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1970/04/07 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第13号
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1970/04/07 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第13号

#1
第063回国会 農林水産委員会 第13号
昭和四十五年四月七日(火曜日)
   午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 草野一郎平君
   理事 安倍晋太郎君 理事 小沢 辰男君
  理事 仮谷 忠男君 理事 三ツ林弥太郎君
   理事 芳賀  貢君 理事 山田 太郎君
   理事 小平  忠君
      鹿野 彦吉君    小山 長規君
      澁谷 直藏君    瀬戸山三男君
      田中 正巳君    中尾 栄一君
      別川悠紀夫君    松野 幸泰君
      山崎平八郎君    角屋堅次郎君
      田中 恒利君    千葉 七郎君
      長谷部七郎君    瀬野栄次郎君
      鶴岡  洋君    合沢  栄君
      小宮 武喜君    津川 武一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
 出席政府委員
        農林政務次官  渡辺美智雄君
        農林大臣官房長 亀長 友義君
        農林省農林経済
        局長      小暮 光美君
        農林省農政局長 池田 俊也君
        農林省農地局長 中野 和仁君
        農林省畜産局長 太田 康二君
        農林省蚕糸園芸
        局長      荒勝  巖君
 委員外の出席者
        農林水産委員会
        調査室長   松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月七日
 辞任         補欠選任
  福永 一臣君     山崎平八郎君
  合沢  栄君     門司  亮君
同日
 辞任         補欠選任
  山崎平八郎君     福永 一臣君
  門司  亮君     合沢  栄君
    ―――――――――――――
四月二日
 農業者年金基金法案(内閣提出第七八号)
 農民年金法案(芳賀貢君外十四名提出、衆法第
 一五号)
同月三日
 卸売市場法案(内閣提出第一〇六号)
同月六日
 国有林野の活用に関する法律案(内閣提出第八
 〇号)
同日
 米の生産調整奨励補助金継続交付に関する請願
 (鈴木善幸君紹介)(第二五九二号)
 総合農政施策の早期確立に関する請願(鈴木善
 幸君紹介)(第二五九三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
 九号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三〇号)
     ――――◇―――――
#2
○草野委員長 これより会議を開きます。
 農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
#3
○角屋委員 農地法の一部改正並びに農協法の一部改正の法案を中心にした議論も大詰めに議論としては近づいておるわけですけれども、この法案に対する私ども党の対処の考え方についても、率直に言って、新しく解散総選挙後の国会もつくられた機会であるので、新しい観点からいろいろ論議を詰めておる段階でございまして、それらの問題については後ほどそういう論議の過程と関連してお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、何といっても本年度の農政の一つの焦点になっておりますのは、言うまでもなく米を中心にした生産調整の問題であります。この問題については、政府として百万トンの生産調整と五十万トンに見合う十一万八千ヘクタールの農地転用という二つのシステムを併用して全体として百五十万トンの生産調整を達成しようということでいま鋭意努力をされておられるわけであります。過般実は大臣にも御出席を願いまして、いろいろこの問題も含めて論議をする予定でございましたが、参議院の予算委員会等の関係で大臣の御出席が願えなかったものですから、その機会に特に農地転用の問題については関係省のそれぞれの御出席も得て、その状況についてお伺いをいたした経緯がございます。
 そこで、法案の議論に入ります前に、若干当面の生産調整問題についてお伺いをいたしたいと思うわけでございますが、まず冒頭に大臣のほうから、月あらたまりまして四月の段階に入ったわけでありますが、百万トンの米の生産調整の最近の情勢がいまどういうふうになっているか、この現況について御報告を願いたいと思います。
#4
○倉石国務大臣 百万トンの生産調整につきましては、非常に農業団体、地方自治体等に協力をいただいておりますので、わりあいに順調に進行いたしておるようでありますが、ただいま地方農政局を通じまして各地の状況を調べておるわけでありますが、大体一〇〇%を上回るところもあり、やや落ちているところもあるようでありますけれども、現在はそれを集約している最中でございます。
#5
○角屋委員 農林省のほうから生産調整の実施の大体の状況について資料の提示を要請したところでは、大臣は抽象的にお答えになりましたが、その資料によると、都道府県別の米の生産調整目標達成の見込みとして、一〇〇%以上達成見込みを予定をしているといいますか、見込んでいるところが二十一都道府県、ほぼ一〇〇%達成見込みあるいは一〇〇%達成のために努力中のところとして二十三都道府県、現在のところ一〇〇%達成が困難の見込みのところ二県、おおむね生産調整については全体として一〇〇%台にいくだろう、こういう資料の提示を願ったわけですが、そういうふうに判断をしておられるかどうか、大臣のほうから重ねてお伺いしたいと思います。
#6
○倉石国務大臣 私も、大体その報告のようにいくであろうと信じておるわけであります。
#7
○角屋委員 そこで、百万トンの生産調整については、農林省としておそらく転作を中心にやってもらいたいという希望で本来は指導されたと思うのですけれども、実際のところは、転作と休耕の割合は、農林省の農政局を通じての、あるいは都道府県からの状態の集約では、休耕が半ばをやや上回るであろうという判断をしておられるように聞いておりますが、転作、休耕の割合の見込みというのはどういうふうに考えておられるか。
#8
○倉石国務大臣 これも全国的な集約のときに大体わかってくると思いますが、ただいままでの地方の状況ですと、転作よりも休耕のほうがやや上回っているのではないか、そういうふうに推察されております。
#9
○角屋委員 この問題についてはあとでまた若干お伺いをいたしますが、例の五十万トン分に見合う十一万八千ヘクタールの農地転用の問題については、過般関係省からもおいでを願いまして、各省の関係する部分についての状況を具体的にお伺いをしたわけですが、その説明等を受けとめての私の判断としては、当初からそういう判断をせざるを得ないわけですけれども、十一万八千ヘクタールの農地転用の部分については、とてもじゃないが、これの達成はもちろんのこと、よほどうまくいくにしても半分前後のところではなかろうか、率直にいってこういう感じを各省の説明を聞いても受けとめたわけでありますが、こちらのほうについては大臣としてはどういう判断をしておられますか。
#10
○倉石国務大臣 これはいまもお話しのように、各省関係でそれぞれの調査をいたしたり推進をいたしておるわけでありますが、角屋さん御存じのように、いままで地方に産業を分散していこうとしておる人たち、そういう産業界でも農地転用が非常にきびしいということで、その目的が達成されなくて困っているという苦情がかなり来ております。それから自治体の先行投資などについても、
 いままでわれわれのほうにいろいろ要求が来ておりました。そういうものが緩和ざれることによってかなりのものが進出できるのではないか。この間も東京でそういう産業界の人たちとわれわれとの会合が持たれまして、いろいろ国土全体の利用計画などから考えても、この際にひとつ計画を立てて地方に進出してまいりたいということを積極的に財界筋でも計画立案についての意見を述べておりましたけれども、やはりこういう機運を促進し、しかも農協等も、地方における農業地の計画を立てる意味からも、土地の所有を希望するという傾向も出てきておりますので、私は、十一万八千というのは普通でいえばかなり大きな数字であると思いますが、少ない数字であるとは思いませんけれども、いろいろな状況を判断してみますと、かなり促進されるのではないか、むしろそういう点については私は若干楽観論を持っておるものであります。
#11
○角屋委員 十一万八千ヘクタールの農地転用の問題は、大臣の期待の数字には、率直にいって結果から見ればいかないだろうという判断を私自身はしておるわけですが、いずれにしても、非常に至難と考えられ、また米の生産調整問題については政党あるいは第一線を通じて賛否のいろいろの議論のある中で、いままでの経過から見ると、そのやり方いかんは別としても、第一線のそれぞれの報告からいけば、百万トンに見合う分については大体それ前後のところにいくことが期待される情勢が出てきておる。ただ農地転用問題についてはそうはなかなかいかぬだろうという感じがするわけですが、大臣は、この百万トンの生産調整というものが、当初非常に至難と予想された状態にもかかわらず、おおむねその路線に――第一線の諸君がそれをどう受けとめたかは別として、いく形勢にきておる点をどう判断をしておられるのかという点をお伺いしたいと思います。
#12
○倉石国務大臣 ちょっとよくわかりませんでしたけれども……。
#13
○角屋委員 私のほうから答えを言ってしまえば逆に簡単なのかもしれませんけれども、要するに、いままで米を中心にした食料については、増産、増産でやってきた。去年の二万ヘクタールのわずかばかりの生産調整は別として、ことしはいずれにしても百五十万トンの生産調整、米の歴史の中でかつてない、いわば百八十度転換の要請を農民諸君にしなければならぬという事態にきておる。この受けとめ方についても賛否があり、あるいは地帯的な差もあるでしょうが、しかし、いずれにしても百万トンの達成はそれに近い前後のところにくる可能性が相当強まっておる。大臣として、そういうふうにきた要因というものをどういうふうに受けとめておられるか。
#14
○倉石国務大臣 これはいろいろあると思いますが、私どもは、第一線で農業をやっていらっしゃる実際の米づくりの方々に、この問題が始まってからかなり大ぜいの人にお目にかかっております。その地域も東京を中心にして東西各地に分かれておりますが、特別に特別な意識を持たれて御反対なさる方は別でありますけれども、そうでない一般の農家の方々にとりましては、現在のような状況でまいれば、米づくり農業というものについてたいへんな混乱を生じてくるであろうということについて危機感をお持ちである、そういうことを痛切に感じます。
 同時にまた、それらの人々に一番前線で接触しておられる農協の指導者たちもやはり同じような、むしろ積極的な理解を持たれて、そういう面で指導していただいておるようでありまして、感謝いたしておるのでありますが、私は今日のようになりましたにつきましては、これはいろいろな要因があるであろうと思います。とにかくわが国は大東亜戦争で敗れましてから、ああいうどん底から立ち直るときに、すべてのものが非常に不足をしておった。農林省及び一般国民はまず生産をあげるということに全力をあげてまいりました。そういう傾向は、大体経済成長に伴って国民の食料に対する嗜好の変化があったりなどいたしましても、識者は気がついておったでありましょうけれども、多くの人々は思い切ってここで政策転換をするというふうなことはその場にあたってみないとなかなかできないのではないか、このように私どもも理解いたしておるわけであります。このことは日本がそうであるばかりじゃなくて、角屋さん御承知のように、EECやカナダあたりでも、やはり農産物の過剰に悩んで、一時的生産制限をやっておることは御承知のとおりであります。したがっていろいろな要因がございましょうが、それについて私どもは将来の政策として深い反省をして対処していかなければならないのではないか。私自身もそういう点について深い反省をいたしておる次第であります。
#15
○角屋委員 今度の米の百万トンを中心にした生産調整の農民諸君の受けとめ方というのは、地域的にもある程度差異があるかもしれませんけれども、いま大臣御答弁の中でも触れられましたように、一つは日本農業も開放経済体制の中で、国際的視点でいろいろものを考えていかなければいかぬ。その場合に、EECの問題にもお触れになりましたが、EECのマンスホルト提案というふうなものを見ても、これは価格政策、構造政策をどうするかという、その内容は別として、相当思い切った提案をとにかく現実にしてきておる。その中にはEEC内部でいわゆる現実にオーバープロダクションの問題についての解決をどうするかという手法の問題についても提示されてきておる。同時に、アメリカの場合で考えみますと、御承知の一九六五年の食糧農業法に基づく小麦あるいは主要穀物の計画に基づいての生産調整が現実に進められてきた。しかも、最近の報道によるというと、アメリカの議会ではいわゆる議員立法として、従来のそういう食糧農業法よりもよりシビアな方向で、いわば経済合理主義に基づく産業政策的な観点からの生産調整という立法が出ておるかと思えば、他面従来の立法の路線で考えていこうという立法も出ておったり、あるいは政府自身としてその中間の立法を提示するというふうなことで、とにかくアメリカの場合にも小麦等を中心にした生産調整の問題について一九七〇年代のアメリカ農業を展望した新しい論議が起ころうとしておる。ことに、最近の報道で、私まだこれは的確に情勢を把握しておりませんけれども、いわゆるアメリカ、カナダ、オーストラリアといえば小麦のいわば三大輸出国でありますが、カナダの場合には本年度とにかく一千万ヘクタールの小麦の作付面積のうちの九百万ヘクタールを生産制限をしようというふうな最近の動き等も報道されてきておる。これは最終的にどういうふうになっていくかは別として、そういうふうに国際的に先進諸国における主要農産物のオーバープロダクション問題というふうなものが出てきたりいたしまして、日本の農業団体あるいは農民諸君も、そういうふうな情勢は逐一国際的に伝わってくる、さらにまた日本の米を中心にしたここ数年来の生産状況あるいは過剰在庫の状況、そこで昨年でいえば五百六十万トンの持ち越しが十月に起こる、あるいはことしは八百万トンをオーバーするのじゃないか、こういう情勢等も判断をしてみると、好むと好まざるとにかかわらず、あるいは責任の所在がどこにあるという論議は別として、やはり生産調整をやらざるを得ないだろうという判断が大局的見地から受けとめられてきておるという点が一つあるだろうというふうに私は思うが、同時に基本を流れる問題は、日本の農政の柱である食管制度というものがそれによってゆらぐということになると、長期展望の中で農民自身がやはり危機に追い込まれる、したがって生産調整に苦労しながらも、それに協力の姿勢を示しながら農政の柱である食管制度を堅持していきたいということが基調に私は流れていると思う。そういう点では参議院本会議における倉石農林大臣の発言というのは、第一線にはやはり相当の衝撃を与えたことだろうというふうに思うわけですけれども、やはり生産調整に苦労しながらも協力する雰囲気が大勢的に強まっておるという中に流れておる。食管制度堅持という問題について、もし政府自身が今後の農政の指導の面で全く逆の方向に行くということになったら、これは農民自身の判断はやはり非常な失望と憤激の方向に転化をするということだろうと思うのです。問題はそういう点と関連して、ことしの場合の判断はまだ的確には予想できませんけれども、同時に生産調整以外の耕作地で米の収穫がどうなるかという問題についても今後の推移にまたなければならぬわけですからこれはわかりませんけれども、しかし、いずれにしてもいまのような米の百万トンを中心にした生産調整の状況あるいは五十万トンに見合う農地転用の状況等から見て、この結果いかんを理由にして食管制度に手をつける、あるいは食管制度の解釈を非常に拡大をして買い入れ制限あるいはその他の手法を来年度以降にとってくるということは、農民の判断からいっても全く予期してないことだと思うのですけれども、農林省自身としてそういうことを来年度以降においてもとる考え方がないということが明言できるのかどうかという点をひとつお聞きしておきたいと思うのです。
#16
○倉石国務大臣 ただいま、先ほど来お話のありましたように、生産者が非常に協力をしていただいて、ただいまの米を中心とした日本の農業に対する危機感を十分認識されて御協力を願っておるわけでありますから、私どもといたしましては非常に感謝いたしておるのでありますが、これがもし協力が得られないでうまくいかないというふうなことになりますと全体がたいへんなことになるであろうということをみんなが認識しておりますので、みんなで協力し合っているわけであります。そこで必ず成功するものであろうと私どもは確信いたしておるわけでありますが、もしこれが何か間違って計画どおりにいかなかったということがありとすれば、なぜこういうことになったのであろうかというその原因を掘り下げて検討していかなければならないと思います。私どもはやっぱり生産というのは消費を対象にして考えるべきものであると存じますので、国民の大部分を占める消費者と生産者の自然的合意があって初めてこの国民の食糧の安定的生産というものが行なわれるのでありますから、そういう前提に立って考えますときに、ただいまの現状では私は食管制度の根幹は農政の基幹として守るべきではないかと思うし、守るほうが利益だと思います、一般論としては。したがって、食管制度というものについてただいまお触れになりましたけれども、食管の根幹は守っていくというのは政府の動かざるたてまえでございます。
#17
○角屋委員 むしろ私は明年度以降の問題に関連する大臣としての基本的な考え方ということでお伺いしたわけですけれども、そこで来年度以降の生産調整問題というものについては、これは一年刻みでなしに、いまの全体的な情勢と関連をして、やはり来年度以降の米を中心にした生産調整問題については、基本的には農林省として見解を明らかにして一向差しつかえがない、またそういうふうにすべきだというふうに思うのです。
 先ほど来の議論の中でも出ておりましたように、要するに百万トンを中心にした生産調整問題についても、作付転換は全体の面積からいえば半数以下である。休耕が半分を上回るだろうという情勢にあるわけです。したがって、休耕が半分を上回るということは、要するに来年度以降において米を作付しようと思えばできる条件のものが、いわゆる水田の作付予備軍として来年に持ち越されるということを意味する。しかもまた現実に作付転換をした飼料作物なりその他のものについても、政府自身が、ことしのそういう作付された新しい市場へ出てくるもの、こういうものについて十分な配慮をしなくて、もし豊作貧乏その他のようなことで第一線が打撃を受けるということを放置することになると、来年度以降のいわゆる作付の継続という問題に暗影を投げかけるということになる。そういうことも含めて、いまの生産と需給の状況からいえば、平年作の場合に生産調整をやらなければ需要よりも大体二百万トン台上回るだろうということが数字上いわれる。したがって、そういうふうな状況の中で消費の拡大を積極的にやる、あるいは輸出に振り向ける分を要請に応じてやるといたしましても、なおかつ来年度以降においてもやはり生産調整を続けざるを得ないとするならば、農林省としてやはりいまの相当全体的な情勢のわかった時点で、来年度以降の生産調整については基本的考えを明らかにすべきである。という意味は、来年度以降も大前提としてやはり米については生産調整をやらざるを得ないということだと思う。その生産調整の手法としてはどういう考え方でいくのかという骨格についてやはり明らかにする必要がある。諸外国の例から見ても一年勝負主義という考え方はオーバープロダクション対策としては通常とっていないわけです。政府自身としてもその辺のところについては、もう少し来年度以降の生産調整問題について基本的にどう考えるのか、あるいはことしの生産調整で作付転換なり休耕の現状というものとにらみ合わして、来年度以降の問題について基本的にどう考えるかという内容の中で、これらの問題の取り扱いをどうするかという点については、もう少し明らかにしてもらいたいと思う。
#18
○倉石国務大臣 御存じのように、四十五年度予算を審議していただく過程におきまして政府の方針を明らかにいたしましたのは、転換、休耕を問わず、一応生産調整に御協力を願った方には反当たり三万五千円、これは単年度としての扱いであるというふうに政府は申しております。しかし農業というものは息の長いものでありまして、そう短時間の間に解決のできる問題でないことはもう当然でございます。
 いまお話しのありましたEECなどは非常に長期の展望を持って計画を立てておりますが、カナダのごときは一年こっきりの生産調整の計画を立てております。
 御指摘のように、先ほども申し上げましたが、休耕のほうが若干転換より面積において上回るであろうとただいまの状況を御報告いたしましたけれども、休耕はまた来年米をつくろうと思えばできるわけであります。それが行なわれたのでは意味がないのでありますから、そこのところを御指摘いただきましたことは、われわれとしてもたいへん大事に考えておる要点でございまして、私どもといたしましては、ただいま政府が押しつけるということはいたしませんが、地方の農政局を通じて、農林省の米以外の農作物に対する将来の展望についておよその計画を立てまして、それを基礎にして地方地方に連絡をいたしまして、地域についての有望な作物に転換していくように農業団体、市町村団体等と農政局を通じていろいろただいまお話をいたしておる最中であります。
 そういうことの研究を含めて四十四年度予算に二十億円を計上いたしまして、作付に関するいろんな考慮を払い、実施に着手してもらうための予算をああやって計上いたしたわけでありますので、なお私どもはこういう仕事はいまどんどん進めておるわけでありますが、やがてそういうものの地方的な集約が行なわれてまいりますと、そういうことを全国的な目標として地域地域に御協力を願うように指導してまいりたい、こう考えているわけであります。
#19
○角屋委員 ことしの場合、やはり休耕が半数以上を上回る、そういう情勢がきておるということは、農民諸君から見れば生産調整そのものについてはいろんな諸情勢から見て、これを全面的に拒否するというような形にもいかぬだろうが、さればといって何をつくるかという点については、米以外のものについては自信が持てない。またそういうことによる、他のものをつくったことに対する政府自身のいろんな生産から価格からあるいは流通、消費に至るまでの全体的体制というものは必ずしも明確でない。したがっていろいろ作物については示されてはおってもそれに飛びつけないということが、やはり休耕が半数以上にふえるという一つの要因だろうと率直にいって思う。
 いずれにしても来年度以降の問題も含めて必ずしも明らかになりませんでしたけれども、生産調整問題についてはやはり早期に方針を明らかにしていく。同時にことしとったような方向について、同じ手法で来年度以降もここ当分継続せざるを得ないということが私は実態だろうというふうに思う。
 その場合に政府自身としては、何といっても米の生産可能地というものを消滅さすというふうなところに一つのポイントを置いておられると思うのですが、それと関連をして、ことしの十一万八千ヘクタールの農地転用問題あるいは例の次官通達による暫定基準というものによって、農地転用の緩和を通じて二カ年の間に農地転用を促進しようということなんです。これは来年度の場合には都市計画法に基づく市街化区域等の線引きが、おおむねことしの半ばには大半のものが終わるということと関連をして、来年度以降の農地転用の力点は、いわゆる都市計画区域内の市街化区域の十八万ヘクタールといわれる水田、あるいはそれを含む全体的な都市計画区域はもちろんでありますけれども、大臣がよく言われる工場の地方分散ということも含めて、来年度のいわゆる農地転用というものをさらに拡大をしようという考え方に農地転用の問題については立たれておるのかどうか、その辺のところについてもお伺いをしたいと思う。
#20
○倉石国務大臣 このたびの生産調整に伴って、五十万トン分に該当する十一万八千ヘクタールの水田の他用途への転用ということにつきまして、私個人としては、実はむしろ逆に心配いたしております。これが一部に誤解されておりますように農業の敗退作戦であるというふうに思われることは実に困ることでありまして、そうではないということを農林省としては明確にせなければなりませんので、農地転用の緩和措置につきましても一種農地についてはこれを確保し、そして将来の農政の中核になるべき地域については少しも緩和いたさないわけでありますので、そういう点についてはこれからさらに農業にいそしんでいただく方にも徹底するようにいたしてまいりたいと思っておりますが、産業の分散ということは、もうこの間も参議院の予算委員会でも、それから衆議院ではまた変わった形で、たとえば北山愛郎氏などは非常事態に処して食糧をどうするかという国家安全保障のような意味からお尋ねが熱心にありました。参議院におきましては、これもわりあいに時間を長く、学者の説によれば、将来八年後ぐらいには関東大震災程度のものがくるであろうという学説がある。そういうときに東京都のような過密地帯は一体どうするんだというふうなお話がありました。それらも含めて、私ども平素考えておりますのは、東海道地域に全人口の七〇%余りも集中するであろうと予測されておりますいまの野方図な人口配分の態度というものは、これはよろしくないという考え方、自由民主党の幹事長の田中君なども言っておられる都市政策などにつきましても、そういう点に非常に配慮いたしております。私どもはそういう考え方ももちろん頭の中にはございますけれども、やっぱり国家というものは産業を平均的に分散し、人口を平均化していくということが必要でもあり、将来は必ずそういう傾向になるであろうと――幸いにわが国は、総合農政の推進でも申し上げておりますように、規模を拡大して自立経営の農家を育成していって国際競争力を持ち得るような農業として育てたいとは思いますけれども、これはそれがすべてになるわけではありませんので、現在でも八〇%近くは兼業農家であります。この兼業に雇用機会を与えて農家の所得を増進せしめると同時に、専業農家を中核にした協業その他の方向で農業生産を確保しながら余った労働力で農業所得をふやしていくという考え方は、これはとるべき態度ではないだろうかということで、先ほど御指摘になりましたような考え方を持っておるわけであります。したがって、そういうことのためにつぶされる農地というものは一種農地ではなくて、二種、三種の農地をあてがう。ことにそういう場合には畑の地帯でも十分に間に合うものでありますから、私どもはそういう意味で、一般的な総合農政の方向としてはそういう態度で進めていったらどうか、こういうことのためにただいまいろいろな関係各省との相談を進めておるわけであります。
#21
○角屋委員 どうも大臣と私の質問は、少し私から質問の焦点についての答弁としては必ずしもかみ合わないのですけれども、御答弁を聞きながら、それはもう少しかみ合うようにしていただきたいと思いますが、つまりたとえば来年度の農地転用の問題については、都市計画区域の市街化地域等の線引きを終わるということ等もあって、そこに農地転用の力点の一つが来年は大きく振り向けられるのかという点等含めてお尋ねしたつもりであります。
 そこで、とにかくいわゆるこれからの農政を考える場合に、米を中心にした生産調整問題あるいは農地転用問題というものは、日本の農業の今後を考える場合に撤退作戦であるのか、あるいはいわばこれからの新しい農政を進める転換作戦であるかというのは、私はこれは撤退作戦であることは間違いない。結局農林省あたりは、今回の生産調整は緊急避難だというふうなことばも言われているわけですから、いずにしても積極策でないことは間違いない。間違いがないが、そういうことをやらざるを得ないかどうかの判断の問題が一つ、私はあると思う。そういう点で私自身は受けとめておるつもりなんです。
 問題は、農政の問題としてはことしあるいはここ当分米をめぐる生産調整問題がありますが、同時に農政の方向としては農林省自身が、これからの農政の方向としていわば価格政策を中心にして進めてきた日本の農政というものから、構造政策への転換ということに大きく切りかえようとしておるかどうかということが次の問題であります。言うまでもなく米価については昨年度据え置き、本年度も据え置く方針でおられる。おそらくこれは宮澤経済企画庁長官がかつて言ったように、生産者米価、消費者米価の三年ストップ論、あの当時は相当物議をかもしましたが、現実にはその方向で去年、ことしは進んできておる。要するに日本の農業の中心になる米価についてはこれを抑制をする方向でいこうとする。同時に、過般来の加工原料乳の保証価格というような価格決定を見ましても、配合飼料の値上げやあるいは労賃、物価の上昇の中でキロ当たりわずかに二十一円の値上げをするにとどまるというふうなことに相なりましたし、また豚肉についても若干の値上げはいたしましたけれども、とにかく米の価格を押えながら他の農産物価格とのいわばアンバランスについてはこれを調整するというのが当面の価格政策の基本のように見られる。全体的には価格についてはこれを抑制の方向で、むしろこれから政府の農政の力点は構造政策の方向にいく、こういうふうに考えておられるのではないかと思うのですけれども、この辺のところの問題をどうこれからやろうとするのか。ことに構造政策については後ほど農地法、農協法の関連で触れてまいりますから、これからの価格政策を農林省としてはどうやろうとするのか。当面米を中心に価格の抑制政策をとっていくというのが、これからの価格政策のここ当分の方針であるのかどうか。その辺、どうです。
#22
○倉石国務大臣 価格政策につきましては、よほど将来の展望、国際関係等を見ながら採用してまいりませんと、いろいろなそごを生ずるおそれがあると思います。
 それで、米につきましてはただいまその生産をさらに一そう刺激するような価格を持つことは困難でありますので、米価の水準は据え置くという方針をとったのでありますが、全体として私ども政府は農業に対してはまず構造政策の必要性を強調いたしたいと思います。私どもはやはり角屋さん御存じのように鎖国経済ではないのでありますから、いろいろな意味において全産業の中における農業の位置づけというものを考えていかなければなりません。そういう立場からいたしますと、一般的にはやはりすべてのものの自由化に邁進していかなければならないこともわかっております。そういう中で農業の国際競争力を維持してまいりますためには、第一には構造政策の必要性だと思います。農林省はそういう立場に立って構造政策に重点を置いてやってまいるつもりでありますが、しかし、そういう努力にもかかわらず、なおこのままで国際競争に立ち向かっていくことも不可能な大事な物資もございますので、そういうものにつきましては、当分の間はやはり価格政策、特にその中でも関税あるいは課徴金等といったような制度を検討して採用してまいらなければならないのではないかということも考えざるを得ないと思います。したがって、構造政策を中心にして、そして補完的には価格政策が当然そこへ出てくるというふうに考えているわけであります。
#23
○角屋委員 きょう麦の問題を中心にして米価審議会の懇談会が開かれるというふうに承知いたしているわけですけれども、まず麦の問題については、いま農地法、農協法と重要法案が議論されておる段階であるので、麦作対策あるいは麦の価格問題等については国会筋はあまり刺激をしない方向でことしはいこうというふうなニュース等も伝わっておるわけです。これは別にして、当面麦の価格あるいは麦価対策という問題については大体従来の路線でいかれるつもりですか。その辺のところをちょっとお伺いしたいと思います。
#24
○倉石国務大臣 本日開かれます米審は、前々から米審側の御要望がありまして、この前にいろいろな状況の報告を見られておりましたので、そういう中間的な御報告や御懇談を願うというための米審であります。したがって、これから米審の皆さま方の御意向も伺いながらずっと先に麦価はきめられるわけでありますが、ただいまのところ、米審の懇談会等を前にいたしておりますので、あまり立ち入ったお話を申し上げることは遠慮させていただきたいと思います。
#25
○角屋委員 価格問題については、いずれまた米の問題、その他麦価の問題についても議論の機会があろうと思いますので、深く触れることは避けたいと思いますが、いずれにしても生産調整問題あるいは農産物の価格問題というものを考える場合の政府自身の農政の気持ちの中に、いわゆる経済合理主義とかあるいは産業政策とかあるいは物動計画とか、そういういわばそれを生産している農民の考え方あるいは受けとめ方あるいは農民の実態というものと遊離し、あるいはそれを離れてこの農政を取り扱うというふうには大臣自身も考えておらぬと思うのです。もしやはり国際的にも国内的にもこういうことが必要である、あるいは価格についてもこうせざるを得ぬという場合に、産業政策とかあるいは経済合理主義とかあるいは物動計画というのが先行して、第一線の農民諸君の不在の方向で農政を今後やろうということになるとこれは非常な誤りをおかすことになるだろう。だから基本は、やはり第一線の農民の実態に根をおろしながら、具体的に農民の理解と納得できる方向でこれからどう農政を進めていくかということでなければならぬ。そういう点については生産調整あるいは価格問題もございますけれども、いまは考え方の基本について触れる程度にとどめたいと思います。
 いずれにしても、今回農地法、農協法の一部改正が幾たびか廃案になりまた出されてきたわけでありますけれども、冒頭に申し上げましたように、農地法、農協法の一部改正問題については、従来社会党はこれに強く反対をするという形をとってまいりました。しかし、解散総選挙後の新しい国会を迎えるにあたって、新しい観点から農地法、農協法の一部改正問題についても真剣に今日まで何回となく議論をしてまいりました。ときには激しく論戦を交えるというふうなこと等もありましたが、いずれあすの時点で、これは理事の質疑の際に、党の最終的にまとまった考え方に基づいていろいろ質疑あるいは与党等にも話が進められるという段階になろうかと思いますけれども、きょうあす最終的に煮詰めなければならぬ段階でありますので、私はいままでの論議でおおむねまとまったと考えられる諸点について詳しく触れることは避けたいと思います。
 問題は、この農地法、農協法を考えるにあたって、一つは、かりに個別経営をやるにいたしましてもあるいはグループ経営をやって経営拡大をやるにいたしましても、その基盤たるべき農地の現状がそういうものに即応しておるかどうかということが問題になるわけです。そこで過般も大臣が御出席されていないときにお伺いしたのでありますけれども、土地改良の長期計画の問題があるわけです。これは御承知のように、土地改良法の四条の二によって、四十年から四十九年にわたる土地改良の長期計画というのが二兆六千億の予算規模でもって四十一年に閣議決定をして現実に実施されてきておるわけですけれども、最近の米の生産調整その他も含め、あるいは今後の農業情勢を展望してみると、土地改良長期計画を改定しなければならぬ段階に来ておる。そこで、土地改良長期計画の改定にあたってのこれからの力点をどこに置くのか、どういう内容にしていくのか、その場合に基盤整備の問題についてもこまかい数字には触れませんけれども、たとえば水田の圃場整備の状態を見てまいりますと、機械化の導入ということを前提に、中型、場所によっては大型の機械を導入するというようなことを考えてまいりますと、少なくとも三十アール以下の圃場でも効率的な運営ができない、できれば三十アールはおろか、それ以上の圃場も必要になってくる、そういう意味において三十アール以上の水田の圃場はどれだけになるかということになると、これは二けたのごく初期の数字以上ではないということも含めて、土地改良の長期計画の場合に、あるいは今後の畜産その他の問題を考えに入れた草地の造成、あるいは大臣がよく言われるとおりに、基盤整備ばかりではなしに農民の環境整備ということと関連して、本年度から採用されることになりました広域農道の問題その他問題も含めて、土地改良の長期計画の改定について、どういう段取りでどういうふうなことを重点にしてやっていかれようとするかという点について大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
#26
○倉石国務大臣 土地改良の長期計画は、お話しのように、できましてから条件がいろいろ変わってきております。そういうことにかんがみまして改定の必要があるとも考えておるわけでありますが、今後米の生産調整問題とか、農産物の需要と生産の長期見通しの再検討の問題などとの関連のもとに検討を進めてまいりたいと思います。
 なお、改定にあたりましては、総合農政の方向に即しまして、いまお話のありました圃場条件の整備、それから農道――いま四十五年度予算に計上いたしておきましたああいう大きな農道等も含め、農道の整備、それから自給飼料基盤の整備などを重点としてやってまいりたい、こう思っております。
#27
○角屋委員 これは水田、畑等の圃場整備あるいはまた草地の積極的な造成、ことに草地等の問題については、最近の畜産の状況が、いわば国際的な家畜国策の実態に合うように是正するという意味において、粗飼料についてはできる限り自給に近づける、あるいは濃厚飼料についても、少なくとも三分の一以上は国内生産でまかなうというような前提条件に立って、土地改良の長期計画というものを考えてまいりますと、予算規模も、物価の上昇等もあって、もちろん変更しなければならぬということは当然でありますけれども、少なくとも七兆、八兆のスケールの予算規模の十カ年計画、あるいはそれ以上の十カ年計画をしなければ、これからもやはり構造改善とタイアップする基盤整備はできないだろう、こういうふうに考えますので、土地改良の長期計画にあたっては、そういうことも含めた積極的な姿勢で臨んでもらいたいということを強く要請いたしておきます。
 そこで、農地法の一部改正に関連する問題でありますが、今度の農地法の一部改正の中で、たとえば下限面積あるいは上限面積の問題、下限面積の修正、あるいは上限面積の撤廃、あるいはまた、不在地主の容認、さらにはこまかく触れてまいりまするというと、農業生産法人あるいは新しく農協に委託経営を認める、あるいは草地の利用権設定の制度を新設する、あるいは統制小作料をやめていこう、いろんな内容が織り込まれておるわけですけれども、これらを通じて伺えることは、要するに経営規模の拡大という手法を、借地農業を積極的に導入することによって当面経営規模の拡大をやっていこうということが、やはり農地法改正の底辺の思想の中にあるというふうに私は判断をするわけです。つまり従来農地法の制定を通じて今日まで堅持されてきたいわゆる自作農主義、この三十アールから三ヘクタールという中に一つの農業経営の幅を置きながら、しかもその上位のところの安定的な自立経営の確立ということの中に、従来の農地法の性格があったと思うのですけれども、今後借地農業の積極的な導入によって経営規模を拡大していこう、自作農主義にこだわらないというのが今回の改正の基調にあるというふうに判断をするわけですが、その辺のところはそう受け取っていいのか、まずそれをお伺いしたい。
#28
○倉石国務大臣 今回の農地法の改正では、農地を、より生産性の高い農地をつくりたい、その経営を生産性の高いものにいたしたい。したがって、いままで現在の現行法によりますというと、そういうことについてなかなか思うようにいかない点があることは御存じのとおりであります。したがって、ここで私どもは、土地を所有しておる者が、もし具体的に申して、自分は他の職業に転換いたしたい、しかし、農地を手放したくない、こういうような考え方の者が、その大事な農地を不経済的に放置されておるというようなことでありましたならば、せっかく規模を拡大して、日本の農業それ自体をりっぱな体質に改善しようとする目的も達成することができませんので、このたびはその農地を、不在村者であってもその農地を、これも具体的に申せば、たとえば農協に委託経営をさせるといったような、そういうことにして生産性を上げていくことが必要ではないか。そういう趣旨で、今度の農地法にそういう考え方を盛り込んでおるのでありまして、そのようにいたしてまいりませんならば、もう角屋委員も御承知のように、規模拡大ということ、それからせっかくの農地の生産性を上げるということが非常に困難であることは、おわかりのとおりであります。そういう趣旨で、われわれは、今回の改正案のような処置をとることが一番いいことではないか、こう考えておるわけなのであります。角屋委員 要するに、今回の農地法の一部改正は、現行農地法の自作農主義というものを修正をして、積極的に借地農業を導入しようという基盤の上に立っておることは、これは全体の法案の修正の各部分を見ると、そういうふうに見ざるを得ないわけであります。これはEECの経営規模拡大の中でも、やはりこの所有権の移転ということに行くことが望ましいけれども、地価その他全体的ないろいろな、あるいはそれに見合う資金の裏づけというものの困難性その他から見て、借地農業を相当程度受けざるを得ぬという関係に立ったいわば経営規模拡大ということも、EECの論議の中にも出ておるわけですけれども、日本でも同じように、今回の改正で経営規模の拡大を考えておる底辺には、政府がどう説明しようと、借地農業を積極的に導入しようという姿勢に立っておる。それがいいかどうかの議論は別にして、やはり基本的に存在するということだと思うのであります。
 そこで、そういう問題と関連をして、農地等の権利移動の場合に、私はやはり、一つの問題は、いままでとってきた下限、上限の問題で、特に上限を廃止するという考え方が、基本的にどこにねらいがあるのかという点が、率直に言ってわからない。また、そういう上限を撤廃してやるというふうな、日本の農業経営の実態から見てそういう条件があり得るのかどうか、あるいはそれがもたらす農業に対する影響をどういうふうに判断をしておられるかという点の、政府の意図がわからない。要するに、政府自身が上限を取っ払うという意味は、能力のある者には優等生農家をとにかくつくっていこう、それによって零細農その他が犠牲を受けようと、それはやはり経営規模拡大のためにはやむを得ないコースである、こういう前提に立っておるのかどうか。私どもとすれば、やはり上限の問題については、最近の機械化の動向あるいは実際に農業と他産業との所得均衡から見て、当然それに見合う上昇を考えていく、その幅の範囲内で上限を設定するのが、やはり今後五年、十年を展望したいわゆる農地法の運営の問題としても必要であるという基本的な考え方に立っておるわけですけれども、いずれにしても上限を廃止する。これは国際的にも、フランスの一九六九年代の上限、下限の問題についてもずいぶん国会で激論が行なわれて、政府の方針を大幅に修正したという経緯があるわけですけれども、それを別にしても、上限の廃止というのは、ここ当分の日本の農業の実態から見ていささか勇み足ではないかという、率直に言ってそういう感じがするのですが、その辺のところはどうですか。
#29
○倉石国務大臣 いまのお話でございますが、今回の改正案では、農地等の権利を取得する場合には、本人またはその世帯員のだれかが、その耕作すべき農地等のすべてについてみずから耕作の事業を行ない、かつその農作業に常時従事する場合でなければ農地等の権利取得を認めない、こういうことにいたしておるわけでありますが、上限面積と労働力を雇ってやります雇用労働力の制限をなくしても、弊害は生ずるようなことはないと政府は思っております。特に最近の農業経営の多様化に伴いまして、果樹だとか畜産等の部門では、みずからも農作業に従事しながら、その不足する労働力について雇用労働力をかなり用いて、経営規模の拡大などをはかろうとする農家があらわれてきておるわけであります。したがって、画一的な面積基準によって新しく伸びようとする規模拡大の動きを原則的に禁止するようなことになることは、かえって農業近代化の芽をつみ取ることになるのではないか、こういう考え方から今度の上限面積をつけておるわけであります。
#30
○角屋委員 きょうは一時までの段階で、ぼくのほかに他の質問の予定をするという理事会の話し合いの経過もございまして、この論争をするいとまはないんですけれども、いまの大臣の答弁で、上限廃止をやってもよろしいという理解を、私自身は、率直に言って、しない。私は、やはり上限下限の問題は、歴史的経過ばかりでなしに、国際的に見てもあるいは日本の農業の実態からいっても、適正な範囲の上限をやはり別表改正によって改めるということは、これは当然考えていいだろうけれども、しかし上限を全く青天井にするというのは、ここ当分の構造政策としてもそれは行き過ぎである、率直に言ってそういうふうに思っております。これは、今後われわれの考え方がまとまった時点で、いろいろ話し合いがなされる過程でもっと明らかにされることと思っております。
 問題は、改正案の中で、いわゆるグループ農業ともいうべき農業生産法人あるいは農協の委託経営等の問題での法改正がなされておるわけですが、これは簡単な内容のことでありますので、農地局長でもけっこうなんですけれども、過般来この農地法の問題をどうするかを党で論議をしておる段階で、ちょっと見解に食い違いができた問題がある。農協の委託経営の場合に、いわゆる農協に農家が自分の所有しておる農地をすべて委託しなければいけないのだという解釈が一つあったわけです。私はそうでなしに、自分の所有しておる農地の中のたとえば半分とか三分の一を農協の委託経営にまかしても、それは立法上認められた農協の委託経営になるという解釈をしたんですが、昨年来の議論の中ではそういうふうには言っておらぬという議論があって、これは立法者の意思を聞かなければならぬことになるわけですが、議論する前に、その点についてひとつ説明を願いたいと思います。
#31
○池田政府委員 ただいまの御質問につきましては、昨年いろいろ論議があったわけでございますが、私どもの理解といたしましては、例をあげて御説明申し上げたほうがわかりやすいと思うわけでございますが、ある農家が、たとえば五反歩の耕作をやっていたら、その五反歩全部を農協に経営委託しなければ農協としてはそれを引き受けない、こういうことでは実はないわけでございます。たとえばその中で一反程度は自家用の菜園として残しておく、そして残りの四反の水田につきまして、それを農協に経営の委託をする、こういうようなことももちろんあり得るわけでございます。ただ、昨年論議をいたしましたときにいろいろ御説明申し上げたわけでございますが、これはいわゆる作業の委託ではないわけでございます。農業経営の中の一部の作業だけを農協に経営を委託するということではなしに、委託をいたしました以上は、たとえばその水田の経営委託をいたしますならば、それについての一切のマネージメントまで委託する、こういう意味では全部の委託でございますが、特定の農家の全部の圃場について委託をする、こういう必要はないわけでございます。
#32
○角屋委員 これは党内の議論の中で、私は、自分の手持ちのものを全部出さなければ農協の委託経営に出せないのだというふうには解釈してなかったわけですけれども、昨年の議事録等を見てみると、別の人の意見のように受け取れるような答弁の内容があるわけです。これは議事録の内容については触れませんけれども、要するに、それはいまの農政局長の答弁ではありませんけれども、まかされた部分についてはやはり経営をやるという意味においての答弁だったと思うのです。出すほうが自分の持っておるやつを全部出さなければならぬというのではなしに、出されたやつについては、作業委託ではなしに経営委託だという解釈だと思うのです。そこのところが、過般来議論をしておったら、いや全部出さなければ農協の委託の条件にならないのだという議論があって、私は、そうではない、立法上の解釈からいってもそうはとれない。ことに個人が持っている農地が非常に分散過程の中で、農協が委託経営をするときには、やはり一定のまとまったところを効率的にやろうとするならば、全部のやつをまかされるということが絶対的な条件であればきわめて分散したところも取り扱わなければならぬ。非能率になるということは別にしても、とにかく自分の手持ちを全部出さなければ農協の委託条件にならないということは立法上からもないということで、実は論議があったわけで、その点は法解釈上の問題としてわかりました。そこで、農業生産法人の要件緩和で、これは事業要件、構成要件は従来どおりですけれども、借り入れ地面積要件あるいは議決要件あるいは労働要件あるいは利益配当要件の問題――利益配当要件は小作料の問題と関連するわけですが、とにかく借り入れ地要件、議決要件、労働力要件のうちの借り入れ地面積要件と労働力要件を廃止をして、議決要件を改正する、こういう考え方をとったわけですけれども、これは私は、やはり農地法の本来基本に持っておる自作農主義あるいは耕地は耕作する農民がみずから耕作をするというたてまえから見て、最小限、借り入れ面積要件というものについては歯どめをすべきである、またそういう背景のもとにおいて政府が改正した議決要件の裏づけができるというふうにも考えるわけでありますが、いわゆる借り入れ面積要件やあるいは労働力要件というふうなものを全く廃止してしまった、歯どめをつくらないという考え方について、私は率直に言って、これはそのまますなおに受け取ることができないのですけれども、そこでそういう歯どめをして、なおかつ農業生産法人として農地法上健全な形でいけるという、その考え方の基本はどこにあるわけですか。
#33
○倉石国務大臣 農業をやめようとする農家や、農業経営を縮小して兼業に重点を移していこうとする農民がふえてまいっておるという現実の上に立って、これらの農家の農地が技術や経営能力のすぐれた専業農家を中核とした経営組織によって効率的に利用されるようにいたしますと同時に、地域によっては、法人の構成員以外の者からも多くの農地を借り入れなければ、農業生産法人の経営規模の拡大が困難な実情にございますので、農業生産法人の育成をはかるためには借り入れ地面積制限の規制をしないことにいたしたい、このほうがいいのではないか、こう考えているわけであります。
 それからまた、利益配当を規制しないことにいたしますのは、今回の改正案において小作料の最高額統制制度を廃止することといたしておることに対応いたしておるわけでありますが、いまお答えいたしましたように、やはりそういう制限は置かないでいくほうが、現在の状況においては規模拡大、しかも農業生産法人の経営の面から見ても、そのほうが合理的ではないかというのが私どもの考えでございます。
#34
○草野委員長 角屋君に申し上げますが、大体時間ですから、適当なところでお願いいたします。
#35
○角屋委員 不在地主の容認の問題とももちろん関連するのですけれども、今回の改正を通じて、農業生産法人あるいは農協の委託経営あるいは農地保有合理化促進事業を行なう法人に提供しておる小作地、これは在村、不在村にかかわらず、所有制限が廃止をされるというふうな改正をやろうとしておるわけですけれども、これは本来、いままでの農地法の伝統的精神ということももちろんあるけれども、またこれからの農地法の改正を通じて、農地制度について運営の適正を期するという意味からいっても、在村、不在村にかかわらず、生産法人あるいは農協の委託経営あるいは農地保有合理花促進事業を行なう法人に対する小作地の問題に対して、何ぼ小作地として預けても、これは制限適用除外であるという点は、少なくとも不在村のものについては一定の歯どめをするということが当然必要だというふうに率直に言って思うのです。同時に第七条の二号から十六号までは、小作地の保有については適用除外になっておりますが、その第七条の第一項で認めておる不在地主の問題についても、本人と一般承継人にまたがってという点についても、これは小作地はあまり長期でなしに小作人自身が持つという点から見ても、これについても少し考え方を変える必要があるように、われわれとしては検討の経過の中で考えておるわけですけれども、いま言った小作地の保有の場合の不在地主の問題は論議をちょっとはずしてみて、先ほど言った、第七条の二号から十六号までの点の、特に農協の委託経営あるいは農業生産法人の持つ小作地あるいは農地保有合理化法人の持つ小作地等の問題については、不在地主については一定の歯どめをすべきであるというふうに思うのですが、その辺のところについて、全然歯どめをする必要はないと考えるべき基本はどこにあるのか、率直にお伺いしておきたい。
#36
○倉石国務大臣 政策的に奨励すべき事業で、集団的または公的な規制がおのずから加えられるようなものに貸す場合には、その小作地所有の期間について制限を設けないようにいたしておるわけでありますが、もしお尋ねのように、修正するとすれば、正規の貸借による農地の流動化が進まないのではないか、こういうふうに思います。また、集団的生産組織などによる生産規模の拡大に支障を生ずる結果になるのではないだろうか。したがって、そういうことを考えてみますと、政府案の考え方のほうがいい、現状に合うのではないだろうか、こういうふうに理解しております。
#37
○角屋委員 きわめて不満でありますけれども、時間の関係であと数点の問題を残したわけですが、いずれにしても、最後に大臣に率直にお伺いをしておきたいのでありますが、何といっても、食管制度とかあるいは農地制度というようなことは、これは国際的の場合は別として日本の場合、特に農地制度は国際的にもそうですが、これは農政の基本をなす問題の制度体制なんですね。これはここ数日でどう処理するかという、いわば最終段階に来ておるわけですけれども、国会の議論を通じて、あるいは与野党の議論を通じて、政府の法案について、われわれが考えておる農地法の適正運営のための歯どめはこういうふうにしたほうがよろしいというふうなことで、われわれが本日、明日にかけていろいろ問題提起をすることになると思うのですが、そういうような話し合いについては、農林大臣や農林省のほうが原案に固執する姿勢をとるあまり、そういうものを受け入れないというかたくなな姿勢を示されないようにひとつお願いをいたしておきたいと思うのです。これは、立法機関と行政機関とはそれぞれ独立のものですから、そういう姿勢はとられないと思うのですけれども、農地法の改正を通じての今日までの国会の論議、さらに最終的に、これをどういうふうに処理するかという問題については、国会のいわゆる裁きの結果を謙虚に待つということでぜひ農林大臣並びに農林省としてはいってもらいたいと思うのですが、その辺のところについて、大臣の心がまえを承っておきたいと思います。
#38
○倉石国務大臣 角屋さんのおっしゃっていらってしゃること、よくわからないのですけれども、逆にこう解釈いたしますと、何か修正したほうがいいというような御意見かもしれませんが、その内容を拝見いたしておりませんので、何とも申し上げかねますが、政府は政党内閣でございますので、与党の方々の御意見を十分尊重いたしまして、そのときの政府の態度を決定いたしたいと思います。
#39
○草野委員長 山田太郎君。
#40
○山田(太)委員 大臣が一時までにはどうしても出席なさらないといけない審議会等がおありのようでございますので、できるだけ簡単に、簡明に御答弁いただいて、ぜひその時間に間に合うように質問を終わりたいと思います。少々かぜを引いておりますので、ことばがはっきりしない面もあるかとも存じますが、まずお断わりしておきます。
 そこで、このたびの農地法の一部を改正する法律案並びに農業協同組合法の一部を改正する法律案について、私にとっては初めての質疑を行なうわけでありますが、これまで多くの委員の方より、あらゆる角度から多岐にわたって質問が行なわれてまいりました。食管法とともに戦後の農業をささえてきた農地法並びに農協法は、言うまでもなく、これは日本の全国民の主食を確保し、国民の生活を守ってきたと同時に、わが国の外貨維持と獲得に非常に貢献し、わが国経済成長の大きな要因であったことは御承知のことであります。したがって、本日まで、その改正にあたっては、全国五百三十五万農家の方々の見守る中で慎重に審議を重ねてきたことは当然でございます。そこで、私は、農地法、農協法を改正するにあたりまして、いま一歩お聞きしておきたいこと、あるいは念を押しておきたいことなど、多少の重複は承知の上で数点にわたって質問をしておきたいと思います。
 そこで、まず第一点でございますが、都市近郊の農地はともかくも、農協あるいは農業生産法人等の借地の制限がなくなる、また小作地保有の制限の緩和等から、農協あるいは生産法人に農地をどんどん委託して都市へ出ていくのではないか、そのようなこともいわれておりますが、もしそういうふうな場合、政府としてはどのような対策を考えられておるか、まずその点をひとつお伺いしておきたいと思います。
#41
○倉石国務大臣 総合農政でも申し上げておりますように、私どもは農業というものをぜひしっかりした体質のものに改変して農業を守っていきたい、そういうことでございますが、そのためには、やはり競争力のある自立経営の農家を育成してまいりたい。けれどもそのためには経営規模を大きくしなければなりません。経営規模を大きくすることのできますために、農地法等を改正いたしましてそういう促進をはかるわけでありますが、もし兼業農家などで、今日のような経済成長の中でありますから、自分は持っておる畑をもし他人が耕作してくれるならばそのような人にまかせてそして兼業のほうを主としたい、こういうような方がありましたならば、やはりそういう方には離農を促進できるような措置を講じていくことが必要だ。しかしながら、いま私が申し上げましたような形で、急速に日本の農村における人口が流出するとは思いませんけれども、経営規模を広げながらもやはりそういう自立経営農家だけで村が占められるというわけではございませんので、御承知のように八割近いものが兼業農家でありますから、その中で離農したいと希望される者の離農をしやすくしてあげることは必要ではありますけれども、やっぱり兼業の農家でそれを維持していきたいと考えられる方はかなり多いわけであります。そういう方々はやはり自立経営農家とあるいは協業を営みながら、いろいろな形をいたしまして、集団的な農業経営をするようにしてまいりたい。そのためには、どんどん地方から中央に集まってしまうようなことをできるだけ避けるようにいたしたい、私どもはこう思っています。
#42
○山田(太)委員 その反面、先日の農業白書によりますと、農地の移動は非常に停滞的である。農地の価格の高騰あるいは農地に対する資産保有性向が強まる、さらに農地制度が阻害している、そのために流動化が停滞している。そのような意味のことが白書にもあったと思います。そこで、この農地法のあるいは農協法の改正によって、当然どれくらいの農地の移動が見込まれておるかというその目標もなければならぬと思います。その点はまずあとにいたしまして、これは事実現地の農協の方々の話です。この経営委託をしようと思っても、農協がそれを受けない、また受けるだけの能力がない、そういう農協も多々あるわけですが、そのような場合どのような対策をしていくか。当然ここに農協の合併の問題も出てくることでありますが、この経営委託という問題が出てくると、いままで合併によう踏み切ってなかった農協も、合併をしなくちゃならないのじゃないか。いまの現状でうちの農協の程度ではとてもこの経営委託を受けることができない、そのような現地の声もあります。そのときに、委託したいのだけれども断わられる、そのような場合の対策が考えてあるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#43
○倉石国務大臣 お話の最初のほうでありますが、ただいまの農地法ですと、いまお話しのような小さな農家の方は、やはり離農したくても、自分の持つおる財産に執着を持ってあまり、農耕地は草をはやしておいて能率をあげないでいながら、やはり農地を手放さない。そして兼業所得を得ておられるというふうなことが、実は経営規模を拡大してまいるためには一番困ることでありますので、そういう意味でも、農地法の改正が必要でございますことは御存じのとおりでありますが、その場合農協に委託経営をする、いまお話しのようなことは、委託経営を申し込んでも、農協がそういう実力を持ってないとかいまそういうお話がございました。私どもといたしましては、農協の合併につきましては、前回もこのところで御議論がありましたけれども、自然的に今日の状況の推移にかんがみて、合併のできるものはむしろ促進をいたしてまいるつもりであります。けれども、さっき私が申し上げましたように、兼業農家の方々もやはり自分の持っておる農地を合理的に、もっと生産性の高い農地として効用をあげてもらうことができるならば、これは集団的に、先ほど申しました自立経営農家を中核にいたしました集団的営農をいたしますためには、そういうことでやはり協業その他のことで生産性をあげるように、農地が活用できるわけでありますから、これはやはりいろいろその地域地域の実情に即してどのようにでも対処できるのではないか。一般論的には、私ども政府といたしましても申し上げましたようにかなり広域の営農集団をつくりたい。その中にそういったような農家をみんな一緒にして、そして生産性をあげるように、大型機械を導入したりいろいろな援助をいたしまして、要するに農地の合理的に生産性のあがるような集団営農をやらせたい、こういう見込みであります。
#44
○山田(太)委員 私のお伺いいたしましたのは、もちろん広域の営団的な営農というものもまことによくわかります。ただ、そのようなことのできない山地の農家の方、農協に頼んでも断わられる、またそのような集団的な生産法人組織もない、そのような農家が、いま大臣のおっしゃったような荒れほうだいのたんぼのままにしておかざるを得なくなる。そういう目の前にきておるわけです。年齢は次々と年とっていっていらっしやるし、若い者はいないし、そのような方々の多くいらっしゃるところもたくさんあります。そういう人が絶対荒れ地でそのままほっておかなくて済むのだ、こういうふうにやるから必ず引き受けてくれるのだ、そういうふうな方策を立てておるかどうか、そういう人を見殺しにしてはいけない、そういう人をどう抱きかかえていくかという点をお伺いしておるわけです。
#45
○倉石国務大臣 そういうことも考慮いたしまして生産法人それから農地合理化法人がこれから各地にできてまいるわけであります。県でも公社ができるところも、もうすでにできているところもたくさんありますし、市町村でも合理化法人をつくろうとしております。そういうところでそういう農地を活用することがいろいろできるはずでありますから、そういう合理化法人の活動を私どもは助成したらいいと思うのです。
#46
○山田(太)委員 念のために、現地のそのような心配の声が非常に多かったものですから、もう一ぺん念を押すようでございますけれども、そのような場合、生産法人組織なりあるいは農協なり必ずその中に抱きかかえていかれるのだ、委託をちゃんとできるのだ、そういう人を見殺しにはしない、そういうふうな措置を講じてもらえるんだと解釈していいでしょうか。
#47
○倉石国務大臣 いまお話しのようなものも対象にいたしまして、合理化法人、生産法人がこれから各地で活動いたすわけでありますから、私はそういう点はもちろん救済されると思います。
#48
○山田(太)委員 そこで次の問題に移りますが、先ほどちょっと触れもいたしましたが、農地の流動化によって規模の拡大をどの程度に見込んでいるかという点もひとつあわせてお伺いしておきたいと思います。
#49
○倉石国務大臣 なかなか数字をあげるということは、いま現在では困難だと思いますが、要するに、先ほど来お話のございましたように、今日のような一般社会情勢、経済情勢のもとにおいて、いわゆる小農的な方々がむしろ積極的に自立農家になっていこうと努力されるか、それよりも、いまの情勢で、農家としての所得の大きな部分が兼業であるというような方、そういう方はむしろ兼業でいこうとされるでありましょう。そういう兼業でいかれる考えをお持ちになる方はやはり農耕について身が入らないわけであります。したがって、そういう地域をわりあいに非能率に置かれるということがそもそもわが国の農業全体として好ましくないことでありますので、そういう方の農地を流動的にやっていただいて、そして経営規模を広げる者に譲渡していただくなり、あるいはまた、先ほど来お話のありましたような委託経営をやって能率をあげてもらうなりしてもらう、そういう流動化の促進ということが今度の農地法でねらいました一つの大きな目的であることはもう御指摘のとおりでありますが、いまどの程度できる見込みかということにつきましては、なかなかいま即答をいたしかねると思います。
#50
○山田(太)委員 立案をしておいて、その目標あるいは目途というものがないというのもちょっとおかしな話にも聞こえるのですが、これはまあ置いておくといたしまして、ある面からいいますと、流動化が進まないんじゃないか、立法はした、しかし流動化はなかなか進まないんじゃないかという声もあるわけです。事実これは四十三年度における農業の実態の把握である白書でございますから、それがそのままこれから後に通用するとはもちろん考えません。しかし、これまでの例からいいますと、規模拡大になっていかないのではないかという心配は、この白書によってもそれがうかがわれるわけです。といいますのは、農地の保有面積を上中下に分けてみますと、下層の世帯同士での農地の移動は非常に多い。約六〇%以上ある。ところが農地保有の下層の農家から、より一そう広域の農地を持っていらっしゃる上層への移動はわずかに一七%しかない。こういう点から規模拡大というのはむずかしいのではないかという議論もあるわけですが、その点についてはどのような御見解を持っていらっしゃいますか。
#51
○倉石国務大臣 御承知のように政府の諮問機間であります農政審議会は、将来五十二年をめどに、水田でいえば四ないし五ヘクタールのそういう農地、それから搾乳業でいえば乳牛二十頭程度のものを目ざすべきであるというようなことを中間答申にも書いておりますが、いずれにいたしましても、私どもはもう原則としては自立経営農家の育成を希望しておるということは何べんも申し上げておるとおりでありますが、私どもの見るところでは、そうは申しましても、いま日本の経済の中で一番のガンだといわれておる地価の高騰、これは地方までかなり影響してきております。
 そういうことで、規模拡大の骨の折れることはもう現実の姿でありますけれども、やはり私どもはそれにもかかわらず規模拡大をできるだけするように農地の流動化を促進する。そのためにはいま申しましたように八〇%程度占めておりますわが国の兼業農家、この兼業農家はやり兼業農家として立ち行くように育成することを忘れてはならないと思うし、むしろ頭数においてはそのほうが多いのでありますから……。それで、傾向を見ておりますと、一年に八万戸ないし九万戸の兼業農家が離農いたしておる傾向でありますけれども、私どもはこの兼業農家の方々の問題としては幾つか問題があると思います。つまり農村においてこの兼業農家の人たちが離農したいというので、これは離農しやすくしてあげるために農業者年金制度なども採用いたしておりますが、離農はしないで兼業としてやはり所得を増進するようにつとめたいと思われるような人には、第一にはさっき申し上げましたように自立農家を中核とした集団営農を助成していく。これは一つの農業政策。もう一つにおきましては、そこの兼業農家の人たちに、その付近で、その場所で他の所得が増進できるような産業分散の施策を講じてまいる。したがって、私どもがいろいろなところで掲げております自立経営農家を中核として云々ということを申しておりますけれども、そういう目的が達成されるには相当の時間を必要とするのではないかと私どもも考えておりますので、決して兼業農家を軽率に考えてはならない。これは農政から考えましても、国全体の人口、産業の面から考えましても、私はそのように見ておるわけであります。
#52
○山田(太)委員 私は当然、離農者の生活を守っていく問題あるいは兼業農家の生活をより一そう向上させていく問題これは非常に大切な問題であるということはもちろんでございます。ただ、農地法、農協法の一部改正について、この法律案について、わが党はこれまで賛成の意向を表明してきております。さきの国会でもそうですが、そこでそれについての疑問点、これがはたしてできるのかという点をお伺いしておいて、そうして一つの農家の所得をふやし、あるいは日本の農業形態をより向上させていく、そのための一助にもと思ってお伺いしておるわけですから、その点はひとつ十分御承知おき願っておきたいと思います。
 そこでこれまで何回も出てきた問題でございますが、ここでついでにお伺いしておきたいことは、この両法案について直接の問題じゃありません、関連した問題ですが、この自給率の問題ですね、主要食糧の自給率という問題、これは何回も論議されてきました。また本会議あるいは予算委員会等で、大臣もたしか七七%には持っていきたい、こういうような御答弁もあったやに聞いております。ところが事実は、現在米を除いた主要食糧の自給率は六九%だと伺っておりますが、この中には飼料が入ってないのだということになると、この飼料の輸入の点を考えると、実質的にはこれは六〇%を割っているんじゃないか、こういわれております。これでは、これからの七七%を目途にしていくのに、じゃ、どのような方策を具体的に講じ、品目別にはどのような自給率にしていこうとするのか、これは大臣からは直接お答えできないかもしませんが、局長から答弁していただきたいと思います。
#53
○倉石国務大臣 事務当局から計画を申し上げます前に、原則的に――私どもは米はもう一〇〇%ございます。これは私はありがたいことだと思っております。この自給度を落とすことのないようにせなければならないと思っておりますが、ただいま御指摘のように、濃厚飼料の原料等、これはその大部分が輸入にまっておる次第でございますので、今度の生産調整などによっての作付転換等は、ぜひそういうわが国に不足しておる物資の増産につとめなければならない、こういうことを考えて助成いたそうとしておるわけでありますので、そういう意味において、あらゆる物資の自給度を高めることはできると思いますが、現状の状況をひとつ事務当局から御報告させていただきます。
#54
○亀長政府委員 自給率、特に総合自給率ということでいろいろ国会でもお話しがございますが、総合自給率ということを計算することにつきましてはいろいろな問題がございまして、ヨーロッパの国々でも一九五八年以来、総合自給率ということは意味があまりないということで使っていないような事情でもございます。私のほうでも、そういうことでございますので、総合自給率ということばを正式に公表しておるわけではございません。一応便宜的な意味で計算をしておるわけでございまして。そういう便宜的な計算から申し上げますと、数字的には先ほどから山田先生御質問のとおりの数字に相なっております。六九と申しますのは、現在で米以外のものの自給率が六九でございます。それから米を一〇〇といたしますと七八という総合自給率ということに相なっております。飼料が除外されておることも事実でございます。飼料を入れるかどうかという点、これは結局その飼料を食べて、また家畜の畜産物という生産物、二段の形になりますので、通常飼料を抜いてやっておるというのが各国ともそういう例でございますので、私どももそういう例を踏襲しておるというだけのことでございます。長期的にはどうなるのかという御質問でございますが、私ども四十三年に公表いたしました五十二年までの農産物の需要及び生産の見通しでは、総合的には七五ないし七九という幅で考えております。その中間をとりまして先般大臣なり私どもが七七というふうに申し上げたわけでございます。
 中身について申し上げますと、主要なものについてのみにいたしますが、五十二年には米は一〇〇、それから小麦は一四、大・裸麦は四四ないし四五、野菜は一〇〇ないし一〇二、果実は八三ないし九〇、牛乳、乳製品は八七ないし九六、肉類は八三ないし九四、鶏卵につきましては九六ないし一〇一、こういうふうな幅のある見通しをいたしておりまして、したがいまして総合の自給率も先ほど申し上げましたように七五から七九の幅である。中間をとれば七七程度であろう、こういうことでございます。現在の自給率からいたしますと、米につきましては現在は自給率をオーバーしておりますから、その分は大体需給とんとんになる。麦類等は減少する。しかし野菜、果実、畜産物等につきましては現在よりも大幅な増産になる、こういう数字に相なるわけでございます。
#55
○山田(太)委員 いま官房長の御答弁の問題は、これは何回も聞いおるわけですが、五十二年の長期見通しのことを聞いているわけじゃないのです、これは聞いておるのですから。七七%に持っていくまでにどのような方策を具体的に講じていく考えがあるのかと、これをお伺いしたわけですから、その点ひとつお間違いないようにお答え願いたいと思うのです。
#56
○亀長政府委員 私がいま申し上げましたのは、生産物の結果にあらわれた数字だけでございます。そこへ行きます諸施策というのは、これは農林省全体の施策がそういう方向に向かって動くということでございまして、いままでの米作中心から他の作物への転換という意味での総合農政あるいは果樹振興あるいは畜産振興、こういう、むしろ農林省全般の施策がまさにそういう方向に向かって動いているし、動かなければならないものだというふうに考えております。
#57
○山田(太)委員 そのようなありきたりな答弁でなしに、この前もお話しがあったように、やはり各地域別によって農業地図なり、いろいろなものをつくっていくのに、やはりその目標に至る計画がなければならぬわけです。そういうものをもとにして――大臣のおっしゃったその目標に到達するのにも、やはりそういうものも使っていかなければならぬはずです。ところがいまの農林省においてのその方向づけあるいはその段階といいますか、そういう面が実際には示されてない。たとえて言えば作付転換の問題にしても、実際に具体的なものが示されてない。また価格の問題も慎重に考慮し、あるいは国際的な価格も考慮し、などという答弁で終わってきておりますが、これは当然なされていかなければならない問題と思います。まあ、わが党の主張しております農業の情報センター、コンピューター等も利用して、そうして早急にそれを作付指導までしていき、また価格の裏づけもしていく、こういうものがなければ、農家の将来の所得の保障というものはない、こう考えてもいいのじゃないか。この前予算委員会で申し上げた問題ですが、鳥取県では、コンピューターを利用してちゃんと営農指導も作付指導もやっていく方向に踏み出しておる。農林省としてもこの点を早急に考えて実施していったらどうか、この点についての御見解を、この前予算委員会では御答弁なかったので、ここで大臣から御答弁いただきたい。
#58
○倉石国務大臣 たいへん大事なことのお話しでございますが、五十二年度の見通しにつきまして、先ほど事務当局から申し上げましたが、現在出ております農作物の生産量というものは、現在までの経過で出てきておって、そして現状の自給度をまかなっておるわけであります。御存じのとおりであります。しかも、それにプラスすること、毎年の予算で圃場整備、構造改善等行なっておるわけであります。したがって、現在の状況で、毎年いままでやってまいりましたようなものにさらにプラス、プラスをしてまいって、この生産量を維持していくことができるわけでありますので、毎年の計画を、なるほど私どもは五十二年度の見通しはつけておりますけれども、その中間の報告をいたしておりませんので、若干の御不安のようなお気持ちがあるかもしれませんけれども、いま申し上げましたように、いままでの政府の施策で現状の自給度を維持し、生産が行なわれておる、こういう前提に立っておりますからして、私どもはそういうことについて、不安を持っておるわけでありませんが、しかし、これで満足しているわけではありません。しかも、御存じのように社会主義的計画経済ではないのでありまして、やっぱりどのようにわれわれが希望を持ちましても、生産者、この人たちが自分で他にもっといい所得のあるものに転換しようとする考えをお持ちになってしまったのでは、これはもういたし方のないことでありますが、そういうような考えを持っていただかないように、つとめてやはり農作物、農業というものの位置を高くしていくことを、われわれはあらゆる面で考えなければならない。その中には価格政策もあるでしょう、たいへん大事な問題だと思います。そこで、農林省は、いままで長い間物資のないときに生産、生産といって生産に全力をあげてきましたが、消費を考慮せざる生産なんてあり得べからざることであります。現在私どもが予算的にも、また実質的にも非常に力を入れているのは流通機構でありますので、そういうことに対しては、先ほどのお話のようなコンピューターシステムというようなものがだんだんと取り入れられてくる、当然なことであります。なおそういう近代的な設備をいたしまして、農業が近代産業として立ち行くようにするため、各局とも鋭意努力をいたしておるわけであります。
#59
○山田(太)委員 時間の関係でもう一点お伺いしておきたいのですが、いずれにしろ、社会主義国のような計画経済じゃない、これは当然でしょう。しかし、米の生産調整にしてもこの指導のもとにここまでやってきたわけです。したがって、社会主義国ではない、あるいは計画経済ではないということによって、それができないのじゃなかろうかというニュアンスのおことばのように聞こえましたけれども、それは間違いだと思う。当然そこに責任のある作付指導がなければ一ただ見通しだけは置いておるけれども、真の農家の生活を守り、同時に国民の食糧の自給率を達成するということはなかなか不可能じゃないか、過去の事例を見ても、そこに不安があるのは、これは当然だと思うのです。そこで、先ほど申し上げた農業の情報センター的なものを早急にやって、そして農家が安心して営農に打ち込んでいけるような、そういうものをやったらどうか、そういう点の御見解を聞いたわけです。もう一ぺんだけ御答弁願いたい。
#60
○倉石国務大臣 そういう点は大賛成であります。つとめてそういう方向に努力をしてまいります。
#61
○山田(太)委員 それでは、あとわずかしか時間がございませんので、具体的な問題について二、三触れておきたいと思います。
 これも現地からの声であります。まず、規模拡大にしてもあるいは農地の流動にいたしましても、法制の問題と、同時に税金の問題あるいは金融の問題これがやはり措置されなければ、所期の目的を達成できない一つの要素にもなると考えます。この前の国会のときも、附帯決議が付されておった中にも当然ありました。しかし、具体的な面について少し触れておきたいと思います。
 そこで、この農地の移動についてどのような税金の軽減措置が講ぜられていくか、その点について、こまかい問題でございますが、お伺いしておきたいと思います。
#62
○中野政府委員 昨年の農地法の改正の際に附帯決議をいただきまして、われわれ大蔵当局といろいろ詰めておるわけでございます。現在までの状況をお話し申し上げたいと思います。
 その一つは、離農するような農家が合理化法人に土地を売る場合の譲渡所得税の問題がございます。これにつきましては、すでに今国会に提案されております租税特別措置法によりまして、政令で措置ができることになっております。農地法が通過いたしますれば、そういう観点から大蔵省と前向きに相談したい。その内容は、一般的に譲渡所得税は百万円控除になりますけれども、これを百五十万円の基礎控除をするということでございます。
 それから二番目の問題は、県の公社なりあるいは農協なりが農家から土地の取得をするわけでございますが、この場合には登録免許税がかかるわけでございます。これにつきましても、普通の場合千分の五〇を千分の六にする方向で事務的には話し合いを詰めておるところでございます。
 それから三番目は、これは地方税になるわけでございますが、不動産取得税の問題がございます。やはり合理化法人が取得する場合の不動産取得税につきましても、これは免税をしてほしいということでただいま折衝をしておるわけでございます。
 それから合理化法人との関係で、合理化法人に土地を貸した場合、その場合にわれわれ考えておりますのは、十年間以上貸してほしい、その場合には、それでは十年間の小作料の前払いをするという問題も起きてきております。その場合には、受け取りました地主のほうの小作料につきまして、十年分を一ぺんに税金をかけますと相当な税金になりますので、これは臨時所得として扱うという方向でも、大蔵省と大体話をつけておるような状況でございます。
 以上でございます。
#63
○山田(太)委員 いまの局長の御答弁で概略了承申し上げましたが、一つ申し上げておきたいことは、政令で措置できるということで、いまの局長の御答弁の中には、合理化法人に譲渡する場合あるいは農協に譲渡する場合、これも含まれるというふうに聞こえたのですが、もう一ぺん確認の意味で――当然そうでなければならぬはずなのです、半公的な機関あるいは公的な機関として、そういうものにもこれは政令で処置できるという問題確認の意味でもう一ぺんお答え願います。
#64
○中野政府委員 私、先ほどそういうふうに申し上げたつもりでございますけれども、合理化法人たる県の公社あるいは農協というものに譲渡する場合には、譲渡所得税の控除を優遇するということでございます。
#65
○山田(太)委員 それからもう一点お伺いしておきたいのは、今度は金融の問題です。この改正案の出る前は、農地管理事業団法という法案が出されておった、そう聞いております。その構想の中に、たしか金融は、たとえば農林漁業公庫などからの金利は三分で三十年という条件だったと思うのですが、このたびもそのような金融の措置が講ぜられるかどうか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
#66
○中野政府委員 御指摘のように、かつて御提案申し上げました農地管理事業団法案では三分、三十年の金利水準でございました。ただ、今回考えておりますのは、地域地域の、たとえば農協あるいは町村、県公社、そういう団体が農家から土地を買いまして、規模拡大の方向に向かって、そういう土地を売っていくわけでございます。その場合に、買うほうに融資するというわけでございます。その金は農林漁業金融公庫から融資をしたいと考えております。そのために昨年たしか二百九十億だったと思いますが、ことしは約三百六十億というようにワクをふやしております。ただいまのところ、三分五厘、二十五年ということで、かなり需要も強うございます。現在直ちに三分、三十年にするということは、金利水準全体との関係がございまして、非常にむずかしいかと思いますが、今後の検討問題にさしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#67
○山田(太)委員 この問題は、現地に非常に不満の声が出ております。事業団法においては三分の三十年だった、それが三分五厘の二十五年に、いわゆる条件が悪くなった、こういう点が非常に衝撃を与えております。いま局長からの御答弁でございましたが、大臣からもこの点についてどうお考えであるか、お答えしていただきたいと思います。
#68
○倉石国務大臣 いまよく聞いてみましたけれども、有利な話のほうは国会が通りませんでしたので、今日のようになっておるそうであります。
#69
○山田(太)委員 いまの大臣の御答弁を聞いていますと、この点のために通らなかったように聞こえますけれども、この点のために通らなかったわけではないのですから、その点について、そういうふうな逃げるような御答弁でなしに、ひとつ前向きの御答弁を――心配しているのです。これは別に陳情ではございません。しかし、これに対しての見解というものは当然答弁していただきたい。
#70
○倉石国務大臣 私ども、公庫全体の金利について実はいろいろ考えておるわけなんです。したがって、ただいま御指摘のような問題についても、十分考慮して努力をしてみたいと思っております。
#71
○山田(太)委員 それから、草地利用権の設定の問題です。この草地利用権の設定について、一番不安がられているのは入り会い林野の問題です。この前の国会でも、問題になったような議事録になっておりますが、これについてはどのような処置をなさるか、これは最後には知事の裁定になっておりますが、それを承服しないというときにはどのようになさるかという点を、具体的な面ですが、お伺いしておきたいと思います。
#72
○中野政府委員 草地利用権は、改正案にもございますように、市町村あるいは農協が土地所有者その他、その土地に関し権利を有する者に対しまして協議をするわけでございます。その協議をする相手方の中に、われわれとしましては、入り会い権者も含んで考えております。ただ、御承知のように入り会い権は慣習による権利でございますので、全員の同意がなければ動かせないという問題がございます。そこで、今度の草地利用権の考え方といたしましても、入り会い権者全体と協議をしなければならないということになるわけでございます。たいていの場合は在村者が入り会い権者でございますからいいわけでございますが、慣習の中身いかんによりましては、たまたまそとに出ておるというような場合がございます。そういう場合には、それを追っかけていってまで協議をしなければならないわけでございます。ただ、そういうことで全員協議をしまして、一部の方がその草地利用権設定に賛成ではないという場合があり得るかと思いますけれども、できるだけそういう説得をいたしました結果、やはりできないという場合には、最終的には知事が裁定をしまして、ある意味では強制的な意味での草地利用権を農協とか市町村に与えるということになるわけでございます。そのかわりとして、入り会い権者等に対しましては、これは入り会い権でございますから消滅はしないと考えておりますが、その間の権利の制限、それに対する補償あるいは賃借料の支払いというようなことになってくるというふうに、われわれ考えております。
#73
○山田(太)委員 まだたくさんお伺いしたいことが残っておりますが、約束の時間があと三分になりましたので、おしまいにしたいと思いますが、この農地の保有合理化事業を行なう法人ですが、たとえば、市町村と農協が競合する場合、この前の御答弁では、これは知事がその裁定の中へ入るという御答弁があったと思います。ところが、現地においては、どちらも知事に承服しない。そこに基準というものがないと、地方の公共団体と農協とが相争う場面も出てくることが事実予想されます。その点についてのお考えはどのようなお考えを持っていらっしゃるか、これも大切なことでございますのでお伺いしておきます。
#74
○中野政府委員 農地保有合理化事業をやります場合の市町村と農協が競合してけんかというようなことではないかと思います。そういうことがあるのではないかということでございますが、この前申し上げましたように、われわれといたしましては農業振興地域の整備に関する法律によりまして、市町村が振興計画を立てますその際に、農地保有合理化事業は市町村がやるか農協がやるか、その辺は市町村長が農協の意見も聞きながら、その計画の中でいずれかにするかをきめたいと考えております。しかし、この地域指定は全部終わりますのが五、六年を要しますので、その間は実際問題としましてわれわれの指導としては、市町村と農協との十分な話し合いを前提にしております。その上でどうしても話がつかない場合は知事が中に入りまして調整をしたいと考えておりますが、ただ、いま先生御指摘のように、両方がけんかしてしまって何ともならないというような事態はあるいはまれにあるかもしれませんが、全般としてはそういう想定はしておりません。できるだけどちらかにさせたい。両方がばらばらにやるということはかなり問題があるかと思いますので、そうしたいと考えております。
#75
○山田(太)委員 私のお伺いするのは、事実予想されるから、これは事実の問題です。やはりある程度の基準というものがないと、知事が裁定するといっても両方ともせり合うわけです。こういうものはやはり基準というものがなければならぬはずだと思うのですが、どうですか。
#76
○中野政府委員 そういう場合の想定が地域によりまして、どういうことでもめているかの実態がまだわれわれはっきりわかりませんので、直ちに具体的にその場合はどういう裁定をするかという基準はできませんけれども、この事業が進むに従いまして、そういう点が明確になってきますれば、あるいは何らかの基準を必要とするかもわかりません。現在では地域がどういう事情でそうなるかということがまだはっきりわかりませんので、具体的な基準は立てがたいというふうに考えております。
#77
○山田(太)委員 まだ数点残しましたが、時間が参りましたので、機会をあらためてまたお伺いしたいと思います。きょうはこれで質問を終わります。
#78
○草野委員長 次回は明八日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時散会
ソース: 国立国会図書館
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