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1970/03/06 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第9号
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1970/03/06 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第9号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第9号
昭和四十五年三月六日(金曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 上村千一郎君 理事 金子 一平君
   理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君
   理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君
   理事 永末 英一君
      木野 晴夫君    木部 佳昭君
      木村武千代君    高橋清一郎君
      地崎宇三郎君    登坂重次郎君
      中川 俊思君    中村 寅太君
      中山 利生君    丹羽 久章君
      原田  憲君    坊  秀男君
      松本 十郎君    森  美秀君
      山下 徳夫君    吉田 重延君
      阿部 助哉君    平林  剛君
      堀  昌雄君    美濃 政市君
      貝沼 次郎君    二見 伸明君
      春日 一幸君    竹本 孫一君
      小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        給与局長    尾崎 朝夷君
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵省主計局次
        長       竹内 道雄君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        大蔵省関税局長 上林 英男君
        大蔵省理財局長 岩尾  一君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        大蔵省国際金融
        局長      奥村 輝之君
 委員外の出席者
        大蔵大臣官房審
        議官      平井 廸郎君
        国税庁直税部長 佐藤 健司君
        大蔵委員会調査
        室長      抜井 光三君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  奧田 敬和君     中山 利生君
  坂元 親男君     山下 徳夫君
同日
 辞任         補欠選任
  中山 利生君     奧田 敬和君
  山下 徳夫君     坂元 親男君
    ―――――――――――――
三月五日
 現物給与中食事に関する免税点引上げに関する
 請願(塚本三郎君紹介)(第八五四号)
 自動車新税創設反対に関する請願(永山忠則君
 外五名紹介)(第八五五号)
 同(村上信二郎君紹介)(第八五六号)
 中小商工業者に対する課税減免等に関する請願
 (青柳盛雄君紹介)(第八八二号)
 同(浦井洋君紹介)(第八八三号)
 同(小林政子君紹介)(第八八四号)
 同(田代文久君紹介)(第八八五号)
 同(谷口善太郎君紹介)(第八八六号)
 同(津川武一君紹介)(第八八七号)
 同(寺前巖君紹介)(第八八八号)
 同(土橋一吉君紹介)(第八八九号)
 同(林百郎君紹介)(第八九〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第八九一号)
 同(不破哲三君紹介)(第八九二号)
 同(松本善明君紹介)(第八九三号)
 同(山原健二郎君紹介)(第八九四号)
 同(米原昶君紹介)(第八九五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法
 案(内閣提出第一二号)
 国の会計に関する件
 税制に関する件
 金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
#3
○平林委員 私は、きょうは所得税法の第二条第一項第三十三号、この控除配偶者の定義の問題につきまして、若干質問をいたしたいと思うのであります。これは、私がしばしば取り上げてまいりました家庭の主婦の内職収入に対し、現行の課税が適当であるかどうかということに関連をしてお尋ねをしたいと思うのであります。
 この規定によりますと、「控除対象配偶者 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもののうち、次に掲げる者をいう。」ということで「合計所得金額のない者」「その所得の全部が給与所得等である者で、その合計所得金額が十万円以下であるもの」「給与所得等以外の所得を有する者で、その合計所得金額が五万円以下(その者が給与所得等を有する場合には、五万円から合計所得金額のうち給与所得等以外の所得に係る部分の金額を控除した金額を五万円に加算した金額以下)であるもの」、こういう規定が定められておるのでありますけれども、こういうふうに金額を定義した根拠といいますか理由といいますか、それを初めに明らかにしていただきまして、それから質問を展開していきたいと思いますから、その定義の根拠についてまず御説明をいただきたいと思います。
#4
○細見政府委員 本来、税法の上で扶養控除ないし配偶者控除という控除を設けますというのは、その家族について収入がない、したがってその人たちを含めた家族における生活費というのは収入稼得者の負担になるということで配偶者控除を設けておるわけであります。したがいまして、一定の収入がある方は配偶者控除あるいは扶養控除にならないというのは理の当然であろうかと思います。
 そこで、どの辺までの者を――一文でも収入があったら扶養控除なり配偶者控除なりの適用をしないということも、これは現実的でありませんので、いわば少額不追及と申しますか、小さなものまではあさり出さないということで、いま申し上げたような所得限度というのを設けて、その場合も資産によって収入のある方、自分の働きで収入を得ておられる方との間には区別があったほうがよかろうということで、昭和四十二年までは両方一律に五万円であったわけでありますが、それを四十二年の改正で一挙に倍額の十万円にして――まあ十万円というのは必ずしも少額ということに該当するかどうか問題ではありますが、少額不追及という思想が貫ける限度として十万円を考えたわけであります。
#5
○平林委員 ただいまのようなことでこの定義が行なわれておるというお話であります。
 それでは国税庁――国税庁いなければ大蔵省でもけっこうですが、もし給与所得等のものであって十万円をこえるものであれば、税務署に対してはどういう措置をとらなければならないか。
#6
○細見政府委員 御承知のように申告納税でありますから、給与所得者といえども年末に扶養家族の届けばしていただくわけでありますが、その扶養家族の届け出をしていただくときに、配偶者及び扶養親族についてこういう収入が――いまの十万円というのは所得で十万円でございますから、したがいまして収入に換算すれば二十二万五千円であるわけですが、二十二万五千円以上の収入のある方は、申告納税の本旨にのっとって、扶養控除あるいは配偶者控除の適格者としては申告をしないという形で税務署に届けていただくわけであります。
#7
○平林委員 十万円をこえれば税務署に申告を要する、こういうことであります。いま、職場に出れば二十二万五千円というのは、いろいろな控除がありますから収入としては二十二万五千円。しからば家庭内において内職をした場合はどうなるか。
#8
○細見政府委員 先ほど私の説明、まずかったようでありますが、申告は要らないわけでありまして、扶養控除あるいは配偶者控除の資格者として税務署へ申し出る、いわゆる源泉徴収義務者に届け出る、その届け出のときにその名前を落としていただくということで、幾らの所得があったかどうかというのは、これはもう申告納税でありますから、内職であろうと給与の場合であろうと、御本人で良心に従って御判断願うということであります。
#9
○平林委員 いずれにしても、配偶者控除の適用を受けたいという申請からはその良心に従ってはずしていく、それは十万円である。
 私、いまお尋ねをいたしましたのは、職場に進出した場合はいろいろな控除があるから二十二万五千円になる、しかし家庭内において内職をした場合はどうかという質問をしているわけです。
#10
○細見政府委員 給与所得になるような形態の内職もございます。それから事業といいますか、請負で、給与所得というカテゴリーに入らない形の収入もあろうと思います。その区別は、それぞれの所得といいますか、雇用なりあるいは契約の内容によってきまらざるを得ないので、給与といいますか、雇用関係がないときには給与所得とはなりにくいと思いますので、その場合には十万円にならざるを得ないと思います。
#11
○平林委員 おっしゃるとおりであります。すなわち、内職等につきましては十万円で、良心に従って申告をしなければならぬ。すなわち、配偶者控除の適用は自分は受けることができないといって、その名前を落とさねばならない、こういうことになるわけであります。これまでが、私はこの法律第二条第一項第三十三号の定義について当局から実態を明らかにしてもらったわけであります。
 さてそこで、私は、この配偶者控除の定義を現状に即して是正をすべきである、こういう問題をただいまから提起をいたしたいわけであります。私は、ここに掲げておる十万円というのは、最近の経済事情から見て再検討の必要があると考えておるわけでありまして、この問題を政府において十分検討をしてもらいたいということから、以下若干の質問をいたします。
 大体私は基本的に、家庭の主婦の内職収入にまで課税をしよう――まあ課税はともかくとして、配偶者控除を十万円をこえたら削っていこうという基本的な態度は徴税行政として妥当であるかどうか。政府が、もう十万円をこえたら配偶者控除は適用しませんよという行政態度が庶民のための政治であるかどうか、こういう反省を求めたいと思っておるのであります。内職、内職といいましてもいろいろな分類があるわけでありまして、私は、政治というのは事こまかく、そうした庶民の生活態様についてまで思いをいたしてものを考えることが必要だと思うのであります。国税局でも、あるいはこの規定を直接担当しております大蔵省でも、一体現在家庭の主婦がどういうような内職をやっておるであろうかという点についてはどの程度の御認識をお持ちであるか、ちょっとお伺いしてみたいと思います。
#12
○細見政府委員 どの程度といわれますとなかなかむずかしいのでありますが、いろいろな調査、たとえば東京都の労働局の調べでありますとか、そのほかの統計類につきましては、われわれなりに検討をいたしておるわけでございます。
#13
○平林委員 いまお話があったとおり、この問題で比較的まとまった調査をされておるのは東京都の労働局の資料があるわけでありまして、私もこれを取り寄せて検討しておるわけでありますが、大体職種別にどういう内職世帯があるかということを御紹介してみますと、現在東京都において内職世帯と呼ばれるものが大体四十八万世帯、関連世帯を含めますと七十万世帯、東京都の世帯数は三百五十六万世帯と見られますから、おおよそ五世帯に一世帯の割合で、何らかの形で内職に関連する家庭があるというのが調査結果にあらわれている数字であります。もちろん私は、おそらく、うちで内職をやっておるというようなことについては世間ていもあるし――このごろは内職をする目的が従来の観念とはやや違ったところがありますから、そんなにないしょにするというような傾向が強いとはいえませんけれども、あまり宣伝するほどのことでもないという事情から考えてみますと、あるいは表にあらわれたこの数字よりも多いのではないか。五世帯に一世帯というよりは、むしろ四世帯に一世帯くらいの割合であるかもしれぬというような推定をしておるわけであります。
 そして、どういう内職があるかということは、一応表にあらわれた調査によりますと、比較的多いのが洋裁の内職、和裁の内職、編みものの内職、それから紙製品の加工内職、包装の荷づくり内職、玩具や遊戯品加工内職、電気機械器具加工内職、こんなのが調査の結果では比較的数が多い数字にあらわれております。もちろん、われわれがふだん選挙区で承知しておる中には、刺しゅうをやったりあるいは造花をやっておったりするような家庭もありますけれども、いずれにしても各種雑多な内職が行なわれておるわけでありまして、この点は、私どもはこの十万円の問題を考える場合にも頭の中に入れて、ひとつ皆さんにも検討してもらいたいと思っておるわけであります。
 そこでもう一つ、事態を明らかにするために、それではこれらの内職収入でどのくらいの月収があるかという点については、大蔵省当局では東京都の調査等も参考にしておるというお話ですから、ひとつ御紹介をしていただきたいと思うのであります。
#14
○細見政府委員 ただいま申し上げました統計によりますと、月平均が八千円余りになっております。
#15
○平林委員 月平均八千円ということは、年間にいたしますと九万六千円、すなわちここに規定してある十万円にすれすれである。この東京都の調査は昭和四十三年度の調査でありますから、昭和四十五年になりますとそれぞれの加工賃が高くなっておりますから、すなわち平均八千円の水準はいまではそれ以上に高くなっておるとみなすのが妥当ではないか。こう考えますと、すでに現状におきましては平均八千円をこえてこの十万円をこえておる、こういう家庭が多いということが容易に予測できる。これはまた庶民の生活を考えた場合の常識であろうと考えておるわけであります。したがって、先ほどのでんによれば、これらの人はことごとく配偶者控除の適用をみずから除外するように、良心的に申告せねばならぬ立場に相なる。
 さて、八千円とおっしゃったけれども、平均でありますから、さらにそのうち八千円をこえるものがどのくらいあるかというような調査があるわけであります。平均八千円のうち、八千円以内の人あるいはそれをこえるもの、こういうものの調査をしてみますと、四四%の人が八千円をこえておる。つまり、内職収入でも、その収入は少ない人と平均をいたしますから八千円に額が下がるのでありますけれども、しかしそれをこえる人か四四%、すなわち半ばに達しつつある。このことから考えますと、この規定の十万円というのは、せっかく現実に即してという気持がありながら、現実はこえておるということになるわけであります。
    〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
私はそのことから考えますと、この十万円という金額そのものに対して再検討する必要があるという提言をしておるのでありますけれども、大蔵省としてはいかがでしょうか。
#16
○細見政府委員 いま申し上げております月平均収入八千円というのは、実は収入の形態か明らかにされておりませんので確たることは言えないわけでありますが、いわゆる賃金のような形で支払われておるものでありますれば、先ほど申し上げましたようにその限度は二十二万五千円ということになるわけでありますし、もし請負式になっておるのでありますれば、御承知のように事業に伴いまする事業の諸経費というのがあるわけでありまして、手取りの収入というのは、いろいろ事業上の経費、先般来給与所得者の経費論もたびたび出てまいるわけでありますが、事業所得については経費というものがあって、必要なものはそれでまかなわれていくということで、手取りとして考えましたときにはそれは実態を必ずしもつまびらかにいたしておりませんので断定的なことは申し上げかねますが、十万円というのが、先ほど先生が言われているような形ではみ出しておるか、というのを断定するのもいかがかと考えております。
#17
○平林委員 私は具体的な資料を提示して、実態は八千円をこえるものが四四%に達するということを言いました。あなたはその実情は確かでない、そしてそれをこえるものがどれだけあるかわからない、こういうおっしゃり方をしたわけでありますけれども、どうもむしろそれはあなたのほうに根拠が薄い。私は十万円については現実に即して検討すべきであると提言しておるわけでありますから、あなたのほうでその必要がないというならば、その必要のない根拠を文書でひとつ提言をしてもらいたい。文書を提出しないならば、私は内閣総理大臣に質問書を提出して閣議で検討してもらう、そのくらいの気がまえでこの問題には臨んでおるわけです。どういう根拠であるか。それならば文書でお出しいただけるか、それとも私の提言について、ひとつ誠意をもって検討してみようという答えを出すか、どちらかひとつ答えてもらいたい。
#18
○細見政府委員 文君とおっしゃれば文書で差し上げないこともないわけでありますが、まあ実態が必ずしも明らかでないこの種の統計をもとにいたしまして、あまり理屈っぽい議論をいたしましてもいかがかと思いますので、われわれも実態の検討、そのこともいたさないと申すわけじゃありません。ただこれは、前の国会で大臣も答えておりますように、東京都の調査でございますが、御承知のように所得税と申しますのは全国的な標準的なものをとらえてものを考えることにいたしておりますので、全国的にこの統計をどういう形でふえんしたらいいかというようなことにつきましても、技術的にまだいろいろ問題もございますから、そういうことを含めて検討いたすことにはやぶさかでございませんが、いまおっしゃるような意味で、十万円が非常に不公平といいますか、非常に現実離れをした限度になっておると思うのには、四十二年に五万円のものを十万円に上げた経緯その他から考えまして、私どもはまだ若干その辺につきましては検討を要する事項でないかと思っております。
#19
○平林委員 まだすなおに検討すると答えてないからさらにお尋ねをいたします。
 それでは給与所得以外の所得を有する者で、その会計所得金額が五万円以下ということは、給与所得十万円に比較してみて現実においてバランスがとれておるかどうか。あなたは四十二年に五万円から十万円に倍額にした、したというけれども、それから物価上昇その他を考えれば、私は、いろいろな配偶者の控除とか基礎控除額を年々税制改正のつど引き上げるような気持ちで、やはり少額不追及の水準というのも引き上げるという考え方を行政上とるのが現実に即した態度であると考えておるのでありますけれども、あなたはまだ十万円というのに固執をしておられる。配当の場合におきましては一銘柄について五万円、幾銘柄あってもその配当の銘柄が違えば一銘柄五万円以下は申告を要しないというような政治と比べてみて、この場合まだあなたはやはり十万円に固執をされますか。これを固執をしないで検討するというならば、私これでこの問題の質問は終わるのでありますけれども、やはり十万円を固執してそれで検討するというのでは話が進みませんから、いまの配当控除等の姿から見ましてもこれはやはり検討を要するものだなと、ひとつすなおに心がまえを進めてもらいたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
#20
○細見政府委員 配当のことは、申し上げるまでもなく五万円以下は申告不要ということになっておりますが、このものにつきましては一五%で源泉徴収税がかかっており、現行法のもとにおきましては配当控除が一五%あるわけでありますから、その意味では三〇%の税がすでにかかっておるわけであります。そういう意味で、課税されておらないという話ではない。ただ、いわば、先生言われるように、一銘柄五万円でありますから、銘柄がたくさんあり得るということは、そういう制度になっておることは事実であります。
 この十万円の話は、そういう資産所得とのバランスがございますし、もう一方、独身者が給与所得控除といいますか、単独世帯として働いております場合の課税最低限は、御承知のように三十四万二千円ばかりになるわけであります。これをもし、配偶者控除を認めながらその十万円という金額を漸次引き上げていくということにいたしますと、つまりその収入金額と配偶者控除、合わせたものが控除になるという理屈になるわけで、もう全額十八万まで、だということにいたしますと結果は四十五万円というようなことになって、そっちのバランスも出てくるわけであります。税法と申しますのは、もう御承知のとおり、あっち立てればこっち立たずで、バランスをとって検討させていただきたいと思います。
#21
○平林委員 バランスをとるなら、いま言いました配当控除とのバランスを考えれば、この一つだけとらえてみても十万円というのは多少考え直さねばならぬかなということになる。まあ、あまりあなたを責めると、ここできまってしまうのではかわいそうだからこの程度にいたしますが、しかし気持ちとしては、この問題はひとつ十分検討すべきである。どうですか、ひとつ政務次官。
#22
○中川政府委員 平林委員のおっしゃる気持ちは、われわれ政治家であります者にとっては同じ感じがいたします。したがって、今後大いに検討しなければいかぬものである。ただし、他とのバランスがこれまた大事でありますから、その辺はひとつ慎重に配慮しつつ前向きで検討すべきである、このように思います。
#23
○平林委員 そこで私はパートタイムの問題について、少し話をふえんをしてみたいと思うのであります。
 いま主として内職の関連世帯について問題を提起しましたが、パートの場合、同じように控除配偶者の定義は、ただいまの規定によりましていろいろな控除がありますから二十二万五千円ということになっておりまして、同じ立場であることは間違いありません。
 そこで、最近パートタイマーが非常に多くなってくる傾向にある。そのパートタイマーの中に占める男女の構成からいきますと、九八%が女子。国税庁にもし調べがあれば、いまの課税対象者の中でどの程度パートタイマーがあるかということを私は聞きたいのですが、おそらく調査結果はないでしょう。また大蔵省にお尋ねをしても、課税対象者数の独身者の中で家庭の主婦がどれくらい占めているかという調査もおそらくないでしょう。どちらもないはずであります。しかし傾向的に見ますと、最近の雇用形態というものがパートタイマーとして登場いたしましたのは昭和二十九年ごろからでありまして、最近は非常に進出が激しい。東京都の例を見ますと、四十二年の月平均の登録者数で二万九百一名であります。ただしこれは東京都のパートタイマーの労働市場を形成する絶対数ではありません。一定の期間を経ての登録をされたパートタイマーの数であります。これらは縁故とか広告を通じて就職する者がかなりあると判断をされますから、絶対数ではない。逆に、それぞれの中小企業関係から求人数としてパートタイマーがほしいということの延べ人数を資料で検討しますと、昭和四十二年に二十一万八千六百二十六人出ておるわけであります。つまり最近の企業におき、ましては、人間が足りないこと、そして今日のいろいろな仕事をするために人手不足を解決する、そういうことと相まって、パートタイマーの進出というものはこれからは私は時代的な要請だと思うのです。同時に、今日の人手不足を解決する施策として、このパートタイマーの状態というものはもっと真剣に検討すべきものである。そして打つべきものがあるならば積極的にその手を打つという考え方がなければならぬ、私はこう思っておるわけであります。
 ところが、こうした時代的な傾向、また積極的にとるべき施策の必要性を識者は感じながら、税制上はそれを閉ざしておる。そこに問題がある。それをなぜ積極的に解決するような努力をしないのか。もちろん税の問題だけではありません。たとえて言うと、子供を預かるような保育所施設をつくるということでも、人手不足、人手不足ということで悩んでおる現在の企業の問題を解決する道になるかもしれない。政府が積極的に子供を預かる場所をつくるという措置は、一面社会保障であるが、同時にそうした人手不足を解決する施策にも相なる。同時に税の面においての改善策もそういう措置の一環として考えられるべきものではないか。私はこれは政府自体が積極的に考えるべき問題点であると思うのであります。ところがここに頭の固い大蔵省がおりまして閉ざしておるということは、まことに遺憾といわなければならぬ。その代表として主税局長を当てるわけではありませんけれども、ひとつそういうことを前提にしてちょっとお尋ねをしたい。
 大体パートタイマーとして家庭の主婦が職場に進出した場合には、二十二万五千円が限度額になって、おることは先ほどのとおりであります。これは雇用形態によって違いますけれども、もしかりに若干でもボーナスをもちえるようなところだとすれば、一万六千円、二カ月くらいのボーナスというようなことになるわけですが、これも同じように税務署に対する申告義務が生まれ、申告すると世帯主である主人の職場では配偶者控除の適用を受けられないことになるわけであります。私は、この問題も小さなことのように見えて、ただいま申し上げました前提から思いをいたすならば真剣に取り組まなければならぬ問題だと思って提起をしておるわけでありますが、配偶者控除が削られるわけですね。局長、大体家庭の主婦が職場に進出するような世帯を調べてみますと、平均月収大体五、六万円のところが多いのです。これは昭和四十三年の調査です。もちろん、もっと月収のあるところの主婦が職場に進出する例もないわけではありませんけれども、このときの調査結果では、大体五、六万円のサラリーマンの家庭の主婦が職場進出の割り合いが多いという結果があらわれてきておるわけであります。
 そこで、大体五、六万円の場合、配偶者控除の適用を受けないとどのくらいの税金がふえる試算になりますか。めのこ勘定でもよろしいですけれども、感じのところをおっしゃっていただきたい。
#24
○細見政府委員 詳しく調べて、間違っておればあとで訂正いたしますが、大体税率が一〇%前後じゃないかと思いますので、一万八千円ないし二万円足らずということになるのではないかと思います。
#25
○平林委員 私は、これはもう少し個々の問題についてどのくらいになるだろうかという真剣な検討を願いたいと思っておるわけです。いまお話しになった一万八千円ないし二万円というのは税制改正によっての話ではないかと思うので、私の試算ではやはり二万円から三万円くらいの税負担がふえるということになっております。これはこまかく数字をあげて試算をしてみて、私はこういう家庭が非常に多いことにかんがみ、もっとその人の気持ちになって考えるというのが必要だと思うのです。われわれは国会議員でありますから、予算書をいじるときには五兆何千億円というようなことで議論したり、何千億円の単位でものを考えますけれども、実際の国民の生活を考えるとこれが重大なことになるわけです。ただ国民一人一人の生活を考えるのでなくて、国家的に見ても重要な問題を示唆しておるわけでありますから、これを真剣に自分の身になって考えるという態度でやってもらいたい。だから私は、こまかい質問だけれどもこんなことを質問しているわけです。どうかひとつそういう気持ちで一緒に考えてもらいたいと思うのです。
 さてそこで、現行の場合に二十二万五千円をこえた場合、たとえば二十二万六千円になった場合、配偶者控除は現行十七万円、改正によって十八万円、その恩典を――恩典といいますか、その措置を受けることができなくなり、そのために税金は、主税局長のお話では一万八千円から二万円、私の指摘では二万円から三万円、ケースによって違いますが、その税金がふえる。わずか千円ふえたために、税金はだんなさんのほうで二万円から三万円ふえるということは不合理じゃないだろうか。こういうことを考えますと、この点についてどういうお考えを持っておるか、ひとつ大蔵省の見解をおっしゃっていただきたいと思うのです。
#26
○細見政府委員 免税点と申しますか、少額不追及といいますか、一定金額以下は税制上取り上げないというやり方をいたしますと、その金額が幾らでありましてもその金額を境にして大きな差ができる。したがって、御承知のように、かつては所得税におきましても免税点というような考え方があったのが、総合的な累進負担を求める税制においては基礎控除――免税点じゃなくて基礎控除というやり方になったわけであります。したがいまして、この配偶者控除を受けておる人たちのその他の所得の大小に応じて差異を設けるというやり方、かつて青色申告の専従者についてそういうやり方をやったわけであります。それはしかし非常に税制を複雑にしてわかりにくいというような話で、それではむしろ少額不追及というような概念で税制を立て直したほうがよかろうというのが現状になって、そのときには金額一本であったわけですが、それもまたやはりその間にバランスをとってというようなことで十万円というのができた。それをさらに今度は段階的というのが平林先生のあるいは御主張の中に、裏にあるのかと思いますが、それをやりますと非常に税制としては複雑なことになってくる。その辺、複雑さをとるか簡単さをとるか。簡単なことをやればその境のところにでこぼこができるというのが、まあこれに限りません、税制全体の問題だと思っています。
#27
○平林委員 私はこの場合の解決策については、大蔵省当局でもう少し実態を調査して検討してもらうことを希望しますが、私がいま指摘したような不合理が現状生まれつつある。しかも、せっかく救い得た四十二年のときはともかくとして、その後の物価の上昇、給与のある程度の上昇等を考えますと、あらためて実態調査をして、何らかの一つ解決策を考えていくべきではないかと思うのでありまして、そういう気持ちをとってもらえるかどうか、これをひとつ答えてもらいたいと思うのです。
#28
○中川政府委員 この点につきましても、先ほど申し上げたように税制についてはきめこまかく、社会の条件、経済の発展、いろいろと配慮して定むべきものであり、特にこの点については産業構造がこれから人手不足、大問題だと思います。そういった立場からも配慮せよという貴重な意見であります。当然ひとつこれは検討してまいらなければならぬ課題であろうと思っております。
#29
○平林委員 たいへんよい答弁がいただけましたから、これはこの程度であなたのほうはよろしいことにいたします。
 今度は人事院のほうにお尋ねいたします。
 さて、国家公務員ですね。いま家庭の主婦が職場に進出して、現行では二十二万五千円をこえると配偶者控除が受けられない。これはいま政務次官の名答弁のように国家政策上も検討する必要があるというお答えであります。ところが家庭の主婦のだんなさんが国家公務員である場合、現在の人事院規則の九―七―一、これによりますと、家族手当の支給をしてよいという限度額が定めてありまして、このために家族手当の支給を受けることができなくなってしまう。先ほどは税額、税金がふえるということですが、それだけではなくて、国家公務員の場合には家族手当の支給も受けることができなくなる、こういうことになっておるわけでありますけれども、現行は国家公務員の場合には幾らかこの家族手当を支給するしないの限界になっておりますか。一応ひとつ御説明をいただきまして、それからあとで私少しお尋ねをしていきたいと思います。
#30
○尾崎政府委員 扶養手当を支給するかしないかという場合に、扶養家族に所得がございました場合には支給しないというたてまえになっておりますけれども、その場合の所得の高さというのは標準生計費を基礎としてきめておりまして、したがって毎年勧告のたびに改定をいたしておりますけれども、現在の額は年間十四万七千円となっております。
#31
○平林委員 私の承知しておるのも大体お話しのとおりでありまして、人事院規則によれば一般職の八等級の二、その二分の一、つまり年間十四万七千円、これで家族手当を支給するしないの限度としておる。
 さてそこで、税金のほうは二十二万五千円で配偶者控除の対象にするしないの限度額にしておる。国家公務員の家族手当の場合には十四万七千円でそれをやっておる。こうなりますと、実際問題としては二十二万五千円の線でなく、すでに十四万七千円で家族手当――現行たしか千七百円だと思いましたがね、年間にいたしますとこれも二万円近くなるわけですね。すなわち家庭の主婦の所得がわずか千円か二千円ふえる、だけで二万円、これも受けられるか受けられないかということになりますと、やはりこの点の問題が出てきておるわけですね。
 私、お尋ねしたいのですけれども、一体、この根拠は標準生計費を基礎にしておるというけれども、標準生計費というのはこれとどういう因果関係があるのですか。従来これでやられておるのだけれども、どうもどういうつながりがあるのかわからぬのですよ。すなわち、標準生計費は男子の独身者の年間の標準生計費をとっておるわけでありますけれども、それとこの配偶者に対する家族手当支給との因果関係というのは、いろいろ考えてみたのですけれどもちょっと考えつかぬ。何か特別な理由があるのですか。
#32
○尾崎政府委員 いろいろな法律に扶養家族に関しましての規定があるわけでございますけれども、私どもの場合は給与法の関係でございます。申すまでもございませんけれども、給与というのは仕事の対価でございます。したがって、扶養手当と申しますのも、そういう意味での仕事の対価でございます。扶養家族がある者とない者とでは生計の関係の上で若干の逢いがあるということで、これに対する補助をするといったような、そういう感じで出している性質のものでございます。したがって筋から申しますと、仕事の対価という点からいいますとややはみ出た感じのものでございまして、そういう角度から比較的に厳格といいますか、そういう形で運用しておる。規定もそういうふうにされておる。たとえば給与法の場合には、子供の場合には十八歳以下とか、父母の場合には六十歳以上とかいって、年齢制限がございましたりいろいろ制限がございます。それは給与法上の給与としてのたてまえ、仕事に対する報酬というたてまえで、やや性格がはみ出ておるという感じの上でこういうふうになっておるというふうに考えております。
 で、ただいま御指摘の問題でございますけれども、扶養手当は、他に生計の道がなくて、主として職員の扶養を受けておるというたてまえになっておりまして、扶養を受けておるという意味から申しますと、私どもとしては標準生計費というつながりを持って考えておるということでございます。
#33
○平林委員 私はこれからまだ幾らでもその問題についていろいろなことを指摘する問題があるのですが、時間がありませんからね。ただ、あなたも私のいま提起している課題については十分頭に入れられたと思うのです。私はそういう意味で、ひとつ人事院においても政府当局と並んでこの問題を検討してもらえば、あと質問はあまり展開しないことにいたしておるわけなんです。なぜかというと、ただいまの場合には、家庭の主婦に家族手当を支給するかしないかということについて一応のお答えは私は聞きましたけれども、この場合、標準生計費を基礎にしておるということ、それからしかもこれは男子の独身者であること、それから大体八等級の二号というのは高校卒程度の初任給であること、いろいろ考えてみますと、これは先ほどの大所高所の議論とあわせてみて、現実に即するにはもう少し妻の座を高めてやって、たとえば大学卒程度ぐらいには引き上げるようなことができないだろうかとか、何かどこかで基準の八等級の二号というのを変えるとすると――私もいろいろ検討してみたわけでありますけれども、たとえば資格を大学卒ぐらいにすれば七等級の一号くらいに上げることができる。そうするとこの金額は十九万円くらいまで上がっていく。しかしその十九万円でも、税金のほうは二十二万五千円で、しかもそれを検討しようというようなかまえのときに、こちらのほうではその金額でそれだけ削られるというようなこと、それからまた、男子の独身者の場合の課税最低限というのは御承知のように三十二万円ということですか、これとこの問題とのバランスの問題、何かひとつ現実に即して検討してみる必要があるんじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。ひとつそのお答えを聞きまして私は問題を転じたいと思います。
#34
○尾崎政府委員 ただいま申し上げましたように、当面の問題は給与の問題でございます。税法とはやはりたてまえと申しますか。そういう点が堤なっております。扶養家族手当を支給するかしないかという場合につきまして、さらにきびしくしたほうがいいんじゃないかという意見もございます。いま仰せのように、もう少しゆるめるほうがいいんじゃないかという御意見もまたあるわけでございますが、その辺のところはやはり常識的に妥当な線ということで考えざるを得ないと思いますし、民間でもどのようにやっておるかという点もよく調査して、この問題は今後なお検討してみたいというふうに考えます。
#35
○平林委員 きょうは時間がありませんからあれですが、たとえば独身者に対する課税最低限との比較においてこれが妥当か。それから、従来八等級二号俸の二分の一という慣行になっているけれども、これが妥当かどうか。それから二十二万五千円という税金との関係において、これがそのままでよいのかという問題。同時に国家政策上から見て、別に奨励するわけではないが、しかし国家公務員の家庭の主婦が職場に進出する度合いということもかなりふえているという現状から見て、直ちに家族手当を打ち切ることが一体妥当なのかどうかというような角度で検討して、またひとつあなたとも私ひざ詰めで話したいと思いますから、そのつもりでひとつ、いろいろ私と話しをするときに話が合うように御用意を願いたい、こう思います。それを希望しておきます。
 それから、私は同僚の委員の皆さんにも考えてもらいたいのは、これと同時に、このラインを越えますと、家庭の主婦は、健康保険の場合、扶養家族としての取り扱いを受けることができなくなってしまいます。結局、だんなさんも国民健康保険に入っているけれども、奥さんのほうもまた、扶養家族の適用をはずされてしまって、単独に国民健康保険に入らねばならぬ。そこでまた、病気にかかれば全額給付だからいいじゃないかという議論もあるけれども、病気にかからぬ場合には掛け金だけふえたということになります。今日、庶民の生活を考えてみますと、物価が上がっても政府はなかなか手を打ってくれないところに大きな悩みがあるわけでありますから、私はそういうきめのこまかい配慮も加えて、こうした問題は総合的に取り組んでもらいたいということを希望いたしておきたいと思うのであります。これは同僚の皆さんにもひとつ十分検討してもらいたいという意味で、少し詳しく質疑をやりましたが、私は大体この程度でこの問題については終わることにいたします。
 そこで若干の時間をいただきまして、今日、家庭の主婦が職場に出てくることになると、どうしても夫婦共かせぎというような傾向が非常に多いと思うのでありますけれども、どうでしょうか、国税庁のほうでは夫婦共かせぎというような実態の調査などはできているでしょうか。つまり、夫婦共かせぎというような状態は一体どのくらいあるのだろうか。
 これは時代の傾向なんですね。われわれが選挙なんかのときに、ちょっと団地なんかに行くと、一生懸命演説をやってみても、窓がみんなしまっちゃって張り合いをなくすことがあります。非常にいい演説をやったと思っても、聞いていなければこれは何にもならぬ。おそらく政治家はみんなこれは共通の嘆きだと思うのです。どうも共かせぎでうちがみんなかぎをかけてある。国税局あたりは、夫婦共かせぎはどのくらいになるだろうかというような調査などはやってみたことがありますか。ひとつお答えをいただきたいと思います。
#36
○佐藤説明員 共かせぎと申しますと、主として給与所得者の場合が多いかと思いますけれども、源泉徴収という制度に乗っている関係もございまして、いままで共かせぎが一体どれぐらいあるかという点についての調査をいたしたことはございません。
#37
○平林委員 なかなかむずかしいから何ですけれども、やはりそういう基礎調査がないと、これから問題を提起する二分二乗方式の議論を展開するのに困るわけですよ。これもどういうふうにすればいいか、またじっくり相談しようと思いますけれども、二分二乗方式を採用すべきであるという声は最近強くなってきている。つまり、家庭の主婦がかりに職場に進出して夫の手助けをする場合であっても、あるいは家庭の主婦がうちにおった場合でもだんなさんが安心してかせぎに出られるということは、つまり内助の功といいますか、家庭の中において、だんなさんが安心して職場で働けるような環境をつくる意味では功労がある。そういう意味ではだんなさんの所得のある程度の部分は妻の働きである、所得である。こういうみなし方もできるわけでありまして、そういうことから諸外国においてもかなり二分二乗方式を採用しておる例が多いのではないかと思うのでありますけれども、――この間大蔵省からいただいた資料によると、アメリカでもイギリスでも、西ドイツでもフランスでも、スウェーデンでもカナダでも、それぞれ二分二乗方式を採用しておるわけでありますが、政府としてはこの問題についてどの程度の検討を進められておりますか。現状における考え方はどうかという点についてはいかがでしょうか。
#38
○細見政府委員 二分二乗方式というのがいろいろ誤り伝えられておる面がございまして、いかにも二分二乗方式というのが共かせぎの人たちの税が安くなるかのような形でよく伝えられるのでありますが、実は二分二乗にいたしますと、現行制度の共かせぎの人たちにとっては、負担が重くなることはあってもほとんど軽くなることはないわけであります。ただしかし、税制のあり方として、日本の現在の民法のたてまえをそのまま持ってきておる、いわゆる稼得者といいますか、所得をかせいだ人を中心にして税制を組み立てていくというようなことにいたしますと、たとえばいまもお話が出ましたように、配偶者であっても一定の所得が出てくると配偶者でなくなる、税法上独身になるというような、いわゆる社会現象として見て税制が若干奇異な感触を与えるというような面があることは事実でございます。
 また、夫婦共かせぎの人たちが現在非常に税制上優遇されておるのに比べて、家庭にあって主婦が家を守っておられるようなサラリーマンのうちでは、二人で所得をかせぎ出しておる場合に比べて税制上不利であるというようなこと、あるいはまた、消費単位を中心にして課税するほうといまの稼得者を中心にして税を課するほうとどちらがいいだろうかというようなこと、今後検討をいたすべき問題であることは事実でございます。
 ただ、しかし、いずれにいたしましてもそういうことをやりますと、税制のたてまえを大きく変えることになるわけであります。かつてドイツが憲法上の問題で二分二乗の制度にいたしましたときも、税率の累進度を大幅に改めまして、独身者に酷にならないような税率を持ったようなわけで、要するに二分二乗と申しましても、最終的に税の問題としては、たてまえの問題は別といたしますと、独身者とそれから夫婦者との間に、どういう形での累進度を持っていったらいいかということに尽きようかと思います。その場合の独身者ということにいたしましても、たとえば文字どおり若い独身者もおりますが、不幸にして途中で奥さんをなくされた方とか、そういう方もあるわけです。それも税制上は独身になりまして、そうすると、一種の世帯控除というものまで持ってこないとうまくいかない。いろいろ響くところがたくさんございますので、検討はいたしておりますが、なかなかむずかしい問題だというふうに考えております。
#39
○平林委員 いまのお話の中で、私ちょっと誤解を招くのではないかと思うのは、二分二乗方式を採用するとかえって税額が高くなるというお話ですが、私の手元にある資料によりますと、改正案の税率のまま二分二乗方式をかりに採用した場合、たとえて言うと、年間課税所得が五十万円の場合は七・四%低くなる。年間課税所得が百万円の場合には一二・九%税は軽減され、年間課税所得二百万円のところは二一・三%軽減される、こういうふうになっておるのですが、あなたのお答えは、二分二乗方式を採用すればあたかも税額が高くなるというようなお話でしたけれども、これはちょっといかがなものでしょうか。
#40
○細見政府委員 そういうふうに誤解を受けるような資料を私どもがいままで出しておったことが実はまずかったわけでありますが、たとえば五百万円のところで、だんなさんが奥さんと二人で二百五十万円ずつかせいでやっておられた場合と、五百万円ですっかり分けた場合を考えますと――そういう御質問が出るだろうと思いまして、きょうはその点明らかにしておきたいと思いまして、ここに簡単な計算をいたしますと、現在の収入金五百万円で、夫婦で子供二人だといたしまして、それぞれに扶養家族を一人ずつつけておられた場合を想定いたしますと、現在の税金は五十二万六千円になっております。それが二分二乗方式でやりますと、五十九万七千円余で、税金は七万円余も重くなる。これは当然のことでありまして、その辺のことは詳しく御説明申し上げるまでもないかと思いますが、その夫婦共かせぎの場合と合算した場合と、それからいまから軽くなる話とが一緒になっておる。われわれもこういう資料をつくっておりまして実は申しわけないと思っておりましたが、その辺のことはこれから期間をかけて世の中に実態を明らかに御説明しなければならぬ、かように考えております。
#41
○平林委員 夫婦共かせぎの場合、あるいは家庭の主婦であっても独立して相当程度所得があるもの、いろいろなケースによって税額が違うということはわかります。ある場合には高くなる場合もあるかもしれません。しかし総体的にいいますと安くなる。つまり、最近の家族が共かせぎをするという傾向は、比較的低所得階層に多いということを前提にして考えたならば、あなたの例をあげたのはごく少数のものであって、傾向的には安く、多くの国民は二分二乗方式を採用することによって税の恩典を受ける、こう考えるのですけれども。どうもその点はちょっとかみ合わないけれども、おかしな説だね。
    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
#42
○細見政府委員 二分二乗方式で税額が安くなりますのは、御承知のように、累進税率によって税率の高いところが半分になって、つまり非常に累進度が高くなるところが所得を半分にすることによって累進度をやわらげて安い税金を出して、それを二倍にするから出てくるわけで、高い人については確かにおっしゃるようなメリットがあると思いますが、実効税率が一〇%とか、一二、三%の人はそんなにメリットというのは出てこないわけで、これはもう当然のことで、算数で出てくる話だと思います。
#43
○平林委員 私はこれはどうも納得できない。これは数字の突き合わせが必要なんで――私の得た資料によれば、ただいま申し上げたように、年間合算して五十万円程度のものはほんとうの低所得ですね。私がいま前提しているのはそんなにたくさんの所得のある世帯を描いていないんですよ。つまり、生活上やむを得ず家庭の主婦が職場に出る場合、そして一般的な傾向としてふえてきつつある現状に照らしてみて、二分二乗方式採用の必要性が強まったという前提に立ってものを考えている。これによれば、五十万円程度であれば七・四の軽減になるし、百万円程度であれば一二・九の低減になるし、二百万円程度で二一%程度の低減になるということになっておるわけで、どうもかみ合わない。
 時間がないからきょうはこの程度にして、これはもう一度やりましょう。あなた方だめだよ。やはり数字でやらなければいけないやつだから、またあらためて大蔵省と話し合いますよ。だからこれはもう一度あとで取り上げてやります。この二分二乗方式は大体土台が一緒でないというと話にならない。だから、資料はあなたのほうの資料のあらゆるものを提出してくださいよ。あらゆる資料を提出して、こういう場合はこうだ。かりに二分二乗方式をした場合にどのくらい増額になるか、税金を取り過ぎるようになるのか、それとも私の言うように、どの程度減収になるのかというようなところまで詰めたやつを総合的に出してもらって、これをひとつお互いに検討したいと思いますから、きょうはこの程度でこの問題はとめておきましょう。
 最後に、爆弾的な質問があるのだけれども、これをやると爆発してしまうからきょうはやめておいて、次回に――きょうは時間が少ないから、この次に私に発言をする場を委員長は与えるということを了承すれば、私はこれで質問を終わります。
#44
○毛利委員長 本法のときに……。
#45
○平林委員 この暫定措置法で次にひとつ権利を留保して……
#46
○毛利委員長 本件は理事会の窓口で……。
#47
○平林委員 暫定措置法で問題を提起する。――じゃやりましょうか。
 今回、昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法が提案されたわけでありますけれども、これは、これから本法が提案され、審議される段階に、あらかじめ予測を持って暫定措置法案が提案をされた。おそらくその理由は、本法を審議しておりますと三月三十一日に間に合わぬ、それでは、税法のことであるからひとつ暫定的にこの法律案を通しておいていただいて、少しの人にでも、本法が成立するのがおくれたための影響を少なからしめる、こういう気持ちで出されたと思うのですけれども、その点まず伺っておきましょう。
#48
○細見政府委員 そのとおりでございます。
#49
○平林委員 そこで、私はこの考え方はちょっとおかしいと思うのです。なぜかというと、本法を早く出してそれを十分審議して、どうも衆議院、参議院の審議を通じて間に合いそうもないと思ったら暫定措置法を出せばいいじゃないですか。本法に先立ってなぜ暫定措置法案を出してきたか。所得税法、法人税法、租税特別措置法、あらゆる法律案を審議しておって、間に合わない、これは困りますから暫定措置法案をどうか審議してくださいというのならば、これは話がわかる。所得税法も法人税法も審議をしないで、暫定措置法案の審議を要請するというのはどういうわけだ。
#50
○細見政府委員 暫定措置法案でお願いいたしておりますのは、法人税法とか特別措置法の具体的なものには触れておりません。具体的なものは一つ、期間延長を願っておるだけでありますし、措置法その他は一カ月の延長をお願いしておるだけでありますし、所得税につきましては、先ほど平林先生の言われましたとおり、この法案、新しく出てまいります所得税法の減税というのがもし四月に成立いたしておりませんと、五月からしかメリットが及ばない。その場合に、五月から以降で適用できるようなものについてはおっしゃるような議論もあろうと思いますが、四月に支払われた給料、あるいは四月だけでおしまいになる日雇いの人たちの給料に対する源泉徴収といったようなものは、五月になってからでは直せないのでありまして、その意味で、この法案を提出いたしましたことは何も本法の御審議を拘束するわけでないわけで、ただ四月分に払われた、四月一カ月だけの源泉徴収を少なくともいまよりは軽減された形で取っておいて、五月以降に――法案が修正になればもちろんそれによって修正されるわけでありますが、少なくとも払わなくてもよくなる人などについては払わないようにしておきたい、それだけのことであります。
#51
○平林委員 それだけのことがわかってないのだ、ぼくが指摘していることが。かりに、所得税法、法人税法が提出されておる。きょうは三月の六日だ。そんなことはないけれども、最近は法律が一晩のうちにさっと上がるような例もないわけじゃないわけで――所得税法がそんなふうに上がるとは思っていません。それは常識だけれども、形式上は所得税法、法人税法がどうも三月三十一日までに間に合いません、これはいかぬぞというときに、暫定措置法案があなたのいまの説明で提出されるのなら、私は話はわかるというのです。所得税法、法人税法の審議をしないうちになぜ出しているかというのです。かりにこれが、よし、所得税法、法人税法はいい法律だから一週間で上げちまおうといって、衆参両院が上げちまったらどうするんですか。要らないでしょう、この法律は。三月三十一日までに衆参両院を法律が通過したらこの法律は要らない。要らないものをわれわれは審議しているということになる。これはどうですか。
#52
○細見政府委員 従来のたてまえが、本予算と税法とが並行して、施行期日を同じにしておる。したがいまして、本予算は五月一日でございますので、平林先生の言われたようなことがもし起こるとすれば、私どもが提案します法案の施行期日をさかのぼって修正でもしていただかない限り……。そういうことはないのではないかと思っております。
#53
○平林委員 予算案の審議のときにどういう措置をとっているか。国家予算のときですね。今国会は、総選挙がありまして審議の開始がおくれている。それでいま一般予算の審議が行なわれているわけですね。これは近く衆議院を通過するでしょう。そして参議院の審議が始まる。暫定予算は出さないじゃないですか。政府は暫定予算を出さぬ。もちろん実際上のその後の経過から見ますと、ある時期になれば、どうも昭和四十五年三月三十一日までに予算案が成立しそうにないから、国会に暫定予算案の審議をお願いしますということは当然私らは予想しています。しかし、それは、衆議院の審議を終えて参議院に参りまして、参議院もある程度の審議日数をとらなければ、三月三十一日までに成立しないぞと思われたときに暫定予算を提出する、これが常識なんですよ。これが国会というものに対する行政府のとるべき態度だ。国家予算案のほうはそういう措置をとって、税法だけは先にやってもらう。さっきの理屈だと首尾一貫していないじゃないですか。政府の方針は暫定予算も同じことのはずだ。暫定予算も一般予算を審議している前に審議してもらうか、これとのかね合いはどうかということでこれは検討をしていただく。
 これはしかし大蔵委員会としても、この法案の取り扱いをどうするかについては十分な検討が私は必要だと思っております。委員長、ただ法律案を上げることだけを忙しくするだけではだめなんですよ。要らなくなるかもしれないのだ。予測の問題ではあるけれども。可能性の問題になるとこれは別ですよ。法律の審議権、提出権その他からいいますと、本問題は十分検討しなければならぬ。そういう点だけを指摘しまして、これはおそらく答弁がなかなかできがたい問題でございましょうから、答弁は求めないで、質問はこれで終わります。これは委員長、理事においてひとつ検討してもらいたい。
#54
○毛利委員長 二見君。
#55
○二見委員 中川政務次官に御高見を承りたいのですけれども、今回の暫定法案でございますけれども、所得税関係と内国税、関税関係が一本にまとまっているわけです。ところが四十二年のときには、やはり総選挙直後でありましたので同じような措置がとられまして、そのときにはたしか法律が二本で出てきた。今回はそれが一本でまとめられた。これはどういうようなことでまとめられたのか、まず伺いたい。
#56
○中川政府委員 御指摘のとおり、昭和四十二年の改正のときには、所得税関係と租税特別措置法あるいは関税、印税は別にやっておったようでありますが、今回は、内容は前回とよく似てはおりますけれども、一カ月間の期限延長という点に重点を置きまして、そういう点からいうならば、これは共通した問題であり、いま平林委員から御指摘があったような問題もありますけれども、これは国民本位で考えますならば、いずれも減税であり、租税特別措置法についても、これは恩典を受ける問題でありますから、その辺に力点を置くならばこの措置が合法的ではないか。もちろん本法において十分御審議をいただきまして、修正その他がある場合には当然それに従うわけでありますけれども、とりあえずの措置としては、こうしたほうが国民が喜ぶのではないかというあたたかい配慮からやったことでございますので、ひとつ御賛同を願いたいと存じます。
#57
○二見委員 あたたかい御配慮だそうでございますけれども、先ほど平林先生が提案されたことは私は正論であろうと思います。
 それはそれといたしまして、政務次官の政治的な見解になるわけですけれども、たとえば所得税に関する部分には反対だけれども、内国税、関税に関しては賛成だと、こういうような議論も、あるいは意見も当然出てくるわけです。もし二本で出されれば、片っ方には反対、片っ方には賛成、こういう意思表示もできる。もちろん両方とも賛成、あるいは両方とも反対であれば、これは一本でもかまいません。だけれどもそうは限りません。意見が割れる場合も当然あるわけです。そういう点を考えたならば、こういう一本にして審議をするという姿勢、そういう姿勢ははたしていいものかどうか。
#58
○中川政府委員 理論上からはそういうことが言われるかと存じます。しかし、御指摘のように、一本が反対だということであるならば――あってはならぬことでありますが、修正という方向も、こっちについては反対でこっちはよろしいという方向も本委員会であり得るわけでございますので、一本にしたらいけない、絶対まかりならぬものだということには相ならぬものではなかろうか。ぜひともまとめて、いいことであろうと存じますので、御賛成をいただきたいと思います。
#59
○二見委員 修正も応ずる……。ほんとうに修正に応じていただけますか。
#60
○中川政府委員 修正には応じたくありませんが、本委員会が多数決で、それで御決定に相なるならば、これは政府としてはいたしかたないことになるのであろう。そのようなことがないように、くれぐれもお願いいたしておきたいと思います。
#61
○二見委員 ただ、修正に応じられない場合、たとえばこの暫定法に反対だといたします、だけれども、中身をよく見てみるならば、あるいは所得税には賛成だけれどもこちらには反対、こちらには反対だけれどもこちらには賛成という明確な意思表示はできない。反対だということでもって、あるいは賛成ということでもって一括して見られてしまうわけなんです。この点はあまりごてごて言いませんけれども、これは今回だけにとどまる問題じゃないと思います。またこれから選挙が暮れにあったり正月にあったりすれば、同じようなことが当然出てくるのじゃないか。そうなれば、また同じように一本で出された場合に、われわれとしても非常に困るわけです。どうですか、今後こういう問題が起こった場合には、こういうふうに一本にまとめては出しません、必ず二本ないし三本に分けて出します、こういう御答弁はいただけるでしょうか。
#62
○中川政府委員 これからについてはこれからまた先で検討はいたさなきゃいけないことではあろうと思いますが、そのときの状況によってまた判断すべきものではなかろうか。今回としてはこれが、一カ月間とりあえず措置をしておく、このことが国民のためになるという――私は外部から入ってきまして、なかなかあたたかいことを大蔵省というものは考えるものだ。源泉徴収を、黙っておくと四月分は引かれない、前の税制のままでやられるということになれば、年末になって年末調整の方法もありますけれども、特に日雇いの方々などには恩恵が及ばないことなども配慮し、あるいはいろいろなことから考えますと、これはいい方法ではなかろうか。これは措置法についても同様であります。一カ月間ということに力点を置いて、一本で出さしていただいたわけであります。
#63
○二見委員 どうも政務次官は私のほうの質問をちょっと誤解をされているようなんですけれども、たとえば所得税の減税を一カ月間繰り上げることが悪いということじゃなくて、こういう法律を、こういう内容のものを一本にまとめて審議してもらおうということが、はたしていいことなのかどうなのか。今回はやむを得ない、あたたかい処置だそうでございますけれども、そういうふうに、本来二本で――この前は二本で出したんです。それを今回は一本でまとめてしまったわけです。そういうふうに、前は二本で出したものを今回一本でまとめてしまったということですね。こういう政治姿勢がいいのかどうなのか、その点の御判断を願っているわけですけれども、もう一度……。
#64
○中川政府委員 前例を破ったことでありますから、やはり問題になるのは当然であろうと思いますが、繰り返しになりますけれども、性質が一カ月間というものの税制についての特別の措置を講じよう。本法についてはゆっくりひとつ、選挙の関係もありましたことでおくれておりますので、期間をとって御審議をいただき、そのほうにおいてはもちろん別々に出しておりますし、そのときにまた修正その他があった場合にこれに応ずる。これを通したからといってもこれに拘束されるものではないということからいきますならば――いいか悪いかということになると、別々でもいいのかもしれませんが、ざっくばらんに言って、私も政治家だから申し上げますが、三本にすれば三倍の期間がかかるのじゃないかということを配慮したことも事実であるわけだと存じます。この点もひとつ御了解をいただきまして、御審議をお願いいたしたいと存じます。
#65
○二見委員 では暫定法、これは一カ月間なわけですね。過去において、たしか、ばかやろう解散のときに同じような例があったと聞いております。そのときにはなかなか本法のほうが通らなくて、二転三転としたそうですけれども、今回は一カ月に区切った。そして本法がそれでは四月までに参議院のほうで成立するか、これはちょっと予断を許さないかもしれないわけです。政務次官のほうとしては、四月までに所得税を上げてしまおう、あるいは法人税を上げてしまおうという、そういうたてまえでお出しになっておるのだと思いますが、万が一――これは当然、先のことですからわからないわけです。五月に上がるかもしれない、六月に上がるかもしれない。そうなった場合には、もう一度暫定法の出し直しということになりますか。
#66
○中川政府委員 従来の審議日程その他を配慮いたし、大体一カ月あればという見通しを立てたことは事実でありますが、万が一、慎重審議の結果、四月一ぱいで上がらない、五月に及ぶということになれば、またその際特別措置をお願いしなければならぬことに相なるであろうと思います。しかしそうあってはなりませんので、ひとつ連日御審議をいただいて、期限内に上げていただきたい、こういうことをお願いしておるわけでございます。
#67
○二見委員 まあ税金の問題というのは、自民党、だ、社会党だ、公明党だ、民社党だと、あまりかどを立ててやるものではなくて、できれば国民がいかにしたらしあわせになるか、生活が楽になるかという点で税金というものは判断してやればいいのじゃないかと思います。とするならば、本法も当然、政府といたしましても大蔵当局といたしましても、おそらくそういう観点で御審議を願うのじゃないかと思います。出したのだからこれはこのとおり認めてくれというのじゃなくて、これを土台として、もし野党のほうによりベターな意見があるならばそれを大いに取り入れましょう、こういう立場から本法のほうの審議が始まるのじゃないですか。その点はいかがですか。
#68
○中川政府委員 政府としては、日本の経済なり社会状況を考えて、現段階ではこれが一番いい、国民のためになるという気持ちで提出しておることは事実でございます。そこで、当委員会において、さらにそれよりもこのほうがいいぞということで御決定をいただきますならば、これに従うことは当然でございます。しかしわれわれとしては一番いい案を上程しておるつもりではございます。
#69
○二見委員 まあそれは出すほうといたしますれば、これはあまりよくないのだと思ってお出しにはならないと思うのです。だけれども、野党のほうにもそれぞれ意見があるのは当然です。突き合わせてみれば、どちらがいいか。これはあまり自分の立場に拘泥しなければ、そうして政府案よりも、たとえば野党のほうから、社会党さんから出した案がいい、それから民社党さんの修正の意見のほうがいいとか、あるいは自民党の某委員の意見がいいということは当然起こってくる。その場合に、政務次官といたしましては愛情を持って、そうかと受け入れていただけますか。
#70
○中川政府委員 今度の暫定措置法のほうは二つあるわけでして、関税あるいは物品税、特別措置のものについては、これは改正とかなんとかを含んでおりませんで、ただ期限だけを一カ月間従来の制度を延長していこうということでございます。改正案に盛られておりますのは所得関係でございますが、この点については、いい方向ばかり減税の分は盛ってあります。当委員会でさらにいいものということで御決定いただきますならば、私も政治家でありますからそのほうに従う用意は十分ございます。そしてまたこれは、変わった場合も年末調整でできるわけでありますので、措置法との関係においては食い違いないのではないか、かように思っております。
#71
○二見委員 これから佐藤先生の葬儀がありますので、あまり時間をとりたくないと思います。
 それで、もし本法が修正された場合には、それでもって暫定措置のほうは年末調整で当然措置できるわけですね。それから、普通のサラリーマンであればそれはそれでけっこうなんですが、日雇い労務者なんかの場合には、たとえば本法で修正されてもその恩典はちょっと受けられませんか。
#72
○中川政府委員 なるべく受けられるようにしたいとは思いますが、現実的にはなかなかむずかしい問題があるようであります。
#73
○二見委員 それからもう一点。これは別の話ですが、内国税と関税の関係ですけれども、期限を一カ月間延長するほうです。
 関税のほうは全部まとめて一カ月間延長、内国税の場合にはそうではなくて、たしかかなりの数が落ちているように思います。その点はどうなんですか。
#74
○細見政府委員 関税のほうは、御承知のように、四月にも毎日毎日品物が入ってくるわけでありますから、そこで課税関係が終わってしまうわけです。ところが内国税のほうにはそういう、ある行為をつかまえて課税関係が発生するものと、それから事業年度で決算のときに調整すればいい種類のものと二つあるわけであります。関税と同様に、その行為が四月中にあったときにいろいろ課税関係が発生するものについては、とりあえず延長をお願いし、それから決算のときに決算の上で調整すればいい、そのときに税法上課税関係が起こるというものについては、あとで御提案、御審議願う租税特別措置法のほうにみな規定いたして、さかのぼって適用できるようにいたしておるわけでございます。
 そういう意味で、いろいろおしかりをこうむりましたが、私どものほうも国会の審議権をなるべく尊重いたしまして、あとで措置できるようなものは一切延長いたしておらないという点は御了承願いたいと思います。
#75
○二見委員 中小企業貸し倒れ引き当て金のことなんですけれども、これは期限は延長されておりませんですが、これはどうなりますか。
#76
○細見政府委員 まだ正式には御議題に願っておりませんが、ただいま提出いたしております租税特別措置法の改正案のほうで延長いたすことにいたしております。したがいまして、中小企業の貸し倒れ準備金は四月にさかのぼって適用いたしますので、この点は本法のほうで御審議願えば、それがなくなって思わざる税負担がかかるというようなことにはならないように一応いたしております。
#77
○二見委員 関税は全部今度は一カ月間延長ですね。中には三月三十一日で廃止になるものもあるのじゃないのですか。
#78
○平井説明員 三月三十一日で廃止するものはいまのところはございませんが、ただ新しいこの法律案を通しました後に、関税定率法の改正の法案を出しました際に、二品目につきましては制度がかわることになっております。なおそのほか、関税割り当て制度の改正を行なうものが若干ございます。
#79
○二見委員 その二品目というのはオルトキシン製品とパンタル製品……。
#80
○平井説明員 さようでございます。
#81
○二見委員 内国税のほうは、廃止するものあるいは決算期で処置できるものは落としているわけですね。関税のほうは、この二品目については制度が今度は変わるわけですね。制度が変わるにもかかわらずそれだけは一括して延ばす。内国税のほうはそういう処置をとる。これはどういう考え方でそういう差別をつけるのですか。
#82
○細見政府委員 廃止するものは御承知のように三月三十一日で期限が来ておりますし、その三月三十一日で期限が来ておるものをほうっておけば、もうこの委員会の御決議として、三月三十一日でやめるべきだという御決定をすでにいただいておるわけですから、そのものについては触れる必要はないわけでありまして、延長いたすものについてはあらかじめ、延長いたしたいがいかがなものでしょうかといって、ここへ法案を出しておるわけであります。
#83
○二見委員 私聞いているのは、関税関係でこの二製品は要するに制度が変わり――ほかのものはそのまま延長して、さらに本法でそのままずっと継続するけれども、その二製品については今度まるっきり変わってしまうわけですね。その点を一括して引き延ばすという考え方ですね。ところが内国税のほうだけはそうではなくて、落とすものは落としている。たとえば今度廃止するものはありますね。廃止するものは当然あがってきません。それは廃止するからだということであがってこない。そこら辺のかね合いといいますか、考え方がちょっと違うように思うわけですが、その点はどういうふうに理解すればいいのですか。
#84
○細見政府委員 内国税のほうで廃止いたしますものは、文字どおり三月三十一日がまいりますとそれにかわる措置を考えずに完全に廃止しておるわけであります。したがいまして、これについては何ら延長の措置はとる必要がないのじゃないかと思うのです。それ以外のものにつきまして、先ほど来申し上げておりますように、本法のほうで基本的には御審議願うわけでありますが、本法で決定いたしましてもさかのぼって効果を及ぼすことのできないある行為、ある事実が発生したときに課税上の問題が起こるものだけにつきましては、暫定的に一カ月延長いたしまして、その後出します法案によりまして基本的に税制関係を確定願う。その制度のあり方を御審議願う間、一カ月だけとりあえず延長いたしておるというわけでございます。
#85
○二見委員 時間もありませんので最後にしたいと思いますけれども、関税に関しては、これは一括して引き延ばすというのがいわば慣例みたいになっているのじゃないか、そう思うわけですけれども、私としては、その点は内国税と同じような基準でできないものかどうか。これから佐藤先生の葬儀もありますので、これで質問を終わりたいと思いますけれども、その点を最後に明らかにしていただきたいと思います。
#86
○平井説明員 先ほど、最初に主税局長から御説明申し上げたと思いますが、内国税の場合におきましても、物品税等のようにそのときそのときにおける課税要件の発生に従って課税が行なわれていく、こういうようなものにつきましては単純延長が行なわれているわけでございますが、関税の場合にも、同じように四月中に輸入が行なわれて、その場合に直ちに課税が発生する、こういう関係になっておりまして、そのようなものにつきましては、内国税と関税とを問わず、一応単純延長いたしておる、こういう考え方でございます。内国税のほうにおきまして、これは私から御説明申し上げることではございませんけれども、先ほど主税局長からの御説明にもありましたように、期間計画によって課税をいたしておるものにつきましては、三月末をもって打ち切られる、こういうふうに理解いたしております。
#87
○二見委員 終わります。
#88
○毛利委員長 午後六時再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時四十六分開議
#89
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。
#90
○広瀬(秀)委員 大臣に、時間が非常に制約されておりますので、さっそく質問に入ります。
 まず最初にお伺いしたいことは、今回行なわれました長期金利の問題をめぐりまして、金利体系の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、池田内閣以来の高度経済成長政策の中で低金利というものが果たした役割りは非常に大きかったわけでありまして、当然低金利の力によって企業の国際競争力あるいは量的拡大というものが果たされてきたと思います。しかしながら、今日の段階では物価がどんどん上昇をする。そして設備投資もきわめて高度な、異常なまでといっていいほどの増加を来たしている。しかも最近では物価も非常に上昇のテンポを速めてきている。そこへもってきて、六〇年代にほとんど横ばい状態であった卸売り物価まで急激に年率五%に迫る勢い、そういう状態にもなってきた。こういうようなこともあって、その結果が経済に非常なひずみをもたらし、また特に社会資本の立ちおくれという、大臣がよく言われる、国内のバランスをとるというような意味においても問題を生じてきておる。しかも国際収支の黒字がやや定落したかに見える好調をずっと続けているという状況もあるわけでありまして、そういう中で今回、昨年八月行なわれました公定歩合の引き上げ、またそれに続く一連のポジション指導なりあるいは窓口規制なりというような問題で、引き締めの効果がこの辺にきて急速に金詰まり現象を特に大手――これはやがて中小企業にも波及するでありましょうが、大手に著しく金詰まり状況が出てきた。
 こういう中で、今回、二月十八日には事業債のうちA格債の応募者利回りを八・〇四六にする、あるいはまた二十日には利付金融債の利回りを七・六三八にするというような、また四月から応募者利回りではさらにそれを上回るようなものが出てくるし、長期の貸し出し金利もそれに追随をいたしまして、八・二%から八・五%、こういうようなところになってきている。したがって、こういう一連の措置というものが、いわばいままで高度成長をささえてきた金利機能といいますか、金利政策といいますか、金融政策、そういうものに対して大きく転換をしたものだ、低金利からの離脱であるという評価もなされておるわけでありますが、まずその点どういうようにこの問題を政策当局として考えられるのか、この点をまずひとつお伺いをいたしたいと思います。
#91
○福田国務大臣 今回の措置は、低金利政策をやめたという基本的な転換措置ではございません。広瀬さんも御承知のとおり、わが国は長期金利でも短期金利でも非常に高い国だったわけです。これをアメリカなんかに比べますと、長期金利では二%くらい、大体長い間わが日本のほうが高い国柄であったわけでございます。ところが、この一両年の国際社会を見ますと、先進諸国では、国際通貨不安という問題もあったかと思います。それからまた同時に、それにもかかわらず先進諸国の経済運営においても、物価高、また国際収支の不均衡というような問題も起きてきておる。そういうようなことを背景として、先進諸国では異常なというふうに見てもいいくらい高金利時代というものがやってきた。そういうさなかにおきまして、わが国におきましては、金利はずっと安定しておったわけであり、むしろこの数年間の推移を見てみましても、だんだんと下がってくる。こういうような情勢にあったわけです。
 そういうようなことで、わが国の金利体系というものが、国際社会における地位というものが逆転をしてきておる。そこで長い間金利引き下げという努力をしてきておったわけでありますが、たまたまわが国におきましても、国際収支のほうは問題はない状態ではありまするけれども、物価の問題、また成長の速さが速きに失するというような問題もある。こういうような事態に当面をいたし、そういうさなかにおきまして、わが国としても、これを克服するための金融調整措置をとらなければならぬ。つまり金融が詰まる状態がじくじく出てきておるということは御承知のとおりです。そのような環境から、社債市場に変化が起きてくる。たとえば社債におきましても金融債におきましても、その条件と実際の取引価格との乖離、そういう問題が出ている。これを放置しますと社債市場は動きがつかなくなる。こういうような情勢にもなるわけであります。そういうことを考えますときに、国際社会におけるわが国の金利体系としては、そう心配ない状態にきた。そこでひとつ公社債市場、これを健全に育てるということ、これはまた一方において大事な問題でありますので、この際この乖離問題を解決する。そして社債なりあるいは金融債が発行しやすい状態をつくり上げるということが必要である。こういうふうに踏ん切りをつけまして、一連の長期金利体系の改定措置をとる、こういうふうになったわけであります。
 わが国が諸外国に比して長期金利が低位にあるという状態は、これはわが国がこれから輸出を伸ばす、経済の基礎を固めるという上において重要な要素をなしておるわけでありまして、でき得べくんばこの低金利政策というものは進めていきたいというふうには考えておりまするけれども、現実の当面の事態から考えますと、やはり公社債市場の現状を放置することはできない、そういう観点から一連の措置をとった、かように御理解願いたいと存じます。
#92
○広瀬(秀)委員 産業界等では、今度の措置というものが、金融引き締めが非常にきいてきている、俗にいうきいてきているというところに、これは第二段の追い打ち措置でもあろう、こういうようなことで企業の民間設備投資というものがこのところ一月以来やや弱含みになってきている、弱気になってきている。そういうような面も出ている段階でもこういう措置をとられる、その気持ちは、いま大臣が答弁されたところによると、別に低金利からの離脱とかいわゆる高金利への転換ということではないんだ、言うならば景気動向あるいは経済見通しというようなものの達成、こういうようなある限られた時点での政策にすぎないんだ、こういうように聞こえるわけであります。
 そういうような意味で、昨年の一−三月あたりには、去年の景気についてかげり現象があるとかないとかいうようなことが出ておったわけでありますが、これからの措置、こういう措置をやったということによってことしの景気に対してどういう影響があるのか。もう一つのねらいである、公社債市場をこういう措置によって、既発債と新発債との関係で新発社債が売れないというような条件を改めるということは、一つの当面の急務ではあったと思いまするけれども、そういうようなことを通じて公社債市場を育成するという意味も含まれているというようなお話でありましたけれども、そういうものを含んで、景気に対してどういう影響をこれによって期待をされ、政策効果を期待されてこういう措置をとられるか、この見通しについて大臣のお考えを聞きたい。
#93
○福田国務大臣 いま日本の景気はちょっと過熱ぎみなところがある。そこで心配をしていろいろな手を打っているわけでありますが、その状態に対しましては、私は、今度の措置は日本経済が正常運転をする、つまり公社債市場が正常化することにより産業資金も順調に調達をされるという効果もある反面におきまして、これは私はごく軽微だと思いますが、長期金利が上がるというようなことに伴いまして投資意欲に対して若干の消極的影響もあろうか、こういうふうに思います。私どもがこの措置によってねらいとするところは、景気調整というよりはこの公社債市場の正常運転、こういうところに主たる眼目がある、かように御理解願ったほうがいいのじゃないかと思います。
#94
○広瀬(秀)委員 今回の措置についての大臣のお考えはおよそわかったわけでありますが、そこで、こういう状態になる、A格事業債に対しましても、また利付金融債などにいたしましても、かなりの応募者利回りが改善をされる。改善というか、利率の引き上げになった。そういうような場合に、減らしたとはいえども、まだ五・四%という公債、四千三百億ですか、こういうものがあるわけであります。この国債あるいはまた政保債というようなものに対して、あるいはまた割引債――これは国債、政保債とは性格が違うけれども、利付金融債と対照される割引債、こういうようなものに対して、今度はA格事業債というようなものについては売れ行きがよくなるかもしれぬけれども、そういうものがいまのままでは利回りが非常に低いというようなことで、非常に発行条件を改定しなければ、これまた一つの新しい問題を生み出したことになるだろうと思うのですつこういう問題についてどういうように考えられるか。これをまたこれにならって引き上げられる考えであるのか、そしてその時期は一体いつごろを――いまの景気の見通しなどとも関連をし、あるいはまた産業界でも、金詰まりの中で事業債などの発行がいま月三百七十五億円ぐらいしか発行できないというようなことで、さらに増加さしてくれというような要求も非常に強いし、特にA格債の電力債あたりは、四十六年度になると日本はおそらく非常な電力危機におちいるだろう、そういうことも含めて非常にそういう点も強いわけですが、そういう面の特に社債の発行額というようなものをどのくらいまでふやしたいという気持ちがあるか、その二点についてお答えをいただきたいと思います。
#95
○福田国務大臣 まず国債、政保債にどういうふうな影響があるか、こういう問題ですが、お話しのように、これは若干の影響がないわけじゃないわけです。特に事業債それから金融債におきましては、その乖離幅が非常に大きい。事業債は一%ぐらい、また金融債はそれを上回る、こういうような状態でございますので、その全部といったらたいへんなことですから、大体三分の一見当の調整をするということにしたのが今度の措置でございます。ところが国債、政保債になりますと、この乖離幅というものが非常に少ないのであります。そういうようなことで、今回は事業債、金融債につきましては衆敵幅の三分の一というところを見当にした調整措置を、とりましたが、その程度の調整措置ならば、国債、政保債はこの際ちょっとそれへの波及というものを考えないでおこうじゃないか、こういうふうな考えをとりまして、これに波及ということをただいまは考えない、こういうことにしておるのです。しかしお話しのように、今回こういう一連の調整措置がとられた結果、国債、政保債の売れ行きが非常に悪くなるというようなことなしともしないと思うのであります。今度の事業債やあるいは金融債につきましてとった措置の結果がどういうふうな反応を示してくるかということを少しよく見詰めてみまして、そうして国債、政保債等に対する処置、それをきめていきたい、こういうのがただいまの考えであります。
#96
○広瀬(秀)委員 非常に慎重な答弁であることは事の性質上当然だと思いますが、その見守る期間というものは大体どのくらい必要なのか、その辺のところをもう少しあなたのいまのお考えを聞かしていただきたいと思います。
#97
○福田国務大臣 見守るといって、見守って何カ月も推移するというものじゃないと思います。今度の一連の金利改定措置、この影響というものはすぐにというわけにもまいりませんでしょうが、両三月の間には出てくる、こういうふうに考えておりますが、その出方、それを見た上で国債、政保債については態度をきめていかなければならぬ、かように考えております。
#98
○広瀬(秀)委員 二、三カ月というようなことのようでございますが、その問題につきましては大体そのくらいにとめたいと思います。
 さらに、こういうことで長期金利の改定をやられて、これはやはり短期金利にも影響が出てくる可能性も当然あるし、あるいはまた二、三カ月の推移を見て、国債、政保債などについても追随上げというような事態にならないとも限らないわけです。その見込みがむしろ強い。そういうようなことになってまいりますと、いま国民が貯蓄をしておりますその貯蓄に対して、現状の預金金利というものでは国民の間に不公平感というようなものがやはり出てくるだろうし、たとえば長期債などについて、外人買いというようなものなどもどんどん出てくる。外人投資に対する規制の緩和も徐々に行なわれつつある。そういうものに対して高い金利を払う。しかも預金する国民に対してはきわめて低利なままに据え置くというようなことになりますと、国民の間に非常な問題になろうと思いますし、もうすでにぼつぼつ、郵便貯金の金利も〇・二五%くらいは上げようじゃないかというようなことも、現実に郵政省あたりでも腹を固めつつあるということもいわれておるわけであります。そうなりますと、全般的に、単に郵便貯金の金利だけじゃなしに、預金金利を引き上げるべきは当然の措置であろう、こういうように考えるわけでありますが、その点についての大臣の考えをここでひとつはっきりしていただきたいと思うわけであります。
#99
○福田国務大臣 結論からいうとお見通しのとおりだと思うのです。これだけ一連の長期金利の調整措置ということになりますと、やはり短期金利につきましても配慮せざるを得まい、こういうことになろうかと思います。その際にはどうしても預金金利の若干の引き上げという問題が起きてくるのじゃあるまいか、かように考えております。
#100
○広瀬(秀)委員 預金金利を引き上げるという方向は、昨年来私どもも問題にしてきたところであって、これはやはりぜひこういうような措置によって――金融機関だけがもうかって貯蓄国民が損をしている。割り損だ。しかも物価はどんどん遠慮なしに一年ものの定期預金の金利を上回るほど上がるということに対して非常に問題があるということで、いまそれをはっきり肯定されたと私は受け取るわけでありますが、そういう措置をとるというのはこれは当然のことであろうということで、その点を確認いたして次の質問に移りたいと思います。
 きょうは時間があまりありませんので論戦をあまりいたしません。
 国際投資銀行の問題が最近出ております。すでに国際合同銀行、これに三和、三井、勧銀、野村証券が加わる。ざらに日本国際投資会社というのですか、あるいは投資銀行というか、富士、住友、三菱、東海などがこれに加わる。あるいはまた欧州東銀への参加というようなことで、興銀、長期信用銀行、あるいは協和、神戸、北海道拓殖、それに証券会社の日興であるとか大和であるとか山一であるとか、こういうようなものが入るとかというようなことで、いずれもこれが昨年の暮れに集中して三つ出そろってきた。これに対して、これはむしろ大蔵省筋でそういう海外投資銀行というようなものを設立したらどうかという誘いもしたというようなことを聞いているわけでありますが、この問題について、これは近く認可をするという方針なのかどうか、その判断をこの際聞いておきたいと思います。
#101
○福田国務大臣 いまあれは欧州東京銀行――投資銀行というふうに申しておりましたか、東銀の分身が一つやっておるのです。その動きなんかを見まして、別に大蔵省が勧誘をしたわけじゃございませんが、いまお話しのとおり、三つのグループが投資銀行をヨーロッパにつくりたい、こういう申請をしてきております。これに対して大蔵省といたしましては前向きで検討をするということで、ただいま申請者等と話し合っておる最中でございます。近く認可をするかというお話でございますが、これは一緒にしますか、あるいは少し時間をおいてやりますか、二つありますからその辺はどうなるかまだ見当つきませんけれども、なるべく早く結論を出したい、こういうふうに考えております。
#102
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣が昨年のメルボルン会議でも、海外に対する援助協力を飛躍的に増大させるというような発言もなさって、これから日本経済の国際化というものを踏まえてそういう時代が到来していることは私どもにもわかるし、また海外資源の開発による原材料の供給を確保するというような問題があり、日本企業の海外進出というものが新しい市場の獲得というような立場でどんどん発展していくということもあるし、さらにまたユーロダラーなどをより多く集めるために都合のいい組織をつくっていくというようなことも大事な点かもしれないわけであります。
 しかしこの問題について、証取法の六十五条の問題なども、たとえば昨年一月の、本田技研が二百万ドル、ユーロ債を出したというような場合に、欧州東銀がこれを引き受けたということで、証取法の二条八項の行為に違反をしたというような問題もまだ残されているようです。あるいはまた、そういうようなものを欧州東銀がすべてにやっているほかに、そういう三つのグループを並べて三つにするというようなことで、はたして採算がとれるのか。ユーロダラーの金利も昨年あたり一一%というような高金利で、まあまあ九%くらいに下がっているにしても、こういうことで一体採算がとれるのかというような問題などもあるし、また、できれば本部をロンドンあたりに置きたいというような希望もあるようでありますが、しかし現実に日本の企業が一番多く進出をしたりこれから発展をしていく方向というものは、東南アジアあるいはアフリカ、中南米、こういうようなところだとすれば、特に進出企業などの比重の高いのはやはり何といっても東南アジアだというようなことになりますと、そういう点で、やはり開発途上国が非常に多いこういうようなところを相手に、しかも政情もなかなか不安定だ、高度の、質のいい労働力などもなかなか得られない、政治的にも紛争の状態にあるとか、いろいろな問題点があって、はたしてそういうようなものを三つもつくって採算ベースに乗るだろうかというような問題点もある。
 こういうようなことと、さらに資本自由化の問題とからんで、いわゆる為替管理による海外投資規制というようなものがどんどん緩和されてくる。こういうようなことのほうがむしろ先行するということになれば、これは国内から直接投資をどんどんやれるというようなこともできるわけだし、そういうものを通さなくてもいい事態もむしろ来るのではないか。そういう資本自由化とのかね合いの問題も出てくる。識者によってこの点についてはどうだろうかという疑問も提示されている。
 こういう問題点について、大蔵大臣としては、これは最近この問題をめぐっていわれていることですが、特に開発途上国への投資というものがやはりこれからどうしても日本の場合多い、実績もそうなっておる、圧倒的に東南アジアが多いというような情勢の中で、採算ベースに乗るだろうかという問題、それから自由化とのかね合いで一体それほどの必要があるのかという問題、これの調整などについてどういう判断をお持ちなのか。
#103
○奥村政府委員 最初に証取法のお話があったわけです。これは私どもの省では銀行局と証券局にまたがる問題でございますが、この問題を含めて先ほど大臣が申しましたように慎重に検討中でございます。
 それから、いまユーロダラーの金利が非常に高い、採算の問題等は一体どうかというお話でございますが、こういう問題は一年、二年の問題ではなくて、非常に長期にわたる、日本の今後の発展途上国に対する対策あるいは日本の投資政策というものと関係があるわけでございます。長い展望のもとにこの問題と取り組む必要がある。したがって、さしあたりの外国の経済状況というものは重要でございますけれども、これにあまりかかわるということは問題があろうかと思います。
 その次に資本自由化との関係でございますが、資本自由化と為替の自由化というものは一方で大いに進めてまいらなければならぬという考え方で臨んでおるわけでございます。しかしながら、片やこういうふうな国際的な投資銀行という構想を持って臨んでいくということは決して矛盾するものではない、両方とも必要であるという、ふうに考えております。
#104
○福田国務大臣 東南アジアのお話がありましたが、これとは全く別の考え方なんです。東南アジアその他、低開発国に対しましては、わが国は積極的な役割りを演ずる。四十五年度を展望しますと、おそらくアメリカに次いで第二の援助国になろうかとも想像されるような状態であります。この態勢はさらに今後といえども前進をさせていきたい、こういうふうに考えておるのです。
 ヨーロッパ、これはわが国との経済関係が最近とみに緊密化しておるわけであります。鉄鋼輸出を中心といたしまして、たいへん深い関係になりつつある。しかも、この地域は政情も安定いたしておる。援助的な意味は全然ここに加える考えはありません。向こうでとにかく日本経済を信用するというので、現地において日本に金を預けるという人も出てくるわけであります。そういう金をもって投資を行なう。ヨーロッパ経済と日本経済とを結びつける舞台としては、手段としてはこの投資会社方式は大きな役割りを演ずるであろう、こういうふうに考えております。
 三つもあったら採算はどうかという話でありますが、これは必ずしも一カ所に集まるわけではないのであります。あるいはロンドンに、あるいはパリにというようなことでありまして、それぞれ活動の分野も違うわけでございます。まあ多少の競争はあったほうがいいと思いますし、多少の競争はありましょうが、これではこの会社が立ち行かなくなるというような状態は私どもは想像いたしておりません。
#105
○広瀬(秀)委員 経済大国への道を歩んでいる日本ですから、そういう楽観論もあるいは成り立つかもしれないけれども、しかしこの問題については、きょうは時間がないものだからあまりこれ以上の疑問は提示しませんけれども、かなり疑問がある。資金を銀行が調達する場面においてもあるいは金利負担の面においても、それから日本の企業が海外に進出をする、あるいはその他ヨーロッパということでありますが、そういうところでかなり程度の高い生活水準にあるところの労働力を使って行なう企業に対して、そういうようなものが、はたして投資効率というものがほんとうにうまく採算ベースに乗って生きてくるかどうかというような、いろいろな問題点はあろうと思いますが、きょうは疑問だけ提示をしておきます。
 次に、最近における一番新しい資料で、外貨準備の帳じりがどれくらいになっているかということを伺いたい。それと同時に、一番新しい金準備がどれだけになったのか、この数字をきょうは明らかにしていただきたいと思うのであります。
 それからもう一つ続けて、これは大臣にお聞きいたしますが、去年も幾らか金がふえたということはわかっておりますが、そして金の買い入れというようなことも昨年は今までよりはわりあい大幅にやった。ことしはそういうようなものについてどう考えておられるか、この点もお聞きをいたしたい。
#106
○奥村政府委員 二月末現在の外貨準備高でございますが、三十六億三千万ドルでございまして、その中で金及び外貨というのが三十億一千五百万ドルでございます。お尋ねの金でございますが、その中におきまして四億六千九百万ドルでございます。これは国際協調、あるいはそういう観点で無理のない範囲内で外貨をふやそうという政策に基づきまして、この一年間に一億一千三百万ドルという増加を見たわけでございます。
#107
○福田国務大臣 ただいま国際金融局長から申し上げたとおり、金につきましてはそう無理をしてはいかぬ、自然にというか、ごくなめらかにこれをふやすチャンスがあればふやしていきたい、こういう考え方をいたしております。一体どこまでふやすんだということになりますと、これはいろいろ国際的にも影響がありましょうから、この席で私から私の考えを申し上げるわけにはまいりませんけれども、なめらかに、自然なチャンスがありますればふやしていきたい、こういう考え方である。しかもいま諸外国の外貨準備の中における金の保有高を見ますと、かなり金保有率が高いのです。わが日本は一二・六%ぐらいになりますか、そんな程度でございます。ですから私は、機会があればなめらかな形においてこれをふやす、こういう考え方をしていきたいと思っております。
#108
○広瀬(秀)委員 数学がはっきりいたしまして、さらに金の準備をふやして、金の占める比率をふやしていくという考え方はわかったわけであります。しかし三十六億三千万ドル、一ころから見れば、絶対的な額としては確かに倍増以上になっておるわけです、十年前から見ましても。しかし輸入の総額において、私の記憶によれば、三十六年当時の日本の輸入、これは経済見通しで大体四十数億ドルというような時代、このときに十六億ドルぐらい外貨準備があったわけですね。それが現在では、四十五年度の経済見通しによれば百四十八億ドルだ、そっちはもう三倍以上になっているわけです。そういうことを考えてみれば、何もいま三十六億ドルぐらいで、非常に多くなった、外貨準備も万全だというようなことではないように思う。これについてどれくらいが適正量かということについてはいろいろな説もあるから、きょうは時間がないからそのことは聞きませんが、西ドイツあたりは百億ドルぐらいの外貨準備がある。そのうち金で六〇%ぐらい持っている。アメリカが最近百七億ドルぐらいといわれております。若干のでこぼこ、出入りはあるかもしれませんが、そういう中で、ようやく昨年より一億ドルばかりふえて、四億六千万ドルという数字がしばらくぶりにはっきりしたわけであります。大体四十五年度じゅうにこれをさらにふやしていくめどをつけるというようなことは、大臣としては考えませんか。その点だけ……。
#109
○福田国務大臣 めどはつけておりません。
#110
○広瀬(秀)委員 時間があと二、三分しかないということなんですが、あと二つばかりあるんです。
 予算委員会でもだいぶ論戦をされました四次防の規模の問題であります。四次防は四十七年から五十一年までの五カ年計画で始まるわけでありますが、国民総生産の大体一%を目標に――現状〇・八%弱というようなところで、財界においては一・五%ぐらいですか、そういうことを求めている。中曽根長官はこれに対して、わが党の楢崎君の質問に対して大体〇・八%から一%というようなことで、はっきりしたものではないにしても、五兆二千億から六兆二千億の間ぐらいであろうというような答弁をされておるわけでありますが、私が試算したところによりましても大体その程度になるわけであります。そうなりますと、これは大体四十七年あたりから一兆円をこえる防衛予算というものが計上されてくる、こういう事態になるだろうと思うのです。これは釈迦に説法でありますけれども、国民経済とは全く縁なき、再生産に全然はね返らない産業、自衛隊をはじめ、そういう軍需産業に従事する者がどんどん所得をするというようなことで、きわめて非生産的なものにそれだけの金が使われるということになりますと、これは物価高騰というような面からだけ考えましても非常にたいへんな事態になるだろうと思うのであります。その辺のところについて、国の財政を預かる財政当局として、大蔵大臣として、この問題についてどういうようにお考えなのか。最近では海原国防会議事務局長あたりも、これは防衛庁に長くおった専門家でありますけれども、これに対して非常な疑問を政府部内からでも投げている。大蔵大臣がそれに対してどういうように考えているか。そのことも踏まえながらお答えをいただきたいと思います。
#111
○福田国務大臣 これは政府として統一された意見じゃございませんけれども、私は、わが国は経済日本という立場でやったらいいと思うのです。で、防衛費がいままで少ない。これはいま広瀬さんの御指摘のように、防衛費というものは再生産性がない。その再生産性のない防衛費というものが非常に少ない。ことに先進諸国に比べますとほんとうに比較にならぬくらい少ない状態です。これが、いろいろ他にも理由がありますが、一つ先進諸国に比べましてわが国の経済が非常な発展をした大きな理由であるというふうな認識を持っておるのでありまして、この態勢は私はくずしたくないと思うのです。
 国民総生産に対する比率の〇・七九%、これがいいか悪いかですね。その辺はいまわが国が置かれておる立場、つまりいままでは日米安全保障条約がわが国を完全にカバーしている形であるけれども、しかしそれが永久にそういう形でいいのかという問題があるわけです。そういうような事態は私は許されないと思います。やはりわが国がわが国の憲法において許された範囲内において自衛のための努力をするということは、私は当然自主日本としてなすべきことである、そういうふうに思いますが、それらを総合的に勘案いたしまして、ただいま申し上げました経済日本、効率的な経済社会を形成するということを旨として防衛費というものは考えていきたい、こういうふうに考えております。
#112
○広瀬(秀)委員 経済大国になっても軍事大国に絶対なってはならない。憲法の精神からいってもそういうことだし、大蔵大臣がまあそれにほぼ近い発言をしたと了承して、もう一間だけお尋ねしたいんです。
 それは米の生産調整をめぐって、特に百五十万トンを減らすということで、それが百万トンに減少して、あとの五十万トンは水田を国あるいは地方公共団体あるいは民間等で買い上げてしまう、他の目的で買い上げてしまう、そういうような問題が出ているわけなんです。そういう方針が出ておる。そうしますと、第一に非常に大きな見込み違いをまずやったということ。しかもこの五十万トン減らす分、十一万八千ヘクタールからの水田を買い上げるということになるわけでありますが、これはたとえば坪五千円にいたしましても一兆一千八百億も金がかかることであります。こういう問題について、昭和四十五年度に最初百五十万トン減らすんだといいながら、百万トンに減らして、あと五十万トンはやるんだといいながら、一億円の予算しかこの調査費に、各省ばらばらに分かれておりますが、つけてない。こういうようなことで、これは政府の責任としてこういう方針を出して、これを実施に移していくというようなことが、資金の面からだけ考えても、こういう資金をどこから出すのだというようなことから考えても、まずこれはできないだろうということでございまして、いま生産調整のための奨励金反当たり二万五千円程度のものを出すというようなこともからんで、かえって逆に農民の土地の売り惜しみが助長されて、ことし売らないで来年売ろうというようなことにもなってくる。こういうようなことになればこの政策というものは児全に破綻してくると思います。ほんとうに五十万トン分の十一万八千ヘクタールを買い上げるということについて、一体どういう資金的な裏づけ――結局はもうたいしたことできないから、五、六千億くらいしか国や地方公共団体で買えないから、あとは、一兆何千億あるいは坪七千円にすれば二兆四千億にもなる、そういう勘定になるものを民間デベロッパーにまかしてしまうんだ。あとは野となれ山となれ、どうなるかわからないようなことなのではないのか。そういう点について、血としてこの資金を一体どうするのだ、こういう点について大臣の考えを明らかにしていただきたいと思います。
#113
○福田国務大臣 これは十一万八千ヘクタールにしてもたいへんな金が要るだろうと思います。不動産銀行の調べでは中田、中位のたんぼ、これが二十八万円だ。しかし二十八万円でなかなか売買はされまいと思う。かりに百万円としても一兆一千億円の金が要るわけです。しかし、それを一体どういうふうにするかというと、十一万八千ヘクタールを他用途、他目的に転用するということなんです。
 第一は、農家が、あるいは農住といわれますが、貸し住宅をみずから建てる、そういうようなことによって転用しちゃうということもありますが、これはたいしたことはあるまいと思う。
 それからもう一つは、農協が買いに回りたいというのです。今度は農協法の改正をしたいと思っているのです。そして農協がそういう土地を買えるようにしたい。その場合の資金繰りを考えてみますと、農協に金があるわけなんです。そこでその金を使って農協が買いに出ますね。そうすると、その支払いを受ける相手はだれかというと農家なんです。農家は受け取った金をすぐ消費には回さないと思います。また農協も協力をする、こう言っておるわけで瀞辰協預金になる。あるいは一部は銀行預金にもなりましょう。そしてまたぐるぐると回って農協に返っていっちゃうのですよ。ですから金についてそう、農協がやる場合に心配する必要はない。
 それからもう一つのケースは、これは国が先行投資をするという場合なんです。この場合、いま私どもが考えておりますのは地方公共団体に委紀をする。地方公共団体が買うことになりますが、その買う場合には土地開発基金というものが地方にある。これを使う場合もありましょう。あるいは縁故債を使うという場合もあるのです。しかしいずれにしても、それらの金はまた農家にごそっと払われるわけなんです。その農家の金はどこへ散らばるわけでもない。大かたは農協預金、一部は銀行預金になってくる。そこで縁故債が出されましてもこれが金融を圧迫する原因にはならない、こういうふうに見ておるわけです。
 それから地方公共団体自体がみずからの目的のために買うというのに対しましては、土地開発基金というものがある。ことしは六百億円、今度補正で三百五十億円それに積み増す。さらにその上に四十五年度地方財政計画でも積み増しをする、こういうことになります。ですから、これでもかなりのものが買えるでしょう。
 それから最後に民間デベロッパーとかあるいは事業会社でありますとかが工場用とかそういうようなことで買う。その買う金は要ります。要りますが、その買った金はまた農家に渡るわけでありまして、その農家が受け取った金は、これは大かたは散らばらずにまた金融機関に還流をしてくる。
 こういうことで、まあ十一万八千ヘクタールが一体どのくらいの額になるか、これは私も見当はつきません。またやってみなければわからない問題でありますけれども、資金問題としてはさして私は心配はいたしておらぬということだけを申し上げておきます。
#114
○広瀬(秀)委員 時間が十分ばかり超過してしまいましたので、これできょうはやめます。
#115
○毛利委員長 松尾君。
#116
○松尾(正)委員 税の問題についてもまだお伺いしたい点があるのですけれども、時間があとでだいぶありますので、きょうは大臣が御出席ですから、資本の自由化の問題について伺いたいと思います。
 昨日の夕刊で各紙それぞれ大きく報じられておりますが、アメリカのケンドール貿易緊急委員会の会長、代表が近日来訪する、こういうことで、その内容として、目的等はちょっとばくとしておりますけれども、今回の訪日の目的の一つが自由化政策の全般的な促進にある。さらに総理、通産大臣その他経済界の代表等と会って、日本の貿易自由化の促進について話し合う、こういうことでありますので、当然資本自旧化の問題も出ると思うわけです。
 そこで、現在のわが国の経済情勢、また世界の経済全般の動向から見まして、この資本自由化という問題は当然大きくいろいろ論議もされましょうし、またここでしっかり考えていかなければならない問題だ、こう思うわけです。この資本の自由化という問題は、現在のわが国として、経済力、国際動向等である程度当然とは思いますけれども、この持っていき方いかんで非常に国益にもつながるし、また持っていき方いかんによっては重大な経済的な混乱その他にも影響することが考えられる。こういう点を考えまして、さきの第二次の外資審議会の答申においてもいろいろ心配されて答申されております。すなわち、自由化がわが国経済に与える影響は大きく、かつきびしい側面も持つことが予想され、その進め方、対策のいかんによってはわが国経済に大きな問題を生ずる心配もないわけではない。その一つに、技術力や資本力の格差から来る外資の支配力によって企業あるいは産業の支配が生ずるおそれがある。こういう点と、もう一つは、わが国の産業の過当競争を激化する、産業秩序の維持を困難にするおそれがある。特にわが国では中小企業が多数存在する状況から、経済的、社会的な混乱を生ずるおそれがある、こういうようなことを、持っていき方によってはたいへんだということを含めて答申せられておるわけであります。特に現在の差し迫った資本自由化という問題に加えて、中小企業等は金融の引き締めのしわを受けて、さらに労働力の不足等で相当いま苦しい立場に置かれておるわけでございます。現時点において、大蔵大臣等もケンドール会長との接触もあるんじゃないかと考えますが、現在の資本自由化に対してどういう基本的な考え方を持っておられるか、これをまず第一点伺いたいと思います。
#117
○福田国務大臣 資本につきましては短期資本と長期資本があるわけでありますが、短期資本につきましては、ヨーロッパの通貨不安に見られたような――ドイツやあるいはフランスやイギリス、これらは短期資本の出入りを相当野放しにしておるわけです。ああいう事態がわが日本においてあっては相ならぬというふうに考えるわけであります。これについては、こまかい点につきましては、いろいろありましょう。ありましょうが、基本的にはこれをそう自由化する考え方は持っておりません。
 長期資本に対しましては、これに反してなるべく自由化を積極的にやりたい、こういう基本的な考え方を持っております。すでに第一次、第二次という自由化はいたしたわけでございます。第三次というものをいついかなるタイミングでするかという問題ですが、これもなるべく第三次を早くいたしたいという気持ちを持っておるのです。しかもその第三次自由化スケジュール、この内容はおざなりなものではなくて、かなり充実した内容のあるものにしていきたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。
 ただそれには、いま御指摘がありましたように、国内の産業体制というものの、外資を迎え入れる体制というものを整えなければならぬ、これを急がなければならぬわけであります。ことに中小企業に与える影響というものにつきましては特段の配慮をしなければならぬというふうに考えておるわけでありまして、外資審議会の御意見も聞かなければならぬわけでありますが、そういう気持ちを込めまして外資審議会にはひとつ意見を聞いてみたい、さような考えを持っておるわけです。
#118
○松尾(正)委員 時間が非常に迫っておって、実は二つ準備したのですけれども、ちょっと無理と思いますので、いま大臣のおっしゃった、短期資金については相当注意を払っていかなければならない、こういうことについてはもう一回伺っておきたいと思うのです。
 それから特に、最後に言われた中小企業の体制の配慮ですね、これにはひとつ特段の配慮を持っていただきたい。特に審議会等に十分その意向を伝えたいという御意見でありますから、ぜひこれはそうあっていただきたいと思うのです。
 それで少しここで突っ込んだ具体的な問題で伺いたい点がありますので、これは大臣でなくてけっこうですが、まず自由化が第一次、第二次と行なわれて、ワク組みあるいは自由化の措置の概略と、それからその間に問題点として論議された点、こういう点についてひとつ伺いたいと思います。
#119
○奥村政府委員 第一回、第二回の自由化におきまして、結果的に見ますと、合計で二百四の業種が自由化されたわけであります。その中で五〇%五〇%という新設を自由に認めることになりました業種は百六十でございます。一〇〇%、これは第二類業種になりますが、その業種は種目は四十四でございます。
 こういうふうな自由化を進めるにあたりまして一番重要なことは対策の方向でございます。というのは、日本の企業がみずからの体質改善あるいは産業体制の整備ということを進める、そうして産業体制の整備に即応してこれを進めていかなければならない、こういうことが第一でございます。
 もう一つは、政府が必要な措置をいろいろととらなければならない、これが第二点でございますが、たとえば外資の進出に伴う混乱を防止しなければならぬ。それから日本の企業が外国の企業と同等の条件で競争し得るような基礎を整えなければならない。あるいは日本に進出する外国資本と十分競争し得るように積極的に企業の体質を強化する、産業体制を整備していかなければならぬというふうなことが指摘されたわけであります。
#120
○松尾(正)委員 いま非常にけっこうな、企業の体質改善、それから体制を整えるというお話があったのですけれども、その問題についてもうちょっと突っ込んで伺いたいのです。
 その前に第一次と第二次で業種のワクが広げられておるのですね。あるいは第一種、第二種と変わったものもある、こういうことを聞いたのですが、詳しくはわかっておりませんか。変わった例等もあわせて伺いたい。
#121
○奥村政府委員 数字的に申し上げますと、第一次のときは四十二年六月でございましたが、第一類の業種は三十三、第二類の業種が十七でございます。それに対しまして第二次の自由化業種は百三十五が第一類業種、第二類業種は二十業種ということで、重複は若干でございますが、五〇%五〇%の業種から一〇〇%の業種に移されたものが九つあるわけでございます。本来自由化を進める場合には、新設の企業に対して自由化をやるのかどうか、あるいは既設の企業に対して外国の資本の導入を認めるのかどうか、あるいは五〇%五〇%というものを原則にするのかどうか、あるいは一〇〇%というものを目標にするのかどうか、いろいろな問題があるのであります。この間私どものとりました方式は、やはり徐々に、漸進的にこれを進めてまいるということでございまして、先ほどの数字のいろんな異動その他はそういう考慮に基づくものであります。
#122
○松尾(正)委員 その経過はわかったのですが、私は第一次、第二次というよりも、むしろ非自由化業種、ここに問題があるのじゃないか、こういうふうに思います。特に中小企業を配慮したときに。
 それで、別な方向でひとつ、非自由化業種については現在どのくらいの数が申請され、さらにこれが審査の結果認可されたか、こういう点についてはおわかりでしょうか。
#123
○奥村政府委員 非自由化業種とおっしゃいますのは、自由化の対象にならなかった業種がある、そういうものがいかに扱われておるかという御質問であるかと思います。第一次の自由化措置が行なわれましてから本年の二月までに認可されました合弁企業は約二百四十社あるのでございます。外資法の制度以後、合計いたしてみますと六百六十社あるのでございます。この二百四十社の中で自動認可ということになったのは実は四社だけでございまして、あとは個別審査というような状態でございます。これが非自由化業種の現状でございますが、いろいろと考えさせられる数字でございます。
#124
○松尾(正)委員 それで方向を、今度はひとつ積極的に外国資本を導入したい、たとえば特殊な業者、こういうものがあった場合の申請認可について――いままで申請したものはほとんど全部認可されていると聞いているんですが、非自由化業種で申請したものはもう全部認可されたのかどうか、その点についてひとつお願いしたいと思います。
#125
○奥村政府委員 いま認可の手続的な点にまで及んで御質問があったのでございますが、これは一件ごとに非自由化業種につきましては問題点を検討しまして、外資審議会に付議をする、こういうことでございます。
 私、伺っておりまして、御指摘の中で一つ感じましたことは、どの程度仕事が能率化されておるかという面もあるかと思うんですが、これは私ども、一方では自由化を進めるということであり、また一方では、この自由化というものがほんとうに日本の企業の中に必要な栄養を送り込むものがあることは確かであります。そういう点からしますれば、この事案の処理というものは迅速に行なうというふうに、いままでも私どもいろいろ注意してまいりましたし、今後ともますます努力をしてまいらなければならぬというふうに考えているわけでございます。
#126
○松尾(正)委員 期間はどのくらいですか。
#127
○奥村政府委員 現在かかっておる期間は、ものによって違うわけでありますけれども、申請後一カ月半以内に処理された案件が全体の二九%を占めております。それが一応の数字でございますが、自由化の実施以後はその八〇%が一カ月以内に処理されるということで、今後の方針といたしましては、申請があってから一カ月以内にとにかく処理をするように持っていきたいと考えています。
#128
○松尾(正)委員 期間的には相当迅速化されて努力されている模様ですが、実は各省にまたがる問題ですけれども、申請したけれども、審査の段階でこれは非常に不適格だというようなことでいろいろ行政指導等があって、申請がいれられないという場合があるわけです。その場合に、いわゆる姿勢が官僚的だ、冷たい、むしろ投げやりだ、こういうような声もしばしば耳にするわけです。これは結局、外国資本を投入してほんとうに企業を伸ばしていこうという基本理念には反するわけでありますので、こういう点についての改善策については各省で話し合わなければならないものか、何か方策があるか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
#129
○奥村政府委員 ただいま御指摘の点は、認許可を行ないます行政官庁がすべて心得なければならない重大な点であろうかと思います。私どもこの外資の導入に関しましては、外資に関する法律で幹事役の立場を与えられております。御指摘の点はよく注意いたしまして、いままでからも事案の促進については裏表ともに遺漏のないように努力をしてまいったつもりでございますけれども、おことばをよく体しまして、今後ともその方向に一そう努力をしてまいりたいと思います。
#130
○松尾(正)委員 この点についてはひとつ各省と緊密な連絡を――これは前の議事録を見ましてもそういうことが言われておるわけです。ただ言うだけでなしに、ひとつぜひ実践して前向きで進んでもらいたい、こういうふうに要望いたします。
 次は、いま大臣から言われました対応策です。この答申にもありますように、最も重点となるのは中小企業で占めるといえるわが国の企業構成ですね。この中で、自由化によって産業秩序、経済的なあるいは社会的な混乱が起きる、こういう問題でありますが、今日までこの答申を順、守してやってきたと、こうは言ってきておりますけれども、現時点ですでにいろいろ問題があるわけですね。たとえばまずコーラが入ってきたときの飲料界、それからこれはまだ決定しておりませんが、北海道農協とジャガイモ加工の提携の問題、さらにアメリカの八社の上陸と丸紅との合弁による既製服の問題、それから教育用のスライドの合弁の問題、時間がありませんから全部はあげられませんけれども、食料業界、製菓業界、それから被服業界等、非常に問題があるわけです。こういう問題につきまして、一面外資を導入して資本力を強め、技術力あるいは設備を改善してぐんぐん伸びる、これはまことにけっこうなことなんですけれども、いわゆる中小企業には同業関係が多いわけです。たとえば一つコーラが入ってくると零細な飲料業界ではばたばたと倒れちゃう。それから織物でいえば二、三の業種がぐっと技術的に伸びる、設備を改善するけれども、ほかのものが非常に大きな影響を受ける、こういう産業秩序の混乱、社会的な混乱、こういうことを考えましたときに、この協業化なりあるいは国のいろいろな角度の力強い財政援助を整えてからでなければ、せっかくの外資を導入して産業技術を大きく伸ばしたいと、こう考えておっても逆効果のほうが多いということを非常におそれるわけです。そして、大蔵大臣からもそういう体制を準備するという力強いことばは聞いたんですけれども、具体策について非常に問題がある、こう思うわけですが、これらも結局各省にまたがるので、大臣から聞くのはちょっと、とは思うけれども、ひとつ決意をここで伺っておきたいと思うのです。
#131
○福田国務大臣 先ほど松尾さんから、どうも審査事務が冷たいというような御批判もあったんですが、そういういわゆるゆえんのものは、それの認可の波及がどういうふうになっていくかというようなことを考えると、おのずから各省においては慎重にならざるを得ない、こういうようなこともありまして冷たいというような感じも与えるかとも思うのです。いま中小企業につきましては、とにかく中小企業振興事業団あるいは協業化助成とか、いろいろな手を尽くしまして、これが体質改善、合理化、近代化の措置をとっておりますので、そういう方面の対策等が浸透する、それとよくにらみ合わせながらこの施策は進めていくべきものである、このように考えております。
#132
○松尾(正)委員 ことばを返すのじゃないのですけれども、結局権益が慎重である場合には、これはけっこうだと思うのです。そうじゃなくて、非常に不親切という面も、これは大臣の耳にまだ入っていないものがあると思いますので、そういう点の姿勢だけは――ここで九人の親切があっても一人の不親切があると全部だめだ、こういうことになるので、その点を申し上げているわけでありますので、ひとつお願いしたいと思います。
 それから、いま近代化その他いろいろあって、手を打っていきたいということですけれども、結局資本自由化、資本投入の場合の一番問題点は、何といっても私は対応策が根本条件だと考えるわけです。しかし、いま大蔵大臣からは、配慮するし、いろいろ機構も整っているというお話ですけれども、ずっと予算委員会で、この中小企業対策等についてはいろいろな面でやりとりが行なわれております。このやりとりを見てみると、努力する、検討するということばだけで、ほんとうの具体的な対策はなくて、行き詰まり状態だなという感を深くするわけです。さっきあげた資料をもう少し詳しくあげてみますとこういう点がはっきりするのですが、時間の関係でそれは省きますけれども、現状でも苦しんでいる企業に、最初申し上げましたようにますます――さっき大臣の話ですと、これを早く進めていきたい、こういう話もありましたが、よほど慎重にやっていかないと、混乱が起きる、こういうことを考えます。したがって、国民は自由化という問題が起きているだけで、ちょうど繊維の自主規制の問題で合繊界が大騒ぎをやっていると同じような状態がすでに起きつつあることを考えて、ほんとうにこれは決意をして臨んでいただきたい、こう思うわけです。これは要望しておきます。
 それから、もう時間がなくなってしまったのですが、第三次の自由化の方向、これについても早く進めたいというお話でありますが、具体的には当然早急に審議会に答申を、大事な問題ですから、求めなければならないと思いますし、さらに自由化のワク組み等の問題についても早急にきめていかなければならないとすれば、審議会に諮問をする時期、あるいはそのワク組み等に関していまお考えがあるか、この点を伺っておきます。
#133
○福田国務大臣 まだ、第三次につきましては関係各省との間でこれをいつやるか、見当をつけておりません。これから関係各省と打ち合わせをしまして、外資審議会等の御都合も伺いまして審議会に付議したい、かようなスケジュールであります。
#134
○松尾(正)委員 もう一つ財投について準備してあるのですけれども、時間がだいぶおそくなってしまいましたし、ここで切りをつけたいと思います。
 いずれにしても、先ほど来述べたように、国民的な大事な課題だと思いますので、第三次自由化の方向については、行き方については、基本的な議論でありますけれども、ひとつ慎重に配慮して、そしてこの問題について繊維問題等のような事態が再び起きないように、こういう前提で取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、財投の問題については次の機会に譲りまして、以上で終わります。
#135
○毛利委員長 春日一幸君。
#136
○春日委員 まず最初に、大蔵大臣の所管は、金融から税制、ただいま審議されておった外資から証券から、理財から国有財産、税関まで、ずいぶん広範にわたっておる、のみならず、その一つ一つがいずれも国政の根幹に触れる重大な問題ばかりでございます。したがって、本委員会はそれらの諸問題について、政策審議、論議を十二分に尽くすことにより、初めてその職責を果たすことができると思うのでありますが、しかし、現実には大蔵大臣というのが予算委員会にとられてしまって、大臣が本委員会に出席されることはほとんど不可能な状態といっても過言ではない。すでに国会が召集されて一カ月有半を経過いたしますけれども、大臣が実質的にここに出席されて、われわれの質疑に応答される機会が、かつて一時間ぐらいあったが、きょうがざっと二時間というようなことで、しかもかくのごとく深夜にまたかって時間のきれ端みたいな形、こういうようなことでは、実際このような国政の根幹に触れる大問題を十二分に与野党間で審議を尽くすということが不可能である。まさに国民の損害は甚大なものであると思うが、みずからの責任に省みて、かつはこのような実情をごらんになって、あなたの所見は一体どのようなものか、この際その点をお述べ願いたい。
#137
○福田国務大臣 どうも大事な大蔵委員会になかなか時間がさけない。まことに私どもとしても残念に思っている。これは百も御承知のように、同時に予算委員会が並行されてきている、こういうことでまことにやむを得ないことだと思いますが、私もまた、委員長からお呼び出しがありますれば深夜なりとも参上いたしますので、何とぞよろしくお願いいたします。
#138
○春日委員 私は皮肉でもいじわるを言っているのでもなくて、現実の問題として論じなければならぬ、政府と国会とのこの議会の場において論じ合わなければならない問題は、特に本委員会においては山積をいたしていると思う。ところがそれを論ずるにあたって、当該責任者である大臣がほとんど不在であって、求めてもなかなか出席ができ得ないというこの院の構成、これは政府も含めて、われわれ議会側においても十分再検討を加うべき重要な問題ではないかと思うのでございます。あなた自体も自民党の最高の幹部の一人であられますし、かつはしばしば大蔵大臣の重責を持されておって、その点の判断は的確なものがあろうと思う。どうかひとつ、こういうような大蔵委員会の機能がまさに空洞化されているというこの現実にかんがみて、何らかの改善策をとられるようにまずもって要望いたしておきます。
 まさに私の質問は二十五分なんというような何とも問題にならぬ短時間で、電報のように質問をしなければならぬが、それでは電文で質問をいたします。
 財政制度の改革について問う。本年度、四十五年度の財政に与えられております最大の課題は、何といってもこれまでの高度成長の惰性にストップをかけて、適正成長への新路線を切り開くことにあると思われる。そのためには、政府の予算編成のあり方についてもいまや再検討を行なうべき段階に来ているのではないであろうか。すなわち、現在の国の予算を経常経費予算、それから国民福祉予算と、それから公共事業費予算と、この三つに大分類をして、その三つのうちの二つ、すなわち国風福祉予算と公共事業費予算、これについてはおおむね向こう五年くらいの長期的展望の上に立って財政計画を立てて、そうしてそれの財政支出の内容と規模、それからその財源調達の方途等を明記して、それをまず国会に出す。そうして予算は、そのような長期計画に即して、あるいはこれを尊重して、そうして毎年度の予算を立てる、こういうような方向へ持っていくのでなければ――単年度予算がその年度ごとに前後の関係なく、といっては語弊がございまするけれども、立てられていくという現在の制度は、この高度成長を安定成長、適正成長に切り開いていくことのためには、そのような制度の改善、改革が必要ではないかと思われるが、この点についての大蔵大臣の所見はどうでありますか。
#139
○福田国務大臣 御説は私もその趣旨においてはそのとおりに思います。ただわが国は憲法が、これは単年度主義というたてまえでできております。ですから、形式上は単年度主義をどうしてもとらなければなりませんが、実質的にはなるべく長期の展望ということが必要になってくると思います。そういうようなことで、公債を発行いたしました四十一年度予算のときから、投資的経費と、それから非投資的経費、つまり経常費です、いま春日さんのおっしゃる福祉予算と経常費を一緒にしたものですね、これとは実際上は区分をいたしまして、そしていろいろその財源等につきましても考えるということをやっておるわけでございますが、しかし、これを形式的な意味において実行することはできないです。そこで、特に投資的経済費につきましては、たとえば治山治水何カ年計画とか、あるいは道路五カ年計画でありますとか、今度は海岸何カ年計画そういうふうな長期計画を立てまして、それを見ながらこの予算の運営をやっていくという、こういうたてまえをとっております。御趣旨はまことにそのとおりだと思います。
#140
○春日委員 いまそういうような何カ年計画というようなもの住宅何カ年計画というようなもの、道路何カ年計画というようなものがあるけれども、それは、政府がもっぱら部内においてそういうものを目安として立てられておるというだけで、国会との有権的なつながりというものは何もない。そういうような意味において、私はこれを大体三つくらいのものに分けて、そうしてこれを長期財政計画として国会に提出する。国会に報告をして、みずからのその方針を明らかにしておく。これを一個の歯どめとして、その長期計画に逸脱するような単年度予算の編成というものは大きく制約を受けるという、そのような新しい制度をここに取り入れていくべきではないか、こういうように考えるのですが、そういうような長期計画を立てることは憲法が何も禁止しておるところではないし、またそのことが単年度予算の編成を何も制約するものではないと思う。しかも、このような高成長、しかも向こう五カ年間にさらに高高度の成長がなされていくというような現状にかんがみて、このことはことさらに必要なぎりぎりの段階に来ておるのではないか、こう考えておりますが、いかがですか。
#141
○福田国務大臣 やはりできる限り長期的な展望というものを持って、それをにらみながらその年年の財政運営に当たっていくんだ、そういう考え方は私は正しい考え方だと思います。ただ、それがどこまで一体できるか、そこら辺に問題はあろうかと思いますが、お気持ちは私は理解もできるし、また賛成です。それはどこまでいきますか、その辺を詰めてみるという、そういう問題かと思います。
#142
○春日委員 幸い御共鳴が得られるというような方向であるといたしますれば、いずれにしても、あなたもその責任者でもあられ、かつは党の内外の有力者であられますから、とにかくそういう方向に向かって誠実な改善、改革を、ひとつあなたの力でやってもらいたいと思う。これはひとり私の即興的な思いつきでも何でもない。それぞれの権威者がかねがねこういうような説を強く提唱されておることにもかんがみまして、ぜひともその実現方について御努力を願いたいと思います。
 次は、重要基幹産業についてこれの対策をお伺いをいたしたいと思うのでありまするが、先般も大臣がここで述べられておりましたけれども、向こう五年間に一一、二%の成長を続けていけば、現在の日本の経済というものが新しくもう一つできるのだと述べられました。その場合、その人手をどうするのだ、あるいは資金をどうするのだ、あるいは輸送運搬をどうするのだということになると、これはとても手をつけれる問題ではない。捨てておけば日本経済ははたと大きな壁に行き当たる。そうしてその衝撃で崩壊するのおそれなしとしないと、大きく危険信号を発せられておりました。
 そこで、そのような、わが国経済を過熱せしめておる最大の要因は何であるかということになってまいりますと、これはいろいろございます。ありまするが、分析をしてみれば、その最大のものは、結局は民間の設備投資ではあるまいか。すなわち、民間設備投資が先行することによって、その所得が結局消費を生んでいく、こういうことであることを考えますると、いまや世界経済の動向をながめてみましても、すなわち社会主義経済が自由化の要素を取り入れていく、自由経済に社会化の要素が導入されていくという、こういう情勢にかんがみて、わが国経済の中にも、やはりある種のコントロールを加えていくべき必要な段階に来ておるのではないか、こう考えるわけでございます。
 もとより景気調整のためには財政、金融あるいは税制等によってコントロールの手はあるではございましょうが、しかし現実には、一・七%かの法人税を引き上げたり、金融の窓口を規制するだけでは、その実効、効果があがらない。現実に昨年度のこの当初見込みと実質との乖離の実態を調査してみますると、企業における設備投資は当初見込み伸び率が一六・三%であったものが、実質伸び率は二六・二%になっておるという。どんなに金融引き締めをやってみたところで、またあなたが大いに警戒の理論を警告的に述べられたところで、経済のメカニズムはその惰性というものがあって、かくのごとく当初見込み伸び率よりも五割も大幅に伸びてしまっておる。このような現状にかんがみて、これは設備投資の計画化、これを何とか法律によって裏づけるの必要はなきか、いまそのような段階に来ておるのではないかと思われるが、大臣の所見はいかがでありますか。
#143
○福田国務大臣 私も、財政、金融、つまり経済の一つのかじをどういうふうにとっていくか、こういうことをやっていく上におきまして、どうも財政でも限界がある、金融でも限界があるということは、これは痛感します。そのもとを正さざれば末正しからず、そういうふうに思いますが、そのもととは何ぞやというと、これは基幹産業の設備計画、そういうところにあるであろうというふうに思うのです。しかし、これを法的に統制していく――昔の資金統制法というような考え方になるわけですが、これはまたその運営が非常にむずかしかろうと思います。そういうようなことから、政府におきましては、いま今日の時点では経済社会発展計画、五年ないし六年というようなところをとらえまして一つの展望をつくる、その展望な見ながら行政指導に関係各省が当たっていく、こういう仕組みをとっておりますが、その仕組みを合理化していくというようなやり方が一番実際的じゃないかというふうに考えるのです。これを一歩進めると法による資金調整、こういうことになりますが、これは戦時中のあの経験で、きわめて不十分な効果しかあげ得なかったということをわれわれば体験をいかしておるわけです。これを法的にそういうふうなことをするかどうか、これはなお慎重な考慮、検討を要する、かように考えます。
#144
○春日委員 もとより、画期的な転換を求める方式でございますから、慎重な検討はむろん必要でございましょう。けれども、そのような概念に基づく法の制定が企図されたことはかってございます。たしか貴殿が幹事長時代であられたか、そのもっと前であったかと思うが、例の特振法というものがございましたね。あのときは特定産業振興特別措置法でございましたか、特に重要基幹産業についてはある種の国家調整を加えていく必要があるであろう、こういうことを提案をされまして、当時は財界の猛烈な反対があって、機運成熟せずしてそれは廃案になりました。けれども、そのようなポリシーは、すでにして五、六年前にその必要性が政府部内におきましても痛感せられて、そのような法律案が国会に提出されたことがあるのでございます。
 われわれはここで考えなければならぬことは、いま大企業というものが、あるいは重要基幹産業なるものが国民経済に、また国民生活に与える影響力というものは非常に強大なものになっておると思うのでございます。なお、私企業というものの実態を客観的に見てみまするならば、それはもはや利潤動機のみを基本にしてそうして企業の意思を決定するというようなことは、もうその時期を過ぎておる、その限界を越えておると思うのでございます。
 この間ある資料を調べてみた中でびっくりしたことは、三井物産株式会社、それから三菱商事株式会社の自己資本と他人資本の比率を調べてみたのでありまするが、自己資本はたしか三井物産は五%かれこれのものである、借り入れ資本が九五%である。三菱も大体その程度のものでございました。まさにピープルズキャピタリズムの時代が現実に到来しておるのである。九五%が他人資本であり、その資本というものをたどっていけば、これはあるものは社債であろう、あるものは銀行からの借金であろう。借金のもとは国民の預金である。さらに、松下産業なんかの株も、これまたオーナーである松下さんが持っておりまする株も三〇%前後のものではあるまいか、七〇%はこれまた大衆に開放されておる株である。
 だから、現在の企業構成というものが、そのようなピープルズキャピタリズムの立場に立って構成されておるのだし、さらに大きなことは、まず財政投融資、さらにはまた租税特別措置法、いろいろなもので、国家の助成が大幅になされておるのである。そういうような企業に対して、これが国民的規模でコントロールがされるということは、それはかつての戦争中の官僚統制の観念とは全然違うものであって、これは現代経済社会においてはむしろ世界の動向にも即したあり方であると考えますので、このことについてはぜひとも踏み切るべき段階ではないであろうか。
 いま大臣は、そういうようなことをやらないで、長期経済計画やその他の中でコントロールをなしていったほうが、と言われておりますけれども、そのようなやり方で実効、効果があがるのであればそれもよろしからん。けれども、現実にはあなたがどんなことを言ったところでそういう結果にはなっていないのです。あなたのほうが政府部内で幾つかの計画を立てられるけれども、その実績を振り返ってみますと、結局いまここにあげておりますように、そんな結果にならない。一割や二割の違いならばこれは見込み違いということもあるが、結果は五割も違ってしまうのです。
 こういうような情勢にかんがみて、自由経済のメカニズムというものはそれ自体がこのような、成長すれば成長するほどそのバイタリティーがそういうものを過熱せしめるとか、さらに加速度的な威力を加えていくとか、そのもの自体にそういう性向があることにかんがみまして、いまこそ何らかの公共的調整というものが必要不可欠の段階であり、そのことを行なうことなくしては、適正なる成長へ新しい道を開くという、当面する財政上の最大の課題を解決することはでき得ない、こういうふうに思うのだが、いかがですか。
#145
○福田国務大臣 重要産業にはそれぞれこれを規制する法律があるわけなんです。そういう法律が管理統制までいっておるかというとそこまでいってない。ないが、これは所管省で気をつけますればその法律を足がかりとしまして調整はできるたてまえになっておると私は思います。その調整がうまくいかないところに問題が実はあるわけなんであります。それを法的なものにした場合にはたしてうまく設備調整がいくのかというと、それはまたそこに一つ大きな問題があるんじゃないか、そんなふうにも考えられるのであります。非常に基本的な、産業体制に対する核心的な御意見でありますので、私もなおとくと検討してみたいと思います。
#146
○春日委員 大臣が述べられておりますことは、言うならば行政指導とかなんとかいうようなことで効果を期待したいものだというようなことに尽きると思うのでありますが、厳密にいいますと、少なくとも立憲法治国においては法律によらざれば、行政指導などということの限界もおのずから定められておると思うのです。法律なくしてむやみな行政指導をすることは越権行為である。したがって、ねえねえことばでやさしく指導しておれば相手が言うことを聞かない、言うことを聞かない結果、なるようにしかならない、こういうことなんです。たとえばあなた、昨年あの予算をここに提出されたときには、やはりこれは景気調整予算だと言われた。しかし結果的に見ますと、景気を刺激してしまって、景気刺激予算の結果があらわれてまいってきておる。そういうような刺激要因となってきたのは、民間設備の当初見込み率一六・何%というものが二六%にも伸びてきたことなどがそのような牽引力になってきたと思うのでございます。だから、立憲法治国では、結局は法律によらなければ国家はむやみに経済に関与することは許されないし、許されるとしてもその限界はきわめて微弱なものである。そのことにかんがみて私は、統制というと何かいやな連想が伴いますけれども、あとう限り社会管理というか、国民管理というか、現在そういうような資本構成、企業構成になっておることにかんがみて――現在はとにかく昔のように資本家と労働者だけで企業が成り立ったものではなくして、資本家もあるであろうけれども、その資本家といったところでそれは水に映った月影みたいなもので、実際は、まことにその実体ははかないものだと思うのですよ。すなわち、資本家がある、労働者がある、管理者がある、消費者がある、国家の介入がある、外部に無数の下請がある、そのような国民的規模で基幹産業が行なわれておる現実にかんがみて、その管理が国民的規模で行なわれるように持っていくということは、これは私はきわめて当を得たものであるのみならず、そうせなければならぬ段階だと思う。そういう意味で、ひとつこの問題について十分御検討を願いたいと思います。
 それにいたしましてもこれはまた時間が来てしまったのだ。何ということでしょうかね、これは。私は大臣が来られるというので三日間も勉強した。それで二十五分しか質問ができない。しかもこのような、お聞きになっても御理解願えると思うが、国政の少なくとも政策上の根幹に触れる大問題を立ち話で終わらねばならぬ。あなたに再びここで相まみえる日はいつの日か、まことに慨嘆にたえない。大いにこの大蔵委員会の機能を確保することのために、各党とも大いに御検討あらんことを強く要望いたしまして終わります。
#147
○毛利委員長 次回は、来たる十日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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