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1970/05/11 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第20号
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1970/05/11 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第20号

#1
第063回国会 社会労働委員会 第20号
昭和四十五年五月十一日(月曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 倉成  正君
   理事 伊東 正義君 理事 佐々木義武君
   理事 増岡 博之君 理事 粟山 ひで君
   理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君
   理事 田畑 金光君
      有馬 元治君   小此木彦三郎君
      大石 武一君    梶山 静六君
      唐沢俊二郎君    小金 義照君
      斉藤滋与史君    田川 誠一君
      中島源太郎君    別川悠紀夫君
      松山千惠子君    箕輪  登君
      向山 一人君    山下 徳夫君
      渡部 恒三君    渡辺  肇君
      川俣健二郎君    小林  進君
      後藤 俊男君    島本 虎三君
      藤田 高敏君    山本 政弘君
      古寺  宏君    中野  明君
      古川 雅司君    山田 太郎君
      渡部 通子君    寒川 喜一君
      西田 八郎君    寺前  巖君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
 出席政府委員
        厚生政務次官  橋本龍太郎君
        厚生大臣官房長 戸澤 政方君
        厚生省公衆衛生
        局長      村中 俊明君
        厚生省環境衛生
        局長      金光 克己君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省社会局長 伊部 英男君
        厚生省保険局長 梅本 純正君
 委員外の出席者
        経済企画庁国民
        生活局参事官  西川  喬君
        厚生大臣官房国
        立公園部長   中村 一成君
        厚生省公衆衛生
        局検疫課長   実川  渉君
        水産庁漁政部水
        産課長     三善 正雄君
        運輸大臣官房審
        議官      内村 信行君
        建設省道路局地
        方道課長    中野 孝行君
        参  考  人
        (全国スモンの
        会会長)    相良よし光君
        参  考  人
        (スモン調査研
        究協議会会長) 甲野 礼作君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十一日
 辞任         補欠選任
  古川 雅司君     山田 太郎君
  渡部 通子君     中野  明君
同日
 辞任         補欠選任
  中野  明君     渡部 通子君
  山田 太郎君     古川 雅司君
    ―――――――――――――
五月九日
 食品衛生法等の一部を改正する法律案(渋谷邦
 彦君外一名提出、参法第一九号)(予)
 児童手当法案(渋谷邦彦君外一名提出、参法第
 二〇号)(予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一六)(参議院送付)
 検疫法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 七号)(参議院送付)
 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第四号)
 旅館業法の一部を改正する法律案起草の件
 旅館業の適正化等に関する件
 厚生関係の基本施策に関する件(スモン病に関
 する問題)
     ――――◇―――――
#2
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 旅館業法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
#3
○倉成委員長 本件について、増岡博之君より発言を求められておりますので、これを許します。増岡博之君。
#4
○増岡委員 本件につきましては、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党委員の協議に基づく試案を各委員のお手元に配付してありますが、四党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。
 近年、健全なレクリエーションの普及、観光事業の発展等に伴い、旅館業はとみにその重要性を加えてまいりました。この旅館業に対しましては、従来から、公衆衛生上の見地のほか、清純な教育環境の確保に関する配慮及び風俗的見地を加味した規制が行なわれており、現に大多数の旅館は健全な宿泊の場となっているのであります。ところが、最近、都市近郊や幹線道路周辺等にいわゆるモーテルと称される旅館が多数設置されるようになり、そのなかには、健全な宿泊施設としてふさわしくないものも見受けられるのであります。これらの施設で風紀上ないしは教育環境上種々問題を生じているものもあり、一部地域において社会問題化している事例さえあるのであります。
 このような状況にかんがみ、一部不健全な旅館の設置により当該旅館周辺の清純な環境が害されることがないようにするとともに、風紀面の規制の強化をはかることが急務であると考えられますので、本案を提出した次第であります。
 次に、その概要について御説明申し上げます。
 第一に、従来、学校の敷地の周囲百メートルの区域内に旅館が設けられようとする場合においては、教育委員会等の意見を聞いて教育環境が著しく害されるおそれがあると認められるときは許可を与えないことができることとされていたのでありますが、今回、右の学校のほか新たに児童福祉施設及び社会教育施設等で都道府県の条例で定めるものを加えることとしたことであります。
 第二に、従来、旅館営業の許可につきましては、公衆衛生上の見地から必要な条件を付することができることとされておりましたが、新たに、善良の風俗の保持のために必要な条件をも付することができるようにしたことであります。
 なお、本法の施行以前に許可したものについても、法施行の日以後二カ月の期間に限り、この風俗的見地からの条件を付することができることといたしております。
 以上が本試案のおもな内容でありますが、この際、私は四党を代表いたしまして動議を提出いたしたいと思います。
 すなわち、お手元に配付してあります試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案と決定されんことを望みます。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#5
○倉成委員長 ただいまの増岡博之君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君提出の動議に対し、発言があればこれを許します。――別に御発言もありませんので、おはかりいたします。
 増岡博之君外三名提出の動議のごとく、お手元に配付した草案を成案とし、これを本委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#6
○倉成委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#8
○倉成委員長 次に、旅館業法の一部を改正する法律案の本委員会提出に際しまして、増岡博之君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君から、旅館業の適正化等に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。
 この際、本動議を議題とし、まずその趣旨の説明を聴取いたします。田邊誠君。
#9
○田邊委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    旅館業の適正化等に関する件
  政府においては、次の諸点について可及的すみやかに所要の措置を講ずべきである。
 一 一般にモーテルといわれる旅館がとかく社会的批判の対象となっている現状にかんがみ、旅館業法施行令の一部を改正し、例えば客と面接できる構造の玄関帳場を設置させる等の措置を講じ、行政運用と相まって不健全な営業形態の排除を図ること。
 二 営業の許可に際して附することができる善良の風俗保持上必要な条件については、いやしくも健全な旅館について濫用されることのないよう法の適正な運用について十分に配慮すること。
 三 旅館業の健全な発展を図るための抜本的な法改正をすみやかに検討するとともに、長期低利資金のあつ旋を行なう等積極的な育成策を講ずること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#10
○倉成委員長 本動議について御発言はありませんか。――御発言がなければ、直ちに採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#11
○倉成委員長 起立総員。よって、増岡博之君外三名提出の動議のごとく決しました。
 おはかりいたします。
 本決議に関する議長に対する報告及び関係各方面に対する参考送付等の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#13
○倉成委員長 次に、自然公園法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
#14
○島本委員 自然公園法の一部を改正する法律案につきまして、若干の点で質疑を申し上げたいと思います。
 先般政府のほうから出されました「観光の状況に関する年次報告」いわゆる観光白書であります。これによってみましても、「余暇や観光は、人間の本質に基づく不可欠な行動であって、単なる暇つぶしや物見遊山のためのものではない。」とはっきり言い切っているわけであります。そして「人間の生存条件の一つとさえなっている」、こういうようなことを明確にうたわれているのであります。今後この自然公園の必要なことは、経済の発展とともにますます人間環境が破壊される現在、これが最も重要なものの一つにならんとしていることは論をまたない次第であります。したがいまして、こういうような状態の中で本案が提案されましたけれども、本改正案に対する予算はどれほど見積もっておるのでありますか、ひとつ予算から聞かしてもらいたいと思います。
#15
○中村説明員 海中公園の整備に伴いますところの予算につきましては、他の国立公園、国定公園の整備と内容がほぼ同様でございますので、今年度といたしましては国立公園、国定公園の整備の予算は四億四千万円でございます。その中におきまして今年度は整備をはかりますが、明年度以降におきましてこの整備につきましては大いに努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
#16
○島本委員 本年はどのようなことをするのですか、この予算によって。
#17
○中村説明員 まずこの改正法によりまして、具体的に海中公園地区の指定をいたしたいと思っております。次に、それに伴いまして海中公園地区に隣接いたしました地区における整備並びに海中の整備をいたすわけでございますが、今年度におきましては、地区の指定等、陸上の整備ということが大体おもなる仕事になろう、こういうふうに考えております。
#18
○島本委員 以前国立公園関係はすべて厚生省であったのでありますけれども、最近建設省と厚生省とそれぞれ分かれておるようであります。しかし観光白書によってはっきり明示されたように、今後は国民に対しても人間の生存条件の一つとさえなっているとまで言い切られるような、重要ないわばこの観光の問題、また自然保全のためのこの国立公園、こういうような管理を二つに分けるという政府の姿勢のほうが少しおかしいのじゃないか。まずこの点については大臣にも十分聞いてみなければならないところでありますけれども、特に最近いろいろ観光資源の保全と並んで大きい問題になっているのが、今度のいわゆる観光公害の防止である、こういうふうにいわれておるのであります。
 そしてこの観光公害の範囲はなかなか広いようでありまして、交通事故のほか、遊覧設備の事故とか、また旅館、ホテルの火災、食品中毒、こういうようなものが代表的にいわれております。これは観光行政と結びつけていいのか悪いのか、問題もあろうかと思いますけれども、観光公害対策がときに地元の観光行政によってゆがめられる危険性もないわけじゃない、これは無視できないことだと思います。今後観光行政は、観光資源の保全についても、観光公害の防止についても、きわめて複雑多岐でありますから十分留意しなければなりません。当然責任の所在もばらばらであり、あいまいでありますから、この観光白書も出されている現在でありまして、今後観光行政も重点的かつ一元化する方向に、逆にこれはもう必要性を認めざるを得ないのであります。どうも観光行政、こういうようなことに対してはばらばらであり、なおかつあまりにもこの点に無関心のように見受けられますが、これにつきまして所管大臣である厚生大臣、どのようなお考えであるか、決意を聞かせていただきたいと思います。
#19
○内田国務大臣 観光ということばにも私は非常に立体的な中身があると思うのでございますが、私ども厚生省として最大の重点を置きたいのはやはり自然環境の保護、いま島本先生からお話がございますように、私どもの国立公園行政というものは、観光開発の結果自然環境が荒廃に帰するようなことがあってはならない、こう思うものでございます。でありますから、国立公園あるいは国定公園の区域内にいろいろな種類の娯楽施設が建ち並ぶような、そういう行政指導方針は私どもとしてはむしろ避けて、この際一番とうとい人間の自然に帰れるような、そういう環境を保全するという意味におきまして、私どもは国立公園行政というものを広い意味の観光施策の中に置きたい、かように考えておるものでございますので、御懸念がありました点につきましては、これはもう私どものほうといたしましては、島本先生と全く同じ見地に立ちまして、いわゆる観光公害の排除、自然環境の破壊が観光によってもたらされるということにはならないようにつとめてまいりたい所存でございます。
#20
○島本委員 そのことばには満足いたします。それを具体的に実施するようにひとつ心から要望いたしておきます。
 自然公園法の一部改正が出されておりますけれども、これはまさに海中公園であります。七〇年代は海洋の時代だ、こうもいわれておるのでありますけれども、この措置に私どもは大いに賛意を表するにやぶさかではない。ただ、海中公園は海が対象だと思いますが、湖は対象にする価値がないのですか。この点に対してひとつお伺いしておきたいと思います。
#21
○中村説明員 お答えいたします。
 わが国の湖につきましては、すでに国立公園あるいは国定公園の区域内になっておるところもございまして、そういうところにつきましてはもちろん保護の万全をはかっておるわけでございます。今回の改正の趣旨は、主として海の中の保護と景観の利用でございますけれども、これにつきましては、現在のところわが国におきましては、現存の自然公園法の規定で湖等につきましては十分保護をはかれるということで、今回の改正では海洋につきましてその整備をはかっていく制度を導入しようとするものでございます。
#22
○島本委員 では、湖は海と同じように考えてもよろしい、こういうようなことですか、それとも湖はもうすでに自然公園法の中に含まれているのであるから、今後海中公園のいろいろの設備並びにこれが管理の拡張というようなものが行なわれても、それと同様にそれ以前に湖のほうはさまっておるものと解釈していいのですか。特にこれは、深さがいまだわからないで、死んだ人の死体が絶対に浮上することがないといわれておるような神秘な湖である支笏湖もあるわけであります。まあ海の中のいろいろな景観の探勝もいいでしょうけれども、こういうような神秘なものも当然価値があるのじゃないか。ことに清澄度においては世界二位、三位といわれておる摩周湖なんかも、あれはなかなか価値があるのじゃないか、こう思われるわけであります。そういうようなことについては、今後海中と湖というものは設備やその他いろいろ、観光開発の場合には同様にして考えられるものなんですかどうですか。その点、あわせて御答弁願います。
#23
○中村説明員 先生御指摘の、摩周湖のような美しい景観につきましては、すでに現在の自然公園法の規制によりまして十分にそれを規制することができるということになっておりまして、今回の改正のものは湖以外の、従来その保護が徹底しなかった海洋でございます。海につきまして地区を設定するということになっております。
#24
○島本委員 今回の場合の候補地選定基準というものが当然あると思いますが、それをお知らせ願います。
#25
○中村説明員 お答え申し上げます。
 海中公園の指定基準といたしまして考えておりますのは、海中のその地区におきまして海中動植物が特に群生しているところの個所を指定し、その面積はおおむね数ヘクタールの範囲内といたしたい、こう思っております。それで群生していろ場所が散らばっておりますときは、その散らばっている場所ごとに地区を指定する。それからその海中公園に近接するところの陸地と先ほど申し上げましたが、利用のためのいろいろな基地を整備するというようなことでございますが、さらにこまかく申し上げますと、たとえば水深はおおむね二十メートルよりも浅いというところを標準とする、あるいは潮流や波浪があまり激しくないといったようなこと、それから漁業との調整で、地元の漁業関係者の方々の御協力が十分得られるといったようなところを選ぶというふうにいたしたいと思っております。
#26
○島本委員 そうなりますと、ちょっと関連して伺わなければならないのですけれども、いわゆる公共用水域の水質の保全に関する法律の改正案というのが先般制定されました――衆議院を通過しておりますけれども、参議院はまだと思います。
#27
○西川説明員 委員会は終わりました。
#28
○島本委員 そういうようにいまや通らんとしているわけでございます。参議院で成立しようとしておるわけでありますけれども、今回の改正で水質基準の設定にはいわゆる公共用水域には海水の部分も入る、こういうようなことになっておるわけであります。その海中公園地区と水質汚濁にかかる環境基準との関係、これは現在こういうような関係法律ができておりまして、その受けざらにあたる関連法律が十一もあり、それに関する河川法や下水道法等たくさんあるわけであります。そうなりますと、当然こういうような法律との関係が生じてくるわけでありますけれども、水質汚濁にかかる環境基準との関係についてひとつお知らせ願いたいと思います。これは水質ですから、経済企画庁になろうかと思います。
#29
○西川説明員 海域の汚濁にかかります規制方法といたしましては、水質保全法によりますと、陸上に設置されてあります工場、事業場等から排出される水に対しましては基準をかげまして、その基準以下でなければならないという規制がかけられることになっております。ただ、現在の河川法によりましては、いわゆる投棄に類するものは規制できない。これはまた別途の清掃法等の法律になろうかと思います。保全法におきましては陸上に設置されてある施設、この施設から排出される汚水、これにつきまして基準を定めまして規制をする、このような仕組みになっております。
#30
○島本委員 そうすると、陸上の施設は十分今後は規制される、これはわかりました。そういたしますと、今回の改正で普通の船舶の航行はその個所は自由ということになっていると思いますが、そうですね。
#31
○中村説明員 そのとおりでございます。
#32
○島本委員 そうすると、海難事故等による海上での油の流出、こういうようなのはまず緊急時ですから別、こういうようなことにして、通常船舶から排出される廃油として、ビルジだとかいわゆる油性のハラスト水だとか洗浄水、こういうようなのがありますが、この点の対策についても十分考えなければならないじゃないかと思いますが、こういうような点等について運輸省との連絡は十分できておりますか。
#33
○中村説明員 先生御指摘のように関係各省とも協議は十分いたしておりまして、特に海中公園地区におきましては海水が非常に清らかである、澄み切っておる、河川等によって汚濁されるおそれが少ないということも条件といたしておりますので、その地区につきましては特にそういうように海水の清澄さの保全につきましては、私どもも十分努力いたしたい、かように考えております。
#34
○島本委員 現在はそういうようなのに指定される、そうすると有名になる。当然船舶によるところの航行がひんぱんになる。こういうような対策は十分講じておってもなおかつそれらの水質汚濁の被害を当然受けるのが、いままでの通例なんです。いまいいところを指定したからそれでいい、こういうようなことは神さまでないとできないことでありまして、よごすのが人間ですから、それも十分考えておかなければだめだ。運輸省のほうではこういうような関係については十分考えておられますか。
#35
○内村説明員 運輸省におきましては、ただいま先生から御指摘がございました海水の油濁の防止でございますけれども、船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律というのがございまして、いわゆる排出基準をきめまして、船舶からの油の排出を規制するということでございます。それでその実行におきましては海上保安庁のほうで取り締まりを行ないまして、この法律あるいは港則法等によりましてみだりに油が排出されないように規制いたしております。きょう歯を取りまして、発音が不明確ですが……。
#36
○島本委員 どうもよくわからなかったのですが、これは十分できるということですか。準備はしてあるということですか。歯も悪いようですから、イエスかノーかでいいです。
#37
○内村説明員 こういう法律といたしましては港則法とか船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律がございまして、執行におきましては海上保安庁におきまして十分な取り締まりをいたしますので、ただいま先生の御質問の点は万遺憾なきを期したい、かように思っております。
#38
○島本委員 これは行政執行上十分留意しておいてもらいたい、こういうように思うのです。
 それから今度は国立公園だとか国定公園、この普通地域内にあるホテルそれから旅館、こういうようなところから排出される汚水対策、こういうものもいまのうちに十分考えて措置しておかないと、汚染されてからではどうにもならない。他のどこへ行ってもこういうような問題があるのですから、指定する前に十分配慮してやらなければだめだと思う。これに対する配慮が十分できているかどうか、ひとつ決意を聞かしておいてもらいたいと思うのですが、準備はできていますか。
#39
○中村説明員 先生の御指摘のとおり、旅館等から排出されます汚水等によるところの被害というものは、これからはますますおそるべきものがあろうと思うのでございまして、私どももかねがね注意をいたしておるところでございますけれども、特に今回の海中公園地区につきましては、その点におきまして十分事前に注意するように努力いたしたいと思っております。
#40
○島本委員 努力する、努力するということばはだれでも言うし、いつもそういうふうに言っても、結果的にいわゆる事件が発生するのです。ですから、それに対して法的にも十分の措置をしてかからないとだめなんです。私は下水道を施設してある地域ではそれは大体いいと思いますが、たいがいそういうところには施設がない、こういうふうに思っても差しつかえないだろうと思います。下水道法十二条に定める基準によって、それは全部条例で定めさせるとか、またはその基準等に対しては十分なのか、こういうような点も具体的に指導するとか、そういう準備が必要ですよ。往々にして上のほうでただ指定すればいいというので指定して、あとになってこういう害が出てくると、これはだれの責任だといって責任のなすり合いが始まる、この辺を考えて実施しないとだめだ。考えていますか。
#41
○中村説明員 私どもといたしましては、先生の御指摘のとおり、今後とも十分に地元の市町村当局とも御相談いたしまして、その付近におきますところの旅館等の工作物の建設につきましては十分に注意を払っていきたい、こういうように考えております。
#42
○島本委員 注意を払うといえば、日本語としてはそれでいいのですが、注意を払わないでこれをやろうとするととんでもないことなんです。それくらいではほんとうはちょっと困るのです。まあ十分注意してください。
 大臣、いまお聞きのとおりなんですが、十分注意するということですが、こういう海中公園、こういうものが随所に自然公園の中に入っていって、今度いろいろ施設もされるようになろうかと思うのです。その場合の、いわば水質汚濁にかかる水質基準等の関係は経済企画庁、それと同時に、海難事故はもちろんですが、船舶の廃油、それからビルジとか油性のバラスト、こういうような関係では運輸省、旅館業その他の施設または下水道法、こういうようなものにつきましては一献建設省、こういうものに対していろいろ配慮しでおかなければならない問題も多いと思うのです。部長のほうではただ注意するだけですが、注意するだけでは往々にして忘れてしまうのが傾向として強いですから、ひとつ大臣のほうでもこの点は十分に配慮しないとだめな問題です。ただ、注意します、はいそうですかでは済まないので、この機会にはっきりこれを言明しておいてください。
#43
○内田国務大臣 まことにごもっともな御意見でございまして、御注意ありがたくお聞きいたしておきたいと存じます。私自身も全く島本さんと同様な懸念を持っておりますので、現在、制度上では、国立公園、国定公園等を指定いたします際には法律上も各省と協議をすることになっておりますが、ただ通り一ぺんの協議でなしに、そういう場合に、水質汚濁でありますとか船舶の廃油による問題でありますとか、あるいは私ども厚生省が直接所管をいたしております清掃上の施策などにつきましても十分配意をするような内容を含めた協議を進めたいと思います。また、清掃法なりその他の法律の施行につきましては、一体として措置すべき制度上の事項もあると私は思います。たとえば清掃法上の地域の指定とか、あるいは水質汚濁防止法上の地域の指定というような制度上にからまる問題もありますので、そういうことにつきましても、島本先生の御注意をありがたくお受けをいたしまして、いろいろ新しい検討をさせていきたいと存ずるものでございます。
#44
○島本委員 これによりますと、一般の漁業を行なうことはその地域について自由である、こういうことになっておるわけであります。そうなりますと、当然漁業者との関係が生じてこようかと思います。それはいわゆる商行為も当然含まれるわけです。そうなりますと、現在の国定公園の中にもございます。今後は国立公園の中でそういうような施設決定以後のいろいろな施策を新たに考えます場合には、一般漁業を行なうことは自由であるというような説明でありますけれども、今度水産庁では、ソリュブル工場、いわゆる魚の内臓であるとか廃液というものの処理を行なって肥料をつくり上げる、こういうものを奨励しているのです。そして効率をあげている。ところが、その指導と監督は一体どこでやっているのか、いろいろやった結果、水産庁でこれを指導しているようなんです。ところが現状は、ある場合は十分こなれないままに水に流しておる実例もあり、海水浴をやっている最中に流れて問題になったこともあり、現在、そのパイプを港内へ持っていって排出しているというような事例もあるわけです。そして、そういうような排出される汚水によって漁民が漁獲する魚自身が異臭魚になっていま困っているんだということもあるわけです。そうすると、国定公園の中にもうすでにこういうような問題がある。この指導しているのが水産庁である。同じ政府部内でもなかなか意思が統一しないじゃありませんか。これでもって注意します注意しますと言っても、権限がなくて注意してもだめなんです。
 水産庁の人、呼んでございますけれども来ておりますか。――このソリュブル工場の指導、監督、これはもう完全に報告を求めておりますか。これは水産庁の指導によるといっておりますけれども、いかがな現状になっておりますか。
#45
○三善説明員 ただいまのお話、小樽の水産加工協同組合のフィッシュソリュブルの工場のことと実は推察をいたします。私たちがただいま聞いておりますところは、ここに協議会をつくりまして、皆さん合意の上にされたと聞いておりますけれども、ただいまのお話を伺いますと公害が発生しているということでございます。道庁を通じましてさらによく事情調査をいたしまして善処していきたいと思います。
#46
○島本委員 その際に参考に、現に行って見てきた漁師の陳情もあります。そのパイプをその場所から出しているのが、小樽の副港といわれている高島漁港の中です。ですから、その周囲に漁船が滞留しております。それのにおいがする魚ということで、いやがっております。これは完全に処理したものを流すことになっております。そういうのを流した状態においてはいいことになっておるわけです。なぜそういうふうになるかというと、それが完全に守られておらないからじゃないかと思うのです。施設があっても、それを完全に守っていくように監督、指導するのが、それを許可した官庁になるわけです。そうなると水産庁である、道庁であるとしたならば、これは国定公園の隣接ですから、あるいは中かもしれませんけれども、そういうふうになってまいりますと、これはやはり十分報告を求めて善処するのでなければなりません。それで法にきめられたとおりの汚水を流すようにし、法律にもとるようなことは一切してはならない。これは厳重に注意してやらぬとだめだと思います。そして夏、子供たちが遊泳中にあまりこれがよけいになったものだから、正規の状態にしないで海水浴のところに流したりしたので問題になったという事例も聞いておるわけです。そういう不正なことは行なわせないように水産庁で注意しないといけません。今後海中公園等できた場合に、国立公園、国定公園というような中でありますから、そういう衛生方面の監督は厚生省の最も得意とするところでありますので、そういうような点等についても手抜かりがあってはならないと思うのです。現にいまのような事態がありますので、今後の指導監督は十分注意すべきではないかと思いますが、大臣よろしゅうございますか。
#47
○内田国務大臣 ごもっともでありますので、私は賛成をいたして、処理いたします。
#48
○島本委員 そうしてそういうようなものに対する点検を十分して、水産庁との連絡において、一切法できめられたとおりの実施の状態であるということを確認しないとだめだと思います。公園部長のほうからも、ただいま答弁にありました水産庁との連絡において、国定公園のメンツにかけても十分これをやっておいてほしい、こういうように思うわけです。よろしゅうございますね。
#49
○中村説明員 ただいま先生のお示しのとおり関係の水産庁とも連絡を密にいたしまして、十分注意してやっていきたいと思います。
#50
○島本委員 次に管理体制でちょっと聞きたいと思うのですが、自然公園法でいうところのいわば自然保護というのは、どういうようなことを一般にさしておりますか。
#51
○中村説明員 自然公園法で申しておりますところの自然の保護と申しますのは、すぐれた自然がそのままの形で保存せられること、あるいは場合によりましてはすでに傷つけられた自然をもとの形に復元をしていく、そして自然の形に戻していくといったようなこと、そういう二つの意味を持っておるのじゃないかと私どもは解釈しております。
#52
○島本委員 それである場合には、目に触れるところばかりを対象にするのか、目に触れない、その地域全体を対象にしているのか、これは往々にしてそういうような点で解釈上ズレがくるおそれがあるわけですが、この点はどうでございますか。
#53
○中村説明員 見えるところだけを保護するという意味ではございませんで、すぐれた自然そのものを保護いたします場合には、もちろん人の全然見えないところ、たとえば原始林等におきましては人の入っていくことのできないようなところ、全然目につかないところも保護する、こういう趣旨のものでございます。
#54
○島本委員 次に、ちょっと私お伺いしておきたいと思いますが、このいわゆる観光白書、この中にも三一八ページに札幌冬季オリンピックのことも盛んに載っておりまして、こういうような点でも今後ひとつ観光事業としても誘致をするために国も積極的にこれは行なうようになっているようであります。私はそういうような点からして次のことをちょっとお伺いし、私の疑念を晴らしたいと思うのです。
 私もオリンピックの組織委員に任命されていろ一人なのであります。この支笏のそばの丸駒というところとオコタンペというところ、この間にオリンピック関係道路を新設すべきであるということで、去年の十一月十四日第十六回の組織委員会で決定されたわけであります。そして本年の四月二十日になりまして、十八回の組織委員会、この中で、今度の予定されたそういうようなことについてはやることはまかりならぬ、自然保護の見地からこれはだめなんだ、こういうようにいわれたわけであります。そして今度は、いま裏側のほうの公園地帯、そちらのほうの二車線になっているところを三車線にして自然景観を損じないようにする、したがってこの道路は一方交通にはならないで往復する、こういうようなことにして、選手その他観光客、お客を運ぶんだ、こういうようなことであります。そういうようなことに急に変更になったわけであります。そうすると、そのかいわいは、なだれや吹きだまりの多い個所であります。二車線もことしは確保できなくて、今度いわゆるプレ・プレオリンピックですか、このオリンピックの二年前に行なわれる全日本選手権大会も、ついに期日どおりに行なえなくて延期せざるを得なかったというような事態があったわけです。まして冬季オリンピックですから、これを完全にやるために道路を新設したらどうか。これは自然保護のためにまかりならぬ、そのかわり二車線を三車線にするんだ。そうすると、そっちのほうは自然保護にならないで、目に触れるところだけ自然保護になる、こういうような一つの詭弁が通ることになるじゃありませんか。国家的なこういう行事のために、同じ自然公園地帯の中において、目に触れないところなら二車線を三車線にする、しかし目に触れるところはだめなんだ、こういうような見解は、私は少し理解に苦しむのでありまするけれども、この点はどうなんでございましょうか。
#55
○中村説明員 先生のただいま御指摘いただきましたとおり、札幌恵庭岳におきますところのオリンピック会場の道路のことにつきましては、先般オリンピック関連道路の新設につきまして丸駒温泉からオコタンペ河口に至りますところの道路を新設することはやらないで、既存の道路を改良して行なうということに話し合いが行なわれたということを承っておるのでございますが、私どもといたしましては、現在の既存の道を建設します場合に、これが実は国立公園の特別保護地区になっておりますので、その道路をつくりますことにつきましてもいろいろと議論があったわけでございますが、しかしながら冬季オリンピックを完成させるという趣旨におきまして、自然の保護と、それからそういうオリンピックというものとの両方の価値を相互勘案しました結果、現在の道路につきましてはやむを得ないということで許可をいたしたわけであります。
 現在の道路を拡幅するといったことにつきましてまだ具体的に実は北海道庁から何らお話を伺っていないのでございますが、私どもは、北海道庁からそのお話が出ましたときにおきましては、オリンピックを完全に行なうということもまた大きな課題でもございますので、そういう点等関連をいたしまして検討させていただきたい、こう考えておる次第でございます。
#56
○島本委員 公園部長、そういうようなことを言っちゃだめですよ。この理由としてオリンピック組織委員会に出された知事の説明は、自然保護のため厚生省が認可困難だ、そして国立公園の管理当局から申し出が来ているという説明で、これはもうわれわれとしては万やむを得ないというように認めざるを得ないような状態になったのです。ことに西田開発庁長官あたりも、国会でこれを逆に新設する方面で強力に推進されると答弁しておるわけです。千歳市当局あたりもまことに困っているような状態になっているようであります。しかし、いまのを聞いてみますと、同じ公園内でも、二車線を三車線にするのは自然保護なんだ。そして、完全に自然保護に留意しながらも道路を既定どおりにつけることが、これが自然破壊なんだ、こういうような見地は私は理解できない。どうもその考え方にどこかごろが合わないところがある。これはどうなんですか。国立公園管理当局というのはどこなんですか。厚生省ですか、建設省ですか。
#57
○中村説明員 北海道におかれまして、オリンピックのために、いま先生御指摘の新しい道路をつくるかどうかということにつきまして、北海道知事が関係のいろいろなところに意見を聞かれたということを聞いております。それをお聞きになりましたのは、北海道の地元の市町村、あるいは北海道の自然保護に関しますところの団体、あるいはこれは国有林でございますので、林野庁の北海道の出先、あるいは私のほうの国立公園の管理員も駐在いたしておりますので、管理員というように、いろいろな方面の意見を聞かれまして、それで北海道とされましては、具体的に申し上げますと、この道路の新設につきましては、千歳市の市長さんは賛成をされた。しかしその他の関係のところにつきましては、皆さん方、これはまあ道路の新設はやめて、既存の道路の拡幅等の処置をやるほうがいいという意見だった、こういうふうなことで、北海道の知事とされましては、これはやはり既存の道路の拡幅でいく。もちろんこれは自然の保護という点から申しますと問題はあるわけでありますけれども、また新しく支笏湖のまわりに道路をつくるよりも、このほうがやむを得ないというふうに北海道の知事は考えられたというふうに承っております。
#58
○島本委員 同じ国立公園の中に、いま言った丸駒とオコタンペの間を除いたほかは回遊道路があるのです。そして、それはちゃんと現についているのです。そのやり方はまさに自然破壊そのものではありませんか。そういうようなところに対しては見るも無惨、こういうようなことばで表現してもいいようになっている個所があるのです。同じ国立公園の中でそういうようなところを許可してやらせておきながら、今度十分配慮しながらそっちに新たにつけたい、これを不許可にするという理由はどこにあるのですか。おかしいじゃないですか。一体、いまの丸駒−オコタンペの区間を除いてそのほかの道路を許可したのはどこですか。
#59
○中村説明員 先生のお話のとおり、支笏湖のその部分を除く部分につきましては、従来の林道を道道として変えた部分もございまして、ほとんどこの支笏湖のまわりを回る道路ができ上がっております。これにつきましては、この地区は国立公園の地区でございますので、もとより私どものほうにおきまして、従来そのつど検討いたしまして、やむを得ないということで許可をした次第でございます。
#60
○島本委員 おかしいじゃないですか。同じ公園地帯でそのつどやむを得ないと指摘されておるその個所は、あまりにも急いでやったせいか、整備も不十分である、そしてものすごく景観を損じている。これが自然保護なのか。そして、自然保護を考えながら新たにつけましょうというオリンピックの関係のこれを、自然保護の見地から不許可にしている。こういうような一貫しないやり方はおかしいじゃないかということなんです。それをやったらあと行ってその道路を点検をしましたか。国立公園内ですよ。建設省どうなんですか。だれが許可してやらしたところです。
#61
○中野説明員 いまのお話しのこの線は、オリンピック関係の札幌−支笏湖線のことだと思いますが、これは当時オリンピック関連道路の整備としまして、いまおっしゃるような湖畔の道路を循環する等の案も出たこともあるのでございますが、自然の風致保存の問題等もございまして、現地においていろいろ検討しました結果、現在の札幌―支笏湖線を整備することによって札幌オリンピックに間に合わせよう、こういう方針が決定いたしまして、その線に沿いまして建設省のほうには整備計画があがってきているわけでございます。現在工事をやっているものにつきましては、厚生省とも現地のほうで当然協議いたしまして仕事を進めておるわけでございます。ことしのプレプレオリンピックでいろいろ除雪等の問題で問題があったことは私も聞いておりますが、これはまだ完全に完成していない状態においてプレプレオリンピックを行なったということで、除雪体制等についてもまだ万全ではなかったということでございまして、なお追加投資いたしまして、現在の道路を整備して除雪の体制も道庁のほうで逐次設備を整えてオリンピックには間に合わせたい、そういうふうなことになっております。
#62
○島本委員 どうも、それはおかしいんだね、聞いていれば聞いているほど。たしか異常な降雪だったのは事実です。国立公園の中でもふぶきの一番多い個所なんです。二車線にしても三車線にしても雪は降るんです。対策は十分やる、これはもちろんやらないとだめなんです。問題は、そういう方面に重点を置いて、そっちのほうの道路はつけるけれども、現に湖畔の丸駒からオコタンペの間を除いたほか、全部つけてある道路はまことに不完全なつけ方をしている。これが自然破壊じゃないかというんですよ、逆に。それを許可していながら、丸駒とオコタンペの間を、十分景観を保持しながら完全な道路をつけることが自然破壊になるというような見解はおかしいと言っているんです。やっていると、どうも道路をつけたあとの管理も悪いようです。ほんとうに管理するなら――あれは厚生省ですか、建設省ですか。道路管理をし、許可してやるのはどっちなんですか。
#63
○内田国務大臣 この件につきましては、私も耳に入ったことはございます。島本先生のおっしゃることはごもっともではありますが、あの支笏湖周辺でいま道路がついていない区域に、今度のオリンピックに関連して道路をつけたいという御希望なんですが、道路のついている区域ももちろん国立公園の大切な区域内ですから、そこの道路を広げて荒らすということも、国立公園の趣旨、目的からいえば、必ずしも歓迎すべきことではないわけで、道路のつけ方などについて、いま島本先生からおしかりのような事態もある。これも困ったことなんですが、しかし、いま道路がないところへ道路をつけたいということにつきましては、ちょうど私の手元にその関係の方面の意見のそれぞれがございます。
 まず、林野庁並びに北海道知事の方面では、道路建設予定地は支笏湖畔に残されたほとんど唯一の原始的自然林であり、道路建設は森林の荒廃の原因となるので反対である、こういう意見のようでございますし、また北海道自然保護協会というのが現地にございまして、そこでも道路建設予定地は、エゾマツ、トドマツ、ミズナラ、カンバ類等樹齢平均百二十年余の原始性に富んだ天然林であるので、自然の破壊となる道路の建設に反対する。もっとも道路の大部分がトンネルとなるような方法なら別だ。これはまことにできない相談みたいなことを言っておりますが、そこで自然公園というものを守るためには、厚生省では他の地域の利用、他の公益行政と衝突する場合もございまして、その調整には非常に苦しむところでありますが、厚生省は自然公園行政というものをお預かりいたしております立場からいいますと、そのような場合には、やはり自然の保護ということに重点を置かないとこれはもう押し流されてしまって、自然公園というものの意味が欠けるような事態も生ずるので、いつも御承知のようにきついほうの立場を厚生省としては堅持をいたしておるわけであります。
 しからば、道路がいままでついておって、それを拡幅するについての地域は、先ほど申しましたように、これも大切な地域でありますが、そういう一ぺん道路がついている地域においてはどんなやり方をしてもいいかというと、もちろんそうではございませんで、そっちのやり方等についても、厚生省としては、その道路のつけ方は認めざるを得ないけれども、そのやり方については、やはりこうやってくれというようなことは言わないと、首尾一貫をいたさないと私も思いますので、それらのことにつきましては、なお現地のほうとも十分お打ち合わせをしまして、オリンピックの目的も達成されるし、また自然公園の目的とも両立するというような方法をとっていただくようにすべきだと私は思います。
 いずれにいたしましても、いま道路がないところへ道路をつけることにつきましては、地元――いろいろの意味の地元と組織委員会のほうでせっかく話し合いをされて、そのほうはおやめになるということでございますので、私どものほうではまあよかったと実は思っておったようなところでございますので、その辺ひとつよく御理解をいただきたいと思います。
#64
○島本委員 海中公園の保護の主体と設備と経営の責任についてちょっと聞きますけれども、経営の委任は行なわないのですか。
#65
○中村説明員 海中公園地区の管理につきましては、国立公園、国定公園の場合あるいはその土地の所有者によっていろいろとございまして、具体的に公園の利用等につきましていろいろな設備をいたしますにつきましては、これは民間の諸機関におやりを願うという場合もあろうかと思っております。
#66
○島本委員 そういうようになってきます場合には、なおさらこれは注意しないとだめなんです。国がやってもいまのような状態、支笏湖の周辺の道路の状態、ましてこれを今度民間に委託する場合もあるということになったら、なおさらこれは注意しないとだめなんです。私は、この点については、大臣に、せっかくこれをやった以上、ここでたとえ民間にやっても、必要な規制措置、それと今度は本来の目的に必ず合致するように、これは強く要望するか監視をしないとだめだ、こういうようなことを私のほうからも申し添えておきたいと思うのです。
 あわせて、そういうようになれば、管理の職員は一そう重要になってまいりますけれども、どういうようにお考えですか。
#67
○中村説明員 私が申し上げましたのは、利用のためのいろいろな施設をつくります。たとえばいろんな博物館をつくるとか、食堂ができる、そういう場合の個々のケースにつきましては民間の方がおやりになる場合があるわけでございまして、管理につきましては、もとよりそれぞれ国なり都道府県におきまして管理の運営の適正を期するわけでございます。これは陸上の現在の国立公園、国定公園と同様の体系をもちまして管理の適正を期していくつもりでございます。
#68
○島本委員 もう時間だからやめてくれと委員長は言うんだが、こういう大事なときにそう言われても困る。大事な問題ですから、大臣所管にかかる法律ですが、それで一体どうなるんですか。
 最後に、私聞きますけれども、公園審議会の運営のことなんですが、自然公園審議会というのがありますね。この審議会はどういうようなことになっているんですか。審議委員の言動ですけれども、いろいろ国定公園、国立公園、こういう決定権があるように流布される向きも聞いております。これはもう考えようによっては利益誘導のパイプになるのじゃないか。こういう委員の人たちの言動は十分注意するように、今後運営の面から大臣は、もうきびしく指導管理しなければならない、こういうように思います。ある人は、そこを国立公園または国定公園にしてやるぞ、こういうようないかにも自分がいわば検事のように、一体の原則ですか、一つの独任制ですか、こういうような意味の運営機関なんだと思われるような言動なきにしもあらず。私も聞いているのです。こういうようなことがないように、あくまでも審議会であり、あなたの諮問機関であるはずですから、今後運営の点で十分注意するように私は要望しておきたいと思います。その決意を申し受けて私の質問を終わりたいのですが、その決意いかんによってはもう少し質疑を続けます。
#69
○内田国務大臣 了承をいたしました。十分留意して行政を進めてまいりたいと思います。
#70
○倉成委員長 中野明君。
#71
○中野(明)委員 いまだいぶ公害その他についても質問がございましたが、私、御承知のとおり、この自然公園法の一部改正は、新たに海中公園地区を指定するために改正される法律だと思いまするので、具体的な問題について二、三お尋ねいたします。
 手元にいただいております資料によりますと、いままで候補地として調査された場所が十四地区になっていますが、これ以外に調査されたところはございませんか。
#72
○中村説明員 十五カ所を調査いたしております。
#73
○中野(明)委員 では、もう一カ所はどこになりますか。
#74
○中村説明員 小笠原でございます。
#75
○中野(明)委員 私のいただいている資料には、小笠原も入って十四になっているようなんですが……。
#76
○中村説明員 間違えました。九州の玄海でございます。
#77
○中野(明)委員 わかりました。十五地区ですね。
 それで、いずれの地区も、調査の結果、なかなか優劣はつけがたいと思いますけれども、この法律で要求しております条件、そういうことから考えて、いままで十五カ所ですか調査されたところで、指定の順位といいましょうか、こういう点はおきめになっているのでしょうか。
#78
○中村説明員 それぞれみな特色のある美しい海中景観を持っているようでございますが、別に順位をきめるということは考えていないわけでございます。
#79
○中野(明)委員 この法案は、長年の懸案でありまして、非常に関係地域も要望が強いと思います。で、第一回目の指定は大体いつごろなさる考えかどうか。
#80
○中村説明員 本年の七月早々には第一回の指定を行ないたいというふうに準備をいたしております。
#81
○中野(明)委員 先ほどのお話ですと、いずれの調査個所も特徴があってなかなか優劣がつけがたいというようなお話なんですが、そうしますと、調査されたところ十五カ所、大体七月初めに全部の地域が指定になるのでしょうかどうでしょうか。
#82
○中村説明員 全部が七月の第一回にできますかどうかわかりませんが、できるだけ関係の省庁との協議、地元との御連絡等をいたしまして、なるべくすみやかに指定をいたしたいと思っております。
#83
○中野(明)委員 これは七月よりももっと早く指定するようなことは、手続上は無理なんでしょうか。もっと早くできないかどうかということが一点と、それから、この調査地区の中にも出ておりますが、たとえていえば、私、高知なんですが、足摺地区とか宇和海、こういう方面はどうなんでしょうか。第一回の指定に一応準備ができておるかどうかですね。
#84
○中村説明員 七月を待たずとも、準備ができましたら、それ以前にも指定の運びにいたしたいと思っています。
 それから先生御質問の、足摺、宇和海等につきましては、これは調査を以前に相当やりましたので、また地元の準備も進んでおるように聞いておりますので、この指定は早かろうかと思っております。
#85
○中野(明)委員 先ほど十五カ所という調査個所なんですが、まだまだこの日本の国内にはこれに合致したような調査個所、調査しなければならぬような場所がたくさんあるのじゃないか、このように思うのですが、今後そういうふうな場所を調査されて、順次該当するところは指定をしていかれるつもりなのかどうか。
#86
○中村説明員 今後とも調査を続行いたしまして、できるだけ全国的に海中景観の指定をしたい、このように考えております。
#87
○中野(明)委員 この地域をずっと見ますと、大体西日本方面が今回の調査地区の対象になっている地域が非常に多いようです。先ほど島本先生も話しておられましたが、北のほうにもかなり海中景観のいいところがあるんじゃないかと私も思います。一例をあげますと、青森県の下北半島ですか、あそこの国定公園あたりも非常にいい場所じゃないかという気がするのですが、この調査個所を選定されるにあたって、先ほど少し説明しておられたようですが、十五カ所を選定されたのにこの辺がはずれているようですが、今後この下北半島方面も調査の対象に考えておられるかどうか。
#88
○中村説明員 先生御指摘の下北半島は、海藻等を中心としますところの美しい海中景観があるというように私ども承っております。今後、こういう方面につきましても、もとより調査を広げまして、早急に決定をいたしたいと考えております。
#89
○中野(明)委員 この予算面ですが、先ほどもちょっとお話が出ておったようですが、早々に指定をなさいますと、地元では相当前から準備しているところもあるようですし、非常に指定を待っているというような地域もあるんじゃないかと思います。そういたしますと、指定がありますと、大々的にPRもできるでしょうし、相当多くの人が観察に来るんじゃないか、このことをわれわれも予想するわけです。そうしますと、施設とか、まず何をいいましても道路だろうと思いますが、関連道路の整備というのが当面の急務だろうと思います。そういう点の予算の補助というのですか、それはどの程度までお考えになっているのでしょうか。
#90
○中村説明員 本年度の予算におきましては、まだ海中公園の指定につきまして特に増額というわけにはまいりませんでしたが、先生御指摘のとおりに、今後大いにこの海中公園地区に対します整備の要望が高まってこようかと思いますし、今後大いにこの方面の整備の予算を増額さしていただきたい、そういうように考えています。
#91
○中野(明)委員 大体この海中公園の形態といいますか、構想といいますか、厚生省のほうではどういう形になるように想定されておられるか。一つのモデルというのですか、そういうふうな点について承知しておられる範囲を伺いたい。
#92
○中村説明員 先ほどから申しますとおり、海中公園地区と申しますのは、そこに貴重な動植物が生育をしている地域でございますので、これをなるべく人工の手を加えないで、そのままの形で観賞することが望ましいわけでございます。現在のところはガラスを底に張った船、グラスボード等による利用をはかり、それからまた、周辺の海域にあわせまして、近接する陸域にベンチ、水泳場、桟橋等の利用施設を配置しまして、海中公園地区を中心としました総合的な海中公園、レクリエーションの基地としていきたい、こういうふうに考えております。なお、安全性の点、あるいは技術的に可能であれば、将来は海中研究路とか、あるいは海中展望塔も検討していきたい、こういうふうに考えております。
#93
○中野(明)委員 いま公園部長のほうからお話がありましたが、わが国で初めてのことでありますので、いろいろのことが想定もされ、計画もされると思いますし、そうなりますと、これに関連した設備その他、いま私が申しました道路面でも、予算的なことが地元にも相当大きな負担になってくると思いますが、この点ぜひ、せっかくこれだけの法律を出されて、わが国で初めて海中公園を指定されるわけですから、来年度におきますところの――続々指定もふえてくると思いますが、予算面については、ぜひこの機会に大臣にも御答弁をいただいておきたいのですが、充実した海中公園にするために、予算の獲得、また計画に努力をしていただきたい、こう思うのですが、大臣どうでしょうか。
#94
○内田国務大臣 そういう考えで私もおります。
#95
○中野(明)委員 それからもう一点は、自然公園法の第二条ですか、ここに国立公園の定義があります。ちょっと読んでみますと、「わが国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地」、その次にカッコして、「海中の景観地を含む。」このようにはっきりと自然公園法が改正になるわけです。「風景地であって、厚生大臣が第十条第一項の規定により指定するものをいう。」これが国立公園ということになっております。そういたしますと、この改正で初めて海中の景観地が含まれまして海中公園の指定がなされるわけですが、当然現在国定公園であるところを国立公園に昇格するという諮問というのですか、そういう構想が出てくるのではないかと思いますが、この点大臣はどうお考えになっておりますか。
#96
○内田国務大臣 そういう場合もあり得ると考えております。
#97
○中野(明)委員 今回の改正で指定をするくらいですから、当然そこは非常に景勝のすぐれたところでもあるし、この国立公園の条件に、いまのこの法律にも合致してくると思いますが、しばらく国立公園の指定はなされていないように私も聞いております。大臣として、いつごろそういうふうなことを具体的に検討して諮問をなされるつもりか。せっかくこれだけの法律を改正して海中公園を指定されるわけですから、当然私としましても、国立公園に昇格移行していく個所が何カ所か候補地としても出てくるのではないか、こういうふうに考えておるわけです。ですから当然そうなってまいりますと、大臣のほうとしても、早い機会に、国立公園指定の諮問をなさるだけの心づもりがあるんじゃないか、こう思ってお尋ねしているのですけれども、その辺どうでしょうか。
#98
○内田国務大臣 今度の海中公園の指定についての自然公園審議会などの御意見を聞くのに引き続きまして、年内くらいには一ぺん、総合的見地に立って御相談をしてまいりたいと思っております。
#99
○中野(明)委員 これは、いま私も申しているとおり、非常に大事な学術的な資料もたくさん含まれているようですし、当然早急に自然の保護については手を打たれなければならぬのが、この法律がいろいろの事情でおくれておったわけです。そういう関係もございますので、なるたけ早急にそういう動きを示されて、そうして国立公園昇格の審議というものをやはりされたほうが、より充実した公園、陸上を含めた海中公園になっていくのではないか、私このように考えてお尋ねしているわけです。
 それからもう一つ、いまもちょっと申しましたように、自然の景観というだけではなくして、非常に学術的にも大事な資料がたくさん含まれていると思います。どの方面でもそれぞれ特徴がありまして、そういうことを含めまして、単なるレクリエーションということだけではなくして、レクリエーションを含めて海中公園地域あるいは自然公園のその地域を観察しに行った人が、あとで非常に学術的にも教育の上にも役立つというような、そういう見地からいろいろと指導もしていただきたいし、また、私も当然そうあるべきじゃないか、このように考えております。
 先ほどから話が出ておりますように、海洋に非常に目が向けられてきた時代にもなりましたので、そういう点も含めて、今後指定のときを含めまして、そういう面について重点的に私は指導していただきたい。そうして学術的に非常に大事なものもあるから、それが見学に行った人たちにあとに印象に残って、レクリエーションを含めて非常に有意義だった、こういうような公園であってほしいわけです。この点、大臣のほうから特に指導していただいて、よろしくお願いしたい、こう思います。
#100
○内田国務大臣 私もまことにけっこうなことだと存じます。いたずらなる観光施設等を設けまして自然環境を破壊することと違うことでありますので、いわゆる自然教室、ビジターセンターということもございますので、そういうような教室をつくりまして、そうして、ことに今回指定をいたします海中公園につきましては、海中の動植物等の陳列、解説を行なうとか、また、私どものほうにも国立公園の管理者、管理員がおるわけでありますが、これも単なる番人ということではなしに、その地域における学術的、あるいはまた、特色ある自然の資料につきまして効果的な利用の指導を行なう、こういうようなことをも考えて、そうしてまた必要な予算対策等も講じてまいりたいと思います。
#101
○中野(明)委員 では以上で終わります。
#102
○倉成委員長 寒川喜一君。
#103
○寒川委員 時間もございませんし、先輩の諸君からいろいろな角度から御質問がございましたので、私は本一部改正法律に対して賛成という立場では質問をいたしまするけれども、このことに関連をしてやはりいろいろな問題が起こることが想定されます。そういった面について誠意がある答弁をひとつしていただきたいと思います。
 まず第一点は、法十八条の二の三項の都道府県知事の許可でございまするが、このことについて許可基準といったようなものを定めて府県知事を行政指導なされるのか、あるいは府県の実情に応じてしかるべくやるという判断のもとに行政指導をされるのか、まずこの点からお聞きしたいと思います。
#104
○中村説明員 このことにつきましては、各県ばらばらじゃございませんで、厚生省におきましていろいろと許可の基準等につきまして細目をつくりまして、御相談をいたしたいと思います。
#105
○寒川委員 でき得ますならば、そういったことを事前に本委員会等にお示しをいただいて、意見を徴する等の方法について考慮を払うお考えがあるか、お聞きしたいと思います。
#106
○中村説明員 そのことにつきましてはよく相談をいたしまして、先生にまた御連絡を申し上げたいと思います。
#107
○寒川委員 第二点は、行政当局の御説明等を承っておりますると、いろんな関連の施設を整備したいというお考えのようでございまするが、抽象的なことにつきましては賛成でございまするが、私の意見をあえて述べさしていただきまするならば、先ほど島本委員からも質問をされておりましたように、公園指定によって逆に弊害が起こるといったような問題を未然に除去するという前提のもとに、一定の地域については公的施設以外は設置せしめないんだ、商業主義に徹した旅館その他の営業については、ある程度禁止をしていくんだというお考えを持っておられるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#108
○中村説明員 先生のおことばのとおり私どもは考えておりまして、この海中公園地区は、陸上の従来の公園でございますと、特別保護地区に相当する、保護につきまして非常にきびしい区域と法律上同等の扱いにいたしております。この海中公園地区並びにそれに隣接いたしますところの陸域におきましては、そういう点におきまして工作物等の建築等におきましては特に厳重な規制をしていきたい、こういうふうに考えております。
#109
○寒川委員 そのことに関連をして、日本人というものは新し屋と言いますか、世界で何番目かの指定だということになると、おそらくわんさわんさ押しかける。なかんずく交通事情、交通機関の実態から旅行圏というものは御承知のように拡大されております。そういう面でむしろ――いま後段に御説明のございました国定公園の中が荒らされるということをぼくはたいへん心配します。たとえば、従来でございますと、盆栽になるような木を無断で採取いたしましても、ぶらぶら下げて歩いて帰るのですと十分監視ができますけれども、自動車のトランクに入れて帰るということになりますると、ちょっとやそっとでは発見しがたいし、トランクをあけて検査をするといったようなことは、なかなか人権上困難だと思いまするが、そういったことに対する監視体制といいますか、特に配慮をしておかなければいけないと思いまするが、どういう考えを持っておられるか、御説明をいただきたいと思います。
#110
○中村説明員 その点につきましては、厚生省の直属の職員だけではもとより不十分でございますので、地元の県市町村御当局によく御協力をいただきまして適正を期したいと思いますが、さらにまた、国立公園につきまして、指導員という制度、ボランタリーという制度がございますが、それにつきまして、海中公園の地区指定をされる場合には、その指導員の数をふやしてもらうように、すでに各県といま相談をいたしておるわけでございます。
#111
○寒川委員 希望といたしましては、お願いするのでなくして、制度化し、整備をして万全を期するようなことなしには、私は、お考えのことが現場ではなかなか徹底しにくいのじゃないか、かような判断をいたしまするので、具体的計画策定の上に立って、十分な御配慮をお願い申し上げたいと思います。
 なお、同時に、後背地の問題等で、これまた島本委員からも御質問がございましたが、汚水、汚物の問題等につきましても対策を具体的に計画をされておかれませんと、現在のような各省ばらばらの行政では事志と違った結果を招来すると思います。そういう面で厚生大臣がリーダーシップを持って、先頭に立って守っていくんだという御決意をひとつお聞かせをいただきたいのですが、御所見はいかがでしょう。
#112
○内田国務大臣 先ほどもお答えを申したところでありますが、そのことにつきましては、私どもが自然環境の保護のために区域の指定だけをして、そうして、やれ特別保護地区でありますとか、特別地域でありますとかというような指定だけをすれば、万事うまくいくということとは決して考えません。でありますので、その区域における清掃関係の施設あるいは水質汚濁防止等のことにつきまして、いまの法制をもう一ぺん点検をして、あのいろんな法律を結びつけるようなことも私はぜひ考えてみたい。要するに、私は一つの意欲を持ってこの問題に対処してまいりたいと思います。
#113
○寒川委員 ぜひそういう熱意と具体的な実行とを通して、国民の期待にこたえていただきたいと思います。
 若干事務的なことになりまするが、十八条の二の第三項で一号から五号まで具体的な点を指摘しております中でお尋ねをいたしたいのですが、動植物のうち特に海藻の問題がやはりいろいろ心配になるのではないか。したがって、農林大臣とおそらく協議をされて指定をされることになろうと思いますが、指定の内容が現在打ち合わせ済みであればお漏らしをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#114
○中村説明員 ただいま具体的に候補地につきましてそれぞれ地元の漁協から水産庁に上がってまいりまして、それで私どものほうとしては水産庁といま御相談をしておるという段階でございます。
#115
○寒川委員 それでは、まだ具体的なことを説明する段階でないという御答弁でございます。そこで、やはり指定の手続の問題も実は関連をしてまいるのですが、漁業組合の皆さんとも十分相談をしてという、ことばの上では私はそのとおりだと思います。しかしながら、具体的な手続等について、一定の制度というか、そういうもので、先ほどの基準と同じように、行政指導をされませんと、都道府県の段階では、たとえば東北の岩手県はこうしてもろうたけれども、四国の高知県は、知事はこういうことを聞いてくれないとかというような事態が、実際問題として起こってこようかと思いますが、そういう点について、通牒の内容も、ただ文章の羅列だけではなくして、こういう手続を経ない限りは指定してはいかないのだというような内容のある行政指導というものをされる御意思をお持ちかどうか、お聞きをしたいと思います。
#116
○中村説明員 ただいま先生のお示しのとおり、全国的に同一の基準でもってやっていくようにいたしたいと思っております。
#117
○寒川委員 最後にお聞きしたいのですが、御承知のように、指定がされますると、十八条の二の三項の一号から五号までに掲げてある状態が確定するわけですが、それの変更ということに関連をして、具体的な手続を通して変更という問題が起こる場合にはこれは問題ないと思います。特に、前段にも申し上げましたように、新しく指定をしてまいりますと、人がたくさん来る。なかんずく、最近スキンダイビングというものが非常に流行をいたしております。したがって、そういう地域でそういうものを禁止するお考えを持っておられるのかどうか。事前にやはり対策を講じておかないと、あったはずのサンゴ礁が知らぬ間に持ち去られてなくなっておる。これは珍しいからちょっと取ってやろう。ちょっと取ったが重なりますと、御承知のように、カイロのピラミッドが、おみやげに少しづつ欠いて持って帰って、下のほうはほとんど形をとどめておらぬというのが実態だし、私も、実は現地に参りましたときに、あなた、みやげになるから欠いて持って帰れというようなことを聞かされた経験に徴しましても、そういう新しいスポーツといいますか、それと海中公園の現状維持というような問題についてどういうお考えを持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
#118
○中村説明員 ただいま先生のお話しのとおり、すでにある地域におきましてサンゴ礁を欠いて持っていくというのも実はあるわけでございます。それで、私どもといたしましては、法律改正以前におきましては、いまのところ地元の市町村、漁協と実は話し合いをいたしまして、近くこういうような法律改正がなされるので、そういうつもりで保護を十分にやってくれないかということで、相談ずくで、それぞれの地区では寄り寄りそういうことがないようにということで、自主的にひとつやってもらうということでいまのところやっております。
#119
○寒川委員 そういうことに関連をして、残念ながら日本人は、罰則がないとなかなか実効があがらないような国民性を持っております。そういう面で、私は、現行の五十条の罰則のみでは十全な現状保全というものは困難なような気がします。したがって大臣は、将来こういったことも含めて、ただ海中公園法が入ってくるために必要な一部改正というのではなくして、海中公園法を完全な形で将来国民のためにするという見地から、そういう問題にまで手を触れて検討をしてみようというお考えをお持ちかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#120
○内田国務大臣 寒川さんのお説のとおり私も考えてまいりたいと思います。
#121
○寒川委員 それではこれで質問を終わります。どうか、法の改正が終わってすべてでございませんで、法の改正が第一歩であることは御案内のとおりでございます。せっかく国民の期待にこたえて、海中公園法としての十全を期するように努力していただきますことをお願いをして、質問を終わります。
#122
○倉成委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#123
○倉成委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 自然公園法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#124
○倉成委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#125
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#126
○倉成委員長 次に、検疫法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
#127
○小林(進)委員 検疫法の一部を改正する法律案について御質問をいたしたいと思うのでありますが、この検疫法が日本に施行されましてから今日まで、大体何年ぐらいになっておるものか、ひとつお伺いをいたしたいと思うのであります。
#128
○村中政府委員 検疫法の施行は昭和二十六年から、約二十年間になっております。
#129
○小林(進)委員 昭和二十六年に改正になったのでございますか。
#130
○村中政府委員 施行です。
#131
○小林(進)委員 二十六年施行ですか。それ以前には検疫に関する法律というものは日本になかったのでございますか。
#132
○村中政府委員 明治に入りましてから、伝染病対策の一環という形で、明治十二年に現在の検疫法のもとになる法律ができました。
#133
○小林(進)委員 その明治十二年に検疫法のもとになる法律――法律でなく措置でございますか、その名称は何といったのですか。
#134
○村中政府委員 太政官布告というものでございます。
#135
○小林(進)委員 明治十二年に太政官布告があって、昭和二十六年に初めて法律の形をつくって今日に至った。その明治十二年から今日に至るまでの間にされた検疫の内容、沿革について、概略でよろしゅうございますけれどもお聞かせ願いたいと思います。沿革、歴史といいますか、あるいは仕事の内容といいましょうか、その点をお伺いいたしたいと思うのであります。
#136
○村中政府委員 古い資料で恐縮でございますが、いま手元にございますのでは、明治三十年から昭和四十三年までの検疫を受けた船の数が百十九万九千隻となっております。これの中身を見ますと、明治三十年から四十五年の十六年間には十二万六千隻、それから大正二年から十五年までの大正年間が十七万五千隻、昭和に入りまして、終戦の二十年までの約十九年間が三十七万一千隻、それから昭和二十一年、終戦の翌年でございますが、これが四千七百隻、以降、二十二年から四十三年までが約三十五万隻、端数を落としましたが、合計いたしまして、明治三十年以来百十九万九千隻というふうな数字が出ております。これに対して乗り組みあるいはお客、そういう検疫対象人員の数が一億五百十万五千人、約一億五百万人という数字が出ております。
#137
○小林(進)委員 昭和四十三年までの数字をお伺いしたのでありますけれども、ちょっとこれだけではすぐ答えが出ないのでありますが、大体最近の検疫する傾向、総合計で一億五百万人とおっしゃいましたが、最近のふえ方といいますか、内容の沿革です。船の数と検疫を受ける人の数字がどういう形で毎年変わっているのか、若干の趨勢でよろしゅうございます、詳しくなくてよろしいですが、ふえているのか減っているのか、現状は大体横ばいでいっているのか。
#138
○村中政府委員 過去十年間の数字が手元にございますが、これを御紹介申し上げますと、昭和三十五年には、検疫をいたしました船の数が一万六千隻、この船に乗り組んでいるお客、検疫の対象人員が八十五万五千人、それから航空機の数が五千六百機、これに搭乗している人の検疫の対象になった数が二十六万一千人というふうになっております。
  〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
これが昭和三十九年、五年後には、船の数では二万三千五百隻、三十五年を一〇〇にいたしますと、五年間で一四四ということになります。それから検疫の対象になった人の数は百九万七千人、三十五年を一〇〇にいたしますと一二八。それから航空機の数が九千四百機、これは三十五年を一〇〇にいたしますと一六五ということ。これに乗っている検疫対象の数が六十四万一千人、三十五年を一〇〇にいたしますと二四五、約二倍半になっております。これが四十四年、昨年について見ますと、検疫の対象になりました船が三万三千九百隻、昭和三十五年を一〇〇といたしますと二
〇八ということになります。これに乗っている検疫対象人員が百三十二万人、三十五年を一〇〇にいたしますと一五四になっております。それから航空機の数が二万四千九百機、これが昭和三十五年を一〇〇といたしますと四三九、約四・四倍になります。これに乗っている検疫対象の数が百六十五万三千人、これは昭和三十五年を一〇〇といたしますと六三二、六・三倍というふうになっております。大体こういう傾向であります。
#139
○小林(進)委員 船といい、特に飛行機の場合には、たいへんな勢いで検疫の対象人員がふえているわけでありますが、これに対する行政官の人員は一体どんなぐあいになっておりますか。
#140
○村中政府委員 検疫を担当する職員の数につきましては、昭和三十五年が六百七十二名、これは定員でございます。これが昭和四十四年では七百七十名、約百名の増になっております。
#141
○小林(進)委員 大体の数字はわかりましたが、今回、昭和二十六年以来初めて改正をされるわけでありますけれども、一体今回の改正の要点はどこにあるのか、これも概略でよろしゅうございます。かいつまんでお聞かせ願いたいと思います。
#142
○村中政府委員 改正の要点は、第一点は、従来各国が国際間の協定に基づいて、お互いに伝染病がよその国に入らないように、持ち込まないようにということのために、世界保健機構が国際衛生規則という規則を設けまして、世界保健機構の加盟国がこの国際衛生規則をもとにして、それぞれ自国の検疫法に相当する法律をつくりまして検疫業務を実施いたしておる。昭和二十六年に国際衛生規則ができまして相当年月がたっということで、その後の国際的な船とか航空機、こういう交通機関の発展、変化、さらには二十年間の医学的な推移、また伝染病の流行の様相の変化、こういったものをもとにしまして、昭和四十二年に国際衛生規則の改正をしようじゃないかという話が出てまいりまして、委員会を持ち、各国に意見を聞きながら、昨年昭和四十四年の七月に、従来の国際衛生規則を国際保健規則という規則に改められまして、これが採決されました。これに基づきまして加盟国がそれぞれ自国の検疫法の改正をすることになったわけであります。
 こういう背景の中で、わが国でも、その四十二年に話がありました翌四十三年の五月に、伝染病予防調査会に大臣が検疫法の改正について諮問を申し上げました。この答申が本年の一月に出たわけでございます。これをもとにいたしましてただいま上程いたしております検疫法の改正を行ないたい、こういう考えであります。
 この改正のおもな点は、先ほどもちょっと触れましたが、第一には、従来六つの検疫伝染病というのがあったわけでございますが、その中で発しんチフス、それから回帰熱につきましては、各国とも患者の発生がきわめて局地的に一部の地域に限られた状態で発生を見ている。しかも、十数年間この発しんチフスと回帰熱の流行、伝染というのが、船とか航空機とか、こういう国際的な航行の船舶、航空機を通じての流行伝播は全くなかった。しかも、これらの伝染病の予防、手当てが学問的に非常に進んだというふうなことで、もうこれは国際的に検疫伝染病というものの中に入れて各国が対策を立てる必要がなくなったのではないかというふうな判断のもとに、この二つを検疫伝染病からはずすことに国際保健規則できめられた、これが大きな改正点であります。
 第二の問題は、船舶が大型化してまいりまして、従来の船舶の場合ですと、港その他で所定の手続を経て各国が検疫を行ないまして岸壁につけることができるようになってまいりました。しかし、船の内容について非常に衛生的に改善されてきている。たとえばネズミの問題とか、あるいは蚊やハエの問題とか、さらには、乗り組んでいるお客あるいは船員の衛生管理の問題とか、いろいろ医学的な健康管理が行き届いてきたというこしのために、必ずしも従来のようないわゆる錨地検疫をする必要がなくなったのではないか。もしも衛生的にその船の条件がよければ、これは港につけて最終的な検疫を型どおりやることによっても検疫伝染病が防げるんじゃないかというふうな実態が出てまいりました。
 もう一点は、貨物の輸送形態で、ここ数年間大型コンテナによる輸送が非常に各国とも進んでまいりました。従来は、外国の船が港に入りますと、貨物についてのチェックを、検疫官が着岸する前に錨地検疫という形で行なっておるわけでございますが、こういうコンテナ輸送は、海上に停留した状態でやることが非常に危険である。しかも、実態にそぐわない。必要な場合には、地域をきめてそこに一時陸揚させて、陸揚させた貨物について所要の検査をやるというふうなことが、ヨーロッパ各国あるいはアメリカなどでもとられるようになってまいりました。
 今回の国際保健規則の改定では、各国ともそういう形をとるべきであるというふうな改定が行なわれまして、これらを勘案いたしまして今回の検疫法の改正ということを考えたわけでございます。
#143
○小林(進)委員 大体、改正の要点を承ったのでございますが、第一番目では、その六つの伝染病の中で、発しんチフスと回帰熱を取り除いて、四つの伝染病だけ残すということになったわけでございますが、一体、WHOに加盟している国がどれくらいあるのか。また、日本の港に着く船が、全部世界保健機構に加入しておられて、この機構できめた規則に縛られる国の船だけが日本の港へ入ってくるということになれば、それはけっこうですけれども、そこら辺のぐあいがどんなことになっているのか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
#144
○村中政府委員 ことしのたしか三月だったと思いましたが、加盟国が百三十一国ございまして、わが国は、国際衛生規則の制定された年でございます昭和二十六年に加盟いたしております。私どもの判断では、わが国と表向きの外交関係にある国のほとんどが加盟国であるというように判断をいたしております。
 なお、御指摘の発しんチフス及び回帰熱につきましては、現在特に地域的に発生しておりますのは、発しんチフスにつきましてはアフリカのエチオピア、ブルンジ、それから、回帰熱につきましては同じくアフリカのエチオピア、スーダンというふうな、きわめて検疫関係とは縁の遠い地域に局在しているという実態があるわけでございます。
#145
○小林(進)委員 大体、加盟国が百三十一国とおっしゃいますと、これは世界の国が全部入っておると見て差しつかえありませんな。そうすると、その百三十一の国がWHOの規則に縛られて、全部の国が、やはりわが日本が現在やっているがごとき国内法の改正にいまつとめておられると判断していいわけですな。それは確定をしていない国もありましょうけれども、法律改正に努力しておられる、こう見て差しつかえがないわけですね。――そうすると、その辺において、まあまあ、発しんチフス、回帰熱が日本へ入ってくるという危険はない、こう判断しておられるわけでございましょうか。実際の面においてどうでございましょうか。一体危険はないものでございますか。ほんとうに危険がないものかどうか。その点、いま一回念を押すようでありますけれども、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
#146
○村中政府委員 私も技術屋でございますが、全く一〇〇%ないということをいまここでお答え申し上げることには、若干データが足りないわけでございます。実は、この六つの検疫伝染病の中から特に発しんチフスを落とすことにつきましては、日本といたしましてもいろいろまだ問題が考えられるではないかということで、ここ二年間ばかりのWHOを中心にした専門の委員会に意見として出したのでございます。これも昨年の七月の総会で国際保健規則が採択をされましたおりに提案がございまして、特に発しんチフスについては、これは国際的な監視の体制の中に置くことが適当であるという趣旨の決議が行なわれました。私どもも、現在その決議を尊重いたしまして、特に発しんチフスを媒介すると思われるシラミ、そのほかにも、国際的な監視下に置く伝染病、たとえばマラリアとかあるいは小児麻痺とかいうのがあるわけでございますが、そういった一連のものの中に入れまして、検疫港である港を中心にして、そのような蚊とかノミとかシラミ、こういったものの蔓延が出てこないように、常時の監視体制はとることにいたしております。そのための予算も現在組んでおります。この点については、万全の措置は一応とってある、そういう実情でございます。
#147
○小林(進)委員 発しんチフスや回帰熱は、いまも御答弁がありましたように、エチオピアだとかスーダンだとか、こういう後進国、しかも熱帯地方に出るようですけれども、その発生はシラミでございますか、大体不潔の中からどうも生まれてくるようでございます。私どもは、こういう後進国から、局地的に発生する発しんチフスや回帰熱が、日本の港あるいは航空基地を通じてこられると、神経を使わなくちゃならぬと思いますけれども、反対に、一体日本には発しんチフスや回帰熱がないのかどうか。日本から他国に迷惑をかけるような、こういう伝染病の輸出をするような危険はないのかどうか。国内における発生の状況をお聞かせ願いたいと思います。
#148
○村中政府委員 御承知のように、シラミによる発生で、特に発しんチフスの問題でございますが、これは終戦直後日本でも流行した時期がございました。これは御承知のDDTその他の非常に有効な駆除方法をとりまして、短期間で全く影をひそめた。それ以降二十年余り、発しんチフス及び回帰熱の日本での流行は全く見られておりません。したがって、現在の段階では、日本においてはこのような伝染病の発生はない、こう申し上げて適当かと存じます。
#149
○小林(進)委員 それははなはだけっこうなことでございまして、事のついでといってはなんでございますけれども、これは従来どおり、やはり海上においてあるいは航空機の中で検査されるのでありますが、コレラの発生状況はどんなものでございますか。
#150
○村中政府委員 コレラの流行も、統計的には昭和三十八年と三十九年、三十八年が一名、三十九年が二名、こういう発生がございました。これはいずれも感染経路がよくわからない。しかし、大体の患者の状態から判断して、日本の国内で感染したことではない、外国で感染して、感染の状態で日本へ来て、日本で発病したというふうに私どもは判断しております。それからもう一点は、昨年の韓国のコレラの流行のおりに、やはり韓国からの船の中で、これは検疫の業務の中で発見された。軽症者でございますが、八名でございます。特に統計上出るようなコレラの発生は、それ以外はございません。
#151
○小林(進)委員 こういう伝染病でありますと、私どもも専門家でありませんので、なかなかわかりませんが、発しんチフスや回帰熱をはずしたが、コレラその他の伝染病があるのだが、一体見ただけでこれが発しんチフスか回帰熱かコレラか、ほかの伝染病か、検疫の場合に区別がつくものでありますか。その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。おまえ回帰熱だからいいとか、発しんチフスだからいいとか、あとになってコレラだったらたいへんなことになると思いますが、その点はいかがでございましょうか。
#152
○村中政府委員 非常に具体的なお尋ねでございますが、一応六つの検疫伝染病を申し上げますと、コレラ、ペスト、それから痘瘡、黄熱、発しんチフス、回帰熱というのが六つの伝染病であります。そのうちの二つが落ちるようになったことはただいま申し上げたとおりでございます。これらの伝染病につきましては、それぞれ病原体が、原因になるものがはっきりしておるわけであります。たとえばコレラで申し上げますと、コレラ菌を見つけ出すということが、その病気がコレラであるかどうかという判断になるわけであります。ただ健康な状態で菌だけ持っている場合がある。これを保菌者という名前を使っておりますが、これが検疫対策上非常に問題になるわけであります。ただ、これらの伝染病につきましては、いずれも五日から一週間というふうな、からだに菌が入ってから発病するまで潜伏期間がある。それを過ぎても発病しなければ、その患者のからだの中に菌がない、菌があったとしてもからだの抵抗力その他の事情でなくなってしまった、したがって患者という形に発展する心配がないというふうなことでございまして、船舶の場合ですと、一応潜伏期の経過以内に、たとえばコレラの流行している地域から来た船につきましては、現在はいいけれども、まだ潜伏期間が終わっていないから、あと一日くらいは健康状態を管理しておく必要があるというふうな場合には、かりの検疫という措置をとりまして、たとえば乗客にいたしましても、国内にあげても保健所を通じてそういう人々の健康管理ということをやっていくわけです。それが潜伏期間を過ぎますと、そこで症状が出なければオーケーというふうなかっこうになりますし、たとえばおなかの調子が悪い、あるいはからだに変なできものがある、しかもその人あるいはその船が発しんチフスの流行地域と関係がある、あるいはコレラの流行している汚染地域を通過しているというふうなことが判断された場合には、そこで検疫官が検査をする。たとえば血をとって発しんチフスの危険があるかないか見る、あるいは便をとってコレラ菌を持っているかどうか、そういうふうな検査をいたしまして、検査の結果心配がないという場合に検疫はオーケーという形で従来処理してまいっております。したがいまして、従来取り扱っています取り扱い方の方式からまいりますと、まず検疫伝染病の現在の検疫措置については若干辛過ぎるという御意見もあるようでございますが、これが手ぬる過ぎて国内に流行するというふうな心配は一応持たなくてもよろしいというふうに考えております。
#153
○小林(進)委員 局長の御答弁は非常に自信のあるような御答弁ですから、私はそれでけっこうだと思っております。何といってもこっちはしろうとなものでございますから、この論争はしたところでこっちは勝てそうもありませんから、これはやむを得ませんが、それにしても、飛行機もふえておる、船もふえておる、検疫の人員もふえておるという中で、業務の合理化をはかる目的もあるのだと思いますが、いま一つの問題は、今度は船の問題なんです。先ほどおっしゃるように、ネズミが駆逐されている、あるいはハエもいない、衛生状態はよろしい、あるいは保健の設備もよい、そういう船に対しては、今度は検疫をおやりにならぬわけですね。いままでは、もういい船も、後進国から来ようとどこから来ようと、一応はちゃんと海上で一切の検疫その他をやった。今度は検疫をおやりにならない船が出てくるわけですね。港に着いても、あなたの船は衛生状態がよろしい、保健の状態もよろしいから、さあ上陸をしなさい、自由に日本を散歩もしなさいという形が出てくる。無検疫の船が出てくるわけです。そういうこともほんとうに自信を持ってやれるものかどうか。また、時間もありませんから私は簡単に言いますけれども、そういう船が完全だ、病気の発生の心配がないという情報は、何か船が日本の港へ進行中ですか、停泊中ですか、そこへ無線かなんかでお互いに情報の交換をしながらその内容をキャッチしたり、これはだいじょうぶだということになれば、その判断に基づいて無検疫で日本の港に停泊せしめる、こういうことになっておると思うのです。それで一体そういうふうに理想的にいくものかどうか。たとえていえば、相手の船が、おれのところには実は一人くらいいるんだけれども、めんどうだからないしょにしておこう、こういう話になるような懸念はなきやいなやという点であります。いかがでございましょう。
#154
○村中政府委員 ただいまの御指摘は、私ども無線検疫という名称を使っておりまして、今回の法改正の中の問題点の一つとしてあげた事項についてだと存じますが、この無線検疫の制度は、わが国では今回初めてでございますが、制度としてはヨーロッパでは数年前からすでに実施しているわけであります。特に衛生上一定の条件がそろった日本の船がヨーロッパの港へ参りますと、これは御指摘の無線検疫という検疫を通じまして、今度私どもが実施しようとしますと同じような方法をすでにとっております。それは、わが国が特に検疫伝染病に汚染されているわけではない、しかも船については衛生的な条件が整っているという判断を無電によって受けているからでございます。この方式は、ヨーロッパ各国、それからアメリカと豪州――アメリカ自身でも昨年の十月から行なっております。大体国際的に、特に大動脈と称する街道筋に当たる、汚染地域と関係のない、そういうところを航行する船舶については、ほぼ全面的に取り上げております。
 問題は、それではどういう条件が整っていれば衛生的によいというふうな判断に足りるのかという条件の問題になると思いますが、これは、私どもが現在考えておりますことは、第一点は、汚染地域を通っていない、あるいは汚染地域から来ていない船である。それから第二点は、その船に船医あるいは技術的なそういう健康管理ができる衛生管理者が乗っていて船の衛生管理が保たれているという、そういう船である。第三点には、乗り組み員あるいは船客、そういった乗員の健康状態が正常である、すなわち健康であるというふうな判断がその管理者から報告があった場合。もう一つは、それに載せております貨物の生産地及び搭載した場所、それがいずれも汚染地域でないというふうなことを船の運航表あるいは航行日誌その他で確認をするわけでございます。こういう条件が整った場合には、これは無線検疫で心配がないというふうに判断をしておる。これはすでに国際衛生規則という時代にWHOが進めまして、こういう条件の整っていたものについては、各国ともできるだけ無線検疫を行なうことが望ましいんだという勧告も過去においてあったわけでございますが、わが国といたしましても、いろいろ御指摘のような心配もあることで、近く伝染病の改正という問題も、国内法の問題であったわけでございますが、このときにあわせて検討したいというやさきに、例の国際保健規則の改正ということが出てまいったので、ここであわせてこの問題も改正の中に入れた、こういうことでございます。現在の国際的な無線検疫制度をとっている各国の実態から考えまして、無線検疫の制度によって伝染病が国内に入ってくるという懸念はまずないというふうに判断をいたしております。
#155
○小林(進)委員 時間も参りましたから結論を急ぎたいと思いますが、いま一つおやりになるものは、コンテナの検疫でございますけれども、これはもう港へ入れて、ヤードの中へ入れてからおやりになるということになっているようでございますが、それで一体支障がないものか。たとえばこういう場合ですが、コンテナの中にも食料品あるいは生鮮食料等が入っておりますでしょう。それから食料品じゃなくて、何もそんないわゆる伝染病の媒介なんかしない一般の貨物もありましょうけれども、生鮮食料等の場合のコンテナに対しては、一体どういうふうな処置をおやりになるのか。やはり一応陸揚げさせてそこでおやりになるのかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
#156
○村中政府委員 コンテナ検疫の方法についてでございますが、これは貨物船は積み荷目録というのを持っております。これは義務的に検疫官が調べることができる。この積み荷目録の提出を求めまして、その上でただいま御指摘のコンテナの中に詰めた内容が汚染地域の中で生産されたものであるかどうか、あるいはコンテナの中に入れたその貨物が汚染地域を通過しているかどうか、これらの点を積み荷目録で確かめます。もう一点は、従来貨物の検疫をやっております検疫対象物件が積み荷目録において調べてあるかどうか。これも積み荷目録によって調べる。もしもそれらの中に汚染地域で積んだあるいは従来の検疫の対象になるような貨物がある、あるいは汚染地域に寄港した可能性があるというふうな場合には、船の中では広げられませんので、地域を指定いたしましてそこに一時陸揚げをさせる。陸揚げさせたコンテナについて立ち入り検査をする。検査の結果、必要がある場合には、消毒あるいはネズミその他の駆除をする。検査の結果、必要がなければそこで検疫済みという形の処理をするというふうなことになりまして、問題はこの積み込んだ場所、寄港地が汚染地域と関係があるかどうか、従来の検疫の対象になった貨物が入っているかどうか、この点を確認することが一点と、陸揚げする場所が地域的に衛生保持ができる状態になっているという条件が出てまいります。これはただいま御指摘のコンテナヤードをきめまして、ここは一応まわりとは隔絶された状態にしておく。その中で必要な検査をするというふうなことを具体的にはやりたいと考えております。
#157
○小林(進)委員 時間も参りましたので、私はこれで質問を終わりますが、WHO、国際保健機構の中における国際的な規則に基づいてそのままに国内法の改正をされるわけでありますから、これは私どもがやはり反対というわけにはまいりません。賛成をして、なおかっこの法律が正しく行なわれて、四方海に囲まれたわが日本の国内に伝染病の侵入を予防するために、この法律を最も有効かつ効果があるように運用してもらわなければならないと思います。それに関しましては、やはりこの法律を運用する人の努力と力にまたなければならぬ。先ほど、最初からお聞きしましたように、非常に、船といえ飛行機といえ、検疫を要する。人員はふえているけれども、その業務に携わっている人員はあまりふえていないようであります。十年間で約百名近く、正確には九十八名、六百七十二名が七百七十名、この人たちがこの法律を正しく運用するかいなかによって、日本国民が伝染病にやられるかやられざるかということが、大きくいえば左右されるわけでございます。非常にじみな仕事でありますが、大臣ひとつ、やはりあなたの支配下にあるので、こういう検疫業務に携わっている人たちの目に見えない努力というものもやはり大臣が脳裏に置いて、ときには賞揚し、ときに監督をし、ときにはまたそのあり方を正しく報道するというふうな形で、この法律が最も効果的に運用されることに大臣が特に意を用いてくださることをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#158
○増岡委員長代理 古寺宏君。
#159
○古寺委員 ただいまの小林委員からの御質問の中にもございましたし、さらにはまた、参議院の質疑の際の議事録の中にも出ております。また、先日横浜並びに羽田空港に視察に行ってまいりましたが、その際感じたように、この検疫官の数はきわめて不足をいたしております。たとえば東京空港におきましては、昭和三十一年から昭和四十四年の検疫実績の推移を見てみますと、検疫官の数は昭和三十一年の指数を一〇〇といたしますと、昭和四十四年で一四三であり、これに対しまして検疫の指数は、昭和三十一年を一〇〇といたしますと、昭和四十四年は五八二、検疫人員は昭和三十一年を一〇〇といたしますと、昭和四十四年は一〇八三で約十倍になっております。このように大幅な増加を見ている。ほかに、さらに今年度は万博の開催等があって非常に飛躍的に人員がふえているわけでございます。現在空港においては、三名のチームで交互に検疫を行なっておりますけれども、限られた人員の検疫官ではとうてい対応しきれない、そういう時点に到達いたしておると思います。そのために、検疫に非常に時間がかかるために乗客の不満が起きているということも聞いておりますし、今後ますます航空あるいは運航上多大の支障を来たすということが考えられますが、今後この検疫官の増員についてはどのように考えておられるか。これは現場の方々からも切なる訴えがあるわけでございますが、大臣として、今後検疫官の増員についてはどういう方向で進めていくお考えであるか、承りたいと思います。
#160
○内田国務大臣 御指摘のような状況で、わが国へ渡来する船舶、航空機等が非常な増加をしておるにもかかわらず、ここ数年間の検疫要員の増員の状況はこれに追いついていない事態にございます。ただこれが、正直に申しましてなかなか取りにくい、確保しにくい予算並びに要員でございます。というのは、最近国際的に検疫伝染病の発生状況が非常に局地的に限られるようになったり、また、今回の御審議をいただいておる法律案にもありますように、検疫伝染病の範囲を減らすというようなこと、さらにはまた、無線検疫の方法によって病気検疫のようなことを改める。そして、その余力を怪しげな検査対象に向けるというようなことにいたすものでございますから、渡来する船舶、航空機がふえましても、検疫伝染病によってわが国が汚されていくというような、そういうものの実績が減っているというような状況にありますために、非常に予算人員の確保がむずかしい面が正直申しましてございます。しかし、これは一たん手を抜きまして、そういうおそるべき検疫伝染病がわが国に侵入したということになりますと、これは厚生省といたしましても、国民の健康を守る上に取り返しがつかないことになりますので、私といたしましては、そういうむずかしい事態のもとにおきましても、今後さらにこの要員の確保と、さらにまた、それらの職員の方々が、十分熱意をもって仕事に取り組んでいけるような職場環境の改善等につきましても、極力努力をいたしてまいりたいと考えているものでございます。
#161
○古寺委員 病気が発生しないから増員の必要を認めないというお考えのようでございますけれども、これはやはり病気が発生しないほうが好ましい状態でありまして、今後人員の増加あるいは航空機あるいは船舶の増加に伴って当然そういう危険が考えられるわけでございますので、今後その増員につきましては、さらに前向きの姿勢で御検討いただきたいと思います。
 最近ジャンボ等の大型航空機が増加する傾向にございます。七月からは日航あるいはノースウエストのジャンボも運航を開始するということを聞いておりますけれども、こういう新しい事態に即応した検疫体制というものを考えなければならない時点に到達いたしておると思いますが、こういう点については、厚生省としてはどういう対策をお考えになっておられるか、承りたいと思います。
#162
○村中政府委員 大型航空機の国内乗り入れについての検疫上の問題点でございますが、御指摘のように、国際的な航路の開設に関連してまいりますのは検疫がございますが、さらに出入国管理の問題、さらに税関の問題、こういう三つの業務がまじってくるわけであります。現在試験航行の段階でございますけれども、こういう三つのそれぞれの仕事の進め方をどうしたらいいか、関係者でいろいろ協議をしながらテスト航行に立ち会っているわけでございます。これが、御指摘のような定期便になりますまでには、一応税関及び出入国、それから検疫というふうな三者の連携ができ上がるものと考えております。
#163
○古寺委員 検疫官の不足は横浜や東京空港だけではなしに、地方においても非常に職員が不足をいたしております。留萌、川崎、稚内、鹿島、水俣、比田勝あるいは青森等は一人しか職員がおりません。こういう状態であっては検疫の業務が非常に困るのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、こういう港に汚染地域からの船舶が入港した場合にはどういう体制でもってこれを検疫しているのか、今後どういうふうな体制でこれをやっていかれるお考えなのか。さらにまた、いままで二人であった出張所が一人に削減をされております。これでは、ますますいろいろな面で心配があるわけでございますが、こういう点についてのお考えを承りたいと思います。
#164
○村中政府委員 一応検疫港に指定されていながら、人員が少なくて、たまたま汚染地域からの船が入った場合に検疫業務に支障を来たすというふうな場面があるかないか、あるとすればどういう措置をするかという趣旨のお尋ねだと存じますが、現在御指摘のような少人数でやっている地域に、もしも汚染地域からの船が入る――これはあらかじめ入港の予定がはっきりしているわけでございますから、それにもしも人員が足りないというふうな予想が出てまいりますと、支所あるいは本所のほうから人員を派遣する、あるいは地元で専門家の雇い上げをいたしまして、これが一時的なカバーをするというふうなことが応急の措置として考えられます。現在の小さな検疫港の検疫業務については、それほど検疫業務自身が蹉跌を起こすというふうな事態はないというふうに考えております。
#165
○古寺委員 検疫官のいない検疫所におきましては、この地域のお医者さんを非常勤として雇い上げているようでございますが、全国では一体どのくらいのお医者さんを非常勤として雇い上げておりますか。
#166
○村中政府委員 四十五年度の予算を申し上げますと、予算額で三百二十万ほど非常勤職員の予算を組んでおります。一回三千百五十円というのが委嘱をした場合の勤務者、技術者に支払われる金額であります。したがいまして、どのくらいになりましょうか、延べにいたしまして一千名相当くらいでございましょうか、そういう数が予算的には確保されているということでございます。
#167
○古寺委員 これは一回千円というふうに聞いておりますけれども、間違いないですか。
#168
○村中政府委員 一応単価の計算といたしましては三千百五十円、こういう単価を組んでおります。
#169
○古寺委員 そうしますと、一回について千円の雇い上げ料を支払われている医師と、三千百五十円を支払われている医師と、二とおりあるわけでございますか。
#170
○実川説明員 雇い上げ医師につきましては、ただいま政府委員のほうから御答弁申し上げましたように、昨年度は賃金職員の雇い上げだけでございまして、四十五年度から初めて非常勤職員手当が予算的に計上されたわけでございます。もう一度申し上げますと、従来地元の医師に御協力いただいておりましたのは、医師協力者謝金という賃金の形でもってお願いしておったわけでございます。それに加えまして、本年度より非常勤職員手当が予算化されましたものですから、この単価が若干よくなったわけでございます。
#171
○古寺委員 そうしますと、ただいま御答弁の三千百五十円という単価は、これは今年度からの単価でございますか。
#172
○実川説明員 そのとおりでございます。
#173
○古寺委員 いままでの雇いの方々の身分保障がない。非常に危険な仕事をなさるわけでございます。特に海が非常に荒れております場合には、なわばしごをぶらぶら登っていきまして、非常に危険が伴うわけでございます。あるいはまた汚染された船舶の場合には、感染の危険ということも当然あるわけでございます。こういうことに対するいわゆる保障というものがいままでは全然なかった、こういうふうに承っておるわけでございますが、今後はそういう点については、どのような待遇によって処置いたすのでありますか。
#174
○実川説明員 ただいま御答弁申し上げましたように、従前は医師協力者謝金といたしまして、そのつど雇い上げる形でございましたので、その身分の確立ということにつきましては遺憾な点がございましたのですが、四十五年度、非常勤職員手当の予算化によりまして、厚生省医員といたしまして採用いたしました。したがいまして、身分の確立ができるわけでございます。また検疫官の服制、そういったようなものも貸与しようというふうに考えております。
#175
○古寺委員 この非常勤職員になるお医者さんの中には、公立の病院あるいは開業医の方というふうに二通りあるわけでございますね。そういう場合には、開業医の方は非常勤職員としての待遇を受けるけれども、公立の病院につとめておられる場合にはそういうふうにはならないということを聞いておるのですが、その点はどうでしょうか。
#176
○実川説明員 御指摘のとおりでございまして、予算の中におきましては、医師協力者謝金としてお願いいたしますものは公的医療機関の先生方、それから非常勤職員手当でもって厚生省医員として採用いたしますものは、開業医等の私的医療機関の先生でございます。
#177
○古寺委員 それでは現在七十九の検疫所があるわけでございますけれども、その中で公的の医療機関の先生で嘱託をされている方と、それから開業医で今度新たにできた非常勤職員の待遇を受けられる方と、何人ずついるわけでございますか。
#178
○実川説明員 現在検疫所の出張所、四十九カ所ございますが、そのうち医師のいる出張所が五カ所でございます。医師のいない出張所が四十四カ所でございます。そのうち公的医療機関の先生にお願いしている個所が二十六カ所、私的医療機関の先生にお願いしておりますのは十八カ所ということでございます。
#179
○古寺委員 そこでこの検疫をいたしました嘱託医の先生方に支払ういわゆる謝金、これはどういう方法によって支払いをいたしておりますか。
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
#180
○実川説明員 非常勤職員手当として採用申し上げる方は、厚生省医員として検疫所長が委嘱され、発令するわけでございます。出勤のつど一定の書式に従いまして証拠書類をつくりまして、それに見合った分だけお支払いをする。それからまた医師協力者謝金の形をとられる方につきましては、やはり必要のつど雇い上げをいたしまして、それに見合う金額をお支払いする、かようになっております。
#181
○古寺委員 それは現金でもって直接本人に支払うのか、国庫支出金になりますので、これは銀行を通じて本人に送金するのか、その辺について御説明してください。
#182
○実川説明員 銀行送金でございます。
#183
○古寺委員 聞くところによりますというと、非常に謝金の支払い方法がずさんである、こういうお話も承っております。きょうは時間がございませんのでこれ以上私は申し上げませんが、昭和四十一年から昭和四十四年までのこの医師協力者謝金の支払いを個別にデータとして、あとから私のほうに提出をしていただきたいと思います。
 先ほどもお話がございましたけれども、産業の近代化あるいは輸送手段の近代化に伴ってコンテナが非常に今後ふえてまいるわけでございますが、このコンテナの検疫については、どういうようにおやりになるのか承りたいと思います。
#184
○村中政府委員 コンテナの検疫方法についてでございますが、第一番目には積み込み地を記入しました積み荷の目録の提出を求める。これが汚染地域からの積み荷であるかどうか、この点のチェックを第一番目にいたします。それから抜き取りを必要とする、そういうコンテナが目録の中から発見された場合には、コンテナヤードでもって検査をする。それから汚染のおそれがある、あるいは汚染しているというふうなことが検査の結果出てまいりますと、これは消毒あるいはネズミの駆除、ガス及びDDVP油剤を使って、こういう形で処置をいたします。
#185
○古寺委員 伝染病の汚染の危険のあるコンテナの検疫のしかたでございますが、そういう場合には、これは陸揚げ地点でそのままおやりになるのですか。何か燻蒸車とかそういうような装備をされた車が必要であるということを承っておりますけれども、それはどうなんですか。
#186
○村中政府委員 コンテナの検疫状況は、ただいま申し上げたとおりでございますが、そういう検査の結果、汚染している、あるいは汚染しているおそれがあるというふうなコンテナにつきましては、ただいまお話がありましたように、コンテナの燻蒸車を使いまして、DDVP油剤あるいは青酸ガスといったものを使って消毒を行なう、こういうことになっております。
#187
○古寺委員 燻蒸車が現在は何台くらいわが国には用意されているのでございましょうか。
#188
○村中政府委員 昭和四十五年度の予算で燻蒸車を一台購入いたしました。
 なお、農産物その他の関係で、農林省サイドでは、同じようなコンテナ燻蒸車についての確保はしている模様でございますが、わがほうの検疫として予算措置をいたしましたのは、四十五年度一台でございます。
#189
○古寺委員 これは、いろいろ港湾もあるわけでございますけれども、一台の燻蒸車で間に合うのでございますか。たった一台しかないというのですが、どうなのでしょうか。
#190
○村中政府委員 一番能率のあがる方法といたしましてコンテナ燻蒸車があるわけでございますが、この燻蒸は従来も、貨物が汚染されている、あるいは汚染の危険があるというふうなものにつきましては、燻蒸車なしでも措置をしていたわけでございます。しかし今後、このコンテナの輸送がだんだん増加してまいる予想があるわけでございますので、今後の予算措置の中で、これらについての燻蒸車の確保の努力はいたしたいと考えております。
#191
○古寺委員 大臣にお願いしたいのでございますが、たった一台の燻蒸車では私は十分とは言えないと思いますので、今後この燻蒸車につきましては、十二分なる対策をひとつ御検討願いたいと思います。
 次に無線検疫でございますが、もしも無線検疫を行なった場合に、船舶のほうから虚偽の連絡があった場合に、いろいろな危険が考えられるわけでございますが、そういう場合の責任と申しますか、処置と申しますか、そういう対策については、どういうふうにお考えになっておられますか。
#192
○村中政府委員 今回の無線検疫制度を取り入れる前提といたしましては、御承知のWHOの国際保健規則の中で勧奨を受けている事項でございまして、国によっては、すでにヨーロッパ各地では、無線検疫制度を実施しております。アメリカでも昨年の十月から無線検疫を実施しております。若干おそくなったきらいはあるわけでございますが、国際保健規則の制定と同時に、わが国にも検疫法の改正の中でこの問題を取り入れたい、こういうことでございまして、これは、国際保健憲章に基づく各国の義務協定でございますから、その範囲では、そういう条約を無視するというふうな場面が出てくれば、それに従って措置をされるのが当然でございますが、従来のヨーロッパ各地あるいはアメリカの実施状況から判断して、そのような国際信義にもとるという事実は出ておりません。しかし不幸にしてそういう事態が起きましたならば、これは伝染病の蔓延のおそれ等がありますので、国内の防疫体制とあわせまして、このような応急の措置は十分配慮してまいりたい、こう考えております。
#193
○古寺委員 時間がございませんので急ぎますが、この検疫所の職員の待遇の問題ですが、非常に人手不足からくる過重労働あるいは夜間勤務が多いという実情なんでございますが、年次休暇もほとんどない、また東京空港の場合には夜間手当が百円である、こういうことも聞いております。あるいは服装にいたしましても、税関の服装は非常にりっぱであるけれども、検疫所の職員の服装は非常に見劣りがする、こういうふうに承っております。予算額を聞きましたところが、洋服の場合には六千八百円くらいだ、こういうお話でございますが、こういう待遇の改善ということは今後非常に大事な問題であると思いますが、この点について大臣から、今後の検疫所の職員に対する待遇改善について御決意のほどを承りたいと思います。
#194
○内田国務大臣 ごもっともな話でございまして、これは税関吏等と同じように外国から入ってくる人々に接するわけでありますから、見劣りがするようでは、職場における仕事が非常にやりにくくなる面もあろうかと思います。私は実情をまだ存じませんけれども、これはお話もございますのでよく検討をいたしまして、これらに対する予算確保等につきましては、当然つとむべきことであると考えて処理をいたしたいと思います。
#195
○古寺委員 今後、この検疫法の改正に伴いまして、港湾衛生の問題が非常に重要な問題になってまいるわけでございますが、今日までにおきましても、港湾地域のネズミ族の侵入防止あるいは駆除対策等は行なっているようでございますが、先日、横浜に行きました際に、横浜港のネズミを駆除するだけで数億円の駆除費が必要であるということを承りました。これは各港湾の実態を調べるならば、さらに膨大な予算を必要とすると思います。これは当然、国のみではなしに、地方自治体あるいは港湾管理者も協力して行なうべきことではございますが、今後検疫行政の立場から、これらの港湾衛生についてはどういう対策をお考えになっておられるか、承りたいと思います。
#196
○村中政府委員 港湾の衛生管理の責任は、第一次的には港湾の管理者ということになるわけでございますが、さらに、その港が所属している市町村長、これの当然責任になるわけでございます。よく港につきましては、河川からごみその他の汚物が流れ込むというケースが出てまいりますので、これは河川法に従って、その流域の各市町村が清潔を保つというふうに責任が分担されているわけでございますが、検疫業務を実施いたします立場から、港湾の衛生管理という問題を取り上げます場合には、第一点は、蚊とかノミ、シラミ、こういったこん虫類が伝染病を媒介する危険があるかどうか、そういったことの平常時の調査というのが検疫所の第一の業務になってくる。たとえばシロハマダラカの発生が相当出てきている。フィリピンその他のマラリアの汚染地域からの患者によるマラリアの現地からの持ち込みで、国内でシロハマダラカによるマラリアの流行が出てくる心配があるではないかというふうな想定が出てきましたときには、第一次的に検疫所がこれらのこん虫の駆除をやる場合がありますが、さらにその発生している地域が町村の区域になるのか、あるいは港湾管理者の管理する区域になるのか、それぞれの関係者に連絡をいたしまして、一緒に駆除をやるというのが第二であります。同じような問題がネズミの駆除についても出てまいります。そのほかに、たとえば港湾に船が入った場合に、飲料水を積み込む、あるいはその飲料水の検査、あるいは海水の検査、あるいは汚水の検査、こういった港湾に関連するそれらの事項の検査というのは、これは検疫港の所在する保健所長の責任ということになります。こういうふうなことによって常時港湾の衛生管理をしながら、もしも流行のような危険が出てきた場合には、関係の機関と共同して処理するというのがたてまえになっております。今回新しくマラリアの問題と食品の問題が港湾衛生管理に加わったということは、この点では一そう強化された管理体制がとれるもの、こう考えております。
#197
○古寺委員 時間がないのでこれで終わりますけれども、国際保健規則の発効を明年に控えまして検疫法も改正になるわけでございますが、無線検疫あるいはハース検疫、あるいは航空機の大型化、そういうような新しい情勢に対応した検疫方式の改善、強化というものが今後必要だと思いますが、こういう点については十二分に対処してまいらなければならないと思いますが、この点について最後に厚生大臣の御決意を承って終わらしていただきたいと思います。
#198
○内田国務大臣 法律だけ改正すれぱそれで済むものとは私どもは決して考えませんので、最近における国際的な交流の形の変化、あるいはまた国際機関における勧告等の趣旨を十分生かして、そして国内における国民の国際的伝染病による汚染を水ぎわで防止するということのために、すべて今回の改正法の趣旨を生かす制度を充実をしてまいりたい所存でございます。
#199
○倉成委員長 寒川喜一君。
#200
○寒川委員 時間がございませんので要点のみ質問をいたしまするが、まず第一に、今回の規則改正に伴いまして、総会の審議状況、すなわち満場一致で本規則の改正が行なわれたのかどうか、あるいは異論の中で多数決で採択されたのか、その辺の事情をまずお聞かせいただきたいと思います。
#201
○村中政府委員 今回の保健規則の改定は、昭和四十二年五月に、従来ございました衛生規則の改正をしたいということでWHOの事務局長から……
#202
○寒川委員 それはわかっている。時間がないから結論だけ言ってほしいのや。審議状況が多数決であったのか、満場一致であったのかどうか聞いているのや、あんた。
#203
○村中政府委員 最終的には満場一致でこれが採択されたわけでございます。
#204
○寒川委員 そこで提案の理由の中にもございますように、検疫業務を合理化をして、この機会にやっていくんだ、こういう姿勢を示されております。各委員からの質問の中にも現在の取り扱い上検疫官の数、そういったものからして人をふやせというような御意見の出ることはごもっともでございまするが、私は民間の企業の実態、人手不足の状況、そういったものの中から考えますときにおいて、やはり対応する検疫業務の合理化についてまとまったものはすでにお持ちになっておらなければいかないと思いますが、そういうことについて、当局の御所見を伺いたいと思います。
#205
○村中政府委員 今回の検疫法の改正の一番大きな問題点といたしまして、輸送のコンテナ化というものに対応する検疫業務、もう一点は、衛生的に一定の状態が保持されている、そういう船については無線検疫という方式を導入するという点があげられると考えますが、この前者につきましては、大きなコンテナの従来の検疫方式による船内での検疫は非常に困難だ、むしろ不可能に近い、これはいたずらに検疫を時間的におくらせるのみならず、従事する検疫業務者の労力のむだということにもなります。これを合理的に何とかカバーしたいということが今回のコンテナ検疫の方式の一つになっております。もう一点の無線検疫につきましては、これは従来も錨地検疫方式で全部一律的にやっていたわけでございますが、特に汚染地域を航行したとかあるいは汚染されているという心配のないという状態で検疫港に着いた船については、たとえば衛生管理が整っている、あるいは船にいる人間が健康的に保持されたいい状態になっている、あるいは載せた貨物については検疫伝染病の汚染の心配がないといった、一連の検疫上から見て衛生的だという判断がされた場合には、従来の錨地検疫を省略をして着岸させるというふうな合理化をはかるという、この二点があげられるかと存じます。
#206
○寒川委員 そこでやはり問題になりますのは、それを具体的にどうするかということにぼくはかかっておると思うのです。したがって、これはやがて本会議が始まりますので、議論をしようとは思いませんけれども、人が足らなければ足らないように具体的にこうするというものがなければ動いていかぬと思います。何ぼ作文を書いてみたところで、むしろ心配事が多うて、手数がよけいかかって、やっておることはかえって期待に沿わない。たとえば船員の諸君が、若干の時間の配慮があれば、一月目に会う奥さんにすぐ会えるのに、また一晩船の中で寝なければいけない。これは一例でございまするが、そういう面について私は要望しておきまするが、どうかこの機会に検疫事務所の整備拡充といったような問題を本格的にひとつ取り組んでもらいたいと思うのです。このことは要望いたしておきます。
 そこで具体的な作業のうちで、衛生的に安全な船だと判断をされる判定基準等につきましても、個人の判断を、あるいは経験識というものを中心にしますと、やはりいろいろな問題が起こる可能性がございます。行政におきましても、非常に専門細分化する中で、一つの具体的な規範というものの上に立って執行していく、こういうものがなければならないと思いまするが、そういうような、たとえば先ほどの質問を承っておりますると、抜き取りをやる、チェックをやるというお話がございまするけれども、それは個人の意志で、個人の判断でやるのではなくて、一つの体系的な判定基準といいますか、そういう検疫官の職務執行規範といいますか、そういうものを制定をされて簡素強力に推進をしていくような腹案なりお考え方を持っておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#207
○村中政府委員 今回の検疫法に関連いたしました御指摘のような問題につきましては、現地の所長あるいは担当者といろいろ打ち合わせをいたしまして、御指摘のような基準の策定についても現在進めておりまして、その点十分配慮していきたいと思っております。
#208
○寒川委員 それではいまの点は強く要望いたしておきます。そうしませんと、簡素の結果事案が発生をしたという段階になってまいりまして、責任のなすり合いということが必ず起こってくる問題でございます。そういう問題について心してやっていただきたい。
 それから、先ほど古寺さんが御質問されておった中で、私はふに落ちないところが一点ございます。私も公務に関係をいたしてまいった者として関係がございまするが、公務員を雇い上げの医師なりあるいは嘱託として御採用になって検疫業務に当たらす場合の、職務専念の業務の免除というものを制度的にはっきりとってつかせる。個人的な話し合いのルートで、ひとつ来てやってくれぬか、行きましょうというようなこと等が往々にして起こる場合があるやに聞いております。余談になりますけれども、大学の非常勤講師等の場合でも同様の措置でいろいろと問題が起きておりますが、加えて万一事故死というような問題が起こった場合の責任の帰属、補償の主体というような問題でも関連がございますので、この点もひとつ十分研究をされて、抜かりのないように措置をしていただきたいと思います。答弁は要りません。
 それからもう一つの問題は、御承知のように国際保健規則の中で、二十条の第四項に、年一回港の状況を機関に報告をするという制度になっておりますが、現在どういう手続を経て報告をしておるのかということと関連をし、かつこの義務というものは強制されておるのかどうかということをまずお聞きしたいと思います。
#209
○実川説明員 港湾の衛生管理、ことに蚊族の生息状況につきましては、国際保健規則にのっとりまして、現在は空港についてのみでございますけれども、定期的に調査を行ないまして、その結果を私どものほうに報告をしてもらいまして、私どもから、連絡参事官という経由機関がございますけれども、WHOに報告をしております。
#210
○寒川委員 そうすると港湾は適用がない、こういうことでございますか。
#211
○実川説明員 今回の改正によりまして、港湾が入ります。
#212
○寒川委員 そのことで特に要望もしお願いも申し上げたいことは、御承知かと思いますが、わが国の港湾の実態はまだまだ不十分であるし、整備の段階でございます。そういった観点で、東京の夢の島の問題も新聞に非常に大きく出ましたが、同様のことは大阪港におきましても起こっておるわけなんです。したがって夏が参りますとネズミ、蚊、ハエ、このことで関係官庁に陳情をいたしておりましても、御承知のように港湾管理者と保健所の責任者というのは、同様に市長なんです。そういう面で、今日まで厚生省当局がそういった問題について報告を受けたか、あるいは積極的に事情の調査を行ない、かつ指導した経過があるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#213
○金光政府委員 港湾の清掃につきましては、御指摘のように港湾管理者がこれを実施することになっております。それを受けまして、集められた汚物等は市町村がそれを処理する、こういう形になりまして、両者同一の場合もございますが、連携をとってやっておりまして、この点につきましては、従来港湾管理者とそれから市町村の関係につきましては関係者集まって協議して進めておるところでございまして、今後におきましてもさらに十分な体制を考えてまいりたい、そのように考えております。
#214
○寒川委員 具体的な問題は大阪港の問題でございまするが、毎年毎年繰り返し関係者が陳情をしておるのが厚生省のほうに届いておるかどうか。あなた方は知っておられるかどうかということを
 お聞きしたいわけです。
#215
○金光政府委員 あらたまった報告としてはいただいておりませんけれども、連絡としては十分連絡を受けております。
#216
○寒川委員 今回の改正によって保健機関に報告をしなければならないと、こういうような状態の説明がございましたので、これを機会に十分ひとつ現地と連絡をとって、遺憾のないように措置してもらいたいと思います。
 最後に、本法の二十七条第一項で、検疫伝染病に準ずる伝染病の指定を政令でするのだということになっておりまするが、現在考えておる病名等お漏らし願えればこの機会に発表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#217
○村中政府委員 現在マラリアを考えております。したがって、蚊の発生の問題が新しく加わってまいります。
#218
○寒川委員 各委員も述べておられますように、この問題につきましては国際的な影響もございます。そういう面で改正の機会に十分ひとつ配慮し、特にお願いをしておきたいことは、職員の諸君がプライドを持ってこの仕事に当たれるように、たとえば古寺さんが被服の問題だけを抽出して御質問されたわけでございますが、これは時間の関係でそういう方法をとったと思います。したがってこの機会に大臣の決意を承って、質問を終わりたいと思います。
#219
○内田国務大臣 職員がプライドを持って仕事に専念できるような職務上の条件の整備をいたしたいと思います。
 ただ実は私どものところに検疫の問題についてはいろいろな御要望もございます。それは、事が行き過ぎになって、人体に対する検疫などについて日本は一番厳重過ぎるんだ、そのような態度を続けることは、国際的に往復のひんぱんな今日非常に悪感情を与える面もあり、また海外等から帰ってくる日本人などについても非常に不愉快な思いを与えるので、その辺の問題についても十分考えろ、こういう御要望も正直のところございますので、あれこれ合理的にやってまいりたいと思います。
#220
○寒川委員 それじゃ質問を終わります。
#221
○倉成委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#222
○倉成委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので直ちに採決いたします。
 検疫法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#223
○倉成委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#224
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#225
○倉成委員長 おはかりいたします。
 スモン病に関する問題について、本日、全国スモンの会会長相良よし光君及びスモン調査研究協議会会長甲野礼作君の両君に参考人として御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。
   午後一時四十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時六分開議
#227
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 スモン病に関する問題について、先ほど決定いたしました参考人が御出席されております。
 この際、両参考人に一言ごあいさつ申し上げます。
 両参考人には御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。本問題につきましては、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、議事の都合上、参考人には最初十分程度御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にもお答え願いたいと存じます。
 まず、相良参考人にお願いいたします。
#228
○相良参考人 相良でございます。足を悪くしておりますので、すわって話させていただきます。
 わが国にスモン病が発生してから十余年を経過しております。私も実は三年前に発病して、現在ごらんのとおりのからだで、社会復帰しておりますが、いまでも足のしびれ、痛みに悩まされております。それに、いつ再燃するかわからない不安があります。
 現在までのスモン病の対策は、万全とはいえない状態にあります。日本にだけ見られるといわれるこのスモン病は、ある日突然、下痢に始まって、腹痛があり、やがて両足の指先からしびれ、その結果、歩行障害、視力障害、やがて失明する人もあります。それはまた、人にはわからない知覚神経障害の苦痛にたえなければならない。だから主観的な病気といわれるゆえんでもあります。
 スモン病にかかる人は多くの場合一家の支柱であります。現在治療法もまだはっきりしておらず、長い病気でもあるところから、治療費の自己負担が多く、経済的破綻を来たしているのが現状であります。
 しかし、何といってもこのスモン病にはいま一つの重大な問題があります。すなわち、それは自殺であり、社会疎外であります。ことしになってからもすでに京都、東京、山形、島根、大阪で五件の自殺者が出ていると聞いております。病気になったら、少なくとも快方に向かうという希望が出てくるのが望ましいと思いますが、自分の手で自己の命を断たなければならないというのがこのスモン病の特徴であります。人命の尊重は絶対であると思います。この絶対性が確保できないのは一体何がそうさせているのでしょうか。それは終局的にはスモンの対策の抜本的配慮がなされていないからであります。また社会疎外もそうであります。スモン病患者とその家族は社会から疎外されております。村八分という、現代社会では考えられないことが事実として存在しているのであります。さらにスモン病患者は治療機関からも疎外されておる事実があります。
 その実例を一、二紹介しますと、東京から長野の佐久総合病院のほうへ治療を受けに行っている人があります。ある公立病院及び医科大学病院で余儀なく退院させられた例もあります。ここでは明らかに基本的人権が侵害されております。この問題も、スモン病の研究中に、不用意な、しかもあまり科学的根拠のないセンセーショナルな発表等が平気で行なわれているからであると思います。これらの発表は、発表する研究者も、これを取り扱う報道機関も自粛されるべきであります。
 私どもスモン患者は、一般人と同じく社会に接触しております。また、国民の一人としての機能も果たしているつもりでございます。それなのに、なぜ自殺者を出したり社会疎外の羽目を負わされたりしなければならないのでしょうか。このことは、法のもとの平等原則にも違反するものといわなければなりません。スモン病患者とその家族の叫びは悲痛であります。スモン病の原因の早期解決はもちろんでありますが、さらに治療費の自己負担が多過ぎる。センセーショナルな発表はやめてほしい。患者が安心して診療を受けられる病院を紹介してほしい等々、どの声をとっても社会問題として把握されなければならないものばかりであります。
 簡単に申し述べましたが、私は次の点についてぜひ御検討をいただき、できるだけ早く実施に移してもらいたいと思います。そうして、もう自殺者を出さないよう、また、人権の侵害がないようにしていただきたいと思います。
 まず、その第一は、国会において超党派としての懇談会のような形をぜひ設置してもらいたい。国会の場でも、あらゆる方面からの御検討を加えていただきたいということです。
 第二に、現在厚生省で組織されておりますスモン調査研究協議会で病理、疫学、病因、臨床の四つの研究班がありますが、この四つの研究班だけではあまりにも生物学的なアプローチに偏しておると思われます。スモン病の自殺、社会疎外等に対しては、どうしても、いま一つ社会学的アプローチの必要が痛感されます。そこで、保健社会研究班というような社会問題に対処するものが必要になります。そうでなければ、スモン病の対策は万全とはいえないといわざるを得ません。たとえば、疲学班の中に専門学者を入れたとしても、その意義は失われると思います。別個の研究班の設置が必要であり、ぜひこのことは実現させてほしいと思います。
 第三に、スモン病の治療費は一カ月二十万程席といわれております。かりに国民健康保険の三割負担としても、六万円という高額な自己負担となります。また、これに付添看護料等が加われば、さらに自己負担は増加し、差額ベッドはさらにまた自己負担を倍増させております。現に私も、一日五千円という差額ベッドで治療を受けたことがあります。以上のことから、スモン病の軽減措置を一考していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 第四として、専門医療機関の設置についてでありますが、たとえば、神経疾患すべての患者が恩恵を受けられる医療センターのようなものの設置が考えられますが、このことは、社会復帰という重要な役割りも果たすと考えられますので、この専門医療機関の設置についてもぜひ実現させてもらいたいと思います。
 第五に、スモン病患者の抜本的な救済というものは、法制化によってこれを実現されるのみしかないんじゃないかと思われます。この件もぜひ御検討くださるようお願いいたします。
 以上、スモン病についての、私ども患者の会の代表として意見を言わせていただきました。御清聴まことにありがとうございました。
 終わります。(拍手)
#229
○倉成委員長 次に、甲野参考人にお願いいたします。
#230
○甲野参考人 ただいま御紹介いただきましたスモン調査研究協議会の甲野でございます。
 最初に、簡単にスモンという病気について述べてみたいと思います。
 この病気は、先ほど相良参考人が言われましたように、昭和三十年ごろからわが国に発生するようになった神経病であります。その後次第に発生が増加いたしまして、昭和三十七、八年ごろから急速にふえてきたようであります。かつて、一ぺん、厚生科学研究班として研究が取り上げられたことがございますが、ついに病原をつかみ得ずしてそのままになりました。昭和四十二年、四十三年、御承知のように岡山に非常な多発を見まして、そして世論が盛り上がってまいりまして、昨年におきまして総計三千五百万の研究費が出まして、昨年九月二日にスモン調査研究協議会がスタートしたわけでございます。わずか半年ぐらいでございますが、この間に病気の実態、それから病原、疫学、治療といった問題の研究が進められまして、ある程度の成果を得ております。
 まず、実態の点でございますけれども、この病気は届け出制度その他が従来ございませんので、かつて内科学会のシンポジウムで、時のシンポジウムの座長をされた楠井先生が調べられたのが唯一の数であったのでありますけれども、昨年末に昭和四十二年と四十三年の発生数を全国一斉に、一定の調査カードをもって調査したのであります。その結果は、すでに新聞紙上等に出ておりますけれども、わかりました昭和四十三年度末の患者数は四千二百八十名、そのうちスモン確実が二千六百六十九名、同容疑が千六百十一名ということになっております。
 なお、初診患者、すなわち年度内の発生というのは、昭和四十二年におきまして千二百三十七名、昭和四十三年が若干増加いたしまして千六百四十名ということになっております。これを人口十万対の発生率にいたしますと、四・四ということになりますが、かなり全国的に、もうこの病気がないところはないのでありますけれども、多発地区とそうでないところとがございまして、たとえば福島県二一・七というふうに、罹患率は高うございます。次いで岡山県一七・一、三重県八・九、島根県八・三、秋田県八・一というふうなところが多発地でありまして、長野、青森、茨城、群馬、佐賀、鹿児島、そういうところは比較的低率にとどまっております。
 昭和四十二年、四十三年の受診患者の絶対数で申しますと、やはり大都会の東京、大阪あるいは名古屋のある愛知県、そういうところが多くなっておりますが、さらに全国的に広い目で見ますと、一般に中部以西に多発している地域が多いということが言えます。
 発生の時期は、すでに従来いわれておりましたように、夏季に多いのでありまして、六月から十月ぐらいに多発しているようであります。
 また、性、年齢でございますが、十歳未満の小児にはきわめてまれであって、二十歳以下の人にも少ない。大部分の患者は二十歳以上。この全国調査で最も罹患率の高かったのは六十五歳ないし六十九歳というところであります。その年齢が長ずるに従いまして女性の患者の数がふえてまいりまして、その最多発年齢におきましては、女性が男性の約二倍以上罹患をいたしております。また、職業別の罹患率では医療職が若干高いようであります。こういうような疾患でございますが、これがどういう原因で起こるかというのがこの調査研究協議会の一つの調査の大きな目的でございまして、これは目下研究が進行中でございますので、まだある病原あるいは病因が確定したと言える段階ではございません。後ほど御質問がありましたらお答えできるかと思いますが、そういう状況であります。
 それから、臨床の面におきまして、診断の基準と申しますか、指針と申しますか、これを制定いたす作業をいたしまして、大体これができました。この病気は一部でいわれているようにはなはだあいまいな病気ではなくて、臨床的にはかなりはっきりした疾患であるということは、病理学の面から申しましても、臨床の面から申しましても異論のないところでございます。
 それから、治療の点につきましても、従来ステロイド・ホルモンであるとかいろいろございましたが、いわゆるATP、ニコチン酸アミドの大量点滴療法という新療法をさっそく取り上げまして、そうしてそれについての効果率といったようなものが、たとえば三百十九名の患者について五二%の有効率というようなふうに出ておりますが、そういうような成果が得られております。
 そういうことで、この病気の本体の究明というのはまだまだこれからの問題でございますが、その上にさっき相良参考人が指摘せられましたように、社会医学的な問題というのは確かにこの協議会においていままでは検討しておらなかったものでございまして、そういうものも含めて今後究明する問題がまだ多々ございます。私どもこの病気の重大性ということを肝に銘じて日夜研究して、現在一日も早くその本体と治療その他の事項を明らかにしたい、こう考えております。
 終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#231
○倉成委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。箕輪登君。
#232
○箕輪委員 きょうはお忙しいところを、しかも相良さんはおからだの御不自由なところを国会にまでおいでくださって、貴重な参考意見の御陳述をいただきました。両参考人に対しまして厚く御礼を申し上げたいと思います。両参考人、また厚生省も来ておられるようですから、厚生省の村山局長に御質問いたしたいと思います。
 まず、厚生省にお尋ねをいたしたいと思いますが、さきの衆議院予算委員会等で総理大臣及び厚生大臣からスモンについての研究の促進と並行して、患者さん方に対する対策を検討する旨の答弁が行なわれたわけでありますが、その後どの程度その検討が進んでいるか。もしその検討が進んでいるとすれば、その検討の内容はどのようなものであるか、お尋ね申し上げたいと思います。
#233
○村中政府委員 先般の予算委員会で総理及び厚生大臣がお答え申し上げましたスモンの患者の対策につきましては、従来も私どもいろいろ検討をしてまいりましたが、なかなかむずかしい問題が根底にあるわけでございます。たとえばスモンという疾病を取り上げる場合、それに関連する、あるいは経済的にも、あるいは精神面でも、相当似通った重大な疾病があるわけでございまするが、それとの関連でスモンをどういうふうに判断するかというふうな問題がございまして、私自身も苦慮をしておるわけであります。しかし、総理及び大臣の御答弁にもありますし、私どもも現在鋭意内容についての検討をいたしております。方向といたしましては、たとえばすでにございます医療保険あるいは世帯更生資金の貸し付け制度あるいは生活保護といったような一連の経済的な負担軽減、あるいは生活の安定というふうな面についての現行制度との関連の中でできるだけこれを活用してまいりたい。しかも不足の分をどうするかというふうな関連の中での検討を現在いたしておるわけでございます。
#234
○箕輪委員 方向としては大体その検討の方向がわかったのですけれども、ただいま相良参考人からもお話があったように、ことしに入ってからもすでに五人の方々が自殺をなさっている、こういう話を聞きますと、早くその検討を終えてもらって、患者さん方に不安のないような状態にしてあげなければならないと思います。大体ことしはスモン病対策研究費で五千万円予算が通ったはずですが、いま申されたようなことを五千万円の予算で全部できるのかどうか、それは生活保護だとか世帯更生資金だとかいうのは、これは五千万円に含まれないだろうけれども、相良参考人のお話にもございましたように、一カ月二十万円程度かかる。しかも健康保険でもってかかっていても、六万円前後の治療費が一カ月かかるのだということになりますと、私は相当な負担だと思う。大体この五千万円というものは、幾ら要求して五千万円になったのか、一億要求して五千万円になったのか、五千万円要求して五千万円一〇〇%ついたのか、どうですか。
#235
○村中政府委員 スモンの研究費について五千万円でどういうことをやっておるかという第一点のお尋ねでございますが、御指摘のように、先ほど甲野参考人からのお話もございましたが、四つの班を組んでここ四十四年度の研究をやってまいったわけでございますが、先般研究の報告会がございまして、これに私も出席をしていろいろ御意見あるいは報告を拝聴いたしました。この中でも、相良参考人御指摘になりましたし、甲野参考人も御指摘になりましたが、現在の四つの内容を持った研究活動だけでいいのかどうか。たとえば社会医学的な、あるいは心理学的な面も込めたそういう研究もやる必要があるのじゃないか。社会不安を起こし、あるいは患者の個性的な性格の問題も臨床班などでは議論されたようでございますが、こういったものを、もう少し医学より幅を広げた角度からの検討をしてはどうかという趣旨の発言もありまして、先ほど来参考人のお述べになりましたような社会医学的な研究を打ち立てるべきではないかという点がございました。五千万円の中でそういう研究もあわせてお願いしたいと考えておりますが、これは会長であられる参考人もここにおられますし、きょうの国会での御意見等もいろいろ参考にいたしまして、そういう方向の研究もぜひやる必要があると私ども考えております。
 なお、医療費の軽減の問題でございますけれども、これは先ほども触れましたように、関連するその他の疾病の取り扱いの問題がありまして、なかなか困難だと考えますが、これは重ねて今後とも結論が出るような方向で検討してまいりたい、こう思います。
#236
○箕輪委員 ぼくが最後に聞いたのは、五千万円要求して五千万円になったのか、一億も二億も要求して五千万円に削られたのかということなんです。結論から申しますと、五千万円あればこの研究、原因の究明だとか治療の開発だとかいうものができるのかどうか、それを聞きたいために聞いたのです。どうですか。
#237
○村中政府委員 答弁が落ちましてどうも失礼をいたしましたが、御指摘の、要求をいたしました研究費は五千万円でございました。五千万円が最終的に予算化されたわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、四十四年度の研究の中で新しく社会医学的な問題も出てまいりましたが、私はこれは現在の疫学班の活動の中である程度の調査研究はできるものというふうに考えております。
#238
○箕輪委員 甲野参考人にお尋ねいたしますが、いま大体五千万円の予算があれば疫学的またその他の研究は大体間に合うんだというお考えだそうですが、あなたの考えはいかがでしょうか。それは多ければ多いほどいいでしょうが、五千万円の中でやれるかどうか。早く結論を出していただきたいという念願のためにお尋ねを申し上げるわけでございます。
#239
○甲野参考人 先ほどおっしゃいましたように、研究費が多ければ多いほどいいというのは、研究者の側から申しますれば確かにそういうことになります。ただ、五千万円という研究費は、現在の段階では一応充足しているのではないか。ただし、研究の展開いかんによりましては、たとえば高級なサルを使うということは将来当然出てくると思います。そういうような段階にいきますと、これでは足りないということになります。特に施設の問題や何かございまして、たとえば危険動物舎というものがありませんと研究が進まないようなこともありますし、これは何もスモンと限ったことではございませんが、そういう意味におきまして、五千万円で全部できるというものではないと思います。
#240
○箕輪委員 もう一回先生にお尋ねしたいのですが、昨年は御承知のとおり三千五百万円の研究費で、私ども一応の成果があがったと聞いております。これからの五千万円、今年度の研究は大体どういう方向で進められていくのか、お尋ねしたいと思います。
#241
○甲野参考人 お答えいたします。
 まず、先ほど申しましたように、この班は、病原、病理、疫学、臨床の四つの班から成っておりますが、一つの重要なポイントは、この病気がどうして起こるかということでございます。それで、この病気の成り立ちは、いままでの研究の結果から推定いたしますと、非常に単純なものではないと思われます。したがいまして、一つの方向としては、御承知のように感染説ということがありますので、その病原を究明する。それからもう一つの方向は、これは感染症ではない、非感染性の病気である。たとえば公害であるとかあるいは中毒であるという可能性もいまの段階では否定できません。したがいましてそういうほうからもやる。そこで病原の班といたしましては、幾つか犯人らしきものはあがっておりますので、そういうものがはたして病気と関係があるかどうかということを、ぜひ本年じゅうにでも突きとめたいということでございます。
 もう一つは、中毒と申しますか公害と申しますか、そういう面の研究が、まだ開始後日が浅いぜいもございますが、現在まで多少不十分であるということで、そういうところに一つの重点を置いてやっていきたい、こう考えております。
 それからもう一つは、不幸にしてなくなった方の解剖例などにつきまして電子顕微鏡的な研究というのを、他にそういう専門家を入れまして強力にやっていきたい。大体こういうことが病原の解明につながっていくのではないかと思います。
 それから、特に診断の指針というものは一応つくったわけでありますが、今後は臨床班におきましては治療法の研究をやると同時に、治療指針あるいは入院のための基準あるいはリハビリテーションの指針といったようなものを逐次研究し、また出していきたい、こういうふうに考えております。
#242
○箕輪委員 病原の解明関係は、いま先生のお話を聞いておりますと、大体ことしじゅうにめどをつけたいというお話がちょっとあったのですが、これはことしじゅうに大体目鼻がつくでしょうか。これはちょっと先走りかもしれませんが……。
#243
○甲野参考人 お答えいたします。
 私、ちょっと口をすべらしたようなきみもございますが、この病気の原因の究明というのは非常にむずかしいと思っております。つまり、いまの神経の病気というのが、何かのビールスなりあるいは中毒なりで直接そこに起こっているんではなくて、第一次、第二次、第三次の結果をわれわれは見ている。そうしますと、その間をつなげる、つまり全体のスモンというもののストーリーを完結させるには非常な研究が必要ではないか。先ほど申し上げましたのは、現在幾つかの容疑者が線上に浮かんでおるということを申し上げたわけでありまして、それが黒か白かということは、大体今年じゅうに見当はつくであろう。しかし、それがはたして犯人であればよろしゅうございますが、もしこれが犯人でない場合にはさらに研究を継続しなくてはならない場合もあるかと思います。
#244
○箕輪委員 これは先生方一生懸命やってくださっているのですから、あえて御注文をつける何ものもないのでございます。私は、申しおくれましたが、専門の科目は違いますが、私も医者の一人なんです。そういう意味で診断の基準が大体おきまりになったことも聞きました。またことしは治療指針や、またリハビリテーションの指針等もきめていきたい、こういうことでございますが、やはり病原のはっきりしないものについてはこうした治療指針、リハビリ指針というものはなかなかむずかしいだろうと思います。一番急がなければならないのは病原の解明だと思うのです。どうかそういう意味で、また先生方のほうで予算が足りなければ、私ども、これは与野党一致でありますから、これだけの不安を持った大きな社会問題ですから、厚生省を鞭撻しながら、また大蔵省のしりをたたきながら、じゃんじゃん予算を来年度からもつけていきたい、かように考えておりますので、どうかできるだけ早い機会に病原の解明をやっていただきたい、かように考えるわけでございます。
 また、ひとつ厚生省のほうに聞きたいのでございますが、このスモン患者の救済策について、政府はこれからどのように対処していくつもりか、これを聞きたいのです。こうやってことしに入ってからでさえも、まだ半年もたたないのに五人も自殺患者が出ている。これはもう、一つは救済策だろうと思います。これをどういうふうに進めていくつもりか、さっき言ったような現行制度だけでやっていくのか、あるいは新たな何か救済策を特別考えるのか、それについてもう一回お答えをいただきたいと思います。
#245
○村中政府委員 スモン患者の不安の原因として、先ほど来参考人からの御指摘もございましたが、一つは原因がよくわからなくて、そのためにいろいろな社会不安、それが直接間接に患者にのしかかってきて非常に問題を起こしている。もう一点は、医療費が相当かさんで、そのために経済的に非常に難渋をしているという点があげられたようでございまして、私どもも前者につきましては原因の究明をできるだけ早くしていただきたい。同時に、次々出てくる研究の成果が、個々の段階でその評価が変わった形で一般に流布される。たとえば、これがもう決定的な原因である、あるいはこれこそが決定的な問題であるというふうな原因の解明についての正確なPRということが必ずしも十分であるとは思いません。そういうことで、社会不安を除くという意味でも、研究の成果が私ども行政責任者としても正しく受けられるようなPRについては今後も十分努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、医療費の軽減……
#246
○箕輪委員 医療費を聞いているのじゃないのです。救済を現行制度だけでやるのか、あるいはもっと救済制度を考えるのか、それを聞いているのです。
#247
○村中政府委員 救済の問題につきましては、現行の関連する諸制度と、それからスモンの類似疾患との均衡という問題がございますが、来年度以降から何らかの措置をとるというふうなことを私どもとしては検討してまいりたい、こう考えております。
#248
○箕輪委員 ことしは予算がきまってしまったのだし、新しい制度をつくるといったって、ここ一日か二日でもって国会は終わってしまうのですから、これは今年度の問題としてはなかなかむずかしいだろうと思います。しかし、これだけの大きな問題なんですから、来年度からはひとつ――来年度といっても七、八月には予算要求概要をまとめなければならぬのですから、その中でひとつ十分救済策を考えてやってほしい、こういうことを厚生省に要望しておきたいと思います。
 相良参考人にちょっとお尋ねしたいのですが、先ほどの御陳述の中で、社会疎外、さらにまた病院からまで疎外されてまいったというお話があったわけでありますが、病院が疎外したというのは私はこういうふうに解釈していいかどうか、お尋ねをしたいのです。まだ病原もわからない、治療もわからない、そうした治療指針もリハビリテーションの指針も何もない、そういう状態で、スモンの患者であるということだけはわかったが、ここの病院に置いておくことが患者さんの治療のためにはよくないのじゃないか、そういう医者の良心から、他の専門の病院に入れたらどうか、あるいはもっと高度の医療施設の備わったところに行ったほうがいいのじゃないか、そういう医者の良心でしゃべっているような気がするのです。
  〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕
自分も医者なものですからそういうふうに解釈しておるのです。私どもも開業しておったり、あるいは地方の病院につとめておったときには、手に負えないものは長く病院に置くということをしないで、なるべく自分たちの先生だとかあるいは専門の機関のほうへ移そうというふうな考え方になるわけです。その点、ちょっとあなたの御感触を聞いておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#249
○相良参考人 いまの御質問に対して、私どものほうに入ってきたいろいろな手紙、訴え、こういうものは、残念ながらいまおっしゃったこととは違います。
 その中で具体的な例をあげますと、これは医療機関から聞いた話ではないですから、あくまでも想像ですけれども、おそらくスモン患者を治療する、あるいはそこで診療するということは、他の患者に影響を与えるであろうという危倶があるということが一つと、それから非常に病気が長くなる。もちろん、いま御指摘のとおり、原因が不明ですから治療法も確立されてない、こういう点で医療機関としても、一応この病気についてあるいはその患者について自信をもって治癒に当たっていけないというようなことからそういうことが起こると思われます。
 以上です。
#250
○箕輪委員 また厚生省にお尋ねをいたしますが、私は、いま相良参考人からお話があったように、これはいろいろひがみもあるだろうと思うのですが、どう考えてみても、まあぼくらも非常に重態な患者さんがかつぎ込まれてきたときに、もう医者の良心としてどうしても処置のしづらい、自分のところに置いてもどうやって治療していいかわからないというものは、患者さんに誤解されようが、やはり何とかこれをもっと上級の設備のいい病院のほうへ送るということをやるわけです。そうだと思いますが、あなた方のお調べの結果、そうした公的な病院で、あるいは設備の整った大学病院とか、そういうところで疎外した例があるかどうか、これをお尋ねしてみたいと思うのです。どうですか、ありますか。
#251
○村中政府委員 四十四年度で行ないました実態調査の対象病院は、たしか五百に近かった病院だと思いますが、これらの病院に収容され、あるいはこれらの病院の外来を訪れた患者の調査をしたわけでございまして、これは一応診療所ということよりも機能の整った医療機関、病院でございます。これらの中では、ただいま御指摘があったような患者を疎外したというふうな話は私自身聞いておりません。たとえば広島県の国立呉病院のように、もう非常に患者がたよりにして、ぜひそこで治療を受けたいということで、ベッド数を上回ったような収容をする場面があるというような例もありますし、いまそういうことがあるとすれば私ども非常に問題だと思いますので、もう少し実態に触れてみたい、こう考えております。
#252
○箕輪委員 大体、局長さんの答弁のとおりだと私は思うのですよ。しかし、スモンの患者さんの方々が会長さんのところへ寄せている手紙では、必ずしもあなた方の調査の結果どおりではないような感じも受けますので、どうかそういう社会疎外感というもの、少なくとも病院疎外感なんというものを患者さんに持たせるようなことのないような行政的な指導をこれからもつとめてやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 私は、五十五分まででございますから、あと時間が幾ばくも残っておりませんので、最後に一つ御質問いたしますが、いま相良参考人からも話があったように、先ほども申し上げたように、毎月二十万円もかかる、健康保険を使っても六万円ぐらいかかるんだ、こういうお話であります。私は、もちろんその病原がわかれば当然ですけれども、まだわからない今日でも、できればそうした治療の費用というものを、現在も公費負担の制度もあるわけですから、ことしは間に合わなくても、この七、八月ごろまでに書かなければならない来年度予算要求概要、この中でひとつ公費負担ぐらいは勇気を出してやったらどうでしょうか。私はそうやってやるべきだと思うのです。厚生省どうですか。これは大臣がいるといいんだが、大臣いないから、あなた大臣の代理だ、やってください。
#253
○村中政府委員 先ほど来いろいろ御指摘をいただきましたが、スモン患者の非常に精神的なあるいは経済的な負担になっている医療費の問題でございますけれども、事務的な従来の検討の過程の中では、繰り返しになりますけれども、スモン類似の神経系疾患、あるいは費用の相当かさむガンあるいは白血病、いろいろな重症なしかも費用のかさむ疾病があるわけでございますが、それとスモンとどんなふうに交通整理をするかという事務的な問題があるわけでございます。しかし、総理もお答えいたしまして、大臣もお答えしております。私どもといたしましても、何らかの方策をできれば四十六年度予算編成の中で考えるようにそういう努力をしてまいりたい、こう考えております。
#254
○箕輪委員 ちょうど時間になってしまったので、それじゃしょうがない、これで私の質問を終わります。
 どうも参考人の皆さんありがとうございました。どうか自殺患者なんかがあまり出ないように、だんだん前向きでやるそうでありますから、会員の皆さん、患者さんの皆さんに勇気をつけてやってください。私ども一生懸命がんばって、これはあなたさきにおっしゃった超党派で――調査研究機関を設けるかどうかは別としても、超党派でこれは取っ組んでいける問題ですから、どうかひとつ気を落とさないように、あなたのほうから皆さんに御伝達をいただきたいと思います。
 以上をもって質問を終わります。
#255
○佐々木(義)委員長代理 島本虎三君。
#256
○島本委員 社会党の島本です。ほんとうに相良参考人、甲野参考人、いつも御苦労さまでございます。まず日夜いろいろと努力されているほかに、きょう不自由な中を参考人としていらしてくださいまして、心から敬意を表します。なお、私自身もこの対策に当たるために、若干皆さん方に質問しながら政府を督励してまいりたい、こう思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 先ほどからいろいろと御意見なり答弁を聞いておったのでありますが、その中で一つはっきりさせておきたいのがございます。このスモン病は本人の不注意または責めによると思われる病気でしょうか。不可避な病気でしょうか。この辺に対しまして厚生省はどう考えておりますか。
#257
○村中政府委員 お尋ねのスモンにかかるということが、本人の不注意なのかあるいは不可抗力なのかという点でございますが、むしろここに御出席の参考人の甲野博士からおっしゃっていただくほうが専門的ではないかと存じます。私自身がお答え申し上げられますことは、残念ながら原因の究明されていないいまの段階では、これが本人のよってきたる不注意なのか、あるいは本人はいろいろ注意したけれども防げなかったのかという点については、私、どちらかということはちょっと申し上げられません。
#258
○島本委員 おそれ入りますが、甲野参考人から御所見を承りたいと思います。
#259
○甲野参考人 お答えいたします。
 この病気は、先ほどからしばしば言いますように、まだ原因がわかっておりません。しかしながら、これには一つの外部的な原因と、それからおそらく患者さんの体質というような問題も入っていると思います。それで本人が、つまりこの病気は現在ではいわば日本中にある病気でございます。したがいまして、その病原もわからない今日、それを避けて通るということはできないわけでありまして、私はやはり本人の不注意によってかかる病気ではない、つまり不可避の、たまたま運の悪い方がかかる、こういう病気であります。
#260
○島本委員 貴重な御意見だと思います。それで厚生省のほうに、まだ原因もはっきりしない、ましてこれは本人の責めに帰せられるような病気ではないということが発表になりました。月に二十万円ほども治療費がかかるという現在の段階、ただいまも箕輪委員のほうからも公的扶助を考えたらどうだという意見があった。当然いまの場合には、発生してから十四年、高度経済成長政策が実施されるようになったそれと符合するのじゃないか、そして、そういうような中では、農薬でも毒性の強い有機燐剤なんかの生産も急上昇しておったその時期でも当然あるんじゃなかろうか、また有機水銀農薬もそのころはまだ規制がきびしくない時代でもあったんじゃなかろうか、食品の添加物の使用等についても、野放しにしておったその十数年の中にあった時期じゃなかろうか、また抗生物資の乱用等も目立ってきておったころじゃなかろうか、こういうように思うわけです。この十四年間の推移を見ますと、日本の高度成長政策の時点と期せずして一致する。そうなりますと、いまだに原因が不明であり、本人の責めに帰せられる病気でないという以上、研究し、はっきりわかるまでの間は、やはり患者に対しては全面的に公費負担にして、研究しながら早く治療の抜本策を確立してやる、こういう体制こそ、生産力において世界第二位を誇る日本の経済力に該当するような医療のあり方じゃなかろうか、やはり保障体系のあり方じゃなかろうか、こういうように思うわけです。当然これは私だけの考えじゃないと思います。厚生省でも、いまも箕輪委員からもそういう要請がありましたが、私は重ねてこの問題を強く要請しておきたいと思うのです。予算上もございましょう。しかし現に困っている人もいるはずです。そういうような人に対しましては、やはり自殺したり、または世の中から疎外されたりするということは、あたたかい施策がないからです。ですから、これは政治の責めに帰さるべき問題も中にあります。そうなってみた場合には、せめてその一端として、この治療に当たる間、原因も不明なんですから、何をやっていいかわからぬのですから――本人の責めでないのにこういう病気にかかるほど悲惨なものはございません。皆さんのほうでも十分その辺を考えて、原因がわかり処置がはっきりするまで、本人の責めによる問題じゃないのですから、また不注意による問題じゃないのですから、当然全面的に公費負担を検討してみる、こういうような点で、自殺する患者または社会から疎外されているというような心理、これもやわらげるための一つの行政施策として考えてみるべきじゃないか、こういうふうに思います。ほんとうは大臣だったらいいのですけれども、あなた、きょう出た以上、あなたの考えそのものは大臣は決して否定しないと思います。思い切った局長の答弁を承りたいと思います。
#261
○村中政府委員 先ほど箕輪委員にもお答えを申し上げましたが、患者の負担軽減というふうな趣旨から公費によって処置をするという制度は現在も幾つかあるわけでございます。しかし、必ずしもすでに行なわれている制度と、現在の段階で私どもが考えておりますスモンという疾病とは、同列にいかない要素がございます。しかし、いろいろ社会的な問題も起きていることでありますし、また、いま御指摘のような研究その他の点につきましても、まだまだ未解明の問題がたくさんあるわけでございまして、この辺で行政的な措置がとり得るような何らかの方策を今後予算折衝の過程の中で努力をしてまいりたい、こう思っております。
#262
○島本委員 局長も十分御存じのように、公害基本法ができておって、もうすでに関係立法もそれぞれ制定されておる段階です。そして公害と認定された場合には、それぞれの救済方法もあるのであります。しかし、ほとんどこれと同じような状態でありながら何ら救済の手が差し伸べられない、特別な救済の手が差し伸べられない、こういうようなことは、やはりわれわれとしては、為政の立場にある者、また行政の府にあってこれを行なう者は、十分考えなければならないと思います。それで、たとえばイタイイタイ病でも、カドミウムが原因であるとすると、それを排出していると思われるその会社を相手どって裁判にさえ訴えられるのであります。その費用も国のほうで見てやる、勝訴を見通しているのでありますから、そういう手段も講ぜられる。また、有機水銀の場合でも、やはり同じような手段を講じられるのです。進んで厚生省も中へ入って、そうして金額まできめて、こうまでしてやったらどうだと言われる段階なんです。ところが、同じような現状、同じような状態であっても、だれの責めに帰せられるかわからないとしたならば、これは国家の責任じゃありませんか。国家の責任であるとするならば、訴えられるのは国自身じゃなかろうかと思うのです。まだそういうのがないようでありますから、訴えられる前に十分な手だてを講じてやってほしい、こういうようなことを私は強く要請しておきます。
 それと同時に、いま相良参考人のほうからもいろいろお申し出があった中に、私もこれはと思い当たる点があります。専門医療機関を設置して、はっきりわからなくても、こうしたほうがよいんじゃないかという方法もあるはずです。いろいろな方法があるはずですから、そういうような点は、厚生省で指定するなり、また十分調査研究機関と協議された上で、このような一つの専門医療機関を設置してやるということは不可能なことではなかろうと思います。この件についてひとつ特段の努力を私は要望したいと思うのですが、局長、いかがでございましょう。
#263
○村中政府委員 スモンの患者を収容する専門の医療機関の設置という点についての御指摘でございますが、先ほど来いろいろお話がございますように、一部明るい見通しは出てまいりましたが、一体スモンの治療のためにどういう専門科目をそろえるのかという問題が出てまいります。あるいは専門的なそういう技術者が、そういう施設をつくって確保の見通しがあるのかどうか、あるいはそういう施設をつくった場合にどういう設備を整備すべきなのか、問題はいろいろたくさんあると思います。いまここでそのような未解明の問題も含めて、医療機関設置について検討するということは時期が早いような感じがいたします。
 ただ問題は、スモン患者を収容するそういう施設、これは病棟というふうな考え方もありましょうし、あるいは病室の一部という場合もあるでありましょうし、あるいは従来もスモン患者がきわめて信頼をしているという医師とスモン患者との人間関係の問題もあるでしょうし、私はそういう点を考慮いたしますと、なかなか一がいにいまここで専門的な病院をつくるというふうなことについては、はっきりしたお答えを申し上げかねるわけでありますが、考え方として、十分今後の問題として検討をさせていただきたい。問題点としては、ただいま申し上げましたような設備の問題、それから専門家の確保の問題、それから医師と患者との人間関係の問題、いろいろあるようでございますが、この辺をあわせて考えてまいりたい、こう存じます。
#264
○島本委員 これはその設備それから専門医、人間関係、こういうようなのをあわせて十分検討しなければならないと思います。そして、早くこの結論を出してもらいたい、こう思います。できたならば、可及的すみやかに、次期の予算を編成する際にもこの問題を考えてその衝に当たってほしいと思うのです。
 それで甲野参考人にお伺いいたしますが、かつてカドミウムが原因でイタイイタイ病になるということは、国の機関でも全然わからなかった。しかし、萩野というお医者さんがそれをやって、ついにこれがいま公然たる事実となって――その以前から、全然わからぬけれどもそれをやっておって、結局は成功したと思われるようなところまでいっているわけであります。どうかすると、あまりにもこの機関や、それから完全な施設や、それからそれに対する抜本的治療法だとか、こういうのにこだわっておる間に、まさにだんだん自殺していく人がふえたり、社会的な疎外のために孤独になってしまったり、こういうようなことがなおさら病勢をつのらせるような結果にもなりかねないと思います。そういうような点も、イタイイタイ病、いわゆるカドミウムの場合にもあったのでございます。そういうような点等を考慮いたしまして、いまここに、そうならないうちに、あらかじめ専門的な医療機関は設置しておいてもらって、そこで研究しながらでも早く病原並びに抜本的治療方法、並びに患者に対してよい影響を与えるような治療、こういうようなことをやってほしい。これはやってやれないことではないと思うのですが、専門的な立場から甲野参考人に御意見を承りたいと思う次第です。
#265
○甲野参考人 お答えいたします。
 スモンの原因がどういうものであるかということは、先ほどからたびたび申し上げますようにまだわからないわけでありますが、それにつきまして私どもは、非常に自由な立場から、こういう可能性があるのではないかというような御意見を寄せられる方の意見はフランクに聞きまして、そしてそれを検討しております。たとえば農薬との関係、こういう問題も検討しております。最初に申し上げましたように、本年度は農薬の専門家を入れまして検討していきたい、こう考えております。
 なお、ただしカドミウムとかあるいは有機水銀剤の中毒と比較いたしますと、ある特定のたとえば鉱山、工場というようなものとの結びつきというのは、このスモンという病気は希薄でございます。ですから、そういう意味での公害病とは疫学的に考えてかなり考えにくい。もしそういうものが作用しているとすれば、もっと広範囲に広がった、たとえば食品添加物であるとか、あるいは残留農薬というようなことの可能性はあるかと思いまして、そういう方面も検討する予定でございます。
#266
○島本委員 それはおっしゃることはよくわかった。ただ、私が言っているのは、いま局長が答弁されたそのことと付随して、そうなってはっきりわかるまでの間でも、わりあいに専門的な医療機関、こういうようなものを置いて、研究と治療と、それらをあわせながら行なって、患者がそこに自由に行って早くなおるような、少なくとも苦痛をやわらげるような、人間関係をちゃんとそこでつくり上げられるような、こういうような機関が必要じゃなかろうか。これに対してどうなんでしょうかということなんでしたが、前に言ったとはほんとうに貴重なことで承っておいて、これはどんどん進めてもらいたいと思います。つけ加えていまの点についてもう一回お伺いしておきたいと思います。
#267
○甲野参考人 いまの点につきましては、もちろん調査研究協議会といたしましても何ら反対するいわれはございません。
 研究という立場から申しますと、そういう施設のあるところに一定数の患者がおられるということは、研究上の便宜も治療上の便宜もさることながらこれもあると思います。そういう意味で反対はいたしません。もちろん賛成でございます。
#268
○島本委員 では局長、そういうような事態を十分考慮して、次期予算折衝のおり、またはいろいろこれに当たる際には十分検討していただきたい、こういうように思うわけです。この点よろしゅうございますか。
#269
○村中政府委員 協議会を中心にいたしまして、ブロックごとの会合を現在持っておるわけでございますが、そういうところと現地の専門の先生あるいは開業の先生、こういったものの意思の疎通あるいは連携というふうなことは、十分配慮するような協力を今後してまいりたいと思います。
#270
○島本委員 専門医療機関を設置するように強力にこれを要請しておきます。よろしゅうございますね。
 次に、先ほどからいろいろ答弁もあった中で、私は納得しかねる問題が若干ございまして、いかに原因がわからなくても、患者がその病院にかかって、不安のうちに、十分納得しないうちに退院を求められるようなことが事実としてあったならばよろしくないと思います。もしそれが公立の病院であるにおいては言語道断であると思います。また開業医であっても、やはり完全にこれを処置をするために自分の手に負えないんだといっても、どこでこれをやれるか、こういうような状態の中で、まだ十分わからないのに、その人を突き放すようにして、診断を断わるようなことがあったらこれはよろしくないと思います。これは病院なりそれぞれの医療機関に十分厚生省としては注意しておくべきではなかろうか、こう思いますが、どうですか。
#271
○村中政府委員 ただいまのような事実がないことを私は期待しておりますけれども、そういうふうな心配のないように、各都道府県医療機関に対する指導は十分やってまいりたい、こう思います。
#272
○島本委員 そういうふうに心から望んでやみません。
 それと同時に、先ほどの相良参考人のいろいろな御意見等もあったわけでありますけれども、その中で、自殺者がだんだんふえてきているというようなこの事実、これは私どもはこの対策を怠ってはならない、こういうふうに思います。なぜそういうような自殺者がだんだんふえてきているのか、不安を与えているような点がないのか、ほんとうに苦痛に耐えかねての自殺か、その点等十分考慮してやって、あたたかい手を差し伸べてやるべきじゃなかろうかと思うのです。いまもうすでに原因を究明中である、もう近い将来すぐわかるんだ。原因がわかった以上、それに対するところの医療手段、方法も講ぜられるんだ。そうなったら心配要らないのだ、こういうふうなことで励ましと希望を与えてやるべきじゃないかと思うのです。
 私は、先ほどからいろいろな報告を聞いておりまして、社会復帰しようとしているやさきに、いろいろな状態からして希望を失った例もあったようでありますが、こういうふうな点については、やはり私はもっとあたたかく行政的な指導をしてやるべきじゃなかろうかと思うのです。下部末端にはこれに当たる機関もあろうかと思いまするけれども、まして子供を幼稚園にもやれなくなったような人がある、こういうふうなことを聞く場合に、まさにこれは社会問題ではございませんか。私どもやはりこういうふうな点については人間疎外、疎隔というよりも、いまのこの社会の中で人道上の問題にもなる、こういうふうな問題をなぜそのままにしておくのだ、こういうふうな憤激さえ覚えるわけなんです。そういうふうな状態で病院や開業医、医療機関に対しての措置をしてくれるように要請し、そのようにすると言うから了解いたします。進んで今後はこういうふうな人たちが不安にならないような方法を十分講じてやってほしいということです。そして、治療に対しても、今後社会復帰に対して希望を与えるように――これは全然ないわけじゃないのですから、一人ぼっちにしたり疎隔させないようにして十分やるように、下部機関を通じまして指導すべきじゃなかろうか、こう思います。
 こういうふうなことはあってはならないことです。人道上の問題です。聞いたら、自殺者もあったほかに未遂者もまだあるんだということでありませんか。そういうふうな場合には、これをそのままにしておいてはいけません。こういうふうなことの原因、それをただ追及し、これを解明したからいいのだ、こういうふうな問題では決してないわけです。これに対してひとつ相良参考人のほうからも、そのままでけっこうですから、こういうような人道上の問題があるということで、われわれがく然とするわけでありますが、どういうふうにしてほしいのかということにつきましても、ひとつ思いつきでもけっこうです。いままでこういうふうにしてほしかったというのを行政機関に言ってはねられた問題であってもけっこうです。そういうふうな点をここに開陳していただきたいと思います。
 それと同時に、厚生省のほうも、そういうふうなことを十分聞いて、それに対処していただきたい、こういうふうに思いますので、この点よろしくお願いいたします。
#273
○相良参考人 ただいま指摘されたとおり、全くいまおっしゃったとおりだと私どもは思っています。いわゆる不安というものが高じてきて、そこには生きる希望がなくなったというときに自殺というものが起きてくるケースが非常に多うございます。こういう問題でわれわれが当局に訴えるものは、そういうことのないような、先ほども私指摘しましたが、いわゆる抜本的な対策というものに欠けているのだ、それは生物学的な研究、いわゆる原因の究明だけに走っている、これではだめだ。社会的な問題を考慮しながら、どうして配慮なされなかったのだろうかというようなことだと思います。
#274
○村中政府委員 島本委員の御指摘のとおりでございます。ただ、いま相良参考人がお話しのように、原因の究明に走り過ぎたというふうな御意見もございましたが、私はきわめて端的に申し上げますと、原因の究明こそが不安解消の一番の問題だ。ただ問題は、原因の究明ということだけに顔を向けて、その他はそむけるというふうなことがあってはならない。そういうことが間接的にいろいろ不安を起こしているとすれば、そういう問題の除去を今後はかる必要があるだろう。その点につきまして、一個の生物学的な判断を人間にすると同時に、他面、集団的な生活あるいは精神的な人間独自のそういう面にも向けながら、スモン患者の疫学的な研究、究明というふうなことがあわせて調査研究されるべきだ、こう考えております。この点については、先ほど来御指摘のように調査研究協議会でもいろいろ御議論が出て、四十五年度の一つの柱として上がっていると承知をいたしております。この面についても今後いろいろ貴重な御意見が伺われる、こう考えております。
#275
○島本委員 これはいま相良参考人並びに甲野参考人のほうからいろいろ御意見の開陳があり、いろいろな答弁も承って、なおその感を深くしたのでありますけれども、スモン病は、その発生の過程、すなわち時期だとかいろいろな状態から見まして、社会的な災害みたいなものである、こういうふうに思われる節が強いのであります。そうなりますと、取り組み方についても、厚生省はやはりこの問題に対しては、もう特に熱意を持ってこれに当たらなければならない、こう思っておるのであります。これに対しまして、いわゆる調査研究機関は一回結論が出ないということによって解散してしまったという話を聞いたんですが、それは事実ですか。
#276
○村中政府委員 たしか昭和三十九年だったと思いますが、三年間ほど研究班が設置されて、研究をいたした時期がございました。この研究の過程の中で原因の究明に最も必要な新しい患者の発生というのが自然に消えてしまったというふうな事実があって、研究が一とんざをしたというふうに承知をいたしております。
#277
○島本委員 そういうようなところに、熱意がいわば足りなかったということがあとから指摘されるのはやむを得ない。現在はあるのでしょう。再びそれをつくっているのでしょう。そうするならば、続けてこれはずっと検討して結論を出すべきです。途中でこれをやめてしまう、こういうようなことは熱意に欠けるところがある。私はこういうふうにいわざるを得ないのです。まあ大臣もせっかく来ておりますから……。大臣、いまスモン病の話で、あなたが来るのがおそいものだから、局長が――ほんとうにあえて言うと、われわれの言うことの十分の一も答えてもらえない。あなたなら全部答えてもらえるところを、局長たるがゆえに、これはいままでまことに残念だったのです。まずそれを一つだけ言っておきたい、こういうように思うのです。
 いま大臣、このスモン病については二十万円も金がかかっているのです。だけれども、これに対してはまだ調査も不十分である、こういうようなこと。それとあわせて原因もまだはっきりしないということで全部患者負担になっている。いわばこれは発生の過程から一つの社会的災害だ、こう言われてもやむを得ない状態なんです。公害病であるならば、もうすでに大臣も知っているとおり、それぞれの救済立法があるのです。しかしながら、これは公害病であるという認定もまだできないが、実際に社会的な災害なんです。これに対しては無条件で救済してやらなければならないはずなんです。研究費も五千万円程度より本年組んでいない。これに対しての取り組み方は姿勢としてまだ十分でない。こういうふうに指摘してまいったわけです。原因がわかり、この措置が十分できるまで、厚生省としてはその治療、それからその生活、こういうようなものに対して十分に検討されて、これは本人の責めによる病気ではないのですから、不注意による病気ではないのですから、十分政府のほうで公的にこれを見てやるような措置を考えてほしい、こういうようなことを要請してきたのです。局長は、ある程度そのようにやる、そういうようなことですけれども、局長だけでは困りますので、この際、大臣からひとつはっきりと答弁してもらいたいと思います。
#278
○内田国務大臣 参考人の方には御出席、御意見をいただきまして、ありがとうございました。私ども厚生省におきましても、ただいま島本さんからも御発言がありましたように、スモン病の問題につきましては、非常に大きな関心も寄せ、また治療なりあるいはまた研究なりにつきましては、いろいろと努力をいたしてまいりましたが、しかし残念にもまだその診断方法さえも確立していない。いわんや治療方法も確立をされていないというような状況にありまして、その間患者の方々には非常な苦痛を味われておりますことも、重々この国会における委員各位の御意見等からも承知をいたしております。
 そこで、現在までも研究費も支出いたしたり、あるいはまた、政府の関係機関ばかりでなしに、民間の関係の専門家の方々にそれぞれ御参加をいただいたスモン研究調査会というようなものもできておりまして、それらの方々に鋭意研究もしていただいておりますが、ひとつこれに百尺竿頭一歩を進めて、患者の方々の治療上の苦痛にも対処すべきである、そういうことを厚生大臣の私といたしましては考えておりますし、そういう方向で努力をするということを、国会の他の機会におきましても申し上げておる次第でございます。幸い、この八月には明年度予算の概算要求をする、そういう時期にもきておりますので、従来のような研究費の一部をもって治療費の一部が当然カバーもされている面があるということだけではなしに、研究の経費と、それから治療対策のための予算上の課題につきましても、ひとつ一歩踏み出して解決をしたい、こういう熱意を私は持っておるわけであります。
 ただ、スモン病が一番気の毒でありますが、やはり同種の原因、治療法が確立をしていないような他の病気も出ておりますことも御承知のとおりでございますし、それらに対する関係もございますので、なかなかむずかしい面もございますけれども、しかし、むずかしいと言っておったのでは、いつまでも解決いたしませんので、私自身も動き、また役所のそれぞれの職員の諸君を私は督励いたしまして、対策を百尺竿頭一歩を進める、こういうことにいたしたいと思う次第でございますので、どうぞひとつ御了承をいただきたいのであります。
#279
○島本委員 いまいろいろ言われましたけれども、それぞれ研究費は組まれておって、前回三千五百万円、本年度は五千万円でございましょう。それでもまだ十分でないようなんです。いま甲野参考人も、これで十分だというような顔ではないのでありますけれども、この場所では不足だと言えないから、そうなんでございましょう。しかし私は、こういうような本人の責めによらない、いわば社会的災害だ、こう思うような――もう患者が訴えるとしたならば、当然国が訴えられなければならないようなこういう病気に対しての研究費は、金をいとわないでやらせる決意でなければならないと思っているのです。大臣、そうでないとだめですよ。少なくとも、原因がわかり、それが公害病と認定されたものに対しては、あるいは法によって保護されておる。それでなくとも不足な場合には、裁判に訴えてやれる。しかしながら、同じような状態で原因も不明だ。相手もいない。しかしながら発生した時期は高度経済成長政策をとられる時期から急増している。こういうようなことからして、やはり社会的な災害だと思わざるを得ない。そうなりますと、当然これは研究費というものは金をいとわないで十分にやらせて、早く患者の人たちを救済すべきだ、こういうように思うのです。金をいとわないで研究をさせる。こういうようなことばが、どれほど患者を勇気づけるかわからないのです。大臣、あなたのいまのこの答弁一つが、今後自殺者をなくするかもしれない。そうして、いま悲嘆のどん底にある人たちを、社会復帰のために勇気づけるかもしれない。大臣、ひとつこれに対する決意をはっきり申し述べてやってください。
#280
○内田国務大臣 ただいま私が申し述べたとおりのことを――ことばは多くございませんけれども、私もスモン病の状況につきましては、いろいろ承ってもおります。すでに島本さんもお聞き及びのことと思いますが、先般の予算委員会におきましても、佐藤総理大臣も、このことにつきましては、非常に大きな関心を寄せられておりますので、私もそのことによりまして非常に勇気づけられてもおりますので、これはぜひひとつ御意見のあるところに従いまして、私どもも前進をしてまいる所存でございます。
 ただ私が――一言多いということになりますが、いままでの特別措置をしてまいりました他の病気、これは自傷他害といいますか、特別の伝染性の要素などがありますために国が措置していましたと同じような思いを患者の方々に持たせたり、また世間からそういうふうに思われることは、かえって私は不幸の要因にもなることも考えまして、公費制度などにつきましても、それらと違ったタイプでやらなければならないという気持ちもいたしておりますので、そのこともひとつお含みをいただきたいと思います。
#281
○島本委員 ではこれで終わりますが、最後に患者のために、この治療法の中に高濃度の乳酸菌、これが腹部に対しての症状にはいいということが新聞発表に先般あったようであります。これは甲野参考人、こういうようなこと一つでもどれほど患者を勇気づけるかわからないのでございます。これに対しては、研究が進み、相当程度この問題に対する評価もされるような段階ではなかろうかと思うのですが、これはどういうことになっておりますか。
#282
○甲野参考人 お答えいたします。
 この問題は、岡山大学の大藤教授のところでそういうデータが出てまいったようであります。まだ、たとえばニコチン酸アミド、ATPの療法のように協議会全体として取り上げて、ある効果というものを出すまでには至っておりませんが、そういう説を実際の場において今後検討して、もし有効なものであれば、ぜひその結果をできるだけ早い時期に出していきたいと思います。
#283
○島本委員 これで終わります。
 なお、相良参考人はじめ皆さん方、甲野参考人を通じまして患者の皆さんを特に激励して、今後研究も進み、そうして、政府もそれぞれの部署を通じてあたたかい手を差し伸べる、こういうようなことでありますから、ひとつ患者を激励し、そして孤独にならないように、こういうような機関並びに皆さんを通じまして意見をどんどんと出してくれるように、国会では党派を超越してこの問題に対処している、こういうようなことを申し入れて激励してやってほしい、このことを心からお願い申し上げますと同時に、政府当局においても、この抜本的な対策を講ずるために、また、あたたかい手を差し伸べ、患者に対しても、今後自殺者が出るなんというようなことは絶対にないような、こういうような政治的、行政的な手を打ってもらいたい、このことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。御苦労さまです。
#284
○佐々木(義)委員長代理 山田太郎君。
#285
○山田(太)委員 きょうは非常にお忙しいところを相良参考人並びに甲野参考人においでいただきまして、日本だけにしかないこのスモン病に対しての対策の確立のために当委員会へおいでくださったことに対して、まず最初に厚くお礼のことばを申し上げたいと思います。
 そこで、相良参考人はからだのことに御不自由な中をおいでくださっておりますし、先に参考人の方々にお伺いしたいことを済ませまして、そうしてお帰り願って、そのあとで政府当局に質問したいことを続けていきたい、このように存じておりますので、まずさよう御了承願いたいと思います。
 そこで、先ほど相良参考人からの御意見並びに御要望の中に、スモン調査研究協議会の中に保健社会班をつくってもらいたい、そのような要望がありましたが、また私も患者の方々からもよく聞きます。そこで、先ほど当局の答弁では、疫学班の中にそれを設置する予定でありますと、そういう答弁があったようです。しかし、相良参考人のお話は、疫学班の中に設置するということでなくて、別に保健社会班をつくってもらいたいという患者の代表としての要望だったと思います。その点について少々当局の答弁と違います。その点について御意見をひとつお伺いしたい。
#286
○相良参考人 すわったままで失礼します。
#287
○山田(太)委員 どうぞ。
#288
○相良参考人 ただいまのスモン調査協議会の中に保健社会研究班というものをつくってもらいたいというように私が要望した根拠は、スモン病の現在かもし出しておる悲劇、いろいろな悲劇があります。いわゆる社会問題、社会化しておる問題、非常に特異性な問題であります。現在のこういうスモン病という総体的な把握をするならば、あながち原因の究明、それと同時に社会学的な研究もしなければスモンの対策にならないということは、私ははだで感じております。全国を回って、いろいろな人と会った結果、そういう自分のからだから出てきたことばであります。そういう意味で、単なる疫学班の中に入れるというのは、われわれにとっては、私どもの要望を一応形式的に受け入れたというような形にしかとられないような感じがいたします。そこで、最も大事なこの原因の究明と同時に、社会的な問題を防止し、把握する必要からも、こういうものの設置がぜひ必要であるということで申し述べたことです。
#289
○山田(太)委員 参考人の御意見で、同時に当局は予算措置が要りはしないかという点を考慮しておるかもしれませんので、その点はあとで当局にただしていきたいと思います。
 次にお伺いしておきたいことは、スモンは再発、再燃をよくするといいます。また、私もこの目でよく承知してきております。そこで、患者の立場から、社会復帰の状況はどのようになっておるか。先ほど甲野参考人から。パーセントをもって把握した数字の御答弁がありましたが、患者の立場からして社会復帰はどのようになっておるのか。また、どのようなことで疎外されておるか、社会復帰さえも。その点についてひとつ状況を話していただきたい。
#290
○相良参考人 お答えします。
 私は各地の患者と会っておりますが、患者のほとんどがいわゆる再発、再燃を懸念しております。私もそうです。事実、患者、私としてもそうです。そのことが社会復帰というものにたいへん影響しておることも事実です。あとで事実を述べますけれども、社会復帰は治癒した者の約五〇%がそうであるというようなことをいわれておりますが、これは調査の、たぶんそうだったと思います、約五〇%の社会復帰をしておると聞いておりますが、この社会復帰の人たちの中には、肉体的な苦痛を感ずる再燃というものと、もう一つは、いつまた再燃するであろうかという社会不安、生活不安、こういうものが入りまじった心境にあります。例をあげますと、ある女性の方が、幼稚園の先生をしております。この方が治癒しましてつとめていたところが、幼稚園のほうから退職を勧告されたというような事例もあります。こういう周囲からの不安と、自分から出てくる肉体の苦痛という両方の苦痛で悩んでいるのが実情です。
#291
○山田(太)委員 もう一点お伺いしておきたいことは、先ほどから医療機関に対しての要望がありました。また、それについての当局からの答弁もありましたが、一方、患者の立場として、具体的にはどのような医療機関があったらいいかということをお考えになっておるかどうか、その点もお答えしていただきたいと思います。
#292
○相良参考人 専門医療機関の設置ということは、単なる疾病に対する専門医療機関の設置ということを私は言っておるのではありません。それはスモン病患者が医療機関から疎外された事実がたくさんあります。私は全部事実を調べ上げてあります。こういうことから、われわれは治療にさえも行けない状態であります。したがって、安心して治療を受けられる医療機関、そういうものができる医療機関、それと同時に、他の病気も、そういうような似たり寄ったりのものがあると思いますが、全体的な病気の中のスモンということを考えまして、やはり医療センターというものがぜひ必要ではないか、具体的にはそういうことでございます。
#293
○山田(太)委員 もう一点と言いながら、つけ加えて、いまのお答えあるいは御意見から一つ聞きたいのですが、治療にさえも安心して行けない、その点をひとつ、具体的な例があればあげて、お話ししていただきたいと思います。
#294
○相良参考人 一つの例を申し上げます。東京のある開業医の方ですが、ある患者が行ったところ、その前にその方は診断されまして、実はある大学病院に入院しまして、スモンということで診断されまして、そのときに主治医であった方が開業をされたわけです。その入院中にたいへん親切にされた主治医のことが忘れられず、わざわざたずねていった、そして治療を受けようとした。ところが、その先生から、はっきり、私のところではスモン病を見ないことにしております、スモン病を見ると他の人が迷惑しますから、お断わりしまずと言われたという事実があります。
#295
○山田(太)委員 そのような事実があるということは非常に残念なことでもあり、ほんとうに人道的な立場からいっても、また医療法の立場からいっても、非常に残念なことだと思います。これはまたあとで、当局はそれに対してどのような措置を講ずるかということもあわせてお伺いしてみたいと思います。
 そこで、次に甲野参考人にお伺いいたします。
 先ほど、病理的にも、あるいは臨床的にも、スモンという病気はわが国独特の病気ではあるが、非常にはっきりしておる、そこで診断基準をきめましたというお話がありましたが、その診断基準というものはどのような診断基準であるか、ひとつ教えてもらいたいと思います。
#296
○甲野参考人 私が、このスモンという病気がかなり臨床的にはっきりしたものであるというこしを申し上げましたのは、実は今度の、昨年度行ないました全国調査におきまして、五千枚以上のカードを集めて、それを整理、解析いたしました。その結果は、かつてこれは一般の開業あるいは病院の先生からお届け願ったものですけれども、その解析した結果というのは、以前にあるいは最近に、神経病の専門家が集められた統計とほとんどぴたりと一致するわけです。ですから、現在の段階においてはかなりこの知識というのははっきりしておる。しかしながら、診断基準といったようなものはやはり一本化する必要があると考えまして、この半年間ほど調査研究協議会においていろいろ検討を加えました。ただし、まだ病原が判明しておりません段階では、基準というのは少し言い過ぎかもしれないということで、一歩譲りまして、診断指針という形で出すことにしております。ことしは、時々刻々患者を把握するようなカードを配って、毎月の患者を把握してまいることになりますが、このカードに付属さして診断指針を末端まで流すというつもりにしております。
 この指針と申しますのは、専門的のこともありますから、ごく簡単に申し上げますと、二つの項目に大分けにしてありまして、一つは必発症状、すなわち一〇〇%スモンに起こる症状というものを二つあげております。第一は、腹部症状というのが、下痢あるいは腹痛が神経の症状に先立って起こるということであります。第二は、神経症状でありますが、これは急性あるいは亜急性に出てくる。それから第二点は、運動の麻痺とかそういうものではなくして――これはあることもあるのですけれども、主たるものは知覚の障害、特に異常の知覚、足が締めつけられるとか、あるいはぴりぴりするとか、そういうことがある。つまりこの二つの症状がないスモンはないという意味でこれをあげました。
 それから第二点は、参考事項といたしまして、これは必ずしも一〇〇%には出現しないが、こういう症状があればスモンの有力なる診断根拠になる。つまり必発症状の先ほど申し上げました一、二に加えて、それを簡単に申し上げますと、少し専門的にわたりますが、第一は深部知覚障害というものがあります。第二は運動の障害、つまり下肢の筋力低下、そういうことがございます。第三は上肢、つまり手のほうにも軽度の知覚機能障害が起こることがある。それから第四番目には視力の障害あるいは脳の症状、それから精神的な症状、あるいは緑色の舌苔が出る、緑色の便を出す、あるいは膀胱、直腸の障害がある、こういう点をあげております。第五番目としまして、経過は長くかかる、遷延する。そうして再燃、つまり再発することがある。それから第六番目に、血液であるとかあるいは背骨の水、髄液でございますが、こういうものには著明な変化がない。それから第七番目には、子供にはほとんどなくて、中年の女性に多い。こんなような点を診断指針として出しているわけであります。
#297
○山田(太)委員 診断基準あるいは診断指針というのがきめられたようでございますが、この診断基準、ことばをかえて診断指針、この診断指針を周知徹底することによっていま現状の把握された患者数――当然対策を考えていくのには現状の把握がなければならない。私の知る範囲においては、岡山においては、先日の調査の先ほどお話にありました数よりも多い、約二・七倍の実数になっております。高知においても現在六十六名になっております。奈良県の場合は特殊な事情にございますが、これが百七名、ふえてきている。愛知県においても約倍の患者数がいらっしゃる。こういう点から言いますと、この前発表になった数字というものは、まだまだこれから実態を掌握する段階においても相当の努力が要るのじゃないか。と同時に、対策についてもその点は大切なことでございますので、その診断指針を当然有効に生かしていただいて、スモン患者の将来に役立てていただきたいことをまず要望しておきたいと思います。
 そこで、時間の制限もありますので、病原班の問題についての、病気の原因についてのお話は先ほどからありました。また、治療法についても治療指針をつくりたい、こういうお話もありましたが、実は時間を短縮するために簡単に申し上げますと、先ほどの島本委員からのお話がありましたが、岡山大学の大藤教授の高濃度乳酸菌、それからその他椿教授等とありますが、つい先日のことでございます。ここにありますのは実はまだ未発表の、大藤教授をはじめとして、あのスモンの多発地区の井原町の町立病院の院長の紫田博士、御本人が名前を言うていただいてけっこうですという御承諾がありましたので、お話しいたしますが、現在のスモン患者の治療、研究にあたって、百三十二名の患者に当たって、そして治療を進めた結果、ほとんど一〇〇%治癒する、そして再発、再燃もほとんど一〇〇%しない。それにはまず腹部症状、すなわち、先ほどおっしゃった腹痛、下痢あるいは便秘等の時期、ことに初期に、もちろん抗生物質等はききませんが、他の薬剤と併用してもちろんけっこうですが、次の三つだけは欠かせない要件でありますと、そういうことなんです。
 それは何かといいますと、一つには、これは非常に高い薬でございます。価格が非常に高い薬でございますが、ガンマグロブリンを十二ccないし十五cc、一日一回投与して十日間ほど続ける。二つには、先ほどの高濃度乳酸菌、普通の三十倍の乳酸菌製剤を与える。三つには、一時期において腸の洗浄を行なっていく。この三つを他の薬剤と併用しつつ、この三つの条件を百三十二例で治療のデータをとった。大藤教授のお話もありましたが、ほとんど一〇〇%といってもいいほど治癒できる。それから再燃、再発はほとんど一〇〇%しない、こういうことの論文であったと聞いております。専門的なことはわかりませんが、その論文はここにありますが、そういうことについて、これは紫田博士の長年の体験を疑うような気持ちはもちろんありませんが、甲野博士の御見解ですね、そういうこともあるのかどうか、そういう点についてお考えを伺ってみたいと思います。
#298
○甲野参考人 そういう療法が井原温泉病院においてとられておるということは私も聞き及んでおりますが、その成績の、百三十二名で全部有効であったという成績についてはまだ実は聞いておりません。ただし、この調査研究協議会におきましても、初期の腹部症状というものが非常に重要なかぎを握っておるということはかなりはっきりしてまいりました。したがって、そこを適当に治療できれば神経症状への発展を防げるであろうということは言えると思います。したがいまして、有効なものであれば、これはぜひ調査研究協議会の臨床班において追試して、その成績を早く一般に普及したいと思います。
#299
○山田(太)委員 そこでもう一点だけ。原因不明であっても、治療法を確立するということはできるということは、先ほどからのお話の中にもあったと思います。治療法基準なり治療指針なり、その点について協議会においてもどうかより一そうの御努力をお願いしたいと思いますし、早くその治療指針というものも出していただきたいと思うのですが、大体目途はどの辺に置かれておりますか。
 それからもう一つは、協議会の予算が非常に不足しているという話も聞いておりますが、協議会の会長としての甲野参考人に、どのくらい不足するのかということも、できればお話ししていただきたいと思います。
#300
○甲野参考人 治療指針でございますが、これ叶いろいろまあ、先ほどのガンマグロブリン、高濃度乳酸菌であるとか、あるいはATP、ニコチン酸アミドであるとか、有効とされるものが次々と出てまいります。それを逐次取り上げて、そして、これは確かに有効であるということがわかりますれば、その段階において中間においても逐次出していきたい、こう思っております。ATP、ニコチン酸アミドの大量療法については、すでに五二%の有効率ということが出ましたので、これは少なくとも会員には周知徹底するようにしておりますが、さらに一般の医師のほうまで徹底するようにしていきたい、こう考えております。
 なお、研究費の点でございますが、これは先ほども申し上げましたように、それはもっとありますと、公害の問題であるとか、あるいは中毒の問題であるとかいう方面にももっと入っていけると思います。ですが、まあ一応五千万という研究費で何とか私としては成果をあげたいということで、もしこれ以上研究費が増額可能であればそれにこしたことはないということでございます。
#301
○山田(太)委員 最初に申し上げましたように、まず参考人にお伺いしてから、それから政府当局に数点ただしたいことがありますので、参考人の方々には帰っていただいてからと思っておりますが、古寺委員からも一言聞きたいことがあるということですので、委員長の許しをいただいて、関連して聞いていただきたいと思います。
#302
○佐々木(義)委員長代理 古寺君。
#303
○古寺委員 甲野参考人にお尋ねをいたしますけれども、先ほどお話がございました診断基準でございますが、これは去る三月二十日の協議会の総会で発表になった診断基準案からさらに進めて今回できたものでございますか。
#304
○甲野参考人 そのとおりでございまして、すでに三つほど、いわゆるスモンの権威者が出した診断基準があります。必ずしも専門家の間で一致しない点もございます。そういうことで一応三月二十日の段階で出しました基準の案をその後楠井名誉教授を班長とした設立準備会というものをつくりまして、そこで十分検討した結果出たものでございます。大体大筋は違っておりません。
#305
○古寺委員 そういたしますと、今回の診断指針によりまして、大体どのくらいまで診断ができるものでございましょうか。
 さらにこのスモンにつきましては、非常に地域的に多発をする傾向がございますが、今後そういうことは心配ないかどうか、その点について協議会の御意見を承りたいと思います。
#306
○甲野参考人 何%ぐらいのこの診断指針によって診断できるかという御質問ですが、必発症状というのは、一〇〇%そういうものがあれば診断できるということでありますが、それプラスさらに幾つかの症状があるということでございます。ですから、ただしこれは病原がもしわかれば――つまり非定型的なスモンというものもあるかもしれません。それは現段階では診断から漏れますけれども、定型的なスモンについてはおそらく九〇%以上の確度をもって診断ができるのじゃないかと思います。
 それから流行の今後の予測でございますけれども、この病気の流行のしかたというものは、いまのところかなり不規則でございますので、たとえば今年の夏にはやるかどうかということを聞かれても、これはわからないと申し上げるよりしかたありませんが、もし現状のまま放置しておきますと、ここ数年の間にはやはり岡山のような多発がどこかで起こるだろうということは、相当の確率で言えるんではないかと思います。
#307
○古寺委員 これは山田委員の質問とちょっとダブるかもわかりませんが、むち打ち症なんかではサルを三十一匹、チンパンジーも使いまして研究を行なったそうでございますが、現在このスモンの研究について、こういう点については、実際はどうなっているのでございましょうか、十分なんでございましょうか。
#308
○甲野参考人 やはり最後的には、この病原が中毒であれ、あるいは伝染病みたいなものであれ、これを動物実験で確認する必要がありまして、そのためにはやはり人間に一番近いサル、あるいはさらに高等な類人猿といったようなものについての実験が当然行なわれるべきであろうと思います。それで、私ども若干下等のサルについて実験しておりますが、このサルの数はいろいろな制約で非常に十分なものではございません。
#309
○古寺委員 これで終わりますが、十分なサルを、あるいは類人猿を必要とするとすれば、施設その他でどのくらいの予算が必要でございましょう。
#310
○甲野参考人 お答えいたします。
 これはいろいろな規模がありますので、必ずしもいまここでちょっと申し上げられません。しかしながら、現在たとえばチンパンジーのようなものを飼って実験をするという施設は、実は日本じゅうどこにもないものでありますから、もしそういうものをやるとすれば、建物からつくらなければならぬということになりまして、相当膨大な予算がかかるであろうことは言えると思います。
#311
○古寺委員 終わります。
#312
○佐々木(義)委員長代理 相良参考人及び甲野参考人には、御多用中御出席いただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
    ―――――――――――――
#313
○佐々木(義)委員長代理 質疑を続けます。山田太郎君。
#314
○山田(太)委員 そこで参考人の方々への質問を終えまして、政府当局に数点だけお伺いしておきたいと思います。
 そこで、質問を続けていく立場上、先ほどから厚生大臣の御答弁の中にもありましたし、あるいは他の委員の質問の中にもありましたが、予算委員会における佐藤総理並びに厚生大臣の御答弁を明確にもう一度しておいてから、質問を発展さしていきたいと思いますので、一度、三月三十日の予算委員会での佐藤総理の私のスモンに関する質疑に対しての答弁を読ましていただきます。
  〔佐々木(義)委員長代理退席、増岡委員長代
  理着席〕
佐藤総理の御答弁ですが、「とにかくスモン病、これはたいへん気の毒な状態だと思います。ただ状態が気の毒だとか原因が不明だというだけでは救えないと思っております。ただいま具体的に積極的に救済に乗り出せ、特別措置をとれ、こういうお話でございますから、そういう意味で、いまの研究は研究、対策は対策、これは別に分けまして、具体的に厚生省で積極的に検討さすことにしたいと思います。御了承願います。」そこで、このときに、厚生大臣を総理が自分の席へ呼ばれて、そうして同じような答弁を、今度は厚生大臣から再びなさっておるわけです。これは、「いまのスモン対策につきましては、」  これは厚生大臣の御答弁ですが、「総理大臣からもせっかく御答弁もありましたので、厚生省といたしましても、研究、対策と並行しながら何かの対応策をとるように、ひとつ至急に研究をいたしたいと思います。」佐藤総理と同じような答弁をなさっているわけです。そこで、実はなぜこれを読ましていただいたかといいますと、その後自殺なさった方が、四月に山形県で一人、つい先日、五月の八日でございますが、大阪の西淀川区で三十八歳の男性の方が、スモンで、将来への希望を失い、自殺しておられるわけです。このような事態が、これからまだまだひんぱんに次々と起こってきては相ならぬことではございます。しかし、それが非常に予想されることでございます。したがって、ただことばだけではもちろんないのは承知しておりますが、早い措置をここにやっていただかないことには、それを防ぐことはできないというのは当然予想されることです。これについて、その後どのように協議を続けられて、そしてどのような――大臣、お願いしますよ。抽象論でなしに、またいままでと同じような答弁でなしに、それから一歩進んだ、具体的な協議がなされ、どのようにしていこうという方向も当然相談されでなければならないはずです。そこでどのように具体的にこれをやっていくか、特別の対策をどのようにやっていくか。他の疾患とのかね合いもありますのでと、いままでの御答弁の中にもありましたけれども、それは当然きまり切っておることです。ただわが国だけにあるこのスモン対策について総理がこまでせっかく答弁をなさっておるのに、それについての具体策というものが何ら答弁の中に出てこないということは、これは総理大臣を愚弄したことにもなるのじゃないか、同時に国民をも愚弄したことになっていくと思いますので、はっきりした具体策を示してもらいたいと思います。
#315
○村中政府委員 先ほど来今後の対策についていろいろお答えをしてまいりましたが、具体的な内容につきましては、まだここでお答えをする段階にはなっておりません。事務的な検討をいたしておりますが、これはまだ大臣には御報告をいたしておりませんが、方向としては、先ほども触れましたけれども、四十六年度以降で何らかの方法で予算化を努力したい。これは医療費の問題を中心にしてでございます。
#316
○山田(太)委員 大臣には御報告してないということですが、これはもうすでに一カ月有余たっている。これは大臣、全然相談されてないのか、御報告もされないのか、もしそうならば、大臣の所信もお答え願いたい。
#317
○内田国務大臣 予算委員会におきます山田さんと総理大臣並びに私の問答は、ただいまお読み上げになられたとおりで、私もよく記憶をいたしております。
 従来は、御承知のように、この研究費の中で患者の治療に関連する一部の費用を実質的に見てまいる。たとえば薬剤費等を含めまして、やはり患者負担が何十%か残る、三〇%残るとかいうようなこと、あるいはまた五〇%残るようなものもありますので、そういうものを実質的には研究の名においてカバーをしてしまって、少しでも患者さん方の負担を安くするというような、そういう、表にはあらわれない消極的な方法でやってきておるということを私も報告を受けておりますので、私は一応、正直に申して、いまお話もございましたように、いろいろ他の種類の病気との関連もありますので、やむを得ないかとも思っておりましたところが、総理大臣もああいうお気持ちのようでございます。そこで私から当局に対しまして、研究費で一部カバーするということでなしに、患者の医療対策として、別の見地から何らかの方法を考えようではないかということを実は申し渡しておるわけであります。
 私にはまだ何も報告してないということでございますが、いままで私がその報告を聞いてないこともない、私は不満足なものですから、それでいいと実は私は言っていません。
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
それは、たとえば他の病気の際に私からそういうことを申したこともあるのですが、たとえば世帯更生資金をもって処理するとか、あるいはまた生活保護費をもって処理するとか、この際としては、というような話で大蔵省と折衝を進めておるようでありますが、それでは大きく一歩進めたことにならないのでだめだと、こういって私がはね返しておるわけでありますから、当局もたいへん苦しがって、第二段階、第三段階の対案を私のところに持ってきておりません。しかし、私はこの席で公に申し上げておきますが、最終的にはことしの八月の概算要求の際に、これは先ほどわが党の箕輪委員からも御質問があったはずでありますが、もう皆さん方から私も責められるわけであります。しかし大蔵省はなかなかうんと言いませんが、しかし総理のそういうことばを私は大きな力にして、この八月の概算要求の際には、研究費は研究費、またこれに対する特別対策費は特別対策費として勝負をつけるつもりで腹を、実は腹の底で固めております。それのつなぎにつきましても、せっかく当局にいろいろのつなぎの案も研究をさせております、こういうのが皆さまに申し上げ得る段階でありまして、これは箕輪さんにもそのとおりのお答えをいたしておるわけでありますので、これはまたひとつ、来年の概算要求の際には、与党野党皆さま、合わせて力を貸していただきたいと、私は最後の腹をきめております。
#318
○山田(太)委員 厚生大臣の非常に積極的な意欲的な御答弁で、われわれといたしましても党派をこえて、このわが国だけのスモン対策、特別の対策費を予算折衝なさることを応援するにはやぶさかでありません。どうか強力な予算折衝をお願いをしておきたいと思います。
 そこで、やはり一番の問題点は、原因究明、治療法の確立のほかに、患者が一番救済を望んでいる問題は、経済的な問題が第一点と、それから第二点は、疎外されないで安心して治療を受けられるということ、この二点がまず一番大切なことだと思います。その点について、医療機関の設置とかあるいは特別病棟の設置等についての要望も、質問もありました。これは私も当然要望しておきたいと思います。
 そこでそれまでの措置といたしまして、ただいま申し上げましたガンマグロブリン、これは非常に高価な薬でございますが、これが去年の九月か十月ごろに保険薬からはずされたということを、これは事実かどうかは知りませんが聞いております。いずれにしてもいまは適用されてない。もしこれがきちっと治療としての効果があるとわかれば、当然これを、非常に高価な薬であるがゆえに、健康保険薬の中に入れていく意思があるかどうか、これがまず一点。
 それから、それまでの措置として傷病手当、これを結核と同じような特例を認めることができないかどうか、これが二点。
 それから先ほどの参考人の話にもありましたが、差額ベッド、これをやめさせるような措置はできないか、通達なりあるいは政令の変更でできるものはそのほかにどのようなことがあるか、その点もあわせてお伺いしておきたいと思います。
#319
○梅本政府委員 第一点のガンマグロブリンの点でございますが、御承知のように、わが国の社会保険におきましては、一般の国民から保険料を集めまして、それで給付をまかなっております。したがいまして、やはり普遍的に治療効果が明確であるというものを保険給付の内容にするという一つの原則で動いておるわけでございますが、御指摘のガンマグロブリンにつきましては、この薬が製造承認を厚生省がいたしますときに、スモン病に対する薬効がいまのところ認められておりません。そういうことでございますので、おっしゃいましたように、これが明確に普遍的にそういうものにきくということがありましたら保険薬に採用していきたい、こういうふうに考えております。
 第二点の傷病手当金のことでございますが、一般は六カ月で、結核は一年半でございます。しかしこの問題は、御承知のように医療保険の抜本対策が現在審議会で審議中でございますので、やはりすべての疾病とあわせまして審議会の議論になること、こういうふうに思います。その答申を待ちまして対処いたしたいと思います。
 それから差額徴収の問題でございますが、これは本人が希望する場合、それから本人が希望しなくても治療上必要であるということでございましたら、その医師の指令によりましてそのベッドに入れます。ただしその場合には、その差額徴収をしてはならないというふうになっておるわけでございまして、御指摘の点よく事実がわかりませんが、本人が希望しないにかかわらずそういうところへ入れておるという場合には、その具体的な問題といたしまして、各都道府県を指導して、そういうことのないように是正していきたい、こういうように考えております。
#320
○山田(太)委員 これで最後にお伺いいたします問題に移りますが、先ほどの差額ベッドの問題は、強力な指導をお願いしておきたいと思います。
 そこで最後に訴えたい問題は、現在の保険機構が、スモンの例だけでなしに、重病に対してはほとんど無防備であるといってもいい。国民のスモンに対する恐怖感もやはり、肉体的苦痛とかそういうものはもちろんありますが、当然経済的な苦痛というものも非常に多いわけです。これは先ほど御答弁があったとおりです。そこでこの重病に対して、重病にかかったらもう第一巻の終わりだ、このような感じを国民はみな持っております。事実、長期療養を要し、しかもそういう場合治療費を全額負担してもらおうと思えば、生活保護世帯に落ちなければいけない。生活保護世帯になるのにも、テレビがあってはいけないとか、あるいは電気冷蔵庫があってはいけないとか、そのように生活保護世帯になるのさえも非常にたいへんです。この点は、外国の国民は、重病になっても一応の安心感を持っております。国民総生産に対して同じような費用を使いながら、日本の国民は重病になったらもう第一巻の終わりだ。自殺者が次々出ていくということも、非常に残念なことだと思います。
 そこで、先ほどのこともかね合わせて、厚生大臣もこの点に対しては、重病になったら終わりだ、このような国民の考え方を、国の保健行政に安心しておれるという体制に早く持っていっていただきたいことを、スモン病にかこつけてではありませんけれども、要望しておきたいと思います。
 そこで、このスモン病については、これまで一度すでにスモンが終息したので研究班が解散された経緯があります。おそらくやこれからの将来、一時期発生が低くなることがあると思いますが、そのようなことがあろうとも、このスモンが解明されれば、原因不明の病気がほとんど多くは解決するのではないかとさえいわれております。どうか厚生大臣、最後に要望しておきますが、少々患者発生が低くなろうとも、根強い研究体制と救済体制とを強力に確立してもらいたいことを要望しておきまして、厚生大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
#321
○内田国務大臣 御意見、十分尊重いたしてまいりたいと思います。
 ただ、私が先ほども一言多いがという前提で申し上げましたことは、私はこう思いますが、スモンという病気がたいへん危険な病気だ、あるいは伝染性を持っているのだ、したがって、それは国がいろいろな面で取り上げなければならないほどの特別重大な病気であるというような印象を患者の方にも持っていただかないことが非常に大切であるし、また、患者を取り巻く看護をなさる方、周囲の隣人などにも、そういうような危険な気持ちを持たれないように、そういうことを私どもは十分注意しながらやってまいる、こういうつもりでございますので、この点は、どうぞそのことも御理解をいただきたいと思います。
#322
○山田(太)委員 終わります。
#323
○倉成委員長 古寺宏君。
#324
○古寺委員 いまの山田委員の質問に関連がございますけれども、差額ベッドのことでございますが、スモンについては非常に感染説が流れておりまして、そのために個室あるいは二人部屋に入ってくれというふうに病院側がおっしゃるわけであります。そうなりますと、差額を取られている入院室が多いわけでございまして、そのために患者負担が非常に大きい、非常に困っておられる、こういうお話も承っております。あるいはまた、スモンの患者は、いろいろな身体の障害によりまして完全看護の病院に入院いたしましても、付添看護婦を要する。ところが付添看護婦を頼みますと一日に二千円から三千円ぐらい取られる。健康保険の本人であっても、そのために非常に負担が大きい、あるいはせっかく病状がよくなりましてリハビリテーションの段階になりましても、健康保険の適用がないために思うように後保護ができない、こういうようなお話を承っておりますが、こういう点について、厚生省は患者の立場に立った特例を設けて患者を救済するお考えがないかどうか、こういう点について承りたいと思います。
#325
○梅本政府委員 御指摘のまず差額ベッドの点でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、治療上の必要によりまして個室に収容する必要があるというふうに考えられる場合には、差額徴収を行なうべきではないというふうにこちらは考えております。その点、一つ非常にむずかしい問題は、先ほどからもお話があったと思いますが、この病気につきましてはっきりとそういう伝染性の疾患であるかどうかというような点が問題になっておるので、いろいろ不測の事態が生ずるんだろうと思いますが、この点につきましてはよく実態に合うように各都道府県を指導していきたいと考えております。
 それからリハビリテーションの問題でございますが、現在は保険におきまして整形外科的機能訓練に関しましては、機械器具を用いた機能訓練、それから水中機能訓練等が療養の給付ということになっております。ですから、この疾病におきましてもこういうものが必要であるということであれば、当然保険の対象になるわけでございます。
 それ以外の問題につきましては、やはり一定の病気につきましてそういうことを求めるのは非常に困難かと考えます。
#326
○古寺委員 先ほど甲野参考人からもお話がございましたが、新しい診断の指針というものが今回できたようでございます。この診断指針によりますと約九〇%の診断がつくというお話もございましたので、厚生省といたしましても、全国の医療機関にこの診断指針を当然通達を出すべきである、そういうふうに考えるわけでございますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておるか。
 さらにまた、今日わが国の神経内科疾患は、いろいろ不明の病気が非常に多いために、その研究がおくれております。こういう神経内科疾患に対する、ガンの研究所のようなそういう研究機関の設置が今日必要ではないか、私はそういうふうに考えているわけでございます。
 さらにまた、先ほどからの参考人のお話をいろいろ承りますと同時に、今年に入りましてからは七人の方が自殺をしていらっしゃるそうでございます。福井県においては一月の九日に、親子二人の方が自殺をなさっておられます。こういうような患者をいつまでも不安の中におとしいれておくということは、われわれとしては忍びがたいことでございますので、これは患者の救済の立場を超党派でもって考えなければならない。そのために本委員会において決議をすべきであるということを私は委員長にお願いする次第でございますが、ただいまの最後の質問の第一点は局長さんに、第二点につきましては厚生大臣に、最後の点につきましては委員長さんに御答弁をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#327
○村中政府委員 診断基準につきましては、私どもまだ具体的に手元にいただいておりません。しかし近く出るということを協議会のほうから伺っておりまして、これは医師会あるいはその他の医療機関を通じて全国的に周知させるような行政指導はしたいと思います。
 第二点の神経系の疾患の専門病院を考えてはどうかという非常に大きな構想でございまして、はたしてこれが私自身の頭の中で考えてお答えするのが適当なのか、あるいは各大学、医療機関、そういった相互の中で検討する、具体的に申し上げますと文部省、厚生省相談の上でこういったものを考えることが適当なのか、その点は問題が大きいだけにいまここでお答えを申し上げるのはなかなか困難だ、こう考えます。
#328
○倉成委員長 古寺君の御要望の件、理事会において検討いたします。
 この際、暫時休憩いたします。
   午後五時三十分休憩
     ――――◇―――――
   午後六時一分開議
#329
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次回は、明十二日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後六時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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