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1970/03/06 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第4号
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1970/03/06 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第4号

#1
第063回国会 文教委員会 第4号
昭和四十五年三月六日(金曜日)
    午前十時十九分開議
 出席委員
   委員長 八木 徹雄君
   理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君
   理事 河野 洋平君 理事 櫻内 義雄君
   理事 谷川 和穗君 理事 小林 信一君
   理事 正木 良明君 理事 麻生 良方君
      有田 喜一君    稻葉  修君
      小沢 一郎君    塩崎  潤君
      高見 三郎君    床次 徳二君
      野中 英二君    松永  光君
      森  喜朗君    川村 継義君
      新井 彬之君    有島 重武君
      山原健二郎君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        文部政務次官  西岡 武夫君
        文部省大学学術
        局長      村山 松雄君
 委員外の出席者
        自治省財政局指
        導課長     篠原 幹雄君
        文教委員会調査
        室長      田中  彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月五日
 辞任         補欠選任
  小沢 一郎君     江崎 真澄君
  坂井 弘一君     新井 彬之君
同日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     小沢 一郎君
同月六日
 辞任         補欠選任
  多田 時子君     正木 良明君
同日
 理事有島重武君同日理事辞任につき、その補欠
 として正木良明君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
三月五日
 学校図書館法の一部改正に関する請願(亀山孝
 一君紹介)(第七一一号)
 同(坪川信三君紹介)(第九二七号)
 国立大学付属学校における父兄の公費負担軽減
 等に関する請願外一件(天野光晴君紹介)(第七
 一二号)
 同(伊藤宗一郎君紹介)(第七一三号)
 同外一件(植木庚子郎君紹介)(第七一四号)
 同外一件(大竹太郎君紹介)(第七一五号)
 同(大坪保雄君紹介)(第七一六号)
 同外一件(小沢辰男君紹介)(第七一七号)
 同外一件(鹿野彦吉君紹介)(第七一八号)
 同(中川一郎君紹介)(第七一九号)
 同外一件(村山達雄君紹介)(第七二〇号)
 同外二件(山下元利君紹介)(第七二一号)
 人口急増地域の義務教育施設整備に対する特別
 措置に関する請願(河本敏夫君紹介)(第八五七
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一一号)
     ――――◇―――――
#2
○八木委員長 これより会議を開きます。
 この際おはかりいたします。
 理事有島重武君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○八木委員長 御異議なしと認めます。よって、辞任を許可することに決しました。
 次に、理事の補欠選任についておはかりいたします。
 ただいま理事有島重武君が理事を辞任されました結果、理事一名が欠員になっております。この補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○八木委員長 異議なしと認めます。それでは、正木良明君を理事に指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#5
○八木委員長 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。川村継義君。
#6
○川村委員 きょう、たくさん時間をいただくわけにいかないそうでございますので、大急ぎで二、三点国立学校設置法の一部改正についてお尋ねをしておきたいと思います。
 まず、初めにちょっと事務的なことをお聞きいたしますが、局長のほうでお答えいただきたい。文部省からいただきました「予算要求額事項別表」、この資料によりますと、大学関係では、三四ページに「学部の創設」として秋田大学の医学部、大阪大学の社会学部に必要な予算が八千三百万円、こうなっておりますが、秋田大学の場合は、このうちで幾ら予定されておりますか。
#7
○村山(松)政府委員 秋田大学の発足のための経費が、八千二百万円でございます。したがって、大部分秋田大学でございます。
#8
○川村委員 ついででありますが、大学院の設置、五大学、五研究科、これが八千七百万円予定してありますが、これは五つの山形、茨城、静岡、佐賀、長崎、それぞれ配分予定の額は幾らになっておりますか。
#9
○村山(松)政府委員 大学院創設に必要な経費は、大学院を担当することによります教官の俸給の上積み分、それから教官当たり積算校費の上積み分及び学生積算校費が大部分でございますが、その内訳といたしましては、佐賀大学千二百万円、山形大学二千万円、茨城大学二千万円、静岡大学二千二百万円、長崎大学千三百万円でございます。
#10
○川村委員 そこで、秋田大学の八千二百万円の内訳と申しますか、積算と申しますかについて、ちょっと明らかにしておいていただきたいと思いますが、学生は本年度何名募集の予定になっておりますか、それが一つ。それに伴って、医学部の創設に伴って教官は何名増員となるのか、それをちょっと明らかにしておいていただきたい。
#11
○村山(松)政府委員 学生の入学定員は、一学級当たり八十名でございます。それからそれに要します教官といたしましては、一般教育並びに基礎教育の一部六講座分、計教職員四十二名分を計上いたしております。
#12
○川村委員 四十二名は教授、助教授、助手、そのほか技官と、こうあるのですが、それの内訳をちょっとおっしゃっていただきたい。
#13
○村山(松)政府委員 教官が、教授八名、助教授八名、助手十六名、それに事務官、技官、雇用人等合わせまして合計四十二名でございます。
#14
○川村委員 先ほど八千二百万円と言われたその八千二百万円の経費の内訳というのは、大部分いまの教官の増員に必要な経費なのか、あるいはその八千二百万円の中には設備費等も含まったものなのか、もう少し内訳を説明してもらいたい。
#15
○村山(松)政府委員 八千二百万円の内訳でございますが、人件費のほうが多いのでございますが、そのほかに当然のことでありますが、学生を入れるための初度設備等を含んでおりまして、たとえば設備費が約二千七百万円、学生経費が約百万円、教官当たり経費が二千万円、それから人件費が約二千七百万円、こういう内訳になっております。
#16
○川村委員 学生当たりの積算校費、教官当たりの積算校費等は、他の大学と同じ単価計算で見てありますね。違いますか。
#17
○村山(松)政府委員 他の同種の国立大学の教官、学生の場合の単価と同じでございます。
#18
○川村委員 ついでに確かめておきますが、現在秋田大学の教育学部、鉱山学部全部で、いま学長以下教官、職員数は何名、何百名、何千名ですか。
#19
○村山(松)政府委員 秋田大学の現在の教官の定員数は二百七十名、その他の職員が三百二名、合計五百七十二名でございます。それから学生のほうは、入学定員で申し上げますと、教育学部が二百五十名、鉱山学部が三百名、合計五百五十名でございます。
#20
○川村委員 秋田大学の予算関係は明らかになったのでありますが、ついでにこの予算をこれでお聞きしておきますが、国立大学の充実整備として、いまの大学院の設置の問題、学部の創設の問題、そのほか学科の新設及び改組等で二億一千二百万円計上してある。ところが、別途文部省のほうでは大学院の専攻課程の設置を考えているようですね。博士課程が七つ、修士課程が二十二だと記憶するのですが、それの予算はどうなっておるのですか。
#21
○村山(松)政府委員 大学院の専攻課程の設置は、すでに根幹となる大学院の設置が認められておるものにつきまして、たとえば講座がふえますとか、それから内容を充実したような場合に、それによってふえた学生が学部を卒業する段階になりますと、相応して充実しておればその上に修士さらに博士の専攻課程をつくっていくわけでありますが、その分といたしまして、四十五年度分は二千五百万円程度の予算を計上いたしております。大学で申しますと、北海道大学、東北大学、東京大学、東京工業大学、それから名古屋大学、京都、大阪、広島、九州大学等、それぞれ個別の事情によりまして、いま申しましたように前年度以前に講座の増設等がありまして、それが大学院段階になった場合に、このように専攻課程を増設してまいったわけでございます。
#22
○川村委員 いまの二千五百万円は、私たちがいただいたこの「予算要求額事項別表」には書いてありませんね。
#23
○村山(松)政府委員 御配付申し上げました資料は、おそらく重点事項ということでおもなものをピックアップしたものだと存じますが、予算としてはこまがいものがそのほかにもあるわけでございます。ただいま御指摘の大学院の専攻課程の増設は、御説明申し上げましたように、事務的と申しますか、いわば特別の事情がなければ当然にできていくものであるというような考え方からいたしまして、特に重点事項としては掲記しなかったものと考えられますが、そういうものとしては比較的重要なものであると考えます。ただ、やや学年進行的といいますか、事務的といいますか、そういう考え方からいたしまして、重点には入れなかったものと御了解いただきたいと思います。
#24
○川村委員 国立学校の設備の充実であるとか、いまの大学の充実整備であるとかいうことの中で、いまの博士課程、修士課程の問題を局長はあっさり答えたのでありますが、それは相当重視しなければならない問題があるわけです。やはりそういうものはこういう予算書には明示しておくということが大事ではないか。これはひとつ私のほうの考えを申し上げておきます。
 その次に、大臣にひとつお尋ねいたしますが、四十五年度の大学の受験志望の状況は、先ほど承知したのによりますと、全般的に国立学校は志願者数が減っておるということが新聞等でも報じられております。それを一々ここでこまかに申し上げる必要はもちろんございません。ただ、その中で医学部の志望は相変わらず高い。どこの大学でも、他の学部の非常な減り方に比べて、医学部の志望は相当高い結果が出ておるようであります。それも、大学によって昨年よりも高かったところと本年へこんだところもあるようでありますが、概して医学部志望が高い。大臣、あなたはそれを一体どういうようにお考えになっておられるか、分析をしておられるか、ちょっとお考えを聞かせておいてください。
#25
○坂田国務大臣 私は、少しお医者さんが足りないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、諸外国でございますと、たとえば米国におきましては、これは昭和四十年現在でございますけれども、人口十万人に対しまして一四八・三人、西ドイツでございますと一五四・六人でございますが、日本におきましては一一二・一人ということで、もう少し充実する必要があるというふうに考えられるわけでございます。そういうことで、結局お医者さんになりたいという希望もございますし、それにこたえる機関が少ないということで、非常に激甚な入学試験ということになるのであろうかと思うのでございます。
#26
○川村委員 それは大臣、少しお考えが軽率と言っては失礼だけれども、見方がどうも何かピントをはずれているように私は思うのです。医者が足りないから、学生がおれはお医者になるぞと言って医学部にたくさん志願をする、医者が足りないから、文部省がさあ医学部に行けと言って、厚生省が医学部に行けと言ってしりをたたいたというわけでもないだろう。学生がとにかく医学部をたくさん志望しているということは、これは学生自身のものの考え方に大きな原因がある。そうすると、医者になりたいという学生がたくさんあるということ、これはやはり医学部教育を進める文部省としては、一体なぜ医学部志望が多くなっているかということを、ただ単に医者が足りないから多くなったんだ、そういうことでは済まされないものがあるのではないかと私は思うのですが、これはやはり社会の動いていく、あるいは就職の問題、あるいは将来の問題、生活の問題等等、もう少し文部省としては分析してとらえておく必要はありませんか。もう一度ひとつ……。
#27
○村山(松)政府委員 最近の大学への入学志願者の志願する動機、いかなる学部にいかなる動機で入ったかということでございますが、これはなかなか的確に分析することはむずかしゅうございますし、的確な資料もないわけでありますが、きわめて端的に申せば、やはり卒業後の生活において有利と思われるような分野というのが、一つ大きな動機になろうかと思います。それからもう少し純粋な動機としては、やはり自分がどういう学問をやりたいというようなことが動機になろうかと思います。それから制約する要素としては、たとえば家庭の事情とか、親その他のすすめだとか、そういうものがあろうかと思いますが、一般的に申しますと、最近の傾向としては、サラリーマンよりも自由業といいますか、独立して仕事ができるような仕事に対する魅力というものが高まっておるようであります。医師とか弁護士とかいうものは典型的なものでありますし、そういうことで医師の将来における社会的な、あるいは経済的な地位などとも関連して、医学部志願というのは昔から他の分野に比べて強かったわけでありますけれども、他の分野の変動にもかかわらず、相変わらず強いということが言えようかと思います。数字的に申しますと、国立大学につきましては、医学部志願者は、昨年に比べて特に変動はございません。大体横ばいの傾向でございます。ことしの大学志願者の全体的な状況といたしましては、やはり高等学校の卒業生が若干減少しておるというようなこともからみまして、全体的に減っております。その中で、医学部などはその魅力にささえられて減り方が少ない、こういう現象であろうかと思います。
#28
○川村委員 今年、私の周囲にも何名か医学部を志望した学生がおりますが、彼らのいろいろの考え方を聞いてみると、いま局長が答弁をされたものに大体合意される、賛成できるような点が多いのであります。先ほど大臣がおっしゃったような意味でなくて、局長のお話のような点がいま学生に非常に多い。そこで、この後やはりこの傾向は、私は少なくとも高まると見るべきではないかと思います。そうなると、大学における医学部の教育というものは、今日までの医学部教育の反省の上に立っても、文部省としては非常に注意をしてもらわねばならぬ問題が多いと思います。この間の委員会で河野委員から、ことしの入学でトラブル、妨害、そういうものが一体どうだったかという質問があったと思いますが、局長の答弁で、全国で五つぐらいの大学でいやがらせ的なトラブルがあって、大体は平穏に済んだ、こういうことであります。たいへんけっこうでありますが、今日までの大学問題になった紛争、大臣これは非常に苦労されたわけでありますが、大学紛争が起きた原因、経過、これをいまここでいろいろとやりとりをしたり、くどくど申し上げたいとは思いません。ただし、それらのことを考えると、医学部というのが、相当大学問題を起こした、紛争を起こしたものの中には大きな要因を持っておる。そういうことを考えますと、やはりこの後の医学部の教育、医学部のあり方ということについては、ただ単に警察権力で大学紛争をおさめた、警察の力で入試を無事に済ませた、これだけでは、やはり文教行政府としてはおそらく満足してはならぬ、またされないものがあると思います。そうなると、これから先の大学全般の改革を含めて、特に医学部等の問題については、文部省としては何か十分な取り組みがなされねばならぬと思いますか、今度の秋田大学の医学部の設置等につきまして、そういう点に大臣何か御配慮あるいはお考えかおありでありましょうか、お聞かせおきいただきたい。
#29
○坂田国務大臣 特に秋田大学の医学部設置につきましては、現行の制度で充実をしていくつもりでございますけれども、しかし、ただいま中央教育審議会におきまして、大学の改革、特に大学の中におきます医学部あるいは医学の教育研究ということについてはどうなくてはならないかということを検討しておるわけでございまして、それらのことと今後充実していくにつきましても考え合わせなければならないということは多かろうと思いますけれども、まず定員、あるいは研究費、あるいは学生の経費、あるいは施設設備というようなものがやはり整えば、ある程度充実した教育、研究が行なわれるという考え方のもとに進めておるわけでございます。全体といたしましてはまだ数年かかりますから、いずれ中教審の答申も最終的には来年あたりになるものと考えられますので、そういう中教審の答申等も見ました上で、今後の秋田大学の医学部の充実につきましても十分配慮してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#30
○川村委員 先ほどもちょっと触れましたけれども、「国立大学の充実整備」ということで、秋田大学の医学部の創設、それから五つの大学、五つの研究科、いわゆる大学院の設置、それから学科の新設及び改組、それから先ほど私がちょっと申しました大学院専攻課程の設置、こういうようなことで国立大学の充実整備ということを本年度は考えられておるし、まあそれなりの予算を実は計上をしておられるわけであります。それらの問題は、いま大臣がお話しになりました、この前中間報告がなされました中教審の答申とは全然関係なくそういう国立大学の充実整備ということをお考えになっておられるのか、中教審の中間報告であるから、これはまあそれをいま実際施策の上であらわすということは問題があるかも知れぬとは思いますが、そういうものを一応構想しながらこういうような大学院の設置あるいは学部の創設、学科の新設、改組、大学院専攻課程の設置、こういうものを考えられたのか。何かそこに関係を持ってお考えになっておるのか、あるいは全然中教審の中間報告とは関係なく国立大学の充実整備というものは進めておるんだと、こういうようにお考えになっておるのか。これはちょっと大きな問題だと思いますから、大臣からお答えをいただきた
 い。
#31
○坂田国務大臣 実は、御承知だと思いますけれども、今度発表されました中教審の試案の中には、まだ大学の医学部の教育研究の問題については触れておりませんで、今後の重要課題として検討を進めるということになっておるわけでございます。ただ、全体的な討議の過程におきましては、たとえば現在の東京大学とかあるいは京都大学とかいうようなところで、もう学部が十学部ある、研究所が十四もあるというようなことで、なかなか複雑多岐になってきておって、むしろ医学部というか、医学教育、研究というものは別個に考えたらどうかなというような議論もなされたことも、われわれは聞いておるわけでございます。そういう段階でございまして、ただいまの中教審の試案の中には実はまだ具体的に触れてきておりませんので、これをどうするというわけにはまいりません。しかしながら、私たちの頭の中には、地方の大学は、東京大学とかあるいは京都大学とかいうような、そういう複雑多岐な総合大学でなくて、スモール・ユニバシティでありまして、むしろ学部をもう少しふやす、そして充実をするということが、大学としての意味も出てくるというような考えも二面においてはあるわけでございます。これは単に医学部とは限りませんけれども、そういうようなことで、秋田の場合におきましては、地方の地元の非常な要請も強うございましたし、また同時に、東北等におきましてのお医者さんの数が、先ほど申し述べますように全国平均よりも少ないというようなこともございまして、秋田大学の医学部の創設をいたしたわけでございますが、しかし、創設するにつきましては、医学の教育、研究には教官の数あるいは施設設備等に相当お金がかかるわけでございまして、十分な体制のもとに出発しなければいろいろの大学紛争のもとにもなりかねないというような事情がございまして、やはり出発するからには、きちんとした教官、あるいは職員、あるいは施設設備ということを頭に置いて出発をしたということだけは、はっきり申し上げられると思うわけでございます。
#32
○川村委員 いまの大臣のお答えについては、あとでお聞きいたします。
 まあいまのおことばからすると、中教審の中間報告とは関係なく考えた――時間がございませんので、私はこれらの問題については後日お尋ねする機会もあろうかと思いますから、いろいろと論議を避けたいと思います。中教審の答申を見ると、一つには高等教育の多様化ということが指摘をされておる。それが実際そうなるかどうかわかりません。しかし、ああいうものが出てきたら、大体そういう方向にいくだろうとわれわれは思うのですが、中教審でいくようなかっこうで多様化される。ところが、このように各大学で大学院が次から次につくられる。その辺で、でき上がったところのこの大学の機構、あり方あるいは研究体制、学問の体制というものと、新しく出てくる中教審のそれとぶつかって、一体これはどういうことになるであろうかということなどが、やはり一つの問題となる。そこで、一体中教審というものを考えてこういうふうに進めておられるのか、いやそれは別じゃ、既定方針どおりにこうやるのだというようなことでやっておられるのかということを聞いたわけで、まあそれは関係ないとなると、さあ中教審の答申が出て、高等教育がずっといろいろな形で六つか七つに多様化されたときにぶつかっていく大学のこの機構というものは、一体どうなっていくのかということが懸念をされるわけですね。それでお尋ねしたわけです。それらについては、きょうは時間がございませんから、一応後日に譲ることにいたします。
 同じようなことでちょっとお聞きしておきたいと思うことは、今度の大学院の設置も、水産学科が長崎の一つと、あと四つは、これは全部農学部に置かれるものです。農学部にこういう修士課程を置くということは、これは大臣、いまの国の施策である総合農政というものと何か関係づけてことし新しく四つの農学部の修士課程を置かれたのですか。そんなことは全然別だ、これは必要で、地元の要求があっておったから置いた、こういうことでしょうかね。
#33
○村山(松)政府委員 大学院設置の事務的な経過を御説明申し上げたいと思いますが、大学院、特にその修士課程につきましては、文部省といたしましては、大学院というものを旧制大学を基礎としてつくりました新しい大学にはつくりましたけれども、旧制の専門学校あるいは高等学校を基礎として編成しました新制大学、あるいは戦後新たに創設されたような国立の学部につきましては、大学院を置くことはどうであろうかということで、発足以来ずっと控えてまいったわけであります。ところが、昭和三十八年に中教審の大学制度の改善に関する前の答申が出まして、大学院のうちで、博士課程というのは世界的水準の研究者の養成、わが国の研究水準の確保、向上に資するものであるから、これの設置は厳選しなければならないけれども、修士課程の大学院は、必ずしもそういう学問研究だけの観点で考えなくてもいい、もっと別個の観点もある。たとえば学問分野あるいは職業分野によっては、高度の職業人の養成というようなことにつきましても、学部段階では不十分であって、大学院修士課程程度のことは考えてしかるべきだ。そういう分野として、主として理工系があげられたわけであります。それからまた、大学の整備充実というような観点から見ましても、学部が充実してまいりますと、その教育、研究を進展させるためには大学院がほしい。博士課程とまではいえなくても、修士課程程度の大学院は、充実した学部のあるところには、戦後に創設された大学であっても設けてしかるべきではないかという意見も出てまいってきております。そういうことからいたしまして、昭和三十八年以後、新しい学部の上にも、その充実度でありますとか、職業教育に対する社会的要請でありますとか、そういうものを勘案いたしまして、当事者の希望ももちろん聴取しながら、漸次つくってまいったわけであります。まあ緊急度からいきますと理工系が非常に強かったものでありますから、理工系、薬学などにつきましては、すでにほとんど設置済みでございます。
 農学部につきましては、それに次ぐものといたしまして、これまた漸次設置してまいりまして、現在まですでに六つの大学でできておるわけであります。今回既設の大学と同等以上に充実しておると認められるものについて、四つを取り上げたわけであります。
 水産につきましても、現在すでに二つできております。長崎の水産学部は、既設の二つに匹敵するものとして取り上げた、こういう経過になっております。
 大学院の設置の問題につきましては、今後もこういう考え方で臨んでまいりたいと思っております。もっとも、大学制度の全般的な改善、改革の議が進んでまいっております。そういうものとの関連はもちろん考慮いたさなければなりませんけれども、さればといって、そういう全体構想がまとまってそれを実施に移すまで、すでに既定の計画で進んでおるものを一切押えるというわけにもまいりませんので、現段階としては、制度の改革も考えながら、既設のものの拡充整備は、厳選しながら必要不可欠なものは少しは取り上げていく、こういう態度で臨んでおるわけであります。
#34
○川村委員 それは局長、わかるんだ。私が聞いておるのは、なるほど、これまでは理工系とかそういうものの大学院の研究科が多かった。しかし、農学部だけでも、国公私立を合わせると、博士課程あるいは修士課程として三十三というようなものがある。それに園芸等々を加えていくと三十六、七は、修士課程、博士課程がいま設置をされておる。その上に今度農学部四つを加えるわけでしょう。ところが、いま政府のほうでは総合農政という――その総合農政、中身は御存じですね。そういう立場で取り組んでいこうとしておる。何かそれらの政府の施策と関連づけて、今度は、ことしは思い切って水産、農学部四つという修士課程を置いたのかどうなのか。そんなのは考えていないんじゃということなのかですね。いまその修士課程を置くということになると、われわれはうっかりして考えると、これはただ文部省は何か農業関係のお役人をつくるためにやっているのじゃないかなんていうような勘ぐりさえ出てくるのですよ。で、そういう国の総合農政と、ことし思い切って四つも置いたこの農学部の修士課程というものは、何か関連づけて実は考えたのか。いやそうじゃない、これは置くべきところには置かなければならぬと思うたからやったと、まあことばはそういうことだったのだから、そういうことなのか。局長もう一ぺん、どっちでもいいのだ、はっきりしてもらえば。
#35
○村山(松)政府委員 総合農政でありますとか、あるいは理工系の技術者養成の要請でありますとか、そういう社会的な要請は、大学で教育、研究の計画を立てる場合に、一つの重要な判断の要素として採択すべきものであることは当然のことでありまして、文部省としても、そういう社会的要請は大学側に伝えておるわけでございます。ただ、大学の教育研究計画は、社会的要請だけを理由としてやるわけにもまいりません。結論的に申し上げますと、今回の農学部の研究科の設置につきましては、総合農政というものに対応するということを特に意識した計画ではございません。
#36
○川村委員 いま局長の答弁のことばの中に、ことばじりをとらえるわけではありませんが、基本的な考え方として、大学の研究というものは社会的要請だけにこたえるものじゃない、これは非常に大事に私は考えたいと思うのですよ。
 そこで大臣、先ほどの大臣のお話の中に出てきたんですが、秋田大学の問題にもう一ぺん返りますが、秋田大学の医学部設置に至る経過、これはまあいいでしょう、長くなるから。理由ですね。これはこの前の委員会で河野委員がお尋ねになったときに、政務次官のほうから中心的におっしゃったのは、秋田の地元の要請が非常に強かったから、これまでの経過もあるし、今度はこれを認めることにした、こういうのが答弁の中心だったのです。大臣、それだけで秋田に医学部を置かれた理由として見ていいか。私はそうじゃないと思うのだけれども、大臣の考え方からすると、その秋田に医学部を置かれた理由を、もう少し明確にお話しいただけませんか。
#37
○坂田国務大臣 先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、最近医療需要の急増に対しまして医師が不足をしておる。その増強が要請されておるということは御承知のとおりでございますが、特に秋田県におきましては、現在医学部は一つもございませんし、医師の数も人口十万人に対しまして八一・四人というようなことで、全国平均の先ほど申しました一一二人に比べまして著しく密度が低い。都道府県別に見ますと一番最低ではないかというふうに考えられるわけでございますが、それだけではございませんで、秋田大学におきましては、すでに医学部を設置するための準備を重ねてまいりましたし、四十四年度にはその準備費を計上いたしております。また、文部省及び秋田大学にそれぞれ設置準備会等も設けて、創設に対する諸般の準備を進めてまいったわけでございまして、今度教官組織の編成も終わり、開設のめどが立ちましたので、今度医学部を設置するということに踏み切ったわけでございます。もちろん地元の知事さんをはじめとする地元民の要望も非常に強かった、そしてまた協力体制もあるということを前提として踏み切ったということでございます。
#38
○川村委員 あなたの提案理由の中に、「医療需要の増加に即応して医師の養成をはかるとともに」ということばがあります。いまのおことばからすると、私は一応ここでは秋田県の要請、秋田県の医療需要にこたえる、こういうふうに読みかえておきますよ。ところが、そうではないではないか、そう考えていかぬのではないか。医学部教育ということを考えるなら、ただ単にそれだけでは済まされない諸問題があるのではないか。局長のことばをかりると、これは単に大学教育、医学部教育、すべて社会的要請だけにこだわってはいかぬということを言ったのですが、私もそういう考え方で、何かがここにはなければならない。いま大臣のお話を聞いていると、どうも秋田県の要請ということが中心になってきます。そうなると、いま大臣は、秋田県は医師の数からいったら最低ではないかとおっしゃったのですが、もちろん低いほうですね。埼玉、秋田、茨城、宮崎、山形、これは非常に低い。そうなりますと、今度は山形あるいは宮崎、茨城、こういうところから医学部をつくれといってきたならば、やはりこたえるのか、こたえねばならぬのか、こういうことにもなる。私は、もちろんそういう秋田県の要望、その条件、それを決して否定するものではありません。しかし、医学部をここに創設する以上は、ただそれだけであってはならぬものではなかろうか、大学教育を考えるときに、こう思うのです。
#39
○坂田国務大臣 川村先生のおっしゃいますことは、これはもちろんそのとおりなんでございまして、単に地元の要請があるからそうだときめたのだということではないわけでございまして、日本全体といたしまして医学教育を進めなければならない。しかしながら、日本全体としましてもやはりお医者さんが足りない。これはもう少し充足していかなければならぬということはあるわけでございまして、その中で、秋田の医学部創設について地元の要請も非常に強いし、また同時に東北全体を考えましても、秋田につくることは好ましいことではないかというように考えたわけでございます。しかし私は、従来の大学、特に国立大学について考えるのでございますけれども、何か国立大学はその地域とは無関係に存在しているのだというような風潮があったと思うのでございます。そうじゃなくて、これから先の大学の使命というものは、教育、研究をやりまして、その研究の成果というものがやはり社会に還元していく、あるいは地域社会に還元していくという機能が認められなければならないのじゃないかというふうに考えるわけでございまして、同時にやはり国立大学自体にいたしましても、地元のある程度の要請にこたえていく。たとえば医学部でございますと、そういうような要請にこたえていくということがあってしかるべきだ。たとえばわれわれ熊本の場合を考えましても、水俣病というものが起きた。そうすると、熊本大学がこの原因究明に努力して、大体この原因を突きとめた。このことは、同時に日本全国の水銀によるいろいろの病気の発生に対しまして、新潟県におきましても同様の処置をとれるようになった。あるいは三池で炭鉱の爆発が起きた。そうすると、熊本大学の医学陣が行ってこの調査、研究をやった。これに対しまして、また北海道で同様なことがあった場合は、その熊本大学の研究の成果というものが北海道にも応用される、こういうことでございまして、これから先の大学というものは、やはりその地域社会のある程度の要請にこたえていくという機能を積極的に持つべきであるというふうに、私は考えるわけでございます。その意味から申しまして、川村先生のおっしゃいました前段の医学教育そのものと同時に、やはり地域社会の要請にこたえるという面を考えていくという方向を国立大学といえども考えていかなければならないというふうに思います。
 それからもう一つ、いま中教審で検討いたしております課題の一つでございますが、それはどうも日本の大学に対する政策といいますか、それに対して、長期的な教育計画というものがなかったのじゃないだろうか。大学が、学問の自由、大学の自治ということからして、何か文部省がそういう長期的な教育計画がないままに、たとえば私立を設置する場合におきましても、日本列島全体を考えて設置をある程度考えていくというようなことも何らなく、設置基準の条件が満たされれば、それを機械的に許可せざるを得なくなってきた。それがまたあまりにも多くの大学を都市周辺に集中させてしまった。そうしてそれが一つの大学紛争の原因にもなっておるというふうにもいわれておるということで、これから先私たちは、どうしても長期的な教育計画、高等教育機関というものをどういうふうに考えていくかということは、国として持つべきである。そしてまた、それを具体化していく場合においては、大学の自主性をもちろん尊重いたしますけれども、大学当局と文部省というものが一体となって相談をしながらこの計画を遂行し、あるいは具体化していくということでなければならないんじゃないかというふうに私は思うのであります。
#40
○川村委員 いろいろお答えになりましたが、私も、大学の研究が社会に還元されるということを否定するものじゃありません。ただ、いま大臣が言われたように、社会的要請にこたえる、もちろんそれは大事でございましょう。ただ、文部省がこういう大学、研究の機関をつくるときに、そこのところの基本的なものの考え方というのを私はお尋ねをしておるわけです。そうなると、私ついでに大臣にお聞きしなければなりませんが、確かに大臣も言われたように、秋田県は医師が非常に不足していると聞いておる。あそこの県庁の知事さんはじめ皆さんが、秋田県の公的な医療機関の医師不足等で毎年頭を悩ませて、弘前大学に行ったり、それから東北大学に行ったり、ああいうところへ行って、お医者さんに来てください、ずいぶん苦労しておられるという話も聞いておる。それがこの設置に至った経過でしょうが、ただ、いまの大臣のお話で私がお聞きしたいと思うことは、秋田県の医師会の諸君は、いわゆる地域医療体制の確立とでもいいましょうか、それを今度のこの医学部設置については非常に強く望んでおる。そうなりますと、大臣、あなたは、あなたのいまのお答えからすると、秋田県の医師会が言っているように、つまり秋田県のそういうような地域医療体制を確立するために、あるいはそのような臨床的な研究をやるために、大学と関係機関の間で連絡委員会か連絡機関をつくれ、こう言っているんだそうだが、それをお認めになるのかどうなのか、一つ。
 それから、秋田県の厚生連あたりでは、農村医学講座を設けろ、こう言っているんだそうだが、それもお認めになるのかどうなのか。先ほどいただいた講座開設年次計画では、それは出てきていないようだが……。
 いまの点について、大臣お認めになるのですか、なりませんか。これは大臣の先ほどの、要請にこたえるという姿勢が前面に出てくると、当然それは考慮すべき問題だと私は思う。その点いかがでしょう。
#41
○坂田国務大臣 秋田県の医師会との関係でございますが、私、一般的に申し上げまして、個々のお医者さんの診療、それによって普通程度の病気がなおせる。ところが、個々の診療でどうしてもできにくいむずかしい問題については、やはりその県に一つ医学部があって、そして病院もあって、そして相当の研究が行なわれておるという場合におきましては、むずかしい病気についてはその医学部なりあるいはその医学部の付属病院なりに出ていって診療を受けるということは、これは非常に望ましいことであるし、また現実にそういうふうに各県で行なわれておるんじゃないか。それからまた、そういう研究機関というものが県下にございますと、一たん開業されました先生方が、さらに再教育といいますか、あるいは研究を志されるというようなことに対して、大学が窓を開くということは当然なことであって、そういうような新しいあり方に大学は門を開かなければならぬと思うのでございまして、御指摘の点は、私は十分考慮されてしかるべきだというふうに考えます。
#42
○川村委員 大臣お答えいただいておりますが、私がお尋ねしたのとちょっとピントがはずれております。私のお尋ねしておるのがちょっと不明確だったと思うので、もう一ぺん簡単に繰り返しますと、秋田県の医師会は、結局地域医療の体制ということを強く考えておって、今度医学部ができても、結局秋田地方に多いところのそういう病気を解明するための研究であるとか――これは悪いとは申しませんよ。臨床的な研究、そういうものをやれ、それを中心にせい、そのためにはおれたち関係機関と大学が連絡するところの機関をつくれ、こう言っている。大臣のお話のようになると、そういうものも結局必要になってくるではないか。また、厚生連のごときは、農村医学講座を設けろと要求しているということを聞いておる。そうすると、それもやはり設けなければならぬのじゃないか。これだけで一体どうなのかと私に疑問があるわけです。というのは、大臣のお答えになっておるのは、あなたのほうの大学病院基本問題調査研究会の報告に、どうもその趣旨にあなたのお答えがはずれていると私はいま受け取っているわけですよ。私もここで詳しいことを言う必要はありませんけれども、大学病院基本問題調査研究会のものの考え方は――これは局長間違っておったら教えてください。そういう地域社会に即した郷土色を出すよりも、むしろ大学病院の医学研究というものは、世界人類の医学に貢献できる医学部をつくる、そうして研究と教育を主体にする、こういう考え方で大学病院基本問題調査研究会の報告が出ていると私は記憶しているのです。そこをやはり一番の中心に踏まえておいて、そして大学で研究、教育をなさって、その研究の成果が大臣が言われるようにその地域社会に還元できる体制、これは当然のことですけれども、そのものの考え方というものが、やはり大学の医学部等を考えるときには、そう考えて取り組んでいくのが文部省としても至当ではないか。医師会がこう言ったからこれをやる、厚生連がこう言うたからこれをやる、そういうような大学の取り上げ方というのは、どうも、結果として与えるもの、還元するもの、それはあっても、基本的にそうあってはならぬのじゃないか。あくまでもやはり医学部というようなものの目的からしても、大学病院基本問題調査研究会等が報告しているようなものの考え方に立って進めていくのが、文部省の姿勢ではないだろうか、こう思います。
#43
○坂田国務大臣 川村先生何か少し取り違えられておるのではないかという気がしてならないのですが、というのは、学問学問と、あるいは世界に貢献するとかいうことをおっしゃいますけれども、それは一つの病気にとりましての個別的な問題ですね。特殊の病気、それを解明することが、世界人類のためになることなんです。つまり学問に貢献することになるわけです。その意味においては、非常に特殊的な課題だと思うのです。そうしてそれを究明して普遍化するところに学問の意味があると私は思うのであります。それをやはり病院調査会ですか、の報告は言っているのだろうと思うのでございますけれども、ただ、それだからといって、何でもかんでも地域の同じようなことに大学病院がこたえなければならぬという問題じゃなくて、その県下における特殊の問題について解明をする。そうしてそのことが日本全国に普遍化されていく、あるいはまた世界全体に貢献をしていく。たとえば水俣病にいたしましても、だれもこれはわからなかった。しかし、熊本大学がこれを研究した。そうしてローマの世界の学会に発表して、全世界で知るようになった。今度新潟に同じような事件が発生した。そうすると、その治療方法や何かが面らに新潟において応用される。あるいはイタリアその他の国において同様の水銀中毒症状が出た場合は、すぐ熊本大学のその成果が向こうに応用されていく。それこそ世界あるいは人類に貢献することでございまして、そこにこそ大学の医学教育の使命があるのじゃなかろうかというふうに私は思うわけでございますが、御指摘の秋田の場合における医師会との関係、その具体的な内容を実は私もよくわかりませんものですから、この点につきましては、むしろ局長から答弁させます。
#44
○川村委員 同じことをこっちからとこっちから言っているような気がするのですが、ただ、私は大臣が言われたことを否定しているわけじゃないのです。しかし、大臣がおっしゃることは、研究の素材論を言っているわけです。そうじゃなくて、私は大臣の立場でものを考えているのです。文教行政を担当する者としてはこう考えるのが至当ではないか、こう言っているわけですよね。これはちょっと時間もありませんから、その辺のところひとつ宿題にしておきましょう。
 そこで、次に大急ぎで申し上げますけれども、これは局長からお伺いしたほうがいいかと思います。今度の秋田大学医学部整備計画の資料をもらったのですが、年度計画、病院計画があります。実は私がこれでほしいのは、この整備計画に基づいたら完成までにどのくらいの金が要るか、大体いまのベースで計算して。これは一応なければならぬはずでしょう。
#45
○村山(松)政府委員 医学部を創設する場合、いろいろ改革意見はございますが、それが実施されるまでの間は、やはり現在の基準でやらなければならぬわけでございます。その中で、弾力性の範囲でできるだけ新しいものを出していくということになろうかと思います。そういうことになりますと、秋田大学の医学部の場合、組織といたしまして、講座数にして大体二十七講座、それに七百床程度の病院を持つということを現在一応考えております。学生の入学定員が八十名といたしますと、現在の設置基準あるいは現在ほぼ同規模の国立の医学部、それから所要の施設設備、それに必要な予算というものが出てまいるわけでありますが、たいへん大ざっぱに申し上げますと、施設費にして大体四十億程度、それから設備費、これは欲をいえば限りがございませんけれども、やはり少なくとも十億以上、そこで完成年度に達しますと、年間の運営費が二十億弱、こういうことに相なろうかと思います。
#46
○川村委員 いよいよこの法律が通って四月、五月発足をするわけですが、今度の発足にあたって、ことし、来年、再来年となりましょうが、国立大学ですから、文部省は相当金額を秋田県に出させるということを考えているそうだが、どういう約束をしているのですか。
#47
○村山(松)政府委員 医学部を発足させる場合、現在の基準では、開設時に付属病院を持つということになっております。ところが、この基準は現実に動かしたことがなかったわけでありますが、今年度初めて動かす必要が起こってまいりまして、この問題を扱っております大学設置審議会におきましても、開設時に基準に合った付属病院を持つということは現実問題として不可能に近いことをしいるものだということで、若干基準の改定を行ないまして、開設時においては十分教育、研究に活用し得る病院が事実上利用し得る状態になっておればよろしいので、基準に合った病院は完成年度までにつくるというぐあいに基準の改定を行ないました。それにいたしましても病院はつくらなければならぬわけでありまして、秋田大学の場合は、そういうことからいたしまして、発足時におきましては、県立の中央病院という、病床数などからいきますればほぼ大学病院に匹敵する病院がございます、これを秋田県と取りきめをしまして事実上の病院として活用し、将来はこれの移管を受けたいということを考えております。
 それからなお、根本的な計画としては、より完全な施設をつくりたいと考えておりまして、これがためには敷地が要るわけでありますが、敷地の準備を秋田県にお願いいたしております。そういうことが秋田県にお願いしておるおもな点でございます。
#48
○川村委員 県立中央病院、これは土地建物すべてを含めてでしょう。これを医学部の付属病院として、いまお話しのように望ましいというか、りっぱなというか、基準に少しはずれるかもしれぬけれども、その病院を将来は国に移管する、こういう約束がある。
 それから、次のような約束をしていますか、局長答えてください。敷地の十六万平方メートルをすでに四十四年度に整地、造成を完了する。これは秋田県がやる。これは約束してありますか。
#49
○村山(松)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、敷地の準備、土地造成も含めて秋田県にしていただくように話し合っております。
#50
○川村委員 その金が大体五億円要るといわれているのだが、これは文部省が出すのですか、県に出させるのですか。
#51
○村山(松)政府委員 その県の用意いたします土地の取得の方法につきましては、現在まだ話が詰まっておりませんので、話し合い中でございます。
#52
○川村委員 そういう点をはっきりしなければいけませんよ。五億円の敷地を、結局、寄付させようと考えていると見ていいですか。
#53
○村山(松)政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、どのような形で取得するかにつきましては、話し合い中でございます。寄付というような、具体的な話にはまだなっておりません。
#54
○川村委員 五億円使ったら、県はずいぶん金を借りているから、利子もつくわな、たいへんな金になると思うのですよ。寄付とここでちょっと言えぬわな。
 それからもう一つ、今度は校舎なんかつくっていかなければならぬ。これを来年の十月まで完成させる。これは県は十億円出さなければならぬといっているんだが、これも約束してありますか。
#55
○村山(松)政府委員 校舎につきましても、緊急を要します関係で、県のほうに一部準備をお願いしておりますが、これにつきましても、取得の方法につきましては、敷地同様、なお話し合い中でございます。
#56
○川村委員 それから先ほどお話しの中央病院、これが国立大学の付属病院として使用できるのには、先ほどのお話しのように、そのままではいかぬから、やはり施設設備を将来順々に完成していかなければならぬ。これに要するお金が大体七億円、これも県が負担をするという約束をしておるようですね。
#57
○村山(松)政府委員 県立中央病院につきましては、先ほど申し上げましたように、病床数などからいきますと、既設の大学病院にほぼ匹敵するわけでありますが、大学として使うということになりますと、暫定的にもせよ、さらに若干の設備の増強が必要になります。そういう点につきましては、県のほうでできるだけのことをしたいということになっております。その金額につきましては必ずしも決定的ではございませんけれども、大学病院として使用できる程度の整備は県のほうで考えていただくことになっております。
#58
○川村委員 大臣、いま初めに出ました中央病院の移管ですね。これは私の解釈では、地方財政再建特別法という法律の二十四条の施行令の第十二条の二項で、これは地方財政法違反だとは必ずしも私は考えません。ところが、十六万平方メートルの敷地を県が五億円のお金で買うて、これを文部省に出す。それから校舎を四十六年の十月までに完成する。これも十億円負担します。中央病院の設備ももう少しりっぱにせなければならぬ。これで大体七億円ぐらいは要るだろう。これも県が出します。こういうことを文部省は約束させておると私は聞いておる。ところが、いま局長の話では、そういう話をしておらぬというのだけれども、これは県が出しているには違いありませんね。大臣はこれはどうしますかね。県が一応立てかえてやったら、文部省があとはこの金は払いますかね。払いませんか。寄付させますか。どっちですか。
#59
○坂田国務大臣 ただいまも局長から御答弁申し上げましたように、まだ話し合い中だもんですから……。しかしながら、法令違反になるようなことを文部省はやるわけにはまいりません。
#60
○川村委員 こいつは問題がちょっと残りますね。私はそのことを聞いて――実は文部省は今度初めてじゃないんだな。国立専門学校、ここに福岡の有明高専の材料があるのです。これが、やはりどうも明治以来のしきたりでございますといって逃げられたら困るんだ。国立学校をつくるのに、県や市町村にお金を出させるということは、これは申し上げるまでもなく地方財政法違反ということになりますね。しかし、いまの答えだもんだから、この辺にとどめなければならぬ。
 自治省の方来ておりましたな。
#61
○八木委員長 指導課長が来ております。
#62
○川村委員 これは仮定の問題ですよ。いまの話だから、仮定になってしまう。かりに五億、十億というような金で大学の敷地、校舎等をつくって県が寄付した、寄付させるということになったら、これは仮定で、確実にそうなったら、地方財政法違反ですね。
#63
○篠原説明員 再建法の二十四条があります限りは、おっしゃるとおりかと思います。
#64
○川村委員 お聞きのとおり。そこで、これから話を煮詰めていこうということだけれども、これはやはり先ほどのいろいろな御議論によって、どんなに秋田県がつくってくれ、つくってくれと言ったといっても、文部省がちゃんと医学部を置くべきであるといって置いたのだから、文部省が責任をもってそういう財政措置はすべきであるということですね。これはちょっと問題が残りますけれども、大臣ひとつしっかり考えておいてください。あまりあちこちで国立専門学校なんかつくるときも、うまいことを言うて地方自治体に大きな負担をかけないで、やはり文部省が、国がちゃんとやる、これだけはぜひお答えいただけると思うのです。一言……。
#65
○坂田国務大臣 よく仰せのことは頭に入れまして進めてまいりたいと思っております。
#66
○川村委員 実は最初に大臣のことばにございましたように、非常に医師が不足をしておる、こういうことでありましたが、この前河野委員の質問によりまして次官がお答えになっておりましたが、わが国の医師数人口十万に対して云々、こういうのは諸外国に比べて確かに低いとありますね。この前次官がお答えになった数とはちょっと私の資料は違うようですけれども、あるいは私の聞き間違いであったかもしれませんが、最近の一番新しい統計によりますと、日本は人口十万に対して医師数が一一二・一人ということが出ておりますね。これを諸外国のものにずっと比べますと、アメリカ、ソ連は別として、フランスとかイギリスとかスウェーデンとか、大体そう大きな開きはないですね。ただ、日本で言えるのは、非常に医師が、不足もありましょうけれども、偏在をしておるということじゃないですか。医師が偏在をしておるということは、やはり医師養成あるいは医学教育、そういうものについて何か問題があるのではないか。私いまここへ国立、公立、私立の医学部の大学の配置分布の地図を持っているのですが、なるほどこれを見ると、北海道には北海道大学と札幌医科大学がありますけれども、これは公立。東北、四国、九州、確かに少ない。東京、大阪等に集中しているということは申し上げるまでもない。こういうような医学部、医科大学の設置されてきたあれにも問題があるのじゃないか。そうなりますと、それだけが医師の偏在の要因にはならぬと思うけれども、その辺に何か医師養成という、医学部教育という面から考えても見ていかなければならぬ問題が、考えなければならぬ問題があるのじゃないか。これにはいろいろ要因がありましょう。医師の待遇であるとかあるいは生活の問題であるとか、何もかにもからんでくると思いますけれども、そういう点について医師不足、いや医師の偏在、これを文部大臣として何か対策というものが考えられておりますか。これはしようがない、社会がそうじゃからということでしょうか。
#67
○坂田国務大臣 この問題は、私のところだけでなくて、やはり厚生省とよく相談をして計画を立てていかなければならない課題だと思っております。先ほど私がお答え申し上げましたように、文部省といたしましても、医学部あるいは医科大学をつくる場合におきましては、長期的な一つの教育計画というものを持って、そして日本列島全体を見ながらその設置というものを考えていかなければならぬ時代を迎えておるというふうに、私は思うわけでございます。
#68
○川村委員 確かにその点は、いま大臣がおっしゃったところは、これは行政的にも考えなければならない重要課題だと思いますね。もちろん過疎地域になってしまったところに大学をつくってお医者さんを養成してもどうであるとか、いろんな問題が残りましょうけれども、これはやはりいまの大臣のおことばのように、たくさん大学があるのですから、医学部をつくるならばせめていま大臣がお話しのような観点で考えていくという問題がありましょう。実は、この点についてもいろいろお尋ねをしなければなりませんけれども、また何か機会がありましたらお尋ねをすることにして、その辺に、医師養成、医学教育という面から考えても、一つ大きな問題があるだろうということであります。
 それからその次に、いま大きな問題は、看護婦さんが非常に足らない、こういうことをよくいわれておりますね。これは厚生省の大きな問題でもありましょう。しかし、やはり大学の一つの問題でもある。大学病院には、たいてい看護学校が置かれておりますね。ことしの予算を見ると、看護婦の定員が二百七十人増加されているのですが、大臣は以前厚生省におられたこともあるのですから、もっと国立の大学病院に思い切ってりっぱな看護婦さんを養成したらどうかと思うのです。今日、この看護婦問題が当面をしておるいろいろな問題を私がここで一々取り上げてお尋ねすることは、実は時間がありませんから差し控えたいと思います。これは厚生省の看護婦問題という問題提起を見ても、あるいは自民党の、与党の方々が取り上げられた看護婦対策の問題を見ても、早急に考えなければならぬ問題が多うございます。そこで、もう少し厚生省の養成機関、あるいは労働省の養成機関、郵政省の養成機関、あるいは各私立大学の養成機関等々たくさんありますけれども、やはりりっぱな看護婦さんを養成するには、何といっても国立の大学病院にある看護学校、こういうものを大事にしなければならぬのではないかと思う。ことしは二百七十人増員なんですが、定員は二百七十人だけれども、実際ぴしゃっとそれだけ置けるかどうかわかりませんけれども、ひとつその辺について大臣、考えておられましたら、この際、忌憚なき御意見を聞かしておいていただきたいと思うのです。実は私、看護婦養成の問題につきましてもいろいろお尋ねをしたいと思っておりましたけれども、またそれもひとつすみませんけれども、いずれ時間がありましたらお伺いすることにして、その辺のお考えだけをお聞かせいただきたい。
#69
○坂田国務大臣 川村先生の御指摘の看護婦養成につきましては、全く同感でございまして、もう少し充実をしていかなければならぬと考えておるわけでございます。これにつきましても、やはりお医者さんと同様に、厚生省とよく相談をいたさなければならない。現在御承知のとおりに、看護婦養成所は、厚生省所管で九千六百二十八人、準看護婦養成所が二万五千八百十人、計三万五千四百三十八人を養成しておりますし、文部省所管では、看護学校二千八百七十人、準看護学校四千八百四十五人、計七千七百十五人で、厚生省の約五分の一でございます。でございますが、やはりこれは文部省所管、厚生省所管と両方相まちまして、もう少し看護婦の養成に画期的な努力を払わなければならぬというふうに考えております。
#70
○川村委員 先ほど申しますように、いろいろとお尋ねをすることをきょうは控えさしていただきたいと思いますが、いわゆる中学を卒業して准看の養成所に入る。准看を終えて、准看の三年の実務をして二年過程の養成所に入る。国家試験を受けて正看になる。こういう一つのシステムもあるわけですが、こういうものなども、やはりその間に相当脱落をしていく看護婦さんも多いことですから、何かその辺の養成のあり方というものは、文部省と厚生省と相談をしてやっていただくという一つの考え方もあると思うのです。そういう問題を全般について十分検討していただいて、看護婦の養成には全力を尽くしていただきたいと思うのです。やはり医療という立場からすると、申し上げるまでもなく看護婦さんの役目というのは実に大事でありまして、これが手抜かりになるといろんな問題を起こす。これはもう御承知のとおりです。そういう点で、ぜひひとつこれはお願いであります、お頼みをしておるわけです。
 最後に、局長に聞きますけれども、国立の大学病院で、大阪でしたか、どこか看護学校がありませんね。大阪かどこか一つなかったと思うのですが、これはどうしたわけですか。
#71
○村山(松)政府委員 国立の医学部は二十四ございまして、以前は全部看護学校を持っておりましたが、大阪は看護婦並びに医療周辺の技術者の衛生検査技師でありますとかエックス線技師でありますとか、そういうものを合わせまして、養成のレベルを短期大学に上げまして、医療技術短期大学というのを創設いたしました。それに看護学校を吸収いたしましたものですから、看護学校という形では大阪大学にはございませんけれども、看護婦の養成はやっておるわけです。
#72
○川村委員 それでは、非常にはしょってお尋ねしてまいりましてすみませんでしたが、またいずれ時間がいただけることがありましたら、こういう問題につきましてもお尋ねをさしていただきたい。それだけ一つお頼みして、私の質問を終わります。
#73
○八木委員長 次回は、来たる十一日水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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