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1970/04/13 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第12号
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1970/04/13 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第12号

#1
第063回国会 社会労働委員会 第12号
昭和四十五年四月十三日(月曜日)
    午後二時十六分開議
 出席委員
   委員長 倉成  正君
   理事 伊東 正義君 理事 小山 省二君
   理事 佐々木義武君 理事 増岡 博之君
   理事 粟山 ひで君 理事 田邊  誠君
   理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
     小此木彦三郎君    梶山 静六君
      唐沢俊二郎君    中島源太郎君
      別川悠紀夫君    松山千惠子君
      箕輪  登君    向山 一人君
      渡部 恒三君    川俣健二郎君
      後藤 俊男君    島本 虎三君
      山本 政弘君    古寺  宏君
      古川 雅司君    渡部 通子君
      寒川 喜一君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 野原 正勝君
 出席政府委員
        通商産業省公益
        事業局長    馬場 一也君
        労働政務次官  大野  明君
        労働大臣官房長 岡部 實夫君
        労働省労働基準
        局長      和田 勝美君
        労働省労働基準
        局賃金部長   藤繩 正勝君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 展子君
 委員外の出席者
        議     員 田邊  誠君
        議     員 川俣健二郎君
        警察庁刑事局保
        安部長     長谷川俊之君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
四月十日
 家内労働法案(小平芳平君外一名提出、参法第
 四号)(予)
 最低賃金法案(渋谷邦彦君外一名提出、参法第
 五号)(予)
 母子保健法の一部を改正する法律案(柏原ヤス
 君外一名提出、参法第六号)(予)
 社会保障基本法案(多田省吾君外一名提出、参
 法第七号)(予)
同日
 山村僻地の医療保健対策強化に関する請願(熊
 谷義雄君紹介)(第二九八三号)
 同(篠田弘作君紹介)(第二九八四号)
 同(竹下登君紹介)(第二九八五号)
 同(前田正男君紹介)(第二九八六号)
 同(益谷秀次君紹介)(第二九八七号)
 同(上村千一郎君紹介)(第三〇七三号)
 同(亀山孝一君紹介)(第三〇七四号)
 同(前田正男君紹介)(第三一六九号)
 同(河本敏夫君紹介)(第三一七〇号)
 同(松浦周太郎君紹介)(第三一七一号)
 心臓病児者の医療等に関する請願(阿部未喜男
 君紹介)(第二九八八号)
 療術の開業制度復活に関する請願(近江巳記夫
 君紹介)(第二九八九号)
 同外一件(小山長規君紹介)(第二九九〇号)
 同(矢野絢也君紹介)(第二九九一号)
 同(新井彬之君紹介)(第三〇八九号)
 同外一件(増岡博之君紹介)(第三〇九〇号)
 同(渡辺肇君紹介)(第三〇九一号)
 同(河本敏夫君紹介)(第三一八四号)
 同(田中六助君紹介)(第三一八五号)
 同(鳥居一雄君紹介)(第三一八六号)
 同外四件(永山忠則君紹介)(第一三八七号)
 同(藤尾正行君紹介)(第三一八八号)
 同(松浦周太郎君紹介)(第三一八九号)
 同(三木喜夫君紹介)(第三一九〇号)
 労働者災害補償保険法改正に関する請願(小林
 政子君紹介)(第二九九二号)
 同(成田知巳君紹介)(第二九九三号)
 同(松浦利尚君紹介)(第二九九四号)
 同外一件(松平忠久君紹介)(第二九九五号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第三〇七六号)
 同外一件(川端文夫君紹介)(第三〇七七号)
 同(小林政子君紹介)(第三〇七八号)
 同(田中武夫君紹介)(第三〇七九号)
 同(田邊誠君紹介)(第三〇八〇号)
 同外一件(森下國雄君紹介)(第三〇八一号)
 同(山本政弘君紹介)(第三〇八二号)
 同(松本善明君紹介)(第三一九三号)
 日雇労働者健康保険の改悪反対等に関する請願
 (小林政子君紹介)(第二九九六号)
 同外四件(土井たか子君紹介)(第二九九七
 号)
 同(成田知巳君紹介)(第二九九八号)
 同(松浦利尚君紹介)(第二九九九号)
 同外一件(松平忠久君紹介)(第三〇〇〇号)
 同外一件(川端文夫君紹介)(第三〇八三号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第三〇八四号)
 同(田中武夫君紹介)(第三〇八五号)
 同(田邊誠君紹介)(第三〇八六号)
 同(松浦利尚君紹介)(第三〇八七号)
 同(山本政弘君紹介)(第三〇八八号)
 同外二百九十三件(卜部政巳君紹介)(第三一
 七二号)
 同(勝澤芳雄君紹介)(第三一七三号)
 同(堀昌雄君紹介)(第三一七四号)
 同(松浦利尚君紹介)(第三一七五号)
 同(松本善明君紹介)(第三一七六号)
 同(山本政弘君紹介)(第三一七七号)
 看護婦不足対策等に関する請願(松平忠久君紹
 介)(第三〇〇一号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第三〇七五号)
 通勤途上の交通災害に労働者災害補償保険法適
 用に関する請願(斉藤正男君紹介)(第三〇〇
 二号)
 クリーニング業法の一部改正に関する請願(中
 野四郎君紹介)(第三〇〇三号)
 同(岡崎英城君紹介)(第三一九一号)
 同(中島茂喜君紹介)(第三一九二号)
 優生保護法の一部改正に関する請願外七十四件
 (大野市郎君紹介)(第三〇〇四号)
 同外百十二件(塩崎潤君紹介)(第三〇〇五
 号)
 同外六十六件(篠田弘作君紹介)(第三〇〇六
 号)
 同外百五十六件(中山正暉君紹介)(第三〇〇
 七号)
 同外四件(益谷秀次君紹介)(第三〇〇八号)
 同外七十八件(岡崎英城君紹介)(第三一七八
 号)
 同外三百八十六件(塩谷一夫君紹介)(第三一
 七九号)
 同外四百六十八件(長谷川四郎君紹介)(第三
 一八〇号)
 同外一件(松浦周太郎君紹介)(第三一八一
 号)
 同外六百三十件(安田貴六君紹介)(第三一八
 二号)
 保母の処遇改善に関する請願(小川半次君紹
 介)(第三〇九二号)
 全国全産業一律最低賃金制の法制化に関する請
 願(斉藤正男君紹介)(第三〇九三号)
 同(斉藤正男君紹介)(第三一八三号)
 民生委員関係費の増額に関する請願外四十三件
 (竹下登君紹介)(第三〇九四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 家内労働法案(内閣提出第八号)
 家内労働法案(田邊誠君外六名提出、衆法第一
 七号)
 最低賃金法案(田邊誠君外六名提出、衆法第一
 八号)
 国有林労働者の雇用の安定に関する法律案(川
 俣健二郎君外六名提出、衆法第一九号)
 労働関係の基本施策に関する件(大阪市のガス
 爆発事故における労働災害に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
#3
○後藤委員 大阪のガス爆発の事故につきまして国会から議員派遣ということで視察に行ってまいりました。七十数名の犠牲になられた各位なり、さらには多くの傷害を受けられた人がおられるわけでございますけれども、これらの人に対しましては、御冥福を祈ると同時にお見舞いを申し上げながら、気のついた点について質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、このガス爆発事故のガス漏れの一番最初の発見というのは八日の五時でございますけれども、そこで、府警、いわゆる警察本部のほうの十七時以後この事故に対してとられた処置、さらに消防局関係の十七時以後にこの事故に対してとられた処置、さらには陸運局、労働基準局、ここにおきましてもこのガス爆発の十七時以後にとられた処置につきまして、今日までのことを言ってくれというわけではございませんけれども、当日五時ごろ発見されまして、それ以後ガスの消火をいたしましたのが九時半と聞いておりますけれども、当日この事故に対してどのような処置をとられたか、この点を最初に御説明いただきたいと思います。
#4
○長谷川説明員 警察のとりました措置につきましてお答え申し上げます。
 警察におきましてこのガス漏れの事実を承知いたしましたのは、十七時三十分でございます。それは、当時現場の工事をいたしておりました組の方から、ガスが路上に漏れて、煙が出ているという一一〇番を受けたわけでございます。そこで、この一一〇番を受けた指令室では、直ちに所轄の曽根崎警察署に対しまして、こういう通報があったので、至急現場に署員を派遣して措置をとるように指示をいたしたわけでございます。この指示に基づきまして、所轄の曽根崎警察署におきましては、休憩をしておりましたパトカーに派遣を命ずるとともに、所轄の池田町警部補派出所に対しまして、直ちに現場に行くように指示をいたしたのでございます。
 一方、現場付近の天六の交差点で交通整理に従事しておりました警察官がおりましたが、この者が十七時三十一分ころ東のほうに煙が上がるのを見まして、その直後、やはり現場を通りかかりましたトラックの運転者の方から、向こうでガスが漏れているという通報もあったそうであります。そこで、その警察官は、東へ向かう、現場の方向へ向かう交通を遮断しております。また、十七時三十五分ごろというのでございますが、大淀署の――これは焼けた建物の多いところの所轄でございますが、大淀署の天六派出所に、通行人の方から、やはり路上にガスが漏れて通行が危険であるという口頭の申告を受けまして、大淀署のほうにおきましては、この時点でこれを認知いたしたわけでございます。大淀署の天六派出所の者がそれを聞きまして、直ちにそこの派出所におりました派出所員四名を現場に急行させたわけでございます。
 そういう状況で、現場に警察官が着きましたのは、大淀署の天六派出所の者が一番早いような状況でございまして、十七時三十六分か七分くらいに現場に着いたということでございます。
 それから、曽根崎署のパトカーは、十七時三十七分ごろに現場に着いた、こう申しております。それから、所轄の曽根崎署の池田町派出所員は十七時三十八分ごろに現場に着いた、こういうことでございました。
 そのときの状況では、爆発地点の付近でガスが上に吹き出しておりまして、そしてガス会社のパトカーといいますか、車の付近に煙が出ている。それから現場の近くにはすでに群衆の方が約千名近くおった、こういうことでございました。
 そこで、最初に着きました大淀署の署員は、この現場、国分寺交差点付近でございますが、そこの群衆を南と北に分けまして、そしてこれを現場に近づかないように規制に努力いたしたわけでございます。それからまた、その後着きましたパトカー並びに曽根崎署の署員もこれと協力をいたしまして、群衆の整理に当たったわけでございます。
 ところが、十七時五十分ごろに爆発が起きた、こういうことでございます。府警本部といたしましては、その報告を受けまして、さらに機動隊、それから隣接の署に、部隊を編成して現場に出動するように指示をいたしまして、機動隊は一番早いものが十八時二分に現場に着いております。以後十八時二十分、次々に機動隊並びに隣接の署員が現場に着きまして、それぞれ被災者の救護、それから現場の交通、あるいは群衆の交通の整理、そういったことに当たったわけでございます。
 これに出動いたしました警察官の総数は、機動隊を含めまして、合計七百八十六名でございます。
 なお、出動しました車両は、パトカー三十一台をはじめ、広報車、投光車等三台、その他携帯投光機四十六個等を持ちまして、現場にただいま申しましたようにかけつけまして処理に当たったわけでございます。
 以上が、簡単ではございますが、爆発事故のありました前後における警察の活動の概況でございます。
#5
○後藤委員 そこで、いまかなり詳細に説明があったわけでございますけれども、われわれが現地でお聞きしたり、さらに調べたりした結果によりますと、大阪瓦斯のガスの爆発につきましては、十七時四十五分ないし五十分ということになっておりますね。いまあなたが説明されましたように、警察のほうでは、一一〇番の電話で十七時三十分に通報を受けておる。それから消防局のほうといたしましては、十七時二十七分ごろに通報を受けておる。それから、そこで働いておられる人夫の人は、大体十七時ごろにガス漏れに気づいておる。こういうふうなことになっておるわけなんです。そうなりますと、爆発するまでに大体四十五分ないし五十分、そこの人夫で働いておる人がガス漏れに気づいてから四十分ないし五十分かかっておるわけですね。あなたがいま報告されましたように、十七時三十分には一一〇番に電話で連絡があった。これにいたしましたところで約二十分くらいの爆発までの時間があるわけなんです。そうなってまいりますと、現在の被害者を考えてみると、死者が七十四名でございますか、さらにけがをした人がたくさんおられる。その中身は、あとから基準局のほうへお尋ねしたいと思っておりますけれども、そこで働いておられた人は二十数名の死者を出しておる。残りは一般の人、いわゆる見物人というと語弊がございますけれども、自動車が炎上しておるから見に来たというような人が、あるいは沿道におった人が被害を受けたのではないかと思うわけでございます。先ほどの説明の中にもあったかと私思うのですけれども、ガス漏れの白い煙が上がって、これはおかしいと気づかれた大淀署でございますか、ここの警察官の人が車両の通行どめを行なった。それと同時に、いわゆる大衆の退避というのをなぜ一体やらなかったのだろうか。いわば車はどんどん燃えておる。ガス漏れの兆候の白い煙が出ておるのだ。これはいつ爆発するかもわからぬ。人は三百も五百も集まってきておる。そこで爆発してかなり大きな犠牲が出たわけでございますけれども、時間的に考えてみましても、あなたのほうで大体五時半には連絡があって、直ちに飛ばす、あるいは近くにおられた警察官の人が、おかしいというので車両どめしておるわけなんです。通行禁止しておるわけなんです。なぜ一体、そこへ集まった人の退避というか、やがてガスが爆発するから全部退避しろという指令を出せば、おれと言ったところでそこにおる者はないと思うのです。その辺のところは、時間的に考えて、そのときの情勢を描きながら考えるときには、一体どう解釈したらいいのでしょうか。その辺のところを、あなたのほうの何か見解がありましたら御説明いただきたいと思います。
#6
○長谷川説明員 お答え申し上げます。
 十七時三十分に現場におりまして東へ行く交通をとめたのは、先生御承知のように、天六の交差点におりました交通の警察官でございます。その天六の交差点からガス爆発事故がありました地点は、たしか約百数十メートル離れておるのではないかと思うのでございます。その地点からは白い煙が上がっておるのが見えたのでございまして、ここにおりました警察官は交通の整理に当たっておった警察官でございますので、直ちに向こうに行くことは危険であると判断してとめたことはまことに適切であると思うのでございます。先ほど申し上げましたように、爆発事故の現場に最初に着きましたのは、大体十七時三十六、七分ぐらいに大淀署の警察官が最初にそこへ着いたわけでございます。着きました警察官は、先ほど申しましたように、現場に――現場といいましても国分寺町交差点付近でございますが、その付近にすでに千名近くの群衆がおられたということでございまして、これに対しまして、危険であるということで、先ほど御説明申し上げましたように、北側と南側に群衆を分けまして、そうしてこれを退避させる規制をいたしておるのでございます。
#7
○後藤委員 そうしますと、あなたは現場におられたわけじゃないのですから、調査された結果の報告だと思いますが、少なくともガスが爆発いたしましたのは五時四十五分から五時五十分までの間、どちらかというと五時五十分に近かったものという報告があると思うのです。あなたのほうでは、五時半に一一〇番に連絡があった。しかも百五十メートル離れているところには派出所があった。そして、これは危険だと思って車両の通行を禁止をいたしました。それからそこへ、消防のほうといたしましては十七時二十七分に通告を受けておるわけなんです。さらに、現場で働いておる人夫の人は、五時ごろガス漏れについては気づいておるわけなんですね。ですから、十七時三十分ごろには警察官の人も現場へ来ておると思いますし、消防関係の人もその前後には現地へ来ておると思いますし、あるいは人夫の人はもう五時から気づいておるのですから、これはえらいことだ、ガスが漏れるということで気づいておられる。そこへ、五十分には爆発したんだ。まあ四十七、八分だと聞いておりますけれども……。そこで、もう少し何とか対策はなかったものだろうか。これはガスに対する認識と申しましょうか、ガス爆発に対するいわば軽い考え方が、こういうような結果――いわゆる犠牲をもっと食いとめることができなかったのだろうか、この点を私お尋ねしておるわけなんです。別にあなたのほうを責めてどうこうという気持ちは毛頭ございませんけれども、二、三十分の間にもうちょっと処置のとりょうがあったのではないかということをお尋ねしておるわけなんです。やられたいままでの説明につきましてはわかりましたけれども、これからこういう事故を防止するために、今回の経験から考え、反省するところがないのか、この点を私はお尋ねしておるわけなんです。
#8
○長谷川説明員 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、爆発事故のありましたそばに最も早く着きましたのは、警察といたしましては十七時三十六、七分ごろでございます。着きましたときは、すでに建設会社の方も、そこにありました通行どめの例のもの等をもちまして車両の通行を制限したり、あるいはまた群衆の近寄ることを制限するような形もとっておられたということでございますが、それはともかくといたしまして、先生お尋ねのように、もっとガス事故というものにつきまして重大視をして措置をとるべきではないか、ガス事故に対する認識に甘い点がなかったかという点につきまして、私自身いま振り返って考えてみますると、確かに、これほど大きな事故になると、その通報を受けたときに警察の者が判断しなかったものと思うのでございまして、ともかくガス漏れというような通報がありました場合におきましては、大事故になるのだということを念頭に置いて措置をすべきものと考えております。
#9
○後藤委員 いまの点につきましては、ガス事故に対する軽視なり、事故の際の即応の処置、こういう点につきましても、ひとつ今後深く検討していただく必要があろうと思います。
 それから、ガス会社関係の当日の処置と申しましょうか、これをお尋ねいたしたいと思うわけですが、新聞によりますと、大体三日前にガス漏れがあった。これを修理をした。さらにまた、新聞によれば、爆発の一時間、二時間前にもガス漏れがあったんだというようないろいろな記事が出ておるわけでございます。ああいう工事をやっておる場合には、ガス会社といたしましては、やはり市と何らかの協定を結んで、その協定に基づいて、安全第一という方向で作業を進められておったものなりと私は考えておるわけなんです。大阪市とガス会社と、この工事に対しまして一体どういうふうな協定を結んでおられたのか。さらに、先ほどからもいろいろ言っておりますように、十七時ごろにはガス漏れを人夫が発見をいたしておる。こういうような情勢の中で、おそらくその協定の中には工事場のパトロールとかそういうものもいろいろ入っておると思いますけれども、当日ガス会社は、パトロール関係なり安全の監督なり、そういうような行動についてはどういう行動をとられておったのか、この点の御説明をひとついただきたいと思います。
#10
○馬場政府委員 お答え申し上げます。大阪瓦斯の社長とこの工事の施主でございます大阪市交通局長との間には、この地下鉄工事を行ないますにつきまして、ここにガス管が通っておりますから、この工事期間中のガス管の防護方法その他につきまして文書による協定書がございます。
 それから、当日の状況でございますが、当日の状況は、大阪瓦斯は、これは当日に限りませず、工事期間中毎日自主的に――これは協定書によって合意されたことではございませんが、大阪瓦斯が自主的に毎日一回点検をいたすことに社内できめておりまして、当日も午後三時四十分ごろに大阪瓦斯のパトロール車で、これは四人一組になりまして、その事件個所を含みますいわゆる工事現場のパトロールをいたしておるわけでございます。三時四十分から四時三十分にかけて当日パトロールをいたしております。この間におきましては、そのパトロールいたしました者は、特別の異常を認めておらなかった、こういう状況でございます。
 それから、事故が起こりましたときの大阪瓦斯の態勢でございますが、当日十七時三十分ごろ、これは直接現場からの連絡と申しますよりは、大阪瓦斯の巡回パトロールカーというのが市内を巡回しておりますが、この巡回パトロールカーから大阪瓦斯の営業所へ無線連絡がございまして、緊急出動を要請されておりますので、大阪瓦斯のパトカーは十七時三十五分ごろに現場に到着いたしました。こういう状況でございます。
#11
○後藤委員 そうしますと、いまあなたの説明でございますと、当日ガス会社といたしましては、十五時四十分から十六時三十分まで四名一隊となってパトロールをやった、こういうことですね。そうすると、その後三十分後にガス漏れが、その職場で働いておる人夫の人に発見されておる、気づいておるわけなんですが、そういうことになるんじゃないですか。このパトロールというのは、一体、四人一組で鼻によるパトロールなのか――鼻によるパトロールというのはおかしいのですけれども、においがついておりますから。われわれしろうととして、三十分前に安全でございます、何にも間違ったことはないというパトロールをされまして、三十分たってガス漏れと、約一時間後には大爆発が起きておる。こういうところへ来ておるわけなんです。これは、もちろん現在実地検証をやっておられます途中でございますから、まだまだ確定的なことは言えないとは思いますけれども、三十分前に通ってだいじょうぶのものが、三十分後にもうガスが漏れる、そのあと二時間くらいで爆発をして大惨事を起こしておる、こういうようなことは考えられぬように思うわけでございますけれども、しかもここ四、五日間の新聞記事を読みますと、三日前に漏れたのを修理したとか、あるいは前から漏れておったとか、あるいは新聞によっては、これくらいな漏れ方はだいじょうぶだからというように言ったというようなことも書いてある新聞もあるわけでございます。こういう点こそあいまいにするべきじゃないと思うわけなんです。この点いかがでしょう。
#12
○馬場政府委員 先生御指摘のように、事故の約一時間前に、一時間かけて大阪瓦斯の当事者が現場を巡回しておりましたときには格別の異状はございませんでしたのに、その一時間後にこれだけの事故が起こっておるわけでございますから、したがいましてわれわれも、その辺のところを一番疑問に思うわけでございますが、ただいままで受けております報告はそういうことでございまして、その巡視員が引き揚げましてから一時間の間にどういうことが起こったのかというところがこれからの調査でおいおい明らかになってくるのではなかろうか、かように思っております。
 なお、当日その一時間前にパトロールをいたしました大阪瓦斯の人員、どういう資格の人がやったかということでございますが、これは四名一組で巡視をいたしておるわけでございますけれども、一名は大阪瓦斯本管部の維持係技能員という栗川という人が長になりまして、以下大阪瓦斯の工事をやっております、くだんの工事をやっております仲井組の人三名を率いまして一時間の巡視をいたしておるわけでございます。この栗川という人の資格要件は、これは三十九歳の工手補でございまして、本管の建設あるいはガス漏洩の検査などにつきまして約二十年の経験年数を持っておる、まず相当の経験者であるということははっきりいたしておるわけでございます。したがいまして、そのパトロールにあたりまして、ただ一通り見回ってガスが少々漏れておっても気がつかない、見過ごすというような、そういう検査をやっておったというふうには、この当人の資格等から見まして、われわれとしては判断できないわけでございます。
#13
○後藤委員 そうしますと、いまの御説明でございますと、かなり熟練工であって、もしガスが漏れておるような場合には見落とすような人じゃない、こういう説明だと思いますけれども、これはいまここで論争いたしておりましても正しい結論を見つけることはできないと思います。
 そこで、これはきのうの新聞にも載っておったわけでございますけれども、この事故なり昨年の事故がかなり影響があるのではないかといわれておりますけれども、科学技術庁の資源調査会ですね、これが昭和四十年の五月二十五日に勧告をしておるわけなんですね。パイプラインの関係、おそらくこのままいくとガス爆発等の大惨事が起こるであろう、こういうようなことを予測をして、これだけはぜひひとつ政府の手でやってくれ、こういう勧告がいまから四、五年前に出されておるわけなんです。ところが、政府のほうとしては、共同溝の問題が先決だというようなことで、いま言いましたところの調査会の勧告につきましては、そのまま放置してあった。これがもっと早く政府で取り上げられてやられておるのならば、おそらく今回の大阪のガス爆発事故につきましても予防することができたのではないかというような記事が、ある新聞にはトップ記事で出ておるわけでございます。これを一般の国民が読んだ場合には、何だそんなことがあったのか、また政府の怠慢なのか、しかも七十四名も死んでおるじゃないか、何を一体やっておるのだといって義憤を感ずる国民がたくさんあると思います。これは一体今日どういうようなことになっておるのだ。なぜ一体今日までこういうふうに放置をされておるのだ。これは何か理由があると思うのです。その点、簡潔でけっこうでございますから、お知らせいただきたいと思います。
#14
○馬場政府委員 ただいま先生お述べになりました資源調査会の四十年の勧告でございます。これは科学技術庁長官に提出をされましたが、同時に、この時点におきまして、関係の各省にも勧告書がまいっておるわけでございます。この勧告書は、川崎あるいは五井あるいは四日市あるいは水島というような新しいいわゆるコンビナートの工業地帯におきます、いろいろなコンビナート形成企業間のいわゆる原料用パイプライン綱の整備、あるいはそれの保安保守ということについて、実態を調査し勧告をした、こういう内容のものでございまして、ここでいっておりますパイプラインは、今度の事故にございましたような、都市ガスをつくりましてからそれを各家庭に配管をするような、いわゆる供給導管と申しますが、そういう性格の導管と申しますよりは、都市ガスで申しますればむしろ都市ガスを発生するのに必要な天然ガスなりあるいはその他の原料ガスのパイプラインの整備ということについての勧告のようにわれわれ承知をいたしておりまして、今回のような導管とは若干次元の違うものをお取り上げになったというふうにわれわれとしては伺っております。ただ、同じパイプラインの保安に関することをお述べになっておりますので、われわれとしても、もちろんこれを参考にはいたさなければならぬわけでございますが、大体この勧告に示されました勧告事項、提言事項につきましては、これと同じような見解でガス事業者に対しまして現に指導をいたしておりますし、また今回の事故の一年前に、むしろ資源調査会の勧告よりは――昨年三月に御承知のように東京都の板橋でやはり地下鉄工事に関連して爆発事故がございまして、今回ほどスケールは大きくはございませんが、数名の死海者なりあるいは焼失家屋が出ておりますので、通産省といたしましては、この供給途上における柿工事に関連してのガス導管の事故という点につきましては、昨年の五月に通産省にガス導管防護計策会議というものを設置いたしまして、ここに東大の星埜先生以下数名の専門の先生方、それから関係のガス事業者、それからいわゆる他工事、地下鉄その他の工事をしております他の事業者並びにそれらの監督官庁である建設省筆に出ていただきまして、都心におけるこういう供給導管を埋めてあります地点における他工事の際にあり得べきいろいろな保安上の問題点、相互の連絡でございますとか、あるいは工事中のガス導管の防護方法等につきまして、現状を詳細に調査していただき、かつ改善すべき点につきましていろいろ御提言を伺ったわけでございます。目下このレポート、これは昨年の十二月末に通産省にいただいておりますが、これを尊重いたしまして、いろいろ具体的な保安基準なり、他工事等の方法につきましては、他工事の事業者にもとりあえず徹底をさせますと同時に、今回改正されましたガス事業法に伴う技術上の基準ということでこれを規則化してまいろう、こういうことで現在検討をいたしておった最中でございます。
#15
○後藤委員 そうしますと、前に私がお尋ねいたしました資源調査会の勧告につきましては、大体石油ですか、原油ですか、これのパイプラインのことだ、一口に言ってそういう説明だったと思うのです。しかし新聞等によりますと、それらも含んでおるとは思いますけれども、大体都市等におけるガスなり水道なり、いろいろなパイプラインの関係が、どこに一体何がどう通っておるかというようなことさえ不明確になっておる。だから、都市ガスについては橙色、電信、電力のケーブルについては黄色、あるいはその他についてはこういう色にしなさい、それを早急につくりなさい、つくった上でいわゆる保安の確立をしなさい、こういうふうな中身のものでもあると思うわけなんです。だから、まるっきりこれが全部今後の事故にどうこうということではございませんけれども、少なくとも五年前に調査会の勧告したものを、なぜ一体いままで放置されておるのだ、こういう疑問を持たない者は私はないと思うわけなんです。昨年の東京のガス爆発事故で、こういったことをやっておりますという説明はございましたけれども、この勧告を忠実に守っておれば去年のガス爆発をも防ぐことができたのじゃなかったのか。それを私お尋ねしておるわけなんです。だからこれは、労働大臣には、直接どうこうではございませんけれども、お聞きのように、昭和四十年の四月にこういう勧告が出ておるわけなんです。しかも新聞等の見出しを読みますと、予測されていたガス惨事、勧告後五年間も放置されてある、指摘した点は、そのまま事故になっている、こういうような大きな見出しで、全国国民にこれがばらまかれておるわけなんです。そうしますると、先ほどのお話ではございませんけれども、そこまできちっとして、五十人から六十人の調査団までつくって、とにかくガスはあぶないぞということでそこまで勧告しておるものを、ほおかぶりでいままできてしまって、一回でなく二回、三回――一年間でガスの爆発事故は六十回から七十回あると書いてありますよ。こういうことにした責任というのは、これは直接の責任はどうこうとは私申し上げませんけれども、ここまで心配して、こういう勧告も出ておるのに、実施に移されておらない、これは、やはり今度のガス爆発の事故に対する政治的な責任というのは、お互いに強く反省をする必要があるのではないかと私は思うわけなんです。大垣としてはいかがですか。
#16
○野原国務大臣 直接には労働省の所管ではないと思いますので、実はお答えにならぬと思いますが、ともあれ、今回の災害で非常に大きな被害があったわけでございまして、なくなられた方々に対して慎んで哀悼の意を表しますが、同時にまた、この原因その他もいま調査をしておりますけれども、過密都市における建設工事の災害という問題と同時に、一般市民にまで非常な被害を与えたという問題に対しましては、今後あらゆる点で監督指導、労働基準法もございますけれども、それ以上に実はこの教訓を十分に生かしまして、これらの災害を今後は絶対に起こしてはならぬという決意のもとに、ただいま対策本部を設けまして検討している次第でございます。
 御指摘の点も、先ほど来十分拝聴しておりまして、まことに遺憾な問題である、非常に心を悩ましているわけでございますが、今後これらの問題につきましては、一そう監督指導ということを徹底もし、災害の未然防止という問題に真剣に取り組みたいと考えております。
#17
○後藤委員 これ以上ここで言うておりましても話が進まないと思いますので、ぜひひとつ心にとめていただいて、間違いなく進めていただきますようにお願いをいたしたいと思います。
 次に、最終的な今回の大阪ガス爆発惨事の被害者、おなくなりになったのは何名あるのか、けがをされた人は何名あるのか、さらにけがをされた人の中に工事に関係しておった人が何名あるのか、しかも、その工事に関係しておった人は、鉄道建設の工事なのか、あるいは下請の工事なのか、あるいはもう一つ下請の工事の人夫なのか、あるいは男女の別は一体どうなっているのか、さらに、これらの人たちに対して、現在までとってまいりました処置は一体どういうことになっているのか、この点の御説明をいただきたいと思います。
  〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕
#18
○野原国務大臣 本日の午前九時半までの現況では、死亡者が七十六名、重軽傷者が三百名ということになっております。
 ただいま御指摘のような、いろいろな詳しいことにつきましては、基準局長から御報告申し上げたいと思います。
#19
○和田政府委員 総数は、大臣からいま申し上げましたが、そのうち工事に直接関係のあります方方について申し上げますと、工事に直接関係のあると申し上げておりますのは鉄建建設及びその隣接工区であります青木建設、それから少し離れておりますが、同じ地下鉄の工区を担当しております松村組及びパトロール車でかけつけられた大阪瓦斯の方、こういう方について申し上げてみますと、死亡が全部で六名でございます。内訳は、青木建設の方が一人、青木建設の下請の水島工業の方が一人、松村組の方が一人、大阪瓦斯の方が三人、計六人でございます。それから重傷は、全部で二十一名、軽傷が十一名、死傷者総計三十八名でございます。
 なお、いま申し上げましたような意味で申し上げますと、大阪瓦斯の三名の方は、これはパトロール車で来られた方でありまして、ガス検知で処置をしておられた方々であります。それから鉄建建設及び下請、それから青木建設及びその下請及び松村組の方々は、大体は群衆の交通整理関係について協力をしておられた方々のように私どもの調査では承知をいたしております。
 なお、男女別は、全員男子でございます。
 以上でございます。
#20
○後藤委員 それから、次には労働基準局長にお尋ねするわけですけれども、安全管理の面で労働基準法違反はなかったかどうか、これは何条でございましたか、掘さく工事を行なう場合は、あらかじめ地中を十分調査し、必要な措置を講ずることになっている。これは間違いないと思うわけですけれども、そういう点で労働基準監督署としてどう今日考えられておるか、この点お尋ねします。
#21
○和田政府委員 労働基準局といたしましては、労働基準法に基づきます安全衛生規則百六十三条の七、百六十三条の十、百六十三条の十一、これが建設施工関係の人に対する安全規則の該当条項でございます。
 それから、大阪瓦斯につきましては、安全衛生規則の百四十条の二、こういうものがございまして、これらのものについて当時違反があったかどうかについて、現地検証その他を現在、警察及び消防と合同で検証中でございます。結論が出ておりませんが、このうち百六十三条の十一、すなわち作業主任者を設けることにつきましては、当時違反のないことが確認をされております。それ以外の三つの条文については、ただいま現地検証中でございまして、最終的なことを今日申し上げられるほど調査が進んでおらないという報告を受け取っております。
#22
○後藤委員 そこで、職場を、特に掘さく工事等につきましては、労働基準監督官がその工事現場をパトロールすることになっておるわけなんです。これはいつおやりになったのですか。
#23
○和田政府委員 この鉄建建設関係で申し上げますと、昨年の九月着工以来現在までに四回の監督を実施しておりまして、三月の初めに監督いたしましたのが一番新しい監督でございます。
#24
○後藤委員 そこで、労働大臣に私お尋ねするわけですが、いま基準局長からお話がございましたように、労働基準法の安全規則百六十三条の七、十、十一、こういうところで一応法律としてはきまっておるわけなんです。しかも、工事現場を労働基準監督官がパトロールするということも、これはきまっておるわけなんです。そうなりますと、現在、労働基準監督官というのは、全国で何名おいでになるのですか、総数です。
#25
○和田政府委員 四十五年度定員は全国で二千七百五十三人になる予定でございます。
#26
○後藤委員 これは、実はこの前の社会労働委員会で、大阪の尻無川でしたか、あのときに小林議員からも強く指摘された点もあったかと私記憶しておるわけでございますけれども、全国で二千八百人足らずの労働基準監督官で、これらの人が全部ガス工事の現場をパトロールするわけじゃないのです。ありとあらゆる仕事を、いわゆる安全基準を守るためのパトロールだと私は思うわけでございます。あのときの基準局長の説明によりますと、三割か四割くらいしかパトロールできない。あとのところは、もう何とも人数が少ないのだからいたしかたがないんだ、こういうような説明であったかと私記憶しておるわけでございますけれども、そうなってまいりますと、これはもう法律があって、これを実行に移すこともできぬ。しかも次から次へといろいろな事故が起きてくる。こうなってくると、労働省としても一ぺん考え直してもらう必要があるのじゃないかと思うのです。その点いかがでしょうか。
#27
○野原国務大臣 御指摘の点、今回の災害等を考えまするときに、確かに労働基準監督官の数が十分ではない。しかも監督行政を徹底して行なうということが災害の防止に、安全対策に非常に必要であるという点を痛感いたしましたので、今後の点につきましては、ひとつ十分に検討いたしまして、基準監督官の必要な増員の確保ないし機動力の点、十分に監督行政が進められるように十分注意いたしたいと考えております。
#28
○後藤委員 そうしますと、これは具体的問題ですから基準局長にお尋ねするのですが、現在昭和四十五年度二千八百人ですか、労働基準監督官は。これらの人が各工事現場を見ながら、危険防止の責任の一端を負いつつ現場をこう見て歩いておられるのは任務だと思うわけですけれども、まあ全国的に見ますると、ガス工事だけではなしに、全国的に大きな工事がもうたくさんあると思うわけなんです。そうしますると、いま労働大臣が言われましたように、何とかこれはひとつ早急に検討する必要があるというような考え方がありとするなら、一体労働基準監督官はどれくらいにしたら、きめられたとおりのことがやれるのだ。これは、基準局長あたりなら、大体これだけの人間がおれば仰せつかったことはみなできるわいと、こういうことはわかると思うのですが、いかがですか。
#29
○和田政府委員 先生御指摘のように、あるいはまた、大臣からお答えを申し上げましたように、全事業場数の伸びに対しまして、監督官の増員の伸びがきわめて微々たるものであるということは、先生御指摘のとおりでございます。
 古い数字を申し上げて見ますると、二十三年ころからの適用事業場の伸びが二・六倍に対し、監督官はわずか八%しか伸びていないというようなことでございまして、なかなか全事業場について的確な監督をするというのには人的に非常に欠けるところがあるのは、御指摘のとおりでございます。
 ただ、監督行政も二十何年やってまいりまして、全部の事業場についてくまなく回らなければならないというほどでなくて、私どものほうとしては、管内の事情をそれぞれの監督署が理解をしておりますので、それの理解に従って災害の起きそうなようなところを重点的にやる、あるいはきわめて長い労働時間が行なわれているだろうと思われるような事業場に対する監督を強める、あるいは社会的に非常に問題になるような業種がございますが、そういう監督をするということで、重点的な監督の実施のしかたによりまして、この少ない人員を社会的需要に応ずるように有効に使いますとともに、機動力、通信力、そういうものの増強あるいは機械化というようなことで、監督手法を、科学的と申しますか、そういうものに変えていくことによって、できるだけ要望にこたえていきたいと思っておりますが、何といいましても、一年間に全体について見ますると、わずか一一、二%しか監督できないということでございますので、私どもといたしましては、ぜひ監督官の増員については今後ともできる限りの努力をしなければならない、かように考えております。したがいまして、定員関係では非常に窮屈な今日ではございますが、四十四年に比較して四十五年は、わずかではございますが、ほかが減っておる中で、七十五人くらいのことではございますが、増員が認められました。これらのことではとても足りないのは御指摘のとおりでございます。そういう努力をさらに私どもとしては積み重ねていくべきでありまして、何人あればいいという数字を申し上げましても、現実問題としては、なかなかそこに達せ切れないと思いますので、あえて何人あればいいというようなことは、差し控えさせていただきたいと思います。
#30
○後藤委員 いまいろいろ御説明ございましたけれども、いまのような説明で、今後とも足らぬことは間違いないんだから、増加に努力していくんだ。ところが、一方、労働災害というのはふえる一方なんですね。これも一つの大きな労働災害だと思います。そうしますと、労働災害は、一方ではどんどんふえていくわ、法律できめられた監督につきましては、十何%を監督するだけの要員しかおらない。と申しますと、八十何%は、せっかくこういうふうにきまっておりながら、要員不足のために放棄されておる。だからあなたが言われるように、重点的にやっておるんだ、この説明はわかるわけなんです。それなら、重点的にやっておられるなら、労働災害が減っていけばいいわけなんです。重点的にやっておられても、労働災害は次から次へと増加の一途をたどっておる、こうなってまいりますと、あなた方その立場に置かれた人としては、いても立ってもいられぬような形になってくるんじゃないですか。次から次へと犠牲者がどんどん出てくる。これはもう少し要員を充足してやったならば、この事故を食いとめることができたかもわからぬ。けれども、人が足らぬからしようがないんだ、結果的にはそういうふうなことに今日なっておるのが現状じゃないかと思うわけなんです。これは大臣どうでしょうか。具体的にもう一ぺん労働大臣として考え直してもらって、今度の事故を契機にというわけじゃございませんけれども、この前の委員会でもかなりこの問題は論議されましたけれども、今度の事故を契機にして、ひとつ大臣としても思い切った処置をとらなければ、再びこういう事故を繰り返すことになるのではないか、そういう心配がやはり先走るわけであります。だから、抽象的に、まあひとつ今後がんばりましょうというようなことでは、なかなかものごとの解決にはならぬと思うわけなんです。いかがですか。
#31
○野原国務大臣 労働災害はこれからも年々増大することが予想されるわけでございまして、労働基準監督官の数をふやす、あるいは拡充強化するという点で至急に検討いたしまして、必要な人員の確保に万全を期して取り組みたい、こういう考えでおります。
#32
○後藤委員 ぜひひとつ、いま言われました方向で具体化するようにやっていただきたいと思います。
 それから最後に、おなくなりになりました七十六名でございますか、さらにけがをされた人、あるいは家を焼かれた人、いろいろな被害者があると思うわけなんです。これら被害者に対しまして、お見舞いなりその他いろいろ今日まで何らか処置を行なっておられると思いますけれども、現在どういうふうな扱いになっておるか、この点をお尋ねいたしたいと思いますし、あわせて、今度の国会におきまして、労災の改正案が出ておるわけなんです。これはまだ成立はいたしておりませんけれども、それとの関係あたりは一体どういうふうな腹がまえでいかれるつもりであろうか、これも含めて御説明いただきたいと思います。
#33
○馬場政府委員 労働者の方々の問題を除外いたしまして、一般的な補償について申し上げます。
 とりあえず、事故発生後、施主であります大阪市交通局、それから大阪瓦斯、それから工事業者であります鉄建建設、三者で協議をいたしまして、とりあえずのお見舞い金というのを、被害を受けられました方々にお送り申し上げております。
 その区分は、なくなられました方々には一名五十万円、それから重傷の方には十万円、それから軽傷の方々には、重傷者に準じまして――軽傷の方というのは、入院しておられない、けがをされたけれども通院して療養しておられる方でありますが、その方々には大体五千円ということでございます。それから家屋の全焼いたしました方々には、一戸につき三十万円、それから半焼家屋に対しましては十万円、なお水をかぶりましたり、あるいはガラスが割れたりいたしましたようなおうちに対しましては、一戸当たり五万円という区分で三者名でとりあえず見舞い金をお届けしたようなわけでございます。これは大体四月九日、十日じゅうに、軽傷の方を除きまして、全部完了いたしました。軽傷の方につきましても、本日現在では大体完了しておるというふうに聞いております。
 家を焼かれました方で商店の方が何軒かおありになるわけでありますが、その商店の方々がとりあえず復旧をされますときに、いろいろ立ち上がりの金融措置等がございましょうから、これにつきましては、国民金融公庫あるいは商工中金、中小公庫というような国の金融機関におきまして、こういう災害時でございますので、たとえば普通の貸し出しにつきましてきまっておりますような据え置き期間、たとえば半年のものを二年に延ばすとか、あるいは償還期間五年のものを十年に延ばすというような特別の措置を講ずるように、役所といたしまして手配をいたしておるわけでございます。
#34
○和田政府委員 先ほど申し上げました三十八人の方について申し上げますと、なくなられました六人の方については、現行法の適用でございますので、現行に定められたところによりまして遺族補償、葬祭料の支払い、そういうようなことを実行いたしました。葬祭料につきましては、先週の土曜日十一日に、六名の方全員にお支払い申し上げました。遺族補償につきましては、遺族の方からの請求に従いまして年金あるいは前払い一時金を合わせた年金、こういうようなことで、遺族の方の御意向に従ってそれぞれ措置をいたすべく準備が整っております。
 重傷の方二十一人、軽傷の方十一人につきましては、これは業務上でございますので、私どものほうで治療につきましては万全を期していく、なお障害が残りました場合には、障害補償を申し上げることになります。ただいま国会で御審議をわずらわしております新しい法律につきましては、死亡の方につきましては、残念ながら現行法でいたす以外にはない。それから障害の問題につきましては、新しい法律が施行後障害等級の決定をいたす場合には、新しい法律によります障害等級の決定をいたします。したがいまして、もし法律が成立しておりますれば、障害等級は一六・五%増になりますので、この方々には一六・五%の増ということになります。障害等級のない方にはそういう適用はございません。
 大体以上のようなことでございます。
#35
○後藤委員 いま言われました六名というのは、先ほど言われました工事人夫でございますね。
#36
○和田政府委員 先ほど申し上げましたように、大阪瓦斯の方が三名、それからそれ以外の方は隣の工区の青木建設、その下請の水島工業、少し離れたところの工区の工事をやっていらっしゃる松村組、この六人でございます。
#37
○後藤委員 そうしますと、この工事に出かせぎの人夫の人は大体どのくらいおられたのでしょうう。
#38
○和田政府委員 工事全体でございますか。工事全体で、三月の終わりごろのなにでは、一区から九区までの中で九百九十三人が全労働者でございまして、そのうち二百十八人が出かせぎの方であると認定し得る方であります。
#39
○後藤委員 いま言われましたように、大体千人の工事関係の人夫がおいでになったのです。その中で約二割あまりの人が出かせぎの人なんです。だから私は、このことも一番冒頭に申し上げましたところの、直接関係があるかないかはこれからの問題だと思いますけれども、少なくとも十七時にガス漏れを発見した。その人が訓練も受けておらない、あるいは責任体制も徹底しておらぬところの鉄建建設の下請の会社であり、しかも働いておる人は出かせぎの人である。これが出かせぎの人でなくて、かなりの訓練を受けた人でありますれば、たとえばガス工事につきましては、ガス漏れを発見したときにはこうするんだというような訓練を受けておったといたしますれば、もう少し早く手が打てたような気がするわけなんです。ですから、こういう重要な工事に対しまして、少なくとも二割以上の出かせぎの人が働いておるということにつきましては、これは今後の課題として十分検討していただく必要が私はあろうと思うわけなんです。
 それと、先ほどからこれはいろいろ申し上げましたけれども、地下鉄工事の安全につきましては、現在運輸省なんですね。ガス工事につきましては、これは通産省省なんですね。さらには道路工事関係につきましては、これは建設省だ。さらに労働省としては、さっきの話ではございませんが、労働基準監督官をパトロールさせる。しかもそれを握っておる人はわずかに二千八百人しかいないというようなことで、いま個々ばらばらなかっこうになっておるんじゃないかと思うわけなんです。こういうような個々ばらばらなかっこうで今後も工事が進められていくとするならば、再びこういうような大惨事が起こらぬとは断言できないと思います。そういう立場で考えていくとするならば、何とかひとつ安全第一主義という作業体制を確立する必要があると思うのであります。根本的に安全を守るための規制措置が必要ではないか。ガス関係については通産省だ、地下鉄の工事については運輸省だというようなことで、各省ばらばらなかっこうでこれを進めておった結果が、今日のああいう大惨事を起こしたといっても、これは間違いない、かように私は思うわけでございまして、総合的な立場で、まず作業より安全第一、この規制を守る根本的な検討が必要である、こういうふうに私といたしましては考えるわけでございますけれども、これは大臣、いかがでございましょう。
#40
○野原国務大臣 目下対策本部におきましていろんな対策を講じておりますが、同時にこの機会に、全国における重要な工事の現場等につきましては総点検を実施をいたしまして、各関係者総員が総力を結集いたしまして、連絡を緊密にしまして、対策を講じておるやさきでございます。
 確かに御指摘のような、各省がばらばらなことをやっておったのでは実効があがらぬという点については、ごもっともでございます。したがって、今後は十分緊密な連絡のもとに、なお一そう積極的な対策を講じてまいりたいと考えております。
#41
○後藤委員 これで私質問を終わりますけれども、先ほど言いましたように、おそらく大臣も現場を見られたと思いますけれども、見るもむざんというのはあのことだと私思います。多くの人がなくなられ、さらにたくさんの人がけがをされ、さらにその周辺におきましては、木造建築ついては影も形もないところまで破壊されてしまっておるというようなことでございます。さらに、これは私、あそこを歩きながら聞いたわけでございますけれども、あの工事で一番上ぶたに鉄板の中にコンクリートの詰まった畳一畳のものが乗っておりますけれども、それが千五百枚吹っ飛んでいるわけです。驚きました。あれは一つの重量がどのくらいあるか、たいした重量だと思いますけれども、中にはそれが二百メートルも三百メートルも吹き飛ばされておる。全部で千五百枚吹き飛ばされましたというような説明もいろいろ聞いたわけでございますけれども、どうかひとつ、まず第二番には被害を受けられた人に対する補償でございますが、これは、人命はお金にかえれませんけれども、とにかくできるだけのことをやっていただく。これは被害者全般についてでございますけれども、ぜひこれをお願いいたしたいと思います。
 さらに、先ほどの話じゃございませんけれども、出かせぎで遠いところから来ておられる人たちがこういう惨事にあいまして、――去年も一緒でございますけれども、これはやはり労働大臣、労働省関係の問題として、真剣にここで一ぺん考え直していただくことがどうしても私は必要じゃないかと思います。お金がどうこうとか、予算がどうこうというよりかは、このことをするための予算を組むのが国の責任ではないかと私は思うわけなんです。予算がないから人はふやせません――これだけの人はどうしても要るのだからこれだけの予算を組むのだ、これがほんとうの政治ではないかと私は思っております。
 どうか、ひとつそういうような点も十分考えていただいて、再びこういう惨事が国会で論議されなくてもいいような方向へ全力を尽くしていただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。
#42
○佐々木(義)委員長代理 大橋敏雄君。
#43
○大橋(敏)委員 私もいまの問題に関連いたしまして質問をいたしたいと思いますが、先般起こりました大阪のガス爆発事故というのは、いまもお話がありましたように、ほんとうに悲惨そのものでございます。おそろしい事故でございますが、この事故が自然発生事故といいますか、あるいは不可抗力的な事故であるというならば、まだまだ考えようもあると思いますけれども、今回の事故はいわゆる人災である。ここに深くこの問題を究明しなければならない事柄がひそんでいると思います。二度とこのような悲惨な事故を起こさないためには、まず原因を徹底的に追及することである。つまり原因をはっきり把握して、その原因を取り除かない限りは、再び起こるということでございます。同時に、労働省といたしましても、今回の事故に対しては相当の措置を講じられていると思いますけれども、今回の事故同様の危険な内容を持っている工事現場が全国にどの程度あるのか、そういう調査を進められていると思います。今度の事故は、先ほどもお話がありましたように、運輸省の関係また建設省あるいは通産省、労働省と各省にまたがっているわけでございますけれども、私は、何と言いましても、現場の第一線で働いている労働者の問題であり、やはりこの中心は労働省にあると思うのです。そういう立場から特に真剣に取り上げられまして、この方面に対して調査を進められていると思いますけれども、まず第一に、このような危険な個所が全国にどの程度あるのか。こういうことから説明していただきしたいと思います。
#44
○和田政府委員 地下鉄工事につきましては、現在行なわれておりますものは、工事数にいたしまして全国で約十工事、工区数にいたしまして百二十二でございまして、それに従事しております労働者の数は一万四千九百二十四人という報告、そういう状況でございます。
#45
○大橋(敏)委員 とにかく事故を防ぐためには、その作業に対する適切な人員の配置、これは監督とかあるいは技術者も含めての適正な人員配置が確保されなければならない、これが先決問題だと思います。先ほどの御答弁を聞いておりますと、何だか監督官が足りない、それに対して非常に悩んでいるというような御答弁で非常にあいまいなものでございましたけれども、こうした作業に対する適切な人員の配置等に対する基準といいますか、そういうものはないのでしょうか、あるのでしょうか。
#46
○和田政府委員 工事の動きが相当激しゅうございますので、なかなかそれに応じて人員配置を機動的に行なうことは、実際問題として非常にむずかしい問題がございます。したがいまして、ある程度恒常的にあるような場合につきましては、定員の再配置をある限度で行ないますけれども、常に動いております建設工事につきましてはなかなかそれに応じて適当にやれないというようなことでございますので、私どもとしましてはただいまのところでは一つの局の中で各監督署の人員の共同使用と申しますか、兼務発令と申しますか、そういうようなことで、問題のあるようなところには集中的に人を集めて適当な機関ごとに行なうという共同監督と申しますか、集中監督というそういうようなことを適時やらしておる、こういうことでございます。
#47
○大橋(敏)委員 今回の事故現場においては、事前のそうした話し合いといいますか、適切な配置がなされていたといえるかどうか、監督の関係あるいは技術者の関係は一応適切であったといえるかどうか、その点はどうでしょうか。
#48
○和田政府委員 今回の事故現場になりました作業所の鉄建建設の工区につきましては、昨年の九月着工以来四回の監督を実施いたしておりまして、これは所轄の監督署であります天満の監督署が実行いたしております。これは全体の監督の件数から申し上げますと密度は高いほうである、かように考えております。
#49
○大橋(敏)委員 それではちょっと立場をかえてお尋ねいたしますが、先ほど労働基準監督という立場から見た場合、いま労働安全衛生規則の百六十三条の七、百六十三条の十と百四十条の二、この三つが一応基準になっている。その中で現在判明しているのは百六十三条の七、これだけは違反はなかった、そうじゃなかったですか――十一ですか。
#50
○和田政府委員 百六十三条の十一です。
#51
○大橋(敏)委員 十一には該当なかった、十一にはなかったというのはどういうことなんですか。その点……。
#52
○和田政府委員 百六十三条の十一と申しますのは、ああいう掘さく作業をやります場合には、その現場に作業主任者というものを置いて直接指揮をしなければならないということになっております。その作業主任者は当時専任とされているということで、違反卒実がないということでございます。
#53
○大橋(敏)委員 確かに作業主任はそこにいた。そういうわけでその条項には違反はないというわけですね。しかしながらその地下鉄工事には当然ガス管がそこに通っていたし、こういう面からいきますと非常に危険な条件はそこに備わっているわけですね。炭鉱の事故等を見ますと、ガス爆発、かなりひどい事故が起こっているわけでございますが、そういう事故にかんがみて炭鉱などはガスの探知器が、自動探知器といいますか、それが常備されているわけでございますけれども、今回その作業主任はそういうところに配慮していたのかどうか、そういう姿で監督にあたっていたのかどらか、その点についてお答え願いたいと思います。
#54
○和田政府委員 従来自然発生をいたしますガスが出てくるおそれのある場所につきましては、ガスの検知器を設けなければならぬという規定が労働安全衛生規則の百六十三条にございますが、今回のように自然発生でなくて、ガス管が通っているのでありますから、当然出てくるというような場所につきましては実は労働安全衛生規則には規定がございませんので、ガス検知器等は持っておらないということでございます。
#55
○大橋(敏)委員 いままでのそうした条文等にはそういうことになっていたでしょうが、今回の事故を契機としてガス管が通っているようなところには自動検知器といいますかそういうものを使用するのが当然ではないかと思うのですが、今後どういり考えて進まれるか。
#56
○和田政府委員 ああいう場所におきますガス検知器の使用問題につきましては、技術的にも問題があるように伺いますので、それらの技術的な問題ともあわせ検討しながら、簡単にもしガスの検知ができるようなものがあるようならば、私どもとしてはああいうガス管があるというような場合において、それが宙づりの状態で行なわれる、そういうようなところでの工事については、それらの検討の結果を待って法律の改正が必要ならば必要な措置を講じたい、かように考えております。
#57
○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねいたしますが、いま局長は、従来法律にはなかったけれども今度の事故にかんがみて将来は法律改正等の必要があればやる。ガス管等が通っているようなところの工事については、ガスの自動検知器を備えていくような方向にいきたい、こう答えておりますが、大胆の所感をお尋ねいたします。
#58
○野原国務大臣 私はよくわかりませんけれども、何か自動探知器は町を走っておる車の排ガス、いろいろなものが非常に鋭敏に作用する。したがって現在のガス探知器においてはどうも容易でないということを聞いております。したがって非常に鋭敏な作用のあるものでは、かえって常時一般乗用車等から出ますガスによってもブザーが鳴るとかなんとかということになりましても困るし、そうかといってあまり鈍感でも困るし、どうも技術的にこれがはたして実際のそういう工事の現場等のガス漏れ等を直ちに的確に把握できるような技術開発ができるかどうか、これは非常に問題でございます。そういう面をむしろこの際新しい技術の開発等もお願いしまして、できるだけ早く未然に防止できるような、探知できるような対策を講じてまいりたいというふうに考えております。目下その点は研究をしておるところでございます。
#59
○大橋(敏)委員 これは通産省の仕事になると思いますが、いまの労働大臣の話によれば、あまり鋭敏過ぎても困るし、鈍感でも困る。現在ある自動ガス検知器では、いま私が質問したことに対しては容易ならないというような答弁でございました。そこでまた適当な機器が開発されることを望んでおりますということですが、通産省としてはこの点については、どう考えておられますか。
#60
○馬場政府委員 ただいま労働大臣から御答弁のありましたよらな現状でございますので、有効なガス検知器というものはなかなかないわけでございます。この辺のところはただいま大臣のお答えのように、われわれのほうで関係の業界と十分話をいたしまして、有効なガス検知器の技術開発というものを積極的に進めてまいりたいと思っております。
#61
○大橋(敏)委員 今度の災害に労働省からも係官、調査官を派遣なさったと聞いておりますが、とにかく自動車にせよ汽車にせよ、あるいは飛行機にせよ、すべてこういうものは事前の安全確認のための検査といいますか、そういうものを非常に重要視しているわけでございますが、今回の事故現場における模様を新聞等に見ます場合、あるいは先ほどの質問者の質問内容から見た場合、ガス爆発がある前に、宙づりのところの接続点といいますか、接続のところが離れていたというようなことのようでございますけれども、こうした事前の点検が何か三十分前とか一時間前になされたような話本聞いておりますけれども、そのときにはそういう状態ではなかったのかあったのか、そういう点がはっきりつかまれておるかどうかという点ですね。
#62
○馬場政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、事件の約一時間ほど前に、三時四十分から四時三十分までの間に大阪瓦斯がパトロールをやっておるわけでございますが、その時点では、先ほどお答え申し上げましたように、ガスにつきましての異状は発見されなかった、こういう状況でございます。
#63
○大橋(敏)委員 これは通産省関係になるのか労働省関係になるのかわかりませんが、そうした点検要員といいますか、事前に点検をしていくそうした要員は、先ほどのお話のように総合的に会議を開かれて、何名にしようとかどうしようとかいうことがきめられていたのか、それとも労働省という立場で、そういうのは必ず何名いなければならないのだ、こういうようにきめられているのか、そういう点についてお答え願いたいと思います。
#64
○馬場政府委員 大阪瓦斯のやっておりました毎日の巡視でございますが、これはガス工作物でございますので、大阪瓦斯のいわゆる社内の保安規定といいますか、社内規定によってパトロールをいたしておったわけでございます。
#65
○大橋(敏)委員 そうすれば、その点検が終わったあとに思いがけないそうした事柄が起こったのだ、こう見る以外にないわけですね。今後原因の究明にあたっては、警察当局も労働省も、あるいは運輸省も、関係各省がそれこそ徹底的な追及を行ない、正しくその原因を把握して、二度とこういう災害がないようにしていただきたい。強く要望しております。
 また、今度の事故を見ますと、大阪市の交通局とそれからガス会社、それから建設会社との契約工事で行なわれていたということでございますが、事故が起きたその場合、これらの状況連絡といいますか、一体だれが責任を持ってどこにやったのか、こういう点が非常に不明確だということになっております。いまの通産省の方のお話では、ちゃんとお話し合いができていたのだということでございますが、そういう不慮の災害の場合は、どのような人かどのような方法でどうやるようにきめられていたのか、その点を御説明願いたいと思います。
#66
○馬場政府委員 先ほど申し上げました協定書と申しますのは、施行者でございます大阪市交通局と大阪瓦斯との間の協定書でございまして、当然大阪市交通局はその施主として約束をいたしましたから、施主として使います鉄建建設なりあるいはさらにその下請に対しまして、いわゆる工事中のガス管の防護その他につきまして大阪瓦斯と協定いたしましたところを、元請なり下請に対して、大阪市交通局のほうから趣旨を徹底させていたはずでございます。
 それから万が一事故等がございましたときの相互の通報につきましては、協定書には規定はされておりませんが、これは当然のことといたしまして、そういうガス漏れ等がいわゆるガス会社のおらないときに発見をされましたときには、当該工事現場のほうから大阪瓦斯なり、もちろん警察、消防を含めましてそういう関係方面には至急に通報するというのが通例でございます。
#67
○大橋(敏)委員 今度の事故の内容を聞いてみますと、警察やあるいはガス会社あるいは消防署に連絡が行ったのが非常にまちまちであるし、時間等もはっきりしてない。非常に混乱した中で取り乱したのであろうと思いますが、もっと防災に対する指導訓練が徹底されていたならば、まだまだこの災害は小さくて済んだのではないか、このようにも思われます。こういう指導訓練が徹底されるように、今後通産省ないし労働省等から特にその方面に力を入れていただきたいと思います。
 それから次に移ります。今回の緊急連絡指示の系統について、いまのお話に関連いたしますけれども、防災会議に集まったのは十三機関のメンバーだと聞いておりますけれども、そこでお互いの連絡を緊密にすることを約来して、そして別れた後、八時間後ですか、二カ所の事故現場がまた出ているようでございます。荒川の電話ケーブルの埋蔵作業中にガス管がこわれたとか、あるいは荒川区の信用金庫前の明治通りの拡張工事現場の電気ケーブルのショートがあったとかいろいろと起こっているわけでございますが、そういうのは連絡がさっさとスムーズに入っていないようでございますね。確かに会議は開かれた、内容は検討されたけれども、事実の上から見た場合、それが非常にずさんである、このようなことを聞くわけでございますが、指導訓練にあたっては、もつとそれが現実に即した立場でなされますように、これも強く要望しておきます。
 それから、これは少しお話かダブりますけれども、会社のパトカーがガス漏れしているその上に来たときにエンジンをかけたときのスパークか何かで火災が起きた。それがもとで大爆発になったというわけでございますけれども、ガス会社の従業員には当然特殊訓練といいますか、特殊教育といいますか、そういうことがなされていると思うのですけれども、今度はガス漏れがしているのだという場所にそういう車を持っていったという、こういう点についてはどのように考えておられますか。
#68
○馬場政府委員 五時半ころに大阪瓦斯の――これは三時四十分から四時半までにパトロールいたしましたものと別に、市内を巡回しておりますパトカーが現場付近でガス漏れに気づきましてその現場にかけつけたわけでございますが、そのかけつけました自動車の挙動といいますか、その現場に着きましてからエンジンをどうしておるかとか、どういうふうにふるまったかということの詳細につきましては、何ぶんその自動車に乗っておりました者がその場で事故にあっておりますので、どういうような処置をしたかということは、私どもまだ詳細に承っておりませんが、これはいずれ調査の過程で明らかになろうかと思っております。なお大阪瓦斯自身としまして、そういう事枚の際に現場へ自動車等を派遣しましたとぎの自動車に乗っておる者の行動につきまして、いろいろふだんからどういうぐあいに規定をし、どういう訓練をいたしておったかということも、一度実際に把握いたしてみたいと存じております。
#69
○大橋(敏)委員 要するに、炭鉱の穴に入っていく場合は、一切火のもとになるのは禁じられておりますね。それと同じように、すでにガス漏れであるとはっきりした現場にそうした車を持っていくということ自体が、大きな失敗である。これは日ごろのガスに対する防災教育といいますか、訓練といいますか、そういうところに大きな欠陥があるのではないか。いまそういう内容を深く調査査すると言われましたけれども、これは大事な問題ですから、しっかりとその点を究明していただきたい。
 それから、これはやっぱり労働省の監督という立場からも重要な事柄であろうと思いますが、さらにこうした危険物のところに行く場合の基準とか規定というものを再検討なさる必要があるのではないかと思いますが、その点について労働省の立場からお答え願いたいと思います。
#70
○和田政府委員 安全衛生規則の百四十条の二に、いま先生の御指摘になりましたような爆発のおそれのある場合には火源を近づけないようにという規定がございます。これは使用者の責任になっておりまして、それを労働者が守れという規定のしかたでございますが、今回の場合も、先ほどお答えを申し上げましたように、その百四十条の二の問題があるかどうかということについて、ただいま実地検証の結果その他の聞き込みをやっておるところでございまして、お説のように重大な問題でございますので、今度の場合につきまして、もしそういうことであれば、安全衛生規則違反ということも成立するわけでございますので、現地の検証の結果を待って処置をしたいと考えております。
#71
○大橋(敏)委員 これは一般論になりますけれども、また建設省あるいは通産省の問題ではあろうと思いますが、労働省の立場からも、たとえば鉄建建設が下請をして、さらにまた下請を雇う、こういうことになれば、請負代といいますか、そういうものがだんだん削られまして、末端請負者にいきますと、非常に窮屈な立場で仕事をしなければならぬ。当然、安全を確保しなければならぬという立場でいろいろと考えはするものの、経費の関係からついついそれが軽視される。作業優先といいますか、安全第二という立場をとらざるを得ない、こういうことも聞いております。今回の事故を契機としまして、そういう下請のまた下請といわれるようなそういう内容にまで調査あるいは追及を広げていって、そういう点からも今回のような事故が起こらないような、いわゆる安全第一の立場で作業がなされるように、労働省として手を打ってもらいたい、こういう立場から大臣に答えてもらいたいと思います。
#72
○野原国務大臣 御意見まことにごもっともでございます。下請のまた下請というようなことで、作業にのみ重点を置いて安全ということを忘れるようなことがあってはならぬ、まことにごもっともでございます。その点は今後の労働行政の立場におりまして十分考慮しまして、安全対策を講じてまいりたいと考えております。
#73
○大橋(敏)委員 最後に一言、先ほどの御答弁の中に、死亡者に対しては五十万、あるいは重傷者は十万ですか、それから軽傷者に対しては五千円というような御答弁だったと思いますが、これはとりあえずの見舞い金だと聞いたのですが、これは非常に低いといいますか安い金額だと私は思います。とりあえず支給されたのならばまだこれでも了解されるような気もいたしますが、もしこのまま一切が終わるということになれば、これはきわめて僅少であると思うのですが、こういう見舞い金に対して今後どういうふうに指導なさろうとなさっているのか、その点を最後に一言聞いて終わりたいと思います。
#74
○馬場政府委員 先ほど申しましたそれぞれの見舞い金は、ただいま先生おっしゃいましたような、とりあえずの見舞い金という意味でございます。むろん最終的な問題は、これは見舞い金というような性格のものよりも、むしろ性格が明らかになりましたらば、当然その責任の度合いに応じまして、被害者の御要求に応じてすべきいわゆる補償ということになるわけでございますが、ただいま原因の所在、責任等調査中でございますので、とりあえず三者として見舞い金を贈った、こういう性格のものでございます。したがいまして、その最終的な責任の所在がはっきりいたしました場合における補償につきましては、むろん十分被害者の方々に御納得のいくように、円満に協議をいたしまして、解決のつくようにわれわれとしても指導いたしたいと思います。
#75
○大橋(敏)委員 もう一言、労働省にお尋ねいたします。
 先ほど労災保険が今国会で改正になると、今回の死亡者についての内容は現行どおりだけれども、障害の点については今度改正になれば一六%でしたかのアップになる、それが今度は適用されるのだ。いわゆる、遡及されるわけですね。そこまでにさかのぼって――法律は後日通ったとしてもそれが遡及されるんだというふうに理解してよろしいでしょうか。
#76
○和田政府委員 法律が施行されました時点におきまして障害等級が決定されておりませんときには、決定のときが法律施行後であれば当然新しい法律でまいります。それから遺族年金につきましては、今度六人の方々がなくなりましたが、現在は現行法で処理する以外にございません。しかし法律が新しく施行されますれば、その時点から以降は遺族年金が今度ふえます。おおむね二割ぐらいふえますが、その額で差し上げる、こういうことになります。
#77
○大橋(敏)委員 では障害の等級が、今度の改正案が成立する前にもしきまれば、もう現行どおりということですか。
#78
○和田政府委員 前にきめましたら、施行までは現行どおり、施行後は新しいものによって一六・五%アップ、こういうことになります。
#79
○大橋(敏)委員 では羅災者の立場からいけば、早く労災保険法を審議してやらなければならぬということになりますね。
 いろいろありますけれども、ひとつ今後とも二度とこういう災害が起こらないように、しっかりと指導、監督をしていただきたい、こう要望して終わります。
#80
○佐々木(義)委員長代理 寒川君。
#81
○寒川委員 労働、通産、警察庁に御質問を申し上げたいのですが、先輩の方々からいろいろ質問がございまして、大部分につきましては理解ができましたので、時間の関係もございますので重複を避けて質問をいたしたいと思います。
 まず最初に労働省にお尋ねをしたいのですが、私が西山大阪瓦斯の社長から承ったところによると、大阪における工事の関係で、一年間に千件以上のガス漏れが今日まで起きておるんだ、こういろことを承りましたが、大阪基準局としては、そういう上に立ってガス会社と安全対策について協議をされたことがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
#82
○和田政府委員 手元に資料がございませんので、まことに恐縮でございまして、調査した上で申し上げたいと思いますが、ガス漏れ千件につきましては、工事との関係で出たものか、工事と関係なくよくガス漏れがありますが、それらを含めて割り出したものか、ちょっとよくわかりませんが、いずれにいたしましても、それらのことについて報告を受け取っておりませんので、調査をして申し上げたいと思います。
#83
○寒川委員 私の申し上げたいのは、いろいろ事件が起こって対策を議論しております。このことも原因を分折してぜひともやらなければいけないことであるけれども、労働基準の性格からいっても、やはり予防を完全にやっていくという措置がなければ――特に土木、建築という面につきましては、工法が著しく進歩いたしております。そういう面で、今回の場合でも、たとえば早くガス管を技術開発によって自動的に開鎖するということができ得たならば、防止できた事件ではないかと思います。そういう面で、労働省の研究所等でどういうような検討なり研究が重られておるかお伺いしたいと思います。
#84
○和田政府委員 私どものほうで産業安全研究所がございますが、ここで一番ねらっておりますのは、本質安全ということばを使いますが、どんな人がどんなことをしても装置によって爆発をしない、要するに、人の不注意によって事故が出ないというような装置及び機械器具の開発という、いわゆる本質安全をねらってやっております。しかし、もちろん非常に多様複雑をきわめるものでございますので、にわかにはいきませんが、私どもの理想はそういうことをねらってやっておる、こういうことでございます。
#85
○寒川委員 そういう感覚からいたしますならば、私の調査した範囲でも、新聞の報道でも、ガス漏れというものを人間の嗅覚、経験によって把握しておるというようなことはぼくはただいまの御答弁とは著しく背反した監督行政をおやりになっておるというような判断を実はいたすわけなんです。そういう観点から、先ほど公明党の方の、角度は違いまするが、御質問された中にございましたことと関連して申し上げますならば、これだけ技術革新が進んでおる中で、やはり現在の安全衛生規則というものを抜本的にもう一ぺん洗い直してみるという改正の意図があるかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。
#86
○野原国務大臣 ただいま産業安全研究所でそういった問題を含めまして研究をしておるということでございますが、このガス漏れ等の問題につきましては、やはりできるならば的確にガス漏れ等が察知できるような技術の開発、そういうものが必要だと思います。
 どうも先ほど来まことに残念に思っておりますのは、目下そういうガス自動検知器というものはあるけれども、どうもそれが適用できないというふうなことを聞いております。これらの点はまことに遺憾でございますので、至急にそういった技術開発の問題を含めて検討するように努力いたします。
#87
○寒川委員 労働省の方にまだお尋ねしたいのですが、通産省の関係の方がお急ぎのようでございますので、通産省の方にお伺いしたいのですが、私も不明にしてガス会社が供給しておるガスというものは自社で製造をして供給をされておるものだという理解に立っておったのですが、現在大阪瓦斯が供給しておるガス、このうちでいわゆるプロパンガスがどの程度混入されて供給をされておるのかということが一点。それから第二点は、従来のガスの爆発威力と、こういうプロパンを混入した場合の爆発威力とでどういう差があるのか。加えて第三点は、現在事故が起こっておりますガス管の埋設年数といいますか、今日までの古さ、そういうものをまず御質問申し上げたいと思います。
#88
○馬場政府委員 大阪瓦斯が現在供給区域に供給しておりますガスは、いわゆる四千五百キロカロリーの都市ガスでございます。この四千五百キロカロリーにいわゆるカロリーを調整いたしますために――問題になりましたパイプのもとになりますソースの工場は北港工場と酉島工場と申しておりまして、これはおもに石炭系の原料を使っておりますので、大部分のものは石炭ガスと申しますか、石炭系の原料から出た都市ガスでございます。それを四千五百キロカロリーに調整いたしますために、間々その中にプロパン――プロパンはカロリーがずっと高うございますから、それを調整のために入れることはございます。しかし問題のところで供給されておりましたガスは、プロパンが入っておりましてもおそらくきわめてわずかなものであったのではないかと思っております。
 それから、プロパンと普通の都市ガスとで爆発力がどうかという問題でございますが、これも私、技術的に正確にお答えできませんが、いわゆる普通の都市ガスが爆発いたしますのには、都市ガスと爆発するのに要します空気、これは普通の都市ガスが爆発いたしますのに比べまして若干たくさんの空気を必要といたすという差はございます。普通の都市ガスでございますと、ガスが五ないし三〇%、見合いの空気が九五ないし七〇という状態で爆発点に達するそうでございますが、LPGの場合には、もう少しこれよりプロパンが低うございましても爆発点になるという差はあるようでございます。ただ、一たん爆発点に達しますと、その爆発力そのものはエネルギーとしては同じではなかろうかと存じております。
 それから第三点、当該地点のガス管がどのくらい古いものかというお尋ねがございましたが、調べましたところ、このガス管は中圧管、低圧管が通っておりますが、両方とも昭和三十七年ごろに埋設された管でございまして、そう古いものではございません。
#89
○寒川委員 三十七年ごろ埋設したものでこういう結果が出るということになってきますと、大正の末期から昭和の初期のものがだいぶあると私は思います。しかも税法上は、御承知のように二十年という措置が講じられておるということで、将来、こういったものについての取りかえといいますか、そういうことを積極的に通産省はやるお考えをお持ちかどうか。
#90
○馬場政府委員 現在各ガス会社で使用しております導管のうちで非常に埋設年度の古いもの、明治、大正のころに埋設されましたものは、東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯、おもな都市ガス三社について昭和四十年ごろに調べましたところでは、三社合計で約千キロメートルぐらいの延長があったというふうに記憶いたしております。これらの非常に古い年度のものにつきましては、それ以後、年次的に計画をつくりまして取りかえをやっておりまして、四十四年までに、千キロメートルのうち約半数四百七十キロメートル程度のものは取りかえを完了いたしておるようなことでございまして、今後も計画的に各社において取りかえをやっていく、こういう計画にいたしております。
 なお、本件のガス管は、ただいま申しましたように三十七、八年ということでございますが、本件は、そういうガス管が新しい古いということで起こった事故でございますのか、つまりガス管自身によって起こった事故でありますのか、それ以外の原因で起こった事故でありますのかについては、目下警察等で原因を調査されておりますので、ガス管の古い新しいということが本件の一つの要素であるかどうかということは、現在のところでは全く不明でございます。
#91
○寒川委員 もとに返りますけれども、私が考えますのに、こういった問題が起こっていろいろと関係者で責任のがれをするということは、やはり工事契約というものが時代の進運に伴った内容を具体的に設定して解決した契約内容になっておらないというところに問題があるのではないか。そういう意味で労働省当局として、現地の基準局はただ単に関係者の打ち合わせ会だとか通報のし合いだとかいうような、ことばのあやだけでなしに、責任体制というものを十分知った上で監督をしておったかどうか、そういう点についてお尋ねをいたしたいと思います。
#92
○和田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、安全衛生規則の百六十三条の七とか百六十三条の十とか、そういうような条文がございますので、その条文が守られておるかどうかということに対する監督は、もちろんこういうような場合やっているわけでございます。ただ、今回の場合もそうでありますし、一般的に、ああいう埋設物があります場合におきましては、道路管理者である者と埋設物を所有しておる者と、それからそこで工事をやります者、それらの間における相関関係があるわけでございます。先ほども、大阪市の交通局があそこの工事の発注者でございますが、交通局と埋設物の所有権を持っております大阪市の間で協定があって、埋設物はこういうぐあいにして宙づりにする、それなら埋設物自体に対する安全はだいじょうぶだし、したがってガス漏れもないというような協定書でそれをやっております。その協定書に盛られた内容につきましては、工事の発注者である交通局が施工業者に対して、それを守ってやるようにと、こういうようなことでやっておるわけでございまして、一応はその協定書どおりに行なわれておれば、いまのところは特別な反論のない限りは大体それでよかろうと思います。ただ、もちろん私どものほうは安全という見地から、その協定に拘束されずに、これはその協定があっても、それ自体はもう一度もつとこういうように補強しなければだめだということになれば、その協定書にあるなしにかかわらず、工事施行者に対して一定の監督あるいは勧告を実施できますが、いまのところでは、せっかくそうやってできておりますものが一応の安全係数を持っておるならば、それに従ってやっていくのがよかろうということでございます。ただ、いままでの体系は、それらの三者、といいますよりも二者になりますが、今度の場合は大阪市交通局とガス会社、この協定に対する事前チェックは、いままで実は基準局としてしておりません。
  〔佐々木(義)委員長代理退席、伊東委員長代
  理着席〕
今度の経験にかんがみまして、私どももそういうものをチェックするような体制の中に入ったほうがいいということにいたしまして、これからは地区協議会でそういうことを議題にするようにしたいと思いまして、その中にわれわれの係官も入るようなことでやっていきたい、かように考えております。
#93
○寒川委員 私も文書を拝見いたしましたけれども、非常に抽象的な取りきめで、やはりもっと労働者の立場になって、労働省がいい意味で割り込んで、これでもかこれでもかというようなぐあいな配慮をやはり持ってやってもらいたいという気がいたします。なぜかならば、やはり関係業者というものは商業主義の上に立っておるのですから、それから守ってやるというのは労働省以外に私はないと思います。同時に、皆さんからも質問がございましたが、監督官の監督の問題にしましても、私なんかの経験からいっても、何か変わったことはありませんかといって回っても、やはり一つの監督なんです。そういった意味から、やはり将来こういう事故を起こさないような監督指針といいますか、そういうようなものをお持ちだと思いますけれども、より時代に即応し、経験に徴した具体的なものを示して、しかもそれはことばのあやだけではなしに、一つ一つチェックをして確認をしていくというような制度の確立について、労働大臣はどういうお考えを持っておられるか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
#94
○野原国務大臣 御指摘の点は十分尊重いたしまして、技術的な問題もございますので、これから対策を検討して実施させたいと考えております。
#95
○寒川委員 それから、先ほど来からも、監督官の少数のことをいろいろと実は議論をされておりまして、労働省に調査を願いましても、大阪の適用事業数は二十万をこしておる。しかも百八十四名の監督官しかおらない。加えて機動力はといえば、十六台の自動車、私の想像するところでは、このうち七台ないし九台は管理職が使う車だと思います。そういったことからいたしますならば、人が足りない上に、かつ機動力もない。そういう意味で、先般も大臣に安定所の現状を申し上げましたが、やはりただ形の上でていさいを整えて、最後、問題が起これば責任はおまえだということできめつけるだけでは、やはり労働者の安全というものはぼくは守れないと思います。そういう意味合いからも、今国会にも監督官のの若干の増員等は出ておるやに承知をいたしておりますけれども、この問題について大臣から再度お考え方をお述べいただきたいと思います。
#96
○野原国務大臣 労働基準監督官、また業務の問題は、今後の労働災害の問題、あるいは事故発生防止の観点からも非常に急がれておるわけでございます。したがいまして、ここにあらためて検討いたしまして、必要な人員はあくまでもこれを確保するという線で、今後強力な対策を講じたいと考えております。
#97
○寒川委員 警察庁の方にお伺いをしたいのですが、来ほど来からも御指摘されておりましたように、今度の事故の死亡者あるいは重傷者等、工事関係者よりもむしろ一般の市民の方々が非常に多い、こういう結果が出ております。したがって、このことは、火事が起こりましても立ち入り禁止区域というものを御設定になる、あるいはその他学生紛争に加勢をしたり、したがって一般の通行制限をする、そういうようなこと等等おやりになりますが、どうも私の判断では、担当警察官の個人的な判断といいますか、勘で何かおやりになっておるような気がいたすのですが、こういった時代でございますので、日進月歩の世の中に対処いたすためには、ある程度の流動的なものを持たなければいけないと思いますけれども、基本的に立ち入り禁止区域の設定等について、基準あるいは方針、そういったものを警察庁は各県警本部等に指示をされておるのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
#98
○長谷川説明員 お答え申し上げます。
 災害等の場合におきまして、立ち入り禁止をしたりあるいは避難をさせるということは、いわゆる警察官職務執行法第四条によってやるわけでございますが、個々の事態というものはたいへん千変万化でございまして、法の命ずるところは、必要最小限度においてやれということを命ぜられておるわけでございますので、勢い、やはり現場に参りました警察官の判断によってやる以外に最後は方法がないと思うのでございますが、お話もありましたように、ガス漏れであるとか、そういった技術的にいろいろ研究すればわかるような事態につきましては、さらに私ども研究しまして、各県警にもそういうことを指導、教養いたしまして、おくれないように急速に適切にそういうことができるようにいたしたいと考えております。
#99
○寒川委員 具体的に方針をおきめになっておらないようですから、ひとつ関係の方面とよく連絡をおとりいただいて――起こってしまって措置するのじゃなしに、やっぱり予見できる事案というものはかなりあると思うのです。そういうものに対して具体的に、こういう事件が起こればこの程度の距離まで立ち入り禁止区域にするんだとかいうようなこと等の配慮を、ぜひお願いを申し上げておきたいと思うのです。御答弁は要りません。
 そこで、最後にお願いをしたいことは、今度の災害補償の問題につきまして、中馬大阪市長とも会いまして承るところによりますと、昨年の板橋事故にかんがみて、窓口を一本にして大阪市が責任の中心になるというようなことで、先ほど発表いたされましたような、当面の補償の問題につきましては手早く措置されたことにつきましては敬意を表したいと思います。ただ、私の労働省にお願いをしたいことは、直接の労災補償の対象になります関係者は死亡者について六件だという御説明でございますけれども、労働者という立場で日常の生活をしていらっしゃる諸君の相談相手というものは、弁護士さんのところに行くか、政治家のところに行くか、何と申しましょうか、若干お願いをするという立場で依頼に参らなければいけないのじゃないかと思います。そういう意味で、やっぱり労働基準局がおせっかいをするという意味じゃなしに、労働者保護の立場から、まあ役所はよくアメリカなんかにない行政指導ということを常々おやりになっておられる。こんなときにこそ私は有効に行政指導を生かしてやっていただきたい。したがって、まあうまくいくかと思いますけれども、ひとつ十全の配慮をいただいて、不幸中にも幸いであったと、しかもこれが再びあってはならないけれども、将来のよき例になるように努力をしていただくことをお願いをし、大臣の御決意を承りたいと思います。
#100
○野原国務大臣 今回の災害に関しましては、直接事業関係の方々の死亡は六名でございますが、しかし多数の死亡者の中には労働者の方が大部分であろうと思います。したがいまして、非常に微妙な段階でございますが、今回の災害は、たとえば商店におった人たち、あるいは勤務中の新聞配達の方も死んだようであります。きわめて弾力的にこの問題を検討いたしまして、ただいまの六名の方々のみに限らず、労働災害補償法の適用を受けられる者があるならば、十分配慮してやるということでいま調査をしております。したがいまして、ある程度労災の補償の適用を受けることができる者もかなりいるんではないかということでいま調査をしているわけです。弾力的に運営をはかってまいりたいと考えております。
#101
○寒川委員 質問を終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#102
○伊東委員長代理 次に、田邊誠君外六名提出の家内労働法案、同じく最低賃金法案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。田邊誠君。
    ―――――――――――――
#103
○田邊議員 私は提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました家内労働法案につきまして、提案理由並びにその概要を御説明申し上げます。
 さて、御承知のように、今日の日本経済の目ざましい発展は、一方ではあらゆる分野に格差やひずみを生じ、特に家内労働の性格にも大きな変化があらわれ、物価高に対する収入を確保するため、一般労働者の主婦が家内労働に従事する傾向が強まってまいりました。また経営者にとりましても、電気器具、プラスチック製品、メリヤス、紙器などの分野では労働者の不足に対処するため、家庭主婦の家内労働の活用が増大しておるのであります。
 政府の調査によりましても、現在家内労働者は約百万人にのぼり、そのうち九〇%以上が女子で占められ、地域的には六大都市に集中し、産業別には繊維工業並びに雑貨工業がその八〇%を占めているといわれております。しかし、これら家内労働者の工賃は、驚くなかれ一時間当たり四十円程度であり、しかも労働条件はきわめて劣悪で、作業環境が不備なため安全衛生上の問題が頻発していることは御承知のとおりであります。
 しかも今日の家内労働の増大は、学卒労働力の不足からくる賃金上昇のために、中小企業が家内労働に依存する結果あらわれた現象でありまして、わが国経済の質的向上、二重構造の解消という意味からもきわめて重要な問題といわねばなりません。また家内労働が増大すればするほど、雇用労働者の労働条件の向上を阻害する要因となっていくことは明らかであります。わが国低賃金の温床的役割りを果たしている、これら家内労働者を苦汗労働から解放し、あわせて家内労働に依存せざるをえない諸産業の近代化を促進する上からも、いまや抜本的な立法措置を講ずることは刻下の急務であると考えるのであります。
 今回、政府も、このようなわれわれの主張を認め、同名の法案を提出しておるのでありますが、政府案は内容上、なお不十分な点を残しておりますので、あえて本法案を提案したのであります。
 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 まず第一に、本法案の適用範囲は、同居の親族以外の者を使用したいで家内労働に従事する者に限ることとし、事業主がこれらの家内労働者に物品の製造等を委託する業を営む場合は、行政当局に届け出なければならないことといたしました。
 第二に、家内労働者には家内労働者手帳を交付し、労働条件などを委託に際して明記させ、もって委託者の不正を規制することといたしました。
 第三に、家内労働者の最低工賃は、社会党提出の最低賃金法案による一般労働者の最低賃金額に見合う額で、都道府県労働基準局長が、地方家内労働審議会の議を経て決定することといたしております。
 第四に、家内労働者の労働時間、危険有害業務の委託等について、若干の規制を加えるとともに、労働基準法の規定を大幅に準用することといたしまして、一般労働者と同様にその労働条件の改善をはかることといたしました。
 第五に、家内労働者が団結して労働条件等につき、委託者またはその団体と労働協約の締結等の交渉をするため、家内労働者組合を組織することができることとし、これに労働組合法の規定を準用するとともに、家内労働関係の当事者間において争議行為が発生した場合におけるあっせん、調停について規定いたしました。
 以上が本法律案の提案理由とその主たる内容であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
 次に、最低賃金法案について御説明を申し上げます。
 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました最低賃金法案につきまして、提案理由並びに内容について御説明申し上げます。
 申すまでもなく最低賃金制は、制度ができた初めのころは、欧米資本主義諸国で、極度に窮乏化した一部の極貧層の労働者救済のための社会政策として、また資本家の側からは、産業平和や社会緊張緩和のための手段として採用されてきたのであります。しかし第二次大戦後においては、最低賃金制は労働者の最低生活保障のための統一要求として掲げられるようになっております。
 本来、最低賃金制の目的は、労働者の最低生活水準を保障することであります。現在労働者の最低生活費はほぼ全国同水準となっております。また学卒労働者の初任給水準も労働市場の需給状況を反映して格差は縮小しつつあります。
 また最低賃金水準については産業別、規模別の格差も縮小しつつあり、このような現状のもとでは原則的には全国今産業一律の最低賃金が設定されなければなりません。
 今日わが国の経済情勢を見ますとき、工業生産においては、造船は世界第一位、自動車と化学繊維は第二位、鉄鋼とセメントは第三位であり、民総生産は実に世界第二位の地位を占めるに至っています。
 しかるに国民一人当たりの所得は、国連統計によれば、驚くべし、何と世界第二十一位で中南米のベネズエラ以下というみじめな状態であります。すなわち今日なお月二万円以下の低賃金労働者が膨大に存在しこのほか低い工賃のまま放置されている家内労働者は二百万世帯にも及んでいるのであります。
 こうした著しい生産と所得の不均衡を是正しし、健康で文化的な労働者の生活を維持するに足る賃金を法的に保障することこそ最低賃金法の使用でなければなりません。
 すでに現行法実施以来十年余になりますが、現在、中小企業労働者千三百万人のうち、八〇%は日額七百円以下、月額に換算すると二万円以下という賃金なのであります。しかもこの膨大な低賃金労働者の存在が、他の労働者の賃金にも悪影響を与え、今日のわが国労働者の生活を常に不安におとしいれているのみならず、法的最低賃金は、さらに米価の生産費に含まれる労働力の費用の基礎ともなり、農民の所縁水準をも規制しているのであります。さらに生活保護基準、失業保険の最低額、失対賃金、国民年金とも関連、低い国民生活水準のおもしとなっているのであります。まさに国民総生産世界第一位を誇るわが国の見せかけの繁栄を物語っていると申せましょう。現行最賃法では最低賃金制度本来の役割りを十分果たし得ないのはここに明らかであろうかと思うわけであります。
 今日、雇用情勢は逼迫の度を加え、人手不足の傾向は深まり、今後の企業の深刻な問題は労働力不足にあるとさえいわれています。いまや低賃金によって国際競争に立ち向かう時代は過ぎ去りました。
 今後のわが国経済は、先進国の名にふさわしい高度の技術によってその発展を期すべきであり、それは労働者の最低生活水準を保障することによってのみ可能であります。
 今こそ真の最低賃金制を確立することは国家の急務であります。中小企業の上に大企業がそびえ立っている経済の二重構造を解消する方向もこれをおいてありません。
 以下法案の内容について御説明申し上げます。
 まず第一に、最低賃金の適用方式は全国一律制といたしたのであります。このことは特にわが国のように、産業別、業種別、地域別の賃金格差がいまだ存在し、低賃金労働者が多数存在する状態のもとでは、それぞれの最低賃金を定めることは最低賃金制度の効果を半減せしめるからであります。
 なお全国一律の最低賃金制の上に、労使の団体協約に基づいた産業別あるいは地域別に拘束力を持つ最低賃金の拡張適用の制度も積み上げることといたしました。
 第二は、最低賃金の決定については、労働者の生計費(原則的には標準家族の必要生計費)と一般賃金水準等を考慮して定めることといたしました。
 第三に、最低賃金の決定及び改正は行政委員会の性格を持つ最低賃金委員会に権限を持たせることとし、同委員会は労使同数の委員とその三分の一の公益委員をもって構成することといたしました。
 第四に、最低賃金委員会は六カ月に一回必要生計費及び一般賃金水準に関する調査を行ない、その結果を公表し、必要生計費が三%以上増減したときには最低賃金の改正を決定することといたしました。
 以上この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
 今日までのにせ最低賃金法に対する汚名をそそぐために、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いして提案説明を終わります。
     ――――◇―――――
#104
○伊東委員長代理 次に、川俣健二郎君外六名提出の国有林労働者の雇用の安定に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。川俣健二郎君。
#105
○川俣議員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有林労働者の雇用の安定に関する法律案について、その提案理由と内容について御説明申し上げます。
 現在、五十万人に及ぶ山林労働者は、人里離れた山奥で、家族と別れ、昔ながらの封建的身分差別と非近代的な労働条件に苦しみながら、森林資源の造成、木材生産に従事しているのであります。しかし歴代保守政府の進めてきた高度成長策は、山林労働者をも一そうの貧困の谷間におとしいれ、近代文化の恩恵に浴することもなく、生活の近代化は望むべくもない状態に放置されているのであります。すなわち、これらの労働者の賃金は、依然として人間としての健康な生活を維持するにはほど遠い状態であり、労働条件を規定した労働基準法の中心的規定であります労働時間、休日休暇の規定は、その適用が除外されているのであります。したがって、これらの労働者は、低賃金構造との関連で、今日もなお長時間労働が強要されている状態であります。
 わけても国有林労働者は、国有林に専業的に働き、その生計を国有林に依存し、二十年、三十年の勤続表彰を受けておりながらも、林野庁当局の「降雪、積雪を理由」とする休業のため、毎年首切りが行なわれているのであります。その結果、毎年三カ月から六カ月にわたって失業するという状態が繰り返され、国有林労働者の身分、生活を極度の不安におとしいれてい為のであります。
 しかも、これらの国有林労働者は、定員内職員、常用作業員、定期作業員、臨時作業員という雇用区分によって、その労働条件に大きな格差が設けられているのであります。このような国有林労働者の差別支配を強行しているのが、国有林を管理運営する林野庁という名の政府機関の一部であることは、私の最も遺憾とするところであります。
 しかも、国有林の経営、管理のための基幹的な作業は、いわゆる定員外の作業員によってになわれているのが現状でありまして、いわば国の恒常的な業務が臨時的な雇用で処理されているわけであります。
 ILO国家公務員専門家会議は「恒常的な職務を遂行するため必要とされる職員は、常勤として採用されなければならないし、その間といえども常勤と非常勤との門の法的身分の違いをもって、賃金や労働条件全体について差別の理由とすべきでない」という報告をしております。したがいまして現在、林野庁が行なっております労務政策は、このILOの見解にも全く反しているのであります。
 このような国有林労働者の現状にかんがみまして、これらの労働者の雇用を継続させ、その雇用と生活の安定をはかる必要があると考えるのであります。これがこの法律案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の概要について説明申し上げます。
 まず、国は、国有林労働者として前年度及び前前年度において、それぞれ継続して六カ月以上雇用された者、また前年度において継続して十二カ月雇用された者については、当該労働者が希望するときは、これらの労働者を常時雇用する国有林労働者として雇用しなければならないものといたしました。
 第二に、国有林労働者が一年を通じて労働することができるようにするため、国はできる限り、国が直接実施する国有林野事業の事業量の増大及び作業量の平均化をはかる義務があることを明らかにいたしました。
 第三には、国は、前年度において継続して六カ月以上国有林労働者として雇用された労働者で、常時雇用の国有林労働者の対象とならなかった者については、当該労働者が希望する限りは、次年度においても再雇用を保障する義務があることといたしました。
 第四には、常時雇用される国有林労働者が、降雪または積雪のために休業せざるを得なくなった場合には、国は、労働基準法第二十六条の規定にかかわらず、特別休業手当として、平均賃金の六〇%以上の手当を休業期間を通じて支払わなければならないことといたしました。
 以上が国有林労働者の雇用の安定に関する法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
     ――――◇―――――
#106
○伊東委員長代理 次に、内閣提出の家内労働法案、田邊誠君外六名提出の家内労働法案、同じく最低賃金法案、以上三案を一括議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。島本君。
#107
○島本委員 私は、社会党提出の家内労働法案、それと最低賃金法案並びに内閣提出にかかります家内労働法案、この三案につきまして若干の質問を行たいたいと思うものでございます。
 まず、ただいま提案説明をされました社会党案の提案者でございます田邊議員に、私も委員の立場から一点お伺いいたしたいと思います。
 御存じのように、政府は、ようやくその長い腰をあげまして家内労働法案が提出されるに至ったわけであります。それと同時に、社会党案が、ただいま提案の説明のごとくに出されました。どういうようなお考えで政府案に対して対案をお出しになったのか、その提案理由の説明を聞きまして、なるほどと、こう思う点が多々あるのではございまするけれども、この際、お出しになったその真意について、そのお考えを承りたい、こういうように思うわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
#108
○田邊議員 いま島本委員から御指摘がございましたとおり、今回提案をされました家内労働法案は、すでに長い間これに従事してまいりました家内労働者、特にその圧倒的多数を占める主婦の人たちの渇望しておったものであります。われわれはいまこそこれらの人たちに対して報いるところの法律をつくらなければならないと思っておるのであります。
 ただ、御指摘がございましたとおり、政府が提案をいたしておりまするところの法律案につきましては、いまだ改善すべき余地がたくさんございます。われわれは、これを前向きの姿勢でさらに発展をさせるために私どもの提案をいたしたのであります。
 その前提となりますのは、何といっても最低賃金法に対する考え方でございます。私どもは、政府のいわば業種別、地域別の最低賃金法というものが、いかに今日多くの毒素を有し、除去しなければならない内容を持っているかということについては、たびたび指摘をしてまいったのであります。私どもが提案をいたしておりまする家内労働法案は、そういった政府の持つ最賃法の毒素をなくすために、どうしてもこの際皆さん方の御賛同を得て、これが新しい時代に即応したものに衣がえをする必要がある、こういうように私どもは考えておるのであります。
 欧米諸国における最賃法も、その時代時代によって大きな意味を持っておったのでありまするけれども、しかしこれとても、いわば古い時代感覚に基づいたものであるとわれわれは考えざるを得ないところが多々ございます。いま経済の成長がなされ、しかも広域的に行政が施行されておる現状の中では、これらの最賃法に対する考え方も変えていかなければならないというように私は思うのであります。
 その主要な第一は、現在日本の経済が高度に成長いたしておりまするから、そういう中で一体労働者の地位というものをどう確定するか。しかも極度に労働力の不足が伝えられておるのであります。こういう状況の中で、私どもは、いまこそ労働者の賃金の引き上げをする、そのことによって労働者の地位を向上させることが絶対に肝要であると思っておるのであります。このことがまず私どもの最賃法を提案いたしました最大の理由であります。
 第二番目には、そのためには、いまこそ産業別、規模別の差というものを基本的になくすことが重要である、こういう立場から、私どもは全国全産業一律最低賃金が至当である、こういう考え方に立つわけであります。
 さらに、第三番目には、現在の佐藤内閣のもとで行なわれておる経済の成長は、いわば見せかけの繁栄でございますし、また異常な物価高を招来しておるのでございまして、この物価の上昇がはなはだしい現在において、最低賃金も、当然物価の上昇等に見合ってこれは増減をはかるべきである、こういう立場から、必要生計費の増減によって最低賃金の額の改正ができる、こういう状態をつくることは、現在の時代に即応した要請であろう、こういうふうに私どもは思っておるのであります。
 さらに第四番目には、やはり最低賃金審議会に行政委員会としての権限を持たせ、その決定の公平を期するということが必要ではないかと思っておるのであります。
 以上申し上げたように、私どもは、この全国全産業一律最低賃金制をしくことによって、労働者の犠牲によって経済の成長をはかろうとするような、そういう考え考を基本的に是正していこうということが私どもの考えの根底にあることをひとつ御了承いただきたいのであります。
 次に、家内労働法については、さっき申し上げましたように、政府のこの法案に対して私どもは非常におくれてまいりましたけれども、提案をいたしましたことの意義は受けとめなければならぬと思うのであります。ただ、われわれがさらに前向きに検討いたしました場合には、何といってもいろいろな面で不備がございます。その基本は、家内労働者をどう見るかということでございまして、私どもは、やはり家内労働者を雇用労働者と同じように見るということが必要になってくる、こういうように思っておるのであります。いままでは委託者との関係というものはいわば従属関係でございました。私どもは、やはり平等な立場に立ってこの家内労働者の地位を確保する、こういうことが必要でありまして、そのために労働基準法なりあるいは労働組合法の準用をすることによって、雇用労働者と同じ権限を与え、保護を加えるということが必要ではないかというように思っておるのであります。
 ついででございますから、提案説明で申し上げましたので、簡単に御説明を申し上げますと、そういう中で最低工賃の問題は何といっても最低賃金法と関連を持つものである、こういうように私どもは考えておる。したがって、私どもの提案しておる全国全産業一律最賃に見合った形でこの最低工賃を決定すべきであるというように思うのであります。
 さらに第二番目には、やはり家内労働者の労働条件を適正にする、こういう意味合いから労働時間に若干の規制を加えることによって、朝早くから夜寝るまでの間労働に携わるような、こういう非近代的な現在の状態というものを改善していきたいというように考えておるのであります。
 第三番目には、家内労働者に一番欠けておるのは何といっても安全衛生上の問題でございますから、この問題を重視いたしまして、危険有害業務の委託を制限する、あるいは安全衛生教育の義務づけをする、健康診断の義務づけをする、そして、いま申し上げた労働時間の制限等を明記するということが必要ではないかと私どもは思っております。
 さらに第四番目には、私どもは、家内労働者を雇用労働者として見る、こういう立場から家内労働者の団結権を促進するような措置をとるべきであるということで、労働組合法を準用いたしまして、その団結権を保障するという方向に持っていきたいと思っておりますし、一たび争議行為が起こった場合には、あっぜん、調停等の有効な手段を講ずる、こういうようにしようと思っております。
 それから第五点は、非常に重要な点でありますが、何といっても最低工賃の決定やその他の問題を処理するために家内労働審議会を設置しなければならぬことを政府もいっておるのでありますが、これは当然中央において家内労働審議会をつくると同時に、各都道府県において地方の家内労働審議会をつくるべきであるという点を、私は法律として明記することが必要ではないかと思っておるのであります。
 最後に、第六点目には、これらの家内労働者が労働災害におちいることが非常に多いのでありますから、したがって現在の労災法の強制適用をするということと同時に、法律に明記をいたしませんけれども、やはりこれらの労働者に対する各種の社会保険制度を適用するということを私どもは強く主張していきたいというように思っておるのであります。
 以上、簡単に申し上げましたけれども、私どもはぜひこの法律をつくることによって、隠れた形でもっていま非常に犠牲をこうむり、しいたげられているところの主婦の皆さん、家内労働者の皆さん方に光を与えて、そしてこの労働者の人たちの地位の全体的な向上によって、日本の経済の成長をはかっていきたい、底上げをしていきたいという考え方でもって皆さん方の御審議をわずらわしておるわけでございますので、ぜひひとつ御理解をいただきまして、これらの私どもの考え方が国会全体に普及し、国民全体に理解をされて御賛同を得られるように、島本委員の一そうの御指導をいただきたいと思っております。
#109
○島本委員 大臣、いま聞いてみますと、政府提出の家内労働法の中には、現在の経済情勢にまだまだ即応し切れない点、また再びざる法といわれるのじゃないかと思われるような点がないわけでもないような気がしてまいりました。そのためには、いま社会党案が出され、その提案理由の説明がされ、なおそれに至りましたいろいろの説明も質問に答えてここにはっきりさしてもらったわけであります。そういうようにしてみますと、やはり社会党案のほうが現実に即応するように思いますけれども、大臣としては、ただいま田邊委員が提案されました社会党案に対しましてどのようにお考えになりますか、そのお考えを明確にしておいていただきたい。そのあとから私の質問に入らしてもらいたいと思うのであります。
#110
○野原国務大臣 社会党御提案の家内労働法案あるいは最低賃金法案、なかなかよく書いておる、一応の敬意を表しますが、しかしこれは、現実の問題として扱う場合においてはなかなかむずかしい問題がたくさんある。そこで、われわれはきわめて現実的に考えておりまして、家内労働審議会の御意見、答申等を十分に尊重しよう、あるいは最低賃金審議会の御答申等がまだ出ておりませんので、これらの問題をいま十分御検討願っておる段階で、にわかにこういう方向できめるわけにはいかないという問題でおるわけでございます。また事実、日本の家内労働というものが非常に複雑多岐な条件のもとに行なわれておるという点で、たとえば労働時間をはっきりきめてしまうということがいいか悪いかというふうな問題、あるいはこれを労働災害保険に強制加入というふうなことがはたしていいのかどうかという問題等、まだ検討を要する問題が多々あろうと思います。したがいまして、将来の点を考えてみますると、おそらくこの法案は、だんだん社会党御提案のような方向で考えられる段階があろうと思いますけれども、順を追ってそういう方向に持っていく。一気に理想だけを追求していくと、現実にはなかなかむずかしい問題が起きてくるという点を考えまして、われわれは慎重に、審議会の答申などを尊重し、そして最小限度、この際はこの程度のことはぜひともやりたいということででき上がったものが家内労働法でございます。それにしましても、いままで何らやるべき基準がなかった今日の家内労働に対しまして、新しい方向が与えられ、これに対する大きな発展の方向が考えられるという段階におきましては、これは一歩も二歩も前進した案である。しかし、御指摘のような大きな理想から見れば、まだ十分なものではない。しかしこれは、国の経済の事情あるいは審議会等のいろいろな御意見を考えるときに、この程度で一応満足し、これによって問題を進めていくということが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。いろいろ御意見は拝聴いたしましたが、そういう意味で政府案は、あらゆる角度から見まして、この案は、皆さま方の御賛同を得てぜひとも通過さしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#111
○島本委員 いろいろ伺いまして、私自身も十分本案に対しましての考えを改めて今後審議に入らなければならないことを痛感いたしました。大臣も御承知のように、かつて農業基本法ができました。中小企業基本法ができました。公害対策基本法ができました。以前には労働基準法がすでにあるのであります。今回はまた家内労働者に対しまして家内労働法、いわば基準法に準ずべきこういうような法律が出されるのであります。したがいまして、現在の情勢を見る前に、過去からいままでずっと立法の過程において、基本法といわれるものがどういうような状態で運営されたかということも十分考えなければならない問題の一つじゃないかと思うのです。新しい、四年しかたたない公害基本法にいたしましても、その第一条の目的からして、すでにいま現状に即さないという声がほうはいとして出てくるのであります。いま田邊議員が言われたような、いわば、大臣からいえば、少し先を見ておると言われるが、こういうようなことも、基本的な立場から見る場合には、これは決して早過ぎるということはないはずであります。過去の基本法の例から見てもそのとおりではございませんか。そのときに、現実と妥協して、まだつき足りないようなこういう法律を出すということにつきましては、すぐにまた手直しの必要に迫られ、またざる法ではないかという声がほうはいとして起こることをおそれるのであります。私は、もう一歩も二歩も前を見て出すのが適当だった、こういうように思うわけであります。したがって私は、田邊議員提案のこの内容等にかんがみても、もっと政府案はそれに近づける努力を即刻すべきではないか、こう思っているのでありますけれども、大臣、私の言うこと間違いでしょうか。
#112
○野原国務大臣 島本君の御意見は決して間違いではないと思います。現実は、常に生々発展する過程において、いつもそうした批判の上に次々にだんだんよくなっていくというふうにして、だんだんと改正を加えられ、実態に即した時代の進運とともに大きく変わっていくというのが必然的なものである。したがって、出発当初においては、これが万全というふうな形はなかなかとりずらい。そこに一つの基準が考えられると思うのでありますが、この家内労働法は、わが国できわめて重要な一つの家内労働に対する方向を示し、新しい政策が用意されるという点で、この立法は非常な意義を持っておる。こういう面で、にわかにいま高遠な未来を展望する際においては、理想にまだ十分でない面もあろうと思います。私どもよくわかりますけれども、しかしまだこれからだんだんとよくしていくというような努力の積み重ねがあって初めて法案としては手を加えられ、修正されていく、当然これは必要だと思います。したがって、こうした法律というものは、とにかくあらゆる関係方面の意見を十分に尊重して、特に審議会の意見、答申を中心にして、とりあえずこの法案になったわけでありますから、内容の吟味、検討は十分お願いするとしまして、この法案が、これから御指摘のような方向に、だんだんと国民の世論あるいは産業、経済全体の中で、この法案の占める立場、役割りというものが理解されるに従って、当然これはある程度だんだんと修正される段階もあろうと思います。しかし、こういった法律案というものは、まあ一方から見るならば、きわめて微温的である、まだどうも中途はんぱだという御指摘もあろうと思いますが、提案者としても、必ずしもこれをもって万全のものと考えたわけじゃございませんので、家内労働審議会等の御意見を十分中心にしてこの案を提出したわけでございますから、御不満であるとか足りないという問題は、今後の問題としてひとつ将来御検討いただくとして、この政府案を一歩二歩前進の案であるという面でひとつお考えいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#113
○島本委員 いま大臣の言われることは了解いたしますが、そのことばをそのまま受け取りまして、万全ではないけれども、審議会の意向をくんでこの程度にしてまず出した、将来を考えて、これはもう手を加え修正していかなければならない点はそういうふうにしていきたいのだということであります。審議過程におきましても、そういった点がはっきりした場合は、やはりそうすべきだと思いますが、その覚悟はよろしゅうございますね。
#114
○野原国務大臣 皆さん方の御審議の過程において、十分ある程度の一致した御意見なりが出た場合においては、必ずしもこの法案をそっくり手直しをしないでやってもらいたいということの意味ではございません。あるいは多少の修正も起こり得る、あるいは附帯決議等で将来の方向をなお一そう明確にお示しをいただくという必要もあるかと思います。いずれにせよ、とにかくこの法案が初めての法案でございます。必ずしも万全なものであると言い切るにはどうも少しじくじたるものがあるわけでございます。その点は、御審議の過程において十分御検討いただきたいと思います。
#115
○島本委員 本会議における佐藤総理大臣の答弁より、労働大臣の答弁のほうが、さすがに一歩先んじていた、こういうようなことにつきまして率直に私は申し上げておきたいと思います。ただ、社会党案よりも五歩も十歩もおくれた家内労働法案だったということは残念でありますけれども、いまの態度で、今後の審議にひとつ入らしてもらいたい、こういうふうに思いますので、この点はよろしくお願いいたします。
 まず第一に、いろいろと提案理由の説明がありましたが、なるほどいまの日本の経済の実態を見ましても、御承知のように自由主義国第二位のGNPを誇るような生産をあげておる。こういうような状態の中でも、物価高に苦しむ家庭の主婦が、生活維持のためにこれまた内職をやらなければならないという状態が並行しておる。これがいわば日本経済の特質ではないかとさえ思うのであります。しかし、何としてもわれわれが理解できないのは、労働力が必要であり、いかなる工場、いかなる事業体でも、いまやあらゆる手段をもってこういうような労働力を集めておるのに、なぜ工賃を安く家内労働をやらなければならないのか、これをいわば奨励しないまでも、援助し、これを側面からうんと盛り上げるような理由がどこにあるのだということであります。したがいまして、家内労働者の工賃は労働者の賃金と比べてどうなのか、また、家内労働者はいまふえているのか減っているのか、こういうような点についてこれを大きく見ていかなければ、この審議の内容等につきましても、いわゆる方向がずれることをおそれるのであります。したがいまして、ここに安い工賃で家内労働をやらなければならないその理由とともに、労働者の賃金と比べてどうなのか、それから、ふえているのか減っているのか、こういう点について事務局のほうから明らかにしてもらいたいと思います。
#116
○和田政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、家内労働者の工賃につきましては、一般的に申し上げまして雇用労働者の賃金より確かに安うございます。ただ、その労働する姿がいろいろと違いがございますので、必ずしも一律的に高い安いということは言いにくいかと存じますが、一般的には確かに雇用労働者よりも安いということでございます。
 それからまた、一方におきまして、そういう安い工賃でありながら一最近におきましては家内労働者の増加の傾向は相当著しいものがございまして、私どもが昨年調査をいたしましたときには、把握していただけで百四十三万でございますが、三年前にはそれが八十七万であったというようなことで、最近相当増勢が強いという実情にございます。
#117
○島本委員 それは賃金が低いから家内労働のほうへだんだん工場あたりから仕事を持っていく。そうなりますと、当然家庭そのものが工場化していくような傾向になってくる。そうなったら安い賃金でよろしいということには当然ならないという、ふうに思うのであります。そして、これがだんだんふえてきておるというような実態は、いまの報告のとおりだとすれば、これに対してもっと基本的なメスを加えなければならない。それは経済政策によるものか、労働政策によって是正できるものか、いろいろあるでしょう。あるけれども、これをそのままにしておいてはならないというふうにだけははっきり思うのです。それで労働省の中では百万といい、百十万といい、百三十万、あるいは三百万ともいわれるのですが、この実態に対する認識はどの辺にものさしを置いてこれをやったらいいのですか。百万という考え方、三百万という考え方、これをひとつ、労働省内部で意思を統一してはっきりしてもらいたいと思うのであります。
#118
○和田政府委員 先ほどお答えしましたように、私どものほうが昨年九月に調査しましたときには百四十三万、それに対しまして婦人少年局のほうで調査をされましたのが、推計的に見ますと約三百万というような数字が出ております。これは実は私ども家内労働者という視点でつかまえまして、委託者から委託を受けて製造、加工の業務を行なう者をつかまえております。それに対しまして婦人少年局のほうの御調査は、消費者から直接頼まれた方も含んでおる。それから、私どものほうの調査は家内労働という場合に、一定の仕事をやっておられる方ということにしておりますのに対して、婦人少年局のほうの御調査は、一日でもやられた者も加えておるというようなことで、定義のしかたと調査のしかたが多少食い違っておるところにその誤差がございます。
 今回の家内労働法案は、私どもの定義につきまして、ごらんをいただいておりますように、委託を受けて、製造、加工等の業務を行なう者、こういうことでありまして、しかもその委託をする者が製造、加工、販売等を行なうことを業とする者、そういうものから受けているということで、消費者から直接委託を受けるという問題については、今度の家内労働法案では触れておりませんので、そういう意味から申しますと、私どものほうの家内労働者という定義からいたしますと、私どもの調査では一応百四十三万。しかし、これは調査で把握し得たものでありまして、実態が必ずそのとおりであるということをここで明確に申し上げるものではございません。調査上出てまいりましたのがそういうものだ。したがいまして、いわゆる内職という定義と家内労働者というのは、いま申しましたようなことで、必ずしも食いつかない面があるということに御理解をいただきたいと思います。
#119
○島本委員 大臣、そうすると、いま基準局のほうでやったのは、はっきり形態を持って、いわば元請から仲介か何かを経て働く人の家庭内に持ち込まれる、はっきりしたルートを通った者だけで百四十三万だという。しかし一日でも働いたり、また、そういうルートを通らないで働いている人は家内労働者ではないという定義ができるでしょうか。いわゆる……(発言する者あり)横から口を出さぬでもいい。だから、きゅうすの口だというんだ。それで、一日でも半月でも働く、それによって生活のかてにした、こういうようなことになると、当然それも何といったって家内労働者じゃないか、働いている者じゃないか、こういうように思うわけです。その数が百四十三万に入らないでいるとしたら、これはとんでもない。そういうのを入れたら三百万をまたこえているんじゃないかとさえ思う。私は、貧困ということを考えた場合に、いまやそういうようなルートできてやっている者は一つの業としているけれども、業としないまでも、それに準ずるようにして生活のかてとして働いている人もまだまだ多いんだ。こういうようなことに目を向けて、その救済のためにも、そういうような人たちの健康保持のためにも、条件を改善するためにも、やはりもう一起こししないとだめじゃないか、こういうように思うわけです。
 いま聞いたように、三百万といい百四十三万という。はっきりルートを通じてきたものだけが百四十三万という。それには半月でも直接委託されたものなんか加えられないという。百四十三万でやったとすれば、これはもうすでに数の面でも相当違っているんじゃないか、こういうように思うのですが、大臣、いま両方の答弁があったようでありますけれども、これは数は少しおかしいんじゃ、ありませんか。
#120
○野原国務大臣 確かに、御指摘のように、家内労働というものの多岐多様と申し上げたのはそのことなんで、おそらく厳密にいうなら一日でも内職をやっている者まで入れると三百万あるいはそれ以上かもしれません。しかし、その点は、今度の家内労働法ができますと、家内労働手帳というふうなものをみんなに与えるわけですから、初めて明確になるわけです。これが政策として明確にとらえられるということになるわけでございますが、私ども、実は多少関係しておるところで家内労働をやっている者がございます。というのは、会社につとめておったが結婚した。子供ができた。しかし何か内職がほしい。会社へ行って、うちできることをやらしてほしいというようなことで、そういう奥さん方が集まって、現在では相当の人数が、会社から直接資材を供給して、ときどき会社にも行ってお互いに協議してやる。しかし、各家庭でできるものはやったほうがかえって都合がいい。会社につとめるよりもそのほうがぐあいがいいというので、実はできるだけいい条件で働いておるというのもございます。これなどはむしろ仲介者、紹介人などはなくて、会社で直接働く人と同じようにやっていらっしゃるところもあるわけでございます。そういった面で、家内労働については今日まで非常に多岐多様でありまして、これが、この法律ができますと、家内労働というものに一つの手帳が与えられる。あるいは条件等についても明確にして中間の搾取等はない。あるいは賃金支払い等についても明確にして安心していただけるというようなことで、どこまでも家内労働に従事する人たちの利益というものを中心にしてこの法案はできておるように私は見ております。したがって、日本における家内労働というものの実態がそこで明らかになると思います。いままでのところは、どうも三百万とおっしゃり百四十何万という、どうもとり力、基準のいかんによってはとんでもない大きな食い違いがあるようですけれども、それらの点がやはり家内労働の家内労働たるゆえんであるというふうに考えておるわけでございます。
#121
○島本委員 これは、家内労働問題が取り上げられたのはだいぶ前からだったと思うのですが、それにしても、今日に至るまで、まあ政府はぽかっとしていて、あるいは三百万といわれるような、こういうような婦人を中心にしたところの家庭内で働き、生活の補いにしなければならない、こういうような人たちができてきた。その実態を調べたら、はっきりルートへ乗ってやる人だけでも百四十三万もあるという事態になって、ようやくいまこれを出してきたわけであります。こうなりますと、あまりにおそ過ぎるのだ。これを出したのはいいがおそきに過ぎたという点はやはり残念であります。それにしても、おそいまでも、これはいいことだと思いますけれども、どういうわけでおそくなったのか。
 それとあわせてもう一つは、家内労働契約者と雇用関係、こういうようなもので家内労働法をつくるということは、実態的に見て一つの前進だ。この実態を十分に充実させて、そうして、せっかくいいほうにいま向いてきたのであるから、将来さらに検討してそれを深めていく、こういうような一つの努力が必要じゃないか、こういうふうに大臣思うのでありますが、そのためには法的にも十分この点の裏づけをしてやらなければならないことはこれは論をまたないところです。したがって、家内労働者の団結、それと労働法上の労働組合としてやる、こういうようなことは十分認識しなければならないはずであります。そういうような点からして、工賃で生活しているこれらの労働者、これはあるいは三百万といい、あるいは百四十三万というが、これは憲法で認められた労働者だ、こういうようなことで、労働法上の労働者として当然これは扱ってやるのが妥当である。そうして委託者と家内労働者が対等の立場で交渉してやるところまで認めてやるべきじゃないか。当然労働条件や工賃の問題はそれに含まれることは論をまちません。それと同時に、今度は団結権、団体交渉権並びに団体行動権、こういうようなものもあわせてこれに認めるようにしてやれば、いまの発想に対して錦上花を添える結果を招くのではないか、こういうように思うのです。発想はいい、おそくなっても出てきた、そこまではいいけれども、これがのらりくらりで、まさにざる的な存在であるということになったらたいへんであります。一歩前進してよくするためには、やはりいま私が言ったような、こういうようなことを正式に認めてやるべきじゃないか、こういうように私は思うのであります。どうしてこれはおくれてきたのか。こういうようなこととあわせて、前向きに、いまのような法的なこういうような充実を期してやるべきである、この見解に対しまして、ひとつ大臣のお考えを承りたいと思います。
#122
○野原国務大臣 家内労働について、その人たちが労働組合をつくっていくということについては、別に否定するわけじゃございませんが、審議会におきましても、この問題については今後引き続き検討しようということになっております。家内労働というものの性格から見まして、労働組合に準ずるようなものになっていくだろうと思います。こういうものを別に否定するわけじゃございませんけれども、審議会等の答申もございまするし、慎重な御意見が出ておりますので、慎重を期してやっていこう、こういうわけでございます。
#123
○和田政府委員 問題が提起されましたのは昭和三十三年ごろでございまして、社会党におかれては、そのころから家内労働法案をずっと連続国会に御提出になっております。政府のほうにおきましても、その当時から十分問題意識を持ちまして、昭和三十四年に臨時家内労働調査会という機関を設けまして、家内労働の実態、規制すべきもの、そういうことについての調査をいたしました。臨時家内労働調査会は、たいへん御熱心にいろいろと御検討をいただきました結果、中間的には行政上の措置としてやるべきことについての中間報告等をいただきましたが、調査会で御検討になればなるほど、家内労働は、先ほど大臣から申し上げましたように、非常に複雑多岐である、きわめて千差万別である、そうして、しかもそれが時代の動きに応じてきわめて流動的であるというようなことからいたしまして、いろいろ御研究の結果、昭和四十年の暮れに答申を出していただきまして、さらに家内労働審議会を設けて、実態究明をしていくように、この間行政でいろいろの行政措置を行政指導として講じていったらいいんじゃないか、こういう趣旨の御答申をいただきました。それに基つぎまして、昭和四十一年から、労働省設置法を変えまして、家内労働審議会を設置をして、その審議会で鋭意御検討をいただきまして、その結果が四十三年の十二月二十二日に最終的な答申として出てまいりました。その答申を拝見をいたしますと、家内労働問題はきわめて複雑多岐であり、しかも流動的である。そういうことからいたすと、一ぺんに理想的な法律案をつくるということは非常に困難であります。こういう上に立って、一つの法律をつくることによって、法律の施行を通じていろいろと行政経験を重ね、行政措置をしていくことにつれて、漸次家内労働の実態が明らかになるにつれて、法的な段階もそれに応じて踏んでいくべきである、こういう趣旨の御答申をいただいたわけであります。この間、十年にわたり、長い歳月でございましたが、この長い歳月には、調査会及び審議会における非常に慎重な、しかも非常に御熱心な御討議があったわけでございます。私どもは、そういう意味からいたしまして、十年の歳月は確かに長うございましたが、きわめて実りの多い成果をわれわれに提供をしていただいた。その成果に基づきまして、今回家内労働法案を提供をいたしたわけでございます。その内容とするところは、家内労働審議会から、基本的な方向として、基本的でかつ緊急なものから法制的整備をはかれ、そうして漸次段階的に法制の整備充実をはかっていくようにということで、この法案を提出するようになったわけでございます。長い歳月ではございましたけれども、こういうことによって新しい法案を提出し、これが法律となりました暁には、今後はその審議会が十年間かかっていろいろと御提議をいただきましたものを、逐次解きほぐしながら、大臣が申し上げましたような将来への現想的な法律に向かって行政措置の努力を続けていきたい、かように考えております。
#124
○島本委員 実りの多いような成果だ、こういうようにいま言いましたけれども、これはやはり家内労働者の実態が従属的な労働の本質を持っている、こういうようなことを明確にしないままに、労働者保護の基本的立場、これが現在のところはっきり貫かれていないままに、ただ実りの多い成果をこれにやったんだ、こういうようなことを言っても筋は通らない。むしろ答申そのものの中にある筋の通った少数意見もこの中に盛られていない、これだけはやはり大臣もはっきり認識しなければならない、こういうように私は思うわけです。それを今後前向きに取り上げること、これが一つの前進になるのじゃないかと思うのです。ことに本法には最低工賃制度だとか、労働時間とか、こういうような明確な保障、どこをさがしてもそういうものさしがない。業務災害につきましても、委託者の責任がいまだにどこをさがしてもはっきりと見当たらない。それから家内労働者の集団的な労働関係の規制、こういうようなものも欠くような結果を招来している。そういうようなことからしても、もっともっと家内労働者の生活と権利を守るために、今後大いに政府自身も、大臣自身もがんばってほしいものだ、こういうように思うわけなんですよ。いまの実りのある成果というのは、これは官僚の言うことでありまして、大臣はこういうようなことは、はいそうですかと言う理由はないですよ。さっきから、これはまだまだ足りないと大臣は言っているのに、説明では実りのある成果である、こういうよそのことを言ったりしてはいけません。聞かないかと思って、議事録にだけ載せればいいと思って、そんなことを答弁しても、地獄耳ですから何でもわかるのです。そういうような点答弁も十分注意しておいてもらいたいと思うのです。その少数意見というものにいたしましても、これを十分採用しなかったということについては残念ですが、今後こういうようなものに対しては、前向きに対処していかなければならない、こう思います。そうするのがほんとうに実りのある結果になるのであります。大臣どうですか。
#125
○野原国務大臣 答申の取り扱いにつきましては、立法の際に、答申の本文については逐一尊重し、付帯意見については参考とさせていただくということになったわけでございますが、審議会の御了承を得ておるところでありまして、審議の過程において議論の対象になりました御意見につきましては、今後とも念頭に置きまして、行政運営を進めてまいりたいと思っております。
 なお、この案は非常におそかった、いまさら何だとおっしゃいますけれども、私は、いまからでもおそくはないと思うのです。これを何にもしないでおったら、ますますまずい。これはやはり、いまからでもおそくはないということばがございますから、その辺のところでひとつ御了承願いたいと思います。
#126
○島本委員 いまからでもおそくないというのは、二・二六事件のときに生まれたことばでございます。こういうのは労働法関係の審議をするときに使うべきことばではない。これは完全なものにして早く出して、国民のために十分責めを果たすというのが労働大臣の責任であって、いまからでもおそくないということばは、これはいけないことばであります。これはいまは早過ぎはしない、こういうようなところでいいのでございまして、この点はひとつ大臣も今後は十分実施上注意してもらいたいと思うのです。
 それで大臣に特にお伺いしておきたいのです。ことに、婦人少年局長もおられますが、この中で労働時間だとか、休日または深夜労働、年少青少年の就労、こういうようなことについてはどういうような規制やお考えがあるでしょうかということであります。ことに、深夜労働についてはどういうふうに考えるのだ。最低年齢は十五歳、こういうようなことの規制についても、これは答申の中にも何かこういうような点があったのじゃないかと思うのですけれども、どういうような方針でいくのか。法案ではどういう考えなんだ、この点、これは事務当局では、また実りのあるなんということになりますから、大臣直接、これは青少年に関する重大な問題であり、日本の将来にもかかわる問題でありますから、ひとつ大臣の決意を聞かしてもらいたいと思うのです。
#127
○野原国務大臣 家内労働者が夜おそくまで長時間にわたって仕事をするということは、健康の面からも、また相互間の過当競争によって工賃が低下するという面からも好ましいことではございません。しかしながら、家内労働は通念、家内労働者の自宅で自由な時間に行なわれるものでありますから、その就業時間を雇用労働者と同様に規制することはむずかしいと考えます。したがって本法案においては、雇用労働者に比較して長時間にわたる就業を余儀なくされるような委託をしたり、そういう委託を受けたりしないように、委託者も家内労働者も自主的に努力すべきこととしたほか、また行政官庁は審議会の意見を伺って、始業、終業時間の規制や一斉休日制など、就業時間の適正化のために効果的な手段を勧告できることとしておりますので、この制度の活用並びに最低工賃制の積極的、効果的な推進等によりまして、家内労働者の長時間労働または深夜労働が行なわれないようにつとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
#128
○島本委員 これは事務当局に聞きます。いま大臣言ったのは皆さんの書いたそれを読んだのですが、これは、自主的な努力、一斉休日、審議会の意見を聞き、そして効果的にそれを実施する、こういうのです。それによって深夜労働と年少者の就労に対しましての規制ができるとすると、どういうような具体的なぐあいでできるのか、ざる法にしないためにもこれは事務的に聞いておいたほうがいいのです、ことに青少年の問題ですから。それをもう一度事務当局のほうから、いまの大臣の答弁を具体的にこうするから深夜就労にならないのだ、休日就労にならないのだ、このことを具体的に言ってください。
#129
○和田政府委員 大臣から申し上げましたように、家内労働は自分の家で家族がいろいろのなにをやるということで、おやじさんだけとか奥さんだけとかということでなくて、子供さんもひまがあれば手伝うというのが実態でございます。その子供さんが手伝うのを手伝ってはいけないのだといいましても、しからばだれがどう確認をするかということになりますと非常にむずかしい問題があることは、島本先生御存じのとおりでございます。それも子供まで働かせるという、あるいは長時間、おそくまで働かせるというようなことがないためには、工賃がきわめて低廉でないという状態が非常に望ましい。工賃がある程度の額に保証されることになりますれば、そこまで無理をしなくてもいいじゃないかということになるわけでございます。その点が大臣から申し上げました、最低工賃の的確な運用によってそういうものを経済面からささえていきたい、こういうことでございます。それから休日といいましても、家庭の中の休日というのは別にあるわけじゃございません。何が休日かということは非常に問題があるわけでございますので、そういう意味からいいますと、私どもはまず第一次的には、工賃に対する規制が法律案の中に載っておりますが、これを有効に活用することによって、その押し上げで、長時間労働とか、俗にいわれる休日労働とか、あるいは子供たちが両親のやっているのを手伝うということを、それまでしなくてもいいような状態をつくっていくことが望ましいことであり、そういうことにつきましては、この法律案が法律となりまして具体的に動いていくときには、家内労働審議会と十分御相談を申し上げるという形の法律案になっております。この家内労働審議会には、委託者及び家内労働者の代表の力が入っていらっしゃいますし、学識経験者の方にも入っていただきまして、そこの場面で現実に合う議論をしていただきつつ、漸次行政措置を進めていきたい、こういうことに考えております。
#130
○島本委員 やはり何か言っていくとずれますね。これは中央も地方もよろしい。この審議会がないところでは、基準局の中の一つの機関かこれに当たることになりましょう。いまおっしゃったように、そういう中に十分これを取り入れてやっていく、こういうふうになったならば、全部に優秀な人材を配置しなければならない、結集しなければならない。それと同時に、実行力もつけて、その規制も十分つけられるような権能も与えなければならないということになるじゃありませんか。いままでことばだけではいと言ってやらしていたですから、これは聞かなくても平気だ、ことに法で規制してある、法に規制してあっても、あまり罰則が低過ぎるものですから、基準法違反は平気でやって、そして罰金払っても深夜やらしたほうが得なんだ、こういうような企業だってあるじゃありませんか。そこがこの監視機関になるじゃありませんか。もうかれば何でもやってもいい、罰則も少ない、こういうようなことで完全にできるというのですから、やってみせてもらいたい。だから社会党がああいう案を出さないとだめになっちゃうのです。あなたたちが少しとろいのだ。笑いごとじゃないです。気をつけなければならぬ。
 それで、今後とも深夜労働だとか年少者の就労、こういうようなのは特に家庭労働の場合には気をつけるような方法をとってもらいたい。これだけは将来の問題でもあるし、これは現実手伝うからいいのだ、道徳上親を手伝うのは二宮尊徳みたいに純風良俗なん、だ、こういうようにいっても、最近の子供はそう思わない節が多いのです。しかしながら、食うや食わずや、どうにもできないとなったら、それをやるでしょう、それも社会情勢が悪いのだから。それなのにそれをやって、うんと子供を働かせて、勉強しないでも親の手伝いさせるのはいいのだ、あたりまえなんだ、こういうような考え方は、私も年とっているが、あなたもだいぶ年とったと言われますよ。十分考えて、そんなことがないようにしてやるのが第一番。
 それと同時に、業者の規制に対しては別にお考えないでしょうか。いろいろ内容を見たりして、まだ本論に入らないのです。私の言うのは外回りなんです。心配になっている点だけは全部聞いておいて、それから今度具体的に入らなければだめなことになるのでありますから。この内職者の権利を擁護するということがいわば法律の一つの趣旨だとすると、そのためには、それを阻害するような業者に対しましてはきびしくそれを規制するということは当然であります。しかしいままでのやり方ではとうていその実をあげることができない、私はこういうように思うわけです。したがって、この業者自身どういうようなことをやっておるか、その把握の問題はあとからゆっくり聞きます。業者をどういうふうに把握するのだ、これはどの程度までやるのだということは、あとでもう一回やりますけれども、しかし悪質業者の取り締まりというようなことにつきましては、やはり十分意を用いてこれをやらなければならないわけです。そして、そういうようなことをすることが結局内職者を擁護することにもなるわけです。たとえば刺しゅうの面だとか、または弱電を扱うというような企業に見られるのですけれども、誇大広告によって人を集め、それをやらせる、こういうようなことを実例として訴えられております。こういうようなことも公正取引委員会のほうへいくと大きい問題になるでしょうけれども、家内労働の中では芽も出さないということであるならば、これはとんでもないことになります。したがって、そういうことがないように十分政府機関でも取り締まる必要があるのじゃないか、そしてそういうような者に対しましては厳重にひとつ罰則をもってでも臨まなければならないはずだ、こういうように思うわけです。しかしこう見ましても、罰則の点は残念ながら寛容に過ぎるように思われるわけでありますけれども、この点は少し具体的な例もあることでありますから、大臣、前にも申しましたように、深夜労働や年少者の就労、こういうような問題を規制させることと同時に、悪質業者と思われるような人に対しましての態度もここに厳然としておかなければならないのじゃないか、こういうように思うわけなんです。こういうようなことに対しましてもまた、大臣のお考えをひとつ聞いておきたいと思うのです。
#131
○野原国務大臣 家内労働については、第三条及び第四条で家内労働手帳の交付の際における条件、あるいは就業時間に対する規制などもやっておりますし、こういった問題に違反する、あるいは適正でないというものについては厳正に、これらの業者に対しては委託をさせないというふうなことで指導するつもりでおります。とにかくこの家内労働法第三条には罰則を設けておるのであります。こういった面でこの際十分目的を達し得るというふうに考えております。
#132
○島本委員 それで、もう一つの傾向として、大臣、従来からこういうような一つのやり方、家内労働的なこれらの行き方は口約束の習慣が多いわけです。そして業者、こういうようなものから押しつけられるような習慣がいまでもあるわけであります。ですから、今後もこういうような点では十分考えておかなければならないと思うのです。たとえばいわゆる港湾労働者、港湾に働く労働者のために、いま保護立法としての港湾労働法があるのです。しかしながら、これに対して少ないけれども罰則をやっても、手配師というようなのがあとを断たないのです。それがいまや社会悪の一つの源泉さえなしているような状態であります。この辺は、法とともにその取り締まり体制を厳重にしておかなければ、だめだということなんです。法律による罰則があるからいいじゃないか、これはまた大臣、官僚の考えることであって、実際この法律を実施してみると、いまのような点が方々にあるわけです。ことに基準法というようなものが十分その効果を発揮しているはずなんですけれども、炭山のあの例に見られるように、違反と事故があとを断たないような状態である、こういうようなことであります。したがって、これは口の約束によるところのこういうようなものがいままで多いから、あるいは三百万人といわれ、あるいは百四十三万人というようなことが出てくる。したがって今後も口でこういうような契約をやった人、これをほんとうのルートに乗ぜるということに対しましては、なかなかこれは困難性も出てくる点ないわけじゃありません。これは業者の押しつけや習慣によって行なわれている点が多いわけでありますから、そういうような点も的確にこのルートに乗ぜるのでなければ、これは今後の完ぺきを期し得られないと思うのです。こういうような点を十分調査してありますかどうか。これに対しましても大臣、はっきりした態度で臨まないといけませんから、ひとつ罰則があるからこれでいいんだという考えじゃなしに、罰則がある法律が何ぼあってもこれはほとんど破られているんですから、これに対する行政措置を完全にしておかなければならないことを申し添えておきたいと思うのです。決意を伺っておきます。
#133
○野原国務大臣 家内労働手帳を交付するわけですが、この家内労働手帳には「委託をするつど委託をした業務の内容、工賃の単価、工賃の支払期日その他労働省令で定める事項を、製造又は加工等に係る物品を受領するつど受領した物品の数量その他労働省令で定める事項を、工賃を支払うつど支払った工賃の額その他労働省令で定める事項を、それぞれ家内労働手帳に記入しなければならない。」実は私これを見て、非常によく書いてある、これまで書けば、これを厳正にやるならば少しも心配はない、しかもこういうことをやらない者に対しては一切委託をしてはならぬということで取り締まるわけですから、このとおりなっておるとすれば、これはもう安心だというような気がいたします。しかしこういうものは、幾らこう書いておってもなかなかそのとおりにいかないものもある。これに対してはきびしく罰則を設けていくということで、いままで明確でなかった、口約束でやっておったというものがここまではっきり約束してやれば、今度は委託者も非常に責任がありますから、またこれに対しては十分取り締まりの方法も講ぜられるということで、初めて家内労働法の威力を発揮できるというふうに考えております。
#134
○島本委員 大臣もいまいろいろおっしゃいましたが、まさにそのとおりでございましょう。しかし、この中には罰則はそういうふうにあるけれども、罰則なしの努力規定になっているのも相当多いですよ。大臣、いいところだけ覚えていて言ってもだめです。この次あたりそういうようなところをまた指摘しなければならないけれども、あらかじめ言っておきます。いま大臣は罰則のりっぱなのがついているからこれ以上ないように喜んでいましたが、罰則なしの努力規定だけになっているのも、これに相当する以上に多いのですよ。無条件で喜んじゃいけませんよ。そういうような状態ですから、この次に具体的にそういうような問題に対して明らかにしてもらわなければならないと思います。
 その前に、これはどうでしょうか。休業手当の問題、こういうような問題に対しても、やはり家内労働者にも考えておいてやらなければならない問題もあるの、じゃないか、こう思うわけなんです。家内労働者にも失業保険だとかまたは労災保険だとか健康保険、こういうようなものも適用すべきであることはそうですけれども、この法案ではそうしていないということは意外なんですが、これはどういうわけなんでしょう。せめて休業手当、こういうようなものも――委託者かりの要請によって、あるいは何らかの理由によって、急におまえのほうにはやらないとびちっと切られることもあり、もうすでにそういうようなことに対する訴えもあるのです。ですから、そういうような場合にはちゃんとおまえさん払いなさいというような休業手当制度も設けておいたほうがいいんじゃないか、こういうように思うわけたんですが、これに対しては大臣どうお思いですか。
#135
○和田政府委員 先生御指摘のように、休業手当という問題でございますが、雇用労働者の場合におきましても休業手当が、使用者側の責任によって休まざるを得ないというように、一身専属といいますか、ある使用者に使われている者についてはそういうのがございますが、実は家内労働者につきましては必ずしも一人の委託者によって家内労働をやっているとは限らない面が非常にございまして、複数の委託者から仕事を受けてやっておるという人も相当ございます。それで、家内労働委託者と家内労働者との関係というものも、休業手当というようなことで規制いたします場合に、必ずしもその関係が円滑にいかないような具体的な事実もあるというのが、家内労働調査会以来いろいろ調査をされた結果の問題でありまして、将来の問題としましては、その特定の委託者と特定の家内労働者というようなものがきわめて密着したような事例等が、今後この法律案が法律として施行されていく段階において漸次明らかになってまいりました場合には、先生の御指摘のような休業手当の問題等十分考えなければならぬと思いますが、いまの行政で把握をする姿勢からいいますと、家内労働審議会がいっておられますように、いましばらくそういう経過を見ていくべきではないか、そうすることのほうが今日の時点においては妥当であろうというような気持ちでおりまして、この休業手当がこの法律案の中に形を出しておらないのもそういうことであって、ただ私どもは、先生の御指摘のような問題がございますので、そうしたところに行政措置を進めていきます場合に、必要があれば今後の問題として法律の改正ということも考えなければならぬのではないか、かように考えております。
#136
○島本委員 まだまだたくさん――本案に入っていない、外まわりだけなんです。それも若干切りのいいところにというところであります。いろいろなこともございますので、きょうはこの程度でひとつ打ち切っておきたい、こういうように思うわけです。せっかくいままでいい答弁がございましたから、それを十分参酌して、この次には再びこれをやってまいりたい、こういうように思いますので、委員長のほうでよろしくお取り計らい願いたいと思います。
#137
○伊東委員長代理 それでは、次回は公報をもってお知らせすることにしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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