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1970/10/13 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第2号
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1970/10/13 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第2号

#1
第063回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第2号
昭和四十五年十月十三日(火曜日)
    午後一時七分開議
 出席小委員
   小委員長 山下 元利君
      佐伯 宗義君    中島源太郎君
      平林  剛君    広瀬 秀吉君
      堀  昌雄君    貝沼 次郎君
      春日 一幸君
 小委員外の出席者
        大蔵委員長   毛利 松平君
        大 蔵 委 員 高橋清一郎君
        大 蔵 委 員 登坂重次郎君
        大 蔵 委 員 藤井 勝志君
        大 蔵 委 員 竹本 孫一君
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        国税庁長官   吉國 二郎君
        国税庁間税部長 塚本石五郎君
        参  考  人
        (税制調査会会
        長)      東畑 精一君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
十月十三日
 小委員中嶋英夫君及び八木昇君同日小委員辞任
 につき、その補欠として平林剛君及び堀昌雄君
 が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員平林剛君及び堀昌雄君同日小委員辞任に
 つき、その補欠として中嶋英夫君及び八木昇君
 が委員長の指名で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 税制及び税の執行に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山下小委員長 これより会議を開きます。税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として税制調査会会長東畑精一君が御出席になっております。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
#3
○広瀬(秀)小委員 税制調査会長の東畑先生お見えになっておりますので、まず現在までに、来年度の税制改正、また新しい、七〇年代全部ということではないでしょうけれども、かなり長期にわたる税制改正の問題等について税制調査会でかなりの御審議がなされているものと拝察するわけでありますが、現在どの程度に討議が進められており、答申がいつごろ出されるお見通しであるか。それらの点をまずちょっとお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
#4
○東畑参考人 税制調査会は、ことしの七月でございましたか、総会をやりまして、今年度の運営について相談いたしまして、三つの部会を設けました。第一部会というのは、さきの広瀬さんのお話じゃありませんが、少し長期にわたって答申案を出したい。それから第二部会が直接税であります。第三部会が間接税、この三つに分かちまして、第二、第三については四十六年度の税制改正に対する意見を出そう、こうなっています。
 第一部会は基本問題となっておりますので、税制全般についての審議になりますが、これは特に専門委員会というのを設けまして、約十数名の専門家を専門委員にいたしまして、それを小委員会と申しておりますが、実は第一部会の全委員と専門委員が一緒になって審議をする、こういうことになっていまして、この基本問題のほうはいままで四回ほどやりました。同時に、その基本問題といたしましては、問題が重要であるというので、委員の二人と専門委員の一人を先般ヨーロッパのほうへ派遣いたしました。特に間接税の研究とか、その他また税制一般の調査をして参考にいたしたい、こういうようになっております。
 それから第二部会、第三部会は、それぞれまだ一回ずつしかやっておりません。審議は総括的な意味の問題の提示という程度になっておりまして、さらに一歩進んでのところまではまだ進んでおりません。実は、ここへ来いというお話でありましたが、もう一月おくらしていただけばいいお話、答弁ができるのではないかと、こう思っておったのでありますけれども、まだほんの出口なものですから、残念ですけれどもその程度で御報告にとどめます。
#5
○広瀬(秀)小委員 いまのお話で、長期に基本的な問題の部会として四回やっておられるし、ヨーロッパにも委員を派遣されているという話でございました。そのほかの第二部会、第三部会は一回ずつだということで、まだほんとうの窓口の議論の段階のような状況にあるということが明らかにされたわけでありまして、現在の時点において会長のお考えをただすということも若干時期が早かったような気もいたすわけでありますが、それはそれなりにまたしかるべき時期にもう一度おいでいただくようなことをお願い申し上げたいと思うのですが、税制調査会に対しまして事務当局からもいろんな問題が提示をされ、事務当局からもお話がいっているようでございます。そのことにつきましては、特に国会の大蔵委員会を中心として議論をされた問題点がかなり網羅的に御検討をいただくように事務当局からも要請があったように伺っておるわけでございますので、言うなれば、前国会において私どもが議論した問題点について、税制調査会長は現在の段階においてどういうようにお考えになっておられるかということになるわけでございますので、そういう意味でひとつ忌憚のない会長としての御発言をいただければ幸いだと思うわけであります。
 最初に一つお伺いしたいことは、所得税の中で、特に給与所得に対する減税の問題でございます。まだ一回しかやってないという段階では意見を述べることがはばかられる面もあろうかと思いますが、先ほど申し上げたようなことでひとつ会長としての率直な御意見を聞かしていただきたいわけですが、所得税減税について五人家族で課税最低限を幾らというようなきめ方というものがもう時代の実情にそぐわないものになっている。たしか最近の統計を見ましても、一世帯平均家族は夫婦・子供を含めて三・九七というようなことで、四人というものにも及んでいないというようなのが平均の姿であり、そういうものが大部分になってきている。夫婦・子供三人という世帯がもう非常に数少なくなっているというようなことでございますから、これを四人家族ということで課税最低限を幾らときめることのほうが国民大衆にとってもきわめて身近な問題点として受け取れる、俗なことばで言えば一番ぴんとくることではないか、こういうような問題をずいぶん議論をいたしました。この点についての先生のお考えをこの際お聞かせをいただきたい。七〇年代でございますから、七〇年代の最初の年でございますので、そういうお考えもひとつ出していただけたらというように私ども考えておるわけでございますので、ひとつお願いいたします。
#6
○東畑参考人 あらかじめ広瀬さん、皆さんにも御了解を願っておきたいのは、税制調査会長として意見を言えというのですが、税制調査会は実に人物そろっておりまして、会長の発言力というものが三十分の一なんです。ですからあまり私が意見を持っているなんておっしゃっては困るので、これは謙遜しているわけではなくて事実でございますからどうかひとつそのつもりで。以下のお話は、そういう意味からいいますと全く個人的な話になるかと思います。皆さんの意見にあるいは近いかと思いますが、そのおつもりでお聞きいただきたいと思います。
 五人家族の問題はごもっともで、以前標準家族標準家族とわれわれも話をいたしておりましたが、いつの間にやら標準家族と言わなくなりました。おっしゃったとおり、家族はだんだん小さくなりつつある。所得税の基準として四人にするのがあるいは妥当であるかもしらぬと思っておりますが、しかしこれは単なる計算上の技術問題である。中には標準家族というものを四人にするのはよくないという議論もある。日本人はだんだん人口が減ってくるではないか。子供二人ととれば人口は減ってくるのです、いまの計算でいきますと。そういうような議論もあります。そういうやかましいことを言わないで、技術上の問題だと思っております。早晩四人に換算し直すということは幾らでも可能だ。ただ、いままで全体が外国のやつまで全部五人でずっと計算しておるのでありますが、比較その他だけの問題として御了解願っておきたいと思います。これを全部やり直すのはなかなか時間がかかります。そういう次第であります。私は四人にすることに一つも反対することはないと思っております。
#7
○広瀬(秀)小委員 東畑先生個人としては、そういうほうがより望ましいのではないかという意思が表明されたというように受け取りまして、次の問題に質問を移します。
 所得税減税の中で、私どもが特に前国会において強調をいたしました点は、サラリーマン減税ということが非常にやかましくなり、またサラリーマンに特に重税感というものがみなぎって、つい最近行なわれました朝日の税に対する世論調査等を見ましても、重税感というものは非常に広範になっておりますし、また不公平感というようなものが特にはなはだしい、こういうアンケート調査の結果も出ておるわけでございますが、そういう中で給与所得控除、その中でも特に定額控除を引き上げる。現在の十万円を、私ども社会党としては二十万円ぐらいに控除額を増額してほしいということもあるわけであります。いまいろんな野党各党でもあるいはまたサラリーマンの大部分を労働組合に組織している労働諸団体、こういうようなところあるいはサラリーマン同盟あたりでも、少なくとも来年あたりには五万円程度の給与所得控除の定額部分の引き上げというものを強く要求しておるわけでございます。これについて私どもはまだ五万円ということでは足りないという見解を持っておるんですが、少なくともとりあえず来年度五万円というようなものは引き上げていただきたい、こういう強い希望を持っておるし、いまやこれはもうすべてのサラリーマン、給与所得者の悲願になっているというような状況であるわけであります。
 そういう中で、大体私どもは実はこれを今年度中にも、たとえば税の自然増収の伸び、こういうようなものも現在、大体当初予定した一兆三千七百三十億くらいのところから、おそらく三千五百億ないし四千億の自然増収も出るんではないか。補正要因として給与のベースアップその他災害とか公害関係の費用とか地方交付税の交付金の増額とか、いろいろなそういうものを除きましてもなお一千億以上も余裕が出るのではないか、財源的には。そういうことを含めまして、できればこの四十五年度の年度途中であっても五万円程度の引き上げということは、財源的にも、来年一月から三月までの間実施するということにしましても、これは三百億程度で済むのではないかというようなことも含めまして、強く私ども要求しているわけなんです。そういうものについても、大蔵当局もたまには、そういう税の自然増収というのは要するに税の取り過ぎだという見方も成り立つわけでございまして、そういうような点からこれをやはり給与所得者に還元するということで、年度途中において税法の改正をやってもいいんじゃないかという気持ちも強く持っているわけなんです。この問題について先生の御見解をお聞きいたしたいと思うわけです。
#8
○東畑参考人 いわゆるサラリーマン減税でございますが、特にこれは給与所得控除の問題になってくると思います。広瀬さんのお話、私はごもっともなことだと思っております。一般所得税の減税をどこへ重点を置くかというのがいま問題になっておる。その全体の考慮ということがありますけれども、今年度の、たしか皆さん議決なすったんでは、給与所得控除というのはだいぶふえておりまして、われわれとして、税制調査会で答申いたしたよりもプラスしてもらったようなわけで、驚いておるんでありますが、定額控除というのは、そのやり方でいくか、その刻みのほうでいくかという問題があります。ベースアップその他のことをいろいろ考えていきまして、やはりこれも、ベースアップするというとおかしいのですが、定額のことを相当考慮しなければならぬのじゃないか、こう思っております。ただ、年度の途中でやれと言われるんですが、これはどうもわれわれとしましてそこまで言うのは言い過ぎなんでありまして、これは賢明な国会議員の皆さんがおきめ願えればいいことじゃないかと思っております。
#9
○広瀬(秀)小委員 大体趣旨には賛成の意を表していただいたと理解するわけですが、大蔵当局に続いてお伺いしたいんですが、税の自然増収の伸び、これは三千五百億から四千億に近い伸びが期待されるということについては大体間違いないだろうと私ども想定をしておるし、いろいろな調査などがあっちこっちから出ておるわけでございますが、その問題を含めまして、その見通しと、それから私どもが前国会で要求した、一月からでもいいからそれを何とか踏み切れぬのかという問題についての大蔵当局の考え方をこの際明らかにしていただければと思うわけでございます。
#10
○細見説明員 税収の見通しは御承知のように非常にむずかしい段階にございまして、大蔵省あるいは日本銀行の、われわれのような税をやっておる者以外の、いわば景気そのものを見ることを職業にしておられる方が迷っておられるというような状況でございまして、私どももいままで出てきておる限りでは若干の自然増収もあるいはあろうかと思いますが、このあとがどうなりますかは、あげて今後の経済運営にかかることになろうかと思います。確かに給与所得のようなものは、かなりベースアップも当初私どもが税収のベースとして見込んでおりましたものよりは多くなっておることは事実でございます。それから法人所得も、この三月決算などを見ておりました限り、あるいは四月決算ぐらいまではよかったわけでございますが、たとえば五月決算であるトヨタ、松下というような会社になりますと、御承知のようにかなりがたんと落ちております。そういうような趨勢をどう読み込みますか。私どももできるだけ正確に税収は見積もりたいと思っておりますが、はなはだ残念なことに私どもの税収の見積もりにつきましてあまり世間も信用してくれてないような状況でございますが、いずれにしても何とか正確に見積もりたいと思って、計算はいま一生懸命やっております。たとえば九月の決算につきまして、およその決算の見込みというようなものも近々各企業に問い合わせてみたいというようなことも考えておりますが、いま現在、昨年の収入割合に比べまして二%あるいは二・一%という程度はよくなっております。それは事実でございますが、何千億というところまではちょっと申し上げかねる。
 それから年度内減税の問題にいたしましても、そういう税収の見通しが不確定な状況におきまして、われわれ税制に携わっておる者としては、余裕のある限り国民に負担を返していくべきだということは常に念願いたしておりますが、それが本年度実現できるかどうかというのは、いまの段階ではちょっと予測いたしかねるわけでございます。
#11
○広瀬(秀)小委員 大蔵省の自然増収の見通しというのも、これは例年そうなんでありますが、いつもいまごろの時期になりますとこういう問題が論争され、そしていつの年においても同じような答弁がある。そして結果は全部私どもが指摘したとおりの自然増収の伸びというものが見られてきたわけであります。しかも今日、景気の見通しの問題にも当然発展するわけですけれども、すでにアメリカの景気等において、これは繊維の問題であるとか、あるいはテレビの関税評価拒否をしている。それが洋食器などにも及んでいるとか、いろいろそういう点で個別的なところには若干の問題があるにしても、たとえば貿易の輸出の伸び等についても、対中国貿易だとかあるいは西独貿易だとかいうようなところは四〇%以上も伸びておる。そういう中で自動車であるとかテレビなどがかなりの伸びをそういう点でも示しているというようなこともありますし、またアメリカ経済も中間選挙というようなことを控えてそうデフレ的な傾向というものはたどらないだろうし、すでに金融引き締めというようなものから公定歩合のレートなども、貸し出し金利のレートなども引き下げるというような事態もきておるわけでありまして、そういう点ではそう暗い景気の見通しだということも言えないし、国内においても金融引き締めの解除も近いだろうというような状況にもあるわけで、政策不況は絶対避けようというようなことにもなっておるわけでありまして、そういう点からいえば財源の見通しというものは少なくともことしは三、四千億あるだろうということは、大体もうはっきりしているんじゃないかと思うのです。
 そういう中で一度くらい年度途中にでも、それだけ余裕のある状態ならば――昨年だってもう三千億に近いものがあったわけですから。そういう中で二千億をこえたら――おそらくこえるなどということはまずないだろう、千二百億かそこらだというようなことを昨年の九月段階で細見さんは言っておられる。ところがそれが二千九百何十億ということにもなって、財政の余剰も九百五十億も出た。こういうような状況からいっても、財源の見通しが困難だという点では、もうあなた方の理屈は成り立たないだろうと私は思うのです。そういうことですから、特に七〇年代の最初の年度において、せめて年度の途中においても、少なくとも一−三月でそのくらいの手を打つというような配慮があってしかるべきだ、こういうように思うわけですが、これは政務次官、きょうは大臣がいませんから、大臣の気持ちで、そのくらいのことをことしあたりやってもらいたいという希望を申し上げるのだが、それについてのお考えをひとつ示していただきたいと思うのです。
#12
○中川説明員 ことしの税収の見通しについてはいま主税局長から御説明申し上げたとおりでありまして、何千億という余る見通しというものはつかぬのではなかろうか、正直なところそういう見通しでありますし、景気の動向も、若干実体面にも引き締め効果があらわれつつあるというようなことで、これが緩和されましたとしても、すぐに反映するかどうか。そういった事情もありまして、余剰について予測をすることは正直のところ困難ではないかということも踏まえ、また、年度途中で税制を変えるということにも、やり得ればやったほうがいいにこしたことはありませんが、やはりこれは法律の問題もあり、また国会の関係その他からいっても問題もありますし、また、昨年所得減税についてはかなり従来にない、いま東畑会長からお話がありましたように、税制調査会が御答申くださったよりも思い切った減税をやった年でもありますので、そういった減税についてはまた明年度の予算においてしっかり調査会の答申をいただいて前向きで検討するのが一番よろしいのではないか、このように考えますので、御了承願いたいと存じます。
#13
○広瀬(秀)小委員 きょうはあまり時間もないですからなんですが、朝日の調査でも、大幅な減税をやったというそのあとでこういう調査もやっているわけだけれども、国民の、特に給与所得者層でも減税をしてもらったというような実感というものが非常に乏しいという調査結果が出ているのです。そういう中で、やはり大衆が要求したものが年度途中においてもやられたというようなことになれば、目に見えた減税という、まさに善政が行なわれたとびんとくるのですけれども、あの程度のことではそう自慢にするほどのものではない。大衆はやはり減税の恩恵に浴したのだというような気持ちを持っていない、そういう結果が調査結果にあらわれているわけです。特に、佐藤内閣を支持するという層ではある程度減税を受けたという実感がありますというのが何ぼか出ているというのですけれども、そうでない者には、これは反自民党政権という人だけではなしに、全体を通じて見た場合に、減税感というものはそうないのだ、そしてあるものはやはり重税感と不公平感だというようなことなのですから、その辺のところをあまり自己評価をしないで、やはり大衆の気持ちに従って、目に見えた、なるほどわれわれの気持ちが減税の面で通ったのだというような実感がわくような減税というものはやっぱり私は給与所得控除の問題にあるだろうと思うのです。そういう点では政務次官の答弁はたいへん不満なんだけれども、ここでやり合っても時間がございませんので、いずれまた大蔵委員会等で大臣を呼んでこの問題をあらためてやりたいと思うわけでありますから、きょうはその程度にしておきます。
 それから住民税の課税最低限の問題がこの前の国会でも大きく取り上げられました。佐藤総理大臣にもおいでいただいてその問題を私ただしたわけであります。秋田自治大臣にもおいでをいただきました。大蔵大臣にも来ていただいて、三人そろっているところでお伺いしたわけで、その中で、佐藤総理も、それから自治大臣も、住民税の課税最低限と所得税の課税最低限に約三十万、二十九万何がしという開きがあるということは決して好ましいことではないということを認められました。来年度はこの住民税の課税最低限をかなり大幅に引き上げる、こういう御答弁もいただいているわけでありますが、税制調査会としてこの点についても、そういう前国会の審議の経過というものを踏まえて善処をしていただくお気持ちが十分おありだろうと思うのでありますが、その点会長の御意見を承っておきたいと思います。
#14
○東畑参考人 いまのお話はわれわれ、国会で非常にやかましく御議論があった、のみならず、もっともな議論じゃないかと思う点が多うございまして、十分考慮するつもりでおります。それで第一歩といたしましては、どうも所得税だとか住民税だとかというのもこれは役所の便宜上の区分で、われわれ払う者からいえば同じ所得税なのです。ですから、地方税はまあ第二所得税と思いまして、審議といたしましても一緒くたにやろうというので、地方部会というものを設けませんで、直接税は直接税としてやる、その中では所得税も住民税も一緒にひとつやろうというのが、いまあなたのお気持ちに沿った処置ではないかと思っております。
#15
○広瀬(秀)小委員 次の質問に移ります。
 交際費の課税も問題ですが、これも税制調査会におそらく諮問しておることだと思うわけであります。これも、おそらく昭和四十五年度には交際費支出というものが一兆円をこえるのではないかという膨大なものになって、四十四年度でも七千五、六百億ということになっているわけですが、これの課税がきわめてまだまだ優遇され、交際費支出が多過ぎる。しかもそういうものが道義の廃退というようなものにまでつながったり、あるいは今日労働力不足にあるにもかかわらず接客業などに貴重な労働力がどんどんとられるというような原因にもなっているというような、いろんな問題を含んでこの問題は十分再検討されなければならないという立場において私ども議論を展開をいたしまして、少なくとも現在の基礎控除、損金算入部分というものが一律に四百万、そして資本金の千分の二・五、こういうようなものをプラスしたものが基礎控除で、それは全部税を免除する、それをこえた部分についても昨年の実績の五%まではその四〇%程度しか税金をかけないとかというようなことになっておるわけでありますが、そういうもの全体を含めてこれはもっと課税をきびしくやっていいのではないか、こういうことを強く主張いたしまして、またこの問題についても同様、総理も大蔵大臣もこれについて再検討ということを約束をしておるわけでありますが、この問題についてもそういう方向で、とにかくいままでよりも課税をきびしくするという方向でお考えになっておられるものと思うわけでありますが、この際会長の御意見を承りたいと思うわけであります。
#16
○東畑参考人 日本人は飲み食いが非常に好きで、飲み食いせぬ人は物をよこせというような考えが非常に強い国で、どうもそれが、そういった一つの文化水準というのが交際費によくあらわれておると思うのですね。われわれもそういう意味からいきまして十分これは検討したい。どこで交際費を重くするか、軽くするか――軽くというのは言い過ぎかもしれませんが、どこで検討するかとなってくると、やはりお話しのように四百万円プラス資本金の千分の二・五でございますか、その限度という問題をきびしくするということも一つの方法でないかと思っております。もう一つは、こした部分につきまして、いまお話ありましたようにたしか六〇%かは経費と認めない、こういうお話であります。その点をもう少し検討する。両方あわせて検討するというのが道ではないかと思っております。まだ実際上は税制調査会としてはそこまで話は入っておりませんけれども、おそらくは多数の方の御意見はやはり多少きびしくしろという御意見じゃないかと思います。私自身はそう思っております。
#17
○広瀬(秀)小委員 主税局長、大蔵当局としてはこの問題について率直にどういう方向を考えられておるか。また心の中でいろいろ構想していることがありましたらこの際表明をしていただきたいと思います。
#18
○細見説明員 交際費の問題は、一番基本的に心の中で何を考えておると申されれば、交際費の乱用とかあるいは交際費にいろいろな日本のまずさが出るという問題は、税制の問題でなくて、やはり経営者なり、あるいは日本の経済人の皆さんの道義を正していただく。基本的には道義の問題だ。税の理論から申せば、交際費も適正な交際費である限りそれはやはり経費であるとか、あるいはまた広告費にいたしましてもそれが適正なものであれば経費であるということは、心の奥底でどう思っておるといわれればそういうことだと思いますが、そういう心の奥底で思っておることにかかわりませず、やはり世の中にはかなり私的な乱費があるという問題があるわけで、やはり基本は公私を混淆しない清廉な事業活動にあると思いますが、それはそれなりに困難で今日まで惰性で参っておりますので、私どもといたしましても交際費の課税というものは強化していかざるを得ないのではないか。ただその場合に、交際費の課税の強化と遊興飲食税の課税のあり方というようなものを関連させないでどこまでやれるのか、あるいはそういうものをかなり徹底してやらないと最終的には効果があがらない、あるいはまたいま申し上げましたように、公私混淆ということにつきましては、そういう私的なものについてはたとえば賞与でするとか、あるいは所得税を課するとかいうような方法をもってしなければ、いま会長のおっしゃったように、飲み食いなら人の金、物ならただでくれという風潮は直らないというような面もあるいはあるのではないかと思います。しかしいずれにいたしましても、世論に聞いて、やはり強化の方向に進まざるを得ないのではないか、かように考えております。
#19
○広瀬(秀)小委員 この問題も前国会から非常に論議の集中したところでありますから、いま会長、主税局長がおっしゃったような方向で、少なくとも、道義の高揚というようなものが基本ではあるけれども、やっぱり税制がそういう方向に誘導するためにも、当然これは国民感情からいっても、いわゆる国民の租税に対する正義感というような基本的な立場からいっても、これは強化されてしかるべきだということを強く申し上げておきます。その方向で十分ひとつ検討して、次の国会、にはこれをきびしく措置をするということで御提案をいただきたいと思うわけであります。
 それから、これも前国会でたいへん問題になって、総理からもこれは再検討の余地が十分ありますという本会議答弁もあった問題ですが、金融機関の貸倒引当金、これは一般の企業から見ましても特別に優遇され過ぎておる問題であって、しかも現実の問題として、貸し出し残高の一・五%まで積み立てが認められるというようなことで、現実には七千四十七億というのが銀行の引当金総額である。こういう状態で、これに対して現実の引き当て額というのは百何十億というような、〇・二%とか〇・何%というようなきわめて微々たるものであるわけです。実際には〇・一%以下であって、実際に回収不能になった貸し出し金、そしてそれに引当金を充てたというものは〇・一%以下だ。担保をちゃんととっておるというようなことから見ればさらにその数字が減少して、〇・〇三%ぐらいだろうというようなことすらいわれておるわけであります。これについて、当然、これは総理大臣も約束をされたことでありますから、来年度あたりは――特にこの銀行の貸倒引当金というものがあまりにも銀行経理を優遇し過ぎるということになっておるし、その他の企業との均衡の問題を考慮してもまことに過保護の代表的なものである。こういうようなことを考えて、この問題についてまず主税局長のお考えを聞き、会長の御所見を伺いたいと思います。
#20
○細見説明員 金融機関の貸倒引当金の問題につきましては、前国会におきまして総理やあるいは大蔵大臣からいろいろお答えをいたしておるところでございまして、私どもはその線に沿いましていろいろ検討をいたしておるわけであります。
 ただ、貸し倒れの率をどの程度にきめるかということは、貸し倒れの認定ということとも微妙に関連する問題でありまして、これらの点についてトラブルのない制度というものを考えていかなければならない。その場合には、やはり若干の余裕のある引き当て率というようなことも、そうしたトラブルを避ける方便の一つとして考えられるところでありますが、ただ、いまの現状と実際の貸し倒れの現実とがかなり食い違っておるという点につきましては、われわれも今後この問題について、金融機関の健全経営のあり方ということともからみまして、慎重に検討してまいらなければならない大きな問題だと考えておるわけであります。
#21
○東畑参考人 私もいま細見局長が申しましたことと同じような答弁をせざるを得ないのであります。私個人といたしましては、特別措置全体の検討ということはもちろん大事なことでありますが、特に企業経営の中でもう少し経費その他の内容を経済的に検討する必要があるのではないか、こう思っております。実は先ほども局長に、これは私の資料でありますが、企業の内部のいろいろな費用がどうなっておるかということについて、もう少し細目と全体を出してくれということを頼んでおります。うんと検討しなければならぬ問題だ、これは確かであります。
#22
○広瀬(秀)小委員 東畑先生は三時までということのようでございまして、あと東畑先生にお聞きしたいという委員もほかにまだたくさんおられるものですからなんですが、もう一点だけ東畑先生にお聞きして、国税庁長官への質問はあとに回してもらいたいと思いますが、自動車新税の問題ですね。これはいろいろな意味で非常に大きな今日の政治課題になっていると思います。将来の道路網の問題、それから自動車との関連、交通災害との関連、いろいろな問題、それから新しい角度での自動車の道路損傷に対する責任というようなことも含めて新税構想がいろいろ出されておるし、それに対しては賛否、相当な議論が行なわれておりまして、この問題についても税制調査会でも何らかの結論を出されることになるのではないかと思うわけでありますが、私どもは当初田中構想として出されたような形のものには反対だったわけなんです。その理由を詳しくは申し上げませんが、とにかく自動車のユーザーあるいはメーカー、その他これに関連する自動車保有者を含めて、何らかの形でもち少し整理をして、自動車の物品税がかかりあるいは取得税がかかり、そのほか自賠法によるいろいろな負担というようなことなども総合的に考えて、もう一ぺん自動車保有者に対してどういう程度の負担を課するかということは全部洗い直して、もっとすっきりした、できれば一元化されるような方向での負担というようなことを新しく求めるという形で再検討を全面的にした上で、こういうものを考えていったらいいのではないかという考えを基本的に持つわけなんです。いまのところ会長はこの問題についてどういう御感触でいらっしゃるか。この点をお聞きをいたしたいと思うわけであります。
#23
○東畑参考人 先ほどから広瀬さんいろいろ御質問になって、広瀬さんの御感触を聞いているのですが、どうも私とむやみに一致することが多くて喜んでおるわけなんです。
 自動車税につきましては、実は頭の中がきりきりいたしておりまして、たくさんの案があります。どうまとめるかということはなかなか大業だと思っておりまして、うんと検討しなければならぬ。現に自動車関係で払っている税は一兆円をこしておりますか――一兆円ぐらいになる。来年度はもっとふえるかもしれぬ。その道路財源をどうするかという問題がありますが、全体の財政ということと非常に密接な関係がある問題であります。そういう場合に、やはりいまのお話で意見が一致したというのは、全体として一ぺん検討し直してみたらどうだという考え方を私は持っております。ただ時間がかかるかもしれません。いい考えがあれば四十六年度にそれの線に沿うということも可能かと思いますが、まだ実は税制調査会としては、この次あたりの間接税部会に出してくるようになるかと思っております。ただいまのところ私自身としては頭の中は一ぱいで、非常に迷っている次第であります。
#24
○広瀬(秀)小委員 最後に一点だけお伺いしたいのは、今日また税制調査会からもヨーロッパに派遣をされたということの主たるねらいは、おそらく例のTVA、付加価値税制を日本に導入するかどうかということであろうと思いますが、私どもこの問題は非常に真剣に考えなければならない問題だと思うわけであります。特に今日のように物価がかなり上昇基調をずっと根強く続けている、しかもことしあたりは昨年以上に物価上昇が持続する、見られるというような段階、そしてまたこれはここ数年で解消するようななまやさしいものでもなさそうだというような中でこれを取り入れるということは、物価の面でも非常にたいへんな問題になるし、あるいはまたいろいろなものをひっくるめて付加価値を製造段階から小売り段階までとれるということになりますと、まさに間接税の逆進性というような問題がかなりきびしく国民の負担、重税感というものにもなってくる可能性もある、こういうようないろいろな問題を踏まえて私どもとしてはなかなか賛成しかねる気持ちを持っているわけです。いずれにしても今日の物品税体系、消費税体系というようなものがそういう方向に進むことを、税制調査会会長としてやはり妥当性があるといまお感じになっておられ、るか。あるいは現在の率直な間接税増徴の方向、そしてそれの行き着くところは付加価値税である、こういうような方向に事態は進むべきだし、進めなければならぬというような御感触なのか。それとももっと長い年月をかけてこの問題を取り扱っていかれるお気持ちであるのか。またそういう方向でなくて、現在の消費税体系を補強をし、あるいは補正をしていくことで足りるという御感触であるか。この辺のところを、率直なお気持ちを聞かしていただきたいと思うわけであります。
#25
○東畑参考人 私は以前から、一般消費税ですかは課すべきではないか――これが増徴になるかは別問題ですが、そういう考えであります。と申しますのは、物品税でやっていますと実にいろいろな欠陥がある。非常に不公平になる。ことに技術進化のはなはだしいときは新しいものがどんどんできる。ほぼ似たような用途のもので、片一方は税を取られる、片一方は取られない、いろいろなことがあるのみならず、また物価騰貴ということで、従量税的なものが多いものでありますから、狂いが出てくる。のみならず税を取る上におきましても非常な徴税上のやっかいさがあると思っております。それよりは一般売り上げ税とでもいいますか、一般売り上げ税ということばはちょっと悪いかもしれません、一般消費税、その道をとるのがやはり本筋ではないか。ことに国民所得がふえてまいりましたら消費というものの方向もずいぶん変わっていくと思います。天下の大道はそういった一般消費税的なことでやっていく。同時にそれは現在の物品税に伴ういろいろな難点を回避する道ではないか。その場合に、一般消費税といいましてもそこにまた消費税を課せないものもできてきます。これを検討するのが大筋ではないかという心持ちでおります。これは税制調査会の諸君は一体どう思われるか存じませんが、個人的にはそういう考えであります。
#26
○広瀬(秀)小委員 どうもありがとうございました。一たん中断しまして……。
#27
○山下小委員長 春日委員。
#28
○春日小委員 先般新聞の報道するところによりますと、政府は明年度の物品税の改正について、一つには、新規に製作された高級製品に対して新たに課税を行なう。第二には、物品税の免税点については原則としてこの際引き上げは行なわない。第三には、貴金属製品など一部の品目については免税点を段階的に引き上げて、やがてはこれをなくする、こういうような三つの方向を定められたと報道されまして、このことが、物品税が適用されております業界に大きなショックを与えておると思うのでございます。
 と申しますのは、従来物品税の免税点は、その制度のある理由に基づいて、いままで、物価の値上がりとかあるいは労働賃金の高まりあるいは国民生活水準の向上などに見合うて、四年ごとに段階を区切ってこの免税点の引き上げが行なわれてまいりました。かくて、本来ならば昨年度そのことがなさるべかりしものであったのでありますが、そのことが本委員会においてもしばしば論ぜられましたが、政府答弁は、この問題については来年度、すなわち昭和の四十六年度においてこれを実施するから今回はこれを見送ると、昨年来答弁されてまいったところでございました。すなわち、ことしの六十三国会なるものは、俗に、とにもかくにも早く切り上げちまおうという安保対策上の戦略的な意味から、短期国会というようなことでございまして、きめこまやかな経済政策論議はこれをことごとく次の機会に譲る、こういうことで、おしなべてこれがペンディングのまま今日に持ち越されておる経過でございます。かくて昨年度、何とか免税点を引き上げてほしいのだ、いままで引き上げられたんだから、その制度のある限り、今回ここで引き上げないというのは不当なことではないかというので、関係業者もまた消費者もそのことに強く対抗して今日に至っておるわけであります。
 このような経過を踏まえて、このほど新聞に報道された明年度におけるいわゆる政府方針なるもの、これは引き上げないのみならず、むしろこれを重課していく方向でというようなことでありますると、国会の審議の経過にかんがみて、これはほんとうに政府の方針であるのかどうか。またこの問題について税制調査会はどのような検討をされておるのであるか。またこの問題について政府に対して何らかの意思表示をされたものであるのか。まず最初に東畑会長から、この物品税の免税点の引き上げに関する事柄について、その実情をひとつお示し願いたいと思います。
#29
○東畑参考人 まだ物品税につきまして意見を全然出していないのであります。ただ現在こうなっているというだけのことであります。一回限りにしたわけであります。この次あたりからそういう点も出てくるのではないかと思います。
#30
○春日小委員 だとすればこういうような方針というものは、新聞報道でございますからいまここで政府の責任を追及するというわけではございませんが、本委員会における理事会あるいは本委員会等においての政府対委員側との質疑応答の実績にかんがみて、こういうような方針を唐突に打ち出されるということについてはまことに理解いたしかねるものでありまするが、はたしてこのような方針というものは、いわゆる政府として報道されておりまするが、どこから報道されたものであるのか。中川政務次官から御答弁を願います。
#31
○中川説明員 税制についていま審議会でこれから御審議をいただくわけでありますが、政府として新聞にあるような、物品税の扱いについての三つの御指摘がありましたが、三つについてそういうような方針を持ったことはありませんで、いろいろと検討段階ではありますが、そういう誤解があったとしたら、これはひとつこの機会にそういうことのないことを明らかにしておきたいと思います。
#32
○春日小委員 ただいま中川政務次官から、そういうような意思を表明した覚えはない、こういう御答弁でございました。なお正確を期するために主税局長からお伺いをいたしたいのでありまするが、政務次官御答弁のごとくに、この事実関係は相違ございませんか。
#33
○細見説明員 もちろん政務次官の言われるととを私が違うと申すわけはないわけでありまして、政府といたしましてというか、大蔵省といたしまして物品税をどういうふうに持っていくかということは税制調査会におはかりしておる最中でございますので、政府側で一方的にこういう考えになったということはないかと思います。ただ一つだけ、先ほど来お聞きしておりまして私が若干奇異に感じました点は、この委員会におきまして、たしか堀委員からであったかと思いますが、免税点は高過ぎるから思い切って切り下げろという意味の、かなり強い御叱正をいただいたのをしかと記憶しておるわけでございます。
#34
○春日小委員 それは一体どういうことでございますか。私もざっと二十年来本委員会におるのでございまするが、もとより大ぜいの四十名にわたります委員の中でありますから、さまざまな意見が民主制度のもとにおいて述べられることは当然の事柄でございますけれども、免税点を引き上げろという議論は、四年ごとに過去においてなされてきたことであるのである。その制度の存在理由は、結局の話が生活に必要度の高いものについてはできるだけ大衆負担を軽減することのために、しこうして四年ごとにこの免税点が引き上げられます、その必要性というものは、この間において物価が高くなってきたあるいは国民生活の水準が向上してきた、それに見合うてその免税点というものを調整していく、その必要性、政策的要請に基づいてその措置がとられてまいったのでございまして、そのことをなせという意見は、速記録をごらんになれば私だけの発言でも一再ではない。しかるところ細見主税局長は私の質問に答えて、中にはすっとんきょうに高いものがあるかもしれないが、そしてそういうものについて調整方をたまたま堀委員が述べられたかもしれません。私もそういうことを聞いておったことがありまするが、そのことだけを述べられて、他にこれを引き上げるべきであるという多くの意見、しかもまた強烈な意見について何らいま触れられないというのはどういうことでありますか。堀君から引き下げろと言われました、しかし春日君からは引き上げろと言われました、こういう両方の事実関係を述べるべきものであって、ただ引き下げろという意見が部分的にあったからといって、そのことのみを取り上げてここに答弁されるということは、事実関係をつまびらかにする本委員会において適切な当局の答弁とは受け取りがたいと思う。いかがでありますか。
#35
○細見説明員 春日委員からは前々から免税点を引き上げろという御意見があり、堀委員もその御意見を述べられておるわけでありますが、この委員会でそういう意見だけであったというふうに先ほど私があるいは聞き間違えたのかもしれませんが、御意見の御披露があったので、いやそういうことばかりでなくて引き下げろという御意見もございました、こう申し上げておるわけであります。
#36
○春日小委員 それでは念のために伺いますが、いままで政府側において免税点を引き上げようという意思表示をされたことが本委員会においてありますか。
#37
○細見説明員 政府側として意思表示をいたしたことは、少なくとも私になってからはございませんが、四十三年七月の税制調査会の答申におきまして、特定の物品の消費が一般化したということだけの事実が、それがそのまま物品税の税率の引き下げや免税点の引き上げを是認することとは必ずしもつながらないであろうという御意見をいただいておりますので、答弁の節々にそういうニュアンスがあるいは出ておったかと思います。
#38
○春日小委員 いわゆる総括、総体的に、この物品税免税点をめぐるところの本委員会におきまする質疑応答を通じて国民が印象的に受け取っておりまするものは、すなわち去年引き上げてもらうべきだったんだが、さまざまな理由があって来年度、昭和四十六年度にその改正が持ち越されておるものである。だから来年度の予算においては当然これが措置せらるべきものであると、強く期待いたしておることはいなみがたい事実であると思うのでございます。そういう意味合いにおいて、私がいまここであえてこの事柄に触れて論じておりまするのはそういうような経過を踏まえて、この間突如としてこの三項目に対する方針みたいなものが政府の方針なりと銘打って打ち出されたことによって、国民の衝撃が大きい。だからそのような事実関係がありやなしやということを伺ったのでありますが、中川政務次官の御答弁によって明確になりましたことは、政府がそういう方針を定めたことはない。なお税制調査会においてはこの問題については目下検討中であって、政府に意思表示をしたことはないという、こういうことでございまするから、この点ははっきりいたしたと思うのでございまするが、この点について、東畑会長は今後いつごろこの問題についての意見をお固めいただくことができるのでございましょうか。実は十月の二十一日に大蔵委員会が開かれるのでございまして、そのときに税制全般をめぐる根本的な問題については、大臣の出席を求めて責任的な質疑応答が繰り返されると思うのでございまするが、それ以前にこの問題についての何らかの意思の御決定が願えられるようなめどがありましょうか、どうでございましょうか、伺っておきたいと思います。
#39
○東畑参考人 とても十月中には意見がまとまるということにはいかぬと思っております。
#40
○春日小委員 東畑会長、この問題についてはいまさらわれわれがちょうちょうの議論を繰り返すまでもないと思うのでありまするが、何としてもこれは国民生活の必要度の高いもの、こういうものについてはできるだけ大衆負担を軽減いたそうと、必ずしも高級品、奢侈品と限ったわけではございませんが、負担応能の原則等からこういうような制度が現実の問題として現存いたしておるわけでございます。したがって私は、この免税点というものは厳守されてしかるべきものであり、それは事由に即して、すなわち経済の実体と国民生活の実態に即して、それに適応した改正がなされてしかるべきものであると考えておりますが、このような基本的な考えについて会長の御意見はいかがでございますか。
#41
○東畑参考人 いまお話しの限りにおいては、私は春日さんのお話に何の抗弁する点もないと思っております。ほぼ同じような気持ちでございます。
#42
○春日小委員 さすが国会側の権威と税制調査会の最高責任者の意見がぴったりと合っておりますることは、わが国税制確立のために喜ばしいことに存ずる次第でございます。ぜひともひとつ国民の輿望にこたえて、ことしこそ、あの北支事件特別税以来長い間特に負担をかけられて苦しんでおりまする諸君が、公正なる措置を受けることのできまするよう御努力を願いたいと思います。
 次は、いま広瀬君の御質問の中にも触れられておったのでございまするが、例の租税特別措置法の中の交際費の問題についてお伺いをいたすのでございます。
 この間うち仄聞するところによりますると、何でも四百万円という基礎控除的性格を有するリミット、これが縮小される、この大ワクが縮小される方向である、こういうふうに伺っておるのでございまするが、なおただいまの広瀬君との応答の中でも、必ずしも私は全面的に首肯できない面がありますので、ことさらにこの問題について私の意見も添えたいと思うわけでございます。
 というのは、交際費というものの本質は何であるかということなのでございますが、昔から同じかまのめしを食った仲ではないかということばがございます。これをちょっと推し進めてさらに判断を深くするならば、同じときに同じものを同じように腹に入れますと何だか同じような気持ちになってくるという、ここに生物本能というようなものがあるのでございまして、さればこそわれわれの友人仲間でもときおり宴会をやる。役所の側の諸君だって、主税局なら主税局同士でやはり思想統一、意見の統合調整をはかるために、同じものを同じときに同じように腹に入れる、こういうような手段を尽くしてまいっておるのでございます。好むと好まざるとにかかわらず、それが人間の社会であり、そのような活動を通じて社会の秩序というものが保たれてまいっておるのでございます。だから私はそういうものを一がいに悪なりと断定してしまうということについてはためらいを感ずるわけでございます。度を過ぎたものはこれは悪であろうけれども、しかし適度のものはむろんこれは善である。またそのことは悠久の過去からずっと将来にまたがって続いていく、人間本能の根源に関する問題でございますから、これをことごとくけしからぬというて論断する、あるいはそれについて苛斂誅求をもって臨むということは、すなおな税制の立て方ではないと思うわけでございます。
 そういう意味で、この四百万円という免税点的性格を持つワクが設定されておる合理性はそこにあると思うのでございますが、今回これを縮小されなければならぬという発想の理由となりましたものは、国税庁でいろいろ調べられたら、中小企業の面においてもいろいろと社長の私的支出が会社の法人経理から支出されておるというような面があるから、まあというようなこともあるようであります。けれども、だとするならば、それは税法上において否認され得べき性格のものであって、そのことのゆえにこの四百万円のワクというものを圧縮すべきではないと私は考えるのでございます。さらにこの四百万円のワクというものは、現在中小企業者というものがそのような交際活動を健全かつ円滑に行なうことによって、その事業活動の効果を高からしめていくという、そういうような政策的な効果をねらわれている面もあると思うのでございまして、この四百万円が三百万円とか何とか圧縮されてまいりますと、それだけ中小企業に対する負担を重くする。あるいは企業活動といいますか、経済活動というものをその面において何となく窮屈にしていく。そうして大企業との間の競争条件を悪化していくことになるのおそれもなしとしない。だから私はこの四百万円というワクはワクとして、特にそのアクセントを中小企業の保護、税法上からするところの保護政策としてこれを認めて、これをこえる部分の不算入を、現行六〇%を政府は七〇%にしようかなというような案のように聞いたのでありますが、七〇%を八〇%にしてもよろしいと思う。だから私はこの四百万円の基礎控除的性格を持つワク、これを圧縮すべきものではないと考えるのでございますが、東畑会長の御見解、いかがでございますか。
#43
○東畑参考人 先ほど広瀬さんのときもお話し申し上げたのでありますが、四百万円と千分の二・五ですか、それから六〇%ですか、三つありますね。交際費の本質に照らして、あるいは企業の健全活動に対して、あるいは税の公平とかいう見地から十分検討したい、こういうお答え、御満足願えるかどうか存じませんが……。
#44
○春日小委員 この間、四百万円のワク、これを縮小しようとか、六〇%の不算入の率を七〇%に上げようという、この意見はどこから出た意見なんでございますか、細見さん。
#45
○細見説明員 しいて申せば新聞から出たと思いますが、私どもは前の国会のときにおきまして、四百万もそれ自体としてその否認割合が低いときには比較的是認できますが、たとえば四百万円までは全然否認されなくて、四百万をこえたとたんに六割とか七割とか非常にきつい否認割合になるというのは合理的でありましょうか。そういう意味で四百万円のところもいわば不可侵聖域というようなものではないのではございませんかということを申し上げました。そういうようなことを踏まえていろいろ新聞紙で報道されたようなことがあったんではないか、かように思うわけであります。
#46
○春日小委員 ちょっとくどいようではございますが、この交際費というものの性格が、やはり人間の生理本能と申しますか、しかも伝統的な慣習の上に立って、そのことが事業活動を円滑に推進することのために健全なる寄与をしておるという認識に立てば、一方中小企業保護政策としても、その事業活動をさらに、大企業に対していろいろな手を持っていないのでございますから、したがってこのような交際活動によってみずからの意見を十分相手に認識せしめる、あるいは説得力を持たしめるということのために、まあ年間四百万円程度のものは、現在あるのであるから、これをいまことさらに縮小しなければならぬという積極的理由はないと思われる。現在物価も上がっておりますし、全体的な経済のかっぷくも向こう五年間に倍増するのだというような趨向の中においてこれを押えるべきではないと私は考えるのでありますが、会長の御見解をこの際お示しを願っておけませんか。
#47
○東畑参考人 いや春日さんのおっしゃったように、同じかまのめしを食って気持ちは同じになって商売が繁栄するというのはいいと思うのです。けっこうなことなんですが、よけい食い過ぎてはどうかなというだけの問題なんです。
#48
○春日小委員 私は、人の茶わんの中からめしをつかみ出して食ったりなんかするということはいけないが、そういう邪道の食べ方は吉國長官が税法を執行する面において、これは交際費として認められぬぞと言って否認すればいいのでございまして、それは現在の徴税行政のメカニズムが自律作用で処理ができる問題で、制度を変えなければならぬというものではないと考えますので、この点ひとつ十分御検討願って、そのことによって中小企業の経営が脅かされることのありませんよう、格段の御配慮を願いたいと思います。
 それから次は、法人税税率の問題なんでございますけれども、御承知のように、すでに過去五年でありますか、十回の決算がことごとく増収、増配である。昭和四十年、四十一年度に三八%から三五%に、これは景気調整政策の一つとして考えられたこの特殊の税率、もうこれは復元してよい段階ではないかと思われるのでございます。二年間の特別措置として一・七五でございますか、この間上げられましたけれども、これは私は日本経済の実体に即して不十分であると思う。もはやこの際四十年、前の三八%に復元せしめてよいのではないか。むしろそうするのが公正ではないか。すなわち、直接税というものが結局は担税力のある者に重い負担をなさしめる、そして所得再配分的機能をそこに期待するとするならば、ずっと十期にまたがって増収、増配をしているこのような日本経済の実体、その際特別に軽減措置をなおとらなければならぬという必要性はないと思う。火事が起きたときにはポンプで水をぶっかけること、これは必要でございましょう。けれども、火事が消えてしまってもまだ同じように水をぶっかけるというのも何だかばかの一つ覚えみたいで、こっけいしごくだと思う。(「まだ燃え上がる心配がある」と呼ぶ者あり)もはや燃え上がる心配はないと思う。なぜ心配がないかと申しますと、すでに不況対策は効を奏した。だから日銀総裁、大蔵大臣は、金融緩和にももう踏み切ってまいっております。私はこういうような内外の主体的、客観的諸情勢を踏まえて、税率は三八%にこの際直すのが、負担応能の原則あるいは再配分のあれ、こうすべきであると思うが、いかがでございますか。
#49
○東畑参考人 法人税につきましては、御承知のようにことしから三六・七五に引き上げたわけなんですが、実はそれは十七、八年ぶりでありますか、ずっと法人税はちょっとずつ下げてきた。勢いをやっとことしで食いとめた。食いとめたというと悪いかもしれませんが、引き上げるという方向に向いてきました。税制調査会の中には実にいろいろな利害関係がありまして、私は税制調査会の委員になってから何年になるか知りませんが、ずいぶん長くなるのですが、初めからこの議論はずっとやってきました。やっとことし一段落がついたわけであります。来年度これをやるとなりましてもなかなかその勢いは――いかに財界がよくなりましてもちょっと無理ではないか、しばらく待たないと。もう一ぺん再検討しなければならないのじゃないかと思います。税制というのはあまり毎年変えるというのはいかがかと思っております。ことに企業関係のものは一たんきめればやはり数年それを維持していくというのが原理的な考え方ではないか、こう思っております。
#50
○春日小委員 私は朝令暮改を必ずしも求めておるわけではございません。けれども、国民の財産権の根源に触れる税制という問題は、何としても公正の原則が堅持されなければ相ならぬでありましょう。実際、法人所得がこんなにも上回っておりますこのときに、ことさらにその軽減措置というものをとらなければならぬ理由というものは国民に説得力を持たない。なお、百分の三六・七五というのも、欧米の法人税税率から比べてみますとこれはまたぐんと安いと思う。わが国の経済がこういうような大きな高度成長、俗に経済大国とまでいわれておる。大企業における含み資産などというものはいまや強大なものでございます。銀行なんかにおいても、いま広瀬君から指摘されたように、七千何百億というような貸し倒れ準備金の社内留保がなされておる、こういう状態でございますね。だとすれば、私はこの際、そういうような取れるものは取って、そうしてそれを減税財源に回すか、あるいはそれによって社会投資を積極的に行なっていくか、そういうような、いいことは急いでやる、悪いことはこれを慎んでいくということがなし得るのは、もっぱら東畑会長の双肩にゆだねられておると思いますので、あなたの蛮勇によって、一・七五でも高められたこの御努力は多といたしますが、百尺竿頭さらに一歩を進められまして、三八%の基本にこれを復元されまするようさらに御努力あらんことを強く要望いたしておきます。
 最後にもう一問だけ、いま広瀬君から質問がされました中で、例の配偶者に対しまする所得税の控除の限度額がございますね。これは五万円でもいいから引き上げろという要望でございましたが、実際いま情勢が急激に変化しておると思うのでございます。すなわち家内労働法がこの十月一日から施行されました。そうして、そういうような家庭婦人というものの労働力、遊休・有閑労働力を経済効用化するという積極的措置がかくのごとくにとられようといたしておる。ところがその免税点が低いものですから、したがって、働けるけれどもむやみに働くとかえって負担が高まるというようなことで、二十五日働ける者でも二十日で休むべきであるというような、こういう逆の現象も実態的に発生しつつあるのでございます。だから、いまや労働力が不足であるという、その労働力を充足する一つの対象は家庭婦人のパートタイマー、アルバイター、こういうものを対象として考えますときに、それらの労働力がためらいもなくそれぞれの経済活動に吸収できるように、障害になっておりまするこの免税点の限度額というものはこの際思い切って引き上げるべきである。しかも本日ここに唐突にこの意見が出てきたんじゃございません。これは一昨年あたりから本委員会においても強調されてまいっております。どうかひとつ、広瀬君の御意見は一月から三カ月でもやれということでございましたが、それにこしたことはございませんけれども、もしそれが決定的に不可能とあらば、少なくとも来年度の税制改正においては、これの引き上げは最低十五万、われわれが要望するのは、あるいは経済の実体に即するには、あるいは家内労働法に相呼応して政策効果を確保するためには、私は二十万円くらいに上げても差しつかえないと思う。この点について重ねて会長の御見解を伺っておきたいと思います。
#51
○東畑参考人 これはたびたび国会でも議論があったということはよく承知しておるわけであります。多少ひっかかる点が一つあります。それは、あまりそういうパートタイムをやっておる人だけ優遇すると、やらぬ人に対して格差が出やしないか、こういう親心を多少持っております。(春日小委員「やらぬ人も、その制度でやるようになるということです」と呼ぶ)だから、問題はそうなんですが、そこはそういう事情というものを、労力不足のときでありますから十分考えたいとは思っております。十分考慮いたします。
#52
○春日小委員 善処あらんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
#53
○山下小委員長 平林君。
#54
○平林小委員 いろいろお尋ねがありましたので、私も少し、簡単に東畑会長の御意見をこの際承っておきたいと思います。
 最初に、国会でいろいろ議論をされた問題点、特に大蔵委員会、税制及び税の執行に関する小委員会等における議論、これは私はある意味では国民の声を代表して発言をしている問題点であろうと思うのであります。さきの国会におきましても、かなり今日の税制につきましてはいろいろな角度から議論をされ、そこから浮かび上がった問題点もかなりあるわけでございますけれども、こうした問題を税制調査会においてどういう位置づけをして取り上げてもらえるか。われわれはもちろん政府に対してものを言うておるわけでありますが、政府は税制調査会に対していろいろな形で諮問をする。その中に、あるいはウエートの置き方を変えて皆さんに申し上げることも――ないかもしれぬけれども、あるかもしれぬ。そういうことを考えますと、いろいろな議論はあるでしょうけれども、この国会で議論をされた問題を税制調査会で相当重視していただきたい。現状においてどういう程度の取り扱いをされているか。あるいはまた、私は税小の委員以上にそれは見ろとは申し上げませんけれども、しかし少なくとも同じ程度にこれを重視し、そしてできればそれらの問題について何らかの形で明快な回答をしてもらう、これが国会と税制調査会――税制調査会が国民の意向を受けてなお議論しておるということにもつながると考えておるわけでありまして、そういうことについて東畑先生の御見解を承りたいと思います。
#55
○東畑参考人 二、三年前でありましたか、この大蔵委員会に税調会長として呼び出されまして、いろいろお話をしました。そのときと同じ気持ちを今日も持っております。それはこういう点であります。日本において経済政策の――ほかの国もそうでありますが、経済政策ということの決定権を持っておるのは国会なんです。だからまた、大きなビジョンを出すのは国会なんです。われわれ税制調査会というものは一種の社会的技師みたいなものであります。りっぱなビジョンをいかに実現するか、あるいはことしやれなくても来年やるかとか、ほかとの均衡をどうするかとか、そういうことを考えるのは、われわれ一種の社会的技師なんです。こういう答弁をいたしました。その気持ちは今日もそうであります。でありますから、国会の御意見は、実は毎回の税制調査会が始まるときの総会におきまして、非常にこまかく大蔵当局と整理しまして、ちょっと詳し過ぎるくらいいろいろな意見がありますが、それをいろいろ拝見いたしまして、なるほどりっぱな意見だと思ったり、そうでないと思ったり――これは別にいいとか悪いとかいうことでなしに、意味はそういう意味で、いま平林さんおっしゃった、国民とともに議する、この心がまえは十分私は持っております。ですから、こういうところに参りまして、われわれを詰問なさることもけっこうですけれども、それよりも、こういう考えはどうなんだと、いい考えを出していただけば、これは帰り道は非常にうれしくて、来週からの税制調査会に私は臨んでも勢いが出るのであります。どうぞいまのような気持ちでやっていただきたい、こう思っております。
#56
○平林小委員 いつごろ答申の運びになるでしょうか、時期的な問題については。
#57
○東畑参考人 四十六年度の改正に要する答申というのは、なるべく早くしたいと思いますが、十二月の二十日ころになるかと思っております。
 それからもう一つ基本的な問題をいまやっております。これはだいぶ問題が複雑で、また重要でありますので、十分審議したいと思っております。たしか任期が来年の八月になっておる。ですからおそらく七月には答申ができるかと思っております。
#58
○平林小委員 当面の問題について大体十二月二十日前後に答申になるということになりますと、大体ことしは政府も来年度予算の編成はかなり急がれると思うのです。特に明年は地方議員選挙、参議院選挙などございまして、私は政府の財政担当者じゃありませんけれども、少なくとも年内相当早い時期に予算編成方針を明らかにせねばなるまい、そして年内にも予算編成の大綱はきめていかなければならぬ、時期的に私はそう判断をしておるわけであります。この場合、これからの財政に相当影響を与える自動車新税、あるいはこれはまだいろいろ議論はあると思うのでありますが、付加価値税の問題、とにかく自由民主党という天下の大政党の税の専門機関が述べていることでありますから、われわれも重視をいたしておるわけなのであります。こういうことについては、先ほどお話があったように、総合的に十分審議を重ね、慎重に、また税理論の筋が曲がらないという形の結論を出さねばならぬと思うのでありますが、それは非常に間に合いそうもないと私は見ておるわけなのであります。あるいは間に合って、それまでにそれについて筋の通った結論を出せるという御自信はあるかもしれませんが、常識的に見るとなかなか困難なお仕事であると私は考えておるわけであります。従来そうした場合においても、政府が税制調査会の十分な議論を得ないまま、ぽかっと打ち出すというようなことが間々あったわけであります。私は、こういうことはなるべく避けるべきである、こう考えておるのでありますが、東畑会長の御見解はいかがですか。
#59
○東畑参考人 先ほど十二月二十日ごろと申しましたが、それはまあこの調子でいけばというだけのことであります。政治上のいろいろな問題があり、いまのお話しのような時期を急ぐという予算案が出るのであれば、もちろんその予算案に間に合わすような答申を出したいと思っております。事実、今日は毎週一回ないし二回ずつやっておりまして、スピードアップするときには一週間に二度も三度もやることがあります。間に合うようにやりたいと思っております。ことに新しい税目でも出てくれば、大きな変革でもあれば、これは当然政府も早く出してくれと言うにきまっておる。それに間に合うようにひとつ努力してみたいと思っております。これは、どうもわれわれできめることができませんで、あなた方のおきめになる問題であります。そういう情勢であるならばなるべく早く伝えていただきたいと思っております。
#60
○平林小委員 きょうは三時までというお話でありますし、都合もありますから、なお端的にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 先ほど広瀬委員からもお話があったように、もしその気持ちがあるならば、ことしはいろいろな意味で減税に回すべき財源というものはかなり見込まれるのではないか。こまかい額の争いは別にいたしまして、大体景気においても引き続き拡大基調はまだ方向転換しておりませんし、国民所得の増加のはね返り分の増収ということも考えられます。またわれわれが国会でいろいろ議論をいたしました租税特別措置法の廃止、輸出優遇税制であるとかあるいは銀行の貸し倒れ準備金であるとか、私問題を提起しておりますが、株の公開の場合の課税の問題とか、いろいろなことを考えますと、かなりの税収が見込まれる。政府自体は新規政策や来年度の政策を打つためにいろいろな議論があるでしょうけれども、なお私は国民の生活の水準を考えますと税金が重過ぎると思っておるわけであります。こういう意味では税制調査会の態勢として、もし財源があるならばかなり所得税の減税は重視すべきだというお考えかどうか。特に重点は所得税において減税をやるべきだというお考えをお持ちであろうかどうか。これをひとつ承りたい。
#61
○東畑参考人 減税財源の問題につきましては、普通に税の自然増収その他というものも一つ財源になることは確かでありますけれども、諸税間の調整その他によりまして、増税によって減税財源をつくる、こういうことも可能になるわけであります。そこをうまくやるのがわれわれの任務だとは思っております。所得税の減税につきましては、地方所得税と申しますか、いわゆる住民税ですが、この地方所得税の問題になるべく重点を置きたいのであります。一般の所得税につきましては、物価その他のことも考えなければならぬというのがただいまの私の気持ちであります。しかし、財源というものがほかにうんとできればまた考え直さなければならぬ面もあるかと思います。
#62
○平林小委員 そこで、先ほど国税と地方税――これは取られるふところは同じであるから国民にとってはどっちも変わりがない。いまお話しのように、地方税について減税を考えるというお気持ちが強いようでありますけれども、その場合は国税、地方税の一体化をはかるという意味なのか、税体系はそのままにしておいて地方税における課税最低限の引き上げに重点を置く考えなのか、どちらなんでしょうか。
#63
○東畑参考人 この一本化ということにつきましてもいろいろなやり方がある。これはわれわれで問題になっていることは確かであります。
 それから住民税の課税最低限の引き上げだけで済ますかというと、もう少し複雑に考えたいと思います。複雑というのは、所得税のほうにも考えを入れる、こういうことであります。
#64
○平林小委員 それから先ほど春日委員が述べられた点で、まだ会長しっかり頭に入っておられないかという実は心配をいたしまして、重ねて申し上げますけれども、家庭の主婦の内職収入に対して現行の税制は過酷であるというのが実は私の持論であります。家内労働に携わっておる家庭の主婦はもうすでに全国では百数十万に当たるであろう。ところが年間所得十万円あれば、そのだんなさんは配偶者控除の適用を受けない。したがって、いろいろな控除はありますけれども、最近の主婦の職場進出によりましては、十万円に限らず、もっと家計を助ける意味の役割りを果たしておるわけであります。――いま十万円と言いましたのは間違いで、もっと高くはなりますけれども、いずれにしても一定の限度になると配偶者控除の適用が除外される。私は前にも大蔵省に言ったことがある。戸籍上は夫婦でありながら税制上ある一定の限度額に達すると離縁されてしまう、これは少しおかしい、そして一定の限度に達すると一ぺんに十七万何千円かの配偶者控除がなくなるという点も、つり合いの上においても不合理が生まれてくる、これは何かのくふうをせねばなるまいということを申し上げたことがございます。特に社会的に見ますと、これから家庭の主婦の職場進出は私はふえるだろうと思います。これは当面労働力不足の中において拍車をかけられるわけでありまして、むしろ税制上のある程度の措置をとることによって、当面日本の経済において問題になっておる労働力不足を解消するという役割りを果たし得ると思うのであります。同時に、家庭の主婦がすべて職場に出ることがいいか悪いか議論はありましょうけれども、現実の問題はその傾向にございますから、したがって、政治の面ではそれらの人に対して、たとえば託児所とか保育所とか建設をする必要が生まれてくる。これは必要から新しいものが生まれるわけで、社会福祉施設の増強という点のメリットも生まれてくるわけであります。したがって私は、単なる家庭の主婦に対する税法上の取り扱いというより、もっと大所高所に立った形でこの問題に取り組んでもらいたいと考えておるわけでございますけれども、ひとつこの点の御見解を承りたいと思います。
#65
○東畑参考人 私も平林さんと同じで、おそらくは家庭主婦のいわゆるアルバイト、これはだんだんふえてくる。また、それはそれなりの相当の役割りを演じておる。これは現実として認めざるを得ない。問題点は、いまちょうどおっしゃったのですが、ある程度に達しますとがさっと変わるのです。あれをもっとならすというのが税法上できないものか。これはほかの物品税の場合にもそういうことは必ずございまして、ひとつこれを変えるような新しい最低限のきめ方が必要ではないか。そういうことさえできればおっしゃった問題は消えていくんじゃないか、こういうように思います。これはちょっと税の技術上の問題になるかと思います。
#66
○堀小委員 ちょっと関連して。実は私、昨年とことしの予算委員会で、妻の座を優遇する税制について佐藤総理といろいろ論議をいたしまして、本年度税制にこれらが織り込まれるものだと思っておりましたけれども、残念ながら今年度の税制にはそれが取り上げてなかったわけでございます。そこで、重ねて本年度の予算委員会で佐藤総理との間に、この妻の座の税制、特に贈与税と相続税でございますけれども、これについて論議をいたしました。総理といたしましても、これは税制調査会におはかりをして四十六年度にはぜひ実現をする、こういうお約束を実はいただいておるわけでございます。
 私の考え方といたしましては、実は贈与、相続の問題については、縦向けの、世帯を越えますものについては、私は現行よりさらにきびしく処置されてしかるべきだと思うのでありますが、少なくとも妻というのは水平的なものでございますから、水平的なものは必ずどこかでまた垂直に変わるには間違いございませんので、この水平的な部分については、少なくとも、いま夫名義の財産になっておりますけれども、しかしこれは夫一人がつくり出した財産ではないわけでもございますから、その点については妻の座の経済的な権利と申しますか、そういうものをもっと認めるべきだという基本的なものの考え方の上に立ってこの問題を取り上げてまいったわけでございまして、佐藤総理もその考え方については同感であるというお答えを、予算委員会でも二回にわたってちょうだいをしておる。こういう経過がございまして、本年度の税制調査会では当然これは取り上げて議題として処理をいただいておると思いますけれども、ぜひこの問題についても前向きな姿勢の答申をひとついただきたい、こう考えておるわけでありますが、それについて一点だけちょっとお伺いをしたい。
#67
○東畑参考人 先ほど申し上げたことで、多少ことばが足らなかったかと思うことが一つあります。それは、所得税については触れないとか――もっとこまかい問題に触れていくという気持ちが非常にありまして、いま堀さんのお話は所得税といいますか、贈与税といいますか、みたいなものでありますが、その問題についてのこまかい改正という問題になるかと思います。税制調査会では、例の夫婦所得の二分二乗方式を全面的にすべてのものについて検討したい。これは減税項目としてはたいしたことはない、額は知れておりますけれども、性質的にはなかなか重要な問題だと思います。これは検討を十分いたします。
#68
○山下小委員長 これにて東畑参考人に対する質疑は終了いたしました。
 東畑参考人には、御多用のところを貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 どうぞお引き取りください。
    ―――――――――――――
#69
○山下小委員長 平林委員。
#70
○平林小委員 国税庁長官にお尋ねしますが、最近の新聞を見ると、ビールの値上げが国税庁に申請をされて――申請じゃない、もうやっちゃった。これは実は私はびっくりしたわけです。われわれこの間も実は大蔵委員会におきまして、この際ビールの値上げということは大蔵大臣はどう考えるかと言ったら、好ましくないと考える、こういうお話でございました。少なくとも福田大蔵大臣が好ましくないというものに対して、これに抵抗して、いさぎよく率先して朝日麦酒が値上げをするなんということはよもやあるまいと思っていました。しかもその上げ幅は十円ですね。私は今日の情勢から見まして、どういう考えをもってそれを強行されたのか、非常に頭にきている。これは私が頭にきているだけでなく、国民全般は一体どういうわけだということだと思います。国税庁もこの問題について一言も触れておらぬというのは、大体腹の中は一つ、同じじゃないかというような勘ぐりまでいたしておるわけでありまして、この経緯をひとつ承りたい。きょうは実はそのことで私はここへおじゃましたわけでございます。
#71
○吉國説明員 ただいま御指摘がございましたように、先週の金曜日、突然に朝日麦酒から製販三層を通じた十円の値上げを下部に通達をしたという通告がございました。
 御承知のように、ビールにつきましてはすでに自由価格になっております。いわゆる届け出制もとっておらないという実情でございます。しかし、私どももこの五月ごろからビール卸売り業者を中心にいたしましてビールの値上げ運動が非常に盛んに行なわれていたことは知っております。しばしばビール会社の首脳等がビールのコスト高という問題について説明などしておりました。そのつどわれわれとしては、ビールは何と申しましても大きな組織を持っておるし、従来も生産性の向上によってコスト高をカバーしてきたはずであって、合理化と生産性向上の努力というもので極力値上げをすべきではないということは再三申してまいったわけでございます。ただ、朝日麦酒が御承知のように実際において非常に経営内容が悪化をしておる、これ以上はもはや幾ら言われても経営としては値上げを避けるわけにいかないという態度で、ついに値上げに踏み切ったわけでございます。
 この値上げの内容は、御承知と思いますけれども、実はビール会社、製造業者は約三円の値上げ、小売り、卸売り、それぞれ概略三円及び四円という引き上げをいたしておるわけであります。従来の価格の改定に比べてやや異例のものであります。と申しますのは、ビールの販売手数料というものは従来非常に低かったわけです。一つは、ビールが非常に不足をしておりました時代に、販売会社、小売りにいたしましても卸にいたしましても、ビールを持っていないということが非常な不利であった。したがって、ビールを売れるということが他の酒類との組み合わせで非常に有利であるということから、戦前の低いマージンをそのまま継承しておりました。しかし最近におきましてはビールの消費が安定してきたと申しますか、伸び悩んできた。三十九年までは大体年率二〇%ぐらいで大幅に伸びてきたビールが、四十年には御承知のように一〇〇%を切る、前年よりも減るという実情がございましたし、四十三年には例の増税と価格引き上げもございまして、やはり前年どおりという停滞を示しております。このところビールの盛況というものはほとんど見られなくなったわけです。
 そういうことから申しますと、小売り業界あるいは卸売り業界におきましては、ビールを売るについても他の酒類と同じ程度のマージンが当然必要であるという要求をしばしば掲げてまいりました。それが、この五月ごろ卸売り業者が大会を開いております。本来なら卸売り業者が価格の引き上げを言うということはないわけでありますが、非常に強く要望したという背景があるようであります。そういう背景から、ビール会社としてはことにいろいろなシェアの変動がございまして、朝日麦酒としてはそのシェアを守るという点から販売業者に相当な手数料を与える。いわば小売りは今回これだけの引き上げをいたしますと、大体他の酒類、すなわち主として清酒のマージンに近いものになるわけであります。そういうことをねらってやったのではないか。私どもは直ちにその場で、再三申し上げているとおりに、これについては再考してほしいということを言ってあるということもおそらく新聞で御承知だと思います。さらにその日のうちに他の三社を呼びまして、ことに、経営内容が非常に違うものが同じことをやる、追随をするということは、これは全く好ましくないということできびしく注意をいたしたわけであります。
 ただその反響はいろいろございますけれども、経営内容がほぼ似たようなところでは、ことに販売マージンが引き上げられるということは、販売業者の意欲というものから考えてなかなかこれに同調しないというわけにいかないというような意見もございます。また経営内容の違うところでも販売マージンの引き上げという問題についてはなかなか無視できない、慎重に対処したいけれども、というようなことでございまして、今回の引き上げの内容が七割が販売マージンであるところから見まして、いわばいま一番問題になっております中小企業としての小売り業対策、また酒に対しましては卸が非常に弱いという実情がございます、そういう点から起きている面が非常に強い。それだけに私ども非常に憂慮して強く要望しておりますけれども、他に追随するものが出ないとはいえない。非常に苦慮をしているのが実情でございます。
#72
○平林小委員 私はこの朝日の値上げというものはいろいろな影響、波及ということが考えられるので、一社の経済上の理由というだけで、はあさようでございますかといって引き下がるわけにはいかない問題だと思う。適当な機会にその責任者に事情を聞く措置も必要であろうと考えますし、また私どもも大局的立場から考えてみて、その経営内容あるいは今後の値上げの必要性の資料はすみやかに御提示を願いたい。われわれもともにそれを検討する義務を私は感じておるわけでありまして、そのことをまず国税庁長官にお願いしたいのでありますけれども、いかがですか。
#73
○吉國説明員 いま申し上げましたように、値上げの根拠になっております製販三層、これにつきましては、私どもも販売業者の実態というものは非常につかみがたいと思います。そういう意味では、実は私ども自身がその根拠を求めているわけであります。会社としても一つの根拠をもってやったはずであります。その内容をよく聞き取って、またあらためて御報告をいたすということにいたしたいと思います。
#74
○平林小委員 いまの資料はまとまったならばやはり提出をしていただきたい。われわれが検討の素材にする必要がございますから、ぜひひとつそういう措置をお願いいたしたいと重ねて要望しておきます。
 同時に、いまお述べになった理由の中には経営内容あるいはシェアの確保というのがありましたが、そういうことになりますと、ビール会社それぞれシェアは違いますし、経営内容も違うわけでありますから、追随するものがあるといたしましても全く同じということはあり得ない、こう考えるのであります。酒の点ではなかなかこまかい大蔵省指導が行なわれたように私は聞いておるわけでありますけれども、私の感触、間違いないと思いますが、いかがですか。
#75
○吉國説明員 価格というものがそれぞれコストをある意味では表現をする面があるという点から申しますと、コストの違うものが同じ価格で売るというのはあるいはおかしい面があるかと思うのです。コストが高くて能率の悪いところが価格を引き上げればそれが売れなくなる、そこで合理化が行なわれるというのがいわば経済学的にいえば定則だと思うのです。そういう意味では、私も同じ価格で一律の値上げが行なわれるということを特に警戒をして、他の三社に注意を喚起しておるわけであります。
 ただ一面において、御承知のようにビールというものは、レッテルは違いますが中身は全く同じものであります。そういうものが末端の小売り段階で再販価格契約もなしにはたして差をつけて売られるかという点は一つの大きな問題だと思います。小売り業者の段階では生産会社との間で実は契約的な縛りがないわけであります。従来の長い伝統で、生産会社が建て値を変えるというとそれに従ってきたというところが実際においてはあって、いまそれが生きて動いておるわけであります。ビールが違う値段で売られていいのではないかということは私どもはしょっちゅう言うのでございますが、これがはたして小売り業者の段階で実現できるかということになりますと、かなりの疑問があると思います。したがってまたその結果としては、差をつけたものが実は差がつかなかったというような問題も起こるし、そこにはマージンの取り分に非常な違いが出てくると思います。非常に複雑な問題が出てくる可能性があると思いますが、私どもはできるものがあえて楽な姿勢でやるということについては非常に疑問があるということで、なお強く要望してまいりたいと思います。
#76
○平林小委員 いずれこまかく議論をしなければならぬと思いますけれども、私は今度のビール会社の値上げというものが、これは具体的な資料を検討しないとわかりませんけれども、どうもやや便乗的な値上げという感じも受けるわけでありますし、それから今後の出方もわれわれは注目せねばなりませんけれども、国税庁長官のわれわれに対する唯一の言いのがれは、これは自由価格である、それから届け出制ではないということが根拠になっている。しかし国民生活に及ぼす影響というものは非常に大きいわけでありまして、この際自由価格、届け出制のままでビールの価格をほうっておいていいのかどうか、むしろもっと規制をする、認可制にする、この程度の措置は、こういうことをやるならば必要でないかという世論も私は起きてくると思う。それを検討する必要があるだろうということを私は申し上げたいと思いますが、その点はいかがですか。
#77
○吉國説明員 御承知のように酒類に関しては、米に次いでつい最近まで公定価格があったわけでございます。その公定価格については、いつまでも公定価格を置いておくのは不届きではないかという御指摘もあり、昭和三十五年に公定価格の廃止に踏み切りました。ところが、これまた先ほどの長い伝統で、公定価格は実は最高価格であるにもかかわらず定価のごとく運用されてきたという事実がございます。そのために、にわかに公定価格を廃止した場合には酒類業界に非常な混乱が起こる。どうしてもこれに対する対策が必要であるということから酒類業組合法に基準価格という制度を設けまして、酒税の保全に必要な場合には、酒の価格の基準となるべき価格を定めることができるという規定を置きまして基準価格に移行したことは御承知のとおりであります。しかし、この基準価格というものが、政府がいつまでも価格に関与しておるということは適当ではないのではないか、やはり、一般の物資が自由な市場の競争において争われている以上は、酒類についても同じことを考えるべきではないかということで、三十九年から基準価格を廃止したわけでございます。そういう意味では、実はいまの価格体系に対する関与の方式としては、酒類業組合法における基準価格、それから級別のある酒につきましては制限販売価格、この二つしか制度がない。しかも、この基準価格のほうはどちらかと申しますと、酒税確保という、酒税保全という立場からの価格になっておるという点は、これは明らかであろう。その意味で、基準価格を廃止するという一つの中には、酒税確保ということをある程度犠牲にしても、自由な価格市場において競争が行なわれ、適正な価格が実現できるであろうという予測を持って基準価格の実施を取りやめたということでございます。その意味では、消費者の立場というものを考えて私どもが事実上指導しておるということはもちろんございますけれども、はたしてこの価格指導を復活することが妥当であるかどうかという点には、やはりまだ大きな疑問があるのではないか。ことにいまの基準価格のような形でやることは、本質的にはいま要求されているものとはかなり違うのじゃないかという感じもいたしております。
#78
○平林小委員 いずれにしても、私鉄運賃の値上げのときには、内閣はこの私鉄会社の配当の問題にまで触れて、そしてそれについての規制といいますか抑止の動きを示したことは事実です。ビール会社の場合の配当は、私詳しくは知りませんけれども、かなり高配当を続けておる。それであるのに今日の措置をとるということは、どうも合点がいかない。いずれ資料を見てわれわれも議論をしていきたいと思っておりますけれども、政府においても何らかの措置を考えねばならない。特にビール四社のシェアのことを考えてみても、近い将来独占的な価格市場になる傾向も生まれてきておるわけでありますから、私はただ自由価格そのままの状態でいいのか、何らか国民にかわってチェックする手段はないかという点を真剣に検討すべき段階にあると考えておる次第でありまして、これは私の意見として申し上げて、いずれ資料を見て、あるいはまた適当な機会に責任者においでいただいて、もっと国民が納得する形で議論をしたいと考えておりますから、きょうはこれで質問は終わっておきたいと思います。
#79
○山下小委員長 春日委員。
#80
○春日小委員 関連して一問だけ。いまのビールの問題なんですけれども、長官の答弁は、公定価格から基準価格、基準価格が自由価格の橋渡し、しかし、ビールは自由競争だから自由価格というものが基本であって、逆行することはいまとしてはむずかしい、こういうことですが、しかし酒とビールとは条件が違うと思うのですよ。酒はああいう多くの競争がなし得るけれども、ビールは四社で寡占されておりますから、したがって、これに対して基準価格を設けるとかあるいは指導価格を設けるとかいうことは、国民に対しても説得力を持つし、そうしてまた経済自体のメカニズムから考えましても、独禁法の精神にも合致すると思うのですよ。実際、十円朝日が上げることによって他の三社がそれに追随してくれば、これは結局は不公正な取引という形が結果的に形成されてくると私は思うのです。だから私は、ビールについては基準価格というものを復元するということについて、合理性というよりもむしろ必要性があるのではないかとすら思うわけでございますから、きょうは関連質問でございますのでただ疑義の頭を出しておくというだけでございます。
 なお、先般私が細見主税局長にも申し上げたと思うのでありますけれども、ヨーロッパでは、ドイツでも北欧三国でも、みんなビールというものは中小企業にも製造を認めておる。認めておるというよりも製造可能な条件を税法上の措置で造成、確保しておる。すなわち、生産量に応じて税率が違っておる。生産量の多きものには重き消費税、生産量の少ないものはコストが高いから、したがってそのビールの消費税を軽く賦課するということで蔵出し価格を均衡にし、そこに大企業と中小企業との競争の条件を担保しておる、こういうことを申し上げたことがございますが、この基準価格制度の復元を考えながら、中小企業に対するビール醸造の免許の新しき制度、こういうものも税法上の関係とにらみ合わせて、少なくともわが国の経済活動の分野において寡占の横行を防止できるような体制をつくることは、私は当然にして不可欠な要件だと思う。御検討あらんことを要望いたしておきます。
#81
○山下小委員長 広瀬委員。
#82
○広瀬(秀)小委員 引き続いて国税庁長官に。
 ビールの値上げの問題で先ほども御答弁があったのですけれども、四社ともそれぞれ経営の格差があるし、またシェアの格差も、特に麒麟のごときは五〇数%、厳密に五〇何%ということはわかりませんけれども、そういうシェアを占めておる。あと、朝日、サッポロがそれぞれ二〇、二〇ぐらいのところ、サントリーが一〇ぐらいのところと大ざっぱに記憶しておるのですけれども、そういう経営の格差。したがって一本当たりのコストというようなことも、非常に大きい格差があるだろうと思います。こういう点についてはあとで資料を出してもらうということを、先ほど平林委員からも言われたわけなんです。
 そこで、先ほど国税庁長官も答弁の中で、あとの三社については慎重に考えたいということのようですが、十円上げた、もうそれを実施しておるということになっても、ほかのものはそれを上げないでもやれるところが必ずあるはずですから、経営格差があるのですから、コストが違うのですから、そういうところは必ずしも十円ということで同調する必要はごうもない。いまの価格の制度がだんだんの、公定価格、基準価格、自由価格ということになってきているという、自由価格の中ではそういう状態が出てこれは当然なんじゃないか。したがって何も追随上げ、便乗上げというようなことをやらせない。かりに将来人件費の高騰やら何やらで、あるいはそのコスト面での格差というようなものがなくなるというような状態があればそのときに認めていくということはあってもいいけれども、その間にはかなりの期間というものも当然あって、そういうことが自由価格をとった本来の趣旨、その論理というものを貫徹させる道だと思うのです。おそらく、上げたところに対しては今度は買い手がつかないということにも、そういう場合にもなるというようなことも合わせて、より一そうその企業努力なり競争原理なりというものを有効に働かせるというようなことを通じて、やはりこの価格問題を考えていくべきだ、こういうように思うのですね。したがって、そういうようなつもりでかなりの期間、三カ月でもあるいは半年でも一年先でもというようなことで――あとの三社が相次いでいくというようなことは、まさにこれはいわゆるやみ協定をして、公正取引の原則をおかしながら、あるいは独禁法の趣旨に反してそういう方向にいくという寡占価格、管理価格というようなものとして、国民大衆からも全く受け入れられないことになるのだから、そういう考え方でこれから指導をされる、強くあとの残った三社に対して指導をしていくというようなお気持ちがあるのかどうか、その点をはっきりしていただきたい。
#83
○吉國説明員 私どもも全く同じ気持ちで指導に当たっているわけでございます。ただ非常に残念なことは、先ほど来御指摘のあるように、私どもとして権限的に押えることができない。しかし、何と申しましても、長年酒税を納め、検査をした立場でございます。そう全く影響力がないという情けない話ではないと思って、がんばっているわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、今回の値上げというのは非常に複雑な様相を持っている。卸、小売りのマージンが非常に上がっているという点でございます。これはおそらく末端の小売り屋になってみれば、かりに安くて多く売れるというにいたしましても、一本売るのについて何円という差が生じてくるということになりますと、これはやはり文句をつけてくるのが相当強く出てまいるのではないか。そういう意味で、この七円というものが他の三社にどのような影響を及ぼすかという点が一番大きいのではないか。メーカーの三円という取り分、これについては明らかに会社によって差があると思います。三円など必要としない会社もありましょうし、あるいは二円の会社もあるかと思います。ただ卸、小売りは同一のものを使っておる。もちろんビールの特約店という制度はございますけれども、大部分のビールはやはり一般卸で扱っておる。そういたしますと、同じ卸屋が、また同じ小売りが、同じビールを売っていながらそれによってマージンが違うということを許容するかどうか。この辺の突き上げが相当きつくビール会社にあたってくるのではないか。この点が私ども一番憂慮しているところでございます。それにしても、そういう事態でほんとうに動きがつかなくなるかどうか。これはやはり私どもとしても見きわめたいということは考えておるわけでございます。その点、いま御指摘がありましたように、そもそも短期間にそういう形が行なわれるということははなはだ好ましくないし、独禁法の上からいっても疑わしき存在があるのではないかということまでいわれるだろうということも申しております。極力努力をして、同調をしないような、それぞれの立場においてものを考えるようにということを申しておるわけでございます。
#84
○広瀬(秀)小委員 今回の十円の値上げの七割は卸、小売り段階にいくんだ、こういうことですが、他の三社もそういう面では同じような状況にあるだろう、こうかりに見ましても、生産性の格差、コストの格差というようなものもあれば、何も卸の価格がぴしゃりときまっているわけでもないのですから、その卸の段階から安く卸していけばその分は幾らでもカバーできるし、ということにもなるわけですね。だから、そういうことでは私はやはりおかしいと思うのですね。自由価格制をとった以上は、やはり力のあるところは安く売ってしかるべきなんですから。そういうことで朝日はできないということで上げて、七円はそっちへやる、こういうことで卸、小売り段階における販売努力を増加させて、シェアも広げていこうということかもしれないけれども、たとえば、麒麟のごときはそういう大きなシェアを占めている、しかも収益も非常にいいということになって安く売れるのですから、安く売れるものを何も同じように認める必要は――その販売のところでいろいろコストが上がってきついというものを見るんだということだって、それはもとのところがもうかっておればその辺は幾らでもカバーできるのですから、そういうことではやはりいけないと思うのですね。
 だから、そういう点で先ほどから議論が出ているように、そこをそういう形で一度やって、自由販売で、この自由価格という制度のもとでは、酒税確保がどうこうというような事態まではおそらくならないと思うけれども、そういう事態がある場合というようなことを予想してこの基準価格というようなこと――これは国民生活の中でも、ビールの生活の中に密着している度合いというのは非常に大きくなっておるのですから。これは国民の必需品、嗜好品だとはいうものの必需品みたいに現実の問題としてなっているわけですよ。そういうものについては、かなり強力な国全体としての物価抑制というような立場から、大蔵省の指導方針がきちっと生きていけるような方向というものをやはり出していったほうがむしろいいんじゃないかということにもなってくるわけですね。あなたがおっしゃるような議論を突き詰めていけば、自由価格制そのものが、やはりどうも長官の説明では納得のできない点が残るんだ。だから、やるのならばそこまできちんと指導をして、おまえのところは上げる必要はないんだということを強力な指導をやる、こういうような方向でいく。もしそういうようなことができないとするならば、やはり大蔵省がちゃんと大局的にものごとを判断して、ある程度価格を押えて、企業の努力というようなものができるような方向にむしろ持っていくべきじゃないかということにもなるわけで、それはできないのだ、自由だからしようがないというようなことでは、これはもうまさに国税庁の指導的な立場というものは何にもない、もう野放しだということになるじゃありませんか。したがって、こういう値上げをやった、これはある程度やむを得ない事情があったにもせよ、それはやはり消費者大衆の審判を受けるのだというような状況にして、あと値上げしないでもいけるところは値上げしないでもいけるように指導をする、こういう立場をきちんとやはりとりあえずは出しておく、こういうことが必要だろうと思うのです。すぐ追随してどんどんやってしまっては、まさにこれ管理価格だし、寡占価格だし、独占価格だというそしりを免れないだろうと思う。それに対して国税庁当局としては全くもう野放しで、何の指導性も発揮できないのだということではいかにも情けないということなんですが、いかがですか。
#85
○吉國説明員 それは御指摘のとおり、私も申し上げているとおりでございまして、いまおっしゃったような思想が必要である。自由価格である以上は、他の価格が上がったからといって直ちに上げるというようなことはこれはおかしい。そういう意味で警告も発しておるわけです。そういう意味では、そういうことが不可能である、自由価格はもうとれないのだということであるかどうか、これについては公取におきましても、ビールについて管理価格の実態調査というものをやっておるわけです。その最中にこの問題が起こりまして私ども非常に困っておるわけですが、管理価格の実態が実際にあらわれて、この四社というものが違った価格をとり得ないというような実態が明らかになれば、これは一つの問題として私どもとしても再検討せざるを得ない問題ではないかと思いますし、同時に、いま御指摘がございました価格を押えるという点につきましても、卸、小売りの問題というのは非常にむずかしい問題があると思います。卸、小売りを含めた価格というものをはたして押えられるか。生産者段階の価格を押えるということは、これはやろうと思えばやれることでございますが、小売り、卸について、十四万軒の小売りをはたして統制できるかという問題は、一つの問題でございます。ことに小売り段階になりますと、みそ、しょうゆも一緒に商っておりますし、あらゆる食料品を一緒に扱っておる。みそ、しょうゆのような必需品ですらいま価格を統制していないという実情でもございます。そういう意味では、この管理価格の実態が明らかになった段階では、私どもも生産者については相当考えざるを得ない問題が出てくるかとは思います。また同時に、実は卸、小売りの問題にいたしましても、これだけの大幅なマージンを要求しなければならぬような実態であるとすれば、はたして流通機構が現在合理的にできているか。配給統制の時代のまま推移してきている面がありはしないか。現に卸の数が非常に多い。あるいは同じ小売りに対して卸が何軒も入っているとかいうような声も聞かれているわけです。そういう意味では、昔の配給機構というものに立脚をした流通機構自体に問題を求めなくちゃならぬかもしれぬという問題も出てきております。現に卸売り業者につきましては構造改善の問題がございます。この構造改善がいろいろな点で妨げられている点がございます。そういう問題についてもさらに掘り下げて、価格問題にこれほど大きな影響を与えるということになりますと、私どもも流通機構そのものに再検討を加える必要が出てきはしないか。これらを契機にいたしまして私どもといたしましても、価格形成についてもう少し掘り下げた検討をしたい、かように考えております。
#86
○広瀬(秀)小委員 価格形成についていろいろな角度から検討を加えたいという、その結びのところはわかるけれども、前段のところで、長官がおっしゃったことは、国税庁の無力を告白したようなものであって、将来のあと三社の動向というものについては、おそらくどんどん追随していくだろう、それを困ったことだと言って見のがすだけだと、こういうことですか。あと三社の動向というものについてどういう見通しを持っておられますか。そしてまた国税庁としては、主体的な立場においてどういう指導を具体的にあとの三社に対してされていくつもりがあるのか。この二点をお伺いします。
#87
○吉國説明員 先ほど申し上げましたが、率直に申しまして、ビール四社と申しましても、現在、ある社だけがずば抜けて差がついておるというのが事実であります。したがって他の二社というものは、ある意味では現在の朝日にきわめて類似した内容でございます。したがって一番問題になるのは他の一社だといわざるを得ないと思います。それについてやはり焦点を合わして指導しなければならぬ、かように考えておりますが、これについては内容がはっきりしているわけでございますので、再三にわたって注意を発し、今後もできる限りこれは続けていきたい、かように考えております。
#88
○広瀬(秀)小委員 ひとつ、いまおっしゃったことをきちっとやっておいてもらいたいと思うのです。
 そこで、ビールの問題だけじゃなくて、酒の問題ですね。これについても、九月四日の大蔵委員会の席上で、長官も、また大蔵大臣も出て、酒も何とか上がらないように、上げないようにしたいんだという気持ちを表明されておったわけなんですね。ところが九月十日の新聞にこういう記事が出ているのです。国税庁が価格指導をした。一、二級酒六十円上げるということについては、大体その辺のところならば認めるよというように言っておいたということが――当時公取委員長も来ておられたわけなんだけれども、公取委員長も同じような答弁をされておったんだが、国税庁でもその段階で、新聞の報ずるところによると、国税庁の塚本間税部長が業者に対して、六十円程度の値上げなら認めますよという指導を流しておったということを公取委員会にも白状をした、自認したということが報道されているわけなんですね。これは一体どういうことですか。国会で九月四日にああいう気持ちをあなた方自身が表明されておって、これは上げないようにしてもらいたいんだと言っておって、陰ではその担当者が六十円ぐらいなら認めますよという指導をしておったというのですが、ここらあたりの実情というものが新聞どおりだとするならば、これはまさに国会をばかにしたような国税庁の動きであるということを指摘せざるを得ないわけですね。この辺のところはどうなっているんですか。
#89
○吉國説明員 新聞報道の内容が、業界を指導したというように出ておるといたしますと、これは明らかに誤りであります。
 今回の清酒の値上げにつきましても、これはやはり四月ごろから非常に問題が出ております。この清酒につきましては、この席上でも申し上げたことがあると思いますけれども、前回の値上げの直前に比べまして業界の内容が非常に悪くなっていることは、決算その他で実は私どもも把握しておりまして、中にはかなり危険な業者も出てきておる。また、ことに酒の場合には、いろいろアルコールの添加度とかあるいはそのつくり方等に非常に差がございます。そういう意味では、私どもは価格の多様化ということを前から言っております。自分のコストに見合う価格をとるということをだんだんとやってまいりまして、価格を展開して、清酒であればみな同じ値段だというようなことは非常におかしいし、将来清酒業の合理化にもふさわしくないことであるという前提でおりました。したがって、一般的に、平均的に、しかし実際にはどの程度のコストアップの要素があるかという計算は、やはり私どもとしても、清酒の値上げが非常に騒がれておる時期でもありますし、これは的確な資料をとって計算をいたしたわけでございます。
 そこで大体平均的に申しますと、原料あるいは人件費、それぞれのウエートに応じて実際のコストアップの状況を調べますと、製造業者において三十七円というコストアップの計算は平均的に出てくる。もちろんそれは、いままで有利な販売をしておった業者については吸収できるものである。しかし、ぎりぎりの生産をしていたものについて見れば六十円のコストアップはあるという前提を、ある程度内部的には持っておったわけでございます。ところが清酒業界の動きが大体七十円ないし八十円で引き上げを行なうという動きが出てまいりました。そこで内々に第一線には、届け出があった場合に、限界は六十円程度であろう、それ以上の場合は極力説得をして下げるようにつとめろ。また、業者によっては値上げを必要としないものもある。したがって、届け出を受理するにあたってはその内容をよく調べて、そして値上げの必要のないものが便乗しようとするような場合にはできる限り説得するようにつとめろ。これも、届け出とは申しましても、実は届け出の根拠はないわけであります。実際上届け出をさしておるだけでございます。それを阻止する、受理を拒否するといったようなことはできないわけでございますけれども、実情に応じてやはり指導をすることはできるはずだ、ということで下部に連絡をしたということでございます。
 実際に三十円の値上げでとまったところもございますし、全然値上げをしないところもございますけれども、大部分は六十円になったということから、結果的に見ると、新聞が報道したように、国税庁が六十円で指導したんだというような結果論が出ますけれども、これは業界には一切言っていない問題でございます。税務署が届け出を受理するときの限界値、少なくともそれ以上のことはあり得ないはずだということを言ったものが誤解されて、国税庁が価格指導をしたように伝えられたのでございまして、実際にはこういうことによって価格がある意味では押えられたという面は、私はあるのではないかと思いますが、そういうふうな誤解を生じた、あるいはまたそれが誤り伝えられまして、六十円ならば届け出をしても通りそうだということが、段階的に届け出が行なわれますから、広まってきたということになれば、その点については私どものやり方がややまずかったということがあるかもしれないと思いますが、あくまでも、価格指導をしたということは、これは全く私として事実ではないということを申し上げたいと思います。
#90
○広瀬(秀)小委員 業者に直接電話して、あるいは文書を出して、六十円ぐらいまでなら認めます、それ以上では困りますということを言ったのではないでしょう、それは。しかし国税局なり、国税局を通じて末端の税務署にいく。業者が聞いてくる。そうすればそういう指導がしてありますというようなことだって筒抜けになっていく。大体酒の問題というのは、酒税という問題を含めて、税務署との間にはその程度の連絡というものは非常に十二分にいくわけですね。したがって、事実上はやはり業界を指導をしたと同じような結果というものが出ておったんじゃないか。これが八月十二日ごろ出されているということですね。そうだとするならば、この前の九月四日の段階でそういうような、いまおっしゃったような立場を表明されてしかるべきだったと思うのですが、あの段階ではそのことは何も言われなかった。そういうような点は一体どうなっておりますか。国会でその問題を取り上げている段階で、実はこういうように考えてますというものが現に当時出ておったわけですね。それを大蔵委員会の席上では具体的に言われなかったというのはどういうわけですか。
#91
○吉國説明員 そのとき私が出ておりませんでしたが、六十円という価格を間税部長から申し上げたのでございますが、その六十円という価格がいかなるものであるかということまでは御説明する時間がなくて、打ち切りになったというようなことで済んでしまったようでございます。谷村委員長からも六十円という価格をメンションされたと思います。
#92
○広瀬(秀)小委員 実はそういう指導を国税庁から局以下に流しているというようなことは表明はなかったのですね。六十円程度ならば、というような感触は持っているんだという話はあったわけなんです。そこらのところにも、もう少し内部の取り扱いの問題についても、この問題が非常に大きくクローズアップされて問題になっているときに、国税庁の姿勢というものについてもっとフランクに、国会にもちゃんと事実を事実として意見を述べるというようなことをしないと、われわれとしても非常に不愉快に感ずるし、何か国税庁がそういう裏のところで業界とやみ取引をしているんじゃないかというような国民の感触というものは払拭できないということだけ申し上げておきます。
 現在約三千者に近いメーカーがあるわけですが、このうち、法律上の義務はないにしても、通告があったところ、六十円上げたところ、それからそれ以下のところ、六十円以上はおそらくないのだろうと思うのだけれども、今日までの段階でその実情を数字でお知らせいただきたいと思います。
#93
○吉國説明員 届け出がございました数が二千六十九。これはちょっと古い資料でございますが、九月二十六日現在で届け出がございましたものが特級では九百十七、一級では二千六十九、二級も同じでございます。その中で六十円というのが一級で千九百八十七、二級で二千三十九。大部分が六十円ということは事実でございます。五十円、四十円、三十円というものは、ごく若干ではございますが、ございます。値上げしないもの、その他のものがあるということでございます。
#94
○広瀬(秀)小委員 あとはもう値上げをしない、こういうように理解していいのですか。まだこれから、たとえば灘の大メーカー、何十万キロリットルつくっている、そういうメーカーできわめて経営状態の良好なところ、こういうようなところはこれについての追随上げということはもうない。これでもう大体終わりだという状況ですか。それともこれからさみだれのごとくずっと値上げが、まだ残ったところ、千者近くあると思うのですが、これが全部やはりここ半年なりの間に上げるという見込みですか。どういう見通しですか。
#95
○吉國説明員 先ほど申し上げましたのは、内訳があったので九月二十六日現在を申し上げたわけであります。内訳はないのでありますが、値上げをした業者、最近のものは十月八日でございますが、業者数で二千五百八十四となっておりますので、その後それだけふえたわけでございます。(広瀬(秀)小委員「最初からそれだけあると……」と呼ぶ)いいえ、これは内訳はないのでございます。おそらくもうこれ以上はないかと思いますし、それから大手のものはほとんどが上げてしまったと思います。と申しますのは、大手と申しましてもその出荷の半分はおけ買いで買っております。したがいまして、いま全体としておけ買いが非常に圧迫を受けておる状況で、おけの買い上げ価格を十円程度引き上げたということによって、大メーカーはほとんどが赤字に転落してしまうという状況にございます。そういうことから、大業者を通じておけ売り業者が上げたという感覚も一部あるのではないかと思います。
#96
○広瀬(秀)小委員 酒の問題ばかりやっていると時間もあれですから、今後の酒類の値上げ問題については、何らか、値上げをしたものはむしろシェアが減るというような形が出るような、経済原則に従って、消費者大衆の審判をきびしく受けるというような形を指導していく。それはもちろん経営内容、コストの問題というようなものと緊密にからむわけですけれども、そういうものをにらみながらやはり慎重にこれの対策というものを考えていただきたいと思うわけです。
 そこで次の問題に移るのですが、これは主税局長に伺いたいのですが、銀行の貸倒引当金なんですが、最近銀行の事故がだいぶできて、いわゆる貸し倒れになった。これは、融資先の相手方があらゆる経営努力にもかかわらず倒産をするとか、そういうような形の中で貸し倒れというのが通常の場合できるわけです。しかし銀行自身の責任というようなもので貸し倒れになるというような――最近の富士銀行の十九億の問題等においても、まさにこれ今日毎日、新聞をにぎわしておる大不祥事、これは金額的に銀行の不祥事として空前の不祥事ですね。しかも最近そういう事件が非常に多くなっているということもいえるわけなんですが、貸倒引当金の根本的な問題は問題として、こういう銀行自身が自分の従業員の故意あるいは過失、重過失というようなもので貸し倒れを生じたというようなものなんかも引当金でやはりちゃんと落とせる、引き当てられる。その内容はちっとも問うていないわけですね。そういう場合、この点主税局長としてどう思いますか。
#97
○細見説明員 銀行の場合は、その銀行が持っております公共的な側面というものが強く出てまいりますので、職員の監督関係というものにつきましても、善良な第三者である預金者あるいは一般の債権者に対して迷惑をかけないように、銀行の持っております公共的な使命から特別に厳正に監督をしなければならぬし、またそういう不祥事件が起こらないように、銀行の幹部の人たちは厳正に行内の秩序なりあるいは服務規律なりを維持していただかなければならない。これはもう当然でありますが、税の面からだけ見ますと、やはりそうした形で発生いたしました不祥なものにいたしましても、損害というものは、本人が弁償する、あるいはいろいろな担保の処分その他によりまして弁済を受けるというもの以外は、やはり企業の損益の計算としては、経費あるいは貸し倒れ準備金で補てんすべきものということにならざるを得ない。その企業体として見る限りにおきましては、商社あるいは一般の卸売り業者が職員の不注意によりまして大きな損失を受けた場合と同じで、職員に対する求償の問題は別にございますが、それによって求償できない限りは、企業経営のあるいは経費、企業の所得の計算としては損金になり、そういう貸倒引当金があるときにはそれの対象にならざるを得ない。その規律の面は別途の監督の問題ではないか、かように思います。
#98
○広瀬(秀)小委員 税法上の筋としてはそういうことであろうと思うのですが、何かこのように銀行側の責任において貸し倒れが生ずる、こういう場合、しかもそれが刑事事犯として扱われるような問題については、いまの法制のたてまえにおいてもその分の引き当ては拒否できるというようなことにしてもいいのではないかというのが国民一般の気持ちであろうと思うのですけれども、これはひとつ将来の検討事項にしておいていただきたいと思います。
 それから国税庁長官に最後にお尋ねしたいことは、法人の脱税が非常に多いということが最近発表になっておるわけでありますが、この問題は前にも私が取り上げまして長官から決意のほどをお聞きしたわけです。その成果として八百六十四億かの脱税摘発をして、その分だけ脱税をあげたということで、税収がそれだけふえたわけでありますが、これについては大いにけっこうなことであったと思うわけなんです。しかし、黒字を示した六十四万社のうちわずかに十四万社程度の調査でそういう結果、七〇%以上も脱税、不正申告というものをしておったということのようでありますが、これはおそらく六十四万の法人全体について調査をしたならば、脱税額は一体どのくらいになるだろうということを長官としてはお考えになりますか。
#99
○吉國説明員 たいへんむずかしい御質問でございますが、ちょっと詳しく経緯を申し上げたいと思います。
 昭和二十四、五年ごろは法人数が約二十数万でございます。それに対して、法人の従業員、従事者も数が非常に少のうございましたが、一応全部を調査するというたてまえで進んでおりました。ところが、実際に全部を調査するとすると、理論的には一日に一件ずつ調査をするという結果になるわけです。そのために未決がどんどんふえまして、しかもそういうようないわば表面的な調査では実は脱税というものは発見できない面が多い。そのために法人調査というものが非常に深度の浅い、したがってまた真実をつかんでいない調査ではないかという批判もだいぶ当時あったわけです。
 そこで、国税庁といたしましては二十五、六年ごろから方針を転換いたしまして、法人については継続記録があるのだ、更正を受ける三年の間にはいつでも調べられる、調べた場合には現事業年度からさかのぼって三年間の更正ができるはずだ、したがって、現在のような浅い調査をばらまいてやるよりは、それぞれの法人について実態をよく調べて深い調査をやるべきではないかということで、いわゆる循環調査という方式をとったわけです。それによって不正発見というものが相当出てまいったことも事実であります。
 しかし、その間におきましても、申告納税制度という点から申しますと、全部の法人を調べる必要性というものは実はないと思いますし、また全部の法人を調べなければ安心できないという体制では将来の申告納税制度というものは非常に危険でもある。そういう意味から、税歴表と申しますか、調べた法人の内容を精密に記録をいたしまして、それと実際の申告とを照らし合わせ、また、申告内容準備調査と申しまして、あらかじめいろいろこまいい分析をいたしまして、それによって調査対象を選ぶ、そして重点的な調査をするということをだんだん推し進めてまいりました。したがいまして、三年機械的に循環するというのではなく、調査対象にあげるものはそういういろいろな過去のデータ、現在の分析から見て一番怪しいものをつかまえるというやり方に移ってまいりました。したがいまして、調査内容もものによっては十数日も、あるいは二十数日もかかるというような非常にむずかしい法人もございますので、調査の件数はかなり落ちてきているのは事実でございますが、それだけに選んだ法人に対する真実発見の度合いというものは高くなってまいりました。
 大体、不正発見というもの、つまり売り上げを脱漏して隠したとかあるいは架空仕入れをあげたというような、明らかな脱税をしたものがこの調査対象の中で三割程度発見される。その他、こまかい計算の誤りとかあるいは解釈の誤りとかいうことを入れますと、七割程度が更正決定を受けるということになりますが、実際に脱税と称し得るものは約三割。その残った法人がそれでは同じように脱税しているかと申しますと、私はそれほど大きな脱税はしていないのではないかと思います。調べられた法人というものが繰り返して調べられている例もございます。今後はこういう方式を推し進めながら、同時に、ある意味では六十数万件のうち十数万件の調査ではあるいはかえってまたそれが申告を低下させるおそれもあるかというので、現在は、調査をしないほうに対しては、いわゆる記帳指導と申しまして、記帳だけを短時日の間に調べて誤りを直させる、あるいは決算の前に行って決算指導をするというようなやり方で約二十万件の法人に接触をはかっております。したがいまして、大体一年に接触する法人は全体百万の法人のうち約三分の一には接触を保つということをやっておりますが、従来のように三年に一巡して必ず全部を調べるという体制からはかなりはずれてまいっております。これがやはり申告納税制度としては一つの方向ではないかと思っております。したがいまして、三割の脱税というものが残りの法人全部について一律に当てはまるとは私考えておりません。かなり程度は減るであろう、かように考えております。
#100
○広瀬(秀)小委員 非常に努力されていることはけっこうだし、とにかく八百六十四億のうち悪意で、脱税の意思があってやったというのはまあ三割程度だということでありますが、何しろ税務職員の数の問題も当然これは出てくる問題ですし、いろいろ経験則からいってどういう業種にどういうものがということはある程度、書類を一覧するだけで見当がつく専門的な勘のようなものもあるだろうしいたしますが、いずれにしてもできる限り脱税というものは徹底的に捕捉をして、脱税なからしめるという方向に向かって一そう努力されるように、これは最後に長官を激励をいたしたいと思いますので、ひとつ今後とも手をゆるめずに、まさに脱税のない状態になるようにいろいろ対策を考えていただきたい。それから、安心しているところなどについても、これはとんでもない見込み違いというようなこともありますから、まんべんなくということではかえって深度のある調査ができないということにもなりますけれども、そういう点についても、特に大きい経営企業体、そういうようなところに対しても絶えず公平な立場で、調査すべきものは調査をするという気持ちで、今後ともこういう問題のないように全力をあげていただきたい、こういうことを申し上げまして、時間もだいぶたちましたのでこれで終わりといたします。
#101
○山下小委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時散会
ソース: 国立国会図書館
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