くにさくロゴ
1970/04/07 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第9号
姉妹サイト
 
1970/04/07 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第063回国会 社会労働委員会 第9号
昭和四十五年四月七日(火曜日)
    午前十時十五分開議
 出席委員
   委員長 倉成  正君
   理事 小山 省二君 理事 佐々木義武君
   理事 増岡 博之君 理事 粟山 ひで君
   理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君
   理事 田畑 金光君
      有馬 元治君   小此木彦三郎君
      大石 武一君    梶山 静六君
      唐沢俊二郎君    斉藤滋与史君
      中島源太郎君    早川  崇君
      別川悠紀夫君    松澤 雄藏君
      松山千惠子君    向山 一人君
      渡部 恒三君    川俣健二郎君
      小林  進君    島本 虎三君
      藤田 高敏君    山本 政弘君
      古寺  宏君    古川 雅司君
      渡部 通子君    寒川 喜一君
      西田 八郎君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 野原 正勝君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 岡部 實夫君
        労働省労政局長 松永 正男君
        労働省労働基準
        局長      和田 勝美君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
 委員外の出席者
        議     員 島本 虎三君
        中小企業庁計画
        部長      斎藤 太一君
        参  考  人
        (中小企業退職
        金共済事業団理
        事)      大竹 政男君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
四月三日
 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出第四六号)
 勤労青少年福祉法案(内閣提出第九八号)(参
 議院送付)
同月六日
 家内労働法案(田邊誠君外六名提出、衆法第一
 七号)
 最低賃金法案(田邊誠君外六名提出、衆法第一
 八号)
 国有林労働者の雇用の安定に関する法律案(川
 俣健二郎君外六名提出、衆法第一九号)
同月三日
 労働者災害補償保険法の一部改正に関する請願
 (赤松勇君紹介)(第二二六六号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第二三三〇号)
 同(山本幸一君紹介)(第二三三一号)
 療術の開業制度復活に関する請願(浅井美幸君
 紹介)(第二二六七号)
 同(大原亨君紹介)(第二二六八号)
 同(佐藤守良君紹介)(第二二六九号)
 同(宇田國榮君紹介)(第二三三八号)
 同(砂原格君紹介)(第二三三九号)
 同外一件(中川俊思君紹介)(第二三四〇号)
 同(安倍晋太郎君紹介)(第二三九二号)
 同外一件(内海清君紹介)(第二三九三号)
 同(小沢辰男君紹介)(第二三九四号)
 同(大石武一君紹介)(第二三九五号)
 同外一件(加藤陽三君紹介)(第二三九六号)
 同(澁谷直藏君紹介)(第二三九七号)
 同(床次徳二君紹介)(第二三九八号)
 同(中馬辰猪君紹介)(第二三九九号)
 同(藤本孝雄君紹介)(第二四〇〇号)
 同(箕輪登君紹介)(第二四〇一号)
 同(村上勇君紹介)(第二四〇二号)
 心臓病児者の医療等に関する請願(金子岩三君
 紹介)(第二二七〇号)
 同(中村寅太君紹介)(第二二七一号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第二二七二号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第二三三三号)
 同(小山省二君紹介)(第二三三四号)
 同(川端文夫君紹介)(第二三三五号)
 同(河野洋平君紹介)(第二三三六号)
 同(進藤一馬君紹介)(第二三三七号)
 同(西岡武夫君紹介)(第二三九一号)
 日雇労働者健康保険の改悪反対等に関する請願
 (藤田高敏君紹介)(第二二七三号)
 同(勝澤芳雄君紹介)(第二四〇七号)
 同外十二件(川端文夫君紹介)(第二四〇八
 号)
 同(高田富之君紹介)(第二四〇九号)
 優生保護法の一部改正に関する請願外四十四件
 (上村千一郎君紹介)(第二二七四号)
 同外五十四件(上林山榮吉君紹介)(第二二七
 五号)
 同外七百二十六件(早川崇君紹介)(第二二七
 六号)
 同(赤澤正道君紹介)(第二三四五号)
 同外一件(木野晴夫君紹介)(第二三四六号)
 同外六百十七件(塩崎潤君紹介)(第二三四七
 号)
 同外百八十五件(田中六助君紹介)(第二三四
 八号)
 同外一件(三木武夫君紹介)(第二三四九号)
 同外百六十七件(上村千一郎君紹介)(第二四
 一五号)
 同外五十三件(小沢辰男君紹介)(第二四一六
 号)
 同外七十件(大野市郎君紹介)(第二四一七
 号)
 同外六十六件(熊谷義雄君紹介)(第二四一八
 号)
 看護婦不足対策等に関する請願(寺前巖君紹
 介)(第二二七七号)
 同(阿部助哉君紹介)(第二三二三号)
 同(黒田寿男君紹介)(第二三二四号)
 同(田代文久君紹介)(第二三二五号)
 同(津川武一君紹介)(第二三二六号)
 同(林百郎君紹介)(第二三二七号)
 同(門司亮君紹介)(第二三二八号)
 同(土橋一吉君紹介)(第二四一〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第二四一一号)
 同(古川喜一君紹介)(第二四一二号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第二四一三号)
 同(山口鶴男君紹介)(第二四一四号)
 未認可保育所の助成等に関する請願(石橋政嗣
 君紹介)(第二三二九号)
 労働災害以外によるせき髄損傷障害者の援護に
 関する請願(石橋政嗣君紹介)(第二三三二
 号)
 労働者災害補償保険法改正に関する請願外一件
 (河野洋平君紹介)(第二三四一号)
 同(曽祢益君紹介)(第二三四二号)
 同(勝澤芳雄君紹介)(第二四〇四号)
 同外三件(川端文夫君紹介)(第二四〇五号)
 同(高田富之君紹介)(第二四〇六号)
 衛生検査技師法の一部改正に関する請願(竹本
 孫一君紹介)(第二三四三号)
 同(勝澤芳雄君紹介)(第二四〇三号)
 管理理容師、美容師制度の改善に関する請願(
 山本政弘君紹介)(第二三四四号)
同月六日
 看護婦不足対策等に関する請願(山口鶴男君紹
 介)(第二四五七号)
 同(田代文久君紹介)(第二四五八号)
 同(後藤俊男君紹介)(第二五七九号)
 同(木島喜兵衛君紹介)(第二六五五号)
 同(西宮弘君紹介)(第二六五六号)
 労働者災害補償保険法改正に関する請願(中澤
 茂一君紹介)(第二四五九号)
 同(畑和君紹介)(第二四六〇号)
 同(後藤俊男君紹介)(第二五七七号)
 同(山本政弘君紹介)(第二五七八号)
 同外八件(唐沢俊二郎君紹介)(第二六四八
 号)
 同外五件(川端文夫君紹介)(第二六四九号)
 同(西宮弘君紹介)(第二六五〇号)
 日雇労働者健康保険の改悪反対等に関する請願
 (畑和君紹介)(第二四六一号)
 同(後藤俊男君紹介)(第二五八〇号)
 同(山本政弘君紹介)(第二五八一号)
 同(金丸徳重君紹介)(第二六五一号)
 同外五件(川端文夫君紹介)(第二六五二号)
 同(後藤俊男君紹介)(第二六五三号)
 同(西宮弘君紹介)(第二六五四号)
 心臓病児者の医療等に関する請願(中村弘海君
 紹介)(第二四六二号)
 同(藤尾正行君紹介)(第二四六三号)
 同(松本忠助君紹介)(第二四六四号)
 同(廣瀬正雄君紹介)(第二五七五号)
 同(山崎平八郎君紹介)(第二五七六号)
 同(合沢栄君紹介)(第二六四三号)
 同(川村継義君紹介)(第二六四四号)
 同(田中恒利君紹介)(第二六四五号)
 同(長谷川四郎君紹介)(第二六四六号)
 同(和田春生君紹介)(第二六四七号)
 療術の開業制度復活に関する請願(内海英男君
 紹介)(第二四六五号)
 同(大竹太郎君紹介)(第二四六六号)
 同(高橋清一郎君紹介)(第二四六七号)
 同外一件(永山忠則君紹介)(第二四六八号)
 同外二件(松野幸泰君紹介)(第二四六九号)
 同外一件(瀬戸山三男君紹介)(第二五七〇
 号)
 同(田中龍夫君紹介)(第二五七一号)
 同(中島茂喜君紹介)(第二五七二号)
 同(藤本孝雄君紹介)(第二五七三号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第二五七四号)
 同(池田清志君紹介)(第二六三一号)
 同外一件(受田新吉君紹介)(第二六三二号)
 同(遠藤三郎君紹介)(第二六三三号)
 同(川村継義君紹介)(第二六三四号)
 同(櫻内義雄君紹介)(第二六三五号)
 同(西村榮一君紹介)(第二六三六号)
 衛生検査技師法の一部改正に関する請願(松野
 幸泰君紹介)(第二四七〇号)
 優生保護法の一部改正に関する請願(保利茂君
 紹介)(第二四七一号)
 同外二十四件(松浦周太郎君紹介)(第二四七
 二号)
 同外十一件(藤枝泉介君紹介)(第二四七三
 号)
 同(菊池義郎君紹介)(第二五六七号)
 同外百八件(河本敏夫君紹介)(第二五六八
 号)
 同外十一件(八木徹雄君紹介)(第二五六九
 号)
 同(足立篤郎君紹介)(第二六四一号)
 同外百二十八件(松澤雄藏君紹介)(第二六四
 二号)
 保母の処遇改善に関する請願(石井光次郎君紹
 介)(第二五五〇号)
 同(植木庚子郎君紹介)(第二五五一号)
 同(江藤隆美君紹介)(第二五五二号)
 同(大坪保雄君紹介)(第二五五三号)
 同(久保田円次君紹介)(第二五五四号)
 同(藏内修治君紹介)(第二五五五号)
 同(園田直君紹介)(第二五五六号)
 同(田中六助君紹介)(第二五五七号)
 同(中野四郎君紹介)(第二五五八号)
 同外六件(西岡武夫君紹介)(第二五五九号)
 同(福永一臣君紹介)(第二五六〇号)
 同(古川丈吉君紹介)(第二五六一号)
 同(細田吉藏君紹介)(第二五六二号)
 同(増田甲子七君紹介)(第二五六三号)
 同外六件(益谷秀次君紹介)(第二五六四号)
 同外五件(森山欽司君紹介)(第二五六五号)
 同(山下元利君紹介)(第二五六六号)
 同(奥野誠亮君紹介)(第二六三七号)
 同(河野洋平君紹介)(第二六三八号)
 同(進藤一馬君紹介)(第二六三九号)
 同(砂田重民君紹介)(第二六四〇号)
 山村僻地の医療保健対策強化に関する請願(田
 中龍夫君紹介)(第二六三〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第四九号)
 家内労働法案(内閣提出第八号)
 駐留軍労働者の雇用の安定に関する法律案(島
 本虎三君外六名提出、衆法第一号)
     ――――◇―――――
#2
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、その審査を進めます。
 なお、本日は中小企業退職金共済事業団理事、大竹政男君に参考人として御出席いただいております。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。小此木彦三郎君。
#3
○小此木委員 この制度が制定されましたのは、昭和三十四年と聞いておるのでございますけれども、十年前といまとでは、もちろん労働、経済情勢も変わっておりますし、あるいはまた、中小企業経営そのもののあり方もかなりきびしさを加えておるのでございますが、この制度を制定したところの意図とかあるいはいきさつにつきまして、新しい私に詳しく説明をしていただきたいと思います。(「大臣はどうした」と呼ぶ者あり)
#4
○倉成委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#5
○倉成委員長 速記を始めて。
#6
○松永政府委員 ただいまの小此木先生の御質問でございますが、法律制定はいまから十年前にあたりまして……(「委員長の許可なしに発言するやつがいるか」と呼ぶ者あり)御指名をいただきましたので……。
#7
○倉成委員長 委員長は発言を許可しております。
#8
○松永政府委員 ちょうど十年前のことでございますが、そのころにおきまして、大企業と中小企業の格差というものは相当大きゅうございました。政府の中小企業の施策におきましても、あらゆる面におきましてこの格差をできるだけ解消していくということが中小企業対策の眼目になっておったと思うのでございます。労働面だけに着目をいたしましても、賃金格差等が相当大きくあったわけでございますが、特に退職金につきましては、大規模事業場は、もうほとんど全部の事業場が退職金制度を設けておるにもかかわらず、中小企業におきましては、退職金制度を持っていないものがあるというような実情にありました。そうして、ちょうどいま問題になっております人手不足もだんだんと進行をしてまいりまして、もうそのころからすでに若年労働力を中心に中小企業では求人難というような問題がありましたので、労働の面からいたしまして、大企業との格差をできるだけ埋めるという角度から、退職金制度を独自で持ち得ない中小企業に対しまして、政府がこのような共済制度をつくりまして、そうして補助金も出し、援助をいたしまして、中小企業の比較的財政能力のない方々もこれに加入できる、そして、労働者の人たちが退職したときに退職金をもらえるという制度を発足せしめたのが当時の事情でございます。
#9
○小此木委員 いまこの制度の目的あるいは役割りが、大企業との退職金における格差の是正、あるいはこれを埋めることであるということでございますけれども、この制度ができたことによって、その後十年間にどういう効果があったのか、あるいはまた効果がありつつあるのか、それを具体的に数字をもって御説明願いたいと思います。
#10
○松永政府委員 ただいまのような目的で設置をいたしたわけでございますが、その制度発足以来、事業場数におきまして、毎年約一万の事業所が加入をしてまいってきております。結局、四十四年末までにおきまして、加入者の累計が十三万六千企業ということに相なります。そして、その間にまた脱退をした企業も二万三千ございますので、差し引き現在十一万三千の企業がこれに加入をしておるという現状でございます。
 それから、従業員につきましては、大体年間におきまして二十四、五万ずつぐらい、平均をいたしますと入ってきております。現在まで入ってまいりました従業員の数が二百五十八万三千人ということになっております。この間脱退者等もございますので、現在在籍の従業員が百五十四万二千人というような現状でございます。この加入状況が、われわれから見まして、できるだけこの制度が普及されるという観点から見ますと、まだまだ満足すべきものではございませんけれども、当初、法制定の際にねらいました、こういう制度があることが非常に中小企業にとって必要であるということは、この加入の状況を見ましてもわかるのではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、計数的にどれくらいの効果があったかという点につきましては、非常にむずかしい問題でございますが、加入状況等から見ますと、制度に賛成をしてこれを利用しようとする中小企業がこのような数であるということが言えると思います。
#11
○小此木委員 ついでにちょっと伺いますが、いまの国全体の中小企業の数、それから従業員の数をお知らせ願いたい。
#12
○松永政府委員 先生御承知のように、この法律におきましては、製造業等におきましては三百人以下、それから商業、サービス業、金融、保険等におきましては五十人以下、これをこの法律は対象にいたしておるわけでございます。そこで、そういう基準から見まして、大体、日本の中小企業、これに該当するような企業ないし従業員がどれくらいおるかということでございますが、総理府で事業所センサスをやっておりますので、それを利用いたしまして推計をいたしますと、大体これの対象になる企業数が約百五十万ぐらいあるのではなかろうか。労働者数で千百万ほどおるのではなかろうかというような推計ができます。
#13
○小此木委員 いまのは全体でなしに、この制度に加入する対象としての数でございますね。そうしますと、対象の中の現在における割合と申しますか、加入者の割合ですね。と同時に、それがどういう形でもって伸びてきているか、それをちょっとお答え願いたい。
#14
○松永政府委員 いま申し上げました数字を分母といたしますと、現在この制度に加入しておりますものが、その対象件数との比率におきまして、従業員数が一三%――一二・八というような数字が出ております。
 それから、伸び方でございますけれども、先ほど申し上げましたような趣旨で、退職金制度を持たないような企業が入るというようなことでございますので、法律で定められました対象規模の中で非常に中小零細の方々がお入りになるというのが現状でございまして、加入の伸びもそのような、たとえば二十人未満の企業というようなところが伸びてまいっております。
#15
○小此木委員 いま御答弁の中小企業の業種、業態、あるいは大中小、そういうことによっておのおの加入率というものが当然あるわけですね。その調査の結果をちょっと数字をお知らせ願いたい。
#16
○松永政府委員 規模別の加入の状況をまず申し上げます。企業の数でまいりますと、一人から四人、これが三〇・六%、加入者総数の中の比率でございます。五人から九人が二七・一%、十人から十九人が二三%、その他規模がございますが、このようなところに非常に集中しているというのが規模別の状況でございます。
 それから、業種別といいますか、産業別の加入の状況でございますが、これは製造業が圧倒的に多うございまして、便宜共済契約者の数で申し上げます。従業員数で言いますとまたちょっと違ってまいりますが、企業の数で申し上げますと、製造業が四七・九%、商業が三一・六%、これ合わせまして約八〇%でございます。それから、従業員数で申しますと、最も製造業が多うございまして、製造業が六三・三%、過半数が製造業、こういう状況でございます。
#17
○小此木委員 そうすると、最初に戻りまして、いわゆる退職金というものについて、大企業と中小企業というものは実際問題としてどのくらいの格差があるのか、と同時に、今回の改正によってそれが是正できるのか、さらに、具体的にこの制度に加入した場合にどの程度の退職金をもらえるのか、それを大企業と比較して、あるいは極端に数字的に、この三点をひとつお答え願いたい。
#18
○松永政府委員 ただいまおっしゃいました点で、第一点の大企業、中小企業の格差がどのくらいかということでございますが、傾向といたしましては、まず賃金について見ますと、賃金については規模別格差が逐年縮小してきているという大きな傾向がございます。さらに、その中身に入って見てみますと、全体としては格差が縮小の傾向でございますけれども、年齢別の賃金あるいは勤続年数別というようなもので見ますと、これも傾向でございますけれども、大企業と中小企業において、初任給等においては比較的格差が少ない。これは労働力不足、特に学卒者不足というような面からそういう事情が反映していると思いますが、格差が比較的少のうございますけれども、勤続年数が長くなりますと、大企業と中小企業との格差が大きくなるというのが現状のように論ぜられましたいろいろな統計資料がございます。四十三年の労働省でやっております賃金労働時間総合調査というようなものにも、そのような傾向があらわれておりまして、たとえば初任給では大体同じでございますが、勤続十年になりますというと、たとえば大企業で六万円という給料が、中小企業では四万九千円くらいになっておる、あるいはさらに長期になりまして、三十年勤続になりますというと、大企業では九万円であるけれども、中小企業では五万六千円というように、勤続年数が長いほど格差が開いているということでございます。
 それからもう一つは、退職金でございますが、退職金の統計というものが非常に少のうございまして、ずばりそのものの資料があまりないのでございますが、たとえば労働省でやっております労働費用調査というのがございます。これは現金給与総額に対して退職金をどれくらい払っておるかという比率でございますが、たとえば大企業では給与総額に対して退職金の比率が三・五%である、中小企業では一・九%といったように、この給与ベースも開きがありますけれども、それに対する退職金の比率も、中小企業のほうが低いということが統計上出ております。実額におきましても、賃金と同じように、大企業と中小企業との間に退職金の実額も格差がある。これは部分的な資料でございますけれども、そういう資料がございます。
 そこで、このたびこの法律改正によりましてどの程度これが改善できるかということでございますが、御提案申し上げておりますように、退職金の掛け金を二百円から二千円までというものを、四百円から四千円まで引き上げるというのが内容になっております。
 それから、それに応じまして、国庫補助金も従来は二百円部分にしかつけなかったのを四百円部分につけよう、こういうことになっておりますので、その分だけ退職金の給付がふえてくるということに相なります。
 そこで、この法律を改正をいたしました後におきまして、たとえば千人以上の大企業でやっておる退職金並みにやるとしたらどれくらいの掛け金が要るかというようなことを見てみますというと、大体大企業並みに払うといたしました場合に、十年勤続者で大企業の退職金と同じ程度の支払いができるようにするとしますと、毎月二千円の掛け金をしていくということになりますと大体大企業の十年勤続並みの退職金が出る。二十年になりますと大企業のカーブがぐっと上がりますので、掛け金におきましても二千六百円くらいの掛け金をしていただかないと、二十年勤続の者が大企業並みの退職金はもらえないというようなことに相なります。ただ、中小企業でございますから、ほかの退職金制度を持っておる中小企業と比較いたしますと、それよりは少ない掛け金で独自の退職金制度を持っているものとのバランスがとれるということになるかと存じます。
#19
○小此木委員 そうしますと、中小企業の従業員が掛け金負担を希望するというような場合、それを許すのかどうか、また、そのほうが有利な場合があり得るのかどうかということをちょっと聞きたいと思います。
#20
○松永政府委員 白紙でものを考えまして、新しい制度をつくろうという場合に、先生のおっしゃいましたような、たとえば事業主も拠出するけれども、従業員も拠出するというような制度はあり得ると思うのでございます。ただ、この制度におきましては、先ほど申し上げましたように、世間では、退職金制度というものを独自では持てない零細企業がある、それに世間並みの退職金制度を持てるようにしてあげたい、こういうことでございますので、一応右へならえをする目標が一般の退職金制度、こうなるわけでございます。そうなりますと、現在の日本の企業におきましては、全部の企業が、退職金というものは事業主の負担で一定の基準でやめたときに従業員に払ってやる、こうなるわけでございますので、この制度におきましても、拠出は事業主だ、こういうたてまえをとっておりますが、将来、長いといいますか、いろいろな制度のかみ合わせで、どういう制度が、たとえば社会保障との関連等も考えました場合に、おっしゃるようなものが、これは検討すべき一つの問題ではあろうかと思います。その制度についてどうかとおっしゃいますというと、いま申し上げたようなことで、従業員負担というものは考えないというたてまえになっております。
#21
○小此木委員 この問題は、一番最後にあらためて大臣にお聞きするのですが、率直に言って、われわれの感じでは、もっとこの制度が伸びていいのじゃないかというような感じを持つわけです。ところが、数字的にはそれほど伸びていない。何か当局が考えて、この制度に弱点というか、懸念される点というか、言いかえればもっとたくさん入れるような考え方、そういうものが当局にあるかどうか、私はあるべきだと思うのですが、ひとつその点をお答え願いたい。
#22
○松永政府委員 確かに、私どもも現在退職金制度を持たない、特に零細企業というものを考えますというと、この制度の恩恵といいますかをもっと利用する体制になっていいのではなかろうか。まだまだわれわれの努力が足りないというふうに考えておりますが、一つは、やはり私ども今後努力しなければならない点は、PRの方法なりあるいはPRの量をもっとふやさなければいかぬのじゃないかということでございます。たとえば、一般の生命保険とか、企業年金というようなものは、保険会社や信託銀行等が扱っておりまして、そうしてこれが商売でございますので、非常にうまい宣伝をするわけでございます。私どももやはり制度を普及するという意味におきましては、現在事業団が担当いたしておりますけれども、事業団と協力をいたしまして、PR活動、加入促進、宣伝ということをもっともっとやらなければいかぬというふうに考えます。
 それからもう一つは、これは制度の基本的な問題になるわけでございますが、私どもの制度におきましては、短期の勤続者よりは長期の勤続者を優遇するというたてまえにして、この退職金のカーブをつくっておるわけでございます。そういう面で比較をいたしますと、短期のものでは保険会社とか企業年金とかいうようなものに比べますとやや不利である。しかし、長期になりますと、圧倒的にこちらが有利であるという特徴を持っておりますが、中小企業におきまして、やはり従業員の定着というような面から考えますと、長期というのをどの程度の長期を優遇するかという問題はあるわけでございますけれども、基本方針としては、やはりできるだけ長期の人を優遇するという方向でやっていきたい。ただ、それが十年がいいのか、十五年がいいのか、二十年がいいのか、そういうのは、具体的な実情の変化によりましていろいろ考えなければならぬと思っておりますが、基本線はそう考えております。そうなりますと、短期で比較をすると、比較的どうも不利じゃないかというような、まだPR不足の面がございます。長期に勤続すると、こんなに有利だという点の宣伝、これも負けずにやらなければならぬというふうに考えております。
#23
○小此木委員 確かに民間のほうのそれと比較しますと、一長一短ある。長期がどう、短期がどうだということもありますけれども、やはり公平に見てそんなに遜色がないと思うのです。ということは、要はPRの不足であるし、同時に、普及する面において何か足らざるところがあるのじゃないか、これをますます普及するように努力していただきたい。と同時に、今後この加入者の増加と申しますか、加入率の引き上げと申しますか、さしあたってどのくらいに目標を置いておられるのか、この点ちょっとお伺いいたしたいと思います。
#24
○松永政府委員 さしあたり、私どもといたしましては、三つの種類の退職金制度が現在ございますが、一般のものと建設業、それから清酒製造業、それを合わせまして、全体で一年間の加入者目標として五十万人の従業員をこれに入れていきたいということを当面の目標にいたしまして、加入促進をはかってまいりたいというふうに考えております。
#25
○小此木委員 時間が限られておりますので、最後に大臣にお聞きしたいと思うのですが、私の個人的の考えでは、税法上、退職給与引き当て金制度ですか、そういうものが認められておる。確かに認められてはおりますけれども、中小企業の中で、これを単に帳簿上の引き当てだけにとどめて、実際積み立てを行なっておる中小企業というのは相当優秀な企業にとどめられるのじゃないか。上からあるいは下からの圧迫によって、いまの中小企業が近代化を促進する、あるいはいろいろな意味で新しい仕事を開拓していかなければならない、そういうときに積み立てをしなければならないというような制度、そういう苦しんでいる中小企業が、退職金を出すときにそれをやればいいんだというようなことをしている企業がかなりあるのじゃないかと思うのです。ですから、それだけに、そういうことが門戸を閉ざしていて、これを広げるという形にどうしてもならないということを私は懸念するわけです。私の懸念だけならいいですけれども、そういうことがこの制度を、さっき言った別の意味で普及することをさせていないということになれば、もっともっと具体的な方策を進めていかなければならないのじゃないか、この点ひとつ大臣のお考えを聞きたいと思います。
#26
○野原国務大臣 御指摘のように、中小企業においては、経理上の問題で、そのつどこれを計上しておるというふうなことはできないところもあると思いますが、しかし、これからの企業というものは、やはり経営の近代化、合理化を進めていって、年間の経理において、経理上これは、もう御承知のとおり、すべて掛け金というものは無税になっておりますから、企業としてもそのことを計上することがもちろん企業の発展になるわけですから、そういう面で企業者の御理解を願って、従業員の雇用の安定を進めていく、そのためにはこの制度に入ることが最も有利であるということが十分理解されますれば、これはほとんどの企業が率先して加入をいただけるというふうに確信しておりますけれども、それに対しましては十分なPRを必要とします。もっと具体的に、実は国家としましても、これに対する奨励の対策を講ずる必要があると考えておりますが、いずれにしましても、中小企業退職金共済法は、中小企業の困難な問題をこれから安定して進めていく非常に大きな力になると思っておりますので、この制度をできるだけ育てるように、率先してひとつ中小企業の人たちにも呼びかけて御理解をいただいていきたいと考えております。
#27
○小此木委員 まあ、こういう懸念をする私のほうにも別にいい考えがあるわけじゃございませんけれども、もちろん、当局者といたしましても、また私どもといたしましても、この制度の目的というものを尊重して、よりよい方向に徐々に改善していくということが一番いいことだと思うのです。そのためには、今後補助率の引き上げと申しますか、あるいはまた、先ほどの、私はこういう点が心配なんだというようなことをなくして、ますます普及していただきますよう希望して質問を終わります。
#28
○倉成委員長 川俣健二郎君。
#29
○川俣委員 前の小此木理事の質疑応答とダブると思いますけれども、いま少し教えていただきたい問題がありますから……。
 私は、この法律制度は非常にりっぱというか、いいものだと思います、平易なことばで言うと。ところが、あまりにも知らない人が多過ぎる。しかも、一番これに加入すべきであろう対象人口の人方が知らなさ過ぎる。そして、知っていながら入りたがらないという人が多過ぎる。これは社労委員に、自民党、社会党を問わずある程度責任があると思います。したがって、この法律について、私たちが理解させるのが足りないのか、それとも、入るほうから見ると、あんまりうまいものじゃないのか、あるいはほかにもっとうまい制度があるのか、こういった疑問を勉強すれば勉強するほど感ずるわけです。したがって私は、いま少し初歩の段階に入りながら、退職金というものに焦点を合わせて、主として局長と質疑応答したいと思うのですが、退職金とはという一般通念をどのように局長は考えておられるのですか。
#30
○松永政府委員 御質問の趣旨がどの辺にあるか、あるいは完全に理解できません面があるかと存じますが、退職金というものは、世界各国いろいろな面で見ますと、日本におきましては、非常にそれに重点が置かれておる制度ではなかろうかと思います。外国の場合におきましては、賃率設定等をいたしまして、職務に応ずる賃金ということで賃金が支払われ、そして、たとえば六十五歳なり七十歳の定年ということになりますと社会保障によるというような、一つの体制といいますか、そういうものができておるわけでございますが、わが国の場合におきましては、もちろん賃金は非常に重要でございますけれども、同時に、慣行といたしまして、労働者が退職をいたします際に、各企業がそれに対して何がしかのまとまった金を退職金として支払いをするということが慣行化されてきておるわけでございます。その意味におきましては、その他の労働条件、いろいろございますけれども、それと比べまして、労働者の生活面から見ますと、賃金本大事だけれども、退職金も大事であるというのが、労使が考えておる考え方だと思うわけでございます。
 そういう意味におきましては、将来の社会を観望いたしますと、社会保障制度との関係がどうなるかという問題、賃金と退職金というのは一体どうあるべきか、ボーナスも合わせまして、給与というものはどうあるべきかという問題がございますけれども、現状におきましては、退職金のウエートというものはやはり相当大きい。そうなりますと、それを持たないような中小企業では、特にこの人手不足ではなかなか労働力の確保はむずかしい。そこでこの制度を発足して運用する、こういうふうなことになるのではないかと思います。
#31
○川俣委員 退職金というのは、賃金が安かったので、賃金のあと払いか、それとも、企業側から見て論功行賞的なものか、あるいは社会全体の責任における社会福祉的なものか、こういう論争は、きわめてそこにイデオロギーが入ったりなんかするきらいがあるので、これは思想の一致は見ないと思うのですが、ただ、局長は、老後の生活安定のため退職金が老後の生活に寄与する、こういうことは望ましいと思うし、そうあるべきだと思われるが、いかがですか。
#32
○松永政府委員 現状におきましては、もうおっしゃるとおり退職金というものが労働者の老後の生活をささえる非常に大きな力になっていると思います。もちろん、厚生年金等の社会保険がございますけれども、現在の厚生年金で生活を維持している者はないわけでございますし、それからまた、現実に日本の定年制というような問題からいたしますと、大体五十五歳というものが非常に数が多い。そうなりますと、その後また働くというようなことになりますので、老後ということを幾つぐらいからというふうに考えるかという問題でございますけれども、現実のウエートとしては、退職金のウエートは相当大きい、そして、それがその生活をささえるためにますますいいものであることが必要であると思うのでありますが、さらに長期に考えますと、このような形がほんとうに望ましいかどうか、そうして社会保障との関連をどうするか、具体的には、やはり私は、長期的な観点からは、社会保障を充実するという方向が一番の根っこでありまして、その充実の度合いというものとの関連で、じゃどういうふうに考えていくべきだろうかということになると思うのでありますが、ここ当分といいますかにおいて、退職金というものは非常に重要であり、そしてそれが充実することが望ましいということは、御指摘のとおりに考えております。
#33
○川俣委員 一般論はそのぐらいにして制度にだんだん入っていきますが、前の先輩方がこの制度をつくる――三十四年からの制度化でしょうが、局長は労働行政にずっと携わってこられた方でございましょうから伺いたいのですが、いつごろからこう検討されてきたのか、そして、そのねらいというか、政治的な背景というか、これは通産省もかなり関係のある制度だと思います、育成強化という意味から。これは労働省はもちろん中心になるべきです。それから金を事業団に携わらせる関係上――何しろなけなしの金を集めてそれを運用するのですから、大蔵省もこれは責任を持つものでありますので、そういったところを考えますと、少し、十年前のねらいというか、そして、できればついでですから十年後の結果をこの程度に予想したのか。その辺、これは予想ですからはずれる場合も当然ありますから、それは率直にお伺いしたいのですが……。
#34
○松永政府委員 ちょうど十年前でございますので、思い出してみますと、そのころまでのわれわれ労働行政に携わっております者の一番大きな関心というものは、日本の経済でもいわゆる二重構造ということがいわれましたが、労働面でも非常に二重構造的な色彩が強い。その一番端的な問題といたしまして、大企業と中小企業の格差が大きい。これは労働省で毎年労働事情を検討いたしまして労働白書というものを出しております。そういう白書をつくります際の議論におきましても、二重構造をいかに改善するかということが非常な重点であったわけでございます。その際に、それまで着目しておりましたのは主として賃金、賃金の面における格差ということが問題意識にのぼっておったのでございますが、この制度を制定する数年前から、議論といたしましては、賃金もさることながら、やめたときの退職金の格差がどうだろうというようなことで、われわれの記憶といたしましては、退職金格差のほうがもっと大きい、制度すらないところがあるというような問題意識を持ったのが起点でございまして、そして、国が手を差し伸べてこのギャップをできるだけ埋めるような制度をつくろうではないかということで発足をいたしたというふうに記憶いたしております。
 さらにこれから十年先どうなるかということでございますが、たいへんむずかしい御質問でございまして、私も自信はございませんが、一つには、やはり社会保障がもっともっと充実するだろうと思います。それからもう二つは、企業独自の退職金制度を持つものないし現在持っておるものが、さらにその内容を充実していくということになるのではなかろうかというふうに思われます。したがって、国が補助金を出し、そして援助をいたしましてこの退職金共済制度というものを運用するのは、やはりほんとうの零細規模の事業所の方々のお役に立つという色彩が、もっともっと強くなってくるのではなかろうかというふうに考えられます。現実に、先ほども申し上げましたように、零細規模の加入者が非常に多いということが、やはり将来の姿としてもむしろ強くなり、そのまま存続していくのではないかというふうに思います。
#35
○川俣委員 それでは、さらに具体的に、いま何人くらい――累計ではなくて現在何人くらいの加入者で、それが対象者の何%くらいに当たっておるか。私は私なりに調べていますから、一応局長の……。
#36
○松永政府委員 この業務統計が出ておりますので、それで申しますと、昭和四十四年十二月末現在におきますものは、企業で加入者が十一万三千でございます。それから従業員で百五十四万人という現状でございます。
 対象者に対してどれくらいかということでございますが、先ほど申し上げましたその対象にしている三百人、五十人ということで全体の数がどれくらいか、これは推計をいたしまして比率を出しますと、従業員数で一二・八くらい、一三%くらいという比率に相なるかと存じます。
#37
○川俣委員 この制度をつくる際と、それから、三十六年に一年半の経過を振り返りながら一部改正があったわけですね。その会議録をひもといてみますと、わが社会党の委員のほうから、やはり非常にいい制度なんだが、問題は運営なんだということで、ときの政府委員が冨樫政府委員になっておりますから、いま事業団の理事長でございます。その際に、十年後というとちょうどいまなんですよ。その予想をお互いにしたら、冨樫政府委員のいわくには、昭和四十四、五年は三百四十万人ぐらいになる、自信を持って私たちは事業団に運営に当たらせたい。こういうことを考えますと、非常に残念ながら、社会党の議員のほうの予想が当たってしまっているんですよ。これはやはり、当たったことがよかったということじゃなくて、お互い責任があるわけですから。
 そこで、一体なぜこう加入者がなかなか思うようにいかないのか、それとも、知っていながら入りたがらないのか、そういったところをどのように考えておられますか。
#38
○松永政府委員 先ほども小此木先生にお答え申し上げましたように、やはり制度の周知徹底といいますか、PR面がまだ努力が足りないということを私ども痛感いたしております。現実には、まず方針といたしまして、中小企業退職金共済事業団というものは東京だけに事務所を持っております。そして、そこに職員がおるわけでございますが、地方におきましては、銀行あるいは商工中金の支店といったような金融機関が、委託を受けまして業務をやっております。銀行の窓口でお金を払い込めば、それが掛け金を事業団に納めたことになるというようなシステムをとっております。PRをやります際に、労働行政の機構が、各府県に労働部がございますので、そういう各府県にお願いをいたしまして、この制度の普及、徹底ということを毎年努力をいたしており、国からもそのPR費用を府県に補助金として差し上げるというようなことでございますが、さらに事業団本部におきましても、PRの経費を計上いたしまして、そうしてみずからこのポスター、リーフレット、パンフレットといったような種類のものもつくりますし、それから加入促進のために行脚をするというようなことで努力をいたしております。それとあわせまして、商工会議所等の関係の中小企業を会員に持っておられる団体の方々も、中小企業従業員の福祉のためということで、たいへん積極的に御協力を願っておりまして、事業団とタイアップをいたしまして加入促進に当たっていただいております。それから、先ほど申し上げました金融機関の出先の窓口におきましてもこれをやっていただくというようなことでいたしておるのでございますけれども、まだまだ、先生御指摘になりましたように、この対象になる規模の企業なり企業主なりあるいは従業員の方々でこの制度を知らないという方が相当ございまして、私ども現実にそういう方にお会いをして、こういう制度があるんだ、それじゃおれのところも入ろうかというようなことがございましたので、やはりPRを今後とも積極的にやっていくということが非常に必要だと思います。
 同時に、制度といたしましては、これも先ほども申し上げましたけれども、短期の勤続者の方が比較的有利でない。労働異動率も相当高いわけでございますので、そういう意味では短期に有利のほうが取っかかりといいますか加入はしやすい。ただし、中小企業の労働対策という面、中小企業振興ということから考えますと、やはりこの制度が、安心してそこで働くということに寄与する、勤続して働くということに寄与するという面も無視できませんので、そういう意味におきましては、長期勤続が有利なんだという点を力を入れて積極的にPRをするということが必要ではなかろうかと存じます。御指摘のごとく、まだまだ開拓の余地が十分にあるというふうに私ども認識をいたしております。
#39
○川俣委員 要因の一つとしてPR不足ということがあげられていますけれども、やはりある程度PRの費用は必要ですから、労政局労政課でやはりある程度援助金を出さないとならないでしょう。一体年間どのくらいの金をやっているものなのか。
#40
○松永政府委員 そう大きな金ではございませんので、この予算獲得も今後努力をいたさなければならぬと思いますが、国から都道府県に回っております金が約九百万円でございます。九百十三万一千円というのが広報費用になっております。
#41
○川俣委員 そうしますと、各府県が一年間に二十万円くらいなんですね。これで少しPRしてくれといっても、なかなかその辺にもガンがあるということを指摘しておきます。
 それからもう一つは、やはり中小企業育成強化舞うのが底流にある制度でありましょうから、一つは、やはり中小企業にうまいものだということ、かけた金は再びわれわれのあれに還元されて生きるのだということも考えなければならぬ。この点、どうもそういったところが金額的に見るとない。そこで、そこまでいく前に、中小企業の事業主が知っていながら労働者が知らない、こういうことが非常に多いのですが、これは御承知ですか。こういうことがあるということを知らされていないということです。
#42
○松永政府委員 そういう面も多分にあるかと思います。
#43
○川俣委員 そうなってみますと、政府が、特にわれわれが、非常にりっぱなものであるからひとつこれに加入せよということで、たたき売りじゃありませんが、PRにこれつとめる。ところが、中小企業の事業主が、十分に知っていながら――労働者が知っておれば労働者はないより当然いいわけですから、親方入ってくださいよということになる。ところが、知らされていないというところに一つの問題があるということです。
 それから、ついでですから、先ほど局長も触れられましたメリットの問題、何としてでもこれは考えなければならないと思うのです。一体どういうメリットがあるか。これは銀行に積み立てるよりメリットがあるのか、あるいはこの制度ができる前に積み立て金制度というのが非常にはやった、そういったものに引っぱられないか。それからかけた金が自分の企業にうまく還元されて運用されておるのか、そういったところ、少し金額的な面にぼつぼつ入っていきたいと思うのです。
#44
○松永政府委員 この制度におきましては、基本方針といたしまして、積み立て金の運用を、六分二厘五毛を予定運用利回りとして予定いたしておりまして、そうしてそれで全体の制度が組み立てられておるわけでございます。
 退職金の支給につきましては、先ほども申し上げましたように、短期よりは長期を優遇するということになっておりますが、具体的に申しますと、一番有利な時点になりますのが十年勤続の時点でございまして、その時点におきます利回りが八分六厘になっております。そしてその複利計算の八分六厘の利回りの上に国庫補助金がつく、こういうことになっておりますので、たとえば四百円掛け金をいたしまして、そうして十年勤続をしたときに、国庫補助金も含めましてどれだけの利回りになるかと申しますと、一〇・三%、一割以上の利回りになる、こういう結果になっております。この点は、その他の、たとえば生命保険なんかでやっております制度と比べますというと、相当有利なことになっております。生命保険の表等がございますが、具体的に比較をいたしましても、相当にこちらのほうが有利であるということは間違いなくいえると思います。
#45
○川俣委員 だんだん大事なところにこまかく入っていきますから、ひとつ説明員なども応援して答弁していただきたいのです。
 四百円について一〇・三%、これは四百円だけに対するメリットですか。五百円、六百円、四千円までそういうメリットがあるのかどうか。
#46
○松永政府委員 御提案申し上げておりますように、今度の改正におきましても、従来よりは国庫補助を二倍に増額するということでございますけれども、補助のやり方は、四百円部分について補助をする、こういうことになっておりますので、四百円で加入した者が、利回りからいけば一番有利だ、これは間違いのないところでございます。したがって、八・六%の利回りというのは、これは全部に共通をいたしますけれども、国庫補助を加えた場合の有利さというものは、四百円の分の掛け金の人が一番有利だ、こういうことになっております。
#47
○川俣委員 やはり、大臣もお聞きになっていただいて、その辺だと思うのですが、事業主のほうは、やはりそろばんを持たなければならない。ですから、四百円のところが非常にメリットがあるのだが、あとは、せっかく政府が四千円まで制度をつくってくれるのだが、四百円以上を納めるという場合は、むしろその金があとあと還元されて、企業の運営に当たる金であるということを――常に中小企業は、資金難でたいへんなんだから……。
 その資金の運用の面にぼつぼつ入っていきますが、こういった面は、一体十年かかってどれくらいの金が集まって、現在その金がどのように運用されておるか、ひとつお聞きしたい。
#48
○松永政府委員 資金の運用について御説明申し上げます前に、ただいまも御指摘になりましたとおりでございますけれども、たとえば四百円と千円を比較した場合に、国庫補助は四百円についてはまるまるつく、千円については四百円部分にしかつかない、そこで相対的に不利である、こうなるわけでございますが、その千円の例をとって、私どものほうで、たとえば保険会社でやっております生命保険と比べてみますと、二十年というので千円かけたらどうなるかといいますと、保険は、保険の返戻金のほかに配当金がございます。したがって、その配当も加えまして、そうして、もらった配当を五分五厘で複利で運用するというような計算をしてみますというと、生命保険の場合、二十年千円かけますと、三十一万二千五百八十円という数字が出ますが、この制度におきまして、千円二十年かけますと、五十五万二千五百円ということで、相当有利になっております。ただ、先ほど申し上げましたように、四百円分のほうが相対的に有利であるということは言えると思います。
 それから運用でございますが、中小企業退職金共済事業団で申し上げますと、現在までこの資金がどれくらいたまっておるかということでございますが、ことしの三月一日現在で見ますと、資産が五百九十三億四千九百万円ございます。そしてその運用は、約七割近くが金融債を購入をいたしております。この利回りが七分五厘でございます。それから約九%が政府保証債を購入をいたしております。それから約一割が資金運用部に預託をいたしております。それから約九%を、いわゆる還元融資等に回しております。これは九%ちょっと切れます。その他定期預金等の預け金に回します。
#49
○川俣委員 いまの答弁で二つありますが、五十五万二千何がしというのは、二十年でしょう。
#50
○松永政府委員 はい、そうです。
#51
○川俣委員 それから運用なんですが、七割が七分五厘で債券、一割が資金運用部で、あとの一割が還元融資、問題は、この辺だと思うんですよ。そうしますと、自分たちが十年間納めて積み立てた金が、約六百億のうちどこへ使われているかということですよ、簡単に言うと。そうでしょう。
 それからもう一つ、事業団としては、三井銀行を指定しているのですが、これは何かありますか。
#52
○松永政府委員 ただいま御指摘になりましたお金の運用でございますが、確かに加入した方が、払い込んだ金を還元融資に回してもらいたい、これは非常によくわかるのでございますが、一方におきまして、退職金支給の計算基礎といたしましては、六分二厘五毛に回しませんと、予定されましたものが支払えない、こういう問題があるわけでございます。その拠出していただきました金を、事業団の手によりまして、できるだけ高利に回転をいたしまして、そうしてそれを退職金の原資にあてる、こういうたてまえになっております。その一つの目標限界が六分二厘五毛ということになるわけでございます。したがって、退職金を受け取られる方の利益からいいますと、それだけの利回りを確実に取ることがまず前提でございまして、それを切りますと、この予定された退職金を払うと赤字になる、こういうことになってまいります。
 そこで、私どもといたしましては、確かにお金がたまりまして、そうして自分たちが拠出をした金だということでございますけれども、まず第一次的には、それを予定運用利回り以上にできるだけ回転をして、そうして給付の原資を確保するということが第一の目標になるわけでございます。
 それからもう一つは、その目的のために、できるだけ高利の金融債等を購入する。ところが、金融債等におきまして、購入したその先のお金がどうなるかということになりますと、商工中金等の金融債が大部分でございますので、これは中小企業の融資を目的にした金融機関でございますので、そこへそのお金が融資されていくということになりまして、利回りを確保すると同時に、そういう中小企業に対する金融機関に金が流れるようにするという考え方で金融債の購入に重点を置いている、こういうことでございます。
 それから、還元融資につきまして、今度はお金をお借りになるほうからいいますと、できるだけ低利で借りたい、こういうことになるわけでございます。たとえば失業保険のお金も、雇用促進事業団を通じまして中小企業金融に回しております。ところが、これは短期保険でございますので、利回りの確保という面が、そういう制約がございませんので、そこで低利で貸せる、こういうことになりますが、わがほうのお金になりますと、いま言ったような制約がありますので、できるだけ低利に、しかし、あまりマイナスにならぬようにというようなことになりまして、苦慮いたしておるのでございますが、そういう意味におきましては、この法律の条文にも安全かつ効率的な運用を妨げない範囲内で考える、こういう基本線が出ておりますし、私どもとしましてもまず予定利回りを確保するということと、それを害しない範囲内で還元融資をできるだけ努力する、こういうことをやっておりますので、御理解いただきたいと思います。
#53
○川俣委員 どうも、局長としてはそういうお考えになるのは当然でしょう。そつのない運用をやっております。それで、そういうところに難があると思うのですよ。商工中金けっこうだと思います。いまの答弁を簡単にまとめますと、六百億というのを中小企業は集めた、それを少し利益をふやすために、大企業のほうに回すとふえるので、そういう少しの利益でもって、そして補助をしてやろう、そういう考え方、みみっちい考え方に、中小企業がぱくつかない理由があるのですよ。それだったら中小企業の人方がためる金は別問題としましょう、毎年毎年一般予算から政府が事業団を含めて補助する制度、どのくらいありますか、それからお聞きしましょう。
#54
○松永政府委員 現在政府がこの中小企業退職金共済制度に支出しております補助金の総額は、九億四千八百万円でございます。一年間でございます。
#55
○川俣委員 九億四千八百万円のうち補助金にどのくらい回って、事業団にどのくらいかかっておるのか。
#56
○松永政府委員 この九億四千八百万円の内訳は、事業団の運用の事務費を全部国がめんどうを見るというたてまえになっておりますので、その額が八億三百四十二万円でございます。それから給付に対する補助金は一億四千四百五十八万円でございます。
#57
○川俣委員 大臣、その辺だと思うのですよ。九億ぐらいの国の金を使って、何のことはない、調べてみたら八億というのは四階建の事業団の世帯費なんですよ。冨樫理事長一家のです、そうでしょう。一億しか中小企業の補助に回ってないのですよ、そうじゃないですか。そういうところだと思うのですよ。大臣、その辺どういうふうに思いますか。
#58
○野原国務大臣 いろいろ伺っておりますと、まだまだくふうの余地があるように思います。農業の場合を申しますと、御承知のように農業近代化資金制度、系統の団体の集めた金を農業の近代化に使う、その際国が実は利子補給の制度を行ないまして、相当の金額の農業の近代化融資としてこれを活用さしております。この制度を始めましたのもやはり国の財政事情もなかなか楽でないし、一方においては系統団体等は相当の資金もある、これをいかにして活用するかという問題でいろいろ検討いたしました結果がそういうことになりまして、国並びに地方公共団体がある程度の利子補給をしていこう、この原資を、九分九厘くらいでありますが、そのうち三分を近代化資金で国並びに公共団体が持とうということで、末端の金利はこれを六分五厘にしておるわけでございます。しかも、これをだんだん拡充しまして、本年度のごときは利子補給は一部のものについては三分五厘の補給をする、したがって、末端の金利も六分のものにしておるわけであります。こういった農業の場合における――おのずから違うと思いますけれども、この手法は検討に値するのではないか。どうもいろいろ伺っておりますと、農業の面と比較にはならぬかもしれませんが、中小企業の近代化というものは今後ますます必要だろうと思います。あるいは中小企業の資金需要もますます必要だろうと思いますので、何かこういった類の資金をプールしまして、これに対する利子補給の道を国がひとつ考えるということになりますれば、そのことがまたおのずから中小企業の近代化経営の安定につながる。したがって共済制度で集めました金なども、できるだけそういった利子補給の道ができないものだろうかと、ふとここで考えたわけでありますが、農業の問題とはおのずから違いますから、今後ひとつ十分検討いたしまして、こういう制度がはたして可能なりやいなやひとつ検討させてもらいまして、できれば農業と同じような新しい近代化資金制度というか融資制度などもひとつじっくりと検討いたしたいと考えておったわけでございます。まあお答えになるかどうかわかりませんが、農業との比較関連においてそういうことが一応ここで頭の中に浮かびましたので、そのことをちょっと申し上げたわけであります。
 この中小企業退職金共済制度というものは、あらゆる意味において非常に必要な制度である。同時に国の助成も、どうも人件費や運営費だけ見ているというような感じが出ておりますが、やはりもっとしっかりと国がこの制度の上に中小企業を育成強化するという観念も加えていくならば、あるいはもう少し何とか考える必要があるのではないかというふうに考えております。まあ十分これから検討いたします。ここではっきり申し上げるわけにまいりませんが……。
#59
○川俣委員 農政に造詣の深い大臣が労働大臣におつきになって労働行政を見たら、これはひどい重症である。非常に正直に率直に御発言があったのですが、だれが見たって、九億の国の予算を使って、その目的を達すべく世帯を持っている事業団に、八、九割がその世帯費にかかって、補助金がわずか一割だそうだといったら、これは私もしゃくにさわる。制度、法律は非常にいいと思うのですよ。これは何といってもみなでやらねばならぬですよ。事業団の近代化もあって、ああいうりっぱなビルも建ったことだと思いますが、六百億も集まったんだし、毎年毎年八、九億の補助金もあるのだし、一般予算もつくわけだから、くやしかったら熱海か箱根あたりに、事業主を含めて中小企業の労働者を対象にした保養所一軒ぐらい建てるというような考え方を持たないのか。労政局長、私の言いたいのはそういう点ですよ。どうです。
#60
○松永政府委員 ただいま御指摘の点についてやや補足させていただきますと、二つの観点があると思います。一つは、この事務費が国庫補助の大部分ではないか。これは制度発足十年でございますので、事務費についてはまず大体固定的に毎年毎年支出されますが、給付費については、給付が増加をいたしますとそれに応じて国庫補助もふえてまいります。したがって給付費の補助というものは、たとえば勤続が長いほど額が多くなるわけでございますし、そういう人が、いままでたとえば三年でやめた四年でやめたという人が多かったわけでありますので、給付費は今後増加する、これは間違いないと存じます。したがって、国庫補助金も増加したいと思います。それからもう一つは、たとえば保険会社等で企業年金あるいは生命保険というようなことをやりました場合に、保険会社の事務費は、これは営業でございますので付加保険料で被保険者の負担になるわけでございますが、いまたいへん激しいおことばがあったのですが、御指摘の八億を国が出しておりますために、そういう付加保険料、事務費というものは一切ないということで、加入者の負担軽減ということにはなっておるわけでございます。
 それからビルのお話がございましたが、たとえば先ほどの加入促進というようなことになりますと、全国に支所、支店を持ちましてやったほうが効果があがることば確かなんでございますが、ただいま御指摘になりましたような観点もありますので、事業団の人間はできるだけ少なくして本部だけに置く、そして金融機関や商工会議所等の御協力を得まして、あるいは中小企業集団等に働きかけましてPRをやるというような方式をとっておるわけでございまして、私どもはこれで十分だとはもちろん考えておりませんけれども、考え方といたしましてはできるだけそういうことで能率をあげ、経費を少なくし、そしてできるだけ効率的に退職労働者に還元をするというところに主点を置いてものを考えておるわけでございます。
 それから保養施設等を置いたらどうかという御意見でございますが、これは当面は運用益を確保するという面に努力をいたしておりますが、将来の問題といたしましては、やはり財政状況等を考えまして、おっしゃったような面もこれは検討していかなければならないというふうに考えておるわけであります。
#61
○川俣委員 労働省の外郭団体というか事業団、公団というものは数が少ないのですから、事業団はみんなで育てなければならぬと思います。そういうりっぱな建物も必要だろうし、事業も充実させなければならないと思いますが、十年間の過去を振り返ってみますると、やることの順序が違ったのじゃないか。そうでしょう、地方には一年間にわずか二十万円のPR費を出しておいて。そういったところをぼくは言いたいのですよ。その点はやはりもう少し運用に反省を求めたいと思います。
 それから、少し条項にこまかく入りたいと思います。さっき局長はどうしてもこれからは零細小規模の人方が入る傾向があるだろうとおっしゃったけれども、私はそうじゃないと思うのです。八条に「契約の解除」というのがあるのですが、「共済契約者が中小企業者でない事業主となったとき」ということは、ぶっ倒れるのはたくさんあると思うのですが、中小企業から大企業になったときはどうしておりますか。そういう事例があったかどうか。
#62
○松永政府委員 これは事例が、ある程度ございます。ただ、三百人規模あるいは五十人規模ということで、法律上切っておるのでございますが、従業員の数というものはそう年がら年じゅう固定しておるわけではありませんで、あるいは一人オーバーするとか、あるいは三人減るというような動きが常にあるわけでございます。したがいまして、ここでいっております中小企業者でなくなったというのは、今後まず間違いなく規模が大きくなったまま継続していくというような性質の企業についていっておるわけでございまして、その場合に制度といたしましては、労働大臣の承認を受けた場合はなお継続して共済に加入をしていくことができるというたてまえになっておる。大企業になったからもう自前のものを持ってやっていくという方は、もちろんそれでけっこうなんでございますが、なお継続していきたいという希望を持っておる人につきましては、一定の条件がございまして、それによって承認をいたしますと継続していけるというたてまえになっております。
  〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
#63
○川俣委員 了解。
 それから退職金の減額の問題なんですが、これは十条の三項にうたっています「被共済者がその責に帰すべき事由により退職し、かつ、」云々、そういう場合は「減額して支給することができる。」こういう事例があったのか。どういう場合があるのか。
#64
○松永政府委員 この第十条の三項を受けまして、規則の十八条におきまして、どういう場合があるかという労働大臣が認める基準を掲げてございます。これは三つほど基準が掲げてございますけれども、その一つを読んでみますと、たとえば「窃取、横領、傷害その他刑罰法規に触れる行為により、当該企業に重大な損害を加え、その名誉若しくは信用を著しくき損し、又は職場規律を著しく乱したこと。」そのような場合には労働大臣が認定をして減額を認める。それから「秘密の漏えいその他の行為により職務上の義務に著しく違反したこと。」「正当な理由がない欠勤その他の行為により職場規律を乱したこと又は雇用契約に関し著しく信義に反する行為があったこと。」というような基準を掲げてございまして、それに応じまして、それぞれの理由によりまして減額できる限度を掲げてございます。過酷な取り扱いにならないようにという配慮から、労働大臣が承認しない場合はできないということになっておりますが、同時に減額の限度につきましても、その状況によりまして最高百分の五十ということで、あるいはものによりましては百分の三十、それ以内の減額しかできないというようなワクをはめております。そうして現実に減額をいたしました例はきわめて少数でございまして、制度始まって以来十年間でございますが、二十五件でございます。
#65
○川俣委員 いまの問題と少し関連しますが、欠格条項にも触れるわけですけれども、職場の規律を乱した場合、いま一般にいわれている労使のいざこざといったら、まずサンプルは郵政省、こういうことです。中小企業には郵政省みたいにああいうばかげた前近代的な労務管理はあまりないと思うのだが、それにしてもいろいろと労使紛争のため欠格になったという事例があったのかどうか。
#66
○松永政府委員 全部私自身当たっておりませんのでわかりませんが、いま係の者の話ですと、そういう事例はないということでございます。
 なお念のために申し上げますが、釈迦に説法になりますけれども、労働組合法によりまして労働者の権利というものが基本的に認められておるわけでございますので、そのような組合の正当な活動によったという場合にこれにひっかかるということは、絶対にないというふうに申し上げることができます。
#67
○川俣委員 今後ともそれを望みたいと思います。
 それから、これに入らない理由がいろいろとあると思うのですが、さっきPRの不足、それからメリットの問題、それから中小企業なんというのは、二十年か三十年くらい入っていればメリットはこのとおり出ますよということじゃ、中小企業の育成、強化にはならぬのですよ。なぜかというと、こんな世の中ですから、五年先はつぶされるかわからない不安定企業なわけですね。一つは、もう少し年限にこだわらず一五%くらい一律にメリットを出すとか、そういう考え方を持ってないかどうか。
#68
○松永政府委員 ただいまおっしゃいました点は、還元融資等の件かと思いますが、これは全体の状況をにらみまして、私どもとしましても、特に国会でそういうような御意向もございますので、還元融資というもののワクを全体の中でできるだけ広げていくということは、心がけとしてやりたいというふうに思っております。
 それから、確かにおっしゃいましたように即効的なメリットといいますか、その面がない、だいぶ先の話だ。こういうことになるわけでございますが、これはおっしゃるとおりだと思います。ただやはりこれだけ労働事情がきびしくなってまいりますと、中小企業といえども労働の面では相当の覚悟といいますか、考え方で福祉をはかるということになりませんと、まず労働力需給でまいってしまうという面があるかと思いますし、またあわせて、中小企業庁等でおやりになっております中小企業の振興対策、経済的基盤を強化するという面とをあわせまして、おっしゃったようなムードでありましょうけれども、できればだんだんと長期ビジョンといいますか、そういうところに経営の主点を向けていくということをお願いしたいというのが私どもの気持ちでございます。ただ、いろいろおっしゃいましたような何か目に見えた即効的なメリットというものも、あわせて今後検討してまいりたいと考えております。
#69
○川俣委員 即効という言い方をされると、入った、すぐにつけろという意味じゃないので、中小企業というのは大企業と違いまして十年、二十年、三十年先のことはなかなか容易でないということですよ。したがいましてやはり少なくとも三、四年から五年、十年あたりに山場を持ってくるという運用を考えるべきだということ、それから中小企業といえどというけれども、中小企業こそ労働者の確保とか足どめを考えなければならぬのです。自分のところの会社をやめてよそへ行くときにカードを持たしてやる、そういうこまかい運用もしておりますか、たとえばAの企業からBの企業へ移ったときに、通算ですね、その実績というか、実際にやっているかどうか。制度はありますが……。
#70
○松永政府委員 制度として通算はできるたてまえになっております。おりますが、その場合の条件としては、行く先の企業におきましてもこれに加入をしておるということが条件になりますので、事例としては比較的少ないのではないか。いま実績を見ておりますが、これは企業と企業の間で通算をいたしましたのが、事業所数で五千十三事業所、人数におきまして一万八千四百二十四人というのが三月末の通算の実績でございます。その際に御指摘のように、被共済者の手帳があるわけでございます。それを持ってまいります。
#71
○川俣委員 ぼつぼつ時間が近づきましたから……。今回の法案は三つ柱が出ましたが、死亡したときの云々なんというのは、前にわが社会党議員から質問しておるのです。いまごろこういうことに気がついたのか、それとも審議会前にあったのか。それからついでですから、審議会では改正要項としてこの三つの項目しか出なかったのか、その辺を聞かしてください。
#72
○松永政府委員 審議会で議論になりました相当重要な項目として、死亡退職者に対する取り扱いということが議論になりました。それは先生御指摘のように、おそらく前から問題になっており、私ども、やる前からもこれは問題としておったと思うのであります。なお、その審議会におきましていろいろな角度から議論がなされまして、たとえば年金方式を採用したらどうかとか、あるいはスライド制を採用したらどうかとかいうようなことも議論になりました。
 それから具体的な問題といたしましては、適用対象事業所についてもっと拡大する必要があるのではないか、たとえば病院とか旅館とか、そういった業種において五十人では低いので、五十人をもっと、たとえば百人に上げるとか八十人に上げる、こういうことを検討したらどうだというような御意見もございました。これはその後われわれがデータを調べましたところが、五十人以上の規模においては退職金制度がほとんど普及しておるという実情が統計数字で出ましたので、これはそのデータを示しまして審議会の方に御了解をいただいたのであります。
 それからもう一つは、この掛け金の月額を変更する際の取り扱いにつきまして、もっと有利な取り扱いはできないか、こういう御意見が出まして、そうしてこれは私どももできれば何とかならないだろうかということで検討をいたしたのでありますけれども、最終的に、結論としましては、政府部内でいろいろ検討をいたしました結果、どうも無理ではなかろうかということで、審議会では御意見が出たのでございますけれども、この法案としてはまだもう少し検討をしたいということで、取り入れてございません。
 その他これをめぐりましていろいろな議論が出ましたけれども、おもな点はそんなような議論でございます。
#73
○川俣委員 審議会の分としてあとで大臣にただしたいのですが、もう一つの項目に、五年に一ぺんぐらい手直しをしようという――こういうインフレ時代ですから、佐藤総理から言わせると、参議院の木村禧八郎議員に対して、いまインフレではない、こうおっしゃるようですが、いずれにしてもこういう異常な貨幣価値の変動の際にはもう少し運用でやるべきだということから、大臣、少しこの審議会は――私も公益委員、それから労働者委員等々聞いてみましたが、非常にりっぱな意見が出ているんですよ。ところが大臣が知らないふりをするのか、いいところだけここへ活字にして持ってくるのか、政府にとって不都合なのは削るのか、問題は、社労委全員がこの問題にこうやってかかっているわけにはいかないですから、いまこのように質疑応答をやっている間で大臣もお聞きだと思うのですが、ほんとうはこういうようにみんなでわいわい意見を交換して運用していけばいいのだが、事業団にまかせておるわけですから、事業団にまかせたのをそう一々局長が口をさしはさむわけにもいかないだろうし、しかも事業団の理事長なんといったら、どっちかといったら局長あがりの先輩方がすわるのが慣例だろうし、そうやってみると、私はもう少し審議会というものを活用すべきだと思うんですよ。非常にいい意見が出ているようです。そういった面、大臣どうですか。
#74
○野原国務大臣 審議会の御意見を十分に尊重いたすつもりでございますが、また審議会の運営等につきましては御自由にひとつ御検討いただくということで、今後の運営につきましてそれが十分に反映できるようにこれから十分注意してまいります。審議会の運営につきましての、あるいは御答申に対する問題につきましては全面的にそれを尊重する考えでございます。
#75
○川俣委員 それからきょうは大蔵省に来ていただいておりませんが、業務報告書を見ますと、利益金ということばを勘定科目として使っているのです。こういうのはどうも気になるのです。こんなものは利益なんというものじゃないですよ。せいぜい余剰金です。そんな利益を追求しようなんという根性だから、大企業に金を回して少し歩をかせごうというような根性になるわけだ。そうでしょう。利益金なんということを事業団の人方は考えなくたっていいですよ。むしろ赤字だっていいくらいだと思うのです。少し加勢をし過ぎて、少し入り過ぎて、したがって退職者も多過ぎて、大臣、社会労働委員の皆さん、赤字になりましたと言って事業団の理事長が来るぐらいにやるべきだと思うのですよ。そんな利益だなんというあれを使わしておるのは、大蔵省はそんなことはないと思うのですが、利益金なんというあれは一これはあとで伺いますから、いいです。
 それからこれで終わりますが、やはり何といったってりっぱな制度であるし法律であるから、こういうものがありますよ、そして中小企業の育成強化、それから恵まれない労働者を少しでもこういうので救ってやろう、それから資金運用はもっとうまいぐあいに使えば厚生施設にはうんと回るんだからこれにかかりなさいというPRもする。いまのところはどうも労政局長御自身もあまり中小企業にすすめられない感じだと思うのです、いまのままでは。そうでしょう。そうではなくて、やはりもう少し血の通った運用をしてもらえば、法律、制度はりっぱですから、やはり何といったってそういったようなもろもろの条件をつけてもっと徹底的にやれ。四千円にしたからといって、四千円になるのを待っている中小企業がいるのなら四千円でもいいんだ。ところが大部分のあれを見ると、千円や千五百円でしょう。だから問題は、中小企業が望んでいるのは、被共済者が望んでいるのは別のことを望んでいるかもしれぬですよ。そういうことがよく審議会で出ているんだ。そういったものがわれわれの法案に出てこないんだ。出てこなければわれわれだって審議できないから、そういった面をもろもろの条件をつけて――私は十年間の経過を見ますと、これはやはり一にかかって運用にある。制度、法律はりっぱであるが、あげて運用にあるので、大臣この辺でしかと締めてかかってもらいたいと思います。以上です。大臣から何か……。
#76
○野原国務大臣 ただいま申されましたような事案につきましては、今後の運用にある、まさしくそのとおりと思います。中小企業退職金共済法は今後一そう拡充強化して、中小企業に対しあるいは退職者の方たちの立場を十分考えて、いい制度にして、これはひとつ十分血の通ったような制度として強化してまいりたい、そのために予算の面その他でもできるだけの努力をいたしたいと考えております。
#77
○川俣委員 終わります。
#78
○小山(省)委員長代理 山本政弘君。
#79
○山本(政)委員 なるべく小此木委員とも川俣委員ともダブらないように質問申し上げたいと思います。
 そこで、ちょうど大竹さんがお見えになっているそうですから、小さなことですけれどもちょっとお伺いしたいと思うのです。四十三事業年度決算報告書というのがあります。ここに数字がたくさん出ております。たとえば「掛金等収入」で「収入決定済額」というのが百八億七千万円、そうなっております。これは両方とも四十三年でありますが、こちらの事業月報のほうでは、この「掛金収入」は百七億六千万となっておる。ここに数字がやはり違いますね。「運用等収入」についても決算報告書では三十億二百七十五万となっておるけれども、ここでは三十億八百万になっている。そういうふうに決算の報告書と事業月報の四十三年度の報告書と数字が全部違っておるのですが、これは一体どういうわけでこう違っておるのか、まず教えていただきたいと思います。
#80
○大竹参考人 参考人の大竹でございます。
 ただいま御指摘がございました点につきまして、ちょっと聞き取れなかった点もございますが、こういう点が原因になる可能性がございます。この月報のほうでは現金ベースでものを考えて出しておりますけれども、不動産投資が月報では八億九十九万九千円、こういうふうになっている。ところが百六十三万五千円というのが決算のほうでは未払いというふうなかっこうでそこに入っておらない。五月になって払ったというかっこうに月報ではなっております。そういうふうなこと、それから他経理貸し付け金と申しますのは給付経理、要するに退職金の掛け金支払いを経理する給付経理から、融資を行ないます融資経理への貸し付け金を他経理貸し付け、こういっているわけでございますけれども、月報のほうでは、地方債、代理貸し付け、これが他経理貸し付けに相当するわけでございますけれども、その二つが月報では年度末ですでに実行されたものだけが計上されております。ところが実際にはもう地方債の引き受けを決定いたしておるのでございますけれども、地方団体の都合で年度を越して、実は五月ごろ地方債を発行するからそのときに金をよこせ、そういうのがかなりあるわけでございますけれども、それらを中心にした、一たん支出が翌年度になってからというものを中心として六億数千万円をこの月報の段階では地方債、代理貸しということではなくてまだ預け金のほうに入れてなにいたしております。そういうふうなこと等が書かれているわけでありますが、ちょっと資料をさがすのに不手ぎわがありましたけれども、先生のおっしゃったことと見合うのじゃなかろうかと思います。
#81
○山本(政)委員 小さいことを言うようですが、収入予算額、収入決定済額、それから収入済額とこうあるわけですね。ですからそのとれかに――これは四十四年十一月ですから、少なくともどれかにこれが合わなければならぬとぼくは思うのですよ。これは全然合っていないというこし。それではもう一つ、支出のほうをお伺いいたしましょう。
 支出は、月報の、四十三年度分ですけれども、要するに四十三年度の決算について四十四年十一月に出した数字なんですよ。それが、退職金等給付金で三十四億二千三百七十四万九千円ですか、そうなっています。ところが支出予算の減額は別としても、これは五十二億ですから、支出決定済額が三十四億百八十一万千三百六十三円、支出済額は三十四億百八十一万千三百六十三円、これは両方とも合っているわけです。ところが、これはここの月報とはこれまた違うわけですね。これはなぜ違うか。少なくとも支出の場合には決算済額も支出済額も合っている。しかし月報による支出のほうは数字が違う。そうすると収入の場合は私はあなたのおっしゃるように一応了承するとしても、支出のほうは合わないことになりますね、両方とも。
#82
○大竹参考人 ただいま退職金支給金額につきまして先生御指摘の点がございますけれども、決算のほうが退職給付金でいうと多く出ておるわけでございますけれども、決算報告書のほうでは月報に計上されておりませんところの前納減額金、特定業種引渡分、それから差額給付金、そういうものが入っておるということからの違いであろうと思います。
#83
○山本(政)委員 私は、この資産の現在高についての数字が合わぬのであまりまだ納得はできないのですが、時間の都合もあるのでお伺いいたしますけれども、四十三事業年度決算報告書の中の二八ページに「業務経理」というものがありますね。この中の支出予算額の中で役職員の給与が出ておるのです。そこでお伺いしたいのは、役員数が何名で職員数が何名か。それをまずお伺いいたしたい。
#84
○大竹参考人 現在役員の数は七名でございます。理事長一人、理事が四人、監事が二人でございます。職員の数は二百四十五名でございます。
#85
○山本(政)委員 そうすると、この二億一千三百五十九万三千円のこの内訳です。役員給与にどれだけか、職員の給与にどれだけなっているか。
#86
○大竹参考人 ちょっと私の手元にあります四十五年度の予算で申し上げてみたいと思います。
 四十五年度の予算で申し上げますと、役職員給与が二億五千六十四万七千円となっております。そのうち役員の給与総額が二千八百九十五万八千円となっておりまして、全体に占める役員給与の割合は一一・五五%ということになっております。
#87
○山本政委員 そうすると「退職金積立金」というのがありますね。この「退職金積立金」の中には、役員の退職積み立て金も入っているのですか。
#88
○大竹参考人 これは積み立て金を今後したいのでございますが、現在のところは職員だけでございます。
#89
○山本(政)委員 そうすると、役職員給与のうちの一一%が七名でもって占められておるということになりますね。残りの二百四十五名が八九%ですか。私が言いたいのは、役員の給与が少し多過ぎやせぬかということを申し上げたいのです。七人で一割以上の給与をもらっているということは、この事業団の性格をよくあらわしているのではないかということを申し上げたいのです。
 なぜそういうことを申し上げるかといいますと、いまからお伺いしますけれども、これは労働省かもわかりませんが、そういう体質というものが、この中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案として出ているのではないだろうか、こう思えるわけです。
 それで別表第一ですけれども、三年から十年までは五%、それから十年以上が一〇%ということになりますね。その中で上段のほうの数字と下段のほうの数字と比べてみますと、事業主負担の百円単位のところは、元本は三十五カ月までは――正確に申し上げますと、二十三カ月までは、これは退職しますと掛け損になりますね。それから二十四カ月から四十二カ月までは元本しかもらえないわけになりますね。上段は三十六カ月から五%つけるわけです。そうすると、なぜ同じように下段のほうも三十六カ月まで元本としてしないのだろうか、それをさらに延ばして四十二カ月まで元本で、そして少しも、歩増しといいますか、そういうものをつけないのか。同じするなら、上段、下段と同じようにしていいと私は思うのだけれども、それを別にした根拠は一体どこにあるのか。
#90
○松永政府委員 おっしゃいましたようなカーブになっておりまして、元本保証ができるのは三年半ということになっております。そして補助金のほうは三年からつけるということになっておりますので、六カ月のずれがあるわけでございます。これはおっしゃるように、合わせたほうが整然といたすわけでございますが、実はこの下段のほうの計算は、積み立て金で予定利回りをもってカーブをつくりましたときに最初にきまったカーブでございます。それで、積み立て金でどの辺を一番有利にし、どの辺からどうなるかというカーブを最初に想定をいたしたものをそのまま使っておる。それから、補助金のほうは、従来は五年から五%ということになっておりましたのを、この前の改正で、三年から五%というふうに改善しようということでよくしたわけでございます。したがって、計算根拠としては、積み立て金で脱退率を勘案して六分二厘五毛でこのカーブをつくってある、それから国庫補助のほうは、できるだけよくしょうということで前に持っていくということでございます。
 経過から申し上げますとそういうことでございますが、確かにカーブのかき方としてやや不自然な補助金との関係ではあるかと思います。ただ、このカーブを直しますとなると、どこかを削ってどこかをふくらますという作業がございますので、それを大計算をしてやるほど直す必要があるのかということを勘案しまして、現状どおりということにいたしたわけでございます。
#91
○山本(政)委員 それではちょっとそれと関連してお伺いしたいのですけれども、大体解約するのは、一番多い年月といいますか、解約率の高いのは何年ぐらいですか。
#92
○松永政府委員 お答え申し上げます。
 構成比率で申しますと、解約と申しますか、脱退の状況でございますが、十二カ月未満が一番多うございます。掛け捨て期間が一番多うございまして、全脱退の中の四〇%、それから十二カ月から二十三カ月が二一・一%になっております。それから二十四カ月から三十五カ月が一五%、ただし、これはいままでの実績でございまして、これは変わってまいります。
#93
○山本(政)委員 だから、私が申し上げたいのはここなんです。つまり、下段のほうの数字を見れば、十二カ月未満というのが四〇%で、これが一番多い。つまり、脱退もしくは解約をしたときに、脱退者に不利なようにこれができているわけです。脱退者に不利なようにできているというのは、事業団のほうにきわめて有利なようにできているわけです。これが一年末満は掛け捨てです。だから、一年未満は全然とれないということでしょう。だから、これはまるまる事業団の、要するに勘定になって入るわけですよ。今度は、十二カ月から二十三カ月の間は、まさにこれは低減をしておる。千円かりにかけて、本来ならば――百円単位でいけば、百円をかけて千四百四十円もらう人が、十二カ月の場合は、三百六十円しかもらえぬわけでしょう。その差額はこれも事業団に入ってくる。さらに二十三カ月の場合には、四千六百八十円かけておって、千百七十円しかもらえない。その差額は、これもまた事業団に入ってくる。つまり、六一%というものが全くもらえないか、あるいは三分の一以下しかもらえないということになるわけでしょう。そういう制度というものが、はたしてあなた方のおっしゃる中小企業の退職金の共済になり得るのか。つまり、一年未満あるいは二十三カ月でやめる人は、一番労働条件としては劣悪な状態にあるのではないだろうか。そういう人たちがやめるときについて、結局、全くやらないか、あるいは三分の一しか支給をされないということに問題があるのではないか。だから、労働者は、そういう場所には定着しませんよ。むしろそういう考えではないだろうか。だから、冒頭に申し上げたように、私が言いたかったのは、こういうことに対する考え方というものが、公団の給与面にも、あなた方の給与面にもあらわれるだろうし、実際の法の解釈上の中にも出てくるのではないだろうか。この点はいかがでしょう。
#94
○松永政府委員 まず、制度の問題でございますので、私からお答え申し上げたいと思いますが、確かにいま申し上げましたような実績でございます。これは、一つには、確かに短期を低く押えて長期を有利にするというところが逆にあらわれてきておるということでございます。ただ、私考えますのは、たとえば制度発足一年たった時点で見ました場合には、この間やめた者は一〇〇%掛け捨てになる。したがいまして、期間経過との関係がございまして、いま申し上げましたパーセンテージがノーマルにもっとずっとこれを運営していった場合の数字ではないということになるかと思いますので、いま申し上げたようなことから、掛け捨てが、この制度においてはうんと多いんだということにはなってこない。ただ、始まってまだ時間がたっていないという面、たとえば、いま十年でありますから、十年の給付を受ける者が最高であります。十五年の給付を受ける者はないわけでございますので、そういう意味においてこれをごらんを願いたいと思います。
 それからもう一つは、やはり制度として、それじゃ将来ともこれでいいのか、定着というような面をどの程度考え、現実に異動した場合の手当というものをどの程度考えるかということについては、常に脱退率を計算し、制度のあり方を考えていくということで法律では五年、こうなっておりますけれども、審議会等でも、もっとひんぱんにやろうということにいたしたわけであります。
#95
○山本(政)委員 それじゃこの提案理由の中に「他方、中小企業においても退職金制度についての関心が高まっている折から、本制度を一そう魅力あるものとするため、退職金給付に対する国庫補助を増額する必要がある」、後段は別としても、本制度を魅力あるものとするためということならば、一番欠陥の多いそういうところに対して手を加えるべきでないか、これが第一点。
 第二点は、それじゃ、松永さん、そうおっしゃるからお伺いするのですけれども、長くなれば長くなるほどこの制度は有利になるのですね。あなたはそうおっしゃっておる。それなら十年を過ぎても、つまり百二十カ月を過ぎても率というものは八分六厘の率で運営されてしかるべきだと思うのだけれども、百二十一カ月以降は八分五厘だというのは、運営の利率というものが低減をされるということになってくるわけでしょう。長くなれは長いほど――あなたのおっしゃる論理から言えば、つまり百三十四カ月になれば百二十カ月のときよりかはるかに有利になるはずであります。少なくとも八分六厘の利率で支給されるべきであるけれども、これはずっと低減されていくわけですよ。それは一体どういうふうにあなたはお考えになりますか。
#96
○松永政府委員 御指摘になりましたように、利回りの点から見ますと、十年を最も有利な線にいたしております。それで、ただ給付金の額がふえるという点について、それは長いほど多くなるということでありますか、利回りでは十年を――その場合に審議会でも非常に議論がありまして、一体十年がいいのか、八年とか七年とか、ピークをもっと前に持ってくるべきか、これはたいへんな議論でございました。それで現実の退職平均勤続がどれぐらいかという実情も考えなければならない。私どものほうで、たとえば賃金構造基本調査といったもので調べてみますと、大体九人未満あたりの規模のところで男子の平均勤続が五・八年でございます。約六年勤続している。そうしてそれが平均になっておるわけですが、そうしますと、十年ぐらいの時点を利回りで最も有利にするという従来のカーブがいいんではないかというのが審議会における議論であったわけです。ただ、そこら辺にはいろいろな考え方があるかと思います。
 それから掛け捨てをなくせという議論も確かにございます。掛け捨てをなくするとどこかをへこまさなければいかぬということがございまして、これは確かにいろんな角度からの議論ができる問題でありますけれども、現在のところでは一年未満は掛け捨て、それから三年半になって元本、それから三年半過ぎてから元利合計というようなカーブを従来どおり今回は使ったらどうかということに結局落ちついたわけでございます。
#97
○山本(政)委員 そうおっしゃいますけれども、それなら私にもそれに対する反論があります。いいですか。四十四年と比べて四十五年に、つまりこの中退金の法律というものを改正するということで、中小企業に対してもっと優遇措置を考えようということをやった。要するに予算増というものは、共済制度の拡充改善と、そして中小企業集団に対する対策の確立ということで一億三千五百万円でしょう。そうすると、この共済制度の改善のものに対して幾ら費用が出ているのですか。
#98
○松永政府委員 先ほど申し上げましたように、九億何ぼですか、資料がどこかに入ってしまいましたが、それが共済制度に対する補助金の総額で
 います。ただ、これがわずかの増加でございますのは、法律施行を十二月からにいたしております。六カ月の猶予期間をもちまして、大体国会を通していただける日を見当をつけまして、それからPRの期間を置きまして十二月に施行することにいたしておりまして、そうして十二月から補助金が出るものですから、四カ月分でございます。来年度はもっとずっとふえるというようなことでございます。
#99
○山本(政)委員 それじゃ、つまりあなた方は、最低限二百円を四百円にし、二千円を四千円にすることによって、見込みの増収というのは、どれくらいにお考えになっておるわけですか。
#100
○松永政府委員 いま資料をさがしておりますが、私の記憶では、大体掛け金の収入が本年より約五億ぐらいふえるのではないかという見当で予算をつくっておるというふうに記憶しております。
#101
○山本(政)委員 四カ月でですね、本年度は。
#102
○松永政府委員 四十五年度でございます。
#103
○山本(政)委員 ですから、私の申し上げておるのは、一億三千五百万円ふやしても、あとは九億という、いままでの額をもって九億で……(松永政府委員「総額です」と呼ぶ)総額として私に説明をしたのですが、やはりそこに、悪いことばで、言えば手品があるのです。一億三千五百万円ほど制度拡充にふやすと言いながら、実際は一億三千五百万円でないのでしょう。一億円かもわからぬし、私よくわかりませんけれども、その程度だと思うのですよ。逆に入ってくるのは五億なんですよ。かりに一億としても四億の差があるわけですからね。そうしてあなたは、先ほど五・八年が平均だから、こう言っておる。だから、掛け金を上げることによっての収入というものは非常に大きな金になる。だけれども、そのことによって政府が出しておる金というのはほんのわずかでしかない。つまり、いわば掛け金という名においてむしろ収奪をしておるほうがたいへんじゃないだろうか。しかも、出しておることは、あなた方がここに書いておるように、有価証券として出しておるのは政府保証債とか、あるいは金融債に出しておるわけですよ。もちろん私は、運用ということでわかる。わかりますけれども、しかし、それにしては額がたいへん多過ぎるのじゃないか。先ほどの川俣委員の話じゃないけれども、むしろ、極端な言い方をすれば、赤字をもってしてもそういう共済制度の拡充というものはやらなければいかぬのじゃないだろうか。しかし、それがどこかに忘れられていって、名目的には、たいへん感じのいい共済制度の拡充といいながら、たいへんな金を収奪しておるのじゃないだろうか、私はこういう気がしてならないわけです。その辺について一体どういうふうにお考えになっておるか。
#104
○松永政府委員 ただいま山本先生、収奪というたいへん強いおことばをお使いにたりましたが、事業主からかけた掛け金というものは、それを使うわけではございませんで、それに国庫補助を加えて、もっぱら退職者の退職金に充てるということでございますので、奪う面は一つもないのじゃないかと私は考えるわけでございますが、ただ、おっしゃいましたように、今度の改正におきまして、二百円部分の補助を四百円に引き上げるといりことで、従来よりは国庫負担が二倍になるわけです。しかし、そういう倍率でいえば大きいようであるけれども、現実の問題としては補助金の額が少ないではないか、もっと補助をしたらどうか、こういう御意見でありますれば、私どもといたしましても、国庫補助がこれで十分だというふうには考えていないわけでございます。現実の政策といたしまして私どもは国庫補助をふやしたい。それで政府部内でいろいろ検討をいたしまして、財務当局もありますし、折衝をいたしました結果、私どもは、もう少しふやしたいと、実はそういう希望を、労働省としては当然だと思うのですが、持っておったわけです。結局従来の二倍程度ということに落ちついたわけであります。それを今後改善する意思があるかないかということであれば、私どもは、機会あるごとに、できるだけ改善してまいる、こういう心がけを持っておりますので、御了承を願います。
#105
○山本(政)委員 もう最大限に国庫補助をふやしていただきたいということをお願いして次に移りたいと思いますが、この制度の加入促進のためにどんな方法をとっているのだろうかという私の質問に対して、あまりとっていないようなお答えをいただいたのですが、一体どういう方策を講ずるのか、もう一ぺんお伺いしたい。
#106
○松永政府委員 先ほどはやや抽象的に申し上げましたので、具体的に申し上げますと、この加入促進のための措置といたしましては、私どもの出先といいますか、地方レベルにおきます行政機関は県の労働部でございます。そこに労政課がございます。この県の労働部労政課とタイアップをいたしまして、あらゆる機会にこの宣伝をやろうということで行政面ではいたしております。特に労働省から補助金を出しまして、府県も半額負担をいたしまして中小企業集団の労務管理改善ということをいたしております。そういうような集団に対しましては、特に重点を置いて加入を促進するというようなことでやっております。
 それから、よくある例でございますが、加入促進月間というようなものをつくりまして、そのときには転業団は全力をあげて加入促進運動をやる。特に手厚い運動をやるといったようなこともいたしておりますし、それから、加入促進についてたいへん功労のあった方には、これは大荒が表彰申し上げるというようなこともいたしております。
 それからまた、退職金事業団のほうは、自分のことでございますので、広報部という部がございまして、これが主体になりまして常時広報をやっておるわけでございますが、いろいろな宣伝資料作成をいたしておりまして、それを関係方面に配る、あるいは各地で説明会を開催する、あるいは広報車で巡回いたしまして宣伝して歩く、あるいはダイレクトメールで宣伝するといったようなことをいたしております。
 それから、関係の金融機関でございますが、これは商工中金はじめ各銀行が全国で一万四千ほどこの業務を取り扱っていただいておりますので、そういう銀行、金融機関を通じまして、窓口において加入促進をしていただくということをいたしております。やっておりますが、ただ私どもとしては、まさに御指摘のごとく、まだ足りないというふうに感じておりますので、今後特段のくふうをいたしまして、各府県にもさらにお願いをいたしましてやってまいりたいというふうに考えております。
#107
○山本(政)委員 たいへん申しわけないのですが、いまの加入促進に関する宣伝とかなんとかに対する費用はどれぐらい使っているのですか。
#108
○松永政府委員 この予算で計上をいたしております分と、事実上出先の各機関でやっていただいております分と両方あるわけでございますが、本部で予算を計上いたしておりますのは、このための経費として約三千万円でございます。そのほか銀行業務その他におきまして、これは掛け金が入ってきますと銀行の業積が上がるわけでありますので、そういう面で実際上窓口においてPRをやっていただくということ、これが案外効果がございますので、これをやっていただいております。
#109
○山本(政)委員 取り扱い数が一万何千とかおっしゃいましたね。よくわかりませんけれども、財産目録を見、それから給付経理、業務経理全部見てみても、取り扱い銀行の数からいっても一万何千は出てこないのですが、あげ足をとるわけではありませんけれども、そういうふうに、実際はあなた方が言っておるほど宣伝もしてないし、お金は三千万円使っておるかもわからないけれども、そういう宣伝をしている行数もそんなにないと思いますが、もう一ぺん確認いたします。現実に銀行とかなんとか入れて一万何千、そんなにやっておるわけですか。
#110
○松永政府委員 一万三千九百でございまして、これは金融機関の数でございます。事業団が指定をいたしまして、事業団の掛け金とか支払いとか、そういうものを取り扱い銀行として指定をしておりますが、その指定されたものが全部フルに活動しておるかどうかということになりますと、その地域の事情等によって違うかと存じますが、詳細は把握いたしておりません。
#111
○山本(政)委員 最後に、お伺いしたいのですけれども、四十一年以降解約手当金額と退職金額というものとがだんだん近寄っているといいますか、そんなに差がなくなってきておる。つまり、退職金の約七割か八割くらいの解約手当金が数字の上から出ておりますけれども、そうすると、加入促進の反面に、解約する場合には、さっきおっしゃったような個々の問題もありますね。しかし、解約をしないでもう少し仕事に定着をして、あなたのおっしゃるように五・八年というものが十年になればもっといいと思うのですけれども、定着をすれば、これは働く人たちにとって、少なくとも悪くはないのだということがいえる。そういうふうな指導というものが必要だと思うのですけれども、どうも数字の上から見ると加入するのとほぼ半分くらいの脱退が出てきておる。しかも、別のほうから見ると、退職金額のほぼ八割近い、あるいはもっとあるかもわからないと思いますけれども、解約手当金を出しておるような状態である。これに対して何か手を打っておるのか。お入りなさいと言うのはいいけれども、防止ということに対して何か手を打っておるのかどらか。
#112
○松永政府委員 おっしゃいましたように、解約手当金の件数、金額がふえてきておりまして、御指摘のように比率におきまして、たとえば最近の四十五年一月分を見ますと、退職金が二億四千八百九十万円、それから解約手当金が二千二十九万三千円というような額でございます。大体一割くらいでございまして、いまおっしゃったような大量の解約手当金は出てないのではないかというふうに思いますが……。
#113
○山本(政)委員 それじゃ、最後に一つお聞きしますけれども、一つは公団の役職員給与のうちの一割以上を、七人で給与を受けておる。これが第一ですね。第二は九億円の事業団の、要するに国家からの支出に対して、先ほどの川俣委員の話じゃありませんけれども、ビルあたりに八億円もかけている。第三番目は、一年未満はせっかくかけても掛け捨て、十二カ月から二十三カ月の間はほぼ三分の一しか支給しない。そうして二十四カ月から三十四カ月ですかの間はこれは元本しかやらない。これは、少なくともやめていく率に応じてあなた方は表をつくっているとしか考えられないんですよ、ぼくに言わしたら。ちょうどそのとおりになっているわけです。四〇%は十二カ月未満でやめていくということに対しては、これは要するに支給していないでしょう。それで下段の表というのは、十二カ月から二十三カ月までは、これは二一%やめる率があるのですが、それについては二十三カ月までの間は三分の一しか支給しないというふうになっているのですよ。二十四カ月から三十四カ月までは一五%、これは元本だけしかやらぬ。そうすると、加入者のうちの七六%は、結局は全く事業団のほうでとるか、三分の一しかやらぬか、やってももともとだというのが七六%なんですよ。一〇〇%のうちの七六%。数字からいけばそうなるでしょう。脱退者からいえばそうですよ。あるいは解約からいえば。まさにぼくは、そういう意味じゃ、政府並びに事業団の本質というものをいかんなくここに発揮しておるんじゃないかという感じもするわけですがね。一体そういう実態に対してどう大臣はお考えになるのか。先ほどの話じゃありませんけれども、それは、やめるというのだったらやめさせぬという方法を政府はとるべきだと思うのですよ。しかも、いまみたいに中小企業が求人難だといえば、少なくともそれをカバーして防止をするという、これはもういま中小企業に与えられた大きな待遇といいますか、そういうものでしかないような制度でしかないような気がするんですよ。そういうものに対して、あまりにも政府の態度というのは薄情過ぎるんじゃないだろうかという気がする。私はあえて収奪ということばを使いました。しかし、この表から見れば、まさに収奪じゃないだろうか、そういう感じがするわけです。そういう点でひとつ局長と大臣のお答えをいただきたい。
#114
○松永政府委員 たいへんきびしいおことばをいただきまして、私どもも、先生の意のあるところは十分肝に銘じまして、制度運用、将来の制度改善をやるべきであると、まず大前提として申し上げさせていただきますが、ただ先ほどお示しの数字は脱退した者の中の割合でございまして、これは制度が正常に運営されてくれば変わってくる。それからまた、おそらくたいへん苦しい中でも営営と積み立てておる現在生きておる組合員、被共済者があるわけでございますので、その面はぜひお忘れないようにお願いをしたいと思います。
 それからもう一つは、役員と職員の給料の割合ですが、確かにほかの事業団に比べまして職員の数が少のうございますので、役員の給与のウエートが目立つようでございますが、ただ私どもとしては、いわばこの事業団は本店だけしかない、支店は銀行その他の金融機関、そういうものを使っておるという性質を持っておりますので、本店におけるウエートというようなふうにお考え願えれば多少は御了解願えるかと思うのでありますが、それにいたしましても、役員が相当な給料をもらっているわけでありますから、給与に相当する働きをしてもらうということで私どもも厳重に監督をいたしております。
#115
○山本(政)委員 松永さん、そういうことをおっしゃるから私は反発したくなるのですけどね。つまり、あなたがおっしゃったように、一万三千の要するに銀行の支店とかなんとかに仕事をさしておるわけですよ。それだけ手を省いておるわけでしょう。そんなら、二百何十人でしたか、そういう少ない人数で実はやるわけでしょう。それに対して私は、役員がもっと少なくたっていいだろうし、それから、もっと給与についても謙虚であっていいと思うのです。少ないから給料が高くていいという論理というものは私は成り立たぬと思うんですがね。それが一つ。
 それから、だからこういうことが出てくるんですよ。私は申し上げたくないけれども、決算報告書、これはどこを見ても、数字の傾向としてはほとんど変わってないんですよ。だけれども、「余裕金については、」あなた――これは大竹さんに言ったほうがいいかな、四十二年度は「その効率的運用をはかるとともに退職金共済契約者を獲得するための加入促進に資するよう配慮した。」こういっている。しかし現実は配慮してないのです。ここにはほかの文章は何も変わってないんですよ、ここの文章だけ変わっているんですよ。「余裕金については、その効率的運用並びに中小企業者の事業資金又はその従業員の福祉を増進するための資金に融通されるよう配慮した。」中身を見たら、金額は変わっておるが、数字の傾向としては何も変わってないのです、全文。そして、一番大切なところだけ、何もしないにもかかわらず、文字づらだけ変えているのです。そういう決算報告の中から、私は冒頭に出したように、事業月報と決算報告書の間がすっきりしない。月報なんというものは、決算報告書なんというものは、だれが見たって一ぺんに数字が合うはずですよ。きょうは四十五年の四月ですよ。四十三年のやつを訂正する余裕だって私はあると思う。そうじゃありませんか。それが依然として――四十一年もそうなんですよ。調べてみたら四十二年も数字が合ってない。四十三年も数字が合ってない。決算報告書とあなた方が書いている数字とが毎年毎年違っているなんて、そんなばかなことはないはずでしょう。そういう態度が全般に貫かれている。困るのは中小企業に働いている人になっちゃうわけです。そして不遇なのは中小企業に働いている人になっちゃう。
#116
○野原国務大臣 山本さんの御指摘の点は、肝に銘じて今後運営の改善に努力いたす決心でございます。
#117
○小山(省)委員長代理 古寺宏君。
#118
○古寺委員 最初に中小企業庁にお尋ねをいたします。
 昭和四十四年度の企業の倒産数は、東京商工興信所の調べによりますと、八千五百二十三件になっておりますが、その内容はほとんどが中小企業でございます。さらに今年の一月以来倒産件数は依然として高記録を続けておりますけれども、この中小企業の倒産の原因は一体どこにあるのか。その原因についてまずお尋ねをしたいと思います。
#119
○斎藤説明員 中小企業の倒産の原因でございますけれども、四十三年度におきましては過小資本あるいは設備投資の過大といったような構造的な要因によるものが五二・一%でございます。それから金融引き締め等に伴います循環的な要因によるものが三〇・五%でございましたけれども、四十四年度以降は、こういった構造的な要因に加えまして、放漫経営によります経営的な要因によるものが非常にふえてまいりまして、二五・二%を占めております。
#120
○古寺委員 そのいわゆる倒産に対する施策としてはどういう施策を行なっているか、具体的にお尋ねをしたいと思います。
#121
○斎藤説明員 倒産の防止対策といたしましては、基本的には中小企業の近代化あるいは合理化を推進いたしまして、企業の体質の改善をはかるということが肝要かと存じます。そのために、各般の施策を従来からやってまいっておるところでございますけれども、特に昨年九月からの金融引き締めに伴いまして、金融面から中小企業が倒産に追い込まれるといったようなことがないようにということで、中小企業向けの政府系三金融機関の貸し出しの規模の大幅な拡充を考えまして、昭和四十五年度の予算におきましては一応商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫といいます三つの中小企業向けの政府系金融機関の貸し出しの規模を前年度比一八%増にいたしまして、一兆二十五億円の貸し出し規模、融資規模を計上いたしまして、それに必要な財政投融資をお願いしたわけでございます。
  〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕
また特に、この中でも上期になるべく傾斜をさせまして融資の割合をふやすというような配慮をいたしております。
#122
○古寺委員 いろいろなそういう施策を実施して中小企業の倒産を未然に防止するということは、非常に大事なことでございますけれども、今年度の予算を見ますと、五百三億円と非常に少額でございます。これでは中小企業の育成と保護にほんとうに政府が熱意を持ってやっているかどうか、非常に疑わしいわけでございますが、日本の全産業の九九・五%を占めるといわれる中小企業でございますので、この中小企業で働いている方々に対して、当然この中小企業対策というものはもっとあたたかい対策が必要である、そういうふうに私は思うわけでございますが、現在中小企業で働いている労働者の実情は一体どういうふうになっているか、その点について承りたいと思います。
#123
○斎藤説明員 ただいまお話のございました、中小企業の数が事業所数で約四百五十万ございまして、そこで働いております従業員数は約二千七百万でございます。御承知のように、最近労働力需給がだんだん逼迫してまいりまして、そのために中小企業で働いております従業員の給与水準は漸次上昇を見つつございます。ただ、その働きます環境が、大企業等に比べまして、いわゆる従業員宿舎の面、あるいはその他の福利厚生施設の不備という問題もございまして、そこらの整備につきまして、政府といたしましてもあらゆる配慮をいたしたいというふうに考えております。
#124
○古寺委員 中小企業の労働力不足というのは、中小企業の経営についてどういう影響を持っておりますか、最近の動向についてお話し願いたいと思います。
#125
○斎藤説明員 最近の著しい労働力不足に伴いまして、中小企業従業員の賃金も大幅に上昇を見つつございます。ただ、収益面で見ますと、最近の市況の好調でございますとか、あるいは生産性の向上といったような面もありまして、中小企業の売り上げ高利益率はこの数年間は上昇の傾向をたどっております。ちょっと数字を申し上げてみますと、法人企業統計年報からとりました中小企業の売り上げ高利益率は、昭和四十一年が一・九%でございましたが、四十二年は二・二%、四十三年は二・三%というように、一般的にマクロで見ました中小企業の売り上げ高利益率は漸次上昇いたしております。ただ、中小企業の製造業で見ましても、約八割は非常に人手不足を訴えております。これは私どものほうで、昭和四十三年の暮れに、労働問題実態調査ということで経営者の方の意識調査をいたしましたところ、大体製造業の八割が人手不足が非常に経営上の隘路であるという回答を寄せておりまして、人手不足が中小企業の経営の維持、拡大の面で大きな隘路になってまいっておるということは否定できないかと存じます。
#126
○古寺委員 そういう人手不足を解消するための対策でございますが、これはどういうふうなことですか。
#127
○斎藤説明員 こういった人手不足に対処いたしまして、やはり基本的な対策といたしましては、中小企業の省力化投資の促進あるいは設備の近代化、さらに中小企業同士の共同化、協業化といったような構造改善を推進してまいるということが、まず基本的な政策であろうかと存じます。そういう意味で、先ほど申しましたように、中小企業向けの政府系金融機関の貸し出しの規模を一兆円強というような、前年度比一八%増の融資ワクを計上いたしますとともに、中小企業振興事業団と申します、これは中小企業の共同化等の構造改善を進めることの融資を行なう機関でありますけれども、そこの融資規模も大幅に拡大をはかりまして、政府からの出資二百五十億円を本年度四十五年度予算にお願いをいたしております。そのほか設備近代化関係の資金でございますとか、そういったものの大幅な拡充を四十五年度予算でお願いをいたしておるところでございます。
 なお、そのほかに労働環境の整備ということも、労働力の確保という意味で非常に重要なポイントでございますので、そういう関係につきましても、各般の資金の確保等につきまして所要の施策の充実に努力いたしておるところでございます。
#128
○古寺委員 中小企業に対しましては高度化資金あるいは設備近代化資金等もございますけれども、こういう融資制度に対して非常に要望が多いようでございますが、現在はその要望に対してどのくらい貸し付けておるのでございましょうか。
#129
○斎藤説明員 お話しのように、最近の経済環境の変化に伴いまして、中小企業自体が近代化、合理化の意欲が非常に強うございますので、そのための資金需要はきわめて旺盛でございます。そのため、政府系の金融機関に対しまして貸し出し規模の拡充につとめてまいっております。
 貸し出しの充足率でございますけれども、これは借り入れの申し込みに対しましての実際に借り入れを行ないました額の比率をパーセントでとったものでございますが、政府系中小企業向け三金融機関で融資の充足率は、四十一年度が八四・四%、四十二年度が八四・三%、四十三年度は八五・二%とうことで、四十三年度は充足率は若干上昇を見ております。なお、四十四年度は、年度間の数字がまだ出ておりませんけれども、四半期別に申し上げますと、第一・四半期は八二%、第二・四半期は八一・四%、第三・四半期、昨年の暮れでございますけれども、十二月で八九%というようになっておりまして、若干上昇を見ております。
#130
○古寺委員 個人会社の設備近代化資金でございますが、業種の限定がございまして、たとえばリンゴの倉庫であるとか、あるいは米菓をつくっておるお菓子屋さん、それ以外の普通のお菓子屋さん、そういう方々はこの業種から除外されているようでございますが、そういう業種についての今後の中小企業庁の考え方というものをお伺いしたいと思います。
#131
○斎藤説明員 ただいま御質問の設備近代化資金と申しますのは、府県と国の金を合わせまして、中小企業に所要資金の半額を無利子で貸し付ける制度のことかと存じますけれども、お話しのように業種の指定がございます。ただ、これは毎年見直しをすることになっておりまして、まず本省できめます指定業種と、各府県でもってその地方の特産品的なものということで、府県限りで追加してきめていくものとございます。確かにお話しのように、あられ等は現在指定業種になっておりませんけれども、県のほう等で非常に御希望がございますれば、毎年指定がえをいたしておりますので、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
#132
○古寺委員 次に、最近外資の攻勢が非常に進んで、一番影響を受けるのが中小企業でございますが、これに対する政府の対策、それから現在倒産の一番大きな原因は下請代金の支払い遅延にあるということがいわれています。このために下請代金支払遅延等防止法によって、昭和三十六年以来、これを防止するために努力を続けてまいっているようでございますが、現実の問題としては有名無実化されておる。最近この傾向に対しまして、悪質企業の名前を公表する方針である、そのために現在公表基準の作定を進めておる、こういうことを聞いておりますけれども、この基準というものはどういうものなのか、また悪質企業の実態はどういうふうになっているのかをあわせてお答えを願いたいと思います。
#133
○斎藤説明員 最初にお話しのございました資本自由化の問題でございますが、昭和四十二年から資本自由化が始まりまして、四十二年に五十業種の自由化を行ないました。それから第二次が昨年の三月に百五十業種の追加をいたしております。当初の計画によりますと、第三次の自由化を今年の秋ごろというように一応予定をされておりますが、これの自由化の実施にあたりましては、国内産業への影響を極力避けるということで、従来から中小企業業種はこれまでのところはあまり選ばれておりません。ただ、最終的な年次が四十六年度末までに自由化をほぼ終わるということになっておりますので、今度の第三次からは中小企業業種も漸次自由化の対象業種に入ってまいることは予想されるところでございます。したがいまして、資本自由化対策ということで中小企業の体質の強化が必要だと存じます。自由化対策としての妙案はないわけでございまして、結局中小企業の体質改善等によりまして力をつけるということが外資に対抗する道であろうかと存じます。そういう意味で、中小企業の構造改善、体質改善といったような問題にあらゆる角度から現在努力をいたしておるところでございます。
 それから、下請代金支払遅延等防止法の取り締まりの内容でございますが、下請代金支払遅延等防止法によりましていろいろ親企業に義務が課せられております。それを守っておるかどうかということで中小企業庁と公正取引委員会が常時調査をいたしまして、違反のおそれのあるものにつき概しては、行政部面でいろいろ指導、処罰を行なう、こういうふうな法律の仕組みになっておるわけでございます。
 四十三年度では中小企業庁が九千六百三十六件、公取が五千八百七十一件、合計一万五千五百七件の親事業者につきまして一応調査をいたしました。四十四年度は、ただいままでのところ、一月末で約一万三千カ所の親事業者につきまして調査をいたしまして、これは書面調査でございますけれども、調査の結果、違反のおそれのあるものにつきましては、大体立ち入り検査をいたしますとか、あるいは専業者を役所のほうに呼びまして、いろいろ実情を聴取いたしてその改善の指示等をいたしております。こういうことで一応立ち入り検査の結果、悪質と思われますものにつきましては、公正取引委員会に改善方の措置の請求を中小企業庁としてはいたすことに法律上なっております。最終的な措置は公正取引委員会がおとりになるわけでありますが、法律で定めております公正取引委員会の措置としましては、まず改善の勧告をいたしまして、勧告を聞かない事業者があればその氏名を公表する、こういうことになっておりますけれども、おおむね勧告の前の行政指導で大体この事態が改善されておりまして、ただいままでのところ、氏名を公表する段階に至ったケースはないわけであります。
#134
○古寺委員 下請企業がそういうような問題につきまして中小企業庁あるいは公正取引委員会に申し出ますと、いままでの下請契約を解消されたり、いろいろな報復措置をとられるというので、そういう事実があっても言わないで苦しんでいる中小企業が非常に多いということを聞いておりますけれども、そういう点については事実を知っておられるでしょうか。
#135
○斎藤説明員 確かに、お説のとおり、現在取引を行なっております場合に、その下請が取引先であります親事業者の違反行為を官庁に申し出るということにつきましては、下請側でもいろいろ配慮される面はあろうかと存じます。そういうことで、私どもとしましては、役所に直接申し出るのはなかなか心理的にむずかしい部面もあろうかと存じますので、各関係の中小企業の団体に昨年の暮れにも通牒を出しまして、こういった下請法違反の苦情がある場合には組合等に申し出てもらって、その組合から中小企業庁なり公正取引委員会にそれをまた伝えていただく、こういうふうにしていただきたいということで、約百五十ぐらいの中小企業団体に通牒を出しております。ただ、お話しのように、いろいろなかなかむずかしい事情がございまして、実際にはそういったルートで申し出てまいったケースはあまりございません。一応役所のほうに直接申し出られるのが月に二件くらいでございます。
#136
○古寺委員 そういう悪質業者を取り締まると申しますか、そういうような報復措置をとられないように、中小企業を守るための対策というものは具体的にどういうことを考えておられますか。
#137
○斎藤説明員 もし報復措置を親事業者がとりました場合には、それ自体が下請代金支払遅延防止法違反であるというふうに法律では見ております。ただ、それは法律の文言でございまして、実際の下請の心理からいたしますとなかなかむずかしい面があろうかと思っております。私ども見ております下請が非常に弱い立場にあると申しますのは、結局下請自体の力が弱いために、親企業の言うなりになるという面があるためにこういった問題が起こるのじゃないかと考えまして、そういう意味では、親企業側の取り締まりよりも――それももちろん必要でございますけれども、これは必要最小限の措置で、基本的には下請企業の体質を強化して力をつける。そういたしますと、最近非常に成績のいい下請は、むしろ奪い合いという状況でございますので、下請自体の力をつけて、対等に親と近代的な取引ができるように、技術面なり生産性なりが高まることが必要である、そういうふうに考えまして、下請中小企業振興法案というものを立案いたしまして、今国会に提案いたすべくただいま準備中のところでございまして、先週の金曜日の本会議で趣旨説明を申し上げたところでございます。私どもとしましては、この法案の成立をお願いいたしまして、それによりまして下請企業の体質改善をはかっていくということが、下請問題を解決する一番基本的な対策であるというふうに考えております。
#138
○古寺委員 いままでいろいろ中小企業庁のほうからお話がございましたが、わが国の置かれている中小企業の情勢は非常にきびしいと思います。中小企業の体質を改善して力をつけていくために、労働大臣として、中小企業労働者の対策をどのように今後進めていかれるお考えであるか、承りたいと思います。
#139
○野原国務大臣 中小企業が果たしておる役割りは非常に大きいわけでございます。特に労働問題、いかにして働く人たちを確保するかという問題は非常に重要でありますが、これに関連した労働省としての施策は、中小企業を健全に育成するために、中小企業の持っておる体質の改善、経営の合理化などももちろん必要でありますけれども、側面から、中小企業の人たちが安心して将来希望の持てるような職場づくりのためには、やはり働く人たちの勤労青少年ホームであるとか婦人ホーム、あるいは中小企業レクリェーションセンターというようなものの建設に力を尽くす、同時にまた、住宅の問題が非常にむずかしくなっておりますが、やはり住宅を建設して安心して居住ができるために、毎年一万戸からなる新しいアパートの建設をやっております。同時にまた、中小企業者が従業員の住宅を建設する場合においても融資の対策を講じております。そうした中小企業を中心とする勤労者の人たちが安心して今後従事できますような対策をできるだけ講じてまいりたい、そういうような観点から中小企業の振興に役立つような配慮を加えていきたいと考えておるわけでございます。
#140
○古寺委員 次に、中小企業退職金共済制度の近年における加入状況、一業所、それから対象人員、あるいは中央と地方の比較、そういう点について御説明願いたいと思います。
#141
○松永政府委員 中小企業退職金共済事業団に加入の状況でございますが、大体平均といたしまして事業場として一万ぐらいの加入を毎年見ております。昭和四十四年末におきまして加入いたしました企業の累計は十三万六千でございます。それから脱退企業が二万三千ほどございますので、四十四年末におきます在籍企業は十一万三千企業でございます。
 それから、従業員の加入の状況は年間約二十四、五万というようなことでございまして、四十四年末までの加入の累計は、従業員数にいたしまして二百五十八万三千人でございます。この間脱退が約百四万ございますので、四十四年末におきます在籍員数は百五十四万二千人というふうになっております。
 次にお尋ねの件でございますが、加入者の都道府県別の内訳ができております。一口にはちょっと申し上げにくいのでございますが、どういうふうに申し上げましょうか。たとえば共済契約者数で、東京では約一万七千の企業が入っております。北海道では五千七百、大阪で七千、兵庫で三千五百、少ないところでは、鳥取が七百二十七、徳島が七百二十一、それから青森県は千六百三十八の企業が加入しております。
#142
○古寺委員 これは全中小企業の何%に当たるわけでございますか。
#143
○松永政府委員 全企業と申しますか、この法律の対象になると考えられます企業を、そのものずばりの統計はございませんが、総理府でやっております事業所センサスがございまして、その中から拾い上げてみますと、製造業等で三百人以下、商業、サービス業等で五十人以下、これで調べて推計いたしますと、企業数で約百五十万という数字が出ます。それから、従業員数で約千百万というものがこの法律で一応考えておる対象事業所数並びに従業員数であるという推計でございます。
#144
○古寺委員 そうしますと、その中で現在加入している比率、パーセントは中央と地方では一体どうなっておるか。具体的には東京と北海道と比較してもけっこうでございます。
#145
○松永政府委員 各県別のは資料がございますので、計算をいたしましてあとで報告をさせていただきたいと思いますが、全数でいきますと、従業員数では約一二・八%ぐらいという比率でございます。
#146
○古寺委員 私が青森県で調べました結果、青森県においては事業所が五万ございます。その中で現在この制度に加入しているものは千八百カ所でございますので、大体三・四%ということになります。こういうふうに非常にこの加入状況が悪い。また一方では非常に脱退が多い、こういうことを承っておりますけれども、その原因はどういうところにあるのか、承りたいと思うわけでございます。
 それと一緒に東京、横浜、名古屋、大阪、神戸あるいは門司市においては、港湾労働者に対してその制度を適用いたしておりますけれども、他の港湾都市においてはこの制度がないわけでございますが、この点についてはどうなっているのか、承りたいと思います。
#147
○松永政府委員 ただいま御指摘ございましたように、全事業所数との比率におきましては、わずかなパーセントしか加入していないということになるわけでございますが、私どものほうで角度を変えまして、いろいろ検討しましたところを二、三申し上げてみたいと思うのでございます。
 この制度は先ほども申し上げましたように、退職金制度を独自で持たないような、いわば弱体といいますか、力のない中小企業に働く人たちの福祉を考える、こういう趣旨でございまして、独自の制度を持っておる――それがいいか悪いか程度はいろいろあると思いますが、そういうところよりはないところ、全然その制度がないというようなところをねらいにいたしておるわけでありますので、それを推計をいたしてみますと、われわれのまことに目の子でございますけれども、今後加入をしてもらったほうがいい、加入を促進する対象というのが大体のパーセントにおきまして約五割、いままでよりはさらに倍増しないとその制度を持たないところが埋められないという感じでございます。事業所数からいいますと、大体三割くらいはこの制度でやっていっておる。あとの六割あるいは七割程度の事業所をさらに開拓していかなければならぬのではないかという感じでございます。
 全国中小企業団体中央会等におけるこの制度の加入の実態調査というのもございますが、これも大体必要とされる事業所の二割五分くらいがこの制度に入っておるというような報告が、中小企業団体中央会からも出されておりますので、大体勘としてはこんなようなことではなかろうかというふうに考えられます。
 そして、ただいま、それじゃもう少し普及が徹底していいのではないか、どこに欠陥があるか、こういうことでございますが、これは一つはやはりこの制度の存在をまだ知らない人が相当おられる。これは私どもの責任でございますが、よく制度を知っていただいた上でお入り願うということになるわけでございますので、制度についての周知徹底方について努力をしてまいらなければならないというふうに思います。従来いろいろな方法でやっておりますけれども、さらに改善くふうを加えまして、そのPR、広報の徹底ということを第一に考えたいと思っております。
 それからまた、その周知徹底の際には、この制度の内容につきまして、先ほど来いろいろ御論議いただいておりますように、特徴としては十年程度の在職された方、長期在職者が有利になるように、比較的短期の人は不利であるというようなたてまえになっております点もあわせて御理解を願いまして、そして加入をしていただく。先ほど申し上げましたように、平均勤続は五・八年というような実情でございますので、十年勤続というようなことはそう不利ではない。そういうところに重点を置きまして、制度の周知徹底ということもやってまいりたいと思います。
 それからなお、やはり掛け金額が少ないために給付金も少ないという面もございますので、いま御審議をお願いしておりますように、四千円までかけられるというようなことにいたしまして、事業主の御理解によって、できるだけ高い額をかけるというような方向に私どももPRをしてまいりたいと思います。
 国庫補助等につきましても、今後の問題といたしましてはさらに努力をしてまいるというようなことで、制度改善と周知徹底と、両方合わせまして加入普及の拡大ということをはかってまいりたいと考えております。
#148
○古寺委員 そこで労働大臣がいなくなられるそうでございますのでお伺いしたいのでございますが、この制度を法的に義務づける、いわゆる中小企業者を守るためにこの制度を法的に義務づける、そういうお考えはお持ちになっていないかどうか。今後の中小企業の振興のために、また中小企業で働く労働者のために、そういうことをお考えになっていないかどうか承りたいと思います。
#149
○野原国務大臣 強制加入制度というものについてはまだ考えていないのでありますが、本来事業主がみずからの判断において決定すべきものであり、現行制度のもとにおいては、その設定を強制すべきものではない。本制度における退職金も、一般企業における退職金とその本質を異にするものではないのでありまして、したがって本制度においても、制度への加入を法律上強制することは適当ではない。しかしこれは大いに保護助長をして、みんなが進んで加入を願うような助成対策はあくまでも必要である。そういう観点から、今後もこの制度に対しては一そう強力にひとつやってまいりたいと考えております。
#150
○倉成委員長 大橋君。
#151
○大橋(敏)委員 関連して。労働大臣が急に用件ができて席をはずされると聞きましたので、私も一言お尋ねをしてみたいと思います。
 きょう審議されております法律の改正案は、いわゆる労働者に対する一応の援護法案でありまして、私はその趣旨については決して反対するものではございませんけれども、まだまだこまかい問題になりますと、いろいろと検討しなければならぬ内容がたくさん含まれております。それについてはあとで古寺議員のほうから質問すると思いますが、要は企業そのものが健在であることが私は前提条件だと思うのです。
 きょうの一般新聞に「企業倒産ふえ始める」、町の金融に申し込み殺到、こういう見出しで現状が報道されておりますが、その内容をかいつまんで読んでまいりますと、「金融引き締めの浸透で、企業倒産が三月からふえ始めた。帝国興信所が六日発表した企業倒産調査」これは負債一千万円以上としてありますが、それによりますと、「倒産件数は七百九十二件で前月に比較すると二八・二%増になり、前年同月比でも二・九%増になっている。負債金額は前月比九・八%増、前年同月比でも七・七%増となった。また同日発表になった東京商工興信所の調査でも八百三十五件、六百二十億八千万円で、前月に比較すると件数が四一%増、負債が三六・二%増と大幅にふえている。」ということであります。そしてこの原因について次のようにいわれております。「このように企業倒産がふえ出したのは、金融引き締めが大企業段階から中小企業にまで浸透し始めたもので、これを裏付けるように中小企業間の手形期間もかなり長期化してきた。また町の金融業者にも融資申し込みが殺倒、手形割引の持ち込みは年末以上だという。このため、両興信所とも、中小企業向け金融機関の貸し出し余力が底をついてきたので、今月から来月にかけて企業倒産はさらにふえるだろうと予想している。」このような記事が出ているわけでございます。お読みになったかどうか知りませんが、確かにこういう状況にあることは私たちも感じているわけでございますが、それに対して、大臣としてどのような考えをお持ちであるか、まず一言お答え願いたいと思います。
#152
○野原国務大臣 中小企業の持っておる役割り、日本経済の発展成長をささえておる非常な大きなにない手であります。最近における中小企業の倒産等もだんだんふえ始めており、まことに憂慮にたえないわけでありまして、これのもとになります原因は幾つかあろうと思いますが、われわれとしましては、あくまでも中小企業の健全な育成、また、このためには全理化も進め、あるいは協業化も進めていくという中にありまして、必要な労働力を確保する、そのためにはいろんな中小企業のお役に立つような政策の実現を行なう必要があるわけでございます。省をあげまして、たとえば職業訓練の問題であるとか、あるいは中小企業のためのいろんな融資の方法であるとかいろいろ検討いたしまして、その実現に努力をしておる最中でございます。中小企業は日本経済にとってまことに貴重な大事な存在である。そういう面で、この中小企業退職金共済制度なども将来の大きな柱になって、中小企業の育成強化に役立つ存在であろう、そういう観点からますますこの制度等を通じまして強力にやってまいる考えでおります。全般的には中小企業の問題は今後とも十分配慮して、その健全な育成のために全力を傾ける必要があるというように考えております。
#153
○大橋(敏)委員 もう一言。
 中小企業はいまは人手不足、重税、特に金融面では非常に冷遇的な立場、かわいそうな立場に置かされていると私は考えるのであります。
 そこで、たとえて言うならば、植木ばちに植えられている植木のようなものではないか、あるいは花びんの中の花みたいなもので、水が絶やされたならばたちどころに枯れてしまう、このような弱い立場にあるのが中小企業だろうと思います。いまの新聞報道を見ましても、今月来月と続々倒産が出てくるであろうという報道がなされておりますように、特に金融面では何とか緊急な措置をとるべきではないか、こういうことから、労働大臣として労働行政の立場、あるいは産業援護の立場から大蔵省に強力な折衝を持たれるかどうか、そういう意思があるかどうかお答え願いたいと思います。
#154
○野原国務大臣 御指摘の点は十分考慮いたしまして、経済閣僚会議その他で御意見の点は十分申し上げまして、今後の中小企業対策に遺憾のないような努力をいたしたいと考えております。
#155
○大橋(敏)委員 終わります。
#156
○古寺委員 そこでPRの問題でございますけれども、これは強化月間をつくって、そしていろいろ講習会その他をやっておるようでございますが、全中小企業の対象企業の中で、現在までに講習会に参加した企業は一体どのくらいになっておるか。また今後この講習会に参加をさせてこの趣旨を徹底していくためには、どういう計画をお持ちになっているか。これは事業団のほうの関係だと思いますが、お伺いしたいと思います。
#157
○大竹参考人 事業団といたしましては、できるだけいま先生のおっしゃったような方向で鋭意やっておるわけでございますけれども、講習会と申しますか、そういう説明会と申しますか、そういうことも私どもはじめ職員が地方に出かけまして、県の労政課あるいは所在の商工会議所その他の協力で、そういうふうなところといろいろ連携いたしまして、案内状を出して事業主に集まっていただく、そのほか広報車で回って呼びかけをするとかいうふうなことでいろいろやっておりまして、いまの説明会につきましても大ぜいの方にお見えいただくわけでございますが、そうした集まった人のいままでの累計というような数は、ちょっと計算してございませんので、申しわけございませんけれども……。
#158
○古寺委員 やはりこの趣旨を徹底して、中小企業で働いておる人たちの将来を考えてあげるというあたたかい思いやりというものが、私は非常に大切じゃないかと思うわけでございます。
 それについて現在の実情を見ますと、青森県においては年間約五百くらいの企業が説明会、講習会に参加をいたしておりますけれども、こういう速度で進んでいった場合にはこの趣旨が十二分に徹底されないわけだと私は考えるのです。そこでこういう点についてはもっとそういう機会をふやして、全中小企業に対してこの趣旨を徹底していかなければならないと思いますので、今後はそういう計画目標をつくってこの趣旨を徹底していただきたいと思うのでございます。
 次には就職しておる人が、中小企業では非常にやめる人が多いわけです。離職する人が多い。この離職率というものについて就職した初年度それから次年度、三年以降の離職率についてはどういうふうになっておるか、その点について承りたいと思います。
#159
○松永政府委員 ただいまおっしゃいました初年、二年目、三年目という区別をいまちょっと調べておりますが、私の承知しております限りでは、労働省でやっております雇用動向調査等によりますと、これは企業規模によりまして離職率が多少違うわけでございまして、中小企業のほうが高くなっておるということでございますが、百人未満の事業所におきまして最近三年間の離職率を見てみますと、平均年率で二三%くらい離職をするというような数字が出てきております。
 ちょっと、数字をさがしましてからお答え申し上げます。
#160
○古寺委員 私が調べたのでは、地方の場合には、初年度は三〇%、次年度で大体六〇%から七〇%、三年目に三〇%残るというのが実態になっておりますけれども、この制度を導入している事業所においては、いわゆる定着率といいますか、定着状態はどういうふうになっているか、その点についてお尋ねしたいと思います。
#161
○松永政府委員 私どもも、この制度に入りました人たちが、できるだけ定着していただきたいということを願っておりますので、いま申し上げましたような統計数字と背馳する数字であるかどうか、厳密にはなかなかむずかしいのでございますけれども、一体効果がどれくらいあるかということをいろいろ検討してみたのでございますが、いま申し上げました数字は、労働省調査による百人未満の離職率の平均ということでございますが、この退職金共済事業団に加入しております事業所の平均を、脱退率だけではどうも完全につかめません。脱退率そのものといたしましては一一・三%というような低い数字が出ておりますが、これがイコールそのまま離職率ということに必ずしもなりませんので、それらをもとに、ほんの目の子でございますけれども、推計いたしますと、やはり二〇%程度で、平均よりはちょっといいんではなかろうか。これもあまり大きな声でいばっては申しかねる数字でございますけれども、少し平均よりはいいんじゃないだろうかという感じを持っております。
#162
○古寺委員 この中小企業における平均賃金あるいはこういう制度によるところの退職金の水準というものは、大企業その他に比較をして非常に低い、こういうふうにいわれているわけでございます。したがいまして、こういう制度をつくりましても非常に魅力がない、あるいはこういう制度をつくって、それに事業主が加入をいたしましても、従業員が定着をしない、そういうことであっては、これはこの制度をつくった目的にかなわないわけでございますので、今後一般の水準並みの退職金を支払うために、一体どのくらいの掛け金にすれば一般の水準並みになるのか、その点についてお尋ねします。
#163
○松永政府委員 御指摘のごとく、賃金におきましても、退職金におきましても、大企業と中小企業の間において相当の格差がまだ残っております。だんだんと縮まってくる傾向にありますけれども、まだ残っております。そこでこの制度で、統計上、調査上大企業が支払っておると考えられます退職金を支払うとすれば、どれくらいの掛け金をしたらいいかということを一応推計をしてみますと、大企業の退職金の支給の方法が、勤続年数が長くなればなるほど額が多くなるという傾向を持っておりますので、長期勤続の場合には、掛け金を相当かけないといけないという結果になります。たとえば大企業並みをこの中退制度でやるといたしますと、十年勤続の場合ですと、二千円の掛け金をかけますと、大体統計上出ております大企業並みの退職金が払えるのではないか。それから二十年勤続の場合には、二千六百円の掛け金をかけることが必要ではないか。三十年勤続の場合には、三千二百円かけないと、大企業並みの支給ができないのではないかというような数字でございます。今回の改正におきましては、掛け金の額を四千円まで上げましたので、これを、最高をかけるということになりますれば、相当世間並みの退職金の給付ができるというふうに考えております。
#164
○古寺委員 最近は、地方の公共団体におきまして、川口市あるいは行田市をはじめとして、市独自のこういう退職金制度というものをつくっております。そういうところにおいては、せっかくいままでこの制度に加入しておっても、そちらのほうが内容が充実しているために、脱退する事業所も多いということを承っておりますけれども、そういう点については、今後労働省として、あるいは事業団としてどういうふうに対応していくお考えか承りたいと思います。
#165
○松永政府委員 地方公共団体も、中小企業対策といたしまして、退職金共済ということに関心を持ってまいっていることは御指摘のとおりでございます。ただ地方公共団体のやっております制度としては、二種類ございまして、御指摘のように、たとえば川口市とか行田市等におきましては、独自の退職金共済制度を持とうということでやっておりますが、その他のあるいは秩父市とか川越市等におきましては、この中小企業退職金制度に協力するという形で、たとえば掛け金の一部を市町村が負担してやるというような形で、この制度とタイアップして市の共済制度を持つということをいたしております。独自の制度を持つということもけっこうなことだと思うのでありますけれども、この中退制度と同じような成果をあげるということになりますと、相当の財源が必要ではなかろうか。国の補助によりまして、そうして専門の機関ができまして運営をいたしておりますのに比べますと、市だけの制度で小規模の場合に、はたして安全で、そして長続きのする制度ができるだろうかという点につきましては、相当検討してみなければいけないのではないか。あるいは地方公共団体の負担そのものが相当過重になってきやしないだろうかというようなことを心配いたしておりますけれども、それでも市で独自におやりになるということであれば、それはたいへんけっこうなことだと思います。技術的あるいは保険数理の上で制度として十分耐えられるものであるということであれば、これはおやりになることは非常にけっこうなことだと思いますし、それから、この中退事業団に協力する形で市が公費で一部負担いたしまして、そしてこの制度をよりよく活用しようということでありますれば、これもまた、たいへんけっこうなことだと思います。ただ独自でやります際には、数理計算等についてよほど慎重におやりを願う、あとで支払いがむずかしくなるというようなことのないように、その点を注意していただければけっこうだと思います。
#166
○古寺委員 そういうふうに地方自治体が独自の制度をつくるということは、やはりこの制度についていろいろと不満があるために、そういう結果になっていると思うわけでございますが、そういうふうに地方自治体が独自でつくらなければならないというおもなる理由はどの辺にあるのか、お尋ねしたいと思います。
#167
○松永政府委員 やはり一番の問題は、短期の勤続者の給付が長期に比べて比較的不利であるという点ではなかろうか。したがって川口市のように、鋳物が非常に盛んな町でありまして、そしてまた労働力の確保ということが鋳物業では非常にむずかしいというような事態があります際に、人の出入りが非常に激しい、そうすると、われわれのやっておりますような、たとえば十年で八分六厘というような、そこが一番有利だというようなことでは、どうも実情に合わないのではないかというような点が言われているようでございます。そこで先ほど来問題になっておりますように、どの点をピークにしたら一番いいかということになるわけでございますが、全体として大観をいたしますというと、やはり十年程度のところに山を置いて、一年、二年くらいのところはできるだけといいますか、その山を置いた関係で、どうしても低く押えられるという結果になっているわけでございますが、その辺の制度が、個々の地域あるいは個々の業種においていろいろ事情が違いますが、しかし審議会等においても、まあまあ山はこれじゃなかろうかというところに議論の結果落ちついたというようなことでございます。
 そのほかに、特別の、たとえば業務上災害に給付金をしたい、これは業務上災害の多発というようなことにこたえる方法だと思うのでありますけれども、労災保険等の給付のほかに、業務上災害の、特に死亡災害、死亡の場合にこの独自の制度で別途積み立てて給付をしたい、こういうような要請もあるようでございます。
#168
○古寺委員 そこで、先ほどから何べんもこれは質問があったわけでございますが、事業団のいわゆる還元融資と申しますか、代理貸し付けの状況についてお尋ねをしたいと思うわけでございますけれども、現在、加入の取り扱い銀行、あるいは信用金庫、信用組合の窓口では、この貸し付けはできないような仕組みになっているわけでございますね。たとえば青森県でいいますと、信用組合、信用金庫、あるいは全銀行が加入の窓口になっておりますけれども、融資を受ける際には、青森銀行だけが指定を受けておる、そのために、加入をしておる事業主であっても、融資を受ける際には、青森銀行と取引がないために思うように融資ができないとかいろいろな問題があるわけでございますが、今後は指定銀行というものを加入取り扱い銀行あるいは信用金庫、信用組合まで拡大する、そういうお考えがあるかどうか、まずそこからお尋ねしたいと思います。
#169
○大竹参考人 ただいま先生がおっしゃいましたとおりに、現在融資をいたす窓口になっております代理店は、各府県の県の指定銀行である代表的な地方銀行が通常一行、それから商工中金の本支店、これは各府県に少なくとも必ず一つはあるのでございますけれども、そこで扱っておるわけでございます。これも三十九年から融資を始めました当初におきましては、商工中金のほかに、各都道府県では地方銀行で指定されないものもあったわけでございますけれども、その後ふやしまして、実はいまのようなかっこうになっております。これは当初から、そうした先生がおっしゃったような御趣旨での御要望は各方面からもあるわけでございますけれども、何ぶんにも現段階におきましては、たとえば四十四年度で申しますと、代理貸し付けの資金総額が大体七億六千万円でございますけれども、窓口を非常にふやすというふうなところまでの資金量でもございませんので、加入者の方々にはよくその辺を御理解いただくように、窓口はここですということをPRして、利用されておる方から見ると、やや御不便もあろうかと思いますけれども、それぞれ代理店になっております金融機関では、ふだんの取引がないからといってそうした差別的なことをしないように厳重に監督しておりまして、ただいまのような実情になっておりますので、さしあたりすぐこれを拡大していくということはちょっと困難な状況にあるわけでございます。
#170
○古寺委員 それでは時間がないのでこれで終わりますけれども、後ほど、事業団のいわゆる代理貸し付けの全国の銀行別の融資の内容でございますが、これは、どこに融資したかということはけっこうでございますので、銀行名と金額と件数を書き出して御提出を願いたいと思います。
 以上で終わります。
#171
○倉成委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際休憩いたします。
   午後一時五十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時四十六分開議
#172
○倉成委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続けます。寒川喜一君。
#173
○寒川委員 質問がたいへんおそい時間になりましたので、簡潔に質問を申し上げたい。
 私自身もかつては労働行政の末端に職を奉じたものでございまするが、労働省が創立された当時においては、中小企業の労働者も含めて、労働省は労働者の味方だという観点のもとに、大きな期待を持ってその後の運営を見守ってきておったと思います。なかんずく賃金の問題がだんだんと片づくに従って、特に中小零細企業の労働福祉というような問題が大きな問題として取り上げられておる中において、労働省設置法を見ましても、労働福祉の問題につきましては専管事項になっておると承知をいたしておりまするけれども、国民的な立場という観点から、文部省、厚生省あるいは運輸省と、それぞれの関係のところが横取りをして、総合的な立場で労働福祉の運営というものが必ずしも行なわれておらないと私は判断をいたしております。こんなことを申し上げてたいへん恐縮でございますけれども、従来、労働大臣は比較的専門家といわれる方々が御就任になられた。私をして言わしめるならば、今日のような段階になりまけると、むしろ中途はんぱな専門家よりも、全く新しい角度で所管の行政を見、将来のビジョンを描いていくという観点からいたしますならば、労働大臣はある意味において私は適任者でなかろうかと、かような判断をいたしております。したがって、現在、労働省の労働福祉に対する、なかんずく中小企業の労働福祉の問題についてどういうお考え方で取り組んでおられるのか、将来どういう発展をさしていこうとお考えになっておられるのか、大臣からお答えをいただきたいと思います。
#174
○野原国務大臣 中小企業の振興に関しましては、もとより通産省あるいは運輸省、厚生省と、それぞれの分野においてできるだけの社会福祉施設等を考えていただくことはもちろんでございますが、何と申しましても、労働省が中心となりまして中小企業の振興あるいは労働者の地位の向上ということをやるべきものでございます。
 そこで、やっておりますことは、すでに御承知のとおり、まず第一に勤労青少年のホームをつくったり、あるいは中小企業レクリエーションセンターを設けたり、勤労者の福祉総合センター等の福祉施設の設置、これによりまして日ごろ恵まれない中小企業労働者に施設を提供してその福祉向上をはかるという問題があります。
 第二は、雇用促進事業団とか中小企業退職金共済事業団等による融資の制度を実施いたしまして、これによって中小企業者が雇用する従業員の住宅等の設置に必要な資金の確保をはかっていくという問題。
 第三は、中小企業集団に対する補助金の交付であります。これによって中小企業集団みずからが行なう福祉活動の助成をはかってまいりたいと思っております。
 第四は、中小企業退職金共済制度の実施であるが、それによって中小企業において手軽に退職金制度が設けられまして、これが改正になるわけでございますが、こうした中小企業について魅力あるものにするために今回この法律を出したわけであります。
 もとより、中小企業の振興という問題は、国の最も重視しなければならない政策でありまするし、これに対する企業の近代化、合理化、あるいは共同利用施設といったようなものも加えてまいらなければならぬ。同時にまた、働く人たちについては、中小企業に役立つような職業訓練を行なうとか、あるいはまた、そういう人たちの職業のお世話を申し上げるというふうなことによりまして、全般的にいいまして中小企業に対する対策を講じてまいりたいと考えておるわけでございます。
#175
○寒川委員 私が期待しておりました新しいビジョンと申しますか、将来の展望を何がしかお漏らし願えるのではないか、こんな感じでおりましたが、従来やっておられる仕事をふえんし、かつそれに少し加えての御答弁で、いささか失望せざるを得ないのでございます。
 そこで、現在おやりになっておられる労働福祉の中で中小零細企業に最も関係のございます、この提案されております法案、まあ物価が上がったからべース改定をしようという感覚でおやりになったんだと思いますが、設置当時から見ましても、この基本的な思想が全然発展をしておらない。私はここに著しい不満を実は感ずるのでございます。労働省御当局の御説明を待つまでもなく、この制度そのものをずばりつかまえて、たとえば民間の同種の制度と、保険制度による年金、一時金といったような制度に比較をいたしましても、有利であることは間違いがない。にもかかわらず、なぜ普及しないのか。十年一昔といいますが、この制度ができましてからもうすでに十年を経過をしておる。こういった中で、どこにネックがあって普及がおくれておるのか、その辺の事情について局長から伺いたいと思います。
#176
○松永政府委員 ただいまお尋ねの、この制度につきまして普及が不十分じゃないのかという御質問でございますが、私どもも、この制度がもう少し普及してしかるべきであったという反省をいたしております。先ほど来御説明申し上げておりますように、いろいろなルートを通じましてこの制度の普及理解の促進をはかっておるわけでございますが、何と申しましても、先ほど例におあげになりました企業年金とかあるいは生命保険、たとえば生命保険会社の広告等におきまして、中退事業団の例を引きましてこの点が中退事業団よりは有利であるというような広告を見たことがございますが、そういうような非常に精力的な広告に比べますと、私どものほうのPRや広告はまだまだ不十分だというふうに思いますので、まずやはりPR不足、それから先ほど申し上げましたけれども、この法律の適用対象になります中小企業者あるいは従業員の方々が、こういう制度を知らない。具体的に、私がお会いしました方も、そんないい制度なら、それじゃ入ろうかというようなこともございますので、やはりPRにもっともっと力を入れてまいりたいということでございます。
 それから、問題といたしましては、保険会社の広告で指摘をいたしておりますように、短期の面がやや不利であるという点がございます。いずれにしましても、非常に多数の、そうして零細の事業の方々、従業員の方々に御理解をいただくということでありますので、一般の普通の行政よりは非常に浸透しにくいという面がございます。寒川先生はもう労働行政に長く御従事されましたのでよく御存じでございまして、釈迦に説法になるかもしれませんが、やはり都道府県の労働部労政課等の御協力もこの上ともいただきまして、それから、先ほど申し上げたいろいろなこれに関する金融機関等の協力も得、商工会議所等の協力を得まして、さらにPRについてくふうをこらしてやってまいりたいと思います。
#177
○寒川委員 十年たって知らぬ人があるというようなことは、私は著しく怠慢じゃないかと思うのです。いわんや補助金を出して府県が主体になってやっておるという事業であればそのこともまた当たるかもしれないと思います。しかしながら、先ほど先輩同僚議員の質問に対してのお答えの中にも、国の経費を九億四千万余もお使いになるうち八億も事務費にお使いになっておる、こういったことで、はたしてほんとうに、たとえばPRのために具体的にどういう金の使い方をしておるのか等を承りたいし、同時に、事業団の方にお伺いしたいことは、現在事業団がどれだけの人員をおかかえになり、かつデスク的な要員と、実務的と申しましょうか、現場で普及員的な仕事をする要員をどういう配置のしかたで構成されておるのか。なおかつ、いわゆる人件費と物件費との割合はどういった状態になっておるか。このことについてまずお伺いしたいと思います。
#178
○大竹参考人 最初に事業団の人員から申し上げます。
 事業団の人員は役員が七人、職員が二百四十五人となっております。職員の内訳、いずれが業務関係、いずれが事務関係ということでございますが、総務部、これは完全な事務でございます。ここに三十四名おります。それから業務、給付といったのがいわば現業的な色彩の強いところでございますが、業務部が百十二人でございます。業務部は契約課とか事務機械課とか、そういうふうな課でございます。それから給付部、これは退職金の支払い、通知書の発送等に当たるわけでございますが、これが四十四人、それから、資産の運用に当たります経理部が三十二人、調査広報部、これが十三人、あと融資室が十人ということになっております。
 それから予算でございますが、事業団について申し上げます。
 四十五年度、ただいま認可申請中の、一応査定を受けております予算でございますが、事務費が五億九千四百万ということでございます。そのうち役職員の給与関係が二億五千六十四万七千円、その他が管理費ということになっております。
 それから、先ほど来お話が出ておりますとおり、退職金に補助金をつけるわけでございますが、その補助金が一億四千万円見込まれております。
 以上でございます。
#179
○寒川委員 それから、先ほど御答弁になった事務費八億、補助一億四千万というのは、私の聞き間違いでございますか。
#180
○松永政府委員 先ほど私が申し上げました国庫補助金の総額は、九億四千八百万円でございますが、これは中小企業退職金共済事業団、建設業退職金共済組合、清酒製造業退職金共済組合、それの全部の合計でございます。
#181
○寒川委員 そのうちPRの費用の御質問をしたのですが、お答えがないのですが……。
#182
○大竹参考人 調査広報部がPR関係を担当いたしておるわけでございますが、調査広報部の予算が千六百七十七万九千円でございます。
#183
○寒川委員 全体でこれだけの事業をやり、かつ予算を持っておって、こういう情報化時代に、二千万足らずのPR費というようなことでは、ほんとうにやるつもりがあっておやりになっておるのか。私は、あまりやると国庫持ち出しが多くなってくるから、この程度でよかろうというお考えを持っておられるのか、その辺ちょっと理解に苦しむのですが、ほんとうにやろうというおつもりでございますならば、関連をして実は申し上げたいのでございまするが、こういったことについて、府県の段階では、労政の補助事業としてやっております中小企業労働相談員、こういった人が比較的こういう仕事に携っておりますが、御案内のように、月額一万八千円程度の補助しかお出しにならずに、しかも週拘束三、八、二十四時間ですか、そんなような形で、多少関係の府県が予算のつぎ足しをいたしておりまするけれども、現在学生のアルバイトでも、一日千五百円程度出さなければ仕事にならない、そんなことを考えると、どうも事務的な段階でお話を聞くことと、あるいは国の財政全体ということから考えての感じから申し上げますと、大蔵の圧力と申しますか、そんなものの、言うならば労働省自身のリーダーシップの関係で、私は、まあまあこれだけ集まったんだからというような感じがするのですが、そのことに対して局長はどうお考えになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
#184
○松永政府委員 まず最初の事業団のPR費関係でございますが、御指摘のように、私どももこれで十分だとは思っておりません。ただ、おっしゃいましたように、事業団の予算につきましては、政府の認可を必要とする。その際に、大蔵省もこれを審査するということになっております。公共的な性質という点、国庫補助で全額見ておるという面からいいまして、当然のことでございますが、そういう面で、事業団自身がこれだけやりたいということが、全部が全部かなえられるというものではない、これは御指摘のようなことになるかと思います。ただ運営におきまして、私どもといたしましては、一応こういう予算でございますが、片方の経費を節約して片方の経費に使うというようなやりくりというようなものは、ある程度できるわけでございます。
 それからまた、いろいろな業績をあげまして、そういう余裕をひねり出して、何とか広報経費に回す、そういうような面につきましては、実際の運営の面におきまして、できるだけ国庫にそう大きな負担をかけないでやれるくふうは、やはりこのワク内で運営面で講じていきたい、そういうことで私どもも指導してまいりたいというふうに考えます。
#185
○寒川委員 そこで、私がなぜ中小企業労働相談員を持ち出したかと申しますゆえんのものも――これは経営者のほうは全額持ち出しですから、できるだけ押えたいという気持があると思うのです。したがって、従業員諸君のほんとうの声を聞いてやって、経営者に対し積極的に、この企業であれば当然に加入するのが本筋ではないかといったような実のあるような勧誘というものは、やはり対人関係の接触なしにはなかなか困難だと思うのです。いわんや役所の労政事務所の職員が行けば、やはりお役所からというような面で、組織を持っておらない小零細企業の事務職員というものは話がしにくい。御主人に反旗をひるがえすような、困ったことを言い出したというようなとらえ方等もするのではないか。そんな面で、ほんとうにきめのこまかい配慮をやらなければ、十年たってまだ知らぬというようなことでは、私は、この制度をつくった意味をなさないと思います。
 なお、関連いたしまして、基本的なことを、労働大臣にお伺いしたいのですが、現在、労働福祉事業団というのがございますけれども、この事業団というものがありますために、私たちのところによく言ってくることは、労働福祉事業団へ行ったら、福祉施設の金を貸してくれるのですかとか、いわゆる名は体をあらわすと申しますか、中小零細企業労使の味方だというように事業団等に対して理解をする向きが多いのですが、実際は、御承知のように、私は、労働者医療事業団だと思うのです。そういった意味合いで、御承知のように、この制度の中でも融資という制度がございますが、先ほど来先輩、同僚の質問の中でも出てきましたが、小零細企業の場合には、御承知のように、余裕の金なんていうのは、そうなかなかございません。したがって、積み立てた金を活用する、こういう問題について、やはり格段の配慮をしていただく必要がある。加えて、このままでいきますと、労働福祉というものが各個ばらばらになって、一元的になかなか処理されてまいらないような実態が起こってくるのではないか。こんな感じの中で、遠い将来の問題は別にしまして、さしあたり中小企業労働者福祉基金、こういったような制度なり、あるいは現在の雇用促進事業団の運営方法について再検討されて、退職金事業団に加入したら、還元融資について、現在のような九%といいますか、みすみすなけなしの金を積み立てておくというようなことよりも、もっと産業界の興隆のためにも、中小企業労働者のためにも、ぼくは策があるんじゃないかと思います。冒頭にそのことを、実は何とか新感覚で大臣からお話があるのではないかと思っておりましたが、そういう面でおざなりの御答弁がございましたことを遺憾に思いますが、私のいま提案しておるような問題について、検討してみようという余地はお持ちになっておられるかどうか、大臣からお答えをいただきたいと思います。
#186
○野原国務大臣 まことに貴重な御意見だと思っております。中小企業労働者福祉基金制度というふうなもの、いずれにいたしましても、労働福祉事業団の現在の運営その他は必ずしも十分ではない。非常に幅広くやっているようでありますけれども、どうも中身において必ずしも十分でない点もあるわけでございまして、御提案のような福祉基金制度を普及するというような点は、今後の問題として十分に検討し、ひとつしっかりとやってみたいような気がしておるわけでございます。
#187
○寒川委員 基本的なこと等につきましては以上で質問を終わりたいと思いますが、最後に、今度の国会の予算の中でも京阪神で成功した求人、求職の結合について、非常にいい成果をあげておるからということで、京浜地区におきましても御計画になっておると思います。私も実務経験なり最近の職安の窓口の状況、そういったものを見ておりますると、求人、求職の結合というものは、機械によって非常に距離が短縮されて求職者の耳に入りますけれども、その求人内容の具体的な問題については、私は残念ながら、まあ極端な表現をすれば、桂庵時代から若干進歩をしたという程度であって職員の教育、訓練の問題にしましても、そういった近代技術の進歩に沿った専門的な教育のカリキュラムとか、そういうような面で将来検討していただかぬと、中小企業の中においても非常にウエートの高い、規模は小さいといえども、産業界、輸出等に貢献をしておる企業があるわけです。ただ旋盤工十年経験の者何人といえば機械的に結合していくというような形では、ぼくは問題があるし、同時に、そういうことになりますると、現在の職安の機動力というようなものからいたしますならば、これは何ぼ希望してもできないような相談です。自動車がはんらんをしておると、こういわれますけれども、職安の所長が自動車一台を持っておって、職員はてくてく歩いてかけずり回っておる、こんなような状態の中で、はたしてほんとうの意味の、いわゆる中小零細企業を守る意味での求人、求職の結合、あるいは求職者にむだ足を踏まさないといったようなことは私はどうかと思うのですが、そういう職安の機動力といったような問題について、非常におくれておりますが、それを早急に取り返される措置をお考えになっておられるかどうか、お尋ねしたいと思います。
#188
○住政府委員 先生御指摘のように、最近の労働力の状況は非常に変わってまいっております。それを処理する職業安定所の体制が十分であるかどうか、こういうことにつきましては、いろいろ問題があるというように考えておるわけでございます。先生も御指摘になりましたように、まず安定所の職員が、そういった変化する職業なり雇用の推移についていくようにどのようにして資質の向上をはかるか、こういうことにつきましては、たとえば労働研修所におきます新しく採用の職員の研修とか、あるいは入ってから五年くらいたった職員の研修とか、あるいは職業紹介官なり、就職促進指導官の研修、所長の研修、こういうようなことを組織的にやっておりますと同時に、最近の状況を現地において把握させるということで、安定所の職員間の、たとえば北海道の安定所の職員を東京へ持ってきて、あるいは東京の職員を北海道に持っていくというようなことで、現地についてのその安定所の実情というものを把握させる、こういうような体制もとっておるわけでございます。
 それから、機動力の点でございますが、私ども、たとえばサービスカーを年々安定所に配付するとか、あるいは乗用車を配付するとか、ジープを配付するとか、こういうことで努力しておるつもりでございますが、まだ完全に機動力が充実したとも考えておらないのでございまして、できるだけそういう面での充実をはかって、いずれにしましても安定所全体が、たとえばIDPシステムの充実とか、リアルタイムの強化とか、そういうような体制をとりまして、変化する労働情勢に即応する、あるいはそれより先に進むという、こういう体制の充実につとめてまいりたいというように考えているわけでございます。
#189
○寒川委員 機動力の問題について御答弁がございましたが、実際はほんとうに国全体の交通機関の発達状況からいえば、私は安定所の機動力なんというものは、昭和の初期の実態だと思います。そういった問題について、ほんとうに真剣に考えないと、求職者に対して、またあした来い、こう簡単に言われても、やはりみな生活がかかっておる。失業保険があるではないかというような、また同時に反論も起ころうかと思いますけれども、このこと自体は、やっぱり国家的な立場からすれば、いろいろな面で不経済の繰り返しになると思います。そういう面でひとつ真剣に努力をしてもらいたい。
 なお、職員研修のカリキュラムについては、後刻また書面にしてひとつ報告をしていただきたい。えてしてこういうことが労働強化につながるのだということで、近代的な推移に背を向ける傾向なしとしません。したがって、勇気を持って新しい時代に臨んでいただきたい、このことを要望して質問を終わります。
 ありがとうございました。
#190
○倉成委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#191
○倉成委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#192
○倉成委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 おはかりいたします。
 本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#193
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#194
○倉成委員長 この際田邊誠君より発言を求められておりますので、これを許します。田邊誠君。
#195
○田邊委員 私は、次に上程をされまする家内労働法案を審議する前提として、次の二点を明らかにしておきたいと思います。
 まず第一の点についてお聞きをしたいと思います。それは、家内労働法の中心となる最低工賃に密接な関連を持つ最低賃金制につきましては、われわれは深い関心を持っておるのでありますが、私どもは従来から、その基本的なあり方として、全国全産業一律制でなければならないと主張してまいったのであります。この点については、昭和四十三年の最低賃金法改正の審議の過程において、わが党からの質問に対して、当時の小川労働大臣は、中央最低賃金審議会に対して全国全産業一律制を含めて御答申をいただくようお願いしたいと答弁をいたしております。したがって、中央最低賃金審議会からは、全国全産業一律制を含めて答申がなされるものと考えておりまするけれども、労働大臣の見解をお聞きしたいと思うのであります。
 次に、第二点についてお伺いしたいと思います。私ども社会党は、かねてから家内労働問題を重視し、その対策の一環として、昭和三十三年以降、家内労働法案をたびたび国会に提出してまいりました。しかるに政府は、昭和三十四年、ようやく臨時家内労働調査会を設けて検討に着手したのでありまするけれども、自来本法案の提出まで十年以上を要したことは、きわめてはなはだしい怠慢といわなければなりません。このようなことでは、かりに今国会において法案が成立するといたしましても、政府が真に熱意を持って家内労働対策を推進するつもりがあるかどうか、危ぶまざるを得ないのであります。元来、家内労働対策は、労働面のみならず、税制、社会保障、中小企業対策など、各般の施策に関連をするので、政府は総力をあげてこれが努力を必要とするのであります。したがって、この際、法案審議に先立って、この家内労働対策に対する政府の決意のほどをお聞きしたいのであります。
 以上、二つの点に対して、大臣の明快な御答弁をお願いして、議事進行の発言を終わります。
#196
○倉成委員長 次に、労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。野原労働大臣。
#197
○野原国務大臣 御指摘のとおり、第五十八回通常国会の社会労働委員会において加藤万吉委員から御質問がありまして、小川元労働大臣は、「中央最低賃金審議会に対しましては、かねてから最低賃金制の基本的なあり方について、全国全産業一律制、産業別、地域別等、いろいろの考え方を含めて御検討願っているところでございますが、御質問の御趣旨も十分理解できまするし、私も何らかの形で全国全産業の労働者がひとしく最低賃金の適用を受けることが望ましいと考えますので、この際、同審議会に対して、前述の諮問に対する答申に際しては、全国全産業一律制を含めて御答申をいただくようお願いしたいと存じます。」と答弁しております。私といたしましても小川元労働大臣と全く同様な考えであります。中央最低賃金審議会は現在引き続き最低賃金制の基本的なあり方について審議を行なっておりますが、全国全産業一律制を含めて御答申をいただけるものと考えておるところであります。
 次に、家内労働法の問題でありますが、御指摘のとおり、臨時家内労働調査会における調査、審議の開始以来、家内労働法案の提出まで十年以上の年月を要しましたのは、何ぶん家内労働の実態が予想以上に複雑多岐であると同時に、従来この分野に関する資料が乏しく、しかも絶えず変化を重ねておるために、調査会及び審議会においても、その対象について容易に結論を出すに至らなかったためであります。もちろん、労働省におきましては、この間においても各種の行政措置の実施及び最低賃金法に基づく最低工賃の決定の推進につとめてきておりますが、各方面の期待にもかかわらず、今日までその法制的措置の実現を見なかったことは、御指摘のとおりであります。家内労働法案成立の上は、それに基づきまして家内労働対策の本格的な推進につとめる決意であります。また、家内労働に対する対策は、御指摘のとおり家内労働法の適用のみならず、関連する諸施策の総合的実施を推進しなければならないと存じますので、政府としましては、関係各省一体となって、総合的家内労働対策の積極的な推進に遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
 以上、簡単でありますが、お答え申し上げる次第でございます。
     ――――◇―――――
#198
○倉成委員長 次に、内閣提出の家内労働法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。野原労働大臣。
#199
○野原国務大臣 ただいま議題となりました家内労働法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現在わが国では、問屋や製造業者から委託を受けて、物品の製造、加工等に従事している、いわゆる家内労働者が多数存在しており、その数は、把握し得たものだけでも百四十三万人に達しております。
 これらの家内労働者は、作業場所こそ一般に自宅でありますが、委託者から原材料等の提供を受けて、一人で、または家族とともに物品の製造、加工等に従事し、その労働に対して工賃を支払われているものでありまして、その大部分は、実質的には、雇用労働者に近い性格を持っているものであります。
 ところで、これらの家内労働者は、工賃や安全衛生等に関する労働条件が一般的には低く、従来から問題が少なくなかったのでありますが、特に最近の経済の発展に伴い、雇用労働者の労働条件をはじめその他の就業者の就業条件が向上している中にあって、そのおくれは著しいものがあります。
 このため、家内労働に関する対策の必要性は、かねてから指摘されていたところでありまして、政府としましては、昭和三十四年、最低賃金法の制定により、さしあたり、最低賃金と関連のある家内労働者については、最低工賃を決定し得ることとして工賃面についての保護をはかったのでありますが、たまたま同じ時期にヘップサンダルの製造に従事する家内労働者にベンゼン中毒問題が発生し、これらを契機として、総合的な家内労働対策樹立への要請が高まってきたのであります。
 このような情勢にかんがみ、労働省は、昭和三十四年十一月、臨時家内労働調査会を設置して家内労働の実態把握と家内労働対策の検討をお願いいたしていたところ、昭和四十年に、「わが国家内労働の現状に関する報告」を提出されるとともに、今後の家内労働対策の進め方について見解を示されたのであります。
 これにより、わが国の家内労働の実態は、きわめて複雑で、かつ、多岐多様にわたり、その対策は、なお慎重な審議を要することが明らかとなりましたので、政府は、同調査会の見解に従って、昭和四十一年、労働省の付属機関として家内労働審議会を設置し、法制的措置を含む総合的家内労働対策の検討をお願いし、昭和四十三年十二月、同審議会の全員一致の答申を受けたのであります。
 この答申は、臨時家内労働調査会以来十年の長きにわたって調査審議した結果に基づくものでありまして、政府としては、これを十分に尊重して、ここに家内労働法案を提出いたした次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして概略御説明申し上げます。
 第一には、委託者と家内労働者との委託関係を明確化するため、委託者は、家内労働者に家内労働手帳を交付しなければならないことといたしております。
 すなわち、委託者と家内労働者との間における契約内容は、従来必ずしも明確でなく、無用の紛争の原因ともなっていますので、委託者が交付した家内労働手帳に、委託等のつど、必要事項を記入することにより、家内労働者の工賃等の権利保護に役立てようとするものであります。
 第二には、家内労働者及びその補助者の就業時間が長時間のものとならないよう委託者及び家内労働者に対して努力義務を課するとともに、行政官庁が就業時間の適正化に関し必要な勧告をなし得ることとしております。
 すなわち、家内労働者が何時間就業するかは、家内労働の性格からして本来自由でありますが、その健康を害し、工賃単価にも悪影響を及ぼすような長時間の就業は好ましいことではありません。しかし、家内労働の実態から画一的にこれを規制することはきわめて困難でありますので、このような措置により、その自主的な努力を促そうとするものであります。
 第三には、工賃の確保をはかるために、その支払い方法について必要な規定を設けております。
 すなわち、工賃は、原則として、全額通貨により物品の受領後一カ月以内に、または毎月一定期日を工賃締め切り日とする場合はその日から一カ月以内に支払わなければならないことといたしております。
 なお、産地等の実態により、直ちにこの規定を適用することが著しく困難な場合については、行政官庁は、審議会の意見を聞いて、当分の間、別段の定めをすることができる旨の経過措置を設けて、無用な混乱を生じないよう配慮をいたしております。
 第四には、工賃の低廉な家内労働者についてその改善をはかるため、行政官庁は、審議会の意見を尊重して、最低工賃の決定をすることができることといたしております。
 すなわち、最低工賃については、現在最低賃金法において、最低賃金の有効な実施を確保するため必要な限度においてこれを決定し得ることとなっておりますが、今後は、最低賃金との関係のみでなく、家内労働者の工賃の問題として、最低賃金との関係も考慮しつつ、工賃の低廉な家内労働者に対し工賃の最低額を定め得ることとしたものであります。
 この場合において、最低工賃を決定するにあたっては、同一地域における同一または類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮することといたしております。
 第五には、委託者及び家内労働者は、危害を防止するために必要な措置を講じなければならないこととするとともに、行政官庁はこれらに対し、必要により、委託の禁止その他必要な措置を命じ得ることといたしております。
 すなわち、安全及び衛生の確保に関し、委託者及び家内労働者が守るべき必要な措置を労働省令で定めることとし、この場合、家内労働者の補助者についても、必要な保護がなされ得るよう配慮いたしております。
 第六には、家内労働に関する重要事項を調査審議するための審議機関を、中央及び地方に設けることといたしております。
 すなわち、労働省に中央家内労働審議会を、政令で定める都道府県労働基準局に地方家内労働審議会を置くこととし、地方家内労働審議会を置かない都道府県労働基準局の地方労働基準審議会に家内労働部会を設けることとしております。また、これらの審議機関は、家内労働者代表、委託者代表及び公益代表各同数の委員をもって組織することといたしております。
 その他、委託の打ち切りの予告、委託者の届け出、労働基準監督官の権限及び違反の防止等に関する所要の規定を設けるほか、関係法令に関する整備を行ない、もって本法案の円滑な実施を期しているのであります。
 以上申し述べましたとおり、本法案は、最低工賃を除き、従来全く法律の対象になっていなかった家内労働者に対して、新たに法的保護を加え、家内労働者の労働条件の向上をはかり、もってその生活の安定に資することを目的とするものであります。
 しかしながら、家内労働問題は、各般にわたる困難な諸問題を内包しておりますので、これが運用にあたっては、法制定の趣旨について関係者の十分なる理解と協力を得て、実情に即しつつその円滑なる実施につとめるとともに、今後とも引き続いて検討を重ね、本法の施行その他の行政措置の結果を待って、逐次法的整備をもはかってまいりたい所存であります。
 以上この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
     ――――◇―――――
#200
○倉成委員長 次に、島本虎三君外六名提出の駐留軍労働者の雇用の安定に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。提出者島本虎三君。
#201
○島本議員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案の提案理由並びにその骨子について御説明申し上げます。
 御承知のように、この法律案はわれわれが数回にわたって提案してまいったものでありますが、残念ながらいまだ成立を見なかったのであります。しかしながら、われわれが再三再四にわたってこの法律案を提案いたしました理由は、この法律案が駐留軍労働者の雇用の安定と生活確保のために必要欠くべからざるものと判断しているからであります。
 これまでも強調してまいりましたが、駐留軍労働者の地位はきわめて不安定であります。昭和三十五年から四十四年までの十年間に、ほぼ六万八千人もの離職者を出しております。今年に入ってからも、五月までに約五千名、さらに七月以降、すなわち七一米会計年度には七千名の解雇が予定されておるのであります。これらは、アメリカのドル防衛政策あるいは米軍の戦略変更による予算の削減や米軍部隊の撤退、統廃合によって離職を余儀なくされているのでありまして、これら離職者の平均年齢は五十歳に近く、再就職も困難であり、大部分の人々が安定した職場を得ることができないのが実情であります。
 提案者としては、ぜひとも、緊急にこれらの労働者の雇用の安定をはかる必要があると考える次第です。
 特に御留意いただきたいことは、これらの労働者は米軍のもとで働いているものでありますが、その雇用については日本政府が雇用主であることであります。したがいまして、これらの労働者がもし米軍の都合により解雇されました場合には、日本政府がその再雇用の責任を持つのが当然だと考えるのであります。
 しかも米軍基地は、日本政府の意向とはかかわりなく、アメリカ政府の軍事戦略によって、変更、移動または廃止される地位にあるのであります。したがいまして、駐留軍労働者の職場は、いつ、いかなる事由によってなくなるかわからないという特殊性、不安定さを持っているのであります。この点こそが、一般産業の雇用問題と根本的に相違するところでありまして、そこに、駐留軍労働者の雇用安定策の必要性が存在するのであります。
 われわれは、以上のような理由から、特にこれらの労働者の雇用について法的保障が必要と考え、駐留軍労働者雇用安定法案を提案いたしているのであります。
 次に、法律案の概要を御説明申し上げます。
 第一に、目的では、米軍の撤退等に伴って解雇される場合には、安定した職場への再就職を容易にするための必要な措置を講じ、これらの労働者の雇用の安定をはかろうといたしているのであります。
 第二に、本法案によって保護される駐留軍労働者の範囲は、もっぱら政府雇用労務者だけを対象といたしております。
 第三に、防衛施設庁長官がアメリカ軍の撤退等の場合に余剰となった労働者を解雇しようとするときは、労働大臣の同意を得なければならないことといたしました。この場合に労働大臣の同意は、解雇されようとする労働者が安定した職業に再就職することが確実である場合にだけ許され、かつ、その同意はあらかじめ駐留軍労働者雇用安定審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。さらに、同意を得ないでなされた解雇は無効であることを確認的に規定いたしております。
 第四に、雇用計画についての規定は、アメリカ軍の撤退等による余剰の労働者を転職させる計画の作成義務を労働大臣に負わせ、これには解雇制限を受けた労働者についてだけでなく、将来予想される余剰労働者についても雇用計画に織り込むことといたしております。
 第五に、転職促進の措置の実施を規定し、職業指導、職業紹介、公共職業訓練その他の措置が効果的に関連して実施されるような義務を労働大臣に義務づけました。
 第六に、労働大臣の不同意にかかる労働者に対する措置を規定し、解雇制限を受けた労働者にはそのすべてに対して転職促進の措置を必ず受けさせる義務を課することといたしました。
 第七に、駐留軍労働者雇用安定審議会に関する事項を規定いたしました。
 以上が、駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案の提案理由とその骨子であります。何とぞ慎重御審議の上、本法案の御可決を心からお願いするものであります。
#202
○倉成委員長 次回は明後九日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト