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1970/04/02 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第12号
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1970/04/02 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第12号

#1
第063回国会 農林水産委員会 第12号
昭和四十五年四月二日(木曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
  委員長 草野一郎平君
   理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君
  理事 丹羽 兵助君 理事 三ツ林弥太郎君
   理事 芳賀  貢君 理事 山田 太郎君
   理事 小平  忠君
      鹿野 彦吉君    亀岡 高夫君
      澁谷 直藏君    瀬戸山三男君
      田澤 吉郎君    田中 正巳君
      中尾 栄一君    中垣 國男君
      別川悠紀夫君    松野 幸泰君
      森下 元晴君    角屋堅次郎君
      田中 恒利君    千葉 七郎君
      瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君
      合沢  栄君    小宮 武喜君
      津川 武一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
 出席政府委員
        農林大臣官房長 亀長 友義君
        農林省農政局長 池田 俊也君
        農林省農地局長 中野 和仁君
        農林省蚕糸園芸
        局長      荒勝  巖君
 委員外の出席者
        農林水産委員会
        調査室長   松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
 九号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三〇号)
     ――――◇―――――
#2
○草野委員長 これより会議を開きます。
 農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬野栄次郎君。
#3
○瀬野委員 先般来農地法の一部改正、農協法の一部改正等について質疑がなされてまいりましたが、大臣の出席がございませんでしたので、若干の点について確認をし、さらに大臣の御見解を承りたい、かように思うわけです。
 まず最初にお伺いしたいことは、今回の農地法、農協法の改正が通過いたしますと、農家も、いよいよ実施の段階になるということになりますが、先々心配している問題等がたくさんございます。特に静岡以西、九州等においても最近ミカン等の樹園地造成が果樹振興法等によって促進されまして、かなり大規模の集団栽培がされております。こういったことから、特に九州等ではグレープフルーツの輸入自由化の問題については重大な関心を持っております。そういったことで、今回農地法、農協法の改正によって、将来果樹農家がミカン等の先々の心配をいたしておるわけでございます。一昨年は干ばつ等によってずいぶんミカンの被害がございまして苦しみましたが、今年はミカンの生産も一応順調で価格も比較的よかったので、一応農家は安定しておりますけれども、四十六年秋にいよいよ自由化ということが行なわれるというような段階になりますと、たいへんな問題になってくるわけでございます。そういったことからグレープフルーツ及びその後に来るレモンジュースとまたレモンの問題等につきまして農林大臣の見解をもう一回はっきりここでお伺いしておきたい、かように思っております。
 言うまでもなく、昨年十月七日の日米残存輸入制限協議会において突如グレープフルーツ並びにレモンジュース等の自由化が決定しておるわけです。米の問題を契機に重大な岐路に立っておるときに、西日本の果樹農家のショックは大なるものがございましたし、県会でも臨時県会を開くなどして、これらの問題について直ちに政府に陳情を申し上げたことは御承知のとおりでございます。果樹農業は国の果樹農業振興の基本方針にのっとりまして極力振興整備につとめてきたわけでございます。いまだ日も浅く、生産、流通両面とも不十分な態勢でございまして、特にグレープフルーツと直接競合関係にある九州等のナツミカンなど晩カン産地は未成園がまだかなり多くございます。多額の投資をいたしまして、構造的な面でもまだずいぶんと劣勢でございまして、いまだ国際競争に耐え得る状態ではないことは御承知のとおりでございます。したがって、現段階での自由化は、かんきつ産業等に対して壊滅的な打撃を与えることになりますので、これら果樹農民に対する犠牲を与えないために政府は万般の処置をしていただきたい、かように思っておるわけです。そこで、いまだ態勢が整っていないうちにこのようなことが自由化されてまいりますと、果樹農家はたいへんな苦境に立たされるということになってまいります。大臣にお伺いしたいことは、四十六年秋いよいよ自由化に踏み切る、この点について、今後の生産調整、農家の転作等の関係もございまして不安を除くためにもう一度はっきりここで意思表明をしていただきたい。その点をまず最初にお伺いを申し上げる次第でございます。
#4
○倉石国務大臣 お話しのように、グレープフルーツは来年末に自由化することになったわけでありますが、グレープフルーツが自由化されました場合には、自由化による輸入数量の増加等、現在輸入されております贈答用の大玉ばかりでなくて、小玉の輸入も行なわれるなどの事情も考えられますので、現在一個二百円ないし三百円しておる小売り価格は、おそらく百円ないし百五十円前後になるものと業界筋では見ております。
 グレープフルーツの自由化によりまして影響を受けるのは主としてナツミカン等のかんきつ類の果実であることはいま御指摘のとおりでありますが、そういうことのためにいろいろ農林省といたしましても対処いたしておるわけでありますが、御存じのように四十五年度におけるかんきつの生産対策として、新たにナツミカンを主としたかんきつの品質及び生産性の向上をはかるために、ナツカン園等の再開発特別対策事業それから果樹品種等更新事業などをはじめとして出荷調整対策、それから輸出を含めたかんきつの需要拡大対策につき所要の予算を計上しておるところでありますが、来年末に自由化が行なわれるまでの間、これらの諸般の対策を講じまして、その影響を最小限にするばかりでなくて、かんきつの生産者に対して不安なく生産を続けてもらえるように最大の努力をいたしてまいるつもりであります。
#5
○瀬野委員 大臣の答弁は一応抽象的でございますが、国内の農業を保護また育成するという立場を堅持する見方からいたしましても、今後グレープフルーツの自由化について農家に対して安心できるように事態の緊急化に対応してでございますが、生産体制とか価格体制の整備強化をはかる、または冷凍、濃縮ジュース等の工場も本年四カ所が考えておられるようだが、こういったことを拡充強化していく、また加工処理部門の拡充とか、最近では欧州それからソ連にもかなりミカンを出す動きがあるわけでございますが、こういったことについて輸出振興対策、こういったことの格段の配慮をしていただかなければならない、こう思うのですが、そういったことをどのように考えておられるか。果樹農家に安心して仕事につかれるように農林大臣から言明をしていただきたいと思うのです。と申しますのも、現在九州等の状況を見ますると、従来一反二百万から二百五十万円していた果樹園が、最近では五十万でも買い手がないというようなところもかなりたくさん出ておりまして、ミカンの先々の心配のために、いよいよ樹園地をほうり出してよそへ出ていってしまったというような例もあっちこっち聞くわけでございます。こういったことでは今後の農地法、農協法改正に伴って、いよいよ米と果樹と畜産、三本の柱の一つが先々心配になってくる、このように思っておりますので、この辺大臣からはっきりとした御答弁をいただきたいのであります。
#6
○倉石国務大臣 お話のございましたように、わがほうの生産品の販路拡大につきましては、前大臣もしばしば申しておりましたように、たとえば温州ミカンをアメリカ各州に入れるようにしてもらいたいということをあの当時こちらから強く要望いたしたとおりであります。これから私どもも前のとおりにそういうことについても努力してまいるつもりでありますが、国内のことにつきまして、御存じのように四十五年度予算で、ただいま御指摘のありましたようにミカンジュースの工場設置であるとか、それから近代的果樹生産設備の助成、そういうようなものについて種々予算を計上いたしておるわけであります。私どもは農協などにも相談をいたしておるのでありますが、くだものをなまのままで食すという点においては、欧米の人よりも首本人のほうがその率がはるかに多いのでありまして、やはり農協等がさらに活発に活動いたしまして、ジュースかん詰め工業にどんどん進出することが必要ではないか。現に静岡県あたりでは非常に優秀な輸出かん詰めをつくりまして、これらはたいへん諸外国にも売れ行きが進んでおる模様であります。したがって、私どもは一方においては国全体の方針として自由化を進めてまいりますけれども、一方においてはそれに対抗できるように政府も諸般の手伝いをいたしますが、生産者及び団体等においても販路拡大について新しいくふうをこらして、いま申し上げましたように、販路の拡大をいたしていく必要がある。そういうことについては政府もあとう限りの援助をいたしてまいりたいと思っておるわけであります。
#7
○瀬野委員 重大な農業の三本の柱の中の一つである果樹でありますが、大臣もあまり勉強してござらぬような感じがするわけです。果樹地帯では悲壮なまでにもどのグレープフルーツの問題については真剣に考えて悩んでおります。ましてや幼齢木を掘り起こして、今度は水田というわけにもまいらぬわけで、まだ成木になってないミカン等の樹園地がたくさんございまして、ここで減産による対策として今回の農地法、農協法を推進していく上に、これら不安を除くために安心できる方策を立てていただきたいと思うわけでございます。
 ただいまも答弁ございましたが、その中で欧州とかソ連に対しても果樹連合会等でもその販路開拓にえらい乗り出しておるようでありますが、そういった面について大臣はどのような見解を持っておられるか、どのように掌握しておられるか。今後ソ連に対する輸出見込みがあるのか、あるとすればどのくらいか、また欧州に対してはどのくらいのミカンが今後考えられるかという点について、さらに明らかにしていただきたいと思います。
#8
○亀長政府委員 私、とりあえずお答えを申し上げます。
 現状の御説明をまず申し上げますが、御承知のように、カナダにつきましては従来から相当量の温州ミカンが出ております。アメリカにつきましては現在五州だけが解禁でありますが、今後それを実質的に拡大をしてもらうという了解が成り立っておることも御承知のとおりでございます。
 欧州につきましてはまだ日本のかんきつその他の輸出はほとんど行なわれておりませんが、本年初めて九州から試験的に輸出された、これはなまのミカンでありますが、輸出されたと聞いております。御承知のように欧州になりますとかなり航路が長距離になりますので、その間の品質の保管あるいは良好な味の維持ということが非常に問題になりますので、現在ではまだ試験の段階を出ないものでありますが、輸送方法に自信ができれば将来の要素としては非常に有望ではないか。御承知のように欧州は非常にかんきつの不足している国でありまして、大量のものを南ア、スペインあるいは地中海方面から輸入をしておりますので、将来の消費地域としては、輸送問題、コストの問題さえ解決すれば非常に有望である。本年度におきましては、まだなまミカンにつきましては試験段階であるという実情でございます。ミカンかん詰めにつきましては、これは申すまでもなく、日本から大量のものが数年にわたってヨーロッパに輸出されておりまして、将来も輸出市場としてまことに有望であろうかと思われます。本年におきましては、従来よりもそう拡大した数量の目標を輸出かん詰めにつきましては立てておる次第でございます。
 東南アジアにつきましては、現在台湾にリンゴ、あるいはトマトジュースが沖繩等にも出ておる。さらに香港にも若干輸出があるという状況でございます。
 ソ連関係につきましては、御承知のようにソ連と日本との貿易関係は非常に片貿易になっておりまして、日本はたくさんの木材、石油等を買っておりますが、ソ連のほうは消費物資はあまり好んで買ってくれない。向こうは国営貿易でございますが、日本は自由貿易のたてまえでございます。しかも自由化品目が相当多いので、現在日本が非常にたくさんソ連からものを買って、ソ連は日本のものはあまり買ってくれないという状況でございますが、ぜひとも日本のくだものを買ってもらいたいということで、農協等で先般来ソ連にも参りまして、新しい日本の果実の消費の開拓に努力をするという方向で進んでおる実情でございます。
 以上、御報告申し上げます。
#9
○瀬野委員 そこで四十六年秋にグレープフルーツ等の自由化がなされた場合に、その後にくる問題、おそらくかんきつ農家はたいへんなショックを受けるわけでございます。もちろん輸入関税等の措置とかいろいろあるとはいいながら、実際に四十六年秋以後、すなわち四十七年からどのような対応策を考えておられるのか、自由化が実施された場合のそのあとの問題について、大臣からお考えを承りたいと思います。
#10
○倉石国務大臣 グレープフルーツにつきましていろいろ観測があります。たいしたことはないという見方もかなりありますし、さっき申し上げましたように、いまのような状態であるから二百円も三百円もするので、贈りものにはかなり用いられているが、これが百円程度でそこらにころがってくるようになったら、はたしてそれだけおそれるほどの売れ行きがあるであろうかという商売人的観測、これは農林省に参ります取り扱い店などは、むしろそういうことで対応策を考えなければなるまいというふうなことを言っておるものもおるわけであります。しかし、私どもといたしましては、競合する物資を生産しておる生産者の立場を考えなければなりませんので、そのためには先ほど来申し上げました、また四十五年度予算にも計上いたしてありますように、わが国の夏カンその他競合されるかんきつ類に対して、いま申し上げましたように販路を拡大いたすこと、同時に、さらにこれが生産費を低廉ならしめるためにも種々の予算を計上いたしまして、この生産の品質のよいものを拡大する施策を講じて対抗していくことに万全の策を講じていきたい、こう思っておるわけであります。
#11
○瀬野委員 グレープフルーツについてはいま答弁がありましたように、万全の策を講じていく、こういうふうに大臣は申されておられますが、またいずれの機会にいろいろ具体策を問いただすといたしまして、今回の改正に伴いまして、いよいよ果樹農家の不安が将来つのってまいりますので、十分また検討していただき、具体策を次の機会にまたいろいろお尋ねしたいと思いますので、御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。
 グレープフルーツの問題については以上にいたしまして、次に、この農業協同組合法の一部改正が行なわれてまいりますと、いよいよ農協も資金の扱い、また土地の扱いからかなり膨大なお金を扱ってくるということになってまいります。実は先日、中央会の宮脇会長を呼びまして参考人の供述をいただいたわけでございます。そのとき私からもいろいろと数点質問いたしましたのですが、その中に農協の合併の問題を取り上げていろいろ、申し上げました。次官から一応の答弁はございましたが、最近のあちこちの状況を聞き、また中央会の意向等を聞きましても、すでに中央会は自主合併を進めておられます。昨年十一月からその実施に入っておられまして、着々その実をあげつつございます。もちろん農協の合併については、従来五年間の農協合併助成法によって行なったものを、三年間延長して八年間やり、今日までにすでに九カ年たちまして、当初合併した農協はさらに再合併をしたいという意向もあるわけですが、農林省の考えとしては、すでに合併、残った分はどうしようもないんだ、一〇三%の目標を達成したから合併目標は達成したのだ、こういうふうに言っておられますけれども、御承知のように、単位農協その他御意向をずっとお伺いいたしましても、私が知っておる範囲ではいろいろ問題があるにせよ、農林省または県当局の指導その他の欠除もあったり、またいろいろ政治的な面も多少ありまして、最近ではかなり合併をしなければならぬ。すなわち農地法、農協法の改正によって窓口が小さいのではどうしようもない。人手も不足するし、いろいろな事業の扱い量も多くなってくる。そうすると、どうしても機能を拡充していかなければならないということから、さらに再合併、さらには中央会でいっておられる自主合併ということを真剣に考えておるのであります。もちろん相当苦難の道はあるとはいいながら、やはりそういう方向に農林省も進めていくべきである。私はかように思うわけです。また一カ町村で三つ
 四つ組合が現在あって、相当せり合っておる組合等もございます。これらは指導とかいろいろな面での欠除によるものではないかと思いますが、いずれにしても中央会等では自主合併を進めておられる。ところで、ここで心配なのは、合併をするにしても赤字組合がございまして、合併したあと運営に困る、また合併しても余裕金は税金に取られるというようなことで組合に還元されないというような問題がございます。
 そこで、自主合併をしたい組合においては、どうしても合併を円滑にするために、法人税または登録の免除税等をひとつやっていただいて、税務上の特例措置を強く要望しておられますが、今後一大総合農政の転換にあたりまして、いよいよ農地法、農協法の実施をしていくということになりますと、こういった問題について何かの手を打ってあげなければ片手落ちになるのではないか、こういうふうにも思います。重大なときでございますが、この点についての大臣の見解をひとつはっきり承っておきたい、かように思うわけであります。
#12
○倉石国務大臣 お話しのように昭和三十六年に農協合併助成法ができまして、だんだんその成果があがってまいりまして、ほぼ順調に行っておるのではないかと思っておりますが、そこで、ただいまお話しのように、なおかつ自主的に合併しようという機運も残っておるところにあるようでありますが、そういうことにつきましては必要な指導、援助をいたしてまいりたいと思っております。そういうことについて、いま免税等のお話がございましたけれども、これは特別法が必要なのではないかと私どもは見ております。
#13
○瀬野委員 ただいま大臣から答弁いただきましたが、特別法が必要ではないかとおっしゃいますが、前向きに特別法を考える意思があるのか、その点もう一度明確に御答弁をいただきたいと思います。
#14
○倉石国務大臣 これは私どもだけでもいけませんので、今日の状況を土台にいたしましていろいろ検討してみたいと思っております。
#15
○瀬野委員 どうもありがとうございました。ぜひひとつ検討していただいて、配慮していただきますように、農家のために努力をせっかくお願いしたいと思っております。
 それに関連しましてもう一点お伺いしたいことは、農林省は農業協同組合の運営にあたって、指導監督の強化をはかるために検査体制ということについて拡充強化をはかっていくというお考えであります。また農業協同組合の中央会に対しても、これら検査体制の助成をしておられます。本年度は一億一千六百十五万六千円、昨年は一億二千三百六十三万八千円、このような助成をしておられますが、なぜ去年よりことしの助成が少ないのか、農協のいろいろ不正その他が最近続発してまいっておるときに、むしろ強化すべきではないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、その点についてのお考えと、なぜ予算がこんなに少ないのかということをお尋ねしたいのであります。
#16
○池田政府委員 数字のことでありますから、私から先にお答え申し上げます。
 助成額がいま御指摘のようなことになりましたのは、実はいろいろ経緯があるわけでございますが、一つは、従来行管等から御指摘がございまして、農協のたとえば経営の指導というようなことで助成をいたしておったわけでございますが、こういうものは農協自体がまかなうべきではないか、もう農協としてもそれだけの力がついておるのではないか、こういうような御指摘で、これを整理すべきである、こういうことであったわけでございます。そういうことがありますので、私どもといたしましてはそういう方針に従いまして若干の補助金の整理をいたしたわけでございます。ただ、御指摘のございますように、最近におきます農協のいろんな不正事件といいますか、事故等も非常に起こっておりますので、こういう点につきましては、私どもはさらに農協に対しますいろいろな監督の面でございますとか、そういう面については充実をする必要がある、こういうようなことで、たとえば農協に対します検査関係の経費でございますとか、そういうものについては、実は従来よりかなりの増額をいたしておるわけでございます。そういうような関係で、全体といたしましては若干御指摘のようなことになりましたが、内容といたしましては、私どもは、必要なところはさらに充実をしておる、こういう考え方をしておるわけでございます。
#17
○瀬野委員 大臣にお伺いしますが、ただいま局長から答弁がございましたけれども、私は、大臣がどのように掌握しておられるか、こういったこともお聞きしたかったわけでございます。
 そこで、昨年もことしも、いずれにしても助成をしておられますが、この検査にあたっては、もちろん行政庁が行なう検査と農協中央会が行なう検査とあるわけでございますが、中央会が行なっている検査の結果について、多額の助成をしておられるわけですから、どのような検査結果を聞いておられるか、大臣はどのようにそれを掌握しておられるか、お伺いしたいのであります。なぜこういうことを聞くかといいますと、最近たくさんの事故が起きていますし、われわれ、まあ、相当内容を知っておりますが、いずれにしても、今回農地法、農協法の改正によって農協の責務が重大になってまいりますし、土地ブローカー的な動きをするんじゃないかとか、いろいろ論議をしてまいりました点からも、今後きちっとした検査体制を確立していくべきじゃないかという意味からお伺いをするわけでございますから、大臣からの御答弁をいただきたいと思います。
#18
○倉石国務大臣 農協にしばしば不正事件等が起きましたことはまことに遺憾にたえないのでありますが、四十三年は、前年に比べて若干不正事実が減少いたしておるわけでありますが、それにしてもかなりございますことは御指摘のとおりであります。これは、やはり農協運営の、管理者の自覚の足らないこと、それから農協自体の管理体制の不整備等によるところが多いと思うのでありますが、多くの農業者大衆の利益をはかるために存在いたしておる農協でありますので、今後ともその指導監督については、お説のようになおしっかりした指導をいたしまして、不正事件等ができるだけ発生しないように、なおそういう面において努力をしていきたいと思います。
#19
○瀬野委員 大臣から、まあ通り一ぺんの答弁でございましたので、それではあえてここでまた申し上げます。
 現在、行政庁の監査による四十三年度の実施組合が二千八百組合で、先日の局長の答弁では、監査実績は七千百組合中、四〇%の検査をした、このように報告がございました。
 ちなみに申し上げますと、四十一年が七十四件で十六億円、四十二年が百一件で四十六億円、四十三年が七十三件で十五億円。四十二年に比して若干四十三年は減っておりますが、四十四年度はまだ報告ができない段階であるわけであります。四十一年から四十三年までの過去三カ年の合計だけでも、監査の結果四〇%で、二百四十八件、七十七億になっている。そうしてみますと、これは
 一〇〇%検査するとかなりの不正があるということがうなずけるわけでございます。一農協でかなり多額の員外貸し付け等を行ないまして、それが焦げついて大事な農家のお金が返ってこないというようなこともあるわけでございますが、こういった問題を踏まえまして、大臣、承知しておられるだろうと思うのでありますが、今後こういったことをなくしていかないと、農協の運営その他もたいへんなことになってくる、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、もちろん、検査の体制には、人手不足もありますので、人員を増加するなり、また財政的な問題等もあるわけでございますが、こういったことについてさらに大臣から、今後強力な全面監査をするなり、監査体制は今後このようにしてやっていくという強い意思表示をお聞きしたい、こういうわけであります。
#20
○倉石国務大臣 農協の監査につきましては、行政庁が約四〇%、それから中央会が約三〇%の監査をいたしておりますが、中央会の監査は八百八十七名であります。これはいまに始まったことでありませんで、私どもも前々から心配をいたしまして、できるだけ不正事件が起こらないように指導はいたしておるのでありますが、御指摘のように、単協に入っておられる農業者全体の御迷惑になることでありますので、なお今後もこういう点について中央会ともよく話しまして、より一そうこういうことについての処置をきびしくしてまいりたい。いやしくも農業団体に対する不信用が起こらないようにいたすことが私どもの責務であると思いますので、この点については一そう掘り下げて検討いたしまして、逐次こういう不当事件がなくなるように努力したいと思います。
#21
○瀬野委員 その点よろしく、今後農協の運営がスムーズになされますようにお願いを申し上げておきます。
 さらに、農協関係についてもう一点お伺いをいたします。
 戦後、開拓農協なるものはずいぶんたくさんございましたが、ここ数年前から開拓農協はだんだん整備されまして、開拓農協として生きていくものと、すでに開拓農協として成り立たなくなって離農するものと、おのずからはっきりしてまいりまして、現段階ではおそらく全国的にもう相当はっきりしてきたということがいわれております。私もつい最近新聞で見たのでありますが、農林省は五月の下旬までに、各県知事に対して、開拓営農総合調整事業実施に関する基本方針というものに基づきまして、四十七年度までに、現在三千七百ある開拓農協について強化育成をはかって、総合農協との合併、解散など、実情に応じた組織の再編成をする、こういうふうに方針を立てておるようであります。そして、四十七年度までに再編成をした上で、現在ある三千七百の開拓農協を約四百に減らす、こういうお考えのようであります。これはたいへんなことでありますが、これについて、大臣、このとおりであるか、また、このようにするためには相当な努力が要るわけですが、御見解を承りたいと思います。
#22
○中野政府委員 具体的なこまかい話ですので、ちょっと私、先に御答弁申し上げたいと思います。
 いま御指摘のように開拓行政につきましては、公共事業その他特別の助成政策が大体終了いたしてきました。と同時に、開拓農家の営農レベルもおおむね一般の農家のレベルに達したというふうになってまいりましたものですから、本年度、四十四年度からでございますが、総合調整事業というのを各県に助成をいたしまして、開拓農協のあり方を今後どうするかというふうに持っていきたいという方針を立てたわけでございます。その際、開拓農協、御指摘のように三千七百ほどございますけれども、十人以下の組合というのが過半数を占めております。その一方、総合農協と同じような活動をしておる組合も数百ございます。そこで、われわれが考えましたのは、開拓農協というのはこれは自主的な組織でございますので、一方的に押しつけるのはいかがかということがございまして、われわれといたしましては、県の段階における自主性を尊重するということで、現在各県におきまして開拓農協をその地域としてはどう持っていったら一番いいかという検討を進めております。その結果、御指摘のように総合農協に合併したほうがいいもの、あるいは開拓農協同士が合併して大きくしたほうがいいもの、それからそのまま残ってといいましょうか、そのままで活動ができるというもの、その三つに分かれてくる。それを、北海道から鹿児島までいろいろな実情がございますので、それぞれの地域の実情に即して再編、整備をはかりたいというように考えておるわけでございます。その結果どういうふうになってまいりますか、いま四百というお話がございましたけれども、まだ四百になるかどうかというところまでは作業の段階として進んでいないのが現状でございます。
#23
○瀬野委員 よくわかりました。
 それでは、最後にもう一点大臣にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
 先日からいろいろ論議してまいりましたが、ちょうど大臣が不在でございましたので、渡辺政務次官から答弁を一応お伺いしたわけでございますが、実は農林省の目玉予算ともいわれる大規模乾燥貯蔵施設の問題でございます。いわゆるカントリーエレベーターでございますが、現在建築中のものも入れまして四十三カ所設置をされ、四十九年までには百カ所近いものになるんじゃないかといわれておりますし、今後毎年八カ所ずつの増設をしていかれるような計画やに伺っておるわけでございます。ところがこの大規模乾燥貯蔵施設はアメリカから技術を導入したわけでございまして、アメリカのかん水地帯のあのような土地柄と日本の気候風土の違う土地柄ではかなり条件が違うわけでございまして、もちろん私としてもカントリーエレベーターを設置して推進することには賛成でありますし、進めていかねばならないのでありますが、操作技術、または工事施行面の問題またこれらの技術者が少ないためになかなかうまくいかない。ことしはよくても来年はどうなるかわからない。
 そこで実は、熊本県の不知火干拓農協の場合は、二万三千俵のうち二万数千俵という被害を受けまして、米が焼けたようになりまして異臭米となりました。そういった約五千万円近い損害をかかえて苦慮しておるわけです。渡辺政務次官も、これらの問題があったんでは今後農協法、農地法を改正して推進する上で、農業近代化、構造改善という意味からもゆゆしきたいへんな問題である、こういうふうに答弁がございまして、直ちに調査員を派遣し、どこに原因があるか、操作面か技術面か、また機械にミスがあるのか、調査した上で徹底的な処置をする、そして委員会を通じてあらためてその結果を報告するという答弁がございましたが、実は現在、農林省ではっきり掌握している大きな事故が熊本、秋田、新潟、長野、こういうふうに現にあるわけです。私はそのほかにも小さい事故はたくさん聞いておるわけでございますが、これらの問題がたいへんな心配になってくる。場合によってはカントリーエレベーターの構造というものを機械化研究所等でさらに再検討して、農林省の予算を増額して現在のカントリーエレベーターをさらに改造するなり将来は設計変更するなり、機械化研究所あたりもかなりいろいろ意見を持っておるようであります。農林省からの予算が少ないとか、農林省の設計どおりやったからミスはないのだとか、こういうようにも言っておりますし、また農林省の見解といろいろ食い違う点もあったりして、いろいろその辺に問題がございまして、カントリーエレベーターそのものが一基が一億二千万ないし二億四、五千万円もする大型な乾燥施設でありますがゆえに問題であります。相当な地元負担、県、国の金を使ってやっておりますが、このままにしていけば数年にして農村の廃墟の塔になるのではないか、こう言って有識者の間ではいろいろ心配をしております。また反面、食糧庁でも大型精米工場を消費地に近くつくったらどうか、こういうような意見もあるということで、いろいろ意見が対立しておるということも聞いております。農林省では大型精米工場は生産地に近くつくったらいいというようなことで、畜産の飼料作物等の関係からもいろいろ論議がされております。いずれにしても、現に四十三カ所、今後も毎年目玉予算といわれて八カ所ずつ増設をしていく。また農業近代化という面からも必要である。こういう面からたいへん憂慮する問題でございます。
 そこで、大臣にお願いをしたいのですが、政務次官がそのように申されましたが、大臣としても、現在農林省で掌握している四カ所の実情を調べて、これは相当な損害が出ておりますが、これらの問題を農協あるいは全国連とかに押しつけたり、またはメーカーにとかいうのでなくて、どのように損害補償等をやっていくか、また今後、機械の構造、施行面、こういった面について検討をしていただかねばならぬと私は思うのですが、予算の増加等とにらみ合わせまして、どのようになさる意思であるか、大臣も先日の私の質問によっていろいろ報告を聞いておられるかと思うのですが、大臣の御見解を最後に承りたいと思うのであります。
#24
○倉石国務大臣 大部分のカントリーエレベーターはうまくいっているようでありますが、ただいまお話しのような個所が出てまいりましたことはまことに遺憾であると思います。そこで、生産体制とカントリーエレベーターとの結びつけ方とか機械の操作方法等のふなれも原因のようでありますけれども、機械の性能、工場にもなれない面もあったでありましょう。政務次官がここでいろいろこの前お答え申し上げたそうでありますが、政務次官の申し上げておりますことは農林省の一体としての意見でございますので、私も全く同じ考え方であることはもちろん当然なことでありますので、十分調査いたしまして、そうでないというとせっかく新しいこういう施設をいたしましても意味がないのでありますから、調査を十分いたしまして対処いたしてまいりたいと思っております。
#25
○瀬野委員 以上で私の質問を一応終わりますが、ただいまの答弁のようにぜひ早急に調査をしていただいて、いずれ当委員会で御報告を承りたい、かように思っております。よろしくお願いしまして、私の質問を終わります。
#26
○草野委員長 千葉七郎君。
#27
○千葉(七)委員 農地法の改正の問題につきまして、大臣の御見解を二、三お伺いをいたしたいと存じます。
 私は、この地球上で行なわれておるあらゆる生産は、地球の上に住んでおる人間の生活のために行なわれておる、かように考えておるのであります。これはもちろん言うまでもなくだれしも否定のできない事実だと思うのでありますが、生活の根本は言うまでもなく食糧にあるわけであります。生命を維持する、命をつないでいくというその基本は食糧にあるわけでありますから、したがいまして、あらゆる産業の基盤は食糧の生産、すなわち農業の生産にあると思うわけであります。農業とは、私から申し上げるまでもなく、土地に労力を加えまして、そして主要な食糧を生産する。これが農業の基本であります。したがって、農業の政策を樹立する際には、何と申しましてもこの農地の制度をどういう形にするかということ、それに基づきまして、その国の国民経済の中において、あるいはその国の産業の組み立てのワクの中において農業をどのように位置づけるかということが農地制度の基本でなければならぬと思うのであります。私は、その国の農業は常に国内産業の組み立ての部分として位置づけをすべきであって、したがって、世界農業の一環として位置づけをすべきではない、このように私は考えておりますが、農林大臣の御意見はいかがでございましょう。
#28
○倉石国務大臣 高邁な農業哲学について御説明いただきましたが、人類全体が食べていくということから考えますと、地球上の全人類が食べられるようにしたいと思うのでありますが、そういう遠大なこともさることながら、ただいまはやはり国家が存在いたして、その国家の国民の食糧の安定的供給というのが私どもの任務でございますので、そういう立場に立って農業基本法が示しておりますような方向で農業を営んでいくべきである、こう考えておるわけでありますが、いまのお話しの趣旨は――私どもといたしましては、やはりわが国の国民に安定した食糧を供給することを確保すると同時に、その供給をする人たちの生活が安定するように考えていかなければなりませんことは基本法の示しておるとおりであります。しかし一面において、わが国の経済が鎖国経済ではございませんので、したがって、国際経済の中に対処してまいりますその中において、わが国の経済構造の中の農業はどういう位置を占めるべきであるか、そういうことじゃないかと思うのでありますが、要は、基本法の示すような方向に従って農政を進めてまいるのが私どもの義務であろうかと思っております。
#29
○千葉(七)委員 ただいまの御答弁では、国民の食糧は国内において安定的に供給するということを主眼とすべきであるけれども、しかしわが国の経済は鎖国経済ではないので、国際経済の一環としてまた考慮しなければならぬ、このような御答弁の趣旨と承りました。もちろん私もただいまの答弁を全面的に否定をするものではないのであります。しかしその国の国民の食糧を安定的に供給をするというその主眼を、中心をどこに置くかということが問題になってくるんではないかと思うのであります。私は国民の食糧を可能な限り国内において生産をして、そして及ばない点は輸入その他にまつ、不足の分は国外からの輸入等によって補う、こういう政策を立ててこれを実行することこそ国の農業政策の基本でなければならぬと思うのでありますが、その点はいかがでしょう。
#30
○倉石国務大臣 わが国で産出し得る農作物は、できるだけこれの生産を助長いたし、お説のような調整的な意味でまた輸入のことを考えていかなければならない、こういうことだと思います。
#31
○千葉(七)委員 いま国内には、私から言うまでもなく米が五百万トン以上も余っておることは御承知のとおりであります。しかも、現在のような生産が続けられるとすれば、今後毎年百五十万トン程度ぐらいずつ余っていくだろうといわれておるのでありますが、国民の主要食糧は、米と小麦――麦類ですね、麦類を切り離して考えるべきではないと私は思うのであります。もちろん麦類と申しましても、大麦、裸麦等は、ただいまでは人間はほとんど食べておりませんから、それらは一応考えの外に置いてもいいと思うのでありますが、少なくとも小麦だけは米とともに主要食糧として、米麦一体のものとして、国内における生産体制なりあるいは消費体制というものを策定をしていく必要があるのではないかと思いますが、その点は大臣の御見解はいかがでございましょう。
#32
○倉石国務大臣 いまのお話の問題でありますが、国内において安定生産が可能な農産物につきましては、生産性を高めながら極力その自給をはかってまいることがいいと思います。そこでいまお話しのように、米につきましては、これは完全に自給をはかってまいりたい、またそのように可能でありますが、野菜、くだもの、畜産物につきましても、生産性の向上を主眼として、できるだけ自給率の維持、向上につとめる考えでございます。麦類のお話がございました。零細経営の多いわが国において、増産はなかなか困難でございますが、主産地を中心に生産性の向上につとめてまいる考えでございます。
#33
○千葉(七)委員 私がお伺いをいたしましたのは、国民の主要食糧として米と小麦を一体の主要食糧、そういう考え方に立って自給計画を策定すべきではないか、こういう点をお伺いいたしたのであります。もう一度お答え願います。
#34
○倉石国務大臣 食料は、政府がこういうものを食べろと国民に強制することもできませんし、またそういう必要もないことでございます。やはり御存じのように、最近小麦を原料とした食料、これはかなり普及されておりますわけでありまして、そういう角度に立って、国民の食料の嗜好傾向を見ておりますというと、われわれは、そういうものを食べずに米を食えというのはなかなか困難でもあるし、そういうふうなことを強制すべきではありません。御存じのように、小麦の需要というのは、麦類の需要というものは、日本人の食生活の中にだんだん定着してきておりますので、そういう需要を無視するわけにはまいらないのではないか、このように思うわけであります。
#35
○千葉(七)委員 私は何も小麦を食わないで、米を国民に対して政府が無理やり食べさせるような政策をとれ、こういうことを言うているのではないのであります。しかし、いままでの政府の施策をいろいろな面から検討いたしますと、小麦の需要の拡大のためにはいろいろな政策がとられておるような感じがするのであります。無理押しに国民に食えといって進めているわけではない、このような答弁でありますけれども、小麦の消費が拡大するような施策がいままで政府によって行なわれてきたような感じがするから質問をしているのであります。というのは、御承知のとおり昭和二十九年に、当時の自民党内閣、池田内閣でありますか、池田内閣の前でありましたか、MSA小麦を輸入をしてまいったことは御承知のとおりであります。昭和二十八年の六月ですか、当時の池田通産大臣がアメリカに参りまして、そうしてMSA協定を結んで、その協定によって、詳しい数量は忘れましたけれども、大体百万トン内外だったと思いますが、その小麦を借り入れてまいったことは御承知のとおりであります。と同時に、脱脂粉乳等も多量に借り入れをしてまいったことは、これまた言うまでもないところでありますが、そのMSA協定による農産物の借り入れ、これは当時のアメリカのMSA法によりまして、あるいは余剰農産物処理法等によりまして、通常の輸入のワク外として輸入をしてきたはずであります。つまりそれだけ余分な小麦、余分な脱脂粉乳等が通常のワク外として輸入をされまして、その余分の輸入の小麦と脱脂粉乳、これを使いまして学童に対する給食の仕事が施行されたと私は覚えておるのであります。そういう施策が行なわれたことから考えますと、学童に対してパンあるいは脱脂粉乳、牛乳の給食、こういう施策が政府の政策として行なわれたということは、これはとりも直さず政府によって日本の国民を、子供のうちから主食に対する嗜好を変えていくという政策が行なわれたのではないか、かように考えられるわけであります。その点に対しましては大臣はどういうお考えですか。
#36
○倉石国務大臣 ただいまお話のありましたような時期は、御存じのように、わが国で一般的に食糧の非常に不足しておった当時であります。しかもそういうものを輸入いたしまして、それを売却した代金で農業関係のいろいろな施策をやっております。土地改良その他にそういう資金を回しておった。その当時の政府のいたしましたやり方というものは、そういうことが主でありまして、国民の食生活を変えようとするような、そういう目的から出たものではないと思っております。
#37
○千葉(七)委員 その余剰農産物、アメリカの余っている農産物を輸入してまいりまして、国内にそれを販売をして、そしてその金が日本の農業の施策のために幾ぶん使われたことは、これは私もそのとおりだと思います。しかしそういう施策が行なわれたことによって、日本の国民の主要食糧に対する嗜好がだんだん変わってまいりまして、そうして小麦の消費が年々増大をするという結果になったことは、これはだれしもいなめないと思うのであります。しかも当時政府の施策に追随すると申しますか、いろいろな栄養学者などは、米を食うと頭が悪くなるとか、小麦を食えば頭がよくなる、あるいはまた小麦を食べると婦人の足が細くなって姿がよくなる、こういったようなことを当時の栄養学者などが盛んに新聞等に発表した事実もあります。これはまさか政府が栄養学者を動員して、そういう説を唱えさせたのだと私は思いませんけれども、そういう事実が確かにあったのです。そういう点から考えてみましても、政府の主要食糧に対する好みをかえていこうというような施策が行なわれたのではないかという疑いを持たざるを得ないような事実があったわけでありますが、私は国民の主要食糧を安定的に供給をするという政策を政府が実行する。そういうたてまえに立つならば、長期の農業政策、国内の農業に対するビジョンというものがまず第一に立てられなければならぬと思うのであります。先ほどその基本となる日本経済の構成の中における農業の位置づけということについてはお話をいただきましたが、第一には国民の食糧は可能な限り国内において需給をするという、そういう基本を政策の基盤とすべきという点、それからその第二には、国民の少なくとも五年なり十年なりという期間における栄養計画というものが策定をされなければならぬと思うのでありますが、たとえば今後十年間における国民の栄養計画というようなことが政府において立っておりますかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#38
○倉石国務大臣 政府委員から……。
#39
○亀長政府委員 国民の長期的な栄養水準につきましては、厚生省の審議会において検討中でございますが、私ども五十二年までの農産物需要と生産の長期見通しというものを公表いたしておりますが、その中では四十一年度には総熱量で二千四百三十七カロリーを五十二年度には二千七百カロリー程度まで向上する。かような前提のもとに各種の農産物の需要を計算をいたしております。もちろんカロリー上昇の過程におきましては、でん粉質すなわち米あるいは小麦というふうな食糧の需要は減少いたしまして、動物質あるいは野菜、果実というものに所得の向上とともに消費が移行する。かような前提のもとにカロリーも上昇を考えておるわけでございます。
#40
○千葉(七)委員 五十二年に二千七百カロリーの栄養を国民に供給をする、こういう計画になっておるそうでありますがそういたしますとそれに見合った需給計画というものを立てなければならぬと思うのですが、米と麦の需給計画はどのようになっておりますか。米と小麦の五十二年までの需給計画あるいは生産計画、消費計画といってもいいでしょうが……。
#41
○亀長政府委員 先ほど御説明申し上げましたように米麦類はでん粉食糧でございますので、所得の向上とともにでん粉食糧の消費よりも果実あるいは動物たん白の消費に移行をするというのが世界的な食生活の傾向でございますので、そのような傾向に基づきまして米につきましては五十二年度における需要量は千二百四十四万二千トンと考えております。小麦につきましては五百八十万トン、これは幅がございますが、一応大体のところで申し上げまして五百八十万トン、大裸麦につきましては二百万トンとかように考えております。
#42
○千葉(七)委員 そうしますとこのでん粉の食糧がだんだん五十二年までには減っていく、そういう想定でこの計画が立てられておるわけでありますが、それにいたしましても米が千二百四十四万トン、小麦が五百八十万トン、大麦、裸麦が二百万トンといたしますと、大体二千万トンちょっとこえる需給計画、こういうことになるわけであります。そこで私はお伺いいたしたいのは、国内における主要食糧の現在の需給率は、大体どの程度になっておりますか、お知らせ願いたいと思います。
#43
○亀長政府委員 米につきましては四十三年で需給率は二八%、すなわち一八%は余っておる、こういうことでございます。小麦につきましては二〇%、大裸麦については六〇%ということでございます。ただし小麦につきましては、先ほど私が申し上げましたのは主食用並びに加工用、菓子等を含み、さらに飼料も含んでおりますので、先ほど申し上げました小麦の数量の中には飼料用を含んでおる点におきまして、私がいま申し上げましたのは飼料用を含まない小麦でございまして、その点小麦につきましては内容的に若干の違いがございますことを申し添えておきます。
#44
○千葉(七)委員 そうしますと、現在一八%米が余る。もちろん千四百万以上も収穫があるわけでありますから、したがって現在の小麦、大麦、裸麦等を含めた国民の需要の総量からいいますと当然米が一八%も余る、こういうことになるわけでありますが、私は米、麦類等の国民の主要食糧、でん粉食糧、これらを含めて少なくとも九〇%なり九五%なりの自給計画、国の政策をそういう方向に進めるような方策を講ずることが最も大切な農業政策の基本ではないかと考えるわけであります。先ほど大臣は米を無理無理食わせて小麦を食うな、そういうことは言えないという答弁でありますけれども、現在米が余っているという状態において、米の需要の拡大ということについて政府はもっと真剣に研究すべき問題だと私は思うのでありますが、いまどのような米の消費の拡大政策がとられておるか、その点ひとつお知らせ願いたいと思います。
#45
○倉石国務大臣 学校給食になるべく米を使っていただくように、これは文部省ともお話をいたしまして、もうすでに実験的には各所でやっております。それからいままで外米を使っておりましたようなみそ、しょうゆなどの原料にも国内産米を使ってもらう。酒米などもそうであります。それから外国に輸出いたすこと、これもかなりいろいろな国に対して行なわれております。それから飼料に使いたいという要望がありましたので、そのやり方についていま検討しておるわけであります。その他パンの中に何%か米を入れてたいへん味のよいパンができておりますが、ああいうものの生産等も希望者がありますので、そういうこともけっこうなことだ。それからライスフレークみたいなものも考えられております。それでなるべく日本の米を所望する外国に延べ払いで輸出のできるようなやり方をいたすことがいいというので、そういうことをしようとするための法律をこれから国会に提出いたそうとしているわけであります。
#46
○千葉(七)委員 米の消費の拡大策はいろいろ研究されておられるようでありますが、大体学校給食、みそ、しょうゆあるいは酒米――輸出や飼料は別問題なんですけれども、国内におけるこれらの消費の拡大のめどは一年間に幾らくらい拡大できるか。そういうめどは立っておるか立っていないか。もし立っておるとすれば、大体何万トンくらい拡大できるか、お知らせ願いたい。
#47
○亀長政府委員 現段階におきましてもすでに、およそ考えられる米の用途には、できるだけ売っていくという方針を食糧庁では立てております。主食用につきましても、昔のことばで言いますと配給辞退、現在も食糧庁が一人当たりに売る量がかなり残っておる。いわゆる受配率がかなり低下をしておるという状況でございますし、さらに新しく考えております工業用あるいは飼料用等につきましても、いろいろ努力はいたしておりますが、現在の段階では、まだ確たる数量をつかみ得るという段階には至っておりません。
#48
○千葉(七)委員 そうすると、的確に拡大が可能であるかどうかということはいまだめどがついてない、こういうふうに理解をして差しつかえありませんか。学校給食あるいはみそ、しょうゆ、酒そういう国内の消費の拡大の見込みはいまだに数量的には立っていないのか。
#49
○倉石国務大臣 学校給食は、御存じのように、文部省予算で計画を立てております。それからみそ、しょうゆなどは、いまそういう業界がいろいろ要望いたしまして、党とも話し中であります。それから飼料につきましても、試験的にやってみたいという話がございまして、いまそれの折衝をいたしておる最中であります。
#50
○千葉(七)委員 先ほど小麦粉の中に米の粉を混入してパンをつくるという研究をされておるようなお話がありましたが、これは政府としてそういう研究をされておるのか、あるいは民間でそういう研究も行なわれているようだというのか、どちらであるか御答弁願いたいと思います。
#51
○倉石国務大臣 民間の会社であります。
#52
○千葉(七)委員 私は、小麦粉の中に米の粉を混入して。ハンをつくる、あるいはその他菓子類をつくるという研究などは、民間でやるだろうとか、そういった民間の研究をたよりにするというやり方ではなくて、むしろ政府が、米の消費拡大のためにはもっとそういう方面にも力を入れて研究をする熱意がなければならぬと思うのです。米が一一八%も生産できる状態であるのですから、外国から小麦をたくさん買い入れるようなことはできるだけ抑制をして、国内で生産をされる米は国内で完全に消費ができるように、何も無理に小麦を食うのをやめさせて米を食わせる、そういう無理な政策をやれというのではありませんけれども、そういう方向の研究こそ、政府がもっともっと力を入れてやるべきではないかと思うのでありますが、そういう点に対する御見解はいかがですか。
#53
○倉石国務大臣 政府もいろいろ研究はしておりますが、いま私が申しました小麦の中にライスを入れてつくってみるというふうなことは、今日のような情勢になってまいりましたので、自分でそういうものをつくる設備を持っておるところならば、すぐ即日にでも思い立てばできるわけであります。私がいま申し上げました一つの会社はみそ、しょうゆの大手でありますから、そういうものをすぐ自分の工場で製作する技術を持っておりますので、さっそくそれをやってみた。そういうものを試食してみると、たいへんに味のいいものである。それからさらにいろいろな実験がいま各所で民間でも行なわれておりますけれども、農林省でも食糧研究所でこういうことについて研究をさせてみたいと思っております。
#54
○千葉(七)委員 研究をさせてみたいというのですから、いま現在は研究をしてない、こういうことになるのでありますが、ひとつ食糧研究所等においてそういう研究を十分実行して、そして米の消費の拡大に特段の力を入れていただかなければならぬと私は思うのであります。しかも小麦粉に対して米の粉を二割なら二割混入すべきであるといったような法律の制定は可能ですか、可能でありませんか。
#55
○倉石国務大臣 そういうお話はやはり法制的に十分検討してみないと、なかなかむずかしいのじゃないかと思います。
#56
○千葉(七)委員 私たしか三、四カ月前だったと思いますが、新聞でこういうことを見たのです。というのは、アメリカの乳製品の会社でクラフト会社というのがありまして、その会社が日本に進出をして森永乳業と合弁のエムケーチーズ会社というものをつくる。そしてその会社はナチュラルチーズを全量輸入してエムケーチーズ会社でチーズを製造する、こういう計画で政府に対して許可の申請をした。ところが農林省その他で検討の結果、このナチュラルチーズの輸入品を全量原料にするのでは許可できない。当分内地産のナチュラルチーズを三分の一使うなら許可をする、こういう記事を見たのであります。こういう事態から考えれば、輸入品を三分の二使って内地産の原料を三分の一使えという、そういう法的な規制ができるのではないか。たとえば小麦粉の中に三分の一米の粉を混入すべしという規制が、このエムケーチーズ会社許可の条件から考えればできるのではないか、そういうふうに考えられるのですが、このチーズ会社許可の法的な根拠がどこにあるのですか。それをひとつ教えていただきたいと思います。
#57
○倉石国務大臣 事務当局から……。
#58
○亀長政府委員 チーズにつきましてはナチュラルチーズというのはすでに自由化をしておる品物でございます。
 そこで御承知のように、いま御指摘のエムケーチーズという問題が出まして、これはもちろん物を輸入するのとは別でございますが、アメリカの大きな会社が日本の会社と日本で大きなチーズの会社をつくるという問題でございまして、物の自由化とか割り当てとかいうこととは一応別の問題でございます。
 ナチュラルチーズを日本で従来かなり輸入をしておりましたが、そういう状況が出てまいりましたので、政府としましては、いわゆるチーズをつくる際にできるだけ国産のナチュラルチーズを使用させたいということで、国産のチーズを使う者に対しては外国のナチュラルチーズを入れる際に、一般の人よりは関税を安くいたしましょうという制度をとっておるのでございます。したがいまして、外国のチーズを入れる場合に国産の品物を幾ら使わなければいけないといういわゆる抱き合わせの制度とは少し制度的に違っておるわけでございます。国産のチーズを使ってチーズをつくる者には国産のものを使う数量に応じて、外国から買う場合に一般の人よりは少し関税を安くいたしましょうという制度でございます。したがいまして、先ほど御指摘の外国の小麦に国産の米の粉を抱き合わせるということを法制化するという問題とは行政のたてまえから申しますと、これはかなり取り扱いの違ったものだというふうに考えております。
#59
○千葉(七)委員 いずれにいたしましても、民間の会社で小麦と米をまぜていろいろなパンなりその他菓子なりをつくった、その結果が非常によろしい。また政府においてもそういう面をこれから大いに研究される、こういうことでありますから、したがってそういう方向を大いに推進をすることによってこの小麦の輸入を減らす、そうして米の消費を拡大する。小麦の輸入を減らすということになれば、それだけ工業製品の輸出も減らさなければならぬということになるから、あるいは財界等からおしかりを受けるかもしれません。財界の要請等もあることと思いますけれども、そういう方向をさらに研究をし、推進をされまして、そして米の消費拡大を大いに推進していただきたいと思うのであります。
 その問題はそれで打ち切りにしまして、それからお聞きいたしたいのは、国内における国民食糧の生産、これはもちろんできるだけ自給度を高めるという方向には国の方針は変わりはないと思うのでありますが、その政策をどういう農業の組み立て、農業構造によって進めるか、こういう問題が農地法の改正の問題と直接結びついてくるだろうと思うのであります。
 私は、現在の農地法の目的は四つあると思うのであります。つまり農地法は四本の柱によってささえられているといってもいいのではないかと思うのでありますが、その第一は、農地は耕作農民の所有を原則とする。その第二は、所有面積を制限をしておるという問題、つまり所有面積を制限するということは、結局自立経営農家を日本農業の中核とするということだと思います。それから三つ目は、小作権の擁護、それから四つ目は不在地主を認めない、これがいまの農地法の四本の柱になっていると思うのでありますが、今度の改正は、現行農地法の目的をほとんど完全にと言っていいくらい変えるということが目的になっているのではないか、私はかように解釈をしておるわけであります。というのは、農地の流動化を進めて、そして経営の規模を拡大する、さらに進んでは、もちろん農業の機械化、近代化をはかる、こういうことが主眼になっておるわけであります。したがって零細農をできるだけ離農させる、離農させるということが目的になっておって、そして従来自立経営農家を日本農業の中核としておったのを、それをある程度放棄をするというような考え方に立っていると思うのでありますが、この点はいかがですか。
#60
○倉石国務大臣 農業がわが国全体の立場、経済の立場から見まして、やはり体質を改善して、しっかりした農業として立ち行くような農業を育成していかなければならない、こういうことは先ほど来お話し合いのありましたことで、よくおわかりいただいておることだと思うのであります。したがって、政府が「総合農政の推進について」というのでも申しておりますように、やはり農業は規模を拡大して、そして農業それ自体としてのりっぱな経済単位として立ち行くような農業を育成いたしてまいりたい。そういう方向に基づいて農地法の改正を考慮いたしておるわけであります。したがって、法律案にもございますように、農業を行なわないものが農地の所有権を取得することを認めようというものではないのであります。そういう現行農地法の原則はもとより変更いたしておらないわけであります。自作農経営がより適当であるとする農地法の考え方を維持していくわけであります。したがって、自作農を中心とするわが国の農業の現状が、この改正によってその精神が変わるものではないと私どもは理解いたしております。
#61
○千葉(七)委員 ただいまの御答弁で、日本の農業の中核はあくまでも自立経営の農家が中核であるという点が明瞭にされたわけでありますが、私は現行農地法でも自立経営農家を育成するという方針であるならば、あえて現行農地法を改正をしなくてもできるのではないかという感じがするのであります。閣議で報告されました「総合農政」にもありますように、自立経営農家を中核的なにない手に発展させる。それには内地の経営が水田単作地帯で四ヘクタールないし五ヘクタール程度、酪農経営では搾乳牛二十頭程度が必要だ、こういうふうに報告をされているのでありますが、この程度の自立経営農家を中心として日本の農業を進めるというのであれば、現在の農地法でも十分こういう目的は達せられるのではないか、かように私は考えるのでありますけれども、大臣はいかがですか。
#62
○倉石国務大臣 わが国の経済が高度に発展してまいります過程におきまして、やはり農業それ自体も農業としてりっぱに維持してまいりますためには、自立経営の農家を育成していかなければだめだ。農業それ自体が他産業に比べて遜色のないような所得を得られるものにいたしてまいりたい。そういうことにするためには、やはり傾向として、千葉さんよく御存じのように、わが国の農業でもころに比べましてだんだん農業従事者の頭数は減少してきておりますが、わが国の農業の将来を考えてみますときに、やはり自立経営の中で、そして生産性を上げてまいるということでなければ、米はいまのような制度でありますから若干経済的性格が別になるかもしれませんが、ほかの農業を一つ一つ考えてみましても、先ほど来あなたからもお話のございましたように、わが国はやっぱり国際経済の中に立って競争していかなければならない立場から考えてみますと、農業としてそういう国際経済競争に勝ち抜き得る農業を育成してまいるためには、一定の規模を持ち、そして生産性を高めた農業を育成しこれを維持していくことが必要である。そういうことになってまいりますと、自分は農業というものを専業にいたしてまいりたいんだけれどもそういう事情を許さないといういわゆる兼業農家、それから兼業もやめて、いまはもうすでに労働力不足を訴えられ、他産業に転換することができる時代でありますので、そういう方向に進みたいというような方々には、やはり農地を手放される御意思があるでしょう。そういう方はなるべく自立経営の農家に農地を譲っていただきたい。ところが、それは譲りたくない、やはり持っていたいということであって、あまり生産性をお上げにならないような方々は、これは農地法人にまかせて売っていただくなり、あるいは農協がこれから法律改正でやれるようになります委託の経営等に移して、そういうことにすることによって、つまり農業という面から見れば経営規模が広がっていって生産性が上がっていくわけでございますから、そういうふうにしていくことが農業それ自体の経済的な競争力をつけるのには必要ではないか。こういうことをやってまいりますためにはやはり現行の農地法では支障がありますので、そういう方向を実行に移すために農地法の改正を御審議願いたい、こういうわけであります。
#63
○千葉(七)委員 農家の経営規模を拡大をして、生産性を向上させて、そして農産物の価格、生産の原価を低下をさせる、そういう方向でこの農業の政策を進めるということについては、私は何もそれに対して異論を申し上げているんではないのであります。ただ農業基本法によるいろいろな施策が講ぜられて、そして自立経営農家を中核として日本の農業を推進していくという施策がいろいろ行なわれたんだけれども、政府が最初考えた三町歩程度の自立経営農家がいろんな施策を講じてもほとんどふえてないということですね。現在でも大体農家総戸数の一割以内、三町歩農家はその程度しか存在していない。そういうことでありますから、したがって、農家の経営規模が拡大できないということは、現行の農地法がいろいろじゃまになってできないというのではなくて、別なところにその原因があるのではないかということが私はいろいろ考えられるわけであります。もちろん昭和三十七年ですか、この農地法を改正をしまして、そして農地の所有の制限三町歩、これを一応上限を拡大をして、自家労力で経営をするならば三町歩以上内地において農地を所有してもよろしいというように改正をされたんでありますけれども、それでも三町歩以上の農家がほとんどふえてないというのが実態なのであります。したがって、農地法のいろいろな規定があるために農家の経営面積が拡大できない、そういうことではなくて、別なところに原因があるような感じがするのであります。その別な原因は何かといえば、それは農家の所得が依然として向上しないというところに私は原因があるのではないかと思うのであります。もちろん兼業農家等は農外所得等によって農家の総所得がふえてはおりますけれども、専業農家は他のいろいろな条件と比例をして所得がふえてないというところに経営規模が拡大できない大きな原因があるんではないか、かように私は考えられるんでありますが、その点はどういうふうにお考えですか。
#64
○倉石国務大臣 土地問題というのはわが国の経済にとって非常に大きな問題であると私どもも思っております。現在、地方におきましても土地価格がかなり高騰いたしておりますが、そういうことのために規模拡大が地域によっては非常にむずかしいということも私どもは率直に認めざるを得ないことであろうと思います。それから現在はちょうど政府が総合農政というものを実行に移そうとしておる過渡期でありますので、やはり農地法もいろいろな障害になっておるでありましょう、いろいろな支障があっていままで進展していなかったことは事実でありますが、私どもはやはり農地法を改正し、農業生産性を向上するためにはさらに財政投資をいたしまして、構造改善、圃場整備等、農業の能率のあがるような施策を徐々に実行いたしてまいりまして、農業生産性をあげることに全力をあげるわけでありますから、私は御指摘のように急速にはなかなかそう伸びるとは思いませんけれども、目標を置いて、その目標を達成してまいるために全力をあげてまいるつもりである。要するに、農業が農業として立ち行くようにしなければならない。他産業に比較して劣らないような所得を得られるものに育成してまいりたい、こういうことのために標的を合わせて進んでいきたいと思っておるわけです。
#65
○千葉(七)委員 私は、農家の経営面積が拡大しないという最も大きな問題は、地価が高いということが原因しているんじゃないかと思うのです。農地の価格が高いということ、これが最も大きな原因になっているんではないかと思うのであります。国の調べによりましても、統計を見ますと、水田十アール当たりの上位の農地は三十五万程度になっておるようであります。中田にしましても二十五、六万、実際はそれよりは十万円程度高いようであります。米が余って作付減反ということで、多少農地の価格が下がったというようにもいわれておりますけれども、それでも中位の水田の価格が十アール当たり三十万前後していることは、これはもう否定できない事実であります。といたしますと、かりに一町歩の水田を拡大をするということになりますと、その資金が三百万円程度必要になるわけであります。一反歩の中位の水田からあがる収穫量は大体四百キロ以内だと思います。石数にしまして三石五、六斗から三石程度ということになります。まあかりに三石の収穫があがったとしましても、その価格が六万円程度ということになるわけであります。資材費その他を支払いまして、そして金利の支払いをする。金利は政府のほうから資金を借りたことにして、大体六、七分程度と見ましても、三百万に対する六分にしましても、十八万円、ですから年利にしまして大体二十万円程度支払いをしなければならぬ、こういうことになるわけでありますから、一ヘクタール当たり六十万円の収入に対して二十万円の金利を支払う。それから二十万ないし三十万程度の資材費を支払うということになると、労賃部分に残るのは幾らも残らない、こういうことになってくるわけであります。まあ大体三分の一程度が労賃としてしか残らない。大体二十万円程度くらいが労賃として残るだけだ、こういうことになるわけでありますから、したがって一ヘクタールの耕地に現在投入されている労働力は、幾ら機械化をされましても、現在百人は下らないと思います。一反歩、十アール当たり十人見ましても、一ヘクタール百人であります。百人見ましても、一日当たりようやく二千円。機械化が進まない地域におきましては、一反歩いまなお二十人程度の労力を投下しなければなりませんから、そういうことになると、手間賃として残るのは、千円前後しか残らない、そういう状態であります。したがって規模を拡大して、経営面積を広げようという農家がなかなかないのではないか、そういうふうに感じられるわけであります。したがって、そういう点を考えましても、いまの農地法が足がらみになって、この農家の経営規模が拡大しないというようなことにはならないと思います。
 さらにまた、農産物の価格が、御承知のように米の価格等は、昨年据え置きになりまして、農産物の値段の上昇がストップをされておる。そういう現状からいいまして、農家の所得が、他の条件と比較をして低いところに農家の経営面積の拡大がはばまれている大きな原因があるのではないかと思うのであります。農産物価格が、国際的に見て、国内の価格が非常に高い、そういうことは常々言われておるわけでありますけれども、政府としては、国際価格といいましても、どこの国を基準にして国内の農産物価格を比較しておるか、その点をひとつお知らせを願いたいと思います。
#66
○亀長政府委員 国際価格で、どこの国と比較するかということは、非常にむずかしい問題でございます。私どもの考えといたしましては、やはり国際貿易に通常取引されている価格ということに考えております。したがいまして、国内で幾ら生産があっても、そしてまた国内で幾ら安く、あるいは幾ら高く流通しておりましても、これは、いわゆる国際価格という概念からははずして考えなければならない。国際間の通常の貿易取引に用いられる価格が国際価格であろうというふうに考えております。
#67
○千葉(七)委員 どうも私の納得のいかないことは、政府が先頭に立って国内の農産物の価格が高い、高いということを宣伝しているような気がしてしようがないのです。私は、農産物の価格は、必ずしも国際価格と比較をしてのみ論ずべきでないと思うのです。やはり国内の経済全体の面において、農産物の価格が、かりに国際価格よりもある程度高いとしても、その高い部分は、国内の経済全体で吸収できるかどうかという点を中心に農産物価格の国内における評価をすべきではないかと思うのであります。その点についてはどういうお考えですか。
#68
○倉石国務大臣 千葉さんのお説、ある面においては、私はやはり正鵠な御意見だと思いますが、私ども消費を考えない生産というのは、およそ考えられないことだと思うのです。したがって、わが国の経済社会の中で、やはり物を生産する面は、それを消費させる場合の、つまり生産者と消費者の合意がなければならないと思います。そういう面で、生産者の側から見れば不満があっても、消費者にがまんしてもらわなければならぬ場合もあるし、消費者に不満があっても、生産者にがまんをしてもらわなければならない問題もあると思いますが、一般的に見て、やはり生産者の生産する農作物が異常に低廉であるというようなことになりますと、その次への生産意欲がなくなってしまうのでありますから、それこそ今度はたいへんなことになります。したがって、私ども農政当局の一番大事なことは、翌日への生産意欲を持っていただき、適正な生産費が償えるようにすると同時に、消費者の合意が得られるような妥当な価格の調整が必要である。そういうことから、農作物をはじめ、すべての品物の価格体系が出てくるのだろうと思います。そういう意味で、論者によりましては、また国民の大部分の人が消費者でありますので、そういう消費者の見地から考えますと、非常に無理をしてコストの高いものをなぜ国内でまかなうのかという議論もかなり熾烈に出てきております。そういうことを調整することが行政の一番大事なところではないかと思うのであります。いま申し上げましたように、そうかといって、やはりそろばんのとれないものは、幾ら頼んでもつくるはずはないのでありますから、翌日への生産意欲を持っていただく、その生産コストを低めて、生産者がそろばんの合うような、しかも生産意欲を持っていただけるような状態をつくり出すということが大事な政策ではないかと思うのであります。しかし、いま申し上げましたように、消費者大衆というものは、いまの国際社会経済の動きも敏感に認識しているわけでありますから、そういう人たちの合意を得られるような適正な価格をつくり出すということに一番の困難が伴っているわけでありますが、しかし、それを、あくまでもそういう立場で指導し、助成していかなければならない、こう思うのであります。
#69
○千葉(七)委員 米の価格は、これはアメリカと比較をしますと、大体アメリカから輸入をすれば、トン七万程度で来るそうでありますから、いま日本の内地米の価格は、十二、三万しておりますから、確かに高いと言えるかもしれませんけれども、しかもそれでさえも必ずしも国際価格を基準として考える必要はないと思うのですけれども、その他の農産物の価格は、決して私は生産者の価格は高くないと思うのです。たとえば牛乳だってそうです。おとといですか、牛乳の価格が決定になったようでありますが、消費者価格は確かに高い、生産者価格から見れば。牛乳なんかは生産者価格の大体三倍程度で小売りをされておりますから、生産者価格と比較すればべらぼうに高いと思うのです。また大根が近ごろ一本二百五十円しておるそうですが、生産者のほうでは五十円から、せいぜい高くても百円ぐらいの手取りだそうです。そういう点から言いますと、いまの日本の農産物の価格というのは、生産者の価格は決して高くないと思う。むしろ流通の機構に欠陥があるから消費者が高いものを買わせられているというのが実態だと思うのです。その点は、政府の考えはどうでしょう。
#70
○倉石国務大臣 これもまあものによっていろいろな議論が立てられると思います。いま高い高いといわれます大根、タマネギ、キャベツ、こういう冬野菜は、もう千葉さんも御存じのように、昨年来異常な寒波でありましたり、それから五十日にも余る干ばつ等で、産地からの出回りが非常に悪かった。きょうも長期の天気予報を聞いておりますと、なかなかむずかしいようなことを言っておりました。私どもは、四月になれば春野菜の出回る時期でありますので、楽しみを持っておるわけでありますけれども、なかなか天候的にはそう楽観を許さないようであります。したがって、産地においても入手が非常に困難になってきております。そういう特殊な事情もありますけれども、一般的に申しますと、あなたがいま御指摘になりましたように、生産地の集荷価格から見ますると、市場を通じて消費者に入りますまでの経路を見て、やはりかなり生産地と消費地の値段においては開きがあることも事実であります。従来私ども農林省は、そういうことに早くから着目いたしまして、流通機構の改善についていろいろ骨を折っておるわけでありまして、またその方面にもかなりの予算を計上いたしておるわけでありますが、これは国民全体の大きな問題でありますので、農林省といたしましては、これらのことについて掘り下げて、その原因を突きとめて、できるだけそういうことのむだを省くことができるようにひとつ流通機構の改善については、うんと力を入れたいと思っております。
#71
○千葉(七)委員 私は、農産物の生産者価格は、必ずしも高くないのだということをもっと消費者に知らせてもらうような、そういう方策を政府で講じてもらいたいと思うのです。牛乳の価格を決定するにあたっておしゃもじを持って歩く何とか婦人団体の代表者は、こういうことを主張したということが新聞に伝えられております。とにかく生産者価格を上げることには反対だ、牛乳はいまだぶつきかげんになっておるのだから、生産者価格を上げれば、消費者価格も上がるのだから、したがって、生産者価格を引き上げることには反対だとこういう主張をしたということが新聞に伝えられております。ところがこの牛乳の生産者価格にしましても、これは必ずしも私は高いとは思わない。しかも流通機構が非常に不完全なために、複雑怪奇なために消費者価格が高い。しかも高い消費者価格の食料でも、エンゲル係数を調べるというとだんだん下がってきているのです。昭和三十五年のエンゲル係数は三八・八%、三十六年が三七・七%、三十七年が三六・七%、長くなりますからあと省きますが、四十年に三六・三%になっているのですね。四十一年三五・一%、四十二年三四・五%、四十三年三三・七%、こういうふうに国民生活において食料費の支出というのは下がっている。つまり一般の国民の所得の向上の割合からいうと、農民の所得というのはそれだけ低下しておる、こういうことになるのです。ですから、農業関係分においては低下をしておるとは言えないかもしれませんけれども、決して食料費が上がっておるとは言えないわけです。しかもこれを外国のエンゲル係数と比較をしてみても、日本のエンゲル係数は決して高くはない。これは外国の関係ですから、最近のことはわかりませんけれども、四十年を比較してみますと、日本は三六・三%、フランスは三六・八%です。西独は三四・〇%、それからイギリスは三四・六%、アメリカは特別低い。アメリカは二四・八%ですから、アメリカは特別に低いのですけれども、アメリカを除いてヨーロッパ各国の主要先進国といわれておる国のエンゲル係数と日本のエンゲル係数を比較しても、決して日本は高いとは言えない。そういう点から申しますと、日本の農産物の価格は必ずしも高いとは言えないと思うのです。どうでしょう、政府の見解は。
#72
○倉石国務大臣 エンゲル係数のお話がいまございましたけれども、エンゲル係数で農産物価格の水準を計算するというお話は、いま初めて承ったのでありますが、これはちょっとそういうようなことで、大事な本論をそれちゃいけませんから遠慮いたしますが、エンゲル係数は少ないほどその国の国民生活が向上しておるという基準に、社会労働委員会なんかでは論じておるわけでありますが、いずれにいたしましても、わが国の農家の所得水準というものが四十三年は百十三万でありまして、都市近郊の労働者の平均水準に近いのでありまして、私は、そういう意味では、農家全体としての水準はそれほど心配いたしておりませんけれども、いま千葉さんの御指摘になりました農産物の生産地における価格と消費者の手に渡る価格のさやにつきましては、これは政府としても、特に物価問題等も考えまして、大事な問題でありますので、本腰を入れて政府は対処してまいりたいと思っております。
#73
○千葉(七)委員 この政府の総合農政の報告を見ますと、今後農産物の価格は、いままでは需給を十分に反映しなかったので、今後はこの実勢に合うように改める必要があるという報告を出しておられるのですが、この報告から考えると、農産物の価格は今後需要供給の状態によって価格政策をとる、そういうことではないかというふうに理解されるわけでありますが、そういうことになると、一切の価格に対する統制その他はだんだんにこれをやめてしまって、そして自由価格にする、そういう方向に改める必要がある、こういうふうに理解できるのですが、それはどういうことになるんですか。
#74
○倉石国務大臣 ただいま総合農政のお話がありましたが、この推進にあたりましては、需要に即応して総合食料の安定的供給をはかるという観念でございますので、生産構造、価格、流通など各般の施策を均衡のとれた形で総合的に推進していく考えでございますが、今後も価格政策につきましてはきわめて重要でございますので、価格の安定につとめますとともに、農産物相互の価格につきましても、長期的な観点から、先ほど来申し上げておりますように、調和のとれた政策を行なうように十分に検討してまいるつもりであります。
#75
○千葉(七)委員 私は、幾ら農地法をいじくっても、農家の所得が他産業の従事者並みに向上しなければ、自立経営農家の規模の拡大というようなことはとうていできないと思うのであります。農家の所得を増大をさせるためには、何としても価格政策を、特別に保護の度合いを高めよというわけではありませんけれども、価格に対する保護政策を放棄したのでは、農家の所得を増加させるということはとうてい不可能だと思うのであります。ただいま申し上げましたように、需給の実勢に見合った価格にするということから判断をしますと、農産物はだんだんに自由価格にするんだというようにもとれるのですが、そういうことであったのでは、農家の所得を増大させるということはとうてい不可能だと思います。したがって、財界はだいぶ価格政策を放棄して構造政策に力を入れろというようなことも要望しているようでありますけれども、価格政策に対する保護ということは、農業を発展させる上には最も重要な要素になると思うので、その点を十分政府においては御検討願いたいと思います。どこの国でも農業に対しては非常に保護政策を重視していることは、政府としても御承知のところだと思います。アメリカでも、イギリスでも、あるいはフランス、ドイツ、イタリア、いわゆるEEC諸国、カナダ、オーストラリア等の諸国におきましても、この価格政策に対しましては保護策をとっておるのでありますから、わが国におきましても価格政策を将来放棄をするというようなことのないように、そして農家の所得を増大させるということが、日本の農業のにない手である自立経営農家を育成するための所得の増大、所得が増大しなかったら決して農地法をいじったところで経営規模が拡大するとは考えられませんので、そういう点に特段に力を入れてもらいたいと思います。
 以上要望を申し上げまして、時間が過ぎましたから私の質問を終わります。
#76
○草野委員長 次回は来たる七日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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