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1970/12/07 第64回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第064回国会 農林水産委員会 第2号
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1970/12/07 第64回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第064回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第064回国会 農林水産委員会 第2号
昭和四十五年十二月七日(月曜日)
    午前十時五十分開議
 出席委員
   委員長 草野一郎平君
   理事 安倍晋太郎君 理事 小沢 辰男君
  理事 三ツ林弥太郎君 理事 芳賀  貢君
   理事 斎藤  実君 理事 小平  忠君
      亀岡 高夫君    熊谷 義雄君
      小山 長規君    齋藤 邦吉君
      澁谷 直藏君    瀬戸山三男君
      田澤 吉郎君    中尾 栄一君
      渡辺  肇君    角屋堅次郎君
      田中 恒利君    千葉 七郎君
      松沢 俊昭君    瀬野栄次郎君
      鶴岡  洋君    合沢  栄君
      小宮 武喜君    津川 武一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
 出席政府委員
        農林大臣官房技
        術審議官    加賀山國雄君
        農林省農政局長 中野 和仁君
        林野庁長官   松本 守雄君
        水産庁長官   大和田啓気君
 委員外の出席者
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 小島 康平君
        農林水産技術会
        議事務局研究参
        事官      川井 一之君
        農林水産委員会
        調査室長   松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第二〇号)
     ――――◇―――――
#2
○草野委員長 これより会議を開きます。
 農薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
#3
○田中(恒)委員 私は連合審査会におきましても、農薬の問題で大臣に御質問をいたしましたが、十分に議論が煮詰まっておりませんので、重ねて細部的な問題を含めまして御質問いたしたいと思います。
 まず最初に、日本の農業の発展の中で農薬の果たした役割りはきわめて大きいものがあることは申すまでもありません。今日まで農薬につきましては、主としてその効果性の問題あるいは経済性の問題等が加わっておったわけでありますが、公害問題がこれほど深刻化いたしまして大きな社会問題化いたしました今日におきましては、日本農業の生産力を高めていくという農薬の持つ課題と同時に、公害をいかに防止するかという観点に立っての農薬の存在、こういう性格が新しく出てきたわけであります。この二つの矛盾とでもいうべきような問題をはらむ中で、大臣は農薬の問題についての農林行政上、今後どのような位置づけでこの問題を取り扱われようとするのか、まずその点を最初にお尋ねをしておきたいと思います。
#4
○倉石国務大臣 農業の方面だけではございませんで、わが国が農業あるいは工業、そういう方面で生産力を上げることについて非常な努力を続けてまいりまして、今日の生産状況になってまいりました。その間、私ども国民が公害というふうなことについて、いまほどの注意と認識を持つに至らなかったことは御存じのとおりでありますが、いまや私どもは経済的に一流の国になってまいりまして、やや気持ちの上でゆとりが出てきて振り返ってみますと、あらゆる方面にいわゆる公害というような問題が深刻になってきておるわけであります。しかし、私どもが生産を上げてまいりますというその目的が、人間の福祉に最終的にはつながるわけでありますので、われわれといたしましては、あらゆる面において、まずわれわれの生産に対して注意すべきことは、人類の公害をどのようにして除去しながら生産を続けていくことができるかということであろうかと思います。そういう意味で、比較的私どもの中にも、日本人の中にも注意力がやや散漫でありました問題について、これはいけないということで真剣に取り組むことになりましたことは、これは私どもにとっても御同慶の至りだと思いますが、そこでまず私どもといたしましては、生産も大事であるが、私ども人体に害のないような、したがって農作物を通じてまたわれわれ人体に害のあることのないように、まずそういうことをつとめながらひとつ生産を上げていかなければならない、このように考えているわけであります。
#5
○田中(恒)委員 いまの御答弁と関連しながら、なお問題を煮詰めていきたいと思いますが、農薬取締法の第一条に新しく目的を設定をせられたわけでありますが、その条文によりますと、「この法律は、農薬について登録の制度を設け、販売及び使用の規制等を行なうことにより、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保を図り、もって農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与する」、こういう条項が新しくつけ加えられたわけでありますが、この条項がつけ加えられるまでの過程におきまして、農林省が私どもに対して御説明があった段階におきましては、農業生産の安定という条項の前に、農業生産力の維持増強ということばがあったわけであります、この農業生産力の維持増強ということばが農業生産の安定という形に変わってまいりました根拠とその経過について、御説明をいただきたいと思います。
#6
○中野政府委員 御指摘のように、われわれ原案を考えました際には、おことばのように国民生活の保護と生活環境の保全と並べまして、農業生産力の維持増進ということばを使っておりました。といいますのは、ただいままで農薬取締法は、御承知のように法律に目的は書いてございませんが、主たるねらいがまきに農業生産力の維持増進であったわけでございます。したがいまして、われわれ素案をつくりました際には、そういう気持ちを出したわけでございますが、その後いろいろ公害防止を中心に論議の結果、やはり国民生活の保護、生活環境の保全と維持増進との関連をいろいろ考えてみますと、この際はやはり農薬というものの役割りは、農薬によりまして国民の生活を犠牲にしてまでどんどん増進するというような趣旨が出てはいけないという反省から、ただいま御提案申し上げておりますように「農業生産の安定」ということばに変えたわけでございます。
#7
○田中(恒)委員 そういたしますと、農薬というものがだんだん発展をして農業の生産力をふやしていくという観点と公害防止という観点とは全く矛盾をしていくと、そういうお立場をとられておるのか。今後公害の問題は何といっても一番大きな問題でありますから、これはもちろん最優先に取り扱うべきは当然でありますが、農薬の新規開発等をめぐって農業の生産力をふやしていくという問題は、農業の生産力をふやすことによって国民の食糧を確保し国民生活を安定していくという形につながるわけでありますので、何も私は矛盾しないと思うわけであります。ところが、農業生産力の維持増強というものを消すということによって、これからの農薬というものに対しては何でもかんでも規制をしていくのだ、こういう形になると困ると思うわけでありますが、この関連性はどういうふうに理解をしたらよろしいか、なお重ねてお尋ねをしておきたいと思います。
#8
○中野政府委員 ただいまお話しのように、農林省といたしましては、国民の生活保護あるいは生活環境の保全は大事だということを思っております。しかし反面、零細な農家を中心にした日本農業での農業生産ということは、国民に安定的な食糧を供給するという役割りを十分持っておりますから、やはりその間の調整といいましょうか、連絡ということをとりながらやっていかなければならないということをわれわれ考えておるわけでございます。しかし、そうかといいまして、非常に毒性の強い、あるいは残留性の強いものを、国民生活に影響を与えるのも承知でどんどんやっていくということは、これはとるべきじゃなかろうということで、一面におきましては、低毒性農薬の開発ということを進めていくというような考え方でもって進めていきたいということを考えておるわけでございます。
#9
○田中(恒)委員 大臣になおお尋ねをしておきたいと思いますが、農業生産力をふやしていくということは、私は農業政策の基本だと思いますし、農薬取締法にいたしましても、その問題が非常に多く後退するというような印象はやっぱり避けるべきだと思うのです。各省間の調整の中でいろいろ問題があったというふうに聞いておるわけでありますけれども、やはり今後農薬の取り扱いについては、ひとつ明確に農林省としての姿勢を堅持していただきますことを要請をいたしておくわけですが、大臣の決意をお聞かせいただきたい。
#10
○倉石国務大臣 農業生産をわれわれは維持増大していくのでなければ、全体として国民の経済を維持してまいるに、また農業を維持してまいるのに困るわけでありまして、そこで、さりとて、先ほど来お話のございましたように、公害という問題についてはこれを優先的に考慮してまいらなければならない、その間の調和をどうするかということでありますが、いま田中さんお話しのございましたように、私どもは公害除去のためにはあらゆる施策を講じなければなりませんけれども、そういうことをしながらもやはり農業の維持増大については全力をあげてやってまいるということでございますから、その間に少しも矛盾をわれわれは感じないわけであります。
#11
○田中(恒)委員 今度の国会は公害国会といわれておりまして、公害に関連した関連立法が出されておるわけでありますが、公害対策の基本となるものは、まず第一に予防をするということ、さらに排除をしていくということ、さらに公害に対する救済をどうしていくか、こういうものが柱になろうかと思うわけでありますが、今国会、特に連合審査会等を通して明らかになりましたように、公害の責任をどこにしていくかということについては、公害罪なり無過失責任賠償なりの問題をめぐってたいへんぼやかされておる。責任の所在を明確にしないということが今日までの段階で明らかになっておるわけでありますけれども、農薬取締法の改正におきましても、もし農薬によって被害が起きた場合の責任の所在、救済は一体どこがどういうふうにしていくのか、この点が本法の改正を通しまして非常にはっきりしていないと思うわけであります。
 そこで私は、これに関連をいたしまして、若干のお尋ねをしておきたいと思いますが、農林省が定めました農薬の安全使用基準によりまして、農民が農薬をそのまま正しく、完全に使用した。ところが、現実にはつくられました農産物の中から、厚生省がきめております残留許容量をオーバーするものが出てくる、こういう事態が御承知のようにドリン剤等における野菜、こういうものに今日現象としてあらわれておるわけでありますが、こういったような場合に、一体だれに責任を持っていくのか。この問題につきまして明らかにしておく必要があると思うわけであります。野菜等の廃棄、回収、こういう問題を通しましていろいろな問題が出てくるわけでありますが、法律的に責任の所在というものは明らかになっておるわけでございますけれども、それぞれの関係機関において、これらの問題についてはどういう取り扱いを今日までしてき、この法改正を通して農林省はどういうようにお考えになっておるか、あらためてお聞きをいたしておきます。
#12
○中野政府委員 ただいまのお話でございますが、いまのを具体的に申し上げますと、土壌にドリン系の農薬が残留いたしまして、その結果、そのまきましたあと植えましたキュウリ等のウリ類、あるいはジャガイモについて厚生省の許容量をこえたというのが若干西日本のほうに出たわけでございますが、この問題につきましてはわれわれいろいろ調査をしたわけでございますが、はたして使用方法が守られていたかどうかという問題もありますし、それから使い方自身にどういう使い方をしたかというような問題もあるいはあろうかと思います。しかしそのことはちょっと別にいたしまして、許容量をこえたといった場合の責任が一体どこにあるかということになりました場合に、厚生省の衛生研究所のほうで検査をいたしまして、それがたとえばキュウリでありますとたしか〇・〇二PPMだったと思いますが、それをこえたものが出てきたということになっておるわけでございますが、そのためにその地方の出荷団体といたしましてはその地方の名声、評価を下げるといいましょうか、価格が下がるということから、そのあと続くものを一時出荷を停止したということになっておるわけでございます。これは自主的に、あぶないものを市場に出して値を下げるのはいけないということで、出荷をとめたというのが実態でございます。そこで農林省といたしましても、もちろんそういうことがあってはなりませんから、たびたび通達等を出しまして、ドリン系農薬のあとにはこういうものを植えるなという通達を出しておりますけれども、残念ながらそういう事態が起こったということであります。
 この問題につきまして、それでは国のほうでそういう経済的な損失を受けた者の責任を持つのかということになりますと、法的には国には責任はないのではないかというふうにわれわれ考えております。しかしながら、そういう経済的な損失を受けました地方の農家にかなり経済的に問題があるということになりますれば、あるいはつなぎ資金の融資のあっせんとか、または極端な被害を受けた場合には自作農維持資金の融通ということは考えなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#13
○田中(恒)委員 国に責任がないということでありますが、一体どこに責任があるのか。国として責任がないということで逃げてそれだけで済むことなのか。BHC等の問題にも見られましたけれども、今度の法改正によりまして、いままで登録をされておった農薬についての取り消しということが、いろいろな条件が加わってますます大きくなる、こういう可能性が開かれてきておるわけでありますけれども、こういう場合におきましてもすでに販売をされておるわけでありますから、その販売物の流通段階から在庫段階まで全部回収をしなければいけません、農家が手持ちになっておるものまで引き揚げなければなりません、こういう問題が出てきた場合に政府が、農林省のほうでこれでよろしい、こういうふうに言っておったもので結果的にそういうことが出たわけであります。そういう場合の責任というものは法律的にメーカーなんだということだけで済まされるのかどうか、行政上の責任というものを一体どういうふうにお考えになっておるのか、この点を大臣から直接お聞きをいたしたいと思うのです。
#14
○倉石国務大臣 これはいろいろな考え方があるかもしれませんけれども、いま質疑応答のございましたように、農薬がメーカーから使用者に渡って、その使用者がそれを使用した。初めのうちは何年か前はそういうものについてはたして強力な毒性があるかどうかというふうなことについて一般にもあまり注意がなかったものがたくさんございます。そういうことで登録制度がありまして、その登録によってメーカーも販売をいたし、使用者もそれを使っておった。ところが最近になりまして、そういうある一種の農薬が毒性があるということでこれが禁止をされるというような事例についていまお話があったことだろうと思いますが、私どもとしても、その個々のケースによっていろいろ事情は違うかもしれませんが、そもそもメーカーが農薬を製造して使用者に販売いたしますにつけて、それぞれメーカーには化学的な専門家も雇ってあるのでありましょうし、そういうものがはたしてどの程度の毒性があるかということについても十分研究する義務があるわけでありますから、そういうことで当時の農薬取締法でこれを政府が登録をして販売を認めておった。それが後に至って毒性が発見されて販売を禁止するというふうな結果になる例が御指摘ように多いわけでありまして、そういう場合の責任がどこにあるか、これはやはり私どもといたしましては、後になって毒性がこれは適当でないという指定を受けて販売を禁止されるということにつきましては、その責任はやはりメーカーに負うていただくよりしかたがないのじゃないか、こういうふうに一応理解をしておるわけでございます。
#15
○田中(恒)委員 大臣、そこのところはよくわかるのですよ。法律的にもいろいろやっても、どうもやはりメーカーに責任がある、こういう法律学者の意見に一致しておるようですけれども、しかし、少なくとも農林省が農薬については相当厳密な試験研究機関――あとでいろいろ質問いたしますけれども、農林省直轄の試験場で試験をさして、これでよろしいということを最終的に農薬検査所で認められて、大臣がこれを許可せられておるわけです。ところが、それが現実にはやはり誤っておったというか、被害があって出てきたわけであります。法律上の責任はどうもやはり製造メーカーに落ちつかざるを得ないということはわかるわけですけれども、行政的にそういう仕組みの中で取り組まれたものに対して、行政責任はないのかあるのか、あるいはそういう問題については、大臣としては一体どういうふうに――おたくで認められたものについて出てきておるわけでありますから、お考えになるのか、その点をお聞きをしておるわけです。
#16
○中野政府委員 ただいまのお話は、具体的に申し上げればBHCのお話になるかと思いますが、これは登録の当初は残留性等の試験をやっておりません。登録いたしました際には、薬効、薬害の検査をいたしました上で登録をしておるわけでございます。BHCが稲わらにつきまして、それが牛乳に入っていくということは最近わかったことでございます。それまでは、こういうことを考えてなかったのがミスではないかというおしかりをあるいは受けるかもしれませんが、当時の科学技術の水準では、そういうことはわからなかったし、またやらなかったということでございます。そこで、最近になりましてその問題が起きまして、われわれもいま試験研究機関を動員して、厚生省とも相談しながらやっております。そこで、そういうことになりますとやはり現在の農薬取締法では登録の取り消しはできませんけれども、以前に、去年の暮れでございますが、すでに製造中止をしたということでございます。そういう意味では行政責任というお話でございますが、われわれ行政的には責任を感じておりますので、そういう行政指導としての手は順次打ってきております。
 そういうことになりますと、あと製造は中止したけれども、すでに流通しておるもの、農家の段階にあるものもございます。これを一体どういうふうにするかという問題が次に起こってくるかと思いますが、これを政府が全部一カ所に集めまして、廃棄するというようなことになりますと、相当な量になりますし、そういう場所もございません。やはりメーカーの段階、流通業者の段階あるいは農家の段階でそれぞれ処分をせざるを得ないのではないかというふうに思います。ただ、このBHCの場合には、稲には使わないようにということは言ったわけでございますが、果樹なり林業用には使用方法を明確にして使って何ら害はないわけでございますので、その辺は取締法が改正になりますれば、いかなる取り扱いをするかきめたいということを考えておるわけでございます。
#17
○田中(恒)委員 いままで残留性の問題は確かになかったわけですから、これから起きる問題ですけれども、残留性だけではなくて、そういう事態が幾つかあると思いますし、これからだっていま申し上げましたような問題が、私は幾つか起きると思うのです。その場合に、単にメーカーの責任だといって、メーカーや商社や団体や、それから最終的には農民でありますが、農民に全部その影響をかぶされていく、こういうことになっては困ると思うのですよ。だから私は農林大臣に、少なくとも農家に対してはこういう事態になった場合には、農林省として農家に被害を与えるようなことはしない、そのくらいのことはおっしゃってもいいと思うのです。いま農政局長は、行政上の責任は持っておると言われたわけでありますが、私もあると思うのですよ。だから、最小限農家くらいのところまでは被害を及ぼさないのだ、責任を持つのだ。これくらい厳重な取締法をおつくりになっておるわけでありますから、そのくらいのことは明らかにしていただかなくては困るわけでありますが、大臣どうでありますか。
#18
○倉石国務大臣 事務当局から一応御説明申し上げます。
#19
○中野政府委員 ただいまBHCについて例を申し上げたわけでございますが、薬によりましていろいろ違うわけでございます。一律に農家が禁止された場合に、若干の手持ちがあった。それについて全部国が補償するということはなかなかむずかしいかと思います。やはり具体的に起きました問題について、最初にこの薬にはどういうふうなやり方をやったらいいかというようなことも具体的に判断した上で、最も望ましい適宜な処置をする必要があるのではないかというふうに考えております。
#20
○田中(恒)委員 いままでたくさんな問題が起きております。BHCももちろんでありますけれども、いまの野菜も、農薬の、そういう起きた原因は何が一番多いんですか。使用基準を農民が言われたとおり守っていなかったのか、使用基準そのものが間違っておったのか、あるいは試験研究そのものが間違っておったのか、その辺たくさん出ておるわけでありますから、農林省のほうでははっきりせられておると思いますけれども、専門的な方がおられるかもしれませんが、一体どういうふうなところに原因があって、こういうような問題が全国各地で起きておるのか、その点をひとつ伺いたい。
#21
○中野政府委員 農薬につきましてそういう問題が起こっておるのはいろいろな種類があるわけでございますが、一つは急性毒性の問題でございます。これは農業生産には非常に役立ちますけれども、使い方によっては非常に危害を及ぼすというものもございます。たとえばパラチオン、これは日本の稲作の生産に非常に貢献したわけでございますが、これを使いますと非常に危険だということで、すでに農林省といたしましては登録票の返納をやらせました。そういうようなことで措置をしております。それからその一つ前に有機水銀の問題がございます。これは米に残留をいたしまして慢性毒性を起こすのではないかといわれましたものですから、これにつきましてもすでに製造を中止、登録の返納までやらせております。それからその次には、先ほどお答え申し上げましたBHCの問題、これも製造中止にいま持っていっております。それからドリン系の農薬がもう一つございまして、これは作物に残留したりあるいは土壌を通じて作物に残って、あと作に厚生省の許容量をこえるというものがありますが、これにつきましても、すでに厚生省の許容量がずっとできておりますので、これを守るように指導をしておりますが、今回もし法律が通りますれば、指定農薬にいたしまして、かくかくしかじかのものには使ってはいけない、これだけにしか使えないということを明確にしたいということを考えておるわけであります。
#22
○田中(恒)委員 私が質問しておるのはその点じゃないのですよ。農林省の登録農薬の中で、残留許容量をこえた事態が幾つか出てきておる。その原因は一体何なのかということであります。とられた処置の問題でないので、その原因の解明がなされておるのかどうかという点です。
#23
○中野政府委員 いまのお話、少し聞き違えまして失礼いたしましたが、許容量をこえて問題になりましたのはアルドリンとディルドリンという土壌残留性の農薬だけでございます。
#24
○田中(恒)委員 その原因は何かということですよ。わからないですか。何か専門のところを――何によってそういう現象が起きたのかということを質問しておるのですよ。その原因の解明がまだはっきりしていないのではないですか。
#25
○中野政府委員 それはお説のとおりと申し上げてもいいかと思いますが、ドリン系の農薬が土壌に残留するかというのは、いま鋭意検討を進めております。いまの検討の中間段階では三年ぐらい残るのではないかということがわかってきておるわけであります。
#26
○田中(恒)委員 いろいろ聞いておるわけですけれども、農薬の被害が何によって起きておるかということは、いろいろな原因が重なり合って出ておるのだ、こういう程度でありまして、はっきりしてないのです。単一的には法律的な責任の所在というものははっきりしておるわけでありますけれども、そういう状態であるから、私はやはりこういうふうな非常に危害を及ぼすようなものについては、政府が責任を持たなければ、農民に責任があるのだ、あるいはメーカーに責任があるのだということだけでは済まされない問題があるのではないか。まだ原因の解明がはっきりしてないですから、だからその点を特に指摘をしておるわけであります。
 そこで、私は、少し試験研究機関の問題、一昨日大臣に若干御質問したわけでありますけれども、やはり農薬の毒性なり効果なりあるいは残留性の問題等について、相当権威のある試験研究機関というものが、まだ日本の中では十分できていないのではないか、こういう心配をしておるわけであります。そこでお尋ねをいたしておりますが、現在登録をされておる農薬の試験研究をやっておる機関は全国でどれだけあるのか、どういうところがどういう程度の試験研究をやっておるのか、大ざっぱでけっこうですからひとつお答えをいただきたい。
#27
○川井説明員 農薬に関する試験研究の現状でございますが、農薬につきましては現在国の関係では農林省に農業技術研究所というのがございまして、そこに農薬関係で七研究室がございます。なお農薬と関連いたしますが、そのほかこん虫関係の生理生態というような研究室はほかにあるわけですが、それ以外に全国八地域にそれぞれ農業試験場がございまして、その中の環境部の中に農薬関係の研究室がそれぞれございます。国の関係はそういう研究機関が中心になって実施しております。それから全国の各都道府県にはそれぞれやはり農業試験場に農薬関係の研究機関、そういう研究機関を動員いたしまして、先ほど御説明にもありましたように昭和四十二年度から農薬の残留に関する緊急調査研究というのを開始いたしまして、大体四十二年度から四十五年度までに二十一作物につきまして、農薬では四十七農薬、組み合わせで百六十組み合わせというものについて、これまで試験研究をいたしております。なお、その成果から十四作物、九農薬につきましては農薬安全使用基準をつくる基礎ができまして、安全使用基準の確立に利用されておるというような状況でございます。
#28
○田中(恒)委員 なおお尋ねをしておきますが、日本植物防疫協会、日本植物調節剤研究協会、林業薬剤協会、こういったような農薬に関する財団法人が幾つかあるわけでありますが、ここが試験研究機関を選定していく窓口になっておるわけですね。だから農薬メーカーがある程度試験をいたしたものを受け付けて、ここからいま言われました国立の農事試験場や大学等へ試験研究が依頼されていくという窓口になっておるようですが、一体こういうものが窓口になっておる意味はどういう点なんですか。
#29
○中野政府委員 農薬を新しく登録をする場合に申請をしてまいります場合に、試験成績書をつけさしておるわけでございますが、農薬の開発をいたします場合に、まずメーカー自身がおそらく数年の研究をやります。その研究をいきなり表に持ち出すということになりますと、かなり私的な研究でございますから問題があるということで、公的な機関の試験研究を経るというたてまえをとっておるわけでございますが、その場合にメーカーのほうにかってに試験研究機関を選ばしますと、こういうことばを使っていいかどうかわかりませんが、かなりコネができるというようなことになってはいけないということから、現在では先ほど御指摘の植物防疫協会その他の協会が試験委員会というのを中につくりまして、申請があったものをその協会で、この薬はどこの試験所にやらせるかということを委員の中できめまして、そして委託先をきめておる。こういうやり方のほうが公正を期せられるということでやっておるわけでございます。
#30
○田中(恒)委員 それを農林省の植物防疫課でやるということはまずいのですか。
#31
○中野政府委員 そういう考えもあろうかと思いますけれども、ただいま御説明申し上げましたように、メーカーが農林省に試験成績書を出す出し方の一つとしてのやり方でございますので、まだ農林省に持ってくる以前の問題でございます。それまで役所がタッチいたしまして、メーカーのこの試験はどこの試験所ということをやるという考え方もあろうかと思いますけれども、やはり農林省といたしましては、人員、機構の問題等もございまして、いきなりそれを全部やる、自分でどこの試験所へ回すというようなことはなかなかむずかしいということで、農林省の検査の前の段階としていまのようなやり方をやっておるわけでございます。
#32
○田中(恒)委員 農薬防疫等について農林省の体制が不手ぎわだから、人間もいないし金もないからやれないということならわかりますよ。しかしその以前の窓口といわれましても、農林省の農事試験場、国立の試験場、そこへ行くのですよ。本省を飛ばして直接出先へ行くという形をとるわけですよ。これは農林省の内部へ入っていくわけですよ。私はこの問題を心配いたしますのは、大臣聞いていただきたいけれども、各県の農業試験場の試験研究費というのは非常に少ないわけです。大体試験研究者というのはいまなかなか金がなくて弱っておりますが、日本の場合、科学技術振興ということが大きな問題になっておりますけれども、特に農業試験場なんというものはあまり金がありませんから試験も十分できないということであります。ところが農薬等の試験研究の担当官になりますと、メーカーのこういう委託費というものが、一件についてたとえば七万であるとか十万であるとか出るわけです。日本のような特殊な地形、風土の中でありますから、最近たくさんな農薬の開発が出てきて、金が流れるわけですね。これは大学だって同じでありますけれども、いわゆる大学の自主性というか、あるいは試験研究機関の持つべき客観性、そういうものが農薬メーカーのこういう試験委託費によって侵害される危険性があるのじゃないか、私はこういう心配もするわけですよ。こういう点をはっきりしなければいけないと思うのです。あるいは農業試験場が試験開発をした薬が登録をされた。そしてそれが市販せられて使われた。ところが現実に被害が起きた。その被害をどう解明するかということで公害の問題が出てくる。公害運動が起きてくる。農業に関するものは必ずその県の農業試験場で原因の解明がなされるわけです。私はその薬が全く同じところで試験研究をせられて出されたものとは言いませんけれども、やはり自分たちの仲間が、これはよろしいといったものを、調べていったら、これは実はこういうところに間違いがあったのですということはなかなか言えないと思うのです。こういう問題等もあるわけであります。だから私は農薬の登録をめぐる仕組みについてもう少し整理をして、客観的に試験開発というものをするところと、それから許可をしていくところ、こういうところの区分をしなければいけないのじゃないか、こういうように思うわけですよ。こういう点について私は日ごろちょっと疑問を持っておるわけでありますが、大臣、こういう点を一ぺん検討してみる気持ちはありませんか。
#33
○倉石国務大臣 よく検討してみたいと思います。
#34
○田中(恒)委員 厚生省にお尋ねをいたしますが、食品衛生法に基づいてすでに十四作物、九農薬についての残留許容量の設定をしているわけでありますが、今後どのような基準によってどういう作物と農薬について許容量の設定を行なうのか、もうあらかじめ予定がわかっておると思いますので、この機会にお知らせをいただきたい。
#35
○小島説明員 お答えいたします。
 現在までに食品中の残留農薬の基準につきましては、先生のおっしゃられましたとおり、十四食品、九農薬について基準が設けられているわけでございますが、現在の私どもの予定といたしましては、昭和四十八年までに主要な四十八食品につきまして、現在ございます主要な約二十八農薬について基準を定めたいというようなことで作業を急いでおるわけでございます。
#36
○田中(恒)委員 そこでひとつお尋ねをしておきますが、BHCの許容量を〇・三PPMに規制をされましたですね。これも告示したんですか。
#37
○小島説明員 BHCの基準につきましては、キュウリ、トマト、ブドウ等、十二食品につきましてはすでに以前に告示をいたしておるわけでございます。それから、最近米と大根につきまして告示をいたしましたが、これは六カ月後に施行ということでやっております。
#38
○田中(恒)委員 BHCにつきましては、稲わらの中にいろいろ問題が出てきたということで、四十四年までに使用を禁止するということになっておるはずでありまして、今後BHCは製造販売等が一切なくなる、こういうことがはっきりしているわけです。にもかかわらずBHCについて、米についてこういう許容量を設定せられた理由、それから、今日まで設定せられたものにつきましても、今後もう製造を中止して一切販売しない、使わない、使わせない、こういうことがはっきりしておるものは取り消していくのか、このまま置いていくのか、この点をちょっとお聞きをしておきたいと思うのです。
#39
○小島説明員 BHCの場合には、先ほどの先生の御質問と答弁にもございましたように、まだ一部在庫が残っておりまして、これは稲への使用は禁止されておるとは申しましても、一部まかれる可能性はあるわけでございまして、私のほうとしてはほとんどなくなっているというふうに考えてはおりますが、一部使用したものが残ってくるものにつきましては、やはり国民の健康保健の立場から基準を設けておく必要があるという問題と、それからもう一つ、土壌中の残留したBHC等が吸い上げられたものにつきましても、やはり検査をいたしまして一定の基準以内にとどめる。それからまた今後こういった問題が起きました場合に、そういった残存いたしますものの問題のほかに、外国との貿易関係におきまして、外国では許可をしているが日本では認めていないというようなものの場合の取り扱い等もやはり考慮していく必要があるんではないかと考えております。
#40
○田中(恒)委員 それでは、今後もう一切使わせないんだ、こういうふうに国内できまったものについても残存許容量というものは、厚生省としてはお出しになるということですか。その必要はもうないんじゃないですか。
#41
○小島説明員 こういった問題につきましては、その個々のケースによると存じますのは、たとえば農作物には使わなくても林業等に使われるものの場合には、それが農作物のほうに来る可能性があるとすれば、私どもとしては基準は設定しなければならないと思います。しかし全く農作物に使用されない、あるいは来る可能性がないというものにつきましては基準を設定する必要はないと存じます。しかしながら、外国との貿易関係において、今度は外国で使用したものを受け入れるかどうかという問題でございまして、日本で全く禁止している、そうして外国から来るものを拒否しなければならないということになりますと、やはり外国から入ってくる品物に対しましても試験をしなければならない。そういった場合に全く基準を設けてございませんと、私どもとしては違反品とすることができませんので、たとえば検出してはならないというような基準を設ける場合もあり得るのではないかというふうに考えております。
#42
○田中(恒)委員 なお、お尋ねをしておきますが、今回出されようといたしております米のBHCの許容量を〇・三PPM、こういうふうになっておるわけであります。BHCにつきましてはいろいろな品目について許容量がなされておるのですが、全部〇・五PPM、こういうことになっておるのですが、米に限って〇・三PPM、こういうふうにきめられました理由は一体どういうところですか。
#43
○小島説明員 残留農薬の許容量の決定にあたりましては、その残留農薬が私どものからだに一日にどれだけ取り込まれるかということを考えまして、そしてその取り込まれる量がわれわれのからだの健康を阻害しないようにある一定の量以下に押えるというやり方でやっておるわけでございます。そのために米の場合にはわれわれの食品の中で占める比重が高いということから米を〇・三に押えまして、そして米の場合には外側がおおわれておりますので、実際に米粒の中に入ってくるBHCの量が少ないということで〇・三に押えられる。ほかの野菜というものは米ほど食品の中で占めるウエートは大きくはございませんが、しかし実際には付着してきて――ある程度多く見なければ、これは実効といいますか農薬としての効果は期待できないというようなことで、私どもが一日にとってもさしっかえないというBHCの量を、その食品の実体、摂取量、それから農薬の残存の実体というようなものも勘案して定めましたために、米の場合には〇・三と低く定めたわけでございます。
#44
○田中(恒)委員 この摂取量が多いか少ないかということによってBHCの残存許容量というものをおきめになることが科学的であるのかどうかですね。これは非常に技術的になるので私どもしろうとによくわかりませんけれども、米はたくさん食べるからこれは一定の単位について〇・三とか〇・五とかやっておるので、別に米のウエートが大きい――そういたしますと、いまから野菜であるとか果物であるとかいうものが、ご承知のようにだんだん食べる率が大きくなるわけでありますが、そういう場合にはそれに伴ってまた変更しなければならない、こういうことも起きるので、私どもは専門家でありませんからどういうようなウエートでそういうものがなされるかという計算の根拠等わかりませんけれども、ちょっといまお聞きをした範囲では解しかねるのであります。むしろ私どもこういうふうに――これは何品目ですか。キュウリから始まって十七、八品目、BHCの残存許容量というものをきめておる。各品目全部〇・五ですね。ナツカンから、ナシから、バレイショから大根に至るまで、全部〇・五であるのに、米だけ〇・三にしておる。これは勘ぐりますと、米の生産調整という問題がやかましくなってあまり米をつくらせない、こういう問題がいろいろ問題になっておるだけに、何だかそういうことを加味してやっておるのじゃないか。おたくのいまのお話をそのまま類推していったら、そういうことだって考えられるわけですが、いま米の消費量、食べる量が多いからこうしているのだということは、技術的に成り立つのですか。
#45
○小島説明員 私は厚生省で食品の取り締まりを担当しておりますが、米の生産調整などということは毛頭考えたことはございません。私、先ほど御説明したときに、少し説明が足りないで申しわけなかったんでございますが、私どもが一日にBHCをとります量というものにつきまして許容量というものがございます。これはわれわれが一生の間食べていても心配がないという量でございまして、これは国際連合のWHOにおいて委員会を設けてきめておるものでございまして、われわれはそれ以下に一日のBHC摂取量を押えなければならないわけでございます。それをいろいろな野菜あるいは米というものに配分をいたしまして、そうして規制をしていくわけでございますが、米の場合には、幸いなことに、これは御存じのように、まきましても外側がモミでおおわれておりまして、そしてそれを精白するということになりますので、実際の残存量は野菜等に比べて少なくて済むわけでございます。ところが野菜等の場合にはある程度以上の濃度がそこに付着していないとBHCが有効にきかないというようなこともございまして、野菜を高く米を低くというようなことで、実際のBHCのきき方と、それから残っている量というものから案分をいたしまして、そうしてその摂取量、われわれがとる量を全体のワクの中におさめるためにそういったような配分をしている。もし米が〇・五でなければ困るというようなことでしたらこれを〇・五に上げる、そしてほかのもので削るというようなことで調整をしなければならないわけでございますが、幸いに米の場合には〇・三で済む、そして米の摂取量は多うございますから、この〇・三に米の摂取量をかけて、そしてそれをわれわれの許容量から引きました残りを、今度はほかの野菜に配分するというようなやり方をしているわけでございます。
#46
○田中(恒)委員 時間が迫ってきましたので次に移らせていただきますが、やはりこの問題はいろいろ正確なデータに基づいて農薬の試験研究がなされ、あるいはその取り扱いをめぐって農林省のほうで従来に比して厳格な取り扱いがなされていく、この点は確かに一歩前進をしているわけでありますが、それが農家の段階におろされた場合に、農民によって正しく守られていくかどうかという問題であります。いろいろ安全使用基準等が示され、それに基づく指導もなされるのでありますけれども、やはり最終的には、その薬をどう使うかということが農家一人一人の選択にまかせられておる、ここのところに私は農薬の安全使用をめぐっての一番大きな問題があると思うのです。そういう問題について何らかの規制というものを、あるいは行政指導上の明確な方針をこの際打ち出していただかないと、幾ら試験研究をりっぱにし、取り消し等あるいはいろいろな安全使用基準、指定農薬制度等を充実せられましても、肝心かなめのこれを使っていく農家の段階で完全な使い方がなされないと、これは何にもならないわけであります。そういう意味では、少なくとも、今日農薬の使用をめぐって最も責任のある体制でなされるのは、やはり共同防除以外にないと思うのであります。この共同防除の体制というものを今後いかに強めていくかということが、やはり私は一番大きな問題だと思うわけであります。現在共同防除の実態はどういう実態になっておるのか、あらためてこれは局長のほうからお聞かせをいただきたい。
#47
○中野政府委員 ただいまの点は、私もお話のとおりだと思っております。
 そこで、実態でございますが、農林省といたしましても、共同防除につきまして、過去におきましてもいろいろ補助金を出してそれを指導奨励をしております。それの実態でございますが、大体稲作につきましては三割から四割くらいが共同防除を行なわれておるというふうに見ております。それから果樹につきましては大体一割五分くらい、それから畑作になりますと、これは野菜その他ばらばらでございますので、共同防除が行なわれているパーセントは約三%程度ではないかというふうに見ております。
#48
○田中(恒)委員 そこで、最近私が農林省の関係者にいろいろお聞きをいたしますと、どうも兼業農家がだんだんふえてきて、なかなか共同防除等にもまとまって参画をすることができなくなってきた、こういう背景等もあって、共同防除というものがむしろ以前に比べて体制的に弱くなってきておる、こういうふうにも聞いておるわけでありますが、この際、この農薬取締法の改正を通しまして、できればこの法改正の中に共同防除の体制を強化をしていく、こういう内容を織り込むべきだと思うのです。具体的にはいわゆる植物防疫法を改正をいたしまして、現在設けられております病虫害防除員というものを何らかの形で防除士制的なもの、これは農協等が強く主張しておるわけでありますが、こういう形に切りかえて、少なくとも指定農薬等については全部共同防除の体制で取り組ましていく、こういうふうな方法を考える必要があると思うわけでありますが、この点について農林大臣はどういうお考えで処理されるか、お聞きしておきたいと思います。
#49
○倉石国務大臣 お話のように、病害虫を防除いたします組織の整備が必要であるということは、お説のとおりであると存じます。そこで、農林省は従来から各都道府県に病害虫防除所を百八十カ所設置いたしておりまして、これを中核といたしまして、農業改良普及員それから病害虫防除員、それから市町村や農業団体にあります病害虫防除関係職員、これらの指導によりまして、共同防除の積極的な推進をはかるように防除の徹底を期しておるわけであります。
 そこで、今後とも、農業をめぐる問題の重要性にかんがみまして、たとえば講習会を開催いたしますとか、病害虫防除員の資質の向上、安全管理施設の整備など、末端の安全使用体制の強化をはかってまいりたいと考えておりますが、植物防疫法の改正の必要につきましては、なお今後検討いたしました上で、前向きに対処いたしてまいりたい、このように思っておるわけであります。
#50
○中野政府委員 ただいまお尋ねの中で、大臣の御答弁をちょっと補足させていただきたいと思いますのは、防除士の問題でございます。これはわれわれも団体のほうからそういう話を承っております。ただ急にそれをやるのはなかなかむずかしいというので、われわれいま検討をしておるわけでございます。
 そこでちょっと申し上げてみたいのは、病虫害防除員、現在一万八百人ほどおります。これは県庁の非常勤職員でございまして、わずかでございますが、いろいろ活動費十五日分と、それから講習会を受けにくるときの旅費等を補助しておるわけでございますが、これを強化する必要があるというふうにわれわれ考えております。それではすぐに防除士というもので資格を与えてどうということになりますと、たとえば国家試験をしろという話がございますが、国家試験をいたしますのにはどういう資格を与えたらいいかということをまず考えなければなりませんし、それからそういう防除士という国家試験を通った資格を持った人の責任範囲は一体どうなるのか、たとえばその農薬をこういうふうに指導して使わせたのにいろいろ事故を起こした場合、その人の責任はどうなるのかというような問題。それから共同防除の必要なことは御指摘のとおりでございますが、共同防除だけではなかなかまいりませんけれども、共同防除につきましてもやはり問題が出てまいりますので、われわれといたしましては、もう少しその辺どういうふうに、そういう防除士的なものを扱ったらいいかということをなおしばらく検討させていただきたいと思っておるわけであります。
#51
○田中(恒)委員 時間も参りましたので、あといろいろ多少まだお尋ねしたいことがあるのですけれども、こまかい質問ができませんが、二つだけお尋ねをしておきますので御答弁をいただきたいと思います。
 一つは、これからの薬剤の方向について、たとえば水田等におきましてはほとんど粉剤でございます。だから風でほとんど散りまして、米だけでなくて周辺の川に散ったりあるいは人家、人間に散っていろいろ危害を受けるわけでありますが、この粉剤の方向から粒剤の方向ですね、こういう方向への試験研究というものは相当進んでおると思うわけでありますが、今後農薬の指導の方向としてこの粒剤の向かう方向といったようなものについて、農林省としてのお考えをちょっと明らかにしていただきたい。この点が一点であります。
 それからその次には、これは大臣からも御答弁いただきたいと思いますが、参議院でもうだいぶ問題になったようでありますが、塩素酸系の二四五丁、林業用除草剤、この使用を中止すべきではないか、こういう問題が国有林の空中散布等をめぐって東北、北海道等で相当大きな問題になって、私どもの聞くところによると、それぞれの県の議会等においてもそれを求める意見書等が提出をなされておると聞いておるわけでありますし、現地の関係者のほうからも二四五丁の使用についてはひとつ中止をしてほしい、こういう公害運動が各地で起きておるわけであります。この被害の状況、影響等についてこまかく議論をかわす時間がないわけでありますけれども、すでに参議院の農林水産委員会等においてもだいぶ問題になった点でありますが、これほど公害の問題がやかましくいわれておる中で、外国等においては奇型児等の問題も出てきた、こういうふうにすらいわれておるので、私は、日本の権威ある技術研究機関でその辺判断をされておるのでしょうけれども、やはり不安を持っておるわけでありますから、この機会にこの二四五丁等についてはもう使わせない、あるいは使うにあたっては何か特別な処置をした上で、何かそういうお考えがまとまっておるのではないかと思うので、この際大臣のほうからこの点についてお聞かせをいただきたいと思います。
 以上、お答えをいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#52
○中野政府委員 最初の問題の御答弁を申し上げますが、お話のように、粉剤でありますと周辺に飛び散っていろいろな危害を与える場合もございますので、現在、粉剤とそれから粒剤との中間の微粒剤といいましょうか、そういうものをすでに除草剤等では実用化しております。たとえばヘリコプターによる空中散布等にはそういうものを使うということで指導しておりますし、御指摘のように、そういう方向にいくべきだと考えております。
#53
○倉石国務大臣 国有林で除草剤を散布いたします場合には、国立公園の特別保護地区には使用しないことにいたしておりますが、ただいま二四五Tのお話がございました。これにつきましては、アメリカだとかスウェーデンであるとかいろいろな説があるようでありますが、現在林野庁では二四五丁は適期を過ぎておりますので使っておりません。特に国立公園特別保護地区、それから史跡名勝、天然記念物あるいは鳥獣保護区域、特別保護地区、学術参考保護林、湖、池、河川、そういうようなところには使っておりませんが、なお自然の保護に十分留意してまいらなければなりませんので、これらにつきましては今後とも慎重に対処してまいりたいと思っております。
#54
○草野委員長 角屋堅次郎君。
#55
○角屋委員 農薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、同僚の田中君の質問に引き続いて若干質問をいたしたいと思います。質問は重複する点もあると思いますが、重要な問題については重複いたしましてもさらにお答えを願いたいと思います。
 今度の農薬取締法の一部改正は、言うまでもなく最近の公害の爆発的な続発状況というふうなものの中で、今度の臨時国会が公害国会として国民からも非常に注目された中で、いわば公害関係法案という性格も帯びて、農薬取締法の一部改正案が出てまいったわけであります。
 そこで、農業サイドの問題それから公害対策サイドの問題というものの基本的な姿勢をどう受けとめていったらいいのかというふうな点がやはり一つの問題点であります。今度の農薬取締法の一部改正で従来なかった目的も新設され、この目的の第一条には、いわゆる農業サイドの問題と公害対策サイドの問題とが両々織り込まれて第一条ができておるというふうに判断をしております。ただ、ここで農薬取締法の場合にどう考えたらいいのかという一つの具体的な検討問題がありますけれども、言うまでもなく公害対策基本法の今度の第一条の改正を含めまして、公害対策サイドからするならば、いわゆる人間の健康と生命というのを優先させる。従来公害対策基本法にあって、大きく国会でも問題になり、われわれがその削除を基本法制定当時から求めてまいりました「経済の健全な発展との調和」というのが条項上では一応削除されたわけでありますが、今度の農薬取締法の一部改正法案では、目的の第一条で後段の部面に「もって農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与することを目的とする。」つまり国民の健康の保護、国民の生活環境の保全、これは当然公害対策のサイドから今日強く求められておるものが第一条の目的の中に織り込まれたわけでありますが、「農業生産の安定」ということが農政サイドからの問題として目的の中に加わっておるわけであります。
 田中君のさっきの質問とは若干角度は違いますけれども、いわゆる「経済の健全な発展との調和」というものの公害対策サイドからの削除の問題と関連をして、農薬取締法の一部改正ではこの「農業生産の安定」という問題とあとの二項目の問題が同時に書かれておる点は、公害対策基本法との関連においては矛盾しないという解釈に基づいて当然第一条の目的がこういうふうに明記されたと思うのでありますが、それらの考え方の問題についてまずお聞きをしておきたいと思います。
#56
○倉石国務大臣 この点は先ほどもお答え申し上げましたように、農業というものを維持拡大してまいるということは、やはりわれわれ国民の生存のためにも欠くべからざる要件でございますが、そこでその生産を継続し増強してまいる一つの手段として農薬等が考えられて生産性を向上してまいったことも事実であります。しかし、今日のようにその弊害が、たとえば土壌に浸透してまいる毒性、あるいはそれを農薬に用いることによって生ずるその他への影響等を考慮いたしまして、やはりこういう公害を除去することがまず先決であるということで、農薬取締法の改正等をお願いいたしておるわけでありますが、そういう立場に立って、私どもといたしましては公害を除去するというたてまえを優先的には考慮いたしますが、やはり農業というものが維持拡大されていくにあらざれば他の私どもの生存ということにも大きな影響を持ってまいりますので、それらの調和を考えながら、今回の法案の目的にああいうふうに書いておるわけであります。
#57
○角屋委員 農業生産との調和の問題のような趣旨のことも言われまして、要するに「国民の健康の保護」「国民の生活環境の保全」というのは農薬取締法の場合においても公害対策のサイドから見て優先的に考える。農業生産の安定ということも、農業資材として重要な農薬あるいは肥料というのは要素でありますから、これの調和を考えていくのだ。問題は、この二つがぶつかったときに、どちらを基本にして考えるかという点については明確だと思いますが、その点についてはどう考えておりますか。
#58
○倉石国務大臣 われわれの考えもお説のように明確であると思います。
#59
○角屋委員 その明確なことを明確に……。
#60
○倉石国務大臣 すでにあります農薬はもちろんのことでございますが、これからさらに人間の知識というのは伸びていくわけでありますから、どういうものが出てくるかもわかりません。そういう場合に私どもといたしましては、やはりそういう薬品についての公害関係をまず優先的に検討すべきではないか。それと、引き続いて先ほど申しましたように農業の安定的な推進をはかってまいる、こういうことだと思います。
#61
○角屋委員 もう一つ基本的な問題でこの法案と関連をして承っておきたいのですが、先ほど来の田中君の質問にも関連をすることですけれども、いわゆる公害対策上から社会党、公明党、民社党が三党で共同で強く要請しております無過失賠償責任の法理の適用問題というのが重要な基本問題として提起されておるわけであります。農薬の取締法の場合に、先ほどいわゆる変更の登録あるいは登録の取り消し等に、これは公害対策上のサイドが中心になると思いますけれども、それに伴ってたとえば末端の関係団体で在庫を保有する、あるいは政府のオーケーをした登録の農薬を使用の基準に基づいて使用したところが、残留農薬その他で厚生省サイドから問題になってこれが売れない、あるいはそれが非常に大きく社会的に問題になるということで農家に大きな損失が出てくるというふうな場合の責任問題、こういう点について法務大臣の見解では、私直接本会議以外のところこまごま聞いてないのですけれども、無過失賠償責任の問題については、結局全体を通じて一つの立法化というものには消極的見解のように法務大臣の場合に受け取れたわけであります。その場合に個々の具体的ないわゆる実体法の中でケース・バイ・ケースでこの問題を考えていくべきだという趣旨のように法務大臣の場合に受け取れたわけでありますけれども、いずれにしても農林大臣としてこの農薬取締法の新しく改正をする場合の姿勢として、そういった無過失賠償責任問題というふうなものはこの法案の中に私は少なくとも改正案を含めて流れていないというふうに受けとめておるわけですが、先ほどの田中君の質問とも関連いたしますけれども、当然そういう点については基本的なかまえというものは明確にすべきであろう、こういうふうに思います。その点についてはどういう考え方に基づいて今回の改正を出されたのか。と申しますのは、先ほど来の質問でも明らかなように、この国民の健康の保護あるいは国民の生活環境の保全という立場から農薬の問題がやはり考え出されてくるということになりますと、当初はオーケーをした問題についても、それはオーケーを変更しなければならぬ、あるいは取り消さなければならぬということが今後の使用状況の経過過程の中では当然幾つかの問題については出てくる。そういう場合のいわゆる末端における損失問題の責任はどうなるのか、当然いままでの問題があるし、これからも予想される問題であります。これはやはり本法の改正にあたっては明確にすべきものだと私は思います。そういう問題が起こったときに、具体的に末端の農家で申しますと、末端の農家としてはどういう方法をとるべきなのか。法はどういう方法を志向しておるのか。たとえばすでに出ております公害紛争処理法で、それは紛争でやるべきであるのか、あるいは裁判も道が開かれておるのだというふうな考え方に立っておるのか、あるいはそういう場合には具体的なそれぞれの事態に即応をして農林省として対処をするというかまえなのか。さっき田中君は少なくとも末端の生産農民には実害を与えないという姿勢を明確にすべきじゃないかというお尋ねをされたわけでありますが、答弁として私はきわめて不明確だったと思うのですけれども、いま言った事態の中で末端の生産農民に具体的に実害が出てくる、あるいは在庫問題についての処理において関係団体の第一線において実害が出てくる場合の方法論については農林大臣はどういう道筋を考えておられるのか、この点明らかにしておいてもらいたい。
#62
○倉石国務大臣 無過失賠償責任の問題につきまして、本会議でもそれから連合審査会でもお話がございましたが、有毒物質を排出したものについての無過失賠償責任のことが論議されておったように聞いております。したがって、農薬の関係のことにつきましては、これは登録の問題でありますので、若干性格が違うかと思いますが、このたび政府は、いままでたとえば農林省関係の土壌汚染に関すること、農薬に関すること等ございますが、それぞれ各省所管の事項についていろいろ公害の問題がございますので、これをばらばらにやっておるよりもやはり統一した機関をつくって、そこで政府全体として対処をしていくことが必要であるというので、政府に公害対策本部というものを設置いたしたわけでございます。したがって、無過失賠償責任のような一般的な、普遍的な問題につきましては、やはり政府全体として公害対策本部というものを中心にして検討すべき事柄であると存じまして、そのほうで鋭意検討をする、こういうことになっておるわけであります。
#63
○角屋委員 どうも、大臣の答弁と関連をしますけれども、私のお聞きしたいのは、今回の農薬取締法の一部改正を通じて、先ほど来申しております六条の三項、その他関連の事項がありますけれども、そういうことに基づいて変更の登録を行なったりあるいは登録の取り消しを行なうということに伴う在庫の問題、これの回収の措置、あるいはこれがオーケーだということで安心して末端で使っておる場合に起こる残留農薬その他の問題指摘からくる第一線の農民諸君の実害の問題というふうなものについてはこの法律ではそういう点を明確にしなくてよろしいという考え方なのか。あるいはこの法律を通じて基本的に考えておる点は、こういう道筋を通じてやるべきだという点について明らかに検討の過程でしておるのか。先ほど来公害紛争処理法あるいはまた訴訟、あるいはそうでなくて、行政機関が中に入ってのそういう問題の対処のしかた、こういう点については事務当局はこの立法をする過程においておそらく大きな問題になっておる重要な一つの柱でありますから、検討されたと思うのでありますけれども、行政べースではどういう検討と考え方を持っておられますか。
#64
○中野政府委員 ただいまの問題、先ほど田中先生のときにも出たわけでございますが、もう一ぺん整理して申し上げたいと思います。
 われわれこの法律を改正いたします立案者として検討を進める段階ではこの問題は検討したわけでございますが、その問題を考えます場合に、製造業者の取り消しをした場合の製造業者の責任と製造業者に対する責任という問題がまずあるわけでございます。これにつきましては、やはり先ほども申し上げましたように、登録制度というものの性格から見まして、それからまたいわば人畜に危害のあるような農薬はつくって売ってはいけないというメーカーの社会的義務という問題から考えまして、登録を取り消した場合に国に法的責任はないのではないかというふうに考えるわけでございます。
 それから次は、起こってまいりますのは、販売業者の段階問題、あるいはそれを買った農家の問題が起こってまいりますが、これにつきましても、いま製造業者のところで申し上げました登録の性格なりあるいはそういう危害のある農薬を使ってはいけないという社会的義務があるかと思いますが、それと同時に登録というものの性格を考えてみますと、これは御承知のように農薬取締法の三条でこういう場合は登録は保留して、場合によっては却下する、それ以外は遅滞なく登録しなければならないということで、いわばその申請のときの一つの権利関係といいましょうか、そういうものを公報に記載しておる、記載しなければ売れないということになっておるという登録の性格から見まして、国としてメーカーなり販売業者に売ることを義務づけたりあるいは奨励をしたものではないという考え方をとりますと、やはり販売業者あるいは使用者についても、そのときどきのいわば一種の私的な経済行為でやったものではないかということになるわけでございますので、やはりその場合の損害賠償は製造業者、販売業者等の間で民事的に解決すべき問題であって、国に法的な責任はないというふうに結論を出したわけでございます。ただその場合に、そうかといって、責任がないから国は知らないよということでは確かにいけないと思います。そこで、先ほども若干申し上げましたが、個々のそういう取り消しました薬の種類によりまして、いろいろ対策は違うと思うのです。そこで、そういうそれぞれの具体的な場合に即しまして、これはどうしたらいいかということは、当然農林省として行政責任をもちましていろいろ末端まで指導しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 それからもう一つの問題は、先ほどもお話に出ましたが、たとえば残留許容量をこえまして、食品衛生法の規格に適合しないで販売が禁止されるといった場合でございますが、この場合は、先ほども申し上げましたように、その地方地方でのそれぞれの特産物の評価、それが落ちるということから、たいていの場合は自主的にそのあと続いて出る出荷物の出荷停止をしておるという実情があるわけでございます。これにつきましても、そこまで国がそれぞれの農家なり団体の経済的な損失を賠償をするというのは、やはり法的にはないのではないか。ただ、それによる打撃につきまして、行政責任といたしまして融資その他のいろいろな措置は、その具体的な問題が起きた際に当然われわれ考えなければならないことではないかというふうに考えております。
 それからもう一つ、先ほどのところで申し上げればよかったわけでございますが、そういう問題、たとえば取り消しされてまだ流通に若干残っておるという問題がありますが、いわば回収をどうするかという問題でございます。これにつきましても、それでは国が全部回収をするということになりますと、もしかなり大量に残っておる場合には、捨てどころその他、一カ所に集めるその他やりましても、たいへんでございます。たとえばしばらく前にも起こったわけでございますが、ブラスチンという薬がありまして、これは一体どうするかといった場合には、これは都市のごみとまぜまして、コールタールで固めて、鉄化石というのだそうですが、そういう石にしまして海中深く沈めるという廃棄方法をとったわけでございます。そういうような一例で申し上げましたように、相当具体的にきめる。そして禁止されたものが使われないような措置をとらなければならないのではないかというふうに考えております。
#65
○角屋委員 いまの答弁、私は基本的な考え方として問題があるし、これは了承することはできないわけですけれども、具体的な質問を進めていかなければなりませんから、次に入りたいと思います。
 第二条の、いわゆる「製造業者及び輸入業者の農薬の登録」の点で、農薬の薬効、薬害という従来とってきた試験成績に対して、新しく毒性及び残留性に関する試験成績まで加えるということで、これはもう時代の要請で当然のことだと思うのでありますが、ただ、これに関連をしてお聞きをしたいのでありますけれども、この立法の附則の三、四、五、六の経過措置のところを見ますと、たとえば再登録の場合には二年間は新しい法改正のものでなくてよろしい、あるいはすでに登録の申請の過程にあるものについては従来の例によってよろしいというふうな形になりますと、いま登録銘柄数は五千六百九十八というふうにお聞きしておるわけですけれども、これから新規のものがどの程度に出てくるかということは必ずしも予見できませんが、新しく毒物の問題、毒性の問題あるいは非常に問題になっております残留性の問題についての試験成績というものを加えるといいましても、現在進行中のものあるいは再登録をするものについては、これが経過措置で、再登録の場合は二年間従来の例でよろしいということになりますと、はたしてそういうことを通じて、次に新しく法律で規制を強化してまいりました作物残留性農薬あるいは土壌残留性農薬あるいは水質汚濁性農薬、この三つの問題については政令で指定をしてしかも表示にこれを明らかにするということが法改正を通じて出てまいるわけでありますけれども、第二条と附則の三、四、五、六という経過措置との関連において速急には実効があがるのかあがらないのかということが、私、立法だけを見ておりますと問題になるわけであります。だから、附則の第四のところで、二年間なら二年間といっているけれども、しかし、それは実際には行政指導としては毒性あるいは残留性の問題についての試験成績を求めるということを前提に考えておるのかどうか。この第二条の改正と関連をして――第二条だけじゃありません、以下の問題もありますけれども、この法律が実効をあらわしていくという前提から見て、いわゆる附則の経過措置との結びつき、そういうものも含めて、どういうふうにしてこれから作物残留や土壌残留や水質汚濁性の農薬等の使用の問題についての政令指定あるいは表示あるいは使用の規制というものを、具体的に第一条の目的に合致するように推進していこうというのか、これをひとつ明確にしてもらいたい。
#66
○中野政府委員 ただいまのお尋ねは、法律が改正されましたあと二年間の経過措置の問題でございますが、御指摘のように六千近い銘柄がございます。そこで、それじゃ法律改正したときに全部その薬を残留性なり毒性の試験成績がないからストップということになりますと、農業生産に重大な影響を与えるわけであります。そうかといって、その経過期間を非常に長くいたしますと、これまた問題でございます。そこでわれわれといたしましては、二年間というのを置きまして、二年後は再登録に対してそういう毒性なり残留性の成績を出させるというまず原則を立てまして、その間に農林省あるいは厚生省において、全部の薬が全部これにはまるというわけではございません、大体はわかっておりますから、問題のありそうな、しかも使用量の多い、また特に外国でも問題になっておるような薬につきましては、速急に調査研究を進めまして、再登録いたします際には、たとえば前は一般に使ってよろしいということになっておりましても、今度はかくかくしかじかの適用病害虫に対してこういう使用法をとれということで、再登録のときに指導をするということを考えておるわけでございます。
 それからもう一つは、法律ができますと、いま御指摘のように残留性についての農薬の指定を政令でやることになります。それで指定がされますと、それに基づいてある農薬につきましてはこういう作物にしか使えない、また使い方は収穫前二週間なら二週間の前までしか使ってはならない、農林大臣が非常にこまかい使用基準をきめてそれを守らせるということで対処をいたしたいと考えておるわけでございます。
#67
○角屋委員 結局そうしますと、作物残留性農薬あるいは土壌残留性農薬、水質汚濁性農薬の、政令で指定する場合のいわば科学的な基礎資料、科学的な判断というものについては、これは十分整備をして、進行中の過程においては新規登録の問題は別にして、実際上は不十分な形でやるということに解釈せざるを得ないと思うのだが、それと同時に作物残留性農薬、土壌残留性農薬、水質汚濁性農薬の政令で指定する場合の、来年度まで含めた、具体的には大体どの程度のものを指定をするという構想でおられるのか、その辺のところを明らかにしていただきたい。
#68
○中野政府委員 ただいまの点でございますが、作物残留性農薬というものにつきましてはBHC、DDTそれからエンドリン、砒酸塩ということで、有効成分ではいまの四つでございますが、乳剤、粉剤、粒剤という剤型で分けますと十二、これにつきましては指定農薬にいたしたい。この点につきましては現在、先ほど御質問もありましたわけでございますが、農林省のほうでかなり調査も数年間やっております。大体わかってきておりますので、これはやれるのではないかと思っております。
 それから土壌残留性の農薬につきましては、有効成分で二つ、剤型に分けますと四種類、これはアルドリン、ディルドリンでございます。
 それから水質汚濁性の農薬につきましては、これはすでに現行法でも規制をいたしております除草剤、貯毒性のある除草剤でございますPCPでございます。これはもうすでにやっておりますので即時政令できめられる、現在そういうふうに考えておりますが、なおこれは試験研究を進めますれば、あるいは次々出てくるかもわかりません。現在の段階では以上のとおりでございます。
#69
○角屋委員 さっき田中君からも出ましたし、私もさっき第一条に関連をして質問しておった問題にも戻りますが、いわゆる回収等の命令の問題についてお伺いしておきたいと思う。これは毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案の今回の改正の中で、第十五条の三が新設されて、回収等の命令ができることに御承知のように法案として提出されておるわけですが、農薬は当然一般のものもありますけれども、毒物及び劇物に直接結びつく農薬もあるわけでありまして、結局この回収等の問題については毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案の第十五条の三が、これに該当する農薬がある場合においてはこれで回収等の命令が発動をするというふうに解釈をしていいわけですか。
#70
○中野政府委員 そのとおりでございまして、現在の農薬のうちで毒物劇物取締法の規制を受けておるものが約半数ございます。当然それもそういうことになるわけでございます。
#71
○角屋委員 それでは回収等の問題については、要するに毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案の第十五条の三にかかわるものについてはこれに基づいて回収等の命令が発せられるということにいまの答弁で明確になってまいりますと、それ以外のケースということも当然農薬全体の中ではあり得ると私は思うのです。せっかく一方では新しい法律の改正を通じて回収等の命令が出されてきておる。農薬についてはそういうものについてはその条項が設けられておらぬ。いわゆる十五条の三とのかかわり合いにおいて農薬取締法の一部改正においてもそういう点について明記をする。明記をするのみならず、さらに先ほど言ったようないわゆる損失補償という問題についてもその姿勢を明らかにするということが、やはり第一条の目的の公害サイドとの関連においても当然考えられてしかるべきものだ。そういうことが不明確のままになっておるということになりますると、せっかく公害対策サイドの問題を加えた意味が十分に生かされない危険性もあり得る、率直に言って私はこういうふうに思うのであります。
 さらに先ほど共同防除体制等の問題が出ておりましたけれども、今度の農薬取締法の一部改正を通じて内容をさらに前進させるという点については時代の要請にもかんがみ、また、同時に実態から見て評価をするに私どももやぶさかではございませんけれども、そういうことになりますと、それはやはり農薬取締法に基づく一部改正を含めて現実に実効をあらわすためには国及び地方自治団体の責任体制あるいは農林漁業等の関係団体のこれに対する協力体制、第一線の農民諸君の理解と協力という三位一体に当然なってまいらなければ、第一条の目的に合致するような農薬取締法の運営はできないということであろうと思います。そこで、国及び地方公共団体の農薬取締法の実効を推進するための責任体制という点から見てこの一部改正の法律に明らかにされておる、答弁を含めてこれでいいのかという点を若干問題にしたいと思うのです。
 農薬といえば肥料というのが農業資材では対比になりますが、御承知のように肥料取締法の場合は肥料検査官というのが立法上も明らかにして農林省に置かれる、あるいは都道府県には肥料検査吏員というものを立法上も明らかにして都道府県に置かれる。肥料検査官及び肥料検査吏員の立ち入り検査等については肥料取締法の第三十条でこれを明記するというふうな、肥料取り締まりの場合には、農薬とはパラレルの農政サイドでは問題である肥料取締法ではそういうふうに法文上も責任体制を明らかにしておるわけであります。農薬取締法の場合はいわば植物防疫法におんぶする、立法上では明らかでありませんけれども、植物防疫法におんぶする。植物防疫法におんぶした形で、しかも全面的おんぶではありませんけれども、植物防疫法におんぶした形で本省のほうには植物防疫官、あるいは植物防疫員、あるいは先ほど御答弁もありましたように県段階には病害虫防除所、あるいはさらに病害虫防除員、これは本来農薬取締法の中で責任体制が明確にされたものでなしに、植物防疫法の中でそれを推進するための責任体制としていま言ったように植物防疫官、植物防疫員、病害虫防除員という形になっておる。私は植物防疫と農薬取り締まりとは一〇〇%重なるものでは必ずしもないと思うのですね。この際やはり農薬取締法の一部改正を通じて中央地方の法律的にも責任体制を明らかにするという立場から見た場合に、政府の提案のとおりの考え方でいいのかどうかということが私は大いに基本的な議論になる点だと思うわけでありますが、これらの問題については、検討過程においてどういうふうに考えられたのか。たとえば農林省の関係では、家畜伝染病予防法というようなところでは家畜防疫官、家畜防疫員というふうな体制を立法上も明らかにしておるというようなこともありまして、せっかく農薬取締法の改正を通じて、これからの時代の要請に即応するというならば、その辺のところは中央地方を通じての責任体制を立法上も明確にする必要があるのではないか、こう思うわけでありますが、その点について見解を明らかにしていただきたい。
#72
○中野政府委員 御指摘のように農薬の関係につきましては、農薬の流通という面から取り締まり法がありまして、その逆の面での病虫害の防除という関係から、植物防疫法という二つの体系で過去からきておるわけでございます。あるいは全部一緒にした法律ということも御意見があろうかと思いますけれども、なかなか植防法にいたしますと、輸出入等の問題も含んでおりますので、この際、すぐにはどう考えていいかということになりますと、かなり問題があるかと思います。いまの防除等の関係にしぼって申し上げますと、農薬の面からの流通規制の問題といたしましては、これはこの法律の十三条にもございますように、農林大臣が責任を持って指揮、監督をすることになっております。機関委任事務で都道府県知事に一部その権限を委任するという形をとっておるわけでございます。植物防疫のほうになりますと、これは防除体制でございますので、緊急防除なり指定病害虫に対する防除につきましては、これは国の責任である。それ以外のものにつきましては、これは都道府県の責任であるということになっております。そこで、そういう両方のことを考えまして、植防法では三十二条、三十三条のあたりに防除所を置き、そうして末端には防除員を配置するという体制をとっておるわけでございます。それで、それでは今回のようにいろいろ農薬について問題が出てくるときに十分かということになりますと、人員の面あるいは予算の面それから市町村の農協その他との連係の面について、われわれとしてもこれで十分だとは申し上げられません。これから十分その辺を詰めまして、制度ができましても実際の実効が不十分ということになりますれば意味はございませんので、次にその問題を取り上げまして十分検討の上、より指導が徹底、明確になりますようにいたしたいと思っておるわけでございます。
#73
○角屋委員 この際、局長でいいのですけれども、来年度予算に向けて農薬取り締まりに関連する中央、あるいは中央といいましても、本省の場合、試験研究機関の場合、あるいは末端の場合を含めて、どういう新しいものを機構の整備として考えておられるか、具体的に明らかにしてもらいたい。
#74
○中野政府委員 試験研究のほうは、技術会議のほうから御答弁願うことにいたしまして、われわれといたしましては、先ほどの農薬残留性の問題につきまして、これにつきましては、試験場のほうで過去三カ年ばかりやっております。それを引き継ぎまして、約九千万ほど――予算要求でございますからどうなるか、これからの折衝でございますが、九千万ほどかけまして作物残留性並びに土壌残留性の問題をより詰めたいということをまず考えております。それから天敵の利用につきましては、これはミカンでございますが、それについての予算も若干要求をいたしております。それから病虫害防除関係につきましては、防除所の予算といたしまして、ただいま申し上げましたのを大幅な増額ということで予算要求をいたしております。と同時に、やはり共同防除、それから防除をいたしました場合のあとの防除といいましょうか、農薬を使いましたあとのあきびんなりあるいは容器、こういうものが散乱するとまた問題をいろいろ起こしますので、これを一カ所にまとめて焼却をするというようなことで、それの相当額の予算を要求したいというようなことを考えておるわけでございます。(角屋委員「機構の問題」と呼ぶ)失礼いたしまして。それからもう一つ抜けておりましたのは、検査関係の問題でございますが、検査につきましてた、現在たしか四十七名程度でございますが、数年前に農薬残留調査課というのをつくりました。来年は土壌なり水の問題もございますので、もう一課ふやしまして、水なり土壌の問題に対応いたしたいということで、検査所の予算も大幅な増額要求をいたしております。
#75
○川井説明員 一応研究面での対応の状況を申し上げますと、一応来年度予定しております研究といたしましては、なるべく強力な毒性によらないもの、低毒性の方向での研究開発を考えております。たとえば天敵ウィルスなどの利用による害虫防除、この研究につきましては、強力に進めたいということでございます。なお、最近害虫の総合防除ということが問題になってきております。これにつきましては、天敵こん虫とかあるいは農薬以外の、たとえば性誘引物質、そういう科学的なものを、薬品を使いまして、性的に誘引してそこで殺していくとか、いろいろ天敵こん虫、天敵ウイルス、そういうものを総合的に使いまして防除していくという技術開発を、大型研究として、来年度約一億六千万というような研究を進めることにしております。
 なお、研究組織の点につきましては、全般的に逐年整備してきておるわけでございますけれども、何ぶんにも農薬の種類あるいは病害虫の範囲というものが非常に広筋にわたりますし、基礎から応用まで広範な点もございますので、国の研究及び都道府県、さらに関係のあらゆる民間研究機関を総合的にまとめまして進めるという運営方法でもってできるだけ対処してまいりたいということでございます。
#76
○角屋委員 農薬の研究開発、特に低毒性農薬の開発問題というのは、これから将来にかけての研究部面での非常に重要な課題だと思うわけであります。私ども聞いておるところでは、科学技術庁関係の理化学研究所の農薬部門あるいは農林省では農業技術研究所の病理昆虫部農薬科の研究室、それに国、県の地域農業試験場その他ももちろん加わると思いまするけれども、実際のところは科学技術庁と農林省のここが中心になって、それに残留農薬の民間も含めた研究所が、いま進行しておりまするけれども、本来は農薬の研究開発というのは、この二つの研究所が中心になってやっておるわけでありますか、あるいは今後ともやろうとしておるわけでありますか、その辺のところはどうでしょう。
#77
○川井説明員 ただいまお話しの農薬の開発につきまして、科学技術庁関係では、理化学研究所が、ここでは低毒性農薬の、特に合成開発の基礎研究、非常に専門的な基礎的な研究を実施しておりますが、農林省の農業技術研究所におきましては、農薬を利用する方面での基礎的なもの及び応用的なもの、それから分析方法の確立というような点を重点に進めております。全国の地域農業試験場におきましては、さらに地域の実態に応じた技術の開発ということをやっておりまして、一応その利用面と基礎的な開発面ということで、これまでも理研とわれわれのほうの、農林省の関係の研究機関も非常に緊密な連携を保ってきております。今後もさらにそこら辺の緊密な連携によりまして、できるだけ実態に合うように問題なきように処理していきたいというふうに考えております。
#78
○角屋委員 今度新しく新設されました作物残留性農薬の使用の規制の第十二条の二、それから土壌残留性農薬の使用の規制の第十二条の三、さらに水質汚濁性農薬の使用規制の第十二条の四、時間の関係もありますので、このうちの第十二条の四の水質汚濁性農薬の使用規制の運営上の問題についてお伺いしておきたいと思いますが、御承知の旧来の法律によりますと、指定農薬の使用規制という形の中で、第十二条の二、これの第一項、第二項、第三項というふうにずっと書いてありますが、特に第二項の場合においては、旧来の法律によりますと、これは「当該指定農薬の使用に係る利害の調整その他その使用の規制に関し必要となる方策について、農業に関する団体及び漁業に関する団体のそれぞれの意見並びに学識経験を有する者の意見を徴しなければならない。」というふうな形のものが従来あったわけですね。今回のこの第十二条の四の水質汚濁性農薬の使用規制、大体内容は、旧来の十二条の二は、この十二条の四に示される水質汚濁性農薬の性格が強いと思うのですけれども、この場合は第十二条の四の第二項、都道府県知事に関することがずっと書いてありますが、最後のほうに「政令で定めるところにより、これらの事態の発生を防止するため必要な範囲内において、規則をもつて、地域を限り、当該農薬の使用につきあらかじめ都道府県知事の許可を受けるべき旨(国の機関が行なう当該農薬の使用については、あらかじめ都道府県知事に協議すべき旨)を定めることができる。」こういうふうになっておるわけですけれども、この第十二条の四の第二項の考え方と旧来の第十二条の二の第二項の考え方とは、だいぶ取り扱いの運営上の性格が違っておるのか。あるいは実際問題としては、いわゆる知事が許可を与えるときに、旧来の第十二条の二の二項というのは運営の問題としてはそれに含まれて、関係団体なり学識経験者の意見等も聞いて許可を与えるかどうかというふうに踏み切るのか、新しい改正のこの考え方、基本的な姿勢についてひとつお伺いしておきたいと思うのです。
#79
○中野政府委員 御指摘の現行法によります十二条の二でございますが、これは水産動植物に著しい被害を与える魚毒性の強い薬、しかもそれを水田だけを対象にしてまいりました。これは具体的に申しますと有明湾と琵琶湖でのPCPという除草剤の使い方の問題です。これをつくりました際には、当時の水産関係、それから農業関係といろいろいきさつがあったようでございまして、それを受けましてこういう法文になっておるわけでございますが、今回改正をいたしましたのは、そのことを含めましてしかも水産動植物につきましても、たとえば山のほうの水源地帯にも、この規定を適用したいという気持ちがあることと、それからまだ具体的にはそういう農薬が出てまいっておりませんが、水に農薬が流れ込みまして、そのために水質を汚濁して人畜に被害を及ぼすといった場合を含めて書いたわけでございます。そしてそれらはいずれもかなり広範囲ではありますけれども、場所によって違ってまいりますので、県知事が規則をもって地域を限って許可制にするということでございます。それじゃその運営の際にただいま現行法にあります気持ちをどうするかということでございますが、われわれとしましては、知事がかってにこういうことをやるということではありませんで、指導といたしましては、当然関係者の意見を聞くということを指導通達でもってやりたいと考えておるわけでございます。
#80
○角屋委員 時間も約束の時間が近いようでありますので、集約をいたしていきたいと思います。
 従来から本法には農業資材審議会というのがありまして、二十名の委員をもって構成しておったわけでありますが、今度これを三十名に拡充をしたいというふうな計画を持っておるやにお聞きしております。この農業資材審議会は、この法改正に伴いまして変更の登録または登録の取り消しあるいは農薬の販売の制限または禁止、作物残留農薬等の指定というふうなものについても審議会の意見を聞かなければならぬということが新規追加になりまして、この農業資材審議会の運営問題というのは本法の公正な運営の一つの重要な要素になるわけであります。問題はそういう場合のいわゆる農業資材審議会の構成をどう考えたらいいのか、従来の資料によりまして名簿を見てまいりますと、農林漁業団体ということでは木村重雄さんですか、あるいは広い意味で加えれば堀さん、植物防疫協会理事長というふうなところが加わっておったかと思うのですけれども、やはり農業資材審議会の人数をふやす場合にどう構成をするか、第一条の目的ばかりではございませんで、全体的に考えてどう構成するかというのは非常に重要な問題だと思うのです。もちろんこの中には関係団体の代表も入らなければなりませんし、学識経験者という意味において試験研究あるいは大学教授というふうなものも入らなければならぬと思います。ただ問題になりますのは、こういうメンバーの中に、たとえば東海区水産研究所水質部長とかあるいは農業技術研究所農薬科長とかいういわば政府の関係者も委員ということで入っておるわけです。これはむしろ専門委員的に取り扱ったほうが、本来の審議会の構成としては適当ではなかろうかというふうに私自身は判断をするわけですけれども大体いわゆる製造メーカーのほうのウエートが高くて、これを使う農林漁業団体なり何なりのほうの代表がきわめてレアである、こういうのもいかがかと思うのです。今後の審議会の新しい構成については、いわゆる学識経験者あるいは関係団体あるいは一般の消費者の意見を直接代表できるようなものというものを適正にミックスしなければならぬと思うのですが、これらの構想についてはどうお考えですか。
#81
○倉石国務大臣 農業資材審議会は、現在農学、農芸化学等の学識経験者、それから農薬業界関係団体等の関係者で構成されておりますが、今回の法改正に伴いまして、医学、それから環境衛生学等の学識経験者をも加えまして、広くそういう方面の公平な判断をしていただくように組織いたしたい、このように考えておるわけであります。
#82
○角屋委員 大臣の答弁というのは最近よほど円熟しておるはずだけれども、抽象的でどうもたいへん困る。これは大臣がおそらく構想して、そしてこれが通れば、法改正に伴う趣旨に即応してこの審議会を強化されると思うのですけれども、その場合は、やはりわれわれから見ても妥当な構成になったというふうな構成になりますように、ぜひひとつ御考慮を願いたい。
 あと、最近のヘリコプター散布に関連する今後の問題とか共同防除体制の問題とかあるいは農薬中毒の従来の経過とこれからの対策の問題とか、さらに輸出農薬に対する指導監督上の問題とかいろんな問題が残りましたけれども、まだ同僚の諸君からもそれぞれさらに質問が継続されるわけでありますので、約束に基づきまして、本日はこの程度にとどめたいと思います。
#83
○草野委員長 午後二時に再開することとし、これにて休憩いたします。
   午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時九分開議
#84
○三ツ林委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前の会議に引き続き、質疑を続行いたします。斎藤実君。
#85
○斎藤(実)委員 私は農薬取締法の一部を改正する法律案について若干御質問申し上げます。
 最近、農薬によって農畜産物の残留性あるいは環境汚染問題については、特に生産者だけではなく、国民の生命と健康に大きな不安と動揺を与えておるということは、私はこれは非常に問題だと思う。特に農薬によります残留性の問題につきましては、これまで政府がとってきた態度は非常に消極的であり、農業あるいは食品行政の怠慢であるというふうに私は考えております。
 日本の農薬問題が今日のように野放し状態からようやく規制の方向に向かっているということについては、私も評価をしたいと思います。しかしながら、これだけ国民の関心が高まり、しかも国民生活と健康に密接な関係のある農薬取締法の改正をなぜもっと早く提案をしなかったか、この点について大臣からの御所見を承りたいと思います。
#86
○倉石国務大臣 けさほども田中さんにも申し上げたわけでありますが、私どもは戦後各方面で、まず生産を上げなければならないということで全力をあげてやってまいったことは御承知のとおり。日本人全体がそういう立場で働いてまいりましたので今日のような経済復興を見るに至ったと思うのでありますが、その間やはり私どもが注意すべきことについてみんなが若干不注意であったというようなこともいわれるかと思いますが、近来とみに私ども、全体の国民の保健衛生あるいはまた国土の緑の保護というふうなところに静かに反省いたしてまいりましたときに、いわゆる公害の問題についてみんながひとしく注意するようになってまいりました傾向はきわめていいことであると思うのであります。そういうようなことでございますので、私どもとしては当然気がつくべきことであったのに気がつかなかったというふうなこともあり、また農薬の性質等につきましても若干注意を怠っておったようなこともあるかと存じますが、このたびそういう見地に立ちまして、私どもは政府全体としてそれぞれの持ち場に立っていままでやってまいりましたそういうことの行政に反省を加えて、公害対策本部というふうなものを設置したり、直剣に取り組んでまいる、こういうことに相なったわけであります。
#87
○斎藤(実)委員 私は、この農薬にかかわる公害問題につきましては、やはり政府が本気になって取り組むという姿勢がきわめて何よりも優先してそういった規制というものははっきりきめなければならぬ、これがこの問題を解決する一番重要な問題だろうというふうに考えるわけです。この農薬問題につきましては、科学技術の進歩、あるいは病害虫の免疫性等を考えますと、やはり広範な対策というものが必要である。現在は厚生省、農林省が関係しておるわけでありますが、やはりばらばら行政ではいかぬ。したがって政府は今後農薬あるいは食品衛生行政という面、こういった面を考えて、総合的な体制を確立することが最も必要ではないか。ですから先ほど来各委員から指摘がありましたように、このきわめて重要な農薬問題につきましては、農産物の安全確保、こういった点、あるいは農薬による環境汚染をあらゆる角度から総点検をして万全な対策を進める機構というものはここで何らかの形で樹立をされるのが最も望ましい、私はこのように考えるわけでありますが、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#88
○倉石国務大臣 農薬は、先ほど来のお話にもございますように、農業生産にとって欠くことのできないものとなっておりますが、その反面、その使用の増大に伴いまして、農薬散布中の事故の発生または農作物等への農薬の残留等の問題が生じてまいったわけでありますから、そういう面について行政的にいろいろいままでそれ相当に対策を講じてまいっておるわけでありますが、今回いま申し上げましたような見地に立って従来の農薬取締法の一部を改正いたしまして、農薬の登録に際しましての検査を強化し、その危険性が明らかにたりました農薬の登録の取り消し及び販売の禁止、あるいは残留性等の強い特定の農薬の使用規制等の制度を設けますとともに、低毒性農薬を開発することの技術の普及、そうしてその安全かつ適正な使用を確立いたしまして農業生産の安定と国民の健康の保護、それから生活環境の保全等に全力をあげてまいりたい、このように考えているわけであります。
#89
○斎藤(実)委員 法案の内容に移りたいと思いますけれども、今度の改正で目的の規定が新設されることになりました。目的の中に、「この法律は、農薬について登録の制度を設け、販売及び使用の規制等を行なうことにより、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保を図り、」こういうふうにあります。「農薬の品質の適正化とその安全」その次が「かつ適正な使用の確保を図り、」というふうにうたわれておるわけです。この「適正な使用の確保」をこの農薬取締法の目的に加えたという意味は、この「適正な使用の確保」をこの法案とどういうふうに関連づけるのか、この点について御答弁をいただきたいと思います。
#90
○中野政府委員 第一条の目的に「適正な使用の確保」ということばを入れましたものに応じまして、今度の改正案におきましても適用病害虫の範囲、それからその使用方法というものが農薬を使うときに一番大事でありますが、それにつきまして新しい登録に持ってまいります場合には、従来の薬効、薬害のほかに、毒性残留性についても試験成績書を持ってこさせるということをまず前提に置きまして、その上で使い方によっては安全だ、しかしむやみに使わせるとこれはいろいろ問題を起こすというような農薬につきましては、この条文にもございますように指定農薬制度というものを設けることにして、指定農薬制度におきましては、農林大臣が基準をきめましてそれを順守していただくということを入れたわけであります。それからもう一つは、指定農薬制度で厳重にやるほどの必要もない農薬につきましても、なるべく多くのものにつきまして安全な使用をさせるという意味で、農林省といたしましては安全使用基準というものをつくりたい。そうして農林大臣がそれを公表して、それを各末端を通じまして農家に徹底するようにいたしたいということで、そういう条文も新たに設けたわけでございます。そういうことがこの適正な使用ということだと思っております。
#91
○斎藤(実)委員 確かに今度の法案の改正の中には登録制度の強化、あるいは保留条件の拡大、さらにまた残留性農薬の規制を進めるとかその安全基準をきめる、確かにありますけれども、私が申し上げたいことは、一口で言ってこの農薬の規制農化することだけで――実際にこれは農家が使うわけです。そういった直接農家が使う、その場合の具体的な防除実施についての規制がないわけです。先ほどもお話がありましたけれども、私は何らかの形で具体的な実施体制というものをこの中に織り込むべきではないかと考えるのですが、いかがですか。
#92
○中野政府委員 お話のとおりでございまして、基準が幾らしっかりしておりましても、末端の農家の使い方の指導が足りませんとこれは意味をなしません。そこで、午前中にも種々御議論がございましたように、われわれといたしましては、過去におきましても共同防除の促進のための予算措置等を講じてまいりましたけれども、今後とも現在県にあります病害虫防除所、これは百八十カ所ございます。これを中心にいたしまして末端の病害虫防除員それから農業改良普及員、そういうものを動員をいたして、先ほど申し上げました安全使用基準をできるだけ守らせる指導をいたしたいと考えておるわけでございます。
#93
○斎藤(実)委員 なぜ私が、実際に農薬を使う場合の具体的な規制というものが必要であるかというと、やはりいろいろな面で被害が出ているわけですね。これは私が調べたのですけれども、最近の農薬により中毒がますますふえる傾向にあるわけですね。日本農村医学会で発表したデータによりますと、農薬の被害を受けているのが三百二十三名のデータでこれは調べたわけですけれども、大体三十歳から四十歳の男女が非常に多い。それで農薬の被害が一番多いのは、散布中の被害が一番多いわけですね。これが八十五人。トップを占めているわけですね。それから誤用、間違って用いた、こういったものも相当あるわけです。ですから、臨床例の中では湿しんあるいは皮膚炎が非常に多い。こういったことが明らかにされております。この発表を見ましても、農薬の使用の際の本人の不注意、こういった事故が非常に多いわけです。この調査結果から見ても、農薬というのは両刃の剣である。農薬というものに対しては、細心の注意とその管理体制が何よりもここでは必要であるという具体的な実証がされておるわけですね。ですから、法律でこういうふうにすべきだといっても、そういう防除体制というものがはっきり確立されていなければ何にもならぬと思うのですが、この点どうでしょうか。
#94
○中野政府委員 お話のとおりでございまして、先般差し上げました参考資料によりましても、農薬による中毒事件といたしましては、散布中の中毒というのとそれからあとは自殺、他殺が多いわけでございます。特にいま御指摘の散布中の事故につきましては、御指摘のとおりでありますので、やはり末端での防除体制の確立ということが必要だと、私たちも痛感をしております。
#95
○斎藤(実)委員 この防疫員の件でちょっとお尋ねいたしますけれども、この植物防疫法につきましては、第三十三条で規定をされております。その中に、「都道府県は、防除のため必要があると認めるときは、発生予察事業その他防除に関する事務に従事させる」というふうになっておりますね。ですから私は、これだけ残留性、毒性の問題あるいは農作物に対する被害、人畜に対する被害というものが非常に多くなってきておる、こういうことで、やはり防除体制というものをこの際はっきり確立する意味におきまして、この防除のため必要と認めるというのではなくて、やはり監視体制なり、具体的にこの防除体制を実際に問題がなく、安全かつ適切な実施ができるように、この辺も少し検討する余地があるのではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
#96
○中野政府委員 御指摘のように、植物防疫法の三十三条には、「都道府県は、防除のため必要があると認めるときは、」というふうに書いてありまして、形式的に読みますと、必要がなければ置かないということで、置いたり置かなかったりするふうに読めるわけでございますが、これは昭和二十六年の改正のときに入った条文でございまして、そのときになぜとういう入れ方をしたかということについては、私もつまびらかにいたしませんが、実態といたしましては、午前中も申し上げましたように百八十カ所の病虫害防除所というのを各県が必ず置いております。それにつきまして人は三人、予算としては発生予察の予算として補助をいたしております。その末端に一万八百人の防除員を置いておるということで、多少形式的な法律の読み方とは違いますけれども、実態は全国必ず置くようにいたしておるわけでございます。
#97
○斎藤(実)委員 先ほど午前中の質疑で防除員が一万八百人ということになっております。そうしますと、一町村にはほんの二、三人じゃないかと思うのですけれども、予算も年間に十五日分だということになりますと、実際に活動することについてはやはりそういった面で制限されるのではないかと思うのです。はたしてこういった現状の体制で的確な安全な防除に対する指導ができるかどうかはなはだ私は疑問に思うのですが、いかがでしょうか。
#98
○中野政府委員 御指摘のとおりだと思います。防除員だけが責任を持ってやるということは、これだけ全国各地のいろいろな農業をやっておりますものの指導はできません。そこで、農林省といたしましても、先ほども共同防除の話を少し申し上げましたが、防除訓練をつくらせる指導をして、結局末端では防除員を中心に農協、共済組合あるいは改良普及員もお手伝いをしながら、全体としてのそういう指導体制を確立する必要があろうというふうに考えております。
#99
○斎藤(実)委員 では次に移ります。
 その前にいまの防除員の人員ですね。来年度はどういった人数になりますか。ふやすのか、それから予算的にどういうた措置をされようとしておるのか、数字を示していただきたいと思います。
#100
○中野政府委員 来年度の予算でございますので、まだこれは大蔵省にいま要求をして折衝中のものでございますが、たとえば先ほど申し上げました病虫害防除所のいろいろな運営費といたしましては、ことしが二千三百六十万円でございますが、これを約三倍近くに持っていきたいということを考えておりますし、それから防除所の機動力の増強ということで、やはりこれも倍増いたしたい。それから病虫害防除員の活動費もことしは六千六百万円程度でございますが、それを九千百万円ぐらいまで持っていきたいということにいたしまして、ただいま大蔵省と折衝をしておるところでございます。それからなお午前中も申し上げましたが、やはり農薬の使用に伴う安全管理の必要がありますので、使いましたあとの容器等の焼却その他をまとめてやらせるための施設の補助、機動力の増強ということも別途考えまして予算要求をいたしておるわけでございます。
#101
○斎藤(実)委員 登録制度の改善についてでありますけれども、農薬の登録の申請に際しては現行の薬効及び薬害に関する試験成績書に加えて、毒性及び残留性に関する試験成績書を提出しなければならないこととするというふうに今度はなるわけです。この中に、相乗効果による急性毒性の増大ということで、この相乗効果についての試験成績書を加えるのか加えないのか、この点いかがですか。
#102
○中野政府委員 毒性の問題につきましては、農林省独自で判断するのは非常に問題がありますので、そういう二種類の毒性がある場合の重ね合った場合ではないかと思われますが、すべて厚生省に試験成績書を送付いたしまして、向こうの御見解を聞いた上で登録をするということになるわけでございますが、その場合でも、毒の強いものは特定毒物あるいは毒物、劇物という指定を受けた上で、農林省としては農薬の登録をするということで現在やっておりますし、今後ともそういうふうに緊密に厚生省と連絡をとりたいというふうに思っております。
#103
○斎藤(実)委員 厚生省の方来ていますか。――これについて伺いたい。
#104
○小島説明員 農薬の登録に際しましては、現在でも私どもは、農林省が新しい農薬を登録する際に毒性の問題の御相談を受けまして、御意見を申し述べさしていただいておるところでございますが、今度は農薬取締法が改正になりますと、法文で明記をいたしまして、そういった資料を登録に際して提出をさせて私どものほうへ御協議になることと存じております。その際に毒性の資料といたしましては、急性毒性以外に当然に慢性の毒性というものが検討されなければならないわけでございますが、慢性の毒性につきましては国連の世界保健機構で定めました一定の方式がございまして、動物試験を行ないまして、その結果に安全率をかけまして、そして許容量と申しますか、われわれが一日にとってよろしい量というものをきめるわけでございます。そのときのきめ方は、動物に一生涯与えましても問題がない量をさらに安全率で、非常に大きな数字で割りまして、それを人間が一生の間とり続けても差しつかえない量ということに計算をするわけでございますが、その際の安全率はそういった相乗等の問題も考慮に入れた上ということになっておりまして、私どもとしてはその安全率の範囲で相乗毒性の問題は心配ないというふうに考えておりますし、またそれが世界的に共通の考え方となっております。
 しかしながら問題は、相乗毒性というものは、Aが一Bが一というような毒性を組み合わせましたときに、それが三なり五なりというふうに、一プラス一が二でない、もっと大きくなる可能性があるというところでございますので、実はこの点につきましては農薬だけでなく食品添加物等についてもこういう問題がございますので、私どもとしては今年度から研究費をいただきまして、相乗毒性に関する研究班をこしらえまして、現在千葉大学の学長を班長といたしましてこの問題を検討しております。いままでに得られました検討の結果では、食品添加物等の場合には、一プラス一が五なり六なりという例はほとんどというか全く発見されておりませんで、むしろ一プラス一が一・二なり一・三というふうに少なく出る場合のほうが多いということがいままでの資料ではわかっておるわけでございます。しかしながらまだ実験資料等もそう多くはございませんので、私どもとしてはこういった相乗毒性に関しましてもっとはっきりしたルールというものを発見してまいりたい。そして現在の使っております安全率の中にもっとそういうものを織り込んでいく、またさらに一つ一つの農薬の登録の際には、慢性毒性以外にたとえば人間のからだの中に入ってどういう変化をするかというような代謝等の試験も織り込みまして、心配のないようにしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#105
○斎藤(実)委員 私は、特にメーカーのこの試験成績書並びに慢性毒性の成績書については、国民生活に重大な影響のある問題ですので、十分慎重にこの問題を研究をされ、処置をされるということをひとつお願いしておきます。
 次に、農薬の残留毒性の分析技術体制について伺いたいと思うのです。特に人体に重大な影響のある問題でありますので、具体的に分析体制をお聞かせ願いたいと思います。
#106
○中野政府委員 残留農薬の問題が出てまいりました昭和四十三年以降、農林省といたしましては、もうすでに行政指導といたしまして、試験成績書をつけてこい、つけてこなければ実際問題として登録をさせないということにいたしておりますが、そのやり方といたしまして、慢性毒性といたしましては二カ所以上の機関、そのうちの一つは公的機関でなければいけないということで、二種類以上の動物を用いた連続三カ月以上の、これは亜急性経口投与試験というのですが、これによりましていろいろ試験をさせた結果を持ってこさせております。それから土壌の残留、土壌といいましょうか、今度は農作物への残留の問題につきましては、やはり通常の使用方法によりまして農薬をまく回数、それからまく時期、まいてから収穫までのいろんな段階に分けましていろいろな試験をさせまして、そして収穫物の中にどういうふうに残ってくるかということを調べた上で出させるということにいたしておりますし、土壌への残留につきましても、やはりその農薬が通常使われる状態、いわば水田とか畑とかということになるかと思いますが、その水田や畑の中での土壌中での分解、消失していく速度に関する試験あるいは土壌中での分解速度がおそい農薬につきましては土壌中の農薬の農作物による吸収に関する試験、どういうふうに農作物に吸われていくかという試験を行なった上で判定をしたいというふうなことでとり進めたいと考えております。
#107
○斎藤(実)委員 全国各県に農業試験場がございますが、ここに残留分析の機械を設置をしたというふうに伺っておるわけですが、この配置状況と、今度はこれに対応する技術員、研究員といいますか、これがどうなっておりますか。具体的にどういう活動をされておるのか、お伺いしたいと思います。
#108
○中野政府委員 分析の器具、機械は、昨年とことしにかけまして全県に全部補助をいたしまして設置をしたわけでございます。そこで各県での体制は、試験場に大体一、二名ずつ責任者を置きまして、その責任者に対する講習会等も農林省で実施いたしまして、一応態勢を整えておるところでございます。
#109
○斎藤(実)委員 聞くところによりますと、専門技術員が非常に不足をしておるという。わずかに
 一週間や十日の講習会では実際にその機能を発揮できない。ですから、この研究員、職員を本気になって養成しなければ問題じゃないかと私は思うのです。なるほど県といっても非常に広大でありますし、一台の機械だけで足りると思っておりませんけれども、こういったことを含めてやはり技術者と機械については十分配慮措置が必要だと思うのですが、この点どうですか。
#110
○中野政府委員 全く御指摘のとおりで、残留問題に対応する体制といたしましては不十分だと思います。われわれといたしましても逐次予算を獲得しながら増強をしていくべきだと考えております。
#111
○斎藤(実)委員 国立の農業に関する研究機関として西ケ原に農業技術研究所、それから小平市には農薬の検査所、二つあります。この二つはどういった農薬の研究をされておるのか、説明していただきたいと思います。
#112
○川井説明員 農林省の農業技術研究所におきましては、農薬を利用していく場合に基礎的に明らかにしなければならない物理性あるいは化学性というものをいろいろ検討しておりますし、また相当精度の高い分析方法、これを確立いたしまして、これを使って全国の研究機関が分析できるようにということで、そういう非常に精度の高い分析方法をここで確立いたしております。そのほかいろいろ基礎的な研究を実施いたしております。
 これに対しまして農薬検査所におきましては、農薬の登録申請が出てくる場合に、そういう農薬が農薬取締法の観点からはたして適正な品質、規格を持っているかどうかという結論をいろいろ検討されるというような研究を中心に行なっておるというふうに伺っております。
#113
○斎藤(実)委員 いま御答弁がありました農薬検査所、これは登録されたものを検査をするというふうにいま答弁がありましたけれども、年間に千数百種類の農薬が出てくるわけですが、この農薬検査所で登録申請されたものを一体検査できるのですか。この点どうですか。
#114
○中野政府委員 農薬検査所は、御指摘のように現在は四十七名で構成されておりまして、登録申請がありました場合の検査と、それからもうすでに流通しております農薬の検査等もやっております。御指摘のようになかなか人員が不十分でございますけれども、いまお話しのように、年間千件くらいの審査がございますが、これの大部分は前に登録してありますものの三年ごとの更新登録でございます。全く新しい薬というのは年に大体二十くらいでございます。それでもあるいはいまの能力で足りないのかもわかりませんけれども、そのために先ほどちょっとお触れになりました残留農薬の研究所等も、新しく農林省も助成をいたしまして、そこでの事前の試験といいましょうか、そういうものをやりながら低毒性農薬の開発ということもあわせて進めるという体制をとっておるわけでございます。
#115
○斎藤(実)委員 残留農薬の研究所については後ほどまたお尋ねをしたいと思っております。
 一つお伺いいたしますけれども、メーカーが開発をした新農薬の効果あるいは薬害についての問題点、こういった試験システムというのは一体どういう仕組みになっているのか。メーカーが直接国立機関に委託をするのか、あるいは各県の農業試験場に依頼をするのか、あるいは大学へその分析の委嘱をするのか、こういった経路について現在どういうふうになっておるか伺いたいと思います。
#116
○中野政府委員 メーカーが新農薬をつくります場合、まず二年ないし三年くらいは自分でいろいろ研究をいたしまして、試験もしてみるわけでございます。そこでこれで大体いいなと思ったときに、現在のやり方といたしましては、殺虫剤と殺菌剤につきましては社団法人の日本植物防疫協会という公的機関への試験研究の依頼をいたします。それから除草剤や植物生長調整剤につきましては、日本植物調節剤研究協会、これは公的法人でございますが、ここで試験研究のあっせんの依頼をいたします。それぞれ、おのおの学者が集まりました専門の試験委員会を持っておりまして、そこで審査をしまして、そこでこの農薬はこの県のこの試験場に頼もうではないか、あるいはこれは大学に頼もうではないかという割り当てと申しましょうか、あっせんと申しましょうか、そういうことをやります。その場合には大体一カ所ということではございませんで、三カ所以上の公的機関で二カ年くらいまた試験をやります。その結果を持ちまして農薬検査所に最終的に成績書として持ってくる。それを農薬検査所では、チェックをする必要があれば追試験をする、こういうふうなことで現在進めておるわけでございます。
#117
○斎藤(実)委員 この日本植物防疫協会、ここでメーカーからの委託試験を受けて、そして各研究機関に委嘱をするという答弁でございますが、私は、こういった試験というものが中間的な存在として、あるいは先ほど申しましたようにどこでどういったものをやるかということについてのチェックをする、それはメリットはあるかもしれませんけれども、やはり国の機関として強力なこういった試験機関が必要ではないか。この間大学の試験室へ行ってみましたけれども、大学の研究室ではもう困っているわけですよ。六大学へ行ってまいりましたけれども、大学の本来の研究ができないというわけです。ほんとうに困ったものだ。ですから権威のある、国費を投じて、専門的なそういった農薬に関する研究機関をつくってもらいたい。そして大学としてもこの手数料は入るかもしれませんけれども、人員をふやすということについてはいま非常に問題がある。それよりも何よりも、技術者が本来の研究ができないともいっているわけですね。ですから、こういったことは私は問題ではないかと思うのですね。先ほど局長から答弁がありましたように、やはり農薬検査所には限度がある。それで今度財団法人の農薬研究所もできるようになればそっちへやるというお話もありましたけれども、やはり国立の専門的な研究機関を将来つくるべきでないかというふうにわれわれは考えるのですが、どうでしょうか。
#118
○中野政府委員 たびたび申し上げておりますように、確かにいまの検査体制は不十分だと思います。しかし、そうかといいまして、メーカーの開発するものを全部、国だけでそれの試験研究をやらなければだめだということになりますと、毎年量的にもかなり多いものですから、いまの体制では一ぺんに国が責任を負って全部検査をして、その結果登録するというところまでなかなか持っていきにくい。そこで先ほど申し上げましたように、メーカーの試験それから公的機関の試験、そして最終的に農林省の試験というふうにいたしておるわけでございますが、御指摘のように、できるだけそれは国のほうでやるべきだということはわかりますので、ただいま申しましたように残留農薬研究所というものをつくりまして、そこでも残留性の問題について試験をやるということにいたしておるわけでございます。なお、今後ともその辺の充実にはつとめるべきだと考えております。
#119
○斎藤(実)委員 この日本植物防疫協会は手数料としてはメーカーから二五%を取っているわけですね。普通手数料といいますと大体一〇%が常識なんですよ。民間業者の負担を軽減するということもありますけれども、開発研究の効果を十分にあがらしめるためには、やはりこの日本植物防疫協会の運営についても、何らかそこに指導すべき点が多々あるのではないかと思うのですが、どうでしょう。
#120
○中野政府委員 あるいは御指摘のようなことにつきましては、私まだ不勉強でございますので、もしそういうような点がありましたら、これは公益法人でございますので農林大臣の監督に属しておるわけでございますから、十分指導していきたいと思います。
#121
○斎藤(実)委員 今度できます財団法人残留農薬研究所、これは寄付行為を見ますと、やはり日本植物防疫協会と同じように委託をするというふうになっておりますが、これは各大学とかほかの機関に研究を頼むのか、その研究所自体が研究をするのか。先ほど私が申し上げましたように、この日本植物防疫協会のようにトンネルみたいなかっこうになるのか、その防疫研究所で独自でその残留農薬の研究をするのか、この点をひとつはっきり御答弁をいただきたいと思います。
#122
○中野政府委員 この研究所につきましては、国のほうでことし一億、それからメーカーと農業団体から寄付をいただいて、それから来年も相当な予算を投じまして、約七億五千万くらいの規模の施設をつくりたいと考えております。
 そこで、これはこの研究所自体がむしろメーカーなり何なりの委託を受ける場合あるいはみずから研究する場合を含めまして、自分で研究をするわけでございまして、ここで中継ぎをしてまたトンネルで通してやるということは考えておりませんし、またそうあるべきではないと考えております。
#123
○斎藤(実)委員 これは財団法人というと公益法人ですね。出資を募るわけですが、この出資内容はどういったところが中心になってやっておりますか。
#124
○中野政府委員 まだ来年度の予算が確定をしておりませんので確定的には申し上げられませんが、農林省といたしましては、この研究所に来年はもう一億五千万追加して出したいということでございますので、国はことしのとあわせますと約二億五千万になるわけです。もっとも、これはまだ予算要求でございますので、これからの折衝でございます。それからあと残る約五億ほど、これを農業団体とそれからメーカーとから寄付をいただく、そういうことで三者で基礎的な施設をつくるということにいたしております。
#125
○斎藤(実)委員 農薬メーカーからも出資を依頼するという話でありますけれども、やはり事農薬に関する限り、人体に大きな影響がある農薬を研究する機関に対してメーカーから金を出させるというのは、はたして適正な運営ができるかどうかと私はちょっと疑問に思うのですがね、どう考えてみても。この点どうですか。
#126
○中野政府委員 そういうお考えもあるかと思いますけれども、この残留農薬研究所での研究は、開発する農薬は、これはメーカーがつくり出すものでございます。メーカーのつくってくるものを全部国で試験するということも一つの考えでございますけれども、やはりある程度の受益者負担ということはあってしかるべきではないかというふうにも思うわけでございます、これは手数料であるか何であるかは別にいたしまして。という考えもありまして、農林省といたしましては、この三者から金を持ち寄るということにいたしたわけでございますが、これの運営につきましては、現在理事が二十一名おりますが、そのうちで学識経験者が三名、それから厚生省、農林省の専門の人が九人、関係団体から六名、メーカーからは農薬工業会として三名ということにいたしまして、二十一人のうち直接メーカーからは三名ということで非常にしぼっておりますし、連営が不公正になるというふうには考えておりませんし、また今後の運営といたしましても、公正が確保されるように指導いたしたいと考えております。
#127
○斎藤(実)委員 再度お尋ねをいたしますけれども、この残留農薬研究所についてはまあわかりました。ただ、私は、この農薬取締法の目的の趣旨からいいまして、「国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とする。」というふうにうたわれておりますので、国で出資をするこの財団法人の残留農薬研究所は、私はこれがまだできておりませんから何とも言えませんけれども、やはり国の直轄の、外郭団体でもけっこうでございますけれども、国の責任で将来はそういった国民の健康の保護に資するために、「国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とする。」というこの目的の上からいって、やはり国でこういった研究機関というものを設けるべきではないかというふうに考えるわけですが、再度、これは大臣からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#128
○倉石国務大臣 残留農薬研究所は、いまお話しのように寄付行為等で財団法人ができているわけでございますが、私はメーカーもやはり、人体をそこなうようなこと、それからまた将来責任を持たなければならないようなものをつくり出すということについては、非常に警戒的であるだろうと思うのであります。こういうところにはやはり、いま局長が申しましたように本年一億、来年また一億五千万の補助をいたしまして私のほうでもこれに協力をしておるわけでありますので、私は残留農薬研究所というものについてはそういうことについては心配をしておりませんが、いまお話がございますような点については、やはり大事なことでありますので、その運営等もまたわれわれの期待し得るように、いろいろ勉強をしてもらえるかどうかということについては十分注意もし、監督もしていき、そして所期の目的を達成されるように指導いたしたい、こう思っておるわけであります。
#129
○斎藤(実)委員 登録の保留要件の拡大ということにつきまして、この「農作物等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるとき」、このときには許可しませんよという条文でありますけれども、私はたとえばブラスチン、これは御承知のようにイモチ病の殺菌剤でございますけれども、これを稲に散布をした。ところがそのあと成分が稲わらに残るわけですね。このわらを堆肥として使った場合、豆やキュウリ、こういった農作物に被害が発生した例が過去には数件あるわけです。今後もこのような事例が発生するのではないかというように考えるわけですが、こういった二次障害の例が起きた場合には、この登録保留要件の拡大の範囲の中に入るのかどうか、お伺いしたい。
#130
○中野政府委員 ただいまの問題は、今度の改正法の第三条の四、五、六というところに書いてございますが、たとえばBHCのような場合はこの第四号でございますが、農作物等につきましての残留性の程度から見て、「その使用に係る農作物等の汚染が生じ、」ですから、これは稲わらの汚染が生じまして「かつ、その汚染に係る農作物等の利用が」、その稲わらの利用が「原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるとき。」というふうになっておりますので、まさにBHCの場合等はこれに当たる。それから、キュウリ等の問題につきましてはその五にございまして、「当該農薬が有する土壌についての残留性の程度からみて、その使用に係る農地等の土壌の汚染が生じ、かつ、その汚染により汚染される農作物等の利用が原因となって」といいますから、土壌が汚染されてからそのあとにキュウリを植えたら、そのキュウリに残留許容量をこえるようなものが出てきて、それが原因となりまして「人畜に被害を生ずるおそれがあるとき。」、これについてはやはり登録は保留ということにいたしております。
#131
○斎藤(実)委員 次に、厚生省が残留農薬の許容量を設定するわけですね。それによって農林省が安全使用基準を設定する、こうなっておりますが、厚生省が残留農薬の許容量をきめて農林省が安全使用基準をきめた、こういうものについてはこれも同じように指定農薬として指定すべきではないかというように考えるのですが、この点どうでしょう。
#132
○中野政府委員 ただいまお話しのように、残留許容量を厚生省がおきめになりましたものにつきましては、農林省はそれに対応しまして全部安全使用基準をつくっております。それは行政指導で農林省はやっておるわけでございますが、今度の法改正によりますと、その中でも特に問題がありまするものにつきましては、土壌残留性、作物残留性、水質汚濁性というものにつきまして指定農薬をつくります。つくられました指定農薬につきましては、この法律の改正案にもございますように、農林大臣が使用の基準を定めます。そしてその基準を順守させる。順守しないものについては罰則がかかるというふうに強くしておるわけでございますが、そうかといいましていま許容量をきめておられますすべての農薬について、全部あらゆる場合にそういう指定農薬にしなければならないかというと必ずしもそうではなくて、今度普通の安全使用基準を農林大臣が公表いたしまして、それの守り方の指導をすれば足りるというものもあるわけでございます。したがって、法改正後は、指定農薬によって強く使用の規制をするものと、安全使用基準によって規制を指導するものと二つになるというふうにわれわれ考えております。
#133
○斎藤(実)委員 残留農薬の許容量をきめて、しかも安全使用基準をきめて、それを指導して徹底させるというお話でございますけれども、実際に使うのは農家が使うわけですね。その場合、農家が個人個人かってに使う。そういったことで実際にその指導どおりいくかどうかということは私は非常に疑問だ。先ほどもちょっと申し上げましたように、農薬による中毒あるいはそういったものについてのデータということを申し上げましたけれども、やはりそういった指導だけで適確に安全使用基準どおり守られるかどうかということは問題があろうと私は思うのです。ここに指導体制というものが何らかの形で必要ではないか。ですから、都道府県それから市町村それから農業団体があるでしょうけれども、実際その下には農家があるわけですね。過去に農林省も非常に数多くの通達を出しておりますけれども、なかなかこれが徹底しないでしょう。ですからそういった点からいって、専門的な知識を持った人の指導体制というものが必要ではないかというふうに考えるわけですが、御答弁をお願いしたいと思います。
#134
○中野政府委員 お話しのとおりでございまして、また私もそういう必要性があるということをしばしば申し上げておるわけでございます。農薬の取り締まり制度がきちっといたしましても、農家にまで届きませんとこれは問題でございますので、防除組織それから防除員の資質の向上、それから安全な使用を守らせるためのあらゆる広報手段というものは一そう活用いたしまして、農家が安心して使える、それからまたそれぞれの規制を守りながら使ってもらうということを徹底させる必要は今後とも一そうあると思いますので、またそういう努力をいたしたいと考えております。
#135
○斎藤(実)委員 時間がまいりましたので、後ほどまた質問したいと思います。以上で終わります。
#136
○三ツ林委員長代理 合沢栄君。
#137
○合沢委員 ただいま提案されております農薬取締法の一部を改正する法律案について質問いたしますが、近年農薬の使用量が非常に増加をいたしまして、また新しい農薬等が続出しまして、わが国の農業の発展には大きく貢献してまいったわけでございますが、一方また、いろいろな農薬の事故が続出しておるということでございまして、生産者はもちろんでございますが、一般の消費国民にも非常な不安を与えておるということでございまして、一日も早くこのような事態に対処して農薬取締法の改正等が行なわれると同時に、この農薬の共同防除体制というか、こういったものが確立されるということでなければならないと思うのでございますが、今日になってやっとこのような改正案が出されるということはむしろおそきに失している感があると思うのでございます。
 なお、今回提案されましたこの法案を見てまいりますと、主としてその内容は登録制度の改正とそれから指定農薬制度による使用の規制、それから農薬安全使用基準の告示等による指導というこの三つの柱から改正案ができているというように考えられるわけでございまして、こういった改正案を通じて農作物の農薬残留等を防止して、さらに土壌とかあるいは水質等の汚染を防止しようということでございますが、単なる法律のこのような改正だけではその効果をあげるものでないことは当然でございまして、最も大事な問題は、そういった法の運用というか、積極的な共同防除体制等の体制の強化というか、こういったものが最も重要じゃないかと思うのでございます。
 ところで、特にそのためには陣容と人とそれから予算が伴うと思うわけでございますが、今回四十六年度の予算で関係の予算を要求しているのを見てみますと、確かに四十五年度から見ると相当大幅な予算要求はしておるようでございますが、しかしそれでもなお試験研究、調査費等を含め、さらに防除体制等も含めまして約七億かそこらでありまして、このような大きな農薬公害が問題になっておるときに、わずか予算の七億やそこらでははたして法律の効果を期待できるかどうか非常に疑わしいわけでございまして、この辺のことにつきましてまず大臣の御所見を承りたいと思うわけでございます。
#138
○倉石国務大臣 私どもこの法改正につきましていまお話のございましたように、いろいろな角度から農薬の害を除去することにつとめるわけでありますが、私どもはこれがすでに万全だとは思っておりません。先ほどもお話がありましたように、まだあとからあとからいろいろなものができてまいるでありましょう。したがってそういうことの研究も必要であります。それに対処することも必要になってくるかも存じませんが、とりあえず、さっきもお数えになりましたような項目で農薬の人体及び農作物に対する被害等についてできるだけこれを防止しようとするわけでありますので、いま私どもが予算要求をいたしておるもの、これもすべて満点であるとは思っておりませんが、逐次私どもの所期いたしております効果をあげ得るように最善の努力をしてまいる、こういうふうに考えておるわけであります。
#139
○合沢委員 わずか七億程度の予算要求で、それが全部認められるとは限らないということでございまして、私はわずかこの程度の予算では効果は期待できないだろうと思う。特に農薬の使用というのが、これは非常に多くの不特定多数の農家の方が使うわけでございますので、この指導が第一だと思う。午前中来の質問にも出ておりますが、防除体制の確立がまず第一じゃないか。そのためには相当なやはり予算と同時にこの指導のための国の体制というか、そういったものも必要じゃないかと思うのですが、見てみますと来年度要求している予算の中でも人間のほう、農林省のほうの人員の関係は研究等を含めてわずか九名の増員しかないわけなんです。従来でも不十分であったのでこういった大きな農薬の事故が起こっていると思う。一そうこれを徹底していくための法律を改正する以上は、やはり農林省のその方面の陣容の増加とあわして、予算がもっとつけられなければならぬと思う。私はそのように考えるわけでございますが、大臣は少ない予算でもって効果的にやっていきたいということでございますが、やはり何とかしてそういった陣容の確保とそれから予算の増加を見るためには、この法律の使用等についての面におけるところの法律の改正が必要じゃないか。特に植物防疫法等の改正ですが、先ほどもお話が出ておりましたが、植防の三十三条にございます「都道府県は、防除のため必要があると認めるときは、」というようなことで、実際にはこれは常時置いているそうですが、「必要があると認めるときは、発生予察事業その他防除に関する事務に従事させるため、条例で定める区域ごとに、非常勤の病害虫防除員を置く。」といったようなことではなまぬるいのではないか。こういった法律ではやはり防除予算というか、関係の予算もとりにくいのじゃないかと思うのです。特に現在ある百八十の各防除所でございますが、これ等も決して充実した仕事をやっているとは認めがたいわけなんです。そういったことから植物防疫法の三十三条等は当然今回並行して改正されるべきじゃなかったかというように考えるわけでございますが、この点についてのひとつお考えを聞きたいと思うわけでございます。
#140
○倉石国務大臣 植防法につきましてはいまお話しのように、私どもこの公害の問題が出ます前に、植防関係の人員のことにつきましては、輸入品を取り扱ったりしておる方面から、だんだんと輸入品が多くなり、人員が不足しておるという訴えを、もうしばらく聞いておるわけであります。そういうようなことについても、需要に応じたように積極的に対処いたしたいと思っておるわけでありますが、それに加えて今度農薬取り締まりについていろいろ指導をしなければなりません。しかし先ほどの質疑応答の中でも政府委員からもお答えいたしておりますように、地方の防除員等に対する政府側の補助等、また指導等を強化することはもう申し上げたとおりでありますが、なお今度こういう新しい改正法を実施いたしてまいるためにはもう少し検討して、ひとつ積極的に研究をいたしてみたいと思っております。
#141
○合沢委員 それでは次に法律の内容についてお尋ねいたします。まずこの登録ですが、登録の申請にあたっては、従来は先ほど来の話のように各公立の試験場の成績書、そういったようなものが添付されておったということでございますが、今回毒性とかあるいは残留性の試験が成績書に添付されるということになるわけでございますが、そういった毒性あるいは残留性の試験は今後は一体どこで、そしてまたどのような内容でもって行なうのか、この点についてお聞きしたいと思います。
#142
○中野政府委員 先ほどの斎藤先生のときにも若干触れて申し上げたわけでございますが、毒性につきましては、劇物あるいは毒物に相当するかどうかを判断するために急性の急性毒性試験、それから魚類に対する毒性につきましては魚類に対する試験をやるわけでございますが、人体に影響する問題につきましては、先ほど厚生省のほうからも御答弁がありましたように、厚生省のほうに成績書を送付いたしまして向こうでの御検討をいただくということにいたしております。
 それから残留性の問題につきましては、これも慢性毒性については厚生省のほうにいろいろお願いをするわけてございますが、そのやり方は先ほどもちょっと申し上げましたが、二カ所以上の機関、このうち一つは公的機関と考えておりますが、これに試験を依頼をいたしまして二種類以上の動物につきまして連続三カ月以上の亜急性経口投与試験というのをやることにいたしております。
 それから作物についての残留につきましても、これは先ほども申し上げたとおりでございますが、通常の使用方法を中心にいたしまして農薬を何べんまくかとか、あるいはいつまくか、それから収穫時期までの間の期間をいろいろ変化をさせてみて作物に残留するかどうかという試験をいたします。
 それから土壌につきましてもやはりその薬をまきましたあと土壌中での分解が、どういうふうに消えていくかという速度の試験、それからその土壌に残りましたものが作物に吸われていくのはどういうふうになっていくかという試験をやりました上で登録の成績書をつくるということになるわけでございます。
#143
○合沢委員 財団法人の残留農薬研究所が現在つくられておるようでございますが、この残留農薬研究所でもこの残留農薬についての試験のデータを出すわけですか。
#144
○中野政府委員 ただいままでのところは公的な機関としましては、県の試験場なりあるいは大学等に依頼しておりますけれども、それでは足りませんので、先ほど申し上げましたように今度研究所をつくるわけでございます。そうしますと、メーカーが自分で試験したものをその残留研究所に公的な機関としての研究所の試験をやってもらうように委託をするわけでございます。
#145
○合沢委員 先ほどの斎藤さんの御質問にもございましたが、この残留農薬研究所の理事の構成をお聞きしましたが、この設立の出資金というものの相当の金額がメーカーからも出ておるわけなんで、そういったものを公的と認めて大事な農薬残留の試験をここに委託するということについてはいかようなものか、この辺非常に問題があるのじゃなかろうかというように考えるわけでございますが、どうですか。
#146
○中野政府委員 斎藤先生のときにも私申し上げたわけでございますが、新しい農薬を開発してそれを売りに出すのはメーカーでございます。メーカーが新しい農薬を開発するには数億の金が要るわけでございますけれども、その金を、全部国で試験研究までやって、メーカーはただだというのはこれまたいかがかという気がいたします。そこで相当な受益者負担が要るということは当然ではないかと思うのです。しかしそれじゃメーカーの息のかかった適当な試験をするということになりますと、これまた非常に問題がございますので、先ほど理事の構成等でも申し上げましたように、試験そのものにはそういうものの容喙はさせないという面での指導は厳重にやらなければならないと思っております。
#147
○合沢委員 今回の法律の改正に伴って、登録した農薬でも途中で取り消すというようなこともできるわけなんで、それほどに私は今回の法律の改正の登録の問題は非常にきびしくなったというように考えるのです。したがって、この登録にあたっての試験の成績というものは非常に重要ではないかと思うのです。そういうときに私は、こういった性格の残留農薬研究所等からの試験のデータを求めるということについては問題があろうかと思うのです。しかし、いずれにしましても、今後はこういった問題、非常に大事になってまいりますので、国、県等を通じての試験研究機関の整備充実ということが最も重要ではなろうかと思うのです。特に先ほども大臣からも御答弁がございましたが、試験研究機関等の整備充実について、ひとつさらに御配慮願いたいと思うわけでございます。
 続けて御質問を申し上げますが、次に、第三条に、農林大臣が登録を保留し、または申請書の記載事項を訂正し、品質の改良等の指示をすることができるということになっておるわけでございますが、この登録の保留の要件ですが、これについてはどのような機関が、そしてまたどのような検査なり審査を行なって判定するのであるか、また、その基準については「農林大臣が定めて告示する。」ということになっておるようでございますが、その基準はどのように考えられておるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
#148
○中野政府委員 メーカーが持ってまいります試験成績書は、先ほども申し上げましたように公的機関のやった試験成績を加えて持ってまいります。そのあとは農林省の農薬検査所で最終的に検査をいたします。そして、必要な場合はそこでも追加試験をやった上で登録をするということになるわけでございます。
 それから、あとのほうのお尋ねの、四号から七号までの農林大臣の定める基準でございますが、四号につきましては、これは植物の残留性の問題が強いわけでございますので、食品衛生法によります残留許容量をこえるかこえないかということが判断の基準になるわけでございます。
 それから五号の土壌残留性の問題につきましては、あと作、農薬をまきまして土壌に残った場合に、そのあとに植えるものに今度は影響がありまして、あとで植えたものが農薬を吸ってそれがまた人体に影響するというようなものがあるものですから、あと作の残留許容量ということが基準になるわけでございます。
 それから六番目の水産動植物に対する毒性の問題につきましては、これは現在の農林大臣の告示でもきまっておりますが、コイが半分死ぬ量が〇・一PPMである、しかも消失日数が一週間というふうに現在きめておりますが、これを踏襲したいと考えております。
 それから七号につきましては、水質汚濁防止法等の関係がございまして、水質に関する環境基準がつくられております。その環境基準を著しくオーバーして、それがまた長い間続くというものは、これは農薬の登録を保留するという基準にいたしたいということで、詳細は農業資材審議会の意見を聞いてきめたいと考えております。
#149
○合沢委員 次にお伺いしますが、先ほど来も質問があっておりましたが、この登録取り消しですが、この処分は農業資材審議会の意見を聞いて取り消し処分を決定するということでございます。なお、その際、登録の処分取り消しがあった場合には業者は異議の申し立てができるというようになっておるわけでございますが、この異議の申し立てば一体どこにするのか、おそらく農林省にすると思うのですが、その際、農林省はその異議の申し立てについてはどのような判断をどこでするのか、どのような機関でもって異議申し立ての審議を行なうのか、これについてお聞きしておきたいと思います。
#150
○中野政府委員 異議の申し立てば農林大臣に対してなされるはずでございます。これは行政不服審査法というのがございまして、これは当然農林大臣が、その申し立てがあった場合に、容認するか棄却をするかということをきめるわけでございます。
#151
○合沢委員 その際は大臣できめるのですか。それとも別に何か機関を設けて、審議会か何かあるのですか。
#152
○中野政府委員 最終判断は大臣がなさいますわけでございますが、そういう異議の申し立ての内容等につきましては、専門の方の研究を頼むとか、いろいろなことはしなければならないと思っておりますけれども、最終判断は農林大臣の決定でございます。
#153
○合沢委員 やはりこれは非常に大事なことと思うのです。私は、登録の際には農業資材審議会の意見を求めてやる、取り消すということなんで、また異議のあった場合も同じような、別の公正なそういったものを審議する機関がやはり必要じゃないかというように考えておるわけなんですが、この点は将来御研究願いたいと思います。
 それから次に、取り消し処分後の事後措置の問題なんですが、厳格な登録検査等が行なわれて、そして農薬の登録が行なわれるということなんですが、その後登録が取り消されたというような場合についての行政責任ですが、これについては先ほど来の御答弁でもおよそ見当がつくわけでございますが、もう少し明確にしていただきたいと思うのです。
#154
○中野政府委員 午前中田中先生、角屋先生からの御質問にお答えしたとおりでございますが、もう一ぺん要約して申し上げますと、登録を取り消しました場合に、まずメーカーといいましょうか、製造業者が登録を取り消されるわけでございますが、これの補償といいましょうか、どうなるかという問題が一つあるわけでございます。これは午前中も申し上げましたように、登録というものの性格からいたしまして、また危険なものはつくってはならないという社会的なメーカーの義務といたしまして、そういう面から考えましても、メーカーに対して登録を取り消したからといって国の補償は必要はないというふうに考えております。
 それから次に、そういう登録が取り消された場合には、今度は第九条で販売業者に対しましてもそういう場合の販売の制限なり禁止をいたしております。これもやはり同じような理由でございますし、また、特にその農薬は農林大臣が売ってよろしいというようにどんどん推奨したというようなものでもございませんので、法的にはやはり販売業者に対しても責任がないんじゃないかというふうに、法的にでございますけれどもないと思っております。
 それから、そうしますと、取り消された場合に在庫品なりあるいは流通段階なり、農家の手元にあるものを一体どうするかという問題がその次に出てくるわけでございますが、これにつきまして、午前中もお話がありましたように、それじゃ国が回収する義務を持つべきではないかという御議論があるかと思うのですが、やはりこの問題はBHCにいたしましても、そのほかの薬にいたしましても、個々具体的な薬をどの段階でとめたかということによって具体的な処理方法が違うと思うのです。あるものはそれぞれの段階で始末してしまったほうがいい場合、あるものは村の段階で集めたほうがいい場合、いろいろあるかと思います。それは具体的にそういう問題が起こりました場合に、農林省としましてはどれはどうしたらいいかという行政指導はしなければならないというふうに考えておりまして、いまお尋ねの取り消されたあとのあと始末ということにつきましては、われわれとしてはそういうふうに考えておるわけでございます。
#155
○合沢委員 メーカーに対する問題はわかるのですが、特に使用者の問題です。使用者等は、当然農林省が登録を認めて、使ってもいいんだということで使っておるわけなんで、そういったものまでも完全に補償措置がないということについては問題があるのじゃないかというふうに考えるわけなんですが、せっかく国が権威ある登録をしているのだから、何らそういったものが流通段階についてないということについてはおかしいのではないか、このように考えるのですが、依然としてそういった問題については、流通段階、農家の手持ちについても一切責任がとれないということでございますか。
#156
○中野政府委員 先ほどから申し上げておりますのは、農薬取締法という法律上そういう取り消しをしたからといって、メーカーの段階、流通業者の段階それから農家の段階におきまして、国が農家の手持ちに対して補償するという責任をとることはないのではないかということを申し上げたわけでございますが、ただ現実にもう使えないという薬でございますから、それをどういうふうにして回収をしていくかということになりますと、それは先ほど申し上げましたように、具体的な薬のそのときどきの態様によってきめていかなければならないということを申し上げたわけでございます。重ねて申し上げて恐縮でございますが、ある日突然、ということはないかと思いますが、もしそういう場合があったとしまして、農家の手持ちがあった、その手持ちを国がもう一ぺん金を出して買い取るというようなことはなかなかできにくいのではないかということを先ほどから申し上げておるわけでございます。
#157
○合沢委員 そうなりますと、行政の責任というのは一これは回収、廃棄は毒物及び劇物取締法の改正によってできると思うのですが、そういった行政の責任はとるが、登録してそれを使わしているということについて、流通段階並びに農家についての行政責任は、補償等その他については全然ないということなんですね。やらないということですね。――その点についてはまことに不満足で問題が残ると思いますが、以上確認しておきまして次に進みます。
 次に、指定農薬制度による使用規制の問題でございますが、この指定農薬は政令をもって指定するというようになっておるようでございますが、具体的な指定の基準というのはどのような基準をとられるのか、そしてまた今後予定される農薬の種類等についてひとつ教えていただきたいと思います。
#158
○中野政府委員 十二条の二の作物残留性農薬につきましては法律に明確になっております。作物についての残留性の程度から見まして、そのままでありますと農作物を汚染して、それが結局人畜に害を与えるというものについては作物残留性農薬として指定するということでございます。それをやりますと、農林省令でもって使用者が順守すべき基準をきめますが、その基準といたしましては、そういう農作物をどういう範囲に限る、あるいは農薬はどういう形で――粉であるとか粒であるとか、どういうものでなければいかぬとか、あるいは施用の方法とか、どういう濃度に薄めて使うとか、作付したものの収穫前の何週間かはどういうふうにして禁止をするとか、そういうふうないろいろな基準を農林大臣がきめることになるわけでございます。そのことは土壌残留性農薬についても同様でございます。ただ、水質汚濁性農薬につきましては、そういうふうに全国一律にはなかなかまいりませんので、この十二条の四にございますように、一つの県内で相当まとまって使われるといったような場合であって、一定の気象条件なり地理的の条件、たとえばその併用時期の雨の降り方なり日照のあり方、あるいはどういう水系、どういう川から見てどの辺までの距離だというふうなことを具体的に考えて農林省としては基準をきめる。そしてそれに基づきまして県知事が県の規制をつくりまして、地域を限定しまして許可制にする、こういう運用をいたしたいと考えております。
#159
○合沢委員 この指定農薬の使用方法ですが、これについては使用者には順守の義務がうたわれておって、違反した場合には罰金に処するというようなきつい規定になっておるわけであります。それほどにまた大事なことであるかと思うわけでございますが、ただ、この順守義務と同時に大事な問題は、そのような体制というか、使用規定がそのまま行なわれるような体制が一番大事ではないかと思う。この点につきましては全購連等からも、指定農薬等については資格を持った者がおってやる、そうしてそういった共同防除の体制をつくれというような要請も出ておるわけですが、これについて局長は先ほど来質問に答えて、何とか善処したいというような意味のことも言っておると思うのですが、どうなんです。これは将来どのような考えでおられるか、もう一度御説明願いだいと思います。
#160
○中野政府委員 午前中にその問題についての御質問がありました際に私申し上げましたのは、こういう指定農薬は使用方法いかんによっては人畜に危害を与える場合がございますから、できるだけ共同防除、それも責任者の指導があったほうがいいということを申し上げたわけでございます。ただ、そうかといいまして、それではいますぐにある責任者だけきめまして、その指揮、監督といいましょうか、そういうもとでだけしか使えないということになりますと、現在の農薬の使われ方、防除のされ方が水田でさえ三、四割が共同防除、あとは個人防除である。果樹、蔬菜で一五%しかいっておりません。それから畑に至りましては数%の程度しか共同防除になっておりませんので、いま直ちにそういう少数の防除士といいましょうか、そういうものだけでやるのはなかなかむずかしいということを申し上げたい。
 ただ、この制度を考えていきます上におきましてもう一つの問題は、そういう防除士にどういう資格を与えるか、何か国家試験というお話もありますようですが、それでは一体どういう試験をするか、そういうことで資格をつけた場合に、一体その人にはどういう責任まで持ってもらうのか、その指定農薬はその人の指揮でしか使えないということになりますと、もし万一間違って農家が使った場合、指導のしかたいかんによっては何らかの責任を負わなければならぬという問題等出てまいります。
 それから徹底的な防除をはかるという意味で、そういう防除士を相当な数ふやさなければならないという問題がもう一つ出てくるかと思います。たとえばいまの病害虫防除員だけを、そういう資格ある者にしましてもこれは足りないと思います、いろいろな農薬を使う上での指導者としまして。そういう問題をいろいろ検討いたしました上で、これは結論を出すべきだというふうにわれわれ考えておりまして、なお慎重に検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#161
○合沢委員 検討をするということでございまして、直ちにそういった指定農薬等についても、これは現在のところでは単なる使用規制をするということだけであって、具体的なこれについての指導というか、そういったものは現在ない、これから検討するというようなことのようでございます。水稲でさえも四〇%程度の共同防除、まして果樹、蔬菜、畑作等についてはほとんどそういうものがなくて行なわれておることに問題があろうかと思う。それほどに大事な問題だと私は思う。単に罰金刑に処するということだけでは効果のあがるものではないだろうと思う。一番大事なところはこの辺ではないかと思う。それがこのような法律改正案が出されますいまごろ考えるといったようなことでは、ほんとうに法律改正の効果はないのではないかというように考えられる。しかしいまのところそういってもやむを得ぬと思うので、早急にこの問題について結論を出して、やはりせっかくの使用規制というものが順守されて、そうして法律の効果があがるような措置を早急にやっていただくように要請いたしたいと思います。
 それから次に農薬の使用の安全基準の設定でございますが、従来通達で指導措置をしてきたようでございますが、今回は農薬の使用についての安全基準がこの改正でもって、法律によって告示されるということでございまして、安全使用の徹底をはかろうということはまことにけっこうだと思うのでございますが、これらに関連しまして、先ほど厚生省のほうから残留許容量の設定について、四十八年度までに相当数の作目と農薬の設定が行なわれる。さっきの話では四十八作目、二十数個の農薬というようなお話でございましたが、そのようなことで準備が進められているというお話でございますが、農林省のほうでは、これらに関連してそういった作目、農薬等についての安全使用についての基準の準備が当然行なわれなければならぬと思うのですが、現在そういった進行の状態はどうなっているか、お聞かせ願いたいと思います。
#162
○中野政府委員 ただいままできめられております農薬、九農薬ですが、これについては、すでに農林省も全部安全使用基準を出しております。今後、先ほど厚生省のお話にありましたように、ここしばらくの間に二十一農薬、四十八産品についてそういうことが行なわれるということになりますと、これは事務的な手続でございますが、厚生省がそういうことをおきめになる段階で農林省とも十分御協議をいただいております。向こうのほうで許容量ができると同時に、農林省は必ずこれを出すということで、いままでもやってきておりますし、今後もそういうことは同時にやりたいということをはっきり申し上げておきたいと思います。
#163
○合沢委員 安全使用基準ができて、そしてこれによって農家が薬剤を散布する。そして、なおかつ農作物等に農薬の残留があったという場合ですが、こういう場合については、その農作物の販売はできなくなるわけでございますが、そういった農作物等についての補償の問題ですが、これは先ほども質問があったかと思うのでございますが、これについてはどのような責任をとられるか、お聞きいたしたいと思います。
#164
○中野政府委員 この問題につきましては、最近、具体的に申し上げますと、キュウリとかあるいは一部ジャガイモで起こったわけでございますが、実態をわれわれ調査をいたしてみますと、残留許容量をこえた作物につきまして、安全基準どおりであったかどうかということがまずわからないのです。あとにさかのぼってみるものですから、あるいは基準どおりであったかもわかりませんし、あるいはそれをオーバーしておったかもわかりません。その辺のことは別にいたしまして、実際問題といたしましては、県の衛生試験場等で、これは許容量をこえているからといってストップがかかるわけでございます。そのかかったものにつきましては、これは別でございますけれども、多くの場合は、その産物を出しました地方の農協なり何なりが、市場で市価が下がるものですから、それで自主的に出荷をとめてしまうのです。そこで、かなり経済的な打撃があろうかと思います。それにつきまして、国で法律上の責任を持てといわれましても、これはなかなか問題があると思います。したがって、私はそこまで国の法律上の責任はないのではないかということを午前中も申し上げたわけでございますが、経済的な打撃を受けた場合の救済措置が何らか要るかもわかりません。ちょびっとしか出荷停止を食わなければたいしたことはないかもしれませんが、相当大きな出荷停止を受けますと、農家がかなり打撃を受ける場合があるわけでございます。そういう場合には、そのときに応じまして、つなぎ資金の融資であるとかあるいは極端な場合には、農家に対しまして自作農創設維持資金の融資等も考えなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
#165
○合沢委員 一番の問題は、そこではたして安全基準どおりに使用したかどうかということが問題になろうかと思うのです。特にこういったものは指定農薬について問題が出てくると思うのです。そこで蒸し返しになりますが、先ほど申し上げました指定農薬については、まず安全使用基準が守られておるかどうかということだと思います。そのまま実行されておるかどうかということが問題になると思うのであります。そういった意味でもこの指定農薬については必ず資格を持った者が指導するとかあるいは共同防除体制でやらせるとかいうようなことがより重要になってこようかと思うのです。
 そこで、そういった使用基準を守ってもなおかつ残留農薬が作目に出たというような場合には、当然補償すべき性質のものだというように考えるのですが、しかし先ほどの話ではしない、せいぜい融資措置か何かでもってまかなうということのようでございますが、この点については何とかひとつ再度御考慮願いたいというように考えるわけでございます。
 それから、次に進みますが、この低毒性農薬の問題でございますが、少なくとも農薬の製造の問題は、これは農林省の所管に属する問題であって、他の通産省その他の関係ではないと思うのでございますが、低毒性農薬の開発でございますが、この開発について、従来どの程度の指導をやっておられるか、この点についてお聞きしたいと思うのです。
#166
○川井説明員 それでは低毒性農薬の開発につきまして、特に試験研究所サイドからの状況を申し上げますと、農林省関係の試験研究機関におきましては、先ほども申し上げましたように、農業技術研究所及び全国の農業試験場が中心となりまして、農薬の分析方法その他の基礎的な研究及び農薬の使用方法に関する応用研究というようなものを実施しておりますが、最近安全使用基準を確立するために、四十二年度から農薬残留の緊急対策に関する研究調査及び天敵ウイルスなどの利用によります害虫防除法というものの大型研究を四十年度以降約二億六千万円の予算をもって実施してまいりまして、その成果の一部は、先ほど申し上げましたように、現在安全使用基準が指導されておりますが、その基礎に活用されております。なお、今後安全使用基準が必要になります基礎データは、この研究から出てくるという形で進められております。
 なお、これから害虫の総合防除に関する研究、こういう総合防除法が非常に重要になってまいりますので、これにつきましては、昭和四十六年度から大型研究を実施するということで、現在一億六千万円の予算を要求中でございます。大体以上のような状況になっております。
 なお、低毒性農薬を進める面で、先ほどもお話がございましたように、財団法人の残留農薬研究所の設立に対しまして、四十五年度は一億円、四十六年度も引き続き一億五千万円の予算を要求していくというような状況になっております。
#167
○合沢委員 今後最も大事な問題は、低毒性農薬の開発の問題ではなかろうかと思うのです。特にこの面についても力を入れておるようでございますが、今後とも一そう低毒性農薬の開発の問題についての御努力を要請したいと思うわけでございます。
 それから、次にお伺いしたいのですが、天敵の利用の話が先ほど来だいぶ出ておるようでございますが、天敵利用についての最近の見通しというか、今日ずいぶん研究されてまいっておるようでございますので、その情勢についてひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
#168
○川井説明員 天敵利用につきましては、最近研究が進められた領域でございまして、これまで必ずしも十分とは申しませんが、現在研究の深化に伴いましていろいろ実用的なものが出てきております。たとえば、一応天敵ウイルスの害虫防除についての研究の課題としております内容を若干申し上げますと、果樹につきましてはアカエグリバに対する天敵ウィルスの利用、これにつきましては現在ウイルスの探索の結果、細胞質型多角体病ウイルスという病原性がありますが、これについて貯蔵し散布するということの成果をある程度得た。それから水稲の二化メイ虫に対する天敵ウイルスの利用でございます。これにつきましては三十二種類ばかりのウイルスがあるわけでございますが、その中でウイルスの寄生範囲とかあるいは感染力の検討を行なっておりまして、ある程度二化メイ虫の願粒小体病ウイルスというものが見つかってきておる。この散布試験を実施しておりまして、これもある程度の成果が出てきたということでございます。なお、マツカレハに対する天敵ウィルスの利用、これはスミシアウィルスというものが見つかっておりますが、これもほぼ実用段階まで研究が開発されている。そのほか若干ございますが、大体こういうようなものがある程度実用段階に移されております。なお、これに引き続きまして、いろいろ研究の成果が実用化に移りつつあるというものがあるという状況でございます。
#169
○中野政府委員 ただいまの研究されました結果の一つの実用化といたしまして、農政局のほうでは果樹の害虫天敵利用促進費という予算をいま要求しておりますが、これはミカンにつきまして九県、主産地でございますが、三つの害虫に対します天敵を実際に果樹園でやってみようということで、そういう予算を要求しておりますことをつけ加えさしていただきます。
#170
○合沢委員 今後農薬について大事な問題は、やはり低毒性農薬の開発と同時に、天敵等の利用が非常に重要だと思うのです。ことしも相当大きな予算の要求をしてこれらの研究がなされるようでございます。また、すでに四十五年度から利用促進費等が組まれているということでございまして、特に天敵については相当な研究の成果があがっているように考えるわけでございますが、非常に大事な問題だというように考えますので、低毒性農薬の開発とともに、天敵利用についても一そうの促進を要請するわけでございます。
 なお最後に、いろいろなこのような法律ができて、法律の規制によって農薬のいろんな公害がなくなるとは私は考えられないわけなんです。やはり何といっても一番大事なことは、さらに研究が進む、試験研究等の充実と同時にそういった防除の体制が整備されなくては、全く絵にかいたもちになる、法律改正の趣旨はなくなるというように考えるわけなんです。そういった意味で、先ほど来の御答弁によりますと、特に防除員等が指導して共同防除をやるというような体制については、残念でございますが、まだその域にいってないように考えるわけでございます。何といたしましても、そういった面に新年度から力を入れて、せっかくのこの改正された法律案が有効に実行されますように要請いたしまして、私の質問を終わります。
#171
○三ツ林委員長代理 松沢俊昭君。
#172
○松沢(俊)委員 いろいろと各委員のほうから御質問がございましたので、ダブる面等もたくさん出てくると思いますけれども、御了承願いたいと思います。
 私、法律改正によって一番危惧するものは、確かに公害は防がなければならない、これはわかるわけなのでありまするが、公害を防がなければならないというために農業生産というものが阻害されるということになると、これはやはりたいへんなことになるのじゃないか。そういうために、目的には、農業生産の安定と国民の健康保護、それから生活環境保全、こういうふうに並列的に書かれていると私は思うのです。ところが、いまいろいろと各委員のほうから質問が出ておりますけれども、登録が取り消しになったとか、あるいはまた製造、使用の禁止という事態が起きた場合、その場合一番問題になりますのは、農家が全く補償なしに終わってしまうということであっては、農業生産の安定という面からすると、目的の趣旨とだいぶ違ってくるじゃないか、私、こういうぐあいに思いますけれども、この辺は政府のほうではどうお考えになっているのか、御質問したいと思うのです。
#173
○倉石国務大臣 先ほど来しばしば質疑応答も何人かの方との間に行なわれておるわけでありますけれども、いまの法律の目的に書いてあります安定的な生産ができるようにということを申しておるのは農業生産を減らしては困るということからでありますが、いまのお話は、いままで買いだめておいた農薬が登録禁止になった、そういう手持ち等について補償がないのは困るではないか、こういう御趣旨と思います。したがって安定的生産が継続されるようにという法律の目的は、これはいわゆる安定的生産が行なわれるようにということでありまして、いまのお尋ねのようなのとちょっと趣旨が違うのじゃないかと思うのでありますが、その登録禁止前に持っておったものの補償につきましては、先ほど来政府委員と皆さま方との間に行なわれました質疑でわれわれの気持ちは十分申し上げてあると思うのですけれども、政府委員のお答えいたしました趣旨でひとつ御了承を願いたいと思います。
#174
○松沢(俊)委員 先ほど農政局長のほうでは、登録の取り消しになった場合の業者に対するところの補償というのは考えられない。これは、業者は危険なものをつくらぬように心がけていかなければならぬわけなんですから、それはそれとして了解をしても差しつかえないわけなんでありますが、たとえば今度業者、いわゆるメーカーから農協、経済連だとかあるいはまた総合農協だとかそういうところにおりてきているとき、あるいは農家の手持ちとなってしまっているとき、これを使ってはならないということになりますと、これはとにかく安全だといわれるから買ったわけなんですから、だから買ったそのものというのがうまくなくなったということになれば、これは政府が金を出すとか出さぬとかいう問題でなしに、メーカーに金を出させるという措置もやはり考えられてしかるべきなんじゃないか、こう私は思うのですよ。そういう場合、これは企業も責任はとらなくてもいいんだし、あるいはまた政府も責任をとらなくてもいい、こういうぐあいに解釈しているのかどうか、その点はっきりしていただきたいと思うのです。
#175
○中野政府委員 基本的なものの考え方はしばしば申し上げておるわけでございますが、なるほどおっしゃいましたように、メーカーの問題につきましては、これは危険な薬を売っちゃいけないという社会的義務があると私も思いますから、これは責任は国として持つ必要はないと思います。ただ、今度の法律では、そういう薬が出まして取り消された場合には、販売業者につきましてもやはりこれは販売の禁止なり制限をするということに法律でいたしております。販売業者といえども、やはりそういう危険な薬を売ってはいけないという社会的義務があるんではないかというふうに考えます。したがってやはり国として法律的にそれの補償の責任はないんではないかと思います。
 それから使用者、これは農家が多いと思いますが、農家の場合は、取り消された場合には若干の手持ちがあるかもわかりません。この手持ちの問題について、これについて国がいまおっしゃいましたようでありますと、安全だといったんだからおれは買ったんではないかということではないかと思いますが、やはり農家といえどもあぶないといわれる薬は使わないという社会的な義務と申しましょうか、それはあるんではないかというふうに思います。したがいまして、その農家の段階だけこれを国として補償するということを法律的にきめるということは無理ではないかというふうに私考えておるわけでございます。
#176
○松沢(俊)委員 私の言っているのは、政府がかりに補償ができないということになれば、それはそれとしてやむを得ないと思うのですけれども、安全だといってメーカーから買ったわけなんでしょう。ところがそれが安全でなくなったという場合においては、メーカーに買い取ってもらわなければならないんじゃないか。農家は販売業者から買い取ってもらわなければならぬのじゃないか。この権利というものはあるんじゃないか、こういうふうに私考えるのですが、政府はどうお考えになっているのですかと言うのです。
#177
○中野政府委員 安全でないものを安全だといったような場合は、これは当然私も責任があるかと思います。数年前でしたか、山梨のブドウにつきまして、かなり事件が起こりました。これは当然メーカーは損失補償をいたしております。これはあたりまえのことだと思うのでありますが、今回の場合には、当時は安全であったわけです。これは科学的にわからなかったら。その後の科学技術の進歩なりあるいは分析方法の進歩によって、これは毒であるとかあるいは土壌に残留することがわかった場合、これはメーカーといえども知らなかったわけでございますので、若干その辺の差はあると思うのです。初めから薬の調合が間違って農家に迷惑をかけた、これは損失補償をするのは当然でございます。だれもわからなかったことがあとでわかってきたという場合に、これが全部メーカーの責任かどうかということになりますと若干問題があるんではないか。やはりそれの段階がそれぞれ買ったものについては責任を持つ、というのはおかしいんですけれども、その段階での回収その他の始末をしなければならぬというのが基本になるかと思うのです。ただ、それではあぶないものをあちこち散らばしておいていいかという問題がございますので、これは先ほどから申し上げておりますように、農林省としては薬の性質によりまして個々具体的に、これはこうしたらいい、ああしたらいいときめた上で何らかの措置は講じなければならないということは、先ほどからるる申し上げているとおりでございます。
#178
○松沢(俊)委員 何回も繰り返しますけれども、いろいろと科学が進んで複雑になっているわけでありますから、当然無過失責任賠償という問題がいま議論になっているわけです。そういうことで政府のほうが行政指導として、やはりそれは買い取るべきだという、そういう基本的な考え方を持ってもらわないと、メーカーのほうはかまわず売りまくればいいのだ、売ってそしてメーカーのほうでは利潤をあげる、買ったほうはまるっきりそのまま損害を受けてしまう、こういう結果になってしまうではないか、そういうことのないような方法を考えてやるというのがやはり行政の責任なのではないか、私はこう思って質問しているわけなんですが、それはもう売りまくりさえすればいいのだ、あとは野となれ山となれという、そういうやり方を容認しようとするところに私は問題があると思うのですよ。その点はどうお考えになりますか。
#179
○中野政府委員 登録しました農薬をメーカーが売る。また販売業者といたしましても、これはメーカーから別に押しつけられたわけではなくて、自分で選択をして、販売業者としてこれを農家に売りたいということでやっているわけでございます。したがってメーカーから直接農家に売るもの、販売業者を経由するもの、これも農協組織の段階からいくもの、卸商からいくもの、いろいろございます。結局農家の途中で禁止になるわけでございますから、農家に若干の手持ちが残る。これをどうするかという問題でございますが、私が申し上げているのは、法律的には一義的にメーカーだということはきめられないということを申し上げているわけでございまして、実際の問題といたしましては、農家と農協、あるいは農協とメーカーというものとの間で民事上の問題としてはいろいろ話し合いがありまして、それをどう始末するかということはまた別個の問題として当然あるわけであります。
#180
○松沢(俊)委員 そこで、その別途な問題を行政の立場でどうお考えになっているか、それをもっとはっきりお聞かせ願いたいと思う。
#181
○中野政府委員 取り消される薬の内容によって違うと思うのですが、かりに農家が買っておりましても、たとえば稲に使ってはいけないといわれた場合、ほかに使いようがあれば、それはそこで使ってよろしいわけでありますから、必ずしもこれを全部上のほうへ回収しなければならぬというものでもないかもわかりません。また、ものによりましては、これは農家の手元へ置いておくのはいけないということになりますれば、あるいは市町村で一カ所に集めて処分をするとか、いろいろの手があると思います。ただ、具体的にどの薬をどうするかということは、まだ具体的に取り消しをやっておりませんので、ちょっと何とも答えられませんけれども、やはり国としましても人畜に危害を与えるような薬だということがあとでわかった場合には、そういうことがないように一審うまい方法での始末をするということはぜひやらなければならないというふうに考えております。
#182
○松沢(俊)委員 いや、私の聞いているのは、具体的に聞いているわけだ。うまくやらなければならぬという。どういうふうにしてうまくやるのか、その点をはっきりしてもらわないと、目的の農業生産の安定ということにはつながらぬと思うのですよ。農業生産の安定というものは、やはり個々の農家が安心して農業経営がやれるという状態、これが普遍的にでき上がった場合、農業生産の安定ということになると思うのですよ。ところがいまの局長の答弁からすると、要するに政府のほうとしては、あぶなくて農薬というものは使われない、こうなるわけだ。私はそういう答弁からいくならば、極端にいうならば、使いとうなかったなら使わなくたっていいじゃないか、こういう理屈になってしまうと思うのです。やはり農薬というものもいままでは農業生産力を増強するために大きな役割りを果たしてきていると思いますし、これからも農薬というものはそういうためにいろいろ利用していかなければならない。それが農業生産の拡大発展に、農業生産の安定というものに、私はつながっていると思うのです。そういう立場から考えた場合、使いとうなかったら使わぬでいいじゃないかというような極端な解釈のできるような、そういう答弁は私はおかしいと思うのですよ。そういう意味で、うまくやっていくということになれば、どのようにしてうまくやっていくのか、その点を具体的に聞かせていただきたいと思うのです。
#183
○中野政府委員 今度の改正案の目的の農業生産の安定は、先ほど大臣もるるお話しになっておりましたように、零細な農家の農業生産は、農薬を一方的にちょっとでもあぶないものはみんなやめてしまえば相当な影響があるということで、やはりわれわれといたしましては農業生産の安定の面――安定的な食糧供給の確保という面はまたわれわれに与えられた任務でございますから、そういう面からそちらのことも考えるということを入れたわけでございます。ただ、いまおっしゃいましたことは、農薬の登録が取り消された場合のその農薬の取り扱いの問題でございます。それによって農業生産が不安定になるということでございますけれども、農薬の種類にもよりますが、農林省といたしましても低毒性農薬の開発というのはいろいろやっております。大体いまある農薬が取り消される場合にはおおむね代替農薬が出てきておりますので、農家としてもそちらに切りかえていただいて、そうして農業生産そのものは安定的にやっていただくということであろうかと思うのです。いま取り消された薬が若干農家の手元にあることをもって農業生産の安定との関連があるということについては、若干違うんではないかというふうに思います。むしろ、その問題は、先ほど申し上げましたように具体的にどういう薬であるか、まだ具体的に取り消しておりませんので何とも言えませんけれども、これも午前中申し上げましたように、ブラスチンというイモチ病にききます砒素の入った薬でございます。これがあとあとの作物に非常に悪いということがわかりました。これにつきましては全部都市のごみとまぜまして、そしてコールタールでまぶして鉄化石という名前のものをつくって海に捨てるということをやったわけです。やはり、こういうことをやる場合には、おそらく農家の手持ちがありますれば、それは回収いたしまして、そして一緒にしないとあぶないということになるわけでございますので、そういうふうに、具体的に個々の薬が出てきた場合にそれをどうするかということであります。その場合に、それじゃ農家の手持ちの損失はどうするんだという問題があるわけでございますけれども、これは農家と農協それからメーカーという三者での、それぞれの具体的に出てきた場合の話し合いということになるのではないかということを先ほどから申し上げておるわけでございます。
#184
○松沢(俊)委員 だから私は、その場合具体的に農協から農家が買った、販売業者から使用者が買った、それからメーカーが販売業者に売った、こういう問題になってくるわけですから、要するにその三者でどうするかというこういう話し合いだというふうに、農林省のほうでは逃げてしまわれるわけなんだけれども、その紛争処理の方法というものを具体的にやはり農林省のほうでもお考えにならなければならぬじゃないか、こう聞いているわけなんです。ところがそれは三人の関係者がかってにきめればいいんであって、私のほうではそれは関係ないんだという、そういう形でいかれるということになれば、農業生産の安定という目的とは違った法律の趣旨になってしまうじゃないか、そういう場合一体どうされるのか、その辺はっきりしてもらいたいと思うのですよ。
#185
○中野政府委員 あるいは私の説明がまずくてそういうふうにおとりになって恐縮でございますが、私が申し上げましたのは、まず法的責任の問題を申し上げて、具体的な回収の問題を申し上げたわけでございますが、その回収の問題についても、農林省として、機に応じてどうやったらいいかということは指導いたします。と同時に、その損失の問題につきましても、たとえば今度のBHCは製造中止をいたしました。そうしますと、まだ若干在庫がございます。これをできるだけ――できるだけじゃございませんで、稲にはもう使わないという安全使用基準を出しましたから、使わせません。ただ果樹なりあるいは林業に使えますので、できるだけそちらに向けると同時に、どうしても向けられないものの問題をどうするかということについて、農林省は横を向いておるつもりはございません。実態を調べました上で、そういうもめごとがあるいはあるかもしれません。その際には、メーカー、販売業者あるいは農家の代表といいますか、農協になると思いますが、そういう者とのいろいろな話を聞きまして、どういうふうにやっていくか、もちろんその中に入って相談にも応じ、指導もいたしたいと考えておるわけであります。
  〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
#186
○松沢(俊)委員 そうすると、政府のほうではそれが落ちた場合におきましては責任をもってその紛争の処理に当たられる、こういうように理解して差しつかえないですな。そうですね。
#187
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、農林省として、具体的な場合に応じまして指導、助言その他をやりたいと考えております。
#188
○松沢(俊)委員 その次に、登録にかかわる審査を強化していくべきであるということでありますが、先ほどもどなたかの質問がございましたけれども、メーカーが製造したものを日本植物防疫協会ですか、これは病虫害のやつですね、植物防疫協会を通じて公的試験場にその委託をするというのは。それからもう一つ、草のほうはこれはどこでやられるのですか。
#189
○中野政府委員 草といいますと、除草剤のことでございますれば日本植物調節剤研究協会というものが別に財団法人としてございまして、除草剤と植物調節剤等につきましてはこれがあっせんをするということにしております。
#190
○松沢(俊)委員 それで私ちょっと奇異に考えるわけなのでありますが、この日本植物防疫協会だとかそういう協会というものを通じて公的な試験場に委託をしなければならないというのは、これは法律的に何かきまっているのですかどうですか。
#191
○中野政府委員 別に法律的にはきまっておりません。法律的にありますものは、試験成績書をつけて農林大臣の登録申請に持ってくるわけでございます。その試験成績書のつけ方としまして、業者の試験成績だけではいろいろ問題がありますので、公的な機関の試験成績書もあわせてつけさせる。そのつけさせる方法としまして、メーカーと試験場とが直結をいたしますと、これは妙な言い方でございますけれども、コネ等ができてもまずいということで、そういう協会の公的な場で、試験委員が集まりまして、このメーカーから来たものはこれはどこへ頼もうかと、こういうことを農林省に持ってくる前に自主的にやってもらっておるわけであります。
#192
○松沢(俊)委員 そこで何か、私たちの理解のしかたといたしましては、やはりトンネル機関的なものであって、さっきも御質問にもありましたように、二五%も手数料ですか、これを取っておるとかいうお話も聞いておりますが、これは今度二五%日本植物防疫協会で取ってそして各県の試験場のほうに回せば、試験場にはどのくらいなパーセントのものを出して検査をしてもらうのですか。試験をしてもらうのですか。
#193
○中野政府委員 これは持ってまいります農薬の種類なり何なりによっていろいろ金額が違うと思いますが、こういう試験をするにはこれだけの金額がかかるというようなことになるかと思います。それを申請がありました場合に、協会のほうで最終報告書をつくる、それからまた協会のほうでも見にいくというようなことの自主的な経費が要るので、二五%であるかどうかちょっと私現在存じておりませんけれども、若干の手数料は取っておるわけでございます。その取りました残りと申しましょうか、きまりました金額から手数料を引いたものは、これは当然試験研究に使われるということになるわけであります。
#194
○松沢(俊)委員 いろいろなやつがありますですね。たとえば林業薬剤協会だとかいろいろなものがありますが、こういういろいろな団体というのがたくさんありまして、そうしてそれが一つのトンネルになって試験場のほうに持っていくという、こういう機構というものをやはり改める必要はありませんかどうですか。
#195
○中野政府委員 あるいは午前中にもお話しございましたけれども、それが、全部いきなり持ってきてもらいまして農林省で全部さばきがつくということであればそれも一つの方法かと思いますが、現段階におきましては、先ほど申し上げましたように、業者とそれから試験場とが直結するよりも、やはり有識者を集めました試験委員の中で、どこへどれをどういう研究をさせたほうがいいかということを判断の上やったほうがよりベターではないかというふうに思いますが、なおわれわれのほうの拡充ができますれば、それは筋としますれば当然農林省で全部やったほうがいいということにはなろうかと思います。
#196
○松沢(俊)委員 もし農林省のほうで協会をたよらずにやった場合におきましては、これらの事務にどの程度の金がかかるものですか。
#197
○中野政府委員 その点は、ちょっと私いま資料を持っておりませんし、よく調べてみませんとわかりません。
#198
○松沢(俊)委員 それではそれはあとから。
 私は、こういうトンネル機関というのは、言いにくい話ですけれども、農林省のお役人きんがおやめになった場合、こういう機関をつくっておって、要するにそこへどんどん再就職をされるという、そういうものがあちこちにあるように聞いておりますのですけれども、そういう機関になってしまっては非常に困ると思いますので、できるだけやはりこういうものは――確かに局長の言われるように、試験場とそれからメーカーが直接結んでコネができるようなことになっては困るからという理由でこういうことをやったということを言っておられるわけでありますけれども、しかしそれほど危険性というものがあるとするならば、日本植物防疫協会そのものであっても、コネをつけるつもりであるならばコネがつくと思うのですよ。ですからあなたのほうでそう力説されるということであるならば、むしろこれは国がやるべきなんじゃないか、農林省がやるべきなんじゃないか、こういうぐあいに私は考えますので、それで御質問を申し上げておりますのですが、なお、これらにかかるところの費用というものがどの程度になっておるのか、そういう点を資料としてひとつこの委員会に出していただきまして、そしてなおかつ御質問を申し上げたい、こう考えるわけなんであります。
 それから、その次の問題ですけれども、残留農薬研究所の問題でありまするが、これはいろいろの方々から御質問がございまして、わかったようなわからぬような感じがするのですけれども、これは研究開発をやるところの機関なんですか、それともやはり検査をやるところの機関なんですか。その点はっきりしていただきたいと思います。
#199
○中野政府委員 この機関は定款にもございます、寄付行為にもございますように、農薬の残留と毒性についての調査研究と、それから同じく農薬の残留及び毒性に関する各種試験の受託をやるわけでございます。両方をやります。
#200
○松沢(俊)委員 あなたのお話を先ほどから聞いておりますが、確かに研究開発をやるということであるならば、政府がまるまると金を出すほどのものではないと私は思うのです。でありますから、民間がやる、政府もそれに対しては協力してやるということがいいと思うのですけれども、受託を受けるということになると、やはり非常に問題があるのじゃないかと思うのです。二億五千万を政府が出して、あとの五億というのはメーカーが出すわけですから、理事の数が三人しか出ていないのだ、五人しか出ていないのだということによって、それをチェックするというわけにいかぬと思うのですよ。金のかさによってやはり発言権というものが強くなっていくと思うのです。要するにそういう立場からいって、研究開発というものが中心になるのであって、検査の受託というものは一切やらないのだというほうが、やはりあなたの説明も納得できますけれども、検査の受託をやるということになりますと、いま公害問題で問題になっておるわけなんでありますが、行政機関とそれからメーカーというものとが癒着しているという印象を国民に与えると思うのです。そういう点で一体どうお考えになっておるのか、御質問を申し上げたいと思うのです。
#201
○中野政府委員 先ほども申し上げたわけでございますが、これはおそらくメーカーの開発しました低毒性の農薬についてそれのいろいろな試験をするというのが中心になろうかと思います。その場合に、国だけの機関としてそれをやるということが最も望ましい、そういうものの考え方は私もあろうかと思いますが、一方考えてみますと、この予算は、これはことしの予算の過程であったわけでございますが、政府部内での議論といたしまして、その開発した農薬というのはみんなメーカーの、いわばそこでいい薬ができますともうけになる、当然受益者として負担すべきではないかという議論がございまして金を出していただく。しかし口を出してもらっては困るということで公益法人にいたしまして、理事も先ほど申し上げたような構成にもいたしましたし、運営自体といたしましては、これは研究者が研究した上での結果を出すところでございますので、私は先生御心配のようにメーカーの息がかかり過ぎるということはないように思いますし、またそういうことがあってはならないと思いますので、そういう厳重な指導はいたしたいと考えております。
#202
○松沢(俊)委員 私は聞きますけれども、研究開発というそういう機関と検査受託というものを一緒にしたほうが望ましいと思いますか、それともやはり分離しておくのが望ましいと思いますか。局長はどうお考えになっておりますか。
#203
○中野政府委員 突然のお尋ねでございますので私自身的確に申し上げかねる面がございますが、国としましての基礎的な研究開発は、科学技術庁所管の理化学研究所でやっております。今度の残留農薬研究所はどちらかといいますと、そういう基礎的なものの実用化の段階での受託試験研究でございます。したがいまして、おのずから薬のできる段階あるいは種類によりまして国でやるべきもの、こういうところでやるべきもの、おのおの違いはあるのではないかというふうに思います。
#204
○松沢(俊)委員 そうすると、これは薬ができ上がるまでの検査ですね。さっき話がありましたところの協会を窓口にして、そうして公的機関に検査の受託をやるその検査の受託というものとこの受託はやはり違っているわけですか。
#205
○中野政府委員 これができ上がりまして活動を開始しますと、先ほどの公的機関の一つになるわけでありますし、単なる一つではありませんし、残留性等の問題についてそう簡単にこれができるような試験研究ではないわけでございますので、これができますと相当の数をここでこなせるということになってこようかと思います。
#206
○松沢(俊)委員 そうすると、これは直接協会窓口にしなくて、直接メーカーがそこへ持っていってそうして試験をしてもらう、こういうことになるわけですか。
#207
○中野政府委員 活動を開始しますのは四十七年でございますので、それまでの間にわれわれ検討しなければなりませんが、現在直接であるとかあるいはどこを経由するということはまだきめておりません。
#208
○松沢(俊)委員 さっきのあなたの御答弁からすると、検査の受託をやるということを言っておられるわけだから、したがって第三者の公的機関がやるのと同じやつをおやりになるわけでしょう。そういうふうに考えて差しつかえないわけでしょう。
#209
○中野政府委員 ただ私、考えますに、メーカーとこの機関とが直結いたしますと問題があるかと思いますので、先ほど御批判ありましたけれども、やはりそういういまやっておりますことをそのまま続けるとしますれば、植物防疫協会の試験委員のところでこれはこちらというふうに、第三者が入ってきめたほうがいいんじゃないかという気がいたしますが、なお今後検討したいと思います。
#210
○松沢(俊)委員 ただ私は、あなたのさっきの、協会を窓口にしてそして公的な機関に検査受託をさせる、こういうのが趣旨としてはいいんだ、癒着がないから、コネがつかないからいいんだ、こういうお話であったわけですが、今度でき上がるところの残留農薬研究所というのは、要するにメーカーが直接そこへ出資しているわけでしょう。そこで同じような検査の受託をやるということになれば、全くあなたの心配されるところのコネがつくことになるのじゃないですか。だとすると、あなたのさっきの御答弁といまのその残留農薬研究所の考え方というものは違わなければならぬじゃないかと思うのですよ。どうでしょうか。
#211
○中野政府委員 私、先ほど申し上げたことは、まだ活動を開始しておりませんのできめられていないということを申し上げたわけでございますが、二度目に御答弁申し上げた際に申し上げたように、直接残留農薬研究所とメーカーとが直結するのはよくないのではないかということを申し上げました。私もそう思いますので、できれば――できればといいましょうか、先ほど申し上げました防疫協会での試験委員での審査を経て、そちらへ渡すというふうに第三者が介入をする、あるいはその場合に農林省も介入してもいいと思いますけれども、そういうことで直結させないようにいたすべきだと思います。
#212
○松沢(俊)委員 私は、何兆という予算の規模からいって、七億五千万程度のものは、どうしてもメーカーから金を出してもらわなければならないという、そういうことにはならないじゃないかと思うのですよ。やるのであるならば理想的な機関を設置して、そして拡充強化をはかっていくという、そういう姿勢がなくて、やはり公害対策なんということはいえないじゃないかと思いますので質問をしているわけなんであります。
 まあそれはそれといたしまして、次にこれは午前中の田中さんの質問にもありましたけれども、粉剤の被害というものは相当大きいわけですね。だからこれを乳剤にしたらどうかというお話がありましたが、あなたのほうといたしましては乳剤の前の微粒剤ですか、そういうものをいま使わせているというお答えであったわけなんでありますが、これは一体将来どうされるということなんですか。いつごろから――乳剤というものが一番やはり理想的だということになれば、乳剤に踏み切ってしまうとか、そういう方針は明確に出すわけにいかないのですか。その辺はどうですか。
#213
○中野政府委員 一義的に全部乳剤に割り切ってしまうということは、その薬の種類によりましての効果から見て、そうでない場合があるわけでございます。ただ、私が先ほど申し上げましたのは、空中散布等のときでありますと、粉剤だとするとそこにばらまき過ぎますので、そういうものは微粒剤、粒剤と粉剤の間のものに切りかえてすでに実用化しておりまして、そういうものを使うのを中心にする。一般的に申し上げると、まくまき方その他によりまして粉剤がいい場合もあり粒剤がいい場合もあり、いろいろあるわけでございます。一義的に全部乳剤に切りかえるということは無理ではないかと思います。
#214
○松沢(俊)委員 これは種類によっていろいろあると思いますけれども、粉剤から乳剤にかえても差しつかえないというものがたくさんあると思うのですよ。しかも最近はヘリコプター散布というものがはやり出しているわけなんでありますから、だから切りかえて差しつかえないというものはどんどんやはり切りかえさせるところの方針、そういうことはできないのですか。
#215
○中野政府委員 最近の、これは全体の統計でございますが、粒剤が一七・九%、それから乳剤それから液剤が二二・九%、それから水和剤、これも乳剤、液剤に近いほうですが、二一・四%でございまして、どちらかというと乳剤なり液剤、そういうもののほうがかなり多いわけでございます。
 そこで、それじゃ一挙にそちらに切りかえるということになりますと、かなり問題も出てこようかと思いますので、やはり薬の種類によりまして危険性のないような方向に持っていくべきだという観点から、それぞれどれが一番いいかということを研究しなければならぬというふうに思います。
#216
○松沢(俊)委員 野菜の被害ですが、だいぶ出ておるわけなんでありまして、特にこれは関西のほうでドリン系の農薬残留の問題というのが大きくなっているわけでありますが、この場合、先ほどの御答弁からいたしますと、非常に大規模な出荷どめが行なわれなければならないという場合においては、出荷をとめなければならないという場合においては自作農維持資金などの金等を利用させて、そして何とかしてやらなければならぬじゃないか、こういうお話がありましたのですが、これも補償問題になるわけなんでありますが、融資という方法以外にやはり理論的には補償するというようなわけにはいかぬものですか、それはどうですか。
#217
○中野政府委員 たびたび申し上げておりますように、市場にキュウリが出回ってきたときに、ある日、県の衛生研究所でしょうか、そこで調べた結果残留許容量をこえておったというものがあるわけでございます。おそらくそのときに出ましたのがたくさんあった中で何袋か調べました上でそういうことになったということだと思うのですが、率直に申し上げますと、そのときに調べた同種のものは全部市場に出回ってしまったあとそれがわかりましたと発表がありますと、引き続いて出てきているもの自体の値段が下がるということがございますので、これはむしろ産地のほうで自主的にとめておるわけです。こういうことが実態でございますので、そのときの経済的な損失を――これは残留許容量をこえるということは食品衛生法違反でございますから、これについては何ら補償の措置は食品衛生法ではございません。そこで、私るる申し上げましたように、法律的には補償の義務は国にはないということを申し上げたのですが、ただ出荷どめいたしましたために、腐るとか、あるいは廃棄するという問題で経済的な打撃を受ける場合があり得ます。その場合にたいした量でなければ農家ががまんする場合もありましょうし、相当な量であって農家が一年間これから食っていくのに困るというような場合には自作農維持資金等の融通等も考えるべきだということを申し上げたわけです。
#218
○松沢(俊)委員 一昨日の連合審査会で、これは田中さんの質問に対しますところの答弁が出ておるわけなんでありますが、これにはカドミウム汚染で一PPM以上の米がとれたなどの場合は、全額国、地方団体が負担するのが原則だということを山中総務長官が言っておったわけなんでありますが、土壌の中に農薬の残留量というものがたまりたまって出て、その結果野菜に被害が起きてきたという場合、要するにどのメーカーの農薬であるかちょっとわからないという場合もあると思うのですが、そういう場合、カドミウムなんかの場合におきましてもやはりはっきり何々鉱業所という場合においては企業責任というやつは当然問われると思いますけれども、そうでない場合においては、やはり山中長官が言ったように汚染米の補償というのは全額やるべきだという前向きな答弁もあるわけなんでありますが、要するに野菜だとかそういうものの土壌の中に残留しておったというそれが積み重ねられてきて、そうしてそういう被害というものが出たという場合には、カドミウム米と同じような考え方で補償というものができないものかどうか御質問申し上げます。
#219
○中野政府委員 ちょっといまの松沢先生のお話しのカドミウムの話は誤解があるようでございまして、おとといのお話は、私も当委員会に行っておったわけでございますが、復旧事業といいましょうか、土壌汚染防止法に基づきます対策を立てて、それに基づいた事業の話だと思うのです。その場合に業者――業者といいましょうか工場、事業場の責任が明確であるものは費用負担法によって定める。それ以外の部分は国、県が持つというような趣旨での御答弁だったと思うのです。米にカドミウムが入っておりまして、これは食糧庁が一PPM以上のものは買わないということをいっております。現にそういうことは実行されておりますが、それの損失補償関係は別の問題でございまして、会社と農家との間の関係になるわけでございます。やはり土壌の問題につきましても、いま御指摘のように長年どこのメーカーの薬かわかりません。これは、もしある薬が完全に土壌を汚染しまして復旧工事、たとえば客土をやらなければいかぬ場合には、一般の土地改良事業費、国なり県なりの相当の負担をし、地元負担もあるわけでございます。これの軽減ということはこれまた別途の問題として考えなければならぬといたしましても、いまの農作物での補償の問題と復旧対策とはやはり区別して考えるべきではないかと思います。
#220
○松沢(俊)委員 その次に移ります。
 ドリン系の農薬にはやはり安全基準というものをつくって規制しておるわけでしょう。ドリン系農薬というのは、私も薬の名前というものはあまりわからないわけでありますけれども、エンドリンそれからアルドリン、ディルドリン、この三つのほかにヘプタクロールというものがあるでしょう、同じ塩素系のやつで。その基準というものはあるのですか、どうですか。
#221
○中野政府委員 いまお尋ねのヘプタクロールは厚生省のほうでまだ残留許容量をきめておりません。いま調査をしておる段階だそうでございます。
#222
○松沢(俊)委員 厚生省の人おられますか。――それじゃ厚生省の人が来られてからなお御質問したいと思います。
 次は林野庁にお伺いしたいわけなんでありますが、国有林野の防除剤の散布がいま行なわれておるわけなんでありますが、要するにこの防除剤の散布につきましては塩素酸ソーダ系のやつ、それからフェノキシ系というやつが使われておる、こういうことがいわれておるわけなんでありますが、最近山形、秋田、北海道、青森、岩手の国有林にこれら二つの薬品が使われることによって、たとえばシカの奇形児が出るとかそういう問題が起きておる。そういうことで、関係の市町村の中では署名運動をやって、使わぬでくれという運動すら起きているという現状であるわけなんであります。これは非常に重大な問題だと私は思います。特に山村ということになりますと、山菜によって所得を得ている雰細な農家もたくさんあるわけであります。したがってまたナメコの生産なんかをやっているところもありますし、あるいはまたその他のワラビだとかゼンマイだとかあるいはタケノコだとかいろんな山のさちを利用しながら所得を得ている人たちもたくさんいるわけでありまして、そういうものがまかれることによって、それを通じて人体に影響を与えるということになりますと、これはたいへんな問題になるのではないか、こう考えられますので、これらについての対策はどのようにしてなされているのか、まずお伺いしたいと思います。
#223
○松本政府委員 お答えいたします。
 シカの奇形児のお話がございましたが、このお話はまだ聞いておりません。
 それから山菜のナメコその他の山のさち、これの人体に対する影響ということでございますが、除草剤と山菜の関係でございますが、塩素酸塩系の薬剤とフェノキシ系のそれと作用が違うことになっております。塩素酸塩系の除草剤は、主としてタケノコに関係するわけであります。そこでそのタケノコ、根曲がり竹というのが山の造林作業には一番じゃまものであります。そこで木を伐採して造林をするということになりますと、そのあといろんなタケノコを退治しなければならぬということと、山菜との競合の問題が起こってまいります。そこで山菜が特にたくさん出るようなところ、地元の経済に大きく影響するような山菜の豊庫というようなところは地元と十分に話し合いをいたしまして、地元の了解の上で影響を最小限度にとどめるよう計画的に薬剤を散布する。それからフェノキシ系の場合には、これはワラビとかそういうものに影響いたします。これは造林をいたしまして下刈りをするという場合、かまで刈るか薬で殺すかという差になるわけでありまして、いずれにしても山菜は取れないわけでございます。そこで山菜のたくさん出るような時期、ワラビの最盛期というものは、そういう薬をまくのをずらしまして、山菜採取に影響のないようにつとめております。
 このようにしてつとめておりますが、あとその山菜を通じて人体にどのような影響があるかということでございますが、そのように除草剤をまきますと山菜はほとんどとれなくなるわけであります。したがって、人体に入る可能性も少ないということで、ただ残留効果、残留性がありまして、次の年さらにその次の年という点を考えますと、除草剤の場合は残留性があまりない、分解が非常に早い、二月前後で大体分解をいたしますので、山の土壌に残留をするということはほとんど考えられない状況でございます。
#224
○松沢(俊)委員 特にこのフェノキシ系の場合は、これは日本だけで問題になっているのでなしに、世界的にもだいぶ問題になっているということを聞いているわけなんでありまして、特に散布地を自転車で通ったところの妊婦が奇形児を産んだなどという、これはスウェーデンですかではやはりそういう結果というやつが出ている。こういうことでありますので、非常に危険なんじゃないかと思うのです。
 それから、今度は製造工場の三井東圧の大牟田工場では、すでに三十人以上の従業員が中毒症状を起こして、現在でもなおっていない。そういう非常に危険な薬剤であるということが大体はっきりしておるわけなんでありまするから、そういうものを使うという形でなしに、使わないで別な方法を考えるという態度が林野庁のほうとしては必要なんじゃないか、こう思いますので、ただ単にその場合においては地元と話し合いをしてなんというお話でありまするけれども、地元と話し合いをしてみたところで、要するに危険な薬剤というものをまかないわけにはいかないという結果になってしまうと思うのですよ。ですから、要するにそういう危険なものはまかないで別なものを考えていく、こういう対策というのがやはり根本的な対策にならなければならぬじゃないか、こう思いますので、再度ひとつこれらの点についての長官の考え方をお聞きしたいと思うのです。
#225
○松本政府委員 三井東圧で作業員、工場の職工が皮膚炎を起こした。いまだになおっておらないということは事実のようでございます。山の作業員がこの薬によりまして災害を受けたという事例もございますが、年々減っております。
 そこで、この薬を使わない方法はないかということでございますが、国有林では昭和四十一、二年ごろからこの薬を本格的に使い出しておりまして、毎年その散布の面積も増加をいたしております。そこで山の山林労働力というものが急激にいま減少をしておる。しかも山の現地は里山ばかりではございませんで、奥のほうにある。その場合に、行くまでにもうすでに二時間、三時間かかってしまうというような場所もございます。そういうことで、そういった地帯の林業経営というものが将来どうなるんだろうということを考えますと、何らか省力の新しい技術の開発というものが必要になってくるわけでありまして、そういった薬をまく場合に事故の起こらないように、効果も十分期待できる、残留もない、地元の理解も十分深めてやるというようなことで逐次やっておりますが、今後この薬剤が安全に、しかも山林の奥地作業に効果があらわせるかどうかというような、まだまだ検討すべき内容もございます。今後十分検討も進めながら、安全第一主義で検討してまいりたい。
 なお、スウェーデンの例がございました。先般、外務省を通じまして、その処方を取り寄せておるわけでありますが、森林地帯を通過した妊婦が奇形児を産んだということの原因は、その中間の電報報告では、そういうことは考えられないというような、専門家の見解が伝えられてきております。まあそういった面にも、関係方面、厚生省その他十分打ち合わせをしまして、慎重を期してまいりたい。
#226
○松沢(俊)委員 長官に考えていただきたいことは、時間もありませんので希望として申し上げておきますけれども、そういう問題になっている薬剤というものについては、今後できる限り使わない、そして別な方法を考えるという態度で対処していただきたい、こう私は思いますのですが、これはひとつ要望として出しておきまして、ぜひそういうぐあいに善処をしていただきたい、こう思うわけなんです。
 そこで私は農政局長に聞きますけれども……
#227
○草野委員長 松沢君、大体時間ですので……。
#228
○松沢(俊)委員 厚生省が来れば、それで終わりなんですが……。
 ドリン剤というものを私の聞いた範囲におきましては、ヘプタクロールというのは、金額に直して大体二億円ぐらいなようですね。それが要するに使われているわけなんですね。この安全基準がないために、キュウリだとかそういう野菜に農薬が残留しておったということになりますと、これはやはり政府の責任だと思うのです。安全基準がないのだからね。安全基準はやはりつくらなければならぬわけでしょう。厚生省のほうではいま検討しているなんて言っていますけれども、それは検討も何もないわけなんであって、ドリン剤であることは間違いないわけなんでしょう。そして、その結果いろいろな問題が起きてきたということになれば、これはやはり政府の責任だと私は思うのです。そういう点はどうお考えになりますか。
#229
○中野政府委員 ドリン剤にいろいろありまして、現在厚生省で残留許容量をきめておりますのは、アルドリン、ディルドリンはきめております。農林省も安全基準をつくっております。ただ、先ほどお尋ねのヘプタクロールについては、いま調査中ですけれども、これは慢性毒性はアルドリンの五分の一だそうであります。農林省では、それにしても、残留問題がございますので、いま調査をしております。したがいまして、いろいろ、大きくくくりますと、ないもの、あるものということになりますけれども、現在厚生省では九農薬についてはすでに安全許容量を出しておりまして、農林省はそれに基づいて全部出しております。
 なお、つけ加えさせていただきますと、土壌残留性のアルドリン、ディルドリンにつきましては、われわれといたしましては、法律が成立いたしますれば指定農薬にしたい。そして、いまのところ林業苗畑以外は禁止したほうがいいのではないかというふうに考えておりまして、どんどんこれを使わせようというつもりはございません。
#230
○草野委員 長松沢君に申しますが、厚生省はこっちに来ているそうですけれども、どうしますか。来るのだから、このあとが瀬野君ですから、瀬野君のあとにでもやられますか。
#231
○松沢(俊)委員 そうですね。ではそういうふうにしてください。時間がきましたから、私はこれで終わります。
#232
○草野委員長 次に瀬野栄次郎君。
#233
○瀬野委員 農薬取締法の一部を改正する法律案について、関係当局に質問をいたします。
 今回の改正の趣旨は、御承知のように最近多発化している農薬使用に伴う問題に対して現行農薬取締法が十分対処し得ない事態に立ち至ってきたので、現状に即して改正をし、農薬取り締まり行政の不徹底さを登録制度の改善または使用規制の強化、法律に基づく指導等に置きかえ、その徹底をはかるというのが改正の趣旨でございます。法律が今回の改正によってようやく整備されてくるわけで、その内容については若干問題があるわけでございますが、具体的な事項については今後の運用において、行政庁の判断と実行性が望まれるということになろうかと思うのですが、農業者がいま一番不安に思い、最も関心を持っている問題がたくさんあるわけでございます。
 四日以来の連合審査並びに本日の当委員会でもいろいろ論議されてまいったところでございますが、今回の農薬取締法の一部改正が国会を通過して施行された場合に、現在各所で起きておりますドリン剤の問題またはキュウリ等の出荷停止とかあるいは農薬による中毒被害、その他たくさん事故等も起きております。こういったことがどの程度効果をもたらすか、どのように期待されるか、その効果についてまず当局の御見解を最初に承りたいと思うのであります。
#234
○中野政府委員 ただいまの取締法が改正になりましたあとの効果の問題でございますが、まずい、ままででありますと、行政的にはやっておりますけれども、毒性なり残留性についての試験成績というのをとらないたてまえで登録をやっておりますが、これが制度的に整備をされますと同時に、農林省、厚生省ともいろいろ予算措置等も講じておりまして、ここら辺が、非常に厳密な調査の上でないと登録しないということになってまいります。
 それから二番目の問題といたしましては、われわれといたしまして具体的に今後どういう薬が出てくるかまだわかりませんので的確には申し上げられませんが、科学的な進歩によりましてこれはあぶないということになった場合は、農業資材審議会の意見を聞いて、事後でも登録の取り消しあるいは使用方法の変更をやれる。
 それから、いままで行政指導でやっておりましたいろいろな残留問題につきまして、作物残留性農薬あるいは土壌残留性農薬、水質汚濁性農薬ということの指定をいたしまして、具体的な基準を農林大臣がきめてそれを守らせるようにするということで、非常に効果があるとわれわれは思っておりますが、それはやや具体的に申し上げますと、たとえば先般牛乳の問題で問題になりましたBHC、DDT、これは製造の中止をいたしております。この取り扱いにつきましてはもう稲には使わないということにいたしておりますが、それを具体的に一方でこれを指定農薬にいたしますればそういうことは当然基準に書くわけでございます。
 それから、先ほどから問題になっております土壌残留性のアルドリンそれからディルドリンにつきましては指定農薬にいたしまして、森林の苗畑以外には使わせないつもりでおります。それから魚毒性があるということで問題になっておりますPCPという除草剤につきましてはすでに現在知事の許可制にしておりますので、これは続行いたしたい。なおあとパラチオン、これは急性毒性の問題であります。それから有機水銀の問題、これは米に残留するというので問題になりました。これは登録を抹消させておりますので、もうすでに片づいたというふうに考えていただいてよろしかろうと思います。
#235
○瀬野委員 農薬は現在大手メーカーが約七〇%ないし八〇%十社で占めている。さらに二十社にすれば約九〇%、あとの残りの一〇%くらいがおおむね中小のメーカー、大体こういうふうに色分けできるのではないかと思っておりますが、メーカーは現在農薬の事業ではもうからない。したがってこの農薬製造によって会社経営をしていこうとすれば、どうしても外国輸出ということを考えていかなければならぬということにもなろうし、さらにはメーカーとしてはどうしても採算をとっていこうとすれば、農家が好むと好まざるとにかかわらず、虫が比較的少ない、またはない場合でも、予防という見地から大いにこれを使うようなことにあおり立てまして製造する。また関係団体も虫が出た場合にこれを駆除するというだけでなくて、実際に予防的な意味でもこれを使うということで、まさに七百億から九百億に及ばんとする世界第一といわれるような農薬の反別当たりの使用量をまいているのが現状でございます。
 こういった点から若干質問をしてまいりたいと思いますが、現在メーカーによって農薬をうんとつくるために、農家も実際にはそう必要でないところまで使っていて土壌がどんどんよごれていく、こういう新薬、化学薬品によって土壌がおかされていくという憂慮すべき事態に立ち至ってきております。このまま推移せんか、あと五年、十年、二十年後にはたいへんなことになりはしないか、私は実はこういうふうに思っております。そういった意味から、まず最初に、現在農薬として年間どのくらいの量とどのくらいの金額に及ぶものがまかれ、世界的にどのくらいのウエートを占めておるか、常識論でありますけれども、ひとつこの委員会を通じて国民の前にはっきりとお示しをお願いしたい、かように思います。
#236
○中野政府委員 先般提出いたしました資料に差し上げてございますが、農薬の生産の推移は、最近の昭和四十四年度では農薬の生産額は八百六十六億ということでございます。これはたとえば日本の農業生産が一応安定してまいりました昭和三十年ごろに比べまして、八倍までいきませんが、七倍程度にはなっております。しかも物価がどんどん上がる中で農薬は昭和三十年ごろよりは値段が三割くらい下がっております。したがって逆に使用量が非常に多いということになるわけです。
 それではどういうふうに使われるかということでございますが、大体日本の稲作に全使用量の半分くらい、あとが果樹、黄菜、その他ということになっております。それから諸外国との関係でございますが、これも差し上げてございますが、諸外国との関係では、日本は非常に集約的な農業、しかも北から南までございまして、高温多湿でございますので、確かに農薬の使用量が多いわけでございまして、アメワカの七倍ぐらいで、大体イタリアとかイスラエルとか、そういう集約的な農業をやっておるところと似ております。しかし、いま、今回問題になっております公害との関連での農薬、これは戦後出てきました有機合成物の農薬でございますが、これの使用量は単位当たりにいたしまして大体アメリカと同じぐらいというふうになっております。
 非常に概略でございますが、以上のとおりでございます。
#237
○瀬野委員 そこで、先ほども若干触れましたように、新薬とか化学薬品のはんらんによりましてまさに土壌がいま疲れているというか、相当汚染されてまいっておるわけです。こういった化学合成薬品の洪水を招いた原因にはいろいろあるわけでございますけれども、土地というものは本来土地自身が持った力というものがあるわけです。こういった面から今後農林省として、将来農薬の取り締まり、規制ということも当然大事でございますが、土壌を維持していく面から今度の取り締まり法によって農薬の規制がされてまいりますけれども、極端に量が減っていくというわけでもないと思われますが、こういった土壌と農薬の関係については今後どのようにあるべきかということを考えておられるか、その辺の御見解を承っておきたいと思います。
#238
○中野政府委員 農薬を非常にたくさん使っておりますので、日本国じゅう田畑が汚染されておるようなお話でございますけれども、大体の農薬はまきましたあとしばらくの間に分解して消失をいたします。問題になりますのは、先ほど御指摘のように、土壌に残留する農薬でございます。これは主として野菜等に使っておりますドリン系の農薬でございます。それ以外にはそんなに極端に残留をして非常に問題を起こしておるということは、おおむねないのではないかというふうにわれわれ判断をしておるわけでございます。
#239
○瀬野委員 去る四日から公害対策連合審査会でいろいろと審議もされてきましたし、当委員会でもいろいろ論議されたところでありますが、農林大臣が欠席しておられますので、大臣に対する質問は明日行なうことに留保いたしまして、審議の過程でぜひただしておきたい点について数点お伺いをしておきたいと思います。
 登録制度の改善についてでございますが、これは申すまでもなく毒性及び残留性に関する試験成績書の提出ということになっておりますが、この試験成績書というものにはどういう程度、どのようなことを記載するように検討をされておるか、この点お尋ねをしておきたいのであります。
#240
○中野政府委員 ただいままで二、三の先生方からそのお話がございましたので申し上げた点でございますが、われわれといたしましては、薬効及び薬害に関する試験成績といたしましては、原則として三カ所以上の公的機関で二カ年以上行なった試験の成績が必要だということにいたしております。
 それから毒物、劇物につきましては、これは急性毒性試験、ネズミを用いてやるわけでございますが、こういう試験をやります。それから魚類に対する試験といたしましてはコイを用いた試験をやります。
 それから残留農薬につきましてでありますが、慢性毒性につきましては、これは二カ所以上の機関、そのうち少なくとも一カ所は公的機関と考えておりますが、二種類以上の動物につきまして連続三カ月以上の試験をやるということにしております。
 それから作物残留性の問題につきましては、その農薬を通常使う方法がございますので、その使い方によりまして散布回数とかあるいは散布の時期とか、それから収穫期までの期間を数段階に分けていろいろ試験をさせます。
 土壌の残留性の問題につきましては、その分解していく消失速度の試験、それから土壌中の農薬の作物による吸収の度合いの試験、こういうふうなことをやった上で、それで成績書をつくらせるということにしたいと思います。
#241
○瀬野委員 そこでその試験でございますが、従来人体に影響を及ぼすものあるいは家畜に影響を及ぼすもの、こういったものについては、ネズミとかモルモットというようなものをよくいろいろと試験材料に使っておられるようですが、実際の試験になりますとやはりサルなんかを使うべきだということがよく学者間でもいわれております。そうなると相当な金もかかるわけですけれども、こういったことについてはどのようにお考えになって検討されておられますか。この機会に御見解を承っておきたいのであります。
#242
○中野政府委員 御指摘のように、ただいまネズミ等を使ってやっております。そのかわりということではございませんけれども、三カ月の漫性試験等をやりましても短いじゃないかという議論があります。そこでわれわれといたしましても、近い将来に二カ年間の慢性毒性試験ができるように持っていきたいということを一つ考えておるわけでございます。ただ三カ月でございますので、ネズミで実験いたしました結果の人体との関連でありますので、二千倍の安全率を現在とっております。これを二年にしますと百倍でいいということに国際的にもなっておるようでございますが、日本ではまだ二カ年の長い試験というのはやっておりませんので、そのかわり非常な安全率をとる。ネズミをサルや何かにかえるという話もあるように聞いておりますけれども、そういう動物をどの程度どう育成して使うかというようなことは、まだ私、行政当局としてはそれがいいとかどうとかということは申し上げるような段階ではないというふうに思います。
#243
○瀬野委員 その点は一応わかりました。
 次に、登録の取り消し等に伴う諸問題について午前中からも論議されてきたことでございますが、政府の行政責任と取り消し等に伴う損失補償、こういったものについてはいろいろと先ほどから論議されましたので一応了といたしますが、取り消し等に基づく販売禁止または販売制限を実効性あらしめるためには、その回収責任、すなわち農家の手持ちのもの等、また廃棄方法等を明確にしておかないと、農家は一番これを不安に思うわけであります。こういったことについて若干お尋ねしたいと思うのです。
 現在農協あるいは県連あるいは農家手持は全量の約七%から八%あるんじゃないか、このように推定されております。関係団体でもこれは掌握をしておりませんが、第一、系統機関の持っているものあるいはメーカーが持っているもの、また農家が持っているもの等に分けましてどのくらいの量、それがまたどのくらいの金額になるのか、今回の法案の作成にあたって御検討されたと思いますが、その点をまず最初に承っておきたいのであります。
#244
○中野政府委員 ただいまのお話、全農薬ということになりますと、これはメーカーが販売業者に売りまして農家に売るということで、農家も若干その年余ったということもありますので、その辺のことはなかなかわかりかねますが、流通段階にあるのは約一割程度でございます。
 それから登録の取り消しはこれからの問題でございますが、具体的に製造中止をさせたものについてどれくらいあるかということでありますが、それの最も具体的な例といたしましては、すでに昨年末BHCを中止しておりますので、これの在庫は、われわれの現在までの調査では、七千五百トンくらいあるということになっております。なお、これにつきましては先ほど松沢先生からもいろいろお話ございましたように、これをどう扱うかということをきめました上、具体的な措置はこれから考えるということになるわけでございます。
#245
○瀬野委員 BHCについては七千五百トンということですが、これはどのくらいの金額になりますか。
#246
○中野政府委員 正確には計算しておりませんけれども、約四億程度ではないかというふうに思います。
#247
○瀬野委員 実際にはもっとあるんじゃないかといわれておるのですが、私の聞いたところによると、数十億あるんじゃないかということも実は聞いております。
 そこで、こういった農薬が使用禁止になって流通機構の段階あるいは農家の手持ちとして残っておるということになりますと、これは今後いろいろ問題が派生してくるわけでございます。すでに流通段階に入っておりますし、これらの農薬を回収するにしても、ばく大な運賃がかかりますし、土壌に埋めたのではまた十年くらい残留ということにもなる、あるいは海へ捨てると、海洋汚染防止法によっていろいろ問題が起きてくるということで、この処分はたいへんな問題になるわけです。そこで国は一枚の通達によってこれを禁止するということで、農家は一夜明ければ使えないということで、生活上たいへんな困難を来たすということになりかねないわけでございます。私はこのBHCについて何か中和剤みたいなものをまぜて使う。BHCは粘土にまぜる前だと中和剤にも幾ぶんきくらしいのですが、まぜてしまってからはかなりの量になりますので、実際には中和はむずかしいともいわれておりますが、何かこれを中和して使えるというようなことにはならぬものか。実際にいまのような審議過程を見ておりましても、どうしようもない、かといって将来の見通しも立っていない。相当なお金で買ったものを、農家も流通機構の段階でも、これを全部ストックしておくということになると、今後たいへんな問題になりますし、長い間にはかってにこれを使ってしまうとなると、国民の健康保全上も憂慮されるという問題にもなりかねないわけです。そういったことから、何とか中和して使える、あるいは熱処理なんかによってこれを処分する方法はないものか、その点についてはどの程度まで検討を進めておられるか、ひとつ希望ある農林省の御見解を、農家のためにここで明らかにしていただきたい、かように申し上げたいのであります。
#248
○中野政府委員 せっかく御心配いただきましたわけでございますが、BHCにつきましては製剤にいたします前の原体でありますと、リンデンというもっと純粋なガンマBHCだけにいたしますと、これは製剤にいたしまして稲に残留しないということで使えるようでございます。ただ、製造中止をさせましたので、今後そういうことでやっていけるかどうかということは研究課題だと思います。ただ、製剤になってしまっているものにつきまして、これはいまおっしゃいましたように中和剤を入れてどうとかする手があるのかどうか、私、現在ちょっと何ともお答えしようがないのでございますが、先ほども申し上げましたように、稲には使わないようにいたしますが、果樹なりあるいは黄菜、林業用には差しつかえないわけでございます。できるだけそちらの用途に振り向けるということができるわけでございます。
 それから、先ほどBHCを埋めるというお話がございましたが、大体一週間でたしか半分ぐらい、それから五、六週間で大体九割ぐらいは溶けて消失をいたしまして、それほど土壌の残留性が強いという薬ではないわけでございますので、土壌残留との関係ではあまり問題はないのではないかというふうに思っております。
#249
○瀬野委員 私が聞いたところでは、BHCは約十年ぐらいは残留するというぐあいに聞いておりますけれども、いまのお話だと一週間で二分の一、五、六週間で九割までは消失する、こういうことです。そうなるとまた水質汚濁との関係もございますが、実際にその程度で消失するものですか、再確認をしておきたいのでございます。
#250
○中野政府委員 私の申しましたのは、水田の場合でございます。何かアメリカにはもう少し長く残留するという例もあるようでございますが、この辺はなお最近の問題でございますので、試験研究の上で詰めなければならない問題だと思います。
#251
○瀬野委員 その辺はもう少し研究をしていただきたいと思います。
 次に、農薬の取り消し処分等にあたっては、異議の申し立てが認められるということで、これも午前中から論議されたところでございますが、公平な判断を下すべき機関というものを設置する、この点がはっきりとした答弁に接してないように思います。いずれにしても異議の申し立てがあった場合に、はっきりとしたそれを判断するところの機関というものを新たにつくるべきでないか、この辺の検討はどのようになっておられますか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#252
○中野政府委員 先ほどの御質問にもあったわけでございますが、最終的には異議の申し立ての決定は農林大臣がいたしますが、その以前に農業資材審議会の意見等を聞くということで、慎重を期したいと思っております。
#253
○瀬野委員 時間の制約等がありまして十分できませんが、最近ヘリコプターによる空中散布によるところの防除、こういったものが急速に伸びてきております。データによると、四十四年度は延べ実施面積が百九十四万九千ヘクタール、このように相当な量になっておりますが、来年度は航空防除の予定計画等はどのぐらいと見ておりますか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
#254
○中野政府委員 農業用と林業用とございます。それで、農業の場合は水田の生産調整の関係がございまして、来年はことしより若干減ります。林業につきましては若干ふえる。まだ林業につきましては確定はいたしておりませんが、来年は大体ことし並みか、若干ふえる程度というふうな見通しでございます。ただ、農業につきましては、いま申し上げましたように水田の生産調整の関係で少し減るということになっております。
#255
○瀬野委員 熊本県の宇土半島等でよく空中散布によって農薬が魚介類に影響いたしまして、魚介類の死滅等がしばしば問題になっています。もちろん気流の関係その他でこのようなことが起こることは全国至るところでございます。こういった問題が今後も予想されますけれども、こういったことについては先ほども何か微粒のものを使うということでございますけれども、今後こういったものに対する規制、補償、こういったものについてはどのような見解をお持ちであるか、最後に一点承っておきたいと思います。
#256
○中野政府委員 航空防除が非常に効率的であると同時に、逆にいろいろな被害を与えますので、先ほど申し上げましたように粉剤から微粒剤にかえていくということを積極的に進めておりますことが一つと、それから市街化が著しくなっているような区域につきましては空中散布をしないように規制をしたい。
 それからいまの補償等の問題でございますが、これはまだ全県そうはなっておりませんが、あらかじめ反当一円とか二円とか防除団体から徴収して基金を積み立てておきまして、事故があった場合には相互共済といいましょうか、そういうことでやっている県がかなりふえてきております。われわれとしましては全体としましてこれを一歩進めながら、危害防止というような観点から航空協会というものをつくりまして、それを中心に厳密な指導をやっておりますが、今後ともその拡充をはかりたいと思っております。
#257
○瀬野委員 農林大臣がきょうは欠席でございますので、明日に残った問題については質問を留保いたしまして、本日の質問はこれで終わります。
#258
○草野委員 長松沢俊昭君、厚生省に対する質問、簡単に願います。
#259
○松沢(俊)委員 厚生省おいでになりませんでお聞きするわけにいかなかったわけでありますが、ドリン剤の問題なんであります。ヘプタクロールという薬剤がございますが、これはやはりドリン剤の中に入っておるわけですね。ところがそれが規制されていない、安全基準というものがつくられていない。お話を聞きますと金額にして大体二億円程度の薬剤が使われている、こういう野放し状態であってはたいへんなんじゃないか、こう思いますので、どうして安全基準ができなかったのか、そういう点をはっきりとお答え願いたいと思うのです。
#260
○小島説明員 食品中の残留農薬の基準につきましては昭和三十九年からその作業に入ったわけでございまして、それまでは全く食品中の残留農薬基準というものは日本では規制が行なわれていなかったわけでございます。私ども厚生省といたしましては、国立の衛生試験所を動員いたしまして調査をいたし、そして農林省のほうの御調査と相まちまして基準を設定していっているわけでございますが、残念ながら私どもの能力では一ぺんにすべての農薬、すべての農作物について基準をきめるということはできませんので、年次計画を立てまして、昭和四十八年ごろまでに主要な農作物の主要な農薬につきまして基準を設定するということで作業をいたしておりまして、重要なものから手をつけておるわけでございます。
 お話しのヘプタクロールはドリン剤とは違いまして比較的分解性のよろしい塩素剤でございまして、使用量もドリン剤等に比べてわりあいにまだ少ないものでございますので、実は昭和四十四年から調査に入っておりまして、現在も手をつけておりまして、私どもとしてはできるだけ早くこれらについても使用基準といいますか、残留基準を設定してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#261
○松沢(俊)委員 できるだけ早くということよりも、許容量をきちっときめないでいて、そのことによって公害が発生した場合においては当然厚生省なり農林省の責任があるのじゃないですか。いまのお話からいたしますと順次やっているということを言っておられますけれども、塩素剤でこういうものがある、アメリカから輸入されてきている、こういうことは非常にはっきりしているわけなんですが、はっきりしているにもかかわらず許容量をそのまま放任しておったというその理由は一体どういうことなのか、これを聞いているわけなんです。
#262
○小島説明員 先生のおっしゃるとおりすべてのものについて許容基準をきめるのがもちろんよろしいことでございますが、私どもとしては多数の農作物の多数の農薬について一度に基準をきめてしまうということはなかなか困難なことでございまして、それぞれ調査をいたしました上で、一定の基準に立ちましてその残留基準をきめてまいるわけでございまして、そのために現在までにきまりましたものはまだ全体をカバーしていないという点で、御指摘のとおりまだ不十分であるということは先生のおっしゃるとおりでございます。しかしながら私どもは、基準が設定されていないものにつきましても、食品衛生法では第四条で人の健康に有害なものにつきましては取り締まれることになっておりますので、もしヘプタクロールが異常に高いものが発見されましたときには、食品衛生法第四条を運用してこれを処理することができるわけでございます。実はヘプタクロールにつきましては、まだ従来それほどデータはないわけでございますが、幸いなことにそれほど高い数字も発見されておらないような状況でございます。
#263
○松沢(俊)委員 それではこれは心配ないところの塩素剤ということになるのですか、その点はっきりしてもらえばいいです。
#264
○小島説明員 これは有機塩素系の農薬でございますから、こういうものが多量に使用され、また多量に農作物に残存いたします際には、人の健康という面から心配はあるわけでございますが、現状といたしまして、私どもとしてはその使用量等から見て心配ないというふうに考えておる次第でございます。
#265
○松沢(俊)委員 心配ないということであれば問題はないのですけれども、心配があるというところの話が出ておりますので、はっきり許容量というものを早急にきめるべきではないか、こういうことで私は御質問しておりますけれども、心配ございませんな。
#266
○小島説明員 私どもとしては、先生のおっしゃられるように早急に許容量を決定したいということで作業を進めております。
 それから人の健康に心配があるかどうかというお話でございますが、先ほど御説明いたしましたように、現在の使用量では心配がないのではないかというふうに考えております。またこういった農薬の毒性につきましては、これは野菜についている量では決して急性の中毒が起きることはないのでございます。それからまた慢性の毒性につきましては、これは人間が一生の間にこれをとり続けた場合にどうであるかということが問題になってその量を云々しているわけでございまして、私どもとしては早急に、おそくとも数年中に許容量を決定すれば、そしてそこから十分な対策を立てていけば、これもまたもし問題があったとしても十分に間に合うというふうに考えておる次第でございます。
#267
○草野委員長 小宮武喜君。
#268
○小宮委員 私は、農薬の公害問題については、八月十日の本委員会でも、現在の野放し状態にある農薬行政について根本的にメスを入れるべきである、したがって、早急に現行の農薬取締法を改正しその規制を強化すべきであるという質問をいたしたことがございます。したがいまして、その立場からしますと、本臨時国会におそまきながら農薬取締法の一部改正案が提案されたことは、一応前向きの姿勢として歓迎はしておるものであります。しかしながら、この改正案の内容を見ますと、この法律案ではたして農薬公害を防止できるかどうかということについて疑問を持たざるを得ないのであります。法律を制定するときはその法律の目的に沿ってその実効をあげることにその意味があるわけでございまして、その法律を制定しても実効があがらなければ私は無意味だと思います。
 したがいまして、端的な質問をいたしますが、この農薬取締法が一部改正されますと、この法律の発効後は農薬公害の予防措置は完全にとれるかどうか、実効をあげ得るかどうかということをまず端的に質問をいたします。これは土壌の残留性等もあって非常にむずかしい問題ではございますが、この法律が発効後は農薬公害については予防措置が十分であるとお考えなのかどうか、まず質問をいたします。
#269
○中野政府委員 昨今問題になっております農薬残留性の問題なり慢性毒性の問題でございますが、お答え申し上げる前にちょっと実態を申し上げておきますと、そういう問題になる農薬というのは、有効成分の数からいいますと大体農薬の中の四%でございます。残留性の大きいものは四%です。それから慢性毒性の大きいものは三%程度です。市場の流通量からいいますと、残留性で問題になっております農薬の出荷額は一五%くらい。それから慢性毒性の大きいものと思われるものは約一七%くらいです。
 これを、いままでのようなことでなくて、今回は登録の制度の整備と指定農薬制度と安全使用基準でやるということで、制度としてはわれわれ整備ができたと思っておりますが、るるけさほどから御指摘のように、そういう制度ができましても末端までそれが徹底しないではないかという問題は、もう御指摘のとおりだと思います。それにつきましても、農林省でやれる範囲のことは御答弁で申し上げておるわけでございますが、われわれとしましてはそういう制度が末端まで徹底するようにこれから大いに力を入れなければならないというふうに思っております。
#270
○小宮委員 いまの御答弁によりますと、末端までその指導が徹底すると十分に効果はあげ得るというふうに御答弁があったというように考えるわけですが、それでいいですか。
#271
○中野政府委員 ただいままでもいろいろ手段を使いましてやっておりますが、お説のように、われわれとしましては、この制度が整備されてそれが徹底いたしますれば、農薬の面から公害問題を起こして大いに問題になるということはなくなるというふうに考えております。
#272
○小宮委員 それではその御答弁を信用しますとして、今後どういった農薬公害が起きてくるか、その時点でまたひとつ質問をしたいと思います。
 それから、この改正によりますと、農林大臣が農薬の登録に際して品質改善を指示することができる場合として、その「利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるとき」ということになっておりますが、当初、原案では、環境が著しく汚染するおそれがある場合というふうになっておったのが、このように姿勢が後退したのはいかなる理由によるものか、その点お伺いします。
#273
○中野政府委員 いまの御指摘の問題は水質汚濁性農薬の問題だと思いますが、われわれ原案を考えました場合には、水質についての環境基準を引っぱって書いたほうがいいんではないかと思ったわけでございますが、水質の法律も今回改正されますし、いろいろの問題がありますので、ここでは水質の汚濁ということを明示しておきまして、先ほど御答弁を申し上げたと思いますが、具体的な基準は農林大臣が告示をするということで、水質の問題につきましては水質の環境基準を著しくこえて長期に持続をするというものを、登録保留の要件にいたしたいと考えておりますので、当初考えました気持ちは農林大臣の告示まで考えていただきますとそのとおりやりたいというふうになるわけでございます。
#274
○小宮委員 それでは、時間がありませんから、次の問題に移ります。
 次は、この農薬の安全使用基準の設定に関する件でありますが、ある調査によりますと、農家の方には、この安全使用基準を全然知っておらない、その部落全体でも知っておらないというところもあるわけです。また知っておってもそのうちの五〇%ぐらいが知っておるというような実情さえ出ておるわけですが、こういった中で、これは従来からもそういった農家に対しての教育、指導ということがなされておらないとすれば別ですけれども、従来からもその教育、指導をやっておられるはずと思います。そうしますと、今後農薬の適正な指導に関する知識の普及及び情報の提供、助言、それを今後指導する、援助するということがいわれておりますけれども、はたして徹底するかどうか。私はいままでの経緯から見て疑問を持たざるを得ません。
 そういった意味では、私この際一言提言をしたいのは、こういった指定農薬については、やはり農家の方々の個々の使用にまかせずに、市町村やまたは農協等の責任ある技術指導員のもとに、共同防除とかあるいは一斉防除とかの方法を講じたらどうかというふうに考えるわけです。その場合に、その技術指導員というのは、先ほどからもいろいろ指摘が出ておりましたが、植物防疫法第三十三条に示されておる、全国で一万一千名以上といわれる病害虫防除員を県や国が教育をして一定の国家試験を行なって、そこに、この人たちに現地における防除指導の責任と権限を持たせるような制度を設けてはどうかというように考えるわけですが、この点についての御見解をひとつお聞きしたいと思います。
#275
○中野政府委員 末端までの指導の徹底のしかたとしまして、われわれといたしましては過去から農林省、県それから末端の町村、農業団体という系統でいろいろな指導をしております。現に防除暦等もつくりまして農家がわかるようにしております。その前に、薬の包装に使い方は全部表示させるようにしております。だから、たいていの農家はそれを見ればわかるはずでございます。しかしまだ不徹底だということは御指摘のとおりでございます。
 そこで指定農薬につきましては、これは個人に使わせるなというお話で、これには一定の資格のある人の指導のもとにやらせるということでございますが、この問題につきましては、何人かの先生方からこのお話ございました。それについて私申し上げましたのを繰り返すようになるわけでございますが、防除士というものを国家試験をもってやるということになりますと、相当高い水準の資格が要る。それからまた試験の内容をどういうふうにするかということが必要だ。つくった上はその人の指揮でしか使えないということになりますと、逆に農家が妙な使い方をした場合は問題である――問題でないかもわかりませんが、その指導どおりやったってそうならなかったじゃないかといった場合に、防除士が一体どんな責任を負うのかという問題。それから、ただいま一万八百人の防除員がおりますが、指定農薬がこの人の指揮でないと使えないということになりますと、この一万八百人で足りるのかどうかという問題がございます。と申し上げますのは、これも先ほど申し上げましたように、水田につきましては三、四割の共同防除が行なわれておりますけれども、畑作あるいはまた果樹等につきましてはまだほんの一部分でございますので、急にそういう制度をつくりまして防除士でないと使わせないということになりますと、かなり問題が起きるということがございますので、先ほども御答弁申し上げましたように、その問題は資格の問題その他から始まりまして、われわれとしましては慎重に検討したいということを申し上げたわけでございます。
#276
○小宮委員 問題は、ただそういうような制度を設けることについて試験をどうするのかとか、また国家試験をどういうような形でするのか、どういうような資格を与えるのか。たとえば防除員が結局いまの一万八百人で足りるかどうかというようなことは、私はそれは技術的な問題で、根本的にそういうような制度でよろしいということであれば、そういうような事務的な技術的な問題は当然解決される問題ですね。この防除員の数にしましても、やはり足らなければふやしてもいいわけですから、そういった意味では、この私の提言をしておる制度についてどう考えているかということ。ただ、それは枝葉末節な問題でこういうふうな制度はむずかしいというようなことではなくて、制度そのものについての見解について率直にお伺いしておるわけですから、特に私がこれを言うのは、私はBHCの使用禁止が出た時点でこの委員会で質問したことがあるわけです。そういった場合に、この防除指導員を使ってBHCの使用禁止を徹底させますということが答弁にあっていたわけですけれども、現実には、先月、十一月十日の質問にも私申し上げましたように、西日本地区ではまだBHCによる汚染が非常に高いということが実証されておるわけです。そういうような意味では、私はBHCが使用禁止された時点ではたして確実にチェックされておったのかどうかということについても疑問を持っているわけです。そういった意味で私はこの問題についての提言をしておるわけです。特にこの前から病害虫防除員一万八百人を使ってやるという答弁があっておりましたけれども、この植防法の三十三条を見ても「都道府県は、防除のため必要があると認めるときは、発生予察事業その他防除に関する事務に従事させるため、条例で定める区域ごとに、非常勤の病害虫防除員を置く。」ということになっておるわけです。そうすると、それの内訳としては、先ほど言われたように四十四年度防除員の内訳を見ても、農協の営農指導員や職員で六千十九名、農業者が二千百五十名、共済職員が千六百八十四名、市町村吏員が九百九十八名、その他百六十八名で、計一万一千十九名となっておるわけですが、しかもこれも先ほどからいろいろの質問の中にもありましたが、防除員の任務は現実は水稲が中心で他は何もやっておらぬ。水稲が中心であっても、現実はやっておらない。非常勤であるし、そうしたために何もしておらないというのが現実なんです。ただ法律はつくってもそういった何もしておらぬという状態の中では何もならぬ。先ほど答弁がありましたように、私もこの末端組織を強化する、それで指導監視体制、これを徹底的にやらなければ、幾ら法律は改正しても実効はあがるとは考えておりません。したがって、そういう意味から私は質問しておるわけですから、そういう意味ではむしろこの植防法を改正して、大体一万八百名で足りなければもっとふやしてもいいじゃないか、そういうような農薬公害をなくして――中毒による農薬公害というものは毎年ふえてきておる、また中毒死するというような事件さえ起きておる、そういったものをなくするためには、そういった防除員をふやしてもいいじゃないですか、どっちが大事なんですか。むしろそういった意味で私はこの植防法の改正をして、一部は常勤の監視指導体制というものをつくらなければ、農薬取締法を一部改正をされてもほんとうに実効をあげることはできないのではないかということを考えて質問しているわけですから、その点についていろいろな技術的な問題はあることはわかりますが、しかしそういうような制度が農林省当局としていいと思いますか、悪いと思いますか。いいと思うなら、やろうと思えばできることですから、その制度についてひとつはっきりした明確な御答弁をお願いします。
#277
○中野政府委員 末端での防除体制が確立されなければならぬということはもう先生と私たちとしましても何ら相違はないと思うのです。ただ、お尋ねの防除士制度をすぐつくれというようなことになりますと、私が申し上げましたような問題があるので検討いたしたいということを申し上げたわけでございます。現在でも防除所を中心に防除員を置きまして、それからまた別途県には農業改良普及員が一万数千名おります。これも動員しなければなりません。したがいまして、防除士だけにそういう責任を持たせることははたしていいかどうかという問題もあろうと思うのです。私たちも防除士制度を否定はしておりませんけれども、いろいろ問題がありますので、検討さしていただいた上で防除士そのものについての結論を出したいということを申し上げたわけでございます。
#278
○小宮委員 それでは防除士の名前はどうでもいいわけですけれども、そういうような制度はないよりはあったほうがいいわけですね。しかしまあ現実にはいまのこの末端組織を強化して、そしてこの法律が改正になってもこれを徹底させて、そういった問題が起きないようにしますということで理解していいですか。――いいですな。
#279
○中野政府委員 御趣旨は私も先ほどから申し上げておりますようにごもっともだと思っております。
#280
○小宮委員 これも先ほどから盛んに質問が出ておる問題ですが、職権による変更の登録及び登録の取り消しあるいは販売業者についての農薬の販売の制限または禁止に関連して質問しますが、この問題も非常に大事な問題です。これはそういうような取り消し、販売禁止になった農薬をだれが一体責任を持って回収するのかということに私は非常に疑問を持っているわけです。その点についてはいろいろ最近の新聞を見ましても、たとえば十五年前の森永のミルクの砒素中毒事件ですね。これでも実際は砒素入りのミルクかん八十万かんのうち四十五万かんしか回収されておらぬ、それが現在では鶏の飼料に回されておるという問題が起きております。また最近ジュースの問題がございますが、ジュースの問題にしたって、これは回収するように東京都は命じましたけれども、これに対しても製造メーカーでは回収したはずだといっておるわけです。そういった意味では、ただ法律で命ずることができるけれども、だれが一体責任を持って回収をするのか。そうしなければいまいったような問題は、回収したはずの十五年前の森永の砒素入りのミルクが、それでもまだ鶏の飼料に回されておるとか、いろいろな問題がどうもしり抜けが多いんですね。法律がなるほどできてもしりがいつも抜けておる。したがって、そういうような回収したはずのものがまだ市中に残っておる。この問題も私はこの委員会で質問したことがあるのです。そういったことでは、やはりだれが責任を持って回収し保管をするのか、だれが処分をするのか、それをどこで確実にチェックするのか、これをやらなければ、農家にしても、補償の問題は別にして、製造メーカーにしても、販売業者にしても、せっかく手に入れた、購入した農薬を禁止されたからといってこれを捨てるということは、それだけ損失をこうむるわけですから、そういった意味ではできるだけ農家の方も使いたいという気持ちがあろうし、また製造メーカーもそうでしょうし、販売業者だってそうだと思うのです。それを確実にやるためにはどうすればいいかということをはっきりしてもらわぬと、これは人情として私はやむを得ぬと思いますが、国がそれを責任持ってやるというぐらいの決意を持たぬと、こういった問題は解消できぬのじゃないかというふうに考えますが、製造を禁止されたそういった農薬の回収はだれが一体責任を持ってやるのか、そしてだれが保管して処分するのか、こういった問題についてひとつ明確な御答弁をお願いいたします。
#281
○中野政府委員 この問題につきましてもるる申し上げたわけでございますが、これは取り消しました農薬の種類によっていろいろ取り扱いが違うと思うのです。たとえばこういうことはありませんが、これは仮定の例でございますが、全く人畜に危害があるということになりますれば、これはそういうところに放置はできません。したがって、そういう農薬がこれ以上出回らないように、あるいは場合によっては国として県に指示し、県がまた町村に指示してでも何らかの処置をする必要があるという場合はあります。先ほど午前中にも申し上げましたブラスチン等について、メーカーにそういうことをやらせておるわけでございますが、たとえばBHCにいたしますと、これは他用途には、水稲以外には使えるという問題になりますと、これはそういう使い方をしろという指示のしかたもございます。あるいはこれはすぐに人間に危害を与えるというようなものではございませんので、土の中に埋めてしまうということもあり得るかと思いますが、いずれにしましても、具体的な農薬がそういった問題になった場合にこれはどういう処分のしかたをしたら一番いいかということは国としても責任を持ちまして指導をする必要があるというふうに考えておるわけでございます。
#282
○小宮委員 それからこれも先ほどから質問が出ておりましたが、そういった場合、そういうような損失をだれが負担するのかということになると、やはりいまのような回収問題とも関連してくる問題なんですけれども、やはりそういった農家に対しての損失は何としてでも避けるべきだというふうに私は考えます。これは先ほどからいろいろ言われておりますように責任は農林省にあるわけですね。登録については農林省が登録を認めておりながら、そういったいろいろな事情の変化があったにしても、現状の農薬取締法の不備があったにしても、一応農林省としては、その農薬は申請を受けて登録をオーケーしておった。それは事情が変わったとしてもそういった登録の申請に対しては許可をしておる、そのために製造業者は製造する、販売業者は販売する、農家は使う、これはいろいろな条件が――農薬が公害ではっきり人体に影響を及ぼすということがわかって取り消したとしても、やはり国としての責任は何といわれようと免れないというように私は考えます。これはおそらくチクロの問題も出てきましょうけれども、やはりそういった国としての責任は何らかの形で負わざるを得ぬのじゃなかろうか、少なくともそういった個々の農家に対してのしわ寄せだけは国あたりが損失を補償するぐらいの気持ちでなければ、農家は農林省、国、政府に対しての不信感がつのるばかりだと思うのです。そういった意味ではあまり官僚的な措置のしかたではなくて、やはり現実に即した生きた政治を私はすべきだと思います。これについては幾ら言っても、おそらくまた先ほどからの御答弁以外には出ぬと思いますから答弁は要りませんけれども、そういった考え方で農林行政全体について根本的に考えてもらわなければ、あしたの土壌汚染の中でもどうせカドミウムの汚染米の問題も出てきますから、そういった意味では農林省全体として、ただ事務的なことだけではなくて、生きたあたたかい政治をしてもらいたいということを特に要望して申し添えておきます。
 それから農家の問題については特にそうなんですが、国が登録を認め、しかも安全使用基準を定めて、その安全使用基準に基づいて農薬を使用したにもかかわらず、この残留許容量をこえる農薬が検出されたということで、農産物を大量に廃棄処分にしなければいかぬという場合に、大体その損失は一体だれが負担するのかということもこれは大きな問題です。この場合でも国としての責任はありません、農林省としては責任はありませんと言えますか。国がきめた安全使用基準に基づいて国が登録を認めた農薬を使ってやったところが農作物を廃棄しなければならぬという事態が生まれたときに、皆さん方がそういった農薬をかってに使ったからあなた方の責任ですよ、われわれは国も政府も全然責任を持ちませんよ、農林省は知りませんよというようなことが言えますか、この点についてもう一度御答弁願います。
#283
○中野政府委員 非常に冷たく申し上げておるつもりはないのでございますけれども、安全基準を守っておれば普通はそういうことはあり得ません。これは厚生省の残留基準に基づきまして農林省できちっとつくっておりますので、守っていただければそういうことはないのが原則でございます。しかし、ここで二つの問題があろうかと思います。これも仮定でございますが、一つは農家がそう守ったといって守らない場合があり得ます。もう一つはわれわれのつくりました安全基準が、そのときの科学的ないろいろな解明の状態、あるいは分析のしかたによって足りなかったという場合があるわけでございます。そうしてもう少し技術が進歩してまいりまして、これはやはりそのときの分析のやり方ではそうではなかったけれども、なおこまかく進んでみるとそうであったということがあり得ます。この二つだろうと思うのです。
 前者の場合についてはこれは申し上げるまでもないと思いますが、後者の問題につきまして、これは当時農林省におきまして、非常に過失がありますれば法律上の責任があるいはあるかと私は思います。しかし、誠心誠意といいましょうか、当時の技術の水準で精一ぱいやったものにおきましてもなおかつそういうことが出たということになりますと、これは農林省としてといいましょうか、国として法律上の責任があるというふうにはならないのではないかと思って先ほどから御答弁申し上げたわけでございます。
 以上でございます。
#284
○小宮委員 確かにこれは使用する側にも責任がないとは申しません。しかし、やはり現行農薬取締法を改正しなければいかぬということは、結局登録の段階では、ただそういった記載された書類を出す、それに対して登録の段階で拒否する条文になっていないわけですね。だからそういうような試験成績書をつけて申請して登録を許可して、あとで使ってみて問題があれば品質改良を命ずることができるということであって、私に言わせればこの農薬取締法を改正する以上は、現行の法律においても問題があるわけですね。そういった意味で二つの問題はありますけれども、やはりこの問題はただそういった問題だけで、法律論だけで解決する問題でもないし、その点でいえば農家のほうで使用基準を守らなかったということであれば、先ほど質問した問題にかかわってくるわけです。それをどうしたらいいかという問題について、たとえばそれを使用する場合に守る防護措置を義務づけるとかいろいろな指導の中でやられるにしても、実際はやられていないからそういう問題が起きているわけですから、そういった問題を必ず防護措置をするように義務づけするとかそういうような問題も考えなければならぬ問題だと思います。しかし、いずれにしてもその問題についてはお互いいろいろ問題がありますが、問題はそういった農薬公害をなくすことが目的ですから、お互いが言いわけをしたり、お互いがそういった責任追及ばかりでなくて、双方がやはり協力してそれら農薬をなくする方向に努力しなければいかぬと思いますが、そういった意味では今後いろいろ研究されて、不備な問題があれば皆さん方ももっと現地あたりをじっくり見られて、実態がどうなのか一ぺん調査でもしてもらいたいと思います。
 それから最後に質問をしますが、特にそういった意味で、先ほども質問に出ておりましたが、今後低毒性の農薬の新規開発の促進と残留農薬についての試験研究の拡充と防除体制を国がもっと積極的にやるべきだというふうに考えるわけですが、そのためにはいろいろな問題がありますが、そのことについて積極的にその施策を講ずるにあたっての農林省当局としての何かお考えがあれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#285
○川井説明員 低毒性農薬につきましての試験研究についてでございますが、一応国の研究機関といたしましては、先ほどの説明にも申し上げましたように、農林省関係では、農業技術研究所と全国の各地域に農業試験場がございますが、こういう研究機関を中心にいたしまして、低毒性農薬の利用と分析方法の研究ないしは農薬の使用方法の確立というような研究を行なってきております。なお、科学技術庁関係では、理化学研究所におきまして、低毒性農薬を合成開発するための基礎研究を行なっております。また、厚生省の国立衛生試験所でも、これは人体への農薬の毒性というような点から、いろいろ衛生学的な研究を行なっておるわけでございます。これらの各研究機関におきましては、相互に密接な連携をとり合いながら、研究の分担協力を行なっていくということで進めておりますが、なお、農林省関係におきましては低毒性農薬の開発につきまして、これは非常に重要な問題でございますので、害虫の総合防除というような大型研究を現在企画しておりますが、これにつきましては国及び各大学、民間、各専門の研究機関を総合いたしましてできるだけ組織的な機能を発揮いたしまして、できるだけすみやかに効率的にそういう研究を進めてまいりたいという考えであります。
#286
○小宮委員 もう時間が来ましたので、これで忍の質問を終わります。
#287
○草野委員長 次回は明八日開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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