによって、そういう多数決という旗じるしさえ得るならばつぶしてもいいとは言えない原理がある。民主主義というものは多数決の原理によってつぶしてはならない、もっと大きな、次元の高い原理のはずです。簡単に多数決さえ得るならば、国民の多数の意図があるならばすべてを変えることができるんだ――憲法は変わるでしょう。他の法規は変わり得るでしょう。しかし、民主主義というものを――たとえば民主主義は軍国主義と対比するようなことばでつかうのですが、民主主義というものを廃棄する、あるいは民主主義をやめて専制政治に戻る、独裁政治に戻る、ナチズムに返る、こういうことは多数決ということによってはかられるべき範囲ではない。その部分はしっかり政策責任、政治責任として分別しておかなきゃならないことだ。論理の第一点はそこです。多数決原理あるいは国民的コンセンサスということばによって及んではならないものがここにある、それは民主主義だという点を、しっかり、まず論理というジャンルで確認をしていただきたいと思います。
#67
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの最後の、民主主義の限界の問題でありますが、これはまあ法哲学の領域で、私はまだよく自分で割り切って、ここで確信のある答弁をするだけの余裕がありません。これは、たとえばヒットラーの場合に、あのとき司法大臣をしていたラートブルフという人が「ラートブルフの法哲学」という本を書いています。あれによると、ヒットラーは民主主義の街道を通って民主主義を放逐した。それはちょうどホトトギスがウグイスの巣に卵を生みつけて、そしてウグイスの母親がそれをあっためていると、そっちのほうが先にふ化して、ウグイスの卵をけ散らしてホトトギスが飛び立っていく、それと同じことだ。あっためて出てきたのは自分の反逆者である、それはヒットラーと同じだと、そういうことをいって、この経験を民主主義のために忘れてはならない、そういうことを昔読んだことがあります。
 これは非常に示唆に富む大事な話であると私思っているんですけれども、これを一体、憲法制定権力といいますか――憲法制定権力と、それから構成された権力と、二つ憲法学上の理論がありますけれども、フランス語でプーヴォアール・コソスティテュアンということばをつかっていますこの憲法制定権力というものの構造が、どういう程度の権威を持っているか、この点は考えておりますけれども、ここで確信を持って表明するほどまだ勉強は足りないのであります。しかし、政治家としての信念と行動においては、上田委員と同じ考えを持っております。
#68
○上田哲君 この問題、一言でいいです。一言でいいですが、多数決原理によって民主主義を否定視することはありませんね、あってはなりませんね。
#69
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はそのように思うのです。しかし、法哲学でそれがどういうふうに解明されるか、もう少しこれは深く専門的に研究してみないと、学問的なことはよくわかりません。しかし、政治行動者としてはそういうふうにありたいと思っています。
#70
○上田哲君 法哲学論争ということなら法哲学論争でもいいですけれども、論理優先という形の中で、政策意図が踏みにじられていく。政策意図がから回しされていく。政治家の信念や思想はあったのだけれども、しかし、論理のおもむくところそういう形があったのだということは、まさに長官が引用された、私自身が指摘をした、ほかならぬ多数決によって多数決原理を葬った、民主主義を葬ったという歴史がこれを示しています。この場合は、私は論理を優先させてはならない、算術的論理です。それは哲学のジャンルじゃありません。その算術的論理によって多数決さえ――国民の多数の意向があるならば、民主主義も議会もすべて捨て去って、たとえば軍部独裁、あるいは独裁政治を許してもいいということは、算術的にはあり得ますよ。それは決して法哲学のジャンルではありません。しかも、その法哲学を基底に踏まえて――法哲学が政治原理になると言っているのではない。政治的見識は、法哲学を基底に踏まえながら、政策責任意図として明示されなければならない。常に論理に引きずられるのではなくて、ゆえなく権威を論理に向かって払うのではなくて、政治的見識において民主主義を守るのだと。多数決原理のことばのあやつりの中で民主主義というものを葬ってはならないのだということです。政策責任意図が論理を踏まえなければならない。あえて法哲学だと言われるならば、その法哲学を政治的見識において踏まえていく、こういう決意を、当代の防衛庁長官がはっきり国会の中で述べられるということがなければ安心ができない。もっと高い法哲学者があらわれたら民主主義はくつがえされてしまうことになれば、そのときは、まだ勉強が足りないと言われている防衛庁長官は、その法哲学者の言うことにくみしてしまうのかなという不安を与えるのが国会であってはならないと、私は申し上げているのです。
#71
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は上田委員のお考えに同感であります。
#72
○上田哲君 第二点、核武装をしないということの論理の第二点は、核武装しないということには二つあると思います、長官の答弁の中に。従来言われてきたことは、一つには、核抑止力をアメリカの核抑止力にたよっていられる間はそれでいいじゃないか――まあことばはもうちょっと反射的な言い方になっています。第一義的には侵略に対応する、それが間に合わない場合にはアメリカの抑止力に依存をする、こういうことになっていますが、この場合にことばのニュアンスは問題でない。簡単に論理として成り立っていることは、アメリカの核抑止力のかさのもとで保障されているから、わがほうは核武装しないということが一つある。もし、そうであるならば、核抑止力がなくなった場合には核武装しなきゃならぬということになってしまうではないか。だから核抑止力というものが、核のかさというものが失われないなんということは、それこそそれ以上の高い論理でもってあり得ないのですから、そういうことを想定しておかなければならぬし、いわんや、そういうことがさほど――説の問題ではなくして、具体論の問題として予見されている時期にきているのだから、その核抑止力が壊滅するなり衰えるなり、ついえるなりしたときには、核抑止力が有効である場合には核武装をしないのだという論理であるならば、その論理にたよっているならば、核武装しなきゃならぬという論理が浮かび上がってくる。こういう論理であってはならないのではないか。私は核武装はしたくはないが、論理がそうなんだからしなきゃならぬということになってくれば、いま核武装しないんだと言っていることは、政策の意図は論理によってくつがえされる日がくる。だから政策意図ではなくして、論理が基底になってくる。その論理が優先されてはならない。その場合、論理はどうするのだ、これが第二点です。
 第三点目は、あとで申し上げるので、区別をしておいてもらいたいのでちょっと一言申し上げるのだが、日本の戦略的地形云々ということがあるのであります。この問題については後ほど議論しますから、まずこの問題について明確に御議論伺います。
#73
○国務大臣(中曽根康弘君) 論理のことと政策のことと、やはり峻別して考えていただかないといけないと思います。いろいろ申し上げることを混淆いたしますと、非常に誤解を受けることばになりますので、その点あらかじめ自分としても戒心して申し上げますが、論理と政策というものを明確に分けておく、意識して分けてお考えいただくようにお願いいたしたいと思うのです。それでいま、じゃあアメリカの核抑止力がきかなくなったら核を持たなきゃだめじゃないか、持つんだろう、そういう筋の……。
#74
○上田哲君 そうは言ってない。そういう論理にならないかと私は言っている。
#75
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、それは必ずしもそうでないと思うのです。それはそのときの客観情勢、国際情勢、相手の出方、そのほかいろんな諸元がかかってくるので、相手の出方とか、動向というのは、また非常に重要なファクターになります。しかし、一般論としては、われわれは非武装中立論をとっていないわけです。非武装中立論に現実性があると思ってないグループであります。それでやはり安全保障の面において均衡論というものも、すべてではないけれども、非常に重要なファクターをなしておると考えておるグループであります。そういう面からのアメリカの核抑止力がなくなった場合に、何らかのささえが要るか、そのささえというものが核によるささえであるのか、あるいはほかに国民的コンセンサスという別の平和的意図とか別のものが出てくるのか、あるいはその場合に国民的コンセンサスはくずれてしまってまでも、核というものを持ったほうがきくのか、そういうことはきかないと思いますが、そういうような相手の出方とか、客観情勢とか、またいろんなファクターが経済、政治社会的に出てくると思うんです。だから現実論としては、それがすぐ論理的にも核につながるという方向には私はいくとは思いません。特にそこに政治の選択という非常に幅の広い、社会的な、また民族心理的な部面が開けておるのでありまして、それがまた非常に大事なところである、そう私は思います。
#76
○上田哲君 論理と政策をしっかり区別しておきたい、そうでなければ間違いが起きるというのは、私が指摘しているところなんですから、そこで混淆されないように議論をしていただいてけっこうなんです。第三点は、これはまああまり問題にはならぬと思うのですが、核武装をしないということの論理の第三点は、日本の地形、戦略的地形からいって第二撃能力の問題があるから云々ということになります。これはまあ四次防が百六十億ドルでどんどん進んでいく、大体非核武装国でいえばこれはトップに踊り出ておるわけですから、そういう形になれば、まあこの差はかなりあるとは思いますけれども、順番からいえば、次にはどうなるということは当然出てくるわけです。この論理はこのまま持続していくのか、それとも変更することがあり得るものなのか、その点を伺いたいと思います。
#77
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの御質問の趣旨がよくのみ込めないのでございますが、もう一度ひとつ説明願いたいと思います。
#78
○上田哲君 いままで核武装しないということを言っておることの論理の一つは、日本は第二撃能力が持てない長大な地形を持っておる、だから無意味なんだ、こういうわけですね。意味があれば持つかもしれないということになるのかならないのか、論理としてはそういうことがあるわけですね。
#79
○国務大臣(中曽根康弘君) それは軍事的な面の考えでは、あるいはそういう方向に論理は走るかもしれませんが、やはり政治全般を考えると、それ以外の非常に重要なファクターがそこに重なって入ってまいりますので、私は一般的にわかりやすいように説明するために、よく戦略的には第二撃能力ということで、核武装の問題が論ぜられておるわけです。米ソの間におきましては、もはや第二撃能力の可能性で問題が煮詰まっているわけです。そういう意味で、核武装しても意味がないんだということをわかりやすく説明するために、日本のような場合には、こういう狭小な列島で、これだけ人口が稠密に存在しているところで、そういうものを持っても意味がないんだということを説明する方便として、そういう表現をとっておる。しかし、その問題だけではなくして、戦術的な軍事学的な分野だけではなくして、そういう核武装とか何とかいう大きな社会的な問題については、非常に別のファクターがうんと入ってくる。で、そういういろんなファクターを考えながら、われわれはすべてを考える場合に、核武装は賢明でないと、そう考えております。いまの列島のそういう構造の問題はわかりやすく了解していただくための一つの方便とお考え願いたいと思います。
#80
○上田哲君 では取りまとめます。
 これはただ私どものこの核武装ということについての統一的な認識にしておきたいと思うので確認をさせていただくが、基本的にはやはりこの際、確かに長官が再々にわたる論議の中で、特に長官は去年の夏から、はっきりした非核論者になられたというふうにも聞いておるわけですが、そういう経緯も踏まえた上で、いま日本は核武装をすべきではない、四次防にその計画はないということは明言されています。これは確認をします。しかし、いろいろ、たとえば防衛白書その他の中にも出てきておるように、政策の意図というものと、論理のおもむくところが区別されて説明されておるところに、非常に私たちは不安を持つ。いかに政策意図として、いま核武装をしないと何べん明言されても、その政策意図とはかかわりなく論理が進んでいった場合には、そうでない事態が起こってくるということになるのではないか。これはいままで私たちが非常にきびしい、苦い歴史的経験をなめているのだから、そこのところは明らかにされなければならない点だということで見解を統一したいわけです。
 いまあげた三点について言うならば、論理としてはやはり非常に不安定なものがありました。第一の多数決原理によってでも民主々義だけは保たなければならないのだということは、法哲学のジャンルなんだから、そのことは必ずしも明確には言いきれないという危惧が残りました。論理としては不安定です。核抑止力の問題は、何も私は核抑止力がなくなったら核武装すべきだ、それに違いないなんということを言っておるのではない、論理の話をしているのです。
 第二点の問題は、核抑止力がなくなった場合にも、アメリカの核のかさが衰えた場合にも、われわれは他の方法によって核武装をしないんだと、この論理をとると言われればよくわかるんだが、そういう論理ではなかった。したがって、その部分も不安定要素が残っておる。
 第三の問題は、長大な地形かどうかということは、私も例としてあげておるわけですが、長官の言われるのは、第二撃能力として、わが国が核武装をすることは無益だから持たぬのだ、裏返せば無益でなくなる事態があったらやる、また、やるべきではなかったけれども、論理的には政策意図を越えて核武装をするんだという論理は、論理としては予定されることになる。したがって、この論理が政策に優先をする、こういうことになっていくと、私たちは、いかに防衛庁長官が、あるいは政府が、今日ただいま議事録の上で核武装はいたしません、政策的に賢明ではありません、賢明ということばを使っておられますから、賢明ではありませんということを再々強調せられ、それを確認するとしても、それはゆかりのないことになっていく。論理のおもむくところ、そうでない形が出てくる。次の政策がそれに乗っていくということを警戒しなければならないということになります。
 したがって、はっきり確認しておきたいのは、その論理と政策の関係でいえば、論理としてはそういう不安定要素が個々にあると、こう言われておるところです。しかし、その論理はあるが、政策意図としては、その論理の上を越えて、政策部分としてそういう論理に引きずられるのでなくして、核武装をしていかないということをはっきり表明されるのかどうか、このことを確認をしてわれわれの統一の解釈にしておきたいと思います。
#81
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの考えに同感であります。
#82
○足鹿覺君 上田君からいろいろと関連してお尋ねがありましたが、私はわかりやすく、現実の問題で非核三原則と憲法との関係を最後にお尋ねをして、あまりくどくどとこの問題にかかわり合うことを避けたいと思います。
 現佐藤内閣は五十八国会以来、非核三原則を掲げ、つまり持たず、持ち込ませず、開発せずの方針をとってこられました。御承知のとおりであります。非核三原則との関係をいかに理解していいのか、この点長官の明確な御答弁を願っておきたいのでありますが、われわれが主張をしておりますように、国会の決議としようとしないのも、政府の真意は核武装への道を志向しており、昨日の長官の発言もその一端ではないかとも受け取られる節がありまするので、私は非常にこの点を重く見ておるというわけでございます。したがって、この点について政府が何ゆえに、国会の決議をしようとしないということは、つまりいまも上田君から御指摘がありましたように、非核三原則というものは一つの政治姿勢である、政治方針と考えて、これをいまやることはいわゆる国民的コンセンサスを得るときではないと、こう判断しておるからではないかと私は推察するのであります。つまり方針の、政策だけの問題でいつでも核武装へ踏み切るのではないか、こういう懸念を国民も持ち、私どももきのうの長い質疑応答を通じてさような認識を持った、かように思いますので、積極的に非核三原則について国会の議決をすみやかに行なうことが、まず長官の言われる、先ほどことばが足らなかったとか、いろいろな点で誤解を生じた点については是正するというお話がありますから、これ以上申し上げませんが、しかりとするならば、いわゆる佐藤現内閣の持たず、持ち込ませず、開発せずとの方針を、国会の議決として、国民を代表する国会の議決とすることに対する長官の御所見をこの際明らかにしていただきたいのが一点。
 いま一点は、憲法との関係でありますが、長官は、これは、ここに言っておられます。「防衛というのは憲法や法律に従ってやらなければならぬ、これが第一義です。」と、こう言って、「それと同時に、国民のコンセンサス、国民の大多数の支持というものが基本であります。だから国民の世論や国民の意見というものをよく聞いて、賢明な判断をしていくことが政治家の仕事であると思うので、国民の大多数の意見を無視して政治がまた存立し得るものとは考えられない。現在の憲法並びに法律の命ずるところに従えば、日本は原子力基本法もありますから核武装はできない。」、こういう一応の答弁はなさっておるが、先国会においては、小型核兵器についてはあなたは持ち得ると、こういう政策姿勢を打ち出されておる発言もありますので、そういうものを勘案をいたしますと、ことばのあやは別といたしまして、憲法九条はそのままにし、これとは別に、あるいはこれに国民的合意という美しいことばによって優先させる意図があるのではないか。つまり、要するにコンセンサスヘの国民を誘導する方法は、あなた方は権力を持っております、また、いろいろな手段、方法を、あるいは急激に、あるいは徐々に、いま長官が言われたそのときの政治情勢、経済情勢、社会情勢、いろいろな国際情勢等の勘案によってこれに即応するのである。にわかにいまから断定はできないという意図は、御答弁の意図はさように私は受けとめるわけであります。したがって、国民のコンセンサスヘの誘導の方法は、私はあなた方が権力の立場からいろいろな手段、方法をもっていわゆる誘導政策を遂行し、憲法を無視の、むしろ憲法というものは隠れみのにして、空洞化して、実質的にはある段階においては、あなた自身が非核論者であると言われましたが、事実は総体的な現在の佐藤内閣の姿勢としては核武装への方途へ向かう一つのあらわれではないかと私は判断いたしましたので、きょうあえてこの質問をいたしました。しかし、一応いままでの御答弁によって、ある意味においてはあなたの真意も若干解明されたと考えまするが、政治姿勢全体の問題としてはそういう方向にあるとするならば、この際、いわゆる非核論者として国会の決議を行ない、もって憲法の趣旨に合致する一つの道を開かれることがあかしを立てる道ではないか、かように思います。この点について、憲法を形骸化されるような意図は、この御発言上一応はないとは思いますが、この点をさらに確認をしておきたい。場合によっては――きょうは時間がありませんが、委員長にもお願いをいたしますが、総理の出席を求め、その所信をただす必要があるやに私は受けとめております。この点を申し上げ、その機会は後刻すみやかに取り計らわれんことを委員長にも要請をいたしておきます。
 つまりこの二点を、非核三原則と憲法との関係、あなたが非核論者であるならば、国防のその責任の衝に当たられる者としては、その非核三原則の国会決議にあなた自身が積極的な姿勢を示されてこそ、私はあなたの真意も国民はある程度認める、かように思いますが、その点についての御所見はどうか。憲法をいわゆる隠れみのとして、誘導による今後国民的合意への誘導政策はやらないと、こういう断固たる御意思表示がなされますかどうか、その点を明確にしていただきまして、この問題についての御所見を承ってきょうはこの程度にとどめますが、大体この審議を通じて感じましたことは、一般職給与法と特別職給与法と、防衛庁勤務者、自衛隊等の勤務者の給与法を一括して審議をしたということは、私どもはこれは審議方法において欠くるものがある、自今、給与法の審議に際しては、幾多の大きな問題を持っておるこの問題は別個にいわゆる取り扱って審議を進め、別個にこれを論議の対象にして進めることが妥当であるという結論に私は達したことを申し添えておきます。ただ、どういうふうに実現するかということは、各党のそれぞれとも相談をいたしますが、委員長におかせられましてもよくその点を御理解になって今後の取り扱いについては留意せられんことを強く要望申し上げまして、きょうは終わっておきます。
#83
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいまの二点の中で、非核三原則の決議の問題でございますが、これは非常にいままで議会政治の上でしばしば各党間の交渉の対象になった問題でありまして、非常に政治的な影響も多い問題です。私は自民党員といたしまして、やはり自民党の党議に従わなければならない、そういう立場を持って、現在は自民党は決議をすることに賛成しておりませんから私も賛成できません。これは政党政治の上からそういう立場を御了解いただきたい。
 第二番目に、憲法の問題でございますが、憲法の解釈論というものは、法制局によって提示されている場合には、やはり冷厳なことではありますが、解釈論というものは解釈論として尊重しなければならぬ立場にあります。だがしかし、われわれは政治家として、また別の政治行動の部面があるわけであります。その政治行動の部面においてわれわれは、われわれが念願しているような日本を築くために積極的に努力しておるところでございますが、私はやはり日本を平和的な文化的な国家としてつくり上げていくということが最も大事なことであると考えております。
 それで核武装の問題については、九月の三日に、われわれの青年研修会で私も演説をいたしましたが、「一九七〇年代の政治の課題」という題でやりましたが、核武装の芽があったらそういう芽はつまなくてはいけない、そういうことを積極的に私は発言しております。そういう考えに立ってやはり今後も努力していくつもりで、このコンセンサスをつくるために、核武装の方向へ世論を誘導していくというようなことはいたしません。
#84
○委員長(西村尚治君) 三案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。
 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十五分開会
#85
○委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案、一括議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#86
○峯山昭範君 私は今回の給与法の改正にあたりまして、給与法そのものについても二、三質問したいと思うのですが、初めに防衛のいろんな問題について二、三質問をしたいと思います。
 初めに国防の基本方針について質問したいと思いますが、十月の当委員会で、私は大臣に国防の基本方針について質問いたしました。そのときに大臣から答弁がございまして、九月の委員会でしたが、十月中には改正案をまとめて発表したい、そのときには国防の基本方針とともに防衛白書並びに四次防の概略等をあわせて十月中に発表したいということでありましたが、現実にいまだにこの国防の基本方針につきましては発表になっていないわけでありますが、そこら辺の経過等について初めにお伺いしたいと思います。
#87
○国務大臣(中曽根康弘君) 国防の基本方針につきましては、政府部内におきましてこれを慎重に検討する必要があるということでございまして、目下内閣官房、防衛、外務の次官レベルにおきまして慎重に検討している最中でございます。
#88
○峯山昭範君 慎重に検討中とのことでございますが、それじゃあもう一点お伺いしたいのですが、現在の国防の基本方針、いわゆる昭和三十二年の五月にきめられた国防の基本方針でございますが、この方針を改正しなければならないということは、これはきまっているわけでございますか。
#89
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は着任以来、基本方針を検討いたしまして、いまの時代に合うように修正をする必要がある、そう感じまして、この問題を提起して、いま事務次官レベルで検討しているところなんであります。
#90
○峯山昭範君 ということは、現在の国防の基本方針が国情に合わないということでございますから、また修正しなければならないということをお認めになっていらっしゃるわけでございますので、そうすると現在の国防のこの基本方針の中で、こういう点は特に改めたほうがいいという点等はもうはっきり明確に大臣の頭の中に入っていらっしゃると思うのですが、現在全部で四項目に分かれているわけでございますが、この中で特にこういう点はという点があると思うのですが、その点についてお伺いしたいと思います。
#91
○国務大臣(中曽根康弘君) 安保条約が六月二十三日で自動継続になりまして、日米双方とも一年の予告でこれを廃止することができるという形になって、いままでとは客観情勢も違ってまいりました。そういうことも踏まえて自主防衛という、外敵の侵入に対してはやはり日本国民がみずから国を守る、そして安全保障条約を機能させて、米国とも提携してやると、そういうようなみずから日本人が先にやるという第一義的なものをもう少し強調する必要があるのではないか、そういうように考えているわけです。
#92
○峯山昭範君 いま大臣おっしゃいました点は、現在の国防の基本方針の第四項目に私は当たると思うのです。そうしますと第一項目、第二項目、三項目等についてはどういうぐあいにお考えなのか、その点お伺いします。
#93
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの点が非常に私が特に念願しているポイントでありまして、その他の点については、これは関係各方面でいろいろ議論もあると思いますが、調整していったらいいと、そのように思います。
#94
○峯山昭範君 まあいろいろとこの点については深くもっとやりたいわけでありますが、いずれにしましても、私はこの基本方針と関連いたしましていろいろ質問したいと思うのですが、まず、これは後ほど言うつもりでありますが、四次防との関連で、六十三国会で長官は、この防衛計画を策定する前に国防の基本方針に検討を加えて、その方針に立脚して新防衛計画が出てくると、こういうふうな答弁をしていらっしゃるわけです。そうしますと、現在の国防の基本方針というのは、特に第四項目等は完全に、いま大臣おっしゃいましたように改正しなければならない重要な点だと私は思うのです。また第一項目、二項目等についても、それぞれ議論はあると思うのです。いずれにしましても、そういうような観点から考えてみまして、この間の委員会のときも私は言いましたけれども、この新防衛力整備計画との関係は、いずれにしましてもこの国防の基本方針というものがちゃんと定まらないと、定まってからということになると思うのですが、そこら辺のところは、四次防自体がまだ来年きまるわけでありますから、当然最終的な決定は国防の基本方針が決定されてから再度検討を加えるであろうと私は思うのですが、そこら辺の関連性についてはどういうぐあいにお考えになっていらっしゃるか、お伺いします。
#95
○国務大臣(中曽根康弘君) 相並行して検討を加えていくべきであろうと私どもは考えております。
#96
○峯山昭範君 次に、先日の委員会のときにも、十月の末にこの国防の基本方針を提出するということであったわけでありますから、当然私は原案等はできておったであろうと思うのですね。そして大臣自身も、今回の新しい国防の基本方針にこういうものだけはどうしても入れなければならないということは、大臣はかねがねから何項目かにわたっておっしゃっておりました。その点については当然、私は大臣の意見に賛成なところがあるわけです。たとえば文民統制の徹底とか、非核三原則を入れるということについては私たちも賛成であり、こういう点について私は、先ほどもちょっと非核三原則の問題出てまいりましたが、当然新しいこの国情に、また国際情勢から見ても非核三原則という問題は当然この国防の基本方針の中に明快に入れるべきであると思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#97
○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろな御意見あると思いますが、私らはそういう方向の考え方を持っております。ただ、これはいろいろ各省並に与党自民党との調整もございまして、そういう関係方面の考えについては、また十分考えを聞いて考慮していく必要があるのであります。
#98
○峯山昭範君 大臣かねがねからおっしゃっておられた自衛力の限界とか、それから防衛費の制限等についても、私たちは国防の基本方針の中に明快に入れるべきだと思うのです。先ほど大臣は、現在のこの国防の基本方針の中の一、二、三項には、特に「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、」という問題のところがあるわけです。いわゆる防衛費が年次エスカレートして相当な金額になりつつある。大臣が先ほど午前中におっしゃいましたように、防衛委員会を設けて審議してもらいたいというぐらい予算の額が大幅にふえているのであります。これ自体、私たちはいろんな面から問題があるとは思うのですけれども、いずれにしましても、こういうふうな自衛力の限界とか防衛費、またその内容等については、この国防の基本方針の中に明示すべきだと思うのです。現在のままで、いわゆるGNPが上がっていくから、それに従っていわゆる防衛費をふやしていく、そういうようなことをやっていると、結局は諸外国は、また日本は軍国主義が復活しているということを非常に言っているのでありますけれども、こういうふうなところから、やはり外国はそういうような点を見て言っているのだろうと思うのです。そういう点をも考え合わせて、世界的な動向として、私はこの国防予算というのは、ソ連にしましても、そのほかの国にしましても、減らしつつあるというのが現在の状況だと思うのです。そういうふうな中に立って、国防の基本方針についてがっちり検討をし、そして私たちのこの審議の中にもいろんな面で反映させてもらいたい、こういうぐあいに思うのですが、大臣いかがでしょう。
#99
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの文章にも「国力国情に応じ」ということばがあるのですが、これをつくった当時の文献その他を調べてみますと、国力というほうではGNPとか、その他がありますが、国情という面では憲法とか、あるいは社会保障等の政策、そういうものが込められているのだというふうな説明を聞きました。解釈によっていろいろニュアンスは違うと思いますけれども、やはりほかの国策と調和を保っていくということが非常に大事である、そのように思います。
#100
○峯山昭範君 ほかの国策と調和をはかっていく、確かに調和は大事だと思う。そのとおりだと思う。ことばの上ではそうかもしれませんけれども、「国力国情に応じ」、また、ほかの諸政策と調和を保ちながらと言いながら、だんだん防衛予算というものがエスカレートしてくるということ自体については、私たちは得心がいかないわけです。これから四次防のことについても言いますけれども、その四次防自体も、いままでの三次防までの予算とはずいぶん違うわけです。要するに五兆八千億という相当たいへんな金額になるわけです。一年間にいたしましても一兆円以上の金額になるわけですね。そうしますと現在の一般予算の伸びというのは一五%くらいですね、年間。それが防衛予算一兆円以上ということは、一八%に当たるわけです。そういう点から考えてみましても、これはただ単に防衛費がそういうふうに膨大に大きくなっていくということは、実際問題、民生とか、そのほかの私たちの生活に密接に関係のあるそういうふうな社会保障までがやはり圧迫されてくる。そういうことはないとは言いながら、いずれにしましても、私は公害が出てきて、いろんな問題がいま社会問題として出てきております。そういうふうな社会保障の面が圧迫されることは間違いないと思うのです。そういうふうな面にわれわれはどうしても力を入れていかなければならない。社会保障やそういう面が充実してこそ、その上に立っての防衛だと私は思うのです。そういうものを無視しての防衛はないと思うのです。そういう点で、ただ単に調和とか何やら言いましても、現実にこういうふうに膨大になってくること自体については、私たちはどうしても得心がいかないわけです。この点についてはどうですか、大臣。
#101
○国務大臣(中曽根康弘君) 社会保障費や教育研究費や公共事業費等にはよく目を配りながら、そのバランスを失しないように、われわれは政治的に配慮していく必要があると思います。ただ防衛費はやはりその客観情勢、国内情勢等によりまして伸び縮みがあると思うのです。基本方針にもたしか漸増ということばが使ってあったと思います。「漸進的に整備する。」、こういうことばが書いてありますが、やはり国内外の情勢によって弾力的に動き得るものである、そのように思いますが、やはり基本線としましては、社会保障費、教育研究費、公共事業費等の伸び縮みをよく見詰めながら調整をとる必要がある、このように考えております。
#102
○峯山昭範君 大臣はいま答弁の中に、防衛費は伸び縮みとおっしゃいましたけれども、いままで縮みというものは一つもないんですよ、伸び続けておるわけです、これはね。いつになったら縮むのですか。縮む可能性というものはあるのですか、大臣。
#103
○国務大臣(中曽根康弘君) 目下のところは漸増の段階でありますけれども、それが将来ある時点にいけば縮まないとも限りません。それらはやはりそのときの情勢によって動いていくものであると思います。
#104
○峯山昭範君 将来のある時点といまおっしゃいましたけれどもね。将来のある時点というのは、これはもう全くわからないわけですがね。どういうときですか、どういう時代ですか、これは。どういう社会環境の中にあってこういうときがやってくるのですか。
 現在、私たちは、一次防から二次防、三次防と、今度は四次防とはおっしゃっておりませんけれども、新防衛力整備計画とおっしゃっていますけれども、現在のこの姿を見てみますと、このあとにはまだ五次防も六次防もずっと続いていくような感じがするわけです。将来ある時点にくれば縮むということも考えられる。実際問題、いつになればその縮むというのがあるのか。ほんとうに私たちは、国民の一番心配になるところはそこだと思うのです。たとえば飛行機にしたって何にしたって、このくらい持てば安心だというところがあるのかどうか。実際問題、そういうようなものはなかなか出てこないと思うのです、私はね。そういうことについて大臣はいま、将来ある時点とおっしゃいましたが、どういうところを、どういう時点を考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思うのです。
#105
○国務大臣(中曽根康弘君) まだ日本の段階では整備――漸増的に整備するという段階で、これは過去十カ年における防衛費支出を国際的に見ましても、たしかイギリスが十七兆くらいです。それから西ドイツ、フランスが十五兆から十四兆くらい、日本が三兆くらいです。そういうような対比も考えてみますと、いかんせん日本は非常に蓄積がございません。そういうような点から、たとえば米軍貸与の艦艇や迫撃砲、戦車等をできるだけ早く国産にかえていくとか、そういうような意味でも、現在五〇−五〇くらいの比率ですが、それを八〇−二〇くらいの比率に次の防衛計画で持っていくつもりです。そういう整備の段階に現在あるのでございますから、まだしばらくは漸増の態勢でいかざるを得ない。しかし、ある一定の時点にきまするならば、これは国策全般を考えて、ある一定の水準を維持すればいいという段階になれば縮むという場合も必ずしもないとはいえないと思います。また、当然そうあるべきであると私は思います。ですから、防衛費というものを硬直的に考えないで、政治の、特に民生とか、その他の反映として防衛費というものをまたよく考えていかなければならない、そう心得ております。
#106
○峯山昭範君 現在、防衛のいろいろな機材に、ましても整備中とのことでありますけれども、将来八〇−二〇にしたいということでありますけれども、いま諸外国のいろいろな防衛費の相当な金額のことをおっしゃいましたけれども、現在の日本の予算の範囲においては相当なものです、これはね。そこで、現在整備中というからには、これはいつまでも整備中というわけにはいかないと思うのです、私はね。いつごろまでに整備を完了し、そして将来はこういうぐあいにしていくという、ちゃんとしたその防衛計画なり何なりがなければいけないと思うのですがね。この点についてどうですか。
#107
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう点も私考えまして、大体現状で推移する、客観情勢が推移するという情勢のもとに、いわゆる限界映像といいますか、そういうものを描き出そうと思って、いませっかく検討させておる最中でございます、すでに申し上げましたように、陸上については十八万定員で当分だいじょうぶでありますと、あるいは航空機については約一千機、機数においてはその程度でいいと思う。ただ機種、内容は変わっていくでしょう。そういうような、まあだんだん出てくる範囲内において、この辺でいいというメルクマールをつくるようにいま努力している最中なのであります。
#108
○峯山昭範君 この辺でいいというその防衛計画なり、そういうようなものをいま検討さしていろということでありますが、これはまた新防衛力整備計画とは別にやっていらっしゃるんだと私は思いますが、その検討中というのは、大体いつごろまでにできる予定ですか、これ。
#109
○国務大臣(中曽根康弘君) これはいつごろまでと時期を明言することができないのが残念でございますが、大体輪郭をできるだけ早くつくれたらつくりたい、そういう考えで努力している最中であります。
#110
○峯山昭範君 まあ国防の基本方針の問題はそのくらいにしまして、四次防の問題につきましては、先般いろいろ質問ございましたので、できるだけダブらないように質問したいと思うのですが、いずれにしましても、この四次防とはおっしゃっていらっしゃらないのですが、新防衛力整備計画案ということになっています。私の手元にも、ここに来ているのですけれども、これが皆さんにお配りした全部なのかどうか、ちょっとわからないのですが、いずれにしましても、来年早々から大蔵省との予算折衝が始まって、そうして来年の夏ごろには国防会議等を経て正式に閣議決定される、そういうぐあいに私は思っているのですけれども、先ほどの国防の基本方針等から考えて、多少若干の変動はあるのではないかと、私自身こういうふうに思っているわけなんですけれども、そこで、その国防の基本方針等も来年は何とかなるとは私は思うのですが、その新防衛力整備計画がちゃんと立案されるまでの手続といいますか、手順といいますか、プログラムについてお伺いしたいと思います。
#111
○国務大臣(中曽根康弘君) いまのは基本方針ですか。
#112
○峯山昭範君 まず一つは基本方針との問題を一つ、それからもう一つは、新防衛力整備計画のプログラム……。
#113
○国務大臣(中曽根康弘君) 国防の基本方針は、今後も継続して検討を加えていくわけでありますが、まあ私の希望としましては、新防衛力整備計画が正式に決定される前後に、基本方針も修正を必要とするところあらば修正をされてしかるべしである、そのように思います。
 それから、新防衛力整備計画につきましては、たぶん二月過ぎころから大蔵省との折衝を始めまして、夏前にそれをセットしまして、それから国防会議、それから閣議、こういう段階できめられていくべきもので、夏ごろには最終的にきめたい、そのように希望を持っております。
#114
○峯山昭範君 私は大臣、この国防の基本方針ということとの関連でさっきからちょっと言っているわけですけれどもね。この防衛力整備計画という、一次防、二次防、三次防とも同じでありますけれども、こういうふうなものは一体何に基づいてきめられるのか、こう思うのです、私は。これは大臣がかねがねからおっしゃっておりますように、これは大臣の答弁、さっきもおっしゃいましたように、この国防計画というのは、その策定する前に国防の基本方針、その方針に立脚して、そしてこの防衛力整備計画が私は立案されるものだと、これは大臣の答弁です、そのとおりですか、大臣、これ。
#115
○国務大臣(中曽根康弘君) そのとおりであります。ただ現行の国防の基本方針の中にも、最初に、「国防の目的は、「直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、」ということで、相当な自主性は盛られてあるわけです。しかし一、二、三、四項の中に、そういうような意味のものが載っておりませんから、私はそれを修正して付加することが適当であろう、そう考えておるわけです。しかし、国防の基本方針、現行のものを見ましても、そういう精神が盛ってあるのでありまして、必ずしも現在のものが現状に全部不符合であるということではないと思っております。
#116
○峯山昭範君 私はそのとおりだと思うのですけれども、大臣、先ほどおっしゃいましたように、この四番目の問題は全然違うと思うのです、まるっきし。事情は変わってきていると思うのです。そうしますと、現在出ているこの新防衛力整備計画案というものは、やはり現在のこの国防の基本方針に基づいて私は策定されたものだと思うのですが、この点はどうですか。
#117
○国務大臣(中曽根康弘君) もちろんそうであります。
#118
○峯山昭範君 そうしますと、その特に第四項目は、今度基本方針の改正等で、先ほど大臣も変更するという、内外の情勢があるということをおっしゃいましたけれども、現実にそれは変更されるわけですね。そうしますと、それに基づいていわゆるこの新防衛力整備計画についても修正をする必要があると私は思うのですが、この点についてはどうですか。
#119
○国務大臣(中曽根康弘君) 現行の国防の基本方針の中でも、いまのようにそういう字句はあるのでありまして、これを援用して、やはり自主防衛というところへ重点が来ておるわけであります。この文章全般を総合的に把握しながら国防計画というものは立っていくのでありますから、必ずしも第四項が現状のままだから、次の新防衛力整備計画が策定されないというものではないと思います。
#120
○峯山昭範君 ちょっとそれでは変えますが、長官はかねがね自主防衛の五原則というのをおっしゃっておられます。この自主防衛の五原則というのを大臣はかねがねおっしゃっていることでありますので、特別言いませんけれども、いずれにしましても、「憲法を守り国土防衛に徹する」、それから二番目が「外交と一体、諸国間との調和をはかる」、それから三番目に「文民統制をまっとうする」、四番目に「非核三原則を維持する」、五番目に「日米安保体制で補充する」、こういうぐあいになっておりますけれども、今回の四次防のこの案を見ますと、やはり現在の、従来の国力国情にふさわしくというこの文言が実際この中に、立案の趣旨の中にもうたわれておりますように、やはり従来の、現在の国防の基本方針というそれに沿って私は策定されていると思うのです。いま大臣もおっしゃいましたように、全くそのとおりだと思うのでありますが、この自主防衛五原則との関連から言いますと、やはりずいぶん違ってくるんじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、大臣、どうですか。
#121
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は基本的に変わっているところはそうないと思います。
#122
○峯山昭範君 まあ私は変わっていると思うのですけれども、その点についてはもうこれ以上言いませんけれども……。
 次に、この四次防の総経費の問題について、先ほどもちょっと言いましたけれども、いずれにましても五兆八千億、人件費を引いても五兆二億という相当な金額になります。三次防の総予の二兆三千四百億ですか、この金額と比較しまても二・二倍近くなるわけです。まあ先ほどもいましたように、年間に直しましても一兆円以になります。実際問題、こういうふうな相当な額ですね、この防衛費自体を、世界的に見ましも、現在は十二番目ですか、になっておりますれども、金額だけで単純に比較するのはおかしとおっしゃるかもしれませんけれども、かりに単純に比較してみましても、米、ソ、中、西ドイツ、イギリス、フランスに次いで第七番目になるわけですね。もっと逆に言いますと、七番目の軍事大国ということになるわけです。まあこういうふうなことから考えてみますと、先ほど大臣は自主防衛五原則と反しないとおっしゃいましたけれども、その五原則の中にも、「諸国間との調和をはかる」ということがあるわけです。確かに日本はGNPでは自由主義諸国では二番になっていますけれども、国民一人当たりの所得ということをいいますと二十何番目なんですね。そういう点からいきますと、どう考えても、私はこの「諸国間との調和」なんということにはならないと思うのですよ。国力国情に応じてじゃないですね。分不相応にそれこそやっているような感じがするわけです、実際問題。それよりももっとやらなきゃいけないことがずいぶんほかにもあると、私はこう思うのです。こういうような点について、大臣はどういうぐあいにお考えか、お伺いしたいと思います。
#123
○国務大臣(中曽根康弘君) いまのいわゆる自主防衛五原則の第二は、「外交と一体、諸国策と調和をはかる」ということばで、ミスプリントではないかと思います。「諸国策」という意味は、社会保障、教育研究費、その他を意味しているわけで、もちろん外国の情勢と調和をはかることも非常に重要でありますから、それは「外交と一体」という意味の中にそういうことは含まれているだろうと思います。
#124
○峯山昭範君 私先ほど「外交と一体」と言いました。「外交と一体」とは言いましても、大臣、いま外務省で、この外務省の総予算というのは四百五十億近くですね。それからしますと、この外交と防衛が一体ということに私はなると思うのですが、いろいろな面があると思うのですが、「外交と一体」と言いましても、とてもじゃないけれども、外務省が所管している予算とはもうはるかにこの調和していない、少なくとも。そういうぐあいにも思うのです。
 それはそれとしまして、まあ実際私もしみじみと思うのですけれども、防衛というのはほんまに高うつく、私はこう思うのです。今度新しく購入するファントムにしましても、一機二十億円以上でしょう。三十億円近くするはずです。あの護衛艦にしましても一そう二百億近くしますね。こういうふうな、その金額を聞いただけでほんとうに私たちは気が遠くなるような気がするわけです。実際にそれじゃあこれだけの金額をかけて、ほんとうに日本の防衛力というのはいざというときに役に立つのかどうか、たとえばファントムが、一体どんな事態が起きたときにこのファントムが出動して、そうしてそのファントムがあれば一体どういうことができるのか、どういう効果があるのか、逆に言いますと、それじゃあファントムがなければどうなるのか、一つの例です。また、護衛艦にしましても同じです。二百億というたいへんな金額をかけて護衛艦をつくる必要があるのかどうか。私は直接ないとは申しませんけれども、ないとは言いませんけれども、実際にこんなすごい金額をかけて護衛艦をつくる必要がほんとうにあるのかどうか、どういったときにその護衛艦が出動するのか、もしその護衛艦がなければ、一体どういうことになるのか。もっと突っ込んでいきますと、ファントムは一体何機あればいいのか、護衛艦は一体何そうあればいいのか、この防衛力計画では、少しずつ少しずつしぼり出している感じです。毎回毎回少しずつふえています。まあそれは公開している機数は減っているなんておっしゃるかもしれませんけれども、海上自衛隊の船は着実にふえている、そういうような点から言いまして、国民がそのほんとうの一番知りたいのは、一体防衛費というのはどの程度まで増加し続ければいいのか、それもやっぱり一番知りたいと思っているんです。実際問題、船がたくさんできたって――言いたくありませんけれども、昔の船艦「大和」とか、いろんな船がたくさんできました。そういうような船が結局は何の用もなさなかった、結局は攻撃目標になってパーになって沈んでしまえばそれで終わり、そういうことが実際あるわけです。そういうような観点から、一体大臣はこういうような点について、それぞれどういうぐあいにお考えになっていらっしゃるのか、この点について大臣の所見を伺いたいと思います。
#125
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、国の安全保障というものはただでもらえるものじゃないと思っております。やはり金がかかるものであると思っております。国の安全保障は空気や水のようにただで手に入ると考えること自体が錯覚である。やはり各国民は営々たる努力をして、血と汗と涙の中にみんなその国を守っておるわけであります。日本も同様なことであると思うんです。それでファントムがどういう機能を持つかというお話でございますが、もしこれがなければ、領空侵犯で外国の飛行機が日本の国内あるいは領空に入ってきても、何らなすところがない、そういう形になります。やはりファントムが出ていって、識別線の中でその外国の航空機と接触していくところに外国の飛行機は帰ってしまいます、行ってしまいます、本国へ。そういうような情勢を見ましても、やはり常時そういう努力をしながら、日本の周辺における安全を維持しておかなければならぬわけであります。各国がそういう努力をしている以上、やはり日本も分相応に努力をしていくべきであると思うわけであります。
#126
○峯山昭範君 ファントムはそうかもしれませんけれども、護衛艦はどうですか。
#127
○国務大臣(中曽根康弘君) 護衛艦にしても同じでありまして、防衛力というものは一朝にして整備できるものではないわけです。危機とか、あるいはいまのような脅威というものは突然出てくることもあるし、ある一定の段階を経て出てくるものもありますが、それに対処する防衛力はこつ然とはできないわけであります。やはり常時たくわえつつ、ある程度のランニングストックを持っていて、それによって未然に抑止力を働かしていくということも、やはり目に見えない大きな機能であると思います。
#128
○峯山昭範君 大臣はそうおっしゃいますけれども、私はそうは思わない。国民が実際問題、これだけのすごい金額がかかるわけですね。確かに防衛はただで、日本の安全はただというわけじゃないとおっしゃいますけれども、確かにそうかもしれませんけれども、それじゃただでなければ、一体どの程度まで出せばいいのか、どの程度まであればいいのかというのが、やっぱり国民の知りたいところだと思うのです。この点についてどうですか。
#129
○国務大臣(中曽根康弘君) いままでは大体GNPの〇・八%前後という形できてまいりました。昭和三十年代の初期においては、これが一%から一・三%程度以上まで高くなったこともあると思いますが、大体その後〇・八%程度に落ちついておるわけです。これはほかの経費等々と比べてみ、また外国のそういうことに対する負担と比べてみると、まあまあ国民もがまんしていただける線ではないかと、そう考えて、大体この水準できているわけであります。
#130
○峯山昭範君 私は、ファントムが何機あればいいか、護衛艦が何ぞうあればいいか、それはGNPの〇・八%でいままできた、将来は一%ぐらい――それではすまないと思うんですよ。中曽根長官になる前の大臣はGNPということをしょっちゅうおっしゃいました。長官はなかなかGNPという話をしませんでしょ、う。そのほかの社会保障費とか教育費とか、そういうものと見合わせてということをおっしゃいます。きょうはGNPをおっしゃっておりますけれども、私は単純にそういうふうに比較はできないと思うんです、それ自体。私はこういうような問題については、実際問題こういうような護衛艦というものはどのくらいあればいいか、ファントムという飛行機が一体何機あればいいか、これは私は将来の見通しとともに、やはり防衛計画とともに、どうしても国民が知りたい問題であると思いますし、どの程度までという限度はやはり定めるべきだと思うんですが、どうですか。
#131
○国務大臣(中曽根康弘君) ある前提条件のもとに、こういう条件が続く限りこの程度、そういうようなものはいまつくるように一生懸命努力しているところであります。
#132
○峯山昭範君 いまつくるように、ある前提条件を設けて、そしてつくるように努力しているということでありますが、これもいつまでにできるかというと、そういうことは言うことはできないと大臣はおっしゃるかもしれませんけれども、やはり私は、そういうような問題については国にちゃんと教える、ある程度明らかにするということによって国民も安心すると思うんです。現在の情勢では、どこまでエスカレートするかわからないという状況では私はやはりまずいんじゃないか。実際問題としてそう思うんです。こういう点についてもよく検討して、早急にそういうような問題をちゃんとやってもらいたいと思います。
 さらに私はもう一言この問題について聞いておきたいのでありますが、国の防衛はただではできない。外国からの脅威は、やはりこういうぐあいにファントムなり、いろんな優秀な飛行機なり軍艦なりを買って――まあ軍艦と言っていいかどうかわかりませんけれども、そういうものを購入して、当然国の防衛というものを、安全というものをはかっていかなければいけないと、こう大臣はおっしゃると思うんですがね。実はこういうふうな、国の安全を守るため膨大なお金を使って飛行機なり護衛艦を買っておるわけです。この購入した護衛艦なり、また飛行機なりというものは、当然国民の税金で購入し、防衛庁としてもその保管をまかされておる以上は、責任を持って保管をし、そうしてそれぞれに対して責任を持って管理する義務が私はあると思うんです。この点はどうですか。
#133
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民の貴重なる税金によってつくっていただいた防衛力は、やはり責任を持って大事に管理していかなければならぬものであると思います。
#134
○峯山昭範君 そのことはいま大臣の答弁を聞いておきまして、その点についてはあとでそのほかの問題を取り上げて具体的に話をしたいと思います。
 それから、もう一点ありますが、四次防の重点目標の一つであります沖繩の防衛のことにつきまして、この整備計画の概要の中には、いろいろ私も読んでみたんですが、私のいただいた範囲内では「沖繩の施政権返還に伴い、同地域に所要の防衛力を配備する。」という、一行ちょっとの文章しかないわけでありますが、先般からの大臣の国会におけるいろんな答弁から総合いたしますと、陸上では千百人、海上では七百人、航空で千四百人、合計三千二百人を沖繩に配備したい、そうして四次防中にはその二倍を沖繩に配備する、そういうふうな答弁があるわけでありますが、この四次防計画の中には詳細にそれがうたわれてないわけでありますが、実際問題として――まあ四次防といっていいかどうかわかりませんが、この新防衛力整備計画に関連して、これは一体どういうぐあいになっておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#135
○政府委員(宍戸基男君) 沖繩の防衛計画につきましては四次防の中に含めて考えております。で、先生先ほどおあげになりましたような数字を含めて四次防の中に考えております。つまり、当初は陸海空合わせまして三千数百人程度を展開したい、さらに逐次増強しましてその倍くらい、六千人程度のものを配備いたしたい、かように考えておりまして、それは四次防の中に含めております。
#136
○峯山昭範君 この問題についてもあとでまたちょっと触れたいと思うのですが、この沖繩の問題につきましては、沖繩の米軍基地等の問題がずいぶんあるわけです。先般の、昨日、きょうの委員会と続いて基地問題が相当問題になりましたけれども、本土の基地が整理されようとしておりますが、沖繩の基地の整理については全く何ら触れられていないわけであります。そういうふうな本土におけるいろんな基地の問題のしわ寄せが沖繩のいろんな基地の問題になってくるのじゃないか、こういうぐあいに心配しているわけですが、ここら辺のことについてはどういうぐあいにお考えですか。
#137
○政府委員(宍戸基男君) 沖繩の基地の状況につきましては、大体米軍が現在どの程度いるかという情報をもとにしながら将来の沖繩計画を立てております。わがほうが、先ほど申し上げましたような数字の部隊を展開するに必要な施設が当然要るわけですけれども、それについて所要の折衝を現在米軍としていると、こういう状況でございます。
#138
○峯山昭範君 その問題はそれくらいにしまして、先ほどの日本の航空機等の問題についてお伺いしたいと思いますが、日本の航空機製造界ですか、航空機産業界ですかに占める自衛隊の役割りというのは相当大きなものがあると思うのです。そこで、現在日本における航空機メーカー、それぞれ幾つかあると思うのですが、そこでほとんどの防衛庁の航空機等の製造並びに修理、オーバーホール等が行なわれておると思うのですが、その修理、オーバーホールの現状ですね、これはどういうぐあいになっているのか。たとえば全部を言ってもらわなくてもけっこうです。特にF1〇4J並びに86F、YS11、C46、これらの飛行機は何というメーカーでオーバーホール並びに修理を行なっているのか、お伺いしたいと思うのです。
#139
○説明員(蒲谷友芳君) ただいま御指摘のF1〇4Jと86F、これは三菱重工が行なっております。それからC46は新明和工業が行なっております。YS11も新明和が行なっております。
#140
○峯山昭範君 それではいまそれぞれやっている修理、オーバーホールに対して、今度は修理、オーバーホールと分けますとたいへんでしょうから、それぞれ三菱並びに新明和の年間契約、総合計でけっこうです。防衛庁関係の飛行機を含めまして、契約はどのくらいになっているのか、お伺いしたいと思います。
#141
○説明員(蒲谷友芳君) ちょっといま資料を持っておりませんので、至急調査いたします。
#142
○峯山昭範君 資料に基づかないでけっこうです。概略でけっこうです。何億というくらいでけっこうでございますからお願いします。
#143
○説明員(蒲谷友芳君) 手元に資料がありませんので、もう少しお待ち願いたいと思います。
#144
○峯山昭範君 じゃ、契約金額等については後ほどいっていただくとしまして、それじゃ、航空機の故障の状況というのはどういうぐあいになっているのか。特にF1〇4Jと86Fについて、最近の故障の状況並びに修理、オーバーホール等の状況はどうなっているか、お伺いいたしたいと思います。
#145
○説明員(蒲谷友芳君) ただいま詳細な資料を持っておりませんが、1〇4だけの資料がありますので申し上げますと、三十八年から四十五年度までに十七件の事故が起きております。これは墜落事故でございますが、大体各年一件、多いときには六件――四十二年度でございますが、現在までにF1〇4Jは十七件の事故を起こしております。
#146
○峯山昭範君 これは年度別に件数言ってみてください。
#147
○説明員(蒲谷友芳君) 三十八年度一件、三十九年度一件、四十年度三件、四十一年度一件、四十二年度六件、四十三年度三件、四十四年度一件、四十五年度一件、計十七件でございます。
#148
○峯山昭範君 いまの合計十七件でございますが、これは1〇4ですね。
#149
○説明員(蒲谷友芳君) はい。
#150
○峯山昭範君 この十七件は、これはオーバーホール、修理ですか、これは何ですか。具体的に教えてください。
#151
○説明員(蒲谷友芳君) そういう分類をしておりませんが、いままでの事故の結果を原因別に見ますと、機材の欠陥によるものというのが五件、操縦者の、ミスと思われるものが五件、落雷によると思われるものが三件、原因不明というものが現在三件ございます。その他調査中一件、そういうことでございます。
#152
○峯山昭範君 そうしますと、昭和四十二年の十月二十一日、三菱重工の小牧工場で修理が終わった1〇4Jが墜落事故を起こした。で、この1〇4Jの損害賠償が問題になっていると思うのですが、私はこの中で特に、防衛庁当局もこの事故についてその調査を完了していると思うのですが、この事故の経過並びにその処置についてお伺いしたいと思います。
#153
○説明員(蒲谷友芳君) 事故の概要を申し上げますと、これは防衛庁と二菱重工との航空機の修理役務契約によりまして、三菱が修理したものを社内飛行試験中に、いま御指摘の昭和四十二年十月二十一日に墜落事故を起こしております。
 で、その内容は、この飛行機が五回目の試験飛行に飛び立ちまして、着陸するために、名古屋の飛行場に着陸するコースに入りましたところで約三マイルの地点にきたときに、地上の管制塔から、86Fが現在着陸地点に入ってくるので待避をしろという命令を受けまして、離脱しまして空中を回りまして二回目の着陸姿勢に入りました。入った段階で着陸する予定でコースに入るために、百八十度の旋回をしたところで機速が急速に下がりまして、機首が上がり、失速をしまして墜落しております。機体は大破しまして炎上し、パイロットは死亡しております。このような事故でございます。
 それからこの事後処理でございますけれども、これは防衛庁としましても、航空自衛隊を中心としまして事故調査委員会をつくりまして調査いたしました。会社側としましても事故調査を行なっております。で、いままでのわれわれの調査結果でございますけれども、パイロットが死亡しておりますし、また機体が破壊して炎上しておりますので、細部についての検討の問題がございますけれども、いままでの検討の結果では、パイロットの操縦ミスではなかろうか。ということは、第一回目の着陸に向かいまして脚をおろしまして、それから待避を命じられまして、脚を上げたままで旋回をしたと、それが失速の理由ではなかろうかというふうな航空自衛隊の見解になっております。で、その場合に、いまの脚を上げたままで旋回するということが、いまの1〇4Jという航空機の操縦指令書から見ますと、大体一回着陸をやめて旋回に入る場合には脚を上げるということが注意書に書いてございます。その関係で、この脚を上げたままで旋回したのがどういうような技術的なミスになるかという問題の検討がございます。
 もう一つは、いまの三菱との修理契約、これは大体こういうようなIRANの場合の修理契約でございますけれども、試験飛行中の場合には、故意または重大な過失による事故があった場合には会社側が責任を負うと書いてございます。それで、いまの指令書に基づきます脚上げのままの旋回が、技術的にいって重大な過失かどうかという問題。もう一つは、その技術行為と、今度は契約に基づく故意または重大な過失というものの法的な解釈の問題、これとがどうかみ合うかということで検討を進めております。で、現在では法務当局の意見なども聞きながら、最終結論を出すために努力しております。
 以上でございます。
#154
○峯山昭範君 きょう現在でもまだその問題について結論が出てないわけなんですね。これはまず第一点は、先ほど大臣は、国民の税金でつくった飛行機は大事にする、そういう答弁がありました。今回のこれは明らかに防衛庁自体が――一つは航空機事故の場合、非常に事故の原因を究明するのはむずかしい、このことはよくわかっています。それは民間のそれぞれの事故でも非常に結論が出るのがおそい。またその事故の原因というのはわからない。しかしながら、今回の場合は、修理が終わっての飛行中の事故でありますし、しかもその脚を上げるのを忘れた。これは契約書でいう重大な過失ではないかもしれません。また重大な過失かもしれません。これは防衛庁自身も検討中らしいのですが、テストパイロットであれば――きょうは源田さんお見えになっておりませんけれども――テストパイロットであればあるほど、そういうミスがあってはならないというのがパイロット仲間の原則らしいですね。これは重大な過失になるというのですよ。防衛庁自身もそういうような判定をほぼしていらっしゃるわけです。にもかかわらず、三菱に対して何らの請求をしてない。しかも事故が起きてからもう三年以上たってる。民法上の時効の年限を過ぎておるわけです。過ぎてもまだいまだに結論を出していないというのは、私は非常に遺憾だと思うのです。私はきょうこの委員会にくるまで、すでにこの事故の結論は出して、そして何らかの処置をしているのであろうと思っていましたけれども、いま装備局長の話によりますというと、いまだに結論を出していない。こんなばかなことは私はないと思うのです。どうですか、大臣。
#155
○国務大臣(中曽根康弘君) その問題はまだ時効は期限が過ぎておりませんで、たしか損害賠償のほうの時効でありましたか、それは五年かなんかで、まだ期限内にあるわけですが、防衛庁としてはいろいろ精査をいたしまして、損害賠償すべきものは賠償するように、いろいろ手続を進めておる最中でございます。
#156
○峯山昭範君 民法七百九条による不法行為に基づく損害賠償請求権というのは、私は三年と聞いているのですけれども、大臣、これは五年ですか。
#157
○国務大臣(中曽根康弘君) 債務不履行の場合の損害賠償は五年であります。
#158
○峯山昭範君 こういうような問題は早急に結論を出して、そして大臣が先ほどおっしゃいましたように、その財産を守るというような面からもがっちりやってもらいたいと思うし、現実にもしもこれがはっきりしないならば、先ほどその三菱重工との契約金額等出てまいりませんでしたけれども、これは確かにそういうような面考えてみますと、防衛庁とこういうような三菱重工との長い間の癒着がこういうような問題を起こすのじゃないか。そういうぐあいに見られたら困るわけです、現実の問題として。先ほど大臣は、そういうふうな請求をするためにいま準備を進めているということでありますから、当然近いうちに、その時効がくるまでに――時効はあと二年近くあるわけですけれども、それまでにするということでありますから、私はこの質問はこれで引き下がりますけれども、いずれにしても、こういうようなことがあってはならないと私は思うのです。しかもこれだけじゃなくて、全部で十七件も事故が起きているわけです。その一つ一つについて私たちに全然明らかにされてないわけです。この一機四億か五億する飛行機ですね、私は非常に重大な問題だと思うのです。F1〇4Jだけを取り上げてみてもこんなにたくさんな飛行機が――まあ私は先般墜落事故のときに、金沢等の事故が起きたときに質問しましたら、前の長官は、日本は最も件数が少ないのだ、ドイツではもっとよけい落ちておると、こんなことを言いましたけれども、少ないとか多いとか、よそと比較して言ってもらったら困るわけです。ドイツと日本では状況も違うわけです。そういう点から考えてみても、この問題一件だけではありませんけれども、そのほかの面に関しましても相当慎重に取り扱い、かつ、三菱との交渉も全力をあげてやっていただきたいと思うのですが、大臣どうですか。
#159
○国務大臣(中曽根康弘君) 請求すべきものは手抜かりなく請求いたします。
#160
○峯山昭範君 それからもう一点お伺いしておきたいのですがね、三菱との契約で、こういうふうな場合、重大な過失と、こうなっているのですね。ただ過失があっただけではそのメーカーは補償する必要はない、損害賠償する必要はない。重大な過失というのは一体何ですか、これ。ただパイロットがその脚を上げるのを忘れた、これだけではそれが重大な過失であるか、また普通の過失であるのか、この判定むずかしいと思うのです、実際問題ですね。そういう点からいきましても、この財産を守るという点からいきましても、故意または重大な過失でなくて、やっぱり過失ですね。重大というのは、その辺の区分がどういうふうになっているのか、そこら辺のところはどうですか。
#161
○説明員(蒲谷友芳君) 重大な過失ということは、現実にはそれぞれの事例によって判定づけられると思います。そしてどうして重大かということが契約にある、契約できめられますけれども、一般の契約では重大な過失になっておりません。テスト飛行中のものだけについて特に重過失ということを入れております。この問題はいろいろ検討しておりますが、現実にテスト飛行には相当な危険が伴う。この場合にわれわれの計算では、もし単なる民法七百九条のような規定になりますと、当然相手方は保険をかけざるを得ない。保険をかけた場合に、いまのこういうテスト中の保険料と事故の起きている量から見まして、重過失に限ってとったほうがはるかに安いという判定で行なっております。だから一般契約では重過失ではございません。テスト飛行中のものだけに限って重過失の規定が入っております。
#162
○峯山昭範君 私は、そういう装備局長の話は逆だと思うのですよ。テスト飛行が危険であればあるほど、その保険もちゃんとかけてちゃんとやるべきだと思うのです。テストパイロットであればあるほど、それ以上に注意を払うべきだと思うのです。普通では簡単なミスであっても、一般の飛行では簡単な過失であっても、テストパイロットがやる場合はこれは重過失になる、私はそう思うのです。実際に専門家の方々はそういうぐあいに主張しておりますね。ということは、逆に言うと、装備局長は今回の脚を上げるのを忘れたというのは、これは重大な過失であるとは思わないということなんですか、この点どうですか。
#163
○説明員(蒲谷友芳君) 現在のこの三菱が行ないました1〇4の事故につきましては、いまの脚上げが重大であるかどうかについては、現在検討中であるということであります。大臣は前向きで考えますと言っておりますが、いままでの経過を申し上げますと、大体すべての航空機は定期なり、あるいは部分的な修理に入りまして、相当なテスト飛行を行ないます。その中でテスト飛行中にというか、その間に起きました事故、これは墜落だけではございませんが、この種事件は三件ございます。毎年相当行なっておりますので、その全体を考えまして、いまの試験飛行中のすべてに損害賠償をかける、その場合の損害賠償代金をわれわれが払うという場合との見合いで見ますと、どちらをとるかという問題がございます。現在としましては、テスト飛行中のものは重過失ということで契約をしたほうが、はるかにわれわれの支出が少ないという計算をしておるわけでございます。
#164
○峯山昭範君 次に私は基地の問題について二、三質問をしていきたいと思います。
 基地の問題につきましては、先般同僚委員からずいぶん詳細にありましたので、一つだけダブる質問をしたいと思うんです。基本的な姿勢といたしまして、国内にある基地につきましては米軍から返還されるであろうということはほぼ、幾らか返還されるであろうということは、これは間違いないと思うんです。そこで私は、少なくともいろいろ事情はあろうと思いますが、可能な限り民間への移管ということを私は重点として考えるべきであると、そういうぐあいに私は思うんです。そうでないと現在の実情に私は合わないと思うんです、実際問題。そこで実際問題、それから先はまた、大臣がお答えになりませんでしたので、それぞれ個々の問題になりますが、いずれにしましても、三沢にしましても厚木にしましても、板付にしましても、それぞれ自衛隊と民間とのどちらが専用するかということは、それぞれ問題になる点だと思うんです。そこでまず私は、可能な限り民間へ移管をすべきであると、こういうように思うんですが、大臣どうですか。
#165
○国務大臣(中曽根康弘君) 将来返還になりましたときには、日本の安全保障上の必要性、それから民間の御要望、そういうものを勘案して、私としてはできるだけ民間の要望も取り入れて処理していきたいと思います。
#166
○峯山昭範君 民間の要望を取り入れるとおっしゃっておりますが、確かに私は民間のほうでももうそれぞれ地方議会で議決をしたり、または町村会で議決をしたりして、もう一生懸命に、その基地が返ってさましたらぜひとも公園なり、または住宅なり、そういうようなものに使わしてもらいたい、それこそ一日千秋の思いで待っているところが非常に多いわけです。そこで、これは大臣がお答えになりませんでしたけれども、まず一つは、安保条約の安保、何ですか、日米安保協議委員会ですか、これがきのうは大臣申し上げられないということで、外務大臣の範囲だということで、二十一日に開かれるそうでありますが、これはもう外務大臣おっしゃっておりますので間違いないと思いますが、そこではどういうものがテーマになるのか。これ聞いても、またこれも答えられないと言うかもしれませんけれども、それじゃ困るわけでありますけれども、来年の六月までに在日米軍が一万二千人削減になるということ、並びに三沢、横田、厚木、横須賀等から実戦部隊が引き揚げるということ、こういうことはもう実際問題、何というか、はっきりしているわけですね。それで、そういうふうな通告等が正式には防衛庁には私はきているのか、きてないのかわからないのですが、きているのかきていないのか、これもあとで教えてもらいたいと思うんです。もしきていないとしても、こういう基地が返されることは私は間違いないと思うんです。そうしますと、返ってきた場合、どういうぐあいにそれぞれお考えになっているのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#167
○国務大臣(中曽根康弘君) 通告というようなものはありませんが、協議はいろいろやっているわけです。これは私が着任して、先ほど申し上げた、この前の安保協議委員会で日本側が申し入れして以来、先方はそれに応じて協議をずっと、各基地を点検しつつ実行してきた、その延長であるわけであります。二十一日の安保協議委員会の議題はまだ私聞いておりません。まだ時間もあることでありますから、米側と外務省でいろいろ打ち合わせしているんだろうと思います。まあいろいろな情勢判断からしますと、ニクソン・ドクトリンの実施に伴う国際情勢であるとか、アメリカ側の考え方とか、そういうものがやはり議題に出てくるのではないかと思います。
#168
○峯山昭範君 そこでまず一つはその厚木の飛行場の問題でありますが、この問題につきましては、先般運輸委員会、または予算委員会等でも問題になっておりますが、防衛庁では自衛隊専用の飛行場にしたい。また運輸省では民間で使いたいという意見が出ているようでありますが、この点については大臣、どういうようにお考えですか。
#169
○国務大臣(中曽根康弘君) これは返還になった上の話でありますが、返還になりましたならば自衛隊の飛行場にして、自衛隊で管理して、そして必要に応じて運輸省の民間飛行機も使わせる、こういう形にしたいと思います。
#170
○峯山昭範君 いまの全く逆の考えは成り立ちませんかね。運輸省で管理して、必要に応じて自衛隊が使う、これはどうですか、大臣。
#171
○国務大臣(中曽根康弘君) 遺憾ながらそういうわけにまいらない情勢です。日本の海上自衛隊の航空勢力の展開等考えてみますと、やはり厚木は非常に重要な場所になるだろうと思います。
#172
○峯山昭範君 大臣、これだけ基地が返還されますと、昨日からいろいろ問題にはなっておりますが、米軍が、有事駐留というのは大臣は、私はきらいだとおっしゃっておりましたけれども、有事再使用といいますか、そういうようなことにだんだんなってくるような形態ですね、現在ですね。先日の衆議院の内閣委員会でもこの問題がいろいろ出ておりますが、いずれにしましても、米軍と現在の地位協定並びに安保条約等では、そういうふうな範囲からはみ出すものがやっぱり出てくると私は思うんです。そこでやはり有事に際して、いわゆる有事来援というか、とにかく米軍が一時的に言ってくる、そのとき使うというような意味から、やはりそれに備えて、やはり協定もしくは文書といいますか、そういうようなことをそういうような形で約束をすると、そういうようなことがあり得るのじゃないかと思うんですが、この点どうですか。
#173
○国務大臣(中曽根康弘君) 現在の安保条約と位協定の運用によってそれはできると思いまして、特別の約束のようなものは必要ないと私は思います。
#174
○峯山昭範君 これだけ米軍基地が返還されるであろうということは、もう昨日の委員会からこれはもう明らかであります。そうしますと、私は四次防のこの原案が現在できておりますけれども、四次防自体にも相当影響を与えてくるんじゃないか。大臣はこの四次防の原案をつくられるときに、すでにこれだけの基地が日本に返還されるであろうということを見込んだ上でこの四次防の原案という、四次防――新防衛整備計画のことでありますけれども、その計画を立てるときに、これだけの基地はもうほとんど、日本にある米軍基地がほとんど返還されるであろうということを見込んでこの四次防自体を考えられたのかどうか、この点どうですか。
#175
○国務大臣(中曽根康弘君) ある程度の米軍勢が日本に常時いなくなるということは頭に置いて四次防もできております。
#176
○峯山昭範君 大臣のその答弁、非常に抽象的わかりにくいのですけれども、ある程度というとは、一つ一ついままでの調子で返されてもある程度だと思うんです、私はね。しかしながら、現在いろいろちまたに報道されている内容を見ますと、ある程度じゃないわけですよね。ある程度というのをオーバーして、もうほとんどと、こう言いかえられるような、私は四次防中にはほとんどとなるのじゃないかと実際思っているわけですが、そうしますと、ずいぶんいろいろな面変わってくると思うんですね。ある程度ということは、百二十幾つの基地のうち幾つくらいを見込んで考えておられたのか、ある程度というそのある程度というのは。そうしてこれから四次防の終わるころにはどの程度になるであろうとお考えか、お伺いしたいと思います。
#177
○国務大臣(中曽根康弘君) 航空基地あるいは米海軍の根拠地等が弾力的に使用される段階に至るであろう、そうして常時は駐留しないという形がある程度現出するであろう、そういうことは頭に置いてつくってあり、しかしこの管理費をどういうふうに分け合うとかなんとかという点は、向こうとの折衝の問題で、その点で予算の増減というような問題が多少は出てくるかもしれません。また、雇用問題で、それがどの段階でどの程度出てくるかということも、これはそれが出てこないとわからない情勢でありますから、ある程度の予算の問題も出てくるかもしれません。が、しかし、一般的に次の五カ年計画全般というものを想定してみた場合に、航空兵力及び海上兵力のある程度のものが常時駐留せずと、そういう形に移るであろうということは予想して対処してあります。
#178
○峯山昭範君 ということは、私はいま大臣の答弁によりまして、ある程度の管理費の増等は、これは修正の必要があるかもわからないということは、四次防自体も修正があり得るのじゃないかと、こういうぐあいに私は理解しておきたいと思います。
 さらにもう一点、基地の問題で先ほどもちょっと触れましたけれども、これだけ本土の基地の整理縮小ということが大々的に報道され、国民もずいぶんの人が国内の基地がなくなるということは理解していると思うんです。そういうふう中にありまして、沖繩の基地が縮小されるという話はもう何にも出てこないわけです。ということは、逆に考えると、本土の基地の縮小のしわ寄せが沖繩の基地の強化をはかった。沖繩の基地が逆に強化されるのじゃないか、こういうふうな非常に心配な問題があるわけですが、これらの点については、今度の日米安保協議委員会等でも私は問題になると思うんです。こういう問題についても当然私はそういうふうになったんではまずいと思うんです。ここら辺のことについて大臣はどういうぐあいにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
#179
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はアメリカへ参りましたときに、レアード国防長官に対して沖繩の問題についても言及してまいりました。いずれ将来段階的に沖繩の米軍基地についても整理統合を促進していくべきものであるというふうに考えております。
#180
○峯山昭範君 防衛庁の給与の問題で、これは大臣にお伺いしたいのですが、まず、実は防衛庁の給与の問題を種々検討しておりまして、私は非常に矛盾している点が出てまいりましたので、矛盾しているというよりも、防衛庁が外に公表していることとずいぶん違うわけです。その点について大臣にお伺いしたいのですが、自衛隊の皆さんを募集するとき、募集要項並びにビラ等にいろいろ印刷をいたしております。それを実は私きょうここで見本を持ってきませんでしたけれども、自衛隊に入る皆さんは衣食住、まあ住のほうはいろいろ問題がありますが、大体無料であると、衣食住は全部ただであるというふうな感じの募集要項になっております。これはどうですか。
#181
○政府委員(江藤淳雄君) 現在の防衛庁職員給与法におきまして、二十条なり二十一条、二十二条におきまして、食事並びに被服は無料で支給し、療養は国が実施するということになっておりますので、この募集の広報の方法といいますか、ビラの内容につきましては、別段間違っているとは考えておりません。
#182
○峯山昭範君 いま人事教育局長さんおっしゃいましたように、確かに食料費等は無料ということになっております。しかし、その内容を見てみますと、そうじゃないでしょう、これ。食料費は給料から引いているわけでしょう。これ、食料費の経費の四分の三を本人負担分として控除した額を俸給月額と、こういうふうにしてあるわけでしょう。どうですか、この点。
#183
○政府委員(江藤淳雄君) 自衛官のうち、曹士につきましては営内居住をたてまえにしております。したがいまして、営内におきまして食事なり、あるいは被服というものが支給されておりますので、それを前提にしまして、自衛官の給与は一体どの程度であるべきかということを考えて給与表をつくっておるのでございまして、あらかじめ給与表をきめまして、それから糧食費を引いているというようなかっこうにはなっていないのでございます。
#184
○峯山昭範君 いずれにしても、これ、あなた方は無料だと言っていますけれども、そうじゃない。ちゃんと引いている。一日当たり曹士の場合、今回のあれによりますと、糧食費として一日当たり二百七十四円から二百九十八円に引き上げられて、それを計算して七千三百三十円を引いているわけです。営外に住んでいる人はそれを営外手当として支給している。そうでしょう。
#185
○政府委員(江藤淳雄君) 自衛官の給与というものは、本来、自衛官特有の俸給表をつくれれば非常にいいんでございますけれども、なかなかそれは具体的には困難である。したがいまして、これに類似な警察官の俸給表――公安職の俸給表を持ってまいりまして、その警察官の俸給表に見合う程度の待遇を与えようというふうな考え方を持っております。ところが一方、曹士の場合につきましては営舎内に勤務します。そうしました場合に、営舎内にすでに糧食の施設等がございますので、それらの実質的な面を配慮しながら俸給表を考えなければいけない。そういう意味におきまして、まあ中で実際に支給している糧食というものは、これは有料支給ではございませんけれども実質的にはやはり有料支給のような性格を持っているという点に着目しまして、その実施単を想定しながら、それに見合うものを引くということは、結局は相対的には公安職の俸給表と同じような待遇をいたしたいという考えでございます。
#186
○峯山昭範君 ということは、ちゃんと引いているということだ。こんなばかなことないですよ。ビラと違いますよ、内容は、現実の問題として。しかもおかしいことは、今回は五月にさかのぼって差額分は徴収されるわけです。そうでしょう。食べるほうは五月にさかのぼってどんなふうにして食べさせるのですか、みんなに。
#187
○政府委員(江藤淳雄君) 残念ながら現在の給与表の立て方からしますと、糧食費の改定というものは、給与改定と同時に行なうことは事実上できない。これは必ずしも合理的ではございませんけれども、現在の給与制度そのものがそういうようなたてまえになっております関係上、糧食費の改定というものを給与改定と同時に行なえない。ところが、給与が五月にさかのぼりますと、自然それだけの金がさかのぼって差し引かれるような結果になります。そこでそれらの給与から差っ引かれた金額というものは糧食費のほうに予算追加計上いたしまして、それで一月以降における隊員の糧食費について、質の改善なり、あるいは一部買いだめ等をしまして、その経費はすべて隊員の糧食費に還元されるという程度の措置は十分に講じてございます。
#188
○峯山昭範君 私は納得できませんね。何でかというと、それじゃ逆に五月からいままで差額の分は、一緒にまとめて隊員のために使うとはいいましても、それは五カ月なり六カ月なり使ってしまったら、がくっと落ちるわけですね、いろんな面で。今度はまたなくなりますよね、差額の分だけ。おかしいですよ、どう考えたって。ですから、ほんとうはこういうのは本人負担とするなら本人負担でもいいと思う。それならそれで本人に全部支給して、食べた分だけあとで徴収する、そうするのがあたりまえだと思うのです。そうでないと、これはビラは間違いですよ。募集のときのビラは間違いですよ。そうじゃないですか。あなた一生懸命答弁しておりますけれども、徴収しているということを一生懸命言っているだけですよ。給与表の体系上おかしいと思うのですけれども、さかのぼってなんて大体できないですからね。どうですか。
#189
○政府委員(江藤淳雄君) ビラの内容は決して間違っているとは考えておりません、と申しますのは、自衛官に入りました場合には給与は二万五千百円で、その場合には別に糧食等は無料で支給されておりますというような表現で出しております。一方、もし中における糧食費なり、あるいは被服の支給、住居手当等が、実質的に換算しますれば、本俸は二万五千百円であるけれども、実質的には何万円になりますというような二つの表現でやっておりますので、内容そのものが誇大広告であるとは考えておりません。
#190
○峯山昭範君 私はそれ自体ほんとうはおかしいと思うのです。そこであなた、おかしいことばかりなんですよ、これは。実際問題は差額をいただいてから給料から食べなかった分もさかのぼって徴収するわけですから、これはそういうことをやめるわけにいきませんか。それだけたとえば隊員にしても公務員にしましても、差額をもらうというのは非常にうれしいのですね。ところが食べてもいないのに差額を引くというのはちょっとおかしいと思うのです。あとでいろいろ品物で卵や何なりをもらうと思うのですが、そんなことをするよりも、それだけの分は自衛隊の曹士の人たちに上げるのがあたりまえだと思うのですが、大臣、これは。
#191
○政府委員(江藤淳雄君) わが国の自衛官の給料なり諸外国における軍隊の俸給の立て方がどうあるべきかということにつきましては、諸外国も非常に悩んでいるのでございます。実際に基本給をきめまして、プラス糧食手当、プラス住宅手当というような形式のことも一つの考え方でございますけれども、何しろ自衛隊というものは体力を常に保持しなければならない。そこで、各人の好みのものを食べる、あるいはそういう手当を出して、別個にそれを食べなければ、別に措置すればいいというようなものでは、自衛隊というものの士気というもの、体力の保持というものが成り立たない。そういうような特殊性にかんがみまして、諸外国の例を見ましても、意外に日本の制度のほうがいいという意見も多分にあるようでございまして、われわれといたしましても、たいへん悩んでいるわけでございますけれども、一応現在の制度でこのまま進むとしまして、なお本質的に自衛官の給与表はどうあるべきか、糧食との関係におきましてどうあるべきかということにつきましては、さらに今後十分検討したいというふうに思っております。
#192
○峯山昭範君 私はまだおかしいと思う。あまりこまかいことを言いませんけれども、総務長官が参っておられますし……。この食費の差し引くのが、防衛大学校と一般のところと違うわけです。引く金額が違う、そうでしょう。一般の曹士の皆さんは一日二百九十八円引かれている。防衛大学校だけは三百十五円引かれておる。何でこれはこれだけ違うのですか、これは十七円違う。
#193
○政府委員(江藤淳雄君) 自衛官の場合は、十八歳から二十二歳という年齢で、しかも非常に勉強もしなければならないということがございまして、やはりカロリーにおきましても若干差をつける必要がある。そこで防衛大学校のほうが幾分カロリーが高くなっております。
#194
○峯山昭範君 そんなばかなことはないですよ。一般の曹士の皆さんだってたいへんですよ。いまのはおかしいですよ、それは。防衛大学校の人はよけい食べさす必要がある、一般曹士の皆さんはそうじゃないというのはおかしいですよ、どう考えても。防衛大学校の人より一般の曹士の皆さんのほうが肉体労働的にたいへんなことが現実の問題としてありますよ。いまの理屈というのはこれはおかしいですよ。だから私はもっと、これは給与表自体が絶対おかしいわけです。ですからこれは抜本的に考え直す必要があると思う。江藤さんも給与の専門家ですから、あなたにかないませんけれども、あなたのほうが詳しいはずです。いずれにしても、もっと抜本的に考え直す必要があると思うのですが、どうですか。
#195
○政府委員(江藤淳雄君) 先ほど申しましたのは一般隊員の最低限のカロリーよりも防衛大学校のほうが高いということでございまして、自衛隊の中におきましても非常に重労働を要するようなものにつきましては、これはもちろんカロリーを加算してございまして、それは加給食の経費として国が別個に負担しまして、約六億円余りの予算が計上されております。そういうものはもちろん非常にカロリーが高いわけでございますが、最低の三千三百カロリーという隊員のカロリーに比べまして、防衛大学のほうは三千三百九十カロリーということで予算を組んでおります。
#196
○峯山昭範君 私はあんまりこういう問題をそう突っ込む気はありませんけれども、実際問題これはおかしいと思う、考えてみれば。江藤さんも自分でおかしいと思いながら言っていると思うのですけれどもね。
 それから、いま防衛大学の問題が出てきましたから、これも一言言っておきたいのですが、防衛大学の学生に対する学生手当ですね、これもちょっとおかしいように思う。これはやはり現実の問題として、防衛大学を卒業した後幹部自衛官となって自衛隊に残る人と、それからやめて民間に就職する人と二通りあるわけですね。そうしますと、私はこの学生手当の問題についてよくよく読んでみますと、修学にあたり必要な学用品、その他必要な学用品等日常生活の購入に充てるため支給されているということは、防衛庁で出しております医官の貸費学生というのがありますけれども、ああいうふうないわゆる奨学金みたいなものだと私は思うのですね。そうしますと奨学金という考え方に立ちますと、当然私は防衛大学の学生が防衛大学を卒業して防衛庁に残れば、そのお金は返さなくてもいい、奨学金みたいな性格にして、やめる人はそのお金を返すべきである、こういうような考えも成り立つのじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
#197
○政府委員(江藤淳雄君) 防衛大学校というものは、これは組織内教育でございまして、まず自衛官として採用し、学生はすなわち隊員でございまして、それで実際の将来の幹部自衛官となるべき教育訓練を施しているわけでございます。その意味におきまして、これらの手当はいわゆる部内の学生に対する奨学金というような性格のものでは律し切れないものがあろうかと思います。その意味におきまして、御指摘の奨学資金制度は防衛大学の学生についてはこれはとれないのではなかろうかというふうに考えております。
#198
○峯山昭範君 もうこれで終わりますけれども、あと防衛庁の災害補償の問題もあるわけです。この点については先般の委員会等でも大臣にずいぶん申し上げました。ですから、今回の給与法等ではそう伺っておりませんけれども、来年度のいろんな問題等では、災害補償等の問題についてもやはり慎重に検討して、そうして一般の自衛隊の皆さんが、同じ死ぬのなら交通事故で死んだほうがいいなんということじゃ私はしょうがないと思うのです。現実に私たちが自衛隊に行きましても、自衛隊員の皆さんが私たちに、交通事故で死んだほうがいいと言っているのですよ。こういうことじゃいけないわけですから、こういう点についても来年度の予算要求でどういうぐあいにやっていらっしゃるのか、当然そういう点についても気を配っていらっしゃると思うのですが、その点大臣の答弁をいただいて、防衛庁関係の質問は一応終わりたいと思います。
#199
○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛官の待遇改善につきましては、鋭意努力しておりまして、今度の給与法におきましても、一般公安職並みで、大体曹士の士の末端が二二%ぐらい上がります。特にいろいろ配慮をいただきまして感謝にたえないところでございます。いまの賞じゅつ金につきましても、来年度は一件五百万くらいに上げたい、いまは百二、三十万くらいになっておりますのを五百万程度まで持っていくように予算要求その他で努力している最中であります。
#200
○峯山昭範君 それじゃ総務長官にお伺いします。
 初めに総務長官にしぼって質問いたしますが、公務員制度審議会のことについてお伺いしたいと思うんです。
 去る十月の十七日ですか、「公務員等の労働関係の基本に関する事項について」という佐藤総理あての答申を出して第二次公務員制度審議会も終了したわけでありますが、ちまたの報道によりますと、第三次公務員制度審議会は人選困難によって、いつごろスタートするめどもつくかわからない。そういうふうなことがいわれておりますが、実際問題、これからいろいろ質問したいと思うんですが、この第三次公務員制度審議会等についてはどういうぐあいに考えていらっしゃるのか、いっごろ発足のめどが立つのか、そういう点についてまずお伺いしたいと思います。
#201
○国務大臣(山中貞則君) これは、実際の議論をざっくばらんに申しますと、経営者側の委員も、あるいは中立側の委員の皆さんも、もううんざりしたという意見等もありまして、三次の公務員制度審議会はごめんだという声が相当強かったわけです。しかし、やはり最終答申の中に見られますように結局両論併記、あるいは議論が平行線のままで終わった形で二次が終わりましたので、これでは何としてもやはりあと味の悪いしり切れになるわけでありますから、私のほうでいろいろとお願いをいたしまして、三次を踏み切るということにして、第三次公務員制度審議会というものを発足させることをきめたわけです。そのあとは、ただいま御承知のような国会の環境もございまして、私のほうからさらに委員等の新しい選任等について、組合の関係の方はわりあい選任は機関で選任されればよろしいから簡単でありますが、それぞれの中立あるいは経営側代表等についてはやっぱりそれぞれお願いをしなきゃなりませんので、容易にうんと言ってもらえそうにありませんが、何とか情熱を傾けて、引き続きできるだけ同じ人が就任していただけるように努力をしてみるつもりでございます。なるべく早くやります。
#202
○峯山昭範君 なるべく早くということでございますが、臨時国会もあしたで終わりまして、大臣も非常に忙しかったと思うんですが、多少また手もすいてくるんじゃないですか。忙しいとは思うんですけれども、早急に人選をして、特に今回の第二次の両論の併記という形で、実際問題これは何ともしようがないわけです。実際問題、公務員の団結権、交渉権、争議権というものは非常に重大な問題でありますし、やはり何らかのめどを立てないと私はいけないと思いますが、この点についても早急に発足させて、審議を始めらるように要望しておきたいと思います。
 次に、給与と賃金体系についてお伺いしたいと思うんですが、すでに人事院も設けられて相当長期間たちます。また、人事院勧告の問題も、ようやく二十数年にしてことしから完全実施ということになるわけでありますが、公務員の給与、すなわち賃金というものは、少なくとも使用者と労働者という両方が対等の立場で、やはり団体交渉によってきめるというのが一応は原則である。しかし、公務員についてはそれを対等の立場でやるんではあるが、その労働基本権というものが制約されておりますから、そのかわりにいわゆる代償として人事院が設けられている、そういうふうになるわけでありますが、ことしからようやく完全実施になりまして、そこで公務員の給与に関連いたしまして、政府としましても、普通なら労使間で決定される給与の制度については、すでに人事院ができて相当期間たちました。また、ことしもちょうど完全実施という一つの区切りに私はきていると思うんです。そこで、少なくとも、この第三次公務員制度審議会において、いわゆる給与体系といいますか、この現在のいわゆる公務員の給与の全般的なあり方についても、やはり公務員制度審議会に諮問をして、そうして何らかのまたもう一歩前進した体制、まあ現在の私は人事院制度も一応前進した制度とは思っておりますが、あともう一歩前進した制度というものを絶えず検討をやってみるべきじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、この点どうでしょう。
#203
○国務大臣(山中貞則君) 一応いまのところ、労働基本権について公務員制度審議会で審議してもらうたてまえになっておりますが、これはいろんな議論が出るわけでございまして、別段議題外だからと、議論を制圧するような委員会の運営でもありませんし、それらの間において基本的な問題も、あるいは給与に関する議論等も当然出るわけでありますから、それらの問題等は私たちも逐次参考に供するつもりでありますが、直ちにこれを給与体系のあり方、あるいはまた労働基本権という問題を、直ちに給与に関して、たとえば人事院を廃止してというようなことについて議論を進めるのには少しく、人事院勧告の給与が、本年から初めて、われわれにとっては申しわけない記録でありますが、原則どおり実行するということにきまったという画期的な年がことしでありますので、基本的な議論で、もう少し、人事院勧告が行なわれれば政府は完全実施をするものであるという慣行が樹立されて、その質、内容等についての議論がこれから中心になると思うのですが、そういうもので運営もしていくほうがよろしいのではないか。でないと、せっかく一生懸命努力しております総裁以下、また自分たちの存在そのものが吹っ飛ぶような議論が始まるようなことになりますと、せっかくいま緒についたばかりのところで、やりたい仕事を一ばい持っておられるようでありますから、意欲をそいでもいけませんので、そこらのところは適当に勘案しつつ、必要なことは必要なこととして検討していくという配慮をしてまいりたいと思います。
#204
○峯山昭範君 次に、いま新聞等で相当問題になっております所得政策の問題について、大臣の所見をお伺いしておきたいのでありますが、いずれにしましても、先般、佐藤総理も経団連の評議委員会で所得政策の問題を言いましてから相当議論になっております。やはり、いずれにしましても、この所得政策という問題は、給与担当大臣である山中長官の考え方というのは、非常に重大だと私は思うのですが、現在の段階で所得政策の導入についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、まず大臣のお考えを伺いたいと思います。
#205
○国務大臣(山中貞則君) 所得政策の入口は国家公務員給与からではないんですね。これはやっぱり生産性の範囲内における賃金値上げというものを政策的に誘導していくかどうか。そのよう政策を立てるかどうかの問題でありまして、でありますから、その結果あらわれたものが、人事院勧告と民間給与との比較という意味で、間接的に国家公務員には、結果、何かが変化があれば、その中身に及んでくるという形であろうと思います。ですから、現在の国家公務員給与について、現在民間においての方策としても、民間の慣例としても、所得政策というものが日本において定着どころか、緒にもついていない段階において、給与の担当大臣としては、この所得政策が国家公務員給与にもたらす影響というものについては、いまのところ考える必要のない範囲であると思っておるわけでございます。
#206
○峯山昭範君 民間におきましても、大臣も新聞等でお読みのとおり、民間、自分のところでつくった調査委員会でも所得政策を導入することはよくないという結論が出ているわけですね。そういうような観点に立って考えてみると、私は、総理大臣がこの経団連の会合で火をつけているわけです。現実の問題です。それ自体私は、実際は政府自身がもっと物価政策といいますか、そういうようなものに積極的に取り組んでもらわないといけないのじゃないか、それがまず第一だと思うのです。大臣は、そういうことは、もう物価政策については政府としても相当やっていると、こうおっしゃるかもしれませんけれども、実際問題として、この所得政策の問題については、欧米諸国でもいろいろ調べてみますと、相当、この所得政策をやって失敗している例がずいぶんあるわけです。そういうような点から考えても、私は賃金制度の中に所得政策自体を導入することはやはりよくないと思うのです。いま大臣がおっしゃいましたように、所得政策を導入することは考えていないということでありますが、いずれにしても、これらの点についてやはり慎重に政府としては取り扱っていただきたい、こういうぐあいに思うのですが、大臣どうですか。
#207
○国務大臣(山中貞則君) イギリスはいわゆる所得政策で結果として失敗した、アメリカは生産性のワク内において労働者の賃上げといういわゆる政策を掲げたのですが、これも実際は破綻を来たしました。いわゆる所得政策というものはいま経済理論上あり得る一つの理論では確かにありますけれども、現実に採用してその国がそれらのガイドポストによって成果をおさめたという国はないということを考えますときに、一つの当面の論争点ではあろうと思います。ことに物価問題等に関連をして、中小企業等そのまま製品に転嫁せざるを得ない、製品に上乗せせざるを得ない人々の立場に立ってみれば、かといって、求人難の折から大企業の待遇を著しく下回る条件で人を雇うこともできないという苦境等もあろうと思いますから、なお議論は続くと思いますけれども、しかし、日本はまだ学説的にも、あるいは政治の運用の面でも定着した段階にきておりませんので、閣議でも議論は行なわれておりますが、これを閣議で決定して推進するというところまでいっておりません。したがって、私としては国務大臣の立場で言いますならば、給与所得政策というものはもう少し慎重に検討を要する必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#208
○峯山昭範君 総務長官けっこうです。
 人事院総裁に質問したいと思うのですが、初めに、人事院勧告始まって以来、ことしは完全実施であるわけでありますが、今日まで人事院も完全実施ということをただ一本にしぼって、それこそわき目もふらず完全実施を叫びながら現在までやってこられたと思うのですが、その努力を私たちは評価したいとは思うのですが、そこで、この公務員給与というのは民間給与とバランスをとる、そういうふうな民間給与との比較ですね、それに基づいていわゆる民間追従主義と言えば大臣におこられるかもしれませんが、それに基づいて人事院は現在までいろいろやってこられたと思うのです。しかし、私はその中にも公務員給与が民間給与を上回っている職種が幾つかあると思うのですね。これは実際問題、給与のあり方の根本的な問題として私はお伺いしたいのですが、そういうふうな公務員のほうが上回っている職種というのは、これはいろいろ理由は私はあると思うのですが、何といいますか、ここにも出ておりますが、海事職とか、教育職ですね、それから医療の(三)、それからいろいろありますが、比較する場合こういうふうなものは別にして、いわゆる何といいますか、こういうふうなものとは切り離して、そして行(一)、行(二)の比較を中心にして勧告をやり直すべきじゃないか。もっとわかりやすく言いますと、いわゆる職種別の給与是正といいますか、そういうようなものを考えるべきじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
#209
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもが官民比較のたてまえを堅持しておりますのは、かねがね申し上げておりますように、やはり納税者を含む国民大衆の御納得を得るものでなければならない、したがって、民間の水準をとらえて、せめてここまで合わせていただきたいという立場でずっときておるわけでございますが、その場合に、ことしの場合で言えば一二・六七という全体の格差の問題が一つあります。それから第二には、今度は内部での配分の問題がございます。内部での配分の問題につきましても、民間の動向は十分把握しつつやりますけれども、しかし、これはまた公務員部内のそれぞれの特殊性がございます。あるいはそれぞれの職種の重要性、特殊性というものもございますからして、その辺のあんばいは、これはもう当然いたさなければならぬ。その結果、御指摘のような、たとえば看護婦さんでありますとか、あるいは学校の先生というような方々に対しては、民間よりも上回った待遇をしているわけであります。さればといって、これが上回った待遇をしたのは、われわれのやはり配慮の結果やったのでありますから、だんだん上回った配慮をするものがよけいになってしまって、いまのようなお話になりますと、今度は比較するようなものがないというようなことにもなってまいります。やはりわれわれとしては、一応、べたで比較した上で、この中でさらに部内の立場からの配分をきめていく、そういうたてまえでおりますことを一応申し上げたいと思います。
#210
○峯山昭範君 しかし、通常民間におきましては、いわゆる生産性の向上する職場といいますか、そういうところで働いている人たちは賃金はどんどん上がっていきますね、実際問題としまして。民間給与が公務員より低い、先ほど言いました教育職とか、医療職の中の看護婦とか、こういうのは民間の企業は給料は低いわけです。というのは、やはり生産性の向上というものははかれないわけです、実際問題としてですね。そうすると、そういう人たちは公務員の給与を基準にして、そして低賃金に押えられている、そういうふうになるのじゃないかと思うのです。そこら辺のことについて人事院としてはどういうぐあいに考えていらっしゃるのか、掌握していらっしゃるのか、この点どうですか。
#211
○政府委員(佐藤達夫君) いま生産性の問題が出ましたが、私どもとして、この生産性の問題として一番痛感しますのは、給与勧告をいたしました場合に、たとえばことしのような場合は一二・六%も大幅な勧告をした、民間追従だというけれども、一体民間の生産性と公務員の場合とで比べた場合に、はたしてそれがバランスがとれておるのかどうかというようなことで、むしろ賃上げの幅が大き過ぎたということ、批判として財界方面からきびしくやられているわけであります。そういう意味で身にしみているわけでありますけれども、これは、御承知のように、公務員の場合について生産性というものが大体量的にはかれるかどうか、これは仕事の性格からいって、私は生産性という面からものさしを当てるのはなじまないところだと思います。したがいまして、生産性ということだけを根拠として財界方面から追及されるということは、はなはだ私どもとしては心外であります。しかしながら、かりに生産性の問題に目をつけて、そこから問題を引き出してみますとすれば、われわれ公務員が一生懸命働いておる、これはやっぱり国全体の生産性の向上に直接あるいは間接に貢献していると、これは言ってよろしかろう。御承知のように、数年前にロンドン・エコノミストで、日本の経済交流について公務員がいかに貢献しているかということを書いてくれたわけです。そういう見方からすれば、やはり生産性について貢献をしているということは言えると思いますけれども、いま御指摘のような趣旨からしますと、それは看護婦さんなんかはかわいそうなことになってしまいます。そういうことはわれわれとしては言えないのじゃないかという気持ちを持っております。
#212
○峯山昭範君 まあ、総裁のおっしゃることもよくわかる、ですけれども、確かに私は民間の、公務員より低い職種の給与というのは、公務員給与を基準にしてやっぱりきめていると思うのです。ですから、毎年、人事院が幾ら調査をしてもその公務員より低く出てくるのは当然だと思うのです、実際問題としてですね。そこで、先ほどもちょっと言いましたように、現在やっているところの行(一)、行(二)ですね、その給与表を基準にして、そうして民間と公務員のバランスをとりながら、いわゆる、いま述べたその公務員給与の基準になっている行(一)、行(二)というのを中心にして、そして官民格差を比較して、そしてその格差を是正しながらそれを基準にしてそのような職種ごとですね、いわゆる給与表をつくるというのは、私は一つの方法だと思うのですが、これはどうですか、総裁。
#213
○政府委員(佐藤達夫君) 官民比較のたてまえというのも非常に厳格な、私どものやっておりますような厳格な方式からだんだんゆるやかな方式にいろいろな段階が私はあると思います。一番ゆるやかな方式としては、いま御指摘のような面も出てまいりますし、あるいは場合によったら、日本のごく一流の企業を比べるべきではないかという論議にもなると思います。さらにそれから先に行きますと、もうそういうものにかかわりなしに、公務員独自の給与制度を設定していいのではないかというところまでつながります。私ども一番その底辺に当たります一番手がたいところからいまやっておるわけであります。これは経済情勢、一般の賃金情勢等の変化に応じてわれわれは気楽に勧告ができるような世間、社会になってほしいとは思いますが、現在のところでは、先ほど申しましたようなたてまえからいまの手がたい方法でやる。ただし、その段階のあれとしては、周囲の情勢の変化に伴って、だんだんと、たとえば行政(一)だけを基本に比べるという方式も考えられましょうし、大企業と比べるということも考えられましょう。これは将来の問題としては私は否定できないことだとは思います。現在の段階としてはいまの手がたい方式でやらしていただく、こういうことでございます。
#214
○峯山昭範君 いろいろありますけれども、委員長から時間を制限されましたので、ちょっと質問者としては……。
 まず、今回の法案の中で、またちょっと観点を変えて質問したいと思うのですが、人事院規則に譲るというようなのが、ずいぶん多いわけです。その中で相当たくさんありますので、もうすでに人事院としてはこの人事院規則というのはできていると思うのです。そうでないと実際問題として給与をもらうほうとしては――もう支給もできませんし、何もできませんから、人事院としてはできていると思うのですが、その中でまず一つは、問題の調整手当ですか、調整手当のあれはいわゆる特甲地ということにしたのですか、あれはどうですか。総裁、きまっていますか、もう。
#215
○政府委員(尾崎朝夷君) 調整手当の今回八%地域につきましては、人事院規則で指定いたしたいというふうにお願いしているわけでございますけれども、私どもとしましては、八%地域といたしましては、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府または兵庫県に属する地域の現在の甲地を八%にいたしたいというふうに考えております。
#216
○峯山昭範君 そうしますと、現在の甲地を、いま言いました甲地を何地と呼ぶのですか、名前は。特甲地と言うのですか。
#217
○政府委員(尾崎朝夷君) 特別に名前はございません。八%の地域でございます。
#218
○峯山昭範君 甲地、乙地とあるでしょう。もう一つのやつは、八%地域ですか。
#219
○政府委員(尾崎朝夷君) 甲地、乙地、非支給地という区分でございますけれども、甲地につきましては、たてまえとして六%でございますが、その中で一部の地域を八%を支給するということになっているわけでございます。
#220
○峯山昭範君 それではいま大阪府の現在甲のところを八%という話がございましたが、そこでちょっと申し上げますが、これから言う市は何%ですか、一ぺんお伺いしておきたいのです。藤井寺市、羽曳野市、松原市、これは何%ですか。
#221
○政府委員(尾崎朝夷君) お答えいたします。
 現在八%に入っておりませんので、八%地域ではございません。
#222
○峯山昭範君 これは総裁、もう非常に矛盾しているわけですよね。いま私が言いました市というのは、今回支給することになっているところの富田林のほうがずっといなかなんです。松原市とか、藤井寺市とか、羽曳野市のほうがずっと大阪市寄りで一番発展しているところなんです。そういうところは全然なし。六%でもない。三%でもない。そうして富田林市は八%、私は、もらうのはいいですよ、よけいのほうがいいですけれども、これはおかしいじゃないですか。こういうようなきめ方、ここら辺のところはもうあまりこまかいことを言うと、またいろいろあれですけれども、これはほんとうにもつと検討すべきだと思うのです。こんなばかなことないですよ。これは現在でもおかしいわけです、すでにもう。摂津市というのがあるのですよ。吹田と茨木の間にあるのです。ところが、その摂津市はない。ゼロです。吹田と茨木に支給されるのが八%、六%でも三%でもない。隣の市は八%で片方はゼロというのはほんとうにおかしいと思うのですよ。ここら辺の基準はやはり人事院としてももっと抜本的に考え直すべきだと思うのですが、これはどうですか、総裁。
#223
○政府委員(佐藤達夫君) おっしゃることはよくわかります。ただ、現在の調整手当ができますときの大体の両院の内閣委員会の御決議の趣旨もありまして、一応従来の暫定手当の支給地を基礎にしてということでございますから、今日までのところ一応われわれも検討はずっと続けておりますけれども、今回まではその趣旨に沿っております。なお、しかし、官署指定の方法が別にございます。あるいはまた今回は旧市町村によっておりましたところを、ことしの五月現在の市町村の区域に広げましたので、その点の変化はございましたけれども、なおあと三年ぐらいのめどをつけまして、われわれとしては、さらに検討を続けてまいりたいという気持ちでおります。
#224
○委員長(西村尚治君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#225
○委員長(西村尚治君) 速記をつけて。
#226
○峯山昭範君 総裁、この問題は非常に私は大事だと思うのです。国会の決議があるかもしれませんけれども、国会の決議も私はこういうぐあいに新しい時代に改める方向には何らやぶさかでないのです、実際問題として。ですから、これは三年というのは長いですよ。もうちょっと早くこの点については検討を開始して、どうかすみやかにやってもらいたいと思うし、また官署指定という方式があるならば、何らかの方法でそういうふうなところを補うようにしてもらいたいと思うのですが、これは総裁どうですか。
#227
○政府委員(佐藤達夫君) なお十分検討を続けてまいりたいと思います。
#228
○峯山昭範君 それから――もう片方から時間を督促されながら、これはほんとうにむずかしいですが、あともう二、三問題点があるのですが、先般、同僚議員からもずいぶん話がありましたけれども、この高齢者の延伸という問題については私たちはどうしても得心がいかないのですね。この問題についてはずいぶん前の給与のときにもありましたけれども、もうとてもじゃないけれども得心がいくような制度ではないと思う。実際問題、いま総裁が絶えず宣伝していらっしゃる当面その対象者の年齢は五十八歳以上として、行(二)または医療職の適用を受ける職員については六十歳以上とすると、こういうぐあいになっておりますが、この措置は一体いつまで続けるつもりなのか、この点についてもお伺いしておきたいと思いますし、また、できることならばこういうふうな制度というのは、実際問題、非常に問題が多いと思うのです。この点について、毎年、年齢別の官民給与格差というものを出して、官民給与の問題が、いわゆる現在、官のほうが民より非常に高くなっている。だから、そういう延伸をしたのだろうと私は思うのですけれども、将来は、これから先は平均寿命も延びておりますし、五十五歳、六十歳からまだ定年を延ばそうという話もずいぶん民間では出ているわけです。そうすると、実際問題、官民格差を比較して老齢者が民間のほうが高くなるということも将来は考えられると思うのです、実際問題としてね。そういうような場合、いわゆる官民の差がなくなってきた場合、これはやはり高齢者の昇給延伸というのを廃止されるということも考えられると思うのです、実際問題としてね。ここら辺の考え方についてはどういうように考えていらっしゃるか、この二点をお伺いしたいと思います。
#229
○政府委員(佐藤達夫君) 法律の文面では五十六歳以上と切っておりますけれども、いまおことばにありましたように、当面五十八、ものによっては六十ということを考えておりますが、これは申すまでもありませんが、法の実施による急激な衝撃を緩和するためということでありますと同時に、いまお話しのように周囲の情勢の変化というものが今後ございますから、両々相見合わせまして、そして酷なことにならないようにという気持ちで臨んでおります。
#230
○峯山昭範君 高齢者の昇給延伸によって一体どれだけの額が節約できるのですか、実際問題として。これはほんとに私はこの点をお伺いしたいと思うのです。私が聞いている範囲では、高齢者の延伸で六億ぐらい節約できるという話を聞いているのですが、まあそこら辺のところはどうか知りませんが、あとで正確に教えてください。六億円くらいと私は聞いているわけです。しかし、今回の期末、勤勉手当で〇・〇九カ月分ですか、削っておりますでしょう。〇・〇九ヵ月分切り捨てられているでしょう。これは実際問題、計算してみると三億七千万です、これ。こういうようなところは、二年かけると六億以上になりますね。そういうところを相当なお金がばっさり――まあ昇給延伸では六億円節約して、こういうふうなお金ではばさっと切っている。私たち、公務員の皆さんもこの点については非常に納得できないと思うのですよね。こういう点については、総裁、どうですか。
#231
○政府委員(佐藤達夫君) 高齢者問題については、おそらく私の説明が非常にへたでありますために真意がおわかりいただけないんじゃないかと、まあきわめて残念に存ずるわけであります。いまの、たとえば節約というおことばがございましたが、われわれはそんなことによって四億か五億くらいの程度のお金の節約のためにやろうという気持ちは毛頭ないわけです。これはたびたび申し上げたと思いますけれども、官民の格差を比較いたします場合に、高齢者の分は公務員のほうがずっと高くなっており、民間のほうがずっと低くなっておる。そのために、官民比較のたとえば一二・六七%というようなものにそれが影響してマイナスの要因に働いておるということでございます。たとえばこの高齢者の問題を報告書に出しましたのは去年でございますが、去年は一〇・二でありましたけれども、これは一体一けたか、二けたかということは、たいへんな、これは公務員組合の諸君についても重大な関心事でございましたし、また、われわれ人事院におきましても、一けたか、二けたかということは重大な関心を持ってその結果を見ておったのです。そういう場面になるというと、こういうマイナス要因というもののためにせっかくの全体のパーセンテージが損になる。たとえば、一けたでとどまるか、二けたになるかというような境目のところが、こういうところによって出てくるのじゃないか。まあ今日のところは別として、今後の問題を考えますと、少なくとも〇・三か、〇・四くらいはマイナス要因になってくるわけです。そういう点を早いうちに手を打って、全体の公務員の給与が損にならないように、ここで手を打とうということがわれわれの気持ちでございまして、したがいまして、いま経費が余るということはあり得ないんで、これは全体の格差がそれだけよけい出ますから、そしてそのよけい出た格差を今度は若い人たちに、働き盛りの人たちのほうにそれを回すのであって、たとえば四億円浮いたにしても、それがそのまま浮くのじゃなしに、若い人たちの俸給のほうにそれが及んでくる。全体の公務員の給与が沈むことをここで防ごうということでありますので、口がへたで、説明がまた十分でないためにおわかりいただけないのは非常に残念に思います。
#232
○峯山昭範君 そこで非常に、時間の問題がありますけれども、どうしてもまだ二、三やらなきゃいかぬことがある。
 昇給って何ですか。昇給の意義ということについて、総裁、教えてください。公務員の皆さんが昇給しますね、毎年ね。どういう場合に昇給するのですか。昇給の意義について教えてください。
#233
○政府委員(佐藤達夫君) 昇給ということは、どういう理由によってそういう制度があるのかということでございますけれども、まあ大体三つあげることができるのではないかと思います。と申しますのは、だんだん勤務年数が経過していきますと、それだけその人の能力なり何なりが向上していく、その向上に見合って給与も上げていく。それからもう一つは、だんだん年数がたちますというと、若い人が入って、だんだん結婚をし、子供が生まれるということになってまいりますと、やっぱり生活上の負担もだんだん増していくだろう。それからもう一つは、昇給については、勤務成績が悪くては、これは昇給させるわけにはいきません。良好な成績でお勤めになった人への一種の励みを与えるといっては語弊がありますが、そういう面と三つあると思います。
 そこで、高齢の方々の不満を見ますと、これは一般の問題なんでございますけれども、一般の問題としてみますと、高齢――ある程度の年齢になりますというと、何と申しますか、勤務の能力というものがだんだん向上していくというその向上も頂点にお達しになるであろう、あるいは生活関係の負担も、だんだん子供さんが大きくなられて楽におなりになるだろう。一般の原則としてそういうことが言えますものですから、普通の昇給制度として、民間においては五十六歳なり何歳以上の人は昇給停止、あるいは昇給延伸という形をとっている事業体が八〇%くらいになっている。やっぱり昇給理論から申しますというと、そういう筋というものがあるだろうということをわれわれは基礎にもいたしておるわけでございます。
#234
○峯山昭範君 総裁ね、私はぜひとも一ぺん総裁に、昇給延伸をされた人たちの悲痛な声というのを聞いてもらいたいと思う。そこへ一ぺん行って総裁説明してください。あのね、いま総裁は、年もいって子供たちも大きくなりまして働きに行きましてというお話がございましたけれども、現在の昇給延伸される年齢の人たちの子供が、実際に学校を卒業して社会に出て働いているかというと、そうじゃない、まだ高等学校や大学へ行っている人たちがずいぶんいる。そのために昇給延伸されるということは、非常にそういう人たちにとっては、これから生活のいろいろな面でやはり日ごろその勤労意欲というものをそぎますよ、このままじゃ。またいま総裁は、昇給の意義について話されましたけれども、一般職給与法八条の六項には、「職員が現に受けている号俸を受けるに至った時から、十二月を下らない期間を良好な成績で勤務したときは、一号俸上位の号俸に昇給させることができる。」と、こうなっていますね。これは逆に言いますと、昇給延伸させるということは、要するに、十二カ月を下らない期間を良好な成績で勤務しているわけです、みんな。そういう人たちが良好な成績で勤務していないと総裁は言うことはできないと思うのです。まじめに働いている人が――中には悪い人もいるかもしれませんけれども、もっと逆に言うと、勤務成績が悪くなる以外は、これは昇給させなきゃいけないわけですよね、実際問題。民間との給与を比較してどうのこうのという話もございますけれども、そういう人たちは、まじめに働いて、それで勤務能力もだんだん下がってきて、よぼよぼになって、だから昇給延伸というなら意味はわかりますけれども、現在のこの年齢ではどうですか。総裁自分とよく考えてください。ほんとうにぴんぴんしていますよ、みんな。実際問題こういう方々が昇給延伸されるということは非常に――いま五十六歳でしょう。五十六歳、六十歳といいますと、ぴんぴんしていますよ、ほんとうに。そういう方々が実際問題こういう点から考えて、昇給延伸される理由という理由が薄弱だと思うのです。若い人にと言いますけれども、若い人は若い人でもっと国が上げればいいのですよ。何もお年寄りの分をへずっていかなくてもいいのです。
 まあいろいろあると思いますけれども、いずれにしても、こういうような観点から考えて、総裁ね、まあほんとうにわれわれはこの制度というのは――まあ人事院総裁はほんとうに一生懸命やっているということは私はわかります。ほんとうに総裁にかわる人事院総裁はなかなかこれからは出てこないのじゃないかと私は思うのですけれども、実際問題、この問題はこれはえらいことですわ、ほんま。ほんとうにこういう制度を残されるというのは非常に遺憾だと思うんですがね、総裁、どうでしょうかね、これは。
#235
○政府委員(佐藤達夫君) いまおあげになりましたようなお気の毒な方々は、えてして中途採用者において多いということも大体の見当はつきますので、今回の実施にあたりまして、私どもはやはりこれらの在職者の方々の調整というような点もあわせて、できるだけ衝撃の少ないようにという配慮は十分しておりますけれども、何ぶんにも忠ならんとすれば孝ならず、どうしても公務員全体の船が沈むことを防ぐためには、こういう高齢の方方については少しは――たいへんなきっとがまんだろうと思いますけれども、がまんをしていただきたい。これは私どももほんとうに人からにくまれるようなことをしでかしまして、何も好き好んで、私個人のことを考えれば、こんな人のいやがることをやらなくてもいいと思いますけれども、しかし、遠い将来を見通して、公務員全体の利益ということを考えたならば、ここでやはり思い切ってこの措置をとっていただかないと、あとが心配だ、ただそれだけの情熱から出ておるということだけは御了解をいただきたいと思います。
#236
○委員長(西村尚治君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#237
○委員長(西村尚治君) 速記始めて。
#238
○峯山昭範君 もうこれ以上、私もさんざん言われてやめざるを得ませんけれども、ほんとうは、総裁、これからうんといろんな問題を聞きたいと思っておりました。特に給与の、あれですね、予告編がありますね。予告編。予告編というのはこれはいかぬと思うんですよね。これはいかぬわ。ほんとうにいかぬと思うのですけれども、去年とことしと、えらい――何でこんな予告編をやるようになったのですかね。これはほんとうによくないと思うんです、私はね。これはもうどう考えても、私は人事院の性格――私たちは人事院に何もワクをはめたり、いろいろしたいとは思いませんけれども、こういう点が出てくるとどうしてもやっぱり人事院にも一言かっちり言っておきたいという考えが出てくるわけですよ。まさか来年、ことしの予告編を実施するということはないとは思うんですけれども、この点はどうですか、総裁。
#239
○政府委員(佐藤達夫君) これは参考資料にもつけておりますとおりに、民間における場合を見ますというと、いかにも顕著な階層別の扱い方の差異というものを見せておる、これは一体どういうことでしょうという現実をやはりお目にかけまして、いや、民間はそれでいいのだ、公務員の場合は性格がこうこうで違うので何も見習う必要がないというのか、あるいは、なるほどそれは一つの理屈がある、やはり民間のほうが筋が通っているどいうことになるのか、そういう意味で虚心たんかいにこれは問題を投げて、そして御批判なり、お教えを受けて、まだこれは来年までずいぶんこの委員会も機会がございますでしょうから、その際に十分にいろいろの御意見を聞かしていただきたい。そういう意味で、予告編とおっしゃいますけれども、問題提起編というようにひとつお考えいただきたいと思います。
#240
○峯山昭範君 もうこれで終わります。総裁も予告編、問題提起編を出されてずいぶんなりました。ずいぶん委員会等にも出られていろいろ意見も聞かれたと思うんです。民間と公務員とは私はずいぶん違うと思うんです。総裁が前段に言われたとおりだと思うんです。そういう点から見まして、やはりこの点については慎重にやっていただきたい。そしてまた、総裁がこの間からずっと委員会等に出られて半年近くなります。この間にこの問題についても相当いろいろなところでいろいろなことを言われたと思うんです。そういうことも考え合わせて、大体の意見というのは出てきていると私は思うんですけれども、現在のその問題についての総裁の心境をお伺いして、私の質問は終わりにしたいと思います。
#241
○政府委員(佐藤達夫君) 十分御意見を拝聴しながら、私ども自身も研究を進めてまいりたいと思います。
#242
○片山武夫君 今度の給与法案に対しまして、人事院総裁と行政管理庁長官にちょっとお尋ねしたいと思います。
 今回の給与改定法が今度は完全実施、こういうことに決定を見ました。この決定をするときにあたりまして、これは八月の閣議ですが、このときにいろいろこの実施にあたっての条件、条件といっては語弊があるかもしれませんが、対策がいろいろ内閣において検討をされた。この勧告を実施するにあたって、この財源の一部に当てるために行政経費のいわゆる節約、大体八%を目途とする、こういうことがきめられております。なおまた具体的には、これは一般職員三年九%、その他の非現業職員全体として三年五%以上の人員の削減をはかる。これが一つ。さらに当然このことに従って配置転換あるいは事務の簡素化、こういうことが推進されなければならない、こういう決定がされたと報告されておりますけれども、このことについて、これはよく荒木長官は守備範囲ということを言われるので、荒木長官の守備範囲に入るか入らないか、ちょっと私わかりませんけれども、これを具体的に推進する元締めになるところは一体どこでしょうか。もちろんこれは総理大臣であるかもしれませんけれども、ちょっと具体的に推進される省はどこになりますか、ひとつ長官からお答えを願いたいと思います。
#243
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。
 定員管理と行政機構については、わがほうの守備範囲でございます。
#244
○片山武夫君 大体これは各省庁にまたがる問題で、その元締めとして行政管理庁で行なう、こういうことになると思いますが、そうすると、いますでにここできめられておるように、行政改革本部ですか、ここでもってこの具体策を立てるのだ、こういうことになっておりますが、これはどの程度進行しておりますか、進行状況をお伺いしたいと思います。
#245
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
#246
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。
 八月二十五日の閣議決定の内容につきまして行政管理庁関係の点が二点ございまして、第一点は定員の計画削減、第二点は行政機構の簡素合理化の点でございます。
 第一点につきましては、第一次の三年五%計画に引き続きまして、昭和四十七年から三カ年にわたりまして三年間五%を上回る定員削減計画を策定することになっておりまして、これはまだ現在の段階におきましては策定はいたされておりません。
 第二点の行政機構の簡素合理化につきましては、これは先日、十一月二十日に閣議決定をいたしまして、地方支分部局の簡素合理化、行政組織法の改正等の点につきまして、現在検討中でございます。
#247
○片山武夫君 そうすると、これは本気でやる気になっておられるのだと、かように考えて質問をしたいと思います。
 このいわゆる定員削減の問題と、これは定員外職員との関係、特に常用職員、これは密接不可分の関係があると私は思うのでありますが、前にも総理は定員外職員なんていないと思っておった、こういう答弁があったわけであります。それほど軽視されておる。ところが各省庁にはそれぞれ定員外職員が多数おる、そして常用の形で仕事をしている。したがって、定員削減はしたけれども、いわゆる定員外職員はふえている、こういうことになったのでは本末転倒してしまうと思いますが、この定員削減方針というのはどこまで進行しておりますか、ひとつ長官にお伺いします。
#248
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 定員外職員というのは通称でございまして、定員のほかに臨時職員がいる。その臨時職員が定員内の職員的な仕事をしている事実があるという関係において言われることばと思います。昨年八月、当委員会でありましたか、どなたかからの御要望がありまして、いわゆる定員外職員の実態調査をいたしました。一年数カ月かかりまして、ようやく調査がまとまりましたので、その結果を御報告したほうがよろしかろうかと思います。政府委員からお答えいたさせます。
#249
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。
 定員外職員の問題につきまして、ただいま長官よりお答え申し上げましたように、昨年八月以来、各省庁において調査を行ないまして、先般その調査結果の取りまとめがあったわけでございますが、その調査の結果によりますと、昭和三十六年に決定いたしております定員外職員の常勤化の防止の閣議決定は各省庁において順守されておりまして、定員外職員の従事しておる業務で、定員上の増員措置を要するというものはないという結論になっております。なお参考として数字を若干申し上げますと、日々雇用職員として昭和四十四年七月一日現在在職しております数が一万五千八百八十二名、国立学校を加えますと二万五千九百十一名、それに五現業及び地方自治法附則八条の職員を加えますと約八万人を若干上回るものがおりますが、その中で二年間にわたりまして任用の予定期間が十一月をこえるものにつきましては、これは一般行政機関で二千八百三十三名、国立学校を加えますと七千名をちょっとこえる程度でございます。また五現業及び地方自治法附則八条の職員を加えますと一万八千人を少しこえる程度でございます。
#250
○片山武夫君 私のお伺いしたいのは、先ほど三年間九%と、これはまあ現業職、それから非現業職員、これを含めて三年間五%、こういう削減方針をきめた。この削減とこの定員外職員をなくしていこうというこの関係ですね。この関係をこれからどういうふうに処理していこうとされておりますか。業務の簡素化ということによって定員を削減しても十分仕事をやっていけるという見通しの上に立ってやっておられるのか、あるいはまた定員を減らすことによってこの定員外がふえていくという傾向にあるのか、その辺のところの見解をひとつお伺いしたいと思います。
#251
○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃるとおりでございまして、業務の簡素化、能率化をはかりつつ少数精鋭でやっていくという限度内において定員削減をいたそうというわけでございます。したがいまして、この結果、圧力がかかって定員外職員がふえるという関係に立つとは思っておりません。
#252
○片山武夫君 それは絶対にしないと言い切れますか。
#253
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 人員整理でございましょうか。
#254
○片山武夫君 結局、定員としては減らしていく、しかし足りない分は定員外で補っていくと、こういうことはやらないということは確認できるかどうですか。
#255
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 定員を減らすということは自然減をといいますか、自然退職者が出た、その定員を減らしていくということでございまして、当然の関係はございません。関係はないと断言できます。
#256
○片山武夫君 これは前の総定員法の審議のときにいろいろ問題になった問題だと思います。いわゆる事務の簡素化をはかっていかなければ、これは定員を減らすことは私はできないと思います。そういう観点に立って、この行政、いわゆる事務の簡素化を強力に推進させていかなければ、定員の削減はこれはなかなか目的を達成できないのではないか。したがって、これは並行していかねばならぬ問題。そこで並行しない場合に、やはり定員だけは至上命令として減らさねばならぬということになってくると、その分は定員外で補っていかねばならぬ、こういう結果になっていくと思うんですが、そういったようなルーズなことでこの問題を処理しようとしているんではないだろうと思いますが、その辺のところの見解をお伺いしたい。
#257
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 閣議決定なんかでも、仕事を合理化する、簡素化する、許認可事務を減らすなどのことを決定いたしまして、その作業と並行して五%削減計画に合わせて定員を減らしていくという構想になっております。その間の事情、詳しくは政府委員から補足説明いたさせます。
#258
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。
 第一次及び第二次の行政改革計画によりまして、事務の簡素合理化をはかっておりますが、この中で、たとえば許認可等の整理につきましては、現行許認可の約一割以上を整理いたしております。また報告類につきましては現行報告類の二割以上を整理いたしております。また補助金等の整理も行なっておりますし、あわせまして事務の機械化によりまして、コンピューターの導入その他単純な機械の導入等によりまして事務の簡素合理化をはかっております。またさらに事務の民間委託等も促進いたしまして、これによりまして官庁事務をできるだけ少なくするようにという措置をとっておりますので、そういう措置とあわせ考えていただきまして、定員削減を行なっていくということでございます。
#259
○片山武夫君 もう少し時間をかけていろいろお聞きしたいことがあるんですが、何かたいへん時間も迫っておるようですし、給与関係も早く上げなければならぬという、いろいろ首を長くして待っておられる層もあるようですから、一応この問題は打ち切りまして長官の質問は打ち切ります。
 そこで、人事院総裁にお伺いしたいんですが、具体的な問題を一つお伺いいたします。今度の給与改定にあたって、官民比較によっていろいろ算出をされた、私はこの基本線は認めてもよろしいと思います。その基本線に従って一つ疑問の起きるのが、このいわゆる五十六歳以上の延伸の問題です。私はこの取った資料そのものに問題があるかと思うんであります。ということは、民間で大体五十六、七歳は定年、そしてそれ以上働いている人は再就職、したがって、これは当然収入は減っておる、こういうことについては十分認識されておると思います。ところが公務員の場合には、継続して同じ仕事か、あるいはまた重要な仕事をすると、こういうことになっておる。先ほども指摘されましたように五十五、六ではまだぴんぴんしておられる。そしてまた重要な地位にもおられるし、能率も相当上がっておると思われますが、そういう点で、民間比較ということを打ち出されたので私は指摘しておるわけですが、一方において給与の下がっておる原因は、継続していない、断絶した状態の中で給与が下がっておるわけです。それと比較したんでは比較に私はならないと、こういう点で矛盾があるんではないかと思いますが、この点いかがお考えになっておりますか。
#260
○政府委員(佐藤達夫君) その点はおっしゃるとおり私どものほうも十分考えておるわけでございまして、したがいまして、定年後におけるたとえば再雇用の人たち、あるいは臨時の形で継続するというような人は、それに当たる雇用形態というものは公務員にありませんから、そういう人たちは全然比較からはずした上でのことでございます。したがいまして、心配のような面は除いてあるということを御了解いただきます。
#261
○片山武夫君 それはまだちょっと私は足りないと思うんです。これは嘱託とか、あるいは臨時とか、そういう形で再雇用されておる人は、これは対象にならぬでしょう。しかし、継続して他の会社にある程度の地位で入っていく場合にも、いわゆるもとの給与よりも低い人があるわけです。そういう人がだいぶ私はこの中に入っていると思うんです。そういう点、分析されたかどうか、その点をお聞きしておるんです。
#262
○政府委員(尾崎朝夷君) 個人個人について調査は非常に困難でございますけれども、いま御指摘のような、たとえば五十五歳定年の企業をやめまして、そして別の会社に行くといったようなケースがあると思います。そういう関係も、無期限雇用として採用されて、つとめておりますれば、私どもとしては調査いたしておるわけでございますが、一方、公務員におきましても、そういう方々が無期限雇用として入ってきておるわけでございます。そういう関係で両方が特に違っているということではないと思っております。
#263
○片山武夫君 その点は、私はもう少し十分に調査をして、的確な官民比較をやってもらいたい、こういう希望を持っているわけなんですが、どの程度精密にやられているか、そういうところに疑問がありましたので、実はお伺いしたわけでありますが、これは相当私は調べ方によっては違った結果が出てくるのではないか、こういう感じがします。
 次に、住宅手当の問題なんですが、今度新しくこれはつくられた。これはけっこうなことだと思いますが、先日、総務長官は、住宅手当は時期尚早であったと、こういう発言をされている。私は逆に、これはおそ過ぎたと思うのです。ということは、これはもう政府の住宅政策の貧困からきている、最大の原因は。したがって、私はこれはおそ過ぎたと思うわけなんでありますが、これは見解の相違だからここで論議はいたしません。ただ、この具体的な内容として持ち家四七%、その他これは親戚の間借りというのですか、これが二一%、六八%が対象外になっている。この持ち家の人たちは、これは私はいろいろな条件があると思うのです。親譲りのただの家に住まっておるという人、これは少ないんじゃないか。自分でためて、まだ月賦を払っている人もあるであろうし、あるいはいろいろそういった経費のかかっている人もある、だろうと思う。むしろ借家住まいをしている人よりも、経費はよけいかかっている人もあるであろうと思うのですが、そういう人たちの分析がどの程度されたか、その点ちょっとお尋ねしたいと思います。
#264
○政府委員(佐藤達夫君) かねがね住宅手当を早く支給するように勧告しないかというお話が当委員会においても出たと思いますが、従来出ておりました。そのたびごとに民間とのパーセンテージの問題も申し上げましたけれども、これを踏み切るについては持ち家の人をどうするとか、なかなかむずかしい問題がございますということを私はここでそのつど申し上げてきたと思います。そういうむずかしい問題をだんだんとこの際解決しようということになりますと、借金をして、そして家を建てた人、同時に今度は自分の給料から、つめに灯をともすようにして貯金をして、そして家を建てた人、いろいろバラエティーがございまして、これはとても踏み切れるどころじゃない。したがって、やっぱり早いほうがいいだろうということにわれわれとしては決断をいたしまして、今回の当面の趣旨は、公務員宿舎、安い家賃で公務員宿舎に入っておる人と、そうでない人とのバランスをまず調整しなきゃならぬということから踏み切ったわけでございます。なお、いまお話のような問題は、かねがね私どもも念頭に置きながら、むずかしい問題だなあという気持ちでいるわけでございまして、なお今後はそれはもちろん研究をするつもりであります。
#265
○片山武夫君 特にこれは負担の重い人は結局いわゆる借金でうちを建てた人、月賦、年賦、そういうもので支払っていく人、こういう人たちは、特に私は考えてあげねばならぬと思うのですが、そういう点について今後私は十分配慮していただきたい。先ほど申し上げました高年齢層の人たちの問題についてもそうだと思います。
 最後に、五十六歳ではあるけれども、当面五十八歳だ、こういうふうにしておられるようでありますけれども、この五十六歳に引き直すのはいつごろからの予定なんですか。
#266
○政府委員(尾崎朝夷君) 実施時期を来年の四月一日からとお願いしておるわけでございます。
#267
○片山武夫君 それは五十八歳でしょう。五十六歳というのは規定をつくるわけですね。当面は五十八歳だ、こう言っておられるんだけれども、いわゆる五十六歳にするのはいつごろか。当面というのは、一体どのくらいの期間があるかということをお尋ねしておる。私はそれを特にやる場合に、先ほど申し上げました官民の比較という原則は確認したいと思います。その上に立って、五十五歳以上の人たちのいわゆる給与関係、特に再雇用、こういったような人たちを除外した継続されておる人たちの比較ということが、これが私は正しいんじゃないかと思うんですが、そういう面について私は十分な配慮をお願いしたい、こう思います。
#268
○政府委員(尾崎朝夷君) 失礼いたしました。当面は、勧告はそういう時期を考慮しまして、五十八歳からということに考えておりますけれども、今後それをどう変更していくかという問題については、さらに十分検討した上でございませんと、非常に大きな制度変更でございますから、そういう意味で今後十分検討するということにいたしたいと思っております。
#269
○片山武夫君 ちょっといまのお答え、ふに落ちないんですがね。当面五十八歳からだ、当分やっていくんだということでしょう。まだ五十六歳に下げるのはいつかわからぬということですね、そういうふうに聞いたんですが。
#270
○政府委員(佐藤達夫君) 法律上は五十六にいたしましたけれども、急激な変化を避けますために、五十八歳からまず出発しよう。その急激な変化というのはいつまで続きますか、それは今後の先のことでございますが、大体の御趣旨によれば、あまり早く五十六にするなという御趣旨だと思いますので、私どもはその趣旨をよく承って措置をいたします。
#271
○岩間正男君 時間がないので、できるだけ簡潔に答弁を願いたいと思う。
 まさに国会も年末風景に入っているわけで、これも日本の歳末風景だというふうに考えるわけです。ことしは人事院の勧告が一応時期的には五月からやったということで、最近は、イチョウ並木が色づいて寒もやが出てくる、そういうところを赤旗があまり動かなかった。しかし、だから要求がないのかというと、そういうことじゃないと思うんですね。したがって、大体、人事院勧告が出てから、今度支給を受ける公務員労働者の要求が統一的に出されたと思うんです。これは総理府の長官、それから人事院におそらく出されたと思いますけれども、この要求はどんなものが出て、また、どのようないままで団体交渉をやって、その要求を受けとめたか、これを先にお聞きしたいと思います。
#272
○国務大臣(山中貞則君) 私は御承知のような性格でございますので、なるべく時間があり次第たくさんの人たちとお会いするようにいたしております。したがって、それぞれ団体を結成しておられます公務員の方々等ともお会いをいたしておりますし、私がいないときは副長官、人事局長等が絶えず会うようにいたしておるわけでございますが、その要求の中身については間違ってはいけませんので、人事局長から説明をさせます。
#273
○政府委員(栗山廉平君) 勧告が出ましてからぐ八月の下旬に国家公務員の共闘会議から要求書が出ておりまして、上厚下薄の勧告だという内容を言っております。それからなお定員削減の計画に反対である。それからなおさらに具体的な項目としまして、まず第一に団体交渉で賃金は決定するという原則で行なってくれということが一つ。それから二つ目は、最低六千円をはじめとする種種のこまかい問題といいますか、具体的な問題が六、七項目ほど出ております。三番目に合理化反対ということで、定員削減云々の問題を取り上げております。それで、最後に退職手当の問題で、これを引き上げるようにと、ごく簡単に申し上げますとこういったような内容でございます。
#274
○岩間正男君 それでどうですか、これは総務長官にお聞きしますけれども、いまの要求というものはどういうふうに考えられますか。
#275
○国務大臣(山中貞則君) 公務員の給与は団体交渉によってきめるべきものであるということについては、人事院の存在の意義の問題等もございますので、それを原則どおり了承というわけにはなかなか一朝一夕でまいりません。しかしながら、その他の内容については、やはり給与担当の者として謙虚に耳を傾けたつもりでありますし、退職金等の問題については、具体的な検討をも指示しておる次第でございます。
#276
○岩間正男君 これにからんだ人員整理の問題はどう考えていますか。
#277
○国務大臣(山中貞則君) 私は給与担当大臣として人員整理ということばもちょっと妥当ではないと思いますが、再来年以降も三年間一定率以内のいわゆる欠員不補充等を内容として、実質首切りの生じない範囲内における削減計画を立てたということについては、これは給与担当大臣の立てたことではございませんで、いわゆる行政管理庁長官たる荒木大臣のお立てになりました案が、それが閣議決定になったということでございます。
#278
○岩間正男君 実は当委員会で人事院勧告が出たときにあなたに聞きたかったんですが、実は経団連が、この勧告が出るときに、政府にかれらの勧告みたいなものを出したわけです。結局これは民間との関係で当然これに対しては、今度の人事院勧告は非常にこれは厚きに過ぎる、したがって、民間と同じように同時に行政整理、こういうものをからませてやるべきだと、こういうたしか勧告を出したわけです。これは問題になったわけです。私はこの問題を、あなたがいままでたびたび言っておられますように、あくまでもこれは完全実施する、この問題と行政整理というものをからましちゃならぬ、しかも、何かあいくちを擬すようなかっこうで公務員の権利を一部そういうかっこうで制限しながら、こんな勧告を出すということは今後望ましいことではない、前例としては非常にまずいじゃないかと、こういうふうに当時人事院総裁にも私はお話ししたはずですね。そのとき、あなたのこれは意見を聞くことができなかった、きょう聞かしてもらいたい、どうです。
#279
○国務大臣(山中貞則君) あるいは経団連でなくて日経連がそういう意見を公表したということでありましょう。しかし、私の場合にはそれに反駁も何もいたしておりませんが、人事院の作業は民間の給与の実態に即応した公務員給与の手直しということが前提でありますから、民間において、たとえば電機産業等が、今日の状態はすでに天地の差を環境として迎えておりますけれども、その当時非常にわが世の春を謳歌していたということ等を、またある意味においては、中小企業の給与等においては、非常につらい分野を残すような傾向もあったということも私は個人としては見ております。したがって、日経連がどういうことを言いましょうと、それは政府の姿勢に何も制肘を加えるものでないし、また、給与担当大臣としては、民間の給与の実態というものに対して国家公務員が沿うべき基準を定めるわけでございますから、まず政府にものを言うならば、みずからが姿勢を正してからものを言ってもらいたいと私は思うわけです。なお、一緒にして、からました形で閣議決定をしたことについては、私自身も一緒にしてもらいたくない気持ちはございました。しかし、同じ日にきめるわけでございますので、行政管理庁長官の御主張というものが閣議で決定された場合には、結局は一緒にきめてしまったということになるわけでございます。
#280
○岩間正男君 われわれは非常に奇異な感じを持つ。あそこに山中長官がいたのかいないのか。いま聞いてみると、いられたということでありますけれども、ああいうかっこうで私は出すべきじゃないと思うんです。まずいんです。これは前例となったら非常にまずいです。まるで公務員の一つの権利を守り、ほんとうに人格を守るという点から考えると、あんな形であいくちを擬すようなかっこうで、しかも、日経連の圧力に屈したようなかっこうでみっともない、私は姿勢としては非常にこれはまずいということを感じたわけです。この点、あなたいられて主張されなかったようですけれども、これは明確にしておく必要がある。この間、人事院勧告は完全実施させるとしょっちゅう言っていた。こういう立場からいうと、こんなものをくっつけるのはまずいんです。こういうことをやるべきじゃない。そして、いかにも政府の姿勢というものが非常にきたなく映った。そして公務員に与える影響というものは非常に私は悪かったと、こういうふうに思うんです。この点どうですか。
#281
○国務大臣(山中貞則君) 行政管理庁長官を呼んでいただきたいと思います。
#282
○岩間正男君 まあいいですわ。時間ないらしいから。何せきょうは、これは総務長官も人事院総裁も歌よみなんだが、憶良の歌、「それその母も吾を待つらむぞ」、早く俸給袋持ってきてと待っておる。だから、いいです。長官はまたあとでやるから。わかるでしょう、あんたたち。これわからないと、おかしな歌よみだ。
 そういうことで次の質問に入りますが、やはりはっきりこれも公務員共闘からも出ておると思いますが、第一は上厚下薄の問題、それから高級官僚を優遇する問題、第二は非常に冷酷な高齢者の昇給延伸の問題、第三には中だるみ、それから昇給の頭打ちその他の問題が出されているわけですが、そのうちでやはり上厚下薄だ。そうじゃないということを盛んに人事院総裁は言うわけですね。それで今度の改定の趣旨によると、「初任給および世帯形成時等に対応する職員の給与の引上げを軸として、中位等級以下の職員の給与改善に重点を置く」としていますが、実際の中身はそうなっていないと思うんですね。今回の諸手当その他を含めた全体の引き上げは、これは一二・六七%ということになっています。そうして金額にして見るというと、八千二十二円、ところが五等級相当以下の圧倒的多数八三・九%の一般の国公労働者の引き上げ額は平均六千六十九円にしかなってない。また俸給表の改善だけで見ますというと、これは一〇・七%、金額にして平均が六千九百五十三円。そこで本俸の改善額六千円以下というのが、これは行(一)では実に九万五百十人、これは行(一)全体の三七%になっているわけです。行(二)では二万六千八百三十一人、これは行(二)全体の四四%という高率になっているわけですね。このように俸給表全体から見ますというと、これは三一%、つまり三分の一近くが引き上げ額が六千円以下なんですね。これに対して次官の今度の月額引き上げ額は、これは九万七千七百円、こういうことになりますというと、金額では全く二十倍のこれは開きが出るのです。この問題はこの前も論議されましたが、これはこの差額というものは決して上厚下薄でないということは弁明されておるのですが、現実にこういうことが起こっておるのです。私はこの差額の問額は、これは非常にまあこの点は何と言いますか、非常に寒々としたものを公務員大衆に与えておる、こういうふうに感じます。もう一つの問題は、これでやはり職制が強化され、官僚の支配機構というものが非常に性格的に変わってくるのではないかという点が私は重大な問題だというふうに考えておるです。この点そういう影響というものは見のがしがたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
#283
○政府委員(佐藤達夫君) これらの引き上げのバランス関係等については、すでに御説明いたしましたように、いま最後の最も重点を置かれました官僚の支配体制の強化という点については全然関係はないと思っております。
#284
○岩間正男君 長官も同じですか。
#285
○国務大臣(山中貞則君) 私は人事院勧告の内容というものが、国家公務員の実態に照らして最もふさわしいものであるということを前提にして承っておりますので、私のほうからあえて逆に疑問を呈したり、それに筆を加えようとしたりすることは、ここ当分は慎まなければならない立場にあると考えておるわけでありまして、人事院総裁の御説明を私もそのとおりであろうと考えます。
#286
○岩間正男君 ばかにすなおな形で言っておられるのですが、そこはそうでなくて、やはりはっきりしてほしいと思うのです。とにかくこの上厚下薄の問題というのはいろいろな問題を投げかけていると思うのです。こういうやり方ではまあ戦後最高のベースアップだ、こういうことを言っても、一般の公務員労働者は釈然としないものを持っているだろうと思います。「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して」きめられると、こういうふうに国家公務員法の第六十四条二項ではうたっておるわけです。ところが、これはどうですか。労働者の生活状態というのを考えれば、まあ消費者物価は政府の当初予算では四・八%の上昇を見込んだなどと言っておるが、この十月で昨年同期に比べると八・四%という数字を示しておる。実際消費物価に至りますというと、これはもう一二・二%です。こういう何が出ているわけです。そうすると、これはやはり今度の引き上げはいままでに比べれば幾ぶんましだということは言えると思いますけれども、基本的にはやはり公務員労働者の生活をはっきり確立すると、そういう方向にはこれは行っていないのではないか、こういうふうに思いますが、この公務員労働者の生活の実態を調査するというふうなことが必要じゃないかと思うのですが、これはいろいろな形でやられていると思いますが、どうでしょうか。人事院はやっておりますか。それとも給与局はどうなのですか。こういう問題についてもう少しやはり端的に、具一体的にそこに入って、そうして実態を把握するという、その上に立たなければ、ほんとうのこれは生活に即応する体制はとれないのではないかと、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#287
○政府委員(佐藤達夫君) そういう御要望はありますし、私どもといたしましても、実態を把握することはまた適当であろうという気持ちで従来ずっと予算を請求し、今年も予算を要求をいたしております。
#288
○岩間正男君 とにかくまあ今度の給与改定でいろいろな問題がどれほどのこれは影響を受けるのかということを、これは追跡調査でも何でもする必要があるのではないかと思うのです。これは二年前、私はここで問題にしたことがある。実際、公務員労働者の行(一)では四〇%以上、四五%以上くらいがやはり生活は赤字です。そこで、これは何でまかなっているかというと、アルバイト、その次には借金、その次には実家の仕送り、こういう形が出ている。調査なのです、国公共闘の調査です。行(二)に至っては八〇%近い。そういう中で実はいま足元はどうなっているか。これは総理府長官御存じかどうかわかりませんが、あなたのところの統計局の足元で若い青年の労働者が暮らせない。そこで、仕事が終わってから、アルバイトで清掃の仕事を、何人かでこれは力を合わせてやっておるという実態が、当時、二年前に私はこの給与の審議でこの問題を持ち出したことがあるのです。これは御存じですか。
#289
○国務大臣(山中貞則君) 国公共闘の皆さんが独自で調査された資料も私いただきました。それも拝見いたしましたし、そのような具体的な例についても伺わせていただきました。私としては逐年の人事院勧告の実施、あるいは今回の完全実施にもかかわらず、国家公務員に対する志望者の数が相当減りつつある傾向、さらにまた一番の働き盛りの諸君が国家公務員のいすに未練げもなく背を向けていく傾向、このような問題は非常に重大な問題でございますし、やはり国家公務員の質の維持ということは日本国全体の行政の能率を高からしめるために不可欠のことでありますので、それらの点は今後も十分実態等を把握しつつ、それらの事態を望ましくない方向にこれ以上向かないように努力をすべき責任が私もあると存じます。
#290
○岩間正男君 まあ昭和元禄とか、何とか言っておりますけれども、中にはやはり憶良時代の貧窮問答歌と同じような――形は少し違うでしょう。電気洗濯機ぐらい古いのを持っているでしょうから、テレビもがたがたするぐらいのものは持っているでしょうから、それは形は違いますよ。しかし、あの時代と同じようなやはりこういう形の生計があるのだ、公務員の足元にもそういうものがあるのだということ、これはどうでしょう。これはそういうふうに考えられますか。
#291
○国務大臣(山中貞則君) そういう例もお話を承りまして、やはり公務員としてあるべき正常な姿でないということについては、山上憶良を例に出されるまでもなく、私もあるべき正常な姿でないというふうに考えた次第でございます。
#292
○岩間正男君 まあ初任給の問題に移りますが、これは民間と比較してみても、民間は五千円アップして月額が三万円前後ということになったわけですけれども、公務員は四千円アップ、月額が二万八千円程度、こうなると官民の格差というものはこれは初任給でだいぶ開いておりますが、これはいかがですか。
#293
○政府委員(佐藤達夫君) 局長のかわりにお答えいたしますが、初任給の格差は、いま山中長官も言われましたように、われわれ人間の採用の面で重大関心をもって臨んでいるわけです。いいところを見ればまだ幾らでもいいところがあります。公社の中でもわれわれのうらやむような初任給をおきめになったところがありますが、これはわれわれも官民比較のたてまえから、そういうワクを越えるわけにはいかないということで今回の勧告であるわけですが、これは今回の勧告としては、その諸般の情勢のもとでは非常に奮発した初任給であるという自信を持っております。
#294
○岩間正男君 しかし、これは格差は認めておられるのだが、将来どうするつもりですか。
#295
○政府委員(佐藤達夫君) 格差というのは一流企業との格差を比べればこれは遺憾ながらそれには及びませんけれども、われわれの勧告の基礎になっております七千事業所のその従業員から算定した給与というものとは合っている。むしろちょっと色をつけている、小さい声で申し上げたいが、ちょっと色をつけておりまして、大いに関心を持って臨んでおりますということを申し上げたいのであります。
#296
○岩間正男君 さっきの、高齢者の昇給延伸で、実際は節約される金が今度は若い労働者のほうに回るのだというようなことがさつき説明がありましたけれども、だからそういう形でこういうものの方向にいくのだということではこれはまいですね。この問題はあとでやりますけれども、その辺は、まああんまり、説明だけはうまくやったということじゃまずいんですな、実態がこれに関連するわけですから。さらにまあ、どうです、今度の人事院勧告で、「指定職職員の給与についても民間企業の役員の給与を考慮して改善を加える」、こういうふうに、これは述べているわけですが、結局は民間企業の重役並み、こういうことになるわけで、これはまあだいぶ論議された問題ですね。一つは、まあ非常に民間企業への転出を押えているんだという説明をされておるわけです。しかし、まあとにかく、どうでしょう、一方では四千円そこそこの昇給のときに、一方では八万円、九万円というような昇給というのは、どうしてもこれは私は公務員の意識に及ぼす影響というのは非常に大きい、こう考えざるを得ない。指定職の数は少ないですから、だからさほどたいした額じゃございませんという答弁をされるかもしれません。しかし、指定職の数はふやされるんじゃないですか。そうしてこの比重が変わってくる。ここを先ほどから私が問題にしている。これは実際公務員制度そのものの性格が、ここで構成的に変わってくる、こう考えざるを得ない問題を持っておる。この点についてどうお考えになりますか。
#297
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもは、この点の考え方としては、相当自主性を持って考えなければなりませんけれども、基本的な関係においては、やはり階層別に民間企業の場合と、横にやっぱり見合わせる必要があるだろうということから、今回の指定職の関係は個別の調査に基づいてそれに合わしたということであり、非常に顕著な上がりをしておるようにごらんになりますけれども、先ほどからおことばにありますように、実は上厚下薄という批判に対して、従来われわれは少しおびえ過ぎていたんじゃないか、遠慮がちにしておったということもありまして、顕著な上がりになったということもお認め願いたいと思います。
#298
○岩間正男君 まあこの点は、われわれ承服しがたいのであります。非常にまあ、そういういろいろな説明をされておるわけですね。「民間における特別給の支給割合には、職務の段階等に応じて相当の差異があることが明らかとなったので、一般職国家公務員におけるこの種給与のあり方について、今後さらに検討する必要がある」と述べて、特別手当についても、この支給率についても、結局は格差がつけられる。こういうことになるわけですから、単にこれは本俸だけじゃなくて、あらゆる手当についてもそういうことなりますから、この差というものは非常に大きくなるのですね。だから、こういうかっこうになりますと、結局はこの指定職というものは非常に重きをなしてくる。大体やはりそういう格づけがなされれば、それだけ非常にやはり職場における支配の力というものは強くなる。そのことは非常に私は大きいと思うのですが、どの辺くらいまで、これは指定給に今後考えておられるのですか。いまのところは、次官、局長、だんだんこれを及ぼしていくんじゃないですか、課長――どうなんです。どの辺までこれは考えておられるのですか。
#299
○政府委員(尾崎朝夷君) 指定職につきましては、民間の同等の職務内容と申しますか、こういう関係を突き合わせながら検討をしてきておるわけでございますけれども、つまり現在は次官、長官、それに準ずる職という形で指定職甲を考えておりまして、これらの職員には、いわばだれがついても同じ給与という形で、一官一給与制という形を考えておるわけでございます。それで、それに次ぐ職として、たとえば局の次長あるいは庁の部長、そういった職がございます。課長の上にそういう職がございますけれども、そういう関係を考慮いたしますと、民間のいわば部長兼任重役、そういった感じになろうかと考えますので、そういう関係の指定職乙という適用も考慮しておるわけでございます。
#300
○岩間正男君 一つのところを突破されると、その次にはそれをだんだんだんと適用していって全体の比重が変わってくる。非常に大きいですから、その突破口として重大だ、性格に変化を及ぼす、その端緒として問題にしている。この背景は単純な問題ではない。諸外国の例を見ても、これは一がいには言えないのですが、次官の高卒初任給に対する倍率を見たのですが、アメリカでは九・二〇倍、フランスが七・六六倍、西独の場合が一一・九四倍、これに対してわが国は一三・九倍、こういうふうになる。これは人事院の提出資料、一九六九年現在、西独は七〇年現在でありますが、これで見たのでありますけれども、わが国はいま開き過ぎている。こういうことですが、これはあなた方のほうの資料で見たのです。
#301
○政府委員(尾崎朝夷君) 次官と高卒の初任給といいますか、学卒の初任給と対比いたしまして各国の倍率がどうであるかというお話でございましたので資料を提出したのでございますけれども、イギリスでは十五倍、ドイツでは十二倍というところがございますが、一方、アメリカでは九倍、フランスでは約八倍という形になっております。しかし、この関係は、いずれにしてもそれぞれの国のいわゆる賃金形成、賃金決定におきましての特殊性をそれぞれ持っておりまして、日本の場合には、今度の勧告におきましては一三・九倍という形になっておりまして、去年の一二・五倍に対しましてやや高目になっておりますけれども、指定職俸給表がつくられました三十九年の場合には一四・九倍という形になっておりまして、特に今年を非常に高くしたというわけではないのです。
#302
○岩間正男君 時間もないから深追いをやりませんけれども、とにかくこの格差の問題というのは非常に公務員に対する影響を与えているという点を、これは明確にしなければならぬと思う。
 もう一つは、高齢者の昇給延伸の問題ですが、この問題を論ずるにあたって、やはり日本の社会保障、これとの関連で論ずる必要があるのじゃないかと思うのです。民間との関係でということをしょっちゅう言うのですが、そこのところは民間というかっこうではまずい、どうでしょう。現在五十六歳、終戦時は三十歳、それからとにかく生活の安定というのはほとんどなかった。住宅の問題、医療費の問題、子供の教育費の問題、さらにもうすぐつきまとってくるのは老後の保障をどうするかという問題、これが心理的に非常に映ってくる、われわれの頭にばっと映ってきます。したがって、そういう中で日本の社会保障がどうなるかという問題と関連いたしますが、これが完全に社会保障が行なわれるならば、私はこのような問題もずいぶん性格が変わってくると思います。ところが、これのほうは別にはずしておいて、そこだけの問題をやるわけですね。こういう点はどうなんですか、もっと総合的にこういうところは、とにかく生きているのは一人の人間なんです。そうして全体なんです。その上に立ってこういうものを見ていかないと、説明は非常にぐあいのいいところだけを抽出して悪いところは捨てる。こういうかっこうでこのような論議をなされていることが多い、説明でも何でもそうです。どうもわれわれ納得がいかないのですが、こういう点については時間の関係から多くは触れませんが、この点は一体どうなんでしょうか、どういうふうに判断しているのか。これは人事院総裁とそれから総理府総務長官の見解を伺っておきたい。
 これは長官のほうから先がいいと思う。まずあなたのほうから。あなたがやっぱり責任者だと、われわれはそう思っておる。
#303
○国務大臣(山中貞則君) たいへん岩間さんにかわいがられまして光栄の至りですが、これは人事院総裁より各党の方々に繰り返し説明があっておるところでございましょう。したがって、私もその内容については、逆に都合の悪いところは民間と比較しないという恣意的な作業も人事院はいたしかねるところがあると思うわけでございます。また、その意味で人事院の過程において都合のいいところだけ採用して都合の悪いところは目をつぶるということも逆効果を――逆に人事院勧告の正当性というものについて客観性について批判が起こるもとになるのではなかろうかという気もいたすわけでございます。しかし、先生の言われるように、終戦直後、あるいは戦争中のそれらの人人の年齢構成から見てどのような重責を公務員として負って、あの混乱期を切り抜けて来られたか、想像することは容易にできることでございます。それらの方々がこのようなことで急に昇給延伸等の対象になる、自分自身がなるということについての受けらるれ衝撃は私もよくわかる次第でございます。今国会の衆参両院の議論を通じて、それらのところについて経過的な措置等を講ずるについて人事院のほうで配慮をするというこを申し上げておるようでございますので、それらの点に人事院の配慮を私も望みたいと考える次第でございます。
#304
○政府委員(佐藤達夫君) この延伸措置は、まず第一に、これは定年制とは全然違います。また定年制の代用品でもございません。早く追い出して出て行ってもらおうという策でもございません。したがって、社会保障の問題と直接のつながりはございません。ということになりますが、いま総務長官も申しましたように、また、私もたびたび申しておりますように、その辺についてのいろいろな配慮をしておる。たとえばベースアップは、これは完全にかぶりますから、そういうような意味でいろいろな点で配慮をしておるということを申し添えておきます。
#305
○岩間正男君 まあ先ほども話しが出ましたけれども、その人の立場に立ってもう一ぺん考えてみる必要があるのですね。ひざ突き合わして話してみたらどうです。そういうわけにはいかぬですよ、やっぱり、これは。寒々としたものを持っている。からだの中を風が吹くという、そういう感じを持っていますよ。ここのところはしっかり――どうも、この国会の答弁というやつはきめられていて、どうも実態から遠いことが多いので、われわれは納得しないのです、そういうことで。
 それからもう一つ、これは最後に、きわめて時間がないが、お聞きしますけれども、人事院の性格についていろいろ論議されてきた。諸外国の例を見ても公務員の争議権を奪っているというようなところはないわけです。労働三権というものは、もっとこれは確立する方向にはっきりしていなければならぬ。団交で給与をきめる気持ちはないというようなことも言っておられますけれども、まあ人事院の代償措置によって実は公務員の基本的な権利が奪われたために、それから二十何年、どれだけ一体不利なところに追い込まれたかということは、これは追跡調査をやれば明白に出てくる数字ですよ。そういう点から考えますと、私はこういう点については十分にこれは考えなければならないんじゃないか。この公務員法が制定された時代はちょうど片山内閣時代でありまして、そうして米占領軍がいたときです。われわれはこの公務員法に反対した、これに対して。その大きな問題はどこだったかというと、そこだった。つまり、戦前のいわゆる官吏というものは全く権力の支配のもとに、これはもう何でも従っていた。右を向けと言えば三年でも右を向くというところに追い込まれた。これがどんなにやはり戦争を誘発する大きな原因であったかということは明らかです。そういう点から言えば、ほんとうにやっぱり公務員の権利を守るということ、そうして生きがいのある、やりがいのある、大衆に責任を負った、国民に責任を負った、そういう立場でやはり胸を張って仕事をしてもらいたいというのがわれわれの考えですね。ほんとうに平身低頭、そういうものだけが立身出世をするような最近の風潮というものは、これは必ずしもいいとは言えないと思う。そうして、これはその国の盛衰にも関係があることなんです。まさにそこなんです。そういう点から言えば、はっきり見識を持ったそういう政策というのは出されなきゃならぬ、そういう点から考えますと、公務員の争議権をこの代償機関によって、そうして完全に実施されないままで二十何年かが暮れて、ようやくいまごろ完全実施がどうというが、これは時期的な完全実施にしかすぎない。しかも、もうはっきり四月から実施するということを要求している内容については、もうきょうは触れませんけれども、たくさんあるわけでしょう。そうして格差がひどいものですから、同じ〇・一%の期末手当に対する増額を見ましても、一方はこれは四万円ももらう、そういうときに一方はわずかに三千円しかもらえない、そういう労働者がいるんだということをはっきり考えてみると、そういうものは同じような気持ちでいられるかどうか、やはり最低生活の保障ということが非常にこれは重大な問題であります。そこで、労働者の権利をはっきり確立するということ、そうしてほんとうにやはり国民に責任を負ったそういう行政の立場をとらなきゃならぬと私は考える。ところが、最近はまさにこれはさか立ちの方向に動きつつあるという現実を否定することはできないだろう、こういう点について、この給与の問題は単なる給与の問題じゃない、これは生活を保障し、ほんとうに国民のためのそういう奉仕ができるかどうかというところに基本を置かなきゃならぬ、最近はこれは様子が変わってきていますよ。この点について私はやっぱり警告をせざるを得ない、その上に立って今度の、いまの問題をやはり根本から考え直す必要があるんじゃないか、つまり公務員労働者の基本的権利は回復されるべきである、そう思う。これは人事院総裁に言ったら、あなたのこれは何の問題になりますからね、人事院要らない、こういうような議論にもだんだんつながる、そういう意味を持つものですから、これはやはり山中長官にお伺いしたほうがいいと思いますね。どうでしょう。
#306
○国務大臣(山中貞則君) これはいろいろのやり方があるでしょう。やはり国民に対して国家公務員がどのような姿勢でありましたほうがいいのかということについては、たとえばよその国の例を引くならば、ソ連あたりの公務員の非能率、不親切さというのは、これは私は行ったことがありませんけれども、よくそういうことを聞かされるわけでありますが、やはり国民によりよく奉仕する公務員というものを考える場合において、公務員諸君が自分たちの職務で国民に向かって良心的に親切に、そうして行政の能率をあげていくという気持ちにさせるということはやはり必要なことだろうと私も思っております。しかしながら、基本的に、ただいまもお述べになりましたように、人事院は要らないという議論に立つには、完全実施ということが前提になりますと、人事院というものも案外捨てがたい味を持っておるものであるという、わが国における一つの慣習として注目を受けてもいいような成果をあげつつあるところもございますので、いま少しくあたたかい目で人事院制度というものを見守っていただきたいという気持ちもしてならない次第でございます。
#307
○岩間正男君 いまの総務長官のことばに加えなくちゃならないのは、憲法を守るのか、その立場に立つのかどうかという問題が一つ抜けていますよ、いまの御答弁に。それからあたたかい、親切なといっても、非常に頭が低いだけで親切でない公務員も生まれつつあるように思うのです。そうでしょう。面従腹背ということばもある、そうでしょう。あなた笑われたけれども、そういう事実があるから笑っている、だから、そういう形じゃなくて、ほんとうにやはり基本的にこれはどこを貫くのか、やはり一国の平和の問題であるし、それから国民の真の繁栄と幸福は一体どこか、こういう点について、公務員がはっきり見解を持っていることは当然ですよ。これがだんだん暗箱の中に入って行ってだんだんわからなくなってきているところがある、ここのところが問題なんですから、私はそのことを付加しておきたいと思います。
 時間がきたから、今度はそれじゃあ防衛庁長官にお聞きをしたい。いわゆる三島事件ですが、どうも防衛庁長官深入りしている点があったんじゃないかというふうに思うのですが、あなた、反省としてはどう思っておられますか。
#308
○国務大臣(中曽根康弘君) 何ら深入りしておりません。関係はございません。
#309
○岩間正男君 三島との関係ですね、これは、三島はけしからぬ、こういうことを言われたわけですけれども、その前の様子を見ているとだれでもこれはそう思っている。ちょっと深入りじゃないですか、どう思われますか。
#310
○国務大臣(中曽根康弘君) 深入りはもちろん、関係ございません。私個人は三島君と会ったのが三回しかありませんが、そのときも一つは座談会であり、もう一つは研究会であり、あとは講演会であった。二人で差しで話したということはございません。しかし、彼の文学や書くものは非常によく読んで注目しておりました。それから自衛隊自体といたしましても、向こうから特にクーデターを起こそうというような考えで深く入ってきて、その目的で接触したという事実はいままでの調べでは全然ございません。自衛隊との関係も、普通の体験入隊との関係という面はございますけれども、思想的その他の問題で特に関係はございません。
#311
○岩間正男君 この体験入隊、過去に例がないようなことをやったのですが、これはどういうような反省を持っておられるか。
#312
○国務大臣(中曽根康弘君) 三島事件にかんがみまして、体験入隊の基準その他について適当な反省を加え、検討を加えて、そして再びああいう事件を起こさないようにいろいろ手当てをしたいと思っております。
#313
○岩間正男君 結局、三島はだいぶ看板として利用されたでしょうな。充足率が非常に悪い、どうしてももっと有名人を持ってきて盛んに宣伝しなければならない、そういう形でこれは自衛隊が利用した面もある。これは否定できないと思うのですが、どうですか。
#314
○国務大臣(中曽根康弘君) むしろああいう楯の会を練成したりするために自衛隊が利用されたという感じは私らはしている。われわれが彼らを利用したという面はあまりないと思います。
#315
○岩間正男君 持ちつ持たれつでしょう。あなたそういう口をぬぐうような答弁をされないほうがいいと思うんです。これは現状をみんな見ていると思うんです。だから、ここへ来て口をぬぐうということは非常に優等生のやることで、優等生じゃだめなんです。もう少しここのところどうでしょう。
 そこでお聞きしたいのですが、三島事件で自衛官の意識はどんな影響を受けたと考えておられるか。
#316
○国務大臣(中曽根康弘君) その後の調査を見ましても、ああいう現代の民主主義的な平和的な秩序を直接行動で侵害するというやり方については考えも行動も同調できない、そういうのが圧倒的多数であります。
#317
○岩間正男君 その後何か調査をされましたか。
#318
○国務大臣(中曽根康弘君) あの事件直後、すぐ各部隊に命じて動向を調べさせましたし、その後約千人ばかりのものについて個別調査等によって意識調査をしてみたその結果で九十数%、一〇〇%近くのものがあの行動については反対の意思表示をしております。
#319
○岩間正男君 何かあなたの訓示のようなもの、出たのですか。
#320
○国務大臣(中曽根康弘君) あの事件直後に私は全部隊に訓示を出しまして、自衛隊における教育の中心である自衛官の心がまえをよく守って、特に暴力によって法秩序を破壊することが民主主義をまっこうから否定することであり、政治上の問題は政治家の手にゆだねることこそ民主政治の原則であろうと述べまして、その点を強く訓示したのでございます。
#321
○岩間正男君 三島は、憲法改正のためにはクーデターを起こすべきだというので、あのような一つの突破口を自分の自殺というかっこうでつくったと、こう言われておるわけですけれども、そうすると、ここに三島の反革命宣言というのがございます。この中で、「文化防衛論」、この中にあるのですが、次のような点についてこれは防衛庁長官、どういうふうに考えられるか。「暴力的手段たると非暴力的手段たるとを問わず、共産主義を行政権と連結せしめようとするあらゆる企図、あらゆる行動に反対する者である。この連結の企図とは、いわゆる民主連合政権(容共政権)の成立およびその企図を含むことはいうまでもない。」などと述べて、民主連合政府にむき出しの敵意を示しているわけです。これに書いてあるわけです。これはこういうような見解について、常日ごろ憲法擁護ということを口にしておられる中曽根長官は、この考えについてどうお考えになりますか。
#322
○国務大臣(中曽根康弘君) 民主連合政権というものがどういうものであるか、私はよく知悉しておりませんが、日本の憲法では思想の自由は保障されておりますから、そういう思想を持ったり、そういう著述をしたりするということは思想の範囲内では自由であると私は思います。ただ、暴力的な行動によって法秩序を否定するというようなことは、たとえどんな有名人であろうと一般の市民であろうと法の前には平等でなければならぬ、そう思います。
#323
○岩間正男君 ここで、時間の関係もあるから、民主連合政府については共産党の綱領でも読んでください。わが党が明確にこれは出しておりますからね。とにかく民主的な諸党が力を合わせて、そうして統一戦線をつくる、その上に立って議会で多数をとる、そうして古い政権をたおす、そうして新しいそのような真に民主的な政権を打ち立てる、そういう構想ですね。それから日本の政治の現状はこのままじゃいかぬ、どうしてもこれは変えなければならぬ。その変え方は、あくまでも議会制民主主義の立場に立って進めていく、そういう構想、これは御存じだと思う。御存じでしょう。あなたこの前も何か共産党のことについて言われたが、これはそう思うのですね。だから、こういう政権が樹立されるということは、これについても、これはけしからぬのだと、こういうものについてはあくまでこれをたおすような、そういう方向をとらなければならぬ、こういうふうに言っているわけですが、これについてもう一度お伺いします。長官としてはどうお考えになりますか。
#324
○国務大臣(中曽根康弘君) 民主連合政府というものはどういうものかよくわかりませんが、けさほど上田委員の御質問に関連しまして、ホトトギスがウグイスの巣に卵を産んで、それをウグイスがせっせと卵をかえして、ホトトギスの卵が先にかえって、ウグイスの卵をけっ散らかして飛び立っていった。つまりヒットラーのような全体主義というものが、民主主義の街道をたどってそうしてやるということを、「ラートブルフの法哲学」で書いておるということを申し上げました。東欧諸国における民主連合政府の成立の過程を歴史的に見ますと、どうもそういう気配があるのではないかと、そう思います。かりにそういうものであるならば、私は賛成しかねます。
#325
○岩間正男君 それはおかしい。そんなわけのわからぬことをどこをさして言うのかわからぬけれども、はっきりいま私の言った議会制民主主義の立場に立ってそうして多数をとる、そうしてその上に立つ政権だということをこれは限定して言っているのだから、これについてあなたはいま何だかそんなおかしい言い方を言っているわけですね。それはあなたの中にそういうものが残っているのですかな。だからそういうことを何だか言いたくなる。私は、いまここでこれは一つの政党の性格を出している。そうしてこれに対してあらゆる場合にそういうのをつくるのに対しても反対をし、とにかく共産主義のそういうやり方についてはもうあくまでも反対するんだ、「暴力的手段たると非暴力的手段たるとを問わず」、こう言っているのですから。こういう立場ですか。これじゃ反共主義なんだ、何でもかんでも。これをあなたとられるのですか。どうですか。
#326
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり日本の憲法の範囲内で思想の自由あるいは表現の自由というものは許されておりますから、その範囲内のことであるならば、これはわれわれもその自由について認めなければならぬ、そう思います。
#327
○岩間正男君 共産党が日本の憲法の上に立ってやっていることは明らかだ。ここで時間もないところでいろいろ文献をあげてやる気はありません。これは明白な事実で、われわれは天下の公党として現在戦っている。ことに腐敗堕落の政治、こういうものを根本から変えなきゃならぬ、こう言って戦っている。これは明白なんです。しかし、あくまでも議会制民主主義の立場に立って、そうして統一戦線の上にほんとうに民主的な政党が民主的な勢力を結集して政治を変える、こういう方向をとっていることは明白だ。それに対しては、これはあなたのいまの答弁、読んでいるとおり認めざるを得ない。
 そこで、お聞きしたい。元自衛隊幕僚長の杉田陸将は富士学校の校長時代のことでありますが、その「機関紙に連載した「よい中隊の育成について」と題する訓話の中で」、ここにございます。「自衛隊の〃敵〃として総評、日教組、共産党、社会党(一部)」、カッコして一部と書いてある。「とともにマスコミ(一部)」、これもカッコして一部、「もこれにはいる」、こういうふうに述べているんですが、こういうふうな富士学校の校長があったわけですね。こういうようなものは非常に影響を与えている。これについて長官としてはどういうふうにお考えになりますか。
#328
○国務大臣(中曽根康弘君) そのころ自衛官の心がまえという教育の基本方針はございませんでした。おそらく昭和三十年の初頭で、火炎ビン事件とか、血のメーデーとか、共産党があの革命テーゼを変える前の時代のことを見て、あるいはそういうような表現をしたのかもしれませんが、現在、議会制民主主義をとる共産党は合法政党でありますから、われわれはやはりその考え方は考え方として認識しなきゃならぬと思っております。それで昭和三十何年でございましたか、自衛官の心がまえというものを正式につくりまして、そこで私にとりましては穏健妥当であろうと思われる教育の基準をつくっております。それで、杉田君の訓示はその前の時代のことで、いまはそういう教育はしておりません。
#329
○岩間正男君 これは共産党と言ったけれども、「総評、日教組、共産党、社会党(一部)」と、こうなっているのです。これはそういう言い方しちやいけません。このことばについていま聞いている。これもそうですか。総評とか、日教組とか、社会党、こういうような進歩的な革新勢力と言われるような、そういうのに対しては、こういうようないわば反共的な思想を持っておった、これが富士学校の校長だった。彼はまた治安行動草案をつくったわけでしょう。そうですね。治安行動草案を私は九年前に委員会で明らかにしたことがありますが、あのとき全国に三千部ばらまいたのは杉田陸将じゃないですか。そこらにおいでになっている人はわかっている。どうです。
#330
○国務大臣(中曽根康弘君) あの草案も日の目を見ないで……。
#331
○岩間正男君 あれをつくったのはだれですか。――これですね。
#332
○国務大臣(中曽根康弘君) 調べてみます。よくまだ私存じません。
#333
○岩間正男君 そうですな、同じだ。まあそれだけ確認しておく。
 それじゃ、この雑誌「論争」の中で、一九六二年五月号ですが、ここにこれございます。当時の防衛庁教官伊藤皓文という人が、「日本の防衛はどうするか」、「防衛に関する五つの解答」という論文、この中身ですね。「共産主義政党といえども、合法的手段によって、すなわち現憲法の原理である自由民主主義、議会主義の原則によって国民の総意を代表して政府を結成するならば、自衛隊は、政治的中立の原則と合法かつ正当な命令への服務規律にしたがって、この政府の下に防衛に参加するであろう。」という見解を述べているわけですが、長官もこうお考えになりますか。
#334
○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛隊員も自衛官も公務員でありますから、憲法を守らなければなりません。憲法の範囲内のことであるならば、われわれはその憲法のおきてややり方に従うべきであると思います。
#335
○岩間正男君 これは確認しておきたいと思います。ところでどうでしょう、これに現在自衛隊員が従っておりますか。あなたの、いまの長官の答弁のように、合法的につくられた憲法に従ってできたその政権、これについてはどんな政権だろうが、中立の立場から公務員として当然これに従わなきゃならぬ、こういうふうにこれは言われたわけでありますが、これはどうでしょう、あなたのいま教育されている、率いていられる自衛隊員が全部そういう形で教育されておりますか。また、そういうことを全部徹底しておりましょうか、どうでしょう。
#336
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうような政府ができるとは考えておりませんが、しかし、論理的には法のもとに、法に従っていくというのがやはり公務員の立場でありますから、そう一般論としては民主的手続、秩序として教えている次第であります。
#337
○岩間正男君 こういう見解があるわけですね。まあ今度の三島事件のときのことを話しましょう。この赤旗の記者が行ってですね、インタビューをやったわけですね。事件後二週間たった八日です。東京の市谷三十二普通科連隊に行って、これはインタビューやっております。こういうことを聞いたんです。「もし、共産党が主張しているような民主連合政府ができたらあなたはその命令に従うか」、ところが、これに対して、「いえ。私は軍人として容共政府をたたくしかないと思う。私は天皇陛下の皇居を守るのが軍人だと思います。」、そうして、さらに、三島の行動に対しましてこれは聞いたわけですが、「なんらかの形で三島の行動に「共感をおぼえる」」、こう回答した者が八人のうち佐官が一人、尉官が二人、曹が三人、士が二人、こんなにいるんですね。まあ六割がこれに共感の姿を、三島に対する共感の気持ちをあらわしています。全体これ調べたのは、防衛本庁五人、市ケ谷幹部学校、普通科連隊の計十三人です。自衛隊員佐官が四人、尉官が三人、曹が四人、士二人に対して調べたところが、六割がそういう答弁をしているわけですね。三島に共感を覚える。共感を覚えるということは、これはいろいろあるでしょうけれども、何といいましても、これは言うまでもなく憲法を改正するためにクーデターを起こす、そういう演説をしたわけです。そういうような彼の主張をやったわけですから。これに対して共感を覚えると、こう言っている。これはどうお考えになりましょう。いまの、これは長官の、当然憲法によって成立したそういう政府に対して当然公務員として中立の立場をとる、その指揮下にも従わなきゃならないということ、そういう答弁であったわけであります。これと非常に言うところに食い違いが出てくると思うんですが、この点はいかがでしょう。
#338
○国務大臣(中曽根康弘君) 赤旗の調査がどういう手続でどういう条件下に行なわれたかは知りませんが、おそらくそういう人たちは民主連合政府ができたら自衛官を辞職して故郷へ帰るんじゃないか。自衛官である限りは、やはり合法的に成立した政府については政府の命令を守ってやる、憲法、法律の命ずるところに従って職務を忠実に実行するというのがその職責であると思います。
#339
○岩間正男君 そういう意識の者がいるということが非常に大きな問題じゃないでしょうか。私はそう思うんです。自衛隊の構成、そして自衛隊の意識状態がどうか、ここんところが非常に重大なんですが、これに対して、そのときそういう政府ができたらやめて帰るから差しつかえないんだと、こういう御答弁では、これはたいへんなことになる。これは非常に簡単な問題のようで簡単な問題じゃありませんよ。その点はどうなんですか。いまのことについては、あなたはこれに対する何らの関心をお持ちにならぬのか、あるいは関心を持たれるとすれば、当然これに対して処置をとられるお考えがあるのかどうか、この点が非常に重要だと思いますが、いかがでしょう。
#340
○国務大臣(中曽根康弘君) その赤旗の調査がどういう条件で、どういう手続で行なわれたか、よく見ないと正確な判断ができないと思うんです。われわれがいろいろ調べた範囲内におきましては、圧倒的多数は三島君のあの直接行動を是認しておりません。中には、武士道というけれども、ああいうものがほんとうの武士道だろうか、自分の武士道を立てるために人の武士道を踏みにじっていいのか、そういうことを言う人間もおります。ですから、われわれの調査結果とだいぶ違っているようにも思います。
#341
○岩間正男君 まあこういうとき、民間の民主的な一つの調査機関でもつくって、そして正確にやっていくのが一番いいですね。そう考えませんか。そうして、実際客観的につかんだらいいのです、秘密投票でいいんですから。そういう世論調査すれば、それは意識状態がわかる、そういうふうに思わぬですか。これはやっぱりあなたの立場もあるでしょう。それから防衛庁の幹部たちのいろいろな立場もあるでしょう。いままでの言行の問題もあるでしょう。しかし、まあこれはいろいろ週刊誌なんかに伝えられておりましょう。これが広がりつつある。そして非常にこれはやはり今後の自衛隊そのものの性格にとっては重大な問題だし、憲法の関連において、だから等閑にできない問題です。この点について、最後にあなたの御所見を伺って私の質問を終わります。
#342
○国務大臣(中曽根康弘君) その点についてはよく戒心していきまして、今後とも厳重に注意してまいりたいと思います。三島事件は、あれは一つの思想事件でありますから、ある時間がたってこれが沈でんしたり、反応は人間によってはだんだん定着してくるということもあり得ると思います。そういう意味において、特に初級士官の動向については常時よく調査をいたしまして、万が一にも法を逸脱することのないように、国民の期待に沿う自衛隊として成長していくように戒心してまいりたいと思います。
#343
○委員長(西村尚治君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終了したものと認めます。
 これより討論に入ります。――に別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決を行ないます。
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#344
○委員長(西村尚治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#345
○足鹿覺君 私は、ただいま可決されました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社、共産の五党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
 まず、附帯決議案を朗読いたします。
   一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 一、高年齢職員の昇給延伸については、該当職員の採用その他の実情にかんがみ、その実施に当つてはその処遇に急激な変動を来さないよう適切な配慮を加えるべきである。
   なお、国家公務員の退職手当の改善についても速やかに検討することとし、その際右の事情をも十分考慮するよう要望する。
 一、人事院は、その性格の特性にかんがみ、制度の改正等に当つては慎重に配意し、国家公務員の利益保護のため一層の努力を払われるよう要望する。
  右決議する。
 この附帯決議案の趣旨は、すでに審議を通じて明らかと思われますが、今回の高年齢者職員に対する昇給延伸措置の実施にあたりましては、経過措置として、現に該当する職員については採用及びその他の実情等を十分に配慮して恩情ある措置をすべきものと思うのであります。
 また、国家公務員の退職手当につきましても、退職後の公務員の生活の実情にかんがみまして、すみやかにその改善を検討する必要があると思うのであります。
 なお、この際、ただいま申し述べました高年齢者に対する昇給延伸措置の事情も十分考慮するよう要望するものであります。
 さらに、人事院におきましても、その性格の特性にかんがみ、国家公務員の利益保護のため格段の努力を払われ、その期待にこたえられるよう強く要望するものであります。
 以上が提案の理由であります。
#346
○委員長(西村尚治君) 別に御発言もないようですから、足鹿君提出の附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#347
○委員長(西村尚治君) 全会一致と認めます。よって、足鹿君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案、両案全部を問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#348
○委員長(西村尚治君) 多数と認めます。よって、両案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 先ほどの決議に対し、山中総務長官、佐藤人事院総裁から発言を求められております。これを許します。山中総務長官。
#349
○国務大臣(山中貞則君) ただいまの附帯決議については、その御趣旨に沿い努力する所存でございます。
 なお、高齢者の昇給延伸の措置については、法律の規定に基づき、人事院規則により定められることになっておりますので、御趣旨のほどを人事院に連絡いたしたいと存じます。
#350
○委員長(西村尚治君) 佐藤人事院総裁。
#351
○政府委員(佐藤達夫君) 人事院といたしましても、御決議の趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。
#352
○委員長(西村尚治君) 三案の審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#353
○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後五時三十九分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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