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1970/11/28 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 本会議 第4号
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1970/11/28 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 本会議 第4号

#1
第064回国会 本会議 第4号
昭和四十五年十一月二十八日(土曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和四十五年十一月二十八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)。
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。高山恒雄君。
   〔高山恒雄君登壇、拍手〕
#5
○高山恒雄君 私は、民社党を代表して、総理の所信表明演説に対して質問をいたします。
 与えられました時間が非常に短いので、問題を政府の政治姿勢、公害対策、中国問題、日米繊維交渉の四点に限って質問をいたします。
 質問に先立って、今国会において多年の念願でありました沖繩の代表が国政に参加できましたことは、皆さんとともに喜びたいのでございます。
 さて、質問の第一は、自民党総裁に四選された総理は全閣僚居すわりのまま臨時国会に臨まれたのでありますが、あなたの四選のあり方については自民党内の三木さんはじめ鋭い批判が浴びせられております。総理は昭和三十九年の秋、首班指名を受けられて以来、人間尊重、社会開発を国民に公約して今日に至ったのでありますが、消費者物価は継続して上昇し、交通禍の多発、住宅不足と家賃、地価の高騰、そうして公害問題、いずれも総理公約と完全に背離する事実となった現状であります。また、外交問題につきましても、日米、日中ともに最重要課題について完全に行き詰まり状態を招いております。総理の四選は、かかる事実を背景として実現したのでありますが、総理は口を開けば、国民とともにと言われるが、四選という多数の力による制覇は力の勝利そのものであり、四選の手続はいかにも多数決原理ではありますが、すでに手続の形式だけが残って、中身は民主主義とはおよそほど遠くなっております。民主主義を政治、経済、社会生活の各分野に定着せしめるのでなく、民主主義を形骸化してしまった。かくして国民の政治不信は高まる一方である。あなたの四選はまことに政治の民主化とは逆行する政治行為ではないか、総理の所信を伺いたいのであります。
 第二に伺いたい点は、中国問題であります。私は、結論から申せば、政府の国連総会における中国問題処理は佐藤外交の大失敗だと思うのであります。去る十月二十一日の国連総会における総理の演説はついに中国問題に触れず、さらに十一月十七日の鶴岡大使演説は米国代表と全く同工異曲で、要するに、米国意見に対する賛成演説にすぎず、日本の自主的立場に立つ内容がないと報道されているのであります。しかも、国連での採決後における愛知外相談話は、中国問題を再検討すると言っていますが、何をどう再検討するのか一切触れてなく、まさに佐藤外交は総くずれではないかという感すらするのであります。
 総理はまた、今回の所信表明演説において、中国問題については、国際信義を重んじ、国益を守り、極東の緊張緩和に資するという観点から慎重に処理したいと言われるのでありますが、何ら具体的な方向を示していないことはきわめて遺憾であります。しかも、国際信義を重んじるならば、それが単に台湾政府との国際信義だけを重んずるならば、これほどの片手落ちはありません。北京政府との間の戦争処理にいまだ手をつけず、しかも、北京政府が中国本土において七億の国民を有効に支配しているというこの事実に目をおおって、何が国際信義でありましょうか。しかも、中国問題の平和的解決なくして極東の緊張緩和がないという現実を無視し、極東の緊張緩和を考慮しながら中国問題に取り組むとは、まさに理論がさか立ちしていると言わなければなりません。もとより、わが国は台湾政府との間に日華条約を締結していますが、それゆえに北京政府との間に交渉もできないという外交常識はどこにもないのであります。また、常に主張されているところの国際信義が優先して、外交が現状の維持を尊重するだけならば、これほど安易なわざはないのであります。世界の趨勢から見て、中国を世界平和に協力し合う仲間にすることが最も重要であり、そのためには現状を打開する方向に一歩踏み出さなければなりません。それはカナダ方式のように台湾問題については留意するというだけでは、日華条約が存在するだけに、わが国の立場の困難があることは国民もひとしく知るところであります。また諸外国も重々承知しているところであります。しかも、この困難を乗り越えることがいまやわが国外交の重要課題なのであります。ゆえに国交回復を目標とする日中の政府代表間の話し合いを中国に対して一日も早く提案すべきであります。そうして、一昨日の総理答弁のように、やるという方向だけを示すのではなく、すみやかに着手する、少なくとも明年春には提案するという具体的な方針を明らかにすべきだと思うのであります。総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、本国会における重要課題である公害問題についてお伺いいたします。総理は所信表明において、せっかく、「福祉なくして経済成長なし」と強調されたのでありますが、公害対策予算、すなわち経費の裏づけなしに多数の公害関係法案が提出されております。これはお祭りの寄付は喜んでするが、寄付の金額はいずれそのうちにと言うのと同じことであります。総理の言う福祉の内容が信頼できないのであります。そこで総理に次の三点をお伺いいたしたいのであります。
 あなたは、公害規制の実施にあたって、地方自治体に規制権限を委譲していくと言われたが、自主財源の根拠を持たない権限は、絵にかいたもちと言うよりも、地方の責任と負担だけを重くして、政府自身の責任を回避するものとなりかねないのであります。もとより、公害対策は多面的で、一つの対策予算に一括し得ないものであるにせよ、この際は、地方に公害対策の財源を一括して供給し、規制権限を弾力的に活用せしめるべきだと思うのであります。たとえば人口を基礎におく公害対策交付金の交付等の方法をとるべきであると思います。総理は、権限の裏づけとなる財源の地方委譲につき、いかなる方針で臨んでおられるのか、すでに明年度予算の編成中でもありますから、ここで基本的方針を示していただきたい。
 次に、公害防止の費用負担について本国会に法案も提出されたのでありますが、肝心なことが明らかでありません。それは、私企業が法律に基づいて費用負担する場合、これが生産原価、経営コストにはね返ったからそれだけ値上げするというように、費用負担が消費者への転嫁が横行して、製品価格の値上がりとなる口実を絶対に許すべきではないのであります。この点についての行政指導あるいは監督をいかに実施していくのか、総理及び関係大臣より伺いたいのであります。
 第三点として、公共的な公害対策事業を含む社会的資本投資については、次の世代の福祉を守るという長期的な展望に立つ社会資本支出であります。これについては、公共事業の一環として、はっきりと予算款項目を明示して、それが財源は建設国債を発行しても積極的に用意すべきだと思います。国債が将来に向けての負担を重くするというマイナスの評価だけでなく、予算編成で非常におくれている社会資本投資、社会的消費支出の充実というプラスの面を評価すべきではありませんか。この点についての総理及び大蔵大臣の所信を伺いたいのであります。
 最後に、私は日米繊維交渉についてお尋ねいたします。昨夜も政府は駐米大使に対してさらに大幅譲歩をする案作成に、けさ三時まで協議して結論は出なかったといわれておりますが、政府がなぜ一方的に譲らなければならないのか、また、交渉に臨んでいる政府の態度、国内繊維産業政策の問題を含めてお尋ねいたします。
 まず、総理は、去る十月二十四日、米政府との間に、日米合意に達するため互譲の精神をもって両国政府間で交渉を再開する旨を共同声明し、これに基づいて駐米大使をして対米交渉に当たらしめたのであります。しかしながら、両国の主張があまりに隔絶している事実を見て、いまさらながら互譲の合意は困難が痛感されるのであります。そこで、伺います。総理は、いかなる見通しをもって日米合意に達し得ると判断しておられるのか、私には全く不可解なので、これをまずお伺いしたいのであります。これが第一点。総理が主観的に日米繊維問題の解決を望んでおられる点はわれわれも理解できるのでありますが、米国が国際協定のガット・ルールを踏みはずしている以上、わが国がこれに合意のしようがないことは自明の理ではありませんか。そのために国会は反対決議がなされたのであります。かかる重要な決議を総理はじめ関係大臣は無視して見切り発車したことは、重大な政治問題ではありませんか。さらに、今月十一日の日本商工会議所の会合で、通産大臣は、日米合意がミルズ法案の成立を阻止する道だと強調されたが、一昨日の総理の答弁では、日米が合意しても必ずしもミルズ法案の成立を阻止できないと言われたこの政府の態度は全くあいまいそのものでございまして、きょうは統一した答弁をひとつ示されたいのであります。
 いまや、政府は、米国に対する譲歩を重ねて、わが国自身がガット無視の犯人になるのではなく、日米交渉をガットの場に移すべきではありませんか。そこで、米国の国内事情、また日本の主張と理解を深める努力をすべきであると思うのでありますが、総理及び外務、通産大臣の見解をお聞きしたい。
 いまさら私が申すまでもなく、ガット第二十二条「協議」の第一項によって日米間で正式交渉ができます。しかし、同じ二十二条の第二項では、第一項による協議が満足する解決が得られない事項については他の一または二以上の締結国と協議することができると規定してあります。すなわち他のガット加盟国を加えて打開の道を求めることができるのであります。したがって、日本の規制により直ちにその影響を受ける韓国も含めた連係姿勢をいまこそ整えるべきではありませんか。それによって道も開け、国際貿易秩序も守られるのではありませんか。政府として、ガット条項の運用について、いかなる一体見解を持っておられるのか、お示し願いたいのであります。また、米政府間交渉が妥結しても、その結果について関係業界の同意が得られなかった場合、交渉の成果をもってしても業界の自主規制は求め得ないと通産大臣は再三再四これを言っておられるのでありますが、そのことをさらにここで確認いたしたいとともに、けさも業界の代表は応じられないと主張されていますが、その結末を一体どうするつもりなのか、この点を明らかにしてもらいたいと思うのであります。また、政府は、業界の互譲の精神と合意が必要と言いながら、交渉は米国主張の方向にますます進み、精神は互譲でも、吾れ譲るの一方的な吾譲の方向に進みつつあります。互譲でも互譲が違うのであります。これは業界、労働界の意向と反対の方向ではありませんか。政府の業界向けの釈明と対米交渉とは明らかに矛盾しているのであります。この事実を担当大臣としていかに国民に説明されるのでありますか。さらに、ミルズ法案が成立した場合、欧州各加盟国並びに台湾政府は報復措置をとることを言明していますが、これに対して、日本政府は具体的にいかなる報復を考えておられるのか、お伺いしたいのであります。
 次に、国内の繊維産業対策につき通産大臣に所見をお伺いいたします。すでに北陸三県の織物業では、対米輸出減を見込んでの生産手控えのために、加工賃は昨年秋の七割見当に下落しております。操業量も減少しています。政府は、対米交渉がいかに進展しようとも、国内産地の損失は日増しに増大しつつあり、すでに交渉の過程で大きな不安と大量の滞貨在庫を生じているのであります。当面、年末に向けて例年よりもどれほど在庫増加が見込まれ、生産減による産地被害状況はどうなのか、また、これに対して、政府は当面の年末金融をどのように準備しておられますのか、お伺いしたいのであります。また、政府は、ミルズ法の成立、または日米交渉妥結の場合、産地の損害補償にいかなる対策を用意しておられるのか。産地の不安動揺にこたえるために、その内容をここで明らかにしていただきたいのであります。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) 高山君にお答えいたします。
 まず、最初に、私の政治姿勢についてのお尋ねがございました。私は、人間尊重、社会開発、これは日本民族が将来にわたって自由と繁栄を確保し、進歩を続けるために必要欠くべからざることであり、私は、就任以来、終始この問題を意識し、この問題の意識を失ったことはありません。しかしながら、今日わが国の史上類例を見ない経済繁栄の結果、日本国民は、先人がいまだ経験したことのない社会の諸問題に現在当面しております。そして多くの日本人は、物質的な繁栄を追求するにとどまらず、よりよい生きがいを求めるようになっております。私は、このような新しい国民の動向に適切に対応することを念願している次第であります。民主政治というものは、ひっきょう議会制民主主義に基づく多数の政治であり、現在考えられ得る他のいかなる体制よりも望ましいものと私は考えております。私の四選についていろいろ御意見を述べられましたが、四選は党内問題であります。どこまでも党内問題でございまして、御理解のある御発言を願いたいと思います。申すまでもなく、政権交代は、国民主権、主権在民の形において行なわれる選挙で初めて政権交代が行なわれるのでありまして、この点では、今後とも議会制民主主義、この健全な発展を私もこいねがっており、そのルールはどこまでも守っていくつもりでおります。したがって、今日、私が総裁として四選され、引き続いて政権を担当する以上、従来の考え方をさらに進めて、先ほど申すような平和に徹し、自由を守り、そうしてりっぱな生活のできる国家にする、その意味で精進するつもりでございますから、この上とも御鞭撻のほどをお願いをいたします。
 次に、中国問題についてお答えをいたします。国際信義を重んじ、国益を守り、アジアの緊張緩和に資するという観点から、国際情勢を見守りつつ慎重に対処するという政府の基本方針は、両院での審議を通じて十分御理解がいただけたものと思います。この点につきまして、きのうと同じことを織り返しておるとか、どうも具体性がないとか、かような批判を受けておりますが、衆議院と参議院におきまして同じことを申すのは、これは当然であります。また、慎重に審議をするのでございますから、具体性がただいまないというそれも当たっておると思いますが、これは性質上さようなものであり、そこに私どもの慎重なる審議、それを必要としておるのでありますから、この点をよく御了承願いたいと思います。
 今次国連総会における政府の態度も、このような理念に基づくものであります。政府の国連外交に対する御批判は御批判として承っておきますが、わが国のように、中国大陸とも、また台湾とも、それぞれに深い関係を持つものにとっては、急がず、あせらず、注意深く事態の推移を見守るべきであるというのが政府の考え方であります。高山君も私と同様、中国問題の平和的解決なくして極東の緊張緩和はあり得ないという認識に立っておられるようでありますが、さればこそ、私は北京政府と国民政府の武力によらない平和的な話し合いを強く希望しているのであります。また、中国大陸との間に不必要な誤解や不信感を招かないためにも、大使級会談など、政府間の接触を呼びかけております。政府としては、時期とか場所については、相手方の希望に応ずる考えでございます。
 次に、公害問題について、高山君は時間の関係もあって、ずいぶんはしょられたようであります。私もその点では十分御意見が聞けなかったことをお気の毒に思います。ただ、その点でお尋ねのありました点についてお答えをいたしますが、この公害問題自身は、やはり何と申しましても、日本人の持つ英知とバイタリティー、これを十分生かして、そうしてこの問題を切り抜けていかなければならない、さような重大なる問題だと、かように私は考えております。私は、日本国民のこの英知とバイタリティーは、必ずや当面する公害問題を克服し得る能力があるようにと、かように考えております。
 ところで、お尋ねのありました地方への権限委譲、その裏づけとなる財政措置がついておらないではないか、こういうことでありますが、来年度予算編成の過程において、地方財政運営上支障のないよう、十分留意してまいります。具体策をというお尋ねでありましたが、いまの段階ではその方針だけを明らかにしておきたいと思います。
 なお、公害の費用負担あるいは国債発行等の問題については、それぞれ担当大臣からお答えいたします。
 最後に、日米繊維交渉の再開についてもお尋ねがありましたが、これはしばしば申し述べましたとおり、この問題を放置することは、日米関係にとっても、世界の貿易体制の維持のためにも好ましいことでないことは明らかであります。私の基本的考え方は、世界第一のGNPを持つ米国、また、自由陣営第二の日本、この二つがやはり提携することが何よりも国際経済を伸展さすゆえんではないか、かように思っておるのであります。この大局的見地に立って、ニクソン大統領との会談で再開に踏み切ったのであります。しかし、相手のある交渉ごとでありますから、互恵互譲の精神でものごとを片づけるというより以上には、ただいまのところ、これこれしかじかの見通しを立てておるのだ、かようなことは申し上げる段階ではございません。また、米側としても同様であろうかと思います。
 また、見切り発車ということにお触れになりましたが、このことばは、ことばが簡単過ぎるのでいろいろ誤解を生んでいるようでありますが、自主規制ということは業界の協力がなければ実効をあげることができないのであります。でありますから、あくまでも業界が納得し、その協力を得られるような線で妥結するよう、鋭意交渉を行なっていることを申し上げておきます。
 次に、私と宮澤君の答弁が食い違っているから、統一答弁を示せとのお話でありますが、全然食い違っておりません。米国内において保護貿易主義が台頭し、輸入制限法案が下院を通過したことは御承知のとおりであります。この点に関し、宮澤君は、この法案が現実のものとなることを防ぐためには、もはや日米繊維交渉の妥結しかないということを指摘したものと思います。私は、米国の輸入制限立法の動きは米国議会の問題であり、軽々しくは判断できないが、繊維問題について、日米両国政府間で合意に達したとしても、最悪の場合、このような法案が成立する可能性が全くないとは言えないと申したのであります。御承知のように、米国では、両院を通過した法案は大統領の承認によって初めてその効力を発効いたします。そうして米政府は、日米繊維交渉を妥結し、これをよりどころとして輸入制限法案の成立を阻止したいと考えているようであります。
 以上のような諸点を特に御理解いただければ、政府部内に答弁の食い違いが全くないことがおわかりいただけると私は思います。
 なお、ガットの運用についての御意見は、これは承っておきます。また、いろいろ御鞭撻をいただいた点についても私は感謝いたしておりますが、この問題は、いずれにいたしましても、日米間において話し合いがつき、同時にまた日米双方の業界の了解、支持、これが絶対に必要でございます。さような意味で、私も最善を尽くす考えでございますから、関係の方々の一そうの御鞭撻と御協力をお願いし、そうして、世界経済の発展と自由貿易体制の維持に貢献したい、かように私は考えておる次第であります。
 私からの答えは以上で終わりますが、なお、それぞれの担当大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(愛知揆一君) 私への御質問は、主として日米繊維交渉の問題でございますが、私といたしましては、ただいま総理からお答えがありましたとおり、また、昨日私自身からも申し上げましたような考え方のもとに、通産省とぴったり呼吸を合わせまして、日本のいろいろの意味から申しましての国益を守り、かつ、日米間の円満な妥結がはかり得るように、なかなか非常にむずかしい問題でございますけれども、文字どおり、ただいま日夜を分かたず努力を傾倒しておるところでございます。
 なお、通産大臣からも御答弁があるかと思いますが、ただいま総理の言われたところに、私の申し上げたいところは尽きておりますが、今後とも、一そうひとつ努力をいたしたいと思いますが、かねがね国会の皆さま方からも御決議はもとよりでございますが、いろいろこまかい点にわたってまで御注意、御協力をいただいておりますことをあらためて厚く御礼申し上げたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(山中貞則君) 公害防止事業者費用負担法等の提出、可決等の予想を前提といたしまして、今後、公害防止のための費用が企業において、ことに私企業の場合において、その企業の中で投入された場合に、本来、公害防止事業が収益をあげない施設である性質を持っておりますため、それらのものが結局商品価格に転嫁されて、消費者負担になるのではないかという意味の御質問でありますが、私たちの国の経済の大きな柱は、輸出貿易であることは御承知のとおりでございまするし、アメリカあたりにおいては、すでに日本の企業がアメリカに持ってくる商品は、本来企業がその国の中の社会において、反社会的企業でないための投資である公害防止事業の費用あるいは住民の関係においてよき隣人であるべき立場を守るために当然投資すべき防止費用を投じないで、そのサボったための分だけを安く、コスト安でなぐり込みをかけているのだという保護貿易の一つの主張の根拠等もささやかれている現状であります。私たちは、これらの国際的な視野にも立ち、さらに国内においては、場合によっては企業の存立をも危うくする公害事業に立ち組む、その熱意を示すと同時に、その投下された費用が、たとえ、それが収益に貢献しない施設でありましても、その費用を企業のコスト、あるいはまたそれらの当然に含まれるべき人件費、資材費等のものと同一視いたしまして転嫁せざるように、そうして、その企業努力の近代化、あるいはそれらの生産性向上等の過程において吸収するように、全力をあげて指導していくつもりでありますが、政府の直接指導できない分野においても、一方において、カラーテレビ論争に現在見られまするように、消費者の選択の市場において、同一品質のものである場合において、当然行なうべき公害防止事業を行なうために、その製品コストに転嫁をいたしました企業は高い製品を市場に提出することになりますから、消費者の選択の場において敗北するであろうと私は思うのであります。しかしながら、税制や金融やその他の措置によってコストに転嫁しようにもできない中小零細企業についての十分なる配慮が必要でありますることは、次の予算編成を通じて配慮する旨、総理からの答弁もすでにあったところでございます。
 以上、なるべくゆっくり答弁をいたしました。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
 御指摘のように、公害対策をとりますれば、その財政的な裏づけが必要な次第でございます。これにつきましては、総理からもお答えがありましたように、四十六年度予算において具体化をするという考えを持ちまして、ただいま鋭意これを検討いたしております。
 ただ、御指摘にありました、この公害対策のために特別の公債を発行せよと、こういう御議論であります。これは公債を戦後初めて発行するという昭和四十年、四十一年度におきましても、これはもう国会においても大論争のあったところでありまして、これは軽々にこれに賛成であるというふうなお答えはできないのであります。ただいまのところは、公債以外の方法において万全を尽くしたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 戦後二十何年間か続いておりますガット体制を今日ささえておりますのは、わが国とEECと米国というこの三本の柱でございますが、しかし、そうかといって、ガットがこれらの国の主権を越えたところにあるわけではございません。これらの国がお互いにある程度主権の主張を譲り合いながら、自由貿易のためにここまで協調してきたというのが今日までの姿でございますので、その中のどれかが非常に自己本位的な主権に基づく主張をいたしますと、この体制はすぐにでもこわれざるを得ない、そういう実情にあると思います。
 で、アメリカに見られます新通商法案に象徴される動きというものは、私どもそのようなものと考えているわけでございまして、先ほどガット二十二条一項、二項のお話がございました。通例の場合でございますと、これは確かに一つの筋道の考え方であるわけでございますけれども、実はその母体であるところのガットそのもののもとがこわされそうになっておるのが、いまの状況であるというふうに考えておるわけでございます。これはことしの春以来、ガットの事務総長自身がそういう判断をしておりますし、EECもまた同様に考えておるわけでございます。そこで、わが国といたしまして、この際、繊維問題について業界の同意を得ながら、米国と取りきめを結ぶことによって新通商法の成立発効を防ぐために最善を尽くそうという判断から、このたび交渉を再開いたすことになったわけでございます。
 そこで、いわゆる見切り発車といわれておるところの問題でございますが、交渉は互譲により事を解決いたしたいと考えておりますについて、米側から提案があったわけでございますから、先方の譲り得る幅がどれだけであるかということを詰めますためには、こちらも提案をいたさなければならないことになったわけでございます。しかし、その点について、関係業界としては、そのような話には道連れになりたくない、いわゆるコミットしたくないという立場をとっておるわけであります。それは、一つには、業界と私どもと新通商法案についての見通しなり、解釈なり、あるいはしたがって交渉のタイミングなりの見解が違うからでもございますけれども、もう少し根本的には、業界は一応繊維のことを中心に考えられればいいわけでございますけれども、私どもは、繊維ももちろんでございますけれども、日本の経済全体、産業の各分野、世界自由貿易、あるいは日米関係等々、いろいろなことを総合的に考えなければならないという立場の違いが、さらには根本的にあるのではないかと思っております。しかし、いずれにいたしましても、先ほど総理大臣が答弁されましたように、かりに何かの取りきめができるというめどがつきましたときには、もう一ぺん話は業界のところに返ってまいりませんと、業界の協力がなければできないことでございますから、それは当然最初から前提とされているところでございまして、ただいまの交渉の段階では、まだそこまで戻ってくるめどがついていない、そこまで交渉が進んでいないというのが現状でございます。
 なお、いわゆる強権発動につきましては、昨日、本議場におきまして、総理大臣がすでに答弁をされておられますので、御参照をいただきたいと思います。
 産地の問題でございますが、私も幾つかの産地を見ておりますので、御指摘のような点について心を痛めております。一つは、やはり昨年来の金融引き締めというものが基調にあったようでございますし、また、構造改善を進めておるところと、そうでないところによりまして、かなり状況が違っております。しかし、やはりこういう交渉がなかなか長くかかってくるということで、先行きの見通しの不安ということが加わってくるということは間違いない状況であると思っております。そこで、年末にもなりますので、これらの業界、機屋さんにしましても撚糸にしましても、あるいは縫製加工にいたしましても、一番縁の深いのは、やはり商工中金あるいは国民金融公庫、中小公庫というところでございますから、この今年度の下半期のこれらの政府関係三機関の貸し出しワクを先般増額いたしました。そのときにこういう産地の状況は十分考えて増ワクをいたしたつもりでございます。
    ―――――――――――――
#11
○議長(重宗雄三君) 戸田菊雄君。
   〔戸田菊雄君登壇、拍手〕
#12
○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表して、佐藤内閣総理大臣の所信表明に対し質問を行なうものであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 まず、経済の基本についてでありまするけれども、現在われわれは解決すべき重要な問題を幾つかかかえております。佐藤総理は過日の特別国会で内政重点を表明いたしました。戦後の絶え間ない経済成長は日本経済の未曾有の膨張を示しました。GNPは二・八六倍、鉱工業生産は四倍、輸出貿易は三十六億ドルから百七十億ドルに躍進し、その生産力は資本主義世界第二位にのし上がったのであります。しかし、それは政府の産業偏重、大企業中心の成長政策にささえられ、国民の生活福祉を犠牲にし、勤労者への過酷な低賃金、合理化の上に築かれた発展であり、あらゆる面に矛盾とゆがみを生み出し、国民の間に苦痛と不安と退廃を増大させているのであります。この産業偏重の成長の結果は、生産の集中、資本の集積が強化され、経済の寡占化、独占化が進行したことであります。
 わが国の経済は数百の主要会社が大金融機関と結合し、数千の系列、下請企業を傘下に置き、わが経済の中枢を握っておるのであります。これらの企業の株主の大半は、金融機関その他の法人に保有され、十万株以上の少数の大株主が大半の六割を所有するに至っているのであります。都市銀行は大企業の資金調達機関であり、銀行信用を増発し、通貨管理制度によって日銀がそのうしろだての役割りを果たしておるのであります。大衆貯蓄を吸い上げる財政投融資による公共投資、海外協力も、国民不在、産業偏重が続いておるのであります。
 新産都市建設などによる企業敷地確保のためのばく大な国、地方、公共団体の先行投資、日本輸出入銀行など政府関係機関を通じての産業界への補助など、財政のすべてが大企業に奉仕せしめられ、かつ税制においても同様と言い得るのであります。本来、平等であるべき税制の取り扱いを見ますると、今年度は一・七五%引き上げられたとはいえ、世界主要国中最低の法人税の実効率、設備投資や輸出推進のための各種の特例措置などであります。しかし、このような企業保護、生産第一主義はすでに対外的、アメリカ、カナダに見られるようなダンピング問題、対内的にも行き詰まりの状態を見せ始めているのであります。このような政府と財界の結託による高度経済成長は、第一に、物価上昇を恒常化させ、インフレを定着化させるに至りました。
 第二に、あらゆる面に格差と不公平、不平等を激化させました。資産と所得の格差、大企業と中小企業の格差、都市と農村の不均衡による過密、過疎の現象の激化、公衆衛生、公園、上下水道、住宅など、国民生活関連施設の立ちおくれの激しさ等々であります。町にあふれる車の反面、その車からの排気ガスによって鉛公害を受ける一般住民、広大な敷地を占領し、設備投資を拡張して利潤追求をむさぼる大企業、片や一家五人が六畳一間に間借り生活を余儀なくされ、乳のみ児を死亡せしむるといった勤労者の生活の実体、所得分配の不公平を是正する社会保障は、国民所得の約六%にすぎず、西欧諸国の二分の一ないし三分の一にとどまり、老後や医療の保障も全く不完全なのであります。
 第三に、公害と事故の激発が人命を奪い、自然の破壊を招いていることであります。総理は、再々人命尊重を強調されますが、これほどそらぞらしく国民に与えるものはありません。GNP大国を自称しているその裏面には、これらの多くの矛盾が実在しており、この現状を今日まで放置し、常に生産第一主義と大企業の保護のみを絶対優先化させ、推進してきた自民党佐藤内閣の責任はまことに重大と言わなければなりません。このように生命と健康を犠牲にし、自然を破壊するばかりか、金もうけ中心、拝金思想、利己主義の生存競争を生み出し、人間相互の不信と汚職、犯罪をはびこらせ、社会病理現象を増加させ、新しい社会の貧困、欲求不満と人間疎外をかもし出している経済中心主義のやり方は、海外的にも国内的にも行き詰まりを生じておるのではありますまいか。この際、政府は、大企業保護の観点を反省し、国民一般を保護する立場に立って政治と行政を展開すべきものと考えますが、総理の明確な御所見を承りたいと思うのであります。また、今後いかなる方針で進もうとするのか、そのプランニングを明示していただきたいと思うのであります。
 以下、具体的に質問をいたしたいのであります。
 第一は、インフレについてであります。物価の安定は、佐藤内閣登場以来の重要な政治課題の一つとして、毎年、総理の施設方針演説や経済企画庁長官の経済演説の中心に見出すのであります。国民は、今度こそはと期待するのでありますが、しかし、皮肉にも政府が物価の安定を強調し、対策について説明すればするほど、物価上昇は鈍化するどころか、むしろ年を追うて上昇率は加速化し、ついに昨年度は定期預金金利を上回る六・四%にも達したのであります。このような情勢を踏まえ、われわれは、四十五年度予算審議の際に、現在はすでにインフレ状態であり、真剣にインフレ対策に取り組むと同時に、社会保障による年金受給者や恩給生活者の生活防衛の改善の策として、物価上昇率に応じたスライド制を採用することを政府に要望いたしたのであります。政府は物価を安定することに全力を尽くすと胸を張ったことを、佐藤総理はじめ、福田大蔵大臣や佐藤経済企画庁長官はよもやお忘れではないと存じます。ところが、現在の状態はどうでしょう。昨日の佐藤総理の答弁でも、最近の物価情勢はすでに昨年を上回ることを認めざるを得ず、また、物価上昇率はおそらく七%台への突入も避けられぬものと十分推定されるのであります。もし七%台の物価上昇となれば、終戦当時のあの悪性インフレ時代を除けば最高の上昇率となり、ますますインフレは完全に日本経済に組み込まれていると断言せざるを得ないのであります。政府は、いまもなお、現在の状態をインフレと承認せず、経済成長に伴う必然の物価上昇と判断しているかどうか、明確にしていただきたいと思うのであります。また、今年度の物価上昇を何%程度に抑制をしようとしているのでありますか。そして、今後いかなる手段で、このインフレ状態を終息せしめようとしているのか、政府の明快な御見解を承りたいと思うのであります。
 インフレは、金持ち、貧乏人にかかわらず、国民全員に降りかかる税金であります。その意味では逆進性を持っております。その中にあっても、零細な預金金利生活者や、退職し、恩給や年金のみをたよりに生活する人々は最大の被害者であります。反面、インフレによる最大の利益者は、ばく大な借金で設備投資を進めている大資本企業家であります。政府の決意表明にもかかわらず、物価が大幅な上昇を続ける限り、意図せざる所得の不平等化が進行しつつあることは否定のできない事実であります。物価を安定させ、不平等の原因を是正することはもちろんでありますが、私は、この際、現実的に被害を受けて困っている年金並びに恩給生活者に対し、思い切って物価スライド制を完全に実施し、インフレの被害から守ることが政治の責務と思いますが、総理並びに大蔵大臣は、このスライド制実施をどのように考えますか、政治的決断をお聞かせ願いたいのであります。
 第二は、公害問題と事故激発についてであります。亜硫酸ガス、CO、鉛などの大気汚染、工場、鉱山の廃液投棄による水質汚濁、鉱工業排水、農薬、都市下水、屎尿、廃油、漏油、温排水による海洋資源の汚染、その他、食品、薬品の公害、地盤沈下、ガス爆発等々、公害問題が一気に吹き出してきているのであります。これこそ営利本位、生産第一、人間の生命と健康を無視した資本主義社会の爆発であり、GNP至上主義の結果であります。政府から各議員の質問に対してそれぞれ答弁があったわけでありますが、明確を欠いているので、再度、次の点について質問いたしたいと思うのであります。
 その一つは、公害防止費用の負担の原則についてであります。従来から、物価へのはね返り、さらには企業の存立を危うくするとのことで、産業界では、公害防止に種々の援助措置を政府に要求しているところであります。しかし、公害問題は明らかに企業活動に伴って生ずるものであり、一般の国民の税金から出すべき筋合いのものではないことは当然である。これら公害防止の費用負担は、すべて企業自体の責任の中で解決すべきと思うが、どうでありますか。
 その一つは、企業に対する政府の公害責任の追及と規制の強化についてであります。今国会に提出された公害法案の中に、無過失責任が取り入れられなかったことは全く残念であります。立法技術の問題もさることながら、要はそれに対する政府の熱意であろうと思うのであります。公害の無過失責任をなぜやめたのか、再度政府は検討し直すべきであると思うが、具体的にお示しを願いたいと思うのであります。
 その一つは、海洋資源の汚染についてであります。最近の海洋の汚染はまことにはなはだしいものがあります。海洋汚染には、一つは、汚染の結果、生物が住めなくなること、一つは、生物自体が汚染されることの二つがあると思いますが、しかも、このような汚染は、内海に限らず、海洋一般まで拡大されつつあります。ことに、相模湾、東京湾、三陸沿岸等々、内湾、近海水域の汚染の結果、異常な富栄養化が進行し、鞭毛藻類の異常増殖現象であるところの赤潮が多発し、水産増養殖や有用底棲生物に大きな被害を与えているのであります。また、海洋汚染で重大なものは漏油によるものであります。海上輸送中の石油漏油量は、一九六八年に千二百万トンに達しました。ほかに、タンカーの海難事故続発による漏油、廃油投棄等による被害が大きくなっているのであります。日本人の食生活に占める水産物の比重の大きさは、一九六八年資料によりますると、日本人一日一人当たり動物たん白摂取量は二十九・五グラムであるが、その五五%の十六・三グラムを水産物で占めているのであります。世界で最も高い比率であります。ほかにかなりの量の海藻類を摂取しているのであります。つまり日本人は世界で最も水産物に依存している国民であります。また、漁業生産金額――鯨を除く――は、昭和四十三年で七千四百四十七億円に達し、漁業従事者は減少したとはいえ、六十万人を数え、漁船の総隻数三十七万五千隻、漁獲量八百六十七万トン、うち、浅海養殖業五十二万トンと、国民経済に占める漁業の重要性はいまさら強調するまでもありません。IOC、政府間海洋委員会は、昭和四十三年十二月、国連で海洋調査研究の長期拡大計画の原案を作成し、その六項目の中に海洋汚染が入っているのでありますが、また、わが国でも、海洋科学技術審議会が総理大臣に対し、海洋開発のための「科学技術に関する開発計画について」という答申を行ないました。七〇年代の海洋開発の方向づけとして重要でありますが、これらの海洋開発進展を含め、政府はどのように国際的協力のもと、組織的調査を行なっておるのでありますか、明らかにしていただきたいと思うのであります。また、今日発生しておる内海並びに海洋の汚染防止をはかる具体策を示していただきたいのであります。
 その一つは、自動車事故発生防止についてであります。自動車事故は、年々二万人に近い生命を奪い、香川県人口に匹敵する百万人の負傷者と不具者を生み出しております。新経済社会発展計画では、昭和五十年に車の数三千万台となります。そのときを想定いたしますると、死者毎年二万二千人、負傷者何と二百万人に増加する見込みであります。佐藤総理の人間尊重は、この一点を見ても強く糾弾されなければなりません。交通災害は多様であります。騒音、振動、自動車排気ガスによる大気汚染、また、走る凶器とか、あるいは走る棺おけとの表現どおり、交通事故は、前述したとおり多発激増の傾向にあります。これに対し、政府は今日までもっぱら取り締まりと交通規制の強化で立ち臨んできたのでありますが、現在の交通麻痺並びに交通公害に対する抜本的対策が必要かと存じますが、政府は、いかなる対策で今後臨もうといたしておりますか、お示し願いたいのであります。
 第三に、農政問題についてであります。昨日わが党の鶴園議員も質問いたしたのでありますが、総理並びに農林大臣から、基本農政に対し検討中との回答がありましたが、再度質問いたしたいと思うのであります。
 農業基本法のもとでの農業政策が、基本法の精神とは全く逆に農業破壊の道を歩み続けていることは、今日の農村へ一歩足を踏み入れれば、だれでもが痛いほどはだ身に感ずる点であろうと存じます。第二次産業重視の重化学工業化政策の推進は、確かに国民総生産を高めはしたものの、農産物の国内自給率は年々低下の傾向にあります。農業は逐年縮小再生産の方向へと追い込まれております。そこでお伺いをいたしますが、国内農業は荒廃するにまかせ、国民の食糧は海外、特にアメリカと東南アジアに依存しようというのが佐藤内閣の農政基本政策でありましょうか、どうですか。佐藤内閣は一体食糧の自給体制づくりにどのようなビジョンをお持ちでありますか、お示しをいただきたいのであります。
 次に、わが国の農政が今日直面いたしております大きな課題は、米の生産をどう進めるかということであります。来年度は生産制限を今年度の百五十万トンから、倍の三百万トンに引き上げようとしていると新聞は伝えております。さらに、米の買い入れ制限、二段米価、逆二段米価、転作休耕補助金に格差を設けること等も検討中だということでありますが、これらの議論は、木を見て森を見ずとのたとえのとおりではないかと思うのであります。米の生産過剰が起きるには起きる原因があったのでありまして、そうした根本の原因と日本の農政のあり方を結びつけて考えずに、目先の対策だけに大騒ぎをしていることは、不必要に農村や農民に不安を引き起こすだけであります。私は、自民党の言う、農作物生産について地域分担を明確にして適地適作の農政を実施するというのでありますが、その地域分担の具体案を示していただきたい。また、生産制限の具体的な転換方策を示すべきと思うがどうですか。さらに、それがための裏づけとなる予算は一体どうなるのでありますか、具体的にお示し願いたいと思うのであります。すなわち、生産費所得補償方式によって農民が安んじて生産に従事できる農政が準備された上でのみ、米の生産から農民が微退できる最低限度の条件がととのうのではないでしょうか。そうした対策なしに急テンポで米の生産の制限を行なうやり方は、農民に自殺しろと言うようなもので、許されません。政府は、従来食管の根幹維持ということをたびたび声明いたしているのでありますが、来年度も食管制度の根幹は維持する考えなのかどうか。さらに、政府の考える食管制度の根幹とは一体何なのか、明らかにお示しを願いたいと思うのであります。米の買い入れ制限や二段米価、逆二段米価を導入した場合でも食管制度の根幹は維持していると政府は考えられるのかどうか、その点もあわせて質問いたすものであります。
 さらに、四十六年度予算編成とも重大な関連があるが、今日好むと好まざるとにかかわらず、農政が大きな転換点に立たされていることは否定できないが、そうした転換をスムーズに進めるには、長期低利の農林業への融資対策が格段に拡充強化される必要があると思うがどうですか。さらに、貿易自由化のかけ声によって、残存輸入制限をしている農産物を悪玉呼ばわりをしておりますが、国際競争力がほとんどない日本の農産物について、机上の空論で自由化をやられては、農民にとっては死活にかかわる重大問題である。残存輸入制限の撤廃の方向が必要だとしても、農民の生活に不安だけは起こさせない十分な対策を具体的に行なうべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。農林省はこうした積極的な対策を講ずるでもなく、一歩一歩後退していくだけの今日までのこの問題への対処のしかたは許さるべきでないと存じますが、大臣の見解を承りたいと思うのであります。
 第四は、税制問題についてである。まず、税制改正について総理の基本姿勢をお伺いしたいのである。すでに四十五年度の税制改正で、夫婦子供三人、計五人世帯の課税最低限を百三十万円に引き上げ、長期税制答申を履行したということから、税制改正に対する政府の姿勢は消極的に見えるのでありますが、この点に対して総理はいかがお考えですか。今日の日本経済は、すでに申し上げましたようにインフレ時代を迎えており、毎年大幅な所得減税を実施しないとすれば、物価上昇に所得の増加分が食われることになり、国民生活の消費や貯蓄が抑制される結果、国民福祉の向上は望むべくもありません。今後のインフレ状況によって大幅な調整減税を行なうべきだと思いますが、いかがでありましょうか。政府は来年度所得税減税について、減税幅、課税最低限の引き上げについてどの程度を見込んでおりますか、お答え願いたいと思うのであります。
 私はこの機会に、サラリーマンの税金が重く、かつ不公平を是正するために次の提案を行ないたいと思うのでありますが、政府の十分な御検討をお願い申し上げたいと存じます。職業上必要な経費は実額計算によって完全に認めるか、あるいは給与所得控除を合理的に改正して、サラリーマンがどちらでも選択できるようにすること、結果的に課税標準の所得金額が低くなるようにすることであります。二つは、人的控除が標準的な生活費を上回るように引き上げ、サラリーマンには資産所得者より控除が多くなるように配慮すること。三つは、中小所得階層に対する税率を引き下げ、全体として高度累進制にすること。第四は、源泉徴収か申告納税かはサラリーマンの選択にまかせること、等々を検討して改善措置をはかられたいと思いますが、いかがでございましょう。
 次に、住民税減税についてでありますが、住民税も今年度課税最低限を七十三万円に引き上げるなど、改善のあとは見られますが、依然として課税最低限が所得税と異なっております。政府は住民税が応益との議論に固執し、所得税との格差を一向に縮めようとする努力を行なっていないことは納得できないのであります。徴収される国民の立場から見れば、国、地方税ともに強制的に取り上げられること、国の行政と地方固有の行政が入り組み合い、判然としない今日の情勢において、国税の応能性と地方税の応益性に差異を見つけることは困難でありましょう。しかも、かつては所得税と住民税の課税最低限は一致していたはずであります。当時の地方自治体は困窮せる赤字財政のもとにあり、現在は若干財政的ゆとりもあるはずであります。この際、所得税、住民税の課税最低限を近づける努力を政府はなすべきと思うが、いかがでありましょう。
 最近、来年度の税制改正の一環として、間接税の増徴論議がなされておりますが、福田蔵相は、現在直接税に片寄っているため、国民が重税感を持っており、今後物品税にウエートを置き課税する方針を明らかにしておりますが、財源として考える場合、大衆商品に課税されやすく、それが物価上昇にさらに拍車をかけることになりはしないか、どうでありますか。むしろ、年間八千億にも達し、社会的批判の的となっている企業の交際費課税を十分にやることこそ先決問題だと思うのですが、どうでしょう。
 次に、租税特別措置の廃止についてでありますが、昨日の日経新聞によりますと、改善することをほのめかしておりますが、いまさら強調するまでもなく、特別措置により、数、金額ともに一番恩典をこうむっているのは独占企業、大企業、資産所得に対するものであります。また、租税特別措置は、それのみの狭小なものではなく、所得税法、法人税法の本法そのものにも組み込まれているのでありまするから、あわせて再検討すべきだと思いますが、どうですか。大蔵大臣の所見を伺いたいと思うのであります。
 第六は、補正予算についてであります。今国会の重要案件は、いうまでもなく日中、繊維問題、公害関係法案の審査等々がありますが、同時に、四十五年度予算成立後に生じた予算支出の措置であります。そうしてこの予算支出の最大の焦点は、八月人事院によって勧告されました公務員給与改定に伴う審議であることもまた衆目一致しておるところであります。しかるに、政府は、今回これら公務員の給与改定に必要な法律を国会に提出しただけで、支出を裏づける補正予算が提出されていないのは全く理解に苦しむところであります。支出を伴う法案は、それを裏づける予算措置が明確化されておってこそ現実に生きてくるのであって、今回のような法律案だけのひとり歩きはまさに空前のできごとではないでしょうか。なぜ補正予算を国会に提出しないのか、だれしも疑問を持つのは当然でありましょう。昨年の例を今年度に慣例化させるのは歪曲にすぎません。昨年は、衆議院解散により参議院も国政参与の権利が一時的に停止された結果、補正予算審議が行なわれなかったにすぎないのであります。しかも、今回の公務員の給与改定法案には、昇給延伸等、今後の予算支出に関連して幾つかの問題を含んでいるばかりか、改定に必要な公務員給与費の総額は、当初予算に計上した五%をはるかに上回る一二・六七%の大幅な勧告であります。この予算計上額と現実の差七%、約一千四百億円の予算措置についてどのようにするのでありますか。われわれは何ら審議していないのであります。この未審議部分を行政権の裁量によって当初予算の給与費を繰り上げ使用し、二月や三月分の給与費が足りなくなってから補正予算の審議などという見えすいた行為は、国政参加の権限を国民から付与された人として断じて認めることはできません。それは財政支出権限を与えられた国会として、行政権に服従し、自殺を意味するものと考えるのであります。最近、憲法に定められた三権分立の原則に対し、総理はたびたび尊重を主張いたしますけれども、これこそまさしく行政権の優位が問題になっているのであります。われわれは、常に過度な権力の集中しがちな行政府を警戒しなければならず、財政当局への権限は、その性格上、権力集中の典型とも言えるのであります。この監視を怠らぬことが、与野党を越えて国会に課せられた使命であると存じます。今回の政府の補正予算の未提出は、その意味で全く国会の権限を縮小し、任務を怠るものであって、断じて見過ごすことができません。すみやかに補正予算を提出し、国会の審議を受けるべきだと思うが、どうでありますか。一体、提出できない理由は何なのか。行政の長であるが、反面、国会議員の一員として、佐藤総理は、国会の財政歳出と審議の権利をどう理解されているのか、説明を願いたいのであります。
 第七は、防衛問題についてであります。昨年以来、佐藤内閣の防衛力拡充の姿勢は、質的な変化が認められます。そうした中で、鶴園議員も指摘いたしましたように、五兆八千億から六兆円に達する第四次防衛力整備計画が発表されましたが、その四次防の基本内容と整備の重点をどこに置こうとするのか、総理の回答をいただきたいのであります。現在でもその実力はアジアで一、二位を誇る自衛隊をこれ以上拡大強化しようとする理由は、一体何なのか。アジア諸国やアメリカでさえ日本軍国主義復活の危険な徴候が指摘されているとき、総理の言明のように、平和と専守防衛に徹するということであるならば、軍備拡張は百歩譲っても現状で凍結すべきであると考えますが、総理の見解はいかがでありましょうか、回答を願いたいのであります。
 中曽根長官は、憲法並びに政策上四つの限界、すなわち、他国に侵略的脅威を与える攻撃兵器は保持をしない、海外派兵は行なわない、非核三原則、社会保障、教育その他の諸施策との適切な調和を守り、漸進的に防衛力を整備する、この四限界の言明を行なっておるのでありますが、四十四年五月十二日の自主防衛強化に関する基本見解を作成し、防衛予算の飛躍的な増大と、これまで米軍を「やり」とし、自衛隊を「たて」とする日本の防衛という補完関係を、米軍同様の「やり」に質的に変化させることをほのめかしているのでありますが、航空距離三千二百キロを保持するF4Eファントムジェット戦闘機と、海上では対艦ミサイルSSMのように攻撃能力を保有する国産ミサイルの兵器体系を織り込んだ計画自体、四限界を越え、政府のいう専守防衛の域を越えるものと思うが、どうでありますか。論理は飛躍的過ぎるかもしれませんが、日本の自衛隊は、日米安保条約並びに日米共同声明で、しょせん日米共同作戦を義務づけられ、対米従属を余儀なくされる現状から、長官がいう自主独立の自衛隊にはなり得ないのではないかと思うのでありますが、長官のお答えを求めたいのであります。
 第八は、沖繩問題についてであります。戦後二十五年、異国の支配下にあった沖繩が、七二年返還を目途に戦後初の国会議員の選挙が行なわれ、この国会にも沖繩県民の意思を代表する同僚議員諸君の登院を見たことは、おそきに過ぎたとはいえ、御同慶の至りであります。今回の選挙が革新陣営の勝利に帰したことは、沖繩返還に臨む政府の態度に現地県民の不信感の反映と断ぜざるを得ません。不信感の要因は、核抜きと米軍基地の撤廃について政府の態度がきわめてあいまいで、戦争に巻き込まれる危険が、日本領土の中で一番危険の度合いが高い。沖繩の復帰はこの危険率を低めることでなければならないのに、新聞の伝えるところでは、来年の参議院選挙後に沖繩復帰のための臨時国会を召集するというが、沖繩復帰のプログラムを明らかにしていただきたいと思うのであります。
 時間もありませんから、要約して防衛庁長官にお伺いいたしますが、沖繩返還後、日本の自衛隊を派遣するのでありますかどうですか。日米共同声明に対し、一月二十六日から二十九日の米上院対外分科委員会の秘密聴聞会でのジョンソン国務次官、ランパート沖繩高等弁務官、マギー在日米軍司令官等々の証言で、返還後も沖繩の緊急時には核兵器を持ち込む権利を留保する、これに対し日本政府は拒否をしないこと、沖繩を含む日本の米軍基地が韓国、台湾防衛の重要基地であること、日本以外の地域での安全保障に貢献すること、沖繩に配置している核兵器をベトナムのケサン攻防戦で使用したこと等々を考えますると、沖繩派遣自衛隊は核武装の渦の中に巻き込まれることは必定であり、かつ、政府の言う核抜き本土並みはまさに欺瞞政策そのものではないかと思うのでありますが、防衛庁長官の具体的なお答えを願いたいのであります。
 日中問題について一点、総理にお伺いをいたします。総理は、再々、大使級会談を持つという意向を示しておりますが、具体的にその内容はいかなるものか、再度お示しを願いたいと思うのであります。
 最後に、社会保障についてであります。佐藤内閣の高度経済成長政策を誇示し、昭和元禄を謳歌するその裏には、社会のどん底にあえぎながら、哀れな多くの国民のいることを考えずにはいられないのであります。すなわち、力のない老人、重症身体障害者、共かせぎをしなければ生活を営めない勤労者に必要な保育所並びに失対事業等々、社会の底辺で歯を食いしばりながら貧しい生活をしいられているこれらの国民大衆に対し、総理はいかなる基本政策をお持ちでありますか、お示しをいただきたいと思うのであります。また、保育所並びに重症身体障害児収容の施設はきわめて不足しております。これらに対する具体策をお示しいただきたいと思うのであります。
 以上、私は各般の問題について質問いたしましたけれども、総理並びに関係大臣の誠意ある御回答を期待をいたしまして、質問を終わる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐藤榮作君) 戸田君にお答えいたします。
 企業本位の経済政策は改めよとの御意見でありましたが、政府の政策が企業優先であり得ないことは、昨日来たびたび申し上げたとおりであります。あくまでも国民の福祉、これを第一義とするものであって、単にGNPの上昇のみを追求するものでないことは、新経済社会発展計画あるいは新全国総合開発計画を少し注意深く読んでいただければ、十分おわかり願えるんではないかと思います。
 次に、最近の消費者物価は、遺憾ながら当初見通しをかなり上回り、年度間を通じて六%台にとどめるには相当の努力を要する状況になっております。この点は昨日もあやまったとおりであります。しかし、卸売り物価は比較的落ちついた動きを示していることも御考慮をいただきたいと思います。(発言する者あり)よく聞いてください。しかしながら、最近のような物価上昇が長期にわたって続くと、値上げムードが定着し、わが国経済の安定的発展のためにも重大な脅威となることも懸念されますので、政府としては極力インフレの回避に取り組んでいる次第であります。そのため、政府といたしましては、総需要の適切な管理に留意し、低生産性部門の構造改善を進め、さらに生鮮食料品の安定的供給、輸入政策の活用等、各般の個別対策を着実に実施しているところであります。問題が問題だけに、直ちに効果をあらわすという性格のものではありませんが、この点、消費者の消費態度、また所得とも大きな関係がありますで、国民の協力を得て、今後とも物価安定のために全力を傾注してまいる所存であります。
 次に、公害防止事業の費用負担についてでありますが、具体的な負担額は、多種多様の公害防止事業を地域の実情に即して円滑に実施するため、地方ごとに設置される審議会に諮問して決定されることといたしましたが、負担の適正を確保するため、基準についてはできるだけ明らかにする方針であります。また無過失責任につきましては、昨日来再々申し上げたところで明らかと思いますが、政府は決してこれを回避しているわけではありません。問題が重大なだけにいま少し時間をいただき、十分検討の上で成案を得たいと考えているものであります。
 次に、海洋国日本として、海洋汚染問題がきわめて重要な問題であることは戸田君御指摘のとおりであります。その意味で、今国会に提案予定の海洋汚染防止法は大きな寄与をすることと期待されます。また、これにより海洋汚染防止に関する国際条約にも多くの各国に先がけて批准し、世界共通の財産である海洋の汚染防止に率先して参加することが可能となるのであります。御提案の長期計画については、海洋汚染防止事業にどのようになじむか、なお十分検討してみたいと考えております。
 次に、交通事故が依然として増加を続けていることはまことに遺憾でありますが、政府は、歩行者保護の見地から大都市における交通規制を格段と強化し、さらに、さきの国会で成立した交通安全対策基本法に基づく各般の対策を進めているところであります。従来の取り締まり規則だけでは交通災害を防止できないという戸田君の御意見はもっともであります。この計画の策定にあたっては、交通政策全般の総合的観点に立った実効ある計画を得て、事故防止の基礎としたいものと考えております。
 次に、農業問題についてでありますが、昨日も鶴園君の御質問に対して明らかにしたように、農業が経済社会の中で均衡ある発展を遂げることなくして、わが国経済社会全般の健全な発展はあり得ないと考えるものであり、この意味において、適切な農政の展開はきわめて重要であります。私は農業を近代化し、農業の生産性を高め、国際競争に十分耐え得る充実した農業を育成してまいる決意であり、当面の問題として、米の生産過剰問題の解決に全力をあげてまいる所存であります。
 また、食糧の自給体制についてでありますが、食糧は国民生活の基礎として、これを大幅に海外に依存することは適当でないと考えます。しかしながら、それぞれの農産物の生産条件、海外の供給事情等もあるので、すべての農産物を機械的に自給するというわけにはまいりません。米について完全自給することは当然として、野菜、果実、畜産物など、わが国農業の実態から見て重要であり、また、努力によっては相当程度の生産の増強が期待できるものについては、生産性の向上を主眼として、できるだけ自給率の維持向上につとめる考えであります。
 次に、税制についての基本的なお尋ねでありますが、税制及び税の執行は公平・平等の原則に立ったものでなければならないことは、本年四月の席上において戸田君の質問に対しお答えしたとおりであり、その信念は全く変わっておりません。問題は、他の政策目的との関連などにおいて、現行税制の改正をどのように進めていくか、現実的に最も妥当であるかであって、この点に関しては税制調査会の御意見を十分伺いつつ、適切な改善を加えてまいりたいと思います。
 その他補正予算等、これは具体的に大蔵大臣からお答えさすことといたしますが、問題は三権分立のたてまえ、この意味において国会の審議を政府が軽視するようなことがあってはならない、この点は、十分今後とも注意してまいるつもりであります。この点を一言つけ加えておきます。
 次に、防衛問題について。これは中曽根君からお答えをすることでございますが、私も一言申し上げておきたいのは、国の安全を確保するため、われわれは必要最小限の自衛力を整備する、このことは当然であります。しかも、この自衛力を整備する必要最小限のものといたしましても、兵器はどんどん新しいものができてまいりますので、この斬新な兵器を整えるということも自衛力整備の一環である、このことをお忘れのないように願っておきたいと思います。
 日中関係について。中国問題に対する政府の基本的な考え方は、すでに何度も申し述べましたとおりでありまして、別にきょう、また変わったことを申し上げるわけでもありません。したがって、先ほども申し上げましたとおり、きのうときょうと、私の考えはまだ変わっておりません。慎重にこの問題と取り組んでいくという政府の態度だけを、この機会に重ねて明確に申し上げておきます。いわゆる大使級会談など、北京政府との政府間接触につきましては、今後さらに積極的に進めたいと念願しておりますが、何ぶんにも先方がこれに対して反応を示しておらないのであります。先方が望むならば、いつでも、どこででも、これに応ずる用意があることを、この国会を通じて明らかにしておきます。いずれにしても、相互の不信感や誤解を取り除くための努力が、当面最も必要であると私は考えております。
 次に、沖繩問題についてお答えをいたします。沖繩の施政権が返還された暁には、当然のことながら沖繩防衛の責任もわが国に移ります。そこで、政府としては、わが国防衛体制の一環として沖繩に防衛力を配備することとなります。したがって、沖繩の米軍基地はかなり縮小されることになるわけでありますが、そのあり方については、日米安全保障条約の目的に照らしつつ、米側と鋭意検討を進めております。政府といたしましては、沖繩県民の意向をも体し、わがほうの意向が十分に反映された形で決定が行なわれるよう努力していく所存であります。また、政府がこのほど四十項目にわたる復帰対策要綱をまとめましたが、これは沖繩の祖国復帰に伴って生ずる県民生活及び産業活動への影響を緩和するための施策の一部であります。そして、その策定にあたっては、琉球政府と、できる限り意思の疎通をはかるとともに、沖繩県民の意向を十分配慮いたしたのであります。また、今後とも一そう一体化の方向で考えてまいりたいと、かように考えております。
 いろいろお尋ねがございましたが、その他の事項については、それぞれ所管大臣からお答えすることにいたします。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 物価がこういうふうに変動する、そういう際において、年金恩給者を保護するためにスライド制を採用すべきではないか、こういう御意見でございますが、私も、このような経済情勢下におきましては、特に年金恩給者のような定額所得者、この人の立場を考えなきゃならぬ、そのためには、これらの方々が受ける年金恩給の実質的の価値を維持するということはくふうをこらさなきゃならぬ、こういうふうに考えております。ただ、自動スライド制は、私は、物価政策の見地からどうも気乗りがしないんです。物価に対してスライド制をとるというよりは、まず物価対策にほんとうに真剣に取り組むべきである。物価政策を放棄するというような印象につながるところのスライド制、これは避くべきものである、かように考えております。
 それから税の今後の方針につきましてはどうかということでございますが、私は、今日の日本における国民の租税負担は必ずしも高いというふうには見ておらないのです。先進諸外国においては負担率が三〇%である。わが国においては二〇%を割るというような状態なんです。そういうことを見ても、私はそう日本の租税負担が高いとは思わない。しかし、皆さんから租税負担が、負担感が高い高いという訴えがある。それはどこから来るかというと、私は、日本の税制が所得税に片寄っておるという点にあるのではあるまいか、そういうふうに考えるのであります。そういうことを考えまするときに、私は、ことしも所得税についてはかなりの減税を御審議願ったわけでございますが、今後といえども所得税減税は粘り強く続けていきたいと、かように考えておるのでありまして、四十六年度予算の編成にあたりましてもそのような施策を進めたいと、そのように考えております。
 それじゃ、よって生ずる財源の欠陥はどうするかというと、私はこれは間接税のほうにこれを求むべきであるというふうに考えておるのであります。ただ、間接税は物価との間にデリケートな関係がありますので、御指摘のように物価問題には十分の配慮をしながらこの消費税体系というものを固めなければならないと、かように考えております。
 なお、給与所得税につきまして、給与所得控除を拡大するという方向をとるか、あるいは実額控除、つまり申告制、これをとるか、そのいずれかにその選択権を与えるというやり方を検討すべしという御所見でございますが、どうも実額控除制というものは、何が所要の経費であるか、こういう点につきましてかなりむずかしい点があるのです。一つの御構想とは存じまするけれども、これを現実に採択するということについては難点が多々あると、かように思います。
 また、課税最低限を生計費以上に引き上げよと、こういうお話でありますが、これは私は全く同感でありまして、今後といえども、課税最低限の引き上げにつきましては努力をいたしていきたい、かように考えます。
 なお、中小所得層の税率引き下げを考えたらどうかというお話でございます。これは長い目からいたしますれば、私は当然考えるべきことだ、こういうように考えますけれども、当面、たとえば四十六年度の問題だというようなことになりますると、ことし税率の改正をやった、それをまた来年やるというのもいかがかと、かように考えておるのであります。
 住民税課税の最低限を引き上ぐべしという御所見でございまするが、これはおそらく秋田自治大臣がそのようなことを考えておるというふうに思います。私もそう考えていただきたいと、こういうふうにお願いをいたしておるのであります。
 租税特別措置につきましていろいろ御所見が述べられたわけでございまするが、特に大企業優遇の特別措置はすぐ廃止したらどうだろうというお話でございますが、特別措置は大企業ばかりじゃない、中小企業にも、また零細所得者にも広くこれが適用されておるのでありまして、大企業優遇と一見見られるようなものでありましても、大企業が優遇される、その結果、日本の経済が発展する、そうして働く者に所得の根源を与えるということになりますので、これが何も大企業偏重だといって批判を受けるというような性格のものではありません。しかし、いろいろと特別措置には問題があるのでありまして、特に交際費課税というような点につきましては、来年度は検討いたしてみたいと思っております。
 補正予算をなぜ出さぬかというお尋ねでございます。まず事実を申し上げますと、財政需要といたしまして、四十五年度におきましては給与、これが予想外に大幅でありました。これで千二百億余りの追加需要があるのであります。また、米が非常にできがよくて、この食管会計における米の買い入れ、これがまた予定よりもやや上回る傾向にあります。それらを考えまするときに、かなりの総財政追加需要があるのでありますが、これに対する財源、これは予備費がいま三百億ちょっとしかないのです。そのほか、いま行政費につきまして整理、節約を考えております。それからさらに年度末不用額というものがかなりあるだろうと思うのでありまするが、それらを総合いたしましても、追加財政総需要に間に合いますか、間に合いませんか、間に合わなければ、どうしても追加補正、増ワク補正をお願いをしなければならないというふうに考えておるのでありまするが、その辺の見当がさだかに今日ついておらないのであります。また、つけにくい状態であります。そういうようなことから、この臨時国会に補正予算を提案して御審議をお願いするということは筋でございまするけれども、まあ、できないことはしようがない、こういうような状態で、もし補正予算の提案を必要とする事態になりますれば、来年の二月早々にでもお願いしなければならぬだろうかと、かように考えております。
 ただし、公務員の給与の支払いにつきましては、これは何ら支障のないように措置いたしますので、これは御安心を願いたい、かように考えます。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたしますが、お話の稲からほかの作物に転換いたしますにあたりましては、農作物の長期的な需給の動向を見ながら、農業の近代化を促進いたしますとともに、お話のございましたような適地適作の作物を選んで、そういうものを奨励して、転換しやすくしていくということは御指摘のように大事なことでございますので、そういうことについてただいま鋭意検討中でございます。したがって、それに要する予算等につきましても、そういう方針をきめまして折衝いたしてまいるわけで、その作業をいまやっている最中であります。
 農産物価格のことは、もう御存じのように、政府はいろいろな農産物に、その特性に応じた価格政策をいままで実施いたしておりますが、御存じのように、たとえば野菜、肉用牛等には、特にことしは価格安定のための施策を新しく施しておるような状態でありまして、農産物価格の決定にあたりましては、それぞれ農産物の事情に応じて、生産事情、需給事情、物価その他の経済事情を考慮いたしますとともに、農業所得の確保を旨として配慮いたしておるわけでございます。
 それから、生産調整に伴って二段米価とか、逆二段米価、買い入れ制限というふうなお話は、きのうも鶴園さんにお答え申し上げたとおりでありまして、いろいろな意見が出ておりますようですけれども、農林省といたしましては、生産調整を実効あらしめるために、どういうことが一番大事なことであるかということで、各方面といま意見を交換いたしておる最中でございまして、したがって、まだその過程でございますので、具体的に何も申し上げる段階にいまきておりません。きのうもお答え申し上げましたように、私からはそういうことを一ぺんも申しておりませんので、検討中でございます。これらの措置は、きのうもお答えをいたしましたように、生産調整の実効を確保するという観点から申しておるわけでありまして、米の管理の制度運営について所要の改善を行なうという趣旨がその中にあるんだろうと思いますが、そういうことを全部含めて検討中でございます。
 それから、もう一つ、大事なことで、残存輸入制限の撤廃に関して農民に不安を与えないように。これは私どもも全くそういうことについて深く考慮いたしておりますが、しばしば申し上げておりますように、政府の方針といたしましては、できるだけ自由化を促進してまいりたい。そのためには、ただいまもお話のありましたように、大事な稲作を転換して農政を転換しようという大事なときでありますので、この総合農政の展開という重要な時期に、それとちょうど逆行するような形にうわべが見えます輸入自由化という問題は、国内農業に与えます影響をわれわれは十分考慮しなければなりませんので、農民に対して無用の不安を与えることのないように、必要に応じて関税等の施策も弾力的にいたしまするし、それから総理のお答えにもありましたように、近代化をはかり、生産コストを下げて、対抗のできるように農業の体質改善に力を入れてまいりたい。このように考え、またそういう方向で努力してまいるつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、防衛力整備についてでございますが、政府は在日米軍基地の整理統合をアメリカ側に要望してまいりましたが、次の五カ年計画が終わるくらいまでの間、昭和五十一年くらいまでの間を展望してみますと、相当部分米軍兵力は撤退して、常駐しないようになる可能性がございます。そういう点を考えてみますと、ある程度の防衛力を日本側が自主的に整備することは必要であると考えております。
 御参考までに申し上げますと、新五カ年計画、社会経済発展計画を見ますと、道路整備五カ年計画が約十兆三千億、鉄道建設五カ年計画が約五兆五千億、電信電話が五兆三千億でありまして、防衛は五兆二千億でございます。この数字を考えてみますと、まあまあ妥当ではないかと私は考えます。
 次に、ファントム及び対艦ミサイルの防衛力限界の問題を御質問でございますが、ファントムの行動圏の長さを考えてみて、また、対艦ミサイルは従来の船の砲にかわるものでございます。そういう点から考えると、これは限界内にあると思います。
 沖繩進出の問題でございますが、沖繩におきましては、核抜き本土並みという状態になるのでございまして、自衛隊が進出しても、アメリカの核政策に巻き込まれるということはございません。(拍手)
   〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(内田常雄君) 経済成長の恩恵を受けることの少ない老齢者でありますとか、身体障害者、あるいは母子家庭、また、その児童を保育する保育所などの施設の充実のことにつきましては、総理大臣の所信表明にもございましたとおりでございまして、私もその線に沿いまして微力を傾注してまいる所存でございます。ことに老齢者につきましては、御承知のように、わが国の人口構造が急速に老齢者の比重を高めてまいっておりますことと、また、質的には、核家族というような現象のために、家庭の扶養というようなものが社会福祉、社会扶養のほうに投げ出されてきている面がございますので、ことに私は大きな力を入れたいと考えております。そのためには、もちろん養護老人ホームでありますとか、そういう施設の充実も私は肝心であると思いますが、医療対策、所得対策、あるいは家庭におられる老齢者に対する介護の対策等にも重点を置いてまいります。ことに、最近の現象といたしましては、一人暮らしの老人の数、その割合、また、寝たきり老人の数、割合というものが非常にふえておりますので、このことに注目した対策の充実をいたしてまいりたいと存じます。
 それから重症心身障害者、なかんずく、重症心身障害児、子供たちに対する施策につきましても、もちろんその施設の充実を考えなければならない点もございますし、御承知のように、国立療養所等を重症心身障害児の療育施設として転用をいたし、毎年八百から千ぐらいのこれらの子供さんを預かる施設をふやしてまいってきておりますが、来年ももちろんそれと同じように、あるいはそれ以上に継続してまいります。また、おとなの身体障害者につきましても、単に施設に入れて、そうして更生援護を施すということばかりでなしに、リハビリテーションに力を入れまして、一日も早く社会復帰をはかるということに私はさらに力を注ぐべきであると考えまして、国立リハビリテーションセンターというようなものの、いまあるものの充足といいますか、あるいはもう思い切って新設するというような方向もとってまいりたいと思いますし、また、民間のいろいろな事業所等とも連携をとり、それを助成をいたしながら、これらの対策を進めてまいりたいと考えております。
 それから保育所につきましては、現在全国に一万三千ぐらいの保育所がございまして、約百二十万人余りの児童の保育をいたしておりますが、最近、社会経済構造の変化に伴いまして、共かせぎの家庭が多いというようなことから、保育所の需要はますますその重きを加えてまいっております。私どもの計算によりましても、昭和五十年には、少なくとも百六十万人くらいの保育児童をこれらの施設、保育所に入れる必要があるということを考えるものでございまして、これらの数字を見ながら、私どもは年次的にこれの充足をはかってまいります。
 もう一つ、私が最近、ことに述べておりまするのは、企業内の託児所といいますか、保育所でない保育所、これらにつきましても、従来の企業の福利施設あるいは求人施設として、そこに入れられる子供さんの保育というものを放り出しておくことなしに、これも、私は一つの企業内保育所というようなことに取り上げて、労働大臣とも協議をいたしながら、保育所の充足をはかってまいりたいと考えております。これらの施策を充実するために非常に巨額のお金が要るわけでありまして、国費を充足すること、国の予算を使いますことはもちろんでございますけれども、厚生省が国民年金あるいは企業年金等の積み立て金を大蔵省とともに管理をいたしていることも御承知のとおりでございますので、これらの資金の還元融資、場合によっては、その融資に対する元利の償還に対する補給というようなことにつきましても、予算にかえて私は考えてまでもやりたいというような気持ちを持って進んでおるわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○副議長(安井謙君) 春日正一君。
   〔春日正一君登壇、拍手〕
#19
○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 佐藤・ニクソン会談以来、この一年間の事態は、日米共同声明がアメリカのアジア侵略に対する日本の支持と加担を強めるという危険きわまる約束であったことをますます明らかにしています。政府は、これまでインドシナに対するアメリカの侵略に支持を与え、さきの国連総会での総理の演説では、ニクソンのいわゆる和平提案を支持しておりますが、総理は、今回突如として行なわれた大規模な北爆と、ヘリコプター降下作戦を何と考えておられますか、いま国際世論はもちろん、米議会内にさえ、ニクソン政権非難の声が渦巻いております。今回の北爆は、明らかにインドシナ侵略戦争の継続と拡大を意図したものであります。総理は、今回の北爆をも支持するのですか、明確な答弁を求めます。
 次に、中国問題はわが国にとって、また、アジアの平和にとってもきわめて重要であります。きのうの衆議院本会議において、わが党の谷口議員が、国連の動向がどうなろうとも、中華人民共和国と国交を回復する意思はないというのかとただしたのに対して、総理は、所信表明演説のことばを繰り返すにとどまって、早急に結論を出すわけにはいかないと述べました。そして、総理は、一方では一つの中国の立場から台湾の蒋介石亡命政権を中国の代表とするこれまでの態度を変えないと言っています。
 そこで、さらにお聞きしますが、たとえば、来年の国連総会で中国代表権の回復が実現し、蒋介石政権が国連から追放されたとしても、政府は依然として台湾政権との関係を固執して、中華人民共和国との国交回復の意思は拒み続けるのかどうか。これは決して仮定の問題ではなくて、世界の大勢からしておそかれ早かれ、いやおうなしに政府が選択を迫られる問題であります。総理が、これくらいな展望さえ持たずに政権を担当しておられるわけでもないでしょうから、問題をそらさず明確な答弁をされることを求めます。
 第三に、防衛白書と四次防について伺いたいのであります。
 防衛白書は、憲法上の限界として徴兵制はとらないという原案にあった一句を削っています。その理由として、徴兵制合憲説が少数意見としてあるからだと説明されています。このことは、政府が将来徴兵制を実施するための余地を残そうとするものではありませんか。それとも総理は、現行憲法がある限り徴兵制は違憲であると断言することができますか、お答えいただきたいのであります。
 さらに防衛白書では、「真の愛国心」として、「国家の危急に際し身を挺して国を守るという熱意でなければならない。」とも述べています。戦前の軍国主義者と同じ口調、同じことばではありませんか。もし、それが防衛のためで、侵略のためではないというなら、四次防で制空・制海権まで確保するほどの海・空軍をつくり上げる目的は一体どこにあるのですか。公海・公空で戦うといいますが、一体どこを想定しているのですか。また、総数一千台にも達する高性能戦車は、どのような作戦を想定して配備されるのか、明確に御説明願いたいのであります。
 三島由紀夫の事件に関連して、日本の軍国主義復活を憂える声が国の内外で大きく高まっていますが、これは佐藤内閣のこのような軍国主義復活強化の政策があるからのことです。総理及び防衛庁長官の見解を承りたいのであります。
 次に、国民生活の問題について質問いたします。今日、公害、交通事故、物価問題は一刻の猶予も許さない重大問題となっています。わけても物価は年々上がり続け、ことしも当初目標を上回って七%をこえています。総理は衆議院の答弁でこれを認めて、批判は甘受すると述べながら、問題は国民の消費態度に負うところがきわめて大きいと、その責任を国民一般に転嫁しています。本日もこの席上でそのような答弁をしております。これはまさに国民を愚弄するものであります。世界一の物価上昇の原因をつくり出したものは、独占価格を野放しにし、日銀券の乱発、赤字公債の発行など、インフレ政策をとり続けている政府自体の政策にあります。現に総理は、公共料金の値上げはしないと言明したすぐあとで、私鉄運賃の値上げを認めているではありませんか。物価を引き下げることは、政府さえその気になれば実現可能なことであります。たとえばカラーテレビについて、さきに東京で開かれた消費者大会は、その価格の引き下げを要求し、ボイコット運動を進めております。これほど国民の強い怒りを呼んでいるカラーテレビ問題に対してさえ、政府は、原価を調査し、公表することさえやろうとしていません。政府がいま直ちにカラーテレビなど問題となっている製品の原価を調査し、公開し、値下げの行政指導を強力に行なうならば、その引き下げはいますぐにもできることであります。これを実施されるかどうか、総理並びに経企庁長官の答弁を願います。
 いまや大企業製品の原価を明らかにし、その販売価格を下げさせることができるかどうかが現在の物価問題解決の成否を決する問題となっています。かねてわが党が主張しているように、国会に特別な機構を設けて、これに調査権など必要な権限を与え、大企業製品の価格問題を調査し、その結果に基づいて、価格を引き下げさせることを内容とする特別立法を行なうことが必要であると考えますが、総理のこれに対する見解を承りたい。
 最近の消費者物価上昇は、政府がいま推進している新経済社会発展計画とともに激しくなったことは、目の前で見るとおりであります。この計画は計画自体、年に四・四%という、かなりの物価上昇を初めから見込んでいるという点で、世界にも例のないインフレと物価上昇促進の経済計画であります。物価を初めから大幅に上げるつもりの、大資本本位の高度成長政策が、結果として予定した以上の物価上昇を起こすことは明らかであります。このような新経済社会発展計画を直ちにやめて、物価上昇を完全にとめ、国民の生命、健康、生活を守ることを第一とする経済計画に改める必要があると考えますが、総理並びに経企庁長官の見解を伺いたい。
 以上質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(佐藤榮作君) 春日君にお答えをいたします。
 現在、ベトナムで行なわれている戦闘行為について特にお尋ねがありましたが、残念ながら日本政府としてはコメントをする立場にございません。はっきり申し上げておきます。政府としては、ベトナムにおけるあらゆる戦闘が終結し、一日も早く平和がもたらされることを願っております。このため、政府としては、何よりもパリ会談の進展に期待をかけている次第であります。しかしてインドシナ半島の民生安定に寄与することこそ、工業先進国としてのわが国の責務であると心得ている、その役割を果たすためにできるだけ努力する方針であります。
 次に、中国問題に対する政府の基本的態度は、これまでの審議を通じて明らかにしたとおりであります。国連における中国問題の取り扱いぶりについては、今次国連総会の動向と、今後の国際情勢の推移に留意しつつ、慎重かつ柔軟に対処すべきものと考えております。
 これはたびたび申し上げたとおりでありまして、昨日ときょうと私の考えに変わりはございません。また、具体的に仮定のお尋ねがありましたが、仮定の問題につきましては、私が答える限りでないということをはっきり申し上げておきます。
 次に、徴兵制の問題でありますが、現行憲法のもとにおきましては、いわゆる徴兵制はとらないことをはっきりと申し上げておきます。防衛白書の原案から削除されたとして、なぜ書かなかったか、こういう御意見も出ておりますが、憶測をたくましくされる向きもあるようでありますが、以上、はっきり申し上げますので、無用の誤解のないよう、むしろ言わずもがなの明白なことであるから書かなかったのだと御理解いただきたいと思います。
 また、四次防計画のお話でありましたが、これはまだ政府として結論が出たものではありません。しかしながら、愛国心について、私は中曽根君の意見と同感であります。もちろん、わが国の防衛力は、わが国の自衛を確保するということが大前提であり、その範囲において充実すべきものであることも再々申し上げているとおりであります。
 次に、物価問題でありますが、春日君は、大企業の製品の原価を調査するため、国会に特別の機関を設置せよ、あるいは政府みずから調査公開せよとの御意見でありましたが、わが国の経済は、企業の創意と競争を基調とした自由主義経済の体制にあり、その中にあって製品原価は企業機密の枢要な一つであり、これを強権によって一般に公開するということは考えられません。ここが日本共産党と私どもの考え方の基本的相違であります。もちろん行政指導による適正な製品価格の保持につきましては十分留意してまいります。また、公正な競争の保持が行なわれていないと見られる場合には、独禁法に基づく権限を適切に行使してまいります。また、初めから物価上昇を見込んだ経済計画はおかしいとの御議論でありましたが、現実的に見込まれる物価上昇を全然見ないということは、これはまた絵にかいたもちになってしまうものと考えられます。物価の上昇は、国民生活安定のため極力防止する、しかしながら、経済成長の過程で必然的に予測される物価の上昇は合理的な姿で計画に織り込んでいくべきであろう、かように私は考えます。基本的なものの考え方の相違もございます。
 春日君の真剣な御質問に以上お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(中曽根康弘君) 制海、制空権について御質問でございますが、防衛の基本は本土防衛にあります。本土を守り切るためには、その周辺においてある限度、航空、海上の優勢確保が必要なので、これは防衛の本旨を逸脱するものではありません。
 なお、軍国主義は佐藤内閣の敵でありまして、この復活など毛頭考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(佐藤一郎君) カラーテレビの原価調査を行ない、これを公開して、そうして引き下げるようにせよと、こういうお話でございましたが、いま総理のお話がありましたように、まだ現在の体制のもとで、個々の企業の原価を直接に調査するということはわれわれも考えておりません。御存じのような需要供給による自由価格の形成をやはり基本としております。ただし、自由な価格形成を困難にするような事態については、独占禁止法によってこれを十分に調査し、そうして実態を把握しつつ、必要に応じてその事態の排除をし得ることになっております。でありますから、いまも、御存じのように、ただいま公正取引委員会において、実勢価格と現金正価の問題を取り扱い、そうしてこれが不当であるという結論を出そうとしております。
 また、不当表示の問題につきましても、いま結論を出そうとしておるところでございます。そういう態勢で、ある意味における行政指導をしながらこの問題を解決していきたい、こういうふうに考えております。
 それから一般的に管理価格の問題につきましては、最近のこの情勢を見ますると、管理価格の様相が一部にあるような点もあります。そういう点につきましては、われわれとしても、今後十分いまの公正取引委員会の機能等を活用いたしまして、まず実態の把握につとめてまいりたい、こういうふうに考えております。
 また、新しい計画にデフレーターがついておるということでありますが、これにつきましては、総理の御答弁がありましたように、目下最重要な問題である物価を、計画の中の重要な要素として、われわれはやはり見込まざるを得ません。そういう状況を御理解願いたいと思います。(拍手)
#23
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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