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1970/03/26 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 文教委員会著作権法案審査小委員会 第2号
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1970/03/26 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 文教委員会著作権法案審査小委員会 第2号

#1
第063回国会 文教委員会著作権法案審査小委員会 第2号
昭和四十五年三月二十六日(木曜日)
    午前十時十三分開議
 出席小委員
   小委員長 高見 三郎君
      河野 洋平君    塩崎  潤君
      谷川 和穗君    松永  光君
      森  喜朗君    吉田  実君
      川村 継義君    小林 信一君
      山中 吾郎君    正木 良明君
      麻生 良方君
 出席政府委員
        文化庁長官   今 日出海君
        文化庁次長   安達 健二君
 小委員外の出席者
        文教委員長   八木 徹雄君
        文 君 委 員 有田 喜一君
        文 君 委 員 伊藤卯四郎君
        文 君 委 員 山原健二郎君
        参  考  人
        (日本放送協会
        法規室長)   青木 幸治君
        参  考  人
        (日本音楽著作
        権協会理事長) 春日 由三君
        参  考  人
        (全国社交業環
        境衛生同業組合
        会長)     加藤幸三郎君
        参  考  人
        (日本民間放送
        連盟専務理事) 酒井 三郎君
        参  考  人
        (日本音楽著作
        家組合委員長) 藤田 正人君
        文教委員会調査
        室長      田中  彰君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 著作権法案(内閣提出第三九号)
     ――――◇―――――
#2
○高見小委員長 これより著作権法案審査小委員会を開会いたします。
 著作権法案を議題とし、審査を進めます。
 本案について、まず参考人より御意見を聴取することといたします。
 本日御出席をいただきました参考人の方々は、日本放送協会法規室長青木幸治君、日本音楽著作権協会理事長春日由三君、全国社交業環境衛生同業組合会長加藤幸三郎君、日本民間放送連盟専務理事酒井三郎君、日本音楽著作家組合委員長藤田正人君、以上五名の方々でございます。
 この際、参考人各位にごあいさつを申し上げます。参考人各位におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。参考人各位におかれましては、十分忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。
 なお、各位に念のために申し上げておきます。御意見を発表される時間はお一人約十五分間程度とし、その後小委員各位からの質疑があればお答えをお願いいたしたいと存じます。また、御発言の際はそのつど小委員長の許可を受けることになっておりますので、以上お含みの上、よろしくお願いいたします。
 それでは、順次御意見をお述べいただきます。まず、藤田参考人からお願いいたします。
#3
○藤田参考人 御紹介いただきました藤田でございます。私は、主として音楽関係の作詞家、詩人、作曲家の第一線に活躍しております作家を三百名ほど集めまして、昭和二十二年に結成しました日本音楽著作家組合の委員長を仰せつかっておるものでございます。本日、こらして私どもの意見開陳の場をお与えいただきましたことを感謝いたします。ありがとうございました。
 私どもは、今回の新著作権法案に関しまして、結論的に申し上げますと、一応みな満足しておるわけでございます。一応満足というような表現ははなはだ穏当でないようでございますけれども、私ども常々われわれの人間界の諸事諸相は最高のものというものは絶対に得られない、次善、三善で満足すべきではないかという考えを持っております。現状に即しまして、次善を最高に持っていく、三善を次善、最高に持っていく、こういう作業をするのが、われわれのいままで見たり聞いたりしておるものでございまして、私どもは今回の新著作権法案に関しましていろいろと、私どもばかりでなくて、使用者側の皆さんも、おそらくは最高のものではないという気持ちは抱いておられるのではないかと思います。しかしながら、七十年間作業してなかったこれを全面的に改正しようという作業が行なわれまして、こうした案が持たれたということは、私どもとしてはほんとうに満足しておるわけでございます。どうぞ、これを今国会で何とぞ諸先生方の御配慮をいただきまして、無事通過さしたいというのが、私どもの念願でございます。
 実は私どもが第一番に考えましたことは、この中に三十条八号という法律がございまして、これはレコードの二次使用に対して規制をしておる法律でございます。これは御承知と存じますけれども、昭和九年に、当時公共事業体として唯一の日本における放送事業であるNHKが主体になって、いろいろとその間の事情はございますけれども、最終的には三十条八号という八号が加わったわけでございます。これが二十年後に至りまして、昭和二十六年に民間放送が発足しまして、その後二、三年たちまして私どもが気がついたのは、実はレコードをかけました場合に、私どもに使用料が入らない。私ども作家はみなうといものでございまして、明治三十二年にこういう著作権法というものが制定されていながら、その著作権法の何たるかも、また自分たちの作品の扱いに関して全然知識がなかったわけでございます。それで連日連夜放送はされながら、使用料がいただけない、一体これはどういうことだろうといって初めて気がつきましたところが、先ほど申し上げました三十条八号というものがありまして、この法律によって、民間放送ができましても、私どもには使用料が入らない。それで結局いろいろと研究いたしました結果、やはりこれはいただくのが本来のあれではないか。いろいろと民間放送の方々とも相談しましたところ、やはりこういう法律があるのだから支払わないということでございました。ただ私どもとしては民間放送の仕打ちはひどいなとは思いましたけれども、悪いという気持ちはなかったわけでございます。ということは、こういう法律がある以上は、いかに何でもこの法律に即してやるんだから、やられた私たちとしても、これは異議がないわけでございます。しかしながら、法律がわれわれにいわば不当であり、こういう法律があっては困るというならば、その法律を改正する手だてをすべきではないかということで、私どもとしては法治国家の国民の一人として、たとえこれは悪法であろうとも法律である、これに従うべきであるというような、私どもとしては純粋な気持ちでやってまいったわけでございます。それで、昭和二十七、八年ごろから私ども作家もおりおり協議いたしまして、音楽著作権協会と共同してこの改正を悲願としてまいったわけでございます。ところが、なかなか国会にこういうお話を持ち運ぶ手だてもございませんで、その後数年たって、昭和三十七年に幸いにして文部省、現在の文化庁でございますけれども、著作権制度審議会というものを組織され、ここで作業を開始されたわけでございます。自後八年間たちまして、ようやく先ほど申し上げましたように、一応満足のいく改正案というものができたわけでございます。われわれとしては、長年の十数年にわたる悲願、願望、こうしたものがようやく夜明けを待ち得るというめどがついたわけで、ぜひこの法案は、今国会で諸先生方の慎重なる御審議の上、われわれの気持ちも御推察いただいて、ひとつよろしく御配意いただきたい、こう私は思うわけでございます。
 私も、実は個人的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、昭和二十七、八年ごろから自分の作家生活を犠牲にしまして、詩人、作曲家の人たちの代表として今日までこれに取り組んでまいったわけであります。私どもが作家生活を犠牲にし、こうしたいわば政治的な問題にまで飛び込むということは、非常につらいことでございます。このつらさも、文化国家日本の将来、また音楽文化の発展、そうしたことを考えまして、一人でもこういうものがわれわれ作家の中におるということを示すと同時に、私の力がいささかでもわれわれの立場、われわれ音楽著作家の生活権、著作権の擁護、そうしたことに役立てば幸いと、私はもって瞑して今日に至ったわけでございます。非常に個人的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、われわれの気持ちというものは私が申し上げたことに尽きるわけでございます。どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。私たちの悲願をどうぞかなえていただきたい、この一言をお願いしまして、私の参考人の最初の意見として申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
#4
○高見小委員長 ありがとうございました。次に、青木参考人にお願いいたします。
#5
○青木参考人 ただいま御紹介いただきましたNHKの青木でございます。著作権法案の御審査にあたりまして、本小委員会にお招きをいただきまして、NHKの意見を申し述べる機会を得ましたことにつきまして、厚く御礼申し上げます。
 私の意見は、三点に分けて申し述べたいと存じます。
 まず、法案全般につきまして、著作者の保護と公共の福祉との関係について申し述べます。
 文化の創造者である著作者と文化の伝達普及者である著作物使用者との関係をどのように考えることが、究極において受益者である国民の利益となり、文化の向上発展に役立つかが大きな問題であります。著作者の私権を厚く保護するということが、文化の創造に大きな刺激を与えることは申すまでもないことですが、同時に、著作物がその使用者を通じて広く、かつ、容易に国民に伝達されることが、著作物本来のあり方であり、公共の福祉の見地からも強く要請されるところであります。著作権法制においては、この両者の適切な調和をはかることが基本的な重要問題であろうと考えます。
 今次改正は、放送の発展、特にテレビジョンという新しい媒体の出現とその急速な進歩発達が大きな動機の一つになっていると思われます。放送は、視聴覚を通じてなされる文化の新しい媒体として存在するものであって、今日では、わが国はもとより世界の貴重な文化財を、全国民に広く、かつ、容易に伝達し、普及する大きな役割りをになっています。さらに、たとえば、テレビ国際中継も常時行なわれるようになれば、テレビ放送の文化面における重要性はますます大きくなるものと考えます。このように、放送は他の文化媒体に比し、広範かつ強力なものとして、その社会的機能も今後一そう増大していくものと考えます。放送が文化の伝達普及面における全国民の共同財として有する特殊性に着目され、格別の御配慮がなされることを希望いたします。
 さらに付言しますと、当協会は、放送法によって設けられた特殊法人であり、全国的な放送網をもって国民に奉仕すべき義務を課せられた公共的な放送事業体であります。また放送の内容についても、豊かで、かつ、よい放送番組を放送することによって公衆の要望を満たすとともに、文化水準の向上に寄与すること等の積極的な努力義務が、特に法律によって要求されております。したがって、新しい文化の育成と普及に役立つような放送の実施、外国のすぐれた文化や海外事情の紹介に特に留意した放送の実施、学校教育あるいは社会教育の充実強化に必要な教育放送の実施、文化の恩恵に浴することの少ない地域への積極的な放送の普及等が求められるわけでございます。
 御審査にあたりましては、特に第三十四条の学校教育番組の放送についての規定、あるいは第三十九条以下の報道利用についての規定、あるいは第六十八条の裁定による著作物の放送についての規定などにつきまして、以上申し述べました放送事業の特殊性を考慮せられまして、特に当協会のような非営利的、公共的な使命を有するものの活動が円滑に行なわれまするよう格段の御配慮を賜らんことを希望いたします。
 なお、ここで、第四十二条の裁判手続等における複製についての著作権の制限の規定、この条文は、第百二条で放送事業者の隣接権にも準用されておりますが、これについて一言申し述べさせていただきたいと思います。
 御高承のとおり、昨年十一月最高裁決定のあった博多駅事件取材フィルム押収問題と相前後いたしまして、各地で捜査当局が放送されたテレビニュースをみずから録画し、これを証拠または捜査資料として使用しようとする事例が続発しております。これらの事例は、いわば公正な刑事裁判の実現のために取材の自由に対する制約がどの程度まで認められるかという、公共の福祉相互の間における比較考量の問題になってくると考えます。ところで、さきの最高裁決定においては、裁判所みずからによる取材フィルムの押収についてさえも、「これを刑事裁判の証拠として使用することがやむを得ないと認められる場合においても、それによって受ける報道機関の不利益が必要な限度を越えないように配慮されなければならない。」としているところであります。
 第四十二条について申しますと、捜査当局が捜査の目的で行なうテレビニュースの録画が、はたして同条の本文にいう「裁判手続のため必要と認められる場合」に該当するかどうか、多少疑わしいとも考えております。また、他面におきまして、テレビニュースを録画されることによってこうむる私ども報道機関の憲法上の不利益については、財産権である著作権の本質から見て、同条のただし書きにいう「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」には当たらないと解されているようであります。第四十二条の趣旨や解釈についてはさておきまして、将来捜査当局が本条を金科玉条として安易にテレビ画面を録画して証拠または捜査資料として使用するようになり、ために報道機関がさながら捜査の下請機関と見られるようになっては、憲法第二十一条の精神は全く没却されることになります。第四十二条の運用にあたりましては、関係当局がさきの最高裁決定の趣旨をも尊重し、かりそめにも本条を利用して報道のための取材の自由を妨げる結果を招来することのないよう、いやが上にも慎重を期すべき旨御配慮賜わりたくお願い申し上げます。
 次に、レコードを放送に使用する場合について申し述べます。
 法案によりますと、現行法第三十条第一項第八号の規定が撤廃され、作詩家、作曲家等の著作社に対しては、いわゆるレコード放送の場合となま放送の場合との区別が全くなくなることとなります。しかしながら、放送事業としては、何らの手当てもないままこのような制度の変更が行なわれることにより、その支払う著作権料の急激な増大による経済的負担の先行きの見通しについてはなはだしい不安の念を抱かざるを得ないものがあります。さきの著作権制度審議会の答申にも、レコードによる放送にかかる「使用料の額、徴収方法については、現状に急激な変動の生じることを避けるよう慎重に配慮されるべきである。」とあるところであり、この法案が実現する暁には、放送事業者に重大な経済的影響が及ぶことが絶対にないように、審議会答申の趣旨の裏づけとなりますような具体的措置がぜひとられますよう、切に要望いたします。
 なお、隣接権制度によるレコードの二次使用についても、審議会の答申に、「報酬の額については、」現在、関係者に存在する慣行をも考慮し、「現状に急激な変更を加えて放送事業者の負担を過大にすることのないように配慮することが必要であると考える。」こういうふうにされております。したがって、著作権の場合に準じた具体的措置がとられますよう要望するものでございます。
 また、本法成立後、施行までの期間があまりにも短い場合は、レコードの放送使用をめぐって関係業界に大きな混乱が生ずるおそれもありますので、十分な余裕のもとに、いま申し述べました具体的措置に基づく文部当局の適切かつ明確な行政指導とともに、当事者が誠意をもって協議を尽くした上で移行すべきであると考えますので、成立から施行までの間に相当な準備期間が置かれることを要望いたします。
 最後に、テレビ固定物の取り扱いについて申し述べます。
 テレビ放送のための固定物は、本来著作者より放送のみについて許諾を得、放送のみを目的として制作され使用されるものであって、フィルムに固定され、劇場その他における一般公開を目的として多数複製され、かつ、反復上映されることとなる映画と比較すれば、製作の目的、使用の実情、視聴の態様、著作者・実演家との契約などの面において、全般的に異質なものと言い得ると考えられます。したがって、審議会答申の考え方にもあるように、映画画面とテレビ画面の単なる類似性から直ちに映画と同一範疇に属するものとせず、これを新しい固定物として別個の観点から把握するのが妥当であろうと考えます。特に、放送のための一時的固定の制度によって生じた固定物に至っては、原著作者との契約関係、その製作に参加する者の意思等から見ても、映画とは全く無縁のものであり、また、放送の特性に基づく当然の手段で、なま放送と同一とみなすべきものでありますので、映画とみなされるものではないと思います。すなわち、テレビ放送のための固定物は、映画の著作物には含まれないこととするようにぜひ希望いたします。
 以上、三項目について私どもの意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)
#6
○高見小委員長 ありがとうございました。次に、酒井参考人にお願いいたします。
#7
○酒井参考人 御紹介にあずかりました民放連の酒井でございます。このたび民放の意見を聞いていただく機会を与えられましたことを、まずお礼申し上げたいと思います。
 私どもとして申し上げたいことはたくさんございますが、時間の関係もありまして、きょうはおもな点五つにしぼって申し述べたいと思います。
 その第一点は、レコードの演奏権の問題でありまして、その有料化については民放の負担に急激な変更を及ぼさないように御配慮願いたいということであります。私たちは文明のルールには従うべきであり、国際的な動向は軽視できない、使ったものは払うべきであるというふうに考えておりますが、その払い方が問題であると思います。要は何が最も重要かというと、そういう国際的動向と社会の実情、慣行とをいかに調和させるかということであって、理論や法律が先走るということをできるだけ警戒すべきであると思います。この点になりますと、レコードの第二次使用の有料化というものは、三十数年にわたりまして国民社会の慣行といいますか、それを一挙に変革するものであります。したがいまして、法律の実体というものはいままで国民社会と遊離していた、あるいは今度の案は全くなじみにくい点があるのだろうと思います。したがって、その実施にあたっては慎重な配慮が必要であると思います。
 もっとも、他の分野と違いまして、放送事業者は、このレコードの使用の有料化については、いままで実績を持っております。しかし、それにしましても、民放、特に民放のラジオ局というものは、音楽番組のうちの九〇%以上をレコード使用にたよっているのが現状であります。したがいまして、この取り扱いいかんが民放経営に非常な影響を及ぼしてくると思います。そういうことを危惧しまして、著作権制度審議会の答申にも、「現状に急激な変更を加えて放送事業者の負担を過大にすることのないように配慮することが必要である」ということを特に強調しております。
 ところが、答申から満四年たちまして、その趣旨を保証し、実現するような事前の配慮はまだ行なわれていないのであります。もちろん、この法文からは、この問題について著作権の行使がどういう態様で行なわれるかということを読み取るすべはございません。法文そのものから見ますれば、なま演奏とレコード演奏との差は全くないのでありますから、何らかの保証がないと、法文がひとり歩きをする、権利者の側からはなま音楽と同一の要求を受ける、そういうおそれがあります。国会の一部では、法律が成立したあとある期間は猶予をするという経過規定を設けたらどうかというような御意見があった、そういう御配慮があったということも聞いております。そのような経過規定なり附帯決議なり、ぜひ何らかの具体的な手当てをしていただきたい。そして料金の決定は現状に急激な変更を加えない限度においてなされるという保証が示されるよう、御配慮をお願いしたいと思います。
 本来、著作権のような法律は、まず先に社会的な慣行ができておりまして、それが無理がないというところで法律化される方向が望ましいのだと思います。この問題も、実は事前に権利者と使用者との間に調整が行なわれて、事実上解決されているということが必要であったと思います。問題の昭和九年の改正!二十条一項八号が入りましたが、それが入ったときも、そういう事前の了解、解決があったと私どもは聞いております。
 なお、この機会に民放のラジオの現状あるいは将来についても御理解をいただきたいという意味で、一言申し上げます。
 御承知のとおり、民放のラジオは、昭和三十四年を境としまして下降線をたどり、経営が非常に不振なときに入りました。大体一昨年ぐらいからやや上向いてきておりますが、その経営体質というものは、まだ回復期の域を脱しておりません。全体の広告費の中で、昭和三十二年は、ラジオの占めるシェアというのは、一五%ございました。昨年はわずか四%に落ちております。中には民放ラジオ局ができましてから十年たって、一期として利益を計上することができないという社があるのも実情でございます。なお、これは議員各位の方々のほうがよく御承知のことと思いますが、ラジすは国際的電波事情で外国混信が非常に多くなっておりまして、電波行政の基本方針として、郵政当局は、民放のラジオの再編成の方針を示しております。いままでの県域放送というものは、全部FMに変えるのであるという方針を出しております。やがてそうなると、そのための設備投資が相当の負担を民放に課するばかりでなく、AMに比へましてFMの受信機は、これから普及しなければならぬ、そういうFM局の経営の困難、将来の問題、それは十分予測されることでありますから、そういう点も御考慮をお願いしたいと思います。
 第二点は、一時的固定の制度でございます。
 わが国の民放の実情にできるだけ適合させるということでこの規定を設けられた当局の御努力に対しては、敬意を表し、感謝するところであります。しかし、さらに一歩を進めまして、保存期間を固定後六カ月と現在の法案にありますが、これを最初の放送後六カ月と改めていただきたいと思います。放送における録音、録画というものは、局の意向によるよりも、実演家自身の都合によって事前に固定したりすることがあります。また、民間放送は、NHKの全国的なネットワークと違いまして、マイクロ回線あるいは専用電話線、そういうものの不備がございます。それから最近も、各地に一県二社になっておりますが、そのスタートもまちまちであります。そういう事情によりまして、固定した番組の放送期日をどうしても変更しなければならないという場合が非常に多いのであります。また、長期にわたって録画を完了する番組などが、この適用を受けられぬおそれがあります。したがって、最初の放送日を一時的固定の起算点とするのが業界の慣行でありますし、またそういう意味で最初の放送後六カ月というふうに改めていただきたいのであります。
 それから第三点は、いまNHKさんのお話がありました、四十二条著作権制限のうちの裁判手続における複製についてであります。これはいまNHKさんがおっしゃったので、意見は全く同一でありますのでくどくど申し上げませんが、この問題は報道取材の自由ということと真実の発見、裁判の公正というその二つの問題のバランスを個々のケースに従ってどういうようにするか、非常にむずかしい問題であります。しかし、私どもは、放送取材の自由確保ということは、民主主義社会を維持、発展させる基本的な民放の放送局の姿勢であるというふうに考えております。これはむしろ憲法とか法律以前の問題であるというふうにも考えます。したがいまして、表現の自由、取材の自由を侵すおそれのないように、法律の乱用をきびしくひとつ制限していただきたい。
 第四点は、隣接権制度の全面的導入でございますが、これについては十分慎重に検討していただきたいということであります。日本に独得の専属制度とか、プロダクション組織とか、種々雑多なマネージャー制の存在とか、いろいろの問題がございます。実演家の利益が十分に守られるかどうか、非常に疑問にされております。ともかく、レコードの二次使用についてもそうですが、実態調査がどうも少し足りないのではないか。この問題についても、実態調査を十分にされたその基礎に立って十分御審議をお願いしたい。また、アメリカなどは、契約を主体としてその慣行ができておりまして、その慣行にゆだねているというようにしておりますので、時期を見て制度としての採否を検討したらどうかということも言えると思います。
 最後に、著作権法そのものについてではございませんが、これと関連のある、表裏一体であるところの仲介業務法について申し上げます。
 これは、著作権法の改正と同時に仲介業務法の改正を行なう必要があるということを強く主張したいと思います。二つの法律は密接不可分でありまして、切り離して審議するというのは、どうも不適当ではないか。この法律が通りまして、実際にこれが具体化されると、仲介業務法による仲介業務機関とその性格とかいうことが非常に問題であると思います。制度審議会も四十二年の五月に答申し、その後文化庁もしばしばできるだけ早い機会に改正に着手して、できればこの法案と一緒に出したいということを言われてきたのでありますが、現状ではまだその姿が見えないわけです。きょう春日さんがおいでになっておりますが、春日さんはどういう立場で来ておられるか、どうも私察するに、権利者の代表として来ているのではないかと思います。現在の仲介機関の性格というものは、権利者だけが構成し、そうして独占であって全国ただ一つの機関であるというところに、その運営、活動についてちょっと問題があるのではないか。むしろ仲介機関は第三者の立場で、使用者と権利者との間に立って円滑に著作物の運用をするということが適当ではないだろうか。審議会でもしばしばそういう意見が出ておりますし、また単数で権利者団体であるということについて、これは複数にすべきではないかという意見もずいぶん出ております。現状においては、運営と活動について使用者の意見を直接に反映させる組織というものがございません。この点も法案と関連して十分御検討をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
#8
○高見小委員長 ありがとうございました。次に、加藤参考人にお願いいたします。
#9
○加藤参考人 ただいま御紹介をいただきました全国社交業と申しまして、キャバレー、ナイトクラブ、バーの会長をいたしております加藤幸三郎でございます。本日この問題につきまして、私どもの業界の要望をお聞き入れ願うという機会を得ましたことは、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 実は、本日お伺いするにあたりまして、私この御案内を受けましたのが昨日の午後五時でございまして、ちょうど私も外出をして連絡がとれなくて、それからいろいろこの資料が来ておりますが、それを七時ごろにいただいた、こんなような状態で、NHKさんあるいは民放さんのごとく、順序正しく御希望を述べられましたが、そういう調子に、そんな状態でできませんので、まずもってその点を御了承願いたいと思っております。せめて一週間も期間がございましたら、十分に協議を重ねまして、そうして私どもの希望を各御委員の方にお願いしよう、こう思っておりました。つきまして、私ども業界は、またNHKさんあるいは民放さんと全然その立場も違いまして、放送局じゃいわゆる半官半民みたいな状態でございますが、私どもはいわゆるほんとうの民間業者の中小企業者でございます。
 実は、この著作権問題ということについて、私ども業者は全く無知でございました。これが明治三十三年とかにできた、それも全然知らなかった。そこで、戦後に至りまして、こういう外国からの音楽というものを使用する場合には、その著作者に対して一回幾らなり、あるいはその料金を払わなければならぬということができたということを聞きまして、そこで、こちらにおいでになっております音楽著作権協会というのができまして、そこの指令を受け、またいろいろわからないことは聞いて、そして初めてそんなものができたか――どうも納得がいかないものですから、いままでも再三再四この著作権の問題でトラブルが起きまして、それが告発をせられ、裁判にもなっております。どうしてそうなるかというと、私ども業者は、この著作権というものが腹に入っていないのです。腹へ入っていないものですから、そうじゃない、こういう法律があって、一回幾らという料金を払う義務があるというぐあいで協会からは言われる。業者では、そんなことはわれわれ知らなかったというようなことがたび重なりましたのですが、結論において、では一体その金はどこへいくのですかということなのです。それをただしますというと、それは著作者に対する各位の方にそれが分配される。それをだんだん調べていきますというと、ここに春日理事長さんがおいでになりますけれども、これは私どもの死活問題でございまして、非常に真剣でこの問題を調べたと申しますか、いろいろ聞きただしてみますというと、約七割以上が外国のいわゆる音楽者と申しますか、私どもの使用しておる音楽の著作者のほうにそれがいく。そこで単純に私どもは考えまして、日本は、今日に至りましては、話は余談になりますが、貿易では世界の三番目、生産では二番目というようなほんとうにすばらしい国になりましたけれども、これができ上がる当時というものは、まだなかなか日本の国というものがそこまで発展というのか、富裕と申しますか、楽な状態ではなかった。それにもかかわらず、何ゆえに外国人にどんどんそれを集めて送らなければならないんだというようなことを単純に私どもは考えて、それだによっていろいろなトラブルが起きた、こういう次第でございまして、結論におきましては、この法案が、この前レコードの問題がバー、喫茶はその点から排除されましてでき上がったことは、私どもも承知をしております。それから、この法案がここまでどんどん進んできたことも、私きょう初めて――これは新聞では見ましたけれども、もうこれでほとんどこの法案が通過するような状態か、どうなっておりますか、そこまで来ておるように私はお見受けいたしますが、それも私どもきょう来てびっくりしておる、こういう状態でございます。
 要は、私ども各御委員の方にお願いしますことは、料金の問題、この料金を、これは話は余談になりますけれども、著作者に対して払う義務はありましょう。世界でおやりになっていることですから、日本だけがそれを払わぬというわけにはいきません。それは私どもも承知をいたしておりますから、いまでもそれに従っておりますけれども、その料金というものが、まだ不可解と申しますか、いろいろトラブルが起きる。私どもいまの著作権との間におきまして、事なく約九分通りはそれで済ましておりますけれども、そこにどうもはっきりしない。要は、これがいよいよ立法化されていくということになりますが、料金の問題が先立つ問題だろうと思っております。私どもは、この料金によって私ども業界の死活の問題になってきますので――税金はもうからなければ払わなくともようございますけれども、これは一たんきめた以上は、店が火事であろうと、分散しようと、最後までこれは実行しなければならない義務ができていくのですから、その点をひとつ御委員の方によく御研究をお願いしたいことと、いま料金が、これをどういうぐあいにおきめになるかということに、私はどうなっていくものであろうと、不安というと言い方は悪いですけれども、東京の場合、大阪の場合、北海道の場合、あるいは四国、九州というようなぐあいにいろいろあるのです。東京におきましても、銀座なら銀座地区は一流のバンドを入れておる。あるいは池袋、あるいは場末へ行けば、それ相当の低いバンドを入れておる。また、地方の四国あるいは九州の果てへ行きますと、やはりどこでももうバンドは入れております。入れておりますけれども、そのバンドの差というものがうんとある。それから客の入る、取る料金も、何段階にもそれが分かれております。さて、これがいよいよ立法化されて、いよいよ法案が通過しますと、料金の問題を私は一番心配しておるのでございます。そこでどうかひとつその問題がきまるというようなことになりました場合は、これはできることですかできないことですか、私もその点はわかりませんけれども、お願いすることは、ぜひひとつこの料金等の決定前には、私ども業者も一枚加えていただきまして――決して私どもも無理なことは申しません。払うべきものは払わなければならないのですから、払いますから、いろいろ業者のほんとうの皆さま方の御存じにならない家庭の事情と申しますか、業界の事情がございますので、その事情を詳しくその節に申し述べまして、そうして各位がなるほどそれなればなというところでひとつおきめを願いたい。重ね重ねお願いすることは、この料金といろ問題につきまして、それが決定前には業者も一枚そこへひとつ加えていただきたいということを切にお願いいたします。
 それからいまの状態のことは、もうこれから変わっていくのですから申しませんが、現在ではまことにそれは、秩序が守られているには違いないのですけれども、三国人のごときは、強いもの勝ちで非常に反発心を起こして、中には払わないやつもある、けつまくるやつもある。それから実に従順にして何でも従っていくものは、それによって取られる、というと言い方は悪いですが、支払いをしていく。強いものがちであって、まるっきりその点が、非常に不可解な点が多々あります。もう三国人のごときは、なかなかもって――中には全うせられる方もありますけれども、どうもトラブルの起きる問題を分解していくと、結局三国人が多いように私は思っております。この点もひとつ頭に置いていただきまして、そうしていまの料金の徴収方法を明瞭簡単に、なるほど、これはそうであろう、これはそうである――要はいまの国税なら国税の税率、所得なら所得と申しますか、あるいは源泉課税なら源泉課税で、一割なら一割給料から払うというように、これを明朗化したものにしていただきたいことをお願いすることと、それからその料金を、現在はレコードを一枚、これが一回二百円になっていますが、これは協会のほうと私どもとがお願いしまして、そこはもう常識的の値段でいまは円満にやっておりますけれども、いざこれが一朝事が起きて法廷に持ってきますというと、一回二百円というものはものをいいまして、結局、業者はばく大もない負担をそこにかけられる。それがためにつぶれた業者もあるのでございます。その点もひとつ御考慮していただきたい。
 それから、ただいま民放さんが仰せになりましたのですが、仲介業者の複数という問題でございますが、現在におきましては一本で、いまの場合は非常に調子よくと申しますか、ぐあいよくやっております。また、めんどうも見てもらっております。けれども、これはもう私の申し上げる場合でもなく、各先生方のほうが、それは本職でございまして御存じでございましょうが、独禁法というものが、おそらくこれが一本立ての独断でそれを差配するというようなことは、これはできぬだろうから、おそらくこれは複数になるんじゃないかということは、私ども業者みなそれはそう思っておりますが、それはどういうことになりますか。現在においては、私は一本で、この扱いで、これからいかにきまってもめんどうというのか、指導してもらうということになればけっこうだと思っておりますが、その点もひとつ……。現在の理事長なりあるいはそこに携わっておいでになる役員の方がおいでになるうちは、非常に個人的な問題になりますが、これは非常に調子がよいけれども、世の中というものは移り変わりでどういうぐあいに変わっていくかわかりません。その場合にとんでもないことになってはいかぬということが私らの頭にもありますので、この点もひとつお願いしたいと思います。
 いま申し上げましたごとく、研究と申しますか、調べるひまもなく、原稿一つもなしで上がったようなわけでございまして、ただ値段というものがきまる場合には、最低の生活のできる値段、いわゆるそろばんのとれる値段でそれをおきめをひとつ願いたい。それには、ぜひともひとつ業者も一枚加えていただきたいということを切にお願いをいたしまして、社交の代表としてのお願いにかえる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
#10
○高見小委員長 次に、春日参考人にお願いいたします。
#11
○春日参考人 社団法人日本音楽著作権協会の理事長をいたしております春日でございます。本日、先生方に私どもの意見及び希望を聞いて、いただく機会を与えていただきましたことに、心からお礼申し上げます。
 私は、実はこの五年間、日本音楽著作権協会の理事長をいたしておりますが、その前三十年間は、いわゆるNHKにおりまして、放送番組をつくっておりましたので、著作権については、使用者の立場にもございました。現実に著作権の担当の責任者をしたこともございます。それから、三十七年以来文部省の著作権制度審議会の委員もさしていただいておりますので、そういう三つの立場をひっくるめまして、本日最初に申し上げたいことは、現在提出されております新しい著作権法というものに、全面的に賛成し、一刻も早く御審議の上、通過させていただきたい、こういうことを申し上げたいと思うのであります。
 その賛成のおもな三点は、第一点は、外国並みに著作権が本人の死後五十年間存続する。いままで日本だけが三十年、あるいはそれから二、三念ずつ延ばしてまいりましたが、そういう形になっておりますが、ほぼ世界の大勢は五十年でございますので、その点がまず賛成でございます。
 第二点は、直接私の仕事に関係しております現在の法律の三十条一項八号というものが撤廃されて、なま音楽でも、レコード音楽の場合でも、いわゆる財産権としての著作権料というものが支払われる。これも世界の大勢でございますので、われわれの長年の念願でもございましたので、賛成いたす次第であります。
 それから第三点の著作隣接権というものができまして、実演家の方々にも著作権に類するある程度の権利が発生し、使用料が入るという点につきましても、これは現実に放送関係ではすでに再放送の場合には出演謝金の三分の一程度が支払われているという現実もございますので、その現実をむしろ法制化するというふうな形と思いますので、この点についても賛成申し上げる次第であります。
 ただ一点、御承知のように、この新しい法律の附則の十四条「適法に録音された音楽の著作物の演奏の再生については、放送又は有線放送に該当するもの及び営利を目的として音楽の著作物を使用する事業で政令で定めるものにおいて行なわれるものを除き、当分の間、」私がいま新法では廃止されていました三十条一項八号が生きているのだという点が、十二分の満足というわけにはいかないわけでございますけれども、これは、先ほど来各参考人が御指摘されておりますように、音楽著作権者の立場でいえばそのとおりでございますけれども、しかし、この社団法人日本音楽著作権協会というものは、その設立目的におきましても、当然仲介業務法に基づいてできておる団体ですが、その目的の第四条で「本会は、音楽的著作物の著作権者の権利を擁護し、あわせて音楽的著作物の利用の円滑を図り、もって音楽文化の普及発達に資することを目的とする。」こういうふうに明言してございますので、必ずしもガリガリに、権利を使われたのだから何でもかんでもよこせというていの団体ではございません。営利行為をやっておるわけでもございませんし、いただいた著作権使用料は全部適正に各権利者のところにお送りしているという団体でございますので、ガリガリに何でもかんでも取ればいいという立場にはない。同時に、私は先ほど来各参考人のおっしゃいました、急激な変動を受けては放送事業は成り立たないとか、あるいは社交環境事業は成り立たないというふうなこともまた理解しているつもりでございますので、この十四条の附則がつくことに委員の一人としても、あるいは音楽著作権協会の理事長としても賛成申し上げ、同時に会員、信託者全体に対して、先ほど酒井参考人が言われましたように、ラジオ放送においてはなま音楽一に対して実にレコードは九倍使っておりますから、機械的に計算すれば、外国並みに計算すれば、現在の著作権使用料の九倍が支払われるというふうなことを期待しがちでございますが、そういうことは期待すべきではないのだということを一生懸命会員にも機会あるごとに申しまして納得を得ておりますので、この十四条は当分の間生きることにはやむを得ない、こういうふうな立場にあるものでございします。
 なお、この際、誤解があるような点もございますので申し上げておきますが、協会の定款自体が、いまも申しましたように、著作権者の保護のほかに、音楽著作物の利用の円滑化をはかって音楽文化の普及発達をはかるのだということを言っておりますのは、いま御指摘のような点を考えておるわけでございまして、独占による弊害というものが起きないような措置というのは、現在の仲介業務に関する法律でも明文で規定しているわけであります。現実に言えば、著作物の使用料規程というのは、文化庁長官の認可にかかっているわけであります。しかも文化庁長官は、その使用料規程を定めるに当たって、認可の申請をいたしますと、それを官報に公告しまして、公告してから一カ月以内に、「出版ヲ業トスル者ノ組織スル団体、興行ヲ業トスル者ノ組織スル団体」、「映画製作ヲ業トスル者ノ組織スル団体」、「「レコード」製造ヲ業トスル者ノ組織スル団体」、この時代はラジオだけですが、「「ラヂオ」放送ノ事業ヲ行フ者」、「其ノ他著作物ヲ利用スル者ノ組織スル団体」は、文化庁長官に右の申請された規程について意見具申することができる。それで公告してから一カ月たちますと、文化庁長官はこの著作物を利用している諸団体の意見を添えて、制度審議会に規程認可について諮問をする。諮問を受けて制度審議会は、審議をした結果を総会にかげて文化庁長官に答申する。その答申を受けて、初めて文化庁長官は認可する。こういうふうな非常に神経のこまかい規定を持っているわけでございますので、著作権協会が独断で使用料をきめたり、独断で値段を上げたりということはできないような規定がすでに現行法でもあるわけでございますし、おそらく追って出されます仲介業務に関する法律の中でも、さらにこの点は、先ほど来各参考人の御意見のあった利用者団体あるいは利用者の意見を聞く具体的な機会あるいはその手段、そういうものを明記することだと思っておりますので、そういう御心配はないんじゃなかろうかと考えております。また運営にあたっても、決してそういうことのないようにいたしております。
 加藤参考人とは円満に協力関係においてこのところ仕事をしておりますが、一点加藤参考人の誤解のあります点は、レコード二百円というのは何かのお間違いで、レコードは三十条でもって現在はとっておりません。なま音楽だけちょうだいしている。しかし、法律的には、レコードを使った場合に、もし著作権侵害の裁判というふうな場合においては、レコードの場合も当然それは法律の訴訟の対象にはなり得るということは、過去の大阪あたりの三国人経営のキャバレーの判決にも判例として出ておりますので、この点は必ずしも全くただというのではありません。現在では少なくとも三十条二項八号が生きておりますので、その点はいたしておりません。
 さらに、るる申し上げておりますように、私どもは新しい法律ができたから、即使用者団体の経営の基盤にひびが入るほどの高額なものをちょうだいしようとは、毛頭考えておりません。ただ、日本でまだなじんでいないといわれます無体財産権、個人個人の作者の権利が営利のために使われた場合には、やはりそれは当然他人の財産権を使うのだから使用料を払うんだという、いわゆる著作権尊重の思想が普及する過程を経て、この附則の十四条がやがて消えていくんだろうというふうな期待もし、かつそういうふうなお願いも申し上げたいと思うのであります。
 ちなみに、笑い話になりますが、外くにの著作権団体は、レコードであろうがなまであろうが、日本の音楽を使った場合には、全部これを取り立てて、わが著作権協会に送ってきてくれています。参考までに申し上げますと、世界じゅうの著作権団体がつくっております国際機関――CISACという国際機関がございますが、二年に一回総会をいたしております。過般、その総会に参りました帰りに、一番大きな著作権団体の一つであるフランスの著作権団体の会長とさるレストランでお昼を食べておりましたら、ちょうどはやっておりました「上を向いて歩こう」という音楽が流れてきました。その会長が片目をつぶって、私に、ムッシュー春日、おれのところはあれも取り立てておまえのところに送っているんだよとにやりといたしました。CISACの国際会議のたびごとに、非常に発達した文化国家である、あるいは経済的に成長した日本だけがレコードを使った場合にはただだというのは、ちょっと時代錯誤だね、どうなんだ、もう法律は直らないのか、もう直らないのかというので、これはたびたび、会議へ行くたびに言われるわけであります。今度の著作権法が通りまして、十四条がついておりますことによって、この次のCISACの会議へ行くと、また片目をつぶられる機会が出てくると思うのでありますけれども、これは私は、やはりその国の著作権尊重思想の普及を待ってということで暫時の猶予を願ってまいるつもりでおりますが、外国の例から言えばそうなんで、しかし私どもは、個人個人の著作者の財産権というものを尊重していただくために、あえて、つまり忍びがたきを忍んでも、この際早く通していただきたい、こういうふうな気持ちにあるわけでございます。
 ちなみに、現在私どもつくっております音楽著作権協会というものは、個人個人で権利を預けている方々が全国で三千九百九十九人、四千人に一人足りないところにございます。それから外国の著作権団体は、実に三十二カ国で三十七の演奏権団体と六つの録音権団体と相互契約を結んでおります。おかげさまで国内作家の作品が非常によくなってき、同時に理解をいただいてその使用度がふえたために、先ほど加藤さんの御指摘になったころと違いまして、四十四年度におきましては、著作権使用料総収入のらち、国内に分配いたしましたものが五三%、外国に分配いたしましたものが四七%で、ここ数年間で外国にたくさん出るという比率が急激に減ってまいりまして、半分以上が国内作家に参るものであるということも申し添えておきます。
 以上、実情を御説明しながらお話を申し上げたわけでありますが、繰り返して申し上げますが、私ども著作権団体に属する者は、個人個人の財産権を尊重してくださるという意味において、新しい法律が一日も早く成立することを心からお願いし、かつ期待いたしまして、私の意見を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
#12
○加藤参考人 二分間ばかりちょっとお願いできませんか。申し上げたいことがあります。
#13
○高見小委員長 いいです。
#14
○加藤参考人 どうもまことに申しわけありません。ただいま春日理事長さんが申されましたが、いまレコードと申し上げましたのは、これはなまの放送でございまして、どうかひとつその点御了承を願います。
 それから、一番重大な問題を実は忘れてしまいました。私どもの業態は、要は、キャバレー、バー、ナイトクラブというものは、飲食をするのが第一の目的でございまして、それに伴う音楽、いわゆるバンドと申しますか、音薬というものは従でございます。そこで、私どもはくれぐれもくどいことをお願いするのですが、いわゆる音楽がなければ営業ができない、あるいは生活ができないというものじゃなくして、飲食が主でございまして、音楽というものは従でございますので、そこで私どもはその値段という点になりますと、くどい話ですけれども、最低のことでひとつお取り計らいを願いたいということをくれぐれもお願い申し上げます。よろしくどうぞお願いいたします。済みませんでした。
#15
○高見小委員長 以上で参考人よりの御発言は終わりました。
 参考人各位には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。本委員会といたしましては、各位の御意見は、今後の法案審議に十分参考にいたし、審査を行なってまいりたいと存じます。ここに厚くお礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
#16
○高見小委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。小林信一君。
#17
○小林(信)小委員 本来ならば、せっかく参考人がああやって意見を述べたのですから、参考人にお聞きすることのほうがいいような気がいたしますが、利害相対するような関係もございまして、小委員長がこういうふうにお計らいしたと思いますが、一番最初の日本音楽著作家組合の委員長藤田さんの御意見の中に、私たちはこの法律が最高のものとは考えないが、しかし、一応次善のものとして、最高のものに到達することを希望を持ってこの法案の成立を期待する、それは私たちだけでなく、使用者側もおそらく最高のものとは考えておらないというような意見があったわけですが、一体何をもって最高のものにするかということを聞きたかったわけですが、文化庁のほうでそういう事情はあるいは御存じかとも思うのですが、御存じであったら聞かしていただきたいと思います。
#18
○安達政府委員 藤田参考人の御意見で、理想的とも言えないけれども一応満足しておる、こういうふうにおっしゃいました、その点は、先般来審議されておりますところの附則の十四条によって、いわゆるレコードによる演奏権が、原則は認められたけれども、当分の間なお全般的に及ばない、そういうことを念頭に置いてのお話ではないだろうかと推察をいたしておる次第であります。
#19
○小林(信)小委員 その程度のものであればですが、もっと本質的なものでこの組合の皆さんが問題を持っておりはしないかという点で聞いたわけですが、文化庁のほうとしてはそういうふうに把握をされておる、こう承っておきます。
 それから二番目の、日本放送協会法規室長という肩書きの青木さんの御意見ですが、あのフィルムの提供問題をめぐっての意見が、わずかでございますが述べられておりますが、この法律をつくって、この法律を守る立場としては、いまのような意見に対してどういうふうに今後希望を持たせることができるかどうか、この法案を基礎にして政府の御意見を承っておきます。
#20
○安達政府委員 第一の点といたしまして、これは民放の関係の方も言われたわけでございますが、レコードの二次使用料と申しますか、レコードの音楽の演奏について権利を認める場合について急激な変動を及ぼさないように十分配慮してほしい。その場合に、従来事前のそういう関係のものがなかった。それで、それに関連して施行期日について慎重な配慮がほしい、こういうことが一つございました。この点につきましては、実はこの法案の作成のころからこれについてのそういう意見もございましたので、昭和四十一年にレコードの二次使用問題懇談会というものを設けまして、日本放送協会、日本民間放送連盟、日本音楽著作権協会、それから音楽著作家組合というような方々にお集まりを願いまして、この懇談会を三回ほど開催をいたしました。
  〔小委員長退席、谷川小委員長代理着席〕
 第一回の会合におきまして、先ほど来述べられましたように、現状に急激な変動を来たさない範囲においてレコードの使用料についての話し合いを進めていこうという基本的な考え方が関係者で了承されておるわけでございまして、その後二回ほどその具体的な方策などについても検討をいたしたわけでございますけれども、一面におきましては、新法というものが成立しない先にそういうことはどうであろうかというような話し合いも出まして、ある程度基本的な考え方においてはおおむね方向は一致したわけでございますが、それならば幾らにするかということになりますと、これはまだその当時といたしましてそこまで入るのは尚早であろうということで、それは煮詰めないままになっているということでございます。この点につきましては、もし法案が成立いたしますならば、早急にその問題についての話し合いをしていただき、それに関連しまして、先ほど春日参考人からございましたような現行法の問題については、十分ひとつ検討をしていくべき問題であろう、こういうように考えておるところでございます。これは第一の問題でございます。
 第二の問題といたしまして、法案の四十二条に「裁判手続等における複製」ということに関連したお話がございました。これはテレビフィルムの裁判手続上の押収の問題に関連しての御発言だと思うわけであります。この四十二条におきまして「著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。」というのがございまして、これについての現行法は、三十条の一項の第九号で「専ラ官庁ノ用二共スル為複製スルコト」という規定がございまして、この現行法の規定は非常に不完全であるから、その中身をはっきり新法において書こうということでこの四十二条が書かれたわけでございますが、その内容は大体現行法と同様になっておるわけでございます。四十二条の規定は、あくまでも財産権としての著作権を制限するということでございまして、著作権者の許諾を得ないでその復製ができるということでございまして、たとえば三十条に私的使用のために複製できる、自分で音楽を楽しむためにその複製ができるというような点においてと同様な考え方によりまして、そういう著作権といえども、個人が使う場合とか、あるいは裁判手続とか、立法または行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には使ってよろしい、こういう趣旨の規定でございます。したがいまして、この規定はいわゆる言論の自由という問題、取材の自由の問題、そういう問題とは関係がない一種の財産権としての問題であるというように御了承願いたいと思う次第でございます。これが第二点でございます。
 それから第三点として、四十四条というのがございまして、「放送事業者による一時的固定」というのがございます。これは先ほどもちょっとお話しございましたが、放送事業者がこの放送の許諾を得たという場合において、それを放送のために一時的に録音、録画していくということができるとい年規定でございます。これはいわゆる放送というものの許諾と録音、録画の許諾とは別なものであるという考え方で、通常であるならば、放送の許諾があり、そして録音の許諾があって、録音し、放送することができる、こういう二つの権利があるわけでございますが、放送の許諾を得た場合には、その自分の放送のために、自己の手段等により一時的に録音、録画していくことはよろしいということの制限規定でございして、これは同時に実演家等にも準用されておるわけでございます。これは一時的に録音、録画して、そうして終わったならばこれを消す、こういう制度でございます。これは現在世界的にも認められている制度でございまして、外国語を使って恐縮でございますが、エフェメラル・レコーディング――エフェメラルというのはカゲロウのようなという意味で、エフェメラル・レコーディングと称するものでございます。したがって、そういうものはなるべく早く消すのだという考え方でございますが、先ほど来民放の関係者もおっしゃいましたような事情もございまして、その四十四条の第二項で、録音または録画の後六カ月をこえて保存することができないけれども、その間は保存してもよろしい、こういうようになっておるわけでございまして、さらにその期間内に放送があったときは、その放送の後六カ月というようになっておるわけでございます。相当の長期間、いわゆる一時的固定物が使われるわけでございます。それならば、その一時的固定物を一体どういうように考えるべきかという問題がございます。これは一時的なものであるから、特別な扱いをして、著作物でもない、何でもないものに考えるという思想も一つあり得るわけでございまして、これはいわばNHKが言われたような考え方になるわけでございます。
  〔谷川小委員長代理退席、小委員長着席〕
 しかしながら、一年も保存されるようなものが、何か性格がわからないもので扱われるということは困る、あるいは最近はこれをVCR、ビデオのカセットに入れていくというような問題になりますと、一体これはいつできたのだという問題も生じてくるわけでございます。したがいまして、これは主として技術的な観点からいたしまして、そういうものは一応映画として取り扱っていくのが一番便宜ではないだろうかということから、この法律では、一応エフェメラル・レコーディング、一時的固定物をも映画の著作物として扱っていくことが、権利者の保護のためにも、また使用上の面においても便利ではないか、こういうような事情で、一時的固定物を、つまり録画したもの、映画に使えるようなものは、これはやはり映画扱いにしていこう、こういうようなことが、先ほどNHKなり民放かうおっしゃったことに関連した私どもの考え方でございます。
#21
○小林(信)小委員 そうすると、青木さんの特に強調した点は、われわれ取材をする者が捜査の下請になるようなことがあってはならない、そういう点がこの法律によって守られるかというような御意見に承ったのですが、政府のほうとしては、言論の自由や取材の自由というものは別にこれでもって規定する必要はない、あくまでも財産権を守るということでいこう、こういろ考えですか。
#22
○安達政府委員 ただいまお示しのように、いわゆる言論出版の自由の制限ということではなくて、まさに著作権、そのつくった人の著作物を保護する。その保護をどのような場合に制限をするかということでございまして、その場合は、著作権者の許諾を得ないで、金を払わなくても使えるというだけでございます。それはちょうど、テレビが流れてきたときに個人がそれを録画する、それと同じようなことにおいて、裁判所が裁判手続のために必要である場合は、個人的な使用の目的でなくても、それは録音、録画しても著作権の侵害にはなりませんとい5だけの話でございますので、これによって取材の自由が妨害される云々の問題とはかかわりがない問題であろうと考えております。こういうことでございます。
#23
○小林(信)小委員 そうすると、著作権でいう財産権というのは、使用料を払うか払わぬかという問題であって、その使用を自分の意思に反して使われる、そのことは財産権を守ることとは違うのだということになるわけですか。財産権の意味というものをもう少し詳しく――いまのような捜査の下請になるという、これは重大な問題ですね。その場合に、著作権法というのは財産権を守るものである、したがって使用料を出すか出さぬかといろ問題について考慮をすればいいので、本人の意思に反してそれを他のものに使用するというふうなことは、これは論外である、この法律は別個の問題であるというふうに解釈をしているわけですか。
#24
○安達政府委員 四十二条に関連しまして、恐縮でございますが五十条を見ていただきますと、「著作者人格権との関係」で五十条が「この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。」ということでございますから、この著作権の制限があるから、当然著作者人格権も制限されるものではない、著作者人格権と著作権とは別ものである、こういうことでございます。したがって、この四十二条において財産権としての著作権が制限された場合におきましても、人格権については人格権が生きておる、こういう考え方が一つございます。したがいまして、その著作物を改ざんしたりすることは許されない、あるいは未公表のものを公表してはいけないとい年ことは、この第二款にございます著作者人格権から当然出てくる問題であるということが一つございます。
 それから第二の問題といたしまして、著作権を制限した場合において、それがどのような場合でもいいというわけではなくて、これは慎重に配慮をいたさなければなりませんので、第五款で、著作権を制限される場合を明記しておるわけでございます。したがって、こういう場合には著作権が制限されるというその一つの場合といたしまして、裁判手続のために必要と認められる場合には、しかも必要と認められる限度――先ほど最高裁の判例もお引きになりましたけれども、無用にやるわけではなくて、必要と認められる限度において複製することが許される。ただし、著作物の種類、用途並びにその複製の部数及び態様に照らして著作権者の利益を不当に害するようなこととなってはならない。非常に部数が多くなったり、あるいはまたその用途が本来の目的以外に使われる、そういうようなことになりますと、これは著作権侵害になるというようなことで、財産権としての著作権を守りつつ、同時にそれが公共の利益のためにある程度制限されることもやむを得ない。しかしながら、人格権は守らなければならない。こういうような思想に立って、この四十二条の規定が設けられておる次第でございます。
#25
○小林(信)小委員 どうもいまの青木さんの問題にしておることと、政府のほうの意見というものとは――非常に政府は簡単に考えておるし、それから青木さんの主張しておる点は、もっと深刻に考えておるんじゃないか。この法律があるがゆえに取材の自由というふうなものが拘束をされて、いわゆる取材をすることが犯罪捜査の下請になるんだ、こういうようなことを言われておったんですが、そういう点がこの法律によって、いまの著作権、財産権あるいは人格権、このどちらからか守られてほしい、守られるべきである。いまのように「必要と認められる場合には」――捜査に利用するというような場合には、たくさんそれを複製することはおそらくないでしょうし、それを長期に使うということはないでしょうが、もうほんとうに自分たちの意思に反してそれが裁判に使われる、そこにも問題があるわけなんです。その点がこの法律では関係ないというのか、そういう点まで及ばないというのか、あるいはそこまでいって初めて財産権あるいは人格権が守られるというのか、その見解をもう少し明確にしてもらいたい    と思います。
#26
○安達政府委員 先ほど申し上げましたように一つは、人格権については影響はない。したがって、未公表のものについては、それなりの許諾を得るなり何かをしなければ、人格権の問題について触れるわけにはいかないということが一つあるわけでございます。この法律は、はっきりと著作者の人格権を保護しておるということが言えると思うのでございます。ただ、裁判手続なり、あるいは立法または行政の目的のために著作権者の利益を不当に害しない範囲内において、この「必要と認められる限度において」その著作権について制限を加えて複製できるとすることは、諸外国の立法例もひとしく認めているところでございまするので、これについては直接言論の自由なり取材の自由の問題とは別個の問題として考えるべき問題である、かように考えておるところでございます。
#27
○小林(信)小委員 今度の最高裁の判決を通して、その具体的な問題を通して、長官、ひとつこの問題について御見解を願いたいと思うのですが。
#28
○今政府委員 著作権の権利の問題でありまして、この著作権におきましても、いま仰せのようなことは慎重にやらなければならないことだと、十分に私はそう考えておりますが、この間の裁判の問題は、あれはむしろ著作権の問題というよりも、まあ刑事訴訟法とかそういうような問題であって、この著作権があるからなにしてはいけないとかいうような、取材の自由まではばむというようなことがあっては、私はこの法律の趣旨に反すると思いまして、これは運用上非常に重大な問題だ、先生の御発言のようなことは、一そう慎重に考えなければならない、私はこういうように考えています。
#29
○小林(信)小委員 この問題は、おそらく今後も――一応文化庁としては御意見を持っておると思うのですが、もっと明確に、われわれに納得できるようなそういう御答弁を得る機会をまたつくらなければいかぬと思うし、われわれとしても、もっとこの点について検討をして御質問を申し上げ、深く掘り下げなければいけないと思うのですが、こういう点も考えてまいりますというと、第一条が、いろいろ御意見がございますように、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ」、またこの受益者というものを考えていくというように、著作権を守るということよりも、もっとその使用者の立場あるいは受益者の立場というふうなことに問題を広げ過ぎるという御意見もあって、ほんとうにその著作権を守るという点で遺憾な点があるということから派生して、こういうところに問題がきておるのじゃないかとも考えるわけです。文化庁長官の御答弁もありましたが、まだまだこれは、もう少し明確にしていかなければいけないと私は思います。最高裁の判決がありましても、実際これは、取材に当たる人たちの気持ちとすれば割り切れないものがあって、いま次長の御答弁にありましたように、それはこの法とは離して考えるべきものであるというふうなことにしてしまうべきか、あるいはそこまでこの法律が保護していくべきかというふうな点も、もっと掘り下げていきたいと思いますが、きょうはこの程度にいたします。なお、御答弁があればお伺いをしますが、ありますか。
#30
○安達政府委員 先ほど申し述べましたように、十二条は、報道の自由、取材の自由との直接の関連はございませんけれども、ここにございますように、「必要と認められる場合」で、しかも「その必要と認められる限度において」複製できるわけでありますから、この「必要と認められる場合」あるいは「必要と認められる限度」を越した場合には、これはやはり著作権侵害の問題になり得るわけでございます。その場合には、もちろんいまおっしゃいましたようなことも十分考慮して、この「必要と認められる限度」の慎重な運用が望ましいのでございまして、これはまた裁判所も、最高裁の判決等もございますから、当然この「必要と認められる限度」というところを十分読んで運用されるようにしたいものだ、かように考えておるわけでございまして、私どもとしても機会あるごとに、そういう趣旨においてこの運用が円滑にできるように十分指導したい、かように考えておるところでございます。
#31
○小林(信)小委員 次に移りまして、民放関係から意見を出されました、酒井さんのお話をずっと通しますと、ここには、民放には問題点が非常にたくさんあるように承りますが、総括して、酒井さんの意見の中で、いままで文化庁のほうで問題点として考えておった点をまとめてお聞きしたいと思うのです。
#32
○安達政府委員 第一の点といたしましては、レコードの演奏権について、これを有料化するといいますか、権利を認めることについては、文明のルールに従うべきであるというようなお話もございましたので、その限りでは民放も、このレコードの演奏権を認めることについて反対ではないということははっきりしたんだというように私はとっておるわけでございます。それから、その料金の問題につきましては、先ほどNHKの場合につきましての御質問の際に申し上げましたように、今後十分間者が協議をし、そして最終的には、文化庁長官の使用料の認可の過程において、十分ひとつ両者が納得できるようなものにしていくべきであるということを感じたのでございます。
 それから第二番目の一時的固定の問題につきまして、一つは、この保存期間を、現在の固定後――録音・録画後六カ月でなしに、最初の放送後六カ月にしてもらいたいということの希望の表明がございました。これは先ほど来の日本の民放の現状からして、まあ民間放送事業者としての意見としてはこういう意見も出るだろうとは思っておったところでありますが、同時に、一時的固定物の保存期間を長くすることは、権利者の保護の面からすればそれだけやや後退するような問題もございますので、一応法案としては固定後六カ月で、国定後の期間内において放送があった場合は放送後六カ月というようにしたわけでございます。そういうような感じをいたしました。
 それからその次に、隣接権制度の導入については早計であるというような御趣旨の発言がございました。これについては、現在隣接権として今度新しい法案に取り入れておりますのは、実演家、放送事業者、それからレコード製作者でございますが、このうちまず実演家の一つの部類でございます音楽に関する演奏、歌唱をする人の問題は、現行法では実は著作権の中に含まれて保護がはかられておるわけでございますが、これは演奏、歌唱であって、いわゆる俳優とかそういうものが入らないというような問題等もございまするし、またそういう実演家を著作者なり著作権者として保護する立法例はございませんので、そういう意味ではやはりこれを新しい制度に移して、しかも実演家の範囲を広めて、そして実演家に与えられる権利の内容を明らかにしていくということが望ましいことだと思うわけでございます。それからレコード製作者につきましては、これは現在も著作権者として保護をしておるわけでありますが、これも著作権で保護することについては問題がございますので、むしろ隣接権者としていくほうがいいのじゃないだろうか。それから放送事業者につきましてその放送を保護するということは、放送事業者としてはこれ自体として特に反対するものもないだろうと思うのでございまして、おっしゃいましたのは、主として実演家を保護することについて、いわゆるその実演家の使用者といいますか、利用者といいますか、民放としてはそういう権利が導入されるとめんとうなことになるというような御危惧から、そういうものに権利を与えないほうがいいのだというお考えがあったかと推察するのでございます。それは別として、アメリカについてまだそういう制度がないというようなお話がございまして、慣行になれておるというお話がございますが、新法におきまして、いまアメリカの国会で審議中の法案についてはこういう制度を導入しようとするような案も出ておるわけでございますので、やはりその導入について時期尚早であるということについては、もうその時期がきておるのではないか。しかも昭和三十六年、一九六一年にできましたいわゆる隣接権条約によって方向が出ておるわけでございまして、十年間たっておりますから、そういう方向に従って隣接権制度を導入することは、尚早であるとは考えない次第でございます。
 それからその次に、仲介業務につきまして、この現行の仲介業務法が昭和十四年でございましたか、できたままになっておりますから、これを新しい著作権法とともに新しいものにしていくべきだということの御陳述がございました。私どもも、著作権法のみならず、仲介業務法も新しいものにすべきだということは同感でございまして、これは四十一年の半年ほどおくれまして答申をいただいたところでございます。したがいまして、われわれとしても仲介業務法というものについて、新しい現代に即したものにする必要があるということは同感でございます。ただ、私どもといたしまして、著作権法のような一つの大きな法律でございますので、これについてひとつ十分御審議等もいただいた上で、その上で仲介業務法というものもそれに即して考えていくということもまた必要なことだろうというようなことで、考え方といたしましては、この著作権法案に続いて仲介業務法の立法化をはからなければならないというように考えておる次第でありまするが、ただ先ほど春日参考人の御陳述もございましたように、現行法においても仲介業務についての規制がかかっておりまして、著作権制度審議会から出されました新しい改正案と現行法とは、根本的な立場であまり異なっていないわけであります。たとえば、仲介業務の許可制とか使用料の認可制度とか、そういうものは依然として導入すべきであるということになっておるわけでございまするし、また仲介団体が単数か複数かにつきましては、現行法もこれは単数でなければならぬとは書いていないわけであります。複数のものがあれば、これを認可することもできるわけでございます。したがいまして、いわゆる法律の全体の体制としては、現行法も、著作権制度審議会で考えられました内容も、それほど大きな差はない。しかしながら、昭和十四年の法律であるから、これを新しくし直さなければならぬということについては、われわれも当然だと思っておるわけでございます。それともう一つは、そのようなことで、たとえば使用者の意向を反映させるような組織というようなこともございますが、これは寄り寄りこの懇談会等も、音楽著作権協会と開きまして、そこに使用者の方々にもおいでいただいていろいろ意見を聞くようにいたしまして、この仲介団体が新しい事態に即応できるように、健全な運営をはかられるように、私どもといたしましても十分指導をいたしたい、かように考えておるところでございます。
#33
○小林(信)小委員 時間がありませんから簡単にお聞きいたしますが、私の酒井さんから受けた説明は、いわゆる民放のラジオ放送は、最近テレビ放送等からだんだんと追いやられて営業不振になっておる、そういうところにもつと法律的に考慮してほしいというようなものが多分にあったような気がいたします。しかし、それは、受信料を取るわけではないでしょう、これはスポンサーに一切ゆだねるわけなんですが、いままで漫然とラジオ放送独善の時代にあぐらをかいておったところに起因があるわけで、やはり民放のラジオ放送というふうなものも、それ自体が放送に改善を加えたりいろいろな新しい構想を持つということのほうが、この際必要でもある。そのほうを怠っておって、法律的に自分たちの生きる道をつくってもらいたいというふうなことは、何か矛盾するような気が私はいたしまして問題点もあげてもらったわけですが、ただ羅列する、その問題点をただそれだけに考えていくということは、法律をつくる場合われわれは考えていかなければならぬ点があるのじゃないか、こういうふうに思います。
 そこで、こまかい点ですが、われわれ民放はそういうような事情であるから、録音をして予定をしたときにそれが使えないというようなこともあって、この保有期間の六カ月という問題も非常に窮屈であるというような意見があったのですが、そういう点なんかは、いまのような事情から出てきておるような気持ちが私はいたします。そんな点も、できたら簡単に御説明願いたいと思います。
 それから仲介業務の問題は、この人が出したからということでなくて、前回もやはり審議の中で問題になりました。政府のほうでは、前の国会に提案をしたときには、これはこの国会は通らぬだろう。したがって、仲介業務法も同時に出すべきであるけれども、どうせ通らぬ法律ならば、しいて仲介業務法を出す必要もない、本法が通るときに仲介業務法も一緒に出そうというようなことを、私どものほうから腹を探っていったことがあります。今回は、政府のほうでも通りそうだという気持ちがあるし、われわれもそれに協力しようとする態勢があるわけなんですが、そうすれば、仲介業務法も私は一緒に出すべきじゃなかったか、いまのような次長の弁解というのは、そのまま受け取るわけにはいかぬような気がいたします。これは意見なんで、いまの民放のラジオ放送が考えておる姿勢というのは、一体これでいいのかどうか、そういう点について、御意見がありましたら聞かしてください。
#34
○安達政府委員 いわゆる著作権というものは無体財産でございまして、こういうものの保護思想が十分行き渡ってない、そういう面でわれわれが努力をしなければならないところは多々あるわけでございますけれども、私どもの考え方からすれば、著作物を使用するということは、余分なものを払うのではなくて、これは当然費用の中に考うべき問題である。したがって、今後民放なりNHKがいろいろ経費を計算される場合には、放送の非常に重要なる費用であるから、これは費用として考えてもらいたい。余分なものを払うのだというものではなくて、放送を出すための設備の投資と同じように、あるいは人件費その他と同じように、いわゆる商売の原料になるものとして考えていただきたいというように、私ども機会あるごとに申しておるわけでございまして、その点については、いま小林先生がおっしゃいましたこととわれわれとは、基本的に全く同一な考えでございます。
#35
○小林(信)小委員 次の加藤幸三郎さんの御意見ですが、ほんとうに著作権というものが重大な関係を持っておるのに、知らないというふうなこしで自分たちが著作権というものを認めようとしない態度が見えましたが、一番最後に、私たちの仕事は飲食が主であって、音楽というのは従である、そういう点を考慮せよ、これは一笑に付するようなことばにもなるわけですが、受益者という問題あるいは使用者という問題を考える場合には、こういう第一条を掲げておく政府側としては、こういうところはやはり考慮しているのじゃないか。いまのことばに対して、ひとつ御意見を承りたいと思います。
#36
○安達政府委員 キャバレー等で音楽を使うのが従であって、食べるもののほうが先だというお話ございましたけれども、私どもの感じでは、やはりそこで食べながら音楽も楽しんでおられると思うわけでございまして、どちらが主であるか従であるか、人それぞれによってまた感覚が違う問題であり、われわれとしてどちらが主でどちらが従であるというふうに考えるのもいかがかとは思っておるところでございます。
 それから、第一条の「文化的所産の公正な利用」という問題でございますが、先般来申し上げておりますように、文化的所産の利用という場合に、これを国民に伝えるための媒体であるところの出版社であるとかあるいは映画会社であるとか、そういうようなものの利用ということよりは、むしろわれわれが言っておりますことは、文化的所産が国民に享受されるという点に重点を置いておるわけでございます。その場合におきましても「公正な利用」ということでございまして、もう何でもかんでも使わせるのだということではなしに、この著作権の制限のところにございますように、基本的にはやはり著作者の権利を不当に害することとなってはならない、したがって、もし金を払うような場合であれば当然金を払う、教科書に使う場合でも、学校教育で使う場合でも、ちゃんと補償金を払うというようにいたしまして、著作物なりあるいは演奏、歌唱なり実演というものを公正に利用するというようなことを言っておるわけでございますので、そういう意味で、特にこういう、たとえばキャバレー等でやる音楽が従であるから、したがって、そういうことを含んで文化的所産の公正な利用に留意するということは、全然考えておらないところでございます。
#37
○小林(信)小委員 私は、そんな何が主であって何が従だというような立場に音楽というものを置かせることが間違いである、もしそういうふうなものを考慮に入れるような法律の制定であれば、これは大きな間違いを起こすのじゃないかという点でいまのことばを扱っていきたいと思うのです。
 最後の春日さんの問題でありますが、いろいろ問題点を指摘するよりも、音楽著作権協会、これはいまほかの団体からも問題が指摘をされたようでありますが、その性格、その仕事の現状、これを簡単でいいですから説明してください。今後の審議の参考にしたいと思います。
#38
○安達政府委員 日本音楽著作権協会は、昭和十四年に社団法人としての設立認可を受けまして、現在著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律によりまして、仲介業務の実施の認可を受けておる団体でございます。取り扱う著作物は音楽の著作物であるということで、会員は約千二百人程度でございます。そしてこの信託者数、会員以外で権利を信託している数が三千四百人、先ほどちょっとお話がございましたが、その程度の会員でございます。この団体は、日本の国内の権利者と同時に海外の権利者団体とも連携をいたしまして、海外の権利者の権利を預かるということと同時に、外国からそういうものを受け取って日本の権利者に配る、こういうような団体でございます。この音楽著作権協会は、そういう仕事をいたしておりまして、昭和四十三年度の全体の使用料収入といたしましては、三十二億円ほどの使用料を徴収いたしまして、それを手数料を引きましてそれから内外の権利者に分配する、こういう仕事をしておる団体であるということでございます。
#39
○高見小委員長 次回は、明二十七日金曜日、午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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