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1970/04/15 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第26号
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1970/04/15 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第26号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第26号
昭和四十五年四月十五日(水曜日)
    午前十時五十分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 上村千一郎君 理事 金子 一平君
   理事 藤井 勝志君 理事 村上信二郎君
   理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
   理事 松尾 正吉君
      奧田 敬和君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村武千代君
      坂元 親男君    田村  元君
      高橋清一郎君    登坂重次郎君
      中島源太郎君    丹羽 久章君
      原田  憲君    福田 繁芳君
      坊  秀男君    松本 十郎君
      森  美秀君    吉田 重延君
      平林  剛君    堀  昌雄君
      美濃 政市君    八木  昇君
      貝沼 次郎君    田中 昭二君
      二見 伸明君    永末 英一君
      小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        大蔵省証券局長 志場喜徳郎君
        国税庁長官   吉國 二郎君
 委員外の出席者
        郵政省貯金局次
        長       田中 恵造君
        自治省税務局固
        定資産税課長  山下  稔君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  伏木 和雄君      田中 昭二君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 昭二君      伏木 和雄君
    ―――――――――――――
四月十四日
 貴石、貴金属製品等第一種物品税の課税方式改
 正に関する請願(菅太郎君紹介)(第三二一一号)
 同(坂本三十次君紹介)(第三二一二号)
 同(堂森芳夫君紹介)(第三二一三号)
 同(西村直己君紹介)(第三二一四号)
 同(福田一君紹介)(第三二一五号)
 同外一件(宇野宗佑君紹介)(第三二六一号)
 同(倉成正君紹介)(第三二六二号)
 同(久保田円次君紹介)(第三二六三号)
 同(登坂重次郎君紹介)(第三二六四号)
 同(藤井勝志君紹介)(第三二六五号)
 同(藤山愛一郎君紹介)(第三三二八号)
 同(松本七郎君紹介)(第三三二九号)
 同(三原朝雄君紹介)(第三三三〇号)
 同(草野一郎平君紹介)(第三三八九号)
 同(平林剛君紹介)(第三三九〇号)
 減税に関する請願(華山親義君紹介)(第三二六
 六号)
 同(原茂君紹介)(第三二六七号)
 同(日野吉夫君紹介)(第三二六八号)
 同(平林剛君紹介)(第三二六九号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第三二七〇号)
 同(藤田高敏君紹介)(第三二七一号)
 同(古川喜一君紹介)(第三二七二号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第三二七三号)
 同(堀昌雄君紹介)(第三二七四号)
 同(松浦利尚君紹介)(第三二七五号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第三二七六号)
 同(松平忠久君紹介)(第三二七七号)
 同(松本七郎君紹介)(第三二七八号)
 同(三木喜夫君紹介)(第三二七九号)
 同(三宅正一君紹介)(第三二八〇号)
 同(美濃政市君紹介)(第三二八一号)
 同(八百板正君紹介)(第三二八二号)
 同(八木昇君紹介)(第三二八三号)
 同(安井吉典君紹介)(第三二八四号)
 同(柳田秀一君紹介)(第三二八五号)
 同(山中吾郎君紹介)(第三二八六号)
 同(山本幸一君紹介)(第三二八七号)
 同(山本政弘君紹介)(第三二八八号)
 同(山本弥之助君紹介)(第三二八九号)
 同(横路孝弘君紹介)(第三二九〇号)
 同(横山利秋君紹介)(第三二九一号)
 同(米田東吾君紹介)(第三二九二号)
 中小商工業者に対する課税減免等に関する請願
 (広瀬秀吉君紹介)(第三三一五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二一号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 三四号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五七号)
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 都合によりまして午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。
   午前十時五十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十八分開議
#3
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
#4
○広瀬(秀)委員 大臣にお伺いしたいのですが、この委員会に所得税法がかかり、審議を始めてから、特に課税最低限の問題をめぐって真剣な論議がかわされてきたわけであります。
 そこで私ども、今日の経済情勢、物価の情勢あるいは名目賃金等の上昇の状態、こういうものからいって、課税最低限はまだ低過ぎるという議論を真剣に展開をしてまいりました。さらにその中で未成年者の課税最低限――未成年者に別に課税最低限があるわけじゃないけれども、独身者という形でかなりの部分が未成年であるというのを指摘いたしました。この人たちは文字どおり未成年者であって権利能力のない人たちだ。しかも学校に行かずに、中学、高校を卒業したまますぐ勤労者になって賃金をかせいでいる。一方において親の送金によって学問の道に進んでいる同じ世代の人たちは、相当の国費の支給を受けている。片方は勤労の汗を流すがゆえに税金まで納めなければならぬ。こういう問題点なども指摘をしてまいったところであります。しかしながら、これについて必ずしも明快な答弁は得られなかったわけでありますが、しかし課税最低限は今後もそういう情勢に応じて上げてまいります、こういう態度であることは明確になってまいりました。この課税最低限は今後も引き上げていく努力をします。特にそういうお答えははっきりしてまいったわけでありますが、そこで大臣から明確にひとつお答えいただきたいのは、いま全国の賃金労働者、給与所得者が、これはもういろいろな立場の相違を越えて、給与所得の定額控除分を大幅に引き上げてもらいたい。具体的に、非常に控え目な数字であるが、五万円ぐらいは引き上げてもらいたい。こういうものが統一要求として出されておるわけですね。これはもう非常に国民がそういうことを切実に願っているということでありますが、ここでその五万円ということを私ども固執をするわけではありません。これはさらに十万円というようなことも、私どもは政策として出しておるわけです。しかし、今日その問題について不明確なまま、この分の引き上げについて十分配慮されるものがない状態のままこの所得税の審議を終わるわけにはまいらぬ、こういうように考えるわけです。この問題についての大臣の明快な御答弁をこの際いただきたい。大臣のお考えばどういうところにあるのか。定額部分の引き上げというものも、全体的な課税最低限引き上げの中の控除分引き上げの一環として十分重点的に考慮されるものである。こういう考えであるのかどうか、この点を確認の意味において明快なお答えを得たいと思うわけであります。
#5
○福田国務大臣 私が、今回の所得税減税、かなり大幅なものでありますが、これをもって終わりとしない、こういう考えはよく了解されたと思います。またその考え方がそういうことになっておる、その意義も御了解願っておるところかと思います。
 だが、所得税減税を行なう場合におきましてはどうしても課税最低限、これが最大の問題になってくる、こういうふうに考えております。その際におきましては、ただいま力説のありました給与所得者の定額控除分、これにつきましても十分ひとつ検討してまいりたい、かように考えます。
#6
○広瀬(秀)委員 いま大臣からかなり明快な答弁があったのですが、非常に強い、国民大衆、給与所得者大衆の声でありますから、この点ひとつ単なる答弁に終わらずに、明年度において実現――額はどうこうということば言えぬ立場にあることもわかりますから、明年度もそういう意味でこの問題を考えていく、こういうように了解してよろしゅうございますね。
#7
○福田国務大臣 明年度というふうに時間をつけられますとこれはお答えがなかなかむずかしくなるのです。明年度、経済情勢が一体どうなるか、またそれに伴いまして財政状態が一体どうなるか、財源状態もどういうふうになるだろうか。それらを考えて見ませんとこれは結論の出ない問題でありますが、いずれはしかしながらこの課税最低限の引き上げ問題、これには取り組まなければならぬ、こういうふうに考えております。その際にはこの定額控除、いま十万円になっておりますが、この引き上げ方につきまして検討してまいりたいこういうふうに考えておるわけでございます。
#8
○広瀬(秀)委員 あと八木委員の質問の時間がありますので私はこれでやめますが、明年度というように時間をつけられると困るということでありますが、少なくとも財政の見通しが明るいということになるならばできるだけ早い機会にやるのだ、こういう趣旨に理解をいたしまして、大臣がそのようにお約束なすった、こういうことで一たん質問を閉じて八木委員にかわります。
#9
○毛利委員長 八木君。
#10
○八木(昇)委員 大蔵委員会で質問をいたしますのがこれまでにあまり私ございませんものですから、私の質問事項の中で、これまで質疑がなされた事項があるいはあるかもわかりません。重複するようなことが出るかもわかりませんが、お許しいただきたいと思います。
 最初に、税の自然増収の問題について若干質問をしたいと思います。
 ただいまの佐藤内閣は、日本のいわゆる高度経済成長というものを非常に謳歌をしておるのでありますけれども、ごく大ざっぱに言いまして、本年の景気見通し、これをどういうふうにお考えになっておられるのか。私どもの考えでは、少なくとも今年度一ぱいというものは一応横ばい的に景気は持続するのではないかというふうに、感じとしてそういうふうに思っております。その点いかがでございますか。
#11
○福田国務大臣 景気のほうは横ばいどころじゃないのです。これはかなり上昇するわけです。ただ上昇の勢いですね。これは実質でとにかく一三%以上の経済拡大を見た。私どもはほっておいたらまたあるいはそれ以上の勢いでことしも拡大を続けていくであろう、こういうふうに見ておるわけでありますが、しかしそれじゃ日本の経済がいずれは過熱をする、日本丸も転覆せざるを得ないというようなことになりますことは必至であります。そこでそれを憂えまして、昨年の九月から金融引き締め政策をとっておるわけであります。また財政におきましてもこれに同調いたしまして慎重な運営をやっている、こういうことがあります。
 そこで、拡大は拡大をするのです。しかしその拡大のテンポですね、これは昨年の二二%をこえる勢い、これがやや縮まりまして、そうしていま経済見通しでは一一・一ということをいっておるのですが、そんな程度でいくのではあるまいか、そういうふうに見ておるわけであります。拡大基調におきましては依然として変わりはない。しかしその拡大の勢いがややテンポをゆるめる、こういうふうな見通しをしております。
#12
○八木(昇)委員 そうだといたしますると、これは大臣の見方、いろいろそれはあると思いますけれども、過去の税の自然増収の見積もりですね、これを見てみますると、当初予算で政府が見積もった額を、どの年度におきましても実際には上回っておるわけですね。それで昭和四十三年度についてこれを見ましても、昭和四十四年度についてこれを見ましても、当初自然増収の見積もりを、昭和四十三年度は九千四百七十六億と予想していたものが、それを実際には二千億くらい上回った。それから昭和四十四年度の場合も大体二千億上回ったわけですね。今度はその実績とそれから当初予算そのものの自然増収見込み額を見ますると、昭和四十三年度が九千四百七十六億、昭和四十四年度の当初予算で一兆一千九百五億、こういうふうに自然増収を見積もったとすれば、四十三年度と四十四年を比較すると、前年度より二千五百億円だけ自然増収がふえるであろう、こう当初予算で見積もったわけです。ところが今年度の予算では、昨年度の当初予算における自然増収の見積もり額よりもプラス千九百億、こう見積もっておるわけですね。したがって、自然増収のふえる割合というものは比較的内輪に見てあるわけですね。そうしますと、私どもが過去の経験に照らして常識的に判断すると、本年度もまた当初予算の自然増収見積もり額よりも実際は二千億円ぐらい自然増収は多いんじゃないか、こう考えるのですが、その点いかがでしょう。
#13
○福田国務大臣 私どもは、昭和四十五年度におきましては経済が実質一一・一伸びる、こういう想定で自然増収はどうなるか、税収全体の見積もりはどうなるか、こういうことを計算をいたしておるわけでございます。過去におきまして予算の見積もり以上に実際の収入があった、これはお話しのとおりであります。これは政府が予算編成の当時策定いたしました経済見通し、これがその見通しのとおりいかない。いつもその見通しを上回った大幅な拡大をする。たとえば四十四年度、昨年度におきましては経済見通しでは九・八%と見ておったものが、一三・四ですか、二ですか、一三%を上回るという結果になってしまった。それだけ経済活動が活発になったということです。その結果二千三、四百億円にのぼる見積もり当時以上の税収が出る、こういうことに相なったわけです。私どもは、そういう事態が四十四年度ばかりじゃない、四十三年度においても四十二年度においてもある、それを反省いたしまして、そこで昭和四十五年度におきましてはあまり手がたい見通しじゃなくて、これは実際そうなるであろうという経済見通しを立てたわけなんです。それがただいま申し上げまするような一一・一、こういうことに相なっておるわけでございますが、そういうようなことで、本年度におきましては、経済情勢が私どもが考えております一一・一の拡大という以上の拡大を見ない場合におきましては、税のほうは大体見通しのとおり動くであろう、こういうふうに考えておるわけですね。問題は、経済が私どものいま申し上げました見通し以上に拡大するかしないか、そこが問題だろう、こういうふうに思います。
#14
○八木(昇)委員 景気過熱のおそれがあるというようなことで、それに対する従来と非常に変わった何か大きな政策を施せば別としまして、現在までの状況からしますとそうでもないようですが、そうしますと、いまのような説明ではありますけれども、やはり相当の経済拡大という結果が出るというふうに感ぜられます。ですけれども、それはまあ一応おくといたしましょう。そうしますと、結論的には、今年度の税の自然増収は一応一兆三千七百七十一億と予想しておられる、これを大幅に上回ることはない、こう考えておる。もしそれを上回ったというような場合、一体当初予算より以上に政府のふところに入ってきたその税収というものはどうされるのか。
#15
○福田国務大臣 ただいまのところ、私どもが見積もっている税収はこれ以上のものはない、こういう見通しに立っているわけです。したがいまして、万々一にふえた場合にどうするかというようなことは考えておりませんが、しかし万々一見積もりよりも多い収入があった際におきましては、これをどうするか。そのときの経済情勢があると思うのです。経済が私どもの考えるよりはよけいに伸びたからこそ自然増収が出るわけで、それはつまり経済の過熱、そういうことだろうと思うのです。でありますから、その過熱を押えるためにはどうするかというようなことを考えなければならぬかと思うのですが、そういう際に何よりも大事なことは、予算に予定いたしております国債発行額を減らす、こういうことだろうと思います。しかしそれがどういうふうな経済情勢になるか、いま予断ができませんから、国債の減額に回しますとはっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、いずれにいたしましても、その時点における経済の諸情勢を見まして、財政運営上どれが一番適当であるか、そういう方面をとらえて処置していきたい、かように考えます。
#16
○八木(昇)委員 ただいまのお話でありますと、当初予算における自然増収の見積もりを大きく上回るような自然増収額が出てくるというようなことがないと判断している。一応公式的には当然そういう答弁しかやるわけにいかぬのでしょうけれども、だとすれば、本年度はいわゆる総合予算主義というたてまえをとって、一切補正等はやらない、いまのこの当初予算のワク内で一切をまかなう、そういうお考えでございますか。
#17
○福田国務大臣 そういう考えでございます。
#18
○八木(昇)委員 そうだといたしますと、きわめて自然に考えて、もし自然増収が予想以上に出たという場合は、一切その分は減税に回す、それが正しいのじゃないかと私は考えるのですが、その点いかがですか。
#19
○福田国務大臣 必ずしも正しくないと思います。(八木(昇)委員「原則として」と呼ぶ)原則として正しくないと思います。つまり、自然増収が出たならば、その時点における経済情勢を見まして――おそらく自然増収が出るというのはこういうことによるかというと、経済が見通しよりもよけいに拡大した、そういう結果であると思うわけです。そうすると、私どもといたしますと、経済のよけいな拡大を押えなければならぬ、そういう立場にあると思うのです。そういう際に減税を行なう、そうして購買力を解放するというようなことになりますと、これは当然景気情勢に拍車をかける結果になろうかと思うのであります。いま見通しは困難でありますけれども、おぼろげながらの見通しを立てて、かりに自然増収、つまり見積もりよりも税収が多いという際には、これはまず国債発行額の減額をはかるということを考えるというのがまずまず筋じゃあるまいか、そういうふうに考えます。
#20
○八木(昇)委員 これは込み入って考えればいろんな言い方があろうと思いますけれども、予定しておった以上に税金が入ってきた分は、それは国民大衆へ還元するというのがすんなりした筋だと思うのです。景気対策やその他を考えなければならないとおっしゃるけれども、それは別のやり方というものがたくさんありますから……。
 そこで、私は当初の自然増収見積もり額よりも実際にふえた税の自然増収分というものは、やはりこれはそっくりそのまま減税に回せという考え方を持つのでありますけれども、別の面からちょっと聞きたいと思うのですが、昭和四十四年度の当初予算で見積もっておりました自然増収よりも、それ以上にふえた分は約二千億ですね。これは、四十四年度におきましては補正予算を組んで給与引き上げの財源に充てたり、むろん公債の減額等にも充ててありますけれども、給与引き上げ財源に充てたりなど、いろいろなことをしておるのですが、そんなことはよもやことしはやらぬでしょうな。
#21
○福田国務大臣 ただいまのこの時点におきましては、さようなことは考えておりません。
#22
○八木(昇)委員 そうであるといたしまするならば、この本年度の、昭和四十五年度の当初予算の中で、たとえば公務員給与費は五月から五%ベースアップするということで、六百四十三億円というのを給与費として組んであります。ところが実際には、これも常識的に予測をいたしますと、人事院勧告というのは五%よりもっと高いパーセンテージのベースアップを勧告する、こう思うのです。そうしますというと、この六百四十三億円じゃ不足すると思うのでありますけれども、その不足分を補正予算、しかもそれを見込み以上の税の自然増収分でこれに引き充てるというようなことは考えていないのですね。
#23
○福田国務大臣 ただいまはそういうこともあろうかと思いまして、予備費を増額いたしました。予備費は去年は九百億だったのですが、それにさらに二百億を積みまして千百億という大きな額にいたしておるわけであります。これをもって不足分がありますれば支弁をいたしたい、かように考えております。
#24
○八木(昇)委員 それじゃもう一つ念のために伺っておきたいと思うのですけれども、もし当初見込みより以上に税の自然増収があった分は、それは減税に回せということを私は言いましたけれども、それを必ずしも原則と考えないと大臣はおっしゃるわけです。それはそれとして、主張は一応平行線のままにしておきますけれども、もしそれを全部減税に回せないとしても、財政上の通常の扱いとしては、それを減税に回せなかった場合は、翌年度にその分を繰り越すというか繰り入れるというか、それが普通の姿だ、こう考えていいでしょうか。
#25
○福田国務大臣 翌年度に繰り越しをしますか、あるいは公債の発行額を減らしますか、どういう措置をとるか、そのときの景気情勢、これを見るべきだというふうに思いますが、まあまあ想像し得るような環境というものをおぼろげながら考えてみますると、これは公債の発行を減らすべきである、こういうふうに考えます。
#26
○八木(昇)委員 公債の減額というものは、いまの税の自然増収の見込み以上の分を当て込むというのではなくて、それ自体としての返済計画というものが当然あってしかるべきものであります。だからといって、これを公債の減額に充てることを全面的に私は否定するわけじゃありません。しかし原則から言いますと、そういう予測以上に税の自然増収があった分を当て込んで、そうして公債の減額に充てるということ、これは必ずしもオーソドックスじゃないんじゃないですか。公債の減額、返済計画というものはそれ自体として計画が当然立てらるべきじゃないですか。
#27
○福田国務大臣 昭和四十五年度は、いまの税制でいきますとお金が足らないのです。そこで足らない分を公債を発行する、こういうことです。そこで今度は金が余ってきたという状態であれば、当然その借り入れを減らすべきだ。公債を減らす、これが筋だろう、こういうふうに思います。これは国民とどういう関係があるかというと、公債といえどもこれは国民の借金なんですから、将来返さなければならぬ。金が余裕ができたからことしは借金をいたしません、こういうことになるので、これがまた私は普通の考え方だろう、こういうふうに思います。
#28
○八木(昇)委員 そこら辺は必ずしも意見が一致しませんが、この問題については、ただいまの段階ではそのようなことで一応この質問は終わっておきますけれども、しかしおそらく、昭和四十五年の年度末あたりになりますと、私が指摘したような当初の見込み以上の税の自然増収というものが出てくるんじゃないか、こう思うのです。まあそうならなければある意味では幸いですけれども、それはそのときにさらに質問をするように一応留保しておきたいと思います。
 ところで、税の取り立ての問題なんですけれども、二月二十日の新聞に一斉に載りまして、私はしろうとなんですけれども、非常に奇異の感に打たれると同時に非常に遺憾にも思ったのでありますが、東京国税局が昭和四十三年分の脱税状態について調査をした脱税のファースト十五業種、外科医、パチンコ店、不動産、この三業種が筆頭ですね。これは脱税の実情というものがこの調査の結果明らかになった、こういうのでありますが、私、しろうと考えで、このように調査をしたところが、昭和四十三年分の申告について昨年末までに一万七千百三十三人の調査をしてみたところがこのような実態が明らかになった、こういうんですね。そうすると、調査をすればわかるものならば、かねて徴税をするときにそのような脱税が出ないようにちゃんちゃんとやれそうなものです。こう思うのです。それは非常に過酷な取り立て方をあれすることは問題がありましょうが、どういう調査をした結果こういう実態がわかったのでありますか。
#29
○吉國(二)政府委員 この二月二十日の新聞記事でございますけれども、これがわかったと申しますのは、調査をしたということなんでございまして、御承知のように、現在所得税におきましては、事業所得あるいはその他の所得というものを三月十五日までに申告をいたします。その申告の前に、一部は事前調査と申しまして、調査をいたすものもございますけれども、原則としては、その申告が出ます際に、申告についていろいろ帳簿等を持ってきて相談をいたしまして、それで申告をやってまいるわけでございます。その申告が終わりましてから、申告書の内容を検査する。そうしてそれぞれの業種につきまして、その年の所得の推移の状況その他に照らして、またその店のそれぞれの実態に照らしまして、どうも申告が不十分であると認められるものを選び出すわけであります。そうしてこれを四月以降十二月までかけまして順次調査をしてまいります。その調査をいたしましたのが一万七千件。これはいわば申告の内容がはなはだ不十分ではないかという、いろいろな角度から分析をしたものを対象といたしておりますので、当然そこから非違が出てまいる可能性が多いものであります。そういうものを選んでみたところが、国税局で発表いたしましたように、業種別にかなり、その選び出されたものの中でも所得脱漏の程度が違う。外科医の場合が一番ひどいということを発表したわけでございます。いわばこれは全体としての納税者の姿をあらわすものではなくて、申告の中から怪しいと認めたものについて調べた結果がこうである。そして外科医の場合にはこういうふうに非常に脱税が多いということは、いわば外科医全体についても、もう少しほかの方も気をつけていただきたいという意味もございますが、いわばその実態を参考のためにまとめて発表したという性質のものでございます。したがいまして、これは、徴税するときにとおっしゃいましたが、いわば申告によって一応納税義務が確定いたします。それに対して是正を加えたものがこれである、そういう趣旨でございますので、これについては、これだけの明らかになったものについて更正を行ない、あるいは修正申告をとりまして納税をさしているという実態のものでございます。
#30
○八木(昇)委員 そうしますると、これは調査をしたものについてこのような結果がわかった。そうすると、普通の申告に基づいて実際にいろいろ課税をしますね。この調査対象以外の多数のものについてはこれほどまでに詳しく調査をしていないわけだ。まだ相当脱漏があるということをもあわせて国税庁は告白しているということですか。
#31
○吉國(二)政府委員 ただいま申し上げましたように、現在全国に約四百万の申告納税義務者がおります。おそらく大部分と申しますか、相当数の方は正しい申告をしておられると思うわけでございますが、御承知のように五割くらい青色申告書を提出しておられる納税義務者がおるのであります。そういう意味では、私どもは全部の納税者を調べるというたてまえではないので、申告の不十分なものをできるだけ選んで更正を加えていく。大部分の納税者はできるだけ正しい申告をしていただきまして、それで納税義務が完遂されることが望ましいわけでございますが、それでもただほうっておいたのでは、実際問題として十分に申告がよくならない面もございますので、申告が不十分であると認められるものを調べる。それを通じて全体の申告水準が妥当になるように調べを行なうわけでございます。したがいまして、残りの人が全部正しい申告だと私申し上げ切るわけにもまいりませんけれども、ほかの者も同じように脱税しているということは言えないということは申せると思います。
#32
○八木(昇)委員 これは調査対象になった人は、申告どおりで、調査をしてみたけれども脱漏はほとんど見出し得なかったというのはないようですね。調査した分については、ほとんどが多かれ少なかれ脱漏していたようですね。そういう点から考えると、やはり現在の課税のしかたというものに問題があるということをこれは示しておるように私は感ずる。
 それから、この外科医もずいぶんたくさん調査されたようですが、その一人当たり平均三百九十五万円脱漏しておったというのでしょう。そうしますと、この平均三百九十五万円という額そのものも、これまた実際よりは内輪かもわからないのですか。
#33
○吉國(二)政府委員 調査をいたしましたもののうちで、申告どおりでいいというものも約一割五分程度ございます。しかしこまかいところで間違っているものについては修正申告という形で修正をしてもらいます。そういう意味では、この調査の結果申告を修正したものが大部分でありまして、更正決定をしたものはむしろ二%ぐらいで、少ないわけでございます。したがって、修正申告を出すという程度のものはいわゆる悪質な脱税というものではないという考えでまいるわけでございますが、さっきの外科医の三百九十万というような数字は、外科医のうちで特に脱漏額の多い、特別調査をしたものの額でございます。それらはかなり正確な調査をやっておりますので、この見つかった額以上になお抜けているという可能性は非常に少ないと思います。
#34
○八木(昇)委員 時間も足りませんから少し急いでいきますが、それでは、医者も内科とか耳鼻咽喉科とか精神科とか、たくさんありますけれども、脱税業種上位十五種、しかもそれのうちの断然トップに外科医のみが位置している原因は何ですか。
#35
○吉國(二)政府委員 これは具体的な事例を私もはっきりは把握しておりませんが、類型的に申しますと、何と申しましても自由診療分の収入が抜けておるというのが多いようでございまして、ことに自動車賠償責任保険の関係の収入、これが非常に多く漏れておりましたが、これは御承知のとおり資料が確実に把握できますので、その面から正確につかまってしまう面もございます。結局、自由診療報酬の部分がどうしても抜けがちであるというところが一番大きな原因ではなかろうかと思います。
#36
○八木(昇)委員 これはおかしいですね。自賠責で出したやつはつかめないということはないでしょう。
#37
○吉國(二)政府委員 つかめるためにこういうふうに見つかったわけでございまして、その点、抜かしておったのが、ある意味ではだいぶ抜かし方がへたと申しますか、当然つかまるものを抜かしておったという面がありまして、この外科医が把握された率が非常に高く出たということも言えるかと思います。
#38
○八木(昇)委員 そんな変な答弁はないですね。当然つかまるはずのものを抜かしておったというと、それは脱務署の手落ちでございましたということですか。
#39
○吉國(二)政府委員 これは先ほども申し上げておりますように、現在の所得税では、まず申告書を提出いたしまして、その申告書で納税額がきまります。その申告書が妥当でないときにこちらが調査して決定するわけでございます。ですから、第一の申告書を出すときに外科医さんが収入を落とした。それを調べてみたら、少な過ぎるからというので間接の資料をいろいろあれしてみますと、それだけのものが落ちておったということが把握できた。つまり外科医が申告をする際に故意に落とした収入が、税務署では十分把握できる体制にある収入であったということが、外科医の脱税が意外に多かったという結果になっているのだと思います。
#40
○八木(昇)委員 私は税務関係についてはしろうとですけれども、故意に落としたと言うが、外科医に限って断然これは多いですね。故意に落とすというのは、それを申告しなくたって容易に見つからないという要素がある。それで、外科医がちゃんとそう知っており、そう思っておるから申告しないのでしょう。それを申告しなくたって、もう一目りょう然、税務署はごまかせないということがはっきりわかっておるものなら、たまたま故意に落ちておったというようなものはあっても、全国のどこの外科医も、しかもこれだけ巨額に自動車賠償のあれを申告していないということは税務署側でなかなか捕捉しがたいものである、こう思っておるからじゃないですか。
#41
○吉國(二)政府委員 これは、先ほど申し上げましたように外科医全部を調べたわけではございません。外科医の申告の中で非常におかしいものを調べたわけです。その外科医がたまたま自賠責について――自賠責は最近かなり多くなっております。その分はいわゆる自由診療に属するものもございまして、落としてしまった、それが見つかったということでございますので、ある意味では、あとで調べられればわかるようなものを落としたという点は、手口としてははなはだ幼稚であったということは言えると思います。もちろん外科医でもこれを全部申告しておられる方もあるので、したがって比較対象いたしますと、抜けているものがわりに早く把握できる。したがって、それについて調査をするとこの程度見つかるということを意味しておるわけでございます。
#42
○八木(昇)委員 そうしますと、この自賠責による診療を患者が受けた、それによって外科医がこの金の支払いを受けたというものの捕捉は、税務署は何をもとにしてそれを捕捉しておられるのですか。
#43
○吉國(二)政府委員 資料源をあまり申し上げるのはいかがかと思いますけれども、これは保険の支払いあるいはそれに対する査定がございます。そこから資料を徴収して確定できるわけでございます。
#44
○八木(昇)委員 自賠責の場合を聞いておるのですよ。国民健康保険とかあるいは組合健康保険とかいうものの支払いは当然それによって明瞭なんですが……。
#45
○吉國(二)政府委員 保険会社が支払う資料がございます。それを調べて、各人の資料として把握をするわけでございます。
#46
○八木(昇)委員 それは随時必要に応じて調べておられるのですか。
#47
○吉國(二)政府委員 これはいわゆる決定資料という形で提出を義務づけておりませんので、随時調べているわけでございます。
#48
○八木(昇)委員 大臣、いまのやりとりをお聞きになってお考えいただきたいと思うのですが、医者の税金問題は、ここであえてその問題自体を取り上げてとことん追及しようとは思いませんけれども、いまの社会保険診療の場合でも、もう初めから必要経費として七二%を見ておるということについても相当の批判があるわけです。しかも、それが租税特別措置法の中で無期限ですでに既得権化するような傾向に今日なっておるということについて、これはいろいろな複雑な事情があることは私もわかります。わかりますけれども、それについて確かに問題がある。それがあるが、一方において、特に外科医に関しては、最近のこういう交通事情から自賠責による患者が非常に激増しておるということのゆえをもって、これはもうほとんど特に税務署からねらわれて、そして取り調べを受けるようなかっこうで、しかも保険会社のほうを調べた結果わかってきたというような場合は別として、事実これが相当脱税になっているということについて、しかも、こういう税務署発表の脱税番付十五業種の断然トップに外科医だけがはね上がっておるということは、やはり問題だと思うのです。ですから、ひとつこの際、そういう民間の保険会社に、自賠責による診療費の支払いをしたものについては、これは法的に義務づけるか行政指導面でやるかは別として、それはもう全部無条件で税務署のほうへ資料を提出する、こういうことをやらせるべきだと私は思うのですが、そういうことはできないのですか。これは大臣から御答弁を願いたい。
#49
○吉國(二)政府委員 現在、自賠責の算定会を通じまして、それを提出してもらうようにいろいろ交渉いたしております。また、これは提出していただいてしかるべきものだと思います。御指摘のように、各種のかようの資料が提出されるということになれば、おそらく自主的申告がよりよくなり、罪つくりが減るという結果になるのだと思います。でき得る限り資料の提出をいろいろな意味でやっていただくように考えていただくのが、私ども一番いいと思います。さしあたりこの自賠責につきまして、いま算定会を通じて資料を出していただくように、主税局を通じて交渉いたしております。
#50
○八木(昇)委員 その方向にあるということをいまお聞きしましたのですが、これはもう無条件ですべての支払い分についてそれを出すようにしないと、個々のケースで、どうもあすこの外科医の脱税状態がひどいようだというふうなのだけについてあれするようなことではいかぬのじゃないかと思いますから、これは私、意見として申しておきます。具体的にそのように実施せられたいと思います。
 それから、この一つ一つについて問題点を指摘しておりますとこれは切りもございませんから、二番目までいきますが、パチンコ店です。これもいろいろ問題があるのですね。
 これはパチンコ店と関連がありますからその前に聞くのですけれども、これは大臣自身にお答えいただればなおけっこうなんですが、たばこを定価より安い値段で売っていいのですか。
    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
#51
○福田国務大臣 たばこは専売公社のきめた価格をもって売らなければならない、こういうことになっています。
#52
○八木(昇)委員 したがいまして、何か専売法かなにか、そういう法だろうと思うのですが、私もよくわかりませんが、もしロングピース百円のを九十七円でたばこ小売り店が大量に売ったりなどしたら、パチンコ屋さんにであろうが特定の人にであろうが何であろうが、それは法違反ですね。法違反である以上は何かの罰則がありましょう。どういうことになっておりましょう。
#53
○福田国務大臣 それは調べてあとで答えますから……。
#54
○八木(昇)委員 これは大臣、そういうことは許されぬでしょうな。
#55
○福田国務大臣 許されません。
#56
○八木(昇)委員 ところがこれは世間の常識ですね。パチンコ屋さんは定価で買っておりませんね。もう世間の常識です。それで、あっちこっちの小売り店に、できるだけ安く売ってくれるところへずっと一つの系統的なコネをつくっておる。そうして定価より安い値段で買っておるのですが、その事実は御存じでしょうか。
#57
○福田国務大臣 どうもパチンコ屋さんにはあまり縁のないほうでございますから、承知いたしません。
#58
○八木(昇)委員 関係の局長……。
#59
○吉國(二)政府委員 これは専売公社等でかつて摘発したこともございます。見つかっておるものと見つかっていないものもございますが、そういう事実のあることは認めざるを得ないと思います。
#60
○八木(昇)委員 税務当局としては、そのような行為についてはやはり断固たる態度をとることが当然だと思うのです。まあ政治は生きものとかなんとかいう面もあるかもしれませんが、こういう問題についてはこれは生きものの論理を適用すべきじゃないと思うのです。それでどうですか。
#61
○吉國(二)政府委員 御承知のように、税務の計算におきましては仕入れ、売り上げというものを捕捉いたします。安く仕入れておるということがありました場合にはその仕入れ金額が当然安くなっておりますから、所得金額が多くなっていることが把握されるという結果になるわけであります。いかなる値段で取引したかというのを個別に把握できる場合と、総額で把握できる場合と、これは異なると思います。その個別に把握できた場合に、はたして一々犯罪ありとして告発するかということになりますと、この点犯罪の証明もなかなかむずかしいものでございますから、実際は課税だけで終わっているのが実情でございます。
#62
○八木(昇)委員 それは犯罪ありとして一々告発せよとまで私は必ずしも言い切っているわけでもありません。しかしそれどころか、税務署のとっておる態度は、定価より安く売った、たとえばピースならピースは百円で小売り店は売るのだけれども、九十円を納めればいいわけですね。そして小売り店が十円ふところに入れることができる。十円のマージンということになるのでしょう。それをかりに九十七円でパチンコ屋さんに大量に売ったという場合、その三円の分の税金をそのたばこ屋さんにかける場合、その三円を損失として税務署が認めておりましょう。そんなことはないですか。――なければない、さようなことはやらない、こうおっしゃっていただきたい。
#63
○吉國(二)政府委員 安く売ることが悪いことであるということは事実でございますけれども、所得というものは実際の販売額と仕入れ額の差額、それから経費を引いたものでございまして架空の所得に課税するわけにいきませんので、それは認めざるを得ないわけであります。ちょうど経済違反で統制価格以上に高く売った場合でも課税いたしますのと同じでございまして、低く売ってはならぬものを低く売ってしまった、しかし所得としてはそれだけしかないという場合に、これは違反だからもっと高く売るべきであったといって所得税をかけるわけにはまいらない。その点が一つの問題ではございますけれども、犯罪と所得計算とはこれはまた別でございます。その点では、たとえば違法の所得に対しましても課税いたしますのとこれは全く性質が同じことでございます。
#64
○八木(昇)委員 これは、私はあらかじめ特定の意図を持って質問しているのではなくて、ごく客観的に公平な立場から事実を明らかにしたいと思って聞いているのですが、私も非常に了解に苦しむのです。いまのお話だと、税務署は、ピースならピースを九十七円でパチンコ屋さんに千個なら千個、百個なら百個売った場合には、九十七円で売っているのだから、たばこ小売り店は九十七円しか金が入ってきていないという事実認識の上に立って課税をしている、そういうことですね。
#65
○吉國(二)政府委員 そのとおりでございます。
#66
○細見政府委員 いまの定価販売関係の一連の状況を申し上げます。
 たばこ専売法三十四条に「定価」というのがございまして、小売り人は「小売定価によらなければ、製造たばこを販売してはならない。」ということになっております。そしてそれに違反したときには、第一の基本的な問題といたしましては、この法律の規定に違反したときには小売り店の指定の取り消し、販売の禁止という基本的な関係がございまして、この違反した行為そのものに対しましては「左の各号の一に該当する者は、」としまして、「十万円以下の罰金に処する。」ということになっておるわけです。
#67
○八木(昇)委員 私、お聞きしてみて、このままではやはりいかぬと思うのですね。それで大臣、どういうふうにすべきだとお考えですか。
#68
○福田国務大臣 税のほうは私はそれでまあよかろうと思います。つまり、統制があった時代に、統制価格よりも高い値段で売ったという人に対しましては現実に高い値段でやる、こういうことですね。今度は逆に、専売価格があって、専売価格より低い価格で売ったという人に対しましては、その低い価格で課税するほかないと思います。しかし問題は、たばこ専売法を施行しておる、それに対して違反の行為があった、違反に対しましては罰則もある。つまり指定の取り消しでありますとか、その他罰金刑なんかがあるわけです。そういうこともありますので、専売公社のほうでこの定価違反の販売行為の取り締まりをやらなければならぬ、こういうふうに考えます。
#69
○八木(昇)委員 ところが、その専売公社の自主性にまかせておいたのでは――最近日本の専売公社もずいぶん売らんかなの形でしょう。ですから、そういうようにパチンコ屋の景品の主力を占めておるものがたばこであるということが、たばこの喫煙量をふやし、販売量をふやすことと無関係とはいえない。そういう点から専売公社は及び腰ではないかと私どもは疑う。それについて、監督官庁の大蔵当局としてもっと何か積極的なことを専売公社側にやるお気持ちはありませんか。
#70
○福田国務大臣 私ども知らなかったことをきょうは教えていただきましてありがとうございました。これの対策につきましては専売公社によく検討させます。
#71
○八木(昇)委員 この問題は各業種別に、まだ不動産のやつも問題があるのですけれども、一応終わります。
 あと利子・配当課税の問題と、二、三お聞きして終わりたいと思うのです。
 利子・配当課税の問題でありますが、今度の法改正によりまして、昭和四十六年と四十七年の二年間は二〇%とする、こういうことで従来よりも五%引き上げするというのですけれども、この二〇%ラインというのは、所得税についてこれを見てみますると、大体子供三人の標準世帯で年収二百七十万円ぐらいのところの人が所得税の税率二〇%というようなところだろう、こう思うのですけれども、これは局長かどなたかでけっこうですが、そうでしょうか。
#72
○細見政府委員 二〇%の上積みで、実は適用になるのは収入の二百七十万円ぐらいのところであります。
#73
○八木(昇)委員 そうしますと、別の面からお聞きしますが、例を日本の俸給生活者にとって、俸給生活者の一人当たりの平均年収というのはいま幾らでしょうか。
#74
○細見政府委員 たびたび出た話でありますが、四十四年度の家計調査によりますと約百二十万をちょっと切るところになっております。
#75
○八木(昇)委員 そうしますと、この二百七十万ラインというようなところは全体の俸給生活者の中のほぼ何%ぐらいを占めておるのでしょうか。二百七十万以上……。
#76
○細見政府委員 いまのは夫婦子三人で二百七十万というところへ来ているわけです。家族の少ない人につきましては所得が小さくなるわけでありますから、そういう意味で、この二〇%以上の税率が適用される階層と申しますのは二百七十万で比較するのは適当でなくて、やはり独身の人などはかなり低い階層から二〇%になるわけでありますから、そういうことを考えますとやはり何割かの、三〇%程度の方は二〇%の税率が適用になっておると思います。
#77
○八木(昇)委員 私の感じでは、年収二百七十万円というと相当高給取りだと思いますね。局長さん御自身、年収幾らですか。
#78
○細見政府委員 忘れましたが、三百万よりは若干上だと思います。
#79
○八木(昇)委員 天下の大蔵省の主税局長が三百万くらいですね。やはり子供さん三人くらいおありだろうと思うのですね。そうしますとこれは相当の高給取りですよ。高い給料を取っている組ですよ、二百七十万の年収というのは。それにプラスしてこの利子・配当等を相当取る人でしょう。これは年収二百七十万円で、しかも相当の金額の利子・配当所得があるという人については、これは日本の全体の水準からいえば相当の高所得者だと私は考えるが、そうお考えにならぬでしょうか。
#80
○細見政府委員 まあ三割程度の人がこの二〇%の税率が適用になっておるわけでありますので、申告所得者などもかなりおられるわけで、だんだん所得水準も上がってまいりまして、そんなに高い水準というよりも、むしろ中の上というぐらいの感じじゃないかと思います。
#81
○八木(昇)委員 そこで、これは過去の利子・配当課税の変遷をちょっと調べてみたんです。
    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕
昭和二十二年には源泉分離と源泉分離選択課税の制度で六〇%取っておりますね。で、一時昭和二十五年にこの選択制度が廃止になって総合課税一本になりましたが、もうこの一年だけで改めて、翌年の昭和二十六年にはまた源泉分離選択課税になって五〇%取っておりますね。この当時はこれはたいへんな高率ですね。この当時の考え方と今日の考え方と根本的に違った点はどこでしょうか。
#82
○細見政府委員 この当時は利子所得というようなものはそんなになくて、いわば非常に恵まれた人たちだけの所得であり、またそのころはまだやみなどもあったときでありまして、そういう高額所得あるいは高額所得の預金から来る利子などにつきましてかなり社会的な批判というようなものも考えられたところであります。それに比べますと、現在におきましては二百万とか三百万くらいの所得階層の方もふえ、大体所得と同額くらいが貯蓄になっておるのが実情でございます。そういう意味でかなりの方がいまの源泉分離の税制のもとに預貯金をしておられる。その方々に対して、源泉選択税率を導入いたしましても、金融資産の選択に無用の混乱が起きないようにという配慮を働かせて、そういう意味で二〇、二五という二段階の税率にしておるわけでございます。
#83
○八木(昇)委員 どうも私の感じでは、いまの局長の答弁のむしろ逆の要素のほうが強かったように思うのです。終戦後間もなくの昭和二十二年、そうしますと、戦前の時代に何十年もかかって粒々辛苦して預貯金をした金というものが、インフレによってどんどん価値がただのように下落していくという状況の中で、しかも配当その他に対する課税は六〇%もぽんとかけられるという状態なんであって、今日あまり高額の課税をすると預貯金に対する貯蓄意欲をそぐみたようなことをおっしゃるけれども、そういうことを言うならば、ただでさえ貯金をした金がどんどんものすごい貨幣価値の下落でただになっているところへもってきて、さらに重い六〇%などという課税をしていたときのほうがもっと貯蓄意欲をそいだはずです。そこでいまの御説明よりむしろ私の感じとしては逆ですが……。
#84
○細見政府委員 当時の源泉選択の実績などを見てみましても非常に低い割合になっておりまして、この当時高額の預貯金利子があるというような人は非常に特異な人ということで、従来の源泉分離税率というのは大体所得税の最高税率とある程度近いところで考えておりました、そういう伝統的な考え方がそのまますんなりと税制として取り入れられておったのではないかと考えております。
#85
○八木(昇)委員 時間がありませんからもう論争いたしませんが、まあ今度源泉分離選択課税という、これまでの源泉分離一本でありましたものをそのような制度に改めるという以上は、これはもう二〇%ではほとんど意味をなさない。ほんとうは三〇%くらいにしなければならぬ、 せめて二五%にしなければならぬと思うのですけれども、これを二〇%というようなことにした理由をもう少しわかりやすく、大臣もしくは局長から御説明願いたいことが一つ。
 それからもう一つあわせて質問をいたしますが、現実にはこういう人は存在しないとは思いますけれども、配当所得だけで食べておる人の場合、いつも問題になっておりますように、これまで二百八十二万七千二百円までは無税であった。今度の改正によりまして配当控除率をこれまでの一五%から一二・五%に下げるというのですけれども、しかし一方において基礎控除とか配偶者控除とか扶養控除とか、こういうものが当然引き上げられておりますので、これまでは配当所得だけで食べていた人が二百八十二万円まで無税でありましたのが、今度の改正によってさらにこの金額がふえて、三百四万九千二百五十二円までは無税、こういうことになるのじゃないかと思うのですけれども、これでは一つも大衆の要望にこたえておると考えられない。配当控除率を一二・五%に下げた意味というものは全くない。せめて配当控除率を一〇%ぐらいまで下げなければ多少でも大衆の世論にこたえたことにならない、こういうふうにも感じるのです。この二点についてお答えいただきたい。
#86
○細見政府委員 預貯金利子につきましても配当につきましても、源泉選択のときの税率は、当初二年間二〇%、後の三年間は二五%というふうに段階的に上げまして、いま御指摘の二五%という源泉選択税率というのが一応の目標になって制度ができ上がっておるわけであります。それは先ほども申し上げましたように、源泉選択税率を最高税率に近いようなものにしていくという考え方も従来確かにあったことはあるわけでありますが、この考え方にあまり固執いたしますと預金者の心理に動揺を与え、それでなくても物価高とかというような問題がありまして、国民の貯蓄意欲についてさらに何らかの積極的な施策を講じなければならない。一方においてそういう施策を講じなければならないといわれておるときに、いたずらに預金者の利回りを低くするというような施策をとることは、金融資産の選択におきまして無用の変動を招くことにもなるわけでありまして、そういう意味で、長い間続いておりました分離課税制度を改めて、そこに課税の公平と預貯金、金融資産の選択に無用の混乱を起こさない、この両者をいわば調整して、しかるべき段階的な措置をとりながら両方の考え方を総合的に生かしていこうというのが今回の制度でございます。
 配当控除につきましても、基本的には一〇%の配当控除率に引き下げるということにいたしておるわけでありますが、一挙に一五%のものを一〇%にいたしますということは、源泉選択税率を一五%のものを一挙に二五にせずに二〇%、二五%というふうに段階を置いたのと同じような考えに立ちまして、金融資産の選択におきまして長期的な視野に立って投資の決定ができる。将来五年先にはこうなっておるということがわかりいいように、しかも段階的にその間の変動が行なわれるようにいたしておるというわけで、いま御指摘の一〇%くらいなら望ましい、あるいは二五%程度なら一応の目標だとおっしゃることは、いずれも長期的な観点においては三年目に実現しておるわけでございます。
#87
○八木(昇)委員 約束の時間でありますからこれで終わりますが、最後に一点だけ。法人税問題やその他も御質問したいと思ったのですが省略します。
 納税貯蓄組合に対して国や地方自治体が事務費の補助をしておると思うのですが、これはどういう基準でどういった金額を出しておるのでしょう。簡単に御説明いただきたい。
#88
○吉國(二)政府委員 納税貯蓄組合につきましては、その事務費を補助いたしますために毎年総額で約五千万程度の補助金を出してまいっております。これは、納税貯蓄組合は全国で相当数にのぼっておりますけれども、非常に零細な補助金になるおそれがございますので、それを税務署単位の連合会に集めまして、税務署単位の連合会にそれを交付するということにいたしまして、零細補助を避けるという運用をはかっております。御承知のように、納税貯蓄組合におきましては、組合員が共同で貯蓄をいたし、またそれに対して納税額の通知をいたしますとその共同の預金から支払うというようなことで、事務費が相当要りますので、不十分ではございますけれども従来からこの程度の補助金を支出してまいったのでございます。
#89
○八木(昇)委員 これは把握しておられるでしょうか、地方自治体がそれぞれ納税貯蓄組合に出しておる補助金の全体の総トータルはどのくらいですか。
#90
○吉國(二)政府委員 これは私の所管でないのではっきりわかりませんが、全国集めますと、地方団体で出しているものは数億にのぼると聞いております。
#91
○八木(昇)委員 この総額五千万円というのは、これはいかにも問題にならぬですな。出したということにならぬですが、大臣、出す以上はもう少し引き上げをお考え願いたいと思うのです。それについてお答えいただきたいことと、それから会社なりが、従業員の税は給料から源泉徴収だもんですから、やはりそれは相当の事務量なんですね。そうするとこれについても何らかの補助があってしかるべきだという要望なり意見を相当聞くのです。この問題と、いま申しました補助金増額の問題、お答えいただきたい。
#92
○福田国務大臣 納税貯蓄組合に対しまする補助金は、ほんとうに気は心という程度のものでございまして、それくらい大蔵省はその所管の仕事についてお金を節約しているんだ、こういうふうにお聞き取り願いますが、いかにも小さいような感じもします。それは事実でございますが、そういう非常に国費を大事にしておる気持ちでございますので、御了承願いたいと思うのです。
 それから、会社が手数がかかる、そのとおりだと思いますが、これは会社の御好意にひとつお願いをする、こういうことで、どこでもあまり苦情等もないようでございますので、今後ともそのようにやっていきたい、かように考えております。
#93
○八木(昇)委員 しかし、地方自治体さえもなけなしのさいふをはたいてこの納税貯蓄組合に、いま広瀬委員からもらいました自治省の資料で六億一千五百万円の補助をしておるようです。これは都道府県分だけで六億一千五百万円でありますから、市町村もあるんじゃないかと思いますが、せめて一けたぐらい上げるべきじゃないかということを要望しておきたいと思います。
 一応、以上で終わります。
#94
○毛利委員長 平林君。
#95
○平林委員 本日は、昨日の大蔵大臣の答弁が不満でありましたからその点を少し補って、再び家庭の主婦の課税問題について取り上げたいと思うのであります。私が、この委員会においてしばしば、家庭の主婦が職場に進出する度合いが非常に多くなってきておる。そういう現象のもとに、最近の調査によれば、それぞれの家庭の主婦のパートタイムや内職収入が、現在の所得税法第二条第一項三十三号に規定をする給与所得等十万円以下、給与所得以外のもの五万円という規定は現状に合わなくなってきておる。その結果、税金はわずかな家庭の主婦の所得に対してもいろいろな圧迫を加えておる。したがってこの限度額は引き上げるべきであるという主張をしてまいりました。同時に、最近の企業の状態を見ても、人手不足でありますから、家庭の主婦の職場進出はむしろ企業としても歓迎すべき状態が生まれておるのでありますから、この税金の圧迫によって職場進出が阻害されたり、あるいはその効果を失わせるような政治は改めるべきである。むしろ政府は積極的に保育所とか幼稚園とかという施設をつくって、これらの主婦の進出に対して援護を加えるような措置をとることが必要であるということを申し上げてまいったのであります。しかし、まだ完全なる結論が得られておりませんで、慎重に検討していただくことになっておるわけでありますが、私はこの結論を得るまで私の質問は終わることがないということをまず明らかにいたしておきます。
 そこで、きょうは別の角度から少しお尋ねを進めてまいりますが、まず主税局長にお尋ねをいたします。配偶者控除とは何ぞや、配偶者控除の定義をまず伺いたいと思います。
#96
○細見政府委員 配偶者控除は、基本的には、税制の上で考えますこととしては、基礎控除あるいは扶養控除の系統に属するものであろうかと思いますが、妻の座を尊重しろというような議論、あるいは夫の所得を稼得いたしますのにあたって妻の貢献を認めろというような議論がよくございまして、配偶者控除という制度にいたしたわけであります。
 で、この配偶者控除の制度と申しますのは実は日本にだけあるわけでございまして、世帯を単位にして課税をする方法といたしましては、日本のように配偶者控除という形で世帯の税負担の軽減をはかるやり方、それから外国にございますように、二分二乗というような方法で世帯を単位にして課税する方法と、この二つありますが、日本の場合は、戦前の扶養控除という考え方を、戦後の女性の地位の向上に応じて配偶者控除という、ただしこれは正式な戸籍関係にある方に限るということになっておるわけであります。
#97
○平林委員 ただいまお話がありましたように、私は、配偶者控除、配偶者に対して行なわれておるこの措置は、単に扶養控除という意味だけではなくて、一家の収入に対する配偶者の内助の功を税法において評価したものである。また、配偶者控除が従来の扶養控除というものから独立をして、基礎控除と同額にまで引き上げられた経緯から見まして、そう解釈するのが至当だと考えておるわけでありますが、まずその点を確認いたしたいと思います。
#98
○細見政府委員 そういうふうに考えております。
#99
○平林委員 そこで、配偶者が、家庭の主婦が共働きに出る。だんなさんも職場に行くが、奥さんのほうも共働きに行く、パートタイマーに出る、こういう場合に、一定額以上の所得があると、現行法ではその配偶者控除が認められなくなる。その限度額は二十二万五千円。私は、こういう措置をとるということは、その瞬間において税法は奥さんを配偶者と認めないという結果になると思うのです。二十二万五千円をこえたその瞬間において、税法上においては配偶者としての取り扱いをしない。すなわち、税法で離婚させちゃったわけですね。妻でおることには変わりはないけれども、税法上ではもう妻としての取り扱いをしない。すなわち、皆さんが現行法を固守することは、まず二十二万五千円あれば家庭の主婦を離婚させてしまう、離縁してしまう、こういうことに私は理論上解釈をせざるを得ないと思うのですがいかがでございましょう。これは政治的にひとつ大蔵大臣あたりから……。私はこれはゆうべ、あなたの答弁がうまくないものだから、くやしくてくやしくて一晩考えた理論なんです。ひとつ大臣から答弁してください。
#100
○細見政府委員 最初に技術的なことから申し上げておきたいと思います。
 二十二万五千円という形でおっしゃるのが必ずしも適当でないのでありまして、普通の所得であれば五万円、少額不追求、税法におきましてすべての所得を合算するのがたてまえではございますが、非常に少額なものについてまで全部総合するということにいたしておくことは、税務行政上も問題がございましょうし、また税法もいささかぎすぎすするというようなことがございまして、五万円以下は少額不追求にいたしておる。この点について大臣が若干の検討を今後考えていきたいと言っておられるのはお聞き及びのとおりでありますが、その場合に、資産によって五万円の収入を得る人と、額に汗をしておる、働いて収入を得た人と同じにするのは問題があるのではなかろうかというところで、額に汗をされた方についてはいまのところ十万円。十万円以下の所得であれば――資産所得であれば五万円が少額でありますが、額に汗をされた方についてはやはりそれだけのお骨折りもあったというようなことを考えて十万円まで不追求にいたしましょう。所得はあるわけでありますから、もし御本人が申告願えれば、それは基本的には納めていただく所得であるのでありますが、これを不追求にいたそうとしておるわけでありまして、それをこえた方が配偶者控除が得られないということは、何も税法が離婚をしいているわけではなくて、それ以上の所得を得られた方については、それ自体、所得を自分でかせがれる方としては独立された方におなりになって、何といいますか、家庭生活において配偶者であられることにはいささかも変わりがないということでございます。
#101
○平林委員 答弁になっていないです。私が言うのは、家庭生活では夫婦だ。このことがあったからといって、家庭生活まで夫婦が別れるわけにいきませんよ。私は、税法上離婚させているじゃないかと、こう言うのです。いま配偶者控除の定義を、だから念のために私はあなたに聞いたのです。つまり内助の功がなくなったということになる。内助の功があるから、だから配偶者控除というものを認めてきておる。念のために私は確認してからしゃべっているのですから。家庭の主婦はこれは依然として、法律上の手続きをとらない限り離婚されることはありません。ただ税法上は、いま五万円、十万円の限度額があるがゆえに、いろんな控除を加えて、職場においては二十二万五千円をこえれば配偶者控除を受けられなくなる。つまり配偶者として内助の功、これは認められなくなる。私に言わせれば、すなわち税法上離婚させておる、こういうことになるわけであります。私は、共働きの配偶者はこの場合内助の功がないということは不当だと思うのですよ。おやじさんをまず送り出す。それから急いで片づけをしてパートタイマーに出て行く。おやじさんが帰ってくるまでに――大体パートの勤務時間は四時間とか六時間、だんなさんが帰るまでに急いでおかずの支度をしたり御飯の支度をしたりする。私はそういう意味から考えたならば、共働きは、一家の収入が健康で文化的な生活を維持するには絶対額において不足するから行なわれる場合が多いということから考えてみても、それだけ一般家庭におられる奥さんよりはよけい労力というものが要るわけであります。最近は共働きに出る方も、御承知のようにじめじめした考えはない。東京都の労働局の調査を私はしばしば紹介をいたしておりますが、なぜ家庭の主婦が職場に出て行くかということについては、かなりの数が、レジャーとかあるいはもっとほしいものがあるからということが理由としてあげられてありまして、これはもうきょうは時間がありませんから繰し返して言わないけれども、少なくとも健康で文化的な生活を維持するために絶対額において不足するから出る、その度合いはまだ多いわけであります。調査結果によると、大体月収五、六万円くらいの人の家庭において共働きが多いということを見ても、私はそれは現在の分析としては間違っていないと思うのです。だからそういう意味から考えますと、私はやはり、うちにいる家庭の主婦ももちろん苦労であるけれども、それ以上に、ある意味では内助の功というものは、二十二万五千をこえたらなくなってしまうというようなことは考えられない、考えることはおかしいと、こう思うのです。
 そこで大蔵大臣、このくらい言っておけばいいと思うのでありますけれども、私は共働きの配偶者にも、それが給与所得者である限り配偶者控除を認めるべきではないか。主人に対して、奥さんが二十二万五千円以上所得があれば税法上は離婚さしてしまうという無情な、思いやりのない措置をとらずして、この場合でもやはり配偶者控除を削るべきではない。私はこの間までは二十二万五千を上げたらどうかということで底上げをやっていたのですけれども、底上げはそれも一つの方法で、努力してくれるというのですから底上げはやってもらいますよ。同時に、理論的に考えますと、二十二万五千円をこえたらもう妻ではないのだ、内助の功は認められない、独立してやってください、こういう言い方はちょっと、税法上あまりにもおもしろくない政治である。そこで、給与所得者である限り主人の配偶者控除を削るべきではないのではないか。こういうことで、非常に情のある、配慮のある御答弁を大蔵大臣からお伺いいたしたいと思います。
#102
○福田国務大臣 この制度は、制度の趣旨は平林さんがおっしゃるのと違うのです。これはあくまでも少額不追求である、こういう考え方から出発しているので、妻の座をどうこうというような考え方でいっているわけじゃないのであります。ですからこの議論は私はどこまでも食い違うと思うのです。
 私は平林さんと同じく、妻の座というものは尊重しなければならない、こういうふうに考えておるのでありますが、それには家庭のあり方というものを税法上どういうふうに見ていくか。夫婦相寄って一つの社会単位を形成しておる、そういう姿を率直にこの税法上にも表現していくかというようなことを考えるべきであるのかどうかという問題もあります。現にそういうような考え方でやっている国もあるのです。そういう社会単位というか経済単位というか、そういう中における課税のあり方、これが根本的に問題がないと言えないと思う。そういう点は私は根本的に考えてみる必要があり、また私も検討してみたい、こういうように思っておりますが、いま問題になっておる二十二万円の限度の問題、これはあくまでも少額所得の不追求の観点から出発しておる、こういうことで実は大蔵省としては割り切っておる、そういうふうに御理解を願います。
#103
○広瀬(秀)委員 たいへん申しわけありませんが、ただいまの問題と関連をしまして……。
 いま平林委員は、給与所得者の場合、そして妻が内職収入なりあるいはパートタイムなりということで取り上げられたわけでありますが、利子所得が奥さん、配偶者にあるという場合に――いま大臣も盛んに少額不追求だということを言われておりますが、奥さんが利子所得者であるという場合に、これはいまの税法では、租税特別措置なりあるいは所得税法の規定を突き合わせてみますと、これは少なくとも理論上また法律上、三十万あっても五十万あっても、あるいは百万あってもかからぬということになるんじゃありませんか。その点どういうたてまえになっておりますか。
#104
○細見政府委員 現在は源泉分離でございますから、所得がありましてもそれが総所得として合算されないという問題はございます。ただ、これからは申告不要という形になるわけでありますから、たてまえとしては、所得がある方については、利子でありましても少額不追求の範囲というのは五万円で線が引けるということになります。ただその場合違いますのは、税額が源泉徴収で利子の場合はかかっておるという問題はございます。
#105
○広瀬(秀)委員 現状ではそういうことになる。しかし今度の条文の改正によってそういうことはない。やはり五万円は五万円ということになるということなんですが、それは具体的に何条でございますか。これを示して納得のいくように説明してください。特に利子所得の場合に、少なくとも現状では、これは源泉分離がかりにあるとしても、たとえば源泉分離の残ったあとに五十万なり七十万あったという場合でも、これはその御主人は依然として配偶者控除は受けているということになるのですね。それを指定した条文はどれでございますか。
#106
○細見政府委員 百二十一条で確定申告を要しない所得というのに、いま申しております利子の源泉分離所得があるわけであります。百二十一条であります。
#107
○平林委員 とにかく大蔵大臣、あなたはこの点は、十万円というのが妥当であるというお考えのようなんですけれども、そうじゃない。この内職による平均収入が一体どのくらいになっているかという実情調査に基づますと、昭和四十三年ですでに八万九千円、九万円になっているわけです。四十五年にはおそらく十万円をこえておるわけです。しかも、総体的な調査によりますと、十万円から十二、三万円になるのが非常に多くなってきておるわけであります。十万円程度でこれは申告をせなければいかぬというふうにするのはもはや現実に合わない、これが私の出発点なんですよ。それから、これは非常に権威のあるところで調査していただいたものでありますけれども、団地の主婦でパートタイムに行かれている人たちの個別調査によれば、一日四時間か六時間くらいしか働かない。それでなお平均月収が低いところは一万一千円から高いところは一万八千円という程度になっているのです。四時間か五、六時間でですよ。時間給一時間百五十円くらいの計算で。
 そういうことから考えますと、やはり私は十万という部分について現実に照らして底上げを考えること、同時に、ただいま申し上げました配偶者控除の定義から考えてみまして、どうかひとつ、税法上妻を離婚するような政治を、将来を嘱望される大蔵大臣がおとりにならないでもらいたい。これはこの程度にしまして、検討していただくということになっておりますから、きょうは別の角度から少し私の見解を申し上げましたので、ひとつ十分主婦のために政府においても真剣に検討してもらいたい。希望いたしておきます。
 次に、非課税所得の問題についてもう少し詰めてみたいと思うのであります。昨日私は有価証券の譲渡所得を含めて、あらゆる譲渡所得に対しては所得税を課すことが総合課税主義のたてまえから当然であるという主張を、形を変えまして論及をしたわけであります。しかるに所得税法の第九条は、これについては、条件つきでありますけれども、非課税の分野にこれを含めております。ただ、継続して有価証券を売買することによって得られた所得、これは政令で定めるもので除外をしてありまして、いわゆる買い占めであるとか、イロハというように三項目は除いて非課税だ、こういうふうに規定してあります。ところがさらに所得税法の施行令第二十六条によりますと、今度はまた売買の回数が五十回以上、それからその株数なり口数が二十万以上であるというふうに規定をして、それ以外のものはよろしい、非課税である、こういうふうに発展をしてきておるわけであります。私はきのうは、この五十回、二十万、こう規定した根拠は何かと言ったら、主税局長はあまり明確な答弁をしてないのでありますけれども、これはさておきまして、私はきょうあらためて正確にお聞きをしたいことがあります。
 それは、なぜ有価証券の譲渡所得には課税をしないのか、これをひとつ正確に答弁をしてもらいたい。それによってまた私は論議を展開していきたい。
#108
○細見政府委員 有価証券の譲渡所得につきましては、法制的には一定のものを除いて非課税所得になっておりますが、その立法の淵源、理由といたしましては、譲渡所得は一方で譲渡損とからみ合っておるものでありまして、同一人につきましても、ある一定時期を画して所得計算をいたします場合に、譲渡所得と譲渡損とがかなり同一人に同時的に発生いたしておりまして、結果的には所得が出ないという問題、あるいはまた譲渡所得を課税するといたしますれば譲渡損を控除いたさなければならないという問題で、繰り越し控除とかあるいは自分の手持ちの株を売却して譲渡所得が発生しないような方向で、外国の事例などによりますと譲渡所得課税を免れる方法等もございまして、あるいはまたさらに譲渡所得によりまする所得と、あるいはその損失と、その他の所得との合算の過程、特に損失のような場合にも課税するようなことになりますと、損失は控除しなければならぬわけでありますが、普通の営業所得からこういう株式の譲渡損によるような損失を控除していいだろうかといういろいろな問題を総合的に勘案いたしまして、譲渡所得、株式の売買の過程で何らかの富が動いたことは事実でございますので、それを有価証券取引税という形で取ることが結果的に譲渡所得に課税するよりも税の執行も容易であり、譲渡所得の幾らかがこれによって吸い上げられておって、結果的には譲渡所得課税と同様な効果があげられるということで非課税になっておるわけでございます。
#109
○平林委員 実はゆうべ私、家に帰りまして渡邊喜久造さんの本を読んだのでございます。「税の理論と実際」という本で、これを見ろよといわれて、ヒントを得たのです。なぜ有価証券の譲渡所得に課税しないか、なかなかうまく説明しておりますので、読み上げてみますから、大体いまでもその考え方は間違いがないと思いますので、ひとつ確認をしてもらいたい。
 これによりますと、第一、有価証券の譲渡所得は、その性質上税務署による調査が困難であること、したがって、「所得者の自発的な申告か、有価証券業者などの積極的な協力を得るのでなければ、公正な課税はほとんど不可能に近い」こと。これを第一の理由としてあげておるわけであります。
 第二に、「広く一般的に所得者の自発的な申告を得るには、所得者の気持ちが現在そうなっていない。」「有価証券業者などの積極的な協力も、それがお得意である所得者の利益に反するものだけに、実際問題としてなかなか得にくい。」これも一つの理由にあげておる。
 第三に、「有価証券の譲渡所得課税がなければ有価証券市場へ向ったであろうと思われる資金が、これあるがために他に使われるということもあり得る。」そこで非課税ということにする。
 第四に、「かくて、資本蓄積のきわめて重要な今日においては、負担公平の原則には理論上は反するとしても、有価証券の譲渡所得課税は廃止すべきだとの意見が強くなって、昭和二十八年の改正で」大小に関係なくすべて非課税とされている。こう書いてあるんですね。
 私はこれを読みまして、きのうの説明よりはこっちのほうがちょっとましだと思ったんですけれども、まあ大体こんなことじゃないでしょうか。
#110
○細見政府委員 その御説明は、投資家心理とかあるいは税務行政に対する協力とかいうような問題、特にロックインといわれる株式の売買を押えるであろう、証券市場に悪い影響を与えるであろうというような、投資家心理的な要素を非常に強く持っておられるわけであります。
 私がきのう申し上げておりましたのは、社会の富といたしまして、譲渡所得というものは一方で譲渡損があるので、結果的には、国の歳入としてはその辺を考えれば有価証券取引税というやり方も一つの巧妙な税制ではないか、こういうことを申し上げたのであります。
#111
○平林委員 大体赤になったときにも、損失になったときもやりませんよと、いろんな意味もあってでございますが、積極的には、私がいまあげた四つの理由がおおよそ非課税にしておる理由であろうと思う。
 そこでひとつ国税庁長官、あなたに伺いますけれども、有価証券の譲渡所得はその性質上、税務署による調査は困難である。したがって「所得者の自発的な申告か、有価証券業者などの積極的な協力を得るのでなければ、公正な課税はほとんど不可能に近い」こういうんですが、国税庁長官、いかがでしょう、やはりあなたも困難である、こうお考えですか。
#112
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり証券の取引は非常に大量でございます。これを課税するためには、その個々の売り上げの帰属、さらにそれに対する個々の証券の取得価格、これらを正確に把握しなければできないわけでございます。実際問題といたしまして、まず第一に取得価格というものが、現在個人で売買をしておられる方はほとんど資料等はございません。これが、渡邊長官が書きました個人の協力がないとなかなかむずかしいという一つの点だと思います。それから売り上げの捕捉でございますけれども、これも日に何億株という出来高があるわけでございます。これを毎日証券会社の帳簿について調べ上げるということになりますと、これはもう証券会社自体も仕事ができなくなってしまう。そういう意味で、現在の有価証券取引市場というものを前提としながら――絶対に不可能であるということではございませんが、そういうものを前提といたしました場合には事実上不可能に近い。それを一部分だけ取り出してやるということになりますと非常な不公平になる。そういうことから、再三議論があった結果としてこういうことがきめられたと私は思うのでございまして、そういう意味では、確かに各証券会社の帳簿を見た場合でも、今度はそれが架空名義であるかどうかということからまた解明していかなければならないというようなことで、実際上非常な困難があることは、これは認めざるを得ないと思います。
#113
○平林委員 有能なる国税庁長官にしてかくのごとし。しかし私は、もしこの有価証券の問題についてやろうと思えばやる方法は幾らでもあると考えておるわけです。非常に課税の不公平を押してこれをそのまま認めておるという現状は、私はむしろ政府の怠慢のそしりを免れない、かように実は考えておるわけであります。これはまたひとつずいぶん国税庁も努力をしてもらいたいと思うし、具体的な方法について意見だけを申し上げておきます。
 そこで私がきのう取り上げた問題は、もう一つ、今度は大蔵大臣向きな理由が書いてあるわけでありますが、「有価証券の譲渡所得課税がなければ有価証券市場へ向ったであろうと思われる資金が、」このために他に使われることがあり得るというのが非課税のあれになっておるのですがね。きのう私が取り上げた問題は、株を上場する場合、つまり株の公開のときの課税問題ですね。すなわち、これはまあ名前を言ってもいいと思うのですけれども、赤井電機という会社が昭和四十三年に二部に株を上場する、そのときに公開をされたその数は千五百万株、そのときの公開価格は五十円株が三百三十円、取引所の開始価格が一ペんに二倍になって六百六十円、以下七百二十五円、七百三十五円と、二カ月、三カ月を経て高くなってまいったのですね。この株の公開にあたっては非課税という規定があるものでありますから、この会社はすなわち合計いたしまして、五十円と三百三十円との差二百八十円、これが千五百万株でありますから四十二億円の利益があったことになるわけです。この創業者は、きのうのお話ですと社長さんが一人で一千万株、その他数人が創業者でありますから、合計して五、六人の人が四十二億円の利得を得たということに相なるわけであります。これが一銭も税金がかからぬということになるわけです。これが昭和四十三年にこれだけではなくて、ほかに、名前はあまり言わないでおきましょうけれども、八件、八つの会社がございまして、それぞれ十億円あるいは十億八千万円、四億五千万円、三億九千万円、こういうものがありましても税金が取られない、こういう実情になっておる。先ほど議論をしておりましたように、五万、十万を私は争っておりますけれども、一方において四十二億の所得があっても税金が取られないということは、まことにつり合い上から考えてみてもあまりにも不公平な措置ではないか、こういうことを述べたわけでありますけれども、この株の公開の場合には、本来「有価証券の譲渡所得課税がなければ有価証券市場へ向ったであろうと思われる資金が」他に使われるということにはならない。利得になるわけなんでありまして、どうも私は渡邊喜久造さんの説を読みましても非課税の理由は納得できなかったわけであります。
 それから第四の理由に、「資本蓄積のきわめて重要な今日においては、負担公平の原則には理論上は反するとしても、」大小に関係なくすべて非課税にしておる、こういうことにつきましても、それならば大蔵大臣、資本蓄積の重要な今日というならば、四十二億円の所得があったならばその会社の資本金がふえてよかりそうなものですよね。ところが赤井電機の例を言いますと、この会社は資本金が大体十五億円の会社であります。十五億円の会社、これが公開をいたしましてから二十二億五千万円になりましたから、株式においては七億五千万円ふえたという勘定で、幾ぶんこの資本金をふやすふうに使われているように見受けられますが、まだその差は非常に大きいということが言えるわけです。したがって、非課税にしたことが資本の蓄積に役立ったかどうか。もちろん資本金だけでなくほかにもあったに違いありませんけれども、やはりその反応は顕著なるものがあるとはいえない。昭和四十三年の八件の株の公開の状況を見ますと、ただいまあげましたようなそれぞれの相当の利得がありながら資本金はふえていない。どこへ回るか。私はそういうことを考えますと、非課税にする根拠につきましてもかなりあやふやになっておる。
 そこで私はきょう提案をしたいのでありますけれども、少なくとも、もしかりに諸般の事情で非課税にするというならば、せめてこの大義名分である資本の蓄積に役立っているかどうか、こういう点につきましてはある程度の行政指導なり法定化なりが必要ではないか、こう考えるのですが、大蔵大臣はいかがですか。
#114
○福田国務大臣 私は渡邊喜久造さんの書かれたその書物を読んでおりませんが、伺っておりますところでは、一般の株の譲渡所得の非課税、それのことを申し上げておるのであって、上場の場合とか、そういうケースについて頭に置かれての話じゃないんじゃないか、そういうふうに思います。
 しかし、いま上場株につきまして、その取引の回数制限とかあるいは取引株高の制限とかしておりますが、そういうことをなぜやるか、こういうことでございます。そういうことにつきましては、これは業としてそういうことをやったのかやらないのかという判断ですね。その基準というものはなかなかありません。そこで一つの仮定を設けまして、取引の株の数量また取引の度数、こういうことを概定的にきめてみた、こういうことだろう、こういうふうに思うわけでありますが、その概定をいたしましたそのまた五十回あるいは二十万株――二十万株のほうはさほどでもこざいませんけれども、五十回というものが、これがはたして五十回に当たる取引行為であるかどうかというようなことについてさえまだ議論があるような状態でありまして、これは株式譲渡課税の根本に関する問題だというふうに考えます。しかし御指摘のように、最近この原則を適用してみました場合におきまして、社会的、客観的に見ましてどうも合理的でないような面もだんだんと出てきておるように思います。そういう傾向等をよく見ましてこの問題も検討してみたい、かように考えます。
#115
○平林委員 大体私の気持ちが伝わったようでありまして、大蔵大臣の率直な御見解がありましたから、次は証券局長のほうにちょっと申し上げたい。
 私はいま株の公開をする場合の点は大蔵大臣に申し上げたのでありますが、ことしもなお十件くらい株の公開を準備しておる会社があるわけであります。これは法に基づいて大蔵大臣の承認を得なければならぬということにはなっておりますから、大蔵大臣のところでも御注意をしていただける、こう思うのでありますけれども、どうも納得できないことがある。
 たとえば五十円が三百三十円になったりあるいは五十円が二百六十円になったり、非常に幅が大きいわけですね。それだけじゃありません。取引所に上場してその始め値が、いまの赤井電機の例をとりますと、三百三十円がさらに二倍の六百七十円にはね上がる。およそ、その他の例を見ましても同じように、公開価格も高いけれども、始め値あるいは一カ月、二カ月たっても非常に高いことになっておるわけです。それは含み資産その他、株の場合、上場された場合、あとはそれぞれの思惑もありましょうから、これは論ずるまでもないと思います、株の流通というような点で。私はそこまでは触れません。しかしこの公開価格のきめ方を少し合理的にきめる必要があるんじゃないか。これは少なくとも発行の会社あるいは引き受けの証券会社が相談してきめておると思うのでありますけれども、こうした国民の批判があることにかんがみ、こうした公開価格のきめ方についても、私は、政府、証券局がもっと合理的なもの、あるいはこうした非難が起きないようなくふうをすべきでないか、こう考えるのでありますけれども、その点について御意見を承りたいと思います。
#116
○志場政府委員 ただいま平林委員から御指摘されました問題でございますが、私どもも全く先生のおっしゃったような問題意識を持っております。ただいまの例にあげられましたけれども、株式を上場しますためには株主数が四百人以上要することになっておりますし、また五千株未満の株主、つまり浮動株と申しますが、そういう株主の持っていらっしゃる株数が、資本金によって違いますけれども、相当数なければならぬ。たとえば資本金が三、四億でありますと八十万株以上なければならぬといったようなことで、そのために、従来同族会社として発展してきました会社は、したがって少数の株主、役員によって保有されました株をまず公開しなければならぬ。その場合に、公開の方法は増資の方法もございますけれども、それを避けるとすれば、役員が持っている株を一般に売り出さなければならぬということになります。その場合に証券会社の引き受け機能ということをどうしても要することになっているわけでございます。公開そのものは発行会社並びにその役員の仕事でございます。大蔵大臣に、売り出すための有価証券の届け出を出していただくわけであります。したがって、公開価格と申しますものも基本的には発行会社がきめて差しつかえない、またきめるべき性質のものでございますが、証券会社としましてはアンダーライターといたしまして、アドバイザーとしていろいろ価格決定に参画するということでございまして、その段階で大蔵省といたしましてはこの価格決定につきましてとやかく申すことはではないというたてまえでございます。
 しからば、各証券会社がどういうふうな角度からその公開価格というものを算定しているかということでございますが、私どもいろいろとおもな証券会社の価格算定の要素につきまして調べてみております。ですけれども、必ずしもそれは統一した方式を採用はしておりません。またいろいろ危険度合い、引き受け業者としてのリスクを見込みましてのディスカウントをある程度いたしますが、その場合も、商法でありますと、上場されている株式を増資する場合、たとえば時価発行の場合に時価の二〇%くらいのディスカウントレートであれば適正な価格という商法上の判定もございまして、ディスカウントレートは算出価格に比べて二〇%を上回るという例もございませんけれども、どの場合に一〇%にし、どの場合に一五%にするかという面についてはまちまちな面も多うございます。どうしてもその間に証券会社といたしましては安全率を見込みまして、かた目かた目に押えていこうという気持ちも働いていることはいなめないと思います。
 また、株価自体を算定いたします場合に、ディスカウントする前の価格自体を算出する場合におきましては、その会社と同じような事業をしている同業種と申しますか、そういう会社を三社ないし五社選びまして、それの一株当たりの純資産の状態とか利益の状態とか配当率の状態とか利回りの状態とか、そういう既上場の会社の株価とか、そういったものを基準にいたしまして平均株価的なものを持ってくる。これは相続税の場合、同族会社の株式の評価をいたします場合に国税庁方式で算定する方式もございますが、大体同じようなことでございまして、そういうことでいろいろと要素をとりますけれども、全く同じ業種というものはなかなかありにくいのでございます。しかもこういった会社の場合にどうしても過小資本的なきらいもございます。しかも公開する会社というものは将来の発展、成長に備えまして設備投資をする、そういう成長性が非常に高いという傾向がありますため、そこらのことはなかなか織り込みにくいのでございます。ですから証券会社としましてはできる限りの比較検討ということをやっているようでございますけれども、結果論といたしまして、結果から見ますと、何だ、安い価格をつけたじゃないかというような批判が出る面も確かにございます。しかしこれを事前にその結果が一致するような値段を求めるということはなかなかむずかしいと思うのであります。
 ただ私どもとしましては、お説のような批判もございますし、つとに問題意識も持ちまして、少なくとも同種法人のとり方につきましては、極端なことをいいますと安いものを何か見つけてこようじゃないか、そういう安全のためにいろいろ類似しているような会社を、無理にとは申しませんが、いたずらに引っぱってくることはやめるべきじゃないか。類似している会社というものにつきましては、将来の成長性というものを十分考慮に入れて、一社でもいいじゃないか。できるだけその当該会社と近似しているものを厳密に選んでいく。それから各社において算定方法がばらばらであるということも非常に疑惑の念を持たせるのじゃないか、なるべく統一的な方式でやったらどうか。またディスカウントレートなるものもこれはむやみにすべきじゃなくて、原則的にはある少ない範囲の幅でもってとどまるべきであって、それ以上どうしても大きく割り引く必要があるというならば、それは個々に十分立証されたらいいじゃないか。こういうことで、大筋の話といたしまして、現在ある私どもの考え方の具体的な方向というものを検討いたしまして、証券会社、引き受け会社のほうに提示する。場合によりましてはそれを業務方法書の一環といたしまして、それによって算定するということを指導してみたい、こう思っています。
 なお、その公開価格はそういうふうにして事前の価格を決定しますが、その場合は、上場されましたとき、この根つきの状態が非常に上のほうに根づくのじゃないか。これにつきましては公開株数をうんと多くする必要があるのじゃないかということとか、あるいはその場合に、株主を四百名以上にしますために公開割りつけもいたしますけれども、それが特定の限られた株主、そういうような者に割り当てられることがありますと、あたかもある一定の価値物を贈与するごとくになりかねませんので、あるいはその場合にどういう方法にしますか。たとえばせり売りのような、競争入札のような議論もあるかもしれません。ですから、問題は単に公開価格の決定の場合にとどまりませんで、上場する場合の配分の問題、ないしは公正な価格上の根つぎの問題、そこまで広がっていくわけでございまして、まず価格決定のところから私ども考えましても、できるだけ合理的な方法で統一すると同時に、引き続きその後の状態につきましても問題意識を持ちまして善処してまいりたい、かような段階でございます。
#117
○平林委員 公開価格の決定のしかたを合理的にするということ、それから公開して始め値で売った場合の合理的な分配、株の数を多くするとか、あるいは類似会社との比較とか、あるいは知名度、リスクの問題とか、いろいろあると思うのですが、さしあたり行政的な問題でお話しのような配慮、努力というものを払ってもらいたい。基本的には大蔵大臣にひとつ今後御検討いただくことにしまして、きょうは問題を提起したにこれはとどめておきたいと思います。
 次に少額貯蓄非課税制度の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。私どもは、銀行利子の非課税の問題につきましては、少額貯蓄非課税制度があれば事足りるではないかということから、利子に対する課税の問題につきましては何回も議論をしてまいったわけでありますが、きょうはその少額貯蓄非課税制度そのものの運用は一体どうなっておるか、この点につきまして、最近の実情をひとつお話しいただきたいと思うのであります。
 私の承知しているところでは、預金者があれば、金融機関の店舗を経由して提出された申告書を毎年税務署でチェックをし、名寄せしているという話を聞いておるわけでありますが、最近の結果ではどういうことになっておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#118
○吉國(二)政府委員 少額貯蓄非課税制度は、御承知のとおり、国民貯蓄組合を廃止するのと入れかわりに三十八年に設けられたわけでありますが、その後貯蓄の増加に応じてふえてまいりまして、現在額で約十兆八千億程度ということになっております。御承知のように、最初の段階では一種類一店舗という制度でございましたが、現在は百万円の範囲内で四十二年度の改正で何店舗でもいいというようなことになってまいりましたので、最近は非課税貯蓄申告書の数がかなりふえてまいっております。現在までに税務署に出された総数は約六千九百万枚、これはもちろん累計でございます。一店舗時代は毎年大体七十万枚前後が出てまいりましたが、改正後は約百万枚程度が出てきております。これを毎年税務署におきまして定期的に名寄せをいたしまして、その名寄せによって、限度額を超過したものについては是正をさせておるわけでございますが、最近の調査では約一二%程度是正を求めたものがあるという実情でございます。
 さらに、提出した非課税貯蓄申告書そのものが二重になって限度を超過しておるという問題のほかに、非課税貯蓄申告そのものを仮名でやっておるというものがあり得るわけでございます。それは定期的ではございませんが、サンプル調査でその住所、名称等を住民登録等で照合いたして調べておりますが、これも一〇%程度の不明分があるということでございます。その後全銀協にもその実情を話しまして自主的に審査をさせました結果、約二十億円程度の是正をはかってまいりました。やはり金融機関自身の努力というものをも加味しないと、そういう不正申告が絶えないということにもなるかと思います。そういう点で現在金融機関とともに、少額貯蓄制度が法律の予想するような適正な姿で運用されるように、これにはかなり大きな努力を払っているわけでございます。
#119
○平林委員 もう時間がありませんからこまかいことを聞いていられない。この運用の実態について、別にひとつ概況を資料として提出をしていただきたい、こう思います。
 同時に、いまお話がありましたように、補正し、追徴したものが二十億円もあるということは、少額貯蓄非課税制度が必ずしも貯蓄奨励というよりは、税を免れるといったような傾向も強く出ているということの証左でもあると考えているわけでございまして、中には間違いもあるでしょうけれども、やはりそういう形でこれが運用をはかられるということは、少額貯蓄非課税制度の自殺行為でもあります。私はそのことから考えますと、かなり金融機関の窓口規制で回避できるものもあるはずでありますから、やはり当分の間残るわけでありますから、その運用については厳正を期すべきである、そういう配慮を行政指導の上においてもやってほしいということを申し上げておきたいと思うのであります。
 それからもう一つこの問題に関連して、郵政省の貯金局の次長さんお見えですね。この銀行利子非課税の問題について私どもが追及していきますと、郵便局のほうもかなりやっておる、こういうお話がしばしば聞かれるわけであります。いずれにいたしましても、最近郵便貯金をふやすために、一部ではありますけれども、郵便局がどうも露骨な宣伝をしておる。隠し財産ができますとか、あるいはまた貯蓄を郵便局にすれば税務署に届ける必要もなければ、税金ももかからず、貯金の秘密が守られる、こういうようなことをやることは私は少し行き過ぎだと思っておるわけであります。しかし、銀行関係にも、ただいま少額非課税貯蓄制度の運用を見ますと、郵便局だけを批判する資格は全くありません。大体われわれをして言わしめれば、利子については免税にしてくれというのが、貯蓄の奨励だとかなんとかいって、上品ぶってかっこうをつけて要求をするか、一部の郵便局みたいに露骨にやっているか、どっちかの違いで、ねらいはちっとも変わりません。銀行のほうは幾らか上品におやりになっている、郵便局のほうは幾ぶん露骨にやっているというだけであって、根性にはちっとも変わりがない、私はそう考えるのであります。しかし、こういう批判がありますと利子の問題につきましてもやはりいろいろな批判が起こってくるわけでありますから、郵政省のほうも注意してもらわなければならない。
 そこで、最近のこうした実情にかんがみまして、あなたのほうではこうした批判にこたえての具体的な措置をおとりになったでしょうか。もしなったならば、どういう措置をおとりになったかをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#120
○田中説明員 仰せのごとく、郵便貯金は国営事業といたしまして法律にのっとり、しかも品位を保ちながら事業を運営していかなければならないということは当然でございます。郵便貯金の周知宣伝等につきましても、国営事業という立場から現在きわめてつつましく行なっておりまして、たとえばテレビ、新聞といったような媒体を使うよりは、むしろちらし、ポスター程度のもので済ましておるわけでございます。たまたま一部の局におきまして若干表現に行き過ぎの点が見られるという御指摘がございましたけれども、このことはむしろごく一部の例外でございまして、郵便貯金の周知宣伝は全般的に適切に行なわれておるとわれわれは考えておりますが、なお私どもといたしましては、常識的に判断いたしまして、一般国民に誤解を与えるような表現をとったような周知宣伝の活動は十分自粛していかなければならないということで、今後とも郵政省の責任におきまして是正すべきものは是正していきたい、かように考えております。昨年も当委員会におきましてこの問題が提起されまして、私どももいまと同じ御答弁を申し上げました。その後たびたび地方の関係者を会合に呼び集め、あるいは文書等におきまして、ただいまの趣旨を十分徹底しておりますので、今後そのようなものをできるだけ少なくするように努力をしていくつもりでございます。
#121
○平林委員 ただ気持ちでいるとかいうのでなくて、具体的な措置をおとりになったか。いま文書等によってと言いましたけれども、文書でおやりになったならば、どういう内容で文書をお出しになったか、それはいつ出したか、こういうことを聞いておるわけです。
#122
○田中説明員 やや具体的なお尋ねでございますので、現在私どもがやっております措置の概要を簡単にかいつまんで申し上げます。
 本年の三月二十八日付でございましたか、文書で、郵便貯金の総額制限の励行ということにつきまして、まず第一に、架空名義による預入の防止という問題につきましては、郵便局の窓口の段階における規制を厳重にやるということを指導いたしました。なお、総額制限違反の事実につきましても、まず窓口規制をやる。同時に、もしそれが漏れた場合には、郵便局の後方に貯金原簿を所管しておる地方貯金局がございますが、その段階におきましてもチェックをするし、さらに年々名寄せ等を行ないまして、違反のものについては法律の定めるところにより貯金を減額するという手続をとらせております。なお広告宣伝につきましても、郵便局を監督する地方郵政局の段階で文案等をチェックするというような内容のものも含まれてございます。
#123
○平林委員 時間がありませんからこの程度にいたしますが、いずれにしても、銀行の預金に対する利息、それから金利に対する課税の問題につきましては、私どもはやはり政府の態度は間違っておると思うのでありまして、今回の改正措置でもまだ十分ではないと考えておるのです。特に少額貯蓄につきましては、われわれは預金者の心情等考えますと、政府の言うておることも全く無視するわけにはまいりませんから、わりあいと穏やかな態度をとっていますが、しかしそれはまた別な意味で隠れみのになっておるということも、私はきょう質問の中で明らかにしてまいったわけであります。こういう事態を考えまして、次に来たるべきときには勇断をもってこうした批判にこたえるという態度をとってもらいたいということを要望いたしまして、私は質問を終わりたいと思います。
#124
○毛利委員長 広瀬君。
#125
○広瀬(秀)委員 先ほど関連質問でちょっと申し上げたのですが、若干ことばが足りなかったので、大蔵大臣も勘違いをなされたかと思うのです。今回の改正で利子所得について源泉分離選択ができる、この源泉分離をしたほうがいいというのは、少なくとも百五十万以上――百五十万で二一%になるわけでありますから、それ以上の所得者というとかなり高額所得者だ。そういう場合には源泉分離をした場合に、奥さんが百五十万以上もあって利子所得の源泉分離課税を払った、その場合には、今度の税法改正によりましても依然として、奥さんがそれほど収入がありながら御主人が給与所得なりあるいは事業所得なりの所得者であったという場合に、これは百五十万あろうが二百万あろうが、二〇%の源泉課税だけ出して、あとゆうゆうと配偶者控除を受けられる、こういう矛盾は全然解消してないということなんですよ。それで一方においては、二十二万五千円というようなことで、内職あるいはパートタイムというようなことで勤労所得なんですね。いわゆる給与所得という場合には、そういう限度がシビアにある。こういう問題について大臣、矛盾をお感じになりませんか。
#126
○細見政府委員 源泉分離課税というものをとります以上、それが源泉分離の段階におきましては、所得者というものを必ずしも明らかにしなくてもいい、いわゆる総所得金額に入らないわけでありますので、所得の大小の面だけをとらえて御議論になればそういう御主張もあろうかと思いますが、利子所得に対する多年の沿革もありまして、それを総合所得の一歩手前の源泉分離にいたした今回の改正はそれなりの意味がある、かように私どもは考えております。
#127
○広瀬(秀)委員 どうもまことにけしからぬ答弁だと思うのですね。片方は夫の収入だけではなかなか十分な生活、というよりも平均的な生活もできないということで、奥さんが一生懸命働いて内職をやる。これはかなり長時間で、子供の養育なんかまである程度犠牲にしながらやっているわけですね。貧しい住宅環境の中で、自分のうちでやったりあるいはかせぎに出てパートでやっている、こういうような場合に配偶者控除を受けられなくなる限度が第二条の三十三号で十万だということがびしっときまっておる。こういう段階で、利子所得で源泉分離選択をした奥さんが百万あろうが二百万あろうが配偶者控除をゆうゆうと受けられるという。先ほど平林委員からも、配偶者控除というのは一体それじゃ何だという質問が出ましたように、そういうものについて、何といってもこの均衡というものは著しく勤労者に酷であり、内職の、ほんとうにつつましやかに勤労をやっている、そうして獲得した所得に対してあまりにもきびしい税制でないのか。
 不労所得、資産所得に対する優遇というものが、その最初の面において二〇%ということで、本来ならば三〇%あるいはそれ以上の税率で納めなければならぬものを二〇%で済み、しかも合算所得のいわゆる上積み実効税率の面で得をする。その上に、今度は配偶者控除まで受けられるという三重の差がっくわけですね。いまの、あなたが最後におっしゃった政策的な意図というようなものは、あまりにもはなはだしく、公平の原則から見てそういう面を無視し過ぎているではないか。あまりにも非常識な線ではないか。この点をあえてあなたは、やはりそういう面も決して均衡がとれていないことじゃない、こういう政策目標があるんだと言うのか。しかも、大体預貯金をするというものが、これはこういうメリットがあるから預貯金がふえているんじゃないということもはっきりしているんだし、そういうようなことで二重、三重にメリットをつけるという、そういうことはどこかでやはりできるだけ早い機会に遮断をしなければならないし、一方において、先ほどから論議されているように、勤労所得、給与所得に対しては、きわめてシビアな限界というものを設けているものに対して、その面まで効果を及ぼす、配偶者控除という問題にまでその影響を及ぼすいわれは私はごうもないだろう、こう思うのです。
 いま大臣が向こうの用事で行かれたので、この点一体政務次官、これは政治家としての判断――これは細見局長が皮肉に思うかもわからぬけれども、あなたも真剣にこの問題は考えていただかなければならぬと思いますね。まことに不均衡じゃないですか、どうですか。
#128
○中川政府委員 そういういま御指摘のような比較をしますと、一見矛盾があるような気もいたしますが、利子・配当のほうについては別の意味からこういった特例といいますか、従来までは一五%、あるいは今回は二〇、さらに二五というようなことになっておるわけであります。その点からいくと、もう一つ矛盾といえば、けさほど来問題になっております少額不追求の五万円、五万円以上収入があったものは所得のほかに累進して計算される。ところが利子の場合であるならば、二〇%さえ、あるいは一五%さえ納めておけば累進にならない、分離という道があるわけです。これを比較してみてもおかしいじゃないかという議論があるのと同じように、利子・配当についてはあまりにも恩典があり過ぎるのではないかという議論が、妻と比較しましてもあるいは個人が所得した場合でもあり得たわけでございます。したがって今回、これに対する矛盾というか、そういったことがあまりにも極端だというところから、一五%を二〇%にし、さらにまた二五%に持っていく。いま言ったような矛盾があったからこういうふうな方向に、批判もありましたし、また大蔵省当局も改定をしていったものであろうと思うわけであります。広瀬君の御指摘全くそのとおりでありまするから、奥さんの場合だけまた特別な対策を講ぜよということも一つの議論かとは存じますけれども、それじゃ奥さんが株を持った場合にはだんなさんが持った場合よりは、あるいは利子の配当を受けた場合には損をするというようなことも、だんなさんが持ったよりも奥さんが持ったほうが損だということであっても、これはバランスの上からいっていかがかというような気もいたします。いずれにしましても、私も政治家として、妻の座の、さっきのパートタイマーと比較すると何か矛盾があるという気持ちがするのは率直なところでございます。
#129
○広瀬(秀)委員 いろいろ前段で言ったことに対しては一々私は反駁したくなるのですけれども、最後のところで、きわめて矛盾があるということを認められたから、矛盾があるということについて認識があるならば、それを改善する努力というものは当然あるだろう、きわめて善意に解釈して、きょうは時間もないことですからここでやめますが、この問題については十分ひとつ次官も努力をしてもらわなければいかぬ、こういうように思います。
 そこで、このような矛盾というものが、これは法人課税そのものからやはり来ていると思うのですね。この点から配当軽課があったり配当控除があったりというようなことなんかも、これは配当控除の問題では触れなかったのですが、同じようなことだ。こういうことになりますと、やはり法人課税という問題についてしっかりした、いままでのような法人課税の方式というものを何らかしっかりした基盤の上に乗せて、絶えず動揺と矛盾を繰り返すというようなことでなしに――この点はちょっと読み上げてみますと、長期答申において、仮案ではあるけれども、一つの方向というものを出しておられるのですね。これについてはいろいろな考慮すべき条件も幾つかあげられておるわけですが、そういうものを考慮するにしても、まず法人税の課税標準は法人の利潤税にしたらどうか。税率は一本の比例税率とし、留保分、配当分を区分しない、こういうことになるわけです。中小法人、たとえば資本金一億円以下の法人については軽減税率を設けることを検討する。以下ずっと、個人株主については配当控除を行なわず、法人株主の受け取り配当は益金に算入する。ただし親会社が子会社から受ける配当の場合は別扱いにする。現実に株主即経営者であり、株主と企業と密着している法人について株主分割課税方式の選択を認めることについて検討する。以上の改正に伴い、所得税の税率を一般的に引き下げる。制度改正に伴う負担変動を緩和するため所要の経過措置を講ずる。こういうようなものが一つの方向として示されているわけです。
 今度の法人税の改正というものは、あるいは租税特別措置、所得税、こういうような中でこういう方向というものに一歩踏み出したという点はほとんどないですね。いろいろ検討をしてみてもない、こういうように考えるわけです。特に租税特別措置において法人税率を暫定的ににニカ年間留保分だけ五%上げる、こういうようなこと、配当軽課の税率はそのままだ、こういうことにもなっておるわけですね。ちっとも税調の示した方向というものに近づく努力というものはないのじゃないか。一体こういうものに対して、法人税のあり方、それに関連する配当の問題あるいは利子の問題というようなこと、それは当然所得税とも関連するわけでありますが、そういう関連などを考えて、どういう方向でこれから法人税というものの基礎をしっかり据えて、新しいすっきりとした体系に持っていくように考えられるのか、その辺のところをひとつここではっきりさしていただきたい。
#130
○細見政府委員 御承知のように、戦後の日本の法人税制はシャウプ税制によりまして根本的に変わったわけであります。つまり在来の日本の法人税の考え方は、法人と個人とを別個の納税主体として考える考え方であったわけでありますが、それをいわば別々の納税主体としてではなくて、法人税を所得税の前払いというふうに観念しよう、ただその場合に、こまかいいわゆるグロスアップ方式というのは執行上いろいろ問題があるということで、税額控除方式をとったわけであります。ところが税額控除方式をとりますと、御承知のように低額所得層と高額所得層との間にはかなりの税額控除の差異を設けなければほんとうの意味の調整ができないわけでありますが、それがあまり煩瑣になるということで二段階程度のものにしており、あるいは一段階の時代もあったわけでありますが、そういうことで上に厚く下に薄い二重課税排除というような形に、かりに二重課税であるとしますと、なっておったわけであります。そこで、そういう税制を何年か施行いたしておったわけでありますが、これがなかなか国民感情として定着しない。さらに理論的には、法人税負担というものがほんとうに株主にだけ帰しておるものかどうか、つまり法人税に転嫁があるのかないのかというような基本的なことにつきましても、まだ世界的にもきまった解釈がないというような現状でございます。
 そういう意味におきまして、長期答申に出てまいりましたのは、いまの日本の、シャウプの考え方を基礎にした税制が評判が悪いといたせば、その反対の、つまりアンチテーゼ的な税制を組み立てれば、そこに法人利潤税という名前で提案いたしておりまするような考え方になるわけでありまして、それによって世論に問おうとしてみたわけでありますが、結果といたしましては必ずしも法人利潤税のほうを是とする方が多くなくて、むしろ現状が好ましい。よく税には、すべて古い税が良税で新しい税が悪税だということわざがございますように、戦後何年間かの間に、日本の産業社会の中にいまの法人税制というのはそれなりにとけ込んでおるので、これを急激に変えることは困るという問題、あるいはさらに、おそらくシャウプも予期しておらなかったと思うのでありますが、日本に戦後非常に大きくなってまいりました法人成りの現象、つまり法人が非常にふえてまいりまして、その過程で法人の中にもいわゆる、この間東畑会長も申しておりましたように、新日本製鉄のような会社や、あるいは奥さんやむすこさんで経営者が成り立っておるような、ほんとうの家族会社というようなもの、これを全く同じ税制で規制していいのかどうかというような問題が社会の問題である。あるいは経済の基本的な問題としてそれをどう律するか。商法の上では一律に律しているのでありますが、税法ではたして同じように一律に律していいかどうかという問題もからみまして、いまの利潤税の考え方につきまして、世の中でなかなかこの方式のほうが望ましいという議論が出てまいらなかったわけであります。そこの提案におきましては、御承知のようにパートナーシップといいますか、組合課税を導入して、小さな同族会社に対する二重課税の排除というようなものを提案いたしたわけでありますが、しかし、ただ単に税だけの問題ではなくて、どんどん株式会社化しておる日本の企業の現状からいたしますと、税の上で株式会社としてそれを取り扱わないということにつきましてもいろいろ抵抗があったりいたしまして、法人税の基本的な仕組みというものにつきましては、なかなか国民的な合意を得るということがむずかしかったわけであります。
 しかしそこで、今回の税制はそういう基本論についての解決はできておりませんが、結果的にどういうことになっておるかと申しますと、御承知のように、法人税が高くなるとすれば配当控除率は高くならなければならないわけであります。逆にまた所得税が安くなれば、配当控除率は高くしなければ従来の法人税の考え方からはおかしいわけであります。それが法人税は高くなっておって、配当控除は低くなったわけでありますから、その意味におきまして、まだ法人の税制の基本につきましてはわれわれさらに検討をいたさなければならないと思いますが、その仮案に出ておりましたような負担の実質的な方向には一歩進んでおるということは言えようかと思います。ただ、それを理論的にすっきりいたしましてこういたしましたと言えない。非常に複雑な、統一的に解釈しにくい法人の形態というものについて、まだ割り切った理論が出ておりませんので、こういう理論でこういたしましたというのはなかなか言いにくいのでありますが、結果は、広瀬先生おわかり願えるように、本来二段階、二重の意味において引き上げなければならない配当控除が引き下げられているということに、結果としての意図をおくみ取り願えれば幸いだと思います。
#131
○広瀬(秀)委員 いろいろ主税局長述べられたのですけれども、今日では、法人税というものは本来株主に帰属すべき税負担を前払いをするんだ、こういうシャウプ勧告以来の理論構成をとって法制を組み立ててきている。そういうようなことから、支払い段階のところで配当軽課措置をとり、さらに受け取り段階のところでまた配当控除をやる、こういうような複雑なものを生み出している一つの原因になっているわけですね。しかも今日学者の説によれば、四十年、四十一年にわたって改正して三%税率を下げたわけだけれども、実質的には一〇%くらい下がっているではないかという学者もあるわけです。これに対しては大蔵省側からの問題点の指摘もあって、それほどではないということもあるけれども、現実の問題として、そういうようなものを考慮しても、なお三%以上に実質税負担率も下がっているという証明は少なくともあるわけですね。そういうような問題点もある。
 こういうような法人税制というものをとっておって、しかも国際比較においてもきわめて低率になっている。なるほどそういうようなことで非常に法人に有利な、担税力から見て税負担率というものは非常に低いという全体の構成を見て、いまの税制がいいんだ、いまの税制がいいんだというのは、法人段階から当然そういう声が出るでしょう。しかしやはり為政者としては、少なくとも税の基本的な原則に立って考えるならば、やはり税の公平な負担という問題、しかも富の再配分、こういうような問題、またそれをもとにした財政というものが国の資源の再配分というようなことにもなってくるということ、しかも今後は高福祉高負担ということが必要だというような新しい政策課題というものを含めまして、この際、何年かの準備期間は当然置いていいと思うのですよ、しかしやはりすっきりとした、国民が納得できるような法人税体系というものをもう一ぺん組み直してみる。そうでない限りいろいろな矛盾が絶えず出て、この特別措置で何とも苦しい説明しか皆さんもできないようなことを、繰り返し繰り返しやらなければならぬことにもなるということを考えざるを得ないわけです。
 したがって、この問題については十分いままでの税制でなれ切っていると言うが、これはあまりにも有利であるからむしろそういうことが言われるのであって、総体的に有利過ぎた、やはりそういうものが私はあると思うのです。そういうような抵抗というものに対しては、やはり基本原則をもう少し踏まえた立場において検討を真剣に急いでもらいたい。これは一応二十年にわたって定着してきたものですから、なかなかこれを一挙にというわけにはいかないにしても、この問題についてはより一そう真剣な立場で前向きに取り組んでいかなければならぬと思うのです。
 そこで、今度の場合に配当の分については税率を引き上げなかった、これは一体どういうことですか。配当軽課というものをやった趣旨ばわかるにしても、今回引き上げるという場合に、留保分を引き上げたという場合にはこの分についても当然引き上げていいのじゃないか。そうでないと、配当性向の高いところ低いところ、しかも配当性向の高いところというのはやはり大法人に多い、そういうようなことで中小との間の法人税負担の格差というものはこの面でも温存され、むしろ拡大される、こういうことにもなる。この矛盾、一体どういう考えでこのことをやられたのか。
#132
○細見政府委員 今回の法人税負担の引き上げでありますが、配当分あるいは留保分を含めまして一律に引き上げるというような考え方もそれなりに、いまの法人税制の基本に触れないで負担だけの増加を求めるという考え方からすればとり得た方法であったかとも思いますが、振り返って経過を見てまいりますと、御承知のように四十年、四十一年の税負担の軽減は留保分だけにおいて行なわれまして、配当分につきましては引き下げが行なわれておらなかったわけであります。そういう沿革を踏まえれば、財源事情その他から見れば留保分のほうの増税をまず考えて、さらに不足する場合には配当分も含めて総合的に考えるという考え方であってしかるべきであろうと思うのでありますが、今回は留保分の引き上げだけをとりまして大体歳出上必要な歳入はまかなえたというような事情もありまして、また沿革から見ましても留保分だけの引き下げが行なわれておったというような事情、あるいは資本の自由化を控えまして、日本の企業の自己資本比率はますます下がっておって、このままでは危機的な様相を呈するのではないかというような議論、そういうものを総合的に勘案いたしまして留保分だけの引き上げにいたしたわけでございます。
#133
○広瀬(秀)委員 この点でも不満があるのですが、時間がありません。
 証券局長来ておりますが、この株式保有者は、今日ピープルズキャピタルズといっているけれども、一体どのくらいいるのか、この数字を示していただきたい。
 それから、株式は大体どのくらいの所得階層以上が持っているのか。これはいわゆる従業員持ち株というようなこともあって、そういうものはかなり下になるだろうけれども、一般的な傾向として、そういうものを抜いた場合において、どのくらいの階層からいわゆる資産の所有形態として株式保有に向かうのか、こういう問題でどの程度の所得階層以上と思われるか、この点をひとつ明らかにしていただきたいわけなんです。
 それで、ついでに数字を聞いておきますが、一番新しい四十四年度、もうわかったと思うのですが、個人に対する配当額、それから配当に対する税額、これをあわせて数字を示していただきたい。
#134
○志場政府委員 お尋ねの個人株主の状況でございますが、実は正確な統計がございませんので、と申しますのは、一人で数銘柄有所しているということがあるものでございますから、延べの数字はわかるのでございますが、名寄せいたしました個人の数といいますか、それは実は統計がないわけでございます。そういった意味で、はなはだ申しわけない次第でございますが、延べで申しますと、昭和四十三年度の株主数でございますが、法人その他全部まぜまして一千八百三十六万四千人と申しますか、そういうことになっておりますが、その中での個人その他は千七百九十九万一千人でございまして、九七%を占めておる次第でございます。ただいま申し上げましたように名寄せしました実数ではございませんので、ただいま広瀬委員のお尋ねのお答えとしましてははなはだ不十分だとは存じますけれども、とりあえずそういう資料しかいまここには手持ちしておりません。
 なお、所得階層別につきましては、主税局のほうの課税資料があるかと存じますけれども、私のほうではいま手持ちしておりません。
#135
○細見政府委員 税のほうの資料でございますので、申告があった人のうちで配当所得のある納税者が何人であるかという形でしかわからないことを御了承願いたいと思います。
 全体を一〇〇といたしますと、五十万円以下のところで五・四%、人員では一万七千人くらいになろうかと思います。それから百万円以下が約五万人で一五・七%くらいになります。それから二百万円以下が約九万人で二九%くらいになります。それから三百万円以下のところが約五万五千人くらいで一七・六%、約一八%くらいになろうかと思います。五百万円以下のところも同じくらいの人員でありまして、同じように約一七・六%くらいになります。一千万円以下になりますと、人員で申しまして三万六千人くらいで一一・五%。一千万円超が一万一千人で三・五%というような形になっております。ただ、金額になりますと、どうしても高額所得層のほうの所得が配当所得としては大きくなっておろうかと思います。
#136
○志場政府委員 所得階層別につきまして補足して申し上げますと、総理府統計局の貯蓄動向調査からの世帯の関係でございますが、株式は、一世帯当たり平均の保有額は十四万五千九百円、こうなっております。それを世帯別に見ますると、世帯収入が六十一万九千円までのいわゆる第一に分類される世帯におきましては一世帯当たり三万二千円、その上の六十万から八十万までの収入世帯では二万六千円、その上の八十万から百万円までの収入世帯では五万二千円、その上の百万から百三十七万までの収入世帯では十三万三千円、その上が、いわゆる第五分類となりますものが、一世帯当たり三十六万一千円というのが、それぞれの世帯の、収入別の世帯区分ごとの一世帯当たりの株式の保有額平均でございます。
#137
○広瀬(秀)委員 それは数字でいいですが、いずれにしても、この株式保有の方向に資産形態を持っていこうというのがかなりの高額所得者ということになるわけでありまして、これに対する優遇というものがやはり依然として高額所得に対する優遇であることには変わりないわけでございます。
 そこで、今度の配当課税に対する特例、すなわち少額配当の申告不要制度、これが設けられたのも、実は新設されたのがたしか四十年。四十年は御承知のように、これはいわゆる不況対策としてやられたわけですね。それで法人税については、不況対策としてやったものが今日の経済発展、過熱を心配するような景気情勢、こういうような段階で、これをできるだけ前に戻す努力を半分ほどやったわけでありますけれども、この点については何にも手を触れられないということについては、やはり権衡を失する。先ほどのその他の所得、こういう給与所得者にとってその他の所得、申告をしなくてもよろしいというものを少額不追求ということで五万円やった。そういう人たちがこのその他の所得を得るためには、みんな何らかの形の勤労というものがやはり伴っているのですね。そういうものなのです。それでかせいだ金なんです。頭を使うなりからだを使うなり、何かやっておるわけです。それと、こういう全く資産所得というものについて同じように扱う。しかも、これは不況対策として新設をしたものを、今度その本法の法人税のほうではもとに返そうという努力をされたけれども、この点について何にもやられなかったということもひとつ片手落ちではないのかということも私どもは考えるわけです。この点どうお考えですか。これはいままでの基本的な理念においては同じことだけれども。
#138
○細見政府委員 利子のほうにおきましても少額貯蓄非課税制度というのが貯蓄推進のほうの基本の柱になっており、配当におきましては少額配当の申告不要制度というのが、少額配当所得者にとって、配当控除かなくなることとかあるいは源泉徴収税率が課せられておるというようなことを考えますれば、必ずしも有利な制度とは思わないのでありますが、やはり一種の分離課税的な扱いというのが大衆を資本市場に導入するのに有効な施策であるといわれておるわけであります。そういう意味で、今回の利子・配当の税制改正を総合的に勘案いたしますと、利子のほうにおきまして新たに源泉分離課税が導入され、配当のほうにおいて配当控除の切り下げが行なわれる。一方基本的に、少額貯蓄につきましては少額貯蓄非課税というものがあり、片やこの少額配当の申告不要制度がある。また税率につきましては同じく二〇%、二五%というふうにいたしております。利子と配当との総合的なバランスということになると、これはなかなかむずかしい話でありまして、たとえばいまの源泉選択の税率にいたしましても、その根っこになる配当控除のことを考えれば、配当のほうの税率が理論としては高くなっておるわけでありますが、そういうような点なかなかむずかしい問題はございますが、今回の改正全体のバランスは、日本におきまして間接投資が優遇され過ぎておるのではないかというような批判も踏まえまして総合的なバランスをとれば、現在改正いたした程度が一応バランスのとれた相応の改正ではないか。これをさらに基本的に総合課税のたてまえにいたすということは、これは別個の観点で検討すべきでありますが、現状をその総合課税との間に一歩近づけた措置としては、この措置だけでなくて、利子・配当に対する全体を総合的にごらん願いたいと考えるわけであります。
#139
○広瀬(秀)委員 時間が超過しておりますからこれでやめますけれども、総合的に考えれば考えるほど、こういう問題についてはもっとシビアにやってよろしい。そうすればほんとうにいま勤労大衆が要望しておる諸問題についてはより前進的にやれる。財源もこういうところからだって生み出せるはずなんです。そういう立場でひとつものの見方を少し変えてもらわなければいかぬと思うのです。
 どうかひとつ、硬直した頭じゃなく、そういうスタンドポイントを変えてものを見る立場でこれから善処をしていただきたいということを最後に要求をして、きょうはこれで終わります。
#140
○毛利委員長 田中君。
#141
○田中(昭)委員 きょうは久しぶりに大蔵大臣にいろいろお尋ねしたいと思っておりますが、大臣が不在でございますから、席をあけておりますから、まず国税庁のほうから順にお尋ねいたしたいと思います。
 ずっと以前より私が問題にしてまいりました問題でございますから、当時もいまの長官もいらっしゃいますし、よくおわかりいただいておると思いますが、当委員会でいろいろ税制の問題について議論を重ねてきたわけでございますが、その中で、何といいましても税は公平でなければならないというようなことは一般的にもいわれておりまして、大事なことだと思います。公平であり負担能力にたえられるものであるとかいうことを大臣もおっしゃっておられますが、そうしますと、その実行機関である国税庁も当然そういう面に努力をなさっておるということは私もよく知っておるつもりでございますが、その努力も、よく現在の税制というものと客観情勢というものを配慮しながら、また人間がやることでございますから、その人間、それに携わる職員の方、また納税者の気持ちというものも、私は十分考えた上での公平を保っていかなければならない、こう思うわけであります。
 そこで長官としまして、現在の税制に忠実に税法を執行することはもちろんでございますが、特に公平が大事であるとするならば、その公平を基本として守っていく上において、長官としてどのような施策をなされてきたか、そういう面についてまず今後の決意も含めてお聞かせいただきたい。
#142
○吉國(二)政府委員 国税庁が税務行政を執行いたしますに際しましては、仰せのとおり税法をできるだけ忠実に実現をする、それはまた、税法自体が公平を目ざしているものでありますから、したがって、税法を忠実に実現することによって法律の庶幾する公平を実現したい、こういう考え方で進むべきものでございますが、同時に私どもが一番大事に考えておりますことは、税が公平に行なわれる前提としては、やはり納税者が税というものについて十分な知識を持ち、同時に税が本来納税者の義務であるということに根ざした正しい申告をするということを助長しなければ、基本的には税務行政は完全を期し得ない、かように考えているわけでございます。納税者が正しい申告をし得るように、税務行政としてはまず納税者に対する協力、指導という面を強く考え、同時に、やはり納税者の中には意識的に脱税をはかる者もございます。それに対しては正しい申告をしようとする納税者の意欲を妨げるという面が非常に大きいのでございます。それに対してはできるだけ厳正な立場でその是正をはかっていく。さらに、脱税者の税の是正をはかる場合におきましても、税というものは本来一年限りのものではございません。大体においては、事業を行なっている者あるいは法人については年々繰り返して発生するものでございますから、一時の脱税を摘発するにいたしましても、その後脱税が繰り返されないような指導をあわせて行なう。いわば広い意味では税務行政というものは納税者の自主的な申告というものをいかにして引き出すか、いかにして協力するかということの指導の面と、さらに調査の面で担保することである。しかし調査と申しましても、長い目で見れば、その納税者にとっては指導的な意味を持つはずである。そういう観点から、私も就任以来その方向をできるだけ打ち出すようにつとめてまいりました。
 たとえば調査をいたしました場合でも、納税者の調査に対する認識を深めるという意味で、申告が間違っていればその内容をできる限り明らかにする。納税者が進んで直そうというときには無理やりに更正決定はしない、むしろ修正申告をとるというような指導をやるように、強くその方針を出してまいりました。非常に迂遠なようではございますけれども、税務行政が全納税者をすべて疑ってかかるような形で運営される限り、税務行政は決して最後まで理想に達しないと私は思います。税務行政というのはやはり納税者の申告を正しくするという方向にすべての努力を傾けるべきものだ、かように考えてやってまいったわけでございます。
#143
○田中(昭)委員 そこで、理想として実際に税法どおりに徴税行政が行なわれていかなければならない。そこに、いま長官が言われました正しい申告といいますけれども、正しい申告――これは世間でいうことですよ、私たちも世間でいうことをよく聞きますが、正しい申告をすれば、特に中小企業以下、零細企業というのは営業は成り立っていかぬ、税金をあたりまえに納めたらつぶれるんだ、こういう極端な例も聞きますが、これはまた実際の税務の第一線でもそういうことは言わず語らずみんながあると思うんです。そのことは別におきまして、いわゆる国税庁としては税法に公平の原則を当然貫いていかなければならないということであるならば、国税庁の管轄の第一線の監督機関としては国税局である。国税局は管轄の税務署の税金収納について全国的に権衡を保つという仕事もあるかと思いますが、いわゆる各国税局別に税金の収納がどうも――いわゆる法律に公平をうたっておるし、またそうしなければならないということを考えると、各地方別の国税局においては、はなはだしいアンバランスが起こっておる。いわゆる都市の国税局の税収は当然、いまの過疎過密というようなことを考えてみると、都市に一切の経済活動が集中して、そしてそこからあがる税収というものがふえなければならない。これはいままで私が議論してきた中でそれは認めてもらったわけでございますが、その反面、地方局のほうはどうしても税収が少なくなる。だから職員も地方局のほうから引き抜いて都会局のほうに人員の配置がえもしていくというような行き方、そういうことから考えてみて、当然地方局のほうは税収があがらなくなったということを私がここでお聞きしたわけでございますが、その結果が、国税庁のほうから報告をいただきますと明らかになったわけであります。ということは、都市局のほうがもう少し税金の収納――これは税の課税標準の捕捉という問題も十分あると思うのでありますが、そういうことを考えていくならば、都市局のほうのいわゆる捕捉の問題も不十分であるという結果の報告をいただいたわけでございますが、こういうふうになっていくことは、いわゆる税制の基本的な法律できめられたこと、それに対して、いまはいろいろな特別措置的なことがございます。それによって、税法がほんとうに公平の原則を欠くような姿になっておるということであるならば、さらにその実際の徴税の実施機関としてそういうのを直していく方向に、いわゆる不公平が少しでもなくなるように努力すべきであると思いますが、いかがでしょう。
#144
○吉國(二)政府委員 御指摘のように、三十七年ごろまで都市局につきましては税収のシェアが非常にふくらんでまいりました。三十年ごろに比べまして都市局のシェアが急速にふえておりましたのが、三十七年から四十二年にかけまして、都市局と申しますか、大都市を含んだ、東京、大阪――特に東京はややシェアが減少してきておるというのは事実でございます。おそらくいろいろな理由があると思います。
 私どもといたしましては、御指摘のような過疎過密という問題に対応いたしまして、東京、大阪に相当な定員の配置をいたしまして、それに応じた職員の配置も心がけているわけでございますけれども、実際問題といたしまして、熊本局の職員を直ちに東京局に送り込むということも不可能な状態にございますので、実際問題としては新しく入ってまいります職員を東京、大阪、名古屋の三局に優先配置をするということで定員と実員の一致をはかってまいる。そういう意味では、おそらく東京局、大阪局の職員構成は、地方局に比べるとかなり若いということがあるかと思うのです。
 しかしそれで直ちにシェアが変わったことが説明できるかという点は、これは一義的には私は言えないと思うのです。若干そういう点ではまだ都市局に重点の置き方が足りないという点はこれを認めますけれども、それで直ちにこういう結果が出たともいえない点は、たとえば四十年、四十一年という経済停滞期には、御承知のように、やはり事業に非常に大きな打撃がまいりますと、大きな所得が集中しているところほど影響を受けやすいという問題もあるかと思います。なお、長くもう少し私どもも内容的に検討してみたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、都市局にもっと集中をする必要があるということは私も認識をいたしております。
 しかし実際には限度がございますので、現在私どもの考えておりますのは、都市局においてはできるだけ機械化をはかりまして、内部的な仕事は機械にすべて依存させる。それによって実際上、配置された人員が指導、調査に当たり得るチャンスを非常に大きくするということで、実質的に人員をふやすと同じ効果をあげるように、いままでこの八年間国税庁で検討をいたしてまいりました電子計算機技術を、この四十五年度から四十六年度にかけて都市局に大々的に導入をするという予定で考えております。これによって、実質的には相当な人員が異動したと同じ結果を生じ得るのじゃないか。さらに職員の採用等につきましても、できるだけ都市局集中を今後とも続けていきたいということを考えておりますが、実人員を各局から的確に移し得ないという点では、その点かなりの限界があるのを、私どもとしては何か打開をしたいというふうに考えて、今後とも機械化の推進、都市局への職員の集中ということをはかってまいりたい、かように考えております。
#145
○田中(昭)委員 いまのお話によりますと、大体そういうことがあるから職員の充実もはかってつとめていきたい、また内部的な問題もあるから機械化していきたい、そういうことは私もよくわかります。
 ところが、せっかくそれだけのことをやりながら、それじゃこの実績はどうあがっているのか、ここが私は問題じゃないかと思います。いわゆるいま世間で税金が高いということの中に、いろいろ問題がありますが、しかし国税庁のサイドに立って一番お願いしたいことは、先ほど長官は正しい申告の云々というようなことをおっしゃいましたが、それにも関係してくる。それじゃ正しい申告を納税者に求めるならば、いまの税法はその正しい申告を求めるような方向にいっておるかということを考える一つの材料として、いまの税法くらい難解でめんどうくさくて、ほとんどの人にわからないものはない。この委員会でも私が、総理大臣をはじめ、大体自分の税金が幾らで、どうなっているか計算できますかと聞くと、知らない、わかりません。まあ皆さん方もまたそうだろうと思います。また、所得税が対象になりますが、所得税を扱う第一線の職員が、同じ所得税ですけれども、いわゆる普通の所得税以外の譲渡所得、そういうものについては計算ができない。そこまでこの税法が難解であり、むずかしい。そして公平の原則が曲げられている。これは、こういう姿でいかに納税者に正しい申告を求めるとかなんとかいっても、問題点があるのじゃなかろうか。そういうむずかしい状況にあるということを考えてもらわなければいけない、私はこう思うのです。
 ところで問題をいまの税収のシェアのほうに戻しますが、そうおっしゃった中で、実績はどうなのだということを私は聞いておるわけです。その実績が、明らかに所得のあるところに課税されていくという方向を向いておれば私はいいと思うのですが、実際はそうじゃない。私が指摘しました三十七年から四十二年の統計を見ても結果が逆なんですね。どんどん都会の所得のあるところが脱税――脱税というとおかしゅうございますけれども、脱税とまでいわなくても、所得のあるところはだんだん捕捉がへたになってきておる、できなくなってきておる。所得の少ないところがどんどん捕捉が充実している。どうですか。第一線の税務をやっている人はこれが一番問題になっておるのですよ。
 まあ一、二例を申し上げますと、あるいなかの中堅税務署で、直税部長さんという方が職員を集めて、このいなかの税金の取れないところでどうすれば税金がよけいに取れるか、こういうことを職員に聞いておる。そういうことを聞くのは東京局とか、こういうところに聞かなければいけないのです。その税金を取るということは、それは徴税をする国税庁の立場に立ってみればなかなか熱心だということにもなるかもしれませんけれども、納税者にとってみればこんなにまでわからないような税金になっておりながら……。全部いまの税金に対する不満というものはそういう問題がある。それと、いまの徴税機構の第一線の税務署でもそういう問題がある。この際申し上げておきますが、この直税部長がそういう質問をしたときに、ある中堅の職員で、二十年ぐらい税務署につとめて、待遇はまだ役づきにもなれないという、そういう職員が言ったそうですよ。直税部長、あなた何を言うか、税金のことはまだよくわからぬのだろう、税金をふやすためには、いまの人員を三倍にすれば五倍の税金を取れる、そういうことを言ったわけです。そういうことで直税部長もぐうの音も出なくなった。いわゆる都市局と地方局において、国税庁としては公平に税金を取るという仕事をやらなければならないのに、逆にそういう面も出てきている。
 それから、この際申し上げておきますが、それでは東京局で働いている税務職員がいまどういうことを実際具体的に考えているか。もうこういう状態でいったら税務機構はやがては破滅してしまう、こんなことを私たちに言ってくる。また会ったときにそういう話をするのです。その第一番の問題は待遇が悪い。私ども何十年かの役人生活をしましたので、待遇の問題はいろいろわかりますが、その待遇の問題を言うということは、実際自分の職場につとめておっていろいろな不公平と矛盾がある。ちょっと調査に行っても、大事なところにいけば圧力がかかって調査ができない。資料調査に行っても資料を出してくれないというような、そういうことを訴えてくる。そのほかにもいろいろあります。いま長官は、新しい人を養成してやっていると言いますけれども、税講出身の人が、純粋な気持ちで第一線に配属され、そうしてそのいやらしい内部のそういうことを見て、自分はほかの職場に行って働けば、たとえば五万円なら五万円の収入が得られる、そちらで自分は誠実な仕事をしたほうがいいのだといってやめたい希望を持っている。また実際長年つとめた人がやめている。こういう問題がございますから――この問題ばかりで言っても何がありますが、そういうことを長官はなお一そう考えていただかなければならない。そうしていまのいわゆる税収をあげる、不公平というものがさらに公平になるように努力していかなければならない。そのことについて、もう一回決意をお聞かせ願いたいと思います。
#146
○吉國(二)政府委員 おっしゃるまでもなく、私どもとしては、各国税局それぞれが妥当な課税をするということに努力をすることが必要だと思います。そのためには、要員、設備その他を考えていかなければならないということを先ほど来申し上げているわけでございます。その努力を今後とも続けて、欠陥があれば是正をするということに努力をしてまいりたいと思いますが、御説のとおり、税務職員の待遇がよくないという点は私も非常に残念に思います。しかし他の一般公務員に対して、税務俸給表を適用されて若干でも優遇されていることも事実でございますが、私どもはもっと優遇されてしかるべしと思うのでございますが、これはむしろ納税者の方がそう言っていただくことが必要なんでございます。国民の同意がなければなかなかそれがむずかしい。そのためには、やはり国民の同意が得られるような税務署になるという努力をしてまいる必要がある。同時に、税務署の活動というものが、実はきびしい調査をやっても、国民全体のためだという気持ちをお持ちいただくことが必要だと思うのでございまして、先生方もその点で大いにバックアップしていただきたい。また私どもとしてはその努力を続けてまいりたい、かように考えております。
#147
○田中(昭)委員 次は、大臣、お待ちしておりましたから大臣にお尋ねしたいわけですが、今国会になりまして、いままでのいろいろな税制の改正目標としたものがある程度達せられたというようなことも、私は形の上でそれを確認しながらおるわけでありますが、特に政治的な今後の方向としまして、七〇年代は内政の年ともいわれております。その内政の充実がはかられるというこの年、また年代に向かって、税務行政はさてどのような方向に行こうとしておるのかということを探ってみますと、直接税によるところの税収と、いわゆる間接税の占める税収の割合がどうもおかしくなってきたのじゃないかというような大蔵大臣のお考えが、新聞報道等もされておりますが、このいわゆる間接税をどういうふうにしていくのか。特に間接税の中では、私はさしあたってやってもらわなければならない問題はいろいろございますが、その中の一つを取り上げれば、物品税なら物品税というようなものに対してどういうふうな今後の方針といいますか、検討がなされていくのか、まずおお尋ねしたいと思います。
#148
○福田国務大臣 間接税につきましては、長期的な問題と当面の短期的な問題とがあると思います。長期的の問題といたしましては、あるいは売り上げ高税でありますとか取引高税あるいは付加価値税というようないろいろなことがいわれておりますが、そういう問題も十分検討はしてみたいと思います。しかし、これは長期的な問題、しかもなぜ長期的な問題かと申しますと、物価に非常に関係が出てくるわけです。いま物価問題は経済政策の重大な問題でありますので、そういう物価に刺激を与えるような施策はとるべきではない、こういうふうに考えるのでありまして、そういう考え方から、検討はいたしますが、検討した結果これを実施するという考えは当面持っておりません。ただこれからの財政を考えますときに、どうしても直接税のほうの減税をしたいと思うのです。それからまた別に国家需要というものが大きくなるということを考えておかなければならない。それに対処して個別消費税といいますか、そういう考え方をとりたい、こういうふうに思っておるのであります。物価問題が非常に大事でありまするから、物価のことを考えなければならぬが、物価にそう大きな影響を与えないで税収をあげ得る消費税、そういうものをこれから模索していきたいのだ、こういう考えであります。
#149
○田中(昭)委員 なかなか頭の回りの悪い私たちには、いまおっしゃったことが具体的にどういう――物価に影響を与えないような消費税を長期的に考えるとおっしゃいましたから、さしあたって来年あたりは間接税の増徴はないということに理解していいのでしょうか。それとも、そう言いながらもことしは物品税の増徴は行なわれている。前の年は酒も行なわれた、たばこも行なわれた、こういう実績がありますので、わずかながらもその間接税的なものが上がっていくということ、そういう現実も考えた上で、ひとつもう少し具体的に、大体長期的な考えだから、さしあたって来年に間接税を増徴するということはないというふうに理解していいものかどうか、その点もう少し……。
#150
○福田国務大臣 総合的な形の間接税、これは当分実施はいたしません、こういうことを申し上げております。ただ個別的な消費税、これは物価に与える影響等も考慮しながら検討して、いいものがあればこれを直ちに実施をする、そういうふうにいたしたいと思います。
#151
○田中(昭)委員 それはなかなか抽象的なことばですから、ここでお尋ねするのもなにかと思いますからやめますが、いま大臣もおっしゃるように、確かに物価の問題ということを第一番に考えていく現在の政府の姿勢の中で大きくそう言いながら、その物価の一番基本になるいわゆる地価の問題、こういう問題についてははなはだ税制が――いままでここで論議されたことは、地価対策等についてはその土地の対策の全体ができなければならないし、それを補完する程度で税制対策というものを考えていくのだということをいままで承っておりますが、どうも最近の地価対策の問題点並びにいま大臣がおっしゃるような物価の問題等を考えたならば、私はものすごく後退した税制の姿ではなかろうかと思う。いままでのその経過を考えてみますと、さらにさらに積極的に税制もこの地価対策について考えなければ、もう取り返しのつかないようなことになるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 といいますのは、昨日の当委員会でもいろいろ地価対策等についての質疑もありまして、こういう問題について触れていきたいと思うわけでございますが、この地価対策につきましては、昭和三十九年五月二十九日の衆議院本会議において、自民、社会、民社の共同提案による左の決議が可決された。いわゆる地価安定施策の強化に関する決議、この中の最後のほうに「地価の高騰を抑制するための強力な措置として、農地との調整を考慮した土地利用計画を策定し、あわせて地価の公示制度を確立し、土地の有効利用を促進するため、たとえば空閑地税等の税制その他の制度を設ける等積極的な諸施策を検討して、すみやかに地価の安定を図ることを強く要望する。右決議する。」こういうような決議もなされておるのであります。そこで、これについて一昨年でございますが、さきに新都市計画法ができまして、並びにその後地価公示法も成立しました。そういう経過を見ますと、この新都市計画法においては法律の施行も逐次行なわれて、現在市街化区域と調整区域の線引きが行なわれております。こういう段階になってきますと、またいろいろなむずかしい問題が起きてきているように、新聞等の報道も毎日のようになされております。
 そこで、この地価公示法を見てみますと、地価に対する法的な規制はないわけですね。ですから、地価市場に対するいろいろな問題がさらにこじれておる、このように私は思うのです。したがって、総合的な土地対策が急を要するということになっております。具体的には税制の上でもどのような処置をお考えになっておるのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#152
○福田国務大臣 土地問題、これは土地問題そのものの基本が非常に大きな問題だと思うのです。その土地問題の中で一つの問題である地価の問題、これも土地問題というものに対する解決がありませんと、私はこれはなかなか解決はむずかしいと思います。税で幾らやってみましても、税でこのむずかしい問題が片づくはずばない。場合によりますれば、土地の譲渡に対して重課をする、そういうことがまた逆に地価を高騰させるというようなことになるわけで、そこでしかし、税が補完的にどういう役割りをするかということになりますと、何といっても地価問題というのは需要供給の関係だろうと思います。そういうので昨年土地税制というものをやってみたのですが、その効果はどういうふうになっておるか、これはなかなか判定のむずかしい問題でありますが、実質的にはことしからやっておるわけですから、まだまだその評価をするという段階には至っておりません。
 それから、供給をふやすということがとにかくこの税制でどのくらい実現されるかということが問題ですが、供給をふやすためにはもう一つ、土地を所有しておるということが重荷であるという形をつくる必要があると思うのです。そういう意味合いからいきまして、いわゆる空閑地税、未利用土地税というような考え方、これは私は正しい考え方だと思います。しかし、さてこれを実行しようと思いますと、何が未利用地である、あるいは何が空閑地であるというその判定が、土地政策がほんとうに確立しておりませんとこれはできません。そのようなことで、未利用地だあるいは空閑地だというような線引きのないままに、固定資産税というものが地方税として取られておるのであります。
 現在のような土地制度のもとにおきましては、私はまあいろいろ検討してみましたが、この固定資産税というものを、この形を当面は伸ばしていくほかはあるまい、こういうふうに考えておるのでございますが、この固定資産税にいたしましても、これを伸ばしていくことにつきましては、これはまあ国民の総意、コンセンサスを得ることの非常に困難な問題が多々あるわけであります。ちょうどことしは固定資産の評価がえの年に当たるわけでありますが、さあこれをほんとうに評価できるかどうか。都市近傍の農地の問題というようなむずかしい問題もあるわけであります。その固定資産税すらがそういうような状態なんです。土地課税というものは非常にむずかしいものでありますが、私は、そういうむずかしい環境ではございますけれども、これを打開して固定資産税を伸ばしていく、こういう方向をとるべきだというふうに考えております。
 さらに土地公示制度、これがもう少し徹底をした状態になりますれば、この土地公示価格を基本にいたしまして何らかの税対策というものが考えられるのじゃあるまいかというふうに考えまして、公示制度がもう少し広く浸透し得ることを期待しておるわけでございますが、この土地公示制度に対する課税問題なんかが実施されるということになると、またさらにこの公示制度が権威を増すということにもなりますので、私はこれは非常に興味ある問題であるというふうに考えております。
#153
○田中(昭)委員 私ずっとあとでいろいろお尋ねしようと思っていた問題まで大臣が大体先を察してお答えになったような気がするわけでございます。
 そこで、やはりいろんな施策をやったならば、その施策が事実いわゆる法の精神、いわゆる目的を達成しながら、そしてより以上の施策を講じなければ、ただここで大臣がおっしゃるように、よかろうと思ってやってみたけれどもなかなかそれがまだ結果がわからない。まあいまそれはそれとしていいでしょう。
 しかし、現実の問題として土地利用計画がまだなんだというようなことをおっしゃいますけれども、何といいましても、先ほどから読みましたように、この地価対策については政府はあげて考えなければならない問題だということも言われますし、当然新都市計画法並びに公示制度等で、たとえば新都市計画法によっていま線引きがなされておる、その段階においていろいろな土地の税制の問題の上からその線引きをなされる、市街化区域内とかどうだこうだというような問題に対応する税制を考えていかなければ、私は為政者の態度ではなかろう、こう思うのです。その証拠に、新聞報道等を読みましても、いわゆる地価が無制限に上がっていく、このことでもうけるのは地主と不動産業者だけなんだ。一番土地のほしいサラリーマン、住宅を建てなければならない人たちはいつも下積みになって損をして、そして困っておる。こういう問題の人を助けるために土地政策を、地価制度も考えていかなければならない。この新聞報道なんか全然でたらめかというと、一々読んでみましてお尋ねすれば、それはもうほんとうに、ここに大蔵省がどう言ったということが載っておりますよ。まあ私はこれは読むまでもないと思います。
 それでは私が端的に申し上げますと、たとえばこういう全国的な地価の問題について、いわゆる社会的資本の充実もおくれておりますし、それで新都市計画法によって市街地と市街地調整区域というような一応のことが進もうとしておる。それに対する税制上の対策を、施策をつくらなければならないと私は思うのです。そこではっきり申し上げまして、空閑地税の創設というような問題を私は当然検討しておらなければならないと思いますが、そういうことを検討してないのか検討するかだけでもけっこうでございますから、お答え願いたいと思います。
#154
○福田国務大臣 これは検討するかどころの話じゃないのです。もう前々から検討いたしておるのですが、しかしいかなる土地が空閑地であるかという判定は、これはまあほとんどいまの土地の制度のもとにおいてはできません。そういうようなことで、先ほどからも申し上げておるのですが、そういう思想を生かすためにはいまの一般的な土地の課税、土地の資産課税、固定資産税を伸ばしていくという方向、これで考えていくほかはあるまいか、こういう結論にただいま到達しておるのであります。
#155
○田中(昭)委員 そうしますと、これはまた重複するような質問になりますが、新都市計画法が審議されましていわゆる空閑地税の創設についてもいろいろ論議された。また大臣も政府の一員としてこれは検討するということを前々からおっしゃっておるわけですね。ところがいまいろいろな問題があるということでございますが、しかしそのいきさつをずっと見てみますと、新都市計画法ができてもう二年もたったいまなんですよ。そういうところでまだ検討の段階であるというのは、ちょっとこの地価対策、土地対策に対しては積極的な破り組みの姿勢がないのではないかと言われてもしかたないのではないかと思いますが、この問題はどうでしょう。
#156
○福田国務大臣 ほんとにいろいろ勉強はしておるのです。もし空閑地税というようなものをどうやって実行するという具体案でもありますれば、むしろこっちのほうがお伺いしたいくらいに思っておるわけであります。なかなかこれは現段階でむずかしい問題じゃないか、そういうふうに考えます。しかしまあ固定資産税というような考え方、これは一般的な固定資産にかけるのですからそう技術的にむずかしくない。現在もとにかく行なわれておる。これを強化するという考え方、あるいはいま都市計画税というのが行なわれておりますですね、ああいう考え方を伸ばしていく、そういう考え方、それは私は具体的でありかつ実際的な考え方だと思いますが、さあ空閑地税だということになると非常にむずかしい。まあこれはこの上とも検討していくわけでありますが、そう容易にこれを実施に移すというわけにはいくまい、かように考えます。
#157
○田中(昭)委員 大体この問題はなかなかむずかしいということは、私もいろいろ勉強してみてわかっております。これはそのとおりだと思います。しかしやっぱり何といいましても、先ほどから何べんも言うようでございますが、このままの状態でほうっておきますと、何とか税制上のこともともに、あとから補完的な意味からでもつけていかなければならないということに立ったならば、かりに空閑地税だけでなくて、何らかの施策がなされなければならない、こう思いますことをつけ加えておきます。
 そこで、さしあたっては固定資産税の話が大臣のほうから出ましたから、このことについて少しお聞きしたいと思いますが、固定資産税課長さんは来ておりますか――。
 大体いままでの議論をお聞きになりましておわかりだと思いますが、ここにあります、日本青年会議所あたりの意見を聞いたものでございますが、ちょっと大臣にも聞いていただく意味で読んでみます。途中からになりますが、「土地利用に関して積極的な意味をもつ最低利用度が規定されることが必要であるとし、今後更に検討を続けるべき課題としている。」そういうようなことで、譲渡所得の重課は確かにいままで問題があったと思います。「譲渡所得の重課は、投機需要の抑制、値上り益の社会遷元に必要であるが、一面供給の停滞となりはしないか。」こういうことがこの固定資産税について一応問題として投げかけられておるわけですが、そのほか国税のほうに関係のあることは、個人の譲渡所得のほかに法人の投機需要抑制のための法人譲渡所得なども考えてもらいたい、こういう意見があるわけでございます。そういうことで単刀直入に申しますと、いま問題になっております市街化区域内の固定資産税または固定資産税の評価がえの基準年度としてのいままでの準備といいますか、そういうものを考えながら、いまの線引きされた市街化区域内の固定資産税をどのように考えておられるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
#158
○山下説明員 申し上げるまでもなく、固定資産税は全国的に課税されている税でございますので、特に市街化区域の線引きがされた地域だけをどうこうするというわけにはいかない税であろうと思います。固定資産税の評価は売買価格によって評価をいたしますので、売買価格が高くなれば高い評価になるということでございます。市街化区域なるがゆえにどうこうするというわけにはいかないと思います。ただ、市街化区域内の農地の問題につきましては、さきに税制調査会から、市街化区域内の農地で、土地施設が整備された地域における農地については周辺宅地と評価の均衡をはかるべきであるという答申をいただいておりますので、目下その線に沿いまして市街化区域の線引きの模様等を見ながら、関係省との協議もいたしまして検討を続けておるところでございます。
#159
○田中(昭)委員 それもお答えが先になってしまったわけですが、固定資産税の評価は市街化区域だけやるということは、私もそういうことは思っておりません。いまは市街化区域内の問題がいろいろあるということに限定して私はお聞きしたわけです。また農地については宅地の値段等を勘案しながらやるとおっしゃいますけれども、具体的にそういう問題を実施した場合にどういう実施のしかたをするのかということが問題になるわけであります。その農地について一がいに固定資産税課のほうでそういう考えを持っておりましても、私は農地として農業を生計の主体にしていきたいんだというような方が出てくるかもしれませんね。そういう問題。それから固定資産の評価につきましてはいろいろな問題もありますが、たとえば年寄り夫婦が二人で年金生活をしているような場合、自分の住まいとして三十坪くらいの土地を持って、家を持って生活しておる、そういう人たちに対してまでこの固定資産の評価を時価で持っていくとか、公示制度ができれば公示制度で考えて、それを目安としてやるというようなことは過酷になるのじゃなかろうか、私はこう思いますが、そこまでの検討はなされておりますか。
#160
○山下説明員 御指摘の第一点の、農地はそのまま農地として継続したいという意向の者もあるではないかという点でございますが、御指摘のとおりでございまして、そういうお考えももちろんございます。ただ先ほどから別途御指摘のように、地価対策上特定の地域の農地については宅地並みの評価をしてはどうかという意見も別にございます。そこら辺をかね合わせながら検討しなければならないと考えておりますが、先ほども申し上げましたように、すでに市街化区域内で土地施設が整備された地域の農地については宅地並みに評価すべきであるという意見がかなり強うございまして、そうした線に沿って検討いたしているところでございます。
 それから第二番目の、年寄りが住んでいるような土地に対する考え方でございますが、固定資産税は申し上げるまでもなく財産価値に見合って、そこに担税力を見出して課税する、しかも個々の市町村ごとに個別の財産を対象にして課税する個別の財産税でございます。したがいましてその人の全体の財産力、総合的な力というものを包括して課税する仕組みになっておりません。したがいまして、ある土地を持っておりました場合に、それがどういう所得を持っている人が所有しているかということについては、税の性格上直接は考慮できないのではないかと考えております。ただいま御指摘の点は、おそらく住宅控除というようなお考えに通ずるものではないかというふうに考えるのでありますが、いま申しましたように、総合的な財産力を考える、たとえばその人の所有している財産を全部総合いたしまして、かつ借金等の消極的な部分を除いて課税するというような一般的な財産税であれば住宅控除というようなことも入り得るかと思いますが、個々の財産を個別に対象にしております物税であります固定資産税の性格から申しまして、住宅控除というものを取り入れることはややむずかしいのではないかというふうに考えております。また技術的に見ましても、その土地が住宅に使われているかどうかということを判断することは、現在の税務の機構から申しまして非常に技術的にむずかしい点もございます。そういう意味から申しまして、現在のところそうした住宅控除的な考え方を取り入れるということは検討しておりません。
#161
○田中(昭)委員 それはむずかしい問題だということはわかりますけれども、いまの話は、初めは住宅控除をすべきであるかというようなこと、それも考えてのことをやらなければいけないというような話があったが、最後はそれはむずかしいというようなことで、いろいろな財産の評価ということについでお話を私聞いておって、そこまで言わなければならないのだろうかという感じを受けたんですが、大臣、いまお聞きになっておりまして――大体この問題は、総括的なことはきのうも民社党の岡沢さんからこれに関連する質問があっておりまして、そのときの大臣のお答え等が新聞等に報道されておりますが、いわゆる市街化区域内の固定資産についてはどのようなことをやるかということについて、大蔵大臣の私見でもけっこうでございますし、また今後自治省とのいろいろな検討もなされると思いますが、そういうことも考えて、いま自治省の実際の担当官のお話しになることをもう少し政治的に何らかの解決法を見出していかなければ、具体的に私がいまあげました実例というものの救済にはならない。救済どころか、それこそむちゃくちゃになってくると思うのですが、どうでしょうか。
#162
○福田国務大臣 私は、土地税制を当面の問題とすると固定資産税、これを中心にして何か対策はできないものか、こういうことを考えております。市街化区域内の農地の問題、これなんかもむずかしいのですが、これなんか極端な考え方はとれないというふうに思いまするけれども、しかし現実的というか一歩前進というか、そういう考え方はとれないものかどうか。また田中さん御指摘のような何か適切な控除、こういうものを考えながら評価を適正にするとか、あるいは評価で解決しにくければ税率を引き上げるとか、そういうことが考えられないものかなというようなことをいろいろ考えてみておるのですが、いずれにいたしましてもこれはよく検討してみます。どうも空閑地税、こういうことは実際問題としていまはむずかしいのです。やはりその考え方を生かすという道は、私はこの固定資産税というものを中心にして何か調整の道を講ずる、こういうほかないのじゃないか、こんな感じを持っております。
#163
○田中(昭)委員 先ほど空閑地税の話をしましてからそっちのほうの話と一緒になりまして、私の思っていることがわかっていただけないように思うのです。
 もう一ぺん固定資産のほうの課長さんにお願いしますけれども、現実問題としてことし評価基準を変えるわけでしょう。いまあなたのお説のようなことでいけば、市街化区域内で、わずかな収入で住宅を持っている人なんですよ。あなたは先ほど、住宅用に使われるかどうか判定するのがむずかしいなんということをおっしゃいましたけれども、現実に市街化区域内に収入の少ない、きまった収入の人がおって、その人の住まっておる土地、建物が今度の評価で何十倍か上がったならば、その分の高い固定資産税を払わなければならないということについて、その人はその財産を持っておりましても、それを換金することができないのです。換金すればそれだけのものを払うことができるでしょう。換金するか、何かそれによって金を貸してくれるか、国がそういうことを保証してくれるか何かならば、それはそういう公示された価格に近い時価程度で評価という問題はいいかもしれぬ。それからさっき実際の売買で評価するというようなことをおっしゃいましたけれども、いまの固定資産の評価というものは実際の売買価格で評価できておりませんよ。ですからその低い価格でいま評価額がきまっておる。それでも収入の少ない、特別な収入のない方たちはたいへん税金は安いものではない、こういう認識があるのじゃなかろうか。そういう感じがするのじゃなかろうか。それが今度の制度によって線引きをしたばっかりに、そういう境遇の人が高い固定資産税を納めなければならないということはあまりにも過酷じゃないか、こういうふうに私は言っておるわけです。その点どうですか。
#164
○山下説明員 税の性格の問題であろうと思いますが、財産の価値に基づいて担税力を見出して課税するという固定資産税におきましては、ある評価をいたしました価額の土地があればその土地の評価に応ずる税負担をしていただくというのが固定資産税の性格でございますので、先ほど申し上げましたが、所有する人のいかんによって差をつけるわけにはいかないのじゃないかというふうに考えております。ただ御指摘のような問題もございますので、新しい評価がえの結果をただいまなまで使うというふうには考えておらないのでございまして、毎年若干ずつ税負担がふえていくという、いわゆる負担調整措置によって税負担の増加をお願いいたしたいというふうに考えております。
#165
○田中(昭)委員 時間がないということなので、私もだいぶ間引いて質問を申し上げるわけですけれども、最後に、まず大臣、いま問題になっております新幹線の法律がまさに今国会で成立するというような話がされております。これの財源はまだ法文には何もうたっておりませんが、国の台所をまかなう大蔵大臣として、この新幹線の財源は大体どのようにお考えになっておるのか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
#166
○福田国務大臣 新幹線の問題はたいへん金のかかる問題でありますが、その財源は財政財源でなくて、おおむねが金融財源、こういうふうになろうかというふうに思います。しかし、いずれにしてもこれを実施するということになると財源を調達しなければならぬ、そういうことになりますが、いま御提案があるだろうと想像される新幹線立法、これはいつどういう線をどういうふうに建設するかということは書いてあるわけではないようです、一応のデッサンを示す、そういう方向で政府は取り組むべきである、こういう立法のようでございます。これを実施する際には、どの線をまず着手するというようなことを具体的にきめまして、またきめるにあたりましては財源等の事情もよく見ましてきめる、それに今度は具体的に財源づけをやっていく、こういうことになろうかと思います。いま、まだその財源をどういうふうにするかというようなことまで考えておる段階ではないのであります。
#167
○田中(昭)委員 いままで福田大蔵大臣といろいろお話をしてきましたが、まだまだ問題がたくさん残っております。きょうは時間を与えていただきまして、その時間内にできません問題が、いわゆる税務行政の一つの問題である東淀川税務署方式の問題、それから佐藤内閣になってからどうも税金を取り過ぎているということ、実際の決算収入と税制改正で行なう減税、それから予算、こういう問題をきょうは私は大臣からぜひお聞きしたいと思っておりましたが、時間がございませんから、この次にまたそういう時間を与えていただくということを委員長にお願いして、終わりたいと思います。
#168
○毛利委員長 永末君。
#169
○永末委員 四つほど伺います。最初申し上げておきますから簡単にお答えください。
 第一は、未成年者に対する課税をどう考えておるか。第二点は、給与所得者に対する定額控除の性格をどう考えておるか。第三点は、保険控除をどう思うか。第四点は、今回の同族会社の定義に関する改正、この四つ聞きますから簡単にお答えください。
 第一でございますけれども、未成年者に現在課税をしております。それは年齢に対する考慮を現在の税制は全然払っていないというところに原因があるのでございますが、先日沖繩に参りまして、石垣島へ行きました。石垣島の南西に西表島という島がございます。そこには明治に入って沖繩県になりましてからもなお人頭税というものがある。つまり人頭税を払わない者に対しては拷問をかけて、そうして税金を払わせたという、拷問の責め道具がなお残っているわけですね。結局は封建時代の政治権力というのは、税金を取る機構であるということがはっきりとそこにもあらわれておるわけです。
 その意味合いで、われわれは近代国家であるとするならば、政治権力が要するにしぼればしぼるほど取れるという、そういう税金を取る機構だというのでは私はいかぬのではないかと思います。その意味合いで、未成年者に課税をしておるというのは――もしわれわれが近代税制のもと、イギリスにおけるマグナカルタ以来の伝統に求めるならば、すなわち代表なければ課税なしというところに近代税制の根拠がある。まあ近代税制というよりは、いわゆる税制の問題がある。民主主義とのからみ合いをそう求めるならば、現時点において未成年者に課税をしておる意味というものを大蔵大臣から承りたいと思います。
#170
○福田国務大臣 私は前々から言っておりますが、租税立法はこれは公平でなければならない。同時に租税負担能力に応じたものでなければならない。第三に負担感というものについて考慮を払わなければならない。こういうふうに考えておるのですが、未成年者の所得税課税問題につきましてもこの原則を変えるべき理由はない、こういうふうに考えておるのであります。かりに未成年者に課税をするというようなことになると、さあそれじゃ老人にどういうふうな課税をするんだというような問題も起こってくる。あるいは二十になったら急に税がどかっとかかってくるという問題も起こってくる。そういう派生的な問題もありますが、それはともかくといたしまして、租税負担能力があるという者に対しまして、これは成年者であろうが未成年者であろうがこれを区別する理由はない、かような見解であります。
#171
○永末委員 私が申し上げておるのは、税金というものの由来がいわゆる国家権力がその国を構成している国民に臨む場合に一番権力的機構として出てくるのは、一つには税金であり、刑罰であり、その次は兵隊。その税金の場合に、国民みずからが決定し得ない者、つまり未成年者は現在のわが国におきましても無権力者でありましょう、税金を決定する面においては。その権利のない者にほかの者がきめた税金をなぜ押しつけられるかというところの見解をお聞きしたい。負担し得る問題とはこれは別の問題だ。近代国家の根本に関する問題だと思うので、特に大蔵大臣の見解を求めたい。
#172
○福田国務大臣 永末さん、近代国家、近代国家と力説されますけれども、近代国家でも未成年者に特別の処遇をしておる国は私は聞きません。これは国家的な利益というものを未成年者といえども受けているわけでありまして、その受けておるおかげで、所得のほうで、その者がたとえ十九歳であるから、二十にならないからといって課税を免れるという理由は私は発見できない。こういうふうに申しておきます。
#173
○永末委員 恩恵を受けている判断は国家側がしているわけですね、いまの大蔵大臣のおことばによれば。私が申し上げたいのは、税金というのは納税者のほうが払う気にならなければ、なかなかこれは取れないものだと思うのです。しかし現在まではそうではなかった。しかしわれわれはこれから納税制度というものを考える場合に――いままでは納税者が払いたくなかろうと何であろうと、きめたもので取るということでやってきたことは事実です。しかしこれからの国家の中で、もしそういう納税者の意向にかかわらず、あるいは納税者の同意の上に、これは暗黙であろうと明示であろうと、同意の上に築かれないような税制を強行する場合には、これは税制に対して納税者は反乱を起こすでしょうね。その意味合いで一つの問題のかぎは、負担能力のある者は支払うべしという原則のもとに現在の税制が考えられておる。しかしここでもう一度、未成年者という問題は、単に二十歳になって有権者であるという一つの法律のもとに考えられている制度である。しかし現在の青年たちが法律上は二十歳で成年者になりますけれども、十八、十九は一体二十歳とどう違うか。すなわち高等学校を卒業した者も所得能力があるからいまかかっておりけれども、それならば一体統一的に考えてみた場合に、成年者とはたして言えるかという問題もございましょうが、少なくとも税制の面から考えた場合には、みずから決定し得ない者に対して一体税金をかけておるということを、負担力があるからというだけで、あるいは恩恵を与えておるからということだけでカバーできるかどうか、もう一ぺんお答えを願いたい。
#174
○福田国務大臣 まあ永末さんのお話を承っておると、投票権がないのだから、だからこれを納税者とするのは適切ではないのではないかということになるわけでありますが、その考え方を推し進めますとたいへんなことになるのです。これは所得税ならばそれでいけましょうが、間接税なんかは一体どうなんだ。若い人だから砂糖はただだ、税金のない砂糖だというわけにもまいりません。そこですでにもうその原則はくずれているわけです。近代国家といわれる国家においては大体未成年者を区別しておる国はないのですよ。そういうこともあわせ考え、どうもことさら、所得があるにかかわらず未成年者だからといってこれを区別する、これはどうだろうかというふうに思います。
#175
○永末委員 間接税の場合にはある制度があり、そこには間接税が含まれていると知りながら、納税者の行為において間接税を払う現象が発生するのであります。直接税の場合には何もしなくたって国家権力で金を取りに来るのである。これは大蔵大臣、性質が違いましょう。そういう意味合いで、よその国ではそうでしょう、しかしよその国がやっておるからといってわがほうがやらなくちゃならぬということはないのでありまして、特に青年の十八、十九というような、成年者と未成年者との、つまり成年に近い未成年者ですね、そういう年齢層というものが実際に社会に出て、そうして勤労所得税を払わされておる、そういう面を一ぺん別の角度から考えることは必要ではないかと私は思うので、未成年者にひっかけて言うてきたわけですよ。しかしこれはあとで論じます給与所得者に対する控除を引き上げるということでカバーできるかもしれませんね。しかし、われわれはいま成年者でございますが、未成年者の場合には、おれは発言権はないが税金だけ取られておる、これは一体どう説明できるだろうか。おまえは恩恵を受けておる、おまえはすでに給与を受けておる、負担能力があるからだ、こうなる。しかしこの給与は税金を払うだけの負担能力のある給与だろうかという疑いを持つでしょうね。その辺は私はやはり考えてやるべき段階に来ておると思うので質問をしておるわけです。
#176
○福田国務大臣 青年のことを思う永末さんのお気持ちはわかりますが、しかし税制というものはそう感傷論ばかりでやっていけません。外国人が日本に来る、日本に居住する。そうすると、これは投票権もありません。しかし納税者ではあるわけなんです。そういうようなことを考えましても、どうも年齢で差別しようという考え方、これには私は賛成できません。
#177
○永末委員 大蔵大臣、一々反論しませんが、外国人はわが日本国にこの税制ありと承知の上でここへ来て商売をやるわけですね。だからこれは税金を払わしたってかまわないわけです。未成年者というのは承知の上で未成年になっておるわけじゃないのです。働かなくちゃならぬから働いているものをばっと税金で取られてしまっておる。
 ちょっともとに返りますが、高校卒で、そして成年に達してなくて税金を払っておるのは何人だと思いますか。
#178
○細見政府委員 たびたびお答えしておるのでありますが、給与所得者で納税者は年齢がわかっておりませんので、年齢のないたてまえで源泉徴収をやっておるので、いまのところは正確につかめません。
#179
○永末委員 今度の改正で年間単独の所得者で三十四万一千九百二十五円、これは給与所得で、十六カ月分として計算をしますと二万一千四百円ぐらいになる。そこで、二万一千四百円というのが一体税を負担し得るのにふさわしい担税能力かどうかわかりませんが、そういうことを頭に置きつつ、このごろは大蔵省のメニューも出ませんが、あなたのほうでは高校卒で就業数というのは、これは調べればわかるわけだし、それがもらっておる平均給与というものもこれは調べればわかるはずだと思うが、調べようというおつもりはありますか。
#180
○細見政府委員 給与につきましては調べてありまして、商工会議所の調査、あるいは独身者についての人事院の調査というふうなものを参考にして給与は調べております。人数のほうは、労働省の調査によれば、いま手元にはございませんが、わかろうかと思います。
#181
○永末委員 主税局長さん、未成年者が給与所得で税金を払うに至った最初は、大体いつごろからこういう現象が起こり出したとお考えですか。
#182
○細見政府委員 未成年者の控除が、引き上げが、大体年間一一%ぐらいの割合で上がっておりますので、いままでは、ここ二、三年前までは大体賃金が一〇%を下回る程度の伸びであったことを考えますれば、むしろ最近になって初任給が総体的に高くなった過程でこういう問題が起こってきたんじゃないかと思っています。
#183
○永末委員 大蔵大臣、お聞き及びのように、未成年者に対する課税は、主税局長の判断によると最近の事象である、こういうことのようですね。だとしますと、やはり新しい事象として――先ほどあなたの確固として、牢固としてお持ちの課税の基本観念は基本観念として、やはり新しい社会現象として、せめて一体何人が対象なのか、それは社会問題であるのかないのか、社会問題であるとするならば政治的にどうすべきか、御検討はしていただけるでしょうな。
#184
○福田国務大臣 検討はいたしますが、あんまり積極的な検討をする気持ちにはなれないということを申し上げたいと思います。
#185
○永末委員 青年はこれから二十一世紀の日本をつくるわけですからな、この人々にやはり配慮ある政治が必要だと思います。そういう数字がわかりませんといま的確な税制の論議はできませんので、ひとつ問題を投げかけておきます。
 次は、給与所得者の定額控除につきましていろいろな変遷がございました。税調は、もう十万円ぐらいでいいんじゃないかというようなことを答申しておるのでございますけれども、定額控除というのはどういう考え方でこれはやっているんですか、その考え方をひとつ伺いたい。
#186
○細見政府委員 給与所得者が給与を得るために非常な経費ということの中には、所得金額にスライドする、たとえばやむを得ない職場のつき合いと申しますか、部下に対するいろいろなつき合いといったようなものとか、あるいは部下に対する特別な措置とかいうようなものがあるわけでありますが、そういう所得にスライドする要素の全くない、たとえば、かりに靴が経費であるとするならば、靴は収入の大小によって、一年によけい買う人はもう経費にならないわけでありますから、靴がある程度要るとか、あるいは基本的には交通費のようなものがあろうかと思いますが、交通費のほうは別途実費分について、それが通常の適正な限度であれば非課税にいたしておりますが、基本的にはそうした所得金額にスライドしない給与所得者の経費という意味でございます。
#187
○永末委員 所得金額にスライドしない経費という御説明でございますと、言うならば、それが人間として生きていくのに必要な経費に似ておる、このように解釈してよろしいか。
#188
○細見政府委員 それは基礎控除で考える問題でありまして、この定額控除は、そういう給与所得者という地位に基づく、あるいはそういう職業といいますか、仕事をやる上での必要な経費ということでございます。
#189
○永末委員 これはもちろんその給与所得者が外の社会に対して、財貨を購入するためにはじき出される金額ですわね。そうですね。
#190
○細見政府委員 支出されることが通常であろうと思います。
#191
○永末委員 そうしますと大蔵大臣、いまのように定額控除をとらえますと――あなた方政府では、この経済社会発展計画、これを、答申が出ましたが、おそらく御採用になりますね。それをちょっと先に伺いたい。
#192
○福田国務大臣 おそらくあれを採用するということになろうと思います。
#193
○永末委員 あれの示すところによりますと、大体四・四%程度ここしばらく物価上昇が行なわれる。最後には三・何%ですか、少し物価上昇が低くなる、こうなるのですが、いま主税局長の説明のように、定額控除の思想は、それが所得にスライドをしない部面であろうとも、何らかの財貨を取得するために支出する、こういうものとして定額控除の思想というか、定額控除を考える根拠としておられるようであります。そうしますと、いまの経済社会発展計画ではだんだん物価が上がっていくということになりますと、これは上げなくちゃならぬ、こういうことになりますね。
#194
○細見政府委員 事実の説明を申し上げておきます。
 それは、三十六年に一万円であったものを四十三年までの六年間に実に十倍にいたしたわけであります。そういう意味で、永末先生の言われる物価というような要素はむしろ先取りしておるということであろうかと思います。
#195
○永末委員 三十六年から四十三年までで十倍になっておるから先取りだ、こういうことでしょう。先取りなら一体何年までの先取りなのか。数字的根拠を明らかにしていただかなければ、ばくたる先取り論では承服しがたい。
#196
○細見政府委員 とにかく物価はこの間に大体五%程度上がっておるわけでありますから、一万円の定額控除が適正なものであるとすれば、当然にそれよりもかなり上回っておるというわけでございます。
#197
○永末委員 もともと一万円から発足したところに間違いがあるわけです。だからその間違いを正したい。改むるにはばかることなかれ、こういうので、サラリーマンの常識に近づきたいというので、だいぶかけ足で近づいてこられたわけだ。それを走り過ぎなんてどうですかね。大蔵大臣、どう思われますか。
#198
○福田国務大臣 主税局の調査によりますと、多少ゆとりを持っておるというふうに抱いておりますが、これは永末さんの御指摘のように、時勢、特に経済情勢の変化とともにこれは弾力的に考えていかなければならぬ性格のものである、こういうことだけは私はそのとおりだと思います。
#199
○永末委員 大蔵大臣は、税調のことばはことばとして、弾力的に考えていかねばならぬ性格のものである、こういうぐあいに言われましたので、そのおことばどおりきょうはひとつ拝聴しておきます。
 保険料控除はなぜやっておるのですか。
#200
○細見政府委員 社会保険ですか、生命保険料……(永末委員「生命保険料控除」と呼ぶ)生命保険料控除は、長期貯蓄の奨励と社会保障の補完というような意味で考えられたわけであります。
#201
○永末委員 社会保障の補完というほうは、要するに年寄りに対する年金制度、これがいまの政府のやり方ではきわめて不十分である。したがって、個人が個人の計算において生命保険料を出している場合に、それをひとつ控除しよう、こういう考え方ではないかと思うのですが、そうですか。
#202
○細見政府委員 もちろんそういう考えがないとは申しませんが、ある方が一年、それこそ飲まず食わずにたくわえましても、百万円とかあるいは二百万円とかという金額はかせぐというか、ためることができないわけでありますが、保険に入ることによりまして、たとえば一万円足らずの保険料によりまして百万円の保障が得られる、そういう社会保障としての大きな機能というものに着目しておるわけでございます。
#203
○永末委員 この貯蓄奨励だという場合には、悪名高い利子に対する軽課措置と関連がありますか、ありませんか。
#204
○細見政府委員 これは発生的には関連なく発生いたしております。
#205
○永末委員 私もそう思うのですね。全然別個の角度からいまのような計算方法が成り立っておると思いますが、三万七千五百円頭打ちということで、どの程度の経済情勢の中にいまの二つの目的がこの金額で達せられると思いますか。すなわち貯蓄の奨励と社会保障の補完と……。
#206
○細見政府委員 三十歳加入で三十年満期の死亡特約つき保険料の場合でありますと三百四十八万円になっております。
#207
○永末委員 それは何ですか。保険料控除の場合ですよ。
#208
○細見政府委員 生命保険料三万七千五百円でカバーできる保険は、三十歳加入で三十年満期の――このころの保険は死亡特約つきでありますが、その死亡特約つき保険であれば、死亡時に支給される保険金は三百四十八万になります。
#209
○永末委員 もらうときの保険金の話ではなくて、この三万七千五百円というものが――つまり保険料を納める者はいろんなもくろみがございましょう。一つは、いまのような緩慢なるインフレ政策を大蔵大臣おとりでございますけれども、そうやって物価価値が漸減していることを知りつつ保険料を払っているわけですね。それは貯蓄をしようという意味ではなくて、まさかのときに備えたいということ、これはやはり社会保障に対する欠陥があるという認識だからと思うのです。現在価値が三万七千五百円しか保障されていない。保障はそれだけ返ってくるわけですね。その控除を受けると思うのですが、それは低いと思うのですが、大蔵大臣いかがでしょう。
#210
○福田国務大臣 まあこれは多ければ多いだけ貯蓄刺激効果があろうと思います。思いますが、一方においてこれはたいへんな財源が要る問題なんです。そういうようなことで財源上の配意もしなければならない。そういうことを考えると、これは多ければ多いほどいいという総合判断はできません。そこでいまの控除額ですね、これは私どもは大体安定した額であるというふうに見ておるのです。この控除額のもとにおきまして生命保険契約は非常に進行しておるわけです。これは時勢の変化、そういうようなことでまた将来動かさなければならぬというような時期がないとも言えませんけれども、今日この時点におきましてはまあ適正な額である、こういうふうな見方をいたしております。
#211
○永末委員 大蔵大臣、あなたの言われたことは証明がないわけなんですよ。安定しておるというのは、この金額を決定した年限とそれから保険金、保険料総額とがある相関関係にあるならば、それを安定と言われたのかもしれませんけれども、私が申し上げたいのは、これは納める国民の側に立ちました場合に、痛いのはいまですよ。いま保険料を払っているわけですからね。それが三万七千五百円しか戻ってこない――戻りはしませんが、要するに税金の対象からはずれている。しかし一方社会保障に対する、死んだ場合あるいは年寄りになった場合、いろいろな配慮があるわけでありますけれども、それが国家の制度によってその国民の上に返ってこないという危険に対する恐怖感、そういうものの相関をとった場合に、私はこの三万七千五百円は、経過的に見て徐々にふえてきてはおりますけれども、非常に低いと思うのですね。だから安定したというのは、あなたは制度として安定しているという御判断だけれども、やはりこれは事業所得者も給与所得者も両方ともひっかかる問題であって、生命保険を血の涙で出しているのはむしろ零細な所得者が多いんじゃないかと私は思いますね。その意味合いで私はもう少しカバーしてやっていい問題じゃないかと思います。それはもちろんこれをやったから税金の収入が少なくなったというのは困りますけれども、ちょっとぐらい上げたってたいしたことはないと思います。
#212
○細見政府委員 いまたいしたことでないと言われるのを待っておって答えるようで申しわけないのですが、実はその特別措置法は非常に評判が悪い。特別措置法の中の七割近くは貯蓄の奨励でありますが、その中でも貯蓄、配当、生命保険の控除は一番多くて、四十五年で見ますと六百四十億円ぐらいの減収になっております。それに対しまして三十七年ごろはたとえばどんなものであったかと申しますと二百億ぐらいでありまして、三十七年から四十五年までの間に実に三倍余になっておる。と申しますのは、わりあい高額所得層のほうにこの控除のメリットが及んでおりまして、しかも生命保険料は御承知のようにここで免税にいたしまして、受け取るときにこの部分を非課税にするという、控除するというたてまえになっておりますから、特別措置の中でも特別に手厚いほうの部類だと思います。
#213
○永末委員 結局もう上げる必要はないというお考えですか、大蔵大臣。
#214
○福田国務大臣 私はこの時点におきましてはこれは適正安定した額である、こういうふうに申し上げておるわけであります。
#215
○永末委員 私はわがほうの、わが国の老人年金制度なり保険金のことをあとで申しますけれども、死亡した場合のいろいろな社会保障制度が完備していないということが、やはり生命保険料を払ってでもやっている一つの原因だと思うんですね。その意味ではなるほど先ほど私が申した意味で安定しているかもしれませんが、やはり物価価値がだんだん変わっていくわけでありますから、その物価価値の変動に即しつつ、それからいまのような社会保障制度の完備の時間のずれ等を勘案しつつ、大蔵大臣やはり検討してほしいですな。どうですか。
#216
○福田国務大臣 検討はいたします。
#217
○永末委員 それから保険料を払ってまいりまして保険金、いよいよ死んだ場合の保険金が来ますね。保険金の控除は百万円ですか。
#218
○細見政府委員 一人当たり百万円でございます。
#219
○永末委員 先年、夫が死去いたしまして妻に遺産を相続せしめました場合に、三千万円までですか、非課税ということになっておったと思うのですが、そうですね。
#220
○細見政府委員 三千万円までの資産の未亡人部分は非課税であります。したがいまして千万円までということになります。
#221
○永末委員 きわめてあれはいいことだと思うのです。ですからわれわれ恒産のない、資産のない者は、飛行機に乗る場合には生命保険はやはり三千万円まではかけておかなければいかぬと心ひそかに覚悟をしておるわけですけれども……。ところで、生命保険に入りましたら百万円までは控除してくれるが、あとは控除しないなんていうのはちと残酷じゃないですか。
#222
○細見政府委員 相続人一人当たりでございますから、三、四人おられれば三、四百万円にはなるわけです。
#223
○永末委員 百万円になったのはいつですか。
#224
○細見政府委員 いま調べておりますが、大体いままでの沿革は、相続税のほうがある年にまかりますと、その次の年には控除の引き上げということでやってきております。このところしばらく控除を上げてきておりませんが、ちょっと後ほど調べてお答えいたします。
#225
○永末委員 去年そんな話はないと思うのです。
#226
○細見政府委員 間違っていたらあとで訂正をさせていただきますが、三年ぐらいはいまの程度であろうと思います。
#227
○永末委員 大蔵大臣、保険金をもらわなければならぬというのは、やはりなかなかのことですね。そうしますと、涙ある行政が大蔵大臣のモットーであると私は推測をいたしますので、やはりその場合には、何年か前に百万円なら、いまのような物価水準の変動ともにらみ合わせて、これはやはり引き上げてやるというのが、不幸な事態になったときに涙ある施策ではないかと私は思います。大蔵大臣の御所見を承りたい。
#228
○福田国務大臣 こういうものは毎年毎年これを動かすというわけにはいかないと思いますが、ある段階に来ましたら再検討を要する、こういう時期になると思うのです。まさに永末さん御指摘のような方向で検討いたしたいと思います。
#229
○永末委員 法人税法の第二条の改正が今度出ました。同族会社に対する定義、これは同族会社が、三人以下で出資金の五〇%以上というのと、四人で六〇%以上、五人で七〇%以上、三つあったのを一つにされた理由をひとつ伺いたい。
#230
○細見政府委員 同族会社の実態を調査いたしましたら、いま新しい基準で申し上げておるように、株主が三人以下というような場合に五割を占めておるというのが同族会社であるかないかを見分ける一番適切な指標であって、それ以上一人ふえれば株式保有割合を二割ずつふやして見ていくということはいたずらに煩瑣なだけで、同族会社の実態としては、今回の改正の基準で本来同族会社であるものは判定できる、かように考えたわけでございます。
#231
○永末委員 前の発想が、第一が三人以下と書いてある。三人以下というのは、三人もある、二人もある、一人もある。だからこそ四人でとか五人でと、こうなっておる。今度はその三人以下というのが一本になりました。したがって、この法文の読み方は、同族会社の場合一人の株主で五〇%以上でも同族会社と認定する、二人の株主で五〇%以上でも認定する、三人でも認定する、こういうことですか。
#232
○細見政府委員 三人までで五〇%を判断するということでございます。
#233
○永末委員 法律の解釈ですが、私が聞いておるのは、一人ででも、同族関係者を含めて一人で五〇%以上あればもうすでにその時点において同族会社と判定する、こう読めるのですね。
#234
○細見政府委員 そのとおりであります。
#235
○永末委員 重要なことですから、ひとつそのとおり速記録に載って――大蔵大臣、これはそういう解釈です。大蔵大臣、いまの主税局長の解釈、確認しておいてください。
#236
○福田国務大臣 私もその辺は詳しくありませんけれども、私の信頼する主税局長がそう申しておるのでありますから間違いないと確信をいたします。
#237
○永末委員 時間の都合上、以上をもって質問をやめます。
#238
○毛利委員長 小林君。
#239
○小林(政)委員 まず最初に課税最低限の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 事業所得者の課税最低限は、独身者の場合には十八万三千九百二十九円、また四人世帯では六十一万六千四百六十六円、五人世帯の場合には七十三万九千三百八十円、きわめて低く押えています。給与所得者の課税最低限についてもこの前質問いたしましたけれども、必要経費の概算控除等、いわゆる給与所得控除というものを取り除けば、事業所得者の課税最低限とほぼ同額になるわけでございますけれども、これで生活費に食い込む課税となるのじゃないか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
#240
○細見政府委員 私どもは、現在の課税最低限は生活費には食い込んでおらない、かように考えております。
 沿革的に見てまいりましても、課税最低限は年々大体一〇%程度の率でここ数年引き上げてまいっておるわけであります。その間消費者物価は四%ないし五%というような形で推移いたしておるものでありますから、いわゆる課税最低限と最低生活費との関係は、その間に直接比較するような問題は要らなくなってきているのじゃないかと考えております。
#241
○小林(政)委員 主税局長は、課税最低限につきましては当委員会におきましても、人事院の標準生計費を上回っている、あるいはまた総理府の統計局の調査に基づく消費支出というようなものについても、四人世帯の場合八十七万円を上回っている、こういうふうなことを委員会の中でも強調をされ、そうして現在の課税最低限というものは貯蓄をするゆとりのある水準にまで達してきているのだということを何回か私も委員会の中で耳にいたしましたけれども、事業所得者の夫婦子供二人の四人世帯の課税最低限、これは六十一万六千四百六十六円でございまして、消費の支出で見ますと、これは八十七万七千二百七十二円、この間二十六万円と、非常に大幅にこれが下回っている、このことについてどのような考え方をお持ちなのか、お伺いをいたしたいと思います。
#242
○細見政府委員 先ほどお話に出ました八十七万というのは、家計調査におきます支出でありまして、これは平均的な支出でありまして、それがいわゆる最低生活費というようなものではなくて、その階層におきましては収入で百十七万ですか、そうして二十万の貯蓄ができておる階層の、いわば生活についてゆとりのある段階における生活費でありますので、いわゆる最低生活費という概念はこの金額に当てはめることは適当でないと私どもは考えております。
#243
○小林(政)委員 私、委員会の発言等聞いておりまして、確かにこの八十七万が直接課税最低限云々ということではございませんでした。しかし標準的なこのようなものに対しても、課税最低限の問題等を考える場合には、それを基準にして考えてもやや上回っている。これはあとで速記録をごらんいただけば明らかになると思います。私もその調査に基づいて発言をいたしておりますけれども、ですから、いわゆる事業所得者の場合には六十一万円、これが課税最低限ということではなくても、二十六万という、大幅にこれが下回っているというような点から、はたしてこの点について、基本的にどういう根拠でこのようなことを委員会で発言を一貫してされておられたのか、非常にふしぎに思うわけでございます。もう一度その点重ねてお伺いをいたしておきたいと思います。
#244
○細見政府委員 先ほど申し上げましたように、八十七万という支出は貯金が二十万もできる生活環境におきまして、いわばかなり自由に支出ができる、そういう人たちの支出の状態でありまして、それはいわゆる最低生活費というような概念とはかなりかけ離れたいわば自分たちは中産階級であるとか中位の階層に属しておるとかいう市民意識を反映できる人たちの生活であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
#245
○小林(政)委員 それでは次の問題で質問いたしたいと思いますけれども、私はこの課税最低限のきめ方といいますか、こういった問題について私自身が調べました幾つかの家計簿、この家計簿の調査によりますと、その幾つか調べましたうちの一つでございますけれども、その世帯は四人家族で妻がパートで働いている世帯でございますけれども、総支出の月額は八万百五十八円で、そうして支出金額の中でおもな比重を占めているのは、主食、副食費、調味料など食料費でございまして三万六千五百六十三円、全体の中で占める割合は三九・四%でございます。また次に大きな比率を占めますのは教育費でございまして、この家庭の場合には子供を保育園に入所させておりますので、その経費一カ月一万五千円を含めて子供の教育費が一万八千二百九十円、約一九・七%を占めております。次に比較的大きいものは石油、ガス、水道、電気など、いわゆる光熱水費で一万八百四十五円、一一・七%を占めているわけでございます。この家庭の状態等つぶさに検討いたしてみますと、家は御自分の家でございますので、国定資産税のみで、家賃というようなものは払っておりませんけれども、しかし夫婦の衣服費などについては、これはボーナスによって臨時収入を充てるというような状況でございます。このような計算から考えますと、年間消費支出九十六万を上回るわけでございますけれども、エンゲル係数その他から考えてみましても、決してゆとりのある家庭の状況の例ではございません。総理府統計局の消費支出をとってみましても、またいま私が調査をいたしまして、ちょっと一つだけ例をあげましたこの中での具体的な生活を実際に毎日毎日収入額とその支出を克明に記入し続けております家計簿をとってみましても、いずれも課税最低限というものは消費支出をはるかに大きく下回っているということが言えると私は思う。この数字によっても明らかであるというふうに考えます。
 課税最低限は、所得の課税というものをどの程度の所得の階層から行なうかということをきめる、いわゆる最低限度を示すものでございますし、また生活費の非課税の原則というような点から考えましても、私は、この課税最低限というものは、国民生活の水準から、勤労者が普通の生活ができて、そして子供の教育についても、いま高校全入等の問題が一般化されているような現状の中で、少なくとも後期中等教育というようなものが十分保障される水準というものに定めるべきではないだろうかというふうに考えますが、これらの点について大蔵大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
#246
○福田国務大臣 課税最低限は、これは国民の平均的生活ということじゃない。平均の生活水準はもう少し私は高いと思います。
    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕
しかし、そうじゃなくて、まあまあ人並みに生活し得る、そういう、どっちかといえば、全体からいえば少し下になると思いますが、その辺をとらえていろんな控除制を設けて所得税を軽減しよう、こういう趣旨なんです。これは一体どのくらいの額が妥当であるかということになりますと、これはもうなかなかむずかしい問題でありまするが、私は、いま御提案申し上げている額は、今日の国際水準から見ましてとにかく大体同じような額まできたわけでありまして、まずまず妥当なところではあるまいか、世界並みだ、こういうことで、私はこの辺はまあお認め願える額ではあるまいか、そういうふうに見ております。
#247
○小林(政)委員 現在の課税最低限はまあ妥当なものだというお話でございますけれども、私はやはり、この課税最低限というものは一般の勤労者の普通の生活が保障されていく、こういうところに置くべきではないかというふうな意見を持っております。私、この問題は、やはり非課税の原則の問題とか、あるいはまたはっきりとそこに重点を置いていくということがむしろ税の上で公平だというふうな考え方から、この点についてここで論議ということではございませんけれども、課税最低限というものは、当然一般の人たちがちゃんと普通の生活ができるというようなところに趣くべきではないか、私はこのことを強調しておきたいと思います。
 次に移りたいと思いますが、単身者の事業所得者の課税最低限、先ほど申し上げました十八万三千九百二十九円、これは月にして一万五千三百二十七円で、まず率直に、これで生活ができるのだろうか、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
#248
○細見政府委員 相対的に見まして、給与所得者には給与所得控除があり、また家族のある人たちは、生活費が人数の割りにふえないにしても控除額が大きくなっておるというような問題はございますので、事業所得者の独身者の課税最低限が非常に十分なものであるということはなかなか言えないかと思いますが、これらの点は、所得なり物価なりの水準の変わってまいるのに応じて総合的に見てまいらなければならない基礎控除の問題の反映であろうと考えております。
#249
○小林(政)委員 そこで私、一級地における生活保護基準を四十五年度の厚生省社会局保護課の資料によって見たところによりますと、東京都の場合を例にとりますと、六十歳の単身の女性で、家賃は、単身でございますけれども古いアパートのようなところを借りて七千五百円の場合、この場合には月額一万八千八百五十五円、これを年に直しますと、二十二万六千二百六十円になるわけでございます。十八歳の単身の男子で家賃が同じというような場合を算定いたしてみますと、この場合には月額二万一千十五円、年額二十五万二千百八十円ということになります。いずれも事業所得者の独身者の課税最低限十八万三千九百二十九円を上回っております。また同様に、四人家族の生活保護費は月額四万七千六百五十七円、これを年額に直しますと五十七万一千八百八十四円でございまして、事業所得者の四人家族の課税最低限六十一万六千余円と比較をいたしますと、まさにこれはすれすれといいますか、このような状態になっておるわけでございますが、このような事実について、これをお認めになりますか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
#250
○細見政府委員 事業所得者の課税最低限、端的に申しますと、給与所得のない人たちの課税最低限が給与所得者に比しまして相対的に低いことは事実でございまして、その意味で課税最低限を給与所得者と事業所得者との間にどういうふうにバランスをとるかというのは、今後も検討していかなければならぬ問題だろうとは思いますが、一般的に申し上げまして、事業所得者と給与所得者の生活の態様とか、あるいは事業の形態でありますとか、家産の状況でありますとかいうようなものもございますので、税制全体としてどういうふうな課税最低限を設けて、どういう累進税率で課税していくかというのは、絶えず総合的に見直してまいらなければならない問題であろうと考えております。
#251
○小林(政)委員 いまいろいろとお話がございましたけれども、生活保護法の第一条で「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」ということが規定をされております。「その最低限度の生活を保障する」、それでもまだいろいろといまの生活保護法というものは一般の消費支出というようなものに比べると、それが年々上がってはきているけれども、一般の水準に対して、五二%しかまだいっていないというようなことが報道されておりまして、非常に低い、最低生活ぎりぎりの線が生活保護法だというふうに私は考えておりますけれども、課税最低限がこれを下回るというようなことについての見解について、十分ひとつ御意見をお伺いしておきたいと思います。
#252
○細見政府委員 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、課税最低限がいわゆる最低生活費というようなものを下回っておるとは考えないわけでありまして、経過的に何が最低生活費かということは、これはなかなか価値判断の要る問題でありまして、むずかしい問題でありますが、先ほど来申し上げておりますように、かりにあるときに課税最低限と最低生活費とが同じであったといたしましても、その後課税最低限は年々一〇%程度の率で引き続き引き上げられてきておるわけでありますし、一方消費者物価は、それがまるまる生活費に反映しておるものであるといたしましても、四%ないし五%で騰貴いたしてまいったわけでありますから、その議論は現段階においては、少なくとも課税最低限の引き上げによって生活費の向上、あるいは生活水準の向上というものを十分カバーしておるかどうかということなら御議論があろうかと思いますが、最低生活費という御議論では、私どもは一応課税最低限はその問題は解決しておると考えております。
#253
○小林(政)委員 いま主税局長は、課税最低限はいわゆる生活保護法に基づく保護費を下回らない、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、私もこれはいいかげんな数字で上回っているとか下回っているとかということを言っているのではございませんで、厳密に計算もいたしまして、そして明らかにこれは、たとえば事業所得の場合が云々ということであれば、それでは給与所得の非課税――独身の人の例等を見ましても、いわゆるほんとうにすれすれというようなこういう状況が出てきておりますし、四人家族の生活保護費を比較いたしてみましても、事業所得者等の四人家族の課税最低限と比べますと、ほんとうにこれはすれすれというような状況が出てきております。こういう点から考えて、下回るものとは思わないというような抽象的な御意見というものは、私はちょっと納得をすることができないわけでございまして、下回らないまでも、すれすれ、ないしわずかにその上に出ているというようなのが実情であることは間違いございません。少なくとも課税最低限はある程度妥当なところまでいっているのだという大蔵大臣のお答えでございましたけれども、少なくとも生活保護法すれすれ、ないしはそれをわずかに上回る、下回る、こういうことで、いわゆる生活費には課税しないという課税最低限の原則から考えて、この点については大きな疑問を持たざるを得ないわけでございます。この点について大臣から、もう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
#254
○細見政府委員 その前にちょっと数字を申し上げておきます。
 私、あまりこまかい数字のことは申し上げないつもりでおったのでありますが、いまの生活保護との関係で、生活保護の中には教育費でありますとか医療費でありますとか、いろいろなものが入っておることは御承知のとおり。これが最低生活費でないとまでは申しませんが、そういうものまで入った生活保護基準でございますが、たとえば四人世帯でありますと、東京都のものでありますが、五十万円が生活保護基準でありまして、それに対して事業所得者の課税最低限は六十万一千円となっております。かりにこのほかに青色申告でありまして専従者があるといたしますれば、二十万とか三十万とか給与があるはずでありますし、白色であるといたしましても、これに十五万が加わるわけであります。かりにそういうことがないといたしましても、いまのように課税最低限は生活保護基準を上回っておりますし、五人世帯で見ましても同様なところであり、三人世帯でも同様でございます。そういうことで、課税最低限と生活保護基準という問題はないと私どもは思いますが、ただこれが非常に高い水準であるかということには御議論があると思います。
#255
○福田国務大臣 先ほどから申し上げますとおり、課税最低限はどの辺が適切か、こういうことはなかなかむずかしい問題なんです。でありますけれども、とにかく日本の今回の課税最低限は国際水準のものである。しかも先進国の水準のものである。こういう点からも、これがかなり妥当的なものであるということについては御理解願えるんではあるまいか、そういうふうに考えております。
#256
○小林(政)委員 私、いまの大臣の御答弁、実はちょっと納得ができません。私は、少なくとも生活保護費すれすれというようなことで、課税最低限が世界の中で比較いたしましてもかなり高い云々というふうなことについては納得できませんし、当然この生活費というものに対しての非課税、いわゆる税金をかけないという原則から考えましても、厚生省がきめております生活保護法の基準というものは、憲法に基づくほんとうに最低の生活というような点から考えても、これは明らかに低い課税最低限になっているんじゃないか、こういうことが言えるのではないかというふうに実は考えております。この問題等については、また後の機会等でやりたいというふうに考えております。
 最後に、大臣の、今後課税最低限を検討していく、こういう委員会に対する御発言がございました。この際私は、いまの課税最低限といえば人的控除、給与所得控除ということになっていくんじゃないだろうかというふうに考えますけれども、課税最低限としては、少なくとも人が普通の生活をしていけるものというものに当然基準を置いて検討していただきたい。この前のときにも申し上げましたけれども、私どもは、大臣はそんな高い額を言ってもというふうにおっしゃいましたけれども、基礎控除四十五万、配偶者控除四十五万、扶養控除一人二十万、こういうことで、四人世帯の場合に百三十万、これが、私どもはやはり決してぜいたくな云々ということでなく、最低生活というようなものがいまの状況から保障されるものだということで、私どもはこの点については党の政策としても掲げて運動もしてまいりました。ぜひともひとつそれらの点も踏まえた上で、十分これにこたえていただけるように強く要望をいたしまして、この問題について終わりたいと思います。
 あと法人税の問題とそれから配当控除の問題等について簡単に質問をしたいと思います。
 法人税率の引き上げにつきまして、この問題については委員会等でもいろいろ言われておりましたけれども、三五%を三七%と、本則に戻すという、こういう形を今回はとらないで、二年間という期限を区切って、しかも租税特別措置で本法の三五%に五%を加算するという形式を、いままでかつて例のないこういう税率の引き上げということを行なったものでございますけれども、このような例のない方式というようなことは、昨日でしたか、大臣の御答弁の中でも、こういうことを行なった主要な理由として、選挙など時間的なゆとりもなかったというふうなこと等も触れられておりましたのを私もお聞きいたしておりましたけれども、私はこのような例のない税率の引き上げ方法といいますか、やり方をおとりになったことについて、非常に多くの疑義を感ずるものでございます。この点について二、三お伺いをいたしたいと思います。
 どのようなことを感ずるかと申しますと、第一に、本法そのものは動かさないで自由に景気調整としての税率を調整することが、こういうことをやることによってできるというふうに考えられますけれども、これらの点についてお答えを願いたいと思います。
 それから、時間がないので続けて二つ三つお聞きをいたしたいと思いますけれども、もしこのようなことが自由にやられるならば、私は租税法律主義のたてまえからも大きな問題であると考えますし、また実質的に租税法律主義というものを空文化するものではないだろうか。いろいろと専門家の話の中でも、今後税率等も政令によって動かしていくというような方向に道を開く、そういうことも一部にはいわれておりますけれども、絶対にそのような心配はないのかどうなのか、この際大臣に明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
#257
○福田国務大臣 今回の法人税率の改正は、これは過日も申し上げましたが、総選挙中に発想いたしまして、総選挙が済みましてから一月余りの短期間の間にこれを法制化しなければならぬ、こういうことになりました関係もあり、また景気調整、そういうような趣旨もありまして、今後景気の動向いかんによりましてはこれを動かさなければならぬということもあり、つまり臨時的性格も持っておるわけであります。そういうようなことを考えまして、本則の改正をしないで特別措置、こういうふうにしたわけであります。しかし、いま小林さんがおっしゃるように、特別措置にいたしましたからこれで租税法定主義、これを排除する、こういうようなもんじゃございません。租税特別措置もこれまた租税特別措置法において国会の御審議をお願いをする、こういうようなものでございまして、政府が恣意的に自由に税率を変える、その素地をつくるのだというような意図は一切持っておりませんですから、その辺は御安心なすってけっこうでございます。
#258
○小林(政)委員 いまそのような、私が指摘したような点はないというような大臣からの御答弁でございますが、二年間の期限後は直ちに本法に戻すということが当然原則であろう、私はそのように考えますけれども、これらの問題等について大臣の原則的なお考えをお聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#259
○福田国務大臣 税制はいつも検討に検討を続けていかなければなりませんが、法人税制につきましても今後も検討いたしていきたい、こういうふうに考えておりますから、二年間の時限がたった場合にこの法人税をどうするかという問題は、その検討の結果を待ち、かつその時点の経済情勢が一体どうあるかということをよく見きわめまして、その際その結論を出す。いまは、この二年の措置が終了したその後においてこの法人税をどうするかということにつきましては、考え方を固めておりませんです。
#260
○毛利委員長 これにて、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案に対する質疑は終了いたしました。
 次回は、来たる十七日金曜日、午前十一時理事会、十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後七時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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