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1970/12/09 第64回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第064回国会 大蔵委員会 第2号
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1970/12/09 第64回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第064回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第064回国会 大蔵委員会 第2号
昭和四十五年十二月九日(水曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 上村千一郎君 理事 藤井 勝志君
   理事 村上信二郎君 理事 山下 元利君
   理事 広瀬 秀吉君 理事 永末 英一君
      宇野 宗佑君    奥田 敬和君
      木野 晴夫君    木部 佳昭君
      木村武千代君    佐伯 宗義君
      坂元 親男君    高橋清一郎君
      登坂重次郎君    中島源太郎君
      中村 寅太君    原田  憲君
      松本 十郎君    阿部 助哉君
      平林  剛君    堀  昌雄君
      美濃 政市君    貝沼 次郎君
      古川 雅司君    春日 一幸君
      竹本 孫一君    小林 政子君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        国税庁長官   吉國 二郎君
 委員外の出席者
        公正取引委員
        会事務局経済
        部長     三代川敏三郎君
        経済企画庁国民
        生活局参事官  山下 一郎君
        国税庁次長   下條進一郎君
        参  考  人
        (全国卸売酒販
        組合中央会会
        長)      牧原仁兵衛君
        参  考  人
        (京滋卸酒販組
        合理事長)   浅井 謙一君
        参  考  人
        (麦酒卸売酒販
        組合中央会理事
        長)      國分 貫一君
        参  考  人
        (ビール卸売業
        者)      中村 雄次君
        参  考  人
        (全国小売酒販
        組合中央会会
        長)      藤  徳司君
        参  考  人
        (愛知県小売酒
        販組合連合会会
        長)      武儀山昌昇君
        参  考  人
        (群馬県小売酒
        販組合連合会副
        会長)     岡田  勇君
        参  考  人
        (酒類小売業
        者)     東海林源次郎君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
十二月八日
 清涼飲料等の物品税撤廃に関する陳情書外六件
 (鳥取県議会議長藤井政雄外十三名)(第五六号)
 税制改正に関する陳情書外三件(東京都渋谷区
 千駄ケ谷五の一〇の六日本税理士会連合会長溝
 田澄人外三名)(第五七号)
 砂糖消費税の撤廃等に関する陳情書外三件(宇
 都宮市岩曾町一三二七の一栃木県菓子工業組合
 宇都宮支部長鈴木松雄外十六名)(第五八号)
 清酒にアルコール添加中止に関する陳情書(岐
 阜県吉城郡古川町是重四一七松井徳太郎)(第五
 九号)
 木製家具類の物品税減免に関する陳情書(徳島
 県議会議長七条広文)(第六〇号)
 所得税法の一部改正に関する陳情書(関東一都
 九県議会議長会常任幹事東京都議会議長春日井
 秀雄外九名)(第六一号)
 特別とん税に係る関税法施行令の改正に関する
 陳情書(山口市中央一の一の一全国市長会中国
 支部長兼行恵雄)(第六二号)
 台風等に伴う保険、共済制度確立に関する陳情
 書(徳島市幸町三の一四国地区町村議会議長会
 長西内武)(第六三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 税制に関する件(ビール価格等の問題)
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 税制に関する件について調査を進めます。
 本日は、ビール価格等の問題について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することといたしております。
 午前に出席された参考人は、全国卸売酒販組合中央会会長牧原仁兵衛君、京滋卸酒販組合理事長浅井謙一君、麦酒卸売酒販組合中央会理事長國分貫一君、及びビール卸売業者中村雄次君の各位であります。
 参考人の各位には、御多用のところ御出席をいただき、ありがとうございます。
 御承知のとおり、本委員会は、ビール価格の改定につきまして、先般ビール製造四社の社長を参考人として出席を求め、その価格構成、流通機構等についても調査を進めてまいったのでありますが、今回卸売り酒販業及び小売り酒販業を代表する参考人の御意見を求めることといたしたのであります。何とぞ、卸売り酒販業を営む各位におかれては、それぞれの立場から忌憚のない御意見を述べていただきますよう、お願い申し上げます。
 なお、各位の御意見は委員からの質疑により承ることといたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥田敬和君。
#3
○奥田委員 本日はお忙しいところ、酒、ビールの卸売り業界の代表の皆さまにお集まりいただきまして、おもに、先般のビールの値上げ、そのことについては当委員会でもたびたび触れておりますので、私は主としてこの流通技術と申しますか、流通機構の問題について皆さんの御意見を聞きたいと思うわけでございます。
 申すまでもなく、主食あるいはたばこ、そしてお酒ということになりますと、これが昭和三十五年から先般の値上げで、値上がり率にしては大体一〇%程度だと思いますけれども、及ぼす影響が非常に大きい、こういうことで、先般十月九日の朝日麦酒の値上げを契機とした値上げに対しましては、非常に遺憾ではありましたけれども、今日この物価対策という形を政策課題として私たちが見ていく場合に、どこか卸売り業界の中の流通機構の中に、もっと効率化をはかっていく面があるのではなかろうか、そういう点。また今日問題になっておりますスーパーとの競合の問題。こういう点にしぼってお話を進めたいと思います。
 先般のテレビで、黒い価格と申しますか、こういう二重価格の面についても非常に国民的な批判と申しますか、消費者の批判が高まっております。また十年そこそこでスーパーは、かつては流通業界の異端児のようにいわれておったわけですけれども、今日ではもうすでに、数百年ののれんを誇る百貨店の売り上げを追い越すというような形で伸びてきております。
 そこでまず業界の皆さんにお伺いしたいのですけれども、この問屋機能という面――これは私、ほかのメーカーとの比較において聞くのですが、酒の、あるいはビールの卸屋さんの問屋機能という形は、やはりまず第一に在庫能力を持っておる。それと小売り屋さんらに対する配送能力、あるいは場合によっては小売屋さんに対する金融の立てかえ、また、ここは特にお聞きしたいのですけれども、たとえばメーカーに対する支払いの場合にこういう危険負担を問屋さんが押しつけられているかどうか。もちろん販売開拓等に対しても非常に大きなセールスと情報能力を必要とするでしょう。こういう一般の普通の問屋さんと同じような形で私たちは皆さんの業界の実態というものを認識してよろしいのでしょうか。中央会の会長さんでも、もしできたらお答えいただきたいと思います。
#4
○牧原参考人 お答えいたします。
 ただいま奥田先生からの御質問でございますが、酒の卸売り業者と、それからその他の卸売り業者と、いわゆる問屋機能について変わりがあるかどうかというようにお伺いいたしましたのですが、一般的の形態といたしましてはほとんど変わりございません。ただ、酒の場合には免許制がしかれておりますので、その点について他の問屋と違うことと存じます。集荷、配送、それから金融、メーカーに対する危険負担、情報に対する活動等につきましては他の業界と変わらないと存じます。
#5
○奥田委員 私たちの常識ですと、生産単位が大きくなります、生産単位が大きくなるということは結局、ビールの業界を例に引きますと、非常に寡占化と申しますか、四大メーカーで独占しておるという状態、こういう寡占化の傾向というものは結局生産者支配、メーカー支配といいますか、そういう形になっていくと思うわけです。当然メーカーによって皆さん方の中間のマージン、たとえば皆さん方はいま人件費がアップしておるとか、あるいは配送においても今日の交通渋滞の中では非常にコストアップになってくるとか、いろいろな形のしわ寄せが出てくると思うわけです。先般のビール値上げも、ほとんどこの十円分の値上げのうちの七割近くがこの流通マージンのほうに分けられているように聞いておるわけですが、この価格とかマージンというものは、こういう寡占化された状態になってきますと、どうしてもメーカーの力がうんと強くなってくる。そういう形の中で、現在皆さん方のマージン等についてもメーカー側が一方的にきめてしまう、こういう傾向があるんじゃないかと私は思うわけです。その点についても、いろいろお立場がおありでしょうけれども、今後の流通機構を改革していく上においても、またこういう酒税を保全するという立場の皆さんらの業務の機能の面においても、私たちとしてはぜひ参考にお聞きしたいことなんですけれども、まずそういうマージン決定というものについて、皆さんの発言力というものはほとんどないんじゃないか。おそらくメーカー側の一方的な押しつけになっているんじゃないかということが聞きたいことの第一点。
 それと、やはりメーカーが強くなっていきますと、どうしても業者の選別あるいは系列化ということが促進されてくると思います。そのために中規模店といいますか、中規模卸屋さんというものはやっぱり斜陽化していくと思います。どうしても資金面においても、いろいろな形でメーカー側としてはメリットの多い大型卸屋さんのほうを選んでくるんじゃないか。これは何もお酒の問屋さん、ビールの問屋さんに限らない傾向でしょうけれども、結局最後には大型の卸問屋さんと、パパ・ママストア、最近はじじばばストアとなっておりますけれども、全く商業採算を無視したようなそういう零細は小売り店が最後には強く残っていくというような傾向を私はおそれるわけですけれども、系列化、そしてメーカー側による業者の選別、そういう形が徐々に大きく問題になってこようとしておるんじゃなかろうか。業界の危機感もその辺あたりに根源があるんじゃなかろうか、こういうことを外から推測するわけですけれども、ひとつこの点について、わざわざ京都のほうから、滋賀県のほうからおいでになっておる浅井さん、忌憚ない形で御意見を聞かしていただきたいと思います。
#6
○浅井参考人 ただいまの先生の御質問にお答えをさしていただきます。
 御質問の御趣旨は、メーカーサイドからの、たとえばビール価格の決定等に、流通面のわれわれといたしましての価格要素が入っているかどうかという問題と、第二はメーカーサイドからのいわゆる系列化の傾向、特に特約店その他の選別化の傾向が将来どうなるかという御質問だと思いますけれども、価格決定の問題につきましては、私どもも酒団法によります酒販組合がございまして、そちらのほうでいろいろと意見その他を戦わしております。と同時に、メーカーに個々に、日常の実情でございますけれども、それを直接反映をさせていくというふうなことで価格決定をきめておるわけでございます。われわれの流通費用その他の上昇率は、メーカーのほうに反映は十分いたしておるつもりでございます。決してわれわれ業者から申し上げまして満足ではないわけでございますけれども、その点はメーカーのほうに十分に実情は説明は申し上げておるわけでございます。
 それから、これからのいわゆる大資本の卸あるいは酒卸と申しますか、その系列化の傾向がどうなるのかという御質問でございますけれども、これはわれわれといたしまして、要は先ほど牧原会長からもお話がありましたとおり、卸機能の四大機能と申しますか、配送、在庫、金融、情報、その四大機能がどの程度果たされるかどうかというところにその大きな決定要素はあるかと存ずるわけでございます。なお、その系列化の傾向でございますけれども、私ども京都、滋賀を担当しております卸業者といたしましては、その系列化の傾向は、将来はおそらく大資本あるいは全国卸型というふうな形の一つの卸機能と、地域地域によります卸業者、これが当然その地元の得意先あるいは販売先におきましては、これは非常に配送機能その他に密接に接着をいたしておりますし、小売り業者のサイドから申しましてもこれはおそらく非常に必要なことであろうかと考えておりますので、その意味でそういう形に、大なりあるいは爪なり系列化の方向はあるかと思いますけれども、そういったことでわれわれは考えておる次第でございます。
 以上、お答えを申し上げます。
#7
○奥田委員 このビールのほうの理事長さん、國分さんですか、もうちょっと具体的に聞きますけれども、メーカーは宣伝とか広告はもちろん担当なさっておいででしょうし、あれですけれども、このビールなんかの場合、すでに大きな卸屋さんのところへはもう資金とかあるいは人員ですね、出向の社員というような形で、資金、人員を派遣してきているのかどうか。あるいは当然販売競争というものがシェアを獲得するために非常に盛んになってくる。特にビールの業界でいえば、麒麟さんを中心にして、サッポロさん、朝日さんが追い上げていくという形をいまとっておるわけですけれども、そういう中で各メーカーによるリベート政策といいますか、こういう形のものの実情についてちょっとお話ししていただけませんか。
#8
○國分参考人 お答え申し上げます。
 ただいま、大きな特約店に対しては資金あるいは人員等を特に援助しておるんじゃないかという御質問でございましたが、ビール会社といたしましては、個々のそういう特約店に対する資金あるいは人員の応援というようなものは、ただいまのところ行なっておりません。
 それからもう一つは、リベートのことでございますが、これも現在、ビールの価格につきましては、その価格の改定をいたしますときに相当常に問題になりまして、極力価格の上昇を押えるという傾向でまいっておりますので、多額のリベートは現在出ておりません。出ておりますといたしましても、それはもうきわめてわずかな額でありまして、ほかの小さいと申しますか、他の特約店との競争関係、そのことによって特に大きな特約店が有利になるというような額は現在出ておりません。
#9
○奥田委員 國分さんにもうちょっと一点追加していただきたいのですけれども、ビールのリベートですね。メーカーから卸屋さんに対するときもあると思いますし、また卸から小売り屋さんに対するときもあると思います。また、小売り屋さんは自分の販売シェアを、どうしてもお得意さんをとるために、飲食店あるいはその他に対して相当な無理な価格競争というものがやはり現実に行なわれているのが事実だと思うわけです。なぜならば、お酒あるいはビールというものはともかく自由価格という形のたてまえになっておるわけですし、そのこと自体はあまりこれ以上お話しするのはあれですけれども、いま理事長さんは、非常に生活必需品というかそういう形において、自分たちのリベートそのものは問題にするに足らないというような形でお答えなさいましたけれども、はたしてそうなんでしょうか。もっと切実に言いますと、小さいとは言われますけれども、現実にそれでは卸屋さんが受け取っておるマージンというものは、たとえば運送費を含めても八円ちょっとである、そうして小売り屋さんの場合は十八円程度のマージンということで利益になっておるわけですが、実際にはやはり相当そういう販売競争の面で無理をなさっておるのじゃないのでしょうか。
 ということは、なぜこういうことをお聞きするかというと、それでは皆さん方が、いやこれでうまくいっているんだ。マージンもまあそこそこもらっている。メーカーの資金留保もそこそこいって配当も十分やっておる。小売り業界の間においてもそう無理がない。卸と小売りの段階においてもそう無理な問題はないということになりますと、私たちは先般のビール値上げに対しても、やはりもっとこういう機構に対してメスを入れていかなければいかぬのじゃないかということを感ずるわけです。むしろ率直に、マージンは実際はこうなんだ。実際はこういう過当競争に悩まされておるんだ。そういう実態を教えていただくことによって、今後皆さん方の流通機構をどういう方向で改善していくべきか。そのことが最後においてはいかなる方向で消費者保護の政策につながっていくんだろうかということを私たちは知りたいわけです。
 皆さんは、卸屋さんの代表としてだけでなくて、こういう流通の問題における一番大切な分野を担当されている方として、メーカーに対しても、そうしてまた小売りの面に対しても、消費者に対しても、このような委員会の場では一番発言力といいますか、そういう形を持っておられる方だと思います。そういう意味においてもう一ぺん、実際たとえばいま麒麟サッポロあるいは朝日という形のメーカー同士の中でも、卸屋さんを系列化させるために、これは当然の傾向ですけれども、そういうためにリベートによって相当ドライブをかけてきているのじゃないかということについて、しつこいようですけれども、もうちょっとほんとうのことを言っていただけませんか。
#10
○國分参考人 お答えいたします。
 ただいま私ちょっと御質問の趣旨を勘違いいたしました。要するに、メーカーから卸に対するリベートはどうだというお尋ねだと思いましたので、メーカーから卸に対してはそう多額のリベートはいただいてないというように申し上げたのでありますが、今度われわれ卸業者から小売り業者に対するリベート、あるいはまた小売り業者から料飲店等に出されているリベートにつきましては、これは非常に大きなリベートが出ております。これは、卸業者といたしますと、まあ大都会におきましては現在付款がついておりまして、卸業に限るということになっておりますから、どうしても小売り業者へ売る以外には売れないというような関係もありますし、またメーカー等からは相当大きな圧力がかかってまいりますこともありまして、またそれから現在、卸の手数料が従来は非常に低かったものでありますから何とか数量をもってこれをカバーしようというような傾向もございましたので、相当熾烈な競争が行なわれております。その結果多額のリベートも支払わざるを得ないというような状態にもなっております。また、小売り業者のほうにおきましては、料飲業者から相当な多額なリベートを要求されているようでございます。それによりまして、やはりそのはね返りと申しますか、それが卸業者のほうにもまいりまして、小売り業者のほうから多額のリベートを要求されておるというような状態でありまして、卸業者としては現在までは非常な窮境に立っておったというような状態でございます。
#11
○奥田委員 ビールの卸業者を代表されて中村参考人に少しほんとうの――ほんとうのと言ったらおかしいですけれども、卸業者の実態について突っ込んだお話もお伺いできたら教えていただきたいわけですけれども、私聞くところによりますと、われわれから見ると安定しておるようなビールの卸業界にしても、やはり最近非常に危機感が高まってきておる。先般のビール値上げもそれがなければ私たちも納得できないわけですけれども、結局もう免許業者としてあぐらをかいておるというような時代ではないのだ、われわれとしても流通の効率化と申しますか、そういうためにはもう少し力を注ごうという動きが最近出てきておるように聞いております。
 そこで、まず第一点としてお聞きいたしたいのは、そういう協業化と申しますか、あるいは共同で配送センターをつくろうというような共同配送、これはやはり計画出荷にもつながっていくと思います。たとえば前日注文、翌日配達というような計画出荷、そういう形でできるだけそういうむだなところをなくして、協業化あるいは共同施設によってうんとメリットをあげていこうというような方向に卸屋さん自体が最近非常に動いておられるというようなことを聞いておるわけですけれども、中村参考人の目から見た業界の実情で、そういう効率化、協業化への動きというものについて少し御説明をしていただけませんでしょうか。
#12
○中村参考人 お答えいたします。
 ただいまの御質問の協業化、共同配達、計画出荷という問題は、私どものヒール卸では――ビールというのは御承知のように一箱二十本入っておりましてたいへん重いものでございます。昔は四十八本入っていた時代もあったそうでございますが、現在二十本になりました。この配送の問題につきまして、最近の若い方がビールをかつぐことを非常にいやがるということで、ビール卸業の中の最大のネックがこの配送の問題になっております。私どもビールの卸というものの経費の大半がこの配送費である。もちろん人件費あるいは車の償却とか、そういうものを含めました配送費であるというふうに身をもって感じておりまして、この配送の協業化、あるいはさらに配送コストをダウンさせるための計画出荷というものについては、特にこの二、三年急速に実は推し進めておりまして、私個人の事業につきましても昨年から共同配送ということを実はやっております。これは一部でございますけれども……。ただし非常にこれまたむずかしい問題がございまして、ビールには御承知のように非常に寡占化が進んで四銘柄しかございませんが、銘柄の違う業者同士が共同配送ということはたいへんむずかしゅうございまして、競争上なかなかできない。ですから同じ銘柄を扱っている特約店、卸業者同士が共同配送ということは可能であるという考えております。これは私、地方の卸業者でございますが、六大都市には御承知のようにメーカーが直接、配送を援助する、これはもちろん運賃補助はその分については出さないそうでございますが、そういう体制がございますので、地方にもぜひそういうことをやっていただきたいということを私どもメーカーに申し上げるわけでございますが、地方の場合にはそういうことをやることが、六大都市と違いまして密度が非常に薄うございますから配送単位も低いということで、なかなかメリットが出てこないということで、メーカーの方はいまのところやる意思はないようでございますが、私ども地方の業者同士で結束しまして共同配送に現在取り組んでおります。
 それから計画出荷の問題でございますが、計画出荷の問題は実は相手先のある問題でございまして、相手先が承認しなければ――私どもの場合は小売り業者でございますから、得意先が承認しなければ計画出荷ができない。ですからこれも二年ほど前から強力に推し進めまして、得意先の了解を得るようにつとめております。部分的には、たとえば夏の繁忙期などには計画出荷をかなり推し進めておりますが、年間を通じますとまだまだ進んでおりません。これは業界全体の協調をまつ以外にないと感じております。
 以上でございます。
#13
○奥田委員 いま中村参考人から、もうすでに協業化はやっている、共同配送もやっておるのだというような形の御意見を聞いて非常に心強く感じたわけですけれども、やはり国民にとっては非常に必需的なビールとかお酒というものを、単に自分たちの人件費が上がったからとかあるいは利益率が減ってきたからという形で、簡単な形で値上げをしてもらうというようなことになりますと、将来やはり免許制度そのものの根本にも問題の検討といいますか、そういう形が世論としてわき起こってくると思います。価格安定という立場から見ると、スーパーはむしろ規制の対象にするよりも歓迎すべきことであろうし、消費者としても不正競争でない限りは望ましいという形で受け取っておると思います。ところが、これが一方零細な小売り業者の立場から見ると、政府が政策的にそういうスーパーを育成するという形はまさに死活問題になっていくという、まさに相反する両面を持っているわけです。立場が違うと非常にむずかしい問題になってきているわけです。しかしいまお聞きしまして、皆さんがそういう方向で効率化というか、流通マージンの低減という形において努力なさっておるという実態を聞いて少し安堵したわけでございます。
 いま一つ中村参考人にお聞きしたいのですが、最近の卸屋さんの労働力ですね、たとえば新規学卒者に限ってもよろしいですけれども、定着状況というものは一体――同業各位の皆さんの情報を得ておられると思いますけれども、こういう定着率というものを、場合によっては中村参考人のお店の例を引かれてでもけっこうですけれども、ちょっとお示し願えませんでしょうか。
#14
○中村参考人 従業員の定着の問題でございますが、これは特に酒類卸だからといってほかの産業界、たとえばほかの卸業界と特に変わったことはないというふうに感じております。むしろその事業主あるいは事業体の姿勢といいますか、従業員の定着に対する姿勢のほうが影響が大きいと思っております。蛇足でございますが、結局私どもの卸業というものの中で、いま申し上げました配送の担当者とそれから販売ですが、販売と申しますのは情報収集、それから得意先に対する折衝といいますか、あるいは内部事務とか、こういうものの担当者は比較的採用しやすい。ところが、君は運送をやるんだよということを言いますと、いやそれではやめますというような形に非常になりやすい。むしろこれは、運送の好きな従業員もおるわけです。その運送の好きな従業員に、私どもの例をあげますと、歩合制のような形をとりまして、よけい仕事をすればよけい収入が入るというような、給与体系を幾らか一般の従業員と変えたような形をとりまして、そういう面で定着をはかるということをしております。
 以上でございます。
#15
○奥田委員 持ち時間ももう来ましたので、最後に国税庁のほうに一つ要望しておきますけれども、結局、特にビールなんかのような業界を例に引きますと、寡占メーカーに引きずり回され、メーカー側の言い分に引きずり回されるということがないように、特に卸売り、そしてそれにつながる零細な小売り、そういう方たちが不当な形での圧迫を受けないように、そのことがひいては消費者の大きな負担となってはね返ってくることがないように、今後とも一そうの監督を強化していただきたいと思います。
 そうしてまた、先ほど各参考人から業界の近代化、協業化という問題でお話がありましたけれども、私の調査した限りにおいては、そういう近代化資金あるいは高度化資金に対して、酒類あるいはビールの卸売り業界の皆さんはふところがいいのか、あまり利用されてないという実際の数字もあります。しかしいまここではそれは別として、ともかく酒の卸もいままでと違って、いやおうなしに競争、系列化の方向へ進むだろう。これは時代のどうしても避けられない趨勢だと思います。またこういう困難な時期に、ぜひ皆さん方が本来の卸屋さんとしての十分な機能を発揮されるように努力していただきたいと思います。消費者あるいは小売り屋さん不在の形で、企業だけ、メーカーだけがぬくぬくとして栄えていくという形はもうこれからの企業では許されないことでありますし、こういう点について特に国税当局におかれましては、この間の業者の育成に十分な監督、指導を行なっていただくように要望して、私の質問を終えます。答弁は要りません。
#16
○毛利委員長 堀昌雄君。
#17
○堀委員 きょうお招きいたしましたのは、先ほど委員長から申しましたように、今回のビールの値上げの問題を、四社の生産者の社長を呼んでお話を伺いましたところ、流通側の強い要望にこたえたのだという点が一つの大きなファクターになっておったわけであります。そこで、私どもとしても、これは単にビールだけではございませんけれども、酒類の価格決定というものが、実は自由価格ということになっておりますけれども、必ずしも完全な自由価格でないことは皆さん御承知のとおりでありますし、特にビールのような寡占状態にあるものの価格決定については、私どもとしてはやはり国民の納得の上でこういう値上げが行なわれることが望ましい、こう考えておりました点もありますので、本日は卸、小売りの皆さんに御出席をいただいて、流通の問題の中の今後の値上げに関係のある部分につて少し伺いたいと思います。
 そこで、先ほども実は奥田委員がお尋ねになった中でのお答えで、どうも私、少し正確でないような感じもいたしますので……。実はここに、国税庁長官が昭和四十四年八月二十九日に「酒類卸売業の中小企業近代化計画の制定について」という文書を出しておるわけでありますが、その中でこういうことに触れておるわけであります。「個々の企業における近代化推進のための重点実施事項」というのの三番目に「個々の企業は、値引・リべート、景品付販売、接待等の販売条件による過当競争の排除に努めるとともに、二次取引の増加が酒類流通の総費用を増大させることのないように配意して、酒類卸売業としての流通機能の強化を図ることとする。」こういう一項が実は設けられているわけであります。私は実は当委員会でしばしばこの問題について触れてきておるわけでありますけれども、酒類流通の場合に、卸売りの皆さんは小売り屋に対して、いまここで触れましたような、まあ私の感じでは過当な競争に基づく過当なサービスが行なわれておる。今度は小売りの比円さんの段階にまいりますと、国民一般消費者に対してはそのようなサービスはほとんどありませんけれども、料飲店、ホテル等の大口消費者に対してはまたリベートなり値引きなり、かなりの処置が行なわれておる。そういう処置が順次行なわれておる上で、経営が非常に困難だから値上げをしてくれ。――ちょっと私ども国民の立場からいたしますと、値上げを要求される前に、まずこれらの値引きなりリベートなり招待なり景品つきの販売等、この近代化計画の中で、国税庁長官が触れておりますことが――完全にはもちろん商習慣その他長い伝統がありますからまいらないと思いますけれども、漸時圧縮される中で、しかしこれだけ圧縮してきたけれどもなお経営がきわめて困難だから値上げをしてくれ、こういうお話になるのなら、私どももこの流通段階の値上げのモーメントというものはやむを得ないと、こう判断するのでありますが、どうも私の拝見しておる限りでは、最近数年間の実情は、必ずしもこれらの部分が圧縮されるのではなくて、やや拡大されつつあるのではないかという感じを実は持っておるわけであります。これについてひとつ全卸のほうの牧原さんと麦酒卸の國分さんから、個々ではございません、トータルとして、いま私の読み上げました問題は、最近数年間の傾向というのは具体的にほんとうに圧縮できておるのか。そうではなくてやや少し、まだ過当競争が進行するために拡大しつつあるのではないか。こういう点についてのお答えをいただきたいと思います。
#18
○牧原参考人 お答え申し上げます。ビールのほうは國分理事長が見えておりますので、ビールを除きました全酒類についてお答えをいたしたいと存じます。
 ただいま堀先生からの御質問でございますが、旅行、景品つき等、あるいは過当なリベート競争が行なわれているのではないかということからお答えいたしますと、旅行、景品つきは、過去十年間におきまして、酒団法の四十二条によりまして、私どもが大蔵大臣に規制の申請をして、許可を受けて、旅行、招待並びに景品つきの販売は禁止になっておりますので、現在は行なわれておりません。
 リベートのほうでございますが、御承知のように酒の価格は公定価格から基準価格、それから自由価格、こういうようなことで、特級酒、一級酒、二級酒というように、清酒の場合は画一的になっておりましたので、過去においては銘柄の格差というものがついておりませんでした。だんだん自由化いたしまして銘柄の格差がついてまいりますと、どうしても弱いメーカーは強いメーカーよりリベートを出さないと売れないというような状態になってまいります。あるいはPRの面におきましてもPRができない。PRのかわりにリベートを出して卸店並びに小売り店に販売促進をやってもらう、こういうような経済上の問題からリベートというものが発生した。その上にさらにメーカーのシェア競争による圧力によって各業者がやはりリベートを出す、こういうような過当競争が行なわれてきたんではないかと存じますが、現在におきましてはこれが拡大しつつあるんではないか、こういう御質問ですが、拡大しつつはございません。大体リベートというものはもう二、三年膠着しておりまして、ときによりまして臨時的に妙なものが飛び出す場合がありますけれども、大体においてもう一つの形態がなされてきている、こういうような状態でございます。この一点につきましては、われわれといたしましても、先ほどの酒団法の関係あるいは近代化促進法に指定されて以来、このリベートの圧縮につきましては非常に努力をいたしまして、圧縮をできるというところまでなかなかいかないんですけれども、いままでのふえているやつをとどめている、あるいはそれ以上に多少ずつでも引っ込めていくというような状態になりつつあるということを御報告申し上げたいと思います。
 以上でございます。
#19
○國分参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの、過当競争をしている結果、消費者がどうも高いものを買わされるんじゃないかというお話でございますが、実は私もそのことを気づいておりまして、私も全国の中央会の理事長という立場から常に組合員の皆さん方には警告をいたしまして、君たちが安売りをしてその結果マージンが足りなくなるんだ。それで値上げをしてくれというような、そういう虫のいいことでは世間は通らないんだ。お互いに姿勢を正して、そうしてどうしてもやむを得ないものは値上げその他によってわれわれの経費をまかなっていただくよりしかたがないじゃないかということは、常日ごろやかましく言っております。そしてまた最近におきましては、各業者とももはや損益の分岐点がすれすれのところへきておりますので、その点につきまして相当な目ざめが出ておりまして、今後はそういうようなことはないと思いますが、従来におきましては、ややもするとそういう傾向があったことは確かでございます。
 終わります。
#20
○堀委員 ちょっと国税庁に伺いますけれども、
 この四十四年八月二十九日に出した文書の中に、いま私の読み上げた「景品付き販売、接待等の販売条件による過当競争の排除に努める」、こう書いてあるんですね。いま牧原さんに伺うと、それはもう酒団法四十二条でなくなっておるんです、こういう話ですが、ないものをまさかあなた方がここに書いたわけではあるまいけれども、これは一体どっちがほんとうなのか。あるのかないのか。牧原さんのほうはもうないんだとおっしゃっておるんですが、国税庁がここに書いたのは、ないのに書いたのならたいへんおかしな話だと思うが、どうでしょうか。
#21
○下條説明員 お答えいたします。
 実態は、あるのでございまして、そのためにそういう項目を設けまして指導するという趣旨をうたったわけでございます。
#22
○堀委員 次に参ります。
 実は、国税庁の出しております「酒のしおり」という資料によりますと、卸売り業者の清酒の販売量というのを見ますと、過去約六年間にわたりまして、小売りの販売量が卸売り業者の販売量よりトータルとして実はたくさん売れているわけです。ビールのほうへまいりますと、これはビール卸という特殊な免許もありますから、そのビール卸の販売量が、まあ小売りを兼業しておられてよくわからないのですけれども、今度はビールのほうは、計数をちょっと申し上げますと、昭和四十四年度の場合には二百七十六万八千キロリットルに卸売りはなっておりまして、小売りのほうのトータルは二百六十三万キロリットル、こういうことで格差があるわけです。清酒のほうは、四十四年度で百二十万キロリットルの卸売り業者の扱いに対して、小売り業者は百四十六万六千キロリットル扱っている。こういう誤差が出ておるわけでありますが、この点は、私もちょっと資料を見ただけではよくわからないのですけれども、どなたか御出席の方でお答えがいただければ幸いだと思いますが、どうしてこうなるのかという点です。
#23
○牧原参考人 お答え申し上げます。
 ビールを除いた酒類に至りましては、ことに清酒の場合は、清酒メーカーの小売りに対する直売がございます。卸売り業者を通さないで売る石数がその違いかと思われます。それからビールの場合には、大部分が卸売り業者を通っておりますので、メーカーの販売と卸売り業者の販売とあまり変わらない、こういうふうに存じております。ビールの場合は、生ビール等はまた別のことになっておりますけれども、びん詰めビールにつきましては大体そのようなことで、その違いだと思われます。
#24
○堀委員 その次に、これはまず全卸の牧原さんに伺いたいのですが、この酒類販売業の卸売り業という方は、おおむね食料品も扱っていらっしゃる方が多いのではないだろうか。そこで、いまのビール、それからビール以外の酒類、食料品、こう分けてみまして、これは個々の方の問題はとてもたいへんだと思いますから、場合によっては牧原さんの御自分の会社のウエートでもけっこうですが、あるいは業界全体としての全卸の場合には、大体でけっこうでございますが、食料品が大体どのくらい、それからビールがどのくらい、その他酒類がどのくらい、こういうように、取り扱っていらっしゃるものの数量でなしに、金額ウエートで大体の感じをひとつお答えいただけないものかと思います。
#25
○牧原参考人 お答え申し上げます。
 全国的の数字はわかりませんので、私個人の会社の模様を申し上げますと、金額にいたしまして、ビールが三五%、それからビールを除きました酒類が四五%、その他の食料品が二〇%、こういうことになっております。
#26
○堀委員 國分さんにも、これもビール卸業全体がおわかりにならないと思いますから、ひとつ國分商店としてはいまの取り扱いの比率は大体どんなものでございましょうか。
#27
○國分参考人 お答え申し上げます。
 大体食料品と酒類――酒類と申しますとビールを含めました酒類でございますが、ちょうど半分半分のウェートでございます。そして酒類だけで申しますと、大体一八%ぐらいがビールで、あとがウィスキーその他の酒類でございます。
#28
○堀委員 いまのお話を拝聴しておりましてちょっと感じるのでありますけれども、確かに、いろいろな個々のものの立場から見ますと、一種の原価計算をすれば、どうもビールが非常にマージンが薄いとか、酒類が非常にマージンが薄いとか、食料品が薄いとか、いろいろあるだろうと思うのでありますが、私は、今後の見通しという観点からしますと、最近の卸売り業の実態というのは、これは率直に申し上げて、どうも先行きあまり明るくないような気がしてしかたがありません。その例を一つ申し上げますと、実は卸売り業の免許数というのは、昭和三十二年に二千百六十五ございましたものが昭和四十五年三月には千九百七十四でありますから、約二百ぐらい、この十二年間でありますか、実は減ってきておるわけでございますね。卸売り業者は減ってきておる。そうして取り扱い量というのは、大体過去十年間ぐらいでたしか二五〇%くらいにふえているはずです。全体の卸売り業の数が減ってきて取り扱い量が二・五倍にふえておるというなら、普通の常識なら経営がだんだんよくなってくるということにならなければならないと思うのですが、国税庁から私がちょうだいしております資料を拝見しますと、どうも一般的な卸売り業と、それから酒類卸売り業との計数を比較してみますと、いずれも昭和四十二年、四十二年、四十四年と、年を追うに従って経営諸表は悪くなってきておるということでございます。ですから、さっき協業の話が出ておりましたけれども、これはかなり思い切った近代化を推進されない限り、いまの卸売り業というものはきわめて不安定な立場に置かれておるのではないか。その不安定な立場に置かれている一つの理由は、どうもやはり過当競争が非常にその大きな原因になっておるのではないだろうか。特に最近の状況は、御承知のように労働力の供給が非常に減ってまいりまして、いまやともかく求人倍率というのは上がる一方になってきたということでありますから、そうなりますと、特に食料品とか酒類というのは、目方と価格という関係では、単位価格における目方というのが非常に重いものを扱うということになっておりますし、おまけにそれはやはり品種が千差万別ですから、機械に乗せて適当にこう流しておけばいいということにならないで、人間が全部これにタッチをして処理をしなければならぬという、非常に高度に人間を必要とする業態になっておる。ところが、御承知のようにそういう雇用関係でありますから、賃金上昇はたいへん大きくなってきて、もし対外的な水準の賃金を払わなければおそらく人はもう来てくれないという問題になっておるのではないか。企業が赤字であるから給料を十分出せないといえば、いまの労働市場の流動性からいって、それじゃ給料の高いほうに行きますということにだんだんなってくるのではないか。非常にむずかしいところにきておると私は思うのであります。
 そこでお伺いをいたしたいのは、確かにこの近代化促進計画等で、これはいいことが書いてあるのでありますけれども、さっきも御質問の中で、あまり費用が使われていないと、こういうことになっているのですが、今後ひとつ十分近代化を促進をし、過当競争を除いていただかないと、酒類の価格の問題は、メーカーもさることながら、流通の経費の拡大ということで、毎年毎年値上がりをしていくということになりかねないのではないかという心配を実は私は持っているわけであります。国民の立場といたしましては、いま公害問題をやっておりますが、一応公害問題の次には、何と申しましても、私は日本の最大の課題は物価問題だ、こうなると思うのでありますが、その点について、今後の見通しでございますね、一体どういう方法によってこれらの人件費を吸収しながら――もちろん全体として物価が上がる時期でありますから、酒類だけを上げてはならぬということを申しているわけではありませんけれども、できれば物価上昇をできるだけ小さくするために、これらの人件費を吸収するためにはどういう方法をお考えになっているか。これをひとつ四人の参考人から一つずつ、これは率直に申して会長の立場ということではなかなかむずかしいかもしれませんから、お答えは場合によっては、御自身の会社ではこういうふうにしたいということでもけっこうでございますから、それをお含みをいただいてお答えいただきたい。
#29
○牧原参考人 それでは私の立場からお答えをさしていただきたいと存じます。
 ただいま堀先生からお話がございましたように、酒類の卸売り業者はいま非常に苦しい場面に立っているのではないか、そのとおりでございます。それで、そういうことからいたしまして、一昨年の八月に酒類卸売り業者が近代化促進法の第一号に指定されたということもその一つだと存じます。ただいまその近代化促進法の指定に基づきまして、国税庁並びに中小企業庁の御指導で、極力省力化ということに全力をあげて進んでいるのでございますが、御承知のように、実効となりますと、なかなか急に効果があがらないのが正直なところでございます。本年第三年に入りまして、さらに新しい計画を立てまして進んでおりますが、先ほど奥田先生からも御指摘がありましたように、やはり業者同士の協業化あるいはそういった共同仕入れ、共同配達あるいは計画配送、そういったような面に極力力を入れまして、コストを十分下げていきたい、こういうふうに考えておりますが、ただいまの状態ではやはり非常に労働力が不足の関係で、人件費の高騰が非常に激しい、特に中小企業関係におきましても大企業とだんだん人件費がくっついてまいりまして、場合によりますと、労働者獲得につきましては、かえって大企業よりもよけい賃金を払わないと集まらないというような情勢になっておりますので、相当省力化をいたしましても、今後吸収していくには非常にむずかしいのではないか。そういたしますと、ある期間にはやはりその値上げにたよるというような事態が発生してくるのではないか。その点は憂慮しておりますが、現在のところではその点に最大の努力を払って、経費の増額を吸収するように努力をいたしている次第でございます。
#30
○浅井参考人 いま堀先生からの御質問でございますけれども、私は、この流通コストがアップするということをどう是正化し、合理化をしていくかということの具体案を一、二示さしていただきたいと思うわけでございます。それにつきまして、同業関係の協調、あるいはその意識というものをいかに近代化するかという問題が一つかと思います。それと、個々にどういう具体例を実施しているかということと、別に分けてお答えをいたしたいと思いますけれども、私どもの関係の京都、滋賀では、同業者が四十社、組合員としてございます。その中で、私もたまたまそれの世話役の理事長をいたしておりますが、さきに国税庁から近代化基本計画が示されまして、それでまず取り上げましたことは、同業者が、率直に申し上げまして、従来やはりマル公あるいはいわゆる行政価格というふうな業界の空気でございます。それをいかに自由化あるいは近代化していくかということで、その同業者の自由化、近代化に対する意識の高揚ということをまず呼びかけたわけでございます。それにつきまして、個々の企業ごと企業ごとにまず総点検をやってもらいたいということを呼びかけたわけでございます。特に財務分析、経営分析、その他もございますが、それを個々の企業ごとに点検をしていただくということで、まず現実の実態を――各それぞれの経営者においてその間は十分に分析はされていると思いますけれども、この分析からまず始めていただきたいということを、昨年度の秋から呼びかけたわけでございます。それで、しかるべき先生方にお願いを申し上げまして、一応京滋としての経営指標、将来それをどういう形でさらに付加価値を上昇していくかというふうな一つの目安を立てまして、現在その作業を進行中でございます。そういったことが一応同業関係に呼びかけました近代化の意識の高揚ということの具体案でございます。
 それから、個々の問題でございますけれども、先ほどもお話が出ておりましたとおり、まずわれわれの経費のうちで一番大きなものは、人件費、それから荷がさ商品という特殊な商品でございますので、この点の配送機能の向上ということが一番大きな問題であろうかと思うわけでございますけれども、特にこの配送、輸送関係の効率をいかに上げるかということでございますけれども、これにつきましては、やはり先ほどもお話が出ておりましたとおり、商売のことでございますので、お得意先各位の協力をどうしていただくかという問題でございます。たとえて申し上げますと、従来ビールの配送が卸から小売りに流れますのが、京都あたりでございますと一回の注文量が約五箱、よほど多い消費量のお店で約十箱ぐらいが一つの注文の一単位ではないかと思うわけでございますけれども、中には二箱、三箱というようなことで、いま直ちに持ってこいというふうな御注文もいただくわけでございます。そういったことは別問題といたしまして、全般の配送単位をいかに上げていただくかということで、五箱を十箱にし、あるいは二十箱にしていくというふうなことで配送の合理化を考えていこうというふうなことで、得意先の協力をお願い申し上げているわけでございます。それと同時に、非常に都市交通がふくそうをいたしておりますのはいまさら論を待たないわけでございますけれども、ただその配送のいわゆるデポと申しますか、その事業所をまず分散をさしてまいりましてできるだけその地域のエリアを縮めていこう。と同時にその配送効率を、回転度を上げていこうというふうなことを実は具体的に考え出したわけでございます。私ども従来二カ所でやっておりました配送をさらに三カ所に分けたということで、その担当のテリトリーもいろいろと、まず京都市内、府下を三分割いたしまして、それのほうに担当者を派遣をし、そこから直ちに配送を行なうというふうなことで、一時資本投下もございましたけれども、それの効果は非常に目に見えてあがっております。一つの例でございますけれども、輸送面ではそういったことを具体的に現在実施中であるということで、これは相当な効果をあげられるのではないかというふうなことを考えております。
 以上でございます。
#31
○國分参考人 お答え申し上げます。
 大体、いろいろ具体的なことは浅井参考人並びに牧原参考人のようなことでございますが、やはり、どうしても生産性を上げるということに専念をするということが経営の近代化の一番の早道ではないかと思います。いろいろ議論をしておりますけれども、同業者との関係その他の関係でどうしてもできないんだというような観念では近代化を進めていくわけにまいらないと思いまして、やはり自分は自分だということで、自分のペースにすべて持っていくということが一番大切なのではないかというふうに考えられます。
 ただいまの人の問題につきましては、やはり規模が相当大きくなりますとコンピューターによるところの処理ということが非常に有効でございまして、私の店におきましては数年前からこれに着手いたしまして、かなりの人員をこれに置きかえたということも効果をあげておる次第でございます。
 それから、先ほど浅井参考人が申しましたように、やはり都市のまん中に倉庫等を持っておったのでは配送等につきまして合理化できませんので、これを周辺の比較的交通の事情のいい場所等を選びまして、かなりの先行投資ではありますけれども、これを行なっていきましたところ、非常に配送もスムーズにいくというようなことになっております。
 さらに、お得意さまに対しましては、注文のロットを多くしてもらうということ、並びに前日に注文をもらって、翌日計画的にこれを配送するというようなことも行なっておりますが、やはりわれわれだけの合理化を一生懸命やっておりましてもこれができにくいという状態も相当あるわけであります。たとえば前日注文でございますが、これはお得意さまからはなかなかいやがられることでありまして、やはりお得意さんとすれば「いま持ってこい」と言って、「はい」と言って持っていくのが一番の望ましい形でありますので、何とかひとつ前日に注文をいただきたいということを申しまして、教育をしながら合理化のほうに進めてまいっておるわけでありますけれども、ビールなどは毎年きまったように夏場と暮れにはストをやりまして、一たんストをやりますとその間生産などもとまりまして、これをどうしても自分の倉へ引き取って、そして小売り屋さんには平等にこれを分けてあげるというようなことをやっておりますので、前日注文制がくずれるというようなこともございまして、そういうことが重なりますと、せっかくやや軌道に乗ってきた前日注文制などもまたもとに戻ってしまうというような、合理化するにつきましても非常に困難なような状態でございます。
#32
○中村参考人 堀先生の御質問について、私個人のことについて申し上げます。
 卸機能として、在庫、配送、金融援助という機能もございますが、人件費が上がりまして一番困る部門は、いま参考人からいろいろお話がございました配送の部門でございます。配送の部門のうち、倉庫配送の部門でございますが、このうち品物を仕入れるほうの部門はパレットを使うというようなことで非常に機械化が進みまして、しかも倉庫も非常に効率のいい倉庫を建てることによって済みますが、配送の、今度は販売先に届ける部門につきましては、先ほどおっしゃったように非常に人力を必要とするものですから、今後とも人件費の上昇に大体比例してコストが上がっていく。これはやむを得ないと考えております。
 私のところの店の今後の行き方といたしましては、現在まず第一に金融費用を節減しよう。金融費用は、ヒール一箱――一箱といいますか、ビールは一カ月回収をおくらせますと大体一本一円につきます。これは金利の考え方によっていろいろ違ってまいりますが、直接金利としまして一本一円かかる。二十本一箱で二十円安くなる。こういうことで、卸の機能として得意先に対する金融援助というような機能もございますが、その場合に、はっきり援助をした場合には一本一円いただく。そのかわり逆に私どもが援助をしていただく場合があるわけです。メーカーから三十日のサイトで仕入れたものを現金で買ってくれれば一本一円安くする、こういうことを実行しつつあります。まだ部分的でございますが、今後こういう方向によってコストダウンしよう。
 それから在庫の問題でございますが、ただいま國分理事長からお話がございましたようにストの問題がありまして、いままで過去数年間は私ども在庫を販売量の三日分しか置かなかったわけでございます。去年あたりから五日分ぐらい在庫をしないと円滑な流通ができない。それによって倉庫の増設と、さらに在庫による金利の負担というものがかかってまいりますが、これは人間の人件費にあまり関係がございませんから、流通を円滑にするためにはやむを得ないと考えて、むしろ在庫をある程度よけい持つ、倉庫を合理化するという方向に進んでおります。
 あと、ビールの卸というものは非常に単純な作業でありまして、ほかにあまり経費がかかりませんが、注文取りという作業がございます。これは私ども地方の場合ですと、セールスマンが軽自動車に乗りまして得意先を回って歩きまして注文をとるわけであります。これは非常に能率が悪い。最近の事情で悪くなってまいりまして、だんだんこれを廃止いたします。電話によって毎日の注文をいただく。そして計画配送ということで、これはセールスマン一人当たりの販売量が直ちに二倍、三倍になることが可能であるということで、人件費の節約、上昇による対抗策として実施しつつあります。
#33
○堀委員 たいへん私どもとして参考になる話を承ったわけでありますが、あと一つだけ残っておりますのは、一体、卸と小売りの関係というものを、これまでのようにさい然と卸は卸だけ、小売りは小売りだけということで、はたして今後いいのかどうかという問題が私は一つあるような気がいたします。そのことはすでに卸売り業の中でも一括免許といいますか、そういう問題についての御希望もあるようでありますが、私は、この際ですと、ある程度の相互乗り入れといいますか――たいへん大きな卸屋さんが小売りをなさることはこれは事実上不可能でありますけれども、卸売り業の実態としては、やはり場合によってはある程度ひとつ小売り兼業が認められれば少しやりたいという向きもあろうと思います。私はいま酒類問題の流通で、これは午後に触れるわけでありますが、たとえば生協とかスーパーにも少し免許を与えたらどうかという意見なのであります。先ほどからお話しのように、どうも一般的に私ども国民大衆という消費者は、実は酒類関係が非常に恵まれない立場にあって、そうして料飲店、ホテル等はたいへん安く買って今度はたいへん高く売っておるわけですね。これが私ども国民の立場としてはいかようにも納得ができませんので、もう少しそういう流通問題の――小売り屋さんの流通問題も非常にかたいワクの中に入っておるわけですが、これをもう少し弾力化するというためには、そういうもののインセンティブとしてスーパーなり生協なり、いろいろな形で少し多様性を流通の段階に導入していいのではないか。今度逆に小売り屋さんの側とすれば、あるいは協同組合方式か何かで少しかたい条件ができれば、それによってある程度一括購入をメーカーからして、消費者に渡す。こういう形で、小売りと卸を少し相互乗り入れをした形の中で、流通経費を圧縮していって消費者の利益を守る、そういうことが今後の一つの方向ではないか。もちろん卸売り業としては合併というのはなかなか困難かもわかりませんが、できるだけ提携その他をしていただいて、合理的な処理をしていただくことがたいへん望ましい、こう考えておるわけであります。が、これについて牧原参考人と國分参考人からお考えを承って、私の質問を終わります。
#34
○牧原参考人 ただいま堀先生から卸、小売りの相互乗り入れ、こういったようなことをやったらどうかというお話がございました。この問題は業界でも非常に長い懸案になっておりまして、各業界でおのおの利害関係が非常に深いのでございます。小売り業界におきましてもいろいろ議論がありますし、われわれ卸売中央会におきましても、全国的に申しますと非常に議論が多くて、組合としての意見を発表することは差し控えさせていただきたいと存じますが、私個人として意見を申し上げますとすれば、この制度は酒が非常に足りなかった時分につけられた付款でございまして、御承知のように税務署長の権限によって、販売免許に、卸売り業に限るとか、小売り業に限るとかいう付款がつけられることになっております。ところが、酒税法の十一条に規定されておりますが、必要がなくなった場合には税務署長はこれをはずさなければならない、こういう規定がついておりますので、私はやはり、酒税法の趣旨に従いまして、こういった流通を硬直化するような制度は早い機会にはずしていただいたほうがいいのではないか、個人的にこういうふうに考えております。
#35
○國分参考人 ただいまの御意見につきましては、私はもう一つ別の観点からお答えしたいと存じますが、実は、この卸売り業に限る、あるいはまた小売り業に限るという付款をつけられましてからすでに十数年を経ておるわけでございます。その間にそれぞれ、たとえば小売り業者といたしましたならば、卸が付款を撤廃されればわれわれの領分へ入ってくるのではないか、ことに業務用等を多く扱っておられます小売り業者などは、卸が直接にホテルや大きな料理屋などへ入れるのではないかということで、非常に脅威を感じておられるようでございますが、私は長年の、もうすでに十数年の経験を経ました結果、今日では決してそういうような――何と申しますか、一つのルートがついておりまして、たとえここでそういう付款が撤廃になりましても、卸業者はなかなかそういうところへ売りに行けない。ですから、小売業者もまたそういう権限を侵されることはないだろう。また卸業者の立場から見ましても、やはり卸は卸という一つの独得の技術があるものでござますから、小売り業者が卸をやろうとおっしゃいましてもなかなかそう急にはいかない。でありますから、この相互乗り入れば決して混乱をもたらすものではないだろう。かえって業界に新風をもたらすものであろうと思いますので、歓迎したいと存じます。
#36
○堀委員 終わります。
#37
○毛利委員長 広瀬君。
#38
○広瀬(秀)委員 最初に経済企画庁にお伺いしたいのですが、いま堀委員の質問の中でも最後に触れられました問題、ビール値上げの際に、十月二十四日付で経済企画庁国民生活局長名で国税庁次長あてに出された文書、この中で「卸・小売の別、販売する酒類の制限等の拘束的条件が付せられているものが多く、これが経営の多角化、効率化を妨げていることにかんがみ、これら免許の附款を撤廃すること。」こういうことなのでありますが、いままさに堀委員が取り上げられた問題点を指摘したものと思われます。物価問題をきわめて重点的に扱っております国民生活局長の立場において、いま卸と小売りの役割りの問題で、相互乗り入れをしてはどうかという提案もあったわけでありますが、
  〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
この点について経済企画庁の具体的な御見解をここでお述べいただきたいと思うわけです。
#39
○山下説明員 ただいまの御質問の点でございますけれども、経済企画庁といたしましては、先ほどから御議論がございましたように、現在の酒類の販売免許を、卸、小売り、それぞれに限定をしておりますことが、やはり流通の近代化、多角化の一つの障害となっておると考えておりますので、御議論がございましたように、今後はその辺の制限をできるだけ撤廃をしていただいて、実態に応じて、卸、小売り、両方ができるような形で流通の合理化、経営の多角化をはかっていく。こういうことによって流通経費の節減の一助としていただきたい。そういう趣旨でただいま御指摘のございました申し入れもいたしておりまして、国税庁のほうでこの問題について御検討をお願いしておる次第でございます。
#40
○広瀬(秀)委員 国税庁長官お見えですから…。
 いま経済企画庁からこういう具体性を持った、しかも卸、小売りの分野における相互乗り入れ、これは先ほど堀委員も指摘しましたように、今日メーカーから消費者にできるだけ近づける、むしろ直結させていくというようなことが流通問題の改善としては行き着くところだということは、理想的な立場としては当然なんでありますが、そういうようなことからいいましても、これは一つの段階として、無理のない移行への段階としてそういうことは当然あっていいのではないか、こういうように考えるわけでありますが、主管官庁としてどういうようにこの点考えられるか。特に経済企画庁からもあったように、やはり物価問題を中心にして、流通経費が物価に悪影響を及ぼしておるというような視点から考えて、この酒類の流通経費も節約をして消費者保護に当たる。物価を下げていく一助にもする。しかも将来は、製造メーカー段階における値上げというよりは、いつも酒類の場合には、先ほどるる参考人からお伺いしたような諸事情によって、流通経費の増高によって酒類の販売価格が上がっていくというような現実の切実な事態を踏まえて、消費者保護の立場に立って−酒税確保ということも当然あるけれども、むしろ今日的問題はやはり価格の上昇を防いでいく、こういう立場においてそれをどう具体化していくおつもりがあるのか。その決意を伺いたいと思います。
#41
○吉國(二)政府委員 私は、この酒類業の流通問題というのは、日本的な特殊な問題が相当に含まれておると思っております。たとえば、この十年間に酒類の卸売り数量が二・三倍になるというようなことは、普通の安定した国家ではあり得ないことだと思います。戦後の酒不足時代から徐々に原料の解放が行なわれてきて、昭和三十年代には、ビールのごときは一時毎年二〇%くらいの率でふえたわけでございます。こういう事情は当然に卸売り、小売り、それぞれ個々の業者にも非常な影響を与えていると思います。たとえば、先ほど来から問題になっております配送の問題にいたしましても、規模自体がその流通量の増加によって非常に変わってくる。こういう食料品についてそういうことが継続的に起こってくるというのは、やはり日本の特色であるかと思います。
 一方、酒につきましては、御指摘のように酒税の確保とか、あるいはまたある意味では、衛生的な意味から免許制度というものをとっておりますが、この免許制度が、ある意味では、こういう事態にかかわら、ず製版三層というもののあり方を固定化した傾向はあると思います。この製版三層の秩序維持ということにとらわれますと、実際の流通が固定化し、ためにいろいろな弊害を生ずるという面は、これは確かに、私、認めざるを得ないと思います。
 ただ問題は、この免許そのものを直ちに廃止をするということにつきましては、ただいま申し上げましたような酒税の問題とかあるいは衛生の問題があると思うのでございますが、いま免許が一番問題にされる一つの理由というのは、流通機構が固定化してしまうというところにあるんだろうと思います。卸というものは、たとえば免許というものがなかったといたしますと、卸売り業、小売り業というものは、実は機能的な分類であって、その業界の性格づけではない。つまり、卸売り機能を発揮してやっている販売業者が卸売りと呼ばれるだけでございまして、卸売り業者、小売り業者というものが観念的にあるということではないと思うのであります。ところが、いまの免許でございますと、六大都市につきましては依然として、販売免許の中で、卸売り業だけに限定する、あるいは小売り業だけに限定するという限界がつけられております。これはいわば酒の配給統制がなくなったときに、業界秩序を維持するというような、非常に複雑な利害関係というものを混乱させないためにとられた措置であると思うのであります。しかし、これがある意味では固定化してきている。その固定化したがために、実は流通機構の近代化というものがこれによって妨げられているという面が最近かなり指摘をされているように思います。私は、免許を廃止するということ自体については非常に慎重であるべきだと思いますけれども、この免許そのものが流通機構の改善を妨げるという面があれば、これについては積極的にそれを排除していくということにつとめなければ、免許そのものが維持できなくなるではないかということを考えております。ただ、この問題につきましては、何と申しましてもその最初の段階において利害調節ということから出てきておりますので、この販売業者間の利害調節を十分に考えながら、十分な納得を得ながら、しかし結局それが流通機構の合理化のために必要であるということに変わりはないわけでございますから、できるだけ早い時期に、場合によっては段階的にでもこれを解決していきたいというのが私の率直な考えでございます。
#42
○広瀬(秀)委員 そこで、私どもは、流通機構の改善ということをほんとうに真剣にやるとするならば、やはり製造者から消費者に直結するということが流通機構の最大の問題だ。しかしそこまで、なかなかそういう理想に一挙にはいけないにしても、そういう方向にいくということが正しい方向であることに間違いはないだろうと思うのであります。そこで、この卸売りには一つの機能――そういう製販三層というものの区分けのしかたというのも機能別だ。そして卸には、先ほど参考人からもお話がありましたような、配送、在庫、金融、情報というような機能もある。しかし、これは時代の進歩とともにやはりだんだんその機能というものが希薄化していく。いわゆる大衆的な消費者中心の立場でいくと、卸の機能というものがかえって重荷になってくる、大衆消費者次元においては。そこでやはり流通経費が一つよけいかさむ、こういうような受け取られ方もするわけであります。確かに、今日一気にこれを廃止していいような状態ではないにしても、だんだん理想的な流通機構というものを構想していく段階では、卸というものの機能的な役割りといいますか、その機能そのものがやはり薄れていく。機能性というものが薄れていく、役割りというものが薄れていく、こういうような立場にやはり立たされている。そういうことから、やはり業者の数もだんだん減ってくるとか、あるいは経営諸表などもだんだん――皆さん、たいへん御努力をされていることをおっしゃられたわけですけれども、そういうぐあいにしてだんだん減っていくんではないか、こういうように考えられるわけです。やがては卸機能というようなものは、メーカー、小売りというようなところに吸収されてくる。そういうようなことになるのではないかという気がしてならぬわけでありますが、そういう方向というものについて、酒販組合の牧原さん、それからビールの酒販中央会の理事長の國分さんから、その点のお考えを、直接いまそれをやっておられる皆さんとしてこの問題についてどうお考えでございますか、この点ひとつ伺っておきます。
#43
○牧原参考人 ただいま広瀬先生からの御質問で、卸売り業者というものはだんだん薄れていって要らなくなるんではないかというようなふうに私はお伺いいたしましたが、私が考えますには、やはり先ほど申し上げました機能の問題で、なかなか場所、地方、環境その他によりまして――メーカーから直接消費者へそのまま売るというのが理想かもしれませんですが、やはりその間に卸業者ないし小売り業者というものがなぜ存在するのかということをやはり考えていただきたい、こういうふうに思うわけでございまして、機能を果たせなければその機能を果たせない業者は要らなくなるというふうに考えております。でありますので、やはり卸業者も卸業者としての機能を十分発揮していけば、その範囲内で生きていくところ、道が開けるんではないか、こういうふうに考えております。
#44
○國分参考人 私も牧原参考人と同じ意見でありまして、もしも卸売り業者が機能を発揮できないようならばその卸売り業者は当然なくなっていいと思います。しかしながら、今日のような生産組織におきましては――製造業者から直ちに消費者へということは非常に望ましいかもしれませんけれども、その間にやはり集荷をしてこれを分散するという機能も必要でありましょうし、その間にはやはり金融の機能も必要でもありましょうし、同時にまた消費者は一体何を望んでおるかというような情報を生産者に伝えるということも、これもまた必要なことだと思います。でありますから、そういうような機能をほんとうに発揮をして、そうしてむしろ、生産者から消費者に直結するよりも、そういうものがおってもらったほうが非常に便利だというような卸売り業者にならなければ今後は存続し得ないんじゃないか、そういうふうに考えております。
#45
○広瀬(秀)委員 お二人からお答えをいただいたわけでありますが、そこで、清酒の場合において、前に東駒酒造、これは福島県のメーカーでありますが、これが安売りをいたした。そのあと、ことしの春に、さらに全国七業者ないし八業者でございましたか、これが新たに東駒と同じような形で、メーカー段階から直接消費者に販売をするという方式をやっていこうこういうようなことをされた。そういう名のりを、あげて天下に宣言をしたわけでありますが、この問題について、その後この方式というものがどの程度に成功しておるのか。これはやはり酒類の製販三層というものをくずす考え方、しかしながら消費者にとってはたいへん安い酒が手に入って喜ばしいことだ、こういう面も非常に大きいわけでありますが、国税庁でその点どういうように現況をつかんでおられるか。この際発表をしていただきたいと思うのです。
#46
○下條説明員 お答えいたします。
 ただいまの八業者に対しましてのその後の状況は、的確には把握しておりませんけれども、協業化と申しましょうか、そういうかっこうで経営の合理化をはかるということで話が進められているように聞いております。
#47
○広瀬(秀)委員 そういうようなことで、協業化などを通じながらメーカーから消費者への直結というようなことは、まさに卸売り業者の皆さんの段階をボイコットしてしまっている、飛び越えてしまっているというようなこともあるわけでありまして、将来そういうような方向――特に日本で流通機構の問題としてはいつでも、アメリカ企業の進出で、例のコカ・コーラが全く卸を必要としない配送、それから小売りに対する直売、こういうようなものをやっておられる。日本のビール会社などでも――コカ・コーラとビールとどれだけ差があるかという点についてはいろいろ議論のあるところでしょうけれども、國分さんにお伺いしたいのでありますが、将来、ビール会社自体がああいうような方式に対して非常に魅力を感じて、そういう方向にいくというようなお感じ、こういうようなものについてはどのように見通しを持たれておるでしょうか。國分さんからお伺いしたい。
#48
○國分参考人 御質問の点につきましては、われわれ卸売り業者といたしましては非常に心配でございますから、すでに、ああいう方式で将来おやりになるのかどうかということをお尋ねしておるのでありますけれども、現状の段階では、決してそういうことはしないから安心しろというお話でございます。
#49
○広瀬(秀)委員 先ほどから、清酒、ウイスキー、その他あるいはビール、こういうようにそれぞれ卸売り業者がある。これは、基本的な方向とは別に、当面の問題として卸売り業者同士の再編成といいますか、たとえば具体的には清酒関係あるいは雑酒関係、ビール関係というようなものが一体になって、もっとスケールメリットも大きくするというような立場で、そういうことで卸売り業者同士の合併というようなものがそういう形で進められないものかどうか。これも牧原さんと國分さんからお伺いしたいわけですが、そういうお考えはございますか。
#50
○牧原参考人 お答え申し上げます。
 広瀬先生の御指摘のように、ある程度合併をして相当な規模になって、それで省力化もしてコストを下げる、こういうことは理想的で、おのおのの卸売り業者自体は、そういった方面に進んでいきたい、あるいはそういった方向に進みたいというようなことは、腹の中では研究もし、考えもしていることと存じます。しかし、いろいろ人間関係、それから従来までのしきたり、その他いろいろの原因によりまして、自分のところの会社だけはだいじょうぶだというような観念がやはり相当に強いものですから、腹の中では合理化、協業化、あるいは合併までしなければならぬじゃないかということを考えておりましても、なかなか直ちにそれが実行に移らないというのが現状でございます。
#51
○國分参考人 ただいま酒類業におきましては牧原参考人の言ったとおりでありますが、御参考のために申し上げますと、食料品業界などにおきましてはこのことは非常に進んでおりまして、合併等も現にあらわれております。また協業と申しますか系列化と申しますか、こういうことも着々と進行しておりまして、おそらくこの一、二年のうちには相当地図が変わるのではないか、そういうように考えられます。
#52
○広瀬(秀)委員 私の持ち時間が終わりましたので以上で終わります。ありがとうございました。
#53
○藤井委員長代理 貝沼次郎君。
#54
○貝沼委員 本日はどうも御苦労さまでございます。
 まず初めに、直接関係のない話でありますけれども、現在公害の臨時国会でありますので、そのことにちょっと触れたいと思うのですが、現在、弘済会とかあるいはその辺で、プラスチックに入ったお酒とか、そういうものがちょっと出回っているように私は見ておるわけでありますが、初めに牧原参考人に、こういう容器に入ったお酒というものが、現在売れ行き状況が伸びつつあるのか。今後の見通しになりますけれども、そういった方向の考え方、その点をお伺いいたします。
#55
○牧原参考人 ただいま貝沼先生からプラスチックの容器の酒が売れているのかどうか、また今後どういうような方向であるかどうか、こういう御質問でございますが、現在のところでは、小さな容器、大体百八十ミリリットル、昔の一合でございます、それから二百ミリリットル、それから三百ミリリットル、そういったものがぼちぼち一昨年あたりから売れてまいりまして、かなりの量が出てきつつあります。マークによりましては相当な量が、一千万本近くのものが出ているのではないか、こういうふうに思われます。最近におきましてまた一・八リットルのものもあらわれてまいりましたが、これはまだ先行きどうかわかりませんですが、携帯その他につきまして、今後少しずつはやはり売れていくのではないか、こういうふうに思います。ただし、酒につきましては、まだメーカーのほうの段階におきまして、びん詰めのほうが質がいいのかあるいはプラスチック入りのほうがいいのか、その点につきましてメーカー同士ではなかなか意見があるようでございます。そういった面で、思い切ってプラスチックを全然出していないメーカーもかなりおりますので、急激にふえるというようなことはないと思いますが、漸次少しずつ売れていく、非常に携帯に便利なものですから。そういったような状態でございます。
#56
○貝沼委員 今後の売れ行きが少しずつでもとにかくふえていくということでありますが、現在のビールならビール、あるいは酒にしても、非常にたくさんの人がそれをたしなんでいるために、これはふえ始めたらどんどんふえるのではないかと思うのですね。そうすると、現在問題になっておりますプラスチック容器の処理の問題、こういうことが大きな問題になってくる。
 そこで経企庁と国税庁のほうにお聞きしたいわけでありますが、こういう伸びを示していることに対して、物価対策の問題、あるいは公害の問題、あるいはコストの問題もあるでしょうけれども、あらゆる点を総合してどういうようなお考えをお持ちなのか。それをお聞きしたいと思います。――初めに企画庁のほうからお願いします。
#57
○山下説明員 酒類のような飲料、牛乳等につきまして、御指摘のように、最近プラスチックの容器を使いますことによりまして流通経費の節減をはかるという動きが出てまいっておるわけでございます。物価を担当いたしております私どもといたしましては、こういう形でワンウエー化が進みますことによりまして、流通経費の節減がはかられることを非常に促進してまいりたい立場でございますけれども、一方、御指摘のように公害の問題、プラスチック類の廃棄の問題がございまして、その辺で、率直に申し上げましてなかなかむずかしい問題がございます。この問題につきまして、酒類ではございませんけれども、牛乳の容器の問題につきまして、厚生省、通産省、農林省等、関係省庁といろいろ今後の進め方について検討いたしておる段階でございますけれども、やはり公害の問題が今日のように深刻になってまいっております現状におきまして、廃棄の問題、処理の問題をないがしろにして、ただ物価の観点からだけこれを促進することには、厚生省をはじめといたしまして非常に問題がございますので、この辺につきまして現在慎重に検討中でございます。やはり廃棄の方法につきましてはっきりめどがつきませんと、安易にこれを促進してまいるわけにもまいりませんので、非常にむずかしい問題で、現在関係省庁と苦慮をしておるというのが率直な現状でございます。
#58
○下條説明員 ただいまの容器の問題でございますが、これはいま二つ問題があると思います。
 最初のほうの、びんをああいうふうなプラスチックにする問題というのは、やはり経営の一つのくふうと申しましょうか、合理化と申しましょうか、そういうものに関連して生み出されてきたものだと思いますが、これがそのままでいいのか、また現在それがどの程度コストのダウンに役立っているのかということにつきましては、まだ研究段階だと思います。
 第二点の、公害問題に関連することでございますが、これはやはり回収という問題がどうなるかということにつながってくると思います。これは、わがほうといたしましてはまだ検討中でございまして、対策がはっきり出ておる段階には至っておりません。
#59
○貝沼委員 結局、現在何も対策がないというようなことでございますが、これはいつごろまでにその結論を出す考えでおりますか。この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。企画庁、お願いします。
#60
○山下説明員 方向といたしましては、一つは廃棄物の処理の責任を持っております市町村におきまして、プラスチック類の焼却ができるような施設を設け得るかどうかということが一点。それから、当該業界で回収をするという方法も考えられますけれども、これは先ほど申しました流通経費の節減という点から申しますと、あまりメリットがなくなるという問題がございます。それからもう一点、実は私も詳しいことは承知しておりませんけれども、プラスチック類も日光によって、何と申しますか、崩壊するようなものについての技術も、これは通産省が中心になって現在開発を検討中でございます。方向としては大体このいずれかになるのであろうと思いますけれども、現状では、率直なところまだいつ時点までというほどのめどは立っておりません。
#61
○貝沼委員 そう言われるともう一回聞きたいわけでありますが、それでは、現在使われているものとこれからのものとあるわけですが、検討するということは、現在のものに対しての危険性、問題というものを感じているから検討しているわけだと思うのですが、その場合に、現在許可しているものについて、企画庁としてはどういう希望というかをお持ちなのか、その点ちょっとお伺いします。
#62
○山下説明員 たいへんむずかしい御質問でございますけれども、事務的なことを申し上げますと、食品の容器として使いますためには、厚生省のほうで食品衛生の立場からの規制がございます。その関係からは、現在使われておるものにつきましてはすでに問題がないということで許されているわけでございますから、現状では、現在使われているものにつきまして特に厚生省でも積極的にどうこうということではないというふうに私承知しておりますけれども、この点確かではございません。ただ、新しく、たとえば牛乳にポリエチレンの容器を使うということにつきましては、厚生省のほうが公害の立場からの問題も慎重に検討いたしておりますので、その辺の解決のめどがつきませんとなかなか、新しくたとえば牛乳にポリエチレンの容器を使うということについては、解決のめどがつかない限り前進が遺憾ながらないのではないかというふうに考えております。
#63
○貝沼委員 この議論をしていると時間がなくなってしまいますのでやめますが、現在実際売られているのにこれから考えますというのでは、これは実際困る話であって、今後できるものに対しては今度制約するとかあるいはいろいろな条件がついてくると、またそこに不公平が起こってくるし、これは業界としてもずいぶん問題になると思うのです。その辺よく慎重に検討し、早く結論を出していただかないと困ると思うのです。
 そこで、いよいよ本論に入るわけでありますが、國分参考人にお伺いしたいのでありますが、現在ビールの原価があり、そして蔵出し値があり、卸、小売りといくわけでありますが、卸の業者として、おそらく原価というものを計算しないで値段のアップの要求とかそういうことはちょっと考えられないと思うのですが、現在ビールの一本当たりの原価をどのような値段と推定しておりますか。
#64
○國分参考人 ちょっと御質問の要旨がはっきりしなかったのでありますが、卸業者だけの原価でございますか、それとも生産も全部入れての原価なんでございましょうか。
#65
○貝沼委員 はっきりしなかったようでありますが、卸がメーカーから仕入れるわけですね。その場合に値段があるわけです。ところが、その値段が高いか安いかということをやはり判断をしなければならない。その場合に、そのビールはメーカー側においてどれくらいの原価でできているかということを、見当をつけないことにはわからないわけですね。その辺の見当はつけておりますか。
#66
○國分参考人 現在まで、もう、ずっと惰性でいっておるせいか、メーカーの原価までは考えておりませんでございました。
#67
○貝沼委員 どうもそういう話は私は納得ができないのですけれども……。それでは、考えてなければしかたがないことで、今度、卸がメーカーから仕入れて、それから小売りにいくわけですね。その場合に、卸売りの中に、卸売りが小売りにいって、小売りから今度は一般に使用されるものと業務用に使用されるものとありますね。その場合に、同じ値段で小売りに対して出しているのか、それとも業務用に対しては幾らかの考えを持っているのか。その辺を説明願いたいと思います。
#68
○國分参考人 これも画一的に申すわけにまいりませんけれども、卸業者が小売り業者へ販売する値段は、建て値としては一緒でございます。しかしながら、相手の小売り業者の業態によりまして、それが主として業務用を売られます小売り店につきましては、あとで相当のリベートという形で小売り業者に支払っております。また一般の小売り業者につきましても、いろいろと取引の条件あるいは取引の数量等に応じまして、適当な額をリベートとしてお支払いをしております。
#69
○貝沼委員 どうも数字的なことが出ないので知も目的を達しないわけでありますけれども……。卸の中に特約店制度というものが各メーカーによってありますね。この特約店と一般の卸の特別な違い、そういったことはどういう点があるのか。この点をもう一度國分さんにお願いいたします。
#70
○國分参考人 ただいま免許制度がございまして、卸業者ということの中には、特約店でなくてもビールを扱うというものがございます。
 それで、特約店とその他の卸業者の中にはどういう違いがあるかという御質問だと存じますが、これもやはり、一般の特約店でない卸店は特約店から買うわけでございます。要するにそのビールについては二次店という形になっております。それで、本来ならば二次店は一次店の特約店とも、その得意先関係においては競合関係にありますので、当然同じ値段でないと公正な競争ができないというような立場になっておるわけであります。これはところによって違いますが、口銭を取らないで二次店に渡している特約店もありますし、またところによっては多少の手数料をいただいてそういう特約店でない卸店に販売している向きもありますし、ちょっとところによって、事情によって違いがございますけれども、そういうような形になっております。
#71
○貝沼委員 特約店についてもう少しはっきりしたことをお聞きしたいと思いますが、ある業界の資料によりますと、特約店には取引担保を提供せしめて販売契約を締結しているというふうになっておりますが、これは具体的にはどういうものでしょうか。
#72
○國分参考人 特約店でも、担保を出してない特約店もありますし、生産者のぐあいによりましては担保を要求している場合もございます。でありますから、全部が全部担保を出しているということではございませんし、それは会社側が見てその信用度によって要求しているのだと思います。
#73
○貝沼委員 次に、先般朝日麦酒から各小売り店へ来たはがきがあります。その文面は、「さて、昨今人件費運搬費等の高騰はげしく、ビールの生産流通コストは生産性の向上、流通面の合理化を推進してもとうていこれを吸収することができません。ついては、朝日麦酒への払込み価格並びに小売り希望価格を別記の通り変更させていただきたく存じますので、御了承御協力のほどお願いします。」こういうはがきが行っているそうでありますが、この「希望価格」というのは、希望する価格であるといえばそれまででありますけれども、ただ希望するのか。望ましいという以上はその裏に何らかの操作、と言っては語弊があるかと思いますけれども、何らかの圧力めいたものがあるのかないのか。その辺を御説明願いたいと思います。
#74
○國分参考人 この希望価格の問題もずっと業界の長い習慣になっておりまして、大体値上げのありますときには、メーカーは小売り価格を希望価格として出しているようでございます。しかしながら実際の問題としますと、業務用その他につきましてはそれ以下で販売をいたしておりますし、また大量に使っていただく消費者の方につきましても値引きをして売っているように思われますので、必ずしもこれを守らなければいかぬというような厳格な価格ではない。一応の標準の値段というようなことだと存じます。
#75
○貝沼委員 現在私たちがビールを買う場合は一本百四十円で大体買っておるわけです。ところがメーカーの、まあ業界でもいいですが、そのシェアはおのおの相当激しい競争が行なわれておる。その競争が行なわれているところは、実は私たちの手に入るところで競争が行なわれるのではなくて、それ以前にいろいろと行なわれているわけですね。そうすると、自由競争という面から考えるとこれはちょっと方向がおかしいのじゃないかと私は思うのです。むしろ消費者というものを対象にして競争が行なわれて、そして価格の決定がなされていかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えますのでお尋ねするわけでありますが、卸売りの立場としてそういうようなことについてはどういうお考えをお持ちですか。これは中村参考人にお願いいたします。
#76
○中村参考人 私、きょう個人の卸業者として参加しておりますものですから、あくまでも私見でございますけれども、これは私どもは小売り業者に対して販売をしておって、その段階において販売競争している。小売り業者の方が販売競争を消費者に対してしないのはどういうことかという御説だと思いますが、ちょっとよくわかりません。ただ小売り業者の立場でいきますと、私も実は小売り業も兼業しておりますから――あまりしておりませんけれども、免許としては小売り業を持っておりますものですから、その辺の考え方でいきますと、私のところの店自身が販売するときに、同じ消費者でも、たとえばまとめて買ってくれるとか、代金を現金で決済してくれるとか、至って合理的に配達ができるような買い方をしてくれる、ということは、とりに来るとか、倉庫のいいところに置いていってくれというようなことを言ってくれて、こちらのコストが非常にかからない場合には、現実問題といたしまして値引きしております。ですから、これはむしろ消費者の方が上手に買えば安くするのではないかな――これは人ごとですからわかりませんけれども、そんな感じを持っております。
#77
○貝沼委員 次に、代金の支払いのことについてちょっとお伺いしたいわけですが、卸売りがメーカーに金を払う場合、これは各メーカーともその期間については同じかどうかということであります。この点が一点。
 それからさらに、小売りから回収する場合の支払い期間、これはたとえば売れ行きによって幾らか期間を変えるとかそういうような問題があるかどうか。この辺を伺っておきたいと思います。國分さんにお願いいたします。
#78
○國分参考人 お答えいたします。
 卸業者が生産者へ支払いますサイトはおおむねきまっております。しかしながらこれも場合によりましては多少延ばしてもらうというようなこともございます。しかしながら大体はきまった期間で支払っております。
 それから、小売り業者から取り上げる場合でございますが、これも大体手形をつけまして配達しておりますので、一定の期間で支払いを受けております。しかしながらこれも、小売り業者の状態によりまして中には多少延ばすというような例もございます。
#79
○貝沼委員 そうしますと、実は現代の経済におきましては資本の回転というのが非常に重要な問題になってまいりますので、期間をちょっと延ばしてもらうということは非常に楽になるわけですね。そうすると、あるメーカーによってあるいはある製品によって、少しばかり期間を延ばしてあげるということを認めると、これは少々売れ行きが悪くても商売を保っていける。ところがきびしく取り立てが来ますとなかなかたいへんだ。むしろ期間の長い商品を自分の店では買っておいたほうが得だというふうなことになってくると、そこにシェアの面でずいぶん大きな問題が出てくるのではないかと思うわけであります。この辺のことについて、直接担当しております中村さんは、どうしたほうがいいと思うのか、望ましい形というものをどうお考えになっているのか、その点をお願いいたします。
#80
○中村参考人 まことにぼんやりしておりまして、ちょっと質問の趣旨がわかりませんでしたけれども、ビールの決済の期間を短くするということでございますか、ちょっとお聞きしたいのですが……。
#81
○貝沼委員 たとえばあなたが製造者から買うわけですね。そうして金を支払ってやるわけですね。その場合に、その期間が長いとこれはずいぶんやりやすいわけですね。ところが短くされると、これは資本が相当回転しなければいけませんのでたいへんです。ところが、場合によって長いのもあるし短いのもあるという話でありますから、長いのがあればシェア獲得にはずいぶん都合がいいわけですね。その辺について、直接の担当者としてどういう方向が望ましいのか、その点を……。
#82
○中村参考人 お答えいたします。
 ただいまの問題は、長いのと短いのと銘柄によってあるということでございます。現在浜松市で卸業を経営している私の取引形態は、実はキリンビールの専売特約店でございます。これは、六大都市あるいは東京などの場合には四銘柄の特約店という例もございますが、地方の場合にはほとんど専売店が多いと思います。それですから、メーカーとの取引の契約には、はっきりこのサイトで、この決済条件で幾らで買うんだということでございますから、過去の時代には、これをなるべく長く引っぱるほうが得でございますから引っぱれたわけでございますが、ここ最近十年間ぐらいは、だんだんメーカーのふところもきびしくなったと見えまして、私どもに対してだんだんだんだんサイトを短縮していくという方向にございます。最近五年間はもう固定しておりますけれども、そういうことでだんだん決済期間が短縮しております。私思いますのに、これは、延ばせばそれだけ生産者のふところといいますか、金利を非常に負担しますから、どこか、手品ができませんから、必ずその分を値段のほうに乗せてくるのだろう。ですから、早く払って安く買うほうが得だ、これは金利との見合いになりますけれども、そういうふうに考えております。
#83
○貝沼委員 もう時間がなくなりましたから急ぎます。
 項目だけお願いいたしますが、中村さんにお願いいたします。現在、酒団法できめられた組合と、それから商業協同組合というふうなものがあるわけでありますが、あなたはこの両方の組合に所属しておりますか。
#84
○中村参考人 酒団法の組合だけでございます。
#85
○貝沼委員 次に、輸送問題。これは浅井さんにお願いいたします。先ほどからだいぶ論じられておりますが、メーカーから直送で小売りにいく、こういうケースがあると思うのですが、将来これが望ましいのか望ましくないのか、その辺のお考えはいかがでしょうか。
#86
○浅井参考人 ただいまのメーカーからの直送ということでございますけれども、私はここで酒販店に対する直送ということだけをお話を申し上げたいと思うのでございますが、これにつきましては、本来、卸の立場を主張いたしますということにおきましては、決して望ましいという形ではないと思うのでございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたとおり、これが卸機能、配送機能ということの一種の放棄と申しますか、そういう方向に結びつくということもあるわけでございます。これは本来の卸のほうからいきますと決して好ましい方向ではないというふうに考えております。ただし、現状の卸の配送の能力と申しますか、その点から考えますと、先ほど来からいろいろと申し上げておりますとおり、ビールの取り扱い数量が非常に増大しております。特に取り扱い数量のうちの五〇%以上、あるいは多いところでございますと六〇%、七〇%というふうにビールの依存度が高いわけでございます。これの配送を消化いたしますのは、やはりメーカーの直配機能に乗せていくというふうなことで現状は補わざるを得ぬだろうというふうに考えております。
 以上でございます。
#87
○貝沼委員 時間がなくなりましたので、最後に国税庁にお願いいたしますが、十月十三日の報道によりますと、東京国税局では、このほど生産者の支店、出張所の小売りの二五%制限を解除する旨の通達を出した、こういうふうになっております。この内容と、それからスーパーマーケットあるいは自動販売機、こういうふうなものとの関連において、どのように考えた上での通達なのか、その点を説明願いたいと思います。
#88
○下條説明員 お答えいたします。
 二五%の件は、東京局のほうではもう廃止したということでございます。
 スーパーマーケットのほうの問題は、これは前からいろいろ問題がございまして、それも同様に免許を与えてくれ、こういうことでございまして、これについては一般の基準に従いまして、同じ資格を持っている者については順次免許を与えていくということで、指導は同じでございます。
#89
○藤井委員長代理 永末英一君。
#90
○永末委員 五分ほど時間をいただきましたので、簡単にお伺いいたします。
 國分さんに最初伺いたいのですが、卸業者とメーカーとの契約は、現在委託販売契約ですか売買契約ですか。
#91
○國分参考人 売買契約でございます。
#92
○永末委員 小売り業者と卸売り業者との契約はどういう形式ですか。
#93
○國分参考人 やはり売買契約でございます。
#94
○永末委員 売買契約になったのはいつからでしょうか。
#95
○國分参考人 生産会社との売買契約は、麒麟麦酒社が非常に昔からの古い契約でもってただいままでは取引しておったのでありますが、昨年ぐらいから正式な売買契約にいたしました。
#96
○永末委員 私どもは一番この前の値上げで心配しましたのは、だれが一体最終的な小売り価格の決定に大きな影響を持つかという点でございました。そうなりますと、なるほど従来長く委託販売契約だということになると、これはやはりメーカーの影響力が非常に強くなってくる。売買契約ですと、卸売り、小売り、それぞれが価格の決定について影響を持つわけですね。その意味合いで伺ったのです。しかし、先ほどから話がございますように、リベートにしろあるいは謝礼という問題にしろ運賃補助にしろ、やはり委託販売をやっておったときの商慣習というものが響いておる。私は、やはり売買契約でこれからおやりになるとすれば、卸売りも小売りも経営の内容が変わってくるわけでございますから、相当これらの商慣習は変わらなければならぬ、そのように思うわけです。それはこれからの問題でございますからお考え願えればけっこうですが、四人の方にそれぞれお答え願いたいことがございます。
 それは、洋酒はすでに、価格とそれからそれぞれの商品別で消費者の選択を求める形になっております。酒のほうもようやくそういう形になりつつあります。ところがビールについては、銘柄が――小さなびん、大きなびん等々ございますが、銘柄の差別こそあれ、価格は同じ値段で、最終価格が希望価格という形で消費者に売られておる。つまり消費者としては選択の余地が価格についてはないという状態である。これでは、一体この自由競争の時代の商品としてきわめて不適格ではないかと思われる。消費者側がビールの値上げについてきわめて不愉快な感じを持つのはこの点だと思うわけであります。そこで四人の方に伺いたいのは、ビールもまた価格で競争することが卸売りの関係から見ても望ましいと思われるかどうか、お一人お一人お答えを願いたい。
#97
○牧原参考人 お答えいたします。
 ビールの場合にはほとんど統一価格でおかしいんではないか、こういう御意見だと思いますが、御承知のようにビールの場合は大びんが大部分の、ラガービール六百三十三ミリリットルの大びんが大部分の商品になっております。それで品質におきましてもほとんど差がないし、アルコール分についてもおそらくほとんど差がないと思いますので、長い習慣でやはりビールについては、その大びんについては差はなかなかつけられないんじゃないか。これがいろいろな種類が出まして、濃いビール、あるいは、最近はぼちぼち出てまいりましたけれども、規格が違ったりあるいはびんの大きさが違ったりすれば末端において差がついてくると思いますけれども、何十年と大体同じものを同じびんのかっこうで売っていると、なかなか末端において、四社だけですと価格に差がつきにくいのではないか、こういうふうに感じる次第でございます。
#98
○浅井参考人 いまの小売り価格に各銘柄で少しバラエティーが……ということに対しての御質問につきましては、私ども卸売り業という立場では、現在のビールの形、荷姿におきましてはやはり同じ価格であることが好ましいと思うわけでございますけれども、おそらく将来は荷姿なりそういったことも大きく変わってまいりましょうし、その意味でのメーカーの企業努力が当然出てまいると思うのでございます。そうなりますと、いま御指摘のとおり、最終小売り価格に各社によって幅がついてくるというふうなことは、われわれとしても当然予想はいたしております。
 以上でございます。
#99
○國分参考人 お答えいたします。
 ビールにつきましては、何と申しましても税金が非常に高いということであります。でありますので、末端価格の差が非常につけにくいということは言えるんじゃないかと存じます。そういうようなわけで、末端において大きな価格の相違というものは非常にできにくいんじゃないかというふうに思われますし、同時にまた、過去におきましてはビールはどこへ行っても均一値段で売られておりましたので、そのことが消費者にも安心感を与え、ビール産業が今日こういうふうに大きくなったのも、非常にそこに、価格の均一性ということがむしろ消費者に安心感を与えたということがもとであったんではないかというふうに考えられます。
#100
○中村参考人 いろいろ商品を売ってまいりまして、価格の差が一〇%以下では消費者としてはむしろ高いものを買うという傾向が実はあるわけでございまして、ビールの場合に十円以下の価格差では、むしろ高いものが売れる。それで、十円差をかりにもしつけたとしますと、税抜き価格にしますと約七十円のものに対して十円違いますから、生産会社なり販売会社としてはとてもそれだけの差は、品質によってもあるいは銘柄によってもないではないかと思いますから、現実的には差がつかないと思います。
#101
○永末委員 いろいろ貴重な意見を伺いましたが、いずれ日本の国も、この酒類につきましても貿易の自由化が行なわれて、ドイツのローエンブロイであれあるいはデンマークのチュボルグであれ、オランダのハイネッケン、いろいろなビール、アメリカのビールも入ってきましょうし、そのうち乱戦時代に入りますから、御用意のほどをひとつ期待を申し上げておきます。
 終わります。
#102
○藤井委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時五十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三分開議
#103
○山下(元)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 税制に関する件(ビール価格等の問題)について調査を続けます。
 ただいま出席されております参考人は、全国小売酒販組合中央会会長藤徳司君、愛知県小売酒販組合連合会会長武儀山昌昇君、群馬県小売酒販組合連合会副会長岡田勇君及び酒類小売り業者東海林源次郎君の各位であります。
 参考人各位には、御多用のところ御出席をいただきありがとうございます。
 ビール価格等の問題について、小売り酒販業を営むそれぞれの立場から、忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。
 なお、各位の御意見は、委員からの質疑により承ることといたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#104
○堀委員 本日はお忙しいところを、参考人の皆さん御苦労さまでございます。
 まず最初に、東海林参考人にお伺いいたしたいと思います。
 実は、当委員会に各界の代表にお越しいただいておるわけでありますが、御承知のように、業界の会長その他の役をやっていらっしゃいますと、これはいろいろたくさんの方を代表していらっしゃいますので、お話が、何といいますか、たいへんむずかしい立場にいらっしゃると思います。幸い、きょうは酒類小売り業をしておられる東海林参考人においでいただきましたので、まず私どもが承知をしたい現在の小売り業の実態について最初に少しお伺いいたしたいと思います。
 最初にお伺いをいたしますのは、東海林さんのお店でいろいろな販売をやっていらっしゃいます商品でございますね、おそらく、私ども一般に承知をしておりますのは、酒類をお売りになるところでは、かん詰めだとかその他食料品を扱っていらっしゃるところが多いわけでありますが、東海林さんの場合には一体、ビール、それから清酒、それから雑酒でございますか、ウイスキーその他でございますね、それと食料品と、大別いたしまして四種類ぐらいに分けさせていただくとして、大体売り上げのどの程度がどの部分になっておるか、ウェートでございますね、それを最初に承りたいと思います。
#105
○東海林参考人 お答えを申し上げます。
 私の店では、およそ九〇%が酒類でございまして、残り一〇%が食料品ということになります。
#106
○堀委員 その九〇%の中の内訳でございますが、いまちょっと伺ったように、ビールと、清酒と、ウイスキーその他の雑酒では、どんなふうでございましょうか。
#107
○東海林参考人 ビールがおよそ七七・九%、清酒が一七・三%、洋酒、いわゆるその他のお酒になりますが二・九%、以上でございます。
#108
○堀委員 さっき、実は卸の皆さんにお越しをいただきまして、会長をしていらっしゃる牧原さんと國分さんに伺ったのでありますが、そのときのお話では、卸のほうでは、大体國分さんのところでは食料品が五〇%、酒類が五〇%ぐらい、それから牧原さんの御自身の会社のことでありますが、食料品が二〇%で、その他の酒類とビールの関係は三五と四五ぐらいのところだ、こういうふうに伺ったわけです。いま東海林さんの場合には、ビールが約八〇%と、たいへんビールのウエートが高いわけでありますが、これは何か飲食店とか、旅館、ホテルといいますか、そういうところとの御契約があるんでしょうか。私ども、一般の酒類小売り店とすれば、多少の上下の差があると思いますけれども、酒類販売の半分以上をビールで売っていらっしゃるというのは少ないのじゃないかという感じがするのですが、これはどういう理由によるのでございましょうか。
#109
○東海林参考人 お答え申し上げます。
 私ども、ビールが七七・九、およそ七八%あるわけでありますが、私のところは主として一般消費者を対象とした商売をやらさせていただいております。したがって、ホテル、旅館、その他キャバレーに類似したものはやっておりません。ただ、ごく少数でございますが――私はいわゆる東京の荒川区というところで、たいへん繁華街と申しますか歓楽地でございません。したがって、一般にいわれる料飲店等の規模も非常に小さい、そういうところに多少納めておりますので、その比率がビールが高くなっていくということだろうと思います。ただ、家庭用だけをながめますと、家庭用のビールと清酒の割合というものは、推定でございますが、大体六〇対四〇程度になろうと思います。
#110
○堀委員 そこで、これは私、もう前から当委員会で小売りの問題についていろいろよく申し上げてきておるのですが、メーカーが――例を清酒にとらしていただきますと、かなり卸に対してリベートを出していて、その卸からまた小売りにもやはりリベートないし値引きが行なわれている。そこで私はかねてから、各銘柄別で、強い銘柄はリーべートが少なくて、弱い銘柄はリベートが多いわけですから、そのリベートを幾らか価格に反映をしてほしい。それはもう、たとえば一〇〇%ということは無理ですから、一〇〇%のリベートの中で少なくとも一〇%とか二〇%を消費者に還元してもらえないだろうか。そうすればおのずからそういう製品に価格差ができてきて、安いから買おうという人もあるだろうということでお願いをしてきておるのですが、実は私、末端の小売り屋さんを見て歩きますと、なかなかそうなっていないというのが実情でございます。おたくの場合には清酒のウエートが少のうございますから、その点いかがかと思いますけれども、そういう清酒の場合の末端価格の姿はどういうふうなお扱いをしていらっしゃるかをちょっと伺いたいのでありますが……。
#111
○東海林参考人 末端の一般の消費者の方々にどのようなサービス方法で、それが価格の面で作用しておるかという御質問だろうと思います。御承知のとおり、私どもの取り扱い商品というものは割れものでございます。特に消費者の方がそうした割れもの、まして一升びんの場合、数量としてもたいへん重たいわけでございますので、そういうものをお持ち帰りいただくということでは、空びんによる操作によるサービスとでも申しますか、具体的に申しますと、昨今空びんが非常に安くなっております。しかし私どもでは、せっかくお持ちをくださる消費者の方でございますので、その空びんを十円でお引き取りを申し上げる。それがやはり価格面のサービスだろうと思います。ただ、私は単に消費者の方々に対して価格の面だけのサービスを考えて商売をやらさせていただいておるわけではございません。その他もろもろのサービス等を考慮に入れて、どうやら生計を立てさせていただいておるというのが実情でございます。
#112
○堀委員 次に、ビールの問題でありますが、たいへん失礼なことを伺うようでありますが、東海林さんのところは、実際に働いていらっしゃる従業員といいますか――ビールは御承知のようにかなり重うございますから、これの運搬は小売り業の皆さんにとっても非常にたいへんだと思うのでありますが、何人くらいでやっていらっしゃるのでしょうか。
#113
○東海林参考人 私の商売は私と妻と二人だけでございますので、したがって配達その他の機能はすべて私一人でやらさせていただいております。
#114
○堀委員 私は大体こういう経済問題を長くやっておりまして、何といいますか、少しドライなほうなんでして、これは何も酒類だけではございませんけれども、サービスには対価があるというのが実は私の持論なんでございます。サービスには対価があるということは、最近ようやく人件費が高くなってきましたから、そば屋さんでも出前をとれば出前料を取るぞ、これは当然のことなので、たとえば百円のそばを、店へ行って食べても百円で、運んでもらっても百円だというのだったら、私は店に行った者はばかにされておるじゃないかという気持ちなんです。要するに、それではそれだけ引けと、逆に、配達賃を取らないのなら配達しないものは引けというのが私の発想の土台なんです。最近はアパートその他マンションといいますか、鉄筋の建物がたくさんできてきて、皆さん、ビールをそういうところではまさか二本、三本買いませんから、やはり最低半ダースとか少しはまとめて買われるのでしょうが、運搬といいますか配達をなさるのがなかなかたいへんだと思うのですが、東海林さんのところでは何かそういう場合の配達料を取っていらっしゃるか、これが一点でございます。
 それから、この前も小売酒販のアンケートを拝見したときに、お店で売る現金売り、ツケ売り、配達、いろいろあるわけですが、大体配達というのはツケ売りになっておる。そうすると、さっきも卸の方のお話で、ビールの場合に金融サイトが一カ月延びると、それはビール一本当たり一円くらいにつくのだ、こういうお話もあったわけですが、掛け売りにすればそれだけの金融経費をお売りになるほうで持たなければならないわけですね。ですから、現金売りというのは配送の部分もないし、それからいまの金融費用もない。片方のツケ買いというほうは、多少量は多くなるかもしれないけれども、要するに私のいう配送料を負担し、金融費用も負担させられている。この二つの間には私は格段の差があってしかるべきじゃないかと思うのです。いま東海林さんは、価格の面だけのサービスではないとおっしゃっていますけれども、そういうサービスが対価としてあらわれるようなふうにやっていらっしゃるのか、それは過去の慣習のようにその対価として見ないという形のサービスになっておるのか。その点はどんなふうにやっておいででございましょうか。
#115
○東海林参考人 堀先生のおっしゃること、私たいへん御説ごもっともだと思うのです。当然そういう姿勢はこれからの私どもも考慮に入れなければなりませんし、また私どもだけが考えましても、なかなか消費者の方々が御納得いただけないというのが実情でございます。たいへん苦しいところでございますが、しかし実際の取引として、一本、二本をお買い上げをいただく方は店頭で処理ができる。しかしいまおっしゃるように、五本、六本とまとまりますと、当然サービスの一端として配達ということもやらせていただいております。これは現金売りの方でも掛け売りの方でも同じことになるわけでございますが、それの格差というものは現在のところ私のところではつけておりません。ただ、聞き及ぶところによりますと、中央会という立場で、今後はそういう点の格差をつけるべきだという考え方が最近出てきたようにお伺いをいたしておりますので、これはある意味の組合機関の決定を待ってみたいと思います。
#116
○堀委員 そこで今度はちょっと中央会のほうに、会長さんにお伺いしたいのでありますが、実は昨日の朝日新聞に「流通革命で五百円清酒 八王子の小売店」という記事が実は出ておるわけであります。これをずっと拝見しておりますと、なるほどやりようによってこういうことも可能なんだなと、こういうふうに私どもも感じておるわけでありますけれども、おそらく藤さんもこれをお読みになったことだと思いますが、これについての御感想はどんなものでございましょうか。
#117
○藤参考人 お答えを申し上げます。
 昨日――その前日に私どもその地区の支部長からお伺いをしたところによりますと、何かはがきで全部の消費者に、一本五百円で市場六百何円の清酒であるのだ、そういうようなことがはがきで配達されました。そして何ら遜色がないし、それから配達の場合は五本以上はまとめてもらって、そしてそれを配達するのだ、そういうようなはがきが出たということを知ったわけでございます。その後、いま堀先生がおっしゃられたように日刊紙に出たわけでございますが、私ども内容は、こまかく検討しておりませんし、また最近起きたばかりでございますので存じませんけれども、聞くところによりますと――きょう聞いたのですが、何か埼玉県の親戚関係か何かであるというようなことでございます。この前も世間をだいぶにぎやかにいたしました酒は、これは生協関係で出されたのでございますが、これは四百七十円で出されました。そして販売された。その後、今度出たのは五百円でございますけれども、その地元の人たちの――私どもの組合員の役員に聞いてみますと、消費構造が非常に高くなってきて、二級酒というものがそういうように出てもたいしたことはないんじゃないか、そういうことだけお伺いしております。
 以上でございます。
#118
○堀委員 いままだ、この話が始まったところでございますから、中央会としてのお考えも必ずしも方針その他がきまっていないと思うのですが、お伺いをしたいのは、今後いろいろな意味で、消費者が何とか少し安い酒類を購入できないのだろうかということが、私はかなり全般的に広がってくる傾向にあると思います。そういうときに組合のほうでは、こういうふうなことが行なわれても、そういうことはやめておいたほうがいいとか、何らかそれを抑制されるようなお考えは当面ないのかどうか。もちろん周辺の小売り業者の方はたいへん影響をお受けになると思いますが……。ちょっと新聞に出ておるところを見ましても、必ずしも一般の扱いではない、少しパターンの違う販売の形のようでもありますから、御近所の小売り屋さんが直接影響を受けられることではないと思いますけれども、組合の立場では、これはしばらく静観をされるということか、何かあまり秩序を乱さないようにしてほしいということをなさるのか、どちらでございましょうか。
#119
○藤参考人 組合といたしまして、私ども中央会としましては絶えず価格の一たとえば二級酒の例をとりますと、四段階あるいは三段階ぐらいの価格を店頭に表示して消費者に選択をしてもらう、そういうようなことを私どもの県の連合会長、あるいはまた理事会等で私からも強く要請をいたしてございます。したがって、私ども東京の場合におきましても、この前たしか財政部会にも提出をいたしましたけれども、そういうような写真も提出してございます。われわれは今後もそういう方針で進んでまいりたい、こういうように考えております。
#120
○堀委員 そのことはちょっと私の伺ったことにそのままお答えをいただいてないのですが、いまのお答えは、こういう五百円の酒が出ても組合としては静観をするという意味でございましょうか。
#121
○藤参考人 特に秩序を乱すとか、そのことによって生産者あるいは私ども仕入れるところの卸業者が非常に大きな迷惑をこうむるということでない以上は、私どももやむを得ないんじゃないか、こういうように考えております。
#122
○堀委員 そこで、これは群馬県の岡田さんにお伺いをいたします。
 酒類のいろいろな問題というのは、都会と地方ではかなり差があると思います。特にビールの最近の実情でございますけれども、今度ビールが値上げになりました一つの理由には、小売り屋さんなり卸なりからマージンを増加してもらいたいという要求が非常に強くて、それを受けてビールの値上げが行なわれた。もちろん、私はそれだけだと思っておりません。メーカーの側にも十分事情のあるメーカーがあったわけでありますから、そういうふうなすべてを流通段階に転嫁をする問題ではないと思いますけれども、小売り屋さんの場合に、いまのビールのマージンというのは、私、たくさん扱っていらっしゃるところと少ないところで当然違いがあるだろうと思うのですが、群馬県の場合には、ビールの小売りマージンというものはどのくらいであれば、十分とはいきませんけれども、まあまあということになるのか。その点をちょっと伺いたいと思います。
#123
○岡田参考人 お答えいたします。
 ビールの値上げにつきまして、ただいま堀さんのほうから御質問がありましたように、小売り業者あるいは卸売り業者からの突き上げによってということがお話に出ましたのですが、われわれのほうはいろいろとマージン関係を検討しまして、ビール値上げというよりも、小売り業者としてどうしても五円七十八銭は上げてもらわなくてはならない。それに要する資料は各方面にすでにお配りしてあるわけでございます。それで、先ほど東海林参考人からもお話がありましたように、最近の売上げにビールの占めるパーセントが非常に多くなっておる。過去、ビールが出始めたころは、ビールそのものをそれほどの利益の対象にしてなかった。というのは、非常にわずかしか酒屋の売り上げの中のパーセントを占めてなかった。しかしながら最近におきますと、先ほどのお話しのように非常にビールの扱い量のパーセントがふえておりますので、どうしてもこれを利益の重要な対象にしなければならないということで、われわれといたしましては五円七十八銭を要求した次第でございますが……。これで御返事になりましょうか。
#124
○堀委員 実は私もいまの五円七十八銭というのは資料としてちょうだいしているのですけれども、これは全体としての一つの平均値として出ているわけですね。こういうものは全体ですから、ビールを非常にたくさん扱う方――わりにビールの少ない方では、ビールだけで原価計算するなんということは、私は率直に申し上げまして事実上むずかしいのではないかと思うのです。そうしますと、どちらかというとビールに非常に比重のかかった方はマージンをふやしてもらわなければとてもかなわないという問題がありましょうし、ビールの比重の少ない方はほかでもやっていけるわけですから、率直にいえば四円でも何とかいけるんだという問題があるのではないか。これは全国の平均値を小売酒販の組合でお出しになった数だ。そこで、私は群馬県ということで伺ったのは、やや地方的な地域でございますから――私もよくわかりませんが、都会よりはビールの消費の態様が少し低いのではないだろうか。そうしますと、そういう地域におけるビールのマージンというのは、何円ということはむずかしいかもわかりませんが、少なくともこういう平均値より少し低いのか。あるいは逆に東京ならもっと高くなければいけないのではないか。あとで東海林さんにあとのほうは伺うつもりでちょっと伺っているわけですが、五円七十八銭というお答えをいただいたのではせっかくここへお越しをいただいた値打ちがないと私は思うのですね。これはもうすでに私も承知しておるものですから……。いかがでございましょうか。そういう意味で群馬県の一般的な――これはビールをたくさん扱っていらっしゃる方もあるし、少ない方もありますから、もし何でございましたら岡田参考人御自身のお店のことでもけっこうでございますが、いかがでございましょうか。
#125
○岡田参考人 ただいまお話がございましたが、私どもの店といたしましては、群馬県としても私どもは県都前橋でございますので、もちろん東京ほどではございませんが、やはり消費の大きい町でございます。そことまた郡部におけるいなかとも、多少ビールの扱いのパーセントは違うとは思いますが、郡部におきましてもビールの消費がここ一、二年特に伸びているということが計数的にもあらわれておりますので、もちろん東京よりは低いかもしれませんが、そう大きな差はないと存じております。
#126
○堀委員 今度は東海林さんに、いまの五円七十八銭なんですが、あなたのところみたいに八〇%近くビールを扱っていらっしゃったら、五円では少しきびしいのではないかな、こう思うのですが、その点はいかがでございますか。
#127
○東海林参考人 もう堀先生も詳しく御承知のとおり、私どもいままでの、値上げ前の利益率が、ビールの場合一〇・九%でございました。今度ようやく値上げをさせていただいて一二%でございます。したがって、私のところのおよそ八〇%の酒類取り扱いの中におけるビールの割合、それから全体的な数字の中における酒類と食料品とを分けた酒類の九〇%ということになりますと、私の感触でございますが、あと五分程度はほしいような気がいたします。
#128
○堀委員 私は、いまこういう商品が実は非常に弾力性が少ないのですから、小売り屋さんのいろいろなパターンによって、おっしゃるような姿がいろいろ出ているだろうと思うのですね。そういう資料は残念ながら実はありません。今後はひとつ何とかそういう流通関係の整備された資料がほしいなと私は実は思っておるわけでありますけれども。
 そこでこの問題は、いまの東海林さんのように一般的な消費者を対象としておられるところでは、まさにこのマージンでは私もたいへんだろう、こういう感じがいたします。ところが、片や大量にホテルその他に出していらっしゃるところがある。そういう小売り業の方の場合には、私どもから拝見すると、ずいぶん目に余るというと大げさですけれども、大きな値引きをして出していらっしゃる。これが私ども非常に実はひっかかるわけなんですね。午前中もちょっと卸の方に申し上げましたけれども、たいへん大量のリベートを出しておいて、そうして出てきたマージン率が実は低いから値上げをしろと、こうおっしゃる。値上げをさせられるのは、消費者、国民一般のほうだけが値上げになって、実は、そういうところはもちろん値上げにはなるでしょうけれども、リべートが大きいものですから、実質的には値上げだったか何だったかわからないようなことで問題が進むというようなことは、私ども国民感情としてはまことにどうも納得ができない、こういう感じを強く持っておるわけであります。
 そこで、ひとつ愛知県の武儀山さんですか、おそらく、会長をしていらっしゃいますから名古屋だろうと思いますから、いま私が申し上げたような、大口のそういう取引のある小売り商の方もいらっしゃるのじゃないかと思いますけれども、こういう小売り商の方といまの東海林さんのような純消費者向けの小売りの方といろいろありまして、私どもも非常にその点では、小売りマージンという問題がむずかしい問題だと実は思っておるのですが、もう少し片一方のほうの抑制はできないのか。そういう大口の問題の抑制はできないのか、この点はいかがでございましょうか。
#129
○武儀山参考人 お答えいたします。
 ただいまビールの大口販売の問題、価格の問題でございますが、私もこうした連合会長というような職名を持っておりますが、実際は私ども、業務用というものはあまり販売を実はいたしておりません。が、しかし、いろいろ業界で問題になっております。私が申し上げなくても、堀先生は酒のことについては十分御研究いただいておりますので、実はそうした大きな量販店でございます、そういう方面に対しましての値引きもよく御存じだと思います。実際はいますべてこの量販――私どもは実はそういう業務用は大体扱っておりませんけれども、会社の寮であるとか、あるいはまたそうした方面のいろいろな施設なんかに対しましてぼつぼつ販売もいたしておりますが、とにかく量がまとまりますれば、一般家庭といわず業務用といわず、そういうように若干、消費者の皆さんにこたえるように実はいたしておるわけでございます。先ほどもいろいろここで問題が出ております一般家庭の問題でございますが、この問題につきましても、先ほどもちょっと東海林君からも話が出ましたのですが、まず私どもの販売がほとんど外商でございますので、店でお買いになるお方は非常に少のうございます。やはり数字がまとまりますと配達をするというような体制を実はとっておりまして、そういう面なんかにつきましてできるだけのサービスをするように現在いたしておるわけでございますが、今後の問題といたしましてこういう問題を十分研究していきたい、かように思っておりますので……。お答えといたします。
#130
○堀委員 藤さんにお伺いをいたします。
 いま武儀山さんもおっしゃったように、日本では長い間、酒類販売というのが、もう重量が重いものですから配達原則、ツケ売りが原則というようなことでずっときておるわけですけれども、今日、流通革命といわれるように、非常に物価問題が大きな問題になっております今日、だんだんと私は、やはり消費者の側としては何とか安くて手に入るようにならないのかという要求、これはだんだん強くなると思いますね。
 その際、私はかねての持論で、いまおっしゃったようにだれが買っても、昔から一ダースなら安くなるという原理があるわけですから、それが料飲店であろうと一般消費者であろうと、一箱買えば幾らです、二箱だったら幾らですというような明らかな価格――これは値引きとかなんとかでなしの価格――というものが一般に行なわれるようになりますと、だんだんマイカーがふえてきております今日――ちょっとお店の前に車がとめられないようなところは困るかもしれませんが、だんだんと消費者が、どうせビールみたいなものは一本買いなんというのはかえって不便なものですから、車さえあればぱっと行って、一箱ください。そうすると、現金買いで買いに来ていただいて一箱なら、それじゃ幾らにしましょう。もしこういうことになってくれば、私は今後、非常に労務対策、その他人件費が高くなってきて、おまけにおそらく若い人はあんなものえっちらおっちらかついで歩くことを喜ぶわけでもありませんし――まだ小売り業の皆さん方の場合は従業員構成比が三・七人、家族従業員が三・何でありますか、従業員構成があまり大きくないからあれでしょうが、人件費の問題等から見ますと、だんだんとできるだけ買いに来てもらえる体制に少し切りかえていくというのが、私は今後の小売り業の非常に重要な課題になってくるんじゃないか、こんなふうに思うのです。中央会では何かこれに対しての対策といいますか、いまちょっと私が申し上げたように、何らかの区別ができて――持っていらっしゃるほうのサービスの部分にいま私は直接触れる気はありませんが、店に買いに来られたらビール一箱は現金買いの場合は幾らですというような明示ができるようになりますと――それか一箱の場合で、三箱になったらここがちょっと安くなるというような、何らかの表示がされるようになれば、かなりの方が、自分の車を持っている人が多くなりましたから、おとうさんちょっと行って買ってきてよということで、さあっと買いに行ってこれるような時代になってくるんじゃないかと思うのですが、中央会での対策をひとつ伺いたいと思います。
#131
○藤参考人 実は、ビールの店頭売りと、配達とかそういうようなものの価格の差を設けろ、こういうような御要望でございまして、私ども中央会でもしばしばそういうことが話題にはのぼっておるわけでございますが、実際問題として私ども、総理府統計で示しております一般の生活の内容というようなものと比べまして、二〇%いただかないとなかなか一般の給与水準にも達しない業者、千八百万円――これは年間の売り上げでございますけれども――以下のものが七〇%というようなのが小売りの実態でございます。そういうことで、私どもの中央会が、店頭に買いに来るものに対してはどのぐらい引いて売れ、こういうようなことを文書なりあるいは理事会等で指導するということはなかなか困難でございます。しかも、地域、地方、環境の相違によっていろいろ違ってまいりますと、月にせいぜいビールが十二、三箱しか出ない、そういうようなお店が非常に多い関係もございまして、中央会で一律に、店頭買いに来るものにはこういうふうに引いてやるべきじゃないかというようなことを指令することはできないわけでございますけれども、実際問題として、たとえば一般消費者の方でも、宴会をやるとかなんとか、まとまってお買いになるようなものは、それぞれのお店で勉強をして、ビールで引かなくとも、キャラメルをあげておるとか、あるいはグリーンチップというようなのがございますけれども、そういうようなものも差し上げておるわけでございます。われわれは、なるたけ消費者に対しましてもサービスをするということがわれわれの任務でもございますので、そういうことはその地域によって非常に盛んに行なわれておる、そういうように考えております。
#132
○堀委員 私は、いまのお話で、どうもやはり依然としてそのお考え方が――ちょっと私はドライに過ぎるかもしれませんけれども、経済合理性という面でやはり私は時代は動きつつあると思うのです。キャラメルをもらうよりは、そこでキャッシュで引くことが今後の国民のニードにこたえることになってくるのじゃないだろうか。実はこの前ビールの値上げが出ましたときにダイエーの中内さんが、スーパーに出させてもらったらこれまでの価格で売りますということを実は言っておられるわけですね。私は今日、ですから国税庁に対しては、ともかくスーパーでも生協でも少し免許を出して、要するに買いに来る人には――スーパーがあるところは大都会でございますから、そうやって買いに来るところでは、それはそれだけの流通マージンなしに売れるのだという実証をやらせるべきだと、いま強く言っているわけなんです。私は何もそれをスーパーにやらせなければならぬと実は思ってないのです。小売り屋の皆さんがもしそれをそういう形でやっていただければ、私は何もスーパーや生協にこのビールの免許を拡大したりする必要はないと思うのですが、残念ながらどうも小売り業の皆さんがそういう国民のいまのニードにこたえていただけないとなると、片方でやりますというものがあるならそれにやらせるべきではないか。しかし、それによってその地域のいろいろな問題を撹乱しようと思っているわけではありません。要するに、いまのように長い伝統で、ビールを運んでツケ売りで買うという一つのシステムの中の価格体系と、要するに車を持っていってそこで現金買いをして一箱、二箱積んで帰るものとは、当然流通マージンの間に差があるのはあたりまえなんですから、その差をひとつ国民に還元する方法がないのかというのがいまの私たちの願いなんですね。それを一部のスーパーや生協にやらせたのではあまり意味がないから、何とか――いま藤さんのおっしゃるように、それはいなかの一月に十箱や十五箱売る方にそういうことを求めておるわけでないことはおわかりだと思うのです。都会におけるそういう消費の大きい場所で、いまやマイカーの時代になってきておるわけですから、そういうスーパーや生協でなくても、小売りでもそれができるということになれば私はそのほうがより望ましい。しかし小売りの皆さんがどうしてもおやりになれないというのなら、私どもはどうしてもスーパーや生協にやらせろということにならざるを得ない。ここにいまのビールの流通上の一つの問題点があると思うのです。この点について武儀山さん、いかがでございましょうか。
#133
○武儀山参考人 ただいま堀先生のお話、私、もっともだと思います。実はいまここに藤会長もおられますけれども、この間うちのビールの値上げ問題につきまして、たいへん新聞紙上がにぎわっておりまして、私ども非常にこの問題については痛切に感じておるわけでございます。今後の私どもの営業政策といたしまして、一般の消費者の皆さんから愛される酒販店でなければならない、こういうように実は確信を持っておりまして、今後中央会の指導方針もかなり変わってくると思っております。いま堀先生がおっしゃることはもっともだと思います。その面についてわれわれもとくと勉強いたしたい、かように思っております。
#134
○堀委員 最後に、これはビールでなくて、さっきの清酒の問題にもう一回戻らせていただくのでありますけれども、岡田さんにちょっとお伺いをしたいのです。
 清酒は御承知のように灘なり伏見のものがブランドを持って、ずいぶん広がって各地に出ておるわけですが、いま灘、伏見の酒と申しましても自製酒は幾らもありません。これはほとんどおけ買いの酒ですから、国民は実はブランドを飲んでいるわけであって、酒を飲んでいるわけではないと思うのであります。群馬県のような場合には、やはり群馬県内にもメーカーの方がいらっしゃると思うのです。案外そういう地域の中に私はいいお酒をつくっておられる方があるんじゃないかと思うのです。そういうほんとうにいいお酒をつくっておられる方も、いまや時代がマスコミの時代、ブランドの時代ですから、もう大衆の側としては、酒の中身の味で買うのではなくてブランドで買うということになっていますが、皆さんのほうで、群馬県の小売り酒販なら小売り酒販で、第三者のいろいろな各界の方を集めて、きき酒の会といいますか、そんなものをやられて、そして群馬県におけるお酒は、こういうお酒はなかなかいい酒だというような一つの方法、同時に、しかしそれはいいけれども安いのだ――いいから高いのじゃこれはちっとも問題にならないのでして、いいけれども安い酒があるという一つの消費者に対するサービスですね。私は、実は消費者は選択能力が十分ないと思うのです。もういまやそういう時代になって、ブランドのあるものならいいものだ、こうなっております。それは確かに格差があるかもしれません。実質的にあるかもしれませんが、どうもわれわれが聞いている話では、しかし地方にもいいお酒がある。しかし、そういう銘柄が弱いために安く売られているものがあると思うのですね。そこらについての対策は、今後何かひとつ群馬県の小売り酒販で――これは群馬県だけじゃありません、全国的な問題ですけれども、お考えになるようなことはないかどうか。これを承って私の質問を終わりたいと思います。
#135
○岡田参考人 ただいまの御質問は、群馬県の県産酒を、おいしくて、消費者にサービスなのだから、もっとたくさん売るような方法を研究したらどうかという御質問でしょうか。――その点につきましては、群馬県は群馬灘――これは群馬県の人間が言ったら自称ということでございましょうが、群馬県産酒は灘に対抗するほど非常に質がいいのだということで、いまから十日ぐらい前ですか、酒造組合の二階を借りましてきき酒会をやりまして、いろいろ検討したのです。ただいまおけ買いというお話も出ましたが、多分に群馬県からもおけ買いで灘、伏見の方面にもいっているという話も聞いておりますが、いずれにしても、われわれ群馬県内の小売り組合員は、遠くの親戚よりも近くの他人、向こう三軒両隣というような意味で、県産酒をもっと力を入れて売ろうじゃないか。これはまたそのはね返りが地元の税務署に返ることも計算にありますので、そういった意味で県産酒愛用運動――これは群馬県ばかりでなく、ほかの地区でもやっているのではなかろうかと思っておりますが、われわれも非常に力を入れてやっておるのですが、やはりお話しのように銘柄というものが非常に強いということは否定することはできない次第です。――以上でよろしいですか。
#136
○堀委員 私が申し上げるのは、品質に比して値段の安いものがあるはずですね。要するに需要の側とすれば、同じものなら安いものがあればそれを買いたいのですが、わからないわけですね。わからないとブランドで買う以外に手がないから、それをひとつ皆さん小売り酒販の方が地域的に――全部がいいなんていえばだれも信用しませんからね。この酒は群馬県では灘、伏見に匹敵するだけの値打ちがありますが、これだけ安いのですよ、こうなればその地域の方は、同じことならば安いのを買おうじゃないか、こうなると思うのです。考え方をちょっと申し上げたわけですが、どうかそういう意味で、消費者が求めている、よりよきものをより安くということに、ひとつ小売り業の皆さんも徹底していただきたいということを要望いたしまして、私の質問は終わります。
#137
○山下(元)委員長代理 奥田敬和君。
#138
○奥田委員 堀委員の質問に関連すると思いますけれども、また要点の細部に至っては多少ニュアンスが違うと思いますが、お答えいただきたいと思います。
 午前中は問屋さんに、主として流通の面の改善と申しますか、問題点について意見を聞いたわけですけれども、いまほどお伺いいたしておりますと、先般のビール値上げによって小売りマージンが十八円二十銭ということで、皆さんの側からいわれますと、最近の人件費の高騰等で決してこれは楽ではないのだ。先ほど中央会の会長さんのお話によりますと、まだ、二〇%くらいが一番いいくらいな値段だというように私は受け取りました。あとまた五%ぐらいアップしていただくと、ちょうどわれわれの適正マージンだと思うというような御意見もあったわけですけれども、このマージンの高い低いはさておきまして、ひとつ小売りの皆さんの御意見と国税側の御意見をお伺いいたしたいわけです。
 いまほども堀委員が触れられておりましたけれども、お酒ですね、確かにブランドの高い銘柄といいますか、ああいう灘あるいは伏見、秋田、広島という酒どころの、そういうブランドの高い銘柄は別といたしまして、やはり地方でできるお酒は、比較的品質がよくてもおけ売りするとか、いろいろな形のケースがあると思うわけです。しかし、大体に店頭に出ておる店頭価格ということになりますと、そういうブランドの高い品物も、比較的一般に知られていない銘柄の品物も、大体同一の価格で出ておるように思います、多少の差はありましても。やはりこういう商業の原則からいいまして、必ずその裏に、ある程度ブランドの低い銘柄品は相当な値引き、あるいは相当な、リベート、ということばが適当かどうかは別として、そういう形で入っておるのじゃないかということを推測するわけです。それはなぜかといいますと、今日、小売りの皆さんの非常にマージンの高いものは別として、サービスが非常に要求されております。したがって、何とか末端価格にこの値段の差があってもしかるべきである。最近の品質の面に対する消費者の動向、また嗜好の面においてたいへん多様化しております。したがって、価格差がないという形は、価格差が僅少であるということは、端的に申すならばマル公時代と申しますか、統制時代のそういう慣習が依状として残っておる。そういう形の中から、できるだけ末端消費者に反映していただくように、内部のこういう問題は別として、ブランドの高い売れ行きのいいものと売れ行きの悪いものについては、ある程度の価格差を表示して消費者に還元していただきたい、こういうぐあいに思うわけですけれども、まず最初に、武儀山さんはおもに家庭販売をやっておられるようですから、それではこの問題については武儀山さんの御意見をお聞きして、そして国税庁側の意見を承りたいと思います。
#139
○武儀山参考人 ただいま酒の価格構成の問題についての御質問のようでございます。
 私どもは末端の小売りでございまして、価格がきまってまいりましたものを販売する、こういう立場におります。そこで、いま全国的な有名銘柄と地方の銘柄の価格の問題でございますが、実際は、いま私どもがこうして一般の家庭の皆さまに販売をさしていただいておりますが、最近は非常に銘柄の指定が多くなってまいりました。やはり価格だけの問題じゃなくて、銘柄の指定が非常に多くなってまいりました。大都市では特にそういう傾向がふえてきて、実際は、いま先生のおっしゃるように、同じ、地方でできたいいものがあるだろうとおっしゃいますが、確かにそのとおりだろうと思います。いいものはございますが、しかし私どもの説明だけではなかなか消費者の方々に納得をしていただけません。したがいまして、それにつきましてはいまのお話のリベートも多少ございますが、きょうびの消費者の皆さんはそうした銘柄の通ったものを要求されますので、なかなか先生がおっしゃるようなぐあいにはまいりませんので、今後といたしましても、われわれもそうした問題につきましてよく研究いたしまして、消費者の皆さまに納得のいくような説明もしてみたい、かように考えておりますわけでございます。
#140
○下條説明員 お答えいたします。
 ただいま先生のお尋ねにありました価格の形成の問題でございますが、メーカーのほうが相当なリベートを出すというような形で実際行なわれるということがありますと、これはむしろ、メーカーのほうがその値段を下げるということをするのが先ではないか。当然リベートというものも商慣習上ございますけれども、それが不当に巨額なものになるという場合には、むしろ値段を下げるようにというふうに指導しております。それからまた小売りのほうの問題といたしましては、そういう問題が起こります場合には、むしろ消費者のほうにサービスをしていくべきではないかという考え方で指導しておりまして、ただいまお話しありましたように、最近メーカーのほうはかなり製法に苦労いたしまして、いろいろなくふうをこらしておりますので、二級と申しましてもかなり良質のものが出ておりまして、銘柄をはずしますとなかなか競争力の強いものもございます。ただ、実際の市場におきましては、やはり銘柄がかなり一般的に販売の実情を左右するということになっておりますので、その価格の問題につきましては、自然にそういったものが反映するということになっておりまして、安い二級というものが実際に消費者の口に入るようになるということが一番好ましいわけでございますが、これもいろいろとその実情に即応して価格構成が出てまいりますので、その実態が必ずしも、先生のおっしゃいますように、価格の問題と質の問題とが一致しないということがあるわけでございます。極力そういう点でいいものが消費者のほうにいくように指導するということで心がけておるわけでございます。
#141
○奥田委員 ちょっと次長にもう一点引き続きお伺いいたしますけれども、最近やはり小売り屋さんにとってもたいへん問題になるのは、スーパーの対策だろうと思うわけです。自由化のたてまえをとっておるわけですから、もしもスーパーがこれを目玉商品として扱ったような場合、たとえば五百円あるいは五百円を割ったような形で――これは二級酒を例に引いたわけですけれども、そういう形になりますと、今日の小売り店は非常に脅威にさらされてくるわけですが、こういう形でいわばダンピングの自粛指導をしているのかどうか、それがまず一つと、一方また消費者の側の立場からいたしますと、ある程度不当競争でない範囲内ならば安く売ったっていい、ありがたいという形の間の非常に問題点があろうと思うわけです。結局は重いものですから、そう大量買いはできないにしても、目玉商品として非常に価値のある、こういう形のことがもし現実に行なわれていくという形ができますと、私はやはり大きな影響があると思います。と同時に、やはり今日十四万軒以上に及ぶこういう酒類の免許の小売りの皆さんにとっても、こういう形が将来起こり得る可能性が十分あるものなんだということを認識して、サービス面についてもいろいろ考えていただきたいと思うわけですけれども、この点につきまして次長の御意見と東海林さんの御意見をお伺いいたしたいと思います。
#142
○下條説明員 お答えいたします。
 小売り業者のほうでどういうように価格をサービスするかという問題でございますが、私のほうでとっております、この前の夏の清酒の値上げ後の価格のばらつき表みたいなものがございますが、それを見ますと、やはりかなり差がございます。高いものもあれば非常に安くサービスしておるというものもございまして、必ずしも一定な価格がきまっておるわけではございません。そういう意味でそれぞれの性格、土地柄あるいはその内容と申しましょうか、そういったものが反映して、ある程度の価格のばらつきがあるわけでございますが、これが、いまお話がございましたように、特に過当競争によりましてコスト割れになるというようなことがあります場合には、これがひいては酒税の保全、確保というものに影響いたしますので、私どもといたしましてはそういうことのないように指導してまいりたいと思っておりますが、適正なマージンの中で、またその品質が十分それにこたえられるような範囲のものであるという前提で、正当な競争が行なわれている場合に価格がそれぞれ変動してまいるということは好ましいことだと思っております。
#143
○東海林参考人 いま奥田先生から、スーパーに対し、あるいはまた同時に生活協同組合等も入ってくるだろうと思いますが、免許をおろして、そのことが過当競争を生む結果になったらばどうするかということだろうと思います。実は先ほど堀先生も、小売り業者が消費者にサービスをしないという前提であるなら、スーパー、生協に免許をおろすべきだ、こういう考え方を強く打ち出されたはずでございます。
 さて、そこでスーパーマーケットもどのくらいの利益をあげておるかということになりますと、一七・三%を食料品であげておられるわけなんです。そうしますと、今回のビール値上げに際して、私どもは流通マージン要りません、いままでどおりの価格で販売をいたします、したがって一〇・九%でよろしいということになりますと、当然そのはね返りが他の食料品にかぶさってくるのではないかという気がするわけです。そうしたときに酒類というものが目玉商品に扱われてしまうということは、私ども小売り業者にとってはまことにもって残念しごくなことでございまして、これに対抗するためにどうしていくんだということになりますれば、私は一小売り業者として、消費者の方々と強く常々人間関係を結びながら、これの対策を考慮に入れなければなりませんが、しかし価格が乱れるということは、当然その結果が小売り業者の倒産ということにもつながってまいります。すでに私から申し上げるまでもございませんが、小売り業者の倒産は卸に、そして卸は生産に、生産は当然国税である酒税に大きな負担をかけるということに相なろうと思いますので、できる限り私はそういうことのないように、一小売り業者として強く望んでおきたいと思う次第でございます。
#144
○奥田委員 東海林さんの御意見、十分理解することができますが、いまのところ幸いにお酒のほうの小売りの面におきましては、倒産件数というものは、私の聞くところではごく少ない、と申すよりも、私まだそういう正確なデータを持っていませんけれども、そういう形の中であることは事実です。と同時に、いま東海林さん言われましたように、従来の消費者との結びつきを大切にしていこう、人間関係を大切にしていこう、そしてそういう面のサービス面においてゆめゆめまけるようなことはないというような御趣旨に私は受け取りました。たいへんけっこうだと思います。
 ただ、ここで一つ考えていただきたいのですけれども、消費者という一人の立場の素朴な疑問というものは、先ほどやはり堀委員も触れられておったようなことにもつながってくると思うわけです。と申しますのは、店頭売りの価格と、配達は従来のお客さんに対するサービスだという形で、家庭配達の価格と、ほとんど差がないと思います。もう家庭配達はサービスなんだ。しかし素朴な立場で論議いたしますと、やはりわずかであるけれども、皆さんにとっては御不満であろうけれども、ビールにしてみれば一本十八円二十銭のマージンがあるんだ、店頭売りの場合。重くてもよっちらよっちら自宅まで持って帰る、そういう形の労働報酬に対してでも、またそうしてまで買っていただくお客さんに対してでも、やはりこれに対して多少なりとも値引きサービスする、あるいは配達に対しては一定マージンをいただくとかそういう形の方法というものはやはり研究すべき大事なことだと思うわけです。そういう点につきまして、まだ藤さん、そして岡田参考人の御意見を承っていないわけですけれども、お二人ともこれは業務用の関係の酒販がおもなようでございますけれども、この面について忌憚のない形での御意見を承りたいと思います。
#145
○藤参考人 奥田先生から消費者サービスはどうなんだ、こういうおことばでございます。率直に申し上げますけれども、私ども小売り業者はまあ、欧米諸国と違いまして御用聞きをして、配達をして、そして貸し売りをしておる。一般消費者の方は、どうもサービスが悪いのだ、こういうことを常々私ども承るのでございますけれども、他の商いで御用聞きをし、配達をし、それから貸し売りをして、しかも、例をひとつ申し上げますけれども、これは実際にいまたくさんある例でございますが、酒屋へ電話をかけまして、そしてビールを三本としょうゆ一本、それから隣の八百屋でキャベツを二つと、肉屋で何々を買って五階まで持ってきてくれ、そういうような例がたくさんございます。それでも私どもの業者は消費者サービスの第一線として、そういうことに甘んじながらお届けをしておるというのが実情なんでございます。しかし、私どもはサービス業でもございますし、またそれが当然でございますので、これもさっきも申し上げましたとおり、私どもの小売り業者がほんとうに喜ばれる、愛される酒屋になるのだ、こういうのが私ども中央会のモットーでございます。そういうので進んでまいっております。
 それから店頭売りと貸し売りに差を設けろ、さっき堀先生からも奥田先生からも御指摘がございましたけれども、これにつきましても私どもは、おっしゃるそのとおりだろうと存じております。これからも中央会はそういう点につきましていろいろひとつ検討さしていただきまして、そうして先生方の御期待に沿うように努力をしてまいりたい、こういうように考えております。
#146
○岡田参考人 ただいま業務用関係のお酒の取引についてのお話でございますが、業務用関係と一般の消費者の方との差は、片や料飲店の方は酒類――ビール、酒ですが、これは仕入れ商品とみなしている。またその量的におきましても、消費者の方が幾らたくさん買うといたしましても、やはり料飲店側の買う量とは、これはもちろん比較にならない、数が多いということが一つございまして、それとまた、料飲店の方は、ただいま申し上げましたように仕入れ商品でございますので、酒屋をてんびんにかけて競争さして安くさせようという、取引の一つの方法でございますが、そうしてでき得る限りたたこうというような行き方が見えますので、いわゆる業者同士の過当競争において、消費者の方よりも安く提供せざるを得ないようなところに追い込まれるというようなことが多々あるわけでございます。われわれの地方といたしましてはその上さらに、料飲店関係におきまして最近特に、東京でもそういう例がございますそうですけれども、地方でもそういうような様相を呈してきまして、一晩のうちに経営者がかわってしまって、しかもその経営者は取引の業者を二軒も三軒もいわゆる食って逃げるというようなことが多々ありまして、つい昨晩も、私は前橋でございますが、前橋市内で一番売っている上の三軒と私といろいろ話し合いまして、今後毎月情報の交換をやろう、情報の交換が十分に行なわれればまあそういった損害も受けずに済むということで、それと値段の点についても料飲店側に振り回されないように、ある程度酒屋の経営者という誇りを堅持していこうではないかという申し合わせをやっておりまして、その分を一般の消費者に向けようじゃないかという話し合いをきのうもしたわけでございまして、ただいま奥田先生から御指摘がありましたように、今後一そう消費者に対するサービスという面を考えていきたいと思っている次第です。
#147
○奥田委員 ついでに岡田参考人にもう一つ聞くわけですけれども、いま料飲店関係のお話が出ました。確かに、私たちも想像するわけですけれども、料飲店関係等においてはたいへん危険負担もあると思います。その御苦労もよくわかります。ところがやはりそういう料飲店に限ってなお強い形でのリベートといいますか、値引きを要求すると思うわけです。大体、これは岡田さんのところの御商売の関係の数字でけっこうですけれども、そういうところは一体どれくらいの値引きを要求するものですか。ちょっと参考のために教えていただきたいと思います。
#148
○岡田参考人 ただいまの値引きの件でございますが、もちろん取引の状況におきまして変わるわけでございますが、応量リベート、量の多いところと、それから支払いの条件、この二つで生じるわけでございますが、私どもは立場も立場でございますので、ビール、箱最高五十円、お酒では一升二十円、この線を堅持してあきないをしております。
 以上御報告いたします。
#149
○奥田委員 先ほど東海林参考人からも御意見を承りました。そして藤参考人からも御意見を承って、私は、小売りなりに非常に末端消費にサービスを心がけておられる、その熱意というものは伺うことができました。将来と申さずに、もうすでに皆さんのほうでは実施されていると思いますけれども、やはり酒商といえどもいままでと違ってやはり孤立した形の商売ではむずかしい時期がくると思います。先ほど参考人も申し述べられましたように、酒屋さんといえばやはり町の人に一番なじみのある御商売である。それだけにお隣の肉屋とかあるいは八百屋とかお菓子屋さん、まあ最近はやりのボランタリーと申しますか、そういう連鎖店形式というものもやはりこれからうんと活用していく時代ではなかろうかと思います。
 ただ最後に、これは御参考までに、私はちょっと調べてきたのですけれども、決してスーパーをおそれる必要はないのじゃないか。もし皆さんがほんとうの末端消費者に、いまのようなお心がけで勝負なされるならば、私は、決して皆さんの形にそう極端な危機感というものは感じません。と申しますのは、先般総理府が消費者に流通に関する世論調査をやりました。そのときに、結局お客さんが、そういう食料品関係ですけれども、選択をするおもな理由のほとんど七〇%に近い数字というのが、やはり近くて便利だ、もよりであるということと、つき合いがある、店の店員あるいは主人と顔なじみだから、そしてもう一つ、これはわずかな数字ですけれども、場合によっては配達してもらえる、こういう形がもうほとんど東京都区内、六大都市のそういう世論動向にもあらわれております。
 もう一つ参考までに申しますと、皆さんの場合はお酒ですけれども、品質とかそういうものにおいて、決してスーパーというものに対して消費者は絶対の信頼を置いてないということもわかります。そういう意味で、やはり皆さんにとってはスーパー対策もたいへんでしょうけれども、これからの消費動向その他について大いに研究なされて、一そうサービスを強化されて、そして消費者に愛されるという形のお酒の小売り商さんとして御発展なさいますように特にお祈りし、またお願いをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#150
○山下(元)委員長代理 広瀬秀吉君
#151
○広瀬(秀)委員 二十分ぐらいの時間でございますから、そう詳しいことをお聞きできないのでありますが、先ほどから問題になっております物価対策面からの、安い酒類をもう少し供給できないかということが問題になっておる。特にビールの値上げでだいぶこの委員会でもやってきたわけですが、主として流通段階に問題があったということで、麒麟を含めてついに実現をしたわけであります。そういうことで、物価問題からいっても、小売りのあり方、その流通のあり方というものが、あらためて消費者の立場からきわめて鋭い注目を浴びてきた、こういう現状でございます。
 そこで一方においては、製造者から直接消費者にという動きが非常に活発になってきている。東駒をはじめ、ことし初頭から七社か八社のメーカーが直売をするというような動きなども清酒の場合に出てきている、こういうことなんかもあるわけです。今度清酒が値上げをしまして、二級酒が大体六百四十円だというのを、四百五十円から五百円のところでやれる。こういうことになりますと、物価高で悩んでいる消費者大衆は、なぜそういうことを全般的にやらぬのだろうかという疑問を持ってくるのは、これは当然であります。そういう消費者側のニードというものが非常に強まってきている。
 さらに、物価庁といわれる経済企画庁におきましても、国税庁に対して、特に酒類価格はいまや自由価格なんだ、ところが自由価格はちっとも実現してない。まことに固定的、画一的な値段ではないか。国税庁から調べましても、上級酒は六百四十円で、これは全国ほとんど統一だという状況になっているし、一級酒の段階でわずか三十円くらいの、八百九十円ものと八百六十円のものができているというだけで、特級酒は千二百五十円でどんぴしゃり画一的な値段でやられている、こういう状態であるわけなのです。なぜ一体、自由価格でありながら、末端それぞれいろいろな事情が、これはそれぞれの小売りの規模の大きさや立地の状況やら、いろいろな問題点があるにもかかわらず、もう画一的な価格――自由競争、自由競争とはいうものの全く固定価格と変わらない、そういう状況にある。
 こういうものがどうして、サービスをするところとそうでないところとの間に自由価格というものが実現をしないのか。こういう点非常に疑問を持つわけなんですけれども、この点、中央会長いかがでございますか。どういうわけでございますか。自由価格とはいうものの、なぜそういう状態になっているのか。この点について基本的なお考え方を聞かしていただきたいと思います。
#152
○藤参考人 価格が硬直性で一本化になっておるんじゃないか、こういうおことばでございますけれども、先ほど私、堀先生にもお答えを申し上げましたとおり、私ども六大都市等におきましては、少なくとも特級の場合も一級の場合も二級の場合も、三通りくらいの価格差が当然あるべきなんで、そういうものを店頭のたなにはっきりと掲示すべきである、こういうことを私どもの中央会でもしばしば要請いたしてございますし、また大体そうなっておると私は考えております。ただ、これは非常に多い例なんでございますけれども、五百円の清酒とあるいは六百円あるいは五百四十円というような価格差がございましても、消費者が入ってきて、その一番いい酒をくれ、こういうような注文がそのほとんでございます。その一番安い酒をくれということが、おっしゃりにくいのかどういうのか存じませんけれども、非常に注文が少ない。そういうことで、たなに並べておきましても、御承知のとおり古くなると味が落ちてしまいますので、なかなかそういうようなものを仕入れないで、たまたま先生方が御調査等をなさったときに、定価は書いてあったけれどもそこに酒がなかったというような話も私はお伺いをいたしております。
 それから、たとえば生協だとか団地等でいろいろな値段、先ほども堀先生から新聞をもって御指摘がございました。国税庁でも私どもに対しましては、バラエティーに富んだ価格をやるべきじゃないかということをもう常々強く指導されておりますし、その点につきましては中央会もいつも会議でそういうことを言っております。ただ、さっきも出ました五百円の酒というようなものも、これはたとえは低濃度酒――一度下がってまいりますと税金が違う関係上、非常に低いわけでございます。しかも証紙には二級酒と書いてありまして、ちょっと見ても消費者の方はわからないので、この間出ましたのもあるいはそのようなものではないかと――私ども調査して飲んでもみませんし、あるいはアルコール度数とか質だとか、そういうものをはかっておりませんからわかりませんけれども、そういうのがしばしば出るというのが実情でございます。
#153
○広瀬(秀)委員 国税庁に伺いますが、東駒はじめメーカーから消費者に直売をしていくというような、安く売られるものについてアルコール含有の度数、いわゆる十何%含まれているかということで、一般の六百四十円という大体平準的なむしろ公定相場のような形のものよりは、度数において差があるという実証がつかめておりますか。
#154
○下條説明員 お答えいたします。差はないということでございます。
#155
○広瀬(秀)委員 差はないということでありますが、小売りの面について一そういう問題がだんだんメーカー段階においても、おけ売りをやるよりはそのくらい値を下げてもいいのだということで、三千数百あるメーカーのうちからどんどん踏み切ってくるものがあるかもしれないわけですね。これを国税庁といえども現行法制のもとで押しとどめることはできない。しかも大衆のニードにこたえるというような両面からの必要性というようなことで、むしろ、特に消費者大衆が安くていいものを飲みたいというニードにこたえるという流通のあり方からいけば、これはやはりそういうものが出てくる可能性もずいぶんあるだろう。私の出身の栃木県でもそういう問題がありまして、実は私がちょうど小売り業者の団体の皆さんにいろいろ話を聞いて、両者をあっせんしたような形でよく話し合いをさせた結果、それは食いとめたのでありますが、そういう方向というものは絶えずこれから出てくるだろう。
 こういうようなものに対して、先ほど東海林さんの、かりにそういうものが来てもそれに耐えられる小売りのあり方というようなものを何らかの形で、やはりサービスというものが向上しなければならぬわけでありますが、値引きという問題を含めて――値引きという明確なものでないにしても、配達の面を通じてとかあるいは空びんの引き取り問題とか、現ナマを引くということでなくても、そういう目に見えないサービスというようなもので、人間関係というようなものもお得意さんとの間にできる。そういうメリットはやはり小売り商独特のものだと思うのですね。だから、そういうような観点を含めるにしても、やはり何といってもこの値引き、特にリベートの関係において――先ほど卸の方からいろいろ聞きますと、卸から小売りということになりますとかなりリベートの額も高いというようなことも言われているのですね。そういうものが今度は小売りとお客さんとの間に、そういうリベートに類するよう丸形で、ある程度キャッシュでというようなものが――現在の消費者大衆が非常に合理的になっているし、ドライになっているしというようなことを考えれば、そこがやはり一番目に見えたものだというように考えられるわけですね。したがって、そういうような点について十分考えていただきたいわけでありますが、それはそれとしてあとでお気持ちをお聞かせいただきたいのです。
 空びんの問題、これにつきましては、私どもたんかでも一年ぐらいほっておいたら百本ぐらいの一升びんが――私自身はお酒のほうはだめなんですけれども、お客さんが多いものだからそういう空びんがたまって、置き場所に困ってしまうという状況がこのごろ出ているのですね。酒屋さんに言ってもなかなか引き取りには来てくれません。たまるばかりだという状況であるわけであります。これは六、七年前ですか、この委員会でやはり空びん回収の問題で相当激しい論議も行なわれたこともあるのでありますが、いまこの問題については一体どういう仕組みになっておるのですか。もうメーカーは売りっぱなし、そして小売りも売りっぱなし――まあ東海林さんのところは引き取っている、そして持ってきてくれた人には十円ずつ差し上げていますということなんですが、そういうことは全般的に行なわれておるのでありますか。この空びん回収の問題、空びんを幾らで引き取るかということについて、東海林さんと同じようなことが全国で行なわれているのか、いないのか。この点についての中央会の指導、それから末端における実際の姿、これは東海林さんのところの例は先ほど聞いたのですが、近間のところで、同じような酒屋さんがどういうように扱っておるか。こういうたてまえと実態とを両方お聞かせいただきたいと思うのです。
#156
○藤参考人 空びんの問題でございますが、実は空びんと申しましても、一升びんでありますとかあるいは洋酒の空びん、それからしょうゆの空びん、いろいろございます。この一升のほうのびんは、御承知のサリチル酸の問題等が出まして、メーカーがほとんど新びんを使っておる。そういうようなことから、一升びんを十本新しい箱へ入れまして、そして私どもはびん商に売るのが十本入れて二十円である。そういうような状況になりまして、しかもその取りにくるびん屋にたばこを与えたり、あるいはこちらできげんをとってトラックに積んでやるというような状況がございますので、お客さんの消費者からそれを引き取りましてもなかなか――これは地域によって違うのでございますけれども、その生産者がほんとうに近いところにあるとか、あるいは合成しょうちゅうの会社に近いという方はそうでもないらしいのですが、東京等におきましてはそういう状況で、びんを集めてきましても持っていってくれるところがないというような状況でございます。
 それからもう一つ、洋酒の雑ぴんと申しますか、こういうようなものも、私ども中央会も何とかひとつこれを引き取って、そしてそれをメーカーに返して、そのメーカーのところに入ったそのお金を社会福祉事業、たとえば身体障害者であるとかあるいは乳幼児の不具者だとか、そういうようなところへ寄付をする、そういうようなことに持っていこうじゃないかということを私どもの、理事会で決定いたしました。そして生産者の段階あるいは空びん商のほうにも申し入れて、これが着々進んでまいっております。
  〔山下(元)委員長代理退席、村上(信)委員長代理着席〕
そのびんをどうしても持っていかない、バーだとかキャバレーだとかあるいはホテル等では、一日に小さなトラック一ぱいも出てしまう。しかもそれを取っていかないというようなことで、それが公害になっておる。そういうのが実情でございます。私ども一般の消費者に対しましても、びんが台所にたくさんだまってあって、持っていかないで困るじゃないかというようなことでないように、それを引き取ったら、捨てるものを、自分のうちのごみためとか、あるいはその酒屋のうちでドラムかんを買いまして、それをこまかに砕いてくず屋さんに持っていっておるというようなことをいまいたしております。免許業者であるという襟度と誇りを私どもは持ちましてこれからも進んでまいりたい、こういうように考えております。
#157
○広瀬(秀)委員 私は、今日、公害問題、この国会も公害国会だといわれておるわけでありますが、百二、三十万キロリットルの酒が販売されている。これは最近ではほとんど一升びん詰め、より小さい四合びんだとか二合びんだなんというのもありますけれども、これは一升びんに数えて大体六億本とかいうようなことになるだろうと思うのですね。そういうようなことになりますとこの量だってたいへんなものだと思うのです。家庭にいたしましても、これから都市なんかで、2DKくらいの小さなところで置く場所もないというようなことになりますと、こういう面での回収を促進するということは、やはり酒類業界にとって一つの大きな問題だ。これが新しい産業廃棄物公害というような形にならないとも限らない。いまおっしゃったような実情は、かつて回収を促進して、十二円とかというようなことで一升びんを回収するという時代もあったわけですけれども、それがいまは、特定の東海林さんのような奇特な小売り業者は、持ってきてくれたものについては十円で引き取るというようなインセンティブをつけてやっているけれども、そうでない。もう売りっぱなし、どんどん家庭にたまる。捨てるに捨てられない。また割って始末するというわけにもいかぬ、危険なものですから。そういうようなことについて小売り業界――これはメーカーから卸から、みんなして考えなければならぬことだと思うのですが、そういう点について今後この回収の問題、これは公害との関係において業界としてどう考えるべきか、こういう点についてお考えはございませんか。
#158
○藤参考人 ただいま申し上げましたように、洋酒とかそういうようなものにつきましては、ただいま私どものほうとそれから生産者のほうと空びん商と、今後も大いに研究していこう、こういう考えでございます。それから一升びんにつきまして、東海林君がさっき申し上げましたように、それぞれ自分のうちから持っていったものにつきましてはお引き取りをしておる。それからビールにつきましては、空びんは私どもから卸に返し、卸から生産会社にスムーズに返っておるのが実情でございます。
#159
○広瀬(秀)委員 そういうシステムをきちんと、末端消費者まで来たびんは、こわれない限りにおいては、そのメーカーまでまた返っていくというような形で、適正な円滑な循環というものがなされるような方向にぜひ持っていっていただきたいと思うのですね。一升びんをつくるところはどんどんつくる、末端では要らなくなったものは捨てていけということでは、これは新たなる産業公害を生む結果にもなる、こういうようなことで、その点はひとつ十分御注意を喚起しておきたいと思うし、また回収についてのリベートを消費者に出すというようなシステムが、やはり製版三層の中で円滑にいけるように、国税庁とも相談をしながら十分考えていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それから最後に、時間がありませんからもう一つだけ伺いたいのですが、ビールなんかの場合に、特定の五百人、千人というような大きなパーティがあると、これをたまたま小売り業者が頼まれた。それでメーカーが近くにあるのでメーカーに直接頼んで、そこで供給してもらったというような場合に、眠り口銭というものが卸にそのまま入ってしまう、こういうようなシステムになっていると聞いているわけでありますが、そういった場合に、小売りのほうにその眠り口銭の相当な部分が還元され、あるいはまた末端消費者にそれが割り引き、値引きというような形でいくようになっているのかどうか。そういう卸の眠り口銭の問題について、小売りの立場においてどうお考えになり、またそういう場合にはどうしてもらいたいというような御意見がありましたら、最後にそれを伺って私の質問を終わりたいと思います。
#160
○藤参考人 先ほど来の空びんにつきましては、先生の御期待に沿うように私ども全力をあげて努力をしてまいります。
 それから、いま眠り口銭というおことばがございました。これにつきまして私どもの業界でとやかく言う問題ではございませんが、ただ特約店制度というものが非常に、封建制であるといわれるくらいに強くできておりまして、その特約店を通さなければわれわれには入らないという有名商品がたくさんございます。しかも、その有名商品を直に配達をして、そうして手形で銀行から落ちてしまう、そのことをさしておられるのだろうと存じますが、そういうものにつきましても、こういうような流通革命であるという時代には何とか逐次改めていくべきである、私はこういうふうに考えております。
#161
○広瀬(秀)委員 終わります。
#162
○村上(信)委員長代理 貝沼委員。
#163
○貝沼委員 私どもは先般、日本の物価問題というものが非常に重大な危機に来ている、こういう観点から全国の物価総点検をやったわけであります。そしてその大きな問題の一つは、やはり流通機構にある、こういう結論が出まして、その流通機構について現在いろいろと検討をしているわけでありますけれども、きょうの皆さんにこれからお伺いする点も、実はその流通機構をどう改善するか、どう合理化していくか、あるいは現在の業者をどうして守っていくかというふうな、いろいろの立場からの質問になるわけであります。
 そこで、私たちとしていろいろ感じているところもあるわけでありますが、端的に、きょうお越しいただいた四人の方々に対して――皆さんのいらっしゃる場所を見ましても、愛知であり、群馬であり、あるいは全国の小売であり、全国にわたると思いますので、現在の小売りとして一番困っている問題ですね、これを個条的にでもけっこうでありますから、四人の方々におのおのおっしゃっていただきたい。ここで皆さんがその意見を述べるということは、また今後の当委員会において議論する上においても非常に重要な発言になると思いますので、地域性も勘案しながらでもけっこうでございますから、発言をお願いいたします。
#164
○藤参考人 小売り販売業者で現在一番困っている問題があったら言えというありがたいおことばでございます。
 私どもの末端小売り販売業者といたしましては、労働関係というものが非常に逼迫してまいりまして、特に若年労働者というものは皆無に近く相なってまいっております。幸いにまだ今年度はございますのですが、来年あるいは再来年等においては、高賃金と、それから時間外労働、あるいは朝早く夜おそい、そういう関係ももちろんございますし、しかも重量物資の運搬ということで、ふくそうする道路交通、そういうようなものの関係上、非常に私どもの業界には来手がない。しかも大企業並みのような給料を払っておるというような店もたくさんあるのでございますけれども、なかなか来手がない。全国で十四万二千ございますけれども、そういうような点等につきまして非常に困っておるというのが実情でございます。
 それと、たとえばいまはやっておりますスーーパーというようなものが近所にできまして、そして目玉商品であるとか、あるいは極度に安い価格で販売されている、そういうようなことで、先ほど来、小売りの中で転廃業されたような者はないというようなことをちょっとおっしゃられましたけれども、私ども東京等におきましても、けっこうそういうような方が出てまいっておるというのが実情でございます。
 以上であります。
#165
○武儀山参考人 お答えいたします。
 いま私どもの藤中央会長が申し上げましたとおり、一番困っておりますのがやはり人手の問題でございまして、最近われわれの業界に対しましてことさら人手がないのでございます。配送関係その他いろいろな事情によりまして事業の継続が非常にむずかしくなってまいりまして、この問題等がいま一番頭痛の種になっておるわけでございます。そのほかにもまだいろいろ問題はございますけれども、これが一番私どもの頭痛の種でございます。それが一番困っておる問題でございます。
#166
○岡田参考人 ただいまは労務対策に対しましてのお話がありまして、われわれ地方の者といたしましては――都内も同じでございますが、交通の規制が非常にきびしくなって、大体、料飲店関係のまとまったところと申しますと、中央の交通の非常に激しいところが多いわけでございまして、その場合に、駐車違反という場所が非常に多いわけでございます。お酒の配達は、料飲店関係ですと一箱ということはなくて、箱数も多く、しかも三階、四階とあげる。その間やむを得ずそこに駐車しなくてはならない。それがときたま違反にひっかかるというようなことになりますると、一回の配達料金が駐車違反のために飛んでしまうというようなことが多々あるわけでございますが、それが一つございます。
 それから、最近におきまして、これは一般の景気の動向にも左右されておるかとは思いますが、いわゆる売り掛けの回収面、これが徐々におくれておる。月末払いが五日になり、五日が十日になり、十日が十五日になり、十五日がさらにおくれるというように、そういった売り掛け金の回収がだんだんだんだんにおくれておるということで、われわれのほうも、この面についてお得意先関係に組合として啓蒙運動を起こそうではないかというような話も出ておるくらいでございます。
 その点の二つでございますが、よろしくお願いいたします。
#167
○東海林参考人 それぞれ先輩の方が申し上げましたが、私が特に一番将来の問題として困ったと考えておりますのは後継者の問題でございます。現実に私どもの商売というものは、ごらんのとおり非常にきびしいものでございまして、とかくいまの世代の方々から申し上げますと、カッコのよくないスタイルで商売をやらせていただいております。したがって、そういうことに対して、自分の子供が将来自分の商売を後継していってくれるかどうかということを考えますと、まことに寒心にたえないところでございまして、これが一番の問題点でございます。
 それからもう一つあえてあげさせていただくなら、今日の重要な、諸先生方の質問の拠点でございますビールの問題、特に私ども、最近ビールの取り扱い量が非常にふえてまいりました。それに比してマージンがまだまだ少ないというのが現状でございますので、これらの点を何とかもう少し解決のきざしを見せていただければありがたいことだ、かように考えます。
#168
○貝沼委員 どうもありがとうございました。
 そこでビールの問題に入りますが、東海林さんにお伺いしたいのですが、ビールの場合には小売り正価希望額というのがございますね。この希望額というのがきめられている以上、小売りとしてはなるべくそれを守りたい、こういう気持ちがあると思うのです。その場合に、それを守らないと何らかの圧力的な、あるいはいろいろな条件というものが考えられるのかどうか。その辺をお聞かせ願いたいと思います。
#169
○東海林参考人 逆に、一つ先生に御質問申し上げたいのですが、その圧力というのはどういう形の意味のものですか、ひとつお願い申し上げたいと思います。
#170
○貝沼委員 説明が不足だったのですけれども、たとえば、その希望価格でなければあなたの店のほうに回す量はちょっと考えるとか、あるいは支払い期間を少し早くするとか、というふうな何かニュアンスがあると、これは小売りとしては非常に重大な問題になってくると思いますが、そういうような気配というものが実際あるのかないのか、この点をお願いいたします。
#171
○東海林参考人 一切ございません。
#172
○貝沼委員 そこで、それならば、現在各小売り店でたとえばビール一本百四十円と、もうほとんど一致しております。全国で一、二店違うところがあるかもしれませんけれども、大体一致しております。こういうことが差があっては小売りとしてまずいのかどうか。たとえば、よそよりもちょっとでも安ければ、これは買うほうとしては安いということで買うわけですけれども、ちょっとでも差を設けたらどういう不都合なことが起こるのか、その点をお願いいたします。
#173
○東海林参考人 いま、価格について百四十円のものを百三十八円で売るようなことがもし起きたらどうするか。私も学校を卒業以来今日まで商売をやらさせていただいておりますが、商人感情として、相手が値下げをしてくれば、それに対抗してまた一円でも値下げをしようということの感情というものは当然出てくると思うのです。そうしますと、たまたま百四十円のものを百三十八円で私の近隣の小売り業者がお売りになった、それが広く蔓延をしてまいりましたならば、私も何とかそれに対抗するために、ならば百三十八円でということになるかどうか。その時点では、よし、おれは百三十五円でやってやるぞということになりますと、最終的にはお互いに往復びんたのやり合いで、その結果は利益減による倒産ということに相なってこようと思うのです。したがって、私個人の考え方としては、でき得るならば百四十円の同一価格で現在売っておるという姿勢が好ましい、かように考えます。
#174
○貝沼委員 藤さんにお尋ねしたいわけですが、小売りでもって各メーカーのビールならビールを仕入れている、その場合に、そのメーカーによって売れ行きがいろいろ違うと思うのです。その場合に、売れ行きのいいものは資金の回転もどんどんできると思いますが、悪いほうについてはちょっとこれはむずかしくなってくる。そうすると、その辺について支払い期間の差というものが小売りにおいてあるのかないのか。その辺をお聞かせ願いたいと思います。
#175
○藤参考人 ビール産業が非常に寡占産業である、四社しかないから、その価格の格差がないじゃないかというような声を私どもは消費者からもしばしば聞くのでございますけれども、従来、タカラにしましても、サクラビール、カブトビール、たくさんございましたけれども、その品物が味が悪いとか品質が悪い、そういうので姿を消したのではなく、やはり日本のビール産業としては、そんなにたくさん競争することによってだんだん消えていくのではないか、合併していくのではないか、こういうふうに私どもは考えております。いまの御質問のように、あとから生まれた、非常に消費者に知名度が少なくても売り値段が同じである。しかもサイトとか、あるいはまたその会社がそのことによってうんと安く、そういうようなことはいまございません。
#176
○貝沼委員 わかりました。
 それから、国税庁の方にちょっとお伺いしたいのですが、国税庁の通達で卸と小売りの兼業は原則として認めていると思うのですが、局長の判断によって地域的には禁止しているところもあるわけでありますが、現在認めているところは大体どれくらいあるのか。それをお聞かせ願いたいと思います。
#177
○下條説明員 お答えいたします。六大都市以外は全部認めております。
#178
○貝沼委員 実際に、その認められた卸の人たちが小売りを現実にやっているでしょうか。国税庁お願いいたします。
#179
○下條説明員 ただいま正確な数字はちょっと持ち合わしておりませんけれども、半数ぐらいは兼業のような形になっているように記憶しております。
#180
○貝沼委員 兼業のような形になっているという意味ですけれども、実際そういう商売をやっていると御認識ですか。
#181
○下條説明員 お答えいたします。
 一応両方の免許を持って兼業の形になっておりますけれども、その地域により、またその商店の性格から申しまして、卸のほうにウエートがかかっている場合もありましょうし、また小売りのほうにウエートがかかっている場合もありますので、ただいまの場合には大体、達観といたしまして、半々ではなかろうかというような感じを申し上げたわけでございます。
#182
○貝沼委員 私がいままで聞いているところによりますと、大体やっていないような状況のようであります。この点については、国税庁のほうであとで詳しいデータを私のほうにお願いしたいと思います。
 次に、先ほどお話が出ておりましたけれども、眠り口銭の問題でございますが、どうしても私たち消費者から見ますとこの点が納得いきません。何とかしてもっと公平な状態にならないか、こういうことが念願でございますが、先ほどは検討するというような答弁のようでありましたが、前向きにどういうふうにしたほうがいいというふうな案はお持ちじゃないでしょうか。藤さんお願いいたします。
#183
○藤参考人 いま眠り口銭というおことばなんでございますけれども、六大都市におきましては、卸は小売りをすることができない、また小売りは卸をすることができない、そういう付款というものがついておりまして、したがって、その小売り業者が非常に規模が大きいとか、あるいはまた資力、経済力等が備わっておりましても、三層の分野というものははっきりいたしておりまして、また国税庁の方針が、現在のこういうような酒類業団体法という法律で、卸の団体、小売りの団体、生産者の団体、こういうようにちゃんと分かれて判然といたしております。これが六大都市におきましてはそのとおり、卸は小売りはできないのだ、そういうふうにきまっている関係上、そのとおりに進んでいる。そういうのが実情でございます。
#184
○貝沼委員 その次に岡田さんにお伺いしたいわけでありますが、現在小売り業者というのは、酒類業組合、それからそのほか、たとえば商業協同組合、こういうようないろいろな組合があると思うのですが、これを二つ兼ねているようなことはございますか。
#185
○岡田参考人 小売酒販組合が協同組合を兼ねているかという御質問でございますが、私どもではございませんです。
#186
○貝沼委員 組合が兼ねるのではなくて、両方の組合に入っている人がおるかどうかということです。
#187
○岡田参考人 組合員の方が協同組合と小売酒販組合と両方に入っているかという御質問でございますか――。協同組合というのはございませんですが……。ですから小売酒販組合きり、前橋ではないわけでございます。よろしゅうございますか。
#188
○貝沼委員 それからもう一つ、確認の事項ばかりですが、この十月十三日の東京国税局から出ている通達ですが、「従来、支店、出張所は、小売業者に販売できる数量は、卸売数量の二五%以内に制限されていたが、今度この制度を撤廃して、普通卸のワクを拡大したもので、申請があれば、普通卸を自由に認めることになった。」という記事があるわけです。これにつきまして、小売り業の立場からこれに対してどういう御感想をお持ちなのか。また、たとえばこれはよくないとか、あるいはいろいろな意見等がありましたらそれをお聞かせ願いたいと思います。藤さん、お願いいたします。
#189
○藤参考人 六大都市等におきましては、先ほど来申し上げましたとおり、付款というものがついておりまして、おのずからその仕入れというものが判然といたしております。私どもが、灘の生産者でありますとか、あるいはビールの生産会社と取引をするという場合には、卸を通じてのみ仕入れができるわけでございます。その関係から、私どもはその付款をとるということは、それぞれの条件がございまして、先ほど来問題にもなりました特約店制度でありますとか、あるいは非常に強力な生産者、そういうようなものと取引ができるというようなことになってからならば、そういう三権分野というものをくずしてもよろしいとは思いますけれども、そうでない以上は、卸がたとえば小売りをするとか――そういうことはすぐにはできますけれども、小売りは卸をするということはできないわけです。そういうような関係と、もう一つは仕入れ価格が当然違ってまいりますので、そういうものが小売りの分野の中に入ってくるということになりますと、小売りの業界というものは大きな混乱が起きまして、ひいては酒税保全にも大きな影響を及ぼす、このように考えておりますので、私どもは反対をいたしております。
 以上でございます。
#190
○貝沼委員 先ほどからずっと話が出ておりますが、たとえばスーパーマーケットの件ですね。これは皆さん方だけでなく、実はほかの中小商店におきましても大きな問題なんです。そこで、いまのような状態でやっていくと、これはほかの商店でもつぶれてしまう、はっきりいえばそういうふうになってしまう。そこで皆さん方のほうとしては、たとえば、簡単に考えられることは、いろいろな注文があっても販売は共同して全部ひっくるめて販売して歩くとかいうふうな、共同の体系、そういうものを組んでいかないと、これはとても対抗できないのではないかと思うのです。あるいはそういうようなことを考えておるのかどうか。またそういうことでなしに、スーパーマーケット等に免許を拡大していくということについてはあくまでも反対するとか、そういうような動きあるいは考え方、方針、こういうものがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
#191
○藤参考人 私ども小売りの姿勢といたしましては、スーパーマーケットというようなものがかりに酒類を目玉商品で販売するというように相なってまいりますと、私どもの近い小売り業者もあるいは競争をしてそこまでやってしまうというようなことに相なってまいろうと存じます。その場合に、ちょうど免許の制度がしかれる前のように業者が過当競争におちいりまして、そうして保健衛生の面でありますとか、あるいは酒税保全――売り掛け代金を倒して夜逃げをしてしまう、そういうようなことになるおそれが多分にある。そういうことに私どもは思いをいたしまして、スーパー等の免許に対しましては、国税庁に対しましても反対をいたしておるというのが実情でございます。
#192
○貝沼委員 最後に武儀山さんにお尋ねいたします。
 これは感想になると思いますが、現在、広告ということと価格という問題が大きな関係を引き起こしておる。むしろ、いままでの需要と供給という経済原則がこれで相当ゆがめられるのではないかとすら思える節もあるわけであります。たとえば、私たち消費者にとってはこの品物がいいか悪いかということを判断するだけの余裕がない。そこで、じゃどれにするかといえば、たくさんの酒類があり、それもちょっと見たってわからない、効能書きはほとんど同じであるというふうになってきますと、そこに宣伝の効果によって選んでいくということになる。そうすると、結局品物自体によるのではなく、宣伝いかんによってはその商品の売り上げを伸ばすことも減らすことも操作することができるようになってくる。そうすると、卸にしても小売りにしても、メーカーに対して、徹底的な宣伝をしてもらいたい、こういう希望が相当出ているのじゃないか。そうするとメーカーとしてはそう簡単には、宣伝費だけかさむということはおそらく承知しないと思うので、小売りあるいは卸に対して何らかのものを要求して、そうして宣伝広告費のほうにあるいは入れていくかというふうなことすら考えられるのではないかと思うのです。そうなってくると、小さな商店としてこれまたたいへんな問題になってくるので、心配しておるわけでありますが、そういうようなにおいとか、気配というか、こういうことは現実にあり得ないのかどうか。この辺を、感想になると思いますけれども、お願いいたします。
#193
○武儀山参考人 ただいま先生の御質問でございますが、最近の情勢を見ておりますと、やはり宣伝というものは相当大きな効果をおさめておる、こういうふうに私ども考えております。やはり私どもの扱っております商品自体が、大メーカーの宣伝というものが相当徹底をしてまいった、かように考えておりまするし、また私どもの扱う商品にいたしましても、なかなか私どもで宣伝するということはでき得ないのでございまして、やはりメーカーの宣伝をまつということが現状のあり方でございます。将来問題といたしまして、私どもは強いメーカーのものばかりを売るというのが能ではないと思います。できるだけ製版三層そのものが全体に生きていける道を考えねばいけない、かように私ども考えておりますが、この宣伝という問題になりますと非常にむずかしい問題があるじゃないか、私はかように考えております。ただいま先生のそうした御質問に対しまして、現在私どもではそうした考え方をまだ持っておりませんので、今後研究してみたい、かように考えております。
#194
○貝沼委員 以上で終わります。
#195
○村上(信)委員長代理 春日委員。
#196
○春日委員 これはまことに得がたい機会でございますので――いまや酒類というものは、単なる嗜好品ではなくして国民生活の必需品でございます。わけても重要なる財政物資である。こういう意味から、小売り酒販の組織といいますか、それが、やればやっていける体制が確立されるということ、また、さまざまな障害の条件があるならばそれを排除するということは、これは消費者の利益を確保することのためにはきわめて重要な要件であろうと思うのでございます。幸いに国税庁も出かけられ、全国の小売酒販の代表的指導者もきょうはお越しいただいておりますので、腹蔵のない御意見をお述べいただいて、業界並びに国税庁からそれに対する御意見を率直に承って、この製販三層の秩序ある体制が確立されるように努力をいたしたいと存ずる次第でございます。
 そういう意味で、二、三の質問をいたしたいのでありまするが、ここで私まず最初にお伺いをいたしたいと思いますることは、いま酒税関係の国税税収はたしか五千億をこえておると思うのでありまするが、言うならば、小売り屋の皆さんはこの税金を収納される収税吏の役割りをも兼ねられておると思うのでございます。ビールについて伺っておりますると、百四十円のビールの中で六十七円九銭が税金であるというのでございますから、したがって、小売り屋の諸君が消費者から百四十円の金を受け取るといえども、実はそれは七十円の税金を徴収するという国税徴収の実務が半分なのでございます。そのような国税徴収業務に対して、国は何らかそれに見返るところの保護とか特別の手当てを行なっておるのであるかどうか、この問題をお伺いをいたしたい。たとえば納税貯蓄組合においては国費をもって若干の助成がなされておると思います。約六千億のこの酒税は、納税者は制度によってこれは醸造元でありまするけれども、しかし肝心の税金を消費者から徴収するの実務を担当するのは小売り屋さんである。小売り屋さんがその金を集めてくるやつ、銀行から振り込んでくるやつを、製造業者はそれを国に納めるだけの単なる小切手事務を執行するだけであって、重量物件を運搬し、貸し倒れになればその税金の負担もみずからになうという、こういう立場にある小売り屋が、一体その実務に見合うところの反対給付を国からどのように受けておるのであるか。まずこの点をひとつ藤さんから、現在の状態、実情をお述べいただきたい。
#197
○藤参考人 私どもが御用聞きをし、配達をし、その月末に集金をする。その集金を手形で二十五日で会社あるいは生産者に振り込む。そうやって集まったものに対しまして営々として毎日行なっておるわけでございますけれども、それに対しまして私どもは免許制度というもので守られております。そういうことで私どもは、先ほど来申し上げましたとおり、免許業者の誇りと襟度を持って、そして消費者に愛される酒屋であり、また信頼される酒屋でなくてはならないのだ、こういうことを常日ごろ自分自身も考え、また私ども中央会の役員会、理事会等でもそれをはっきりと言っておるわけでございます。したがって、それに対してたとえば、昨年まででしたか、組合に対しての多少の補助金というもの、ささいなものはあったのでございますが、昨年から打ち切られて、いまは何もございません。
 以上でございます。
#198
○春日委員 私はここに、取引形態として原理的な一つの疑義を抱かざるを得ないのでございます。というのは、納税義務者は製造家である。ところが皆さん方は、たとえばビールを百四十円で消費者に売りつけて、これを貸し、ツケにした場合ですね、それが回収不可能になった場合、そこの中のあなた方の商品代というものは半分でしかたいのである。半分は税金である。税金なるものは小売り業者が納税義務者ではないのである。納税義務者でないあなた方が、貸し倒れになった場合にその税金分をみずから責任を負わなければならぬという理由は一体どうしたことであろうか。午前中うちの永末君の質問に答えられて、卸業者がもとは委託販売契約であったけれども、去年あたりから売買契約になったと言われております。私は、たとえば二級酒、たしか税金は二百六十五円か何か、そんなだったと思うのですが、これまたざっと五〇%以上のものが税金である。この税金の納税義務者はまず製造家であり、これは最終的に製造家の責任であって、その分が善良なる販売行為に基づいても回収不可能になったような場合、それを小売り業者が負担せなければならぬという、こういうあり方ですね、これは私はおかしいと思うのだが、その辺に疑義を感じられてはいないか。自己懐疑と申しますか、何もおれが納税義務者でもないものを、醸造元のやつを代行してやっておるんだ、もうける分は全部製造元がもうけて、損をした場合にはこちらがしょわなければならぬというのはまことにもって不利な立場だな、こういうような不審、懐疑といいますか、そういう疑念をみずから抱かれるようなことはございませんか。この点いかがです。
#199
○藤参考人 貸し倒れについて小売り業者が負担しておきながら、そういうものに対して疑念を持たないか、こういうおことばでございます。私ども常日ごろ、それにつきましては非常に疑念を持っております。そればかりでなく、私どもがお得意先等に配達に参りまして、あるいはトラックの上に積んで走っておって、破損をするとかひっくり返して割ってしまう、そういうものが毎日相当数あるわけでございますけれども、そういうものに対しましては、たとえば百二十箱でたしか五本だか三本しか補償というものがないので、あとは小売り業者がみんな負担しておる、そういうのが実情でございます。そういうこと等も、私どもは実際先生のおっしゃるとおり非常に疑問に考えておるというのが実情でございます。
#200
○春日委員 国税庁にお伺いをいたすのでありますが、いま当事者からそのような見解が表明されました。税金分が割れて流れた、あるいは貸し倒れになってしまった。善意な努力をしておりながらそういうような災難を受けたとき、しかもその災難は、過去の効率からいたしますと一定のパーセントというものは避けがたくして実在するものであるという。この場合、そういう実在する不可抗力的災害に対して国が何らかのカバー措置を講じないということは片手落ちではないか。この点はいかがです。
#201
○下條説明員 お答えいたします。
 国の税金を納めるにあたって、それに手をかしていただいておるという形になっておることは事実だと思いますが、それのためには、国といたしましては小売り業者に対しまして免許制度をしいているわけでございます。したがいまして、免許制度のもとにおきまして適正な競争を行なわせ、不当なダンピング等が行なわれないように、免許後におきましても指導を続けておるということでございまして、その中において適正な競争をやってもらうという形が現状の免許制度下におきます小売り業の実態でございます。いま先生から御質問がございました破損のものにつきますところの負担の問題でございますが、これは小売り業と卸売り業との間のマージンの問題になろうかと思います。
#202
○春日委員 貴殿の言われることは、免許制度によって保護されておるがゆえにそれが非常に手厚くもうかっておるという場合ならば、これはそれなりに十分理由が整うと思うのです。ところが、このほど本委員会に向かって業界からのそれぞれの陳情によりますと、このほど中小企業庁の指標によれば、すなわち低利潤のスーパーマーケットですら荒利益が一七%である。これに対して酒の小売りの場合は一五・四%の利益であり、ビールが特にこれが低い。今度値上げをしていただいてもこれが一二%に満たないものであるといわれておるのであって、平均値一五%とこれを比べてみましても、これははるかに低いといわなければならない。マージンが平均水準より低いといわなければならない。保護されておるからぼろもうけだ。ぼろもうけだからしたがって、それだけの危険は負担してもそのようなもうけの中からこれを支弁することができるんだ、こういうことならいいけれども、ぼろもうけでないのみならず、平均利潤よりもなお酒、ビールの利潤は下回っておる、こういうことでは私はこの問題についてやはり片手落ちのそしりは免れないと思うが、この点どうです。
#203
○下條説明員 お答えいたします。
 ただいま先生からお話がありましたように、酒の小売り業者の収益状況は決して他の業種に比べまして、高い、暴利をむさぼっておる状態ではございません。しかしながら、現在免許制度下にあります関係上、不当な乱売とか不当な競争が行なわれるために危殆に瀕するというものがあるわけでもないわけでございます。したがいまして、そういう状況下におきまして適正な競争が行なわれ、それによって適正な利潤をあげておるというふうにわれわれ見ておりますが、今後の問題といたしましては、なお合理化等の余地が多々あるわけでございますので、それによりまして体質の改善をはかることを期待しておるわけでございます。
#204
○春日委員 それならば、この機会に本委員会の質疑を通じて確認をいたしておきたいことが一つ二つございます。
 その第一点は、いま下條次長の述べられたところによりますと、そのような国税六千億を徴収するという実務を担当する公的任務を背負う小売り屋さんであるがゆえに、すなわちここに小売り免許制度という制度が措置されておるものである、こういうことなんでございますね。だといたしますると、現在一部では、この小売り免許制度について、自由競争の原理の上に立ってこれを廃止せよとか、大幅に緩和せよとかいうような議論が行なわれておる向きがなくはございません。先般、物価安定会議でありましたか、これについて何らかの再検討を加える必要があるというようなことをいうておりまして、本委員会において、それはまことにゆゆしいことであると反論を返したことがございました。だとすれば、六千億の国税徴収、その実務はたいへんである。しかもそれは、醸造元がなすべかりしその法律上の責務を小売り屋さんが代行しておるものである。その立場を守るためには、いま唯一のこれを保護するたてとなっているものは実にこの免許制である。だからこれを堅持し、これを強化していかなければならぬと、かくのごとくに理解してよろしいか。いかがですか。
#205
○下條説明員 お答えいたします。
 免許制度の本質というものはわれわれは変わるものではないと思っておりますが、免許の適用という状況につきましては、その事態に即応して、いろいろと各般の事情を勘案しながら検討してまいりたい、こういうことでございます。いま先生のおっしゃいましたように、この前の六月九日の経済閣僚協議会におきましても、この免許の適用につきましてより弾力的にすることを要請されておりまして、その方針に従いまして、ただいまその後の免許の検討にあたりましては、趣旨に沿って適用しておる状況でございます。
#206
○春日委員 ここに手元に物価安定政策会議の提言があり、政府部内でこれを論じられた経過がございます。しかしながら本委員会も、これは国政を論じまするとこるの重要なる場所でございまして、そこでいま質疑応答を通じて、かくのごとくに――小売り屋さんに暴利をむさぼれというのではございません。やればやっていける体制の確立、しかも業界が訴えておる非難事項は、小売りの平均マージンに比べてなお下回る程度のマージンしか得られていないという実情にかんがみて、この人らがやっていけばやっていける体制を十分考慮してしかるべきであると思う。
 そこで、第二点の問題は、現在のこの製販三層に対しまする政府の行政でありまするが、これについては、われわれの直感をもってすれば、何となく製造に重点が置かれ、何となくその点に政策が集中しておるのではないか。小売りに対しては一体どういう政策が施されておるのであるか。これは一見したところ、まことにこの問題についてはアンバランスの印象を深くせざるを得ないのでございます。われわれが、たしかこの委員会でございましたが、数年前、政府の提案によらずして、本委員会のこれは提案によりまして、わずかに環衛金融公庫の適用業種と対等の立場で、酒、米、魚屋、そういうような人々に対する特利、特ワクの制度をつくったことがございました。これ以外に何があるのでございますか。要するに、環衛金融公庫の特利、特ワクの政策金融のあれと同じように、酒の小売り屋さんに国民金融公庫を通じてそういう政策金融を行なえということが二、三年前に実行されました。しかし、それ以外に何かあるのでございますか。あればひとつこの際御答弁を願いたい。
 なおついでに、この間まで、すなわち昨年の前まで、たとえ少額でありといえども、国税徴収の激務に見合うものとして助成金あるいは補助金、奨励金というようなたぐいの国庫支出がなされておったが、これが昨年度からすっぱり打ち切られてしまったというのであるが、特に昨年度からこれを打ち切ったその理由は何であるか。あわせて御答弁願いたい。
#207
○下條説明員 お答えいたします。
 第二のほうの問題から先にお答えいたしますが、昨年打ち切りましたのは、金額が百万円ばかりの少額であるということで、補助金の整理の対象になったわけでございます。
 それから助成の措置についてでございますが、ただいま先生からお話がありましたのは、生鮮食料品等の小売り業近代化資金というものをさしておられるのではなかろうかと思いますが、そのほかに、共同化する場合の助成措置といたしまして、高度化資金といたしまして、小売り商業連鎖化共同施設事業等の高度化事業に対しまして、都道府県から融資する制度がございます。これは年利率二・七%、四十五年度の資金予算といたしましては四百六十一億手当てできております。それから流通近代化資金といたしまして、これは中小企業金融公庫からの融資になっておりますが、年利八・二%、四十五年度の資金ワクで六十五億円の手当てをしております。
#208
○春日委員 まず前段の御答弁に対して私は意見を述べたいのでありますが、わずか百万円だから打ち切ったというのはおかしいではないか。百万円たりといえども、国民の血税であり、支出の制度が確立をしておったということは、その必要があったればこそそのような補助金あるいは助成金というものの支出が行なわれておったのである。これが少額に失するというのであるならばこの額を引き上げればよろしいではないか。これは少なくとも、六千億円というような酒税徴収、それを奨励する、あるいはその労に報いるというような必要のために、たとえ百万円たりといえども長年慣習としてそれが行なわれておったならば、額が小さいから打ち切るというのではなくして、小さいから打ち切られそうだから、これをもっと引き上げて、打ち切られない額に高めていく、それだけの責任的な処理がなされても私は筋は十分通っていくと思う。あえてそのことをなさずして、少ないから切ってしまう、そういうたわけた冷酷むざんな仕打ちというものはあり得ないと思うのだが、その点どうなんだ。
#209
○下條説明員 お答えいたします。
 若干ことばが足らなかったかと思いますが、少額補助金の整理という一般の方針と、もう一つは、この業界の育成の実績がだんだんと芽ばえてまいりましたので、年々その金額が減ってまいりまして、最終的に昨年百万円をちょっとこえるという金額になりまして、この程度ならば整理してもたいして影響はなかろうということで整理したわけでございます。
#210
○春日委員 それは私は事実に反すると思うのです。いま小売り酒販の業界は、い、ずれにしても公定価格の制度から基準価格へ、基準価格から自由価格へと、こういうことで、その価格制度の変革に伴うていろいろと業界内部に混乱を新しく生じつつある。わけても製造業者の小売り直売というようなこともだんだんと行なわれることによって、一そう業界に混乱や障害が発生しておると思う。こういうような中において、わが国にはやはり中小企業の安定と振興をはかるという基本政策があるのですから、私はその基本政策は基本政策としてやはりそれ相当の行財政の措置があってしかるべきだと思うのです。もとより消費者行政というものは最重要な政策であることをわれわれも否定するものではございません。けれども、中小企業政策というものは、いまさまざまの質疑応答を通じて伺っておるとおり、人手不足で困っておる。あの酒屋さんの営業スタイルというものが、いまやあのようなしるしばんてんの前かけ姿でなければやれないということも、私は、それが重労働であり、なおかつその給与、賃金が普通一般のスタイルを整えるべくあるいはそこに不十分なものがあるかもしれないとは思うのです。だからそういう意味で、こういう国民の生活必需物資を流通せしめるという重き任務をになうところの業態に対しては、十分国がその施策を尽くすということは当然のことであろうと私は思うし、いままであったことが急に悪くなってしまって、何もかもすっぱり切られてしまわなければならないということについては、私は、それはあまりに政策の変化が急激であり過ぎると思うので、もう何もかも整うて不安がないというような弁識は事実に反する。昔、公定価格時代のほうがよほど安定しておりましたよ。公定価格がなくて基準価格になり自由価格になって、そして製販三層の秩序が混乱してきて、そこへスーパーの進出があり、いろいろで、小売り業者は困っておる。この段階にこそ、小売り業者がその業務をつつがなく遂行するために何らか国から助成があってしかるべきであり、それを求めてやまないと思うのです。私はその点については十分御検討を願いたいと思う。
 それから次に私がここで伺っておきたいと思いますことは、設備近代化促進法というのが現在法律として制度化されておりますが、しかしそれはほとんど製造部門に限定されて、流通部門にはごくまれでございます。私はこの酒類の小売り業を近代化業種に指定してはどうかと、先般来本委員会でも強調してまいったのでありますが、金融上は二、三年前に一方、環衛金融公庫法の設置が認められ、これに準ずるものとして政策金融の道が開かれましたけれども、この近促法のフェーバーは金融と税制なんでございますね。すなわち、その設備に対する単年償却という制度が金融と随判して同時並行的に行なわれておる。だから、この際酒の小売り屋さんも時流に即してその店舗を近代化しなければならぬとするならば、その近代化したところの設備、装備に対する単年償却の税法上の特別措置が講じられてしかるべきであると私は思うが、この問題について業界から国税庁に対する従来の御要望はどのようになされてまいりましたか。あるいはなされてはまいりませんでしたか。あわせて、国税庁当局はこれに対してどういうような見解をお持ちになっておるのであるか、お伺いをいたしたい。
#211
○藤参考人 私どもは国税庁に対しまして金融、税制面でお願いは申し上げてございません。前々年の国会でしたか、たしか生鮮食品等の環境衛生――あの当時に春日先生から附帯決議として提出していたできました。それで国民金融公庫から私どものほうに貸し出しが許されるように相なっておりまして、非常にその恩恵にあずかっておるというのが、実情でございます。
#212
○春日委員 その制度だけで、なぜ近促法の適用を申請されないのか。申請されない理由をお伺いをいたしたい。
#213
○藤参考人 実は卸が近代化促進法の指定を受けまして、そして税制、金融面でも恩恵をこうむる、あるいはまた清酒の生産者も近代化の指定も受けておりましたので、私どものほうから正式に、小売り業者もひとつ近促法の指定をしていただきたい、そういうことを申し入れたのでございますが、国税庁の方針としては、近促法の指定は原則として、たとえば千軒のものを五百軒にあるいは八百軒にする、そういうのが一つの条件になっておるんだ。したがって、小売りは消費者の利便という面から考えて、現在全国的に十四万二千あるのでございますけれども、急増された団地であるとかあるいは急激に人口がふえた、そういうところに対してはこれからも免許を相当数下付していくようになるので、近促法の指定ということはできないんだ。こういうことで私どもは引き下がっておった、そういうのが実情でございます。
#214
○春日委員 私は、当今特に流通機構の近代化、合理化ということが強調されておりまするが、これは特に流通経路の末端であります小売り業界を強化することに尽きると思うのであります。すなわち、小売り業者がメーカーに対抗して、よってもってその流通の支配権とそれから価格の決定権を小売り業者が持つという、このことが流通機構近代化、合理化のきめ手になるものであろうと思います。これは私だけの単独な見解ではございません。これは学界においても業界においても一般的な定説に相なっております。もとより酒の小売り業界においてもこの例外であろうはずはございません。だとすれば、やはり小売り業者が近代化して、時流に即した営業形態を整備していくということはまさに緊急焦眉の急務であると思うし、そのことなくしては、製造過程において、卸過程においてその近代化計画が進められても、小売り業界においてその近代化計画というものが自主的な努力にのみゆだねられるということでは、一方において政策上のフェーバーがある、片一方においては自分でやれということは、これは全く一方的であると思う。片手落ちであると思う。俗に製販三層といっている。ならば、製、販、しかも販の中に卸がある。そのようなフェーバーを受けておるならば、何がゆえに小売りは受けることができないのであるかということだろうと思うのでございます。
 大体、この近促法というものはわれわれが提唱して成立を見たものでございまして、法の理念もわれわれはわからないわけではない。あの時点においてはまず第一義的に生産に重点を置こうということでございましたけれども、だんだんと経済の国際化、それからわが国の経済のかっぷくが大きくなってきて、いまや流通問題こそが経済問題の中核になってきた、こういう時点においては、やはりいま申し上げましたように流通機構の近代化、そのためには集約的に小売り業界の近代化、当然の事柄である。したがってこの際、あの近促法自体がもしも生産という点に重点が置かれるような法の構成であって、そのゆえにこの小売り業界にその機能が働かないというようなきらいがありとするならば、流通機構近代化促進法という別個の法律もつくらなければならないのではないかというのが、いま一般の学界並びに経済界の要請事項になってきておると思う。だから、私はそういうような意味で近促法を読み返してみますと、現時点においてこの近促法の機能を酒の小売り店に適用すれば十分その効果を期待することができる。たとえば金融上の特別措置、そうして税法上の特別措置、すなわちその近代化設備に対する単年償却の措置をとることによって、小売り業者がその近代化の促進にスタートを切ることもできると思う。だからその法律を援用するとか、あるいは法律の精神をくんでこの問題をやろうと思えば、行政措置でもってできないことはないと私は思うのですが、この問題について国税庁の御見解あるいは将来方針、どのようなものか。下條次長よりちょっとお述べを願いたい。
#215
○下條説明員 お答えいたします。
 近促法の精神につきましては春日先生のほうがよく御承知で、われわれもその精神に沿ってこの適用をはかるという趣旨で、それの実行をいたしてまいっておるわけでございます。
 小売り業につきましては、それが御承知のように地域的に密着した業種である。そこに集団的な人家があるとか、あるいは集団的な商店街があるとか、それぞれの地域に密着して、かなりばらまかれてそこに置かれるという性格が発生的にあるわけでございます。したがいまして、御承知のように全国で数が十四万軒もあるというのが現状でございます。促進法のほうの所管官庁は中小企業庁でございますけれども、そちらのほうの感触を聞いたところによりますと、その適用につきましては、その業種を集約化し、合理化し、そして法の精神にのっとって近代化をはかるということになっておるように聞いておりますが、そういう観点からまいりますと、酒の小売り業という業種はどうも乗りにくいというような職種になっておるようでございます。
#216
○春日委員 私は、これは第三者的に洞察して意見を述べまするならば、業界からはその必要ありということで国税庁に向かって要請をした。ところが小売り商に対する近促法の適用は、他の行政庁にその前例が当時なかった。だからそこへ踏み切ることができなくして本日に至っておる。ゆえにそのことについていま、いろいろと理屈をあとからつけて国税庁が疏弁をしておるというのが実態ではないかと思うのでございます。
 私がただいま申し上げましたことは思いつきで言っておるのではなくして、やはり経済のメカニズムの上に立っていろいろと政策を専門的に検討してみますると、いま申し上げましたように、ほんとうに流通機構の近代化、合理化ということは、その小売り店というものの自主性を高める。これを高めるためには、その装備、設備というものがやはり完全なものでなければならぬ。おくれておる分を急いでやる。急いでやるためにはさまざまな資金を必要とする。だから資金を供給すると同時に、設備されたものに対する費用負担軽減のためにはこれの軽減措置、これは他の近促法の適用業種が受けておるがごとくに小売り業者にもあらしめよというだけのことで、論理はきわめて明快である。そういう意味で、この問題については国税庁のほうにおいていま一段と御検討を願いたい、このことを強く要請をいたしておきます。
 なお、業界の諸君も、一度陳情してそれでだめだったから、それでまあだめだというようなことで、二発、三発の追加追撃をしないで、すっぱりあきらめてしまうというようなことはあまり短気過ぎると思う。とにかく一度でも二度でも三度でも、やれるまで――一押し二押し三頭突き、こういうやり方もあるので、目的を達するまでやるというのでなければ私は適当ではないと思う。国税庁になめられると思う。あなた方が六千億のあれをとり、全国十四万人といえば、そこに従業員が少なくとも二、三人おられる。家族を加えたらざっと百万をこえる主権者である。主権者たる矜持を持って、他の国民が受けておることをおれらもやらしてくれというくらいのことは、歯に衣を着せないで、確信を持って要請されてしかるべきだ。この点を強く国税庁に要請しつつ、業界に向かっても私はむしろ決起を促したいと思います。
 それから次は、私ちょっと事実関係を伺っておきたいと思うのだが、いまスーパーマーケットで酒やビールを目玉商品として扱っておるようなスーパーが相当ありますか。ありとすればその目玉ぶりはどの程度のものか。たとえばビールを幾らで売っておるか、二級酒、一級酒をどの程度で売っておるか。何か資料がございましたらちょっとお示しを願いたい。
#217
○藤参考人 現在東京では一、二店ございます。それは比較的良心的と申しますか、ビールにおいてたしか十円、酒が八十円くらいの差でやっております。全国的にはあまりよく存じておりませんけれども、たしかそういうようなものは一、二軒程度だと存じます。幸いに――幸いと申しますか、以前は毎日毎日ビラを新聞の折り込みの中に入れて配りました関係上、周囲の酒販店から私ども東京小売あるいは中央会に向かって非常な文句が参ったのでございますけれども、最近は一週間に一回くらい程度――私、きのう見たのでございますが、その程度で、比較的落ちついておるというのが実情でございます。
#218
○春日委員 目玉の値段は幾らぐらいですか。
#219
○藤参考人 目玉の値段と申しますのは、ですから一升で二級酒の場合が八十円、一級がやっぱりたしか八十円くらいの差でございます。ビールは十円でございます。
#220
○春日委員 国税庁、こういう目玉商品の、横行というところにいっておりませんけれども、実質上の弊害、被害というものが及んでいないといたしましても、こういうような事態が将来、しかもその目玉ぶりが大目玉でやられるようなことになると、小売り酒販の業界がどういう影響を受けてくるか。受けるとすればそれに対する対策はどのようなものを考えられておるか。ちょっとこの際その見解をお述べいただきたい。
#221
○下條説明員 お答えいたします。
 スーパーのそういう特別な価格での目玉商品による販売促進方法、こういう問題はただいま藤会長からお話がありました程度でございまして、実際はマーケットにそう大きな影響を与えておりません。もしこれが、かりのたとえでございますが、さらに連鎖反応を生んで大きな影響を与える、それによって一般の小売りの業者が大きな痛手をこうむるということになりました場合には、行政指導をいたしまして、直ちにそういうことのないようにいたしたい、こう思っております。
#222
○春日委員 そこで、協同組合でも労働組合でも団体交渉権あるいは組合交渉権というものがあります。酒団法にはないと思いますが、いかがでありますか。
#223
○下條説明員 酒団法ではカルテルをつくることはできるわけでございます。
#224
○春日委員 いや、カルテルというのではなくして、この小売り業者が仕入れる酒の価格あるいは取引条件等について、製造業者と小売り業者との間で、すなわち団体交渉を行なうことができるかどうか。あるいは団体交渉を相手に吹っかけたとき、相手はこれに応諾の義務があるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
#225
○下條説明員 酒団法上は団体交渉はできません。
#226
○春日委員 そういたしますと、現在、例の中小企業団体法、これによるところの共同組織には団体交渉権がございますね。組合交渉権とこれを呼称いたしております。現在製造元あるいは卸あるいは小売りというような、利害が特に対立するような場合においては、ここに労働組合においては労使の間に団体交渉権がある。そういう対立するような利害関係を調整するための交渉というものは必要であろうということで、すべての組織の中にそういう組合交渉権あるいは団体交渉権というものを権利として設定いたしまして、そうしてそれに対するそれぞれの法的措置が講ぜられております。ここでいま午前中から述べられておるところによりますると、ビールにしても酒にしても、小売り業界と製造業界との間に取引上いろいろと意見の対立がある場合がある。こういう場合に組合員が、小売りの業界がそれらのものに向かって組合交渉をやるというようなことは、私は組合の機能を十分に果たすためにはやはり必要不可欠な条件ではないかと思うが、これについて藤さんのほう、どういうふうにお考えになっておりますか。
#227
○藤参考人 三年くらい前に私どものほうで、実はおっしゃられた団体交渉権というものを酒類業団体法の中に入れていただきたいということを国税庁に申し出たことがございます。ところが当時大蔵省でも、そういうようなものを入れなくとも、組合同士で自由に話し合うことができるんだから入れなくてよろしいじゃないか、こういうことで私どもは引き下がったという経験がございます。
#228
○春日委員 私はいまここでそういう経過を踏まえて、下條次長に向かってそれはどうだといえば、いままで業界からの要請に対してノーと言うた経過にかんがみて、いまあなたから、それでは思い直してこれの立法を考えようという御答弁を求めることはむずかしいと思う。ノーだと言われればノーを再確認する形になりますから、あえて私はあなたの答弁を求めませんが、実際問題として、団体交渉権、組合交渉権のないような団体というものは、民主主義の社会のもとにおいて幾ら何でもありませんぞ。国税庁は小売り業者を何かしら手の下の補虜みたいな扱いをしている感じが払拭し切れないと私は思うのです。私は、ことさらに小売り業者を保護するわけではないが、実際、中小企業政策という政策が厳存するのだから、その連中がいまああもしてくれ、こうもしてくれと言うてきたら、胸襟を開いて、国全体の経済というもののバランスをとるという、そういう措置をひとつとってもらいたいと思う。強く要望いたしておきます。
 今度は業界に向かってですが、値引き、リベート、この取引慣行を是正する必要があると思う。酒の販売に対するもっと合理的な取引慣行というものを確立することはできないか。ともすれば、公正な議論を行ないまするときに、酒の取引の中には値引きがあるんだ、リベートがあるんだ、だから表面的な論議をしてもこれは問題解決にならないんだとか、問題の中核がそれるんだとかいうようなことで、むしろこのことが小売り業者の健全なる地位の確保に妨げ心なってはいないかと私は思うのでございます。だから私は、こういうような値引き、リベートのような旧来の取引慣行はすみやかにこれを是正する、廃止する。そうして余力を生すればその価格を引き下げる方向にそれを持っていく、こういうように努力をなさるべきであると思うが、これに対する現在のテンポはどんな形で進んでおりますか、御答弁願いたい。
#229
○藤参考人 実は私ども中央会といたしましては、正式なマージンを二〇%にひとつぜひお願い申し上げたい、そういうことで国税庁並びに酒造組合中央会、それから洋酒酒造組合あるいは卸のほうにもいってあります。正式に文書によって提出してございます。リベートとかあるいは値引き、そういうようなものは一切やらないのだ。そういうものがあることによって、われわれは消費者にも不信を招くのだということを常々申して、現在でもそういう考えに変わりはございません。
#230
○春日委員 そうなって、まさに五十六分、制限時間が来てしまった。あとまだだいぶあるけれども、小林さんがお待ちですから私の質問は後日に譲ります。
 けれども、この際委員長を通じて、自民党の理事に文句を言っておきたい。きょうはわれわれのほうもいろいろだからいろいろなんだが、君のほう、ほんとうにもう少し出なければいかぬぞ。私は厳重に警告を発しておきます。
#231
○村上(信)委員長代理 小林政子君。
#232
○小林(政)委員 短い時間でございますので、二、三の問題について直接お伺いをしたいと思います。
 ビールの値上げの問題につきまして、先般メーカー側の方に委員会に参考人として出ていただきまして、その際の質疑の中で、ビールの価格は自由価格である。したがって百四十円で売ることを小売りにメーカ/側は指示したことはない。幾らで売るかは小売り店の自由だということを述べました。百四十円に値段をきめたということの、この責任はむしろ小売り店にあるというふうに、その答弁の中では受け取れました。さらにまた政府も、今回の値上げのおもな理由は流通機構に問題があるというふうにもいっております。小売り業者の側といたしまして、このメーカーや政府の発言について、皆さんのお考えをまず最初にお伺いをいたしたいと思います。これは藤さんにお願いをいたしたいと思います。
#233
○藤参考人 ビールは自由価格であるから幾らの価格で売ってもよろしいのだ、そういうように新聞等に出たのはあったのでございますけれども、朝日がたしか九日の日に上げまして、その後逐次値が上がってまいりまして、一番最後に麒麟のほうが、販売価格というものが指示されないで、卸、生産者の価格だけが発表になった。その段階で消費者の方々はだいぶ私どもの店頭に参りまして、いろいろおことばがあったわけでございますけれども、私どもは商慣習上、原則として、一番プライスリーダーのビールを、それでは従来よりも五円もっと上げて売るとか、あるいはまたほかのビールよりも十円高く売る、そういうようなことはわれわれの良識から申し上げましてもあり得ないのでございまして、自然的にきまったというのが実情でございます。
#234
○小林(政)委員 先ほどからの質疑の中で小売り業者の経営実態、こういったものも述べられておりますし、また私が実際に調査をいたしました結果とも一致する、こういう点から、私もその経営の実態について十分理解をすることはできるものでございますけれども、また、御承知のとおり、消費者が今回のビールの値上げについて、不当な値上げとして強い不満を示し、反対の運動に立ち上がっていることも、これもまた私は当然であろう、このように考えます。この問題の本質は、私は、史上最高の売り上げと利益をあげているメーカーが一方的に値上げを強行した、ここに問題の本質があるというふうに考えます。本来、私どもこの問題を考えますときに、値上げをしなくても、小売りの業者のマージンの引き上げなどはメーカーの蔵出し価格を下げるということによって当然できた。消費者団体が今回の値上げに納得できないといっている最大の理由もむしろここの点にあるんだ、私はこのように考えておりますけれども、消費者と最も密接な関係にある小売り業者の皆さんの御意見、ひとつ率直にお聞かせを願いたいと思います。
#235
○藤参考人 先ほど来私からも申し上げましたとおり、私どもは消費者擁護の第一線にあるんだ、その考え方で進んでまいりまして、たとえばビールでありますとかあるいは酒、みそ、そういうようなものを除いては私どもも消費者の言貝でございます。当然、ビールにしましても酒にしましても、上がらないで済めばそれが一番よろしいのでございます。しかしながら、ビール等におきましては、昭和三十五年と現在の四十五年と比較して、ビールの値上がりの差が全然ない。しかも私どもの労働賃金等におきましては非常に急激な値上がりが行なわれておる。そういうことを考えまして、また生産者のほうの労働関係あるいは内容、それから卸の事情等も考えましたときに、私ども自身も、上げないで済むことは当然喜ぶのでございますけれども、十円の値上げはまことにやむを得なかった、こういうように感じております。
#236
○小林(政)委員 もう一つお伺いしたいのは、仕入れ価格ですね、これを引き下げるためには、いままでの問題になっておりましたけれども、間接税が非常に重い、この問題も抜きにしては考えられないというふうに思います。この間接税の引き下げの要求などについても、最近非常にその声が強まっておりますが、小売り業者の代表の皆さんはこの問題について具体的にどんな見解をお持ちか。この点もお伺いをしておきたいと思います。
#237
○藤参考人 私ども中央会も、消費者の方々からアンケートだとかそういうものも実は受け取っております。そういうことで、生産者に向かいましても、卸組合ではビールの値上げについて全国的な大会等も開催されたのでございますが、私どもはマージンはぜひひとつ上げてもらいたいんだ。これは内閣統計局の標準からいって、私どもの全国十四万二千のうちの七〇%が千八百万以下の売り上げである、そういうようなたてまえでお願いはいたしてございます。ただ、生産者に向かって、上げてもらっては困る、そういうようなことは言っておりません。
#238
○小林(政)委員 これも先ほど来出ております御意見と若干ダブるわけでございますけれども、私はリベートというようなものは廃止をして、やはり小売り業者の適正なマージンを確保していくということをやると同時に、小売り業者のマージンを適正に確保するということが、安易な形で即消費者の負担による値上げというようなことは極力避けていかなければならない、私はこのように考えます。この点はやはり非常に大事な問題だというふうに考えますが、この点につきまして東海林さんの御意見をお伺いいたしたいと思います。
#239
○東海林参考人 最初に、いま小林先生のお話の中で、私ども小売り業界の経営実態というものを十分理解できるというありがたい御発言がございました。そういう中から、消費者の方々が、とかくこうした値上げが行なわれますと、その反攻目標として、メーカー、卸を度外視して、小売り業者という形で出てくることが多々あるわけです。今回も御承知のとおり、新聞紙上あるいはテレビ等を通じまして――過般もNHKでヒール値上げ、特に管理価格という問題で討論が行なわれました節にも、何か値上げそれ自体が小売りの責任であるというような感触で消費者団体の方々がものを言っておられた。私は一小売り業者として素朴な感情から、たいへん迷惑なことだ。私どもも実際に苦しい状態の中から経営を維持しておる一人でございますので、そういう点はぜひひとつ今後小林先生等のお力をおかりして御指導を賜わればありがたいことだ、かように考える次第でございます。
 さて、いまお話がございました酒税の引き下げの問題、あるいはビールの今後の価格制度のあり方という点につきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。私どもも、値引きあるいはリベート等を完全なマージンにかぶせていただいて、それが私どもの経営維持の中で適正なマージン率であるというものを示していただくことが一番望ましいことだと考えます。
#240
○小林(政)委員 国税庁にお伺いをいたします。
 ただいまの何点かの質疑の中でもおわかりのことと思いますけれども、小売り業者のマージンは私は決して高いものではないというふうに考えますし、大蔵省や国税庁はメーカーと一緒になって、ビールは自由価格であると言っていますが、メーカーの蔵出し価格が小売りの仕入れ価格となっているという現状、流通段階で動かせるのは一本について十八円二十銭しかない。わずかなこの範囲で自由競争をやれということなのかどうか。この点について御答弁を願いたいと思います。
#241
○下條説明員 お答えいたします。
 ビールの小売りのマージンはただいま先生がおっしゃったとおりでございますが、それをさらに競争で下げろということではございませんで、私が期待いたしておりますのは、小売り業者が現在やっております企業の形態等にはまだいろいろと合理化をする余地がございます。そのほうによりまして、いままでもそうでございますが、今後値上げの要請というものに左右される要件を払拭していく、こういうことで近代化をはかっていくことを期待するということでございます。
#242
○小林(政)委員 しかし現実にビールは百四十円で売られておりますし、蔵出し価格即小売りの卸値というような現状の中では、その自由競争のできる範囲というものが、現状ではどう考えても十八円二十銭のワクの中で行なわれるということになるわけでございますけれども、これだけの少ない利幅の中で小売り業者にだけ自由競争をやれということは非常に無理な注文だろう。問題はもっと本質的なところにあるのじゃないか。膨大な利潤をあげている蔵出し価格、これを下げるということについて行政指導すべきではないか。あるいはまた非常に重い負担になっている酒税について、これをやはり下げていく。これが私は、いま政府が物価物価ということを盛んにいっておりますけれども、物価対策の根本的なきめ手ではないか、このようにも考えられます。この点についてこそ強い行政指導を行なうのが当然だろうというふうに私は考えますが、その点について国税庁の答弁をお願いいたします。
#243
○下條説明員 お答えいたします。
 小売りの問題に限らず、もちろん卸の問題、さらには生産者の段階におきましてもそれぞれ企業努力をいたして、物価のはね上がりにならないように協力してもらうことを私たちは期待しているわけでございまして、そういう点で行政指導は続けております。
 それから酒税の問題でございますが、酒税は、今度十円値上がりいたしまして、小売り価格に占めますところの酒税の割合は五〇%を割りまして四七・九%、大びんでございますが、そういうことになって、下がったわけでございます。従来の慣例からまいりますと、それだけ価格が上がったわけでございますから、むしろ負担率が下がったわけで、税金は負担余力が出てきた、こういうことが普通考えられる措置をとってきたわけでありますけれども、そもそも税金を下げて価格の値上がりを阻止するということは、いわば考え方としては若干問題がございまして、値上げをしない、そのかわり税金が下がる、こういうことでは、安易に価格の調整が行なわれることになりまして、その分の税額は当然所得税その他の一般の税金から補助しなければならない、歳入欠陥が生ずる、こういうことになりますので、物価の値上がりということではなくして、小売り価格の調整のために酒税をさらに下げるということはできないと思います。
#244
○小林(政)委員 国税庁、そこまでおっしゃるのであれば、メーカー出し値がはたして適正であるかどうか、この点について具体的な調査をされたことがあるのかどうか。そしてまたされていないのであれば早急に調査なとを行ない――行政指導を一そう強めるという立場からも調査を行なって、そしてその実態についても私どもお聞かせを願いたいというふうに思います。
 また酒税の問題等についても、値上げが行なわれたから税金の占める率が〇・数%下がったというようなことではないと思います。全般的にやはり酒税が非常に高い。いままでは約五〇%近くを占めていた酒税をもっと引き下げていくということが国民の強い要望でもございますので、その点を強く要望いたしまして、私の質問、時間が参りましたので終わりたいと思います。
#245
○村上(信)委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、御多用のところ貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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