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1970/02/19 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第2号
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1970/02/19 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第2号

#1
第063回国会 文教委員会 第2号
昭和四十五年二月十九日(木曜日)
    午前十時十六分開議
 出席委員
   委員長 八木 徹雄君
   理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君
   理事 河野 洋平君 理事 谷川 和穗君
   理事 有島 重武君 理事 麻生 良方君
      有田 喜一君    稻葉  修君
      小沢 一郎君    塩崎  潤君
      高見 三郎君    床次 徳二君
      野中 英二君    松永  光君
      森  喜朗君    渡部 恒三君
      川村 継義君    木島喜兵衞君
      辻原 弘市君    原   茂君
      山中 吾郎君    新井 彬之君
      多田 時子君    山原健二郎君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        文部政務次官  西岡 武夫君
        文部大臣官房長 安嶋  彌君
        文部省初等中等
        教育局長    宮地  茂君
        文部省大学学術
        局長      村山 松雄君
        文部省管理局長 岩間英太郎君
 委員外の出席者
        文教委員会調査
        室長      田中  彰君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 文教行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○八木委員長 これより会議を開きます。
 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 文教行政の基本施策に関し、文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。坂田文部大臣。
#3
○坂田国務大臣 このたび再び文部大臣に就任をいたしましたが、当委員会の皆さま方にたいへんお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 第六十三回国会において、文教各般の問題をご審議いただくにあたり、所信の一端を申し述べたいと存じます。
 わが国は、戦後幾多の苦難と試練を乗り越えて、たくましい成長と発展を遂げ、今日世界の驚異といわれるほどの経済的、社会的繁栄を実現するに至りました。このことは、もとよりわが国民の勤勉と素質の優秀によるところではありますが、さらに学制発布以来築き上げられてきた高い教育水準の成果に負うところ大なるものがあると存じます。
 しかしながら、今日世界の各国は相競って新しい科学や文化を創造するための努力を懸命に続けており、その結果、人類社会はかつてない急速な発展を遂げつつあるのであります。このような国際社会の現状にかんがみ、わが国が世界の進運におくれをとることなく、はるかなる未来にわたって繁栄を続けていくためには、伝統ある文化の上に、未来を開く新しい科学や文化をたゆみなく創造していくことが必要であります。そのためには、その根源ともなる教育のあり方について、この際根本的な検討を加え、世界の中の日本人として人類の福祉の向上のため建設的に寄与し得る能力を養い、あわせて豊かな人間性と社会連帯感を備えた国民を育成することが緊要と考えるものであります。文教行政をあずかる私といたしましては、こうした時代の要請と国民の期待にこたえるべく最善の努力を尽くす所存であります。
 以下、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。
 まず、学校教育制度の改革の検討についてであります。
 現在の学校教育制度は、実施以来二十有余年を経、その間、相当の成果をあげてきたと考えられるのでありますが、昨今における技術革新の急速な進展と社会の複雑高度化は、学校教育に多くの新しい課題を投げかけているのであります。
 すなわち、一昨年来の大学紛争は、大学の運営に関する臨時措置法の施行並びに大学関係者の努力と国民の大多数の支援により一応の収拾を見たのでありますが、問題の根本は、激変する社会の状況に従来の大学の体制が即応し得なかった点にあると考えられるのであります。
 こうした大学の問題のみならず、広く生涯教育にまで視野を広げて考えるとき、学校教育をも含め、今後のわが国の教育全体のあり方をいかにするかという広範な問題があるのでありますが、その一環としての学校教育制度につきましても、教育の機会均等の理念をいかに実現するか、国家社会の要請にいかに即応するか、人間の発達段階と個人の能力適性に応じた教育をいかに効果的に実施するか等、各般の問題があるのであります。
 これらの諸問題につきましては、現在、中央教育審議会で検討中であり、遠からず中間的な報告が得られる予定でありますが、この中間報告を基礎にして学校制度の改革に関し各界各層の意見を求め、国民的な理解と合意のもとに改革の方向を見出すよう努力してまいる所存であります。
 また、最近、従来の大学の教育、研究の内容、方法や管理運営のあり方についての反省に基づき、既存の大学のワクにとらわれない立場から、新しい構想に基づく大学創設の機運が高まっておりますが、文部省といたしましても、中央教育審議会の審議と並行して、放送大学等新しい構想による大学のあり方についても具体的な調査、検討を進めて行く所存であります。
 次に、初等中等教育の改善充実について申し述べます。
 教育内容の改善につきましては、すでに行ないました小学校、中学校の学習指導要領の改訂に引き続き、高等学校についても学習指導要領の改訂を進めるとともに、新しい科学技術の進展に即応して、情報処理教育の推進、数学教育の振興をはかるため、設備の充実をはかり、教育の内容、方法について新しいくふうを加えてまいりたいと考えております。
 こうした教育内容の改善を進め、その成果を高めるためにも、教職員の資質の向上と処遇の改善をはかることは、きわめて重要なことであります。このため教職員の研修の充実、海外派遣の拡充を行なうとともに、その処遇の改善についても今後さらに努力を重ねたいと考えております。
 また、児童、生徒の心身の健全な発達にとって重要な役割りを果たす学校給食につきましては、今後一そうその普及につとめるとともに、食事内容の向上、施設設備の整備、物資の流通の合理化等についても、さらにその改善充実をはかる所存であります。
 また、心身に障害を持つ児童、生徒に対する教育につきましては、施設設備の充実を進めるとともに、教育方法の研究開発等を進めるため特殊教育に関する総合研究所の建設に着手することといたしました。
 なお、公立文教施設の整備につきましては、従来から意を用いてきたところでありますが、特に人口の社会増地域における学校用地の確保と校舎不足の解消には、引き続き努力してまいりたいと考えております。
 次に、私学の振興につきましては、学校教育において私立学校の果たしておる役割りの重要性にかんがみ、特に、大学、短期大学、高等専門学校について、今回新たに人件費を含めた経常費の補助を実現し、教育、研究の充実をはかることといたしておりますが、そのため、従来の私立学校振興会を発展的に解消し、新たに特殊法人を設立して私立学校に対する援助を総合的かつ効率的に行なう考えであります。
 次に、高等教育の充実と学術の振興について申し述べます。
 高等教育につきましては、先に述べましたように、そのあり方について、基本的な検討を進めているのでありますが、当面、時代の要請に対応して、情報科学関係学科の設置、大学付属病院の研究診療体制の整備等を行なうことといたしております。また、先般、東京大学宇宙航空研究所におきましては、日本独自の発想に基づく人工衛星の打ち上げに成功し、わが国宇宙科学の進展に一時期を画したのでありますが、今後とも科学研究費の増額、研究設備の充実等基礎条件の整備をはかり、学術研究の一そうの振興をはかりたいと考えております。
 次に社会教育及び体育スポーツの振興について申し述べます。
 国民の一人一人が社会の進展と生活環境の変化に対応しながら同時にわが国のよき伝統を生かしつつ、近代社会にふさわしい生活の能力と態度を養うとともに人間性を豊かにし、また健康の増進をはかることは、きわめて重要であります。このことについて、学校教育の果たす役割りの大きいことはもちろんでありますが、さらに生涯を通じて学習を継続し、体育スポーツに親しみ、社会人としての健全な良識と強健な身体を養う機会を豊かにするよう社会教育及び体育スポーツの振興にさらに力を注ぐ所存であります。
 次に、文化の振興について申し述べます。
 近年における産業経済の急速な成長により、国民の生活は、物質の面においては著しく充実いたしましたが、精神の面につきましては、人間性の軽視、疎外という現象が見られるのであります。国民生活の向上をはかりながらこれに潤いを与え、人間味豊かなものとすることは、きわめて重要であり、このためには、文化の振興と普及をはかることが緊要の課題であると考えます。幸いにして、わが国には、芸術的、歴史的に価値の高い文化財が数多く存在しております。これらの貴重な文化財については、その保存に意を用いるとともに、国民が親しみやすく理解しやすいように、その活用について新たな配慮を加えてまいりたいと存じます。また、長い伝統につちかわれた文化の振興をはかるとともに、新しい日本文化の創造を助長するよう努力を傾けてまいりたいと存じます。
 次に、教育、学術、文化の国際交流についてでありますが、わが国の国際社会における地位と世界における教育、学術、文化の急速な発達の状況を考えますと、その国際的な交流と協力を推進することがきわめて重要であります。なかんずく、発展途上国特にアジアの諸国への協力は、とりわけ重要であります。これらの国々に対する教育協力、文化振興のための協力事業等をさらに充実するとともに、ユネスコ活動一般についてもこれを推進してまいる所存であります。
 最後に、長い間の念願であった沖繩の本土復帰が一九七二年に実現する運びとなったことは、まことに御同慶にたえないところであります。復帰準備の一環として沖繩に対する教育援助を充実し、本土との格差の解消につとめ、沖繩の教育水準の向上をさらに促進してまいりたいと考えております。
 以上、文教行政の当面する重要な問題について所信の一端を申し述べましたが、その他の諸問題につきましても文教委員各位の御協力と御支援を得て、その解決に努力する所存であります。何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#4
○八木委員長 次に、昭和四十五年度文部省予算の概要につきまして、説明を聴取いたします。坂田文部大臣。
#5
○坂田国務大臣 昭和四十五年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、文部省所管の一般会計予算額は八千四百五十五億八千七百七十四万五千円、国立学校特別会計の予算額は三千五十三億八千十六万八千円でありまして、その純計は八千九百七十二億六千六百二十二万八千円となっております。
 この純計額を前年度予算と比較いたしますと、およそ千八十四億円の増額となり、その増加率は一三・七%となっております。
 以下、昭和四十五年度予算案におきまして取り上げました重要事項について御説明申し上げます。
 第一は、文教に関する基本施策樹立のための調査検討の経費であります。
 わが国の教育制度全般にわたる改革については、中央教育審議会において審議を重ねるとともに、広く国民各層の意見を聴取して昭和四十五年度中にはその基本構想をとりまとめることとなっており、また、これと並行して新構想による高等教育機関の設立等のための調査研究を行なうこととし、これら文教に関する基本施策の樹立のため教育に関する調査、統計、広報等に必要な経費を計上いたしました。
 第二は、初等中等教育の充実のための経費であります。
 このことにつきましては、かねてから努力を重ねてまいったところでありますが、父兄負担の軽減に留意し、教材整備の促進につきましては、整備計画の第四年次の整備充足を行なうこととし、また、教科書無償給与につきましても、国、公、私立の義務教育諸学校の全児童生徒に対して全額国費によりこれを行ない、就学援助の強化につきましては、要保護、準要保護児童生徒の万国博覧会見学のための経費を修学旅行費、校外活動費に新たに支給の対象とするなど、その拡充につとめました。
 次に、初等中等教育の充実のうち、まず、後期中等教育の拡充整備につきましては、定時制または通信制の高等学校の施設設備に要する経費の補助の充実をはかるとともに、高等学校教育の多様化に対処するための理数科等の施設設備等に必要な経費を計上し、また、理科教育設備及び産業教育の施設、設備につきましては、新基準による計画的な改善充実を推進するとともに、新たに数学設備に対する助成及び情報処理教育センターの設置、農業専攻科の設置に対する補助を行なうことといたしました。
 次に、幼児教育の重要性にかんがみ、引き続き幼稚園の普及整備のために必要な施設設備に関する助成を行ない、幼稚園振興計画の達成につとめております。
 次に、特殊教育の振興につきましては、養護学校及び特殊学級の計画的な整備と就学奨励の充実のために必要な経費を増額し、私立特殊教育学校教育費補助に新たに人件費を対象に加えるとともに、特殊教育総合研究所(仮称)の施設建設に着手することとしております。
 次に、僻地教育の振興につきましては、僻地の教育環境の改善等のため、引き続き教員宿舎、スクールバス・ボート、給水施設等各種の施設、設備の充実をはかるとともに、寄宿舎居住費、遠距離通学費の補助を拡充するなど、総合的に施策を推進することといたしております。
 また、学校給食の普及充実につきましては、引き続き給食施設設備の充実、栄養職員の増員、学校給食物資の低温流通化の促進等施策を拡充するとともに、食糧管理特別会計への繰り入れによる小麦粉国庫補助は昭和四十五年度も実施し、新たに給食用物資の流通に関する調査研究を行なうことにより、今後の学校給食の改善充実に備えることといたしました。
 また、学校給食における米利用の問題につきましても、実験的な措置を講じております。
 次に、義務教育諸学校の教職員定数の充実につきましては、年次計画による増員及び特殊学級の増設に伴う増員を行なうこととし、給与改定の平年度化等を含め、給与費にかかる義務教育費国庫負担金は、総額四千三百二十一億円余を計上いたしました。
 なお、教員給与の改善について引き続き調査研究費を計上しております。
 次に、教職員の現職教育につきましては、従来までの校長等の研修を拡充し、海外派遣による研修の機会も大幅に拡大するほか、新たに新規採用教員の研修に助成を行なうことといたしました。
 次に、公立文教施設の整備につきましては、一九・一%増の四百三十三億円を計上し、事業量の拡大、単価の引き上げ、構造比率の改善につとめるとともに、後に述べますように、特に社会増地域の対策に特段の配慮をいたしております。
 以上のほか、教育内容の改善、生徒指導の充実、同和教育の推進、教職員の研究活動の促進、学校安全の充実等全般にわたる施策の拡充に必要な諸経費を計上いたしました。
 第三は、過密過疎地域教育対策に要する経費であります。
 まず、過密地域対策につきましては、小学校校舎の不足の整備、新設小中学校の校地整地費の増額のほか、社会教育施設、体育施設の整備等も強力に推進することといたしました。
 次に、過疎地域対策としましては、教育施設の整備、教職員の勤務条件の改善、児童生徒の就学援助の拡大等の施策を進めております。
 第四は、高等教育の整備充実と厚生補導の充実等の経費であります。
 国立学校特別会計予算につきましては、前年度予算額と比較して二百九十億円の増額を行ない、約三千五十三億円余を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの繰り入れ二千五百三十七億円、借り入れ金六億円、付属病院収入三百七十五億円、授業料及び検定料六十億円、学校財産処分収入三十三億円、その他雑収入四十二億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費二千五百六十九億円、施設整備費四百八十四億円などであります。
 まず、国立大学の充実整備につきましては、その質的充実をはかることに重点を置くこととし、他方社会的要請に即応するものとして医学部の創設と情報科学、情報処理教育に関する学科の新設、小学校教員養成課程の拡大等所要の措置を講じました。
 次に、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費等共通の基準的経費につきましても増額をはかっております。
 また、新制大学における大学院修士課程の拡充、付属病院、付置研究所の整備につきましても配慮をいたしておりますが、特に付属病院につきましては、診療機構を充実し、病院教官、看護要員を大幅に増員するとともに、従来の臨床研究医を非常勤の公務員の身分を有するものとし、あわせてその給与の増額をはかることとし、もって大学付属病院としての使命、目的達成に必要な整備につとめております。
 次に、専門技術者育成のため、昭和四十年度に設置を見ました工業高等専門学校七校に各一学科を増設することにいたしました。
 次に、学生の厚生補導関係については、引き続き多角的かつ総合的な施策を推進することとし、合宿研修の拡大等学生指導費の増額、課外活動施設設備の整備、学生厚生福祉施設の充実等に必要な経費を計上しました。
 また、育英奨学事業の拡充につきましては、大学院奨学生の貸与月額の改定及び採用数の増をはかるとともに、高等専門学校についても特別奨学生の採用数の増加をはかるなど、引き続き事業を拡充するほか、今後の大学等高等教育機関のあり方に即応した育英奨学制度の改善のために必要な調査研究を行なうため、所要の経費を計上しております。
 以上、高等教育の整備充実についてあとに述べます私学振興とあわせて格別に配慮をいたしたところでありますが、学内紛争等による学園の荒廃をすみやかに正常化し、学問と教育の府にふさわしい教育環境を整備し、さらに将来の大学のあり方について明確な方策を樹立するよう努力いたす所存であります。
 第五は、学術の振興に要する経費であります。
 学術研究の分野においては、研究活動の増大とその組織の拡大、専門分野の細分化、大型研究施設の需要等を見るに至り、したがって学術振興に関する施策を一そう多角的に講じることが必要だと考えられます。
 来年度予算におきましては、まず、科学研究費補助金を大幅に増額し、総額七十二億円を計上いたしましたが、この補助金の配分のための審査等も急速に改善されており、効果的な執行をいたす所存であります。
 また、既設の研究所の整備につきまして配慮するとともに、科学衛星、ロケット観測、南極地域観測事業等についても引き続き所要経費を計上することとし、素粒子研究に関する施設の整備にも着手することといたしました。
 第六は、私学の振興に要する経費であります。
 わが国の学校教育において果たしている私立学校の重要な役割りを正当に評価し、今後の教育、研究の充実をはかるため私立学校に対する助成措置を強化することとし、来年度においては、従来に見られなかった新しい施策を展開することといたしました。
 まず、私立学校振興会を発展的に解消して私学振興財団(仮称)を設置し、私立学校に対する貸し付け業務のほか国の私立学校に対する補助事業等を取り行なわせることといたしました。
 次に、私立大学等に対する経常費助成につきましては、これまでの教育研究費補助、理科等教育設備費補助等をも吸収して、新たに私立大学、短期大学及び高等専門学校に対して人件費を含む経常費に対する助成を行なうこととし、百三十二億円余を計上いたしました。
 なお、新設理工系設備及び研究設備につきましては、この経常費の助成とは別個に措置することといたしております。
 私立学校に対する貸し付け資金につきましては、政府出資金及び財政投融資資金からの融資並びに自己資金を合わせて総額三百十億円を確保することといたしましたが、貸し付け条件の改善についても所要の措置を講じることといたしております。
 第七は、青少年の健全育成と社会教育の振興のための経費であります。
 都市化の進行、技術革新の進展などによる社会構造の急速な変化に対処する社会教育のあり方については、現に検討を進めておりますが、来年度予算では、社会教育指導者の養成確保に意を用いるとともに、社会教育施設の拡充につきましても、地域開発のための人づくりセンターとしての公民館、図書館、博物館の施設の整備を一そう推進することとし、また、大学等の学校開放講座の整備など国民の学習意欲の高まりに対応する施策を進めることといたしております。
 また、青少年の教育問題において社会教育の分野でになう役割りは非常に大きいものとなっておりますので、学校外における青少年の活動促進、団体助成等に必要な諸事業の拡充を行なうとともに、すでに設置されている国立青年の家の整備充実と第九青年の家の新設を行なうこととし、さらに、公立の施設としては新たに少年自然の家の施設の助成を行なうなど、公立青少年教育施設の助成を拡充する措置を講じております。
 また、家庭教育相談事業、家庭教育番組のテレビ放送の実施等、家庭教育、婦人教育の振興についても留意し、経費の拡充をはかっております。
 第八は、体育、スポーツの振興に必要な経費であります。
 わが国の体育、スポーツの現状から見ましても、青少年をはじめ広く国民が体育、スポーツを実践し、健康の増進、体力の向上をはかり得るよう強力な施策を推進する必要があります。
 このため、水泳プール及び柔剣道場の増設に格別の配慮をするほか、体育館、運動場及び野外活動施設等の整備を推進するとともに、スポーツテストの普及、スポーツ教室等の実施、スポーツ団体、行事の助成、指導者養成等について、必要な経費を計上することといたしました。
 また、二年後に行なわれる札幌オリンピック冬季大会の実施準備につきましても遺憾なきを期すとともに、スポーツの国際交流についても所要の措置を講じております。
 第九は、芸術文化の振興と文化財保護の推進のための経費であります。
 このことにつきましては、文化行政の総合的かつ効果的な推進をはかる体制を整備し、その拡充に努力してまいりました。
 まず、芸術文化の振興につきましては、芸術、文化団体に対する助成措置の拡充を行なうとともに、地方芸術文化の振興の拠点となるべき公立文化施設整備費の補助について配慮を払うこととし、また、国立の美術館、博物館の整備にも意を用いた次第であります。
 次に、文化財保存事業につきましては、文化財の保存修理、防災施設の整備等を一そう充実することといたしておりますが、特に最近の国土開発の急速な進展に対処して史跡を守るためには、史跡等の買い上げが不可欠であり、かつ、急を要する方策であるとの観点から、これに対する経費を大幅に拡充いたしたのであります。
 また、平城宮跡の買い上げとその整備、飛鳥、藤原宮跡の発掘調査についても所要の経費を計上いたしました。
 なお、無形文化財の保存活用等につきましても、必要な経費の増額をはかっております。
 第十は、国際交流の推進と教育援助の拡大のための経費であります。
 国際学術文化の交流を促進するため、引き続き教授、研究者の交流を推進するとともに、日本古美術の海外展を実施する等、文化交流についても配慮いたしております。
 また、最近、特にアジア・アフリカ諸国に対する教育協力の要請が高まってまいりましたおりから、教育指導者の招致、理科設備等の供与及び指導者の派遣等に必要な経費を計上いたしております。
 次に、外国人留学生教育につきましては、国費外国人留学生の給与費を増額いたしますとともに、日本語学校の新設等、その受け入れ体制の整備強化をはかることといたしました。
 さらに、ユネスコ国際協力につきましては、国内ユネスコ活動の推進をはかるとともに、ユネスコを通じての国際協力、特にアジア諸国への援助のため新規の諸事業を計画いたしております。
 以上のほか、沖繩の教育に対する協力援助費につきましては、これを増額し、別途総理府所管として計上いたしております。
 以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
#6
○八木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午前十時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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