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1970/12/17 第64回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第064回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
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1970/12/17 第64回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第064回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号

#1
第064回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和四十五年十二月十七日(木曜日)
    午前十時二十分開議
 出席委員
   委員長 渡部 一郎君
   理事 木野 晴夫君 理事 菅波  茂君
   理事 田川 誠一君 理事 井上 普方君
   理事 近江巳記夫君
      稲村 利幸君    谷川 和穗君
      森  喜朗君    原   茂君
      三木 喜夫君    吉田 之久君
      山原健二郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      西田 信一君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 中曽根康弘君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     矢島 嗣郎君
        科学技術庁研究
        調整局長    石川 晃夫君
        科学技術庁原子
        力局長     梅澤 邦臣君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       武藤俊之助君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団副
        理事長)    今井 美材君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 閉会中審査に関する件
 科学技術振興対策に関する件(ウラン濃縮技術
 及び海洋開発に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○渡部委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 まず参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。
 ウラン濃縮技術に関する問題調査のため、本日動力炉・核燃料開発事業団副理事長今井美材君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#4
○渡部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三木喜夫君。
#5
○三木(喜)委員 きょう中曽根防衛庁長官にもとの科学技術対策特別委員会においでいただいたことはよかったと思うのです。そこで私は、社会、公明、民社三党を代表いたしましてあなたに若干の質問をしたいと思う。
 第一は、原子力行政につきまして非常に卓見を持っておられるし、それからこの前の米国においての濃縮ウラン技術供与あるいは合弁事業要請に対しまして各方面で反響を呼んでおるように思う。したがって、それらに答えるという意味においても、この科学技術対策特別委員会であなたのお考えを簡単に聞くほうがいいんじゃないかと私は思うわけです。まずあなたのお考えを聞いておきたいと思う。
#6
○中曽根国務大臣 原子力行政につきましては、科学技術庁長官がおいででございますから、科学技術庁長官にお尋ねをお願いいたしたいと思います。
 私は、過般米国で発言いたしました濃縮ウランの問題について、当時の状況及び考えを申し上げてみたいと思います。この発言はもとより防衛庁長官としての発言ではございません。一政治家として日本の燃料事情その他を考えまして発言したものでございます。私は一九七〇年代の日本をいろいろな面から考えておりますが、教育の問題であるとか、公害の問題であるとか、あるいは科学技術の面であるとか、そういうあらゆる面から政治家として日本の将来を心配している一人でございますが、そういう教育あるいは公害、外交等に発言すると同じような考え方で政治家としての発言をしたわけであります。それでそれがアメリカその他に何らかの影響を与えれば国のためになるという気持ちでしたわけであります。
 日本の燃料問題を考えてみますと、この経済成長の趨勢等を見ておりますと、今後五年、十年の将来のうちに非常に重要なものが登場してくると思います。つまり燃料資源の深刻な不足ということであります。政府並びに民間側のいろいろな推定によりましても、十年くらいの間に日本は六千万キロワットの原子力発電と約七億数千万トンの油を必要とするに至るであろう。七億数千万トンの油といいますと、これはペルシャ湾から日本列島にわたってほとんど船が相連ならなければならぬという趨勢であり、公害事情等を考えてみると、日本がそれだけのものにたえ得るかどうか、はなはだ憂うべきものであります。もし油がそういうことにならないとすると、原子力にもっと荷重がかかってくるわけでありまして、六千万キロワット以上になる見込みであります。六千万キロワットとかりにいたしましても、それだけのウラニウムを日本がどこから入手するかということを考えてみますと、現在は濃縮ウランはアメリカにたよっておるのでありますが、そのアメリカ自体が、戦争中三つの工場をつくりましてしかもそれがかなり陳腐化もしてきておる。そしてアメリカが世界に約束した濃縮ウラン供給の約束をいつまで履行できるかという点を考えてみますと、この点も現在のアメリカの国家予算の動向をもってすると楽観を許さない情勢にあります。六千万キロワットの発電に必要な濃縮ウランというものを考えますと、現在のアメリカの施設の三分の一のアウトプットを日本に回してもらわなければできないという数字のようであります。それはアメリカが相当量増設しなければとてもできるものではありません。アメリカ側におきましてもこの増設の予算をある程度国会で政府側で検討したよしでありますが、アポロ計画まで切って、また国防予算まで相当切っているという今日、ほかの国に供給するためにアメリカの税金を使って濃縮ウラン施設を増設するというところまでとてもアメリカの国会はいっていない。そういう情勢からすると、日本は日本として何とか濃縮ウランを確実に手に入れる方法をいまから講じておかないと、そのときになって重大な事態に立ち至るわけであります。そういう諸般の問題を考えてみますと、アメリカの内部におきましてもそのことはすでに心配されておりまして、原子力委員会の内部においてすでにいろいろな検討がなされ、国会の原子力合同委員会におきましても、アメリカの生産能力等について問題があり、一面においてはこれを民間に引き渡せということと、それからある程度外国とジョイントでやるという二つのことが論議されております。そしてわれわれが得た情報では、ユーラトムとはそういうような話し合いをひそかにやっている気配がありました。しかし日本に対しては音さたがない情勢であったわけです。そういう情勢から見ますと、この際アメリカ側としましては、一つは日本の核防条約の調印、批准、最近は批准の問題になりますが、この点についても一面非常な関心を持つと同時に、ウラニウムの問題についても非常な関心を持っておったわけでありますので、ヨーロッパとある程度プライベートに話が進んでいるならば日本を忘れちゃいかぬぞと発言をしておく必要もありますし、またそれによって日本内外にこういう問題があるということを認識してもらうということも非常に大きな政治のインパクトになると思ったわけです。
 そこでアメリカへ行きましたときに燃料問題に言及いたしまして、日本はウラニウムを軍事利用には用いない。また日本は、私は前から持論として言っていることでありますが、アメリカの核抑止力が機能している限り核武装はしない、こういうことをはっきり宣言いたしまして、われわれが最も関心があるのは原子力の平和利用のことである、この平和利用を推進していくという意味において日本の将来の燃料不足等を考えてみ、アメリカの現在の国家予算や国情を考えてみると、もうそろそろ技術を日本に対してあるいは関係各国に対して公開して、協力によってこの問題を解決するという方向に向く時期ではないか。それはおそらくネゴシエーションで三年や五年はかかることであります。またそれくらいの年月をかけなければいいものはできないと思うのですが、そういう意味の話し合いあるいは打診のスタートをもう切るべき段階に来た。そういう意味で、スタートを切るという意味で私はそれを刺激しておく必要があると思ってああいう発言をしたわけです。ジョイントベンチャーでやったらどうか、こういう意味は、いろいろな点からその影響も考えられます。一つはジョイントベンチャーを早くやってしまうと日本の自主技術開発の芽がつまれやしないかということが一つございます。それからもう一つは、そういうことをやったために兵器に使うのではないかという疑惑を起こしはしないか、そういう問題もございます。そういう点もいろいろ考えてみたところでありますが、ともかくここで刺激を与えて国内外がこの問題に重大な関心を持って、この問題は放置できない問題であるというインパクトを与えるということに非常に意味がある。またアメリカ側に対しても、日本がその点に重大な関心を持ってフォローしている、決して日本をないがしろにしてはいかぬ、そういう意味の影響力もあると思ったわけです。私はわりあいに自主技術開発論者でございまして、そのことはいままでの発言等をお考えいただければわかるわけでありますが、日本の趨勢を考えてみますと、どうしても将来は日本は原子力発電を外国に輸出するというところまでいくことになると思うのです。西ドイツはすでにラテンアメリカ等に輸出しておりますが、これは一面においてアメリカの加圧水型等の原子炉を開発してそれを改良し、その改良した部分が非常に大きなライセンスになってきておる。そういうものをアメリカと肩を並べて交渉の材料にして、そしてかなりドイツは日本よりも進んだアメリカとの技術提携の関係に入っております。そういう面から外国に輸出するというところまでいっておるわけですが、日本も工業国家として将来原子力発電を外国に輸出するということになると、燃料が付随していなければ買ってくれる国はないわけです。燃料供給の保証のない原子力発電施設を買うばかなんかいやしません。だから日本が権利として固有にとれる濃縮ウランを確保しておく。それを自分の炉のタイプに合ったように成型加工する余裕を十分残しておくということは日本の将来の工業発展のためにも非常に重要な一石になるわけです。それで権利として日本が固有に確保し得る濃縮ウランをできるだけ早く獲得する。その方法はいまやっておる二つの方法を自主開発して進めるかあるいはジョイントベンチャーという形で進めていくかあるいはその混合形式を使うかあるいはその両方のファクターをおのおのネゴシエーションの材料としてうまく使ってコンビネーションをつくっていくか、そういう方法だろうと思うのです。
 ヨーロッパの場合を見ますと、濃縮ウランをフランスやイギリスはつくっておりますが、まだ非常に金が高い。そこでイギリス、オランダ、ドイツでありましたか、遠心分離法の共同施設をつくろうとしております。しかしこれらは一面によると、私の想像ではやはりアメリカに対する牽制球という意味がかなりあると思います。それで最悪の場合には高いけれども、採算はまだ合わぬけれども、ヨーロッパ固有の濃縮ウランでヨーロッパは事を済ましてアメリカの世話にならぬぞというおどしのようにも見られます。そうしておくことはアメリカを非常にあわてさせるということにもなります。いろいろそういうファクターが入りながらああいう施設が進められつつあると思うのですが、日本もある程度原子力という問題は単に技術の問題だけではなくして政治の問題でありますから、いろいろかみ合わせをもちながら日本に最善の方法を模索していくということが賢明であると思うのです。しかしその基礎は何といったって自主技術を持ってある程度水準の高い技術力を持っていなければジョイントベンチャーもうまくいかぬということです。近代においては日本くらいの工業国家になってきますと、それに比べられる技術を持っていないとライセンス交換もできないという体制にみななりつつあるからであります。これを機に日本のいまやっておる濃縮ウラン開発に関して官民がもっと積極的に熱心になり、予算もふやし、技術者も真剣になって、日本の技術水準を高めつつ、それと同時に外国とのそういう交渉ということも進めつつ、それをうまく運用していくのが政治の力であると思いますから、そういう方向に行っていただいたらいい、そう思っていまのようなことを言った次第でございます。
#7
○三木(喜)委員 時間が三十分ですから・説明で十分とっていただいたから、あと一問一答式でお答え願いたいと思います。
 西田長官、いまのお話は科学技術庁長官としても大体了解ですか。
#8
○西田国務大臣 中曽根長官が御出発前に……
#9
○三木(喜)委員 いや、いまの背景、中曽根さんが言われた原子力に対する御高見というものに対してあなたは大体賛成ですか。
#10
○西田国務大臣 大体同様の見解を持っております。
#11
○三木(喜)委員 そういういまの中曽根さんの御高見に対して了解されるのなら、なぜ防衛庁長官としてこれを言われたか、これは非常にふしぎなんです。各国もそれを非常に疑問に思っておるのですが、これはどうですか、中曽根さん。
#12
○中曽根国務大臣 私はアメリカ側の政府に発言するときはいつも断わりまして、レアードにも、キッシンジャーにもロジャーズ氏にも、これは防衛庁長官としての発言ではない、政治家中曽根の個人の発言であると考えてもらいたい、もと科学技術庁長官をやった政治家としての発言である、こういう注釈をつけてやりました。ただナショナル・プレスクラブにおいては防衛庁長官としての一般的な話ですから、特に断わりませんが、そういう趣旨でやったわけであります。
#13
○三木(喜)委員 それも大体新聞紙上で見ました。しかしこれはどうですか。あなたが国を出るときに、科学技術庁長官にもあるいは次官にもあるいは外務大臣にもさらに文書ではあるけれども総理にも了解を求めていった、こういうように参議院の決算委員会でしたかお答えになっておりますが、総理にどんな了解を求めていかれたか。
#14
○中曽根国務大臣 私はあの演説をやる前には原稿をみんなお渡しして読んでもらったわけであります。外務省にもそうです。外務省は原稿については二、三回にわたって直してもらったりなんかしていっております。
#15
○三木(喜)委員 そうすると、外務省はあの演説はいいということだ。総理はどういう反応でしたか。
#16
○中曽根国務大臣 外務省は表現について、一部ほかの場所では訂正してきたところはありますが、あの点については一言も何にも言わないで、そのままパスしておりました。総理は原稿をお渡ししたら、いや君にまかせるよ――大体非常に信頼していただいたようであります。
#17
○三木(喜)委員 そこで、これはよく沖繩問題におきまして駐米大使がその先駆の役割りをしたのと同じように、あなたのこの発言はいまの内閣の発言ともとれる、そういう了解を求めていったのなら。そういうようにわれわれは思って、この問題はぜひここでやっておかぬといけない、こう思ったのですが、どこまでも中曽根さん個人、政治家個人ですか。
#18
○中曽根国務大臣 防衛問題に関するところは防衛庁長官の発言です。それ以外は個人として――ともかく向こうの政府に話をするときにはみんな個人という注釈づきでやってきているわけですから、個人であります。
#19
○三木(喜)委員 国の原子力行政の大きな課題であるこういう問題を、あなたが個人として行かれて、しかも米国の要路の人に全部お会いになっている。所管範囲以外ですね。こういうことは大臣として許される問題でしょうか。この点私は非常に疑問に思います。あなたはなさったのですから、許されると思ってなさっておりますからそれでいいのですが……。
 そうしますと、次に話を移したいのですが、こういう重要な問題は国際世論というものをよく考えに入れてやらなければならないのに、あなたはせっかく日本の国のためにあるいは原子力の長期の見通しのためにと思ってなさって、いま米国もフォローさすために刺激せんならぬ、国内の財界、産業界も刺激せんならぬ、あるいは海外の各国においても日本の立場を理解させんならぬという非常に何といいますかよく考えられた刺激のしかたというものが逆になったのではありませんか。この点、あなたお考えになって、それも十分配慮の上でこういう発言をなさったのか。私は非常にそれを心配するわけなのです。その点、どうですか。
#20
○中曽根国務大臣 それは軍国主義とか核武装のそれを誘発するという御意味のように受け取れますが、私は逆だと思っておるのです。つまりジョイントベンチャーで外国と提携してやろうということは、外国は中身まで知るということであって、これこそ安心してやれるという態度です。日本が独自にどこかわからないところでかってにやっているぐらいこわいことはないのです。だからそのときには多少の波紋はあるでしょうけれども、少し時間をかければ、なるほどこれは深い思慮でやった、そういうふうに向こうは、わかる人はわかってくれると思うのです。現に私がそういう話をしましたら、シーボーグ原子力委員長が私に会いたいといってきまして、日程がどうしても、前の日にいってきましたから出発のときに差しかかって会えませんでした。その後、手紙をよこしまして、私の考えには賛成である、アメリカとしても前向きに重大な考慮をもってその問題は取り組む、そういう返事がございました。それからアメリカの議員からも、二、三来たり手紙があったりいたしまして、大体シリアスコンシダレーションということばを使っておりますが、そういう方向に動いてきておるようです。私はこれは結果的にはよかったのだ、そういうように思います。
#21
○三木(喜)委員 しかし米国の専門家は意図とうらはらに日本の核武装を招くという、一番信用してもらわなければならない米国においてさえこういう議論が巻き起こっておる。かえってこそこそと陰でやることよりも表向いてやるほうがよっぽど陽性で、しかも各国から疑われなくていいというあなたの発言は明らかに各国に疑惑を招いた。これなしに、こういう疑惑を解く、あるいはそういう疑惑を持たさないという配慮なしにこういう発言は私はどうかと思う。しかもあなたがまず最初にやられたのは、国防長官との話にこれが出た。日本の防衛長官と米国の国防長官との間に話をされたというところに非常に疑問がわいてくるわけなんです。その後、各国の反響を見てみますと、共産圏諸国はもとより自由諸国においても非常に疑惑を持っている。これは内閣委員会において大出君が言われたことですが、そうしてあなたもいまおっしゃったようなことと同じようなことを言っておられるけれども、その点は逆の効果になったのではないですか。非常によかった、こうおっしゃっていますけれども、われわれは非常に悪かったという感じです。あなたが言われたということと、それからそういう海外に対する影響を考えなかったというところに私は大きな問題点があると思う。
 もう時間がありませんが、国内のやはり世論の中核をなしておる各新聞社の意向も、こういう問題についてはいろいろ準備をしなければならぬ、物的準備あるいは精神的な準備、国内世論の統制あるいはまた閣内におけるところの意見の統制、一致、こういうものをやっておかずしてあなたが発言されたところが問題だ、こういう意見をいっております。そういう点は、いまだにあなたはよかったというが、海外にいろいろな反響を呼んでおる。ひどい言い方をするなら、国によっては先取りすることが政治家のあれだというように思い上がっておるというようなことまでいっておる国があります。その点、ひとつお考えを聞かしてもらいたい。
#22
○中曽根国務大臣 私は政治家としてそういう発言をしたのでありまして、やはり日本国民のためになるということで発言しています。政治家は官僚でありませんから、ある程度余裕をもって行動の幅も持ってやらしていただいたほうが政治家らしい行動がとれると思います。これは私のそういう何か政治的な信条みたいなものがありまして、多少そういう点はお許しいただいたらありがたいと思うわけです。
#23
○三木(喜)委員 十月二十八日の内閣委員会でも同じようなことを言っておられるのですが、「間違った誤解に基づくそういうイメージを払拭するくらい国のために大事なことはない」、「国のために大事なことはない」という、そのことのために逆の効果が出ておるということを私たちは言うのです。あなたの考えと逆になっておるということ。
 それから、次に自主開発という問題は、これは原子力基本法にも明記してあることです、自主ということは。そうすると、先がたもちょっとあなたその点に触れておられたのですが、遠心分離法とかあるいはまたガス拡散法とか、こういうような二つの方法は、日本ではいま懸命にその点開発に努力しておる。四十六年度でも両方とも約十億くらいの金をかけようとしておるわけです。もちろんこれでは少ないです。しかしながら、こういう自主技術を開発しようとする努力に対しましてはどうなんですか、これは。あなたの発言というものは。スローダウンしたり意気阻喪するというようなことはないのですか。
#24
○中曽根国務大臣 日本の原子力科学者、技術者はこの程度のことで意気阻喪するような人たちじゃないです。やはり国産技術の自主開発という点については、一生懸命精進してやっておられるので、私らはそういうことはもっと推進していきたいと思っておるわけです。
 濃縮ウランの問題については、私はこういう職務になる前から非常に関心を持って党内でも一番があがあ騒ぎ立ててきた一人で、そのテンポを早めようという意味もあってやっておるわけです。いまのテンポではまだ少しおそ過ぎるような気がいたしております。
#25
○三木(喜)委員 これはあなたの思想、いままでのやり方とは逆なんですよ。たとえば宇宙開発についても、米国の技術を入れようという考え方はあったのに、東大をずっとあなたは応援してきて今日の混乱を呼んでおるわけです。ところがこのウラン濃縮については、そういうことをやるほうがいいんだ。いままではそれをストップしたら東大は意気阻喪するんだ、こういうようにあなたおっしゃっておった。今日ではそんなことで意気阻喪するような日本の科学者はいない。ひとりよがりのあっちこっちの論理を押しつけ回って言われているような気がしてしかたがない。もうこれは意気阻喪しますよ。ストップすることになって、外国から技術を導入することになりますと、これはやはりやる気を失うてしまいますよ。私はそう思う。そういうようなひとりよがりな考え方で今度のことがなされたと思うのなら、まだ恕すべきところがあろうと思うのですけれども、これはあとで科学技術庁長官にはお伺いしておきたいと思うのです。こういうことなら内閣あるいは国民的なナショナルコンセンサスをもってやっていくことがいいんじゃないですか。何か独走されたような感じがする。そういうことが私は非常に疑惑を各国に呼んでおるから遺憾に思うわけです。
 もうこれであなたに対する質問は終わりたいと思いますが、最後にお考えだけ聞いておきたいと思います。
#26
○中曽根国務大臣 日本の将来を考えてみますと、科学技術の政策を着実に推進していくということは非常に大事なように思います。ややもすると経済成長ばかりが論ぜられておりますが、その基礎になる科学技術の問題がわりあいにそれに比例して論ぜられていないのは非常に残念でありまして、これは政治家もまた国民の皆さんも、さらに重大な関心をもってあらゆる面について科学技術を振興するように積極的に努力してまいりたいと思っております。
#27
○三木(喜)委員 中曽根さんけっこうでございます。どうもありがとうございました。
 長官にお伺いしたいと思います。
 いま最後に中曽根さんが言われたのは、科学技術というのは着実に進めなければいかぬ。こういうことです。しかし私はやられたことはこれは着実なやり方ではなかったような気がして非常に気になるんです。それで、ああいうやり方につきまして、内閣としてあるいは科学技術庁長官としてあれは着実な方法だとお思いになりますか。あるいはまたそういう合意をあなたが与えておられたんなら与えておられても、私は言う人が違う。中曽根さん自体は着実な方法で科学技術は進めていかなければならぬ、こうおっしゃっておりますけれども、長官はどうですか。
#28
○西田国務大臣 私も科学技術行政に携わる者といたしまして、科学行政の着実な推進ということが、これがわが国にとりましてきわめて重要な事柄であるというふうに認識をいたしております。私は、余談でございますけれども、先般偶然に終戦当時の八月十五日に、当時の鈴木貫太郎首相が国民に告げる悲壮な放送がございました。そのおしまいのところに従来の重大な欠陥であった科学技術振興をはかる以外に日本を建て直す道はないということを国民に放送されておるところを実は読みまして、非常な感激を覚えたのでございますが、そういう気持ちを持っております。そこで、先般中曽根さんがアメリカに行かれます前に、これは打ち合わせというほどのことではない――この前申し上げましたが、自分がアメリカに行ったら、一政治家としてアメリカのウラン濃縮技術の提供のことについて打診をしてみたいと思う、こういうお話がございました。私はその際、それは困りますとは申さなかったのでございますが、要するにだれにどうアプローチするというようなことをその場で伺ったわけではございませんので、その可能性を探るということは私としては差しつかえなかろうというふうに思いましたから、そのことは困るということは申さなかったのでございますが、なかなかむずかしいことのように思うということの感想は述べたのでございます。そう簡単なものではないという意味で、そういうふうに私も従来も原子力委員会のメンバーなどもそういうことについてアメリカと触れ合ったこともあるように聞いておりますけれども、なかなか従来の経過は、必ずしも簡単にそういうことが期待できるというところまでは至っておらないということを伺っておりましたし、なかなかむずかしいことのように思うというふうにはお話をいたしましたが、まあ着実にこの科学技術を振興するということに対しましては、別に中曽根さんの発言がそのことに相反することであるというふうにも実は考えません。
#29
○三木(喜)委員 その効果を私は聞いておるんじゃないんです。効果はあなたのおっしゃるようにむずかしい場合もあるでしょうし、佐藤内閣とそれからニクソン政権との間に何らかのかっこうでいままで話ができておればいま中曽根さんの言われたぐらいなことの結果は出てくるだろうと思うのです。ただしその手続です。あの人が行って言うということが、これが着実な科学の発展に役立つんだろうか、それがいいんだろうかということを聞いておるのです。これが着実なやり方ですかということを聞いておる。そこだけ答えてください。もうよけいなことはいいです。
#30
○西田国務大臣 われわれも濃縮ウラン技術の開発につきましては自主的な開発を積極的にやりたい、こういう姿勢で取り組んでおることは御承知のとおりでございます。しかしながらヨーロッパなんかの動きを見てみましても、このウラン濃縮等につきましては国際的な協力関係において開発しようというヨーロッパの動き等もございますことは御承知のとおりでございまして、自主技術開発ということに積極的に取り組む姿勢には変わりはございませんが、その世界の動き方を打診するといいますか、そういうことにつきましてはわれわれも注目を払ってまいりたいと考えておるわけでございまして、着実な方向と相反するというふうには考えなくてもいいんじゃないかというふうに思います。
#31
○三木(喜)委員 そうすると、私たちの考え方は、あなたは着実な方向と相反するとは思わない。これは長官よく考えていただきたいのですが、こんな反響を呼んだ、もっと反響を読んで見ましょうか、たくさん各国の反響がありますから。御存じでしょう。韓国、朝鮮、フィリピン、東南アジアの諸国、さらにヨーロッパの諸国、アメリカにおいても。共産圏はもとよりですよ。特に十月二十五日、中国の人民日報の発表したことなんかは、いま中国問題がやかましくいわれているときにたいへんな刺激になっておるわけなんですよ。このことはあげつらいません。全体として海外に非常な反響を呼んだ。このことは中曽根さんがさつき言われた刺激しておけばあと呼び水に非常にいいと言うてやられたのですけれども、そのことがこんな結果を呼んでしまった。もう少し詳しく言えばあなたもおわかりいただけるのかと思いますし、よく知っておってとぼけていわれるのか、その辺はわかりませんけれども、こういうやり方が結果的にはたいへんに日本は疑われる。そのことはあなたがやったらよかったんです、これが正しいと思われたら。防衛庁長官が行って、幾ら個人だ個人だと言っても最初に行ったのが国防長官と話をするんですからね。これが健全な発展、先ほど言われた着実な科学技術の発展に役立った、こう思われますかというんです、そのやり方は。
#32
○西田国務大臣 わが国の自主開発の上に非常に役立ったというふうには考えませんけれども、実は先般もアメリカの国会の原子力合同委員会のメンバーの一人が見えまして、私どもといろいろ懇談いたしたことがございます。その際にも若干こういうことにも触れたことがございますが、私はその際にもわが国といたしましては現在二つの方法について積極的に取り組んでおる、この開発はさらに強く進めてまいりたいと思っておるということも話をいたしました。やはりアメリカあたりでも日本がどういうふうに開発をするかということに対して一つの注目を払っておるということが、このやりとりの間にも感じられましたが、私は中曽根長官が帰られましてから話を伺いました後におきましても、もしかりにそういうことが何年か後に可能であると仮定いたしましても、そういうような場合に日本が濃縮技術を持っているか持っていないかということは非常にそういう場合にも重大な影響があると思いますから、そういう意味から申しましても、かえってもっとより積極的に日本の技術の自主開発を推進していきたいというようなことを閣議なんかでも述べましたし、大蔵大臣にも要望しておるわけでございまして、予算等におきましても、ウラン濃縮の技術開発につきましては、金の額は必ずしも他のものに比較して少ないといたしましても、ひとつこれはぜひ重点的に取り上げてまいりたいというような考え方でおります。
#33
○三木(喜)委員 どうも答えにならぬのです。かみ合わぬのです、平行線になっておるのです。自主技術開発ということも非常に大事です。インテルサットと一緒です。日本がインテルサットに参加しようとすれば、発言権を持とうとすれば、宇宙開発について衛星をつくる力を持っていなかったらいけない。これは原則ですからそれはいいですよ。ただ今度の場合は技術導入ですよ。そして合弁会社ですよ。こういうことをやることを中曽根さんが言ったのです。あなたが言われたのと違うのです。このことも問題があるが、その結果たいへん反響を呼んで、国際世論的にはいま袋だたきですよ。だめだ、ああいうことを言うのは、防衛庁長官は何だ、思い上がりもはなはだしい、こう出ておるのですね。アメリカにおいても、いま言うように、専門家の間には疑惑が出てきた。あれは日本はおかしいぞ。一番協力して一番理解してもらわなければならぬアメリカでさえそういう意見が出てきて、新聞に載っておりますね。だからそのやり方は妥当であったのかと言うたら、あなたは妥当を欠いたとは思わない、こうおっしゃる。しかしながら、結果はこういう結果が出ておるじゃないですかと言ったら、自主技術、自主技術ばかりおっしゃっておる。そういう答えをしてもらったら困りますよ。
#34
○西田国務大臣 中曽根さんの発言をめぐっていろいろな反響があったといいますか反応があった。これは御指摘のとおりだと思います。いま御指摘になっておるような立場の反響も若干あったように承知しております。それからまたシーボーグ委員長からの書簡が来たというお話がございまじたが、それの写しを私はちょうだいいたしましたけれども、やや前向きに検討しろというような立場における反響も若干あったように思います。したがいまして、悪い反響だけが出ておるということだけでもないように思われるのであります。
#35
○三木(喜)委員 そうじゃないのだ。あなたはこのことを是認されるのかどうかということなんです、こういうやり方を。この反響を批判しておるわけじゃないのです。五反響が出ておっても十反響が出ておっても、その反響の度合いを問題にしておるのじゃないのですよ。私は非常な反響だと思う、あなたは若干と、こう思われておられる。しかし、こんなことを言ってきたのは、マイナスということに間違いないと思うのですよ。それを聞いておるのです。認められるかどうかだけです。
#36
○西田国務大臣 プラスとマイナスがあったと思いますが、防衛庁長官という立場でおっしゃったことが最もいい姿であったかどうかということにつきましては、私は必ずしも最善であったかどうかということはわからないと思いますが、しかし個人的に打診してみようということであって、いつかも交渉を打ち切ったらどうかということを、この委員会でどなたかのお話もございましたけれども、私は交渉というところまで入っているのではなくして、一つの打診であるというふうに考えておりますので、したがいまして、そういうマイナスの面も生じたことは、私としては、防衛庁長官であったということがそういう誤解を生じた面も若干あると思います。したがいまして、最善の方法とは考えません。
#37
○三木(喜)委員 あなたの意向だ。是認するのか是認しないのかということだけなんです。
#38
○西田国務大臣 ちょっと意味が私にはわからないのですが、是認というのは何を是認するかということを御質問になっているのでしょうか。
#39
○三木(喜)委員 こういう結果を呼んだでしょう。これは私らも国会で何回となしにやっていますよ。決算委員会でもやっていますね。内閣委員会でもやっていますね。参議院の科学技術振興対策特別委員会でもやりましたね。一番ホームグラウンドのここで初めてですよ。しかしながらただしておかなければならぬことは、科学技術庁長官としてこれはやむを得ない、こうお思いになるか、あるいはまた困ったことをしてくれたとお思いになるかだけで、そのあなたの考えを率直に聞かしてくれということです。
#40
○西田国務大臣 お帰りになってから報告がございました際には、こういうような打診をした、しかしこれは自分の政治家個人としてやったことであって、本来の任務ではない。したがってあとどういう反応があるか、あとは本来の任務であるところの科学技術庁、外務省がこのことをひとつ引き取ってといいますか受けてやってほしいということがございましたし、したがいまして、このことが非常に迷惑であったというふうにも言い切れないと思います。しかし必ずしもそういう誤解を生んだということが、結果的に考えますと中曽根さん個人としてなすったことでありますけれども、妥当であったかということには若干の議論の余地はあると思います。
#41
○三木(喜)委員 個人のやられたことを科学技術庁長官がいま裏づけされるかどうかということを私は聞いておるのです。だからあなたのいまの発言は裏づけと見ていいですね。よかろう、あの行動でも。個人の発言で打診するぐらい何だ。こういうお考えかどうかということだけ聞いているのです。
#42
○井上委員 関連して。
 大臣、いまのお話で私どもは非常にふしぎに思うのであります。一つは一政治家の発言、こういう前提に立たれておるようでありますが、出発に先立たれて核燃料関係についてあなたにも一応相談をされた。しかもまたプレスクラブにおいて演説する原稿すら外務省にお見せになっておる。そして手直しをさせておる。さらにはまた佐藤総理に対してこういうことをしゃべりたいがということで原稿まで見せておるとするならば、これは一政治家ではなくて佐藤内閣の代表としての演説にならないですか、どうです。そうであるならば、中曽根発言というものは佐藤内閣の公式発言と私どもは考えてしかるべきだと思うがどうなのです。
#43
○西田国務大臣 私は外務省並びに佐藤総理と相談といいますか了解を得て行かれたということはいま初めてここで伺ったのでございます。したがいまして、私は個人的な立場で発言したことだと思っております。
#44
○井上委員 それであるならば、あなた自体についてもそれを知らない、しかも総理の了解も得るし、外務省との連絡をとっておっしゃった、ということになると、これは私どもは一政治家の発言とは受け取れない。昔、西尾末廣さんが官房長官時代に、官房長官と政治家西尾末廣と使い分けをやりましたが、こういうように使い分けができないと私は思う。しかも現役の行政府の長官がアメリカで発言をされる。それには所定の手続をとっておる。あなたにも御相談がある。いま初めてあなたはお聞きになったか知らぬが、外務省にも役人に原稿を見せておる、総理にも見せておる。これであれば中曽根発言というものは明らかに佐藤内閣の公式発表じゃないですか。そう思いませんか。それをあなた方知らなかったといえば、あなた方自身の職務怠慢であるか、あるいはまたつんぼさじきに置かれたか、このいずれかと思われますが、どうでございますか。
#45
○西田国務大臣 外務省並びに総理にお示しになった原稿というものが、どういうものであるかは私はわかりませんけれども、おそらくは御所管の事項を中心としたものであったんじゃないかと思います。そして濃縮ウランの問題等について、どこでどういう原稿の中にどう入っておったかというようなことは、おそらく新聞記者会見のときに何かおっしゃったことの中に、きわめて短いことばか何かあったんじゃないかと思いますけれども、あとはそういう原稿に基づいて発言されたのかどうか、私は承知しておりません。
#46
○近江委員 先ほどの三木さん、井上さんの発言に関連してですが、そこで原子力委員会は、長官からはその話は聞いておられなかったのですか。
#47
○武藤説明員 中曽根大臣が渡米なさる直前だったと思いますが、局長からこんなようなことをお話しなさるそうですという連絡だけ受けまして、委員会としては討議しておりません。
#48
○近江委員 内容は聞かれたのですか。
#49
○武藤説明員 いまの程度の内容をお伺いいたしました。
#50
○近江委員 それは口頭でですか。
#51
○武藤説明員 口頭でございます。
#52
○近江委員 だれから聞いたのですか。
#53
○武藤説明員 局長から伺いました。
#54
○近江委員 それではその間のいきさつを局長……。
#55
○梅澤政府委員 大臣から、中曽根長官から個人として濃縮ウランのことについてある程度向こうで言うかもしれないという話があったぞというお話を聞きました。したがいまして、そういう話がありましたということを原子力委員に口頭で役員会のときにちょっと申し上げただけでございます。
#56
○近江委員 内容が全部伝わっておるということはわからないでしょうね。いまのは口頭で、ほんとうの概要だけでしょう。もう一ぺん局長と原子力委員とはっきりしてください。
#57
○梅澤政府委員 内容はございません。そういう内容は、どういう話をするか、ただ個人的にそういうことを言うかもしれないというお話をやりましたので、その点を、こういうことがあるかもしれないということを口頭で説明しただけでございます。
#58
○近江委員 それでは、原子力委員の方どうですか。
#59
○武藤説明員 いま局長から申し上げたとおりでございます。
#60
○近江委員 それではまるきりつんぼさじきになっておるわけですよ。一番管理をしておる原子力委員会また科学技術庁長官も、そういう何ら具体的な相談も受けておらない。それを、要するにアメリカでこうした防衛庁長官、まあ一政治家ということでありますけれども、しかし非常に大きなこういう影響を出しておる。これについて、つんぼさじきに置かれておったということについて長官はどう思われますか。また原子力委員会にお聞きしたい。
#61
○西田国務大臣 私は、アメリカに行った際に濃縮技術を提供することの可能性について、ひとつ探ってみたい、こういうお話がございましたので、そこで先ほど申しましたように、それはなかなか簡単なことではないということを私申しまして、そのことを局長に、こういう話があったがちょっと私も若干気にかかったものですから、――局長に話をして、そうしておそらくそういういろんな行き過ぎがあるということは――個人的にということでございますし、探ってみるというお話でございましたから、いわゆるそういうような重大な交渉をなさるというふうにはその当時受け取れませんでした。したがいまして、一応局長の耳に入れておいたわけでございます。
#62
○井上委員 しかし、いまのお話でございますと、探ってみたいという出発前にあなたにお話があった、しかしアメリカでは中曽根提案として提言なされているじゃないですか。ここに大きい食い違いがある。しかもその提言は、少なくとも総理の了解を得、外務省に文書を見せ、そしてやられている。とするならば、当然担当大臣であり、原子力委員長であるあなたは、まさにつんぼさじきに置かれたと考えられてもしようがないじゃないですか。
#63
○西田国務大臣 総理、外務大臣とどの程度のお話をなさったかということは、私まだ承知しておらないのです。したがって、そこまで準備をされて行かれたものとは実は考えておらなかったのです。
#64
○井上委員 それじゃ、きょう中曽根さんのお話を、あなたはここで初めてお聞きになったのでしょう。そうですね。――そういたしますならば、いまの感想はどうですか。現時点において中曽根さんの発言をあなたはお聞きになって、総理にも相談をしたのだ、あるいは外務省にも演説原稿を見せているのだということを聞いて、原子力委員長のあなた、科学技術庁長官のあなたは、あのアメリカでの中曽根さんの話は出発前とは違う、この事実からして、どうお考えになりますか。
#65
○西田国務大臣 私に出発前に話されたとおり、政府としての発言とは、私はいまも受け取っておりません。一個人として中曽根さん自身がここで明言されておられるのでありますから、その範囲は出ておらないと私は思います。ただ、いま井上先生のおっしゃったような、かりに提言というようなことであるといたしましても、それはあくまでいわゆる意向を打診するという範囲のものであると実は思いますけれども、もし総理や外務大臣とかなり詳しいお話を――との程度なさっているかわかりませんが――なさっているとするならば、いま、もう少し出発前に詳しい話をしていただけたらというような気持ちはいたします。
#66
○井上委員 これは大臣、先ほども中曽根さんは一政治家の発言というお話でしたが、一政治家の発言として私どもは常識的に受け取れない。少なくとも出発前にはこういうことで科学技術庁長官とも話をする、少なくとも探ってみる、アメリカで話しているのとは内容は違うけれども、一応あなたに相談をする、探ってみるぞ――それからまた外務省にも演説原稿がいっている、総理にもその原稿を見せて、そしてやられたと堂々といま言われたのですからね。しかも外務省当局に原稿を見せたということでありますならば、少なくとも行政府の佐藤内閣の一員としてこれはやられたに違いない、こうなります。そうなりますと、あなたのおっしゃられているのと、あなたに話があったのと違ってくるので、中曽根さんの言は私どもは信用できない。一政治家としての発言ということには私どもは受け取れない。少なくとも佐藤内閣の方針として提言をされたのではなかろうかという私は気がしてならないのであります。またそう断定してしかるべきだと思う。そうなってくると、あなたの立場というものは宙に浮いて飾りものみたいなことになりますので、お伺いしているのです。
#67
○西田国務大臣 帰ってからの御報告も、一個人の立場でやったということを、明確に私は話を伺っております。また全般の御所管の国防の問題に関する報告が閣議でございました。その際にもつけ加えて、いまの問題にも一言触れられて一個人としてこういう打診をしてきたということがございましたので、したがって、あくまでも個人の立場であると思います。
#68
○井上委員 先ほど中曽根さんは、レアードと話をする、あるいはまたキッシンジャーと話をしたときは個人の、一政治家として話した、こうはおっしゃいました。しかし、あのときにもおっしゃいましたが、ナショナル・プレスクラブにおけるときには一政治家としての発言のことは言わなかったとおっしゃったでしょう。少なくとも公式の、ナショナル・プレスクラブにおいては一政治家としての発言ではなくて、そういうことは断わっていないのですよ。しかもナショナル・プレスクラブでの発表が新聞に出ているのです。だから、佐藤内閣の一閣僚である防衛庁長官としての発言と全世界が受け取るのは当然でしょう。また国内においても一対一の話でありましたならば、これは何とでもごまかせるでしょう。しかしプレスクラブにおいてそういう発言をされているのですから、これは佐藤内閣の方針として、国内においても国外においても受け取るのは当然じゃないですか。そうなってくると、幾ら中曽根さんが帰国して、一政治家としての発言とかなんとか言ったところで、これは何も意味がなくなってくる。また先ほどおっしゃった政治家の発言ぐらいのことは、科学技術に関心を持っておる人は皆知っておることですよ。ただ私が言いたいのは、先ほども政治に対してインパクトを与えるんだ、こんなことをおっしゃいました。これは外国に対してもインパクトを与えます。また国内の核アレルギーに対してもインパクトを与えるつもりじゃなかったか。諸外国に、まさに日本は再軍備への一段階を踏み出したといわれてもしかたがないことだと私は考える。大臣、どうです。一政治家の発言ということをナショナル・プレスクラブでは断わってないのですよ。このことについてあなたはどう思いますか。
#69
○西田国務大臣 いま確かにこの席で御本人自身がそういうことをおっしゃいましたが、それは発表のしかたがちょっとまずかったのかもしれませんけれども、直接アメリカの当事者と話をされたときは、一個人としてのあれであるということを明確にされてなさったことだけは間違いないと私は考えております。
#70
○井上委員 プレスクラブでおっしゃったことについてですよ、これが公式発表ですから。どう考えます。
#71
○西田国務大臣 そのときもそのことばが一言あってほしかったと思います。
#72
○三木(喜)委員 大体いたしかたないという立場をとっておられるようでありますが、私はあの発言があってからこちら、いまお二人からも話が出たように、あなたはないがしろにされておるように私もとっておりました。しかしながら一政治家としての発言であるということを再三言っておきながら、プレスクラブではそれを抜いておるところで、これは内閣の発言という印象を与えてしまった。さればこれについてはいたしかたないという考え方か、遺憾であるという言い方か、二つしかないと思うのです。あなたはいたしかたない、こういう立場に立っておられるようだと思います。(「遺憾ですよ。」と呼ぶ者あり)遺憾ですか。遺憾ならわかります。ちょっとはっきり言ってください。
#73
○西田国務大臣 いま井上先生にお答え申し上げましたように、あくまでも個人の立場であるということを、その場においてもつけ加えていただきたかったと思う、こう申しておるのであります。
#74
○三木(喜)委員 だから遺憾ですか。
#75
○西田国務大臣 はい、遺憾に思います。
#76
○三木(喜)委員 次に進みたいと思います。
 次に、これをめぐりまして、きょう中曽根さんも言われたように、シーボーグ原子力委員長が色よい返事をよこしておるというお話がいまありました。その色よい返事の中身は、原子力委員長として、科学技術庁長官として、あるいは原子力委員会で御検討になりましたか。
#77
○西田国務大臣 書面は私もいただきました。原子力委員会ではいまウラン濃縮懇談会というものを持っております。これはこのことだけでございません。もっとずっと広範囲な、ウラン濃縮全体について、国際的に、国内的に検討するのでございますが、その場でもこのことについて、そういうことの可能性ありゃいなやということやら、もしあるとすればどうとかいうことも含めて、一応内部的には検討されるものと思っております。
#78
○三木(喜)委員 その内容的に検討する素材を言ってみてください。どんな内容ですか。シーボーグ原子力委員長の、中曽根さんにもたらしたところの返事というものは、私が言ったから色よい返事が来ましたぞということをきょうおっしゃった。あなたもお聞きになったでしょう。あるいは前の各委員会での説明でもそれをおっしゃっている、どんな内容ですか。
#79
○梅澤政府委員 約一ページ程度の文書でございまして、会えなかったことが残念である。向こうで中曽根さんのおっしゃったことについては、自分のほうでいろいろな検討の材料として前向きに考えられることであろうというような書き方で、ただそれだけでございます。
#80
○三木(喜)委員 検討に値する、こういう返事をいただいておる、こういうことですね。しからば次に話を進めたいと思います。
 そうなれば、このウラン濃縮あるいは原子力潜水艦の原子炉の操作のしかた、こういうものはアメリカの原子力委員会ががっちりと握っておるところの機密条項です。今日これははずそうともしないわけですね。公開しようとする意図は全然ない。そうなってきますと、当然の発展として、日本は機密保持法という法律でもつくらなければならない、こういうことになるわけです。よろしいですか、中曽根さんが言われたことが幸いに効果があって、濃縮技術をこちらに提供してもらう、それについて合弁会社をつくる、あるいは合弁事業をやる、こういうことになってきますと、はたと行き詰まるのは、日本の国において機密保持という問題が米国から押しつけられる、このことに考えが及ばなければいけないのであります。したがって、こんなことで簡単な政治家個人としての発言が許されるはずはないのですよ。したがって、私はあなたがつんぼさじきに置かれたのでなくて、内閣の暗黙の合意の上で中曽根さんにやらせた、こう見るわけです。沖繩の問題につきまして駐米大使が何回も国会の意思とか国の意向とかを反映せずして、いろいろ太鼓を鳴らしたことがあります。今回はまさに内閣の意向を受けて、こういうような発言をされたと見られてもしかたがない結果が出てくるわけです。この点はどう考えておられますか、これが一つ。
 それから、小型の原爆ぐらいなものはつくっても憲法違反にならないんだというような解釈をする人が政財界にあるわけです。この二つについて、御意見をきっぱりとお聞きしておきたい。
#81
○西田国務大臣 私は、科学技術庁長官として、原子力開発については責任者でございます。したがいまして、政府の方針として発言をした、政府部内の協議に基づいてやったという事実はございませんから、したがって、私はそういうふうには認めません。
 それからまた、技術導入がかりに可能な場合に、むずかしい機密保持の問題を解決しなければならない前提があるということもよく理解して承知しております。
 それから、国防のこと、私の専門ではございませんけれども、小型の原子爆弾を持つことは憲法上差しつかえないという意見があるということは、あるいは一部にそういう考え方があるかどうかは知りませんが、憲法上許されないことである、私はこういうようにはっきり考えております。
#82
○三木(喜)委員 機密保護法というものが当然要請されるということについては、どうお考えになっておりますか。
#83
○西田国務大臣 たぶんそういう条件を付せられるものと考えます。
#84
○三木(喜)委員 したがって、これについてはどうしますか。また、日本の国には原子力基本法というのがありますね、自主、民主、公開の原則の。それにももとりますね。このジレンマはどういうように原子力委員長としてお考えになっておりますか。
#85
○西田国務大臣 平和利用、それから民主、自主、公開、さらに国際協力ということも原子力基本法の中にうたわれております。したがいまして、どういう姿において国際協力が可能であるかということにつきましては、掘り下げた検討をしていいだろうと思います。
#86
○三木(喜)委員 いや、当然そういう機密保護法というものを押しつけられることはもうはっきりしておるのですね。これは押しつけられぬと思いますか。思わないか思うかからいかなくちゃならないのですね、そうすると。どうですか。
#87
○西田国務大臣 これは相手のあることでありますから、たぶんそういうことを要求するであろうと考えます。
#88
○三木(喜)委員 そうすれば、日本としては機密保護法をつくらなければならない、こういうように考えられるか、そんなものならば要らないとお考えになるのか、そういうむずかしいものならば要らないとお考えになるか、現行法のたてまえ、憲法のたてまえ、これからですね。それはだめだと――幾ら中曽根さんがそういう努力を積んできても、そしてその濃縮ウランの技術を日本に導入するという、こういうことが可能になっても、これはだめだ、こういうことならもう要らない、こういう結果が出てくるわけです。それじゃ政府としてやっぱり踏み切らなければいかぬ。どっちに踏み切るか。現在の長官としてはどう思っておられるか。
#89
○西田国務大臣 日本には原子力基本法というものが存在いたしております。したがいまして、このたてまえに立ってその技術供与を受けるというようなことが可能であるという場合には、十分相手国と協議をして解決しなければならないと思います、解決できるかどうかという問題も含めて。
#90
○三木(喜)委員 しからば、原子力基本法の範囲において技術提供を受ける、こういうことですね、いまのお答えだと。
#91
○西田国務大臣 現在はそのように考えております。
#92
○三木(喜)委員 次に、私も問題が重要だと考えておるのですが、IAEAの査察が今回日本の原子力機関、特に原子力発電に対して非常にきびしい。これはどうにもならぬくらいな過酷なもののように私は思うのです。ユーラトム並みということを一つの条件にされておったにもかかわらず、表はユーラトム並みになりましたが、しかし裏では、いま現在査察官がやってきてああいう過酷な条件をやってきておるが、この状況をつぶさにひとつきょうは、簡単でよろしいから報告してもらい、このこと自体がさきの中曽根発言ということの一つの影響でないかとさえ私は思っているわけです。日本に対するところの疑いがこういうかっこうになったのじゃないかという心配を持っておるのですが、この点についてお伺いしたいと思います。
#93
○梅澤政府委員 先般の敦賀の査察でございますが、実は一番最初に向こうからいってまいりましたときには、いわば四十五日間の定期検査に対しまして、毎日大体一回から二回必ず炉のまわりに入るというやり方をやりたいといってまいりました。これにつきましては、非常にわれわれのほうの仕事を粗雑にすることと、また定期検査の日にちを延ばすような、会社の事業上に影響があるということで、再度交渉いたしました。その結果として実際やられましたのは、コントロールルームにテレビがございます。そこまでは入る。それで多いときで二度、だんだん終わりになりますと一度ぐらいで、そこまで入るということで、あとは炉内に一度入るという形で最後はおさまりました。しかし、向こうは実をいいますとああいう大きな査察というのは初めてでございます。したがいまして、向こうは、今度は各国の査察が、ことしのうちに二つぐらいあると思いますが、その初めということで相当シビアなやり方を考えておったようでございます。その点においてわれわれのほうだいぶ文句を言いまして、そこまでになりましたが、実はこれは日、米、IAEAの三国間協定で、前の協定のマキシマムの査察のしかたという形の範囲内には一応入ったことで申し込んできておるわけでございます。それを簡素化するということで努力をしたということでございます。したがいまして、今度の核防条約そのものの検討会をいま向こうでやっておりますが、今度あらためて核防条約としての査察をどうするかというのは、いまパート二まで入りまして、査察の回数あるいは査察のしかたを目下やっておるところでございまして、そっちのほうで簡素化をしていくというたてまえは別のケースという形で実はやっておるわけであります。いま先生のおっしゃいました、それに対して中曽根先生の発言がどう影響しておるかというのは、実は私もわかりかねるわけでありますが、もちろんヨーロッパあるいは向こうでは、中曽根先生の発言ばかりでなくて、要するに、日本は先進国で何でも非常に技術がうまくできるという感覚で日本を心配しておるという形勢はあると言わざるを得ない。ただしそれが査察に影響して、それでもって日本だけが特に査察をふやされたということは、いま認められません。
#94
○三木(喜)委員 特に、私は業界筋からも聞いてみますと、今度の査察というものについての米国の訓令ですね、これは非常にシビアです。日本に同情を持って理解があるはずである――中曽根さんの話を聞くと。その米国が最も査察をきびしくやることについての片棒をかついでおるということは、私はどうも解せないと思うのです。
 これはこれにしておきまして、次に、これは中曽根さんも言われましたが、遠心分離法とかあるいはガス拡散法とかいうものは、日本としては懸命に開発に努力しておるわけですね。しかしこれがかりに量産体制に入ってもかなりの金が要る。そこで現在の原子力委員会あるいは科学技術庁長官、科学技術庁としては、いま中曽根さんの言われるようならば先細りになってしまうおそれがあるのですけれども、皆さんはこれは本腰を入れてやるのだ、それだけのお金がかかっても自主開発でやるのだ、そういうお考えなのか。来年度予算もやるという、両方とも十億円ほどの予算がいま予定されておるようです。大蔵省できまるかきまらないかは別にして。その段階において、決意を聞かしておいていただきたいと思うのです。またこれ中途はんぱなことになって、足して二で割るというようなおかしなことになっては困ると思うのです。今度の中曽根さんのとられたやり方というものは、明らかに原子力基本法の中にある自主という問題がどう見られておるかということに問題があるわけなんですね。
 それはそれとしておいて、この二つの研究に対してどうお考えになっておるか。これは中曽根発言と非常に関係が深いですから、こちらのほうを認めるならこちらはなくそうという考え方、いやそうでない、こちらのほうは重大なんだというお考えか。この二つのうちどちらですか。中途はんぱなお答えはこらえてくださいよ。
#95
○梅澤政府委員 現在、先生御存じのように、原子力委員会の特定総合研究として研究を進めております。それで四十七年には技術的な評価ができる程度までどうしてもやりたい。それからその後、できればどちらかにきめまして、それを自主的に実際大きくやる。これはもう原子力委員会の決定でございまして、それはできるだけ推進いたします。したがいまして、私たちはいま濃縮ウランの研究開発につきまして最重点の項目と思って進んでおります。
#96
○三木(喜)委員 模索時代ですから、それはなかなか決定はむずかしいだろうと思いますけれども、宇宙開発計画ですね、このように計画が何回も変わることのないように、本腰を入れてやるならやると、これは態度をはっきりしてもらいたいと思う。原子力委員もおいでになっておりますから、その辺ひとつ明確に答えておいてください。
#97
○武藤説明員 おっしゃるまでもなく自主開発に重点を置きまして強く推進する決意でございます。ただ、いま局長からもございましたように、濃縮技術に関しましては秘密事項であり、かつ世界各国の情勢が非常に流動的でございます。したがいまして、一方のそういう情勢もにらみながら、日本の国益という観点に立ちまして、最も最善の方策をとっていこうという決意でございます。もちろん基本法のワク内におきましてでござ
 います。
#98
○井上委員 先ほど中曽根さんの発言で一つ重要なことが言われましたので、一体原子力委員会は御存じかどうかちょっとお伺いしたいのであります。といいますのは、先ほどアメリカはユーラトムとジョイントベンチャーを結ぶか、あるいは技術提携を進める話が、ユーラトムとアメリカとの間においてひそかに進んでおるという御発言がありましたが、これは日本の原子力委員会としてはそのことを御存じでございますか。そしてまたそれに対処する方策はどういうようにお考えになっておられるかお答え願いたいと思います。
#99
○梅澤政府委員 私から申し上げまして、原子力委員から補足していただきます。
 実はああいう中曽根先生の発言に出ましたもとというものを想像いたしますと、欧州原子力産業会議、そこが、将来の濃縮ウランの工場に米国から入れるのにはなかなか能力不足である。したがって、五十三年ごろには欧州の共同体独自で工場をつくりたいということがいわれました。独自という意味は自主技術という意味かそれはわかりません。そういう話がございますので、そういうことになればやはり技術をアメリカからとるのではないか。したがってそういう話もプライベートにあるのではないかというような考え方が、事実うわさとしてあったようでございます。
#100
○武藤説明員 ヨーロッパにおける情勢は、ニュー・クリオニクス・ウィークリーいう雑誌がございますが、それで、たしかことしの夏か秋でございましたか、ヨーロッパでフォーラムがございまして、その席上でセントリフュージのほうをやっていらっしゃる三国同盟の、特にオランダのボガードという方なんですが、その方がやはりいままでのことを紹介なさり、それからフランスからもやはり担当の方が紹介した、そういう記事を読みました。その記事の中に、非常に非公式だがそういうようなこともあるらしいということの記事が載っておりました。アメリカからいわゆる濃縮技術を輸出して、ヨーロッパに何か大きなセンターをつくるのに援助をする、そういう計画はいかがなものであろうかということを打診しているらしいという記事がございまして、それ以上われわれ承知しておりません。それが現状でございます。
#101
○井上委員 時間がございませんので、あとまださらに予定がございますから私はこの程度にとどめたいと思います。いずれまたこの濃縮問題につきまして十分に質問したいと思います。
#102
○三木(喜)委員 一応これでおきます。
#103
○渡部委員長 近江巳記夫君。
#104
○近江委員 先ほどは中曽根長官が出席されまして非常に時間がないということで、三党代表ということで三木委員から質問をされたわけであります。そのことに関しましてお聞きしたいと思うのですが、中曽根さんの発言につきまして私は一つはこのように考えるのです。内外に非常に大きな反応があった。御承知のように日本は経済大国として、世界で国民総生産第二位というような立場になってきております。また次の防衛費にいたしましても非常に膨大な額というものが予定もされておりますし、軍国主義の復活があるのではないかというような懸念もされておるわけです。そういうやさきにこういう発言があった。そういう反応という問題ですが、それにつきまして先ほど私もちょっと関連でお聞きしたのですが、原子力委員会にも、そして肝心の科学技術庁長官にも、ほんのただこういうことを接触してみるのだという程度の話しかなかった。ところが外務省にしろ総理大臣にしろ文書まで渡してある、こういう点、原子力委員会も科学技術庁長官も非常に無視されたのではないか。その点私たちとしては少なくとも広島や長崎のあの原爆の洗礼も受けておりますし、国民は原子力については敏感過ぎるほど敏感でもあるわけです。また世界各国も日本の今後の行く末というものはやはり見ておるわけです。そういう点、肝心の原子力の元締めである長官あるいは原子力委員会に、そういう簡単なタッチしかしておらないということについてどう思われるかということが一つなんです。
 もう一つは長官のおっしゃった国際合弁の問題ですが、ウラン製造機構の設立構想を米側に示しておられるわけです。ところが御承知のように濃縮ウランについてはこれはもうわが国としては当然考えなければならない切実な問題にいまなっておる。ところが今後これをどのように持っていくかということについて、私は非常に大きな問題だと思うのです。すなわち純然たる自主開発の問題あるいは国際製造機構の設置あるいは米国からの技術導入、私は三つのタイプになるのではないかと思うのです。これによってメリット、デメリット全部あるわけですが、慎重にやらないとたいへんなことになるわけですよ。それを要するに国際製造機構の設置ということをぶち上げておるわけです。これは純科学的に今後の濃縮ウランをどうするかという、そういう方法論まで述べておられるということ。私は二つの問題があると思うのです。
 ですから、まず一つは長官そして原子力委員会が軽視されておることの状態、このことについてどのように思われるか。またこれからも無視されていいのかということなんです。もう一つはこの濃縮ウラン製造のあり方について、そういうことを向こうで言われたわけですが、これについてはどう評価されているか、この二点についてお聞きしたいと思う。
#105
○西田国務大臣 事前にお話が全くなかったわけではございませんので、そのことについてはそういう打診も困るというふうには私も申しませんでしたことは、完全に無視されておるというふうにも私は考えておりません。行ったついでに打診をしてみるということについては私は実は差しつかえなかろうと考えました。しかし具体的な、たとえば共同工場の建設というようなことまでお話しになるかどうかということは、実は出発前に私は察知できなかったのであります。したがいまして今後はかりに私どものどのような国際的な話し合いに対しましても、やはり責任ある者がその衝に当たるべきであるというふうに考えております。
#106
○近江委員 こういうことに触れますよと言ったときに、差しつかえなかろうというそのときのお気持ちは私はよくわかるわけですよ。しかし一つは長官としても配慮が足らなかったんじゃないか。そのとき防衛庁長官の立場でそういうことをお触れになれば、これはやはり影響があるんじゃないですかということは申し上げられたのですか。
#107
○西田国務大臣 若干私も心の中に、立場の違います方のあれでございますから、そこでこういう考え方をお持ちになっておられるようだということを私限りでとどめないで、庁内におきましても原子力局長と話をいたしまして、もし適当でない、そういうことがあるとは思いませんでしたけれども、そのことに対する配慮は若干したつもりでございます。
#108
○近江委員 それはその時点の話ですが、きょうの時点の話で、総理なり外務省はそれだけの詳しい演説原稿まで見てもらった、長官はごらんになっていないわけですよ、原子力委員会も。それについてはどう思われるのですか。遺憾であったと思われますか。
#109
○西田国務大臣 原稿の中にどれだけのことが記述されておったかということは私は承知しておりませんが、私の推察でございますけれども、おそらくは御所管の国防に関する日米間の話し合いのことがほとんどであろうと思うのであります。その中にウラン濃縮のことについて原稿となっておったかということは承知しておりませんが、おそらくは大部分が御所管のことに対する総理並びに外務省との打ち合わせ、了解であったと思います。
#110
○近江委員 それはわかるのですが、総理や外務省にはそれだけ詳しい資料を渡しながら一応相談に来ているわけですよ。ただ、長官にあいさつはあったけれども、ほんのあいさつ程度で終わっているわけですよ。それについて、総理あるいは外務省に示したと同じように原子力委員会にも科学技術庁長官にも事前にそれがあるならば、示してほしかった、このように思われますか。
#111
○西田国務大臣 原稿の内容がわかりませんから、そこまでいま言うことはどうかと思いますけれども、個人的にその意向を探ってみたいというお話でございましたので、そういう原稿の中にどの程度のことが記述されておりますか、きわめて詳細な何かであるとするならば、私のほうにも見せていただきたかったと存じますが、その内容がよくわかりませんので、何とも申し上げかねるのでございます。
#112
○近江委員 その時点の長官のお気持ちは、いま申し上げておるように私もよくわかるのですよ。だけれども、いまの時点で、総理や外務省には示しましたよということをおっしゃっているわけですよ、それはいま明らかにされたわけですよ。ですから、長官はいまそのことをお知りになったのですから、そんな時点でそれがあるなら見せてほしかったなというお気持ちがあったのかどうか、それを言っているのです。
#113
○西田国務大臣 もしウラン濃縮のことにかなり触れておられるとするならば、見せていただきたかったと思います。
#114
○近江委員 確かにそうだと思うのです。それで、濃縮ウラン製造機構の設立構想、これは米側に示されて、先ほどシーボーグさんのほうからもそういう前向きのお手紙があった。ということは、個人的な発言であったかどうか知りませんけれども、しかしプレスクラブの発言等から見ると、やはり閣僚の一員として政府代表の発言のように向こうはとっているわけですよ。向こうも前向きにこのように動きかけてきているのですよ。そうすると、単なる一政治家の発言としては通らぬわけですよ。かなりこれが積極的に動き出してくるということになってきますと、わが国のウラン濃縮のそういう方向というのがおのずからきまってくるんじゃないかという感じがするのですよ。この点について、中曽根さんの発表されたウラン製造機構の設立構想については、長官としてはどう評価されておりますか。
#115
○西田国務大臣 中曽根発言を受けて原子力委員会でもこの問題にノータッチでいくわけにいかないと思うのです。したがいまして、十分検討してもらいたいと私も思っております。
 またこの間、実はアメリカの国会にございますところの合同委員会のメンバーの一人のアスピノールという人が参りまして話を伺いましたけれども、まだ政府部内でもそこまで考えが進んでおるというふうには私は受け取らなかった。またさらにこれは国会が最終的な決定をするということになりましょうし、その場合に、私の聞いたところによりますと、アメリカでも現有設備をもう少し能率があがるような改造と申しますか、これを現在手がけておるようでございます。さらに新しい工場の建設の検討も進めておるようでございますが、その場合に、現在は政府ベースでやっておるわけでありますが、これを民間に移すかどうか、あるいは民間と共同でやるかどうかという問題の解決がまず先であって、それらとも、海外にその技術を出すということについては、非常に重大な関係があるようでございます。したがって、私はそんなに急速に早く結論は出ないのではないかという印象を実は持っております。ことに共同で工場をつくるということについては、これはひとつわれわれのほうもこれから懇談会等の場を通して慎重な検討をしたいという心境でございます。
#116
○近江委員 それでわが国の濃縮ウランの今後の基本的な姿勢なんですけれども、いま私申し上げましたように、三つのタイプがあるわけですよ。純然たる自主開発、それから中曽根さんの言われた国際的な製造機構、三番目には米国からの技術導入、わが国としていまお考えになっているのはどの方向に行くのですか。これは原子力委員会から、あと長官からでも、局長からでも、どなたでもけっこうです。
#117
○武藤説明員 それについて申し上げます。
 いままではわれわれは自主開発の立場で強力に推進することに決定しております。と申しますのは、御承知のように、ウラン濃縮の技術と申しますのは秘密事項でございまして、このノーハウは全然わかりませんので、基礎から積み上げてわれわれは自主的に開発していこう、ただし将来海外との協力が可能の場合にも、やはりその自主開発をそこなわない範囲で、かつ、日本の国益をそこなわない範囲でそれを推進するのに役立つならば考慮していこう、こういうふうな考えでおります。しかし最近海外の動向が非常に流動的になってまいりましたので、一応またこの方針を含めまして、あらゆる可能性を考えて、最もオプティマイズされた政策をやっていく必要がある、一番日本としてプラスになるような政策をなにしようという見地から、十二月からもうスタートしておりますが、濃縮ウラン対策懇談会というものを設置いたしまして、各方面の方にお集まり願って、もうすでに二回開催しております。そして来年の六、七月ころには何らかの結論を得ようとして努力しております。これが現状でございます。
#118
○近江委員 純然たる自主開発、いま非常にこれはむずかしい問題ですから、お互いに考えなければならぬ問題ですが、純然たる自主開発でいきますと、一つは技術的に見通しがつきにくい、遠心分離のほうとガス拡散のほうもありますけれども、実際ほんとうに実験段階のほんの一歩を踏み出したところですね。また非常に膨大な資金が要る、四千億ないし五千億、乗り出すには。このめどを一体どうするのだ。あるいはまた建設用地をどうするかという問題、あるいは電力にしてもおそらく六百万キロくらい要るのではないか、これはたいへんなことですよ。あるいはまたこの新型転換炉ができると、やはりその必要性ということは一つは薄くなってくるのではないか。これは全般の問題ですが、あるいは核防条約による査察を受けて、技術が外国に流れ出ていくおそれ、これについてはどう対処していくか。また大きなことは、諸外国はわが国の核保有を極度に警戒しておるということもやはり問題の一つとしてあるわけです。
 次の国際製造機構の設置になってくれば、米国がこれについてまだ明確な正式な態度を示していないわけですよ。そういろ個人的な書簡では前向きに検討しておるということは言っているかしれないけれども、肝心の技術について不明のままで終わる、ブラックボックスといいますか、やはりその辺の問題が残るし、日本として進歩がないというような問題も一つはある。あるいは米国からの技術導入になってくれば、先ほども話が出ておりましたが、やはり秘密保持措置を講ずることが一つは要るのじゃないか。そうなってくると、原子力基本法に抵触してくるのじゃないか、あるいは米国依存は好ましくないじゃないか、あるいはまたウラン値上げの心配も出てくる、あるいはまた逆に米国のわが国に対する牽制の意図がそこにあるのじゃないかというようなこともいろいろあるわけです。これだけ多くの問題を含んでおるわけですよ。それを原子力委員会にも長官にも相談なく、国際製造機構をつくればどうかというような発言をなさっておる。事前にそういう了解も得ておらない。こういうことは何も中曽根さんだけじゃないわけですよ。これからまた総理にしろ何にしろ、ほかのそういう閣僚がどこでまたそういういろいろなことを言ってくるかわからない。そうなってくると、こんな大事な根本的なことを世界の各国に行ったときに発言されたならば、わが国の自主的な姿というものはなくなりますよ。外部の勢力にぐんぐん動かされてくるということになってくる。たいへんなことだと思う。そういう行き方についてはどう思われますか。これからはこういうことについては原子力委員会なり科学技術庁長官ときちっとよく検討した上で発言をしてもらいたいということについての申し入れを総理なりあるいは閣議にも申されますか。それについてひとつ原子力委員会と長官に、原子力委員会ではこうしてもらいたいということを代表で答えてもらいたいし、長官としてはその問題について今後どうされますか。
#119
○武藤説明員 そういう御質問に対しましては、われわれはこう考えております。
 そういう突発的に政治家の発言でおやりいただくのは、ある意味の刺激を求めるという意味ではけっこうと思いますけれども、やはりメリットとデメリットがあると思います。したがいまして、われわれとしては先ほど申しました懇談会を設置しまして、われわれのそういう検討をできるだけ熟す、それからはっきりした方針をきめまして長官に申し上げ、それが閣議に反映されることを私たちは希望しております。
#120
○西田国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、ウラン濃縮技術の開発、さらにまた技術の開発からさらに一歩進んでウラン濃縮の具体的な建設ということも含めまして、いま鋭意検討を急いでおるわけであります。何と申しましても、日本が独自の濃縮技術を開発をしたいということをまず考えております。しかし、ウラン濃縮工場は先生いま御指摘のとおりに、非常に高度の技術とたくさんの金がかかります。さらにまたコストの問題もございます。したがいまして、自主開発ということが望ましいのでありますけれども、しかしながらそういう立場から、先生もすでに申されておりますように、外国の協力を受けるということも一つの手段として考えられないことはないと思います。しかしながら、その場合にいろいろ問題がございますから、十分慎重な検討を遂げましてしっかりした方針を立てて、そしてこれから進んでまいりたい。したがいまして、今度のようなことはあまりいろいろ影響がございますから、われわれのほうが中心になって進めてまいるということにいたしたい、かように考えます。
#121
○近江委員 原子力委員会の委員の方の答弁ははっきりしておると思うのです。長官の答えも確かにそれでいいと思うのですが、もう少し明確にお答え願いたいと思うのです。要するに、失礼ですが、いま委員の方が申されたのは、はっきりと委員会なりのそうした方針というものを科学技術庁長官が持たれて、閣議でも反映されて、それが政府の方針としてあらゆる場所で筋の通ったそういう伝え方をしてもらいたい、こういうお話でございましたね。ですから、こういう中曽根長官が発言されたようなことはこれから二度と起きてはならぬと思うのです。そういう点につきまして最高責任者でおられる長官に、今後そういうような他の閣僚の方が、また有力者の方が提言なり発言なりされるについてよく原子力委員会、科学技術庁と打ち合わせの上やってもらいたいということは、閣議なり総理にもそのことは進言していただけるかどうか、このことについてお聞きしたいと思うのです。
#122
○西田国務大臣 適当の機会にそのように運びたいと思いますが、先ほど私申しましたことは、自主開発はもちろん大事であるが、しかしながらいろいろむずかしいこの技術開発でございますから、外国の協力ということもそれはどういう形かにおいて考えられないこともないのでございまするし、そういうことを含めましてわれわれのほうがしっかりした具体策、具体的な方針をもって進んでいくことが大事であるというふうに考えます。したがいまして、善意の御協力はたいへんありがたいのでありますけれども、われわれはそういういろいろな誤解を招いたり、またいろいろなマイナスの反響等を受けることのないようなことにつきましては、適当な機会に私から発言をしたいと思います。
#123
○近江委員 それから開発の見通しにつきまして、特に先ごろ日本原子力産業会議が政府に申し入れたいわゆる計画の内容につきまして、どういう見解をお持ちか、これについて委員の方と長官にお聞きしたいと思うのです。
#124
○武藤説明員 それにつきましては、ちょうど十二月の十五日の先ほど申しました濃縮ウラン対策懇談会に正式に一本松委員から原産の試案が提示されました。それについていろいろな角度から意見なんかが出まして審議しておりますので、いま委員会としてそれにどうこうということは、まだ審議の過程にございますので申し上げかねます。ただ個人としてなら、私は私なりに意見を持っております。
#125
○西田国務大臣 将来のエネルギー対策として原子力会議からかなり具体的な提案と申しますか、申し入れを受けております。これにつきましてはただいま検討しておりますが、その中でもウラン濃縮技術の開発の問題をかなり重点的に取り上げられておりまして、このことにつきましては私も同感でございます。政府ベースだけでなくて、あとうべくんば民間にも力をかしてもらって、この技術の開発をなるべく成功させたい、かように考えております。
#126
○近江委員 もう時間がございませんからあと一問で終わりますが、最後に、いままで長官も何回も明言をされておりますけれども、中曽根大臣の発言によりまして、やはり日本が核武装するのじゃないか。これは内外ともに、すっきり一〇〇%白紙の気持ちであるといえぬわけですよ。そういうことで私は、原子力基本法に基づいて長官があらゆる監督もなさっておるわけですし、平和利用にわが国は徹しなければいけない、このように思うのです。したがってこれから、それは何回も言われておるわけでありますが、絶対に平和利用に徹し、いかなる兵器にも原子力は使わないということをここではっきりともう一度長官にお聞きをして、私の質問を終わりたいと思うのです。
#127
○西田国務大臣 私は原子力基本法の精神をあくまでも貫いてまいる決意でございまして、中曽根さんの発言も非常に誤解を招いた面もあると思いますけれども、先ほど申されましたように、むしろ日本は平和利用に徹するのだ、こういうためにはむしろ独自のものよりも、あけっぱなしのやり方のほうがいいのじゃないかというような気持ちで申したということをさっき申しておられますが、私どもはあくまでもこれに徹してまいりたいと思います。
#128
○近江委員 では終わります。
#129
○渡部委員長 次に吉田之久君。
#130
○吉田(之)委員 先ほどから各委員から濃縮ウランの問題についての、特に中曽根さんの訪米中の発言をめぐりましていろいろと質問が出されておりました。私はそれを承っておりまして、特に科学技術庁長官、今日のあなたの胸の中に去来するものは、一方において中曽根さんのあの発言はいささか迷惑である、一方においていろいろと今後海外協力を得るために少しは役立つ面もあり得るというふうな、非常にあいまいな感じをあなた自身が持っておられる。そうだから、先ほど来の各委員に対する答弁も非常にその辺が釈然としない、もやっとしているというふうな感じがしてならないのです。そういう点はございませんか。
#131
○西田国務大臣 私は日本の原子力開発につきましては、国力をあげて積極的に取り組まなければならぬと考えておるのでございますが、しかしながら、先ほど来の質疑にもございますように、非常に国際的に流動性を帯びておるということを先ほどからお答え申し上げておりますが、そういう国際的な動きというものも十分把握しながら日本の開発を進めてまいらなければならぬということについては、日本は世界に目をおおっていくわけにはまいらぬと思います。そういう意味におきまして、いろいろな打診があったり、あるいは意見の交換があったりということは不必要なことではないと実は思うわけでございまして、またそういう意味において、中曽根さんは好意的な気持ちでなさったと思うわけでございますから、そういう意味において先ほどからお答えしておるわけでございます。
#132
○吉田(之)委員 実はあなたのそういう考え方、そういう態度がこの問題をなお混乱させ、今後いろいろと諸外国にもまたわが国内部の研究陣にも非常な不可解な、そして動揺を招く、そういう原因をつくっていくだろうと思うのです。私はこれからそういうことを御説明したいと思います。
 それでまず第一点は、中曽根さんの先ほどの発言あるいは長官の御答弁の中で、一つの重大な矛盾点があるのです。それは何かといいますと、ジョイントベンチャーでやるなり、アメリカの技術導入をやるなり、いろいろとできるだけ公開でやることは、日本が核武装しないということを諸外国に印象づける意味で非常に意味があるんだということを一方でおっしゃっています。一方において、にもかかわらず日本の独自の自主開発という態度は断じて堅持しなければならないんだ、こう言っているのです。独自の自主開発をやるということは、彼自身、あなた自身、それは諸外国に疑惑を招く、核武装のおそれがあるということを肯定しながら、一方においては、海外の協力を求めるならばその疑問は薄められるであろう、私はそういうふうに解釈する。この矛盾をあなたはどう説明されますか。
#133
○西田国務大臣 私が申したのではなくて、中曽根長官がそういうふうに申されました、こう申したのでございます。私は日本の技術屋に大いに奮起してもらいまして、そして自主開発、しかもできるならば新しい濃縮技術の開発ということに全力をあげてまいりたいと考えておりまして、決していま先生が申されましたような両面のものの考え方をしておるわけではございません。
#134
○吉田(之)委員 それではどうして、世界のいろいろな核濃縮をめぐる情勢が流動している、だからそういう意味で中曽根さんの発言というものは決して不必要なことではなかったと思うというふうな、ある意味での肯定的な発言をされるのですか。
#135
○西田国務大臣 先ほど来の質疑にも繰り返して出ておりますように、アメリカと欧州――実は私は欧州に参りました際にも、欧州でも日本の濃縮技術のことについていろいろ質問を受けました。日本は積極的にやるつもりであるということを申しましたが、日本はわれわれと一緒にやる気はないかというようなことを、これは非公式でございますけれども、座談的でございましょうけれども、そんな話もございました。その他、ヨーロッパでは共同して幾つかの国が技術開発をやっておる。そういう世界の情勢にも、目をおおわずによく見ながら、日本は積極的な技術開発に取り組んでいきたい、こういう意味で申しておるのでございます。
#136
○吉田(之)委員 諸外国が共同してやっていることは大いに研究し、また参考にすべきだという点では、われわれは全く否定いたしません。しかし、日本がアメリカないしはその他の国を含む諸外国と共同してやるかやらないかということは、非常に重要な今日のポイントなんです。原子力委員会のほうは、いまも近江委員の質問に答えられましたように、実にき然として、あくまでも所信を貫いて自主開発の方針でやります、協力ということもいろいろな面で付随的にはあるかもしれないけれども、それは自主開発をそこねないような方針の範囲内である程度配慮をし、そういう姿勢も決して捨てるものではありません、比較的ポイントの置き方がはっきりしています。私はやはりその辺が、うしろのほうではっきりしょうとしているのに、長官のほうで少しでも疑問があったり、あるいは原子力委員会よりも表現がもやっとしておったり、さらに横から中曽根発言のようなことがかかってくると、これは、わが国のきわめて重要な濃縮ウランの技術開発というものは、政治的にも心理的にも経済的にも大きなつまずきを来たさざるを得ない、そう思うのです。
#137
○西田国務大臣 私は決してこの原子力委員会がお答え申し上げましたような、そういう気持ちと相反するような、あるいは消極的な考え方を持っておるのではございません。私みずから実は直接の研究者を呼んで、現状はどうなっておるか、これに対する対処のしかたはどうであるか、あるいは現在要求している予算がもし現状において不十分ならば、さらに追加要求しても自主開発を積極的にやるべきではないかというような考えのもとに、そういう第一線の研究者なども呼びまして、現状等も聞いたりいたしております。決して委員会と私との間に積極性において差異があるというようなことはございません。
#138
○吉田(之)委員 だいぶはっきりしてきました。それならば、中曽根長官が訪米する前に、責任者であるあなたに対して、口頭で、ともかくいろいろと探ってくるからという程度のお話があったらしいですね。それはそれでよろしい。そういう探ってくるぞというお話があったときに、あなたは相手がいかに同僚であり、先輩であっても、事きわめて問題が問題として重要だから、あるいは時期的にも非常に微妙なときだから、その辺はきわめて慎重な態度で探ってくださいよ、あくまでも探る程度の範囲にとどめてくださいよというくらいのことは言われなければならないと思うのです。言わずもがなのことであっても、私は、責任者としてのあなたは当然そのことばをかけられたであろうと思うのですけれども、その辺念を押されましたか。
#139
○西田国務大臣 先ほどからお答えしておりますように、このことはかなりむずかしい問題を含んでおりますから非常に困難なことであろうという気持ちは中曽根さんにも伝えました。そしてこのことについて、もし私はこのような御批判を受ける結果になるかどうかということは考えませんでしたけれども、局長にも話をいたしまして、そして、おそらくはこういう皆さんから御批判を受けるような結果にならないようにという気持ちから、そういうことについて聞き流しはしなかったのでございます。
#140
○吉田(之)委員 その辺、お二人の話にわれわれとしては立ち入れるわけはありませんし、いろいろ憶測する以外にないのですけれども、私は、ひょっとして、ああそうですか、どうぞどうぞというふうなことで、相手は先輩だしこの道の権威者だからというふうな遠慮があったり、あるいは過度の信頼があったりすると、これはたいへんなことだというぐらいのことは十分御確認いただいているだろうと思うのです。もっと念には念を入れて遠慮せずに、この点はきわめて慎重にしてください、控え目にしてくださいというぐらいのことはもっと明確に言われるべきだった。いまの答弁からはどう私が強く言われたと判断しようとしても、私はそういう感じを持つことはできません。私はその辺にやはり問題の一つがあったと思うのです。それから、ともかくあなたはそのときに、まあ打診してくるわ、探ってくるぞという程度の話だと私は思っておりましたとお答えになりました。しかし現に帰ってこられて新聞の発表その他アメリカの反応あるいは諸外国の反応を見たときに、そして先ほどの中曽根長官の発言を聞かれて、なおかつこれは単なる探りにすぎない、探り以上のものではないというふうにあなたは受け取っておられるか。それともこれはちょっと探り以上のものだなというふうに御認識になっておられるか、その点をお聞かせください。
#141
○西田国務大臣 御出発前に具体的な探る方法等について私は詳細に話を伺わなかったのでありますが、感じといたしまして、私が感じておりましたのよりはやや具体的な探り方をされたというふうに思っております。
#142
○吉田(之)委員 どうも長官の表現というのは非常にあいまいです。私は、科学技術庁の長官はやはりもう少し明確にものごとを判断し、表現するということでなければこんなビッグサイエンスと取り組めません。科学技術というものは厳粛なものなんですから、そういう意味でこれは具体的過ぎましたといまなら思います、探りの領域を出ておりますと、やはりその辺のところは感じをイエス、ノーをはっきり言わないといけない。
#143
○西田国務大臣 おっしゃったようなふうに感じております。
#144
○吉田(之)委員 そこで、過ぎたことは大いに反省もし、今後にあやまちを繰り返さないように生かしていかなければならない。私は、やはり長官あるいは今後長官になられる人々は事こういう重要な問題に当たっては、いかに政治家個人の発言であっても、それは国の重要な国益に関する問題であるし、また国家の科学技術の運命を左右する問題でもあろうからということで、先ほど各委員も言われましたように、この種のことは繰り返してもらいたくない。いかにその趣旨があとで正しかったとしても時期というものはきわめて重要であります。この点ははっきりしていただきたい。それからいかに政治家個人であっても、やはりわれわれの目から見れば大いにスタンドプレー過ぎる感じがいたします。この辺についてもやはり正しいたしなめというものを遠慮せずにやってもらわなければならない。
 それから渡米される前に内容らしきものを――かりにそれが文書に書かれて総理に見せられたものがあったとするならば私にも見せてほしかったというような及び腰の態度あるいは懇望的な態度というものはおもしろくないと思うのです。見せるべきである、見せないのはけしからぬとかあるいは文書ならば正確にやはり専門家が寄って目を通すべきであったと思うとか、その辺はっきりしてもらいたい。
#145
○西田国務大臣 先生の御注意に対しましては十分慎重を期してまいりたいと思います。
 それから、いまの渡米前の文書の問題でありますが、先ほど申しておりますことは、どの程度の内容のものかわからないのでありますけれども、もしそのことの内容に相当具体的なことが盛られておるとするならば、これは当然私に相談あってしかるべきものだと思います。しかし私にお話しになったその当時の状況から見まして、そういう具体的な提言、提案というようなことは考えられませんでしたので、したがいまして、いまその文書の内容にどういうことが記述されておるかということの内容によりましては、はなはだ遺憾であると思いますが、その原稿なるものが、演説原稿か何をさしておられるのか、よく確かめてみなければわかりませんけれども、具体的なものであるとするならば、もう少しわれわれにはっきり示して、そしてわれわれと相談の上いってもらいたかったという気持ちを持っております。
#146
○吉田(之)委員 そんな気持ちはめったにないと思うのですけれども、いやしくも科学技術の最高責任者である長官が、いや総理とさえ話がついておれば私はどうでもいいのだというふうなことは夢にもあってはならないと思いますので、これは後日のためにとくとあなた自身もそして次の後継者にも申し送りをしておいていただきたい。
 そこで、私は結論から申しまして、こういう諸外国とどういう共同開発をしていくかあるいは提携をするかという問題あるいはそれはあくまでも排して自主開発オンリーでいくのかというような問題あるいはガス拡散法でいくのかあるいは遠心分離法でいくのか、その重要な決定、こういう問題はいずれの時期かにきめなければならないのですけれども、それはあくまでも慎重な討議を重ね、検討を重ねて、そしてほぼ結論らしきものが固まってきた段階において、そろそろ外交的な探りというものがあってもいい、今日は決してその時期ではなかったという点だけはっきりしておきたいと思いますと同時に、そういう正しい結論を導き出すために当面われわれは何をなさなければならないか、どういう点を特に検討しなければならないかという点につきまして幾つかの質問をいたしたいと思います。
 そこで、まず私はそのアメリカの濃縮ウラン事業というものがいまや限界に達しつつある、どうしてもこれではまかないきれない、こういうふうに認識をいたしております。そこでまず質問の一つは、現在アメリカの濃縮既存三工場はその稼働率が全容量の四〇%程度であると聞いております。これは理論的には一〇〇%まで稼働できるものなのかどうか、あるいは稼働できるとするならば、その見通しはいつごろなのかという問題、一つずつお聞きしていきましょう。
#147
○梅澤政府委員 ただいまの米国におきましてはガス拡散法で工場が三つございます。先生もおっしゃいましたように、その能力は分離作業量としては年間一万七千トンでございます。しかしそのとおり動いておりません。と申しますのは、まだ世界の需要量を満たす分に十分間があるわけでございます。したがいまして、その容量全部動かしてないということであります。しかし、これから先見てまいりますと、昭和五十五年には約四万トンぐらい分離作業量で需要が出てくると思います。それで、その三工場がマキシマムに動いたといたしまして二万六千トンでございます。したがいまして、五十五年ごろには新工場をつくらないと、世界全体には間に合わなくなるのではないかという予想は見られております。
#148
○吉田(之)委員 そうすると、その新工場と申しますか、第四工場ですね、これはどの程度の生産量を持つものでなければならないか。それから、どの程度の経費がかかると認識しておられるか。われわれの認識では、十億ドル程度だろうと聞いておりますけれども、その程度なのか、あるいはその間の需要の高まりなどを見て、さらにそのこと自身も修正されなければならないこともあり得るかという問題です。
#149
○梅澤政府委員 なかなかつまびらかにはわかりませんが、やはり新しい第四工場でございますが、これは少なくともいまの一工場が五千トン内外と聞いておりますけれども、それ以上のものになってくると思います。それから、現在の工場も中を少し直しますと、二割ぐらいの能力をあげるという考え方がとられております。それで、五十三年には三工場で二万六千トンまかなえるわけでございます。そのあと、四万トンという世界の需要から考えまして、新工場の大きさというのは、どの辺になりますか、ちょっとわかりませんが、少なくともいまのものよりも大きいものになってくると思います。
#150
○吉田(之)委員 そうすると、昭和五十五年ですね、五十五年ごろにはともかく第四工場というものができていなければ、アメリカをはじめ世界の需要はまかないきれないはずである、それから先はたちどころに困る。そういう情勢の中で、今日アメリカはいかに大国といえども、ベトナム戦争を続けておる現状の中で、非常に財政的に悩みのきざしを見せておる、あるいは国内世論としても何もアメリカ全部でそういうものをまかなわなくてもいいではないか。むしろ諸外国にも資金を出させるなり、あるいは協業でやるなり、いろいろと共同開発をするなり、そうしてやるべきではないかというふうな世論が盛り上がりつつあるかに聞いておりますけれども、原子力委員会としてはどういうふうに、あるいは局長としてはどういうふうにお考えですか。
#151
○梅澤政府委員 先般の十一月十六日にアメリカの原子力産業会議がございまして、そのときにジョンソンという原子力委員が説明しました中にございますのでは、やはり今後多数国でもって共同工場をやる場合を考えれば、その管理及び所有は共同になるけれども、適切なる安全保障の措置をとらなければならないということで、それを言っているところから見ますと、やはり外に工場をつくっていく、よその国につくっていくという考え方はほのめかされたようにとられております。
#152
○吉田(之)委員 そのことと、一九六九年の十一月にニクソン政権がアメリカの原子力委員会におきまして、将来は民間に移行すべきだと思うけれども、当面は国でやっていこうというような、どちらともとれるような、非常なわれわれにはちょっと判断しにくい表現がなされているように聞いておりますが、そこで、皆さん方はまずアメリカはいま申されたような情勢の中で、なおかつ国営でやっていくであろう確かな年限というものは、向こう何年間くらいだとお考えになりますか。
#153
○梅澤政府委員 はなはだむずかしい問題でございますが、去年からアメリカで民営論が出ました。しかし、それについてはその後の具体的措置はきまっておりません。
 それから、ニクソンに原子力委員会と国務省で進言した内容というものが、先生おっしゃいましたが、これが将来技術を外に出すことを検討すべきであると思うという進言でございます。これは、この前新聞に出ておりましたが、そういうかね合いから考えまして、わが国の場合はどうなるか、その点のところについては、まだ明らかなところはちょっと想像もつかないところでございます。
#154
○吉田(之)委員 実は、将来のことはだれしも的確に予言はできないと思いますけれども、しかし、こういう大きな国家的作業を進めていく場合には、やはりある程度この辺でこうなるだろうということを想定してかからないと、いつまでたっても濃縮ウランの技術というものはどこへ落ちつくかわからないということになってしまうと思うのです。私どもは、一九七〇年代の後半には、アメリカが国営から民営に移すことが大いに予想されるのではないか。そういう場合に日本と共同で開発していこうとする場合には、民営対民営ということになりますね。あるいは国営対国営となるのか、向こうが民営でこちらが国営でもいいのか、その辺のコンビネーションなどについては全然お考えになっていないかどうか。
#155
○梅澤政府委員 全く考えておりませんと申し上げたほうがほんとうでございます。と申しますのは、さっき原子力委員が申し上げましたように、今後の濃縮ウランに対処してどういくべきかという体制の懇談会をいまやっております。そういう関係の中身としていろいろ検討されるということになるだろうと思いますが、全くいま私たちのほうはそういう点についてははきっきりしたことはきまっておりません。
#156
○吉田(之)委員 それからいま一つの見方として、やがて世界では大量にプルトニウムが生産される時代に入ってくると思うのです。そうすると、いままでは濃縮ウランに対して非常に神経過敏な機密保持の問題が論議されてきたわけでございますけれども、いわゆる比較論において、あるいは相対としての機密から見てのウエートのかかり方から考えて、だんだん濃縮ウランに対する機密保持というものは、過去の時代よりは変わった形になってきはしないか。ということは、結局海外に技術を輸出するというふうなことが、数年前よりも少し安易な条件をかもし出してきはしないかというような感じがするのですけれども、その点の考察はされておりますか。
#157
○武藤説明員 確かに海外の情勢というのは非常に流動的で、最近特に激しく動いておりますので、いろいろ想像はできますけれども、こうだというふうに断定はできないというのが現実でございます。
#158
○吉田(之)委員 次に、アメリカの日本に対する供給方針についてちょっと気になる点を伺いたいのですけれども、いわゆる日米協定の附属書というものがあって、その中に取引の保障とか、あるいは供給保障などがかなり厳密に規定されているというふうにわれわれは承っております。たとえばウランを送ってやるからそのかわり日本のほうでつくる原子炉の年次計画とその内容をはっきりしなさいとかいうふうなことがたいへんきびしく条件づけられている。それはわかるといたしましても、この供給の協定というものがきわめて一寸きざみでやられている。第一回目は一九六七年にきめられて、一九七一年までの分がきめられておる。ことしは一九七〇年ですから、そろそろ次の分をきめなければならないということで、一九七三年までの分の取りきめをしておる。しかもこの一九七三年までの第二回目の取りきめなどは、現時点においてはまだ事務ベースでの話し合いにすぎない、こちらのほうの閣議、それから向こうのほうの国会の承認ですか、何かそういうものでオーソライズされないと、これはあくまでも事務的な話し合いの段階から一歩も出ないというふうなことを聞いております。非常に一寸きざみで、しがもこちらの意のままにならない供給のされ方でございますし、また、もう差し迫ってここ二、三年の分をきめなければならない重要な問題にしても、依然としてまだそういう事務的な権威のない段階のように聞いております。われわれ何だか気になる面があるわけなんですけれども、そういう点はいかがですか。
#159
○梅澤政府委員 日米協定の附属書は、基数と量がそれぞれにきまっているというのが、この付属書でございます。その範囲内だけが特別附属書でございます。それから、先生のおっしゃいました点は、協定の中に一部入っております。それで、量の問題でございますが、おっしゃるとおり、百五十四トン分につきましては、これは原子炉用でございまして、発電用でございますが、この百五十四トンについて七十一年までの十三基分というのが第一回目の附属書の表になっております。
 これで次の段階につきまして、先般三月にシーボーグが参りましたときに、その交渉を始めたわけでございます。そして、日本の言うようになるべくいたしますということで帰られまして、私たちが事務的に進めてきまして、あと昭和四十八年度一ぱい分の十三基分が今度増量になるということにきまりました。しかし、これは確かに初めの予定でございますと、十一月か十二月に政府で交換してはっきりさせるということになっておりましたのですが、向こうの事務的都合でもうちょっと待ってくれ、年が明けるかもしれないというのが現在の状況でございます。
 それから、その後の問題につきましては、一応アメリカとしては、日本に対してできるだけの協力をいたしますということは言っております。
 それから、七三年に打ち切られました点は、これはだんだん各国とも濃縮ウランが必要になってくるので、自分のほうも、出す燃料をみんな同じようにしたい、日本が七四年で、どこが七三年では困るので、何とか七三年にしてくれないか。私たちはできれば七四年までしてもらいたいという点を言いました。そういう点に食い違いがございましたが、私たちおりましたのは、世界みんな統一してやっていきたいという筋書きを持ってきましたので、一応七三年度ということで区切ったわけでございます。
#160
○吉田(之)委員 なるべく統一して、それからなるべく節を長く取りきめていくように、一そうの国家的なそういう推進が必要だと思うのです。
 そこで、大臣にお聞きしたいのですが、先ほどの中曽根さんの発言といい、あるいは、日本のたいへん遅々としているといったらしかられるかもしれないけれども、そういう自主開発の進みぐあいといい、そういう情勢の中で、核防条約の批准を一そう迫られるというような問題が、来年には非常に大きな政治課題になってきはしないかというふうに考えますけれども、この問題と核防条約との関連について長官はどのようにお考えになりますか。
#161
○西田国務大臣 核防条約の批准の問題は、御承知のとおり、IAEAの保障措置の問題の解決が前提になっておるわけでございますが、このウラン濃縮技術の開発と核防条約の批准の時期等については、直接の関係は私はないだろうと思うわけでございます。ただ、アメリカから濃縮ウランの供給を受けておりますから、その意味で、保障措置のIAEAとの関連はございますけれども、直接の関係はないものと思います。
#162
○吉田(之)委員 先ほど三木委員もお述べになりましたが、西ドイツの場合は、原子炉を輸出するということ、いわゆるギブ・アンド・テークというそういう条件の上に濃縮ウランの供給というものが非常に安定化されておるというふうにわれわれは認識しているわけなんです。同じようなことが、やはり日本の場合にもやがて近き将来相手側からいわれるのではないか。
 それからもう一つは、これは真偽のほどはわかりませんけれども、NATOで、西独の自衛力をふやしなさい、それと見返りにだんだん米軍の撤退をいたしましょう、そういう入れかわりの中で、これは直接関係あるかないかは別なんですけれども、そういう一つの背景の中で、ウランの供給についてもより確かなことを約束しましょう、こういう裏取引があるのではないかというささやきがあるのです。これはささやきですから、あるかないかはわかりません。しかし、こういう重要な燃料の根源である濃縮ウランの供給問題、アメリカから一方的に供給してもらう、こういう条件の中では、いま申しましたような防衛上の問題とかいろんな政治的諸元が付加してくるおそれもあるのではないか。まして一歩踏み出して共同開発していこう、あるいは、技術導入していこうというふうな場合には、なおそういう問題が予想されはしないか。その辺までやはり考えておかないと、ただ、足らぬからもらおうや、うちのピッチが進まぬから技術導入いいじゃないかというふうな、きわめて平面的な、一元的な問題だけでは処理できない要素がありはしないかと思うのですけれども、いかがですか。
#163
○西田国務大臣 西独の場合を例にお引きになりましたが、これとは事情はまた違うと思いますが、それはいろいろな要素が多元的にからんでくるということは、推察されないことはないと思います。そこで、日本もかなり炉の開発その他積極的にやっておりますが、このウラン濃縮技術だけではなくて、そういう面でも、たとえば新型転換炉でありますとか、高速増殖炉でありますとか、そういうものの開発にもひとつ大いに力を注いでまいりたいと考えております。日本も、受ける立場だけでなくて、やはりそういうような、これはひとりアメリカだけに限りませんけれども、その他の諸国とも、だいぶ日本に対して、そういう将来の日本の原子力開発に対してだんだん注目を引くようになりつつあるのじゃないかという気もいたします。そういう意味におきまして、私どもは、先生が御心配なさるようなそういう考え方も十分踏まえながら、ひとつ全般的な技術開発を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#164
○吉田(之)委員 今井参考人にお聞きいたしたいのですけれども、濃縮のコストですね、この辺も、そろそろ事業団としては検討しておられるのではないかと思うのですが、アメリカのコストというのは、二十六ドル・パー・キログラムSWUですか、そういうふうに聞いておりますけれども、これは非常に安い五%の金利で、しかも、償却は三十四年というべらぼうに長い償却で、しかも、五ミル・パー・キロワットアワーという、ニューディール政策に基づいてつくられたダムから引き入れた、そういう非常に低廉な電力を使う。しかも、軍事力というものが背景にあって、どこまで研究を援助しているのか杳としてわかりません。ともかく、そういう特別恵まれた中でのコストでございますね。しかも、この二十六ドル・パー・キログラムSWUという中には、三・五ドルの余裕さえあるというふうに聞いておりますが、そういうものと、これから日本で、完全自主であれあるいは協力であれ、つくられるであろうその濃縮ウランのコストとは、どの程度違って、それが将来のコマーシャルベースにどの程度影響するものか、この辺の検討もそろそろ進められているはずだと思うのです。同時に、ガス拡散法によるコストと遠心分離法によるコストとは、ヨーロッパの場合とアメリカの場合と比べてどの程度違うのか。われわれは、日本のような小さい国では、遠心分離法のほうが非常に工場が小さくて済むんだ、結局、これが適しているのではないか、また、遠心分離法のほうがコストは安くつくんだというふうについ聞きもし、そう思いたく思っているわけなんですけれども、最近、いろいろ聞きますと、それは全くの俗説にすぎない。一体どちらが高いか安いか何ともいえないというふうなことも聞きます。その辺のところちょっと御説明願いたいと思います。
#165
○今井参考人 ただいまの御質問に正確にお答え申し上げることはとうていできないと思います。なぜかならば、私どもがただいま与えられておる課題は、四十七年を期して技術的にできるかできぬかをきめるようにつとめろということでございます。しかしながら傾向と申しますか、所々方々の考え方というようなところから申しますならば、いま先生御指摘のとおり、電力を食わぬ、またその電力はべらぼうに安くなければならぬというようなガス拡散法との比較においてならば、電力が相当節約になるということだけは実証できておると思います。
 それからもう一つ他の点で御指摘に相なりました大きくても小さくてもフレキシビリティーがあるということは、これは今日でもフランスやイギリス、これは両者対立いたしておりまして、フランスは濃縮をこのまま続けよう、ガス拡散をこのまま続けようという態度でありまするし、イギリス、オランダ、ドイツは遠心分離機の開発でいこう、こういうわけでフォーラトムあたりでこれの論戦をいたしておりまするが、いずれにいたしましても、そのフレキシビリティーがあるかということは非常にはっきりいたしております。それからコストの面で遠心分離機という方法のコストの一番大きなものはもちろん電力ではなくて遠心分離機械のコストの償却でございます。これがほとんど半分を占めるというようなことに相なりまして、うわさによれば一台の遠心分離機というのは非常に安いというようなイギリス側のうわさもございます。私どもはただいま努力いたしております段階は、機械が安くなるということもございますけれども、もう一方におきましては、遠心分離機の効率というのはやはり回るスピードの四乗に比例するんだという理論的根拠がございますので、これをうんと上げることによって機械の台数を減らすということもまたほとんど匹敵するだけの効果があると考えております。それゆえ直接の答えにならなくて恐縮でございますが、私どもの当面の目標といたしましてはあくまで性能の高いものを、少し欲ばっておりますが開発してかかるということでございます。コストに直接お答えになっておりませんけれども、まあコストに関連した両方法の比較という意味でお聞きとり願いたいと思います。
#166
○吉田(之)委員 性能の高いものというのは、結局ガス拡散と遠心分離とどちらのほうが性能が高いか。これも非常にむずかしいでしょうけれども、そういうことですか。
#167
○今井参考人 説明が悪かったと思います。同じ遠心分離機の中におきまして、スピードが早く回ればずっと台数が少なくて安くなると申し上げました。その意味でございまして、しからば現状は一体どんなことをやっておるんだということを簡単に申し上げますると、実は今年になりましてほんとうはかなりの進歩はしたと思っておるんでございます。しかしながらこれでどのくらいのということを数字で申し上げるのははなはだ困難でございますが、たとえば、天然ウランは〇・七%のU二三五が入っておるわけでございますが、これをただ一度だけたった一つの機械に一段だけ通しまして、六・七四%ぐらいに上がります。これはガス拡散で申しますと、あるいは積み重ねをやりまして、段数をふやしましてだんだんに濃縮していくんでございますが、それのガス拡散の段数に比べまして申しますると、おおよそ十六段に相当いたします。しかしこれは私どもがいま持っておりまする遠心分離機がりっぱだという証拠ではなくて、これは遠心分離機の特性でございます。そういう意味におきまして、一台は使っても性能の高いものをつくって数を少なくして、そして全体としてコストを安くするというのが一つの方法だと思っております。
#168
○吉田(之)委員 この間動燃のほうへ参りまして、その遠心分離機の原型みたいなものも、あるいは研究しておる現状も見せていただきました。われわれよくわかりませんけれども、何か三十六階のビルをつくるのに昔の大工さんの道具箱をのぞいたような感じでございまして、七二年にチェック・アンド・レビューをする、そしてチェック・アンド・レビューが的確にできれば次の方針をきめよ、こういうふうに原子力委員会はきまっておるはずでございますね。その辺に間に合うのかどうかという質問です。
  〔委員長退席、近江委員長代理着席〕
#169
○今井参考人 ただいま私どもの動かしておりますものは第三号機と申しております。これでもってようやくことしになりましてほんとうにウランをかけて、そしてまた数百時間の連続運転ができるから、だからこれで遠心分離機というのはやはり動いていく可能性はあるんだなという一つの列であります。その列は言ってみればわれわれが予備、準備的研究を数年やりまして、その結果に基づきましてやってきた一列の考え方でありまして、今年になりまして新たにそれについて別途の考え方を加えてやらなければならぬ。それは一つには将来遠心分離法というものがものになった暁には、キャパシティーによるわけでありますけれども、少なくとも何十万台という数が要るようなことになりますので、必然的に工業生産ということと密着しております。またそれのみならずこの種の機械に関する日本の技術レベルを完全に利用さしてもらわなければいかぬというふうな観点から民間各社に協力を求めまして、それで若干の新しいアイデアももらいました。このもらいましたものにつきましていま部分的の試作をいたし、来年度の予算におきましてはこれはものにしてテストをしてみたいと思います。これはおそらく私どもが自力でもって今日やってきて、先般お目にかけたというものよりはかなり進歩するだろうと思っております。さようなことがあるといたしましても、四十七年度末までに技術的の御判定をいただくようなデータを出すことは容易ではないと思っておるのであります。しかしながらこれは与えられた課題でございまして、今後ますます努力してその目的だけは達成したいと思っております。
#170
○吉田(之)委員 長官、いろいろ日だけ近づいてくるわけなんですけれども、いまお聞きのような状態でございます。私どもはやはりここでもっと積極的にやはり金をぶち込むべきではないか。よしんばそれは捨て金になっても、これは国の科学技術振興のためにはいたし万ない一度通らなければならない道程だと思います。そういう決断がいよいよ必要だと思います。
 それからもう一つはマンパワーというんですか、人間の、技術者のほうの不足がやはりおおいがたいものがあるように思うのです。いまお話がありましたけれども、この辺をよほどせかないと自主開発やるんだやるんだというかけ声だけに終わってしまいます。アメリカとの技術導入は、いま中曽根さんよけいなことを言うなということで、これもなかなかそう簡単にコンセンサスができるものではないと思います。結局たなにも上げずネコにもやらずというような昔のたとえがありますけれども、わけのわからないままで日にちだけがたっていって、しかも核燃料の不足はいよいよどうにもならぬ事態になる。私どもはこの辺の政府の決断が特に来年度予算を前にして本気で考えられなければならないのではないかという感じがいたしますが、いかがでしょうか。
#171
○西田国務大臣 まさに御指摘のとおりでございます。そこでこの目標の四十七年度までに評価可能な程度のところまでこぎつけるためには、どういうところにその開発上問題点が存在するかというようなことも掘り下げて検討する必要があると思います。いま今井理事からいろいろお話がありましたが、私も具体的に話を聞いてみますと、一例を申しますとこの遠心分離の場合でも使う材料の開発ということからやらなければならぬ。りっぱな材料さえ開発できれば、またこの回転の速度も上がるというようなことで、非常にこの可能性が高まってくるというような話もございました。そういう面にもやはりひとつ力を注いでやらなければならぬのじゃないかというふうに考えます。問題点はいろいろあると思います。人の問題もございましょう。そこで実は私もさっきも申しましたように、目標に到達するために現在考えておる予算要求ではなお不足はありはせぬかというようなことを考えまして、もしどうしてもそのために不十分なものがあるならば、さらにひとつ追いかけて何か考えていってはどうだろうかというふうにも、実は私のほうからもそんなことを積極的に関係者に話しをいたしまして、そして可能なる限り積極的な姿勢で取り組んでまいりたいと思っておるのでございまして、いま要求しておるものを何とか満ぱいで確保できるならばどうにか目標に到達できるのじゃないかというような関係者の話でございますから、いま要求しておるものを一〇〇%確保するようなことに全力をあげたい、こう思っておるわけでございます。また原子力産業会議なんかからも鞭撻的な要請を受けておりますが、私の気持ちといたしましては、あとうならば民間もそういう方面にひとつ力をかしてもらいたい。金の面なりその他の面におきまして、そういうこともできるだけ、私も一ぺん話し合ってみたいというような気持ちを持っております。全力をあげて目標に到達するようにひとつ努力したいといういま決心でおります。
  〔近江委員長代理退席、委員長着席〕
#172
○三木(喜)委員 関連ですから簡単に言いたいと思いますが、中曽根発言に対しまして、結局技術導入するということについては、最近あなたも、産業界も了解されたという話を聞くわけなんですね。これは新聞にも出ておったように思うのです。そうすると、全力をあげて自主開発に努力するということが非常にぼやけてくる、そういうことはないのですか。
#173
○西田国務大臣 私はそういう考えをきめたこともございませんし、産業界からそういう具体的な要請を受けておらないはずでございます。
#174
○三木(喜)委員 それなんですね。また私の質問のときにその事実を一ぺん出してみて聞きたいと思いますが、いまのままならばおっしゃったことはそれでいいんですよ。自主開発に力を入れる、それではっきりと裏づけになりますから。
#175
○西田国務大臣 むしろ産業会議は自主開発に力を入れろ、こういう鞭撻を受けておると私は心得ておるわけでございます。したがって、産業界にもできるなら力をかすくらいの気持ちを持ってもらいたいというのが私の希望でございます。
#176
○吉田(之)委員 そこで、いろいろ聞いてまいりまして、原子力委員会の方も動燃の方もあるいはまた長官はじめ科学技術庁の方々も非常に意気込みやことばはいいんですね。しかし、聞いてみた、そして答弁を得た研究の進みぐあいの実態からいうと、まことにお寒いものがあるのです。だからいかに力んで言われても、われわれには非常に空虚な響きしか与えないのです。民間の協力も得たいし、話し合ってみたい。おそ過ぎるのですよ、正しいと思えばもうどんどん現にやっておられなければならない。その辺何か、言いたくはありませんけれども、お役所仕事的な、そのうちに何とか時期が来れば解決するわいというふうな感じがもしもどこかにあるとするならば、これはもう国費の乱費もはなはだしい問題になってくると思います。いまのような状態ならば、遠心分離だ、いやガス拡散だとかいろいろ論議はされますし、まじめに研究はしておられますけれども、とてもなかなかチェック・アンド・レビューが正確にできるところまでは達してこない。そのうちにすでに先を見通して、燃料が現に足りなくなるのですから、そういう能力がアメリカでも足りなくなってくるのですから、これはどうにもならぬじゃないか。日本の総合エネルギー対策の面からも早くアメリカの技術を導入しよう、よかれあしかれ導入せざるを得ないじゃないか、そしていつの間にか日本はアメリカの技術を学ぶだけの、そして資本を出すだけの、資金を出すだけの状態になり下がってしまうか・あるいはその中で細々とこちらも研究をサイドで続けて、そしていつの間にか遠き将来においては日本の濃縮ウランの製造法はアメリカ式のガス拡散法になってしまう。そういう既成事実がなしくずしにつくられてしまいはしないかという心配がしてならないのです。むしろたいへん皮肉な、そしてわれわれの不愉快な感じですけれども、中曽根さんのアメリカにおける発言というものは、そういう意味では十分先を見通しての発言じゃないかというふうな感じさえするわけなのです。これはわれわれだけではなしにすべてがそう感じると思います。たまたまそういう発言があったわけですね。これはよほど長官しっかりしてもらわなければとんでもないことになります。いかがですか。
#177
○西田国務大臣 先生が御指摘になるような懸念がないとは私は断言できません。そういう懸念があればこそわれわれは積極的な姿勢で取り組まなければならぬというような気持ちでいるわけでございます。こまかい技術上のことにつきましては私もしろうとでございますからよくわかりませんけれども、技術者、研究者を鞭撻し、またその研究に十分なものを与えて、そしてひとついまの御懸念のないようにいたしたいというのが私の心持ちでございますが、先ほど民間の協力を求めるならもっと早く手を打てと、いままでも何回もそういうあれをしているようでございますけれども、原子力全体についてということでかなりの協力を受けているのでありますが、私は最近の原子力会議からの、特にウラン濃縮について強い要請がございますから、それを受けてさらに私ども積極的にやりますけれども、できるなら民間の力も借りたいということをあれを受けて特に感じを強くしておるということを申したわけでございます。
#178
○吉田(之)委員 私は先ほどからいろいろ質問をいたしました。しかしその質問はあらゆるアメリカの内部事情からいっても、日本の事情からいっても、世界の事情からいっても、技術導入しなければならないようになる条件というものは残念ながら刻々高まってきているようにも思えますよということを私は長官に御指摘しているつもりなのです。しかもそういう状態の中で断固として自主開発でいくのだ、柱はあくまでも自主開発でいくのだ。われわれはその旗を断じておろさない。ともかくいまのところはおろさないのだということは、これは非常に勇気壮たるものがありますけれども、これはたいへんな覚悟です。相当な体制を組まないと、結局は口ではそう書っていたけれども何もできなくてなしくずしに導入してしまったじゃないかというようなことで、わが国の科学技術の将来のためにも非常な権威をそこねることになると考えます。そういう点はくどいようでございますけれども、ひとつ長官は肝に銘じていただきたい。できるならば民間の協力を得たい、そんなことではだめです。民間の協力をいまにして得られなければこれはできませんというぐらいのことを言い切らなければ一体どうなるのですか。答えのない、進路のない船にいつまでもただ乗っているというふうな感じがいたします。
 それからいま一つ、ぼくはドイツの場合に、イギリスとドイツとオランダの三国で三国遠心分離濃縮プラントというものをつくろうということで合意が成立した、一九六九年末、というふうに承っておりますが、この三国の場合も一番主体になってその技術をになっていくであろうドイツは、しかしその濃縮工場はドイツに置かないということをいっているそうですね。そしてそれをオランダに置くはずです。どうしてドイツがオランダにプラントを持っていこうとするのか、それは単なる譲歩ではなしに、円満のための条件ではなしに、やはり隣にあるソ連に対するいろいろな意味での配慮、気の使い方というものが十分ににじみ出ているんだというふうに聞いております。確かに科学技術の振興、そして重要な濃縮技術、しかしそれは軍事利用されるかもしれない危険性を確かに持っております。そうさせないためのあかしというものをドイツなんかの場合には細心なほどに払っているように私は見かけます。日本の場合も置かれている条件は全く同様でありまして、あるいはもっときびしい目があるかもしれません。そういう中でたまたま防衛庁長官が技術導入しようじゃないかといって探ってきたのかあるいはゆさぶってきたのか、どんな深い取引をしてきたのかわれわれは知るよしもありませんけれども、実に危険なことだと思います。これは防衛庁長官がおられませんから本人にどうも言いようもございませんけれども、科学技術庁長官としても、国家の安全上からもこの辺は大いに閣議で猛省を促していただきたい。そういうことをしないと、あらぬ誤解を受け、平和産業に資すべき科学技術の振興そのもの自身が政治的にもスポイルされてしまうというふうになる心配がございますので、特に最後にそのことを申し上げ、かつできるならば長官の御意思というものを承って、この濃縮ウランに関する質問を終わらしていただきまして、あと一点、本日の濃縮とは少し議題が違うのですけれども、ほかの質問をさせていただきたいと思います。
#179
○西田国務大臣 先生の御注意は十分肝に銘じて伺ったつもりでございます。先生の御懸念の結果に終わらないように、最善を尽くしたいと存じます。
 それから中曽根発言に関していま御注意をいただきましたが、これにつきましても十分善処してまいりたいと考えております。ことに私、実は先ほども申し上げましたが、総理とか外務省までも具体的な相談をかりになさっておるとするならば、私としてははなはだどうも納得しかねる問題でございますので、ひとつ十分に善処いたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#180
○渡部委員長 引き続き、海洋開発に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。吉田之久君。
#181
○吉田(之)委員 実は海洋開発の問題につきまして、特に最近科学技術庁は横須賀市長あてに、追浜の海岸にある米軍使用基地が近く返還される、そういうことで、かっこうの場所であるからここに海洋科学技術センターを置こうということで、その土地の払い下げを要請しておられるということを承っております。あの辺の場所に海洋科学技術センターが置かれるということは、海洋開発を進めているわが国として非常に重要な意義のあることだと私は思います。ただ、御承知のとおり終戦直後旧軍港市転換法という議員立法による法律があるはずでございまして、この種の施設が軍あるいはアメリカから返還される場合には優先的に平和産業に貸与される、ないしは譲渡されるべきであるというふうに書かれているはずでございます。実は特にこの区域が開放される、返還される時期を心待ちに待っている民間企業、そして重要な平和産業というものが幾つかございます。たとえば日産の自動車の工場があったり、あるいは住友重機械工業がその横にありまして、それぞれが港がなければどうにもならないという重要な産業であります。これらの現に隣接する産業、そしてかねてからこの海岸を非常に利用することを待っておったそういう産業と、科学技術庁の置こうとする施設とが解除をめぐって競合して、場所を自分のものにしようと市長に対して殺到するということになってまいりますと、いろいろな問題が生ずると思うのです。まして国の土地であるから、それは政府の機関が優先するんだというふうな考え方はないと思いますけれども、もしもそういうことがあれば、いろいろと地域における行政上の支障を来たすこと火を見るより一明らかでございます。またその想定される面積とこちらのセンターが必要とする所要面積、そういうものとのかね合い、他の企業との調和ある共存、そういうものができるのかどうかというようなことにつきましてたいへん地元でも心配をしておるようでございますから、この機会に伺っておきたい。
#182
○西田国務大臣 詳細は局長から答弁させますが、海洋開発を進めてまいります上にどうしてもいろいろな機器等をつくっておりますけれども、これを一カ所にまとめて総合的に海洋開発の推進に役立たせたい、人材養成にも使いたいという意味で、センターの設置を構想しているわけでございます。場所につきましては御指摘のとおり返還されますところの追浜の土地を考えております。これにつきましては民間からもあそこを使いたいという要望のあることも承知をいたしておりますが、全体で大体九万坪くらいございまして、私どもが希望しておりますのは、そのうちの二万坪程度、あるいはもう少し少なくて済むかもしれませんが、多くて二万坪程度でございます。そこでこれは国有地でございましても横須賀市の御意見というものは尊重されなければならない立場でございますので、横須賀市に対しましてもいろいろお願いをいたしておるところでございまして、われわれの目的、趣旨に御理解をちょうだいしつつ進行しておるように承知しておるものでございますが、これにはもちろん民間とのそういう関係も十分配慮されてのことだというように思っております。
#183
○石川政府委員 ただいまの長官の答弁に補足させていただきます。
 この経緯を少し述べさせていただきますと、御承知のようにわが国の海洋開発はようやく初期の段階でございまして、今後わが国の海洋開発をいたしまして力を入れるべきことといたしましては、基礎的なものがあるわけでございます。その基礎的な海洋開発というものにつきましてかねがね科学技術庁においても検討を進めていたわけでございますが、やはりこれを一つのセンター的な構想をもって基礎研究の開発を行なわなければいけないということは考えております。たまたま民間の側におきましても同じような要望が出てまいりまして、そこで政府と民間とその内容につきまして検討いたしました結果、やはり民間も十分使えるようなセンターをつくりたいという構想ができ上がったわけでございます。これがただいま御説明申し上げました海洋科学技術センターでございまして、この中におきましては、共用設備あるいは人材の養成というようなものは当面の目的として推進いたしまして、今後さらに海洋開発の中心的な存在としたいということを考えております。したがいまして、このセンターの設立も民間団体として出発するわけでございまして、ただ政府との協力体制ということで政府からも応分の出資をいたしましてこれを助成していきたいというふうに考えております。そういうような観点で場所をさがしましたところ、ただいま長官から御説明ございましたようにその追浜の地域、そこがちょうど返還されるという時期でもございましたので、われわれ検討いたしました結果、最適の地であるということで横須賀市にお願い申しているわけでございます。この点につきましては別に政府であるからということではなくて、この施設全体が民間も共用するということで、ほかの民間産業と同等なことで横須賀市のほうでも検討を進めていただけるということで、われわれとしましては十分その内容を現在横須賀市に説明している段階でございます。いままでの経過におきましては、横須賀市の側におきましてもわれわれの計画の内容を十分理解してくださいまして、そうして今後横須賀市で軍転審議会にかけるときの一つの重要な内容として取り計らっていただけるというふうに聞いております。
#184
○吉田(之)委員 特に最近入ってまいります情報では他の場所でも接収解除されるアメリカの基地が幾つか予想されるようでございます。したがってこの場合、きわめて円満に、先ほど局長がお話しになりましたように、他の民間の企業とも仲よく活用できて、その土地の払い下げを円満に受けるということならば非常に申し分はないのですけれども、広くとも将来また手狭になってくる、結局はいつの間にかその中でみんながひしめき合っている、かつ十分な機能をそれぞれが果たすことができないというふうなことになればたいへん残念なことでございますので、そういう点他に想定される用地なども十分考慮に入れて、だれがどこに入るということは別でございますけれども、ひとつきわめて円満にかつ友好的に話が進みますように、特に政府のお声がかりの機関であることだけは事実でございます。他にいやな印象を与えないように最大の配慮をしていただきたいということを特にお願いいたしておきまして、私の質問を終わります。
#185
○渡部委員長 次に、閉会中審査の申し出に関する件についておはかりいたします。
 本委員会は、閉会中もなお、科学技術振興対策に関する件について調査を行なうため、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#186
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。本日は、これにて散会いたします。
  午後一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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