くにさくロゴ
1970/03/18 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
姉妹サイト
 
1970/03/18 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号

#1
第063回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
昭和四十五年三月十八日(水曜日)
   午後一時十七分開議
 出席委員
   委員長 吉田 重延君
   理事 大西 正男君 理事 鍛冶 良作君
   理事 久野 忠治君 理事 堀  昌雄君
   理事 伏木 和雄君 理事 門司  亮君
      赤澤 正道君    小島 徹三君
      松浦周太郎君    阪上安太郎君
      西宮  弘君    山本 幸一君
      二見 伸明君    岡沢 完治君
      青柳 盛雄君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 秋田 大助君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 高松 敬治君
        法務省刑事局長 辻 辰三郎君
        自治政務次官  大石 八治君
        自治省行政局長 宮澤  弘君
        自治省行政局選
        挙部長     皆川 迪夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○吉田委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 この際、自治大臣より発言を求められておりますので、これを許します。自治大臣秋田大助君。
#3
○秋田国務大臣 私は先般の内閣改造に際し、自治大臣に就任いたしたのでありますが、選挙の関係につきましては皆さま方にかねてから格別の御高配にあずかり、この機会に厚く御礼を申し上げます。
 選挙は申すまでもなく民主政治の基盤であり、民主政治を発展させ国民の政治に対する信頼を高めるためには、公明にして自由に表明された国民の意思が正しく国政に反映されるような制度を確立することはもちろん、政党の近代化、国民の政治意識の高揚につとめることが何より必要と考えておる次第でありまして、責任の重大さを痛感するとともに、できるだけの努力を傾注する所存でございます。
 何とぞ今後格別の御指導と御協力を賜わりますようお願いいたします。
 この機会に、昨年十二月二十七日に執行されました第三十二回衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の結果につきまして、その概要を報告申し上げます。
 御承知のように、今回の総選挙は、わが国の七
○年代の新しい政治の方向を樹立する基本的な課題を背景として、昨年十二月二日に衆議院が解散されたことに伴ない、同月七日公示され、同月二十七日に執行されたのであります。
 まず、投票の状況について申し上げますと、選挙当日の有権者総数六千九百二十六万人のうち、四千七百四十五万人が投票し、投票率は六八・五一%でありました。
 今回は、国の選挙としては初めてのテレビによる政見放送の実施もあり、さらに、不在者投票制度を積極的に活用するなど、できる限り投票の便宜をはかったほか、全国の選挙管理委員会、各種団体及び報道機関が一体となって明るく正しい選挙の推進に取り組んだのであります。しかし、年末の多忙、帰省、降雪などの悪条件が重なり、残念ながら投票率も芳しくない結果に終わったのであります。
 立候補の状況について申し上げますと、今回の候補者数は九百四十五人で、前回の九百十七人を若干上回りました。これを党派別に見ますと、自由民主党三百二十八人、日本社会党百八十三人、公明党七十六人、民社党六十八人、日本共産党百二十三人、諸派及び無所属百六十七人であります。
 次に、当選人の状況を申し上げます。
 議員定数四百八十六人のうち、自由民主党二百八十八人、日本社会党九十人、公明党四十七人、民社党三十一人、日本共産党十四人、無所属十六人であります。
 次に、党派別得票数を見ますと、自由民主党は二千二百三十八万票で有効投票の四七・六三%、日本社会党は千七万票で二一・四四%、公明党は五百十二万票で一〇・九一%、民社党は三百六十四万票で七・七四%、日本共産党は三百二十万票で六・八一%、諸派及び無所属は二百五十七万票で五・四七%となっております。なお、御承知のように、選挙直後に無所属の当選人のうち、十二人は自由民主党へ、一人は民社党へ所属することとなりましたので、これを含めますと自由民主党の得票は二千三百六万票、得票率は四九・〇七%、民社党の得票は三百六十九万票、得票率は七一八六%となります。
 次に選挙違反の状況について申し上げますと、一月二十六日現在におきまして、検挙件数七千六百六十七件、検挙人数一万三千三百四十六人となっております。
 最後に、最高裁判所裁判官国民審査の状況について申し上げます。
 今回の国民審査は、前回の国民審査以降に任命されました四人の裁判官について行なわれたものでありますが、その結果、罷免を可とする投票は、いずれも有効投票の一〇%程度でありまして、審査に付された全裁判官が国民の信託を受けました。
 以上をもちまして、今回の衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の結果の御報告を終わります。
#4
○吉田委員長 次に、衆議院議員総選挙の選挙違反取り締まり状況等について報告を聴取いたします。
 まず警察庁高松刑事局長。
#5
○高松政府委員 今回の総選挙における選挙違反の検挙状況について御報告申し上げます。
 選挙期日後三十日、一カ月後の一月二十六日現在の集計でございますが、総数において七千六百六十七件、一万三千三百四十六名を検挙いたしております。
 罪種別にそのおもなものを申し上げますと、買収が六千百六十一件、一万一千百七十五名、文書違反が四百四十二件、七百六十七人、戸別訪問が七百五十六件、一千十九人、自由妨害が四十九件、六十二名、その他二百五十九件、三百二十三名というふうに相なっております。
 この検挙総数を前回昭和四十二年一月二十九日の総選挙に比較いたしますと、件数において二一・七%減、人員において二〇・五%の減少に相なっております。
 警告は一万五千二百六十七件、前回の総選挙の際が一万四百七十五件でございましたので、前回に比較いたしますと、警告のほうは四千七百九十二件増、パーセンテージにいたしまして四五・七%の増加でございます。
 選挙違反のうちで、買収につきましては、これも件数は前回に比して非常に減っておりますけれども、今回の検挙数の中ではやはり件数で八〇・四%、人員で八三・七%というふうに、検挙事件の大部分を占めております。
 なお、非常に顕著に目立ちますのは文書違反でございまして、これは前回の選挙に比較いたしまして、件数が五一・四%減、人員が三四・三%の減、こういうことに相なっております。
 以上、簡単でございますが、概略御報告申し上げます。
#6
○吉田委員長 法務省辻刑事局長。
#7
○辻政府委員 先般施行されました衆議院議員総選挙選挙違反事犯の全国検察庁の処理状況について御報告申し上げます。
 本年二月二十八日現在の状況でございますが、全国検察庁が事件として受理いたしておりますのは、総計一万七千六百三十七人でございます。このうち一万四千五百四十三名が警察から受理いたしたものでございまして、残りの数字が検察庁が認知いたしたもの、その他でございます。検察庁独自でこの種事件を受理いたしましたのは総数の三・六%ということに相なっておりますが、この総計一万七千六百三十七名のうちのおもな罪種別を申し上げますと、買収が一万五千百八十二名、受理総数の八六・八%となっております。それから戸別訪問は千百八十七人、総数の六・七%と相なっております。文書違反は七百七十六名で、総数の四・四%と相なっております。
 以上が数的な状況でございますが、これから推定してまいりますと、ただいま警察庁の刑事局長からも御報告がございましたが、前回の総選挙に比べまして事件が減少いたしております。前回の総選挙の検察庁の選挙後六十一日目、ただいま御報告申し上げておりますのは選挙後六十四日目でございますが、そのほぼ同じ時期の受理状況を見てまいりますと、前回に比べまして今回は、総受理人員は前回の八二・四%でございます。それから、現在までに、ただいま申し上げました総受理人員一万七千六百三十七名のうちで、起訴いたしておりますものの率でございますが、起訴率が五二%と相なっております。前回の同時期におきましては、受理人員の四七%が起訴されておりましたが、前回に比べますと、起訴率が高くなっているという点が一つの特徴かと思います。それからまた、文書違反が激減いたしているわけでございまして、前回の受理人員に対する率は五・九%でございましたが、今回は、先ほど申し上げましたように、四・四%ということに相なっております。
 以上がただいままでの検察庁の処理状況でございますが、検察庁におきましては、今回の選挙につきましてすべての処理を終わった段階ではございません。現在なお最終的な処理に努力をいたしている段階でございます。
 以上、簡単でございますが、御報告申し上げます。
#8
○吉田委員長 以上で報告は終わりました。
#9
○鍛冶委員 簡単でいいですが、資料としていまの御報告になったものをちょうだいできませんか。
#10
○吉田委員長 ただいまの鍛冶良作君の申し出はよろしゅうございますか。
#11
○辻政府委員 後ほど委員会にお届けいたします。
    ―――――――――――――
#12
○吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#13
○堀委員 ただいま、この間の総選挙についての報告がございましたけれども、この間の総選挙は、その前に公職選挙法の改正がありまして、新しい運動方法が取り入れられて初めて行なわれた選挙であります。実はこの前の選挙で始まりましたものの中には、一つは御承知のテレビ放送の問題がございます。もう一つは、かねて選挙制度審議会で論じられておりましたことを受けて、言論、文書の自由化を一歩進めることとなったわけでありますけれども、この言論、文書の中の文書の問題でありますが、実は今度政党の文書活動を認めるということになったわけであります。この間の審議会でも私発言をしたわけでありますけれども、この政党の選挙活動を認めるという場合には、実は現行の中選挙区でありますと、候補者が一名の党と二名以上候補者を持っている党とあるわけであります。候補者が一名の党は政党活動イコール実は選挙活動になる。その地域から候補者が一名しか出ていないわけでありますから、ある政党の運動はすべてその候補者にプラスになる。ところが二名以上候補者が出ていますと、その政党の運動は確かに候補者にプラスにはなると思いますけれども、一名の候補者にプラスになるように、それでは二名なり三名なりの候補者に対してプラスになるかというと、政党活動というものの性格からして、どうもそういうふうな影響が起きにくいというのがいまの中選挙区の実情ではないかというように思うのです。実は昨日の審議会でもこの問題についての意見が少し出ておったわけでありますけれども、本来政党活動の自由を広げていこうということは、やはり選挙そのものが政党本位の選挙という制度と結びつくべきものであって、やや現行中選挙区のような、一名ならば政党本位の選挙が行なわれる、二名以上になるとなかなか政党本位の選挙ではなくて個人単位の選挙になる、こういういまの選挙制度の中における政党活動の自由化の問題というのは非常に矛盾に満ちたものを実は問題としてあらわしてきておるのではないか、こう考えるわけであります。それについての自治大臣の御見解を最初にちょっと承っておきたいと思います。
#14
○秋田国務大臣 確かにおっしゃるような結果になると思います。また、そういう結果が過般の衆議院総選挙で経験されたわけでございます。
 しからばどうするか、根本的には一人一人の小選挙区にするかという区制の問題もありましょうが、それはさておいて、現行の中選挙区制度で、しからば政党の文書活動あるいは、ことにポスターの問題だろうと思うのですが、これらについては多少考えを改めて、もう少し自由にしたらいいのじゃなかろうかということが考えられ、またその余地があるのじゃなかろうかというようなことを、卒然として、私は個人的には感ずるわけでございますが、これは自治省として大体の方針をきめたのだという問題ではなく、いまお尋ねがありましたので、ちょっと思いつくまま私の感じを申し上げたわけでございます。
#15
○堀委員 いま自治大臣がお答えになったように、問題は二つの側面から考えられると思うのです。
 一つの側面は政党活動の自由化ということは、やはりあるべき選挙制度というものは政党本位の選挙、そのことは単に小選挙区だけじゃなくて比例代表も政党本位の選挙でありますから、比例代表の選挙になるのか小選挙区になるのか、このいずれか二つの制度になってくればこの問題は基本的に解決をされる問題である。しかし、これはもし急にならない、こういうことであるならば、そうすると今度は、はたしてそれは政党活動だけでいいのかどうか、いまちょっと大臣も御指摘になったように、そこまで来るのなら、選挙活動もそういう意味の自由化をするということになれば、要するに単数のところは政党活動でも選挙活動でもいいでしょうが、複数のところになれば、そこは選挙活動で認められれば複数のものはそれなりの文書活動ができる。だからそこで、現在のものの考え方は、中選挙区を前提として考えるならば、言論、文書を自由化するということならば、もうそのものずばり、候補者の名前の入った文書を配ろうと、要するに今度の場合には、一名の候補者については、候補者の名前が入っていなくても候補者の名前が入ったと同じ効果のある文書が配れるけれども、数名出ている区は、候補者の名前が入っていないばかりに、効率において非常に下がるというような不公平が選挙の中に生じるということであるならば、この際一歩進めて、もう文書については、要するに量の問題に公平の原則を生かさなければなりません。金がある者は幾らでも自由にできるというのは、それは困るわけでありますから、この点についての何らかの制約をつけるという前提においては、私はもう、政党活動の範囲ではなくて、選挙活動においても言論──言論はもう認められているわけですが、文書の自由化を進めることが、選挙の公平上非常に重要な問題になってくるのではないか、こういうことをこの間の選挙で痛感をしたわけでありますが、これについては、今後その方向で検討を進められる意思があるかどうか。ただ大臣がいまここで思いついたというお話ではなくて、自治省として、いま直ちにということではありませんから、次の選挙その他に対してそういう方向で検討を進められる意思があるかどうかについてひとつお答えをいただきたいと思います。
#16
○秋田国務大臣 ただいま私の感じを申し上げたのですが、引き続き自治省としての態度を申し上げますと、確かに検討に値すべき問題であろうと思いますので、検討してみたいと思います。
#17
○堀委員 そこで、いまは中選挙区を前提としての話を申し上げたわけですが、ただしかしそのことは、いまの形では個人本位の選挙を推進するということになるだけなんですね。私は根本的には、衆議院の選挙区制の問題も、あるべき姿としては、やはり政党本位の選挙になるべきだ、こう思います。このことは選挙制度審議会のほとんど全員の一致した意見だ、こう思うわけです。
 そこで、実は今度の審議会はいまのままですと五月の終わりで終わるわけでありますが、きょうは理事の皆さんのお集まりも十分でなかったので、次回の理事会において、かねて私が審議会でお話を申し上げ、松野さんその他の、あるいは民社、公明の皆さんの御了解もいただいて考えておるところの任期の延長の問題を議員立法として検討していただくことにしたいと思っておりますが、少なくとも私は審議会に対して政府の側が、いまちょっと中だるみみたいになっておるこの問題を、もう一度区制問題を含めて、できるだけ政党本位の方向に近づけるための何かの諮問をすべき段階に来ているのじゃないか。御承知のようにこれは一応答申がされておるわけです。答申はされたけれども、非常にたくさんの並列された答申ですから、言うならば答申としては政府当局も取り上げにくいような形になっておるわけですが、諸情勢から、選挙制度審議会に再度諮問をする意思はないかどうか。そのことは、あそこの審議会の中では、何か問題が出てくると、どうしてもそれが区制なり制度の問題に関係してくる。たとえば参議院の問題がいま取り上げられておりますけれども、参議院の問題について問題が出されると、やはり、今度は全国区の制度はいかにあるべきかという話に当然参議院の場合にはなるわけです。そうすると、その参議院の全国区という問題が制度の問題になると、それでは衆議院のほうではこれはどうなるのだ、こう常になってきまして、現実には常に堂々回りをする条件がどうも非常に多いわけです。これは私たちとしては、効率上の問題としてももう少し考えておくべき必要のある問題ではないか、こう思いますので、今度の区切りができる時点かどこかにおいて、私は再度政府として、衆議院の選挙も政党本位の選挙とするための方策いかんといいますか、何らかそういう形でもう一ぺん選挙制度審議会に政府が諮問をしてみる必要があるのではないか。いまの前段のほうは、とりあえずの話であります。しかし、それが本筋ではありません。それはとりあえずの現状に対するびほう策といいますか、応急の策になるわけですから、あるべき姿としては、やはり政党本位の選挙ということになれば、いまの政党活動の範囲だけで、選挙中もそれで処理ができることになるわけですから、そのほうが望ましい姿だと思いますが、その点についての自治大臣の御見解を承りたいと思います。
#18
○秋田国務大臣 審議会といたされましては、別段新しい諮問をしなくても自由に御論議願えることは可能だと思います。しかし、ここであらためて御諮問申し上げることも意味なしとしないと思います。しかし、先ほどお触れになりました委員の任期の問題があり、かつ当面参議院の問題についていろいろ慎重に御審議を願っておりますし、それらの関係も考え、各方面の御意向も伺いまして善処をいたしたいと考えております。
#19
○堀委員 私もどこか区切りのあるところでないと、中途はんぱなところでお出しいただくわけにいかないと思いますが、どこかの区切りができましたら──いま大臣がおっしゃったように、確かに自発的に論議をして出せることになっておりますけれども、実は政府が諮問をしたものを出してすら、政府は取り上げないというのが現状ですから、ましてや政府が諮問しないものをやってみたって、これはものにならぬというのがおそらく審議会の皆さんの一般の共通の意見だと思いますから、やはり政府としては何らかを期待するという姿勢を示しておやりになることが必要なのではないか。そのことはやはり日本のあるべき選挙法の問題、選挙制度の問題を考える上では一つの重要な方向だと考えますので、これはいまの何らかの区切りがついた時点でぜひお考えを願っておきたい、こう考えるわけであります。
 その次は、この間からのこの国会審議の中で、佐藤総理は、政治資金規正法はこの国会には出さないという答弁をしておられるわけであります。これは私は非常に重要な問題だと思いますけれども、総理が出さないと言い切った以上、いまさらどうにもならないと思います。国会の会期も短いから、出してもこの前のようにおざなりに出されるなら出さなくても同じでありますからいいのでありますが、自治省としては、この国会はともかく、次の国会には何らかの形によるところの政治資金規正法を出さねばならない義務があると思うのです。審議会法には、明らかにその答申を尊重すると書いておる以上、この国会は特別国会として期間の問題その他があるから、それは一応考慮に入れるとしても、次の通常国会には当然政治資金規正法を出す責任と義務があるのではないか、こう私は考えるのですが、その点については、自治大臣はどうお考えになりましょうか。
#20
○秋田国務大臣 もちろんこれなりで捨てたわけではございません。前向きに正しい明るい民主政治、そしてその選挙のために考慮をいたしておるのでございますから、いろいろ検討の結果がまとまりますれば、出さしていただくことになるかもしれませんが、必ず来国会中に出せるようにまとまるかどうかということは、いまからははっきり明言はできませんが、そのつもりでかかることは当然のことだろうと思っております。
#21
○堀委員 ちょっとはっきりしないのですけれども、そのつもりでかかるとおっしゃることは、自治省としては、本来定められた法律を正しく守って行政を運営することがその責任でございましょうから、だから当然審議会の答申を尊重しながら、政府案を出すための努力をされるのが私は当然だと思うのです。それが国会提案の運びになるかどうかについては、これは政党内閣でありますから、与党との調整が最終的につかない場合もあるでしょう。しかし、少なくとも政府としてはこれはもう最大の努力をするということが当然なのであって、努力をした結果、いまお話しのように、与党としてどうしても困るということで話し合いがうまくつかない場合には、これはやむを得ないでしょう、これは自治省の責任というよりは与党の責任でありますから。自治省としては、次の国会に出すためにはすみやかにある一つの案を立て、それを与党にはかって──これからまだだいぶ時間があるわけであります。十分時間をかけて与党の側との調整をして、審議会の答申に沿った線で国民の期待にこたえるような作業を進めるということは当然だと思うのですが、その点をもう少しはっきりお答えをいただきたいと思います。
#22
○秋田国務大臣 政治資金規正法の改正を検討する場合には、選挙法との関係とか、その他の条件を考えるという考え方もあろうと思います。いろいろそういう点を検討して出すために、今国会には出さないという結論を総理も出されたと思います。そういう前提に関係するいろいろの問題について、その中には与党との開き、あるいは現在の諸政党との連絡、打ち合わせもありましょうし、大体の承認も必要でありましょうし、その他いろいろな前提条件がございますので、新たに考え直すといたしましたならば、そういう点をまとめ上げませんと、成案を得て提案をするに至らないわけであります。せいぜいその方向に向かい、来国会に出せるように努力はいたします。万やむを得ない場合はおくれる場合もあろう、こう考えております。
#23
○堀委員 いまちょっと大臣がおっしゃったように、確かにこの問題は区制に無関係ではないと私も思います。私は、両輪論というのはおかしいと思うのですが、昭和四十一年の暮れでありますか、そのときに総理から審議会に諮問をされて、緊急に答申をしてもらいたいと言われたことは、決して私はいまの両輪論とは関係はないと思っているのですが、結果としてはいろいろな問題が出ております。そうならば、さっき申し上げたようにやはりそれなりの対策もあわせて講じることなくしてはこの問題は解決しないというのなら、それなりの対策も講じてひとつ必要な処置をとっておいてもらいたいと思うのです。
 そこで、いまの政治資金に非常に関係がありますのは、私が前段で触れた、文書の自由化等に非常に関係があるわけです。実は文書の自由化という問題については、文書が自由化されれば、費用のある者は幾らでも、どんな文書でも出せるわけですね。どれだけのポスターでも張れるということになる。しかしその場合に、やはり選挙でありますから、当然公平の原則がどこかで守られなければ、金のあるやつだけが自由にできるということにも問題があるわけです。そうすると、その資金の問題をどこで押えるかとなれば、だんだんと文書の問題が自由化されてくる過程の中では、どうしても単に選挙中の文書だけではなくて、事前の文書も含めて文書活動を自由にしようという方向になるだろう。これは、当然あっていい。ところが、そういう文書の運動全体を含めて、事前、選挙中を含めて自由になってくるとすると、資金に一定のワクがなければ、それは多少の差はやむを得ないとしても、著しく差が出てくるということは、これはやはり選挙の公平をそこなう。そのためにも、第一点としては政治資金の規正が行なわれることなくしてはいまの文書の自由化ということに非常に抑制的な条件をもたらしてくる、私はこう考えるわけであります。ですから、選挙制度の改善ということは、ごく一部だけの改善では実際は改善にならないということを自治省は十分に頭に入れてもらって、政府としては全体のテンポをある程度そろえながら問題の処理をするのだということでないと、文書を自由化したために非常なアンバランスが選挙運動の中に生じてくるということでは、これは、さっき申し上げた、単に候補者数の問題だけではなくて費用の問題を含めて関係がありますから、この点は重要な事項でありますから、ぜひ大臣としてももう一段ひとつ真剣に政治資金問題には取り組んでもらいたい。政治資金のあり方については、時間もたっておることでありますから、政治資金規正法の柱が確実に守られれば、多少の時間的経過処置があることはやむを得ないと私は判断しておるわけであります。
 ただ、あの原則になっておる柱とは何かといいますと、まず第一は公開をするという原則です。二番目は、ある一個の会社が出すワクが限定されることですね。要するに、政党に出すのも、個人に出すのも、それから派閥に出されるのも、総括してそれが一つとして集約をされるということだと思うのです。これが別々のワクになってくるのでは、この政治資金規正法のこの間の答申の意味は筋が通ってこないわけです。要するにあの中にあるのは、ある会社が出しますときの限度が二千万円とあるならば、その二千万円のワクの中で、政党にも派閥にも個人にも出しなさい、そして派閥や個人には限度をつけますよというようなあの発想から、これが二番目の柱だと私は思います。三番目の柱は、分に応じた政治献金をしなさい、これが三番目の柱だと思います。
 ですから、この三つの柱が確立をされておれば、それの金額の動き方とかあるいは場合によっては経過的処置の時間であるとかは、ある時期に必ずそれが規制されることになれば、ある程度の弾力があっても、私は、ここで漫然と時間を費やしていつまでたっても審議をしないで成立をさせないよりは、早く成立をさせて、ある程度経過的な弾力処置があってもいいのじゃないかと思うのです。まずすみやかにその政治資金規正法を成立させることが私はきわめて重要だと考えておるのですが、大臣はこの点についてはどうお考えになっておるか、ちょっと承っておきたいと思います。
#24
○秋田国務大臣 いろいろのことをおっしゃいました。まず第一に文書の自由化、それに関連しても政治資金の規制が必要であるということをおっしゃった。しかしその前には、何か文書、ポスター等を自由にしても枚数は制限等をする必要があるということもおっしゃった。ですから、(堀委員「それは資金で規制する以外にない」と呼ぶ)資金で規制するという考え方よりは先に選挙のやり方において枚数を直ちに制限をしておくということのほうが直接であり必要である。それを資金で制約していくというのは少し二階から目薬のような感じがいたします。これはしかしあえて論議はいたしません。
 それから、いまお述べになりました原則につきまして、公開の原則、異議のないところでございますが、あとにあげられました点、ちょっと私わかりにくかったのですが、会社として二千万ここは出せるとすれば、それのワク内でいろいろ出しなさいということと、分に応じて政治献金をしなさいということも第三番目におっしゃったのですが、この二と三は結局同じことではなかろうか、分に応じて出すということに非常につながっておる。こういう原則の問題は、いろいろ議論のあるところでございましょうが、そういう守るべき二、三の原則を立てまして、これの線に沿うて、ある程度の余裕を持ったと申しますと語弊がありますかもしれませんが、多少の細密の点については、これはまた考えてもいいがという御発言の考え方につきましては、大体賛成でございます。しかし、原則の立て方等につきましては、いろいろ考え方もあろうと思います。
#25
○堀委員 自治大臣は、今度御就任になったわけですから、この前の答申はあまりつまびらかに御承知ではまだないと思います。私が申し上げたのは、選挙制度第五次審議会が答申をいたしました答申の柱はいまの三つであった。そのワク内でということは、政党と個人と派閥があれば、政党に一番たくさんいくわけですね。そして、やはり、個人、派閥はだんだん減るということがそこでねらわれておるわけでありますから……。
 それと、分というのは、大きな、資本金十億の会社と一千万円の会社では、一千万円の会社はそれに応じた寄付をしなさい、十億の会社はそれに応じて寄付ができますよ、というような分に応じた寄付ということでありまして、そういう原則だけは当然──これは私が言っているのではなくて、審議会の答申を私がそういうふうに要訳をしたわけですから。そういう原則が生かされれば、弾力的な処置があってもいいし、すみやかに政治資金規正法を提案をし、成立をさせるように努力をしてもらいたい、こういうことであります。
 そこで、最後に、これもちょっと、審議会で出まして、はっきりしなかった点を伺っておきたいのですが、いま、御承知のように、選挙制度審議会で、参議院地方区のアンバランス是正が議題となっておるわけでありますが、衆議院においてもこのアンバランスはいまますます──せっかくこの前是正をいたしましたけれども、また非常に乖離してきておるというのが現状であります。参議院のアンバランス是正というのは、法律上では、これを改めなくてはならぬという法律的なあれはありませんけれども、衆議院のほうは、これはやはりきちんと改めるべきことを明示しておるわけでありますね。ですから、今度、昭和四十五年の国勢調査が行なわれましたならば、私は当然この四十五年の国勢調査をもとにして衆議院の定数是正の問題というのは、これはもう当然のことなんだ、こう考えておるわけです。
 自治大臣は、この間、何か個人的には賛成だけれどもというような御発言もちょっとあったわけですが、きょうはひとつ公式の場で、この法律の定めておることをもとにして、四十五年の国勢調査に基づいて当然おやりになるという形で問題を提起されることだと思うのですが……。
#26
○秋田国務大臣 公職選挙法の規定によりまして、国調の結果によってこれを改めるを例とするという条項がございますから、当然それによって処置をいたしたいと考えております。
#27
○堀委員 終わります。
#28
○吉田委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午後一時五十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時九分開議
#29
○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。鍛冶良作君。
#30
○鍛冶委員 新しい選挙法に基づいて個人演説会の回数は自由になったわけであります。そこで、自由になったといったって、事実上そう何百回とやれるものではないし、それから看板は五枚だけ許されるというか、認めることになりました。看板のないものはやれぬことになりますから、その看板のあるところだけでやるならば、ある程度の制限がないと弊害が起こらぬかということを改正のときに非常に私は注意したのですが、まあまあでやってしまった。ところが、この間の選挙の事実を見ておりますると、たいへん遺憾な事実がありました。こういうことが今後行なわれるとよくないことだと私は思いますので、ここでひとつ選挙の取り締まりの任に当たっておる方々に実際を申し上げて、いいことであるか悪いことであるか判断してもらいたい。悪いことならば今後かようなことのないようにひとつ大いにやってもらいたい、こう思って私は御注意申し上げたいと思うのです。
 そこで第一番にお聞きしたいのは、回数に制限はないけれども、看板は五枚だけより許されぬわけですね。看板のあるところでないと演説はやれないわけですから、そこでわれわれが現実にやって見ますると、看板を置いて演説をやると、一日にそう何十回でもやれるものじゃない。しかるに、ある候補者は一日二十回ないし二十五回個人演説会をやるといって新聞広告が出ております。私はどうもふしぎでならぬ。私のほうは四回、せいぜい五回しか事実上やれません、やってみて。そういうことで聞いてみると、実際において演説会はやらないが、やったことにしてやっておったという話です。そこで聞きたいが、あなた、これは常識ですが、一体演説会をやって、看板を動かして歩いて、一日に二十回以上二十五回などというものはやれるものと思いますか、どうですか。これは常識論ですが、あなた方どう思いますか。
#31
○皆川政府委員 これは選挙区の状況にもよろうかと思いますが、御承知のように、個人演説会は候補者だけでなくて第三者の応援という形でもやることができるわけでございます。したがって、演説会の回数を物理的にどれだけやれるかということになりますと、かなりやれるんじゃないか。ただその場合には、お話しありましたように、看板を演説会場外に掲示をしなければなりませんので、その五個の看板を一日何回動かすかということによって計算ができることになると思いますが、かりに一個の看板を一日四回動かしたということになれば、二十回という計算ができるわけです。同一の市内等においてそういうことが可能であるか。必ずしも不可能とは言えないと思いますが、かなり無理な運動だと思います。
#32
○鍛冶委員 とにかく、二十五回やるときには朝何時からやるのか知らぬが、候補者一人でやって歩いても、看板を動かさなければならぬ。ですから二十五カ所看板を動かす。からだ一つで自動車に乗って二十五カ所回って歩くならばできるかもしれません。看板を動かし、応援弁士も連れて歩くから、二十回以上などというものは私は事実上できるものではないと思っております。私は実際においてそういうことはやっておらぬと思っておる。そこで、選挙管理委員会に、済んでから、ああいう新聞広告が出ておったが、そういう演説をやったことについて届け出をしておるかと聞いたら、してありますと言う。してあるとすればそれはえらいものだが、費用はどう出ておる、こう言うたら、わずかの費用で一日二十回以上、二十五回以上やっておる。私はさような少ない費用で演説会はやれない。私自身がやっておるのを聞いてみると、そういう少ない費用でやっておれぬ。あたりまえに払ってやっておると、個人演説会の費用だけでもたいへんな費用になると思うが、事実そういう費用でやっておるかどうか、その点確かめてみたのかと言ったら、われわれにはそういうことを確かめる権限はございません、届け出してある以上は、一応それを真実のものとして受け取る以外にはない。そうだと、おまえのところに何を書いて出してもいいんだな、私はそういうことを言うておるんじゃないんだ、常識上そういうことはできないことを書いて出しておいて、演説会というものは何でも書いて出しさえすればそれで通るのだ、そういうことをみんなの頭に植えつけるということになっては、将来に私はたいへんな悪影響を及ぼすと思うから、これだけのことを言うのだが、もっと調べる方法はないのか、そういうことはあり得ない、私がそういうことを言うと、選挙違反を突き上げよと言うたのではととられてはなはだ困るから、何らかもっとやらなければならぬ、こう言っておいたのでございますが、さようでございますね、さようでございますねと言って、そのままになっております。私は、常識上あり得ないことだ、そういうあり得ないことをやって、それじゃもっと考えてみると、もっと悪いことがくっついているように思いますし、またそうだと言われております。こういうことに対してあなた方はどうです。これは弊害を伴うおそれありと思われますか、いかがです。
#33
○皆川政府委員 この問題は、この前の通常国会で当委員会でいろいろ御検討をいただきました際の議論を振り返ってみますと、個人演説会の開催の制限、そのこと自体にワクがあることが不十分だという御意見はなかった。六十回というワク内で大体間に合うのではないか、ただ制限があることと関連しまして、演説会の関催をするのは二日前に申し出をしなければならぬということが臨機の措置に合わないということで、開催制限をとると同時に、事前の申し出制度もやめよう、そのかわり無制限になると困るということで、必ず五個の看板を掲示しなければならない、こういうことにいたしました。そのあとで、看板を制限した以上はその看板をどういうふうに使ってもいいじゃないか、というのは、たとえば演説会をやっていないのに看板を出して、これはやるつもりであったのがやれない場合もあろうと思います。そういうことが違反になるというようなこまかい議論になってもいかがかということで、演説会をやらなくても看板を出しておいてもいい、これは五個というワクの中でやるからそう弊害もないだろうということで、ああいうことになったわけで、したがって個人演説会といいましても、その実体はかなり簡単なものから、人を集めた本格的な個人演説会、いろいろあるのではないかと思います。私たちその実情はよく知りませんけれども、それに伴っていろいろな弊害が出たということは私たちはまだ聞いておりません。
#34
○鍛冶委員 演説会をやらないのに看板を出す、このことは何か悪いことを伴わなければまだいいとしても、実際において、やりもしないのに看板を出しておくということはいかぬことですね。この点は第一に認められます。ところが、やりもしないのに看板を出して、それに伴う弊害、もしくは選挙違反をやりやすいことが伴うということになったら、これはたいへんなことです。そういうことがやりやすいです。やりもしないのに、お前のところに世話になった、看板をあげてもらって申しわけなかった、また、おれは来なくても、人が来ているのだから、来た者に対して茶菓子は出してもいいのだから、茶菓子料だといって置いていった、そういうことも聞いておる。やりもしないのにそういうことで金を使ってもいいことになっておる。こういうことになると弊害を伴うことはあなた方でもお認めになるだろう。これはわれわれは予想しなかった。私はただ六十回の制限をしなくても、看板五枚さえあれば、それ以上はやらぬと思ってそう言っておったが、そういう弊害があるのです。これはひとつ大いに委員諸君にももう一ぺん考えてもらいます。あなた方もひとつ考えてもらいたい。このことを申し上げておきます。
 そこで私の選挙区のことですが、選挙管理委員会に届け出ておりますから、一ぺん届け出をとってもらいたいのです。どういう届け出をしておるのか、一日何十回ずつやっておるか、そして一回の費用がどれだけになっておるか、やったとすればそれだけの費用でやれるものかどうかをひとつ判断してもらいたい。それから届け出と新聞に広告してあるのと一致しておるかどうか、これも調べてもらいたい。毎日新聞に出ておった。それで私は知っておるのです。私はそう言ったんだが、選挙管理委員会では届け出したもの以外に、これは間違っておる、これはおまえ聞いたのと違うということまで踏み込んでやるだけの権限がありません、こう言うのです。それならおまえたちはただ何でも出しさえすればいいのか、それで一体取り締まりになるのかと言ったら、われわれは取り締まりをするところではないんだ、こう言う。それならばわれわれが疑いがあるということになると警察に頼むよりほかはない、君らがやらぬならおれは警察に頼むぞと言っておいた。私は言いませんでした。言わぬというのは、同じ選挙区の同じ仲間の者のことを私が言うと、私が選挙違反をあばくように思われるのはいやだから。しかし今日なら言ってももうすでに三カ月になっておりますから、あなたのほうから、この届け出が間違いのないものかどうかをひとつ警察で調べてもらって、警察から報告するように言ってもらいたい。
 この二つをお願いいたしたいと思うのです。これはくれぐれも申しますが、こういうことはうそのことだったらだめだし、実際であっても──これは実際はそういうことはないと私は思う。そういうことのないように思うし、また費用は、もし実際であれば届け出の費用ではできておりません。できるわけがありません。この点を確かめたい。将来にそういう弊害を残すまいと思うからこういうことを言うのですが、これだけのことはやっていただけますか、いかがです。
#35
○皆川政府委員 具体的な事件については後刻調査をいたしたいと思います。
#36
○鍛冶委員 大臣お聞き及びで、こまかいことのような大きなことでございますから、将来こういうことが残ったら私はたいへんだと思いますので、あなたもそういうようにお思いでしたら、このことをよく調べて、将来にかようなことは残さぬように、ひとつお取り計らいを願いたいのですが、いかがでございますか。
#37
○秋田国務大臣 いまお示しの内容につきまして、好ましくない点が多々考えられます。事務的に検討、調査をさせていただきたいと思います。
#38
○鍛冶委員 ぜひそういうことでお願いいたします。
 私の質問を終わります。
#39
○吉田委員長 二見伸明君。
#40
○二見委員 休憩前に堀委員のほうから選挙の自由化について質問がございましたけれども、私も同じように選挙の自由化について大臣の御見解を承りたいと思います。
 大臣もうすでに御承知のように、現在は情報化の時代でございまして、人々はあらゆるマスメディアを通し、あるいは人と人との対話を通していろいろな情報を収集し、それに基づいて判断し、行動しているわけであります。ところが、事選挙に関しますと、情報というものは限られたものしか与えられない。選挙民にとっては候補者のすべてについて知りたいと思うし、候補者にしてみても自分の政策なり人物なりのすべてを選挙民に知ってもらって、正確な審判を下してもらいたい、こう願っているわけでありますけれども、現実には事選挙に関しては情報化時代とは逆行するように、数々の制限が設けられておりまして、思うにまかせないというのが私は実情ではないかと思います。こういった選挙のやり方というのは、非常に極端な言い方をすれば、私は時代に逆行した行き方ではないかと思うわけであります。ではどうしたらば一般選挙民がすべてを熟知した上で選挙に臨むことができるかという一つの方法というのは、私は戸別訪問じゃないかと思うわけです。現在は戸別訪問は認められておりませんけれども、私は、むしろ選挙というものを考えた場合に、戸別訪問の禁止というものははずしてもいいのじゃないだろうか。選挙制度審議会の第二委員会の報告の中にもそういう意見はあるわけです。「戸別訪問は、選挙民に政見を訴えるためのもっとも有効な手段であり、戸別訪問自体に違法性はない」また、「戸別訪問の禁止が現実の選挙を陰惨にしているもっとも大きな要因である」、こういった意見も出ているわけでありますけれども、大臣はこの戸別訪問というものについてはどういう御見解をお持ちになっているのか、まず伺いたいと思います。
#41
○秋田国務大臣 これはたいへん長く、常に論議せられてきている問題で、情報化の時代に、候補者のことを知らせる最もいい方法の一つであることは申すまでもございません。しかし、これが現在選挙法で取り締まっておる買収、供応等の機会につながることの多い点も考慮されて、いまこれが禁止されておるわけでございます。その他禁止の理由もございましょう。この点につきましては賛否両論ございます。私といたしましても両方の意味はわかりますけれども、現在の日本の状況においては現在の戸別訪問禁止の規定はそれなりの意義があるという見解に立っておりますが、将来検討を要すべき問題であることは申すまでもございません。
#42
○二見委員 実は大臣、いまの御答弁ですと、買収、供応のチャンスが多いことも戸別訪問を禁止していることの一つの考慮になっているというお話でございましたけれども、ここで私一つ問題になると思うのは、戸別訪問が買収、供応等の悪質犯と因果関係がある、戸別訪問を認めることがそのまま買収、供応につながるということであれば、それは問題だと思うのですけれども、ただ戸別訪問を認めた場合には、買収や供応のおそれがある、いわばそういうばく然とした理由でもって、むしろ選挙民の自由な選挙活動というものを抑圧することがはたしていいのかどうか、これは私は大臣にも御検討していただかなければならない問題だと思うわけです。そういうふうな立場から考えた場合はどうなのでしょう。
#43
○秋田国務大臣 私は、戸別訪問と買収、供応との間に必然の関連性があるとは考えておりませんし、またそういうことを申し上げてはおらないつもりでありまして、そういうチャンスにつながりやすいという点が一つ考慮される、その他、これだけで戸別訪問を禁止しておるわけではないのであります。いろいろの理由が他にもたくさんございます。自分だけでは回りきれませんから、人を雇って回ってもらう。またそれに多額の費用を必然的にこれは要するというような点が考慮されます。いろいろと効果と欠点と勘案をいたしまして、問題の多い点でございますが、いま私個人的な見解を求められますれば、直ちにこれを自由に解放していいという見解には立ちにくいという私の心境を申し上げておきます。
#44
○二見委員 直ちに解放するということには大臣は非常にひっかかりがあるようでございますけれども、それならば、たとえば段階的に自由化の方向に進むというそういう点では、大臣のこれは個人的な御見解になると思いますけれども、そういう方向ならば進めていきたいというふうに理解してよろしいのでしょうか。
#45
○秋田国務大臣 段階的ということがどういうことを具体的に意味しますか、いま私が言ったのは論理的意味で申したのでありまして、必ずしも、時間的意味で申し上げたつもりではございません。
#46
○二見委員 くどいようでありますけれども、たとえば、これはあくまでも選挙というのは選挙民の立場に立って考えなければならない問題だろうと私は思うのです。戸別訪問を禁止するという考え方の中に、私はどちらかというと権威主義的な考え方を感ずるわけです。買収があるから――そこで問題になるのは、確かに買収が行なわれるチャンスはあると私は思います、全然ないとは言いません。だけど、それは買収するほう、させるほうが悪いのであって、一般選挙民のほうに罪はないと思う、分ければですね。責任はむしろ買収するほう、させるほうにある。買収される対象になる一般選挙民のほうに関係ないと私は思う。一般選挙民の中だっていろいろの考え方がありまして、おれはあの党を応援したい、私はあの候補者を応援したい、純粋な気持ちでやる人もあるでしょう。あるいは候補者からお金をもらってやる、それこそいろいろ立場はあると思いますけれども、買収するほう、させるほうに責任があるんだから、そのほうに対しては別の、たとえば連座制を強化するとか買収に対しては徹底的な取り締まりをやるとか、そういう面でもってぴしっと押えるべきところは押えて、むしろ一般の選挙民に対しては、堂々と自分の思うとおり好きなようにやりなさい。あれやっちゃいけない、これやっちゃいけないという禁止規定は設けない。あなた方は自由に言いなさい、自由に語り合いなさい、そうして自分が一番いい人を選びなさい、これは私は考え方としては最も理想的な考え方だと思うのですが、その点はどうでございましょう。
#47
○秋田国務大臣 あくまでも私の個人的な見解、意見でございますが、確かにいま二見先生お話しのとおり、その他の条件の整備あるいは環境のそういう成熟を待ちまして戸別訪問を許す、それが自由な選挙につながるのじゃないかということは考えられる点でございます。英国等におきましてもそういう情勢になっておると聞いておりますが、それにはやはりいろいろ関連する前提条件の整備、成熟ということを忘れてはならないと思います。したがって私はこれは、わが党同僚の中にも戸別訪問を許すべしという議論もありまして、世界のその他の国の例にも徴して検討に値する問題であるということはさきに申し上げたとおりでございまして、これを絶対だめだとは考えておりませんけれども、いまこの状況ですぐ解放していいかどうかということは、たいへん逡巡をいたしております。しかし検討に値する問題である、いろいろ考えていかなければならぬ問題をたくさん含んでおる、こう考えております。
#48
○二見委員 時間もありませんので、この問題はこの程度にいたしますけれども、もう一点、参議院の定数是正、現在審議会にかけられております。おそらくこの答申を待って、政府としても何らかの方策に出てくると思いますけれども、そういうこともひっくるめて、今国会はともかくといたしまして、次の通常国会には当然公選法の改正案を政府としてはお出しになるつもりで現在は検討を進めている、こういう状況であるというふうに判断し、理解してもよろしいでしょうか。
#49
○秋田国務大臣 二見先生御理解のとおり、自治省の態度を見ていただいてけっこうだと思います。
 参議院の定数是正等の問題につきましては、ただいま選挙制度審議会で御審議を願っておりますので、その答申によりまして善処をいたしたいと考えておりますし、衆議院の問題につきましては、この十月一日に国勢調査が行なわれますから、その結果に徴しましてこれまた所定の手続、すなわち選挙制度審議会等の答申の議にも付しまして、その答申をいただいた上で、同様善処をいたしたい、前向きに考えております。
#50
○二見委員 参議院の定数是正の問題でちょっとお尋ねしたいのですが、もちろん審議会にかけられている段階で、大臣にこの点はどうなんだときめつけた言い方は無理だと思いますし、大臣としてもその点御答弁しにくいだろうと思います。御答弁しにくいのを私百も承知の上でお尋ねするわけですけれども、この定数是正は、私は大きく分けて二つの立場で是正が行なわれるだろう、二つの考え方があるだろう、一つは地方区の百五十名という定員数をそのままにしておいて、そのワク内でもってアンバランスの調整をするという考え方、そうではなくて、百五十をプラス幾つか議席数をふやすことによってアスバランスの是正をしよう、不均衡をなくそうという二つの考え方が私は当然出てくるだろうと思います。これはおそらく現在審議会で検討されておる段階であろうと思いますけれども、大臣としてはどちらのほうが望ましい――こうしてくれということではなくて、どちらのほうが望ましいというお考えなのか、その点はいかがでございましょうか。
#51
○秋田国務大臣 選挙制度審議会におきましても、その点いろいろの論があると伺っております。この際私からどちらが好ましいか自分の意見を申し上げることは差し控えたいと存じます。
#52
○二見委員 大臣がここでお話しになったことが審議会のほうに不当な圧力をかけるといいますか、よけいな示唆をしたような立場になると困るという御配慮だろうと思います。ですから私この点はこの程度にとどめておきますけれども、時間もありませんので、もう一点お尋ねいたします。
 実は政治資金規正法の問題でございますけれども、この前に堀先生の質問に、検討の結果まとまれば出すけれども明言はできない、しかしそのつもりでいる、こう非常に含みのあるといいますか、幅のある御答弁でございました。よく見ると出すとも言えないし出さないとも言えない、こうとれるわけでありますけれども、いずれにいたしましても政治資金規正法というのは、これは当然改正されなければならない段階にきているんじゃないだろうか。これはもういままで過去三回も流れておりますし、政府としても当然、今国会は無理としても次の通常国会にはどうしても出さなければならないような、出して世論にこたえるような客観情勢にきているんじゃないだろうかと思うわけでありますけれども、そういう状況を勘案しても、大臣としては次の通常国会には出せる、出す、こういう明言はしていただけないものなのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#53
○秋田国務大臣 御承知のとおり、この改正案は過去三回衆議院に提案をされましたが、遺憾ながら意合わずしてそのつど審議未了になっているものであります。したがいまして、この際十分案の内容を、現状ではいかぬわけでありますから、何とか変えなければならぬ。また根本的に審議の経過に徴しまして検討し直すということも必要でありましょう。いろいろの問題が考えられます。そこで誠意をもってこれが検討に当たりますけれども、いまのところ、次の通常国会の際に必ず出し得るということは明言いたしかねる次第でございます。
#54
○二見委員 衆議院の予算委員会で総理大臣はこういうふうに答弁されているわけです。自民党の内部がまとまらないからだろう、こういうお説がございます。私はそういうことも全部含めてさらにもう一度よく内容を検討して、皆さんの方の納得のいくものにしたい。こういう答弁を総理大臣がされているわけであります。大臣も現在検討中である。ところが次の通常国会に出す、出さないは五分、五分の状況だとわれわれ判断するわけであります。必ず出せるんだ、こう明言できない背景には総理大臣の答弁のような内容があるのか。言うなれば自民党の内部事情によってなかなか出しにくい問題がある、こういうふうに勘ぐりたくなるわけでありますけれども、その点はいかがですか。
#55
○秋田国務大臣 必ずしもそれだけではないと存じます。その点はいろいろデリケートな問題もありますが、しかし、自治省といたしましては誠意をもって前向きに研究をしていくつもりでございます。
#56
○二見委員 堀委員は三本の柱を立てて大臣に質問されておりました。その中の一つが公開の原則ということでありましたけれども、現在の政治資金規正法を見ておりまして、確かに公開の原則というものは義務づけられてはいるけれども、たとえば協会等の寄付については金額だけを発表すればいいのであって、明細は発表しなくてもいいことになっているわけです。会費とかそういうものは発表しなくてもいいことになっている。そういう点に政治資金規正法の抜け穴がある、ざる法のざる法たる一つの原因があると常日ごろからいわれているわけでありますけれども、そういう点を勘案して、私は大臣の個人的な見解でけっこうですからお尋ねするわけでありますが、公開の原則というものと照らし合わせて、もし政治資金規正法を改正するとするならば、そういう協会に出された会費、そこまで公開にしたい、こういうお考えはあるのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#57
○秋田国務大臣 公開の原則というものは三本の柱の中でも第一にあげられる重要な原則であろうと思います。したがって、この原則を貫いた法案にあるべきは私も異議はございませんが、その法案の原則に基づく内容につきましては今後の研究にまつべきものである。いまお示しのことにつきましては、何とも自分の考えはまだまとまっておりません。
#58
○二見委員 それからこれは選挙制度審議会の答申にあったことでありますけれども、現在会社、法人等の政治献金は認められております。わが党としてはこれは決して好ましいものではない、政治献金は個人に限るべきであるという従来からの主張もあるわけでありますけれども、それはさておきまして、現実の問題としてはなかなかそこまでは踏み切れない、政治献金は個人に限るんだというところまでは一挙に、理想としてはそうだけれども、なかなかそこまで踏み切れないといういろいろな情勢、私わかります。そういたしますれば、現実には会社、法人等の政治献金について一定のワクを設ける、そういう考え方が出てくるわけでありますけれども、その点については大臣はどういう御見解を持っていらっしゃるのか、その点はいかがでしょうか。
#59
○秋田国務大臣 私は過去のいきさつをつまびらかにいたしておらないのでございますが、公開の原則に続きまして会社における寄付金額の総括性といいますか、あるいは分に応ずべき原則というのが第二、第三としてあげられておったそうでございまして、そこらにつきましては過去の当委員会の御審議等によりまして得られました結果を尊重いたしたいと考えておりますが、内容に至りましては今後の検討にまつべきものである。さればこそ御猶予を願ったわけでございまして、ただいま個々の点につきましてたとい私見といえどもいろいろ申し述べる時期でもないし、またそれは適当ではないと考えられるのでございまして、私見を申し述べられないことを御了解願いたいと思います。
#60
○二見委員 二、三こまかい点をお尋ねしたいと思ったのでありますけれども、大臣といたしましては私見は述べられないというお立場でございますので、この点についてはそれ以上に深追いすることは私もやめたいと思います。ただ現在自治省のほうで政治資金規正法を検討しているのだということ、そこでわれわれとしては次の通常国会には何とか間に合わせていただきたい。いろいろな事情もあると思いますけれども、何とか間に合うように努力をしていただきたい。そしてその中身につきましても総理大臣は皆さん方の納得のいくような中身にしたい、こういうふうに予算委員会で、答弁されておるわけであります。皆さん方の納得のいく中身というのは、ぎりぎりのところは第五次の選挙制度審議会のときの答申の線だろう、私はこう理解しておるわけであります。したがいまして要望いたしますけれども、大体その線に近い線で、少なくともその線に沿っただけの検討だけは何とか努力を重ねていただきたいし、もしいろいろな反対があるならば、もっときびしくしろという意見ならば私は賛成いたしますけれども、もっとゆるやかにしろという意見がありましたならば、大臣としては積極的にそうじゃないのだと説得するだけの政治力を発揮して、何とかまとめていただきたい、こう要望するわけであります。
 最後に私お尋ねしたいのは、実は来年の六月には参議院の選挙があるわけでありますけれども、一つだけお願いしたいのは、この間の選挙を見てしみじみ感じたわけであります。実はテレビ放送でありますけれども、候補者の顔が写っているだけじゃなくて、候補者の顔も写っておりますし、しゃべっておりますからいろいろな表情も見えますけれども、余白にかなりスペースがあるわけです。あそこに候補者の政策、公約、スローガン、これを何とか余白に――テレビのコマーシャルでやりますね。「すかっとさわやかコカコーラ」みたいなすうっと出るやつ、ああいう形で三本の政策のスローガンを入れるとか、五本でもけっこうでございます。技術的な問題もあると思いますけれども、これは今後テレビの政見放送をやる場合にそういうような配慮はしていただけないでしょうか。その点いかがでしょうか。
#61
○秋田国務大臣 一つのアイデアであろうと思いますが、いろいろ技術的見地においてあるいは問題が放送業者との間であるかもしれません。ひとつ当委員会及び選挙制度審議会でもこれらの点については御審議を願いまして、皆さんの御意見と合致するところがありますれば、これを法案に取り入れるにやぶさかではございません。
#62
○二見委員 最後にもう一つお願いでございますけれども、おそらく来年の参議院の全国区の場合にもテレビの政見放送をおやりになると思います。相当の数の政見放送を全国放送でやるわけでありますが、これは時間帯によってえらい違いがあるわけです。ちょうど奥さまの時間帯にやられたときとゴールデンアワーにやられたときでは、これはえらい違いがあると思います。地方区ではまとまってやりますから、時間帯に差はございませんけれども、そういう点は全国区の場合には候補者によってあまりバランスのくずれないように、これは非常にむずかしい問題であろうと私は十分承知はしておりますけれども、その点の御配慮のことを最後にお願いして質問を終わりたいと思います。
#63
○秋田国務大臣 これは確かにお示しのとおり機会均等の原則を貫く意味におきまして、たいへんむずかしい問題であろうと思います。放送協会なりあるいは民間放送におきましても、時間帯の公平な割り当て等につきましては配慮されると思いますが、自治省といたしましても十分その点考慮をして、適当な御意見等を言うべき機会があれば申し上げ、指導すべき点があれば御指導申し上げたいと考えます。
#64
○吉田委員長 門司亮君。
#65
○門司委員 私ごく簡単にお聞きしたいと思いますが、私の聞かんとするようなところはいま大体皆さんからお聞きを願ったと思いますので、重複することは避けておきたいと思いますが、いまお話しのありましたたとえば定数是正の問題について、衆議院の場合は国勢調査を待ってというようなお話でございますけれども、これは法律がそうなっているのです。そうして選挙法ではそのたびごとに改正するということを例とする、こう書いてある。それをいままで怠っておったということです。これは一体政府の責任なのか国会の責任かということです。法律を完全に守っておれば定数是正なんということは――ただ人員を減らすかふやすかということの問題はありますが、しかし是正をしなければならぬということは法律に最初から書いてある。その法律を守らないで、今日まで、どうにもならないところまで追い詰めてきて何かむずかしい問題のように考えているのですけれども、この点は一体どっちの責任なんです。これは国会も法律がありますから、国会のほうからは法案を提出することはできるのでありますが、しかしこの法律がある限りにおいては、私はやはり政府が措置一瞬すべき問題だというふうに解釈したほうがよろしいと思うのですが、これはどちらの責任とお考えですか。
#66
○皆川政府委員 経過について申し上げますと、門司先生御承知のように、昭和二十五年に公職選挙法をつくります際に、衆議院の別表は二十一年の人口調査によってつくってあるわけです。すでにその当時かなりの人口の移動があった、これをどうしようかということが国会で議論になりました。しかしその二十五年の秋には国勢調査があることになっておりましたので、そういうこともあってその際は手をつけないで、いまお話しのありました国勢調査ごとに「更正するのを例とする。」こういう規定を挿入されたわけでございます。これも必ずそのときに改正しなければならないというようなきつい規定のほうがいいか、例とするという規定のほうがいいかいろいろ御議論もあったように存じておりますが、結論としましてはそういう過程を経まして、昭和三十年にまた第二回目の公職選挙法施行後初めての国勢調査がございました。昭和三十年のときには、政府としては小選挙区法案の中に入れまして別表の定数是正を提案をいたしたわけでございます。御承知のような経過であの法律が流れまして、その際は法律上の是正ができなかったわけでございますが、その後ようやく三十九年の改正で成立をした、かような経過になっております。政府といたしまして努力を完全に怠っておったわけではございませんが、結果的にはいま御指摘をいただきましたような不十分な、法律の趣旨に沿わない姿になっているのじゃないか、その点も私たちは責任を感じておるわけでございます。一応そういう経過になっておることをお話し申し上げます。
#67
○門司委員 私は、事選挙に関する限りは、議員は非常に神経質になるのは当然でありますので、むずかしい問題はあるが、しかし素材としては政府が法律に基づいてお出しになる。あとのいろいろな審議の経過からくる修正その他は私は当然あり得ることだと思います。これはそれでよろしいと私は思います。しかしイニシアは、この問題は政府がとるべき問題だというように私は解釈している。またそれでなければならないと考えておるが、どうも事選挙に関すると、うるさいものだから選挙制度審議会に持っていってみたり、あるいは議員のほうで何とか考えてくれればというような、わりあいに政府が責任回避の態度に出ておることが今日のような事態を招いているのではないかというふうに私は考えられる。しかしこれ以上は追及いたしません。いまの大臣の御答弁の、この次の国勢調査がわかったら、それでおそらく定数是正の原案をお出しになるものと一応考えておきたいと思います
 それから、その次に聞いておきたいと思いますことは選挙違反の問題でありますが、この資料の中の「その他」と書いてあるところに実は問題があるのであります。上の「買収、自由妨害、戸別訪問、文書違反」というのは、この額面どおりに受け取ってもいいと思うが、「その他」ということは一体何かということであります。私はこの中には今度の国会で、特に今度の選挙、この前の選挙も同じでありますが、最近選挙で最も罪悪として考えられるものがこの中に含まれている。いわゆる詐偽投票、他人の名義をかたって投票するということ、これがかなりあります。しかし選挙管理委員会もこれを報告しない。これを徹底的に自治省がお調べになったことが一体ありますか。各投票所ごとに一応調べたことがございますか。選挙管理委員会でないからわからぬといえばそれまでだと思いますけれども、私はこの問題は非常に重要な問題だと思います。あらわれたものは氷山の一角である。しかし選挙は公正であって、国民の良心に従って、国民の国政に参加する最大の権利であります。その権利が本人の知らない間にだれかが行って投票しておったというようなことは選挙制度の中では許されぬ行為です。買収よりも供応よりも何よりも悪い犯罪である。選挙法の中には、二万円から五万円の罰金に処するということが書いてあります。これは選挙法の中にちゃんと認めておるのです。あるから認めておるのだと私は考えておる。これに対して大臣はどうお考えになりますか。私は選挙に対しては最大の罪悪だと思います。そしてこれが比較的やみにみな葬られている。選挙管理委員会の報告を見てまいりましても、ただ単に有権者がこれだけで、投票者がこれだけでということしか報告は出てこない。事実を言えということなら私は事実を申し上げます。これで一体いいですか。これは非常に大事な問題でありまして、一投票所にかりに一人ずつそういう人があるといたしますと、二百あれば二百人の人がそういうことになっていると思います。この犯罪は非常に見つけにくい犯罪であります。わからぬのであります。他人の名義で行ったからといって、それを鑑別することはほとんど投票所では困難であります。何かのきっかけがなければこの種の犯罪は見つからぬ犯罪であります。しかしそれがかなり出てきているのであります。そしてこれは全くの氷山の一角であります。最も検挙がしにくい犯罪であることは事実であります。これに対して何か防止するお考え等があるなら、ひとつこの際聞かしておいていただきたいと思います。
#68
○皆川政府委員 公職選挙法では御承知のように投票所に行った選挙人に対して、それが選挙人名簿に登録されておる本人であるかどうか確認をして投票をさせる、こういう規定になっております。ただ実情は、今日なかなか社会の移動も激しいものでございますから、一々確認ができないということのために、他人の投票を見過ごすということがあり得る場合があろうかと思います。そこで、そういうことをどうして防止し得るかということで実は前々からいろいろ検討いたしまして、最近は必ず生年月日等を聞く。のみならず、できるだけその地区に詳しい人に投票所に勤続させるようにというようなことで、いろいろと手段を尽くしておるわけでございます。いままで、過去においても投票所で、選挙管理委員会の職員が本人でないのじゃないだろうかという疑いを持って、結局それが刑事事件になったという事例もございます。他にあらわれてないものもあるんじゃないかという懸念も私たちも持っておりますけれども、現在のところではそれがそうたくさんあるかどうかという確証もございません。しかし一件でもあってはいけないことでございますので、そういう事務処理によって、また同時に国民の啓発活動等を通じてそういうものの絶滅を期していきたい。
#69
○門司委員 いまの御答弁だけでいくと何が何だかわからぬのですが、実態はなかなかそうはまいりません。選挙場に入って投票用紙を渡す人は入場券があるなら入場券によって渡しますが、入場券のないところでは、どこそこの何がしでございますといえば、性別でも違えばおまえさん違うということになるかもしれませんが、大体同じような年かっこうであれば識別することは困難であります。したがって、こういうことが容易に行なわれ、自分が行ってみたらだれかが投票しておった。しかし、その人の投票権はある。その人の投票権を抹消するわけにまいりません。本人である以上、だれかが投票しているから、おまえさん選挙権がないんだということはなかなか言えない。そうすると、一人の投票権で二つ投票してある。詐偽投票はそういう形に連鎖反応するというわけです。こういう事件は、この前の選挙から今度の選挙にかけてかなりあります。資料が要るというなら私のほうから持ってきてもよろしゅうございます。だから、これをどうするか。
 そこで、私はこの機会に大臣にとくと相談をしたいということは、今日の選挙を浄化することのためには――選挙をするほうの側からのみこの選挙法が制定をされております。そうしてこうしてはいけない、ああしてはいけない、こうしてはいけないということがずっと書かれてある。投票をする国民に対する政治に対する啓蒙、いわゆる投票に対する啓蒙ということは、この選挙法の中にはほとんど出ておらない。そこに日本の今日の選挙の腐敗、堕落する最大の原因があります。したがって、選挙違反に対しましては、あたかも国事犯のように考えて、一般犯罪とは別の観念をもって今日行なわれている。わからなければよろしいんだ。選挙違反というものに国民は犯罪としての観念が非常に薄いのであります。これはどんなに選挙法を改正いたしてまいりましても、政治資金規正法をどんなに改正いたしてまいりましても、国民の選挙に対する意識というものが非常に低ければ、そこには買収も行なわれ、供応も行なわれ、戸別訪問も行なわれ、いろいろな誘惑も行なわれることは当然であります。選挙をする人は何でもいいから当選したいのでありますから、結局あらゆる手段を講じてくる。そうして法で禁じていない手段は何でもやれる。法で禁止していないからやったって差しつかえないじゃないかということで、結局最近の選挙で、御承知のように衆議院の選挙には政連の車の制限がありますけれども、都道府県あるいは市町村の議員の中にはそんなものの制限はありはしませんから、結局禁止してないからやれるんだということで、政党の車あるいはいろんな名前のついた車がそこらじゅう歩いて、めちゃくちゃな選挙になっている。こういう選挙の実態を見てまいりますと、結局選挙に金がばかばかしくかかって、御承知のように今度の選挙でも七千万円が落選して一億が当選するというようなことが新聞に書かれる。そうして選挙の費用の総括的費用四百四、五十万円が大体平均になっております。これは一体どうなるのですか。こんなことを繰り返していたらえらいことですね。そこでひとつ思い切った選挙法の改正をして、いま申し上げましたようなのは明らかな詐偽でありますから、これは選挙違反として取り締まりをしないで、刑法で詐欺罪として取り締まったらどうなんですか。あるいは供応、買収等に対しても、人の良心を供応し、買収し、そしてそれを使って自分の地位を得ようとするのですから、これらの問題については、供応、買収というようなものは、当然いまの刑法にある収賄罪ということで取り締まったら一体どうなるんです。選挙違反は破廉恥罪でないんだというものの考え方、したがって、政府が行なっておりまする恩赦等に対して、選挙違反がどんどん恩赦の対象になって出てくるでしょう。はなはだしいのは、選挙違反を犯して、そうして起訴中の諸君でも立候補するでしょう。そしてこれが当選する。犯罪の観念というものが選挙には全然ないのであります。したがって、私は、思い切ってこの辺で選挙犯罪に対しても刑法を適用するというたてまえをとるべきではないか、そうして選挙というものはあくまでも公正に、厳正に行なうべきものであるという観念を強く植えつける必要がありはしないかということです。これはあるいは私のことばが少し行き過ぎておるかもわからない、しかし、一つの考え方としてはそういうことが言える。外国の例がないわけではございません。外国の例を見てまいりましても、選挙法に罰則など一つも書いてない。供応があろうと、買収があろうと、選挙の自由妨害などについても、これはやはり他人の物を汚損したり器物の毀棄罪というようなもので取り締まるなら取り締まりができるのであります。そうすることによって、私は日本の政治というものは明るくなりはしないかと思う。その点に対する大臣のお考えがあれば、この際ひとつお聞かせを願っておきたい。
#70
○秋田国務大臣 私個人といたしましては門司先生の御趣旨に大賛成で、私もそういう考え方を大体持っております。そういう意味合いから、今後公職選挙法なりその他関連法規をひとつ大いに検討したい。それには諸先輩の中におきましても、当委員会あるいは選挙制度審議会等におきまして、大いにそういう説を出していただくことが必要かと存じております。
#71
○門司委員 それからもう一つ私は大臣にこの機会に聞いておきたいことは、選挙法自身というものが何かしら非常に疑いを持って選挙民を見ているような形で実はできております。たとえばいま議論になりました戸別訪問等に対しても、戸別訪問を許せばどうも買収につながるんじゃないかと選挙民自身を疑っている。私は法律については、悪質のそれらの問題については刑法その他できちっと取り締まるが、しかしそう選挙民を疑わないで、そうしてやはり公正な選挙を行なうものだというたてまえに立って、もう少し選挙法を論ずる必要がありはしないか。そういうかね合いが、いままでの選挙法の改正その他を見てみますると、なかなかうまくいっておりません。そうして何かしら選挙というものは違反がつきまとうんだ、国民はあまり信頼ができないんだということで、戸別訪問したからといったところで、政策の浸透であるとかあるいは自分たちの持っておる考え方を披瀝することのためであって、一方は良心に従って投票するんですから、何もそのことのために動かされるというようなことのないように、やはり政治啓蒙をどうしてもしていかなければ、いつまでたっても日本の政治はよくなりません。そうしてますますお金だけが必要になってきて、法の抜け道だけを考えて、平ったくいえば悪知恵のある者が勝つ、こういう形になる。選挙の公正を期するためには、私はその辺もう少しメスを入れる必要があろうかと、実はこの詐偽投票その他を考えてまいりまして考えられる。ですから、大臣のいまの御答弁で一応よろしいかと思いますが、私どももこの点がいいか悪いかということは、いま申し上げただけで、深い検討はまだしているわけではございません。ただ外国の例にはこういう例が幾つかあります。選挙法には罰則がなくて、そういう疑わしい行為に対しては、結局刑法で取り締まる、そういうことが行き渡ることのために、候補者がもし選挙違反をやるような行為をすれば、候補者は当選をしない、国民はそういう刑法に触れるような行為をする人には投票しない。こういう形になれば、おのずから選挙違反もなくなりますし、正しい選挙が行なわれる。私はぜひそういう形を選挙法の中には取り入れていきたいということを考えるのであります。
 それから、最後にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、今度の選挙で非常に投票率が悪かったという事実であります。ことに六大市では悪いですね。六大市は私の住んでおる場所でありますから、あまり大きな声で申し上げるわけにはまいりませんが、横浜ではわずかに五二・二七%であります。全国で一番悪い投票率になっております。しかし六大市はことごとく五〇%台でありまして、六〇%台が一つもないということである。この投票率が非常に悪かった原因等について、選挙部のほうで何かお気づきの点がございますか。ただ暮れであったから、忙しかったからというのではないと私は思うのですよ。私に率直に言わせていただければ、これはある程度政治に対する不信感じゃないかと考えております。それがこういうところに出てきておるんじゃないか。そのことは毎回の選挙をずっと調べてみますと、投票率はいずれもよくない。だんだん投票率が低下しておる傾向を示していることは事実であります。これはおそらく日本の一つの政治のあらわれだと見る以外にないと思います。そういうところに買収があり、供応があり、いろいろな手段を尽くして投票にかり集めをするというように、やはり犯罪も出てきておる。したがって、ただ単に暮れだったから、忙しかったからというようなことでなくして、この投票率がだんだん低下しているということの分析というのは、選挙法に対しては非常に大事だと私は考えております。この点についてもしお気づきの点があるならひとつお聞かせ願いたいと思います。
#72
○皆川政府委員 投票率が悪かったというのはなかなかむずかしい問題であろうと思います。私のほうでもそのほんとうの事実を突きとめたいと思って、いまいろんな形で調査等も進めておるのでございます。確かにそういった政治に対する不信といいますか、あるいは無力感といいますか、自分の一票でどうにもならないという感じがあるというようなことも世間で指摘をされております。私たちも、そういう要素も入っておるのじゃないかというように考えます。ただ、事前に選挙に対する関心等を調べたのを見ますると、投票に行きたいというのがかなり高い率を示しておる。ところが結果においては非常に悪いというところを見ますと、政治的無関心ということよりも、むしろいまの社会構造といいますか、社会生活の実態が――ある特定の日に特定の場所の投票所に行って投票する、この仕組みと合わないところがあるんじゃないか。今回も不在者投票等をできるだけやるように大いにつとめたわけでございますが、もう少し制度面で改善をする余地がないだろうか、これは選挙の形と関連してなかなかむずかしい点はございますけれども、そういう点も十分検討してみたいと思っております。
#73
○門司委員 あと政治資金のことだけ少し突っ込んで聞きたいのでありますけれども、大体時間があまりないようでございますから、きょうはこの程度で終わりたいと思いますが、いま申し上げましたようなことは、何かとっぴなことを言っておるようでありますけれども、どう考えても日本の選挙は、ほんとうに正常化して公明な選挙を行なおうとするには、いままでのびほう策ではもはや間に合わないのではないか、この辺で何らかの思い切った手段をとる必要があるということと、もう一つは、国民は悪いことをするものだというものの考え方で選挙法を改正すべきではないという意見、やはり両方どう組み合わされていくかということが今後の大きな問題であろうと私は思います。その点については先ほどの答弁で、投票所が遠いとかということもあります。確かに投票所が遠いとか、あるいは投票所に行ってみたら非常に長い列ができておったので、いやになったから会社へ行ってしまったというようなこともあって、投票率が悪かったということを私ども聞いております。そういうものを是正するためには、いまの打ち上げの時間を七時半にするとかあるいは八時にするとかいうようにすれば、それでよろしいかと思いますし、また、国民の最大の義務であり、最大の権利である選挙でありますから、少なくとも事業主その他がやはり投票時間というものを勤労者に与えるというようなことが啓蒙運動として行なわれる等、投票の完ぺきを期すべきだ、幾つかそういうものが私はあろうかと思います。それらの点等についてひとつ御検討をぜひわずらわしていただきたい。そうしないと、このままの姿でいきますと、選挙はますます悪くなってどうにもならなくなってくる。その反面に、良識のある人々は、政治に対する不信感というものが出てまいります。両々相まって投票率が非常に悪くなる。私は、こういう点について政治に対する信頼感がなくなったということになると、自民党の政権が悪いということを言わないわけにはいかぬことになると思います。どうもそうらしいと私は考えておるのでありますが、選挙部長はなかなかうまい答弁をいたしておりまして、そういうことを言わないようでありますけれども、私どもは、実際は政治に対する不信感というものが投票率を悪くしている一つの原因ではないかということが感ぜられる、これにはやはり政治の姿勢を正してもらわなければならない。その一つとして政治資金規正法はやはり国民の要望に沿って政府が早く提案されることが実は考えられるわけでありますが、これはひとつ私の意見として聞いておいていただきたいのであります。
#74
○秋田国務大臣 ただいまたいへんわれわれにとって参考になる御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。私も大体御意見は賛成でございます。選挙はもっと濶達に、自由に、明朗に行なわれるべきである、しかし、越えてはならないところは越えない、そういうムードもつくり、そういう選挙法になっていくという点、この両者のかね合いをどう処置するか、なかなかむずかしい点がありますが、しかしどうしてもやらなければならないことだと考えますので、十分検討をいたしまして、時代の要請に沿うように心がけてまいりたいと考えております。
#75
○吉田委員長 青柳盛雄君。
#76
○青柳委員 前回の衆議院議員の選挙の結果について、先ほど自治大臣並びに警察庁、検察庁のほうから御報告がございました。実は当初は選挙違反の取り締まりの状況についてお尋ねをしたかったわけでございますが、警察庁あるいは検察庁の方々が他の委員会に出席されておられるのできょうはお尋ねできないということで、これは後の機会に譲りたいと思います。
 そこで自治大臣、関係の方々にお尋ねするわけですが、先ほどからも問題になっております選挙運動の自由の事柄でございます。
    〔委員長退席、大西委員長代理着席〕
選挙運動というものは、一応公職選挙法で一定の概念がきめられておりまして、いわゆる政治活動、これは個人あるいは政党の行なう政治活動でございますが、それとは区別される形になっております。しかし考えてみますと、本来議会制民主主義のもとで政治が行なわれておりますから、政治活動と選挙活動というものは何か異質なもの、あるいは一応別なものとして区切ること自体に相当の無理があることは当然だと私は思います。本来、民主主義を守っていくためには政治活動の自由というものは十二分に保障されなければならないわけであります。これは言論の自由、出版の自由、その他表現の自由が政治的な面において十二分に保障されていく、これは権力によってもあるいは他の勢力によっても妨害はされないということは明らかなんであります。ところが選挙になりますというと、いろいろの制約が選挙運動に加えられてまいりまして、従来やっていた政党あるいは個人、一般の団体の政治活動が、一挙に停止をさせられると同じような状態にならざるを得ないわけであります。
 文書の宣伝につきましては、前回一部改正がありまして、先ほどの衆議院選挙の場合、相当自由に政党の文書が発行され、頒布され、大いに政治的な関心に対する答えを出していたと思うのであります。これは非常にいいことであります。それが先ほどの警察庁あるいは検察庁の報告によりましても、特徴的に文書違反は減っております。これは自由を保障したからこそこういう違反が減ったんだろうと思う。従来どおりの制約があったらば、こういう減り方というものはなかっただろうと思う。われわれは、技術的な問題もいろいろありましょうけれども、もっともっと文書による政策宣伝の自由を選挙運動の中にも加えていくべきであるというふうに考えるわけであります。
 ところで、先ほどもお話にありました戸別訪問禁止でございますけれども、これは選挙をやる者がだれであるかという点についての考えから出発すれば、非常に早くわかる問題でありまして、選挙をやるのは有権者なんで、何か選挙運動をやるのは候補者あるいは政党運動員、そういうものであって、選挙民はこの選挙運動を受ける立場の者、受動的なものであるかのような錯覚が、いままでの状況では相当びまんしていると思うのであります。これはお互いに選挙活動をおやりになった各位におかれては、よく御存じのとおりだと思うのです。どうも選挙民のほうが、反応がよくないとかいうような不平も出てくるわけであります。なぜだろうか。政治に対する不信あるいは選挙に対する不信がそこにあるだろう。確かに私も、そういう側面があることは事実であって、これは政治の姿勢が改まらない限り、有権者は政治的な関心が薄らいでくるということは必然だと思いますけれども、しかし、他面選挙民が受動的なものであってはいけないのであって、選挙民自身が最も公正な選挙をみずからの権利と義務において行なうんだという、そういう状況をつくり出すことが前提でなければならないと思う。ところが戸別訪問を禁止するというやり方、これは先ほどの御答弁では買収に連なるおそれがある。確かにそういうことが戸別訪問を禁止している有力な根拠のようであります。諸外国では、いわゆる民度が進んでおる、政治的な意識が高くなっているから、あるいは日本とは違うから、戸別訪問は禁止しなくても弊害は出てこないけれども、日本のような国では買収に連なるおそれがあるから、これはやはり禁止しておかなければいけないのだという――われわれは買収を禁止するという、これは厳重にしなければいけないのでございますけれども、それはいままでが買収というものに対する事実上の取り締まりが十分でなかった、規定ももちろんざる法になっている面がございますけれども、運用の面において、買収が常識化している、減ったとは言っても、今回の衆議院選挙におきましても、買収が八六%にもなっている、こういうような事実を見ますと、運用の面でもっともっと厳重にやるならば、こういうものをなくしていくことができると思うのでありまして、何か戸別訪問を禁止すれば、それに一定の効果を与えるであろうというようなことから、戸別訪問罪というものをつくり上げて、一般選挙民を選挙には近づけさせない、何かこれに近づかないで黙って投票だけすれば無難だけれども、自分が支持する政党、候補者、そういうもののために努力するとかすれば、それが何らかの理由で抑圧を受け、取り締まられるのじゃなかろうかというおそれを感ずるようになっていると思うのであります。もちろん選挙になれた運動員の方々、また政党の中でも相当訓練を積んだ党員は、そういう点は心得ておりますから、必ずしも消極的になるとは限りません。また消極的になったのでは当選を得ることは困難でありますから、これはやりますけれども、大方の人々は非常に選挙というものをこわく思っているわけであります。その中の最大のものといっていいかどうかはわかりませんけれども、ずっと前から論議が行なわれている戸別訪問、これについてわれわれは目を向けないわけにはいかないわけです。本来政策を十分に選挙民に知らしめるためには、いろいろの方法があると思います。文書による宣伝、演説による宣伝、これも非常に重要でございます。
    〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
しかし家庭を訪問して、そうして候補者であれ、あるいは候補者を支持する人であれ、とっくり話し合ってみる、今度の選挙の問題点はどういうところにあるだろうか、あの政党はこういう政策を出しているけれども、自分の支持する政党はこういう政策で、この点が非常に違うのだというような争点についての解明を行なう、また候補者の人格、識見等についても十分選挙民に知ってもらうというようなことが、この人たちを国の主権者として自分の投票権を確信を持って自主的に行使させる、そういう結果に連なると思うのであります。ところが、この戸別訪問が禁止されておりますから、どうも話に行くことができにくい。いろいろの知恵を出して、よそへ呼び出して話し、あるいは道路へ呼び出して話すというような苦肉の策もとっているようでありますけれども、またこれが判例などによりますと、道路に呼び出しても、それを戸別訪問を免れるような形で行なわれるならば、これも犯罪になるのだというふうに、また戸別訪問も一日に何回も連続してやるのでなくとも、間隔を置いてやっても最初からその計画に基づくものならば犯罪になる。相手がいなくともその目的で行けば犯罪はもう既遂になるのだ。判例などを見ますとどこまでいってもこれは、全く日常の交際としての訪問、その結果、談たまたま選挙の話に及んだような場合でさえも危険を感ずるというような状況でございますので、私はどうしてもこの戸別訪問罪というものは検討してもらわなければならない、かように考える次第でございます。非常に短い時間しか与えられておりませんので、まず最初にその点をお尋ねいたしたい。
#77
○秋田国務大臣 戸別訪問につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、自由にして明朗な、かつ候補者及びその政党の政策、人となりを熟知せしめるためには非常にいい方法でございますけれども、同時に今日の日本の社会においては反面いろいろの弊害も考えられるわけでございます。おそらく戸別訪問を許しました場合には、戸別訪問に行かなければおそらく投票は入らない。戸別訪問の競争になる。そうしますと、いまの選挙制度ともからみましてやはり候補者自身が行くわけにはいかない。全部を回るわけにいきません。しかし回った人が勝つ体力競争に選挙運動がなるという傾向もこれは一部にはある。そうすると、もちろん候補者自身が行かれないということになればかわりの人に行ってもらう。これは自然非常な選挙費用を要する原因をつくることにもなろうかと思います。都会地の方はまだよろしゅうございますが、山間部に選挙区がある者について私ども考えてみますと、これは脅威的なことになります。あの山の峰の先まで、あの谷の底までおりる、自分が行かないまでもだれかが行く、こういうことは可能だろうか、そういうようなことを考えますと、やはり当局者としては十分検討をしてみたい。いろいろ戸別訪問許すべしという議論が、先ほども申しましたとおりわが党の中にも有力に最近いわれていることは事実でございます。十分検討に値する問題でございますが、これに対する自治省としての、ことに私としての個人的な替否についてはいましばらく留保さしていただきたい、私の感じを参考までに申し上げた次第でございます。
#78
○青柳委員 時間の関係もありますから繰り返しませんけれども、ただ一点、戸別訪問をやるのに候補者自身はできない、したがって第三者に依頼せざるを得ない、そうすると費用がかかるというお話がございました。確かに選挙運動といいますか、戸別訪問をするということはそれだけの労力を使うわけでありますから、これに見合う代償を払うというようなことが候補者あるいは政党にかかってくるであろうということも想像するにかたくないわけでありますけれども、私はもっと観点を変えて、有権者の人たちはすべて選挙活動ができるわけでございますから、これを何か職業的に給料をもらって、代償をもらってやるというのではなくて、自分たちのことであるから積極的に無償でやるというような習慣が国民の間に普及することが望ましいのでありまして、私どもの政党などの場合には、選挙運動を、合法的なことしかやりませんけれども、当然無償でやっておりますので、これは何もわが党だけの独占物にする必要はないと考えております。すべてにそういう形でやっていくならば、いまの御懸念の点は解決する道もあろうかと考えます。
 それから、もう一点だけお尋ね申し上げますが、これも先ほどからお話しになりました衆議院の議員の定数是正の問題でございます。昭和三十年のときには定数是正を考えたんだけれども、そのときに小選挙区制をからませてやったために流れてしまって定数是正ができないで三十九年になった、こういう苦い経験をお持ちのようであります。確かに区制の問題を扱いますと、与党も野党も、立場は違いますけれども、いろいろの論議が過熱化するわけでございまして、私どもは小選挙区制などということには絶対に反対する立場でございますけれども、そういうことはもっともっと世論を煮詰めた上で、まあ全会一致などというふうにはならないにいたしましても、区制の問題は時をかした上で、十分に論議した上でやるべきであって、緊急にやらなければならない定数是正はどうしても切り離してやるべきではないかというふうに考えます。ことしの十月に国勢調査が行なわれる、それに基づいて善処されるという御答弁でございましたけれども、この際とばかりに、また昭和三十年のときのように区制の問題をそれにからめてしまうようなこと、そしてこれがまた流れるというようなおそれのないように私どもは期待をするわけでありますが、大臣はその点どうお考えでございましょうか。
#79
○秋田国務大臣 まじめな議論として区制と定数の是正とはある程度関連をすると思います、ある意味において。大きな意味の定数、区制の問題と定数の是正の問題はこれまたやはりまじめな意味で関連させて考えられる問題であろうかと思いますが、いずれにいたしましても今日の定数のアンバランスというものは非常にはなはだしい。目に余るものがございます。この点は処置をしなければならないものだ、こう考えております。
#80
○青柳委員 終わりにいたします。
#81
○吉田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後五時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト