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1970/03/25 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第8号
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1970/03/25 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第8号

#1
第063回国会 農林水産委員会 第8号
昭和四十五年三月二十五日(水曜日)
   午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 草野一郎平君
   理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君
  理事 丹羽 兵助君 理事 三ツ林弥太郎君
   理事 芳賀  貢君 理事 山田 太郎君
   理事 小平  忠君
      亀岡 高夫君    熊谷 義雄君
      瀬戸山三男君    田澤 吉郎君
      高見 三郎君    中尾 栄一君
      福永 一臣君    森下 元晴君
      渡辺  肇君    角屋堅次郎君
      田中 恒利君    千葉 七郎君
      長谷部七郎君    松沢 俊昭君
      瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君
      合沢  栄君    小宮 武喜君
      津川 武一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
 出席政府委員
        農林政務次官  渡辺美智雄君
        農林大臣官房長 亀長 友義君
        農林省農林経済
        局長      小暮 光美君
        農林省農政局長 池田 俊也君
        農林省農地局長 中野 和仁君
        農林省蚕糸園芸
        局長      荒勝  巖君
        林野庁長官   松本 守雄君
 委員外の出席者
        食糧庁業務部長 中村健次郎君
        農林水産委員会
        調査室長   松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 林業種苗法案(内閣提出第一〇一号)(予)
同日
 未組織山林労務者の労働条件改善等に関する請
 願(塚原俊郎君紹介)(第一七四九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
 九号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三〇号)
     ――――◇―――――
#2
○草野委員長 これより会議を開きます。
 農地法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬野栄次郎君。
#3
○瀬野委員 農業協同組合法の一部を改正する法律案並びにこれに関連して、昨日に引き続き関係当局に質問をいたします。
 倉石農林大臣は、昨二十四日の閣議に、四十四年度の農業の動向に関する年次報告と、四十五年度において講じようとする農業施策、いわゆる農業白書というものを報告、閣議の了承を得たと報じておられますが、この農業白書に関連して若干の質問を申し上げてみたいと思います。
 農業が自立していくためには、この白書によりますと、米の生産過剰を緊急に調整し、多様化する食生活に適応した農業生産をはかる必要がある。一方、零細規模が多い農業構造を改善し近代化するために、農地の流動性を高め自立農家の規模の拡大をはかるとともに、零細農家が転職しやすい条件を国が整えていくことが必要である。このように述べられておりますが、さらにここで、他産業並みの所得を得ている自立農家が、農家全体の一三%から一〇%に減り、粗生産額のシェアで三五%から三〇%に落ちたことは問題である、というようなことが見られるわけでありますけれども、倉石農林大臣は、当初の施政方針演説の中で、自立農家のことを常に申されておりますが、今回の白書を見まして、政府は、常に申されております自立農家の育成ということからずいぶん後退している結果が出ている、こういうふうに思うのですが、その辺の見解をまず承ってみたいと思います。
#4
○渡辺政府委員 自立経営農家のパーセントが落ちたことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、こういうことではいけないのであります。自立農家の数が減ったということは、一つには、米の値段というものが据え置きというような点も関係があろうかと思いますけれども、やはりこれからは、価格政策というものだけでなくて、昨日から申しておるように、構造政策によって、農業規模の拡大によって、自立農家というものをどんどん養成をしていきたい、そういうような手続をはかろうと思っております。
#5
○瀬野委員 それでは、もう一点、昨日、池田参考人に対して私からも質疑をいたしましてお答えをいただいた問題でありますが、土地価格の問題について、現在の農家は、今回の法案が成立しますれば、おそらく土地を売るということになる農家もあるわけでありますが、その中で三万五千円の生産調整費を上乗せしてくれ、こういったことを各地でよく聞くわけであります。こういったことから考えまして、相当土地が上がってくる、こういうように思うわけです。また、池田参考人もいろいろ申されておりましたが、昭和四十年に土地の値上がりは、十アール当たり、全国すべて合わせまして、平均が十九万八千円だったのが、四十三年には平均が六十一万三千円にも上がっておる、こういうデータが出ておるわけであります。すなわち、土地価格はますます上がってまいりますし、ましてや今回の生産調整等によって、そういった上積みをしてくれということがあちこちで聞かされるということが心配で、昨日も参考人にお伺いをしたわけでありますが、高い土地で仕事をするということが今後起きてくるわけでございまして、なかなか農家経営もたいへんで、自立農家も、また今後の農業経営も、たいへんな問題があるわけでございます。
 そこで、こういったことを踏まえまして、土地政策ということがたいへん大事になってまいりますが、これも農業白書に関連してお伺いをしてみたい、こう思っております。よろしくお願いします。
#6
○渡辺政府委員 土地の値上がりということは、一つには、土地需要が非常にふえておる、しかも、その土地を利用しても採算が合うとか、あるいは住むことができるというように、企業または個人で土地需要がふえておるということが、土地値上がりの一番の原因だと思います。その反面やはり土地の供給というような面におきまして、いままでは税金が非常に高い、売っても半分ぐらい取られてしまうというようなことがあったり、農地法の規制が非常に厳格で、土地を売ろうとしても、壊廃をしようとしても、なかなか壊廃ができない。しかも都市近郊等においては、むしろ壊廃をして住宅地にしたほうがいいと思われる部分であっても、それができないというような事態があったわけであります。したがって、やはり土地税制、こういうようなもので税率というものをことしと来年に限っては特別の取り扱いをして、何百万の土地を売っても、それは一律に一〇%、しかもこれは所得の合算をしない、分離課税にするというようなことで、土地所有者が土地を手放しやすくしたわけであります。その反面、いま御審議をいただいておる農地法並びに壊廃の基準緩和、こういうようなものとあわせて、土地がそういうふうな需要のあるところでは、しかも純良な農地を阻害しない範囲において土地を手放しやすくする、供給しやすくする、こういうようなことで、土地の値上がりということについても貢献をしていきたい、かように考えておる次第であります。
#7
○瀬野委員 一応御見解を承りまして、また後刻農林大臣にも伺うことにいたします。
 次に、白書によりますと、農業就業人口でありますが、これは続いて減少しておって、四十三年度には九百四万人となって、総就業人口の一八%である。新規学卒の就農者は、四十四年三月、四万八千人と、三十九年以降初めて六万人台を割り、農業労働力の老齢化傾向が進んでおる、こういうふうにいわれております。
 これを見まして、われわれは、いずれ近いうちに六万人を割るであろう、こういうように実は心配をしておったわけでございますが、御承知のように労働人口というものは二十年を一つの単位に検討されておるようですが、昭和三十年にかりに働き盛りの二十五歳であった者が、昭和五十年になりますと四十五歳ということになります。実は毎年二十万人という人が就業人口としているわけでありますけれども、結局、現在働き盛りの人が、今後一生懸命働いていっても、二十年後には四十五歳にもなる。四十五歳のときに、せっかく農業に従事しておって、やれやれと思ったときには後継者がいない。四十年たつと六十五歳になっている。あと取りがいない。こういうようなことで、おそらく今後二十年たちました昭和六十五年、七十年になりますときには、農業人口は、いまのぺースでいきますと、四百万から四百二十万くらい減少して、そして老齢化してくる、こういうことを私は思うわけであります。今回の白書にも書いてありますように、現在六万人を割ったということでございますれば、かなりの速度で農業の就業人口が減っていく、こういったことがうなずけるわけだと、けさほど私もこれを見まして感じたわけであります。
 一例を申しますと、八郎潟の干拓地においても、御存じのように第四次で入植を打ち切りまして、農業後継者の育成のモデル研修所等もつくってあったわけでありますが、残念なことに打ち切られたということで、後継者育成にも大きなショックを与えております。また、白書の中にもいろいろうたってありますが、構造政策関連予算としては、政府は三億七千万円の農業後継者の研修施設費等を新規に計上されておりますけれども、一体どんな日本の農業への希望、またはそれに応じた技術を教え、後継者を育成していかれるのか、今回の白書の中にもありますように、農業人口が老齢化していく、しかもまた減少していく。おそらくあと二十年、三十年たつうちには百八十万くらいになるのではないか、こういうふうにも思われるわけでありますが、こういった点について御見解を承りたいと思います。
#8
○渡辺政府委員 一つには農業就業人口がどんどん減っていくのではないかという御質問でありますが、農業の就業人口が減ることが悪いとは一がいに申せないと思うのであります。御承知のとおり、先進諸国の歴史を見ましても、三〇%が二〇%、二〇%が一〇%というようなことにだんだん減っておりまして、ヨーロッパの諸国でも、たとえばイギリスあたりが四%、ドイツあたりが大体一〇%、デンマーク、オランダ、あの付近が八%前後というようなことになっております。これも二十年、三十年前はその倍以上の比率を持っておったわけであります。しかしながら、農業が大型化をされ機械化されるということになってまいりますと、何も人手だけがたくさんあったから生産力が上がるというわけではございません。その辺の土木工事を見ても、昔は黒山の人だかりでもっこをかついだのですが、いまではブルドーザー一台で二、三人で相当大がかりな仕事をやっておる。これと同じでありますから、これは、就業人口が減っても、いろいろ機械化によって同じ以上の生産力が上がるということならば、むしろ減ることのほうが望ましいのではないか、かように考えるわけであります。しかし、そうかといって、現実にそういうような機械化、近代化ができない過程で就業人口が減って農地が荒れるということでは、これは困ることであります。したがって、やはり就業人口が減るのにはそれの手当てというものを十分していかなければなりませんから、政府としては基盤整備事業あるいは機械化事業、いろいろなそういうことを取り入れて、要するに合理的な効率のあがる経営をやらせよう、こういうことをやっておるわけであります。
 後継者育成の問題につきましても、いま後継者育成について、どんな考えで後継者の研修施設で教育をしているのかというようなことでございますが、これは主として経営者として合理的な経営ができる経営管理能力を備えさせるということが大切であります。もちろん、作目ごとの技術の習得ということは、基礎でありますからそういうことをやるのはあたりまえでありますが、それと同時に、農業を一つの経営体として、それをいろいろな面から検討できるような経営者としての管理能力、こういうものを特につけさせようというのがこの研修施設のおもなねらいでございます。
#9
○瀬野委員 もう一点。政府は昨日、生産調整の中で百万トンの減産は目標を達成するやに申され、残り五十万トンの農地転用がうまくいかないということで、この農地転用の効果があがらないことを閣僚会議に早急にはかりたい、こういうふうに言われたと聞いております。その原因は、農業委員会の手続等にかなり手間どる、こういった事務的なものもあるし、また、田植えが始まるので、その前に早くやる、急ぐということもあるわけでございまして、以上の点から十一万八千ヘクタールのいわゆる農地転用の問題が怪しくなってきた。早急に具体策を講ぜねばならぬ、こういうふうなことを言われて、緊急に閣僚会議にはかるというお考えのようでございます。申すまでもなく、国会開会以来大臣も、この問題については農家がいま一生懸命努力しているのだ、そのときに、見通しがあるとかないとか言えないし、農業団体あるいは県あるいは農家の方に期待をしている、いませっかく努力しているというような趣旨の答弁がたびたびなされてまいったわけでありますが、昨日もこのことに触れたにもかかわらず、そういったことがなされまして、いよいよ緊迫した状態になってきております。私もそういったことを心配しておりますので、これらがうまくいかなければ、おそらく食管の問題とも関連してくるし、百五十万トンの減産目標というのがあぶなくなってくる。そうすると、農家にまたたいへんなしわ寄せがくる、こういったことで、昨日池田参考人にもお伺いしてみたわけでございますが、こういったことからいよいよ大詰めに来た感がするわけです。きょうの時点で――大臣もおられませんけれども、次官のほうからこのことについて重大な決意をする段階でないか。また、この方策についていよいよ真剣に取り組む段階ではないか。また、何らかの緊急な手を打つべきときがいよいよ来た、こういうように思うわけでございますが、その見解を承りたいと思います。
#10
○渡辺政府委員 生産の調整問題についてたいへん御心配をいただき、また御協力をいただきましてありがとうございます。
 要するに、百万トンの、補助金を出して転作または休耕させる、このほうは正確な数字はまだわかっておらないわけでありますが、場所によりましては一応の目標を突破する、あるいは倍近くも希望があるというようなところもあるようでございます。東京を中心にして大体北のほう、要するに米作地帯と申しますか、主産地と申しますか、そういうようなところは非常に順調なようであります。西のほうに参りますと、場所によってはまだ消化が完全でないというところも多少見受けられるようであります。しかし、これは何とか、皆さんの御心配あるいは関係団体の御協力、こういうものと相まって目標数量は必ず突破をするであろう、こう見ておるわけであります。
 五十万トン分の問題できのう党の幹部会で話が出たというようなことに関連をしたお話だと思いますが、これは十一万ヘクタールの壊廃ができなくなったというようなことよりも、末端の現実の農家の段階等において、通達の基準緩和というようなことがよく理解をされていない、徹底していない、こういうふうなことで、もっと理解を徹底させろということであろうと私は思っておるわけでありますが、これにつきましては、農林省といたしましても、県の担当の部長会議等を開き、いろいろなパンフレット、PRの資料等もこしらえてやっておるわけでございますが、期間が短いというようなことで、確かに末端に徹底をしておるかという点になりますと、もっと努力をする必要があると思うのであります。したがいまして、一そう農地の転用の基準緩和というようなことで、今回は、いままで壊廃ができなかったようなところでも、それが純良農地を傷つけないというようなところの場合は、住宅地や工場用地として転用できるのですよということをPRしていくつもりで、目下事務当局においていろいろ作業をやっておる最中でございます。
#11
○瀬野委員 このことは重大なことでございまして、いま次官から末端に理解をさせる、基準緩和の問題もあるし、さらに、期間が短いというようなことがございましたが、すでに九州、四国とか、また千葉方面でも早場米の田植えの準備も始まって、もうすでに十数日前から苗しろも始まっておりますし、いよいよ田植えの時期にかかってくる、農家も忙しくなるということで、たいへんな時期になっております。ネコの目農政というようなことをよくいわれますが、ここにも政府の場当たり農政の結果が歴然と出ている。もしこれが達成できないとしても、農業団体、県あるいは農家の責任でなくて、これはまさに政府の責任であると私は思うわけです。その点について、農家の責任でなくて政府の重大な責任であると感じておられるか、その点の考えを承りたいと思います。
#12
○渡辺政府委員 私どもは、米の過剰というような問題に端を発して、これ以上過剰生産を続けていくことになりますと、それこそほんとうに重大な問題になるものですから、食管制度を守っていくためにどこまでもこの生産調整はやっていかなければならぬ。これにつきましては、政府ひとりでできるものではございません。みんなの御協力を得て、みんなでひとつこれをやっていこうということでやっておるわけであります。もちろん政府に責任のあることも、それはそのとおりだと思います。
#13
○瀬野委員 よくわかりました。きのうの委員会の質問のあとからけさにかけて、農業白書及び政府の五十万トン減産に対するいろいろなことをお伺いしましたのでお尋ねしてみたわけです。
 次に、私はいろいろな問題について若干お尋ねをしてまいりたいと思います。
 農林省は、予算編成方針の中で、今日における農政の課題というものは、まず恒常的な米の過剰状態に対処して米の需給の均衡をはかることにあるが、これに関連して、従来以上に農林漁業がその体質を改善し、経営規模が大きく、生産性の高い近代的農業をやるべく、数多くの育成をして、すなわち構造改善をしていくというようなことを言っておられますけれども、その中で、米対策として、一つは米の生産調整、二つには米の生産改善ということを重点にしておられるのであります。そこで、米の生産改善という第二番目の重点目標に対して、農林省の見解を若干ただしてみたいと思うのであります。
 まず最初に、順序といたしまして良質の米ということを言っておられますが、良質の米というものはどんなものか。すなわち、われわれが常に言っておりますうまい米づくりということについて、前国会等でも論議されたこととも思いますが、あらためて基本的な考え方を承りたいと思います。
#14
○渡辺政府委員 良質の米とはどういうものか、これはなかなかむずかしい御質問なんですが、一応、農林省としては、良質の米とは、実りが充実して良好で、整粒歩合が高く、光沢、粒ぞろい等がよくて、被害粒等の混入が少ないもので、容積重は重く、水分は適度に保持され、食味が良好で、精米歩合が高いものが良質な米だ、こういうむずかしい話になってしまうわけでありますが、一口に言えば、粒がそろっていて、光沢がよくて、味がうまくて、適当に水分も含まれておるというふうにお考えをいただけば、それ以上むずかしく考えなくてもよろしいのではなかろうかと思います。
#15
○瀬野委員 その良質の米、すなわちうまい米をつくるためにはどういう指導をすれば良質な米ができるかという問題についてお伺いしたいと思います。
#16
○渡辺政府委員 良質の米をつくるには、何としても地域の風土、土壌の問題、気象の問題等があろうかと思います。米をつくるに適当な地域ということも大切であります。
 その次は、やはり品種の問題も、これは血統書ですから大切でありまして、血統のいい品種のものを奨励をするということであります。
 次は、田植えをしてからの肥料のかけ方、手入れのしかた、つまり、一口に言えば肥培管理。この肥培管理が適当であることが必要ですから、これがどれが適当かということはいいろいろな技術者がこまかい研究をしておって、本も出ており、講習会もやっておりますが、つまりそういうような肥培管理を非常によくするというようなことで、あとは、刈り取りその他でも、雨なんかに当たったんではぐあいが悪いので、刈り取ってからぬらさぬようにするとか、いろいろの手入れのしかたがあるわけです。ことに乾燥等につきましては、最近火力乾燥というようなものがあるのでありますが、これもやり方を間違うと、せっかくうまい米をまずくしてしまうということでありますから、やはり周密な乾燥調製ということを行なうことが必要だ、こう思うのであります。それによって、いろいろな条件がたくさん重なりますが、良質な米がつくられる、かように存じます。
#17
○瀬野委員 良質の米の問題について答えがございましたが、いま次官もおっしゃったように、なるほどうまい米づくりということは、何といっても、いろいろ条件のある中でも、品種というのが最大の要因であろうと思うわけです。また、土地といいますか、産地が問題になりましょうし、気候と栽培方法、それに絶対大事なのが最後の仕上げの段階の乾燥、貯蔵という問題ですね。これが備わって、そのほか精米技術とかいろいろなことがございますが、こういったものが大きな問題になる。その中でも品種という問題が大きな問題になるということは、これは言うまでもありません。皆さん方よく御承知のことであります。
 そこで、農林省は、米の生産改善について、需要の動向に即しまして、良質の米が高い生産性をもって生産されるよう、米の主産地域を中心として生産性の高い稲作経営の確立を期するということで、米生産総合改善パイロット事業を実施しておられます。そして生産性向上施設としてトラクターセット、コンバイン及び品種改善流通合理化施設、すなわち大規模乾燥調製貯蔵施設というものを設置されておりますが、これに今回も八億六千九百五十七万四千円の予算を計上し、このカントリーエレベーターについて推進をはかっておられますが、私はこのカントリーエレベーターにつき、その設置状況を承りたい。昭和三十八年から始まっておるようでありますが、何年度何カ所ということでバラもみ乾燥貯蔵施設の設置状況についてまず承りたいと思います。
#18
○池田政府委員 いまお話のございました米の生産改善のパイロット事業でございますが、これは四十四年度から開始をいたしまして、四十四年度においても八カ所設置をいたしておるわけでございます。なお、このパイロット事業を始めます前に、昭和三十九年から四十三年まで五年間でございますが、流通合理化モデルプラントというものの設置の助成をいたしておりまして、あれもやはりカントリーエレベーターでございます。これが二十四カ所ございますので、両方合わせますと三十二カ所ほどの助成をいたしたわけでございます。
#19
○瀬野委員 その三十二カ所を助成したいままでの助成額は概算どのくらいになりますか。
#20
○池田政府委員 手元にちょっと数字がございませんので、後ほど調べまして御報告申し上げます。
#21
○瀬野委員 それでは、あとでその助成額はお知らせいただきたい。質問の途中でお調べできればお願いしたいと思うのです。
 それでは次に、カントリーエレベーター等バラもみ乾燥調製貯蔵施設で現在継続中のものがあるわけでございますが、何カ所でどこでございますか、お尋ねをいたします。
#22
○池田政府委員 継続中という御質問でございますが、四十四年に設置をいたしましたものは八カ所でございます。これは、実は初年度は、その事業量といたしましては五分の一程度でございますので、今後四十五年度にさらにまた八カ所を設置いたす予定でございますが、その二つを合わせますと十六地域に相なるわけでございます。これが完成いたしますのは四十九年度、こういうことになるわけでございます。
#23
○瀬野委員 四十五年度の計画の設置場所はもうすでにわかっておるわけでございますか。
#24
○池田政府委員 四十四年度の設置場所はもちろん決定をいたしておるわけでございまして、米の主産地に設置をいたしておるわけでございます。青森、岩手、山形、栃木、長野、富山、石川、福岡というような県でございます。
#25
○瀬野委員 この大型乾燥貯蔵施設の設置でありますが、御承知のように、米生産総合改善パイロット事業は、標準がたしか五千ヘクタールで、三千ヘクタール以上の作付面積を有する米生産地域をパイロット地域に指定し、五カ年の年次計画で大規模乾燥調製貯蔵施設を集中的に地域内に設置するやに承知しておりますが、今後昭和四十六年以降、この設置の計画はどのようになっておるか。たしか、聞くところによると、四十九年ぐらいまで計画をお考えのようであるが、そのこと等について御見解を承りたいと思います。
#26
○池田政府委員 私どもといたしましては、実は来年度設置を予定しております地区についてだけ計画としては確定をいたしておるわけで、その後のことはまだ必ずしも何カ所設置をするかということは確定をしておらないわけでございます。
#27
○瀬野委員 農政局長は、今後のことは確定してないとおっしゃいますが、私も国会に初登院してまいりまして間もなく資料をいただきまして、その資料の一部に、四十九年まで毎年八カ所ずつを設置するやになっておるわけでございますが、それはそれとしまして、今後農林省もかなり力を入れて、この大規模乾燥調製貯蔵施設を農協等において設置をさせるという方向であることは間違いないと思うのであります。
 そこで、大規模乾燥調製貯蔵施設というものは、生産性を向上し、品質改善流通合理化施設として、農林省は、従来目玉予算ということをよく職員の方もおっしゃっておられますが、そういうふうに自負しておられた施設であります。ところが最近、この貯蔵施設に大きな事故が続出しまして、ばく大な損害が起きておりまして、たいへん私も心配をいたしております。
 言うまでもなく、農業の大規模化によりまして、農業近代化あるいは構造改善、省力という点から見まして、このカントリーエレベーターの設置は、将来当然必要であるし、また当然のことであろうということもよく知っております。決してこれを否定し、いけないと言うものでもございませんけれども、あまりにも事故が大きいし、問題があるし、それらについていろいろ手が打たれていないということから、たいへん心配をし、私はここにこの問題を、今後大きく発展する農業協同組合、または今回の法改正でいろいろ農協も責任が重くなってくる関係もございまして、あえてこれを取り上げていまから申し上げるわけでございます。
 申すまでもなく、このカントリーエレベーターは、一カ所が一億数千万、大きいところでは二億数千万という、農家としても大きな施設でございます。その工事の施行面、機械の操作技術及び指導等、高い知識と経験などが要求されるわけでありまして、先ほど計画が発表されましたように、将来全国各地に数多くこれが条件に合えば設置をされるという方針であるだけに、反面、技術指導あるいは施行面、あるいは指導がうまくいかない場合等には、危険性が多分にあるということで心配をされる問題でございます。
 以上の点を踏まえた上で順次お尋ねをしてまいりたいと思いますが、このカントリーエレベーターは、たしか三十五年から三十六年ころだと思います。私が県におる段階で、農林省のある課長さんがアメリカへ視察に行って、農業視察をされまして、このカントリーエレベーターのものがいいということで、日本にこれを持ってこられた。しかもその技術をそのまま持ってきたというところに問題もあるわけでございまして、アメリカのように、一年に雨があまり降らない、降ってもほんとうにわずかである、ほとんど稲作地帯もかん水地帯でございまして、かん水による稲作をしているというアメリカと、日本のように、気候、風土条件等が違うところでは、かなり隔たりがあるわけでございます。そういった中で、アメリカの機械をそのまま持ってきたといえば、あるいは語弊があるかもしれませんけれども、ほとんどそのままその技術を日本に導入したというところに問題があるということを、最近あちこちの関係団体でも言っております。こういった点についてどのように農林省は見解をお持ちであるか。今後このカントリーエレベーターをだんだんふやしていくことになりますけれども、事故なんかが発生してまいります。技術面、施行面、指導面、高い知識と経験を必要とするという問題で、まず農林省のカントリーエレベーターに対する今後の御見解をお伺いしたいと思うのであります。
#28
○池田政府委員 今後私どもは、米の生産につきましては、先ほどもいろいろ御指摘ございましたが、機械化を極力進めていく、そうして主産地形成といいますか、そういうような形に極力持っていきたい、こういう気持ちがあるわけでございます。そのためには、やはり乾燥貯蔵施設としてのカントリーエレベーターというものを充実していくことは当然必要でございますので、そういう方針は今後も推進してまいりたいと考えるのでございますが、カントリーエレベーターにつきまして、確かに御指摘のように従来事故が間々見られるわけでございます。その原因は、いま、アメリカの技術をそのまま入れて、あまりわが国の事情に適しないのではないかという御指摘がございましたが、私どもの考え方といたしましては、確かに技術はアメリカの技術が基礎になっておるわけでございますが、三十九年にこれを導入いたす場合に、農業団体あるいは関係官庁、大学、研究所というようなところの権威者に集まっていただきまして、かなり慎重な検討をいたしまして、そうして日本の国情に合うような基準を決定をいたしまして、それに沿って機械をつくっておる、こういうことでございまして、まだ十分わが国の米の中に定着しておるというわけにはまいらないのでございますが、そのために非常に事故が多いということでは必ずしもなかろうというふうに考えておるわけでございます。しいて私ども考えますと、どうも生産体制とカントリーエレベーターとの接着というものがうまくできてない場合があるのではなかろうか。アメリカの場合は、もちろん機械化農業でカントリーエレベーターとの接続というのが非常にうまくいっておるわけでございますが、どうも日本の場合は、まだ大型機械を入れましての機械化が発展段階という面が多々ございますので、そこらについての指導がどうも十分徹底してない。カントリーエレベーターを設置いたしますと、当然それのいろんな能力の限界があるわけでございます。その限界を越えてカントリーエレベーターに米を持ち込むというようなことがあって、そういうことが一つの原因になっておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
#29
○瀬野委員 そこで、カントリーエレベーターによる事故があるということでございますが、現在問題が起きている地域と事故の内容を掌握しておられると思うのでございます。また検討もしておられると思いますが、現在何カ所事故が起きて、その内容はどういうようになっておるかお尋ねしたいのであります。私の調査では、少なくとも五、六カ所あるわけでございますが、そのほかに若干あるように聞いておりますけれども、その実情について明らかにしていただきたいと思います。
#30
○池田政府委員 非常に小さい事故は私どもは承知しておらないものがあると思うわけでございますが、かなり大きな事故で問題になりました事故で、私どもがはっきり承知をいたしておりますのは四カ所ほどでございます。県で申し上げますと、秋田県、新潟県、熊本県、長野県におきましてかなり大きな事故が発生をしたわけでございます。
 それからなお、先ほどお尋ねがございました従来のカントリーエレベーターに対する助成の予算でございますが、モデルプラント、米の合理化施設ということの助成が、これは予算額でございますが、五億三千六百万円、それから四十四年度の米のパイロット事業が三億八千八百万円でございます。
#31
○瀬野委員 いま、事故の個所が四カ所と言われましたが、私は、秋田、新潟、長野、熊本の四カ所のほかに、富山、滋賀もあったように聞いておるわけですけれども、再度御調査をいただいて、将来何かの機会にまたお尋ねしたいと思います。
 それでは、現在事故を確認した四カ所の事故の内容について、概略どういう事故であったか、再度お尋ねをいたします。
#32
○池田政府委員 大体、この四カ所の事故は、比較的似たような事故のように思うわけでございますが、総括して申し上げますと、貯蔵をいたしておりますうちに温度が上昇いたしまして、そして、いわゆる焼き米と申しますか、そういうようなものが発生をしておるわけでございます。
 その原因と考えられますものを申し上げますと、先ほど申し上げたことにも関連があるわけでございますが、カントリーエレベーターの乾燥能力以上に、持ち込まれました原料を荷受けいたしましたために、規定の水分まで乾燥ができなかったというようなこと。それから、そういうこととの関連があるわけでございますが、原料の滞貨時間が長くなりまして、もう乾燥を始める前に、米の一部につきまして変質が起きたというようなこと。それから、貯留をいたしておりますうちに、温度の管理が不十分であったために、先ほど申し上げましたような事故が起きた。こういうようなことがごく概要の事故の状態だと思います。
#33
○瀬野委員 先ほどお尋ねしました、うまい米づくりの条件の中に、政務次官も、乾燥貯蔵ということを申されましたが、これが重大な問題となるわけでございます。せっかく苦労して、長い間かかって育てた米が、最後の乾燥調製の段階で――食糧庁としてもたいへんお困りになるところの、良質の米という問題に対して大きな支障を来たしているということになります。言うまでもなく、いま四カ所ほどの事故を申されましたが、小さい事故はかなりございまして、農林省のほうに届いていない問題もたくさんあると思うのでございます。
 そこで、いま報告がございました中で、一つの例を具体的に申し上げてみたいと思います。そして、これを今後の反省のかてともしてやっていただかないと、今後、農業協同組合等がたいへんな赤字で困るというような段階になってまいりますので、あえて申し上げる次第でございます。
 熊本県の八代郡の不知火干拓農業協同組合は、昭和四十三年に、米麦流通合理化モデルプラントとして、この設置事業を行なったわけであります。もちろん、国の奨励によって、全国のモデルケースとして、カントリーエレベーターを総事業費一億二千二百九十四万八千円で設置しておるのでございます。ところが、昨年の十一月の十一日に、事故の発生に初めて気づいて大問題となったわけでございまして、米の状態を見てみますと、米は蒸されたように赤くなって、いわゆる焼き米という、焼けたようになってしまったわけでございます。しかも、変質をして、全然食糧に供されないというようになっております。いまだその解決がなされずに、今後の対策がたいへん心配をされておるものでございます。すなわち、昭和四十四年度産米二万三千俵のうち、三月六日現在で、聞くところによれば、約六千俵余りが五等米、約七千俵が格外米で、残りの一万俵もおそらく格外になるであろう、こういうふうにいわれており、その損害は、見込み約五千万円近い、こういうふうにいわれておるわけでございます。
 事故の原因は、いまだはっきりしておりませんが、工事の施工面、カントリーエレベーターの操作技術指導の欠除によるものと現地ではいわれておるのであります。この不知火干拓農業協同組合のカントリーエレベーターの工事は、昭和四十二年九月に、本社が東京にあるところの佐竹製作所の広島支店によって施工されておりますが、機械の操作については、施工者である佐竹製作所から二名の技師によって指導されておったのであります。一人は機械の操作、故障の修理の技師でありましたけれども、もう一人は研修を受けている者の一人であったのでございます。ところが、コンバインで刈り取ったもみをカントリーに送り込む量とカントリーの処理能力とのアンバランスを生じ、ただいまも農政局長から御答弁がございましたように、それ以前に蒸されておったというような状態もあったようでありますが、さらに、その問題は、お米の四種類もあるもみの種類別乾燥度、種類別水分の検査等、種々の工程を経て貯蔵するという精密な作業を、未熟な農協あるいは組合員等が機械の操作をしたことによって大きなミスを起こしたという結果になったのであります。
 このように、コンバインの一日の刈り取り量とカントリーの乾燥能力との関係が不適確で、操作技術並びに指導が不徹底のために、今後とも再度事故を起こす可能性が大きいのであります。この不知火干拓農業協同組合の事故について、当局の詳細な説明と、その事故の原因について、再度ここで明らかにしていただきたい、かように思う次第であります。
#34
○池田政府委員 いまお話のございました不知火農協の事例でございますが、これはいまお話のございましたようなことであろうと私どもも思うわけでございます。私どものほうも調査官を派遣いたしまして調べたのでございますが、やはり一つの原因は、どうも生産工程とカントリーエレベーターとがうまくつながらなかった。それで、当初、これは四十三年に設置をいたしまして、四十三年は事故は全くなくてうまく運転をされておったのでございますが、四十四年に事故が起きたわけでございます。その一つの原因としては、荷受け施設といいますか、そういうものを組合がさらに増設をいたしまして、それがどうもカントリーエレベーターの能力をやや越えるような状態があった。そういうようなこともございまして、それからまた、先ほど御指摘のありましたようなこともありまして、操業中にサイロに貯留しておりましたもみの一部が変質をした、こういうことがあったわけでございます。もちろん、そういう場合には、水分の関係等で十分でない場合にはさらに再乾燥をするというようなことも、やろうとすればできるわけでございますけれども、どうもそういう点についてのいろいろな知識なりあるいは配慮なりが十分でなかった、こういうようなことのようでございます。
 私どもは、実は、熊本県の事例を含めまして、いろいろな事例を検討いたしました一つの見方でございますが、おおむね、やはりその農協の技術者等がカントリーエレベーターの操作に熟練を必ずしもしていない、そのために、もうちょっと適切にやれば、当然、事故は起きないわけでございますが、そういう点が十分でないために事故が起きたというのが、かなり多くの原因を占めておるように思うわけでございます。
 さらに申し上げますならば、カントリーエレベーターの機械そのものに非常に欠陥があったということではございませんけれども、機械の操作をする人が、本来のやり方に従ってうまくやれば事故は起きないのでございますが、どっちかというと、機械そのものにもややゆとりがないといいますか、うまくやらないとそういう事故が起こる。機械というものは元来そういうものでございますが、できるならばもうちょっとだれにでも――だれにでもというわけにはいきませんが、一応の技術を心得ておれば、事故を起こさないで乾燥なり貯蔵なりができるというように、機械をつくる点についてもさらに検討を加えていく必要がやはりあるのではないだろうかという感じは、一方ではまた別に持っておるわけでございます。
#35
○瀬野委員 いま事故の原因その他についての考えが述べられましたが、では、カントリーエレベーターのこのような事故を起こさないための指導面の責任というものはどこにあるのか。地元農協では、モデルケースとして設備されたのに、政府の指導の責任ということについて無責任であるがゆえにこのような事故になるのだ、こういう声が高いのでありますが、この点についてはどうでございますか。
#36
○池田政府委員 これはモデル事業、パイロット事業でございますから、当然その設置が一つのよりどころになりまして、さらにそれが普及に移されるということを期待しているわけでございまして、そういうような意味で、農林省あるいは県当局におきましても、これの運営につきましては、一般的な責任を持っておるというふうに考えておるわけでございます。ただ、現実には、その現場にそういう行政庁が常におりまして指導するというわけにはもちろんまいりませんので、実際にはメーカーが、まだ最初のなれないうちは技術者を派遣いたしまして指導しておるわけでございますが、なおそれでもいろいろ事故が起きてまいりますので、私どもといたしましては、この操作に当たります農協の技術者、そういう者に対する訓練をさらに的確にやる。従来もこれは必要に応じましてそういう関係者を中央に集めましていろいろな検討会なり、あるいは指導を行なっておるわけでございますが、なおそれでも十分でない点がございますので、今後はさらにそれを各地方ごとに研修等を実施していくというふうに強化をいたしたいと考えておるわけでございます。
#37
○瀬野委員 いまの問題について食糧庁にお伺いしたいと思いますが、食糧庁としては、このカントリーエレベーターによる乾燥貯蔵ということについては、食糧をあずかるところとしていかなる見解を持っておられるか。いわゆる良質の米という問題について、乾燥貯蔵ということが大きな影響を起こすわけで、消費者にいい米を配給するという意味からも、食糧庁としてはどのように評価しておられるか、この点お伺いしたいと思います。
#38
○中村説明員 食糧庁といたしましては、このカントリーエレベーターが農業生産の合理化に非常に大切なものであるということで、ここに貯蔵されましたもみが良好な状態で保管され、玄米にされまして、良好な米ができるということを期待いたしまして、貯蔵中の保管の技術の指導といったことにも心をいたしております。したがいまして、いろいろな原因がございまして事故を起こした例もございますが、ただいま農政局長から御説明いたしましたようないろいろな注意と指導を強化いたしまして、カントリーエレベーターでできましたもみから事故が起こらないように、正常な米が生産されるようにということを期しておるわけでございます。
#39
○瀬野委員 食糧庁は、米の流通過程の合理化の必要から、御承知のごとく消費地に大型精米工場を建設し、品質、銘柄を明示した小袋詰めの販売によって合理化助成を三カ年計画で進めておられます。一方、農政局は大型カントリーエレベーター等によるもみ貯蔵、さらに産地における大型精米工場で精白をした米を消費地に直送するほうが安上がりで、いまずり米として消費者サービスになるという見解を持っておられる。ここに食糧庁と農政局との間に大きな異論があるように思うのであります。
 そこで、食糧庁にお伺いいたしたいのは、食糧庁としては、このカントリーエレベーターによるもみ貯蔵は、まだ技術的に不安定で、貯蔵途中に焼き米が発生したりするので、あまり急いで建設するよりも、消費地における大型精米工場――消費地に近いところというと、結局地価が高いという難点はございますけれども、要するに消費地に近いところに大型精米工場を建てたほうが消費者サービスになる、こういう考えを持っておられるし、今後もその方向を推進する、こういうように聞いておりますが、この食糧庁の考えと農林省の中のいわゆる農産課といいますか、この間にかなり異論があるように思うのでございますけれども、この点について御見解を承りたいと思います。
#40
○中村説明員 お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘ございましたことにつきまして、若干誤解があるのではないかと思いますので、私のほうの考え方を申し上げたいと思いますが、食糧庁では、大型精米工場の推進ということには、先生のおっしゃいましたような趣旨においてこれを強力に推進するということでつとめてまいっております。また、生産の面から農政局のほうでカントリーエレベーターの設置ということにもつとめてまいっております。われわれといたしましては、カントリーエレベーターでバラで貯蔵されましたもみを玄米にいたしまして、それをできることであればバラで大精米工場に送りまして輸送の合理化をはかりたい、こういうことで現在滋賀の大中湖におけるカントリーエレベーターと大阪の第一食糧の大精米工場とを結びましてバラ輸送の実験もいたしております。そういう意味で、カントリーエレベーターと大精米工場を結びつけた流通の合理化という面で、食糧庁もこのカントリーエレベーターというものが大いにできまして、私のほうの大精米工場も大いにできまして、これがバラで結ばれるという形で将来流通合理化がされるということを考えておるわけでございまして、現在カントリーエレベーターの増設について、これをもう少しゆっくりやってくれというようなことは決して申しておらないわけでございます。
 それから、先ほど消費地に近いところというお話がございましたが、われわれとしては、生産面の施設でございますから、消費地に近いということを必ずしも希望しておるわけではございません。そういうことは考えておりませんので、つけ加えておきたいと思います。
#41
○瀬野委員 先ほど農政局長からも、このカントリーエレベーターの問題について、現在大きな事故で掌握しておるのは四カ所で、小さい事故は掌握をしていないというようなことの答弁がございましたが、先ほど問題にしました不知火干拓農協をはじめ、かなりの事故があちこちにあるのですが、こういったことが地元で問題になりまして、このことについて農林省、いわゆる農産課のほうと食糧庁、それから機械化研究所の三者の間で意見の食い違いがあって、いまだに見解の統一ができずに今後が憂慮されている、こういうふうに私は聞き及んでおります。関係筋のことばを借りますと、農林省の農産課は、規模拡大、生産合理化の上から、政策的に、農家が便になればよいという発想であって、米の品種については、食べる米は同じであるからまぜてもよいではないか、こういったことをよく地元の人が言っております。片や食糧庁のほうは、米の品種によって水分の保水量、かたさというものが違うのだから、変質したり胴割れ米ができるといって、内部統一ができずに苦慮している、こういうことも聞いております。一方、機械化研究所のほうでは、農林省の設計基準に合わせてやったのだから悪くはないといって、もし通風量、構造に間違いがあれば、当然農林省で設計変更をするなり予算をふやすなりしてもらいたいと言っておられるようでございます。機械化研究所の方の話では、コンクリートでやりますと湿気が多いので、一部木にしたほうがいいというふうにも言われております。こういったように、設計技術面において三者の意見が食い違っておる。いまごろになって責任の所在がはっきりせずになすり合いをして、相当地元の人たちも困っておるのでございますが、この点について関係当局からそれぞれ御見解を承りたいと思います。
#42
○池田政府委員 いまお話のありましたことは、私どもよく承知しておらないのでございますが、先ほど申し上げましたように、この不知火の事例につきましては、基本的にはやはり、どうもカントリーエレベーターの操作が十分でなかったというふうに考えるわけでございますが、一般論といたしまして、これも先ほど申し上げたわけでございますが、機械に欠陥があってこういう事故が起きたということではないと私ども思うわけでございます。ただ、機械がその機械本来の用途、使い方に忠実に沿って使われませんと、そういう問題が起きてくるわけでございますから、そこいらがもうちょっと余裕のある設計といいますか、多少使い方に熟達していなくてもそういう事故が起こらないというような設計にまでさらに改善を加えていくことは必要であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう機械でございますから、いまの段階で一〇〇%完全無欠ということは必ずしもないわけでございまして、さらに改善を加えていく必要があるというふうに思っておるわけでございますが、今回の事故が直ちに機械が非常に適当でなかったためにそういうことになったというふうには、実は私ども考えておらないわけでございます。
#43
○中村説明員 ただいまカントリーエレベーターに入れますしかたにつきまして、食糧庁の見解が農産課と違うというふうなお話がございましたけれども、食糧庁といたしましては、できることならば一つのびんに同一の品種のものを入れていただくほうが、より安全であるし、事後の操作も、配給操作あるいは運送操作等にもよりいい状態であるということで、こういったようなことは希望はいたしておりますけれども、決して意見が相違しておるということではございません。
#44
○瀬野委員 いま食糧庁から答弁がございましたが、希望意見をいれているということでございますが、その希望意見をいれた結果、どういうような答えが出ておりますか、お尋ねします。
#45
○中村説明員 いま言ったような希望を持ちましていろいろ指導をいたしておりますので、そこの生産地の生産状況によりまして、私たちが言っておりますように、一つのびんには同じ品種のものが入れられるというふうなカントリーエレベーターもございますし、あるいは必ずしもそこまでいかなくて、ある程度まざっていくという状態のところもある、こういう状況でございます。
#46
○瀬野委員 ここでこれ以上詰めようと思いませんが、その辺にかなりの異論があるわけでありまして、今後のこともございますので、真剣に内部統一をされまして、農家が安心して米づくりができるように、そうしてまた、カントリーエレベーターがスムーズにいくように、その辺のところを内部で話し合いをしていただきたい、こういうふうに希望を申し上げます。
 そこで、先ほど農政局長から、カントリーエレベーターについて余裕のある設計改善につとめることは大事と思う、必ずしも完全無欠ではない――農政局長も頭がいいからなかなかうまい答弁なんですけれども、最後に言われたことは、さらに改善を加える、こうおっしゃいましたが、すでに事故が起きておりまして、ことしは起きなくても来年また起きる、次々に起きていくという可能性もございます。こういったことから、いま事故が起きていてチェックしておられる分について、農林省が予算を組んで積極的に改善をする意思があるか、その点お尋ねいたします。
#47
○池田政府委員 実は現在の機械の設計がやや余裕がないということを若干申し上げたわけでございますが、これは御存じのように、現在のカントリーエレベーターの設置というのは、ほとんどが国庫なりの助成によっているわけでございます。自力で設置をしたというのは例が少ないわけでございます。でございますから、どうしても、機械をつくる場合に、国庫助成額に縛られるというようなことがございまして、そういうようなことがいわば余裕のない設計になっている、こういう面があるというふうに考えられますので、私どもは、この単価を実情に合うものに改善をしていく必要がある、こういうことを実は考えているわけでございまして、まだ非常に不十分ではございますが、四十五年度においては若干の単価の増額をする、こういうふうな措置を実はとっているわけでございます。
#48
○瀬野委員 従来事故の起きている分については触れられませんでしたが、四十五年度は若干ふやす、こういうことでございます。すなわち、このカントリーエレベーターをつくった施工者である会社も、また機械化研究所のほうも、農林省の予算が少ないものだから、なかなかこれ以上のことはできないというようなことも陰では言っているわけです。十分承知しておられるかと思いますが、ここではいまおっしゃったような答弁しかいただけないのじゃないかと思っておりますけれども、せっかくつくるカントリーエレベーターでありますので、十分なる予算で検討なさるようにお願いをする次第でございます。
 そこで、カントリーエレベーターは、天気がよいと農家のほうは一時にどっと稲を刈るわけでございます。そのために、あふれて消化し切れないもみが蒸れてくるという状態も起きてきます。また、御承知のように、軟質米、硬質米等がございますが、これらの米を同じ扱いをしておるところにも問題がある。さらに、送風量の調節がむずかしく、送風量を多くすれば焼き米となったり異臭米になる。もちろん、米には農薬もかかっておりますので、そういったものがまざって異臭米になる。皆さん方も御飯を食べるときにふたをとるとにおいのすることがよくあると思うのですが、米自体が貯蔵庫に入るときにそういった異臭米となってくる。特に、サイロに満タンにならないと、どうしても熱風が強く当たるために、その影響を受けることになっております。かといって、機械化研究所のほうか、またはメーカーからの技術者の指導というものは手薄でございまして、こういったことについてほんとうに手の届くような指導をしないと、先ほどから申しますように、ことしだいじょうぶだったから来年もだいじょうぶというわけにはまいらぬのであります。ちょっとした操作の誤りがたいへんな損害をもたらすことになってまいります。こういったことについて農林省は何か指導をしておられるか、どういうふうに考えておられるか、再度お伺いをいたします。
#49
○池田政府委員 先ほどもお答え申し上げたのでございますが、やはり操作についてかなり注意深くやらないといけない点がございまして、特に含水率の点等については、含水率の違うものは別途分けまして、それに応じた乾燥をやるというようなことが必要なわけでございまして、そういう点がどうも十分でない点があるようでございますので、私どもは、従来もある程度はやっておるわけでございますが、さらに実際に扱います技術者を集めまして、そういう点についての指導、研修をやる、こういう点にについては特に来年度重点的にやっていきたいと考えております。
#50
○瀬野委員 農業協同組合ではカントリーエレベーターの機械操作の技術が未熟である。先ほども答弁がございましたが、真の技術者がいないということが問題だと言っております。また、職員も給料が安くて、最盛期には夜中じゅう眠らずにフル運転をするというところに無理がきておる。かつ事故が起きたときにすぐ相談するところがない。こういったことで農協はたいへん当惑をしておるわけですが、これについてはどういうふうにお考えでございますか。
#51
○池田政府委員 どうもそういう実態を私ども伺うわけでございますが、やはりこれは、農協自体として、とにかく組合員の非常に大事なお米を預かりましてそういうことをやるわけでございますから、技術者につきましても相当な待遇をし、それが定着するようなことをいたさなければならないわけでございますし、また、私どもといたしましても、そういうようなことについては、さらに今後いろいろ指導をいたさなければならないというふうに考えておるわけでございます。
    〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
#52
○瀬野委員 今後の問題として、先ほど申し上げた不知火干拓の農業協同組合の問題で、地元では約五千万円見込みの損害といわれておるこの米の処置について、今年度いよいよ秋に新米が出ますと、さらにそれがつかえまして収容し切れないということになるので、この格外米となる問題の五千万円近い相当の米をどう処分するのか、農協側としては不安に思っております。これらの損害に対する政府の補助など、その処置が強く地元では望まれておりますが、どのように対処されるのか、お答えを伺いたいのであります。
#53
○池田政府委員 先ほど来申し上げておりますような原因によりましてこういう事故が起きているわけでございまして、金額はまだ最終的には確定をいたしておりませんが、四、五千万の欠損が出るであろうというふうに考えられるわけでございます。私どもといたしましては、これに対しまして、一般的にその損失に対して国が助成をするというのは非常に困難でございますので、玄米にいたしまして政府買い入れの対象になるものはもちろんそういうことにしていただくわけでございますし、また、対象にならないものも、極力いい値段で販売ができるように全販連その他にもお願いをしておるわけでございまして、そういうことで極力被害額を減少いたしたい、こういう考え方でございます。
 なお、個々の農家につきましては、かなりお困りの農家があるようでございますので、これに対しましては、自創資金の貸し出しをするということで、もうすでに決定を見ておるわけでございます。
#54
○瀬野委員 ただいまの答弁で一応わかりましたが、地元では政府の保管米を農協に委託しておるのであるから、農協側に弁償させようとしておるのじゃないかということで心配をしておりますけれども、そういったことはないのか、ここで確認をしておきたいと思います。
#55
○池田政府委員 そこいらは、一体こういう事故が起きました原因がどこにあるのか、こういうことに実は関連をいたしてまいるわけでございまして、私どもの調査によります見解は、先ほど申し上げましたようなことでございますが、今後被害額が確定をいたしました段階でそれをどう処理するかということは、これは実態に応じていろいろ御検討願う必要があろうということで、私どもも必要に応じて御指導申し上げたいという気持ちでございます。
#56
○瀬野委員 そこで、不知火干拓農業協同組合の九十戸に及ぶ農家は、この大型乾燥調製、すなわちカントリーエレベーターの土地を四町歩購入しておりますので、この購入代金、それから機械の代金、借り入れ金利子等、四十六年までに一戸当たり平均三十万から三十数万、また四十七年度より元利金四十万から五十万の返済予定となっており、このほかに、機械代として四十五年には二戸当たり平均三十万という支払いをするようになっております。こういったことで相当な負担をかけてくることになりますので、その損失のしわ寄せが農家等にいくことになるとたいへんなことになります。十分検討をしていただきたいと思うと同時に、こういった農家のカントリーエレベーター設置に伴ってたくさんの返済金をかかえておる農業協同組合、これは八郎潟干拓でもいえますが、あと数年たつならば、八郎潟干潟も二戸当たり二百四十万くらい返済するように土地家屋等も合わせてなっておりますが、現在米の増産によって支払うべく努力してきたのが、実際に一割減反ということになって、返済がなかなか憂慮されてくるという問題が各干拓地等でも起きてまいります。また、カントリーエレベーターを設置したところでも、こういった問題が深刻になってきておりますが、これらの農協に対してどのように返済計画等お考えいただいておるものか、御見解を承りたいと思います。
#57
○池田政府委員 先ほど申し上げましたように、熊本の場合におきましては、二戸当たり三十万円程度の自創資金を融通するということにきまっておるわけでございますが、いまの御質問は、一般的にどういうふうにやるのかという御質問かと思うわけでございますが、私どもは、やはりその事故が起きました原因でございますとか、あるいは農協の起こしました損害額でございますとか、あるいは農家の負担の状況でございますとか、そういうものをいろいろ個別に検討いたしまして、直接その指導に当たっております県当局でございますとか、あるいは関係の連合会等とも御相談をして、それぞれ結論を出さざるを得ない。一般的にいまの段階でどうこうということはちょっと申し上げにくいのでございます。
#58
○瀬野委員 次に、いまのに関連しまして、現地からの報告によりますと、実はこの大型乾燥貯蔵施設については、農林省に対する報告は、一般的にはうまくいっている、こういうふうに来ている、こう言っているわけです。ところが、実はそうでなくて、カントリーエレベーターそのものが、機械がコンスタントに動かないので、赤字でもうからぬ、そして農協にしわ寄せがくるということで、今回の法改正等によりまして、農協も大きくまた発展していくことになりますが、一時に米がたくさん入るときと少ないときとありまして、なかなか一ぱいにならぬところがある。採算がとれない。すなわち収支上の問題が起きてくる。これによってますます農協は赤字で苦しむことになる。こういうふうに苦慮して重荷に感じておるのでございます。この点はどういうようにお思いでございますか。
#59
○池田政府委員 こういうカントリーエレベーターを設置いたします場合には、当然米の作付面積、私どものいまの基準では少なくとも三千ヘクタール以上というようなことを一応基準にいたしておりますが、要するにカントリーエレベーターを設置するに足るような生産量を持っておりませんと、これは、御指摘のような、いろいろな十分稼働しないというような問題が起きてまいるわけでございますので、私どもが従来設置しておりますところにおきましては、大体そういう基準に合うようなところを選びましてやっておるわけでございますが、いろいろな事情で御指摘のようなことも間々あろうかと思います。しかし、そういうことにつきましては、今後生産体制を整備するというようなことによりまして、カントリーエレベーターが十分に稼働いたすようになればそういうことはないはずでございますので、私どもも、今後設置をいたしますような場合には、そういう点も十分にチェックをいたしまして、そういうような事態のないようにいたしたいと考えておるわけでございます。
#60
○瀬野委員 カントリーエレベーターは、神奈川県の大川農協などでは比較的うまくいっているところもございます。また、事故が起きているところもかなりあるわけでございまして、農協がいまになって赤字経営に悩んで各地でいろいろ取りざたされておりますが、農協としては、農林省の技術指導が悪いのでこのようになったんだ、また、今後機械の改造、機械の操作指導と相まって地域栽培計画というものを検討する必要があるのじゃないか、また、地域栽培ということと真剣に取り組むべきでないか、そういった指導が問題となっている、こう言っております。いまこそその技術者を養成することが急務とされております。このままにして推移すれば、おそらく数十カ所のカントリーエレベーター設置個所で今後また続くであろう。農林省が目玉予算として大きく取り上げている構造改善の中の大きな事業だけに、ことしよくても来年またどうなるかということで心配が続くわけでございまして、農村ではこのカントリーエレベーターが廃墟の塔になりはせぬか、こう言っていろいろ取りざたをしておるわけでございます。そこで、こういった技術指導、また今後の地域栽培計画ということについてはどのように取り組んでいくべきか、お伺いを申し上げたいと思います。
#61
○池田政府委員 従来設置しておりますところも、いずれもみな地元から非常に強い御要望がございまして、私どももいろいろな点を検討いたしまして、適当であるということで設置をしているわけでございますが、当初計画をいたしましたとおりの生産実績が上がらないというようなこともあるいはありまして、稼働が十分でないというようなこともあるかと思います。
 なお、技術者の点につきましては、先ほど、さらにその養成なり研修なりには努力したいということを申し上げたわけでございますが、私どもは、今後の農業の姿からいいまして、当然米につきましては、こういう地域は主産地として将来も米の生産に重点を置く、あるいはこういう地域は他のものに変わっていく、こういうようなことを含めました地域分担というものをできるだけ早く明らかにしたいというように考えておりますので、そういう線に沿いまして、米の主産地になるようなところで十分カントリーエレベーターを置くのに値する地域につきましては、将来の計画を十分に見きわめた上でこういうものを設置いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#62
○瀬野委員 十二時十五分くらいまでに終わってくれということでございますので、それでは最後にこのことについて政務次官にお尋ねします。
 農林大臣は参議院予算委員会の関係で出席いただいておりませんので、政務次官、いまいろいろお聞きになっておいでになったと思いますが、今後農業協同組合法改正に伴って大きく転換をする農政の時期にあたりまして、先ほどから申します自立農家の問題にしても、また、こういった農協の大型化に伴う乾燥貯蔵施設の問題についても、こういった問題が反面にたくさん出てきております。いま申しました不知火干拓農業協同組合の問題を含めましてあっちこっちに起きておりますが、こういったことについて、今後しっかりとした指導その他をやっていただきたいと思いますが、政務次官の決意、また今後の考え方を最後に述べていただいて、本日の私の質問を終わりたいと思います。
#63
○渡辺政府委員 米生産改善パイロット事業について、ただいま不知火干拓の例がございましたけれども、私はこれは実は非常に重要な問題だと思います。今後、省力栽培、経営の効率を高めるというような点で、農林省としてはこういうような事業をたくさん広めていこうというやさきでありますから、これが失敗をするというようなことになるとたいへんなことであります。しかも、それが建設を請け負った業者が悪いのか、設計が悪いのか、あるいは実際の管理が悪いのか、操作を間違ったのか、みんなが突っかけ持ちで、被害だけを農民が背負うというようなことでは、実はたいへんなことでございますから、そういうことのないように、これを契機として不知火の問題は徹底的に総洗いしてもう一ぺん調べさせます。そして、責任の所在というものを明らかにする、それが第一であります。
 それと同時に、間違いがあるところはやはり二度とそういうような間違いを起こさないように、四十五年度の予算執行にあたっては特段の注意を払ってまいりたい。それから、新しい事業なので、操作上においていろいろふなれな点等もございましょうから、これらは事業開始までには完全に操作ができるようにさせる、そういうふうな指導を徹底させるということにしてまいりたいと存じます。
#64
○瀬野委員 ただいま渡辺政務次官から力強い希望の持てる意思表示がございまして、本員も了といたします。どうかその方向で検討を進めていただいて、農民にあたたかい政治の手を、そして安心して今後の農協法改正にも取り組んでいけるようにお願いをしたい。このことを申し上げまして私の質問を終わります。長時間ありがとうございました。
#65
○三ツ林委員長代理 午後一時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。
    午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十八分開議
#66
○草野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 午前の会議に引き続き、質疑を続行いたします。小宮武喜君。
#67
○小宮委員 私は、二月十九日に第一回の本委員会が開催されましてから今日まで、審議の過程を見まして、いろいろ理解しがたい面がございますので、その点について率直な質問をしてみたいと思います。しかし、私も新人でございますし、特に農政関係についてはしろうとでございますから、その意味で親切に御答弁をお願いいたしたいと思います。
 今回の生産調整につきまして私思いますことには、米の生産を減らすということは、農業者にとっては相当な決意を要する問題であると思います。昨年の十月末の古米の持ち越し量が五百六十万トンと、すでに十カ月分の配給量にも達して、このまま推移するならば、ことしの秋には約八百万トンにも達して、一年半分の配給量に当たる古米在庫が生じることになりまして、農業者にとっては、まことに苦しいことではありますが、国民経済的な見地から何らかの調整策を実施する以外に方法はないと思います。しかし、ただこの際明らかにしておきたいことは、米がこのような事態になったのは、政府が当然講ずべき土地重点の構造政策をはじめ、農業基盤整備、価格の問題、流通機構の改善を放棄して、農業者が米作にたよらざるを得ないように追い込んだ結果でありまして、農業者の責任ではないと思います。
 日本の農業の危機が叫ばれましてからすでに久しいものですが、今日当面する問題は二つに大別されると思います。その第一は、過剰状態にある米の生産を今後いかにして実効ある調整をなすかという緊急の問題であり、第二には、これを出発点として今後の日本農業の体質改善をはかるための再編成をどう推進するかという長期的な政策問題であります。政府は当初、食管制度の根幹を守るために、百五十万トン、三十五万四千ヘクタールの減反が必要だと言明していましたが、最終的には百万トン、二十三万六千ヘクタールに圧縮して、残りの五十方トン分については、十一万八千ヘクタールの水田を、民間需要と地方公共団体の先行投資による転用で処理するという、場当たり的な土地買い上げ仕法による調整策を決定したのであります。しかも、われわれが理解に苦しむのは、今回の調整策は、単に百五十万トンの減産をすればよいというだけのものではなく、米の国際競争力をつけると同時に、日本農業の体質改善への次の道程が当然示されなければならないのに、それを具体的に示されていないのであります。
 そこで私は、初歩的な質問になると思いますが、お尋ねしたいのは、まず減産目標の百五十万トンの具体的な数字の根拠、なぜ百五十万トンを減産しなければならないかということをまず教えていただきたいと思います。
#68
○渡辺政府委員 これは大体年間の消費動向、あるいはことしの平年作の収穫の見通し、こういうようなものから考えまして大体千二百五十万トン程度あればいいのではなかろうか。しかし、ことしの生産見通しとしては、やはり千三百七十万トン以上とれるのではないかというような見通しでありますから、現在の、あなたがおっしゃいましたような手持ち在庫、こういうようなものを考えますと、どうしても百五十万トン以上――百五十万トンというのではありません、百五十万トン以上ひとつ生産調整をしたい。そこで、政府としては、その百五十万トンというものは最低の目標でありまして、百万トンは、補助金を支出することによって、あとの五十万トンは、水田の壊廃をすることによって調整をしょう、こういうようなことでございます。
#69
○小宮委員 いまの説明を聞いておりますと、要するに米が生産過剰になる、したがって百五十万トン減産しなければいけない。さしあたり今年度はこれくらいだ、千三百七十万トンですか、この百五十万トンの減産というのは、長期的な、将来的な見通しに立った上でのことではなくて、ただ現実に、ことし、また来年、これだけの米がとれるからこうしなければいけないという、いわゆる今度の生産調整なるものは、場当たり的なものだというふうに理解していいですか。
#70
○渡辺政府委員 場当たりというわけではありません。これは現在の古米が――古米、古々米の在庫があるわけでございますが、それにさらに上のせして古米、古々米がどんどんふえていくということは困るから、上のせをさせないというようなことで、その数字は一応百五十万トン程度が適当であろう、こういうような計算をしたわけでございます。
#71
○小宮委員 私が考えますのには、いまの説明があっても、私はあくまで長期的な食糧需給の見通しの上に立った百五十万トンの調整ではないというように判断をいたします。
 およそ政治というものは、そういった行き当たりばったりの政策ではなくて、長期的な見通しの上に立ってなされるべきものだと考えております。たとえば、大臣の所信表明にもありましたが、消費の基調は今後も変わらないであろうといったようなことを言われておりますが、そういった消費動向は、ふえるということはなくても逆に減ることもあり得るかもしれません。また、日本の人口の動向は将来どうなるのか、こういったものを考えて、今後十年ないし今後の見通しを立てた上において、これこれの米はどうしても余るから、百五十万トン余るから、したがって今回は減産をしなければいけないから、ひとつ農業者の皆さん協力をしてくださいというようなことになれば、これは農業者の方もほんとうに理解と納得をして協力するだろうというふうに考えますけれども、今回の場合に、新聞紙上で見ますと、その目標額をあたかも達成したかのごとく言われておりますが、実は農業者の間には、このままでいったならば食管制度はどうなるのか、なしくずしにつぶされてしまうのではなかろうかというような、非常にそのことをおそれて、今回のこの生産調整に対しては、ある程度の協力ということは、結果的に協力というものは出てきておりますが、ほんとうにしんからこの生産調整に協力はしていないのだというふうに私は考えますが、あくまで、国の政治というものは、長期的な見通しの上に立って、そして食糧需給はどうなのか、そういった総合的な長期計画の中に立ってこういった生産調整をやるならやるべきだというふうに判断します。そういった現在の段階では、総合農政ということが一応言われておりますが、これは抽象的な問題でありまして、われわれは、ここで審議する場合に、そういった具体的な問題を聞きたいわけです。
 そこで、さらに質問しますが、たとえば先ほども農業白書の問題が出ましたけれども、二十四日の閣議に報告された農業白書によりますと、農業就業人口は九百四万で、前年比二・八%の減と引き続いて減少を続けておるということを報告されております。したがって、この生産調整とも関連して質問したくなるのは、長期的なかつ総合的な食糧需給計画を見て、農業の就業人口は大体幾らあればいいのか、こういった問題がやはり今後の大きな問題になってくると思うのです。ただこの報告書を見ますと、あたかも何か評論家が書いたような文章になっております。こういった総合的な長期的な食糧需給計画から見て、日本の農業就業人口は幾らおればいいのか。その場合に米作関係についてはどれくらいあればいいんだというようなことを、私は少なくとも策定をすべきだというように考えます。そういった立場からまた耕作面積にしましても、畑の転用を中心として壊廃が進み、四十四年は四万五千ヘクタール減の五百八十五万二千ヘクタールとなったと報告されています。これなどもほんとうに将来のそういった長期的な総合的な需給計画の上に立った場合に、ほんとうに農業の就業人口は幾らおればいいのか、その場合に米作関係は幾らおればいいのか、また耕地面積にしましても、食糧需給計画から見た場合に、耕地面積は幾らあればいいのか、水田は幾らあればいいのか、こういった問題はやはり長期的にこの計画を策定された中で、その一環としての百五十万トンの生産調整であれば、私は理解をしますけれども、そういったものでなしに、ただいまの政務次官の答弁を聞いておりましてもいろいろ皆さん方に、いやなことばかもしれませんけれども、行き当たりばったりといわれてもやむを得ないのではないかと考えますが、そういった意味で私が質問したいのは、いまの総合的な長期的食糧需給計画の中で、耕地面積は幾らあればいいのか、その中で米作関係は幾らあればいいのか、また耕地面積にしても就業人口もどうなるのか、そういった問題をもし考えておられ、また農林省として策定しておられるならば、具体的にその数字を示していただきたいと思います。
#72
○渡辺政府委員 ただいま御質問のようなことは、それは全部計算をしてあるわけであります。たとえば農産物の需要と生産の長期見通しというようなものをつくっております。それによりますと、農業就業人口は四十一年が九百四十二万人でございますが、これは五十二年に約六百万人ということを見込んでおるわけであります。なお農家戸数は四十一年で五百五十万戸でございますが、これが五十二年で四百五十万戸、こういうように見込んでおりまして、耕地面積にいたしましても、四十一年度で五百九十九万六千ヘクタールでございますが、これが五百七十五万ヘクタール、延べ作付面積にいたしまして、七百三十一万二千ヘクタールのものが五十二年には六百八十三万八千ヘクタール、そのうち米について申し上げますというと、四十一年が三百二十五万四千ヘクタールのものが、昭和五十二年に二百八十三万六千ヘクタールというようなことを、一応長期見通しとしては考えておるわけであります。これらのこまかい資料は全部印刷物がありますから、この委員会でこれ以上くわしいことを申し上げると時間ばかりかかってしまいますから、あとでお届けをさせます。
 したがって、こういうようないろいろな長期見通しも考えて百五十万トン以上のものを今回生産調整をしないと、にっちもさっちもいかなくなるというようなことで、最低百五十万トンは生産調整をしたいという数字を出したわけであります。ただ農業問題は工業生産と違いまして、天候等によっても相当左右されるというようなことがございますから、工業生産のように計画どおり、ぴちんといくようにはなかなか参らない点があることは御了承いただきたいと思います。
#73
○小宮委員 政府は盛んに数年前までは米をつくれつくれということで、増産を非常に奨励してきたわけですね。そういった中で農業者もそれに協力をしてきたわけです。ところが今回は、あまり米が多くでき過ぎるから生産調整をしなさい、転作をしなさい、休耕をしなさいというようなことで、農業者は現在非常に不満を持っておるわけです。しかしながら先ほど申し上げましたように、食管法の問題でやむなく協力しておるというのが実情だと判断しておるわけですけれども、この転作について、政府はどのように考えておるのかということをまず聞きたいわけです。と申しますのは、転作問題について、それぞれその地域の実情に応じ、その地域の特産物等についていろいろ奨励をし、これは農林省と地方庁等が連携をとりながら指導するというようなことが、この前の答弁の中にも言われておるわけですけれども、しかし、そういった指導がはたしてやられておるのかどうかということについて、私は疑問を持つわけです。と申しますのは、この前ちょうど三月二十日の朝日新聞の記事を見てみますと、「コメから転作お断り」という見出しで載っておるわけですが、「寒波の影響でダイコン一本二百円、ジャガイモ一個五十円」という野菜の異常高値が続いているのに、農林省は「あんまり野菜を作るな」キャンペーンを始めた。関東農政局も「米つくりをやめたあとでも値段の暴落をまねくから野菜への転向はお断り」と転向派の農家にブレーキをかけている。」ということが報道されておるわけです。つまり私が言いたいのは、農林省は生産調整といって、転作、休耕を奨励しながら、それで十アール当たり三万五千円の奨励金を出しながら、その転作にあたっては、農家は何をつくったらいいのか、とほうにくれておるのが実情なんです。したがって、具体的に転作をする場合は、そういった地方地方のいろいろ特殊の事情はあるにしても、その中にやはり特殊の事情に応じた、農林省としては具体的な何をつくりなさい、何をつくったらいいですよという指導はなされずにおって、こういった農家が自主的に転作をした。転作をしたからには、米にかわるべき収入を求めるために野菜をつくった。そうすると、野菜をつくってはいかぬぞというようなことが、これが農林省の言う指導なのかどうかということを質問をします。
#74
○渡辺政府委員 転作の問題は、実は一口に申し上げますと、米の二の舞いをさせてはならぬということであります。したがいまして、転作はしても、過剰生産になるようなことは非常に困るわけであります。そういうような点を特に農林省としては注意をしております。いうならば、野菜とかその他のものは比較的大面積でつくっておるというものではありません。しかし米は大きな面積でつくっておる。それが一割のものが、野菜なら野菜に転作をするというようなことになったならば、これは大暴落するのは目に見えて明らかであって、したがって過剰生産になるようなものについては、政府はある程度見通しがついていながら、まあおつくりになるならけっこうですから、おつくりなさいというわけには、これは参らないのであります。したがって、過剰生産になりそうだと思われるようなものは、これはちょっと控えたらいかがですかということを指導するのは、私は、農林省としては、特に義務がある、こう思うのであります。転作の問題は、その場所、場所によって非常に違う問題でありまして、たとえば北海道のようなところだったならば、酪農をやっている方は、飼料が足らないのですから、ぜひ牧草に転作をしてください、そして購入飼料の金額を減らしてください、こういうようなことは指導をしておるわけであります。大豆なとでしたら――大豆というものはしょせん幾らつくっても余るというものではありませんから、これはどんどんつくってくださいというようなことをいっておるわけであります。各作目の指導ということにつきましては、転作指導要領という本を発行いたしまして、そしてともかく農林省が全国に共通なもの、それからさらに各地区ごとに特徴のあるもの、各県ごとに特徴のあるもの、いろいろな立地条件、消費地等の関係、いままでの既存のそれぞれの野菜等の生産状況、こういうようなものは全国一律というわけにはまいりませんで、これはそれぞれの地域によって非常に違うものですから、一般的な方針としては農林省は、都道府県の主務部長会議を開催をしたりいたしまして、そういうようなことを促したり、あるいはいろいろな技術上の指導をいたしておるわけであります。しかし、個々の具体的な問題等につきましては、それぞれの地域の特性というものにおまかせをするということもあるわけであります。全国一律に全部これだというわけにはなかなかまいらないのであります。したがって、こういうものだけを全部やるようにいたしましたということをここで簡単に申し上げられないのはまことに残念であると思います。しかしながら作目ごとにもし御要求があるならば、どういうふうなことについてどういうふうな転作の要領でやるんだ、一つ二つ例を示せと言われれば、主管局長もおりますから、御要求によっては例をあげてお示しをすることができようかと存じます。
#75
○小宮委員 それではいまの生産過剰の問題と価格調整の問題、こういうことでそういうような指導をやられるということについては理解できますが、そうしたら全国的なそういった問題の調整は一体どこで行なうのか、どうして行なうのか、そのこともあわせてひとつ御答弁を願います。
#76
○渡辺政府委員 全国的な指導というものはどこが中心になってやるかといわれれば、農林省が中心になってやりますということだと思います。
#77
○小宮委員 まあいいでしょう。
 それから、将来大体四ヘクタールから五ヘクタールの自立経営農家を育成して、他産業との所得の格差をなくするというようなことを大臣も言われておるし、先日の答弁の中で渡辺政務次官も答弁されておるわけですが、それでは具体的に自立経営農家の基準ですね。四十一年度では農業所得が九十三万円以上の場合を自立経営農家といっておる、四十二年度は百三万円、四十三年度は百十八万円以上というのを自立経営農家の基準としておるわけですよ。きのうの政務次官の答弁の中にも、この四ヘクタールないし五ヘクタールの自立経営農家というものの目標は昭和五十年を目標にしておるということを答弁されておるわけですが、そうした場合に、いま言ったような自立経営農家の基準というものを、昭和五十年にはどのように考えられておるのか、また昭和四十五年、五十年、こういった年の基準をひとつ具体的に教えてください。
#78
○渡辺政府委員 自立経営農家というのは、他産業の労働者と同じくらいの水準の所得というようなことでありますから、そういうふうなことで見通しておりますと、おおよそ昭和五十二年で二百万円程度が最下限ではなかろうか、四十三年が百十八万、こう下限所得がなっておるわけでありますが、これを二百万程度にひとつ考える、こういうことであって、四十四年は幾ら、四十五年は幾ら、四十六年は幾ら、四十七年は幾らというような小刻みな計算は実はしていないわけであります。大体八十万くらいのものが上積みになっていくわけでありますから、それを年度別に算術計算をしておるわけでも何でもありません。大体景気の動向というものもございましょうし、あるときよけい伸びて、あるときは伸び方が少ないということもあるかもしれません。いずれにしても昭和五十二年で二百万円程度の自立経営農家をこしらえよう、こういうふうなことで計画をしておるわけであります。
#79
○小宮委員 他産業との所得の格差を圧縮して、大体同等程度のものを自立経営農家として育成するということですけれども、五十二年に二百万円を最下限ということで、非常にけっこうなことでございますが、たとえばかりに四ないし五ヘクタールの農家の所得が二百万円を最下限としても、どういう数字でどういうふうな計算でびしっとこういうことになるのですか、それをちょっと抽象的でなくて具体的に教えてください。
#80
○渡辺政府委員 これは計画でありますから、こういうような計画というものは、大体一つのいままでの日本経済の伸びてきた実績、こういうようなものを基礎にして推計をしておるわけであります。したがって、非常にこまかい分野につきましては、一々どれを具体的にどうするというようなことはございません。ただ二百万円程度の自立経営農家というものをつくるのには、水田では四、五町歩というようなところにもっていかなければならないであろうし、酪農ならば二十頭前後というくらいの目安が適当であろう。これも二十頭といったら十六頭では悪いのだ、水田も四町歩といったのに三町五反では悪いのだ、六町歩ではいけないのだ、こういうことはないのでありまして、問題は、その人のやり方にもよるでございましょうし、また場所にもよって相当違うわけでございます。反当十俵とれるのと、十三俵もとれるのと、七俵しかとれないというようなところでは、やはり四町歩が五町歩になるだろうし、あるいは四町歩を多少下回ることもあるのでありますから、酪農経営におきましても同様なことがいえるわけであります。一応目安としてはそういうように、酪農ならば二十頭程度の規模、水田経営ならば四町歩から五町歩くらいの規模、これならば、現在の価格で推移するならば、他産業と同じ程度の所得が得られるであろうから、そういう方向で政府としてはいろいろな助成策を行なっていこう、しょせん計画というものは、大体そういう程度のものではないですかね。
#81
○小宮委員 農業白書によれば、昭和四十二年度に一戸当たり百万円の大台をこした農家所得は、四十三年度には一〇・二%ふえて百十三万五千円になった、しかしこれは農業外所得の大幅な伸び一七%にささえられたもので、農業所得は三・三%増の停滞ぎみだということで、四十四年度の四月から十二月までを見ると逆に下がるんじゃないか、農家所得は下がるのではないかというようなことがいわれておるわけですけれども、この原因は、やはり生産者米価が据え置かれたということに一番大きな問題があるのではなかろうかと思います。そういった意味では、こういった生産者米価は据え置くことがいいか、上げろとは決して私は言いませんけれども、ただこういった農業の伸びが、生産者米価の値上げによって今日まで大幅にささえられてきたということは、いなめない事実だと思うのです。そういった場合に、生産者米価は現状のまま据え置くとした場合には今後どうなるか、あとで質問しますけれども、ほんとうにいま言われたような抽象的な、農家の所得は昭和五十二年において二百万円の最高限の所得になるということについて、やはり疑問を持つわけです。生産者米価が上がれば、当然その中で所得は上がっていくわけですけれども、そういったことで、ただ言っておるような二百万目標とかいう計画にしても、具体的なそういった要素があるのかどうかということについて、ひとつ御見解をお伺いします。
#82
○渡辺政府委員 実はいま私が言ったような基礎については、指標的経営類型資料というのがありまして、これはこまかく書いてあるわけです。牛が何頭でどこがどうでとこまかくぎっしり書いてあることは間違いないので、こういう計算の資料は一応つくってやっておるわけでして、いいかげんにやっているのではないわけであります。ただこれをここで私が全部読み上げてみたところで、これは意味がないことなので、あとで先生のほうで御要求があれば、要約したものを差し上げて御検討いただく、そしてまた御指導をいただくということが適当なのではないか。なおこれは、経済社会発展計画というものが今度改定をされます。この改定をされるについて、やはりこの内容も少し改定をする必要がある。経済は生きものですから、一ぺんきめたらそれが全然動かぬというようなことではなくて、日本の経済が計画以上にどんどん成長しておるというようなこと等も出てきておるので、それに合わせてやはり経済社会発展計画というものを今回直していこうということで、いまそれを鋭意作業中なのは皆さん御承知のとおりであります。したがって、これも改定をされます。ひとつそれは改定して差し上げたい、かように思います。
 なお、農業所得の鈍化の問題につきましては、確かに生産者米価を据え置いたということも、農業所得が伸び悩みになっておるという一つの原因になっていることは、これはそうだろうと私も思います。しかしながら、生産者米価を据え置いた理由はもっと全然別なところにあったわけでありますから、それは全体として考えるならば、今回生産過剰になるような刺激的な米価をさらにくっつけていくということは適当でない。補助金までやって減反をさせておるというような現況でもありますので、それは別な問題としてお考えをいただきたいと思います。
#83
○小宮委員 政務次官が言われるように、そういうような、ぎっしり数字を詰めて計画どおりいけば、こういった生産調整も起こらなかっただろうと思うのです。まさかその計画の中で生産調整をやらなければならないような、そういうような計画をしていなかったと思うのです。だからこそいま言われたような、ただ農林省なりお役人のそういうふうな計画だけで現実はいかぬところに問題があるわけです。したがって、ただそういった数字があるからこういうような計画をやっておるんだ、それが万全であり、完全のものであれば、そのとおりいくはずなんです。そこでやはり問題は政治は生きものだし、また現実はそうはいかぬわけです。そういったことで私が質問したようないろいろな問題が出てくるわけです。だからその点についてはこれ以上申し上げませんけれども、たとえば倉石大臣は予算委員会で、十一万八千ヘクタールの用途別の転用をはっきりしたわけです。工業用地が二万ヘクタール、住宅用地五万九千ヘクタール、道路など交通関係用地一万五千ヘクタール、建物などの用地が二万四千ヘクタールと言っておるわけですけれども、実際問題としてこれは計画ですからかまわぬですが、計画は、こういった問題はただ単なる計画で終わっては、こういった生産調整を農業者にしいる以上は、やはり責任はあるわけですよ。その点についてはやはり確固たる自信を持っていただかねばならぬし、またその自信のほどを聞きたいわけですが、四十四年度の農地転用の実績の見込みは大体二万五千ヘクタールといわれておりますね。その五倍近くの十一万八千ヘクタールの転用ができるのかということに非常に疑問を持っておるわけです。こういったことを質問してもいや、それはやるんだということ以外にないと思うのですけれども、私はこういったことが達成できるのかということについて非常に疑問を持っておるわけですけれども、やはり政務次官としてはこれは達成できるというように言明できますかどうか。
#84
○渡辺政府委員 これは百万トン、五十万トンというのは、いま言ったように分けて調整をするということでございます。しかし補助金によって百万トンを突破したからそれは計画が百万トンなのだから百万トンで終わりですよというわけではありません。これは大蔵大臣も言っておるように、ともかくしょせん百五十万トンが調整目標なのでありますから、百万トン以上に希望者があった場合には、どんなお金のくめんをしましてもそれはその御要望に応じますという政府内で話し合いになっておるわけであります。五十万トンは一応計画として農地、水田の壊廃、住宅あるいは工場用地、道路用地の先行取得ということを充てておるわけであります。これはまさしくいまおっしゃいますように去年の実績から見ればその三倍にも四倍にもなるような数字で、非常にたいへんだ、たいへん御同情いただきましてありがたく感ずるわけでありますが、これはほんとうにたいへんだと思います。たいへんだからこそ各省間でいろいろと知恵をしぼってそれで取得の用地について目下作業中なわけであります。それと同時に、農地法の基準緩和ということが一般にまだよく知られていないということも実情でありますので、これも早く知らさなければ困るのではないかということで、先ほど、午前中の質問にもありましたように、政府としてもさらに一段とPR活動等をやって、いままでは農地法のために大都市の周辺でも住宅、用地が取得困難であった、工場敷地も取得困難であったけれども、今度は買えますよ、ことしと来年に眼って税金は一割分離課税ですよというようなPRを速急に、いままでもやっておりましたけれどもやりまして、さらに追い打ちをかけてそれが達成のために努力していこうといま努力中である、こういうわけであります。
#85
○小宮委員 念のために聞いておきますが、今回この生産調整をやってまた今後何年かの先に第二次生産調整という問題が起きないかどうか、生産調整というのは今回限りと理解していいのかどうかという点を質問します。
#86
○渡辺政府委員 これは公式なこういうふうな席でありますから、やはりどうしても公式な話に実際はなってしまうわけなんです。予算というものは、年度年度できまっておるわけですから、予算のつかないものまで生産調整をこうしてやりますとか、どうとかいうことを私がしゃべって、また何と言いますか、あやまらなければならぬようなことになっても、これまた実際困るわけでありますから、一応ことしはことしであるというわけであります。しかしながら、過剰な状態というものを放任しておくということはできません。これはいずれにしても何らかの方法は講じなければなりません。われわれは、生産調整によって円満に古々米の上にさらに新しい過剰在庫を積み上げていくようなことはやめさせようというようなことをやっておるわけなんですから、これが成功すれば――成功することをもちろん期待してやっておるのですが、その実績によって来年はどうするかということを考えていかなければなりません。極端な話が、これはともかく金はたくさん出したわ、それは成功しないわというようなことならば、むだなことはできませんから、これは再検討しなければならない。しかしわれわれは成功するようにやっておるのだから、成功して、また生産調整というものがうまく運営されて、過剰在庫がふえないというような方途を考えていくことが必要であろう。要は、ことしの生産調整の結果を見て――結論的に言うと、どういうやり方をやるか、どれが一番いいかということは、どこまでもことしの生産調整の結論を見て、それできめるというのが公式的な話、こういうことになるわけであります。
#87
○小宮委員 そういった公式的な話になればそういうことになるわけですが、われわれ農業者の立場から見れば、やはり公式的なことばかりでなかなか理解がいかない面があるわけですね。まあ私が帰りまして、生産調整はもう今回で終わりなのかと聞かれた場合に、渡辺政務次官は公式的にはこう答えたぞと言った場合に、公式的にはそうだが、逆に言ったら、そういうようなことが――また第二の生産調整が起こるような、またしなければならないようなことが起きるというふうに、逆にまた理解する面があるわけですね。しかしこれは大臣も言っておるように、現在盛んに生産調整をやっておる段階ですから、それ以上のことは立場上言われぬだろうということは理解できまずから、これ以上申し上げません。
 次は、これはひとつ大事な問題ですが、大臣の所信表明の中で、生産者米価、消費者米価の水準を据え置く方針であると述べられているのですね。ことばのあやというものは、どうも日本語はいろいろ多様な意味を持つので、非常に私、理解しづらいのですが、「水準」ということは、単刀直入に、生産者米価、消費者米価は据え置く、そう言えばはっきりするのですね。しかし「水準を据え置く」ということになると、何かどうもあいまいな、ちょっとまた疑ってみたいような、勘ぐってみたいような文句なんですが、「水準」ということはどういうふうに理解すればいいのですか。
#88
○渡辺政府委員 その場合の「水準」ということは、米の総体としての価格の水準を据え置く、こういう意味であって、この中にはいろんな等級の問題もありますし、いろいろございます。しかし等級の中では、それは動くこともあり得るかもしれませんけれども、総体としての価格を据え置くという意味で「水準を据え置く」ということを申し上げておるわけであります。別に他意はありません。
#89
○小宮委員 農林省は、来月の初めに米価審議会を開いて、この米価の算定方式を再検討することになっておるわけですが、そこの中で、いま言ったような銘柄格差の導入とか、また等級間格差の問題が検討されることになっておるわけですが、そういった場合についても、水準は据え置くということですね。
#90
○渡辺政府委員 ことしの四十五年度の米価の水準は据え置くという方針であります。
#91
○小宮委員 四十五年度は据え置くというふうに理解していいのですか。生産者米価も消費者米価も四十五年度は据え置くというふうに理解していいですか。
#92
○渡辺政府委員 そういうように御理解いただいてけっこうだと思います。
#93
○小宮委員 それでは、一つ問題になりますのは、この生産調整を百五十万トンやった、百五十万トンの生産調整をやっても、なおかつ――まあ政府の方針も大型経営農家を目ざしておるわけですから、そこで機械化をして生産性を向上させるというたてまえをとっておるわけですけれども、その意味では、百五十万トンの生産調整をやっても、今後技術革新あるいは栽培技術の向上、こういったこと等によって、やはり生産性が向上してくるということを考えた場合に、生産性の向上と今度の生産調整とは、これは矛盾するのではないかというように考えますが、その点どうですか。
#94
○渡辺政府委員 生産性の向上というのは、何も反当増収ばかりをいっておるわけではありません。これは一つの構造改革の方法でありますから、要は、具体的に申しますと、例を申し上げますと、たとえば非常にたんぼが錯綜をしておる、そのために大型機械化をしようと思ってもできない、あるいはたんぼに段がついておって機械が入らない――これは相当反収は高いのだけれども手数がうんとかかり過ぎる。十アール当たり十四人手間、十五人手間もかかる。これを機械化でやれば、同じ程度の収量がとれて、しかも、これが十人手間とかあるいは八人手間とか、場合によってはもっと少なくなる可能性があるわけであります。したがいまして、これから、米の過剰というような段階においては、米価を引き上げていくということは、事実問題として非常に困難なことである。しかも一方においては、農家所得を増大させろという強い要求があるわけでありますから、そうすれば年々賃金が上がっていくということも、見通しとしていままでの日本経済の繁栄のあり方、今後の政府の計画及び見込み、こういうものからしても労賃というものはまだ値段が高くついていくことなんだから、労賃が上がることは必ずしも悪いということは申せない、けっこうなことだと私は思うのであります。しかしそれと同じように、農家の所得も上がるということになってまいりますと、やはり農家の労賃も上げてやらなければならない。農家の労賃を上げるためには、いままで十アール当たり十三人手間かかったものを、十人手間とかあるいは八人手間に減らしていくということになってまいりますと、減ったものが全部所得にはなりますまい――機械の費用や何かもございますから、なりますまいけれども、そこで現在の手間が節約できるということになれば、その分だけが労賃の値上がりに匹敵をしてくるというわけであります。そういうことで、生産性の向上というものをやらせようとしておるわけであります。一方千四百万トンもお米がとれるということは、過剰生産になりますからこれは困るけれども、しかし一千万トンを切るというようなことになっても困るのであります。やはり千二百万トン程度のお米は、一億の人間が暮らしていく上に必要である。政府の見通しにおいても、大体横ばいでいくだろう、人口は多少ふえるが、一人当たりの消費量というものは、所得水準が高まり、生活が高度化されることによってお米の消費が幾らか減るだろう、しかしそれは両方とも、ともかくプラスマイナスすると、大まかにいって横ばい状態だということですから、千三百万トン程度の米は確保しなければならない。そのお米の確保のしかたについて、われわれは生産を向上させようというのでありますから、これは今回の減反政策と生産性の向上というものは一つも矛盾をしない、かように存じます。
#95
○小宮委員 もう一つ、これは地元の問題で質問したいのです。
 農林大臣の所信表明によれば、生産調整の関連から新規開田、干拓は極力抑制するという方針が言われておるわけですね。そういった場合に、長崎県においては有明干拓の問題があるわけですけれども、この問題が非常な漁業者の反対でここ四、五年間放置されておるような現状でございますが、この問題について農林省としては、政府としては、農業者を重点にするのか漁業者を重点にするのか、いわゆる有明干拓の問題について農林省としての見解をひとつ聞いておきたいと思います。
#96
○中野政府委員 先生御地元の長崎干拓でございますが、予算的には昭和四十年度に着工するということになったわけでございます。ただあのころからノリが非常にブームと申しましょうか、生産が非常に上がってまいりました関係で、専業のノリ漁家の反対が非常に強い、そのためにここ数年ずっと事実上工事できないできております。その間に、先ほど来お話のあります米の需給緩和という問題が出てまいりましたので、あそこをもとの計画どおり水田にするということではもはや干拓をするということは困難だというふうに昨年来われわれ判断しておるわけでございます。
 ただ御承知のように、長崎県は非常に土地がございません、しかも水がない県でございますので、あの諫早湾を締め切りまして淡水湖をつくって、その水を干拓地の畑地かんがいに利用するほか、島原半島その他の畑地かんがいに使う、それから長崎市の上水道、工業用水にも使うということで、そういう多目的の干拓で成功するかどうかということを現在検討をしておる最中でございます。
#97
○小宮委員 それでは次に移ります。
 農地法の改正の問題について質問したいと思いますが、農地というものは耕作者みずからが所有することと定めた自作農主義の農地法に対して、政府は今回農地法の目的に土地の効率的な利用をはかることを加えて、そのために法律改正を行なおうとしておるわけですが、政府の言うこの効率的な土地の利用というのは、農業以外への利用の道を拡大し、促進しようとするものでありますが、これは経営規模を拡大して近代的な農業を目ざして努力しておられる意欲的な農業者、特に青年農業者に大きな影響を与えておるわけです。したがって政府はこの農地法の自作農主義を放棄しようと考えておられるのか、その点についてひとつはっきりお答え願いたいと思います。
#98
○渡辺政府委員 結論から先に申し上げますと、自作農主義を放棄しようなんという考えは毛頭ありません。したがいまして、今回の農地法の改正でもいろいろな制限をつけておりまして、やはり原則として農業をやるものは土地を持つという思想は一貫をいたしております。
 効率的な利用ということは、別に農地をもっともうかる産業にどんどん転用させるということではありません。これはむしろ農地をもっと効果的に使えるようないろいろなくふうをこらしていこう、こういうようなことでありまして、たとえて申しますと、二反とか三反とかいうふうな兼業農家の方が、ともかく農協で田んぼを引き受けて耕作をしてくれるのならば、私は自分の仕事に専念をしたい、ともかく自分で人を雇ってやっておったのでは費用がよけいかかって、しかも専業農家でないからなかなかよくできない。ほかの人は一反歩当たり十俵も取るのに、わしのところは五俵しか取れないとか六俵しか取れない、しかもよけいにかかりがかかる、こういうことはきわめて不経済なことでありますから、それは農協が委託経営をするというような道も開いてはどうか、あるいは自分がつくらずに専業農家に貸して、自分は引っ越していってしまう、それでも不在地主扱いとして土地を強制買収されるようなことはないから、安心して専業農家に貸すこともできる。したがって小作料等も、いまのように四千円とか五千円というような小作料ではなかなか貸してくれる人もないという現状なので、これについてももう少し幅を持たしてやろうとか、効率的な利用方法というものはいろいろあるわけですね。そういうふうな利用方法があるにもかかわらず、現在の農地法では、その時代に合ったことができない。だからこれを時代に合ったように直そう、そういういま私が例示したようなものを総括して効率的な利用、こういうことをいっておるのであって、自立経営農家や、自分で農業をみずからやるという人については、自作農主義というようなものの考え方というものはどこまでも貫いていっておるわけであります。ただ、一部そういうように自分が農業ができない、したくないというような人のために、効率的な利用というものをあわして考える、こういうふうに御解釈をいただけたら幸いと存じます。
#99
○小宮委員 今回の改正案では、農業生産法人の所有する農地の面積並びに借り入れ農地面積の制限あるいはその雇用労働力の制限などを廃止しようとしておりますが、この考え方には賛成するわけですけれども、農業生産の近代化の指標というものは、一人当たりの耕作面積を拡大することにあると思います。したがって、政府が想定している農地の権利の流動化は、はたして比較的少数の農業生産法人に大量の農地を集中することが実際的に可能だと考えておられるのか、その点をひとつお伺いします。
#100
○中野政府委員 日本の農業経営の中心は、個人の農家の、しかもそれは自作地を中心にしました自作農の経営になっております。しかし、先ほどからもお話が出ておりますように、零細な経営のままでは生産力も上げるということにはなかなか限界がございます。そこで零細な農家が集まり、その中心には専業農家が入りまして、生産単位として規模の大きな経営をやっていく必要があろうというふうに考えておるわけでございまして、将来日本の農業経営を全部生産法人的なものにしてしまおうというところまでは考えていないわけでございます。
#101
○小宮委員 農業生産法人が一人当たりの労働生産性を大幅に引き上げるメリットがなければ、この農業生産法人の組織化とかあるいは活発な活動ができないと思うのです。多くの土地と大型の機械化によって経営できるような農業生産法人並びに部落農業協同組合などの共同化法人に対する資金面などの実効ある特別の指導がなければならぬと思うのですが、その点については何か具体的な対策を持っておられますか。
#102
○中野政府委員 生産法人の育成は、いまお話しのようなことでございますので、たとえば生産法人が土地を外から買います場合には、個人の農家は限度一戸当たり二百万ということにしておりますけれども、生産法人の場合は八百万というふうなところまで限度を引き上げております。そのほか、農業近代化資金制度の活用ということも十分できますし、今後ともそういう方面での融資は、めんどうを見ていかなければならないというふうに考えております。
#103
○小宮委員 次は、小作料の統制廃止の問題でございます。現実の農業情勢からしまして、たとえ借り受け農家の経営規模が多少大きくなっても、貸し付ける側の農家の実態から見て、高い小作料を要求するのは人情として当然だと思うのです。しかしそれにこたえるだけの実際の小作料の支払いは不可能ではないかというふうに考えるわけです。したがって、もしそうなった場合は、実際には耕作権の流動というものはあまり期待できないのではないかというふうに考えるわけですが、これに対する見解はどうでしょうか。
#104
○渡辺政府委員 現在の小作料ではなお農地の流動化が行なわれない。だから現在よりも小作料をある程度自由にする。場所によって違います。それは十三俵もとれるところと六俵しかとれないところと同じ小作料であるはずはないのでありますから、それは場所によって非常な差があると思いますが、統制小作料の現在の状態では、農地の流動化が非常にむずかしい。しかしながら、これをある程度自由化することによって、専業農家はもう一俵出しても一俵半出しても採算がとれるということになり、つくっておるほうも六俵しかとれないのだから、掛かりをかけたのでは、小作に出したほうがかえって自分は気楽だというような人も、これは数のうちですから私はかなりあるだろうと思うのであります。したがって、法外もない小作料を要求するというようなことでは流動化はできっこないのであります。ただ問題は、現在自分がやっていることよりも、小作や協業に出したことのほうが身軽になるというような時点で、お互いの利害というものがあるはずですから、そこで話し合いがつけば、私はかなりの程度農地の流動化に役立つものと、かように思っております。
#105
○小宮委員 この小作料の統制廃止、小作地の所有制限を大幅に緩和するとしますと、かつてのような大地主というものは復活されないにしても、小地主というか、そういったものが多くなって、農業者の大部分が小作農的な性格の農業経営となって、生産意欲には、はたして寄与されるのかどうかということを考えるわけです。このような小作関係をつくらぬで、国または地方公共団体がその農地を借り受けて、それを農業者に貸し付けるようにすることは、借りるほうも安心して長期的な耕作を行なうようになるわけですから、そういった意味では流動化政策としては、国または地方公共団体がその農地を借り受けて、これを農業者に貸し付けるということが最も効果的ではないかと思うんですが、その点はどうですか。
#106
○渡辺政府委員 それは国がやりませんけれども、県の公社あるいは市町村が特別会計等も設けて合理化法人、あるいは農協が土地保有合理化法人としてそういう事業をやるわけであります。つまり買い取ったり、あるいは売りつけたり、あるいは買い取ったものを適正規模の農家に貸し与えたり、いま先生がおっしゃったようなことをやらせようというのが今回の農地法、農協法の改正の重要な部分の一つであります。ただ国はやらないというだけであります。
#107
○小宮委員 今回のこの改正案では、市町村または農業協同組合に限って未墾地を草地として共同利用する方針が出されております。これはわれわれも賛成するわけですけれども、ただ疑問に思うことは、小規模の未墾地所有に対してはそれが可能であろうかというふうに考えますが、問題は大規模所有者の未墾地に対して、いろいろな地方に行けばあるわけですが、たとえば政治的な力関係とかいろいろな問題が介在してその実現が困難ではないかというふうに懸念されます。
    〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
この区域内の未墾地がある場合は、市町村とか農協等が必ず開発するというような保証は現在のところ何もございませんので、これらの遊休資源を活用するためには、市町村や農協で必ず開発するということを方向づけるとともに、財政金融上の特例措置を講じなければ、その意味を失うというように考えるわけですが、そういった考え方はございませんか。
#108
○渡辺政府委員 草地利用権の制度は、市町村または農協が、最終的には都道府県知事の裁定によりまして、強制的に草地利用権の設定を受けることができるようにするものであります。未利用資源の開発に寄与するところは私は必ず大きいだろう、こう思っております。また畜産振興上どうしてもなければならない市場基盤の確立ということを期するために、従来から草地開発事業等草地造成を積極的に推進をしてきたところではありますが、明年度はこのために三万一千ヘクタールの計画で、七十七億三千四百万円を予算に計上しておるわけであります。本制度の活用によりまして、各地域の草地開発計画に応じて草地の開発が一そう円滑になることであろう、かように期待をしておるわけであります。
#109
○小宮委員 いま私が質問した未墾地の問題は、小規模の場合は非常にその問題が可能であるとしても、大きな未墾地を開墾する場合に、諸般の政治的な問題とかいろいろな問題が介在して、非常に開発が困難ではないかということについて、ちょっとまた見解を述べてください。
#110
○渡辺政府委員 これは別に大きいからだめだとかどうとかということは考えていないわけであります。ただ利用権の設定できる土地というのは、一定の基準に適合する傾斜、土性の土地で、これを農業のために利用することが国土資源の利用に関する総合的な見地から適当なもの、こういうものについて草地利用権の設定をしようというわけであります。それが大きいものは政治力があるからだめだとか、そういうことは考えていないので、草地に適するかどうか、そこ以外にはその地域では適当な草地をつくるものはないというような場合には、それは大きくとも小さくとも、いま言った条件に合致するものについては、個別に、ケース・バイ・ケースでありますが、検討して、知事がこれを裁定をして草地利用権を設定する、こういうことになっておるわけで、大きいものはだめだということは、どこからも出ておらないわけであります。
#111
○小宮委員 いや、その点は、法律上の精神からいけばそういった問題は問題ないと思うのですが、実際具体的な現実的な問題としてそういった懸念がされますので質問したわけですけれども、その点はちょっと先がありますからその辺にしておきます。
 それでは、この農地法の一部改正の問題と関連して、私は国有林野の活用の問題についてもちょっと触れてみたいと思います。
 最近わが国の農業を取り巻く諸情勢に対応した農業政策を円滑に実施するために、第六十一回の国会で成立を見ましたところの農業振興地域の整備に関する法律をはじめとして、ただいま審議をされております農地法の一部改正、さらには幾たびか政府から提出されましたところの国有林野の活用に関する法律など、これら一連の均衡ある制度の制定が肝要であろうというように考えるわけです。私は、本日は特に農地法と国有林野との所属がえ制度という観点に立って質問いたしますから、政府の方針を明らかにしてもらいたいと思います。
 まず農地局長にお尋ねしますが、農地法第四十四条は土地の買収の対象を規定しておりますが、現在この対象として買収した民有地はどれくらいありますか。
#112
○中野政府委員 農地法の前の自作農創設時代から未墾地の買収をやっておりますけれども、合計いたしまして民有地が七十九万ヘクタール、それから所属がえをいたしましたもの、これは国有林野、それから大蔵省その他含めまして七十一万四千ヘクタール、そのうち国有林野からの所属がえは二十七万一千ヘクタール、こういうことになっております。
#113
○小宮委員 終戦直後において食糧事情や雇用の場を与えるという観点から、確かに私有地に対して国の干渉による買収ということもやむを得なかったとうなずけるのですが、もはや社会的な事情は一変しておりますので、このような国の干渉による私有地の買収というものは時代に逆行するのではないか、また一方米作の抑制まで現在行なわれておるわけですから、このような農地法第四十四条の規定といったものは不用ではないかというような感じすらするわけですけれども、この四十四条を存置しておく根本的理由についてお伺いします。
#114
○中野政府委員 ただいまお話しのように、終戦後のような食糧事情なり社会情勢でございませんので、強制的に未墾地を買収しまして、それを自作農創設に使うということはむずかしいかと思います。そこで、われわれといたしましては、昭和三十六年からそういう強制買収をしてやるという制度を原則的には停止をしております。しかしながら、それまでに買収しましたところでまだ開拓パイロット制度等に現に売り渡しをやっております。それからまた、買収して開拓農家に売り渡しました一つの地区の中でも、たまたま買収漏れがあるというようなところでは、買収をしてそれを農家に売り渡しをしておるという実情がございますので、これを直ちに廃止するということは困難だというふうに考えております。
#115
○小宮委員 国としては原則として農地用の造成事業のため新たな用地取得は行なわないこととして、事業に必要な用地は事業申請者の自己調達とするのが現実の姿であろうと思うのですが、この点どうですか。
#116
○中野政府委員 そのとおりでございまして、現在われわれは農地造成事業を各方面で進めておりますけれども、土地は相対売買を原則としてやっております。ただ、過去に持っておりましたわれわれの開拓財産はそういう農家のために売り渡しをやっておるわけでございます。
#117
○小宮委員 最近農地法第四十四条で買収しているものにはどのようなものがどれくらいあるかということは、先ほどちょっと言われたわけですけれども、一方民有地の買収は行なわないと言っておきながら、国有林野の活用だけは積極的に行なうということになっていますが、この国有林野の所属がえ制度との関連はどう考えたらいいのですか、また国有林野という財産は林業経営を主としたところの行政財産であると思うのですが、積極的な活用を行なおうといったって、国有林野の行政目的がそこなわれるまで積極的にやるということではないと思うのですが、その点どうですか。
#118
○中野政府委員 現在国有林野につきましては、いまお話しのように、国有林野の面から絶対これは無理だというようなところは別に農業構造改善のために使っているわけではございませんで、一定の地区について農業構造改善のために使ったほうがいいというような場所につきましては、あらかじめ知事あるいは農政局長と営林局長とが相談しまして、これは活用したほうがよろしいというところについて両者の意見の一致したところを使っておるというような形で現在進めておるわけでございます。
#119
○小宮委員 それでは、国が国有林野だけを開拓財産としておるということについて、すっきりした考え方を示してもらいたいと思うのです。私は、この国有財産の処分をめぐっていろいろな黒い霧が取りざたされるたびに思うのですが、国有林野が、農地法というパイプを通じて、現在では考えられないほど安い価格で手に入るわけですね。現在の農地法の政令価格は一般価格に比べて非常に安いわけです。そこにいろいろな黒い霧の芽を抱く温床があるといわれておるわけですが、こういった問題についてすっきりしたほうがいいのではないかという考え方を持つのですが、どうでしょうか。
#120
○中野政府委員 林業基本法の第四条にも、場所によっては農業構造改善のために積極的に活用するということになっております。そしてそういう場合に、先ほど申し上げました手続を経てきまりました農地につきましては、やはり地元農家の経営規模の拡大のために役立てる。そのためには原則的にはやはり自作農といいましょうか、経営者が土地を持つということが一番望ましいわけでございますので、林野庁から農地局のほうに所属がえを受けまして、現在農地造成事業を進めておるわけでございます。私としては基本的な考え方はこういう方向でいいのではないかというふうに考えております。ただ問題は、いま御指摘のような事態がございます。かって、そういうことでせかっくの農地を造成したところが、その後観光地その他になったではないかというお話等、前国会での国有林野の活用法のときにもいろいろ御議論があったわけでございます。かつての土地についてはなるほどそういうことはございましたけれども、最近の農地造成事業につきましては、そういうことのないように十分気をつけてやっておるはずでございますし、今後ともそういたしたいと考えております。
#121
○小宮委員 現在、国有林野を農用地として所属がえした実績はどれぐらいで、もしこれを時価で売り払ったとすればどれくらいの金額になりますか。
#122
○松本(守)政府委員 お答えいたします。
 いままで所属がえのつど、そういう比較の計算はいたしておりませんので、はっきりは申し上げられませんが、ある年度からある年度の実績について一応試算をした結果では、約三倍と申しますか、三分の一と申しますか、そういう開きがございます。
#123
○小宮委員 いまの時価でどれくらいになりますか。
#124
○松本(守)政府委員 その時価はちょっと計算いたしかねると思います。ある年度からある年度の数カ年について比較した結果が約三倍の開きがあった。それを時価に直すと幾らくらいになるかということは計算いたしておりません。
#125
○小宮委員 この政令価格というものを設定したからには、時価に対してどれくらいの価格で取得させようとしたのか、その意図があったと思いますが、健全な農業の振興をはかるためには、土地取得のためにどの程度国は軽減措置を講ずる必要があったかということを明らかにしてもらいたいと思います。
 私はこの際、この農地法の改正に伴って先ほど申し上げましたような現実に適用されていない第四十四条の規定は削除してもいいんじゃないかというふうに考えるわけですが、先ほどの話では、まあ現在は実際これを適用しておらぬけれども、いままでの分があるから、すぐには廃止するわけにはいかぬというようなことを言っておられますが、将来はこういった問題は廃止する考えはございますか。
#126
○中野政府委員 現在やっておりますようなことが全部なくなりまして、その先にどうするかというときは、その時点ではあるいは考えなければならないと思いますけれども、まだ先ほどからお話ししておりますような国有林活用との関連も、また一方では非常に熱心な御要望もございますものですから、直ちにこれを廃止するというところまでわれわれとしては結論は出しがたいと考えております。
#127
○小宮委員 そうしますと、同じ国有林野の売り払いでありながら、国有財産の規定による売り払いの場合と農地法の規定による売り払いとではあまりにも格差があるわけですね。したがって、国有林のない地域ではこの種の助成には浴せないとするならば、このような助成を得られない地域の土地取得にあっても何らかの土地取得のための助成措置が講じられてしかるべきであるというふうに考えます。この点について、農政は、そのような国有林があるところ、そういった農地法の第四十四条によって恩恵を受ける地域はそれでいいけれど、そうでないところはやはり片手落ちの感がするわけです。したがって、日本農業における資本の装備や土地生産基盤の零細なる現状を考えるならば、農業の健全な発展育成という立場からは、必要ならば当然土地取得のための経費の軽減措置について配慮されるべきだと思います。しかし、だからといって国有林野の所在する地域に限られるような措置であったり、国有林野に犠牲をしわ寄せするということについても、わが国の農政推進上妥当な策とはいえないと思うのでありまして、いかなる地域にもひとしく助成さるべき措置が必要であると思うのであります。また一方、この政令価格によって農政協力という立場からみずからの林業生産の場である土地をさいてきた国有林野事業について考えますと、御承知のとおり特別会計制度により運用されているのでありまして、国民のために企業的な運営をになっておる点を考慮すれば、時価とこの政令価格との差は国有林野事業に負わせるべきではなく、別途国の会計から補てんすべきが当然ではないかと思いますが、その点どうですか。
#128
○中野政府委員 現在、先ほどからたびたび御指摘のように、実際の問題としまして林野庁からわれわれのほうに所管がえになりました未墾地を農家に売ります場合の価格が安いわけでございますが、ただ、それは今度の農地法の改正をお通しいただきますれば、そういう政令での価格も検討しなければならないというふうには考えておりますけれども、その際も、現在もそうでございますけれども、やはり農家に売る以上は農業採算の合う価格でなければならないというふうに考えます。と同時に、未墾地でございますから、それを開墾費等を差し引いた値段ということを考えなければならないと思うわけでございます。その際に、国有林野であるからこれは別の価格で評価をして、そして同じ国の会計に移す場合に、別途金を一般会計からそちらにもらって、林野庁に別の値段を払うということはなかなかむずかしいのではないか。その値段の低さということについては今後検討の余地があるかと思いますけれども、やはり先ほど申し上げました林業基本法でもありますようなことからいたしますと、これはあるいは農地局長が答えるのはおかしいかもわかりませんけれども、その点は同じ国同士として御協力をいただく面はいただいたほうがいいんではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
#129
○小宮委員 したがって今後ともこの政令価格というものを設けるとすれば、その一般時価との差額は国有林野特別会計に繰り入れるということについてはどう思いますか。
#130
○中野政府委員 ただいま申し上げましたように、もし差額がありとすれば、まあその差額がどうやって出るかというのは私よくわかりませんけれども、ありとすれば、それを一般会計で農地局のほうで要求しまして、そしてその分を林野特別会計に繰り入れるというのはなかなか困難なことではないかと考えております。
#131
○小宮委員 次は林野庁のほうに質問しますが、現在国有林野で所属がえしたものの対価はどれくらいですか。またその対価の繰り入れ法はどのようにして行なわれているのですか。
#132
○松本(守)政府委員 所属がえしたものの対価はいままでのものの四十三年度まで合計をいたしますと二十一億七千百万円になります。
#133
○小宮委員 繰り入れの方法は。
#134
○松本(守)政府委員 繰り入れの方法は、自作農創設特別措置特別会計法によります特別会計のほうから毎年一定額を繰り入れております。
#135
○小宮委員 これは林野庁長官に質問しますが、林野庁は農林省の内部ではまま子扱いにされて、まあ庁内の内ゲバでだいぶんしごかれておるといううわさを聞くのですが、その点はどうですか。
#136
○松本(守)政府委員 そんなことはないはずでございます。いままでは国有林もその会計が非常に順調でございまして、その剰余金の一部は一般林政その他に協力を申し上げるというたてまえになっております。そういうこともございますのでできるだけの協力は申し上げたい、今後もそのように考えております。
#137
○小宮委員 ひとつこの際思い切って農地法に基づく売り払いをやめて国有財産法による売り払い一本に踏み切り、別途必要あればこの減額措置を考えるとか、土地取得のための助成措置を講ずるとか、農地として利用する限りは貸し付けにして所有権は保留しておくという方法などがあると思いますが、その点についてどうですか。
#138
○渡辺政府委員 土地の取得について取得の資金の制度がございます。なお、国有林野の活用につきまして従来から農地法による売り渡し、こういう形式のもの、また共同利用の採草放牧地等について貸し付けにより処理をしてきたわけであります。なお、地区の実情によって売り払いをするということがどうも適当でない、ほかへ転売されるようなおそれがあるじゃないかというようなところもあろうかと思いますので、今後貸し付けをするということを原則にしてまいりたい。なお、売り払い等のようなものについては、他に転売するという場合は買い戻すというような条件をつけることも必要であろうと思うのであります。
 いずれにいたしましても、安い値段で国有林野を農業といえども払い下げたところが、それが所期の目的以外のものに使われて、国有林の恩恵を受ける一部のものが甘い汁を吸うということは国民感情上もおもしろくないことでありますから、そういうふうに所期の目的以外のものに転用される、金もうけの材料にされることがないように厳重に規制をしていきたい。しかし一方において、やはり国有林野を活用さしてもらわなければ新しい畜産等の産業がやれない、こういうような地域については目的どおりに使ってもらうということで厳格に規制をして国有林野を貸し付けていく、こういうふうな方向で進めてまいりたい、かように存じます。
#139
○小宮委員 これは宮脇会長に質問したほうがよかったかとも思うのですが、ひとつここで質問いたしたいと思うのです。
 この生産調整そもののは農協自体にとっても大きな影響があるわけでありまして、農協の試算によりますと、一割減反によって農協の手数料、資材、資金運用利回り等の減少によって一農協当たり百二十万円の減収になるといわれております。四十二年度において百二十万円未満の剰余金を出しておる農協は全国で四七・九%、欠損組合が二・八%、したがって一割減反による減収によって約半数の農協は赤字経営になるおそれがあるということがいろいろ指摘されておるわけです。もちろん、これについては合併促進等もあろうかと思いますが、こういった事態に対しての農林省としての指導並びに対策はどのように考えておられますか。
#140
○池田政府委員 米の生産調整によりまして確かに農協の経営に影響を受けるわけでございまして、ただいまお話がありましたような、これは想定でございますけれども、平均的に見ますと、単協、一組合につきまして大体百七十万円ぐらい減収になるのではないだろうかというふうに一応想定をいたしておるわけでございます。これはもちろん、そういうことによりまして農協としてはマイナスの影響を受けるわけでございますが、私どもは、これによりまして直ちに農協の経営が非常に行き詰まる、こういうことには必ずしもならないと思うわけでございます。と申しますのは、米の生産調整は休耕ということもかなり多いとは思いますが、同時に、私どもはやはり転換を極力奨励していくという方針でおるわけでございます。そういうことによりまして他の部門の生産がふえまして、農協がそれを扱うということでございますならば、その収入がまた加わる、こういうこともあるわけでございます。また、そういうことのほかに、農協といたしましても、当然経費の節減等については従来からも努力はいたしておりますし、またさらに積極的にそういう点の努力をする必要があると思っておりますので、そういうことで農協内部でいろいろ御努力を願いますならば、これによりまして農協の経営が非常に赤字に転落するということは避け得るのではないだろうかと考えておるわけであります。
#141
○小宮委員 時間を急ぎますので先へ進みます。
 グレープフルーツの自由化の問題について重ねて質問したいのですが、これはわが党の合沢委員も質問いたしましたけれども、重ねてひとつ質問したいと思います。
 議事録により政府委員の答弁を見てみますと、四十四年の十月開かれた日米交渉においてアメリカが日本産の温州ミカンの輸入解禁州を実質的に拡大するとの了解のもとに、日本はグレープフルーツを四十六年末をめどに自由化することを明らかにしております。そうして昨年十月十七日の経済閣僚協議会で四十六年末までに自由化することを決定しておりますが、ここで私が質問したい点は、いまいう解禁州を実質的に拡大するということはどういうことなのか。たとえば一州でも拡大したら自由化をするということなのか、その点ちょっとお伺いします。
#142
○荒勝政府委員 われわれといたしましては実質的という解釈につきましては相当内部でも議論をいたしておりますが、やはり一州だけで直ちに実質的に解禁州がふえたというふうにはとっていない次第でございます。
#143
○小宮委員 それでは一州だけでは解禁州がふえたということには解釈しておらないということであれば、実質的な拡大というものの解釈をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#144
○荒勝政府委員 その辺につきまして、たとえばアメリカの内部でも――具体的に私はまだ十分存じておりませんが、検疫、植防上の関係で内部的に各州間におきましても相当な移動の制限措置等がアメリカは行なわれているようであります。したがいまして、よその州のミカンが自由に入ってくる州等につきましてなおかつ日本のミカンを相当制限する、こういうふうな事態はやはり実質的に制限するものとみなさざるを得ない、こうわれわれは見ております。
#145
○小宮委員 それではそういったいろいろの問題はありながらも、すでに決定しておる昭和四十六年末の自由化というものは実施しようと考えておられるのか、それともそういうふうな実質的な拡大ができなければ自由化は延期するという考えなのか。これはこの前合沢委員の質問に対してもどうも抽象的で、はっきりした明確な答弁がなされておりませんでしたので、ずばり聞きたいのは、そういうふうな拡大ができなければ自由化は延期するということなのかということです。
#146
○荒勝政府委員 われわれといたしましてこの間の日米交渉におきましてアメリカと相当激しく本件につきましては議論しておりまして、アメリカ側といたしましても当然先般の日米交渉のいわゆる了解事項に基づきまして、日本産の温州ミカンの輸入解禁州を今後実質的に拡大の措置をとるもの、われわれはそういうふうに信じている次第でございます。
#147
○小宮委員 どうも要領を得ませんけれども、時間がございませんから最後に要望を申し上げたいと思います。
 日本農業の転換期にあたって、農業者の不安を取り除いて、今後の農業者の生活、営農設計に遺憾のないよう配慮していただくと同時に、総合農政なるものの具体的なプログラムを、期間、年次別計画、財政もくろみをすみやかに作成して示してもらいたい。
 それから二番目が長期的かつ総合的な食糧需給計画を作成して、この農用地の開発利用計画を策定し、生産調整に関連する水田の転用施策はその一環として実施していただきたいということなんです。
 以上、二点を要望申し上げまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。
#148
○渡辺政府委員 ただいまの総合農政の年次別等の計画、また長期食糧計画、どういうようなものはそれぞれ農林省においても検討いたしております。
 なお、私が先ほど小宮先生の質問に対して、最後に国有林野の問題についてお答えをした中で、国有林野の問題については、いろいろ事件のあるようなところは原則として貸し付けをするというような発言をしたとするならば、これは少し間違いでありまして、私の答弁は次のように統一して訂正をしておきたいと思います。
 国有林野の活用については、従来から農地法による売り渡しによるほか、共同利用の採草放牧地等について、貸し付けにより処理をしてきたところであります。なお、地区の実情によっては、売り渡しによらず貸し付けする等の方法をとることについても検討してまいりたい、このように訂正をしておきたいと存じます。
#149
○小宮委員 私は先ほどの渡辺政務次官の答弁をそのままひとつ信じたいと思っておったのです。訂正をされましたけれども一応そういった考え方を十分に配慮していただきたいということを申し上げたいと思います。
 これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
#150
○三ツ林委員長代理 千葉七郎君。
#151
○千葉(七)委員 農地法の改正案並びに農協法改正案につきまして質問をいたしたいと存じますが、農地法の改正案は、国会への提案が三回目と承知をいたしております。しかも今度の改正案は、前回の提案と全く同一である、その内容は何ら変わりがないというように承っておりますので、したがってこの改正案の成立に対しましては、当局も最も重点を置いておられる法案だと私は理解をいたしておるわけでありますが、国の農地の制度を変更をするという事柄は、国の農業政策の基本を変更する重大な問題だと私は思うのであります。したがいまして、この農地法の改正の問題と関連をし、あるいはまた、その前提の問題としては、日本の農業政策の問題との関連性についての明確な政府の見解をお聞きをした上で、この改正案の内容の審議に入りたい、私はそのように考えておるのであります。
 たとえば、この農地法とそれから農業の国民経済における位置づけの問題であるとか、あるいは政府が発表されました総合農政と今度の改正案の関係であるとか、あるいはまた、農産物価格の問題あるいは生産性向上の問題、それらの問題との関連においてこの農地法の改正の問題を審議しなければならぬ、かように考えるのでありますけれども、これらの問題は、いずれも日本の農業政策の根本の問題でありますから、したがいまして、私はその最高の責任者である農林大臣の意見をお聞きいたしたいと思うのであります。したがって、これらの問題等につきましては、大臣の出席をいただきまして、あらためて質問をいたしたいと思いますので、きょう大臣が御出席になるそうでありますけれども、きょうの予定は田中委員が質問をなさることになっておるのでありますから、来週あらためて、農林大臣が出席されました際に、これらの問題について御意見をお伺いいたすことにいたしまして、きょうは、時間もあまりありませんので、ただいま提案をされておりまする改正案の内容につきまして、それぞれ当局のお考えをお伺いしたいと思うのであります。
    〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで、お伺いいたしたいのは、今度の改正案は、現行の農地法が目ざしておる目的に対して非常に重大な変更を加える結果になるのではないか、私さように感じておるわけであります。というのは、農地法の第一条には、御承知のとおり現行の規定では、「この法律は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護し、その他土地の農業上の利用関係」云々、こういうふうに規定をされておるわけであります。これに対しまして今度の改正案は、「耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図るため」云々、このように改正をされるわけであります。現行法によりますると、この土地の農業上の利用関係の調整は、第一には農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認める、そしてその権利を保護するのだということをまず第一に強調しまして、「その他土地の農業上の利用関係」云々と定められておるのでありますが、今度の改正案は「耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図る」と、こういう改正案になっておるわけであります。したがって、農家の農地の取得を促進する、そしてその権利を保護するということと並んで、つまり同等の目的として「土地の農業上の効率的な利用を図る」、こういうふうに、目的が農地の取得とその権利の保護、それから、土地の農業上の効率的な利用とは同等の資格において改正がされる、こういうような感じがするわけであります。したがいまして、このような改正が行なわれるといたしますと、従来の耕作者の農地の取得、そして、その権利をまず第一に保護するんだということが非常に希薄になって、そして、土地の「効率的な利用」のほうが大きく重要性が増してくる、こういうふうに考えられるわけであります。したがって私は、今度の改正案は、従来の農地法の目的、農地法の性格、そういうものを大きく変更して、そしてむしろ農家の農地の取得あるいはその権利というものが、何と申しますか軽く考えられて、むしろ土地の農業上の効率的な利用を重要に考える、そういう思想がここに含まれているんではないかという感じがするのでありますが、その点、当局のお考えを聞かせていただきたいと存じます。
#152
○渡辺政府委員 結論的に申しますと、やはりいままでの自作農主義的な思想というものはそのとおり受け継がれておるわけであります。ただ、時代の変遷に伴って、先ほども申し上げましたように、一方においては、規模の拡大、こういうことがいわれておるわけであります。また、他方においては、非常に労働力が逼迫をしておる。一方また、農家所得の増大をはかっていかなければならぬ、そういうときに、二反歩とか三反歩とかいうような土地を持って兼業されておるというような方、これが人に土地を貸すことも事実上としてなかなかできない、あるいは土地を貸して転居することも、これは取られてしまうということでできないというようなことであります。しかし、この状態をそのまま放置をしておくということは、必ずしも土地を持っている人にとってもプラスではありませんし、また、日本の効率的な農業をやるという点においてもプラスにはなりません。したがいまして、やはり時代の進展に合わせて、そういうような場合は、協業に土地を提供できたり、あるいは専業農家に貸して自分が転居しても、所有権がなくなるというようなこともなく安心していられたり、そういうようなことで土地の流動性をはかっていこうというような点から「効率的な利用を図る」という文言が入っただけであって、やはりいままでの農地法の思想というものは、それはそれとして受け継がれておるわけであります。
#153
○千葉(七)委員 御答弁のとおりだと私も思います。農地は耕作者が所有することを最も適当と認めるということを否定しているものでもありませんし、それからまた、その権利を保護しないというのでもありませんから、したがって、この問題については、現行法の精神を受け継いでおられるということはもちろん私も否定をするわけではないのでありますが、ただ、この改正の目的が、それは否定してないのだけれども、むしろこの「並びに土地の農業上の効率的な利用を図るため、その利用関係を調整し、」というところに重点が移されてきているのではないかということを私はお伺いをいたしておるわけなんであります。
 その証拠には、下限面積の引き上げあるいは上限面積の撤廃、こういうところに端的に明瞭にあらわれておるような感じがするのであります。従来の所有の下限面積は、言うまでもなく三反歩、三十アールでありますが、今度はこれを五十アールに引き上げをするわけでございまして、したがってその考え方の根本は、五十アール以下の農家はその土地の所有を許さない、あるいは、もちろんその所有の権利も保護しない、こういう考え方が基本にあるわけであります。しかし、いま日本の農業の実態を見ますと、東北地方あるいは北海道等はもちろんそうではありませんけれども、西日本あるいは四国方面、九州方面、ことに四国等はそうだそうでありますが、三反歩程度の農家が非常に多い。むしろ四国なんかは、三反歩程度の農家が全体の農家の四〇%近い数を占めておると聞いております。しかも四国等におきましては、この三反歩程度の農家経営規模によってもりっぱに農業が成り立っておるそうであります。たとえば園芸作物農家あるいは果樹の農家、そういう農家は、三反歩の経営規模でも、りっぱな、いわゆる自立農家として成り立っておる、そういうように聞き及んでおります。しかも、今度のこの下限面積の引き上げというのは、私が申し上げましたように、三十アール程度の農家の土地の所有を原則的には認めない。しかして、その所有権も保護しないという考えに立っているということは、その下限面積の引き上げの点から考えても、そういう土地の効率的な利用ということを主体として、従来の農地法の、農地は耕作者みずからが所有することが最も適当であるということ、そして、その権利を保護するということが軽視をされている結果といわれてもしかたがないのではないかという感じがするのでありますが、その点もう一度、この下限面積の引き上げにからんでひとつ見解をお示し願いたいと存じます。
#154
○渡辺政府委員 下限面積を引き上げたというのは、御承知のとおり、農家が規模を大きくするということについては、どなたも御異議がないと思うのであります。したがって、それとは反対に、農業の規模がだんだん零細化していくということは好ましいことではありません。現在は三反歩というようなことになっておるわけでありますけれども、規模を大きくするというからには、やはりある程度下限面積を上げるということが規模を大きくすることに役立つであろう、現在三反歩持っている人が、あるいは一反五畝持っている人が、農地法の保護を受けなくなるとか、土地を持っちゃいかぬとか、そういうのではなくして、これから農業をやるんだといって土地を農地として取得する場合は、それは一反歩ぐらいあるいは一反五畝ぐらい取得しても、国全体から見ると、なかなか農家として経営が成り立つまい、だから五反歩以上にしてくれ、こういうことであります。新たに土地を農地として取得をするという場合には五反歩以上にしてほしい、こういうようなことであって、現在持っている人を特に圧迫するというような思想は全然どこにもないわけであります。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたような心配はなかろうと存じます。なお詳しいことは農地局長から補足的に説明をさせます。
#155
○中野政府委員 ただいま香川等の例をお引きになりましたですが、私もそういう実態をよく存じております。その場合に二つの例外措置がございまして、一つは、一つの昔の市町村ということをお考えいただきましても、そこは十分そういう集約的な経営で五反以下でも成り立つというようなことであれば、知事が特例でその地域をきめまして、五反を三反に引き下げるということも可能でございます。
 それからまた、そういう地域ではございませんで、個々の農家が、たとえば三反ハウス農業をやっている場合、あと一反広げたいといった場合も、集約経営という認定ができますれば、そういう農家の新しい土地の取得は認めるということも例外的にやることにいたしておりますので、そういう面からの御心配はないかと思います。
#156
○千葉(七)委員 それでは、その点についてなお確かめておきたいと思うのですが、たとえば地域によっては、これから新しく農業をやろうという人が、三反歩、つまり五反歩以下でも、おっしゃるように、ハウス農業であるとか、あるいは養豚であるとか、あるいは果樹とか園芸とか、そういった農業は、五反歩以下でもこれは当然成り立ちますから、したがって新しくそういう農業をやりたいという人があった場合には、そういう希望の者がある場合には、その個々の人を対象にして知事が許可をするか、あるいはまた、地域、地域でその許可の地域を指定するか、それはどちらなんでありますか。
#157
○中野政府委員 両方やるつもりでございます。地域としてその村全体がやはりそういうことを考えるべきときは地域としてやります。その点につきましては、現在三反歩ということできめておりますけれども、すでに旧町村にしまして二千八百町村ぐらいは三反歩以下の面積をきめております。したがいまして、これが五反に上がりました場合には、もう少しそれがよけい出てくるかというふうに想定しております。
 それからもう一つ、個別の場合には、現在の政令で、草花等の栽培でその経営が集約的と認められることというのを例外的に許可をするということにしております。両方ございます。
#158
○千葉(七)委員 了解をいたしました。しかし、政務次官の答弁によりますと、日本の農業を発展させるためには、経営の面積を拡大することがまず先決の条件だ、私もそれはそのとおりだと思います。しかし、それは唯一絶対のものだとは考えておりませんけれども、それもまた要件の一つであると私は思っております。ただ、問題は、この経営の面積を広げるために、五反歩以下の農家はなるべくつくらないのだ、零細な農家というものはこれからつくらないのだ、そういう考えの上に立ってこの改正をしようということであれば、その許可等についても、いろいろな政府の条件、あるいは行政の指導等が伴いがちになってくるのではないかということが懸念されるわけであります。できるだけ農家の数を減らして、きのうは松沢君から、農村から追い出すというようなお話が出ましたが、私は必ずしも農村から追い出さなくても、つまり離農促進という基本的な考え方からするならば、できるだけ三反歩農家というのをつくらないという行政指導が行なわれるのではないか、そういう点が各県に対して要請されるんじゃないかというようにも考えられますので、そういうことのないように、面積が小さくて、そして農業の経営が成り立たぬということになれば、何もこれから新しく成り立たない農業をやろうという人はないはずですから、したがってそういう小面積でも成り立つ農業、ことにいまの相続関係からいいますと、農地が細分化する傾向、可能性もあるわけでありますから、したがって、そういう関係から三反歩でも農業をやりたいという人に対しては、やはり民主主義でありますから、人民の希望は、これは職業選択の自由もあるわけですから、そういう人に対しては、その希望一を抑圧するというようなことのないように、十分政府においては留意をされたいと私は思います。
 それから、続いてお伺いいたしますが、上限の面積の制限を廃止するというその根拠であります。政府の総合農政によりますと、日本の農業の中核として、四町、五町程度の自立経営農家を中核として日本の農業を発展させよう、この考え方が総合農政の基本になっておるわけであります。とすれば、現行の農地法においては、内地においては所有の最高限が三町歩、ただし自家労力で経営ができるとすれば四町でも五町でも所有ができるわけであります。しかるにもかかわらず、この上限の面積の制限を廃止するという基本的な考え方、その根底はどこにあるかということをお伺いいたします。
#159
○渡辺政府委員 上限の面積を廃止するということは、いままででも、御承知のとおり自家労力でやると三町歩以上あってもこれは差しつかえなかったわけであります。ところが、自家労力だけで規模を広げていくということはなかなかむずかしい。他人の力をかりるというようなことはいけないということではこれまた困るわけであります。したがいまして、自立経営農家としてやっていけ、あるいはまた農場式の形態をとれるような道も開いてやることが、今後の農業にとっての新しい課題であろう、こういう点から、まあ上限の面積を撤廃したほうが農家の規模拡大にも役立つし、近代的な農業経営体というものもできやすくなるからこれが撤廃をした、こういうふうに考えていただきたいと思います。
#160
○千葉(七)委員 そこでお伺いしたいのは、この所有面積の上限の制限の撤廃、これと同時に、今度の改正案が目ざしておるのは、常時農業に従事しておる者が農地を所有する際には、無制限に所有をしてよろしい、こういうこと。そして、その家族がまた常時農業に従事をしておる場合には、その農地を所有する人が常時農業に携わっていなくとも、家族が常時農業に従事しておれば、この上限の面積の撤廃によって無制限に土地の所有ができる、こういうことになると思うのですが、そうですか。
#161
○中野政府委員 お話しのとおりでございまして、その点は、現行法におきましても、日本のように家族農業経営の場合に、働いております主人とその奥さんと別々に計算をするというのはなかなか実際問題としてむずかしいわけでございますので、現行法も、今後も家族全体としてのものの考え方をとっておるわけでございます。
#162
○千葉(七)委員 私は、現行法では常時農作業に従事をするということになっているように覚えておりますが、そうじやなかったでしょうか。
#163
○中野政府委員 その点につきましては、先ほどあるいは説明をはっきりいたさなかった面がございますけれども、今度の改正案では、三条の第二項の四号におきまして、その本人あるいは世帯員がその取得後において行なう耕作または養畜の事業に必要な農作業に常時従事すると認められる場合は許可をするということにいたしております。現行法では、効率的に利用して耕作または養畜の事業を行なう場合は認める、こういうことになっております。今度の場合は、作業にも常時従事をする、この点は、先ほど多少御議論がございました上限面積をはずしますと同時に、少なくとも自分の労力がある限りは必ず働く、そういう人に土地の取得を認めるんだという思想を明確にしたわけでございます。
#164
○千葉(七)委員 現行法では、常時自家労力で農作業に従事をしておれば三ヘクタールの制限をこえて土地を所有することができる、こういうふうになっておるわけですね。ところが、今度の改正案では、その世帯員が取得後において農業を営めばよろしい、こういうふうに改正されているんじゃないかと私は覚えていたんですが、その点はいかがでしょう。
#165
○中野政府委員 いま御指摘のように、現行法におきます場合は、第三号で「主としてその労働力に依存するだけでは効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行なうことができない」ということが書いてございます。それに対応いたしまして、今回の改正では、第二項によりましてその取得しようとする農地を含めまして、今度経営しようとする農地のすべてについて耕作または養畜の事業を行なうと認められない場合は取得できないということにあわせまして、第四号で、私が先ほど申し上げましたように、常時農作業に従事すると認められない場合は許可をしない、こういうことにしておるわけでございます。
#166
○千葉(七)委員 そこで、たとえば土地所有者の家族の一人が常時農業を行なっておるという場合には、この土地の所有が無制限に認められるということになりますと、大地主発生の危険性が非常に強くなってくるのではないか、このように考えられるわけであります。これは昨日の参考人の宮脇農協中央会長もその点を指摘をしておるのでありますが、私もそういう可能性が非常に強くなってまいりまして、そして戦前の大地主発生の可能性が非常に強くなる。しかして、みずから経営をするという名のもとに、戦前のようないわゆる小作制度が復活をするのではないかといったような可能性も出てくるのではないか。その危険も出てくるのではないか。何らかの形においてみずから経営をしているんだという名のもとに、形は変わるのでありましょうけれども、戦前とは形の変わった小作制度といったようなものが復活をしてくるのではないかというような危険性を私は感ずるのであります。その点についてはどのようにお考えを持っておられるかをお聞かせ願います。
#167
○中野政府委員 先ほども申し上げましたように、今回の場合は、取得後の農地を合わせまして、自分の経営面積全体について経営をやり、かつ本人かあるいは家族が常時従事をする。それから、なおそのほかに、第八号を見ていただければおわかりかと思いますが、その世帯員の農業経営の状況等から見まして、その土地を効率的に利用して耕作ができないと認める場合は許可をしないということでございます。したがいまして、原則的には本人がやるという経営だけが認められる、それ以外は認められないわけでございますから、ただいま御指摘のように、奥さんが経営をやっておりまして、だんなさんの名義になっておるといった場合も、家族全体としては経営をやっておるということでございます。それが、いまお話しのように、今度は大地主ということになりますと、その経営ができませんものですからそれを人に貸すということになるわけであります。それはまた別にその貸し借りについて賃貸借の許可を受けるという面に今度は話が移っていくということになるわけでございまして、このこと自体によってわれわれば大地主が発生するというふうには考えていないわけでございます。
#168
○千葉(七)委員 私は、その土地を取得する際には、これはもちろん許可がなければ取得ができないわけですね。取得をする際には、自家労力で経営をする、あるいは自家労力の足りないところは、労力を雇用して、そして、それももちろん無制限でよろしいのですから、雇用してやる、つまり農場経営的な経営をやるということ、それはもちろん土地を取得する際には、そういう条件が具備されれば許可になるわけです。土地を取得した後において、そういう農場経営的な形をとりながらやみ小作的なものがだんだん出ていく可能性があるんじゃないか、何年か後に。そういう形が出ていった場合にはその許可を取り消すということになるわけですか。どういうことになりますか。もしそういうような事態が発生した場合には、許可を取り消してその土地を取り上げるということになりますか。
#169
○中野政府委員 一たんそういうふうにして許可してある程度は経営をやったわけでございますから、許可を取り消すということはできないかと思います。ただ、そういう場合には、いま先生ちょっとお触れになりましたように、やみ小作になるのではないかというお話でございますが、やみ小作になります場合に、全国平均一ヘクタール以上のそういう貸し付けということは認めないという原則を立てておりますので、その一ヘクタールをこえました分は、だれかにやみで貸しておれば、貸しておるほうが小作人でございますから、これは原則論でございますが、政府の買収がかかるということになるわけでございます。
#170
○千葉(七)委員 一人に対しては一ヘクタール以上は貸せない、だからそれ以上の土地は政府が買収をする、そういうことになるわけですね。それはおっしゃるとおりなかなか簡単に買収ができるかどうかということは大きな問題のあるところだろうと思いますが、そうしますと、法規的には、そういう事態が発生した場合には、国が買収をすることができる、したがって、そういう事態は生じないであろうというのが政府の見解なわけですね。それはわかりました。
 そこで、お伺いをいたしたいんですが、上限の面積の制限を撤廃したということによって資本家的な経営の可能性も生じてくるんではないかというような感じが私はするんです。それは農場経営でありますから、したがって、もちろん何十町歩なりあるいは何百町歩なり、そういう経営でありますから、資本家的経営が発生をするということ、当然そういう経過をたどることもありましょうし、また、それ自体必ずしもいけないというわけにはまいりません。ただ、そこで資本家的な経営が発生をして、そして国内の農家がそういう経営に発展をするということであれば、これは私はある程度望ましい姿だろうと思うのであります。ところが、これはあるいはおまえの思い過ごしだという批判もあるかもしれませんけれども、外国資本が資本の自由化に伴って日本に上陸をしてまいりまして、農業経営を支配するというような事態が発生しないとは私は保証できないと思うのであります。というのは、私は岩手県なんでありますが、岩手県におきまして、たしかアメリカ資本と日本の貿易大商社が連携をしまして、養豚の事業を経営しようということで県に対して土地のあっせんを申し入れてきた事実があるのであります。それからまた、これは数年前でありますけれども、アメリカの、名前は忘れましたけれども、酪農の関係者が岩手県に参りまして、そして九戸高原を視察をしまして、この九戸高原に大体面積二千町歩くらいの牧野の適地があるんですが、そこを大資本をもって開拓をするならば、十分酪農経営で採算がとれる、その資本の調達さえできるならば、それは可能だというような調査結果を出したことがあるのであります。
 そういう点から考えてみますと、上限面積を無制限に許すということになれば、外国の資本が上陸をしてまいって日本の農業を支配するというおそれが出てこないとは言えないだろうと思うのであります。そういう点から考えましても、上限面積の制限を無制限に撤廃をするということは、大きな問題があるんではないかというふうに感じられるのですが、その点に対する御見解はどうですか。
#171
○中野政府委員 普通の日本農業経営の場合、個人がやりました場合は、無制限といいましても、自分の労力、それから資本装備その他からある程度それぞれの規模が想定されるかと思います。ただ、その間、そういう法律の改正を利用していまの外国資本が来るんではないかというお話で二つの例をあげられましたが、養豚の場合は、これは農地でありますかあるいはほかの土地でありますかわかりませんけれども、もし農地でありましても、それは農地転用の許可を受けて、外国資本等がそういう養豚の経営をやるということではないかというふうに考えるわけでございまして、外国資本が日本に資本を持ってきて、大々的に日本の農地を買い占めて農業経営をやるということは、普通は考えられないわけでございますけれども、間々そういうことがありましても、先ほどから申し上げておりますような、三条二項の許可で十分審査をしまして、外国資本に蚕食されるということはないように気をつけなければならないというふうに考えております。
#172
○千葉(七)委員 それは私はこう思うんですよ。外国の資本が外国人の名義で土地を買うということは、これはできないわけですから、当然日本の農家あるいは日本人と提携をして、そして日本人の名において、そういう外国資本が日本で大農経営をやるというような形態をとるだろうことはもちろん考えられるわけです。そういう危険性は全然ないとは私は言えないと思うのです。現に岩手県でそういう事態があったのですから、そういうことに対する歯どめをしなければならぬということから考えても、この上限面積を無制限に認めるということは大きな疑問がある。いまの三町歩以上持ってはいけない、持たせないということは、これまたもちろん考えねばならない問題でありますけれども、無制限に上限面積の制限を解くということは、これは考えなければならぬ問題ではないかと私は感ずるのであります。
 これ以上この問題をお聞きしても、これはもう平行線でありますから次に移ることにいたします。
 次に、お伺いをいたしたいのは、農地法の改正とは直接には関係がないのでありますけれども、米の作付の制限の問題であります。これはどなたからも論じられて論じ尽くされたような感じがするのでありますけれども、さらにお伺いをいたしておきたいのであります。
 新聞の伝えるところによりますと、また政府の発表によりますと、百五十万トンの制限のうちの百万トンの作付減反、これは順調に進んでいるそうであります。しかし、これはいろいろな新聞記事その他から見まして、また私郷里に帰りまして農協等にいろいろ問い合わせをして、その進行の状態あるいはその実現の方法等についていろいろ聞いてみたのであります。いままでの質問に対しては、当局は、決して強制ではない、農民の自発的な協力によってこれが進行しているのだ、こういう答弁ですけれども、これが何としても私は強制をしておる、そういう傾向が非常に強いと思うのであります。たとえば、昨日松沢君がやはり主張したのでありますけれども、減反の面積を個々の農家におろす方法が、決して協力を求めるという方法をとっていないのであります。たとえば、きのうもその話が出ましたが、あなたのうちの減反の面積はこれこれ配分をしますということばを使ってある。配分をするということばは、協力を求めることにはならないのですよ。どこから考えたって、配分ということばは、協力を求めることばだということにはならない。上から分かつ、配るのですから、これは協力を求めることばにはならないのです。ところが、その配分を通知された農家は、これは上からの、お上からの言いつけだからやむを得ないのだ、内心は反対なんだけれどもしかたがない、そういうことで百万トン分の作付減反の実態が進行している、私はそのように解釈をしているのですが、政府のほうでは、協力を求めているのだ、こういうことで答弁をされております。したがって、かりに百万トン分、二十三万なにがしの作付の減反が実現をしても、百万トン分の作付を減らしても、もし万一米がことし一千四百万トンとれた、政府の買い入れの予算は六百五十万トン。万一、八百万トンなり九百万トンなり農家から政府に売り渡しの申し込みがあった場合には、制限をしないで買うかどうかということ、これをはっきり御答弁を願っておきたいと思うのであります。
#173
○渡辺政府委員 これは大臣がたびたび申しておりますように、私どもとしては、買い入れの制限等をしないように生産調整をやっておるわけでありますから、この生産調整かうまく進めば――もちろん進むものと思っておりますが、進めばそういう必要は全然ありませんし、また、現在買い付け制限をするというようなことは考えてはおりません。
#174
○千葉(七)委員 どうも答弁がすっきりしない。買い入れ制限をしないように生産調整をしているのだ、それはそのとおりでしょう。ところが、百万トン分、二十三万ヘクタールの作付の減反をやっても、なおかつ政府の目標である千二百五十万トンですか、それ以上の米がとれて、そして農民が政府に対して、政府の目標である六百五十万トン以上の売り渡しの申し込みがあった場合に制限をしないで買いますかということを私は聞いてもいるのです。(「制限をしないように調整しているんだ」と呼ぶ者あり)調整とは何ぞや。これは百万トン分の、二十三万ヘクタールの作付減反でしょう。しかし、二十三万ヘクタールの作付を減らしたからといって、必ずしも収量が減るとはおてんとうさまは約束しないのです。そういうことは約束しません。ですから、百万トン分、二十三万ヘクタールの作付を減らし、かつまた十一万八千ヘクタールの買い付けが実現しても、なおかつ政府の収穫予想千二百五十万トンを上回って収穫があり、政府の買い入れ目標の六百五十万トンですか、それを上回って農民から売り渡しの申し込みがあった場合には、政府は制限をしないで買いますかということを聞いている。もう一ぺん御答弁願いたい。
#175
○渡辺政府委員 これは何べんお答えをしても同じことなんでありまして、買い入れ制限は考えていないと大臣も言っておるわけでありますから、まあ、すなおに御解釈をいただくほかないのじゃないかと思います。
#176
○千葉(七)委員 条件をつけない、買い入れ制限はしない、こういう御答弁と解釈をします。
 そこで、続いてお伺いをしたいのでありますが、五十万トン分の十一万八千ヘクタールの買い上げ、これは過般の大臣の答弁で内容が見えるようになったのでありますが、工場用地に二万ヘクタール、住宅五万九千ヘクタール、道路交通の敷地に一万五千ヘクタール、その他の施設二万四千ヘクタール、 このように買い入れがきまりました、こういう予算委員会での答弁であります。一体この買い入れの面積はどういう方法で決定をされたのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
#177
○渡辺政府委員 今回の目標の数値につきましては、過去の農地転用実績を基礎といたしまして、近年における土地需要の著しい伸びと水田転用許可基準の暫定的緩和措置、国、地方公共団体等による用地の先行取得などの促進措置など、関係各省庁あげての促進指導措置を総合的に勘案して作成をしたものであります。
#178
○千葉(七)委員 といたしますと、国は勘案をして予定を立てた、こういうわけでありますか。
#179
○渡辺政府委員 正確に申し上げますと、ただいまお答えしたとおりでありますが、これは目標の数値を出したわけであります。それで、これを実現するために、目下各省庁でそれぞれ予算を配分をして、いま鋭意作業をやっておる最中でございます。
#180
○千葉(七)委員 といたしますと、これは関係各省庁で過去の転用の実績を踏まえて勘案をして推定をした面積である、このように理解をしてよろしいと思うのであります。したがって、各省庁では、これは末端から積み上げてきた面積ではないわけですね。各需要者等から用地に対する要望、そういうものを積み上げてそうして確定をした数字ではない、こういうことになるわけですか。
#181
○渡辺政府委員 これは、現在の段階において、売りたいという農家を全部希望をとったわけでもありません。また、需要者の一人一人について全部当たったわけでもありません。いま言ったように、いろいろないままでの経歴、それから過去の趨勢、また今回とった大幅な水田の緩和措置、こういうようなもの等を総合的に勘案をして目標数値をただいまのようにきめたわけであります。
#182
○千葉(七)委員 土地を売りたいという農民の希望をとったわけでもない、土地をほしいという需要者の希望を調べたわけでもない、各省庁で、過去の転用の実績から勘案をして決定をした目標の数字だ、こういうことの御答弁であります。とすれば、これは全く架空の数字ということになるわけですね。たとえば、四十四年の工場の敷地転用の実績は四千六百ヘクタール、ことしは二万ヘクタール、それから住宅は四十四年は一万百ヘクタール、ことしは五万九千ヘクタール、道路交通の敷地は昨年は三千三百ヘクタール、ことしは一万五千ヘクタール、こういうことでありますから、過去の数字から見ても、この十一万八千ヘクタール、四十五年の転用の計画というのは全く架空の数字だというように解釈されるわけなんですが、御承知のように、もはや水田の作付の時期はもう迫っております。来月からは東北地方においてさえも苗しろの時期に入るわけでありまして、したがって、水田作付の時期の前にこれだけの面積を農家から買収をする、そういうことが実現の可能性があると思うのですか。
#183
○渡辺政府委員 これは目標の数字でありますから、この目標を達成するために、先ほど申し上げたとおり、各省庁にも予算を配分をして、そうして積み上げておる最中であります。一方は、農地の壊廃の許可基準というものを大幅に今回改正をしたわけでありますが、これがよく知られていないということでは困りますから、これをどんどんPRをして、よく知ってもらうというような、両面からこれを実現するために鋭意努力中であります。
#184
○千葉(七)委員 私は、鋭意努力をされても、とてもこれは来月一ぱい、四月一ぱいくらいでこの買い入れの仕事が完了するということは、とうてい考えられないのですね。十一万八千ヘクタール来月一ぱい全力をあげても、あるいはこの半分、この三分の一も買えなかった、そして、半分なり三分の二が結局買収の手続ができなくて作付になった、こういう事態が発生するのではないか、私はそのように感じられるわけなんであります。したがって、そういう点からも、この百五十万トン分の減反作付ということは、なかなか実施が不可能ではないか、こういうように考えられるわけなんであります。これは政府の予定どおり十一万八千町歩買い入れれば問題ないわけでしょう。ですけれども、私おそれておるのは、これはおそらく半分も買い入れができないのではないか、そういう感じがするのでありまして、結局買い入れができないということになれば、その買い入れ目標に達しない面積は植えつけになる。植えつけになれば、政府の百五十万トンの生産調整というものはできなくなる。そうすると、政府に対する米の売り渡しがまたふえる、こういう結果になってくるのでありまして、そういう点からも農民の売り渡し申し込みの数量を全部買うということを政府は確約すべきだと思うのです。それは、先ほど全量買い入れをしますという政務次官の答弁でありますから、一応その点はおきまして、ただ問題は、十一万八千町歩の買い入れが実行できないのではないかという、そういう危惧の念を持つのは、資金の面からも持たざるを得ないのであります。おそらく工場の敷地、住宅の敷地あるいは道路、交通網の敷地、そういう地帯は優良農地が多い。しかも国道あるいは県道、両幅百メートル以内の土地が非常に多いだろうと思うのであります。としますと、そういう便利な場所の農地を買うとすれば、これは普通の農地の価格では買えないということになると思うのであります。政府の調べによりますと、大体農地の価格は、昨年の標準は上田が十アール当たり三十五、六万から四十万ぐらいのようであります。中田が二十七、八万から三十万ぐらいということになっておるのですが、この国道や県道の両側の優良農地ということになりますと、おそらく私は、日本国じゅうどこへ行っても一坪一万円前後するのじゃないかと思う。安いところでも坪五千円、十アール当たり百五十万、平均しましたら、おそらく十アール当たり二百万ないし三百万、こういうことになるのじゃないかと思う。二百万円ぐらいにはなるのじゃないかと思うのであります。といたしますと、十一万八千ヘクタールを買うということになりますと、おそらく三兆円前後の資金が必要になってくるのではないかと思うのでありますが、そういう地域の水田を買い上げる場合に、その買い上げの価格をどこに標準を置くか、その点をひとつ教えていただきたいと思います。
#185
○渡辺政府委員 これは、申すまでもなく、政府だけで、公共団体だけでそれらの水田を買い上げようというものではありません。住宅用地、工場用地、こういうようなものもございますから、民間の資金の活用ということも考えておることは御承知のとおりでございます。政府関係のものにつきましては、先ほどから繰り返し申し上げますとおり、目下各省庁で、それらの資金の手当て等も含めてこまかい検討を打ち合わせ中でございます。
#186
○千葉(七)委員 私は、だれが買うかということをお聞きしているのではなくて、こういう工場なり住宅なり道路、交通機関の敷地というものは、おおむね水田の場合は優良農地だろうと推定をするのです。その優良農地の価額は一般の農地としての価額では買えないということですね。おそらく県道の両側あるいは国道の両側等は、日本国じゅうどこへ行っても一坪五千円なり七千円なり一万円なりするだろうと思うのです。としますと、十アール当たり平均しておそらく二百万、二百五十万、こういう価額になりはしないか。(「そんなことはないですよ」と呼ぶ者あり)そんなことはないですよというお話がいまそちらのほうから出てまいりましたが、そういうことがなければ非常に幸いであります。もしそういうことになるとするならば、非常にばく大な資金を要するのだが、そこで心配のないようにするためにはどうするんですかということを私は聞いている。
#187
○渡辺政府委員 これはいまの段階では、何べん言われましても同じことを申し上げる以外になくてまことに残念でありますが、これを実現をするために目下鋭意努力中でございますから、できる限りこれはもちろん消化をするようにやるつもりであります。
#188
○千葉(七)委員 何べん聞いて押し問答ということですから、これ以上聞くのはやめましょう。そういう心配が多分にあるので、なかなかこの計画は実現をしないのではないか。万一実現をしないで、農民が作付をして米をたくさんつくっても、買い入れ制限等は絶対しない、こういう点をひとつ念を押して次に進みたい思います。
 次に、お伺いをいたしたいのは、この耕作権の問題であります。従来は耕作権を守るために小作契約を解約する場合には知事の許可を要しておったのでありますが、今度の改正では、合意による解約は知事の許可を要しない、そして、十年以上の契約ができた場合には、これまた許可を要しない、こういうことになるわけであります。したがって、従来強く守られておった耕作権というものは、今度の改正によって野放しになるといっても差しつかえがない状態になるだろうと思うのであります。これは小作農民にとりましても非常に重大な問題だと思います。耕作権が確立されておって、しかもそれが守られておって初めて農民は耕作意欲がわくことは言うまでもない。したがって、耕作権が確立をされておって初めて土地に対して愛着を感じ、土地の生産力を上げるためのいろいろな施策等も、小作農でありながら、自分の土地ではないのにもかかわらず、いろいろな土地生産力を上げるための努力をするわけでありますが、耕作権がこのように野放しになるということになりますと、そういう意欲はもちろんわかなくなるでありましょうし、さらにはまた、それまでその土地の生産性を上げるために努力してきたその代償としての離作料等も全然出なくなる、こういうことになるわけでありますが、この点は重大な問題だと思うのであります。私はこういう野放しの、耕作権を認めないといったような今度の改正にはどうしても賛成ができない。耕作権を守る何らかの制約をここに置く必要があるのではないかと考えるのですけれども、これは私の意見ですから、御答弁いただいてもいただかなくてもよろしいのですが、その点どう考えますか。
#189
○中野政府委員 ただいまのお話で、今度の改正によって耕作権がもう全く弱くなったようなお話でございますけれども、われわれそういうふうには考えておりません。たとえて申し上げれば、農地法の十八条の賃貸借の対抗力、それから定期賃貸借についての法定更新の問題、これは全部存置をしております。ただ、先生お話しの問題は、過去の小作地ではないかと思いますが、これにつきましては、現在の実態は、農地法の耕作権が非常に強いものですから、ほとんど全部期間の定めのない契約になっております。ということになりますと、これは小作人が同意しない限りは、耕作権がなくなるということは絶対ございません。今回改正しようとしております問題につきまして、ただいま十年以上の耕作権の問題、合意解約の問題をあげられましたが、これは新しい契約の問題であります。こういうふうにいたしました理由は、たびたび申し上げておりますが、あまりに耕作権が強過ぎますと、だれも貸さないわけでございます。貸さないというところには農地法上の賃貸借というのはございませんが、これは逆の意味からいいますと、やみで借りておりますと、全然耕作権がない。したがいまして地主はいつでも返せと言えるわけであります。新しい契約については、地主側から見れば貸しやすく、耕作者から見れば安定した耕作ができるというバランスをとりまして今度改正したわけであります。
 なお、従来の耕作者の努力、たとえば土地投資をしたものをどうするかということでございますが、万一解約をいたします場合に、それまでの間に土地改良をいたしました場合には、これは有益費の償還が小作人側から請求ができるということに民法上なっておりますので、これで対処できると思いますし、離作料の場合は、これは地域の慣習によりまして、五割とか四割とかきめておりますけれども、過去の耕作権は非常に強いものですから、その地域の相場によって離作料を払って地主は取り返すということになると思いますが、新しい賃貸借になりました場合、たとえば十年の賃貸借ということできめた場合、十年たてば返すということで、離作料はどうなるかということは今後の問題でありますので、これは現在どのくらいの相場になるかということは推測がつかないわけでございます。
#190
○千葉(七)委員 しかし、あれでしょう。合意による解約という場合、過去の小作地も、現に契約されている小作地も、合意による解約は知事の許可を要しない、こういうことなんでしょう。
#191
○中野政府委員 その点はそのとおりでございますけれども、農地改革のときの残存小作地が大体いまのお話の問題になるわけでございますけれども、二十年以上たっておりまして、小作人の地位も非常に強くなっておりまして、そう簡単に地主の言うことを聞かないという実態でございます。そこで、合意がありますものは大体真の合意であるということになるわけでございますから、あえて知事の許可まで持っていく必要はないというふうにわれわれは判断をしているわけでございます。この点につきましては、最近の賃貸借の解約の状況等を毎年調べておりますけれども、大部分地主と小作人両方の申請になっておりまして、その相当部分は大体労力不足というのが一番多いようでございます。
#192
○千葉(七)委員 私はそこに非常に危険性を感じているのですよ。というのは、合意によって解約をする場合には知事の許可が要らない、こういうことなんでしょう。ところが、今度の改正で、合意による解約は知事の許可が要らないのだ、こういうことになると、現在結ばれておる小作契約、それを地主が、もう今度は知事の許可がなくても解約ができるのだ、こういって無知な小作農に強制的に合意を押しつける危険性が非常に強くなるのではないかということを私は感じるのです。何といったって、戦後民主主義が徹底をしたといっても、まだまだ農村は封建制の遺制が強いのです。やはり地主、小作関係におきましては、まだ昔の地主さまの言うことというのはどうしても押しつけられがちなんです。そこで、この合意による解約に対しても、野放しにするということではなくて、何らかの規制を加える必要があるのではないかということを私は感じましたので、その点をしつこくお聞きしているわけなんです。私たち、この条項に対しましてはどういう態度をとるかということはまだ相談をしておりませんけれども、私はそういう感じを強く持っているわけです。
 だんだん時間がなくなってまいりましたから、もう一、二点お伺いをしますが、この小作料の統制の廃止についてもそうでありますけれども、小作料を野放しにして、今度は地主、小作両者によって合意の上に小作料をきめる、こういうことになるわけでありますが、あまり高い場合には、農業委員会で標準小作料をきめるから問題がない、こういう説明でありますけれども、これも私はどうしても地主の側に押されるのではないか、そういう感じがするのであります。したがって、この小作料の統制の廃止についても、野放しにするということはどうしても了解することができないのでありますが、その場合には、もちろん小作料についての紛議については、農業委員会が和解の仲介をするということになっておりますけれども、この小作料の紛議の和解の委員も、農業委員会の委員長が三人の委員を指名してこの和解の仲介の委員とするということになっているようですけれども、何と申しましても、いまの農業委員会の委員長はやはり昔の地主さまから出ておる委員長がおそらく全国ほとんどそうであろうと思うのであります。したがって、委員の任命等も、どうしても地主の側に立つ人が多く任命されるのではないかという懸念を持っておりますが、いずれそれらにつきましては――これは私の意見であり、考えでありまして、別に質問というわけではありませんが、そういう観点に立って私たち今度の改正案に対処したい、かように考えておるわけですが、私、五時までの予定でしたので、以上でもって質問を終わることにいたしますけれども、さきに申し上げましたこの農地法と農業政策についての基本的な問題につきましては、大臣の出席を得て多少質問をいたしたいと存じますので、その点を留保しまして私の質問は以上で打ち切ります。
#193
○草野委員長 間もなく大臣が見えますから、農林大臣に対する質疑を行ないたいと存じますが、理事会の申し合わせによりまして、一人当たりの問答時間、大体二十分程度にお願いいたしたいと思います。
 そこで、順序は、田中恒利君、松沢俊昭君、瀬野栄次郎君……。ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#194
○草野委員長 速記を始めて。
 田中恒利君、事務当局から始めてください。大臣そのうち来ますから。田中恒利君。
#195
○田中(恒)委員 私は、農業協同組合法の一部改正につきまして、前回時間切れで、まだ予定をしておりましたものを十分にこなしておりませんので、大臣に対する質問の分野はあとにいたしまして、若干事務当局にお尋ねをいたしたいことを二、三質問をいたしたいと思います。
 一つは、今回法改正で、信用事業の貸し出しにつきましては、みなし規定の適用をされる、こういうことになっているわけですが、その場合に、地方公共団体以外の営利を目的としない法人ということになっておると思うのですが、それは具体的にどういう法人かお示しをいただきたいと思います。
#196
○池田政府委員 営利を目的としない法人といたしまして一般的に考えられますのは、町村段階におきましては、たとえば土地改良区とかそういったようなたぐいの団体があるわけでございますので、そういうものを一応想定をいたしておるわけでございます。
#197
○田中(恒)委員 それから、たいへん事務的なことになりまして失礼ですが、銀行等の金融事業への余裕金の運用の取り扱いにつきましては従来の制限をなくする、こういうふうになっておるかと思うのですが、これは業務に支障を来たさない範囲、こういうことですが、業務に支障を来たさない範囲という認定はどういう形でやったらいいのか、そこのところちょっと御見解をお聞きいたしたいと思います。
#198
○池田政府委員 業務に支障を来たさないと申しますのは、金融機関貸し付けの性格から申しまして、これは余裕金の運用としての性格を持つものでございますので、そういうような趣旨で今回認めようとするわけでございますが、私どもは、やはり本来の業務に支障を来たすようなことがあっては非常に困るわけでございますから、これにつきましては一つの指導方針を定めまして、それに従いまして指導をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。現在検討中でございますが、たとえば金融機関に対します貸し付けでございますならば、貯金残高をとりまして、それの一定率の以内、大体二割程度でどうだろうかというようなことを考えているわけでございますが、そういったような限度、それから、ついでに申し上げますと、地方公共団体に対する貸し付けでございますならば、組合員に対する貸し付け残高の一定率の以内、たとえば一割以内というようなことで一つの基準をきめまして、それによりまして指導いたしたいと考えておるわけでございます。
#199
○田中(恒)委員 やはり農協の余裕金の運用は、農林省といたしましても相当しっかりした、いま基準と言われたわけですが、そういうものをお示ししていただかないと、これからの金融情勢の変化等、あるいは今日農業協同組合が持っております体質というか、特に大規模化してまいりまして、経営的にもそう楽ではない。そこで、何とか余裕金運用でこの場をしのいでいく、こういう傾向がだんだん強くなっていく心配がある、こういう感じをしているわけです。そこへもってきて、余裕金の運用というものに対して相当大幅な緩和をしていく。本来であるならば、農協の資金は、農民の生産営農、各種事業に還元するというのがたてまえであるわけです。そういうものが銀行あるいはその他の市中一般の金融機関に、業務に支障のないというような程度のことでやられますと、農協の場合には、比較的経営者の自主的な判断で事がほとんど進んでおるわけですから、その経営者のものの考え方によって、余裕金が今日、中金の段階でいろいろ問題になっておりますけれども、単協段階においても心配をしなければいけない状態になることをおそれるわけです。そういう意味で、いま御指摘になった比率が妥当であるかどうかということについては、いろいろ農林省として御検討をいただきたいと思ますが、やはりこの余裕金の運用というのはできるだけ最少限に押えていく、そういうたてまえをとっていただきたい、このことを特に要望をいたしておきたいと思います。
 それから、総合資金制度というたてまえとからんで直貸方式ということが出てきておるわけですね。これは公庫の関係で、従来総合施設資金、自作農維持資金あるいは農地取得資金等が信連から直接農民におりておったわけですが、今度新たに――これは発足当時から出てきております総合資金制度がたてまえとして出てくるわけですが、この信連の直貸方式というものが、単協を飛び越して信連が直接農民に金を貸すというわけですから、そこに今日の系統金融のシステムというものにひびを入れる突破口になる心配はないか。今日、単協、信連、中金という、こういう金融のルールができておるわけですが、直貸という形で出てくることによって、そういうものがいわば金融の二段階というか、こういう形になっていく可能性なりきっかけになりはしないか。この点を非常に大きな問題としてにらんでおるわけですが、この辺、農林省の御見解を承っておきたいと思うのです。
#200
○池田政府委員 今回信連の直貸の道を開くということにいたしておりますのは、一般的にもちろんこれは認めるという趣旨ではございませんで、いま例におあげになりました総合資金というような特定の種類の制度融資に限って認めるということでございます。金融機関といたしましても、農林漁業金融公庫とかあるいは住宅金融公庫というようなものに当面限定をいたすつもりでございます。
#201
○田中(恒)委員 いま一問だけ事務当局にお聞きしますが、いま総合農協に加入しておる組合員の総数、この組合員総数が全国で何人か、男女別、専兼業別にお知らせいただきたいと思うのです。
#202
○池田政府委員 農協の組合員の数でございますが、総数で七百十一万六千人でございます。中身を申し上げますと、正組合員が五百九十万四千人、準組合員が百二十一万二千人、正組合員の割合が八三%くらいになっておるわけでございます。
 そういう、専兼業別の組合員数というお話でございますが、これはそういう統計がないわけでございます。したがいまして、大体想定できますのは、ほとんどの農民が組合に加入をしておるわけでございますから、現在の専兼業別農家の割合が大体農協の割合ではなかろうかと思います。
 それから、男女でございますが、これも統計がないわけでございますが、御存じのように、ほとんど大部分が男子というふうにお考えいただいてよろしかろうと思います。
#203
○田中(恒)委員 それでは、私の保留をいたしておりました農林大臣に対する若干の御質問を申し上げたいと思いますが、大臣たいへんお疲れのようで、与えられました時間の中できょうは終わることにいたしまして、また後日、若干余ると思いますので、お許しをいただいて質問をさしていただきたいと思います。
 いま農政局長のほうからお話のありましたように、農業協同組合の組合員数というのは日本のほとんどの農家が農協に入っておる、こういうことを示しておると思うのです。大体農業従事者一千万を割った。農家経営別にいいますと五百四、五十万戸だと思いますが、おそらく全戸今日日本の農協の組合員になっておる。ところが、農業協同組合法のたてまえからいいますと、御承知のように加入脱退自由の原則、ロッチデール以来の基本原則であります。だから農協法でも、十五人以上でいつでも農協をつくることができる、こういう自由な農協でありながら、現実には、わが国の場合、農民が総がかりに総合農協に加入をしておる。私は、この事実は今日の総合農協のある意味ではりっぱな点だといわれておりますが、また、ある意味では最も反省をしなければいけない点だ、こういうふうに思うわけです。
 この原因は、私はあとで――きょうは時間の関係でそこまでいかないかもしれませんが、一つの理由は、日本の総合農協が行政の補完的機能を非常にたくさん持ってきておる。農林省、県市町村という行政サイドの機能を農協がだいぶおんぶをしてきておる。この点から農協へ組合員が全員入らなければいけない、こういう状態になっておると思いますし、いま一つの理由は、日本の農業が従来米麦を中心として画一的な、いわゆるどこも同じような農業の経営形態で維持されてきた、ここに私は総合農協の成立の要因があった、こういうように理解しておるわけであります。
 ところが、今日御承知のように、日本の農業は大きく変わろうといたしております。特に従来の米麦中心の画一的な零細な形態から、いわゆる農民の異質性といいますか、地域別に階層別に組合の様態が非常に大きく変わってまいっております。今日二十三年を経過いたしました農業協同組合は、こういう組合員の階層別にも地域別にも大きく変化をしてきておる実態の上に立って、どういう協同組合をつくっていくか、こういう問題に直面をしていると思うのです。この点につきまして、農林大臣はどのような御見解をお持ちになっておるか、お聞きいたしたいと思います。
#204
○倉石国務大臣 農協は、もちろん入っております農民の生産を増強し、それからまた、農協自身がうまく経営のできるように、そういうことのために自主的につくり上げておるものでありまして、協同組合主義というのは、私はことに農業においてはいろいろな特徴があって、これはよく育てていきましたならば、社会組織の上においてりっぱな役割りを果たし得る考え方のものだと思うのでありますが、いま御指摘のように、わが国の産業の中における農業それ自体も、日に日にいろいろ変質してまいっております。したがって、米麦を中心としておる農協、そのほかに業種別に特殊農協が各地で生まれて、それもかなりしっかりしたものができてくる傾向であります。
 私どもは、どこまでもいままでの農協というものが、経済活動、それから信用、そういうことに加うるに、だんだん進化していく農業社会においては、やはり農協それ自体が、単協に入っておる人たちとのもちろん合意の上でその利益を増進していくためには、経済的活動の方面にも活躍されるのがいいのではないか、また、そういう傾向に現実になってきつつあるのではないか。しかし、私どもは、どこまでも農協というものは参加しておられる農業者自体の経営の基盤の育成強化について、その本分を忘れないようにやってもらわなければならぬことは当然なことであります。
#205
○田中(恒)委員 たいへん抽象的な御意見でございますので、もう少し具体的に問題を提示いたしまして、農協のこれからの性格の問題を中心として、もう時間がありませんから、そこのところにしぼって御質問することになるかと思いますので、私の質問も若干具体的に御質問いたします。
 御承知のように農業地帯におきましては、農業協同組合というのはやはり農業を中心とした協同活動をやってほしいという要望が非常に強いわけです。ところが都市近郊になってまいりますと、むしろ農業というよりも非農業的側面を中心とした協同活動で組合員の利益を高めてほしい、こういう要望が強いと思うわけなんです。さらに階層別に見ますと、いわゆる中から上の農業で生きていこうという人々は、今日の農協の事業の中では主として販売事業、営農指導事業あるいは金融の面では貸し出し機能、金をもっと貸してくれ、こういう要望が農協に対しては強いわけです。ところが兼業農家になりますと、今度は貯金をして利子をたくさんもらいたい。共済保険で他の保険会社よりも有利な条件を農協でやってほしい、あるいは生活面での購買活動を充実してほしい。こういう形で今日の農業協同組合は内部的にはある意味では相対立するような組合員の要求にはさまれて農協の経営者がそれぞれの調整をしておる、こういう状態になっておると思うのです。
 これは日本の農業の変質という状態から起きてきておるわけです。これをこのままにしておくならば、私は協同組合というものはなかなか仕事をしていく上にむずかしい状態になってくると思うのです。ですからできるだけ早くこういう状態をどういうふうに整理をし、どういう方向づけを示してやるのかということを政策的に考えておかなければいけないと思うわけなんです。したがってこの点につきましての大臣の若干具体的な御答弁をいただきたいと思います。
#206
○倉石国務大臣 申し上げるまでもないことでありますが、農協は農業者自体の自主的な組織でございます。私どもは大体こういう活動には政府がなるべくへたな干渉はしないで自主的に成長されるように、しかし政府という行政機構を持っているのでありますから、その本来の目的を阻害することのないように、そしてまたその傘下の単協の人々の利益をはかってもらうには、行政の立場からもちろん指導もいたさなければなりませんが、原則としてはやっぱり自主的におやりになることがいいと思うのでありますが、いま御指摘の中にもおっしゃっていらっしゃいましたように、とにかく農業それ自体の体質変化が行なわれてきておるので、いまお話にありましたように、純粋の農業者、それから多数の兼業農家、こういういろいろな経済的な立場の違う人たちが、自然にやはり組合員として多く入ってきておる。そういうことに対処して私ども農協の指導者に望みたいと思いますことは、そういう情勢の変化に応じて農協のあり方についても、ひとつ対処していただかなければならないのじゃないか。現に、地方によって違いますけれども、いまそういう農業情勢の変化に応じて、参加いたしておる単協の組合員一人一人が、いろいろその農協のあり方について、地方によっては非常に批判が行なわれておりますのは、やっぱりいまお話のありましたような利害関係がいろいろに違うという立場からだと思うのであります。しかしわれわれといたしましては、そういう時代の変化に伴うて、なおかつやっぱり協同組合というものはいろいろな意味においてりっぱな使命を持っておるのでありますからして、いまお話しございました、また私が申し上げましたように、従来とってきました経済活動、それからさらに大きな仕事は信用活動でありますが、そのほかに私はやっぱり農協それ自体が、生産面における指導的立場をとっていただかなければならなくなるのではないか、具体的にはいろいろな事例が出ておりますが、農林省といたしましてもそういうようなことについて、農協がそのような方向で成長発展してまいるように御協力を申し上げなければいけないのではないか、こう思っておるわけであります。
#207
○田中(恒)委員 大臣のお考えと私の考えも大体似ておるので、少し安心をしたわけですが、しかしもう少し具体的に御質問をしなければ正体がなかなかわからないので、若干お許しをいただきたいと思いますが、農協は農業者の組織であるし、農業者の利益を守る組織だ、こういう大臣の御答弁が前段あったと思うのですが、そのことをいま一度確認をしておきますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
#208
○倉石国務大臣 いまちょっと文句は正確には忘れましたが、農協法にもその目的をうたっております。健全な農業が行なわれるように、同時にまた農業者の社会に対する使命が完全に果たせるように、われわれがお互いに協力していくというのが目的ではないかと思っています。
#209
○田中(恒)委員 そこで農協の性格というものは、結局農協を構成する人々の性格というか、こういうものにつながってくると思うのですが、今日の農協の組合員というものは先ほど七百十一万人、こういう御報告がありましたように、ともかく日本の従来の概念でいって農と名のつくものを全部抱きかかえておるわけですが、私はこの際、農政の目標、自立農家ということを従来からいわれてきたわけですが、その目標農家というのは、先般の総合農政によりますと、稲作経営では水田四町歩から五町歩程度、酪農では二十頭、こういう大ざっぱな輪郭を出されたわけですが、一体そういう政策目標に近づける、今日の現時点における農民の規定、概念、政策が、そこへ持っていくために出発点にならなければいけない。農民というものは、政府は一体どういうふうにお考えになっておるのか。私は残念ながら、農協法にいたしましても農地法にいたしましてもあるいは農業災害補償法にいたしましても、その他農業の関連立法で、農民あるいは農業従事者あるいは農業経営者、こういう規定でそれぞれの法律に基づく組合員というか構成者の概念あるいはその規模、そういうものの規定が、法律でやったり政令でやったり、あるいは農協の場合は模範定款という形で農林省はお示しになっておられるわけですが、それがきわめてさまざまでございますね。一つも統一がされておりません。特に農協につきましては、農協法で農民というだけの規定であります。一体農民とはどういう人々をいうのかということになりますと、今度は模範定款で、九十日働いてそして一反歩の耕作面積を持っておるもの以上がよかろう、こういう御指導をなされておるわけですが、この農協組合員の資格というものが一反歩で九十日だということが、今日のこれからの新しい農業者の利益を守っていくという協同組合の立場に立ってよろしいかどうか、この辺につきまして大臣の御見解を承っておきたい。実はこの問題は、これからの農協はもちろんでありますけれども、私は農政の出発点になる農民とは一体何か、この規定が非常に不明確だと思うのです。農林省の統計調査事務所等における農民、農家というものに対する概念も、私ははっきりしてないのじゃないかと思うのです。こういうものからはっきり統一解釈をしていかないと、政策目標を四町だ、五町だ、二十頭だといったって、その足元は一体どこに置くのか。ばくっと五百三十万戸の農家でありますということでは、私はかけっこをするのに出発点がどこかさっぱりわからない、こういうことだと思うのですが、そういう意味でも、特にこの農協法改正にあたって農協法が示す組合員というのをどういうふうに理解をしたらいいのか、この点をお聞きをしておきたいと思うのです。
#210
○倉石国務大臣 たいへんむずかしい、基礎からの法律論みたいになりましたが、いまさっきのお話の中にもありましたように、農業ばかりじゃない。ほかの産業もそうでありますけれども、著しい勢いで毎日変転してまいるわけであります。それに対処してまいりますために、これはいまおっしゃいましたいままで農林省がこういう定義づけというふうなことが御指摘がございましたけれども、それもさることながら、やはり農業を営んでおる人、そしてその営んでおる人自身が、自分は自立農家として立っていきたいというお考えの方、それから自分の立場で兼業農家のまま所得をふやしていきたいと考えられる方、そういう方々の現在の状態というものを私どもはできるだけ実態を把握いたしまして、そういう人たちをどのようにして安定的に生産を続けられ、しかも他に比べて遜色のないような所得を得られる生活を享受することができるかということでございますので、一応のめどは将来に置くといたしましても、やはり年々のそれに対処した施策を実行していかなければならないわけでございます。したがっていま農地法、農協法等御審議を願いますにつけて、原則的にいままで農林省が指導してきたそもそも農業とは何ぞやということから入っていかなければならぬ、それも一つの大事な基礎でありますけれども、そういういま私が申し上げましたような現実に即して、いまわれわれが何をなすべきであるかということを皆様方と御相談をして法律を制定してまいりたい。そこでいま私直接よく記憶いたしておりませんので、必要があれば私どもが、いま御指摘にはなりましたけれども、農民というものについての一応の定義づけについて事務当局から御説明いたさせましょうか。
#211
○池田政府委員 農民の定義は、農協法にございますように、これは御存じのとおりでございますが、「みずから農業を営み、又は農業に従事する個人をいう。」こういうことにいたしておるので、どの程度の規模あるいはどの程度の日数労働に従事すれば農民かという点は必ずしも明らかではないわけで、これは一般的にはやはり常識と申しますか、社会通念といいますか、そういうことできめるべきであろうというふうに考えているわけでございます。
 若干関連いたしましてもうちょっと申し上げますと、先ほど御指摘になりました問題は、私どもはやはり農協の性格論につながる問題である。要するに私どもの従来の規定のしかたといたしましては、農協は職能的な団体である、こういうふうに考えているわけでございますが、同時に地域協同体としての性格もあわせ持っておる。そういうところから、たとえば従来の模範定款では二反以上ということで、農家とあまり言えないような農家も含めて考えておるわけでございます。でございますから、職能団体として純化をしたらという御意見もあるいはあろうかと思いますが、現実はなかなかそういうふうに割り切るのも一面ではまた問題が出てくる、こういうふうに考えておるわけでございます。
#212
○田中(恒)委員 いまの局長の御見解は、従来の日本の農村の状態であるならば、ある程度成立すべき条件があったと思うのですが、私は相当変わっていくという考えを持っておるわけです。そういたしました場合に、いまのままの農業協同組合法の内容でいきますと、いろいろなところに矛盾が出てくると思うのです。したがって、そういう面についての展望というか、方向づけを農林省としてもお考えいただくことが必要ではなかろうか、こういう観点から申し上げたわけですが、あまり時間がありませんし、もう時間が来たんじゃないかと思うのですが、あと一つ、二つ大臣にお尋ねいたします。
 今度の農協法の改正で、農協が土地の供給事業と転用農地の取り扱いをやる、こういうことになってまいりました。特に土地の供給事業、転用農地の取り扱いの問題は、おそらく総合農政の一環として、特に最近の米調整との問題とからんで出てきた、こういうふうに理解をいたしておるわけですが、このことが、実はいま大臣のほうからお話しのありました農業協同組合の性格を考える場合においても、私はやはり相当大きな影響を持っておる、こういうふうに考えるわけです。この農地、特に転用農地を農協が取り扱うということは、農業協同組合の本来の趣旨に沿うものであるのかどうか、私は、法律的には農業協同組合法第一条の、農業の生産力を高め、農民の社会的、経済的地位を向上させるというこの規定に若干触れていく側面があるのじゃないか、こういう感じが実はするわけです。それは、長期的に考えましたならば、農地をつぶすというわけですから、これはどう考えても農業の生産力を低める、こういうことになろうかと思うのです。特に、従来農協は農地の造成等が事業でやれるようになっておりますが、これがどれだけやれておるか、私はあまり聞いてないわけですが、そうないと思うのです。そういうことがないままに、今度は農地をなくしていくようなことを農協法で出していく、このことは短期的に、米の生産調整の問題から出てきたのだと言われるでしょうけれども、長期的に見れば、やはり農業の生産力を弱めていく、こういうことになりましょうし、あるいは、いま農業者の組織だと言われましたけれども、この農協が、どきつく言えば不動産業を取り扱うということは、これはもう明らかに農業という観点よりも非農業の側面、特に今日の企業活動の中で最も投機性の商いといわれるこういう部面に対しての農協の進出というものは、私はいまの協同組合の実態からすれば、非常に危険な面がたくさんあると思うのです。そうでなくても農協の不正事件が相次いで、どうしていくかという問題が起きておりますが、その中へわざわざ不正事件の種をまくような事業になりはしないか、こういう心配もいたしているわけですが、この辺につきまして大臣の御見解をお聞きをいたしたいと思います。
#213
○倉石国務大臣 率直に私どもの気持ちを申し上げますが、今度農協法を――まあ不幸にして前の国会で審議未了になりまして、もう一ぺん同じものを提案しようという考えもあったのでありますが、田中さん御存じのように、前々から農協では土地を保有することを望んで、農林省にもお話があったわけであります。それで、今度お話がありまして、われわれはこのことについては決してまずいことではないと思って賛成をいたし、法律改正もそのように御審議願うことにいたしましたのは、いまちょっとお話しのありましたように、今度米の生産調整で十一万ヘクタール余りをつぶすというので、急に農協にも土地を持たせるように考えたのではないかといったようなお話があったかと思うのでありますが、そういう考えは私ども実はありませんで、むしろ百万トンの生産調整についていろいろな御希望がありました機会に、農業団体の方々が私たちに、十一万ヘクタール余りの水田を他に転用する御趣旨はよくわかるが、農協にも土地を持たせるようにぜひ促進してもらいたい。その理由の一つは、優良な農地がスプロール化して、大事な農業について障害を生ずるようなことがあってはならないから、私どもは政府と同じ考えで、そういう意味において優良農地を確保したい。同時にまた農業者全体、組合員全体の利益のために、そういう土地を活用いたしたいのだ、こういうお申し出がありまして、私どももたいへん賛成の趣旨でありました。いま農業全体から考えてみますと、一部の土地でもつぶすということははなはだ遺憾千万なことでありますけれども、それは、つぶすということばは少し変かもしれませんが、傘下の組合員全体の利益のために、あるいはスプロール化を防ぐために、優良農地を保存することにもなり、それから農協全体の運営のためにも、ひいては全体の農業発展のために有利になるようにこれを活用いたすならば、かえってけっこうではないか、そういうことでこの改正案を提案しておるわけでありますが、農林省といたしましては農協に対して、ただいまお話しのありましたような、他の悪い方面にそれが悪用されることのないようには十分に指導監督をいたしてまいることはもちろんでございます。
#214
○田中(恒)委員 時間が参りましたので、この一問で終わります。実はいろいろ予定しておったわけですが、こま切れの時間ではつなぎ目がなかなかむずかしくて、質問のほうも若干まとまりがない質問になっているわけです。いまの大臣の御意見に対して若干御質問もあるわけですけれども、いま一つだけお伺いをして終わりたいと思います。
 農業協同組合のこれからの一つの方向として、生産面を重視しなければいけない、こういう御意見があったと思いますが、その点は私どもも全く同感でありまして、これからの協同組合の非常に重要な側面として、農民の営農、生産活動の分野に農協の機能がどれほど入っていくか、この問題はいま農協をめぐっていろいろな批判があるわけですけれども、その批判の最たるものは、農協が栄えて農民が滅びるのじゃないか、農民は少しも伸びないで、農協だけはりっぱになっているじゃないか、こういう意見が全国の農民の中に私は相当あると思うのです。農協の上部団体や経営者は、どれほどそのことに耳を傾けておるか、問題はありますけれども、現実に農民の中に入ってまいりますと、農協の経営体としての要求が農民の生産生活を高めていくという要求と必ずしもそぐわない形になって、農協に対する不平不満が蓄積されておる、こういう感じがするわけです。したがって、農協は農民の組合である以上、どうしても農業の生産の分野の中に農協の機能を位置づけていく。その場合にやはり一番問題になりますのは、農民の生産活動の危険負担、リスク負担、野菜をつくった、さて大暴落を来たした、そこで困ってどうにもならない、こういう場合、農協はちゃんときめられた手数料を取っていく、損をするのは農民だ。これが野菜、果樹、畜産、ほとんどのものに共通しておるわけです。この経営のリスク負担というものを農業協同組合が農民の生産分野の中にどこまで手助けをしていくか、このことがないと農協が農民と一体になって、農民の危機は農協の危機だ、こういう理解にならないと思うのです。相変わらず事業として農協がやっていく、こういう姿勢では協同組合が農民の中にどっかと根をおろす共同活動の機能を発揮することができないと私は思うのです。そういう意味では今回の農協法の改正で、いわゆる農協が農業経営を営むという、そのこと自体は私はたいへんいいと思うのですけれども、しかし、その内容をいろいろお聞きをしておりますと、受託料を取るのだ、そして農民に対してその成果は返す、それから、もうけた場合はいいですけれども、失敗した場合は、失敗したものが農民にかぶさってくると思うのです。これはやはり今日とっておる購買、販売事業と何ら変わらないと思うのです。そういう農協の生産部面への進出ではなくて、農協自体が経営の危険性をかぶっていく、こういう形にまで協同組合というものを将来方向づけなければならないのじゃないか、こういうふうに思っておるわけですが、この点について、これで最後になりますが、大臣にお聞きをいたしまして、あと若干足りない分は、いずれ御気分のすぐれたときにお聞きをいたしたいと思います。
#215
○倉石国務大臣 私どもふだん考えておりますことをたいへんひしひしとお話しいただきました。私どもに対して私どもの親しい農家の人たちが、いま田中さんが御指摘になりましたようなことをたくさん仰せになります。私は、農林大臣という立場で地方を歩きましても、単協に参加をしておられる農村の方々からいまのようなお話をずいぶん聞かされます。農協の幹部の方々もおそらくそういうことについてはお気づきの方も多いだろうと思いますが、一例を申しますならば、いまの野菜をつくっておりまして、たとえばケチャップ、これはひとつ農協の事業でやろうじゃないか、それからリンゴのジュース、かん詰め、これなどについて、そこまで農協が進出しなければ立ち行かなくなるという考え方で大いに研究をしておられる方々がおります。ところでコマーシャルベースでほかの民間のつまり商社あたりが同じ目的で同じ地域に進出してきたときに、それに農協が同じような事業を計画して太刀打ちができるかどうかということを考えてみましたときに、そこにはたいへん困難性もあります。ありますけれども、将来の農協というものはそういう方向に進出をして、しかもそれは、いま購買、販売だけでそのマージンを取っておるというような一部の簡単な経営の上にあぐらをかいておるような組合ではやがて崩壊していくのではないかと私は思う。また、そういうことでは参加しておる農業者自身が承知をしなくなるでありましょう。大事なときだと思います。しかも農政として非常に大きな曲がりかどに来ております現状におきましては、みんなが歯にきぬ着せずに話し合って、そうして農業者を含めた全体の農協がりっぱに経済単位としてやっていかれるようにするためにはどうしたらいいかということ、これが私は大事だと思うのです。信用関係の産業でも、御存じのように資金コストというものが、農業関係の資金はかなり高くなってきております。一般の民間の金融ですと、預金獲得のためにたいへな金を使っておるにもかかわらず、そういう苦労をしない農業関係の資金というのは資金コストがかなり高くなってきておる。私どもといたしましては、いろいろなことを考えてみて、やはり農協というのは他人のものではありません。組合に参加しておる農業者自身のものなんでありますから、農林省も率直にひとつそういうことに力をかして、将来農協が日本の農業者のほんとうの中核になって、農民の期待しておるような農協が育成されていかれるようになることを心から待望いたしておるわけでございますので、ひとつ今後ともそういう意味合いにおいてわれわれを御指示、御鞭撻願いますようにお願いをいたします。
#216
○草野委員長 この際、芳賀委員より資料要求に関する発言を求められておりますのでこれを許します。芳賀貢君。
#217
○芳賀委員 この際、政府に対して資料の要求をいたします。
 明二十六日は、理事会の決定に基づきまして、主として四十五年度の加工原料乳の保証価格の問題、それから四十五年度の豚肉の安定基準価格の決定の問題、さらにまた、四十五年度の飼料の需給計画の問題等について質疑をすることになっておるわけであります。
 それで、この審議を進める関係上、資料といたしましては、まず農林省の統計調査部から昭和四十四年のなま乳の生産費並びに豚肉の生産費について資料を出してもらいたいわけであります。
 それから、三月十六日に畜産審議会に農林大臣から、えさの需給計画並びに加工原料乳と豚肉のそれぞれ価格決定に必要な諮問を出されておるのでありますから、それらに必要な関係の資料を取りそろえて事前に提出をしてもらいたいわけであります。現在まで、これらに関係する資料が積極的に何ら当委員会に出されていないわけですからして、これは委員会が要求しなくても、それらの資料は適当な時期にあわせて進んで提出するようにしてもらいたいと思うわけです。何でもこちらから資料要求とか出席要求をされなければ資料も出さぬというようなことでは審議の能率をあげるわけにいかぬですから、大臣もおられる機会でありますので、いま要求した資料についてはすみやかに提出を願います。
#218
○亀長政府委員 統計調査部のほうといたしまして資料のあるものはできるだけ早く提出いたします。
#219
○草野委員長 それでは資料を提出願うことにいたします。
 次回は明二十六日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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