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1970/12/16 第64回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第064回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1970/12/16 第64回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第064回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第064回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和四十五年十二月十六日(水曜日)
    午後一時二十四分開議
 出席委員
   委員長 渡部 一郎君
   理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君
   理事 田川 誠一君 理事 前田 正男君
   理事 井上 普方君 理事 近江巳記夫君
      稲村 利幸君    加藤 陽三君
      橋口  隆君    綿貫 民輔君
      三木 喜夫君    吉田 之久君
      山原健二郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      西田 信一君
 出席政府委員
        首都圏整備委員
        会事務局長   川島  博君
        科学技術庁長官
        官房長     矢島 嗣郎君
        科学技術庁研究
        調整局長    石川 晃夫君
        農林水産技術会
        議事務局長   立川  基君
        工業技術院長  太田 暢人君
 委員外の出席者
        科学技術庁計画
        局長      楢林 愛郎君
        科学技術庁振興
        局長      田中 好雄君
        国税庁間税部酒
        税課長     藤原 重信君
        厚生大臣官房参
        事官      萩島 武夫君
        厚生省環境衛生
        局乳肉衛生課長 神林 三男君
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 小島 康平君
        農林省農政局植
        物防疫課長   福田 秀夫君
        林野庁指導部造
        林保護課長   塩島 厚一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(食品加工技術及
 び筑波研究学園都市に関する問題等)
     ――――◇―――――
#2
○渡部委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。
#3
○近江委員 今国会は公害国会ともいわれております。重要法案が衆議院を通過したわけでございますが、この公害の中でも食品公害という問題につきましては国会でも論議が少なかったように思います。そういうことで、きょうは特に添加物等を中心といたしました俗に食品公害といわれる問題についてお聞きしたいと思っております。
 それで、私もこの問題を本委員会におきまして何回も質問もしてきておるわけでございますが、きょうはいままでのそうした結論が出ておらない問題につきましても再度確認をしたい、こういうことでまずお聞きしていきたいと思っております。
 まず一番最初にお聞きしたいのは、サリチル酸の問題でございますが、酒の中に入っておるということで、その点非常に大きな問題になりました。その後、政府のそうした働きかけもありまして、業界のほうで自粛をするというような姿も確かに見えてきておるわけでございます。しかしながら、政府において業界の自粛には待っておるけれども、それをいまだに許可をしておるという点について、やはり許可をしておる以上は合法的でもあるわけであります。しかしながら、国民の皆さん方がこの問題については非常に心配をされておる、こういう点どういうようになっておるか、本委員会において発言したものでありますから、まずその問題についてお聞きしたいと思います。厚生省そして科学技術庁それから大蔵省にお聞きします。
#4
○小島説明員 サリチル酸の問題でございますが、先生に御指摘いただきましたように、サリチル酸につきましては、実は世界各国で許している例が少ない。現在食品添加物として使用いたしておりますのは、日本酒に使っておりますわが国、それから特殊なチーズに使っておりますフランス程度でございまして、そういった意味で私どもとしてはこれは十分に点検をしなければいけないということで、現在国立衛生試験所で慢性毒性の試験も行なっておるところでございます。しかしながら、私どもとしては国税庁のほうとも御相談をいたしまして、もしこういうものがなくて済むのならば使わないほうがよろしいんではないかというようなことで、毒性試験と並行いたしまして業界の自粛措置という形でその使用の制限をお願いしているところでございまして、技術的にもこういうものなしでやれないかということで国税庁のほうにもいろいろ御検討願っているところでございますが、一部の日本酒の場合には、日本酒というのは非常に特殊なものでございまして、なかなかむずかしいというような点もあるようでございます。ことに日本酒は嗜好品でございまして、人によりましては非常に摂取量も大きいというようなことから、私どもとしては従来ございますいろいろな実験データ等から見まして、安全率が十分とれないのではないかというような問題点もありますので、まずこれの使用を制限いたしまして、そうして現在は自粛措置を業界に要請しているわけでございますが、一つの考え方としては、サリチル酸を非常に特殊なものに限って認めて非常に摂取量の低いところで押えてしまうというような行き方もあるのではないかということで、毒性試験の結果の出るのを待ちながらそういった面の手当てを進めまして、国税庁とも技術的に協議をいたしておるところでございます。
 御参考までに申し上げますと、現在まで私どものほうで集計いたしました、これは全部まだまとまっておりませんが、中間データによりますと、たとえばメーカーの数が現在全国で三千三百四十一社ございますが、そのうちの千八十九社の集計がまとまっておりますが、特級酒ではその九九・六%がすでにサリチル酸の使用を取りやめている。一級酒の場合には九六%、二級酒の場合には八九%ということでございまして、総計いたしますと九七%がすでに使用していないというような状況でございまして、国税庁さんのほうとも御相談をいたしまして、さらにこの使用自粛を徹底いたしまして、そうしてまた、技術的な面が詰まりました暁においてはこれを法制上の規制に乗せるというような面からの手当てをしていく。一方、国立衛生試験所で行なっております毒性試験の結果というものをまちましてさらに最終的な結論を出していきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
#5
○藤原説明員 いま厚生省のほうからも御答弁ございましたが、昨年チクロ問題にからみましてサリチル酸の毒性について疑惑といいますか、問題が提起されまして、その後サリチル酸の毒性といいますか、安全性につきまして厚生省のほうで御検討願っておるところでございますが、私どもといたしましても、この結論が出ない間においてもとにかく一応そういう食品についてそういう問題が提起された以上、できるだけ自粛すべきであるということで、昨年十月末に、今後原則としてサリチル酸は酒に使わないという方向で酒の製造販売を今後行なうよう強力に業界に勧奨いたしまして、清酒業界といたしましてもそれを受けまして、傘下各メーカーに対して、原則として酒にサリチル酸は使わないという体制で今日まできているわけでございます。大体そういう現状でございますが、日本酒には特有の火落ち菌という菌がございまして、これが発生いたしました場合実は変質を来たすという問題がございます。これに対する有効な防腐剤としては現在サリチル酸しかないという現状でございまして、新しい防腐剤の開発も鋭意それぞれ研究を進めてもらっておるところでございますけれども、現状におきましてはサリチル酸しかない、そういう状況でございますので、原則として使わないというたてまえは今後も堅持してまいりたいと思っておりますが、たとえばたまたま非常に体質の弱い酒ができたような場合、これは非常に火落ちしやすいわけでございます。何といいましても、日本酒というのは微生物の作用によります非常に微妙な醸造発酵過程を経てできるものですから、そのコンディションによりまして酒のできもいろいろと出てまいります。そういうことで、たまたまそういう非常に弱い酒ができるという場合に、その防腐対策として現在ではサリチル酸しかないということで、そういうような場合には例外的に使うことを認めていただきたい。しかし基本的には大体もう使わないという方向で今後ともまいる、そういう体制で進んでおるところでございます。
#6
○近江委員 先ほどの答弁を伺っておりますと、厚生省さんとしてはまあできるものならこれを削除したい、しかしながらどうも国税庁さんに気がねをしておるというような雰囲気がやはり漂っておるわけですが、あまり気がねをする必要はないと思うのですよ。害があるならあるで、現実に輸出用の酒なんかには入っておらぬわけですから、製造工程においてやはりそれだけの技術をもってやっていくならば何も入れなくてもこれはいけるわけですよ。その点、気がねする必要はないと思うのですけれども、小島課長さんどうでございましょう。
#7
○小島説明員 先生のおっしゃるとおりでございますが、実は私どものほうにも非常にこの点につきまして踏み切れない問題がございますのは、実はサリチル酸につきましては人間のからだに入りまして比較的きちんと代謝をし排せつされるということについてわりあいよくわかっておるわけでございます。それからまたサリチル酸は猛毒であるというような説がございますが、実はそれほど毒性の多いものではございませんで、たとえばリューマチの患者等では一日数グラムずつを非常に何年にもわたって常用するというようなこともありまして、そういうことによって特に障害はないというようなことで、私ども実は専門家の御意見も聞きましたところ、必ずしも心配する必要はないではないかというような御意見もあるようでございます。私どもとしては、現在まで非常に広く使われていたものを禁止いたしますのには、やはりそれ相当の疑いとか証拠というものも必要なのではないかというような面もありまして、これは私どもとしては、そういう面はありますけれども、しかし先生のおっしゃるようにやはり疑わしきは禁止するというたてまえを堅持しなければならないということで、これは慢性毒性試験でその毒性を明らかにすると同時に、一方では実質的には禁止に近い実態をつくり上げてしまうというようなことで、国税庁さんのほうと御協力をいたしまして、そうして業界の自粛を促していく。もう実質的にはほとんど使われないというような状況に持ってまいりたいというのが私どもの現在の進め方であるわけでございまして、ひとつ御了承いただければと思います。
#8
○近江委員 先ほどの課長さんの御答弁で、三千三百四十一件の回答を求めたところが、千八十九である。約三分の一ですね。そうすると三分の二はやっぱり使っておるというような疑いもあるわけですが、残りの三分の二についてはその後調査されましたか。
#9
○小島説明員 実はこの調査は、ことしの夏以来各都道府県に依頼をいたしまして、全酒造業者につきまして銘柄別それから級別に全部集計をとっておるわけでございまして、実は現在までに集計のつきました都道府県分のみの集計を申し上げているわけでございまして、近く全国の分がまとまりますので、そうしましたら私どもとしてまた資料をお手元にお届けさせていただきたいと思っております。
#10
○近江委員 私は実際にそのように平均九七%までが使っておらないという事実からすれば、はっきりと削除をするというその形でいけば、これはもう国民の皆さんも全部安心できるわけですよ。やはり有害か無害かという論になれば、猛毒であるという学者もおるわけですよ。あるいはいま課長さんがおっしゃったような、まあそれほどでもないだろうという人もおるわけです。これは洗剤からあらゆる添加物みんなそういう両論があるわけです。ですからどちらに傾くかという問題ですが、やはりこれだけ水は水で汚染されておる、空気は空気で汚染されておる、できた作物はもう農薬でやられておる、食べている食品だってそのように添加物でやられる、そういう累積ということが非常にこわいわけですよ。また相乗作用というものが非常にこわいわけです。そういう点からいけば、たとえわずかな疑いがあっても、やはりその辺は慎重にやっていくという基本姿勢に立っていかなければいけないのじゃないか、私はこのように思うわけです。その点、いま再度検討しておる、このようにおっしゃっておりますし、一日も早く国民の皆さんが安心できるような、そういうはっきりとした措置を、これはイコール削除ということになるわけですが考えていただきたい、このように思います。
 それからこれは姿勢の問題で私一つお聞きしておきたいと思うのですが、東京都主催の消費者展が新宿の二幸というところで開かれたわけですが、清酒のサリチル酸添加のテストを会期中にやめた、そういう事件が一つあったわけです。これはどこがやめさしたのだということで、非常に大きな疑問をいま巻き起こしておるわけです。これはもうこの話を出せば覚えがある人もいらっしゃるのではないかと思いますが、これはずばり言って国税庁はこの会期中にテストをやめたということについて、全然この会合には何もタッチしなかったわけですか。その辺のいきさつがあればお聞きしたいと思います。
#11
○藤原説明員 昨年の秋の話だったのじゃないかと先生の御指摘の件思うわけでございますけれども、私どもとしましてもそういう展示会が行なわれておるということをあとで新聞報道で知ったようなことでございまして、どういうあれになっておるのかということを東京都のほうに問い合わせばいたしましたけれども、そういう意味での先生の御指摘のようなことはございません。
#12
○近江委員 それはないと言われれば、ここは何も検察局ではないんですから、どうだどうだと私は言いたくありませんけれども、要するに、だれしもやはりそれだけの大きな関心を持っているそういうテストを途中からやめる、そういうことが起きておる。それについていろいろとうわさもしているわけですよ。いま知らぬということをおっしゃったわけですから、私は別にそれ以上は聞きただしませんけれども、それほど消費者というものは敏感になっているわけです。したがって、よほど行政当局としてもやはりその辺は微妙なところにまで気を配って、そういう変な疑惑なり摩擦を起こさないように、要するに前向きにやるんだという姿勢があれば、私は、そういう煙は立たぬと思うのです。何となしにこそこそと、あるいは何となしにもうできるだけこれを押えていこうというような考えがどこかにひそんでおればこそ、こういううわさか真実か私はわかりませんけれども、これ以上聞きませんけれども、そういうようなことがやはり起きてくるわけです。そういう点で、よく姿勢というものを正してもらいたいと思うのです。あくまでも消費者サイドに立って、そして国民の生命と健康を守っていくんだ、こういう立場でやっていただきたいと思うのです。
 それから現在、たとえば酒におきましても、大手会社では防腐剤は添加せずと書いてあるのとないのとがあるというような、非常にまぎらわしい表示があるということをちょくちょく耳にするわけです。これは一体どうなっているんですか。入っているのか、入っていないのかわからない、非常にそういう声が強いわけですよ。この表示のことについてお聞きしたいと思います。国税庁でも厚生省でもけっこうです。
#13
○小島説明員 添加物の表示につきましては、先生も御案内のとおりサリチル酸につきましては、容器、包装に入りました食品につきましてはその表示を義務づけております。したがって、サリチル酸含有あるいは合成保存料含有ということを表示しなければならないようになっておるわけでございますが、以前には非常に虫めがねで見なければわからないような文字で記載されておりましたために、昨年、食品衛生法の施行規則を改正いたしまして、はっきりと表示しなければならないということで、私どもは現在新聞活字以上の活字を用いるということを義務づけておりまして、相当大きくなったようでございますが、保存料を含有しないというようなことは法規上実は書いてもよろしいとか悪いとかいうことはきまっておりませんで、実は入れてないところでは、含有の表示に比べて非常に大きく、含有してないというのを書いているようでございますが、私どもとしては、入っていないことがほんとうであって、それを表示しているならば、むしろ消費者の方にわかりやすいのではないかということで、むしろその自粛が促進されるというような意味で、入っていない場合に、正確にそれを書くということについては、別に規制はしないでおるような状況でございます。
#14
○近江委員 防腐剤を添加せずというように書いておる酒もあるわけですよ。書いてないのは入っているか入ってないかという問題なんです。これどうなんですか、国税庁。
#15
○藤原説明員 いま厚生省から答弁のありましたとおりでございまして、入れているものにつきましては、表示を義務づけられております。したがって、サリチル酸が入っている酒はすべて合成保存料含有という表示が行なわれております。防腐剤を入れてないということは、特段そういう意味での規制がある話ではございませんので、特にそういう点を強調したいメーカーはそういうことを書いておるようでございますが、あえて触れてなくても、合成保存料含有という表示のないのはすべてサリチル酸が入っていない、こういうことでございます。
#16
○近江委員 わかりました。
 それから次に、発色剤の亜硝酸塩、これは非常に発ガン物質であるとアメリカでもいわれておるのですが、これについては、わが国としてどうするのですか。いろいろデータを私いま持っておりますが、実際にWHOなんかが勧告をしながら日本で使っているものがたくさんありますし、アメリカで使っておらないものもたくさんあるわけですが、特にこれについては発ガン物質であるとアメリカでは言っておるわけです。これは日本としては今後どうするのですか。
#17
○小島説明員 亜硝酸塩の問題につきましては、実は亜硝酸が第二級アミンでございますジメチルアミンというようなものと反応いたしますと、ニトロソアミンという化合物ができまして、それが強烈な発ガン性を有するといわれておるわけでございます。そうして魚肉中にはそれが腐敗をいたしますと、その原因となるジメチルアミンができるというようなことで、これはヨーロッパのほうでそういう文献がございまして問題になっておるわけでございます。現在食品衛生法では、亜硝酸塩を食肉製品、鯨肉製品、それから魚肉関係では魚肉ソーセージ、魚肉ハム、イクラ、スジコ等に認めておるわけでございます。それから世界的に申しますと、世界じゅうで現在ハム、ソーセージ類、それから魚の薫製品等に認めておりまして、非常に広く、これは発色剤ということを私ども申して、使っておりますが、世界的にはむしろ防腐剤として使われておるという実情でございます。これは実はヨーロッパ、アメリカ等で多いサルモネラという非常におそろしい中毒を防ぐのに非常に有効であるということで使われているものでございます。私どもといたしましては、こういったものが発ガン性のおそれのある物質をつくるおそれがあるというようなことから、この問題につきましては、非常に慎重に対処しておりまして、昨年から国立衛生試験所におきまして、研究費を支出いたしまして、魚の製品につきまして、亜硝酸塩あるいはその亜硝酸塩と似通いました硝酸塩を使いました製品につきまして、ニトロソアミンの検出試験を行なっておりますが、これについては検出しないという結果を得ておるわけでございます。また食肉製品の場合には、その原因となるジメチルアミンは生成しないということがわかっておりますので、この点については問題はないのではないかと考えております。
 魚の製品につきましては、いま申し上げましたように、ニトロソアミンは検出されておりませんが、私どもとしては、これについては前向きで先生のおっしゃるように、少しでもそういう疑わしいものはやめていくという姿勢で、実は近日中に硝酸塩につきましては手当てをいたしまして、魚肉製品に対する使用をやめる。それからさらに引き続きまして亜硝酸塩についての使用を取りやめたいということで考えておりますが、さらに先生の御注意もございましたので、検討を急ぎまして早急に手当てをいたしたいというふうに考えております。
#18
○近江委員 WHOでは発ガンのおそれがあるということで禁止勧告をしておるのがたくさんあるわけです。たとえば着色料などはそうなんですが、たとえば食用赤色一〇三号、これから一〇六号まで、この四色について一〇三、一〇四、一〇五、一〇六と、これについては世界じゅうで使っているのは、一〇三号から一〇五号までウルグァイ、それとコロンビアが一〇三号と一〇五号を使っておる。あとは世界じゅうでどこもこれを使っていないわけですよ。なぜ日本だけがこういうWHOが勧告しておるものを使っておるわけですか。
#19
○小島説明員 先生の御指摘のとおり、一〇三号、一〇四号、一〇五号等につきましては、実は世界的にあまり使われていない色素でございます。それで現在、先生の御指摘のように、WHOにおきましては世界的な色素の統一をはかるという観点から、色素について漸次検討をいたしまして、これは安全と確認したという色素を発表いたしておるわけでございますが、私ども日本で使っております一〇三号、一〇四号、一〇五号等につきましては実はまだその日程に取り上げられていないような状況でございまして、安全等をWHOが確認したものに入っていないわけでございます。それで私どもといたしましては、実はたびたびこの委員会でも先生から御指摘ございましたように、安全性について確信の持てるものでなければやめるというような方針をとりまして再点検をいたしておりますが、色素につきましては昭和三十九年以来私ども再点検をいたしまして、当時二十四品目ございました色素を削りまして現在十三品目ございます。そうしてこの残りましたものについては、いずれも慢性毒性実験の結果安全と確認したものでなければならないということを私ども基本方針としておりなして、そのために、赤の一〇三号という色素は実は慢性毒性試験がございませんので、その構造式等から見ては安全であると考えられるものでございますが、これにつきましては実は近く削除するという手続を進めておりまして、現在は、日本国内では使用されていない。そしてあと残りの十二でございますが、そのうちに一〇四号、一〇五号、一〇六号というような色素があるわけでございますが、これにつきましては実は国立衛生試験所において慢性毒性実験を実施いたしまして発ガン性等を確かめまして、私どもとしては、わが国において十分な毒性資料があるというたてまえで、これの使用は続けてまいりたい。現在日本が一〇四号、一〇五号等についていま言ったような事情があるのと同じように、現在世界的に色素につきましては各国それぞれの研究体制で確かめておるような状況でございまして、アメリカと日本あるいはイギリス、その他のヨーロッパ諸国それぞれ違った色素を使っているような状況でございます。たとえて申しますと、ヨーロッパ連合では十七種類の色素を現在使用しているということで、私ども輸入の際には、そういったわが国で認めていない色素を使ったものは港において不合格品とするというような扱いをしておるわけでございますが、これはいずれ数年中にWHOの仕事が進めば、こういうものが統一されて、世界じゅうで同一のものが使われるようになると考えるのでございますが、それまでは、わが国としては十分な裏づけ資料のあるものだけを使うというような線でやってまいりたいということでやっておる次第でございます。
#20
○近江委員 それからその次にお聞きしたいのはデヒドロ酢酸ですね。これも学者のほうから非常に危険じゃないかといわれている。これはよくコールドチェーン等に使うわけでありますが、これが非常に安易に使われておるという傾向が非常にあるわけですが、これについてはどのように把握されておりますか。
#21
○小島説明員 デヒドロ酢酸は保存料でございまして、各種の食品に使われているわけでござ、いますが、これはアメリカにおいて開発された保存料でございまして、これにつきましては慢性毒性試験それからまたサルを使いました実験も行なわれておりまして、その結果を私ども使いまして一日許容量を算出して、これにつきまして使用を許しているような状況でございます。しかしながら、先生御指摘のように、これにつきましてはアメリカと日本以外はあまり使用されていないというような実情もございますし、またたびたび委員会で先生の御指摘もありましたように、安易にこういうものを使うということは好ましくございませんので、私ども現在検討を重ねておりまして、でき得れば使用量をさらに極度にしぼってまいるというようなことで対処してまいりたい。また、念のために、さらに毒性実験を再度繰り返すということを国立衛生試験所で現在実施中であるわけでございます。
#22
○近江委員 確かに行政的に苦労なさっておることについては私たちもよくわかっておるわけです。しかしながら事人命の重さ、また健康に関することでありますし、そのようにアメリカと日本以外は使ってないというようなこともありますし、疑いがあるやつを不安な気持ちで行政当局自体も見守りながら、不安ながらそれを使わしておるという、確かに行政のむずかしさ、苦しさというのはわかりますけれども、しかしウエートをかけたときにおいて、やはり人命の尊重、そして健康に重大な関係がある、こういう点にさらに重点的なウエートをかけなければ、食品公害というものが大きくさらに輪をかけるのじゃないか、その点を心配しておるわけです。そういう点、いまもそのように将来しぼる、あるいはまたその試験の状態によって削除をするというような方向でいくというお話でございますから、これ以上いまこの問題についてお聞きしても……。
#23
○小島説明員 近江先生のおっしゃるとおりでございまして、この問題については早急に検討いたしまして、制限をするという手段を早急にとらしていただきたいと考えております。
#24
○近江委員 それから一九五六年の国際ガン学会で添加物としては好ましくないものとして分類されておる中で、わが国がまだ使っておるわけですが、これは呼称が、ちょっと私もこういう化学的なことについてはしろうとですから、ダブっておるかもしれませんが、エオシン、ファーストグリーンFCF、それからブリリアントブルーFCF、同じくアシッドバイオレット6B、これも大体色素系統ですが、これなどはわが国ではやはり許可しておるわけですね。これについてはどうですか。これはさっきの色素ですか。
#25
○小島説明員 これは一九五六年の国際ガン学会で添加物としては好ましくないというもののリストがあがったわけでございますが、その中に先生御指摘のような色素が四つ入っておりまして、それを日本は従来から許可しておったわけでございます。そのうち、御指摘のありましたもののうち、ファーストグリーンFCFというものは、その後になりまして毒性試験が十分に行なわれまして、WHOもこれを安全と認め、それからブリリアントブルーFCFというものも同じくWHOが安全と認めております。それからアシッドバイオレット6Bにつきましては、アメリカにおいて毒性実験が行なわれまして、アメリカ政府がその後検討の結果許しております。ただ残りますエオシンにつきましては、これは日本におきます赤の一〇三号というものでございますが、これはさっそく私どもとしては削除の手続をとるということで、早急に手続をとらしていただきたいというふうに考えております。
#26
○近江委員 それから各国によって使用のそれは違うわけですけれども、わが国で使っておってアメリカで認められておらないもの、これの一つとしてL−アスコルビン酸ステアリン酸エステルというのがございますね。酸化防止剤と思いますが。それからアンモニアです。それからウリジル酸ナトリウム、塩化アルミニウム、結晶、無水ですね。それから塩化第二鉄、塩化マグネシウム、オキシエチレン高級脂肪族アルコール、オレイン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、グァニル酸ナトリウム、それからクエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、グリチルリチン酸ニナトリウム同じく三ナトリウム、クロラミンB、クロラミンT、高度サラシ粉、コンドロイチン硫酸ナトリウム、サラシ粉、それからサリチル酸のあれですが、それからベンガラ、次亜塩素酸及び同ナトリウム、シチジル酸ナトリウム、臭素化油、これはブロム化油というのですか、それからあと赤色着色料、これはさっきお聞きしましたからけっこうです。それからシヨ糖脂肪酸エステル、ステアリル乳酸カルシウム、ソルビン酸ナトリウム、L−テアニン、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、二酸化塩素、ハラオキシ安息香酸セカンダリブチル、ハラゾーン、フマル酸一ナトリウム、アクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルヘスペリジン、モルホリン脂肪酸塩、葉酸、トリクロルフエノキサイド、リボヌクレオタイドカルシウム、同ナトリウム。それから硫酸銅。これはアメリカでは使っていないやつを日本でこれだけ使っているのですが、これを一個一個説明というとなかなかたいへんですけれども、何もアメリカのとおりにする必要はないわけですが、少なくともアメリカはやはり危険と認めておればこそこういうものを使っていないわけですよ。それがわが国でこういう種類を使っている。これはどういうわけですか。またそのうち削除は一体するのかしないのか。どの辺を危険と思って厚生省としてはチェックなさっておるか、お願いします。
#27
○小島説明員 先ほど先生に御説明いたしましたように、私どもといたしましては昭和三十九年から食品添加物の再検討を進めておりまして、現在大掃除をしております。できるだけ早く世界一といわれるまで私どもとしてはきれいにしたいということでやっておるわけでございます。
 ただ、アメリカで許していないもので日本で許しているというようなものは非常に特殊な事情のあるものでございまして、たとえばアンモニアなどは、高野どうふをつくるために液体アンモニアでふかすということを行ないまして、これは高野どうふの中には全く残らないという事情があります。アメリカの場合にはそういう高野どうふ等の製造の必要はございませんので、認めていない。あるいはまた先ほどのウリジル酸ナトリウムその他のように調味料といたしまして日本では酵母を使いまして、それから抽出した天然物のナトリウム塩というようなものも多いわけであります。あるいはまたとうふに使う塩化マグネシウムのようなにがりといった非常に特殊性のあるものがございまして、しかも毒性の上から見ても問題ないものもあるわけでございますが、先生の御指摘のこういった化合物につきましては、私どもとしては必要性の少ないものについては早急に削除するというようなことで一刻も早くきれいにしてまいりたい。
 現在私どもが総点検の方針としておりますのは、WHOで認めたもの、これはいま先生の御指摘の中にも、アメリカでは使っておりませんがWHOで認めたものも幾つかあるわけでございます。WHOで認めたもの、それからアメリカが非常に進んだやり方をしておりますので、アメリカで認めたもの、さらにアメリカで認めていないまたWHOも認めていないものについては、日本においてその毒性について十分に説明できる資料のあるものに限って私どもは添加物の使用を行なっていくという方針で、極力早急にきれいにしてまいりたいということでやってまいる所存でございます。
#28
○近江委員 これだけの数、いま私申し上げたのですが、厚生省としても当然農林省なり科学技術庁なりといろいろ連携をとってやられると思うのですけれども、いま申し上げた中で削除をなさる予定というのはどれですか。
#29
○小島説明員 削除をする方向で検討いたしたいと考えておりますのは、亜硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、クロラミンB、クロラミンT、食用赤色一〇三号、ソルビン酸ナトリウム、銅クロロフィリンカリウム、パラオキシ安息香酸セカンダリブチル、ハラゾーン、硫酸銅、こういったものについては、先生の御指摘もございましたので、早急に削除というような方向で検討いたしまして手続をしたいと考えております。
#30
○近江委員 はい、わかりました。そうしたチェックをさらに今後も厳重にやっていただいて、そして疑わしきものはどんどん使用はやめていく、こういう基本姿勢でこれからも続けていただきたいと思うのです。
 それで、きのうの各紙にも報じられておりますように、これは何もきのうだけではありませんが、いろいろな事件が起きております。「農薬から?」「中学生が集団高血圧」――これは埼玉で起きた事件ですが、中学生の半数が血圧百四十以上である、実際びっくりするような結果が出ておる。そして「東大病院で治療した七十五人のうち十五人は埼玉県の人だったので『農薬による集団高血圧と推定できる』と意見が一致した。」と東大病院で診断しているわけです。「秋田でも原因不明の高血圧児」あるいは「母乳から残留農薬」とある。これは前からもBHCあるいはDDTなどいろいろ出ているわけですが、そういう事件が次から次へと出ておるわけです。こういう、俗に農夫症といわれるのですか、農村地帯へ行きますと風土病と片づけられているものも確かにあるわけですが、これも農薬から起きているんじゃないかといわれておるわけです。いろいろな事件がいままでたくさん起きておりますが、一番最近の埼玉の件についてお聞きしたいと思うわけです。農林省もきょうは来ておられるわけですから、農林省、そしてまた厚生省、科学技術庁、三省にお聞きしたいと思います。この事件の経過あるいはこれに対してどうするか、どこからでもけっこうですから……。
#31
○福田説明員 昨日の新聞に出ておりました高血圧の件につきましては、いま調べておりますけれども、まだ公式な報告を得ておりませんで、私どもも新聞情報しか入っておりません。やはりこういった問題は専門家の御意見を聞きまして、その専門家の御意見によって関係各方面と相談の上しかるべき処置をとりたいと思いますけれども、その専門家の御意見並びにこの実態というものをいま調査中でございますので、それまでお待ちいただきたいということでございます。
#32
○小島説明員 私のところでは食品衛生法に基づきまして食品中に残留する農薬という面からこの農薬の危害に対処しているわけでございますが、実は有機燐剤と目の奇病の関係については本年六月に東大の眼科の石川先生が御発表になられました。私どもとしては直ちにこの石川先生をお招きいたしまして、食品衛生調査会で検討を行ないましていろいろ討論をいたしていただいたのでございますが、どうもこの奇病が農薬に由来するのではないかという疑いが濃厚でございます。しかしながら、どうも食品からは入ってきたのではないのである。ということは、そういった目のおかしくなりました患者さんが東京の病院へ入りますとすぐ何もしないでなおってしまうというような状況からも察せられるのでございますが、こういった問題、今度の高血圧などについても同じような問題だと思いまして、私どもとしては現在早急な調査を進めておるところでございます。こういった環境の面からの汚染が原因となる中毒につきましては、実は食品とは関連はないわけでございますが、本日公衆衛生局から出席いたしておりませんので、私から簡単に申し述べさせていただきます。
 現在、農村の保健に関する研究調査を実施いたしておりまして、実は今年度二千万円の予算を日本農村医学会、これは代表者が長野県佐久の総合病院の若月先生という方でございますが、こちらへ支出をいたしまして、農薬により最も被害を受けると考えられる農村の方々について一体農薬がどのような影響を与えるかというようなことについて調査を御依頼申し上げているわけでございまして、こちらにおきましてやはり目の奇病等と農薬の関係というものを追究してまいりたい。また、農林省のほうともいろいろお話し合いをしておりまして、農林省のほうも今後農薬取締法の改正が行なわれますと、農薬の空中散布等につきましては付近の住民が被害を受けないように御注意をいただくというようなことも御考慮されておるようでございます。私どもとしては積極的に国民の健康、保健というものに障害を及ぼさないような意味でのお手当てを急いでもらいたいというふうに考えておる次第でございます。
#33
○石川政府委員 科学技術庁といたしましては、毎年度各省庁の試験研究費の見積もりの調整という作業を行なっておりますが、この環境保全の問題につきましてもかねてからその研究開発に総合的な推進をはかってきていたわけでございます。来年度の見積もりも行なったわけでございますが、その調整に当たりまして特に四十六年度におきましてはこの環境科学技術というものに重点は置いてございます。もちろんその中には先ほどの食品の問題それから農薬の問題、こういうものも含みまして強力に推進していきたいというふうに考えております。
 一方、各省庁におきましてもそれぞれこういうような問題につきましては研究開発を行なっていただいているわけでございまして、それにつきましてもわれわれは強力に推進方をお願いすると同時に、科学技術庁におきましても特調費等をもちまして、このような問題についての研究を促進する計画を立てているわけでございます。
 なお、科学技術庁自体におきましては、科学技術庁の理化学研究所におきましては従来の農薬とは原理の異なった毒性のきわめて低い農薬の研究を進めつつあるわけでございます。このようにいたしまして、国民の健康に密接なかかわりあいのあるものにつきましては科学技術庁といたしましても十分努力していきたいとは思っております。
#34
○近江委員 この農薬取締法の改正は私も一歩前進であると評価しております。しかし安全性についての具体的なチェックの方法について大いなる疑問を持っておるわけです。この人体に対する安全性、特に慢性毒性あるいは発ガンあるいは催奇形のそうした方向、これについて科学的なデータをどこでとっているわけですか。これは農林省と厚生省、特に農林省から先に聞きます。
#35
○福田説明員 人体に対する安全性あるいは先生おっしゃいましたが、発ガン性の問題、これはやはり専門家でないとわかりませんので、農林省みずからこれをやるというわけにまいりませんので、厚生省その他医学関係の専門家の間にお願いする次第でございます。
#36
○小島説明員 農薬の安全性につきましては、実は二つのやり方をとっておるわけでございます。一つは新規農薬、新しく登録になりました農薬につきましての安全性の確保、それから過去において登録になりましたものの安全性の確保でございます。と申しますのは、過去におきましては農薬については急性毒性のデータだけでこれを許可をといいますか、農林省に御登録になっていたという実情でございまして、実は私たちは一昨年から農林省のほうと御協議いたしまして、農林省で新規登録の申請を受け付けるときに毒性資料を同時に提出していただくというようなことにきめましてやっておるわけでございまして、農林省におきましては申請書に添付されました毒性資料のデータを私どものほうに回してまいるわけでございますが、私どもでは食品衛生調査会の中に残留農薬の部会を設けまして、専門の先生方に非常にきびしい審査をしていただきまして、その動物試験の結果に非常に高い安全率をかけまして一日許容量を算出いたしまして、そうしてその範囲での使用許可を出していただくというようなやり方をしておるわけでございます。それからまた過去に登録になりました農薬につきましては、これについては現在食品に残留するおそれのある主要な農薬というのは大体五十ばかりございますが、このうちにはすでに世界各国の資料をもちましてWHO、FAOにおいて毒性の評価の行なわれておるものもございますが、そうでない毒性資料のないものにつきましては、私どもは昭和四十八年までに国立衛生試験所においてその毒性試験を済ましまして、それと並行しまして農作物中の残留許容量をきめるという作業を行ないまして、こういう形で安全対策を進めてまいりたいというふうにやっておる次第でございます。
#37
○近江委員 厚生省でチェックをされる。そうしますと、農林省からはこの毒性の資料を提出する。これは農林省では何もチェックするところはないとさっき言われたのですよ。この資料はどこから出すのですか。
#38
○福田説明員 農薬取締法によりまして、農薬の登録申請をする者は、申請書のほかに、現在の法律ですと、薬効、薬害に関する成績書を出さなければならないとなっておりますが、このたび改正をしていただきますれば、薬効、薬害及び残留性、毒性の成績を添付して申請をしなければならないとなっておりますので、登録申請をする者はそういった成績書を持ってくることになっております。
#39
○近江委員 これだけ野菜やくだものにも残留農薬があって、それが大きな影響になる、そういうようにいわれておる中で、農林省としてはそういう農薬をどんどん使わしておる。それについてただメーカーから申請が出てくる、そのときに添付をするからそれをつけておるのだ。それじゃ農林省というのはただ窓口だけですっとあと厚生省に回せばいいのだ。それでは責任ある態度とぼくはいえないと思うのです。幾ら担当が厚生省か何か知らぬけれども、農林省として、残留農薬というのはこれだけ大きな問題にいまなってきておるわけですよ。それをただ傍観して厚生省にいつまでもおぶさっておる。何も私は厚生省だけでやったらいかぬと言っているのと違うのです。少なくとも農林省としても農薬だけについてはもっと真剣な対策が要るのと違いますか。これはどうするのですか。
#40
○福田説明員 残留の問題がいま一番多くなっておりますので、それには農薬そのものの残留性という性質とそれから残留したものの毒性とあろうかと思いますが、残留性につきましては、農林省といたしましても昭和四十二年から四カ年計画、ことしまでになりますが、技術会議を中心といたしまして農薬残留に関する緊急特別研究というものをやりまして、その中で、四十六の農薬の二十一の作物に対します百六十一の組み合わせにつきまして、その使用方法と残留等に関する実態を明らかにしておりまして、今年度をもちましてそれが終了いたしますが、これは救急対応ということでやりましたが、農政局のほうで都道府県の協力を得まして、これは四十四年、四十五年、二カ年をもちまして、実はこの残留問題を科学的に検討するため各都道府県に農薬の分析機器の補助をいたしまして、二カ年でもって四十六都道府県に農薬分析機器を設置いたしましたので、来年度からは都道府県の協力も得まして、農政局でさらにこれを続けてまいりたい。来年度は大体十一農薬二十一作物を対象といたしますが、先ほど厚生省のほうからお話がございましたように、問題のありそうなものは五十ばかりあるということでございますので、年次計画でもってこれらについて残留性についてはその使用方法、環境条件等、いろいろな作物における残留の実態というものについては農林省のほうでもやってまいることになっておりますが、毒性につきましては、これはお医者さまの手をわずらわしませんと農林省のほうにはそのような専門家もおりませんので、人体に対する毒性の問題は御専門のほうにお願いしているような次第でございます。
#41
○近江委員 農林省として今後前向きにもつと検討していくという策は何もないのですか。人体に関することは一番大事なんですよ。その点、どうなんですか。
#42
○福田説明員 それで、ただいま申しましたように、既登録のものにつきましてはその残留性というものにつきましては農林省でも検討してまいりますし、また毒性の面につきましては専門家のほうにお願いしているわけでございます。新規登録のものにつきましては、現在わが国では毒性の試験のできる機関というのは非常に少ないそうでございまして、国立衛生試験所その他大学の医学部等を動員いたしましてもその専門家の数も少なくて、年間に処理できる数は十幾つかと聞いております。いままで使っておりました農薬がいろいろ問題が生じておりますが、これらの危険な農薬を排除いたしますと、先ほど科学技術庁のほうからもお話がございましたように、今後新しい安全と思われる農薬の開発が必要だと思われますが、そういった新しい農薬につきましても、やはりその登録前に毒性、残留性について十分検討いたさなければならないと思いますが、その毒性を検討する機関が非常に少ないということでございますので、厚生省と共管でもって新しく残留農薬研究所というのができることになりました。それに関しましても、農林省としましては、その設立費、建設費及び設備費等の補助を行なっている次第でございます。
#43
○近江委員 厚生省にお聞きしますが、財団法人の残留農薬研究所、いま共管だということをおっしゃいますし、厚生省も金を出すのですか。これはどうなっているのですか。
#44
○小島説明員 実はこの財団法人残留農薬研究所につきましては、今年農林省のほうで予算をおとりになりまして設立がきまりましたもので、当初は農林省で残留農薬に関する毒性の研究が行なわれるということでおられたわけでございますが、こういった人体に対する影響の問題につきましては、やはり厚生省、農林省協力していくべきだということで共管にすべきではないかというような話になりまして、共管ということが決定したわけでございまして、今年度においては私どもはそういう意味で予算が全然ないわけでございますが、来年以降、来年の末に建物等が完成をし、それから人員等が配置される予定でございますが、厚生省としては農薬に関する研究の委託等を行ないまして共管の実をあげてまいるというふうに考えている次第でございます。
#45
○近江委員 この残留農薬研究所というのは寄付行為ですね。これはメーカーが折半で出すわけでしょう。こういうシビアなチェックをしていくのについて、メーカーが半分以上も金を出すような機関でできるのですか、その点公平なものができるのですか、農林省どうですか。
#46
○福田説明員 残留農薬研究所につきましては、ただいまも御説明申しましたように、新しい農薬を開発し、これを古いものと切りかえていく場合に、新農薬の登録にあたりましてやはり残留性、毒性の資料をつけて申請しなければならないことにしたわけでございますが、この残留性、毒性の、ことに毒性の試験をする機関がわが国では非常に少のうございまして、大学等に委託してメーカーがつくっているわけでございますが、この能力が非常に少ないということから、こういったものをつくるということになったわけでございまして、残留農薬研究所は新しく登録する農薬の毒性についての、役所へ提出しまして検討を受ける前の資料をつくるのがおもな任務になっております。そういうことで民間のほうの受益者が金を出すということになって財団法人が出てきたわけでございますが、その運営につきましては厳正中立でなければならないということで農林、厚生両省が共管いたしまして十分監督していく考えでございます。
#47
○近江委員 われわれとしては厳正にチェックできる、そういう中立公正な、私は一番シビアでなくてはいかぬと思うのですよ。いままでどんな機関でも民間と折半というのは正直申し上げて、全部当てはまるかどうか知らぬけれども、大体首をかしげざるを得ないような運営をやっているところが多いのですよ。そういう一番国民としてはチェックしてもらわなければならぬ機関に国が幾ら金を出したっていいじゃないですか。国の予算からすれば知れていますよ。それじゃなぜ国で、厚生、農林で政府は金を出して、国の機関としてのそういう機関をつくらないのですか。そこで完全にチェックをすれば一番いいわけですよ。これはこのまま続行するのですか、これはつくる前から国民は大きな疑惑を持っているのですよ。これは大きな疑問ですよ。
#48
○福田説明員 この残留農薬研究所その他でつくりました資料を申請書に添えてメーカーが登録申請してくるわけでございますが、そのデータにつきまして農林省及び厚生省で検討して登録をするかしないかをきめていくわけでございます。既登録のものあるいは申請書の疑問のあるものにつきましては、残留性につきましては、先ほど申し上げましたように農林省で農薬検査所もございますから、検査いたしますし、毒性につきましては厚生省のほうにお願いして検討していただくことになっております。
#49
○近江委員 要するにこれじゃ最初からわれわれとしては納得できません、こんな機関。これは最初から見てみなさい、寄付行為とばちっと入っておるのですよ。こういう機関ならもうつくらぬほうがいいのですよ。国立衛生試験所の設備をもっと充実して大規模なものをつくってそこでやればいいのですよ。私たちが前から書っておることは、こんな中途はんぱなそういうあれではだめだ、国立のそういう大規模なものをつくってもらいたいということを言っているわけですよ。これは重大な調整機能を果たしていらっしゃる科学技術庁長官、どう思われますか。こういう点、こういういいかげんな研究所をつくっていいんですか。それでは、農林、厚生もう一ぺんそれについて先に……。
#50
○福田説明員 実はこれはたびたび申し上げて恐縮でございますが、民間業者のほうで新しい農薬を開発する、開発したものを登録する場合に慢性毒性の試験をやっていただくところが非常に少ないので、業界でもって自主的につくっていく話があったわけでございます。その際に新しい農薬――いまの農薬をやめていきますと農業生産上非常に問題がございますので、新しいそういった時代の要求に沿ったような農薬を開発するという低毒性農薬の開発促進ということもまた非常に必要なことと考えましたので、その設立が一日も早いほうがよろしいということで農林省としてはこれに助成をするという態度をとったわけでございます。
#51
○小島説明員 近江先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもとしてはもちろん民間に中立公正な機関というものが設立され、それがどんどん必要な試験をやる、あるいは国立の試験機関が拡充されるということが最も望ましいわけでございますが、なかなかそれが実現できないためにこういう事態が起きてしまったのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。実は私どもも現在いろいろなものについての毒性試験を行ないますのに、国立衛生試験所の能力では足りず、各大学へも委託費等でお願いをしておる状況でございますが、大学等においても非常に検査が込んでいてなかなか受け付けてくれないということで苦労しているような状況でございまして、まあそういうような意味で農林省のほうも設立のことについて背に腹はかえられぬというような面もあったのではないかと私どもは察しておる次第でございます。私どもとしては、共管ということになりました以上、厳正中立な運営ができるように、私どもとしては監督官庁としての責任を果たしてまいりたいという覚悟で、これについて監督官庁という立場をとってまいりたいというふうに考えております。
#52
○西田国務大臣 ただいま農林当局あるいは厚生当局から御答弁申し上げておるのを聞いておりまして、従来申請の際に信頼される調査と申しますか、研究ですか、それをする場所がきわめて限られておるので、むしろ民間側自体がこういうものをつくってそれでしっかりした基礎のもとに申請をすべきであるという意見もあったけれども、あるいは国のほうで国がみずからそういうものをつくるというようなことも考えられないこともないが、要するに申請者が申請のための研究と申しますか、それをする、こういうことであるので民間の負担に国が援助といいますか、助成をしてこういう研究所をつくることにしたというお話でございます。したがいまして、こういうような研究所が公平な運用がされなければならないことはこれはもちろんでございますから、私どもはこの設立の趣旨に沿うように十分公平な運営がされることを期待したいと思うのでございます。民間が申請する場合に、国が全部国の研究所でこれを研究して、そうしてそのデータに基づいてその申請をさせるというところまで行き届いたことが行なわれれば、なおそれは理想であろうと思いますけれども、しかし従来業者が、藤性なりそういうようなことに対する証明を付して申請をするという義務をしょっておるわけでございますから、そういう意味においてこういうような成り行きになったものであろうと存じます。しかしながら先ほど申しましたように、十分公正な運用がされるように期待したいものだと考えます。
#53
○三木(喜)委員 関連ですので簡単にやりたいと思いますが、この委員会で毒性の問題あるいは農薬の有機水銀の問題等何回となしにやっておるわけです。そしてその場合にいつもはたと突き当たるものは何かといいますと、メーカーがそれに対するところの試験検定の結果を出すと、それをうのみにされておるのではないだろうかということがいつも心配になるわけです。だからいま近江さんの言われたのは、話の行き着くところは、国立の試験所でも設けて、そして国の権限でやったらどうか。費用がかかりますからメーカーの責任でやらしているところに抜け穴ができるのではないかということをいま近江さんも言われたわけです。私はそういう観点で二つのことをその立場から聞きたいと思う。一つは、いま近江さんが何回も初めから言われたように、発ガンの一つの材料になるのではないだろうか、こういうように言われておるわけであります。したがってそういう心配があるからして、いろいろなものに対しまして住民も参加してやらなければならぬ。この検査とか立ち入りとか、公害に対する監視とか、こういうものに住民参加がやかましくいわれておるのはそこから出てきておるわけです。だから厚生省やあるいは農林省は、それに対して姿勢を正して、そういう心配があるならこうしますという姿勢があるかどうか、前向きの施設をやりたいという考え方があるのかどうか。極端に言うなら、これはまるでどろぼうと警官とが一緒になってやっておるようなものですよ。あなた方は警官の立場かもしれませんけれども、メーカーはもうけねばならぬから、毒性が多いというようなことを表にあらわしたらもうかりません。だから何とか大学へ手を打って、裏から手を回して、そして安くしかも毒性の少ないようにしてもらうことも可能なんですよ。それが借用できるかできないかというところに私は問題があると思う。その問題点をひとつはっきりしてください。大学の試験が信用できるかどうかということが住民の一つの問題点になっておることと、それからメーカーと役所とがそこでなれ合いになってこれを許可するということでは住民はたまらない、こういうのです。この二つの点をひとつはっきりしてください。
 それからもう一つは、先がたも言いましたように、公害全体にわたりまして住民がいろいろ参加しなければならない、こういうことをよくこのごろいわれるわけです。特に食品について全般的に心配になっておることは発ガン材料というものです。この前もここで言いましたように、人間のつくったものを上野公園の動物が食べさせられて、そのために死んだところの動物が半分以上ガンだというような状況は、まさに公害のスモッグとかあるいは水の汚染とか食品に私は関係があると思う。そういう立場から考えるならば、国民の保健衛生上、健康と生命という問題につきましては、最も大事な問題が農薬ないし食品衛生の中にはあると思う。そういう立場から発ガン材料であるかないかというような検討をどういうぐあいにしてこれから進められるか。巷間でいわれているだけではだめなんですよ、厚生省。だからそれに対してはどういう姿勢で取り組むかという、この二つの立場をここに明確にしてください。そうでなかったら、私は近江さんの話を聞いておって、あなた方の答弁は何かくつの上からかゆいところをかいておるような感じがする。近江さんのおっしゃるとおりです。その御趣旨を検討し、体して今後慎重にやってまいります、検討いたしますという、いまもう検討の段じゃないんだ、そういうように私は思います。したがって、その二つの点について明確にしていただかなかったら、こうしてはたで聞いておっても全く何の国会審議をやっておるかわからぬ、お願いします。
#54
○福田説明員 メーカーの新しく開発してくる薬につきましても、登録されたものにつきましての検査は農林省及び厚生省でやるわけでございまして、まずメーカーが開発したものを初めから国の機関が手をつけるべきかどうか。やはりそういうものを開発し、そしてそれを商売にしていくという社会的責任から、メーカーとしても一応のデータはつくってくるべきであろうと考えまして、一応メーカーからデータを出させる。しかしながら、データだけでもって審議するのではなくて、問題のあるものにつきましては国のほうでもまたチェックしていくわけでございます。
 なお、そういったデータの信用性でございますが、これは御指摘のようなことは万ない、なれ合いというようなことは絶対ないと申し上げる以外にしかたございませんけれども、これらのデータにつきましては大半のものが学会等におきましても発表されまして、国際的にもオープンになっていく。毒性のデータというものはつくりますものは、そうたやすく短時日に安い金でできるものではございませんので、それぞれの国において行なわれましたデータが全部国際的にオープンになり、そういうものが持ち寄られてWHO等においても検討されておりまして、外国の場合、あるいはWHOで検討されている場合でも、多くのものは民間の企業においてつくられたデータであるやに聞いておりますが、そのように全部これが学会等においてオープンになりますし、少なくとも登録されたものにつきましては、いかなるデータによったものかは公表してまいるつもりでございますから、信頼性の点についてはそこで大方の批判を受けたいと思います。
#55
○小島説明員 先生、発ガン性の問題を御指摘でございますが、先ほども御説明いたしましたように、食品添加物等につきましてはすでに私ども総点検を実施しております。食品添加物については、現在発ガン性の疑いがあるものはすべて削除済みでございまして、今後学問の進歩によりまして危惧の出る場合もあるかもしれない。これは非常に希薄な問題でありまして、その段階において直ちに人の健康に障害になるというようなものは出てこないというふうに私どもは信じてやっておる次第でございます。
 それから、農薬につきましてでございますが、先生はいまなれ合いというようなことをおっしゃいましたが、いやしくも私ども国民の保健衛生を預っておる立場からは厳正、中立な態度をとりまして審査をしているところでありまして、現在農林省に新農薬の登録にあたりまして提出を求めているデータは、一カ所では困りますので、必ず公共の機関において二カ所以上の機関において行なわれた資料を提出していただく。そして、それをわれわれのほうの委員会にかけまして、非常に厳重な審査を行なっているところでございます。私どもとしては、今後とも先生の御注意のありました発ガン性というような問題は、国民の健康の上で非常にゆゆしい問題でございますので、十分注意してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#56
○三木(喜)委員 ちょっと納得がいかない。いまのあとのほうで、委員会でチェックする、その委員会の機能はどんな機能ですか。
#57
○小島説明員 現在、食品衛生調査会の中に私どもは残留農薬の委員会をつくっておりますが、その中に小委員会を設けまして、これはすべて大学の教授及び国の研究機関の試験機関の部長クラスで構成しておるものでございますが、そこにおいて毒性資料をたんねんに検討していただくというようなことをやっておる次第でございます。
#58
○三木(喜)委員 それは農薬じゃないですか。食品は、たとえば高野どうふを白くするとかあるいはちくわ、かまぼこを白くさせる漂白剤だとか、そういうようなものがいま問題になっておるんでしょう。そういうものを残留農薬を調べるところでは調査できないと思うのです。そういうところを一つ一つ調査できますか。
 それが一つと、それから先がたのWHOだとか、あるいは世界的にはこれは毒性があるとかいうようなものは評価済みだからだいじょうぶだという、こういう観点に立ってやっておられるのですか、それなら初めからやる必要はないのだ。それでもたとえば砒素に対してあるいは森永のミルクに対して、ああいう問題も起こってくるのです。これはガンのこととは関係ないのですけれども、そういう見のがしはみなあるというところに、一つ一つ当たっていくところの機関を持ってないというところに問題があるのじゃないか。近江さんはそれを言われておる。それならむしろ国立のそういう試験所でやったほうがいいんじゃないだろうか。それらを見のがしていくというところに、なれ合いでなくても、なれ合いだと国民は感ずるということを言っておる。だからチェックをどこでするかということが一番問題だと私は思う。
 あとで近江さんはその点に触れられると思いますから、私は関連ですから、そのくらいお聞きしておきたい。もし不審な点があれば、この次にまた私自身の質問でやります。
#59
○小島説明員 先生の御指摘の問題点は、研究機関が不十分ではないかというようなことだと思います。それで私ども食品の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、添加物についての点検は、私どもの国の機関を動員いたしまして昭和三十九年からやっております。現在問題になっておりますのは、たとえば天然の食品の中に有毒なものあるいは天然の食品につきますカビなどが生産する毒素等の問題でありまして、これは本年度より調査研究委託費が計上されておりまして、これをもちまして大学等に検査を委託して進めておるところでございますが、先生の御指摘のように、われわれとしてはさらにもっと高度の研究をどんどん行なえるような総合的な研究機関というものはぜひほしいわけでありまして、そういうものはぜひ充実してまいりたいと念願している次第でございます。
#60
○福田説明員 先ほど御答弁申し上げました中で若干舌足らずの点もありますし、表現もまずかったことはおわび申し上げますが、実は民間でつくりましたデータでもWHO等から求められましてずいぶん送っておるのがございます。で、WHOなどで検討しまして国際的な許容量その他を出しておられるのも、大半は諸外国の民間がつくったものであるというふうに聞いておるということを申し上げたところでございますのと、それからもう一つは、最初に申しました点で、民間にやらせましてもその結果というものは国際的にオープンになりますから、その場においてその信憑性というものは批判されるであろうというようなことを申し上げたわけでございます。
#61
○近江委員 小島さんにお聞きしますが、残留農薬の、メーカーから出てきてそれを委員会で審査するわけですが、実際にそれをまた試験をする、それは国立衛生試験所とは思いますけれども、ほんとうはどこでやっておるわけですか。
#62
○小島説明員 現在残留農薬の新規に登録されるものにつきましては、農林省のほうへ三カ月間の毒性試験のデータが提出されてまいります。私どもとしては、それを私どものほうの委員会にかけまして、これは三カ月では非常に期間が短いので、普通使っております安全率の百分の一ではなくて、千分の一から五千分の一という安全率をその化合物の性質によりましてかけまして、非常に量を制限いたしましたものの範囲で使っていただくように農林省に御連絡をする。その際に、その試験データに少しでも疑問点があれば、すべてこれは受け付けないということで、非常にきびしい審査を行なっているわけであります。そうしてその結果農林省のほうで御登録になられましたものについては、私どもの国立衛生試験所で二年間以上の慢性毒性試験を再度行なうということでやっておりまして、そうしてわれわれのほうで安全性を再確認いたしました時点におきまして、農林省は広く一般の使用を許していくというような形にいたしまして、万全を期するという形でやっておる次第でございます。
#63
○近江委員 それでこの研究所というのは幾らぐらいの基金でやるのですか。資金計画はどうなっておりますか。大体どのくらいの陣容でやるのですか。
#64
○福田説明員 建物の建設費と主要な設備費、それから建設期間すなわち四十五年度と四十六年の半ばにできるということでございますが、それまでの運営費等を含めまして七億五千万くらいかかる見積もりと聞いております。そのうち農林省が今年度一億円ばかり補助いたしまして、あと四十六年度につきましても一億ないし一億五千万補助いたしたいと思っていま大蔵省に要求しているところでございます。
 それから人員につきましては、これは最終的にどうなりますかはまだつまびらかになっておりませんが、おおむね六十人足らずくらいの人員になろうかと思っております。
#65
○近江委員 そうすると、ほんとうに政府が出すのは約三分の一というような感じですね。三分の二は民間が出す。それはまあ厚生省でもいま大体の経過をお聞きしましたら、大体試験結果を見て、それで安全率をかけて、こうやっていく、要するにほとんどそこで決定――当然あとは国立試験所でやるというようなことの作業もあるわけですけれども、しかしながらいずれにしても添加物の問題だとかいや何だということで手一ぱいの現状なんですよ。違いますか、小島さん。
#66
○小島説明員 それは先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもとしては、国立衛生試験所において実は新規登録の農薬についての試験を実施するというのは非常に負担でございまして、実はわれわれほかにやらなければならないことがたくさんあるわけでございますが、新規農薬というものにつきましては、これを放置したのでは非常に重大な問題が起こるということで、ほかの試験を犠牲にいたしましてやっておるような状況でございまして、実は私どもとしては、できるだけ早く大学その他の民間研究機関が充実いたしました暁においては、新規登録の申請の際に、二年以上の毒性試験データあるいは催奇形性試験等、すべての毒性試験を十分にそろえて出していただく、そうしてその段階において十分な審査をした上で登録をする、そして国の研究機関はもっとわれわれとしては前向きにやらなければならないことをどんどんやっていくという体制に早くもっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#67
○近江委員 そのように実際に農薬の研究等は手一ぱいでほとんどできないという実情をここでおおっしゃっているわけですよ。そういう点からいきまして、実際に同じつくるなら国立の研究所をなぜつくらないかということです。国民もその安全性の問題については心配のおそれを持っておりますよ。ですから、この点いまここでいろいろ押し問答してもなかなか進まないと思いますし、農林省も厚生省もお帰りになったときに一ぺん大臣ともよく相談されて、この研究機関をこの際思い切ってそういう国立残留農薬研究所という形にしていくかどうか、十分ひとつ検討していただきたいと思うのですが、農林省よろしゅうございますか、それについて。
#68
○福田説明員 私どもとしましては、国立でこういった研究、試験あるいは検査ができればそれはよろしいわけでございまして、毒性の面は厚生省のほうで国立衛試その他をやはり拡充していっていただきたいという気がしますし、残留性その他の面につきましても農林省の研究機関といたしましては農業技術研究所に農薬科というのがございますし、それから検査機関といたしましては私どものほうに農薬検査所がございますので、これらの機関がやはり充実されるということを希望いたしたいといいますか、期待いたしたいと思っておりますので、先生の御趣旨に沿って検討してまいりたいと思います。
#69
○近江委員 それから野菜くだもの等の残留の取り締まりについていろいろああいうケースが新聞等にも発表されておるわけでありますが、具体的に手を打てということをこの委員会においても政府に何回も言っておるわけですが、その後こういうチェックの問題については真剣にやっておりますか。
#70
○小島説明員 残留農薬の取り締まりにつきましては、実は残留農薬の基準をきめ出しました当初におきましては、都道府県においてはこれは特殊な機械を使うものでございますから、機械設備の設備状況あるいはこれを扱います技術者等について非常に不十分な面があったわけでございますが、その後、私どもとしては、都道府県に機械を設置するように要望いたしました結果、本年六月現在におきましてガスクロマトグラフィー七十九台が都道府県に設置されまして、これを担当いたします技術者の数は百六十四名、そういたしまして昭和四十四年における検査実施数は大体二千三百件というように能力も向上してまいった次第でございます。実はこれは各都道府県とも、非常に財政の苦しいところを無理をしてよくその機械を買っていただきまして、協力をしていただいております。私どもとしても、毎年技術者を集めまして講習会を行なうほか、これは緊急に優秀な技術者を育てなければいけないものでございますから、東京とそれから大阪の衛生試験所の両方に特別研修生を一月ずつ受け入れまして特別訓練を施すというようなことをやっておりまして、現在各地で残留農薬につきましていろいろな違反摘発が新聞等で報告されておりますが、これはすべてそういった訓練の成果であるというふうに考えておる次第でございます。
#71
○近江委員 農林省にお聞きしますが、この前NHKの「こんにちは奥さん」のところで野菜のことをずっとやったわけです。そのときにおたくのほうから出られた、たしか園芸局長さんだと思うのですが、農薬は使わなければならぬ、要するに農薬規制どこ吹く風といったような発言をなさって非常にひんしゅくを買っておるわけですが、農林省としては使うのはあたりまえだ、そういう気持ちでおるわけですか、どういう気持ちでおるわけですか。規制をしていこうという方向におるのか、使うのはあたりまえだというのか、その点はどうなんですか。
#72
○福田説明員 農業生産の安定ということを考えますと、農業者サイドからの要求も非常にございまして、農薬を使わないわけにいかないわけでございますが、しかし一方、国民の健康とか環境保全ということも重要な問題でございますので、これをてんびんにかけますれば、後者のほうの国民の健康並びに環境の保全というほうが優先すると思います。しかしながら、農薬を全く使わないで現在の農業生産が維持安定できるかと申しますと、それは非常に現在の時点における技術におきましてはむずかしいと思いますので、これからは農薬取締法の改正をいたしまして、それによりまして危険な農薬は排除して安全な農薬、新しい農薬も含めまして、また現在登録になっております農薬も再点検いたしまして、安全な農薬を用いまして農業生産の安定に寄与したい、このように考えている次第でございます。
#73
○近江委員 あなたの言われた、今度新品種を開発してやっていくんだ。新品種だとまた害になるかわかりませんよ。ですからそこのところ、病害虫に強い品種改良をしていくのだというが、昔からあったそういう自然のいき方、そういう考えというのはこれはないのですか。
#74
○福田説明員 農薬を使うということは最後の手段でございまして、でき得れば農薬を使わなくて済むような農業技術というものを確立いたしたい。先生おっしゃいますように、耐病性、耐虫性品種の育成あるいは天敵の利用、その他栽培様式等によるそういうものの回避の研究も農林省の試験研究機関で鋭意やっているわけでございますが、それらの研究というものはなかなか一朝一夕には実が結ばないようでございまして、国際的に見ましても農薬の使用量がふえているという現状でございますので、食糧の量を確保することとその安定供給のために、やはりいましばらくの間は農薬というものはどうしても必要なんじゃないかというように考えております。
#75
○近江委員 いま御答弁の中に、天敵利用等もやっていくというようなお話もあったのですが、この間から問題になっておりますかすみ網等の問題。要するに鳥は保護しなければならぬ、こう言いながらかすみ網の製造もそれを認めておる。どんどんそれが売れている。口だけ言って、実際ほんとうに真剣に鳥も野鳥も保護していこうというようなのは全然ないわけですよ。そういう自然の行き方にやっていこうということをいま強い姿勢でおっしゃったのですが、そうであれば、当然このかすみ網だって禁止もし、製造禁止だって持ってくればどうですか。その点はどうなっているのですか。
#76
○塩島説明員 ただいま狩猟法でかすみ網の使用は禁止されておるわけでございます。ごく一部の地方では根強い慣習としてかすみ網による密猟が残っているわけでございます。もちろん私どもとしましても都道府県に通牒を発しまして、取り締まりの強化を指示し、さらに警察庁のほうにも御協力をお願いしておるわけでございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、やはり抜本的にはかすみ網の製造の規制から始めなければならぬじゃないか、こういうことを考えたわけでございますが、製造、販売の問題になりますと、実は私どものサイドの問題でございませんで、実は通産省の問題になるわけでございます。それで通産省のほうといろいろと御相談申し上げたわけでございますが、かすみ網という網を製造しておるのではないのだそうでございまして、いろいろな多目的に用いられる網を密猟者がかすみ網に使うように自分で、何といいますか仕上げるのだというふうなことで、そういうサイドから製造、販売を禁止するということはきわめてむずかしい、こういうふうな通産省の御意向でございます。したがいまして、私どもとしては私どものサイドから、所持並びに使用を――現在使用は禁止されておるわけでございますが、違法の者が所持をすることまで規制をすることができないかということを現在検討中でございます。
#77
○近江委員 このかすみ網だけではなくして、ハンターにしても、要するに法をかすめて行き当たりばったりに撃っているという状況がやはり実情じゃないかと思うのです。いま通産省に言っているのですけれども、どうもその点がしにくいとかなんとか、非常に役所のセクトといいますか、そういうことをいまおっしゃったわけでありますけれども、ほんとうに農林省がいまおっしゃるそういう自然主義的な農業の行き方をやっていくんだ、そういう天敵の利用等も考えていくんだ、積極的にやっていくというお話であれば、当然もっと強い姿勢で通産省に交渉すればいいじゃないですか。どっちみち通産省だからということで答弁すれば、逃げられるだろう。要するにそういう役所のなわ張りがあるからしかたがない、それは言いわけだとぼくは思うのですよ。これについて農林省としては強硬に通産省に申し入れをやって、かすみ網に関するそこの部分は禁止にしていくというような強い決意はあるのですか。
#78
○塩島説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、かすみ網の製造ということはやっておらなくて、広い意味の網を製造してそれを密猟者がかすみ網に仕立てる、こういうことでございまして、そういう意味で、いろいろな目的に使われますので、それをすべて規制するということは非常にむずかしいという通産省の御意見でございますので、私どものサイドとして、われわれの立場でできるものとしてかすみ網というものにでき上がったものを持っていることを規制しよう、こういう立場でいま検討しておるわけでございます。
#79
○近江委員 その辺のところはもっと通産省とも煮詰めてもらって、それで要するに、そういうかすみ網を使ってはならぬとなっておるけれども、現実には幾らでも使っているわけですよ。新聞の写真にも出ていますけれども、まつ白くなるくらいかすみ網を張ってある。そういうことをぼうっと見ておったら、農林省の責任でしょう。その責任はどうしてとってくれるのですか。どうしますか、その点。
#80
○塩島説明員 ごく一部の地方でございますけれども、長年の慣習としてかすみ網の密猟が絶えないことはまことに遺憾でございます。したがいましてわれわれのほうの対策としましては、都道府県の林務職員に特別の司法権を狩猟期間中与えまして、取り締まりを厳重に行なっておるわけでございまして、本年度は例年よりもかなり、また警察庁のほうも非常に御協力をいただきまして、きびしい取り締まりをしておるわけでございます。
#81
○近江委員 その点も何か非常になまぬるい、みんなにやあやあ言われるから、しょうことなしに重い腰を上げたという感じがするわけですよ。そういうあなたがおっしゃることを真剣にやはり具体化しなければならぬわけですよ。どうしても言うことを聞かないなら、もっと罰則を強化するとか、農林省としてもやるべき手は幾らでもあるわけです。そういうような狩猟法の改正とかいうことを真剣に考えているのですか。
#82
○塩島説明員 狩猟法につきましては、狩猟事故の防止という面と自然保護の一環としての鳥獣保護という二つの面から、これを抜本的に検討しようということで、目下改正を前提としての検討を始めております。
#83
○近江委員 それから通産省については、かすみ網と同じような用途というのは何に使うのですか。
#84
○塩島説明員 私そっちのほうはよくわかりませんが、聞いたところでは頭のネット、あれと同じものだそうでございます。それから農業関係で非常に使っている。それから漁業関係でも使っている。そういうことでございます。
#85
○近江委員 私もそれはまだそこまで詳しいことを見ておりませんので、使用方法等何とも言えませんけれども、しかしながら私はその辺がどうも盲点があるように思うのです。いかにもそれを理由づけて、実際はかすみ網を使っておるけれども、よう似たような製品があれば、これはこれに使うのですというような、おそらくそういう盲点が必ずぼくはあると思うのですよ。その辺ただ通産省がそう言うからということではなくして――私も商工委員もやっておりますから、一ぺん通産省にも言いますけれども、やはり役所のサイドでその辺のことについては、これは国民の世論ですよ。その点について絶対にもう使わせない、製造禁止にしていくという方向で、この辺は今後真剣に取っ組んでいただきたいと思うのです。よろしゅうございますか。
#86
○西田国務大臣 かすみ網の問題が論議の焦点になっておりますが、先ほど答弁がございましたように、狩猟による事故防止というような立場からも実は狩猟法の改正等について閣議でも取り上げられまして、検討をする。その際に、同時にいまのお話のかすみ網の問題もやはり閣議で議論になりまして、このことにつきましては同様にひとつ、製造禁止というような方向で検討しようということになったのであります。いま答弁がありましたように、あるいは多目的に使っているという面で非常にむずかしい面もあるように存じますが、閣議でもこの問題は論議されて、そういう方向でものを考えておるということを申し上げておきます。
#87
○近江委員 あまり時間もございませんからすぐ終わりますが、そこでまとめとしてお聞きしたいのです。実際に、食品の監視員ですね。たとえばこの添加物でも、グラムなんかはからぬで、さじでぱっぱっと手かげんで入れているような製造所があるとか、いろいろなことが耳にも入ってくるわけです。そういう点、監視員がいまわが国では何人おって、実際に人口当たりからいけば何人要って、何人不足である。それに対して監視員を今後どうしていくかということをまずお聞きしたいと思うのです。
#88
○神林説明員 お答え申します。ただいま直接担当の食品衛生課長が農林水産委員会に参っておりますので、私かわってお答えいたします。
 監視員の現在の数は、昭和四十五年の三月三十一日現在で四千七百六十七名でございます。これは前回の調査時の総数は五千四百九名でございますから、幾らか減少しておることに表面的にはなっておりますが、いまの四千七百六十七名のうち専任の監視員――いまの四千七百六十七名というのは兼任をしておるものを含めておりますが、専任の食品衛生監視員は現在千百二十二名でございます。前回はこの専任の監視員の数は九百十二名でございましたから、専任という面では監視員の増加を来たしておる。それから総数で一応減員したという理由は、従来たとえば屠畜場に勤務しておる屠畜検査員であるとか、あるいは狂犬病予防法に基づきまして狂犬病予防の仕事をしている狂犬病予防員あるいは環境衛生監視をやっておる環境衛生監視員等がそれぞれの職務に専任化したため、併任の数が減ったということになるわけでごいざます。
 それから人口に対してどのぐらいになっておるかという御指摘でございますが、これにつきましては、一応食品衛生というのは本来食品関係の営業施設に対して監視をするものでございますから、必ずしも人口割りというようなことではなくて、むしろ施設数が本来のあれでございますけれども、一応先生の御質問もございますから、これにつきましてわれわれが調べました結果、現在これはむしろ平衡交付税の対象として積算しておるわけでございますが、標準団体で地方交付税の積算基礎は大体人口百七十万について四十四名、したがって三万八千人に対して一名というような数字でやっております。それから英国では先生のおっしゃられるとおり現在人口でやっておりますが、これは一万名につき一名というふうなことになっております。この増員につきましては、厚生省といたしましてもやはり第一線の機関でございますから、都道府県に対しましては地方交付税の面で現在増員計画をいたしまして、これは毎年毎年幾らかずつ積算の増員対策をやりまして、幾らかふえておりますが、四十三年が三十七名、四十四年が三十九名、四十五年が四十四名、そして四十六年には六十七名というふうなことで現在要求をしておる次第でございます。
#89
○近江委員 だから要するにいま日本として人口一億何ぼあるわけでしょう。それでいけば要するに何名要るのですか。
#90
○神林説明員 それは私たちざっといままで数えてみましたら、約一万名は必要であろうというふうに考えております。
#91
○近江委員 五千数百名が不足しているわけですよ。ところが獣医とか医師とか、そういうような免許を持っている人でなければ監視員になれぬわけでしょう。五千人も医者や歯科医師や獣医とかが集められるのですか。今後どうするのですか。
#92
○神林説明員 これにつきましてはできるだけ私たちも増員を立てておりますが、現在確かに先生御指摘のとおり医師、薬剤師、獣医師という面では不足をしておりますが、人員が不足しておるからといって一挙にこの教育のレベルを下げるということも食品衛生というような面では非常に問題もございますが、一応厚生大臣が指定する施設というのがございまして、それについてはたとえば短大とかそういうもので適確なものがあれば、特にそういう講義をやっておるというようなものがございますれば、これは個々に私たちのほうで認めてそれの補充に充てたいというふうに考えております。
#93
○近江委員 ですから今後抜本的に、この実際の第一線機関をいかに充実をしていくか、人材の養成をどうしていくか、たとえば養成所をつくるとかそこら辺のことを真剣に考えていかなければ、小手先のことをやっていたって解決せぬわけですよ。やめていく人もあるし、補充だけでもいつもあっぷあっぷしておるということであっては、食品行政のほんとうの前進はないと私は思うわけですよ。ですからその点は強く言っておきます。
 それから国立衛生試験所についても、東京一カ所で約三百人ぐらいと聞いておりますが、大阪支所が四十人ないし五十人。ここで添加物や農薬関係全部やっておるわけですが、農薬だけでも五十種類からあるわけですよ。一年間で平均すれば何種類できるのですか。五十種類全部やったら、いまの陣容でいけば大体何年かかりますか。
#94
○小島説明員 現在、私どものほうで国立衛生試験所にお願いしておりますのは、農薬では、二年間継続の分がありますのでダブっておりますが、十数品目をお願いしている次第でございます。
 なお、先生御指摘のように、主要農薬につきましては食品に残留するおそれのあるものが約五十種類ございますので、そのうちWHO等で十分に毒性評価の済みましたもの以外の二十数種類、大体二十四から二十八の間でございますが、これにつきましては、大体昭和四十八年度をめどに毒性試験を終わるということで現在お願いしておる次第でございます。
#95
○近江委員 もう時間がありませんからあれですが、あと、検査員の待遇の問題とか――同じ医師の免許を持ちながら格段の差があるというような辺のこともよく是正していかなければ、実際に長続きもせぬわけですよ。ですからそうしたこともよくやっていただきたい。今国会は公害の問題でこうした食品公害に対する対策とかいろいろありますけれども、予算が来年度どのぐらいつくのかというような点も、実際その裏づけが非常に薄いわけです。こういう点についても、ちょうどいま予算編成のときに入るわけですし、十分に力を入れていただきたいと思うのです。
 それから科学技術庁に特にお願いしておきたいのですが、エコロジーの問題ですが、こういう一切の問題を中心的にリードをしていただかなければならぬのは科学技術庁なんですよ。それをただ調整機能だからということで、あとは、実践機関は各省ですからということで何となしに遠慮というか、私は本腰を入れたような感じがせぬわけですよ。そういうことであってはならぬと思うのです。これからはこういうエコロジーの問題というのは非常に大きな問題になってきますし、科学技術庁がそういう総合的なリードをしていかなければならない官庁だと私は思うのですよ。傍観しているようないままでの態度は改めていただきたいと思うのです。ですから、いま申し上げた予算獲得の問題とかエコロジーの問題とか、そういうことについて、最後に長官の決意を聞かしていただいて終わりたいと思うのです。
#96
○西田国務大臣 人間の生活環境保全の広範な問題の中で、きょう御指摘になりました食品に関しまする問題は、きわめて重要な事柄でございます。決して科学技術庁は傍観的な態度をとっておるつもりはございません。いままでやってまいりましたことを一々ここで申し上げる気持ちはございませんけれども、明年度も実は科学技術庁が中心となりまして、従来から続けております重要な研究はもとよりでございますが、食品安全問題に関しますところの研究項目といたしましても、新しく六つぐらいの課題に取り組む、こういうことで、その金額も……。
#97
○近江委員 どういう課題ですか。
#98
○西田国務大臣 課題を申し上げますと、まず食品に関係のある諸物質の安全に関する研究というのを国立衛生試験所を中心としてやります。これは去年からやっておることでありますが、去年の二倍以上の予算を要求するというようなことを考えておりますし、それから四十六年度から新たにやるものといたしまして有毒カビ類の研究等でございますが、これは醸造試験所において四十六年度から始まる。それから食糧等におきますところの古々米の毒性等を中心として食糧の特殊糸状菌に関する研究、これは四十六年度から始めますが、畜産試験場その他の機関でやらせる。それから害虫の総合的防除法に関する研究ですね。これも四十六年度から新たにやりますが、これはかなり大がかりにやりたいということでありまして、農業技術研究所その他の機関にやらせます。いわゆる先ほどの天敵その他の問題でございます。それから食品添加物の適正使用に関する研究としましては、農林省の食糧研究所等を中心といたしまして三カ年間ぐらいでやる、これもかなりの額を要求しております。さらに牛乳のBHCとか家畜のぺニシリンとかというような抗生物質等、農薬の畜産物その他に対する影響研究、これは農業技術研究所その他の機関を動員いたしまして四十六年度から始める、これも相当の額でございます。それから理化学研究所では新しい農薬の生成の問題を取り上げて、これも四十六年度から始めていきたい、かように思っております。ほかに、いわゆる特定研究という立場で取り上げてまいりますのが、環境と生態に関する総合研究、これは来年から三カ年ぐらいで、来年は四千万余りでありますが、三年間で一億数千万円というようなことを考えておりまして、来年から取りかかりたい、これはかなりの数の研究機関がこれにタッチすることになると思います。さらに微量環境汚染物質の分析技術の高度化に関する研究、これは科学技術庁が中心でやりますが、これも来年から三カ年間ぐらいでやりたい。このように新しい問題を取り上げまして積極的に取り組むという、いよいよ予算の時期が参りましたから、できる限りこれらの予算を確保いたしまして御期待に沿うようにいたしたい、かような決意でございます。
#99
○近江委員 強く要望して私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#100
○渡部委員長 では、次に山原健二郎君。
#101
○山原委員 筑波研究学園都市問題について、現在移転を予定されるといわれる三十六の研究機関がそれぞれ移転するに際しての条件あるいは要求を整理している段階だと聞いておるわけですが、この状態の中で各研究機関または研究者、家族を含めましていろいろの不安というものが出ておるように聞いておるわけですが、この研究者や家族、機関の不安とか要求とかいうようなものに対しましてどのように把握されて、この要求、不安に対してどのように対処するかという点について最初に首都圏整備委員会のほうから答弁をいただきたいのです。
#102
○川島政府委員 まず最初に筑波研究学園都市の建設につきまして概況をお話しをいたしたいと思います。
 問題となっております筑波研究学園都市の建設につきましては、四十二年の九月に閣議了解がございまして、移転予定機関三十六機関を定めましたが、さらに昨年の六月の閣議決定によりまして、これらの移転予定機関等の建設につきましては、昭和四十三年度を初年度として前期五カ年、後期五カ年の二期に分けまして、おおむね全体十カ年で実施すること。それから昭和四十七年度までの前期期間には、科学技術庁二機関、文部省一機関、農林省おおむね五機関及び建設省三機関の移転予定機関の建設を開始することを目途とするとともに、新設機関についても設置を決定次第その建設に着手することを予定し、あわせて、民間研究機関等の積極的導入をはかるものとし、こういう閣議決定がなされたわけでございます。
 また本年の五月には筑波研究学園都市建設法、これは議員提案でございましたが、これが制定をされまして建設計画を策定することが政府並びに茨城県に対して義務づけられたわけでございます。さらにこの七月、研究学園都市建設推進本部、これは首都圏整備委員長が本部長をしておりますが、この推進本部におきまして研究学園都市建設の促進及び研究学園都市建設推進本部の今後の運営について申し合わせが行なわれたわけでございます。次いで、この八月、この申し合わせに基づきまして研究学園都市建設計画の大綱を作成をいたしました。続いて現在、公共公益事業等の整備計画の概要の作成を進めております。
 この際、関係各省庁と私ども首都圏整備委員会との間で移転予定機関固有の問題、これは団地外の用地の確保等の問題がございますが、及び、移転職員に対する生活環境問題等の検討を行ないました上で、移転予定機関等の移転計画の概要を早急に策定する、これがただいままでの経過の概要でございます。
 なお、これらの諸計画の策定にあたりましては、関係各省庁の間で協議し、その推進に当たることにいたしておるわけでございます。
 私ども首都圏整備委員会といたしましては、この筑波学園都市の建設につきましては当初からその推進に当たってまいったわけでございますので、各省庁と協議をいたしましてこの建設が促進されるように推進をいたしておりますが、主として首都圏整備委員会といたしましては用地の取得、造成、並びに各研究機関が立地した場合における各種の公共公益施設の整備等についてその推進の衝に当たっております。そして移転機関固有の問題あるいは移転機関の職員の問題等につきましては主として科学技術庁が中心になりまして各省庁と協議をして結論を急いでおる次第でございます。したがいましてフィジカルな問題につきましては私どものほうが主として取りまとめの中心になっておりますが、職員の生活問題につきましては科学技術庁のほうで取りまとめを願っておりますので、科学技術庁のほうから御答弁をお願いしたほうが適当だろうと思います。
#103
○山原委員 事務局長のほうからこの大体の今後のスケジュールの考え方については説明があったわけですが、私のお聞きしておりますのは、そのような進行状況の中で、特に職員、研究機関、家族を含めましてさまざまな不安や要求が出ておる、これに対して御見解を伺いたかったわけですけれども、それは科学技術庁のほうへあとでお伺いすることにしまして、その前に事務局長に、特に基本的な問題ですけれども、三十六年九月一日の閣議でこの問題が出ましたときには、これは過密の解消という問題が中心になっておったと思うんです。その後本年の八月二十四日の筑波研究学園都市建設計画大綱、これですが、これによりますと、これははっきりと「研究学園団地をつくり、高水準の研究および教育を行なうための拠点を形成し、もって科学技術、学術研究および教育に対する時代の要請にこたえる」、こうなっているわけですね。だから、この点が非常に強く強調されなければなりませんし、国会においてもこの問題が十分論議されないと、当初、単に過密を解消するという都市計画の問題、それから出発をして、いやそれは違うんだ、これは日本における科学技術というものの研究及び教育をほんとに高水準のものにしていくんだという、ここの目的の変化ですね、ここのところをどのように現在首都圏整備委員会においては把握されておるかということです。これをお聞きしておきたい。
#104
○川島政府委員 御指摘のように、当初、研究学園都市を東京から少し離れたところに建設しようという構想は、東京の過密対策の一環として発想されたことは間違いないところでございます。先ほど御指摘になりましたように、三十六年九月一日の閣議におきまして、首都への人口の過度集中を緩和するため必ずしも既成市街地に置くことを要しない機関の移転をすみやかに行なうべし、こういう了解がなされておりますが、確かにこの動機はそういう過密排除というところから発想されたことは間違いないわけでございます。その後、三十七年に、科学技術会議が、過大都市を離れた地域に試験研究機関を集中的に移転させる必要があるとの答申を行なっておりますが、この時点に至りますと、すでに、過密対策の一環という見地と、国立の試験研究機関の水準を高めるという、二つの目的がこの研究学園都市の建設には標榜されたわけでございました。さらに三十九年に、いよいよ筑波に研究学園都市を建設するということが閣議了解をされたわけでございますが、その前に、首都圏整備委員会に置かれました首都圏基本問題懇談会におきまして、この研究学園都市の建設の提言がなされておりますが、その中におきましても、世界的水準の研究学園都市建設を実施すべきであるということで、過密対策の一環ではありまするけれども、いまやそれは単に過密を排除するというだけではなくて、世界に恥ずかしくない高い水準の研究学園団地を首都近郊に新しくつくろうということが提言をされたわけでございます。現在の筑波研究学園都市の建設にあたりましては、こういったいきさつからその思想を受けまして計画がなされているわけでございますので、一面においては東京の過密を救うという半面と、あわせて高い水準の試験研究機関を中心とする都市を新たに建設しよう、二つの目的が並列的に考えられておるわけでございます。
#105
○山原委員 この点、科学技術庁長官にも伺っておきたいのです。過密解消というようなことで研究の本質がそらされてはいけませんし、高水準の、特に今日までこの研究機関というものが非常に軽視をされてきた傾向があるわが国において、この際高水準の科学技術の研究教育を振興していくという、ここのところの一番のポイントを政府機関がはっきりとつかむ必要があると私は思うのです。だからその点について長官のお考えを伺いたいというのが第一点です。
 第二点は、今度研究学園都市建設の促進及び研究学園都市建設推進本部の今後の運営についての申し合わせというのが本年の七月二十二日に推進本部から出ておりまして、それによりますと、移転予定機関等の移転計画の概要等の策定にあたっては、移転予定機関固有の問題(団地外用地の確保など)及び移転職員に対する生活環境問題などを処理する必要があるので、これらの問題について十二月中を目途に処理するようつとめ、処理次第策定するものとするという申し合わせが出ておるのでありまして、これに基づいて各機関において意見が整理をされておる段階ではないかと思うのですが、その中で、先ほど申しましたように、いろいろな不安や要求が出ておるので、これについて科学技術庁としてどのように把握し、またどういう対処のしかたをするかという問題、この二点を伺っておきます。
#106
○西田国務大臣 研究学園都市建設に対しまする科学技術庁としての態度をお尋ねになったわけでございますが、私どもは、大きく分けまして、われわれに課せられた任務は二つあると思うのであります。
 一つのことについては、まだお尋ねがございませんでしたが、われわれの持っておるところの機関をみずからあすこに移転をするという任務が一つございます。
 いま一つは、ただいまお尋ねになりましたように、研究学園都市というものの建設のねらい、それが、高水準の研究が行なえるように、そういう観点でその建設が進められなければならない。これに対しまして、科学技術庁といたしましては、そういう立場から、科学技術に関する事務の総合調整という立場でございますので、関係各省との連絡会を開きまして、各省所管の移転機関の意見を聞く、そして移転によって、いまお尋ねになりましたような、よりよい研究環境が確保できるように研究学園都市建設の方針を積極的に進めてまいらなければなりません。このためには、われわれに課せられた仕事、任務は、共同施設、たとえば会議場でありますとか、計算センターであるとか、あるいは分析センターとか、このような共同施設をつくることが望ましいと思いますが、これらをひとつ、最も有効な施設が移るような検討をいたしてまいりたい、かように考えまして、それぞれ調査を進めておるわけでございます。
 ただ、先ほど御質問にございましたように、十二月をめどにひとつ各省が計画を立てるということになっておりますが、これらが、それぞれ計画が具体化しませんと、それぞれの各省の計画というものを総合して、ただいま申し上げましたような共同的な各種の施設を整備していくという必要がございますので、これを十分総合いたしまして、こういうものをやっていく必要があるということで、まだ最終的な結論は出ておりませんが、考え方といたしましては、そういう心がまえで進めておるわけでございます。
 もう一つは、やはり研究環境施設等がりっぱでなければなりませんが、同時に、人に対する、研究者に対することも忘れてはならないと思うのでありまして、こういう方々が安心して研究に携われるようにするためには、いろいろな生活環境の問題あるいはまた処遇の問題、こういう問題を十分満足させていかなければならぬと思います。そういうことにつきましても、私どもといたしましては、できる限り努力してまいりますし、また努力しつつあるところでございます。
#107
○山原委員 十二月ということが先ほど出ましたけれども、なかなか困難な状態にあるようにいまのお話で伺うことができるわけでございますが、この中で、たとえば一、二の例を申し上げてみますと、これは全厚生職員労働組合ですか、本年の四月一日の調査によりますと、この国立予防衛生研究所、国立栄養研究所の職員を対象に行なった調査の結果によると、国立予防衛生研究所では職員の二四・七%、国立栄養研究所では職員の一八.三%が移転になれば職場をやめると回答していると聞いております。そうすると、こういう状態の中では率直にいってこれは職員の事実上の首切りにつながるわけですね。ここにその調査の資料もいただいておるわけでありますけれども、こういう深刻な問題が一つ出ております。
 それから通産省関係の場合は、この処理事項として幾つかのこまかい要請が出ておるわけです。たとえば、移転職員に関する問題では生活環境問題、住宅とかあるいは日常生活施設、教育及び教育施設というふうに、こまかくは申し上げませんけれども、こういうかなり綿密な要求も通産省関係で出てますね。
 それから大体におきまして各省の条件要望をまとめてみますと、生活環境問題、職員移転に当たっての問題あるいは移転困難な者の問題、それから移転機関についての今後の予算、人員などの問題というふうに大体分類されまして、要するに生活環境と研究が、はたして当初の目的に書かれておるように高水準の研究が行なわれるのかという、ここのところに一番不安があるように私は思うわけですね。これについてきょうは通産省もお見えになっていると思いますし、農林省もお見えになっておりますので、私がいま申しましたようなことについてどういうふうに把握されて、あるいはそれに対処することを考えておられるか、ちょっと両省から伺ってみたいと思います。
#108
○太田(暢)政府委員 先生ただいま御指摘のような学園都市に移転をもし達成いたしますと、いろいろな生活環境問題及び生活環境に関しまして、職員の間に不安があるということは十分存じております。ただ、その不安は現在首都建設推進本部の申し合わせに従いまして、公共、公営企業の計画の概要とか、それから生活環境問題の処理方針などがいろいろ現在詰められておる段階でございますので、この作業が進みますと、その過程におきまして――現在でもやっておるわけですけれども、職員とあるいは組合も含めまして、絶えず情報の交換あるいはそういう資料を流すことによって職員の意見を吸収して、そして進めておりますので、それらの計画の全貌がはっきりいたす段階におきましては、そういう職員の不安はなくなるものであるというぐあいに期待しております。
#109
○立川政府委員 農林省の関係でございますが、ただいま通産省からお話しがございましたように、一般的、共通的な問題といたしまして移転困難者の問題とか、あるいは向こうに参りました場合におきます学校だとかあるいはその他公営、公共事業に関します要望その他いろいろあることは同様なことでございます。それから建物の建設の内容そのものにつきましても、高度な研究水準が保てるようにという要望があることもこれまた事実でございます。これらにつきまして、各場所におきまして場所長以下管理者が各職員と意見を交換いたしまして、目下計画案を作成しておるのが現状でございます。
#110
○山原委員 ついでに農林省のほうに伺っておきたいのですが、本年の十一月七日、農林省農林水産技術会議事務局から出されておるのですけれども、これによりますと「移転計画の作成に当っては移転計画の統一基準四十二年八月十日(科学技術庁計画局)によることを原則とし、」と書かれているわけです。ところが農業技術研究所におきましては、昭和四十二年八月案なるものを検討して、その後特に四十三年、四十四年と検討を重ねまして、その結果社会的な要請と学問技術の進歩等によりますところの公害関係の施設、こん虫の防除などが加わってきておるわけです。ところが今度の、いま申しました事務局の十一月七日のこれによりますと、非常に逆戻りをしたような形になっているわけですね。たとえば定員につきましても、この資料によりますと、「現在の国としての定員抑制政策を考慮し、さらに、最近における実績等をも勘案し、実現性の高い計画とするものとする。」こういうふうになってまいりまして、定員の面でも四十二年以来検討を重ねて充実をしていくという研究者機関の意見というものが、十一月七日になって突然、ここで国の定員抑制政策等勘案をして現実性のあるものにせよという、こういう形になってきますというと、高水準の研究強化ということではなくして、非常に縮小されたといいますか、抑制された形の研究機関として見ておるのではないかということが考えられるわけですが、この点について、この資料についての皆さん方の説明をちょっとしていただきたいのです。
#111
○立川政府委員 先ほど先生がおっしゃいました資料は、実は先ほど御説明がございましたように、閣議決定によりましておおむね五機関を農林省といたしましては前記の間に決定するというふうな線に沿いまして作業をやっておるわけでございますが、その作業の基準といたしまして、一応こういう作業基準でやってみたらどうかということを流したのが、先ほど先生が最初にお読みになりました通牒でございます。それから四十二年に比べて云々とありますが、従来の計画というものはかなり前からあったわけでございますので、そのたびごとにいろいろ計画をしておるわけでございますけれども、いま申し上げましたように、十二月に各場所にお願いしましたのは、一応こういう作業基準でやってみたらどうかということでございまして、各場所からまたいろいろ御計画法に基きまして御計画が出まして、そしていろいろと両方で御相談してきめるという筋合いの性格のものでございます。
#112
○山原委員 こういう朝令暮改とまでは申しませんけれども、こういうものが来ますと、先ほど言いましたようにせっかく高水準の研究という標榜をしながら、これでぐっと押えていくという形で受け取られるのではないかと私は思うわけです。そういう形で実はいろいろな不安というものをまき散らしておって、今度の筑波移転というのがはたして国が、政府が、また大蔵省をはじめとする財政機関がほんとうにりっぱなものをつくるんだという、そういう決意があるかどうかということを、こういう点から皆さんが非常に疑問に思っておられるということを一つ指摘しておきたいと思うのです。
 その次に、厚生省関係について、ちょっと伺っておきますが、厚生省の場合は、またさらに複雑なような感じを私は抱いているわけです。たとえば、今回厚生省試験研究機関長会議の資料をいただいておるわけですけれども、全部移転につきまして反対ですね。これは十一月二十五日に出ておるわけでありますが、「筑波研究学園都市問題に関して、厚生省試験研究機関長会議」、これにははっきりと「筑波研究学園都市計画の進行をみるに、この間若干の厚生省試験研究機関の移転予定が公表されてきた。しかしこの経過は、当該研究機関の了解に基づくことなく行政当局によつて一方的に進められたものであり、このために研究機関の行政当局に関する不信を著しく増大させる結果となったことはきわめて遺憾である。」こういう冒頭の文章、そしてそれに引き続きまして、「筑波移転に対する厚生省としての最終決定を行なうに当っては、国民生活との有機的な結合を維持しつつ、その任務を遂行している試験研究機関の現状および将来構想に正しく立脚して、当該機関の意志を十分尊重すべきである。」ということが書かれておりまして、そして引き続いて、人口問題研究所、さらには国立公衆衛生院、さらには国立精神衛生研究所とずっと各機関の意思というものが出されておるわけですけれども、それを読みますと、それぞれ研究機関の立場からかなり具体的な理由をあげまして反対をしているわけですね。また移転することは不利であるとか、積極的な反対とか、要するにすべて反対の意見が十一月二十五日、ごく最近になって出てきておるということは、これは今日まで一体どうなっておるのかという疑問を含めまして、一面でいえば奇異な感じ、一面でいえばこれは当然ではないかという感じを持って私は受け取っているのですが、これについてどういうふうにお考えになっておるか、伺っておきたいのです。
#113
○萩島説明員 厚生省でも、法律ができました以降、申し合わせに基づきまして移転問題について検討いたしておるところでございます。いまの先生のお手元でお取り上げになりました機関長の将来構想と申しますのは、厚生省自身が今後七〇年代にふさわしい厚生行政に関係のある研究体制をいかにして受け持っていくかという勉強をいたそうということになりまして、ことしの七月からプロジェクトチームというものを編成いたしまして、検討してまいった部分の一部でございます。従来、移転機関といたしましては、四十二年の八月でございますけれども、四つの試験研究所の前提条件がそろえば、四つの試験研究機関について移転を考慮するというような正式な返答をいたしておるわけでございますけれども、その後、先ほど来御説明がございましたように、大綱の問題とかあるいは公共公益事業の進捗の状況とか、いろいろ私どもにその実情の内容でわからない部分がまだ多分にございますので、試験研究機関の長といたしましても、不明な部分を明確にしない段階ではそのような御発言になり、そのような書類でまとまったんだろうと思います。今後、先ほど御答弁がございましたように、首都圏整備委員会その他でいろいろお詰めいただきます内容を十分に連絡もいたし、また試験研究機関の皆さま方の希望も十分聞きまして、十分その希望が反映できるような条件を整備していただくということがだんだん明らかになりますと、また先生方の御判断も、少しはお考えを変えていかれる部分が多くなるのではないかということを考えております。
 いずれにいたしましても、研究者というのは、余人にかえがたい研究をおやりいただきまして、一夕一朝にすぐにというわけにはまいらない貴重な存在でもございますので、試験研究機関の先生の熱意が下がらないようにということは十分考慮して折衝を続けたいと考えます。
#114
○山原委員 私は、これは当然十分話し合いをすべき問題だと思いますし、同時に、たとえば一例でありますけれども、国立多摩研究所の場合は、これは筑波移転に反対であると最初に書きまして、特にらいの問題が出ているわけですね。このらい患者の問題におきまして、その要点の三項に「従って、研究機関と診療機関とが隣接して存在することが必要であり、筑波にこのような施設を建設することは不可能に近く、むしろ現施設を充実すべきである。」こういうまさに将来を見通した場合に、不可能に近い問題までからんで、しかも国立多摩研究所としては、らいの問題についての研究をさらに前進させるという考えとの非常なギャップが生じているわけですね。こういう問題について、まさに研究者並びに機関が不可能に近い問題まで要請をされてくる。そしてその中で自分たちの見解としては、これは反対である、こういう結論が出てきた場合に一体どうするのかという問題は、これは相当深刻な問題だと思いますし、同時に、もともと研究学園都市建設の経過及び現状の本年の八月に出されました首都圏整備委員会事務局の報告書ですか、その付記、十六ページでありますが、これを見ますと「上記の機関については、諸条件について検討の結果やむを得ない事情があるとき、その他移転を適当としない事情があるときは、変更することが出来る。」こういうことばが出ているわけです。さらに筑波研究学園都市建設法を見ましても、第四条に「研究学園地区建設計画は、関係地方公共団体の意見をきくとともに関係行政機関の長に協議して、決定するものとする。」ということばも入っておりますし、さらに第五条には、首都圏整備委員会のことですが、「委員会は、その決定した研究学園地区建設計画が情勢の推移により適当でなくなったとき、その他これを変更することが適当であると認めるときは、関係地方公共団体の意見をきくとともに関係行政機関の長に協議して、これを変更することができる。」こういうふうになっているわけでして、実際に全く不可能だという問題があり得ないのかどうか、その点ちょっと伺っておきたい。そういう問題に必ず逢着すると思いますので、伺っておきます。
#115
○萩島説明員 まだまだ状況が明確でない部分もございますので、全く不可能であるかどうかを現段階で判断することはむずかしい場合があろうと思いますので、そこに書いてございます覚え書きどおりに実情を十分お話をいたして、やむを得ない場合にはやむを得ないと判断すべきであろうと考えております。
#116
○山原委員 もう一つ厚生省に伺っておきますが、国立公害衛生研究所の問題でありますけれども、これは当然総合的、積極的に推進すべきものであるという考えを私ども持っているわけです。そしてほんとうに国民の生命、健康を守るという点で考えますけれども、その計画によりますと、その所員の定員が大体四百二十名というふうに聞いておるわけですが、これはこの四百二十名というのはどこから確保するつもりなのでありますか。現存の研究機関などから輸入するというふうな考え方でやるのか、そういう人員を確保する決意というものがあるのかどうか、これをちょっと伺っておきたいです。
#117
○萩島説明員 公害問題につきましてはお話のように四百名に余る人員を要求しておりますが、まあ来年以降相当数年間かかって完成をするという問題でもございますし、現状のところは従来の試験研究機関の職員自身も少ないわけで、厚生省の内部に仕事が非常に多うございますので純増という形で要求いたしておる次第でございます。
#118
○山原委員 最後の質問に入りたいと思いますけれども、これはこのような非常に大きな構想、しかも重大な内容を含んでおるこの研究機関の移転問題について、私はあまりにも閉鎖的な感じを受けておるわけです。特に当然総合調整機関として各機関の意見をまとめるという役割りを持っておる科学技術庁にお伺いをしたいわけですけれども、こういう構想の中で時日が経過するごとに相当の混乱不安というものが起こっておるのは私は事実だと思うのです。そういう意味で先ほどから具体的な厚生省その他の例を申し上げたわけでありますけれども、この中で単に混乱とか不安とかいうことだけでなくして、そのことが研究者にとって一つの重荷になり、現在の研究すら率直にいって手のつかない部分も出てきておるのではないかというふうな感じもするわけです。そういう点で科学技術庁として一体どういう責任を感じておるのかということが第一点でございます。
 それからもう一つは、もっと広報といいますか、この内容をオープンにいたしまして、その中できわめて民主的な討議が行なわれるということ、あるいは研究者などの意見を十分に吸い上げていくという体制をとる必要があるんじゃないかということなんです。これについての見解も伺っておきたいです。
 それから三点目に、これは六十三国会のときにも私のほうの寺前議員のほうから問題が出されたわけでありますが、この際日本学術会議の意見というものを尊重するという立場を貫く必要があるのではないかと思うのです。これは国務大臣も、意見を尊重するということについては同意をした答弁をされております。そして学術会議はすでに四十三年の十一月十五日に佐藤総理に対しましてこの問題についての意見を具申をしておるわけですね。これは七項目にわたる意見でありますけれども、これについてどういう検討をなされておるのか。たとえばその七項目の第一項に「政府機関内における総合的計画を進める主体が不明確である。」という問題なんかも指摘をされておるわけですが、これはもう明確になっておるのかどうか、そういう点で具体的にどういうこたえ方をしておるのかという問題であります。
 さらに、御承知のように日本学術会議は内外に日本の科学者を代表する政府機関でありますから、当然この研究機関の移転あるいは高水準の研究機関の設置というような問題になってまいりますと、これは私は学術会議に当然諮問をいままでもすべきであったと思いますし、これからも当然諮問をいたしまして、その意見を十分に聴取する必要があるのではないかと思うのです。特に各省庁の研究機関の整理統合等の問題に関しましても重大な問題があるわけですから、いまからでも決しておそくはないと思うのです。そういう意味で内外に日本の科学者を代表する、政府機関であるところの日本学術会議に対して諮問をする用意がないのかという点。この三点ですか、それを伺っておきます。
#119
○楢林説明員 お答えいたします。
 第一点の科学技術庁の研究学園都市に対する役割りと申しますか、これについての御質問でございますが、さきに長官から御説明いたしましたように、二つの任務について当庁といたしましては研究環境のいい学園都市をつくりたいという態度でこれを推進してまいっておるわけでございます。特に第二点にも関連いたしますが、そういう研究学園都市をつくる場合に、いままでいろいろ先生から言われました研究者の不安等があるではないかという点につきまして、たとえば私どもにも二機関ございまして、防災センターと無機材質研究所がございますが、当庁といたしましてもその点を配慮しまして、十分二機関の研究者の意向を取り入れながら現在移転を進めておるわけでございます。特に研究設備等研究に関するものにつきましては、やっぱり研究者の頭脳から生まれるものが多いものでございますので、当然われわれは研究者の意向を尊重してやる、こういうことで推進してまいっております。もちろん関係の各省庁におきましては、いろいろな研究分野もそれぞれ違う分野を各省庁ともたくさんかかえておりますので、われわれといたしましては、各省庁も私どもがやっているような方法で、各研究者の意向をくみながら建設に関する計画を立てられていかれるものだとわれわれは考えております。十分当庁といたしましても、今後研究学園都市の建設にネックになるような不安感は取り除くような努力をいたしたいというふうに考えております。
 それから第三点の学術会議の申し入れの件でございますが、御案内のように学術会議からは総理大臣あてに申し入れがなされました。これにつきましては、科学技術庁といたしましては、総理府にございます科学技術会議、この中に特に学術会議との連絡部会というものを常置しておりまして、こういう申し入れ、勧告等につきましてはその部会で諸先生から御説明、御意見をお伺いしております。これにつきましては、当然各省庁にも学術会議の申し入れの内容につきましては十分浸透していると考えているわけでございます。
 なおもう一点の学術会議とのさらに密接な連絡をはかるためには、諮問などをしたらどうかというような御指摘がございました。実はいま申し上げましたように、科学技術会議の中にすでに学術会議の会長が入っておりますし、先ほどまた紹介ございました科学技術会議の各種の答申の中で、研究環境の良好な研究学園都市をつくれという意見も出しておりますので、科学技術会議がこういう意見を出す場合には、十分学術会議との意見の調整をはかった上答申がなされておりますので、その点につきましては、われわれは各省連絡会議あるいは科学技術会議の場、あるいは先ほど申し上げました学術会議との連絡部会、こういうものを通じて申し入れについては慎重に取り扱っていきたいと考えております。
 なお主体についてはどうかという、学術会議の申し入れの主体でございますが、これ以後研究学園都市の建設法ができまして、それまではそういう法律的な体系も整備されておりませんでしたが、われわれといたしましてはそういう法律ができました機会に、こういう主体性も明らかになってきたのではないか、そういうふうに考えております。
 以上でございます。
#120
○山原委員 最後に、この主体の問題ですけれども、これも建設上の主体は明らかになっておると思うのですが、やはり研究機関としてのほんとうに研究を強化、推進していくという点での主体というものは、不明確な感じを私は受けているわけです。
 それで、今度の問題はまさに国際的にも注目されておる問題だと私は思いますし、しかも国内的に見ましても膨大な予算を必要とする問題でありますから、全く公明正大な立場で、しかもきわめて権威のある体制で、この問題に取り組むということが、総合調整機関としての科学技術庁としても非常に重大な問題だと思うのです。これは学術会議の会長の朝永振一郎さんが出しておりますけれども、この「計画は、日本の科学の将来の発展に重大な影響を与えるものであり、再検討を要する面もあるので、さらに慎重に具体的検討を進められたい。」という警鐘を発しておるわけですね。そういう意味で、ほんとうに筑波研究学園都市というものを、最初私が申しましたように、高水準の研究機関を設置するという観点でいくならば、これは当然内外の科学者を代表する日本学術会議の見解というものをはっきりと政府として聞くという態度が必要ではないか。そういう形で政府機関としてもかなり責任のある体制でこの問題に臨んでいくということを私は特に強調しておきたいのです。その点について、大臣のお考えを承りたいと同時に、今後の進め方につきましては、私は、しばしば申しましたように研究者、機関、職員、そういう方々の意見を十分にくみ尽くすという民主的な方向をとられたいと思うのでありますが、これについて最後に御意見を承っておきます。
#121
○西田国務大臣 四十三年の十一月に日本学術会議から研究学園都市計画に関しまして総理大臣に対する申し入れをちょうだいしております。具体的な内容が盛られております。したがいまして、この内容につきましては、十分これを尊重いたしましてこれを推進していくということはかねがねお答え申し上げているとおりでございます。
 そこで前国会におきまして、いわゆる研究学園都市建設法という法律も制定をされまして、着々とこの推進をはかっておるわけでございまして、政府部内におきましても推進本部というものを持っておりまして、ここを中心に責任を持って推進をいたしておるわけでございますから、主体が不明確ということは当たっておらないのではないかというふうに思うのでございます。また私ども科学技術庁の立場から、いわゆる研究所を中心とした研究学園都市をつくるという立場からのわれわれの責任につきましても先ほど申し上げたとおりでございまして、いろいろな研究者の不安等は極力除去いたしまして、そしてあとう限りすみやかに計画が実行に移されますように努力をしたいと考えております。
 私も現場をつぶさに見まして、かなり整備も進んでまいっておるように思います。また具体的な生活環境の問題につきましても逐次整備がはかられておるものと考えております。したがいまして、一応該当すると予定されております機関におきましてもいろいろな御不安があったと思いますが、逐次これが具体化するにつれまして安心して移転が可能になってくるものであろうというふうに思っているわけでございます。
 それからまた研究者の生活の問題、生活環境の問題あるいはまた移転等に伴いましていま東京におります場合と地方に出ました場合との手当の格差なんかの問題につきましても、ことしは人事院に強く申し入れをいたしまして、ことしは抜本的な解決にならなかったかと存じますが、移転後二年間というのを一年間延ばして、一応当面の措置をいたしたわけでございます。明年からは、人事院もわれわれにある程度の確約的なことを申しておりますから、調整手当等の分配もおそらくはわれわれの期待するとおり解決するであろう、かように実は思っておるわけでございます。各般の施策を進めまして、そして円滑に進むようにいたしたい、かように存じておりますので、この段階であらためて学術会議に諮問ということをあえてする必要もないのではないかと実は考えておりまして、積極的にひとつ取り組んでまいりたい。学術会議の御意見等も十分に尊重して、そしてりっぱな学園都市の建設を進めてまいりたい、かように考えております。
#122
○山原委員 終わります。
#123
○渡部委員長 それでは次回は、明十七日木曜日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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