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1970/12/10 第64回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第064回国会 本会議 第7号
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1970/12/10 第64回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第064回国会 本会議 第7号

#1
第064回国会 本会議 第7号
昭和四十五年十二月十日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  昭和四十五年十二月十日
    午後二時開議
 第一 農薬取締法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第二 下水道法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 第三 海洋汚染防止法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 公害対策基本法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 公害防止事業費事業者負担法案(内閣提出)
 騒音規制法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案
  (内閣提出)
 日程第一 農薬取締法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案(内
  閣提出)
 日程第二 下水道法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第三 海洋汚染防止法案(内閣提出)
 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
 廃棄物処理法案(内閣提出)
 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
 毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 水質汚濁防止法案(内閣提出)
    午後三時三十四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 公害対策基本法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 公害防止事業費事業者負担法案(内閣提出)
 騒音規制法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
#3
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案、騒音規制法の一部を改正する法律案、大気汚染防止法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案、騒音規制法の一部を改正する法律案、大気汚染防止法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 公害対策基本法の一部を改正する法律案
 公害防止事業費事業者負担法案
 騒音規制法の一部を改正する法律案
 大気汚染防止法の一部を改正する法律案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#6
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。産業公害対策特別委員長加藤清二君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔加藤清二君登壇〕
#7
○加藤清二君 ただいま議題となりました四法律案について、産業公害対策特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 まず、公害対策基本法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案は、最近における公害の実情にかんがみ、国民の健康で文化的な生活を確保する上において公害防止がきわめて重要であることを明確にするとともに、土壌の汚染の防止及び廃棄物の適正な処理に関し必要な事項を定め、あわせて都道府県に都道府県公害対策審議会を置くこと等所要の改正を行なおうとするものでございます。
 そのおもな内容は、
 第一に、国民の健康で文化的な生活を確保する上において公害の防止がきわめて重要であることを目的の中で明確にするとともに、経済の健全な発展との調和規定を削除したことであります。
 第二は、公害の定義に土壌の汚染等を追加するとともに、これに伴い、土壌の汚染を防止するために必要な規定を設けるほか、温熱排水等による水の状態の悪化、汚泥による水底の底質の悪化等が公害に含まれることを明確にしたことであります。
 第三は、廃棄物の処理に関する事業者の責務を明らかにするとともに、廃棄物の公共的な処理施設の整備を推進すべき旨を明らかにしたものであります。
 第四に、政府は、各種の公害の防止のための施策と相まって、公害の防止に資するよう緑地の保全その他自然環境の保護につとめなければならない旨を規定したことであります。
 その他、都道府県公害対策審議会を必置の機関としたこと等所要の改正を行なうこととしたものであります。
 次に、公害防止事業費事業者負担法案について申し上げます。
 本法律案は、国または地方公共団体が事業者の事業活動による公害を防止するために実施する事業について、事業者にその費用の全部または一部を負担させることを定めた公害対策基本法第二十二条の趣旨を具体化したものであります。
 そのおもな内容は、
 第一に、事業者が費用を負担する公害防止事業の種類は、緩衝緑地の設置等の事業、河川、港湾における汚泥のしゅんせつ事業、農用地の客土等の事業、事業者が主として利用するいわゆる特別公共下水道の設置の事業等がこれに該当し、さらに必要に応じ、これに類する事業を政令で定め得ることとしております。
 第二に、費用を負担する事業者の範囲は、その公害防止事業が施行される地域において公害の原因となる事業活動を行ない、または行なうことが確実であると認められる事業者であります。
 第三に、公害防止事業につき事業者に負担させる費用の総額は、公害防止事業に要する費用のうち、事業者の事業活動が公害防止事業を必要ならしめた公害の原因となると認められる程度に応じた額とし、特別の事情がある場合には、その事情を勘案し、所定の審議会の意見を聞いて妥当と認められる額を減ずることができることとしたことであります。
 第四に、事業者全体の負担額を個々の事業者に配分する方法としては、公害防止事業の種類に応じ、事業活動の規模、公害の原因となる施設の種類及び規模、事業活動に伴い排出される有害物質の量等を基準とすることにより適正な配分を行なうよう配慮することとしております。
 第五に、この法律の運用上、中小企業者の負担を考慮し、費用負担の対象となる事業者を定める基準の決定やその負担金の納付方法などについて適正な配慮を行なうほか、国及び地方公共団体は、税制上、金融上必要な措置を講ずるようつとめるものとしております。
 次に、騒音規制法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案は、騒音による生活環境の悪化が年々拡大し、かつ強まりつつある事態に対処するため、騒音を規制する地域の範囲を拡大するとともに、新たに自動車騒音を規制の対象に加え、その他所要の改正を行なおうとするものであります。
 そのおもな内容は、
 第一は、現行法の目的規定を改め、産業の健全な発展との調和に関する規定を削除したことであります。
 第二は、騒音を規制する地域を従来の特別区及び市の市街地に限らず、住居が集合している地域、病院または学校周辺の地域、その他の騒音を防止することにより住民の生活環境を保全する必要がある地域に拡大するものであります。
 第三は、従来の工場騒音及び立場騒音に、新たに自動車の騒音を加え、許容限度を定める等必要な措置を講ずることとした等であります。
 次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案は、公害対策基本法その他関係法律の改正と相まち、大気汚染について、その早急な改善と防止の徹底を期するため、規制措置を拡充強化する等の改正を行なおうとするものであります。
 そのおもな内容は、
 第一は、現行法の目的規定を改め、産業の健全な発展との調和に関する規定を削除したことであります。
 第二は、ばい煙の排出を規制する地域を全国に拡大し、また、新たにカドミウム、弗化水素等の有害物質についても、その排出を常時規制するほか、工場等における物の破砕に伴い発生する粉じん等についても規制措置を講ずることとしたものであります。
 第三は、ばい煙の排出基準でありますが、硫黄酸化物にあっては、地域の汚染の程度に応じて定めるものとし、ばいじん及び有害物質にあっては全国一律に定め、これについて、都道府県は、地域の実情に応じて国の排出基準よりきびしい排出基準を定めることができるものとしたこと等であります。
 次に、右各法律案の審査の経過について申し上げます。
 去る三日の本会議において、公害対策基本法の一部を改正する法律案、及び環境保全基本法案の趣旨説明及び質疑が行なわれた後、直ちに本委員会において、それぞれ各案の提案理由の説明を聴取し審査に入ったのでありますが、特に四日、五日の両日は、今国会に提出され全国民注視の的になっている公害関係の十五法案について、地方行政、法務、社会労働、農林水産、商工、運輸、建設各委員会との連合審査会を開会し、内閣総理大臣並びに関係各大臣出席のもとに終始熱心な審査を行ないました。また、九日には、学識経験を有する参考人から意見を聴取する等、慎重に審査を重ねてまいりました。その間、企業の無過失賠償責任制度の法制化に関する問題、環境基準の検討の問題、地方公共団体に対する財政措置並びに権限委譲に関する問題、紛争の処理及び被害の救済に関する問題、中小企業者の負担能力に対する配慮の問題、低硫黄原油の確保及び脱硫装置の設置推進の問題自動車の排出ガスの規制及びガソリンの無鉛化の問題航空機、新幹線等鉄道の騒音規制の問題等、国民の深く関心を寄せる諸問題につきましては、与野党を問わず熱心なる質疑が行なわれましたが、これら論議の詳細については会議録に譲ることといたします。
 また、委員会の審査過程において、近時産業経済の高度発展下にあるわが国の環境汚染の急速化を防ぎ、長期的視野のもとに、国民のために良好な環境を確保しなければならないことは、単に国会内の与野党間の問題ではなく、広く国会、政府等を含め国をあげての責務であることを確認する必要上から、本日の委員会において自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提案にかかる環境保全宣言に関する件についての決議の動議が提出され、自由民主党の渡辺栄一君から趣旨説明を聴取し、日本社会党の島本虎三君から四党を代表して賛成の発言があった後、全会一致で本決議を可決したのでございました。(拍手)
 その決議の内容は、
    環境保全宣言に関する件
  健康で文化的な生活を享受することは国民の基本的な権利であり、そのためには良好な環境の確保が不可欠であることにかんがみ、長期的な視野の下に、現在及び将来の国民のために、国をあげての努力により良好な環境が確保されなければならない。
  しかるに、近時産業経済の高度の発展の過程において、自然の生態系の循環にみだれがみられ、殊に世界にまれな高密度社会を形成するわが国において環境の汚染は急速に進んでいる。
  環境保全基本法案は、自然環境の保全を含め、人間の良好な環境を確保するための施策を定めたもので、ビジョンを示したものとして評価される。
  政府案はわが国において国民の生活が公害に脅かされている現状にかんがみ、問題を環境保全という一般的な角度よりも、従来どおり公害対策という視野からとらえ、公害対策基本法改正案において国民の健康で文化的な生活を確保するうえにおいて公害の防止がきわめて重要であることを明確にするとともに現下緊要の施策を示したものである。
  政府は、今後公害対策の一層の推進を図るとともに、さらにひろく人間の環境保全のための諸施策を講ずべきである。
  右決議する。
以上でございます。(拍手)
 本決議に対し、佐藤内閣総理大臣から、内閣を代表して、「決議の趣旨を体し十分尊重して、公害と取り組み、公害防止並びに公害対策に万全を期したい。」との所見の表明がありました。(拍手)
 かくて、本日質疑を終了し、まず、公害対策基本法の一部を改正する法律案につきましては、日本共産党米原昶君から修正案が提出され、自由民主党の小山省二君から修正案に反対、原案に賛成、日本社会党の佐藤観樹君から修正案及び原案に反対の討論が行なわれた後、採決の結果、修正案を否決し、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次いで、公害防止事業費事業者負担法案につきましては、岡本富夫君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党四党共同提案にかかる修正案が提出され、採決の結果、修正案を可決し、本案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、修正案の要旨は、公害防止事業の範囲に住宅の移転の事業を明示することであります。
 次に、騒音規制法の一部を改正する法律案につきましては、日本共産党米原和君から修正案が提出され、採決の結果、修正案を否決し、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しましては、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付するに決しました。
 さらに、大気汚染防止法の一部を改正する法律案につきましては、岡本富夫君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党四党共同提案にかかる修正案が、また、日本共産党米原昶君から修正案が、それぞれ提出され、採決の結果、米原昶君提出の修正案を否決し、岡本富夫君外三名提出にかかる修正案を可決し、本案は修正すべきものと決した次第であります。
 なお、修正案の要旨は、
 一、ばい煙の定義に例示として鉛を、自動車の排出ガスの定義に同じく炭化水素及び鉛を加えること。
 二、都道府県がきびしい排出基準を定めることができる場合における政令で定める基準に従うべき旨の規定を、政令で定めるところによるべき旨の規定に改めること。
 三、特定物質に関する事故時の措置について勧告を命令に改めること。
 四、ばい煙発生施設の緊急時の措置としての勧告を命令に改めること。であります。
 また、本案に対しましては、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付するに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#8
○議長(船田中君) 四案中、公害対策基本法の一部を改正する法律案につき討論の通告があります。順次これを許します。土井たか子君。
  〔土井たか子君登壇〕
#9
○土井たか子君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提案の公害対策基本法の一部を改正する法律案に対して反対━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━の趣旨を述べたいと存じます。(拍手)
 思えば昭和四十一年、社会党の提案が契機となって、政府は、翌昭和四十二年、第五十五国会に公害対策基本法を提案いたしたのであります。その政府案の論議の焦点は、政府が固執して譲らなかった「経済の健全な発展との調和」にあったことは、何人の記憶にも新しいところでございます。しかるに、その後の公害をめぐる急速な激化、変動は、社会党の提案の正しさが、国内的にも国際的にも明白に立証されたものといわなければなりません。(拍手)
 池田内閣に続く佐藤内閣は、この十年間、経済が成長すれば国民の暮らしはよくなるということばを繰り返しながら、国民不在、大企業優先の政策を行なってまいりました。その結果、GNPはこの十年間に三倍となり、太平洋ベルト地帯に工場と人とが集中をして、公害をたれ流し、環境の汚染と破壊をもたらしたものであります。
 この過程を通じて、公害国会といわれる本国会の審議に臨むわれわれは、公害対策に対処しようとする基本姿勢として三つの段階があることを認めざるを得ないのであります。(拍手)
 第一は、健康の保護と生活環境の保全を分離し、生活環境の保全は経済の健全な発展との調和をはかることにあるとし、事実上、企業の優先の原則を貫くという立場であります。
 第二は、産業発展との調和を削除するとはいうものの、公害対策を矮小化し、環境の汚染と破壊から生活環境を保護するという公害防止をあいまいにして、経済発展との調和を温存しようとする態度であります。佐藤総理の答弁を通じて全国民がひとしく疑惑の眼を集中しているのはこの点にあります。(拍手)
 第三は、公害防止という消極的かつこう薬ばり的な考え方を、積極的かつ総合的な環境保全という考え方に転換をして、名実ともに人間尊重、生活優先の態度を貫くという立場であります。(拍手)
 政府・自民党は、本国会における審議と締めくくりの交渉の段階を通じて、わが党をはじめ野党が提案した基本法の第一条に生活優先を明記することをただいままで頑強に拒絶してまいりました。これはまさしく衣の下からよろいをちらつかせたものというだけでなく、衣を脱ぎ捨てて、よろいをおくめんもなくさらけ出したものであり、神をおそれず、国民をあざむく恥知らずの態度といわなければなりません。(拍手)
 佐藤総理の、本国会冒頭に述べた、日本の公害立法は世界に冠たるものであるという広言は、この国会審議を通じて完膚なきまでに粉砕され、政府案の欠陥は国民の前に明らかに暴露されたのであります。(拍手)
 政府案における決定的な欠陥は、すでに述べた基本法の基本的性格にあることは明らかでありますが、さらに具体的に次の点にあるということができましょう。
 その第一は、本国会の公害立法を通じて、公害予防優先、公害発生源規制の原則が貫かれていない点であります。すべての汚染に対しては、有害廃棄物を処理するよりも、生産過程で予防することはもはや国際的な常識になっており、企業責任、企業のモラルとして確立されているところでございます。きれいな水を使えばきれいな水で返せというイギリスの慣習法、さらには企業が大気をきれいにすることは、株主に対すると同様、地域社会に対する責任であるというアメリカ工業会の公害憲章などに、この新しいモラルを見ることができるのであります。
 今国会の審議を通じて、大気汚染防止法の一部改正の内容から、電気ガス事業法の適用が除外されたことや、公害発生源に対する常時測定と監視に対する制度がきわめて不十分であることや、政治不信の焦点となっている公害罪の取り扱いなど、わが国公害対策が国際レベルに遠く及ばないことを如実に物語っているものでございます。(拍手)
 第二は、住民参加、自治権優先、被害者の裁判上の権利が保障されていないという点でございます。
 公害立法は、言うまでもなく、被害者である住民の意思が、行政、司法を通じて貫徹されるものでなければなりません。これは、公害問題処理における大原則でございます。自治体に対する規制権限委譲、公害罪、無過失賠償責任の問題、事業者費用負担の問題、自治体や住民代表による公害防止協定の問題、治療と生活の完全保障の問題などの審議を通じて、政府の公害行政が中央集権と大企業癒着以外の何ものでもないことを露呈したのでございます。(拍手)
 しかも、このたびの法案の積み残しの中で、最大の落としものは、何といっても、公害発生企業の責任を追及するために、これだけは被害者住民の立場からはっきりさせておかねばならない無過失賠償責任の問題、さらには挙証責任の転換の問題でございます。
 今日、世界ですでに知られたわが国の四大公害裁判において、企業の引き起こした公害の故意または過失を明らかにするために、被害者がどれほどの辛酸をなめているか。この期に及んで無過失賠償責任、また挙証責任の転換の問題を回避し続けようとしている政府の責任は重かつ大といわねばなりません。(拍手)このように無責任な立場から、幾百、幾千、幾万の法律をつくりましても、すべてざる法と化することは、火を見るよりも明らかでございます。
 第三に、公害行政一元化と公害研究体制確立の問題がございます。
 わが公害行政は、各省別の産業行政、企業助長の行政に従属して、幾多の規制措置も何らの効果を発揮していないことは周知の事実であって、企業と官僚と政府が癒着をして、国民不在、被害者住民無視の傾向にあることはいなめない事実でございましょう。
 さらに、公害行政のあり方と並んで重要なことは、公害研究の研究体制確立でございます。
 日本における公害研究機関は、各省別、産業別にばらばらに切り裂かれているのでありまして、行政が企業に従属いたしているように、研究も行政と企業に従属いたしているのでございます。これをもってしては、環境保全という全人類の課題、新しい研究の分野である生態学的解明、地球汚染の問題、自然循環と自浄作用の問題などなど、総合的な研究課題を追及するという任務を遂行することは不可能であるといわざるを得ません。
 イギリスにおいては、去る十月、住宅自治省を中心とする環境省を設立し、王立公害研究機関をその傘下におさめたのであります。スウェーデンでは、農林省の外局に環境保護庁を設立しており、アメリカにおいてすら、大統領直属の環境保護局を設けて、六千人のスタッフを集中確保いたしておるのであります。
 しかるに、わが国においては、公害対策本部という、閣議決定に基づくにわかづくりのあいまいな寄り合い政府機関をつくったのにすぎません。わが党はじめ三党が、基本法の対案において環境省の設立、権威ある国立の研究機関の設立、研究と監視と告発を一体化した公害検査官制度の設置を提案いたしておりますのは、以上の理由に基づくものでありまして、これを政府の基本法案と比較するならば、雲泥の相違があるものといわねばなりません(拍手)
 ここに、死の恐怖におののく患者の一つの記録がございます。「銭は一銭も要らぬ。そのかわり、会社のえらか衆の、上から順々に、水銀母液ば飲んでもらおう。上から順々に、四十二人飲んでもらう。奥さん方にも飲んでもらう。そのあと順々に六十九人、水俣病になってもらう。それでよか。」この水俣病患者に見るように、生活保護を受けながら、加害者と争い続けて十七年、いまだに解決の見通しすら立たないような国が一体どこにあるでございましょうか。(拍手)
 昨日、産業公害対策特別委員会において、四参考人からそれぞれ政府提出の公害対策基本法に対する意見を聞いたのでございます。その席上、自民党推薦の和達清夫中央公害対策審議会会長ですら……
#10
○議長(船田中君) 土井君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#11
○土井たか子君(続) 政府の提出した基本法の改正案より、野党提出の環境保全基本法に魅力を感ずると述べられたことは、公害の学識経験者や国民が、あげて野党三党提出の案を支持いたしている何よりの証拠というべきでございましょう。(拍手)
 以上、三点にわたって立法上重大な点について述べたところでありますが、要は、環境保全、公害防止の施策を、国民の立場に立って本気でやる気があるのかないのかということでございます。(拍手)
 われわれは、ずさんきわまりない政府の基本法並びに施策について追及をしてまいりました。この審議の経過にかんがみ、政府・自民党はすみやかに政府案を撤回━━━━━━━━━━
#12
○議長(船田中君) 土井君、時間ですから、結論を急いでください。
#13
○土井たか子君(続) ━━━━━━━━━━━━あらんことを。強く国民の名において要請いたしまして、私の政府提出、公害対策基本法の一部を改正する法律案に対する反対討論を終わることにいたします。(拍手)
#14
○議長(船田中君) ただいまの土井君の発言中、議題外にわたる発言の部分につきましては、議長において速記録を取り調べの上、適当に処理いたします。
 小山省二君。
  〔小山省二君登壇〕
#15
○小山省二君 私は、自由民主党を代表して、内閣提出の公害対策基本法の一部を改正する法律案に賛成の意を表し、討論を行なわんとするものであります。
 本案は、去る十二月三日の本会議に上程され、引き続き産業公害対策特別委員会に付託、慎重審議が行なわれ、さらに、学界等の参考人からも十分意見の聴取等がなされ、委員会におきましては多数をもって議決されたものであります。
 公害問題は、国際的には、ウ・タント国連事務総長やニクソン米大統領の教書を契機として、まさに世界的な規模を持つ課題として提起されており、本年十月にはトレイン米環境問題諮問委員会委員長も来日せられ、公害問題に対する日米間の緊密な協力について共同コミュニケを発表するに至ったことは、周知のとおりであります。
 わが国におきましては、過ぐる昭和四十二年の第五十五国会において公害対策基本法が制定せられ、自乗今日まで、既存の公害関係諸法の改善充実と従来立ちおくれていた公害対策についての新たな立法措置が進められてまいりましたことは、あらためて申し上げるまでもありません。
 しかしながら、わが国経済の高度成長に伴い、国民生活は著しい向上を見せた反面、エネルギーの転換、重化学工業の伸展、急激なモータリゼーション、人口の都市集中を背景として、近年、公害現象はますます複雑、拡大、集積複合し、さらには鉛汚染、カドミウム汚染、廃棄物公害等、新しい公害問題も現出する等、人の健康や生活環境に対する重大な脅威となるに至っております。
 このような状況に対処し、内閣に公害対策本部を設置する等、政府の公害防止に関する体制は強化され、さらに、公害関係諸法制の全面的な改正をはかるため、政府・与党一体となって、今日まで精力的な取り組みを続けてまいったことは申すまでもありません。(拍手)
 今回の公害対策基本法の一部改正案は、その目的を全面的に改正し、憲法に規定されている国民の健康で文化的な生活を確保する上において、公害の防止がきわめて重要であることを明確にし、さらに自然環境の保護、土壌汚染の防止、廃棄物の適正な処理の諸規定を新たに設け、真に実効性のある公害憲章としての規定を整備いたしております。
 基本法のこの改正に伴い、今国会において、大気汚染、水質汚濁、海洋汚染、騒音の各規定法が改正ないしは新たに制定されることとなり、これらの諸法制の規制措置としては、従来の指定地域制を廃止し、規制対象地域を全国に拡大し、都道府県にはよりきびしい規制基準が設定できる道を開き、有害物質は常時規制を行ない、規制基準に適合しない排出者に対しては、直罰主義をとる等、それぞれの公害に対応して、適切な処置を拡充強化いたすことになっております。また、廃棄物の処理、下水道の整備、交通公害の規制をはかる等、すぐれた自然環境の保護、毒物、劇物、農薬等の規制の強化に至るまで、全面的に整備されることになるのであります。
 さらに、基本法において、従来から立法が予定され、しかも今日まで未整備であった事業者の費用負担に関する法制も、実現を見ることであります。これにより、事業者みずからの公害防止施設の整備はもとより、緩衝緑地、下水道等の国または地方公共団体の公害防止事業も、積極的に推進される道が開かれることになるのであります。
 このように、公害対策基本法の改正によって、公害防止のため必要な法的措置は飛躍的な強化を見ることとなり、今後、公害防止技術の研究開発の進展と相まって、国民の健康の保護と、生活環境の保全のために果たす役割りはきわめて大なるものがあります。
 したがいまして、私は、かかる広範多岐にわたる公害関係諸法制の総合的、体系的な整備充実が、今日みごとに実現いたしますについては、総理を先頭とする政府・与党関係各位の緊密な協力に対し深甚なる敬意を表するとともに、その根本となる公害対策基本法一部改正案に心からなる賛意を表する次第であります。(拍手)
 このこと自体、今日深刻な公害問題に直面し、その解決を国会に期待しておる国民各位に対し、その負託にこたえる最善の道であるとかたく信じて疑いません。(拍手)
 最後に、私は、本法の成立を契機として、快適な人間環境の達成という旗じるしを高く掲げ、現在及び将来の国民のために、国をあげて公害防止になお一そうの努力を続けてまいりたいと存じます。
 以上をもって、私の賛成討論といたします。(拍手)
#16
○議長(船田中君) 瀬野栄次郎君。
  〔瀬野栄次郎君登壇〕
#17
○瀬野栄次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の公害対策基本法の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行ないます。(拍手)
 「福祉なくして成長なし」の名せりふで幕をあけました国民待望の公害国会も、各種公害関係法の大幅な後退によって、大きく国民の期待を裏切る結果となったのであります。その背景に常に企業代弁内閣の姿勢を余すところなくあらわし、さぞかし、故田中正造さんも草葉の陰で泣いていることと思うのであります。
 以下、政府提出公害対策基本法の一部を改正する法律案にわが党が反対する理由を申し上げたいと思います。
 その第一は、公害問題はいまや質、量ともに大きくその態様を変貌し、地球的規模に拡大しようとしており、地球をこれ以上汚染すれば、酸素の発生源は自滅し、人類はみずから開拓した人為的環境の中で死滅する結果を招きかねないと警告されております。あまつさえ、わが公害列島には、その危機がひしひしと迫っているにもかかわらず、本改正案は、単なる部分改正にとどまり、環境保全への配慮が全く無視されてしまったことであります。
 ウ・タント国連事務総長は、一九七二年の国連討議問題として公害を取り上げることを明言し、また、ニクソン大統領も本年初頭に公害教書を発表しました。本来、公害対策の基本は、生態学的見地からする自然の循環作用を正常に戻す自然環境の保全という指標がなくてはならないのであります。一昨日の衆議院産業公害特別委員会の参考人の指摘も、ここにあることが明らかであります。われわれ公明、社会、民社の三党が共同提案した環境保全基本法案は、それに基盤を置いたものでありまして、これに比較するならば、本改正案の趣旨は、従来の対症療法的対策から一歩も前進のない、骨抜き対策、あと追い行政しかできないものというよりほかはありません。(拍手)
 第二点は、わが国の公害は、世界にも類を見ない広範かつ恒常的現象を示し、水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくなどに代表されるその残酷さと悲惨さは、人間生命を奪い、そこなわれた健康は容易に回復せず、生活の希望を失い、白痴同然と化したわが子を背負い、その救済を求める痛ましい犠牲者の呻吟は怨嗟の声となっております。これは明らかに企業の犯した犯罪と断じなくてはなりません。(拍手)これらの被害者に対する加害企業の冷淡さは、国民の大きな憤激を買っております。
 さらに、企業責任を追及するために必要な措置は、不完全のまま放置されており、政府は、本国会で、公害患者の救済について、無過失損害賠償責任制度や、紛争処理や、被害者救済措置等の整備充実に一言も触れておらず、被害者無視の姿勢を示したことであります。
 わが国の自然環境をここまで破滅させ、多数の人命をも奪い去った元凶を、一口でいうならば、大企業の利潤追求優先のあくどさと、歴代政府の企業優先政策と断言する以外にないのであります。(拍手)
 公害の防除、さらには予防はもちろんのことでありますが、公害によって被害を受けた犠牲者に対する救済措置はきわめて重要であります。公害紛争処理と被害者救済の充実強化は別の個別法の改正にまつとしても、少なくとも無過失損害賠償責任制度の新設をこの基本法に明示し、別に具体化した特別法制定の道を開くべきであったと思うのであります。
 この点について、政府の消極的態度は、被害者並びに国民にとって大きな不信となっていることは、いなめないところであります。
 さらに第三点は、行政上の一元化に対する政府の態度であります。今日、公害に対する行政は、複雑多岐にわたりて、きわめて効率をそこなっていることは、国民のひとしく指摘するところであります。
 政府は、この国民世論の防壁として、中央公害対策本部の設置をもって局面を糊塗しようといたしておりますが、公害対策本部が単なる調整機関であって、国民の求める実効ある公害防除に的確な成果をもたらさないことは明らかであります。われわれは、環境保全省ともいうべき実効ある統一された行政機関の設置を環境保全基本法の中に掲げておりますが、これが全く無視されて、今後も非効率な公害行政が続行されることについてきわめて不満であります。
 そのほか、環境基準の設定が基本法によって努力目標にしかすぎないこと、地方公共団体に対する権限委譲について、第五条、第十八条における地方公共団体の施策と責務が、「国の施策に準じ」または「法令に違反しない限り」等、国の権限の温存をはかって、実質的な権限委譲を行なっていないことであります。この精神を受け継いだ各個別法は、如実にその実態が露骨にあらわれていることは、否定できないのであります。さらに、地方の財政負担に対する国の援助についても、きわめて消極的、かつ冷淡な結果となっております。
 これらを勘案するとき、この基本法改正案をはるかに上回る上策ともいうべき環境保全基本法案が採用され、与野党一致で強力な公害及び環境対策が講じられることが最も緊要かつ国民の期待にこたえる道であったにもかかわらず、一顧だに与えなかった与党並びに政府の態度は、公害対策についての積極的な意思の発露が全然見られないと断じて差しつかえないのであります。(拍手)
 私は、これらの点について、政府に猛省を促すとともに、反対意見を述べ、反対討論といたします。(拍手)
#18
○議長(船田中君) 小宮武喜君。
  〔小宮武喜君登壇〕
#19
○小宮武喜君 私は、民社党を代表して、政府の提出した公害対策基本法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 いまさら言うまでもなく、今日のわが国における公害の実態を見ますと、すでに二百名をこえる死亡者を出しているほか、日が進むにつれて大気の汚染によるぜんそく病あるいはイタイイタイ病の前兆ともいうべき指曲がり症などの多数の公害病患者を続発させているのみならず、いまだ公害病とは認定されてはいないが、明らかに公害に原因する患者が数万人にも達するとさえいわれており、まさに世界にその例を見ない深刻な状況におとしいれられているのであります。
 このような惨状ともいうべき事態を招来せしめた第一の理由は、狭い国土と急峻な山が海岸線にまで突き出ている状況下で、高い人口密度という国土の実態にもかかわらず、重化学工業を主体とする高度経済成長政策を宿していることは、もはや疑う余地のない事実であります。
 したがって、国民が切望するものは、公害原因を排出している事業者等に対するきびしい規制の実施であり、公共の福祉を脅かす企業のひたすら推進してきた政府政策の誤りに求められるのであり、第二は、人間の生存には欠くことのできない良好な自然の環境を破壊しても、何ら社会的な責任を感じない企業の飽くなき利潤追求活動そのものに大きな原因があり、社会的に負担すべき責任を明確に国民の前に示せということであります。
 また、これと同時に、政府自身が公害に対処するきびしい姿勢を示すとともに、政治の課題ともいうべき良好な自然並びに生活環境を回復するための基本的な施策の確立を切望していることは、連日の新聞、テレビ等の報道によっても明らかなところであり、昨日の産業公害特別委員会において、政府・与党の推薦した和達参考人みずからが述べられたことは周知のとおりであります。(拍手)
 しかるに、政府は、これほど明々白々となっている自然環境保全の必要性を無視して、公害に対する基本政策を展開されんとすることは、あまりにも短慮であり、現在及び将来の国民に対する重大な誤りとして、必ずや批判をされるところでありまして、われわれが政府の基本法改正案に反対する理由の第一も、実に環境保全の理念が欠如した政府の考え方にあるのであります。
 第二の反対理由は、公害発生の現場に最も近くして、住民の安全、健康、福祉の確保を主要な任務とする地方公共団体に対する権限の委譲が不徹底となっていることであります。おそらく、政府は、公害対策基本法以外の各種関係法において、地方公共団体への権限委譲はそれぞれ具体化されていると強弁されるのでありましょうが、実は関係各法のそれが不徹底であり、明確を欠いていることは、本院各委員会において相当の修正を余儀なくされたことでも明らかであります。しかし、問題は、関係諸法律の源をなす公害対策基本法において、具体的かつ明瞭に都道府県知事及び市町村のそれぞれの権限を規定しておくのでなければ、住民の安全、健康、福祉の確保を主要な任務とする地方公共団体の役割りを円滑に進めることはできないのであります。この点、政府の猛省を促してやまないのであります。
 第三に反対する理由は、いささか地方公共団体の権限を強化したといたしましても、地方公共団体が公害の監視、測定網を整備するための費用、公害の防止事業を施行するための費用、あるいは公害対策にもっぱら従事する公害専門職員の養成、確保等に要する費用など、窮迫した財政事情にある地方公共団体に対する国の財政援助措置が何ら裏づけされていないことであります。
 このことは、単に公害対策基本法のみならず、関係諸法律案にも示されていないのでありまして、少なくとも公害に対処する基礎ともいうべき公害対策基本法の第二十三条を大幅に改正し、地方公共団体に対する政府の財政援助措置を必ずや行なわなければならないものとするよう、明確にすべきであったはずでありますが、われわれは、公害から住民を守るという具体的な任務を負う地方公共団体に対する財政措置が欠けている公害対策は、およそナンセンスと考え、公害防止事業の実施を促進するための地方公共団体に対する財政上の特別措置に関する法律案を民社、社会、公明の三党が共同で提案したのであります。
 この内容については、ここで申し述べるまでもないのでありますが、与党の一部においては、野党案を真剣に考慮する動きさえあると聞き、政府としても、この点積極的に取り組むべきが当然なのであります。
 しかるに、政府には、地方公共団体に対する財政配慮が全くないのはきわめて遺憾でありまして、今後大いに反省すべきことをこの席より厳重に注意してやまないところであります。
 われわれが反対する第四の理由は、企業活動が著しく活発に展開されている今日、そのことに原因して多くの国民が受けている財産及び身体、生命上の損害は、はかり知れないものがあるにもかかわらず、被害者として弱い立場に立たされている国民の権利を守るためには、事業者の無過失損害賠償責任制度を確立しなければならないのは当然であり、とれまた国民の切実な要望であります。したがって、政府としては、少なくとも、公害対策基本法の改正に際して、この無過失損害賠償責任制度の原則を盛り込むべきは当然であったはずであります。
 しかるに、政府案にはこれに関する一言半句さえ書き込まれてはいないばかりか、佐藤総理の本院における発言が、立法の困難性から、ついにはその意思さえないと思わせる発言に後退してきたことは、まことに遺憾でありまして、国民の期待を全く裏切っているものといわなければなりません。(拍手)
 この点について、民社党をはじめ、社会、公明の三党は、事業活動に伴って人の健康等に係る公害を生じさせた事業者の無過失損害賠償責任に関する法律案を提案し、政府の後退姿勢をただすと同時に、その足らざるところを補わんとしているのでありますが、政府・与党にもこれに刺激されてか、いささか賛意を表する情勢もあることは周知のとおりであります。特に、本院における連合審査の過程では、公害担当の山中国務大臣の発言には、やや積極的な姿勢のうかがわれたのも事実であります。この際政府は、野党三党の提案している無過失損害賠償責任法案を真剣に検討し、これに対する積極的な姿勢を示すよう、強く要望しつつ、私の反対討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、公害対策基本法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#21
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、公害防止事業費事業者負担法案、及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#22
○議長(船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。
 次に、騒音規制法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案(内閣提出)
#24
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#25
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#27
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。法務委員長高橋英吉君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔高橋英吉君登壇〕
#28
○高橋英吉君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における公害の実情にかんがみ、事業活動に伴って人の健康に係る公害を生じさせる行為等について、公害の防止に関する他の法令と相まって特別の処罰規定を設け、公害の防止に資せんとするものであります。
 そのおもなる内容は、第一に、故意または過失によって工場または事業場における事業活動に伴う人の健康に有害な物質の排出により、公衆の生命または身体に危険を生じさせた者を処罰し、よって生じた死傷の結果についても処罰することとし、第二に、行為者のほか、法人等の事業主をも処罰するいわゆる両罰規定を設けることとし、第三に、厳格なる条件のもとに推定規定を設けること等であります。
 当委員会におきましては、十二月三日提案理由の説明を聴取した後、産業公害対策特別委員会との連合審査をはじめ、参考人から意見を聞くなど、慎重かつ熱心な質疑がなされました。
 次いで、八日、日本社会党、公明党及び民社党三党共同提案にかかる修正案が提出され、その内容は、二条、三条及び五条に「及ぼすおそれのある状態」を加える等のほか、新たに食品製造業によって生産される食品から生ずる公害犯罪を設けようとするものであります。また九日、日本共産党から修正案が提出され、その内容は、事業者の業務執行による事業活動に伴う有害物質の排出を不正な公害事業罪として、その業務執行者とともに企業主を処罰すること等であります。
 かくて、本日、質疑を終了したところ、自由民主党を代表して鍛冶良作君から、原案に賛成、日本社会党、公明党及び民社党三党共同提案の修正案及び日本共産党提案の修正案に反対、日本社会党、公明党及び民社党を代表して畑和君から、日本社会党、公明党及び民社党三党共同提案の修正案に賛成、日本共産党提案の修正案及び原案に反対、日本共産党を代表して青柳盛雄君から、日本共産党提案の修正案及び社会党、公明党及び民社党三党共同提案の修正案に賛成の各討論がなされました。
 採決の結果、両修正案は否決され、世界最初の公害罪法といわれる歴史的法案である本案は多数をもって可決されました。(拍手)
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(船田中君) 本案につき討論の通告があります。順次これを許します。畑和君。
  〔畑和君登壇〕
#30
○畑和君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案に対し、反対の討論をいたしたいと存じます。
 そもそも、今日のごとく企業の事業活動に伴い発生する公害がますます拡大し、その被害がいよいよ深刻化している状況下においては、公害による加害行為を道義的、社会的非難に値するものとして、これら行為を自然犯としてとらえ、これが禁止抑圧に刑罰をもって臨むべきであるとの世論が高まり、その世論を背景として、今回、政府が人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案を提案し、刑罰の威嚇による一般予防の効果をあげようとしたことに対しては、一応の評価を与えるにやぶさかではございません。
 しかしながら、今回提案についての基本的問題は、公害の抑止については各種行政上の規制法規の強化が第一次的役割りを持ち、刑罰の果たす役割りはあくまでも第二次的なものであるべきにもかかわらず、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等による直接規制の強化、特に環境基準、排出基準等を、公害の現状の改善に役立つに十分なだけに整備強化するに先立って立法化されんとしているところにあると思います。
 もともと公害を抑止するためには、公害現象の本質に即し、かつ、これに最もふさわしい形でこれを的確に把握し、十分に処罰の実効をあげ得るものとすることであります。
 ところで、はたして本法案が、右処罰の実効性をあげ得るかどうかの観点から本法案を検討した場合、まず本質的には、発生した危険が企業活動によるものであるにかかわらず、事実行為者がまず捕捉処罰され、それに付随して企業者たる法人が処罰せられるにすぎない点であり、しかも、事実行為者としては、せいぜい工場長以下の現場従業者が処罰をされ、それより上の会社幹部等が処罰される可能性はなく、しかも法人に対する罰金は、最高の場合でも五百万円にしかすぎないのであります。この両罰規定は、法技術的な制約があるとはいえ、いかにも見当はずれの方策であると評さなければなりません。
 次に、危険の発生についての因果関係の立証の困難性を救うため、推定規定を設けようとする点でありますが、この推定規定はきわめて限定的かつ形式的であり、一見画期的な規定のごとく見えて、実際には実効性が少なく、さほど有効なものとは思われず、特に異種原因の複合公害についてはもちろん、同種の集合複合公害についても、排出基準を守っていさえすれば違法性を阻却し、故意、過失なしとする政府解釈と相まって、ほとんど実効性がないものといわざるを得ないと思います。
 また、公害が長期かつ継続的排出の結果であることを思えば、当然に企業の担当者が交代、転勤することが予想される事態に対しては、従来の共犯理論をどのように適用するかの問題も存するのであります。
 さらに、最後に、最も非難さるべきは、法務省原案にあったいわゆる「おそれ」条項を削除した点であります。およそ公害犯罪を自然犯としてとらえるにあたっては、公害の及ぼす危険性にかんがみ、できるだけ事前に危険を生ずるおそれある状態においてとらえる必要から、法務省原案においては、「公衆の生命又は身体に危険を及ぼすおそれある状態を生じさせた者」と規定したのでありますが、財界の猛然たる反対にあうや、政府はついにその圧力に屈し、右の「及ぼすおそれある状態」を削除して、単に「危険を生じさせた者」として本案を提案したものでありまして、明らかに財界の圧力に屈して後退したものというべきであり、(拍手)いわゆる「おそれ」条項の存否は効果においては変わりはないのだなどと弁解するにおいては、これを許すことはできないのであります。
 これを要するに、前述したごとく、第一次的役割りを持つ各種規制法の整備、強化がいまだ十分になされていない点との関係において考えるならば、まさに本法案は国民に対する全く見せかけの、看板倒れのざる法ではないかと疑わざるを得ないのであります。
 次に私は、本法案に関連し、公害に関する民事の無過失賠償責任制度制定の必要と、これに対する政府の姿勢について一言申し述べたいと存じます。
 そもそも、民法七百九条は、刑法における罪刑法定主義の人権尊重の精神と相まって、「故意又ハ過失二因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス」と規定し、被害者救済につき公平をはかるため、損害賠償請求には相手方の故意、過失を必要とし、これを被害者が立証すべきこととしており、近代初期においては、これによって確かに両者の公平がはかられ、産業もまたこれによって発展したのであります。しかし、最近においては、科学の進歩と産業の発展に伴い、デリケートな薬品が生まれ、複雑な機械があらわれるに及び、過失の立証のきわめてむずかしい損害が発生し得る場合が多くなったのでありまして、かつては公平の原則に適合し、産業の発展を促した民法第七百九条は、いまや実質的には、弱い被害者に酷な不公平な原則となろうといたしておるのであります。水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく等の場合のごとく、一方強大な大企業に対し、他方零細にして経済的に弱い被害者たちが訴訟において立ち向かったとき、企業の故意、過失を被害者たちが立証すべきものとすることは、訴訟がいたずらに長引き、被害者がその負担にたえられない事態と相なり、かえって実質上の公平が期せられない結果となっております。
 そこで最近、公害問題の民事の損害賠償については、民法の七百九条の例外として、無過失責任を規定すべしとの世論が支配的であり、昨日の産業公害、法務の両委員会に出席した参考人も、ほとんど異口同音にこれを支持しておるほどでありますが、この問題についての政府答弁はまことに消極的であり、企業サイドに立脚しているものとしか考えられず、きわめて遺憾であります。
 そこで、われわれは、今国会に三党共同で右制度の制定を提案いたしましたが、政府・自民党の不誠意により、いまだ日の目を見るに至っておりませんことは、これまたきわめて遺憾のきわみであります。(拍手)
 最後に申し上げますが、本公害罪法案が前述のごとくきわめて問題が多く、かつずさんでありますので、われわれ野党三党は共同して、「おそれ」条項を法務省原案に戻すほか、多発する食品公害の危険をも規制する内容を含む修正案を委員会において提出しましたが、自民党の同調が得られず、残念ながら否決されましたので、遺憾ながら本政府原案に反対ぜざるを得ないことを重ねて申し述べまして、本討論を終わる次第であります。(拍手)
#31
○議長(船田中君) 林孝矩君。
  〔林孝矩君登壇〕
#32
○林孝矩君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出の、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案について、反対の討論をいたすものであります。
 すでに周知のごとく、わが国経済の急速な成長は、あくまでも大企業本位、生産優先の政府の政策にささえられてきたものでありますが、この経済発展の陰に、政府は重要な施策をなおざりにしてきたのであります。
 すなわち、水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく等、次々に起こりつつあるる公害を見るとき、公害という名のもとに、公然と犯罪が行なわれ、その犠牲者はきわめて悲惨な状態に追い込まれているのであります。いまや、生命、健康に脅威を及ぼす公害を犯罪として摘発する必要を強く感ずるものであります。(拍手)
 以下、私は、政府提出の、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律案に対する反対の理由を述べさせていただきます。
 まず第一に、本法律案の最大の争点になった「おそれ」の表現削除についてでありますが、今回の公害罪法案は、公害施策の基本姿勢の宣言という意味で、国民の最低限の要求であったのであります。しかるに、政府が、法務省原案にあった「おそれ」の表現を削除したことにより、被害発生前に司法権を発動することをむずかしくして、犯罪の捜査、検挙が後手に回り、処罰の範囲が一段と狭くなったことは否定しがたく、公害の事前防止が著しく後退したことは、連合審査及び委員会の審議を通して明らかにされたところであります。(拍手)
 なぜ、法的根拠もなく、政府が「おそれ」の表現復活をかたくなに拒むのか、私は企業公害に対する政府の判断に重大な誤りがあると断定するものであります。
 次に、構成要件のうち、人の健康を害する物質を大気汚染、水質汚濁に限定している点でありますが、私は食品等も含むべきであると思うのであります。
 最近、われわれが日常生活の中で使用している食品には、人間の生命をむしばむ危険な物質が多種多様に入っているものがあり、それらによる犠牲者の数は、次の二つの実例に限って考えてみても、いまさらながら驚くべきものがあります。森永ドライミルク中毒事件では、百三十人が死亡、一万二千余人の幼い中毒患者が発生しており、またカネミ油症中毒事件は八名の死亡者、約千人余の患者を出しているのであります。しかも、このような食品の公害を放置しておけば、人類の壊滅に通ずる危険な要素を含んでいるといっても過言ではありません。
 以上申し述べましたとおり、現在までの国会審議を通して見ますとき、「おそれ」の文字を削除したことは、司法権の発動の著しい後退であり、基準を守れば処罰の対象にしないと答えながら、基準の内容を追及されると、明快さを欠き、その答弁は、司法当局がこの法の運用の段階で根本的な面において正確さを欠くありさまを露呈したのであります。さらに食品公害を加えるべきであるとするわれわれの主張も顧みることなく、全国民がひとしく期待する公害罪法案を、その期待にこたえ得るものにするのであれば、さらに慎重な取り扱いがあってしかるべきであり、当然次の通常国会にまで継続して審議し、国民にこたえる充実した法案にすることが一番望ましいことであります。しかるに、政府・自民党が本案成立を強く主張する裏には、法の運用の面において、大企業の期待にこたえようとする国民不在の政治姿勢を端的に物語るものがあるのであります。
 われわれは、かかる画策に加担する気持ちは毛頭ないのであり、よって本法案に反対するものであります。
 以上で終わります。(拍手)
#33
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#34
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 農薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案(内閣提出)
#35
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわちこの際、日程第一とともに、内閣提出、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案を追加し、両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#36
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 日程第一、農薬取締法の一部を改正する法律案、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 農薬取締法の一部を改正する法律案
 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#38
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。林水産委員長草野一郎平君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔草野一郎平君登壇〕
#39
○草野一郎平君 ただいま議題となりました両案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 ます、両案のおもな内容を申し上げます。
 内閣提出、農薬取締法の一部を改正する法律案は、最近における農薬の使用に伴う公害問題の発生状況等にかんがみ、農薬の品質の適正化と、その安全かつ適正な使用の確保をはかるため、農薬についての登録にかかる審査基準を強化し、登録の取り消しに関する措置を定める等、登録に関する制度を改善するとともに、登録の取り消しにかかる農薬等について、販売業者の販売を制限または禁止し、及び残留性の強い特定の農薬について、その使用を規制することができる等の措置を講じようとするものであります。
 次に、内閣提出、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案は、最近における農用地の土壌の汚染の状況等にかんがみ、農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚染にかかる農用地の利用の合理化をはかるため、農用地土壌汚染対策地域の指定及び農用地土壌汚染対策計画の樹立の制度等を定めるとともに、農林省に土壌汚染対策審議会を設置して、農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止等に関する重要事項を調査審議させる等の措置を講じようとするものであります。
 両案とも、十二月二日農林水産委員会に付託され、同月三日提案理由の説明を聴取した後、両案に対しては、四日及び五日の二日間にわたり、産業公害対策特別委員会等八委員会からなる連合審査会において審議が行なわれました。
 次いで、当委員会においては、まず、農薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、十二月七日、八日の両日質疑を行ない、九日、質疑終了の後、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により、販売禁止にかかる農薬の回収規定を設けること、指定農薬の使用の指導規定を設けることの二点にわたる修正を加え、結局のところ、本案は全会一致をもって修正すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対しては、低毒性農薬の開発、実用化の措置を講ずること等六項目にわたる附帯決議が付されました。
 次に、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律案は、十二月八日、九日の両日質疑を行なうとともに、十日には参考人より意見を聴取するなど慎重審議を行ない、十日、質疑終了の後、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により、農用地土壌汚染対策地域の指定につき、汚染地域の市町村長は、その指定を都道府県知事に要請することができるものとしたこと等につき修正を加え、結局のところ、本案は全会一致をもって修正すべきものと議決した次第であります。
 また、日本共産党からも本案に対する修正案が提出されましたが、否決されました。
 なお、本案に対しては、本法による特定有害物質としては、カドミウムのほか、銅、亜鉛等についても早急に指定を行なうこと等の六項目にわたる附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#40
○議長(船田中君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 下水道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#42
○議長(船田中君) 日程第二、下水道法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 下水道法の一部を改正する法律案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#43
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。建設委員長金丸信君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔金丸信君登壇〕
#44
○金丸信君 ただいま議題となりました下水道法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における公共用水域の水質汚濁の実情にかんがみ、流域別下水道整備総合計画の策定、流域下水道の管理、悪質な下水を排出する事業者の水質等の届け出の義務その他の必要な事項を定めて、下水道の整備の円滑化とその維持管理の適正化をはかろうとするもので、そのおもな内容は次のとおりであります。
 その第一点は、下水道法の目的を改正して、公共用水域の水質の保全に資することを加えることといたしております。
 第二点は、定義についてでありますが、公共下水道とは、終末処理場を有するか、または流域下水道に接続することを要件とし、流域下水道とは、二以上の市町村の区域の下水を排除し、終末処理場を有するものといたしております。
 第三点は、公害対策基本法に基づき、都道府県は、環境基準が設定されている公共水域について、建設大臣の承認を受け、流域別下水道整備総合計画を定めることといたしております。
 第四点は、公共下水道に一定の量または水質の下水を排出する者は、当該管理者に届け出ることとし、水質については、記録を保存して当該管理者の求めに応じ、その記録を報告することといたしております。
 第五点は、下水処理区域内においては、くみ取り便所を三年以内に水洗便所に改造することと義務づけをいたしております。
 本案は、十二月一日当委員会に付託され、同月三日に根本建設大臣より提案理由の説明を聴取し、以来、慎重に審議いたしたのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 かくて、十二月九日、本案に対する質疑を終了いたしましたところ、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党共同提案にかかる修正案が提出されました。
 その修正案の要旨は、汚水ます及び終末処理場から生ずる汚泥の処理は、政令で定める基準に従い、適正に処理しなければならないことといたしたのであります。
 次いで、修正案、修正部分を除く原案についてそれぞれ採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決べきものと決した次第であります。
 なお、本案には、五党の共同提案にかかる下水道設置費に対する国の財政措置の強化等四項目にわたる附帯決議が付されたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#45
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 海洋汚染防止法案(内閣提出)
#47
○議長(船田中君) 日程第三、海洋汚染防止法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 海洋汚染防止法案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#48
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長福井勇君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔福井勇君登壇〕
#49
○福井勇君 ただいま議題となりました海洋汚染防止法案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における海洋の汚染の実情にかんがみ、海洋の汚染を防止し、海洋環境の保全に資するため、船舶からの油の排出について現行の規制を強化するとともに、新たに船舶からの廃棄物の排出並びに海洋施設からの油及び廃棄物の排出について、原則としてこれを禁止する規定を設けるほか、大量の油が排出された場合等における海洋の汚染の防除のための措置等について、所要の規定を整備しようとするものであります。
 本案は、十二月二日当委員会に付託され、翌三日橋本運輸大臣より提案理由の説明を聴取し、四日及び五日には産業公害特別委員会ほか六委員会と連合審査会を開き、また、七日、八日及び九日の三日間にわたり当委員会において質疑を行ない、九日には質疑を終了いたしたるところ、加藤六月君、内藤良平君、松本忠助君、和田春生君から、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党四党共同提案にかかる修正案と、田代文久君から日本共産党提案にかかる修正案が提出され、採決の結果、田代文久君提出の修正案を否決し、四党共同修正案及び修正部分を除く原案を可決し、よって、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#50
○議長(船田中君) 裁決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
#52
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、道路交通法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#53
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 道路交通法の一部を改正する法律案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#55
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。方行政委員長菅太郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔菅太郎君登壇〕
#56
○菅太郎君 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における道路の交通に起因する人の健康または生活環境にかかる被害の実情にかんがみ、その防止をはかるため、交通の規制を行なうことができるように規定を整備しようとするものであります。
 本案は、十一月二十七日本委員会に付託され、十二月三日荒木国務大臣から提案理由の説明を聴取し、慎重に審査を行ないました。
 本日、質疑を終了しましたところ、日本共産党から本案に対し修正案が提出され、林委員より趣旨の説明が行なわれました。
 討論の申し出もなく、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決、政府原案は全会一致をもって可決され、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党共同提案により、政府は、交通公害の予防につとめるとともに、交通公害発生の場合は、迅速かつ的確な防止措置が講ぜられるよう万全を期すべき旨の附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#57
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 廃棄物処理法案(内閣提出)
 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#59
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、廃棄物処理法案、自然公園法の一部を改正する法律案、毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#60
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 廃棄物処理法案、自然公園法の一部を改正する法律案、毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 廃棄物処理法案
 自然公園法の一部を改正する法律案
 毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#62
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長倉成正君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔倉成正君登壇〕
#63
○倉成正君 ただいま議題となりました三法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、廃棄物処理法案について申し上げます。
 本案は、最近における廃棄物の処理の実状にかんがみ、清掃法を全面的に改め、廃棄物の処理に遺憾なきを期し、生活環境の保全及び公衆衛生の向上をはかろうとするもので、そのおもな内容は、
 第一に、廃棄物の定義を明らかにし、廃棄物を産業廃棄物と一般廃棄物に区別すること。
 第二に、産業廃棄物の処理に関する事業者の責任を明らかにすること。
 第三に、国は、廃棄物の処理に関する各般の基準を定めることができること。
 また、市町村及び都道府県に対し技術的、財政的援助を与えること。
 第四に、都道府県は、広域的に処理することが適当であると認める産業廃棄物の処理を行なうことができること。
 第五に、一般廃棄物を処理すべき区域を原則として市町村の全域に拡大すること。
 また、市町村は、一般廃棄物及び産業廃棄物のうち一般廃棄物とあわせ処理の可能なものなどを処理することができること。
 第六に、市町村の廃棄物処理について、地域住民の協力義務を明らかにすること。
等であります。
 本案は、十二月一日本委員会に付託となり、本日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、題名、事業者の責務及び一般産業廃棄物処理業の許可をする場合の要件等について、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党の共同修正案、及び一般廃棄物の手数料等について、日本共産党の修正案が提出され、採決の結果、日本共産党の修正案は否決され、本案は四党共同修正案どおり修正議決すべきものと議決した次第であります。
 次に、自然公園法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、国立公園等の自然環境の汚染及び利用の状況にかんがみ、これらのすぐれた自然環境の保護をはかるため、公園内の公共の場所の清潔の保持について国等の責務を明らかにするとともに、その景観を維持するため汚水の排出について規制を行なおうとするもので、そのおもな内容は、
 第一に、国、地方公共団体、事業者及び自然公園の利用者は、すぐれた自然の保護とその適正な利用がはかられるように、それぞれの立場において努力すべき責務を明らかにすること。
 第二に、国または地方公共団体は、自然公園内の公共の場所については、その管理者とともに、清潔の保持につとめるものとすること。
 第三に、特別地域内の湖沼及び湿原並びに海中公園地区内に汚水または廃水を排出する行為について、国立公園にあっては厚生大臣の、国定公園にあっては都道府県知事の許可を要するものとすること。等であります。
 本案は、十二月二日本委員会に付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 次に、毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、最近、事業活動において使用され、または日常生活の用に供される毒物及び劇物は増加しつつあり、また、これらの運搬中の事故が多発している実情にかんがみ、保健衛生上の見地からこれらの危害の防止をはかろうとするもので、そのおもな内容は、
 第一に、特定毒物以外の毒物または劇物についても運搬等の技術上の基準を定めること。
 第二に、家庭用品のうち毒物または劇物を使用するものについてその安全な使用を確保するため、成分基準または容器等の基準を定めること。
 第三に、都道府県知事は、毒物劇物営業者等が廃棄基準に違反してそれらを廃棄した場合において、保健衛生上の危害を生ずるおそれがあると認められるときは、それらの廃棄物の回収または毒性除去等を命ずることができること。等であります。
 本案は、十二月二日本委員会に付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、三法案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#64
○議長(船田中君) 三案を一括して採決いたします。
 三案中、廃棄物処理法案の委員長の報告は修正、他の二案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、三案とも委員長報告のとおり決しました。
 水質汚濁防止法案(内閣提出)
#66
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、水質汚濁防止法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#67
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 水質汚濁防止法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 水質汚濁防止法案
  〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#69
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。工委員長八田貞義君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔八田貞義君登壇〕
#70
○八田貞義君 ただいま議題となりました水質汚濁防止法案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年における水質汚濁問題の深刻化にかんがみまして、現行の公共用水域の水質の保全に関する法律、及び工場排水等の規制に関する法律を統合し、これらの法律により定められた措置を抜本的に改善強化した新法を制定する趣旨をもって提案されたものであります。
 その内容は、
 第一に、本法は、工場排水の規制等により、公共用水域の水質汚濁の防止をはかり、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することを目的とすること。
 第二に、すべての公共用水域を対象とした一律の排水基準を総理府令で定め、さらに、この一律基準によっては水質の汚濁が十分に防止できないと認められる水域については、都道府県が条例でよりきびしい排水基準を定めること。
 第三に、汚水等を排出する施設については、設置計画等を都道府県知事に届け出させ、不適当な計画に対しては、その変更または廃止を命ずること。
 第四に、排水基準に適合しない水の排出を禁止し、違反者は直ちに処罰するとともに、このような汚水を継続して排出するおそれがある場合には、汚水処理方法等の改善または排水の一時停止を命ずること。
 第五に、道都府県知事に、公共用水域の水質の常時監視、測定計画の作成及び測定結果の公表を義務づけること。
 第六に、異常な渇水等により公共用水域の水質の汚濁が著しくなった場合は、都道府県知事が工場等に排出水量の減少等を勧告できるものとすること。
 その他、中央及び都道府県の水質審議会、工場等への立ち入り検査、本法の適用除外、国の援助、研究の推進、特定の市長への知事の権限委任、本法と条例との関係、罰則、経過措置等について定めること。
 以上であります。
 本案は、十二月二日当委員会に付託され、翌三日佐藤経済企画庁長官より提案理由の説明を聴取し、四日及び五日における産業公害対策特別委員会等との連合審査の後、八日より本日まで当委員会において質疑を行ないました。
 かくして本日、質疑を終了した後、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の共同提案により、改善命令、緊急時の措置その他に関する修正案が提出され、次に、日本共産党から修正案が提出されました。引続き、これらについて採決を行ないましたところ、本案は全会一致をもって四党共同提案にかかる修正案のとおり修正議決した次第であります。
 なお、本案に対し、排出基準の設定にあたっての配慮、届け出制の運用強化、監視測定体制の整備、適用除外の施設に対する規制法令の整備等九項目の附帯決議を付したことを申し添え、御報告を終わります。(拍手)
#71
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
#73
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 小林 武治君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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