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1970/03/04 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第8号
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1970/03/04 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第8号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第8号
昭和四十五年三月四日(水曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 上村千一郎君 理事 金子 一平君
   理事 藤井 勝志君 理事 村上信二郎君
   理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
   理事 永末 英一君
      奧田 敬和君    加藤 六月君
      木野 晴夫君    河野 洋平君
      佐伯 宗義君    坂元 親男君
      田村  元君    高橋清一郎君
      地崎宇三郎君    登坂重次郎君
      丹羽 久章君    原田  憲君
      福田 繁芳君    坊  秀男君
      森  美秀君    吉田 重延君
      阿部 助哉君    中嶋 英夫君
      平林  剛君    堀  昌雄君
      美濃 政市君    八木  昇君
      貝沼 次郎君    春日 一幸君
      竹本 孫一君    小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        大蔵省関税局長 上林 英男君
        国税庁長官   吉國 二郎君
 委員外の出席者
        通商産業省通商
        局次長     楠岡  豪君
        大蔵委員会調査
        室長      抜井 光三君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月四日
 辞任         補欠選任
  木村武千代君     加藤 六月君
  松本 十郎君     河野 洋平君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤 六月君     木村武千代君
  河野 洋平君     松本 十郎君
    ―――――――――――――
三月三日
 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第四八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国税通則法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一号)
 昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法
 案(内閣提出第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 議事に入るに先立ちまして、この際、御報告を申し上げます。
 本委員会の委員として長い間御尽力をいただきました前議員佐藤觀次郎君が昨三日長逝されました。ここにつつしんで同君の御冥福を祈り、哀悼の意をささげる次第であります。
     ――――◇―――――
#3
○毛利委員長 昭和四十五年度の税制改正に関すする暫定措置法案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
#4
○広瀬(秀)委員 四十五年度税制改正に関する暫定措置法の審議に入るわけでありますが、今回の国会が総選挙後の特別国会であったというようなことで、税法上三月三十一日で期限の切れる諸問題を何とか措置しなければならぬという事態にあることは私どもも理解できるわけであります。そういうことではありまするけれども、この際はっきりさしておきたいことは、所得税関係につきまして、かなり重要な改正案が、しかも、われわれの立場からいうならば、非常に問題の多い所得税法の改正案が予定をされて、今国会にすでに提案もされているわけであります。いわゆる本格的に所得税法を審議をするという前に、この暫定措置法を審議をして、これを通すということになりますと、暫定措置法における所得税分、特に給与所得の分について、これを審議して通すということによって、本法の改正案の一種の既成事実がここでつくられるというようなことで、そういう面から非常に抵抗を感ずる面がどうしてもあるわけであります。そういう点から、これはいわば税法改正における野党修正というような問題、あるいは野党修正でなくとも全会一致の修正であろうとも、修正を受けつけない立場での暫定措置法ではないか、そういう問題点があるわけでありまするけれども、そういうことについて、どういう立場でおられるのか、この点をはっきりさしておきたいと思うわけであります。
#5
○細見政府委員 ただいま提案いたしております暫定措置法は、四月分だけのことにつきまして特別な措置を考えようというための措置でありまして、これは昨日もいろいろ申し上げましたように、この案件を御審議願いあるいは御決定願いましたといたしましても、そのことはただいま別途提案いたしておりまする所得税法の御審議を何ら拘束するものではない。これは四月分だけにつきまして、かりにいま提案いたしておりますような税制改正の中身を、四月分について給料の支払われる人だけについて適用してみればこの程度になりますので、少なくとも取り過ぎにならぬように応急の措置をとっておこうというだけでありまして、所得税法そのものの御審議を何ら妨げることにはならない、かように考えております。
#6
○広瀬(秀)委員 その説明の限りにおいては、そういう趣旨であろうということはわかった。しかし、所得税法――特に所得税法でありますが、必ずしもそれに限ったことではない。税法全体について、予算のいわば歳入委員会としての性格を大蔵委員会は持っている。かつては歳入委員会というような時代もあったということを聞いておるわけでありますが、そういう意味で、税法に対して政府が提案をしたものに対して、修正権というようなものが国会にあるはずだと思うのです。そうなりますと、今度暫定措置法を、たとえば所得税法の改正案できめられた簡易税額表までそのまま審議をして通すことになるわけであります。そうなりますと、次の段階で、本法の所得税法を審議をし、そうしてそれに対して修正を可決した。そしてそれが予算にも当然響く問題である。これは許容され得る限界ということはあるにしても、そういう場合に、たとえば今日問題になっております給与所得控除における定額部分を増額しろというような強い要請なんかもある。そういうところで、たとえば三万でも五万でも定額部分を上げろということを満場一致この当委員会が決議をするというようなことになる場合だってあり得るわけです。そういうものを拒否するということではないと思うのですね。ですから、そういうことになった場合には、この四月分だけを措置するということ、そして予定した改正案を四月から適用させてやりたいんだということを、提案理由の説明の中でもおっしゃっていますけれども、逆に今度は、そういうことでかりに国会で修正をしたというような場合には、事務的にはより一そう、この暫定措置法によって四月分を措置したがために、非常に複雑な、より手間のかかる仕事をやり直さにゃならぬというようなことにもなると思うのですね。だからそういうようなことを考えますと、やはり何だか別な方法というものがそういう面ではないのかという疑問を持たざるを得ないわけでありますが、その辺のところの考え、御所見はいかがですか。
#7
○細見政府委員 かりにこの暫定措置法を提案いたしませんとしますと、当然のことでありますが、現行法によって四月分の俸給は徴収する。そういたしますと、確かに本法の修正の可能性はあるわけでございますが、少なくとも改正法案で御審議願っていずれ国会でおきめ願うものは、現行法よりは大部分の方についてかなり軽減されたものであろうと思うのです。そういう意味におきまして、この暫定法を出しましたからと申しましても、暫定法を出さなくても年末におきまして調整しなければならないことは同じで、この暫定法を出したことがそんなに事務的には手間が要ると
 いうことにはならないと思います。同じように、四月分の給料については、年度末に、かりに別の税法が議決されたといたしましても、いまの税法とそれから施行される税法とが違う限りにおいて、現行法で徴収して、改正法で年末調整する、あるいはこの暫定法でやりまして、新しい、また暫定法が予定しておった以外の法律によって調整する。いずれにいたしましても、一回の調整であることは同じことだと思います。そういう意味で、私どもは、でき得ればこの四月に支払われる給料は、文字どおり四月に一回しかないわけでありまして、これを五月に直すとかあるいは六月に直すということは、月々の給料であります限り直しようがない。そこで、できるだけ減税の恩恵を四月分にも及ぼして、中には免税点以下になりまして税金を取らなくてもいい階層も出てまいるわけでありますし、あるいはまた、たびたび申し上げますように、日雇いの人のような人たちが、比較的四月まで働いて四月以後帰農するというような事例もわりあい多いわけでありますので、そういうことを考えまして、四月にはやはり何らかの特例措置を設けて、少なくとも最低限改正法のベースまでの減税のメリットは及ぶようにしておく。さらに国会で御審議願ってもっと大きく軽減されれば、もう一度措置しなければならぬことはあろうかと思いますが、それはそれといたしまして、国民負担軽減のために若干の事務はふえてもけっこうなことで、私どもとしては、四月分にかなりの人が給料を支払われ、あるいは四月に日雇いなどの人が職を離れるという事態を踏まえまして、やはりこの際は特別措置をお願いしたほうがよかろうと考えたわけでございます。
#8
○広瀬(秀)委員 まあ年末調整もあることだからそれでできる。それだったならば、そのほかにもいろいろ問題点もあるけれども、所得税に限っては年末調整でやったら、こんな暫定措置法を別に出す必要もないじゃないか、こういう議論にもなるわけでありますけれども、日雇関係が非常にその恩恵から落ちこぼれる。つかまえられない、把握されない。したがって四月分だけは旧法によって重い税金が課せられる、こういうことになるからということが落ちつくところなんですね。ケースとしてはそれくらいしか考えられないわけですね。
 ところで、それじゃそういう人たちがどのくらい現実にいるのか。最近は出かせぎなどは身元のしっかりした人たちで、土建の現場で飯場のようなところを渡り歩くというようなこともあるかもしれないけれども、出かせぎなんかの場合には、大体もう年々慣例になっているような面も非常に多いわけなんだけれども、どうしてもつかまらぬというのは大体どのくらいの数字であるのか。そういうものの追跡調査のようなものをやられたことがありますか。
#9
○細見政府委員 なかなか把握の困難な部門でございます。全国の統計としては、百二十万くらいの方がこういう形で働いておられることもわかっております。それから税務署で統計をとりまして、約三十億円くらいの税金がこういう方々から払っていただいておるということもわかっております。ただ文字どおり季節労務者でありますので、今月何人おるだろうかということになれば、あるいは荒い推定はでき得るかもしれませんが、およそ何人というのもちょっとむずかしい。全体で百二十万くらいの方が働いておって、三十億くらいの税金がこの人たちから払ってもらっておるということだけしか、正確なことは申し上げられません。
#10
○広瀬(秀)委員 特別に身元もさだかでないというような、ほんとうに臨時的に次から次へと飯場を転々とするような労働者なんかについては、確かに問題があるだろうということですが、これはたいへん愚問なんですけれども、いま日給幾ら以上の場合に源泉を取っているのですか。
#11
○細見政府委員 夫婦、子二人で想定いたしまして、現在は二千九百五十円から税を徴収する。改正のこの提案いたしておりますものによりますれば、それが三千二百五十円から税を徴収するという形になるわけでございます。
#12
○広瀬(秀)委員 独身者の場合は。
#13
○細見政府委員 これはいわゆる丙欄と申しまして、扶養家族のことを全部ネグレクトいたしまして、全体、夫婦、子二人という想定で税を取っておるわけでございます。説明が不十分であったかと思いますが、こういう方については、扶養親族届けとかいろいろなものを出していただいておらぬわけでございますので、丙欄というのは、夫婦、子二人ということにして徴収表をつくっておるわけでございます。
#14
○広瀬(秀)委員 これは現実の税務の執行でそういうことをやっているわけですか。本人が女房、子供を持っていないということを申告なり何なり、これは不利になることだから、あるものならば隠すはずはないですね。ところが丙欄ということで、現に単身である、女房、子供とは別離しているのではなくて、法律上も切れてしまって全然単身なんだ、扶養の責任も果たしていないという場合、あるいはほんとうに女房、子供を持たない独身、単身者、こういうような場合に、やはり妻、子二人というものを想定して税を取るということは、これはいいことなんですか。少なくとも本人には申告をさせてやるわけなんでしょう。それを丙欄でやるというわけなんですけれども、そこらのところももう少しきちっとやることはできないのかどうか。
#15
○細見政府委員 文字どおり日雇いでありまして、毎日毎日職場が変わるという前提になっておるわけなんです。広瀬先生がおっしゃっておるような、つまり身元もかたくて、一つの飯場に一月とか二月とかあるいは三月とかおられるような方については、いろいろやりようがあるわけですが、ここで申し上げておるのは、職安か何かから、きょうは五人要るから五人来られた。あしたは三人でいいから三人だけというような形で、給料を帰られるときにぽんと払うというだけの、つまり申告書を出してもらったって、あしたはその人はどこに行くかわからぬ。極端に申せば名前も、そんなもの戸籍上の名前であるかどうかということも確認しなくていいような、そういう人の給与の体系を考えておる。もちろん確認できるわけでありますが、飯場の事務能力その他からしましても、そういうことでけっこうですという形になっておるものですから、夫婦、子二人というのが、たびたび出ております標準世帯ではございませんが、日本の実情じゃなかろうかというので、そういう方式で税をとっておるわけでございます。
#16
○広瀬(秀)委員 日雇いの実態を私もつまびらかにしませんから、その辺でやめておきますが、言うならば日本の家族構成といいますか、夫婦、子二人、こういうようなことで丙欄ということにしておる。標準世帯というのは夫婦、子供三人だというずっと長い伝統でやってきておるわけなんだけれども、そういう面ではそういうこともやるということは、やはり実態に近いものということが、もうすでに皆さんの頭にもそういうところでは働いている。しかし全体的な場合には、見ばえをよくするというか、そういうことで百万まで減税だ、百万まで減税だとやる場合との間に、何か皆さんから見てもうしろめたいようなところが、そういう面から、はしなくも出たような気がするのです。きょうはそのことを別にどうこうは申しませんが、これは所得税法審議の際にその辺のところを含めてやりたいと思います。そういう実態であるとするならば、その点も、これはまことにやむを得ざるものがあるだろうと思いますが、さらにその辺のところはもっときめこまかくやれる方法はないかという疑問だけを提示をしておきたいと思います。
 そこで、通産省来ておりますか。これは先月の二十八日の朝日に出た記事なんですが、「東南アジアからの加工再輸入品、減税品目を拡大」というようなことがあるわけなんですが、加工再輸入貿易、こういうものの現況を、品目別、それから対象国別、こういうようなことで、およその数字をちょっとここで明らかにしていただきたいと思うのです。
#17
○楠岡説明員 委託加工貿易で、いま先生の御質問になっていらっしゃいますのは、当方から原材料を提供しまして製品を輸入するという、私どもいわゆる逆委託加工と申しておりますものの御趣旨だと思います。私、いま手元に持っております資料によりますと、件数で――委託加工貿易契約というのを政府があらかじめ許可をするという形になっておりますが、その件数で、ただいまのこちらから原材料を出しまして製品を輸入するという形の委託加工貿易の件数は、ここ三年ばかりを申しますと、昭和四十一年は六百二十五件、四十二年九百十一件、四十三年八百三件、昨年のこれは一−六でありますが、四百二十三件ございます。四十三年はちょっと減っておりますが、全体としてはふえる傾向でございます。このうちおもな国は韓国、それから台湾、香港等でございまして、手元に韓国の数字がございますが、昭和四十一年三百十五、四十二年五百三十六、四十三年三百四十九、それから昨年一−六で百七十一件でございます。そのおもな品目は、主として繊維製品でございます。今後、昨年御審議いただきました委託加工貿易の原材料分についての関税の減免制度が行なわれますと、現在すでに電子製品の一部について実績がございますが、そういう機械類の委託加工貿易というものが広がってくると思います。
#18
○広瀬(秀)委員 韓国とか台湾とか香港などが大宗のようでございます。
 そこで、昨年からと記憶いたしますが、原材料分は税金をかけない、こういうことにしておることも承知をしておるわけですが、この方式というのが、いわゆる日本のそれらの諸国に対する資本進出という形なのか。向こうの工場に対する原料だけ提供して、安い労働力を使ってつくらせる、こういうほんとうの委託加工というだけのことなのか。そういう点、資本進出をして向こうの会社と合弁会社をつくるというような形はほとんどない、そういう状態なんですか、その形をちょっと……。
#19
○楠岡説明員 実のところ両方ございます。と申しますのは、たとえば電子製品等で現在すでに台湾、香港等で実績がございますし、それからこの制度に乗せずに、たとえばトランジスタをつくるといったようなこともやっておりますが、実態から申しまして、やはり技術指導等も伴いますので、企業と企業との関係が密接であることを必要とするということで、日本の進出した会社あるいは合弁会社が電子工業製品等をつくっているような例も多くございます。それから韓国のたとえばしぼり加工等になりますと、むしろ合弁会社よりも韓国の会社あるいは韓国の個人が委託だけを受けておる、こういうケースがございます。
#20
○広瀬(秀)委員 大体合弁会社方式は会社の数がどれくらいあって、それは大企業がやっているか、あるいは中小企業が進出をしているのか、その辺のところを……。
#21
○楠岡説明員 合弁会社の正確な数は、私、ただいま持っておりませんけれども、合弁会社の例としましては、電子工業関係では大きな会社が相当ございます。たとえば三洋電機とか日立とか、そういうような大きなメーカーが出ているケースもございます。また繊維等の二次製品につきましては、規模の小さい業者、これは委託加工貿易と申しますよりも、むしろ原料を提供しまして向こうから製品を第三国に輸出するというケースも多うございます。繊維等につきましては、もちろんたとえば東レ、帝人といったような大きなところもございますけれども、二次製品関係はわりあいと規模の小さい業者も進出しております。
#22
○広瀬(秀)委員 国内での労働力不足というようなことから、そういうものが非常に発展する傾向にあるようでありますが、単にそれだけではなしに、相手国からの輸入を増大させる、こういう援助の性格といいますか、そういうものも期待されておるということのようでありますけれども、日本はいま国際収支がだいぶよくなって、ドルの蓄積も二月末で三十六億三千万ドルですか、そういうところまできておる。四十五年度終わってみると、大体五十億ぐらいになるんじゃないかというようなことだというので、海外に対する経済協力なりあるいは援助なり、こういうようなものを、かつてメルボルンの会議かなんかで大蔵大臣も、五年間に援助額を後進国に対して倍増するというようなことも言っているわけでありますが、将来この問題は、たとえばポストベトナムにおけるベトナム復興というような場合にもどんどんこういう形が、日本の労働力不足を解消するというような面で企業家にとっても非常にメリットがあるというようなことで、海外援助、海外協力、経済協力というような面を発展さしていく。加工再輸入というものはそういう面で非常に通産省としては重点を置いた施策にいまなっているわけですから、海外援助という総体的な問題の中で、こういう方式というものはこれからどういうように進めていく気なのか、方針を持っておるのか、その辺のところをちょっと聞いておきます。
#23
○楠岡説明員 ただいまの先生のお話しのように、将来及び現在の労働力不足等を考えますと、こういう面で問題を解決していくということはかなり多いと思います。
 それから先生御承知のように、たとえば韓国と日本との貿易は、昨年の実績で申しますと、七億七千に対しまして一億三千万ドルというようなことで、非常にはなはだしい片貿易でございます。もっともこの中には若干割り引きしなければならない、たとえばお米を出したというような要素もございますけれども、総体的に非常な片貿易でございます。それから台湾につきましても、六億に対しまして一億八千万ドルといったような片貿易でございまして、こういうものを何とか日本も解決するように努力していかなければならぬ。その場合に、農産物あるいは水産物だけで解決するのは困難でございまして、やはり相手の工業力の増強とともに工業製品の輸入がふえてくるのではないか。したがいまして、先方から申しましても、やはり日本から原材料を受けまして加工して日本へ出すということは非常な利益でございまして、両国とも非常にこの制度に乗って日本への輸出をふやしたいという要望が強うございます。ただ、一つ問題は、昨年のこの委員会の御決議にもありますように、関連中小企業とか勤労者に対する配慮をしなければならないわけでございまして、この制度を拡大した結果、中小企業に非常に打撃を与えるというようなことは極力避けていかなければならないと思います。そのために、主として大企業が内部でつくっておりますようなもの、しかも労働力不足で困っているといったようなもの、こういうようなものを中心にして今後逐次拡大をはかっていったらどうだろう、かように考えておる次第でございます。
#24
○広瀬(秀)委員 いま最後に言われたところもかなり問題でありまして、現にこの加工再輸入が、原料分についてまるっきり免税だというような特典を得ながら、しかもフルに低労賃という利益を享受できるというようなことを通じて国内の同種産業に対する影響がもうすでにあらわれている。玩具産業、造花であるとかあるいはぬいぐるみ玩具であるとか、そんなところに影響がもうかなり出ていると思います。そういうものに対する有効な、太刀打ちのできる一もう三分の一あるいはそれ以上に低い労賃でつくられる、そう高度なオートメーション化されたシステムでない、労賃分が非常に大きい産業であるだけに、そういうものの影響をもろに受けるというような点についての配慮は、現実にどういうことをしておりますか。
#25
○楠岡説明員 ただいま関税制度につきましては、ただいま申し上げましたような考え方で、たとえば韓国等から、繊維製品についてこの制度に乗せろというような要望が非常に強うございますが、そういう御要望には沿いかねるというような方針で臨んでおります。それから、一般論から申しまして、先生御指摘のように雑貨あるいは繊維製品の最近のいわゆる発展途上国からの輸入が相当ふえております。私どもこういうものに対処しましては、現在すでにやっておりますたとえば繊維の構造改善とか、それから雑貨等につきましてもいわゆる近促法の活用等によりまして、むしろ日本は貿易立国という立場から、壁を高くするというよりも中の産業の力を強くする、そういうような方向で対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#26
○広瀬(秀)委員 大蔵省に聞きますが、原料を全部こっちでまかなってやる。そして向こうで委託加工あるいは合弁会社方式であろうと、現地で物がつくられる。それが全部こちらの原料なわけですね。そういう場合に、それがたとえば韓国からアメリカに輸出される。あるいはEEC関係に輸出される。再輸入も日本にそのうち何十%かがある。そういった場合に、韓国がたとえば委託加工だという形で――委託加工ということになれば全部やるのが普通であるけれども、合弁会社であるというような場合には、これが外国に売られた分についての原料分まで減税をしていく、原料分を引いていく、こういうたてまえ。そこらの区分けかなかなか技術的にもむずかしい。そういうことについてどういう状態に把握をされ、どういうように考えられておるのか。
#27
○上林政府委員 ただいまの御質問でございますが、もちろんいまの関税の委託加工におきまする軽減制度は、日本に輸入されたものにつきまして軽減をいたすわけでございます。日本の原材料がたとえば韓国に輸出され、そのまま外国に輸出される場合には、これは関係のないことでございます。また、たとえば原材料を韓国へ輸出いたしまして、それをさらに日本へ持ってまいりまして、さらに若干の加工を施してたとえば韓国へ輸出する、こういう場合には、通常日本におきまする保税工場におきまして関税のかからないまま加工をしそのまま輸出される、こういう形態になっております。したがいまして、日本から出て韓国からそのまま輸出されるものも、日本へ来て日本で若干加工されて輸出をされるものも、これには関税はそもそもかからない制度になっております。日本に輸入されるものにつきましては、輸出の際に、こういう原材料であるということ、いまの制度の適用を受けたいということを税関に申請してまいりまして、そういう輸出の際、原材料についてチェックをいたしまして、返ってまいります際に、そのものがまさに返ってきたということをチェックをして、その減税制度を適用する、こういう仕組みになっております。
#28
○広瀬(秀)委員 そこらのところが、日本に輸入された分に対する原料分というものが、税制であるだけにやはりきちんとしていなければならぬと思うのです。輸入された分が幾ら、それにどれだけの原料が使われておったか、その把握はきちんとやられておるのだとは思うけれども、間違いなくやられておるのかどうか、そこらのところが、これは外国との関係でもあり、専門的に計算すればわかるということになっておるのか、その辺のところどうなんですか、いろいろ品目も多いだろうと思いますからね。
#29
○上林政府委員 いろいろと長々説明いたしましたが、税金をかけます場合は日本に輸入され、日本で消費される分でございます。その場合には、先ほど申しましたように、あらかじめこの制度を適用を受けたいという申請をすることになっておりまして、その際に原材料をどういうふうに幾ら出したかというのを確認いたしております。また返ってまいりますときに、それがまさにその原材料が使われて、そして製品が輸入されるものであるということも確認いたしましてその制度を適用いたすことになっておりますので、御指摘の点はきちんとしておると私は思います。
#30
○平林委員 関連して。
 いまの質問について、私目下検討中のものがありますから、通産省に資料をちょっと要求をしておきたいと思います。
 ただいま問題になっている、日本から原料を輸出をして逆委託加工するという場合、例は韓国、台湾、香港に多く、その件数が四十一年度六百二十五件、四十二年度九百十一件、四十三年度八百三件というお話がありましたが、これについて私は若干の資料を整えてもらいたいと思うのであります。
 それは一つは、件数だけお話しになりましたけれども、原料を輸出をする場合の輸出総額、同時に今度は逆委託加工してわが国に戻ってくる輸入総額、それを各年次別にそろえてもらいたいということが一つ。
 それからもう一つ、いまこうした逆委託加工の種類については繊維製品と雑貨が答弁の中にありましたが、そのほかにも種類がある。その種類別一覧。
 もう一つは、いま上林関税局長のお話がありましたけれども、関税の減免措置をしてもらいたいというときには税関に申請するということになっておるそうでありますが、ただいまあげられた件数の中で、実際に減免措置をとっておるものと、とってないものがあるのじゃないかと思うのですけれども、とっている場合の実例、その実績額、この三つをちょっとそろえていただきたいと思うのです。三番目のことは関税局との関連がありますから、ひとつ相談をして額をあれして資料にして整えてほしい。
 いずれまた私この問題であらためて質問をいたしますから、その準備のために資料を要求しておきます。委員長よろしくひとつお願いします。
#31
○上林政府委員 通産省と相談をいたしまして提出いたします。
#32
○広瀬(秀)委員 いま平林委員から請求のあった資料は、私も実は要求しようと思っておったものですから、ぜひひとつ出していただきたいと思います。
 そこで次、中共産品については、これは協定税率が適用されないということではあるけれども、本委員会において私どもいろいろ主張をいたしまして、ある程度聞いていただきました。三百五十一品目かは協定税率と同じようになってきたということでありますが、きのうも美濃委員がこの問題で質問しておりましたのですが、まだ三十品目ばかりある、こういうようなことです。ケネディラウンドの一括引き下げで四十四年、四十五年、四十六年、四十七年――四十三年の七月に二年分の五分の二を引き下げる、それから四十五年、四十六年、四十七年の三年間に残りの五分の一ずつを三回に分けて引き下げる、こういうことが進行過程にあるわけですね。四十五年度の中でもそういう措置がとられる。残り三十品目、あるいはいままでやってまいったものについて、こういうものとの関係で、おおよそこのケネディラウンドの引き下げ率と同じようなものは、少なくともいままでやってきた三百五十一品目ですか、こういうものについてはやはりやられるお気持ちがありますか。
#33
○上林政府委員 御指摘のとおり国会の決議もございますので、私どもは国内産業に打撃を与えない品目につきましては、すべてこれを均てんさせるつもりで努力をいたしてまいっております。したがいまして、いま御指摘がありました、いままで均てんをいたしましたものは、この暫定措置法でもそのままお延ばしになっていただく。近く御審議をいただく予定にいたしております来年度の本格的改正におきましても、ただいま御指摘がございました例外といたしております三十品目のうち五品目を適用するようにいたしますとともに、なお四十四年度の改正の際にお願い申し上げましたのは、四十一年、四十二年に中共から輸入実績のありました品目につきましては格差の解消をはかったわけでございますが、その後四十三年の実績も出てまいりましたので、四十三年に中共からの輸入実績が新たにございました三十五品目でございますけれども、その三十五品目のすべて格差を解消する、こういうことで御審議をお願いいたすことにしております。
#34
○広瀬(秀)委員 中国大陸との貿易について、きのう――きょうですか、古井ミッションが、これは正式な政府公認のミッションではないけれども、民間ベースという形で行かれる。そういう中で日中関係の改善というようなものが政治とからんでなかなか、何も中国におみやげに持っていくものが――MT貿易ですか、LTからMTにかわって覚書貿易ということになっておるけれども、何もない。そういう場合に、たとえば関税一つにつきましても、ほかと同じ扱いをする、ほかの協定国と同じにする、協定税率と同じようにしていく、こういうような一つの改正というものが、まさに中国にとってはいわゆる敵視政策だというような偏見を持たなくて済む。積み上げ方式というか、そういうようなものの有力な材料にもなるだろうと思います。依然として、やはりよそから入れるものはそうめくじらを立てないけれども、中国産のものについては非常にきびしいというような印象を与えかねない。そういうものなんかについても、やはり一つの問題でそういうお考えなどを、さらにいま関税局長言われたような問題点などを含めて、前向きのものはかくかくあるのだというようなことを、事実上閉ざされた関係にある中で、かろうじて細い一本のタイトロープがつながっておるのだから、そのタイトロープをもっともっと太くしていくような意味で、古井さんあたりに、そういうような方向というものは、関税の面ではこうある、こういうように考えているというようなことを持たしてやるということも非常に必要なことだろうと思うのです。そういう問題で、時間もありませんので、また根本は、本格的なそれぞれの法律も追って提案されることですから、そのほうで十分やりたいと思いますが、きょうはそのことだけ要望をいたしまして、私の質問を終わります。
#35
○毛利委員長 堀昌雄君。
#36
○堀委員 本日は、暫定法の中の関税に関する部分について少し伺っておきたいと思います。
 今度の暫定法、今度変わったわけではありませんけれども、これまでもそうなっていたわけでありますが、暫定法第七条の二のガス事業法の項でありますけれども、「その原料として使用した揮発油につき、関税納付済み原油等の負担する関税のうち一キロリットルにつき五百三十円に相当する額を基準として政令で定める率により算出した金額に相当する関税を、」還付する、こうなっているわけですが、この五百三十円というのは、何が五百三十円というのをもたらしておるのかをちょっと伺います。
#37
○上林政府委員 原油関税につきましては、御存じのように、石炭対策のために増税をしたわけでございます。しかし、その増税分が、たとえばガス事業のように公益事業的な一般消費者の家計その他に及ぼす影響の多いものにつきましては、必要に応じまして軽減措置を講ずる措置があるわけでございます。観念的に、大体いま原油関税が六百四十円でございますけれども、そのうちの五百三十円部分、要するに十二分の十と考えて、大体従価に換算いたしますと六百四十円が一二%くらい、そのうち一〇%くらいの五百三十円が石炭対策というような考え方をわれわれいたしておるわけでございます。その石炭対策のために増税した部分につきましては、これを軽減をするという考え方をとっておるわけでございまして、その一環といたしまして五百三十円を還付する、こういう考え方でございます。
#38
○堀委員 そうすると、これは、いまの関税をふやしておるということは、石炭対策の関係だけで原油関税をふやされているということですか。実は、石炭対策の問題というのはいまだんだんと姿が変わりつつあるんじゃないかと私は思うのです。御承知のように、いま公害対策の問題から考えてくるならば、電力会社が発電用に使っておるところの原料炭というものがいま四百万トンくらいあるだろうと思うのですが、今度の新しい基準等によって規制を受けるということになると、そのまま実施すれば年間百万トンくらいに減らさないといまの基準に合わないという問題が起きてくるというような客観情勢が実はあるわけですね。そして、いまその石炭の中身の問題で考えてみても、実は九州の比較的大きな炭鉱、現在、依然として大規模に掘っておる炭鉱のほうがサルファの含量が非常に高くて、実は閉山しつつある炭鉱のほうがサルファの含量が低いんだというような、公害対策上の問題から見ると、いまの石炭問題というのはなかなか実はむずかしい問題にいきつつあるということが一つあるわけです。
 そこで、私はあわせてちょっとお伺いしたいのは、この項目の終わりのほうに「大蔵大臣が当該特別ガス事業者のこの項の規定による関税の還付を受けるために必要な国産石炭の購入数量として定める数量以上であった場合には、政令で定めるところにより、その原料として使用した揮発油につき、関税納付済み原油等の負担する関税のうち一キロリットルにつき三百二十円に相当する額を基準として政令で定める率により算出した金額に相当する関税を、」還付する、こういうふうに三百二十円が出ておるわけです。ここにもう一つ、「大蔵大臣が当該特別ガス事業者のこの項の規定による関税の還付を受けるために必要な国産石炭の購入数量として定める数量以上であった場合には、」というこの数量は、告示であなたのほうで出していますけれども、この三百二十円と告示に示されておる石炭の量というのは一体どういう根拠に基づいておるのか、ちょっと伺いたい。
#39
○上林政府委員 これも石炭対策の一環といたしまして実施をいたしましたものでございます。石炭対策の観点から、大手の電力業者には従来、四十二年度にスタートをいたしたわけでございますが、その前から大手の電力業者は一定の石炭を山から買っておったわけでございまして、さらにそれ以上の石炭を買ってもらうことによりまして石炭対策に協力をしてもらう、ただし、そういうことをいたしますと、コストが重油をたきますに比べまして上がる、そういう事態も出てまいったわけでございます。したがって、できるだけ重油の引き取りトン数以上のトン数を買ってもらうように確保する、そうして従来の実績以上に引き取ってもらった場合におきましては、いま御指摘のありましたような三百二十円の関税の軽減をする。この三百二十円と申しますのは六百四十円の半分でございますが、そういう軽減措置をとることによりまして、石炭対策すなわち石炭の電力会社による引き取り量の増加を確保する、そういう施策で行なったものでございます。
#40
○堀委員 そうすると、前段の五百三十円と三百二十円の関係なんですが、要するに、前段のほうはガス事業者であり、後段のほうは特別ガス事業者、要するに東京互斯、大阪互斯、東邦互斯、三社が後段のほうであって、前段のほうはその他のガス事業者。これについて、片方は石炭を使うから三百二十円、片方はそうでないから五百三十円ですかになる、こうなっているわけですね。じゃこれは趣旨が全然違うわけですね。そうすると前段のほうは、要するに石炭対策といっても、実は公共事業だから安いのを供給しようというだけのことであって、石炭対策の余波をここでは遮断をしようと。そうするといまのもう一つわからない点は、前段のほうでは安い五百三十円基準のものを与える。後段の特別事業者のほうは、定められた石炭のトン数がありますが、それをこえれば三百二十円になるが、こえなかったら六百四十円のままだと、こういうことになるわけですね、この差異は。
#41
○上林政府委員 どうも答弁があまり上手でございませんでして、私も若干あれをいたしましたが、先ほど電力会社と申しましたのはガス事業者の間違いでございます。電力会社とガス事業者と同じような扱いを実は石炭対策のときにいたしたわけでございます。
 そこで、いま御質問の点につきましては、五百三十円を軽減いたしますものにつきましては、これは中小のガス事業者でございます。それからあとのほうの三百二十円を軽減いたしますのは大手のガス事業者でございます。
 それで、大手のガス事業者は原油から直接ガスを精製するということをやっておりますが、中小の事業者は設備その他の関係から、原油からそのままガスをつくるということをやっておりません。そこで大手のガス事業者につきましては、ガスを精製いたします原料でございます原油につきましては、原油の免税制度がございます。したがいまして、それと同時に、揮発油からガスをつくります場合に、大手と中小との負担の増加というような観点から、バランスをとりました場合に、その揮発油につきましては中小のガス事業者につきましては五百三十円を軽減し、大手のものにつきましては三百二十円を軽減するということでバランスがとれる、そういうふうに判断をいたしましてこういう制度になっておるわけでございます。
#42
○堀委員 ちょっと私も技術的なことをつまびらかにしないんですけれども、「前項のガス事業者が関税納付済み原油等から本邦において製造された揮発油を税関長の承認を受けた製造工場で昭和四十五年四月三十日までにガスの原料として使用した場合には、政令で定めるところにより、その原料として使用した揮発油につき、関税納付済み原油等の負担する関税のうち」と、こうなっているわけですから、これは当然ここでも原油を使っているわけではなくて、これは原油からとられた揮発油を使っているわけですね。この法律の条項は「原油等から本邦において製造された揮発油を税関長の承認を受けた製造工場で」使っておるんだ、こうなっておりますね。それから片や特別ガス事、業者のほうも、「関税納付済み原油等から本邦において製造された揮発油を税関長の承認を受けた製造工場で昭和四十五年四月三十日までにガスの原料として使用し、」こうあるわけですね。いずれもいまのお話を聞いておりますと、要するに片方は何か原油から直接とれていない。片方は原油から直接とれるんだ。大手のほうの原油は免税で入っておるから、それで格差ができるんだ、こういう御答弁のようだけれども、この法律の条項から見ると、両方同じように書かれておるわけですよね。こまかく書いてあるんだから……。
#43
○上林政府委員 御指摘の点は第七条の二の一項が、私が申し上げました原油からガスを製造しまする場合の規定でございまして、その場合には免税をするという規定が一項でございます。この適用を受けまして免税をしてもらえるのは、いま申しました大手のガス事業者だけでございます。これは法文の関係で、書き方といたしましてはどのものも原油から直接ガスを製造いたします場合には、その原油関税をまけるように書いてございますけれども、実際的にこの適用を受けておるのは大手のものだけでございます。
 二項と三項は、これは同じように揮発油からガスをつくりました場合の規定でございます。ただし二項の場合には中小のガス事業者を相手とし、三項におきましては特定の大手の事業者に適用がある、こういう立て方になっておるわけでございます。
#44
○堀委員 まだちょっとはっきりしないのです。いまお話しのことは、一項のほうは確かに原油は免税と、こう書いてあるわけですよ。それはいいのです。私はそこを触れていないのです。二項と三項のところにひっかかっているわけで、二項も「前項のガス事業者が関税納付済み原油等から本邦において製造された揮発油を税関長の承認を受けた製造工場で」「使用した場合には、政令で定めるところにより、」これは「一キロリットルにつき五百三十円に相当する額を基準として政令で定める率により算出した金額に相当する関税を」還付する、こうありますね。それと同じように特別ガス事業者の場合には、今度は石炭をたくさん使った場合にだけ三百二十円安くしますと、こう書いてあるわけでしょう。
 ですから私が伺っておるのは、主たる聞きたいことは、要するに大手であっても、まずスタンダードのベースでは、前項が生きているのならいいけれども、これは特定事業者を除くと書いてあるわけですよ、二項のほうは。だから二項のほうは一般ガス事業者しか、要するにあなたの言う中小しか適用されていない。そして大手のほうはたくさん石炭を使ったらそれに対するフェーバーとして三百二十円、その上にたくさん使った分に見合って安くしてやろうと、こういう話なんで、そこへいかない分は要するに五百三十円のフェーバーがないということになるわけですね。ところが書かれておる表現からすると、どうも同じように書かれておる。要するに原油そのものは免税だということになっておるようだから、そうするといまの発想で、大手は原油から揮発油をつくるから五百三十円は必要がないのだということになれば、石炭をたくさん使ったということのフェーバーの三百二十円はもう関税のワクを越えているわけですよ、免税の原油を使っているのだから。そうでしょう。免税ということは関税がないということじゃないですか、この場合の表現は。
#45
○上林政府委員 御存じのように原油からガスだけをつくる場合の規定が第一項でございます。また御存じのように原油からは揮発油、重油その他いろいろのものがとれます。その場合に原油の六百四十円の関税は、それではおのおのの揮発油なり重油が幾ら負担をしたか、こういう計算になるわけでございまして、したがってその揮発油に関する関税につきましてまけていく、こういうのが二項、三項の規定の趣旨でございます。
#46
○堀委員 どうもちょっと、こっちは頭が悪いのでよくわからないのは、原油からガスをつくるわけでしょう。原油からガスをつくる、そのガスをつくったらナフサが出てくるでしょうね、たしか。そうじゃないですか。そうすると、ガスが出たとしたらその残りものはあるわけですよ。しかし残りのものは、これは原油を免税にした以上は、あとの残りに出たものからは税金を取るのですか。そんなことはないのでしょう。原油は免税で入った。それはどう使おうと免税なんでしょう。そうじゃないのですか。
 だから私は、原油から直接ガスがとれるのに、なぜ揮発油にここでしなければならないのか。揮発油とここに書いてある。表現はこう書いてあるわけでしょう。「関税納付済み原油等から本邦において製造された揮発油を税関長の承認を受けた製造工場で昭和四十五年四月三十日までにガスの原料として使用し、かつ、同月一日から同月三十日までにおいてガスの原料として使用するため国産石炭を購入し、」云々、こうなっていて、ここでは明らかに前段と二項と三項の、要するに揮発油を使用するということについては同じ条件になっているわけですね。だからここでは、大手といえども、原油から直接ガスをつくる場合と、要するにその原油から揮発油をつくってその揮発油からガスをつくる場合と、こう二つあるのじゃないのだろうか。揮発油からガスをつくる場合というのは三百二十円だ、こういうふうに規定をしてあるのだから。あなたの言うように、もし原油から特殊な、特別事業者はガスがとれるのなら、何も揮発油にしたものを使う必要はないし、それなら何ら石炭に拘束をされて三百二十円のフェーバーを受ける必要はない。原油のただを使っているほうがいいにきまっているのだから。そこで私は、どうも、一体これはどういう意味でこういう仕組みがとられておるのかちっともよくわからない。もうちょっとわかるように説明してください。
#47
○上林政府委員 こういうことでございます。一項のは、原油からガスをつくりまして、そのためのほかの副製品はないわけでございます。それから、二項、三項の場合には、原油を蒸留いたしますと、揮発油もできますし、重油その他のものもできます。その場合に、原油自体は免税しないわけでございます。ただし、原油からできました揮発油につきまして、原油関税が負担した部分のうち三百二十円をまけてやる。したがって原油から揮発油だけの部分についてまけて、あとの重油その他の点につきまして、この原油が負担しておりました関税は取ったまま、こういうかっこうになるわけでございます。したがってダブってまけておるというわけではないということでございます。
 それから第二点の、なぜそういうややこしいことをやるかということでございますが、ガス事業者の設備その他の関係から、原油からガスをつくるものと、揮発油からガスをつくる設備とを持っておるわけでございまして、それを行ないます場合に、原油関税については、大手の場合につきましてはこういう制度をとる。かつ、大手の場合には、揮発油からガスをつくる場合には、三百二十円をまけることによって大体中小のガス事業者とのバランスがとれる、そういう判断のもとにこういう制度をつくったということでございます。
#48
○堀委員 ちょっとガス事業の中身がよくわかっていないから議論がかみ合わない点があると私も思いますけれども、原油が免税になっているのだから、ガス事業者はどんどん――いま特に大手の都市ガスは非常に広がっているわけですから、当然私は、こういう制度があれば、石炭をたいて、そうしてわざわざ揮発油にしてたくよりは、前段の原油そのものが、あなたのいまの説明によれば全部ガスに転化できるのだ。揮発油、重油を含む全部が転化できるのならもっと効率がいいわけでしょう、原油からそれが全部ガス化できるとするならば。私ちょっと疑問があるけれども、ガス化できるとすれば、免税で入ってきた原油が全部ガス化できるのなら、私はこれほど効率のいいものはないと思う。わざわざ揮発油などをとって、税金のかかっておる原油から揮発油をとって、あと重油もその他のものもどうかしなければいかぬでしょう、ガス会社とすれば。そういう副産物ができるのに、なおかつ揮発油というものをとって、それを、石炭をこの一定度使わなければ三百二十円のフェーバーが起きてこないようなものを使わなければならぬということが、第一私自身としてもよくわからない。
 それでは本来なら設備投資を新しくして、原油が全部ガスにいけばガス事業としては最も効率がいいし、企業側にとっても効率がいいことは、裏返せば公益事業としてガスの単価を上げないで済むことになるものだから、本来ならそっちにフェーバーを与えてあるのだからそっちにいけばいいのに、一体三百二十円揮発油でフェーバーを与えることによって、そんなに石炭がたくさんふえるほどのフェーバーになるのかどうかという疑問が私は一つあるわけです。
 それが一つと、片方では五百二十円安くしているわけでしょう。片方では三百二十円と、ずいぶん格差もあるので、その点について私は、もしここは揮発油だけを――いまの原油から直接ガスをつくる能力がなければ、能力の限界にきておれば、当然そこでは揮発油だけを使う場合がある。そうすると揮発油は、片方では五百三十円でフェーバーになっておるけれども、片一方ではそこでは恩典がない。裏返していえば六百四十円の負担をするのだ、こういうことに事実はそこではなっているのだ、こういうことですね。
#49
○上林政府委員 まず一つ御説明申し上げますのは、ガス会社が、御存じのように重油を蒸留いたしまして、揮発油を使うわけではございません。揮発油は、石油精製会社が蒸留いたしました揮発油を買うわけでございます。それで、したがってその揮発油をなぜ使うか、こういう問題でございますけれども、原油から直接にガスをつくります場合には大きな設備が要りまして、設備投資が相当巨額になる。したがって中小のガス事業者はできないということでございます。したがって、ガスの供給量その他によりまして、大手の会社におきましても、設備計画その他から、重油から直接ガスをつくる設備をつくっておる場所もございますし、そうではない場所もあるわけでございます。したがってその場合に、中小の場合と大手の場合との負担の均衡を考えて、いま申しましたような制度をこの四十二年度につくったわけでございます。なおこれによりまして、大手のガス事業者は一定の石炭の引き取り量というものを義務づけられておりまして、これもあわせて石炭対策に資する、それを確保する手段ともいたしておる、こういうかっこうになっておるわけでございます。
#50
○堀委員 告示を見ると、東京瓦斯は六十四万一千九百トン、大阪瓦斯は十九万二千九百トン、東邦瓦斯が二十万八千八百トンを上回るということになっていますね。この数は一体何から出てきたのでしょう。
#51
○上林政府委員 この数字は、通産省におきまして、石炭対策も考えながら、それからガス事業者がどの程度引き受けられるかということも考えて、通産省が各業者と相談してきめましたものを、私どもはこれ以上引き取るべきものであるというふうに告示をいたしております。
#52
○堀委員 そうすると、これから少しでもふえればもういいということですか。いまの揮発油のほうは、使った分全部三百二十円割り戻す、こういうことになるわけですね。そうすると私は――この告示が出たのはたしか四十三年かな。
#53
○上林政府委員 毎年出ております。
#54
○堀委員 毎年出しておるわけですか。そうするとこの量は毎年変わるわけですか、このトン数は。
#55
○上林政府委員 毎年、もちろん変わらない場合もあるかもしれませんが、変わるのがたてまえでございます。
#56
○堀委員 それでは、私はたまたま四十三年の税関六法しか持っていなかったからあれですが、ここ三年間ぐらいの、四十二、四十三、四十四年の告示のトン数、どんなふうに変わっているのか、それは局長、いきなり言っても答えられないでしょうから、話を進めていくうちに、事務当局のほうで調べて答えてください。
 法案の内容は大体以上なんですけれども、きょうは関税定率の問題に関連して、私は前にいましたころにKRの問題を何回かここで取り上げました。このKRの問題の中で非常にわれわれが問題にしておりますのは非関税障壁問題、これはここで何回かずいぶんと議論をした問題であります。
 そこで、今日この非関税障壁問題というのはいろんな形で実はまだだんだんと拡大をしつつあるのではないかという感じがしております。最近非常に問題になっております繊維自主規制問題などというのは、まさにこのNTBの最も大きな影響力を持つファクターの一つではないかと私は考えておるわけであります。私はひとつこの最近における非関税障壁の動きについてちょっと承って、それを伺いながらこの非関税障壁問題を先に議論をして、引き続き特恵関税問題をひとつ論議をしていきたい、こう考えますので、まず最初にノン・タリフ・バリアの最近の傾向について伺います。
#57
○上林政府委員 御存じのように、ガットにおきまして世界貿易の拡大を意図いたしますためにいろいろの議論が行なわれ、各国で協力をいたしましてそういう施策を講ずるように努力いたしておるところでございます。ことに、御存じのように、関税率につきましてはケネディラウンドで五年間にわたる相当大幅な引き下げをただいま進行中でございます。そういう状況でございますと、御指摘のように非関税障壁というものの軽減、撤廃ということが今後非常に重要な問題であるということで、ガットにおきましてもかねてからこの問題をどう処置するかという検討を進めてまいってきておるわけでございます。
 ただいまの段階におきましては、各国からお互いにこういう非関税障壁があるということをガットに通告をいたしまして、それを五つばかりの分類に分けまして、それぞれにつきまして作業グループをつくりまして、そこでもっておのおののグループの非関税障壁についてどういうふうな改善をなしていくか、こういう努力をしておるところでございます。
 なお、一方におきまして、先週終了いたしましたガット総会におきましてもこの議論が行なわれまして、そのガット総会の結論を報告したようなものの中にも、今後非関税障壁をできるだけ軽減していきたいので、少なくとも趣旨といたしましては、これから非関税障壁をお互いに相談して軽減していくにあたっては、そのバーゲニングパワーを得るために非関税障壁を上げておいてそれから交渉に入るというのはいけないことであるから、現状以上に非関税障壁等につきましても悪化させないようにすべきであるというような各国の意見であるという報告が出ておるような状況であります。
#58
○堀委員 いまあなたがお話しになった五つのグループについてここで少し議論をしていきたいのでありますが、その前に、昨年アメリカの商務長官が来て、十月に日本でNTBのリストの交換を日本とアメリカとの間にしたと思います。このときの実情は――これは通産省のほうが主体なのか、どうもこの関税問題というのは大蔵省と通産省の接点みたいなことになっているんで、一体どこまであなたのほうで承知しておるかについては私もちょっとつまびらかにいたしませんけれども、とりあえずスタンズ商務長官が来て昨年の十月にやったこのNTBのリストというのは、向こう側からは一体どういうものを出してきておるのか。私はこのNTBでよそを責めるだけではいかぬと思っているのですよ。日本もかなりやっておきながら、よそのことは大いに声を大にして言う。日本のやっておるNTBについては案外そしらぬ顔をしておるという点がかなりあるんじゃないかと思うのですね。
 まずアメリカ側の指摘をした日本の非関税障壁、これを先に少し具体的に聞きたい。それはいまあなたが指摘をされたように、第一のグループの政府援助についてはどうなっておるのか、あるいは国家貿易については日本の場合はどういう指摘をされておるのか。そういう形で、第一、第二、第三、第四、第五グループの中の各項目別的に、日本側のNTBのアメリカ側の指摘の状況というのをちょっと知りたいのです。
#59
○上林政府委員 ただいまちょっと記憶いたしておりませんので、申しわけありませんがグループ別のお答えはお許しをいただきまして、もし必要でございましたらまた後刻お答えいたしますが、私の記憶しておりますもの――ことにこれは大蔵省だけでございませんで、通産省関係その他の関係もございます。ことに私の所管しております関税の問題についてのクレームもございました。それは、関税評価がまちまちであるというような、主として評価面におきまするクレームでございました。これは確かにこういう問題があることは事実でございます。御存じのように、およそ世の中にある物品、商品につきましては、無税も含めましてすべて関税率が設定されておるわけでございます。そしてその関税率表は、日本の場合におきましてはブラッセルのBTN、これにはアメリカは入っておらないのでございますが、ほとんどの国に共通の税率表を採用しておりますが、具体的な商品、ことに新しい製品などができてまいりますと、どの税番に入るかという解釈がときどき国によっても違いますし、各税関においても違う場合が実は率直にいいますとございます。それは各税関におきましてできるだけそういうものがないように、新しいものについては打ち合わせをし、問題があるようなものについては統一的にやっておるわけでございますが、毎日その日その日の通関を急がれる実情にもありますので、場合によってはまれに、ある税関ではこういう税番を適用し、ある税関ではこういう税番を適用したという場合もないとはいえないわけでございます。そういう場合にはできるだけ早く直しておりますけれども、それがまちまちであって損をしたところもあるというような、そういう趣旨の関税評価に関するクレームなどもございます。
#60
○堀委員 ちょっと細見さんに聞きますが、突然話が飛んだのではあなたはあれでしょうけれども、いま私が話をしておるガットでのNTBの交渉の中に五つのグループがある。その第一のグループの中の政府援助の中に、日本もたしかまだ輸出に対しての関税上のフェーバーを与えておるのじゃないかと思うのですが、これはいまどうなっておりますか。
#61
○細見政府委員 間接税におきまして、御承知のように物品税を輸出のときに還付いたしております。これがフェーバーといえばフェーバー、当然といえば当然で、これは御承知のEEC諸国などは付加価値税をいずれも国境で調整いたしておりますから、そういう意味で特別なフェーバーという議論は、アメリカなどには若干そういう議論がございますが、一般的にはそれほど強いものではないと思います。
 日本かガットの場などでときどき言われ、また
○ECDの場でも指摘を受けるのは、輸出割合に応じて割り増し償却を認めておる。この部分につきまして非難を受けることが間々ございます。それに対して私どもは、これは輸出というものをたまたまとらまえて割り増し償却をしてはおるものの、償却というものは元来企業の体質強化ということを考えて、また償却というのが決して補助金になるわけではありませんから、たまたま輸出産業のように非常に技術的なイノベーションの激しい業界においてこういう形で割り増し償却を与え、国外マーケットにおける競争に勝てるような産業構造の近代化をはからせておるのだということで話をいたしましてへ納得してくれておるとまでも申しませんが、まあ、わかったような顔はしてくれておるようでございます。
#62
○堀委員 いまのは、この間の昨年十月の問題の中に入ってないですか、いまの輸出割り増し控除の問題は。
#63
○上林政府委員 日米間では、そのリストの中に入っておりません。
#64
○堀委員 その次に、まあ関税の問題になりますから、相殺関税ですね、これはよそにはかなりあるようですが、日本にはないのでしょうね。日本にもあるのですか、その相殺関税は。
#65
○上林政府委員 日本にも制度としてはございます。
#66
○堀委員 使っていますか、それを。
#67
○上林政府委員 まだ使ったことがございません。
#68
○堀委員 いまの話の中で、まあ私はここまでのところではアメリカ側のほうに問題が多いんじゃないか。確かに課税評価は、日本のは関税定率表そのものの取り扱い上の問題でしょうけれども、アメリカには御承知のように関税法四〇二A条というものがある。これも実はケネディラウンドのときには私はだいぶん論議をして、すみやかな撤廃を求めるということだけれども、これはどうもなかなか簡単にいっていないようですね。現実の問題として、いっていない。さらに、ケネディラウンドではやめますという話になったですね。アメリカン・セーリング・プライスの問題も、現実には向こうが議会にひっかかって一向に進捗していない、こういうことになっていますが、アメリカン・セーリング・プライスで、日本がこれにひっかかる品目がかなりあるわけですが、このひっかかる品目の実効税率と向こう側の名目税率を二、三、ちょっと問題を出してもらいたい。
#69
○上林政府委員 ただいま資料を持ち合わせございませんので、あとで御報告申し上げたいと思います。
#70
○堀委員 いまこのアメリカン・セーリング・プライスで日本がだいぶ被害を受けておる品目数は大体どのくらいありますか。
#71
○上林政府委員 ASTの適用品目は御存じのように化学品等でございます。大きいものはそれでございますが、そのほかに日本の関心品目といたしましては、ハマグリのかん詰めとか毛糸の手袋、それからゴム底のくつといったようものがございます。
#72
○堀委員 そういうふうな品目は、しかしもう少しありますね。電気製品も少し入っているんじゃないですか、たしか。
#73
○上林政府委員 電気製品は四〇二A条の適用でございます。
#74
○堀委員 あちらのほうですか。それではそれをひとつ出していただきたいと思います。
 その次に、第三のグループの中で、私はこれは非常に興味のある問題だと思うのですけれども、工業規格の問題が結果としてNTBになる。これは私はずっと資料を読みながら感じたのですけれども、やはりどうもアメリカというのは先進国だなあという気がするのですね。なぜかというと、アメリカではボイラーだとか耐圧容器のようなものはASMEの表示がなければ国内で販売することを認めない。そうすると、各国がもしこれらを輸出しようとすれば、アメリカのASMEの認定をとらなければ輸出ができない。これは私は通産省所管の問題だろうと思うけれども、この問題、あるいは健康と安全基準に関する問題、これは自動車ですね。だから日本は、国内の自動車は安全基準もその他も不十分にしておきながら、対米輸出のものだけは安全基準を高め、同時に排気ガスの問題等の処理もして輸出をする。私はこういう非関税障壁なら大いにやるべきだと思うのですね。だから、非関税障壁問題というものはいろいろあるけれども、これを通観して、私は含有成分に関する規制――おそらくこれはチクロが入ったものはアメリカではもう輸入をしないということに当然なるのだろうと思うのですが、こういう点は私は非常にいいと思います。多少行き過ぎた感じがするのはマークの表示要求、これは少し問題があろうかと思うけれども、いま私が問題を提起した第三のグループの関係は、これはまさに先進国としてのわれわれが少し国内的に考えてみなければいかぬものじゃないか。要するに、輸入品が来たらそれについて、特にボイラーや耐圧容器のようなものは危険を及ぼすのだから、それの圧力についての検定が自分の国の規格に基づいたものでなければ輸入をさせないということは、私はこれは非常に国民生活を中心に考えたりっぱな非関税障壁だと思うわけです。
 その次の問題は、これはかなり大きな問題になるところの残存輸入制限問題ですね。これがその次の非常に大きな問題だと思うのですが、どうもこの残存輸入制限というのはどちらかというと日本のほうに問題があるような感じがするのですね。そこで、現在百十八品目、輸入制限をしているのだと思うのですが、これらの残存輸入制限、これは農産物、その他もあるのでしょうけれども、工業製品もありますので、ちょっと簡単に主要なものについての現在の残存輸入制限の実情を答えてもらいたいと思います。
#75
○上林政府委員 この残存輸入制限の問題につきましては、御存じのように当時百二十ほどございましたわけでございますが、これを来年末までに少なくとも半減する、こういうことで努力をしておるわけでございまして、すでに十一ほど自由化をいたしまして、現在は百九でございます。なお引き続きそういう残存輸入制限の撤廃に努力をしてまいりたい、こう考えているわけでございます。
 もっとも、国内産業の面におきまして、ことに農産品、中小企業の関連する分野等につきましてはいろいろ問題がございますので、そういうことも考えながら、またわが国が国際的にいろいろ自由化を迫られております要求も考えながら、基本的な立場といたしましてはできるだけ自由化の方向に努力をしたいと考えているわけでございます。
 それで、いま何が残っているか、こういうことでございますが、いま申しましたような品目の数がございまして、どれから申し上げていいかあれでございますけれども……。
#76
○堀委員 農産物はいいですから、工業製品だけ……。
#77
○上林政府委員 工業製品では大体軽工業品が多うございます。たとえば皮革製品、それから電子計算機、そういうようなものがおもなものでございます。
#78
○堀委員 工業製品だけ全部言ってみてくれませんか。
#79
○上林政府委員 御存じのように、まだ現在の段階におきましては六十五品目、自由化が決定していないものが残っております。しかし、これは先ほど申し上げましたように、少なくともあと五つ以上やるつもりでおりますので、それも近く決定をいたしたいと思っておりますが、そういうものが入ったかっこうにはなりますけれども……。
 大体、鉱工業製品というのは何かということになるのですが、国際的な概念でいきますと、ガットの分類表では二十五類以上をいうということになっておりますので、二十五類以上を申し上げますと、硫化鉄鉱でございます。それから硫黄、石炭、亜炭、それから石油、ソーダ灰、メントール、グルタミン酸ソーダーこれも工業品になっておりますが、実はこれはわが国の分類では農林物資になっております。それから、はっか油、デキストリン、可溶性でん粉、スターチグルー等、仕上げノリ、牛革及び馬革、羊革、ヤギの革、それから革製はきもの、蒸気タービン、出力四十万キロワット以上のものでございます。それから非PCS型電算機用の周辺機械、それから計数型電算機械の部分品、それから電子式電話交換機、計数型電算機械の制御器、そういうようなものでございます。
#80
○堀委員 そうすると、いま話を聞いてみると、工業製品といいながらもデキストリンだとか何だとか、日本ではおそらく農業製品でしょう。そういう形のものが相当入っていますし、工業製品としては、電算機だけはいましばらくはしかたがないとしても、発電機ですか、大型タービンというようなものが残っているだけで、工業製品の残存輸入制限はあまりないと見ていいわけですね。そうすると残っているのは農業製品でしょう。
#81
○上林政府委員 いま申し上げました六十五品目、まだ決定をしておりません六十五品目の内訳は、四十五が農産品の農林省物資でございます。二十が通産物資でございます。
#82
○堀委員 これは、もうここまでくれば特定のものを除けばやはりすみやかな処置をしなければいかん、私はこう思いますね。いま御承知のように外貨が非常にたまっておる。ないときならともかく、十一条国に移行をしたのは一九六三年ですから、もうすでに七年経過をしており、今日わが国は国際収支黒字国として世界の注目を受けておるときで、この問題はよほどわれわれは考えなければならぬときにきておると思うのです。ですから、残っておる問題は何かといえば、結局、国内産業の保護という問題でしょう。だから、その国内産業では逆に、ガットに違反しない形でどういうフェーバーを与えてやることによって競争力を強めるか、こういうことでなければならぬのじゃないか。だから、どうもこれからは政策の方向としてはやはり国内産業の競争力を持たせるということを優先して、できるだけ残存輸入制限のようなものを撤廃しないと、やはりこれはお互いに、さっきのあなたの話のように、ガードを高くしてくればこっちを下げることによってあなたも下げなさいと言えるのであって、こっちは下げないでおいてそっちにばかりいろいろものを言っても、これは私は問題は片づかない、こう思うのです。
 そこで、もう一つ問題があるのは、輸入ライセンス、これがまた日本はかなり残っていますね。いまの制度としては、AA制度、AIQ制度、IQ制度が制度として残っておるわけですが、これは非常に問題があるとアメリカは指摘しているわけです。いまの輸入ライセンスの状態でどのくらい実効的な制限が生じておるのか、そこのところをひとつ……。完全自由化と現状の輸入ライセンスとの関係ですね、これは一体どういうぐあいになっているか、ちょっと述べてもらいたい。
#83
○上林政府委員 いまの輸入制度の所管は通産省でございますので、私が直接やっておらないわけでございますが、私もそばで聞いておりまして、アメリアのときに議論をいたしましたのは、自由化しておるのはAA制度、これは完全に自由化でございます。AIQ制度も、申請は要しますが、しかし申請をすれば全部許可になる。したがってこれも全部自由化でございます。申請のときにいろいろな付属書類が多いのではないか、こういう議論がアメリカのときにも行なわれました。その点につきましては、これはアメリカとよく話をいたしまして、お互いに了解し合ったといいますか、制度も改善をしたという面があったように記憶いたしております。
#84
○堀委員 通産省を入れておけばよかったのですが、その点は今度あわせて通産省を入れてもう少しやるようにしたいと思います。
 そうすると、あとの差別的輸入制限その他もちょっと無理でありましょうから、一応NTBの問題はここまでにしておいて、それでは特恵関税のほうを少し伺いたいのですが、御承知のようなUNCTADのああいう会議を経て今日のような特恵関税の経過になっておるわけですから、皆さんお聞きの方もありますから、特恵関税発生の問題から今日に至る経過をちょっと簡単にお答えをいただきたい。
#85
○上林政府委員 この特恵関税につきましては、御指摘のようにかねてから、開発途上国に対しまして特恵を与えることにより開発途上国に対する貿易の拡大をはかろうということで、UNCTADでその方針がきまりまして以来、まず供与国側でございます先進国側におきまして、主としてOECDの場におきまして、どういう仕組みによってこの特恵制度を実施するかという観点で、長期にわたって議論が行なわれてきておるわけでございます。
 現状におきましては、御存じのようにアメリカはいわゆるセーフガード方式と称しまして、特恵を与えます産品につきましては、特定の例外を除きまして、原則としてはワクなしに特恵関税を与える。しかし、国内産業に損害が起こりましたときにはセーフガードクローズを発動して特恵関税をやめるという方式、これをアメリカ側は採用いたしたいと言っております。EECは、特恵関税につきまして、原則的には例外というものをほとんど極限に減らしてしまう。むしろないに近いといいますか、非常に減らす。そのかわり、特恵関税で入れるものにつきまして一定のワクをきめる。そこまではどんどん特恵輸入を認める。そういうような、いわゆるシーリング方式というものをEECは提案をいたしております。この両者のハーモニゼーションといいますか、コモナリティといいますか、この両者を統一して負担の公平といいますか、そういうものをはかるべきであるというのがアメリカの主張であります。しかし、そういうものについては、おおむねそういうものが均衡がとれていればいいので、制度自体はおのおのの国の実情に応じてやったらいいじゃないか、こういう考え方と、必ずしもそこまでしなくても、特恵を早く実施するほうがいいのではなかろうか、こういう考え方と、二つございまして、いまだにそこの辺の結論が出ていない状況でございます。
 いずれにいたしましても、近くまたOECDにおきまして貿易委員会が開催されることになっておりまして、それに引き続き、三月の末からはuNCTADの特恵特別委員会が開かれる、こういうような段取りになっておりまして、こういうような会議を通じ、この特恵の実施につきましてもいろいろの角度の議論がございますので、むずかしい問題もあると思っておりまするけれども、徐係にそういう方向で進んでいくのではなかろうか、こういうふうに思っております。
#86
○堀委員 いまのお話は、EEC側としてはタリフクォータでいきたいということなんでしょう。それでアメリカ側はエスケープクローズにしたい、こういうことだろうと思うのですが、これはおのおの一長一短でしょうけれども、一体日本は、日本の現状における国益から見るとどっちが有利なんですか。
#87
○上林政府委員 日本は、国益をも考え、日本の現状も考えまして、シーリング方式を採用したいということを申し出ております。
#88
○堀委員 そうすると、その問題に関しては、日本はEECと同一歩調だ、こういうことになるわけですね。
 ここに、ガットの今度の年次報告の中に「ガットの見た日本貿易」という非常に興味のある文献を読んでみながら、日本の貿易構造というものが最近急激に変わりつつあるということで、非常に私はこれを読みながら勉強になりました。特に日本の成長と貿易の関係を非常に適切な分析によって問題を明らかにし、同時に今後の日本の貿易の行く姿をある程度見通して、特集のような形でガットがこういうものを報告の中に載せたということは、われわれは非常に興味のある問題だと、こう思っておるわけですけれども、その中でちょっと私が感じるのは、かつての日本の貿易のパターンというものが最近は非常に変わってきた。ですから、その場合の今後の「ガットの見た日本貿易」というこの方向から見て、私はやはりこれならば、特恵関税というものはもっと日本はイニシアチブをとっていい条件のところにきているんじゃなかろうか、こういう感じがこれを読みながら非常に強くしておるわけですが、ややこれまで日本はそういう意味では消極的な感じであったように思うのですけれども、事務当局側としては、今後の特恵関税――そのタリフクォータもいいですけれども、そのタリフのワクをどこに設定するかということによって、これは特恵でなくなる場合もあるわけですね。現実の問題としてはなくなるような問題もあるので、ひとつぜひこういう貿易構造の変化を見ながら、前向きにひとつ特恵関税問題というのはやっていきながら、さっき私が触れたように、国内における競争面については別途の方法によってカバーをするという方向にしていかないと、私は今後の貿易の問題にマイナスを起こす要因もなしとしないのじゃないか、こう考えていますが、事務当局側の見解をちょっと聞いておきたい。
#89
○上林政府委員 特恵問題につきましては、開発途上国に対する貢献が非常に強うございます。日本の置かれました、いま御指摘のありましたような国際的な地位にかんがみましても、積極的にこれに協力をしたいと考え、私どももそのように努力をいたしております。もっとも、ただ国内産業との関連もございます。しかし、一方国際的なお互いの負担の公平というものもございますので、そういうものも考えながら、御指摘のとおり前向きに努力を今後とも続けてまいるつもりでございます。
#90
○堀委員 それでは、あとの質問は保留いたします。
     ――――◇―――――
#91
○毛利委員長 この際、本案に対する質疑を中断し、国税通則法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましてはすでに質疑は終了いたしております。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
#92
○広瀬(秀)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国税通則法の一部を改正する法律案について、原案反対の討論を行ないます。
 私どもは、過ぐる第六十国会において、租税民主主義と納税者の権利救済制度の確立のため、画期的な、課税行政庁から完全に独立した準司法的国税審判所の設置を中心とする国税審判法案を提案したのであります。
 今日、わが国の税制は、なお権力徴税的色彩が強く、かつまた租税特別措置法に象徴せられる不公平税制の中で、納税国民の税に対する不平不満は逐年増大し、課税庁の処分に対して権利救済を求める件数も増加し、内容的にも切実深刻なものとなりつつあります。このような情勢の中で、納税国民の権利を守り、その救済制度を確立することは、まさに国民的緊急の課題となっております。わが党がさきに提案した国税審判法案こそ、国民の希求する権利救済の願いに最も正しくこたえるものと確信をいたすものであります。この立場において、以下、本法案に対し反対の理由を申し述べたいと思います。
 その第一は、今日までの租税にかかる権利救済制度の致命的欠陥が、納税者の審査請求、不服申し立てに対する裁決が、原処分庁と同一行政系列の上級庁によって行なわれるところにあったのでありますから、この点に注目し、勇断をもって徴税行政系列から独立した第三者機関を設置せざる限り、公正な権利救済の実をあげ得ないにもかかわらず、本法案は依然として行政の統一、斉合性に名をかりて、不服審判所を国税庁長官のもとに置き、かつ、長官の裁決指示権を保留し、審判所長、審判官の独立性と身分保障は確立されないままであります。したがって、公正妥当な権利救済をはかるにはまことに不十分であります。
 その第二は、審査の手続が依然として職権主義的であり、書面審理に偏し、口頭主義、当事者主義等はほとんど採用されず、納税者の権利救済にふさわしい民主的審査手続になっておりません。
 第三に、審理の経過に関する調書作成やそれの閲覧の規定が設けられない、あるいは審判官に対する除斥忌避の規定を欠くなど、相も変わらぬ行政優位、権力主義が貫かれ、民主的にして公正な裁決が期待されないであろうとの疑念をぬぐうことができないのであります。
 第四に、本法案では、審査請求の場合、国税徴収の執行不停止を貫徹しているのでありますが、差し押え等による商取引上の回復しがたい信用失墜などを考慮し、かつ、加算税の制裁もつけ得られるにかんがみ、特別な悪意ある場合を除き、審査請求人の求めにより差し押えをしないこととして支障ないものであって、この点、まことに権利救済制度として不徹底のそしりを免れ得ないと思うのであります。
 第五に、審判所の行なう質問、検査等に対する罰則は重きに失し、行政罰、秩序罰で足りると思うのであります。
 第六に、本法案は、さきの社会党案の第五十四条のごとき、納税者が審査請求をしたことを理由に課税庁は請求人に対し差別待遇をしてはならない、このような重要な規定を欠いております。この点は、今日における課税行政、不服申し立ての現実に目をおおうものであり、権利救済制度を安心して納税者が利用し得る条件を整える配慮に欠けております。
 以上、反対理由を申し述べましたが、願わくは、課税当局が、政府が、真に新しい時代にふさわしい公正にして民主的な税務行政のあり方を真剣に追求され、納税者の権利救済に万全を期する心がまえをもって――本法案には、確かに一歩前進の面も若干あるわけでありまして、その点、私ども評価をいたすにやぶさかではありませんけれども、わが党が提案をした線まで権利救済制度の前進をはかられることを要求をいたしまして、私の反対討論を終わる次第です。(拍手)
#93
○毛利委員長 山下元利君。
#94
○山下(元)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました国税通則法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意向を表明するものであります。
 この法律案は、昨年七月に税制調査会から答申された税制簡素化についての第三次答申の内容を実現するために提出されたものでありまして、審査請求の審理、裁決機関として新たに国税不服審判所を設けることとするほか、異議申し立て期間及び更正の請求期間を延長するとともに、差し押え等をした場合の延滞税を軽減する措置を講ずる等、納税者の権利救済制度等について、現状に比し格段の充実をはかることとしております。
 まず、国税不服審判所の新設でありますが、御承知のとおり、現行制度については、協議団が国税局長の指揮下にあり、しかも国税局長が裁決権を持っておるため、その裁決について納税者の納得を得ることがむずかしいという批判があったのであります。したがって、改正案では、国税不服審判所を国税庁長官の直轄の機関とするとともに、国税不服審判所長に裁決権を与えることとし、不服審判所を国税局長からはもちろん、国税庁の直税部等の執行系統の部局からも切り離し、裁決機関として機構的にすっきりした形のものに切りかえることといたしたのであります。
 この新しい救済機構を設けるについては、税務当局から完全に独立した第三者的な機関を設けるべきであるという議論があるのでありますが、税務に関する不服申し立てば大量に、毎年反復して、特定の時期に集中して行なわれ、また不服の内容が法令解釈以前の事実認定の可否に関するものが多く、しかも税務の性質上、迅速な処理を要するものが多いこと等を考えると、準司法的手続による救済は、経費のかかることをも含めて、納税者にとって必ずしも便宜でないこと、さらには、税務当局から独立した準司法機関を設けた場合、国税庁とその裁決庁の見解の対立を調整することは困難であり、納税者を間にはさんで両者が司法裁判所で争うようになることは現実的ではないこと、準司法機関を設けながら司法段階も三審級とすることは、機構の重複の感を免れないこと等々から考えて、将来はともかくも、現状においては、行政のワク内において権利の救済を行なうこととするのが最も適当であろうと思われるのであります。
 次に、通達批判権の問題でありますが、従来これについては、協議団が国税局長の指揮下にある限り個別的な事案について通達と異なる取り扱いをすることは困難であるという問題があったのでありますが、改正案は、この点について不服審判所長は必ずしも通達に拘束されず、これと異なる解釈によって裁決することもできることといたしておるのでありまして、全体として国税不服審判所が公平な立場において、真に納税者の個別事情に応じた裁決を行ない得るよう十分な配慮がなされているのであります。
 その他今回の改正案は、第六十一回国会における衆議院の修正を全面的に取り入れているのでありまして、一段と権利救済の実が期待されるのであります。
 また、異議申し立て期間及び更正の請求期間の延長等の改正は、いずれも納税者側の多年の要望を実現することとしたものであり、いずれも適切な措置であると思われます。
 以上申し述べましたとおり、今回の改正案は、わが国の現在の司法、行政のあり方を前提とした上で行政内部における公正な救済手続を可能な限度まで推し進めようとしたものでありまして、私は本改正案に賛成の意向を表明するものであります。
 ただ、最後に一言つけ加えておきたいのでありますが、どのようにりっぱな制度ができましても、人と運営のよろしきを得なければ、仏つくって魂入れずという結果に終わるのであります。新しい国税不服審判所が、ここを職場とする人々に誇りと自信を持つことができる機関となるよう、その人選、運営等について今後政府は十分慎重な態度で臨まれたい。そのことを強く要望して私の討論を終わります。(拍手)
#95
○毛利委員長 貝沼次郎君。
#96
○貝沼委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国税通則法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行なうものであります。
 今回の国税通則法の一部を改正する法律案につきましては、前国会においても大いに議論を尽くしたところでありますが、現在の協議団制度より一歩前進させて、真に納税者のための権利救済をはかろうとするものであるとの政府の最初のお考えとはうらはらに、結局は、国税庁の範囲内の付属機関としての改正にとどまってしまったのであります。これは従来の基本的な多くの欠陥を解決せずに、かえって徴税強化の措置であるとの感を深くするものであります。
 政府が真に納税者の権利救済をはかろうとするならば、国税庁と対等の独立じた救済機関を設置し、さらにまた、憲法に保障された納税者の出訴権を制約するような租税の不服に対する前賢主義を取り除かなければならないのであります。その基本的問題をないがしろにすることは、一歩前進どころか、権利救済の根本精神に反するものといわざるを得ないものであります。また、この税制に対する不平不満の原因である重税、不公平という税制の矛盾を抜本的に改正し、さらに税制を国民のだれもが理解できるように改めるべきであります。そこで初めて真の納税者の権利救済が実現すると思うのであります。したがって、権利救済とは名ばかりであり、実際は徴税強化となるおそれのある国税通則法の一部改正には反対するものであります。
 以上で反対討論を終わります。
#97
○毛利委員長 竹本孫一君。
#98
○竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となっております国税通則法の一部を改正する法律案につきまして賛成の意を表するものであります。(拍手)
 この法律案の骨子は、従来の協議団方式による矛盾と不徹底を是正いたしまして、税務上の争訟に関する裁決の公正を期するため、国税の不服申し立て制度について幾多の改善措置を講じようというものであります。したがいまして、改正案自体は、一つの大きな前進であると私どもは評価をいたしております。特に今回の改正案は、第六十一回国会における各党のみごとな協力のもとに行なわれた本委員会の修正を全面的に取り入れており、第一回目の提案に示されたものよりも権利救済の面で一段と進歩したものと認められるのであります。ただ、残念ながら二、三の点について、私どもの基本的な考え方からいえば画竜点睛を欠くうらみがありますので、この際、申し上げておきたいと思います。
 まず第一点は、審理、裁決機関はわれわれは内閣に置くべきであるということを従来主張いたしておりますが、政府は、これに対しまして、国税庁から独立した機関を設けた場合には執行機関と救済機関の見解の対立を調整することは困難であること、両者の対立を司法機関に持ち込むことは現実的ではないというお考えでございました。しかし、行政事件訴訟法の第六条にいう機関訴訟というような問題等もありますので、必ずしもそれが不可能であるとは思われません。
 第二点は、不服審判所長の任命権者の問題であります。五百人に及ぶ審判所職員の士気の高揚、国民心理に与える影響等々を考えますと、当然これは大臣の任命にしてしかるべきではなかったかと思うのであります。これについても、政府は、行政組織の斉合性を乱るものであるとか、あるいは前例がないとかというようなお考えを述べられておりましたけれども、私の見るところ、国家公務員法にも行政組織法にも、そうしたあり方を禁止する規定はないのであります。
 第三点は、地方税の不服申し立て制度の改善ということであります。御承知のように、今日国民は一人当たり約九万円の税金を負担いたしておりますが、そのうち約三万円は地方税であります。したがって、地方税についても独立の権利救済機関を設け、中央地方を通ずる総合的な制度の拡充をはかることは当然ではないかと思うのであります。
 以上申し上げたような点について十分な配慮がなされなかったことはわれわれとして遺憾でございますけれども、全体としてながめれば理想的な権利救済制度へ一歩前進するものでございまして、われわれはこれに賛意を表する次第であります。
 さらに、この際、私は税務の運営に関しまして百申し上げておきたいと思います。それは結論から申し上げますと、納税者と税務出局との相互の信頼感を高め、適正な課税と公平な税負担の実現をさらにはかってもらいたいということであります。申し上げるまでもなく民主的納税の基本は自主申告納税ということであります。しかし、正しい申告、正しい納税のためには、まず税法が国民によく理解されていなければなりません。このため、政府においても、税務相談、納税思想の普及等については従来から努力をしておられますけれども、さらに一段とくふうをこらして納税者の利用の便に配意するとか、租税教育の推進徹底をはかるなど、申告水準の向上と納税道義の高揚に重点を置いて、より親切な、より積極的な広報活動を展開されたいと思います。
 その反面、多額の滞納あるいは相次ぐ脱税事件等についても、これからは強い態度をとってもらいたいと思うのであります。
 脱税については、最近国税当局においても、数回にわたりかなり大がかりな摘発をしておられるようでありますけれども、今後とも真に悪質な脱税者に対しては、勇断をもって当たり、その刑事責任を明らかにして、一罰百戒の効果をもたらすことによって、申告納税制度の基盤である納税道義の高揚をはかり、もって民主的租税の理想の実現に努力されるように強く要望いたしまして、賛成討論を終わります。(拍手)
#99
○毛利委員長 小林政子君。
#100
○小林(政)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました国税通則法の一部を改正する法律案に対し、反対の態度を表明するものであります。
 政府は、本法律案の提案理由の中で、納税者の権利救済制度の改善をはかり、審議手続を合理的にしたなどと称していますが、本法律案は納税者の権利救済制度の改善などというものではなく、逆に税務署等の一方的な違法、不当な更正決定を合理化し、納税者に対する税務署等の過酷な徴税をますます強めようとするものであります。このことは納税者の組織である全国商工団体連合会が、今国会になってからだけでも、約七十三万名の反対署名をもって国会に反対の請願をしていることを見ても明らかであります。
 納税者の権利救済は行政不服審査法第一条で明記されていますが、もし政府が本法案によって真に納税者の権利救済をはかろうとするならば、審理の対象はあくまで原処分の違法、不当がどうかということに限るという見解を示すべきであり、現在行なわれている原処分時以後に発見された資料によって、不当な原処分を適法とするがごとき行為を直ちにやめさせ、いわゆる見直し調査を撤回すべきであります。
 しかるに政府は、不服審査の過程で原処分の後に発見された事実をも審理の基礎とすべきであって、決して限定されていないとじ、見直し調査、総額主義を推し進めるため、これを法制化したのであります。
 かかる本改正案がどうして納税者の権利救済制度の改善になるでありましょうか。まさに不当な見直し調査の合法化をはかるものであります。これが、わが党が本改正案に反対する第一の理由であります。
 第二に、更正決定を行なった処分庁が、当然その課税の根拠を立証すべきであるにもかかわらず、これを異議を申し立てた申請人に転嫁していることであります。学説、判例を引用するまでもなく、立証責任が処分を行なった課税官庁にあることは当然のことであります。したがって、原処分庁が立証できないならば、その処分は、当然取り消すべきであります。しかるに、本改正案第九十七条では、審査請求人が、その基礎を明らかにすることができない場合は、主張を採用しないと規定し、審査請求人に原処分庁が立証すべき責任を転嫁しているのであります。
 これに関連して、先日、私が本委員会で、原処分庁も申請人も双方、その主張が立証できない場合は、当然その処分は取り消されるべきではないかとの趣旨の質問を行なったのに対して、政府は、客観的な心証により審判官の判断とすると答弁し、あくまで原処分を維持する態度を表明して、いるのであります。何で、理由が明らかでない、違法、不当にかけられた課税を納税者が立証しなければならないのでしょうか。また、納税者が立証でき得るものでもありません。しかも、立証ができなければ、本人の努力が足りないとして、こらしめのために、納税者の主張を採用せず、原処分庁が立証できなくとも、原処分の取り消しは行なわず原処分を維持するということは、納税者の立場を無視したものであり、納税者の権利救済制度ではなく、原処分庁救済制度といわなければなりません。
 第三に、本案は依然として、訴願前置制を法制し、納税者の訴願権を規制していることであります。およそ課税官庁が更正決定によって課税するためには、それなりの証拠がなければならないはずであります。納税者は当然自主申告によってその証拠は整えられておるのでありますから、双方の証拠はきわめて明確なはずであります。したがって、納税者が課税処分に不服な場合、直ちに訴訟に持ち込んでも何ら差しつかえないのであります。
 憲法第三十二条は、何人も、裁判を受ける権利は奪われないとし、その制限を禁じているのであります。また、行政事件訴訟法第八条においても、その原則を明確にしているのであります。政府はこれに対し、納税事件は内容繁雑だから前置主義をとると称して、手続の繁雑を理由に国民の自由に出訴する権利を奪うことは許されないはずであります。納税者が不服審査を選ぶか、出訴して裁判を選ぶかは、自由選択制にすべきが当然であって、不服申し立て前置主義を納税者に押しつけ、それによって出訴権を制限することは納税者の基本的権利を奪うものであります。
 第四に、審判官の職権による調査に対して関係人その他参考人に罰則を課し、税制の民主化に逆行していることであります。本来、不服審査に罰則の伴う質問調査権は全く必要ありません。納税は自主申告が原則であり、更正決定の立証は、言うまでもなく課税庁にあるからでありまして、関係人、参考人等に対する質問、検査に罰則を振りかざして強制するということは本末転倒であります。しかるに改正案第百二十六条は、第九十七条一項及び二項の調査権の行使にあたって罰則を課しておるのであって、関係人、参考人にしてみれば、他人である審査請求人のために調査権を行使され、これを拒否したとして処罰されるということは、基本的人権の侵害といわなければなりません。いままで、行政不服審査法によって罰則のなかった審査手続に、かかる重い罰則を課した政府の意図こそ、納税者並びに関係人、参考人等を威圧して、過酷な徴税を強行せんとするあらわれにほかなりません。
 以上私は、本法案の主要な点について反対の意見を申し述べましたが、本案は明らかに改悪であります。本案は、政府が、反動的な軍国主義の復活と、米日独占資本擁護の高度経済成長政策を強行する手段として、一そう徴税を強化するためのものであります。日本共産党は断じてこのことに反対するものであります。
 以上をもって反対討論を終わります。
#101
○毛利委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。
 国税通則法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#102
○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#103
○毛利委員長 ただいま議決いたしました本案に対しまして、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党を代表し、藤井勝志君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。広瀬秀吉君。
#104
○広瀬(秀)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。
 附帯決議の案文は、お手元に配付いたしてありますので、ごらん願うこととして、朗読を省略させていただきます。
 第一に、国税不服審判所は、裁決権を保持する点において、現行の協議団よりは確かに前進した制度というにやぶさかでありません。しかしながら、なお依然として国税庁の付属機関でございまして、特に通達と異なる裁決や税務行政の先例となる裁決をするには国税庁長官の指示を受けなければならないという拘束があり、権利救済機関としては決して十分ではございません。
 しかしながら、国税不服審判所がやはり権利救済機関として真に納税者の信頼と裁決の公正を期し得るためには、国税審判官等はつとめて民間の有能練達な適格者から起用し、また執行機関との間の人事交流はなるべく避けるなど、国税不服審判所の人事構成及び運用については、その独立性を強めるように留意すべきであります。
 さらにまた、本案の審議の過程において、各委員が熱心に論議されましたように、政府は、今後における社会、経済の進展に即応しつつ、国税庁から独立した租税審判制度の創設、出訴と不服申し立ての選択等についても、絶えず真剣な検討、努力を行なうべきことを要望するものでございます。
 第二に、政府は、国税不服審判所の運営にあたっては、次の点に十分配慮を行ない、納税者の権利救済の実現について万全を期すべきであります。
 その一つは、不服申し立て制度は裁判に前置された制度であり、権利救済制度としては裁判と軌を一にするものでありますから、納税者がこの当然の権利を行使したがために税務当局から差別的取り扱いを受けるようなことがあってはならないのであります。政府は、この点につき厳に適正な運営を確保するよう、税務官署の末端に至るまでこれを徹底させるべきであります。
 その二つは、質問検査権の行使にあたっては、権利救済の趣旨に反しないよう十分配慮すべきであります。特に国税不服審判所の職員は、その調査があくまでも権利救済を主眼とし、新たな脱税事実の発見のためではないことを厳に銘記の上、納税者の正当な権利救済の実現につとめるべきであります。なお、ただいま申し述べましたことは、審査請求後、原処分庁が答弁書の提出を理由として納税者の調査を行なう場合についても同様でありまして、権利救済の趣旨に反するようなことがあってはならないのであります。
 その三つは、納税者が審査請求にあたって自己の主張を十分に行ない得るためには、その前段階において、税務当局の処分または異議決定の理由が十分に明らかにされることが必要であります。したがって、税務当局は、その処分または異議決定において付する理由をできる限り詳細に記載するようつとむべきであります。
 第三に、国税不服審判所長は、実体的には大蔵大臣が任命したと同様に、受け身の立ち場ではなくして、積極的に取りはからうようにすべきであります。
 第四に、本法の目的を達するためには、国税審判官等が執行機関より独立してその職務を厳正に行ない得ることが肝心であります。このためには、政府は国税審判官等の身分保障、待遇等について十分に配慮すべきであります。
 第五に、協議団から国税不服審判所への移行に伴い、現在の協議団の職員はきわめて不安な状況のもとにございます。人事配置にあたっては、本人の意に反する一方的な配置転換だとか退職強要など、職員が不利な取り扱いを受けないように十分な配慮を願いたいのであります。
 第六に、現行法及び改正法においては、不服申し立てがあった場合に、処分の執行を停止しないことにより生ずる不服申し立て人の有形無形の損害を与えるときは、なるべく運用面においてこの点を緩和し、できる限り処分の執行を停止するよう措置すべきであります。すなわち、納税者の不服に理由があると推測されるときには、支障のない限り徴収を猶予し、または滞納処分の続行を停止することとし、納税者が自己の正当な権利を安心して主張し得るよう十分に配慮されたいのであります。
 最後に、今回の改正案においては、更正の請求に基づく減額更正の結果還付されることとなる過納金にかかる還付加算金については、請求後三カ月を経過した日後の期間について付することといたしておりますが、還付加算金は、国税を滞納した場合に延滞税が課されることとのバランス等を考慮して設けられている制度と理解をいたします。しかして、延滞税は原則として法定納期限の翌日から課されることとなっておりますので、上述の還付加算金についても、これとの権衡を考慮して、でき得る限り国税を納付した日に接近した日から起算して還付することとするよう、政府は今後において十分検討すべきであります。
 以上が本附帯決議案の趣旨及び内容でありますが、何とぞ満場一致の御賛成あらんことを希望いたします。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
   国税通則法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 一 政府は、国税不服審判所の人的構成及び運用についてその独立性を強めるよう留意し、今後における社会、経済の進展に即応しつつ、国税庁から独立した租税審判制度の創設、出訴と不服申立ての選択等についても、絶えず真剣な検討と努力を行なうべきである。
 二 政府は、国税不服審判所の運営に当たつては、次の点に十分配慮を行ない、納税者の権利救済の実現について万全を期すべきである。
  (1)納税者がためらうことなく自己の権利救済を求め、その主張を十分行ない得るために、いやしくも税務当局が不服申立人を差別的に取り扱うようなことのないよう、厳に適正な運営を確保すること。
  (2)質問検査権の行使に当たっては、権利救済の趣旨に反しないよう十分配慮すること。特に、国税不服審判所の職員は、その調査が新たな脱税事実の発見のためではないことを厳に銘記の上、納税者の正当な権利救済の実現に努めること。
     なお、審査請求後、原処分庁が答弁書提出を理由として上記のごとき権利救済の趣旨に反する調査を行なうことのないよう、厳に留意すること。
  (3)納税者が審査請求に当たって自己の主張を十分に行ないうるよう税務当局はその処分又は異議決定において附する理由をできる限り詳細に記載するよう努めること。
 三 大蔵大臣は、国税不服審判所長の任命についての承認に当たっては、自らが任命するのと同様に積極的に取りはからうべきである。
 四 本法の目的を達するため、国税審判官等がその職務の執行を厳正に行ない得るよう、その身分保障及び処遇等について十分に配慮すべきである。
 五 新制度への移行に伴う人事配置に当たっては、現在の協議団の職員が不利な取り扱いを受けないよう十分に配慮すべきである。
 六 納税者が自己の正当な権利を安んじて主張しうるよう、納税者の不服に理由があると推測されるときは、支障のない限り、徴収を猶予し又は滞納処分の続行を停止する等運用上十分に配慮すべきである。
 七 還付加算金は、延滞税と同様の取り扱いをするよう検討すべきである。
    ―――――――――――――
#105
○毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 この際、広瀬秀吉君より発言を求められておりますので、これを許します。広瀬秀吉君。
#106
○広瀬(秀)委員 いまこの国税通則法の一部を改正する法律案が本委員会を通過したわけでありますが、採決が行なわれたわけでありますが、この法案審議で初めて、採決の段階で大臣お見えになりましたので、若干今後の問題について大臣の所信を伺っておきたいのであります。
 非常にせわしい時間でもございますので、三つばかり問題点がありますけれども、重点的に――この附帯決議全体についてはまた御所見を伺うことが恒例でありますが、その中で特に二つ、三つ、一ぺんに開きますから、まとめて誠意のあるお答えをいただきたいと思うわけであります。
 第一は、この改正案、さらに前々国会、第六十一国会に私どもが国税審判法を出しまして、これとの関連でありますが、本委員会で呼びました六十一国会における東大教授の金子参考人なども、本質的には両案は違ってない、これは接続しております、こういうような意見も申されております。そういうような中で、こういう法案をこの段階でとどめることなしに、さらに前進をさせていく。特に第三者不服審判所が、行政系列からの統一性、斉合性というようなことがいろいろいわれておりますけれども、やはり独立した第三者機関というような方向に前進をさせていく、こういうことが書いてありますが、そのこともどうかひとつ大臣から、そういう方向に進める気があるかどうか、この点が一つ。
 それからもう一つは、時間がありませんのでだいぶお騒ぎになっておりますが、国税関係の職員に非常に欠員が多い、あるいは定員が補充されてない、こういうような問題もあるようでありますから、この労働条件等について、あるいはまた欠員補充等についてどういうお考えであるか。
 それから、審判官と副審判官というのがありますが、副審判官が実際には審判官と同じような仕事をするであろう、そのほうが定員も多いし、そういうことになるであろうが、この身分というものがどうも中途はんぱでいかぬというようなこともありますので、そういう問題について、やはりきちんとそこらのところを、副審判官制度などというものはほんとうに少数のものにして、審判官をふやしていくということが、この制度を適正に運用して権利救済の実をあげるというために非常に必要なことだと思います。そういうことでどれだけ御努力をなされる気があるか、こういう点について所見を伺っておきたいと思います。
#107
○福田国務大臣 御意見の第一点は、附帯決議案の第一項のことかと思いますが、これは誠意をもって今後検討してまいりたいと思います。
 それから第二は、税務職員の欠員補充の問題でありますが、これはなお今後も努力してまいるという所存でございますので、御了承を願います。
 それから、副審判官が中途はんぱじゃないか、それは少なくして審判官を多くすべきじゃないかという御意見でありまするが、これも御意見として十分参考とさせていただきたい、かように考えております。
#108
○毛利委員長 おはかりいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
#110
○福田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これを税務行政の末端にまで徹底させ、納税者の権利救済に万全を期するように、今後ともなお一そうの努力をいたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#111
○毛利委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#112
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#113
○毛利委員長 午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後一時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十八分開議
#114
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法案について質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
#115
○貝沼委員 この前は時間がずいぶん延びてしまいましたので、きょうは簡単にやりたいと思います。
 初めに、暫定措置法案が現在出されておるわけでございますけれども、こういう暫定措置法案の出し方ということについて、きょう社会党からも質問がありましたけれども、公明党としても、今後こういうような方法をいろんな法律のときに、あるいはこういう年度のかわり目にやっていくお考えがあるのかどうか、こういうことをあらためて確認しておきたいと思います。
#116
○細見政府委員 私どももこういうことをやらないで、四月から新しい税制が施行できるのが望ましい姿であろうと思いますが、現実にできましたこういう事態になりましたときは、またその事態で考えなければならないと思っております。
#117
○貝沼委員 できるだけやらないという、そういうお考えですか。
#118
○細見政府委員 そのときの税制改正の内容によって具体的に判断すべきものじゃないかと思っております。
#119
○貝沼委員 その内容で判断するのはけっこうだと思いますけれども、その基本的な態度として、やらないということを基本にしていって、場合によってはまた考える、こういうようなことでしょうか。
#120
○細見政府委員 私が申し上げておりますのは、あくまでも新税制というのが四月から施行できるようになるのが望ましい事態であろうと思いますが、いろいろな事情でそういうことができないときには、そのときそのときの改正の内容、その他万般の社会情勢を見て判断すべきことではないかと考えておるわけであります。
#121
○貝沼委員 私はこういう暫定法が出てくるその背景もよくわかるわけでありますけれども、その根底に、たとえば今回であれば四十五年度の税制の本法の改正ですね、これが当然通る、こういうような計算のもとにこういったものが出されているんではないか、こういう感じがいたしますので、その辺の関係はいかがでしょうか。
#122
○細見政府委員 けさほど来申し上げておりますように、私どもは端的に、五月以降に実施されますると予定できる減税の恩典を、四月に給料が支給され、四月で一たん高い税率で取った税金についてあとで返すことが現実的にむずかしい人たちにこの恩典を及ぼすのがよりいい考え方ではないかということで暫定法を提出いたしておるわけでありまして、決して国会の審議権に対してどうというようなことを考えておるわけではなくて、政府原案で四月にはこういう税率になりますというだけのことを申し上げておるわけでありまして、しかもそれはいま御審議願う税法の審議を何ら拘束するものではなくて、新しい税法がどのように修正されましても、それは四月限りのこととして、新税法は一年の税法として動くわけでありますから、その意味で、こういうことが何か国会の審議に対していろいろなことをしておると言われることはないのではないかと考えます。
#123
○貝沼委員 そこで、四月からの改正の本法と、それから今度の暫定法の中に盛られているものとかなり数が違うわけでありますが、このことについて説明を願いたいと思います。
#124
○細見政府委員 ちょっと質問の御趣旨がよくわからないのですが、四月に給料を受け取る人に適用される税率、しかもその税率、控除その他は、このあと御審議願う所得税法の控除、税率と同じ内容になっておるわけでありまして、それ以上のものもなければそれ以下のものもございません。
#125
○貝沼委員 それでは、今後こういう暫定措置法案、こういうものは極力私たちは避けていかなければならないと思うわけであります。その点よろしくお願い申し上げます。
 それから次に、私はこの所得税の減税という問題につきまして、課税最低限のことでお尋ねしたいと思うわけでありますけれども、政府は昭和二十五年以来ずっと減税をやっているわけでありますが、一向に重税感がとれないわけであります。これはこの前私たちの調査の結果からも申し上げたところでありますが、その重税感の原因は自然増収ではないかと思われる節もあるわけでございます。年度別にずっと調べてみたわけでありますが、どうもそういうような結果があるようであります。そこで、この暫定法に盛られた内容によって今度減税をした場合には、名目減税あるいは実質減税等を考えて重税感がぬぐい去られるかどうか、その辺の見通しをお願いしたいと思います。
#126
○細見政府委員 税金の問題につきまして私どものPRの方法がへたなのかどうか、なかなか実態がおわかり願えないのでありますが、予算委員会のほうに提出いたしておりまする「租税及び印紙収入予算の説明」というのにあります「税制改正の要綱」というので、たとえば給与所得者について申し上げてみますと、百万の収入のところで申し上げれば、いわゆる免税点が百万をこすわけでありますから、夫婦子三人の場合は税がかからなくなり、夫婦子二人の場合でごらん願いましても、現在の一万五千円の税金が平年度になりますと八千八百円ということで、負担は半分近くに減るわけであります。それから百五十万円でごらん願いましても、夫婦子三人でありますと現在の六万円が四万二千円程度の負担になるわけであります。
 この機会に申し上げておきたいのは、所得がふえたときに税金がふえるから重税だというような御議論をよくなさる方がありますが、たとえば二百万の人が所得が一五%ふえれば収入は三十万円ふえるわけでありまして、かりに税金が一万円足らずふえたといたしましても――六千円前後でありますが、一万円足らずふえたといたしましても収入は二十九万ふえるわけでありまして、負担率ははるかに安くなるわけで、その辺の誤解がどうしてなかなか解けないのか、私どものPRがへたなのか、はなはだ残念に思っておるところであります。
#127
○貝沼委員 減税であって重税になるのではないというふうなことにまでいまお答えがあったと思いますけれども、たとえば現在の人が昇給しないでそのままおれば、これは確かに減税だと思いますね。しかしながら、その昇給と兼ね合わせて税金がかかり、また物価の上昇がどれくらいある、こういうことを計算した場合に、あるいは租税の負担率等を考えた場合に、ちょっとこれは上がっているのではないか、こういう議論になると思います。そういうことはどのようにお考えですか。
#128
○細見政府委員 手元にちょうど二百万円の方の所得が一〇%ふえた場合の計算を持っておりますのでこれを御披露いたしますと、二百万円のときに四十四年度の税制でありますと十四万八千円、つまり七・四%の負担率になっておったわけでありますが、これが四十五年度になりまして一〇%ふえて二百二十万円になったといたしますと、この税金は十二万九千円、つまり絶対額でも減っておりますし、負担率で考えれば六・三三ということでありまして、国の全体の収入のことも考えた上で御判断願えば、一割所得がふえてもなお税金は従前よりも安くなる。これだけ大きな減税というのはそんなにあることではないし、負担感という議論の中には物価が上がるから云々という議論もありますが、そういうものを考えましても大幅な負担減になっておろうと私は確信いたしております。
#129
○貝沼委員 どうも計算が、私がやったのとは違うようでありますけれども、これはまた本法に入ったときに詳しく議論したいと思います。
 そこで、課税最低限の問題でありますが、課税最低限をきめた根本的な精神、こういうものはどこにあるのでしょう。
#130
○細見政府委員 課税最低限と、それから税率の累進性というのがそれぞれの国の税制のいわば性格をあらわすわけでありまして、課税最低限だけでやりますと税負担というのは公平にならない。したがって、所得がふえるのに応じて累進的に税を取る、それが税率であるわけであります。また課税最低限を入れませんと、ある程度以下の低い所得層におきまして累進税率をなだらかにするとかあるいは生活費その他のことを考えて税負担を軽減することができないわけでありまして、そういう意味で課税最低限と税率とは、あわせてその国の所得税の持っておる性格と申しますか、そういうものをきめるわけでありまして、どの辺の階層からどういうふうに負担をしていただくのがいいかということを総合的に判断する問題であろうと思います。
#131
○貝沼委員 その課税最低限とそれから国民の生活費との関係、これはどのようにお考えですか。
#132
○細見政府委員 いわゆる最低生活費というようなものに税負担をなるべく求めないようにするのが望ましいことであります。ただ、しかし、支出額のすべてがほんとうの意味での必要最低生活費であるかどうか。そういう判断というのは、最近のように欲望も非常に多様化いたしておりますし、消費生活全体がレベルが上がっておるときにおきまして、家計調査の支出額を上回るとか下回るとかいう議論を一がいにするのはだんだん考えなければならない時代になっているんじゃないかと思います。
#133
○貝沼委員 この課税最低限の議論をしてまいりますと、どうしても基礎控除という問題になるわけでありますけれども、この基礎控除はどのようなお考えからこれをきめておりますか。
#134
○細見政府委員 一人の生活状況、生活費といったようなものを基本的に考慮に入れまして、独身者であればどの辺から所得税を負担していただくかというようなこととして考えるのじゃないかと思っております。
#135
○貝沼委員 そうすると、この基礎控除と独身者の標準生計費、こういったものが関係あるというふうにいまはちょっと聞こえたわけでありますけれども、これはどういう資料をもとにしてきめているのでしょうか。
#136
○細見政府委員 基本的には国会でおきめ願っております所得税の現行制度をベースにいたしまして、負担の軽減をどういう形で求めていくかというのが基礎控除の引き上げであり、また税率の緩和であろうと思います。
#137
○貝沼委員 生計費との関係ですね。さっき独身者の生活云々という話がありましたけれども、独身者としてどれだけの基礎控除があれば生活できるのかどうか、この辺はどのようにお考えですか。
#138
○細見政府委員 私どもが承知いたしておる限りは、独身者の生活費を上回る課税最低限になっておると思いますし、家族構成がふえてまいればそれに応じた課税最低限の引き上げが行なわれておりますので、独身者あるいは家族持ちを含めまして、課税最低限は、昨日御披露いたしましたように三十五年程度をベースにいたしまして今日までの引き上げの推移をたどってまいれば、物価は七割程度上がっておりますが、課税最低限のほうは三倍半ぐらいに引き上がっておるわけでありまして、その意味では、もはや生計費との議論はある意味で断ち切れておるのではないか、かように考えております。
#139
○貝沼委員 私は人事院の調査等を聞いてみたわけでありますけれども、その調査によりますと、たとえば独身者で一月にどれくらいの生計費がかかっているかというと、平均二万一千九百十円、年間に直しますと二十六万二千九百二十円、ざっとオーダー計算してこうなっております。基礎控除十八万に比べるとここにかなりの差があるわけでありますが、この点はどのようにお考えでしょうか。
#140
○細見政府委員 先ほど来申し上げておりますように、基礎控除と税率というのは、あわせてどの辺のところから税負担を求めるのが適当かということで、その場合、できれば必要最低限の生活費に食い込むというようなことがないのが望ましい税制であるということはたびたび申し上げておることでありますが、そういう意味で基礎控除をかりに十八万といたしましても、これを上回るたとえば二万なり三万なりの収入があれば、その人からその部分について一〇〇%持っていくわけでありませんで、そのうちの一割ぐらいが負担になるわけでありまして、全体としてどういうふうに税負担をなだらかに、下に薄く上に厚く税を納めていただくかという全体の機構として御理解願いたいのです。生活費がどうとかいうようなことはもちろん参考にいたさなければなりませんが、それと基礎控除とが直接つながるという性質のものではないということを御理解願いたいと思います。
#141
○貝沼委員 どうも先ほどから話を聞いておりますと、生計費と基礎控除の算定といったことについて、全然別個な考え方を持っているというふうな感じを受けるわけです。私はやはりこういうものをきめる場合は生計費を中心に考えていかなければならないのではないかと思うのでありますけれども、この点もう一度答弁願います。
#142
○細見政府委員 もちろん生計費というようなものも大事な要素でありますが、同時に税負担をどう求めていくかという指標としては現行の税制が一つあるわけでありまして、その後の事情に応じてどう修正していくのがいいかということであろうと思うのです。
 なお、参考に申し上げておきますと、先ほどの人事院の調査で二万一千円ぐらいのものが出ておると思います。この中にはいろいろな、被服費だとかあるいは雑費のようなものがもちろん入っておるわけでありますが、そういうものを別といたしても、今度課税最低限のほうには給与所得控除でありますとかあるいは社会保険料控除といったようなものが加わることによりまして、課税最低限はすでにお手元の資料にお配りしてありますように三十四万一千円になっておりまして、かりにこの人事院の生計費というような資料――これはサラリーマンについて調べたわけでありますから、サラリーマンについて見てみれば課税最低限は上回っておりまして、この意味でこの生計費と課税最低限との議論をそんなに直接結びつけてする時代とはだんだん変わってきたのではないか、かように考えておるわけであります。
#143
○貝沼委員 現行の税制があるからこれをどのように修正していくか、こういう話がありましたけれども、この現行の税制でいままでだれも満足していないのです。現行の税制自体が非常に不満のある税制なんですね。それを修正するのは当然やらなければならぬわけですけれども、だからといってそれを基準にして、この生計費のほうをあまり考えないでやるというのは、私はどうも合点がいかぬと思うのですね。やはり、こういう問題はもっと大蔵省として日本全体のデータをとって、そうして当然こういうような金額の基礎控除というものがなければならないという、そういう裏づけが実ははっきりなければならないと思うのです。その点はいかがでしょうか。
#144
○細見政府委員 私どもが承知いたしております限り、日本の独身者のいま申し上げました課税最低限と申しますものは三十四万であるわけでありますが、これはイギリスあるいは西ドイツなどに比べましても、日本の課税最低限のほうが高くなっております。先生に釈迦に説法でしょうが、常識的に考えまして、イギリスとか西ドイツの生活水準が日本より下だということはないと思いますので、いかに日本の課税最低限が高いかということはこれもおわかり願えるかと思います。
#145
○貝沼委員 そういうパーセントだけで外国とは比較できないんじゃないかと私は思うのですね。やはり同じパーセントでも収入が高ければ残る金は大きいわけです。ところが、収入が少なければ税負担の感情というのは非常に強いわけですね。そういうようなところから一がいに私はパーセントだけではできないと思います。
#146
○細見政府委員 私がいま申し上げておるのはパーセントではなくて――この換算率が悪いとおっしゃるのでしたらわかりますが、日本は三十四万一千円であり、イギリスは二十八万二千円であり、西ドイツが三十三万六千円で、いずれの国よりも高い金額だと申し上げております。ただ、換算率が生活の実態を必ずしもあらわさないという御議論はそれなりにありますので、私どももこれをもって日本の課税最低限のことはすべて終わったというようなことを申し上げるつもりはございませんが、そういう意味で、決して国際的に見ても日本の課税最低限が絶対額として低いことはないということを申し上げておるわけです。
#147
○貝沼委員 数字はいろいろあるわけでありますけれども、実際現在の、たとえば私たち給与所得者あるいは日本人が税金で非常に苦しい生活をしておる、こういうことはみんなよくわかっていることなんです。数字がいろいろ示してはおりますけれども、苦しいことは間違いない。したがってそれは何らかの方法を講じて改良していかなければならないと思うのであります。
 そこで、これは本法に入ってからもやりたいと思いますけれども、この課税最低限とかあるいは基礎控除とか、こういったことがいわれるわけでありますけれども、この歴史的なところから私はちょっと調べてみました。初めやはり免税点から出発して、それから扶養控除ができて、免税点が基礎控除に改められて、そして扶養控除から配偶者控除が分離して現在に至ったというふうな、概略だけですけれども、大体わかったわけです。こういう歴史的な変遷を経ていることから、私は理論的な根拠、こういうものがあるいははっきりしないんじゃないか、こういうふうな心配をするわけでありますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。
#148
○細見政府委員 かつての税制というのが、免税点と税率でできておったことはいま御指摘のとおりで、免税点制度でやってまいりますと、免税点をこしたある段階から急に負担が高くなるわけであります。ところが免税点じゃなくて、基礎控除ないし基礎控除を入れました控除と税率という組み合わせにいたしますと、低所得層から高所得層に至るにつれての負担の増加割合が非常になだらかになる。これは非常に技術的なことでありますので、後ほどまた御質問あれば詳しくはお答えいたしますが、その免税点であれば、たとえば一万円なら二万円を免税点にすると、一万一千円の収入のある人と一万円の収入のある人との間に非常に大きな負担の差ができるわけです。ところが基礎控除制度で、たとえば五千円を基礎控除にして、そうして税率を刻んでいきますと、一万円と一万一千円の人との間の負担というのは非常になだらかにできることはおわかり願えると思います。そういうわけで、税制としては免税点制度よりも、控除と税率とを組み合わせるほうがより合理的な累進税率になるというわけであります。
#149
○貝沼委員 そこで私は、基礎控除という額ですね。これがやはりちょっと低いのじゃないかと思うのです。やはり独身者の生計とかそういったことを考えますと、この基礎控除をもうちょっと上げて、そうして課税最低限をもう少し上げないと、やはり納得のいくような税制にはならないのじゃないか、こういうことから私どもいろいろ検討いたしまして、そうしていま普通いわれておる夫婦二人と子供三人、こういう家庭で百三十万までは免税にすべきである、こういうことを主張しておるわけであります。この標準家庭についてもほんとうは問題がずいぶんあって、最近はもうこういう家庭は少なくなったわけでありますけれども、一応家族五人の場合、百三十万という線まで私はどうしてもやる必要があるのではないかと思うわけであります。この点いかがでしょうか。
#150
○細見政府委員 これは主張にわたることでございますので、どうこう申し上げるのは筋でないかと思いますが、政府の税制調査会におきまして、この長期答申を答申いただいたときにおきましては、夫婦、子三人というところで免税点百万円というのは、貯蓄のゆとりのある一応の課税最低限の水準であるから、もうこの段階まできたときにおいては、夫婦、子三人百何十万とか、夫婦、子二人百何万とかいうような形で、スローガン的に目標を掲げて課税最低限の引き上げをする必要はないので、そのときの物価なり所得水準なりの推移に応じて合理的に検討すべきものではなかろうかというのが、長期答申にいただきました思想であるわけであります。
#151
○貝沼委員 さらに私は、国税の課税最低限だけを考えるのではなくて、やはり課税最低限の考え方として地方税も含めたところで課税最低限を考えたらどうかと思うわけであります。これはたしか諸外国でも幾つかあると思うわけでありますが、この点はどのようにお考えでしょうか。
#152
○細見政府委員 先ほど申し上げましたように、所得税の課税最低限というのはそれなりに一応の水準に――御批判はあろうと思いますが、それなりの一応の水準に達したといたしましたときに、なおやはり住民税との間にかなりの格差がございますので、今後の問題としては、住民税の負担をどのような階層から求めていくか、つまり所得税と同じ階層で住民税負担をやってもらうかあるいは若干低いところから住民税負担を求めるかというのは、これは地方財政のあり方にもつながる問題でございまして、これから議論のあるところだろうと思いますが、おっしゃるように、感情的な受けとめ方としては、住民税のほうの課税最低限が所得税とあまり隔たっておるというのは、なかなか感情的に理解しにくいところではないか、かように考えております。
#153
○貝沼委員 確かに隔たりがあまりにも大きくて、国民の一般はこれに対して不信を抱いておると思うのです。非常に困っておると思うのですね。この点はさらに私は是正されていかなければならないと思うわけであります。そういう意味からこの課税最低限というものを両方含めて考えるべきではないか、こういうことを申し上げたわけであります。
 さらに、給与所得者でありますけれども、給与所得者には必要経費というのはなくて、これは給与所得控除になっているわけでありますけれども、この給与所得者に対して、ずっと実際どれぐらいのお金がかかっているのか、必要経費に相当するようなものがかかっているかということを調べたわけであります。ところがその結果、いろんな職種あるいは年、そういうようなところからものすごく差があるわけですね。たとえば、二、三の例を申し上げますと、年齢によってずいぶん違いがあるわけです。ことに、たとえばせびろなんというのは二十一歳から二十五歳までは一・九枚しか着ない。ところがこれが四十歳ぐらいになりますと二枚以上、こういうふうなデータが出ております。その他ワイシャツ、ネクタイ、くつとかレーンコート、こういうのはあまり関係ございません。交際費になりますと、二十一歳から二十五歳ぐらいのところではたとえば六万八千七百八十円というのが出ておる。それに比べて四十歳あるいは五十歳ぐらいまでのところはざっと二十万ぐらいになっておる。さらに今度は保健薬、こういうのは若い人は一万円ちょっと、それから年配者になりますと三万円から四万円ぐらいかかっておる。
 こういうようなことをずっと計統をとってみますと、ただ給与所得者が給与所得控除一本で考えたのでは、ちょっとこれは矛盾をはらんでいるのではないか、こういうふうな気がしたわけであります。したがって、ただ理論的な、あるいは調査をもとにした、裏づけのないやり方ではなくて、これをもっと、たとえば必要経費を考えるとか、あるいは諸外国並みに申告選択制度を採用するとかいうふうなことは考えられないのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
#154
○細見政府委員 いまお話がございましたように、おそらく公明党で御調査なさったものだと思いますが、給与所得の経費のような、本来一律であるべきようなものについて、それだけの差が出るような議論ができるというぐらい給与所得の経費というものはきめがたいものであるわけです。したがいまして、そういうことで社会的に何が勤労所得といいますか給与所得の必要経費かということがわからない、あるいは社会的に是認できない、あるいは社会的に同じ評価ができない、人によってそれだけの差ができるようなものを、これを本人に申告をせしめて経費を引くというようなことになりますと、本人の立証も非常にむずかしいですし、税務署のほうでそれを一々認定する、過去のある時点の生活費の実態を一々批判しなければならぬわけでありまして、そういう意味で私どもの国の税制の給与所得控除制度というものは、むしろ考えようによっては諸外国にもすぐれておるものでありまして、たとえば皆さんからいろいろ給与所得控除の御議論が出るときに、外国のように概算控除にしたらどうか、それから必要経費の選択制を認めたらどうかというお話がございますが、御承知のように外国の給与所得控除というものは日本の給与所得控除に比べまして、率から申しますとはるかに低いものでありまして、日本で今日あの程度の給与所得控除に、もしいたしたということになれば、たいへんな不満を受けることになろうと思います。そういう意味で、生活の実態も違いますし、給与所得に対する考え方も違いますし、また経費に対する考え方も違うわけでありますので、日本におきましてはまだ給与所得の経費は何かということについて、社会的に妥当な、あるいは社会的に是認できる基準というようなものを確立するのが先でありまして、それがない段階で給与所得控除を実額で控除するというようなことは、それでなくても税務署の調査についていろいろな御批判があるときに、生活の実態に立ち至って、あなたのこの経費は、たとえばせびろはあなたの現在の地位においてはそんなにりっぱなせびろを着られる必要がありませんとか、ありますとかいうような話が出てきまして、それこそ際限のない混乱を引き起こすだけでありまして、現在の給与控除、これが十分であるかないかということについては十分御審議をいただかなければならぬと思いますが、これにかわるよりいい制度がいますぐ日本にあるとは私どもは考えておりません。
#155
○貝沼委員 いろいろな事情でそういうことはできないということはよくわかりました。しかしながら、この所得控除が四十二年の八万円ですか、それから四十三年に十万円になったのみで、あとはたしか上がってないと思うのですが、これを上げるという考え方はございませんか。
#156
○細見政府委員 定額控除のことだと思いますが、上げるという考え方はないかと言われれば、それはございます。ですから、その辺は各方面の御意見を承ってきめるべきことだと思いますが、ただ参考に申し上げたいことは、たとえばこの十万円という定額控除が働いておりますために、五十万円の収入金の人でありますとこの控除額が十八万円になって、実に収入金の三六%を経費としていわば認めておるということでありますので、これが八十万になっても三〇%程度というようなことで、給与所得控除のいまの体系から申せば、どちらかといえば下に厚く非常に上に薄くなっておる。もっとも四百万円までになったことについていろいろ御議論もあるようでありますが、しかしいずれにしましても、下に厚く上に薄い形になっておるわけであります。
#157
○貝沼委員 それからもう一つお聞きしておきたいと思うのでありますが、定額控除、これはいつごろから行なわれているのか、そのときの額はどれくらいであったのか、これをお知らせ願いたいと思います。
#158
○細見政府委員 申し上げますと、三十六年に一万円という定額控除制度が設けられて、これがスタートでございます。それ以後、三十九、四十、四十一とかかりまして、四十一年四万円ということになりまして、それが四十一年から四十五年の間に急激に引き上げられて十万円になっておるわけであります。四十三年の改正で十万円というのが提案されて、四十四年から平年度化して十万円になっておるわけであります。
#159
○貝沼委員 これについても今回は据え置きになっておるわけですが、この前の所得のときの計算から考えて、据え置きでなければならないという理由はございますか。
#160
○細見政府委員 据え置きでなければならないという理由も、それは確かにないかと思いますが、同時に、いま申し上げましたように、給与所得の控除の実際の金額からすれば、引き上げなければならないという論理的な根拠もなかなか見出しにくいのじゃないかと思います。
#161
○貝沼委員 だいぶ人数も少ないようですから、私はもうやめたいと思いますけれども、ただ一つ、最後にお聞きしたいと思うのですが、サラリーマンの場合ですね、たとえば二分二乗方式、こういうことは一応考えられるのじゃないかと私は思うのです。たとえば家庭の奥さまの内助の功があってりっぱに仕事ができるというふうなことも考えますと、二分二乗方式というものもあるいはとり入れてもいいのではないか、こういうふうに思える節もあるわけでありますけれども、当局の考え方はいかがですか。
#162
○細見政府委員 二分二乗方式につきましては国会の中にも熱心な推進論者の方もおられますし、私どももそれなりに考え方はわかることでありますので、今後研究はしてまいりたいと思いますが、ただ現在の日本の所得税の、いわゆる所得を稼得した、つまりだれが所得をかせぐかということを中心に構成されておる税制が、世帯といいますか、消費支出を単位として税をかけると、三人でも五人でも働き手がおれば、それを持ってきて、その消費主体において、消費団体において税負担を求めるということでありますので、税体系のいわば基本的な転換にもなりますので、税率のあり方とかあるいは控除のあり方とか、いろいろな面を含めましてかなり大きな手当てをしながら改正しなければならない問題でありますし、観念の大きな転換でもありますので、十分時間をかけて研究すべき問題だと思っております。
#163
○貝沼委員 もう一回確認しておきたいのですけれども、時間をかけて研究する場合、これは前向きの姿勢で研究されるのか、ただ研究するだけにとどまるのか、その点をお聞きしたいと思います。
#164
○細見政府委員 私は、およそ研究というのは常に前向きだと思っております。
#165
○貝沼委員 ぜひ前向きに進めていただきたいと思うわけであります。
 それからもう一つ、これも実は新聞等を見ましてはっきりしなかったところでありますので、お聞きするわけでありますけれども、利子・配当に関する課税の場合、当初政府案というものはかなりいい線までいっておったわけでありますけれども、途中でいろいろの折衝の結果ずいぶん後退したように私は感じられたわけであります。このいきさつを教えていただきたいと思います。
#166
○細見政府委員 これはもう先生よくおわかりのことだと思いますが、およそ交渉ごとで、やはりものを売るときでも売り値というものと実際に売れる値段というのは違うわけでございまして、相手と交渉いたしますときには、その間いろいろな折衝をいたし、別に何%であったから急に妥協したとか、何%であったから制度本来の趣旨が変わったというふうには考えておりません。およそ交渉ごとでありますので、売りと買いがあった、かように考えております。
#167
○貝沼委員 交渉ごとであったといえばそういうことですけれども、しかし、やはり原案を出すときにはちゃんとそれなりの根拠があるわけでありますし、反対するためにはやはりそれだけの根拠があったと思うのですね。そうしてその相談の結果、結局落ちつくところに落ちついた、こういうふうになったと思うわけでありますが、その議論は今度本法に入ったときに私はしたいと思いますので、そのときには、詳しくそのことを教えていただきたいと思います。
 本日の質問はこれで終わります。
#168
○毛利委員長 竹本君。
#169
○竹本委員 私はきわめて簡単にやります。
 まず最初に、いわゆる七〇年代の税制上のビジョンというものを少し聞きたいのです。御承知のように、七〇年代は変化と進歩の年とか躍進の年とかいろいろいいますが、政府は経済社会発展計画を考えておられるし、そのほかいろいろいっておるわけでございますが、経済全体のビジョンというものを大蔵省ではどういうふうにつかんでおられるか。またその中で租税政策に対するビジョンはどういうふうに考えておられるか。大臣に聞くべきこともずいぶんあると思いますけれども、皆さんのお考えのところを聞きたいと思います。
#170
○細見政府委員 まさに大臣に聞いていただきたいと思うのでありますが、いま経済の新しい長期発展計画が作業中でございますが、この考え方は、先生御承知のように、モデレートな成長率で持続的な成長を維持していこうということでやっておるわけでございますが、そこにおきまして、やはり社会資本の充実というのが大きなテーマになっております。そこで、全体として税負担はゆるやかな形で若干の増加ということも考えざるを得ないというふうなことで、その税負担の増をどういう形で求めていくかということについては、まだ計画の具体的な案の作成にまで至っておりませんが、これから直接税でいくのか、間接税でいくのか、その辺の問題を含めまして、根本的に検討を願わなければならないところへきておるのではないかと考えております。
#171
○竹本委員 六〇年代の経済は、たとえば、いろいろ議論はむずかしいですけれども、設備投資主導型ということで経済成長をやってきた。それに呼応するかのごとくに、企業の税負担をなるべく軽くしていこうということが一つの柱であったというふうに理解することができるとすれば、七〇年代は、経済の成長は何がしょっていくのか、何何主導型になるのかですね。それに呼応する税制のあり方はどうだというような点について、もう少し具体的なお考えはありませんか。
#172
○細見政府委員 私、専門家でないので正確にお答えできるかどうかわかりませんが、六〇年代に考えられましたような何々主導型、設備投資主導型というような特定のものが主導する経済でなくて、設備も伸び、社会資本も充実し、国民生活も消費水準も上がっていくという、いわば三本の柱がバランスのとれた経済ということになって、特定のものが主導していくというような経済でない経済、いわば高福祉の経済というようなことを考えておるのではないかと思います。したがいまして、その段階においては、社会資本の充実あるいは社会保障の充実というものの裏側として若干の負担増ということも考えざるを得ないのではないか、かように考えております。
#173
○竹本委員 そうすると、いわゆる高福祉、高負担というような考え方が一つの主導的な考え方になりますか、大蔵省としては。
#174
○細見政府委員 そこまで割り切れてはおりませんが、そういう方向へ動く経済であろうかと考えております。
#175
○竹本委員 きょうはもうあまり議論はいたしませんから、お考えだけを聞きたいと思います。
 それで第一点の問題は終わりまして、第二の問題は、所得税減税という問題ですけれども、今度の改正で長期税制の答申は大体やっちゃうということ、完遂されるということになるだろうと思うのですけれども、一方からいえば、三年前かに考えられた基準百万円なんというものはだめだ、物価も上がっておるではないか、また、五人世帯というけれども実際は四人世帯ではないかとか、いろいろ考え方があるし、これを百三十万円に、百五十万円にという考え方が当然あるわけです。大蔵省としては、伺っておきたいのは、特に事務当局としては、この所得税減税というのは、ずっといままでの延長線上で今後も続けていかれるつもりであるか、あるいはあるところまでいったら、カーブを切って別の考え方を導入するつもりであるか、その辺についてのお考えを聞きたい。
#176
○細見政府委員 私どもいま考えておりますことは、現在のような早いテンポで経済が成長いたします限り、やはり所得税には累進構造による負担増加という問題が起こります。したがってそれは排除していかなければならないというふうに思います。したがいまして、今後も所得税減税の問題は、物価なりあるいは所得水準なりの上昇に見合って、そのつど適切な措置をとっていかなければならないのじゃないか、かように考えております。
#177
○竹本委員 そうすると、そのほかの考え方を導入するとか軌道修正するとかいうことは一応考えていない、こういうことですか。
#178
○細見政府委員 当面の成長の続く限り考えることができないのでは一つまり、そういう所得税自身の持つ問題というものを解決しながら進んでいかなければならないのじゃないか、かように考えています。
#179
○竹本委員 議論はやめますが、物価のほうからそれじゃ言いますと、よく物価調整減税ということがいわれますが、これはどういう考え方であるか。また、調整減税が五百億とか何百億とかいいますが、それの算出方式はどんなものであるかという点について……。
#180
○細見政府委員 物価調整減税というのはいろいろな意味で使われております。私どもが従来から計算しておるやり方は、消費者物価の上昇率だけ課税最低限を引き上げるといたしました場合に減税所要額は幾らになるかというのを見込みまして、それを物価調整減税ということにいたしておるわけであります。したがいまして、計算の方法としまして、いろいろの、基礎控除とか配偶者控除とか、基本的な控除額に対する物価騰貴率というものをかけまして、それに実効税率と申しますか、現実に減収額になる税率をかけましたもの、それに、御承知のように所得税は年々四分の三減税をいたしまして、四分の一平年度化の問題があります。そういうものを差し引いたりいたしますと、先ほど竹本先生が言われた五百数十億という金額になる。したがいまして、免税点の調整という感じでございます。
#181
○竹本委員 一般的には少し専門的過ぎる計算方法だと思うのだけれども、物価調整減税というものはよその国に例はないのですか、いまの方式以上の。
#182
○細見政府委員 日本人がかしこすぎて、日本だけが考えた制度のようでございます。
#183
○竹本委員 調整減税の問題もまたあらためてあれしますが、先ほどちょっと議論が出ておりましたけれども、給与所得控除の定額控除の問題ですけれども、大蔵省はこれをなかなか動かされないという考えが強いようだけれども、動かされないについては、特に大きな理由があるのかどうか。私はあとで資料でもらいたいと思っておりますけれども、これをかりに三万円、もしくは、もう一つは五万円上げた場合にはどのくらい減収になるのか。それもひとつ教えていただきたい。あとでけっこうです。
#184
○細見政府委員 手元に、五万円上げたときの一応の荒っぽい計算をいたしたものがございますが、それによりますと千二百億ないし千三百億円くらいの減収になろうかと思います。
#185
○竹本委員 これはあとでまた資料で見せていただきたいと思います。お願いいたします。
 それから、いまのこれを動かさない理由は、その千二百億なり千三百億が主たる理由なのか、ほかにまた理由がありますか。その辺ちょっと……。
#186
○細見政府委員 先ほどの御答弁でも申し上げましたように、三十六年に一万円でスタートいたしまして、四十一年度に四万円まで上げてきたわけです。その間、一年に約一万円ずつ上げてきたわけでありますが、四十一年から四十三年までの足かけ三年間で四万円を十万円に上げてまいったわけであります。したがいまして、先ほども申し上げましたように、給与の収入五十万のところでは三六%が給与所得控除になる。八十万くらいのところをとりましても三〇%程度が給与所得控除になる。確かに給与所得の必要経費が何であるかということはむずかしい議論ではありますが、それにいたしましても、収入の三割六分が控除されるということとなれば、経費としてはそれなりに大きいのではないかというふうに考えておるわけであります。
#187
○竹本委員 それから、これもあとでまたいただくことになるか、それでもけっこうですが、いまサラリーマンが幾らいて、税金を納めているのが幾らいるかということが一つ。
 それから、サラリーマンの平均収入というと百十万円前後です。それは、大蔵省で推算したものがあればその推算に基づいて、今度の所得税減税で、標準家庭というよりも四人家族ですね。四人家族の場合には幾ら減るかということについて数字をお聞きいたしたい。
#188
○細見政府委員 全体のサラリーマンが幾らかというのはなかなかつかまえにくいかと思いますが、納税者になっておるいわゆる給与所得者というのは二千三百七十八万九千人、約二千四百万人くらいが納税者になっておるわけであります。サラリーマンの平均収入は、四十四年の家計費調査によりますと百十七万二千円ということになっております。これを伸ばすか伸ばさないかという議論はございましょうが、かりに百十七万二千円というもので税負担を見てまいりますと、四十四年度、つまり改正前の税法によりますれば三万四千円の税額であり、それが今回の四十五年度の所得税になりますと二万五千円でありまして、約八千円の減税になるというわけであります。もちろんこの百十七万二千円というのは四十四年の数字でありますから、一割ないし一割五分伸ばすという議論はあろうかと思いますが、傾向は同じことになります。
#189
○竹本委員 それからもう一つお伺いいたしたいのは、所得税法の八十条ですか、九万円の老年者控除というものがありますね。これはどういう考えから出発したものであるか、どういう根拠で考えられたものであるか、ちょっと伺いたい。
#190
○細見政府委員 老年者が所得をかせぐにあたりましては、それなりにいろいろ困難な条件を持っておるであろうということを考えまして、それにさらに担税力が若干弱いのじゃないかというようなこと、それらを総合的に考えまして老年者控除にいたしておるわけでございます。
#191
○竹本委員 その九万円の算出の基礎は何ですか。
#192
○細見政府委員 当時の扶養控除額の同額を見たというわけであります。
#193
○竹本委員 実はわれわれは党として未成年者控除ということを考えておるわけです。そこで聞くわけですが、現在、未成年者で働いている人というのは、むずかしいかもしれぬが、納税人員というのは大体どのくらいおるのか、わかりますか。
#194
○細見政府委員 税法の税務統計では未成年者として出ておらぬものですから、実はわかりません。
#195
○竹本委員 未成年者にはいまの老年者と同じような担税力の問題もありましょうし、特にわれわれがいうのは、ゲバ棒学生との対比において考えているわけですけれども、そういう社会的な正義感といいますか、気持ちもくんで、未成年者で学校に行けなくて、働いてそうしてわずかに収入を得ておる。これがすぐ税金をかけられるということに対して政治的な考慮をしたらどうかということで未成年者控除というものを考える。そういうことは考えられないか。あるいは考えられたけれども、何かの理由があって大蔵省はいままで取り上げたことはないのか、その間の事情をお聞きしたいと思います。
#196
○細見政府委員 未成年者控除というのは税の上では考えておりません。でなくて、いまの税法でとり入れておりますのは、家庭の事情で働きながら学校へ行かなければならない人たちには、御承知の勤労学生控除ということにいたしまして、勤労学生控除を適用いたしますと、現在でありますと四十五万円までの収入が非課税になります。こういうようなことによって、働きながら学校へ行く人たちのいろいろな生活上の経費あるいは生活上の困難というものに対処しております。
 先ほども申し上げましたように、老年者というのは――ここに老年者はおられないから申し上げますが、働くのに腰が痛いとか、あるいは三日働いたら四日目はタクシーで行かないととてもやっていけないとかいうようなこと、つまりそういう所得をかせぎ出すのにあたっていろいろ御苦労が多かろうということで、したがって、これは家族に老年者があると手間がかかるとかあるいは世話をしなければならぬということではなくて、本人が所得をかせぐのに、老年者であった場合にそういうことにいたしております。しかもまた、年五百万をこすような大きな所得を得ておられる方については資産所得という要素も多かろうということで、勤労者の年寄りでいろいろ苦労される方を見ているというわけであります。
#197
○竹本委員 私どもが言うのは、未成年で働いて学校に行くというところまではいかないけれども、とにかく働いて家計を助けておるとか、そういう勤労青年というものの減税の問題あるいは控除の問題を考えてみたらどうかということですが、主税局長はどうですか。
#198
○細見政府委員 やはりいまの所得税のたてまえとしては、そういう若くして働いておられる人に税がかからぬような形で基礎控除なり免税点なりを引き上げていくというのが本則であって、逆に税務当局で、未成年であるときに税を軽くしておきますと、成年になったとたんにぽんと税が重くなるというようなことがどうしても起こってまいります。老年者は一ぺん老年になればずっと老年でありますが、未成年ですとそこで飛ぶというような話も起こるわけでありまして、税負担が途中で、ある過程で動くというのはいかがなものかというふうに考えておるわけであります。
#199
○竹本委員 きょうは時間がありませんから、議論はやめてお考えだけ承っておくということですけれども、成年になったら急にふえるということだけが一つの根拠でもないでしょうけれども、私は、その辺はあまり反対の理由にはならぬということで、ひとつまた前向きに検討していただきたいと思っております。
 それから教育費控除の問題ついては、大蔵省の考えはどういうことですか。
#200
○細見政府委員 いまの未成年の人の控除と全く逆でありまして、この間も予算委員会でお話が出ましたように、教育費控除というのは税法ではなじめないのではないか、むしろ扶養控除を引き上げる方向で問題を解決すべきだというので、御案内のように、ここ二年間基礎控除その他は一万円の引き上げでありますのに、扶養控除のほうは二万円ずつ引き上げてまいって要請にこたえてきたのであります。御承知のように、現在高等学校でありましても、国は七万円とか八万円とかの金を使っておるわけであります。そういうものについて、そういう状態におきましてもし教育費控除のようなことをいたしますと、先ほど竹本先生がおっしゃっているような若い独身の人たちの納税者の負担においてそういう経費がまかなわれるという、理屈っぽい話でありますが、観念的にはそういうことがあるわけでありまして、教育費控除としては所得税にはなじめないのではないかと考えております。
#201
○竹本委員 これで最後ですが、配偶者の問題です。先ほどちょっと議論が出ましたが、現実の税制では、共かせぎ、あるいは共かせぎでなくても収入のある奥さんはどういうところから税金を払うのでありますか。
#202
○細見政府委員 幾らから税金を払うようになりりますかというと、財産収入でありますと五万円、勤労収入でありますと所得十万円、収入金にいたしまして二十二万五千円以上の収入になりますと扶養控除で配偶者控除を受けられなくなる。しかし、その方は、ここにございますように三十四万一千円までは独身者として免税点がございますから、配偶者控除は受けられなくなり、その意味でだんなさんのほうの税金は高くなりますが、奥さん自身は税はかからないという段階が三十四万一千円までございます。それがさらに収入がふえてまいりますと、今度は奥さん自身が税法上の独身者として税を払われる段階がくるというわけでございます。したがって、三十四万一千円以上の収入のときにそうなるわけであります。
#203
○竹本委員 いまの、大蔵省のほうで、その配偶者の地位を高めるためにということで考えられておるのはどういうことを考えておりますか。いまの制度を改正するということは特に考えてはいないのか、あるいは何か一つの方法を持っておられるのか、それを承って終わりにします。
#204
○細見政府委員 先ほどもお話のございました二分二乗と申しますか、夫婦合算課税の方式というのは将来の検討すべき問題であろうと思いますが、いまの体系の中で、控除で考えます限り、基礎控除以上の配偶者控除というのはいかにしても理屈が通らぬと思いますので、いまの体系の中で特に奥さんだけの控除というのはむずかしいんじゃないか。むしろ課税単位のあり方として、夫婦合算制というようなものを考えていくべきじゃないか、かように考えております。
#205
○竹本委員 以上で終わります。
#206
○毛利委員長 次回は、来たる六日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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