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1970/11/10 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第35号
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1970/11/10 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第35号

#1
第063回国会 農林水産委員会 第35号
昭和四十五年十一月十日(火曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 草野一郎平君
   理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君
   理事 山田 太郎君 理事 小平  忠君
      亀岡 高夫君    熊谷 義雄君
      坂村 吉正君    瀬戸山三男君
      田澤 吉郎君    高見 三郎君
      中尾 栄一君    松野 幸泰君
      森下 元晴君    角屋堅次郎君
      田中 恒利君    千葉 七郎君
      長谷部七郎君    瀬野栄次郎君
      合沢  栄君    小宮 武喜君
      津川 武一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
 委員外の出席者
        厚生省環境衛生
        局乳肉衛生課長 神林 三男君
        農林大臣官房長 太田 康二君
        農林大臣官房技
        術審議官    加賀山國雄君
        農林省農林経済
        局長      小暮 光美君
        農林省農政局参
        事官      岡安  誠君
        農林省農地局長 岩本 道夫君
        農林省畜産局長 増田  久君
        農林省蚕糸園芸
        局長      荒勝  巖君
        食糧庁次長   内村 良英君
        林野庁長官   松本 守雄君
        水産庁長官   大和田啓気君
        農林水産委員会
        調査室長   松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件
     ――――◇―――――
#2
○草野委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
#3
○田中(恒)委員 大臣に関する質問事項は留保いたしまして、大臣質問の前提になる諸事項について二、三果樹と養豚の問題にしぼりまして関係局長の御答弁を求めたいと思います。
 第一は、蚕糸園芸局長にお尋ねをいたしますが、グレープフルーツの自由化の問題は、来年の十二月末を目途にするという方針が来年の四月一日に繰り上げたという報道がなされておりまして、関係果樹農民に相当大きな影響を与えておるわけでありますが、本問題につきましては、御承知のように、日米交渉の中で、アメリカに対する日本の温州ミカンの輸出解禁を前提とし、しかも季節関税等を設置をしながらグレープの自由化を進めるという御答弁を国会でもいただいておるわけですが、その後これらの問題の進捗がどういう状態になってきたのか、この際事務的に取り扱われました事項についてお尋ねをしておきたいと思います。
#4
○荒勝説明員 お答えいたします。
 グレープフルーツの自由化につきましては、御存じのように昨年十月に開かれた日米協議の結果を勘案しまして、昨年の十月十七日の関係閣僚協議会の了承により昭和四十六年末までに自由化することといたしております。その後内外の情勢にかんがみまして、本年九月十日の関係閣僚協議会において、四十六年十二月までに自由化するものと決定された品目については、明年四月末を目途にその完遂につとめるよう了承された経緯がございます。しかしながら、グレープフルーツの輸入の自由化につきましては、昨年の日米協議の際、日本側は米国が日本産温州ミカンの輸入解禁州を実質的に拡大するとの了解のもとに日本はグレープフルーツを四十六年末までに自由化することとする考えである旨を表明し、かっこの場合は季節関税を設定することを明らかにしている実情もありますので、これらの経緯を念頭に置きながら慎重に対処してまいりたい。
 なお、日米間において事務的にはその後ワシントンの大使館を通じていろいろと事前の話し合いは行なわれておりますが、現在の段階においてはあまり具体的に解決といいますか片づいていない実情でございます。
#5
○田中(恒)委員 この問題については重ねて大臣になお御所信を承りたいと思いますが、グレープフルーツの自由化をいたした場合に、日本の果樹に対してどういう影響があるということについての農林省が想定をいたします諸事項について御答弁をいただきたいと思います。
#6
○荒勝説明員 ただいままでグレープフルーツにつきましていろいろ雑割りといいますか、外貨割り当てによって輸入しておりますが、ことしの四十五年度におきましては、オレンジを含めまして約七千トン前後のかんきつ類が輸入されることになると思いますが、そのうちグレープフルーツは二千トンを少しこす程度ではなかろうか、こういうふうに理解しております。その関係からの事情もあるかとも思いますが、現在グレープフルーツの市価がわりあい高い市価で渡っておりまして、大体一個三百五十円から四百円前後、いいものは五百円もしておりますが、大体平均して三百五十円から四百円前後という値段でございますが、自由化いたしますと、私たちまだ十分断定的に検討いたしておりませんが、百五十円から二百円前後のものではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。時と場合によっては多少目玉商品的に安いものも少し出るかと思いますが、経常的にはそういう百五十円から二百円ぐらいの値段。そういたしますと、国内産かんきつ類に与える影響ということになりますと、大体日本の大宗をなします温州ミカンとの間の競合関係といいますか、そういったものはあまりないのではなかろうか。むしろやはり一部高級かんきつ類といわれるものと多少あるいは関係するかもわかりませんが、全体として非常な悪影響を及ぼすというふうにはあまり考えておりませんで、問題はやはりオレンジが自由化されるならばそういう場合もあるいは想定されるかもわかりませんが、グレープフルーツに限った議論といたしましては、一部のかんきつ類に多少の影響があるかなという感じでございまして、ことしの万博等でも、大阪市場に相当万博会場内で大量のグレープフルーツを一時割り当てましたので輸入されましたけれども、結果としてはそれほど強い影響がなかったのではなかろうか、こういうふうに理解しておりますので、また仮定の話でございますから断定的なことは申し上げられませんが、非常な悪影響があるというふうには考えていないというふうに御理解願いたいと思います。
#7
○田中(恒)委員 仮定の話ですから私も断定はできませんが、どうもこのグレープフルーツの問題が起きてから以降、農林省の御見解の中には、グレープの輸入はさほどこわくない、こういう意向が非常に強いわけですが、私どもは逆にレモンの自由化の問題等、あるいはコカコーラの自由化の当時等の経験からいたしましても、グレープが自由化されるということが果樹農家に対して非常に大きな打撃を与えるという不安をかき消すことはできないわけであります。特に最近の状況を見てまいりますと、一応このグレープフルーツの問題がたいへん世間をにぎわしたということもあったかもしれませんが、どうも最近の売れ行きというのは急激に伸びてきておる。そしてアメリカの生産状況は二百四、五十万トン、しかも非常に急激な生産増加を来たしておる。品種改良等が進められて、今度十二月ごろからグレープの出荷が始まる、こういうことも想定されておりますし、最盛期の三月、四月、五月、六月、七月、こういうことになっていきますと、私は、温州にも多少競合を与えるし、もちろんナツミカン等については非常に大きな影響を与えてくるのじゃないか。特に価格は、農林省は百円から百五十円等といっておりますが、現在アメリカの価格というのは一個五、六十円で売られておるということも聞いておりますし、私どもはレモンのアメリカと日本との価格の状況等を見てみても、これはやはり百円を割る危険がある。こういうことになった場合には嗜好の変化等もからませまして、相当深刻な影響を与える、こういう認識をいたしておるわけですが、肝心の農林省は大したことではないということで、業界や団体等においても一そういうことをおっしゃる方がぼつぼつ出始めてきているわけです。これはいま言われたように仮定の問題ですから、私は断定はいたしませんけれども、少なくとも農民が非常に大きな関心と不安を持っていることは事実なわけでありますので、グレープフルーツの自由化の問題については、もっと前向きに取り組んでいただきたいと思うのです。
 先般日本の農協の首脳陣がアメリカへ行きまして、グレープフルーツの自由化についてはアメリカも考慮してもよろしい、これはニュアンスかもしれませんが、再考慮してもいいんじゃないかという印象を受けたという御報告があって、農林省にもその旨の連絡があったと思います。そういうことが行なわれつつあるのかと思うと、繰り上げをして四月一日からやっていくのだということで、ますます早くピッチをあげていって、逆な方向に出てきておりますので、非常に心配をいたしておるわけであります。この点については農林大臣から重ねて御答弁をいただきたいと思っております。
 次に移りますが、果樹の貿易の自由化がだんだん進展をいたしておりますに伴いまして、やはり果樹関係農民の間におきましては価格の動向というのが何と言いましても一番不安になってきておるわけであります。私もいつでしたか、五月の十三日のこの委員会におきまして、果実価格安定措置の必要性につきまして政務次官と討論をいたしたことがあるわけでありますが、現在やはり果実の将来の消費分野をふやしていくということになりますと、どうしても加工部面をどう拡大していくかということが急務になろうかと思います。いわゆるかん詰めとか果汁とか、こういう方面について農林省も予算等で処置をとられつつあるわけであります。ところが加工部面の価格というものは、実はリンゴを含めまして、たいへん不安定でありまして、実は原料確保に関係団体も苦慮いたしますし、そのことによって消費者に対しても物価等の問題が絶えず起きておるわけでありますが、この加工果実品に対する価格安定措置ということについて、農林省としてもう少し具体的にお取り組みになるお考えがあるのかないのか。特にこの問題につきましては、すでに御承知と思いますが、私の県におきましても、先般園芸大会を持ちまして、生産者が負担をして――私は若干問題はあると思いますけれども、基金をつくった。原料ミカン価格安定基金と一応仮称いたしておりますが、この基金制度をもって何とかこの状態を切り抜けよう、こういう動きが出てきております。この問題は先般の全国の農協大会にも提案をされまして、農協のほうでも具体的にこの問題について煮詰めていく、こういう動きがあるやに聞いておるわけでありますが、果樹振興の加工部面をいかにふやしていくかという問題をめぐって、加工取引価格の不安定な今日の状態を是正していく、こういう立場に立って少し具体的に果実の加工原料に対する価格安定措置について一歩進めて検討していく意思があるかどうか、具体的にどういう方法が考えられるのか、そういう点についてお尋ねをしておきたいと思うのです。
#8
○荒勝説明員 果樹につきましては、永年作物でございますので、需要の長期見通しに即しまして植栽を正しく進めてまいりますならば、需給上の不当なアンバランスは出ずに、価格も安定するのではなかろうかというのが農林省蚕糸園芸局の大前提の姿勢となっておるわけでございます。したがいまして、果樹農業振興の基本方針を定めまして、五年に一回ずつ長期にわたる見通しを立てながら果樹の植栽を進めていく。そうすれば、それほどひどい需給のアンバランスは出ない、したがって、あとのこまかい議論はしなくてもいいのではないかという考えのもとに施策を進めている次第でございます。
 その中にありましてミカンにつきましては、ただいまの段階では、需要の動向から勘案いたしますと植栽が少し進み過ぎておるやに考えられますので、次の計画改定の際にはミカンの今後の植栽は少し押えぎみにやっていきたい。むしろブドウとか桃とかいうふうに植栽が少しおくれているものにつきまして、最近非常にまたブドウ、桃についての需要も強いようでありますので、そういったくだものの植栽を進めるよう指導してまいりたい、こう思っております。
 ただ、誤解がないように申し上げたいのは、ミカンにつきましては、なお今後さらに十年後の需要の動向を見ますと、欧米諸国に比べますとまだ倍くらいの需要はあるのではなかろうかということで、計画的な植栽は依然として進めていく必要があるとわれわれは考えております。しかしながらミカンにつきましても、御存じのように年々の豊凶の差がございまして、当たり年と裏年というものがありますので、ある年は少し過剰ぎみになる、ある年は少し不足ぎみになるということで、非常に価格の変動等がございますので、それにつきましてはやはり生産の調整のほかに摘果等を進めますとともに、われわれといたしましてはできましたミカンを貯蔵いたしまして、そして安定的な計画出荷ということで、各地出荷をならしながら端境期まで持っていきたい。一時に出荷時期にいきなり市場に出してしまわずに、計画出荷をやっていきたいということが果実類に対する、特にミカンに対する価格政策の基本的な姿勢でございます。さらに豊凶の差がございまして、二カ年をならしますと原料ミカンの値段はわれわれの判断するところでは大体ほどほどになるのではなかろうか、こういうふうに思っておりますので、農林省といたしましては関係方面に通達を出しまして、加工向け原料ミカンの需給の安定協議会等も開催するとともに、さらに二カ年契約を原料取引価格について行なうよう関係方面を指導いたしまして、一年一年の短期の価格による取引ではなくて、二カ年以上の長期取引によって値ぎめを行なえば価格の不安定をある程度防止できるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 ただいま申し上げましたのは、主としていままではかん詰めでございましたが、今後もミカンの生産増強に伴いまして、さらにジュース用のミカンも相当大量に出てまいりますので、農林省といたしましては従来行政的にはあまり力を入れておりませんでしたジュースへの加工ということについて今後大いに力を入れてまいりたいということで、ミカンについては昨年四十五年度予算では四工場を指定いたしました。また四十六年度におきましても引き続き相当の工場と、さらにリンゴにつきましても、でき得ればリンゴのジュース工場もつくることによって、生食用のミカンのみならず、ジュースあるいはかん詰めといった面で今後消費の拡大をはかることによってできるだけ価格の不安定を防止してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、今後さらに事態の推移にからみましていろいろな施策を打ってまいりたい、こういうふうに考えております。
#9
○田中(恒)委員 私はこの問題についてはもっと時間をかけて議論したいと思うのですけれども、さっぱりきょうは時間がありませんのでできないわけであります。
 いま局長御答弁になったことは、前の委員会でも何べんか言われましたし、承知をいたしておりますが、しかし問題は、そのことは今日までの経過の中でも私は言われるような状態になっていないと思うのです。私どものところではミカンをキロ十円、六円、七円なんかで売っておる年が再々あると思うのですよ。だから海の中へ捨ててしまうという状況になっているので、加工原料ミカンの価格の高低というものはひどいものです。農林省が机の上でお考えになっているような状態に推移していないと思うのです。だから何かもう少し手を打つべきだ。特に農産物の価格支持政策の中でミカン、リンゴについてだけ価格政策がとられていないわけですから、とってほしいという声が強いわけです。そういう具体的な動きが農家の中から起きてきておる現段階においてもそういう処置をとろうとしている。この間の委員会で渡辺政務次官は加工等の価格対策について何らかの検討をいたしますということを言っておるわけです。だから末端においても地方においてもそういう動きが出てきておりますし、全国的にも問題になろうとしておるわけですから、もう少し前向きでやはり何らかの価格対策をとらないと、自由化の問題がこれほど大きくかぶさってきている情勢でありますから、ぜひ具体的に煮詰めてもらいたいと思うし、これはもう少しぜひ時間をいただきましてあとでゆっくりその内容について検討していきたいと思います。
 あまり時間がありませんので、大臣に関するものをあとに残させていただきますので、畜産局長にお尋ねしておきますが、自由化の問題でやはり豚の自由化をやる、こういう報道がいまなされておりますが、私は今日、日本の養豚の状況というものを見てみますと、飼育頭数の問題にいたしましてもあるいは屠殺頭数の問題にしても、最近の輸入の問題、価格の動向、さらに子豚の供給の状態等から見ますと、来年の春ごろからかけまして本格的ないわゆるビッグサイクルの下がっていくほうが出てくる。しかも養豚は比較的企業的な整備がなされつつありますけれども、それだけにまた下がってくると逆にやめるわけにはいかない。従来のようにいわゆる小農養豚で下がればすぐやめるということができない状態になっておりますので、下がり始めると、相当長期に比較的長い間安定した価格帯が続いてきておるわけですが、今度一ぺん落ち込んでいくと相当長く落ち込む、こういうことが心配されております。いわゆる畜産物価格安定法に基づく事業団買い入れというものが本格的に行なわれると、これは相当大きな問題になるのではないか、こういう想定が立つことを今日予想しておるわけですが、その段階でいわゆる豚を自由化していく、その豚肉の自由化、生体の豚、牛の自由化というものが出てきて、業界の一部等においてはすでに、たとえば東食が豪州と和牛の開発輸入あるいは輸出入協議会が韓国と開発輸入、こういう形が出てきておるわけでありますが、豚の自由化の問題について農林省はいろいろな検討をせられておると聞いておるわけですが、一体必要性があるかどうか、どういう方向で考えられておるのか、ひとつお聞きをしておきたいと思うのです。
#10
○増田説明員 今年の六月の物価閣僚懇談会におきまして、豚肉につきましては将来自由化をする方向において関税その他国内の価格安定制との調整措置を検討することという決定を見たわけでございます。その背景になりましたのは、基調といたしましては日本経済発展に伴います自由化の要請ということがあろうかと思いますが、先生がただいまおっしゃいましたように、四十三年、四十四年に現在安定価格制度があるにかかわらず豚肉価格が上位価格をはるかに越える価格で推移した。そのことが非常に物価政策上問題になった。そういうことからこの問題が提起されてきたものと考えるわけであります。そういう決定を見たわけでございますので、現在農林省におきましてはどういう調整措置がとり得るものであるか、また自由化した場合にどういう影響がくるであろうか、はたして自由化が可能であろうか、そういったことにつきまして慎重に検討しておる段階でございます。
#11
○草野委員長 田中君、大臣が見えましたのでどうぞ。
#12
○田中(恒)委員 農林大臣にさっそくでございますが御質問をいたします。
 グレープフルーツの自由化の問題をただいま園芸局長からお聞きをしたわけでありますが、グレープフルーツの自由化については、アメリカに対する日本の温州ミカンの解禁処置が講ぜられること、季節関税を設置をすること、この二つの条件が満たされないとグレープフルーツの自由化は行ないません、こういう御答弁を農林大臣は先般の特別国会でなされておるわけですが、この点私はあらためて確認をしておきたいと思うのです。グレープの輸入自由化についてアメリカとの関係の話がかちんとまとまって、委員会で御答弁せられたような趣旨でないと自由化をしないのかするのか、この点をはっきり御答弁をお願いをいたしたいと思います。
#13
○倉石国務大臣 グレープフルーツにつきましては、昨年十月に開かれました日米協議の結果を勘案いたしまして、昨年十月十七日の関係閣僚協議会の了承によりまして、昭和四十六年末までに自由化することといたしました。その後、内外の情勢にかんがみまして、本年九月十日の関係閣僚協議会においては、四十六年の十二月末日までに自由化するものと決定されました品目につきましては、明年四月末を目途にその完遂につとめるように了承された経緯があります。しかしながらグレープフルーツの輸入の自由化につきましては、昨年の日米協議の際、日本側は米国が日本産の温州ミカンの輸入解禁州を実質的に拡大するとの了解のもとに、日本はグレープフルーツを四十六年末までに自由化することとする考えである旨を表明いたしました。かつ、この場合、季節関税を設定することを明らかにしておる事情もあるわけでありますから、これらのいきさつを念頭に置きながら慎重に対処してまいりたい、このように考えているわけであります。
#14
○田中(恒)委員 日米交渉の内容が問題になるわけでありますが、アメリカに対する日本の温州ミカンに対する輸入解禁を求める旨を表明をしておるということですが、そのことはアメリカとしてそのことが前提で、グレープの輸出をするのですという了解事項になっているのか、なっていなくて、単に日本が一方的にそういう希望事項を表明しておるということだけなのかどうか。これは日米交渉の問題の内容になるわけですが、その点がはっきりしておりませんと、国会で御答弁になったのは、私は私の質問に対する大臣の答弁――議事録もここに持ってきておりますが、その他の方がたくさんこの問題については答弁せられておりますが、その際の大臣の答弁、あるいは前の農林大臣の長谷川さんに至っては、アメリカ四十八州にも日本の温州ミカンが行き届いたことを認めないと輸入は認めないんだ。これは国会でありませんけれども、全国のかんきつ生産者の大会ではっきり言われて、そのテープ録音を皆さん持たれて、盛んに全国でそういう話になっておるわけです。ですから、私はアメリカの輸出解禁というものが現実に行なわれないとグレープは入れないのかどうか、この点をもう少しはっきりわかるように答弁をしていただきたいと思うのですよ。
#15
○倉石国務大臣 相互の間の話し合いでありますので、両方相互信頼の上に立ってやらなければならないと思うわけであります。したがって、私どものほうでは、先ほどここで申し上げましたような趣旨で先方に要望しておるのでありますから、まだその間時間もございますので、われわれの考えておる趣旨が貫徹されるように引き続いて努力を続けなければならない、このように思っているわけであります。
#16
○田中(恒)委員 この問題が表へ出ましてからもう一年近くになるわけでありますが、その後農林省がおとりになった処置は、いま局長のほうからお聞きをしましたけれども、さほど具体的に取り組まれておるようには私は受け取っていないわけです。しかも期間を十二月を四月に繰り上げたわけでありますから、ピッチは非常に早くなるということでありますので、しからば今後具体的にアメリカとどういうお話し合いを進めようとお考えになっておるか。たとえば農林大臣自体がアメリカへ行ってこの問題の話を詰めるというほどの御決意を持っておるのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
#17
○倉石国務大臣 田中さん御存じのように、日米間の貿易につきましては多種多様でありまして、農林関係の物資もたくさんあるわけでありますが、やはり私どものほうとしては、そういう輸入関係、輸出関係のことにつきまして、相互の信頼関係をもって、先ほど申し上げましたような協定をいたしたわけでありますので、こちらの了解しておる事柄が先方に十分徹底するように、これからもさらに続けて努力をしていかなければならない、こう思っておるわけであります。
#18
○田中(恒)委員 倉石農林大臣に重ねて申し上げておりますが、これは三月六日の大臣の私に対する答弁にはこういうふうに言われておるのですよ。「いまここで園芸局長が御説明申し上げましたように、こちらといたしましては、いろいろな、条件的に、こちらの要望を向こうに伝えてありますので、それが実施できるまではこれの自由化をいたさないつもりであります。」こういうふうに明確に言っておりますので、その他同じ答弁が何カ所かあるわけですが、そういうふうに全国の果樹農民は理解をいたしておるわけでありますから、少なくともここで条件になっております二つの問題が満たされない以上は、四月に閣議決定をしたからやるのだ、こういうことのないように、そのことができるまでは粘り強く農林省としても、政府としても、アメリカとの信頼関係が確実に実現されるようにひとつ御処置をいただきたいと思うのです。私はこの際農林大臣に率直に申し上げたいと思いますが、国会が閉会中、私どもは各地へ参りまして、特に農林水産委員でありますから、農民の諸君とひざを交えて多く話し合ってまいりましたけれども、米の生産調整の問題等を中心といたしまして、今日、日本の農民のほとんどが一体農業はどうなるのか、われわれはもうつぶれてしまうのではないか、早く出かせぎへ行くか、百姓をやめたほうがいい、こういう状態になっております。農林省のほうで自立農家、協業経営、こういうことをいわれておりますが、自立農家や協業経営のほとんどの人が農業というものに対して大きな不安とあきらめをいま持ち始めてきております。こういう状態が実態でありますが、私ども農林省の最近の動向を見ると、どうも物価対策等の問題とからませて、この貿易自由化という問題の中で、それは農林省自体もあえいでおられるのでしょうけれども、私はだいぶ腰が弱くなってきていると思うのです。ひとつ自由化の問題、いまの農民の実態等をお考えになって、ぜひやはり粘るところは粘っていただいて、当面のグレープの問題、それから豚肉の問題、いま畜産局長にも御質疑をいたしておりまして、時間切れでこれは煮詰まりませんけれども、豚肉の自由化等の問題につきましても、非常に今日の状態をよく御判断をいただきまして、自由化の問題についてはやはり筋を貫いて、日本の農業の立場に立ってひとつ進めていただきたいということをお願いをいたしまして、時間が参りましたので私の質問を終えさせていただきます。
#19
○草野委員長 瀬野栄次郎君。
#20
○瀬野委員 飼料原料輸入トウモロコシに発ガン性有毒カビが発生し、配合飼料として製造販売されている事実について、国民の保健衛生上憂慮すべき問題として、去る九月十日、当委員会で本員が指摘したところでございますが、再度畜産局長に答弁を求めるものでございます。
 さきに国立予防衛生研究所食品衛生部長、千葉大学腐敗研究所長宮木高明教授に、飼料原料としてアメリカから輸入しておるトウモロコシの発ガン性有毒カビについて培養試験を依頼中であったが、このほどその結果が別紙により公表されたのであります。この試験結果は、私はここに持ってきておりますが、後ほどまた見ていただきたいと思いますが、それによると、トウモロコシの分析の結果、明らかにアスペルギス回、フラブス、アスペルギルス・グラウカス・ペニシリウム属など十種類のカビを検出しておるのであります。このうち問題なのはアスペルギルス・フラブスで、このカビはアフラトキシンという猛烈な発ガン性のある毒素を発生する有毒カビであるのであります。宮木教授は、この試験の結果について、私がトウモロコシから検出した四種類のアスペルギルス・フラブスの中にはアzフトキシンを出すものがあった。トウモロコシの保管状態が悪いとアフラトキシンが繁殖するおそれがある。家畜が食べると急性肝臓障害や肝臓ガンを引き起こすので、輸入飼料を広範に計画的に検査する必要があると指摘してきておるのであります。また人体への影響は確認された例はないのでありますが、アフラトキシンを体内に持っておる動物の肝臓を食べた場合、人体にも影響があるのではないかと警告しておるのであります。
 私が去る九月十日の当委員会で指摘したように、肥飼料検査所の検査員不足及び現在のような検査のずさんさから推測すると、従来から多量のトウモロコシを輸入しており、日本各地の港に輸入したトウモロコシにこのような発ガン性有毒カビが相当量入荷して、国民の知らぬ間にかなり動物の肉、牛乳を通じて人体内に残留し、ガンの原因になっておるのではないかと憂慮されるのであります。このことは国民の保健衛生上重大な問題であるがゆえに再度指摘するものでありますが、この発ガン性有毒カビについて宮木教授は、保管が悪いと繁殖するといって警告しておるのでありますが、当局の反省と見解をまず承りたいのであります。
#21
○増田説明員 ただいま先生から御指摘のありましたアフラトキシンの問題でございますが、私も千葉大学の腐敗研究所の結果について読ませていただいたわけでございます。
 その結果によりますと、アスペルギルス・フラブスというアフラトキシンを出すカビが発見されたということは事実のようでございまして、それが今後アフラトキシンの問題を出す可能性があるということについてはわれわれとして十分反省をし、今後の対策を考えているわけでございます。しかしながらアフラトキシンの問題につきましては、われわれとして十分体制を整える必要があるわけでございますが、何ぶん先生の御質問にもございましたとおり、まだ十分解明されていない点が多くあるように思うわけでございます。そういう点につきましてわれわれといたしましては、現在世界各地でそれぞれ研究をされているわけでございますが、そういう資料を広範にいま集める作業をいたしております。と同時に係員を諸外国に派遣をいたしまして、諸外国のこの問題に対する体制がどのようになっているのかということについて職員を現在派遣中でございます。
 それから三番目に、アフラトキシンの問題につきましてその専門職員というものを強化するとともに、今後来年度予算等を通じまして国、県の検査体制を強化することをいま予算要求いたしているわけでございます。
 さらにこの問題は単に国の監督だけの問題ではなく、製造メーカーそれ自体の信用の問題にかかわる問題でございます。そういう意味でメーカー自体もこの問題には非常に前向きな姿勢でいま対処しようとしておるわけでございますので、関係業者、輸入業者、あるいはメーカー等と相携えて、この問題によって国民に不安のないような体制をできるだけつくりたい、かように懸命に努力している段階でございます。
#22
○瀬野委員 ただいま答弁いただきまして、ほぼその後の対策、また予算等にもかなり盛り込んで真剣に対処しているという意味のことがございましたし、また十分反省して対策を考えているということでございましたので、その点についてさらに追及する考えでございましたが、一応その点は了としまして、このトウモロコシについてあと二点お伺いをいたしておきます。
 米国等からの飼料輸入トウモロコシについては、宮木教授は広範にわたり計画的に検査する必要がある。このように警告しておりますが、この目に見えない公害、また人体に対する間接的な公害と申しますか、このようなおそるべき事実について、私は当局の厳重なる検査と検査体制の確立及び業界の指導を要求したいのであります。一億五百万の日本国民の保健衛生上も輸入飼料及び全国二百十七の飼料工場の総点検というようなことを行なって国民の不安を除くべきじゃないか、かように考えておるわけですが、明確なる答弁を承りたいのであります。
#23
○増田説明員 当然国の検査体制というものあるいは県の検査体制というものを強化すべきであるという点につきましては、私も同意見でございます。ただいまの御答弁にも申し上げたとおりでございますが、同時に、多量のトウモロコシを国が全部やるというわけには、なかなか率直に言って現実問題としてまいらない。われわれがいままでわかりました諸外国の例等を見ておりますと、イギリスあるいはオランダ等の例を検討してまいりますと、おおむね業界の自主的な検査体制というものによってこの問題に対処しているようでございます。そういう方向も踏まえまして、今後そういう体制というものを考えてみたいと思っております。
#24
○瀬野委員 大臣にこのことについてお伺いをしたいと思いますが、ただいまも私からいろいろ申し上げましたように、このように現在飼料が多量に輸入されまして、発ガン性カビというようなものが心配になっておるのであります。検査体制または検査のあり方等にもいろいろ問題があるわけですが、そういったことについては、前委員会でいろいろと予算措置をするなり厳重な検査を期する等について回答をいただいておりますが、こういった問題について、飼料に対する総点検またはいろいろと検討を加えるということについて、農林大臣の御見解を承っておきたいと思います。
#25
○倉石国務大臣 大事な問題でありますので、実はそういうことについて事務当局から若干の説明を受けております。いま局長からお答え申し上げましたように、私どもにとりましても重大な関心を持たざるを得ない、十分にひとつその検査については行なわれますように、なお善処をいたしてまいりたいと思っております。
  〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕
#26
○瀬野委員 飼料輸入トウモロコシの発ガン性有毒カビの問題は、時間の関係もありましてこの程度にいたしておきますが、この飼料のカビを食して寄生しているところのケナガコナダニというのがあるのですが、飼料の中に入ってこれが繁殖し、よって飼料の成分並びに子豚等の消化に悪影響を及ぼしている問題等が現在起きております。これらについては、次回にまた機会を見ましてさらに質疑をいたすことにいたしたい思います。きょうは時間の制約がございますので、次の問題に移らせていただきます。
 大分県奥岳川のカドミウムの汚染対策について関係当局に答弁を求めるものであります。
 大分県大野郡清川村にある蔵内金属豊栄鉱業所は、すず、亜鉛、硫化鉄を産出しておりますが、この鉱業所から流出するカドミウムによって、昭和四十三年八月、奥岳川の水質調査の結果、カドミウムを検出し、同年九月より四十四年三月までの間環境調査を実施したのでありますが、同年五月に厚生省は奥伝川流域を要観察地域に指定したことについては御承知のとおりであります。この奥岳川カドミウムの問題についてはしばしば現地で問題となり、私も七月以来二回にわたって調査をいたしたところでありますが、本年五月から七月にかけて米のカドミウム汚染が関係農民に新たな問題として衝撃を与えておるところとなっております。最近全く生産意欲を失い、生活の将来に大きな不安を抱いているが、鉱害地域に生産されたカドミウム汚染米の政府全量買い上げを地元農家は強く要望しておるのでありますけれども、このことについていかなる対策を講じられ、今後いかなる対処方針を有しておられるか、食糧庁長官にまずお伺いしたいのであります。
#27
○内村説明員 お答え申し上げます。
 四十四年産米につきまして確かに汚染米が出たわけでございまして、当初報告されたところでは、五戸の農家から一PPM以上のカドミウム汚染米が出たということでございましたが、その後分析の結果が誤っていたことがわかりまして、正確に分析した結果、一戸から一PPM以上の汚染米が出たということになっております。この一PPM以上ある農家の保有米につきましては、さらに四十五年産米を現在とりまして分析調査中でございまして、この結果を待って、その農家の米を政府が買い入れるかどうかをきめたいと思っております。ほかの農家につきましてはすでに買い入れを行なっております。
#28
○瀬野委員 十分検討して全量買い上げの方向でひとつぜひお願いしたいと思うのであります。
 地元では現在県で計画し、一部実施に移っております、鉱毒対策事業であるところの土壌改良事業をすみやかに完了すべきである、このように強い要請をいたしております。さらに、特に汚染のはなはだしい五戸の農家三・三ヘクタールを含めまして相当深く汚染されておりますので、根本的な土壌改良を促進すべきであると思いますが、これに対する対策について農地局長に見解を伺いたいのであります。
#29
○岩本説明員 奥岳川の沿岸農地に長年にわたって累積されております銅、亜鉛、カドミウム等によります鉱毒被害を除去する目的をもちまして、すでに四十五年度に鉱毒対策事業として奥岳川地区を採択いたしまして、現在工事の実施設計を進めておるところでございます。さらに四十六年度におきましては、被害地域の中で汚染度のひどい清川村左右知及び津留等の地点に重点を置きまして、非常に被害がひどいといわれております五戸の農家の所有地も含めまして、汚染土の排土及び客土を行ない、なるべく早期に事業が完了できますように土地改良事業の実施を進めてまいるつもりでございまして、現在予算要求中でございます。
#30
○瀬野委員 早急なる完了をぜひお願いしたい、そして農家の不安を除いていただきたい、かように思うわけです。
 さらに、この件について、公害によるところの農業被害については、関係農民の被害補償は国の責任において行なうべきであり、公害の防止、復旧事業の費用の負担等に関する特別法を制定するということについてどのように考えておられるか、この機会にあわせてお伺いしたいのであります。
#31
○加賀山説明員 ただいまのお尋ねでございますけれども、公害による農民の被害につきましては、われわれといたしましては、一時的にはその害を加えました企業が持つべきである、そういうように考えておるわけでございます。それから、ただいま農地局長のほうから話のございましたような関連の、そういった公害を復旧するというようないろいろな事業が始まるわけでございますが、これに対しましては、現在公害対策本部を中心といたしまして、そのような事業費負担をどのようにするかという法律等が考えられておりますので、それに準拠して今後やってまいりたい、さように考えております。
#32
○瀬野委員 次に、宮崎県日向市を中心として一市二町村にまたがるところの美美津地区の国営パイロット事業について、農地局長にお尋ねをいたします。
 この国営パイロット事業は地域面積が千七百ヘクタールで、昭和四十二年から四十四年について開拓基本計画の調査が行なわれ、四十五年度全体実施設計が行なわれ、いよいよ四十六年度着工予定で、五十一年から五十二年度には完了予定であると聞いております。この開拓パイロットの開発構想といたしましては、ミカンが七百九十ヘクタール、養蚕八百三十ヘクタール、畜産八十ヘクタールとなっておりまして、参加農家戸数は九百七十一戸、総事業費が七十億円で事業実施の計画のようでございますが、この事業も営農指導など開発構想について、基本方針をまずお伺いをいたしたいのであります。
#33
○岩本説明員 宮崎県の美美津地区のパイロット事業につきましては、ただいま先生の御質問にございまましたように千七百ヘクタールの農用地造成を計画しておりまして、その内訳としましてミカン園七百九十ヘクタール、桑八百三十ヘクタール、牧草八十ヘクタールの造成を計画いたしております。これら作目に関する生産団地の育成を行なうことによりまして、集団的な営農により、また機械の導入によりまして、高能率の営農を行なえるように計画を取り進めておる最中でございます。
#34
○瀬野委員 ただいま答弁いただきましたが、この開発構想によりますと、いまも申されましたようにミカンが七百九十ヘクタール、養蚕八百三十ヘクタール、こういうことでございますが、ミカン、養蚕に重点が置かれておりまして、先ほども質問がございましたように近年ミカンの過剰生産、グレープフルーツの自由化等が懸念されまして、ミカンの生産農家は地元でも早くも心配をいたしておるところであります。
 また、過日私から農林大臣に質問した海のバイパスといわれる日本カーフェリーが来年三月一日から就航することになっておりまして、これによって宮崎県では新しい産地の形成策として大型畑作の団地づくり、計画的な農産物の生産、出荷体制の整備等を行ない、食糧基地として意欲を燃やしておるのでありますが、この美美津地域の国営パイロット事業の全体開発構想の計画を若干修正、変更すべきじゃないか、かように思われるのであります。この点について従来計画した四十二年度からかなり経過をいたしておりまして、米の生産調整等の問題も起きておりますゆえに、その点あわせまして御見解を承りたいのであります。
 したがって、質問の第一点は、ミカンの栽培計画が多いが、将来の価格面等で不安がないかということでございます。
 第二点は、カーフェリー就航によって野菜づくりを導入するなど若干の計画変更は考えられないか、この二点を質問申し上げるわけでございます。その見解をお伺いしたいのであります。
#35
○岩本説明員 この地域は平均の傾斜度が二十五度という傾斜地でございます。そういう地形条件と気象の条件を考えますと、やはり計画の内容といたしましては、ミカンと桑に重点を置いたほうがよろしかろうと考えております。特にミカンにつきましては、価格面等で御不安があるということでございますが、この計画は農林省が公表いたしております果樹農業振興基本方針の示す方向に沿いまして濃密生産団地の形成を行ない、機械の導入によりまして生産性の向上をはかり、そうして計画的かつ効率的なミカンの集出荷体制の整備をはかる前提のもとに計画をされておるわけでございます。したがいまして、この開発によってかなり高能率なミカンの生産団地が育成されるはずでございますから、将来不安はないというふうに考えております。また、カーフェリーの就航によりまして、むしろミカンや桑から野菜に計画を変更してはどうかという御指摘でございますが、冒頭に申し上げましたように、この地帯は平均傾斜度二十五度という傾斜地帯でございますので、普通の畑作物は地形から見ましてむしろ不利ではないかと考えております。もちろん米の生産調整等と関連をしまして非常に大きな条件の変更もありますし、またカーフェリーの就航ということで地元の受益者の御希望等もございますれば計画変更について考え直すことに関し弾力的であることにやぶさかではございませんけれども、ただいま申し上げました理由によりまして、耕地の造成方法と省力的な営農方式の導入を考える限り必ずしも野菜作に転換しないでも不安がないというふうに考えております。いずれにしましても、現地の御希望等を十分に承りまして、今後不安のないような開発を進めてまいる所存でございます。
#36
○瀬野委員 ぜひ今後検討いただきまして、不安のないような開発をしていただきますようによろしくお願いします。
 なお、この美美津地域の国営パイロット事業の千七百ヘクタールの中に林野関係の林地が三百十五ヘクタールございまして、この国有林野を払い下げて活用することが含まれておるわけであります。この約三百十五ヘクタールの国有林野は私の調査では五、六年生から十年生の幼齢造林地が約百五十ないし百六十ヘクタールございまして、すでに所属がえも終わっております。土地代と幼齢木の払い下げ代金が、地元では約五、六千万円もかかるのではないかと推定いたしておるようでありますが、林野庁当局は事前に支払うことをたてまえとして要求されておると聞いておりますけれども、地元ではこの五、六千万円の負担を一時に支払うということになりますと、たいへん地元負担が重く、苦境に立たされておるのでございます。この負担についてまた支払いについて、分割支払いまたは別途考慮はできないものか、この点林野庁長官にお伺いいたしたいのであります。
#37
○松本説明員 国有林を農地局に所属がえをいたしまして売り渡す場合には防風林等を除く以外の幼齢木の場合、農地法上の所属がえの対象になっておりません。そのために年賦払いも認められておらない。現行制度の上ではそのような方法がいまないわけでございます。そこで、この事例の場合どうしたかということでございますが、補償額が約四千七百万円でございます。それを宮崎県が営農育成資金を創設いたしまして、その資金で受益者が営林署に対しまして即納をして、この問題は解決をいたしております。
 なお、国有林野活用法案、いま継続審議になっておりますが、その活用法案が成立する場合には、そういった場合に二十五年の延納が認められるというたてまえになるわけでございます。
#38
○瀬野委員 林野庁長官にお尋ねをいたします。
 自然保護による水資源の確保、災害防止等の国土保全の見地から熊本営林署管内、大分県下毛郡三光村八面山の中津営林署三光官行造林地が地元住民の強い反対があるにもかかわらず、伐採され、問題化されておりますが、この三光官行造林地の森林の現況並びに森林施業の経緯について、まずお伺いいたしたいのであります。
#39
○松本説明員 この官行造林地は大正十二年に国と地元の数カ町村が組合をつくりまして、官行造林の契約をいたしております。その後伐期が参りまして逐次伐採、契約を解除いたしておりますが、現在残っております面積は約百八十ヘクタールでございます。そこで、いま先生のおっしゃいましたように水源地問題、土砂流出の問題で問題が起こっておるようであります。
#40
○瀬野委員 この三光村田口は過去昭和六年七月二十一日の長雨の際、大正末期の山火事ではげ山と化した八面山から流水が災いして、山頂近くの古池が決壊して死者七人、全壊家屋二十数戸、山林田畑七十五町五反が押し流されまして、その他多数の負傷者を出した大惨事があったのであります。当時村民は、八面山に植樹さえしてあったならば、こんなに大きな被害は受けなかったであろうと言っておるのでありまして、現在実施中の立木伐採が続行されますと、広範囲にわたり山はだが露出し、万一集中豪雨でも。あったならば、再び大惨事を引き起こすという憂慮にたえない状況であります。大分県では四十五年度予算において二千六百万円の砂防堰堤工事費を組み、工事を行なう計画でありますが、これとの関係上当該森林の国土保全上の役割りについて、林野庁当局はいかなる見解を持っておられるか、簡単に御答弁をいただきたいと思います。
#41
○松本説明員 一つの流域を単年数で大面積に伐採をいたしますと、しばしばそういうことが起こる例がございます。そこで、森林の伐採はやはり計画的にこれを行なわなければならぬということであるのでありますが、この事例の場合には地元と営林署とそれからため池の関係者というものが三者共同して調査をいたしました。また、お互いに話し合いをいたしまして、現在ではため池の周辺を伐採から除外いたしまして若干の面積を残す。また必要な治山ダム、砂防ダムをその下流に築堤をする計画がございまして、現在着手をいたしておるところでございます。
#42
○瀬野委員 いろいろ古池周辺を残すなり検討しておられるようですが、地元の不安を除くために十分なる対策をさらに検討していただくよう、強く要望するわけです。なお地元では、この三光村田口の官行造林の伐採について昭和四十三年一月に陳情書を出し、本年三月には関係当局に請願書を出して伐採中止要請をいたしておるのでありますが、今後の森林施業の方針はどう考えておられるか、直ちに伐採中止の考えがあるのか、この点もあわせお伺いをいたしておきたいのであります。
#43
○松本説明員 いま答弁申し上げましたように、ため池のまわりを保存するということで一応の話し合いはついておりますが、なお明年度でございますが、官行造林地の経営計画の調査が入りますので、その際十分に地元の要望を入れまして調整をはかりたい、このように考えます。
#44
○瀬野委員 最後に水産庁長官に一言お尋ねをして質問を終わりたいと思います。
 大分県臼杵市の日比海岸を埋め立てて大阪セメント臼杵工場、これは仮称でありますが、建設されるという予定で、いま地元ではたいへんな問題となりまして、公害追放臼杵市民会議というものをつくり、先に一万二千名の署名運動をし、去る十一月六日にはついに市長も辞任し、十一月十一日に臨時議会を聞いてその市長の正式辞任を決定するというところまできております。
 これを調査してみますと、この臼杵市の日比海岸の埋め立ては、今月の二日に大分県臼杵市と大阪セメントとの公害防止協定調印ですでに市長の手を離れ、大阪セメントは水産庁の認可があればすぐにでも着工できるところまできておるといわれております。御存じのようにこの臼杵市は大分県でも唯一の海岸でありまして、海水浴場も汚染によってよごれ、海水浴場としてはここ一カ所が一番いいところであるといわれておりますし、また臼杵市は内陸の食品工業地帯でみそ、しょうゆとか清酒なんかの産地でもあり、セメント工場が来て粉煙あるいはばいじん等が出ますとたいへん困るということで、地元でも相当問題化しております。またこの漁業補償、埋め立て、こういった問題についても組合のほうで一方的に総代会できめた点もありまして、組合員不在、市民不在のやり方でこのように押し切られたというような面もございましてたいへん紛糾をいたしておりますが、水産庁も慎重にこの公有水面埋め立ての問題を取り扱っておるやに聞いておりますが、一に水産庁の埋め立て許可にかかっておるということでたいへんな問題になっております。この点については、たいへん重大な時期でありますので慎重に進めておられると思いますが、このことについて一点御答弁をいただいておきたいのであります。
#45
○大和田説明員 臼杵市に大阪セメントが工場を建設する問題につきましては、大分県の知事あるいは臼杵市の市長が公害対策としていろいろ準備をし、また議論をし、会社と詰めてごく最近協定書の調印があったように聞いております。この問題につきましては、実は正式に農林大臣あて認可の申請がございましたのは十一月の四日で、まだ数日前でございます。私ども、県なり市なりが公害対策について十分自信があれば、漁港の使用についてはそれほど大きな問題がございませんから、認可して差しつかえない事件であるというふうに思いますけれども、いま御指摘がございましたように臼杵市でいろいろ地方的なむずかしい問題になっておりますので、私ども双方の意見を十分聞いて慎重にこの問題の取り扱いをいたしたい、そういうふうに考えております。
#46
○瀬野委員 農林大臣にお伺いをいたしますが、ただいま長官から答弁がございましたが、この問題はたいへん地元で心配をしておる問題でございます。大臣はこのことについてよく事情を御承知であるか、またこれに対しては十分慎重に対処していただきたいと思いますが、ひとつ大臣の最後の一言をお願いしたいと思うのであります。
#47
○倉石国務大臣 水産庁長官の申し上げましたように、慎重に対処いたしたいと思います。
#48
○瀬野委員 以上で質問を終わります。
#49
○仮谷委員長代理 小宮武喜君。
#50
○小宮委員 私はまず、最近カドミウムの汚染問題とかあるいは大気汚染、悪臭、騒音などの公害問題が大きく取り上げられておりますので、私は畜産公害の問題についてひとつ質問をしてみたいと思います。
 私は長崎県出身でございますが、長崎県下で飼育されておる家畜は乳用牛が一万七千九百頭、肉用牛が六万九千七百頭、豚が十四万五千頭、鶏が百七十一万二千羽と推定されております。ところがこの畜産業をやっておられる人は、ほとんどが零細企業あるいは小企業の方ばかりでございまして、したがってその飼育施設の不備から悪臭とか汚水が発生して、付近の住民からいろいろな苦情が出されておるわけでございます。そこで長崎地方法務局の人権擁護課でも、人権擁護の立場から実態調査に乗り出して、この悪臭公害の追放に取り組んでいるわけでございますが、このことは私も賛成でございます。
 しかしこの畜産公害の問題について、私も畜産を営んでおられる方々といろいろ話し合ってみました。その中で養鶏業をやっておられるある人の話をひとつ皆さん方に紹介しますと、私は養鶏業を始めてから三十年になります。始めるにあたっていろいろ他人さまに迷惑をかけないようにと思って、当時人家のない人里離れたところを選んで商売を始めました。それが現在の位置であります。そしてこの四、五年前までは周囲に家もなくのんびりと養鶏をやっておりましたが、この近年になってまたたく間に家が建ち並んで様相がすっかり変わってしまって、この人たちは畜舎があることを知って家を建てたはずでございますが、にもかかわらず盛んに近ごろはくさいと言って苦情を申し込まれます。もう私はこの人たちから、この地域から追い出されようとしております。私も今日まで十分気を配って努力をするだけはしてきましたが、しかしこれ以上言われると養鶏をやめる以外はありません。まだ子供も三人おりますし、やめたらだれが生活を見てくれますか。また移転せよと言われても、私のような零細企業では食べることが一ぱいでたくわえるような余裕はありませんから、その移転資金はだれが貸してくれますか、またどこへ行けというのですか。このごろでは近所づき合いも悪くなって村八分にされそうです。また毎夜のように電話がかかっていやみを言われたり、道で会うとくさいと聞こえがしに言われたりしますので、いまでは私のほうから一刻も一早く移転したいくらいの気持ちでございます。全くどちらが人権侵犯なのかと言いたくなります、というようなことで、怒りにふるえながら、また涙ぐみながら訴えていました。
 私はこの話を聞きまして、も一つともなことと思って同情せざるを得なかったわけであります。したがいまして、ただそれを地域住民に迷惑をかけることはけしからぬ、悪臭公害はおまえの責任だからおまえが始末せよとか、それができなければ出ていけとか、出ていかぬならば人権侵犯事件として取り上げるぞというような一方的なことだけで、ほんとうに畜産公害は解消できるのかどうかということを私はしみじみ感じたわけでございます。したがいましてこの人たちに対しては、移転資金にしても国や地方自治体で全額を融資するとか、または畜舎用地にしましても地方自治体等で積極的にあっせんするとかというあたたかい特別の政治的な配慮が絶対に必要だと私は思います。
 そこで質問したいのですが、農林省は十月の十三日に「畜産経営に基因する環境汚染防止のための畜産経営移転に関する金融措置について」という次官通達を各都道府県知事あてに出しております。それによりますと、貸し付け限度額は、農林省補助による畜産団地造成事業の補助残の場合は、借り受け者の負担額の八割以内、単独で移転する場合は個人にあっては千二百万円、法人にあっては二千四百万あるいは借り受け者の負担額の八割のいずれか低い額というようになっております。そこで私が質問したいのは、先ほどからもるる申し上げますように、この畜産移転資金については全額融資をするぐらいの措置を講ずべきではないのか。そのために農林漁業金融公庫が八割融資をするというならば、残りの二割についても他の政府資金から融資が受けられるような措置ができないものかどうかということがまず質問の第一点。
 急ぎますから一括してやります。もしそれができないとするならば、地方自治体の県や市町村で融資させてもよいのではないか、公害防止のために地方自治体も積極的な姿勢を示すべきだと私は思います。したがって地方自治体が残りの二割については融資をすべきではないかと思いますが、見解を承りたい。
  〔仮谷委員長代理退席、安倍委員長代理着席〕
 また畜舎用地の確保についても、畜産業を営んでおられる人たちの個々にまかせず、むしろ地方自治体が積極的にあっせんして移転の促進をはかるべきではないのかと思います。そうして、全額資金も融資をいたします、移転先もあっせんしますから早く移転してくださいというような政治をすべきではなかろうかというふうに私は考えます。
 この畜産資金にしましても、この農林漁業金融公庫の畜産公害対策資金は、現在資金ワク七億だということになっておりますが、あまりにも少ないのではないか。かりに個人の場合にたとえてみますと、千二百万融資をしたとしますると、六十人分にも足りない状態です。これでは農林省当局は公害対策を真剣に考えておられるのかどうかということを疑問に思わざるを得ません。したがって、この資金の融資はあくまで七億の予算ワクの範囲内でやるのか、また予算がないから、皆さんくさくてもしんぼうしてくださいということなのか、あるいは必要によっては他の資金を回してこの予算ワクをふやすことも考えておられるのか、、この点が質問の第二点。
 第三点は、四十六年度の畜産公害対策資金について、これほど、公害国会まで開かれようとしておるわけでありますから、農林省としてこの畜産公害対策資金の予算ワクをどれほど考えておるのか、四十六年度において幾ら大蔵省に要求しておるのか。
 以上の三点について、ひとつ一括御答弁を願います。
#51
○増田説明員 お答え申し上げます。
 畜産公害の問題につきましては、都市化の進展に伴いまして、先生の御指摘のような問題が各地に発生をしているわけでございます。こういう問題に取り組む姿勢といたしまして、私はやはり先生と同じような考え方、立場でこの問題に対処すべきも一のだというふうに考えておるわけでございます。しかしながら基本的にはこういう方々は、先住者であるということは言い得ましても、都市化が進展してまいりますと、どうしてもやはり移転ということが基本的な解決にならざるを得ない。そういうことで、今年の十月から、金融公庫を通じまして畜産経営移転資金というものを設けまして、その移転の促進をはかったわけでございます。それで、先生の御指摘のとおり、その融資ワクというのは個人千二百万、法人二千四百万と、全体の所要額の八割、こういうことに相なっておるわけでございます。これを、八割を全額にすべきかどうか、こういうことにつきましては、一つには、いろいろ折衝の過程におきまして、移転するならば、当然移転すべき者の資産が処分されるではないだろうか、そういう点に自己資金の問題があるのではないかというような、非常に事務的と申しますか、そういう御意見もあります。それからもう一つは、現在、御承知のとおり制度金融というものは全部八割が限度になっておる。そういうことで、この問題だけでこの制度というものを八割という限度を破ることはできないという、一つの制度論として、この問題は、実際問題としてなかなかむずかしい問題があるわけでございます。しかしながら中には先生の御指摘のような非常に零細で資金にも困る、こういうような方が実際問題としてあると思います。そういう方につきましては、先生の御指摘のとおり、関係市町村、県というものの御協力を得まして、そういうものが円滑にやっていけるようにということで、すでにことしの七月、わがほうで、県、関係公共団体に、そういう指導をするよう、援助するようにという指導の通達を出しているわけでございますが、それはひとつ具体的な問題として問題のあがった場合に、そういう方向で対処してまいりたいと考えております。
 それから、融資ワクの七億につきまして、少ないではないかということでございますが、御承知のとおりこれは十月からスタートしたわけで、現在受付中でございます。今後どれだけの需要が出てくるかということをいま待っているわけでございますが、いまの各県からの報告に基づきますと、おおむねこの七億で間に合うのではなかろうかというのが県の報告になっておるわけでございますが、これは今後の推移を見まして、その対処方というものを検討いたしたいと思います。それで、来年の要求額は現在の約三倍の二十億円を要求いたしております。
 それから、実はこの移転の問題で一番問題になりますのは、用地取得の問題でございます。現に、そういうものが来ることによって地価が下がるというような地元からの声が出て、まるでふん尿処理施設が移るような感覚になりまして、この移転が必ずしも用地取得の点で円滑にいかないという面が現実に起こっております。しかしながら、そういうことが現実にあろうとは思いますけれども一、これは各県及び市町村の協力を得まして、国ともどもに用地の取得については万全を期して、その確保ができるような体制を進めるということを今後とも指導してまいりたい、かように考えているわけでございます。
#52
○小宮委員 時間がございませんので、再質問については次回に譲りたいと思います。
 次は、最近また大きな問題となってまいりました牛乳のBHC汚染の問題について質問したいと思います。この牛乳の汚染問題が大騒ぎになったのは、昨年末のことでございますが、その後BHCの使用を規制したにもかかわらず、厚生省がことしの六月から八月にかけて全国二十府県で行なった牛乳のBHC汚染調査の結果発表によりますと、近畿、四国、九州など西日本地区の汚染ぶりがひどくて、特に長崎県、佐賀県などでは許容量を十倍も上回るようなBHCが検出されております。これは前回の四月における調査よりはやや低くなってはおりますが、案外減っていないことが証明されておるわけでございます。この牛乳の汚染問題については、さきの特別国会のさなかにおいても、倉石農林大臣が異例の大臣談話まで発表して、稲わらの使用禁止、飼料用作物、放牧地、畜舎内におけるBHCの使用禁止などの強力な指導を行なって、その残留量の減少につとめできましたが、今後もBHCの製造停止措置やその他従来からの対策をさらに強力に徹底さして、BHCの残留量の減少につとめますので、国民の皆さんよ安心して牛乳を飲んでくださいということを、国民に呼びかけたことは御承知のとおりでございます。また五月十三日の本委員会で渡辺政務次官も私の質問に対して、BHCがどういう経路で牛乳に出てきたかということを、農林省は全機関を通じてフルに調査した結果、稲わらに、穂ばらみ以降の稲のときにBHCを使ったということが一番よけいに出ている状態であります。したがって、酪農家等にはそういうものは使わせないということでありますから、これからBHCの汚染ということは少なくとも牛乳には出ませんと言っておるわけです。これは、ちゃんと議事録に載っておるから間違いないのです。そこでそういう答弁をしながらも一、それがいまだに汚染問題は解消されておらぬということは明らかであります。したがって、こういうふうなことでは幾ら大臣や政務次官が牛乳は幾ら飲んでもだいじょうぶでございます、安心して飲んでくださいと百万べん言われても、国民はこれは疑いたくなるのは当然だと思います。
 そこで質問をしますけれども、前回よりは幾らかは減っておりますけれども、いまなおこの牛乳の汚染問題が続いておるということについて、前回の特別国会における農林大臣並びに政務次官のこの御答弁からしましても、その食い違いはどのように判断されておるのかということが第一点。
 第二点は、この牛乳の汚染問題がこれだけ騒がれておるにもかかわらず、いまだに青森、秋田、山形、東京、富山、長野、静岡、三重、滋賀の一都八県ではまだ一回も調査をされておらないということがまた明らかにされております。これも、先ほど申し上げました特別国会の四月二十四日の委員会における私の質問に対して、厚生省の神林説明員は、特に牛乳については全国的な調査を本年度からやっていきたいということを答弁されておりますけれども、いまあげた一都八県はまだやっていないわけですから、そういった意味で、いかなる理由で調査をやっておらないのか、いまからやるつもりなのか、これが質問の第二点。
 そしてまた、私は同じ五月十三日の委員会で、このBHCの使用禁止をした時点で、BHCの在庫量は幾らなのか、あるいはまた使用禁止を確実にチェックする方法はどのような方法でやるのかという質問をしたことがございます。それに対して遠藤説明員は、ガンマBHCとしまして二千五百トン、そのうち千二百トンが原体メーカー、あとの千三百トンが製造メーカー及び流通在庫となっております。それから末端への徹底の方法については、各都道府県に約百八十くらいの病害虫防除所を持っており、それがまた末端の防除の指導組織を持っております。したがって、この一万八百人くらいの防除員を動員いたして徹底させますということを答弁しておるわけです。このBHCの使用禁止について、現在のような状態で徹底されたと思っておるのか。それでまた、それが徹底されたとしても、現在その汚染が続いておるということはどのような理由によるものか、ひとつ御見解を承りたい。また現在のBHCは、あの時点といまの時点でどのように在庫量は――国内の流通在庫、また国内の在庫量は変わっておるのか、ひとつその点をお知らせ願いたい、これが第二点。
 それから特にまた最近、秋田市で母乳の中に有機塩素系の農薬が入っておるということが発表されて、母子衛生上大きな問題を投げかけております。牛乳は御承知のとおり、母乳としましても赤ちゃんにはかけがえのないような主食でございますから、したがって国民が最も一知りたいことは、いまの牛乳や母乳を乳児に与えても絶対だいじょうぶかということです。したがって、この問題に関連して四月二十四日の委員会でも、私は牛乳が汚染されているなら、その加工品であるバター、チーズ等の乳製品も汚染されていると見るべきである、したがって乳製品についても分析をやったのかという質問に対して、ただいま分析中でありますという答弁をしておるわけです。したがってこの母乳の汚染の問題とも関連して、その分析が済んでおられればその結果を発表してもらいたいということと、母乳の汚染されておる経路についてどのように見ておられるのか、この点について。この三点の質問をいたします。
#53
○増田説明員 BHCの問題につきまして広範な御質問があったわけでございますが、在庫の問題等あるいは母乳の問題等あるいは一都十何県の検査の問題、バターの分析等につきましてはそれぞれ所管のほうから答弁することといたしたいと思います。
 BHCの残留の問題で一番問題になりますのは、先生御存じのとおりベータの問題でございます。われわれの入手しております資料によりますと、各県とも急激に減少をしてきてまいっております。たとえば長崎県で申し上げますならば、六月現在の段階で二月より四分の一に減ってまいってきております。これはベータでございます。そういうことで、われわれ畜産局といたしまして稲わらの使用禁止その他のいろいろの指導措置というものが非常に徹底してまいって、その結果としてこの減少結果があらわれつつあるものと思っているわけでございますが、さらに今後、九月以降になりますと、これはいわゆる新わらが出てきて、そしてBHCを使わないわらを施用するということに相なりますので、この傾向はさらに改善されるとわれわれは期待をしているわけでございます。
#54
○神林説明員 お答え申し上げます。
 私、四月に先生に御答弁申し上げた乳肉衛生課長でございますが、現在私たちの調査の結果によれば、一応一月、二月の時点よりもBHCの含有量は減ってきておりまして、事実、たとえば長崎であるとか大阪であるとか、あの当時非常に高い府県がございましたのですが、これは七月あるいは八月ごろのデータによりますと、長崎の場合、一番問題であるベータBHCについては、あの当時平均値で一・二八八PPMございましたものが、現在では〇・三八〇PPM、約三分の一に落ちております。それから、大阪府におきましては、当時〇一九七OPPMでございましたが、一応七月のデータによりますと、〇・二八八PPMというように、一応全国で漸減しておるわけでございます。
 さらに、先ほど安全性の問題が先生から御指摘がございましたのですが、これはやはり当時、食品衛生調査会の残留農薬部会あるいは乳肉水産食品部会を開きまして、いま直ちに危険でないという見解が出されておるわけでございまして、なおその後もいろいろ先生方にこの数値につきまして検討願いましたところが、やはりいま直ちに危険でないということは言えるであろう、ただし、あの当時のような高い値がずっと持続するということになれば問題であるというふうなことでございます。
 それから、私たちといたしましては、やはり牛乳というようなものは、もともと農薬というようなものに汚染されておるべきものではないという見解で、これは農林省とも協力いたしまして、さらに下げるべき努力を重ねておるわけでございます。
 それから、母乳の問題につきまして、これは私どもの管轄外でございまして、児童家庭局の母子衛生課でいま調査をやっておられるようでございまして、これにつきましては、私のところで報告はちょっとできません。一応母子衛生課のほうへこの仕事は移してございます。
 それからなお、先生御指摘のとおり、厚生省では全国的に調査をするといっておって、その後まだやっておらない県があるということは確かでございますが、これにつきましては、実は本年の十月九日に、私の内簡でございますが、牛乳中の農薬残留についてという内簡を出しまして、一応いま言ったような点で漸減しておるけれども、さらに一そう対策の強化につとめられたいということを府県に伝えるとともに、なお今後の対策の推進をはかるために、一応定量検査を積極的に実施して、厚生省へそのつど報告してくれというふうに出してございますが、これは一つは、牛乳の検査あるいは分析というものは非常にむずかしいというようなことがございまして、衛研のほうの態勢が整わなかったということが一つと、それから、県によりましては、まだ予算の都合で分析機器の充実というようなことがうまくいっておらないわけでございますが、これらの府県につきましては、なお私たちのほうで積極的に方途を講じまして、至急結果を出すようにいたしたいと考えておるわけでございます。
 それからなお、牛乳以外の乳製品についてどういうふうになっておるかということでございますが、これにつきましては、その後、衛生試験所あるいは高知の衛研等で分析した結果がございますが、一応乳製品等は大体日本では、原料が北海道のも一のが多いわけでございまして、それから、チーズというようなものは外国の輸入品が多く原料として使われている。特にこれはオーストラリアであるとかあるいはニュージーランド、スイスというふうなところでございまして、牛乳中のBHCに比較しましてはわりあい低い値でございまして、その数値につきましては次のようなことでございます。これは一応バターにつきましては八検体調べたその平均値でございますが、アルファについては〇・三六一、ベータは〇・三七三、それからガンマは〇・〇二三、それからデルタは〇・〇一五でございます。それから、チーズは十の検体を調べたわけでございますが、これはアルファについては〇・〇一一、ベータは〇・〇九、ガンマは〇、〇五、それからデルタは検出しておりません。これは高知の衛研でやった結果でございます。
 それから、調製粉乳につきましても一、一応調べてみた結果がございますが、これは十検体検査した結果でございます。アルファは〇・〇〇三、ベータは〇・〇〇九、ガンマは〇・〇〇一、それからデルタについては痕跡程度でございまして、これは国立の衛生試験所でやった結果でございます。
#55
○岡安説明員 BHCの在庫と末端への指導の徹底ということについてお答え申し上げます。
 先般、BHCの在庫につきましては、ガンマBHC換算ということでお答えを申し上げたのでございますが、それは先生のおっしゃるとおり、約二千五百トンでございまして、メーカー在庫が千二百トン、流通在庫が千三百トンでございますけれども、これはちょっとわかりにくいので、原体と製剤ということでお答え申し上げたいわけでございます。
 まず、メーカーの在庫のガンマBHC換算千二百トンは、原体に直しますと九千二百トンになります。この九千二百トンは、大体昨年の十二月末現在におきますメーカーの在庫でございまして、その後、これは国内向けに製剤されましたのが三千五百トンでございます。それから、輸出されましたのが約三千トンでございまして、残りの現在メーカーの原体在庫が二千七百トンでございます。これはほぼ全量輸出に向けられるものというふうに考えております。
 それから、流通のほうでございますが、流通の在庫は先般、ガンマBHC換算千三百トンと申し上げましたけれども、これは製剤に直しますと、約二万六千トンになるのでございまして、この二方六千トンと、それから、先ほど申し上げましたメーカーの在庫のうち国内向けに仕向けられました原体の三千五百トンが、これは製剤になりますと約一万トンになります。合計約三万六千トンが今年一応出回ったということになるわけでございますが、これは通年の出回りの半分以下でございます。
 なお、それらが全部使用されたわけではございませんで、多少メーカー並びに流通段階に在庫があるようでございまして、正確な数字ではございませんが、私ども現在把握しておりますのは、製剤で約七千五百トン程度が在庫しておるものというふうに考えておるのでございますが、それらは将来、果樹、野菜または林業用等に振り向けられるものというふうに考えておるのでございます。
 それから、指導のほうでございますが、私どもは、BHCの指導につきましては、安全使用を徹底するようにということ、またさらには、えさ用の稲わらには使わない、また、穂ばらみ期後の稲作には使わないようにという指導を、防除員を中心といたしまして、普及員、民間団体の協力を得まして、徹底いたしたのでございますけれども、今後さらに、先般厚生省のほうから、米につきましてBHCの残留許容量の案が発表になりまして、ガンマBHCでございますけれども、〇・三PPMということになっております。それを受けまして、私どもは、これが正式に告示をなされるならば、農林省といたしましては、安全使用基準というものをつくりまして、稲作につきましてはBHCは一切使用しないというような安全使用基準をつくって発表いたしたいというふうに考えておりまして、それらをもとにいたしまして、さらに強力な指導をいたしたい、かように考えておるのでございます。
#56
○小宮委員 ただいまの答弁につきましては、またあらためて議事録を見て再質問したいと思います。
 最後にもう一つ質問をしてみたいと思います。
 これは諫早湾の泉水海のノリのカドミウム汚染についての問題でございます。これはせんだってから大牟田川の河口産のノリから平均一・一六PPM、佐賀県沿岸産からは平均一・七二PPM、諫早湾泉水海産からは、大牟田や佐賀沿岸よりも数値の高い三二PPMのカドミウムが検出をされて、これは諫早湾泉水海沿岸の人たちばかりではなくて、有明海沿岸の漁民は大きなショックを受けておるわけです。しかもこの諫早湾の泉水海の場合は、付近にその汚染の発生源がないと思われていただけに、その原因究明が非常に切望されているわけでございます。
 長崎県の衛生部では、人体のカドミウム摂取許容量は一日三ミリグラムであるので、その三ミリグラムに達するためには三・一PPMのノリを約二十六枚毎日常食しなければ人体には有害ではないというように発表しております。けれども、消費者も漁民もこの発表に対して非常に半信半疑で割り切れない表情でございます。この諫早湾の泉水海域は特に長崎県産ノリの主要産地でございまして、県内の七五%を占めて、昨年の売り上げ高は約十億にのぼっております。それからこの汚染のために、最近ノリの売れ行きは鈍化して、ひび植え込みは済ましたものの漁民たちは死活の問題として非常に心配しているわけでございます。
 また、この諫早湾はノリの産地であるばかりではなくて、アサリ、アカガイなどの産地で、この売り上げ高は毎年一億三千万に及んでおるのであります。しかしこの貝類も汚染されておることは明らかでありまして、またノリや貝類だけではなくて、有明海でとれる魚類も汚染されていると見なければなりません。したがって、これは諫早湾泉水海域の漁民だけの問題ではなくて、有明海に面する福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県の沿岸漁民はこれから先どうなるのかという不安とその原因を一刻も早く究明してほしいという強い要請をいたしておりますから、もっと早くなぜ調査をしなかったかということに対して国に対しても不満を持っているわけでございます。したがいまして、最近福岡県、熊本、佐賀、長崎県の四県で合同調査をしておるようでございますが、水産庁としてはこの問題については独自で調査をしているのか、いないのか。ノータッチなのか。それともこの調査に対して水産庁はどのような態度をとっておるのか。まずこの点を質問します。これが質問の第一点です。
 次は、諫早湾の泉水海域の汚染度がなぜ大牟田、佐賀より高いのかということについて、その原因についての考え方があればひとつお知らせ願いたい。
 また、各県ともノリの汚染については人体には無害だということを発表しておりますが、漁民もまた消費者も非常に不安を感じております。そこで、この漁民また消費者の不安を解消するために厚生省あたりで何かの措置が考えられないものかどうか。たとえば公式に見解を明らかにするとかそういった何かの方法が考えられないのかどうか。
 以上、三点について質問をいたしまして、私は質問を終わりたいと思います。
#57
○大和田説明員 まず第一点の有明海における汚染度の調査でございますけれども、いまお話にございましたように、関係四県で有明海で約百二十の地点を選んで水質あるいは底質、魚類への影響度等々の調査をいたしておりますのは実は農林省からの委託調査でございまして、現在私どもといたしましては、ことしの八月に県に通達を出しまして、あぶなそうな漁場についての一斉点検といいますか総点検をやっておるわけでございます。有明海における百二十点の調査というのはその一環でございまして、これによって汚染度及びその汚染の原因等についての究明がかなりの程度進むというふうに考えています。
 それから佐賀あるいは福岡よりも諫早においてカドミウムの含有度が多いのはどういう理由だろうかという御質問でございますが、科学者の間におきましても、まだ結論は出ておりませんけれども、一つの想定といたしまして、有明海の水が時計と逆の方向に動いておるわけでございます。したがいまして大牟田その他で汚染されたものがだんだんだんだん北に来まして、諫早あたりで沈でんをする度合いが多いのではなかろうか。これは一つの想定でございますから、まだ結論ではございませんけれども、相当多くの研究者がそういう見解をとっておるようでございます。
 それから第三点のカドミウムの含有がはたして人体に影響があるかどうかという問題ですが、これは私どもも非常に重大な問題でございますから、厚生省当局ともよく相談をいたしておりますけれども、現状においては何ら心配がない。相当カドミウムの含有量は多いというふうに一時、ことしの夏でございますか、大牟田の河口でのノリについて問題がございましたけれども、そのときにおきましても、大体常食として一日八十枚ないし九十枚のノリを食べなければ人体に影響があると問題にされるような事態もないという、そういうことでございます。私どもはあらゆる機会にノリのカドミウムは問題ないということを言っておりますし、厚生省もそうだということで、水産庁でいってもらってけっこうだというふうに絶えずいっておるわけでございます。
#58
○小宮委員 それでは何か答弁ありますか。――なければほかに質問も用意してまいりましたけれども、もう時間がございませんので、これで私の質問を終わります。
#59
○安倍委員長代理 津川武一君。
#60
○津川委員 大臣に農産物の貿易の自由化について質問したいと思います。
 私たちは、日本の農業を民主的に、自主的に、総合的に育てていきたいと考えております。そのために、第一に米に対してみたいな援助と指導があらゆる農産物にされるならば、私たちはこれができると思っております。第二番目には、あらゆる他の農産物の基盤整備を米同様やるならば、これもできると思っております。第三番目には、農薬や肥料の値段を下げていくということ。第四番目には、外国の農産物によって日本の農産物が圧迫を受けないということであります。そして最後に、そうすると、農民が利益と納得に基づいて自主的に米以外へも転換できると思います。
 そこで大臣に対する質問ですが、外国農産物の輸入の認可、貿易の自由化に対してどんな立場で大臣は仕事をするのかという立場の問題であります。向こうの相手国の事情に従ってやるのか、日本の農業、農産物には影響を与えないという立場でやるのか。私は後者のほうが当然だろうと思うのですが、ひとつ答弁いただきたいと思うのです。
 第二の問題は、バナナの季節関税でございます。いまのリンゴでいうと、国光が品種改良で一生懸命やっておりますが、まだたくさん残っておりますので、これが四月からバナナの季節関税を六〇%から三〇%にするという意図があるやにも聞いておるのですが、そうすると、これは非常に大きな打撃を受けるので、バナナの季節関税を引き下げる点についてはまだやる時期でない、こう考えておるわけですが、大臣の見解を伺わしていただきます。
#61
○倉石国務大臣 農産物の貿易の自由化につきましては、一昨年の十月の閣議決定及びその後の数次にわたる関係閣僚協議会の決定の趣旨に即しまして、これを取り進めてまいることといたしておりますが、基本的にはわが国の農業の生産性の向上をはかり、それから国際競争力の強化につとめてまいることが肝要であろうと考えるわけであります。自由化品目の選定にあたりましては、現在総合農政の転換をはかってまいろうという重要な時期にございますので、国内農業に与える影響に十分考慮を払いながら、必要に応じ関税等の所要の対策をもあわせて検討いたしてまいることといたしております。そこで、今後のスケジュールといたしましては、右の決定に従いまして今後自由化することとしております十六品目につきましては、来年の四月末を目途に自由化を実施することといたしております。
 ただいまいろいろ御意見ございました。私どもといたしましても、わが国の農業についてこの貿易政策がどのような影響があるかということをいま申し上げましたように十分勘案しながらこれに対処してまいるわけでありますが、したがって私どもが自由化政策をとりますことについて、わが国の農業との調整と申しますか、そういうことについて農林省はきわめて慎重に対処しておるわけであります。
#62
○津川委員 バナナの季節関税は……。
#63
○倉石国務大臣 バナナの関税率につきましては物価対策閣僚協議会の了承事項に即しまして、昭和四十六年度におきまして季節関税を採用いたします。そして国産果実の出回りの少ない時期において引き下げる方向で目下検討を進めておるわけであります。
#64
○津川委員 バナナの季節関税を、聞いておるところだと四月から引き下げる、こういうことでございますが、非常に影響が大きいので、私はこれは一考を要する状態だと思うのですが、大臣の意向を聞かしていただきます。
#65
○倉石国務大臣 まだ結論が出ておらないわけでありますが、いま季節関税について検討中でございますが、御承知のようにわれわれのほうではやはりバナナを輸出する国、たとえば台湾を考えてみましょうか、かなりこちらのリンゴも交換的に輸入量をふやすというようなことも行なわれておるわけでありますが、ただいま御指摘のような点につきまして、私どもも十分考慮しながら対処いたしたいと思っておりますが、まだこの点について部内で決定はいたしておりません。
#66
○津川委員 そこでもう一つの問題ですが、今度の貿易の自由化によって韓国からリンゴが入ってくるのかどうか。韓国から入ってきますと、あそこに今度はカーフェリーなどができるということで、長野やわれわれの青森の柱のである国光の九州や岡山、中国における市場がかなり圧迫を受けると思うのでございます。韓国の事情を聞いてみますと、品種更新のための苗木も三十万本くらい輸入しているというし、韓国の政治情勢で損得を抜きにしても日本へ輸出するという政治体制でありますので、この点についてもう一度伺います。
#67
○倉石国務大臣 これもいまこちらの政府部内でもいろいろ検討いたしておるわけでありますが、たてまえから申しましてなるべく、農産物については特に私どもは慎重でありますが、ただいま世界各国でやはりできるだけ貿易の自由化を促進してまいるということが必要なことであることはもう御存じのとおり。そういうことに即して、われわれは先ほど申し上げましたように国内の諸事業が合理化されて生産性をあげられるように協力をしながら、いま申したようなたてまえに即してやってまいりたい、こういうことでありますから、そういうような趣旨で自由化に取り組むわけでありますから、その間においてはいろいろな価格政策等によってめんどうをみるということも必要でありましょうし、それから企業の合理化をしてコストダウンをすることも必要でありましょうし、そういういろいろな政策を伴って自由化に取り組んでまいる、こういうたてまえであります。
#68
○津川委員 そこでアメリカでございますが、日本繊維の輸入に対して、貿易自由化の本拠であるアメリカでかなりあのような態度をとっている。そこで日本の農業を守っていくという大臣の気持ちが、わかるけれども、必ずしも明確でない。そこで日本の農業を外国の農産物にさらさないというためにどうしても強い決意をもって日本の農業を守るという、たとえば繊維におけるアメリカの財界みたいな決意があるかどうか、これを伺ってみます。
#69
○倉石国務大臣 政府のたてまえは先ほど申し上げましたとおりでございますが、そのたてまえに対処してまいるためにはわれわれはあらゆる施策を講じて近代化を進め、そして競争力を培養していくようにしなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。
#70
○津川委員 大臣に対してこれで終わりまして、あと蚕糸園芸局長にひとつ伺います。
 くだものの消費、需給関係でございますが、来年度が果樹農業振興基本方針もしくは計画の変更年度になっておりますが、リンゴの消費、これはまだまだふえていくと考えておりましょうか。これが限界かと考えておるか。農林省の方針を伺わせていただきます。
#71
○荒勝説明員 日本の果実の消費の動向から申し上げますと、現在の消費状態は非常に年々伸びておりますけれども、ヨーロッパあるいはアメリカ等の先進国に比べますと、果実全体についてでございますが、まだヨーロッパの大体半分くらいというふうに見ております。それで五年前に果樹農業基本方針をつくりまして――果実の消費の動向に即しまして基本方針をつくったのでありますが、ちょうど五年たちましたので明年その改定をいたしたいと思いまして、四十五年度予算をいただきまして現在作業中でございまして、四十六年の後半には今後における果実の消費動向ならびに植栽の基本方針を明確にいたしたい、こう思っております。
 その中で、われわれの感じではミカンあるいは梅、クリというふうなものは非常に植栽が進んだわけでありますが、リンゴあるいは桃あるいはブドウといったものが植栽が非常に立ちおくれておるわけでございます。特にミカンにつきましてはどうもわれわれの見通しが少しおかしかったのではなかろうかと思うのですが、いわゆる従来からの国光とかあるいは紅玉という、日本では戦前から非常に奨励品種として指導してまいりました、そういう在来種の系統が何となく消費者の嗜好に合わなくなってきた。むしろデリシャスとかスターキングとか、あるいは最近開発されましたフジとか、そういった新しい品種に非常に消費の希望が強いということがありまして、決して現在の段階でリンゴの消費とか需要が停滞したというふうにはわれわれ思っておりませんで、やはり国民の嗜好に応じた果樹を奨励することが一番大事なことでありますので、現在農林省におきましても従来からの品種を、いわゆる俗称、高級リンゴとわれわれ言っておりますけれども、新しい奨励品種に切りかえるよう予算措置等をもちまして切りかえをしておりまして、これがもう少し進度が進めばリンゴに対する需要もまた新しく出てくるのではなかろうか、こういうふうに理解している次第でございます。
#72
○津川委員 よくわかりました。ところが青森県の竹内知事は、農林省からもうリンゴやってもしょうがないからというので、そんな空気が農林省の中にあるということで消極的になっているようですが、そんなことは県のほうから何かありましょうか。
#73
○荒勝説明員 私もしばしば竹内知事にはお会いしているのですけれども、一度もそういったことを言った覚えはございませんで、むしろリンゴは奨励すべきもので、しかもリンゴにつきましては、新品種の開発のみならず、やはり単なる生食用というだけでなしに、加工等にも今後将来の展望等がいろいろ出てきておりますので、総合的なリンゴの植栽を進めるよういろいろお話ししているので、決してリンゴをやめたらどうかというふうなことは申し上げた気は一度もございませんので、それは誤解ないようにお願いいたしたいと思います。
#74
○津川委員 そこで、二年前にリンゴの木を切って水田にしたところがかなりあるのですが、この間行ってみますと、リンゴの木を切って水田にしたところを、もう一回リンゴを植えるということがこのごろ起きているのです。それは品種がよくなって消費がふえたので、またリンゴに対する希望が非常に強くなっていること、私も喜んでいるわけですが、その中で決定的に、皆さんが米からの転換の場合、煙性木を植えるによかったならばこれは非常によろしいというわけです。スピードスプレーヤーも小型で済む、はしごをかけないで葉取りもできる、袋かけもできる、何でもできる。そして十アールから二百箱あがってないのですが、矮性化をやると四百から五百あがる、こういうことがいま農民の中に非常に大きな問題になっているのですが、この矮性化に対する農林省の方針、これに対する試験研究はどうなっているか、もっとやるつもりがあるかどうか、伺わしていただきます。
#75
○荒勝説明員 最近の農村における労働力の不足というような点から、リンゴについての植栽の考え方が次第に逐次変わってきているといいますか、また変わるべきだとわれわれも思っております。その第一の手始めに、リンゴについては無袋栽培、いわゆる袋かけをせずに何かもっといいリンゴをつくる方法はないかということにつきましては、農林省はかねてから極力指導奨励しておるのですが、農村のほうでは、従来からリンゴは多少芸術品扱いといいますか、そういった傾向がありますので、なかなか普及してない次第でございます。
 なお、その矮性化につきましては、最近新しく農村方面からも一非常に要望が出てきておりますが、われわれとしていま直ちに奨励普及すべきかどうかにつきましては、なお園芸試験場等においても多少研究はされておりますけれども、自信をもって直ちに矮性化に踏み切るというところまではまだ至っておりません。今後地元の生産者の方々の意見も聞きつつ、試験場と十分連絡をとって、踏み込むべきときには踏み込みたい、こう思っておる次第でございます。
#76
○津川委員 終わります。
#77
○安倍委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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