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1970/04/08 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第22号
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1970/04/08 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第22号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第22号
昭和四十五年四月八日(水曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 金子 一平君 理事 藤井 勝志君
   理事 村上信二郎君 理事 山下 元利君
   理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君
      奧田 敬和君    木野 晴夫君
      佐伯 宗義君    坂元 親男君
      高橋清一郎君    地崎宇三郎君
      登坂重次郎君    中島源太郎君
      原田  憲君    福田 繁芳君
      坊  秀男君    松本 十郎君
      森  美秀君    吉田 重延君
      吉田  実君    平林  剛君
      堀  昌雄君    貝沼 次郎君
      伏木 和雄君    二見 伸明君
      小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        内閣法制次長  吉國 一郎君
        内閣法制局第三
        部長      荒井  勇君
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        大蔵省関税局長 上林 英男君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        農林省畜産局長 太田 康二君
        農林省蚕糸園芸
        局長      荒勝  巖君
 委員外の出席者
        国税庁直税部長 佐藤 健司君
        通商産業大臣官
        房審議官    室谷 文司君
        通商産業省通商
        局国際経済部通
        商関税課長   山口 和男君
        中小企業庁計画
        部長      斎藤 太一君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正
 する法律案(内閣提出第三五号)
 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第四八号)
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二一号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 三四号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五七号)
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
#3
○堀委員 きのうの続きの部分をやりたいと思っておるのですが、農林省畜産局長がまだ入っておりませんから、その他の案件を先にやってからきのうの続きをやっていくことにしたいと思います。
 そこで、ちょっと最初にお伺いをしますが、今度小型乗用車の関税の引き下げをすることになっていますけれども、この小型乗用車のいまのKRによる最終税率というのは一体幾らになりますか。
#4
○上林政府委員 小型乗用自動車の最終譲許税率は三〇%でございます。
#5
○堀委員 それでは、今度二〇%になるのじゃないですか。
#6
○上林政府委員 今回御審議をお願いしております税率といたしましては、小型乗用車につきましては二〇%に引き下げるようお願いを申し上げているわけでございます。
 なお、御存じかと思いますけれども、小型乗用車の関税率につきましては経緯がございます。ケネディラウンドの際に、その当時の小型乗用車の基本税率が四〇%でございましたが、これはイタリアとの交渉の際に、イタリアの自由化との関係もございますが、イタリアが一定の計画を持って自由化を進めてまいります場合には二〇%にしますという約束もしました。しかし、その後そのイタリアの自由化の約束が得られませんでしたので、その場合にはKRのときにも三〇%にとどめるということになっておりまして、その三〇%にとどめるということが発効をいたしたわけでございます。そういう経緯もあるわけでございます。
#7
○堀委員 その経緯はともかく、KRの最終が三〇%なのに今度二〇%になったというのは、ではどういうことですか。
#8
○上林政府委員 一つには、わが国の最近におきまする自動車の生産台数も非常に増加をいたしてまいりました。また、欧米諸国に対しまする輸出も非常に大きな勢いで増加をしてまいっておるわけでございます。いわば自動車の国際競争力も相当高まってきたと言い得ると思うのでございまして、それに伴いまして、欧州諸国におきましては、ことに日本の関税がいま申しましたような小型自動車につきましては高い。ヨーロッパ諸国でございますと、KR最終税率は大体一一%程度、アメリカにおきましては三%というような低い税率でございます。そういうような状況でもございまして、日本の自動車の国際競争力からいうと、あまりにも日本の小型乗用車の関税率は高過ぎるのではないか、そういうような空気、ことにいま伸びつつあります日本の輸出にも悪影響を及ぼしかねないというような空気も出てまいったわけでございます。
 そういうような観点にかんがみまして、この際、小型乗用車の国際競争力等を考えますと、その関税率を引き下げることによりまして、ある意味では輸出環境も整備していくことが相当ではなかろうか、こういう意味で関税率を二〇%に引き下げることを御審議願っているわけであります。
#9
○堀委員 主税局長、入っていますか。――実はいま自動車の関税をやっているのですが、最近の、自動車の物品税の課税対象になる製造業者の小型自動車の価格というのは、大体幾らですか。
#10
○細見政府委員 手元に資料を持ってきておりませんので、正確なことは調べてからお答えいたしたいと思いますが、価格は大体横ばい程度である。新しい車がマスプロになってきて、少しずつは上がっておりますが、大体横ばい程度の課税価格になっておると思います。
#11
○堀委員 それでは質問のあれにならないわけなんです。要するに私が聞きたいのは、昨日でしたか、この前物品税のところで触れましたように、自動車価格というのは国内の販売価格の二分の一以下で実は輸出をされている。そうすると、物品税の場合は大体二分の一以下の価格に対して課税がされているんじゃないだろうか、こう思いますから、そこのところは一体どのくらいかということをちょっと聞いたんです。
#12
○細見政府委員 ブルーバードで見てみますと、五十二万五千円が国内生産価格になっております。
#13
○堀委員 そこで実は私は、その自動車の問題に
 ついて、外国に輸出が半額でできるのに国内で倍で売っておるということは、自動車の場合には国内の消費者は非常に高い自動車を買わされておるということはもう間違いがない事実だと思っておるわけです。そうすると、なぜ自動車が高いかといえば、やはり国際的な競争を関税その他によって遮断をしておるところに一つの大きな問題がある、私はこういう考え方に立っておるものであります。今日これだけの自動車が国内で生産され、特にその主たるものは日本の場合はほとんど小型乗用車でありますから、この小型乗用車の競争力というのは、今日、世界では問題にならぬほど強くなっておる。自動車メーカーのほうでは盛んに資本の自由化についても抵抗しておるけれども、私はやはりこの際せめて、今度は二〇%でありますけれども、将来はEEC、英国並みの一一%程度まで下げて、要するに関税は双方同じだということで競争ができるような条件にすることなくしては、日本の自動車が外に出ていく場合になおかつ二〇%というものは少し高過ぎるんじゃないだろうか、こういう実は判断に立っておるわけであります。
 大型車の場合は、KRの最終は一七・五だと思うのだが、現在は幾らですか。
#14
○上林政府委員 ただいま仰せになりましたように、KRの最終税率は一七・五%でございますし、現行の実効税率も最終税率に繰り上げましたので、一七・五%でございます。
#15
○堀委員 日本の場合は、大型車というのは生産上非常に例外になっておるわけでして、ほとんど主力は小型である。だから大型車のほうは競争力がないにもかかわらず一七・五%にしておるということは、まずとりあえず次の段階では小型も――アメリカの場合には大型、小型の変わりなくKR最終が三〇%になっておるわけでもありますから、とりあえず一七・五にし、将来的には一一%程度くらいまで持っていくことは、これは関税の競争力のある商品に対するあり方ではないか、私はこういうふうに考えますが、政務次官、
 この方向についてはどうですか。
#16
○中川政府委員 言われるごとく、論理的に正しいわけでございます。やはり外国からも入れやすくすること、そのかわりこっちからも出ていくという競争力をつけて健全な発展をしていくということは当然のことであろうと思います。一ぺんにそこまで持っていけるかどうか、国際環境その他を見つつ、そういう方向に努力していくべきだと思うのであります。
#17
○堀委員 もちろん、今度二〇%に一挙に下げたわけですから、いますぐ大幅に下げることは困難でありましょうが、少なくとも来年なり再来年は一七・五%、次は一五%、逐次相対的な関係を含めて下げていくべきではないか。そのことが国内の消費者もよりよきものをより安く購入できて、そのことがまた裏返せば自動車産業の発達にもつながる、私はこう思いますので、この点はひとつ特に配慮しておいてもらいたいと思います。
 その次に、畜産局長が入られたからちょっと畜産局長に伺いますが、昨日ちょっと法制上の問題から先にやったわけですが、政策問題として、実は豚の問題でありますけれども、輸入をして関税がかかってからそれが市場に出るまで、実際に取引をされるまでの間の時間というのは平均的にはどのくらいですか。
#18
○太田政府委員 従来の例でございますと、御承知のとおり安定上位価格より騰貴した場合に初めて減免措置が講ぜられることになっておりまして、いままでの例でございますと、実は騰貴して実際手続を始めて入ってくるまでに大体五十日ぐらいかかっておるような例があるわけでございます。
#19
○堀委員 いや、私が言うのはその手続ではなくて、手続は今度早くできることになったわけですね。だけれども、手続が早くなっていても、こえなければ発動しないわけでしょうね。ですから、発動する、要するに入関をしてそれが市場に出るまでの大体の時間というのは平均的にはどのくらいですか。
#20
○太田政府委員 こちらに入りましてから市場に上場するのは、それはそんなたいして時間はかからないと思います。
#21
○堀委員 いや、たいした時間というのでは困るんですよ。三日かかるとか一週間かかるとか一日で出るとか、いろいろあると思うのですが、どのくらいですか。
#22
○太田政府委員 実は実態をよく存じてないのですが、大体一週間もあれば必ずそれは市場に出回るというふうに思います。
#23
○堀委員 過去に、いまの五十日かかっていたのではなかなか実際には使えなかったのかもしれませんが、実際に過去に発動した場合にはどのくらいかかったかというデータも実はいままだないわけですね。手元に持っておられないわけですね。
 豚の価格というのは、上がりかけるとかなりこう一本調子でいつも上がっているように思うのですが、いまの上がり方というのは、いま安定価格が四百二十二円ですね。四百二十二円で問題になっているのは、一〇%だから実は四十二円なんです。だから四十二円の値幅というものは、過去の、豚肉がその四百二十二円をこえるところあたりの上昇のスピードといいますか、これはかりにそこからこの一割上がるためには何日間くらい過去の例ではかかっているでしょうか。これはデータがあるだろうと思うのです。
#24
○太田政府委員 大体われわれの経験値では、二十円から三十円ぐらいの幅で動くということでございます。
#25
○堀委員 いまの話で、大体そういうときの値幅が、動くのは二十円から三十円幅くらいですっすっと動いていくということですね。そうすると、私がきのう議論しておるように、実は値幅の最大限が一〇%で四十二円なんだから、もうこまかく一円刻みで動かす必要は大体ない。実際は一週間のタイムラグがあることだしするから、ここではもうちょっと大幅な動き方で十分対応できるのではないか、こう思いますが、畜産局のほうはどうですか。
#26
○太田政府委員 理論的におっしゃいますと、先生の言うようなこともよくわれわれもわかるわけでございますが、この問題が出てまいりました背景は、先生も十分御承知だろうと思いますが、われわれとしてとにかく安定上位価格というものを消費者保護のために実は設けているわけでございます。これをめどに輸入ということで、原則は国内自給ということでございますが、需給不均衡で価格が安定上位価格を騰貴いたしましたときには、何としても消費者物価対策上、輸入によって補わざるを得ない。事業団の手持ち在庫がある場合はよろしいわけでございますが、これは御承知のように安定基準価格を割った場合に事業団が買い入れます。いわば偶発的在庫でございますので、これで冷やし切れる限度まで冷やしまして、在庫がなくなりましてなおかつ安定上位価格をこえております場合には、輸入によってその価格を安定上位価格内におさめざるを得ないというのが実態でございます。
#27
○堀委員 しかし、いまあなたのお話しのように、卸売り価格が四百円のものが一円刻みで動くと私は思わないのです。二十円なり三十円なりの幅で動くわけですから、それが二十円なり三十円なりで動くということがはっきりわかっているならば、最大限四百二十円ですから一〇%で四十二円、値幅は最低二十円にしましょう、二十円で動いたというなら――実際は私がきのう言ったように、五%と一〇%があって、それはいきなり上がってきたからまだ上がる。五%を発動し、その次は一〇%、要するにゼロにするということで、私は実態は、理論的ではなくて実態に対応できる問題ではないのか、第一点がそれです。
 それと、こまかく動かすといっても実際には動かせないだろうと私は思うのですよ。いまの一円刻みや二円刻みで動かせる問題ではないはずなんです、本来的には。というのは、そんなこまかい動かし方をしてみたところで、一週間のタイムラグの間にどれだけ動くかまだわからないわけであります。だから、私は政策的な問題から見ても、この問題はいまのような、要するに非常に大きな値幅なら別です。百円も百五十円もならまた別ですが、わずか四十二円の幅の実態という場合に、これが時々刻々動くようなものの価格ならともかくも、時々刻々動くのではなくて、やはりある幅で段階的に動く卸売り価格ですから、当然そうなるのが本来の性格でもありますし、タイムラグがいまのお話では少なくとも入関してから市場に出るまで一週間あるというのです。それがその次の日にはもう市場に出るというのなら話は別ですが、その間のタイムラグを見るならば、ある程度の幅の動きをしておかなければ、おそらく入関をした日の価格で見るのですから、その日におけるいまの安定帯の価格を上回った額というので見るのならば、実際に発動できるのはそんなこまかい発動ではなくて、やはり五%から一〇%発動する以外にないし、もっと上昇してきたら一〇%全部飛ばしたってまだだめだと思うのですよ。大体これは関税の幅が小さいから、三〇%くらいならこれで関税は有効にさくけれども、わずか四十二円しかないなら、出しても一挙にこえてしまうからそれほどの大きなメリットは実際にあるわけでもない。幅が小さいからということなら、まず政策的な問題の背景から見ても一〇%、五%刻みにしたって何ら実態の運営上に支障はない、私はこう判断しますが、畜産局長の考えは何か五%と一〇%あるいは三段階くらいに限った場合には重大な支障が積極的にあるかどうか、あなたのほうからちょっと答えてください。
#28
○太田政府委員 御承知のとおり、政府が豚肉につきましては安定上位価格と安定下位価格を定めておるわけでありますが、安定上位価格を守るというのがこの制度のやはり根幹にもなっているわけでございますから、われわれはそれを目標にして、関税の問題なんかも含めて考えておる、こういうことでございます。
#29
○堀委員 それならそれはわかりました。しかしその安定上位価格を守るためには、いまの一〇%、五%刻みでは具体的には守られないということはないというのが、私がいまあなたとこういう論議をした結果あらわれているわけですね。実態上あまり不都合はない。それがもし多少あるのならば三段階に、一〇%、七%、四%というふうでもいいでしょう。要するにそういう税率の刻みがあることが上位安定価格を維持することに非常に障害になるというおそれは実態上にはないということを、私はいまの話の経過の中で大体確認したわけです。値段の動く幅が大体二十円から三十円、二十円としたところで、いまの五%が大体一ぺんに動く、そういう背景があるのに、何もつれて徐々に動くんだ、こういうものの考え方は必要がない。要するに上位安定価格を守るということについてはそれでいいけれども、そのためにここに固定税率を設けてはならぬという、要するに運用上、固定税率を設けることは運用にきわめて障害があるという問題がないということが実は明らかになったと思う。
 そこで吉國法制局次長に伺いたいのですけれども、いま私が議論しておる問題は、一つはそういうような法制上の問題は、実はいまのような経済的な要求に基づいてつくられた法律なんですね。これは経済的要求に基づいてつくられた法律であるけれども、その経済的な目的、本来その法律に求められておる目的が、要するに定められた税率を定めることによっても何ら支障なく目的が達せられるという場合には、税率をここへ書かないで自動的に動くんだという表現をとったほうがいまの租税法定主義として好ましいか、ここに段階を二段なり三段なり設けることが、本来のこの税制をつくられた目的に対して支障なく行なえるといういまの客観的な事実の背景に立って、この二者選択をするという場合には、私は現在の租税法定主義上支障がなければ、段階を設けておいて、その適当な段階に、行政当局が必要な範囲に応じて、安定帯に一番適当とする部分を発動する。その差額はいまのように一円刻みで動くんでないということは畜産局長が明らかにしているわけです。二十円、三十円刻みで動くんだ。それならばそれで十分な処置である、私はこう考えますが、法制局のほうではどう考えますか、選択の問題だから。
#30
○吉國(一)政府委員 いま堀委員と太田畜産局長の質疑応答をわきから拝聴しておりましたが、これは政策論といたしまして、かりに二十円刻みで豚肉の価格が騰貴するかしないかというふうな問題であると仮定いたしまして、そういうことで実際上問題がないということが政策論として立証された場合には、いま堀委員の仰せられるように租税法定主義にかなうほうがもちろん法制としても適当であると言えると思います。
 ただ、先ほどの質疑応答をわきから伺っておりまして、これは四十二円という関税の額の幅の中で、二十円騰貴することはあるかもしれません。初めに十円騰貴してその次の日には二十円騰貴したというようなこともあるかもしれません。したがって、五%、一〇%の二段階にするのがいいのか、それともさらにまた細分するのがいいのかというような問題がまだ解きあかされないで残っているんじゃないか。そういうことを考えて、二十円幅で飛ぶということが恒常的に豚肉の性質上あると言えるならば格別でございますけれども、そういうことがなくて、初めの日は五円騰貴して、次には二十五円騰貴したとかあるいは十五円騰貴して、その次にはまた十五円騰貴したというような場合にどういうふうに対処するかということを考えますと、現在の法律の定めるように、これはいわば一円刻みか一銭刻みかわかりませんが、その間の幅を非常にこまかく政令に委任しているということになると思いますが、そういう前提に立って現在の法律は立法せられて、三十九年にこのような制定が行なわれたというふうに私考えております。
#31
○堀委員 畜産局長、いまのところが一番焦点になるようですから、豚肉の卸売り価格の実際の変化の資料を至急取り寄せて、一ぺん見せてもらいたいんですよ。あなたいまここで二十円ないし三十円刻みと言われたけれども、それはいま吉國さんの話ではそうならないかもしれないということなんで、実態がどうなっておるか。過去における実態が将来の推計のもとになるんだから、過去にないことをもって将来起こると予測する必要はないんですから、税法の場合には。そこで過去における実態をちょっとここで具体的に明らかにしてもらいたい。
#32
○太田政府委員 最近の動きを申し上げますと、たとえば……。
#33
○堀委員 値上がりのときですよ。その四百二十円をこえるような値上がりのときの実情です。
#34
○太田政府委員 御承知のとおり四十四年度は安定上位価格は四百十円であったわけです。そのときの実態に即して申し上げますと、十二月一日が、上肉で四百三十五円、八日が四百二十四円、十五日が四百五円……。
#35
○堀委員 ちょっと待ってください。もう一ぺん言ってください。
#36
○太田政府委員 一週間刻みで申し上げますと、十二月一日が四百三十五円でございます。安定上位価格をこえておったわけですね。八日が四百二十四円、それから十五日が四百五円、二十二日が四百十一円、四十五年一月に入りまして、六日が四百五円、十二日が四百……。
#37
○堀委員 いや、私は下がっておるほうを聞いているのじゃないのです。主たる問題は上がるほうに問題があるのです。もちろん下がるときも問題はありますが、上がるときと下がるときで問題があるので、この十一月に四百三十五円になる前はどうだったのでしょうか。
#38
○太田政府委員 十一月に、これで見てまいりますと、十一月四日、四百六十五円、十日が四百五十二円、十七日が四百二十九円、二十四日が四百三十二円、こういう状況でございます。
#39
○堀委員 いまのはまだ、十一月の四百六十五円からだから、すでにずっと下がりぎみのところですよ。いまの安定帯をこえて上がったところを知りたいのですよ。
#40
○中川政府委員 ちょっと食い違いがあるので、いまの価格というのは入ってくるCIF価格の上がり下がりを見ないと、市場価格で課税しているわけじゃないのですから、入ってくる業者との契約で、きょうはあの会社とはこうだという、会社によっても違うし、国によっても違う、その日によっても違うわけですから、いまの市場価格がどうなっているということとこの税金の問題とは直接関係ないので、その辺を詰めましても議論の判断にならぬのじゃなかろうか、こう思うわけでございます。CIF価格を対象にして税金をやるわけでございますから、市場価格がどうあるかということで詰めてみてもあまり、まるまる関係ないとは言いませんけれども、直接関係がないので……。
#41
○堀委員 それじゃ、過去のCIF価格を出してください。最近の高くなったときで、ここで発動しているんでしょう。四百六十五円にもなれば当然発動しているのだから、その当時のCIF価格をちゃんと一ぺん出してください。それが一週間刻みでどう動いているのか。
#42
○上林政府委員 おっしゃいますような、一週間刻みとか何とかいうような数字は手元にございませんけれども、具体的にこれを適用いたしますときには、肉の種類によりましてきまっておるわけでございますが、平均的な価格を申し上げますと、この当時は上位安定価格は、四十三年六月から四十四年三月までは三百九十円、四十四年四月から四十四年の十二月までは四百十円の時代でございまするけれども、その時代、時期ごとに申し上げますと、たとえば肩肉は四十三年六月から四十四年三月までは三百六十八円、平均単価でございます。それから四十四年四月から四十四年十二月までは四百三十四円でございます。それから……。
#43
○堀委員 ちょっと、いいです。いまのやつは議論の対象になるデータではないですね。いま政務次官がCIF価格だと言われた。それはそのとおりだ。しかし私は、CIF価格というものも、おそらくこちらのあれが上昇したときにかなり影響が、多少は需給の関係だからあるんじゃないかと思ったけれども、CIF価格の半年や一年の平均値をいま言ってもらったところで、いま私が議論をしようとしておる対象の問題には関係がない。
 そこで、実際にはこの時期には発動しておるんでしょうから、実際に発動した減免率というのはどういうかっこうで、それでは軽減税率が一体どうなったのか、実際に適用した税率をここで、旬月に幾ら入荷して、その分は幾らで、その至近の距離にあるやつは幾らで、どういうふうに変化したのか、軽減税率の中身をひとつ具体的に答えてください。あまり長いタームでやっちゃだめですよ。いまの話は動きをあれしておるのだから…、
#44
○上林政府委員 仕組み自体は、そのときのCIF価格プラス関税と上位安定価格の差額をやっておるわけでございます。それを日々あるいは週間ごとに資料を出せとおっしゃいましても、いまは手持ちの資料ございません。
 ただ、これもまた御趣旨に沿わないかもしれませんけれども、この制度を発動いたしましたのは四十三年六月から昨年の十二月三十一日までの一年半にわたりまして発動いたしました。その間の実績を申し上げますと、その間に約五万四千トンの豚肉につきまして緊急輸入をいたしまして、それにつきまして関税の減免額は約二十三億ということでございます。
#45
○堀委員 全然答えになりません。ひとつ私がいま必要としておる資料を直ちに整理をして……。この問題は、それがなければいまの吉國さんが言ったことの答えにならないわけです。それの客観的事実はあるわけだから、実際に輸入したときの軽減税率が、私はそんな一%、二%、三%ということになっていないのだと思うのです。実際にかなりの幅で動いていなかったら実態は処置がし得ていないと思うのです。実際にどういうふうに軽減税率が使われたかはあなたのほうの入関の手続の中に明らかになっているわけであります。それがなっていなければ軽減税率を適用することはできないのだから……。
#46
○中川政府委員 補足するようですが、これは率ではなくして、定額になるわけですね。四百四十二円に落ちつく、その上回った分を四十二円の範囲内で取る。これは四十二円取ってしまえばあとはゼロ%ですから、引きようがないわけです。すなわち四百六十二円が最高限度で、四百六十二円との間にいろいろな価格が、いろいろな国と、いろいろな会社とあるわけですから、その出た分だけを取っておるのであって、それが何%か、逆算しなければ出てこない、こういう性質のものだろうと思うのです。
#47
○堀委員 関税定率法には、なるほど金額で書いてあるものが確かにあります。何トンに対して幾ら、何キログラムに対して幾らと書いてあるものもあります。豚肉については関税定率法は一〇%ときめてあるわけです。だから、その適用は明らかにパーセンテージで行なわれなければおかしいのですよ。それは端数があろうとなかろうと、これはパーセンテージでなければあとは金額だというわけにはいきません。
#48
○中川政府委員 それに似た税率のかけ方としてトウモロコシの場合があるわけです。八円六十銭までは定額で取るわけですが、それから三十円を――安くなった場合には一つの方程式をかけて、これは額でもないし率でもない、もちろん率ではないわけです。こういう方法で取れという御承知の方法もとるわけです。ですからこれをとりますと金額で出てきて、逆算してこれは何%ということを計算しなければわからないという性質のものもあるわけです。
#49
○堀委員 いまのトウモロコシのやつを、ちょっとそこで法律をこまかく言ってください。それはある一つのルールに基づいてやると法律には書いてあるのでしょう。ここには書いてないのですよ。ただ軽減すると書いてある。一〇%上がって軽減するというなら、軽減は率でなければできぬように、かってに金額でやってよろしいということになっていないのです。いまのトウモロコシについては、ルールが、法律が定める額に基づいてやるのだから、それはそれでちっとも問題はないのです。
#50
○上林政府委員 おっしゃいますとおりに、トウモロコシの場合にはスライド関税になっておりますので、ここで御審議を願っておりますのは、そのCIF価格によりまして課税額自体が変わってまいるシステムになっております。ただし、確かにその場合は法律に明示してございます。ただ先ほどのお話でございまするけれども、豚肉の関税は一〇%でございます。ただしこういう要件を備えた場合には減免できる、こういうことになっておりまして減免をしておるわけでございます。その減免の額が輸入価格に応じましてきめられておるわけでございますので、一〇%の税率を幾らまける、その額の結果、差し引きの額が課税される、結果的にはおっしゃるように金額的課税がされる、こういうかっこうになっていくわけでございます。
 なお、先ほどの御質問に関連いたしますけれども、手元にございます資料自体といたしましては、その中から御参考になる資料があると思いますので申し上げるのでございますが、先ほど申し上げました五万四千トンの豚肉の緊急一輸入のうち、全部まけました例が五万三千トンございます。したがって大部分が一〇%まけた、あと千四百トンくらいのものが軽減措置の適用を受けた、こういう資料がございます。
#51
○堀委員 吉國さん、いまの答弁ではっきりしてきたことは、要するに五万三千トン近くですか、軽減したけれども、それだけは一〇%いったのですよ。いま私が議論しておる問題は、残っておるわずかのものが問題なのだけれども、私は、いまのいろいろな情勢から見て特に上がるのを防ぎたいということですから、上がるのを防ぎたいというときに、一週間出荷までに時間がかかるときに、その一週間前のCIF価格でそこできめる。それがパーになっているということは、上がっていくときには、それが市場に出るときには、もう安定帯をこえたと同じような結果になってくるのじゃないか、実際問題としては私はこう思うのですよ。だからそういうときには少し安い目のものを入れてやって、そのことがいまの上昇にブレーキをかける、それが緊急輸入の政策的目的なんで、安定帯そのままにしておいたことが一番いいんだということに、私は政策的には実はなっていないと思う。わずかな料金で――それはあまりこまかいことを言う必要はないかもしれないけれども、いまのいろいろな話の結果から見ると、大体五万三千トン余りが一〇%になるということは、現在すでに海外の肉の値段が高いということなんですよ。だから実際には輸入しても間に合わないところへ来ているのですよ。だから全部ぶっぱなしてなおかつ安定帯をこえていたというのですよ。この五万トン余りのものは実際にはこえているのではないんですか。そうでしょう、畜産局長。
#52
○太田政府委員 ちょうどわが国もビッグサイクルにございまして、いま関税局長がおっしゃいましたように四十三年から四十四年に非常に上昇したわけでありまして、たまたま輸入ソースが大体アメリカ、それから台湾、韓国に限られていて、アメリカが一番輸出力があるのであります。たまたまビッグサイクルの時期にも遭遇いたしておりまして、いま先生御指摘のように、必ずしもそう安い値段で買い付けができなかったということで、実ははなはだ不本意ではあったのですが、安定上位価格にまで到達するのにはかなり時間がかかった。実際の実勢価格は安定帯価格をこえて騰貴していた状態が続いた、こういう実態でございます。
#53
○堀委員 ですから吉國さん、政策的な問題としては、ほかとの関係で見ましてもあまり大きな問題は実はないのではないかと思うのです。だから私は、たとえば軽減を二一五%刻みにするか、幾らでもいいのですけれども、要するに対応できる範囲に区切ることはいまのいろいろな議論の結果から見て支障はないと思うのです。だからそういう支障がないのなら――いまのこれが違法だとは言いませんよ、違法だとは言わないけれども、憲法の定める租税法定主義に見合う制度をとって、なおかつそれが実態の運用上にあまり瑕疵がないというのであれば、やはりそれを選択することのほうが望ましい。これは議論の問題ですから、だからいますぐそうしろというのではないけれども、今後のいろいろなこういう軽減税率の問題を考えるときには、やはりものの考え方としては租税法定主義という考え方を確立した上で、なおかつそれに基づくときは非常に重大な支障があるということが明らかになる場合には、これは私も考えざるを得ないと思うのですけれども、どうもこの豚肉問題については、今日までの議論の中では、私はこの二・五%刻みの税率を一応書いておいて、そしてそれを適宜にどの税率かを発動することが重大な支障があるとは考えられないので、私は昨日以来、要するに租税法定主義の原則というものはやはりできるだけ守られるべきであるという議論を実はしてきたわけです。だからその場合に、いままでの議論の経過から見れば次長はどういうふうに判断されるか。いますぐ違法という話をしているのではないのですから、より適当かどうかという程度の話をしているのですから、それについての一つの判断を伺いたい。
#54
○吉國(一)政府委員 ただいまのお話しのように、租税法律主義の精神をできるだけ貫くようにという御趣旨はまことにそのとおりだと思います。租税法律主義の精神により近づけるような法制が可能な場合にはその法制をとるべきだ、それはもちろん当然だと思います。
#55
○堀委員 以上で一応この問題は終わります。ひとつどうか関税当局も、要するにものの考え方として、税率を書いても著しい支障のない場合には、今後軽減税率の問題についてもつとめて税率を書いて、その適用については、その情勢によって行政当局にまかすということについて私も異論はないのですけれども、そういう考え方でひとつ問題の処理をしてもらいたいということを要望しておきます。
 関税定率の最後の問題は、実は生糸の問題をちょっとやりたいと思うのです。実は関税定率の最後に少し論議をしておきたいことは、御承知の中国貿易との関係におけるKRの取り扱い上の問題であります。私どもKRができましたときに、中国との貿易について協定国並みに、あまり差別の取り扱いをしないようにしてもらいたいということを何回か述べてまいりましたし、そのことを政府も受けられて、今日まで中国貿易の問題についてはたいへん努力をされて、望ましいような形になってきておるわけでありますけれども、まだあと実は少し残存しておる品目があるわけであります。そこでこの残存品目は一体昨年度の輸入でどのくらいの額になっておるか。言うなれば差別が残されておるものの輸入量は昨年一体どのくらいになっておるのか、金額でわかれば金額で答えてください。
#56
○上林政府委員 四十三年実績につきまして申し上げますと、中共からの輸入品の品目数が五百八十五でございます。それから輸入金額は八百六億円でございますが、そのうち格差の解消がしておりませんものが十九品目でございまして、五十八億円でございます。おのおのパーセンテージにして申し上げますと、品目の場合が三・二%、金額で申しますと七・二%が格差未解消の状態でございます。
#57
○堀委員 いまの十九品目、価格で五十八億ですか、この中の生糸は一体価格で幾らになりましょうか。
#58
○上林政府委員 生糸につきましては、四十三年の中共からの輸入額は二十八億八千六百万円でございます。
#59
○堀委員 いまの二十八億というのは、いまの五十八億に見合う額ですか。
#60
○上林政府委員 さようでございます。
#61
○堀委員 そうすると、このあと残存十九品目が国内産業との関係でいろいろ問題があるのだろうと思うのですが、これはいずれもそういうことだけが理由になっておるのでしょうか。十九品目について、国内産業保護というほかに何か理由があるものがあるのでしょうか。
#62
○上林政府委員 おっしゃいますように、国内産業上の問題でこれを格差未解消のままに残しているわけでございます。御存じのように、中共の生糸は、これはわが国に次ぎます生糸の生産国でございますし、またその産品の価格も非常に安うございます。内外の価格差率から申しましても、過去の平均を見てみますと、韓国の場合は一一%程度でございますけれども、中共からの産品は二四、五%というような、非常に安い競争力を持った産品でもございますし、ただいまの日本の生糸の現状から見ますと、KR税率を均てんさしていきまするにつきましては相当の支障が考えられるということもございまして、そういう観点からこのような状態になっておるわけでございます。
#63
○堀委員 いまのその中共向けの場合は、そうすると生糸の場合は基本税率で一五%ですか。
#64
○上林政府委員 さようでございます。
#65
○堀委員 KRだと最終で七・五%まで下がる、こういうことになるわけですね。
 そこで、蚕糸局長にお伺いをいたしますが、韓国産の生糸のCIF価格といいますか、これは最近は大体、品種によるのでしょうから、どこか一つの品種をきめていただいて、一俵当たりというか、何かスタンダードで、これを韓国、国産それから中国ということでちょっとお答えをいただきたいのですけれども。私はいまの問題で、韓国の生糸の値段がはたしてこの七・五%のようなKR最終税率になって、日本の国産の生糸はどうなるのか、その関係を少し最初に聞いておきたいと思います。
#66
○荒勝政府委員 お答えいたします。
 原則的に申し上げますと、過去の例で例をとりますと、中共産のほうが韓国の生糸よりもやはり若干安くなっております。
 具体的に数字で御返事申し上げますと、たとえば、関税とか諸掛かりを全然入れずにCIF価格だけで年平均にとりますと、生糸二十一中の二A格を一応標準的なものとしてとりますと、中共生糸は、四十一年で四千七百七円、四十二年の平均で五千六十六円、四十三年で五千五百八十一円、四十四年で五千三百八十六円というふうになっています。それに対比いたしまして韓国の生糸は、四十一年が五千百三十五円、四十二年が五千九百六十二円、四十三年が六千五百二円、四十四年が五千六百三十五円というふうに、若干高くなっておりまして、さらに、それに日本の生糸の時の相場を対比いたしますと、日本の生糸は、四十一年が六千二百六十一円、四十二年が七千四百九十九円、四十三年が六千八百三十五円、四十四年が六千五百九十八円、こういうふうになっております。
#67
○堀委員 いまの価格を伺って非常にはっきりしてきたことは、私は当然そうだと思うのですけれども、日本のいまの所得水準は非常に高くなっているわけですから、たとえ生糸にしろ、そこに投入される労働力というものは、中国なり韓国の労働力の対価とはとうてい比べものにならないぐらい高い対価を投入しなければならぬと思うのです。そうなると、これは品質の問題があるのでしょうが、ともかく私は、長期的方向を考えてみると、やはりもう国内で生糸をつくっていくということは、日本の農業をレベルアップしていくためには必ずしも有効適切な問題ではないのではないか。幾ら関税をかけてみてもどうしてみても、大体相当な価格差の開きが見られるわけで、著しいときは、四十二年なんかを見ますと、韓国のCIF価格と比べても千五百円近くも差があるというのは、私これは当然なことだろうと思うのです。
 そうすると、最初にちょっと伺いたいのは、農林省は日本のいわゆる蚕業、繭業といいますか、それは今後どういうふうに指導をしていくという考えに立っておられますか。
#68
○荒勝政府委員 ただいま農林省といたしましては、いわゆる総合農政というものを展開いたしておりまして、特に昨年からことしにかけまして米が非常に過剰になったということで、稲作転換ということでいま国会でもいろいろ御審議いただいておる最中でございますが、そういう中で、ことしも相当、全体で三十五万ヘクタール相当分の米が余るということで、その分をいかなる作物に転換するかということにつきまして、現在非常に検討中でございます。
 その中で、農林省の中で議論しておりますいまの方向といたしましては、私の局も含めまして、いま畜産と果樹と養蚕と、こういったものはまだまだ国民の需要は相当強い、こういうことで、特に私の局といたしましては、果樹とこの養蚕につきましては、今後さらに一そう力を入れてまいりたい。
 特に一言つけ加えさしていただきますと、養蚕につきましては、ただいま御指摘もございましたが、中共産あるいは韓国産の生糸も徐々に国内に入っておりますが、主として洋服生地、洋服用に使われておりまして、日本の生糸でないと国内における着物の需要には適さない品質上の格差もございます。逐次、今後まだ国民所得の向上に伴いまして着物に対する需要は非常に強い、まだ相当増産しても今後需要は伸びる、こう見ておりますので、大いにことし以降増産につとめてまいりたい。ただし、その際、こういう外国産生糸との競合、価格における競争関係もございますので、これにつきましては、今後さらに省力的な、いわゆる大型な近代的な桑園で繭の専業農家を育成していけば十分太刀打ちできる。いままでのような副業的な養蚕では成り立たないかもわかりませんが、専業養蚕で大規模な桑園を前提にして生糸生産を行なえば、なお今後十分採算が立つもの、こういうふうに理解しておる次第でございます。
#69
○堀委員 通産省、入っていますね。ちょっといまの問題で……。
 私も日本の生糸の質がいいということは承知をしておるわけですが、いま農林省から言われたように、輸入のものというのは和服用にはほとんど使われないで、もっぱら洋服生地。洋服生地というのは、おそらく婦人用洋服生地なんでしょうけれども、それの使途については通産省はどういうふうに把握をしていますか。
#70
○室谷説明員 中共産の生糸につきましては、最近中共の生糸の品質の向上によって日本の水準に接近しつつあるようでございますが、和服用ということになりますと、和服の品質のいかんによりましていろいろでございまして、特に高級のものにつきましてはやはり日本産がほとんど使われておるというように聞いております。
#71
○堀委員 ちょっと農林省に伺いたいのですけれども、生糸の品質の中身ですね。韓国からの輸入は二十一デニールの二Aというのが一番多くて、その次はAで、その次が三Aというのが一番多いのですが、そういう品質というのは本来、あなたがいまおっしゃったように、和服用の絹織物よりも洋服生地の絹織物のほうに向いているということなんでしょうか、そこらをちょっと伺いたいのです。
#72
○荒勝政府委員 端的に申しますと、私も、この絹織物といいますか、織物行政のほうを担当しておりませんので深くわかりませんが、どうもやはり日本の機屋さんは昔から使いなれた生糸に非常に関心が強い。われわれふだんつき合っております丹後ちりめんあるいは長浜のちりめんあるいは石川県方面のりんず、いわゆる日本でいう高級和服ものをつくっております業者の方々あるいは機屋の方々はやはり使いなれたものがいいと言いまして、中共ものあるいは韓国ものであって二A格のものであってもお使いになりたがらない。やはり従来からの国産の生糸を使いたがられる。同じ二A格あるいは一A格――Aが多くなるほど生糸としては品質がいいので、四A格というものは非常に高級ものといわれておりますが、そういうのは蚕糸局の生糸検査所で検査した限りでは品質に関係はないのですけれども、機屋さんの織り方のノーハウと申しますか、そういう熟練の関係から申しますとやはり国内産のほうが使いやすいということで、自然と新しい洋服地のほうなんかは、従来のいわゆる職人的な方向でない新しい機屋さんは輸入ものもお使いになっておられるようですけれども、伝統的な機屋さんはどうもお使いにならない、こういうふうに理解しております。
#73
○堀委員 政務次官、いま私がずっと議論してきたことをお聞きになったらよくわかると思うのですが、要するに国内産の生糸の値段が輸入ものに比べて、関税をかけた程度では競争にならないほど実態は実は格差があるのですね。なぜこれだけ格差があって国内のものがけっこうやっていけるかといえば、それはいまのように消費の様態が非常に違うということですね。国産の消費様態のものと輸入ものの消費の部分が非常に違う。ということは、なるほど蚕業保護という観点がありましても、実はそれがこう入り乱れて、ストレートにオープンなマーケットで競争するということに実はなっていない。もしそうであるとするならば、生糸の用途別のものが関税を、要するに韓国のものと中国のものとを同じKRの七・五%に持ってきても、それは中国と韓国の生糸間における競争はあるかと思いますけれども、ほんとうの国内市場における主たる部分との競争にはあまりならないんじゃないかと、私はいまの話から大体推測できるわけです。そうすると、最近のいろいろな需要の動向から見れば、物価の面もあることですから、中国産の生糸もある時期にはひとつ協定国並みのKRの処置をとることによって、より安い生糸の輸入をされることが韓国産との間における競争によって、韓国産のものが高くなりにくくなるという一つの競争原則がここで生まれてくるんじゃないか。
 だから、輸入品目についてある程度高くして保護をしなければならぬというのは、オープンマーケットの中における同質の競争の問題があれば別だけれども、いまの話のような情勢になっておるとするならば、私はそのことによって国内におけるそういう、どちらかというと高級でないもの、一般の国民消費に使われるような式の新しい機屋さん、ということはどちらかといえば大量生産の側になっていると思うのですよ。大量生産、いわゆる手工業的なものはこれは別のいいものを使うのだから、そうでない大量生産的なものに安い生糸を供給するということは、これは私は物価対策からも一つの必要な問題ではないかと思うし、おそらくそういうものは絹織物としての輸出にも関係があるのではないか、こういうふうな感じがしますので、そこらの問題を含めると、これは絹織物だけの問題ではありませんが、いますぐになるかどうかは別としても、ある時期にはそういう韓国製品の価格等をもにらみながら、やはり私は中国の問題も、一五%をあと七・五%にするのはそんな大きな関税の幅でもないと思うものですから、ここらも検討の余地がある、こういうふうに考えるのです。今後の問題の方向として、今後中国貿易をできるだけ広げていくためには、やはりそういう差別をしないということが、これは品目上の問題だけではなくて、中国貿易拡大に非常に役に立つ重要な問題だと思うので、その点についての政務次官の判断を承りたいと思います。
#74
○中川政府委員 日本の農業が持つ特色として、生糸もその代表的なものですが、外国に比べて非常に割り高である。外国に比べて割り安なものをあげろといったらあげられないくらい、みなそれぞれ悩みを持っているわけです。
 そこで、生糸の御意見でありますが、国内蚕業との競争において、品質あるいは利用面からいってそれほど競合はないではないかという御意見でありますが、この辺はもう少し詰めてみなければわからぬことじゃないか。御意見のように国内ものと競争がないということがはっきりしてくるならば、当然意地悪的なことをやる必要はないのではないか、そういう方向に持っていくべきだろう。ただ中国には非常な潜在能力というか、生糸についてはたいへんなあれを持っておる国でありますから、この辺もにらみ合わせながら、国内保護が貫けるならばそういう方向に持っていくことはやぶさかでないであろう、このように思います。
#75
○堀委員 蚕糸局の資料を拝見しますと、中国の生糸は昭和四十四年中に一万八千二百七十三コリ入っておるようですね。しかしそれは、見ますと非常に品目についてばらつきがあるわけですね。おそらくこのことは、いま確かに中国の生糸生産に潜在力があるということなんでしょうが、非常に生産そのものが、地域なり置かれておる情勢、非常に大きな国だから、そこでこういう非常に大きなばらつきがあって、十四デニールがあり、二十一から二十八デニール、もうずっと太い糸まで非常にばらつきのたくさんある製品の輸入に実はなっているわけですね。韓国の場合はこれに比べるとぐんと実は幅が狭いんですね。韓国の輸入が一万六千九百四十八コリということになっていて、韓国と中国の輸入の状態を見ると、韓国産のものといえどもさっきの価格から見れば国産品との間にはだいぶん格差がある。そのほうは七・五%で中国だけの分は一五%でなければならぬという問題はやはりちょっと問題がある。そういうやり方をすることは、要するに韓国だから特別の処置をしておるというふうに理解をされる。これが同じなら問題ないですよ。韓国も一五%中国も一五%なら、国内産業保護という観点だけからこの問題が処理できる。他の品目については協定国並みにしておるんだから、ここまで協定国並みの品目をふやしてきた今日、そういう客観的な諸情勢をにらみ合わせてみると、ただ単に国内産業保護という問題だけではない感じが残るから、その点については、もし重要な支障がなければ、できるだけすみやかにこのような差別を撤廃するということが、私はやはり中国問題の前進につながるのではないか、こう考えておるわけです。それは客観的ないろいろな問題がありましょう。ありましょうけれども、少なくとも今日のこれらのデータの示しておることは、いまの蚕糸局なり通産省が答えておることを見ますれば、私はそろそろこの問題も具体的な課題にしていい時期が来るのではないか、こう思いますので、その点はひとつ、今回もすでに中国向けについては改善がされておりますからけっこうだと思うのですが、来年度、より前向きに、生糸の問題を含めて、あとのこまかい品目については取り上げるほどの時間もありませんが、善処を特に要望しておきたいと思います。政務次官いかがでしょう。
#76
○中川政府委員 お説のとおりに私も考えます。決して意地悪じゃなくて、ことしも御指摘のとおりかなり幅を広げてまいりました。今後国内産業ということに頭を向けつつ、前向きで検討してまいりたいと思います。
#77
○毛利委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
 午後一時三十分再開することとして、暫時休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時五十六分開議
#78
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#79
○堀委員 今回の所得税法の改正につきましては、ここに出されておりますものは減税の法案でありますから、出されておりますもの自体の中に必ずしも大きい問題があるわけじゃありませんが、その背景になっておる問題の中で少し問題を取り上げて大臣の所信を伺いたい、こう考えるわけであります。
 そこで、まず一番重要な現在の経済上の問題は、何と申しましても物価が異常に上昇をしておるという問題であります。昭和四十四年度は大体六%程度の物価上昇に相なったというふうに思うのでありますけれども、この六%というような異常な物価上昇が所得の実質的な増加をはばんでおるということも、これは大臣も十分御承知いただけることだと思うのであります。
 そこで、いま所得税の税収見積もりを主税当局がしておりますのを見ますと、給与の伸びを一四%と実は見込んでいるわけであります。ところが物価の上昇が六%あるということは、実質給与の伸びは七一五四%しかないというのが現実の姿になっております。ところが一人当たりの課税額を見てみますと、昭和四十四年度は四万九千五百円で、これが昭和四十五年度には五万四千六百円ということになりまして、この一人当たりの課税額の伸び率というのは実に一〇・三%に達しているのであります。こう見ますと、実は実質給与の伸びが七・五%しかない、そのときに税のほうは一〇・三%も増加をしておる。これはもちろん現在の税の弾性値が累進税率のもとにほぼ二に近いような形になっておるところに問題があるわけではありますけれども、この姿から見ると、実はこの物価上昇というものを十分に吸収し得ない現在の減税の姿というのがはっきりしておるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
 そこで、最初にちょっと事務当局にお伺いをいたしますが、昭和四十五年度において、この物価調整のために必要な減税分というものの金額は、理論的には大体幾らになるのか、お答えをいただきたいと思います。
#80
○細見政府委員 消費者物価が経済見通しに述べられておりますとおりの四・八%の値上がりであるといたしますと、約五百三十億くらいになろうかと思います。
#81
○堀委員 もちろん四・八%というのはいまの経済見通しのあれでありますが、かりにこれが四十四年度と同じように六%上がったとしたらどのくらいになりますか。
#82
○細見政府委員 非常に仮の数字でございますので、一応の数字としてお聞き取り願いたいと思いますが、七百二十億程度ではなかろうかと思います。
#83
○堀委員 この七百二十億というのは、平年度ベース七百二十億ですか、初年度ベース七百二十億ですか。
#84
○細見政府委員 初年度ベースでございます。
#85
○堀委員 そうしますと、昭和四十五年度の初年度ベースの所得税の減税は二千四百六十一億ですね。ですから、ここから七百二十億が落ちるとすれば、大体実質千七百億程度の減税が行なわれた。物価が六%になるかどうかは今後の問題でありますが、もう最近の情勢から見ると、まず六%程度は昭和四十五年度も避けられないのではないかという判断を私はしておるわけであります。その限りでは、実は本年度の自然増収の大きさから見ると、やはり私は、所得税減税がもう少し行ない得るのではないのか。特に昨年度の場合、一昨日も春日さんが尋ねていたわけでありますが、補正財源に含んだ昭和四十四年度の自然増収と、あとでさらに国債減額に充てるものを合わせれば、約二千四百億程度の予算後の自然増収があったということになりますと、それでは昭和四十五年度に予算後の自然増収が一体どれだけ出るかは、今後の経済の推移によらなければなりませんけれども、どうも私は今年度も最低千五百億円から二千億円内外というところは狂わないのではないか、こういう判断をしておるわけであります。
 そこで大臣にお伺いしたいのでありますが、補正後に出ましたあとの三百数十億円というものは、結果としては国債減額に充てられるというのが最近の例年の傾向でありますが、昭和四十五年度の場合には、当初の国債依存率も非常に低くなってきておる関係からすれば、予算後における自然増収の使途については、いまのような物価上昇等にらみ合わせるならば、国債の減額ではなくて、なおその一部を減税に振り向けることも可能なのではないか、私はこういう感じがしておるわけであります。もちろん国債を減額することも意味がありますが、同時に、やはり物価上昇との関係から見て、私がこれから述べます、われわれの提案のいろいろな財源として、場合によっては年度内にも、財源がある場合には考慮の余地もあるのではないかという気持ちがあるのであります。一般論、原則論的に、これは先のことですから出てみなければわかりませんけれども、予算後の自然増収が千五百億ないし二千億内外あった場合には、その一部をもって充てられるという配慮も必要ではないかと思いますが、大臣、その点はいかがですか。
#86
○福田国務大臣 きのう主税局長から御報告申し上げましたように、ことしは三百億程度の自然増収があろうかと思います。それは歳出の節約、不用額、そういうことを考えております。さらにそれとあわせまして、いま国債の発行額が、未発行のまま残っておるのが三百八十億くらいありますが、その発行を取りやめるというふうにいたしたいと思います。
 それから、昭和四十五年度にかりに自然増収があるというような事態になりましたらどうなるか。私は昭和四十五年度という年は非常に見通しがむずかしいので、おそらく法人税なんかにはそう前途楽観を許さざるものがあるのではなかろうか、そういうふうに見ておるわけでありますが、仮定の議論として、かりに自然増収が出てきたらどうするかということになりますと、ことしも何とかして国債の発行額を減らしたいものだ。つまり、いま財政全体として、所得配分ということもありますけれども、しかし同時に、景気調整ということを旨として考えなければならぬ、そういう時期でありますので、何とかして国債の発行を取りやめるということに充てたい、原則論としてはそう考えておるわけであります。
#87
○堀委員 いまの総需要抑制という問題から見て国債の減額とおっしゃったのですが、その場合に、所得税の減税にもし回るならばそれが直ちに消費に回ると考えるのは、私は必ずしも適切ではないのではないかという気持ちがするわけです。それはなぜかと言いますと、要するに国民の貯蓄性向の問題は、一つは多分に可処分所得の増加に関係があるわけですね。ですからこの際は、それが消費に回るかあるいは貯蓄に回るかというところは、私は減税そのものの性格のあり方にも関係があるのだろうと思います。
 そこで、かりに国債を減額したときにはどうなるかといえば、実はそれだけ市中の民間の資金は余裕ができるわけですね。ことし三百八十億ですか、全部ができるかどうかわかりませんが、それだけここで国債を発行しなければ、言うなれば本来それは揚げ超になるべきものが相対的に散超のかっこうになって、民間資金はそれだけゆとりができる。そのことは、現在金融の引き締めをしておる際には実は逆の効果になっていくことは間違いがありませんし、それだけ設備資金等をゆるめるということになりかねないというふうに思いますから、総需要の観点からだけ見ますと、国債を減額することのほうが所得税の減税よりは総需要の抑制に効果があるかどうかという点については多少問題があろう。もちろん日本銀行がオペレーションで吸い上げたりいろいろしますから、まるまるその問題がそうなるとは限りませんけれども、しかし当然市中から吸い上げるものがそれだけ市中に残るわけでありますから、その点は減税をしたものがどれだけ貯蓄に回るかということの関連において見なければなりませんけれども、経済効果としては、いまおっしゃったように、国債の減額のほうが総需要の抑制に効果的であるかどうかという点にはやや疑問があると私は思うのであります。
 それはそこまでにいたしまして、そこで私がこれからぜひ申し上げたいことは、実は課税最低限をずっと調べてみますと、昭和四十五年度には、初年度分と昨年とを比べてみますと、独身者の場合は課税最低限が九千八百六十三円引き上げられまして、その引き上げ幅は二・九九%にしか当たりません。夫婦二人の場合には、課税最低限が一万九千六百五十七円引き上げられまして、この比率は三・五七%になります。夫婦と子供一人になると、課税最低限の動きは三万四千六百二十一円引き上げられて、その比率は五・〇八%であります。夫婦、子二人になると五万八千五百八十六円課税最低限が引き上げられて、その比率は七・二五%で、ここが実は一番大きい比率になるわけであります。夫婦子三人になると、引き上げ額は六万六千五百六十七円でありますが、しかし相対的の引き上げ率が七・一一%ということで、実は四人家族のところが今度の課税最低限の引き上げ率は最高になるのであります。
 そこで、これをずらっと見て感じるのでありますけれども、どうも最近の傾向は、実は大体一万円程度の基礎控除分だけしか独身者の減税にははね返らない。その他は、配偶者控除なり扶養者控除はかなり大幅に引き上げられておりますから、家族を構成しておるものは減税の恩典が相当にあるわけでありますけれども、独身者の場合には基礎控除の一万円しかないというのが現在の姿ではないかと思うのであります。ところが、主税局の資料によりますと、有配偶者の割合というものを出しておりますけれども、それで見ますと、昭和四十五年度は三九%が有配偶者だとなっております。裏返せば六一%は独身者だということですね。そうすると、国の税収の六割を負担をしておるものが原則的には――もちろんこの配偶者のない人の中には扶養家族のある者がありましょうが、それが一体どれだけあるかはあとで聞きます。少なくとも納税者の六割は独身者であって、そのうちのかなりの有扶養者でないもの、単身の独身者についてはわずか一万円しかこの際所得税の減税が行なわれてないということは、私は、減税全体の面から見て少しバランスを失しておるのではないかという感じがするわけであります。
 そこで、主税局にお答えを願いたいのですが、このいまのを裏返していえば、無配偶者六一%の中の単身者と扶養家族のある者というのは、一体幾らくらいの比率になっていますか。
#88
○細見政府委員 いまの数字を細分してどう振り分けるかという点は、実はたいへん困難なことでありますが、別の表で、扶養親族がゼロの人というのが統計であるわけであります。これはまさに文字どおりの独身者であると考えますと、このほうが五三・六%、人員で千二百七十六万ということで、いまおっしゃった七〇%近い数字とは若干少なくなっておるようであります。
#89
○堀委員 いまの答弁によりますと、昭和四十五年度に大蔵省の見込んだ配偶者のない者六一%のうち約五三%というのはほんとうの単身者だ。要するに納税者の半分というのは、実はことしの税制の中ではわずか一万円の基礎控除の恩典に浴しただけだということが、この事実からはっきり明らかになってきたと思います。
 そこで、私は、まず税というのは何と申しましても公平の原則というものが非常に重要ではないか、こういう考えを持っておるわけでありますが、その際、納税者の半ばを上回るものは一万円しか減税をされていない。そうすると、千二百七十六万が五三・六%ですから、これが一万円の減税というと幾らになりますか。
#90
○細見政府委員 税率が違いますので税額としてなかなか算定はできないと思いますが、所得は千二百七十何万に一万円かけただけの所得が落ちる。そこで、議論を申し上げちゃいかぬのかもしれませんが、確かにことしの引き上げは独身者、特に課税最低限ぎりぎりの独身者にとっては一万円ということになろうかとも思いますけれども、四十年から四十五年までの推移で見てみますと、年率一一%の割合で課税最低限は引き上げられておりまして、夫婦子二人が一二・八%でありますとか、夫婦子三人が一三・〇%でありますとかいうものと比べましても、そう見劣りする数字ではないと思います。
 なおこの際申し上げておきたいと思いますのは、御承知の教育費控除という議論が非常に活発にございまして、この教育費控除を認めろという御意見に対して、税制調査会のほうでは、そういう控除を認めるのは適当でなくて、扶養控除を大幅に引き上げてこれに対処すべきだということで教育費控除という要請をいれるとこういうふうに夫婦子三人のほうに高い率になってまいる。
 なお、事務的なことを参考に申し上げてみますと、日本でかりに独身者を一〇〇といたしまして、夫婦子三人の課税最低限は四〇〇というような形になります。なおついでに全部申し上げてみますと、夫婦でありますと二〇〇、夫婦子一人でありますと二六七、夫婦子二人が三三三、夫婦子三人が四〇〇という形になります。たとえばこれをアメリカなどで見てまいりますと、独身者一〇〇といたしまして夫婦二〇〇、これは二分二乗といいますか、同額控除になっておりますから二〇〇、夫婦子一人が三〇〇、夫婦子二人が四〇〇、つまり同額でございますので、夫婦子三人が五〇〇というような形になっております。西ドイツを見ましても、同じ独身者を一〇〇にいたしまして夫婦は二〇〇、夫婦子一人が二七一、夫婦子二人は三七一、夫婦子三人は四七九というようなことで、まだ日本の多人数家族のほうが、もし国際比較が簡単にできるといたしますれば、相対的にはまだ恵まれていない。そういうような点を税制調査会でもとらえられまして、多人数家族のほうに重点を置いた減税、特に教育費の問題その他があるのだから多人数家族のほうに重点を置くべきだというのが、ここ二、三年の御議論でございます。したがいまして、ここ一、二年の税制をごらんになれば、何かいかにも独身者にというような感じはいたしますが、長い目でごらん願えばまだ、国際水準から特に独身者を冷遇しておる――あるいは全体が冷遇されておるのかもしれませんが、独身者だけを冷遇しておるということはないと思います。
#91
○堀委員 いまの問題は単純に独身者と家族持ちを比較するのには実は問題があると思うのです。それはなぜかというと、課税最低限のあり方に一つは問題があるのであって、要するに、独身者といえどもある程度の高い所得から始まるのならば、これは私は問題がないと思うのです。日本の場合には、今度の課税最低限で独身者は三十三万八千六百三十七円ということであります。ですから、もしこれを、給料を十八カ月で割ると月に二万円に足りない給料になるわけです。だから一体、現在、ことしの場合には中卒の初任給賃金がおそらく二万円少しこえるのではないか。昨年は一万七千六百円でありますから、金の卵といわれておる中卒の初任給与は、この四月ではおそらく二万円を上回るのじゃないか。そうすれば、もう中卒でことしは所得税を納めなければならぬという事態になる。ですから、これは一ぺん調査をぜひお願いしたいと思うのです。あとの問題に関連がありますが、いまのこの単身者千二百七十六万の中で、満二十歳以下が一体どのくらいあるかということを実は一ぺん調査してもらいたいと思うのです。現在推計で答えられますか。
#92
○細見政府委員 推計でお答えするのには少し数字が、資料が整っておらない感じで、これは各源泉徴収義務者に個々にお伺いしないと、各企業それぞれ年齢構成も違っておりますので、一回では推計ができないだろうと思います。ただ労働省のほうに未成年者の労働力調査のようなものはございます。しかし、それをこちらに持ってきて推計していいかどうかは、かなり技術的にも問題があろうかと思っております。
#93
○堀委員 どちらにしましても、大臣、さっきのように、確かに諸外国との比率では、相対的に日本の独身者のほうが率がいいように見えております。私は何も独身者を引き上げて家族持ちを減らせと、こういう発想でものを言っておるわけではありません。ただしかし何にしても、最近の昭和四十年から四十五年までをとってみますと、この間で約六五%程度、いまのは年率に直してありましたが、六五%程度、夫婦者が七〇%、その上が八〇%程度と、確かにこの五年間で見ると、四十年から毎年前段のほうに、非常に実は独身者の税率が下がっておると思いますけれども、後段が全然この二年間ほど下がらない、こういうことになってきておるわけですね。二年も続けて全然これが下がらなかったというところから見ても、まず一般的にいって、下のほうの独身者問題ですね、いわゆる結婚をしていない独身者の問題については、私は、かなり問題がある、こういうふうに考えるわけであります。これが第一点です。
 それから第二点は、結婚をしておった、妻をなくした独身者という問題が一つありますね。本来、妻がおれば家計が妻によってささえられておるものが、妻がいないということになれば――特にこの間、私はちょっとテレビを見ていて、小学校六年生の女の子が、おかあさんがなくなったために約半年間ですか学校を休んで、小さい生まれたての子供と幼児のめんどう見ながら家事を手伝った。しかし、それだけではどうにもならないので父親も会社を休んでいたというのを、テレビでちょっと見たことがあるのですが、こういう場合にはまさにそういうことになりかねない。そういう場合に、しかし現在の税制は、本年度でも扶養控除の第一子が十二万が十三万に、一万円だけメリットがあるだけで、これもどうも必ずしも十分な配慮がされているように思えない。
 これらを考えてみると、まず少なくとも来年度においては、何らかひとつ独身者に対する問題というのは、いまの未成年の勤労青少年の問題、それからその次に、独身者としての、未婚者に対する取り扱いの問題、それから既婚者であって独身者になった者の取り扱いと、問題は三段階に分かれますけれども、これらについて何らかの配慮は必要である、こう考えますが、大臣、どうでしょう。これらの三つの問題、独身者課税の問題について。
#94
○福田国務大臣 独身者につきましては、いまお話がありましたように、今回の税制改正を見ますと配慮が薄いんじゃないかという御印象になるかと思います。しかし、いま主税局長から答弁がありましたように、最近数年間控除を引き上げてきた、最低限度を引き上げてきた、これら全体を通じてみるとかなり厚いことになっておるわけです。サラリーマンについて見ましても、定率、定額、こういうものを加えますとかなりの控除になるわけでございます。五十万円の場合には十八万円の控除ということになります。八十万円では二十四万円控除、こういうことになるわけで、まあ今後のことは今後のことといたしまして、今回、大体御承知のように子供のある家庭ですね、このことが長い間配慮されてこなかった、そういうようなことが、いま御指摘のように四人家族、これがピークとなるという結果になっておりますが、数年間を通じてごらん願いますと、これらと大体権衡がとれているところに来ておるのではあるまいか、そういう所感でございます。
#95
○堀委員 ですから、ことしは確かに不十分なんですが、すでにこれ二年続きですね。昨年とことしが二年続きで、実は基礎控除の一万円しかあれしてない。それは、私がさっき申し上げましたように、四十年、四十一年、四十二年、四十三年のところがわりに独身者が厚かったのですが、この手前のところ二年間が薄いのだから、しかし三年目あたりにはやはり当然何らかの配慮をしなければ、これはバランスを失することになってくるのではないだろうか、こういう感じがするわけであります。
 そこで、いまこういう問題が一つあると思うのでありますけれども、一体、一人当たりの平均課税額というのが、主税局の発表では昭和四十五年度は五万四千六百円、こういうことになっているわけですね。この五万四千六百円というのを独身、夫婦、夫婦子一人、子二人、子三人というところが、大体どのくらいの収入のところでこの平均へくるのかというのを、ちょっと私なりに大ざっぱに概算をしてみますと、独身者の場合には大体百万円のところでこの五万四千六百円の近くにくる。夫婦二人になると、百十万円、夫婦子一人になると百三十万円、夫婦子二人で約百四十五万円くらい、夫婦子三人で百六十万円と、こういうところが要するに平均値のところへくるわけですね。ですから、この平均値というのは、一体何を意味するかといえば、要するにこの下に半分があるということですね。大体この所得から下の層で半分の税金を――これは各階層、扶養家族別でいまこういうのを申し上げたわけですが、そうしてみると、やはり独身者というものが相当広い範囲で日本の課税を負担しておるということ、さっきの五三%がその税を負担しておるということを側面的にやはり立証しておる。わりに低額の所得者で広く日本の税をささえておるということだけが、非常にこれで明らかになっておると思います。
 やはり私は、この点は今後の税制改正の方向として見れば応能負担という考え方、所得税の原則から見るならば、やはり所得階層の多い者ができるだけ負担をしながら、少なくとも中学校を卒業して働いておる者から税金を取るようなことは、これはやはり避けるべきじゃないだろうか。中学校卒業といいますと現在は何歳になりますかね、十六歳ですか、十六歳くらいでしょうね。ですから、十六歳くらいで家庭が貧しいためにつとめに出る、すぐ税金を取られるというのは、ややあまりにも酷ではないのかという感じがいたしますので、これらの点についてもう一ぺん、ものの考え方として、やはりまず第一点のそういう中学卒業者の課税、要するに勤労青少年の課税の問題は、未成年の課税の問題は、これは検討に値する要素があるのではないか。まず分けて伺いますが、この点いかがでしょうか。
#96
○福田国務大臣 いろいろ伺いましたが、分けて申し上げますと、独身者につきましてはただいまおっしゃったとおりですが、未成年者につきましては、これは非常にむずかしい議論になると思うのです。未成年といえども所得がある人、これを放置して一体いいのか、こういう問題ですね。まあ、その人がその同じ時期に学校に行っておるという場合に、一体それとの感情上の問題をどういうふうに清算するか、とか、いろいろむずかしい問題があるように思います。いまとにかく所得のあるところは課税の対象となってもらう、こういうたてまえでやっておりますが、非常に複雑、デリケートな問題かと思います。今後もいろいろ検討してみますが、検討の材料を与えていただいた、こういうふうにひとつ御理解を願いたいと思います。
#97
○堀委員 主税局長に伺いますが、地方税ではたしか未成年者は非課税になっておると思います。これはなぜ非課税にしておるのでしょう。
#98
○細見政府委員 御承知のように、地方税の現在の住民税割りというのは、昔の戸数割り的な思想がありまして、これには世帯課税という色が非常に濃かったわけでありまして、未成年者というのは世帯を持たないだろうというようなことで、多分に伝統的な問題でございます。
 それからなお、よけいなことかもしれませんが、先ほど日本の所得税は低額層に非常に重い負担をかけておるのじゃないかというお話でございましたので、事実だけを申し上げておきます一昭和三十五年から昭和四十四年までの間に給与所得者の納税者が約一千万ふえております。そのうち所得百万円以上のところが六百七十万、つまり六七%、それから百万円以下のところは三百十万で約三一%、こういう形で、つまり課税最低限を引き上げていった形、あるいは扶養控除なり配偶者控除を大きくしていく形で、収入金額の低い階層というのはかなり顕著に減ってきておる、所得税の構造としてはかなり上位へシフトしておる、これは事実でございますので、申し上げておきたいと思います。
#99
○堀委員 それは、いまあなたの触れられたように、配偶者控除、扶養者控除が大幅になってきましたから、確かにそこへシフトしている分があるのです。しかし私が最初から指摘しておりますように、独身課税三%、九千八百六十三円という問題は、この中には、さっきあなたが触れたように純粋の単身者、要するに未婚者であるところの新卒者及びその後数年間というものが相当大幅にあることもまた間違いのない事実でありますから、それは見る側面によって実はそういう理解が成り立つということをちょっとここで明らかにしておかなければならぬと思うのです。
 そこで大臣、地方税は、なるほど沿革もありますし、いろいろ考え方もありますが、いま非課税になっていますね。地方税の住民税が、確かに沿革はあっても、いまは住民税なんですから。その住民税が非課税で、国税は所得があるからまるまる取るんだというところには、やはり検討の余地は十分あるのではないか。やはり国の税制の中の一部分であります。地方税も体系としてはその一部分でありますから、この点につきましてはその取り扱いのしかたをどうするか。もちろん独身の若い人といえども、あるいはいまのマスコミの上に乗って巨額な収入のある者もありましょう。ですから私どもは、そういう例外的なものはそういう何らかの所得制限が当然あってしかるべきだと思いますが、少なくとも勤労未成年である者についての何らかの配慮をここではひとつ考えてもらいたい。
 それからもう一つの、さっきの妻をなくした扶養家族だけの場合ですね。この場合には人手を借りなければなかなか家事の運営もできないという問題があろうかというふうな感じがするわけであります。その点についてはせめていまの配偶者控除に準じて――第一子の扶養控除の十二万円というのを十三万円に、一万円だけ認めておるというのは、ちょっとこの一万円というのは何ぞや、これから聞きましょう。一体長子一万円ふやしたというのは何ですか。これは大臣より局長にひとつ……。
#100
○細見政府委員 配偶者がないことに伴いまして、家計上いろいろな支出が多かろうという点を配慮したものであります。
#101
○堀委員 その配慮が一万円ということですな。要するに、扶養控除のほうは一人十二万円なんですから、それの半額分ぐらいを余分に見るというならまあわかるけれども、十二分の一をそこへ足して配慮したというのは、私はどうも配慮したような気があまりしないのであります。
 そこで私は、配偶者控除が十八万円でありますが、その長子なるものは、もしこれをまるまる十八万円にしても、本来十二万円の扶養者控除があるのですから、そこへメリットを加えたのが六万円にすぎない、こういう感じがするのであります。数としては、妻のない単身者で扶養家族のある者がどれだけあるかわかりませんけれども、私は、単身者に対する待遇のあり方としては、第一子については少なくとも扶養者控除の二分の一を積み増して十八万円程度が相当ではないか、こういう感じがしますが、大臣この点はいかがでございましょうか。
#102
○福田国務大臣 これも考え方としてむずかしいわけですね。奥さんの場合は逆に、とにかくだんなの世話をする。扶養家族とはいうけれどもお世話をするほうであります。だんなが収入を得るのに何がしかの貢献をしておるというわけです。子供の場合は、今度はお世話をされるわけで、収入を得るためにはそう奥さんのような貢献はしないというような違いがあろうかと思うのです。そういうようなきめのこまかい配慮がこの一万円、三万円という違いに出てきておるのじゃないか、そういうふうに思いますが、これはデリケートな、人生の機微に触れる問題ですからよく検討いたします。
#103
○堀委員 それは子供の状態によると思いますね。私がさっき言ったように、小学校六年生の女の子がきょうだいのめんどうを見ながらやっておるというような例もあるわけです。これは明らかに本来妻の行なうべきものを子供がある程度かわって行なわなければならぬという場合もありますから、私はやはり、人情から見れば一万円というのはいささかどうも低きに失するという気持ちがしますので、配慮をしようという考え方があることはこの一万円ではっきりしているわけですから、その配慮の中身をどう評価するかという点は検討の余地が少しあるのじゃないだろうかと思うのであります。
 その次に私は、最近御承知のように、サラリーマンユニオンというようなサラリーマンの皆さん、さらにもう一つは、現在総評、同盟、新産別、中立組合という日本の組織をされた全労働者の皆さんが、これは大蔵省へも陳情があったと思いますけれども、この際、御承知のサラリーマンの経費の問題、サラリーマンにも経費を認めようといういろいろな問題があるけれども、とりあえずサラリーマンに対して、その経費の概算控除的な考え方として、定額控除十万円をひとつ五万円引き上げて、十五万円にしてもらいたいという要請が実はあるわけであります。
 そこで、この問題については、私はサラリーマンユニオンや労働組合の皆さんともお話をしておりますけれども、実は、経費を認めるということは理論的には確かに一つの方向でありますけれども、これを課税上の問題としてみると、双方これはたいへんなことになるだろうと思うのであります。いろいろこういう経費を使いました、こういう経費を使いましたというものを、個々に領収書をもって、これで確定申告に出されるということになると、片方ではその経費の問題について調査もしなければならぬ。ところがその経費はおそらく千差万別、いろいろな形で出てきますから、これは徴税事務の問題としてもたいへんであるし、納税者側としてもなかなか問題がある。どうしてもやはりこれはある一定の概算控除的な処理をする以外には問題の解決はあり得ないのじゃないかと私は実は考えて、そのように、税を特に取り扱っておる者の立場からはお話し申し上げておるわけであります。
 ただしかし、御承知のように、最近クロヨンとかトーゴサンとかいろいろいわれて、給与所得者、特に源泉徴収を受けておる給与所得者とその他の所得者との間にいろいろな問題を提起しておることも、またこれ大臣御承知のとおりであります。例を一つ引きますと、実はこの間から物品税をやっておりました中で、大臣おいでになりませんでしたけれども、こういう議論をしたことがあるのです。実はいま物品税は、乗用車という名目で課税をされておるわけです。ところが、物品税は一般的には営業用のものにはかけないという思想が、物品税全体に流れているのです。営業用物品というものは課税品目から大体除外されている。ところがこれ一つだけ、もっぱら営業用できわめて大衆の利用に供されておるものに物品税がかかっているのがある。これは実はタクシーなんです。タクシーは明らかに旅客運送用の、運輸省の認可を受けなければならぬところの営業用であり、その料金は公共料金として規制をしておるわけです。そのタクシーに物品税をかけておるというのは物品税体系から見ると非常におかしな問題だ、こう実は問題提起をしたわけ汚す。主税局長はそのときに、奢侈的要素があるから、こう言っておるのですが、今日どうもタクシーというのは私は奢侈的要素はないと思うのですね。物品税の話を蒸し返すわけじゃありませんけれども、この点、大臣はいまのタクシーというのは奢侈的要素があるとお考えですか。
#104
○福田国務大臣 まあ自動車に対する課税、営業用は全部除外するんだという原則、鉄則でやっているわけではない。タクシーにつきましては、共用の乗用車であるというふうに考えれば自家用の乗用車と違うところはない、こういうふうに考えます。私も差別をあまり深く考えたことはないものですから、とっさにそんなことを申し上げるわけであります。
#105
○堀委員 実はこの間物品税について少し項目別に非課税物品を整理をしてみた。そうすると、現在の物品税の考え方は、要するに個人の消費用を課税するという原則が非常にはっきりしているわけです。それ以外のものを排除するようになっていますから、この点は実は私も意外に思ったのですが、そういう事実が一つある。そうして貨物という名前でライトバンは非課税になっている。トラックも非課税。そこで、要するに事業所得者の場合には、ライトバンを買えばまず物品税が非課税で安いライトバンが買える。その買った費用は経費として落として、償却六年ですね。いま何年ですか。
#106
○細見政府委員 五年か六年か、どっちかだと思います。
#107
○堀委員 償却できる。おまけに燃料も全部経費で落ちる。そうすると、なるほどこれは営業にも使っておりましょうけれども、最近日曜日その他に東名なりそこらのレクリエーションに行っているときに、ライトバンその他がレクリエーションに大々的に繰り出してくる。事業所得の場合には、この燃料も修繕費も全部経費で落ちるわけですね。ところが今度はサラリーマンの場合には、やはりいまのモータリゼーションの中ですから自動車も買いたい。自動車を買って通勤に使う。通勤に使っても燃料代が経費で落ちるわけではない。全部所得税を払ったネットの収入で燃料代を払う。遊びに行こうと何しようと全然見てもらえない。そういう点では、事業所得者と一般のサラリーマンとの間には、経費上の問題としては、例をたまたま私は自動車にとりましたけれども、単に自動車だけではなく、いろいろな点で問題があります。これが一つ。
 ただしかし、そうだからといって私は給与所得者がすべてそういうことだけではないと思うのです。それはなぜかといいますと、給与所得者が上のほうにいきますと、この間予算委員会でも議論をいたしました年間七千六百億円という交際費を、今度は会社の名前で個人が使って、ある程度のそういう給与所得以外のメリットに浴しておられるというのが上層部分にはあるわけですね。結局そういうものから完全に疎外をされておるのは低所得の給与所得者ということになると私は思うのです。この低所得の給与所得者のそういう必要経費の控除という問題を考えるならば、私はやはりこの点、給与所得の定額控除の五万円というのはこの際は考えていい問題ではないか、まず第一点こう考えます。
 そこで、昭和四十五年度にかりに実施をしたとして、定額控除を五万円引き上げるために要する財源はどのくらいかかりますか。
#108
○細見政府委員 そのための計算を特にしたわけではございませんので、後ほど訂正しなければならぬかもしれませんが、約千二百億か千三百億くらいじゃないかと思っております。
#109
○堀委員 いまお話しのように千二百億か三百億くらいということであります。そこで、私はこの定額控除についてはもう一つ実は提案があるわけです。
 これは先ほどのサラリーマンユニオンや組合の皆さんのお話にはないのですけれども、かつて私は消去税率という問題をこの委員会で取り上げたことがあります。これを受けて現在老齢者控除の問題でも消去税率が適用されておると思うのでありますけれども、要するに高額の所得者の場合にはいまの十万円のままでよろしい。低額所得者の場合には、年収三百万なら三百万が現在の給与所得の定率控除の上限でありますから、給与所得の定率控除の上限までは五万円の定額控除の積み増しが生きるようにする。そこから先はいまの定額控除十万円でけっこうだ。それは、年収三百万円以上相当の辺からは、さっき申し上げました交際費というものを企業内部において使い得る道がおそらく開けておるのではないかという点から見れば、やはりある程度の低所得の者のそういう概算経費控除の問題という形で取り上げてもいいのじゃないだろうか、こういう気持ちがいたします。
 そこでちょっと伺いますが、いま私が言うように、もしかりに三百万円のところで消去税率でこれが消えていったとするならば、これは目の子算でもけっこうですけれども、いまの千二百億というのは財源的にはどのくらいの見当になるでしょうか。
#110
○細見政府委員 計算してみないとわかりませんが、感じで申し上げますと、定額が響いてそれが大きく税にメリットになりますのは下の層でありますから、あまり金額としては違わないのじゃないかと思います。
#111
○堀委員 しかし、やはり五万円はずっと上までききますからね。幾らでも五万円はききますから、要するに一千万円の所得のあるところなら五五%はきくということになるわけです。ある程度その広がりがだんだん狭くなりますから、金額としてはわかりませんが、ある程度のものが少しはあるだろう、こういうことになるのじゃないかと思うのです。
 そこで大臣、私が前段でちょっと触れました、ことし補正後の自然増収三百何十億、それを国債減額に充てられる。もし昭和四十五年度においても、私がちょっと申し上げたような千二百億内外の自然増収があったとして、自然増収がそれだけあっても、おそらく公務員のベースアップなり何かに財源も要るでしょうから、それらはそれらとして、今度補正後の自然増収が三百億程度あれば――要するに補正予算を組むときには大体増収の見通しがわかっているわけですから、補正予算を組むときに年度内の来年の一月から定額控除の五万円をやると、三百億年内に財源があればそれで済むわけですね。十二カ月千二百億なら三カ月三百億あればいい。財源的には可能な問題じゃないのか。そうしていまのサラリーマンの御承知のトーゴサンなりクロヨンの問題をやはりどこかで解決をしていかなければならないという、経費概算控除的なものを導入するとすれば、私はいまのサラリーマン諸君の持っておる大きな不満が解決できる道がここに開けるのではないだろうか、こういうふうに思います。まあ大臣にここで、そうならそうしますという御答弁がいただけるほど私も簡単だとは思っておりませんけれども、これもひとつ前向きに検討する材料にしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
#112
○福田国務大臣 これはそう前向きに検討できない。と申しますのは、四十五年度で財源が三、四百億円余りましたからといって、問題は四十五年度だけの問題ではないのです。これがまた先に先にと発展をしていく問題ですから、この先の先のことまで考えなければならぬ問題で、税制改正というのは補正段階で大体考えるべき問題ではないと思うのです。これは景気がたいへん激動した、そのための対策だというような非常の措置であれば格別です。しかしこれは恒久的な措置でありまして、他のいろいろな所得者とのバランス、そういうものを考えながら給与所得者の問題を考えなければならない、そういう性格のものでありますので、四十五年度財源が余ったらそれを勤労者控除額の定額の拡大に充てるかということになりますと、これははなはだ困難である、こういうふうに申し上げざるを得ないと思います。
 いまそういう問題ではなくて、問題は、いまの十万円というのは一体妥当な額であるかどうかということでありますれば、これは将来の問題になってくるわけであります。恒久制度としての問題、それはいま私どもは大体十万円、これは概算的な立場でございますが、まずまずこれで必要経費をカバーしておる、こういうふうに見ておるわけであります。これはいろいろ統計上の検討等もいたしました結果、そういうふうにしておるわけなのです。こういう必要経費を概算的に見るという制度がこの定額控除制度でありますから、したがって、これが多ければ多いほどいいという性格のものでもこれはないのです。他との権衡を正確に維持しておるかどうか、こういう問題でありますので、したがって、サラリーマンの生計費を分析しまして、これがサラリーマンとしてのサラリーを得るに必要な経費であるという部分が、経済の変動とともに変わっていくということでありますれば、それに応じて検討すべきものである、さようなふうに考えます。
#113
○堀委員 主税局長に伺いますが、定額控除が十万円になったのはいつですか。
#114
○細見政府委員 四十三年でございます。なお蛇足で申し上げますれば、三十六年に一万円になって、三十九年に二万円、四十年に三万円、四十一年に四万円、四十一年から四十二年には実に八万円と倍になり、それが四十三年に十万円になって、ここ数年の間に一万円が十万円になったという数字になっております。
#115
○堀委員 大臣、いまお聞きのように、定額控除が実は四十三年までの間にかなり大幅に動いた。それがさつきの、要するに独身者の課税最低限が五年間で一〇〇から一六〇くらいに動いてきた一番大きなモメントなのです。ところが実はこの二年間は御承知のようなことで据え置かれておるものですから、ここのところはうるおいが少ない、こうなっておるわけです。
 私はここで少し大臣に、その問題をちょっと離れてお伺いしたいことは、長期税制における答申によりまして、当初われわれが問題を提起しましてからだいぶ時間はたちましたけれども、一応五人世帯百万円という課税最低限は到達いたしましたし、税率の改正についても二年間の処置によって一応ある段階のところまでまいりました。しかし、所得税は今後も減税が必要であることは、これは最近の物価の上昇その他から見ても、当然ある程度の所得税の減税を続行しなければならぬということは間違いないと思います。その場合に、それではこれからの所得税の減税の柱は一体何になるのか、ここをひとつ大臣にお伺いをしたいと思うのです。
#116
○福田国務大臣 今日の段階は、長期答申の完全実施をやる、こういう段階でありますので、この対策をどういうふうにするか。いまお話しのように、私は、所得税減税は今後もこれは行なわなければならぬという考え方につきましては、随時申し上げているとおりなんで、どういう内容のものにすべきか、課税最低限というような考え方、これは有力な考え方であると同時に、また子供ができかかった家庭への十分な配慮、そういうこともしなければならぬ。それからサラリーマン問題、これがほぼこれで完全解決かというと、そういうこともよく検討してみなければならない。いろいろ要素はあると思うのです。どこに重点を置く、こういうことではなくて、いろいろな問題をあるいはかみ合わしてやらなければならぬ問題があるかと思いますが、皆さんの御意見をとくと拝聴いたしまして、だんだんと考え方をまとめていきたい、かように考えております。
#117
○堀委員 そこで私は、いまおっしゃったいろいろな問題にひとつつけ加えさせていただきたいのは、フランス、西ドイツ、アメリカがやっておりますように、今後の一つの長期的な見通しの中には、やはりこの前からわが党が議論をしております二分二乗方式の発想の導入の検討ということが一つの重要な問題になると思います。それをいつからするかは別にして、今後のあり方としては、私は所得税減税の重要な一つの柱ではないのか。もう一つは、やはり最近特にやかましく言われておる、その他の所得者と源泉徴収の給与所得者のアンバランスの是正ということになると、これはいまの定額控除を引き上げるという問題も非常に重要な一つの検討の柱になるのではないだろうか。ですから、そこらを考えてみますと、大まかに当面しておる問題の中で、この給与所得控除の問題というのはかなり来年度税制以降において――今年度の問題は申し上げましたがなかなかむずかしいようですが、少なくとも来年度税制の中における主要な課題の一つには当然取り上げていかなければならない問題ではないのか。
 特に現在、所得といいましても、給与所得者が非常に大きなウエートを占めておるわけですね。一体、昭和四十五年度における所得税の中における給与所得のウエートは幾らになりますか、主税局長。
#118
○細見政府委員 約半分ということになります。
#119
○堀委員 所得税中に占める給与所得は半分ですか、もう少しあるような気がするけれども……。
#120
○細見政府委員 沿革的に見てまいりますと、古いときはもっとウエートが高かったのでありますが、三十二年ころになりますと六割、あるいは三十五年で五七%くらい、これは推計でございますが、それくらいあったのでありますが、最近のところになりますと、相対的に減ってきております。
#121
○堀委員 その他所得が相当に大きくなっているという面がありますから――実は事業所得者といわゆる勤労所得的な面のウエートが高いと思うのですが、いまのその他所得が非常に最近大きくなっておりますから、その点のウエートが下がってきたと思いますが、何にしても給与所得者が日本の税制をささえておることは、これはなかなか無視できない面であります。その所得の上昇もわりあいにステディーに上昇をして、財源の把握も確実であるし、いろいろな点で徴税費もかからないで税を取っておるという面もあるわけですから、ぜひこの点については、可能ならば年度内、それが非常にむずかしい場合には少なくとも来年度の主要な減税の柱として、これから十分ひとつ検討を進めていただきたいということを要望いたしまして、私の所得税に関する質問は終わります。
#122
○毛利委員長 広瀬秀吉君。
#123
○広瀬(秀)委員 所得税関係について大臣に若干質問をいたしますが、四十三年の七月に出されました長期税制のあり方についての答申の中で、課税最低限百万円というような目標をきめて税制改正をやるという問題は一区切りにきたのではないか、こういうようなことで、今後の問題についてはある程度若干の見直しをそのつど、経済情勢の変化に対応してやっていけば足りるのだという趣旨のことがいわれておるわけでありますが、大臣は、この所得税減税の問題について、来年以降に対してどういう面を考えて減税を続けられるおつもりであるか。今日なお、夫婦子供三人という標準世帯で百三万円というところまできたというけれども、この百三万円というものについても、やはり勤労大衆から、これではまだまだ課税最低限は不十分であるという批判もあるし、現在の経済情勢の中で百三万円というものはむしろ極貧であるというような、サラリーマン同盟あたりはそういう表現ですら言っておるわけであります。しかも毎勤統計の世帯数平均三・八九人で、四十五年、ことしの二月百十七万円の家計費がかかっているという統計がはっきり出ておるわけであります。これはあくまで平均だというわけでありますが、勤労者統計ですから、それほどべらぼうに何千万、何億というような松下幸之助さんのような人は入っていないわけです。したがって、標準的な家計をやっている数字というものにかなり近い数字を、この百十七万という統計の数字は表現しているだろうと思う。これは総平均というわけでありますが、それより低い世帯もあるし、高い世帯もあることはあるけれども、そういうような状態で、しかもそれが夫婦子供三人といういわゆる五人世帯ではない、三・八九人という中で百十七万もかかっている、こういうようなことから見ましても、課税最低限がなおかつ低いという勤労者、サラリーマン階層の意見というものにも十分聞くべきものがあるのではないか、こういうぐあいに考えるわけであります。
 ことしは、これらの問題を踏まえて、もう課税最低限の問題は、なるほどアメリカ、フランスの次くらいに、課税最低限も第三位くらいにまできた、西ドイツやイギリスよりも有利になったじゃないか、そういう御返事をなさるかもしれませんけれども、地方税などを含めての課税最低限ということになりますと、またその順序も四番、五番というふうに落ちてくるわけですから、それらを踏まえて、この課税最低限はもうこれで終わりだというのか。しかも消費者物価は四十五年度はおそらく六%をこすのではないかということはもうほぼ確実になってきている、こういうような状況を踏まえて、来年以降の所得税減税についての大臣としての考え方、どういうようにこの問題をお考えになるのか、この点をお答えいただきたいと思います。
#124
○福田国務大臣 今回の所得税減税につきましては、私は、これをもって終わりだ、こういうようには考えておりません。それは前から申し上げているとおりであります。今後といえども所得税につきましては減税の努力をいたしていきたい。もちろん、それに対しましてはかわり財源という問題がありますが、それはそれとして、所得税につきましては軽減の方向を進めていきたい、こういうふうに考えております。
 その所得税の減税のやり方でございますが、いまも堀さんから勤労控除の定額の引き上げが強調されて、これが最優先的な問題である、こういうようなお話もありましたが、これからの経済の推移、そういうようなものをよく考えまして、いまここでどれが最優先だというふうに申し上げることは適当でないと思うのですけれども、あるいはいろいろなことをかみ合わせながらやっていかなければならぬというようなこともあろうが、しかし課税最低限の引き上げ、これはとにかく今後煮詰めていかなければならない重要な柱であるということは、私は認識といたしましてこれを固く堅持していきたい、そういう気持ちです。
#125
○広瀬(秀)委員 長期答申では、課税最低限について「先進諸国に比べて国民の所得水準や蓄積水準がまだ相当低い現状では、ある程度貯蓄のためのゆとりを織り込んでその水準を決定することが望ましい。」こういうようにいっているわけです。それが百万円ということに結びついているのはたいへん気に食わぬのだけれども、そういうふうにいっている。この百三万円というものがどれほど蓄積のゆとりというものになっているのか、これを具体的に数字をもって、これは主税局長でけっこうですから、お示しをいただきたいと思うのです。
#126
○細見政府委員 先ほどお話がございました勤労者の家計調査にしましても、お話がございました百十七万円、これは収入でございまして、その支出は、税金その他を除きました可処分所得が百八万円、消費支出が八十七万円、その残りが貯蓄で約二十万円ばかりになっているわけでございます。もちろん課税最低限はこの消費支出八十七万円に比べますと、今回のものが初年度で八十六万、一年ずれておることを考えれば必ず全部カバーしておるとは申し上げかねるかとは思いますが、しかし先ほどもお話がございましたように、これは平均的なものであり、しかもその百十七万の世帯の人たちは二十万近い貯蓄ができておる現況、課税最低限は大体はそれをカバーしているということであれば、少なくとも日本の平均的な家族にとっては貯蓄が可能である課税最低限でなかろうか。もちろん課税最低限を上回るものにつきまして課税はいたしますが、御承知のように低い一〇%という税率から始まるわけでありまして、課税最低限を越えたものがすべて公課として持っていかれるわけでなくて、九割あるいは八割なんというものは手元に残るわけでございますから、そういう意味で、現状におきましては答申のいっておりますゆとりのある家計というところまで、この課税最低限はカバーいたしておろうかと思います。そういう意味で、かつてマーケット方式によりましていわゆる生活の最低限というのを計算いたしたことがありますが、それはこの課税最低限よりはかなり低いものになりまして、今日それを作成いたしておらないことは御存じのとおりであります。なお、もう御承知のことでありますが、この消費支出金額というのは、いわゆる課税最低限あるいは生活の最低経費という概念じゃなくて、自由に消費できた支出の結果で、ある程度のレジャーも入り、ある程度の耐久消費財も買えたという状態における支出でございますので、その意味で私どもは、一応課税最低限はゆとりのある、家計はカバーしておる、かように考えております。
#127
○広瀬(秀)委員 税制調査会が四十三年の七月に答申を出されるときに、これは少なくとも四十四年度に実現をさせたいという意向であったと思うんですね。これは答申が出れば大体その翌年にはおよそあれなんですが、これは長期税制のあり方の問題として、当時政府も四十五年度ということをいってはおったわけですけれども、そのことはかりに問わないといたしましても、先ほど例に引きました全国勤労者世帯の平均家計収支、これは二月二十七日のものでありますが、平均世帯人員は三・八九人だ。これは大体四人世帯、夫婦子供二人と見ておおよそいいと思うんですが、実収入百十七万、うち可処分所得が百八万だ、こういうことで消費支出が八十七万ということになっているわけですね、皆さんの資料によりまして。これを三・八九人で割ってみますと大体一人当たり二十万ということですね。そうなりますと、これはいま耐久消費財もある程度は持っておられる、あるいはレジャーもある程度は楽しめるというものであろうと、平均的な数値でありますから、主税局長がおっしゃったこともこの中には入っておるだろうと思う。しかもそれは今日の経済社会におけるスタンダードな生活態様というものを反映した消費支出と見ていいだろう。それが一人当たりで少なくとも二十万一千円ぐらいにはなっているわけです。そうしますと、五人家族なんだから、一人ふえれば、この八十七万に二十万足せば、これはたいへん単純なことだけれども百七万ぐらいの消費支出になるということです。こういうことになれば、今日の百三万というのもやはり低いんだということは、これは言っていいことになるだろう、こういうように考えるわけです。
 しかも物価が四十五年度に六%をこえるであろうというような状況、しかも、もうすでに物価安定政策会議あたりも、昨年の十一月二十日ですか、中間答申を出された。その中でも物価は四%以内に押えるべきだということをいっている。ところが政府の見通しですら四・八%だ、こういうことになっている。四%以上ならば、これは一つの経済のメルクマールとして、いわば行き過ぎの指標を政府自身が経済見通しにおいても出しているというようなこともあるわけであります。そういうようなことを考えあわせますと、この課税最低限という問題について、来年度の税制につきましても当然これを引き上げていくというような方向はとられなければならない、かように考えるわけでありますが、大臣その点いかがでございますか。そういう物価情勢というようなもの、それが庶民大衆の暮らしを低めるというようなことに対しても、課税最低限の問題を軽く見てはいけな
 い。
#128
○福田国務大臣 私は、所得税減税というのはもう少しやっていきたいと思っております。その中軸になるのはやっぱり最低限問題であろう、こういうふうに思います。いろいろ考えなければならぬ他の問題もあるわけでありますが、しかしとにかく所得税減税の中軸は課税最低限問題である、こういうふうな認識を持っておるわけですが、来年以降の財政が一体どういうふうになっていくか、また減税した場合のかわり財源というものがどういうふうに調達されるか、そういうような現実の問題もございますので、ここで昭和四十六年度以降はこうやっていくのだということをまだ申し上げる時期ではない。これはそういうふうに御了察願えると思うのでありますが、とにかく所得税減税につきましては、なお今後といえども前向きで取り組んでいくということは、はっきり申し上げられると思います。
#129
○広瀬(秀)委員 課税最低限の問題については、来年度以降もやはり所得税減税の重要一な柱である、こういうことで検討を十分してまいる、こういうことに了解をいたしたいと思うわけであります。
 そこで、実は事業所得者などは、いわゆる必要経費というものは課税最低限の中では考慮をされないわけですね。ところが給与所得者だけが、課税最低限の中に給与所得控除というものが入っている、このことはやはり一つの問題があるのではないか。まずその点、これはどういうわけなのか。事業所得者との間に二十数万の差があるわけです。当然やはり給与所得者であっても必要経費はあるはずでありますが、それを概算控除という形で課税最低限の中にこれを含めておるという問題点、これについて納得のいく説明を与えていただきたいと思います。
#130
○福田国務大臣 所得税は所得に対して課税されるわけでありますが、その所得の算定ですね。これは事業所得にありましては、その事業収入からその収入を得るに必要な経費を差し引く、そういうことで算定しますが、この算定が比較的容易であります。ところが給与所得者になりますと、その給与を得るに必要な経費が幾ばくであるかということは非常に算定が困難である。不可能ということではございませんけれども、たいへん手数を要するということになるわけであります。そのたいへんな手数になる納税者というものは二千四百万人もおる、こういうことでありますものですから、ここでかりに必要経費を概算したならばどういうふうになるであろうかということを考えまして、概算控除をいたしておるわけです。その概算控除がやむを得ないやり方であろうということにつきましては、先ほど堀委員からもさような御意見でございましたけれども、他の事業所得者にない定額控除制度を給与所得者にとっておるというゆえんのものは、そういう考え方から出てきたものであります。
#131
○広瀬(秀)委員 給与所得控除制度が設けられている理由としては、まずいまおっしゃった必要経費の概算控除という面がある。それから担税力が非常に弱い者に対して考慮しなければならないという要素も含まれている。さらに捕捉率の差に対する調整をはかるといいますか、そういうものがある。それから源泉徴収による早期納税を強制されている、これを金利ではかってみても、その面での損害もあるではないか。もろもろのものがあるわけでありますが、一体サラリーマンの必要経費というものが、これはやはり給与を稼得する、賃金を稼得するために必要な経費というものはあるということは、皆さんがお書きになった文書などにもいろいろ出ているわけですね。そういうものがどれだけであるかということも、二千数百万人に対して一々申告によってとるというのはなるほどなかなかむずかしい面がある。そういう問題を考えますが、しかし、そういうものはそういうものとして、別建ての必要経費だということで当然これはやっていいことなんです。実際にはなかなかたいへんだということであっても、少なくとも理論的には、そして法の前の平等ということを考えれば、やはりこれをどのくらいのものなんだということを何とか測定する方法というものは可能ではないのか。あるとするならば、やはりそれは事業所得者と同じように別建ての控除、必要経費というようなことで控除を特別に認める。概算控除のほうが有利だと思う者はそれによる。しかし、おれは特別こういうことで必要経費があるのだという主張をなさる者は、やはりそういうものを認めるということを考えるべきことではないかと思うわけです。そういう問題について、これは主税局長にお伺いいたします。
#132
○細見政府委員 給与所得者が給与所得を稼得するのに何らかの経費があるということは、これは概念的といいますか、観念的には理解できるわけでありますが、その経費がいかなるものであり、あるいはまたその額がいかなる額であるかということにつきましては、いま残念ながら、社会的に通念として、これこそ給与所得の経費であるといわれるようなものがそれなりの明らかな形として示し得ないというのが、この給与所得問題につきまとう非常にむずかしい問題でございます。諸外国にもいろいろ給与所得の経費について計算しようとするような事例もないわけではございません。広瀬先生すでに御案内のことかと思いますが、たとえば外国で旅費だとか、あるいは旅費のようなものを引いておるといっておりますが、これは日本と給与の形態が違いまして、外国の場合は旅費のようなものが支給されない。したがって、一ぺん収入から出しますから経費になるというようなのが外国の給与の形態であります。そのほか被服の問題にいたしましても、たとえば給与所得の経費としていわゆる職場の特殊な着物あるいは職業をあらわす特殊な着物というようなものになりますと、これは日本の給与形態といたしましてはおおむね現物給与されておるというようなことになりまして、たびたび申し上げることでありますが、洋服だとかくつだとかいうものをサラリーマンの経費といたすことにつきましては非常に問題が多いことであります。もちろん、裸で通勤するわけにいきませんから洋服を買わなければならない。しかし、それではほかの事業をやっておる人は洋服を着なくてもいいかということになりますと、わからない。どこまでがサラリーマンとして、文字どおり職場に着ていく、その方が職場から帰ってこられたら全部衣紋かけか何かにかけて洋服を区別しておられるというようなこと、あるいは五年着たから、洋服はいたんでないけれども、もう古くなったから買いかえるというような詳しいことまでやらないと、給与所得を得るための経費が何であるかということはおそらく区別がつかないことになるわけです。そういうことがございますので、日本のような概算控除率をむしろこのごろは外国でもまねをしてきておるような事例でございます。
 なお、その場合、概算控除率というのは、日本は三六%とか二〇数%というような率がございますが、御承知のように選択制をとっておるようなところの概算控除率というのはおおむね一〇%程度のものであり、しかも、金額にいたしましてもせいぜい十万を切る、十万前後というようなのが外国の実情でございます。別に外国の事例を日本に持ってこなければならないというようなことは申すつもりはございませんが、そういう意味で、何が経費であるかというのはなかなか社会的にきめがたい。ましてそれが金額まで確定するということになりますと、先ほどもお話しのように非常なトラブルが起こって、堀委員が先ほどお話しになりましたように、これは現実的な方策ではないのじゃないか。双方に迷惑がかかって、しかも抜け道のない論争に巻き込まれ、双方決して納税のためにプラスにならないということになるのじゃないかと私どもは考えておる次第であります。
#133
○広瀬(秀)委員 主税局長は、先ほど私が申し上げた、給与所得控除が設けられた趣旨というか理由というか、また給与所得控除というものの理由、要素といいますか、そういうものが四つくらい考えられるということでちょっと読み上げてみたわけですけれども、こういうものを、定額十万円を置いて、あと定額控除分を除いた金額に対して二〇%、一五%、一〇%、五%ですか、こういうことでやられる。そういうものに見合う、たとえば四百万のところでは五十万ですか、あるいは九十万のところで二十六万ですか、こういうようなものの中で、それじゃその要素別に給与所得控除というものを分けたらどういう形になるのか。この辺のところについては、ある程度納得のできる数字的な説明というものがなされ得ますか。
#134
○細見政府委員 残念ながら、数字的には困難だと思います。
#135
○広瀬(秀)委員 質問を変えますが、いわゆる所得の捕捉率がクロヨン、トーゴサンというのが、サラリーマンでも事業所得者でも、みんな知らない者はいない状態にまで、こういうことばがまさに普及をしてしまっているわけですね。で、いま大島訴訟等においても、これらの問題をめぐって憲法十四条の関係等もあり、課税の公平という問題で非常に争われているわけでありますが、一体クロヨンなりトーゴサンなりという、そういうものに対して、主税局長なり主税当局は国民に、そういうあれはないんだということがはっきり証明できる理論的、また税制はすぐれて数字の問題ですから、数字的根拠というものを示すべき義務があるだろうと私は思うのです。今日あれだけ国民から税制に対する不信があるとすれば――ああいうことばに表現される気持ちというものが不信のあらわれだと思うのですね。これに対して主税当局からは何らの反論が今日まで行なわれていない。クロヨンということばがこの委員会でもしょっちゅういわれるし、いまやこれが国民の常識になっている。そういう不合理があるんだということを思い込んでいる。これに対して、ほんとうにそうでないならば、やはり理論的、数字的な根拠をもってこの委員会においてもこれを明らかにする必要があると思うのです。私どもも、捕捉率の差がそれほどひどいということを当然のような前提のごとくに言っているけれども、この問題についてほんとうに本格的な議論をやったことはあまりないのですね。それはしかし、私ども実際の実務をやっているわけでありませんから、クロヨンの実態なのか、トーゴサンの実態なのか、そこらのところがなかなかわかりかねる問題だ。しかも国民の中にはそれがしみ通っちゃっている。こういう問題について、国民の疑惑を解く正しい反論というものは当然主税当局から、政府当局からなされなければならぬ。この問題について理論的、数字的根拠をもって、これが間違いであるなら間違いだと言ってもらいたいし、ある程度そういうものだというならば、これはまた新しい一つの大きな問題点として十分な論議をしていかなければ、税制の公平なんということをいつまでたったってことばで言っているだけのことで、何一つ解決の方向に向かわぬということにもなると思うのですね。だからそういう立場でこの問題についてひとつ御説明をいただきたいと思う。
#136
○細見政府委員 世にトーゴサンとかクロヨンとかいわれます問題も、理論的に九なり六なり四なりの把握率になっておるというようなことからこういう批判が行なわれておるのではなくて、むしろいわゆる感じとして、あるいは現実的な生活態度の何か特殊な事例をごらんになって、それがまあごろもいいというようなことでこういうことばになっております。
 このクロヨンというようなものにつきまして、かつて国民所得と課税所得との間で説明をつけられたような説明がございましたが、あれは全く間違いでございまして、国民所得との間からのこういうつながりというものは出てまいらないのであります。ただしかし、こういうことばが人口に膾炙いたしておりますので、私どもといたしましては、これを最終的に解決するのは、適正な税務行政を行ないまして、そういう非難がなくなるように長い努力を続けるのが最大の解決であろうと思います。たとえば、その意味で、先般広瀬委員にもおいで願った税務署をごらん願いましても、営業者などが決して六だというような感触で納税していることはないわけであります。そういう意味で、現実の私どもが接します納税者はむしろ少なくとも九とかあるいは八とか、もっと多い、もうぎりぎり、生活費が出ませんというような訴えが税務署の窓口で行なわれておるのが実情でありまして、そういう意味でクロヨンというのは根拠のない、感じでいわれておる話で、これをまた理論的に弁明するというようなことも、逆にそういう意味で、感じでいわれておることでありますだけに説明しにくいわけでありますが、ひとつ納税者の税務署における態度、この間のああいう態度をごらん願って、決してそんなにルーズな課税が行なわれておるものではない。ああいうところに、見えない、把握に漏れた人がそれではおるかということになりますと、営業者について、店舗をかまえておられる限り、少なくとも課税が漏れるというような事例もないわけでありまして、われわれはそういう意味で、こういうことがいわれないように日夜いわば努力をいたしておるわけでありますが、基本的にはある程度の年月をかけて、じみちに努力を積み重ねて、こういう誤解を世の中から解いていきたい。なお、これ以外にPRの方法とか何かにつきましていろいろ御意見もあり、あるいは何か参考になるいろいろお知恵がありましたらお聞かせ願って、こういうことばが世の中から消えるように努力いたしたいと私どもは考えておるわけであります。
#137
○広瀬(秀)委員 大臣、このクロヨン、トーゴサンの問題は、これは非常に大きな問題だと思うのです。この捕捉率における不平等というようなことをめぐって訴訟も提起をされておるというようなことになっておるわけです。この問題について、いまいろいろな勘違いなどから、問題が何か象徴的な言い方というようなことで広がったという御説明も主税局長からあったのだけれども、今日サラリーマンの諸君、特に賃金労働者という人たちはもう信じ込んでしまっているのですね。商売をやっている人たちなんかはいわゆる税源を捕捉される部分は六割しかないんだ、あるいは五割しかないんだ、われわれは一〇〇%であり、九九%なんだ、こういうことなんですね。したがって、サラリーマン減税というようなことが今日非常にやかましい問題になり、また当然の要求になっているわけですけれども、そういうものに対して、かりに課税所得が一〇〇%捕捉されないで六割程度だとか五割程度だとかいうようなことがあるとすれば、やはりこれは税務当局としてもちろん怠慢だということにもならざるを得ない。まあ私どもも事業所得者が六割しか把握されていない、捕捉されていないんだということを信ずるわけではないけれども、国民の大多数がそういう信じ方をしているということに対しては、課税当局としてやはり国民の疑惑を解くためにもPRを正しくしなければ、いつまでたっても給与所得者、サラリーマンからこの重税感というものが――源泉徴収という特別な、ほんとうに一〇〇%捕捉されるというような立場にある人たちから、給与所得控除の問題を含めて、どんなに努力をしたところでなかなか納得されない問題点はやはりそこにあると思う。だからその辺について、大臣としてどういうようにこの問題を考えられていくのか。どう国民に対して説明をしていくのか。この辺のところをお聞きいたしたい。
#138
○福田国務大臣 結局、事業所得者と給与所得者の課税のしかたの違いが指摘されておるのかと思いますが、税制からいいまして、私どもは決して公正を欠いているというふうには思いません。しかし、捕捉がうまくいっているかどうかということにあるのでありまして、数多い事業者でございます。数少ない徴税官吏がその調査に当たるわけでございますから、見落としとかそういうものが絶対ないというふうには言い切れないと思いまするけれども、要は申告納税者に対する調査が徹底する、そこに問題がある。これを徹底さしていくほかはない。最近は青色申告の納税者もふえてきておることでありまするし、また脱税事件などにつきましてもかなりきびしい調査も行なわれていることでありますので、事業所得者に対する調査というものもかなり進んでおると思いまするが、この問題の最終的解決は、何といっても調査をくまなく徹底さしていく、これ以外に道はない、かように存じます。
#139
○広瀬(秀)委員 大島訴訟において――これは国税庁かと思うのですけれども、主税局でけっこうですが、クロヨン、トーゴサンの問題について争われているわけでしょう。これに対する答弁書、準備書面というようなもので裁判所に反論を出したものがありますか。
#140
○細見政府委員 ございます。いまのところを申し上げてみますと、国側の主張は、税務の執行にあたっては一〇〇%の捕捉につとめるべきだが、実際問題として常に可能であるとは限らない。しかし捕捉の程度は各種所得間のみならず、各種所得の中でも千差万別で、その差の計数的把握は不可能である。このような捕捉率の性質について見れば、捕捉率の差を税制上反映させるかどうか、またどのような方法、程度で反映させるかは、すぐれて立法政策上の問題であるという言い方をいたしております。
#141
○広瀬(秀)委員 この問題は国民の中に非常に定着した疑惑になっている問題ですから、主税当局としても、また私ども自身も、実際にどういう姿でトーゴサンでありクロヨンであるかということについて、いままで本格的な究明をせずに安易にその問題を扱ったということはあるいは反省しなければならぬ点だと思うのでありますが、しかし主税当局自身も、それは若干の逋脱は確かにあるでしょう、しかしそんな数字ではないという形での反論、反証というものをきちんとあげなければ、われわれもそういうことかということで依然としてそういう主張を繰り返さざるを得ないし、いよいよ疑惑は広がるばかりだし、深化するばかりである。こういうことにもなりますので、この問題については、あれは単に象徴的な言い方だというようなことではなしに、やはり理論と数字をもって、そういう事態ではないということを反論なり、反論というよりも正しい姿を提示する。敵対関係でものを言っているわけではないんだから、そういうものはきちんとしておく必要があるだろう。こういうように思うわけであります。
 そこで、いまのものについてもう一つ戻りますが、給与所得者がとにかく一〇〇%課税対象として捕捉されるということは間違いがないことなんですから、これはクロヨンという九がむしろおかしいのであって、トーゴサンの十であることは確実なんです。それがいままで、違憲訴訟ということで、納税義務者との間には国側が勝訴しておるわけですが、今度の場合に――その点だけ一つ聞いておくのですが、今度は納税者が直接この問題を出されている。大島訴訟だけじゃなしに、今度新しく総評の指導のもとで、各地において、確定した税金に対して還付の請求をするという形で出されておるわけですね。いままでは源泉所得課税というものが納税義務者と国の間に争われたけれども、今度は納税者直接が国を相手どって訴訟を出したという、この問題について課税当局としてどういうようにお考えになっておられるか、この点をお聞きいたします。
#142
○細見政府委員 私どもとしては、現在の給与所得に対します課税の方式が適当なものであると考えておりますので、給与所得者の経費というものを違った形で算定されたといたしましても、私どもは、給与所得控除による所得控除を基礎とした税額で申告されるべきものであり、納税されるべきものであるというたてまえでこれに対処していきたいと考えております。
#143
○広瀬(秀)委員 その問題はそのくらいにします。
 次に、今度の税制改正案におきまして、税制調査会が出した四十五年度の税制改正の答申では、給与所得控除のうち定率控除の適用範囲を年収三百万までということになっておったわけですが、これが自民党のほうから四百十万までに引き上げられたということで、かなりの高額所得者にまでこの問題がメリットが及んだ。こういうことで、私どもの考えでいけば、三百万円ぐらいまでのところで押えておけば大体これは中堅所得者までいくのではないか、それ以上はいわゆる富裕者に対する過ぎたる利益を与えたものであるという考えを強く持つわけです。それならば、先ほどから問題になっておりますような、まだ権利もない、高校を出たばかりの勤労者が税を負担している、そういうものを幾ぶんでも解消する方向に当然使うべきではないのか、こういう疑問をどうしても消すことができないわけでありますが、税制調査会の答申の三百万をこえる者は給与所得者の中にどのくらいのパーセントありますか。
#144
○細見政府委員 人員で四十万をちょっと切れるところじゃないかと思います。
#145
○広瀬(秀)委員 それは総体で何%、給与所得者で対象者になる者の中で……。
#146
○細見政府委員 二%と一・五の間くらいの割合でございます。
#147
○広瀬(秀)委員 三百万から四百万くらいの間の人員というのは大体どのくらいですか、そのパーセント。
#148
○細見政府委員 二十万ちょっとになろうかと思います。
#149
○広瀬(秀)委員 大体一%程度というわけですね。こういうところに五%定率控除というものを新しく設けたということは、やはり高額所得者に対する恩恵を与える結果になっている。こういうことをやるから、やはりサラリーマンの諸君が、部課長減税である、あるいは今度は部課長減税から重役減税だというところにきている。そういうものについては、私どもの感覚からいっても三百万円くらいのところまでの所得減税というものがやはり一番大事なのであって、しかも課税最低限そこそこの人たちの課税に対するメリットを多くつけるということ、さらに未成年独身者あるいは先ほどからの、妻をなくした独身者というような人たちに対するもっともっと思いやりのある税のあり方というものも、当然これはあっていいわけであります。大臣はこういうことをやれるのですから……。先ほどの未成年独身というような勤労者に対して、学生との対比等についても本委員会で提起された。扶養控除として一方は見られておる、その上に国費が国立大学では百二十六万も出されておるというようなものと比較して、同じ年代の者で片方は貧しいために大学に行けないというような状態で苦しんでいる。一生懸命勤労の汗を流している人たちは逆に税金を納めている。こういう不合理をやはりなくするという、そういうようなところにこれは政治家として減税の恩典を及ぼしていくということが当然だろうと思いますが、その点について大臣のお考えをひとつお聞きいたしたいと思います。
#150
○福田国務大臣 低所得者にきめこまかく減税の配慮をしなければならぬということは、これはもう毎々申し上げているとおりでございます。いま広瀬さんが三百万円から四百万円までの間の新たに五%の控除を適用するということについておしかりを受けますが、これは国会のサラリーマン議員連盟側から切なる要望として私ども承ったわけなんです。承りましたのでございまするが、三百万円ないし四百万円といえば、月収にすると二十万円内外、せいぜい二十五万円というところの人なんですね。そういう人たちの家族構成なんか考えましても子どもも二人、三人というような年ごろの方でもありましょう。まあこの際、財源もさして要らない――三十億円要るのですが、そういう程度のことでございますから、拡大してもよかろうじゃないかということで拡大をいたしたわけなんです。これはサラリーマンにもいろいろの階層がございまして、サラリーマン全体として見るとそのくらいのところまでカバーしてもらいたいという希望もあるのであります。
#151
○広瀬(秀)委員 時間があまりありませんので、またこまかい問題についてはあとに残すこととしまして、サラリーマンに確定申告を要しない、いわゆるその他所得について限度が設けられ、いわゆる税金のかからない部分があるわけであります。たとえば大学の先生が頼まれて講演をする、あるいはテレビなどに出たというようなもので五万円までは申告不要だ、こういうことになっておるわけです。これが沿革を見てみますと、二十二年から五百円未満ということになっておったのが、二十三年に三千円に引き上げられ、二十五年に一万円になり、二十七年に三万円になり、三十三年には五万円に引き上げられてきておる。こういうものなども、現在もうすでに三十三年から見れば四十五年、十三年目になるわけでありますね。十年一昔、この十年間、六〇年代というものは、福田大蔵大臣が本会議において大いにその成果を誇られたように、たいへんな成長の時代であるわけです。こういうものについても、やはり少額なものについては不問にする。やはりときには国もサラリーマンに対して親心があるのだぞという一つのよき制度だと思うのですね。いわゆる蓄積なりゆとりというのはそういうところにあるわけですよ。こういうものから考えますならば、これは十何年も据え置きにして五万円以下に押え込んでおくのはどうか。五万円というのは当時としては妥当したけれども、今日ではもはやちょっと……。これは少なくとも倍額くらいに、先ほどの基礎控除定額分の引き上げではないけれども、思い切って倍額くらいにしたところで罰が当たるような問題ではない。いかがですか、こういう問題について御検討される用意がございますか。
#152
○福田国務大臣 これはよく検討してみます。
#153
○広瀬(秀)委員 これは主税局長、三十三年に制定されたことは間違いありませんね。そういうことから検討されるということなんだから……。大臣、本気になって真剣に前向きで検討する気持ちでありますか。
#154
○福田国務大臣 前向きで検討いたします。
#155
○広瀬(秀)委員 前向きで検討されるということでございますので、ひとつこれが少なくとも増額の方向で実現されることを強く要請をいたしておきたいと思うわけであります。
 それからもう一つ、現在老齢者控除がございますが、この老齢者控除というのは現在では六十五歳以上ということになっておるわけであります。老齢者控除は九万円を今度十万円にするということで、若干の配慮は見られるわけでありますが、この年齢の問題であります。これを現在では、ほかの老齢者に対するいろいろなメリットをつける法律のあれこれを考えて、それに合わないということで六十五歳ということになっておるわけでありますが、厚生年金等はもう六十歳ということになっておるわけです。大体それに合わしていいのではないかということで、この年齢引き下げ、六十歳からこの老齢控除を適用するということについてどのようにお考えになりますか。もう六十歳を過ぎて平均寿命は延びたとはいえども、この辺のところはひとつ配慮があってしかるべきではないか。
#156
○細見政府委員 最近は皆さん年をとられても非常に元気でありまして――老齢者控除というのは御承知のように、老年になって所得を稼得するのにいろいろ若い者よりも経費がかかるとか、あるいはよけいな苦労がかかるというところを控除しているわけでありますので、世の中の皆さんが、六十歳は年寄りだということにしたほうがいいと言われればそれも一つの考えだと思いますが、六十歳では――ここに大臣もおられますけれども、まだ老齢者控除ということにはならないのではないかと思いますが、いかがでございましょう。
  〔「大臣にも老齢者控除をつけてやりたい」と呼ぶ者あり〕
#157
○広瀬(秀)委員 これについてはやはり――まあ大臣にということも出ましたけれども、現在では五百万円という所得制限もあるわけですね。これなどはやはり二百万円ぐらいのところなり三百万円ぐらいのところに落としてきてもいいのではないか。五百万円ということになれば、これはもうその中で十二分に、詰めなくて余りある所得階層ですから、これはやはり二百万円程度以下の者に対してむしろつけてやるというのが、これが法の血もあり涙もあるという恩恵ではないか。せっかくそういうところまで来ておるのですから、できればこの六十歳に年齢制限を緩和をするということと、五百万円というのは高きに失するとも思うわけであります。今日では労働力不足というようなことで、まあ五十五歳で定年になって、そのあとくたびれたからだでかせがなければならない。またそういう労働力需要もあるというようなことでありますから、こういう面についても、やはり厚生年金等の思想と、むしろそういうところと平仄を合わして六十歳ぐらいに引き下げることも検討をしていただきたい。このことを要請をいたしまして、私の持ち時間でございますので、これで終わりたいと思います。
#158
○毛利委員長 松尾君。
#159
○松尾(正)委員 いよいよきょうから三法に入りまして、これから詰めに入るわけでありますが、大臣もおいでですし、大綱にとどめたいのですけれども、時間の関係がありますので、少し細部にわたる面もあります。
 まず最初に、一つどうしてもここではっきりしたいと思いますのは、税制が非常にむずかしい、難解でわからない、こういう声が各方面にあるわけです。税法の簡易化あるいは税制の改正という問題については、すでに四十二年以降税調の答申等もありまして、これに取り組んでおられることはよくわかるのですが、しかしむしろだんだん難解になっていく、こういう傾向さえ感じられると思います。いま税を公平にする、先ほども論議された、捕捉でクロヨン等の論議があるというのは、結局税が理解できない、税法が理解できないところから起きる論議だ、こういう点を考えますと、これを簡素化していく、この努力はもう絶対の要件であろう、こういうふうに考えるわけであります。この税の簡易化に対して今後税調等で真剣に取り組んでもらわなければなりませんし、思いますけれども、簡易化に対してどう取り組んでいかれるか。まずこれを大臣にお伺いしたい。
#160
○福田国務大臣 ただいま御指摘のように、税の簡素化ということは非常に大事な問題だと思います。これはもう何といっても、国民の税制という考え方を持たなければならぬわけでございますが、どうも税でこまかい政策的な配慮をするというようなことになりますと、これがまた複雑になってくる。しかし国民のほうから見ると、法律を見たのでは一向わからぬ、どうも税理士にお願いをしないと、自分一人ではなかなか申告書も書けない、こういうようなことが実情ではないかと思うのです。政府のほうでもそういうふうな考え方で、税制調査会では、税制簡素化特別部会まで設けまして、ずいぶん努力をいたしております。特別部会の答申の結果、税制調査会の答申ということになった点につきましては、政府では着実にこれを実行いたしております。この上とも、政府のほうでも税の簡素化ということにつきましては力を入れてまいりたい、かように考えます。
#161
○松尾(正)委員 いま積極的に取り組んでいくというお話がありましたし、さらに納税を義務づけるものである関係上、簡素化していかなければならない、こういうお話がありました。ただし、特にいまの税が申告制度でありますだけに、大臣からいまお話のありましたように、自分で書けないで申告書を税理士に頼んで書いてもらう、専門家に依頼をしなければならない、こういうような問題がある以上、ほんとうの正しい申告納税ということが言えないと思うのです。こういう、税が難解だということについて、それぞれ座談会その他がございますが、そういうときに非常に税が重い、あるいは不公平だという論議がされる。そのときに当局で出席された場合には、それはいままでも検討しておったし、よく税法をわかっていただけば重税感も不公平感も除かれます、こういうことがよく言われております。しかし、いま大臣自身がお認めの、非常に制度的にむずかしくなるのだ、努力をしているけれどもむずかしいのだということ、申告者にわからない税を一応押しつけておいて、努力はされているのだけれどもといって、重税感あるいは不公平感があるのは、これは税法を理解しないからだということは少し無理な押しつけになる。こういうことを感ずるのは、これは私ばかりではないと思うのです。そういう意味からいって、どうしてもここで、ただ積極的に検討するでなくて、具体的にさらに税制簡素化をするための特別調査会を設けるなりして、どういうふうに具体的に進めていきたいかというような構想がありますでしょうか。
#162
○福田国務大臣 まあ税制調査会になお簡素化の問題はお願いしたいと思うのです。そしてその答申が出ましたならば、それをひとつ着実にやっていこう、こういうふうに考えておりますが、これは税が国税ばかりでなくて地方税にもまたがっておるという問題がありまして、この関係も国民から見て、ずいぶん問題を複雑にしておる。納めるほうは一人なんですから、これは国税であろうが地方税であろうが、あるいは社会保障税であろうが、これは納める側から見れば一つでございます。そういう面も非常に複雑な面があるだろうと思います。とにかくこの問題は非常に大事な問題でありますので、ぜひひとつ努力していきたいと思っております。
#163
○松尾(正)委員 いま国税、地方税の問題に入ろうと思ったら、大臣から先に出たのですが、具体的にその体系の面で考えなければいけないという一つの問題に国税、地方税があります。先ほどから論議されております課税最低限を見ましても、国税の場合は百三万円、ところが地方税の場合には今度改正されて七十三万円です。結局国民のふところは一つです。きょうの新聞等を見ますと、税負担が大きく軽減された、米仏に迫った、こういう大蔵省が発表した記事が出ております。しかし、これを見ましても、結局平年度の最低限をここにしるしておりまして、これに住民税が合算された場合には非常に大きな数字になってくる。さらにまた、いままで平年度幾らということがありますけれども、毎年毎年改正されて、平年度で計算されたということはほとんどないわけです。こういった納税者の一つのふところから国税、地方税が出る、こういう点がむしろ複雑になっていることは理解できますけれども、それに積極的に取り組んで簡易化するためには、ここで地方税の諸控除を国税並みに、一挙に百三万円までということはできませんけれども、現在百三万円の課税最低限を国で押えこれを目標にして、そして地方税の課税最低限を、むしろ税率を上げても、地方税の課税最低限を国税並みに、目標を百万円に置いて、こういう点から税制の簡素化という面と負担の軽減という面をあわせて取り組んでいくべきではないか、こういうふうに思うわけです。確かに国税の応能負担、それから地方税の応益負担という、一応の税の目的に相違のあることはよくわかるわけでありますけれども、しかし、この住民税が非常に高いのだ、国税は安くなったけれども住民税が非常に高いのだという声を聞いて、一つには負担を軽減するために、それからもう一つは税制を合理化するために、もう一つは地方税事務を簡素化するために、こういうために住民税の課税最低限を積極的に引き上げていくという考え方についてはどうか、これも大臣にお伺いしておきたいと思います。
#164
○福田国務大臣 所得税が住民税とその課税最低限を一緒にするということになれば、それはたいへんけっこうなことなんです。でありますが、いまの地方財政の状況からいって急にそこまではまいらぬ。と同時に、まいらないが、それが非常に不当であるかというと、地域社会をささえる地方税、それから国をささえる所得税、これとはまた性格が違うと思うのです。そういう意味において違いがあるということにつきましては、これは許されてしかるべきものではないか。しかし、地方財政も豊かになって、住民税の免税点が国税の所得税免税点と一緒になるということは非常に好ましいことであると思います。住民税の免税点の引き上げ、地方財政が改善されつつありますので、これは努力いたしていきたい、さようにいま考えます。
 しかし、問題の税の簡素化、そういう問題からとらえてみますと、中央、地方の免税点に違いがあるという今日におきましても、とにかく国税の免税点以上の人は申告をし納税をします。その同じ人につきましては、地方税でもそういう住民税の申告があったとみなして国税の申告を採用しておりますが、こうした点をさらに検討したらどうかというふうに思うのです。この間予算委員会で総理大臣が、これは中央、地方、徴税のほうは一緒にするという考え方をとるべきだということを申し上げたのでありますが、私もそう思います。ただ、地方自治団体におきましては、中央の資料を使うと、中央の調査に乗っかるというような考え方をすると、地方自治の精神にもとるのだというような考え方を言う人があるのです。私はこの考え方は非常に間違っておると思う。先ほども地方行政委員会において、私はそういう考え方は間違っておるのですということを申し上げてきたのですが、何とか自治団体との間に話し合いをいたしまして、どうせ調査対象は一緒なんでありますから、国税で調査したその調査結果は、自治団体においてもこれを尊重してもらいたい、こういうことをぜひやってもらいたい、こういうふうに思うのですが、ひとつ御協力を願いたい、かように存じます。
#165
○松尾(正)委員 これは事務的に非常に繁雑なんです。いま大臣言われましたけれども、国の申告をそのまま地方へ移して、控除のほうだけを、比率が変わるものですから、向こうであらためて計算するわけです。したがって、事務を簡易化するためには――地方財政も水準を考えればまだ好転していないぞ、私はこの間からこういうことを言っておりますけれども、潤ってきておることだけは、いろいろな面で認められます。したがって目標を、いま複雑という問題で国の申告をそのまま云々ということばがありましたけれども、これはぜひそういう方向に進めていくほうが、地方の納税事務というものが非常に簡素化されるのです。実際に下部へいって聞いてみると、この計算だけでたいへんだということを言っております。そういう意味で、どうかこれを含めて積極的に進めていただきたい、こういうことを要望しておきます。
 それから、これからは具体的に入っていくのですが、一つは所得税制の整理統合がこのたびはかられまして、合理化がなされております。その中の一つに資産合算課税の場合があります。これによりますと、所得限度の引き上げが、配当、利子、不動産等の資産所得の場合の合計が現行三百万円を五百万円に引き上げる、こういうふうになっておりますが、どういう意味で三百万のものを五百万円に引き上げたのか、この理由を御説明願いたいと思います。
#166
○細見政府委員 今回の税制改正は、御承知のように大幅に税率の引き下げを行なっておるわけであります。その資産合算の制度と申しますのは、資産所得を各家族の間に、累進税率からくる負担を分散することによって避けようというところにあるわけであります。したがいまして、税率を大幅に引き下げをいたしたといたしますと、資産を分散することによる税負担の軽減ということも、おのずからそれになる階層というものが引き上がっていくわけです。いままでの負担との関係で、大体五百万くらいまでのところは、従来三百万のところに資産合算を置くことによって、そういういわば税負担の人為的な軽減を避けさせなければならないと思っておった限度が五百万くらいで大体よかろうということで、これは納税者にとってはそれなりにかなりの不便というかめんどうなことでもありますので、その両面を考えましてこの改正をいたしたわけで、私どもは三百万を五百万に引き上げることによって特に弊害は出てこないと考えておるわけでございます。
#167
○松尾(正)委員 いまお答えを聞くと弊害はそう起きてこないということですけれども、しかし単純に考えると、これは勤労所得者に対して不労所得者、さらに高額所得者の税を特に優遇した、こういう感じは避けられないと思うのです。したがって、もう少し具体的に数字をあげて説明してもらいたいのですけれども、たとえば標準の五人の家族で、資産所得の合計が四百万の場合の改正前並びに改正後の負担額、同じく合計額が五百万になる場合の改正前後の税の負担額、これは数字的にはどうなるか、これをちょっとお願いします。
#168
○細見政府委員 合算所得四百万の場合現行税額が八十四万円であります。それが合算限度を引き上げることによりまして、つまり四百万はいままででありますと当然資産合算されていたわけであります。したがいまして、それが合算されないことになりまして五十九万二千円になり、その差額は二十四万八千円ということになるわけであります。それから五百万の場合をとりますと、現行では合算課税で百二十三万五千円であったものが、合算限度を引き上げることによりますと八十八万八千円になりまして、軽減額が三十四万六千円になるわけであります。しかし二十四万八千円のうち、十八万六千円は当然の減税でありますから、この合算限度引き上げによるものは六万二千円、それから三十四万六千円と申し上げましたうちの二十三万八千円は一般的に税率軽減による減税でございますので、この合算限度引き上げによりまして軽減額は十万八千円、そういうことになるわけであります。
#169
○松尾(正)委員 いま標準家族で合算した場合だけの例を引いたのですけれども、これをさらに今回五百万まで引き上げましたので、従来の三百万から五百万までの人は今度合算しなくてもいい、こういうたてまえになるわけですね。そうしますと、所得四百万円で、従来の例を見ると、それぞれ所得別の申告は、主たる所得者、それから従たる所得者と大体一・五くらいの平均で個別に申告をしているそうですけれども、この所得別の申告で計算をしますと、四百万の場合、五百万の場合はどうなりますか。
#170
○細見政府委員 いま申し上げました四百万の場合の五十九万二千円というのが別々に申告いたしました場合の税額の合計額であるわけであります。したがいまして、その配分は、所得の大きさによって若干は違いますが、四百万である限り五十九万二千円である、こういうわけであります。
#171
○松尾(正)委員 こういうふうに改正点を現実にあげて計算をしてみますと、相当大きな軽減額が見られるわけです。さらにこれを五百万にするとこのワクが広がりますし、いままで所得別に納税をする場合に、五百万円のものを家族五人で百万円ずつの申告ということはもう極端な例ではありますけれども、もしこれを二人ないし三人、四人というふうに所得別に申告をしますと、この軽減額が非常に大きな開きになるわけです。特に五百万程度にしますと半分以下になってくる。こういうふうに計算をしてみますと、今度の資産所得の合算課税を五百万まで引き上げた、この三百万から五百万までの間の優遇措置、恩典というものは非常に大きなものがあって、むしろ合理化したというこの改正が非常に不合理なものになっているではないか。結局、税を受ける国の立場でいえば、大きな額がこれによって減少しますし、さらにまたいま言いました、二分して納税を申告する、さらに三者ないし四者で申告した場合の課税の恩典というものは非常に大きくなるわけで、結局この改正が不労所得者の過保護になる、こういう非難を免れないではないかという感じが強くするわけです。したがって、これをやったのには全般の影響ないしはその他の理由があるとは思いますけれども、もう少し納得のいくような御説明をお願いしたいと思うのです。
#172
○細見政府委員 合算の対象となる納税者は年々ふえてまいっております。当初、三十二年にこの制度ができました当時は、限度も低く、二百万として創設したのでございますが、そのときに一万人ぐらいであったわけです。それからこの限度を四十二年に三百万に引き上げておりますが、その当時に約六万人あったわけであります。それが四十三年に七万人になり、四十四年、四十五年はおそらくもっとふえてまいるわけでありますが、これを五百万にいたすことによりまして、三百万に設定いたしました当初ぐらいの人員にまで引き下げて、おっしゃる意味の高額な所得者があって、三十二年当時あるいは四十一年当時にこの階層以上の人たちについてはそういう資産所得の分散による不当な税の軽減は避けてもらわなければならないというふうに判断いたしておった階層は、この程度の引き上げによりましてもやはり把握されるというような認識に立って改正いたしたわけでございます。
#173
○松尾(正)委員 これはもう少し説明をしていただかないと納得できないと思うのです。まだこれから時間もありますので、この問題についてもう少し掘り下げてあとで伺いたいと思います。
 次に法人税率の引き上げでありますが、これもやはり大企業中心の租税特別措置――今回の改正で二、三整理統合されたわけでありますけれども、依然として大企業中心の税制である、こういう点の変わりのないことは、もうすでに予算委員会並びに本委員会でも指摘されておるところであります。そこで、今回の改正で配当分を据え置いて留保所得に対する税率を引き上げた、この理由について説明をしていただきたいと思います。
#174
○細見政府委員 もちろん法人負担の引き上げということを考えます場合に、一律に引き上げるというのも一つのお考えであろうかと思いますが、今回の法人税の引き上げの背景となりました財源事情、つまり所要財源という問題や、あるいは最近の四十年代に入りましてからの法人税の引き下げが主として留保分について行なわれておったというような経緯から考えますれば、留保分だけの引き上げでも財源的にも足りますし、事柄としてもそういう経緯を踏まえれば当然の措置であった、かように考えております。
#175
○松尾(正)委員 これは片方だけで財源的に足りたというお話でありますけれども、留保分との差が改正前は九%だったのですけれども、さらに今度税率を動かしたことによってこの差が、一〇%引き上げたために、一〇・七五と開いたわけです。したがって、配当分に対する課税率との格差が開いた。こうなると必然的に一〇・七五という割り高になる留保分に利益を回すことをきらって、むしろ割り安の配当分に金を回す、こういうことによって結果的には配当性向の高い企業を優遇する。すなわち、企業間にそれぞれ相違がありますので、負担の変動を考えますと、やはり配当性の高い企業を優遇する、こういうことになる。これを考えると、一方を引き上げて一方をそのままにしたということには矛盾があるのではないか、こういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。
#176
○細見政府委員 おっしゃるように、今回の改正によりましてその差は一〇・七五になることは事実でございますが、さらに振り返って過去をごらん願いますと、三十六年に御承知の配当軽課方法を資本市場の育成あるいは企業資本の充実というたてまえからとったわけでございますが、そのとき三八と二八、一〇%の差であり、さらにその配当軽課を三十九年に一歩進めまして、このときには三八%の留保分に対する税率に対しまして配当分は二六%と、一二%になっております。四十年も留保分の軽課が行なわれましたが、このときは差は二%で、四十一年は九%というわけでありまして、特に今回の改正が特別な事態を招来したというよりも、過去の経緯を一体としてごらん願えれば、私が先ほど申し上げました経緯の上に立っての改正でありますので、特別などちらに有利というような改正でなかったと思います。
#177
○松尾(正)委員 一応了解できますが、いまのは配当を出す側の企業ですね。
 次にやはり格差という問題で問題になります配当を受ける側の論議ですが、結局配当所得に対する課税最低限が、四十六年、四十七年とも今度の改正によって三百五万円になった。一方のサラリーマンの場合には、今度最低限が引き上げられて百三万円となりましたけれども、配当所得に対する最低限は三百五万円、従来よりもずっと格差が大きく開いたわけです。これはいままでも何回か他の委員等からも論議されたんですけれども、出すほうではさっき言いました企業側の配当支払い業種間の不公平、さらに今度は配当所得者の側では勤労者との格差が大きく開いた。これに対してはどうしてもみんな納得できないと思うのです。したがって、この二点についてひとつ御説明をお願いしたいと思います。
#178
○細見政府委員 法人税と所得税との関係をどういうふうに構成するかという問題につきましては、長い間議論をいたしておるわけでありますが、なかなか統一した結論にまで到達するのがむずかしい状態であることは御案内のとおりであります。そういう意味におきまして、法人税と配当、それから配当を受ける人の課税というものを根本に立って改正するのは非常に各方面の検討の結果を待たなければならないわけでありますが、いま松尾委員のおっしゃるように、所得税の大幅な税率の軽減が行なわれます結果、結果的に配当控除が相対的に有利になっていくという点をも考えまして、配当控除率を税率の引き下げとある程度見合った形に引き下げを提案しておることは御承知のとおりであります。そういう意味におきまして、今回の配当控除率の引き下げが行なわれましたときには、金額は確かにふえておりますが、給与所得者と配当所得者との間の非課税限度額の差を割合で見ますと、四十四年が三・〇二でありますが、それが四十六年以降は二・九六あるいは四十八年以降は二・三六ということになります。四十八年以降は二・三六ということになります。ただ四十五年だけは経過措置の関係がございまして、税率引き下げからくる給与所得者、配当所得者の免税点が大幅に引き上げられて、四十五年だけは一度三・六四というふうに倍率が大きくなりますが、以後は小さくなって、この意味でこの格差も縮まっておるということだと思います。
#179
○松尾(正)委員 税率を改正するつどこういう現象が起きるわけです。したがって、今度の場合にもむしろこれだけ不公平がある。政府は不公平を解消するんだと取り組んだ問題が、この二点をあわせてみますと逆に格差が広がった、こういう事実が起きておりますので、この点については今後積極的に取り組んで、改正をしたことによって格差が広がるというようなことのないようにこれは注意して進めていくべきである、こういう意見を強く申し上げておきたいと思います。
 次に、時間がずいぶん迫ったわけでありますから、中小企業に対する税対策について伺いたいと思います。
 わが国の中小企業というものは非常に大きな役割りを果たしておる。これに比べますと、高度成長政策の陰で中小企業が非常にみじめな状態に置かれまして、それぞれその担当省で努力はいたしておりますが、その実効があまりあがっていない。倒産等もしり上がりのような状況を示している。中小企業庁の方お見えになっておるでしょうか。――今後中小企業の重要な立場、しかし現実はこういうふうに倒産等が相次いで起きている。しかもこれから三月、四月には特に倒産がピークになるであろうというような状況が報道されておりますけれども、これに対して中小企業庁としては、通産省としてはどう取り組んでいるか、その基本的な考え方をまず伺いたいと思います。
#180
○斎藤説明員 中小企業の倒産の状況は、東京商工興信所の調査で見てみますと、昭和四十三年が一万件をこしましてピークでございましたが、昭和四十四年には年間八千五百件強でございまして、若干少なくなっております。四十五年に入りましてから一月、二月はいずれも前年よりも少なくなっておりますが、三月になりまして八百三十五件というようにふえまして、昨年の三月の八百二十五件に対しましてややふえております。これは年末資金の決済とか納税期等に当たっておりました関係もございますかと思いますが、漸次金融引き締め措置の浸透につれまして企業の資金繰りが悪化することも懸念されますので、今後の動向には十分注意を払ってまいりたいというように考えております。
 こういった倒産等に対する対策でございますけれども、基本的には結局中小企業の近代化なり合理化なりを推進いたしまして、企業の体質を改善するということが基本かと存じまして、従来から中小企業施策を種々講じておるところでございますけれども、特に当面の金融引き締め措置に伴いまして金融面から中小企業が倒産に追い込まれるというようなことがないように、四十五年度の政府系三金融機関の貸し出し規模を前年度比一八%増の一兆円強にいたしております。またこれの運用にあたりましても、極力上期のほうに傾斜をかけるというようなやり方で、弾力的な運用をはかっていくことにいたしておりまして、そういうことによりまして対処してまいりたいというふうに考えております。
#181
○松尾(正)委員 中小企業関係ではそれぞれ当局で非常に苦心を払って努力をされておるという点は理解できます。したがって、この細部は避けまして、こういう状況にある際、税制面でやはりいろいろ手を打たなければならない、こういうことは当然と思いますが、税制面でもって中小企業に対してどういう手が大きく打たれているか。具体的に、項目だけでけっこうですから。
#182
○細見政府委員 基本的には、今回提案いたしました所得税の大幅軽減は、それは中小企業者にも大きくメリットになろうかと思いますが、そのほかの点を申し上げてみますと、今回の法人税の引き上げにあたりまして、中小法人の年所得三百万円以下の部分に対しましては税率引き上げを行なわず、そのまま据え置きの措置をいたしております。それから、御承知の中小企業の貸し倒れ引き当て金につきましては、通常の率の二割増しにいたしておるわけでございますが、それを今回期限が参りましたが延長いたしました。それから中小企業合理化機械等の初年度に三分の一の特別償却をする制度でございますが、これの対象となる機械等の範囲の拡充を行なっております。それから四番目に中小企業近代化促進法の指定業種の機械など、これはやはり五年間三分の一の割り増し償却でありますが、これも延長いたしております。それから五番目には、中小企業構造改善準備金などのいろいろの特別措置がこの際講ぜられておりますし、さらに下請企業の問題につきましても立法を待って措置をいたすことにいたしております。そのほか同族会社につきましては留保所得課税の軽減をいたしておるわけでありまして、それこれの制度を総合的にごらん願えれば、中小企業につきましてかなりの配慮といいますか、税制としてはできるだけの配慮をいたしておるということがおわかり願えようかと思います。
#183
○松尾(正)委員 税制面でもいろいろ配慮されたあとは見えますが、そこで一つ具体的なこまかい点ですけれでも、税金が結局払えないで、金繰りができないために倒産するというケースも生まれてくるわけですね。延納規定があるわけですが、この税の延納については税額を半分、二分の一納めると、あとは三カ月を限度として延納を認めておる、こういうごくこまかい点ではありますけれども、零細の企業が高度化を要求される、構造改善を要求されるという中では、どうしても融資の面と同時に税制面でもその配慮が必要であろう、こういう立場から考えますと、これをもう少し延期できるのではないか、二分の一ないし三分の一納付した場合には残額をその年一ぱい、六カ月ないし一年くらい延期をして、そうしてむしろ中小企業、零細企業を見てあげるのが適切ではないか、こういうふうに考えますけれども、この点についてはどうでしょうか。
#184
○細見政府委員 納期を延長すればそれによって納税がやさしくなるというわけにもいかぬ面、一方で税といたしましては徴税の確保という面もあるわけでありまして、そういう意味で分納期間中は一切ほっておくというわけにもいかず、結局資金繰りの状況などを絶えず税務署に御連絡願うというようなことになりますればそれなりの手間もあるわけでありまして、それこれ考えますれば現在の三カ月の延納制度と申すものは税制の中におきましてはかなり思い切った――たとえば所得税などの延納と比べますとかなり延びております。また所得税の中でも事業所得者について若干の延納があるということから、勤労所得者のほうは毎月毎月税を取られるのはいかがなものかという議論も出てくるわけでありまして、この辺はやはりバランスの上に成り立っておる現状は現状として一応お認め願っていいのじゃないかと思っております。
#185
○松尾(正)委員 これは、いま所得税とのアンバランスをあげられましたけれども、数はそうよけいないと思うのです、こういう差し迫った状況は。しかもそう手続が困難な問題でもないというごく例外的なものであると思いますので、どうかひとつ、こうなっているのだからというのでなしに、積極的な姿勢で取り組んでいただきたいと思います。
 次にもう一点具体的な問題は、年末調整によって源泉徴収額の納付期限、これが翌年の一月十日まで、こういうふうになっております。しかし中小企業、特に小企業の場合を見ますと、年末の場合にはむしろ給料を払って、源泉徴収を行なうというようなことはもうほとんどできない。十二月の三十一日までぎりぎり仕事をやって、そうしてボーナスも給料も含めて仮払いをする。これでやっと年を越して、そして仕事始め七日以降職員がそろったところで計算をするというようなケースも相当見られます。したがって、これに対して翌年の一月末日――一月十日までというふうになっておりますけれども、この納付期限を一月末日くらいまで延ばすこと、これは可能ではないか、こう思うのですけれども、どうでしょうか。
#186
○細見政府委員 この点につきましては、今回答申をいただいた税制調査会にもそういう御要望が提出されておりまして、いろいろ利害得失を検討いたしたわけでありますが、源泉徴収のたてまえからすればやはりいかがなものかという議論が多くて、いま少し、松尾委員のおっしゃるような実態について調べた上で適正な判断を下すべきものじゃないかというので、結論といいますか、改正を見送られた経過がございます。しかし、この問題につきましてはそういう御要望もあることは承知いたしておりますので、引き続き税制調査会などでも検討が行なわれる予定であろうかと思います。
#187
○松尾(正)委員 これは非常に強い要望もありますので、ひとつぜひお願いしたいと思います。
 それから最後に、先ほど広瀬委員から老年者控除、この問題がございまして、年齢の件につきましてはもう先ほどここでお答えを聞きましたから省きますが、私はもう一つ別な角度で、老年者控除が現行法では納税者本人だけになっております。これを同一世帯におる配偶者あるいは親族等、これに対しても当然この老年者控除のワクを広げてもいいのではないか。この老年者控除の年齢の件、それからさらに親族あるいは配偶者に対して老年者控除をしてもらいたいという要望は非常に、厚生省をはじめ労働省あるいは福祉協議会等からも長い期間にわたって出ておりますので、もうこの辺でこの手は打っていいのではないか、こう思いますけれども、この点をひとつお答えいただきます。
#188
○細見政府委員 老年者につきまして、老年者が扶養家族である場合には、やはり普通の扶養家族の場合よりもいろいろ支出がかかるということに着目されて、扶養家族の老年者にも老年者控除を設けるべきだという御議論がございまして、その点につきましていろいろ検討をいたしたのでありますが、ただ単に老年者であるからというだけで老年者控除の対象とすることになりますと、一方それでは幼児などにつきましては、幼児であるからたとえばミルクが要るとかあるいはおむつがよけいかかるとかいうような、幼児控除というような御議論も一方で出てまいりまして、そういうことであればやはり一般的に扶養控除を引き上げて対処したらどうか。また、一般的に扶養控除を引き上げると、今度は独身者とのバランスという話がまた一方では出てくるわけでありますが、そういうことでこの問題いろいろ御議論になりまして、今回の改正でお願いいたしております法律につながります政令といたしましていま考えておりますのは、老年者で特に世話のやける老年者につきましては、身体障害者と同様のような考え方で、一種の老年者控除をお認めしたらどうかというのが一つと、それから老年者でありまして身寄りのない方その他が生活にお困りになっておって、非常に奇特な方がそういう方を引き取られて自分の扶養親族として扶養される場合には、御案内の扶養家族の中に入れた、いわばそういう制度、この二つが老年者に対する今回の措置としてなされておりますが、扶養家族、特に老年者あるいは幼年者あるいは教育費のかかる扶養家族、その辺を含めましてどういうふうに控除を考えていったらいいかということは、今後税制調査会その他におはかりして、各方面の御意見をよく承っていきたいと思っております。
#189
○松尾(正)委員 終わります。
#190
○毛利委員長 小林君。
#191
○小林(政)委員 私は、上程されております税法の改正法案の中で、所得税についての課税最低限及び給与所得控除に関して二、三の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
  〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
 すでに課税最低限の問題はいろいろといま言われておりましたし、また時間の関係等もございますので、この課税最低限の問題については後日具体的に質問をするということにして、ごく簡単に一点だけ触れたいと思います。
 まず第一にお伺いをいたしたいことは、昭和四十五年度の税制改正要綱によりますと、夫婦子三人、五人世帯の給与所得者の課税最低限が百二万八千六百七十四円、それから事業所得者の課税最低限は七十三万九千三百八十円となっておりますけれども、この差額は、同じ五人世帯でありながらどうして出てくるのですか。この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
#192
○細見政府委員 先ほど逆の意味で広瀬委員から御指摘がございました給与所得控除が、そこに違いとして出てきておるわけでございます。
#193
○小林(政)委員 給与所得控除が課税最低限の中に含まれているということでございますけれども、それではお伺いいたしますけれども、まず給与所得控除というものはなんでしょうか。具体的に説明をしてもらいたいと思います。
#194
○細見政府委員 先ほど御議論がございましたように、一つは給与所得者が給与を得るために必要な経費、あるいは給与所得者は税金を前払いいたす、月々払うという形になりますので、年一回支払う者に比べれば早く納税しておるその利子分、あるいは給与所得者は資産を運用して所得をあげておる人たちに比べて担税力の点で考慮すべき点があろうというような点が、普通、給与所得控除の理由としてあげられているところでございます。
#195
○小林(政)委員 そうしますと、いまお話しのございましたとおり、一応その利子の問題とかあるいは資産の問題等御説明がございましたけれども、所得を生み出すための経費が含まれているということですけれども、経費というものを課税最低限に加えるということはおかしいんじゃないだろうか。課税最低限はまあ人的控除というものを積み重ねるというようなもので、ここまでは税金を課税されないというものですから、本来給与所得者もまた事業所得者も、課税最低限というものはほぼ同じといいますか、近いというか、そういうもので表現されなければならないのだというふうに思います。給与所得者の課税最低限は給与所得控除後の金額で当然あらわすべきであって、現在の百二万八千六百七十四円としているのは、これは見ようによっては課税最低限が非常に高いということの見せかけのそういうものというふうに見られてもしかたがないのじゃないだろうか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
#196
○細見政府委員 課税最低限と申しますことばは、これは法律上の厳格なことばではないのでありまして、便宜、そこまでの所得には税がかからないという限度をあらわしているわけでございます。御承知のように、国民所得の概念におきましては、給与所得者の場合、収入金額が全部給与所得になっておるわけでありますが、税法の上におきましては給与所得控除という概念を持ってまいりまして、いまの担税力が弱い点とか、あるいは給与所得を得るのについて、生活費との間の区分が非常にむずかしいのではありますが、しかし何ぶんかの、給与所得を得るためだけに費やされたものもあろうかということで、給与所得の経費という概念を入れて、それを総括しまして給与所得控除というものにいたしているわけで、そういう意味で、厳密なことばとして課税最低限を使うというのであれば、小林委員の御指摘のような問題がありますが、便宜国民所得といいますか、国民一般に観念されておる給与所得者の収入という概念からいたしますれば、いま私どもが申し上げているような言い方でもいいのではないか。法律的な厳密な概念ではございません。
#197
○小林(政)委員 法的な厳密なものではないのだということでございますけれども、やはり本来課税最低限というのは、普通これは所得であらわしているわけですし、それからまた給与所得を除きまして他の十種類からのそれぞれの所得がございますけれども、こういうものもやはり所得であらわしているのであって、少なくとも課税最低限ということは、ここまで税金がかからないのだというようなことを一般の人たちが考えるわけですから、そういう点ではむしろ先ほど言ったようなことが言えるのではないかというふうに考えます。
 次にお伺いをいたしますけれども、給与所得控除についてもう少し詳しく質問をいたしたいと思います。給与所得控除には、定額の控除と定率の控除がございますけれども、十万円の定額控除というのはどういう性格のもので、何を基準としてきめられたものなのですか。先ほど大蔵大臣のほうからも一応簡単に、必要経費を概算的に見ようというようなものだというふうな御発言がございましたけれども、その点についてひとつ、初めてでございますので明確にお答えを願いたいと思います。
 また、定率控除とはどういう性格のもので、何を基準にしてその対象金額と率はきまるものなのか、この点もあわせてお伺いをいたします。
#198
○細見政府委員 大臣が先ほど申し上げましたように、給与所得控除は全体として概算的なものであるわけでありますが、同じ概算的なものでありましても、その中に、およそ給与所得者である限り、基礎的といいますか、サラリーマンとしてつとめに出る限り、だれでもが要るであろうというような基本的な経費と申しますか、基礎的な経費と申すようなものと、それから、所得に応じてやはり職場のつき合いとか、あるいは職場でのいろいろな雑費とかいうようなものがかかるというような点があろうか。それはかなり収入あるいは地位に応じてふえていくわけでありますので、その基礎的なものが定額控除であり、その収入に応じてある程度の経費はあろう。ただ、それは百万円のときも二百万円のときも三百万円のときも同一の率ではなかろうということで、文字どおりこれは概算的なものだから精密な計算は困難ではありまするが、収入に応じまして、現在は、今回の改正によりまして百万まで二〇%、それから二百万まで一〇%、四百万まで五%というふうになっておる。ただその場合は、十万円が定額控除されますので、厳密に収入金額で申せば、百十万円までが二〇%、以下、同じようになるわけであります。
#199
○小林(政)委員 そこで具体的にお伺いをいたしますけれども、その十万円の定額控除は、先ほどのお話にも出ておりましたけれども、四十三年以来三年間、ずっと据え置かれてまいりました。諸物価が相当上がっているにもかかわらず、三年間これを据え置いたという理由、それは何なのでしょうか。
#200
○細見政府委員 もともと概算的なものでありますので、精密な積み上げ計算ができておるわけではございません。その意味で、給与所得控除は全体としてごらん願うのが筋ではないかと思うのでありますが、この定額控除と定率控除とを組み合わせることによりまして、現在五十万円の収入金額でありますと十八万円、三六%というような高率な控除になっておりますし、百万円のところになりましてもなお二八%というようなことになっております。したがいまして、定額控除というのがこの辺の階層に大きく響くことはおわかり願えようかと思いますが、こういうふうに三六とか三〇あるいは二八とかいうような大きな率になっておることを考えれば、およそ給与の所得を得るために必要な経費としては、かなり十分に控除ができておるのではないかという判断に基づいておるものと考えております。
#201
○小林(政)委員 ただいま五十万円、百万円の例をあげられまして、きわめて高い率であるという御説明でありますけれども、私、収入が低くなればこの十万円のパーセントが高くなるということは、これは全く当然のことであって、むしろその率の問題ではないんじゃないか。そうして所得を得るために必要な経費ということを含んでおるわけでございますから、当然これは額が問題になるのであって、収入が低ければ、したがってその率というものは高くなるということは、これはもう四十万円で計算しても十六万円、四〇%という形で、収入を低く見ればパーセントが高くなるということはこれは当然でございまして、したがって、この率ということがむしろ非常に高い率だということでなくて、所得を得るための額が問題なんじゃないだろうか、このように考えます。
 そこで、時間がないので次に移りますけれども、定率控除の対象の額についてはいま御説明ございましたけれども、四十三年に百万円であったものが四十四年には三百万円に引き上げられ、そうしてそれがさらに四十五年度は四百万円に引き上げられました。これもわずかの、今度は三年間に三百万円も対象額の範囲が引き上げられたことになりますけれども、この引き上げというものはどこまでエスカレートしていくものなのでしょうか。歯どめというようなものは一体どこに置かれ、そうしてそういうものがあるのかないのか、この点について簡単にお伺いをいたしておきたいと思います。
#202
○細見政府委員 給与所得につきまして概算的な経費を引く給与所得控除は、理屈を厳密に申せば収入金額が幾らになってもあるのがあるいは筋かもしれませんが、しかしそこは社会通念その他からいたしまして、四百万円を定率控除の対象にいたしましてもなお高額だという御批判もあるのでありますから、それらの点を考えながら現実の改正には取り組まなければならないと思います。この四百万になりましても、御承知のように、三十二年に税率の改正と給与所得控除の大幅拡大を行なった、例の一千億減税といったときの減税施策でありますが、このときに給与所得者の大体九八%程度、九七%をカバーするところまで給与所得控除が及んでおったわけであります。
  〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
今回の改正によりましてほぼそれに近いところまで戻ったわけでありまして、むしろその意味におきましては、その三十二年から四十五年までの改正の過程において、給与所得控除の適用範囲の拡大がいわば忘れられておったという点を是正したというふうにお考え願いたいと思います。
#203
○小林(政)委員 大体私、いま給与所得控除の中身の問題についてお伺いをいたしたわけでございますけれども、いままでのいろいろの御答弁を要約いたしますと、給与所得控除というのは一つの定率、定額があって、職業上の経費というような、そういうものの概算控除というふうに理解してよろしゅうございますか。
#204
○福田国務大臣 そのとおりでございます。
#205
○小林(政)委員 そこで私一つお伺いをいたしたいのですけれども、百万円の収入金額を得るために、利子所得者の場合は元本を銀行等に預けておけば、いろいろ手続はございますけれども、たとえ病気で寝ていてもその収入というものを得ることができるわけでございますけれども、給与所得者の場合は、病気にかかって寝てしまえば働くことができない、したがって収入を得ることができないわけでございます。収入を百万円得るという、このためには、健康を維持し、そうして肉体的、精神的労働を伴うと同時に、額に汗をして働く。したがって、同じその百万円という収入を得るためには、利子所得者と給与所得者とではおのずから必要な経費というものが違ってくるというふうに考えますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#206
○細見政府委員 その意味におきまして、利子所得には経費という概念が入っておりませんし、給与所得者には給与所得控除というもので概算的に経費も引く。いまの、所得の稼得者の健康というようなものにも依存する弾性力の弱さというような点も配慮しておるわけでございます。
#207
○小林(政)委員 そうしますと、私ここでさらにお伺いしたいのですけれども、税法上の基礎控除あるいは配偶者控除、扶養者控除、いわゆる一般的に人的控除といわれているものは、給与所得者も事業所得者も、あるいはいま例をあげました利子の配当所得者も全く同じ金額でございますね。
#208
○細見政府委員 同様でございます。
#209
○小林(政)委員 そうしますと、給与所得者が給与を得るための必要経費、それと不労所得との差といいますか、これはいま一体どこで見ているかということが問題になるわけですけれども、これは給与所得控除で見ているというふうに理解してよろしいのですか。
#210
○細見政府委員 そのとおりでございます。
#211
○小林(政)委員 いわゆる基礎控除というようなものは普遍的な控除でございまして、一律に設けられている控除でございますから、その控除額というものはどのような所得であろうと同額になるということでございますけれども、給与所得者が所得を得るために必要とする経費といわれるものはすべて給与所得控除というものに含まれているのだ、こういうふうに考えられます。そこで私は、本来勤労者の所得というものを考えますときに、勤労者がその所得を得るということは、単にせびろが何着必要だとか、あるいはくつが一年間にどの程度のものが何足必要であるかとか、あるいはワイシャツが何枚必要だとか、前回の委員会でもいろいろ論議がされておりましたけれども、というような職業的な経費というものも当然必要だというふうに私は思います。けれども、本質的にはせびろやくつやネクタイが所得をかせぐのではございませんし、勤労所得者の場合にはなま身のからだそのものが病気になれば所得を得ることができないわけですから、なま身のからだそのものが労働にたえ得る健康な肉体と精神と、そして常にそれに必要な知識というようなものが、これは当然所得を生み出すためには必要なものだ。その健康な肉体と精神が働くことによって所得そのものを生み出していくという点を考えますと、所得を得るための労働力の再生産費というものが当然大きな問題になってくるのではないだろうか、このように考えております。したがって、労働力の再生産を確保するために必要な経費というようなものが、いわゆる生活費と一般にいわれていますけれども、こういうものが所得控除の中に必要経費として、勤労者の場合には含まれることが当然だというふうに考えますけれども、この点について基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
#212
○細見政府委員 健康で毎日を送らなければならないのは利子によって所得を得ておられる方も同じであります。事業をおやりになっておる方も同じでありまして、勤労者も同じであります。その意味で、この問題は基礎控除のほうで考えるのが筋だと思います。
#213
○小林(政)委員 基礎控除の問題も、当然これをもっともっと引き上げていって、憲法で保障されている、いわゆる健康で文化的な最低生活を保障していくということは当然のことだというふうに考えますけれども、実際には、不労所得の場合と勤労者の所得を得るという点では、くつやせびろだけではなくて、その他の若干の職業上の狭い意味での必要経費ではなくて、やはりもっと本質的な、自分の所得を生み出していく健康な人間といいますか、そのものに再生産費として当然こういうものは要求さるべきだというふうに考えておりますので、ただいまの御答弁、ただ所得ということで一律に考えられることは私納得ができません。そしてこういう考え方に基づいて、当面いまの給与所得控除のうち、その定額部分に勤労者的な控除という性格を与えて、十万円の定額控除を大幅に引き上げることが必要ではないだろうか、このように考えておりますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#214
○細見政府委員 定額控除を引き上げる問題につきましては大臣がたびたびお答えいたしておりますのでこれに譲りたいと思いますが、いま申し上げております基礎控除と申しますものは、これは所得に着目ではなくて、人に着目いたしまして、利子所得者あるいは年金所得者あるいはそのほかの所得者でありましても、それぞれ生活を維持していかれるためには必要な基礎的な経費が要るだろう、それは基礎控除で見るべきものであり、勤労所得者や給与所得者が働きに出、給与所得者としての特別な働きを世の中でされるにあたって必要な経費を給与所得の控除の中で見ていくというのがいまの所得税のたてまえになっております。
#215
○小林(政)委員 その問題は一応この次にまた、議論の点は譲るということにいたしまして、政府はこの二、三年来サラリーマン減税ということで、このことが一番大きな宣伝もされておりますし、一枚看板にもいたしておるわけでございますけれども、これはサラリーマン減税ではなくて二〇%の重役減税ではないだろうか、私はこのような疑問を持つものでございます。これは、給与所得者の中で収入百万円までのものが約八〇%以上を占めておりますけれども、しかし収入九十万円までの層は給与所得控除が今回も一円も上がらない。そうして三百万、四百万という、給与所得者の中でもごく一%か二%にしか当たらない、こういう層を対象にして大きな減税を行なったものでございまして、約八〇%近くを占めるサラリーマンは三年間そのまま据え置かれておるというような状態のもとで、これではサラリーマン減税は存在しなかったのではないか。ごく少数の、それこそ重役減税というようなものが行なわれたのではないか、このように考えるわけでございますが、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
#216
○細見政府委員 たびたび申し上げておりますように、今回の減税は、規模といたしましては三千五十億に及ぶかつてない規模のものであります。しかもこの所得税の減税の八割の部分はいわゆる勤労者の方々に及ぶわけでありまして、その意味におきまして、私どもは決して一部の人に片寄った減税でなくて、せっかく政府の税制調査会が総合的に、全般的な立場で日本の当面の所得税として一番望ましいという姿を答申いたしたものを、いわば全面的に意識していたしたものでありますので、現在におきまする税制改正としては望ましい姿が実現できた、かように考えております。
#217
○小林(政)委員 確かに人的控除あるいはその他の控除等によって一般的な減税というようなことが行なわれてはおりますけれども、しかし八〇%近くのサラリーマン、九十万、百万のこの層が減税の恩典に浴さないで、給与所得者全体の中で占めるごく少数の一、二%の層が大幅な減税の恩典ということになれば、確かに基礎控除その他においては若干減税になっておりますけれども、サラリーマン減税ということに限って考えれば、そのようなことが言えるのではないかというふうに私は考えます。特に一般勤労者、こういう層に対しては、憲法で保障されている最低の文化的な生活が保障されなければならない、こういう立場から、私どもといたしましては基礎控除並びに配偶者控除というものはそれぞれ四十五万円、そして扶養控除は一人について二十万円、夫婦子供三人で最低百三十万、このくらいなければ、現在の物価上昇の中で、教育の問題あるいはその他住宅の問題、さまざまな問題が含まれている中で最低生活を保障することはきわめて困難だというふうに考え、これを党としても要求してまいりましたけれども、この点について大臣の所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#218
○福田国務大臣 たいへんいま減税減税というお話がございますようですが、いま日本の国民の税負担というものは諸外国に比べると非常に低いのです。先進諸国では大体三〇%前後の租税負担率、所得があればその三〇%を中央、地方を通じての税として負担をし、そして国家経営ということでありますが、わが国においてはそれが一八%非常に低いわけです。ただ、低いが、その低い日本の税制の中で多少、諸外国に比べてあるいは直接税という形が多いかもしれません。そういうようなことから、サラリーマン減税とか課税最低限を引き上げろとか、いろいろお話がありますが、しかし税負担としてはそう高い国柄じゃないのです。一挙に課税最低限を百三十万円に、あるいは百五十万円に引き上げるべしというような勇ましい議論、これは議論としては、また議論の気持ちはわかりますけれども、現実の政治をやっていくという見地から見ますとなかなかそういうわけにもまいりません。今後は社会資本の充実、つまり道路を整えなければならぬ、上水道、下水道あるいは港をつくらなければならない、あるいは新幹線もつくらなければならぬ、そういうことを考えると、むしろ税負担はこれから多少上がらなければならぬという傾向にあるわけであります。その間において国民に最もなじまれるところの税制はいかん、こういう角度から今後の税制は考えなければならぬというふうに考えておるわけでありますが、私は直接税が間接税に比べて比重が大き過ぎるという点に配意いたしまして、これからそういうふうにだんだんと金がかかってくる、そのかかってくる財源は直接税にこれを求めないで、特に所得税にこれを求めないで、何かいい間接税というものが考えられないかというような考えを持っておるのです。小林さんがおっしゃるように、税なしで国家経営ということはできないわけでありますから、みんなして気持ちよく税を出し合って、そして住みよい環境をつくっていくということに努力をしていかなければならぬと思います。
#219
○小林(政)委員 ちょっと一言だけ。ますます財政規模が大きくなっていく、したがって税負担というものはこれからもっと上げていかなければならないということですけれども、私、租税の原則の応能主義といいますか、こういう立場からいけば、むしろ特別措置等で措置されているものこそ一刻も早く解決して、そして一般的な大衆的な負担はこれを下げていくべきではないか、このようなことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
#220
○毛利委員長 次回は、明九日木曜日、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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