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1970/09/08 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 文教委員会文化財保護に関する小委員会 第1号
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1970/09/08 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 文教委員会文化財保護に関する小委員会 第1号

#1
第063回国会 文教委員会文化財保護に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和四十五年五月十三日(水曜日)
委員会において、設置することに決した。
 五月十三日
 本小委員は委員会において、次の通り選任され
 た。
      小沢 一郎君    久保田円次君
      河野 洋平君    谷川 和穗君
      松永  光君    森  喜朗君
      吉田  実君    川村 継義君
      小林 信一君    正木 良明君
      麻生 良方君
 五月十三日
 久保田円次君が委員会において、小委員長に選
 任された。
―――――――――――――――――――――
昭和四十五年九月八日(火曜日)
    午前十時九分開議
 出席小委員
   小委員長 久保田円次君
      河野 洋平君    松永  光君
      川村 継義君    小林 信一君
      正木 良明君
 小委員外の出席者
        文教委員長   八木 徹雄君
        内閣総理大臣官
        房参事官    二宮  敞君
        文化庁長官   今 日出海君
        文化庁次長   安達 健二君
        建設省都市局都
        市計画課長   久保田誠三君
        文教委員会調査
        室長      田中  彰君
    ―――――――――――――
九月八日
 小委員麻生良方君七月十日委員辞任につき、そ
 の補欠として麻生良方君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 文化財保護に関する件(飛鳥、藤原地区の文化
 財保護に関する問題等)
     ――――◇―――――
#2
○久保田小委員長 これより文化財保護に関する小委員会を開会いたします。
 文化財保護に関する件について調査を進めます。
 この際、飛鳥、藤原地区の文化財保護に関する問題について、文化庁、総理府及び建設省当局から順次説明を聴取いたします。安達文化庁次長。
#3
○安達説明員 飛鳥、藤原地域におきますところの文化財の保存、活用の問題につきまして、まず従来の経過を申し上げたいと思いますが、その前に、飛鳥、藤原地域の全体の概観というようなことをごくかいつまんで申し上げさしていただきたいと思います。
 お手元に資料がございますので、お開きを願いたいと思います。
 お手元に「飛鳥の京」というパンフレットが一つございます。それから「飛鳥・藤原地区遺跡分布略図」というのがございます。それから「飛鳥・藤原地域の意義と現況」、こういうのがございます。
 飛鳥、藤原の地、すなわち、この説明資料のほうで奈良県の高市郡明日香村、及び橿原市及び桜井市の一部が飛鳥、藤原地域と称せられるものでございますが、この地は、いわゆる飛鳥・白鳳時代、すなわち六世紀の末から八世紀の初頭にわたって、わが国の歴史が展開いたしました舞台であり、そこに多くの宮居が営まれてたところでございます。
 この時代は、日本が、仏教をはじめとする大陸文化を受け入れて、聖徳太子の施政、大化の改新、壬申の乱を経まして、大宝律令の制定に象徴される律令国家の基礎を築いたというところの地域でございます。この地域には日本古代史の根幹に関係した遺跡が数多く残されております。その最も重要なものは宮あとであり、当時の宮は天皇一代の間に少なくとも一回は移りかわったというので、この地に営まれた宮は、推古天皇小治田宮と呼びますが、それから皇極天皇の板蓋宮、それから天武天皇の浄御原宮など、総数二十カ所にのぼっているのであります。中でも、この地に最後に営まれた宮居である藤原宮は、わが国で初めて中国の都城制を取り入れた広大な藤原京の中心に位置した大陸式の宮殿であって、都が平城京に移るまでの持統、文武、元明の三代の宮として栄えたところであります。宮に伴いまして飛鳥寺、大官大寺などの官私の寺院が数多く建立され、また蘇我氏や帰化人らの邸宅もつくられたところでございます。そのほか欽明天皇陵や天武、持統両天皇の合葬陵などの天皇陵や、豪族の古墳も点々として存在する。
 これらの遺跡は、南北六キロ、東西三キロの狭小な地域内に互いに境を接し、重なり合って存在するのでございまして、日本全土に遺跡は多いけれども、重要な遺跡がこれほどの密度をもって一つの地区に集中しているところは、飛鳥、藤原の地をおいては他に見られないというように感ぜられるのでございます。
 しかも、今日に残る歴史的景観は、かつて万葉集にうたわれた歴史、風土をいまだ数多く存しておるということで、国民の心の故郷といわれるゆえんにもなっているわけでございます。
 で、この地図でごらんいただきますと、御案内のとおりでございますが、まず大和三山というのがございまして、この地図の一番上にございます耳成山、それから右のほうの天香具山、それから畝傍山、これが大和三山といわれるものでございます。この三山に囲まれたところに藤原京というものが、天香久山のところに点線で横切っているところでございます。それから上のほうに、耳成山と鉄道の線路の間にまた点々がございます。そのところの四角形に囲まれたところが藤原京でございます。その中に藤原宮というのがごらんいただけばあると思います。これが藤原宮と藤原京ということになるわけでございます。
 それから一番下のほうにずっと下っていただきますと、右のほうの端のところに石舞台古墳というのがございます。それからその右ちょっと上に岡寺というのがございます。それからその左のほうに、飛鳥板蓋宮というのが書いてございます。それからもうちょっと左のほうへ行きますと川原寺、それから橘寺というのがございます。それからさらに左に行っていただきますと菖蒲池古墳、それからそのすぐ下に、先ほど申しました天武、持統天皇の合葬陵というのがそこにございます。それからその左のほうへ行きますと、欽明天皇陵、それからこの道路を横切りますと岩屋山古墳等がございます。それからその線をずっと上がっていただきますと見瀬丸山古墳、それから右のほうへ参りますと甘橿丘というのがございます。それからその次の右のところが飛鳥寺、それから飛鳥坐神社というのがございます。それから右のほうに山田寺、それからその左のほうへ行きますと奥山久米寺、それから飛鳥浄御原宮、それから雷丘、それから左に行きますと小治田宮、それからまた左のほうに田中官、それから本薬師寺、それから本薬師手をもう少し右のほうに参りますと紀寺、それからそのちょっと下ったところに大官大寺と岡本宮と後岡本宮というのがあるわけでございます。
 これはこの略図でごらんいただいたわけでございますが、この「飛鳥の京」というパンフレットの裏のほうにある向こうの地図でも大体同じようなところがございます。
 なお、いま甘橿丘の橿は木へんに橿という字を書いてございますので、檮という字は間違いでございますから、甘橿丘というのがほんとうでございます。
 こういうのが飛鳥地域のことでございまして、史跡はどういうように指定されているかと申しますと、この資料の最後の表をごらんいただきますと「別紙」というのがございまして、遺跡の種類につきましては都城跡、宮あとといたしまして、特別史跡に藤原宮がございます。藤原宮の現在の指定は、この地図でごらんいただきますと、まん中に黒く塗ってあるところが現在特別史跡として指定されておるわけでございますが、その外側の一キロ平方の部分が藤原宮の宮城というように推定されておるわけでございますが、現在指定されておるのはそのうちの一部、朝堂院のところに相当する部分だけが特別史跡に指定されておる、こういう状況になっておるわけでございます。それで、都城跡、宮あとでまだ指定されていないものとして、その他の遺跡の中にございますように、先ほどちょっと申し上げました飛鳥板蓋宮、川原宮、豊浦宮、飛鳥浄御原宮、小治田宮――この小治田宮の治は、開墾の墾という字と明治の治という字と両方を書いてございます。それから飛鳥岡本宮というように、ずっとそういう宮あとがまだ遺跡指定されないままになっております。
 それから社寺跡にまいりますと、先ほど申しました山田寺、本薬師寺が特別史跡に指定されておりますが、そのほか大官大寺、それから飛鳥寺、川原寺、橘寺、定林寺、檜隈寺、こういうのが社寺跡として指定されております。なお、指定されてないけれども、重要な遺跡として、その下にありますようにたくさんのものがございます。
 それから古墳といたしましては、石舞台古墳が特別史跡になっております。それからその下にございます五つの古墳が史跡に指定されておりますが、なお指定されていないものとして檜隈大内陵等の遺跡が残されておるということでございます。
 それから由緒地ということで、指定されてないのでございますが、天香具山、甘橿丘、雷丘、飛鳥川その他の由緒地がございます。
 それから、その他、酒船石、亀石というような、これは小さいものでございますが、そういう石等で指定されているものがございますが、なおまだされていないかまあとなどが残されておるというのが現在の史跡の指定状況でございます。
 この地域につきましては、その次のページに開発状況というのがございますが、最近開発が進んでまいりまして、近鉄の大阪線に近いため、大阪の中心部に通勤で四十分ないし五十分ぐらいで行けるという関係になり、宅地造成等が進んでまいりました。この地図でちょっとごらんいただきますと、たとえば先ほど申しました小墾田宮、田中宮のその下のところに石川池(剣池)というのがございます。剣池から菖蒲池古墳にわたりまして、宅地造成が南北二・六キロ、東西三百メートルに及ぶところの広範囲の地域にできておる。それから田中宮付近の水田地帯等にも五万坪の分譲地の造成が行なわれておるということで、大体いま宅地化されておるところは橿原市に属する部分でございまして、その橿原市と明日香村との境界線のところまで宅地化の波が押し寄せてきておるというのが現在の状況になってきたわけでございます。
 このような情勢から考えまして、最近飛鳥、藤原を守る世論が高まってまいったわけでございまして、そういう関係におきまして、去る四月には坂田文部大臣が視察をされまして、それから六月には佐藤総理大臣が現地を視察されて、この飛鳥、藤原地域の保存の必要性につきましてそれぞれのお話がございまして、七月の十四日には文部大臣から文化財保護審議会に、飛鳥、藤原地域における文化財の保存及び活用のための基本方策についての諮問がございました。同時に、この地域には、古都保存法によりますところの歴史的風土といたしまして特別地域等の、あるいは一般地域等の指定もございますことで、七月の十六日には内閣総理大臣から歴史的風土審議会に、飛鳥地方における地域住民の生活と調和した歴史的風土保存をいかにすべきかという諮問がなされたということでございます。そして去る八月十三日に、文化財保護審議会から、五回にわたります審議の結果を一応公表いたしたわけでございます。それがお手元の資料の中の「飛鳥・藤原地域における文化財の保存・活用のための基本方策についての中間まとめ」というものでございます。総理府のほうの審議会なり歴史的風土の関係はあとで御説明があるかと思いますので、簡単に文化財保護審議会における中間まとめの案について御説明させていただきたいと思います。
 基本的な考え方につきましては、先ほど申し上げましたような点で基本方策につきまして四つの点を列記しておるのでございます。一、個々の遺跡だけでなく、それと一体になっている歴史的、自然的景観を含めて、それらを総体として保存、活用の対象とすること。二、保存と同時に活用のための適切な整備を行ない、国民に理解され、親しまれやすいものとすること。三、地域内の住民についての考慮を払い、地域住民が地域の保存に積極的に協力できるよう措置すること。四、保存、整備、活用については、総合計画を立案し、その計画及び実施が一体的に処理され得るよう措置すること、ということでございます。
 それから保存対象区域につきましては、保存対象区域は飛鳥、藤原地域の歴史的意義並びに開発の現況をも考慮し、およそ北は藤原宮跡、香具山から、南は檜前、稲淵に至る区域を考えるべきである。この場合、藤原京と飛鳥京とは歴史上、地域上一体のものであるとの観点から、藤原宮跡と少なくとも藤原京左京南半部にわたる地域を含めることが必要であるということでございます。つまり、この地図で申し上げさせていただきますと、先ほど申し上げましたように、藤原京は点線で囲んだ部分でございますが、この点線で囲んだ部分の中には、先ほど申し上げました後岡本宮とか大官大寺、飛鳥浄御原宮、小墾田宮、そういうものが入っておるわけでございます。それで、この藤原京と飛鳥宮は重畳して一体となっておる。歴史的にも一体となり、地理的にも一体となっておる。そこと、もう一つは、藤原京がこれを四つに割れば、その左京の南半部に当たる部分には飛鳥の部分の遺跡が多いので、この藤原宮と藤原京の南半部と、それから飛鳥の下のほうの遺跡とを一体として保存すべきである。ここのところに一番文化財保護審議会としての重点があるわけでございます。それからなお、いわゆる大和三山に対する展望を確保するために別途の措置を講ずることが望ましいということで、藤原京と耳成山との間に高い建物が建たないようにしたいということでございます。
 それから保存の方法につきましては、保存対象区域を遺跡の所在する遺跡保存地区と環境を保全する環境保全地区に区分する。それから遺跡保存地区については、地下遺構を含めた地区全体に現状変更規制ができるよう措置するとともに、積極的に整備、活用を必要とする重要な部分について、順次国費による土地の買い上げを行ない、発掘、調査の上整備を行なう。また、このほか所有者から希望がある場合にも買い上げる。それから、環境保全地区は保存対象区域のうち遺跡保存地区を除いた地域として、当該地区内の歴史的、自然的景観をそこなうような現状変更を主体として規制ができるよう措置するとともに、所有者から買い上げの希望があり環境保全上必要がある場合、所有者の生活上緊急やむを得ない場合等に、国がこれを買い上げることができるようにする。それから、両地区における既存の人家の密集地については、遺跡または歴史的、自然的景観に著しい影響を及ぼさない限り、現状変更を認める。なお、両地区を通じて、各地区ごとに管理計画を立て、弾力的で実情に即した現状変更の規制を行ない、無理のない保存を行なうことができるようにする。
 それから、整備及び発掘、調査でございますが、遺跡保存地区については、必要な発掘、調査を行ない、それに基づいて宮跡、手跡等の遺跡の重要部分について往時をしのび得るような復原的整備を行ない、環境保全地区については、必要に応じ、修景、整備の手法を用いて環境の保全をはかる必要がある。また、活用のために必要な、たとえば巡歴歩道、資料館等を、総合的な保存整備計画に従い順次整備する必要がある。なお、遺跡の発掘、調査が膨大かつ長期間にわたることが予想されることから、発掘、調査体制を画期的に整備する必要があるということでございます。
 住民に対する措置といたしましては、さきに申し上げました土地の買い上げ問題。それから買い上げた土地を前所有者等による耕作を認めるように措置する方法がないものだろうかというのが第二点。第三点が、建築物の新築、増築または改築にあたって、規制を受けたために特別の費用を要するときは、国または地方公共団体がその費用の全部または一部を補助するよう措置する必要がある。それから、活用のための諸施設を整備する。それから、固定資産税の減免、その場合の地方財政への補てん措置。それから土地買い上げ、規制、整備及び代替地のあっせんに関連して、当該地方公共団体、明日香村等が特別に資金、費用等を要する場合には、国が財政的援助を行なう。以上のほか、住民生活安定のための諸施策を講ずる。
 法的措置につきましては、現状変更の規制については現行法の運用によってある程度の措置が可能であるとしても、これらの地域の遺跡及び景観を一体として保存し、整備し、国民による活用をはかりつつ、後世に伝え、かつ、住民等に対する特別の措置を講ずるためには、これらの措置を法的に裏づける新たな立法措置を講ずることが適当である。
 こういうような趣旨の文化財保護審議会の中間まとめが出ておるわけでございまして、この問題については、先ほどもちょっと申し上げましたように、総理府のほうの歴史的風土審議会でもこの問題が審議されておりますので、両審議会の間で話し合いの機会を持ちましてその意見の調整をはかりつつ最終答申を出したい、こういうようなことで文化財保護審議会は審議を進められておるわけでございます。
 一方、文化庁といたしましては、この審議会の答申等の予測をもいたしつつ、この中間まとめに即しまして予算の要求等を大蔵省に提出し、説明を行なっておるというのが、およそいままでの文化庁サイドにおきますところの飛鳥、藤原地域の保存に関する問題の御報告でございます。
#4
○久保田小委員長 二宮総理府参事官。
#5
○二宮説明員 総理府の付属機関でございます歴史的風土審議会のただいままでの飛鳥問題に関しまする審議の概要を御説明いたしたいと思います。
 歴史的風土審議会は、去る七月十六日内閣総理大臣から審議会会長あて諮問が発せられたわけであります。その諮問の内容は、飛鳥地方における地域住民の生活と調和した歴史的風土の保存をいかにすべきかということでありまして、これはあくまで住民生活との調和ということを念頭に置いた保存対策がいかにあるべきかということがテーマになっております。
 歴史的風土審議会は、七月十六日に総会を開きましたが、直ちに特別部会を設置いたしました。特別部会の構成メンバーは、お手元に差し上げてございます資料をごらんいただきますと、九名からなっておりまして、この中には、特にこの特別部会設置のために御参加を願いました明日香村の村長、それから奈良の国立文化財研究所長の松下隆章氏、このお二人を新たに専門委員として委嘱したわけであります。なお、この特別部会の構成員の中には、坂本委員あるいは松下専門委員、横山専門委員のように、文化財保護審議会の委員を兼ねておられるという方もあるわけであります。
 この特別部会は、今日まで三回会議を開きまして、前回の七月二十一日の第三回部会におきまして、お手元に差し上げてございます「当面の方策の骨子」というものをおきめ願ったわけであります。この内容を簡単に御説明いたしたいと思います。
 まず第一は方針でございまして、「飛鳥地方における歴史的風土を地域住民の生活と調和を図りながら保存すること。」これが骨子になっております。第二は、「保存は、法的規制を講じつつ地域住民をはじめ広く民間の積極的支持と協力を求める」ということでございます。これは法的規制では完全な保存をはかることができない。したがいまして、法的規制で救えない部分については民間の積極的な協力を求めるということで、具体的にはあとで出てまいりますが、保存財団というものの活動に多くを期待しておるというわけでございます。
 次に、二番目が保存の対象区域でございます。保存の「対象とする区域は、歴史的風土及びその周辺の自然的景観の一体性を中心として考えることとし、藤原宮跡等の遺跡の保存については、文化財保護の見地から別途必要な措置を講ずる」ということであります。
 それから三番目が保存の方法でございます。「文化財保護法、古都保存法、都市計画法等の現行法の有機的活用を積極的に図ることとし、当面次の措置を講ずること。」ということでございます。
 その一は、非常にきびしい規制でございます古都保存法の歴史的風土特別保存地区を拡張するということでございます。この特別保存地区は、現在明日香村におきましては、約六十ヘクタール指定されておるわけでございます。これをさらに大幅に拡張するということでございます。なお、この特別保存地区に指定されますと、現状変更についてはすべて知事の許可制ということになっておりまして、非常に強い規制ということになっておるわけであります。
 次が同じく古都保存法にあります歴史的風土保存区域及び都市計画法の風致地区を拡張するということでございます。これは現在の飛鳥地方におきまして、ほぼ六百ヘクタール程度指定してございますけれども、これをさらに拡張するということでございます。なお、その規制の内容につきましては、保存区域につきましては、これは現状変更につきましては知事に対する届け出になっております。また、風致地区につきましては、建築について許可制になっておりまして、建蔽率あるいは高度制限等が定められておるわけでございます。
 三番目が、都市計画法による市街化区域及び市街化調整区域の区域区分、いわゆる線引きでございますが、これを早急に行なうということになっております。この線引きによりまして、ごく一部の既成市街地を除きましては、飛鳥地域につきましてはほぼ全面的に調整区域に編入されるということになっております。
 第四番目は、遺跡の発掘調査を進め、史跡の指定を行なうとともに、その活用を配慮するということでございます。なお、特別立法については早急に検討するということになっておりますが、この特別立法といいますのは、先ほど文化庁のほうで御説明になりました歴史公園構想等につきます特別立法というものを考えておるわけでございます。これにつきましては、早急に引き続き検討するということになっております。
 次に、四番目が「環境整備等」でございます。これはいわば地元対策でございまして、その第一が「環境の整備」でございます。まず、道路、河川につきましては、これは公共事業として重点的に事業を進めるとともに、歴史資料館、宿泊施設、駐車場、周遊歩道、総合案内所その他の便益施設、ごみ処理場等の関連施設につきましては早急に整備するということになっております。この予算措置につきましてはあとで一括して御説明いたしたいと思います。なお、必要な地区については都市計画公園を設置するということになっております。
 次が税の減免でございまして、これにつきましては、歴史的風土特別保存地区、それから史跡、特別史跡地区について固定資産税を減免することとし、これに伴う村財政の減収分については、別途補てん措置を講ずるということになっております。
 三番目が当面処理を要する土地の買い上げでございまして、これにつきましては次によって処理をする。まずその一が、特別保存地区内にあるものにつきましては、今年度既定予算で買い取り請求に応ずる。その次が、その他の土地の買い上げにつきましては、それぞれの土地の実態に応じて適切な措置を講ずることということになっております。
 最後に、民間の協力要請でございますが、保存の目的を達成するため、民間の協力により保存財団を設立し、さらにきめこまかい住民対策が講ぜられるよう配慮していくということになっております。
 以上申し上げましたのが飛鳥地方における歴史的風土保存のための当面の方策の骨子でございます。審議会といたしましては近く総会を開きまして、特別部会からこの骨子の説明をいたすとともに、早急に当面の方策について結論を出したいということでございます。
 次に、概算要求について御説明いたしたいと思います。一枚の紙をごらんいただきたいと思います。
 公共事業と関連施設整備の二つに区分してございまして、まず最初に、公共事業につきましては道路、都市計画街路、河川でございます。これはいずれも通常の補助ベースで進める事業でございます。事業主体は県でございまして、総事業費は、道路が十二億七千七百五十万円、街路が十五億一千九百八十万円、河川、これは飛鳥川の改修でありますが、一億九千万円、合計二十九億八千七百三十万円。それから関連施設につきましては、歴史資料館が三億円、宿泊施設が一億一千万円、駐車場が八千四百六十万円、周遊歩道が一億二千九百八十万円、総合案内所その他便益施設が千八百二十万円、ごみ処理場及び取りつけ道路が九千三百万円、公園が三十一億六千五百万円、小計三十九億六十万円。合計が六十八億八千七百九十万円でございます。
 この総事業費を、四十六年度といたしましては、まず公共事業のうちの道路につきましては、とりあえず生活関係の道路、いわゆる生活道路をまず優先的に取り上げたいということで一応八千万円、街路につきましては三千万円を要求しております。また、飛鳥川の改修につきましては、とりあえず上流部分の半分、つまり飛鳥小学校から県道の多武峯−見瀬線に通ずるところまででありますけれども、その間をとりあえず二年計画で実施する。そのうちの初年度が一千万円ということになっております。歴史資料館につきましては、これは上物の費用でありまして、敷地の用地費につきましては公園の中に含んでございます。それから宿泊施設につきましては、これは百人程度の収容能力を考えておりまして、なお宿泊施設にあわせて研修あるいは講演会等の行事ができる設備も考えております。これはいずれも国の施設ということで考えております。なお、宿泊施設につきましては、国で設置後飛鳥村に管理を委託したいという考えでございます。駐車場、周遊歩道、それから総合案内所その他の便益施設、これは村の事業になっておりますけれども、これらは飛鳥村の財政力の非常に弱いという点にかんがみまして、いずれも十分の十の補助ということを考えておるわけでございます。それから、ごみ処理場についても同様でございます。それから最後に公園でございますけれども、これは村内主要な個所につきまして都市計画公園を設置するということでございます。これは国が事業を実施するという考え方でございます。
 以上で、簡単でございますけれども、総理府関係の御説明を終わりたいと思います。
#6
○久保田小委員長 久保田建設省都市計画課長。
#7
○久保田説明員 ただいまの総理府の二宮参事官の御説明に建設省の考え方も大体入っていると思いますけれども、なお一応の補足説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、建設省が今回の飛鳥の歴史的風土保存とその住民の生活調和という問題に関連いたしますゆえんは、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法という法律がございますが、その法律のいろいろな運用にわれわれのほうもあずかっております。歴史的風土の保存区域の指定といいますのは総理大臣が行ないますが、その中の特別保存地区という地区につきましては、都市計画といたしましてこれは知事がきめ、建設大臣の認可を要するというような形になっておりまして、かつ、審議会がございますが、審議会の庶務を当省があずかっている次第でございます。なおかつ、この保存の問題につきましては、都市計画的な観点から総合的な村づくり、町づくりを行ないながら行なっていかなければならぬというふうな考え方も、これに関連してくるわけでございます。
 ただいま二宮参事官が説明されました中で、保存の方法といたしまして古都保存法、文化財保護法、都市計画法等の現行法の有機的活用を積極的にはかるということがいまお話がありましたけれども、それにつきまして補足させていただきますと、別途いろいろ文化財保護審議会のほうでは歴史公園法等の構想がなされておりますけれども、われわれといたしましては、現行の文化財保護法の史跡等の指定、それから古都保存法の、要すれば一般区域及び中核となる枢要地域にかかる特別保存地区の一部拡張ということを地方を指導いたしましてやっていただき、さらに、御存じのように、今回昨年施行されました新都市計画法に基づきまして、市街化区域、調整区域の区域区分がなされるわけでございます。したがいまして、従前は、古都保存につきましては都市計画法による風致地区の規制、その風致地区の規制といいますのは、土地は使わせますが、建て坪の一定面積規制とかあるいは高さの規制とか意匠等、そういう規制がなされましたが、その土地に建物をつくること自体は自由であったわけです。そういうことと、それからこういう特別地区とか一般区域のいろいろな古都保存法による規制でやってきたわけですが、さらに今度は、その土地利用の一番根幹である土地をどのように使わせるかどうかという問題につきまして、新都市計画法で開発市街化区域、調整区域の区域区分がなされますと、開発市街化区域につきましては一般的に開発を認める区域で、促進する区域でございますが、調整区域は開発を抑制する区域となっております。したがって、土地利用が一般的に押えられるわけでございます。したがって、調整区域になりますとたとえば一般の宅地開発は抑制されまして、地元の農家の次、三男とか農家のいろいろなある程度の増築とか諸作業のための納屋とかいうようなものに大体考えられます。特にまた、調整区域につきましても、二十ヘクタール以上のようなものは一定の手続を経て許可されることもあるような運用になりますが、これにつきましては、基本的に、その市街化区域、調整区域の都市計画の区域区分をする際に、同時にその整備、開発、保全の方針というものをつくるわけでございます。これは都市計画として決定するわけでございます。いわゆる線引きと同時にその市街化区域、調整区域の整備、開発、保全の方針というものをつくります。したがいまして、たとえば当飛鳥地方につきまして整備、開発、保全の方針の作文をする場合に、こういうことにつきましては抑制するとか、こういう方法で保存あるいは開発を行なっていくとか、そういうようなことにつきましてやはり特別に一般の他の地域ではないようなことも書くことができるし、また、われわれとしては現在のところ書いていただけるように県のほうといろいろと話し合っている次第でございます。
 なお、現在の区域区分の準備状況は、奈良県において当建設省に事前協議中でございまして、しかもいまこれについて各省協議を行なっておりますが、現在の段階では、この飛鳥問題に関します少なくとも歴史的風土審議会の中間報告等がなされますまでの間は、いまやや手続的にその問題につきましては押えている状況でございまして、それができました暁には、県と相談いたしまして整備、開発、保全の方針を定めたい。
 なお、区域線引きの絵そのものにつきましては、一応の公聴会等をやり、われわれのほうにいろいろ持ち込まれておりますが、明日香村につきましては、役場のあります岡地区約二十七ヘクタール、近鉄の飛鳥駅前の約六十四ヘクタールの合計九十一ヘクタールが市街化区域に予定しております。これは案でございます。残りが全部市街化調整区域ということに考えております。
 次に、資料でお出しすればよかったかといま悔いているわけでございますが、まことに申しわけなかったのですが、いま総理府の二宮参事官のほうから御説明がありました対象区域というものを一定の線の中に考えているわけです。われわれのほうといいますか、総理府のほうないしは審議会の中で一応案として考えられている一つの区域がございますが、対象区域内で現在の歴史的風土保存区域はどのぐらいあるかといいますと、橿原市と桜井市にまたがります天香具山につきまして約百ヘクタールあります。そのうち特別保存地区が四十八ヘクタールございます。それから磐余地区につきましては、古都保存の一般区域が百四十八ヘクタールございます。これは特別保存地区はありません。それから飛鳥につきます一般区域が三百九十一ヘクタールございまして、そのうち飛鳥宮跡五十五ヘクタールと石舞台五ヘクタールが特別保存地区に指定されております。したがいまして、この歴風の審議会で考えております対象区域と称する区域の中の歴風の一般区域は六百三十九ヘクタールであり、そのうちの百八ヘクタールが特別保存地区に指定されております。
 なお、都市計画の風致地区をこの歴風の一般区域にかぶせるといいますか、一致した同じ歴風の一般区域と都市計画による風致地区を重複させて一つの規制を行なっております。
 なお、先ほど御説明がありました拡張予定の考え方ですが、今回まだ具体的に数字は資料としてお出しするのを差し控えたわけですが、一応案として、確定したわけではありませんが、われわれ建設省のほうでこの程度はどうだろうかと考えております一つの拡張案があります。風致地区につきましては約八百ヘクタール程度拡張いたしたい。それから歴風の一般区域は約四百六十ヘクタールふやしたい。したがいまして、今回は、拡張後はかつての風致地区と一般区域の全くの重複が、風致地区のほうが一部はみ出るという形になります。そういうようなことを考えております。大体山のほうを風致地区を少し多くとるということで、歴風の一般区域は里のほうに限定するという考え方に基づいております。
 それからこの地区で、特別保存地区につきましては約四十四ヘクタールを一応追加いたしたい。したがいまして、このとおりもし行なわれますと、との区域におきまする特別保存地区の面積は約百五十二ヘクタールというようになるわけでございます。
 ちょっと資料がおくれて申しわけございませんでしたけれども、都市計画法等による行為規制に関する制度の概要につきましてただいまから配付させていただきますが、その前に、総理府のあれによりまして環境整備等につきまして補足説明させていただきますと、この表の公共事業の道路につきましては、現在困っているものにつきまして当面緊急に整備を要する道路、それからさらに将来のいわば総合計画と申しますか、そういうものを考えました道路といいますか、そういうものの二段がまえで一応考えております。最小限のものを第一段階に行なう。しかしながら、それに関連して駐車場とか周遊歩道というようなものは、当面急いで整備したいというように考えます。
 道路と都市計画街路と分けましたのは、これは同じく道路特別会計の対象でありまして、ただこれは道路局と都市局というように二つに所管が分かれており、かつ道路法による一般地方道と都市計画法による都市計画事業という法律の区分なり所管の区分によって分けたにすぎませんで、いずれも建設省所管でございます。原則として補助が三分の二の県事業を予定しているわけでございます。道路は全部三分の二になると思いますが、河川も含めまして、一応原則として三分の二という補助がなされる公共事業でございます。
 あとは、ただいま申しました駐車場、やはり大事に保存すべきような区域の中に観光バス等が入らないようにして、その外側の角のほうに駐車場を設けて、その区域の中には車、一般的には観光バス等は入れないというようなことが保存のために必要だろう。やはり周遊歩道といいますのは、そういう車から駐車場に降りて、区域内の遺跡等を見学される方々のために、特に二、三メートル程度の専用歩道を整備するのが適切じゃなかろうかという考え方に立っているわけでございます。なお、公園につきましても、公園も数カ所考えているわけですが、これに宿泊施設とか駐車場とか歴史資料館というようなものを、個々の公園ごとではありませんが、ある公園には歴史資料館とか駐車場が入り、ある公園には宿泊施設が入りといったような形で、幾多の地域に公園を分散配置するということによって、総合的、機能的、一体的に公園をこの区域に整備いたしたい。場所はそれぞれ分かれておりますが、これは機能的には飛鳥地区における公園の総合計画に基づいて整備いたしたい。現在のところこれは予算要求の段階でございますが、国の保護で建設、管理という考え方に立っております。もちろんこれは、先ほどお話がありました都市計画公園として設置するということでございます。
 なお、ただいまお配りいたしました「都市計画法等の現行法制による土地利用規制の概要」というものでございます。私が先ほど申しました、その一でございますが、都市計画法で市街化区域、市街化調整区域、それから風致地区といいまして、その保護地区における文化財等を保全するために役立つ規制としては、市街化調整区域という土地利用の大区分が今回新たに加わるということでございます。これによって基本的に、いわば大きな宅地開発等はもう押えることができます。さらに、土地利用をかりに認められたところにつきましても、風致地区の規制によりまして、その建蔽率、それから高さ、意匠等につきまする規制が行なわれるということになります。
 その二は、もう一冊別になってございますが、古都保存法による規制でございますが、歴史的風土保存区域、歴史的風土特別保存地区がございます。歴風の保存区域というのは、一般地区ともいっておりますが、これにつきましては行為規制といいますのは届け出でありまして、特別の法律によって強い規則が行なわれることはできません。したがいまして、古都法による規制が強く行なわれますのは特別保存地区のほうでございます。したがいまして、今度の枢要地区につきまして特別保存地区の約四十四ヘクタールを拡張しようといたしましたのは、この規制を文化財保護、風土の保存の見地から強化しようという考え方に立つものでございます。
 これらの都市計画法による調整区域、それから風致地区――これは市街化区域につきましても風致地区をかけます。風致地区、それから歴風の一般区域、それから特別保存地区、こういうものがいろいろかみ合いまして規制を行なって、これを適切に運用して当面は進んでまいりたい。まあ建設省のほうからこの特別立法につきまして特別にいま申すべき段階ではないと存じますが、非常に面的な保存ということでございますので、単なる点の保存とかいう問題だけではございませんので、村の住民がたくさん住んでいるところにつきましては、やはり総合的な何か対策を立てつつやらなければならないという考え方につきまして、まず当面は、現行法のこういう行為規制をフルに活用してやったらどうかというように考えているわけでございます。
 取りとめもない説明でございますけれども、一応これで終わらしていただきます。
#8
○久保田小委員長 これにて飛鳥、藤原地区の文化財保護に関する問題についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○久保田小委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。川村継義君。
#10
○川村小委員 一言お聞きをしておきます。
 きょうこの文化財保護に関する小委員会が開かれるということで出てまいりましたが、取り上げられる議題が実は初めわかっておりませんで、ここへ参りましたら飛鳥地区の保存問題の説明が行なわれるということでございます。そこで、これから委員長はどのようにお取り運びになるかわかりませんが、われわれといたしましてもおそらく現地を見せてもらう、そのほかいろいろの勉強をいたしましてお聞きをせねばならぬと思いまして、きょうはただ説明を聞いただけで、お尋ねしたいことが一ぱいありますけれども、なかなか問題がよくつかめないのでありますが、ただ一言お聞きをしておきます。
 いまお話をお聞きしたのですが、総理府の中にあるところの歴史的風土審議会というのが一つの当面の方策を考えておられる。これは文化庁とは十分意思統一がなされてこの方策が打ち立てられておるのですか。これが第一点。
 建設省とは十分な打ち合わせの上で、建設省も全く同意の上でこの方策が打ち立てられておるのか、その辺のところをちょっと二宮さんから説明いただきたい。
#11
○二宮説明員 お答えいたします。
 事務当局といたしましては、もちろん文化庁、建設省と十分打ち合わせをしております。したがいまして、先ほど御説明いたしました「当面の方策の骨子」にいたしましても、当面の方策といたしましては御了承をいただいておるというふうに思っております。
 ただ、「当面の方策の骨子」の御説明の中で申し上げましたように、歴史公園の構想に関します特別立法につきましては、これはなお早急に検討を進めるということになっております。
 それから一、二こまかい点を申し上げますと、歴史資料館の設置につきまして概算要求いたしておりますが、これは設置場所について、まだ残念ながら文化庁と総理府の間に意見の一致を見ておりません。しかし、とりあえず出しておきまして、予算がセットするまでまだ相当時間がございますので、十分意見の詰めをいたしたいと思っておるわけでございます。
#12
○川村小委員 私たちも、飛鳥文化の保存について、数年前から問題が提起されているということは聞いております。本年になって、先ほども話があったように総理が現地に行かれた。文部大臣が現地に行かれた。非常に急に飛鳥文化遺跡の保存の問題が高まってきた。ところが、私はきょうの説明を聞いて、これはたいへんなことだという感じをまず受けるわけですね。
 そこで、さらに二宮さんにお聞きするのですが、ほんとうに飛鳥文化遺跡の保存というのが中心になって仕事を進めていこうと考えておられるのかへあるいは観光開発を考えてこれを利用しようとしておるのか、あるいは地域開発、それらを進めるためにこの文化遺産を利用しようとしているのか、私にはちょっと疑問があるのですね。この飛鳥の文化遺跡を保存するということは非常に大事なことでございましょう。しかし、何かその底にあるものが先行してしまうと私は困ると思う。問題がかえって複雑になってくるんじゃないか、こう思われてならない。いまお三人の御説明を聞きながら私はそういう印象を受けた。ちょっと二宮さん、もう一ぺんお答え願えますか。
#13
○二宮説明員 お答えいたします。
 私ども、もちろんただいま先生がおっしゃいましたように、保存が第一でございます。ただ、その保存すべき遺跡が住民の生活の上にささえられておる。つまり、住民の生活を犠牲にした保存というものはあり得ないという考えでおります。したがいまして、今回考えておりますのは、保存と住民の生活の向上をいかにうまく調和さしたらいいのかということが大きなテーマでございます。観光というおことばがございましたけれども、観光は第一義的には考えておりません。
 ただ、いわゆる飛鳥ブームといいますか、非常なブームがわき上がっておりまして、ほかっておきましてもどんどん見学者なり観光者なりが入ってくるわけであります。これをほかっておきますと、せっかく保存すべき遺跡が破壊されるおそれもあるわけであります。村内の道路は、自動車の通行を考えていない非常に狭い道でございます。そこに休日ともなれば観光バスあるいはマイカーがわっと押しかけてくるという現状でございまして、これを何とかしなければ、遺跡の保存はもちろんでございますけれども、住民の生活にとっても非常な脅威になっておるという現状でございます。したがいまして、先ほども御説明いたしましたとおり、まず生活道路を優先して改良する。その上に飛鳥地方に入ってくる観光客のために、いわばバイパス的な道路をつくる。そして車は一切域内には入れないという考え方で、先ほど御説明いたしました環境施設の整備計画というものが実はでき上がっておるわけでございます。
 それから宿泊施設というふうに申し上げましたけれども、これも単なる旅館というようなものではございません。研修とかあるいは講座とか、そういったものが常時開けるようなそういう設備も、あわせて設けたいということを考えております。
#14
○川村小委員 ちょっと変に聞こえたかもしれませんが、私が突然そういうお尋ねをなぜしたかというと、ずっとお話を聞きながら、そして先ほど御説明があった飛鳥地方施設整備で、これは施設整備計画という概算要求になっておりますけれども、六十八億という膨大な予算、これはおそらく文化庁の予算は含んでいないと思います。これを見てみても、私、先ほど申し上げたように疑問が出てくるわけです。いま二宮さんは、住民の生活を犠牲にしちゃいかぬとおっしゃいました。よくわかります。しかし、先ほどあなたのことばの中に、文化庁とは十分意思疎通ができているのだ、意見をくんであるのだとおっしゃっても、総理府が要求する施設整備計画の中にそういう意味の予算が要求されていないということはなぜだろう、こういう疑問がまず出ますね。先ほど説明になった施設整備計画の予算要求の項目を見てもですよ。しかも六十八億の半分は公園施設になっておる、そういう予算要求。私が白紙で臨んできてまず第一にそういう疑問を持つということ、これはやはり何か考えていただきたい問題があるように思いますよ。
 それから、あなたのほうの歴史的風土審議会特別部会の皆さん方の委員のメンバーを見ても、ほんとうに大事な大事な文化財遺跡保存というのに焦点が合うた審議が一体なされるであろうか、こういう疑問が出てくる。あなたのほうの「当面の方策の骨子」というものを読んでみても、やはりそういう疑問が出てくる。こういう方策が出てくるのは、やはりこういうメンバーの人たちの頭の中から出てくるに違いない、あるいは総理府の事務当局の中にそれがあるかもしれない、こういうことで私は疑問に思っているわけです。だからして、この大事な大事業をこれからいよいよ本格的に手がけていかなければならぬというときに、その辺のところの配慮が望ましいものだという気がまずきょうはしているわけですね。これから、先ほど申し上げましたように、おそらく委員長のほうで御計画もあれば、現地の皆さん方も、現地の実情を見せてもらえましょうし、またいろいろとこれから勉強しなければなりませんが、きょう御説明をお聞きしたところの第一の受け取り方というのは、私にはそういう考え方がまず第一に浮かんでくる。これは当局としても非常にお考えいただきたい問題ではないか、このように考えております。
 それから第二にちょっとお聞きしておきたいことは、文化庁長官おいででございますけれども、次長さんからでもけっこうですが、この大事な文化遺跡を保存しようというのに、どうしてこんなに後手後手に回ってきたのですか。私は、これは非常に後手に回っておると思うのです。先ほど次長が説明になりましたように、これだけの地域の開発状況というのが進んでおる。建設省は建設省でいろいろと地域開発の構想がある。それにからんで、文化財保護法の問題であるとか古都保存法の問題であるとか都市計画法、こういうものが動いている。また、それらを有機的に動かしていこうとするときに、住民とのからみつきというのは、私はたいへんだと思うのですよ。あなたたちは、これで住民の協力を得てこういうことをやるのだと、いろいろと詳しく書いておられます。しかし、私はこれはたいへんなことだと思うのですよ。たとえば都市計画によるところの市街化区域を設定する、調整区域を設定する、おそらくこれ一つだって特にこの地方はたいへんじゃないか。東京近郊だってトラブルばかりでしょう。そういう上にあの地区に持っていってこういう線引きをやってこれから進めていこうとするのは、たいへんな仕事だと思いますよ。これは文化庁が直接そういう仕事にはタッチしないかもしれないけれども、建設省や総理府がいろいろと検討して動かしてくれるとは思いますけれども、たいへんなことだと思う。そういう意味からしてなぜこんなに後手後手に回ってきたのか。飛鳥地方の文化、その遺跡が国家にとってそれだけ重要なものであれば、もっともっとこれは早くやらなければ、さあ指定になるぞというので次から次に家は建てるわ、何は建てるわという今日の状況の中において、一体ほんとうにその目的が達せられるのかどうなのか、たいへん心配をしますね。次長さん、ひとつ長官にかわってその辺のいきさつ、それからいまの考え方、ちょっと聞かしておいてくれませんか。
#15
○安達説明員 そのお答えをいたします前に、先ほど二宮参事官からの、総理府の歴史的風土審議会の当面の方策の骨子につきましての事務当局間の連絡の問題について、少しくお話し申し上げたいと思います。
 この歴史的風土審議会の委員にはうちのほうの次官がなっておりまして、各省の次官と一緒に入っておりまして、同時に幹事会がございまして、私がその幹事会に入っておりまして、この問題につきましては終始そういう段階で話し合いをいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げました文化財保護審議会の中間まとめと総理府の当面の方策の骨子との間には、根本的といいますか、相当大きな違いがございます。この点は二十六日の日に両審議会の調整の会議が持たれましたけれども、なお十分な調整がついてないというのが正直のところでございます。
 それで、その具体的な問題について申しますと、まず第一番には対象区域の問題でございまして、この歴史的風土審議会の対象区域は藤原官跡と飛鳥地方とを離す、その中間地帯は保存の対象にしないという考え方に立っておるわけでございますが、私どもは、この藤原宮跡とその藤原京の左京の南半分が藤原と飛鳥との両宮跡が重複しておるところであるという点から、藤原宮と飛鳥地方を一体的に保存すべきものであるという観点に立っておりますので、対象区域については、その点でなお両者で調整の必要があるというような段階に考えておるわけでございます。
 それから特別立法の問題につきましては、早急に検討するということで、この点については両者の考え方が一致しておるわけでございます。
 それから必要な地区について都市計画公園を設置する、こういう問題につきましても、われわれは、そういうことがはたして保存の意味においていいかどうかについてはなお問題が残されていると考えております。
 それから保存財団でございますが、こういう財団が好ましいとは思っておりますけれども、住民対策をこういう財団がやることが適当であるかどうかについてはなお疑問を持っておりますので、なお両審議会等の間が話し合いをしていただきたい、われわれまた事務当局でもさらに話し合いをしてまいりたいという考え方を持っておるわけでございまして、この点については、両庁におきましてさらに一そう話し合いをしようという段階になっておるわけでございます。
 それから、お尋ねになりましたこの地域の保存の対策が後手に回ったのではないかという御指摘でございまして、われわれといたしましては、この飛鳥・藤原地域の保存が大切であるという観点から、まず第一番は、藤原宮跡につきまして指定地域が最初に申し上げましたように狭いという観点からこれを広げるように努力をいたしておるわけでございまして、この宮跡にバイパスが通るということで、その点につきまして宮跡を横切らないように地元の御了承を得まして、バイパスをよけていただくというようなことはやってはまいったわけでございます。
 その飛鳥、藤原地方の問題につきましては、遺跡の問題といたしましては発掘の問題が大事であるということで、実は四十五年度から二人の定員を奈良文化財研究所につけまして、さらに従来平城宮を発掘いたしておりました四人を加えまして、六人で飛鳥・藤原宮跡調査室を設けまして発掘をいたしておるわけでございまして、現在小治田宮についての発掘をいたしておるところでございます。
 なお、その対策について総合対策が十分でないということは御指摘のとおりでございまして、この文化財保護審議会では、文化庁発足以来研究はいたしておりましたけれども、まだ目に見る成果が最近までなかったということにつきましては反省をいたしておるわけでございますが、今後われわれは、先ほど御指摘のありましたこの地域におけるところの文化財というか、広い意味の、個々の遺跡を含めた全体のものを何とかして後世に残していきたいという非常な熱願に燃えておりますので、これを開発、観光等に重点を置かないように、われわれとしてはそういう考え方で保存、活用をはかっていくべきであるという考え方に立って、文化財審議会でもそういう考え方でこの中間まとめを出されているのではないかと考えるところであります。
#16
○川村小委員 いろいろの問題がまだまだあるようでありまして、未調整に終わっている重要な問題が当局の中にもあるようであります。私が申し上げるまでもなく、皆さんよく御存じのヨーロッパ各国あるいは東欧、中近東、これらの各国は、これは資本主義国であろうと共産圏であろうと、古代文化あるいは遺跡等を非常に大事に保存をしておる。そういう点どうも日本は――もちろん日本にないとは言いませんよ、日本も非常に大事にはしているけれども、そういう点では諸外国のそれらの手の打ち方に劣っているのじゃないかという印象さえ受けております。皆さん方はこの飛鳥遺跡というものが非常に大事だということをお考えになっておるようでありますが、これからいよいよ仕事が軌道に乗ろうとしておる。何年かかるか私もちょっと予測はできませんけれども、相当膨大な資金も要るでしょうが、どうぞひとつ、いま次長のお話しになったように幾つかの重要問題があるようでありますから、やはり関係各省でよく意思統一をして、そして基本線をきめて、基本方策を持って進めていただくように願ってやまないところであります。私、先ほど申し上げたように、その地区の区域指定にしましても、あるいはそのほかのいろいろの施策をやっていく方策を立てていく上について、住民との問題というのが特に大きな問題になるんじゃないかと思うのだが、そういうときに役所の中でそれらがうまくまとまっていかぬということになると、これはまた大きな問題でありましょうし、仕事はそれだけ進まないことにもなろうと思いますから、その点はひとつ十分いままで以上に連携を密にして、そして十分にひとつ進めていただきたい。私は頭から観光を否定するわけではありません。余分なことを言ったようでありますが、観光のためにこんなのを開発利用する、見せものの道具にしてしまうということにならぬように十分考えていただかなければ、何のために貴重な文化保護をするのかというような大事な問題にぶつかってくると思いますから、きょうはせっかくお話を聞きましたのでそれだけお願いをして、今後いろいろとお進めを願いたいと思います。
 一言申し上げておきます。
#17
○今説明員 ただいまの川村先生の御質問は、私は全く同感と言うとおざなりに聞こえますけれども、私は文化庁設立前、私が文化庁に入ります前に友人とあの辺を歩いたのでありますが、もうあの外側の茶店屋などのありさまを見ますと、ああここはもうだめかと実は思ったのであります。ところが偶然文化庁の設立とともに私入りまして、これをようやらなければいかぬと思いましたが、いま仰せのごとく、こういう一つの大きな地域を保存するということはたいへんなことでございます。何とかやりますと私が申しても、おまえにやれるか、あるいは何年かかるかわからぬぞというくらいの重大な問題であります。
 ことにこの飛鳥地方は、まことにふしぎなことに、私はあえて偶然ではないかと思うくらいにここだけが残っている。もうあと一歩でそのお隣の区域同様になる。非常な危機をよくあそこだけふしぎにただの線一本で保存されているということを考えますと、飛鳥の住民が、何ということなしにこの土地は売るまい、この土地は侵すまいという住民の奇跡的な、伝統的な精神があそこを偶然にも守ったのではなかろうか。そういうように思いますと、いま住民対策というものはむずかしいぞと仰せになりましたが、まことに、そこまで考えますと何と対策を立てても追いつかないむずかしさがあると思うのでありまして、私非力でございまして、一生懸命これに向かってもなお飛鳥の住民のあの精神というものに追いつけない、これに報いることはまことにむずかしいことだ、心から喜ばせることはまたもっと至難なことだと思います。
 したがって、私はこういうところに立ちまして、いま仰せのことばにお答えできないくらい、自信がないくらいのものを感ずるのでありますが、しかし、かりそめにも心のふるさとであるとか国のまほろばであるとかということばを簡単に私のほうも使いました。しかし、考えてみますと心の問題でありまして、これはいつ法律を新たにつくるとか、いままで法律をいじりましてこの心のふるさと、心というもの、ふるさとというものが充足できるか、これで満足できるかと思いますと、私は、まだまだうっかり心のふるさとなんてなまいきなことは申せないというくらい深遠なものであり、また困難な問題だと思うのでありまして、私は四十年古都鎌倉に住んでおりますが、まことに鎌倉はくずれ去っておりまして、残念であります。これからも線引きというものをいたしますが、線を引いたその線の向こうは古都ではない。われわれが朝な夕な見ているあの山の、あのどこかの見えない線の向こう側は古都でないということになっております。そのために線の向こう側にマンションが建つ。もうすでに景観は維持できない。土地は荒れております。これが私の住んでおる町の、古都の現況でございます。
 たとえば奈良においでになる。あの興福寺の五重塔がぱっと見えると、ああ古都奈良に来たな、ああ奈良は近いなとお思いになるだろうと思います。ところがそれと並行して、もっと高い県庁が建っております。私は、古都の感じなんというものはあれで吹き飛んでしまうと思うのです。しかし法律では、県庁の建っている土地は、あれは古都じゃないのです。特別地域じゃないのです。こういうように、あらかじめ県庁の所在地を線を引いて除外してある。そうして古都保存法ができ上がった。その後に県庁が建った。これで私は、古都保存法は成立しておりますが、古都の景観はどうだというと、まことに残念なことに東大寺のところに県庁というまことに不調和なものが建っておる。また、あの奈良に行きましてまわりの山々を見ますと、歴史を込めたまことに美しい山でありますが、あの古都の線引きの線の外側に、あの山の上に温泉境がございます。裸でふろへ入りながら古都を一望にできるというのがその温泉境のキャッチフレーズであります。あれはまことに奈良の汚点だと思います。
 このように、私は奈良へ行っても悲しい思いをした人間の一人であります。したがって、今度のこの線引きについて、建設省の方々も商売違いの分野にありながら古都を保存しようとする御熱意ということには、私はまことにうれしいものがございます。ともに私はこの方々と一緒にやりたいと思いますけれども、やはりデスクでやっております。決して建設省ばかりでない。私のほうも――デスクでやったプランというものはなかなかうまくできております。文章で書くとうまく論理も通っておりますが、はたしてこのとおりやって保存できるかどうかということになりますと、まことに不安なものがございます。第一番に、総理府と文化庁との間に立てたプランにおきましても、対象区域というものが違います。なぜ、飛鳥を保存するというのに藤原を切らなければならないか。藤原宮のあとを切らなければならないか、歴史というものは同じなんです。同じじゃありませんか。いまは片方は橿原市に入り、片方は明日香村でございます。それはほんとうに近年の行政区域の線であります。しかし、歴史風土を保存するというならば、そんな行政区域は要らないわけです。橿原市に片足を突っ込んでいようが、明日香村に片足を突っ込んでいようが、これは切ることはできない一つの同じ飛鳥の流れであります。同じサークルであります。かつまた、先ほど奈良県庁の建物のお話をいたしましたけれども、この藤原宮の南側に、奈良県が国体を今度やる球技場をつくるということが予定されております。まだ私はこれは確かなことでないからわかりませんが、土地の買い上げもやっておる、進行中であるかあるいは済んだかという状況であります。しかもまわりの土地はそれにつれて値段が上がっている。ここにございますこの甘橿丘から展望いたしまして、大和三山がはるかにこう見えます。うしろに耳成山を控えたこの藤原宮というものも一望に見える。それが明日香村との間に球技場が建ったら一体どういうことになるか。景観の保持だということを幾ら言っても問題にならないじゃないか。建ってしまったら、これはスタンドや何かが建ってまことに不調和な、景観保持とは全く違ったものができるのじゃないか。そうしてそれはどうか。古都保存法では、こういう線引きになるとちゃんとそれがどけてある。あるいはそれを、市街化調整区域というもので新しいものが建てられない、その法律は。しかし、法律のそのまた裏に、これは県がやるなら認める、公共団体がこれをやるならよろしい。しからばここに球技場が――いまあります法律では球技場が建ってしまう。こういうことは、総理府の会議でも私らの問題でもあまり出ない。だから、まことにこれは変な話ですが、私は何とかして残したい、川村先生のおっしゃるようになかなかいかぬかもしれぬが、何とか残したいというところに、はや球技場という亡霊を隠してあるということであっては、また奈良に県庁が建ったと同じことになりはせぬかということになりますと、私はほんとうに皆さまに、これは答弁ではなくして、もうほんとうに手を合わせて拝みたいような気持ちで、私はこの藤原宮と飛鳥とを切り離すというあれにはどうしても同意できないのであります。切り離したら、たちまち球技場が建ったりいろいろなことが起こるであろうということは火を見るより明らかなことなんです。
 私は、まことに不細工な答弁でありますけれども、私の真情の一端を披瀝して、川村先生へのお答えといたしたいと思います。
#18
○久保田小委員長 小林信一君。
#19
○小林(信)小委員 私は、実はきょう小委員会があるというので、この問題以外のことをお尋ねしようと思ったのですが、御説明を聞き、また長官のこの問題に対する悲壮にも似た決意のほどを伺いまして、一言私もお伺いしたいと思うのですが、おいでになる方、そのままひとつお願いしたいと思います。
 文化財に関係してこの委員会は、いま長官が説明されたような点について、奈良だけでなくて、最近のこの経済成長という問題に関連して、いかにして日本の歴史的な遺跡を守をかということで、長官と同じようなことを何回か繰り返してきたのですが、しかし、それがなかなか思うようにならないわけでありまして、長官のお考えというものは、もっともっと政治の根本に問題を掘り下げていかなければならないものがあると思うのです。そういう点もいままでかなり論議もしてきましたけれども、やはりもうけようというような力というものは、非常に文化財を守るというふうなことについて大きな敵になっておるようでありますが、長官の決意がありましたので、私も一つその具体的なものを申し上げます。
 先日、これはある地域の川をきれいにしようという人たちの要求がありまして――その主体になっておるのは漁業組合です。漁業組合といっても、決してその川から魚をとって生活をするというふうな人たちではないのですよ。釣りをして楽しむというふうな人たちがつくっております。これはどこの河川にもあります。そういう人たちがときにアユを放流したり、あるいは稚魚を養育したりして、そしてお互いが楽しんでおる程度の漁業組合なんですが、最近、その川の上流に演習場がありまして――これは具体的に申し上げれば富士山ろくですが、施設をしたために、非常に雨が降りますと急激に土砂、溶岩を下のほうに流すわけです。それが影響をして、アユの卵とかあるいはヤマメの卵とか、そういうふうなものが成長できないような被害を受けているわけです。これについて防衛庁へ参りまして、あなた方のやっておる施設の影響でこういうことになっておるのだが、何かその補償をしてもらいたいという陳情をしに行ったのです。私も一緒に同行したのですが、その被害の実情というものを話したら、防衛庁の一係官が、そこだけじゃありませんよ、上流に工場から汚水が放出もされておりますし、あるいは家庭で使う洗剤等もこれに影響するものがあります、あるいはその付近に染織工場がありまして、それから流し出す汚水というふうなものもずいぶんひどいものがあります、だから、そういう影響があるでしょうというふうに説明しました。要は、私たちだけの責任ではありませんねという意味なんです。それから、私はその人に文句を言いました。この人たちは決して魚をとって生活しようというのじゃないのだ、ただ楽しむという、それだけの意味から自然を守ろうとしておるのだ。この河川を中心とした地域の自然を守ろうとして、ささやかな魚をとろうという人たちの集団がいまこの自然を守ろうとしているのじゃないか。公害とかいろいろな問題でもって、もう政治の一番重大問題だと言っている、それを地域地域でもって、こういうわずかな人たちが乏しい力で日本の自然を守ろうとしておるのだ。その人たちがいまこういう実情を訴えてきたのに、私たちだけじゃありませんよ、ほかのほうにもそういう影響を与えるものがありますよというふうなことを言っていたのでは、日本の自然というものはおそらくはんとうに崩壊されてしまうのではないか。公害問題を除去するというようなことは、これは公害対策をする役人だけがやるのじゃないのだ。これはもう国民全体に、この資料の中にもありますように、いかに「民間の協力により保存財団を設立し、」ということばがありましても、かえっていまのところは、地域の人たちにそういう気持ちがあって、鎌倉なんかの問題はたびたびここでもって論議をいたしました。その地域の人たちが幾ら鎌倉の遺跡を守ろうとしても、かえって長官が言われましたように、線引きをするような場合には自分たちに都合のいいような行政措置をしてしまうということで、役人のほうがいまのところ公害を防止するのでなくて、かえって公害をますます甚大にさせるような傾向があるのではないか。あなたの言は、私はきょう陳情に来て、まことに意外に思っておる。あなたはその態度を改めなさいと言って、防衛庁のお役人さんに私は文句を言ったことがある。それがいまの日本全体の遺跡とか史跡とかいう問題ではない、自然を守る実態だと思うのです。いかにその地域のささやかな川をきれいにしょう、自分たちの住んでおるところを美しくしようというものに、もっと仕事をする人たちが、政治に関係する人たちが留意しなければならぬかということは大きな問題だと思うのですよ。まして、もうけるためにはどんな遺跡があろうと知ったことじゃないというふうな、そういういまの風潮というものを改めていくことが私は大事だと思うのですが、幸いにこの藤原、飛鳥の地域を総理大臣が実際に調査もされて、このような警告をされたということは、私は非常にうれしく思うわけでありますが、それについて、まず私が問題にするところを二、三申し上げたいのです。
 先ほど文化庁のほうから、文化財保護審議会から中間報告としてかくかくのものが出されておるという説明がありました。そして今度は総理府のほうから、歴史的風土審議会特別部会からの報告というものがここに説明されました。しかし、総理府のお話を聞きますと、私どもにはこういう簡単なもので報告をされたと思うのですが、もっとその内容は豊富なものかもしれませんが、しかし、これだけのものに基づいてすでに予算計画もされた。そしてこれに基づいて建設省のほうでも仕事をしておる。とすれば、一体この文化財保護審議会のほうの中間報告というものは何になるのですか。この二つの関係というものはどうなるのですか。私はこれをまず御説明願いたいのですが、両者からお聞きしたいと思うのです。
#20
○安達説明員 まず来年度の予算要求といたしまして、この審議会の中間まとめ等を基盤にいたしまして、文部省から大蔵省への予算要求といたしまして土地の買い上げにつきまして、飛鳥宮跡につきましては約十万平米、それから藤原宮跡につきましても十万平米の土地の買い上げの費用を要求いたしております。
 それから飛鳥板蓋宮、飛鳥寺、石舞台古墳につきましては、遺跡の環境整備をするための費用を要求いたしております。
 それから資料館につきましては、総理府と並行しまして、われわれのほうでもこの資料館の費用を要求いたしておるところでございます。
 それから保存整備計画といたしまして、この地域の保存整備をするための協議会あるいは航空写真、模型その他の費用等を要求し、また、この地域の遺跡等の保存管理を明日香村、橿原市、桜井市に委託するにつきましての費用あるいは規制に伴う特別補助、たとえば地域内において建築物を建てるという場合に、屋根がわらについて、赤は困るから黒にしてもらいたいというような場合については、その赤と黒の差額の費用を補助するとか、そういうような規制に伴う特別の費用の補助金を要求いたしております。
 それからまた、飛鳥、藤原宮跡の発掘を、非常に広大な地域でございますので、この地域の遺跡につきまして七万坪を七年計画で発掘調査をするというための発掘調査費と、それから国立文化財研究所に、先ほど申しましたが、飛鳥・藤原宮跡調査室は六人でございますが、これではとうていまかない切れませんので、調査室を整備いたしまして二十六名の増をいたしまして、その発掘調査体制を整備する、こういうような予算を要求いたしまして、この審議会のまとめに応じて文化庁として講ずべき対策をしておるということでございます。
 それからもう一つは、内容につきましては先ほど長官から話しました、私から申し上げました対象地域の問題とか、保存財団の問題とか、あるいは都市計画公園等の問題については、さらにこの両審議会での間の話し合いもございまするし、同時に、事務当局間でもさらに話し合いをいたしまして、政府として統一した施策ができるようにさらに今後話し合いを継続してまいる、こういうことになっているわけでございます。
#21
○小林(信)小委員 そうすると、一体主体というのはどっちにあるんです。私はいま長官のお話を聞いても、長官のような考え方を骨にして、そうして文化庁で文化財保護審議会の答申をまとめ、それを基礎にして、その基礎の中から総理府の計画というものが出てくるようなものが好ましいんじゃないかと思って、またそうしてあるのじゃないかと思っておったんですが、いまの次長のお話を聞いても、これはこれ、文化庁は文化庁、そこでなるべくこっちのほうの計画でもって取り残されるようなもの、できないようなことをこっちがやるんだというふうに、これは別個のものですか、あるいはどっちかが主体になっているのか。私の考えでは、保護審議会というのがあるなら、保護審議会がもう専門ですからそれが計画を立てて、その計画に基づいて総理府のほうでまたそれを具体化する、あるいはそれに基づいて建設省のほうで仕事をするというふうになるかと思ったら、そういうふうな別個なものですか。そこら辺のあり方をよくお知らせ願いたいと思うのです。
#22
○安達説明員 いまの飛鳥、藤原地域につきましては、実は古都保存法と文化財保護法、両方が適用になるようになっているわけであります。それで、先ほど申し上げましたように、文化財保護法による指定をする史跡、特別史跡がございますと同時に、古都保存法に基づくところの歴史的風土の保存地域として指定をされておるわけでございますので、現在の法体制からいいますると、その両者が重複して保護する関係になっておるわけでございます。したがって、現在の段階はそれぞれの分担といいますか、役割りでまず方法を検討して、そうしてそれを両者の間で調整をして政府として有機的な統一あるものにしよう、こういうのが現行の法体制であり、それに応じたところとしてはそうせざるを得ない状況であるわけでございまして、その間につきましては、総理府、建設省、文化庁が有機的に連絡をとりつつこの仕事を進めてまいろう、こういうのが現在の状況でございます。
#23
○小林(信)小委員 そういうかきねがあってやるんだからしかたがないといえば、それまででしょう。しかし、しろうとが考えてみて、これほど国民の世論も集中しておるところだし、文化庁長官がいまのようなお考えを持っておいでになるとすれば、それを総括をした対策本部というようなものをつくって、そしてやはり文化庁の長官がその長になって、そしていろいろと案を練って、こんなばらばらな仕事をせずに、統一をとったものでなければならぬと私は思うのですが、しかし、いまの機構がそういう機構であるとするならこれはやむを得ないのですが、こんな点は、文化庁長官、もし長官のいまのお話が御本心であるならば、ほんとうに、日本でただ一つ残されておる心のふるさとであって、それがいま危殆に瀕しておるというお考えなら、おれを長官にした以上おれをその対策の主体にさしてくれ、もしそれがやれぬような政治の仕組みだったらおれはやめる、くらいの決意をもって臨まなければ何が出てくるかわからぬと思うのですよ。それが第一番。これはもう中途でございますが、私はそういう考えを持ちまして、そしてきょうのお話の中で、何かばらばらな対策がなされておるという心配が非常にありましたので申し上げましたが、いずれこの問題は、さらに掘り下げてみたいと思います。
 第二の問題は、そうであるならなお私は総理府にお聞きしたいのですが、文化財を守るということは、そう言ってはですが、この飛鳥の里だけではないと思います。至るところにあると思うのですが、それに対しても総理府は責任を持って、飛鳥だけでなく、そういうところも同じように扱うという考えでおるのかどうか。もし、ほかのことは知らない、飛鳥の問題は総理大臣が気がついたから、だからこれは熱心に力を入れるんだ、六十八億の金を出すんだというふうなことだったら、これは非常に思いつきの、いわゆる場当たり政治のあらわれだと思うのですよ。ここへ六十八億出すなら、いままでこの文化財問題でもってこの委員会の中で検討した問題として、第一番に平城京の問題があります。これも、あなた方の計画の中に歴史公園の構想がある。こんなことは平城京の問題で、あれを国有にする場合に、その構想はと言ったときに、政府の責任として歴史公園をここにはつくります、発掘は一日も早く完了して、少なくともあれを全部芝生くらいにして――あんなに雑草がはえておったんでは、あの近郊のお百姓さんが、これは害虫の巣になって困る、だから早く何とかしてほしいということを言ったのを取り上げて、私どもが政府に対して問題をただしますと、一日も早くそういたします――それは完了しておりますか。あるいは難波宮址の問題、これがその次の問題でして、そしてやがて藤原宮址の問題へいかなければならぬというのが、大体この文教委員会で検討した問題ですよ。したがって平城京の問題、難波宮社の問題、今度は藤原宮、飛鳥宮、飛鳥の里というふうに、私どもは政府に話をしてきたものですが、これだけは力を入れるけれども、あとのことはまた文化財でかってにやれというふうな態度だったらば、これは私はおかしいと思うのですがね。どういうふうにお考えでおられますか、お聞きしたいと思うのです。
#24
○二宮説明員 お答えいたします。
 古都保存法の適用区域といたしましては、法律で京都、奈良、鎌倉の三市及び政令で定める市町村ということになっております。現在までのところ、その政令では、奈良県の斑鳩町でございますとか、明日香村でございますとか、橿原市あるいは桜井市というのが政令で指定されておる適用区域であります。したがいまして、現在のところでは以上申し上げました地域でしか考えておらないのでございます。その他の地域につきましても、将来必要が出てまいりました場合には、政令を改正いたしまして新たに適用区域に編入するという問題は出てこようかと思います。
#25
○小林(信)小委員 奈良の平城宮社の問題を申し上げたのですが、これはさっき長官が言われた奈良の県庁だけの問題でなく、私どもが古都保存法に準拠してあそこの視察をしたときに、いまはどうなっておるか私も最近行ったことがありませんからわかりませんが、東大寺の向こうのほうをながめますと、ドリームランドですか、それが出ておったことがあるのですね。この問題を取り上げて私どもこの委員会で問題にして、こういうものをいかに建てないようにするかということで問題にしたことがあるのですよ。そういうふうに、この奈良の問題にしましてもいままでこの委員会で相当力を入れてきたのですが、決してそれから進展はしておらない。鎌倉の問題については、私どもの同僚であります長谷川委員がたびたびこの委員会でもって取り上げたことなんですが、残念ながら、これも政治の中では関心を持たれておらなかった。こういうふうに、いままでは総理府なんかあまり力を入れてこなかったのに、この飛鳥だけに力を入る。何かわれわれには、悪いことではありませんけれども、これだけに思いつきをされておるような気がするのですが、この飛鳥に六十八億かけるなら、ぜひそのほかのところにも同じように平等にやってもらいたいと私は思うのです。これは単に総理府だけではない。文化庁におきましても、総理府が仕事をしておって文化庁のほうで黙っておってはいけないから手をつけたという、こういうお役目的な文化財保護であっては、これは国民が納得できないだろうと思うのですが、ほんとうにそういう点は、いま公害等も非常に多いときでございますので、最も思い切った予算措置をして適切な処置をしなければならぬときだと思うわけであります。そういう点を私はきょうお話をお聞きして感じましたので申し上げ、今後ひとつ、私どもも勉強いたしますが、御考慮を願いたいと思います。
 そこで文化庁のほうにお願いをするのですが、次から次にこういう問題が出てきて、文化庁としても一つ一つ完全に始末をしていくことができないというような事情もあると思いますが、実は一昨年、岡山の総合グラウンドになっておりますところに武道館が建てられるというときに、たまたまそこが重要な埋蔵文化財のあるところであるということで、この文教委員会の委員全体が岡山へ参りまして視察をしたことがあります。もう相当くい打ちをしてあったのですが、それを地元の人たちが発掘をしてまいりました。これは非常に重要なものであるからここに武道館を建てることは適当でないというような意見を出して、武道館はとうとう設置されないようになったわけであります。しかし、そのあとはどうなっておるかと聞きましたら、あの発掘をしたままだという話であります。登呂遺跡のように、一たん発掘をして、そしてそれをまた土をかぶして埋没さしておくというような形でもって保存をするのも、そのとき私ども一緒に視察をしたはずです。ところが、岡山のこの総合グラウンドの中の発掘をしたものは、一体その後どういうふうに処置してあるのか、それが私はまず第一番心配なんです。
 第二の問題は、この同じ総合グラウンドの中に野球場がありますが、今度この野球場を発掘しようという計画が、県側にですか、あって、その申請がなされておるように聞いております。ところが、その申請をされる場所は、これまた武道館のあとと同じように、相当重要な文化財が埋蔵されておるように地元の人たちは言っております。したがって、これを記録保存の形でもって一ぺん発掘して、そしてあと使用しようというふうな計画があるようでございますが、地元の人たちは、ぜひともいまの野球場の程度にしておって、これを拡張してこの地域の文化財をこわさないようにしてほしいという声があるのです。文化庁のほうでもその地元の要望がもっともであるというふうに考えておられるというふうにも聞いておりますが、この点いかがですか。二つの点お伺いいたします。
#26
○安達説明員 御指摘のございました津島遺跡の武道館建設工事につきましては、たびたびの発掘調査の結果、この地域が弥生時代前期前半の水田のあとあるいは住居あとであるということで重要であるということで、文化財保護審議会におきましては、この武道館の建設予定地を含む地域五万六千三百七十平方メートルを史跡に指定するという旨の諮問に対する答申がございまして、その指定の手続をいたしておるわけでございますが、実はこの地域が国有地でございますので、大蔵省のほうとの協議を要しまして、その手続で若干おくれておりますが、内容的にはもちろん問題はございませんので、近くその告示をする手続になるということでございます。告示をいたしますと、正式に史跡になりますと、先般発掘調査をいたしました地域につきましては、県におきましてこれを整備するということで、掘りっぱなしじゃなくて、これをちゃんと整備をし、あるいは芝生を張るあるいは遺跡の状況を示すように整備をする、こういうことで、本年度国庫補助金を約百五十万円用意をいたしておりまして、県の百五十万円と合わせまして、三百万円でもちましてこの発掘調査をした地域についての整備をする、こういう予定にいたしておるわけでございます。なお、その出てまいりました出土品等につきましては、県において保管をいたしておりまして、博物館等の施設においてこれを将来展示をするように、こういう計画でございます。
 それから、第二の御指摘のございましたあそこにございます野球場のスタンドの増設、照明設備の整備あるいはグラウンドの排水改良工事というような点につきまして、去る七月の三十日付で、岡山県の知事から文化財保護法の第五十七条の二に基づくところの発掘届けが提出されてまいりました。したがって、こういう地域でございますので、当然事前に発掘調査をすべきものであると考えておるわけでございますが、同時に、現地ないし県の一部におきましても、この地域はさきに史跡に指定するはずの地域と隣接しておるところでございますので、なおその計画について慎重にやるべきではないかという意見もございますので、その点につきましては、この計画について慎重に検討するというようなことでなお現在話し合いを継続しておる、こういうことでございます。
#27
○小林(信)小委員 そういう場合に、地元というのか県側から申請をしてくるような場合、いま長官が言われましたようにどうしてこんな線引きをするんだというように、とかく何かしようとする人は自分かってにその土地の事情等を説明したり、あるいはそれをまた陳情したりすると思うのですよ。そういう場合にどっちのほうへ文化庁は力を入れなければならぬかといえば、長官のお考えになっておられるように、ほんとうに文化財を守るという、ここに重点を置かなければいけないと思うのですよ。ところが、照明塔をつくるとかあるいは座席をふやすとか、あるいは排水をどうのとかいうふうなことは無理からぬことだろうくらいに考えて、許可することがいままで多かったのじゃないかと思うのですよ。そういう場合に、私は、ほんとうに文化財を守る厳然たる態度というものを持っていただかなければ長官の意図に沿わないと思うのです。どうかこの問題はそういうふうにやっていただきたいと思うのですが、いま次長のお話では、あの武道館を建てるときに発掘をしたらというようなことを言っておりますが、発掘をしたのは、あの地元の人たちのこういう文化財を守ろうという、ほんとうに素朴な人たちの力というものが最初の力だったと思うのです。あれをもしそのままほうっておいたら、あれだけくいを打っちゃったのですから、武道館というものは必ずつくられると思うのですが、そこで地元の人たちがそういう事実をあげて騒ぎ出したから、初めて文化庁もこれは黙っておられないということで、いまのような結果になったと思うのです。
 そういう点からしましても、どうか今度のこの津島遺跡の問題を、いままでの経過にかんがみて善処していただきたいと思うのです。
 そして、いま何百万円か予算を組んで、ことしはこれを保全をするというふうにおっしゃっておりますが、私は非常に手おくれだと思うのですよ。それは登呂遺跡の問題と同じように、発掘をしたものはどうせ木だとかあるいは種だとかもみだとかいうふうなもので、そんなものは空気にさらされたら完全に風化してしまうわけです。しかもあの発掘をした切断面というふうなものは、土の色で、ここまでがもとの水田の上であったとか、あるいはこの土の色をしているところがもとのみぞであったとかいうものだったわけです。それを二年も三年もほうっておいたら、もうこれは風化して、そういうふうなものはあとかたなくなくなるのじゃないかと思うのです。さっき川村先生もおっしゃったように、外国の遺跡というものはみな石でつくられたり、きちっと残っているものですが、日本の文化財はみんな埋蔵しているものなんですね。あの木簡のようなものは、今後の保存ということが一番大事だと思うのです。にもかかわらず、二年も三年も風雨にさらさして、そしてその面影がなくなるような状態になってから、何百万計上してこれを保存しますでは、私は納得できないと思うのです。そういうふうに、とかく文化財というものを重視する――総理大臣が六十八億も出してこの飛鳥の里を守る、これはこれだけ聞けばりっぱでありますが、そういう気持ちがあったら、もっとこの経済成長と並行して、それによって破壊をされる文化財をともに守っていかなければならぬという考えで、この文化財保護のための予算というものはもっと十分計上して、並行して進まなければならなかったと思うのです。残念ながら、文化庁の皆さんの力で、かすかながらこれを守ってきたような状態が文化財を守る行政だったと思うのです。この津島遺跡の問題にしましても、私どもあそこへ参りましたときに、これはすぐ土をかぶしてしまわなければいけないのだがと思っておったのですが、いまに至るもまだそのままにしてあるということを聞いて、いかにこの仕事が政治の中では忘れられておるかということを指摘せざるを得ないわけですが、どうかそういう点は一そうひとつ力を入れてやっていただきたいと思います。
 総理府のほうからお話を聞いたときに、法律に規定されたものを守っていけばいいのだというふうなようにもお聞きいたしましたけれども、もしそういうような形でもって、いま文化庁のほうの仕事というものがそういうふうになかなか困難を来たしておるときに、一カ所だけ六十八億ぽんと出して、そして古代文化を守りますといったって、実際がそれに伴っていかないわけなんで、そういう点もひとつ御勘案願いたいと思います。
 以上です。
#28
○久保田小委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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