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1970/11/10 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第8号
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1970/11/10 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第8号

#1
第063回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第8号
昭和四十五年十一月十日(火曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席小委員
   小委員長 藤井 勝志君
      奥田 敬和君    木部 佳昭君
      木村武千代君    高橋清一郎君
      登坂重次郎君    松本 十郎君
      堀  昌雄君    二見 伸明君
      竹本 孫一君
 小委員外の出席者
        大蔵委員長   毛利 松平君
        大 蔵 委 員 中村 寅太君
        大 蔵 委 員 福田 繁芳君
        大 蔵 委 員 広瀬 秀吉君
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵省証券局長 志場喜徳郎君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 証券に関する件(証券取引審議会専門委員会の
 中間報告並びに株式市場の動向等)
 金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○藤井小委員長 これより会議を開きます。
 金融及び証券に関する件について調査を進めます。
 まず、証券取引審議会専門委員会の中間報告並びに株式市場の動向その他の問題について、政府より説明を求めます。志場証券局長。
#3
○志場説明員 まず、簡単に最近におきます証券市場の概況につきまして御説明させていただきたいと思います。
 まず、流通市場面でございますが、つまり株式証券類の取引面でございますが、御案内のとおり、証券会社の事業年度は毎年十月から九月までの一年間について行なわれておるわけでございますが、本年につきましては、四月の下旬から五月の初めにかけましての国際的な規模での株価の暴落ということもございまして、したがいまして、四十四年の十月から四十五年の九月までの一事業年度間におきまして、前半の六カ月間と後半の六カ月間と非常に明らかな対照を示したわけでございます。前半の、つまり上半期につきましては、たとえば東京証券取引所の一部二部の合計の出来高で申しましても、一日平均二億七百万株という出来高を示し、それだけ流通量も多かったわけでありますが、下期、四月−九月間におきましては一億二千七百万株という一日平均の出来高でございまして、年間合計では一億六千五百万株程度の一日平均の出来高となっておりますけれども、上期、下期におきましてそういうふうな著変とも申すべき差があるわけでございます。が、十月に入りまして一日平均出来高は一億三千五百万株というふうにやや回復してまいりまして、十一月に入ってまだ一週間の経過でございますけれども、かなりの出来高と相なっておるというような事態で推移してまいっております。四月、五月の国際的な暴落、それに基づく取引の不振という状態からようやく脱却しつつあるというような事態としてとらえることができるのではなかろうか、こういうふうに見ておるわけでございます。
 株価の動向につきましても、昨年四十四年中は、たとえばいわゆる旧ダウという指数で申しますと二千円弱の平均でございましたが、去年の十月からことしの四月までにかけましては二千二百円とか二千四百円というような程度までのぼりましたのが、四月以降二千円ないしはせいぜい二千百円台というような水準で推移してまいりました。最近におきましても二千百四十円前後というような、安定したと申しますか、水準で推移しておりまして、特別の変化は見られない状態でございます。
 外人投資の面につきましても、昨年中は約六億七千万ドル程度のいわゆる買い越しであったわけでございますが、本年に入りまして、四月までは買い越しが続いておりましたけれども、その末の暴落から、五月、六月、七月の三カ月間、合計一億三、四千万ドルの売り越しというようなことになっておりました。けれども、この事態も八月以来買い越しに転じてまいりまして、八月、九月、十月の合計では約一億四、五千万ドルの買い越しに転じてきた、こういうような事態で、おおむねこのところ、出来高、価格ないしは外人投資の動向も平穏に、しかも、比較的底値圏ではあると思いますけれども、その意味におきまして、しっかりしたと申しますか、というような歩調で推移してきておるのではないか、かように考えるわけであります。
 かような事態を受けまして、信用取引の面におきましても、日証金からの融資残高におきましても、ことしの三月、四月という一種のブーム的な状態にありましたときの残高が千三百億円強ということになっておりましたが、現在のところ九百億円台ということで、比較的平静に推移しておる状態でございます。
 かような流通市場の状況を受けまして、証券会社の九月期決算が組まれました。今月の株主総会で決算が確定すると思うのでございますが、今期は、先ほど申し上げました上期の高騰というような事態を受けまして、全体としましては、税引きの利益におきまして、四十四年九月期が全国証券会社の合計で四百十二億円程度の利益でございましたのが、四十五年九月期は、一応の概算でございますけれども、四百九十億円程度の利益をあげるということで、昨年は一昨年に比べまして、一昨年の二百八十七億円が昨年四百十二億円になるということで著増いたしましたけれども、本年はそういう著増の姿こそ後半の状態からございませんけれども、比較的強含み、横ばいといったような決算を組めたというような事態で四十五年九月期は終わったわけでございます。
 片方、発行市場の状況でございますが、何と申しましても特徴はいわゆる時価発行の推進ということでございまして、増資の面で申しますと、今年度の増資見込み額は大体六千三百億円程度見込まれまして、これは昨年度の五千二百八十億円に比べまして約二〇%近くの増資額の増加でございますけれども、そのうち特徴的なことは、いわゆるプレミアム分と申しますか、時価発行その他公募に基づくプレミアム分の比率でございまして、昨年度はそのプレミアムの比率が九%程度でございましたけれども、本年度は額にしまして九百八十億円ばかり、比率にいたしまして、増資額のうち約一五、六%がプレミアム分の額である、かようなことでございます。
 同時に、時価転換社債も、本年の五月あたりから毎月平均で申しまして百億円程度の発行がなされておりまして、本年度合計で千二百億円ばかりの時価転換社債の発行になるのではないか、かような次第でございます。時価転換社債の上場もこの数カ月来いたしておりますけれども、その取引量も漸次ふえつつある、かような次第でございまして、発行市場の面におけるいわゆる時価発行の推進というようなものが本年度の特徴ではなかろうか、かように考えるわけでございます。
 公社債の面につきましては、流通面は、金融情勢その他で、依然として発行条件は、ことしの四月を中心にして改定されましたあとにおきましても、いわゆる実勢と発行条件との間にかなりの乖離がございまして、この状態は今日でも必ずしも改善されておりませんけれども、発行面におきましては、電力債を中心にいたしました個人消化が進んでいるということが今年度の特徴ではないかと思うわけでございます。たとえば電力債で申しますと、四十三年は金融機関の消化が約六〇%でございまして、個人は三七、八%でございました。昨四十四年度は、金融機関分は約五四、五%、個人分は四二、三%であったわけでございますが、四十五年の四月−九月をとってみますと、金融機関が約四一%、個人が五二%となってまいりまして、その他一般の事業債につきましても、鉄鋼それから私鉄というような基幹的な産業を中心にいたしまして、個人消化が逐次ふえつつあるということが特徴かと思われる次第でございます。その点は、発行条件の改定ということも、またそれに伴う関係者のPRその他の努力のせいではないか、相当あずかって力があるのではないかと思いますけれども、そういうふうに特徴づけられると思う次第でございます。
 なお、この間、証券投資信託につきましては、解約率が非常に減少してまいったということが本年の特徴でございまして、昨年におきましては年間の解約率が六〇%近かった、五七、八%あったというような、非常に短期回転といったような元本状態でございましたけれども、本年、ここ数カ月間、十カ月程度というものの解約率は、年率にいたしまして二〇%程度、月率にいたしまして一・七%程度の推移になっておりまして、これは資金が安定的になるというような意味で非常に好ましい現象だと思っておりますが、そういった状況も受けまして、株式投資信託におきましては、残存元本は本年の一月から十月までの間におきまして合計千四百億円ばかりの純増となってまいりました。あと十一月、十二月を加えますと、千五、六百億円の元本の純増と相なるのではなかろうか、かように思うわけでございまして、一昨四十三年は年間千五百億円ばかりの元本の純減でございました。四十四年は四百四十六億円の純増となりましたが、本年はこれにさらに千億ばかり追加されまして、千五、六百億円の年間の元本の純増となるのではなかろうか、かように思われておる次第でございます。ただし、株式の組み入れにつきましては、四月、五月以来の流通市場の影響を受けまして、組み入れ比率は下がりぎみであるということで、いわば安全運転をしているというような事態かと思われます。
 以上、かいつまんで、流通発行市場のここのところの推移、概況並びに証券会社の四十五年九月期の決算の概略を申し上げた次第でございます。
 次に、去る十月十五日に証券取引審議会の専門委員会から証券取引審議会に対しまして、証券取引法第二章、いわゆる企業財務内容の開示、ディスクロージャーの制度につきまして、専門委員会の昨年五月、六月ごろから二十回近くにわたりまして審議してまいりました改正意見というものが一応の結論を得たということで、中間報告がなされました。その概要について簡単に申し上げたいと思います。
 御案内のとおり、ディスクロージャー制度は大きく申しまして、増資の際に大蔵省その他に提出いたします、そうして公衆縦覧に供します有価証券届出書という制度と、それから毎事業年度におきまして決算の状態を開示いたしますところの有価証券報告書制度、この二つの書類提出、公衆縦覧を中心として組み立てられている制度でございます。この制度は昭和二十八年以来改正も行なわれておりませんでおるわけでありますが、その後、流通市場の規模の拡大あるいは時価発行の推進等、企業の長期資金の調達の推進並びに多様化、その他証券取引の国際化といったような事態の変遷に対処いたしまして、かたがた投資家にとりまして、また産業界にとりまして、大きな問題を提起いたしますところの、惹起いたしますところの粉飾決算をいかに予防し、防止するか、その場合の投資家の保護をいかにはかるかというような観点から今回の中間的結論が報告されたわけでございます。
 その趣旨は、現在の有価証券届出書につきまして、時価発行の推進、増資規模の拡大等に対応して提出基準を引き上げる、合理化するという問題、あるいは届出書の内容をもっと投資家にわかりやすいように、そうして投資家が増資払い込みに応ずるかどうかということを判断しやすいように様式を改正する、目論見書というものも含めてでございますけれども、その問題と、それから、現在の制度では、毎期提出いたします有価証券報告書というのは増資の際に有価証券届出書を出しました会社だけがその後出すのでございまして、そういうことでなくて、流通量が多くてすでに上場されているという会社が全部出しておるわけでもございません。さような点から、流通面におきまして毎期の有価証券報告書をさらに開示する必要があるという観点で、現行制度を改めまして、取引所にいやしくも上場されている有価証券、あるいは、上場には至りませんが、その前段階でありますところのいわゆる店頭取引の銘柄になっているもの、こういったものについてはすべて有価証券報告書を毎期提出すべきではなかろうかという提案でございます。
 これにあわせまして、その報告書の様式等につきましても、たとえば関係会社、従属支配会社のバランスシートも、あたかも連結貸借対照表の作成に準ずるようなことで添付して、投資者の判断の理解の便に供するとか、そういう様式の改善合理化ということも含んでおりまするが、骨子は、そういうふうに流通市場における開示の徹底ということでございます。
 同時に、投資家に対しまして適時適切にそのときどきの事実を公示すべきであるという観点から、たとえば一年決算の法人でございますと、現行制度では一年に一ぺんしか公示はされませんが、それではいかにもこの時代におそきに失するのじゃないかということから、六カ月経過したところでいわゆる半期報告書というものを提出させるようにすべきではないか。なお、臨時に企業の生産、収益活動に重大な影響を及ぼすような事態が起こりました場合に、遅滞なくその旨を投資者に公示すべきではないかといったような、臨時報告書制度を創設するといったようなことも提案されているわけでございます。
 それからなお、先ほど申しましたことに関連いたしまして、時価発行が増加してくるということでございまするが、その際に、現在は有価証券届出書を大蔵大臣に提出いたしますと、原則としてそれから三十日間の審理期間がございまして、その後にその届出書が効力を発生する、それから募集行為が始まる、こういうわけでございまするが、これをできるだけ早目に投資家にディスクローズするということが適当であるという判断から、有価証券届出書を大蔵大臣に提出いたしますれば、そのときから直ちにこれを公衆縦覧に、いわゆる公示いたしまして、同時に証券会社も募集行為を、もちろん本来の売買契約はできませんけれども、予約の範囲にとどまるわけでございまするが、そういう行為をできるようにすることがディスクローズを徹底することになるのではなかろうかといったようなことが提案されております。
 なお、先ほど申しました粉飾決算があった場合に投資家の利益をいかに保護するか、その保護をいかに現在よりも充実したものにするか、その観点から、現在有価証券届出書におきまして、粉飾決算等の重要な記載誤謬、虚偽記載というものがございました場合に損害賠償に関する規定が設けられておりますけれども、その点をさらに内容を詰めまして、この損害額の算定あるいは賠償の責めに任ずべきものの範囲等につきまして、あるいは刑事罰の重さというような点につきまして、改善合理化をはかるべきではなかろうか。なお、有価証券の報告書につきましてもこれに準じた考え方から所要の改正をはかるべきである。かような御提案がなされておる次第でございます。
 その後、証券取引審議会の専門委員会といたしましては、今月の四日に、新たな問題といたしまして、いわわゆるテークオーバービッドという問題、あるいは増資の際における価格安定操作のあり方の問題を審議いたしまして、来たる十一月十八日、十一月二十五日と専門委員会を続けまして、その間に新たな問題も含めて検討いたしますと同時に、いま申しました中間報告について最終的に専門委員会の取りまとめを行ない、来月の七日に証券取引審議会を開きまして結論を出していただいて、来月の十四日に大蔵大臣に対して取引審議会から答申、意見具申がなされるという予定になっております。
 さようなわけで、現在証券取引法の改正という問題が、ディスクローズ制度を中心にいたしまして審議が進められておるということを御報告いたしたいと思います。
 以上、簡単でございますけれども、終わります。
    ―――――――――――――
#4
○藤井小委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。松本十郎君。
#5
○松本(十)小委員 ただいま証券取引審議会の専門委員会の中間報告について説明がありましたが、委員会の熱心な討議によって中間報告が出て制度改正へ一歩踏み出した、こういうことについては確かにその努力を多とするわけでございますが、振り返ってみますと、昭和三十九年十二月の審議会ですでに、何とかせぬといかぬ、さらにまた四十年の証券業の免許制度移行のときには、やはり国会で附帯決議が出ておったのでございまして、それから五年以上もたっている。しかもその間に、山陽特殊製鋼事件をはじめとしまして、昨年、日本テレビあるいは芝電気、ことしに入ってからも汽車製造ですか、そういう粉飾決算が報ぜられておりますし、さらにまたごく最近ではヤシカの役員の横領事件、こういうものが明らかになったようでありますが、そういうことを考えます場合に、大蔵省といいますか、証券局としては今日に至るまでどういうふうな粉飾対策をやってきたか。それとのかね合いにおいてどういう経緯をたどってきたか。その辺について説明を願いたいと思います。
#6
○志場説明員 お答えいたします。
 確かに、前回、証券取引法の証券会社のところを改正していただきまして、登録制度を免許制度に切りかえるということに法律が、昭和四十年ですか、改正されまして、そのときの附帯決議で、その他流通制度、発行制度について改善合理化をはかるべきであるという附帯決議をいただいておるわけでございます。それから見ますと、すでに五年を経過しておるということでありまするが、その間の問題意識は、まず粉飾決算の防止、予防ということが第一義的にとらえられたと思います。その粉飾決算を防止するためには、まず第一義的に公認会計士の監査を充実したものにする必要があるという問題意識から入ったと思うのでございまして、それを受けまして公認会計士法の改正をその後行ない、いわゆる監査法人の制度を設けるということを行ないました。
 同時に、それはあくまでも事後的な監査でございまするので、さらに企業が決算を組みますその前の段階から、いわば内面的にと申しますか、事前的にと申しますか、粉飾決算の発生を予防する必要がある、チェックする必要があるという問題意識にそれがなってまいりまして、そのことから、商法の領域になりまするので、商法における監査役のあり方ということに問題が移ってまいりまして、それに二年間ばかりの時間をかけたわけでございますが、それがようやく昨年におきまして結論が出され、答申を法制審議会のほうからお出しになったというような事態になりました。
 さような、公認会計士の監査あるいは商法における会社の監査というものの厳正化というものを片一方には進めまして、それと相呼応して今回の民事責任、刑事責任の強化の問題、さらにはそういった適正な決算に基づく企業の財務内容等を投資家に、流通市場に適合して適時適切に提供していく、こういう段取りになってまいりましたわけで、その間、流通市場におきましては証券取引所の機構、運営の制度の合理化あるいは証券投資信託法の改正を行ないまして、証券業務と証券投資信託委託業務との実質的分離、あるいは、投資家あるいは受益者に対する忠実義務の明定ということの改正も行ないましたが、さような措置の進展と相伴いまして、いわばその論理的にと申しましょうか、そういうあとの問題として、今回の改正がいわばそれら一連の企業財務の適正化を通じ、さらに投資家の保護をはかるという措置の最終的、と言っては言い過ぎかも存じませんが、帰結としてここに参ったという過程を経てきていると思うのでございまして、決して、大蔵省といたしましては、並びに関係各省といたしましては、この五年間ただ無為にしておったということではないのでございまして、その辺の事情は御了承願いたいと思う次第でございます。
#7
○松本(十)小委員 次に、それじゃ二、三の点について質問したいと思います。
 一つは、今度は株式が中心になっておりますが、諸外国の例から見ましても、社債についてこのディスクロージャーの制度を広げる必要はないかどうか。特にこれから国際化を迎えまして、まだまだ先のことかもしれませんが、外国社債などというものが発行されることが可能性としてはあるのではないか。そういうものを踏まえて、何かそれを考える必要があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#8
○志場説明員 お答え申し上げます。
 御案内のとおり、現在のディスクロージャー制度は、いわば有価証券の登録といったような論理をもとにしてできておるような感じがいたしますが、しかし、開示いたします内容は、株式を発行している会社自体の財務内容その他の内容の公示でございまして、個々の株式の面における公示ということとは違うわけでございます。しかも、証券取引法は株式だけではございませんで、対象となる有価証券は社債ももちろん含まれておるわけでございまして、さようなところから、社債を発行しあるいは株式を発行するという会社の企業財務内容が公示されれば、それでもって、あとは券面額だとか条件とかいったものが当該有価証券に表示されるわけでございまして、企業の内容の公示ということで足りるかと思うのでございますが、ただいまお触れになりましたように、外国の法人が発行いたします有価証券につきましては、現行の対象有価証券の範囲のきめ方では、今後わが国の起債市場が一種の国際的な起債市場の一環となるというような発展の見通しということの中で考えてみますと、有価証券のとらえ方が外国の法人については必ずしも適切ではない、かように見られる点もございます。
 さようなわけで、先ほど申しませんでしたけれども、証券取引審議会の専門委員会でもその点は問題意識を持たれまして、今回の改正案におきましては、適用有価証券の範囲について、特に外国証券の範囲については所要の改善をはかるべきである、と申しますことは、原則的に、外国法人が発行する社債なり株券なり、すべてが、わが国の市場で起債されます限りディスクロージャーの対象にすべきである、かような結論を得ているわけでございまして、今後さような方向での改正案を検討してみたいと考えております。
#9
○松本(十)小委員 最近親子関係の会社がだんだんふえてくるわけでございますが、ときに、親会社はきれいな数字を並べまして報告するのですが、悪い面は子会社に押しつける、そういうきらいがないでもない、こう聞いておるわけでございます。先ほどの説明で、連結財務諸表制度に近いような制度を日本でも導入するんだ、こういうことでありましたが、アメリカ流のそういうコンソリデーテッド・フィナンシャル・ステートメンツというようなことをそのまま入れることは日本ではなかなかむずかしいとか、あるいは、これから細目がきまっていくのでありましょうが、どういう形でそれに準じたものを入れるべきだと考えているのでしょうか。その辺についてお伺いしたいと思います。
#10
○志場説明員 お答えいたします。
 確かに、粉飾という点から考えますと、当該会社がその会社自体だけの操作によりまして粉飾決算を行なうということは、公認会計士の監査その他が厳格になっておりますにつれて困難になるだろうと思います。さような点から、最近の粉飾のあり方などを見てみますると、御懸念のように、それが支配する子会社、従属会社等にいわば赤字をシフトいたしまして、粉飾をシフトいたしまして、そして当該会社だけが粉飾なし、しかもある程度すっきりした形をとるというような事態が発生するおそれもなしとしないと思います。さような点から考えますと、アメリカがすでに行なっておりますような、完全な連結財務諸表の作成ということを法律的に義務づけるということが最も端的であり、合理的な制度であるというふうに思われますけれども、これには税法上の問題というのもあるわけでございますので、制度的に連結財務諸表の制度を確立するということは、なお当分検討を待たなければならぬというふうに考えられるわけでございます。しかし、それほどまでには徹底しかねるかもしれませんが、現行よりも一歩一歩その面に向かっての改善策をとることはできるということから、その方法としまして、それが支配している、従属せしめている会社の財務諸表を、有価証券報告書のいわば提出書類の一環として添付をしていただくといったようなことで、つけていただくということをしたいというのが今回の中間報告の考え方でございまして、そういうふうなプロセスを通じまして、漸次発行会社のサイドあるいは投資家その他投資判断をするサイドも、法人格は違いますけれども、財産的、取引的に、しかも経営的に支配されており関連しておるというものの財務諸表をあわせて見てみる、見て判断するという習慣というものをつけていただくことによりまして、その事柄がやがては税法上の制度改正を促進するという実質的なささえにもなるのではなかろうかというような含みも持ちまして、とりあえず現行より一歩改善という姿として、さような形におけるディスクロージャーということがいまの状態としては適当ではないか、かようになっておるわけでございまして、私どもも、実際のこの際の立法といたしましては、まずそこら辺が妥当ではあるまいか、かように考えておるのでございます。
#11
○松本(十)小委員 それから、投資家保護のために随時かつ適時にそれを知らせるような手だてを考えるのだということで、一年決算の会社では半期の報告書を出させる、あるいはまた企業内容に臨時に発生した重要事実、たとえば「国外における有価証券の発行、親会社および重要な子会社の変動、生産活動等に著しい影響を及ぼした災害の発生等」、こういった場合に臨時の報告書を出させるということのようでありますが、そういったことでほんとうに投資家に適時に早く周知がはかられるものであろうか。まあ技術的な点に入ってくると思うのですが、その辺のところを取引所等も特に配意していく必要があると思うのですが、どういうものでしょうか。
#12
○志場説明員 臨時報告書制度につきましては、アメリカは現在、半期報告ないしは四半期報告ということで適時適切に――その程度は本来の決算の場合の開示内容なり財務書類とだいぶ違いました簡略なものではございますが、非常に配意した制度が設けられておるわけです。わが国といたしましては、商法の改正案が論ぜられておりまして、決算事務あるいは半期種目の収益を平準化するといったような、ならして見るということで、中間配当の制度を設けて一年決算という方向に持っていこうという改正案があるわけでございますが、さような事態から申しますと、やはり中間報告ということがどうしても必要である。しかし、その内容については、一年に一ぺんの決算にするということとの関連で妥当な内容にしなければ、商法の改正の趣旨が逆に殺されるということで対処してまいらなければならないと思いますが、同時に臨時報告制度ということが必要ではないか、こう思うわけでございます。ただそれの報告の中身、あるいはいかなる場合に報告をさせるべきか、あるいはその時期をどの程度にすべきかという点につきましては、なお技術的にと申しますか、深く考えなければならないという面を持っているかとも思いますけれども、とにかく制度的にそういうものを設けることがぜひ必要であると考えております。
 ただ、この制度だけでお尋ねのような、投資家に対して適時適切なその企業に関する情報が正確に提供されることになるかどうかという点につきましては、制度としましてはこの程度が限度だと思いますが、あとはこういった改正の趣旨というものを徹底いたしまして――ただいまお話しのような、取引所が上場会社と上場契約等を結んでおりますし、またその関係からこの上場会社は、たとえば取引所における新聞記者という場におきましていろいろとコネクションも出てくるわけでございますが、そういったところにつきましてはなおわが国の実情は、アメリカのその面における企業側のディスクロージャーといいますか、適時適切な発表といいますか、そのことが行なわれておらない事態でございますので、制度的には、私どもとしましては今回の提示されている制度が限度であり、またその中身は今後詰めていくものでございますが、それだけでは足らないので、さらに上場会社と取引所との間、上場会社の自覚あるいは取引所の指導といったものを通じまして、さらにそういった趣旨を生かすということを実行上におきまして配慮してもらう必要があるんじゃないか、かように考えておるわけでございます。
#13
○松本(十)小委員 今度の改正しようとする方向をいろいろ聞いてみますと、だんだんと会社にやらせることが多くなる。さらにまた、もし虚偽のことを申告、報告すれば増資は一定期間やらせぬのだとか、あるいは粉飾の事実があれば会社の役員のみならず引き受けの証券会社、あるいは公認会計士まで損害賠償の責任を負わせるぞと、かなり加重された罰則がついているわけでございますが、もちろんそれは投資家保護のためには必要なことではあろうとは思いますが、しかし同時にまた、やはりこういう届け、報告をする会社の側から見れば、必要にして十分なところにとめてもらいたいということが要請されるのでありまして、これから細目について進めていかれる上において、やはり簡素化というのでしょうか、それまでの報告、届け出の中で省いてもいいようなものがあればどんどん省いたほうがいいのではないか。あるいはまた資本金その他の額で切っている数字というものも時代の流れとともに変わってまいりますから、基準等についてもまた考え直してしかるべきじゃないかと思うのですが、そういったことについての考え方というものを伺いたい。
#14
○志場説明員 全く御意見のとおりであろうと思います。先ほど冒頭に申し上げましたように、今後の増資形態、資金調達を見ますると、時価発行の進展等によりまして、いわゆる従来は株主割当ての額面発行ということがわが国の増資形態でございましたけれども、本年でもいわゆるプレミアム分が増資額のうち一五、六%を占めておるというような事態を見ましても、この割合がさらに伸びるのであろうということも考えられますし、そういった時価発行になればなるほど、やはり投資家に適時適切な財務内容を公示するということがますます必要になろうと思います。さような意味で、企業側といたしましても今後のみずからの資金調達を成功裏にあるいは前向きに考えますると、その内容を適時にディスクローズするということにつきましては、心ある経営者はすべて一致しておると思うのでございます。同時に、一般の投資家の理解に便でなければ、いたずらに繁雑のみでありまして、かえって利用が十分なされないということにもなりかねませんので、そこら辺の、いろいろな書類の内容、提出されるべき項目の点等につきましては、簡素化すべき点は十分に思い切って簡素化し、さらに、しかし合理化すべき点はまた合理化するというような、投資者の理解に便であり、投資判断上判断のつきやすいということを旨といたしまして、今後十分に各方面の御意見なり実情ということもサウンドしながらいい案をつくってまいりたい、かように考えております。
#15
○松本(十)小委員 あと、当面のトピック、二つほどについて伺ってみたいと思うのですが、一つは、先ほどの話に出ました安定操作の規制の関係であります。これは日本でも一つの制度があるわけですが、なかなか活用されておらぬ。しかし、諸外国の例を見ればやはりこれはあったほうがいい、もっとうまく働いたほうがいいだろうということであろうと思うのでありますが、これについて近くまた委員会でもいろいろ議論してみるのだ、この間もちょっと話が出たということでありましたが、なぜにいまの制度が日本の実情で働かないか、働き方が少なかったか。これからこれをファンクションさせるためにどういうふうに持っていったらいいのか。そのことが全体として証券市場のこれ以上の発展のためにいいことなのかどうか。この辺についての感触というものを伺ってみたいと思います。
#16
○志場説明員 いわゆる安定操作の問題だろうと思いますが、まあ安定操作というものをどういうスタンスからとらまえるかという、その価値判断をどうするかということが基本的に問題の出発点だろうと思うのでございますが、非常に広義にとらえますと、やはりこれは株価操縦、マニピュレーションという範疇だろうと思うのでございます。しかしながら、このいわゆる広義の株価操縦の中でも、いわばネセサリーイーブル的なとでも申しますか、さような面、現象と考えられるのが、いま問題にしております安定操作という問題だろうと思うのでございます。と申しますのは、これは新株発行増資という場合に限って行なわれるということであります。増資新株発行と申しますことは、その時点におきましては当該株式の供給が一時にかなりふえるという面でございます。したがいまして、株式の需給ということから考えますと、そこに、場合によりましては需給のアンバランスということがある程度起こり得るということも考えられます。かたがた、増資というものは、やはりその増資によって調達した資金が設備投資に向かいまして、その収益をまた株主に適宜に戻していくということでございますので、ある程度その増資による設備投資が収益をもたらすという妥当な期間というもののそのレンジにおいて考えなければならない面でございますが、当面の株式の需給の面におきましては、一種の供給オーバーと申しますか、過多と申しますか、さような事態になりかねないという論理を含んでおります。さようなわけで、短期的な需給状態からする価格と、増資の収益力増加ということの対比におきまして、やはり乖離が生ずるということも考えられます。さようなことを考えますと、ほんとうの意味での投資価値判断というものがある水準でなされます限り、短期的なアンバランスに基づく価格というものをあるべきと考えられる水準に維持するということは、これは発行会社といたしましてもあるいはアンダーライターとなります証券会社といたしましても、さような専門的見地からいたしまして、望ましいあるいは必要であるという判断の要素が十分成り立つと思うのであります。さようなところから現在の証券取引法でも、広義の株価操縦の中の一環としての条文の一ではございますけれども、大蔵大臣に届け出をすればこの安定操作は許されるという規定になっております。その点はほかの株価操縦と違った価値判断をしておりまして、私どもはこの価値判断はまず妥当ではあるまいかと思うわけであります。
 しからば、現在のその届け出というものがなぜに活用されていないのかという問題でございますが、これは率直に考えますと、法律はそこまで書いてなくて、むしろ政令、省令ということでございますわけですが、現在の届け出の様式というものが実情に即さない。と申しますことは、あらかじめ、安定しようとする価格、それから安定操作を開始する年月日というようなものを届け出る、こうなっておるわけでございまして、これは実際問題といたしましてなかなかその予測がつけにくいという問題、それからもう一つは、増資のための新株の募集期間中におきましても、アンダーライターたる証券会社は自己売買、ディーラー業務の免許がございますわけで、いわゆるブローカー業務を補完するものといたしましてのディーラー業務というもの、自己売買業務というものは禁止されておりません。したがいまして、増資期間中におきましてもアンダーライターたる証券会社はそのときどきの状況判断、市況判断によりましてブローカー業務をなだらかにつないでいく、需給をなだらかに統合させるというような機能、観点から自己売買を行なうことが許されておるわけでございます。そういたしますと、そういう事態の上で安定操作をわざわざ行なう、こういうことを届け出るということは、何かそこに、当該増資に基づく証券発行が、不健全な意味でのオーバーイシューではないかというようなイメージを与えるおそれがあるのではないかというところから、発行会社のほうもそれをいやがるというようなこともあるわけでございます。しかも需給の連続的統合をはかるという見地からいたしますると、ディーラー業務としてつなげる面がある、余地がございます。さようなところからどうもわが国の制度は動いていない、かように思うわけでございます。そのことがやはりもやもやしたた印象をかえって投資家に与えておるという弊害も出てきておるのではないかと思うわけであります。
 いままでは、時価発行というものがございませんときにおきましては、額面の割り当てのときには、その問題はさほどあるいは問題意識を強く惹起しなかったのかもしれませんが、時価発行という問題になりますると、価格の決定もさることながら、その後の需給状態、取引状態というものが非常に問題になりますので、問題意識がこのところに来て出てきたと思います。アメリカの制度は、この点につきましてはディスクロージャーという点から徹底しておりまして、届け出に基づくディスクローズも安定操作をしました場合の事後的な報告ということになっております。つまり事後的に公開されるということになっておりまするし、また同時に、反面、その増資期間中は証券会社は、あるいは売り出し人は、自己売買を、自己の計算においての売買をできないという禁止規定が置かれております。そのことと相まちまして、安定操作というものがオープンに、投資家の皆さんの面前において、その事跡を明らかにしながら行なわれるというわけでございまして、先ほど申しましたように、安定操作というものが場合によっては必要であるという出発点を置きます限り、このアメリカの制度のほうが合理的ではあるまいかというふうに私どもは思うわけでございまして、さような角度から専門委員会の御意見なり御感触を承っておるという段階でございまして、この前の四日の会議では、そういった基本的な考え方につきましてはおおむね専門委員の各位は同意見でございまして、特別の御異論はなかったように承知しておりますが、なお今後検討してまいりたいと思っております。
#17
○松本(十)小委員 この制度と関連するかと思うのですが、例の松下電器の時価発行のときに告発事件が起きて、これは裁判所がしかるべく判断されることでございましょうが、詳しい人に言わせると問題の外だという意見もあります。また何も知らないわれわれ大衆から見れば何か問題があるのかという感じがします。特にこれからの日本の証券市場につきましては、国際的な目でながめられておる、国際信用ということが大事でありますので、そういう告発事件というふうなことが表に出てくるということ自身、何か憂うべきことかと思うのでございまして、その辺のことから考えて、これからこの安定操作については慎重な方向づけというものを特に要請しておきたいと思うのであります。
 最後に、テークオーバービッドの規制の関係ですが、これまた、日本の経済全体が国際化の中で大きく揺れ動くだろうと思うので、将来の姿において、やはりこの株式の公開買い付けというものについて何らかの規制をすべきだろうと思うのでありますが、これまたいま審議、議論の段階だろうと思うので、大体の考え方を伺っておきたいと思います。
#18
○志場説明員 テークオーバービッドというのはバタくさい名前でございまして、どうも適切な日本語訳が見つからぬものですからそういうハイカラめいた名前になっておるわけでございますが、そのように、わが国では従来から慣行のない制度でございます。すでにアメリカ、イギリス――イギリスは自主規制ということになっておりますが、フランス、ベルギーにおきまして、テークオーバービッドについて、投資家保護のための開示制度の一環ということで、所要の届け出制度ないしは公示制度というものが設けられておるわけでございます。今後資本取引が国際化してまいります、あるいは経済の交流というものが起こってまいりますと、別してイギリスにおいて従来からテークオーバービッドという事例が多いようでございますが、アメリカでもございますし、フランスでもございますけれども、そういったいわば欧米の主要国で慣行的になっておるような方法による株式の買い付けということがわが国におきましても行なわれるかもしれません。あるいは単にこれは外国だけじゃなくて、わが国の場合でも企業合併という問題があり、あるいは裏面での株の買い占めという問題があり、もちろんいろいろあるわけでございますが、そういいます場合に現行の制度では何ら禁止規定もなければ、行なう場合に取引規制に服すべきだということもないわけでございまして、全く野放しという状態であるわけですが、そういう場合に投資家保護という取引法の観点から、欧米に行なわれておるようなテークオーバービッドのディスクロージャー制度ということを制度的に導入していくことが投資家保護の観点から必要ではあるまいかという議論があるわけでございます。私ども、この制度を設けた場合と設けない場合とで、さしあたりどういう影響なりが出るであろうかということはなかなかつかみかねる点も実はあるのでございまして、専門委員会の場を通じまして、これをパイプとして各方面のこれに関する感触を、どっちかと申しますと中立的なような立場でいま拝聴しつつあるという段階でございますが、この前の四日の日の専門委員会の皆さん方の御議論では、どちらかと申しますと前向きにこの問題を考えておくべきではないかという御感触が強かったように拝察いたしましたが、さらにこれを実務の面におきましてどういうふうに評価されますか、できるだけ早くその動向をつかんで、それに即した結論を得ていただき、またわれわれのほうも考えてみたいと思っているわけでございます。
#19
○松本(十)小委員 終わります。
#20
○藤井小委員長 堀昌雄君。
#21
○堀小委員 私は、最初のほうで証券局長が御報告のありました免許制移行後の現在の証券の問題について、ここらで少し新たな角度から証券業の問題を検討しておく必要のある時期に来ておるのではないかという点についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、それに先立ちまして、先ほどお話がございましたが、この九月期に証券業の決算が出てまいることになっておると思いますが、先ほどの御報告でもありましたように、この三月期までの仮決算のときと九月期の四月−九月との関係というのは、同じ九月決算という形で一本の報告が出ておりましょうけれども、相当に開きがある。ほとんど本期、九月期決算の主たる部分というのは、昨年の十月−三月期の収益でもって決算をしておるというのが実情だろうと思うのであります。そこで簡単に、大体、上期、下期のたとえば経常収支というようなものの比率はどういうふうになっていたのか。そこらを最初にちょっとお答えをいただきたいと思います。
#22
○志場説明員 先ほど上期、下期の出来高の平均の比較を申しましたが、それが経常収支に及ぼした度合いはどの程度であったかというお尋ねでございますが、四十四年十月から四十五年九月までのこの一事業年度間の経常収支の利益を一〇〇といたしました場合に、上期、すなわち去年の十月から本年三月までの経常収支の利益は七九・九%を占めておりまして、約八割でございます。残りの二〇・一%はことしの四月から九月の間の利益からなっておる、かような事態でございます。
#23
○堀小委員 いまのお答えのように、二〇%が下期の経常収支の割合のようでありますが、これは私は、証券業全体としてはそうでありましょうけれども、証券業の様態といいますか、規模の大きさ等にも関係があると思いますが、それによっても多少相違があるのではないか。特に、いま私が承知しております範囲では、四社は別といたしまして、その次にありますところの資本金七十億ぐらいから十億ぐらいまでの中堅各社というところが、対資本金利益率その他を見ましても必ずしも安定をしていない。安定をしておるところももちろんありますけれども、総体的に見るとややこの部分が、対資本金利益率その他を見ると不安定な状態にあるような気がします。
 もう一つは、会員の業者のところに非常にどうも不安定な条件があるのではないか、こういう感じがするのでありますが、そこらについては証券局はどういうふうに把握をしておりますか。
#24
○志場説明員 資本金別と申しますか、あるいは会員、非会員の別と申しますか、大体非会員は一億円の資本金以下ぐらいと考えてよろしゅうございましょうと思いますから、大体資本金別と置きかえてもいいと思うのでございますが、そういう規模に応じて経営内容、収支状況を見るということが非常に必要ではないかと思うわけでございます。と申しますのは、規模の大小というものが非常に顕著な業界でございますので、一律にこれをトータルして論ずることは的確でないということは確かに御指摘のとおりだと思いますが、それも一律になかなか申せないのでございまして、非会員あるいは小額資本のものは典型的には、取引所所在地から離れました府県というところにある、いわばいなかと言っては語弊がありますが、地方都市にあるわけでございます。そういたしますと、その地域におきましては地元業者というようなことで、しかもその規模といたしましてはこじんまりしたところもございますし、資本金の状態も、どっちかと申しますと同族関係を中心にしまして、比較的外部資本が少ないといったようなことで資本的にも充実しておる、規模自体が小さい面もあるわけでございますが、ということもございますので、収支面から見ますと、かえってと言っては言い過ぎかもしれませんけれども、比較的安定しておるということがいえるのでございます。計数的にもそういうことがうかがわれます。かえって、先ほど資本金七十億円以下からというふうにおっしゃいましたが、私どもの問題意識では、資本金でいえば五億から十億がらみといったような、いわば中堅とでも申しましょうか、そこらの資本金のところが、業務内容から見ても中途はんぱというような面もあるかも存じませんし、あるいは過渡的な段階ということもこれあり、収益的にはやや伸び悩んでいる問題があるということもございますので、一律に資本金が小さいものはそれだけ問題が深刻であるというふうにもとらえられませんし、問題は、そういう規模別な問題意識も持っていなければなりませんが、やはり突き詰めますと個別の会社の問題ということになる面が多いのではないか、かような点も考えられますので、今後はその両面から慎重にその動向を察知してまいりたい、かように思うわけでございます。
#25
○堀小委員 いまおっしゃったように、確かに地方の非会員は比較的問題がないと思うのでありますけれども、やはり、特に東京都のような、取引所の所在地における非会員というのは、これは今後あるべき条件というものを少し考えていきませんと、明らかに競争条件が会員業者と違うわけであります。株式投資とかあるいは先行投資だけでかなり安定した特殊的な業務を営み得るという見通しがあればいいのでありますけれども、一段と競争が広がってくるにつれて、会員業者もどんどんそういうことをやることになるわけでありますので、この際、全体の非会員業者というよりも、まず取引所所在地の非会員業者の今後のあるべき姿といいますか、そういうものをすみやかに検討して対策を進めるべきではないか、まずこれが第一点であります。
 それから第二点は、これからコンピューターが導入をされてきますと、コンピューターを導入した場合におけるバランスのとれた店舗数といいますか、やはりコンピューターを導入するとすると、店舗数としても五十店舗内外あるということにならないと、スケールメリットから見てどうもうまくないというような問題もあるのではないのか。それは五十店舗がいいのか、どこがいいのか、そこらは検討の余地があるでしょうけれども、十店舗、十五店舗というようなことでは、これはコンピューターを導入しても、非常に資本負担も大きくなるし、いろいろな点で無理がいくのではないか。そうなりますと、おのずからこの証券業の将来的な展望というものをここらで一ぺん、そういう新しいコンピューター時代に対応するところのあり方というものを目途として少し考えておく必要があるのではないか、私はこういう感じがいま、しておるわけであります。
 もう一つは、私がちょっと七十億以下というところで申し上げたのは、四社の下にあるところの各社というのは、業務的には四社と同じ業務をやるようになっておるわけですね。おおむね投信もやりアンダーライターもやる。ところがブランドの力といいますか国民的イメージというのは、やはり四社というものはかなり強くブランドイメージがあるわけですけれども、ちょっとその下になるとなかなかそういうふうにいかないのではないか。ところが手を広げて、実はアンダーライターもやる、投信もやる、いろいろやるけれども、それだけの力がはたしてあってやっているかどうかというと、どうも私が見ておる限りでは問題がある。この前の証券不況のときにも一番問題が出てきたのはやはりここらに非常に問題が出てきて、それは投信の不振というものが大きくはね返ったという経緯があったと思うのです。ですから、最近御承知のように人件費が著しく上がってきまして、今日給与ベースの上がり方というのはその企業の収益だけに左右されない。要するに一定の給与水準の引き上げを行なわなければ、行なわないところには人が来ない、こういうことになってくるわけですね。いまや証券業のような、人間がその企業の主たる力といいますか、になっておるような業界で、給与を上げないで人が来なければ、それで競争条件からは脱落をする。やはり人をある程度そろえるためには給与を上げなければならない。こうなってきたときに、この証券業の今後の問題というのはかなりきびしい条件になるのではないだろうか。免許制が行なわれたときは大体九千万株から一億一千万株ぐらいあればペイするだろう、こう考えられておりましたけれども、人件費の最近の上昇によって、大体いま一億三千万株内外でようやくペイするというところではないのか。最近十一月に入って、いまの御報告で一億三千万株台に上がったということでありますけれども、それではこれがずっと引き続きあるのかどうかはなかなかさだかではありません。そこらを考えてみますと、最初の御報告では、証券全体としてはややいい方向に向かいつつあるわけでありますが、しかし内部的にはかなりな問題をはらんでおるという認識が非常に重要ではないか、私はこういう感じがするわけであります。
 そこで、それでは人件費がどんどん上がってくるとする。収入面では大体一億三千万株程度というようなことがもし続くということになると、来年人件費が上がると、これさっそくもう問題が起きてくる。最近の人件費の上昇は御承知のように年率一五、六%から二〇%近くになっているわけでありますから、そこらを考えてみると、経営に対する対策としてのあり方というのは、収入源が主として、最近は私どもの願いがかなり具体化をして、ブローカー業務による収入が主体になってきた、たいへんいいことでありますが、そのブローカー業務の収入源であるところの手数料の問題というようなものも少し検討してみる必要があるのではないか。で、その手数料というのは、私はただ一律に上げろという話をする気はありません。ただ一律に上げろという必要はないと思いますけれども、しかし約十年、手数料は固定しておるわけでありますから、この手数料の合理化といいますか、手数料は御承知のように千株――取引の千株の単位の問題もありますけれども、はたしてその千株という取引単位が今日もそのままでいいのかどうかという問題も含めて、取引量による手数料の問題それから株価による手数料の問題等が、現状に即してもう少し合理化をしていく中で、少し手数料収入が改善をされるというような検討も必要なところにそろそろくるのではないか、こういう感じがしておるわけでありますけれども、それらについての証券局長のひとつの見解を伺いたいと思います。
#26
○志場説明員 なかなか証券業務は銀行、金融業務と違う面がございまして、銀行でございますと都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合といったように、いろいろ対象にする企業あるいは金融市場というものがそれぞれの分野があるということで、これに対応した金融機関、銀行のあり方も考えていけるということの面もあろうかと思うのですが、証券業務の場合は取引所という一つの市場に集中いたしますわけで、しかも株券というものは同じ株券でございますし、さようなところから考えまして、各証券会社というものをどういう様相のもとに、ビジョンのもとに考えていくかということはなかなかむずかしい問題でございまして、しかし基本的にはもちろん採算的に成り立たなければ不健全なことにもなりますし、投資家にも御迷惑をかけますので、経営の安定ということはあくまでも守らなければならない要請がございますが、同時にやはり市場というものに対する寡占状態に基づく市場支配的なことがありますと、かえってこれは市場価格、流通機能の適正円滑化をはかるということから問題があると思うわけでございます。その二つのかね合いで、一体どういうふうに証券業界、会社というものを考えるかということはむずかしい問題でございます。その面から申しますと、四社の次に位します総合証券会社であります三社は確かにウィークであるということがございますけれども、私どもは、四社の寡占的な状態ということではなくて、やはりそれに次ぐものがある程度の数必要であるというふうに、まずそこに限って考えますと考えておるわけですが、たまたまその三社と申しますのが、二社が合併会社であり、一社が合併会社である上に日銀からの特融を受けた会社であるというような、そういうそれぞれがいわくつきといいますか、問題のある会社であるせいもございまして、いまのところなかなか期待しますような経営状態なりあるいはそういうシェアの状態になっていないという段階でございますけれども、これはあくまでも私どもは過渡的にとどまってもらいたいので、やはり四社の寡占ではなくて、それに次ぐものが妥当に位するということが必要ではないかと思うわけであります。
 それ以下のものについてもおおむねそういうようなこと、投資家の分散というようなこととも考え合わせまして、あるいはなるべく投資判断なりお客の層に密着したきめのこまかい情報提供あるいはサービスなりということを考えますと、寡占ということになることはできるだけ避けなければならぬ。しかしそのあまり、経営の不健全なものを残すということは、これは大きな意味で弊害が出るということで、このジレンマでございますが、その点から今後そういった規模別あるいは実際の機能別によく見ていかなければならぬと思います。
 免許に全面的に移行いたしましたのが一昨年の四月でございますので、その後三期は幸い市況の状態も大体ようございまして、収益面も向上してまいりました。内部留保もふえてまいりました。また金融収支の面におきましても、昨年の九月あたりから全体として、それまでの赤字基調が黒字基調に転じてまいりまして、ことしの九月期はさらにそれが一そうよくなったということにおきまして、そのことが堀委員御心配の株式の取引高に応ずる手数料にあまりにも依存する、その成り行き次第ですぐ黒字、赤字に変わるというところから、金融収支の改善という面でかなりてこ入れをするということは全体としては好ましいと思うわけでございまするが、しかし免許後三年目にかかりまして今後の動向を考えますと、どうしても企業経営の合理化ということでやらなければならぬ面がございますが、やはり避けられない経費の増加ということもあり、またこれに伴ってはたして取引高というものがスライドして伸びるのかどうか、これはいかに伸ばしたいと思っても伸びるものではございませんので、なかなか問題だろうと思いますし、今後はどちらかと申しますと、いままではせっかく免許したものが何とか脱落しないようにというような観点もございましたが、今後は新しい環境に備えてきびしい目で先行きを見ていく、個別に見ていくということに私どもの観点も逐次シフトしていくべきだと思っております。
 お尋ねの手数料の点につきましては、何さま全般の水準といたしましては取引数量がどうなるかということの見合いもございますので、私どもは必ずしもこの四月から九月、最近までの一億二、三千万株ということで、今後ある程度のタームをおきました場合に、これで固定してしまうというふうに見ることも不自然でございますし、やはり増資の状況その他のことから考えますと、ある率なり方法でふえるということを前提にすべきだと思います。また片や経費等の面につきまして極力合理化し、効率化をはかるという努力をなすべき点も多々あろうというふうに思いますので、一がいに今日の状況あるいは当面の先行きを見越しまして手数料の水準を引き上げるとか改定するということは、とても批判にたえられないと思うわけでございます。ただ、御意見のように、その体系の中におきまして、その組み合わせと申しますか仕組みが合理的であるかどうかという問題は、これはまた別途あろうかと思いますが、この点につきましても、一がいにこれを収支との見合いにおいて、それにプラスになるようにという観点で検討するということについては、いましばらく情勢を見ませんと、今日ただいまその方向で検討をするのが合理的であるという段階だと、いまの状態を考えるのはやや尚早と申すべきではなかろうか。問題意識は持っておりますけれども、そのタイミングについてはいましばらく検討さしていただきたい、かように思いますのが私の率直な現在の心境でございます。
#27
○堀小委員 私は、国会で論議をしております中で、どちらかといいますといまのことを言っていることは少ないんです。かつて山陽特殊鋼の問題ができて粉飾決算でたいへん騒いだちょうど一年前に、私は高岡産業事件というのを通じて粉飾決算を取り上げ、公認会計士の制度を改め、監査基準を改めるようにと強く要請をして、一年後に実は山陽特殊鋼その他の問題が出ておるわけです。免許制の問題についても、昭和三十八年に私は免許制を取り上げて、将来起こるであろうところの証券不況に対して、少なくとも資本金、負債倍率等を含めたかなりきちんとした証券会社をつくらせるということでなければ、来たるべきそういう不況にたえられないという判断で実は免許制の問題を取り上げ、その二年後に御承知のような証券の大不況が来ておるわけです。私は、少なくとも金融の問題でも、たとえば架空名義預金なんというのはだいぶ前からやっていて、今日ようやく架空名義というのは国民的に大きな問題になりつつあるわけでして、いま私が申し上げておることは、今日この時点のことを言っておるわけではないわけです。
 ただ、日本の今後の情勢として、賃金の上昇というものは今後は、労働の需給関係その他を見てみますと、どうしてもかなり大幅な賃金上昇は避けられないという前提でまずものを考える必要がある。それでは、いまの直接金融と間接金融の全体の流れを見ていて、国民の資金がどんどん間接金融に回っていくかというと、実はやはり日本のいろいろな体質的なものから見て、間接金融のほうに力があって、直接金融のほうにはなかなかいきにくいいろいろな制度上の問題というものがビルドインされておるということから見て、私はそうは安易にいまの証券業の問題が拡大していくようにも思われない。いろいろな点を見ますと、今日打つべき手を少し打っておかなければ、あと問題が出てきたときに投資家に不測の迷惑を与えることになるおそれがある。
 ですから、いま私はここでいろいろ、この前、すでに半年ぐらい前から声を大にして、ある意味での証券再編成といいますか――私は実は免許制以後の時期というものは、証券業界にとっては一種の神風的な幸運であったと思うのです。しかしこういうような幸運が常に続くかというと、そうではないわけですから、やはり行政当局としては、免許制にした以上は投資家を保護するということの上において、何も証券業そのものをどうするという問題よりも、不測の事態を防ぐ手を打っておかなければ、またしても投資家に大きな迷惑を及ぼすようなことになったら、事は免許制になっておる以上大蔵省の責任は前回のような状態ではあり得ない、こう考えておるわけです。
 ですから、私はいまさっきも申し上げたように、あなたもいまお話しなった、手数料問題も、水準の引き上げという問題については私も賛成をする気はありません。しかし、少なくとも現在はどちらかというと、一般的な投資家の売買の問題よりも、全体が少しスペキュレーションのほうに傾いていて、信用取引のウエートというものはいま非常に高くなっておるわけです。そうすると、その信用取引の中で動いておるものというものは、もう少しそこらではバランスを考えて、いまの取引条件その他の推移の中で合理的な手数料というものの体系は検討してみる余地がある。検討して、それを発動するかどうかのことはまた時期をあなたのお考えのように考えていただいていいと思うのですが、ちゃんと準備ができていなければ、情勢が急に悪くなったからといっても私は対応はなかなかむずかしいと思うのです。
 ですから私のいま申し上げておるように、将来証券不況がなければけっこうです。しかし、少なくとも監督行政を持っておるあなた方とすれば、最悪の事態に備え得るだけの手だてというものがあってしかるべきだろう、こう考えておるものですから、そこらの点を通じてひとつ、いま私が申し上げた競争条件として著しく制限をされておる取引所所在における非会員のあり方とか――これなどはだれが見ても競争上非常に困難な立場にあるわけですから、それをどうやって競争条件を同じような条件にすることができるのかというところは、今後の検討の一つの課題だと私は思います。あるいはいまの手数料収入の合理化の問題も、それも一つの課題でしょう。金融機関のほうは、これまで合併、転換については非常に複雑な問題がありましたけれども、かきねを低くして合併、転換を可能にした。証券の場合は合併は全然抵抗がないわけです。免許制移行後においても、皆さんのほうで営業権譲渡なり合併を認められた例があると思いますけれども、やはりとことん問題が起きる前に、事前の策として十分な対応ができるようにしていただいて、不測の事故によって投資家が被害をこうむらないように。
 それともう一つは、銀行と証券の違いが一つあると思うのですけれども、銀行の場合はいま預金保険その他等を通じていろいろ対策が講じられておるようですが、証券も非常に神経過敏な企業体といいますか、どこかに一つ挫折が来ると、それが業界全体に波及をする可能性が非常に強い業界ですね。ですから、そうするといま私が前段で触れているウイークポイントに対する対策、ここらを少し考えておかないと、局長が言われるように私も四社寡占ということがいいと思いません。思いませんけれども、それなら四社寡占でないようにするための手だてというのはもう少しあるんじゃないのか。たとえば、例の発行の引き受けのシェアの問題ですね。かつて私が取り上げたことがありますけれども、長い間四社の取り分が幾らというようなところにかなり固定をしていて、そこには実はその他の後発のものが、ニューエントリーが同じ競争条件で動けないような条件が実は実在しておるのではないか。だから、そういうただ中堅各社を育成強化という前に、いまのビルドインされている、中堅各社が伸びられない諸要素の分析をして、それに対する的確な対策を講じて道を少しつけてやらなければ、これらの中堅各社があなたの願っておられるような、四社に続いて寡占を防ぐという一つの力になるかどうか、非常に私は問題が残されておると思うのです。
 ですから、そこらを含めて、ちょうど免許制になりましてから約まる二年が来るわけですから、ここらで一ぺん証券業の問題を、はやりことばでいえば原点に返って分析をし直して、それを取り巻いておる諸条件の中の不合理なものを取り除きながら、やはりあるべき証券業を育成していく。このことが投資家保護という皆さんの一番の眼目に合うわけですから、そこらを少し考えて、やや早いかもしれませんが、しかし対策を準備することは私は早きに失することはない、こう考えますので、その点についてひとつ証券局長の判断を聞き、あわせてひとつ政務次官の政治的な判断をお伺いをしておきたいと思います。
#28
○志場説明員 お説まことにごもっともであろうと思います。ことに、わが国では今後、先ほどお触れになりましたが、取引所の事務をはじめ、各会社の情報産業あるいは事務の能率化という点からのコンピュータリゼーション、そのコストの問題という点もいろいろ出てまいりますし、証券取引の国際化が進んでまいりますと、あるいは証券業務の国際化が進んでまいりますと、いよいよ体質的な、あるいは営業面におけるわが国証券会社の強化ということの要請も出てまいります。また、片やアメリカにおきましては、不況によりまして証券会社がかなり経営の破綻を来たしているという実例が最近あるという貴重な経験もございます。もちろんわが国の三十九年、四十年もそうでございますけれども、最近におきましてもアメリカのそういう事例もございます。さようなことを踏まえまして、お説のようにここらで今後の展望を十分に検討するということは全く同感でございまして、私ども、別して今回の決算の分析を通じまして、今後の方向について十分検討してまいりたい、かように考えます。
#29
○中川説明員 御指摘まことにごもっともなことであります。特にこれからベースアップということが相当長期にわたって、しかも上げ幅も相当高いものが予想されますので、寡占にはなってはいけないという問題もありますが、中堅各社というのですか、その格差もありまして、この辺で総洗いをして、不測の事態が起きないように十分検討していくべきが当然だと思いますので、ありがたい御観察だと受けとめているわけであります。
#30
○堀小委員 最後に、今後、健全な投資家の判断として、日本にもいまアナリストという制度がありますけれども、これは実は法定されたものでも何でもありません。アメリカには、投資顧問法といいますか、法律に基づいてアナリストの資格なりその他を限定をしておるわけですが、この問題は前に一ぺん、新聞では、何か次の通常国会に出るようなふうにちょっと見たような気がするのですが、証券局として、この投資顧問法についてはどういう態度をとっておられるのか、伺っておきたいと思います。
#31
○志場説明員 外務員の質を高め、あるいはいわゆるアナリストとしての質を高め、ないしは一般の投資相談に応じているような向きに対して適切な育成を行なうというような観点から、投資顧問法の制定を必要とするのではないかという問題意識につきましては、私どももさように考えております。ただ、投資顧問法をいかなるスタンドポイントに立って、立法の内容を、たとえば投資信託委託業との関係あるいは証券業務との関係というようなこととの関連で、どういう位置づけを行ない、限定をしていくかという点につきまして、アメリカの投資顧問業の実態というようなものをいま勉強中でございまして、なかなかずばりまだよくわかったということになっていない面も実は残念ながらあるわけでございます。いろいろと勉強しておりますけれども、さようなことで、今回の通常国会にはそういった法案の準備は間に合わないと思うわけでございますが、今度の国会のあと続きましてその問題について検討を進めてまいる、こういうつもりでせっかく勉強中であることを御了承願います。
#32
○堀小委員 最後に、今度の証取審の専門委員会の中間報告を伺ったのですが、私は、さっき申し上げました監査基準の取り扱いのときに、当然やはり連結財務諸表をつけるべきだということを、もうすでに三、四年前に申しておるのですけれども、なかなかこの問題は進捗をしておりません。いまお話を承ると、税制上の問題もあってちょっと簡単にいかないというお話でありますが、税制上の問題というのは、これは大蔵省内部のことですから、やはりできるだけ早く私は処置をしていただきたいと思います。というのは、アメリカではそれは要求されておりますから、最近アメリカ市場でおそらく発行をしようというような会社は、当然連結財務諸表をつくらなければ上場も何もできないということになっていると思うのでありますけれども、だんだん国際化が進捗をしていく場合は、まず国内の問題もさることながら、国際的に要請されるものを、特定のものだけが連結財務諸表をつくって出しているなんということはどうかと思うのでありまして、ここらはひとつできるだけすみやかにやっていただきたい。それをなぜ私どもがそう申すかといいますと、さっき、確かに今度は関連会社の財務諸表もあわせて出していく。大蔵省へは出るでありましょうけれども、ところが一般投資家にはわからないわけですね。一々その子会社のやつの財務諸表がどうなっているのかというのはなかなかわからない。連結財務諸表になっていればこれは一ぺんに見られるわけですから、どうかここらについては、隘路もあるのでしょうが、特に税制上の問題であるならば、ここらはひとつ十分主税とも詰めていただいて、何とかひとつすみやかに連結財務諸表を求めるような制度の改善をしてもらいたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#33
○志場説明員 御趣旨につきましては全く同様に考えております。
#34
○堀小委員 終わります。
    ―――――――――――――
#35
○藤井小委員長 次に、前回の小委員会におきまして、金融に関する諸事項につき政府の報告を求めることといたしたのでありますが、この際、政府より説明を願います。近藤銀行局長。
#36
○近藤説明員 前回、堀委員から、西京都信用金庫の問題、ゼネラル・ベンディングにかかわる富士銀行の債権確保の問題、定期預金金利の問題について報告を求められましたことと、福田委員から、機械化に伴う銀行と顧客との間のトラブルの状況についての報告を求められましたことと、藤井小委員長より、全国銀行協会連合会に対する要望事項を申し述べられましたことと、それらに対しましての御報告を一括して申し上げたいと存じます。
 まず、西京都信用金庫の問題の経緯の概要でございますが、現在京都府警の手で捜査が行なわれておりますので、とりあえず中間的に、当局において承知いたしております範囲の概要につきまして申し上げたいと存じます。
 西京都信用金庫は、大正十五年、西院信用組合として設立されまして、昭和二十七年に金庫に転換したものでございます。この金庫の業況は、経営悪化が表面化する直前のことしの七月末に預金百三十四億円、貸し出し百十六億円、会員数五千二百七十八人でございます。
 この金庫の経営の行き詰まりの原因でございますが、これはなくなった方のことで恐縮ですが、前々理事長が同金庫の創立者の二代目でございまして、いわゆるワンマン経営を行なっていた。そして金融経験に乏しい特定の側近者で経営陣を固めまして、きわめて非常識な融資を行なってきたということに大きな原因があると考えられます。貸し出しの大口化、不良化ということがどんどん出てきたわけでございますが、これを貸し出しの小口分割や利息手形などの粉飾によって糊塗してきたわけでございますが、四十二年の暮れにこの前々理事長がなくなりまして、それまでこの理事長の個人的信用などによって維持されてきた面もこの金庫経営にはあったわけでございますが、そういう点もなくなりましたので、急激に悪化の度を強めてきたということでございます。特に残された常勤役員が債務者に引きずられまして、非常識な融資を重ね、不良貸し出しの増大によって資産内容を著しく悪化させるに至ったものでございます。当時の状況におきまして、不良と見られます貸し出しが五十億円余り、ほかに代理貸しにかかる債務保証見返りの債権、これが約十八億円でございます。これらの債権のうち、最終的にどの程度回収困難となりますか、これは今後の債権保全措置の進捗ぐあい等にもよりますので、目下のところまだ固まってはいない状況でございます。
 以上のような金庫の状況にかんがみまして、同金庫の問題の処理といたしましては、まずもって預金者に迷惑を及ぼさないということを第一義に考えた次第でございます。まず、本年の五月に、全信連は全信連京都支店長を金庫の副理事長として派遣いたしまして、経営管理に当たらせることといたしました。次いで八月には、地元の有力信用金庫でございます京都中央信用金庫が十九名の職員を派遣して、全信連と共同して経営管理に当たることとなって、現在に至っております。金庫の旧常勤役員七名は、八月十四日に全員責任をとって辞任いたしました。九月三日に新役員が就任いたしました。
 当局といたしましては、六月四日から同金庫の検査に入りまして、八月十五日で臨店検査を終えております。
 同金庫の今後の経営につきましては、経理の実体がある程度固まりました段階で、京都中央信用金庫と合併する方向で事態の収拾が行なわれるものと考えております。
 なお、旧常勤理事三名は、去る十月二十日に背任の容疑で京都府警に逮捕をされております。
 以上が西京都信用金庫問題の概要並びに経過でございます。
 次に、富士銀行がトムソンに対する債権のうち五億円をゼネラル・ベンディングという会社に譲渡したということについて、異例ではないか、おかしいではないかというような御意見がございまして、この経過を、まず富士銀行からの報告の概要を申し上げまして、それについての私どものほうの考え方をそのあとで申し上げたいと思います。
 まず、富士銀行からの報告に基づいて経緯を申し上げますと、トムソンの自動販売機によるコカ・コーラ等の販売は、経営者の問題を別にいたしますと、それ自体成長力のある将来性のある企業であると認めて、トムソンに対する不正融資が発覚後も、初めのうちは極力同社の再建をはかりまして、これによって同社に対する債権を回収しようと富士銀行はつとめたわけでございます。しかるにその後、トムソンから多数の簿外小切手が流出し、その額も把握できないというような事情が判明いたしましたので、同社の再建を断念することになったわけでございますが、その倒産によりまして、同社と日本コカ・コーラとの間に締結されましたいわゆるオペレーター契約に基づくコカ・コーラなどの販売権も同時に消滅ということになりまして、同社に対する債権の保全ができないことになるという事態になったわけでございます。
 一方、日本コカ・コーラにとりましては、トムソンの倒産によりまして自動販売機の調整が停止されまして、そのために粗悪品が出回るというようなことで消費者に迷惑をかけること、それからまたコカ・コーラのイメージ低下になるというようなことを勘案いたしまして、トムソンの倒産後も営業を続けるに足りる新会社をつくって、これにコカ・コーラなどの販売権を与える意向を持っておったわけでございます。
 他方、丸紅飯田が昭和四十三年以来この事業に関心を持っておりましたので、富士銀行から丸紅飯田に協議をいたしましたところ、丸紅飯田としても将来性を非常に高く評価して、ゼネラル・ベンディングの設立の中核に丸紅飯田がなるということに踏み切ったのであります。そこで、新会社の資本金一億円のうち四千万円を丸紅飯田が出資し、人事、会社運営に協力するということになり、本年の八月十日に新会社の設立を見、八月十四日に日本コカ・コーラとの間にオペレーター契約が成立したわけでございます。
 富士銀行は、八月十七日にゼネラル・ベンディングとの間に債権譲渡契約を締結しまして、同行がトムソンに対して有する債権のうちの五億円を譲渡いたしました。この譲渡代金は、銀行からゼネラル・ベンディングに対して八月十七日に五億円の貸し付けを起こしまして、その資金によって銀行が受領をするという形をとっております。したがって、富士銀行としては、トムソンに対する貸し付け金五億円がゼネラル・ペンディングに対する貸し付け金に振りかわったことになります。ゼネラル・ベンディングに対する貸し付け金は今後七年間で全額回収される計画であります。
 なお、債権譲渡に関する手続は適法に行なわれており、法的に問題はないという報告でございます。
 さらに、報告の末尾を御紹介申し上げますと、上記の経緯による債権譲渡につきましては、ゼネラル・ペンディングが取得したコカ・コーラ等の販売権は、日本コカ・コーラが優先的に、好意的に与えたものであるということ、それからまた今後の運営につきましては富士銀行が支援するということになっておるということ、したがってその代償として五億円の債権を譲り受けるということは理由のないことではなく、また五億円という金額についても、丸紅飯田の研究資料に基づいて事業計画を策定して、七年間で返済可能と判断されるものであるから、妥当なものであるという、以上が富士銀行からの報告の概要でございます。
 次に、当局としてのこれに対する基本的な考え方を申し上げますと、二つほどございまして、第一は、このような方法によってはたして七年間に確実に債権の回収ができるかどうか。これは今後の問題として十分注目してまいりたいと存じております。それから第二の問題点は、債権確保の方法として異例でございますだけに、他の債権者に迷惑を及ぼすことがないかどうか。これにつきましては特に私からも、他の債権者の言い分を十分聞いた上で処置するように申し入ればいたしておりますが、そして今日までのところ格別迷惑をこうむった向きもないというふうには聞いておりますが、この点につきましても今後さらに注意をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、第三の定期預金の金利に関する問題でございます。これはもう御承知のとおりに、各種の金融資産は、その安全性、流動性、収益性の組み合わせによりまして、期間、金利等の諸条件がきめられるものでございまして、一般には堀委員の御指摘のとおり、長期のものには流動化のための手段が備わっているわけでございます。ただ、長期の金融資産でございましても、個人の所得の水準状況、長期資本蓄積の可能性等から見まして、必ずしも流動化のための手段を備えておりませんでも、他の条件、たとえば高い金利を付するということなどによりましてその消化が可能な場合もあると考えられます。定期預金につきましても、個人の金融資産の蓄積がだんだん増大してまいっておりますので、期間一年をこえるものにつきましても、預金者の需要がございますれば創設するという考え方も成り立つものというふうに考えております。
 戦後、定期預金の最長期間が一年というふうにきめられてまいりましたのは、長短金融の分離の方針によりまして、主として短期の商業銀行業務を営む普通銀行における資金吸収手段としての預金の期間は一年以下のものであることが適当であるという考えで、そういうことになってきたわけでございます。定期預金そのものの性格からまいりますと、必ずしも期間が最長一年と限られたものでもないというふうに考えております。なお、もう御高承のとおり、諸外国、アメリカ、フランス、西ドイツ、イタリア等におきましては、定期預金について期限の上限はございません。一年をこえる定期預金もかなりございますことは御高承のとおりでございます。
 しかしながら、定期預金の期間は一方において長期になればなるほど、その流動性の欠除を補いますために通常は高金利をつけるということになり、これがいわゆる直間金融のバランスあるいは公社債市場の発展などに影響するという議論もございます。それからまた、各種金融機関の業務分野の問題、それから各種金利に及ぼす影響というようなことにも配意する必要があろうかと存じます。そういう点からまいりますと、長期化と申しましても、期間の長期化にはおのずから限度があるというふうに思われるわけでございます。
 そこで、定期預金の期間は最長一年として、それが一年をこえて現実に預けられた場合には、一年単位でか、ほかの方法でか、段階的により高い金利をつけていくことはどうかという御提案が先般あったわけでございますが、これにつきましては、戦時中、貯蓄増強のために郵便貯金について同様の方式がとられまして今日に至っているところからも、まことに示唆に富んだ御意見であると考えております。ただ一方においてたてまえ論がございまして、一年定期が継続される場合に、これによって預金者にとって預金が流動性を失う期間は向こう一年間にすぎず、銀行にとっても新たに一年間に限って資金の安定性を得られるものであるから、これに一年定期よりも高い利子を払うことは、拘束される期間を基準として定められるという金利の一般的性格から見て問題があるんじゃないか、こういうたてまえ論も一方において当然あるわけでございます。そこでなお検討を要する問題点であろうかと存じております。
 結論といたしまして、長期に預金する者に対して報いる方法としてどういう方法が最も適当であろうか。これは、報いるという方法自体は、現在銀行収益を大衆に還元するというようなことから申しましても、貯蓄増強というようなことから申しましても、ぜひその方法をとりたいというふうに私ども考えておりますが、その具体的方法をどうするかは、ただいまお示しの方法をも含めまして鋭意検討をいたしたいというところでございます。
 それから次に福田委員の御質問につきましては、委員長どういたしましょうか。
#37
○藤井小委員長 一緒にやってください。
#38
○近藤説明員 十月二十三日の当小委員会におきまして福田委員より、銀行事務の機械化に伴う問題について御質問がございました。また藤井小委員長から銀行の内部監査の充実等について銀行協会に対する御要望がございましたので、それらの事項について御報告申し上げます。
 福田委員の御質問の御趣旨は、銀行業務の機械化等に伴いまして、勘定残高をめぐって取引者と銀行との間で紛議が生じているようであるが、実情はどうかというものでございました。
 まず、現在銀行が電算機によりまして、当座預金を処理する場合の管理は次のようになっております。
 計算センターにおける管理といたしまして、当座預金取引はすべて計算センターの電算機に記録され、営業店には毎日の取引、及び一定期間――通常一カ月分でございますが――ごとの取引の明細表が送付されます。営業店は、計算センターから送付された個人別明細表を当座勘定元帳として編てつし、保管しております。したがって、顧客から照会があればこれによって答えることができるという仕組みにはなっております、なお、照会のあった時点における残高につきましては、営業店の端末機から計算センターの電算機に対しまして直接照会をして直ちに回答することができるということになっております。
 次に、照会や回答に伴うトラブルといたしましては、第一に、特に月末などの繁忙期に回答に時間がかかるというようなことで、事務処理に円滑を欠く例が見られるということでございます。これはいろいろ分析をいたしてみますと、業務の機械化が原因であるという場合よりも、最近における銀行の事務量の増大におもな原因がある場合が多いようでございます。銀行としては、平常照会の多い取引先については十分に連絡をとりましてトラブルの発生を避ける等、顧客に対するサービスには今後とも一そうの配慮が期待されるところでございます。
 第二に、電算機にデータを入れる前の段階で事務上のミスが生ずることが考えられます。たとえば、電算機処理の場合カナタイプを用いておりますので、振替事務におきまして口座の間違いが発生するということがございます。発音が全く同じで漢字が違うというような会社だとか、あるいは「オガタ」と「オカダ」の違いであるとか、そういったような間違い、このような口座相違に対しましては、銀行といたしましても事務担当者の資質の向上をはかりますとともに、預金者名と口座番号の照合を確実に行なうというようなことで、事務処理の基本動作を忠実に励行してまいる。そうして、データの誤りをなくするという努力が必要であろうかと存じます。
 次に、藤井小委員長の銀行協会に対する御要望は、銀行自身の検査の充実及び強制休暇制度について検討するということでございます。これらの問題につきましては、全国銀行協会のほうから、御要望の御趣旨を尊重して前向きに検討するということで、次のように申してきております。
 まず、銀行自身の検査の充実につきましては、各銀行においてすでに検査の体制を改善強化しつつありますが、銀行協会の会合におきましても、検査体制や内部牽制組織などについて相互に情報交換を行ない、他の銀行のよりよいシステムを取り入れることを考慮しておる。なお、協会の側におきましても、たとえば検査のチェックポイント等については大蔵省の指導を希望しております。
 次に、強制休暇制度につきましては、銀行協会において新たに人事専門委員会、これは十月十九日に設置されました。都銀、長銀、地銀、信託など二十五行の人事担当部長をもって構成しておりますが、これを設置して、この問題について検討を行なっておるようでございます。この委員会におきましては、このほか人事管理のあり方や行員研修体制の改善充実などにつきましても検討することになっております。
 以上、御報告を申し上げた次第であります。
#39
○藤井小委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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