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1970/09/03 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第4号
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1970/09/03 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第4号

#1
第063回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第4号
昭和四十五年九月三日(木曜日)
    午前十時七分開議
 出席小委員
   小委員長 藤井 勝志君
      上村千一郎君    奥田 敬和君
      木村武千代君    高橋清一郎君
      松本 十郎君    阿部 助哉君
      平林  剛君    広瀬 秀吉君
      堀  昌雄君    二見 伸明君
      竹本 孫一君
 小委員外の出席者
        大蔵委員長   毛利 松平君
        大 蔵 委 員 坊  秀男君
        大 蔵 委 員 森  美秀君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        参  考  人
        (東京銀行取締
        役頭取)    原  純夫君
        参  考  人
        (全国地方銀行
        協会会長)   伊原  隆君
        参  考  人
        (信託協会会
        長)      有光 茂夫君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
九月三日
 小委員二見伸明君八月十日委員辞任につき、そ
 の補欠として二見伸明君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員阿部助哉君同日小委員辞任につき、その
 補欠として広瀬秀吉君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
同日
 小委員広瀬秀吉君同日小委員辞任につき、その
 補欠として阿部助哉君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 金融に関する件(一般民間金融機関のあり方等)
     ――――◇―――――
#2
○藤井小委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 この際、最近の金融行政等について政府から発言を求められておりますので、これを許します。近藤銀行局長。
#3
○近藤説明員 最近の金融機関関係の不祥事件の続発につきましては、銀行行政の面における指導監督その他、はなはだ反省を要する点が多いことと、たいへん恐縮に存じ、かつ痛心いたしておる次第でございます。最近におきまする不祥事件の続発の状況、その手口というようなことをこの際総括的に御報告を申し上げ、かつそれに対する対策、方針等につきまして簡単にこの機会に御報告を申し上げたいと存じます。
 まず、最近におきまする不祥事件の発生状況でございますが、四十二年に百六十二件、約三十八億円、四十三年に二百九十六件、約四十三億円、四十四年に二百四件、四十二億円、四十五年は七月末まで、信用金庫はまだ六月末までの数字でございますが、百二十四件、十四億、大体毎年二百件ないし三百件という不祥事件が続発をいたしておるわけでございます。
 最近発覚いたしました富士銀行の不祥事件につきましては、まだ確定段階ではございませんが、現段階での不正貸し出し額は十九億四百万円と見込まれております。
 発生事件を種類別に見ますと、集金、預入金、手元現金等の横領、それから預金証書の無断流用による預金担保貸し付け、預金解約払い出し、不正貸し付け、現金紛失、盗難というようなことになっておりますが、件数におきましては、集金、預入金、手元現金等の横領が最も多く、全体の約四〇%を占めております。次いで預金証書の無断流用貸し付け、預金の解約払い出し、これが約三〇%となっております。一件当たりの金額では、いわゆる三億円事件というような特殊の例を除きますと、不正貸し付けが群を抜いて高額になっております。
 そこで、こういう状態に対処いたしまして、去る七月十六日、銀行局長名をもって通達を発したわけでございますが、その概要を御報告申し上げますと、まず最近の傾向といたしまして、不祥事件の金額が「大口化」しておるということ。それから「監督的地位にある幹部職員による犯行等、その内容においても憂慮すべき傾向がうかがわれる。」ということを述べまして、その原因といたしまして「相互牽制組織の不備、店内検査の不十分、内部規律の弛緩、教育訓練の不徹底等」をあげております。そこで「すみやかにこれらの改善措置を講じ、事件の続発防止に万全を期さなければ、金融機関全体に対する社会的信頼は大きく失墜することも懸念される。」そこで「この際、経営者においては、経営の重点がともすれば業容の拡大にのみ置かれ、内部体制の整備点検が安易に流れる」というところに基本的な弊害があるということを強く反省し、事態の改善をはかってほしいということを申しております。最後になお書きといたしまして、これまで一部の金融機関には信用失墜をおそれて事件を内部限りで処理する向きが見られるが、事件の未然防止の見地からも、万一事件が発生した場合には警察当局にも通報の上その協力を得て事件の真相を究明するとともに、監督責任者に対する責任を厳正に追及することはもちろん、事件の内容によりましては経営者みずからが進んで責任を明らかにするというきびしい態度をもって事件の処理に当たることとされたいというのが去る七月十六日の通達の趣旨でございます。
 なお、このほかに、金融検査にあたりましても、金融検査の励行をいよいよ強力なものとし、たとえば都市銀行に対する検査周期、これが従来、定員、機構の関係もございまして、二年半ないし三年に一度というような実態にございましたわけでありますが、都市銀行の検査周期をできるだけ短くして、でき得れば二年に近づけてまいるというようなことも検討いたしております。
 そのような行政面並びに検査面の施策を通じまして、金融機関が不祥事件の未然防止について、その業務運営、職員の規律保持等、経営全般にわたって万全の措置を講じて、今後不祥事件の根絶を期するようにつとめてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 以上、簡単でございますが、最近の不祥事件について御報告申し上げます。
     ――――◇―――――
#4
○藤井小委員長 本日は、金融制度調査会の答申にかかる一般民間金融機関のあり方等について、参考人から順次意見を求めることといたしております。
 御出席を願う参考人は、東京銀行取締役頭取原純夫君、全国地方銀行協会会長伊原隆君、信託協会会長有光茂夫君の各位であります。
 ただいま東京銀行取締役頭取原純夫君が御出席いただいております。
 原参考人には、御多用中のところ御出席いただき、まことにありがとうございます。本件について忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、お願い申し上げます。原参考人。
#5
○原参考人 原でございます。
 本日お招きいただきましたのは、ただいま小委員長からお話のありましたとおり、金融制度調査会の答申を契機といたしまして、一般民間金融機関のあり方等についての調査の一環として意見を聞きたいというお話でございます。金融制度調査会におきましては一般民間金融機関のあり方その他、御案内のとおり預金保険であるとか、あるいは私どもに非常に関係の深い貿易金融面のことであるとかいうようなことを御検討になったわけであります。東京銀行は、御案内のとおり外国為替銀行法に基づきまして、いわゆる外国為替専門銀行という立場にございますので、本日私申し上げます焦点も、金融機関全般の中におきまして国際金融関係、また外国為替専門銀行としての東京銀行のあり方というような点を中心にいたしまして申し上げさせていただきたいと思います。
 お話を、焦点をしぼりまして大体四つの項目について申し上げてまいりたいと思います。第一には、調査会の答申につきましての私どもの所感を率直に申し上げさせていただく。第二は、国際金融業務のいろいろな展開、展望の中におきまして、私ども外国為替専門銀行としてどんな責務を感ずるかという問題。第三に、外国為替専門銀行は、仕事は大事であろうが、円資金が弱いといわれます。この問題を取り上げてまいりたいと思います。そして最後に、専門銀行とはいいながら、日本の経済も国際化の時代であるから他の銀行がどんどん国際的に出ていくという時期ではないか、他行の海外進出問題というのがございます。これらに焦点をしぼりまして、時間の関係もございますが、なるべく簡単に申し上げてまいりたいと思います。
 第一に、金融制度調査会答申についての所感でございますが、全般的な所感といたしましては、私どもこの調査会の答申を非常に高く評価いたしております。金融制度は、申し上げるのも釈迦に説法でございますが、日本という国土に、そしてこの日本の長い間の世界にもかなり特殊な歴史、経済発展の歴史の間にいろいろな機能を果たしながら育ってきたものでありまして、その意味で非常にすぐれた歴史的な所産でありまして、現実に密着して改善をはかる、進歩をはかるということであろうと思いまするが、今回の調査会は、長い戦中戦後を通しましてのいわば膠着といいますか、統制的な角度からいろいろな点が非弾力的になっておるというのを、金融効率化という基本的な視点をとらえまして、これを大きな柱として新しい時代の金融機関、金融制度を展開しようという大きな線を立てて進められたということ、それから第二に、そうはいいながら金融機関の公共性という基盤があらためて確認されたということ、この辺が、いわばじみなようでありますが、調査会の答申の基本的な性格がよく出ており、しかも非常にりっぱな前提をとり、かつその前提を歴史とそれからわれわれの問題によって洗いながら結論に結びつけていかれたと思います。
 その結びつけ方につきまして特に申し上げたいのは、この調査会の審議が審議だけで済みませんで、審議と並行しまして行政面で数々の競争原理導入措置が実施に移されたということであります。通例ですと、答申が出てからさあこれでというようなことでいろいろな措置が行なわれるというのが多いのでありますが、今回の調査会は二年半にわたる長い期間をかけられたせいもございますが、その間随時調査会の思想、方向を勘案して適時適切な処置をとっていかれた。そして調査会の答申はいわば包括的な形で金融制度論、金融制度の立法面あるいは行政面に対する哲学を考えるというような形になっておるということは、非常に顕著な特色であります。これは答申が形式的なものでなくて、非常に実際的な実質的な、そしてまた答申自体がそういう行政の歩みを伴うことによって、その審議の過程において歴史を書いていかれたということになると思います。
 それから一般的な特色としてもう一つ最後に申し上げたいのは、この審議を通じましてわが国の民間金融機関の実態につきまして、大きくいいますればいままでおよそなかったほどの包括的な、かつ突っ込んだ、掘り下げた分析が行なわれたという点が顕著であると思います。単なる現状の吟味にとどまらずに、歴史的なあとづけであるとかあるいは世界各国の制度との対比等々、非常に突っ込んだ、抜本的な御調査、御検討をされたというふうに思います。
 それから、この答申につきましての所感の中で私どもは欠かせませんのは、国際金融体制ないし外国為替専門銀行に関します答申についての所感でございます。この所感として三点に分けて申し上げたいと思いますが、第一には、今回の審議におきまして日本が国際金融業務におきまして世界の各国と比べてきわめて特殊性のある地位に立たされておるということが十分に認識されたということ、それから第二に、てまえみそになりますが、その中における外国為替専門銀行、東京銀行の役割りに対して相当高い評価をいただいたということ、それから第三に、さはさりながら先ほど申しましたような円資金が弱い、これを強化しろというお話があり、かつそれが審議の進行中においてある程度進んだということでございます。もう少しふえんして申し上げます。
 第一の日本の国際金融業務の特殊性でございますが、いい例を米国にとってみましょう。米国はドルで経済を営んでおります。ですから、国内では何ドル何セントで人々がものを買い、ものを売っておるわけでございます。外国にものを売り、ものを買うという場合におきましても、あるいは外国に投資するという場合におきましても、米国の人たちは何ドル、何万ドル、何億ドルということで、ドルでやれるわけです。ところが日本ではどうかといいますと、国内では円でものごとを営んでおりますけれども、外国に売る場合に円で売りましょう――近ごろだいぶ切り上げ論とかがからんで円売りという話が出ますけれども、いま日本の貿易のうち円で売り買いしているというものは、調査会の審議の時分ではわずか一%ぐらいであろう、いまふえたとしても何%かという、しかも五%にもおそらくいきますまい、というようなことであります。ほとんど全部ドル、ポンド、あるいは場合によってマルクというような外国の通貨で取引をする。そうしますとそれは日本の会社としてどういうふうに計算するのだ。そのままドルで持っていてはどうも始末がつかないということでドルを円にかえる、マルクを円にかえるというような為替が入ってまいります。つまり、米国であるとかあるいはかつての英国であるとかいうように、自国の通貨が非常に強くて、国際通貨として、のし歩いておるという通貨を持っておる国の国際金融取引におきましては、その国は国内通貨がすなわち国際通貨であるといって、人々はあまり外国為替のことなどは心配しないで、その危険は相手の国が、つまり日本は円ですから、円を使っている国がドルを使うということによって日本の側がその危険を負担するということ――危険負担というのはもうかることもあるのです。もうかったり損したりする。その損得が相手側にいく。米国の人たちはドルだから別段何の心配もないということと非常に大きな対照であるということでございます。その結果日本の場合は、不便だというだけでなくて、為替相場が動きますと得をしたり損をしたり、特に大きな切り上げ、切り下げということがありますと、ほんとうに社運が傾くかどうかというような問題も起きるほどの影響があるということがございます。それが自国の通貨が使われるかどうかによる違いでございます。
 もう一つ、日本が国際金融関係で世界にただ一つといっていいような特殊な地位を持っておりますのは為替取引の時間的なつながり、外国市場とのつながりがほとんどないということです。皆さん御案内のとおり、ロンドンもヨーロッパ大陸の時間に合わせましたから、昔はロンドンと東京は九時間の時差でございましたが、いまはロンドンとは八時間、大陸諸市場とも八時間の時差でございます。この八時間というのは実は一番きわどい数字なんです。大体マーケットは朝の九時に開いて夕方五時に締まる。八時間です。そうしますと、ロンドンの市場が朝の九時に開く。日本は八時間時差があるということは、おてんとうさまは先に出てくるわけですから、ロンドンの朝の九時は日本は八時間進んで午後五時だということです。ロンドンが朝開くとき、つまり日本は午後五時までにはその日の取引が終わってしまうわけです。いわんや窓口は三時に締める。お客さんにサービスしても五時には締まってしまう。五時でお客さんと売り買いして、銀行はドルをたいぶ買い込んだ。たとえばポンドのとき、お客さんがあわてて、ポンドはたまらぬ、ババみたいなものだから買ってくれと言われて買ったとします。買ったはいいが――いまの場合は買ったなにをそこで、九時に始まるのであれにはできますけれども、買いながらではまだロンドンは始まっていないというわけで、そこで何が起こるかわからぬという危険があるわけです。いわんや朝の場合はロンドンは夜中であるというようなことです。ニューヨークとの関係を考えますと、ニューヨークは東京よりもウインタータイムで十時間進んでいる。サマータイムで十一時間進んでおるわけでございます。いまの例でいいますと、東京は午後五時に締めるというときには、十一時間進ませますからニューヨークのほうは午前四時になっているということでございます。その間、ニューヨークとの間は十一時間も差があるのですから、ニューヨークの市場と東京の市場が一緒に開いている時間がないのです。ロンドンともない。ロンドンとはいまのようにして締まったすぐにつなげるということはありますけれでも、朝の時分に非常に不安なものを晩の五時まで待たぬとロンドンは開いてくれないということがあるわけです。ですから日本の為替銀行、為替業者は非常に時間的に大きなリスクを背負っている。世界にそういうのは、日本の経度に近いところはありますが、大きな為替市場としてはほかにそう、言うに足るものはない。せいぜい香港ぐらいなものだ。香港はまだロンドンとは二時間のつながりを持つというようなことになっております。
 そういうわけで、日本は通貨的にも外国の通貨を使わなければならぬ。それをすべて円に引き直して考える。また取引をしなければならぬ。しかもまた取引のダブっている時間がないというようなことで二重にむずかしいわけであります。そのゆえに専門的な技術、知識、経験というようなもの、同時にそれだけでなく、そういう体制が必要だということになるわけでございます。そしてそれが私どもがこの答申で評価いたします第二点、つまり国際金融を専門分野として持つ銀行を必要とするという、外国為替専門銀行の必要論につながるわけであります。そういうわけで外国為替専門銀行の必要が認められ、外国為替銀行法が十六年前に御制定になったというふうに理解しておりますが、その外国為替専門銀行としての東京銀行の仕事の実績、また今後の役割りにつきまして今回の御答申、またその審議を通じて公正に評価されたということを私どもは非常にありがたいと思っております。これは計数的な裏づけばかりでなく、前例を見ないような為替銀行のお得意先あるいはその他関係先に対するアンケートの結果、また得意先だけでない、進出企業に対するアンケートもおやりになった結果、さらに学界、学識経験者その他各方面の意見を集められまして御詮議の結果、専門銀行でなくては持ちにくいような特殊な能力があるということ、また外国為替専門銀行は、とかく日本の銀行がいわば系列とかなんとかいうようなことがありまして、業種あるいは企業グループというものに片寄りやすい、そういう特定の利益に結びつく度合いが非常に少ないという中立的なところ、また貿易や外国業務にかかわりを持ちます中堅企業、中小企業をバックアップする機能というようなものが評価されたという点、特に私どもとして心強い限りだと思っておるわけであります。
 それから第三点として円資金の補強措置の必要性でございますが、これはもう十六、七年前に御詮議になりました方々もおられますので蛇足かとも思いますが、当時為替専門銀行をつくるのはいいが、円資金が弱いようにできているじゃないか。つまり国内での純粋な国内貸し出しはできない。外国為替に関連のある貸し出しでなければならぬということ。それにまた並行して、当時五十店舗ばかり持っておりました店舗を半分ぐらいに整理された。その思想は、為替のないところに持っておっちゃいかぬじゃないかというようなことでたいへん窮屈なことになっております。当時の本委員会におきましては、それではどうも原案では足らぬからもう少し当局がこれに力を添えるようにというような附帯決議もおありになったわけでございますが、いろいろな環境、条件にかんがみまして、私ども実績をもって、誠意をもって、競争銀行であると同時に協調銀行である他の都市銀行あるいは地方銀行、相互銀行等に私どものサービスを買っていただいてだんだん伸びるようにということをつとめてまいりましたが、今回は審議の過程でこの当行の円資金強化の必要性が確認され、並行しまして、前々から希望しておりましたところの東京銀行債、金融債、これをただいま始めまして、すでに八年余り金融機関消化一本でやってまいりましたのを一般に売り出してよろしい。しかも前は三年ものの利付債だけでありましたのを、そのほか一年ものの割引債を発行してよろしいということになりまして、六月からこれができるようになっておるわけでありますが、先ほどの、審議と行政の相並行した一例でございます。これが答申に対しまする私どもの感想の焦点でございます。
 次に第二段といたしまして、国際金融業務の展望と外国為替専門銀行の責務ということについて申し上げてまいりたいと思います。
 第一に、もう三年になります、十一月十九日でございましたか十八日でございましたか、三年前にポンドが切り下げられた。もちろんその前からも国際金融にはいろいろな問題がありましたが、いわばそれのしこりがついにポンドの切り下げという非常に大きな事件となってあらわれました。その以後、御記憶でもございましょうが、すぐ十二月にゴールドラッシュがある。翌年に入ってすぐある。三月にはまた猛烈なのがあって、とうとうアメリカが、こんなに金が引っぱられちゃたまらぬというので例のゴールドプールをストップして、関係国代表をワシントンに集めて、以後金は売りません、政府当局あるいは中央銀行当局の間だけでは一オンス三十五ドルでやりますが、ほかはもうほっぽらかしますという、いわゆる二重価格制をとったというようなこと、続いて五月にフランスも例のゼネストがありまして、フランがあぶなくなる。それからその後フラン、マルクというようなものは、マルクのほうは切り上げるだろうというようなことで非常に買われ、フランは売られるというようなことで、とうとう去年は八月にフランがすぽっと切り下げをやる、十月にはマルクが切り上げをやる。フランの切り下げはいわば何かえらい手ぎわよくやったといううわさが強いのですが、マルクのほうはどうにもならないで切り上げに追い込まれたというような形であったのは御記憶のとおりです。西独の選挙とからんでおりました。
 マルクの切り上げが終わりまして、やれやれというか、小康状態のように見えますけれども、私どもから見ますと、不安、動揺の原因になります各通貨間の実質価値の相違といいますか、これは依然としてある。特に一番中心になっております米ドルの価値をささえなければならない米国の経済、特に米国の物価というものが、御案内のとおり非常にインフレ的に推移しておりますので、小康状態ではありますが、私といたしましては、きっかけさえあればいつでも通貨不安は再燃し得るのではないか、し得るというよりもするであろうということを強く申し上げていいような感じがいたしております。現に、この五月の末から六月にかけまして、カナダがカナダドルをいわばフローティングレートといいますか、自由相場みたいなことにちょっとしてしまいました。また近ごろはイタリアが政変だのあるいはストライキだのというようなことで、リラの切り下げがあるんじゃないか、ポンドもどうもあぶないのじゃないか、マルクは切り上げかあるかもしれぬ、オランダもそういうのがあるかもしれぬというようないろいろなうわさがかなり飛びかいます。そして決して人々のそれは単なるうわさだとは思わない、いろいろと気をつけ、また投機者流でそれを縫うて機会をねらっておるとも考えられる節がございます。九月にIMF総会がコペンハーゲンでございますが、IMF総会もやはりそういう、いわばある程度ただならぬ条件の中で開かれるということであります。その上に、こういう長い不安の経験を通しまして、国際的な外国為替相場制度というものが、戦後ブレトン・ウッズ体制のもとにおいてIMFというものが中心になりまして、いわば固定為替制度――上下一%という程度の若干の弾力性はあるのですけれども、そう切り上げ、切り下げはしないんだ。切り上げ、切り下げの必要が起こるような事態が起これば、それは経済の基本的な条件がはずれているからで、それを直していくのだという思想に立った固定相場制、これがいまやどうもその声価を問われるというよりも、私をして率直に言わせるならば、各国がいま申しましたような自国の経済を調整して、この固定為替相場制の利点を享受し得るだけの、いわば忍耐力というか、自己を制する力がないということのために、それならしかたがないじゃないかというので、ワイダーバンド、幅を広げることとか、クローリングペッグというような、シャクトリムシみたいな、少しずつ変えればいいんだろうというようないろいろな議論が行きかっております。IMFでもこのような議論がある程度出ると思いますし、これはおそらく今回は別段顕著な進展なく、来年以降に持ち越されると思いますが、そのように制度的にも為替相場の制度も問題がかなり深刻になっている。その成り行き次第によっては、かつて各国が切り下げ競争をやりましたときのように、各国はおちおちしていられぬというようなことにもなりかねない状態でございます。
 これを日本から見ますると先ほど申しました――逆に米国はいいのです。もうどんなことになってもおれはドルじゃということですから。ドルで百ドルもらえばいい。一億ドル貸しているから一億ドル返せ、それでいいわけですね。もちろん実質価値の問題はありますけれども、非常に気楽なわけです。ところが日本はそうはいかないというようなことで、非常に大きな為替のリスクにさらされている。そこで金融機関、特に為替銀行、特にその中でも外国為替専門銀行の責務が非常に重いというのが私どもの偽らない実感でございます。いまや日本は経済の国際化が一段と進みつつあるところでありまして、まだまだ米英等のようにその累積した度合いはきわめて少ないのでありますけれども、テンポはかなりに急に進みつつあり、ますます進まなければならないと思いますので、貿易商社だけでなく、メーカー、それも大メーカーから中のメーカーまで、どんどん貿易にあるいは投資に携わる。中小企業まで海外に進出するというようなことになってまいります。金融機関も国際的な接触を広げるというような状況であります。私どもそれらをすべて含めまして、専門銀行として中立的な立場から御支援をし、またお役に立っていきたいという覚悟でございます。
 しからば、このような責務と覚悟を実践してまいりますために、私どもの備えております体制はどうかということを簡単に御紹介いたしたいと思います。
 第一に私どもの店舗網であります。先ほど申し上げましたようなわけで、一時二十四店に減りましたのがその後ふえてただいま三十二店が国内店でございます。海外には三十三カ国にわたりまして、支店、出張所、駐在員事務所、それから現地法人の店を合わせまして九十の事務所を持っております。そして、それらがお互いに横の連携をとりますと同時に、それぞれの場所において為替専門銀行としての機能を十分に果たし得るようにという意味で深く広く市場に接触しております。たとえていいますれば、ロンドンにおいて、ニューヨークにおいて、外国為替市場におきます東京銀行の仕手としての地位というものは、両地の外銀の中でもう疑いもなくトップの数行の中にあるということを申してよろしい次第であります。しかもそれを私どもは営々として年来つとめ、築いてきたわけでございます。そのようなことでございますから、先ほど申したポンドを持ち込まれましても、ババかもしれないポンドを買った。翌朝、夜が明けてみたらイギリスのポンドは切り下げておったというのじゃたいへんな損になりますから、私どもはその時期に夜を通して世界じゅうでポンドを売りました。そして、翌朝お客さんがかけ込んでくるであろうババのポンドを買ってあげようじゃないかといって、やりました。大体私どもが検討して売り手当をしたもので、お客さんのその週末の土曜日の御需要に大部分おこたえできたというようなこと、これはそういう場合になって一見のお客が行ってババになるかもしれないポンドを買ってくれなんといってもおりはせぬですから、やはり日本の東京銀行が出てきているということになると市場でも、また、これは少し言い過ぎかもしれませんが、イギリスの当局自体でもやはりわかるところはわかるというようなことがあったというのが事実でございます。
 このほか、われわれはいろんな外貨の調達方式、リファイナンスということ、これもアメリカが多いですが、それだけでなくヨーロッパ、特にドイツでのリファイナンスというようなもの、その他いろいろな方式を開発いたしております。それから欧州東銀の例に見られますような、中長期の外貨資金の調達運用というようなものも始めて、欧州東銀のほか豪州での合弁銀行、合弁投資会社というようなものも始め、他行さんもだんだんそういうような方向にお動きになるというようなことの、いわば兄貴分というと少しなまいきかもしれませんが、先に立たしていただいておるというようなわけでございます。
 これらの店舗に配しまする人員が内外六千五、六百名、海外に二千二、三百名おります。三分の一が海外におる。その海外におります三分の一のうち日本から派遣しています行員は三百二、三十名、一割五分程度で、その他は現地行員を千八百名、二千名近くを使ってやっておる。みんなが東京銀行は外国為替専門銀行であるということで、正金以来の経験と知識、それからまた先輩の残されましたのれんといいますか、そういうものを縦横に駆使して努力しておるつもりでございます。
 そういう意味で商社、メーカー等のお客さんはもちろん、ある面では競争銀行である大銀行以下各行、特に地方銀行、相互銀行あるいは信託銀行等には非常にお世話申す面が多いのであります。業務の面だけでなくて、そういう銀行さんが国際的な取引をやられますについての教育訓練あるいは人事というようなことについてもいろいろとお世話しております。昨年来新聞紙上をにぎわしております信用金庫グループとの提携も、信用金庫グループの中に、そのような国際的に出る企業が育つという場合に、少し申し上げにくいのでございますけれども、他行さんに為替が行きますと、どうもお客さんが他行さんに引っぱられてしまうということを言われるのですね。ところが東京銀行は円資金が強くないせいか、あるいは紳士なのかもしれませんが、それはやらぬだろうということで、そこを買っていただきまして、そのかわり資金はいろいろめんどうを見ようというようなことで組めたわけでございます。この辺も非常におもしろい、新しい展開だと思っております。その他今後いろいろと可能性を検討していきたいという考えでおります。
 たいへん時間をとって恐縮でございますが、あと円資金の問題と他行さんの海外進出の問題、これをかけ足でやらしていただきます。
 円資金問題につきましては、何よりも自分の努力、つまり預金を集める、それから与えられました債券を大いに消化するという面での努力、これをやらなければならぬということでやっております。預金のほうはまだまだ努力が足らぬというおしかりがあると思いますが、その額は少のうございますけれども、伸び率におきましては他行さんに負けない伸び率を示しておる。何とかこれを元をふやして伸び率もふやしたいというのが私の野望でございますけれども、さらに金融債におきましては、いままでは金融機関消化が全部でありまして、いわばそれが非常に弾力性が少なかったのを、今回一般消化が始まりましたので、これを金融情勢に合わせて、また関係先などの了解を得ながら、徐々に、しかしできるだけ早く幅を広げてまいりたいという気持ちでおります。
 そのほかの円資金調達手段としましては、一つには外貨の円転用というのがございます。それからもう一つには外部資金、特に日本銀行からの借り入れ金というのがございます。それらがどうにもなりません場合にコールをとってしのぐということになるわけでございます。外貨の円転用は、当行が外貨の金融力が強い、その金融力でつけました外貨資金を円にして使うということであります。まあ当行のような銀行としてはある程度そういう外貨から円へ、円から外貨へという出入りがあるのは当然なことだと思います。この円転用が、かつて七、八年前にありました数字が当時五百億以上あったと私記憶をいたしますが、貿易がその後どのくらいになりますか、もう七、八倍になっていると思います。それがいまは御案内のとおり円転用をいたしますと、外貨を売り上げて円をいただきますから当局の外貨準備がふえてしまう、待てということでたいへん思うにまかせぬというようなことがございます。言いにくいことでございますが、また私どもも国内金融を国際面からゆさぶろうというような気持ちは毛頭ございませんが、この辺のところに何かくふうはないかというのが一つ。
 それから日本銀行からの借り入れにつきましても、自来いろいろとめんどうを見ていただいておりまするけれども、なかなか特殊な顕著なことまではやっていただけない。また私どももそう顕著なことをやって、いわゆる特融みたいなことをやっていただくというようなことはまたこれ考えものでございますが、しかし当行の使命また円資金を反面で限られておる、弱めておられるというようなことから、従来よりも一歩でも半歩でも進んだ御配慮を日銀さんにもお願いしたいと思っております。
 当委員会におきまして昭和二十九年四月に付されました附帯決議につきましては、先ほども申し上げましたとおりでございます。私どももこの答申の出ましたのを契機として、この面でいろいろと十分にじっくりとした体制で御理解をいただきながら歩を進めてまいりたいと思っております。
 最後に、銀行の海外進出問題でございます。先ほど申しましたように、日本の企業の国際活動は年を追うて活発化しております。各行さんがおれのところも出てお世話したいというのはまことに無理がないというふうに思われます。しかしながら、ごく下世話に簡単にいいますれば、そういう事柄もタイミングと程度というものを十分にはかってやっていただきたい。これは今回の答申においてもそのとおりにお書きになっておるわけであります。この世の中のことでございますし、企業努力というものはどんどん突き進むという意味で、各行さんが非常に突き進んだ案をお持ちになるというのはそれなりにたくましいことと御敬服はいたしますけれども、当局を含めて日本全体がどのような線にこの各行の海外進出を調整するか。その中で為専の進出をどう見るかということは、ただいま申しましたようなタイミングと程度の問題であろうと思います。つまり過当競争という意味では日本はわりあいに海外では有名なほうで、ユーロダラーでもジャパンレートということをいわれて久しい。残念ながら去年あたり以来アメリカがもうどうにもならなくなって、アメリカがもうたいへんな、一割二分だ、三分だと取り入れいたしましたものですから、それ以来アメリカンレートというののほうがジャパンレートどころではない、高くなってしまったのです。ちょっと余談になりますが、もう日本は過当競争が強い。国内で過当競争しています分にはだれか国内の人がもうかるのです。ところが海外に行って過当競争しますと、結局日本はばっちりとってくるもうけが少ない。もうかっているのはだれかほかにいるというか、もうけが落ちてしまうということがある。これはやはり国際金融取引では相当なものになると思います。これが一つ。それからもう一つは、それに伴って海外のそういう過当競争になれない市場、特に先進国の市場の人たちは非常な反発を持つということがございます。これは決して日本の経済のために、また日本の世界におけるイメージのためによろしくないと思います。この関係でよく、米銀が非常に出ているじゃないか、あれに負けるな、こういうのが合いことばのようになっております。しかしながら私申したいのは、それはよくお考えいただかないといけないのは、米国は海外に対して全体で千五百億ドルに近い債権を持っています。そのうち非常に短期の債権が多うございまして、長期では、これは二年前、六八年末の数字しかございませんが、六百五十億ドル程度という水準の、それでも膨大な対外債権を持っております。それは単に株やなんかを持っているというだけでなく、事業を持ち、工場を持ち、会社を持っているというようなことでございますので、世話に出る銀行が店を置くというのは非常に必要だという面があろうかと思いまするし、なお米国の場合には御案内のとおり、特に第二次大戦の中、またあとを通しまして、膨大なる世界政策を遂行されたわけであります。かつてのイギリスがアジア、アフリカにかけて行ないました植民地政策――アメリカのは植民地政策と言っちゃ失礼かもしれませんけれども、しかしアメリカの世界政策は非常に多額の金を軍費としてあるいは援助としてまいておられます。それらについてアメリカの銀行がどうしても必要でもあったろうし、あるのが都合よかったということがあると思います。
 そのようなことでございますが、日本は一体どうかと見ますと、昨年末の日本の対外長期債権、対外直接投資というものを見ますると、わずか推定十三億ドル、どんどんふえておりますけれども、どうふえてみても先ほど申した千億ドルだの六百五十億ドルだのというのとは懸絶しておりますし、また軍費その他いわゆる世界政策的な支出はこのほかにあるということを考えますと、米銀が出ますテンポに日本の銀行が同じについているということがはたして妥当かどうかというのには私は強い疑問を感じざるを得ないという感じがいたします。
 それから、まあいわば英国が出ましたときはホンシャン、チャータードあるいはその他の銀行が、為事とはいいませんけれども、あれは国内金融はあまりやらないで、そして国際に出た。実質的には為専のようなものです。いまやそのなごりで、それらがクリアリングバンクの大きいところの相手になってやっているということでございます。アメリカでのそういう、特にFN、チェイス、BOAというあたりの進出につきましては十分、決してあれは為専だということを強弁するわけじゃございませんが、いま申しましたような背景というか条件があって出ているんだということをよくお考えいただきたい。したがいまして、米国の場合はまた国内でもローンリミットというようなものがありまして、これはうちの会社だからこの会社の必要は幾らでも出すというようなことはなかなかできないんですね。銀行の側での資本金、準備金の一割なら一割までしか貸せないということがある。日本はそうじゃないんで、ずいぶん系列的にやっておりますので、そういう意味でグループ的な進出というようなことに、日本の場合には、ついなるかと思います。そうなりますと、銀行の間の競争が、何かそういうグループというようなことから、さらに日本全体としては望ましくないようなことが起きやしないかというようなことも思う次第でございます。その他、過当競争全般につきましていろいろございますので、各行さんの進出、もちろんそういう時期であろう、しかしよほどテンポをお考えになり、進出する対象の場所をお考えにならなくちゃいけないというのが私の率直な感じでございます。
 いろいろ申し上げたいことございますけれども、私たいへん長時間とって恐縮でございますが、これで一応私のお話を終わらしていただいて、御質問に答えて申し上げさしていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
#6
○藤井小委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#7
○堀小委員 いまのお話、大要については私どもも同感の点が多いわけでございますけれども、最初に私、実は当委員会で国際金融その他の国際的な諸問題の論議をいたしますときに、東京銀行の月報がたいへん参考になっておりますことを申し上げて、さらにひとつ東京銀行月報を充実をさせていただいて、私ども国際金融を国会の場で取り上げる者の参考にもなりますけれども、あわせて国際金融に関心のある関係の向きがよりこれを利用されて、今後の国際化時代に対応できるように、ひとつ原頭取に今後も格別の御配慮をいただきたい。たいへん役に立っておりますが、よりひとつ一そうの充実をお願いをしたいとまず思います。
 いまいろいろお話しのあった点で実は一番大きな問題は、私はやはり専門銀行としては円資金の問題だと思います。ただここで私、外国為替銀行法が成立をした経緯を考えてみましてもそうでありますけれども、何とか外国為替専門銀行をひとつつくりたいということが私はこの法律の趣旨であったと思いますので、そこでこの外国為替銀行法で店舗の問題につきましても、「外国為替銀行は、外国為替取引及び貿易金融上重要な地に限り、支店その他の営業所を設置することができる。」とたいへん明確に書いて、そこでそういう重要な地でないと見なされたものについては撤収をするということになったのだと思うのであります。確かに、いろいろ情勢は変わってきましたけれども、今日外国為替専門銀行はやはりこの専門的立場を歩いてもらいたいというのが私の考えであります。そのことは単に外国為替銀行だけでなく、長銀、信託その他各種金融機関についても、やはりそういう一つの形態が認められておるということについてはそれなりのレーゾンデートルがあるわけでありますから、そりレーゾンデートルを高める方向にひとつ考えていただきたいというのが、実は私の一般的金融機関に対する気持ちでありますけれども、そのところで問題になりますのは円資金確保に対する手だての問題でございます。
 実は先ほど銀行局長から報告のございました銀行不祥事件の問題があります。今回の富士銀行問題というのは、これはややちょっと性格が違うかもしれませんけれども、一般的には預金獲得の過当競争がその背景にあることは私は間違いがないと思っております。一般銀行が、相互銀行、信用金庫を含めて、預金獲得にたいへんなエネルギーを使いながら過当競争をやっておりますときに、外為専門銀行である東京銀行が同じ系列の中に入って、私の気持ちを申すならば、あまりむだな努力をそこに傾倒していただくことは、私はやはり外国為替専門銀行としてはロスではないか、こういう気持ちがいたします。しかしそちらの銀行の中身を拝見すると、やっぱり預金のシェアというのは四三%くらい資金に関係しておりますから、その預金業務をいまより減らせという気持ちはもちろんありませんけれども、いまの銀行法を改正してまで預金集めのための努力をするということよりも、やはり幾つかの円資金のソースの中では、さっきもちょっとお触れになりましたけれども、円転換についてもう少し政府が考えるほうがこれは筋じゃないのだろうか。本来そういうふうにして非常に為替をたくさん手持ちになるものでありますから、これを転換することが、何もしり抜けの問題とは別個の政策として考えていい問題ではないか、こういうふうな気持ちであります。ですから、まず第一点には、私はどうも、現在九・三%くらいに四十三年末でなっているようでありますから、さっきお話しの五百億余りということだろうと思うのでありますが、これはたとえあと五百億ふやしたから、外貨準備が一億ドルふえたからそれでどうこうなどという問題は、私はあまりないのではないかというふうな気がいたしますので、われわれとしてはひとつ政府に対してはできるだけ円転換をもっと考慮すべきだろうと考えております。
 その次の問題でありますけれども、この前、原さんが金融制度調査会でお述べになっておる中に、債券発行の方法、条件その他を検討してもらいたい、もう少し多様化をはかりたい、こういうふうにお答えになっているわけですが、現在金融債は利付債三年もので、今度割引債が出ることになったのでございますが、このいまの債券発行の多様化というのはどういうことを希望しておられるのか、ちょっと中身を、それとあわせていまの預金問題についてはどうお考えになっておるか。
#8
○原参考人 お答えいたします。
 預金問題でございますが、私どもずいぶんお互いに戒め合って一生懸命努力しておるつもりでございます。おっしゃるとおり四十数%の資金をそれで調達しておるのでございますが、よほど努力いたしませんとこれだけ集まらないというような意味で、まだまだがんばってまいりたい。実は預金を集めるのはもったいないというか、時間がむだだというか、そういうような考えを持ちますと、もうばったりあれになりますので、実は及ばざるをおそれるということで一生懸命やっておりますし、今後もそれをやってまいりたい。これはやはり昔の横浜正金銀行あるいはその他特別法人である金融機関の場合と違いまして、外国為替専門銀行というのはそういう面で、法律的には別段の手当てのない行政ないし中央銀行その他の応援によって円資金の補強はするということでございますので、それはあくまでも補強にとどまる。本体は銀行が本体をなさなければいけない。それは預金だということを私痛感いたします。
 それから円転換また債券、債券の発行の方法、条件について特におただしでございまするが、これはいろいろとあろうと思うのでございます。ただいま私は、長い将来にわたりますいろいろな発展があるであろうことを全部織り込みましたことを申し上げ切る自信はございません。とりあえず金融機関消化であるのを一般に売らしてほしいということをお願いしたい。そうしますと、私どもは三年ものの利付債を消化しておったわけですが、それを売らしてほしい。しかし一般に売り出します場合は、ワリコー、リッキーというようなものですから、割引債がなくちゃなかなかやりにくいということで、割引債はぜひお願いしたいというようなことでお認めいただいたということでございますが、これがまた三年もの、五年ものの問題もございます。いろいろこれは債券市場全般の問題としていろいろな銘柄が出てくるかどうか、これは例の預金のほうの中期ですか、というような問題ともからむ非常に微妙ではあるが、なかなか将来複雑な問題であろうと思いますので、そういう中で私どもはいろいろな機会を掘り起こしてまいりたいというか、希望としては多様化してまいりたいというのが間違いなくいえることであろうと思います。したがいまして、期間につきましてもそういうことであり、条件はそのときそのとき市場の条件に合うようにというようなのが、おそらく資本市場の将来をお育てになる大きなかなめの項目であろうと思いますので、それでいいか。消化先につきましては一般の消化のほかに、もう少し特殊な消化をはかるかあるいは海外での消化をはかるかというような問題ももちろんございます。これらをその時に応じ、発展の段階に応じまして、何よりも先ほど申し上げましたように関係の当局、また私どもは他行さんと競争ではありますが、同時にお互いに助け合っていかなければならぬというような意味で御了解を得ながらやっていくという気持ちで、多様化し、そして太らしていきたいという気持ちでございますので、よろしくどうぞ。
#9
○堀小委員 次に、今度の問題の中で甲乙為銀問題というのがございます。論理的に考えてみますと、甲乙為銀があるというのは確かにおかしいように思います。しかし現実の問題としてはいまお話のあったように、商社のほうもともかくあまりたくさん出てきて過当競争をやられてはかなわないということでありますから、その点では現状はある程度やむを得ないのじゃないかという気もしておるのですが、結局あなたの専門銀行の側からすると、いま乙種為銀はかなりあなたのほうとつながらないと仕事ができてないんじゃないか、こう思うので、大体いまの現状のままでいいのか、甲乙為銀問題というのは何かこれに対して考える余地があるのか。
 この問題と、それからもう一つは、この間欧州東銀が増資をされて新しい問題が出てまいったわけでありますけれども、その欧州東銀に続いて、御承知のような海外における投資銀行の問題が出てまいっております。先般一つ投資銀行が認可をされたようでありますが、ここで問題になっているのが、御承知の六十五条に関係をする点が非常に問題になっておるわけであります。そこで、あなたのほうの欧州東銀は一体この六十五条に関する諸問題いま海外投資銀行で起きております諸問題、今度新しく認可されたものは、国内の企業についての海外における有価証券の発行については、これはひとつ取り扱わないことにしたいということになっておるように私は聞いておるわけでありますけれども、投資銀行としての欧州東銀というのはその点は一体どういうことに考えていらっしゃるのか、ちょっとこの二点をお尋ねしたいと思います。
#10
○原参考人 第一点の乙銀の現状、またそこに問題はないかというお尋ねでございますが、乙銀もいろいろございまして、海外との取引の比較的多いところとそうでないところとございます。ものごとをニュアンスでいいますれば、上位の銀行から、またそこに外国為替専門銀行としての私どもがある、中位銀行がある、下位の銀行がある、それから乙銀さんがある。乙銀さんの中でも投資をおやりになるのがだんだん出てくるということで、甲乙という名前はおかしいじゃないかというようなことで今回それはやめられるということでありましょうが、すべてものごとは歴史を追い、ニュアンスを追って動いていくということであり、そのように動いているんではないか。その中でおそらく先ほど来申しておりますように、日本は非常に勇ましいですからかなりな面では過当競争的なことがあらわれることもあると思います。それはそれとして、全般に当局あるいは銀行自体がお互いに話し合いながらお互いに規制していくというような努力が要るんじゃないか、そういう感じがいたしまするが、この日本の国際化、先ほど申しました対外投資にいたしましても、私自身は今後対外投資あるいは援助というようなものは相当顕著な比率で伸ばさなければいけないと思っております。それに応じて、これは何も乙銀さんだけではございません。銀行制度全体としてそれの国際的な金融面をになうということになりましょうから、いまのニュアンスはニュアンスであって、その一部が若干差しかわるということはあるかもしれません。しかし全体として伸びていくのだろう。そのようにタイミングをはかりながら、事態に即応する意味で漸次発展していくということ。ですから、若干控え目に、しかし日本の国際化は大いに伸ばさなければいかぬということじゃないかというふうに私は思っております。
 それから第二点の国際投資銀行、特に三和、三井さんのグループの分の御認可が出た。そこでは証券取引法六十五条関係を顧慮してか、日本の国内の法人の海外における発行分のアンダーライティングは控えます。欧州東銀はどうかというお尋ねでございますが、なかなかデリケートでございまして、何か原稿でもないと申し上げにくいのですけれども、率直に申し上げますれば、御案内のとおり欧州の市場では証券業と銀行業との関係が日本並びに米国とは非常に違いまして、銀行が、うちは証券業をやらないのだというのでは、どうしたのだ、こういうことなんでございますね。そのような意味で、また本質的にも、欧州東銀はフランスの法律でできている銀行でございますし、あらたまって形式的に言いますればそのようなことがかなり強く言えるのじゃないか。しかし私どもも、実質的には日本から出していることでもございますから、日本における銀行業と証券業との関係というものを考えて、それが欧州東銀に何らかの気分を及ぼすというようなことは当然あるだろう。われわれも、おれはもうフランスの法人なんで関係ないのだ、どんどんやるよと言うような失礼をするつもりはない。そうかといって、それじゃおまえは六十五条でいくのだなと言われても困る。たいへんむずかしいところですけれども、その辺もだんだんうまく、皆さんが歴史で、日本の法制とヨーロッパの法制とをどのように調和して、銀行業と証券業のあり方を、ヨーロッパで、日本で、どのようにしたらよろしいかということを考えていくという時期ではないかと思います。
 たいへんのらりくらりで申しわけございませんが、とりあえずそんな御返事をいたしておきます。
#11
○堀小委員 たいへん微妙な問題ですからお答えにくいのだと思うのですが、実はあなたのところはすでに国内企業の債券を発行された実績がありますね。ですから、その実績があるところで今後ということはまたたいへん問題がむずかしいかと思いますけれども、確かにいまのアンダーライターの業務というのは、外国法人についてはもちろん問題はないわけですが、いまいわれておるところでは、国内の企業の外国における債券発行の問題は、外国の支店等での話、その投資銀行での話というよりも、参加銀行が国内で国内企業との間に債券発行についての話し合いを行なわれるということは、実態的には国内において六十五条に抵触することになるのじゃないかという考え方があるのだろうと私は思うのです。
 そこで私ちょっとこの前、今度の欧州東銀についてはかなりその他の長期銀行等も増資等について参加をされてきておるということもあるようでありますから、その長期銀行側の感触を聞いてみましたら、長期銀行側としてはあまり証券と摩擦の起きないような配慮をわれわれは期待しておる、こういうような感触の話を聞いたことがあるわけでありますけれども、そういう意味では、前例があるからこれまでどおりやるということに必ずしもこだわらない、こういうふうに理解をしてよろしいのか。おたくの今後の方針ですね。この前転換社債でしたか、すでに一回やっていらっしゃるのですね。これが実は海外投資銀行における一つの実績になっていると私は思うのですが、必ずしもそれにこだわらないということか。さっきのお話をちょっと聞いておりますといかようにもとれそうですので、せっかくの機会でありますからもう少し感触がうかがえる程度のお答えがいただければ幸いかと思います。
#12
○原参考人 率直にお答えいたします。
 私どもも世界の東京銀行と思っております。ヨーロッパに行きましたら、ヨーロッパの市場でおかしいことはやりたくないと思っております。冒頭申しましたように、ヨーロッパにおきまして銀行の店を張って証券業務ができない、重大な何かこういう種類のものができないというようなことは、私はやはりぐあい悪いなという感じがいたします。ただし、そういうことで形式論で、日本の国内で非常に長年いわば因縁のような問題になっています六十五条問題をぱあっと無視するというような気持ちで言っているんではないけれども、私ども銀行としては、やはりヨーロッパではヨーロッパの風がある、そこでの法制がある、それに乗っかって欧州東銀ができている、それはぜひやらしていただきたい。ただし、決してなまいきなことは申しませんということでございますね。
#13
○藤井小委員長 平林剛君。
#14
○平林小委員 御苦労さまでございます。
 形容詞や前置きはあんまり言わないで、ずばりお尋ねしますけれども、私も今度の答申について、国際金融業務における専門銀行としての役割り、任務、これの評価については一応妥当なものだと考えておる。その前提として忌憚のない意見を聞かしてもらいたいと思うのです。
 きょうお話を聞いた中で私ちょっと驚いたのは、東京銀行の海外における支店、事務所の数が、大蔵省がまとめられた調査の数字から見ますと非常に多いので実は驚いたわけなんです。大蔵省のほうから出されているのは、海外支店、出張所数は三十七、駐在員の事務所を入れて五十五くらいになっているのですが、きょうのお話を聞きますと総体的に九十くらいになる。こうなると、都市銀行や長期信用銀行、地方銀行、信託銀行、商工組合中央金庫その他の海外支店、出張所の数なども、おそらく表にあらわれた私が承知している数よりは多いんじゃないかという感じを受けたわけなんであります。率直にいいまして、現在数、どのくらいか私よくわからないのですけれども、海外における日本の銀行支店数は多過ぎるんじゃないかというのが私の印象なんであります。政府の資料で承知したのですけれども、貿易、金融等に関するアンケート調査結果によると、それぞれニューヨークとかロンドンと個別に調査をなさったと思うのでありますが、どうも多過ぎるという回答が、おおよそ回答を寄せられた三〇%をこえているのですね。私は、これは適当であるという人もまだかなり多いにいたしましても、かなりの数が多過ぎるという批判があるということは注目せにゃいかぬと思っておるわけなんでありますが、あなたの御感じはどうなんですか、ということなんですね。それをまずちょっと承りたい。
#15
○原参考人 最初の事務所の数でございますが、大蔵省の数字も私のほうも正しいのでございます。というのは、大蔵省の数字は子銀行の店を含めない私どもの銀行の支店、出張所、駐在員事務所、これは五十五でございます。そのほかに私どもは子銀行と申しますか系統銀行が五つ六つございます。それの店を全部合わせて三十五ございます。合計九十ということでございます。他行さんにもそういうようなことがあろうと思います。他行さんのほうは現地銀行を持っておられる数がずっと少のうございますけれども、若干はおありになると思います。
 それから第二の、海外における日本の銀行の店舗の数でございますが、私どもまあ率直に申して、決して少な過ぎるとは思いません。ニューヨーク、ロンドンに何年か前にずらっと出ましたときもやはり一つの驚き――私どもも驚きでしたが現地でも驚きであったようでありますし、今回カリフォルニアにほとんど並んでかなりお出になった。駐在員事務所でありますけれども、やはり現地のアメリカ側はかなり驚いておるということがございます。まあ、なかなか言いにくいことでありますけれども、そしてあらたまって申し上げますれば、先ほど申し上げたように、方向としては出る方向はありましょう。しかしタイミングをはかってというのに、もう一つおこがましくも申し上げさしていただければ、現在が非常にいいところだとか現在が少ないということはなくて、むしろそうでないほうだという点は、そうだろうと私は思います。
#16
○平林小委員 いや、原さんが非常に控え目に、タイミングだとかその他、目的とかいろいろなお話を述べられましたけれども、私は現状においてもずばり多過ぎるという感じを持っておる。
 きょうは参考人に御意見を承るというのが主眼でありますけれども、適当な機会に銀行局長にも御見解を承りたいと思っておりますので、きょうはちょっと、話のついででありますから、私、資料を銀行局のほうにも要求しておきたい。
 一つは、海外の支店設置に今日まで各金融機関はどの程度の設備投資をしておるか、その累積額は幾らになるかという点であります。もちろん、海外支店設置については税法上の恩典もかなり与えておるわけですから、それも加えての総トータルとして資料を整えてもらいたいということが一つ。
 それからもう一つは、いまお話がありましたように、タイミングその他――私は現状においても多過ぎる。そしてまた、いろいろこの委員会の中でも議論がありましたように、過当競争とか、それからかえって多いために別な弊害が起きてくるということも考えなければなりませんので、海外支店認可の基準というのを明確にする必要があるのじゃないか。これについて政府はどういう考えをとるかということを、適当な時期までにひとつお示しをいただきたい、これを申し上げておきたいと思います。
 原さんにもう一つ伺いたいのですが、円資金の強化の点についていまお話がありましたけれども、今度は逆に国内店舗をもっとふやしたいという御希望を述べられました。昔は五十あった。いまは三十二ですね。なおふやしたい。その目標というのは、従来あった五十を必要とするのかどうか、どういうお考えであるのかどうか。
 それからもう一つは、日銀の特別な配慮を要請されておるわけでありますが、現状はどうなのか、今日までの実績はどうなのか、そしてどういう程度をいま必要としておるかという、何か腹づもりといいますか見積もりといいますか、そんなお考えがあったらこの機会にお聞かせいただきたい。
 時間がありませんから、もう一つ、円資金を確保するために最近信用金庫との業務提携をおやりになりました。こういうようなことはどの程度に役立っているのか、そしてまたこれについての将来性はどういうふうに考えておるか。まあ、この三つ程度をちょっとお聞かせいただきたい。
#17
○原参考人 第一の国内店舗でございますが、外国為替専門銀行であるために、海外では大いにやりなさい、そこでは大いに政府も中央銀行も肩を入れよう、それなら国内は遠慮しろというのが、率直にいって外為法のでき上がり方なんですね。それがありますので、そっちを遠慮、やめますと、それじゃ海外はちょっと……なんというようなことがありますので、なかなかデリケートなんです。ですから私は、国内店舗をぐんぐんふやして他行並みにしたいというようなことは申しません。ただ、他行さんも十年、二十年の間にはだいぶ店舗をふやしておられる。その中で外国為替を取り扱う店舗は、全体の店舗のふえた比率よりもはるかに高い比率で、何倍となっておられるのです。そういう意味では、うちは相対的に非常に不利になっている。少なくともそういう時間の経過に従い、経済の伸展に従って他行さんがふえているのに負けない程度の国内店舗を持つというのは、これは何も国内をやるというのではなくて、およそ銀行なんだから、しかも国内に根を持っている銀行なんだから当然じゃないかということで、それくらいはやりたいなと思いながら、それがとてもばっちりそうまではできていないというのが現状であり、せいぜいいきましてもそういうものだということに私は考えております。しかしそれでもやはり相当重要な項目ではございます。
 それから日本銀行さんにはたいへんにお世話になっております。それは外為引き当て貸し、その引き当てで借りるだけでなくて、為替を買っていただくという制度も入ってまいりましたけれども、これでもう非常に多額のものを融通していただいておる。これは他行さんもコール買いする条件の整った為替がありますればおやりになっているわけで、うちは専門銀行ですからそれが特別多いということはもちろんでございます。ところがそういうもののほかに、預金だの、債券だの、円転用だの、あるいは自己資金だのでまかない切れない資金を、いよいよ最後に幾ら要るというのを――コール市場というのがあるわけですが、コール市場は安いときはいいですけれども高いときはたまらぬわけです。それでやはり日本銀行さんにそういう最後の資金のなにをお願いしたいというので、日銀さんからの一般借りという名前で私ども呼んでおりますけれども、これが非常な額にのぼっております。いま幾らございますか、おそらく千五百億から二千億の間をここのところなにしておる。その中でただいま申された円転用が、ちょっと前は五百億ぐらいはあったのですけれども、それは七、八年前もそのくらいあった。貿易はその間に五倍、七倍となっている。それがやはりさっきの国内金融への影響で、実は外貨準備の問題がありましてだいぶ減りまして、たしか一時百何十億というふうに減っちゃったこともございます。そうなりますと、済みませんが――それじゃいけないが、日銀さんの一般の貸し付けでお願いしますといってやっていただく。それでももうこれ以上出せぬといわれますと、これはコールをとる。コールも相当とっております。この辺が私どもには資金の調達上も、また経営の収支の面でも非常に大きな問題になっておりますが、大体問題の大きさを、非常にばく然としておりますが、私のうろ覚えを申し上げますと、そのような大きさでございます。
 それから最後の信用金庫との関係でございますが、昨年の後半にあのようなことが始まりまして、その後たしか最近までに私五十六行までは契約を取りかわしました。なおいろいろ話しておりますからまだふえると思いますし、日本銀行さんと取引をしておられる信用金庫さんの数ぐらいはぜひいきたいなと思っております。そして、それをいたしますと、先ほど申し上げましたように、その金庫さんのお客さんで外国と取引したい、また取引もある、為替をうちに持ち込んでいただければうちは大いにありがたいし、またいろいろお世話もできる、それがまた信用金庫さんにも非常に御都合がいいということは先ほど申し上げましたとおりで、その反面として金融債、東銀債を個個の信用金庫さんで、あるいは連合会でお引き受けいただくというようなことがもう始まっております。まだ為替のほうはどうですか、月々のベースで百万ドル近くまできているかと思いますが、まだそこまできていないかもしれません。金融債などもまだまだごく始まったばかりでございますが、これは要するに、小原理事長も言っておられるように、かつてはソニーも松下も中小企業であったのだ、それがこうなったのだということはまさにあるのだろうと思います。そういうところを私ども開拓する。私どもは年来、こういう銀行でございますから、信用金庫さんとの縁ができる前からでも、たとえば浅草の海外へのおもちゃだのライターだの、いろいろな輸出の中あるいは小ですね、そういうのとは長い間おつき合いをしてやっております。ずいぶん景気の浮き沈みがありますから苦しまれるときもあるので、それらと相携えてやっているというようなことがございます。この辺、私どもは、こういうところを捨てておいて専門銀行はないものだろうという気持ちでやっております。いまは、ことばは悪いのですが、まだちょぼちょぼというところでございますけれども、信用金庫との縁、これは何も信用金庫には限らないで相互銀行あるいは地方銀行、その他いろいろな金融機関と組んで、お互いに補完的な機能を果たし合うという役割りが将来はかなりに大きなものだと私どもは思っております。
#18
○藤井小委員長 松本十郎君。
#19
○松本(十)小委員 予定の時間も経過したようでございますので、ごく簡単に二つほど原頭取に御質問いたしたいと思います。
 一つは、海外の中長期銀行の設立問題ですが、欧州東銀がすでに設立後パイオニアとしてりっぱに活躍しておられることはほんとうに慶賀の至りです。またそれに続いて二つの海外投資銀行が、一つは認可され、一つは近く認可されると聞いておりますが、これもまた喜ばしい、歓迎すべきことだと考えております。ただ先月、われわれ大蔵委員会の有志で財政金融事情の視察のためヨーロッパ諸国を訪れましたが、たまたま七月末にロンドンに参りましたときに、ちょうど前の日ですか、タイムズだったと思いますが、日本の銀行がシティーにインベイドする、まあ言うならばロンドンの金融市場に侵略をかけるというようなセンセーショナルな見出しで、中身は全然事実関係を簡単に述べたのでも何でもないのですが、受ける感じが、また日本が出てきてがめつくやるのだというような、やれやれというような感じの出たような見出しの記事を見たわけでございまして、現地の出先でも、銀行先でも、もう少しすんなりとうまくいかないものでしょうか、こういうことを言っておりました。これからの世界の金融市場というものを考えます場合、もっとマルチナショナルにものごとを進めることはできないものだろうか。いろいろ東銀でもその辺はやっておられると思いますが、日本の出先が日本の国内での競争を外に向かってそのまま持ち出すというよりも、いろいろな国々と手をつなぎながらマルチナショナルでそういう長期資金の調達をやれば、もう少しすんなりと国際金融のサークルに食い込んで、あまり反感も持たれずに仕事ができるのではないかと思いますが、そういうことに対する原頭取の御見解と申しましょうか、またそういうことをやっていくについて、何か日本の特殊な立場からむずかしい点があるのか、あるいは為替政策なり金融政策を担当する行政当局のスタンスに問題があるのか、その辺についてもし御見解があれば伺いたい、それが一点でございます。
 いま一つは、近くガットの閣僚会議が東京で開かれると聞いておりますが、日本の海外援助の伸展については評価されつつも、まだまだ求められるところが多いと思うのです。日本のエコノミックアニマルというようなイメージを払拭する意味においても、もっと海外援助に協力することが必要な課題だろうと思いますが、政府あるいは政府金融機関を通しての援助のほかに、民間ベースによる援助というものがもう少し伸ばされないものだろうか。その場合の為銀の役割りと申しましょうか、そういうことはどういうようになりましょうか。何かこれを伸ばすことについてむずかしい隘路と申しましょうか、条件というものがありとすれば、それがどこにあって、それは取り除かれ得るものなんだろうか、あるいはそれは現在の日本の金融情勢その他から見てなかなかむずかしいものなのか、それについての御所見を承りたい。
#20
○原参考人 第一の国際的な中長期銀行として日本から出ていく、それがロンドンの新聞に、日本の銀行がシティーにインベイドするという記事、私どももそれは承知いたしまして、思案をいたしております。しかしなかなかむずかしい問題で、そのときもロンドンの支店長に調べさせましたが、うちの欧州東銀も当行だけでやっておったし、今回お入り願ったのも日本の銀行ばかりなわけですが、そのときの反応は、いわば欧州東銀はいいじゃないか。というのは、実は初めは日本が来て日本だけでやるのかなと思ったら、こういう債券発行があるが欧州東銀入ってくれるかと言うと喜んで入ってくれている。つまりヨーロッパの起債市場に入って、そして資金を流してくれている。これならりっぱなものだということで、欧州東銀をわれわれ決して責めているんじゃないんだ、こういうようなお話があるわけです。したがいまして今度出られます銀行さんも、資本の構成として日本側だけであるという問題と、業務が日本のお客さんだけをやるかどうかという問題と両面ある。あるいはほかの面もあるかもしれません。少なくともいままで承知しました面ではその両面がございます。やはり出ましたならば郷に入っては郷に従え、その土地の風もあり、またいろいろな必要を金融機関として親切に見るという体制が要るんではないかというふうに思います。それは少なくともいえると思いますので、そういう意味では私どもますます、欧州東銀だけでなく各店につきましてもそういう気持ちでまいりたいと思っております。
 さて、では資本構成をマルチナショナルにするかどうかということになりますと、これは私、十分検討の上きめたいなという感じでございます。まあ口幅っとうございますが、マルチナショナルな銀行が非常に盛んにでき出しましたのはいつでしょう、まだ三年になるかならぬかぐらいでございましょう。その中でもある銀行では、英米からコーマネージャーのように出ていたのがどうもしっくりいかない。アメリカから出ていたマネージャーが下がってイギリスがやっている。この辺は中はわかりませんよ。しかしなかなか苦心があるようですし、また欧米の銀行の中で立ち割っていろいろ聞いてみますと、どうもああいうのはマルチというか複数になると、責任の所在というかそういうものがはっきりしなくなってやりにくいから、おれのところはどうもやりたくないというなにもございます。そういうところは、やるとすれば自分の子銀行をつくるということでやっているわけですね。その辺のことをよく検討しました上で結論いたしたい。同時に、いま日本がインベイドすると言われましたようなことは、率直にいいますればアメリカの銀行もかなりにそういう意味で、たとえばロンドンのシティーで、あるいはチューリヒの市場で批判はございます。そういう批判あたりが、特に豪州に私ども支店を置きたいというので長年やっておりますと、豪州の銀行、これは結局英系の銀行でございますね、これがいわれることは、ロンドンに来ている米銀を見ろ、あんなことをやられちゃかなわない、こういうことをいうのですね。それは米銀さんは非常に米国の強い力を背景にしていますし、その上やり方が、やれることは何でもやろうということでおやりになりますから、やはりそういう点はいろいろ気をつける点があるのじゃないか。そういう点は私は日本のほうが、日本の民族といいますか、民族の性向というもののほうがむしろよりおっとりというとどうですか知りませんが、よりまるいものじゃないか。その辺のところは私どももお互いに考えながら、お互いに戒めながらやる。同時に国会の先生方からもいろいろ御批判をいただく、当局からも御指導をいただくというようなことで日本が世界に伸びていく。いろいろあしざまに言われる向きもございますが、やりよう次第でこれをいい面に持っていくというのに、やはり金融機関の面でもよほど考えて、いいイメージをつくるということをすべきじゃないか。つくづく、やはり金融機関は国内でもとかく大資本的な横暴なイメージを持たれがちなところであります。特に非常に日の出の勢いのような、他国からしますとしゃくにさわってしょうがないというと悪いですけれども、えらい勢いで経済が伸びる、それをしょって出てあまり肩を怒らしてやるのではいけないのじゃないか。御趣旨の点は、私はもう筋目としてそういう基盤的なお気持ちはよくわかります。それをどのように生かしていくかという点、十分検討さしていただきたいと思います。
 それからDACに関連しまして民間ベースの援助につきましての問題、条件、困難な点等でございますが、これは私も、日本は構造的な債権国に、黒字国になったというようなことまでは私は申しませんのですけれども、非常に力が強くなったということはいえるだろう。それでもやはり赤字も出るのですよ。しかし赤字が出、黒字が出ながら、債務国であったのがいまや曲がりかどに来てだんだん債権国になる。やはり総じて黒字が長い間を通して見ますれば相当になる。そうしますれば、海外投資援助というものを大幅にやるということが、経済政策だけでない、日本の国際政治の大きな要目にならなければいけないというふうに私は思います。その広い意味の援助、投資も含めまして広い意味の援助の中で民間投資というものはやはり非常に大きな部分をしょうべきではないかと私は思います。そういう意味でわれわれ金融機関の責務、また外国為替専門銀行としての私どもの責務は非常に大きなものだと思っております。ただし、御案内のとおり、資金量にしましても金利にしましてもまだまだ熟しない条件が多うございますし、いまのところではまだ輸銀の融資等抱き合わせていないとなかなか思うような金利にならないというようなことがございますので、いろいろと過渡的な段階も要り、また新しいくふうも要るだろうと思っておりますが、何よりも私大事だと思いますのは、少し大きなことを言うてなにでありますけれども、そういう投資も含めました援助の哲学と申しますか、考え方、特にその場合における態度について日本はどういう態度をとるかということを十分に練って考えるというのが大事であり、それは世界における日本のいいイメージをつくるのに非常にいいチャンスではないかと思います。
 例をあげて申すのが一番わかりやすいと思いますが、イスタンブールのICC大会はことしでございましたか、中山素平さんが提唱されて、国際商業会議所の大会でインターナショナルエンタープライズ、国際企業のあり方についてというようなことで議論が出ました。西欧諸国、欧米諸国の国際企業の人たちは、要するに世界におれたちが投資をしてやるんだ、投資をしてやればそこで就業の機会ができるし、利潤が落ちて、そしてまた関連産業ができていいことなんだからみんなついてこいというようなことで、例の、日本が五〇%資本がほしいなんと言うと、そんなつまらぬことを言うなという意識は非常に強いですね。それに対して中山さんは、やはりそれは受けるほうの国の自主性をたっとばなければいけない。やはりその国がその国の国土を自分の国土として、そこに自分の経済を打ち立てるという気持ちを重んじなければいけないということだろうと思います、資本の比率にしても。あるいは使う労働をよく訓練して、それからまた原材料だけでなく副材料その他にしても、その投資の相手の国で十分に開発してやるというようなこと、経営権についてもなるべくそっちに渡すというようなかまえでいくというようなことを言っておられます。私は、それはもう方角として全然同感で、そのような点を日本は、いままさに債務国から債権国になる曲がりかどの立場にある意味からは、いわばいままで身にしみていろいろ感じているところであり、今後それを――とかく金持ちになると忘れてえらい顔をしたがるわけですが、その辺をばっちりいいテーゼを出して進めれば、単に金額的な問題だけでなくて、世界に対して日本の気持ちが非常に印象的に受けられるのではないか。少し余分なことだったかもしれませんが、そんなことを私は思っております。
#21
○藤井小委員長 これにて原参考人に対する質疑は終了いたしました。
 原参考人には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 どうぞお引き取りいただいてけっこうでございます。
    ―――――――――――――
#22
○藤井小委員長 次に、全国地方銀行協会会長伊原隆君から御意見を求めることといたしております。
 伊原参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。一般民間金融機関のあり方等についての忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、お願いを申し上げます。伊原参考人。
#23
○伊原参考人 ただいま御紹介をいただきました地方銀行協会の会長の伊原でございます。平素会員の各銀行が皆さま方に非常に各地でお世話さまになっておりまするので、この機会に厚くお礼を申し上げさせていただきたいと思います。
 きょうの御趣旨につきましては、今度の金融制度調査会の答申に関する私ども地方銀行協会の考え方を申し述べるようにということでございます。お手元に御参考までに陳述の要旨につきましてお届けをいたしてございますので、それらに関連いたしまして申し上げたいと思います。
 まず第一に、答申に関します意見につきまして申し述べまして、それに関連がございますので、第二に、私ども地方銀行協会が当面をいたしております問題につきましても御理解をいただきたいという意味で若干陳述をさせていただきたいと思っております。
 まず第一の、今度の金融制度調査会の答申でございますが、これは非常に長年にわたりましてできました審議の結果でもございますので、その包含いたします内容につきましては非常に多方面にわたっておりまするので、一体どの点に重点を置いて見るかというふうなことによりまして評価がいろいろ出てまいることと思うのでございます。ただ、私どもといたしましては、概括的に非常に妥当な内容であるというふうに考えております。ことに金融の効率化という問題が取り上げられておりまするけれども、その指導理念といたしましては、金融機関の公共性ということを強調いたしております点につきまして、私ども地方銀行の歴史的の理念といたしまして、各地域の中枢的の金融機関として公共性を主眼に経営いたしてまいった会員銀行といたしまして、これを非常に歓迎をいたすという考え方でございます。
 なお、答申につきましては、これに関連いたしましていろいろな資料が公にせられましたり、あるいは他の業界の考え方をお互いに知り合う機会があるというふうなことから、金融界、それも金融界だけでなく、産業界、学界等も加わりまして御審議でございましたので、私ども銀行を経営いたしてまいりますものといたしまして非常な参考になりました画期的のものであるというふうに考えております。
 答申の内容につきましては、これからは行政にゆだねられ、あるいは立法を要するものにつきましては立法的にお取り計らいがあるというふうに考えまするが、それらにつきまして、ここにございますように五点について申し上げたいと思います。第一点は預金保険の問題でございます。第二点はいわゆる中期預金の問題でございます。第三点は答申にいう合併、提携等についての考え方でございます。第四点は競争原理の導入という考え方についてでございます。第五点は国際金融に関します為替銀行のいわゆる甲乙の撤廃並びにそれに関連する考え方についてでございます。
 まず第一の預金保険の問題でございます。
 これは正直に申しまして、いわゆる健全経営ということ、預金の保護ということを経営の最大の理念といたしてまいりました地方銀行といたしましては、ただいますぐにこういう制度が必要であるかどうかということにつきましては、いろいろ会員の間にも議論のありましたことは実際でございます。ただ私ども長い射程においてものを考えまするときに、実務をいたしておりましても、第一に各種金融機関の相互関係というふうなものがこれからは非常に互いに複雑化をし、網の目のように組み合ってまいるという情勢がだんだんに出てまいっておりますことと、それから第二に資本の自由化等に関連をいたしまして、国際的の資金の移動というふうなことも今後相当に予想しなければならないというふうな事態を考えますると、こういうふうに制度論議を根本的にいたしました機会におきまして、将来のために預金保険の制度を実施しておくということは適当ではないかというのがみんなの意見でございます。ただ、今後これを実行いたしますにつきましては、非常に零細な預金を保障していくという予防的なものでございますので、第一に機構としては簡素なものにしていただきたい。これが膨大なお役所の機構というふうなことになりますと、私どもそれは避けていただきたいというのが第一でございます。第二に保険料のことでございますが、すぐに使う必要が起こるとも考えられませんので、各拠出した金融機関の手元にできるだけ預託をしていく、スタンドバイというふうな形はあるいはとりにくいかもしれませんけれども、思想的には確保された範囲内で必要に応じてこれを使っていくというふうな形をとっていただくことが妥当ではないかというのが私どもの意見でございます。
 それから第二に、二ページにございますいわゆる中期預金の問題でございます。
 実は中期預金の問題につきましては、地方銀行協会といたしましてずいぶん古くからこれを主張いたしておった経過がございます。それと申しますのは、私ども地方銀行、地域地域の、ことに中小企業の金融につきまして最も責任を持っております金融機関といたしまして、中小企業は相当長いお金を必要とし、かつこれを調達することがなかなか困難な状況にあるというふうなことをも踏まえまして、できればこれに見合う、たとえば二年ものの定期をほしいというふうなことは、実は業界としてたぶん三十九年ぐらいから申しておったのでございます。たまたま今度金融制度調査会において取り上げられたことでございますが、その間いろいろな情勢の変化もございます。しかし、大衆の金融資産の選好というふうな問題も多様化をいたしてまいりましたので、預金の種類を広げていくということは、サービス機関である金融機関にとりまして必要なことであるという方角は私ども歓迎をいたす次第でございます。ただし、その実施をどうするか、あるいは具体的な内容をどうするか、物価高に反応する預金者の方の心理状況はどうであるか、他の金融機関との関係あるいは金融機関自身のコストの問題というふうなこともございますので、慎重に扱うことを当局にお願いをしたいと考えておるわけでございます。ただ、これはあるいは中期預金というふうな形であるのか、あるいは今後新しい貯蓄手段としての何か考えられるものとの関係、あるいは物価高に応ずる預金者の反応というふうなことを考えて、そういうふうなものとも広く総合的な形で考えられるのも一つの方法ではないかというふうに、私見ではございますが考えておるわけでございます。
 第三の合併、提携の問題でございます。
 これは実は金融制度調査会の答申の読み方でございますが、何か合併を非常に奨励しておるように読めるという人もございますし、そうでないという読み方もございますが、私ども御存じのように、六十一の地方銀行は隣合っておる部面等では相当競争もいたしておりまするけれども、概括的に申しますと非常に協調して能率をあげるという体質でもあり、置かれた地位でございます。現実には協調――各地方銀行は適正なる規模を維持しながら全国的に四千二百以上の支店網を結びまして、協調によって全体の効率をあげていくということを念願といたしておりまして、現実にはたとえばデータ通信網を六十一行の間で二年前に結んで着々と効果をあげている。また研修は一緒にやるとか、調査は一緒にやるというふうな協調による効率化ということをやっておりますので、今後ともその方角に努力をいたしてまいりたいというのが会員の考え方でございます。
 なお金融制度調査会の答申の中に、同一地域において営業いたしておる金融機関を比べた場合には、その効率は、地方銀行は非常によろしいという認識をいただいております点について私ども敬意を表し、またこの点を一そう推し進めてまいりたいというのが考えでございます。
 それに関連いたしますが、競争原理の導入ということばがございます。これも読み方でございますが、私ども現実に銀行の経営にあずかっておる者といたしましては、日本ほど競争の激しいところはない。場合によると過当競争のためにいろいろと逆にコストがかかっていく、競争しないでむしろ安座しておるために効率化を妨げておるという部面は実際は少ないのではないかという実際的の感じを持っておりまして、その意味で、答申の中で、競争は公共的の見地から見て、また国民経済的の見地から望ましい競争であるべきだと書いてあります点について、特に国民経済的に望ましい、個々の金融機関の効率化、個の利益というものと全体の利益との調和という点につきましては、国民経済的評価を下した上でやっていただきたいというのが私どもの強い考え方でございます。
 第五点の国際金融の問題でございます。
 これは今度、甲乙というのが廃止になったわけでございますが、私ごとでございますが、私ももと大蔵省におりまして、外国為替管理法を当時つくることに参画し、甲乙など司令部と交渉した一人でございます。しかしその後二十年、すっかり世の中は変わってまいりまして、全体が国際化の方角に向かっておる。私どもの地方銀行のお取引先も、極端にいいますと、小田原の梅干しからショウガも台湾から相当部分輸入するというふうな、あらゆるものが国際化の時代でございますので、そういうお取引先に奉仕する金融機関といたしましては国際化を、大蔵省が為替行政のほうでいま骨を折っておられますが、その点を進めていただきたい。できるだけ自己責任原則でやることにいたしまして、地方銀行だから都市銀行だからというふうな区別につきましては、ものの考え方から排除していただきたいというのが一つの考え方でございます。
 なおたくさんございますが、お尋ねに応じて申し上げることにいたしまして、これに関連いたします地方銀行の姿勢、その他の問題につきまして、第二に申し上げたいと思います。
 一つは、大げさに言いますと私どもの経営の理念と申しますか、それから第二には公共性という点がどういうふうに地方銀行に響いておるか、第三に地域の金融につきまして私どもの当面しておる問題の一番大きな問題という三つにしぼって申し上げさせていただきたいと思います。
 第一点は、私どもの六十一行は、それぞれの地域におきまして各地域の金融機関と協調しながら、あるいは多少口幅ったい申し分かもしれませんが、地域における中枢的の金融機関として地域と一緒に発展をしてまいりたいという考え方を持ち、いわばふるさとを持っておる銀行ということを合いことばにいたしまして、このごろのようにふるさとに人の心が帰っていこうとする時期におきましては、ますます私どもの責任を痛感しておるというのが現状でございます。したがいまして、お取引先もその地域地域によって、六十一行それぞれ違いまするけれども、地域の住民の大衆の銀行とし、あるいは地元の企業、これも大小さまざまございますけれども、地元の主として中小企業の金融を見る役目を持ち、また市町村等の指定の金融機関といたしましての役割りをつとめていくということでございまして、私どもは、私どもがやる資金の供給といいますか、資金は、国民経済的に非常に重要な領域を占めておるというふうに確信をいたしておるわけでございます。世の中で資金偏在論というふうなことがいろいろな意味に使われますけれども、私どもは、地域のこういう金融をすることこそ国民経済にとって非常に重要な資金の供給であるというふうに考えておるわけでございます。
 第二に、公共性の問題が先ほど申し上げましたような次第でございますが、どうも競争原理とか効率化とかいいますと、大蔵省の、答申の背後の趣旨とは違いまして、ややもすればどうしても競争とか純商業主義とかいうふうな考え方が現実の問題として起こりやすい趨勢にあるようにも考えておるのでございますが、私どもこれは非常に不適当であると考えます。たとえば店舗の自由化と申しますか、弾力化といいまして、このごろ配置転換の問題等がございますけれども、これも地方銀行といたしましては、たとえば島の上に支店を持っておるというふうな場合には、その銀行にとっては効率的にはよくないということでございますけれども、公共的な見地から、これを締めて他のところへ出ていくというふうなことはいたすべきものでもないし、いたす考えもないというふうな意味におきまして、他のグループの金融機関がある意味では配置転換を自由にやって、過密過疎に対しまして、ある場合にはそれを助長するおそれのあるような場合に対しましては、行政の御当局としていろいろ御苦心だと思いますが、この個々の効率化と全体の国民経済的効率化という問題について深い御配慮を願いたいというのが私ども地方銀行の要望でございます。
 それから最後に、地域の開発の資金の問題でございます。
 地方銀行の頭取が毎月東京で会議をいたしますたびに、一番最近で問題になっておりますのは、地域の開発に対する資金の供給を一体どうしたらいいかということが毎月毎月の話題の一番大きなものでございます。これは分けて申しますと二つになるわけでございます。
 一つは、これは地域によってずいぶん違いますけれども、大体どこでも地域開発のための先行投資というのが非常に盛んでございまして、そのためには県でございますとか、あるいは形を変えた開発公社、住宅公社、いろいろな名前がございますが、そのほうの活動によって土地を買い上げる、この資金が非常に膨大なわけでございまして、おおむね指定金融機関でございます地方銀行にその要求が出てまいる。ところがそのお金はどこへ入るかと申しますと、地方地方の農協に入るのがおもでございます。各金融機関とも土地代金の預金吸収には努力いたしますが、やはり親類関係の農協に入っていく、それが農中に入るというふうなことで、決してモンロー主義を申すわけではございませんけれども、地方地方から申しますと、土地の先行投資、それが農協を通じ中央に逆流といいますか、資金が戻っていくという意味で、地方の資金の枯渇を来たす大きな源泉となっておることが実情でございますので、これは農協とか農中の資金の運用の制限とかいろいろな問題がございまして、私どもいろいろお話し合いいたしておりますけれども、なかなかむずかしい問題の一つでございます。
 それから第二に、地方資金の質的な面でございまして、地方の開発のためにいろいろ御用立てする資金の方法が、貸し出しの場合もありますし、公募債の場合もありますし、縁故債の場合もございます。そのうちで一番私どもが苦慮いたしておりますのは地方の縁故債の金利の問題でございます。これは地方団体の御当局とお話をいたしましても、いわゆるコマーシャルベースにはなかなか乗ってこない。もともと公共的な使命を持っておりますのですから、そうそうエゴいことは申しませんけれども、常識的なラインの金利をつけていただきたいということをみんなお願いをいたしております。ただ正直にいいまして、県だとか市の指定金融機関というのをお預かりしておりますので、どうも親類同士で金利の話をするようなもので、とても義理人情等が入りましてお話をしにくいのが実情でございます。ただし非常に金額がかさんでまいります、地域の中小企業に対してのお金の配分と、それからこういうふうな地域開発のための、ことに土地の先行投資のお金の配分とにつきましては、ことに金融の引き締め状況下でワクをはめられておるというふうな中で、どういうふうに配分していこうかというのにみんな苦慮しておるというのが実情でございます。
 以上、地方銀行が当面をいたしております問題につきまして、大きい問題、私どもとして考えて大きい問題を申し上げまして、御批判を仰ぎたいと思います。
 なお、公共性のことをずいぶん申しますけれども、私ども地方銀行であるとか何銀行であるとかいうふうなことの前に、金融機関であるということの責任、非常に時勢の変化の激しい中で、物価政策も第一にやらなければならないとか、経済成長も量より質に転換をするとか、公害問題が出ておるというふうな中における金融機関の姿勢というものにつきまして、よく自粛自戒をいたしまして、公共的の使命の達成に努力をいたしてまいりたいというのが会員の考え方でございます。
 非常に簡単でございますが、一応の陳述を終わらしていただきます。
#24
○藤井小委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#25
○堀小委員 最初にきょう銀行局長から、最近における金融機関の不祥事件の問題について報告がありましたし、私も実は六月の大蔵委員会においてこの問題を取り上げて、いかにしてこの銀行の不祥事件を防ぐかということのために一つの問題提起をしてまいったわけでありますが、残念ながらこの問題はその後も引き続きいろいろと続いておるわけでございます。ちょっときょうの金融制度の問題に直接の関係はございませんけれども、さっきの銀行局長の報告の中にも案件がございました。おそらくあの案件の中には地方銀行の件数も含まれておると思うわけでありますが、こういう不祥事件、いろいろなものがございますけれども、これの一番の大きな原因は一体どこにあるのか。それからこれに対する対策として当面どうしてもやらなければならないことというのは一体どういう点にあるのか。ちょっときょうお願いしておる案件と必ずしも直接につながっておりませんけれども、当面の重要な課題でございますので、ひとつ地方銀行の立場からお答えを最初にいただきたいと思います。
#26
○伊原参考人 お答え申し上げます。
 私ども地方銀行の中にも、ただいま御指摘のございましたように残念な事件がございますことは事実でございます。銀行を経営いたしておりまして、正直に申して一番神経を使い、起こってはならぬなということを考えておるのがこの事件でございまして、私どもほんとうにいろいろ神経を使っておるのでございますけれども、したがって、各銀行とも中に検査部、あるいは検査のほかに考査というふうな名目で考査部というふうなものをつくりまして、絶え間なくいろいろやっておるのでありまして、非常に神経を使っておるわけでございますけれども、何かいろいろな異常な神経の持ち主というふうな者も中にはまざってきておる場合があり得る。しかしそういう環境の中で銀行経営という、しかもお金をお預かりいたしておるのでありますから、その対策ということでございますが、いろいろいつも調べてみると、事務規程というふうなものはよくできておりまして、それが順守されておれば起こらないようなことばかりなんでございますね、いつやってみましても。したがって、意識的にこれを破っていく異常な者がふえてくるというふうなものをどうやって押えるか。これはやはりたびたび検査をし、あるいは何事か起こったときは非常にきびしい姿勢で臨むということが一番大事なんじゃないかというふうな考え方で、地方銀行の協会といたしましても常々、世間にも申しわけないことでございますので、戒心をいたしておる次第でございます。
#27
○堀小委員 いまのお話、ちょっと抽象的なものですからあれですが、私はどうも、さっき伊原さんがおっしゃった本来の競争でない競争ですね、要するに業容拡大といいますか、金融機関の利益を中心とする競争が行き過ぎておる点に私はどうも非常に原因があるんじゃないだろうか。いろいろな問題はありますけれども、そのために、とかく預金獲得のために、本来もう少し店内業務を強化すべきものが、実は支店長を含めて預金獲得のために外へ出かける。いろいろな点で私はどうも内部の管理が少しおろそかになってきているということも、預金獲得の行き過ぎのための一つの弊害として出てきているのではないだろうかという感じがいたします。地方銀行はどうか存じませんけれども、一般的に戦前は、銀行の内部における検査部の動きというものも、大体予告をしないで検査をするというのが戦前はたてまえであったように聞いておりますけれども、今日は指導というような面に比重がかかって、予告をして検査をするというような形になっておる向きが多いかに聞いておるわけでございますが、やはりそこらについても、検査は抜き打ちで検査をして初めていろいろな抜けておる問題がよくわかるのではないだろうかという感じもいたしますし、ひとつ今後も私どもこの問題をもう少し掘り下げて、できるだけ、先ほどおっしゃった公共性の高い機関でございますから、その公共性の高い機関にふさわしいような状態をつくっていきたい、こう考えておりますので、そういう点についてちょっとお考をもう一回承りたいと思います。
#28
○伊原参考人 ただいま堀先生のお話しのとおりでございまして、背景といたしまして非常に競争が激しい。しかも預金の獲得について激しい。私ども店を回りましても、男はみんな外へ出て、内を守るのは女の子がおもだというような状況が率直に申して各金融機関ともあるわけでございます。ただし、これは文武両道ということですから、内部体制を固め、しかし外部的にも業容拡大を一生懸命やっていけというのがみんなの考え方でございますけれども、とかくおろそかになりがちであります。競争原理ということばがほうぼうに出てまいりますけれども、しかしその頭に公共的なものであるということがかぶっております。どうも第一線にまいりますと、なかなかそっちの公共的とか国民経済的とかいうのはむずかしいものでございますから、預金競争に走る。コストは上がります。これは姿勢を正して――これもみんなでやりませんと、ある金融機関だけが姿勢を正しますとそこの預金がなくなっちゃうということがございますけれども、これは同時停戦の問題、あるいは経営者あるいは末端までの認識の徹底ということが必要なんじゃないか。協会等としては一生懸命でやりたいと思っております。
 第二の検査は、各行とも、私どもの店内検査等は抜き打ちでございますけれども、しかしおっしゃるように、大体もう来たんだからしばらく来ないとか、もうそろそろ来るというふうな予測が立つことは事実でございます。したがって考査というものを抜き打ちにもう一つやって、重点をかけて――これは私の銀行の例で恐縮でございますが、やっておりますけれども、なかなか思うようにまいりません点があるじゃないかと自粛自戒をして、また新事態に即応する新しい方策等につきましても、協会として真剣にこういう機会に話し合ってみたい、こう考えております。
#29
○堀小委員 預金保険についてのお考えでありますが、私も実は大体かねてからこういう式の考え方をとっておるわけでありまして、やや共通の点があると思います。私はこれまでも申しておりますけれども、本来支払い準備のない金融機関なんというものは私は金融機関として正常でないと思っておりますし、この前金融制度調査会において当時の協会長の平野さんのお話を拝見しましても、競争の効率もさることながら金融の正常化を進めるという点が抜けていてはまずいのじゃないだろうかという御指摘がありますが、私も全く同感でありまして、金融の正常化をすることが私はやはり効率ある金融になり、適正な競争原理が確立をされることだろう、こう思っておるわけです。そうなりますと、私は当然支払い準備があるべきであって、ひとつ各行が支払い準備を積んで、しかし事故が起きたら何らかのルールによってそれを取りくずせばいいではないかというようなことが私の持論でありまして、その辺がたいへん共通しておるわけでありますけれども、いまもう一つの考え方としては、御承知のような画一的なアメリカ、カナダ方式というものも実は答申の中で一つの部分を占めておるわけであります。
 そこで、私は実は預金保険というものの本質についてちょっと少し疑問があるものですから、もうちょっと伺っておきたいのですけれども、現在日本の大蔵省というのは各国に比して遜色のない程度の銀行に対する検査監督権を持っておりますし、銀行は全部免許制でありますししますから、私は通常の場合、銀行が倒産をするなどということはおおむねある程度先からわかることではないだろうか。そうしますと、預金保険で救済のできるものは、幾らになるのかわかりませんが、預金量百万円以下の人は救済しましょうとなれば、百万円以上の預金をした者は倒産した場合には実は救済されないことになるわけでありますから、そこらを考えてみますと、私は競争原理の導入ということは必要でありますけれども、その競争の結果銀行がつぶれるような行政をやることは適正でないのじゃないだろうか。考え方のもとでございますけれども、そういう意味ではやはり先ほどからお話しになっておる競争というもののとらえ方をもう少しやはり慎重に考えておく必要があるのじゃないか、こういうふうな感じがいたしますので、お伺いをしたいのは、競争の結果金融機関が倒れるようなことがあってはならないし、そういう競争をさしてはならない。さっきお話しのように、金融機関には地域性の問題とかいろいろな問題が含んでおるわけでありますから、やはりそれに応じた競争の範囲ということがおのずから限定されるのは当然だと思いますし、そうなれば金融機関の運営上の責任によって問題が起こることはありましょうけれども、競争の結果そういうものが起きないような競争をさせる範囲にとどめるべきではないのか、こう思うのでございますが、そういう意味での預金保険というものの必要性ということについてちょっとお伺いをしたいと思います。
#30
○伊原参考人 先生のおっしゃいますように、内部的に申しますと、地方銀行協会といたしましては六十一の銀行、各金融機関とも同じでございますけれども、一生懸命で健全に、またいわゆる健全経営、ゆとりのある支払い準備を持った貸し出しというふうなことを念願いたしてやっておるものでございますから、ただいますぐこれが必要かどうかというふうなことにつきまして、実はずいぶん議論のあったことは先ほど申し上げた次第でございます。
 それからなお業界によって、ずいぶん違うのじゃないか。これはいろいろな金融機関を一緒にやりませんとある意味では目的を達しませんが、同時に業種別でもいいじゃないかという考え方をとった経過もございます。しかし考えてみますと、制度を相当慎重に研究をいたしました機会に長い射程でこういうものを立法化しておいていただくということが、いろいろないまみたいな複雑になった世の中で糸のほぐれがなかなか――各金融機関ともずいぶん信用の供与のしかたが組み合っておりますので、そういうふうなことから考えて、みんな各金融機関が一緒にやることが必要ではないかという全体の御意見には賛成いたしたわけであります。
 第二の点で、競争の問題でございますが、県内にはいろいろな相互銀行がございますし、信用金庫も信用組合も地方銀行もございます。これらはいずれも中小企業とかあるいは少し小さい企業とかいうお取引先を持ちまして、それぞれの奉仕をいたしておるわけでありますから、弱肉強食的のことは、これは私どもは、国民経済的にもいけませんし、そういうことが許される世の中でもございませんので、そういったことがないようにという考え方に立っている次第でございまして、経営上の問題で何か起こるということは絶対にないようにみんな努力をしなければならない。この保険ができたために経営がルーズでもいいということになったらたいへんなことでございますが、一生懸命いたした上でなおかつそういう制度があるということが預金者の方に安心感を与えるというふうな意味におきまして、私どももこれを評価いたしておる次第でございます。
#31
○堀小委員 中期預金に対する御意見については、実施の時期、具体的な内容については、預金者の意向、金融情勢、各金融機関のコストに及ぼす影響等を考えて、慎重に検討すべきだ、この点は私も全く同感でございますが、中期預金というのは抽象的でございますけれども、いま二年の定期とか三年の定期ということが具体的な例として出されておるわけでありますけれども、これらについて、二年のもの、三年のものについて、将来の問題でございましょうが、地方銀行とすれば一体どちらのほうが望ましいとお考えになっておられるのか、それが第二点でございます。実は私があまり意味がないのではないかと思っておりますのは、かりに二年のものということになれば、現在の定期預金の継続傾向からして、ほとんど一年ものの定期がシフトをするだけでございますから――もちろん勧誘その他の費用等の軽減もあるという話もありますけれども、どうもコスト高のほうに直接はね返るのではないか。それでは三年になるとどこかから新しい預金が出てくるかというと、たいへんな預金競争でありますから、三年の定期ができましたならば、都市銀行から信用金庫までが、いかにして信託銀行の持っておる三年ものの貸付信託を奪い合うかというだけでございまして、信託銀行を含めた金融機関全体の預金量のふえる可能性はない。国民経済的にいうならば何ら意味のないことではないかというような感じがいたしておりまして、いずれもあまり積極的に賛成をしていないわけであります。これもやはり全体としてのコストを押し上げるだけで、個々の金融機関にとってはたいへんフェーバーのあることができてくると思いますけれども、国民経済的にはあまりプラスがなくてまたもや過当競争を誘発する、そういう意味ではデメリットのほうが多いのではないか、こういうふうに思っておりますが、それらについてお伺いしたいと思います。
#32
○伊原参考人 地方銀行の中の考え方につきましてさっきちょっと申し上げましたように、三十九年あたりから、中小企業に何か安定した資金を供給したいという意味で、二年ものと申しておりました当時は、正直にいって地方銀行の取引先の方に満足していただくという意味で自分の業界のことを考えておったわけでございます。ただこういう時勢になり、またいろいろ振り返ってみますと、いたずらにお互いの業界のシェア論としてこういうものが使われるということにつきましては、私個人としては若干疑いを持っておる次第でございまして、日本の全体の貯蓄率が可処分所得の二割というふうに非常に高いのですけれども、なお一そう全体が高まるというふうな意味合いを持つか、あるいはこういう物価高の際に預金をしていただく方に、金利より物価が上がるというふうなことでは資金供給者に対して、中間にある金融機関としてどうも申しわけないからというふうな意味合いからのものの考え方でありますれば、あるいはそっちのほうから必要になってくるんじゃないかというふうなことも考えましたり、まだなかなか考えが固まっておりません。業界の中でも、二年がいいか三年がいいかあるいはいまのままがいいかというふうなことは、正直に申して、問い詰めていきますとなかなか答えがしにくい。置かれておる環境、競争の相手とかいうふうなことで違ってまいります。しかしいずれにいたしましても、一業界だけが何をしようという考え方ではなくて、やるならば全体ではないかというのが私の、これは個人的の考え方でございます。
#33
○堀小委員 最後に、いまの農協金融の問題でございますけれども、ここでお触れになっておるように、私どもはだいぶ前からこの問題を取り上げておりますし、次には金融制度調査会でこの農林系統金融の問題と政府関係金融機関の問題というのは当然取り上げてもらいたいものだと思っておりますけれども、一体地方銀行としてはこれをどういうふうにすればいいというお考えがあるか。確かに今度は途中から少し資金が横に流れていく道も開けておるようでありますけれども、全部が上にばかり上がらないで処理ができるようになっております。確かに都市農協というのはたいへんりっぱなビルが立って、実際は農業とほとんど関係のない土地代金その他のものがどんどん入っておるのを見ますと、もうここらで農協金融の問題というのは新しい段階に入って、やはりここで触れられておるように、一元的に金融機関のワクの中で処理をされるべき段階になってきていると思いますが、地方銀行協会としては、農協系統金融についてこういうふうにしてもらったらいいというお考えがあるかどうか、それを承って終わりにしたいと思います。
#34
○伊原参考人 お答えいたします。
 率直に申しまして、非常に固まったほどの意見はございません。そして、実は地域によりまして違いまして、都市周辺、都市といいましても大都市の周辺、それからかりに、県の名前は恐縮ですが、いわゆる都市化していない地域でも中央の都市というものに人口が集まってくる傾向がございまして、どこでも土地の代金の支出に困っておるということから考えますと、これからは地域の開発、ふるさとをできるだけ住みよいものにしていくというふうなものの考え方からいいますと、資金がなるべくその地域で循環をしてもらいたい。ひどく言いますとモンロー主義になってしまいますが、同時にあまりに流出をいたしますとその地方の資金が枯渇をいたします。資金の循環の何かめどがないか。それについて一つの、たとえば土地を買いますときに農協さんの資金がまた使われるというふうに循環をしてほしいという考え方が一つあるわけでございます。
 そこの中で障害になりますのは金利の問題でございます。指定金融機関をつとめておる銀行からお金を調達いたしましたほうが、県とか公社等にとりましては金利が安いというふうな問題がございます。農協さんのほうにもいろいろな問題点がございまして、使途が制限されているとか、金利の問題もそれぞれのお立場でいろいろなことがあるというふうなことで……。しかし東北とかそういう地域に参りますと、農協さんの今度の農業政策による農地の転換の問題なんかにからんでまいりますから、これまたちょっと違った色合いが出てくるというふうなことで、まちまちでございます。しかし概括的には何とかしてその地域でお金が循環をしてほしい、これに対する障害をどうやったら除けるかというのが金融機関側から見ました要望でございます。
#35
○藤井小委員長 平林剛君。
#36
○平林小委員 きょういろいろと発言要旨までまとめていただきましてお話しをいただいたわけでありますが、この中で触れておらない点が一つあるのです。それは中期金融の問題ですね。今度の答申の中で中期預金のやつはかなり大きくみんなが評価し、喧伝をし、いろいろな批判、賛否両論、わかしたのですけれども、これが前提ではないでしょうけれども、中期金融に対する希望というものは、一般の金を借りたい人の立場から立ちますと、かなり強い要望があるわけです。私はむしろ、一般の商業銀行が短期のころがしを重点にして金融を営んでおるというのに対して、今回中期金融の考え方というのが取り入れられたということはもっと注目していい問題だと実は考えておるわけなんです。ただ現状から見まして、それでは中期金融の希望をかなえるだけの総体的な資金量は一体十分なのかというと、ここに一番大きな問題があるわけです。私は、二年もの三年ものという中期定期ができたからそれでこうした要望が満たされるなんて思っちゃいませんし、またこの前提で中期預金をつくりたいなんということだったらさか立ちした議論だと思っていますから賛成しないのでありますけれども、問題は、いま中小企業その他の非常に強い中期金融への希望ですね。もっと長期の安定した資金を供給してもらえぬかという希望に対して、一体地方銀行はどういうふうにこたえ得るか。誘導質問をするわけじゃありませんけれども、二年定期とかそういう中期預金ができたから、それで中期金融の幅というものが拡大し得るものとは考えないけれども、その点についての御見解はどうか、こういう点について御意見を伺わしていただきたい。
#37
○伊原参考人 ただいまの平林先生からのお話にございますように、地方銀行の主たるお取引先となっております中小企業は、具体的に申しましても、たとえばスーパーが出てくるから商店街を新しくしたいというふうな場合に、貸し出しの期限が短いことは非常に困るのでありまして、中期金融と申しますか、そういうふうなものについての私どものお取引先の要望というものは、地域によっていろいろありますけれども、非常に強いということは確実でございます。ただ、地域によって、たとえば競争の非常に激しい、金融機関が入り乱れておりますところ等につきましては、従来日本の慣行といたしましてころがしということで、形式的に短い金を実際は長く使うということでございまして、これはおかしいということから長期に切りかえをお願いする場合に、力関係がところによって違いまして、非常に競争が激しい地域等では、むしろ借りられるほうの方からこのほうがいい、金利も安いし、いいと言われると、銀行のほうでどうしても長期に切りかえていただきたいということは、やってみてもなかなかできないようなところもございますし、あるいは銀行が非常にほかとの競争関係のないようなところは、むしろ銀行の利益のほうからころがしをあれしていくというぐあいに、いろいろまちまちなんでございます。しかし理論的にいいますと、どうも中期金融ということは相当長い金でございますから、資金調達面でもずっと長いものをいただきたいという議論は確かに出てまいる。それで私どももお願いをしておるという実情はあるわけでございます。ただコンピューター時代でもございますので、長い金、短い金、いろいろの御預金をうまく変質をいたしまして、これを良質の長いものに変えていくというようなことも銀行の使命の一つでございますので、この辺、実はいろいろむずかしい問題が――資金調達源が長くなければ中期ができないとも言い切れませんし、しかし、長いものがあったほうがいいということは言えるというふうな状況でございます。
#38
○平林小委員 もう一つ、具体的なことですが、最近の希望は、中小企業の中に特に多いのですけれども、いまお話しになったように長期の良質なものに変えたいという希望はかなり強いわけですね。ところが、そういう希望がありましてもなかなかかなえられない。最近のように金融の引き締めが持続しておりますと、やはり銀行の中の一つのコントロールがあって、それがかなえられない。幸い地方銀行は他の金融機関に比べて経営効率がいいというようなことになっておりますが、そういうような余裕といいますか、現状においていかがでしょうか。
#39
○伊原参考人 お答えいたします。
 地方銀行のポジションはいつも非常にゆとりのあるような、資金需要の非常に多い中でそういうポジションをとってきておりますので、いまおっしゃるように流通機構の近代化というふうな問題が物価政策にも大事だとか、いろいろなことを考えまして商店街に相当長い金を出すとか、そういうふうなものは各行とも環境でいろいろ違いますけれども、努力をいたしておるはずでございまして、実績もあがっておるように思います。ただ、さっきちょっと申し上げたように、そこに出てまいりましたのが、いわゆる公共的の土地先行取得のための資金の需要というふうなものとの調和が、これまた一つの私どもの解決しなければならぬ問題に出ております。あれこれ考えて苦心をいたしておる次第でございます。
#40
○平林小委員 もう一つ、これは地方銀行だけに限る話ではないのでありますけれども、地方銀行によっても、全国に六十幾つありますから、それぞれの地域カラーによって運営をされるところもありますが、比較的大きいところの地方銀行――あまり差しさわりのある話ではございませんけれども、大きいほうの地方銀行の中には、お話しのように地域社会の金融ということをかなり重点におやりになっておるというお話は承りましたけれども、中には、どうも金だけは集めるけれどもなかなか地元に貸してくれないじゃないか、こういう議論はかなり強いのであります。もちろん借りられないものだからそう言って悪口を言う人も中にはあるかもしれませんけれども、私はこういうことも地方銀行においてはかなり考慮していかなければならぬ分野であろうと考えておるわけです。こうしたことについて、地方銀行の協会の会長さんとしてはどういうお考えを持っておるか、現状においてはどういうぐあいになっておるかということもお聞かせいただきたい。
 それからもう一つは、先ほどから中小企業、それから地域性がありますから地域開発のためのもの、もちろんこれだけではなかなかあれでしょうから、したがって大口の大きな企業にもやはり貸し出しはしなければいけない、こういうバランスでだいぶ御苦心をなさっておるというお話がございましたけれども、大体その割合といいますか、シェアというようなものについての考え方はどんなふうにお持ちですか。
#41
○伊原参考人 お答えをいたします。
 これも実は地域によって、地域の中に存在するお取引先がまちまちでございますので、私ども六十一の銀行、いろいろ思いめぐらしてみましても、なかなかいろいろ違う。たとえば東京周辺のところになりますと、大企業の工場とか支店の経済の大きな部分をささえておる、その下の関連企業とか下請とか商店街とか、こういうものが県のGNPの中で占める割合が非常に少ないという場合もありますので、地方銀行の経営としてはやはりその地域の中のお取引先に満足していただくという意味で、中が、大企業、中小企業、それから個人の融資とかいうふうなものが、いろいろな比率で変わっておると思うのです。ただ、地方銀行全体の貸し出しの中に占めますいわゆる中小企業の比率というものは、私の記憶が正しければ、だんだんにふえておる傾向にあるように思っておるのであります。よく、各地方銀行が地域の産業に貸さないじゃないか、大企業に貸すじゃないかというふうなお話はずいぶんございます。これは事実でございますが、地方銀行の本質といたしまして、大体その営業する地域の中に支店網を張っておりますので、自分の営業地盤から金が流出してしまうような行為をいたしますことは、池の水をかい掘りするようなもので、自分の支店が干上がってまいるということを考えますと、地域の中で資金が循環するようにしたいという本性を持っております。したがいまして、地域の中でお金を使う。それは、形はあるいは大企業の工場であるかもしれない、いろいろな形をとりますけれども、地域の中で資金が循環していただくことが地方銀行の経営上から申しましてもどうしても必要だということは本能的にやっておりますので、いろいろの御批判もございますけれども、そういうような方針で各行別々でございます。ただ地銀の中小企業のシェアは、御存じのように地銀のシェアがもちろん大きくて、中小企業の割合が五六%になっておるというふうな統計は出ております次第でございます。
#42
○平林小委員 あと一つ。地方銀行の御意見として、預金保険制度についてはちょっと他の金融機関と変わった意見をお持ちで、そして従来も調査会においては独自の意見を述べられておったのでありまして、それはそれなりに私傾聴すべき点があると考えております。また同時に、今度の富士銀行でありませんけれども、あれがもし小さな金融機関で起きたならば、これはたちまち、場合によってはいろいろな救済手段はとられるでしょうけれども、大きな社会問題に発展をしていったのではないかということも考えます。今度の富士銀行の事件は、これはまたいずれ検討する機会もあると思うのでありますけれども、私はかつてこうした問題で実際に体験したことがあるんですけれども、やはり何といっても不正の貸し付けあるいは今度のような事件、いろいろなことがありますが、地方銀行にはまたそれと別な意味で、地域と密着しているだけにいろいろな誘惑とか問題とかいうのは私は存在していると思うのです。この場合に、最近はあまり聞かれなくなったんですけれども、導入預金の問題について、これはやはり地方銀行にはそういう機会が多いのじゃないかという気がするんです。導入預金、これは私のところにありますなんてなかなか言えないわけでありますけれども、こういう問題については最近はどういうお考えを持って地方銀行その他についての御指導に当たっておられますか。これはいまのところあまり目立っていない、影をひそめておるようなことでありますけれども、お考えだけをお聞かせいただきまして、この問題はまた適当な時期に私やりたいと思っております。最近のこれに関するお考えをちょっと聞かしておいていただきたい。
#43
○伊原参考人 ただいま先生のおっしゃるように、最近は私どもの協会の中で意識にのぼるような問題は出ておらないように思います。もちろんこういうことは戒心しなければなりませんし、預金を集めたいという一心でいろいろなこと、誘惑等が出てくるというふうな点につきましては、一そうこういう機会にもう一度反省をし直さなければならぬというふうに、先生のおことばもございますし、考えておる次第でございます。まあ、ここへ貸すために預金をしてやるというふうな形のものは、いまの資金、金融情勢等では、あまりそう起こらないような状況が背景として醸成されておるのじゃないかと思いますけれども、お話もございますので、重要な点といたしまして、われわれ会員も戒心をいたしてまいりたいと考えております。
#44
○藤井小委員長 広瀬秀吉君。
#45
○広瀬(秀)小委員 伊原会長に二、三質問を申し上げたいと思いますが、今日、地方銀行の問題として、横浜とか埼玉のように非常に過密化してきているところ、こういうところは地方銀行でもたいへんどんどん大きな力のある銀行として成長をされてくる。しかし、それとうらはらの関係で、過疎地帯における地方銀行、こういうものがどんどん格差が拡大をしていくというようなことで、人口の過密地帯における地方銀行はどんどんその業績も伸びていく、収益も増大をしていく、こういうことだろうと思いますが、極端に人口が減少し、また見るべき地場産業なども発展をしない、そういうようなところで地域開発というような問題も当然起きてきて、先ほどの御意見のように、地域開発の資金というものをどうするかということが大きい問題だということを言われたわけでありますが、過疎地帯における地方銀行の経営不振なりあるいは業務の縮小というような傾向、こういうものが相当これから出てくるのではないかというように考えるわけですが、その過疎地帯における地方銀行についての見通し、この経営というものはどういうようになっていくだろうか。そういうようなところからあるいは統合の問題が出たり合併の問題が出たりというようなことになるのか、あるいは経営不振におちいって破産せざるを得ないというようなことになる可能性などもあるのか、そういうようなことはいま全然心配はないのか、この点についてまずひとつ御見解を承っておきたい。
#46
○伊原参考人 お答えいたします。
 私どもが毎月会員銀行といろいろとお話をしておる中で、六十一行の中で、おっしゃるとおりだんだんに過疎になっていく悩みを持っておられる銀行の数が多いのでございます。過密になっていくところより多いという意味で非常に大きな問題でございますが、私ども大局的には、こういうふうに日本じゅうがだんだんに、全国の一・二%ぐらいの土地のところに四千八百万の人が集まってくるというような状況がいつまでも続くものか。逆に言うと、それがいいことかどうかというふうなことについては非常な疑念を持っておるわけでございまして、その意味で、ことばがちょっときざになりますが、ふるさとを持つ銀行という意味で、ふるさとにみんなの心持ちが帰ってくる日が近い、あるいはそれを助成するというような方策が金融機関の立場から必要なんじゃないかという考えでございますし、たとえば地域によりましては人口の自然流出は地域全体としてはとまったという御報告を受けるほうが最近は多くなっております。過疎地帯の中でもしかしまた、その県自体は減っているんですが、その中の中心地に人口が集まっていくというふうな傾向がございまして、地方銀行としましては相当の業容にいずれもなっておりますし、昔から長い歴史でその地域と運命を共にしてまいっておりますので、みんな自信を持って会員全部が、厚薄の差はございますけれども、地域の金融機関としての使命といいますか、今後というものについてはみんな自信を持っておるというのが現状でございます。そして、過密のほうは栄えていくというお話もございますけれども、過密のほうはいまの配置転換とかいうふうなことで各金融機関が極度になだれ込んできておりまして、地域の金融機関のほうはその競争で非常な危惧感を持っておる。片一方は減っていくほうで危惧感を持っておるということで、過密過疎を何とかして平準化していくということが、これは一金融機関ができることでございませんが、全体としてそういう方角に行っていただきたいというのが私らの念願でございます。
#47
○広瀬(秀)小委員 会長はしばしば、地方銀行はふるさとを持つ金融機関ということを強調されておるし、私どももそういうものについては非常に共感をするようなところなんです。ただ、先ほど平林委員からも若干そのことに触れたと思うのでありますが、なかなか地方銀行がそのふるさと、肝心の地元、こういうようなものからは、預金は地元から集める、しかしその金融、貸し出しのほうは比較的大企業向けに、地元にとらわれずにどんどんそっちの方向に資金量の大部分を向けてしまうというような批判などが相当されておる。地域の住民あるいは地元の産業、こういうようなところに比較的融資しない、サービスしないというようなことがよく中小企業の諸君やなんかからもささやかれるしするわけでありますが、そういう点で、地方銀行協会として、ふるさとを持つ銀行として、これは過密過疎地域の事情というものによっていろいろ違うと思いますけれども、大体融資先、融資額というものが、地元と地元外というようなことでパーセントにいたしまして、少なくとも私ども、ふるさとを持つ銀行としては五〇%以上、少なくとも六〇%、七〇%くらいはその地元に融資をしているのが地方銀行の特色であり、またふるさとを持つ銀行として一番地域住民から親しまれる、利用される銀行のあるべき姿であるような気がするわけでありますが、大体そういう点では――もちろん横浜とか埼玉とかの京葉、京浜工業地帯というような首都圏内の場合、あるいは阪神のようなところではなかなかそう厳密にはいかぬかもしれませんけれども、一般的な地方銀行はそういう問題についてどの程度に、その地元と地元外というように分けましたならば、融資の額等について押えていかれる指導方針といいますか、どういうふうに指導をされておるか、もしそういうものがありましたら、この際明らかにしていただきたいと思うのであります。
#48
○伊原参考人 ただいまのお話につきまして、確かに従来地元に金融しないじゃないかというふうな声が相当あったことは事実でございますけれども、たとえば地方銀行協会等も昨年あたり、一体世の中の変化がどうなっていくのか、その地域にそれがどういう影響を及ぼすのかというふうな経営者としての考え方をまとめるアンケート等を出しまして、たとえば先々地方銀行のあるべき姿というふうなことをいま研究し、模索しておる最中なのでございます。その意識の背景といたしましては、われわれはいろいろ地縁性が、高速道路ができたり飛行機が速くなったりして薄れてまいる点もございますけれども、やはり地元に生まれ地元に育った金融機関の生きる道というのは、地元が繁栄して初めていくんだという意識に経営の首脳部は非常に変わってというか、従来もそうだったかもしれませんが、ますますそっちに向くことがわれわれ地方銀行の生きていく道だという意識にみんななってきております。ことに先ほど申し上げましたように、支店網を地域に張っておるわけでございますから、これが預金を吸収して出してしまうだけでは資金の循環が行なわれないということで、なるべく地域の中で金を運用するということがまた預金にはね返ってくるというふうな、商業的な感覚から申しましても何とかして地域を見直していこうという考えにはみんななっておる。実際の行動との間にあるいはズレがあるかもしれませんけれども、意識は非常にそういうふうになってまいっております。それから各地域にこのごろ大企業さんが工場をおつくりになっておる、たくさん出ておられます。これらは関連企業を育てる上にいいものもありますし、そうでないものもありますけれども、各地域で資金を吸収したい。金詰まりでございますので、地域地域で金融を調達していくというような傾向もございます。それらをうまくまとめて地域の金融にどうやっていこうかというのが、最近の大きな問題のおっしゃるとおり一つでございます。
#49
○広瀬(秀)小委員 最後にお伺いしたい点は、競争原理の導入の問題でありますが、この競争原理というものはそれ自体正しいことだと思いますし、われわれもそういう点では賛成である。特に国民経済的な視点においての競争原理の導入ということなんでありますが、具体的にいま会長もおっしゃったように、過密過疎などの地域情勢というものを踏まえて、かなり格差というものが地方銀行間にもあるし、他の金融機関との間にもそういう問題が出てくる。そういう競争をやる場合には、イコールフッティングというものの上に正しい競争原理というものが導入されて初めていいのであって、そうでなくて、そういうイコールフッティングがかなりアンバランスになって条件の違うところに、たとえば統一基準がずっと示されて、それに従っていかなきゃならぬというようなことなどにつきましてもかなり問題があるのではないか。競争原理の導入と格差の問題、力の強弱の問題そういうようなところで競争原理が過度に強制されていくということになりますと、かなり弱小の銀行というようなものがたいへんなことになるのではないかというような危惧も、一面にはこの競争原理の導入の中にあるわけであります。そういう点について、企業の非常に力の強い弱い、こういうものの関係の中で競争原理というものはいかにあるべきか。抽象的には国民経済的な立場というものを尊重していくということなんでありますが、具体的に競争原理の導入について、そういう問題を踏まえた上でどういう点に注意をなすべきなのか、こういう問題について御意見を聞かしていただければ幸いだと思います。
#50
○伊原参考人 たいへんむずかしい問題でございますけれども、おっしゃるとおり地方銀行によってその経営基盤が違いますものですから、いろいろな数字の上から出てまいる点から比較いたしますと差が出ておる、あるいは差がついてくるということでございます。ただ経理基準は、いまお触れになりましたように、経理基準で出てきた数字の背景というものを行政のほうで見ていただきたいという考え方は協会のみんなが持っておりまして、同じ数字が出てまいりましても、さっき申しましたように相当公共的には非効率のところで営業しなければならないというところの努力の数字と、そうでない数字とでは違うわけであります。そういうふうな経理基準という、一応各金融機関を比較考量することの可能な統一の基準はできたのでありますけれども、その出てくる数字の背景を読み取って、それを公共的の視野から評価をしていただくというふうなことを当局もお考えのようでございますので、だんだんそういうふうな方角に持っていっていただきたいというふうに、経理基準の完成を機会に考えておるわけでございます。
 なお地方銀行同士、さっき申し上げましたように皆さんとお話し合いいたしましても、やっぱり地域の――抽象的ですが、地域の大衆銀行として生きていくということ以外に生きる方法はないし、またそれなら従来の歴史からいっても生きていけるという確信を皆さんお持ちでございまして、一時競争が激しい、弱肉強食というふうなこと、合併とかいうふうないろいろな表現から、自分らどうなるんだろうなというお考えがちらちら出たこともありますけれども、いまでは私どもやはりそういう信念で進みたい。地方銀行同士はさっき申し上げましたように適正規模がございまして、どこまでも各地に支店を出していくというようなことも異例でございます。もちろん経済の広域化によりましていろいろな支店網の配置が変わってまいりますけれども、そういうふうな限界がありますので、お互いに手を結んでいくという意味で、全国的な仕事は協調して、具体的にデータ通信の問題だとか代払いだとか、そういうふうな協調によって全国的機能あるいは広域的機能を果たしていこうというふうな考え方も、いま経営者の中に芽ばえつつあるというのが現状でございます。
 私いまいろいろ申し上げましたけれども、私見といいますか、考えていることを申し上げた部分が多いので、全部それが奥行される段階になっているというほどではございませんけれども、皆さんの意識をくみ取りますとそういうふうな考え方になっておるのが現状でございます。
#51
○藤井小委員長 これにて伊原参考人に対する質疑は終了いたしました。
 伊原参考人には、御多用のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時九分開議
#52
○藤井小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 金融に関する件について調査を続行いたします。
 ただいま、信託協会会長有光茂夫君が参考人として御出席になっております。
 有光参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。一般民間金融機関のあり方等についての忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、お願いを申し上げます。有光参考人。
#53
○有光参考人 ただいま御紹介いただきました信託協会の有光でございます。
 本日は、一般民間金融機関のあり方についての見解を述べるようにという御指名でございますが、この点につきましては、去る七月二日に金融制度調査会の答申もございましたので、この答申との関連で二、三見解を申し述べさせていただきたいと存ずる次第でございます。もっとも大部分が私の個人の考え方あるいは意見であることをお許しを願いたい、このように存じ上げます。
 まず、全般的なところから申し上げますと、今回の調査会の審議で、一般民間金融機関のあり方等につきましては非常に豊富な資料を基とされまして、精力的な検討が行なわれましたことは大きく評価されてしかるべきかと私存じておる次第でございます。特に、今回は従来にない手法によりまして、各方面の角度から各種の金融機関の問題点が実証的に取り上げられ、かつこれらがそれぞれ深く掘り下げられており、金融機関のあり方の核心に触れております。この点、私ども金融機関の経営の任に当たる者にとりましては裨益するところがまことに大きいわけで、個々の審議の過程を通じましてもまたとない貴重なお教えを受けた、あるいは新しい刺激を与えられた次第でございます。
 ただ、一般民間金融機関のあり方等についての検討と相なっておりますものの、広い意味の金融市場全般の問題についての議論が前提となるべきではなかったかという一部識者の御意見があるわけでございます。問題点を広げ過ぎるというきらいがあるかもしれませんけれども、やはり金融のストック、フロー、両面におきまして、一般民間金融以外の金融のにない手の占めます分野はかなり大きいものがございます。たとえば農林系統機関や政府関係金融機関との関連を抜きにして金融のあり方を論ずることはできないという見解がありまするが、私も同感の意をこの点表せざるを得ないところでございます。まあこの点、公社債市場育成の問題等、あわせまして今後御検討願えるところになりますとたいへんけっこうではないかと考えておるわけでございます。
 それはそれといたしまして、さて以下に専門金融機関としての信託銀行の立場から、まず第一に金融効率化の問題、次に信託銀行の今後の方向につきまして陳述させていただき、最後の中期預金の問題にも触れさせていただく、この考え方を述べさしていただきたいと考えるわけでございます。
 そこでまず第一に金融効率化という問題についてでございまするが、今回の制度調査会の答申では、皆さま御承知のとおり、金融の効率化という理念が大きく打ち出されておりまして、その手段といたしまして、一つには適正な競争原理の導入、もう一つは金利機能の活用という、二つの大きな考え方がその根底にあるわけでございます。もちろんこういった考え方は基本的には非常にけっこうなことでございまして、ぜひそういう方向を目ざして行政もお願いいたしたい。また私どももその意を体しまして経営を考えていくべきだと思うわけでございますが、ただここで私ども専門金融機関の立場からは、これらの考え方を具体的に進めていきます際の、いわば実際面について若干申し述べたい点がございます。
 その一つは、適正な競争原理の導入という場合、種類の同じ金融機関の間での適正な競争はもちろんけっこうでございますが、種類の異なる金融機関の間では店舗数や取り扱い業務の内容も大きく異なっております。この点につきまして答申でも、専門金融機関の役割りに対する今後の期待も大きいことから、専門金融機関の経営の根幹に触れたり、その存立を脅かすようなことは避けるべきであると書かれておるわけでございます。したがいまして、競争原理の導入に際しましてはこの答申の趣旨が尊重されますよう、慎重な御配慮をお願いいたしたいのでございます。
 それからもう一つの金利機能の活用という点についてでございますが、従来のわが国経済は、総資金需要が恒常的に資金供給を上回ってきておりまして、企業の設備投資が主として借り入れ金に依存せざるを得ない状況にありましたがために、人為的な低金利政策をとられてきたのでございます。この結果、わが国の金利政策は企業の国際競争力を強めるといった面では十分貢献してまいりましたものの、反面、答申に指摘されておりますとおり、確かに弾力性に欠けております。特にこの点は長期金利についてはっきりいたしておりまして、これがひいては公社債市場の育成を大きくはばむという大きな一因になっておる、あるいは結果になっておるといっていいのではなかろうかと思います。たとえば、新規に発行されます債券の利回りがコールレートより低いとか――一%以上も低いわけでございますが、本来短期であるべき日本銀行からの金融機関への貸し出しが恒常的に巨額にのぼっておるというような正常でない金融の姿、こういった状態が存続いたします限りは、金利機能の活用が叫ばれましても、国民経済的に見てなかなか問題の解決が円滑に進むとはちょっと考えられないのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、やはり金融の正常化というものの実現が公社債市場育成の観点からも必要ではないか、ぜひ望ましいものだと考えております。
 次に、このような金融の効率化に関連いたしまして、この際私どもは金融機関の公共性ということを非常に強く強調しておきたいと考えるわけでございます。本来、金融機関は一国の信用秩序の基本をになっておりまして、競争原理の発揮と申しましても一般産業の場合とはおのずから異なる面がございますことは当然でございますが、公共性を踏まえた適正な競争こそ、金融機関にとりまして望ましい姿と存ずるわけでございます。
 そこで、ここで預金保険制度につきましての考え方をちょっと述べさせていただきますと、公共性を有しまする金融機関の使命の一つといたしまして、信用秩序を維持する上で預金保険制度がぜひ必要であるとされますならば、今後の不測の事態に備え、アリの一穴をも防ぐための予防措置、こういう意味で採用されます、あるいは導入されますことに対して、私どもは異議を唱えるものではございません。ただ、預金保険制度のねらい、すなわち、万一の場合に備えての大衆の零細な預金を保障するという考え方、これは本来は当然金融機関の経営者が自己責任の原則に立ちまして第一義的に考えるべきことでございますから、金融機関全体の保障制度が必要とされます場合でも、預金者保護と金融機関保護の分離という目的がその趣旨どおり達成されるかどうか、あるいは預金保険業務を担当する機構が簡素で自主的な運営がなされるのか、さらには保険料の支払いが金融機関経営に大きな影響を及ぼすことはないかとか、いろいろの点におきまして十分な検討がしていただけるよう特に私お願いをし、かつ望む次第でございます。
 なお、預金保険制度が創設されました場合にも、その趣旨や、あるいは確実な上にも確実なものをというお客さまの心理にかんがみまして、私どもの営業いたしております貸付信託や指定合同運用金銭信託もこの保険の制度の対象にすべきものである。導入されました場合こういうことに当然していただきたい、このように考えるわけでございます。
 第二に、信託銀行の今後の方向、すなわち、金融制度調査会の答申に対します私どもの受けとめ方につきまして、信託録行の現況ともども御説明申し上げたいと存じます。お手元の資料の最後のページにおもな信託業務などの推移を一覧表にしてございます。きわめて簡単な表ではございまするが、御一覧を願えますれば私幸いと存ずる次第でございます。
 さて、その信託銀行の業務をその機能という面から大きく分けてみますと、長期金融機関としての役割りと財務管理機能のにない手としての役割り、この二つになるわけでございます。
 このうち長期金融機関としての立場につきまして、資金の吸収面からまず御説明いたしますと、答申にも述べられておりまするように、貸付信託を中心に個人大衆家計に密着した貯蓄資金、これを効率的に吸収してきたのでございまして、貸付信託や金銭信託などの信託資金はいまや五兆円をこえておりますが、このうち貸付信託では契約口数の九八%、千四百万口というのが個人層で占められておるわけでございます。このような点から見まして、貸付信託は国民大衆の健全な資産形成に必要欠くべからざる貯蓄手段になっておる、こう申し上げても過言ではないと考える次第でございます。
 また、その資金の運用面では、これらの信託資金を民間産業の設備資金として、基幹産業にはもちろんのこと、中堅企業、中小企業などにも専門的かつ中立的の立場から安定的に供給いたしてまいりました。最近の数字で申し上げますと、信託勘定の貸し出し残高は約四兆五千億ほどございますが、このうち民間企業などの設備資金としての貸し出し残高は七八%、約三兆四千八百億円となっております。これは民間金融機関の設備資金貸し出し残高全体のうちの約四分の一、二四%を占めております。このうち特に貸付信託の資金につきましては、貸付信託法の趣旨にのっとりまして、国民経済的に見て重要な産業に対しまして長期安定資金を効率的に供給してまいりましたし、さらに、あるいは日本住宅公団に対する資金供給または民間デベロッパーへの貸し出しなど、住宅問題の解決にもいささか貢献してまいったものと考えております。このような住宅関連融資は、いわば社会開発の一翼をになうものと考えられますけれども、ただいま申し上げました日本住宅公団や民間デベロッパーに対しまする貸付信託資金からの貸し出しのほかに、いろいろの資金からの合わせました総貸し出しで見てみますと、企業持ち家ローンとかあるいは個人住宅ローンなどを合わせまして、私どもの住宅関連融資はこの三年間でおよそ三・三倍の増加となっております。本年三月末の融資残高は五千七百七十億円に達しております。
 ところで、このような住宅問題の解決はもとより、今後のわが国経済におきましては産業界における設備の合理化や省力化あるいは公害の防止とか流通機構の整備、さらには社会資本の充実がますます要請されておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この際長期金融機能を一段と強化いたしまして長期資金の円滑な供給をはかりますとともに、ますます中立性、専門性の発揮につとめまして、専門金融機関としての社会的、公共的使命を果たしてまいりたい。また同時に、貸付信託におきまする融資対象の拡大や店舗網の充実によりまして、中堅企業や中小企業に対する資金の供給にも一そう努力してまいりたいと考えております。
 この点に関連いたしまして、特に中小企業向け融資につきましてこの際一言触れさせていただきますと、昭和四十二年の八月に、当委員会に当時の信託協会長、三菱の千頭社長が参考人として出席いたされました際、諸先生方からこの中小企業向け融資につきまして御質問をいただきました。これに対しまして当時の千頭協会長が、できるだけ中小企業にも融資をしていきたい、こうお答えを申し上げた経緯がございます。そういったことから、ここでちょっと信託銀行の中小企業向け融資の現況を日本銀行の統計をもとにいたしまして御報告させていただきます。本年三月末の残高では五千三百億円、それほど高い水準とは申せませんが、当時と比較いたしまして、この三年間の増加額は二千五百億円、増加率は一・八七倍となっております。この三年間をとってみましたら、ほかの業種たとえば都市銀行、地方銀行、長期信用銀行さんなどの増加率をいずれも上回っております。このうち信託資金だけで中小企業向け融資を見てみますと千九百億円増加いたしておりまして、二倍強の増加率を示しておるわけでございます。こういったところからも私どもの意のあるところをおくみ取り願えまするならば、まことに私幸いに存ずる次第でございます。
 さて、これまで信託銀行の長期金融業務につきまして種々申し述べさしていただきましたが、その中核をなしております貸付信託につきまして、この場でお願い申し上げたいことがございます。
 現在、貸付信託の資金運用は、貸付信託法の定めるところによりまして、資源の開発その他緊要な産業への貸し出しというのに限定されております。これは、昭和二十七年の貸付信託法制定当時の国家的要請から、鉄鋼や電力などの四大基幹産業への傾斜融資を意図したものでございましたが、その後の産業構造の変遷や資金需要の多様化に伴いまして、国民経済的見地から見て優先的に長期安定資金を供給すべき業種もだいぶ変わってきております。また将来、長期金融の分野のうちに占めまする個人向け住宅ローンの地位も次第に重要なものになると相考えられます。このような時代の要請の変化に即応いたしました資金の運用ができまするよう、答申にも述べられておりますとおり、貸付信託の融資先制限の緩和につきましては、貸付信託法改正の面で格段の御配慮をお願いいたしたいと希望するものでございます。
 次に、信託銀行のもう一つの役割りでございまする財務管理の分野についてでございますが、これが実は非常に幅広い業務内容を有しておるのでございまして、これはかねてから信託銀行本来の使命の一つであるといわれてきているものなのでございます。と同時に、これは元来きわめて専門的な業務でございまして、かつおおむね長期にわたる取引でございまするから、信託銀行がこの財務管理業務のにない手に最もふさわしいものと相考えております。ちなみに、昨今一部に信託業務を兼営したいというような主張もあるようでございまするが、私どもといたしましては長年の経験から申しまして、これは決して片手間で処理すべきサービス業務ではなくて、今後とも信託銀行のみが専門的に担当すべき業務であると確信をいたしておる次第でございます。したがいまして、私どもは従来から種々の障害を克服いたしまして、国民の資産蓄積と金融資産選好の多様化に即応すべく財務管理業務の開拓と拡充を積極的に進めてまいったわけでありまして、この結果、昨今ようやく私どもの専門的知識と長年の経験が活用される基盤ができつつあるように存じております。
 たとえば、まず年金信託業務についてでございまするが、これは、財務管理機能と同時に長期金融機能とをあわせ有しておる業務なのでありまして、その発足以来、企業におきまする従業員福祉の充実という時代の要請を背景にいたしまして、非常に順調な発展を見せ、加入従業員数は四百四十万名にもなりました。受託残高も千八百億円にも達しました。三年前に比べますると六倍以上の伸びを見せております。また、不動産業務につきましては、不動産鑑定士や鑑定士補を合わせまして四百人以上を擁するなど、多数の専門家と多年の経験によりまして取引の円滑化に寄与いたしますと同時に、不動産業界に独自の地位を占めておるわけでございます。一方、株式の名義書きかえや増資新株の発行など、企業の株式事務の代行を行ないます証券代行業務、これもすでに十数年の研究と経験及び機械化による大量処理の結果、これらの代行委託会社数は千三十社と、全上場会社数の六六%にもなりまして、その株主数は千三百三十万人に相達してまいりまして、企業の株式事務の合理化に大いに貢献しております。このほか、動産信託や不動産信託、あるいは証券関連業務などを通じまして、広く、法人、個人を問いまぜず、財務管理サービスの提供に努力しておりまするが、今後の問題といたしましては、私どもは信託銀行らしい業務分野の拡充もしくは開発の対象といたしまして次のようなことを目下鋭意検討いたしております。中にはすでに一部具体的な業務として取り扱っているものもありますし、あるいは単なる構想や研究の段階でしかないものもございまするけれど、たとえば遺言信託や投資顧問業務を拡充するとかあるいは土地信託、会社型投資信託の目六体化、従業員財産形成信託の推進など、昨今の私どもに対しまするニーズに即応いたしまして、信託銀行にふさわしい分野で少しでもこれらの社会的要請にこたえていきたいということを真剣に考えております。
 ここで、いま申し述べましたもののうち、従業員財産形成信託につきましてちょっと御説明させていただきます。この従業員財産形成信託と申しますのは、一言で申し上げますと、企業と従業員とが行ないます継続的な積み立て貯蓄制度、これを信託の仕組みを利用しまして従業員の財産形成に役立たせようという考え方でございまして、現在アメリカにおきまして相当普及しておりまするところのプロフィット・シェアリング・システム、利潤分配制度とでも申しますか、あるいはまたセービングス・プラン、節倹貯蓄制度とでも訳しますか、これの長所を取り入れまして、わが国の風土にマッチした仕組みといたしたというものでございます。この制度の目的は、企業の協力によりまして従業員の財産形成を促進させますと同時に、健全な貯蓄慣行の育成と生産性の向上をはかることにございまして、信託の仕組みを利用することによりまして、従業員の権利保全あるいは制度運営の専門化を意図しておるわけでございます。
 なお、従来、財務管理業務がわが国で育ちにくかったのは、国民の資産蓄積がなお不十分であったことによるところが大きいのでございますが、同時に税制面の整備が十分でなかった点もその理由としてあげられようかと存じます。この点、昭和三十七年に、諸先生方及び関係各方面の御理解によりまして、税法上、適格退職年金制度が認められましてから企業年金制度が名実ともに急速に普及いたしましたが、このような例を見るまでもなく、税制面の解決が財務管理業務を利用しようとする企業や国民大衆に非常に大きな便宜をもたらしますので、信託制度の利用者のために税制の整備を今後ともぜひ前向きに御検討賜わりたいとお願いいたしたいのでございます。
 以上、信託銀行の今後の方向につきまして御説明申し上げましたが、私どもといたしましては、冒頭にも申し述べましたとおり、金融機関の公共的使命を常に念頭に置いて、長期金融、財務管理の両機能を十二分に発揮することによりまして国民経済の要請にこたえていくことこそ、公共性を踏まえた金融効率化に際しまして私どものとるべき方向であると、かたく信ずる次第でございます。
 最後に、中期預金の問題につきまして、私どものかねてからの主張をこの席をおかりいたしまして述べさせていただきたいと思います。
 今回の答申では、この点につきまして各委員の積極論と消極論の両者が掲げられまして、次のように述べられております。ちょっと長くなりますけれども、また御存じかと存じますけれども、ちょっとそこのところを引用させていただきますと、「今後の方向としては、預金者の需要、企業の安定資金への要望等の見地から、中期預金の導入は検討に値するものと考えられるが、なおその場合においても、経済の動向を勘案すること、公社債市場育成との関連を考えること、各種金融機関の経営に及ぼす影響につきよく見きわめること等十分の配意が行なわれるべきであり、」と、こうしるされておりまして、この導入につきましては種々の条件が課されております。確かに預金者にとってみますると、金融資産の種類がふえるという面では好ましいことではございましょうが、わが国の金融資産は現在もうすでに多様化しておりまして、私どもはこれ以上その種類をふやす必要はないのではないかと考えております。現に私ども信託銀行では、従来より二年ものの貸付信託や金銭信託を取り扱ってきておるわけでございますから、これはむしろ各種の金融機関がそれぞれの販売体制などいろいろの面での条件の整備に努力することによりまして、預金者の要請には十分こたえられるものと存じます。一方、中期預金が創設されました場合、産業界をはじめ国民経済全体にどんな影響を及ぼすかと考えてみますと、基本的には、中期預金ができましてもそれによって新たに貯蓄の総量がふえるとは考えられないのでございまして、単にほかの貯蓄がこの中期預金に移り変わるだけではないか。この中期預金の創設には次のような問題が指摘されようかと思います。
 まず、できますと、これは当然すべての金融機関が取り扱うことになるでしょうし、また一年定期預金の大部分が中期預金に移るということになるでございましょうから、金融機関の預金コストの上昇をもたらしまして、これがひいては貸し出し金利の上昇につながり、資金の借り手でありまする産業界には大きな影響を与えることになりまして、むしろ金融の効率化に沿わないことになるのではないかと相考えます。また、このように定期性の預金の中に占めます中期預金の比率が非常に大きくなりますと、当然預金金利の水準が上昇するわけでございますが、預金金利の水準は、私ども経験的に申し上げましても、一たん上昇いたしますとなかなか下がりにくいものでございます。特に今後は国際金利とのバランスから金利を弾力的に動かしていこうということでございまするとき、将来の金利弾力化の方向に対しまして、こういうものが金利体系の下ざさえ要因として作用する可能性が非常に大きいのではないかと思うわけでございます。さらに、この中期預金は、私ども長期金融機関の資金吸収面に大きな影響を与えることは必至でございまして、専門金融機関の経営の根幹を脅かすおそれが強いことも問題点となるではなかろうかと相考えます。このように考えますと、中期預金のもたらす国民経済上のデメリットはかなり大きなものがあると思われるのでございまして、むしろ当面は、それぞれの金融機関がそれぞれの業務分野の中で、適正な競争を行ないながら効率性を発揮してまいりますることが、まだまだ望ましい段階にあると考えるものでございます。
 以上をもちまして私の公述を終わらせていただきますが、本日は今般の金融制度調査会の答申に関連いたしまして、金融効率化の実際面の問題、答申に対する信託銀行の受けとめ方、そして中期預金の問題、この三点を中心に、私の考え方と若干のお願いを申し述べさせていただいた次第でございます。長らくどうもありがとうございました。
#54
○藤井小委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#55
○堀小委員 いまお話のございました中にもありますけれども、答申に関連をしたところで少しお伺いしたいのでありますが、答申の「長期金融機関としての特色の発揮」というところで、いますでにお触れになりました長期金融機能と財務管理機能の問題がございますが、その下のところに、「貸出しに対する債務者預金の比率等の関連からみて、貸出面における実質金利についてはさらに低減を図る必要がある。」こういう指摘がされておるわけでございます。実は私、いろいろ歩積み・両建て問題等の論議をいたしますときには、長期銀行と信託銀行はこれを除外をして、これまでは普通銀行、相互銀行、信用金庫をもっぱら対象といたしておりましたわけでございますけれども、四十四年十一月末現在という大蔵省の資料を拝見いたしますと、比率としては小そうございますけれどもやはり四百六十四億円拘束性預金がある。さらに貸付信託についても、貸付信託の総量の四・九%が実は債務者が貸付信託を持っている、こういうような実情が指摘をされておるわけでございます。これらについては、これまでの貸付信託法にあります企業というのはどちらかというとおおむね中堅企業以上でもありますし、最近、先ほどの御指摘のように中小企業の金融も始めていただいておるようでありますけれども、拘束預金が必要なようなのが比較的少ないのではないかという感じが私どももしておるのでありますが、資料を拝見して意外に拘束預金等が多いのに驚いておるわけであります。それが答申のこういう指摘につながっているのであろうと考えるのでありますけれども、これらについてのお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
#56
○有光参考人 ただいま先生から、信託銀行は比較的拘束預金が少ないはずであるのに意外に多い、こういう御指摘だったように伺いました。数字的にかなりあるという御指摘、それは大蔵省より出ておる数字で先生おっしゃっておられますから、私はここにその数字を持っておりませんけれども、そのとおりだと思います。しかし、これはほかの金融機関に比べまして私どもはたいへん少なかったということを伺いまして、ちょっとほっとしておるわけでございますが、実際拘束預金の比率につきましては、私ども信託銀行といたしましてもこれの改善にはだいぶ努力をしてまいりましたことも事実でございます。こまかい数字でございますが、信託協会の交換資料というのがございまして、これは協会内部だけの資料でございますが、四十一年五月の数字でまいりますと、全銀協の規制が全体でもって四・二八でございますか、それがいま一・二四となっておりますが、信託協会のほうは総体でこれは四%まで下げろというあれがあるようでございますが、これが〇・四六、一・〇八から〇・四六ということにまで下がっておるというようになっております。この計算の基礎は、信託のほうは貸し出しを分母といたしまして預金その他をなにしておるわけでございますが、あるいはもしかすると貸付信託の中に入っているのか入っていないのか、私ちょっとこの辺数字があいまいでございまして、先生の御指摘に対して的確なるお答えであったかどうか、私ちょっと自信がございませんが、私どもが努力をいたしておりました数字は、このように一応ここに手元にございまする数字ではなっております。
 それからもう一つちょっとつけ加えさせていただきたいのが、要するに先生の御指摘は、おそらく実質金利が高いではないか、こういうことも踏んまえての、まことに実際をよく御存じなさっていらっしゃる先生の御質問だと思うのでございますが、これは信託の長期貸し出し、先生御指摘のとおり大企業がおもでございまするが、これが従来は、この答申の中にも少しございまするけれども、信託の貸し出しについては手形併用になっておって、おどりがあるとかいうような数字も出ております。これは最近は非常に手形併用がなくなりました。利息が前取りでなしにあと取りの貸し出しが非常に多くなってきた。これも数字、ちょっとてまえが持っております。これはしかし私どもだけでございまして、ほかの信託協会の数字でございませんことをちょっとお断わりさせていただきまするけれども、四十二年の九月にはそのいわゆる前取りの契約が、八三%ぐらい前取りのほうがあったわけでございます。ただいまでは、四十五年の七月、最近の数字をちょっと当たってみましたら五八・九%、六割を切りましてございます。このように実質金利は私ども努力いたしまして、あるいは企業の御要請にこたえまして、ずいぶん低くするように努力をさせていただいております。この点ひとつ特に御理解を仰ぎたい、私かように考えております。ただ、先生のおっしゃいましたことにつきましては十分今後われわれ一同研究かつ努力をいたすことを申し上げまして、お答えにかえさせていただきたいと思います。
#57
○堀小委員 いまの実質金利の高い問題の中に確かにおどりの問題もあるのですが、もう一つは、普通の金融機関の場合には、預金を集めますのが一般預金がかなりあるわけでございますね。預金と債務者預金の関係を見ますと、都市銀行で四〇・九、それから地方銀行が三三・五、ところが信託銀行は八七・五が実は債務者預金なんでございますね。債務者預金が非常に高いということはどういうことかというと、預金を集めるためにはコストがかかっていないというふうにわれわれは見るわけでして、わりにそういう預金を集めるためにコストのかかっていない銀行勘定が、比較的どうも貸し出し金利としてはその他に比べて必ずしも低くないというような点から、おそらく私はいまの金融制度調査会もその点を指摘をしているのだろう、こう思うのでございます。ですからやはりこの点は、片方に貸付信託というもの、片一方銀行勘定と、こうありますから、ここのところどっちがどっちという全体の勘定の上の問題としては非常に問題があるかもしれませんけれども、出ておる資料だけから見ると、どうも少し銀行勘定を通じての貸し出しというのが割高な感じがするということですね。それが一つと、できるだけ信託銀行のようなところでは拘束預金をお取りにならないでも、必要があればどちらかといえば担保を取っていただくということでもいいじゃないだろうかということ。それからあわせて、貸付信託四・九%でもこれはまさに拘束預金だと思うのですよ、貸し出し先の企業が貸付信託を持っておるということは。貸付信託の場合には二年ないし五年でありますから、まさに非常に安定した拘束、裏返していえば両建てになっておるという感じもあるものですから、ここらでもう少し改善していただく必要はないだろうかということ、この点をちょっとさっき申し上げたわけなんですが、それについてはもう一回お答えいただければと思います。
#58
○有光参考人 先生に御指摘を受けますとまことにちょっとあれでございまするが、確かにそのようなあれがなしといたしません。この点は私ども鋭意そういう方向に、改善の方向に今後も引き続きまして努力をさせていただきたい、このように相考えますわけでございます。どうかこの辺でひとつ御了解を得ますれば幸いでございます。
#59
○堀小委員 その次に、私ども賛成なんでありますけれども、貸付信託法の第一条の目的をやはり改正をして、少しこれは新しい段階で中小企業金融も含めて、もう少し幅広く貸付信託の運用が行なわれることは賛成なんでありますが、ただ問題は、信託銀行の店舗の数が非常に少ないわけですね。その店舗の数が少ないところで中小企業金融を扱う場合というのは、これはまた逆にいろいろな今度困難な問題も生じてくるんじゃないか、こう思うのであります。そこでひとつ、中小企業金融をやっていただくという方向はお答えをいただいておりますし、私どもも賛成なんですが、それといまの店舗なりいまの業態との関係、これをどういうふうに調整をしていくかというのがこのあとにおける問題点の一つだろうと思いまするが、これについては何かお考えがありましたらちょっとお答えをいただきたいと思います。
#60
○有光参考人 信託銀行の営業上一つの支障は、まさしく先生の御指摘のとおり店舗数が少ないということでございます。しかしまだ私どもの店は比較的配置が広がっておりまして、かなりいわゆる店舗配置というものが、営業地盤が広く営業活動ができておるわけであります。そこで、先生の御指摘のとおり、根本的には店舗が少なくて不便をお客さまにかける場合も多かろうかと思いまするけれども、いままで中小企業と申しますか中堅企業へのお取引が比較的、何といっても幅が狭かった。今後やっていきますのには資金のなにから申しましても、しばらくはこれでやっていけるだろうが、やがてはおそらく、御指摘のとおりになかなかこれは頭を使う、あるいは努力をしてお客さまのサービスに大いに知恵を出さなければいけない問題かと思います。店舗につきましては、幸い行政御当局におかれましても配置転換とか、いろいろお許しが得られるようでございます。まだそのほうは、信託のほうはとりわけそういうことを強くあれしておりませんけれども、やがては都市構造その他の変革によりましてそういうことも出てきょうかと思いますが、そういうときにはお願いをして、なるべくお客さまの御便利のように、私ども信託会社の者がよく申しまするが、国民経済あるいは国民生活になるべく密着した営業に努力をいたしたい、このように相考える次第でございます。
#61
○堀小委員 もう一つの問題は、実は信託は本来の預金ではございませんから、運用利回りというのは予定運用利回りであるはずで、実はこの答申の中にも書かれておりますけれども、「貸付信託の収益の分配の方法は、運用実績によることが原則となっているが、現実には各信託銀行とも一律の配当率によって分配を行なっている。」これは当初はおそらく大蔵省の指導がこういうことであったのだろうと思うのでありますけれども、ここでこの答申全般を流れております、要するに競争原理の導入、これについては先ほど参考人も、他金融機関との競争というのは問題があるけれども、同質金融機関内部における競争というのはこれはもう当然必要だという御発言もあったわけでありますが、最近は御承知のように生命保険でもかなり弾力化されてきておるわけでありますから、これらについてもう少し今後弾力化をしてもらいたい。この前、千頭さんがおいでになったときも実はそういうふうにお願いをしたのですが、まだこれは実現に至っていないのではないかと思うのでありますが、今後の方向としては、こういう答申も出ておりますが、これはどういうふうにお考えになってるのか、伺いたいと思います。
#62
○有光参考人 答申にも書かれておりますし、ただいま先生から御指摘ございましたとおり、貸付信託の配当率というものは一つになっておるわけであります。いわゆる実績によるということ。これは私なりに考えまするので、あるいはお答えになるのかならないのか、これは私ちょっと自信ございませんけれども、申し上げさせていただきますと、貸付信託の配当率というのが経済情勢の推移によりましてかなりひんぱんに変更されております。特に高配当しておりましたのがだんだん下がってまいりまして、いまでは五年もので七分四厘七毛になっておりますが、この前は七分二厘七毛。この前二厘上がったことになっておりまするが、そういう意味では運用実態、つまり経済実態について上がり下がりしておるから、ある程度の実績配当のようなものをしておるということを申し上げられるのではなかろうか。たまたま先生の御指摘は、各社同じなのはどうなんだ、こういうことかと相考えるわけでございまするが、この点は実は貸付信託法と申しますか、貸付信託の仕組みそのものにやはりこれは分別経理というものが行なわれます。そこで、集まったお金を御融資するのがいわゆる緊要なる産業ということになっておりまするので、各社の運用体系がまずほぼ似ておるわけでございます。現在は融資対象が大体似たようなところに出ておりまして、金利的に大きく差が出てこないということが申し上げられるのではなかろうか。それが実際面として同じようなものになっておる。もちろんこれは従来の御指導もありますし、私どもの金利がやはり安定をしておるということがお客さまの安心感をいただける、こういうようなことも、いろいろな点を配慮いたしましてたまたま一緒になっております。今後、先生御指摘のとおり、要するに融資対象が変わってまいる、お互いに競争原理と申しますか、御融資の対象が、たとえば個人ローンに入ってくるとかいろいろなりますと、貸し出しの金利が一律でなくなるのではなかろうか。こうしますと、いろいろとそういう点が今後は考えなければならない問題かとも思いますが、現在のところはそこまでまだいっていないのではなかろうか。こういう高圧経済のもとで資金の需要が非常に強いときには、結局各社とも同じようなこと、特に信託銀行は目下中立性と申しますか、あまりにお取引先が大体みな同じようなところにお出ししておる。これについてはまた問題もございましょうけれども、結果的に大体そういうような形が出ておるものですからこういうことになっておる。しばらくはこれが続くのではなかろうか、このように私は率直に考えるわけでございます。
#63
○堀小委員 いまのお話、そのとおりだと思うのですけれども、貸付信託法の十二条の分別運用ということは、貸付信託ごとに分別運用すればするほど運用益というのは理論的には差ができてくるんじゃないでしょうか。全体を統括して運用すれば他のものとの間に非常に近似性が出てくる、大きくなれば大きくなるほどそういう近似性が高くなるのですが、法律は大体貸付信託そのものについての分別運用となっていますから、幾つかの貸付信託があるはずですから、そうするといまの他行との関係もさることながら、同じある信託銀行内部でもその信託財産の運用のあり方によっては、ことしの信託と去年の信託とはやはりいろいろな景気変動なり金利状況なり金融引き締め前とかあととか、いろいろあるわけですから、そこらで分別運用という形からいけばそこらの配当が、他社との関係もあるけれども、同一行内でもあってもいいのじゃないかというふうに理論的には感じられるのですが、ちょっといまのお話で、分別運用だから同じ形に出るというふうに私承ったものですから……。理論的にはそうじゃないでしょうか。
#64
○有光参考人 まさしく先生の御指摘のとおりでございます。ただ実際面がなかなかいまのところはそうなっておらない。理論的と申しますか、確かに考え方では別に出てくるたてまえになっておりますね。これは確かに御指摘のとおりですが、実際面はそういうことになっていないのが結果的に同じに出ている、こういうことでございます。
#65
○堀小委員 その次に、二、三年もの定期の中期預金の問題は私も大体皆さんと同じように考えておるのですが、次に預金保険であります。預金保険がもしできるとすれば信託もそれに入れてくれというお話なんですが、これはまた少し理屈を申すようで恐縮なんですけれども、預金と信託というのはどうもやはり違うのじゃないだろうか、こう私は思うのですね。まあ法律の体系ももちろん違いますけれども。ですから、預金保険ができたようなときには、銀行勘定の預金は、これは預金ですから当然入ると思うのですが、これに合同運用金銭信託なり貸付信託が入るということは、要するに本来の信託業法なり貸付信託という法律のたてまえからしますと、まあたいへん理屈を言って申しわけありませんが、これは実態面じゃないのですけれども、ちょっと預金保険に該当すべき性格のものではないというような感じがするわけでございますね。もしここまで預金保険というものが広がるということになると、それじゃ公社債投信だってひとつ預金保険に入れろということも理論的には、公社債投資信託ですから、そこまで広がるというようなことになりかねないのじゃないかと思うので、私は大体いま行なわれておる形の預金保険にはちょっと疑義を持っているわけです。アリの一穴を防ぐという意味ではということでお考えになるにしても倫理的にちょっとひっかかるのですが、この点は信託協会では理論的分析といいますか、検討をなさってこういう提案になっているのでしょうか。その点ちょっと……。
#66
○有光参考人 法律的にやかましく議論されますとあるいはそういうことになるのかなとも思うわけで、御指摘がありますとなるほどそうかなと私も考えるのでございますが、金融資産というものは、特に貸付信託は、答申にもございますとおり非常に個人の家計に密着しておるということ、しかもこれは勤労者の財産形成に非常に貢献しておる。これは答申にもはっきりお認め願い、しるされておるわけでございますので、これは預ける方の心理から見まして安全な上にも安全だというような――これは預金保険がなければ問題でございませんが、もし成立いたしますとやはりそういう面ではどうしてないのかということになろうかと思います。そうするとわれわれのほうも入れていただきたい、こういう要望、こういうことになるわけでございます。
#67
○堀小委員 その点、私実は逆に考えているのですよ。要するに、預金保険というものがもしできて、預金保険に入るというのは、これは預金だからしかたがないから入ります。信託銀行はあまり入る必要ないんだけれども、預金保険ができたら、銀行勘定は預金ですから入ります。しかし少なくとも合同運用金銭信託なり貸付信託はそんなものに入らなくても御心配は要りませんというのが、信託の本来のあるべき姿じゃないでしょうか。それも一緒に入れていただかないと、よその預金保険と競争する上にまずいというような不確定な信託では、私は信託ということばの名にそむいてくるのじゃないだろうかという気がするのですが、その点いかがですか。
#68
○有光参考人 これは信託と関係なしに、一般論といたしまして確かに、預金保険があるために預金が安全あるいは銀行が安全であるということに結びつくかどうかという根本的な問題を実は私も感ずるわけでございまして、預金保険があるということになるとかえって、銀行はあぶないんじゃないか、預金するほうがあぶないんじゃないかというような人もかなり大ぜいいらっしゃるんじゃなかろうかという気持ちは私個人としては非常に強く持っております。その意味におきましては、先生のおっしゃった信託は信託で独自にいったらいいじゃないかという、まことにこれは信託にとってはたいへん御激励のおことばで、ありがたいのでございますが、やはり一つの国民大衆の心理としましては、一種の預けられる方の心理、これはどっちにとれるのか、実は私自身、公の席でこういうことを申しては、特に協会長としてはちょっとぐあいが悪いのでございますが、私自身としましてはこれはほんとうはよくわからないのでございます。けれども、これは預金保険というものが大きな目から見て、あるいは将来遠く見て、信用秩序の維持ということからできるということでありますならばという条件を実は言わしていただいておるわけでございます。この辺でひとつごかんべんを願いたいと思います。
#69
○堀小委員 終わります。
#70
○藤井小委員長 高橋清一郎君。
#71
○高橋(清)小委員 最近私が耳にしておりますことについて、時間もありませんからごく簡単に二つだけの点についてお尋ねしたいと思います。
 その一つは、結果からしますと、こういうお尋ねをいたしますと私自身の不勉強を露呈するような点もございますのでお許しいただきたいと思いますが、信託銀行、信託業務の開始ということについては、その当時の大蔵省、政府におきまして非常な犠牲を払わして創設した事情というようなことを聞かされるのであります。真相いかんということであります。概括的にお答えいただきたいと思います。
#72
○有光参考人 ちょっと私、先生の、犠牲を払わして――おそれ入ります。
#73
○高橋(清)小委員 それは銀行によりましてはスムーズに、たいした障害なしにすっといったところもあると思うのでありますが、中にはそうでない、一般的にはその当時の大蔵大臣あるいは銀行局等から、信託業務の開始にあたりまして、創設当時、いまのごとき順調な場面でなくて何もわからないところからスタートし――何もわからぬという言い方はどうかと思いますが、普通の銀行創設の場合と違った趣でスタートしたというような印象を受けておるのであります。そういうことであります。
#74
○有光参考人 先生の御質問は、信託銀行創立当初、法律ができました大正年代にさかのぼるわけでございます。そのときに信託会社というのが、当時明治時代から非常にたくさんございまして、はたしてこれが金融機関としてりっぱに営業しておるかどうかいろいろ問題があったものでございますから信託業法というのができたというように私承知いたしておるわけでございますが、信託といいますのは、つまり英米法に基づきまして、いわゆる金銭その他の財産を長期にわたって管理運用するのだ、こういう一つの制度でございまして、これを日本に導入する、こういうことでできているわけでございます。当時といたしましてはなかなか信託というものの仕組みが、あるいはその効果が一般の方には理解できなかったということで、先生の御指摘のとおり、当時の創立なすった方々、われわれの大先輩の方々が非常に苦労して信託というものを一般の国民に理解させ普及させることに努力をされた、これは確かにおっしゃるとおりたいへんな努力であったろうと思います。そうして日本の財産は金銭形態が多かったものですから、戦前はやはり金銭信託を主体といたしましてずっとまいったというようなことになっております。たまたま信託というものは金銭を長期にお預かりするわけでございますから、通貨が安定しておるということが第一の基本でございまして、これがくずれました場合には信託というのはたいへん苦労するわけでございます。その間、経済のいろいろの、途中戦争もございましたし、景気の好、不況というような幾多の激動、変化を乗り越えまして今日の姿になっておる。ふえんさせていただきますと、どこまでも通貨が安定して、いわば、逆にいえば物価の安定でございますが、こういう形のもとに信託というものがほんとうの機能を発揮するのだ、このように私は考えておるわけでございます。
#75
○高橋(清)小委員 もう一つで終わりますが、そうしたことの御努力に関連して最近耳にしておりますことについてお伺いするわけでございます。先ほどあなたの公述の場面に触れられたのでありますが、すなわち専門金融機関の根幹に触れることのないよう慎重な御配慮を望むということと関連すると思うのでありますけれども、いわゆる定期部門というのがありますね。あなたのほうでは二年とか五年とか、そうした定期部門でありますが、あなたの先ほどのお話の中にも出ておったのでありますけれども、ほかの金融機関でしょうか、都市銀行でしょうか、わかりませんが、われわれのほうにも信託業務の一環をになわせてくれいというような要請が大蔵省当局に対してあるがごとく私の耳に入ったのであります。また世間でもそういう動きがあるということも承知いたしております。したがって、反面解釈させていただきますと、信託銀行というものは、その程度の定期部門についても、他の金融機関が侵略というかどうか知りませんけれども、領分に入ってくることについては、そうたいしたことでないんだ、余裕はあるわいというようなふうにお考えであるかどうか。影響力はどの程度であろうかということをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#76
○有光参考人 先生の御質問でございまするが、実は先ほどの公述の中にも述べさせていただきましたが、一部にはそういう御希望があるというように私も聞いたことがございます。これは正式にどうこうということではなくて、一部に信託をしたい、一緒にやりたいということを聞いたことはございますが、これにつきましては先ほども申し述べましたけれども、信託業務というものは非常に専門的なものが多いわけでございまして、そうしてこれを片手間でサービス部門、サービスのような形で行ないましても、結局お客さまの御満足には決してならないわけで、これは私ども信託銀行が長年、人を養成してきております。こういう人が当たって初めて信託というものがサービスといいますか、お役に立つわけでございまするので、これは私どもの分野におまかせ願いたいということを強くなにしておるわけでございます。これは、いまの先生のは、ほかがやれば影響が大きいだろうというたいへんありがたいおことばでございます。つまり、先ほどお話しいたしましたとおり、店舗も少ないことでございますから、これは店舗の多いところがどこもかしこもやるということになりますると、私どもに対する影響は少なくないということは率直にお答えさしていただいてもいいのではないか、このように感ずるわけでございます。
 先ほど堀先生の御質問の中で、私がちょっと不勉強でございましたためにお答えがあるいは先生の御満足を得なかったかとも思いますので、ちょっと補足させていただきたいと思います。と申しますのは、いまの例の預金保険で、貸付信託は保険に入るのはおかしい、理論的におかしいのではないか、こういうお話がございました。それで信託協会の内部で議論をしたか、詰めたかというお話がございました。確かに信託協会の中では議論をいたしてお願いをしたわけですが、その論拠の一つといたしまして、業法で元本の保証をしてもよろしいということがございまするために、その意味におきましてお願いしてもいいという、公社債投信とその点がちょっと違うのだということになろうか。これは先生が理論的にとおっしゃいましたから、こういうことでも申し上げて補足さしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#77
○藤井小委員長 これにて有光参考人に対する質疑は終了いたしました。
 有光参考人には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 次回は、来たる九月十六日水曜日、午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後三時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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