くにさくロゴ
1970/03/18 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 予算委員会第三分科会 第6号
姉妹サイト
 
1970/03/18 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 予算委員会第三分科会 第6号

#1
第063回国会 予算委員会第三分科会 第6号
昭和四十五年三月十八日(水曜日)
    午前十時十九分開議
 出席分科員
   主査 田中 龍夫君
      相川 勝六君    赤澤 正道君
      西村 直己君    藤枝 泉介君
      古内 広雄君    大原  亨君
      田邊  誠君    細谷 治嘉君
      大橋 敏雄君    古川 雅司君
   兼務 寺前  巖君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 野原 正勝君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 岡部 實夫君
        労働大臣官房会
        計課長     増田 一郎君
        労働省労働基準
        局長      和田 勝美君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 遠藤 政夫君
        労働省職業訓練
        局長      石黒 拓爾君
 分科員外の出席者
        厚生省環境衛生
        局公害部公害課
        長       橋本 道夫君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月十八日
 辞任         補欠選任
  細谷 治嘉君     田邊  誠君
  松尾 正吉君     大橋 敏雄君
  谷口善太郎君     林  百郎君
同日
 辞任         補欠選任
  大橋 敏雄君     古川 雅司君
同日
 辞任         補欠選任
  田邊  誠君     細谷 治嘉君
  古川 雅司君     松尾 正吉君
同日
 第二分科員寺前巖君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十五年度一般会計予算中厚生省、労働省
 及び自治省所管
 昭和四十五年度特別会計予算中厚生省、労働省
 及び自治省所管
     ――――◇―――――
#2
○田中主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算中、労働省所管を議題といたします。
 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員になられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。
 なお、政府におかれましても、答弁はでき得る限り簡潔、明瞭にお願いをいたします。
 質疑の申し出があります。順次これを許します。田邊誠君。
#3
○田邊分科員 昨年の七月に同和対策事業特別措置法が公布をされたのでありますが、これはわが国にとっては同和対策上画期的な法律でありまして、政府はこの特別措置法に基づいて、逐次施策を講ぜられるべきものと考えておるわけであります。しかし、私どもが見るところでは、まだこの同和問題はいわば緒についたばかりでございまして、全国各地にいわれのない差別が存在していることはきわめて遺憾としなければならぬと思うのであります。そこで私は、この同和対策の中で一つの重要な柱である職業選択の自由の問題、就職の機会均等の問題に対して、この差別をいかにしてなくすかということに対して若干の質問をいたしたいと思います。
 いま私が申し上げたように、実際にはなかなか同和地区の人たちの就職は思うようになっていない。失業状況は非常に悪い、生活条件は非常に劣悪である。こういうことは、たとえば生活保護を見ましても、同和地区における約四十万の世帯のうら、生活保護者が約二万人くらいおる。七%くらいの生活保護者がいる。これは全国平均の三%に比べて倍以上の状態であるということからもわかるのであります。また就職の状態にいたしましても、この同和地区の有業者の五〇%以上が日雇い労働者であるというところが全体の地区の一五%にも達しておる。常用労働者が有業者の三〇%未満というところがいまだに全体の七〇%もあるという、こういう状態から見てもおわかりのとおり、このような状態でわれわれはこの同和地区の諸君の悲願を達成することはできないと思っておるわけであります。特にいま申し上げた就職の差別があるという状態、失業者が非常に多いという状態、この現状に対して、大臣は実態をよく御存じでございますか。
#4
○野原国務大臣 同和地区の実態あるいは就職のいろいろな事情等、聞いてはおりますが、実態をよく知っているかというと、どうも遺憾ながら十分には知っておりません。しかし、いずれにしましても、同和地区という存在がこのいまの世の中に存在すること自体が実はもうおかしいのでありまして、そういった差別待遇などがあるということは全く不合理なことでありますから、一日も早く同和対策という名前でこういう政策を続けなくも、すべてが平等に、公平にみんながしあわせになれるような時代が来てもらうということを念願いたしておるわけでございます。どうも実態はまことに残念ながら十分にわかっておりません。
#5
○田邊分科員 ぜひひとつあなたもよくその実情を把握されて、今後私がお願いをし、質問をする各事項についても、ぜひ十分な対処をお願いしたいと思うのであります。
 そこで第一には、実際には職業につくことは決して差別がないのが原則であります。ところが、なかなかそういう状態になっておらないのであります。特にこの同和地区の人たちの場合は、よい職業、いわゆる近代的な産業、こういったものに対して就職することがなかなかできない、こういう実情にあるので、私は具体的な例をここで一々あげる時間がございませんけれども、随所にそれが現出をされるのであります。これはまことにけしからぬ話であります。いわば市民的な権利、自由のいわば侵害である、こう言っても差しつかえないのであります。現在日本の雇用関係の中で一つのネックは、中高年齢層の就職をどうするかという問題であります。若年労働力が非常に不足だといわれている。しかしこの同和地区の人たちの場合は、学校卒業の時点においてもなかなか近代的な産業につけない、企業につけない、こういう状態でありまするけれども、この近代産業に差別なく就職ができるような職業あっせんに対して、具体的にどう取り組んでおられますか。
#6
○住政府委員 御指摘のように、学卒者につきましても差別を行なったと思われる節がある事例も非常に多いわけでございます。そういうようなことがまだ残っておるのは非常に残念なことでございますので、私どもは安定機関を督励いたしまして、事業主に対して、そういういわれのない差別による採用でなくて、能力と適性に応じた採用ということが極力広まるように努力しておるわけでございますが、と同時に、そういった差別をした事業主に対しては紹介を停止するというような措置も実施いたしておるわけでございます。いま申し上げましたように、ほんとうに能力と適性に応じた職業につくということを眼目といたしまして、生徒に対しましては特別の職業指導なり職業相談を行なったり、あるいは在学中に近代的工場の実地見学等もさせる、そして事業主の理解をも深めていくというようなことで、御指摘のように、近代産業に就職するような方策を講じておりますとともに、中高年齢者につきましては、一般の場合は年齢三十五歳以上の者についていろいろな援護措置を講じておるのでございますが、同和地区におきましては年齢の差をなくしまして、すべて就職する者に対しましては援助の措置を講じながら民間の雇用を促進していく、こういう体制を進めておるわけでございます。
#7
○田邊分科員 何といっても企業の側に十分な理解と協力を求めなければ、この問題は解決しないと思うのであります。これは非常に微妙な問題ですから、一見、見るところによれば、何らの差別なしに就職をしているように見受けられるのでありますけれども、実際は最後の段階でもっていわばこれがチェックされる、こういうことが事実問題としてあるわけですね。私はいま申し上げたような立場から、学校の在学中に工場見学して、いわばその子供の見聞を広めると同時に、事業主側にいわれのないところのそういう差別感をなくすという、こういう方法はきわめて重要だと思います。職業モデル校をつくってそれらに対処するということも当然なことだと思う。私は、同対審の答申の中にあることで、同和地区の人たちに対して雇用促進事業団による身元保証をはかるべきじゃないか、こういう答申がありまするが、この身元保証は、一見差別を明らかにするという意味ではまた問題もあろうと私は思いますけれども、また現実問題の処理としては一つの方法ではないかと思うのですが、この身元保証について、あなたのほうでは具体的に対処される御用意ございますか。
#8
○住政府委員 従来から雇用促進事業団による身元保証制度を実施しておりますし、さらに就職する場合に、就職の準備のために資金を要するというような場合には、就職資金の貸し付け制度をとりまして、就職の援護措置をはかっておるところでございます。
#9
○田邊分科員 これはぜひひとつ厳格に行なっていただきたいと思うのです。ただ単に形式上の形では実効があがっておらないと私は思うのですよ。したがって、ぜひ就職の際において、これが円滑に行なわれるような身元保証はもちろん、いろいろな支度金等の措置についても十分なひとつ配慮を願わなければならぬ、こういうふうに思うのです。そこで私は、やはり近代産業に就職をさせるためにも、何といっても一番企業の側で欲しているのはいわば技術を習得をしている者、これを身に備えている者、こういった者に対してはやはり優遇措置をとられるんじゃないかと思うのでありまして、特に同和地区の人たちに対しては、この技術を習得することに対しては特別な配慮がほしいと考えているわけでありまするけれども、この同和地区の職業訓練の体制というものはきわめていまだ不十分ではないか、こういうふうに思っているわけであります。これに対するひとつ具体的な手だてがございましたらお示しをいただきたいと思うのです。
#10
○石黒政府委員 同和地区の出身者で職業訓練を受ける者につきましては、訓練手当を一般の場合よりも幅広く支給していることは御承知のとおりであります。そのほかに、昭和四十一年以来、同和地区に居住する者が通学しやすいところに、年に一カ所、二職種ずつ新たに職業訓練校を設けるという方針で新設もしくは訓練職種の増設を行なっております。
 さらに、養成訓練には手当がないわけでございますが、四十五年度からは同和地区出身者の養成訓練を受ける者に対しましては奨学金を支給するということができますような予算措置を講じております。(田邊分科員「額はどのくらいですか」と呼ぶ)奨学金は月額千五百円でございます。
#11
○田邊分科員 この訓練手当なり奨学金の問題は、私はやはり実情に沿っていないと思うのですよ。あなた方のほうでそういう発想をされたことに対しては私どもは敬意を表しますけれども、まだまだこの程度のものでは実際にこれが即応できる額になっておらないというふうに私は思うのでありまして、これについてはひとつ一段と努力をいたされるように私は特にお願いしておきたいと思うのです。
 その次に、この同和地区の中の人たちに対していま言ったような就職あっせんなり、それから訓練手当なりを支給する、あるいは訓練所を設ける、こういうことも重大でありまするけれども、地区の中にある企業ですね、これが非常にいわば立ちおくれているんです。なかなかこれは近代化がはかられておらないですね。やはりこの地区内の各種の産業、企業に対して、この立ちおくれを是正する、そして近代産業に転換をさせる、こういうことに対して私は特別の助成が必要ではないかというふうに考えておるんですけれども、これらに対する施策はございますか。
#12
○住政府委員 一般的に地区内の産業を振興するということは、その地区の発展のためからいいましても、さらにその地区における雇用機会をふやすという観点から見ましても、非常に重要な点だと思います。労働省といたしましては、全般的なそういう産業政策のことにつきましては通産省その他と連絡をとりまして、地域内の産業の振興ということで協力しておるのでございますが、現在ある企業についても、たとえば福祉施設等不十分であるというものにつきましては、雇用促進事業団を通ずる福祉施設の融資とか、そういった施策を通じまして環境をよくする、そういう企業側の努力に対して協力をしてまいりたいと思っております。
#13
○田邊分科員 そういういわば非常に零細企業でなかなか近代化がはかれないという、そこに同和地区の人たちがかなり勤務をしておる。こういう地区は私は一つモデルをつくって、それに対して十分な解明をし、分析をして、それに対する手だてを講ずるということをぜひひとつはかってもらいたいというふうに思っているんですが、具体的な例を申し上げませんけれども、そういう地区というのは御存じだろうと思うので、ぜひ来年度についてそのような努力を私は特にお願いしておきたいと思うのですが、いかがですか。
#14
○住政府委員 御指摘のような点、十分考慮いたしまして、重点的に対策を講ずる道をはかってまいりたいと思っております。
#15
○田邊分科員 そこで、いままで申し上げたようないろいろな観点の施策を講ずるために労働省としては一体どのくらいの予算を来年度見込んでおりますか。訓練の問題や就職あっせんの問題、それからいまお話がありました福祉施設等に対する融資、こういった予算と融資の面で、今年度に比べて一体どの程度の規模になっていますか。
#16
○住政府委員 職業紹介関係について私から申し上げたいと思いますが、まず学卒者に対する職業指導、紹介を積極的に行なっていく、こういう観点から、たとえば適性検査を実施したり、先ほど申し上げました職場の実地見学をやったり、そういうようなことを考えておるわけでありますが、この予算は七百三十七万円、今年度は四百九十六万円でございますので、約二百三十万円以上の増になっておると思います。それから一般求職者の職業紹介関係の経費といたしましては、これは求職者に対する相談その他の経費でありますが、明年度は三百十二万円、本年度は百七十万円でございます。それから同和地区に安定所でいろいろの職業の世話をするわけでございますが、職業安定協力員の方々を委嘱いたしまして、非常に生活等にもわたって御相談に乗っておるわけでございますが、この経費が百二十八万円。それから就職資金の貸し付けにつきましては限度額が三万円で、一千万円の予算を組んでおります。以上が職業紹介関係の経費になっております。
#17
○石黒政府委員 職業訓練関係の経費について申し上げます。
 職業訓練関係は、専修職業訓練校の新設関係が二千八百九十一万九千円でございまして、前年度に比べて五百六十七万六千円の増でございます。それから職業訓練受講奨励金、奨学金でございますが、これは二百四十万円でございますが、全部新設でございます。
#18
○田邊分科員 絶対額が少ないですからね。こんなことでもって私は全体の解決をはかることはできないと思うのですよ。
 そこで大臣、いまお聞きになったと思うのですけれども、私が言わんとするところは、昨年の特別措置法は御案内のとおり、十年間の時限立法であります。五十四年三月三十一日でいわば切れる法律であります。この十年間の間に、同対審の答申に基づいて特別措置法ができて、ひとつ同和地区の問題は全国的に有形、無形の差別というものをなくしていこうじゃないか、こういう非常に理想を掲げての法律が制定されたわけであります。いまのような予算のはじき方でいけば、去年よりも倍くらいになったことで喜んでいるような状態では、とても十年間にその措置は全うできないというように思うのです。私はどうしてもこの特別措置法に基づいて、十年間において一体何をやるべきかという長期の総合計画を政府は立てる必要があるのではないか、こういうように考えておるのです。その中でも、いま申し上げた労働省のいわば独自の対処すべき施策、これに対しても当然年次計画なり十年間の一つの計画を立てるべきである、こういうように思うのです。この間私は厚生省に対してそれに対応するために、この十年間をたとえば前期と後期に分けて、前期の五カ年間に一応の基礎づくりをする、それから当面緊急に対応すべきことに対しては措置する、それから後期の五年間においていわば仕上げをする、整備をする、手直しをする、こういう私は考え方に立って、総合的な計画を立てるべきである、こういうことを実は訴えたのでありまして、非常に共鳴を得ておるのであります。私が言わなくても、もうおわかりのとおり、この同和対策の中で最終的な問題は何かといえば、一つは教育の差別の問題、一つは職業の選択がなかなか自由に確保できないというこの職業の差別の問題、そして三番目には結婚の問題、特に就職と結婚の問題は、同和対策のいわば最終的な一つの目標ではないか、非常に微妙な問題であるだけに、私は、これが克服できれば、政府としては一応の施策ができる、こういう状態に到達するのではないかと思うのでありまして、そういう意味合いからも、この特別措置法に基づく長期計画、これを労働省としても立てられる用意がおありであるかどうか、ぜひひとつそういうようにお願いしたい、こういうように私は思うのであります。それに対する大臣の明確な御所見を承りたいと思います。
#19
○野原国務大臣 同和対策については、かねて私も実は意見を持っておったわけであります。ということは、同和という名においての同和対策は、いろいろな面でマイナスの効果もある。しかし現実には、御指摘のとおりやらなければならないことであるということで、一応同和問題に対する十カ年計画でやっていこうという構想が立ちました。いよいよ前期五カ年計画を強力にする段階がきたと思うのでありますが、ちょうど労働力不足という現象やら、日本の産業経済の異常な高度成長下における同和問題についての取り組み方、言うならば一つのチャンスだと思いますが、このチャンスに、同和対策というものが必要がないようなところまで同和地帯が豊かになり、この人たちが十分に好むところに就職ができる、待遇も十分与えられるという状態をつくり出していく、そのために必要な予算は、今後皆さま方の御協力を得まして、積極的にひとつ取り組んでいきたいと考えております。いずれにしましても、あまり同和対策という名前でもって強力にやること自体が、非常に問題をむずかしくしておるという現実もあるようでありますから、その点はいろいろくふうが要ると思います。日本の今日の状態から見まして、いまやすでに同和などというようなことばを使うこと自体も問題であろうと思います。これは同和地区の実情から見まして、思い切った政策を進めていき、あるいは予算も組んでいく必要があるのでありますけれども、私どもとしてはこの点について、非常に問題を深刻に考えまするというと、いまの同和対策という、同和、同和という声を大にしてやること自体が、あるいは同和を困難にしておる原因にもなっておるというふうに考えておりますが、同和の名でなかろうとどうしようと、とにかく必要な資金は十分に用意して対策を講ずる。しかしどこまでもついて回って同和、同和という声が就職した先までもいくという形は好ましくないと思います。一般の国民と何らの差別がなく、それがしかも効果的に十分行なわれるということが好ましいのであって、そういう点は一くふう要するのではないか。いわば悪女の深情けという形で、どこまでもお前さんは同和なんだ、待遇は差別をつけられておるかどうかというふうなことで、あまり就職先まで追跡するということになると、かえって迷惑する者もあると聞いております。これは、まことに重大な問題であって、同和の名でなく、実際上は現在の同和対策以上のものが実は用意されるということが好ましいんじゃないだろうか。この点はひとつくふういたしますけれども、いずれにいたしましても、思い切った対策を講じて、十分な予算措置を講じて、この問題を前向きに進めていくという決心でございます。
 なお長期計画に対しましては、具体的な問題は職安局長からお答えをいたさせます。
#20
○田邊分科員 具体的な問題は別によろしゅうございますから……。大臣、いまあなたの言われたことは、私は一面非常に重要な意味を持っていると思います。私も事をあげて問題を大きくすることは、決して好ましいことではないというふうに思っております。ただ現実には、そうしなければならぬ、いわばきわめて切実な、きわめて深刻な事態があるということを、あなたはもう一度御認識いただきたいと思いまして、そういう意味合いから、私は、最後に大臣の心がまえとして、やはり予算も必要であります。それから具体的ないろいろな施策を講ずることも必要であります。しかし、それに当たる人の心がまえ、これが何か相手を見下す、相手をみずから差別する、そういう観点でもって事に当たるとするならば、これは好ましからぬ形に終わるのではないかと思うのです。したがって労働省も、第一線の諸君のこの問題に対しての心がまえについても、大臣、いまあなたがおっしゃった一つの考え方もいわば重要な要素として、十分なあたたかい、親身になって対処をする、こういうことに対して、あなたから、特に現場に対してひとつ督励をしていただきたいというように思うのでありますけれども、この点に対する大臣の御決意のほどを、簡単でよろしいですから、お聞かせをいただきたいと思います。
#21
○野原国務大臣 私は、同和対策に対しましては一つの経験を持っております。ということは、自分みずからが、同和を意識させない、それで常に日常生活、日常活動においても、全く同じものとしていまでもつき合っておりますし、また学生時代にもそういうことの経験がございます。しかし相手が、それに対して何らかの意識を持って――実は私とも若い時分の経験でありますが、偶然友人のうちに行ってごちそうになった。ところが、そのうちが同和であったわけです。あとで聞きましたら、私のことがえらく漏れたわけですね。たいへんごちそうされて感激を受けた。しかし私は、それに対しては何も差別を考えておりませんでしたので、その後も今日までずっとつき合っております。そうしたつき合いというものが、やはり人間の一種のヒューマニズムというか、人間性に基づく本来の個人の能力なり性格なりというものが十分に発揚されるような段階になることが好ましいのであって、同和同和という形で指摘し、これを常に問題から忘れようとする者に対して、いつでも同和という意識がつきまとうような政策を政府がとることは、実は問題があろうと思う。いまや、もうすでに豊かになれば、同和問題はないですよ。それから結婚の問題も、豊かで非常に教養の高い生活をしておれば、おのずから結婚問題というものは、もう解決するわけなんですから、そういう面では一切の差別というものを意識させないような政策をとる。その点を労働省幹部なんかにも十分にお知らせして、私どもは、その気分で同和対策と取り組んでいくということを十分に徹底させてみたいと考えております。
#22
○田邊分科員 これは一番近代的な、先進的な立場に立つ労働省は、この同和問題に対して、特に職業あっせん等の問題についてはひとつ十分先駆的な役割りを果たしていただくことを心からお願いして、質問を終わります。
#23
○田中主査 以上をもちまして田邊誠君の質問を終わります。
 次に、大橋敏雄君の質問を許します。
#24
○大橋(敏)分科員 私は失対関係につきましてお尋ねいたしますけれども、失対就労者の中で、特に議員の不正受給の問題が国会や地方議会でも取り上げられまして、いまや大きな社会問題になってきております。私はこの際、きょう新しい事実を申し述べるわけでございますが、その事実を含めて労働省の見解をただしてみたいと考えております。
 以下具体的に質問いたしますが、まず最初に大臣にお尋ねいたしますけれども、先般私は社会労働委員会でこの種の質問をいたしましたが、その後具体的にどのような措置をとられたか、お伺いしたいと思います。
#25
○野原国務大臣 先般御指摘のありました問題を重視いたしまして、労働省といたしましては失業対策部の雇用調整官二名を福岡県に派遣いたしまして、目下鋭意調査中なのでございます。まだ報告は十分受けておりません。
#26
○大橋(敏)分科員 時間に制限がありますので、答弁のほうは的確簡明にお願いいたします。いまから具体的な例に入りますので、局長さんでけっこうでございます。
 まず、「失業者就労事業に就労する労働者」といういわゆる十条の二項に「公共職業安定所が失業者就労事業に紹介する失業者は、公共職業安定所長が職業安定法第二十七条第一項の規定により指示した就職促進の措置を受け終わった者で、引き続き誠実かつ熱心に求職活動をしているものでなければならない。」このような条文がございますけれども、その条文と、たとえば失対労働者であって議員となった場合、いまの失対法第十条第二項との関連性はどうなのかという問題でございます。
#27
○住政府委員 失業者就労事業に就労する労働者の要件につきましては、いま先生御指摘のとおりの規定でございますが、これは議員であるといなとにかかわらず、失対事業に紹介する失業者は、誠実かつ熱心に求職活動をしなければならない、こういうことは条文の規定どおりでございます。と申しますのは、失対事業はあくまでも一時的な就労の場でありまして、できるだけ民間雇用に再就職をはかる、こういう趣旨のもとに行なわれている事業からくる当然の結論であると思います。
#28
○大橋(敏)分科員 実際には議員がそのような求職活動を積極的にやっている例というものはきわめて少ないように思います。私がいままで見てまいりました範囲においては、ほとんどそういう例を見ないわけでございますが、その点について今後労働省として具体的にどのような考え方で進まれるか。
#29
○住政府委員 いまも申し上げましたように、私ども失対事業の就労者につきましては、法の趣旨に基づきまして、こういう要件に合致しているかどうか、こういうことを徹底させ、法の目的に沿った運用が行なわれるように、これは従来からも措置しておるところでございますが、なお一部不十分なところもあることも事実でございます。今後とも法の趣旨が貫けるように失対事業の運営をはかってまいりたいと考えます。
#30
○大橋(敏)分科員 結論としまして、議員としていつまでも長期的に失業対策事業に就労しているということは、決して好ましい姿ではない、このように理解してよろしいですね。
#31
○住政府委員 私ども、最初に申し上げましたように、議員としてということではなくて、就労者として当然誠実かつ熱心な求職活動をする、こういうことが前提になっていると考えておるわけでございます。
#32
○大橋(敏)分科員 私はその中に議員も当然含まれるということを再確認しておきます。
 これはいままで議論されてきたことでございますけれども、再確認をしたいのでお尋ねいたしますが、地方議会の本会議やあるいは委員会に出席し、実際に失対事業に就労しなかったにもかかわらず、失業対策事業に就労したとして偽って賃金を受給することは、いわゆる二重取りになると考えますけれども、二重取りを認めますかどうかということです。
#33
○住政府委員 失対事業に就労していないにもかかわらず、就労したということで賃金を払うということは、これはもうあり得ないことと考えております。したがいましてそういう事実が明らかになりますと、それは厳正な措置をとらなければならない、こういうように考えます。
#34
○大橋(敏)分科員 私は、いわゆる二重取りという表現をなされておりますが、それをお認めになりますかということです。
#35
○住政府委員 賃金の不正支払いであると考えております。
#36
○大橋(敏)分科員 じゃ次にお尋ねいたしますが、失対事業紹介の対象者要件としまして、所得要件というのがございます。この所得要件と議員の報酬との関係について説明をしてもらいたいと思います。
#37
○住政府委員 所得要件としまして一定基準を定めておるわけでございますが、その所得の金額というのは、たとえば本人の所得のうち、利子所得だとか配当所得、不動産所得、あるいは給与所得のうち、報酬とか年金、恩給等をも合算した額であると私ども考えてやっておるわけでございます。したがいまして、議員報酬は所得の中に当然含まれるというように解釈いたします。
#38
○大橋(敏)分科員 地方議員の報酬が所得制限の対象となる、このように理解いたします。私も議員の報酬というのは、税法上から見ましても所得税の課税対象となっている事実から考えても、いまの御答弁は当然だろうと理解する次第でございます。
 では、具体例といたしまして、兵庫県の尼崎市の議員報酬は一カ月に十五万三千円と聞いておりますけれども、これにはさらに期末手当などの支給がなされますので、年間相当の収入になると考えられます。しかしながら、県に失対労働者として登録され、就労していたという事実があるわけでございますが、これらは所得要件の対象から見た場合、基準をはるかに上回ると考えられますけれども、こういう姿は適当でない、このように考えてよろしいですか。
#39
○住政府委員 御指摘の、尼崎の市会議員の報酬が十五万三千円ということでありますれば、所得制限を越えるものであると考えておるわけであります。したがいまして、そういう方が失対事業に現に就労されておられるということになれば、先ほど来申し上げております所得要件との関係で問題になると思われます。調査の上、措置をしたいと考えます。
#40
○大橋(敏)分科員 それでは、これらの問題に関連いたしまして、こういう問題を、三月七日の尼崎の市議会本会議で某議員が質問を行ないましたところ、同市の失対労働部長というのが、次のような趣旨のことを述べております。議員の歳費については、労働省では所得と見ない、したがって、失対から賃金を受けても違法ではないという見解を受けている、このような答弁をしております。さらに議員が質問したんですが、失対事業の立法精神からいって、議員が就労することはどう思うかとの質問に対しまして、労働省から、地方議員の就労を留保するようにとの通達が出ているというが、まだ聞いていない、本人の自主的な申し出によって考える以外にない、このような答弁がなされているわけでございます。多少、ことばのあやは違っているかもしれませんが、いまのような趣旨でございます。
 そうなりますれば、ただいま局長さんが御答弁なされたのと、その尼崎市の失対部長さんの答弁とはかなり食い違っているように思うのですけれども、この点についてはどうお考えになりますか。
#41
○住政府委員 先ほど来申し上げておりますように、所得要件が失対事業の紹介対象者の要件というように考えておりますので、こまかいいきさつは私ども承知いたしておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんけれども、結論として申し上げますならば、一定額以上の所得のある方につきましては、議員であるといなとを問わず、失対事業の就労を遠慮していただく、こういうことをはっきり私ども地方にも指示いたしておるところでございます。
#42
○大橋(敏)分科員 それでは、尼崎市の失対部長の答弁が、私がいま言ったようなことであるならば、認識不足である。このように理解してよろしいですか。
#43
○住政府委員 よくやりとりの実情がわかりませんので、とかくの批判は避けたいと思いますが、方針といたしましては、繰り返し申し上げているとおりでございます。
#44
○大橋(敏)分科員 私も、単に思いつきで話しているわけではございませんので、お調べになればすぐわかることですから、もしそうであれば、私は、労働省の正しい指導監督のもとにある立場から見た場合、認識不足ではないかと思いますので、そういう点は十分指導を徹底されることを望みます。
 次に、北九州市にまた二つの事例が見つかりました。これも二重取りの疑いが十分あると考えられますので、具体的に述べてみたいと思います。
 北九州市市議会議員で牧一生、通称牧一生といわれておる方でありますが、この方は日本共産党員で、同市議会議員団長でございます。全日自労門司分会執行委員長でもありますが、現に失対事業の就労者でございます。ちなみに、北九州市の議員報酬の受給額を申し上げますと、これは本人の場合ですが、四十一年度は百六十三万円です。四十二年度は百六十一万五千円。四十三年度は二百三万三千円。もちろんこれは期末手当も含まれております。なお、北九州市は本会議、委員会に出席すれば費用弁償も支給されているのでございます。その費用弁償を申し上げますと、四十一年度受給額は五十八日分、十四万五千円。四十二年度、七十日分、十七万五千円。四十三年度、六十五日分、十六万二千五百円。この議員報酬と費用弁償を合計しますれば、四十三年度を見ただけでも二百十九万五千五百円を受給しているということになるわけでございます。それでいて、現に失対労働者として、四十一年、四十二年、四十三年、さらに今日も失対賃金を受給していると考えられるわけでございますが、私がきょう調べてきた中でも、四十一年度、四十二年度だけを見ましても、委員会などに出席をして、就労の事実がないのに就労したと同じ賃金を受給している。同じ賃金というのは、一日分全額ですね。そういう事実が十数回にも及んでおります。四十一年、四十二年を見ただけでも――四十三年にもあることをいま確認いたしておりますが、これも二重取りの疑いが明らかであります。
 さらに悪質と考えられますのは次の事例でございます。同じ北九州市市議会議員の上野博郷さんでございます。日本共産党員、全日自労小倉分会執行委員長、現に失対労働者でございます。これも議員報酬は牧氏と同様でございます。費用弁償の受給額は、四十一年度、五十九日分、十三万五千七百円。四十二年度、七十八日分、十七万九千四百円。四十三年度、七十三日分、十六万七千九百円。その四十三年度の合計は二百二十万九百円ということになるわけでございますが、現に失対労働賃金を受給いたしております。この方の失対賃金の受給の内容を申し上げますと、四十一年度は二百十三日分、千六百九十時間、十三万九千二百八十二円、これに見舞い金六万五千円がプラスされるわけでございます。四十二年度は百八十四日分、千四百七十・五時間、十二万九千二百六円、これに見舞い金六万五千円がついております。四十三年度は百七十六日分、四百九十九時間、四万八千二百三十四円、これに見舞い金五万円がつくわけでございますが、以上の労働賃金を受給していて、しかもその間、四十一年、四十二年度だけでも、本会議や委員会に出席して、就労の事実がないのに就労したと同じ賃金を受給している事実が二十数回にも及んでおります。これは四十三年もあるということを私は突きとめております。
 このように二重取りの疑いは明らかでございますが、さらにこの上野議員は、これは直接失対には関係ございませんが、市営の三種引き揚げ住宅に入居しております。これは基本料金が五百円で、割り増し二百五十円、合計七百五十円のいわゆる低家賃住宅に居住しております。これはもちろん、市営住宅入居基準に照らしても明らかに非該当者であるわけでございますが、かれこれもう十年近く居住なさっているそうでございます。このような姿から、市民から相当の非難も受けているといううわさでございます。
 こういう事例から見ました場合、いま申し上げました二人の議員の姿について、政府としては承知していたかどうか。また今後それに対してどのような手を打たれようとなさるのか、見解をただしたいと思います。
#45
○住政府委員 御指摘の事実については、私ども、非常に遺憾でございますが十分承知いたしておりません。今後の問題につきましては、事実を調査いたしました上で措置をいたしたいと考えております。
#46
○大橋(敏)分科員 私たちは決して失対労働者に対する非難攻撃をやっているのでも何でもございません。私たちは、そのような善良な失対労働者を守るために、いわゆる悪質と思われる議員で、しかも二重取りしている傾向のある、そういう問題については厳正なる措置をとって正常化していかなければならない。そうでないと、一般の失対労働者が明るく楽しく働けない、私はこういう考えから質問しているわけでございます。
 また、最後にお尋ね申し上げますが、これは労働大臣にお尋ねしてみたいと思いますが、先ほど、調整官を派遣した、いま調査中であるとおっしゃいましたけれども、この調査結果は大体いつごろ報告されるのか。またその調査の結果によって不正の事実が明瞭になったならば、告発等も含めた措置をとられる意思があるのかどうか、そういう点を明確に答えていただきたいと思います。
#47
○野原国務大臣 今週一ぱいで調査が大体終わるということに予想しておったのですが、ただいま御指摘の北九州市等の事実が出ますと、この調査も引き続いてやらせる。したがって今週中にはまだ調査は終わらぬ。おそらく来週一ぱいかかるだろうと考えております。
#48
○大橋(敏)分科員 それでは、大体今週一ぱいで帰ってくる予定だったけれども、きょうの北九州市の問題も出たので、それを調査して帰ってくる段階になれば来週になるだろう、こういうことですね。それでは、その結果が来週中には大体はっきりするわけでございますが、不正の事実が明瞭になった場合に、告発等も含めた措置をとられる意思があるのかどうか、こういうことを聞いております。
#49
○野原国務大臣 関係方面とも十分打ち合わせをいたしまして、厳正な態度で臨むということでございます。
#50
○大橋(敏)分科員 先ほどからくどいように言っておりますが、このような一部の不正議員のために、他のまじめな多くの失対労働者に多大の悪影響を及ぼすことになりますので、失対労働者が明るく安心して働けるように、不明朗な議員のこのような姿に対しては適切な措置を講じられることを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#51
○田中主査 以上によりまして、大橋君の質問を終わります。
 次は、古川雅司君。
#52
○古川(雅)分科員 最近、新聞報道によりますと、染料工場で泌尿器系統のガンが多発しておると報ぜられております。この点に関しまして若干お伺いいたしたいと思います。
 染料の原料に発ガン物質が含まれているということですが、この染料の製造工程についての御説明をいただきたいと思います。
#53
○和田政府委員 お答え申し上げます。
 染料で今度膀胱ガン問題が出ております。問題のものは、ベンジジン、ベーターナフチルアミン、この二つの問題でございます。これは染料それ自体ではございませんで、染料になるまでの中間体のものですが、これについて申し上げてみたいと思います。
 ベンジジンの製造法につきましては、二、三通りのものがございますが、一般的に申し上げますと、ニトロベンゼンに苛性ソーダ、ナフトキノン等を加えまして、反応がまで反応をさせてヒドラゾベンゼンをつくります。その後、転位槽、析出槽、洗浄槽等を通しましてベンジジンを製造いたします。その最終製品のベンジジンは結晶体でありますが、以前はこれを乾燥させ、さらに粉砕して粉体としておりまして、この作業のために大量の粉じんが発生をしておったわけでございます。ここに労働者が吸入する機会があったわけでございますが、しかし現在におきましては私ども労働省のほうでその製造過程を指導いたしまして、現在では最終形態は水分二〇%以上を含むウエット状のケーキかあるいはどろ状のスラリーとすることにいたしました結果、ベンジジンの発散がないような形態になりまして、吸入の危険性がなくなった、現在おおむねそういうことになっております。
 このベンジジンを原料といたしまして染料をつくるわけでございますが、その染料は主としてアゾ染料でございます。これはベンジジンを酸等の入った反応槽に入れまして、反応させて染料といたしております。現在のところこの染料になりますベンジジンは一〇〇%反応をいたしまして、未反応のものはございませんので、染料自体としてはガン発生の問題は出てこない、こういうように考えております。
 その次に、ベーターナフチルアミンにつきましては、これはベーターナフトールに亜硝酸アンモン等を加えまして、アミノ化がま、結晶槽、遠心分離器等の装置を経まして、最後に乾燥器で乾燥をさせます。このうち遠心分離器以降は、しめりけのある結晶体となっておりますので、これは現在では全部密閉をいたしまして発じんを防ぐようにいたしておるわけでございます。
 ベーターナフチルアミンは、ナフトール染料の原料として使われまして、これもベンジジンとほぼ同様の方法により染料としておるということでございます。
#54
○古川(雅)分科員 御説明でよくわかりましたが、しろうと考えではまだまだ染料そのものに発ガン物質があるということで、この染料を使った繊維製品にかなり不安を持っている向きもございますので、確認をするようでございますが、その点絶対に危険性はないのか、発ガンの不安はないのか確認をしたいと思います。そうしてまた、聞くところによりますと、諸外国におきましては特にこのベーターナフチルアミン等の製造または使用については禁止に踏み切っているというふうに伺っておりますが、わが国ではなぜ放置されてきたのか。スイスでは一九三八年、ドイツでは一九四二年、イギリスが一九五二年にそれぞれ製造、使用の禁止に踏み切っているということでございますので、その点の事情を御説明いただきたいと思います。
#55
○和田政府委員 諸外国におきます禁止状態は先生からいまお触れになりましたのですが、そのうちでイギリスについてでありますが、イギリスも一応製造禁止はいたしておりますが、一切いけないというわけではございませんで、要するにベンジジンあるいはべーターナフチルアミンが吸収をされないような状態で製造される場合については差しつかえない、そういう予防措置が講ぜられておるという場合には差しつかえがないというようなことにいたしておるようでございます。
 私どもも、これは実は昭和三十年以来の問題でございまして、従来すでに六回も指導をいたしておりますし、三十九年につきましては、先ほど申し上げましたような製造過程における製造工程の指導等もいたしたり、あるいは密閉の指導をいたしたり、あるいはそういうことに耐えられない企業につきましては、企業のほうでみずからその製造をやめまして、現在では、当時メーカーとして十七社ありましたものが五社に集約をされております。それからユーザーとしては五十一社ありましたものが二十六社に集約をされておりますが、私どものほうの指導に従った工場につきましては、いまのところ尿道障害の問題が出てくる可能性はない、こういうふうな考え方でおりまして、事実発病状態を見ましても、その以後出ておるようには考えませんので、厳格にこれが行なわれる限り禁止をするまでもないのではないか、かように考えております。
#56
○古川(雅)分科員 昭和三十年を第一回といたしまして六回にもわたって通達を行なっているという、そのこと自体に非常に問題があるのではないかと思います。さらに、こうした工場の設備の改善をはかったのは四、五年前からではないかと思いますが、それ以前の従業員は、現実の問題として危険にさらされてきたわけでございます。特に新聞の報道等によって一般によく知れ渡っていることは、この病気の場合潜伏期間が平均十八年、長い場合には三十年もあるというふうに伺っております。これが特徴であります。したがって、こうした当局の通達、勧告に従って設備が改善される以前の従業員の健康には非常な不安が残っているのではないかと思いますが、この点いかがでございましょう。
#57
○和田政府委員 先生御指摘のように、発病をいたしますまでに相当の長い潜伏期間を要することは御指摘のとおりでございます。そういう点からいたしまして、私どものほうで三十年から指導を始めて、三十四年以降は私どもの指導が浸透をいたした、かように考えておりますが、念には念を入れますために、昭和四十三年から始めました労働災害防止基本計画にも、この物質を特定有害物ということで特に指定をいたしまして、それを扱っております先ほど申し上げました五社に対しては健康診断を年四回やるというようなことで、厳格な健康管理をさせておりますが、それらを通じて見ます限り、三十四年以降においては、いまのところはだいじょうぶではないかと思います。ただ、その以前は、相当長い間悪いものを吸収しておりますので、発病が十分心配されます。そのために私どもは、その工場で現在働いている者については、もちろんいま申しましたように年四回の健康診断をさしておりますけれども、特に尿道障害の発生に関する特別な健康診断をさしておるわけでございます。それ以前にすでにやめられた方につきましては、これも追跡健康診断をやるように指導をいたしております。これらの方々の中で不幸にしてそういう症状が出てまいりました場合には、私どもは職場との関連で十分その発病が予想される方につきましては労災保険で必ず治療をして差し上げる、こういうような医療措置を講じてまいりたい、かように考えております。
#58
○古川(雅)分科員 御説明に対しくどいようでございますが、労働省では業界に対してこうした従業員の追跡調査をさせるというふうにお伺いしたわけでございますが、これはかなり昔から就労していらっしゃった方あるいはまた企業の解散等によって転職した人もずいぶんいると思います。こういった点かなり困難が予想されますが、当局としては徹底しておやりになる考えなのか、その点確認をしたいと思います。
#59
○和田政府委員 先ほども申し上げましたように、このメーカー及びユーザーは非常にはっきりしておりますし、この業種に従事された方も実は数はそれほど多くはございませんので、会社を通じてみますればわかりますので、会社と協力しながら私どもも徹底的にひとつ追及して健康管理に遺憾なきを期したい、こういう考えでございます。
#60
○古川(雅)分科員 ありがとうございました。
 追跡調査によって不幸にして発病されたという方が発見された場合、労災を適用して補償するというふうにいま御答弁をいただいたわけでございますが、すでにこれらの従業員の中で、ガンによって死亡した遺族に対しても補償がなされるというふうに考えてもよろしゅうございますか。
#61
○和田政府委員 御指摘のとおり、補償いたします。
#62
○古川(雅)分科員 さらに問題なのは、この染料工場周辺地域に新たに公害の不安を引き起こしておるのではないかというふうに考えられます。地域住民に対してはどのような処置をおとりになっていくのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#63
○和田政府委員 確かにお説のように、これが粉じん状態のままで飛散をいたすというようなことになりますと、単にそれに従事していらっしゃる労働者の問題だけでなくて、その工場外の地域にも問題があるわけでございますので、私どものほうで工場を指導いたしまして、排気排水処理につきましては、現在では亜硝酸法ということで悪い部分を除害をした上で排水をさせておる、こういうことで、現在ではこのメーカー工場の付近ではだいじょうぶ外には出ていないと思います。過去の問題につきましては、実は労働省外の問題でございますが、厚生省とも連絡をとって、厚生省のほうで保健所を通じての健康診断等について相談を申し上げたいと考えております。
#64
○古川(雅)分科員 厚生省のほう、いかがでございますか。
#65
○橋本説明員 いま御指摘のありました環境とガンという問題を、公害のほうでどういうぐあいに考えておるかということであろうかと思いますが、この問題につきましては、私ども現在国際的にWHOを中心にいたしておりまして、環境とガンの関係について、環境がどのように人間に影響を及ぼすかということを専門委員会の中で検討して、いろいろポリシーをディスカッションいたしております。このほかに環境とガンの関係はいろいろなものがあるわけでございますが、そういうものにつきましては基準を設けるということよりも、できるだけ少なくするという立場をとっておりまして、それについて特定の規制をかけるという方式は世界じゅう、現在のところ一般環境としてはどこもございません。ただ問題といたしまして、先生のおっしゃるように、将来非常に注意しなければいけないということを私どもも非常にこの点感じておりまして、むしろこの問題につきましては環境とガンという面での学術研究を強化していくということと、もう一つは成人病の検診としてガンの対策を非常に積極的に進めておるところでございます。そのほうの観点で対処をしていくということでございまして、公害として特別にそれに対する対応策を持つというような考え方は持っておりません。
#66
○古川(雅)分科員 地域住民はかなり今度の新聞報道によって不安を抱いたわけでございますので、私はこうした特殊事情から、やはり従業員に対すると同じように健康診断を行なうべきだというように思うものでございます。特にこの問題で私最も遺憾に思いますことは、新聞報道とその後の私の調査によりますと、労働省並びに企業がこうした事実を今日までひた隠しに隠してきたというところに非常な疑問を抱いているわけでございますが、この点について労働者の御見解を伺いたいと思います。
#67
○和田政府委員 先ほども御答弁の中でちょっと申し上げましたが、この問題は、昭和三十年に私のほうで、問題があるということを気づきまして、三十年の七月から、この二つの物質につきましては有害物質であるというように認めて、先ほど申しましたような、当時はメーカーで十七社、ユーザーが五十一社でございましたが、その関係上、事業場に対しまして、先ほど御説明したような意味合いでの設備の改善と健康診断の実施ということを監督、指導をしてまいりました。その健康診断の結果は、毎年私のほうで労働衛生週間というのをやっておりますが、その労働衛生週間にいつも「しおり」ということで、いろいろと職業病その他の問題のあるものを掲載をしておりますが、その「しおり」の中に、健康診断の結果を発表いたして、関係者の方の注意を促してきた、こういうこともございますし、また、四十三年度から新しい労働災害防止基本計画をつくりましたが、その中におきましても、特定有害物質ということでこの二つの物質を表示いたしまして、特に関係者でありますが、一般の関心を集める。特にこの防止基本計画、これに基づきまして毎年つくっております実施計画は、世上一般に公表をしておるものでございまして、その中にはっきりと書いておるわけでございますので、労働省がこの実態を隠しておるということにはあたらないのではないか、したがって、企業側におきましても、この物質を扱っておる企業では、そういうことで労働省が明らかにしておりますので、企業側でも特にそれを関係労働者に隠しておるというようなことにはなっていないのではないか、かように考えております。
#68
○古川(雅)分科員 あまり釈然としないわけでございますが、大阪市大と大阪の労働基準局の調査では、工場名はほとんど仮名でまとめられていた。しかもこれを公表すると業界からかなりクレームがついていたし、企業自体も、自分の会社と縁の深い一部の病院に限って患者を入院させていた。あるいは、一般の大学の病院に入院をさせますと、こうした職業ガン多発の事実が表面化するというようなことが言われていた。実際は診療や治療にはほんとうにごく限られた専門家しかタッチしていない、こういうところに、何か当局が業界の圧力に屈してきたんじゃないかという疑惑が残っておるわけでございますが、もう一度明確に御見解を伺いたいと思います。
#69
○和田政府委員 先ほどから申し上げましたように、この物質の危険性その他につきましてはいろいろ申し上げましたし、その防止方法についても業界を指導していることを申し上げました。それからメーカーのほうも、そんなに強い規制ではうちでは採算が合わぬとか、いろいろな事情があったでしょうが、まとめましてそれが非常に集約されてきた。そういう負担に耐えられる会社だけがいまやっているというような事実もございますので、役所のほうで隠そうという意思があったというようには実は思っておりません。いまの大阪の場合につきましても、ここで具体的な名前を申し上げますことは差し控えますが、非常にはっきりしております。大阪のほうにはいま二つの工場がございましてはっきりしておりまして、特にそういうことをどうこうというようなことはなかろう、かように考えております。
#70
○古川(雅)分科員 限られた時間でございますので、次に移らせていただきます。
 こうした問題が今後起こってくるということを考えますときに、これに対処するために、いわゆる産業医学の研究所といったものを設置していく緊急の必要性が生じてくるのではないかと思います。ことに、今日のように、技術革新の伸展に伴いまして、新しい原材料の採用あるいは生産技術の開発が進んでまいりますと、しばしばこうした有害な作業環境や危険な作業方法が生じてまいります。こういう著しいかつ急激な変化によって従来起こり得なかった労働災害、その作業環境による障害が今後続発するということを考えますと、こうした傾向に対処するためにはどうしても総合的な研究機関が必要なのではないか、このように考えておりますが、労働大臣いかがでございましょう。
#71
○野原国務大臣 労働衛生に関する研究につきましては、現在、労働衛生研究所において職業性疾患の予防等を中心とした調査研究を行なっておるところでございます。しかしながら、技術革新の伸展に伴いまして新しい原材料の採用、新技術の開発等が、急速に展開する等の事情がございまして、これらの新しい問題に対して、働く職場のすべての労働衛生の問題から職業性疾病の治療、職場復帰に至る一貫した科学研究体制を樹立するために、来年度においては新たに御指摘のような産業医学に関する総合的研究機関についての調査研究を行なうことにしておるわけでございます。
#72
○古川(雅)分科員 御答弁わかりました。職業病あるいは労働災害の予防あるいは治療、そうしてまたリハビリテーションに対する総合的な研究に対しては多大な期待が持たれておるわけであります。また緊急を要する問題だと思います。いまの御答弁にございましたが、四十五年度予算の編成にあたりまして、労働省が産業医学研究所の設置を要求なさっておりますが、実際問題として、調査費以外は全部削除されております。これは労働大臣に私文句を言ってもしようがないかもしれませんが、この産業医学の総合的な研究について深刻な認識と緊急性というものを強調なさらなかったのではないか、そういう感じがするのでございますが、いかがでございましょう。
#73
○和田政府委員 実は予算折衝の過程でいろいろ議論がございましたことは申すまでもありませんが、実は労働省といたしましても、この産業医学総合研究所構想につきましては一応の構想はもちろん持っております。しかし中身を突き詰めてまいりますと、まだ相当検討しなければならぬものが非常に多いということが政府部内の予算折衝のやりとりでも出てまいりましたし、あるいはその道の専門家の方々に、もっとじっくりかまえて、ほんとうに構想が固まったらどんと出よう、こういうような御意見もございました。そういうことを反映いたしまして、四十五年度では当初要求は調査費のほかに土地購入という要求をしておりましたのを、土地購入のほうを一応差し控えまして調査費にいたしました。一年間十分想を練り上げた上で、はっきりとした姿勢で四十六年以降の作業にかかっていきたいということでございまして、私どもの熱意が足らなかったといいますよりも、新しいいろいろな問題が出てくることに対応し得るような形を整えるのには、調査研究をじっくりしたほうがよかろう、こんなようなことでああいうことになりましたことを御了解いただきたいと思います。
#74
○古川(雅)分科員 そうして御検討いただく間にも次々と労働災害は引き起こされておりますし、また新しい、原因が未解明のまま多くの不幸な人をつくり出しているのが事実でございますので、緊急にそうした研究を急いでいただきたい、準備を進めていただきたいことを御要望申し上げたいと思います。
 これはささいなことではございますが、この御構想の中で、現存の労働衛生研究所を発展的に解消していくというようなお考えをお持ちである、そうして総合的な研究をしていく人だというように私伺っておるわけでございますが、この研究所の機関につきましては、お伺いをするわけでございますが、現在ある労災病院と併設いたしまして、より有機的に運営していく、働かしていくというようなお考えはございませんでしょうか。
#75
○和田政府委員 現在私どもが大まかなアウトラインとして産業医学総合研究所を考えておりますのは、予防体制の整備、予防がどうしてもできなくて出てきた治療、治療から出て今度は社会復帰問題が出てまいりますが、これらのものを一貫してやりますとともに、この研究所では予防体制のスタッフの養成、それから治療における専門医の養成、社会復帰に伴う工学的な問題のスタッフの養成、こういうようなものまでやったらどうかというように、言ってみれば欲ばった構想の研究所を考えております。そういう際に、私どものほうが福祉事業団に経営さしております労災病院との関連が出てまいりますので、併設をするとかあるいはどうするかというようなことも、先ほど申しました調査研究の段階で、先生の御意見もあることでございますので、十分ひとつ取り入れながら検討させていただきたい、かように考えております。
#76
○古川(雅)分科員 四十五年度の予算要求におきましては土地購入費三十億円、準備費に五百万円を要求していらっしゃいます。さらに研究所の設置に要する全額は、これを含めまして大体百億円見込んでいらっしゃる。これはたいへん大規模な構想でございます。ただ、ここで私一つ不安に思いますことは、現在の医療制度とも関連するわけでございますが、いわゆる基礎医学の研究医、こういった方々が年々減少している。したがいまして、こうした構想を進め、また研究所を設置した場合、そうしたメンバーの構成にあたってかなり困難が生ずるのではないかということを危惧するわけでございますが、その辺についての当局のお見込みはいかがでございましょう。
#77
○和田政府委員 お説のとおり、スタッフをいかに確保するかということがこの研究所設置については非常に大きな問題になろうと存じております。私どもがいま考えておりますスタッフの数は相当な数にのぼりますので、基礎医学の問題が御指摘のとおりな状態であることを十分意識しなければならぬ。ただ私どもは、少し楽観に過ぎるかもしれませんが、りっぱな研究所ができれば必ず人が集まってくるだろう、だから他に負けないりっぱな研究所をつくることが何よりもスタッフを集めるにおいて一番重要だ、そういうような意識の上で今後調査研究に臨んでいきたい、かように存じております。
#78
○古川(雅)分科員 労災病院等におきまして現場で患者の治療に当たっていらっしゃる先生方のお声を聞きましても、こうした総合的な研究体制が一日も早く建設されるように非常に強く要望していらっしゃいます。先ほど来要望申し上げましたとおり緊急性を要しかつ重大な課題でございますので、今後とも積極的に計画を進めていただくように御要望を申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
#79
○田中主査 以上をもちまして古川雅司君の質問は終わりました。
 次に寺前巖君の質問を許します。
#80
○寺前分科員 限られた時間でございますので、簡単にやりたいと思いますが、国際的に労働者は労働時間の短縮を求めて戦前、戦後ずっと行なわれてきております。現在も労働者と労働組合は、七〇年春闘の中でも、労働時間の短縮をやはり重要な要求の旗としてかかげて戦っているわけですが、その中で日本の産業界において非常に重要な位置を占める鉄鋼産業で四組三交代制という、労働者自身が掲げておった旗ではありますが、それが経営者の側から同時にその問題が出されて非常に各方面の注目を浴びております。あらかじめ労働省の方にお話をしておきましたから御検討いただいて御出席を願っていると思いますが、現在富士、八幡あるいは日本鋼管など巨大な独占のこれらの会社が鳴りもの入りで宣伝している、いわゆる四組三交代制という問題ですね、これは、私は日本の労働者の労働条件を決定していく上において非常に重要な内容を含んでいると思いますので、きょうはこの問題についてお聞きをいたしたいと思います。
 宣伝をされている内容はいろいろあるわけですが、大きい問題は、たとえば八幡製鉄の場合をとってみますると、年間休日が現在は六十八日だけれども、八十四日になるんだ、大体どこでも同じようなことを言っています。したがって、十六日からの大幅な年間休日がふえるんだ、あるいはまた週当たりの労働時間が三十九・八七時間あったものから三十九・一〇時間に短縮される、休日から休日までの間の勤務日数が減る、こういうことは非常に画期的な近代的な成果を従業員に配分する制度だから非常にすばらしいんだということを言っているわけです。しかし、実際にはたしてこれが労働者が掲げておったところの時間短縮、すなわち労働条件をよくするという内容になるんだろうかということを少し検討してみる必要があると思います。
 八幡製鉄の労働者はこういうふうに言っています。昨年の秋に協約改定をやって、三交代者にも常員勤並みで年間休日を保証するということで、年間六十八日の休日を協定したけれども、実際は二月を除いて十一カ月は月六日、二月は五日の休日だから合計七十一日、その他に夜勤あけの休日が十七日あるから、加えて八十八日になるから、したがって、八十四日という今度の案では逆に四日間少なくなってくるんだ、そこへ持ってきて、いま出されてきているところのいわゆる四組三交代制の中では、一日の実働時間を十五分間延長するという労働密度の強化を取り入れている、それを計算に入れると、むしろ年間になると十日間休日が取られたことになってしまうから、合わせて十四日間の減少になるというふうに見られるのじゃないか。実働時間の十五分延長というのはおわかりにくいかもわかりませんが、作業開始前の十分と作業終了後の五分の待ち時間の合計を取っちゃったということをやってきた。そして完全な現場到着制、たとえば会社であったら入口でいままでタイムレコーダーにかけたものを、現場まで行って、タイムレコーダーも取ってしまって、現場確認から直ちに実地作業に入るというような、いわゆるハンドル交代といわれているものになってくる。だから作業準備や、門から現場までの従来計算されていた拘束労働時間、おるかおらないか、その他の点呼時間など、こういうものを労働時間に入れないというようなことがいま行なわれてきております。したがって、現場長自身もこのハンドル交代をやるために早くから行ってその準備をするということになるわけでございますから、現場長自身にとっても、労働時間においてはむしろ密度が強化されるということになるわけです。このような労働圧迫がいま行なわれてきているわけですが、こういうことでは労働者が要求している時間短縮という内容とは全然違うところの性格のものになってくるのではないか。ちなみに現在の休暇日数を調べてみますると、五日間働いて二日休む、五日間働いて一日休む、五日間働いて二日休む、こういう型をとっていきますと、事実上年間を通じて計算をすると、休日というのは九十一日になるはずです。それを八十四日が休日だといったら、あとの差額分の七日というのは一体何か。そうすると、これは当然浮いてくる休日ですから有給休日と見なければならないものである。ところがこれを予備直ということばを使って、そしてこの七日間を、年間の季節を設けて会社が計画的に休日を取りやめた。したがって、これはいわゆる有給休暇の本人の自主意思に基づいてとるという性格とは非常に変わった性格のものになってくる。これはかつてないところの問題がここに出されてきたというふうに見なければならないのであります。さらにまた、先ほどから言っている労働密度の強化の問題として分割休憩の問題があります。従来日本の労働基準法によっても、休憩というのは四十五分というのをまずたてまえにした上でいろいろな問題が触れられておると思うのですが、それを、二十五分の食事時間、それから二十分の休憩というふうに分割してしまう。こういう分割休憩というものが出てきた。それからその食事時間も一斉にとらすのではなくて、約三時間から三時間半にわたって交代で食べさすということが起こってきますから、たとえば八時から勤務をした人が昼休みを十時ごろに、二十五分食事するという人も出てくれば、一時過ぎに二十五分とるという人も出てくる。毎日食事時間が変わってくる。何しろ八回にわたって三時間半で交代食事をやるというのですから、これは勤務条件から見ても著しく変わった変則的な姿となってここに出てきたと思うのです。従来は、こういうわずかの食事時間にしても、四十五分を四回でやられておったのが、八回ということになってきたら、これは異常な事態だというふうに見なければならないのじゃないか。そこへ持ってきて、現在行なわれている三組三交代制を四組三交代制にするのだから、普通ならばよくなるはずです。ところが四組三交代制を三組三交代制のときの人員よりふやすのではないのですから、むしろ減らしたりするところも出てきたりしますから、したがって、当然このような労働密度の強化というものがそこから生まれてくる。これが現在いわれているところの鉄鋼関係での四組三交代制の中身だと思うのです。
 一応概括的なお話しをしたわけでございまするけれども、こういうような問題が単に鉄鋼だけではなくして、さらにこれが化学とかあるいは紙パルプとかその他の産業にも移ろうとしているし、一番大きな大独占企業においてこのような実態であったら、中小企業におけるところの労働条件について非常におもんばかるものがあると私は思うのです。そういった状況にありまするから、私は大臣の概括的なお話を最初に聞きたいと思っておったのですが、ちょっと込み入った内容をやりましたので、まず基準局長からいろいろ具体的に私はお聞きをしたいと思うのです。ここに八幡製鉄のもありますし、またことしの二月二十日に京浜製鉄所の労務課から出ておる資料もありますので、私は、まず大体似たようなものですから、この京浜製鉄労務課のはわかりやすいですから、これからお聞きしたいと思うのです。
 まず、会社側が出しておるこの中で、先ほども言いましたが作業の準備時間の問題です。これを労働時間から省くという問題が出ておるわけですね。たとえばここの場合、こういうふうに書いてあります。「会社の指定する位置において、始業時刻に実作業を開始し、終業時刻まで実作業を行なうものとする。」それからその次に云々とあって「所定の始終業時刻に面交代を行なうものとする。」また云々とあって「作業の交代引継に伴なう早出残業は認めない。」「交通事故による遅刻の取扱いの改訂」「交通機関の事故による非遅刻の取扱いは、原則として認めない。」、こういうふうに労働時間の管理の問題で、それ以外にも出てくるわけです。そうすると、私はまず作業時間の準備からちょっと聞いてみたいと思うのですけれども、たとえば、どこの会社だって当然労働安全衛生規則に基づいてそういう規則を持っているものです。当然鉄鋼産業なんかでああいう労働をしている場合に、服装をどうするのか、くつをどうするのかと、いろいろ規制をして、当然検査をして仕事につかすというのはあたりまえのことだし、またそれをいままで政府としても御指導なさっておるというふうに私は思うのです。そうすると、そういうような準備、更衣をしたり、現場に行くためのそういう時間、従来それを十分与えられておったものが取られてしまうということは、これは安全規則の側から見ても拘束されるべき性格だから、取ってしまうというのはおかしいのじゃないだろうか。これは労働基準法の精神から見てもおかしいのじゃないかというふうに思うのです。特に労働基準法の精神というのは、こういうふうに書いてありますね。「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」ということと、「労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」ということを第一条に非常に明確にうたってある。そうすると、従来のものを取って減らしてきておるということ、そうしてこれが労働基準法の条件だからということで下げてくるということ自身が、一条の精神から見ても、私は違反的に考えなければならないし、準備時間を取ってしまうということは、やっぱり重大な問題だと思いますので、お聞きをしたいと思うのです。
 それから同時に、これは職種によって違うわけですけれども、終わったときにからだを洗ったりする問題も、特殊な、著しくからだがよごれるとかいうものは、やはり労働時間の代価として取り扱うべきものであろうというふうに思うわけです。もしもこういうような内容でもって、この準備前後の問題をこれでもってやらないということになったら、私は、それ自身が法違反であるし、またそれに対する代価を払わないということになったら、これは二十四条によるところの代価に対する不払いという問題が出てくるのではないだろうか。まず、この問題について局長の御意見を承りたい。
#81
○和田政府委員 ただいま先生御指摘の鉄鍋業におきまして、昨年から四直三交代あるいは四組三交代、呼び名はいろいろあると思いますが、そういうことで労使間において、特に大手の製鉄業で団体交渉が持たれていることは御指摘のとおりでございます。私どももこの問題につきましては、基準法の運用との関連で非常に重要な問題もあるように考えましたので、中間的に何回か関係者に来てもらいまして、交渉の過程等につきましてその段階を聴取をいたしております。いま聞いておりますところでは、間もなく労使双方で話し合いがつくというような段階になってきておる。まだいずれの会社におきましても、労働協約に調印をしたという事実はないようでございますが、そういうような最終段階に来ておるというように聞いております。
 中身は、先生が触れられましたのはほとんど共通のようでございまして、これが出てきた動機は、鉄鋼労連のほうで労働時間短縮ということに非常に熱意を持っておられまして、そのためにぜひ休日をふやしたいというような問題もあって、労使双方で話し合いが進められてきたように思います。結果的に、現在私どもが承知しております限りでは、労働時間としては、先生がいま触れられましたのは、端数的に多少私どものところにあります資料と違いますが、たいして差はございません。十分か十五分ぐらいの差でございます。これを算術的にだけ見ますと、だいぶ減ってきておるように思います。一週間におきます労働時間で、私どもの手元の資料では一時間五十二分ぐらい一週間で減ってくる、こういうようなことになっております。それから休日につきましても、お触れになりました六十八日が八十四日になる。そのほか問題が一つあります年次有給休暇を予備直という関係で使うのが七日、全体として一応非番日九十一日というような問題でありまして、こういうのを形式的に見ます限り、時間短縮の目的は確かに達してきておるというように思います。
 しからばそれをどう運用していくかということになりますと、基準法は最低線を示しておりますので、これに違反をしてもらっては困りますが、その中の問題につきましては、労使の自主的な交渉によってそれぞれの時間短縮勤務体系をつくられることはけっこうなことで、しかもそれが時間をふやす方向に向かって折衝が行なわれずに、短縮の方向で議論が進められていることは、私どもとしてはけっこうなことではないか。ただそれを、いま御指摘のありましたように、両者で話し合っている最終段階に来ておりますが、まだ、私どもが聞いている限りでは、完全に煮詰まっていないところもあるようであります。これらはおそらく労働協約が終わったあとで、細部規定でいろいろ運用がなされると思いますが、その間には両者の利害がある程度反しますので、話し合いでいろいろ詰めてきている問題がございます。
 それらのうちで、いま御指摘のありましたものの中で、有給休暇の予備直としての指定の問題につきましては……。
#82
○寺前分科員 それはあとから聞きます。一つずつ聞いていきますので……。
#83
○和田政府委員 安全衛生規則に基づきます準備の問題、これは私どもは必ず準備をしなければならないということも考えておりません。と言いますのは、安全衛生規則の周知のしかたがどういう方向で具体的に行なわれているかを見ながら判断をすべき問題で、必ず労働時間の中で毎日行なえということは、にわかには断定できないのではないかというように思います。従来十五分ありまして、十分、五分と分けて使ってこられたようですが、最初の十分間の使い方も、安全衛生規則の問題として使われているかどうかについては、現在の私どもの手元にある資料ではちょっとわかりかねるような状態であります。しかし、その職種によっては、必ず業務を遂行することと密着した準備事務というものであるならば、労働時間に入れるべきものだ、こういうのが私どものところの判断でございます。これは私どもとしてはケースごとに判断をしていきたいと思います。
 それからあとでからだを洗う、シャワーを浴びる入浴の問題、これは一般的には、入浴につきましては労働時間の中に入れなくていいと思います。しかし、たとえば炭坑で働くような場合、どうしても粉じんをかぶるような場合におきましては問題があろうかと思います。これらの鉄鋼業の場合において、どういう職種でどういうようになっているかということにつきましては、いま石炭の場合のような状態がはっきりあるような部門については問題があろうと思いますが、一般的には言いにくい問題だろうと思います。
#84
○寺前分科員 いまの作業準備、これはおたくのほうから出ている「労働時間管理の手引」の二十ページにこう書いてあるのです。「使用者の明示、黙示の指揮命令のもとに行なわれるかぎり、労働時間のなかにはいる。」とちゃんと書いてあるのです。常識的に考えて、準備というのは労働時間だということは当然だと思うのです。私は何も労働安全衛生規則だけからこの準備の問題を指摘するということじゃないのですよ。だから当然これはおたくもいま言われたように、労働時間に入れるということを考えさせる必要がある。たとえ労使がどんな話し合いをしようと、誤ったことをきめた場合に、いまおたくの言っておられたように、直接政府が責任を持って指摘をするという義務があると思うのです。
 時間もありませんので次に移りますけれども、現場到着制の問題です。これはいままで門で時間を入れておったものを現場まで持ってくるということ――私がさっき言ったように、一つの慣例と言うのは一つの基準があった。いままで認められておった。それを悪くするということは、法の精神から見て問題ではないかと思うのです。たとえば日本鋼管の場合は、いままで門だったわけです。それを現場まで持ってきた。現場面交代、これは法の精神から問題といえるのではないでしょうか。その点いかがでしょうか。簡単でけっこう
 です。
#85
○和田政府委員 十五分をつけ加えるべきであるかいなかという問題につきましては、実は先ほど先生が御指摘になりました労働基準法の第一条は、この法律を条件にして下げてはいけない。それはどんなものでも下げていけないということではなくて、総体として下げてはいけないということでありまして、片方に時間短縮があって、そのためにある程度のものを、こまかい点を是正をするというようなことは一条違反にはならない、全体として判断をしたときに労働条件が向上しておればいい、こういうように思います。
 それからいまの交代勤務につきましては、基準法違反という問題になりますと、実労働時間八時間をオーバーしたときに問題になるわけでございますが、先生もすでに御承知だと思いますけれども、今度の場合は、私どもが承知している限りでは実働時間は七時間十五分である。それに十分足すとか十五分足すとかという問題はございますが、そういう意味で、かりに十五分足すにいたしましても七時間半になりますから、かりにそうだとしましても基準法の問題は出てこない、かように思います。
#86
○寺前分科員 それは私は一条問題、精神問題から見て誤りじゃないかということを言っておるので、労働時間問題から言っているのじゃないのです。
 それといま労働基準法の労働時間の問題については、週どうするかという問題と一日の労働条件をどうするかという問題と、両面から見ていく必要があると思うのです。いま週、一年間、この問題のほうでずっと論じられてきていますけれども、おたくもいまそれを言われたけれども、一日の労働条件、人間としての生活を保障する労働条件をきらっと守るというこの立場が、私は労働基準法の精神の上でも非常に重大な問題だと思う。
 これを意見として言っておいて、次にさっき私が提起した休憩時間の問題、これは私はたいへんな問題だろうと思うのですよ。二十五分で遠いところからめしを食いにいって、さっと帰ってきて、これは日本の労働者の日常生活の条件から見てあり得ないことだし、また労働科学研究所の斉藤先生が書いている論文の中にあるのですよ。「充分な長さの食事休憩は、正常な胃の消化機能を持続するために甚だ有意義なものというべきである。」ということで、四十五分から一時間くらいとらなければならないという指摘があるのです。私はそうだろうと思う。ですから、ここで食事時間に二十五分という時間が設定されてきたという問題は、医学的に見ても十分検討しなければならない問題だし、第一、四十五分という設定をこの法の中でうたわれたときの立場というのは、私は、おそらく食事時間、休憩時間というのは連続的にそのくらいは与えなければいかぬのだという一定の根拠を持っておったと思う。その点においても、もしもこれが許されるとするならば、私はたいへんな問題だろうというふうに思うのです。この休憩時間問題は、特殊な、一斉に与えない休憩時間ですから、おたくのほうに申請しなければ許されない性格になると思うのです。それだけに、簡単におたくのほうではよろしいというふうに言えるか言えぬか、ひとつ簡単に言ってください。
#87
○和田政府委員 六時間をこえる場合には四十五分の休憩時間を与えなければならないという規定がございます。それを一斉に与えない場合は私どものほうの許可がなければいけない。この交代制の場合は、一斉に与えられないというのが通常でございますので、いままで交代制については一斉に休憩を与えなくてもいいという許可をやっておるのが慣例でございます。ただ四十五分を分割し得るかどうか、この問題につきましては、私どもは、非常識に一分刻みに休憩を与えるというようなことは考えられない。それならば何分がいいかという問題につきましては、その労働者の方が自由にゆったりとした気分になれるような状態に必要な長さでなければならぬというのが法の精神だと思います、自由利用の原則がありますから。そうしますと、それが何分かということはなかなか言いにくいことでございまして、十分刻みとか、あるいは十五分刻みでなければならぬという原則はなかなか立てにくいと思う。食事時間につきましては、実はこれは現場の事情によってだいぶ違うと思うのです。その作業をしている場所と食事をする場所とのつながりがだいぶ違う。この点は、実は鉄鋼連盟側に聞きましても、画一的にはいかない面があるので、現場の実態に応じた変化をせざるを得ないが、原則として二十五分にしたい。そうしますと、私どもとしますと、食事が普通にとれてそしてたばこも吸って、ゆったりとした気持ちになり得るためには、普通日本人の昼めしというのは短うございますから、御存じのとおり十分か十五分くらいで片づけてしまうのが普通のように思いますから、二十五分というのはそれほど非常識ではなかろうと思いますが、場所の長さによって非常に違う。これはすでに私どものほうから鉄鋼連盟のほうにはそういうことは十分伝えて、もちろん向こうは、現場の事情によってその時間の長さというものはあり得ると思う、それは交渉してきめたい、こういうふうに言っております。
#88
○寺前分科員 私は、画期的な二十五分休憩という問題を提起される以上は、軽々しくこれを認めるわけにはいかない。十分に慎重に関係方面の調査もやる必要があるだろうというふうに思います。
 もう時間がありませんので、労働大臣に最後にお伺いしたいと思いますが、その前に先ほどここで大橋委員から、何か引き続いて日共の議員が云々という問題がありましたが、私どもの党はああいう失対問題では、不正をやるというようなことを基本に指導しているわけではありませんので、これはひとつ労働大臣よく知っておいてもらいたいと思うし、また現に今次会議においていろいろ出された問題については、たとえば参議院における黒柳発言というのは、私たちの調査ではこれは事実に反することも出てきているし、私たちもきょう出された問題については責任をもって検討するとしても、今度の、いま出されている問題には、十分にいろいろな失対上の問題についても、これは重要な、失対から議員が出ていっていいかという問題の指摘まで出てきていると思うので、これは慎重に検討してもらう必要があるということを最初に申し上げた上で、いま出された問題について、労働大臣、最後にお願いしたいと思うのですが、先ほどから言っておるように、非常に新しい労働条件が生まれてきておるし、基準法の精神から見て、これを一日の労働条件の問題として受け入れていいかどうかという問題は非常に多くの問題を含んでおるし、それからまた有給休暇の問題をいまお聞きしませんでしたけれども、有給休暇というのは本人の要求に基づいて出すのが基本なんだから、それがくずされてきておるという問題も出てきておるし、そういうふうに考えてきた場合に、明らかにいま出されておる問題は多い。しかも三十四条ですか、鉄連自身が、労働基準法の休憩問題その他については基準法自身をなぶってもらわなければならぬということを言い出しておるのです。というと、これは基準法を悪くするという方向が打ち出されてきておるというふうに見なければならないので、四月一日からこれを直ちに実施するということでいま会社側は案を出しておりますけれども、日本の今日の労働基準法、労働条件を今日までかちとってきておる問題から見るときに、著しく労働条件の一日のあり方については後退が予想されるだけに、必要な調査を直らにやる、それから必要な勧告、注意を促してもらう必要があるのではないだろうか、軽々しく許可もまだ出されないようにひとつ要望したいのです。その点について、大臣いかがでしょうか。
#89
○野原国務大臣 ただいままでいろいろお話を伺ったわけでございますが、今回四直三交代制に改めるというようなこと、このことは労使双方での十分な話し合いが持たれておると思うのでありますが、あくまでも労働基準法の立法の精神というものは後退することは許されないので、労働時間の短縮という年来の要望が漸次実現されるという方向、そして現在の労使間の理解と協力によって四組三交代制が、一日だけから見ればあるいはときに多少のむずかしい問題があろうかと思いますけれども、全体的に見てやはり労働時間の圧縮となりあるいは労働条件の緩和になるということで、労使間の話し合いが進んで、お互いにこれでいいということになれば、これは好ましいのではないか。ただ、その際において、労働基準法の立法の精神というものが著しく阻害されるようなことがあってはならないというふうに考えております。その経過について慎重に見守りながら今後の対策を講じてまいりたいと考えております。
#90
○寺前分科員 ちょっと一言だけ。いま大臣が言われた問題の中で、全体がよければ一日の場合には少々云々ということが言われましたけれども、基準法の精神でやるということを最後に言われましたが、一日が問題になれば、これはやはり基準法上も問題がございます、基準法の精神から見て。だから、全体の中で休日がふえるからいいというわけにはいかない。要するに、一日の労働条件もというのをもっと考えてもらう必要がある。これは日本の労働基準法をかちとってきておる段階の労働条件から見て著しく労働基準法を犯すおそれがあるだけに、慎重に調査され、そこで直らに処置しなければならないものは勧告してもらうということを再度要望して、私の発言を終わりたいと思います。
#91
○野原国務大臣 一日の労働ももちろん大事でございましょうが、一週間を通算したときに、労働基準法の立法の精神というか、いろいろな条件が十分に守られるということが重要であろうと思います。したがって、その問題については、あくまでもこれは労使の話し合いがもとだと思うのです。労使において、全体的に見てこの新しい体制によっていくことがお互いに利益であり、あるいは労働条件がそのほうがいいのだということになりますれば、それらに対しては、やはり十分に検討いたしまして、従来の労働基準法の精神をこれによって傷つけることがないということになりますれば、一歩前進ということで進めていきたいと考えております。
#92
○寺前分科員 労使だけではいかぬ問題があるんだ、そこに政府の責任があるんだということを再度御確認いただかないと、それはちょっと重大な問題なんですよ。労使問題だけでは済まぬ。いいですか。それはよろしいな、大臣。局長、そうでしょう、当然。労使関係の問題で労使がどんなことをきめたってかまわぬ、一日二十四時間、夜っぴて働いて、二日もそうやっていってぶつ倒れてしまう、あとに休日やるからいいということだけではだめだ。それだけでは政府の責任は済まぬのだということがあります。よろしいかな、それは。
#93
○野原国務大臣 繰り返して申し上げたとおり、労働基準法という厳然たる法律がある。その基準法の精神というものはあくまでも尊重され、その範囲内において労使が話し合いで円満に妥結をしたということになりますれば、何の文句もないわけでございますが、まあその辺はひとつ十分検討いたすことにいたしまして、厳重にその精神が守られていくという方向でこの問題に対処したいと考えております。
#94
○田中主査 以上で、寺前巖君の質疑は終わりました。
 これにて、昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算中、労働省所管に対する質疑は終了いたしました。
 以上をもって、本分科会における質疑は全部終了いたしました。
    ―――――――――――――
#95
○田中主査 おはかりいたします。
 昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算中、厚生省所管、労働省所管及び自治省所管に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○田中主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 これにて第三分科会の議事はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位には、長時間にわたりまして熱心なる御審議と格段の御協力を賜わり、本分科会の議事が円滑に終了いたしましたことを深く感謝いたします。
 これにて第三分科会を完了いたしました。
   午後零時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト