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1970/05/13 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号
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1970/05/13 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号

#1
第063回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和四十五年三月二十日(金曜日)
委員会において、設置することに決した。
五月七日
 本小委員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      宇野 宗佑君    佐伯 宗義君
      地崎宇三郎君    中島源太郎君
      丹羽 久章君    坊  秀男君
      森  美秀君    山下 元利君
      吉田  実君    中嶋 英夫君
      広瀬 秀吉君    八木  昇君
      貝沼 次郎君    春日 一幸君
五月七日
 山下元利君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
―――――――――――――――――――――
昭和四十五年五月十三日(水曜日)
    午前十一時七分開議
 出席小委員
   小委員長 山下 元利君
      地崎宇三郎君    丹羽 久章君
      坊  秀男君    森  美秀君
      吉田  実君    広瀬 秀吉君
      貝沼 次郎君    田中 昭二君
      春日 一幸君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      高木 文雄君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        国税庁長官   吉國 二郎君
 小委員外の出席者
        大蔵委員長   毛利 松平君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
五月十三日
 小委員中島源太郎君及び丹羽久章君同月八日委
 員辞任につき、その補欠として中島源太郎君及
 び丹羽久章君が委員長の指名で小委員に選任さ
 れた。
同日
 小委員貝沼次郎君同日委員辞任につき、その補
 欠として田中昭二君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
同日
 小委員田中昭二君同日委員辞任につき、その補
 欠として貝沼次郎君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 税制及び税の執行に関する件(税務執行の現況
 と問題点)
     ――――◇―――――
#2
○山下小委員長 これより税制及び税の執行に関する小委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 今般、各位の御推挙によりまして小委員長に就任いたしました。各位の御協力を得て職責を果たしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。
 まず、税務執行の現況と問題点について政府より説明を求めます。吉國国税庁長官。
#3
○吉國(二)政府委員 税務執行の現状につきまして、四つの観点から御説明を申し上げたいと思います。
 第一は、税務職員の定員の現状とその問題点、第二は調査執行の問題点、第三は納税道義の高揚という問題につきましての各種の問題点、最後に、定員はいろいろとございますけれども、要員を確保することが非常に困難でございますが、その要員確保についての問題点。この四つについて概略の御説明を申し上げたいと思うのでございます。
 第一の、税務職員の定員とその問題点でございますが、御承知のように税務職員の定員はこの十年間に約千名足らずの増加があっただけでございます。その間わが国の経済は高度成長を遂げ、課税物件、納税人員ともに非常に増加をいたしております。それに比べますとこの定員の増加程度というものはきわめて少ないのではないかという感じがいたします。すなわち、昭和三十年に定員が五万三百三十四名でございましたが、それが現在では、四十五年度の予算に計上されたところで五万一千三百二十五名、ちょうど九百九十名程度の増加でございます。この間、御承知のように徴収決定税額は十年間に約六倍に達しております。申告所得税の納税義務者数も約六割五分増加をいたしております。さらに法人数におきましては二倍をこえることになっておるわけでございます。それに対して定員の増加は二%であるというのが現状でございます。
 ただ、一方におきまして、現在総定員五%削減という方針がとられている現下の情勢におきまして、四十三年度に百八名、四十四年度に四十六名、四十五年度には二十名と、わずかながら増加の傾向をたどっておりますのは、関係方面の税務に対する特別の理解であるというふうに私どもも感謝はいたしておりますが、遺憾ながらこの定員は私どもとしてはなお不足ではなかろうかという感じを持っております。ことに納税者数の増加だけではなく、最近におきましては企業規模の拡大とともに、経済取引も複雑化いたしまして、調査の困難性というものは飛躍的に増大をいたしておりますことを考えますときに、単に数字が少ないということだけではなく、質的にも大きなアンバランスを生んでいるのではないか、かように考えるわけでございます。
 しかして、この納税者数の増加とか、あるいは経済取引の拡大といった面は主として都会地に生じてまいります。また、しばしば御指摘を受けますように、直税関係の税額の拡大というものが非常に大きいわけでございます。したがいまして、この定員は内部的に見ますと、さらに地域あるいは職域間のアンバランスを生んでいることも事実でございます。そういう面で、国税庁におきましては、この定員の中で税目別の再配置、さらに地域間の再配置を行なってまいったわけでございます。
 すなわち、第一に直税部門に定員を増加し、間税徴収の部門につきましては事務の簡素化をはかってこれを削減をするという方向をとってまいります。たとえば昭和三十年度から四十四年度の間に直接税の従事員は約一割五分程度増加をいたしておりますが、それに対しまして、直税系統以外、つまり間税徴収関係におきましては一割二分程度の減少を来たしております。この差額は先ほど申し上げました千名の増加分、これがすべて直税に振り向けられている現状でございます。
 それから地域的な問題といたしましては、巨大都市をかかえておりまする東京、大阪、名古屋の三局に対して定員を増加をいたし、その分を地方において削減をいたしております。そこで東京、大阪、名古屋局の定員を見ますと、昭和三十年度には二万四千八百人でございましたのが、昭和四十四年度で二万八千二百人弱となっております。そのかわりにこの三局を除く他の地方局の定員は、三十年度に二万五千五百ございましたものが現在は二万三千百という減少を来たしておるわけでございます。つまり都市局三局で三千三百六十六人の増加がございました。それに対しまして、他局においてはざっと二千四百人程度の減少があるわけでございます。またその差額は一千名の定員増加でございます。それを全部都市局に振り向けるという結果になっております。
 このような定員の再配置をいたしてまいっておりますけれども、ここで大きな問題となっておりますのは、定員は再配置をいたしますけれども、第一線の職員を局間において異動をするということがきわめて困難でございます。しかも主として東京、大阪、名古屋の三局に、定員が削られた九州、北海道地区から実際に転勤をさせるということには非常に大きな困難が伴います。そこで実際の動き方といたしましては、新しく採用をいたしまして税大で教育をいたしますこの新規参入者をできる限り東京、大阪、名古屋の三局に配置をすることにいたしてまいりました。その結果として起こってまいりましたのは、各局間における年齢構成のアンバランスが非常に激しくなることでございます。東京局、大阪局におきましては若年層が第一線職員の半数近くに達するという状況になっておりますのに、九州地区のごときは三十歳をこえる職員が大部分であって、若年層が非常に少ないという状況になってまいります。今後何年か推移をいたしますと退職者の集中というようなことが起こってまいりまして、非常に大きな問題を起こす可能性がある。これをいかに打開するかが現在非常に大きな問題であると思います。ことに東京局におきましては、現在東京の高校から税務職員を志望する者が非常に少ないわけです。毎年六百人程度の新規採用者を東京局に振り向けておりますけれども、その中で東京局管内から入る者は百名に足らないわけです。これをすべて九州なり北海道あるいは東北からまかなっておるという状況でございまして、このために毎年非常な困難をおかしまして、予算の制約のもとに、独身寮をつくり、その独身寮に入れなければならないという状況でございます。今後この若年層が結婚適齢期に達した場合を考えますと、宿舎関係その他には大きな困難が生じてくるのではないか。こういう点が今回、あとで申し上げます専門官試験という制度をとらざるを得なくなった一つの原因でもあるかと考えております。
 このようにいたしまして定員の再配置を行ないますと同時に、その裏側としては事務の簡素化というものをはかってまいりまして、その簡素化の一つの手段としては、都市局、ことに人の少ない都市局におきましてコンピューターを大幅に導入いたしまして、内部的な事務をコンピューターによって代行させるという方向を今後も拡大してまいりたいと思います。これは本年度並びに来年度から、東京、大阪局においては主要税務署に対して一斉に実施をする考え方で進んでおります。しかし何と申しましても、この納税者の増加というものに対応する現在の定員の状況ははなはだ窮屈といわざるを得ない。もちろん経済が拡大していくに伴ってそれに応じて人員をふやすということは不可能なことでございます。しかし税務行政のような分野におきまして、他の行政分野と全く同じ考え方で定員を考えていくということには実は無理があるのではないか、私はかように考えるわけでございます。今後も各方面の御理解を得たい、かように考える次第でございます。
 第二番目に、税務調査の現状と今後の問題について申し上げたいと思います。
 ただいま申し上げたような状況でございますから、納税者に対する調査人員の状況というのはかなり窮屈な状況になっております。たとえば申告所得税関係の従事員は、課長を除きました実際の調査員にいたしますと、総定員の一六・九%の八千六百名でございます。これを有資格の申告納税者に対しまして割ってみますると、一人当たり四百五十二名という分担になるわけでございます。非常に大きな分担を持たされておると言うことができると思います。勢い実調率というものも下がってまいっておりまして、所得が百万以上の者に対する実調率は四十三年度において一五%という程度にとどまらざるを得ないのであります。しかし実調に基づく更正決定というものはきわめて少ないのでございまして、四十三年度において全国で件数にいたしまして三万二千件、しかしこのほかに修正申告を慫慂して修正申告を行なわせたものが十四万四千件という数字になっております。
 次に法人税でございますが、法人税につきましては、急速に法人数が増加いたしますので思い切った定員の再配置を行ないました結果、現在法人関係職員は、税務署において九千五百九十七名、局調査課におきまして千二百八十七名となっておりまして、合計で一万八百八十四名。これに対しまして法人数は、局署合わせまして九十九万三千八百という数字になっておりますから、職員一人当たりの法人数は、署においては百二件、局調査課においては十一件という程度でございまして、所得税に比べて一人当たりの件数はかなり少なくなっております。したがいまして、実調率も全体の法人に対しまして、署所管におきましては一五%、局所管つまり調査課におきましては二八%と、かなり高い率で推移をいたしてきております。
 なお、法人と個人の違いと申しますのは、法人におきましては調査をいたしましたものに対して原則として更正決定を行なっておりますので、更正決定件数は十八万三千件、これに対しまして修正申告は三万一千件ということで、これは所得税と全く逆の関係になっております。これは、主として法人は経理組織も充実しているし、専門の経理職員もいるという前提で、間違いがあれば直ちに更正をもって正せばよろしいという考え方が基礎にあったわけでございます。
 以上のような状況をごらんいただきますと、調査の度合いがきわめて少ないではないかということが問題になるかと思いますが、この調査度合いを現状において引き上げていくということはきわめて困難であると思いますし、またその必要もないのではないかと思います。と申しますのは、本来申告納税制度を採用いたしました以上、その主眼は、納税者みずからの申告によって大部分の税額が納付されるということに置かれなければならないと思うのでございます。単に調査をもって税額を徴収するという考え方では、申告納税制度における税務行政とはほど遠いものにならざるを得ないと思います。もちろん、申告納税制度を最初に採用いたしました時期におきましては、申告というものがほとんど出ないという状況でございましたので、更正決定件数三百万件というような時期がございました。これは大体昭和二十二、三年ごろにおきましては、更正決定件数が所得税だけで二、三百万件にのぼるというような状況で、ほとんど賦課課税と変わらない状況でございます。
 しかし、昭和二十四年に国税庁ができまして以来、申告納税の形をできるだけ早く実現するということで、一方におきましてはシャウプ勧告に基づいて設けられました青色申告制度を育成する、片方においては従来行なってまいりました調査に基づく更正というものをできるだけ事前に納税者に話し、それによって申告そのものを高い水準で行なってもらうという方向をとったわけでございます。これがいわゆる納税期待額通知というものでございますが、これが数年続けられまして、これは大蔵委員会で御指摘を受けて、この形は決して申告納税の本旨ではないということから、具体的な数字を納税者にあらかじめ通知することは中止いたしましたが、その間に納税者の申告水準は昭和二十二、三年ごろに比べてきわめて大きく変化をいたしまして、相当申告が得られるようになったのは事実でございます。
 そこで、その後におきましては、主として抽象的な申告指導、納税者の方々に申告期に税務署においでを願って、そうして場合によっては帳簿等を御持参をいただいて相談に応じて申告納税を果たしていくという方向に現在進んでおるわけでございます。もちろん申告納税制度の理想から申せば、そういう手続を一切廃止をしまして、むしろそういう手続は専門の税務補助者である公認会計士、税理士という皆さま方にやっていただくというのが筋であろうかと思いますが、現状においては当分この制度を続けざるを得ないのではないだろうか。しかし主眼はあくまでも申告納税制度を実現するということでございますので、調査につきましても、調査をしっぱなしではなく、調査を一ぺんすれば翌年からは同じあやまちを繰り返さないという程度のしっかりした指導をするということを主眼にいたしておりまして、今後法人につきましても更正決定を直ちに打つという方向でなく、調査内容を納税者に示して修正申告を出すという方向を強めていく、それによって指導強化をはかっていきたい、かように考えておるわけでございます。
 なお、間接税事務につきましては時間がありませんので省略をさしていただきます。
 次に、納税道義の高揚について申し上げたいと思います。申告納税制度を維持するためにはどうしても納税者の納税道義の高揚が必要であると思いますが、この方向を二つの方向で私どもは考えておるわけでございます。一つは、悪質の脱税者を徹底して追及して告発し、訴追するという方向、もう一つは一般的に納税者の納税道義を高揚する広報手段をとるという二つでございます。
 第一の方向といたしましては、御承知の、全国に五百六十名に達する査察官を置きまして、悪質な納税者に対しては徹底した調査を行なって告発をやっております。四十三年度におきましてはこの五百六十名の査察官によって摘発された脱漏税額が六十億円にのぼっておりました。一件当たりの脱漏税額は五千二百万円という額に達しております。これは年々増大をいたしておりまして、この面から納税者に対して、悪質な脱税は引き合わない、また悪質な脱税はあくまでも追及されるという意味で大きな影響を与えていると思うのでございます。
 次に広報関係でございますが、何と申しましても申告納税制度が適正に行なわれるためには、納税者の御協力と申しますか、納税意識というものが向上されなければならないということ、これは自明のことでございます。結局においては、現在の租税というものは、これは釈迦に説法を申し上げて恐縮でございますが、国民がみずからの共通の費用を分担をするという精神に立って、進んで納税義務を果たすという精神ができなければ申告納税というものは成功しないし、またその精神があってこそ、租税制度、さらには財政制度の民主主義化というものも実現されると思うのでございまして、そういう意味において、広報活動については相当な努力を今後とも続けてまいりたいと思います。現在徴税費の予算は百円当たり一円四十七銭という数字になっておりますが、その中で広報関係の予算というのは総徴収税額に対して実に〇・〇〇二六%でございます。広告宣伝費としてはたいへん低い数字になっております。もっと大きな広報を展開する必要があるのではないか、かように考えております。
 さらに、最後に要員の確保と処遇の改善について申し上げたいと思います。要員の確保について特に申し上げますのは、最近において離職率が非常に高くなってきたということでございます。従来は、離職率は現員に対しまして大体二ないし三%で推移してまいりましたが、この二、三年来非常にその率が上がってまいりました。昨年の離職者は千九百二十二名、離職率は四・〇六%という高まりを示したわけでございます。これには税務職員の職員構成、年齢構成の特殊性によるものが非常に多いわけでございますが、それは、戦後地方税との分離をいたしました結果、急速に税務職員をふやしました。二十一年から二十五年の間に実に三万四千人の新規採用者があったわけでございます。当時二万数千の定員が一挙に六万に達したのはこの時期でございます。この人たちがようやく現在二十年をこえる、いわゆる離職の年齢層にじりじりと達してまいりまして、そのために離職者が多いということになったわけでございまして、これは数年なお引き続く可能性があると思うのであります。
 これに対しまして普通科、いわゆる税大普通科生と申しますのは高校卒業生でございますが、従来は千四百人程度の採用をいたしておりましたのを、ことしなどは千七百二十七名と、いまの施設ぎりぎりまでの人員をとって補充につとめておりますが、なおこのままでは不足するという状況でございますし、特に非常に心配な点は、従来、二、三年前までは応募者が十倍くらいございましたものが、昨年は六・五倍に減少いたしております。これはいわゆるベビーブームが去り、絶対数が少なくなっているのに加えまして、進学率がどんどん高まっているということのために、高校から就職をする者の数が急速に減っているということになるわけでございますので、今後の採用として非常な不安を持つわけでございます。
 そこで、その対策といたしまして、ことしからいわゆる国税専門官採用試験制度を実施したわけであります。国税専門官採用試験と申しますのは、従来上級乙または中級試験で採用していたものにかえまして、税務専門に就職をしようという大学卒業生に門戸を開きまして、非常にむずかしい試験で採用いたしました後、三年程度の実務経験を終えて半年の専門研修を行ない、専門官として採用するという制度でございます。ただ、これは上級職試験とは違いまして、いわゆる幹部職員養成のためではなく、税務第一線職員の中に大学卒業生を漸次取り入れていくという一つの方策としてやったものでございますが、今後の雇用情勢等を考えますと、全く大学卒業者をとらずに要員を確保していくことは非常に困難であるという実情からやむを得ない措置であると考えております。これに対しましては、在来の職員がかなり反発を感じているのも事実でございます。しかし、これに対しましては、この専門官制度をさらに拡大することによりまして、一般の現在いる要員の処遇をできるだけ改善をするという方向で対処していくべきではないかと思います。なお、今後とも高校卒業生が税務職員の中心をなしていくことは、たとえ専門官採用試験制度を採用いたしましたにいたしましても、これは続くことは間違いない点でございまして、今後、募集活動等についてさらに強化をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 最後に、税務職員の処遇の改善について申し上げたいと思いますが、税務職員は実際に調査に当たりますためには、対象が最近のように経済拡大によって非常に複雑化してまいりますと、非常な常識と専門知識を必要といたします。さらに、何と申しましても精神的なストレスの非常に大きい部門でございます。そういう意味では、一般の行政事務よりは、てまえみそではございますが、私どもは、非常に困難性が高い、かように考えております。実際、いま税務職員につきましては一般の行政職よりも若干高い税務俸給表が適用されておるわけであります。これはいわゆる二号差ということをいわれておりますが、ところが、遺憾ながら一般の給与水準が上がってまいりますと、二号差というものが実質的にはだんだん縮小されてくるという傾向にならざるを得ない。この制度が採用されました昭和三十二年当時に比べますと、税務職員の優遇度合いというものはぐっと下がっております。これを今後いかにしてもとへ戻すかということが、私どもとして今後の税務職員の要員確保、離職対策として絶対必要なことではなかろうか、かように考えておるわけであります。
 単に俸給だけではなくて、処遇改善の一つの方法といたしましては、上級の俸給をできるだけ獲得する必要があるわけでございまして、従来税務署におきましては課、係という制度がございます。係長のもとに係官がいるということになりますので、係長の下にいる限りは係長のいわゆる四等級というものをこえることができないという制約がございます。それに対しまして、数年前からいわゆる専門官制度というものを採用いたしまして、国税調査官というような名称のもとに係制度を廃止して、従来の係員であっても専門官として係長以上の職級に達し得るという制度を進めてまいりました。漸次これがふえて、現在は一万をこえる人数になってまいりましたが、この方向をさらに改善をしていく必要があるかと思っておる次第でございます。
 なお、最後に申し上げておきたいと思いますが、先ほども申し上げました専門官採用試験というもので、大学卒が早く専門官になるということに対する部内の手当てといたしましては、とりあえず一般職員が専門官に昇任する最も近道である税大の本科採用を、従来十年経験があった者という制限をつけておりましたのを、四十五年度におきましては九年、さらに四十六年以降は八年に短縮をすることに決定をいたしまして、これによって、努力をすれば現在の部内職員も損をしないという体制をつくり上げたいと思いますし、さらに現在二百名の定員でございますが、これを四百名ないし六百名に将来拡大をしたいということで検討を進めておる次第でございます。
 以上、たいへん簡単でございますが、現状並びに問題点について御説明をいたした次第でございます。
#4
○山下小委員長 以上をもちまして政府の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○山下小委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。春日一幸君。
#6
○春日小委員 私はこの際、宗教法人がお布施またはおさい銭の名において収得をいたしました金品を政治活動または政治資金に充当いたしました場合における税法上の制度の是正について、ここに私の意見を述べつつ政府の見解をただしたいと思います。
 そもそも税法上最大の支柱と目されるものは公平の理念でございます。すなわち所有のある者に課税をなす、このような理念に基づいてそれぞれの根本的な原則が立てられ、それに基づいて現行税制が組まれておると思うのでございます。したがいまして、所得があるにもかかわらず、これに対して非課税の措置を行なうということでありますならば、それはよほどのことである。かつは、そのことが全国民がまあまあと納得できる限界のものでなければ相ならぬでございましょう。こういうような考え方を前提といたしまして、この際、宗教法人に対する現行の課税制度をあらためてながめ直してみる必要がありはしないか。問題点はここでございます。
 すなわち、宗教法人がお布施またはおさい銭等の名において収得した金品が、現行税制上では法人税の課税圏外に置かれておるのでございますが、このことは、お布施やおさい銭は万人が見て課税すべきではない、すなわち非課税にするのが当然であると認め得るのは、そのお布施やおさい銭が宗教法人の行なう宗教事業の活動資金として充当されるという根本的な大前提というものが担保となるものでございましょう。したがいまして、その根本的前提を欠くということになりますならば、お布施やおさい銭等を非課税にするというその理論的根拠というものはここに失われてしまうと思うのでありますが、これに対する政府の見解はいかがでありますか。
#7
○福田国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でありますが、宗教法人に対しましては、公益部門には課税はしない、しかし収益部門には課税をいたします、こういうたてまえをとっております。その公益部門、これは財源はお布施でありますね。そのお布施を財源として行なうところの宗教活動であります。これをまあ無税であるというたてまえをとっておるわけでありますが、これは信教の自由というか、憲法の精神と非常に深い関係がある、こういうふうに見ておるのであります。現行法はそういうたてまえであります。それじゃ立法論はどうだ、こういうことになってくるのだろうと思いますが、立法論といたしましても、信教の自由という問題、布教活動と課税、これはもちろんおっしゃるとおり公平の原則ということもありますが、これが非常な交錯をする、その辺になかなかむずかしいところがある、こういうふうに考えておるのであります。
#8
○春日小委員 ただいまの御答弁も、すでに先回の私の内閣に対する質問書への答弁の中に若干同工異曲のことが述べられております。そこで、宗教法人のお布施またはおさい銭の名で収得した金品が、何らかの面で本来の目的たる宗教事業をささえる、維持する、発展に資する、こういう意味を持つものでございますならばだれも文句はございません。しかし本来の目的とは全く無関係な使途、たとえば政治活動や政治資金に充当されるのでありますならば、これを非課税としなければならないいわれが全くないものと断ずべきである。問題はそこでございます。すなわち目的外用途である政治活動や政治資金に充当されたお布施やおさい銭、これは普通法人と同様に事業益として法人税の課税対象とするのが当然ではないであろうか。ただいま大臣は立法論としてと申されたのでございますが、そこになお相当未そしゃくなものが立法論それ自体にもあると私は思うのでございます。
 その点を指摘したいと思いまするのは、お布施やおさい銭が宗教事業に充てられる場合には、これは非課税である。それはどうしてそういうふうにしておるかといいますと、いままでの政府の考え方は、それが収益事業から生じた所得ではないという理由のみで非課税とされておる、こういうふうに割り切られておるきらいが絶無ではない6このけじめがこの問題の焦点になりつつあるのではないかということなんでございます。税法はそこをにらんで制度を立てなければならぬのではないか。と申しまするのは、宗教法人の所得に対する課税の有無は、いままではそれが収益事業から生ずる所得であるかどうかというこの柱一本みたいでございましたけれども、さらにこれに何らかの柱を新しく加えて、租税公平の原則の上に立って、立法論的にさらに精査検討を加えるの必要はないか。その検討すべき方向は、それは宗教法人本来の事業である宗教事業に使われているかどうかという問題なんでございます。非収益事業から発生した所得であるから、したがってこれを非課税対象に置くというのではなくして、その所得がすなわち宗教法人本来の目的に使用されておるのかどうか、こういう基準をも新しく導入するの必要はないかという問題なんでございます。すなわち、たとえて申しますならば、マルクス・レーニン宗というような宗教団体が後日新しくできたとする。そこでその宗教活動で、お布施なりで資金を自由自在に集めて、それを共産主義の政治活動に充当しても、これは何ら税法上の課税対象にならないというようなことは、これはやはり――なるほど信教の自由の原則はあるけれども、憲法第十二条では自由の乱用禁止の原則というものがあるのであります。したがいまして、いかに基本的人権ありといえども、これは公共の福祉の名において、ある限界において制約を受けることは当然の事柄である。そういう意味でこのお布施やさい銭というものを、お布施を出した諸君はそのような政治活動に使われるがために寄付しておるかどうか、また宗教法人法はそういうことを念頭に置いて、さらにそのことをも包含して非課税措置をとっておるかどうか、この段階においてはあらためてこの点について検討し直すべき必要があると私は思うが、この点いかがでありますか。
#9
○福田国務大臣 第一に、問題の本質は、税法というよりはむしろ宗教団体とは一体どういう性格のものであるかというその実質、実体論にあるのじゃないか、そういうふうに思います。宗教法人として国家がこれを庇護するという立場、これは信教の自由を尊重する立場にもあるわけであろうと思いますが、その宗教活動というものが、国家が考えるところの宗教活動の範囲を逸脱しておるという際に、宗教団体というものの扱いをどうするかという実体論に問題の根源があるのではあるまいか、そういうふうに考えます。
 第二は、まあその問題はそれとして、さあ現行法というか現行の宗教団体体制のもとにおきまして、お布施を財源とする宗教活動が一般世俗にいうところの宗教と違って他の目的に出動する、たとえば政治団体に寄付を行なうというようなことなどがあるとする。その場合に、今度は何が一体宗教活動の中でありあるいは宗教活動の外であるかという判定、これはまた非常にむずかしい問題であり、宗教団体の財政、公益部門の財政全体をせんさくしなければならぬ、こういうことに相なろうかと思うのです。これは実際問題として非常にむずかしい問題に発展し、これがまた宗教団体の性格論、また憲法論というものと衝突する、あるいは錯綜するという場面が出てくる。そういうところにこの問題の把握の非常にむずかしい点があるということを申し上げておるわけです。
#10
○春日小委員 戦後の長きにわたりまして踏襲されました制度を新しく是正するの必要はないかという理論でございますから、したがって現行制度を変えるというのでありますから、それについては相当の困難性があることは当然の事柄でございます。ただ、さきの政府答弁書でも本日のこの答弁でも述べられております点は、依然として進歩がない。
 述べられておりますことを一口に集約いたしますと、すなわちその具体的な支出が目的外の支出であるかどうか判定することは、実際問題として判定が困難だと第一点に述べられておる。
 第二には、「ひいては課税当局として、一般的に公益法人等の活動が設立目的を逸脱しているかどうかを判断することを余儀なくされることになるおそれがある。」したがってそのことは宗教法人全体の運営を云々、こういうようなことが懸念されておるようでございます。
 しかし私は、そこでさらに百尺竿頭一歩を進めて、お互いに努力の方向を定めたいと思うのでありますが、宗教法人が政治結社に対し金品の寄付を行なう事実関係について、これが宗教法人の目的外の支出であるのか、あるいはそうではないのか、これを判定することがどうして困難でございますか。私はこういうようなことは、たとえば郵便局で汽車の切符を売っておるというようなもの、あるいは駅で切手やはがきを売るという、ことほどさように一目りょう然に判定いたし得る問題だと思うのであります。すなわち政治結社を結成して、そうして政治活動資金を得る。宗教法人は第一条の目的に基づいて宗教教義を宣布し、あるいはこれを維持していくということのために、そういうような所得に対して非課税措置がとられておるのでございますね。だから私は、困難だと言っておられるけれども、困難だというならば何事だって全部困難たらざるはないのである。その困難を克服し、鉄則に基づいて万民の納得できるような方向で制度をつくっていくというのが国家並びに国会の責任であると思うのです。
 そういう意味で私が強調しておりまするのは、現行制度ではいろいろむずかしい問題があるが、それらの問題を適当に処理しながら、そしてこういういろいろと国民として納得のできない、言うならば何となく胸に一物未そしゃくなものが残る。たとえばある宗教団体のごときはお布施、さい銭の名において数百億円の金を集めて、それが各銀行に分散預託をされておる。そこの中からときには政党に対して献金がなされる、あるいはそれが支持する政党の政治資金として流用されておる、こういうものに対して税金がちっともかからないんだというようなことは国民が納得しませんぞ。だから鉄則に基づいて、所得のあるものには課税をなす、しこうして宗教法人がその目的外の用途に充当したもの、これについては現行税制上は課税を行なうことができないのだが、祖税法定主義の原則に基づいて現行制度を変える、こう言っておるのでございますから、この点はひとつ十分御理解を願いたい。
 ちょっと集約して申しますると、私が指摘しておりまするのは、今後のために適切な税法を新しく制定せよということなのであります。よろしいか。もしも課税当局の税の執行が宗教法人の機能をそこねるようなおそれがあるとするならば、そこねないように立法すればいいじゃございませんか。信教の自由というものは憲法に保障されたる厳然たる基本的人権である。だから、そのような目的外に充当したおさい銭が課税の対象になるということで、徴税当局がいろいろ調査する過程において宗教法人の活動全面をいろいろと調べなければならぬ。そのことが特に宗教法人の機能を阻害するのおそれありということが懸念されるとするならば、あらかじめそのようなことに至らざるよう十分な配慮がなし得ると思う。徴税制度というものは、国民の財産権について、贈与からあるいは遺産相続からあるいは法人、個人、あらゆる面にまたがって、すなわち租税負担公平の原則を貫くためにきわめて困難なる立法作業が、法律、政令、通達、各段階にまたがって、これが不十分ではあるけれども、この公平の原則を堅持することのために立法がされておる。したがって、この宗教法人だけに対して、今日数百億円の金を国民からおさい銭で受けて、それが銀行に預託されて、それが政党に献金されて、不覊奔放な潤沢な政治活動がなされておっても、これに対して何らの課税が行なわれないというこの現実をとらえて、何らかの措置をとり得ないはずはないではないか。
 私は具体的なことを申し述べて御参考に供したいと思うが、すなわち、ここに税制調査会の資料として述べられておるシャウプ勧告にこういうことが述べられております。すなわち、シャウプ使節団の日本税制報告書ではこういうことをいっておる。「公益法人に対する非課税の取扱いは、特にその設立後における活動に関し、なんら監督が行われていないから、速やかに調査検討を要することは現地調査の結果明らかとなっている。事実、現行法のもとでは、大蔵省はかかる免税を附与することに対する監督権をなんら有しないし、またかかる法人の活動を事後審査するいかなる権限をも有しない。このような事態を是正するために、租税法規は、まず法人が租税を全部または一部免除されて運営され得る目的および趣旨を明瞭かつ具体的に規定するよう改正さるべきである。しかして大蔵省は、法人がかかる法的免除を附与さるべきか否かを決定する唯一の権限を与えらるべきである。免税を要求しようとする一切の法人は免税証明書の交付を大蔵省から受けることを必要とすることとすべきである。これは、現在免税を認められている法人をも含む一切の法人が必要とすべきである。免税の資格は、当該法人の過去の活動が関係法規のもとにおいて免税を認められるべき理由であるかどうかを判定するために、三年毎に審査されることになるであろう。」かくのごとくあるべしと勧告をなしておるのである。
 少なくとも私は、ここにこのシャウプ税制調査団が勧告したような勧告を受け入れていくならば、私もこの勧告をいろいろと精査をしてみたんだが、これを集約すれば三つの条項になろう。すなわち、一つは、公益法人の免税資格は大蔵省が個々に公益法人の審査をした上で個々に与えるべきである。二は、免税資格の有効期間を三年として三年ごとに免税資格の更新について審査を受けるべきである。三には、このような免税資格を受けられない公益法人は普通法人と同様の課税に服すべきである、こういうことなのでございますから、この三つの原則は、私も何もシャウプ勧告、トラの威をかるキツネというものではございませんけれども、だれの勧告でもまずはかくのごときものは納得できるじゃございませんか。このようなポリシーを貫くものは、すなわちおさい銭が宗教活動に使われるならばよろしい、これは信仰の自由の原則に基づいて大いにやってもらう、課税はしない。けれども、その名前でおさい銭をとっておいて、その名前で政治活動をやるなんというようなものは課税対象にすること、何をかためらうか。だれがそれに文句を言うか。信教の自由のいずこの場面を侵害することになるか。私は何にもそんなことは問題にならぬと思う。この点について大臣の所見はいかがでありますか。
#11
○福田国務大臣 お話の趣旨はよくわかりましたが、しかし問題は、先ほども申し上げた、繰り返しになりますが、宗教活動とはそもそも何ぞやという宗教団体の法制、そこに問題があるように思うのです。
 それからもう一つの問題は、かりにそれを別にいたしましても、今度は課税をいたすという際に、さてその目的外なりやいなや、この判定につきまして、春日さんはばかに簡単に判定がつきそうなことをおっしゃいますが、これはそう簡単じゃない。もし表にちょっと頭を出したというだけのものをとらえて課税の対象として検討するというならば、その奥に隠れておるものとの権衡いかんという、あなたの御指摘する不公平、これがまたそこに出てくる、こういうふうに思うのです。終局的には宗教団体の財政全部を洗わなければ、この課税というものは公平に、適正にできない、こういうふうに思われるわけです。
 ですから、基本的に申し上げますと、立法論とするとその基本法の問題、また税の問題、いろいろ両面において議論もできる、また考え方も成り立ってくると思うのです。しかし、成り立つにいたしましても、立法論としてもかなりむずかしい問題が伏在しているなという感じを持っているのです。そういうお答えを短い文章で、あなたの御質問に対していたしておるというのが現状でございます。
#12
○春日小委員 私は、信教の自由も、これは国民に保障されておる基本的人権としてきわめてとうといものである。同時に国民に対する基本的人権、これもまた、すなわち財産権、生命権というものが保障されておるとうといものである。ところが国民は、あらゆるみずからの所得に対して――いま大臣は、宗教法人の経理全体を洗わなければ、頭の出ておる所得並びにそれに従属する所得、埋没しておる所得というものは把握できないと言われておるけれども、われわれ一般国民は、すべての所得について差し押え、競売なんというようなことで、国家権力によって、法の前に国民平等の原則を維持するために、そのような調査を受けておるのである。すべての国民が法によって調査をされておるのだから、したがって宗教法人といえども、信教の自由は厳然たるものではあるが、同時に国民の基本的財産権というものは基本的人権として厳然たるものである。同じく厳然たるものが十分の調査を受けておるにかかわらず、宗教法人だけそれを宥恕しなければならぬという積極的理由は何もない。
 私が言っておるのは、怪しいものはこれを取れというのではない。少なくとも政治資金規制法によって届けられておるもの、これは厳然としてあるのです。あるいは政党に対してこれこれの金が献金されておるというようなもの、そういうような一目りょう然たるものからでも捕捉することによって調査を行なうことを何をかためらうか。私は昭和三十一年の文教委員会において決定されたことは、宗教法人が何だか治外法権みたいになっておる、こういうことは適当じゃないと言っておるのです。私はかつて書記長在任時代においても、あるいは昨年の予算委員会においても、大学に対して、どのような犯罪があっても警察が全然介入しない、けしからぬ、大学なんぞこんなものは何も治外法権でないから、国家権力をもって国家の秩序を維持しろと論じ論じて、ついにそのような形になってきたと思う。本日宗教法人に対しても、国の秩序を確保することのために、国民の一人格として、それに厳然たる秩序確立の措置を講ずることを何をかためらうか。私は当然のことであろうと思う。現に国民がやられておることを宗教法人がやられて何が文句があるか。当然のことではないか。私はやってしかるべきだと思うが、いかがですか。
#13
○福田国務大臣 宗教法人の公益部門の財政を全部洗おう、これは立法によってできます。できますが、また洗ったところでどういう判定をするか。これは宗教活動そのもの、あるいは宗教活動の目的を逸脱している、こういう差別をするためには、その前提といたしまして、宗教法人というものはこれこれの範囲を逸脱してはならないんだ、この実体法制というものがなければならない。いま政治資金規制法のことを問題にされておりますが、宗教団体が政治資金を寄付する、それが一体いまの実体法において禁じられておるのか、こういいますると、そうでもない。その辺にもまたむずかしい問題があるわけであります。これは実体、また税、この両面からいろいろの考え方というものが立ってくるのではないか、そういうふうに見ておるわけです。
#14
○春日小委員 だから私は、寄付することを禁じろと言うのではございません。宗教団体がそういうようなおさい銭によって金銭の収得がなされたが、宗教活動になお余裕がある、あるいは特定の政党を支持することがやはり宗教活動のデベロップメントとして有益である、こういうふうに理解をして、彼がそういう政治献金を行なった場合、それはそれでよろしい。けれどもその分に対しては――すなわち宗教法人が免税を受けておるのは、本来のその事業目的に充当することのために、宗教活動の機能を阻害させないために免税措置が講ぜられておるんだから、目的外に出した分については、その行為を禁止しようというのではない、その分に対しては課税を行なえ、こう言うのであります。
 大臣急いでおられるけれども、外交団の接見という問題も重要な国事ではあろうが、これはさらにさらに百万倍も大きな国事であるから、さらに三、四分残られてちょっとお聞き取りを願いたい。
 この際、政治活動資金に対する税制上の問題について、宗教法人と一般国民とを私は調べてみた。そうするとこういうことになっておる。個人が政治献金を受ける場合に、それが公職選挙法の選挙運動に関し贈与を受けた金品は、これは同法百八十九条、すなわち「選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出」の中に報告されたものでない限り、個人からの政治献金には贈与税がかけられ、法人から受けたものについては所得税が課税せられることに現行制度はなっておる。つまり、宗教法人が収受するお布施やおさい銭は政治活動に供せられてもこれは課税されることがないのに反し、一般国民は、個人が収受する政治献金は所得税法上の非課税所得に該当しない限り課税を受けることになっておる。ひとしく政治活動の用に供せられるものでありながら、宗教法人と一般国民との間にこのような課税上の差異が存するということは不均衡である、不合理である。このような現行の税制はまたその非難を免れないということ。
 さらにもう一つの問題点は、贈与税をながめてみました。これによると、贈与税の非課税財産を定めた相続税法第二十一条の三の規定は「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが贈与に因り取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」は、これは贈与税の非課税財産とする旨定められておる。つまり公益を目的とする事業を行なう者が贈与によって取得した財産であっても、無条件に非課税とするのではなく、当該公益目的に充てられることが確実なものに限り非課税にされておるということであります。だから、贈与税の制度と法人税の制度とはともに一体をなす租税体系の大いなる一つの構成でございますから、統一的に考えられてしかるべきではないかということなんですよ。すなわち、この場合における非課税の趣旨が公益事業の遂行を保障することにあることが明らかである以上は、このような贈与税における非課税制度の考え方が理論的であり、かつこれは妥当性を有するものである。しかしこれについて立法上の反省をよく加えていただいて、法人税についても贈与税における立法例にならい、収益事業から生じた所得以外の所得を一切非課税とするのではなくして、それが公益法人の公益目的に充てられるものに限り非課税にする、こういうような立法措置を講ずるということは、私は税法の体系に統一をはかるためにも、国民感情に納得を与えるためにも緊急不可欠の問題であると思う。
 わけても、昔のおさい銭とかお布施とかいうものはわずかな金額でございました。ところが、いま宗教活動というものが、どういうことか、ものすごい力を持ってきて、何百億円というようなお布施、さい銭が集まる。個人のおさい銭も昔のようなおひねりではないのである。何十万円、何百万円というような個人さい銭もお布施として出されておる。おさい銭の概念が全く変わってきておるのである。したがって、時流に即して、この際宗教法人に対するそのような課税のあり方について前向きの形――いまから三年か二年前でございましたが、吉國長官が主税局長時代、社会党の質問に答えて、慎重に検討を要すべき問題であると述べられております。これは速記録にございます。あなたのほうは依然として慎重に検討を要すべしと、いまなおそのような遁辞で問題を糊塗せんといたしておるが、いつまでも慎重に慎重にというようなことは何にもやらないということなんだ。それは、われわれのそのような主張に対して、あるいは国民の非難事項に対して口先でごまかしておるという態度と断ぜざるを得ない。慎重に検討しなければならない重大な内容を含んでおることは本員もよく理解をいたしておりますが、ならば、その慎重の検討たるや前向きの形で、すみやかにそのような矛盾の点を是正することのために努力する、こういうような姿勢があってしかるべきと思うが、この点についていかがでございますか。
#15
○福田国務大臣 春日さんは税のことばかり申されますが、その前に実体法の問題があるということを先ほどから申し上げておるのです。その辺がクリアにされませんと、どうしても税の面で信教の自由というか、そういう面で衝突する面が出てくるのではあるまいか、そういうふうな感じが私はいたしてならないのです。
#16
○春日小委員 私はただ税法の、要するに局部的な問題としてこれを論じておるものではないことは、現佐藤内閣の責任閣僚としてあなたは私の質問書第一問、第二問、第三問をごらんいただいておると思うのです。それは実体法として憲法第二十条のその根本に触れて、私の質問書は政教分離の原則の上に立って、ここにその宗教法人は、宗教団体はいかにあるべきであるのか、そういう問題について総合的に検討をし、その検討の上に立ってなおかつこの所論を展開しておるのであって、単なる税法上の一断面について私が言っているのではない。当然佐藤内閣において――私の第一問、第二問、第三問というものは私が心血を注いでつづった大論文である。これをあなた十分読まれて、私の論述というものは、宗教法人そのものの実態、憲法第二十条と第十二条との関係においてかくあってしかるべきであるというのみならず、かくあらねば国の秩序紊乱のおそれがある、こういうことで論じておるのである、この点を十分御理解いただいて――あなたは先を急がれておるから十分私の所論について御理解が願えていないかと思うが、願わくは私の理論をさらに速記録でもう一ぺんそしゃくしていただいたり、あるいは私の内閣に対する質問書一、二、三をよく読んでいただいて――決して決して私は特定の宗教団体を目ざして攻撃しておるものではない。国家の秩序と国民感情の上に立って、そうしてかつてああいうような形で、祭政一致だとか八紘一宇というようなことでついに国家がああいうような形になって、戦争の中に突入し、敗残の廃墟の中にたたき込まれた前車の轍を踏むことのあらざるよう、この際政教分離をしなければならぬ。そのためには、宗教団体がそのような手段で膨大な政治活動資金をもうけて、かつてドイツにおいてヒトラーがあのクルップ財閥と組むことによって巨大な政治資金を持って、ついにゲルマン民族の脳髄を腐らしてしまった。そういうことをなさないためには、まず本委員会として税法を取り上げ、文教委員会において宗教法人法を取り上げ、あるいは法務委員会においては憲法論を取り上げ、国会が自由と民主主義と現在の憲法精神を守ることのために、持ち場において全精力を傾倒しなければならぬ、こういう意味で私は論じておるのでございまして、あなたが御指摘されたような、ただ税制上の断面だけによってこの宗教法人の活動について的確なる解決がなし得るものとは私は考えてはいない。そういう総合的な判断の上に立ってすみやかに善処されんことを強く要望いたしまして、きょうは問題の頭を出したにとどまります。継続的にこの問題について、私は本日具体的な名前を出さなかったけれども、もし必要ならばそのような政治結社が何百億の金をどこの銀行にどのように預け、その銀行が反対給付として選挙のときにその政党の候補者にどのように支援体制を組んできたか、あたかもヒトラーとクルップのやみ結託と同じことがいまや日本の政界においてなされようとしておる。このことを具体的に明示して、次の質問をいたしたいと思います。よって、十分御理解を願って御検討をお願い申し上げたい。
#17
○山下小委員長 広瀬秀吉君。
#18
○広瀬(秀)小委員 国税執行の問題、税制問題、きょう初めて小委員会をやるわけですが、いま吉國長官から報告された問題について若干質問をいたしたいと思います。
 最初に、職員の定員関係の問題点を言われたわけですが、長官としては、大蔵委員会で国税通則法の審議をしているときに欠員の問題で、定員が非常に足りないということを、いまも申されたわけですが、その定員がなおかつ約二千名からの人員が不足をしておる、これはこの年度が変われば採用できる状態になる、こういう答弁があったのですが、それが一体その後、もう新年度になったわけです。二カ月近くもたつわけなんですが、その欠員補充の状況はその後どういうように処置をされたか、まずこの点を一つ伺いたいことと、それからもう一つの点は、現在あなたのお考えになる理想的な国税庁の仕事を完全にやっていくためにどのくらいの要員が必要と考えられておるか。定員をどのくらいふやすことが必要かということをこの際率直にひとつ見解を述べておいていただきたいと思うのです。その二つ、まず御質問いたします。
#19
○吉國(二)政府委員 先般の委員会で御質問のございました欠員問題でございますが、これは御承知のとおり、現在採用を高校卒業生を中心に一定の時期に行ないまして、そうして学校卒業と同時にこれを教育をいたします。そういう関係がございますので、年度当初においては毎年定員を充足いたしますけれども、その間の離職者の数が累積をいたしまして、たとえば昨年においては千九百、それに対して新しい高校生が採用されることによってこの定員が充足をされるということはことしも同じでございます。
 先ほど申し上げましたように、ことしは高校生を千七百名採用いたしました。さらに、現在専門官試験がない段階でございますので、上級職上級乙、中級から約五十名、さらに女子職員を二百七十名採用いたしまして、ほぼ定員を充足することができたわけでございます。
 ただこれは一年間に常に離職者数だけは――平均的に申しますと離職者の数の半分だけが定員不足になる関係でございますので、これをいかにして打開するかというのが非常にむずかしい問題でございます。でき得ればこれに対して臨時的な定員を持つ、そうして離職者が発生した段階で定員がとんとんになるというような制度ができると非常にやりやすいことでございますが、現在のところは定員の範囲内で採用しておるということでございますので、一年間の離職者というものがいわばその間穴になってくるということがやむを得ず生じているわけでございます。年度当初には今回も約百名程度の欠員がございますけれども、ほぼ定員を充足したわけでございます。
 どれぐらいの定員があれば仕事ができるかという点でございますけれども、これはなかなかむずかしい点でございまして、欲を言えば切りがないというところでございます。毎年実は私どもも定員の増加要求というのは出しておりますが、それで積算をして出したものは大体常に千名をこえておるわけであります。決してこれは架空な定員要求をしておるわけではないと私ども考えておるわけでございますので、定員要求のその千名をこえた数字というのは、私どもとしては将来何とかして充足していきたいと考えておる数字であるとお考えいただいてけっこうであります。
#20
○広瀬(秀)小委員 この定員の関係で、先ほどの説明でも、税務職員の処遇の問題とも関連をして、非常にストレスの多い仕事である。確かに私どもはそういうことを認めるわけだし、そういうことで最近では税務職員の中にやはりノイローゼ的なものがそういうストレスの結果発生して、精神病院に入るほどではないけれども、それに近いところぐらいには至っている病状の者がかなりあるというようなことも最近言われているわけなんですね。第一線の職員の人たちと私ども懇談してみますと、そういう訴えを最近非常に聞くわけです。この複雑化する経済情勢、しかも量的にも質的にも税務行政の果たさなければならないものが非常に高まってきている。しかもなかなか離職者に追いつけない。いまも御報告があったように、まだいまでも百名くらいは欠員になっておる、こういう情勢。離職者は、戦後特別に急速にふやしたという人たちがいまもうやめる時期に来ているということもあって、どんどんやめるというようなこともあって、定員と実働というものがとんとんになることがめったにない。年度途中ではさらにどんどんその差が拡大するというようなことがある。しかも年度末には御承知のように三月十五日を中心とした超繁忙期が来る。そういうようなところに最も欠員の状況が大きくなっていくという、一番忙しいときに欠員と実働の開きが大きくなった時期がぶつかるという、そういうことを繰り返していると思うのですね。そういう面についても十分配慮をして、年度内で定員は調整すればいいのですから、ある程度やめることを見越した定員の確保というようなことも、やはり定員確保が非常に困難になってきている今日、新規採用志望者がかつて十倍の倍率であったのが六・五倍に落ちているというような状態になってきているのですから、そういう状態を踏まえながら、やはりある程度先を見越して、年度間では定員を延べては超過してないのだということでいけば、そういうものをある程度緩和できると思うのですね。その辺の定員と実働の運用ということで、要員の確保という点では弾力的な考えというものがあってしかるべきだと思うのですが、そういう考えはいかがですか。
#21
○吉國(二)政府委員 確かにそういう点で、たとえば一年間教育中の人間を定員からはずすというようなことも一時いろいろ要求したこともあります。しかし実際採用して公務員になっておりますので、定員の中に入ってしまうというような事情はやむを得ない点がございます。調整定員という方法もあるようでございますが、現在におきましては問題がややずれてまいりましたのは、先ほど申し上げましたように、従来の採用の前提であった税務大学校の定員そのものが、現在おる常定員と申しますか、収容定員ぎりぎりの千八百足らず。昨年あたりはこれに一ぱいに入れてようやく定員に追いつくという状況でございますので、これから定員をオーバーしてある程度余裕を持つというためには、実は税務大学校の設備の拡大を早急にやらなくてはならない。現在税務大学校が置かれておりません福岡であるとか、あるいは設備が非常に狭隘になってまいりました東京とか、そういうところについて早急に施設の増設をはかる、あるいは新設をはかるということで現在計画を進行中でございます。来年度予算あるいは再来年度予算にはそれを組み入れてもらうというつもりで検討を続けているわけでございます。やはり施設がございませんと、教育期間を経ない者を直ちに採ることは現在ではかえって危険であるということがございますので、施設の充実を今後はかっていくということでこれに対処していきたい、かように考えております。
#22
○広瀬(秀)小委員 次に、納税道義の高揚という問題を、先ほど四項目ということで三項目に言われたわけなんですが、そこで悪質脱税者の摘発ということについてはさらに一そう努力をしたい。やはり徹底的に摘発をして、結局脱税というものは償わないものだ、ペイしないものだという観念を徹底さしたいという意向が述べられたわけですけれども、五百六十名の査察官がおって六十億の脱税を摘発したということなんですが、一カ月ぐらい前ですか、それほど前にならぬかもしれませんが、税法審議の際に、わが党の八木委員がこの脱税の問題を取り上げました。その中で交通事故関係の問題と結びついた脳神経外科であるとかあるいはその他の外科、そういうものに脱税が非常に目立つのだということが指摘をされたわけですね。これは最近問題になりました自動車強制賠償保険、いわゆる自賠法の掛け金の引き上げということもかなり大幅な引き上げがあったわけですが、この問題とも非常に関係の深い問題なんですね。大蔵大臣の諮問機関として設けられた自賠責関係の審議会がありまして、あの席上で医師会は、何ぼ審議会委員がその実情を説明してもらいたいと要求しても、一度もついに出なかったというようなことで、まさに百万になんなんとする交通事故による被害者が、すべてこれどこかの外科病院にかつぎ込まれてやっかいになるわけですよ。そういう状態にありながら、なおかつ実態というものを医師の立場において明らかにしようともなされなかったというような問題との関連もあって、非常に大きい問題だと思うのです。まさに医師会だけあって国家、国民なしというような許すべからざる態度を、そういう審議の段階においてすら非協力の態度をとるということは、これは一体どういうものかという疑問をわれわれ国民の側において、国民すべてがいま持っておる点だと思うのです。しかもそれが新聞にあれだけ大きく報道されるような脱税までやっているということになると、これは一そう問題だ。そういうものに対して国税庁もあれだけ思い切って発表されたんだけれども、今後そういう問題についていろいろ問題点もあると思うのです。
 たとえば、俗にいわれている救急医療病院なんかでは、特に交通事故でかつぎ込まれた患者に対しては五割増しで料金を取っているのだというようなことがいろんなところでささやかれているわけですね。そういう点なども、私は法的根拠を知らないのですけれども、おそらくそんなことはないはずだと思うのだけれども、そういうことがいわれているというようなことがあったり、現にいろんなことを調べてみますと、その薬を使えば当然助かったのだけれども、その薬が実はその病院になかったのだ、それで一命を落としたのだ、そういう実情があとの調べで明らかになった。緊急の場合に助けるために使う薬、私は具体的にその薬の名前を知らないのだけれども、そういう場合もあるといういろんな具体例が出てくるわけです。実情をいろいろ聞いてみますと、それとなしに私に言ってくる人たちがあるわけなんですけれども、そういうようなことなんかも、これは非常に人道的な問題点であると同時に、やはりほんとうに不測の事故にあってたいへんな悲境のどん底に落とされた患者に対して、そういう場面なんかもあるんだというようなことを最近非常に耳にするというようなことを考えると、税の面でもああいうような状態が出てきたというようなことは非常に大問題だ。この問題について国税庁として、新聞発表後の段階として、具体的にどういう対策を講じられようとしておるか、またどういう調査などを進められておるか、この点をひとつお聞きいたしたいのです。
#23
○吉國(二)政府委員 先般御説明いたしましたとおり、外科医が非常に脱税が多いという結果が出ておるわけでございます。いかなる理由があるかという御質問でございまして、その中に自賠責の関係の自由診療報酬を抜かしているものが大きいのだということを申し上げたわけでございます。自賠責の診療については、いま御指摘がございましたようにいろいろな批判がございます。そのこと自体は税務とは関係がないわけですが、違反があるということは、実は収入がそれだけ不当に多いということでもあるわけです。東京国税庁、各局において――これは資料源を申し上げるのはいかがかと思いますけれども、保険会社等から支払いの資料をとりまして調査した結果、非常に大きな脱漏が明らかになった。もちろん全部計上している者もあったけれども、中にはそっくり落としているという者もあったわけでございます。こういうような資料については本来明らかになるべき筋のものでございますから、これが出ていないであろうと誤認をしてかえって間違った行為をとったとすれば、今後はっきりとこういう資料を手に入れるということにすれば、そういう間違いはかえってなくなるのじゃないかということを申し上げたわけでございます。私はあらゆる資料についてそういうことが言えると思うので、資料が税務署の手に入らないことになると思っていれば、そこに脱税が起こる可能性もなきにしもあらず、すべてわかっているとすればだれも脱税をしようとは思わないわけです。この自賠責の問題は、本来公的な保険と申してもいいものでございます。自動車保険料率算定会という存在がございますが、ここで資料がまとまりますので、いま主税局と銀行局の間で話し合いをいたしまして、的確な資料を出すように話が進行中でございます。これはぜひ実行していただいて、未然にそういう意図を持たないようにすべきではないか、かように考えています。
#24
○広瀬(秀)小委員 政務次官にお伺いしたいのですが、大蔵省所管の問題――自賠責の問題も、これは税と直接関係のない問題なんだけれども、自賠責のドライバーが負担する保険料、こういうものがかなり大幅に引き上がったというものと、不当な診療報酬を得ているというような者が非常に多いこと。特に自由診療的な面が、どうせ自賠責から補償されるのだ、支払われるのだということによって、たとえば健康保険は交通事故のときはきかないのだ、使えないのだという宣伝なんかもどことなく国民一般に浸透しているんですね。しかし健康保険でやってもらいたいといえば、これはやらざるを得ない法的根拠もあるのだけれども、そういうことにもかかわらず、健康保険証は使えないのだ、すべて最初から自由診療なんだ、こういうようなことなんかも流布されてしまっているというような状況なんかもあって、そういうものが自賠責保険料というものを過度に引き上げてきている面もあるのじゃないかという問題もあるわけですね。こういう問題についても、いまおっしゃった審議会で十分やったはずだけれども、しかしついに医師会からは参考人の参考意見を陳述する機会が全然得られなかったということは事実のようです。大蔵省としても、やはりこの自賠責の問題等についても、保険料率の算定の中で、何が自賠責の経理を赤字にしておるかというような問題点をもっと掘り下げるべきだと思うのですが、その辺のところで大蔵政務次官としてどのようにお考えになっておられるのか、これからの問題もありますから……。
#25
○中川政府委員 この問題は非常に批判があり、また、意見の多い問題だと思っております。特に現在の保険制度による乱診乱療の問題は、自賠責のみならず、全体的にも非常な批判のあるところであります。また基礎控除というのですか、経費として認めておる率も高いという批判がありますし、特に集中的にいまの自賠責強制保険で入った者から外科医が不当な利益をあげておるということはまことにけしからぬことである。しかしながらこの点については、わが党の中にも、また政府の中にも、前向きでやるべしという意見が最近ほうふつとして出てきております。頼もしい限りであり、一方医師会の反対の強いことも広瀬委員御指摘のとおりであります。自賠責については、制度の発足以来まだそれほど日もないことでありますから、この経緯を見て、ひとつ勇断をもって、この問題等は、大蔵省当局としても、またわれわれ政治家としてもやるべき重大な課題であろうと思います。私も大蔵省の中にあって、できるだけこの問題は、もちろん脱税の問題についてはそのやり玉に上げなければなりませんし、制度そのものについてもほんとうに真剣に検討すべきことであろう、このように考えております。
#26
○広瀬(秀)小委員 時間もだいぶたっておりますし、財小のほうでも質問の都合がありますので……。
 今度国税庁でつくられる国税専門官の採用、任用の問題ですね。これで大学卒を国税庁の仕事に吸収していきたいという意欲的なあらわれ、これはこれなりに私どもは賛成です。ただ部内からの任用の面を、十年、九年、八年というように経験年数を引き下げていきたい。これを高校卒、そして実務についているという期間としては、それを大学卒との対比で受験資格として見る場合に、私はもっと思い切って八年くらいから、八、七、六くらいにやって一向に差しつかえない問題ではないかと思うのですよ。国税庁の中で実務を、第一線のそれぞれのところに配置をされてやって、おそらくその間にはいろいろな職域等も転々とするでしょうけれども、その人の最も得意とするというようなものをとらえて、これはもっと部内からの任用ということも――年以下ということでは、大学卒というもののメリットを専門官という形で生かそうということと若干相反するかもしれぬけれども、少なくとも高校卒業後五年以上の実務期間というものは、もう大学卒業生と同じくらいの、少なくとも一般的な教養の面で、あるいはまた税務の本筋の問題についても、やはり資格は同一あるいはそれ以上の水準にあると見ていいだろうと思うのです。これを十年というのは少し長過ぎるし、九年にし、やがて八年にしたいという気持ちはわかるけれども、これはむしろ八年というのが最長期のものであって、八、七、六くらいのところでやって一向に差しつかえないし、そういうことが、税務職員から中途にして離脱していくような人たちが最近は非常にふえているということなんかも押えて、やはり将来を期待し得る、希望を持てる税務職員を確保する一つの問題点だし、このことがこの専門官制度を設ける本来の趣旨と決して反するものではないし、むしろこれを強化、充実するものにつながるだろうというように考えるのですが、そういうようにする気はありませんか。十年、九年、八年ということはいかにも長過ぎる。あまりにも、皆さんの国税庁に入ってきた部下職員に対する教養の蓄積なりあるいは実務の蓄積なりのメリットというものを過小に評価し過ぎているんじゃないか、部下の力を過小に評価し過ぎているんじゃないかという感じを私どもは持つわけなんだけれども、私が申し上げたような形で改善されるお気持ちはありませんか。
#27
○吉國(二)政府委員 現在専門官三年ということについては、御承知のように、この試験がいわば上級乙にかわるべきものだということから、上級乙の試験を受けてきた者が五等級になる時期というものを推算をいたしますと三年というのが昇格年限になりますので、専門官というのはいまは五等級からしかなれない、そういう点で考えた点がございます。そういう点から申しまして、現在の昇格年限その他を考えながら税務大学本科の受験資格を引き下げていくということで、現在の十年を八年に下げるという考え方をとっておるわけでございます。
 もう一つは、税務大学校そのものの定員が本科は二百名、この本科を急速に定員をふやすということをやりませんと、引き下げて受験資格者が多くなり過ぎると、現在まだ希望して入れない相当年数のたった連中が非常に機会を奪われるおそれもあるわけです。そういう意味では、私どもはまず八年に引き下げておきまして、さらにできるだけ早い機会に収容人員をふやす。収容人員をふやすと申しましても、実は施設をふやすだけでは足りないわけでございます。大学の教授、これは一部部外からも一般の科目については仰いでおりますけれども、専門科目については部内の職員の優秀な者が訓練は受けて当たっております。それだけに、倍に施評をふやしても大学教授の分がなかなか手当てがつかないというのが実情でございます。そういう意味では、早く収容人員を四百、六百とふやした上で、将来試験年限についても再検討すべきであろうということは考えておるわけでございます。
#28
○広瀬(秀)小委員 これは一年間の研修をやるわけでしょう。ですから、その研修という中では同じスタートラインに並ぶわけですから、大学卒と実務五年以上というようなところで並ばせて、同じようなスタートでその一年間に鍛えていけば、大学卒と遜色なしに十分能力も発揮できるし、それから一般的な教養の面なんかについても、そういう自覚というものがその中からお互い切磋琢磨の中で生まれる。いまおっしゃった点、わかる面もあります。古い人たちが逆に希望を奪われるような、あまりにも競争倍率がはなはだしくなるということで、そういうものもある程度見たいというその気持ちもわかります。しかしいずれにしても、その定員をふやしながらそういう試験年限というものをもっと低めて、将来に希望を持たせるような施策の一環として大いに活用されるように要望をしておきたいと思うわけです。
 以上で終わります。
#29
○山下小委員長 田中昭二君。
#30
○田中(昭)小委員 時間も制約されておりますからなるべく簡潔にお願いします。
 まず、佐藤内閣になって、税制といいますか、徴税政策がたいへんきびしくなって、いわゆる租税負担率も高くなっておる。これでは国民の税負担に対する不満がだんだんふえていくのではないか、こう思いますが、その点についてはいままで言われたことですが、簡単に主税局長か政務次官、どちらでもけっこうですから……。
#31
○中川政府委員 租税負担について、佐藤内閣になってから重くなったという見方は私どもには理解できないわけなんですが……。毎年所得税を中心として減税をやっております。ことしも二千億とか三千億とかいわれるかなりの減税をやっておるわけですから、必ずしもその御批判は当たっていないのではないかと思います。ただ言えることは、所得税とか法人税のような直接税のほうが多いという点について反省をしなければならぬ、物品税の率が少なくなっておる、この辺が日本の税制の問題点ではないかということで、来年の税制においては物品税のあり方について検討を加えよう。このことは、租税負担が重くなったというよりは、税の体系としてあるべき方向に持っていくように検討したい、このようにいま考えております。
#32
○田中(昭)小委員 租税負担率は確かに上がっておるのですよ。政務次官そこまでこまかいところは知らなかったかもしれないが、それを指摘いたしまして次の問題に入ります。
 いまお話の中で直接税という問題が出ました。これでやはり一番問題になっておるのは、減税はするけれども所得税についてはたいへん問題が多い。所得税の中でもサラリーマンの税金が高い。給与所得者に対する税金が高いということはいろんなことがいわれておりますので、私ここで二つだけ取り上げてみたい。一つはサラリーマンの税金は高いということ。二つは取られ過ぎておるサラリーマンの税金、こういうことがいわれるのです。この二つだけ取り上げてみましても、政府としてはそうでないということでしょう。否定の立場でしょうが、この否定の立場を的確にだれでも納得できるように、その中の一番重要な問題、それがそうでないという一番基本になる重要な問題だけを取り上げて簡単に御説明願いたい。
#33
○中川政府委員 従来に比べて基礎控除あるいは家族扶養控除についてもそれぞれ引き上げておりますし、あるいは税率についても数%でありますが引き下げておるわけですから、上がったという批判はどこから出てくるのか私にはわからないのであります。ただ上がったといえば、一人当たりの所得がどんどんふえていく。所得者の所得額がふえてきたから、したがって税の負担が多いような感じがするのはあるいはあるのかもしれません。しかしながら率からいっても基礎控除からいってもずっと改善されておるわけですから、重くなったということは当たらないのではないかと思います。
 もう一つは、所得税の場合脱税というのが全くない。さっき医者の話が出ましたが、医者なんかでは脱税すればできる余裕があるのに、サラリーマンは全く重箱のすみをつつくように取られる。その辺の負担の公平というところからいって、所得税は私に言わせればその点はあるのではないか。この点については先ほどの話のように、そういったことがないように税の公平を期するようにやってまいりたい、このように思います。
#34
○田中(昭)小委員 もう第一の問題は終わったわけです。ですから主税局長のほうから、いま私が言ったサラリーマンの税金は高いという問題に対してそうではないという基本的な問題、簡単でいいですから……。それから、取り過ぎているサラリーマンの税金ということに対する、いわゆるそうでないということをひとつ、主税局長のほうが専門家ですから……。
#35
○細見政府委員 サラリーマンの税金が高いと言われましても、私にはその点実はよくわからないわけでありまして、サラリーマンの収入以上に収入金を見て税を課すというならば、それはサラリーマンが高いというわけでありますが、もしそのサラリーマンが相対的に高いということであれば、世の中に不誠実な納税をしておられる方がある程度ある、そういう人と比べて高いというような非難があるいは出るかもしれませんが、それはむしろサラリーマンが高いということじゃなくて、サラリーマンが適正に納税願っておるのでありますから、それ以外の方々も、先ほど来国税庁長官がいろいろ税務行政の抱負を述べられたのですが、そういう行政が成果をあげまして、正しい納税、正しい税額を払っていただく。そういうことで、相互に不公平がないようにしていくというのが、これが正しい税制のあり方ではないかと考えております。
 そういうわけでありますから、私どもは取り過ぎておるということを考えなくてもいいので、年年所得なり物価なりが上がっていく過程におきまして、所得税は累進的に働く、そういうものについて年々必要な配慮を加えて、国民に税負担の重さというものがなるべく感ぜられないようにやっていきたい。ただ、一方で歳出の需要もございますから、思うように減税ということにもまいらないということでありますが、ことしで申しますと、たとえば三千億を上回る、国税だけでも減税があるというようなこと。
 それからまた、先ほど田中先生のお話で、税負担が国民所得に対して重くなっておるではないかというようなお話がございましたが、これはもう一つおわかり願いたいことといたしまして、百円で十円を負担する一〇%、それを二百円で一五%を負担する三十円という、どちらが重いかというのは、これはなかなかむずかしい話でございまして、給与所得者と事業所得者の間の税負担の問題にいたしましても、そういうふうにお互いに相手の立場になるということは税金の場合できないものですから、やはり他人の何とかはよく見えるというような形の議論もかなりあるのも事実だと思います。
#36
○田中(昭)小委員 そういう説明だからいつまでたっても問題が解決しないのですよ。それは行政に当たる人が一応はそういう取るほうの立場でなく、取るというと語弊がありますが、取られるほうの立場になっての税負担ということを考えていかなければならないということを、一応指摘しておきます。そこで、問題になりましたサラリーマンの税金が高い、取られ過ぎているということに対する的確な答えがないのです。ただ不公平、収入があった者に対して収入以上に課税しておりませんとかなんとかということも簡単には言えない。
 次の問題に移りますが、それでは取られ過ぎているサラリーマンの税金ということについては、いろいろな面から入っていきたいと思いますが、それを言う前に、いわゆる所得というのがどのように把握されているか、つかまれておるか。これがいわゆる不公平という問題になって、税の不満が出てきておる、こう思うのですが、先ほどから言うように、給与所得は大体完全につかまる。そのほかの所得はつかまれない、完全につかまれてない、こういうことになりますが、その実態はどのようになっておりますか。これはそれぞれ資料要求しておりましたけれども、そちらのほうから簡単に方向だけでも……。
#37
○吉國(二)政府委員 つかまれていない実態というものがわかれば問題ないわけであります。これはなかなかわからない問題で、調べていますが、まあ私どもは調査をする場合には、申告と実際の事業との間に非常に違っていると認められるようなものを中心に調べるのであります。そういう場合には全体脱漏がございまして、その場合でも大体平均的に申しますと、特別調査等を含めた総体の平均でいけば、脱漏の割合というのは所得に対して三割程度、ですからそういう意味から申しますと、脱漏が認められて調べられたものでも三割程度であるということから申しますと、相当正しい申告をしている人が多いということがいえるのではないかと思います。しかし抜けている人を的確に全部つかまえているかということになりますと、抜けたままになっているということもあるという点では、申告所得者の場合、特に事業所得者の場合には源泉所得者よりも抜ける可能性のある人ということはいえると思いますが、しかし同時に、それは納税者の立場から修正してかかってこなければいけない問題があると思うのです。源泉納税義務者はすべて源泉徴収に服しておるわけです。申告納税義務者だけがごまかしていいということはないので、問題はやはり納税意識の高揚という、かなり迂遠なことではございますけれども、それをさらに推進していく。同時に先ほど私が申しましたように、極端な脱税を断固告発をするということで国民全体の納税水準というものを引き上げるということが、私は一番大事な点ではないか、かように思っております。
#38
○田中(昭)小委員 ほんとうは、そういうことになりますと、国税庁が一生懸命仕事をやったにもかかわらず、たいへん国民に申しわけないようないわゆる所得の漏れがあった。脱漏があったということを、数字であげていけばはっきりしてくるんですね。たとえば検査院の指摘事項でも毎年ふえておる。更正決定の状況を見てみましても、その更正決定の件数、金額というものは減っておりません。それをいろいろ問題にしますと時間が足りませんが、そういうことを考えながら、現在の税制できめられておるものの中に不公平をかえって助長しておる。現在の法できめられた所得の中でその所得を分類すれば、いろいろな各種の所得間における不公平、片方は一〇〇%近く収入に対して課税されておる、片方はその差額が大きくなるような税制になっておるというところを私は問題にしたいわけです。ですけれども、これを問題にしましてもいつもわかったようなわからぬような答弁でありますから、次に移りますが、そういうことを考えて、どうせきょうで国会も終わるわけですから、ひとつ的確にお答えいただきたい、こう思います。
 次に、いまの所得税法できめております所得税をとってみますと、所得税法できめております所得の算定は、私ここで言うまでもなく、原則的にいえば収入から必要経費を差し引いたものが所得である、このように規定しております。ところがこの収入から必要経費を引いて所得が出るのですけれども、その出た所得がたいへん不公平になっておる。まず第一番の例をあげれば、給与所得には必要経費を認めない。いろいろ言い分がありますけれども、その言い分を聞くんじゃない。私は例をあげている。給与所得には必要経費を認めない。この実例として、給与所得の源泉課税については憲法違反であるという訴訟まで起こされている。これが何年もかかってまだ解決しないという段階で、あるところでは給与所得者が源泉で納めた税金を還付してくださいという確定申告が出されているということは、いかに給与所得に対して必要経費を認めないということが問題になっているかということの一つの例だと思う。そのほか、同じ事業所得、平らく言えば商売人でありますが、同じ商売人で所得をきめるにおいても、先ほどから問題になっておるように、医者の収入に対しては、社会保険の収入に対してはだれが見てみても過大過ぎるような、常識で考えてみても国税庁の調査による必要経費以上の経費を、事もあろうに法律できめておる、こういうことです。不公平なものはまだたくさんあります。また、同じ収入がありながら課税しないという問題もある。先日から出ておりました有価証券の譲渡、売買というのは課税しない、収入があっても全然所得と見ない。さらにまた、同じ所得でも不労所得いわゆる身に汗を流して得たところの収入よりも、働かずして不労所得といわれる、いわゆる配当所得等の優遇がなされておる。こういうふうにあげていけば数もりないものです。そういうことを考えながら税法の立法、さらに行政というものを行なわれていくならば、私は、もう少しここでの回答も変わったものがなされなければならない、こう思うのです。そういう税法上の不公平が助長されながら、さらにまた行政の面においても、私がずっと問題にしてきました徴税行政の中でも、大阪の東淀川税務署が全国でただ一カ所、法律違反とも思える徴税行政が行なわれておる。
 また、二つ目には政府は毎年当初予算を組みますが、その予算以上に税金を取り過ぎておる。それは毎年ですよ。そう言うと今度は、いやそれは四十年は不景気で、減税をやり過ぎましたから取り足りませんでした。必ずこう言う。それは一年あったかもしれない。そのときは佐藤内閣が成立しまして、もちろん景気の悪いときもありました。減税をし過ぎた、その年だけなんです。また、今度は歳入の税目別に見ていきますと、いま言われたように、給与所得者関係の税収だけがずっとふえておる、取り過ぎておる。これは大蔵省の主税局あたりで大いに考えてもらわなければならぬ問題だ。それは予算というものが、歳出に見合う歳入が組まれまして、その歳入というものに対しての歯どめが徴税というものでなされておらないから、それはどうでも言えると思いますけれども、私はこういう不公平を助長するような事柄を並べれば切りがないのですけれども、こういう問題に対して主税局並びに政務次官はどういうふうにお考えになっておるか、お答え願いたいと思います。
#39
○中川政府委員 いま御指摘の点は確かに耳を傾けなければならぬ貴重な御意見だと思うのですが、ただ、助長だけはしておらないつもりで、毎年そういったことにこたえながら必要経費も認めようというので、給与所得控除というものを改正して引き上げていって、いわゆる必要経費の面も見ていこうということで、これも前向きでやったつもりです。いま医療問題、有価証券の譲渡その他不労所得があるという点については、それぞれ完全にすっきり、普通の給与所得のようなきちっとしたものになっておらないことは事実だと私も思いますが、これについては従来の制度があるわけですし、経過もあり、徐々に定着したかっこうになっておるものにメスを加えるわけですから、なかなか抵抗はあるわけです。ある中にも、毎年毎年そういったでこぼこの出ておるほうについては下げる努力、それから下がっておるほうの給与所得については上げる、そうして公平になるような努力はしておるつもりでありまして、この差額をだんだん助長していっているということだけはないのではないか、また絶対にあってはならないことだというふうに私は思います。詳細についてはまた主税局長から……。
#40
○田中(昭)小委員 それでは具体的な私が言う取り過ぎ分というものを――政務次官も御認識がなかなかこまかいところまでないかと思いますから、主税局のほうから取り過ぎ分を、国税庁のほうからは、税務署が調査をして、さらにまだ漏れがあったというものの大体の方向だけでもいいです、私がいま言いましたような、いわゆる脱税額というものが毎年ふえておるというその方向だけでもけっこうですから……。
 まず主税局のほうから取り過ぎ分について、全部の税種目について言うのはたいへんですから、申告所得税、源泉所得税、法人税、酒税――酒税はいいですが、ひとつ説明してくれませんか。
#41
○細見政府委員 私、質問の御趣旨がよくわからないのでありますが、自然増収なり税収を、当初主税局が歳入予算として国会にお出しする資料をつくります段階におきましては、それぞれ経済指標のようなもの、そのとき政府として経済見通しとして立てております経済指標によりまして税収を見込むわけでおりますが、先生御承知のように、日本の経済のここ数年の傾向と申しますのは、当初政府が見込んだものとかなり違った結果が出てきておる。その結果、そういうふうに税収が当初見込んだものとは違ってまいりますが、これは私は取り過ぎということではなくて、いま一方、田中先生からお話しのように、税が取り足らないという、不公平だというような議論があるような世の中におきまして、取り過ぎということはないのではないか、私はかように思っております。
#42
○田中(昭)小委員 それは大きな問題のすりかえです。あなた、そういうことを言うては困りますよ。私の言うた質問がわからなければもう一ぺん聞きなさい。わかった上で答えなさい。わからぬものを答えては困ります。時間がありませんから……。
#43
○細見政府委員 私は質問の趣旨がよくわかりませんでした。
#44
○田中(昭)小委員 ですから申し上げますが、所得税の当初の各税日ごとの予算の歳入額と決算額を言ってください。簡単にわかることじゃありませんか。
#45
○細見政府委員 それは見積もりと実際との違いでありまして、私どもは取り過ぎということでは……。
#46
○田中(昭)小委員 あなたは取り過ぎと言わなくても、こっちは取り過ぎととっておるからかまわぬ。
#47
○細見政府委員 それではそういう意味で申し上げますが、私は取り過ぎではない、予算額と決算額の違いとしてなら申し上げますが、四十一年は、所得税でありますと当初一兆四百四十億見込んでおりましたものが、決算額におきましては一兆八百四十一億になっております。四十二年は一兆一千七百八十四億であったものが一兆二千八百九十六億になっております。四十三年は一兆四千六百五十八億であったものが一兆六千百三十一億になっております。それから四十四年につきましてはいままだ精算の段階でございます。
#48
○田中(昭)小委員 時間がないからそれでけっこうです。そのように、各税目について見れば、そういういわゆる歳入予算に対して決算額はふえておるのです。そこで、それをどう見るかは別にしまして、いわゆる予算の歳入額と決算額が一致するということは、人間がやることですからむずかしいと思います。しかし、現在のように税に対する不満があるときに、その国民の税に対する不満がだんだん大きくなっておる、そういう現実を認識するならば、その差というものが縮まっていくように努力するのが行政府の責任だ、仕事だ、こう思うのです。こういうことを続けていって、そういう取り過ぎ分――私の言う取り過ぎ分ですけれども、そういうものに対して努力もしない、責任もあやふやにするというようなことでは、国民感情を無視してそういう独善的な行き方は道義的にも許されるものではないと思いますが、政務次官、簡単でけっこうですから……。
#49
○中川政府委員 これは税率というものはきまっておるわけでありますから、税率と所得によってきまってくるので、税率は変えないわけです。ところが、その所得がその年の国民経済によって当初予定したのとはずいぶん変わってくるわけです。たとえば、ことしの春闘ベースアップがどうなるか、あるいは公務員の給与がどうなるかというものは、当初予定したのとは違った形でかなり引き上げられるというところに差が出てくるということが一つ、もう一つは、日本の経済が予想以上に規模が大きくなるというところから、一般的な給与額もふえてくるというような見積もりがあったことは事実ですが、ある意味では、経済が伸びたり、あるいはベースアップがあるということはいいことですから、差額が出てきたことは逆の面から見れば喜ばしいことではないか、国全体、あるいは国民を考えても。しかし、あとで決算と予算とが違うと、ずいぶん取り過ぎたというような印象を与えても困りますので、なるべくこれから経済の見通しをよく見きわめて、決算と予算が合うように努力しなければいかぬことは当然だと思います。
#50
○田中(昭)小委員 では次の問題に移りますが、いまの税金の中では、贈与税の問題が、実際の徴税の第一線においてはたいへん問題があるようだと私ども聞いております。ということは、まずその前に、世間で一般的にいわれることばでございますけれども、配偶者のへそくりというものについては、政務次官大体どのようなお考えを持っておられますか、お聞きしておきたいと思います。
#51
○中川政府委員 これは予算委員会でも議論があり、また当大蔵委員会でもずいぶん議論がありまして、現在のへそくりといいますか、奥さんに対する贈与というものがあまりきびし過ぎるのじゃないか、妻の座を守る立場からいっても、現行の二百万円ではちょっと低いのじゃないかという議論がありまして、私たちもそう思います。そこで、来年の税制においてはこれをひとつ変えようじゃないか、前向きでひとつ詰めようというところになっておりますので、この点は御指摘のとおり私どもも思います。
#52
○田中(昭)小委員 変えようということであればいいのですが、そういう方向でいってもらうことにつきましては、私ひとつ提案みたいになりますが、いろいろお聞きしながら、その点など提案事項を含んでお話ししたいと思います。
 いま二百万とおっしゃったけれども、贈与税の非課税限度は幾らですか。
#53
○細見政府委員 いま四十万でございますが、ただ、連続して二十万をこえる贈与が行なわれておりますと、四十万、二十万、二十万、たとえばそれをこえるような贈与が行なわれておりますと合算して課税になる。四十万、二十万、二十万というような形で贈与が行なわれておればそれは非課税になる。端的に免税点ということになりますと、四十万ということになっております。
#54
○田中(昭)小委員 いま説明によりますと、四十万が一応非課税。二百万は……。
#55
○中川政府委員 奥さんは二百万……。
#56
○田中(昭)小委員 私は贈与税を言っておるのですよ。夫から妻に贈与した場合の……。四十万という原則、三年連続した場合には八十万までが非課税になる、こういうことですね。
 そうしますと、ここで問題を少し変えてみたいと思うのです。変えてみるというか、いわゆる四十万と八十万という限度がどうして生まれてきたかということもございますけれども、現在の法律規定の中でいけば、同じような、たとえば妻に贈与する場合、給与所得者の場合もありますが、事業所得者等の場合は専従者控除というのがございます。そうしますと、専従者控除の中から年に十万ずつ、ですから月に七、八千円ですか、そのくらいの金額を、いわゆる十年間たちまして、それで百万の贈与をしたような形になるわけですね。専従者給与が毎月出ていまして、一年間にそれが十万、もう記録がちゃんとされておる。十年間一緒にした段階で見れば、百万円の贈与が行なわれても非課税ということになりますね。それと、サラリーマンの奥さんが十年後に百万円の贈与を受けた場合に課税される。それはサラリーマンの収入とか、いろいろございますよ。具体的に私申し上げているのです。ただ、サラリーマンの場合に百万円贈与したところが贈与税を課税される。ところが商売人の場合は、専従者給与を出しているというようなことが一つの基準になって、同じ百万円もらっても税金はかからないということは、これは主税局長のほうからお答え願いましょうか。
#57
○細見政府委員 専従者控除の場合は、自分の給料をためておられるわけでありますから、したがって贈与という関係が起こらないと思います。このことば、共かせぎの夫婦で、それぞれ収入から必要な生活費をお出しになって、奥さんが金を残しておられても、給与所得者でありましてもその間に贈与という問題は起こらない。先ほど政務次官が申しましたように、そういう方でなくて、一般的に、だんなさんが働いておられて、長い間糟糠の妻としてお仕えになった方に、まあこういう時代でありますので、奥さんに生前に家屋敷、住む家ぐらいは贈っておきたいなという場合でありますと、先ほどお話が出ましたように、基礎控除が四十万、それに家でありますと百六十万、合わせて二百万のものが夫から妻へ贈与されましても非課税になっておる。いま田中先生のお話は、御自身の給料の中から蓄積された場合で、現在の日本の民法のたてまえは、稼得者名義で財産がなるわけでありますから、夫の収入からそれが貯蓄されまして贈与される場合とは、これはやはり民法のたてまえからして区別して考えるものではないかと思います。
#58
○田中(昭)小委員 政務次官、いま税法のただ規定だけを部分的に言ってもらっては、これは問題の解決にならない。それは、いまの三百万の免税点といいますか、それでも二十五年の夫婦でなければならないとか、そういう関係がなければならないとか、それから居住用財産の場合だけはそうやって免税になる。二百万で家をもらっただけが免税で、そのほかの金品の場合には課税する。いろいろ問題もございますから、私は平均に考えて、たとえばサラリーマンの奥さんが何にも知らなくて、そして幾らかへそくりをしておった。そのへそくりを、たとえば十年、十五年、二十年くらいすればなおいいのですが、二十年くらいたって、私は百万円へそくりがたまって、へそくりでこれを買ったのですよというふうに言いましても、実際上は、その百万であればその免税点の四十万ということによって、それ以外の部分についてはサラリーマンの場合贈与税がかかるのです。ただ、事業所得者の場合は、奥さんが専従者という、給料を支払って、給料をもらっておったのだという客観性があるために、それが非課税になる。
 そうしますと、もう一ぺん戻りまして、サラリーマンの奥さんは、税法上何も知らないで――へそくりということ自体がこっそりやるわけですから、それがどういうふうに、預金になっておろうと何であろうと、それは非課税になりますよと言えますけれども、そういういわゆる無知な者が二十年もかかって百万円の贈与を受けた場合に課税されるという問題と、あまりにも不公平じゃないか、こういう考え方で、実際それはそれとしまして、この四十万ということを合法的にやればどんなことでもできますよ。極端にいえば、サラリーマンの奥さんが毎月自分の御主人の給料から八千円なら八千円ずっと預金していって、それはどんなに使おうとかまわないわけですから、そういう記録だけを残せば非課税になるということならば、そういうことを事際上やるとすればまたものすごく矛盾が出てくると思います。
 私、いまここで計算してみたのですけれども、いわゆる贈与税自体が、これは確かにそういう補完的な税金で必要かとも思いますけれども、その税金があまりにも負担力がない人にかかってもいけない。また主税局の中でもいろんな人に聞いてみますと、こんな贈与税なんて余分な税金はかからないようにするのがあたりまえですよということが、実際税務の第一線でも言われるのです。余分な税金がかからないように、かりに百万円もらっておっても、それを三年間に分けてやればかかりませんよと教えてくれて、そういうようにしておる。そういうことも事実やっておるわけです。そういうことから考えれば、たとえば十年間夫婦であったとした場合、さきの五年間、――いまの貨幣価値でいきますよ。いまから十年前に結婚して、十年たった。その前の五年間は、たとえば平均月収五万円のサラリーマンであった。そうしますと、その五万円の収入の中から奥さんが月に八千円へそくりしたとしますと、大体五年間で四十二万くらいになります。あとの五年間は御主人の給料が月収七万円、二万円くらい上がったわけですね。これは平均ですから、そして五年間ですから、二万円月収が上がっておったわけですから月平均一万円へそくりをしたということになりますと、これで約六十万のへそくりができたということになる。初めの五年間の四十二万円とあとの五年間の六十万円で、合計百二万円のへそくりができた。このサラリーマンの十年間の収入は七百二十万円であります。ですから年間七十二万円くらい。年間七十二万円くらいのサラリーマンがかりに奥さんに百万贈与したとしても、私はこういうものには課税すべきじゃない。これは、先ほど言ったような事業所得者なんかですと、専従者給与をもらっていればできるのです。贈与の非課税の範囲に入るのです。そういうことから見れば、今後方向としましていろんな免税限度が上がっていくと思いますが、私が言わんとするところは、年間平均百万かそこらのサラリーマンが十年後、二十年後に奥さんに百万やろうと二百万やろうと、額はどうでもいいと思うのですよ、いまの四十万というようなことによって、いわゆる何にも知らない人が税金をかけられるということは無理ではないか。ですから年収百万か百五十万くらいのサラリーマンから、十年、二十年連れ添った奥さんが百五十万くらいの贈与を受けたからといって、そういうのは非課税にすべきじゃなかろうか、こういう意見を持っていま申し上げたわけです。どうでしょう。
#59
○中川政府委員 実は気持ちはわかるわけですが、贈与税というのは大体相続税との見合いから出ておるようなんです。ぼくもよくわからないのですけれども、生存中に贈与をやっておいた。この人は税金がかからない。突然だんなさんが死んだ。そのときに奥さんの名義になったものは取られるというんじゃバランスがとれないというところから、案外贈与税がきびしくできておるようなんです。そことのにらみ合わせでにらんでいかなければならぬと思うのでありますが、四十万円を奥さんにやって、それ以上やれば税金がかかるという問題は、なるほど御指摘のような気持ちもわかります。そこで四十万については、あるいは今後百万がいいのか百五十万がいいのか、あるいは六十万がいいのか、やはりこれは段階的にくふうしていくべきじゃないか。ただしいま相続税との見合いがあるものですから、それをにらんでいじくっていくべきじゃないか、こういうように考えます。
#60
○田中(昭)小委員 局長、どうです。
#61
○細見政府委員 全く同じでございます。
#62
○田中(昭)小委員 もう時間もないようですが、もう一つ、いわゆる妻の所得ということでサラリーマンの税金が高いというようなことが問題になって、二分二乗方式の税率を適用していきたいという話も出ておるようですが、これは今後の見込みはどうですか。
#63
○中川政府委員 この制度は先進国でもやっているところがかなりあるようですから研究はしていかなければならぬのですが、二つ矛盾があるのです。一つは共かせぎをやった人が損をする、働かない奥さんのほうがよくなるという問題が一つと、それから所得税は累進課税なものですから、多額の者、高給者が利益を受けてしまう。この二つの問題があるものですから、できればそういうことをやりたいのですが、つっかかっている点があるとすればその二つだと思います。しかし外国でもやっておることですから、十分検討してまいりたいと思います。
#64
○田中(昭)小委員 それでは最後に、サラリーマンの奥さんへの贈与については、先ほど政務次官からお話があったように、この限度額を上げる方向で検討してもらうということを要望して、質問を終わります。
#65
○山下小委員長 本日は、これにて散会いたします。
 午後一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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