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1970/04/28 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 運輸委員会 第22号
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1970/04/28 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 運輸委員会 第22号

#1
第063回国会 運輸委員会 第22号
昭和四十五年四月二十八日(火曜日)
   午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 福井  勇君
   理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君
   理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君
   理事 村山 達雄君 理事 内藤 良平君
   理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君
      大橋 武夫君    菅波  茂君
      長谷川 峻君    古屋  亨君
      細田 吉藏君    金丸 徳重君
      斉藤 正男君    田中 昭二君
      宮井 泰良君    田代 文久君
      關谷 勝利君
 出席国務大臣
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
 出席政府委員
        運輸政務次官  山村新治郎君
        運輸省鉄道監督
        局長      町田  直君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部長 山口 真弘君
        運輸省航空局長 手塚 良成君
 委員外の出席者
        議     員 大橋 武夫君
        議     員 細田 吉藏君
        運輸委員会調査
        室長      鎌瀬 正己君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 〇九号)
 全国新幹線鉄道整備法案(鈴木善幸君外十六名
 提出、衆法第二六号)
 全国新幹線鉄道の整備に関する件
     ――――◇―――――
#2
○福井委員長 これより会議を開きます。
 航空法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
#3
○加藤(六)委員 山村政務次官御出席でございますが、今回の航空法改正案は、先般の貴重なるよど号の問題にかんがみて、東京条約の批准並びにそれに関連あるいは関連があまりないような三つの法案を出してきたわけでございます。この航空法改正案で、乗っ取りに対して相当抑止力を持つと思われるでしょうか。
#4
○山村政府委員 先生いまおっしゃいました、今度のこの航空法改正によって、それではどれくらいいわゆる乗っ取り防止というような効果があるかということでございますが、残念ながらそれほどの効果はないというのが偽らないところでございます。しかし、これを改正したほうが、改正する前よりはよいということだけは確かでございます。私はそのように考えます。
#5
○加藤(六)委員 航空局長、われわれ今回の問題が起こってから、あらためて航空法というのを見たわけでございますが、この第一条の目的に、「この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全を図るための方法を定め、及び航空機を運航して営む事業の秩序を確立し、もって航空の発達を図る」云々と、こうあるわけですね。いわゆる東京条約は東京で開かれた。そのとき、運輸省航空局としてはずいぶん骨を折られ、この東京条約にはどういう立場で参画されておられるのでしょうか。
#6
○手塚政府委員 東京条約というか、東京で開催をされましたときには、わがほうからはもちろんこれに正式な委員として出席をして、この討議に参画をしておるわけです。討議は、その後、いろいろハイジャック問題等に内容的に移ってまいりまして、現在、御承知のハイジャック対策、ハイジャック防止法案という国際的な法案の審議にまで、それがきっかけで発展をしてきておる。そういう新しい法律、条約に対してまた参画をして、そしてわが国の航空の立場の重要性から、わが国の意見が非常に大幅なウエートをもって各国に浸透しておる、こういうような一連のつながりが今日までずっとあります。
 そういうような航空機内の秩序あるいは運航の安全確保、こういう面の一番最初のきっかけになった国際的な条約ということで、わが国も終始これに参画をいたしまして今日まできており、ようやくハイジャックそのものに対する国際条約の本筋ともいうべきものが、今秋を目標にでき上がるかという事態にまでなってまいったわけで、そういう意味で、私どもはこの参画は非常に意義があるというように考えております。
#7
○加藤(六)委員 今回よど号問題があったから、急遽こういう条約の批准とかあるいは航空法改正が積極的に行なわれるようになったのではないかと思うのですが、いまの話を承りますと、前々からこの批准並びに一連の法改正というものは検討せられておった、このように解してよろしいわけでしょうか。
#8
○手塚政府委員 そのとおりでございます。
#9
○加藤(六)委員 わが党は、この航空法の改正について賛成でございますのであまりございませんが、一点だけ機長問題でお伺いいたしておきたいと思いますのは、機長がいろいろな状態に置かれた場合、航空交通管制機関に連絡せずに、許可を得ずに離発着をした場合に対する機長の責任というのは、こういう事態においた場合、今回の法改正の場合にどうとればよろしいわけでしょうか。
#10
○手塚政府委員 いわゆる緊急避難という一般的な原理がございまして、航空法に、飛行直前にフライトプランを出す、あるいは到着したら到着のレポートを出す、いろいろな規定がございます。今回の一連のよど号の経緯は、いわゆるこういった運航の規定にはすべてはずれております。しかしながら、これは、いわゆる緊急避難の原理といいますか、そういったものによってその違法性は阻却されると考えております。
#11
○加藤(六)委員 そこで局長さん、こういうことは考えられませんですか。いわゆる緊急避難という問題で、はたしてほんとうの緊急避難であったかどうか。たとえばこの法律では、単に先般行なわれた赤軍派のようなものだけではなしに、精神異常者だとか酔っぱらいとか、いろいろな人を対象にしておるわけでございますけれども、普通の小学生が使うナイフを持っておった。このナイフを、スチュワーデスとかあるいは乗客の一人ののど元に擬しておった。これを機長が緊急避難に該当すると判断するかしないかという問題です。機内において、ナイフだけであるから、格闘その他をやっても取り押えられるという判断があっても、機長はそういった連中の言うままになって、管制塔の許可をもらわずに離発着したという場合、これはあとから裁判で、緊急避難であったかなかったかという判定を下すわけですか。この航空法の改正の条文の中からは、こういう判定を下すことはできないわけですか。
#12
○手塚政府委員 今度の航空法の改正の内容は、御提出しておりますように、航空機の安全を害する行為、それから航空機内にある者もしくは財産に危害を及ぼすというような行為をした者あるいはしようとする者に対して、必要な限度で拘束、降機することができるということを、機長の権限として認めようとするわけでございます。したがいまして、いまのように、乗客の一人にある者が短刀を突きつけておるというような場合には、やはり航空機内にある者に対して危害を及ぼそうとしておるということに該当することになります。したがって、今回の航空法改正による機長の権限、すなわち、そういった者に対する降機、あるいはその他の抑制の措置、あるいはこれを拘束する、こういったことは当然行なわれてしかるべき内容になると考えます。
 ただ、そういうふうにした場合に、それからいろいろな事態が発生してくるわけですが、それがすべて緊急避難の法理のもとにいろいろな内容が違法性を阻却をされるかどうか。機長自体は当然これはできることに今度なりますから、これを拘束したりおろしたりするということは何ら違法性はないわけでございます。あと民事上の問題その他があり得るかと思います。それが緊急避難になるかならないか、これは内容の具体的なものの重要性等の判断によってなされると思いますが、大体いまのような場合は、いわゆるハイジャック的な性格を帯びるものということであるとすれば、これはやはり緊急避難に該当すると考えられます。
#13
○加藤(六)委員 それからもう一つ。先般、アメリカで、日本の会社の出張員か、真相はまだはっきりしておりませんが、たとえは段ボールの箱に小さい字で、万年筆で書いたかマジックで書いたか知りませんが、時限爆弾ということを書いておった。行きし帰りし、それをたまたま持っておったら、帰りの飛行機で飛行機がゆれて、自分の座席の下にあったものがずるずると機内をすべって、ほかのお客の目に触れるところに行った。そのお客がたまたまそれを見て、すぐスチュワーデスに連絡して、その飛行機はすぐ離陸した飛行場へ折り返した。そしてその日本人はFBIに逮捕せられた。こういうことがあるわけですね。わが国の法務委員会で本日採決される防止法案あるいは今回の航空法改正案、こういうものの中に――アメリカの場合には、いまのハイジャック防止の精神からいって、そういうものを持っておってもすぐやられる。しかも、それは連邦警察の手続においてやられるということになるのですが、結局、それは中は何でもなかった。電子関係の商品サンプルを入れておったということになっておるわけです。しかし、それでも勾留せられた。
 そんなら、わが国の場合において同じようなケースが起こった場合には、どの法律でこれは取り調べ、あるいは何かできるわけでしょうか。身柄拘束といいますか、いまのように、飛行機をもとに返して離発着するということまでできるわけでしょうか。
#14
○手塚政府委員 いまの具体的な例の場合、これはいろいろ考え方があると思いますが、まず、それが爆弾というふうに思われるということが相当な確からしさがあったということになりますと、機長としては、やはり飛行機並びに機内の人命、財産の安全確保をはかる意味において、事実上最もいいという判断で、いま言われたような不時着というのは、爆弾等においては適当なやり方だと思うのです。これは日本航空などの運航規程等にも、そういうものがある場合には、不時着等をして人命をできるだけ早く避難をさせるというようなことを規定いたしております。
 しかして、その不時着をした後にそういったものの取り調べ関係ということになりますと、これは警察当局がこれに対しての措置を全般的にとるということになる、かように思うわけです。この航空法との関係におきましては、機長自体がそういうものについての押収、あるいはそれについての取り調べというようなところまでは、もちろん権限的にはない。不時着した後には、関係の当局にそういう旨を通報する。通報すれば、そこの国の主権下にある領土ですから、当該国が、これに対する当該国の法律その他をもちまして、これの処置を進めていくということになるかと思っております。
#15
○加藤(六)委員 もう一点。そうしますと、局長さん、たとえば七時五十分羽田発福岡行きの日本航空か全日空の便があるとしますね。たまたま乗客がトイレへ行ってみた。トイレの中に、八時二十分この飛行機は爆破されるということがマジックで書いてあった。落書きかあるいはほんとか判断つきませんね。そういうときには、機長はどういう行動をとるのが一番正しいわけでしょうか。
#16
○手塚政府委員 これは事実問題になるかと思いますが、一応危険物、爆発物と考えられるという場合には、現在の日本航空のマニュアル、運航規程によりますと、やはりできるだけ早くもよりの空港に着陸をする、そうして人命をまず最初に救出をはかるということで、爆薬が破裂をした場合におきましても、機体だけの損傷で済んで、なるべく人命に危害は及ばないというような措置をとることをもって一次的なやり方というふうに考えております。
 したがって、いま機内の者がそういうものがあるということを言った。これが実際の爆発物であるのかないのかということはわからないにいたしましても、そういうおそれがあるとするならば、おそらくは直ちに乗り組み員にそういうものが通報されると思います。通報を受ければ、一応はその真偽を確かめるでしょうけれども、やはり人命の安全を考えるならば、疑わしいというときには、まず不時着といいますか、もよりの空港にできるだけ早く緊急着陸をする、そうしてただいま申し上げたような措置をとる、これが一つのルールかと考えております。
#17
○加藤(六)委員 今回のよど号問題、ハイジャックの問題で、国民が飛行機に乗ること、あるいはそういったものに対して非常なる不安を持っております。私は、一日も早くこの航空法の一部改正案を国会で審議して通し、そうして国民にこういった不安を与えないように、国会並びに政府は真剣にこういう問題と取っ組んでこういうことをやっておるというためにも、こういった関係の法案が一日も早く通過して、国民に安心して乗れる飛行機、飛行機会社ということを実現していただくようにお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
#18
○福井委員長 次に斉藤正男君。
#19
○斉藤(正)委員 今回の航空法の一部改正は、過日発生いたしました不法不当な赤軍によるよど号乗っ取りを契機として、急遽提案をされたというように考えておりますけれども、ハイジャックのその後について、二点だけ局長に確認をいたしたい点がございます。これは、その後の参議院運輸委員会の羽田空港における現地調査の結果等々から、次の二点が明らかになったと思うのでありますけれども、局長はどのようにお考えになっているのでありましょうか。
 第一点は、金浦空港に着陸をしたよど号は、特に石田機長については、金浦空港着陸前に、これは平壌ではない、金浦であるということに気づいたということがいわれておりますけれども、そのように確認をしてよろしいか。
 第二点は、地対空、空対空等の対空砲火、威嚇射撃といったようなものは、全くなかったというのが真実のようでありますけれども、これもそのように確認してよろしいか。
 この二点について局長の見解を伺いたい。
#20
○手塚政府委員 私どもは、機長の報告あるいは先生御指摘の先般の羽田における機長と皆さんとのお話し合い、そういう過程を通じまして事実を知るだけでございますが、その過程によりますと、第一点の、機長が金浦ということを承知しながら金浦におりたのではないかという点は、機長が発言しておりますとおりに、機長自体は全く金浦ということを自覚をしていなかったというふうに受け取れます。すなわち、三十八度線から西に航路を変更いたしまして、着陸するために管制塔の呼び出しをやっております。平壌、平壌、ピョンヤン、ピョンヤンということで声をかけた。それに対応いたしまして、それでは一三四・一という周波数をもっておりてこい、それで誘導するぞ、こういうような応答がございまして、それに従ったところの周波数で誘導されておりた結果が金浦であったというふうに機長は話をしておりますし、報告をしておりますので、機長自体は当初から金浦であった、あるいは金浦に着陸するつもりであったということではないというふうに理解がされます。
 それから第二点の、金浦へおりる前に対空砲火があったかという点については、機長はそういうものは気づかなかった、かように端的に申しております。
#21
○斉藤(正)委員 その金浦空港へ着陸する際の無電の波長ですね、こちら平壌だ、平壌だ、それから同時にスクランブルらしき飛行機の機種、それから操縦士から目で合い図をするのさえ見えた、それから手も振って、こちらへ来い、こちらへおりろというような指図も見えたというようなことがいわれておるわけでありますけれども、石田機長が確認をしたのか、副操縦士のみが確認をしたのか、その辺ややつまびらかでありませんけれども、要するに、その発信された無電もこれまた擬装である。そうでないのにそうだと言ったことを信じたということは、これはあり得るわけですから、そういうことはありましても、着陸寸前であったのか、着陸の後であったのか、その辺はきわめて微妙でありますが、どうもこの間の応答から私どもが感じた受けとめ方は、どの地点でこれは平壌ではないなということに気づいたかは別といたしましても、とにかく機長なりあるいは副操縦士なりが誘導されている飛行機の機種、あるいはその誘導している――誘導ということばが適当であるかどうか知りませんけれども、飛行士が目で合い図をするのさえわかった、それから手ぶりで合い図するのはもちろんわかったというようなことから考えまして、これはやはり真実がなお少し不明確な点があるというふうに思っております。まあしかし、公の発表がそういうことになっておりますので、私は、これ以上この問題を追及して、局長をどうこうするという気持ちもありませんので、それならそれでけっこうです。
 そこで、本論に入るわけでありますけれども、提案理由の説明の中に、「今後このような事件が再発しないよう種々の防止対策を講じて」云々ということがあるわけであります。種々の防止対策とは一体何であるか。航空局としてやるべきこと、あるいはやっていること、さらに運輸省関係以外でやらなければならないことをやっていることもあると思うのですけれども、この二つに分けて、種々の防止対策を講じて云々なるその種々の防止対策とは、運輸省内でやったことは何であるのか、省外でやったことは何であるのか、伺いたいと思います。
#22
○山村政府委員 お答えいたします。
 運輸省内のこまかいことにつきましては、局長より御答弁いたしますが、私の聞いておりますところによりますと、現在ICAOといわれております国際民間航空機構、これがカナダのモントリオールにおきまして、いわゆるハイジャック問題を完全に防止をするための条約というものをつくろうじゃないかということで、いろいろ検討しておるようでございます。もちろん、わが国におきましても、こういうような問題には積極的に取り組んでいく、とりあえず、そういうような国際間のハイジャック防止というほうにいろいろ努力をしておるようでございます。
 その他の点につきましては、局長のほうからお答え申し上げます。
#23
○手塚政府委員 いま条約関係につきまして、これは非常に国際的な対策という意味で、次官が説明されましたことが一つ出されておるわけであります。ハイジャックが、国際間のいわゆる協調体制がないと防止は事実上できないということでありますので、これは非常に重要なことだと思います。日本の国内におきましては、先般の事件にもかんがみまして、まず法務省当局においてハイジャック自体に対する一つの特別立法を検討し、ただいま国会に提案をされておるというふうに聞いておりますことが一つございます。それから、この東京条約について、外務省が従来署名だけをしておりましたが、これに批准をすべく、要するに、条約締結のための国会の御審議をお願いするという段取りで、この条約の実施の推進をはかっておるということが一つ。で、航空局におきましては、この条約に関連をいたしまして、機長の権限の強化という意味で、ただいま航空法の改正という問題をお願いいたしております。
 しかし、こういった一連の法的な措置、特にまあ法務省からの処罰法というものは、これはハイジャック防止にも非常に大きな役割りを果たすものと考えますが、それ以外のもの、東京条約におきましても、第十一条のようなハイジャックそのものについての規定もございますので、これはそういう限りにおいては非常に有効だと考えますけれども、なおいろいろきめのこまかい対策が必要だと考えます。そのためには、やはり航空局自身で考えますこと、それから航空会社をして考えさせ、また実施をさせること、こういうようなことがいろいろあると思います。まず、私どものほうでは民間の会社の中に立ち入り、警察も中に入れまして、こういったものの防止対策委員会なるものをつくっております。そして現在、とにもかくにも早急に思いつくこと、やり得ることからまず防止の方法を進めていく、こういうようなことを第一義的には審議をしておりますが、航空会社がやりますことにつきましても、いまのようなことでまずやれることということで、いろいろ検討をしたことを進めております。
 大事なことは、要するにハイジャックの防止といたしまして、実際に会社、航空局等が考えなければなりませんことは、乗客にハイジャッカーがまぎれ込む、あるいは荷物の中にそういった凶器その他が入っておる、あるいはそういうものを持って乗る、こういった者を機内に乗る前に何とか発見をし、防止をするということが、現段階において、世界各国を含めて考えられておる一番大事な防止策であります。そういう見地から、手荷物の検査、あるいは乗客のそういった挙動不審な者の発見、あるいはそういった者が所持しておりますところの凶器、こういったものをどういうふうにして発見をし、つかまえるかということに、ただいまのところ全力をあげておる次第でございます。そのほか、運悪くして先般のように機内に乗り込んだという場合に、機内においてどういう措置をとったらいいか、あるいはそれの予防的な措置をどうすればいいか。先般事件が起こりましたすぐ直後において、大臣の指示によりまして会社に出しました内容の一つには、いわゆるコックピット、乗務員が乗りますところとお客との間のところのドアを厳重に施錠する、必ず施錠する、こういうようなこと、あるいはコックピット内において客室内の模様がいつでもわかり得るというような状態にする方法はないか、たとえば客室内にテレビなどを置いて、それを運航しながらでも見られるというようにすることは、非常に有効な一つの方法ではないかというような、そういった機内における防止の方法、それに伴う飛行機の改造等を要するものはその改造、こういったようなことを柱といたしまして、非常に具体的な内容をただいま検討いたしております。
#24
○斉藤(正)委員 もう一つ、この提案理由の説明の中に、「航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約を締結」云々ということばがございます。航空機内で行なわれた犯罪あるいは行なわれようとする犯罪、これはまあわかるわけですけれども、「その他ある種の行為に関する条約」ある種という、このことは、航空機内に起こるだろう犯罪あるいは起きた犯罪以外に何をさしているのか、きわめてばく然としていると思うのでありますけれども、どういうことを予想しているのか、伺いたい。
#25
○手塚政府委員 この条約の第一条の(b)項というのに、「この条約は、次のものについて適用する。」ということで適用範囲がきめられておりますが、「航空機若しくはその機内の人若しくは財産の安全を害し若しくは害するおそれがある行為(犯罪であるかどうかを問わない。)」こういう犯罪であるかどうかを問わないというようなことになっております。こういうようなことが「ある種の」ということに該当するかと思います。なお、さらに続けて、「又は航空機内の秩序及び規律を乱す行為」たとえば、めいていをし、放歌高吟をして他人に迷惑を及ぼす、こういったようなことは、必ずしも犯罪に至るまでにはならないようなものもあるわけでございます。そういったようなことが「ある種の」ということになるかとも思います。
 なおさらに、この十一条で、非常に重要な条文として、ハイジャッカー、航空機の不法奪取のことがきめてございます。この航空機の不法奪取の形態は、大体どこの国でも一応は犯罪になるわけで、現行法においても、いわゆる強盗とか窃盗とか脅迫とか暴行とかを伴いますので、犯罪になるかと思いますが、いわゆるハイジャックそのものについて、日本では今度先ほど申し上げました新しい法律をつくって、これは明らかに一つの独立な犯罪である、そうしてこれは厳罰に処するとこういうような法律を出すわけでございますので、この条約文から見ますと、必ずしも犯罪というような扱いではないようにも解釈される。したがいまして、そういうものが含まれますと、ただいま申し上げましたようなものと一緒に、犯罪以外の「ある種の」というものに該当するかと思います。
#26
○斉藤(正)委員 了解しました。
 そこで、東京条約について一点だけ伺いたいわけでありますけれども、東京条約によれば、自国の上空の飛行中についてこの適用があるのは、最後の離陸地点または次の着陸予定地点が外国の地点である場合等に限られている。最後の離陸地点が外国であって、あとは国内上空を飛行する、次の着陸地点が外国であって、その前には国内上空を飛行する、この場合しか東京条約は適用されない、自国の上空の飛行についてはですよ。そういうことであろうというように私は解釈をするわけでありますけれども、実際の場合としてこれはどういうことをいっているのか。まあ日本の航空会社について見れば、日本航空だけがこれに該当する飛行計画を持っているというように思うのでありますけれども、最後の離陸地点が外国であってあとは国内上空を通る、次の着陸地点が外国であって、その前は国内上空を通るというように解釈をした場合に、現実、日本航空の航空路線からいくならば、どういう路線が考えられるのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
#27
○手塚政府委員 先生の御質問は、条約第五条第一項の機長の権限の適用範囲のところの内容であろうと思います。この内容について、やや具体的な例によって御説明申し上げますと、当該航空機の最後の離陸地点が「当該登録国以外の国にある場合」これは、たとえばサンフランシスコ発東京行きの日本の航空機が木更津上空に差しかかったという際に、当該航空機内で犯罪が行なわれたような場合をいいます。それから、当該航空機の「次の着陸予定地点が当該登録国以外の国にある場合」これは、たとえば東京発サンフランシスコ行きの日本の航空機が木更津の上空にあるときに、当該航空機内で犯罪が行なわれたような場合をいいます。それからさらに、「当該航空機がその後その者を乗せたまま当該登録国以外の国の上空を飛行する場合」こういうのがあります。これは、たとえばニューヨーク発シアトル行きの米国航空機、これが米国領域内にある間に機内で犯罪が起こった、そしてその飛行機がその後カナダ領空を飛行する、こういうような場合をいうわけでございまして、こういう際に機長の権限が適用される、かようになるわけでございます。
#28
○斉藤(正)委員 そうすると、日本航空でいう場合ならば、いまこの五条に適用する航路あるいは具体的な例という場合は、局長が前段御答弁になりました、サンフランシスコ発羽田行きが木更津上空で犯罪行為が発生した場合、東京発サンフランシスコ行きが羽田を離陸して木更津上空で犯罪が発生した場合というように解釈して間違いございませんか。
#29
○手塚政府委員 そのとおりでございます。
#30
○斉藤(正)委員 了解しました。
 そこで、法案に入るわけでありますけれども、七十三条の三の一項ですけれども、これは犯人に対する行為の抑止と犯人の降機について規定をしていると思います。この中に、「又はこれらの行為をしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、」ということで、「信ずるに足りる相当な理由」これは、先ほどお話もありましたけれども、機長なり副機長なり、あるいは機関士なり通信士なりという方々は、いわゆる操縦席に入っている方が大部分であります。したがって、乗客がもしこのような行為をしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるということを最初に見つけるのはスチュワーデスではなかろうか。そして適当な方法で操縦席へ連絡をされ、最終的には機長の判断、こういうことに実際はなると思うのであります。したがって、この信ずるに足りる相当な理由というのは、なかなかこれはデリケートであります。私など人相も悪いし、挙動不審な点もしょっちゅうありますけれども、これを判断をする機長の権限、能力あるいは責任といいますか、非常に重いと思うのであります。信ずるに足りる相当な理由を最終的に決断をするのは、やはり本条が機長の権限の強化といいますか、充足にあるわけでありますから、機長にかかってくるわけでありますけれども、非常にその判断、決断はむずかしい問題も含んでいるというように思うわけであります。この辺の解釈は、一体どのように最小限すべきか、最大限はどの程度にすべきか、これは機長の常識にまつということなのでありましょうか、いかがなものでありましょう。
#31
○手塚政府委員 これは、どういう場合が相当な理由があり、どういう場合が相当な理由には当たらないかというようなことを客観的ものさしでもってお示しすること、御説明することは非常にむずかしい問題でございます。ただ、こういう行為が行なわれようとしておるという場合に、それに対応する機長の権限というのがいろいろあるわけでございます。拘束をする、それからそれらの行為を抑止するための措置をする、あるいはおろす、こういうようなことがあるわけでございまするので、やはり機長自体が、これは最終的に判断をするということになることは間違いないことでありまして、その判断の際に、やはり相当の理由かどうかというのが、ある意味では疑わしいというほうが強いという場合には、この抑止といいますか、あるいは運送約款等にきめられてある措置からまず始めてみるというようなことで、だんだんにその実態をはっきりしていって、そして最後の段階の降機といいますか、そういった強い態度をとるというようなことになってくるのではないかと考えるのでございまして、これは仰せのごとく、その判断というものについてはなかなかむずかしい問題があるかと考えます。
#32
○斉藤(正)委員 たまたまあのような不法不当なハイジャック事件が起きた直後でありますので、私は、その防止のために航空法が改正をされ、機長の権限が強化をされるということは当然なことだと思いますけれども、もしこの条項の適用あるいは運用いかんによっては、人権侵害といったようなことも起こり得るわけでございます。しかも、隔絶した密室で機長が最終的な判断を下さなければならぬ、沈着冷静、しかも公正でなければならぬということになりますと、機長の責任はますます重くなるし、間違えばハイジャッカーの跳梁にまかせることになるし、逆に間違えば乗客の人権侵害になっていくというようなことで、この問題の運用は非常に微妙なものがあるというように考えるわけであります。
 今日、いろいろなことが用意をされ、ハイジャック防止のために努力をされていることはわかります。そこで、こういう航空法につきましては、世界的な一つのレベルというようなものがあるのであろう、特に航空先進国につきましては、すでにこういうような法案の整備は行なわれているであろう、あるいはハイジャックが横行する――というとなんでございますけれども、わが国では不幸なことでありましたけれども、初めての事件でありましたが、諸外国には頻発をしているわけであります。この七十三条の三の一項のような規定は、国際的に航空先進国あるいは飛行機乗っ取り先進国――というような国があるかどうか知りませんけれども、そういう国の条文の対比において航空局はお考えになったことが当然あると思うのです。外国の条文等を参照されたことは当然あると思うのでございますけれども、そういう点についての対比はいかがなものでございましょうか、おわかりになったら御説明をいただきたいと思います。
#33
○手塚政府委員 この東京条約を締結いたしますと、これに伴う実施を国内的に行なうことになるわけでございます。したがいまして、この条約自体をすでに批准まで済ましておる、要するに締結を終わっておるという国においては、こういうことはすべてできるということになるわけでございます。現時点におきまして、この東京条約自体を批准をいたしております国は二十二カ国ございます。この二十二カ国の国におきましては、こういう内容は、わが国同様に行なわれるというたてまえになっております。これを批准しておらない国等におきまして、こういった権限が与えられているかどうかという点について、私どもいろいろ調べておりますけれども、現段階におきましては、まだその辺調査未了といいますか、見当たらないというのが現状でございます。そういう意味で、主要航空国におきましては、大体こういう権限は認められておると御理解願えればよろしいと思います。
#34
○斉藤(正)委員 了解しました。
 そこで、もう一つ条文の問題として伺っておきたいと思うのでありますけれども、同じく三の二項に、当該航空機を離陸させてはならない規定というのがあります。これはもう犯罪行為が行なわれ、もしくは行なわれようとしているために、当該航空機を離陸させてはならないという規定が三の二項だと思うのでありますけれども、「拘束されている者が拘束されたまま引き続き搭乗することに同意する場合」それから「その者を降機させないことについてやむを得ない事由がある場合」これ以外は離陸をさせてはならない。逆に言えば、拘束されている者が拘束されたまま引き続き搭乗することに同意した場合と、その者を降機させないことについてやむを得ない事由がある場合、このときは離陸させてもよろしいという規定であろうと思います。そのときに、搭乗することに同意する場合、いわゆる搭乗なることば、これは乗務員も含むのか、乗務員を含まない乗客のことをいうのか、あるいはそれが全会一致を必要とするのか、多数決によるのか。最終的には機長の判断にまつということだろうと思いますけれども、搭乗するという搭乗者は、乗務員を含めてもいるのか、あるいは乗客だけのことをいうのか、ここに搭乗ということばが出ておりますけれども、これは一体何をさすのでありましょうか。
#35
○手塚政府委員 この二項は一項を受けまして、一項で、機長が航行の安全を保持するためあるいは機内の秩序を保持する目的、そういったことから、機内にある者について拘束をすることができるという権限を与えられたわけでございますが、その権限に対して、この拘束状態というものは、ある程度制限的に扱わなければならぬということがこの二項の全体の趣旨であろうと考えます。すなわち、いつまでも拘束して、次から次へ飛んでいって、最後には自国へ連れて帰るというようなことは、これは特別な場合以外にはいけないということ、すなわち、その拘束をされた者が、そのまま引き続いて自分は乗っていくんだ、同乗していくんだ、この飛行機に乗っていきたい、こういうことを意思表示する。もちろんこの表示する相手は、機長が機内の全般の最高責任者でございますから、機長に対して表明をされる、あるいは機長の権限なりその履行補助者として客室乗務員等があるかと思いますので、そういった客室乗務員の立場における者に対して意思が表示される。いずれにいたしましても、そういった拘束状態のままで自分はさらに搭乗を続けるということをその者が同意をするという場合には、そのまま飛行機を離陸させてもよろしい。あるいは降機をさせようと思っております者について、降機をさせないことについてやむを得ない事由がある場合、これをおろさなくともよろしい。それはどういうことかといいますと、たとえば、この条約についての非締結国という国におきまして、その国が降機を許さないというような場合があり得るわけです。そういうじゃま者をおろされては困るというような場合があるわけなんで、そういう場合は、やはり降機させないことについてのやむを得ない事由があるということになるかと思います。あるいは飛行機が不時着をした。その際に、降機をさせますと、本人の保護といいますか、そういった面で問題があるというような場合は、やはりこのやむを得ない事由があるということになるかと思いますし、また、降機をさせて拘束を解きますと、再びまた航空機内に入ってきて、航空機内の安全保持等ができないというような場合とか、こういったもろもろの事由が具体的にありますが、そういう事由がある場合は、そのまま拘束を続けて飛んでいってもよろしい。逆に言いますと、そういう事態でない場合には拘束を続けてはならない、できるだけ早くこれを降機させる、あるいはその拘束を解く、こういうことにしなければならないというようなことをここで取りきめたわけでございます。
#36
○斉藤(正)委員 二番目のほうは理解できたのですけれども、最初のほうの拘束されている者が拘束されたままということで、拘束されている者が乗客である場合もあるし、乗務員である場合もあるし、乗務員と乗客の両方の場合もあると思うのです。その点はどうなんですか。
#37
○手塚政府委員 ここでは、東京条約を受けての機長の権限強化でございまして、東京条約のこれに該当いたしますのは、要するに、機内の犯罪あるいは秩序維持ということから、こういう権限を与えるということでありますので、いま先生がおっしゃいます客室乗務員なり乗員が縛られておるというような事態のときに、離陸してはならないということを取りきめたわけではないと考えます。つまり、一般的に、いま申し上げましたような問題のある人間、こういう行為者をできるだけ早く、むしろそういう拘束状態から放して、できるならば機外に降機をさせる、おろすというような行為をとる、拘束状態というものは必要最小限度にとどめるということをここできめる趣旨でございまして、いま先生の御指摘の前段であるところの、乗員が縛られているというような事態のときに、離陸させてはならないということがこの条文の趣旨ではないわけでございます。
#38
○斉藤(正)委員 東京条約を見ましても、この条文を見ましても、どうもその点が、現実にわが身を置きかえたときに、私が航空機の搭乗員であった場合、私が航空機の乗客であった場合、すかっと割り切れない問題があるわけなんです。当該航空機を離陸させてはならないという規定の一つに、拘束されている者が拘束されたまま引き続き搭乗することに同意した場合と、その者を降機させないことについてやむを得ない事由がある場合以外は、当該航空機を離陸させてはいかぬという規定であろうと思うのですが、私のその基礎に立っている考え方といいますか、法文の解釈というのは間違いですか。
#39
○手塚政府委員 ここは、確かに離陸そのものについてきめてありますけれども、この離陸というものについては、引き続き拘束したまま離陸させてはならないという、前段の拘束したまま離陸をさせてはならないということに意味があるのでございまして、離陸そのものについて、そういった場合にそれをとめなさいということに主眼があるのではないというふうに理解していただきたいと思います。
#40
○斉藤(正)委員 そうすると、拘束の規定であって、離陸の規定は副次的についたものだ、拘束されたまま離陸をする場合にはこの二つしかないよ、こういうことを規定しているのだという解釈が正しいと理解してよろしいか。
#41
○手塚政府委員 そういう趣旨でございます。繰り返しますと、行為者――犯罪人にも当たりませんかもしれませんが、行為者について、拘束状態というのはできるだけ早く解きなさい、できるだけ早くおろしなさいということをきめておるというふうに理解していただいたらよろしいと思います。
#42
○斉藤(正)委員 了解しました。
 最後に、この航空法の改正が成立した場合、四十四年十二月一日付の日本航空の「機上不法行為等に対する乗員の対応措置」との関連ということで伺いたいわけでございますけれども、たまたま過日から問題になりました四十四年十二月一日付の日航の対応措置がパイロットに対して出ているわけでありますけれども、この四十四年十二月一日付の日航の対応措置と、本航空法の改正にあたっての矛盾点はないか。航空法が改正されれば、日航はもちろんのこと、全日空その他につきましても、パイロットに対するこうしたハイジャック対応措置というようなものは、もう一ぺん急遽検討すべきだというようにも私は思うのでありますけれども、さしあたり、この四十四年十二月一日付の日航が出しました対応措置と本法改正との間の関連において、補強なりあるいはその他の措置を講ずる必要がないかどうか、局長の見解を承りたい。
#43
○手塚政府委員 現在、日航できめられております運航規程は、他の定期会社においても大体これと同様なものがきめられております。この内容が、今度改正をお願いいたしております航空法との関連におきましては、一応矛盾するものもございませんし、きめてあることによりまして、これをどうするというようなことは、即日起こらないと思います。運航規程なるものは、御承知のとおり、その会社で具体的なやり方をいろいろきめることが趣旨でございますので、たとえば拘束あるいは降機というものが今度法律で改正されると、機長の権限できめられますから、これに対応したような具体的なこと、そういう意味のことはこの中に何がしか盛ってこなければならないかということは考えられます。
 そのほかに、先ほど対策予防措置というような意味で御質問がございましたときにお話し申し上げましたように、単に今度の航空法の改正だけで予防ができるとはわれわれは考えておりません。いろいろ事前の荷物の検査とか何かにつきまして、あるいは機内の持ち込み物品の制限等につきまして、やはり相当いろいろ再検討すべき内容があるかと考えております。したがって、そういうものの検討結果によりまして、そういう意味からもこの改正ということは当然にあり得ると思いますし、これはなければならぬものということで、ただいま、先ほど申し上げた対策委員会で、こういった運航規程の改正を含めて検討中でございます。
#44
○斉藤(正)委員 最後に山村次官に。日本には、のど元過ぎれば熱さを忘れるということわざがあります。まさにあのハイジャック事件は、本年トップのニュースであり、事件であろうと思うし、次官はまたその中に入って中心的な役割りを果たした方でもある。私は、過日の同僚井野議員の質問にもありましたけれども、東京、福岡、大阪等では、警察関係の警備等その後飛躍的に充足されたが、千歳はどうであったかというようなことも実は伺ったし、あれは事実であろうと思うわけであります。災害は忘れたころにやってくるということばもありまして、自然災害等についてもそうであります。人災は、これまたいつどこでどのように発生しないとも限りません。これを要するに、総合的な行政の強化がこうした問題にあらわれてこなければならない。次官もお答えになりましたように、航空法の一部を改正したからといって、根絶できるものではないと思います。しかし、やはり常日ごろの施策が実を結んでいくことも間違いないと思うわけであります。あらためて航空法の一部改正にあたって、こうした不法、不当な事件を二度と起こさないために、運輸省としての決意のほどを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#45
○山村政府委員 ただいま先生の、のど元過ぎれば熱さを忘れると申しますが、私はおそらく一生この熱さは忘れないと思います。特にそういう意味からも、このたびの航空法の一部改正で、いわゆる乗っ取り防止というほうへは一歩進んだわけであります。しかし、今後はいろいろ検討をいたしながら、この乗っ取りというものを完全に防げるというほうまで一生懸命やってまいるつもりであります。
#46
○福井委員長 次に宮井泰良君。
#47
○宮井委員 最初に、ごく常識的なことをお伺いいたします。
 これは起きてはならないことでございますが、第二のハイジャックが起きたといたしまして、最良の方法は何であるかという点につきましてお伺いしたいと思います。
#48
○手塚政府委員 ハイジャックの防止につきましては、機内にこういった問題が起こったというときには、飛行機というものの特殊性から、機内においての処理というのはやはり実際問題として非常に困難であります。したがいまして、そういった人間なりあるいはそういったものなりが飛行機に持ち込まれないようにするということが非常に重要であろうかと思います。
 それからまた、こういったハイジャックについては、国際的な問題になる場合が通例でございます。したがいまして、そういった国際的な関係において、ハイジャックの取り扱いというものを各国一様に同じ扱いをする、特にこれが一つの犯罪である以上、これを処罰をするというような体制を国際的につくり上げる、こういったことが防止策として非常に大事であると考えております。
#49
○宮井委員 あの事件の際におきましてよく言われたことでございますが、目的地に飛ばすよりほかに選択の余地がなかったということが多くの人から語られたわけでございます。欧米諸国等におきましても、そういったことが通例である。そこに政治価値を混入させるという点で事件を混乱させる、こういう考え方についてはどのようにお考えになっておるか。
#50
○手塚政府委員 ハイジャックが起こりました場合に、この解決の考え方の基本になりますのは、やはり乗客の人命の安全、乗員の人命の安全、さらには機体の安全、こういったことを確保することがすべての解決の基礎であろうと考えます。したがいまして、そういう意味で、先生の御質問は、むしろ政治的判断といいますか、あるいは地上なり何なりからいろいろな小細工的な指示を与えないで、すべてを機長にまかしてやらせるということが適当ではないかという御趣旨ではなかろうかと考えるわけです。そういう意味であるとすれば、機長の判断はやはり最も重点的に尊重するということが当然だろうと思いますし、特に飛行機が飛行中であるという場合におきましては、事実上機長の判断にまかせざるを得ないということは当然であるわけです。しかし、具体的なケースに応じましては、機外にある関係機関というようなものも、そういった乗客、乗員の安全な救出をはかるということについて、やはり必要な措置がとり得る場合もあろうかと考えます。
 そういう意味におきまして、今回の事例等で考えます場合には、福岡に燃料不足という機長の判断によって当該機が着陸をしたという場合に、何とか国内においてこれを処理するというような方向で、その問いろいろな措置を講ずるよう努力された。その結果、二十八名という女子供が降機させられたということについては、これは妥当な措置ではなかったかと考える次第であります。
#51
○宮井委員 先ほどの局長のお話の中に、防止対策委員会というのがあるように伺っておりますが、これはそういったハイジャックの防止をするためにキーロックをいたしますとか、いろんなそういう対策だけを検討するのか、それとも事件が起きた場合にどう対処するかという点も検討するのか、この点をお伺いします。
#52
○手塚政府委員 その前に、先ほど二十八名と申し上げましたが、二十三名の誤りでございますので、訂正させていただきます。
 防止策として、機内におきます対策、これは実際上なかなかむずかしい問題でございます。これは、まず飛行機の構造をどうするかというようなこと、それから犯罪者との関係におきまして、これをできるだけ操縦者に影響させないように考える運航上の考え方の問題、それから、これが今回の福岡のように自国内に着陸をしたという場合に、今度一番困りましたのは、地上からのいろいろな連絡というようなものが、すべてハイジャッカーに筒抜けになっておるというような事態、こういうようなことが非常に問題であったかと思います。そこで、そういうようなことにいろいろ対処する対策が必要ではなかろうか。
 当面、第一に申し上げました飛行機の構造というような面でいいますと、すでに現在実施中であるところのコックピットと客室との間のドアの施錠を厳重にやる。この施錠等につきましても、現状の大半の飛行機ですと、操縦席から一々立っていかないと施錠がしにくいというようなことがありますが、これがボーイング737あたりになりますと、通称カストロロックといわれて、操縦席でボタンを押すとすぐに締まるというような簡便な締め方のものがあるわけでありますが、そういうようなものを取りつけるかどうかということが、やはり対策の一つとして考えられるかと思います。
 さらに、第二の、機内における状態というようなものをできるだけ早くキャッチをして、パイロットがそれに対応できるような措置を講ずること、これは必要なことでございまして、そのために、たとえば中にテレビを置いて、そのテレビを見ておると、乗客の状態、客室内の状態が操縦席に常時わかっておるというような問題、あるいはベルなどを客室につけまして、ある種の信号によって直ちにそういう事態を知らせるというような問題、要するに、そういった客室内における状態を操縦席から直ちにこれがキャッチできる、その結果におきまして、今度は運航上何らかとり得る措置があるかないか、緊急着陸がどうだとか、先ほど申し上げておるような二、三の例の問題があるわけであります。
 こういったことが航行中においてとり得る対策ではなかろうかということで、なおいろいろ考えられることがございますので、先ほど申し上げました対策委員会をつくり、あるいは日本航空からは、現在こういったハイジャックの例の一番多いアメリカにいま調査団を出しまして、関係各社あるいはFAA、連邦航空局等にそういった対策等について調査をするようにいたしておりますが、そういった調査結果を待って、逐次施行できるものから施行していきたい、かように考えておる次第でございます。
#53
○宮井委員 そこで、先ほども少し話に出しましたが、こういったハイジャックの事件に対しましては、アメリカ等においては航空会社先導型である。航空会社がまず優先権をもってこれを処理していくということになっておるようでございますが、この点についての見解はいかがでしょう。
#54
○手塚政府委員 優先という意味でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、やはりハイジャックの防止の基本的な一番重要な問題だと思いますのは、機内にそういったハイジャッカーが入る、あるいは凶器を持ち込むというようなことを防止する、つまり、飛行機外においてそういうものを扱うということが重要だと考えるわけでございまして、そういう意味で、やはりそういう接触を一番最初にいたしますのは航空会社であるわけです。人に対しては切符を売る、そしてその際に荷物の受託を受ける、あるいは手荷物の通過を認める、そういうような段階から事が始まるわけでございますので、そういう意味から、航空会社がいろいろ検討し、実施をしなければならないことがまずある。そしてまたその内容が非常にウエートが高い。こういうことではないかと思います。
 しかしながら、やはり今回の事件のような相当組織的な問題ということになりますと、これはいま言ったようなところからの話では事の対策、処理ができません。それ以前のいわゆる情報の入手というようなことが非常に重要になってまいりまして、これは警察当局の仕事の範囲に入ると思います。そういう意味で、警察当局との関連は密にやって、そういったところからの対策をまず考えていかなければならない。
 また、最初に申し上げましたように、これはやはり国際的な処理のしかたをしませんとほんとうの処理ができないという意味におきまして、条約上の問題、条約作成の問題というようなことが重要になりました。これは政府サイドの問題であろうかと思うわけでございます。
#55
○宮井委員 そこで、ハイジャック防止のために、空港カウンター等におきましてチェックする、すなわち、犯罪心理学を応用いたしまして、航空券を購入する際に注意人物であるかどうかを見きわめる、このような方式については行政指導されておるかどうか、この点をお聞きします。
#56
○手塚政府委員 先般の事件が発生しました直後におきまして、口頭でございましたけれども、直ちに航空会社に対して指示をいたしました。その指示は、一つは、先ほど来申し上げております客室と操縦室との間のとびらの施錠を厳重に実施をするということが一つ、それから、乗客並びに荷物についての点検を厳重にやるということの二つを、とりあえず指示をいたしました。その後、四月六日付の日付をもちまして、具体的に文書をもって、さらにいま申し上げましたことについての具体的な取り扱い方を指示いたしております。
 たとえば、旅客関係については、いままでやってまいりませんでしたが、旅客の氏名、年齢、住所、連絡先、こういうものを必ず確認をする、不審がある場合には再確認をする、荷物その他につきましても、こういったやり方で具体的な指示をいたしております。
#57
○宮井委員 そこで、乗っ取りの最大の解決策は事前の処置である、これは同感でございます。それには、ただいまお話がございました、機内に持ち込まれる手荷物や携行品のチェックを厳重にする必要がある。これは現行法でも十分まかなえるということで、今回の改正案には盛り込んでおられないわけでございます。機内持ち込み品の効果的なチェックの方法があるゆえに、この改正案に入れなかったと私は思っておるわけでございますが、その方法についての効果はどのようなものであるか、非常に強力にそれが行なわれるものであるかどうか、お伺いします。
#58
○手塚政府委員 チェックの方法について、一番厳重といいますか、極端な場合には、荷物につきまして強制的にそれを開いて検査をするということが、一番強力なる調査のしかただと思います。もちろん、その際本人の同意なしにそういうことをやり得るということでございますが、そういった検査ということにつきましては、これは現在の段階におきまして、特に憲法との関係もございまして、これは警察職員といえどもそういうことはできないのが現状のたてまえでございます。したがって、たとえば巷間よくいわれますように、航空公安官、こういったものを創設をして、それを飛行機に配置して、所持品の強制点検というのを行なわしたら、さらに点検が厳重になるのではないかということがいわれておりますが、こういった公安官制度を創設いたします場合にも、いまのような強制点検というようなことまでをこういった制度の中に盛り込むということは、現状においては非常にむずかしいといいますか、ほとんど不可能に近いというふうに考えられるわけでございます。
 そうなりますと、やはりいまやっておりますように、所持者の同意、協力ということを求めることを前提にいたしました調査、捜査ということにならざるを得ないかと考えるわけでございます。
#59
○宮井委員 東京条約におきましては、ハイジャック防止という点にはあまりつながらないということは、先ほど政務次官も認められたわけでございますが、ICAO、国際民間航空機関はハイジャック防止条約を作成中でありまして、この十二月にオランダのハーグにおきまして条約が採択される見込みである、このように聞いておりますが、わが国といたしましても、新たな防止に対する抜本的な立法措置をとる考えはないか、この点をお伺いします。
#60
○手塚政府委員 今回、ただいま国会で御審議をお願いするようになっておりますものは、ハイジャックというもの、これを犯罪として厳重な処罰をするという航空機の強取等の処罰に関する法律というのをお願いいたしております。それから、東京条約の締結に関するものを手配しております。それから、この条約の履行のために必要な航空法の改正あるいは条約十三条の規定の実施に関する法律、こういった四本のものをお願いをいたしておりますが、一番最初に申し上げました処罰法という内容につきましては、これが現在ICAOの法律委員会で審議をされております。いずれことしの秋の外交会議で結論が得られるであろうと思います内容が、一応そのまま盛り込まれておるというふうに考えてよろしいかと思います。
 そういう意味で、法律その他条約上の関係といたしましては、現在お願いしておる範囲がやはりとり得る最も適切な措置、かようになるかと考えます。
#61
○宮井委員 東京条約の批准のためにでございますと、国際線にのみ機長の権限を付与したらいいのではないか、このように考えるわけでございますが、それを国内線にも機長の権限を与えたのはどういう理由か、この点をお伺いします。
#62
○手塚政府委員 先生仰せのように、東京条約は、国際線の航空機についてその安全と機内の旅客、財産の保護、あるいは機内の秩序維持ということを目的としております。したがって、機長の権限強化の措置もそういう範囲ということで条約とのうらはらはでき上がるわけでございますけれども、いまの航空機及び生命財産の安全あるいは機内の秩序維持、こういう目的についての必要性、これは国際線だけではなくて、国内線の航空機についても全く同様であると考えられます。なおまた、今回のハイジャックが行なわれました事態は、日航機の国内線に就航しておったものであるわけでございますので、そういう事実から、今回の改正案は国内線にも適用する、かように考えた次第でございます。
#63
○宮井委員 さらに、この航空法改正の第一項におきましては、拘束、降機という点は規定いたしておりますが、拘束者の引き渡しについてこの国内法に規定しなかった。この点を御説明願いたいと思います。
#64
○手塚政府委員 この問題は、やはり条約におきましては明文をもちまして引き渡しということを書いておりますが、この条約の趣旨としますところは、国際的な犯罪人の引き渡しに関する司法共助体制を航空機内犯罪にも実行していこうという趣旨であるわけでございます。この条約上の義務は、被疑者の引き渡しを受けるということについては、やはり何らかのことをいたしませんと条約の趣旨は達成されません。その意味で、先ほど申し上げました十三条による被疑者の引き渡しを受ける法律というものを定めることにして条約の義務を果たそうとしておるわけです。片方の機長にそういう権限を持たせるかどうか、こういうことは当該国の一つの立法政策ということになるかと考えられるわけでございます。これはこの条約上は何ら義務ということにはなっておりませんので、こういうことを明文化しないということで条約の違反ということにはならないと考えるわけでございます。かたがた、そういう引き渡しが事実問題としてできないのかということになりますと、これは事実問題として、降機という中の一つの形態ということで、ここで書いてありますような、刑法上重要な犯罪を犯したと認める者というものを締約国に引き渡しは可能である、かように考えるわけでございますので、条約の趣旨と違背するものではない、かように考えております。
#65
○宮井委員 それでは、最後に二点一緒にお伺いします。
 機長に警察権を与えるという議論がなされておりましたが、今回の法改正に織り込まれていない。こういう点と、それから運輸大臣も考えておられたと思いますが、保安官添乗について、これの実現の見通しはどうか、この点をお伺いしまして、終わります。
#66
○山村政府委員 機長にいわゆる警察権を与えるということになりますと、それに伴う義務が生じるわけでございます。たとえば、犯罪行為を行なった者を逮捕しなかったということによって罰せられるわけでございます。そういうことも勘案して警察権というものを与えませんでした。
 また、保安官を同乗させてはどうかというような問題もございますが、しかし、これはほかの乗りものと違いまして飛行機でございますので、もしピストルそのほかの乱射なんということがありますと、はっきり言いますと、機体がばらばらになってしまう。気圧の関係もございます。またそれを行なうことによって、かえって犯人を刺激することも考えられないこともございませんので、そこで、今後また検討するといたしましても、とりあえず今回はそれを行なわぬということにいたしたのでございます。
#67
○宮井委員 以上で終わります。
     ――――◇―――――
#68
○福井委員長 この際、全国新幹線鉄道整備法案を議題といたします。
 本案に対する質疑は昨二十七日に終了いたしております。
 この際、本案に対し内閣に御意見があれば聴取いたします。橋本運輸大臣。
#69
○橋本国務大臣 全国新幹線鉄道網の整備は、国土の均衡ある発展をはかり、国民経済の発展と国民生活領域の拡大に資するために欠くことのできない、かつ緊急を要するものであると考えますので、本案のすみやかな成立を期待しておる次第であります。
#70
○福井委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 全国新幹線鉄道整備法案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#71
○福井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#73
○福井委員長 この際、宇田國榮君、内藤良平君、松本忠助君、和田春生君から、四派共同提出をもって、全国新幹線鉄道の整備に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。
 本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。宇田國榮君。
#74
○宇田委員 ただいま議題となりました全国新幹線鉄道の整備に関する件の決議に関する動議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   全国新幹線鉄道の整備に関する件
  政府は、全国新幹線鉄道網の整備に当たつては、日本国有鉄道の在来線の改良と財政の再建に支障を来たさないよう留意し、かつ新幹線鉄道の建設には十分なる資金の調達助成を行なうよう配慮すること。
  右決議する。以上であります。
 鈴木善幸君外十六名提出の全国新幹線鉄道整備法案は、本委員会において慎重な審査を経て、先刻可決の運びとなったのでありますが、わが国土の総合的、普遍的開発を推進し、国土利用の抜本的な再編成をはかるため、高速高能率の新しい輸送体系としての全国的な新幹線鉄道網を整備することは、わが国の経済と国民生活の高度の発達のためきわめて重要な課題でございます。
 しかしながら、本法が施行されましても、全国的な新幹線鉄道網の整備を行なうことは、決して容易な事業でないことも明らかであります。
 四党間におきましては、理事会等において慎重に協議いたしました結果、新幹線鉄道の整備に関し、政府において配慮さるべき事項を本委員会の決議をもってこれを明示する必要があるものと認め、この決議案を取りまとめた次第であります。
 決議案の内容の第一は、全国的な新幹線鉄道網の整備は大事業でありますが、国鉄が新幹線鉄道網の整備事業を実施することによりまして、在来線の改良と国鉄財政の再建に支障を来たすことがあってはならないのでありまして、この点、政府において十分留意する必要があるという趣旨であります。
 第二は、全国的な新幹線鉄道網の整備のためには、膨大なる資金を必要といたしますので、新幹線鉄道の建設に必要といたします資金につきましては、政府において、十分その調達と助成について配慮されたいということであります。
 以上、本動議の趣旨を御説明申し上げましたが、何とぞ委員各位の御賛成を賜わりますようお願い申し上げます。
#75
○福井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#76
○福井委員長 起立総員。よって、宇田國榮君外三名提出にかかる動議のごとく決しました。
 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣。
#77
○橋本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
#78
○福井委員長 おはかりいたします。
 本決議に関する議長に対する報告及び関係方面に対する参考送付につきましては、その手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#80
○福井委員長 引き続き航空法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。和田春生君。
#81
○和田(春)委員 今回提出されております航空法の一部を改正する法律案は、改正案として提出されている限りにおきましては、いわば東京条約の内容をそっくりそのまま取り込んだという形になっておりますので、特段の議論はないと思います。もちろん、東京条約そのものに異論があれば別でございますけれども、この法案の内容に出ている部分だけにつきまして、私もあえて反対するものではございません。
 ただ、この法案を提出した政府の基本的な態度について、この際、政務次官にお伺いをいたしたいと思いますが、今回提出された法案は、ハイジャック防止という観点から出されたというよりも、とりあえず東京条約を批准することが主たる目的で、その必要の限度内において応急的に法改正案が提出されたものであるかのようにわれわれは受け取るわけですが、そう解釈してよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
#82
○山村政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように解釈していただいてけっこうじゃないかと思います。
 実は、この前のいわゆる船員法の審議をいただきましたおりに、大臣より、船長の最終退船義務ということがございましたときに、機長の最終離脱義務というものも織り込んで、航空法が提出されたときはこれを審議するというようなこともお約束いたしたわけでございますが、しかし、今回の改正というのが時間的な制約もございます。また、よど号事件の発生に伴う東京条約の締結、これに際しての所要の改正に限定してこれを行なうというようなことになったわけでございますので、次の機会に、いわゆる航空法の全面改正というものを行なう際には、機長の最終離脱義務等を含んで行なう予定でございますが、しかし、今回は、ただいま先生おっしゃいましたような趣旨でこれを提出いたしました。
#83
○和田(春)委員 そういたしますと、東京条約は、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約という表題でございまして、すでに一九六三年、いまから七年前に調印をされた条約でございます。発効は昨年の十二月でございます。この東京条約は、今日のように航空機の乗っ取り事件が国際的にも非常に頻発をしてきた、また日本においても起こるというような事態が生ずる前につくられたものでございまして、国際関係で申しますと、本会議で質問をした際にも、私のほうから申し上げたわけでございますが、新たな航空機乗っ取りの国際的な事情にかんがみまして、ハイジャッキング防止を目的といたしました国際条約を作成することがICAOで進められておるわけです。これは本年十二月のハーグにおけるICAOの会議において採択をされるように各国は協力をしてもらいたい、この国連の決議には、日本も政府が賛成をしているわけであります。そういたしますと、今年おそらく十二月に採択されるであろうと考えられるハイジャッキング防止の国際条約に対しまして、日本もこれを促進をする立場をとっているわけでありますが、その際には、あらためてその国際条約を踏んまえて、速急に航空法その他関係法の全般的整備を国会に提案をする、そういう予定でおられるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#84
○山村政府委員 お答えいたします。
 今回の東京条約締結ということは、はっきり申しますと、実はいままで、飛行機乗っ取り事件に対して完全にこれを防止するものでないということで、いろいろ提出がおくれておったわけでございますが、しかし、少なくとも歩前進することは確かであるということで、今回この東京条約の締結ということに踏み切りまして、航空法の改正をお願いしておるわけでございます。
 しかし、ただいま先生おっしゃいました、いわゆる国際間の協定によって完全に防止する方向へより一歩前進する、ICAO、いわゆる国際民間航空機構、この法律委員会でいまいろいろ検討いたしておりますこのハイジャック防止に関しましては、政府といたしましても、全力を尽くしてそれに向かってまいります。また、その際におきまして、航空法の改正というものの全面的なものを行なっていきたい、そういうぐあいに考えております。
#85
○和田(春)委員 たいへんはっきりとお答えをいただきました。その方向で努力をしていただきたいと思いますが、関連いたしまして、今回の改正内容について、航空局長のほうに二、三点お伺いしたいと思います。
 今度の改正案の中で、機長の権限を強化する、こういうたてまえを、東京条約に沿って法改正案の内容に盛り込んでおるわけでございますけれども、いわゆる東京条約の第六条の第二項の後段、ここに「いずれの乗組員又は旅客も、妥当な防止措置が航空機又はその機内の人若しくは財産の安全を保障するため」云々とありまして、合理的な防護措置を直ちにとることが必要であると信ずべき相当な理由がある場合には、機長の許可を得ることなくその防護措置をとることができるというふうになっておるわけでございますが、今回日本政府から当委員会に提出された法律の改正の中には、この東京条約第六条第二項後段の趣旨は入っておらないわけでございます。入っていないけれども、それは一般的な正当防衛または緊急避難で十分にとり得る、こういうお考えのもとに入れなかったのか、あるいはほかの考え方があったのか、その点を確かめたいと思います。
    〔委員長退席、村山委員長代理着席〕
#86
○手塚政府委員 これは結論的に申し上げますと、ただいま先生が最後におっしゃいました正当防衛あるいは緊急避難、こういったことでその内容は当然カバーされると考えておりますので、特にこれに関連する国内法の対応措置はとらない、かような次第でございます。
#87
○和田(春)委員 次に、船員法によりますと、もちろん船舶の場合と航空機の場合は違った要素はございますけれども、船長の職務権限として、船長は乗り組み員その他船内にある者に職務上必要な命令をすることができるようになっております。同時に、船長もなま身でありますから、死亡その他船長に事故、障害の生ずる場合も予定をいたしまして、船員法の中では、船長がその職務を行なうことができない、こういう場合には、船舶の運航に従事する職員が、その職掌の順位に従って船長の職務権限を代行する、こういう規定が行なわれているわけでございます。
 ところで、航空機の場合も、従来予想されておった程度の航空機の場合には、乗務員も非常に少ないわけでございますし、特段そういう配慮は必要ではなかったと思いますけれども、ジャンボ時代、さらに大型化をしていきますと、航空機の乗務員というものも非常にふえてくる。この場合、機長がその職務をとり得なくなった、こういう状況に置かれた場合の機長の職務権限を代行するということについての法的な根拠ないし政府当局の考え方をお伺いいたしたいと思います。
#88
○手塚政府委員 従来、現行の航空法によりますと、機長の権限、第七十三条というところで、「機長は、当該航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する。」こういうことだけが規定されておったわけでございまして、先生御指摘の御趣旨の、機長に障害、事故が起こったときの、船員法にきめられておりますような代行者ということに対する規定はなかったわけでございます。
 そこで、今回機長の権限を強化いたしまするにあたりまして、そういったものを明確化する必要があるということと同時に、先生おっしゃいましたジャンボ等の飛行機も出てまいることでございますので、それをきめる、こういう意味で、七十三条中「機長は、」とございますのを、「機長(機長に事故があるときは、機長に代わってその職務を行なうべきものとされている者。以下同じ。)」というふうに、七十三条の中身をいま読み上げましたように変えるということにいたして、同時に御提案を申し上げておる次第でございます。
#89
○和田(春)委員 それは私もこの法案を読んで知っているわけですが、船員法の場合には、運航に従事する職員が職掌の順位に従って船長の権限を代行しろ、その間の秩序がたいへん明確にきめられているわけです。この場合は、「機長に事故があるときは、機長に代わってその職務を行なうべきものとされている者。」とあるのですが、それは一体どういうもので、どこに根拠があるのか、どういうことになっているのかという点を伺っているわけであります。
#90
○手塚政府委員 船員法と違いまして、具体的に明記をいたしておりませんが、この条文でこういう改正がお願いできました暁には、いわゆる運航規程というもので、具体的な運航乗務についての順位というものをきめさせ、運輸大臣が承認をするという形式をとりたいと考えております。と申しますのは、やはり国際線をやる航空会社、国内線だけしかやらないという航空会社につきましては、端的な例として、航空士などが乗っておるものと乗ってないものがある。こういうようなことがありまして、それらのことの違いはやはり運航規程というものできめさせて承認をすればよろしいのではないか、かように考えておりますので、そういう方向で進めたいと考えております。
#91
○和田(春)委員 その点はよくわかりました。
 そういたしますと、それぞれの航空会社が自己の運航する航空機の実情に応じて運航管理規程をきめる、その中でそういうことをきめさせる、こういう意図が政府にはある、こういうことでございますか。
#92
○手塚政府委員 そのとおりでございます。
#93
○和田(春)委員 ではそういうふうになった場合に、具体的な事例でお伺いいたしたいのですけれども、機長が急に死亡するとか、あるいは発作を起こして心身が急に動けないような状態になるとか、こういうことがあった場合にははっきりするわけでございますけれども、ここにかりに単独犯かなんかでいきなり機長をおどかす。機長はたいへん元気なんだけれども、生命の危険にさらされている。そこで、からだを拘束されている、あるいは精神的に脅迫をされているという状態になったときに、機長は操縦席にちゃんとおるわけなんですが、そういう機長に事故があるときには、かわって権限を代行するときめられている第一順位者は、当然機長にかわって航空機内における犯罪の防止なり乗客の救済等に対して措置をとることになるかどうか、その点お伺いしたい。
#94
○手塚政府委員 ただいま改正案で読み上げました「機長に事故があるとき」というこの事故というのは、いまのように機長が縛られて実際上動けないというようなときはもちろん含むと考えておりまして、その場合に、次の指揮順位者、通常会社がきめると思われますのは副操縦士ということになると思いますし、コックピットの中を全部占拠されますと、航空士、機関士までこれは全部だめになる。そうしますと、専任客室乗務員、こういうところへ順次権限は代行される、そのように考えております。
#95
○和田(春)委員 それでたいへんこの点ははっきりいたしました。
 次に、この法の改正には直接関係はございませんけれども、先ほど山村政務次官からお答えをいただいたことと関連をいたしまして、ハイジャッキングの防止ということについてたいへんに重要と思われますので、関連をしてお伺いをいたしたいと思うわけです。先ほども次官からもお話がありましたように、これは一歩前進である。もっと具体的に言うと、ないよりましだという程度でございまして、ハイジャッキングの防止ということについてはほとんど効果は期待できない。航空機に犯人が乗り込んでしまって、組織的に何か事を起こしますと、まず十中八、九は防ぎにくいというふうに考えられると思う。そういたしますと、事前におけるそういう犯罪の発生防止という措置が非常に必要になってまいります。こういう点について、一般の町中と違いまして、特に国際空港の場合には、あれが一つの特殊の社会を形成しているわけでございます。たとえば羽田あるいは大阪の伊丹、こういう国際空港についての治安、警備、犯罪の予防、そういうことに関しての責任者、一番の責任は一体だれがとることになるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#96
○手塚政府委員 空港におきましても、一般の町中と同様に、治安ないし犯罪行為の取り締まり、こういったものにつきましては、現状では警察当局でございます。
#97
○和田(春)委員 警察当局といたしますと、当然そういう治安とか犯罪の予防とか、ここで問題になるのは、航空機乗っ取りの防止について必要な空港内のいろいろな防御のための仕事もあると思いますが、それは警察が空港長に指令をする、あるいは航空会社の出張所が出ておる、運航管理者がそこに来ておるという場合には、それも指揮命令をする、航空機の発着等につきましても、平常時は運航管理者の承認がなければ、航空機機長は出発をしてはならない、あるいは予定コースを変えてはならぬ、こういうことになっていますが、そういう発着に対しましても、そこを管轄する警察の署長が指揮権をとるといいますか、命令をする、責任をとる、こういうことになると解釈してよろしいわけですか。
#98
○手塚政府委員 飛行場内におきまして必要であると考えられますハイジャック防止の措置として、不審の者の事前の調査、捜査、取り押えあるいは荷物の調査、そういう問題につきましては、これはただいま申し上げました警察当局が全面的に最高といいますか、最終的な責任者というたてまえで、これをやることになっております。したがって、航空会社あるいは空港当局の者もそういった線に全面的に協力をする、こういうふうに考えておるわけです。
 いまの飛行機自体が発着するということに対してまでの指揮命令という問題につきましては、現実の姿としてハイジャックがされたというような事態になりますと、私どもは、やはりいまのように警察当局が第一位だというように考えております。しかし、具体的にそういうものが起こってないという事態のときには、これは従来の航空法にきめられた手続あるいはそういう権限ある官署において処理が行なわれるということは当然であろうかと考えております。
#99
○和田(春)委員 その点、少し具体的にお伺いいたしたいと思いますが、航空機乗っ取り事件が起きまたは起きようとしているときには、単にその犯人を取り押えるとか、一般通念による防犯ないしは検挙ということ以外に、飛行機を飛ばせるか飛ばせないかとか、どういうふうにその安全を守るとか、航空機の運航そのものと関連した事柄がいろいろと起きてくる。それで、今度の福岡空港、また、韓国は日本と別の主権の国ではございますが、金浦空港等でいろいろ問題があったわけですね。そういう場合に、飛行機の発着等につきましても、所管の警察署長が、これはいま飛ばせたらぐあいが悪い、こう思って飛ばさないようにしてくれと言うときに、航空管制塔から出発してよろしいという形になって、飛行機が飛んでいったという場合の責任は、どこにあることになりますか。
#100
○手塚政府委員 今回の事例で申し上げますと、具体的には板付の空港へ燃料補給のためにおりて、そこから離発着のときにいま御質問の問題が起こったかと思うのであります。その際には、福岡の県警本部長というものが一応指揮をとるかっこうになりまして、日本航空並びに空港長はこれに協力をする、こういう体制をしいたわけでございます。その結果にもかかわらずといいますか、県警本部長の意図にも反して飛行機自体は飛んだということでありますが、管制塔自体は、やはり指示に従って飛ばせないということを考え、現に飛ぶためのクリアランス、許可をもらおうとしたのを拒否いたしております。現実問題は、それにもかかわりませず、飛行機は機長の判断によりまして事実上飛び出した、こういうような姿になったわけでございます。
 ただ、先生おそらく御指摘と思いますのは、そういった今回の事態の組織体制というものが、もう一つ明確化していないというふうなことがお考えかとも思うわけです。私どもも、現に今回初めての場合でございますので、こういった地上にグランドしたような場合に、いまの指揮系統というものが非常に問題になるかと思うわけであります。航行中におきましては、これはまず機長の判断というものが第一に優先いたしますので、これに関してはあまりそういった問題はないかとも思いますが、地上の場合には、ほんとうにいまのような組織あるいは指揮命令が重要なので、こういったことにつきまして、どういう形態、形式あるいは法形式まで必要かどうか、これらを恒久的な一つの組織体制、責任体制という形において今後に備えて明確にしておきたいというふうに考えて、ただいませっかく関係官庁と打ち合わせ中でございます。
#101
○和田(春)委員 今回のよど号の場合には、ここにいらっしゃる山村政務次官等もたいへん骨を折られまして、大体において万事うまくいったものですから、よかった、よかったということになっているのですけれども、あの場合にうまくいかなかったとか、何か事故が起きておったという形になりますと、当然そのあとから問題になるわけでございまして、おっしゃるように、その体制というものがはっきりしていない。われわれ側から見ておっても、いささか政府の各関係官庁、航空会社を含めまして右往左往した、極言をすればそういう様子が明らかに見えたわけです。したがって、この種の問題については、やはり迅速に、しかも的確に対処するために、空港の治安警備、航空機乗っ取りの防止ということについては、従来の概念を越えて、新しい考え方をもっていかなくてはいけないと私どもは考えているわけです。
 そういう点で、これは全部が全部の飛行場ではございませんけれども、そういうものが起こりやすいような国際空港等については、その空港内における独自のそういう体制を確立する必要があると思われるのですが、いま鋭意検討中の中で、そういう構想も浮かび上がっているかどうか、お伺いしたいと思います。
#102
○手塚政府委員 具体的な内容で申し上げますと、先生のおっしゃる御趣旨は、たとえば航空公安官あるいは航空保安官といいますか、そういった者を空港に置いて、その事前の措置、あるいは事態が起こったときに、ただいまの福岡のような事態に備えた体制というものを考えたらどうかということがあるわけでございます。私どもは、そういう公安官制度というようなものにつきましても実は検討をしておりますし、ただいままで、事件直後直ちに検討したわけでございます。この検討の結果、ただいままでのところにおきましては、この公安官制度というものにつきましては、やはり相当効果があるというふうには思いますけれども、しかし、やはりこれとても相当な限界がある。銃砲刀剣類の航空機への持ち込みの防止のために、いわゆる強制的に所持品の点検を実施するというようなことができれば、この公安官制度というものも非常に効果があるかと思いますけれども、現実には、そういうところまではなかなか実際問題としては進み得ないだろうということで、関係各省においてもそういう点は意見が一致しておりまして、そういう意味から、航空公安官制度というものは、必ずしも適切ではないのではなかろうかというふうに、いまのところいわれておるわけです。
 しかしながら、こういう制度につきましては、いろいろ先ほども申し上げましたように、世界各国においてやはりこういう問題で悩んでおるところ、あるいは実績を多数持っておるところがあるわけでございまして、いま日本航空からそういった調査団を派遣をいたしておりまして、部内における対策委員会等において、今後そういった資料あるいは実績等集めまして、さらに引き続いてこういった問題を検討して進めていきたい、かように考えております。
#103
○和田(春)委員 航空公安官の問題に一足飛びに飛んだのですけれども、もう少し大きな体制の問題で実は意見を述べてお伺いしたつもりなんです。たとえば、東京の羽田の国際空港というものを考えてみる、あるいは新しく新東京国際空港ができると、非常に大きな一つの、一般社会とは違った性質を含んだ地域社会がそこにできるわけです。これを一個のコミュニティーと考えた場合に、たとえば空港長は町にたとえれば市長である。そして空港警察なら空港警察というのは独立いたしまして、そういう犯罪防止その他について特別に訓練を受けているというか、専門的に従事される者がそこにおるというような形まで考える必要があるのかないのか。いまのところは、その空港の所在する地域を所轄している警察署が所管をいたしまして、警官が派遣をされているという形で、たいへん手薄だと思うのです。やはりそういう点まで含めて考えていかないと、非常に大ぜいの人が出入りをする、そして大きな特別な条件を備えた社会を形成しているという場合に、治安とか犯罪の防止というのはなかなかうまくいかない。航空機乗っ取りだけでなくて、ほかの問題だって起こり得る可能性もあり得ると思う。そういう点をぜひ検討していただきたいということを含めていま申し上げたわけです。
#104
○手塚政府委員 ちょっと問題が飛躍したようなお答えを申し上げたわけですが、おっしゃいます御趣旨は、まことにもっともな御趣旨だと考えるわけでございます。それを具体化しますのにどういう方法がいいか。これは結論的に申し上げて、端的なお答えになりますが、やはり先ほど申し上げたように検討していきたいというふうに思っております。
 具体的な現状で申し上げますと、羽田あるいは伊丹、こういった国際空港には、御承知かとも思いますが、空港警察署というものが現在すでに置かれております。それから、警察御当局といままでいろいろ打ち合わせました結果によりますと、三十数カ所について、そういった警察署というか、あるいは出張所といいますか、そういった空港に常駐するような形のものをつくっていき、いまつくりつつある。かような御連絡を受けておるわけでございます。そういうような体制で当面進んでまいりますが、さらに、こういった警察署あるいは出張所等の職員が従来の警察職員以上の何らかの権限を持って特別な措置を可能にし得るかどうかというようなものも含め、そしてまた、いまのような体制のみでよろしいかどうかというようなこと、これに先ほどの公安官制度なども含めまして、広範に検討いたしたい、かように考えております。
#105
○和田(春)委員 これは将来の検討課題として、十分政府においても効果的な方法を検討していただきたいと思うのですが、先ほど出ました航空公安官につきまして、多少所見を添えて政府当局の意見をただしたいと思うのです。
 いろいろ問題があるというふうにいわれておるということでございますが、そういう制度がないといたしますと、航空機乗っ取りの防止というふうなことについて、必要がある場合には一々警察官が表面に出てこなくてはならないと思う。出発前に十分な手を打ったけれども、どうもだいじょうぶだとは思うが、乗客の中にあるいはひょっとするとまぎれ込んでいるかもわからない。そうすると、そのことのために飛行機を全然飛ばさないというわけにいかない。乗客を全部おろすというわけにいかない。まず九九%だいじょうぶだけれども、念のために飛行機に警備する者をだれか乗り込まして、そういうことが起こらないように対処しなくてはならぬという場合もあると思う。これは飛行機の中で、高空を飛んでおるときに事が起きたときに、ピストルを撃ったりいろいろなことをやりますと、航空機自体も危険になりますから、よほど組織的にやられれば、これは対抗する手段はないと思いますが、少数の場合には、たとえば航空機の通路の前とうしろにがっちり立って見張っておれば、なかなか簡単に行動しにくいという構造でもあるわけです。
    〔村山委員長代理退席、委員長着席〕
そういうときに、こんな警察官を乗り込ませるという形になると、警察官がずっと乗っていくという形になる。当然飛行機が飛んでいるわけですから、所管の問題等も起きてくる。そういたしますと、一般の犯罪ではなくて、航空機の乗っ取り防止であるとか、あるいは航空機内におけるそういう犯罪というものを防いでいくというために、すべて警察にわずらわせるのがいいかどうか。やはり航空公安官というような制度がありますと、そういう限定された任務につきまして、もう少し幅の広い仕事もできるのではなかろうか、こういう考え方も成り立つわけであります。
 列車と航空機は比べものになりませんが、戦後どんどん特急、急行列車が出てくる、長距離の夜行列車等で犯罪が起きるということで、鉄道公安官制度ができまして、やはりこれがある程度犯罪の未然の防止に役立ってきたという事実は、何人も否定できないわけでございまして、もろと専門的、高度に必要な航空機でございますから、ただ公安官というものは問題があるということではなくて、前向きにそういう問題も検討していただきたい、こう考えているわけでございますが、その点いかがですか。
#106
○山村政府委員 先生のおっしゃられる趣旨、よくわかるわけでございます。韓国におきまして、行ったついでと言ってはなんですが、金浦空港におりましたときに、いろいろ聞いてみましたところが、やはり韓国においては私服で、そして柔道有段者とか、そういうような人間を航空会社が雇って乗せてある。そして韓国においては、一応操縦席と乗客席というものを完全に分離してある。しかし、日本の場合は韓国と事情がいろいろ違いますが、韓国の場合は分離したことによってハイジャックそのものが防げる。なぜかというと、この前のときにハイジャックされた搭乗員というのがまだ帰ってきていないということで、乗客が少しぐらい生命の危機にさらされたからといって、搭乗員そのものは、犯人たちの言う目的地へ行った場合には、これは永久に帰ってこれない。そうすれば、少し危険かもしれないけれども、自分の思う飛行場におりてしまうというようなことで防止し、そしてまた一面、ただいま先生おっしゃいました保安官と申しますか、公安官と申しますか、そのような者を私服でひそかに乗り込ませてあるということを言っております。
 これは、船、汽車、これらとは飛行機の場合ですから一応いろいろ違うものがございますが、しかし、先生がおっしゃる趣旨はよくわかりますので、この点については今後も検討してまいりたい、こういうぐあいに考えます。
#107
○和田(春)委員 それではそういう点、積極的な検討をお願いすると同時に、国際的に大きな問題になっておりまして、国連の決議に政府も賛成しているわけでございますから、今年末に予定されている国際民間航空機構、ICAOにおけるハイジャック防止の条約の作成、もちろん外務省等とも関係いたしますが、所管庁として、運輸省当局は積極的な努力をいたしまして、不幸な事故の未然の防止について、熱意をもって当たられるように希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#108
○福井委員長 次に田代文久君。
#109
○田代委員 簡単に二、三質問いたします。
 この事件の事後報告書、これはできておるのか、またいつごろできるのか、まずお尋ねしたいと思います。
#110
○手塚政府委員 内容的に相当長文なものになるようでございますので、いま私どもの手元には、一応ドラフトというようなかっこうで概要の報告的なものが出ておりますが正式なものはなお若干日にちを要するようであります。
#111
○田代委員 次に、四月二日付で日本航空の機長会の古谷野会長から運輸大臣あてに要望書が出ておるはずですね。これは当局としては受け取っておられると思うのでございますが、その内容、またその要望書に対してどのような回答をなさっておるか、お尋ねしたいと思います。
#112
○手塚政府委員 機長会から運輸大臣に出されております要望書、「「よど号」不法奪取事件に関する要望書」というのが出ております。これは、「運航の安全、人間尊重の立場から、乗客及び乗員の生命の安全を保障するため、早期解決を図る事を目的として、次の事を要望する。」こういうことで、一は、「機長の権限については、法的に裏付けられている如く、機長に可能な限り必要な情報を与えるよう努力し、機長の判断・意志に協力すべきである。」ということが一つ。それから第二は、「早急に完全な飛行前点検を行うと同時に、安全運航に必要な全ての処置をとるべきである。」こういうことが一つ。第三に、「安全運航の見地から、乗員の疲労度を勘案し、出発に際しては、乗員交代を行うべきである。」以上三点の要望がなされております。
 これに対しましては、第一の「機長の判断・意志に協力」する、これはハイジャッカーが機内に入りました際に、どういった対策、措置をとったらいいだろうかということで、先ほど来いろいろ御説明申し上げておるようなことで、いろんな方法、対策があるかと思います。そういうものについて、いまきわめて具体的なことを種々委員会を通して検討をしておるということでございます。
 それから「早急に完全な飛行前点検」ということ、それから「安全運航に必要な全ての処置」ということ、これは言うなれば、先ほど来申しております、飛行機がハイジャッカーに乗っ取られることを防止する一番大事な、いわゆる水ぎわ作戦といいますか、飛行機にそういった者が乗る、積み込まれる以前の点検等を厳重にやるということに尽きるかと思うので、そういう面につきましても、先ほど申し上げましたように、できるものについてはすでに実施中でありますし、今後の問題等についても、諸外国の例をも勘案しながら、さらに有効なものを検討していきたいということで、いまやっておる次第であります。
 それから第三の問題につきましては、これはおそらく当時報道されましたように、金浦におきまして、それまでの行動から非常に乗員が疲労しておる、そういったような見地で、乗員交代というのを出発に際して行なうべきだというような趣旨であろうかと考えておるわけであります。これは当時といたしましても、具体的な措置としてそういうことをいろいろ計画したわけですし、またそういうことをやるべきだと考えておるわけですが、現実の問題がそういうふうに解決されるかどうか、解決されるならば、こういった趣旨には極力沿うべきである、かように考えております。
#113
○山村政府委員 特にいま田代先生に御説明申し上げますが、これを出したのは四月二日でございます。そしてこの第三番目の「安全運航の見地から、乗員の疲労度を勘案し、出発に際しては、乗員交代を行うべきである。」特にこれが出ましたのは、実はいろいろ日本の学者さんそのほかが、疲労度について、あれ以上人間はもたないのだというようなことを少し声を大にしていろんな意見を発表されましたので、四月二日ということでこれが出てきたと思います。実はこれは十分考えました。そして私ども当時の対策本部といたしましても、私が乗り込みまして、乗客が全部おりた段階におきましても、最後のこれで飛行機が出るぎりぎりだというところまで、実はこの乗員の交代ということを強く犯人側と交渉したわけですが、犯人のほうとしては、ここで乗員だといってほかのいわゆる警官が来るのではないか、または、先ほど申しました柔道の達人が来るというような心配もあったようでございます。そしてとうとう、最後には交代できずに行ったわけでございますが、それは今後も十分考えてやっていくつもりでございます。
#114
○田代委員 それでは、去る十二月一日に、日本航空はいわゆるハイジャッキング対策としてパイロットに指令を出しましたね。この指示というものは、当然運輸省が認めたところですけれども、これはそのまま生かしておくものと理解していいですか。
#115
○手塚政府委員 そのものは当然生かしていきたいし、また生かすべきだと考えております。
 ただ、先ほども応御答弁申し上げましたが、今回の法律の改正に伴って、何らかこれにつけ加えるべきものがあるかないか、あるいはまた、今回の事件に徴しましてさらにこれを強化するといいますか、これを改定すべきものがあるかないかということが検討なされなければならないわけでございまして、いままでのところ、何がしかそういう意味で、これを強化というか、整備というか、そういうことはしなければならないのじゃないかというようなことになっております。基本といたしまして、これはこのまま残すことは間違いございません。
#116
○田代委員 では最後に、乗っ取られた日航機が南朝鮮の金浦に着いたときに、あたかも朝鮮民主主義人民共和国であるようにさまざまな擬装工作が行なわれたということが写真入りで報道されましたが、これは事実だと思います。その具体的な事例の一つとして、現地の報道が一致して次のような事実を伝えております。南朝鮮で発行されておる東亜日報四月一日付で、このように書いております。「乗っ取り機が最初に地上と対話したのは、日航金浦支店の責任者山本氏である。かれは(三月三十一日)午後三時四十五分、平壌にきている日本某新聞社特派員をよそおって飛行機に接近、操縦席のとびらを開き、“ここは平壌だ、歓迎する”といって、ことばをかわした」こういうふうに新聞報道されております。それからまたその次に、三月三十一日の南朝鮮の文化放送は次のように報道しております。「日航金浦支店長の山本氏は、“私は平壌駐在の日本特派員である”と語って接近した。」このように放送をやっておるのですね。それからさらに同じ日に、合同通信も、「山本氏と日航支店の職員ゾン・ユ・ゴンという人物が、「ここは平壌だ。われわれは歓迎する」と語った」こういう報道をいろいろやっておるわけです。また、当時この金浦空港におった日本の有力新聞の記者もこのことを確認しておるということを私どもは知っておるわけです。
 そこで、山村次官にお尋ねいたしますが、次官は以上のことを知っておるはずでありますけれども、これを確認できるかどうかということをまずお尋ねいたします。
#117
○山村政府委員 これは先生にお伺いしたのが初めてでございます。あとで調べてみますけれども、そういうようなことは私は聞いたことはございません。初めてでございます。
#118
○田代委員 これはいま申し上げましたように、次官は実際にそっちに行っておられたのですけれども、あるいは次官の目の前で確認できなかったかもしれませんけれども、少なくとも南朝鮮の有力新聞やら文化放送というものは非常に大きく報道しておるし、その新聞はちゃんと私ども見ておりますから、知っております。また日本の有力新聞もそういうことを、どの新聞だということは申し上げませんけれども、私たちに知らしてくれました。そこで、私は、これは知っておられると思って、いまお尋ねしたわけですが、初めて聞いたというお話でございますが、もしこういう報道あるいは放送というのが事実でないということになりますならば、南朝鮮のもろもろの有力新聞とかあるいは南朝鮮の文化放送というのは虚偽報道をやっておる、また虚偽放送をしたということになるわけですね。そうなりますと、これは非常に事は重大になってくるわけですね。ですから、この際、私は政府、特に山村次官が直接深く関係されましたので、また現在大臣の補佐官としても重要な任務についておられますので、南朝鮮の日本大使館などを通じて、あるいはその他の方法もありましょう、そういうことを通じて、正確に調査して報告していただきたいということなんです。どうですか。
#119
○山村政府委員 ちょっと先生、そこでおかしいのは、私が実は犯人たちと交渉しておりましたときに、犯人たちが最後に要求してきたのは新聞記者に会わせろということです。それと新聞を差し入れろということです。それははっきり申しますれば、新聞記者に会っていないということです。反証ですけれども、そういうことになります。それですから、何回もそういうぐあいなことをやったということ自体おかしいと同時に、新聞記者は一切飛行機に近づかせておりません。しかし、私は一応調査してみます。
#120
○田代委員 実際いまおっしゃるように新聞記者は接近していない。これはあなたが確認されたわけですね。しかし、それは記者として接近したか何かという問題もあります。私はそういう点は事実見ていませんけれども、しかし、少なくとも南朝鮮の有力報道機関が放送あるいは新聞によってそういうことをやったということになれば、事実無根なことをそういうことをやったとすれば、南朝鮮ではそういうことをなぜやるのかという問題もあります。新聞でも報道するし、あるいは放送もやった。これは、朝鮮のいま私が申しました新聞をごらんになれば、ちゃんと朝鮮語で書いてありますから、はっきりする。事実があるわけです。そこで、私どもとしては非常に大事な問題じゃないかと思いますので、政府は責任ある機関を通じてはっきり調査の上、ひとつ確かな結論、報告をお願いしたいということなんですが、どうですか。
#121
○山村政府委員 どういうような報告とかなんとかいうのは、大臣もおりませんことですから、私がここでお約束はできません。そこで、一応調べるだけは調べるのは私どもの自由ですから、調べさしていただきます。しかし、それをどういうぐあいなことでどういうぐわいに処するかということは、大臣と相談してからということにさしていただきたいと思います。
#122
○田代委員 それでけっこうです。とにかくそういう点でお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
#123
○福井委員長 ほかに質疑はありませんか。――なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします
    午後零時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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