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1970/08/06 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第34号
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1970/08/06 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第34号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第34号
昭和四十五年八月六日(木曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
   理事 松尾 正吉君 理事 永末 英一君
      宇野 宗佑君    奥田 敬和君
      木野 晴夫君    高橋清一郎君
      中島源太郎君    中村 寅太君
      丹羽 久章君    原田  憲君
      坊  秀男君    松本 十郎君
      平林  剛君    堀  昌雄君
      貝沼 次郎君    竹本 孫一君
      小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        警察庁刑事局保
        安部防犯少年課
        長       原   仁君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        大蔵省関税局長 谷川 寛三君
        大蔵省証券局長 志場喜徳郎君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        大蔵省国際金融
        局長      奥村 輝之君
        国税庁長官   吉國 二郎君
        文部省体育局学
        校保健課長   橋本  真君
        厚生省公衆衛生
        局企画課長   今野 恒雄君
        厚生省児童家庭
        局育成課長   橋本 光男君
        日本専売公社総
        裁       北島 武雄君
        日本専売公社理
        事       斎藤 欣一君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月六日
 辞任         補欠選任
  吉田  実君     中村 寅太君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 寅太君     吉田  実君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の会計に関する件
 税制に関する件
 金融に関する件
 証券取引に関する件
 専売事業に関する件
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 この際、去る六月十六日就任された谷川関税局長より発言を求められておりますので、これを許します。谷川関税局長。
#3
○谷川説明員 谷川でございます。このたび関税局長を仰せつかりました。私にとりましては全く新しい仕事ではございますが、精一ぱいの努力をする覚悟でおりますので、何ぶんの御指導、御鞭撻を賜わりますようにお願いを申し上げます。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#4
○毛利委員長 国の会計、税制、金融及び専売事業に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
#5
○平林委員 きょうは、昭和四十六年度予算編成に臨む大蔵大臣の基本的な考え方につきまして若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。
 大蔵大臣はこの七月二十八日の閣議で四十六年度予算の概算要求の了解を得られまして、直ちに予算編成に臨む基本方針の検討に入ったと伝えられておるわけでございます。各商業新聞も一斉にその問題点を報道しておるのでありますけれども、国会で大蔵大臣の考えを聞くのはきょうが初めてでございますから、まず四十六年度予算編成に臨む大蔵大臣の基本的な考え方をお聞きいたしたいと思うのであります。
#6
○福田国務大臣 四十六年度の予算編成の基本方針についてというお話でございますが、まことに手回しのいいお尋ねでおそれ入ります。まだ私どものほうではどうしようかああしようかという段階でありまして、具体的なことをお答え申し上げかねる段階でございます。
 ただ、私が非常に心配しておりますのは、現在の経済情勢、どうも過熱の勢いでございまして、金融調整政策をとっておる。しかし、なかなかその勢いがおさまりかねるような形勢でございます。そういう情勢を踏んまえました金融調整政策はなおこれを続けるという考えでございますが、さて来年度の予算を一体どうするか、こういうことにつきましては、やはり過熱を押え、そして経済を安定的に成長発展せしめるということが何よりも先行する基本的なかまえでなければならない、こういうふうに考えております。そういう面から歳出の規模、これも考えられなければならないというふうに思います。
 それから、その歳出の内容につきましては、当面いろいろな要請があるわけであります。昭和四十五年から始まる十年間、つまり七〇年代は内政の年だ、こういうふうに私どもは宣言をいたしておるわけでありますが、その内政面におきまして非常に大きな問題が山積をいたしておるわけであります。何といっても物価と公害の問題、これが双璧をなす。これは予算の規模にかかわる問題じゃありません。質的な問題です。その二つの点に最も大きな重点を志向する、そういう心がまえで予算の編成に当たらなければならない、こういうふうに考えますが、同時に量的にいろいろ問題になります問題があります。つまり、これは公共投資、社会資本の立ちおくれという問題、道路の問題あるいはその他の総合輸送力をどういうふうに考えるかという問題、これも差し迫った問題でございます。それから社会保障、これも進めなければならない、こういう問題もあるわけであります。また、本年度生産調整をいたしました農村、米価の問題、こういう問題も大きな問題になってくるであろう、こういうふうに思いますが、いずれにいたしましても来年度は経済の安定的成長を定着させる努力、そのもとにおいて物価と公害に最重点を置く、また内政諸問題を処理する、こういうことになろうかと思います。
 それから、それらの財源を一体どうするんだ、こういう問題につきましては、ただいま税制調査会においてせっかく検討中でありますが、私の気持ちといたしましては、所得税減税はこれをさらに進めてまいりたい。ただし他面におきまして、間接税において何がしかの財源を調達いたしたい、こういうふうに考えておるのであります。公債につきましては、ただいまも申し上げたような景気の持続的確保という見地から見まして、これは縮減をさらに進めるという方向で考えてみたい。
 ざっと大まかに申し上げますと、そのような考え方をもちましてこれから予算編成の作業に入ってまいりたいという、いま玄関先におる次第でございます。
#7
○平林委員 予算編成に臨む大臣の基本的な考え方、これはこまかく分けてお尋ねしていきますというといろいろと問題点がありますけれども、きょうは大綱的な考え方をお伺いいたしまして、次の機会にまた各問題点につきましてはお尋ねを続けていくことにいたしたいと思うのであります。
 そこで問題は、先般の閣議におきましても、来年度の予算規模については、最近の経済情勢、やはりいまお話しのとおりに過熱の状態はおさまらぬ。昨年以来続けてきておる景気調整も必ずしも目的を達したと見られない徴候があらわれているので、その歳出増加は二五%の範囲内にとどめるとかということで各省に通達をされたと聞いておるわけでございますけれども、この点はいかがですか。
#8
○福田国務大臣 そのとおりでございます。四十六年度の概算を各省大臣が要求をする、その期限は八月一ぱい、そういうことになっておりますが、この八月一ぱいに提出する各省大臣の概算要求は昭和四十五年度に比べまして二五%以内におさめる、そういう要請を閣議に対しましていたしたわけであります。閣議もこれを異議なく了承をいたしております。もっともこの二五%というのは、各省の総ワクにおいて二五%をこえてはならない、こういうことでございまして、個々の費目につきましてでこぼこがある、これを妨げるものではないし、またさらに既定経費について各省が思い切った削減をして新規財源を生み出す、こういうことにつきましては積極的にこれを勧誘をいたしておる、こういう状況でございます。
#9
○平林委員 当面わが国の経済の発展の中で大きな問題になりましたのは、先ほど指摘をされましたように物価の問題とそれから公害の問題であります。私どもは特に公害の問題につきましては、この間政府に対しましてもすみやかに臨時国会を開催すべきである。各省庁の行政もばらばらであるし、最近の公害の現象に対する対応策も非常に手おくれておる。これは人間の尊厳というものを確保する上において、もっと重要視し、かつ緊急に処理すべき態度が必要であるということから臨時国会の開催を要求しておることは御承知のとおりであります。ただ臨時国会の開催を要求するだけではなくて、これは社会党に限らず公明党も民社党も同様の考えで、この際自由民主党の政策関係、政調会長、野党でいえば政策審議会長などが具体的な問題についてひとつ国民の期待にこたえ、これをどういう措置をとるべきかという政策問題についても検討しようという提案を実はしておるのであります。そういう段階でありますだけに、大蔵大臣は公害の問題について、少なくともどういうような政策あるいはどういうような措置をとるか。これから党派を越えてこの問題について取り組むということにはなっておりますけれども、予算編成にあたってこれを重視するというのであれば、いまお話しのように単に二五%というワクにとらわれず、必要なものはこれを出すという態度を大蔵大臣としては予算編成に臨むにあたってお考えになっておるかどうか。公害の問題にはもちろんはっきりした企業責任のものもありましょう。しかし発生原因のわからぬ問題もございまして、これは社会環境に対する政府の責任として財政支出を覚悟せねばならぬものも出てくるかもしれない、そういうことを考えますと、二五%のワクにおさめるというだけでは解決つかない事態になるのではないか、こう見ておるわけでありまして、これについて大蔵大臣の御見解を承っておきたい。
#10
○福田国務大臣 ただいま申し上げましたように、この二五%というのは、これは各省予算の総額につきまして、その四十五年度額の二五%以上になってはならない、こういうことでございます。でありますので、その各費目、これについてのやりくり、これは各省で努力をされることと思います。まあ二五%というと、総ワクとするとたいへんなワクでございまして、とてもとてもそこまでは実際はいかないわけでございます。かなりの余裕のある額でございます。
 また、いまお話しの公害問題というものをとらえてみますと、これは各省にみんなばらばらになっておるわけであります。それぞれの省で公害対策を考えられることに相なります。その各省のワクが二五%、四十五年度よりもふえるということであれば、かなりの包容力を持っておる、かように考えておるのでありまして、とにかく予算の編成、これは一つでも例外を認めますとなかなか締めくくりもできないようなことになりますので、この二五%ワクというものは厳守をしていきたい、こういうふうに考えておりますが、事の重要性、そういうものにつきましては私どもも十分な感覚を持っておるというつもりでございます。問題によりましては査定増額というようなことも最後にはなしとしない、そういうことでございますので、二五%概算要求ワク、これはもう微動もさせない、こういう考えで予算編成には臨んでいきたい、かような考えております。
#11
○平林委員 これに関連をいたしまして、私どもも公害対策については研究を進めて、具体的な措置をとるように要求を起こしていくわけでありますけれども、税制調査会のほうではこの際公害対策税を設けるべきであるという意見が出ておると聞いておるわけでございますけれども、大蔵大臣としては公害対策税という考え方についてどういう御見解をお持ちか。
#12
○福田国務大臣 さような意見が税制調査会で出ておるということは私は承知をいたしておりません。公害対策で金が必要だということに相なりますれば、これは、一般財源がたいへんな額になる、九兆円という額をおそらく上回る財源も来年は用意しなければならぬ、こういうふうに思いますが、その一般的な財源の中でこれは消化し得る、こういうふうに存じますので、いま私の頭の中にも公害対策税と銘打ったものを考えておるということはないのであります。
#13
○平林委員 公害と並んで重要な焦点は物価の問題であります。この物価の安定が来年度予算の重点施策として組み入れられると私どもは期待をいたしておるわけでありますが、具体的にはどういう考えがあるか、この際はっきりできるものははっきりしてもらいたい。つまり、私の心配をいたしておりますのは、予算編成が進むに従いまして、おそらく公共料金の値上げの問題はかなり政府自体としても思い悩む問題になるのではないかと考えておるわけであります。たとえば、郵政省ではすでに郵便料金の値上げの検討を始めておると聞いておりますし、電電公社でも電報の料金の値上げ、あるいは来年度はまた国鉄運賃の問題も検討期に入るだろうと思いますし、健康保険の問題もあり、さらに先ほどお話がありましたように消費者米価をどうするかというようなこともありまして、私どもはいまのうちから、この物価の安定という問題と、政府みずからが主導的役割りを演ずる公共料金について、どういう態度を予算編成に臨んでとるかということは重大な関心があるわけであります。そこで、当面物価安定を重点施策として考える大蔵大臣のお考えの中には、予算編成についてはどんなような考えを持っておられるか。これはぜひ聞いておきたい問題でございますから、この点、現在言える点はどんなことがあるか、それをお聞かせいただきたいと思います。
#14
○福田国務大臣 物価安定は、先ほど申し上げましたように昭和四十六年度経済運営上二つの眼点というか、そのうちの一つである。つまり物価と公害、こういうふうに考えておるのであります。その物価の問題でございますが、これは実は財政だけの問題じゃないのです。一番基本的な問題は国の総需要を抑制する、こういう問題かと思います。そういう際におきまして一番何が重要なのか、こういいますれば、一つは設備投資の動向、これを安定的に進行させる施策、そういうようなことから金融調整政策をとっております。これは引き続きそういう考え方をとらざるを得ないのではあるまいかといまは考えておるのであります。
 それからもう一つは財政の問題、この財政による需要の喚起をどういうふうに見ているか、こういう見地からまず総ワクを適正なところに置かなければならない、こういうふうに思います。またさらに国民消費の問題、これはとにかく総需要の半分以上を占める問題であります。これをどういうふうに見るか。これはなかなか抑制の手段というものもない。また法的にそうどうのこうのということはないのです。そこで私は、国民が自発的にそういうようなムードに向かうようにということを念願しながら、何とか貯蓄を奨励するというような有効な施策があったならばなあといっていま考えておる最中でございます。そういうような総需要抑制努力をする。その他、当省の直接の関連ではございませんけれども、あるいは流通機構の問題あるいは管理価格の問題とか、いろんな問題があるわけでありまするが、それらはきめこまかく従来の努力をさらに積極化しなければならない、かように考えておるわけであります。
 政府が関係する、いま御指摘の公共料金の問題でありますが、公共料金、これは公共企業体の決定する料金でございますが、公共企業体は申すまでもなく一つの企業体なんです。その企業に赤字が出てくる、その赤字の始末を一体どうするか、こういうことになるわけでございますが、それを据え置く結果、これを国庫が穴埋めをするということになりますると、公共企業体のサービスなりあるいは商品から受益をするところの国民、その一部の人の利益のために一般の納税者がその損失を負担をする。こういうことに相なりまするので、これは考えてみるとなかなか重要な問題になってくるわけであります。そういうようなことを考えまするときに、公共料金の引き上げはいたさないということを一がいに言い切るわけにもいかないのでございます。しかし、物価問題というものが当面差し迫った問題である。何とかしてこれを克服しなければならぬ、こういう段階でありますので、公共料金の引き上げ、これが物価問題にどういう影響を及ぼすか、これもさらに重大な問題だ、こういうふうな認識を持っておるのでありまして、そういう両面の要請をにらみながら、適切にこの問題をケース・バイ・ケース、特に物価問題というものに焦点を置きながら処理しなければならない。新聞紙上を通じて見ますと、いま各省からいろんなことがいわれておるようでございますが、あれがみんな承認されるというようなことになったらこれはたいへんなことになろう、こういうふうに思っております。慎重にかまえてまいりたい、かような考えでございます。
#15
○平林委員 ここで話を少し変えますが、物価の問題に関係がございます。
 ビールの値上げが、これは六月の十九日ごろ読売新聞のニュースだったと思うのですが、おおよそ五円くらい値上げになるという報道がございました。これもこの夏ビール党にとりましては大きな関心事であります。けさの毎日新聞を読んでみるとおもしろいことが書いてある。七月におけるビールの売り上げは史上最高の四十万キロリットル売れたという記事が出ておるわけです。東京銀座の三愛ビルをジョッキに見立てたら七十六ぱい、大びんに換算すると地球を一・二周する六億三千五百八十万本、ビール会社は生産が間に合わないもんだから、七月下旬から酒屋への出荷を割り当て制にするところまできておる。業界では夏場の伸びは対前年比一五%と見ておったところが七月は一六・九%と、見込み違いにかえって困っているというような情報が書かれておるわけです。確かにこの暑さですからビールの売れ行きもなかなか盛んであると思われるわけであります。それだけに、私は企業の利潤状況を具体的には存じませんけれども、値上げをするというような報道はこの情勢から見てどうもぴんとこない、適当じゃないというふうに思うのでありますけれども、この暑さにうだっておる国民大衆に対して、大蔵大臣から、ビールは当面値上げすべきものでないという言明をいただいてりゅういんを下げさしていただけるかどうか。
#16
○福田国務大臣 ビールばかりじゃございませんで、お酒のほうにつきましてもそうなんですが、どうも最近原価が上がってきた。つまり人件費、原材料費、そういうようなことで採算が悪化する、この状態は清酒において特にはなはだしい。この状態はさきの通常国会でも皆さんにるる申し上げたわけであります。そういうようなことから値上げの動きが始まっておる。特に日本酒ですね、清酒につきましてそういう動きが強いやに聞いておるのであります。ただ私ども大蔵省といたしますと、これに対してははなはだたよりない立場にある。自由価格でありますので、政府の行政権限を越えた問題、そういうようなことでなかなかこの始末というものはむずかしいんでございますが、国税庁当局あたりが努力をいたしまして、何とかそういう傾向を、物価問題の大事な際ですから、抑制してもらえぬかというようなお願いをいまいたしておる最中なんです。その結果が一体どうなりますか、これは自由価格でありますので予断は許しませんけれども、ただいませっかくお願いをしておる最中である、かように御了承願いたいと思います。
#17
○平林委員 物価の問題に微妙な影響をもたらすビールの値上げ等につきましても、政府の実力者がお願いをしておるなんという態度はどうも適当なる御答弁と私は受け取らない。いずれにしても、人件費、手数料、運送費の高騰ということはあり得ると思いますが、一面それだけ売れれば薄利多売ということになりまして、十分会社としては利益を確保できるものと思う。
 いまアドバイスがありまして、ビール会社にお願いしているというのは、大蔵大臣自身としてはいま値上げをするというのは適当でないというお考えのもとにおっしゃっておるんじゃないかということでございますが、いかがでしょうか。
#18
○福田国務大臣 好ましくない、こういうつもりでいま業界に話をしておる。もっとも清酒につきましては非常にうるさくいま言ってきておるようです。言ってきておるといいましても、これは認可を求めるとか承認をせいとかいうことじゃないので、こういう状況だというその苦しい立場を訴えてきておる、こういうことでございますが、ビールにつきましてはまだ国税庁当局にそれほどまでの接触はないというふうに承知しております。
#19
○平林委員 国税庁長官にお伺いいたしますけれども、実はこのビールの値上げの問題に関連をいたしまして、私は大臣がおっしゃるとおりに現在は好ましくないと考えておるわけでありますが、一方において根強い値上げ要求というものが行なわれる。これに対して、市民は敏感でありますからすぐ反応するわけであります。そこで、つい最近も団地の自治会におきまして、百三十円より十円安い百二十円ビールとして団地の住民に注文取りをやったところがあります。「ボロ儲けをたたく特集」というので週刊大衆に掲載されておりまして、私もそれを読みました。またこの団地は町田市というので私の選挙区にごく近いから、自治会長も私のところに直接たずねてまいりましていろいろ相談を受けたわけです。資料を調べてみますと特段問題はなく、自治会がこういうようなビラを出しまして、百二十円ビールというようなことで団地に住んでいる人の希望をとって、特約店のサービスを希望したわけです。これは理由があるのですね。酒屋さんだって一本一本配達をすれば、いま人手が足りない、人件費が高い中におきまして相当コストが高くなる。しかし、もしあるグループができて注文を取ってくれて、何百本こっちへ持ってきてくれといえばそれは経費が非常に節約できる。こういう意味で百三十円のビールを百二十円で販売しても十分利益が取れる、こういう計算が成り立つと私は思うのでございます。
 それからまた、私はビール、酒の実情は、飲むほうはあれですけれども実際のほうは詳しくありませんけれども、たとえて言うと、たしか業務用の価格と消費者用の価格というのがあるんだと聞いております。たとえば大きなキャバレーとか食堂とかが大量に仕入れる場合には、百三十円の価格はぐっと割り引きされて販売される。しからば自治会において、これらがそういうグループとして集団で注文する場合にも同じような解釈が成り立つのではないか。業務用は安くする。大衆には百三十円で販売する。これは大量販売のときに当然小売り店はサービスとして行なってもよいやり方である。それは限界はありましょう。百三十円を百円にするとか、ビール税が確保できないというようなところまでまいりましたりすればこれは問題がありましょう。しかしいまのような事情を考えると、百三十円を百二十円で特配をするというようなことは、小売り店そのものとしても大量に販売できればマージンをそこなわないで何とかやっていける、こういうことだと思うのでありまして、これに目をつけた自治会の会長は、物価値上がりの対抗策の一つの市民運動の気持ちでやった。
 ところが、国税庁はこれに対してけしからぬことだというので調査を始めた。何月何日にそこの特約店になった酒屋さんは出てこいと出頭を命ぜられた、こういうことなんでございます。税務署から出頭を求められた小売り屋さんはふるえ上がってしまって、おれは知らない、さようなものにタッチしたくないということになって、その計画はつぶれかかりそうになってしまっている。先般、政府は物価対策の閣僚会議を開きまして、とにかく行政介入によって物価を上げるようなことがないようにしようじゃないかということで、それをぐんと緩和するというようなことが相談をされておるわけでございまして、具体的な項目も検討中であります。私はいまビールの問題を取り上げて、この行政介入の点と比較して考えてみましても、国税庁のとったやり方には少し行き過ぎがあるのではないかと思うのでありますけれども、行政介入までしてこの市民運動をつぶすつもりであるかどうか、国税庁長官にひとつお答えをいただきたい。
#20
○吉國説明員 ただいまお話しのビールの百二十円小売り販売という点につきましては、国税庁自体として特に特別な措置をとったことはございません。私自身も実は新聞で読んだような次第でございます。もし御指摘のようなことがあれば、あるいは所轄の税務署が事情を聞いたということはあり得るかもしれませんが、先ほど大臣が言われましたように、本来酒類の価格は現在自由価格でございます。しかもまた御指摘のように、業務用酒の価格というものが別にあるわけではございませんけれども、大量販売の際の値引きということも事実あるわけでございます。そういう意味では、その大量な販売の際に値引きが可能であるかどうかということは、実際の小売りの状況をごらんいただけば値引きをしておるものもあるわけでございます。ただ、先ほど御指摘がありましたように、全体としての酒税の確保ができなくなるような価格、これは当然自粛すべきものであると思いますし、また実際問題として、先般の国会でも私申し上げたのでございますけれども、こういう問題はいわゆる例外的に起こるということを否定し得るものではないと思います。ただ、全般的に流通機構というものができて、それによって消費者が好む時期に好むものを自由に購入するというためには、やはり小売り段階というものは必要でございますので、小売りというものがマージンを切ってまでやるということは長続きはしないと思います。こういう問題については、この例では何か、新聞によりますと他地区から持ってきているようなふうにも聞いておりますが、自分の地区では普通の値段で売って他地区でダンピングをしているというようなことは、これは一種の商業道徳の問題かと思いますけれども、これは政府の関与すべき問題ではない、同業者としての道徳を喚起してもらえばいいというふうに考えるわけでございまして、異常な価格でないという限り私どもとしては静観をしているということが実際でございます。
#21
○平林委員 私も国税庁がみずからこれに乗り出したとは申し上げておりません。税務署がとにかく町田の酒の小売り商組合から陳情を受けて、そうしてその当該の小売り店の調査に乗り出した。いまお話しのように、自分の管内ではないものだからわざわざ、山梨県のかなり大きな問屋なんですけれども、そこに電話を入れて、山梨県の税務署からまた調べさせるようにした。事情を聞くというならばなぜ団地の自治会の会長を呼んで事情を聞かないのか。一方において自由価格である、だからマージンを割って長続きをするとかしないという問題はあったといたしましても、事情を聞くならなぜ自治会の会長さんを呼んでどうなんだと聞かないのか。それを税務署が、直接やった商店、問屋に対して出頭せよ、こういうようなことをやるのは行政的介入ではないか、私はそう思うのであります。同時に、業界紙を見ますと税務署だけではない。さらに同じその店に対して関東信越局が査察に乗り出すと書いてある。これまでしてこうした運動を押える必要がどこにあるか、私はそれを言いたいのであります。もし、いま前段にお答えになりましたことが国税庁長官の御本心であるならば、こうした行き過ぎた行政介入についてはチェックをすべきではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
#22
○吉國説明員 酒の価格について査察問題が起きるということは、これは当然あり得ないことでございます。そういうようなことが、安売りをすればむしろ損をするはずでございますから、査察の問題になることもないと思います。そのような形で価格介入をするということは私ども考えておりません。
#23
○平林委員 私はこの査察に乗り出すという記事を読みまして、やらせてからひとつ問題にしようと実は考えたわけであります。少し意地悪な見方でありますけれども……。この業界紙に掲げられていることがほんとうであるか、あるいはあなたの言うように、こんなことはあり得ないことだとお考えなのか、調査をいたしまして、もし行き過ぎがあればそれを是正することを希望いたします。よろしゅうございますか。
#24
○吉國説明員 そのような事実があるかどうか、私は取り調べるつもりでございますが、常識では考えられないことだと申し上げておきます。
#25
○平林委員 いや、するかどうかということです。
#26
○吉國説明員 査察というものは、御承知のように十分な脱税資料とか根拠をもってやるものでございます。それをそのような根拠なしに軽率にやるということであれば、これは行き過ぎであるということで、もちろん注意いたしますが、査察がさような軽率な行動をとるとは私は信じておりません。
#27
○平林委員 調査するかしないか。
#28
○吉國説明員 その事実はもちろん調査をいたします。
#29
○平林委員 いずれこれはお伺いをいたしますが、これは小さいことのようだけれども、最近政府も物価問題についてできるだけ行政介入を避けて、行政介入によって値下がりを押えているようなことがあればこれは改めようというような政府の基本的な方針があるわけですね。ですから、国税庁長官、私は具体的に事実を指摘したわけでありますから、そういう事例について一度調査をして御報告をしていただきたい、こう思っておりますから、それだけを委員長にもお願いをいたして、次の問題に移ります。
 次は、日本共同証券の問題について大蔵大臣にお尋ねします。
 昭和三十九年、四十年の証券界の不況期に、株式の凍結機関として設けられた日本共同証券ですね、この共同証券についてはいろいろと私どもも批判がございました。ありましたが、昭和三十九年三月に市場に買い出動を始めましてから、その後発足した保有組合と合わせて、一時は四千三百四十二円億をこえる株式のたな上げが日銀の信用のもとに行なわれたことは御承知のとおりであります。とにかく株式市場の一応の安定をはかる役割りは果たしたものと思われます。その後、株式市場の好転に伴って手持ち株を逆に今度は放出するような情勢になりまして、昨年の四月あたりは株式保有の現在高は六百六十億円くらいになった、最近では百億円を割るというような状況になっておるというのでありますけれども、その事実はどうなのか、まずこれを関係当局からお伺いいたしたいと思います。
#30
○志場説明員 七月末現在で、簿価で申しまして約七十二億円となっております。
#31
○平林委員 そこで、今日の株式市場は一応安定していると大体判断していいんじゃないか。また、共同証券は特殊な事情のもとに設けられたものであるから、今日の環境は共同証券の設立の目的は十分果たしたものと判断してよいのではないか。聞くところによりますと、この九月は年一回の決算の事業年度を終えるということになっておるわけでありますから、そろそろ最終処理を考えるべきであると思うのであります。そこで大蔵大臣、この際共同証券は解散するのが適当だと私は思うのでありますが、御見解はいかがですか。
#32
○福田国務大臣 共同証券は、お話しのようにこの設立されました目的をおおむね達成しようとしておるわけであります。そこで、もうこれをこの段階において存続するのかしないのか、こういうことが議論の対象になる時期になってきておることは事実であります。そこで、この共同証券は私の機関でございまするけれども、しかしながら同時に、これに対しましては国家的庇護というか、日本銀行が低利の金を回したとか、そういういきさつもありまして、ただ単なる私の機関であるというふうな考え方は持っておりません。そこで、私どもとしてはもう大体その使命終了、これが解散ということを考える時期に来ておるのではないかなというふうに存じております。いずれにいたしましても、この十一月にこの共同証券の総会があるわけでありまして、そこで共同証券自体が結論を出すということになってくると思います。
 問題になりますのは、この残余財産をどうするか、こういう問題だろうと思います。その残余財産の処分につきましては、これが私の機関であるにかかわらず公的な援助も受け、かなり公共性の高いものであるという趣旨からいたしまして、この資金は出資者にこれを還元をするというようなことは、私は適当ではないのじゃないか、そういうふうに考えておるのであります。いずれにいたしましても、保有組合の前例もあります。ああいう方向でこの問題は処理されるということが適当ではあるまいか、さように考えておるのであります。
#33
○平林委員 昨年やはり私ども同僚議員がお尋ねいたしたときも、特別の異変のない限りどうやらもう放出を終わってしまうという傾向である、確信を持って申し上げられると言ったのは当時六百六十億円の時代、いま七十二億円。これは自分の機関ではないと言うけれども、これを創設したときは政府はその主導的役割りを果たした。そしてその意義なり必要性なりをわれわれや国民に向かって強調し、特別の措置をやったのは、日銀もそうであるけれども、政府の主導において行なわれた。私はその意味では、むしろ政府もこれに対してはっきりした態度をとるべきではないか。いま現在はありますけれども、十一月の総会にはたぶん保有組合と同じような形で解散ということがあり得る、こういうお話でございますからそういうふうに受け取っていきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#34
○福田国務大臣 方向としてはそのように考えるのですが、そのタイミングが一体どうなるか。十一月に出資者皆さんが会合をいたしまして論議をする、その論議の帰趨による、こういうことかと思います。
#35
○平林委員 そこで、共同証券が解散ということになりますと、いまのところその利益金はどのくらいあるのでございましょうか。
#36
○志場説明員 概算で、会社の計算でございますのでまだ正確でございませんが、資本金三百億円あるわけでございます。それをこえる分といたしまして残りますいわゆる純財産ですが、税金を引きましたあとで二百数十億円残るだろう、かように考えます。
 なお、補足でございますが、ただいま大臣から解散のことに関するお話がございましたが、証取法第三十四条によりまして、証券会社の解散の決議は大蔵大臣の認可を受けなければ効力を生じませんので、その残りました財産の処理のしかたといたしまして、先ほど大臣から公共的な目的に使うことが望ましいというお話がございましたが、解散という形になりますか、どういう形になりますか、それも含めた御答弁であるというふうに御了解いただきたいと思います。
#37
○平林委員 ちょっと念を押しておきますが、この会社の設立からその活動に要する資金の調達は、言うまでもなく特別の配慮のもとに行なわれたわけでございます。具体的には日本銀行から金利その他特別扱いの供給を受けて運営してきた、いわば公共的特殊な性格がある。同時に、当時中小企業におきましてもばたばた倒れるような事態において、証券界の安定ということで、これは一般の国民からもかなり注目をされた問題であります。証取法によれば、利益があったときは一応その株主に分配をするというのは常識かもしれませんが、これはこの常識は通らぬ。私は、この共同証券が解散をして二百数十億円の利益があるならば、その利益処分は、当時を思い起こして国民全般が納得し得る形でなければならない、かように考えておるわけでありますが、具体的には、公共的といいますけれども、どんなことをお考えになっておりますか。
#38
○志場説明員 先ほど大臣から御答弁のありましたように、これはなお、解散につきましては大蔵大臣の認可がなければ効力がないわけでございまして、したがいまして、その意味におきまして私どもとしましても重大関心を持って見守っておる、あるいは議論に参画していくということになりましょうか。形式的には株式会社でございます。ですから、関係者間におきましてこれから協議をしてまいる段取りであるというふうに見ておるわけでございます。その際に、お尋ねのどういう具体的な公共的使命ということに還元するのかということでございますが、さような関係者間の協議が実はいまだそれほど進んでおるという段階でもございません。ただ、もともとが株式市場の崩壊といいますか、不況に対処して、資本市場の振興ということの趣旨で設立されましたものですから、この残りました利益の使途につきましても、資本市場に関係のある方向でという気持ちを持っております。
 なおつけ加えますならば、しかし株式の面におきましていわゆる買いささえ的な機関ということにつきましてはすでに目的を達しましたし、恒久的な機関として、制度としてそういうようなものが残ることは適当でない、かようなことは考えますけれども、しからばどういう方向で、かつ資本市場の環境整備といいましょうか、振興とでも申しましょうか、正常化とでも申しましょうか、さような、どういうものを考えられるかということはこれからの協議、かようにただいまのところは御了承願いたいと思います。
#39
○堀委員 関連……。いまの問題は、大臣の御答弁は非常にはっきりしておりまして、私は大臣の御答弁で十分であったと思うのであります。これができましたときに、これのそもそもの主導者といいますか、提唱者でありました、当時興業銀行の頭取の中山素平さんをこの当委員会にお招きをいたしまして、そしてこの問題について私いろいろ質問をしました中で、中山さんとの間にはお約束がございます。この共同証券が本来の目的を果たしたあとでは解散をいたしますねと、こう私がだめを押してございますが、本来の目的を達しましたら解散をいたしますということが、はっきり当委員会において発言がされておるのでありますから、私は当然、当時の一番中心になって共同証券の創設に努力をされた中山さんは、今日私に対しても当時のお約束がありますから、私は解散が適当だと思う、こう言っておられるのでありますから、大臣の答弁で私は十分であって、証券局長の補足はやや問題を混乱におとしいれるおそれがあるかと思いますので、そういう前提を含めて、共同証券のこの創設当時において私どもが国会でいろいろ議論をいたしましたいろいろな経過からかんがみて、私は当初に大臣がお答えになった答弁で十分であろうと思うのでありますが、ひとつ大臣からもう一回、重ねて大臣としての御答弁をい、ただきたい。
#40
○福田国務大臣 これは解散をするというふうに申し上げました。そのとおりであると思います。ただ、証券局長がもう少しこれを具体的に掘り下げまして、手続的に言いますと、解散をして、そして何か新しい公共の仕事をするという場合に、法人格として前の会社を使うというようなことがあり得るんじゃないかということをおもんぱかって形式的なことを申し上げておると思います。実質的には解散でございます。
#41
○平林委員 なお私は専売公社のたばこ製造工場二交代制勤務について、大臣にもやや関連があってお尋ねをし、専売公社の総裁にもおいでをいただいておりますから、続けたいと思っておりますが、時間が参りました。それで、公社の総裁にはまことにお気の毒でありますが、大臣に対する質問が終わったあと、もう一度専売公社関係についての質問を続けたいと思いますから、委員長、ひとつさようお取り計らいを願いたいと思います。
#42
○毛利委員長 その予定です。
#43
○平林委員 私の質問は終わっておきます。
#44
○毛利委員長 松尾君。
#45
○松尾(正)委員 いま、平林さんから来年度予算についての方向についての質問が行なわれたんですが、私は、四十六年度以降の税に対する基本的な考え方、これらを中心にきょうはお伺いしたいと思います。
 まず、昭和四十五年度の税制改正では、大蔵大臣も政府も、税調の完全実施を行なった、所得税に対しては非常に大幅な思い切った減税をやった、こういうことで、その減税に対する努力に対しては非常に敬意を払うのですが、しかし、現実に当委員会あるいは予算委員会、本会議等でいろいろ四十五年度の税に対する論議が行なわれましたけれども、その論議を総括してみますと、やはり不公平感、それから重税感というものは、その努力にもかかわらず除かれていない、こういうことは政府も感じておられると思うのです。四十六年度については、いよいよこれから始まります道路整備五カ年計画、あるいは最近問題になってきて、これからますますいろいろな問題が起きてくることが考えられる公害対策、こういった面を考えますと、財政需要というものは非常に高く要求されるということが考えられるわけです。こうした中で四十六年度の税制に対する検討が始められたわけですが、私どもは、この税制調査会に対する大臣の要望、こういうものは新聞報道でだけしかまだ承知できないわけですが、新聞報道で総合して承知しますところは、所得税の減税についても検討する、それから間接税の拡大、特に長期的には付加価値税の導入等、これも検討する、さらに国税、地方税の徴収の合理化等、こういうことが中心になって、三つのテーマで大臣から要望されている。もちろんこのほかに、さきの国会でいろいろ審議中に問題になりました交際費の非課税の強化あるいは輸出振興税の検討、さらには租税特別指貫、土地税制の洗い直し、こういうことが検討されると思いますけれども、これらに対して大臣が特に七〇年代という新しい視角での検討を要望されている。どれ一つとってみましてもこれらは単年度で解決する問題でありませんから、これは粛然なことと思いますが、ここで今回の税制調査会の審議にあたって、七〇年代の税制全般の検討と、そうしてその一環として昭和四十六年度の税制改正、こういった形になると思うのですが、要望された大臣の考え方をまず伺いたいと思います。
#46
○福田国務大臣 七〇年代の税制をどうするかということは、経済の情勢が目まぐるしく変転しておりますこの際、非常にむずかしい、また重大な問題である、かように考えておるのであります。税制調百会に対しましてはそういうことで長期税制、つまり七〇年代の税制のあるべき形いかんということをまずお願いをいたしております。しかしこれは時間がかかるので、私どもはいまの見通しといたしまして、ずいぶん勉強してもらいましても来年の夏ごろ、これが精一ぱいではないか、そういうような感じがいたしております。
 そこで来年度、四十六年度の予算編成、これに伴うところの税制をどうすべきかという問題はまたそれとは別個に御議論を願わなければならないだろう、こういうふうに思いまして、それを第二の問題としてお願いをいたし、これはいずれ年末までには結論を得ていただかなければならぬ問題であるというふうに心得ておるのであります。
 そこで長期税制につきましての考え方でございますが、いま私は、松尾さんのおっしゃるように、わが国のおきまして国民の間で、租税負担ということにつきまして重税感を訴える方がかなりあることはよく承知しております。ところが、わが国におきましては租税負担は国際水準から見ますと比較的軽いのです。先進諸国は所得に対しまして負担率は三〇%くらいにいっている。わが日本におきましてはそれが、四十五年度でとらえてみますと一八・八%というように非常に低いわけであります。そういう状態であるにかかわらずなお重税感を訴えられるというゆえんのものは何であるかということを考えまするときに、アメリカは直接税に非常に偏重している税制をとっておりますが、他の先進国におきましてはおおむね直接税をそう中心的なものにしておりません。わが国におきましては、戦前が四、六といわれまして、六〇%が間接税、四〇%が直接税、こういうような状態でありましたが、戦後はそれがだんだんと逆に転じまして、今日におきましては六五%が直接税であり、三五%が間接税であるということになり、そこで負担感という問題が起きてくるのではあるまいか、そういうとらえ方をいたしておるのであります。
 そこで、これからの経済の状況等を見ますると、ますます経済は発展をするであろうし、またさせなければならぬというふうに考えますが、そうするとわれわれの所得も上がってくる。それから同時に、物価問題の処理、いま努力しておりますけれども、これはそう簡単におさまるというわけにもまいらぬ。徐々にこれを解決するということになろうと思います。そういうようなことも考えなければならない。
 そこで私は、直接税の減税につきましてはこれをさらに推し進めてまいりたい。しかし同時に、間接税におきましてはこれを増徴するという考え方をとっていきたい。そして直接税、間接税、全体をひっくるめたところにおきましては、いま社会資本の立ちおくれを取り戻すという問題、あるいは社会保障の問題、公害の問題、物価の問題、いろいろ困難な問題が山積しておりますので、この数年間を見てみますと、あるいは二%と言う人もありますが、そのくらいの負担率の増徴ということはやむを得ないのではあるまいかというふうに考えておるのであります。
 そういう際において来年の税制をどういうふうにするか。これは一応将来の展望をおぼろげながらもにらまなければならぬ問題でありますし、差し迫った問題としてこれを具体化しなければならぬということになるわけでございますが、ただいまの私の考え方としては、直接税減税というもの、これも来年度とにかく現実の問題としてこれを実行していきたい。同時に、長期税制というものもにらみながら、段階的な意味における間接税の増徴という問題を手がけていきたい、こういうふうに考えるわけでありまして、それらの具体化をどうするかということについて税制調査会にいま検討をお願いいたしているというのが現状でございます。具体的にどうするかというところまでは私どももまだ考えておりませんし、税制調査会のほうでも固まっておりませんが、税制調査会の御意向、また国会における御論議等をよく見まして最終的な結論を得たい、かように考えておるのであります。
#47
○松尾(正)委員 いま伺って、まさしく税の負担率が現状は諸外国より低いにもかかわらず負担感が高いという問題は、やはり直接税に重点が置かれているからだという点はよく理解できるわけです。
 そこで、まず来年度の問題は次にして、長期の七〇年代の税制に対する基本的な考え方、ここで私非常に大事な問題だと思いますのは、やはり税に対する基本的な考え方、ここにあると思うのです。わが国の税制が御承知のようにシャウプの勧告によって基礎づけられており、その精神というものがいわゆる国際競争力の強化、輸出振興等、生産第一主義を中心とした経済政策に適応するように仕組まれている、こういう形の税制であったわけです。ところが七〇年代におきましては、先ほども大臣からお話がありましたように、すでに内政重視、いわゆる生産第一主義から人間生活、国民生活重視の経済政策の転換が要望されている、こういう方向に向かっておる。六〇年代以前とずいぶん大きく変わってきた。したがいまして、税制も当然これに適応するように基本的なワク組みを根本的に変えていかなければならない、これはもう十分お考えと思う。
 ところが、こうした立場で見ますと、このたび大臣が直間比率の問題、重税感の問題等を中心にしてと言われましたけれども、間接税の増徴、拡大ということを要望したということがいろいろなニュースで非常に大きく報道されているわけです。こういう中で直間比率その他、あるいは重税感というものの原因がここにあるんだというようなことを国民がよく理解しない間に、とにかく間接税を拡大していくんだ、こういう受け取り方をしておるものですから、したがって国民全般の考え方としては、激増する財政需要を確保するために大臣が間接税の拡大強化ということを考えておることはいわゆる税収対策じゃないか、こういう印象を受けざるを得ない。この事実も答申が出ればわかることですけれども、とにかく先ほど述べましたように、七〇年代の税制については、従来の資本蓄積という考え方から生まれてくる基本的な税の不公平、こういったものを徹底して洗い直す、そしてほんとうに公平なものを具体化していくというものでなければならない、こういうふうに考えるわけです。この税制に対して、もちろん出る前ですから具体的に伺うわけにまいりませんが、大臣の考え方ですね、税を根本的にひっくり返してもほんとうの税の公平という原則をここのところで徹底していくんだという考え方でいかれるかどうか、この点についてひとつ大臣に伺いたいと思う。
#48
○福田国務大臣 税は申し上げるまでもなく公平ということを第一義として考えなければならぬと思います。税制というものは第一に何といっても公平の原則、これを貫かなければならぬ。第二には、税制というものが負担能力に応ずるという考え方、これを重視しなければならない。第三には、そういう中におきましても負担感がなるべくないというような形を考えなければならない。その三つを常に税制並びに税務執行上重視してまいらなければならぬというふうに考えておりますが、そういうことにつきましては常々努力を払っております。おりますが、足らざるところがあればいつでもこれは直さなければならぬ、こういうふうに考えております。先ほども申し上げましたように、七〇年代、これは経済が目まぐるしく変転していくであろう。そういう、税をめぐる環境を十分見詰めながら、ただいま申し上げたような問題をできる限り解決いたしていく、これを旨として税制改正に臨みたい、かような考えでございます。
#49
○松尾(正)委員 時間が非常に短いので、ぜひひとつ七〇年代の長期税制の考え方については、いま言われたその三原則を徹底して貫いていくという腹で取り組んでもらいたいということを要望したいと思うのです。
 それから当面の、先ほどお話のあった四十六年度の課題として具体的に例を所得税で見た場合に、いま大臣は徹底的に公平を貫きたい、こういうことでありますが、さきの委員会でも相当論議されましたように、捕捉率一つ見ましてもクロヨンというような――これは見方が問題だという論議もありますけれども、要するに二千万人をこえるサラリーマンには九〇%だ、それから百三十八万人の事業所得者には六〇%、二十六万人の農業所得者には四〇%という、こういった捕捉率が国民が理解できるようによほど説明をしてもらわないと、どうしても取りやすい二千万人をこえるサラリーマン、いわゆる大衆課税をやっているんだという考えは除けない、こういうふうに思うんです。これに比べて配当課税を見てみるとどうかといいますと、五人世帯で二百八十二万円までは税がかからない。サラリーマンの場合どうかというと、高校を卒業して単独で三十二万といいますから、二万円足らずでも税金がかかってしまう。こういう点は、もちろん税制上いろいろな理由があるんですけれども、しかしもうここへきて思い切ってこれをだれが見ても納得できるような形にしていかなければならない、こういうふうに私は考えるんです。
 こういった点についても腹を据えて取り組んでおられると思うのですが、ここでついでに、当面の問題として所得税の減税についても考えている、こう言われておりますが、連日のように物品税が拡大される、こういったようなニュースが非常に強いために、先ほどもちょっと触れたように、国民は現状を、非常に税の負担感が高いというものを持っているにもかかわらず、この上物品税を拡大していく、こういうような面だけを耳にして非常に不安を感じている、いろいろ心配をしている、また不満も言っている、こういう形が見られますが、ここでまず所得税について、もちろん答申が出る前に具体的な数字はあげられませんけれども、五人世帯で――自民党の税調等でももう四人世帯で、こうすべきだというような意見も報道されておりますけれども、五人世帯で百三十万円ぐらいまでに思い切って課税最低限を引き上げる、こういう腹で取り組んでいくお気持ちがあるかどうか、その点をひとつ当面の問題として伺いたいと思う。
#50
○福田国務大臣 先ほど申し上げておりますように、わが国におきましては租税負担率というものは各国に比べてさほど窮屈な状態にはない、むしろ非常に低位にある、こういうふうに考えておるんです。それにもかかわらずいま松尾さんからお話しのようなことが言われる。いまお話を承っておりますと、所得税減税のほうはたな上げして、物品税の、あるいは間接税の増徴だけを政府は考えておるというようなお話でございますが、そうじゃないんです。この点は私どももずいぶんPRをしておるつもりでございますが、そういうんじゃなくて、所得税減税を大いにやって、そうして負担感を解消していきたいという意図であるということをとくと御了解願いたいし、また有力なる組織を持たれておられる松尾さんにおかれましても、こういう考え方なんだと、政府はそうなんだということをひとつよく周知せられるよう御協力を願いたい、かように存じます。
 所得税の減税をどういう形でやっていくか、また課税最低限を引き上げるがいいかあるいはほかの形がいいか、そういうような問題につきましてはまだ具体的な構想は持っておらないのです。しかし、ここではっきり申し上げますが、所得税減税はいたしたい。そういう、所得税減税をやる中におきまして、国会において御論議がいろいろありました、そういう御論議の中で私どもがいろいろ検討しておる。検討の結果、これは適切な御意見であるというふうに考えられるものにつきましては、これを積極的に取り上げていきたいという考え方をいたしておるということだけを申し上げておきます。
#51
○松尾(正)委員 具体的な数字はもちろんいま大臣の口から答えられないということはわかっておりますけれども、その大幅な腹がまえで取り組んでもらいたいということだけはひとつここで強く要望したいと思うのです。
 あと、具体的に交際費課税の是正の問題あるいは公害新税の問題、自動車税の問題等についても大綱だけ伺いたいと思ったのですけれども、時間が非常に切迫しましたので、ひとつ先ほどの公害税の件について、平林さんへの答弁の中に公害税に対しての考え方は大臣から述べられていなかった。
 そこで、この公害に対してはもう総理大臣も非常に重視をして、来年度は陣頭に立って取り組んでいく、こういうことでありますし、大臣からもまた各省に、公害に対しては重点的に配慮するようにという概算要求に対する要望もある。こういったことは、結局これから公害というものがもうどんどん予測しないような事態が生まれてくる、こういうことを考えて対応するため、こういうふうに考えるのです。そこで政府でも、公害は企業責任だ、こういうことがいわれておりますし、さらにまた産業との調和ということも、これももう除かなければならないだろうという議論も行なわれておるわけです。まあ、ここまで来ている公害に対して、一般財源で公害に対する手を打っていくという考え方はあまりにもそこに大きな――企業責任だと一方で言っていながら、その今後の問題に対しては一般財源で、被害を受けているものの税金でこれを充てるということには矛盾がありはしないか。したがって、相当むずかしい問題ですけれども、やはり公害税というものが検討されていいんではないか、こういうふうに考えるわけですが、この点だけひとつ大臣から考え方を伺いたいと思います。
#52
○福田国務大臣 公害対策は、その公害を発生いたしました個々の発生源、これがまず第一に、一義的に責任を持つべきである。その発生源は多くの場合において企業者であろう、こういうふうに思います。その企業者がたとえば工場から有害な煙を出さないような装置をする。それには金がかかる。これは企業者の負担になるわけでありまして、そういう意味においては税という名前は使いはしないと思いまするけれども、これは企業が大きな負担を負うということになるわけでございます。
 それから、不特定多数というか、の発生源があって、それが集結すると大きな公害をかもし出す。たとえば水の汚濁というような問題、そういう問題にどういうふうに立ち向かうかということになりますと、あるいは下水道の処置というような問題、そういうことに発展してくるかと思うのです。そういうことになりますると、これは個々の発信源を追及したそれに対策を求めるという一ことも困難なことかと思います。そういう際には、この発生源者に責任は全然ない、こういうふうには言いません。これも責任は追及されなければならぬと思いまするが、同時に政府あるいは地方公共団体、こういう方面において財政的な責任も負うということにもなってくるだろう、こういうふうに思います。それらの場合におきまして、国や地方公共団体がさあ税金、その施設のために特別の税を設定するか。私はそういう必要はないと思うのです。これは一般財源というものを調達する、そうして一般財源の中から必要に応じてこれを充当するということで一向差しつかえはないのです。
 公害税、公害税というのが抽象的によくいわれます。いわれますけれども、どういうことを考えて公害税ということをいわれるのか、私は実は理解に苦しむのでおりまして、松尾さん何かいい構想でもありましたらお聞かせ願いたいという感じを持つほどでございますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
#53
○松尾(正)委員 公害については政府もあげて考えているし、私ども真剣に取り組んで、今後お互いに総知を結集して臨んでいかなければならない問題、こういうふうに思います。
 それで次にもう一つ、いま問題になっている金融引き締めについて伺いたいのですが、昨年九月の公定歩合の引き上げから始まってもう引き締めが一年になろうとしておるわけです。今度のこの金融引き締めの状態がいままでと違った点は、中小企業に対しては初期のうちにあまり影響がなかった、こういう点が見られたのですが、しかし一年になろうというこの長い状態のためにいろいろな事態が起こってきて、経済の健全な発展にいろいろなひずみも見え始めた。一般的に見て具体例をあげますと、中小企業金融の逼迫の度合いが強くなってきている。これらの点を考えましたときに中小企業金融の先行きについて相当不安が生まれている。大臣はこの中小企業金融について、この引き締めを今後もし続けるとすれば、いろいろな不安に対して何らか方策を持っておられるかどうか、まずこの点について伺いたいと思います。
#54
○福田国務大臣 今度の金融調整という名前の引き締め政策は、これは非常に重大な意義を持っておるのです。つまり、去年の九月からこれを始めておりますが、今日なお経済活動は非常に活発だというふうに観察をいたしております。いまの状態でいきますと、これは四、五年で日本の経済が倍になる。この四つの国土の上で生産される品物が倍になろう、こういうのです。一体そういう際においてその資源を獲得できますか。鉄鉱石を、あるいは原油を、あるいは粘結性石炭を入手できるかというとなかなか入手はできない。これはいまの勢いでいけば、数字上は四、五年で日本の経済は倍になりますけれども、倍にならない。もう一、二年でそういういろいろな壁にぶつかっちゃうのです。そこで、そういう壁にぶつかり、日本経済が混乱するというその一歩手前においてこれを防止しなければならぬというので、この経済の成長の高さということを問題にいたしておるわけです。この成長の高さがこれだけはなはだしければ労働の需給も非常に逼迫し、賃金、物価の間に悪循環が出てくる。これは私は救いがたい物価高ということになってくるだろうというふうに思います。そういう点を考えると、金融調整政策は日本の将来のために非常に重要な意義がある。その点を踏んまえて大企業も中小企業もひとつこの政策に対する深い御理解を得なければならぬというふうに考えておるのでありますが、しかしその中におきましても中小企業は弱い、小さい、そういう立場にある。これには特別の配慮をしなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、特に中小企業は、いまの体制が続く場合におきましては年末金融の処理というようなことに相当問題が出てくるんじゃないかというふうに考えまして、それらのこともおもんぱかりながら、中小企業金融につきましては、引き締め体制の中でありますけれども、ひとつ特別配慮いたしていきたい、こういう考えであります。
#55
○松尾(正)委員 前回にも問題になりましたけれども、金融機関の中小企業金融に対する歩積み・両建てというような傾向もぼつぼつ見えてきている、こういう問題があります。そこでいまお話があったように、非常に大きな、経済を左右する問題だけに、これは政府でも相当重視している問題ですけれども、季節調整済み指数で機械受注の動向を見てみますと、四十五年の二月以降前月比は、二月の前月比は三六・四%と非常に高かった。ところが三月、四月、五月とずっとマイナスになって、六月には大幅に二三・二%と減少しているわけです。こういった傾向と、さらに卸売り物価を見ますと、四月までずっと上昇してきたのが五月は横ばいで、それから六月には〇・四%低下し、七月に入っても持ち合い、多少下降の傾向が見えてきておるわけです。こうした動きから見て、今度の大きな引き締めのねらいである民間設備投資は鎮静方向に向かっているということが、この指数の中から、あるいは卸売り物価指数から見られるのですけれども、こういった金融機関の歩積み・両建ての問題、あるいは中小企業に対する先行き不安、こういったことを考えると、ここで政府はこの引き締めを緩和する方向に向かっていいんではないか、こういうふうに考えるのですが、その考え方を簡単に伺いたいと思います。
#56
○福田国務大臣 経済は生きものである。生きた活動をしているわけです。その生きものを対象とする金融政策でございまするから、硬直した考え方をとるという考えはありません。しかし、先ほどから申し上げておるとおり、金融引き締めの基調、これにつきましてはまだまだそう簡単にこれを変えるという時期ではない、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。いまいろいろ指標を並べてのお話でございますが、ことしの上半期、これを昨年の上半期に比べてみますと、設備投資でもまだ三〇%近い高さである。あるいは機械受注は頭打ちの感がありますけれども、それでもまだ前年の同期に比べて二五、六%ふえている、こういうような状態であります。設備投資もそういう状態でございますが、あるいは一般の消費も非常に堅調でありまして、その傾向を示すデパートの売り上げ、これなども二〇%をこすというような状態であり、日銀券の増発、こういうことにもそれらがあらわれてまいりますが、それも一九%というので、いずれの指標をとらえてみましても岩戸景気以来の高い水準、こういうことになっておるのでありまして、これはもうお話しのように、物価のほうにおきましてもあるいは機械受注につきましても少し頭打ちという傾向は出ておるのでありまするが、この段階で引き締めを解除したというようなことになりますとまたもとに戻ってしまう。たいへんなことになりますから、そういうことを考えますときに、これは一億国民が全部ひとつ忍耐をもってこの時局に臨まなければならない、こういう時期かと思います。まあしばらくしんぼうする、そしてその成果が出てくるということになりますと日本の経済は安定的な成長路線に定着してくる、こういうふうに考えます。何とぞ御協力のほどをお願い申し上げます。
#57
○松尾(正)委員 時間も経過しましたので最後に一つ、懸案の児童手当について大臣の考え方を伺いたいのですが、厚生省では非常にこの実現に努力して、七月二十八日の閣議で、いま審議会で検討中の児童手当については概算要求締め切り後でも追加要求をしたいから了解してもらいたい、この了解を求めております。したがって、鋭意審議会で答申を準備しておりますが、大蔵大臣としては、もし締め切り後でも答申が出た場合にはこれを予算化する腹を持っているかどうか、この点はっきり伺って終わりたいと思うのです。
#58
○福田国務大臣 先ほど申し上げましたように、この間の閣議で概算要求の二五%天井ということをきめたわけですが、その後に厚生大臣から、児童手当につきましては八月一ぱいにはこれを提出いたしかねるというお話がありまして、私は例外といたしましてこれを了承いたしたわけなのです。厚生省は、八月三十一日の概算要求には間に合わないで、追いかけて追加要求をすることになると思いますが、その追加要求は審議会のほうの結論を待って、それに沿ってやってくるのじゃあるまいかというふうに想像されます。児童手当につきましてはいろいろ国会でも御意見があり、また世間でもずいぶんの御議論があるところでございまして、それらの状況につきましてはよく承知しておりますので、審議会の結論、それに基づくところの厚生省の要求、そういうものを見た上で、これは国家財政にも非常に大きな関係がある問題でございますので、その内容等につきましてもとくと検討し、厚生省とも相談をいたしまして、前向きで善処してまいりたい、かように考えております。
#59
○松尾(正)委員 終わります。
#60
○毛利委員長 永末君。
#61
○永末委員 大蔵大臣、ただいまたばこをおのみでございますが、大蔵大臣にとってたばこはどういう意味を持っておりますか、伺いたい。
#62
○福田国務大臣 頭がもやもやしたときなんか、何となく気分がすっきりするという効果を持つと思います。
#63
○永末委員 私は、個人福田赳夫さんに聞いているのじゃなくて、日本国の大蔵大臣というものが、この専売公社のたばこというものを手に持った場合にどういうことをお考えになるか、これを伺いたい。
#64
○福田国務大臣 国民の中には多数の喫煙者がいますが、おそらく私のような気持ちで喫煙をしているという人が多いのじゃあるまいか、かように考えております。
#65
○永末委員 きょうは夏場でございますが、趣味の話をしているのではございません。大蔵大臣は憲法二十五条の第二項の、「國は、すべての生活部面について、社會福祉、社會保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」こういう規定は特に御存じだと思います。これは大蔵大臣は尊重されますね。
#66
○福田国務大臣 尊重いたします。
#67
○永末委員 たばこは社会福祉の向上並びに増進に役立つとお考えですか。
#68
○福田国務大臣 ただいま申し上げたように、われわれの生活に潤いを添えるという意味におきまして存在の意義があるのじゃあるまいかというふうに考えております。ただ、たばこにつきましては、これが健康上有害であるという議論があるのです。まだ有害であるという議論は立証はされておりませんけれども、その有害であるという議論があるということは念頭に置いてこのたばこ行政というものはやっていかなければならぬ、大蔵大臣としてはさように考えております。
#69
○永末委員 後段の部面はまた伺いますから……。
 前段のところで、警察庁の方、来ておられますか。――警察庁の方に伺いますが、時間ありませんから簡単に御返答願いたい。
 あなたのほうで少年非行と喫煙との関係について相関関係ありという調査の結果を発表されたことはございますが、相関関係がどこにあるか、お答え願いたい。
#70
○原説明員 お答えいたします。
 少年のたばこをのむことは一応法律で禁止されておりますので、喫煙少年は補導しておりますが、そういう喫煙した少年が非行とどういう相関関係があるかということについてはまだ詳しい研究とかデータは出ておりません。ただ、たばこを吸う少年がたばこほしさにたばこを盗んだとか、あるいはたばこの自動販売機から五円硬貨を百円に擬装してたばこをとったり、つり銭を詐取した、こういう二、三の事例はございますが、喫煙と非行の非常に詳しい相関関係というものはまだ出しておりません。
#71
○永末委員 詳しい相関関係でなくても、大体の傾向はどのようにお考えか、お答えあれば伺いたい。
#72
○原説明員 少年の不良化の第一歩はやはりたばこを吸うことから始まるのではないかと思いまして、喫煙少年につきましては補導を強化しておるということでございます。
#73
○永末委員 専売公社の総裁、いま未成年者がたばこを買いに来たときは売っていいのですね。
#74
○北島説明員 その未成年者が吸うものであればこれは売ってはならぬわけでございまして、そういうことは注意しております。
#75
○永末委員 そんなことがわかりますか、買うときに、たばこ屋で。あなたはそんな妙なことをおっしゃっちゃいけませんな。たばこ屋に行って金を出してハイライトをくださいと未成年者が言ったって、吸うか吸わないかわかりませんよ、神さまじゃないから。私は、そのとき売るか売らぬかということを聞いている。
#76
○北島説明員 未成年者が買う場合に親の代理で来る場合もございますから、おそらく一般の販売店についてはその場合売っているんじゃないかと思いますが、ただし未成年者が特に口にくわえており、それをさらにまた吸うような場合は、これは売ってはならぬわけであります。その未成年者が吸うことは明らかでございますから。
#77
○永末委員 要するに野放しみたいな答弁だと思うのですね。
 大蔵大臣、先ほど公衆衛生に関係して、健康に有害であるという説があるけれども立証できない、していない、こういう御見解を示されました。もし政府機関でこれが有害であるということをはっきり言っている機関があるならば、あなたはこれをお認めになりますね。政府の、あなたの大蔵省以外の政府機関で、たばこが身体に有害であるということを認めておる、そういう判断をしておる政府機関があれば、あなたはこれをお認めになりますか。
#78
○福田国務大臣 政府機関にもいろいろありますが、ほんとうに適切に、たばこが有害であるやいなやを最も適切に判定する研究機関が有害であるというふうに認定いたしますれば、これは有害だというふうに私としても認定せざるを得ない、かように考えます。
#79
○永末委員 昭和三十九年一月二十五日に厚生省の児童局長が都道府県知事並びに指定都市の市長あてに通達を出しました。通達の首題は「児童の喫煙禁止に関する啓発指導の強化について」であります。その中で「喫煙が未成年者の心身の発達に及ぼす害についても、既に各関係者および一般国民の承知されているところであると思われる。」と書いてある。――児童局長、来ておられますか。――これを出されましたね。
#80
○橋本(光)説明員 三十九年にその通知は出してございます。
#81
○永末委員 大蔵大臣、いま読み上げましたように、厚生省という政府の機関が、児童に対してはかくのごとく害がある、害があるというのは一般国民が承知されているというのだから、いわんや大蔵大臣は承知されておるでしょうね。
#82
○北島説明員 これは私の個人的な考え方かもわかりませんけれども、たばこのいわゆる有害性につきましては、私は量と期間を離れては考えられないのじゃないか、こういうふうに考えております。一がいに、たばこは一本吸っても有害だ、一日十本吸っても有害だ、二十本吸っても有害だ、こういうものではない。長期間にわたって多量に吸うことはやっぱり何らか健康上問題があるだろう、こういうことは私ども常識的に考えられるところであります。ただ、その程度については、私は学理的にまだ十分究明されていないものと考えております。
#83
○永末委員 あなたはもう一つこの通達の意味を御存じない。この通達は、先ほどちゃんと読み上げたのですが、未成年者という、まだまだ心身が固まっていない者については、そう多量でなくても、成人に比べては少量でも害があるということを厚生省は言うておるのだと思う。二つだけじゃございませんね。
 いまあなたの言われたのと、昭和三十九年二月六日、厚生省の公衆衛生局長の同じあての通達に、「喫煙の健康に及ぼす害について」、「成人の長期多量の喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは明らかであり」と、こういうふうに書いてある。これは「明らか」であるのですね。どうかわからぬという話じゃない。厚生省の方、これはこのままですね。厚生省は何らかのやはり調査研究に基づいて「明らか」である、害があるということをこの通達は言われたのですな。お答え願いたい。
#84
○今野説明員 いまおっしゃいました二月六日の通知は出してございますが、ここに書いてございますように「長期多量の喫煙が健康に悪影響を及ぼす」という意味でございまして、これは従来から厚生省におきましてもいろいろ国内的な研究、また諸外国のこの種の研究を聴取いたしまして、いろいろ専門家の方々に検討していただいておるわけでございますが、その限りにおきましてはやはり、これは全貌的な面では明らかではございませんが、ここに書いてございますように、長期かつ多量の喫煙というのが影響を及ぼすことは、学問的にはこれは否定することはできないというような現状でございます。もちろんこれは今後も研究を続けてまいるような種類のものでございます。
#85
○永末委員 あなたの説明を聞いておるとよくわからぬ。明らかではないが学問的にはそうなっておると言う。長期とはどれくらいか、多量とはどうかを聞いてるおわけじゃないのであって、要するに、どういうことをやられたかわからぬけれども、この時点において長期多量の喫煙というものは健康に悪影響を及ぼすことは明らかだと書いたのじゃありませんか。明らかだと書いておいて明らかでないという答弁はないでしょう。明らかでしょう。明らかと判断したから出したのでしょう。
#86
○今野説明員 ちょっと私の答弁が不足であったかと思いますが、これにつきましては、悪影響を及ぼすということは明らかだという意味でございまして、これはほかの学問的な全貌的な前提において害があるという意味合いとはちょっと違うという意味で申し上げたわけでございます。
#87
○永末委員 学問的以外に悪影響を及ぼすというのはどういう判断ですかね。きょうは大蔵大臣に聞きたいので、妙な話は私は厚生大臣に一ぺん来てもらってはっきりさせましょう。
 大蔵大臣、政府の機関がこういうものを出しているわけですね。あなたはいまのやりとりをお聞きになって、たばこというものはわが国民の健康に悪影響を及ぼすということが政府の考えだとあなたは承知をして大蔵大臣をつとめておいでかどうか、伺いたい。
#88
○福田国務大臣 いろいろ御議論がありますので、そういう御議論のあるということを踏んまえてたばこ行政に当たらなければならない、かような考え方を持っておるわけであります。
#89
○永末委員 七月三十一日の新聞紙で次のような記事が一斉に発表されました。すなわち、それは五月十九日にWHO、世界保健機構の総会で決議をされたものに基づいて、その事務局長が日本政府あてに書簡を送ってまいりました。その書簡の内容の第一点は、喫煙が健康に悪影響を及ぼすのだという意味合いの決議を伝えること、第二点は、その総会で提出された喫煙制限に関する報告の目的を達するようなことをやりなさいという勧告をすること、第三点は、この勧告を実行するために示唆をするんだ、こういう三点を含んだ世界保健機構の事務局長の書簡が政府に参り、それを受けて大蔵省は専売公社にちゃんとやれ、こういうことを命じたと伝えられておりますが、この保健機構事務局長の書簡なるものを大蔵大臣は内容的にどのようにお受け取りになったか、お伺いいたしたいと思います。
#90
○福田国務大臣 WHOの事務局長から送られた書簡は、厚生省を通じまして当省も入手をいたしております。これはそういう国際的な心配もありますので、この書簡につきましてはすなおに政府としてはこれを受けとめなければならぬ、かように考えます。
 そこで、どういうふうにこの手紙の趣旨を実現をするか、すなおに受けとめたという立場において実現をするか、これにつきましてはただ単に大蔵事務当局が、あるいは専売公社当局が独断的にきめることは適当ではあるまい、さように考えまして、大蔵省の機関でありまする専売事業審議会の意見も聞くというふうにいたしたい、さように考えております。そして国民的水準においてどの措置が妥当であるかという結論を得ました上、それを実施いたしたい、かような考えであります。
#91
○永末委員 大蔵大臣、この専売事業審議会が審議をすることは――WHOの決議は私の見るところ、その内容は、喫煙は有害であるという前提に立っての決議であり、勧告であり、示唆である。したがって、この専売事業審議会のやることは、その前提の上にどういう措置をとるか、こういうことですね。
#92
○福田国務大臣 その書簡をすなおにひとつ実施しよう、受けとめていこう、こういう趣旨でございます。
#93
○永末委員 新聞の伝えるところによりますと一年くらいかかるというのですが、この審議会は、いま大蔵大臣の言われるところによりますとすなおに受けとめるのですから、もう一度あらためてわが専売公社のつくっている紙巻きたばこは有害かどうかなんということをやるのではなくて、措置をやるのだ。一年もかかる問題ですか。
#94
○福田国務大臣 私が専売事業審議会にお願いをするのは、有害であるかどうかという議論じゃないのです。確かにお話しのような、措置をどうするかという問題でございます。したがいまして、そんなに時間のかかる問題ではないし、できる限り取り急いで結論を得るようにお願いしたい、かように考えます。
#95
○永末委員 それではもう一度あらためて伺いますが、この決議の内容というのは、イギリスのフレッチャー教授、それからアメリカのダニエル・ホーン博士という人々がこのWHOのコンサルタントとしていろいろ苦心して集めた報告、喫煙と健康という表題、これが提出をされ、採択をされてでき上がったものでありますが、その報告の中には、紙巻きたばこの喫煙は貧血性心臓病、それから肺ガン、慢性気管支炎、気腫、そういうものにはその病気を悪化せしめ、また死亡率を高め、余病を併発せしめる、こういうことが詳しく統計的に処理されているわけですね。これをすなおに受け取られたのだから――先ほど大蔵大臣は当初、たばこが有害であるという説もあるけれどもまだそれは立証されていないと言われましたが、すなおに受け取られた以上は、有害である、こういう前提に立ってたばこをお考えになる、こういうことですね。
#96
○福田国務大臣 日本政府全体として、学問的にたばこが有害である、こういう認定はしていないのです。しかしWHOなんかにも、言われるようにそういう有力な意見もある、そういうことでありまするし、それ以外におきましてもいろいろ意見もある。アメリカあたりは喫煙者たる国民に対しまして警告をしておるというような事情もあります。そういうような事情も踏んまえまして、これはすなおに国民に何らかの意思表示をすることが適当である、こういう考え方でございます。
#97
○永末委員 わがほうの政府は、大蔵省のあなたのほうの御意向をきわめてそんたくするくせがあるように、外から見ていると思われるのですね。厚生省ではすでに曽田国立公衆衛生院長を主任研究者として、人がんの多発原因に関する研究班をつくって一応の中間報告が出ているわけです。これはガンに着目したことでありますが、その中間報告を見ますと――これは科学朝日九月号に出ておりますからごらんになればおわかりですが、平山雄さんの署名で出ております。これは政府の機関がやった仕事ですね。その中には、ガンに着目しつつあるけれども、福田さんは何本おのみになるか知りませんが、五十本以上のんでくるとやはり命を縮める。国民のために長生きされるのは福田さんの義務じゃないかと思いますが、そういうことが書いてある。だから大蔵省としては、大蔵大臣がいまだに、よその国でこれだけやってきていることはあるけれども、日本政府の公的機関としてはたばこに対する判定がまだ学問的にはっきりしていないというのではなくて――たいして金はかかりませんよ。公害の防止といったって、たとえば食品公害でガンを発生させるような色素だとかあるいは添加物だといいましても、その業者のほうは、たばこをどうしてくれるのだ、こう言っているのです。政府がまず政府のつくる商品に対して、はっきりと国民にこれこれであるということを説明できるように早くすべきだ。そうでなければ、いま言われました専売事業審議会が何かやろうと思っても、何か悪いのでないけれどもやるのだ、そんなことじゃいけません。やはり早くはっきりこのたばこに対する研究をして、あるいはその中で四十八本ではいかぬけれども十二本ならいいということになるかもしれませんね。そうすると専売公社の販売計画も十二本でやれるというようなことになるかもしれませんね。これは一例でございますが、やはりたばこというものは一般大衆の嗜好品の最たるものでありますから、国民のたばこに対する信頼がぐらついておるとするならば、こういうものであるということを政府の責任において研究をし、結論を出し、これを示すというのが当然のことであると思いますが、大蔵大臣の御意見を伺いたい。
#98
○福田国務大臣 全くそのように考えます。ただ、国民に対しましてこういう問題がありますよということを周知していただくその方法は、これはむろん広く各界の意見を聞いてやったほうがよかろう、こういうふうに存じまして、専売事業審議会の皆さんに、国民代表としてのというような意味を兼ねまして御意見を伺ってみたい、かように考えておるわけであります。
#99
○永末委員 専売事業審議会がやるわけでございますが、すでにアメリカ等におきましてはことしの七月一日から紙巻きたばこの箱に、これは有害であるという表示までさしておる。これは法律をつくってさしておるわけです。先ほどすなおに受けとめられた世界保健機構の事務局長が政府に手渡したものの中にも、葉たばこの生産者の作付転換の問題についても加盟国は研究すべきである、こういう勧告をFAOにしたい。当然これはメンバーであるわが国に対してもやっておるわけでございまして、そういうことも含めて検討する御意思であるかどうか、伺いたい。
#100
○福田国務大臣 葉たばこの問題まで問題が波及するかどうか、これはこれからのたばこの売れ行き等の推移を見なければわからぬわけでございます。しかしともかく、永末さんのおっしゃることは、何か国民にたばこの性格、これはよく警告をしておく必要があろう、こういうことかと思います。そういう方向で審議会に臨みたい、かように考えています。
#101
○永末委員 大臣に対する質問はこの程度で終わります。
#102
○毛利委員長 小林君。
#103
○小林(政)委員 私は、政府の韓国に対する経済援助の問題についての、時間がありませんので、基本的な態度、そうして一、二の問題点について伺いたいと思います。
 御承知のとおり、韓国経済は財政借款によって成長してきたというふうにいわれております。しかも現在の状態というものは、その財政借款の総額は、承認借款を含めて約二十四億ドルというふうにいわれておりますし、しかもその元利償還がことしから始まる。そして特に七〇年度の、第一年度であることしは一億七千万ドルの元利償還、あるいはさらに米国の無償援助というものもことし一ぱいでこれが打ち切られる。あるいはまた在韓米軍が来年の六月までに二万人の削減を決定し、これによって減少するドルというものが三億ドル近いということがいわれております。このような中で、財政借款の返済というものはきわめて困難であり、しかも事実上不可能に近いであろうというようなことがいわれておりますけれども、このような韓国経済の情勢の中で、このたび新たな新規借款あるいは財政借款を約束をしてきた、この根本的な理由についてまずお伺いをいたしたいと思います。
#104
○福田国務大臣 韓国経済は、国際収支の面から見るとなかなか容易ならざる問題をかかえておると思うのです。しかし国内経済から見ますと、第二次五カ年計画というものが非常に順調に進展をいたしておるわけでございまして、この成長率なんかからいいましても、年率一二%というような高さの成長発展をしております。私も今度四年ぶりで行ってみましたが、都市といい近郊といい、見違えるような姿のように見てまいりました。そういう経過を経まして、これから韓国は第三次五カ年計画を七二年からスタートをいたすわけであります。この七二年からスタートする第三次計画、これが順調にいきまするとかなり韓国経済の基礎固めというものが行なわれるんじゃないか、そういうふうに見ておる。アジア開発銀行の総裁である渡辺さんが二、三日前でしたか参りまして、東南アジア各国の経済情勢をずっと総裁の見た所感を申しておりましたが、特に韓国経済の発展というものが目ざましいものがある、これは優等生であるというふうに言っておりましたが、私の見るところによりまするとまだ優等生というふうには言い切れません。しかし、いま第二次計画から第三次計画に移る重要な段階に差しかかっておる。ここでしっかりやればかなりこれは安定した経済状態が築き得るんじゃないか、こういうふうに考えます。そういうふうなことで、わが国は世界各国に対しまして、昭和五十年までには、つまりあと五カ年以内には、国民総生産の一%程度の対外経済協力をするということを宣言をいたしておるわけなんです。その中でも私は近隣のアジア諸国に重点を置きたい、こういうふうに考えております。近隣中の近隣である韓国、これに対しましても、とにかく一衣帯水の隣国韓国である、その経済がどういうふうになるかということにつきましては重大な関心を持たなければならぬ、そういう基本的なかまえを持ちまして今回の日韓経済閣僚会議にも臨んだ、かように御了承を願います。
#105
○小林(政)委員 現在置かれている韓国のこの元利償還等含める経済情勢の中で、具体的に私は、日本の財政借款等の供与については、返済の見通しというようなものについてどこまで大臣ははっきりとした方針をもって臨まれているのか、その点について一点お伺いをしておきたいと思います。
 さらに、時間がありませんので、大臣は日韓閣僚会議から帰国をした直後の記者会見で、わが国としては軍事産業には援助はしない、このようなことを考えている、こういうことを記者会見で発表されておられますけれども、韓国側が今回借款を期待しております鋳物製鉄あるいは特殊鋼あるいは重機械工場あるいは造船所の建設などは、これは朴政権が第三次五カ年計画の中で軍事産業として、米軍の削減後の自主防衛を強化するために非常に力を入れているということが東亜日報などにも大きく報道をされております。また韓国側が軍事産業と呼んでいたもので、このことについては軍事力を増強することに直接つながるものだというふうに考えますけれども、大臣の見解、及び財政借款供与後に兵器製造などが行なわれた場合には、これに対してどう対処されるつもりなのか、援助を直ちに打ち切るというような方針をお持ちなのかどうか、その点も含めてお伺いをいたしたいと思います。
#106
○福田国務大臣 今回の日韓経済閣僚会議におきましては、この借款の具体的な金額、これのお約束はしておりません。またその内容についてもお約束をしておりません。中身は二種類ありまして、一つは機械工業借款、これが約六千万ドルというふうにいわれております。それから別に輸出産業等を中心とする借款、これが一億ドル、これを韓国側では希望したんです。その希望額を合わせますと一億六千万ドル内外になるのでございますが、その両者とも私どもは金額的なコミットはいたしておりません。
 それから第一の機械工業借款につきましてはいろいろなプロジェクトの中身があります。ありますが、この閣僚会議におきましては、日韓両国におきましてなお内容を精査し、実行可能かつ韓国経済の発展のために有益であるというふうに判断したものからケース・バイ・ケース、逐次これを実行していきたい、こういうふうな申し合わせになっております。ですからわが国といたしましては、調査団の派遣ということからスタートするということに相なります。
 それから第二の一億ドル借款につきましては、これも内容をもう少し詰めまして、事務当局間において協議するところに従い逐次実行する、こういうことになっております。
 それから第二のお尋ねの問題は、初めの機械工業借款に関する問題かと思います。一億ドル借款のほうはそういう問題は起こっておりません。新聞なんかでいろいろなことをいわれているというお話でございますが、わが国といたしましてはこれはかたい方針をとっております。つまり、軍需産業借款には応じません、こういうことであります。大体におきまして、浦項の製鉄所というのが今度できるのです。その製鉄所の製品がやがて出てくる。その製品を一体どういうふうに使うかということがこの機械工業借款の中心課題である、かたくそういうふうに考えておりますので、ひとつすなおにお受け取りのほどをお願い申し上げます。
#107
○小林(政)委員 もう私の発言の時間がないそうでございますので、一言だけ発言をして終わりたいと思います。
 いま浦項製鉄所等の問題について大臣の御答弁がございましたけれども、浦項製鉄所が七三年の完成時に主としてつくる製品が粗鋼である。しかもそれが年間百三万トンというふうなこともいわれておりますけれども、これに関連してやはり兵器生産というものに欠かせない特殊鋼、これを製造する工場をつくっていく、あるいはまたその他の完成品等についても、ブルドーザやトラクターとかグレーダーなどの製品というものがいつでも軍需製品に転換できるというような事実を考えますときに、具体的には直接純粋な経済援助ということがいわれておりますけれども、実質的にはやはり軍事援助を与えることになるんだということを、私はこの点について非常に深く心配をするものであります。
 時間がございませんので、これでもって私の質問を終わりたいと思います。
#108
○毛利委員長 平林君。
#109
○平林委員 引き続いて私は専売公社の総裁に、公社のたばこ製造工場二交代制勤務に関するお尋ねをいたしたいと思います。
 ただいま健康と喫煙という問題で議論がございましたけれども、私は、現在専売公社が、社会的な環境としてはまさしく健康と喫煙か収益専売かという一つの岐路に立っておる、これが七〇年代の専売事業にある程度の方向転換を必要とする時代に入っていると実は認識をいたしておるわけであります。そこで、当面専売公社が国際化、自由化に対応できるたばこ企業という名目で、その製造工場に二交代制の勤務を導入しようとして労働組合との間で折衝中の問題は、私はこの傾向から見ましてきわめて重視をする必要があると考えておるのであります。私自身、いや同僚議員も、この二交代制勤務につきましては、さきの国会において何回か議論が展開をされました。
  〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
 私は、この二交代制勤務に関する公社の提案には次のような問題があると考えておるわけであります。
 一つは、提案をされている交代制勤務は、公共的にも生産技術的にもその必要性に疑問があるということ。
 二つには、公社が提案する交代制勤務の該当者の六〇%から七〇%は婦人労働者である。当該工場では既婚の婦人労働者が八〇ないし九〇%を占めておりますから、ここでは家事、育児に責任のある婦人労働者が締め出しを受けるということになるということ。
 第三には、公社の提案とその主張には投資効率の向上が重点にあるように思われる。つまり、ある程度の資金を投入をして工場を建てる場合には、その資金効率を向上させるために二交代制を導入せざるを得ないという事情が根底にあると見ておるわけであります。これは先ほど来議論がありました健康と喫煙、収益専売、これに関連をいたしまして妥当なる見解であるかどうか問題がある。特に婦人労働者を保護しようとする時代に逆行するのではないか、この問題点があると思うのであります。
 第四には、さきの国会でこの問題が議論をされたとき、特に労働大臣はわが党議員の質問に答えまして、「これはよほど慎重に考えてもらわぬと容易でないというふうな感じを持ちます、」と答弁をされております。また、「無理な交代制――交代制はやめ得ないとしても、早朝から深更に至るまでの間については慎重に検討願わなければならないというふうに思います。」とも答えておるわけであります。また、「女子は女子で特別に大事にしなきゃならぬ、こういう事情もありましょうから、その実際のやり方につきましては気をつけていかなきゃならぬというふうには思っております」とも答えておるわけであります。これは今日国際的な機関におきましても、婦人の労働という問題につきましては、ILOの勧告百二十三号として家庭責任をもつ婦人の雇用に関する勧告、あるいはILO条約八十九条、工業に使用される婦人の夜業に関する条約――いろいろな世論がございまして、国際的機関におきましても婦人労働者の労働条件につきましては非常に注目を払っているところであります。わが国はまだこれについて批准の措置はとっておりませんけれども、世界各国は相当数これを批准をいたしまして国内法に移しておるようであります。
 私はこれらの諸点から考えてみまして、専売公社の二交代制勤務についてはやはり公社当局において再検討する必要があると実は考えておるわけでございます。国会におきましての議論を踏まえ、当面する事情も公社自体にはあるようでございますけれども、この際専売公社総裁としての御見解をあらためて承っておきたいと思うのです。
#110
○北島説明員 現在専売公社におきましては、老朽六工場等の建てかえに際しまして設備を思い切って近代化し、合理化する、それとともに二交代制度の提案をいたしておるわけでございます。これに対しましては、ただいま平林委員からいろいろ御意見もあったところでございますけれども、公社といたしましては新しく多額の設備投資をいたしますのでございますから、この投資効率の向上をはからなければならないのはどうしてもやむを得ないことでございます。それとともに、御承知のとおりな設備革新、技術革新の時代でございますので、たばこの機械におきましても文字どおり日進月歩の勢いで新しい技術に革新されつつあります。そういった時代でございますので、償却をできるだけ早く促進していくことは私ども経営者としてどうしてもやらなければならぬことでございます。それからまた機械を長く動かすことによって品質の安定ということも得られるわけでございますので、こんなことから二交代制を考えて現在組合に提案いたしておるわけでございます。
 これに対しましてはいろいろ御議論もあることでございますけれども、現在先進国のたばこ事業におきましてはほとんど交代制度を採用しております。それからわが国におきましては、これはもちろん御承知のとおりでございますが、私どもの調べでは五千人以上の従業者を擁する製造工業におきましては七〇%が交代制度を採用しておりますし、それからまた比較的女子を多くかかえております電機関係並びに食品関係においては五〇%程度がやはり交代制度を採用しておるようでございます。また公社の過去の例におきましても、これは昔あったことでございますが、かつて製塩工場におきましてはこれは三交代制をいたしました。それからまた現在でも原料工場におきましては、これは季節的ではございますが、二交代制をいたしております。そんな関係、それからまた、これは前例にはならないことになっておりますけれども、いま建設中の京都の印刷工場、これにつきましては組合とも二交代制度の協議がととのっておるわけでございます。ただ、ただいま非常に多くの問題をかかえております。確かに製造工場におきましては女子が六割も占めておる、しかも既婚者が多い、こういったことについては私ども非常に頭を痛めておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような事情から二交代制度はどうしてもやっていかなければならぬことだ、こういうふうに私どもは考えておるどころでございます。
#111
○平林委員 諸外国の例を用いまして二交代制度を世界の大勢のごとくお話しがございましたが、交代制勤務を行なっております産業の分類を見ますと、公共的な必要性、これで二交代制を採用する例は私はある程度やむを得ないと思っております。たとえばサービス産業、医療であるとか運輸、逓信、電力、ガス等におきましてはやむを得ない事情があるいはあると思います。また生産技術的の必要性から二交代をとらざるを得ないという産業が、鉄鋼、化学工業、石油工業などの産業にあることも承知しておるわけであります。社会的にはある意味では必要性、妥当性が認められると私は思うのです。第三のグループとしては、経済採算的の必要性から二交代制に踏み切らざるを得ないところもありましょう。これは印刷業であるとか繊維とかあるいは食品製造業、機械製造業に見られる例であります。
 しかし、専売公社に二交代制の社会的必然性があるかどうか、これは私は非常に疑問があると思っておるわけであります。いまいろいろな設備にお金を投資するのであるから、その効率をあげる必要があるという専売公社の立場は私も理解できないわけではありません。大蔵省との間の予算折衝その他、やはりある程度その姿勢を示す必要は公社総裁にもおありでしょう。しかし、その問題と私がいまここで重点的に取り上げる婦人労働者の犠牲とは別個な問題であっていいのじゃないか。そのために婦人労働者を犠牲にする必要があるかどうか。この問題については、政府も労働大臣も、慎重に取り扱ってもらいたい、こう述べておるわけであります。総裁はこれに対しまして頭を痛めておるというお話であります。さきの国会におきまして、五月のことです、労使間でいま話し合っておる、折衝中であるから、いましばらく猶予をしてもらいたい、実際問題として誠意をもって解決したい、こういうことを述べておりますけれども、すでに八月、いまだに具体的な提案すらせず、国会でこれだけ議論されたことに対して、誠意をもって答えているとは考えられない。私は、ですからきょうはそうした批判、議論、政府の見解、それを踏まえて、専売公社としてはどういう具体的な、誠意をもってこたえた解決案というものを示し得るか、これを私は聞きたいと思っておるわけであります。
#112
○北島説明員 先ほども申し上げましたが、外国の先進国のたばこ事業はほとんど交代制をとっておるということを申し上げましたが、これもやはり女子労働者が相当多いわけであります。専売公社といたしましては、こういった二交代制度を解決するためにどうしたらいいかという点につきまして、組合側といろいろ話し合っておるわけであります。当初二交代制を提案いたしましたときにおきましても、交代手当は出しましょう、それから通勤バスは出しましょう、仮眠施設は確保いたしましょう、あるいはまた託児所の託児の年齢を、現在は満三歳まででございますが、就学年齢まで延ばしましょう、といったような事柄を提案いたしておるわけでございます。まだ協議がととのっておりませんが、実は事態もだいぶ切迫してまいりましたので、先般七月二十四日の中央統一交渉の際におきまして、私は、八月十日ごろまでに、さらに前向きな姿勢をもって案を提案いたしましょう、こういうことを申しております。その約束は私は必ず守ります。目下内部で案を立てておるわけでございますが、八月十日ごろまでにきょうは八月六日でございます、もうその時期は切迫しておるわけでございますが、組合に約束した時期までには必ず、私どもはさらに一歩進んだ案を提案をいたしまして、できるだけ二交代制度の弊害を排除するようなほうに持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。何とぞしばらくの問御容赦願いたいと思います。
#113
○平林委員 ここは団体交渉の場でありませんから、具体的な提案が何かということまでは詰める考えはございません。しかし、この間わが党の書記長の江田三郎さんと総務局長の下平さんと私が総裁にお目にかかりまして、八月十二日、やはり労働組合との一つの折衝の契機である、それ以前に公社が対案を示すべきではないか、こういうことを申し上げました。いま、八月十日にはさらに前向きの提案をする、さらに進んだ提案をするというお話がございました。私は実はこの議論は大蔵大臣にも聞いていただきたかったのであります。幸い賢明なる政務次官もそばでお聞きになっておる。私の指摘する趣旨というのは御理解ができると思うのであります。専売公社は、率直に言って、新設工場に相当の設備投資もせねばならぬから、その効率をあげるためには二交代制、そうして婦人労働者の犠牲、こういうことを余儀なくされているというふうにも理解できるわけであります。私はこのところは、二交代制というのと婦人労働者の犠牲とは切り離すことができる。それ以上のことは言いません。言いませんが、それは可能であると考えておるわけであります。総裁、十日に示されるときには、私どもの書記長、総務局長が申し入れましたように、ぜひその提案をもって、長い間折衝してきた労使の懸案の問題が解決できるものにしてもらいたい。そのためにまた紛争が拡大することのないように、悪いところにずるずるいかないように、十日の提案は十分な配慮をして提出すべきである、こういうふうに思っておるのでございますけれども、いかがでございますか。
#114
○北島説明員 もとより提案いたします上には、必ず解決しなければならぬと、またこれで解決できると、こういう考え方でもって提案いたすわけでございます。誠意を披瀝いたしまして組合と交渉いたしたい、こう考えております。
#115
○平林委員 次に私は、専売事業審議会の問題について、ちょっと総裁の御見解を承りたいのであります。
 この専売事業審議会のメンバーは、今日までのところ関係の方々のしかも権威のある人々を含めておると私は理解しておりまして、その審議がりっぱに国民の期待にこたえてなされることを期待しておるわけでございますけれども、ただ問題点が一つあるわけであります。それは、この中に含めるべき職員の代表が現在のところ専売公社の管理的立場にある局長になっておるわけであります。普通、職員の代表といった場合には、少なくともその職員に団体があればその団体が推薦する者をもって含めるという配慮がされてしかるべきものでないかと私は考えておるわけであります。もちろん複数の推薦を受けて、その中から適任者を委嘱するというやり方もございましょう。いずれにしても、専売事業審議会に職員の代表を含めると規定をされておる審議会のメンバーに、さような措置をとるべきものと私は考えておるわけであります。これはほんとうは、大蔵大臣が任命するものでございますから大蔵大臣に十分な御配慮をいただかなければならぬことでございますけれども、幸い今度はその職員代表となっておるメンバーの一人、局長が交代することになった。近くその交代人事が行なわれるであろうと見ておるわけであります。その際、専売公社の総裁はむしろ積極的に大臣に対して、こういう考えを持ちたいがどうかということを具申するという積極的な態度があってよいのではないか。それがまた今日懸案の労使の紛争の解決にも役立つものである、こう思うのでありますが、総裁の御見解を承りたいと思います。
#116
○北島説明員 専売事業審議会の委員は大蔵大臣が御任命なさいますので、私からとやかく申し上げる筋ではないかとも存じますけれども、ただいまのお話、一応私はよくわかります。ただ、いままでの私どもの態度といたしまして、また組合の態度といたしましても、特に組合側は労働条件に関する交渉を通じまして、公社の経営についての批判や意見を率直に出してくれております。それに対して私ども率直に意見を聞いて、受け入れるべきものは受け入れてやっておる。これは私は非常にいい労使慣行だと思います。こういう点がございますので、私は、いまの職員代表というのは全体の職員を含めた代表という意味で管理職をさせておりますけれども、それでいいのではないかというふうな考えに立っております。これはもちろん大蔵大臣がおきめになることではございますけれども、部内の事情から申しましても私はその必要はないのではないか、こう思っております。
#117
○平林委員 これはぜひ総裁にお考え直しをいただかなければならぬと思うのであります。なぜかというと、労働組合と公社との間に行われる経営上の議論、これはいわば話し合いであります。労働法上の権限を持つものではなく、いい慣行ではありましてもその範囲内にとどまっておるわけであります。法律上の規定で専売事業全般の審議をする場合、一定の権限と責任を持つものとを区別せねばならぬと思っております。しからば、管理者である局長が、あるいは管理者である者が全般を含めてというお話でありますけれども、もし全般を含めてのことであるならば、そうした組合員・にあらざる者の代表は総裁がみずからおやりになったらよろしい。職員の代表という意味であるならば、数においても圧倒的多数である労働組合の推薦する者を含めてメンバーにするという考え方がむしろ今日の時代においては合理性があるのではないか。だから積極的にそれを大臣に具申する考えがあることが当面するいろいろな問題について役立つのではないかという提案をしておるわけであります。これはぜひひとつお考え直しをいただきたい。これはあなたの今日における良識を示すものだと思うのです。それでいいと思うということだけのお答えでは私は受け取るわけにいきません。もう一度御返事をいただきたい。
#118
○北島説明員 御趣旨の点はよくわかりますが、お話しの点は私はさっき申し上げたとおりとただいま考えておりますが、お話しもございますのでなお考えさせてはいただきます。ただ、もちろんこれは私の権限ではございません。大蔵大臣が御任命になる筋合いでございますが、私としてはいまのところその必要はない、こういうふうに考えておるわけであります。
#119
○平林委員 これはそれぞれ良識と見解のものさしになると私は思うのでありまして、北島総裁のその理解力を私は期待をいたしております。
 次に、この際専売公社の合理化に関連をいたしまして、昨年原料工場が六つ、ことしに入ってから二つつけ加えて、八工場が廃止されることになりました。これは事情は私よく承知いたしております。作業事情の変更に伴いまして原料工場が廃止されていったわけであります。
 そこで私どもは、専売公社法四十三条の十九に関連いたしまして、かような重要な財産が処分されるときには国会の承認を求める必要があるということを提唱いたしまして、その措置をとることを要求いたしてまいりました。しかるところ、原料工場は廃止になりましたが、いまもってその動きが見られません。なぜ動かぬか、なぜとる必要がないと考えているか、これをお答えいただきたい。
 もう一つ、この四十三条の十九の、あるいは重要な専売公社の財産は国家的、公共的な財産でございます。それを一月、二月あるいは一年放置いたしますことは、固定資産税その他の関係もありまして国家経費のむだにもなる。また必要な資源はこれを生かすように使わねばならぬ。それが専売公社に課せられておる一つの義務でもある。したがって、廃止された原料工場のあと地はどういうふうに処分し、どういうふうに生かすか、すみやかに計画を立てて国会にも報告する義務があると私は思うのです。これはどうなっておるか。
 すべてお答えができなければ、時間の関係もございますから文書で提出していただいてもけっこうであります。お答えがいただけるならば、あまり長くあれしないで――私は最終的にはぜひ文書で提出をしていただきたいと思っておりますけれども、お答えがあれば承ります。
#120
○斎藤説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘になりましたように、公社法の四十三条の十九で「公社が製造工場及びこれに準ずる重要な財産を譲渡し、又は交換しようとするときは、国会の議決を経なければならない。」ということになっております。結論的に申し上げますと、製造工場またはこれに準ずる重要な財産ということになっております。したがいまして、公社がやっておりますいろいろな財産がございますけれども、その中で製造工場というものは公社にとりまして生命というぐらい非常に重要なものでございまして、製造工場以外のものにつきましては製造工場と同じ程度の重要な財産ということで、これは主としてその財産の財産的価値というものによって判定すべきものであると考えておる次第でございます。原料工場を廃止いたしましたあとの財産がはたして製造工場に準ずる財産、その程度の重要性があるかどうかということにつきましては、その程度のものはこの規定にいわれる重要な財産ではないのではなかろうかという解釈をとっておる次第でございます。
 それからもう一つ、原料工場のあとの利用方法はどうなっておるかという先生の御質問でございますが、おっしゃいましたように国民の財産でございます。したがいまして、むだにして遊ばしておくということはたいへん申しわけない次第でございますので、そのあとの利用方法につきましてはそれぞれいろいろ考えております。全然遊んでおるというところは別にございませんので、処分をするものは処分を進めておりますし、それからあと工場に使うものは使うということで計画を進めております。なお、残っておりますのは倉庫に使っておるということで、できるだけ御趣旨に沿いまして活用するようにつとめてまいりたいというふうに考えております。
#121
○平林委員 この問題でなお問答する時間的余裕がございません。そこで私は公社に対しまして、文書で次に述べる問題について回答せられるように要求し、委員長にその善処をお願いしておきたいと思います。
 一つ、八つの原料工場の財産的価値一覧。二つ、四十三条の十九によらずして原料工場を廃止することができると考える法律的な根拠。三つ、あと地の利用計画の全貌。これを御提出願いたいと思いますが、総裁の御見解を承りたい。
#122
○北島説明員 かしこまりました。後日文書で御提出いたします。
#123
○平林委員 次に私は、実はこの際、専売公社はむしろ合理化を進める必要上から関連産業の育成を考慮すべきであるという提言をしたいと思っておるわけであります。先ほど私は、二交代制、婦人労働者をそのために犠牲にするなと述べましたけれども、専売公社の合理化そのものを全面的に否定をしようとしているわけではございません。必要なものはおやりになってよろしい。しかし、それには限界がありますということを言っておるわけであります。同時に、七〇年代の置かれている専売公社の事情から考えてみて、将来を展望しますと、この際関連の産業の育成ということも考えねばならぬ、さように私は考えておるわけであります。
 そこで、たとえばいま専売公社のたばこ――私はピースを吸うておりますけれども、国民大多数は最近はフィルターつきのたばこを喫煙をされておる。たしかそのたばこの販売量に占める割合というものは圧倒的多数になっておると承知いたしておるわけであります。ところがそのフィルター、これはほとんどが民間工場に委託しておる。私はこれは問題だと思っておるわけであります。なぜかというと、最近セブンスターなんというのはちっとも町に出ませんね。あれはなかなか評判のいいたばこなんです。東京、大阪に発売されてから、なかなか地方に出て発売されない。新聞ではセブンスターというのにお目にかかるけれども、この間も北海道の札幌へ参りましたら、つい八月一日から発売されるという状態であります。これはなぜか。なぜかといえば、これはフィルターのほうの製造が間に合わない。それはいろいろな特許権その他がありまして、材料が間に合わなかったということもございましょうけれども、つまり国民の欲するたばこについて、これはちょっと税の問題と離れますけれども、サービスを専業とするという専売公社であるならば、こうした事態を考えるならばフィルターの製造を単に民間工場に全面的に依存するというのは間違いである、こう考えておるわけでございます。
 特に私はそのほかにも、かりに――専売公社にはいま争議権が認められておりません。しかしフィルターの製造は民間工場でありますから、もしかりに争議を起こすとするならば不可能ではありません。そうすれば、セブンスターの例ではございませんけれども、そのために専売公社の機能がとまるということも、これは極端な想像かもしれませんけれども、考えておかねばならぬ。そのことを考えますと、専売公社が相当数の印刷部門を民間に委託しておるけれども、同時に公社自体もその部門を確保しておる。あるいはまた機械製作につきましても、外の工場に委託する場合もあるが、同時にその開発については努力を重ねておる。同じように、フィルターを全面的に民間委託というのはどうかという批判を私自身持っておるわけでございます。こういうことを考えますと、これらを含めて関連産業育成という問題について公社総裁はどういう御見解をお持ちか、承っておきたいと思います。
#124
○北島説明員 関連産業の育成は公社でもこれを重要な命題の一つとしているわけでございまして、第一次中期計画におきまして、関連産業との総合的発展をはかるというような考え方で書かれております。ただいまできるだけこれは、材料品なども外注しないで内部でもってつくったらいいのではないか、こういうお話もございましたが、公社といたしましては、関連産業の発展もさることながら、公社におきましてはたばこの製造にできるだけ主力を注ぎたい、その他の副材料品についてはこれを外注に仰ぐという方針でいままできております。ただし、御承知のように京都の印刷工場、これは大きなものをつくりまして相当自分でもいたしますし、あるいはまた機械製作所で現在たばこの機械の製作をやっておりますけれども、大体においてどういうものが外注に適するかという点を頭に入れながらやっております。
 それで、外注いたします場合には、外注することによって数社に競争原理が働いて、そうして価格、品質面においても公社に有利になるような考え方で運営いたしておるわけでございまして、フィルター会社につきましても五つのフィルター会社に製造さしておるわけでございます。ただたまたま、ただいまセブンスターのお話が出ましたのですが、セブンスターは、昨年の十一月に公社がニコチン、タールの分量を発表いたしましたとき、セブンスターがきわめて軽いニコチン、タールの製品であることが大衆に周知徹底されましたので、急激に、いままで需給のバランスがとれておりましたセブンスターに需要が集中いたしまして、その結果チャコールフィルターの部門における生産が間に合わなくなって、ここに隘路ができまして最近まで消費者に御迷惑をかけたわけでございまして、こういった点につきまして急遽機械を整備させまして、この八月ごろからは、東京では現在ほとんどフル供給になっておると思いますが、各県庁所在地でも八月から一斉に売り出すことができるようになったわけでございます。もちろんどれを外注とするか、どれを内部でつくるか、これはなかなかむずかしい問題でございますが、ものによってはやはり考えていかねばならぬ問題だ、こういうように考えております。
#125
○平林委員 時間がきたようでありますからこれでやめますけれども、私は、先ほどお話があった喫煙と健康の問題につきましては、その有害かどうであるかという問題につきましても、国民に対する義務として専売公社が責任体制をとることをこの際に要求をいたしておきたいと思うのであります。
 同時に、ただいまお話をいたしましたフィルターなどは、私はこれからの時代を考えますと、たばこそのものであると考えておるわけです。どれを外注にするか、どれを専売公社自体が製造するかというようなことはいろいろ検討しなければならぬ問題があるでしょうが、フィルターはたばこそのものである、こう考えておるわけであります。それを単に外注に依存をするというような体制は誤りではないかと私は考えておるわけでありまして、いま五工場があると言いましたが、これらについての資料も御提出をいただきまして、今後どういう態度をとるべきか、私も積極的に発言をしてまいりたいと思いますし、公社自体も御研究をいただきたいと考えておるわけでございまして、このことを要望いたしまして私の質問は終わりたいと思います。
 なお、本来は塩専売事業についても一言触れたかったのでありますが、次の機会にこれを譲ることにしまして、質問を終わります。
#126
○山下(元)委員長代理 永末英一君。
#127
○永末委員 文部省の方が来ておられますが、今度の世界保健機構からの勧告で、医学部や保健関係の専門学校で、たばこが健康障害を起こすことについて、ちゃんとそういう知識を身につけるような体制を確立しなさい、また喫煙は健康障害があるんだ、こういうことを扱う教科課程や教材を調整するように保健当局と一緒になってやれ、こういうことが書いてありますが、文部省は一体どうするつもりですか。また何かやりましたか。
#128
○橋本(真)説明員 お答えいたします。
 御承知のように、文部省におきましては現在小学校、中学校の指導要領の改定を行なっておりますが、その改定せられる指導要領の中で、小学校では五年におきまして体育の中の保健の領域におきまして、たばことかあるいは酒、そういったものが健康に与える影響ということにつきまして、発達段階に応じて簡単に理解させる。中学校におきましてはさらにそれを発展させて、二年ないし三年の保健体育の保健分野として、一応青少年喫煙防止法との関連等も含めまして授業を行なうようにいたしております。
#129
○永末委員 喫煙が未成年者の場合も悪いし、成年になっても悪影響を及ぼすということを文部省として認定をされて、いまのような指導要領中に入れる、教科内容に組み入れる、こういう態度ですか。
#130
○橋本(真)説明員 御承知のように、この指導要領の改定につきましては、小学校におきましては昭和四十三年の七月に改定を告示いたしました。それから中学校におきましてもそのあとでまた改定を告示いたしましたので、特に今度のWHOの勧告のためにやったということではございませんが、一応従来ともそういうことをやっておりましたので、それをさらに年齢の発達段階に応じてふえんするという意味で入れております。
#131
○永末委員 私の聞いておるのは、文部省が、要するにあなたのほうの所管しているわが国の子供たちに、喫煙というものが有害だという立場でその内容を知らせようという態度があるのかどうか、そこだけ聞いておるのだからそこだけ答えてください。
#132
○橋本(真)説明員 お答えいたします。
 お説のような考え方で指導いたしております。
#133
○永末委員 七月一日からアメリカのたばこは全部有害表示になりました。アメリカのたばこはわが国にも輸入されているわけですが、輸入されたアメリカたばこは有害表示のまま入ってきますか。
#134
○北島説明員 アメリカでは数年前から法律でもって、「シガレット スモーキング メイ ビー
 ハザード ツー ユア ヘルス」、シガレットスモーキングは健康に害があるかもしれませんという表示を義務づけているわけであります。したがいまして、アメリカの国内においてはそういうことをしなければなりませんが、外国では、アメリカに輸出する場合以外必要がない。アメリカのたばこが日本に正規に入っておるでしょう、これについては表示がない。それが反対にわが国がアメリカに輸出する場合には、そういった規制はやはりアメリカの法律に従いまして――アメリカではそういうことを書かなければ輸入できませんので、日本のたばこもアメリカの法律に従って、アメリカに輸出される場合にはそういうのを張りつけてあるわけです。それはそれぞれその国々の法律によってその法律に従わなければならぬ、こういうことになるわけであります。
#135
○永末委員 アメリカのたばこは七月一日からいま総裁が言われたような文句が変わりまして、「シガレット スモーキング イズ デインジャラス」、「メイビーハザード」と違いまして、危険であるということになってしまった。昔は危険のおそれがある。はっきりしているわけですね。
 そこで伺いたいのは、わがほうのたばこは、アメリカは別に研究してやったわけではないけれども、アメリカ国へ入る場合にはこういう表示をするということは、日本の専売公社は専売公社のつくっておる紙巻きたばこは有害である、こういうことを認定されておるわけですね。あなたはまだ「メイ ビー ハザード」だと言われたけれども、七月一日からアメリカにならうならば、「イズ デインジャラス」、危険であるとはっきり断定したことを刷らなければならぬ、こうなるのですが、これはどういうことですか。お答えを願いたい。
#136
○北島説明員 これはアメリカの法律で、アメリカの中でたばこを売る場合にはそういう法律がございますので、どこの国のたばこもアメリカへ輸出する場合にはそういうことになっておる。現在法律でもってそういうことを規定しておるのはアメリカだけでございますが、英国のたばこでもフランスのたばこでもイタリアのたばこでも、アメリカに輸出される場合にはそういうことの表示を義務づける、こういうことでございます。
#137
○永末委員 総裁、私の聞いておるのは、――あなたの言われることを伺いますとデザインみたいな感じですね。アメリカで売るたばこにはその文字を表示しなさい。アメリカ人が読む場合には「イズ デインジャラス」、こう書いてあるけれども、これは模様である。日本のたばこも日本語では書いてございませんで、アメリカみたいなアルファベットばかり書いてございますが、これは模様ではないでしょう。やはり日本専売公社はアメリカに出すたばこについて、健康に危険である、このたばこを吸えばあなたの健康に危険ですよということを認めておるのでしょう。それを答えてくださいよ。
#138
○北島説明員 決して専売公社でそれを認めておるわけではありません。アメリカの法律でアメリカの政府が、アメリカの国民に吸わせる場合はそういう表示をしなさい、こういうことになっておりますので、アメリカの法律に従って表示されておるわけでございます。
#139
○永末委員 そうするとどういうことになりますか。日本人がアメリカの国へ行って、そしてなつかしや日本のたばこということで日本のたばこを買う。英語が読めなければこれはデザイン、しかし読んでみた場合には、これは危険であると書いてあるわけですね。そうか、日本の専売公社はアメリカへ輸出するたばこは危険なたばこを輸出しておる、国内に入ってくるものには書いていない、だからこれは危険ではない、こういう判断をもし日本のわが国民がしたとすると、どういうことになりますかね。
#140
○北島説明員 それはアメリカ政府が、国会でいろいろ議論されてそういう法案をつくられて、そして国会の議決として通った法律でございますから、どこの国の商品が入ります場合についてもそういった表示をする義務があるわけであります。そうするとアメリカの法律で縛るということになりますから、どこの国のたばこもアメリカへ輸出される場合はそういう表示をする。これは何もほかの国のたばこも有害と認めて輸出しておるわけではございません。それぞれその国に法規がございますから、その法規に従って輸出をしておる、こういうことでございます。
#141
○永末委員 私の伺いたいのは、それは世の中にはいろいろなことがございますよ。軍国主義でないと思っておっても、よその国へ行けば軍国主義だと言う人もあります。いろいろありますよ。その国その国で言うことはあるかもしれませんが、しかし日本国の専売公社の総裁が、おれのつくっておるたばこは有害とは思わない、しかしアメリカ国に輸出する分だけはあっちの法律にその表示をせよということがあるからしておるのだということが通るでしょうか。私は法律的にひとつ研究してみます。
 さて、公取の人、来ておられますか。前公取委員長じゃなくて現公取の委員さんでけっこうですが、不当景品類及び不当表示防止法という法律がございまして、その四条の三号にいろいろ商品について一般消費者に誤認されるおそれがある表示をしてはならぬ、こういうことが書いてあるわけですね。そこでいま私が質問いたしましたように、同じ日本のたばこでもアメリカへ行くと危険であるということが書いてある。わが国に売る場合は何も書いていません。積極的に危険であるという表示はいまのところ専売公社はしない。しかしこういう報道はどんどんいろいろな形で国民が知っておる。だから、いま話がございましたように、セブンスターというようなたばこはタールもニコチンも少ないのだということでばっとそこで需要が固まるということを見ても、危険だなという予感を国民が持っておるということは私は事実だと思う。そうでなければ需要のフローというものは起こり得ない。その場合に、このたばこに対して専売公社は表示しない、不作為なんです。そうすると先ほどのように、表示しないから、わがほうのたばこは、有益だと思わぬかもしれないけれども、有害でないという誤認を与える私はおそれがあると思う。これは、専売公社の行為はこの法律第四条三号に違反しませんか。
#142
○吉田説明員 お答え申し上げます。
 景品表示法の第四条三号は、消費者に誤認を与えるおそれのある表示、それで公正取引委員会が指定するもの、この指示は告示でいたしますが、指定がないと動かない規定でございますが、いまのところそういう指定はしてございません。
 なお、不当表示防止法で不当表示と申しますのは、商品の内容あるいは価格につきまして、実際のものあるいは実際の価格よりも著しく優良あるいは有利であるというふうに一般消費者に誤認される表示をいうわけでございます。したがって、喫煙が健康にとって有害である旨の表示がないということだけで直ちに不当表示ということにはならないのではないかと考えます。
 なお、四条三号による表示、これは誤認のおそれのあるものについては公取で告示をすればできるわけでございますが、たばこの場合に健康にとって有害であるというような表示は、喫煙の際にそれが健康にとって有害であるということを思い出させるという表示ではないかと、つまりからだの健康を保全するために行なう注意というふうな意味合いではないかと思っているわけでございますが、そういう表示がないということによりまして不当に顧客を誘引するということになる点も現在のところ考えられませんので、いま直ちに表示の義務づけを四条三号によって行なうというのはむずかしいのではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#143
○永末委員 総裁、もう一ぺん重ねて伺いますが、先ほど大蔵大臣にも伺ったが、この世界保健機構の事務局長から来た書簡、勧告、示唆を含めて、五月十九日の決議をすなおにあなたは受け取られましたか。
#144
○北島説明員 私もWHOの決議に対しては深く敬意を表したものでございます。
#145
○永末委員 これからの問題は、敬意を表されたあなたは何らかの措置をしなければなりませんね。しかし、先ほどあなたはこの委員会で、わが専売公社のつくっている紙巻きたばこは有害と思わないと断定的なことを言われた。このWHOの一連の報告なりあるいはまたそういう決議は、日本のたばこなどと言うてありませんよ。要するに紙巻きたばこの喫煙ということだけでございまして、どのたばこか私は知りません。イギリスとアメリカのそれぞれの専門家が、日本という表示は私は見たことございませんが、いろんな国のデータを集めつつ結論を出したようでございますけれども、それはやはり有害だという前提の上に一連の報告をしてきた。それをあなたはいま深く尊敬されているわけですね。それでもなおやはりわが専売公社のたばこは……と特に言われますか。それとも、もっと虚心たんかいに、日本国民の健康のために、それを尊重しつつ、専売公社のたばこをもう一ぺん白紙に立って見直されるというお覚悟はございますか。お答え願いたい。
#146
○北島説明員 ちょっと私の申し上げたことで誤解を生ずる点もあったかもしれませんが、もう一ぺん繰り返してこのたばこについての有害性についての考え方を申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほども申しましたが、いわゆるたばこの有害性というのは、私はやっぱり量と期間というものを離れては考えられないのではないかというふうな感じを持っております。やはり多量に長期間吸うことはからだにあまりいい影響はないという考えは一応あるわけでありますが、ただどの程度がいわゆる有害になるか。これはやはり人によってもずいぶん違うかと思います。これは公社の中の者のことを申し上げましてはなはだ恐縮でございますが、わが生産本部では、原料課におきましてはいつも葉組みの研究をやっているグループがございます。約十人ございます。毎日いろいろなたばこをつくって吸っているんですが、一日二百本、連中は吸っておるわけでございます。長期にわたって二百本吸っておりますが、健康には彼ら異状ございません。自信を持って彼らはそういう仕事に励んでおります。こういうことで、私も健康問題というのは非常に幅が広いのじゃないか、こういうふうに思っております。もちろん私自身個人的に申しますれば、やはり多量に長い間吸うことはあまりよくないんじゃないか、こう思っております。これはたばこに限らない。お酒もそうでございます。私も酒が好きでございますが、やはり多量に長期間飲むとアルコール中毒になることは、これは常識でわかります。それからそれ以外のやはり健康に害があるもの、砂糖でも、最近では多量に砂糖をとることは心筋梗塞の原因だということを学者が言っております。そうしますと、一体有害であるというのはやはり摂取量、それから期間というものを離れてはすべて考えられないんじゃないか。食品につきましてこんな感じを持っておりますので、一がいにたばこをもって有害なりと断定することは、私はそういう考え方から疑問を持っておるわけでございます。
#147
○永末委員 ある一つの判断を下します場合に、やはりそれぞれ前提がございます。ただ、アメリカのたばこの表示を見た場合に、そういう多量とか長期間とか、それぞれの健康というもの、それぞれの個人の持っている個人差とか、そんなことを無視して「イズ デインジャラス」ということをやっているわけですね。
 そこで時間もおそうございますので最終的に伺いたいのは、あなたはやはりそういうことが出たという場合には表示をする御決意がございますか。
#148
○北島説明員 私はただいまのところは表示するつもりはございませんけれども、さらに公社内部において研究を重ねるとともに、それから専売事業審議会において、これから大蔵大臣が御諮問なさるわけでございますが、各界の御意見を伺って大蔵大臣がまた御意見をおきめになるでしょう。その節はまた別でございますが、ただいまのところはそういう有害なという表示をするつもりはございません。と申しますのは、先ほど言ったように、いわゆるたばこの有害性の限度、程度の問題のほかに、一つはやはりたばこというのはくつろぎと安らぎを求めるものであって、やはり喫煙者にとって一本吸っているその間が楽しみなんでございますね。やはりほんとに考えてみますと、たばこをたくさん吸ってからだにいいと思っている喫煙者はほとんどないと思うのです。そういう事情は皆さん御存じです。ことに最近のようにこういうふうにPRが行き届いてきますと、たばこは多量に吸えばからだに悪いんじゃないかということを、どなたも喫煙者は思っておりますけれども、しかしお吸いになる一本のときには慰安を求めているんですから、そのときに一々たばこのパッケージにそういうことを書くことによって心理的に悪影響を与えるのもどうだろう、こんな感じがいたします。それはやはり社会人の理性的な判断にまつよりしようがない。そういうことを書けば、よけいなことをしやがる、そういうことを言う喫煙者もずいぶんおると思います。そんなことはおれたちがかってに判断することだ、こういうこともございますので、三千万の喫煙者がおるわけでございますが、喫煙者に対してサービスする者といたしましてはやはりそういう感じもございます。それから、パッケージ自体が一つの包装図案でございまして、楽しみのもとを与えるわけでございますから、そこにそういうことを書くのはどうかなという感じが私はしているわけでございます。
#149
○永末委員 あなたの包装に対する美術的感覚の意見は承りました。私はあなたにこの際御注文申し上げておきたいのは、わがほうのたばこは専売公社でつくっておる。政府機関でつくっておるたばこである。アメリカのたばこは私の会社でつくっておるたばこである。その点、先ほどこの委員会の大蔵大臣に対する質問で申しましたとおり、政府機関はやはり国民の公衆衛生に対してその向上と増進をはからなければならぬということを義務づけられている機関である。とするならば、たとえどんなにたばこの包装の美術的な構想が程度が高かろうとも、やはりそのものの限度というもの、そのものの性格というものを正確に国民に知らせることは私は必要じゃないかと思うのです。その意味合いで、何もたばこが砒素やカドミウムや一酸化炭素の固まりのように思いません。しかし、たばこそのものは、吸うならば一酸化炭素を吸入していることは事実なんです。いろいろな問題があるわけなんです。やはりその問題は隠すことなく国民に訴えるという姿勢、それが私は日本の公害問題を片づけるためにも必要じゃないかということを考えますので、そういう注文をいたしておきます。
 終わります。
#150
○山下(元)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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