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1970/04/17 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 運輸委員会 第19号
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1970/04/17 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 運輸委員会 第19号

#1
第063回国会 運輸委員会 第19号
昭和四十五年四月十七日(金曜日)
   午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 福井  勇君
   理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君
   理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君
   理事 村山 達雄君 理事 内藤 良平君
   理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君
      河野 洋平君    佐藤 孝行君
      菅波  茂君    砂田 重民君
      中馬 辰猪君    中村 弘海君
      西村 英一君    増田甲子七君
      綿貫 民輔君    井野 正揮君
      金丸 徳重君    久保 三郎君
      斉藤 正男君    楯 兼次郎君
      田中 昭二君    宮井 泰良君
      渡辺 武三君    田代 文久君
      關谷 勝利君
 出席国務大臣
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
 出席政府委員
        運輸政務次官  山村新治郎君
        運輸省自動車局
        長       黒住 忠行君
        運輸省自動車局
        業務部長    見坊 力男君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (東京乗用旅客
        自動車協会会
        長)      川鍋 秋藏君
        参  考  人
        (帝都自動車交
        通株式会社社
        長)      須賀  清君
        参  考  人
        (全日本交通運
        輸労働組合協議
        会幹事)    浅野 敏夫君
        参  考  人
        (全国交通運輸
        労働組合総連合
        ハイヤー・タク
        シー部会書記
        長)      大畑 拓治君
        参  考  人
        (主婦)    稲葉 敏子君
        参  考  人
        (印刷業)   平林 源造君
        運輸委員会調査
        室長      鎌瀬 正己君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任        補欠選任
  田中 昭二君    伏木 和雄君
同日
 辞任        補欠選任
  伏木 和雄君    田中 昭二君
同月十六日
 辞任        補欠選任
  米田 東吾君    楯 兼次郎君
同月十七日
 辞任        補欠選任
  谷垣 專一君    中村 弘海君
  中村庸一郎君    綿貫 民輔君
同日
 辞任        補欠選任
  中村 弘海君    谷垣 專一君
  綿貫 民輔君    中村庸一郎君
    ―――――――――――――
四月十日
 海上交通法制定等に関する請願外十二件(和田
 春生君紹介)(第三〇九五号)
同月十四日
 海上交通法制定等に関する請願外七件(和田春
 生君紹介)(第三二四三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申し入れに関する件
 タクシー業務適正化臨時措置法案(内閣提出第
 一〇三号)
     ――――◇―――――
#2
○福井委員長 これより会議を開きます。
 タクシー業務適正化臨時措置法案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人としてお手元に配付してありますとおり、事業者関係から川鍋秋藏君、須賀清君、労働組合関係から大畑拓治君、利用者関係といたしまして稲葉敏子君、平林源造君、以上五名の方々が御出席されております。なお、労働組合関係からの浅野参考人は後刻出席されることとなっております。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人各位には、本日御多用中にもかかわりませず御出席を賜わり、まことにありがとうございました。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって本案審査の参考にいたしたいと存ずる次第でございます。
 次に、議事の順序について申し上げますが、まず川鍋秋藏君、須賀清君、浅野敏夫君、大畑拓治君、稲葉敏子君、平林源造君の順序で、御意見をお一人十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 それでは川鍋参考人からお願いいたします。
#3
○川鍋参考人 国務きわめて御多忙のところ、貴重な時間をさいて私どもタクシーの実情をお聞きくださることに、まず感謝申し上げたいと存じます。
 このタクシー近代化、正常化の臨時措置法の中にあって、私どもの非常に疑問を持っておるのは、第一点は負担金の納入であります。タクシー業務適正化臨時措置法案第三章「タクシー業務適正化事業」第三十四条に、運営する事業者から負担金を徴収する、こういうことがあります。まず、これにつきまして、私どもは、事業者から一台三万円、年間約九億円という膨大な負担金を納入するという誓約書を、この料金を値上げする前にまずとられたのであります。まことに不本意でありますが、私ども誓約書を出しました。これも赤字続きで経営困難のあまりに、一日も早く料金を上げてもらいたい一心から、陸運当局にこれを出したのであります。私ども業者は三七・五%を申請したのでありますが、まず運輸省から削られ、また企画庁から削られて、二二・五%の値上げを発表されましたが、少しも増収になっておらない結果となったのであります。諸先生、また利用者代表の方々によくこの事情を聞いていただき、御理解をいただきたいと思うのであります。二二・五%発表しながらも増収入には少しもならない。利用者の方はふしぎであると思うのも、これまた無理はないと思うのであります。ここによく諸先生方並びに特に利用者の方々に実情を聞いていただき、そして御理解を願いたいと思うのであります。
 二二・五%値上げの前までは、朝三十分くらい、夜は一時間あるいは二時間くらいの超過勤務をし、かつまたわれわれの事業というものは、サイレンからサイレンまでぴしゃっと工場のように終了することができないものであります。また、これについても、東京というものは六大都市とは違って、朝までお客さんがたくさんあるわけであります。こういう結果から、利用者の都合によって労働時間の超過をしておったのでありますが、これも経営者の指揮命令でもなく、組合、労働者が不服を言っておるわけでもない、お互いに食えないから、赤字だからという了解のもとにこれを行なって、長年商習慣になっておったのであります。こういう、工場のように一つの門に入り、一つの工場に入って、サイレンからサイレンまでで終わらない特殊性の事業であるということをよく御了解を願いたい。
 ところが、二二・五%値上げをしたと同時に、労働時間を短縮せよ、守れという厳格なる命令が来たわけであります。したがって、朝の三十分あるいは夜の一時間、あるいはお客さまの要望によって二時間も超過勤務をしておったのでありますが、二二・五%を上げたから絶対にやってはいかぬ――やった会社は、二十八営業所はまたこれ十五日間値上げのおくれをさせたのであります。こういう関係から、いまわれわれは絶対にこの時間超過ができない。そういう短縮された時間を、運輸省なり企画庁は、これをまぜて原価計算したのであるかどうかは、私は非常に疑問を持つ。ところが、両省とも、みんな東大の法科を出た法律には明るい方です。われわれのように昔から車屋の親方といわれたり、タクシー屋といわれたりする者とは違っておる。法律には最も明るい両省が、この労働時間短縮を原価計算に入れなかったということは、大きなミスであろうと思う。
 こういうことによって、私どもは、年間一台三万円、業界全体では九億という膨大な負担金は払えない、原資がないという業界全体の意見であります。
 第二点は、申し上げるまでもなく、道運法あり、道交法あり、その上にまたタクシー業務適正化臨時措置法を制定することは、屋上屋であり、同時に、いま政治の上から、いろいろな官庁を簡素化しようということが、この五、六年盛り上がっておるのであります。それについても、今日このタクシー体質改善が屋上屋になりやしないかという、私は、これまた疑問を持っておるのであります。そしてこのタクシー改善ができるかできないか、これはだれが保証することができるのでしょう。私どもは疑問を多く持っておるのである。
 私は、このタクシー業界に入って五十年、独立して四十年の体験を持っております。私は、この日本のタクシーの元祖、長老といまいわれておるのでありますが、私の経験は、昭和二、三年ごろの、やはり雲助タクシーといってあれほど悪評が高かったときもあります。また戦後、神風タクシーといって非常に悪評が高かった。今日また同じように悪評が高いということは、何が原因しておるのかといえば、これみな適正料金をしないで長く延ばしておいたために、経営が困難になり、またわれわれのところにつとめる労働者諸君が、一般産業と同じような暮らしができないというときに、全部そういう問題が起きておる。よって、私は、この法案に絶対反対でもありませんが、この法案によって、タクシーの近代化に体質が完全に改善されるなら知らず、私の体験からは、少し疑問あり――多く疑問を持っておる一人であります。私は、決してこの法案に不賛成とは申しませんが、もしこの法案ができるならば、この一台三万円という負担金、業界全体で九億という膨大な金がこの中に含んでおるのかおらぬのか。現在、私どもは、この二二・五の値上げ発表のあったその月から、かえって減収になってしまった。
 それは重ねて申し上げますが、朝の労働時間、夜の労働時間の、労働法による短縮によったこのためであります。よって利用者諸君、きょうは利用者の方の代表もおられるようですが、値上げによって、三十円上がったんだ、全部都民は上がった上がったといって頭の中に入っておるが、事実は前よりも低下し、前よりも赤字がふえたというこの事実の結果を、私はよく御了解願いたいと思うのであります。
 私は、最後に、この悪評は、重ねて申し上げますが、いつも、適正料金ではなく、経営が安定のできないときに起きたことである。それが適正料金に直されたときは、また五、六年いい。またそれを上げてくれないときは、また悪い状態が続く。諸物価はどうですか。私どもは戦後二十五年間かかって、六年前に二十円上げた、今度また六年後三十円と、二十五年でたったの五十円です。いまわれわれが髪床に行っても、そのときは四十円だったが、このごろではもう五百五十円か六百円に上がっておる。ところが、われわれのほうの業界は、一台持ち、五十台、百台という弱小企業が多いのに、何らの補助金もなくして、こういう低い料金に長く押さえつけられておるということは、政府の物価抑制政策の犠牲者の一員で、こういう弱小民を犠牲者にするということは、あまり公平な政治ではないと私は考えるのであります。
 私は、最後に一言述べたいことは、この法律によってほんとうにタクシーが改善されるならばいざ知らず、私は五十年の歴史を持った体験者であります。適正料金にしてくだされば、私自身が責任をもって、皆さんにりっぱなタクシーになったということを責任持てることを最後に発言いたして、私の陳述を終わりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。
#4
○福井委員長 次に須賀参考人。
#5
○須賀参考人 私は須賀でございます。今月の九日の総会で急遽会長を変更されまして、川鍋さんとかわりました。それまでずっと東京の会長をやっておりました。全国のほうもこの二十二日で大体交代という予定でございます。
 実は、この法律案につきまして、私は、私個人だけではなしに、会長在任中等の意見を取りまとめて申し上げたいと思います。
 実は、この法律案ができます根拠は、これは運輸省が昨年の八月に、タクシーが当時非常に乗車拒否その他で評判が悪く、本来ならば、業者と運転者自身の手でこれを解決するのが本来の姿でございますが、いかんせん、なか左かそれも困難な状態にありまして、そして、運輸省でもこれはこのままほっておけないということで、実は八月にタクシーの改善策が出たわけでございます。それによりますと、大体この法案の内容とほとんど同じでございまして、まず第一番に、その施策としては、タクシーの近代化センターをひとつつくって、そして総合的な対策をその中核機関によってやっていこう。同時に、この内容の法律案についてはいずれ議会に出すから、こういうことでございました。その間、乗車拒否その他悪評があるので、とりあえずは公益法人をつくって、それと同じ内容のものを発足させて、一日も早く乗車拒否等のまずい点は直そうじゃないか、こういうことでございました。それからその次には、タクシーの運転者の労働条件がどうも悪いから、これを直さなきゃいかぬ。労働条件の改善の問題その他二、三、いろいろ経営者の問題等もございますが、それらを含めて、大きな外部からの改善策を施すにはどうしても原資が要る。それではやはり運賃の改定もこれらを含めたもので改定していこうという改善策でございました。
 当時、私どももこれに賛意を表しまして、できるだけ業界自身の手でなるべくならば改善したい。しかし、どうしても及ばない場合には、役所その他国民の力も借りなければならぬというようなことでございます。それで、だんだんぼつぼつと、具体策その他について寄り合い検討いたしました。
 ところが、越えて十一月には、物価関係閣僚並びに交通関係閣僚会議の協議会におきまして、大都市タクシー事業の体質改善及び運賃の改定というものが公表されました。それによりますと、やはりいまの内容と全然同じでございまして、要するに、労働条件の改善対策をやれ、同時にまた、乗車拒否等を防ぐための運転者の登録制の問題及び福利厚生関係の整備等をやれ、それらをやるための法律案はいずれ出す、そうした場合には、それを前提として六大都市の運賃を次のように改定するということで、六大都市の運賃の値上げの時期あるいは率等について御発表がありました。
 私どもそれを受けまして、ぜひこれはこのとおりにして、要するに、業界の姿勢というものを自分たちの力でできるだけやるが、しかし、こういった力も借りて、とにかく一日も早く立ち上がりたいという希望に燃えまして、その後鋭意努力をしてまいったのでございます。
 したがいまして、そういう条件、そういうもとにこの法案が出たのでございますので、いま運賃が改定されました現在、それは実質的にはいろいろ問題がございます。二二・五といいますが、あるいはいろいろな情勢で一〇%ぐらいしか上がらないとか、あるいは上がらないところもあるとか、とにかくいろいろありますが、しかし、一応改定した現在において、この法案に対して反対だとか何だとかいうことは、これは業界としても非常に筋違いの問題だと私は思います。
 要は、私は、この問題につきましては、もうすでに当然きまっていることをいまやっているというだけで、万やむを得ない。同時に、会長といたしましても、この問題につきましては、実はこの法案自体につきましても、特別委員会をつくりまして、数回特別委員会の審議をいたしました。そこで、その審議の大体の結果といたしましては、法案自体についてはいまさらとやかくは言えないが、しかし、これが運用の面になりますと、その法案の中に織り込まれておりますように、あるいは共同食堂ですとか、いろいろ経費の膨大にかかるもの、あるいは場所を非常に要するものとか、あるいはいま川鍋さんがおっしゃったように負担金の問題等についても、現在の時点では非常に苦しい、これは何とかしてもらわなければならないというのが現実の問題でございまして、これは法案通過後の運用の問題でございます。したがいまして、法案そのものについては、別に異議も何にもございません。ただ、通りましたあげく、いよいよこれを実施面に移す場合には、ひとつそういう点を実情をよく御調査、御勘案になりまして、これでは負担金がむしろ過重になって、かえって業界をよくするようなことにならぬという結論に達すれば、これはぜひ安くしていただくとか、あるいは事業のうちこの程度のものはこれぐらいにするとか、いずれにいたしましても、これは運用の問題でございまして、この法案自体の成立には何の関係もございません。
 私はこういう意見で、この法案には賛成をいたす次第でございます。したがいまして、成立後におきますいわゆる近代化、この具体的な問題につきましては、運用の面で業界の実情、業界の意思等をもどうか十分ごしんしゃくくださいまして、そうして負担にたえられないことのないように負担を軽減する、そういう実情に合わせた運用をしていただくということを特にお願いいたしまして、私の意見を終わります。
 なおまた、御質問等がございますれば、いずれも御答弁いたします。
 どうもありがとうございました。
#6
○福井委員長 次に浅野参考人。
#7
○浅野参考人 浅野でございます。
 私どもは、昨年から一年有余にわたりまして、ハイタクに向けられております世論について、労働組合なりあるいは行政当局なりあるいは事業者の皆さんと、この具体的な対策を講ずるために、今日まで十数回にわたって話し合いを進めてまいりました。そして、この法律案に盛られております運転者の登録制の実施、あるいはタクシー事業の体質改善のためのタクシー近代化センターの設置、そういったものにつきまして、とりわけ十分な意見を交換しまして、事業者の代表の方とはこの間に確認事項を協定いたしましたし、行政当局との間にも忌憚のない意見を交換しまして、一応の了解点を求めてきております。
 それらの三者の意見の中で一応了解に達した問題点というのは、一つには、昨年の十一月に交通関係閣僚懇談会、物価閣僚懇談会のほうから出されました大都市におけるタクシー事業の改善のための五つの項目でございます。これをやはり完全に労使の責任において実行していく、あわせて行政当局もそれらの完全な実施のために十二分な行政指導を徹底していこう、こういうことでありました。
 それからいま一つは、近代化センターなり、センターの業務として行なわれる運転者の登録制につきましては、あくまでも労使を主体にしました中立的な組織体で運営を行なっていくべきであるということでございました。私どもは、今日のハイタクに向けられておるところの世論というものが社会的な問題にまで発展しておるという事実を認識しまして、不満ではございましたけれども、一応の了解点というものについて、われわれも責任をもって労働組合としての立場を明らかにしてまいりました。
 ところが、ここで提案されました法律案の内容というものを見ますと、いままでの経過措置の中で、私どもが重要視してきましたいわゆる中立的な組織体という性格が失われて、そしてとりわけ運転者の登録制という問題については、運輸大臣の所管事項として、つまり、国が労働力を統制するということが明らかにされてきておるところでございます。
 第二の問題は、経過措置の中でありましたように、私企業に対する政府の出資ということはできない、あるいはセンターの中立性を保持するためには、政府なり当局が人事の問題等についても不介入の立場をとるということが明らかにされてきておりましたが、これまた、すでに東京、大阪において準備段階の経過を見ますると、運輸官僚の皆さんがそれぞれの重要なポストへ天下ってきておる。また、法律案の中でも、これほどまでに政府なり当局の行政に対する支配介入というものが明らかにされているにもかかわらず、それらの財源というものは運転者と事業者に求められておるという点でございます。私どもはこの法律案がいずれは通過すると思いますが、この法律案に盛られているよう表内容で、実際にいま世論の問題となっておることが解決できるのかということになりますと、私はその期待は薄いのではないか、このように考えております。
 次に、法律案の内容について、時間の関係もございますから、二、三の問題について、われわれの立場というものから御意見を述べさせてもらおうと思います。
 先ほども触れましたように、この法案の流れを見ますと、いまのハイタクの複雑な問題これを解決するためには、何としても労使代表なり利用者の意見というものが十分に反映されなければならない。にもかかわらず、それらの代表の意見というものは、単なる大臣の諮問機関という立場であるということでございます。
 第二の問題点は、この法律の目的としておるいわゆる悪質運転者の排除という問題でございます。悪質運転者の排除ということは、私どもは、そういう運転者は職場にはいない、このように思っております。正確に申し上げれば、悪質な行為というものは存在しております。したがって、この悪質な行為を生ましておる土壌なりあるいは環境というものが解決されない限り、この行為というものは根絶やしにすることはできない、このように思うわけであります。ところが、そういった悪質な行為というものに対しての根本的な具体的な解決策というものが、この法律案の中で考えられてきてないということについては、非常に遺憾なことだと思っております。
 第三の問題は、この法律案によって、いま深刻化しておるタクシーの運転者の労働力不足、この問題を解決することがいわれております。しかしながら、今日六大都市においては、一〇ないし二〇%の休車が事実行なわれているわけでございます。にもかかわらず、一方において増車なり新免なりの政策がとられてきております。このことは、たださえ労働力が不足しておるという現状に、さらに拍車をかけておるものだと思います。したがって、私どもは、こういった労働力不足が何が原因して起きているのかということについては、昨年の閣僚会議が打ち出しました労働条件の改善、これはまことに適切な施策であったように思っております。要は、これらの施策が完全に実行される、そうして都市におけるタクシーの位置づけというものが明確にされて、都市交通における各種の輸送機関の輸送調整が正しく行なわれるならば、これらの問題も解決する、このように考えておるわけでございます。
 最後に申し上げたいことは、二十八年以来、ハイヤー、タクシーの労働条件の改善あるいはハイタク事業者の体質改善という行政当局の勧告なり通達なり行政指導方針というものは、二十幾つを数えるほど多く出ております。これらの内容については、きわめてこまかい問題にまで触れられておるという経過がございます。私どもは、これらの勧告なり行政指導方針というものが徹底して行なわれてくるならば、今日ハイタクに向けられておるような問題というのは発生しなかったということを断言するものでございます。したがって、この法律案というものが今後運営の面でどのように具体化されるかはまだわかりませんが、少なくもこの提案の理由の中に掲げられておるところのいわゆる大衆のためのタクシーということを達成するためには、これから先の政府当局が出される施策というものが完全に徹底して行なわれるということが必要ではないかと思います。
 さらに、事業者の皆さんにおかれても同様でございます。われわれは全国団体の事業者の団体の代表者の方との間に確認事項を協定しました。しかしながら、この確認事項が事業者全体に対してはたして徹底しているかということにつきましては、大きく疑問を持っております。要は、お互いの信頼性に基づいてきめたことを確実に行なう、しかも、大衆の利益のためにあらゆる障害を克服して行なっていくということが必要ではなかろうかと思います。
 非常に限られました時間でありましたので、多くの問題点を申し上げることができないことを非常に残念だと思いますけれども、われわれ労働組合としては、昨年九月以来、乗客に対して苦痛と損失を与えるような行為をおかした労働者を、組織としては救済をしないという立場をとって今日きております。今日までそのような組合の統制にかかっておる者が一人も出ていないという点を最後にお伝えいたしまして、私の意見を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
#8
○福井委員長 次に大畑参考人。
#9
○大畑参考人 大畑でございます。
 いま全自交の浅野参考人がだいぶ詳しく話をされましたので、労働組合という立場に立って申し上げますならば、ほぼ似たような点が出てまいります。したがいまして、同じような発言を避けまして、極力別の観点に立っての意見を述べさせていただきたい、かように思うわけであります。
 この法律の趣旨あるいは目的、そういうものにつきましては、従来から私どもは、そういうものを経営者に、あるいは関係官庁に対して強く要望をしておって、その意味におきましても、この法律案につきましては私どもの意見と相通ずるものがあるということで、冒頭から原則的には賛成するということを明確にしておきたいと存じます。
 しかしながら、この法律案は、運輸行政の欠陥でありますとか、あるいは不備な点、そういうものを部分的に糊塗しておるものである。さらに業界の問題点を皮相的に解決しよう、そういうものにすぎないということに私どもは解釈をしておるわけであります。したがいまして、この法律ではたしてハイヤー、タクシー業界のそれぞれの中に累積されております問題点を完全に消化し得るかということになりますと、必ずしもそうではないということは言い得るわけでありますが、ただ、歩一歩と段階的にいい方向に進んでいくであろう、こういうふうな期待ができますので、これから労働者の立場に立ちましての問題点を三点にしぼりまして、意見を述べさせていただきたい、かように思うわけであります。
 まず第一点といたしましては、日雇い運転者の問題であります。
 巷間伝えられるところによりますと、いろいろ問題点が出されておるわけでありますが、私どもの仲間の中にいろいろ伝わっておる問題点を皆さん方にお話しを申し上げたいと思うわけでありますが、ハイヤー、タクシーの運転者の選任につきましては、御承知のとおりに、自動車運送事業等運輸規則の二十五条の七でありますか、これに明記をされております。ところが、実際におきましてはいろいろむずかしい問題点等もありまして、なかなか解消できない、その運輸規則どおりにやられておらない、こういうようなことを私ども伝え聞いておるわけであります。すなわち、全国的に見ました場合に、認可車両と、それに必要であります乗務員のバランスの問題、数の問題、これを私どもで調査いたしましたところが、約一〇%ほど乗務員が足らないだろう、こういうふうに私ども判断をしておるわけでありますが、その不足分の車両というものがガレージに放置されまして、ハイヤー、タクシー本来の使命を全うされておらない、こういうことが言い得るということになります。私たちはこの車庫に放置されております車を専門的に遊休車ということばで呼んでおりますけれども、経営者はこの遊休車を極力稼働さすために、日雇い運転者の労働組合のほうから運転者を一定の期間を定めまして補充をする、こういう形のものが現在出ておるわけであります。この日雇い運転者の問題でありますが、一応日雇いという名称がついておりますが、賃金は日々払われるということではありませんが、一部悪質経営者、あえて悪質経営者ということで呼ばさせていただきたいと思うわけでありますが、この遊休車をなくしますために、あるいは日雇い労働組合のほうから運転者の確保をいたしますために、運輸規則と合致をした形で雇用契約を一応の形は結ぶわけであります。ところが、裏面におきましては、そういうものではない。日々の賃金を支払っていくというふうなうわさが私ども耳に入っておるわけであります。したがいまして、日雇い運転者の雇用につきましては疑惑が生じやすい、このような判断を私ども現在いたしております。この疑惑の解消のために、陸運局は詳しく実態を調査していただきますならばいいわけでありますが、非常に残念ではありますが、陸運局の実態調査と申しますならば、認可車両に対します乗務員の人員合わせ的な形で処理をされておる。こういうことが今日の世間の批判の的になっておるのではなかろうかと言っても私どもは過言ではなかろう、かように判断いたしております。
 さらにこの日雇い運転者の賃金体系についてもう少し触れさせていただきたいと思うわけでありますが、一乗務の水揚げが――一乗務と申しますのは、十六時間拘束であります。隔日勤務でありますが、これが一万五百円の水揚げに上がります。そこまでは一応固定給が五千円という形になっておるわけであります。それをオーバーいたします水揚げに対しましては七五%の歩合給を支給される、こういうことになっておるわけであります。すなわち、一万五百円以上に水揚げが上がりますならば、千円に対しまして七百五十円の歩合給がつく。このよう左刺激的な形が出ておるということであります。そこで、私ども本雇いの運転者、常雇いの運転者でありますが、この賃金の歩合給と比較いたしますならば、私ども本雇いの運転者の賃金は、歩合給の部分でありますが、大体三五から四五%の歩合給という形であります。すなわち、千円に対しまして三百五十円から四百円、このような形が出ておるわけであります。したがいまして、この本雇いの運転者の歩合給と日雇い運転者の歩合給というものと比較対照していただきますならば、これはいかに刺激的であるか、あるいはこの刺激的ということばを言いかえますならば、水揚げによって運転者の金に対する執着心をあおり立てておる。このようなことを私ども現在考えておるわけでありますし、さらにこの金に対する執着心が、ひいては日雇い運転者の労働時間の問題、あるいは肉体の疲労を無視しての労働ということに結びついてくるわけでありますので、必然的に交通事故でありますとか、あるいは水揚げの一番いい部分をねらっての乗車拒否でありますとか、そういうような不祥事が多数に発生しておるということが言えるのじゃなかろうか、かよう考えております。したがいまして、事、タクシーの乗務員に関しましては、労務者供給事業に基づきましての運転者ということではなくして、本雇いの形での運転者ということが望ましい、かように判断をいたしております。
 しかしながら、今回出されております法律においては、日雇い運転者のことについては全然触れておられない。ただ、若干職場を転々とすることを防止する、こういうことを明記されておるだけでありますので、抜本的に問題解決にはならない、かように私どもは判断をいたしております。
 なお、誤解があるといけませんので、ここで一言説明を申し上げておきたいと思いますが、現在日雇い運転者の労働組合というのが、私の承知しておる範囲内におきましても二つの労働組合がある、かように聞いております。一つはタクシー専門であります。一つはトラック専門、こういう形になっておりますが、私のいま申し上げました日雇い運転者の問題のある労働組合と申しますのは、タクシー専門の労働組合である、この点誤解のないように先生方に御理解を賜わりたい。念のため一言申し添えておきたいと思います。
 第二点といたしましては、近代化センターの運営費用の問題であります。事業者の代表がいろいろ言われておったわけでありますが、この機関は事業者の拠出金によって運営される、こういうことになっておりますが、ただ初年度のみ国庫の補助がある。これは先生方十分御承知のとおりであります。さらに、この近代化センターは、中立無色の運営ということが従来から陸運局なり運輸省のほうでいわれておったわけでありますが、中立無色というものが運営のたてまえになる、こういうことになってまいりますと、業者の補助、業者の拠出金のみによって運営されるということでありますならば、必然的に中立無色というものは消えていくんじゃなかろうか、このような判断をいたしますし、さらに最近の私どもの労働条件あるいは賃金闘争の中で見ます場合に、業者の方がとかくこの拠出金に対しまして一つの理由づけをしょう、あるいは利用をしようということが見受けられるわけであります。すなわち、私どもがベースアップの要求を現在やっております。これから臨時給――ボーナスのことでありますが、それの闘争に入っていくわけでありますが、そういう中で、拠出金の三万円というものは非常に響くんだ、だから労働者の賃上げなりあるいは労働条件のアップにはなかなか原資がないんだ、こういう話がされるケースがあるわけであります。現実にそういう具体例が、現在私ども賃上げ闘争をやっております中で、経営者のほうからちらりほらりという形で、それに類似したような発言がなされておる、こういうことを私ども下部の組織から報告を受けておるわけであります。したがいまして、この拠出金ということによって私どもの労働条件というものが押えられていくんじゃなかろうか、こういう心配を現在私どもしておるわけであります。
 さらに最近のハイヤー、タクシーの状態と申しますならば、電車あるいはバス等の補助交通機関としての役割りを果たしておるわけであります。したがいまして、その補助交通機関ということになりますならば、公共性が強いということになってまいるというのは十分御承知でありますし、さらに利用者の層にいたしましても、従来の特権階級あるいは金持ち階級が利用するということではなくして、最近におきましては幼稚園の生徒さんまでタクシーを利用しておる。いわゆる老若男女を問わず、もしくは社会的な地位というものに関係なしにタクシーの利用がある。こういうふうな観点に立って見ますならば、完全にハイヤー、タクシーというものは公共輸送機関である、このような判断をしてもよかろう、かように思っております。したがいまして、この公共輸送機関に対します補助というものは、本年度の五千万円限りということではなしに、将来公共輸送機関を正常に育てていくんだという形をもって、ひとつ国家の補助というものをお願い申し上げたい、かように思うわけであります。
 さらに第三点といたしましては、ハイヤー運転者の登録制度の問題であります。御案内のように、この法律案の中におきましては、タクシーの運転者のみの登録ということになっております。須賀参考人のほうで、運営の中に問題がある、こういう話をされておられましたし、まあ、このことは運営の問題であろうかと思いますが、タクシーの運転者のみを登録いたしまして、ハイヤー運転者は登録しないということになりました場合には、これは非常に大きな問題が出てこよう、私どもそう解釈をいたしておるわけであります。すなわち、タクシーだけの企業でありますならばこれは問題ないわけであります。ところが、タクシーの大手会社になりますと、ほとんどハイヤーと併用してやっておる、こういう形でありますので、もしタクシーの中で乗務員として不適当だ、あるいは不祥行為を起こした、こういう場合には、御承知のように、タクシーの運転者は非常に不足しております現状でありますので、やめさすのは会社のほうとしても困る。したがって、ハイヤーのほうに乗せようじゃないか、こういうことの心配も起こってくるということであります。したがいまして、そういう事態になりますならば、この法律案の中に盛り込まれております悪質運転者の排除ということにつきましては、これは全く期待できない、かように思うわけであります。したがいまして、タクシー運転者の登録ということだけではなしに、ハイヤー運転者の登録ということもひとつ先生方には御検討を賜わりたい、かように思うわけであります。
 さらに、この運転者の乗せかえという問題だけではなくして、従来からハイヤー、タクシーの労働者に対します世間一般の目と申しますのは、一部の不良運転者の悪質行為のために、運転者は雲助なんだ、こういうふうな見方が世間に流れておる。そういう状態の中で、大部分の良質運転者が悪質運転者だ、あるいは雲助だという汚名をかぶせられておる、このように私ども考えておるわけであります。このような情勢の中では、ハイヤーとタクシーを区分するということについて考えてみますならば、タクシー運転者に不必要なコンプレックスを植えつけるのじゃなかろうか、こういう判断をいたしておりますので、ハイヤー運転者の登録ということについても十分御勘案を願いたい、かように考えておるわけであります。
 以上、三点の問題を、浅野参考人とはダブらない程度にお話を申し上げたわけでありますが、この法律は運用いかんによりましては私たち労働者に大きな影響を与える、こういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、法律を大上段に振りかぶって運営された場合には、非常に危険な要素を含んでくる、このようなことが言い得るのじゃなかろうかというように判断がされるわけであります。したがいまして、今後の運営は、十分各界の意見を聴取をしていただくという姿勢が必要であろうと思いますし、さらに運輸行政の抜本的な改善がこれに加味されますならば、業界の近代化、適正化ということも不可能ではない、このように判断をいたすわけであります。
 労働組合の立場に立ちまして、このタクシー業務適正化臨時措置法案に対します意見を述べさせていただきましたが、よろしく御配慮の上、御検討を賜わりますようにお願いを申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
#10
○福井委員長 次に稲葉参考人。
#11
○稲葉参考人 稲葉でございます。
 私は、一利用者として、今回この法案について参考人としてこの機会を与えられましたが、この際、この法案以外の問題についても、日ごろ私自身が身近に触れております問題を二、三申し上げて、参考にさせていただきたいと思います。
 現在は物価も高騰しておりますし、所得の倍増ということもいわれております時代でございます。料金の値上げに関しましては、特別料金とか深夜料金とかというような形で変えられましたけれども、その点につきましては、私もむしろ合法的なやり方だと思いまして、この値上げについてはむしろ反対するものではございません。けれども、値上げということのお話が持ち上がりましてから、自主規制という形で業界の方々が率先して街頭補導ということで当たられている姿も私は日ごろ拝見しておりますけれども、新宿とか銀座とかそういうようなところの深夜では、そういう二、三の方が一生懸命立っていらっしゃいましても、現実には何十台、何百台という車が空車で一時間も動かない。この現状は、まるでもう徒党を組んで完全に拒否している。私はそれを見まして、文化国家日本としてこの現状はどういうことなのだろうかと、日ごろたいへん不満に思っているものでございます。
 この実態が、料金が値上げになりましてからはたして変わったかと申しますと、中央線の特に繁華街、また深夜特定時間という中では、決して事態は変わっていないように私はお見受けいたしました。私自身の体験を通しましても、いまの深夜の乗車拒否とか、それから私がたとえば青梅街道を行ってください、青梅街道はどこですか、そういうことを運転手さんはおっしゃいます。私はだいぶ不満に思いまして、私も免許歴十数年のドライバーでございますけれども、非常に無理な危険な運転をなさる方もございます。たとえばサンダルばきで――制服制帽ということまでは申し上げませんけれども、姿勢を正した形で運転なさらないという方をたいへん多く見受ける次第でございます。たとえば深夜でなくても、五時ごろの時間に、非常に車がたくさん通るわけです。そういう決して繁華街でない場所、時間も五時ごろというような時間でございますのに、十台の空車の中に一台初めて私が乗せてもらえるというような現状も始終お見受けいたします。
 そのようなときに、おりに触れまして運転者の方々に伺いますと、タクシーの昼間はたいへんに低能率だ、料金が低能率になってしまう、それをカバーするために、ノルマを果たさなければならないから、深夜、率のいい遠距離のお客さまを拾わなくちゃならないんだ。じゃ遠距離のお客さまなら乗せるのかと申しますと、たとえば深夜である場合は、プラスアルファ幾らというようなことであればもうどんどん乗せる。それははたして遠距離かというと、近距離の方もあるわけです。そういうことになりますと、それにもまた私は矛盾を感じるものでございます。たいへんに待遇が悪い、そういうような御意見も伺います。それはお手盛りで結局ベースアップをはかられているためにプラスアルファというような形になってしまうのではないかとも思いますけれども、現状が苦しくて、運転者の非常な人手不足で定着をはかるというために、ある程度業者側もそういう形を黙認して、そして自己防衛と申しますか、そういう形をはかられているんではないかというような感じもないではございません。需要と供給のアンバランスがあれだというような点でございますけれども、それでは個人のタクシーの方はどうかと申しますと、たいへんに、個人タクシーの方は、御自分の車を傷つけてはいけない、事故を起こしたら責任が重いというような形で、安全運転をなさる方のほうが多いようにお見受けいたします。
 こういうサービス業でございますから、ある意味では自由競争というような形をとらなければ、実質的な改善というのはなされないのではないかと思うものでございます。その点につきましても、事業者側も身分の保障とか最低賃金の保障というような働きがいのあるような形で運転者に対していただきたいということは、決して理解しないものではないのでございますけれども、私ども利用者が利用する場合に非常にいろいろな苦情がある。その苦情を処理するというような機関があることは存じておりますけれども、現実には警察なりもよりの交番に参りましても、調書をとられる。二十分も三十分もかかる。その結果、確かに翌日には運転者なり事業者に連絡をしていただけるようでございますけれども、その結果、検察庁なんかにいろいろなさいまして、三カ月後ぐらいには結果が出るでしょう、そのことも、警察まで来て結果を聞きに来ればどうなったか教えますよ――そういうような現状では、私ども利用者が苦情を実際に処理をする機関がございましても、利用する気持ちにはなれないと思います。たとえば、そういう場合には、苦情処理ということよりも、その現場にすぐ、苦情が発生した場合に、いまは電話網なり何なりございますのですから、御連絡を申し上げた場合には、適当な方が補導にいらっしゃって、そして確実にそういうことをその場で排除していただけるというような、敏速簡便な方法で処置をお願いしたいと思うものでございます。たとえば利用者が手を上げる。センターラインすれすれのところを空車がどんどん通る。たまに理由を聞きますと、いま交代時間だとか、ガソリンがないとか、食事の時間だとか、そういうようなことをいろいろともつともらしい理由はございますけれども、それじゃはたしてそういうときには回送なり何なりの表示が出ているか。決してそれが出ておりません。そうしましたら、乗せる意思があって走っていらっしゃると私どもは解釈するほかないので、送迎車の場合は迎車という形が出ておりますけれども、もっとはっきりそういう点を明記して、利用者側にも納得のいくようなフェアな形での営業ということをぜひお願いしたいものでございます。
 私どもも現実に車は自分で持っております。ドライバーでございますが、都心に出るときに自分の車を持っていかれない。それはどういうことかと申しますと、駐車場の問題でございます。この際、運輸関係の方もいらっしゃいますので、ぜひお願いしたいのでございますけれども、たとえば高架線の下とか高速道路の下とかいうようなものを一般に開放していただくとか、官公庁の建設用地で広い土地がございます。そのようなところを一時的に開放していただくというようなことがあれば、私どもは自分の車で運転して安心していかれることもあるんです。そういうようなことで需要、供給のアンバランスというものも多少は緩和されるのではないかというようなことを考えるものでございます。また、特定時間にタクシーの乗車場をたくさん設けて、そこで乗せてくださるという、確かにそういうものはございますけれども、そこにはなかなか車が来ないというのが現状でございます。ぜひタクシー乗り場を多く設置していただいて、そこで待てば必ず乗れるんだというような形にしていただきたいと思います。
 また、一部の悪質な運転者の締め出しということでお話がございましたけれども、運転者が悪質なのでございますか、公平な目で見ますと、運転者を甘やかすような深夜族というものが多いということも現実だと思います。結局、そういう深夜族の方々がそういうような習慣、慣例というか、そういうものをつくってしまった上で、協定料金だけで走れということを私どもが要求するのがまた無理な現状なのかもしれないとも考えるものでございます。この際、皆さま方が、こういう乗車拒否をなくそうという大きな運動を、一大キャンペーンを起こして、世論の力を盛り上げて、こういう乗車拒否をするような方を生ませるような乗る側の――平たく申しますれば、私は主婦でございますから、私の主人も含めまして、世の殿方の御協力、自覚というものも仰げるような、そういうようなお訴えというものも必要じゃないかと思います。こういう問題は、この法案以外にも、結局事業者、運転者、利用者、この三者が手をつないで問題の解決に当たっていただかなければ解決し互いんではないか。そのためには、この実情、現状に沿って、もっときめこまかに、私どもがほんとうに毎日安心して明朗な車に乗れる――完全に大衆の足と化したタクシーというものの存在を否定するものではないのです。また、料金の今後の値上げというものにつながるかと思いますけれども、そのときにも、私どもが支持できるような、そういう姿勢を正した、業界なり運転者の自覚というものを切に御要望いたしまして、参考にさせていただきたいと思います。
#12
○福井委員長 次に平林参考人。
#13
○平林参考人 私は、利用者の立場から、理論的なものを述べるのではなくて、現実に起こっている事実だけにしぼってお話しをしたいと思います。
 それにはまず、提案理由の説明の中にも指摘しております、タクシーは今日では大衆交通機関として国民の日常生活に密着してきた、こういう点について、タクシーの本来的な、社会的な役割りと申しますか、よくいわれる公共的役割りについて考えてみたいと思います。と申しますのも、私は、いまの運輸行政といいますか、たいへん不満を持っております。たとえば深夜バスが一時期大きくクローズアップされたことがありました。私自身、いまどこを走っているかは知りませんが、そこに何か片手落ちな、極端な言い方をすれば、都民の生活と遊離した行政の一端がのぞかれているのではないかと思います。それがタクシー乗車拒否の問題や深夜における輸送サービスということでしょうが、はたしてほんとうの意味の輸送サービスになっているのかどうか。私の住んでいるところは、西武大泉学園からバスで三十分のところであります。朝の始発が七時二十九分、帰りは八時二十分で終車となります。朝の七時二十九分という時間帯は、都心に出る場合どうなるか。ちょっと遠方に通勤通学する人にとってみれば、あまりにもおそい時間と言えるし、さらに終車の八時二十分に乗れない場合は、長蛇のタクシーの列に入って一時間程度待つしかありません。これは最近時間が変更になりまして、それ前は、ことしの初めごろは九時二十分が最終でした。御存じのように、郊外へ郊外へと住宅が伸びている現在、多くの人がこちらに住居を求めて移り住んできております。また宅地造成が郊外に多く進んでいるということは御存じのとおりだと思います。それにもかかわらず、八時前後といえば、多くの人々は帰宅の途中であると思います。しかし帰るバスがないということ、早い出勤にも足が確保されていないということ、深夜のバスを動かしても、片方では帰りのバスを早めるということ、これが行政官庁の指導かどうかは知りませんが、私は矛盾を感じますし、また、乗車効率を理由とするならば、深夜バスの乗車効率と比べてどうか、深夜バスを利用する人と、私たちの通勤、通学の利便をはかるということ、これの社会的意味を考えると、何か釈然としないものがあります。これを運輸行政だというならば、都民の利益とは何か、行政に携わる人にお尋ねしたいところです。
 そこで、タクシー事業について建設的に考えてみますと、先ほども一触れました深夜バスの運行は、タクシーのもろもろの問題の一つとして出てきたものと思います。とすれば、タクシーの公共性、大衆交通機関という問題が、乗車拒否があるからというだけの理由で、一部の悪徳企業者、悪徳運転者がいるということだけで否定されるとするならば、たいへんな問題だと思います。もっと突っ込んで考えてみると、タクシーが悪いから片方の運輸機関にたよるということは、つまりタクシーの公共性を否定した考え方ではないかと思います。その前に、タクシーのあり方をもう一度考え直し、本来的な公共事業としての役割りを持たせるということが大切なことであり、タクシー事業に対する血の通った行政といえないでしょうか。
 たとえば、一人しか乗れないタクシーということではなく、よく耳にする相乗りの合法性ということもその一つではないかと思います。これは公然の事実となっている。また行政官庁も黙認していると聞いておりますが、タクシーの相乗りは当然多角的に検討してみるということ、これも一つではないでしょうか。知らないというほうがふしぎなくらい相乗りの経済性は大きいと思います。現実に私のところでも、八時過ぎると長蛇の列ができるということは先ほども述べたとおりでございますが、それが同じ方向に一台ずつつながっていくということ、これはそれが法律であっても何か不経済に思えてなりません。相乗りを認めろということでなく、ここらに何か問題が隠されていないでしょうか。これはしろうとの考えかもしれませんが、私は、もう一つのタクシーの経済性というか、大衆輸送機関としての役割りがあるように思えてなりません。たとえば、東京駅や新橋駅など大き左駅でやっている、指導委員会から派遣された人が駅待ちを整理するというような方法はとれないだろうか。そして、このように企業主も進んでその改善策を都民の前に事実として出していただきたい。
 といって、私は、この指導委員会から派遣された人に多くの疑問を持っております。つまり、愛されるタクシーということで派遣されたと思いますが、この人たちが乗車拒否を黙認している事実にぶつかっております。これは私だけではないと思いますが、夜の盛り場のタクシーの乗車場にはあまりタクシーも入ってきません。入ることも義務づけられてはいないでしょうが、目の前を空車で通っても乗車場のお客を乗せようとしません。また、そこにおる指導委員会から派遣された人、腕章にはそう書いてありましたから確かにそうだと思いますが、その車を誘導しようとはしておりません。そればかりか、たまたま入ってきた車に乗ろうとしますと、運転者と話し、〇〇方面の方はいませんかと、その方面の人を選んで乗せました。それには理由もありましょう。指導委員会から派遣された方も、給油に帰るのだと言っておりましたが、その理由は理由として、割り切れるものかどうか。それで、そのあとから入ってきた車も、食事に行くとか方向が違うとか言って、一番前に待っていて、みすみす二台もあとに乗る羽目となりました。これは理由をつけた乗車拒否ではないでしょうか。
 また別の日に、私は、夜は可能左限り乗車場から乗るようにしておりますけれども、その日も待っておりましたところ、先日と同じような事実がありました。そこで、その人に、理由をつけた乗車拒否ではないか、またあなたは運転者を義務づける権限を持っていないのかどうか、そういう点についても聞いてみました。ところが、何の権限もないのだ、ただ整理をしていればいいのだ、運転者がそう言えばしかたがないではないか、こう言っておりました。私はこれは納得できません。せっかく派遣してきておるならば、それなりの権限を、つまりお客に対するサービスのための権限を持たせるべきではないでしょうか。何か見せかけだけはいろいろやっているようですが、中身は旧態依然たるものがあるように思います。違った見方をすれば、都民の目をごまかし、マスコミの攻撃からのがれる手だてをしているようにさえ思えてなりません。たとえば、これが何を意味し、どういうからくりか知れませんが、ある企業者は最も悪質だといわれ、事実だと指摘され、新聞にも大きく報道されたあくる日に、ペンキを塗りかえて名前を変えた大きな企業を知っております。これらは運輸行政の英断はもとより、企業主みずからが、見せかけだけの近代化や企業の改善ではなく、悪い者はみずから粛清をしていくということ、そしてさらには、いま問題になっております多くの問題を掘り下げ、運転者とともに近代化をはかるという方向で問題に対処してほしいと思います。
 そのために、私は、今回の運賃値上げには賛成をいたしました。タクシー事業の発展という大義名分の前に当然だと思います。つまり、運転者の労働条件を改善することによって乗車拒否がなくなるということ、労働時間、施設を改善し、賃金をよくするということなど、私も吹けば飛ぶようなものですが、会社の代表として、そのための資金、特に最近の運転者の、私のほうでいえば労働者の確保のむずかしいときだけに、しかたがないことだと考えておりました。事実、よくタクシーに乗って運転手さんと話すのですが、組合の方々の言うように、賃金体系の問題、特に私自身乗車拒否の一原因として興味のある歩合制賃金の問題や、労働時間、家に帰っても四畳半に子供二人いて、朝帰っても眠れないとか、一日の緊張でちっとやそっとでは眠れないし、酒やギャンブルという話も聞いております。確かにこの東京の交通混雑の中で、安全運転の緊張と疲労ははかり知れないものがあることは察せられます。それを職業としているだけになおさらとも思います。それだけの労働に対し、どれだけの賃金なり労働条件というものさしはないとは思いますが、私の経験からいって、将来の保障のない会社や労働過重の会社ほど、高い賃金やよい施設をつくってやらないと人が集まらない。それはわかり過ぎるほどわかります。タクシーという先ほども申しましたたいへんな仕事だけに、多くの賃金が必要であり、施設も必要だと思えばこそ、私は不本意ながら賛成をしたのです。
 しかし、今日、私は乗車拒否が減ったという話も聞きませんし、私自身先日も上野で乗車拒否にあいました。また、もし減ったということであれば、理由をつけた乗車拒否ということにはならないでしょう。私の思うところ、車をとめて行き先を聞いてから、給油だ、食事だ、方向違いということは、乗車拒否以外の何ものでもないと考えます。最近はこれがときどき目立つように見受けられます。運転者が食事をすることを否定するものではありません。給油も必要でしょう。また人情として、自分の好まない場所や遠方で帰りのないところに行くことはいやがる気持ちはわかります。それならば、乗車拒否もよい、車の前部に食事または給油その他といった表示をすることも一法ではないでしょうか。そして、そのために帰りを全く空車にして帰るのも地域により不経済ですから、その方向の人を乗せていくという配慮もあってしかるべきだと思います。いわゆる乗車拒否の正当性ということも一面としてわかりますので、いたずらにすべてを乗車拒否ときめつけるものではありません。何らかの方策も考えてみるべきだと思います。現実の理由がある乗車拒否は、それが事実理由があったとしても乗車拒否につながるものであって、一たん車をとめて言うことは納得できません。そういう表示があって初めて理由が理由として許されると思います。といって、私は、たとえば大きな荷物を持った客は乗車を断わることができるという一つのきまりに疑問を持ちます。よく見かけるのですが、病院帰りや入院時にふとんを持ち込むことがありますが、このような場合、まさかトラックでもありませんので、ぜひともタクシーを利用させてほしいものと思います。
 とにかく乗車拒否ということは不愉快なことです。ぜひともなくしてほしいものです。それをただ単に運転者だけが悪いというのは、何か早計のような気もいたします。確かに悪い運転者も多いでしょう。しかし、これまでにも触れてきましたように、行政面の欠陥はないか、企業主の時代感覚のズレはないか、あまりにももうけ主義に走っていないかと見てきますと、たとえば、私たちの企業では宣伝が必要であり、お客の接待があり、営業上の経費はタクシー事業と比べようもないし、仕事としても、金が取れない、帳簿上金はあっても入ってこないということがありますが、タクシーは車一台持って出れば、その金額の多寡は別ですが、日ぜにが入ってくる。宣伝費も、お客の接待も、金が取れないということも、金がおくれて入ってくるということも全くないと思います。ただよい運転者をと、それに多くの投資ができるはずですし、私たちの機械を入れて近代化をするのと同じで、運転者に投資するということ、つまり、高い賃金とよい作業環境がタクシーの近代化につながるものと信じます。それだけに、悪質運転者がいるということ自身ふしぎでなりません。つまり、投資の少ない会社に悪い運転者が集まると考えるのは間違いでしょうか。今回の値上げにしても、その値上げの理由を当時に振り返って見てみますと、聞くところによると、賃金はよくならないし、私が興味を持って見ている歩合制賃金が新たな形、運転手さんは足切りの額と言っておりましたが、一定の水揚げ高を押えて、それ以上働いた者に歩合を出す、つまり、固定的部分は確かに上がったが、片方に歩合制賃金を残し、運転者のしりをたたく部分を高い額にとられているということを訴えておりました。幾ら固定的賃金は上がっても、絶対額は少しも上がっていないと話してくれましたが、確かにあまり変わっていないように見受けられます。その証拠に、多くの会社でことしも赤旗の上がっているということはどういうことだろうか。そこいらにいまだに乗者拒否がなくならない原因が隠されていると思います。
 といって、全部が全部企業主が悪いとは申しません。確かに多くの悪い運転者も見受けられます。つい最近ですが、私の友人が銀座から麻布まで乗るために車をとめ、行き先を告げますと、一言も言わずに走りさろうとするので、車に手をかけ、その理由をただしますと、泥酔しているからと言うのです。それが正当な理由になるかどうかは知りませんが、その友人は復立ちまぎれに、タクシーにはよく座席のうしろに書いてあります御不満な点は指導委員会にということばを思い出し、電話しましたところ、泥酔して運転者に危害がくると思ったのでしょうと答えたといいます。そこで友人は、泥酔しているかどうか会社の人にも明らかにしてもらおうと食い下がり、会社に電話し、来てもらいましたが、会社でも、泥酔しているから運転者が危険に思ったのでしょうと言ったというので、憤慨しておりました。理由は理由としても、運転者が不足していることは、車庫に眠っている車を見るにつけわかりますが、それだけで乗者拒否を正当化し、運転者をかばってまでということはうなづけません。こんなことでは乗車拒否はなくなりませんし、だから、この法律にいう登録制をとっても、運転者が不足しているという絶対的条件を掘り下げない限り、十分な解決になるかどうか疑問です。また、このことは、現在のタクシー運転者の流動性を見るとき、東京、大阪だけやっていても、たとえば東京で登録が抹消されても、お隣の埼玉なり川崎、横浜に行ってやればよいということになりはしないだろうか。そしてその結果は、ただでさえ新興住宅街における犯罪に拍車をかける遠因にならないかどうか、何か気にもなります。
 法の運用について十分留意していただくことはもちろんのことですが、この法律が一つの前進的なものであるとは思います。つまり、行政も企業主も運転者も一体となってタクシーの国民的な期待にこたえようとする姿勢はうかがえます。たとえば、少ないながらも国家が金を出して、運転者の共同休憩施設の設置等も考えているようです。タクシーの経済性、社会性を云々するならば、他の輸送機関同様、もっともっと金を出して、国家的にもセンターをつくるべきだと考えております。
 簡単でございますが、以上、私の意見といたします。ありがとうございました。
#14
○福井委員長 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#15
○福井委員長 質疑の通告がありますので、順次
 これを許します。村山達雄君。
#16
○村山委員 ただいま参考人から詳細なる御説明、ありがとうございました。
 この法律は、現在道路資本が極度に払底しておるという客観条件、それからタクシー運賃が消費者物価抑制の見地から、どちらかと申しますと抑制ぎみにやられておるというその中におきまして、主として利用者の便益をはかるために必要な措置をとられたことは御承知のとおりでございます。そしてその中身は、運転者に対しまして登録制度を設け、違反がある場合には強い規制を今度やっていく、同時に、事業者側に対しましては、適正化事業を強力に推進するために必要な仕事をやっていただき、それに必要な財源を出していただくということが中心であるのでございます。
 そこで、お伺いしたいのは、川鍋さんでも須賀さんでもけっこうでございますが、負担金の徴収問題でございます。ただいま申しましたような見地から行なわれておるわけでございます。もとより、この額並びに徴収方法は、法律が明記しておりますように、適正化事業実施機関がみずからきめ、運輸大臣は必要在る監督を加えることになっておるのでございます。ことし行なわれました運賃改正には、御案内のように、その徴収料金が原価計算の基礎に入っておりまして、それによりまして所要の引き上げが行なわれたのでございます。もとより実施機関の事業の内容によりまして必要なだけの費用を分担していただくということになりましょうし、一方におきましては、運転者を含むタクシー事業の負担能力を考えつつ、この料金は決定されるとわれわれは考えておるのでございますが、先ほどちょっと伺いますと、非常に強く言われたせいかもしれませんが、徴収そのものに非常に批判的な御意見がございましたが、そういうことはないと思うのでございますが、念のために、その額あるいは時期、そういうことについて実情に即するようにやってもらいたいという御意見と拝聴いたしておりますが、いかがでございましょう。
#17
○川鍋参考人 二二・五%上がった中に入っておると答弁がいつも国会でもあるようであります。これは私のところの経理でございますが、一般の会社と私のところとは違うと思います。いまの二二・五%上がったと称する料金で、現在私のところは、新聞紙上にも大きく広告しておるとおり、タクシーをつくりかえましょう、そして順法経営をしよう、こういうことで、大きく私のところは打ち出しております。したがって、その経理を見ますと、一台一日千六百六十六円の赤字です。それで一カ月になりますと五万六百四十六円の赤字であります。一年にこれを計算しますと六十万八千九十円の赤字という実績が出ておるわけであります。どこに三万円が入っておるか。それともう一つは、先ほど申し上げましたとおり、労働基準法の労働時間を厳守せよというそれが、ちょっと聞いてみますと、どちらも忘れて原価計算してしまったようなことになっておるようであります。したがって、こういう赤字の累積で、その三万円なんというものはどうして入っているのか、これは私のところのほんとうの経理です。まあ中小企業あるいはごく小さい会社で、どんぶり勘定をしているものさえまあいっぱいいっぱいで、しかも、いま申し上げた赤字は、今回の春闘もあるいは中元のあれも入っておりません。現在だけでこれだけの赤字があるわけです。したがって、私のところの旧日本交通だけで年間六億一千万円ぐらいの赤字が出るわけであります。私もずさんな頭ですから、だいぶ私のところに、みんなやり切れないからといって売りに来る、そうして五、六社買った。そういうものの運転手が足りないので、五〇%ぐらいきり動いておりません。これをざっと計算しましても、八億七千万からの赤字の出る私のところの原価計算であります。こういうところで、どこにその三万円が入っておるのか。それともいまの労働基準法で守れという労働時間が考えられておったのかおらないのか、そこが私は非常にふしぎなんです。おそらくこんな計算はそういうものをすべて入れておらなかったのだろうという計算、これは私のところのほんとうの実態の経理でありますから、これを見せろというならば、十五、六枚刷ってまいりましたから、お見せしても差しつかえないと、かように考えております。
#18
○福井委員長 参考人各位に念のために申し上げます。時間が非常に少のうございますので、要領よく簡潔にお答えくださるように御協力を願います。
#19
○村山委員 時間が限られておりますので、議論は差し控えたいと思いますが、いまのお話は、現在のところ、日本交通の場合、皆さま方負担能力はないというお話と聞きまして、本質的な反対ではない、性質的な反対ではないというふうに私は伺ったのでございます。
 それから、労働組合の大畑さんにちょっとお伺いしたいのでございますが、先ほどの歩合給のものの考え方でございますが、これは経営者の従業員に対するしりたたきという角度からおとりになったのすが、われわれは事業というものを考えるときに、当然その能力に応じまして報酬が違ってくる。タクシー事業の労務管理の特色を考えてみますと、まあほんとうにどうにもならない。一台持っていかれる、そこでどういう働きをされたかということは、ほとんどもう本人だけがわかる、もしメーターがなければ。そういうことからいいますと、どうしても合理的な給与のきめ方について、歩合給はしりたたきとかなんとかいうことでなくて、その労賃のきめ方自体の合理性というものからいいまして、ある程度どうしても免れないようにわれわれはちょっと考えるわけでございます。もちろん、それは人の性質がどんどんみんな神さまみたいになるとか、あるいは非常にもう事業経営が豊かになるとか、そういうことを入れますれば別でございますが、現実の与えられた条件のもとにおきましては――その割合がだんだん少なくなるとかなんとかいうことはわかります。しかし、どうもそういう労務供給、労働条件の本質的な性質からくるものが多いように思うのですが、その辺はいかが考えておられますか。
#20
○大畑参考人 先生のちょっと誤解があるんじゃないか、かように思います。おっしゃるとおりに、ハイヤー、タクシーの場合には、歩合給というもので運転者のみが自分が管理をしながら自分が営業しておる、こういう形であります。したがいまして、経営者の方々、まあ一部頭の古い経営者の方々になりますと、おまえさん、タクシーの運転者は社長だし、そして営業マンだ、だから、おまえさんの責任にすべてよるんだ、こういう話をよくされまして、その責任の度合いがすべて歩合給だ、その歩合給によって判断するんだ、こういう解釈をされておる経営者の方がおいでになるわけであります。私ども労働組合の立場に立ちましては、極力歩合給は少なく、できるならば、利用者代表の方が言われておりましたように、完全固定給ということも将来考えておるわけでありますが、現状においては非常にむずかしかろう。それじゃどうしたらいいかということになりますと、歩合給を漸減をしていきたい、かように思うわけであります。
 先ほど冒頭に先生の誤解じゃなかろうかということを申し上げましたのは、私七五%歩合給と申し上げましたが、それは日雇い運転者の歩合給であります。常雇いの運転者は三五%から四〇%に大体おさまっておる。そういたしました場合に、常雇いと日雇いとの歩合給の差というものは非常に著しい。七五%がはたして適切であるか、あるいは四〇%が適切であるか、こういう議論はあろうかと思いますが、要は、常雇いの運転者に比べまして、日雇いの運転者のほうがいわゆるけつのひっぱたきというものがされるのじゃなかろうか、だから、そういう点で刺激性が高いということを申し上げたわけであります。
#21
○村山委員 わかりました。だから、歩合給そのものの合理性を全然否定するわけではなくて、現在の歩合給が日雇いの人において高いのはどういうわけか、こういう御批判だ、こういうことでございますね。
 以上をもろて私の質問を終わります。
#22
○福井委員長 次に金丸徳重君。
#23
○金丸(徳)委員 たいへん大事な問題に直面いたしまして、ことに私は、この法案審議の過程におきまして、私なりに考えておりますし、また自分でいろいろと街頭で運転者の皆さん方の苦労の様子などをこのからだをもって受けとめながら、法案の審議に当たってまいったのでありますが、本日参考人の皆さん方からそれぞれの立場で切々としてお訴えになられました様子を承りまして、一そう問題が複雑であり、深刻であり、かつ、それだけにまた一刻も早く根本的な解決策を見つけて、そして喜ばれるハイタクであり、ありがたがられる運転者であってほしいように、あらためて私は思いました。
 本委員会は、先般来、そういう意味におきまして、政府から提案されてきました本法案につきましていろいろ審議してまいったのでありますが、実は私は、この政府提案に対して幾多の不満を持っております。不十分さも感じておりますが、しかし、当面、政府が長い間検討をして、さしむきこういうことででも一歩前進する以外になかろうじゃないかというような意味におきまして提案されたことについて、参考人の御意見などを承りまして、一歩前進であるならば一応賛成しておこうかという程度の考え方で臨んだのでございます。しかし、聞いてみますと、ことに利用者の皆さん方からは、私も利用者の立場で考えておったのでありますが、非常に問題が深刻であり、このままであっては、とうてい国民の皆さん、利用者の皆さん方から満足される法案とはいえないように一そう考えます。問題を根本的に振り返り、掘り下げて、あらためて出直す必要があるのじゃないかなどともいま聞きながら思ったわけであります。しかし、そうはいいましても、一歩前進、この次の根本的なる改正なり改案なり政策の実施なりを見詰めながら、次善の策ながら一応これで一歩前進するということであるならば、それもよかろうじゃないか、いずれ附帯決議その他によってその意向は出てまいると思うのであります。ただ、先ほどからお聞きいたしておりまして、解決策をもし見つかるならこの席において御用命を願っておいたほうがよかろうじゃないかと思われる点が一、二点ございます。
 まず、業者の参考人の方にお伺いいたすのでありますが、今回の案によりますと、登録制が実施されます。先ほどから運転者の代表の方からのお話もございましたが、これは運転者側にとりましては非常に規制に感ぜられるでありましょう。窮屈化されるでありましょう。職業の自由を侵害するのではないかなどという意見さえも私どもの耳には入っておるくらいでありまして、何となしに窮屈になってまいる。もちろん悪質なる人を排除するということはよろしいのでありますけれども、その窮屈さが、善良なる誠意をもって公共的性質をますます高めておるところのハイタクの業務の第一線をやられる人々が窮屈さを感じ、何となしに不安を感ずるがゆえに、その職場にとどまり得ないようなことに相なったらたいへんなことになりはせぬか、こんなふうに思ったのであります。
 実は昨日、私は同僚議員の皆さんと現場のほうを見せていただきました。その間に受けとめましたのは、たいへん運転者を得ることに困難をなさっておられるようで、日交へお伺いいたしましたら、年額相当な宣伝費を使って運転者を募集されておるにもかかわらず、十分充足されないという実情であるのであります。こうした窮屈さを感じるような法制が実施された場合においては、その充足を一そう困難にするのではないかと思われるのでありますが、業者の皆さんとしてはどういうふうにお考えであるか、またそれに対してどういうふうな対策を講じられるのか、ことにいま急場をしのぐために日雇い運転者をお使いになっておられるようであります。この急場をしのぐための、いってみまするならば、窮余の策さえも口がふさがれるということになりますと、一そう窮屈さが充足されない状況となって悪循環を繰り返す、しかたがないから、どうも不十分ではあるけれども、頼んでくるということになりはしないか、そして登録制というせっかくのねらいがかえって逆な効果をもたらすのじゃないかとさえ心配されるのでありますが、この点はいかがでございましょう。この点が一つ。
 もう一つは、先ほど、今度の改正案によりましてセンターをおつくりになる、これに対しては業者のほうからばく大な金をお出しになるということにつきまして、川鍋参考人からは御不満の表明がございました。私はごもっともだと思います。現段階におきましては、それでなくてさえもたいへん窮屈な財政事情が、ますますこういうことで窮屈になることにつきましては、たいへんお気の毒に思います。しかし、これも将来の業界のためであるならば、さしむきひとつがまんしてかかろうじゃないか、そんなふうに思っていただく以外なかろうじゃないかと思うのでありますが、同時にもう一つ、私は、業界の皆さん方が、たとえば車の購入方につきまして、あるいは修理の方法につきましてもその他の点につきましても、業界内部における協力関係、共同関係をもう一歩進めていただく。ことに融資の関係、借金などの関係につきましては、何かもう少し積極的に協力してお考えなさったほうが、具体的には政府に低利融資などについてその方法を迫ることによりまして金利の重圧から免れることができるのではなかろうか、それがまた業界の財政を楽にする道でもあろうじゃないか、こう思うのであります。本事業が、とかく従来からの自由競争の中であるいは競争心の強い業態の中で、もしかすると望ましいところの協力関係が欠けておるのではないか、欠けることによって、せっかく得べき利益を失いつつあるのではないかなどと、私しろうとでありますから実情わかりませんけれども、そう思われるのであります。これらの二点につきましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。お二人から、ごく短くでいいですから……。
#24
○川鍋参考人 登録については、将来は私も非常にこれは有効になると思うが、現在運転手の絶対量が足りないときに、多少そういう疑念があり、かつまたあれには試験があるわけです。東京都内の試験とか、いろいろあるわけですが、いま私どもが月に二千万円かけて百名ぐらいずつ募集しておりますが、全部地方の人が多いわけです。ところが、宮城の屋根は見えても、それすらわからない人がたくさんおるわけなんです。これはやはり運転手の絶対量が足りないというので、やむを得ず二月、三月の短期間の養成によってこれを出して、利用者の方々に非常に御迷惑をかけておることは事実であって、先生のおっしゃるとおり、将来は非常によろしいと思うが、現在にはこれは適切してないという点があります。
 それからもう一つ、食事という問題、これはまた、もう東京都内はみな一坪百万以上の土地であります。郊外の相当遠いところに行っても、二十五万、三十万ということで、これは食堂をつくるということは非常に名案のようであるが、なかなかその資金ができない。また、われわれの会社では、事業所、事業所によって全部食堂をつくって、一切の電熱すべては補助しておるので、非常に安く食べられる。これらはおそらくわれわれ会社組織の会社では必要ないということが、これは絶対言い得ると思うのであります。
 融資のことで先生非常にいいことを言うてくださいましたが、実際問題として、われわれ公共事業だ公共事業だといって、何らの融資も補助金も何もないわけです。要するに、たいがいの公共事業というものは、私は石油のほうもやっておりますが、半官半民の会社とかあるいは公共事業のこういう伝統のところには、これはほとんど税金は還付されて、無税でやっております。そうしてこれは適正左利潤、一割二分の配当が適正で、それ以上やっちゃいかぬということがあって、そういうものが全部補助される。しかも大きく財投融資がかけられて、低利資金でやっておるのが事実であります。ところが、われわれ公共事業公共事業といっても、何の補助もなく今日までやってきておるということがおかしいことであるが、実際問題として、いま東京都民の一日の輸送量というものは百六十万を突破して、私鉄を凌駕するほど利用されておるこの事業であります。したがって、これを何とか財投融資でも先生方からこの際つけていただが左ければ、もう八月は越せない、ほとんどの会社が倒産という非常左大危機にいま当面しておる。先生方はお笑いのようでありますが、私も独立して四十年、こん左大危機にあった経験は一つも持っておらない。二二・五%上がったから非常にいいだろうということが都民一般の頭にしみ込んでおる。ところが、実際のわれわれの経営はだめだ。全く世にもふしぎな値上げの状況なんです。これは要するに、労働基準法を守れ、労働時間を短縮しろ、それを原価計算に入れるななどと、これが間違いの大ミスである。だれが責任を負うか。おまえらだと言われて、また役人に言ったら、われわれは弱いものです。許可認可の下におるのですから、まあまあと思っておるが、これはだれが責任を負ってくれるか。絶対にこれはもう私のところに十五社ぐらい売りにきています。売りにきておっても、買うこともできない。そのほかの会社も、全部もう売ろうとしても買うこともできないという悲惨な現状にあるということは、私の四十年の体験で初めての大危機であるということを申し上げて、御答弁にいたしたいと思います。
#25
○須賀参考人 登録制の問題、これは確かに窮屈そうに感じますが、むしろいい方は全部登録するようにしますというふうに、やはり運転者の方にいろいろよく説明して、これは登録しているのが一人前ですというふうに持っていきたいということです。
 それから、いまのいろいろの共同施設の購入とか、これはごもっともですが、川鍋さんもおっしゃったように、この業界四百何十社東京だけでもありまして、この意見統一をするだけでもなかなか大仕事でして、この意見統一をすれば簡単にまとまる問題です。それには協会がなるべく業者一本になるということが目標でございます。
 それから第三点の融資は、川鍋さんがおっしゃったとおりで、まことにけっこうでございます。
#26
○金丸(徳)委員 私は、ぜひ業界の協力体制を進めていただいて、その協力体制、共同体制の中から政府に迫るという行き方でないといけないのではないか、こう思うのですが、四百何十社まとめることにつきましては、川鍋会長の腕前をもってしましても、御経験をもってしましても、また須賀さんのお力をもってしましても、なかなかたいへんだろうと思います。たいへんだろうと思いますけれども、これがこの法案に魂を植えるのに先決だと思います。その体制ができた中からひとつ生きる道を発見していただかなければならぬじゃないかと思います。
 先ほど利用者の代表の方から、今度の値上げは決して不満には思っておらぬ、がまんするのだ、こうおっしゃっておられます。現段階において、きのうも勉強しましたところによりますと、一〇%から一二%程度の増収だそうであります。予定の二二%にはほど遠いのですけれども、これはやがて追いつくだろうと思います。私は、御安心になって、まず自分のほうの体制をひとつ推し進めておいて、そのほうの道を開いていただくことが必要ではないか、これは私のよけいなことになるかもしれませんけれども、お願いをいたすところでございます。
 そこで、次に、組合の代表の方にお尋ねをいたすのであります。
 先ほど御意見の御発表の中にありましたように、組合側といたしましても、悪質なる行為のないように、いわんや、万々が一悪質なる運転者がある場合には、みずから進んでこれを排除する方法を十分講じておられると言われました。私はそのとおりだと信じます。にもかかわらず、利用者の代表の方々から一々御指摘になられましたように、深刻なる事態があるようでありますが、これは本法のねらうところがそういうことをなくなそうというところにもあるようでありますので、組合側といたしまして、これは個人タクシーの場合には個人個人でありますけれども、その人たちの自覚、自省に待つ以外になかろうかと思いますが、これにつきましては、さらにいまのような利用者側の参考意見を本席上お聞きになりました上での御決意をさらにお示しになっていただくことが、この際必要ではなかろうかと思いますので、お願いをいたすのであります。
 もう一点は、今度センターができまして、運転者といたしましてもこれに自主的に入る、平等の立場からその運営に当たるという理想のようであります。ぜひ私はそうあってもらいたいと思うのでありますが、それだけに、このセンターというものが、いま出発するよう左小さなねらいのものでないことを私は期待いたすのであります。運転者の当面の休養施設、指導施設あるいはお互いに能力を上げる勉強施設というものももちろん当面必要でありましょうが、同時に、たとえば病気になった場合には、自分たちの病院で休養あるいは療養ができるような施設というもの、あるいは老後における心配をなくなすための共済年金組合みたいなものをつくるということまでいっていいのでは左いか。いま都内におきましては六万何千人のハイタク関係の従業員がおるそうであります。堂々たる組織でありますから、これが強力に団結して、そしてセンターを利用することによってみずから病院をつくるとか、みずから休養施設を持つとか、みずからの共済年金制度を持つというまでにいって、初めて世間の期待するようなよい運転者をこの職場に確保できるのではないかと思うのであります。
    〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕
こういう点についてはどういうふうにお考えを持っておられるのか。センターに対する皆さん方の期待と、これからの運営に対する熱意、希望というようなものをこの際お聞かせいただきまして、私ども安心してこの法案を通せるような希望を持たせていただければありがたいと思います。これも両参考人から御意見を承りたいと思います。
#27
○浅野参考人 先生のほうから二つの問題が出されておると思います。
 一つは、登録制によって良質な運転者を確保する、こういうことについての是非の問題であろうかと思います。私どもは、先ほどの意見の中にも述べましたように、いまのタクシー運転者というものに対してあるものは二種免許だけでございます。したがって、今日二種免許の所持者というものを見た場合に、労働力の絶対量が不足しておるというようには見ておりません。今日東京都内で二種免許の所持者は三十五万人います。いまタクシーの必要とする運転者は十万あれば充足できるわけであります。
 問題は二つありますが、一つは、タクシー運転者というものは、いわゆる二種免許を所持して自家用の車を運転しておるという運転者とはおのずから違うわけであります。人命の輸送にあずかっております。したがって、それだけの責任を持っておりますけれども、この運転者が、言い方は俗っぽいのですが、きのうまでしろうとの方がきょうはタクシーに来る、あるいは日雇いの運転者がタクシーに来て働く、こういうことがやはり今日の問題を引き起こしている原因ではないかと思います。したがって、私どもは将来展望としては、タクシー運転者に職業意識を高める、そのためにも、必要なプロとアマの違いを明確にできるものを何らか考えていくべきではないか、こういう考え方を持っているので、不満ではありましたけれども、登録制度に対して協力的な立場をとってきたわけであります。
 第二の問題は、先生のおっしゃられるように、センターが共済施設をつくっていく、それに対してどうなのかということですが、私は、原則的には先生のおっしゃられることについて賛成でございます。ただ現実は、東京の場合ますと、下は三十台が認可台数を持っている一番小さい会社であります。上は二千台の車を保有している会社、このように非常に格差がはなはだしく、しかも、先ほども須賀参考人がおっしゃられましたように、東京都内で四百社をこえる会社が乱立をしております。片一方において、大企業ではこれらの福利施設がほぼ充足されておりますが、小企業では全くそれらの能力を持っていないということで、今日まで来ておるわけです。ですから、そういう意味でセンターの果たす役割りというものがあると思います。しかし、こういった現実の矛盾というものをやはり解決しない限り、いま計画の中で出ておるような、たとえば住宅の建設あるいは食堂の設置というようなものは、いまの労働者の感情としては現実から遊離している。具体的に申し上げれば、住宅建設は二百二十戸というような計画が初年度ございます。いま東京都内で十万人の職業運転者がいるのに、二百二十戸の住宅を充足してこの通勤難を解決していこうというようなことは、はなはだ遠大な計画でありまして、現実離れしているんじゃないか。この計画というものがほんとうに現実的なものになるためには、ぜひとも行政当局のほうで労働組合なり業者なりの意見あるいは利用者の意見等も十分に聞いてやっていっていただくということを徹底していただきたいと思います。そういった前提が備わることによって、これからセンターの中で行なえる事業の内容が一つ一つ生きていくのではないか。したがいまして、私どもは、最初も申し上げましたように、こういった施設拡充、こういったものについては、労働組合としては協力的な立場に立っておるということを重ねて申し上げまして、私の回答と
 いたします。
#28
○大畑参考人 先ほどの意見開陳の中で、冒頭から原則的には賛成ということを私どものほうでは申し上げておきました。ただ、先生のおっしゃるように、私どもの問題点と申しますものは、労働条件が一番大きな問題点になっております。年齢の浅い層になりますと、他の産業に比べますとやや賃金がいいわけです。ところが、三十歳から三十五歳になりますと、むしろ一般産業よりか賃金が大きく幅が開いておる。ハイヤー、タクシーの場合には、年功格差が大体五百円という格差でございます。一般産業においては、全国平均をとりますと大体千三百五十円くらいの年功格差です。そういたしますと、長年つとめればつとめるほど、格差が開いてくるということになりますので、私どもハイヤー、タクシーの労働者の将来の希望と申しますのは全くない。したがいまして、個人タクシーに行ったり、あるいは腰かけ的にハイヤー、タクシーに乗る、こういう現象が続いておるわけでございます。したがいまして、私どもは、この登録センターの問題が運輸省から提示されました時点から、この中で労働条件の問題までひとつ考えてもらえぬかということの意見を出したわけです。ところが、これは労働省の管轄だから運輸省としては関知できない、こういうような話がありましたので、なるほどそうかということで、私どもしろうとでありますので、労働省のほうに行った。労働省のほうでも、これは問題がありますよということでけ飛ばされた。こういう形であります。したがいまして、労働条件の問題が私どもの前に大きくネックになっておる。したがいまして、そういうような点を十分御理解を賜わった状態の中で、私どもは登録センターの問題あるいは登録制度の問題についても賛成をして全面的に前に進んでいきたい、かように思っておるわけです。
#29
○金丸(徳)委員 時間が迫っておりますから、これで終わりますけれども、政府のほうにこの機会にちょっと念を押しておきたいと思いますが、いままで六人の参考人の方々からつぶさに実情も承りました。御要望もお聞かせを願いました。また利用者側からは、こうした世間のいろいろな批判の中にあるにかかわらず、改善される見込みもなさそうだというような強い意見も聞かれたのでございます。そうした中において、いまだんだん聞いてみますと、結局は物価値上げは困る。したがって、これ以上料金を上げるということは困難であるとしますならば、問題の解決の道はただ一つ、運転者側の労働条件をよくする、待遇をよくする、あるいは業者の経営状況をよくする、そういう道を選びながら問題を解決するというならば、何とか政府のほうでこれに対して早急に抜本的なといいますか、思い切った措置を講じていかなければいけないのではないかと思われるのであります。今回提案された案によりますと、その大事な一眼目でありますセンターに対しても、わずかに五千万円という金なんですね。当節五千万円というのは、私はまるが二つか三つ足りないんじゃないかと思うくらい。まあ五十億とか五百億というならば、あるいはこの問題解決の一助にもなろうかと思うのでありますが、五千万円出して、そして業者も金を出せ、そこでひとつ道を開いていくということは、これはあまりにも虫のいい態度である。いま緊切した問題解決のためには、何か人をばかにしたような感じがいたしてなりません。そこで、私は、この際思い切って、政府のほうで解決の道を積極的に強く大きく開いてくださる以外になかろうじゃないかと思います。どういう計算で、どういうねらいで五千万円という金を出す気になられたのか、大蔵省のほうで二つ三つまるを減らされたのかどうか知りませんけれども、この際、ひとつ政府当局のほうで思い切った決意をお示し願いたい。本案を私どもは一歩前進の意味において賛成したいがゆえに、あらためて政府の決意をお伺いするのであります。
#30
○山村政府委員 先生のおっしゃるのは、まことにごもっともでございます。しかし、運輸省といたしましては、まず第一段階、初めてのことでございます。これはこの前井野先生の御質問でいろいろ意見があるわけでございますが、しかし、とりあえず首を出したということは事実でございます。もちろん、今後は、こんなことで満足しておるわけではございません。この次に、そしてその次もっと――一番の問題は、乗車拒否から始まったそういう問題になるかもしれませんが、いわゆる近代化センターというものを十分なものにしていく。そして、先ほど先生のおっしゃいましたいわゆる業者、そして運転者、これらがすべてよくなるようなぐあいに全力をあげてまいります。
#31
○宇田委員長代理 井野正揮君。時間の関係で、井野君に申しわけないが、要点だけお願いします。
#32
○井野委員 要点だけ聞きますので、えらいえぐるような質問になろうかと思いますが、ひとつそうではないのですから、御理解を賜わりながら簡明にお答えください。
 まず、川鍋さんにお尋ねしたいのですが、お聞きしておりますと、ずばりいって、料金の上げ方が足りなかった、もう一つは、労働条件の基準を引き下げろというふうに聞こえるのですが、まさかそうおっしゃっておるのではなかろうと思うのですが、この点どうでしょうか。
#33
○川鍋参考人 簡明にお答えします。
 労働条件を引き下げろということより、私は、非常にあの時間でわれわれができるというならけっこうである、これは賛成です。
 もう一つは、料金はほとんど上がっていないことを、時間がないから――私がお答えしてすべてを申し上げてもよろしいと思うのですが、全然上がってない、そういうことを申し上げておきたい。
#34
○井野委員 次は、大畑さんにひとつお尋ねしたいのですが、これも舌足らずで誤解を受けると困るのですが、実はハイヤーのほうも登録制度ということは、どうも私は全国に及ぶ、そういう気がしてならないし、皆さん方のお話の中で、弁護士だとか医者の登録はすべて保護するものだが、今回の登録は、何のことはない、首を並べておいて、いっでも切れるようにしておいて労働者を弾圧するものだ、こういうような極端な意見すらあるわけです。私、運用のしかたによっては、一つの側面があると思うのです。そこで、そういう理論からいくと、ハイヤーまで登録制ということは、ちょっと全部に及んでいくんじゃないかという議論が出そうな気がするんですが、そういうことはお考えになっておられぬでしょうか。
#35
○大畑参考人 確かに先生のおっしゃるように、全般的に及ぼすということもあり得るだろうと思います。ただ、私が申し上げましたように、タクシーのほうで不祥事を起こした者がハイヤーに乗りかえる、こういう懸念がまず第一点ある。あるいはそれ以外にも、いわゆるハイヤー、タクシーは雲助なんだという世間的な感覚というもの、それを除外をさせたいために、いわゆる雲助のレッテルを張られないために、すべてを登録していただきたい、こういうことでございます。
#36
○井野委員 実は私も、きのうは四社おじゃまいたしました。そこで、川鍋さんは業界の代表者でもあり、また一番大きな会社の経営者でもあられるわけですから、私ども大きく分類して、この料金が適正であるとか適正でないという論議をする基礎自体が怪しいと思っている。言いかえますと、何十億という資本を持って、借り入れ金と自己資本の割合においても、非常に自己資本でやれる、片方ではハイヤーをやっておられる。そして、このハイヤー経営のほうでは、日本銀行であるとか、あるいはNHKであるとか、あるいは大産業と三〇%ぐらいは特殊契約を結んでおられる。あるいは常連としてもハイヤーのほうについてはかなりの余裕を持って、しかもかなり高い料金でおやりになって、ふりの客というのはきわめて少ない率で、片方ではタクシーを経営しておられる。こういう会社で私どもどうしてもわかることができないのは、車の買い入れ金なんです。月に百台買われる、百五十台買われる。市販百四十万ぐらいの車がおそらく私どもの想像では百万ぐらいではないかと思っておるのです。この会社は二年で更新してわられる。ところが、片方の六十台ぐらいしか持っておらぬ会社は、値段は言ってくれませんけれども、三十カ月使っている。おたくのほうは二十四カ月。六カ月違う。そうすると、走行キロで三百六十五キロ、二十五日走ったとすると、片方は二十五万キロ。日本交通の場合は二十万キロで済むわけです。この二十万キロと二十五万キロの差は、車の維持に及ぼす影響にものすごい差がある。それから大会社のほうは、銀行とのコネクションがあり、日銭が入るわけですから、特別な便宜もあって、融資は二銭四厘ぐらい。ところが、小さいほうの会社は三銭五厘、まさに高利ですね。こうなってまいりますと、車の維持において、またその金利において、あらゆる面から比較して賃金をきめるとなると、百台以上で、日本銀行から市中銀行の協調融資をあっせんしてもらえるような会社と、その辺の信用組合や信用金庫やあるいは相互銀行で両建ての定期預金をして、その七割しか貸してもらえないような会社とは、金利重圧というものは話にならぬ。こういう中で車の維持、減価償却、金利ということになっていったら、日本交通が百円で運べるところを片方は二百円もらってもやり切れないということに結果的になる。ところが、残念なことには、詳しい話は、これは会社の秘密ですからと私どもにはおっしゃっていただけない。これでは適正な料金のきめ方というものができないだろうと私は思うのです。先ほど金丸先生が御質問なさった中で、特に協同組合の問題を取り上げられ、融資の問題を取り上げられたのは、経営の実態を明らかにしてもらわないと実は助成保護政策もとれぬという問題なんです。そうですね。そういう質問をしたら、いやタクシー、ハイヤーについては過保護なんだ、こういう意見すらあるわけです。私は、きのう四社を見ただけでも、これはたいへんな問題が内在をしているわけであります。こういう体質的な問題を議論しないで、運転手の賃金だ、やれ労働基準だ、ここばかりやっておる。そしてその責任がすべて労働者に押しつけられる。この問題について、業界の指導者としてどうお考えになりますか。
#37
○川鍋参考人 中小企業と私どもの営業とは、資本的に金利の面において非常にばく大な利益があるようにお話があったようですが……(井野委員「そうじゃない」と呼ぶ)それは百台買うところと十台買うところと値段も違うだろう、そういう面では、自動車メーカーというものは、いまもうほとんど独占企業と同じになり、三社ということになっておるわけです。これから見積もりしても、まず千円か五百円しか違わないですね。
    〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕
全然競争ということがないわけです。競争原理というものがそういう独占企業にはなくて、やはり値段は同じだろうと思うのです。ただ問題が、メーカーはなるべく月賦で売りたい。それがあなたのさっき申された三銭何厘かの高利を取るわけです。われわれは二銭何厘。そういう幅はあると思うのですが、しかし、その経営状態を見ますと、やはり五十台、六十台というものは、商法上要求されているとおりにやっていない。あるいはまた社費においても、いろいろな商法で要請されるものでも、計理士というものを一カ月に一ぺんかそこら頼んで出す。ところが、われわれ大きいといわれる会社は、そういう商法に基づいたあらゆる書類をつくっておくために、本社の費用というものはばく大の経費がかかるわけです。よって、旧日本交通と五十台、六十台のところ、こういうものと比べますと、固定的本社費用というものが相当かかって、かえって今日ではそういうところよりも赤字が多いというのが実情です。
 それから、いまの発言の中で、ベールをかぶせておいて、いろいろなことを聞いてもそれは言えませんということは、私の会社にはほとんどないと思う。私はばかといわれているほどのあけっぱなしなんですから、どうぞ私のところに直接来ていただけば――だれのところに行ったか、絶対にそういうことはありませんから、ベールをかぶって実情がよく聞けないということは間違っておるので……。
#38
○福井委員長 参考人の方、なるべく簡潔にお願いします。
#39
○井野委員 国会というところはなかなかやっかいなところで、どんな重要なことでも時間で上げろ、上げろということになるので、簡単に答えてください。
 私が言いたいのは、タクシー営業の近代化というものは、料金と労働条件だけじゃない。タクシー営業の基盤をなす資本金なり融資、そして料金が公共料金として規制を受けるわけです。それらの経営重圧になるものは、会社のランクによって違うわけですから、それらを明らかにして、業界はきょうの陳述の中でも強調されてしかるべきでないかと思うのに、その面が出なくて、最初に私が失礼な聞き方をした、料金をもっと値上げしろ、労働条件をもろと悪くしてもいい、それでなければハイヤー、タクシーというものはやっていけないんだ、こういう印象は実は世論にこたえていないんじゃないか。こういう気がいたしますので、特にお尋ねしたわけであります。
 最後に、利用者の方に一言だけお尋ねしたいと思います。
 私も、タクシーに二十回ほど、ハイヤーに三回ほど乗って、かなり調査費をかけましたが、いまおっしゃるような条件ですね、夜中に見るということはなかなか困難ですが、今日もなお新宿、銀座等においては先ほどの条件はなくなっていない、したがって、これができても、将来とも本質的なものが解決されなければ期待できないんじゃないか、この法案が一つの足がかりになればいい、こういうふうに理解してよろしいかどうか、稻葉さんにお願いします。
#40
○稲葉参考人 先ほども申し上げましたとおり、三者の理解なり啓蒙というものがなくしては今後もあり得ないと私は感じました。
#41
○井野委員 最後に、もう一つだけ政府側にお尋ねします。運輸大臣はお聞きになっておりませんからあれですが、山村次官はずっとお聞きになっておられたので……。
 今回のタクシー営業の近代化、正常化の法案というものは、ねらいはよかったけれども、いよいよ法案化する途中でもってだんだんそれていってしまって、くつの上から足の裏をかくような結果になっている。したがって、これを契機に本質的な改善を加えなければならないし、その最も強い姿勢が業界の社会公共性に対する問題、と同時に、これは利潤追求がなければおかしい話ですから、利潤追求の場合というものと、特にタクシーを他の産業に関連させて、タクシー部分の利益をホテルとかそういうものにつぎ込むようなやり方、これは厳に慎まれたい。
 もう一つは、台数を分散させて、同じ経営者で幾つかの会社を持っておる。これは世間の疑惑を受けます。一番大きな会社の社長さんだからおわかりになると思いますが、大きいほど管理費が減るわけです。それをたくさんの会社に分散させるというのは、税その他の公課面において分散し、株主あるいは重役等の配当を得る道だという経済界の常套手段があるわけですから、そういう誤解を受けておられるところに、ハイヤーはもうかっておるのだという、誤解ではなくて、疑いが起こるのはあたりまえだと思います。こういう点、現に三百六十五社の中で、数社が一つになれるものを分散しておるという事実がございます。また、たいへん労働基準法規等を侵して基準監督署の強い指摘を受けているにもかかわらず、改善をしない業者も皆さんの仲間におります。きょうは時間がありませんから、聞こうと思っていたのですけれども、残念ですが聞かれませんが、そういうものに対する業界みずからの反省は当然あって、同時に、政府の施策を求める姿勢であってしかるべきだと思うのです。
 以上、私は終わります。
#42
○福井委員長 関連して、斉藤正男君。
#43
○斉藤(正)委員 時間がありませんので、簡単に伺いますが、経営者側のお二人の意見の陳述を聞いておりまして、若干ニュアンスの違いかと思いますけれども、受け取り方が私は違っておるわけであります。特に須賀参考人のほうに伺いたいのですけれども、今回のタクシー料金の値上げにあたって、実質的には値上げになっていない、それは朝並びに夜の超勤の廃止を労働省から強く要求されたために、実質的には水揚げ等になっていないという川鍋参考人の意見があったわけですけれども、須賀さんも一同じようにお考えですか。
#44
○須賀参考人 それはあの当時の状態で二二・五%上げたわけであります。したがいまして、その基準法の問題これは会社によってそれぞれある程度――普通にやっているところ、あるいはよけいにやっているところ、それらがありますから、それらを換算すれば、おのずから違ってきます。それが会社によって違います。
#45
○斉藤(正)委員 やはりだいぶ考え方が違うようでありますし、一律的ではない。特に川鍋参考人は、自分の会社を中心にしてものを申したようでありますけれども、私は、そういう考え方でなお今後会社なり業界の指導的立場に立っていくとするならば、これは非常に大きな問題だというように考えざるを得ません。
 そこで、労働者側の代表に伺いますけれども、大体タクシー業界の経営者というのは、いみじくも川鍋参考人が陳述いたしましたような考え方を持っているのが大部分なのかどうなのか、浅野参考人、大畑参考人から御意見を伺いたい。
#46
○浅野参考人 今日まで、労働条件の問題を例に引きますと、労働省の監査は幾たびかやられましたが、そのつど過半数がこの監査に不合格という状態であります。したがって、努力はしておるようにもうかがえるのですけれども、なかなかそれが業界の中で全体に徹底されていない、このように思っております。
#47
○大畑参考人 浅野参考人と同様の意見を持っております。
#48
○斉藤(正)委員 そこで、なお川鍋参考人に伺いたいのですが、あなたはこの業界に関係して五十年、経営者になって四十年、業界の元祖であり、長老であるとみずからもおっしゃいました。そして、中小企業の業者が売りたいといえば買ってもきたし、増車もしてきたし、今日の段階でなお十数社が買ってくれないか、売りたいというような話がある、こういうことを聞いたわけでありますけれども、もうからない、もうからないと言っていて、なお買ってきたし、これからも買う意思があるとするならば、社会事業のようにしか私には思えないのです。もうからない会社なら、何も大きくする必要はない。大きくすればもうかると思って大きくした、しかし、もうからなかったというのか。一体どういうことなのか。私には見当がつかないのでありますけれども、その辺は一体いかがでございますか。
#49
○福井委員長 簡単に願います。
#50
○川鍋参考人 私も数字は非常にうといために、二二・五%上がれば今度の経過も何とかなるだろうというので、五、六社買いました。しかし、二二・五%やったその結果において何ら関係がないから、ほとんどいま買っておりません。非常にこれは失敗したと私は思っております。これから先銀行にどうしてこれを返そうか、どうして利息を払おうか、これはやはり私の一生の体験の一つで、私も買って非常に困っております。そういうわけです。
 それからもう一つ、どうも私の答弁が自分一人の答弁のようにお聞きになっておるようですが、私は毎日こういう監査を受け、そしてこの二二・五%上がったについて何ら影響ないから、私はほんとうにガラス張りでもって、このタクシー界をみずからがっくり返そうといって、大きな新聞広告まで一週間に一ぺんずつ出しております。こういう関係から、これでやれるのか、みんながやはり――さっき労働者の答弁もあったように、とうもまだ労働基準法を守っておらない人もあるじゃないか、こういうふうなことも、これは事実あることです。そういうことをやってはならぬ、今度こそは順法経営をして、長年のこういう悪評を得たタクシーを、何とかこれを直そうと、私みずからまた、会長にならない前から、自分一人でもって、皆さん右へならえしなさい、順法経営をしなさい、そうしてやっていかれない、こうだというものを、事実諸先生の方々並びに政府にこれを話をしようじゃないか、こういうことで、いま私はこの老骨をひっさげて再び会長を引き受けたわけで、決して私は自分一人ではなく、買ったのももうかるからだろうということは、まあ何とか二二・五%上がればと――みんな友人です。困るから買ってください。その困るから買ってくださいと来る人たちがどういう人たちかといえば、まず社長と銀行とトヨタと日産、これが全部ついて来る。そうして、まだこれだけの手形があるのだ、どうしてもこれだけの金がなくちゃならぬというので、私もさっきから話したように、多少は金融がつきます。友人で、しかたがない人を救うために五、六社買ってみましたが、事実今度になって一社も買っておりません。買っておる会社は、まだこの東京広しといえどもいままでほとんどない。要するに、この上がった実際の数字を見てからだれも買っておりません。こういう大変化がこの二月一日から起きたわけです。それ前までは、まあやっていかれる、二二・五%上がるから、まあ困る友人は救って、また四百何社もあったら協会の統制も総括もとれないから、一つでも少なくしょうという私の考えでやったことが、ほんとうにこれは裏目と出て、私は非常に困っておるわけであります。どうか御了承願いたいと思います。
#51
○斉藤(正)委員 よくわかりましたけれども、少なくも労働基準法にのっとって、超過勤務等労使が了解のもとにやっていたというようなお話もありましたけれども、この労働時間を延長することによって収支バランスを何とか保っていたこと自体に、基本的に経営の間違いがあるのですから、これが実質的な増収にならなかったという最大の原因だという把握は、私は根本的に間違っているというように指摘をしたいわけでございます。ぜひひとつ、業界の指導的な立場にあるあなたとし
 ては、この点は根底から考え直していただいて、いまお話のあったような方向で進んでいただきたいと思う。答弁は要りません。
 それからもう一つだけ、浅野さんに伺いますけれども、センターの設立準備段階のときに、これは公正中立なものでなければならぬというように考えて、そのメンバー等についてもいろいろ苦慮したところである、しかし、結果的には天下り人事によって決定をされそうだ、こういうお話がありました。一体いま官側からこの団体に天下ってこようとしている人はだれなのか、あるいは設立準備段階の中で、準備委員というような形で天下ってきたのはどこの役所のだれなのか、この一点だけ伺って、私の質問を終わります。
#52
○浅野参考人 氏名のほうはさだかではございませんが、現在進行中の東京、大阪の近代化センターの責任者は、それぞれの陸運局から来られた方がその衝に当たっておると思います。
#53
○福井委員長 次に松本忠助君。
#54
○松本(忠)委員 タクシー業務の健全左発展を願う立場から、各種の問題につきまして、同僚議員からお話がございました。参考人はまたきょうはたいへんいろいろの意見を開陳していただきまして、大いに参考になりました。しかし、ここで私は現在の問題よりも、さらに今後のあり方について一応聞いておきたい、こう思いまして、二、三の問題について質問をいたすわけでございます。
 川鍋さんと浅野さんと平林さんにそれぞれお伺いをいたしますが、いいか悪いか、やるべきかどうか、こういう簡単なお答えでけっこうでございます。
 タクシーの乗り場を指定するということ、これは四十三条に今度きめられたわけであります。ここで全面的に流しを禁止して乗り場に行かなければ乗れないようにする、そこに行けば必ず乗れる、こういうふうにしたい、こう私は思いますけれども、そのことについてお三方はどのように思いますか、簡単に。
#55
○川鍋参考人 乗り場をつくってやるということは非常にいいことだと思います。しかし、現在でも、銀座あたりに全部乗り場をつくってあるわけです。ところが、やはりそこへ行くまでに、あまりに都民の足になってしまった関係上――そこで私どもは命令をやっています、あそこへ行けと。
#56
○松本(忠)委員 銀座だけの問題じゃなく、全体的な問題としていいか悪いか。
#57
○川鍋参考人 いや、全体的な問題として、つくることはいいと思います。
#58
○松本(忠)委員 流しを禁止したほうがいいかどうか。
#59
○川鍋参考人 これは私は、流しを禁止しては都民が非常に不便だと思います。
#60
○浅野参考人 タクシー乗り場を増設するということについては賛成でございます。ただし、タクシーの流し行為を禁止して、乗り場をふやすことによって解決するということでは、問題は簡単に解決いたしませんので、流し禁止については、さらに時間をちょうだいし左ければ具体的なお答えができないので、保留させていただきたい。
#61
○平林参考人 賛成です。
#62
○松本(忠)委員 次の問題は、第十三条に、運転者証を表示することになっております。ここで私はもう一歩前進させて、就業免許というようなものを考えてはどうか。ということは、今回も地理の試験を受けることが四十八条で規定されますが、サービス事業であるたてまえから、もう一歩突っ込んだ接客態度、これを非常に重視したいと私は思う。そこで、地理の試験に合格し、さらに接客態度のいい者については就業免許を与える、こういう方向に持っていって、一部の不良運転者を排除し、大多数の善良な運転者を守るという方向に持っていくべきではないかと思います。この点について須賀さん、浅野さん、稻葉さんからお答えをいただきたい。
#63
○須賀参考人 賛成いたします。
#64
○浅野参考人 就業免許証の具体的な内容がわかりませんので、お答えできません。
#65
○稲葉参考人 賛成いたします。
#66
○松本(忠)委員 就業免許の内容について、時間がないので、あなたのお答えも無理もないと思います。また日をあらためてあなたとよくお話をしたい。
 次の問題は、現在の走行距離の基準が三百六十五キロにきめられておりますが、現在の都会の状態、交通事情からいって非常に無理ではないかと思います。一日二百七十キロ程度しか走れないのじゃないかと私は思う。これを改正する必要があるかないか、川鍋さんと大畑さんにお答えを願いたい。
#67
○川鍋参考人 私は、現在の三百六十五キロを改正する必要はないと思います。
 もう一つは、高速道路がこんなにたくさんできて、客によっては三時間ぐらいでそれだけをもう失ってしまうこともあるから、これも弾力性を持たしたほうがいいと思います。
#68
○大畑参考人 現実とマッチをしておりませんので、先生のおっしゃるとおり、賛成はいたしたいと思います。
#69
○松本(忠)委員 次の問題は、事業者の須賀さんにひとつ伺いたいわけですが、先ほどから問題になっておりますが、各事業所とも相当数の遊休車を持っておるわけであります。これは事実であります。これは運転者の不足によるものもその原因でもございましょう。しかし、その事実がわかっていながら、増車を認可したところの役所にも問題がある、こういうことをこの間私は指摘してあります。しかし、ここで巷間伝えられるところのいわゆるナンバー権利の譲渡、この点について、いま川鍋さんも売りものがあれば買うのだというようなお話もありました。そこで、この問題、この事実について須賀さんはどのように考えられるか。
#70
○須賀参考人 現在売りものがあっても買い手はございません。現在の段階ではナンバー権はほとんどゼロになっております。
#71
○松本(忠)委員 もう一点は、個人タクシーも公共の機関である以上は、その出動の時間というものが現在個人の自由にまかされておりますが、これを好きなときに稼動するということでなく、義務づけをしてはどうか、こう思います。そこで川鍋さんと大畑さんにこれに対する御意見を……。
#72
○川鍋参考人 個人タクシーのことは私もあまり研究しておりませんが、いま風の吹くまま気の向くままだから、どうもそれを義務づけるというわけには私はいかぬと思うのです。大体個人タクシーでも、もうからないのになぜ個人タクシーになるかということは、やっぱり自由を求めたその自由というものが、一番大きな問題で個人タクシーになりたい人が多いわけですから、それを義務づけるということ、したほうがいいか悪いか、ちょっと私にはまだ考えがわかりません。
#73
○大畑参考人 輸送戦力という面から見ますならば、時間の設定を設けたほうがよかろうかと思います。
#74
○松本(忠)委員 結論でありますが、今回のこの法案によりまして乗車拒否はなくなると思いますかどうか、川鍋参考人と大畑参考人、稲葉参考人にお伺いして、それで終わりにします。
#75
○川鍋参考人 いま業界も非常に貧乏経営で懸命な努力をしておりますから、ある程度はなくなると思いますが、―――――――――――――――――有名な浜の真砂は尽きるともどろぼうの道はなくならぬというとおり、絶対にこれがなくなるとは言明できません。相当少なくなるということは、これだけは申し上げられると思います。
#76
○大畑参考人 非常に端的な質問でございますので、答弁がしにくいわけでございますが、ただなくなることを私どもは努力したい、こういうことでごかんべん賜わりたいと思います。
#77
○稲葉参考人 私もむずかしい問題だと思いますが、なくならないと思います。
#78
○松本(忠)委員 以上で終わりますが、川鍋参考人のただいまの―――――――――――――――いうような御発言はお取り消しになっておいたほうがよろしいと思いますが、一言念のために申し上げておきます。
#79
○川鍋参考人 取り消します。
#80
○福井委員長 次に和田春生君。
#81
○和田(春)委員 時間がたいへん詰まっておりますので、質問をしぼりまして、川鍋さんだけに要点的にお伺いいたしたいと思います。
 実は私は、現在のタクシー業界、運転者の方々も、非常にむずかしい環境の悪化の中で、大多数の方は悪戦苦闘し努力をしておられるというふうに考えておりまして、そのために、この前、運輸大臣にもかなり時間をさきまして、大都市の交通事情に合いにくくなっている料金体系その他についても、根本的に検討し直す必要があるのではないかということをいろいろお尋ねをいたしました。ところが、きょう川鍋さんの参考人としての御発言を聞いておりますと、私の考え方はたいへん甘かったので、お答えいかんによっては、タクシー業界に対する考え方を基本的に修正をしなければならないのではないかという感じがいたしましたので、端的にひとつお伺いをいたしたいと思います。
 まず、川鍋さんは、本法案に対して原則的に賛成であるのか反対なのか、明確にしていただきたいと思います。先ほどお話を聞いていると、あってもなくてもあまり変わらない、こういうふうな意味のこともありましたので、その点を確かめたいと思います。
 第二点として、こういう法案をつくっても問題は解決をしない、料金の上げ方が足りなかったからだ、料金さえ上げてくれれば私は責任をもってこの問題を解決をしてみせるというふうに大みえを切られました。もし料金を上げても問題が解決しなかったときに、あなたは具体的にどういう責任をとるつもりでそういうみえを切られたかどうか、その点をお伺いをしたいと思います。
 それから第三点には、今回の料金値上げについて目算の狂ったことの一つは、労働基準法を厳格に守れ、こういうことは計算の中に入れていなかったという趣旨の発言をされましたけれども、もしそういう政府の指導が左ければ、労働基準法についてはもっと甘い考え方で、これを厳格に守ることを実施する必要がないといえば言い過ぎかもわかりませんけれども、そこのところはいいかげんにやろうということを考えておられたのかどうか、その点をお伺いをしたいと思います。
 それから第四点は、料金の上がり方が足りない、上がらなかったということをおっしゃっておりますけれども、料金は実際に上がっている。百円区間では百三十円になっているわけです。料金は確かに上がったのだけれども、見通しが狂って営業収入が上がらなかったということだろうと思うのです。その料金の引き上げについては、業界の方もいろいろ意見を言っているわけなんです。料金の値上げという問題と営業収入という問題についての考え方がどうもお間違えになっているのではないか。一般企業において、製品単価を上げたけれども、売れ行きが悪いから収入が落ちたというときに、単価の上げ方が足りなかったとはいわない。その点についてどういうふうにお考えになっておるか、それをお伺いをしたいと思います。
 最後に第五点として、日雇い運転手の問題が非常に問題になります。この日雇い運転手については、最近においては、聞くところによると、水揚げが五分五分ないしは四分六分で運転手に渡す、固定給については前渡金というような形で一応出しておいて、まるまる全払いのような形でしりをひっぱたいている。これは私も実情をある程度知っております。そういうことが行なわれておりますけれども、結局雇う人がおるから、そういうところに雇われる日雇い運転手が出てくるわけでございます。そういう悪質な、ただ金だけを目当てにほかのことを考えずに、銭になりさえすればいい、そういう渡り鳥の日雇い運転手というものについて、業界が絶対雇わないということをはっきりすれば、これは明らかに絶滅をできる問題であります。その点に対する決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#82
○福井委員長 時間の関係で簡単に願います。
#83
○川鍋参考人 質問が五項目あるので間違うかもしれませんが、御了承願いたいと思います。
 料金について、私は、適正料金、いわゆる道運法にあるような適正利潤のあるようなことをすれば、過去の歴史が全部直った例があるから、私は責任持てる、こう言ったわけです。過去の例というものは、いわゆる昭和の雲助のときもあった……。
#84
○和田(春)委員 質問が違うのです。私は、責任をもってやるというのはどういう――ならなかったら責任をとるおつもりだということを発言をされたが、そこをお伺いしている。
#85
○川鍋参考人 適正料金をすれば、要するに、衣食足って礼節を知るということばがあるとおり、だれでも衣食足って――住まではがまんするが、衣食足れば、これは自然に直ることです。私はそれを経験をしておる。だから責任持てると私は言うておる。衣食だけぐらい足らせるような、要するに安定経営をすれば必ず直った歴史が残っておるから、私は責任持てると思う。それから……(和田(春)委員「どういう責任を持つのかということを聞いておるのです」と呼ぶ)どういう責任を持つかということになると、また取り消せというようなことになるわけです。
#86
○和田(春)委員 わかりました。
#87
○川鍋参考人 そういうこともあるのですから、これは神さまでない限りはそういうことは言えない。
 それからセンターについては、もうできちゃったんだから、私ももうこれには賛成します。省令によって、われわれの言い分をよく聞いて、省令をよく直していただきたい。これによって賛成します。
 それから、労働基準法を守らないのかといっても、私のところは労働基準法を守るというて、大々的に新聞に出して、これからはこういう法律をがっちり守ってやろう、要するに、基準法を守った明るいガラス張りの仕事をやろうじゃないか、そうして全体がほんとうにこうだというものでやろうじゃないかということは、私率先してやっておる。今度はおととい初めて、会長になったから、それも訴えた。だから私は、それもやれないやつは大いに罰則してもらいたいと思う。いままでだって、要するに罰則も何もしないでいるから、なかなかこれができない。
 それからもう一つ、三百四十幾つまで乱許乱設したのは、運輸当局ばかりの責任ではありませんよ、これは。また言いにくいことだが、――――――――――――――――――――――ぼくはほんとうのことを話します。こういうこともひとつ皆さんから――運輸当局は一生懸命押えておる。だけれども、これで通る。中には十何人かこういうことをして、とるときはそれでいったが、やはりやれないで、みんな売るというようなかっこうにいまなっております。だから、そういうことも、お互いに政治の方々も行政の方々もわれわれも、これは一体にならなければ、このタクシーというものはなかなか改善はできない。だから、皆さんからも、そういうふうなことをやらせないようにしてもらいたい。それも質問だから取り消します。
 それから料金のこと二つ出ましたが、いま料金が上がっておると言うたが、その料金の算定がどこにあったか、いまだって、一一%上がったと言う人もあります。二〇%上がったと言う人もあります。私のところは上がらないと言う。こう三つがある。これがおわかりでないと思う。先ほど言ったように、私が間違ってボロ会社を買った。それでみんな働かないから……。
#88
○和田(春)委員 委員長、質問に的確に答えるように注意してください。
#89
○福井委員長 簡単に質問に答えてください。
#90
○川鍋参考人 だから、料金が実際に経営ができるまでは上がっていないということだけ申し上げます。
 私は、日雇い運転者をやっておりませんから、あまりよくわからぬが、いま先生が質問したとおり、非常に足りないから、いくらわれわれが業界に言っても一、ないしょで日雇い運転者は、ここに大臣も出ておりますが、いかぬ言ったら、今度はまたその法をくぐって、三月くらいの契約で日雇い運転者ではないということでのがれる。(和田(春)委員「質問に答えてください」と呼ぶ)それだから要するに、日雇い運転手というものは、私はやっておりませんから、あまりよくわかりませんが、そういうことがあります。
#91
○和田(春)委員 時間も迫っておりますけれども、たいへんお答えは残念に思います。こういう問題を解決するのには、業者自体も、顧みて他を言うのではなくて、真剣に問題に取り組むという謙虚さが必要であるということを特に希望して、私は終わります。
#92
○福井委員長 この際、参考人各位に一言申し上げます。
 本日は、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 ほかに質疑はありませんか。――なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
    ―――――――――――――
#93
○福井委員長 次に、本案を討論に付するのでございますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 タクシー業務適正化臨時措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。
#94
○福井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#95
○福井委員長 この際、村山達雄君、内藤良平君、松本忠助君、和田春生君から、四派共同提出をもって、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。村山達雄君。
#96
○村山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党を代表いたしまして、提案の趣旨を御説明いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    タクシー業務適正化臨時措置法案に対する附帯決議(案)
 一 タクシー運転者の登録制度の実施に当たっては、転職の自由その他運転者の利益が不当に侵害されぬよう配慮すること。
 二 タクシー事業者に対しても本法及び道路運送法の違反事項について監督行政を強化すること。
 三 適正化事業実施機関の業務が公正かつ円滑に行なわれるよう諮問委員会の構成その他について特段の配慮を加えること。
 四 タクシー運転者の質的量的な確保を図るため、所要の措置を講ずること。
 五 負担金の額及び徴収方法については、実情に応ずるよう十分の考慮を払うこと。
 六 タクシー業務適正化のため引き続き助成措置を講ずること。
  右決議する。
 申すまでもないことでありますが、タクシー業務適正化臨時措置法案は、当分の間とは申しましても、法律上の措置によって、大都市におるタクシー業務の適正化をはからんとする画期的な立法でありまして、委員会におきましても、四日間にわたりまして、十数名の委員の方々があらゆる角皮から熱心な質疑を展開され、また六人の参考人を招いて意見を聴取するなど、きわめて慎重な審査を経ました後、先刻可決の運びになった次第であります。
 これら委員会におきます審査の過程におきまして委員各位から述べられました御意見や、御指摘のありました問題点につきまして、四党間の協議によって、これを附帯決議案として取りまとめ、本法の施行にあたりまして、政府において措置すべきところをここに明らかにし、委員会の決議をもちまして、その実施に遺憾なきを期することとした次第であります。
 附帯決議案の内容につきましては、委員会における質疑応答を通じまして、六項目ともその趣旨はすでに明白と存じますが、念のため、問題意識について、簡単に御説明いたしたいと思います。
 第一項につきましては、運転者の規制を中心にしておりますので、それだけに、運転者の転職の自由その他労働基準法違反等のことがこのことによって行なわれないように、さらに進んでは、合理的な範囲において運転者の処遇の改善をはかられるよう配慮していただきたいということでございます。
 第二点は、主としてこの法案が運転者の規制のほうから特例法として掲げておりますが、当然のことながら、事業者に対しましても、道路運送法並びに本法による監督を強化されることもお忘れないようにということでございます。
 第三点は、諮問委員会の構成におきまして、特に業者の代表を運用上入れていただきたい。並びに、たとえばこれは法定外の事業でございますけれども、ハイヤーの運転手等につきましても、必要があればそれぞれ一つの自主事業といたしまして登録制等を考慮していただくこと。並びに、この実施機関の役員人事につきまして、官僚天下り等の非難がないように十分御配意願いたいということでございます。
 第四番目は、これは本法制定の政府提案の理由でございますが、したがって、これに対処いたしましては、法人タクシーの増車あるいは個人タクシーの免許の促進、こういう直接的な措置を施すと同時に、このタクシー業界というものが労働集約的な事業であり、それだけにまた高速化あるいは大型化が非常に期しがたい、適正なる料金の設定が事業の経営並びに運転者の処遇に多大に関係するところがありますので、適正化につきましては絶えず目を光らせ、そうして時宜におくれることがないように十分配意していただきたいということであります。
 第五番目は、もとより負担金の額及び徴収方法につきましては、実施機関が運輸大臣の認可を受けることになっておりますが、一方におきまして、その事業内容に必要なだけ料金を徴収することでありましょうし、また他方におきまして、負担能力との関係において決定さるべきものと思いますので、その辺の実情に即するよう十分なる監督機能を発揮していただきたいということでございます。
 第六番目は、今回五千万の助成措置が講じられておりますが、公共料金の抑制のもと、ほとんど財政措置、国の助成措置のないことにかんがみまして、一般の利用者の利便をねらいといたしますタクシー業務の適正化のため、引き続き大型な助成措置の確保に今後とも努力願いたい、こういうことでございます。
 以上、提案理由の説明をごく簡単に御説明いたしました。何とぞ委員各位の御賛成を賜わりますようお願い申し上げます。
#97
○福井委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
 本動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
#98
○福井委員長 起立多数。よって、本案は村山達雄君外三名提出にかかる動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣。
#99
○橋本国務大臣 ただいまはタクシー業務適正化臨時措置法案について慎重審議の結果、御採決をいただきまして、まことにありがとうございました。
 また、決議されました附帯決議の内容につきましては、その趣旨を十分尊重し、誠意をもろて実施に当たる所存でございます。まことにありがとうございました。
    ―――――――――――――
#100
○福井委員長 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
#101
○福井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#102
○福井委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。
 ただいま地方行政委員会において審査中の道路交通法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会に連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。
#103
○福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 なお連合審査会開会の日時等につきましては、地方行政委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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