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1970/03/18 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 運輸委員会 第8号
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1970/03/18 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 運輸委員会 第8号

#1
第063回国会 運輸委員会 第8号
昭和四十五年三月十八日(水曜日)
   午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 福井  勇君
   理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君
   理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君
   理事 村山 達雄君 理事 内藤 良平君
   理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君
      河野 洋平君    佐藤 孝行君
      菅波  茂君    砂田 重民君
      中馬 辰猪君    中村庸一郎君
      西村 英一君    長谷川 峻君
      古屋  亨君    井野 正揮君
      金丸 徳重君    斉藤 正男君
      楯 兼次郎君    田中 昭二君
      宮井 泰良君    渡辺 武三君
      關谷 勝利君
 出席国務大臣
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
 出席政府委員
        運輸省自動車局
        長       黒住 忠行君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第一課長   安井  誠君
        大蔵省銀行局保
        険部長     渡部  信君
        厚生省医務局総
        務課長     信沢  清君
        厚生省保険局国
        民健康保険課長 松田  正君
        運輸委員会調査
        室長      小西 眞一君
    ―――――――――――――
三月十八日
 港則法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
 八号)(参議院送付)
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
 き、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの
 件(内閣提出、承認第一号)(参議院送付)
同月十七日
 東海道新幹線に倉見駅設置に関する請願(小金
 義照君紹介)(第一二五九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 船員法の一部を改正する法律案(内閣提出第七
 一号)
 自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第六七号)
     ――――◇―――――
#2
○福井委員長 これより会議を開きます。
 船員法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。橋本運輸大臣。
    ―――――――――――――
#3
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました船員法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 現在海上労働者に対しましては、海上労働の特異性を配慮しつつ、その労働条件等を定めた船員法が適用されておりますが、同法の適用範囲は、一般商船につきましては五トン以上の船舶、漁船につきましては一部の例外を除き二十トン以上の船舶となっております。
 一方、二十トン未満の漁船につきましては、現在、船員法の適用がなく、陸上労働者一般を対象とする労働基準法が適用されております。
 今回の改正は、これら五トン以上二十トン未満の漁船にまで船員法を適用することができることとするものであります。
 これら小型漁船の航行及び乗組員の労働の実態等を見ますと、これらは現在すでに船員法の適用を受けているものとほぼ同様のものであると認められます。
 このような実態、さらに商船との均衡をあわせ考慮いたしますと、地先漁業等限られた沿岸海域で漁業に従事する漁船を除き、五トン以上二十トン未満の漁船の乗組員に対しまして、労働基準法より海上労働の特異性を踏まえた船員法を適用いたしまして、その労働の実態に合致した、より適切な保護をはかることが必要であると思われます。
 なお、この適用範囲の拡大は、船員法と船員保険法との一体的運用をはかる必要性や関係漁業の経営の実態等を勘案いたしまして、段階的に実施することといたしております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
 なお、この機会にお願い申し上げたいのでありまするが、実は、この船員法の一部改正の中に船長の義務規定に関する改正等を加えたかったのでありまするが、すでにただいま御説明申し上げました船員法の一部を改正する法律案が閣議決定後でありましたので、かつまた皆さん御承知のように、一応期間が限られております関係上、その後の調査等を合わせますと、期日までにこの中に織り込むことができませんために、船長の義務規定の改正等につきましては、せんだってお願いを申し上げたわけでありまするが、それらにつきましていずれまた皆さんからも御意見もあろうと思いますので、一部改正法律案等についてまず御審議をお願いしたい、かように存じます。
#4
○福井委員長 これにて説明は終わりました。
     ――――◇―――――
#5
○福井委員長 次に、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。井野正揮君。
#6
○井野委員 私は、この機会に、今次提案になりました自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案について、重要な二、三点について御質問を申し上げたいと思います。
 そこで、私の御質問を申し上げようとする点は、こまかいことは抜きにしまして、まず、この法律案を適用――特に再保険ですね、再保険の適用範囲を拡大して被害者の広範な救済をしようとするお考えについては、基本的に賛成でございます。しかしながら、この改正に先立って、現行までの法律の運用の中で非常に大きな盲点のある一点がございます。それは、この保険を二カ年に限ってかけるということと、この被害者に起こした原因が相当長期にわたるという問題、これは歳計との関係で一見非常に矛盾があるわけであります。そこで、当初見込んだ額よりもかなり多くの支払いが必要になってきている。その中で、大きな要点の三つとして、一つは死亡者、一つは休業補償、もう一つの重要なポイントは医療補償であります。ところが、この医療補償は、当初見込んだよりもはるかに高額になっている。それが適正な診療なのかどうかというポイントがございます。そういう面にかんがみまして、まず私は、大臣がたいへんに時間が少ないということですから、この問題を解決するのには、橋本運輸大臣のように、かつては官房長官も歴任をせられ、名声を高くせられ、佐藤内閣の重要なポイントを押えられた大物大臣の機会にこれを解決しなければならぬと思いますことは、医療の問題に触れてくるからであります。
 私、実は、この医療補償費に対する運輸省の無見解ぶり、無能ぶりには驚きました。また厚生省のこの問題から逃げようとする姿勢にもあきれ返っております。私は、この問題を追及調査してみた結果、独禁法に触れるのではないかと思っていろいろ検討を加えたわけであります。ところが、これは医療法によって、独禁法には触れない条項がございます。私は運輸大臣にこの機会にお尋ねをしたいのは、私が調べました例証によって明かなことは、東京都の医師は、医師会の名において協定価格をつくって、健康保険の診療費よりもはるかに高額の料金を要求する取りきめを行なっております。その一例を一人の患者について私は調査をしてみました。その結果どういうことが立証されたかといいますと、まず同じような症状で同じ期間、北海道上川郡美瑛町の病院に入院した患者は、十四日間で三万六千円である。ところが、東京都のある整形病院に収容された患者は、十一日間で実に九万七千円という高額の料金を請求されておる。いろいろ調べまして、健康保険の点数表で調べてみましたら、甲表をとってみた場合で三万六千円、乙表の場合で三万五千円という金額がはじき出されました。乙表で二六四で、甲表で二六〇の指数になります。実に二倍と六割も高い料金を請求いたしております。私がここで大臣にお尋ねしたいのは、いま健康保険が重要な問題になっておりますが、この自動車損害賠償保障法の診療について、当然医療法の精神に基づいて、審査機関なり、あるいは大蔵省、厚生省、運輸省の、いわゆる政府の合議に基づく、適正なる診療費の請求に対する審査が行なわれなければならないと思いますが、この点について大臣はどういうふうに受けとめておられるかを聞きたいと思います。
 時間がないようですから、ついでにこの機会に資料を要求いたします。それは、本年度の賠償保険の――これは料率にも関係してまいるわけでありますから、この歳入と、いままでの年度別の事故発生による医療費の請求額は、三年のものも五年のものも出てきます、こういうものを照らし合わせて、現計においてはこの会計はどのような会計になっておるか、これは予算書だけでははっきりしないわけです。したがって、この具体的な数字をだれが見てもわかりやすいような形で御提出を願いたい。この問題をいまにして解明しておかないと、今度は国の機関、公共団体その他のいままで適用除外をされた団体が、すべて国費をもってまかなわなければならない結果になりますので、この指数を明らかにしていただきたい。大臣にまず一点のほうをお伺いをいたします。
#7
○橋本国務大臣 ただいまの井野さんの御質問の件は、せんだっての委員会におきましても、重要な御意見として拝聴いたしたのであります。実態がどうなっておるかはいずれ資料等によって申し上げることになるのでありましょうが、いずれにせよ、適正な価格で医療費がまかなわれなければならないことは、どの場合でも当然であります。これにつきましては、もちろんこの監督官庁は厚生省でありますからして、運輸省側としては、これらの事情等を調べた上で、十分厚生省側にこれが是正――もちろんこれに対してはわれわれも協力いたしますが、公正なる措置を講ずるように努力をいたしたいと考えております。
#8
○井野委員 大臣はそうおっしゃられると思っておりましたが、そういうことであるべきだと思うのですが、ところが、実際には行なわれていないのです。厚生省のどの部局に聞いてみても、医療費の適正な診療価格というものは、国民皆保険になっているのだから、健康保険の審査会で足りるのだと言っておる。ところが、運輸省側に聞くと、それは健康保険の問題であって、この自賠法の医療費の支払いについては拘束権がないのだからと言っておる。医務局長のごときは五〇%ぐらい高いのが常識だと言っておる。ところが、いまお示ししましたように、この一例をもってもわかるのですが、健康保険を一〇〇とすれば、実に二六四になる。これでは、自動車を買うときに三万幾らの保険金を取られるが、私もついこの間買いましたけれども、この三万六千円の保険金でまかなえないということになる。これはあとでいただく資料で明らかであります。しかもその重要なポイントが医療保障費になっている。それもわずかにこう薬を十一ぺん張って一万八千円取っている。脳波を一回やって一万円取っている。入院については、八畳の部屋に三人の患者を入れて、健康保険でいけば一日最高取って千五百円でしかないのが三千五百円取られている。こういう野放図な自賠責保険の保険金の支払いをさせておいて、検討するなんて、そんなのんきなものではない。やる機能がない。だから、私は、厚生省だけでもだめ、大蔵省だけでもだめ、運輸省だけでもだめ、政府として当然この問題にきちっとメスを入れないとだめだということを言っておる。大臣、それをおやりになる気はありますかと聞いておる。検討するだけでは済まぬですよ。
#9
○橋本国務大臣 井野委員がおっしゃったように、所管は運輸大臣でないと仰せられたように、行政の責任の所在地がやはり一応区分されておりますので、主導権は厚生大臣にとってもらわなければなりませんが、ただ、運輸省としては自分の所管に関する保険財政のことでもありますので、これは強く申し入れて、少なくともさような意味での不適正なものがないように取り計らってもらいます。
 お話があったように、原則として国民健康保険の数字、いわゆるこれが基準だろうと思います。それに対して、ただ緊急性だとかあるいは特殊な場合がありましょうからして、必ずしもそれだけでは済まないと思いますが、おっしゃるようなものが非常に数多く行なわれておるということになれば、これは必ずしも適正とは言いがたいので、この面については別に厚生大臣にも話をして、やはり所管庁としては厚生大臣でありますから、厚生大臣の十分なる善処をお願いする、こういうことで取り組んでいきたいと思っております。
#10
○井野委員 一般的にはそうお答えになってしかるべきだと思います。しかしながら、自賠法の保険基金再保険特別会計を所管しておられるのは運輸大臣、あなたなのです。その会計が不当な報酬を支払っておるとしたら、これはその会計を監理するあなたの責任として、協力を願うという問題ではないと思うのです。これは今度は医師法と医療法に触れてまいりますが、これは医者をやめてもらわなければならぬ問題にも発展をするのです。だから、道義上の観念的なものではなくして、国法でもってきちっとそれは規制されているのです。それを御承知かどうか。それはどういう法律であるか、お答えを願いたい。
#11
○黒住政府委員 これは二つ問題があると思います。一つの先生の御指摘の点は、現在の自賠法ではいわゆる自由診療慣行保険ということになっておりますので、健康保険が原則である国民皆保険においてそういうことはおかしいのじゃないかということでございまして、現在のたてまえではさようになっておりますけれども、今後自賠法特殊の診療の制度をつくるべきじゃないかということで、それは一つは健康保険にプラスした――まあ緊急性等がございますから、プラスしたものを考えるか、あるいは労災保険というような制度もございますので、それらを勘案いたしまして、新しい制度をいま検討させていただきたいというのが第一点でございます。それからもう一つは、現在のお医者の診療は自由診療でありますけれども、それに対する制限は医師法その他の医療関係の法規があるわけでございます。で、これの請求が来るわけでございますけれども、保険側といたしましては、専門的知識を持っておりませんので、それらに対するいわゆる疑問点の解明というふうな体制が十分ではございません。したがいまして、それらの体制につきまして、現在大蔵省、厚生省、運輸省で打ち合わせをして、その体制を整えるべきであるという二点から、この問題を解明していきたいと思っております。
 で、御指摘のように、現在一般の治療をやられます場合に、健康保険よりも上回っておるということは事実のようでございますし、これが保険財政を圧迫する要因になることは御指摘のとおりでございますので、先ほどから大臣が検討すると言いましたのは、それらの点につきまして一つの制度、それからこれの査定の制度を今後検討するという意味でございます。
#12
○井野委員 そういう程度の認識で、実はこの問題が医師法と医療法に隠れて、そして当然受けるべき制約というものが、他の官庁では指摘ができないというふうに受けとめているところに問題がある。橋本運輸大臣なら、これをそういうことではないということを御指導なさると思うから、お聞きしているのです。大臣、またおいでを願えるそうですから、時間の関係がありますから、これからこういうことを論議するということをよく御承知になって、御退席願いたいと思います。
#13
○福井委員長 まだいいです。
#14
○井野委員 それはまず第一に、医療というものが営利事業なのか、医療というものは営業ではないのか、この点が問題なんであります。もしこれが営利を営む企業であったら、これは独禁法第一条のその他の事業を営むものとして商法の適用を受けます。ところが、法制局に聞いても、概念的なものとしてはずすことになっていると言っておりますが、これは間違いです。そうではなくて、医療法に明確に定めております。それは医師法の第一条、それから医療法の第七条第四項、営利を営むものにあってはこれは許可しないとなっております。しない場合がある。それから医療法人利益の配当をしてはならないときめております。そして医師のモラルとしては、品位を傷つけたものはこれは免許証を取り消すとなっております。ですから、大臣がおっしゃられる医師の許される料金の限界というものは、健康保険にプラスするものがあったとしても、それは医師の社会的地位の保持の問題だと思います。日雇い労務者のようなことでいいとは私ども思いませんし、また、医師という非常に自己の神経、自己の個人的機能が診療の判断に影響する職種については、ある程度の生活環境その他のものは保障されなければならないと思います。また、一定の休養も必要だと思います。一定の労働力の確保も必要だと思います。しかし、それはきわめて限られた範囲のものであって、今日のごとく、大蔵省の調査でも明らかなように、都道府県の所得のベストテン、第十位の中に医師が、ずらっと顔を並べるというのは、明らかに利益なのです。同時にまた、この診療報酬については、当然けが人、被害者、これらの治療をめぐって問題があるわけでありますから、特に夜間その他の問題もありましょうと思いますが、これまた、医師は正当の理由なくして診療を拒んではならないとなっていますから、ここでもその問題はとっくに医師法で規制されているのです。格別に配慮されなければならない理由はない。そこで、医師会というものが一つの協定を結んで、健康保険の三倍取ろう、二倍半取ろうというようなことになったら、これは政府として、国法、法律を管理するたてまえから、法律は道徳の最低の基準なんですから、非常に重要な問題であり、橋本運輸大臣としては、運輸大臣という閣僚の位置を乗り越えまして、佐藤内閣という政府の中でこの問題にメスを入れなければ、重大な段階になってきておるし、あなたが運輸大臣になられたのが一番適当な機会だというのは、そういう理由なんです。しかも、私がここに資料をあげますように――私は個人の名誉を尊重しますから、病院の名前を言いません。これは厚生省の御協力をいただいて、この請求書に基づいて出したものであります。私は、医務局長を通じて、この診療のカルテ、治療せん、薬価、請求の原因になったそれらのものを御提示を願ったけれども、東京都の私が毎日通ってきているそこのある病院ですら、厚生省はこの内容を示すことができないくらい無能力なんだ。制度的にこれを出す制度はちゃんとあるのです。しかし、無能力なのか、やろうとしないのか、医師会というものをおそれて行政が動かないのか、私はここに問題があると思います。しかし、あなたがお支払いになる特別会計の医療報酬に対しての支払いについては、これらの法に照らして、厳格なきちっとしたものを用意されなければならないはずなんだ。それができるのかできないのか、こう聞いている。当然あなた方は支払いの立場に立って、正しい請求であるのかないのか、営利にわたるのかわたらないのか、きちっとしなければならない問題だ、こう思うのです。この点、大臣どうですか。
#15
○橋本国務大臣 お医者さんが営利事業であるかないかの解釈は、私どもの所管ではありませんので、これは厚生省から適当に御答弁を願いたいと思いますが、お話があったように、保険財政を扱っておるものでありますからして、それが不当なる損害をこうむるということは、もちろんわれわれといたしましてはこれは回避し、適正にしなければならぬのであります。それらの措置は、ただ政治力といいますか――たいへんどうも買いかぶられておりますが、政治力だけでこれは解決できる問題でもありませんので、したがって、先ほど申し上げましたように、制度の上においてもすみやかに検討を加えて、できるだけ早くこの問題を軌道に乗せるような努力をいたしたい、かように局長からも答弁をいたしておるわけであります。もちろん、なかなかむずかしい問題でありますからして、これが急速に事を運ぶことが困難であるにいたしましても、いまの赤字財政、これからもこういう問題は重なっていくわけでありますからして、これらの問題を考えて、緊急に重要な問題である、かように私自身も考える次第であります。
#16
○井野委員 やらぬと言われるのではなくて、やると言われるのですから、当てのないことを言ってみてもしかたがない話で、おやりになるということで、もう少し詰めたいと思います。
 それで、今度は自動車局長さんにお尋ねしたいと思います。
 詳しい数字はお願いをしました資料でお出しを願いたいと思いますが、ただいま掌握をされておる数字では、この特別会計の赤字見込み――潜在赤字といいますか、それとも黒字になっておりますか、この点ひとつお聞かせを願いたいし、正しい医療報酬を支払いたいが、どうも概念的に見て健康保険よりはかなり高い。私がここに指摘したのは一例にしかすぎませんから、こういう傾向と見合わせてみて、どういうふうにお感じになっておられるか、この機会にひとつお聞かせ願いたいと思います。
#17
○黒住政府委員 保険の収支につきましては、元請の関係が、これが全体でございます。それに対しまして六割の再保険を国がいたしておりますが、特別会計法によりますと、国のいわゆる特別会計におきましては、現金ベースでもって処理をいたしております。まず、その再保険の関係を申し上げますと、昭和四十三年度は、収入が七百六十三億円に対しまして、支出が七百三十九億円で、差し引き二十四億円の黒字であります。昭和四十四年度は、収入が九百九十三億円に対しまして、支出が一千五億円で、差し引き十二億円の赤字が推定をされておるのであります。それから昭和四十五年度は、四十四年十一月におきます保険金額の改定と保険料の改定によりまして、収入が二千百四十六億円、支出が千五百六十億円で、差し引き約六百億円の黒字ということになっております。しかし、いまのは特別会計でございまして、元請保険全体から申しますと、これは昨年行なわれました保険審議会におきます資料等によりますと、前の料率のままでは、昭和四十年度末の収入が千四百四十五億円に対しまして、支出が二千八百十七億円でありますし、累積赤字を全部合計しますと三千八十六億円の赤字が推定をされたわけでございまして、したがいまして、料率の改定を昨年行なった次第でございます。
 それから治療費の関係でございますが、支払いの保険金に占めます率が、治療費の分が四十二年度におきましては全体の二九・七%でございましたのが、四十三年度には三二・七%、四十四年度には三五・五%というふうに、支払いの中におきます治療費のシェアが増加しておる次第でございます。それからまた、傷害に関する単価、これは諸経費が上がるというふうな原因等もあると思いますけれども、単価も上がっておるような次第でございまして、要するに、全体の中の三五・五%が治療費でございまして、そのほかの死亡における支払い、休業補償、慰謝料、後遺障害というふうなものがございますけれども、こういうふうなシェアを占めておるわけでございまして、したがいまして、保険財政に及ぼす影響というものは、治療費の面が非常に大きいものであるというふうに認識しておる次第でございまして、これらの点につきましてこれを適正化するということが、保険財政の改善から見て一番大きな問題であるというふうに認識をいたしております。
#18
○井野委員 いまお示しになりましたように、この保険が設定された当初とそれから今日とでは、もうものすごい速度でエスカレートして医療費が多くなってきておる。昔優生保護法ができたころには、中絶が一番医者のもうけどころだった。その後、女の鼻の低いのを高くする整形がもうけになっておる。今日一番盲点になって、もうかっておるのがこの自動車です。少し甘いことばをかけるものだから、救急病院協会などというのをつくってやっておるわけです。その内容は、いま言ったように、この例は、医務局が要求しても資料を出さないほど抵抗している。実に二倍半だ。このことは運輸行政面から強い要請があり、厚生省はこれを断固やらなければ、医者の品位すら傷つけられる。しかし、私はすべて医者がこうだというのではありません。私はここへ資料を持っておりますが、佐賀県の医師会、秋田県の医師会等は保険法の料金でやりますということを宣伝をして、医師が過度な利益を取れないようにやっている。こういう県はきちっと保険料金も当初もくろんだとおりいっているのです。私は、一つは運輸省の中にも欠点があると思います。この保険金の支払い内容について、いま少し詳しい現時点のもの、将来のもの、またその問題点等を明らかにして――政治的に訴えないで、行政の上ではっきりさせない、こういうところにも盲点があったと思います。したがって、この際、やはり大臣も勇断をもって、これらも当然不当の支払いをしておるのではないかと疑われる面についての資料を的確に出させることが大切だと思います。そういう意味で、先ほどのお考えの中に、いまこういうふうになっておる現状だということを十分御認識を願って、以下私は厚生省と大蔵省にお尋ねをしますので、大臣お聞きにならないと思いますが、あとで記録で調べて十分御検討願いたい、こういうことでございます。
 次に、大蔵省にお尋ねをいたします。
 たいへん国の機構はやっかいになっておりまして、一つ聞いても、ちょっと一歩はずれると、それは私の課ではない、こういうふうに逃げられるので、たいへん私どもなれないものですから、調査に手間どっておりますが、お医者さんの課税が健康保険については七二%免除されるという。しかも、これは議員立法だそうでございますが、そういう制度が確立されておるのは、私は、先輩諸賢が、この医師法及び医療法に基づいて、医師の人格は高潔であり、不当な所得をするものでないという前提に立って、この法案が国会を通過したものだろう、こう理解をいたします。ところが、ただいま指摘をいたしましたように、健康保険で一〇〇でやれるものを二六四にして、水増しかどうか知りませんが、請求して取っている。
 そこで、これは徴税の実態は国税庁になるのだろうと思いますし、あるいは客体把握のいろいろなむずかしい問題があると思います。たとえばカルテはドイツ語で書いてありますから、一般的な徴税吏員としてこれに的確なメスを入れて客体を把握し、課税をするということは非常に困難になり、かつ、医師会等の協力をいただいておやりになるのでなかろうか、こう判断をするわけでありますが、この論法でいきますと、保険診療について一〇〇のものに七二の控除額があったとすると、自賠償その他一般診療については一〇〇に一六四を足して、その中から七二を引いた残りに課税をするということになりますと、かなり高額の納税者になると思うのです。この点私の見解は違いますか。
#19
○安井説明員 お答え申し上げます。
 いま先生御指摘の七二%と申しますのは、社会保険診療報酬におきます課税の特例でございます。つまり、健康保険とかあるいは共済組合などのいわゆる保険診療についての必要経費が幾らかかろうと、法律的に七二とするという規定でございます。いまお話しのございました自賠責の問題は、これも先生御承知のとおりでございますけれども、保険診療の対象からはずれておりますので、これは私どもの税のほうでは、いわゆる自由診療としての取り扱いをいたしておるわけであります。
 そういたしますと、先生が御指摘の例で申しましても、保険診療部分については、経費が七二というふうに法定されておりますから、二八の課税所得になるわけでございますが、自賠責の部分につきましては、収支計算をそのお医者さんのほうにしていただくことになっております。それに基づきまして課税所得の計算が行なわれる。一般的に申しますれば、課税所得の計算におきまして、この必要経費率というようなものはそれぞれのお医者さんによって異なります。病院のような場合に、いろいろ施設あるいは看護婦等の経費がかかるところは、中にはいまの七二%を上回るものもございますけれども、平均的には七二%より下回っておるわけでございまして、そういうものに立って課税が行なわれる、こういうのが現状でございます。
#20
○井野委員 しかし、自由診療であろうと保険診療であろうと、医師法に基づいては、外来で来た者、入院をした者は、名簿をつけて記録をしておかなければならない。また診療した患者については、的確にその症状と診療した内容を記録して、五年間保存をしなければならない、こうなっておりますので、病院、医師の医院、これほど客体把握に簡単なものはないのです。ところが、的確に把握することは困難だと第一課長おっしゃるけれども、その的確に把握する困難な事情を御説明願います。
#21
○安井説明員 社会保険診療報酬につきましては、支払いの際に源泉徴収というのが行なわれるわけであります。同時に、支払い基金のほうから支払い調書というものを税務署に送ってくるようになっております。ところが、自由診療のほうになりますと、自賠責あるいは労災保険を含めてでございますけれども、支払い調書というものが税務署にまいらないわけであります。特に自賠責の場合には源泉徴収も行なわれておりません。といいますのは、患者のほうに直接支払われるものでございますから、源泉徴収をそこでするわけにまいらないという形で、行なわれていないわけであります。
 私ども、本来、こういうものにつきまして、自賠責の問題につきましても支払い調書を提出願うような措置を法律的に講ずべきじゃないかと思うのでありますが、いまはそれをやっておりませんために、税務署のほうで支払い機関のほうに参りまして、資料をいただいてくるわけでございます。資料調査と申しております。ところが、御承知のように、税務署の手数にも人手にもおのずから限りがございますので、集めてまいります資料にも限度がございます。詳細にわたりましては、国税庁の所得税課長が参っておりますから、お答え申し上げますけれども、私どもが資料を把握いたしましたのは、全部それをお医者さんの申告と突き合わして課税処理を行なう、かような処理をしているわけでございます。したがいまして、先生おっしゃいましたように、カルテがあるからわかるじゃないかというお話もごもっともでございますけれども、もちろん全部のお医者さんではございませんけれども、中にはカルテそのものを別にお書きになったりやられる方もおられるわけでございまして、そういうところで把握がしかねるという状況があるわけでございます。
#22
○井野委員 では医務局長さんにお尋ねします。
 お聞きのとおりの事情があるわけでございますが、医師法の第一条、医療法の第七条あるいはその他関係法令で、医業というものは、医療を通じて国民生活を安定し、同時に国の治安、こういうものに非常に貢献して国民福祉を増進する、この守り手が医師である、医師でなければこれを開業してはならない、またこれを開業する者は営利追求の目的があってはならない、こういうふうに規定をされておるのですが、これはきのうもはしなくも出たのですが、営利にわたっているか、医師の良心の範囲で運営をしているか、この判断は大蔵省にやってもらわなければわからぬというのが厚生省の一般の吏員の観念のようであります。私はこれはたいへんな間違いだと思うのです。そこで、一体営利にわたる経営であるか、医師の良心に基づく社会的地位、体面を保つ程度の報酬要求であるか、このけじめは一体どこでおつけになるつもりか、またそういうことをどこで審査されるつもりか、そういう指導をどこでしておられるか。ちなみに、佐賀県医師会のように全く医師本来の目的と社会的名誉、公徳心、これによってきちっと積極的に保険料率をもってやりますというふうに宣伝し、秋田県のようにパンフレットもつくってやっていらっしゃるところもある。東京都のように、申し合わせをして二倍、三倍の料金を取ろうじゃないかという、独禁法に触れるようなことをやっているところもある。これはみんな厚生省の管轄下にある。これについてひとつ御見解を承りたい。また、こういうことをやっていることを御承知かどうか。
#23
○信沢説明員 医療法なりあるいは医師法の考え方というものにつきましては、趣旨がそういうものであることはいま先生御指摘のとおりだと思います。問題は、御指摘にございましたように、医療法の七条四項で、営利を目的とする者には病院、診療所の許可を与えないことができる、こういう規定があるわけでございます。この点は先生おっしゃったわけでございます。この場合、営利を目的としないということは一体何であるかということについては、具体的にこれならば営利を目的としないという基準をきめることは非常にむずかしいわけでございまして、ただ、営利を目的としないということと収益を上げてはいけないということは別問題でございまして、当然医業の再生産に必要な収益というものは医業経営をいたします以上必要なわけでございますから、したがって、やや抽象的でございますが、その範囲を越えてなお営利を追求する、こういうような場合に、この法律にいう営利を目的とする、このように考えるべきではないか、私ども従来そういうふうに考えております。
#24
○井野委員 そうしますと、健康保険の診療の基準は、今日的な文化の中で一体普遍的な診療であるか、それとも一定のレベルの下がった診療であるか、もしこれから上にそういう社会的地位、その他健康保険で制約されてストライキまでやっておるのですから、そういうものが加味されるとしたら、何%まで許容されるか、ひとつお答えを願いたいと思います。
#25
○信沢説明員 いま私が収益ということばを使いましたが、誤解されてはいかぬと思いますので、前にふえんさせていただきたいと思いますが、先ほどもお話に出ておりましたように、医業収入に対しても課税されておるわけでございます。それから、先ほど先生のお話もございましたように、医療法人におきましては配当の禁止その他のきびしい制約があるわけでございますが、これにつきましても法人税が課せられておるわけでございます。そういう限度における収益というものは、当然医業経営に伴ってあるべきであるということを申し上げたわけでございまして、幾らもうけてもいい、端的にこういうことを申し上げているわけではございません。この点は御了承をいただきたいと思います。
 いまの健康保険の問題でございますが、私ども厚生省といたしましては、現在の診療報酬についていろいろ御批判がございます。御批判がございますが、先般二月からもこの引き上げを行なったわけでございまして、やはりそのときどきの医業経営に必要なものを、片方におきまして被保険者の負担能力、そういうものを考えながら、適正にきめてまいっておる、こういう考え方でございますので、一応通常の場合でございますれば、健康保険の診療報酬によって医療が行なえる、こういうふうに一般的に考えるべきだ、こういうふうに思っております。
#26
○井野委員 そうしますと、医療報酬点数の審査委員会ですか、何といいましたか、ちょっと名称を忘れましたが、そういう機関がございますね。そこで、これを適用外にはずしているものの中には、ある医師によっては、非常に特効的な効果があるといわれていても、一般的に国家、研究所、そういうものを通して普遍的に適用していいかどうか疑問があるものについては、保険を適用しない、こういう問題があります。もう一つは、その診療の結果、その転帰がきわめて危険率があるが、ときには著効があるというものについては、これも認めておりません。非常に著効があるけれども、同時に副作用があるという問題等もあり、健康保険をはずしている高価薬あるいは化学的診療、いろいろなものがあります。そうでない限り、一般的な診療においては、今日の厚生省の許可しておる薬あるいは治療方法、手段、こういうものにおいては、健康保険はまず適正な、要求される文化的な日本国にふさわしい医療ができる、こう判断していいですね。
#27
○信沢説明員 診療内容の問題といたしましては、ただいま先生のおっしゃったように私どもも考えております。ただ、診療内容が健康保険のレベルで足りるということと、料金の規制を健康保険の適用がない場合にそれ並みにしなければならないという問題は、これはやはり区別して考えるべきだと思います。
#28
○井野委員 あまり先まで言わないでください。あなたはそこに逃げておかしくしているのだから……。
 いまおっしゃられた点は、いわゆる個人の能力に関する範囲の問題だ。ところが、医師会あるいは医療連盟が一般的な地域のすべての医師を網羅して協会なるものをつくって、そこで診療料金をきめた。ところが、この診療料金は何と健康保険の二倍半だ。これは不当な料金の中に入らないか。もし抽象的なことでお答えがしにくいというならば、これは明らかにせよといえば、しますよ。この医師が私の勘でこれはおかしいと思って、厚生省に調査さした結果、甲表でやれば二・六〇三倍なんです。乙表でいけば二・六四七倍なんです。これはどうですか。正しいやり方ですか。
 それから、その医師会の申し合わせなるものは、医師法、医療法、これに違反をし、明らかに営利を追求するものであり、独禁法の拘束を受けるものだと思います。これでは医師法を改正しなければならぬようになりますよ。どうですか。
#29
○信沢説明員 ただいまの具体的な事例につきましては、内容を私詳細に存じませんので、そのこと自身についてどうかということは御答弁を避けさせていただきたいと思いますが、一般的に申して、健康保険を適用しない場合に、先ほどちょっとお話に出ましたように、自由料金、慣行料金というもので請求をいたしておる事実がございますことは御承知のとおりでございます。私ども承知いたしておりますのは、いろいろこの種の慣行料金について地区の医師会等がおきめになっておりますのは、どちらかと申しますれば、むしろ不当に高い料金をとらないように、この程度に押えようという趣旨で協定をしている、そういう意味での協定である、こういうふうに私ども理解をしております。
#30
○井野委員 時間がきたと言われますが、私はとても納得ができませんし、特にこの写真もとってきております。「自賠責における料金自賠責による患者に対する料金はその地区の医師会で決定している慣行料金に準ずる 昭和四十四年九月 東京救急病院協会」こういうふうに張ってあるのを、あるかどうか知りませんという話がありますか、医療法に基づいて監督しなければならぬのに。監督指導官も設けてあるじゃないですか。そこの公務員は一体何をしているのですか。あとのことを言うのはよしますが、これらの問題等を解明しないで、今日国民に非常な不安を与えておるあの医師会のストライキ、健康保険の料金の問題、医務局と保険局のなすり合い、運輸省が何ぼあせってもどうにもならぬ問題、そうして税務署が適正な課税ができない。まさにわれわれは病気をし、けがをしたときに、不安の極に突き落とされる。こういう問題の解明はこの機会になすべきだと私は思います。したがって、時間が来ましたから、理事の御注意もありますのでやめますが、この問題についての質問は次に留保させていただきたいと思います。
#31
○福井委員長 斉藤正男君。
#32
○斉藤(正)委員 大臣がお見えになりませんので、まず局長からお答えをいただきたいと思うのでありますけれども、四十四年七月八日に、自動車損害賠償責任保険審議会に対しまして大蔵大臣が諮問をされて、その答申が四十四年十月七日に行なわれて、今回の改正との関連が生まれてきているというように考えておるわけでございますけれども、この審議会の答申を今度の法改正にあたってどの程度取り上げたのか、この部分とこの部分は取り上げたけれども、この部分は取り上げていないというところがあると思うわけでありますけれども、この点を簡明にお答え願いたい。
#33
○黒住政府委員 まず第一点は、治療費の適正化の問題でございますが、これは先ほどから申し上げておりますように、非常に基本的に重要な問題を含んでおりますので、早急に検討をさせていただきたいと思っております。
 第二点が交通救急医療体制の整備充実。これは直接法律の問題ではございませんで、これの充実をはかるためには、予算措置といたしまして、自賠特会のほうから補助金を差し上げております。
 それから三が休業補償費の限度額の設定でございますが、これは今回の法案の中に盛っております。
 それから四がメリット、デメリット制度の導入でございます。それには二つありまして、バラ契約のものと、フリート契約といいまして、まとまった会社との場合でございますが、フリート契約におきましては現在保険会社のほうで調査をいたしておりまして、実施のことで準備を進めておりますが、これは法律的問題ではございません。それからバラ契約の場合につきましては、これは非常に問題がございますし、ドライバー保険との関連において今後検討をしていきたいと思っております。
 それからさらに、メリット、デメリット制度の中の自動復元の廃止でございますけれども、今回の改正の案におきましては、死亡の場合におきます追加保険料という制度で、実質的な自動復元制度の廃止という点を取り上げております。
 それから五が加害者負担制度の問題でございますが、これは加害者の小額負担制度、それから酔っぱらい、無免許の場合の負担の点でございます。これにつきましては、種々の問題点がございまして、法律的な問題と実務上の問題がございます。したがいまして、今回の改正案には見送りまして、今後早急に検討する条項といたしております。
 それから六が自家保障制度の廃止、これは適用除外の点と一緒に取り上げております。
 七が重複支払いの廃止でございますが、これは重複契約のものと共同不法行為のものと二つに分かれるわけでございますが、前の重複契約につきましては、今回の改正案で措置をいたしております。
 八が免許証保険でございます。これはいわゆるドライバー保険でございます。これにつきましては、相当基本的な面もございますので、これは今後積極的に検討をさしていただきたいと思っております。
 最後の九は滞留資金の運用益でございますが、これは法律的な問題ではなくして、大蔵省のほうでもいろいろ措置をしていただくというふうに相なっている次第でございまして、要するに、この際、法律的に取り上げられるものはお願いをいたしたいということで、改正案を提案さしていただいた次第でございます。
#34
○斉藤(正)委員 大体わかりましたけれども、この答申の前文の末尾のところに、「従って、当審議会は、政府に対し、この際すみやかに総合的な交通安全対策を確立し、事故の防止に最善の努力を傾注することを要望する。」ということがありまして、総合的な交通安全対策を確立しない限り、この自賠法をいかに改正しようとも、いわゆる交通事故の対策は万全ではないという意味のことが書かれております。
 そこで、伺いたいと思うわけでございますけれども、わが国の交通事故は、自動車の急速な増加ということが一番大きな理由であろうというように思うわけでありますが、この答申にもありますように、わが国の都市における道路面積の占める割合は、東京が一三%、大阪が一二%、名古屋が二三%というようなことでありますけれども、これを外国の例に比べると、ワシントンは四三%、ニューヨークは三五%、ボストンは二五%というようなことで、非常に道路行政の立ちおくれが目立っておる。このことが一つの理由だというようにもいわれておるわけであります。しかし、この東京、大阪は例外といたしまして、名古屋が道路が占める面積が実に二三%ということで、ボストンの二五%とほとんど変わっていない。にもかかわらず、やはり交通災害は非常に発生をしておるということであります。しかし一方、自動車一万台に対する事故の発生を見てみますと、死亡者だけ申し上げましても、アメリカは一万台に対して五・二人、イギリスは七・八人、フランスは十・一人、西ドイツが十六・五人、日本は二十六・四人だというような統計が出ているわけでございまして、都市の面積に対する道路面積の比率が、交通事故に対する割合との関係からいくと、諸外国の例にはやはりマッチしていない。こういうことから考えましたときに、わが国の交通事故というのは、いろいろな総合行政の欠陥はあるにしても、たとえば道路行政だけが問題ではないというふうに考えられますけれども、局長は一体こういう統計的な数字から、わが国の交通事故の発生件数、特に死亡者の激増といったものをどういうように把握されておるのでございましょうか。
#35
○黒住政府委員 事故の原因は、交通環境の問題があると思うわけでございまして、交通環境の中には、道路の整備、それから適切な交通規制というふうな問題があるかと思います。それらにつきましては、建設省なり警察庁が所掌されております。われわれのほうの仕事は、自動車自体に対する検査あるは型式指定というふうな、自動車の安全性というものを所掌いたしておりまして、これにつきましては、御承知のように、保安基準というふうなものがございますし、昨年は欠陥車の問題がございまして、これらに対処してまいった次第でございます。
 それから、自動車の使用者に対する問題といたしましては、自家用車の個々の使用に対する問題は、直接は道交法の問題かと思います。ただ、運送事業者に対する運転手の労務管理、運行管理、それらの体制につきます監督はわれわれがやっておるわけでございまして、これらにつきましては、従来から監督いたしておりますけれども、さらに今後運行管理者等の教育、研修というふうなものを徹底してやりたいと思っておる次第でございます。
 さらに、最近におきましては、高速道路におきますところの事故の被害を出しておる場合がございますので、それに対処しての運行管理だとか車両管理体制とかというようなことにつきましては、今後徹底を期していきたい。要するに、交通事故の防止につきましては、御指摘のように、各方面に関係があるわけでございますけれども、総合的な対策と同時に、われわれが担当いたしておりますところの面につきましては、さらに一段の努力をいたしたいと考えております。
#36
○斉藤(正)委員 そこで、若干法案の内容について伺ってみたいと思うわけでありますが、自賠法で、賠償責任者は自己のために自動車を運行の用に供する者であるが、この法に基づく責任保険の被保険者の中に運転者が含まれている。自賠法に基づく損害賠償責任と保険との関係、運転者が被保険者の中に含まれている理由、おわかりでございましょうか。運転者は民法七百九条の不法行為責任を負うものではないかと私は考えておるわけでございますけれども、運転者が被保険者の中に含まれているのは、商法六百六十二条にいう第三者の範囲から運転者を除外するために設けたものであるのかどうなのか。ややこしい問題でありますけれども、基本的な問題でございますので、この点を伺いたい。
#37
○黒住政府委員 わが国におきます不法行為に対する賠償責任といたしましては、民法七百九条でございます。それに対しまして、七百十五条は報償責任というものを規定をいたしております。それで、この報償責任制度を見ました場合に、従来のいわゆる所有者側の責任といたしましては七百九条、あるいは報償責任として七百十五条がございますけれども、今回の自賠法におきましては、それらの責任を、いわゆる過失責任主義という民法の原則に対しまして、絶対的な無過失責任主義ではございませんけれども、無過失責任主義に近寄る、すなわち、事故がありました場合においては、まずその保有者側に責任がある。それを免れるとすれば、保有者のほうでいろいろの措置をしたということを挙証しなければならないというふうに、挙証責任を転換いたしたものでございまして、それには自動車という危険物を持っている者の危険責任あるいは報償責任があるのであるということとしたわけでございまして、運転手よりも保有者のほうが責任がある、また賠償の能力もあるということで、三条はその責任を強化したわけでございます。
 それで、今度は保険でございますけれども、保険は、自賠法の十一条で責任保険の内容が規定してあります。その内容のまず第一は、保有者の責任をカバーする。同時に、運転手も七百九条で責任はあるわけでございますから、その責任についてもカバーするというふうにしたわけでございます。商法の関係につきましても、それがいわゆる被保険者になっておりますので、求償はしないというふうに考えております。
 運転手の責任をさらに三条のような過失責任主義から前進させたらどうかという点でございますけれども、これは他の労働者との関係等で、運転手だけをそのように七百九条に対して例外的に前進させてしかるべきかどうかという問題が根本的にあると思います。それで、基本的には、危険物たる自動車を持っている者、これを管理している者に、通常の七百九条よりも重い責任を課しておるのでございまして、わが国におきましては、非常に前進した制度だと思っております。したがいまして、この賠償責任というものをさらに今後どう考えるかにつきましては、不法行為の法制度全体の一環としての問題として検討をしなければならぬと考えます。
#38
○斉藤(正)委員 大体わかるわけでありますけれども、この思想は、いわゆるペーパードライバー保険、要するに、運転免許を持てば、その運転免許証に付随して保険加入の義務を負わせられるというような考え方への発想点とならないのかどうか。また、答申にありますように、ペーパードライバー保険等につきましては考えなければならぬということがいわれておると思うのでありますけれども、その辺との関連についてはどのようにお考えになっておるのか。また、ペーパードライバーに対する保険の義務の賦課というような問題は、先ほどの説明では問題があるというようなお話でございましたけれども、しかし、これは今日的な課題として、当然真剣に取り組まなければならない問題だというように思うわけでありますけれども、その辺の見解はいかがでございますか。
#39
○黒住政府委員 報償責任の点から申し上げますと、現在のように保有者が保険に加入しなければならない、それの責任を第一義的に取り上げてものが解決するわけでございます。したがいまして、この法律はそのように構成されておるわけでございます。しかしながら、最近の事故におきますところのドライバーの責任というものを考える必要があるのではないかということと、それからメリット制等を導入する、すなわち、事故を起こした者と起こさない者との社会的な責任というものを差をつけるほうが公平じゃないかという要素を導入するとすれば、ドライバー保険ということになるわけでございます。したがいまして、そういう面から検討をさしていただく。そうなりますと、今度は法律的な構成の問題になってくるわけでございまして、現在の保険の制度にプラスして、上積みとしてドライバー保険を考えるのか、併置さすかということでございます。併置する方法の場合におきましては、現在の十一条の保険は保有者の保険とする、そうしてドライバー保険はそれとは別のものとして制度を設けるというわけでございます。その場合におきまして、今度は責任の順序、すなわち、保有者の責任とドライバーの責任というものをどう規定するかという場合に、ドライバー責任を七百九条から三条的なものに進めていくという方向のもとに保険制度を充実さすということがいいのか。しかしながら、それは保険の制度よりももう一つ前に、ただいま申し上げましたように、ドライバーにそれだけの過重な責任を課すべきかどうかという問題がございます。その責任の問題を解決した後において、両保険の組み合わせの検討に入るというふうな順序で、われわれといたしましては、責任の関係と保険の関係というものを、そういうふうな関連のもとにおいて検討を進めたいということを考えております。御承知のように、責任の問題は法務当局が実は所掌されておりますので、それらと、今度は保険の方面は大蔵省なり運輸省でいろいろ関与しておるわけでございますので、それらの関係のところで、ただいま申し上げましたような意味合いの検討をすでに進めておるわけでございますし、なるべく早くその結論を出して十分考えたいと思います。
#40
○斉藤(正)委員 総合的な見地から検討をされている、そしてなるべく早く結論を出したい、こういうお答えでありますけれども、目ざす方向として、いわゆるドライバー保険といったようなものを実施する方向で検討するのか、あるいは答申にもあるので一応検討をしてみるということなのか、あるいはどちらにウエートを置くか、所有者に置くのか、運転者に置くのか、あるいは全く並行に置くのか、格差をつけるのかというようなこと、いろいろ問題はあるといたしましても、答申にあるから検討をしているんだということなのか。答申にあることは、もちろん審議会が必要を認めて答申に盛ったと思うわけでありますけれども、一体これは実現の方向で検討をするのか、あるいは検討の結果、もうそういうことは法律の上からも不可能というような明らかな見通しを持っておられるのか。およその見通しとして、一体このドライバー保険の設置は実現の方向を向くのか、あるいは検討の段階で終わってしまうのかという点についてはいかがでございましょうか。
#41
○黒住政府委員 これは審議会で御指摘されただけではございませんで、各方面から人の要素をこの保険にも導入すべきではないかという強い御意見がございます。したがいまして、われわれといたしましては、それに伴いまして、人の要素を入れるためのドライバー保険を考えますためには、法律的な関係等を十分解明いたしまして、できるだけこれを実現するように検討をしていきたい、かように思っております。
#42
○斉藤(正)委員 ぜひそういう方向で検討していただきたいと思うわけでございますが、運転手については、使用者が保険料を負担するということもあり得るわけでございます。たとえば労災保険の保険金については、これは使用者が負担をするというような制度も、すでに法律の制度としてはあるわけでございますので、答申でもそういうような意味のことをいっております。すなわち、「加害者が個人の全責任において」というようなことばもあるわけでございますから、ぜひこの点は検討をいただいて、やり方としては、いわゆる交通事故の頻発ということは、運転者の自覚にまたなければならない問題も多々ある。その際、やはり被害を受けた者にしても、被害を加えた者にしても、保険制度というものの恩恵に浴するという意味からいきましても、やはりドライバーに保険をかけさせる、この方法は、この際前向きに検討すべきだというように思って申し上げているわけであります。
 次に、十四条の免責について伺いたいと思うわけでありますが、いわゆる悪意、明白な故意の事故だったというような場合があるわけでありますけれども、たとえば酒酔いの運転、無免許の運転等の場合、加害者負担を考えてもよいのではないかというように思っております。一時政府が被害者救済をまずやっておいて、後刻加害者に政府が代弁をしたものを要求するというような制度は、当然考えなければならないというように思うわけでございますけれども、この十四条の免責条項につきまして、どのようにお考えになっているのか、伺いたい。
#43
○黒住政府委員 十四条の免責は悪意でございまして、悪意というのは、人をひいてやろうというふうな場合でございまして、これは保険の中に入れるのは非常に矛盾があるということで、保険の中に入っていないわけでございます。あとの問題は、酔っぱらいだから人を必ず傷つけるというふうな意識のもとにやっているわけではございませんので、酔っぱらいなり無免許につきましては、保険の事故としてなっているわけでございまして、なるべく保険の中に入れて、保険で入らないものは例外的に保障事業でもって被害者を救済しようというのがこの法律のたてまえでございます。
 ところで、最近酔っぱらい、無免許等が多いわけでございまして、これを加害者負担にしたらどうかというのが一つの意見でございますが、加害者負担にしてとりあえず立てかえ払いを保険会社がし、保障事業がそれを払っていくということになりますと、現在の保障事業の債権の回収率というものは一割五分でございます。そうすると、八割五分の債権が回収できないとすれば、その金は善良なるそのほかの人にかけなければならぬということになりますと、保険の現在のこととほとんど変わりがなくなるというふうなことと、それからそういう手続きをやることによりまして、保障事業のほうの仕事も相当ふえるというふうなことで、これが否定論でございます。しかしながら、無免許、酔っぱらいというようなものに対しましては、やはりデメリット制というふうなもので考えたらどうかというふうなことも考えられるわけでございますが、直ちにいま保険事故からはずしていいかどうかという点については、私個人といたしましては否定的に考えておりますのは、ただいま申し上げましたような理由でございます。それで、人の要素を導入するというためには、やはり免許証保険というふうなものも総合的に検討する必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#44
○斉藤(正)委員 大体わかりました。
 次に、強制自賠と別に任意保険をやはり契約をしているのが多いわけであります。これは、保険限度額が十分でない、まあ上げられたにしても、なお今日人命尊重といったような見地からいきますれば、はなはだ不十分なために、さらに任意の保険加入が行なわれているというのが実情であろうと思います。そこで、数字的に少し教えていただきたいのですけれども、この任意の保険に加入をしている件数は、一体車の台数に対してどのような推移になっておるのか、最近の数字がおわかりでしたらお答えを願いたい。
#45
○黒住政府委員 任意保険の直接の監督は大蔵省のほうでされておりますので、大蔵省のほうで詳細な御説明が御必要ならされると思います。
 自動車のほうは、われわれももちろん関与しておりますので申し上げますと、任意保険の対人の賠償の加入率は四十一年度末におきまして三五・一%、四十二年度末が四二・三%、四十三年度末が四八・二%というふうに逐次上昇はいたしておりますけれども、まだ五〇%に達しておりません。われわれといたしましては、強制賠償制度というものが最低の保障措置として考えるけれども、最近のような事故がふえているというふうな場合におきましては、被害者のためにも、あるいは自動車所有者といたしましても、自動車を運転するについては、やはり任意保険にも加入をして賠償能力を自主的にもプラスしていくということが必要でございます。特に自動車運送事業者の場合におきましては、大きな事故を起こしますと、その会社の企業の永続にも影響があるような事態がありますので、われわれといたしましても、任意保険にはさらに加入するように指導をいたしている次第でございます。
#46
○斉藤(正)委員 そこで、保険会社の実情を調べてみますと、自動車損害保険を扱っている会社は、国内会社が十九社、さらに外国会社が十二社も進出してきております。一体、国内会社の十九社はわかるといたしましても、外国会社の十二社は、なぜ日本に向かってこのような多くの保険会社が進出してきているのか。日本の自動車損害賠償保険というのはもうかるのか。それほど外国が投資をしてまで進出してくるだけのコマーシャルベースが合ってきているのか。どういうことなのか、若干理解に苦しむわけでありますけれども、大蔵省はもちろん御存じだと思いますが、直接担当の自動車局長、この外国保険会社の十数社の日本進出というのをどういうようにお考えになっておりますか。
#47
○渡部説明員 お答え申し上げます。
 外国保険会社が日本に進出いたしましたのは、いわゆる終戦後の占領下時代において許可を受けて入ったものでございます。ただ、昭和三十年代に、フランスとの間で相互主義の関係で、日本の会社が向こうに出ていった関係で、フランスの会社が一社入ってきております。その後、そういう外国会社の進出というものは認めておりません。
#48
○斉藤(正)委員 仄聞するところによると、加入の手続、それから保険金の支払い、それから保険料の徴収その他において、外国会社のほうが非常に親切であり、丁寧であり、簡便だというところに、日本のいわゆる契約者も外国会社に契約をする例が多い。日本の保険会社はその扱いにおいてきわめて複雑であり、そして遅鈍であり、不親切だというようなことが、外国会社に契約をする最大の理由だ。進出してきた理由は、いま伺うと、占領政策の間に、フランスの一特定会社を除いては入ってきたものが続いて運営をしているのだ。フランスのものにつきましては、日本も出かけるが、向こうからも来るという相互関係から、新しく三十年以後に出てきたということはわかりましたけれども、いま巷間いわれているような理由がないのか、あるのか、この点は監督官庁としてどのように把握されておりますか。
#49
○渡部説明員 お答え申し上げます。
 外国会社の場合には、いろんな加害者と被害者との間に争いになった場合に、いわゆる示談代行、示談の仕事を代行する、こういうようなことも引き受けているようでございます。したがって、その点では非常に親切だとか、あるいは場合によっては迅速というような面もあるんじゃなかろうかと思います。ただ、その示談を代行しているために、保険料が日本の会社の保険料に対して一割ないし二割程度高目になっておる、このように承知いたしております。
#50
○斉藤(正)委員 これは加害者にいたしましても、被害者にいたしましても、保険に入っているから、相手の車が保険に入っているからというようなことで、かなり安心感があるわけなんですよ。ところが、この手続たるや非常に複雑であって、なかなか受給の段階に到達するには時間がかかるというのが、いまの自動車損害賠償保険の最大の盲点だというようにもいわれておるわけでございます。もし外国会社にして若干の保険料の高さはあるにしても、そうした利便があるとするならば、国内保険会社に対しましても、そういう行政的な指導といったようなものは当然行なわれてしかるべきだというように考えております。私は、保険料を引き上げることを要求するわけではありませんけれども、運営上、監督官庁としての指導はぜひ適切にやっていただきたいというように要望をいたすわけであります。
 次に、自動復元制度が今回はなくなるわけであります。この自動復元制度がなくなるということになりますと、無保険の車が運行される時期というものがわずかの時間でもあり得ると思うのですが、無保険の車は自動復元制度がなくなっても全くないと言い切れるものかどうか、局長いかがですか。
#51
○黒住政府委員 自動復元制度を形式的、実質的に完全に廃止するならば、いま御指摘のような点が起きてくるわけでございますので、それらのことがないように今回の分は措置をしたいということで、人を死に至らしめた場合におきましては、自後の保険期間に相当する追加保険料を追徴するということでありまして、保険契約というものはその後に継続いたしておりますので、無保険の状態にないようにしたいということが、今回の法案になっておるわけでございます。
#52
○斉藤(正)委員 実際の問題としては、三月十八日に事故が発生をした。人が死んだ。その事故が発生した時限で無保険になる。しかし、再保険の契約期間は三月二十五日であっても、十八日の死亡時限から三月二十五日までの間を遡及して、あとで契約する保険で適用をしていくというように解釈してよろしいか。
#53
○黒住政府委員 もとの保険がそのまま契約としては継続しておるわけでございまして、ただ保険料だけを、事故死ということを保険会社は知りましたならば、加入者に対して追加保険料を払いなさいということを通知するわけでございます。したがいまして、契約自体はずっと前からのものは継続しておりますので、無保険の状態というものはないわけでございます。
#54
○斉藤(正)委員 局長の答弁のとおり解釈して、一度保険に加入をすれば、事故が発生をしても、その直後からでもなお前の保険の契約が生きており、保険料納入によってカバーをしていくのだから、無保険の車は絶対にちまたに出ていない、一台もないというように解釈してよろしいか。
#55
○黒住政府委員 本件につきましては、おっしゃるとおりでございます。
#56
○斉藤(正)委員 答申によりますと、四十四年と四十五年の二段階に分けて保険料を引き上げることが望ましい、こういうことが書かれておって、四十四年の引き上げを拝見いたしますと、かなりの高率で引き上げております。昨年の秋引き上げをやって、続いて四十五年度にまたかなり大幅な引き上げが予想されるわけでありますけれども、前回程度の引き上げを昨年に続きことしもなおやろうとしているのか、どうなのか、お考えを伺いたい。
#57
○黒住政府委員 保険審議会の審議の当時におきましては、最初二・七倍くらいのものを上げなければ保険収支が償わない、将来に向かってはこれを考えなければならないということでございました。ところが、激変緩和というふうなこともございますし、またいろいろ再検討をいたしました結果、おおむね二倍程度ということになったわけでございます。しかし、これも相当な高率の引き上げでございまして、同時に、この制度の改善によりまして、将来引き上げ要素というものをなくする努力をすべきであるということで、制度改善について審議会からも指摘されたところでございます。したがいまして、われわれは、先ほどからいろいろ問題になっております治療費の適正化という問題なり、そのほかの問題を検討いたしまして、制度の改善によって保険料改定の要素というものを極力少なくしていきたいということで、さしあたりといたしましては、その方向に努力を進めていきたいと思っておりまして、その次の保険収支というものは、その後の経過を見まして、どうするかということは将来検討すべき問題であると考えております。
#58
○斉藤(正)委員 そうすると、昨年の大幅引き上げに続いて本年どうするかという点については、今後の検討に待たなければならない、まだ本年続けてやるかどうかということについてもきまっていないというように解釈してよろしいか。
#59
○黒住政府委員 まずわれわれといたしましては、制度の改正に取り組むということの仕事を始めておる次第でございまして、あとの問題につきましては、現在はその後の推移を見て検討するというふうに考えております。
#60
○斉藤(正)委員 先ほど同僚井野君からお尋ねいたしましたけれども、結局この赤字の解消は、責任保険制度の改善と、もう一つは治療費の適正化、診療基準の明確化、これが最大の課題になると思うわけであります。で、自動車関係の各団体は、メーカーを含めて、自動車事故による医療費の問題について、それぞれかなりきつい決議をし、要望をしていることは、局長も御存じのとおりだと思います。実態は、同僚からお尋ねしたとおりの運営がなされておるわけであります。これは局長お一人の、あるいは運輸大臣だけの問題ではなくて、国全体の問題として、当然抜本的な検討をしなければならない問題であろうというように思うわけでございますので、この際、強くこのことを要望いたしておきたいと思うわけであります。
 大臣がお見えになりましたので、最後に一言だけ伺いますけれども、この自動車損害賠償保険法がどのように改正されましょうとも、私は、交通事故の救済の一助にはなりましても、交通事故撲滅のためにはならない、やはり国があげて総合行政を推進しなければどうにもならない問題だというように思っておるわけであります。
 大臣のお留守中に、日本の道路の現状あるいは自動車一万台に対する負傷者、死亡者等の実例も申し上げて、総合行政が必要であることを言ったわけでありますけれども、閣僚の重要メンバーとして、交通対策として抜本的な対策を政府が確立するために、運輸大臣としてどのような決意を持っておられるのか、最後にお尋ねをいたします。
#61
○橋本国務大臣 斉藤さんのおっしゃるとおりでありまして、これはひとり運輸行政だけでは解決がつきません。のみならず、先ほどからお話がありましたが、私は自動車が凶器であるという考え方はやめなければいかぬと思います。機械に責任を負わせるという考え方自身がおかしい。でありますからして、交通事故の実際上の分析をしましても、それはちゃんと運転をしておれば、交通事故は起きておらないのであります。酔っぱらい運転とか無免許運転とかいうものの数がだんだんとふえてきておる。そういう意味において、私は、いわゆる自動車が凶器であるのは、結果的にそう判断されるのであって、したがって、人間自身の教育あるいは環境、すなわち道路等の環境等を整備していくということによって、これは総合的な対策を立てなければならぬ。私は、さきの閣議におきまして、いわゆる交通事故を絶滅するということはわれわれの一大使命である、したがって、あらゆる面からこれを検討する必要があるが、交通教育を学校でやるにいたしましても、単なる右側通行とか左側通行とかいう程度の教育ではそれはだめなんだ、根本的には人間がこういう機械文明の中にあってどう処するべきか、機械をどう人間が考えるか、この問題から始まらなければいかぬ、したがって、幼稚園から学校教育に至るまで、すなわち、交通道徳、近代科学における人間の知恵、こういう問題から発足していかなければ、根本的にはそこから出てこなければいけないということで、文部大臣にもその旨を要請をいたしたのであります。
 しかし、それは基本的な問題でありますから、現実的にはどうすべきかというときに、私はそのときに、やはりこれは総合行政といいますか、関係閣僚が十分なる力を合わせて、少なくとも四十五年度においては前年度よりもダウンさせる、そして十年間には死亡、負傷を含めてこれを減少させていく、こういう一つの大きな目標を抱いて、そのもとに思い切った抜本的な措置を、たとえば道交法におきましても、あるいは交通規則につきましても、講ずべきである、こういうことで、対策本部長である山中君のところにおきましても、現在思い切った方法を考えて、あるいは一部の人には御迷惑をかけるかもしれませんけれども、人命尊重の上から抜本的な措置を講ずるようにということで、政府は全力をあげてこの問題に取り組んでおるので、皆さんにおいてもぜひ御協力を願いたい。心からお願い申し上げます。
#62
○斉藤(正)委員 ここ数年来、あらゆる角度から、総理の本会議の答弁においても、各種委員会の所管大臣の答弁においても、そういうことはもう繰り返されてまいりました。しかし、一向に減らなくて、増加の傾向は続いているわけでございます。ぜひ七〇年代のこの交通戦争対策は、いま大臣のお答えのような総合行政の中から、しかも運輸大臣がイニシアをとって、ひとつ陣頭指揮をいただくように強く要望するものであります。
 終わりに臨み、資料をぜひお願いいたしたいと思うわけでありますが、自賠責の特別会計があるわけであります。この実態はどうなっておるのか。四十三年度分の集計が出ておりましたならば、ぜひ四十三年度をまとめて御報告をいただきたい。なお、四十四年につきましても、わかっている範囲内で御提出をいただきたいと思うわけであります。
 もう一つは、再保険の運用益について、これまた資料をお願いをいたしたい。年度につきましては、四十三年度一年分、さらに四十四年度でわかっている範囲の月までぜひ御提出をいただきたいと思うわけであります。
 以上、資料を要求して、私の質問を終わります。
#63
○徳安委員長代理 渡辺武三君。
#64
○渡辺(武)委員 私は、まず今回の法改正に至るまでの経過と原則につきまして、最初御質問を申し上げたいと思います。
 昨年の十一月一日にこの自賠責保険料率が大幅に引き上げられたわけでございますが、その際、自民党政調会の四部会合同会議と、この自賠責制度の抜本的改正を行なうという政府との約束が取りつけられたというふうに新聞で報道されておりますけれども、まずその真相についてお聞かせ願いたいと思います。
#65
○黒住政府委員 自賠責審議会に対しましては、昨年の七月八日に、大蔵大臣から山田会長に対しまして諮問が出ております。それは自賠責保険の保険金額を引き上げること、それから保険料率を改定すること、並びに農業協同組合等の行なう自動車損害賠償責任共済の掛け金率の変更に関すること、その他、当面する諸問題について意見を求めるということでございます。
 それに対しまして、十月七日と、また十月三十一日に答申が出ておりまして、十月七日の答申は、保険金額の改定、保険料率の改定の問題と制度の改善に関する問題でございます。三十一日の御答申は農協の共済に関するものでございます。
 これを受けまして、いろいろ政府部内におきましても検討をし、いま御指摘の自民党におかれましても検討をされたわけでございます。それで、料率の改定、保険金額の改定、それから農協の自動車に対する共済の関係につきましては、いろいろ検討の結果、十一月一日からこれを実施するというふうに決定した次第でございます。制度の改正につきましては、法律改正を要する問題と実行でもって実施できる問題と二つあるわけでございまして、先ほどお尋ねがありましたときに申し上げましたように、実行上可能なものはなるべく早く実施をする、また法律的に改正を要する面につきましては極力これを改正するということで、今回はこの法律改正を要するものにつきまして、現在結論を得ましたものを御提案を申し上げたわけでございます。しかしながら、医療の問題をはじめとする基本的重要な問題につきましては、引き続き検討いたしまして、なるべく早く結論を得て、法律を要するものにつきましてはあらためて御審議を得たい、そういうふうな順序に考えておる次第でございます。
#66
○渡辺(武)委員 若干答弁が食い違っておりますけれども、この料率改定に伴って現行のままでいけば二・七倍くらい引き上げなければ、この保険財政が崩壊をする。しかし、いろいろな問題から二倍程度にとどめられている。その結果、必然的にこの制度の抜本的な改正をしなければならないということが出てまいると思うのです。そのために、いろいろなお約束をされたというふうに実は新聞で見たわけでございますが、検討するとかなんとかいっておられるけれども、私は、そのようなことが実際に実行されていかなければ、せっかく二・七倍という料率が二倍に引き下げられましても何にもならない、ちょっとほこ先を転ずるだけに終わってしまうというふうに考えるわけでございますので、その辺については、今後も抜本的な改正の努力というものを続けていただきたい、かように考えるわけでございます。したがって、今回提案をされておりますこの法改正は、自賠責審議会が答申をいたしましたその主要項目というものをほとんど盛り込まない、いわゆる骨抜き改正案だ、そういう非難がございますし、さらには大蔵、運輸の妥協政策ではないかというような非難が行なわれておるわけでございますが、具体的に大蔵省と運輸省とのどのような見解の相違があったのか、お尋ねをしたいと思います。
#67
○黒住政府委員 御指摘の重要な問題といたしましては、治療費の問題等がございまして、これにつきましては、今回法案を提出するまでに至ってないわけでございまして、これは引き続き両省あるいは厚生省等にお願いをいたしまして、検討をしていこうということでございます。
 それから、あとの加害者負担の制度の問題、酔っぱらい、無免許の場合の免責の問題等があったわけでございますが、この答申におきましてもいろいろ指摘しておりますように、たとえば無保険に対する対策というものも並行して考える必要があるから、そういうものも総合的に検討しろというような答申もございました。したがいまして、われわれといたしましては、答申の内容をなるべく実現することによって保険財政を健全化するという要請と、それからそれを行なうことによって被害者の保護というものが欠けるおそれはないか、そういうものに対する手配というものをどのようにしていくかというような点があるわけでございまして、それらの点につきまして、両省においていろいろ議論を繰り返してきたわけでございます。したがいまして、その問題の所在につきましては、全く認識が同じでございます。それで、とりあえず今回御提案申し上げましたものにつきましては、これでひとつお願いをしようということで意見の一致を見たわけでございますし、今後の検討事項につきましても、全く同じ事項につきまして協力して検討しようということに相なった次第でございまして、保険財政の確立の点と被害者保護の点、実務をやるのにいかにして円滑にやっていくかというようなことにつきまして、熱心に議論をしてまいった次第でございまして、現在まで食い違いはない次第でございます。今後も協力いたしまして、制度改正につきましてすみやかに結論を出していきたい、かように考えております。
#68
○渡辺(武)委員 いずれにいたしましても、現行制度のままでは二・七倍程度の引き上げをしなければいけない。これは当時いわれておったことでございますが、それが御承知のように、実際は二倍程度の引き上げにとどめられたわけでございますので、したがって、その抜本的な改正を急がなければ、再びまた料率改正という問題が出てまいると思います。先ほど質問の中にもいろいろ議論があったようでございますが、私はこの際はっきりしておきたいと思うわけですけれども、この主要項目である治療費の適正化ということを解決しなければ料率の再引き上げをしないということについて、大臣の考え方をお聞かせ願いたい。私自身は、いまのような不明瞭な状態のままで料率の再引き上げには応じられない。こういう意見がきわめて多いわけでございまして、これについての大臣の所見を伺いたいと思います。
#69
○橋本国務大臣 おっしゃるように、一つの歯どめとして、そのような考え方もしなければならぬとは思いますけれども、ただ、この問題については、これは基本的な考え方ですが、日本の行政の中ではややもすれば縦割り行政になっておりまして、この縦割り行政の中で、自分がやっておることは何もかも自分がやらなければならぬような制度は必ずしも適正ではない。たとえば、いま言った自動車障害における医療費の問題等の制度にしましても、やはりこれは運輸省自体がその制度についての協力といいますか、推進することはけっこうでありますが、それ自体の制度は厚生省というところできちっときめなければ、実際上の問題としてそれらの専門家もおらない。たとえば、もし立法の中で立ち入り検査というものが必要だということが出てまいりますと、そういうものを運輸省だけの自賠法だけでそのような制度ができるかというと、なかなかむずかしい問題があると思うのであります。したがって、この保険制度といいましょうか、医療保険制度等では、基本的には所管している省が全面的にこれを進めていくという体制――もちろんそれに対して関係省が協力することは当然でありますけれども、自分自身だけでこの問題を解決するということが事実上困難であるのみならず、必ずしもそういう方法がいいとは考えておりません。のみならず、いま言った自動車保険の健全財政というものは、そうした医療制度に対する基本的な改正も必要であると同時に、この事故を少なくしていくという方法がどうしても必要であります。その意味において、いろいろなむずかしい点がありましても、ドライバー保険というものは、何としても本人の自覚を促すために、これはいろいろな問題があるとは思いますけれども、そういうものを乗り切ってドライバー保険はこの際実現していく、そうして機械は人間が使うのだ、使う人間が責任を持たないという状態はもう何としても改革しなければならぬ。そういう意味で、自動車保険の中心は、いま言った医療制度の改善と、もう一つはドライバー保険というものに重きを置いていくべきである、かように考えてまいりたいと存じます。したがって、先ほど自動車局長がお答えいたしましたが、これからまた保険料金が本年のうちにでも上がるのではないかということに対しましては、必ずそうならないように、いま言ったような総合的な対策を立てて、短期間に上げるというようなことはできるだけ避けていきたい。ただ問題は、保険金額が大きくなってまいりますれば、これは当然でありまして、百万円の保険に入るのと一千万円の保険に入るのと、料金が違ってまいりますから、そういうふうな実態の変わってくる場合は別でありますけれども、そうでない限り、現行金額において料金を上げていくという考え方はできるだけ避けていきたい、かようにわれわれは考えております。
#70
○渡辺(武)委員 どうも焦点がぼけてまいるわけでありますけれども、確かに医療費の問題は厚生省所管だから、運輸省としてそこまで立ち入ることはむずかしいとおっしゃるのはわかるわけですけれども、しかしながら、国務大臣として、運輸省が所管をするこの法案の中の重要な事項である。しかもその治療費そのもののいろんな矛盾点、これはもう前の人たちがいろいろ言っておられますように、大臣も十分におわかりになっておることだと思います。したがいまして、そういう立場に立って運輸省としては一体どうするのか。そのような不明朗なものが解決されなければ、運輸省としては再び料率改正ということには取り組まないぞ、こういう姿勢を運輸省自身としてお持ちになっていただかなければいけない。その点について再度お尋ねをしたいと思います。
#71
○橋本国務大臣 おことばを返すようでありますが、この自動車保険制度というものは、けがをされた人、死亡された人を保護するものであります。したがって、これができなければ保険金を上げないぞ、こういう性質のものではないと思います。であるからして、運輸省としてはできるだけの資料を整えて、厚生省に対してこれが促進方をやることについては、いわゆる主導権は持っておりますけれども、制度それ自身は厚生省がやる保険の中でやはり考えるべきではないか。それは、自動車は運輸省である、それから今度は汽車でけがをした人は国鉄だ、こういう性質のものではないと思うのです。私は基本的な議論を申し上げたわけです。であるからして、けがをされた人、死亡された人を保護するのは、もちろん運輸省のたてまえでもあり、政府のたてまえでもありますから、こういうことができなかったらその人に対してはこれ以上の保護をしないんだというものの考え方は、われわれはいたしません。私は、運輸省自身がこの制度をつくるかどうかという問題については、原則として厚生省がつくるべきである、このたてまえを堅持してまいりたいと思っております。
#72
○渡辺(武)委員 保護をするとかしないとかいう問題ではなくて、いまのこの治療費そのものがきわめて不明朗だ。しかも一般の健康保険等に比べて、非常に不当な料金が徴収されておる。したがって、そういう不明朗な問題を解決しなければいかぬ。これは被害者を救済するとか治療するという問題とは別だと思う。現行制度のままでも、当然人の命は最優先に尊重してもらわなければいけませんから、治療に万全を期していただかなければならない問題なんですけれども、別の問題として、医療の不当な要求が随所に起こっておる。こういう点をやはり改正をしてもらわなくてはいかぬ。これが私は一番問題であろうかと思いますので、ひとつ政府として、責任をもってこの治療費の根本的な解決に当たっていただきたい、これを強く要請しておきたいと思います。
 次には、法の改正の内容に入ってまいりたいと思いますが、まず第一に、いま申し上げております治療費の支払い額というものが、この保険財政を悪化せしめる最大の原因であるというふうに思います。実際にこの支払い総額に対する治療費の支出の割合はどの程度になっておるか。
 さらに、答申の中にございます治療費の支払いの適正化という問題がございますが、これはいまもいろいろお答えに困っておられるように、きわめて複雑怪奇な問題が介在をいたしておりますので、なかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、当面は暫定措置としてやってもらいたいということも、答申の中に含まれておるわけでございますが、残念ながら、今回の法改正の中にはその暫定措置すら盛られておりません。したがいまして、この暫定措置に対してどのような進め方をしておられたのか、お聞きをしたいと思います。
#73
○黒住政府委員 先ほどちょっと御答弁で申し上げましたが、支払い保険金の中で治療費の占めます分野が、四十二年度が二九・七%、四十三年度が三二・七%、四十四年度が三五・五%というふうに、逐次上昇をいたしております。
 次に、治療費の支払いの適正化についての暫定措置の問題でございますが、暫定措置といたしましては、治療費の明細書の添付を励行してもらうというふうな点につきまして、省令の改正を現在検討いたしております。そのためには、自動車保険料率算定会におきまして、この自賠の保険医療費の調査団が設けられまして、それの資料の収集というふうなこと等の調査の作業をいま進められておりますので、これらの調査と相まちまして、そしてまた医師会のほうの御協力を得まして、治療費の明細書を添付するというふうな点の省令改正を準備をしていきたい、これを暫定的に考えております。
#74
○渡辺(武)委員 いまも御説明をいただきましたように、この治療費の支出というのが支払い総額に対して三十数%というように多額に上っておるわけでございます。したがいまして、やはりこれの根本的な解決策を考えていかないと、この保険財政の将来というのは、非常に大きな問題点があろうかと思います。
 さらに、当面の暫定措置につきましては、いろいろ考えておるとか、省令改正の準備をしておるとか言われておりますが、具体的にいつごろまでに実施できる予定か、お聞かせを願いたい。
#75
○黒住政府委員 この治療費明細書添付の点につきましては、早急に実施したいと思います。
#76
○渡辺(武)委員 具体的に、大体何月ごろにできる見通しかということをお尋ねしたわけですが、また早急にということばが返ってまいりました。早急という定義をひとつ聞かしていただけませんか。
#77
○黒住政府委員 これもいまの算定会において内容的な調査、準備的な仕事をやっていただいておりますので、それとの関連があると思いますけれども、早急と申し上げますのは、一、二カ月のうちと思います。
#78
○渡辺(武)委員 それでは次に移ります。
 休業補償の限度額を設定することができるという法改正でございますが、この具体的な限度額、これは政令でお定めになると思いますけれども、幾らにしようとしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
#79
○黒住政府委員 審議会の御答申では二千円というふうになっております。これは勤労者の所得水準の現状を勘案いたしまして、政令で今回はきめることになっておりますので、一応二千円というのは、四十三年の十二月におきますところの抽出検査をした結果で、これのカバー率が金額で七六・三%をカバーするようになっております。したがいまして、その後の所得水準でもって決定するわけでございますけれども、議論といたしましては二千円か、さらにそれにプラスアルファというふうなことになると思います。それは政令で、そのような意味におきまして検討いたしまして、決定をいたしたいというふうに思っております。
#80
○渡辺(武)委員 なるほど答申案を見ましても、一日当たり二千円とすることが適当だというふうにいっております。この勤労者の所得水準の現状を勘案してということになっておりますけれども、二千円というのは、つまり一日当たりの最高限度なんですね。そうしますと、従来実績から勘案をしまして、従来実績が大体二千二、三百円におさまっておるということのようでございますが、従来実績が二千二、三百円におさまっておるということは、これよりも相当高い人もあった、もちろん低い人もあったでしょう。加重平均が二千二、三百円という数字が出てきておると思いますけれども、今回お定めになるのはいわゆる最高限度だ。したがって、被害者を救済するという面では、従来よりきわめて後退をするのではないか。保険財政そのものを好転させるという面ではメリットがあるかもしれませんが、被害者を救済するという法の趣旨からいって、このような平均値を最高額に持ってくるということがはたして妥当かどうか、この辺の御見解をただしたいと思います。
#81
○黒住政府委員 保険財政の好転という理由もございます。しかし、保険制度は最低の保障をするということでございますから、非常に収入がある人に対しましても、一定の金額の限度でもってきめたほうが公平ではなかろうかということできめたわけでございまして、被害者のほうを後退するというふうには考えていない次第でございます。ただ、いま御指摘の、二千円では安いのではないかという点につきましては、審議会の御答申のときの資料をつくりましたときと、その後の変化等もございますので、それらを勘案いたしまして、これは政令でございますので、関係省でもって打ち合わせてきめることになっておりますから、新しい資料に基づきまして、相談をして決定をいたしたいというふうに考えております。
#82
○渡辺(武)委員 いままでの実績値がすでに二千円を上回っておる。しかも、賃金水準というものは、御承知のように、いま年々相当大幅に上昇をいたしておる。これは政府の政策が悪いために、物価がどんどん上がるからやむを得ないことでございます。したがいまして、いままさにきめられようとしておるこの水準が、従来実績よりもやや低い線できめられようということは、すでに出発点からそこに大きな矛盾があるのではないかと思います。いまそういうような問題を十分勘案をしてきめると言っておられますが、その点に特に留意をしていただきたいということをつけ加えておきたいと思います。
 それでは次に移りますが、まず運用益の現状につきましてお答えを願いたいと思うわけですが、これは保険会社と国が再保険をしておるものと二つに分けまして四対六の状態ですが、この運用益の現状について御説明を願いたいと思います。
#83
○黒住政府委員 私のほうで再保険をやっておりますが、六割は再保をやっております。再保は運用部に預託をしておるわけでございます。その預託に対する利子が、四十一年度までの累計が四十三億三千百万円でございます。それを四十二年度、四十三年度、ずっと預託する予定にしておりますが、四十五年度までを全部推計いたしまして、利子の累計が百九十八億一千六百万円というふうに相なっております。
#84
○渡部説明員 お答え申し上げます。
 保険会社のほうの四十四年度の運用益でございますが、四十四年四月から十月までは約十八億円、それから四十四年十一月から四十五年の三月、これは推定でございますが、約十二億円でございます。それからさらに四十五年度は、これも推定でございますが、三十五億円程度になるのではなかろうか、このように考えております。
#85
○渡辺(武)委員 保険会社の運用益と国の運用益の差が四対六の割合ではないようでございますけれども、この辺の理由について再度お答えを願いたいと思います。
#86
○黒住政府委員 国のほうは一定の制限のもとに運用部に預託するわけでございますので、その預託利率が三年ものが年五%でございます。一年ものが年四・五%でございますので、その利率でもって計算をしたものでございます。保険会社のほうはおそらくその利率がもっと多い結果になっておると思いますので、その四対六の差と、それから預託運用いたします利率の差が出ておるものと思われます。
#87
○徳安委員長代理 速記をとめて。
#88
○福井委員長 速記を始めて。
 渡辺武三君。
#89
○渡辺(武)委員 先ほどお尋ねしました運用益の現状について、政府の滞留資金と保険会社の滞留資金との差が非常に開いておる。この理由について再度御説明を願いたい。
#90
○黒住政府委員 先ほど申し上げましたように、四対六というものと、それから預託の利率が四・五%ないし五%という再保険の特別会計の場合に対しまして、保険会社の場合はおそらく六・五%以上のものになっているのではないかというように思います。
#91
○渡辺(武)委員 保険会社のほうが利率が高いわけですか。保険会社の運用益のほうが多いという判定ですか。
#92
○黒住政府委員 保険会社のほうの利率のほうが、特別会計の場合よりも高いという意味でございます。
#93
○渡辺(武)委員 従来、この運用益はどのように利用されておったのか。さらにこの保険会社自身の運用益の監査、監督というものが行なわれておったのかいないのか、この辺についてお尋ねしたいと思います。
#94
○黒住政府委員 預託の運用益につきましては、保険勘定の分は預託をそのまましております。それから保障勘定の分につきましては、若干運用益については補助金等に使用いたしておりますが、保険勘定のほうは、これは預託をいたしておる次第でございます。保険会社のほうにつきましては、大蔵省のほうからお答えがあると思います。
#95
○渡部説明員 お答え申し上げます。
 四十三年度までは、従来契約者の保険料の負担というものをできるだけ軽減しなければならぬというような考え方に立って、いわゆる仕事を預託しておる保険会社の事務に使うところの付加保険料というものはできるだけ押えておりました。その関係で、保険会社は、保険料の中に含まれておる付加保険料と実際に使ったところの事業費というものとの間においては、相当な開きがありました。したがって、従来その開き、いわゆる赤字分を、預かっておった資金を運用して生じたところの運用益をもってこれをまかなうということで認めておったわけでございます。
 その具体的な数字を申し上げますと、三十年から四十三年度までの運用益は約百七十七億円、これに対して保険会社の持ち出し分、いわゆる赤字が百九十三億円で、差し引き十六億円の持ち出し、こういうかっこうになっております。しかし、今後、昨年の料率改定の際におきまして、従来のようなやり方をやめまして、いわゆる適正な事務費というものは保険料に織り込むべきだ。一方、この保険の公共性というようなものから考えて、運用益というものは別途積み立て、将来契約者の保険料負担の軽減とかあるいは支払い保険金への充当または救急医療体制の整備というようなものに使って、何らかの形で契約者へ還元していこうじゃないか、こういうことにきまった次第であります。
#96
○渡辺(武)委員 時間がございませんので、最後に大臣にお尋ねをしたいと思いますが、この問題に対して国の責任というものはどのようにお考えになっておるか。御承知のように、政府自身が経済の高度成長ということを推し進めておられる。必然的に物資の輸送量はふえてまいる。さらにそれによって交通量の増加、交通事故の激増、保険財政の悪化というふうにつながってまいると思いますが、そのように高度成長を遂げてまいりますのに対しまして、いわゆる社会資本の投資がおくれておる。先ほど都市面積と道路面積との関係でいろいろお話があったようでございますが、私は、都市面積と道路面積との関係だけではない。つまりは、やはり道路そのものがどのように交通環境が整備をされておるかということが問題である。そのような国家の責任があるとするならば、それによってこの保険財政に悪影響を及ぼすのであれば、国としての責任もここに当然残ってまいらなければならないのではないか。さらに救急体制そのものは、聞くところによると、病院がベッドをあけておかなければいけませんので、いつ救急車が飛び込んできても直ちに応じなければいけないから、普通の医療費よりも高く取らなければやっていけないんだ、こういう要素があるようでありますが、これはやはりひとり交通事故だけではない。あるいは高所から落下してかつぎ込まれる場合もあるでしょうし、あるいは急病のために救急車で病院に運ばれてくるときもあるでありましょうし、そういうふうに見てきますと、当然、そういう救急体制の完備からいけば、国民の命を尊重するという立場から見て、国家そのものがもっと考えていかなければならない問題が非常に多いのではないか。そういうものを赤字財政を理由に被保険者に対して料率上昇という面でしわ寄せをするということは、これはとうてい理解のできないことでございます。そのような国の責任という面から考えると、国家保障、国庫資金を支出するという面があってもいいのではないか、私はかように考えるわけでございますが、大臣の御所見をお聞きいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#97
○橋本国務大臣 お話しのように、経済が拡大していくということそれ自体は、別に反対することでもないわけでありますが、ただ、調和ある発展をしておるか、社会資本の充実等と比べて調和ある発展であるかといえば、経済成長のほうが先行しておるということは事実であります。しかし、政府としては、そうした経済拡大に伴う調和ある社会環境の整備ということを考え、かつまた努力をしておるのでありまするが、なかなか経済成長に追いつかないということはお話しのとおりであります。こういうような交通事故が起きることにつきましても、もちろんそうしたことが一つの原因でもありますが、それが直接の原因ではないと私は考えております。当然やはり関係者においても十分にその責任の一端を果たすと同時に、国もまた責任の一端を果たすというたてまえでなければならぬことはおっしゃるとおりであります。
 したがって、現在は再保険に要するところの事務費の経費を一般会計から繰り入れて、これをまかなっておる。そして保険契約者の多少とも負担軽減にあずかっておるわけでありますが、これで十分かといえば必ずしも十分ではない。いまお話がありましたような緊急必要なるベッド等、そういうものについても、やはり国が別な面から考えていく必要があろうし、それ以外の問題でも、国が考えるべき問題は幾つか、今後総合検討を加えました際には出てくるのではないか。その場合に、できるだけ国も責任の一端を果たすべきであるという立場で、現在十分なる環境の整備を行なうためにも国自身が考えていくというような考え方を持って、このようなものに対するいわゆる調和ある発展、また、このことによって少なくとも保険者あるいは被保険者に対して十分なる配慮をしてまいりたい、かように考えております。
#98
○福井委員長 田中昭二君。
#99
○田中(昭)委員 自賠法の一部改正につきまして、私は、この法律はあくまでも被害者を保護するというようなことは、先ほどから聞いておりますが、実は被害当事者並びに関係者の人に具体的に当たりまして、その中で一番問題になっておる点をお聞きしていきたいと思います。そのために、いままで論議されたことと重複するかとも思いますが、その点はひとつ答弁者のほうで明確に取捨選択していただきまして、事柄をずっと述べていきたいと思います。
 まず、自動車局長にお答え願いたいわけですが、死亡及び後遺障害の限度額が昨年の十一月から五百万円に引き上げられました。ところが、傷害のほうが五十万円で据え置きになっております。問題はこの据え置きでございますが、現実は、車両数の増大とともに交通事故がふえておりまして、重傷者もふえております。加えて諸物価の上昇もはなはだしい最近でございます。この五十万円では被害者の救済ができなくなっておる。これが私が被害者の状況を聞きましたときに一番問題になったようです。でありますから、この五十万の金額の引き上げをする必要があると思うのであります。これについて大体どのようにお考えをお持ちになっておるか。この五十万円の範囲で、休業補償、慰謝料、医療費等の三本が十分に支払われると考えておられるのか。いろいろ論議をされましたが、この五十万円のほとんどが実際は医療費に支払われておる場合が多いのであります。この五十万円の据え置きでも十分にまかなえるというならば、この点を明確にひとつ説明していただきたい。
#100
○黒住政府委員 死亡と傷害の場合のいわゆるカバレージの相違がございましたので、死亡のほうを五百万円に引き上げることによりまして、大体傷害とのカバレージが平均がとれるのではないかというふうに考えた次第でございます。
 傷害につきまして、四十三年の四月から十二月までに査定事務所におきまして処理されたものの調査によりますと、八四・九%が五十万円以内でまかなえるということでございます。これが最低保障であるという点から見まして、一応これだけのカバレージならば今回は見送ってしかるべきであろうということと、それからもう一つは、先ほどから御指摘がありましたような傷害の支払いの点について、これの適正化をはかるべきであるということがございましたので、これの適正化とも勘案して考えなければならないというのが第一点でございます。
 それからもう一つは後遺障害、これは傷害でございますけれども、最近におきまして、むち打ち症のような長期の療養を要するというような特殊の交通事故がふえてまいっておりますので、この後遺障害につきましては限度額を五百万円、死亡の場合に合わせた措置をした次第でございます。
#101
○田中(昭)委員 一応お話を聞けばよくわかっておるようですが、これをもう一つ大臣からお答え願いたいのです。法律改正の結果、ほんとうにいま国民のたいへんな問題になっております、この交通事故によるいろいろな問題と関連して起こってくる被害者の要望というものを充足していかなければならない。その場合は、死亡の場合よりも、傷害の五十万というのがそのままでいいのか、そういうことにつきまして、ひとつ大臣の前向きの御答弁をいただきたいと思います。
#102
○橋本国務大臣 事故の統計から見ましても、非常にけが人が多いということで、自賠保険の恩恵をこうむる人が、死人の人もさることながら、負傷の人が数からいったらたいへんな数になりますからして、これに対しては十分なる考え方で措置していくべきものと考えます。
 ただ、いま自動車局長から言いましたように、大体統計上からいうと、五十万円前後であるというところに一つの基準があったと思いますが、あるいは特殊なものによってはそれ以上のものがかかる場合が出てくるわけであります。しかし、それは所要の手続によって、もちろんかかった費用は相手に資力さえあれば取れるわけでありますが、問題は資力がない場合がありますから、そこで保険制度が最低限度の補償をしよう、一種の社会保障的なものの考え方からこういうような制度があるわけであります。何もかも保険制度で解決をしていくというのではありませんで、ただ、保険がなければ最小限度のことすらも支払うことのできない人もあるということからして、いわゆる最小限をきめたものでありますから、このような金額になりましたが、しかし、将来改定をする場合において、その点は十分勘案して、先ほど申しましたような医療費の改定等の問題とあわせて、多数の人が恩恵をこうむるわけでありますから、おっしゃるような田中さんの意見等十分に考えて、これからの検討には資したいと考えておるわけであります。
#103
○田中(昭)委員 その被害者が十分な補償が受けられなくなっておるのですよ、問題は。
 時間がございませんから、次に入ります。
 これは大臣のほうからお答えを願いたいと思いますが、医療費の高騰が自賠責の赤字の原因になっておるといわれております。これを明らかにしなければ問題は解決できないということは、先ほどからいわれておりますが、この保険制度を根本的に考慮すべき、年々増加する交通災害の実態をひとつ追跡調査して、どのようになっておるのか、見る必要があろうと思います。たとえば全国共済農業協同組合連合会は、事故の分析をするための基礎データの作成をやり、運用の適正化の実績をあげております。現在の自賠責保険では、請求に対して支払ったままである。あと追跡調査などしておりません。これが赤字の解消、運用の適正化のためにも、私は、自賠責保険の支払い額を追跡調査するいわゆるチェック機関が必要であろう、これらがその後の料率算定、保険金の支払いの適、不適を知る一つの大事なものになると思います。この点からも追跡調査機関が必要であるが、これについてはどのようにお考えになりますか、お答えいただきたい。
#104
○黒住政府委員 事故の実態、そしてまた結果につきまして、いろいろ調べるという点につきましては、やはりこれば大いにやるべきであると思います。で、われわれのほうでは、昨年度後遺症の実態調査というものをやりまして、これは約一千万円でやりました。近くこの結果が出ると思っております。それで、保険の会計を所掌いたしておるわけでございますので、われわれといたしましても、今後やはり事故の直接の被害者の実態、それからその後の実態等につきましては、お説のように取り組んでまいりたいと思っております。
#105
○橋本国務大臣 いま自動車局長が答弁しましたように、もちろん、私は先ほど申しましたように、医療制度それ自体は厚生省が考えるべきであり、やらなければなりませんけれども、その的確なる資料あるいは要求というものは、これはやはり運輸省が行なわなければならぬわけであります。どちかといえば、運輸省が被害者の立場――金をとられるのですから、被害者の立場に当たるわけですね。それで、被害者として、われわれは的確なる資料を集めて、そして強硬にこれを主張して改善方を頼むというためにも、追跡調査といいますか、その他の諸般の調査は十分しなくちゃならぬ。かつても後遺症についてはやったようでありますけれども、それ以外の全体について、これは十分なる資料を整えていくためにも、そのような機関ということはできないにいたしましても、自動車局の職員を強力に鞭撻しまして、おっしゃるような意味の資料は整えたい。かつまた、それによって十分に国家の責任ある省においてやらせるという体制をとっていきたい、かように考えます。
#106
○田中(昭)委員 これは重複しますが、先ほどから問題になりました休業補償の限度額についてでございます。基礎となる一日あたりの単価が二千円というようなことが審議会で出ておりますが、現在のような経済の高度成長のもとでは、賃金の上昇、物価の高騰はたいへんなものです。この数年間における二千円の価値というものも相当変わってくるのではないか。したがって、この二千円の限度というものも、今後時の経過に従ってスライドさせていく必要があると思いますが、この点いかがでしょうか。
#107
○黒住政府委員 この限度額は政令でもってきめるわけでありまして、政令でもってきめますというのは、やはり御指摘のような、実態に即して臨機応変の措置ができるというふうなたてまえであるかと思いますので、勤労者の所得水準の状況等を十分勘案いたしまして対処いたしたいと思います。
#108
○田中(昭)委員 それはおくれてはならないのですから、それを何か条文的にあげる必要はないですか。
#109
○黒住政府委員 これは条文といたしましては、限度額を政令でもって定めるということでありますから、政令でもって定めます場合においては、当然いま申し上げましたような所得水準の現状に対して損はないようにいたしたい。と申しますのは、被害者の保護というふうなものから考えましても、当然かように対処すべきだと思います。
#110
○田中(昭)委員 今回の自賠責の改正を全体的に見てみますと、自賠責の健全なる運営という目的が先行しまして、いわゆる被害者救済のための改正が全く行なわれていないということに疑問を感ずるのです。確かに自賠責の改正により赤字を解消するということはけっこうなことでございますが、さきにも申し上げましたように、休業補償の限度額を定めることは、被害者救済の目的から逸脱したものではないか。すなわち、七六%の人たちが休業補償二千円の範囲に入るからだいじょうぶだといわれておりますが、この限度以上に該当する人が約二三%もあることは問題ではないか。運用益により緊急施設を確保するという建設的な方向で被害者救済が行なわれておるといたしましても、休業補償のワク内から出る人があれば、被害者救済が後退したことになる。この点は明確な答弁を願いたいと思います。
#111
○黒住政府委員 これは先ほど申しましたように、七六・三%をカバーしております。それから昭和四十三年六月の労働省の調査によります賃金構造基本統計によりますと、全平均収入は五万二千九百円でございまして、これを一日に割りますと、約一千七百六十円というふうになっております。先ほどの十二月分の傷害事故査定にっきます抽出調査の結果と、いま申し上げましたような調査等を勘案いたしまして、審議会におきましては二千円というふうになっておるわけでございます。それで、その後の所得水準の上昇等がございますので、それらを勘案いたしまして、これは政令でございますから、関係省で相談をする必要がございますので、十分関係省と相談いたしまして、政令を実施するようにいたしたいと思っております。
#112
○田中(昭)委員 大臣、いま局長からお答えいただいたわけですが、私が言っておりますのは、この法律は被害者を救済するということが根本になってできておる。いままででいきますと、この休業補償というのは、たとえば一日単価が五千円であろうと一万円であろうと、その実数に対して補償がなされておる。それが限度額がきめられれば、いわゆる限度額内の人はいいわけですけれどもい限度額をこえる最低限度の補償をしてもらわなければならない人が事故にあった場合は、これは限度額で打ち切られるという救済制度では後退したのではないか、こう言っておるわけなんです。この点に対してひとつ大臣からお聞きしたい。
 次に、いまの局長の答弁の中で、二千円を政令できめるとするならば、その二千円が、答申には「勤労者の所得水準の現状を勘案し、」というようにありますが、一番大事な被害者を救済する限度をきめることが、四十三年度末の状況でそういうものが積算されて、そしてそれがこの四十五年になりまして、どのような状況でその積算をやり直してやるのか、これはあとの資料でもございますから提出をお願いしたい。局長のほうから、その積算の基礎は政令できめるとしても提出してもらわなければ、被害者救済という一番大事な点でございますから、それを提出するのかしないのか。大臣からは、いま申し上げました被害者救済が後退しているということについてお願いしたいと思います。
#113
○黒住政府委員 お先にお答え申し上げます。
 第一点は、やはり最低保障でございます。そうして死亡、重傷の場合にも、一定の八〇%とか八五%はこの保険金額でカバーできるというふうにしておるわけでございますので、現在休業補償の面につきましても、特別に高額にのぼるものを全部カバーしてしまうということは、最低保障の制度からいいまして、必ずしも妥当ではないというふうに考えますのと、それから五十万円の保険金額の中には、治療費というものが相当大きなウエートを占めるわけでございまして、合計といたしまして五十万円という保険金額になっておりますので、それで、それらの関係を考えてみますと、休業補償はやはり一般の勤労的な人たちの平均収入で措置したほうが妥当ではないかというふうに考えております。
 それから後段のことにつきましては、新しい資料に基づいて政令を決定する必要がございますので、それらについては御提出申し上げたいと思います。
#114
○橋本国務大臣 その人の実際上の収入に伴って支払うという原則になりますと、これは全体がものの考え方がそうならざるを得ない。たとえば保険金額にしても、ある人は二千何百万円とかたいへん大きな金額になると思いますが、一応この自賠法の目的は、最小限度法律で保障しようということでありますから、したがって、最小限度いまの保険料金等から考えて、そこである程度限度が出てくるわけであります。その意味で、従来そういうことがなかったのでありますが、やはりこれは全体の保険制度が最小限度を保障するというたてまえでありますれば、それと同じ基準の考え方で最小限度を保障する、ただ二千円が妥当かどうかは、最も新しい資料その他を勘案して、必ずしも二千円という答申にとらわれないで決定したいとは思いますけれども、ただ、一応頭打ちというものの考え方は、保険制度としてやむを得ないし、また、そうしなければ全体のものがつかめないということも事実でありますから、一応高額所得者を目標にしての金額ではなく、国民生活として妥当なところで線を引くというところをひとつ御理解を願いたいと思うわけであります。
#115
○田中(昭)委員 それは法律の運用でたいへんむずかしいところでございますが、あくまでも法律をつくる場合に、ただ表面的なことからいきますと、勤労者の所得水準というか、そういうことばになっておりますけれども、それは一万円の収入の人が二千円で最低限度の保障ができるというふうな――二千円か三千円かは政令できまりますけれども、かりに上がる方向であるならば、三千円でもけっこうですが、一日一万円の収入のある人が三千円で打ち切られるという限度保障を政令できめるということが問題です。それは一万円の人は何も一万円が最低限度必要だとは私は申しませんよ。一万円の人ならば、少なくとも半額か四割ぐらいの金額が最低保障の限度ではなかろうか。また日給で生活しているような人がありますれば、三千円とか二千円とか千円とかいう人もおるでしょうが、あくまでもこの法律の政令できめた場合には全部の人が含まってないのです。勤労者ということばだけでありますと、勤労者の平均収入の人たちだけが事故にあうわけではないのです。そういう論議をしますとあれですからやめますが、自賠責でいう最低保障ということは、被害者救済の最低保障をどのように考えておるか、お答えを願いたい。
#116
○黒住政府委員 この立法の当時におきましては、被害者が自動車によって事故にあった場合、極端な場合には全然賠償をされないという、いわゆる泣き寝入りという状況でございました。その泣き寝入りの状況をなくするために、この立法をしたわけでございまして、そのためには、加害者側の賠償責任というものを強制保険の形によって担保していこうというわけでございます。それには、被害者側にはいろいろの階層がございますので、全部の被害者を一〇〇%損害額を救済するということも、強制保険の面からは不可能でございますので、大体過半数の人たちの損害を賠償するというのをたてまえにいたしまして、そういう意味におきます補償をしたい。そしてまた、計算のときにおきましても、また治療その他のときにおきましても、これは一定の基準的なもので考えるべきであって、特段の収入のある人まで全部これでカバーするということになりますと、強制保険のたてまえからいって、かえって不公平ではないかという意見もございまして、そういうふうな意味におきまして、被害者のために最低保障をしようという制度でございまして、われわれといたしましては、それは具体的に何%ということではございませんが、まあ大部分の人たちはこの保険制度でもって救済できるということをたてまえにしておるわけでございます。
 それで、事故によりまして、あるいは被害者によりましては、それ以上の高額の損害ということもあり得るわけでございますので、先ほど申し上げましたが、任意保険への加入ということが現在五〇%弱でございますので、これを大いに奨励をしていこうという考えでございます。
#117
○田中(昭)委員 私は、いかなる収入の人でも被害を受けた補償だけは受けられるというのが、最低保障の考え方の中の基本でなければならない、こう思うのです。ということは、すなわち、医療費、休業した分のいわゆる休業補償、慰謝料等、その被害の分だけは保障されるということであろうと思うのです。この考えは違いますか。
#118
○黒住政府委員 被害全部につきましては、加害者側にそれだけの損害を賠償する責任はあるわけでございまして、その賠償責任を相手によって云云というものではございません。しかし、こういうふうな強制保険の制度によりまして国が強制するというものについては、おのずから限度があるのではないか。その限度としては、強制保険の保険金額を限度としてこれを強制的に保障していこうというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
#119
○田中(昭)委員 繰り返すようで申しわけないのですが、いまのような考え方でいくならば、休業補償の限度のワクからいわゆるはみ出る人の問題、いわゆる傷害で五十万が据え置きになったということで、医療費が休業補償、慰謝料に食い込んできておるわけですね。当然受け取るべき休業補償、慰謝料が受けられないでおる。こういう問題がたいへんあるわけです。こうなると、自賠責の最低保障の精神とは違ってきます。だとするならば、今回の改正が被害者救済のための改正ではないということになるのです。この点、大臣いかがでしょう。
#120
○橋本国務大臣 そう極端に言われると困るわけです。御承知のように、昨年保険金額を五百万円に上げたということは、被害者の面を考えて保険金額を上げたわけですから、それに伴ってやはり保険料金もある程度上げざるを得ない。ただ、これは強制保険ですから、これを受け取ったらそれ以上の金は取れないのかというと、それは私が申し上げるまでもなく、そうじゃないのです。これだけでは不十分であるという場合においては、他の法律によって請求権を持っているわけですから、したがって、何もかも強制保険で処理するというたてまえじゃないわけであります。
 先ほど自動車局長が言ったように、いま車を持つ人にいたしましても、必ずしも金持ちだけが車を持っているのじゃない。いわゆるサラリーマン階級でも、中級サラリーマンは車を持っておる。そうなりますと、強制保険というものは、その車を持っておる大部分、一〇〇%の人が保険金をかけられる程度の保険金でなければならない。同時にまた、一方においては、社会的な諸現象からして、いわゆる保険金額の限度も、もちろんこれは上げていかなくちゃならぬけれども、しかし、人命が五百万円できまるわけではない、人によっては千五百万円以上、二千万円あるいは三千万円もする人もあると思います。これはもう外国とは――御承知のように、アメリカあたりの保険金額と日本の場合はだいぶ違うようなぐあいに、やはりその国の持ついろいろな事情がありますので、ただ、現在車を持っておる人たちの大部分の人が保険金として支払える限度の分はどれくらいということになると、やはりこの程度であろう。でありますからして、もちろんこれだけでもって責任がのがれ得るわけではありませんから、当然加害者はその他の法律によって追及されるわけであります。追及の道を閉ざしておるわけではないのであります。ただ、休業補償が二千円でいいかどうかという問題はありましょうけれども、少なくとも大体の人がこれによって最小限の補償がされるという線で、一応強制保険をとらざるを得ない、こういうことでございます。
#121
○田中(昭)委員 私も極端なことを申しますけれども、大臣も極端なことをおっしゃるようですが、問題は、ここでは極端なことをと言って笑って済みますけれども、実際休業補償をもらえない、かわいそうな人のことを考えれば、私は、そういうことも大臣も役人さんも考えて、そうして政令でもつくってもらわなければ困るということを、ひとつ強く念を押しておきます。
 次に移りますが、自賠責の審議会の構成について伺いたいわけでありますが、国民の一部には、この審議会がはたして民意を反映して、いわゆる総括した公正中立的な機関であるかということに疑問を持っておる人が多いようであります。確かに、この構成メンバーを見てみますと、その疑問もわかるような気もいたしますし、自賠責審議会の構成メンバー十三名のうち、学識経験者が四名、自動車製造業関係の代表が二名、保険業界が二名、行政府が五名というふうに聞いております。行政府の五名の編成はほかの審議会にはない特徴であるかと思いますが、ところで、問題のオーナーの代表者がこれには一人も入っていない。ですから、民意が反映されないというふうなことが言われる審議会の実態ではないかと思うのです。で、お役所仕事に片寄った審議会になってしまう。自賠責の審議会には当然民間オーナーを加えて、そして妥当な構成にすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#122
○黒住政府委員 自賠責の審議会は大蔵省に置かれておるわけでございまして、実は直接には大蔵省がお答えすべきかと思いますけれども、この審議会は保険法の運用と責任保険事業の運用ということに主眼を置いて設置したものでございます。制度その他全体につきましては、この審議会を常置して常に審議するというふうな問題もあまりないであろうということで、常にあるのは保険金額の問題であるとか、保険料率の問題であるとかいうふうな、保険事業の運用を円滑にやるためにいろいろ仕事があるであろうというふうな趣旨から置かれたものであります。そういう前提のもとに行政府の五名ができ上がっておるのでありますが、しかしながら、いま御指摘のように、最近におきましては、もう制度の問題を取り上げるようになりましたし、また保険金額その他を決定いたします場合におきましても、支払い側、そしてまた被害者側もいろいろ関心も深いわけでございますので、将来この審議会の構成等につきましては、新しい事態に即して検討をすべきものであろうと思っております。
 なお、大蔵省の予算では、四十五年度におきましては、とりあえず臨時委員の制度を設けまして、必要な人たちに臨時に入っていただきまして、これの補完をしたいというふうになっておりますので、当座はさようなことで解決いたすつもりでございますが、将来は、さらにこの審議会自体の構成等につきましても、制度改正のときには、われわれといたしましても検討をさしていただきたい、かように考えております。
#123
○田中(昭)委員 話が変わりますが、事故の損害賠償金の支払いがたいへんおそい。すなわち、二カ月ぐらいあとに支払われるということがあるわけです。仮渡し金制度がそれを補っております。しかし、賠償金が早く被害者に手渡されることが大事なことだと私は思うのです。賠償金が被害者に支払われるのがおくれる原因の一つには、事故被害調査を行なう査定員が不足しておる、こういうふうに思うのです。たとえば東京の日本橋査定事務所を例にとりますと、千代田、中央、江東区間が担当になっておりまして、年間の事故処理数は二万二、三千件程度になっておるようです。いわゆる査定の職員は何ぼかといいますと、三十名近くでやっておりますね。この人たちは忙しいために、残業残業でたいへんだ。いわゆる事故補償の査定の第一線がここでありますならば、この査定が機械的になってしまうおそれもある。いわゆる機械的になって、かゆいところに手が届かないというようなことになってしまってはいけない。そこで、査定事務員の増強並びにコンピューター等の導入によりまして、膨大な事故数を合理的に処理すべきであると思いますが、このことについて何かお考えないでしょうか。いかがでしょう。
#124
○黒住政府委員 これは元請保険におきますところの査定事務所でございますので、保険会社の側のことでございますが、現在七十三カ所査定事務所がございまして、昨年十二月一日現在では千百六十二人の人がこの仕事に従事しております。それで、四十三年度の支払いの期間を見ますと、一カ月以内には六五・九%が処理されておりますが、さらに三カ月、六カ月というふうにかかっているものも事実ございます。したがいまして、これは事務処理を早くやらなければならぬというのは当然でございまして、今回の保険料率の改定の場合におきましても、社費の点等も考慮してありますので、大蔵省を通じまして、一刻も早くこの保険金を支払うということを督促するようにいたしたいと存じます。
#125
○田中(昭)委員 最後に、自賠責の適用除外の範囲でございますが、保険料負担の公平から自家保障制度の廃止を行なったということは妥当なことだと思います。この際、いわゆる外交官、駐留軍の車は国際儀礼の立場からもはずすべきだと思いますが、それ以外の車両はすべて自賠責の対象にすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#126
○黒住政府委員 本件は、極力適用除外からはずそうということで立法したわけでございます。しかしながら、御指摘のような外交官の車とか駐留軍の車あるいは防衛庁の車等は、使用の態様が違いますので、そういう例外的なものは適用除外にする、その決定はこれまた政令でやることになっておりますので、近く政令を決定いたしたいと思っておりますが、われわれといたしましては、なるべくこの適用除外する範囲は縮小する。趣旨は適用すべきであるということでございますから、そういう意味合いにおいて今後政令を決定していきたい、かように考えております。
#127
○田中(昭)委員 それじゃなまぬるいですよ。態様が違うといいますけれども、大臣に最後でございますからお答え願いたいと思いますけれども、警察とか自衛隊の車でもやはり事故を起こすんですよ。そういう場合についてこそほんとうにりっぱな救済をしてやるとか、またそれが保険財政に関係してくるわけでございますから、当然これは政令できまるとしても、担当の運輸大臣が断固としていまの国際儀礼上の立場以外のものは全部入れる、こういうひとつ強い責任をもって進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#128
○橋本国務大臣 御意見のように、原則としてそのような措置をとってまいりたい。いろいろ事務的に折衝する段階もありましょうが、方針としては、田中さんのおっしゃるような方針でいきたい、かように考えております。
#129
○田中(昭)委員 終わります。
#130
○福井委員長 松本忠助君。
#131
○松本(忠)委員 昨日の質問に対する答弁のなかった面についてお答えをいただきたいわけでございますが、松田国民健康保険課長さん、それから松浦医療課長さん、お二人いらっしゃいますか。
 昨年の七月に、私がこの問題について出しましたときに、御両所ともそれぞれ答弁をなさっております。御記憶に十分あることと思います。お忘れになっていることはないと思いますが、松田さんは私の質問に対して、「御承知のように、医療保険につきましては、原因を問わず、あらゆる症状について給付が行なわれる、したがいまして、交通事故とか、いろいろな原因別に給付が行なわれるということではございません。したがいまして、患者が被保険者証を持って当該医療機関にかかりました場合には、その原因のいかんにかかわらず給付が行なわれる、これがたてまえでございます。したがいまして、一般的には、ややもすれば交通事故については保険の適用がない、こういうような誤解も一部にあるように聞いておりますが、私どもといたしましては、かねて各都道府県を通じまして、こういったことのないように、被保険者あるいは医療機関等に十分な趣旨の徹底をはかるように指導いたしております。今後ともその指導の強化には努力いたしたい、かように考えております。」こういうお答えがございました。しかし、現実の問題といたしまして、その後どのように努力されたか。単に一片の通達行政で終わっているのだったら意味がない。きのうもその問題についてお伺いしたわけであります。その後どのようなPRが行なわれたか、現実にどのような施策を行なったか、これをひとつまずあなたから聞いておきたい。
#132
○松田説明員 昨年の七月の当委員会で私がお答えしましたことにつきまして、お答え申し上げます。
 被保険者等につきましては、第一線の指導機関は都道府県あるいは市町村、健康保険組合、こういった種類のものでございます。したがいまして、交通事故につきまして医療保険の適用が当然あるということにつきましては、いろいろ趣旨の徹底をはかってまいり、特に昨年の当委員会で先生から御質問がありました以降、全国会議でありますとかブロック会議でありますとか、そういったような機会を通じて、都道府県なり市町村には趣旨の徹底をはかってまいっております。
 具体的に申し上げますと、当委員会がありました七月の直後、全国の都市の国保の主管課長会議を開催いたしました。また十月には、全国の町村の国保主管課長会議を開催し、この両会議でも十分その趣旨の徹底をはかっております。また、第一線の指導機関でございます都道府県につきましては、都道府県におきます指導職員を会同いたしまして、そこでも趣旨の徹底をはかっております。これは九月から十月の初旬にかけてでございます。また十一月の二十四日には、各県の国保の主管課長会議を開催いたしまして、その際にも十分趣旨の徹底をはかっております。
 それからさらに、国自身といたしましては、本年から、四十四年度に指導官の新設をいたしまして、これは三名でございますが、現在まで約百五の保健所につきまして実地に指導をしてまいっております。その際にも、十分そういった趣旨の徹底をはかるように、指導官で指導をさしてまいったところでございます。
 なお、このほかに、七月以降各ブロック会議を開催いたしております。たとえば東北、北海道、新潟等を集めました会議、これは九月の十七日でございます。また十月には、主要都市の国保協議会というのがございまして、そういったところでも、そういうような趣旨の徹底を十分に指導いたしております。その他、若干の会議、研修会等を通じまして、その趣旨の徹底をはかっているところでございます。
#133
○松本(忠)委員 いまのお話の、あらゆる会議を通じて趣旨の徹底をはかった――先ほど私がだめ押しした通達行政なんです。また、それが現実にどのように最末端において行なわれているかということに対して、ほんとうにチェックがなされてないと思うのですね。三名の方が百五ヵ所にわたってやったといういまのお話も聞きましたが、これはどれくらいの期間にわたってやったわけですか。
#134
○松田説明員 実際の活動は七月からことしの二月の下旬まででございます。
#135
○松本(忠)委員 しかし、現実にはお医者さんの受け付けのところへ行くと、交通事故は健保では扱いませんというのがまだ立っているのですよ。ごらんになったことないですか。あなた方がいらっしゃるときには、これから行くぞということをちゃんと予告して行くから、全部しまっちゃう。さっと行くと必ず出ている。健保で取り扱わない、そういう実態をこの三名の方がどこかで見てきているのなら、これなら効果があったともいえる。おそらくそういう人が行くときには前もって言うわけですから、いずれもちゃんと隠してしまってわからない。それが実態なんです。
 それから、もう少し突っ込んで私申し上げておきたいのですが、交通事故の被害者をお客さんというのです。今晩お客さん来ないかな、こう言うのです。要するに、私がたびたび申し上げているように、お医者さんの側では、五十万は間違いなく取れるんだ、こう考えているわけです。絶対に間違いなく取れるのだから、ここでもうけてやろうというような考えなんです。たいへん失礼な話かもしれぬけれども、こういうことを間々聞くのです。そして、これははなはだしい極端な言い分かもしれませんけれども、それをどこへ持っていくかは救急車のほうの判断なんです。事故の被害者をどこに持っていくか。最近大阪には、救急自動車に乗って現場に行く、どういう状態か報告する、どこの病院のどこのベットに入れろ、その指令が出るようなセンターができたけれども、それはまだ大阪以外にはないのです。そうすると、現実にはどこへ行ってももうあらかじめ予定したところへ連れていってしまう。ということは、救急自動車の側と私立の病院の側に何らかの接触があるということなんです。ですから、そこへ連れていく。お客さん今晩来ないかな、こういうことばが出てくる。その辺のところをまず厚生省でがっちりと監査をして、そして医療の適正化をはかる、それがまず第一番目に必要なことじゃないかと思う。
 あと、松浦課長さんにも同様のことが言われるわけでありますが、松浦さんもこの前のときの答弁で、「いま先生のおっしゃいましたPRが足りない、もっと被保険者あるいは医療機関に健康保険がきくのだということを十分PRしろということは、先生のおっしゃるとおりでございまして、私どものほうもPRについてはもっと努力いたしたい、こういうふうに考えます。」こういう御答弁でございました。時間の関係もありますのでこれでやめますが、とにかくもう少し保険行政に関して末端に目を届かして、そして医療の万全を期してもらいたい。いまも問題になっているのが、きょうの質問の中にもたびたび出ている。現実にお医者さんでまるまる持っていってしまう、これはもう実情でございます。どうかそういう点に十分の御配慮を願いたい、こう思うわけでございます。
#136
○福井委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午後一時四十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時五十八分開議
#137
○福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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