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1970/04/23 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 外務委員会 第10号
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1970/04/23 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 外務委員会 第10号

#1
第063回国会 外務委員会 第10号
昭和四十五年四月二十三日(木曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 田中 榮一君
   理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君
   理事 永田 亮一君 理事 山田 久就君
   理事 戸叶 里子君 理事 大久保直彦君
   理事 曽祢  益君
      石井  一君    大平 正芳君
      小坂徳三郎君    中山 正暉君
      福田 篤泰君    藤波 孝生君
      村田敬次郎君    山口 敏夫君
      豊  永光君    加藤 清二君
      堂森 芳夫君    松本 七郎君
      樋上 新一君    不破 哲三君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        外務政務次官  竹内 黎一君
        外務省条約局長 井川 克一君
 委員外の出席者
        法務省民事局参
        事官      三井 哲夫君
        外務省欧亜局東
        欧第二課長   馬淵 晴之君
        外務省経済局外
        務参事官    鈴木 文彦君
        外務省条約局外
        務参事官    山崎 敏夫君
        外務省国際連合
        局専門機関課長 池部  健君
        日本ユネスコ国
        内委員会事務局
        次長      廣長敬太郎君
        外務委員会調査
        室長      吉岡 俊夫君
    ―――――――――――――
四月十七日
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とザンビア共和国との間の条約の締
 結について承認を求めるの件(条約第一〇号)
 (参議院送付)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の
 条約の締結について承認を求めるの件(条約第
 一一号)(参議院送付)
同月二十二日
 航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為
 に関する条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第二二号)
    ―――――――――――――
同月二十日
 中国渡航の制限撤廃に関する請願外十九件(下
 平正一君紹介)(第三五二四号)
 同外十九件(下平正一君紹介)(第三六三八号)
 同(土井たか子君紹介)(第三六三九号)
 同外四十九件(三宅正一君紹介)(第三六四〇号)
 同(安井吉典君紹介)(第三六四一号)
同月二十二日
 中国渡航の制限撤廃に関する請願外十九件(下
 平正一君紹介)(第三七二四号)
 同外四十九件(三宅正一君紹介)(第三七二五号)
 同外十九件(下平正一君紹介)(第三八〇九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
四月二十日
 中国渡航の制限撤廃に関する陳情書外六十二件
 (輪島市河井町平野平二外六十二名)(第二二一
 号)
同外四十九件(金沢市久安町三六の二林忠雄外
四十九名)(第二四三号)
在日朝鮮人の帰国事業再開に関する陳情書外一
件(京都府議会議長檀嘉次外一名)(第二二二号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政
 府との間の協定の締結について承認を求めるの
 件(条約第五号)(参議院送付)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国政府とオランダ王国政府との間の条
 約の締結について承認を求めるの件(条約第九
 号)(参議院送付)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とザンビア共和国との間の条約の締
 結について承認を求めるの件(条約第一〇号)
 (参議院送付)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の
 条約の締結について承認を求めるの件(条約第
 一一号)(参議院送付)
 民事訴訟手続に関する条約の締結について承認
 を求めるの件(条約第一九号)
 民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書
 の外国における送達及び告知に関する条約の締
 結について承認を求めるの件(条約第二〇号)
 外国公文書の認証を不要とする条約の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第二一号)
 日本国とルーマニア社会主義共和国との間の通
 商航海条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第一二号)
 日本国とブルガリア人民共和国との間の通商航
 海条約の締結について承認を求めるの件(条約
 第一三号)
 教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する
 協定の締結について承認を求めるの件(条約第
 一五号)
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とオランダ王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とザンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政
 府との間の協定の締結について承認を求めるの
 件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国政府とオランダ王国政府との間の条
 約の締結について承認を求めるの件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とザンビア共和国との間の条約の締
 結について承認を求めるの件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の
 条約の締結について承認を求めるの件
  〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○田中委員長 政府から提案理由の説明を聴取いたします。竹内外務政務次官。
#4
○竹内(黎)政府委員 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレーシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国とマレーシアとの間には、昭和三十八年六月四日に署名され、同年八月二十一日に発効した所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とマラヤ連邦との間の条約がありましたが、同条約の発効後五年以上を経過した昭和四十四年二月六日に至り、マレーシア政府は、同国が独立後比較的日の浅い時期に締結した各国との租税条約を終了せしめて現状に即した新協定を締結したいとの一般的な方針に基づき、わが国に対しても前述の条約の規定に従って同条約を終了せしめる意思を通告するとともに、新協定を締結するための交渉を開始したい旨申し入れてまいりました。これにより旧条約は、その規定に従って、昭和四十五年一月一日以後に開始する年度の租税について効力を失いましたが、政府は、昭和四十四年四月以来東京及びクアラルンプールで新協定の締結交渉を行ないました結果、昭和四十五年一月三十日にクアラルンプールにおいて、日本側在マレーシア小島大使とマレーシア側ラザク副総理大臣兼大蔵大臣との間でこの協定の署名を行なった次第であります。
 この協定は、本文二十三カ条からなり、そのおもな内容は、次のとおりであります。事業所得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する所得についてのみ相手国において課税できるものとし、国際運輸所得につきましては、船舶による所得に対する課税は相互に半額軽減され、航空機による所得は相互に全額免税としております。配当に対する課税につきましては、マレーシアが源泉の場合は、配当支払いの段階においてマレーシアの租税は課されないものとし、わが国が源泉の場合は、わが国の税率は一五%をこえないものとしております。また、利子及び使用料に対する源泉地国での課税率は、一〇%をこえないものとしておりますが、政府、地方公共団体、中央銀行等が受け取る利子は、相手国において免税としております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬、手当等につきましては、原則として滞在地国で免税とされます。
 この協定の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じて、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、安定した基礎の上に引き続き促進されるものと期待されます。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とオランダ王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、オランダとの間の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための条約を締結するため、昭和四十一年以来東京及びへーグにおいて交渉を行ないました結果、昭和四十五年三月三日にへーグにおいてわが方藤崎駐オランダ大使とオランダ側ルンス外務大臣との間でこの条約に署名を行なった次第であります。
 この条約は、本文三十一カ条及び附属議定書からなり、その規定は、OECDモデル条約案にできる限り従ったものであります。条約のおもな内容は、次のとおりであります。事業利得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する利得についてのみ相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税につきましては、配当については一五%利子及び使用料については一〇%をこえない税率で課税し得るものとしております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬、手当等につきましては、原則として滞在地国で免税としております。
 この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと期待されます。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とザンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、ザンビアとの間の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための条約を締結するため、昭和四十二年以来ナイロビ及びルサカにおいて交渉を行ないました結果、昭和四十五年二月十九日にルサカにおいてわが方在ザンビア木村臨時代理大使とザンビア側ムデンダ開発金融大臣との間でこの条約に署名を行なった次第であります。
 この条約は、本文二十八カ条からなり、その規定は、OECDモデル条約案にできる限り従ったものであります。条約のおもな内容は、次のとおりであります。事業利得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する利得についてのみ相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税につきましては、配当については免税とし、利子及び使用料については一〇%をこえない税率で課税し得るものとしておりますが、一方の国の政府、地方公共団体、政府金融機関等が受け取る利子は、相手国において免税としております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬、手当等につきましては、原則として滞在地国で免税としております。
 この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと期待されます。
 最後に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、大韓民国との間の所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結するため、昭和四十二年以来東京及びソウルにおいて交渉を行ないました結果、昭和四十五年三月三日に東京において、わがほう愛知外務大臣と韓国側李厚洛駐日大使との間でこの条約に署名を行なった次第であります。
 この条約は、二十六カ条からなり、そのおも名内容は、次のとおりであります。事業利得につきましては、一方の国の居住者または法人が相手国に支店等の恒久的施設を有する場合には、相手国内の源泉から生じたその者の全所得に対し相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの所得につきましては、相互に全額免税としております。配当、利子及び使用料に対する源泉地国での課税につきましては、一二%をこえない税率で課税し得るものとしておりますが、政府、地方公共団体、中央銀行等が受け取る利子は、相手国において免税としております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬、手当等につきましては、原則として滞在地国で免税とされます。
 この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと期待されます。よって、以上四件について御承認を求める次第でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#5
○田中委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 四件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#6
○田中委員長 次に、民事訴訟手続に関する条約の締結について承認を求めるの件、民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の締結について承認を求めるの件、外国公文書の認証を不要とする条約の締結について承認を求めるの件、日本国とルーマニア社会主義共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件、日本国とブルガリア人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件及び教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定の締結について承認を求めるの件、以上六件を一括議題として審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
#7
○戸叶委員 私は、先ごろいわゆる民訴三法といわれる条約につきまして質問をいたしましたので、きょうは簡単に二、三点お伺いをしておきたいと思います。
 まず最初に、外務省にお願いしたいことは、やはり条約を審議するにあたりましては、その内容で必要と思われるような資料は同時に出していただきたい。そうすることによって審議の促進ということがはかれると思います。私どもが要求して、初めて今回出されました資料を見ますと、たいへんに参考になるわけでございまして、やはりたくさんの資料は必要といたしませんが、最小限度の必要書類というものは、今後は条約と同時なり条約の審議の最中に出していただきたい。もう終了するというようなときに出されても意味がないと思いますので、その点を注意していただきたいと思います。
 そこで、きょうお出し願った資料でございまして、十分に読むひまもございませんけれども、さっと目を通してみますと、この間ちょっと問題になったことでございますが、たとえば、いわゆる九条の一項の指定当局というものがどこであるかというような質問をしたときに、こういったところ、こういったところがある、しかしまだ指定当局がきまっておらないところもあるということで、私どもは、どういうところが指定されるのだろうということを興味を持っていたわけです。この一覧表で、大体指定当局というものは、国によって違うし、そしてまたどこではどういうふうな指定当局になっているかということがわかったわけです。ただ一つ疑問に思いましたのは、たとえば国によって指定当局がきまっていないところもある。これはしかたがないと思います。その国にそれぞれの事情があるのでしょうから、これはそこまで私どもはわからないと思いますけれども、質問としてというか、はっきりおわかりになったら説明しておいていただきたいと思いますのは、たとえばオーストリアの場合には、送達の要請を受理するところが一般的に指定がない、そしてまた証拠調べの要請を受理するところもないというようにこの表ではあるわけでございます。ほかの表を見ますと、事件がこれまでオーストリアとの間にはほとんどありません。ですから、事件がないからこういうふうなものは必要ないかもしれませんけれども、外務省としては、オーストリアは、その国のことですからわからないとおっしゃればそれまでだと思いますけれども、どういうわけで、オーストリアはこういうものを指定していないか。おわかりになったら話していただきたいし、おわかりにならなければ――オーストリアは必要ないと思って、つくらないのか、その点をはっきりさせておいていただきたいと思います。
#8
○井川政府委員 最初の戸叶先生の、資料を十分に前もって出すようにという御意見は、まことに仰せのとおりだと思いまして、今後十分注意をいたしたいと思います。御要望に沿うように努力いたします。
 第二点の、オーストリアというところは、確かに一般的指定がございませんので、オーストリア政府に聞いてみましたところ、オーストリア政府は、一般的指定、すなわち締約国すべてに対して、同一の当局を指定するという方針をとっておらない由でございまして、従来送達とか証拠調べ等の件数の多い国等について嘱託の経路等を具体的に定めてきておる由でございます。たとえば隣の国でございまするユーゴスラビアとの間の送達については、司法省を指定しておる、こういうふうなことを申しております。
 しからばわが国との関係はどうなりまするかと申しますと、オーストリアとわが国との関係は、過去数年間送達、証拠調べ等は全く行なわれておりません。オーストリアとしては、先方のあれによりますると、わが国が民訴条約の締約国となって、具体的な事案が生じた場合に、いずれの当局を指定する、そしてわが国と協議する、そして指定する、こういうふうに申しております。そこで承認を得まして当事国となりましたら、わがほうとしても、可能ならばその前に、あるいは接触いたしまして、具体的な事案ができる前に向こうが指定してくれるかどうかということをもう一ぺん確かめてみますが、向こうがもし具体的な事案がある場合にというのでしたら、その事案の起こる際にやろうと思っております。
#9
○戸叶委員 わかりました。オーストリアとの事件というのは、ほとんどこの表を見ましてもないわけで、いまお話によりますと、起きた場合に話し合って、どこどこときめる。その国の事情によっていろいろあるでしょうから、それはしかたがないと思うのです。
 そこでやはり疑問に思いますのは、アメリカとの間には送達とか証拠調べというのは相当多いわけですね。件数から見ましても一番多いように思うわけです。過去の例を見ましても、この表によるものなんですけれども、非常に多い。にもかかわらず、このアメリカとの間にも同じように送達の要請を受理するようなところがないといいますか、受理するところは国務省ですけれども、九条の一項の指定当局というものがないわけですね。これは非常に件数が多いのにそういう当局をきめてなくて、少し不便じゃないかということをこの表を見て感じたのですけれども、この点はどういうふうに解釈してよろしいかということが一つ。
 もう一つついでですからお伺いをいたしますと、この六条の送達の証明書を作成する当局というのが、アメリカの場合には何カ所かありますね。国務省と司法省と連邦保安官というのがあるのですが、これは内容によって違うのですか、それとも地理的な問題としてこういうふうに分けてあるのでしょうか、この点だけを伺っておきたいと思います。
#10
○井川政府委員 第二点は三井参事官からお答えしていただくことにいたしまして、第一点は、なるほど確かにアメリカは送達条約第九条第一項の指定当局というのを指定を行なっておりません。どういう理由か、私たちも実はよくわからないわけでございます。
 条約第三条によりますと、批准書の寄託のときまたはその後ということになっておりますので、あるいは今後指定することがあるかもしれません。
 いずれにいたしましても、御指摘のとおり、わが国とアメリカとの間はこういう件数が非常に多いわけでございますけれども、現実的には困難は生じておりませんのは、第二条第一項の指定する中央当局の経路及び日米領事条約による送達の経路を用いておる、また今後も用いる考えでございますので、その意味においては現実的な支障というものはないわけでございます。
 第二点は三井参事官からお願いいたします。
#11
○三井説明員 アメリカ政府から参った通告では、その送達が行なわれた地域の官庁が行なっておることになっております。地方においてはその連邦保安官が行なうたてまえだそうでございます。
#12
○戸叶委員 そうすると、いまのは内容じゃなくて、その地域によって違うわけですね。地域によって国務省へ行くとかあるいは司法省へ行くとか連邦保安官に行くとか、そういうふうに分けてあるわけなんでしょうか。それとも内容は、どういうふうにしても、どこへ行ってもいいということなんでしょうか。この点ははっきりしておいていただきたいのと、それからいまの条約局長のですけれども、別に不自由は感じないということですけれども、この条約で一つのところを指定して受理する場所ができたほうが便利と思いますけれども、いまの場合はアメリカの都合でつくっておらないのでしょうけれども、つくったほうが便利じゃないのですか。便利にするためにこういうふうに指定された当局というものをきめるのじゃないでしょうか、私そういうふうに解釈していたのですけれども、それと違いましょうか。その解釈が間違っておるかどうか、この点だけを伺いたいと思います。
#13
○井川政府委員 私も具体的なことを存じておりませんで申しわけありませんでしたけれども、第九条によりますと「領事館の経路を用いることができる。」云々というふうにありまして、便利からというと、いまのこちらの事務のほうのお話では第二条第一項の指定中央当局の国務省というほうを用いるほうが実は便利なのだそうでございます。どうして便利であるかということを実は私あまりよく存げませんけれども、それでうまくいっておるし、今後もいくという話でございます。
 それから私先ほど間違えましたのは、条約の規定により批准書の寄託またはその後に指定するというのを、私何条と申しましたか、第二十一条でございます。私間違えましたようでございます。
#14
○戸叶委員 法務省のほうの……。
#15
○三井説明員 その点は、私アメリカの法制をよく存じませんのでよくわかりませんけれども、おそらくアメリカは国が広うございますから、連邦保安官がやった場合もある、また連邦保安官が必ずしも司法当局であるのかどうか、もし連邦保安官が司法当局でなければ、送達条約の規定ではさらにもう一度中央当局が確認を与えなければならぬと思います。そういう意味で両方指定してあるのではないかと思います。
#16
○戸叶委員 いわゆる民訴条約三本というのは、簡潔に言えば手続を省くためにつくった条約だろうと私は理解しているのですが、それで間違いないとすると、やはりいま私が伺ったような質問点がこの表を見ると出てきたものですから御質問をしたわけでございます。その国によっていろいろ違うでしょうからこれ以上のことは伺いません。
 もう一つの問題といたしまして、私ここでこの前「国際私法に関するへーグ会議規約」という問題について国会の承認を得なかったのはどういうわけかということでいろいろ質問いたしました。最後の点少し納得しなかったのですが、大体政府の考えを聞きまして、今後、憲法にいう条約の調印の事前または事後の国会の承認を必要とする条約と思われるものでも、何か批准されないで片づけられるような心配があるのではないかというふうな、この前はあとから質問をいたしまして、そういう点がまだはっきりはいたしておりませんけれども、これはあとの問題といたしまして、ただこの問題として残りますのは、この間の「国際私法に関するへーグ会議の規程」というところでございますが、私は規程ということで質問をして、政府のほうの答弁も規程ということでお答えを願っていたわけなんです。質問に対して規程ということで答弁をしてくだすったわけです。ところがこの説明書を見ますと、「国際私法に関するへーグ会議規約」という字で説明をしてあったわけです。だから私は、規約というのかしら規程というのかしらというので、ちょっと迷いました。そうしていろいろ調べてみますと、外務省でお出しになったのはみんな規程になっていますし、どうも規程のほうが正しいのじゃないかというふうに考えておりましたところ、けさ来てみますとここに正誤表が出ているわけです。やはりこれは規程のほうが正しかったのかなということでわかったのですけれども、この点を念のためにもう一度はっきりさせていただきたい。正誤表が出ましたからわかりましたけれども、出なければそのままになってしまったと思うのですが、その点やはりはっきりしておいていただいて、説明書を今後お出しになるようなときは、はっきり間違わないような文章にしておいていただきたいということを要望しながら局長の御意見を伺いたいと思います。
#17
○井川政府委員 きょうはおわびすることばかりで申しわけございません。われわれといたしまして、国会に御提出いたしましたすべての資料につき検討いたしましたところ、まことに戸叶先生御指摘のとおりでございまして、民訴条約、送達条約、不認証条約、それぞれの説明書に「国際私法に関するへーグ会議規約」という表現が使われているということに気がついたわけでございます。外国語では、これはスタチュー、スタチュート、同じわけでございますけれども、外務省で本件につきましてもこれは規程と訳しておりますので、当方の誤訳でございまして、またスターチュー、スタチュートということばをなぜ規程と訳し、規約と訳すかということでございますけれども、確かに国際司法裁判所規程の中にスタチュー、スタチュートとございますけれども、これは規程と訳しておりますので、今後は全部規程と統一いたします。どうも御注意ありがとうございました。そうしてこの正誤表を提出いたしまして訂正させていただいたわけでございます。申しわけございません。
#18
○戸叶委員 条約が批准される前に気づかれて正誤表をお出しになったからいいのですけれども、批准されてからだと、昔だったらたいへん問題になるということを、よく松本俊一先生から私教えられたものですから、自民党の方ですけれども松本先生はそういうところは非常にきびしくおっしゃったものですから、やはりきちんとしておくべきじゃないかと思って申し上げたわけでございます。
 次にルーマニア、ブルガリアとの通商航海条約について、大体内容が同じようでございますから一緒にして二、三点伺いたいと思います。
 ルーマニアとの通商航海条約というのは、戦前戦後を通じて今度初めてでございますか、前にもこういうものがあったでしょうか。
#19
○山崎説明員 ルーマニア、ブルガリアに対しましても、戦前それぞれ通商航海に関する取りきめはあったわけでございますが、それはブルガリアとの間では通商航海に関する交換公文、ルーマニアとの間では通商に関する交換公文というふうになっておりまして、それぞれ一応の取りきめはあったわけでございます。しかし正式の通商航海条約はございませんでした。
#20
○戸叶委員 そうすると、それぞれルーマニアにもブルガリアにも、今日の通商航海条約とは違うけれども、それに似た交換公文のようなものがあったというふうに理解したわけですが、それは両方とも別に批准はしてなかったわけですね。署名だけで批准してなかったわけですか。
#21
○山崎説明員 当時の事情は詳しくは存じませんが、われわれが調べました限りにおいては、そういう批准条約ではございませんでした。
#22
○戸叶委員 今回のこの通商航海条約は、やはりそういうようなものを土台にして、さらに戦後いろんな国際情勢も変わってきておりますから、そういうことを勘案しての条約になったわけと理解してよろしゅうございますか。
#23
○山崎説明員 戦後は、御承知のとおり、東欧諸国とはかなりの通商航海条約を締結しておりまして、チェコ、ポーランドその他ともやっておりますので、大体一つのパターンができております。それに従って大体締結されたものでございます。さらに今回の場合は、ルーマニア、ブルガリア等、向こう側から通商航海条約をぜひ結びたいという希望がございまして、それに従って、従来のパターンも参酌しつつ交渉して妥結を見たものでございます。
#24
○戸叶委員 ブルガリアとルーマニアそれぞれの輸入額、輸出額と、おもなものを参考までに知らせていただきたいと思います。
#25
○馬淵説明員 お答え申し上げます。
 ブルガリアとの輸出入額でございますけれども、一九六九年一−十二月では総額二千五十万四千ドルでございまして、そのうち輸出が一千百八十万九千ドル、それから輸入が八百六十九万五千ドルでございます。それからルーマニアでございますが、同じく六九年一−十二月で総額が三千六百四十七万ドル、輸出が二千二百二十一万四千ドル、輸入が一千四百二十五万七千ドルでございます。
 それからおもな貿易品目を申しますが、ルーマニアにつきましては、特にあそこは石油の産出国でございますので、重油あるいは銑鉄あるいは採油用のヒマワリの種、そういうものを輸入しておりまして、輸出は船舶とか機械、そういうものでございます。またブルガリアにつきましては、銑鉄、それから採油用のヒマワリの種子、それからあそこはたばこの産出国でございますので、葉たばこを輸入いたしております。輸出品目といたしましては、ルーマニアと同じようでございまして、船舶、機械、プラント、そういうものでございます。
#26
○戸叶委員 ルーマニアもブルガリアもガットに加入しておりませんね。ガットに加入していないで、ガットとの関係はどういうことになるのでしょうか。
#27
○鈴木説明員 ルーマニアは昨年の春でございましたか、ガットに正式に入りたいという申請をいたしまして、昨年の秋からたしか三回にわたりまして加入のための作業部会が開かれて、一応討議の結果を勘案しまして、事務局は加入のための議定書案をつくって、それを目下各国で検討中でございます。これはルーマニアのガットに入りたいという強い希望のあらわれだと思います。ブルガリアはまだ正式に加入の申請をしておりませんけれども、すでにガットの諸会議にオブザーバーの地位を得て会議を傍聴しております。いずれはガットの正式メンバーになろうという意向があるのではないかと推測いたしております。
#28
○戸叶委員 私しろうとでわからないのですが、ガットに加盟してない国と通商航海条約をやる場合に、何か不便がありますか。たとえばガットに加盟しておる国と日本との通商航海条約の場合と、それからガットに加盟していない国と日本との通商航海条約の場合と比べましたときに、何か差異なりむずかしい点なりございますか。
#29
○鈴木説明員 ガットに加盟しております場合は、ガットの規定をみな順守しているわけであります。特にガットの規定の中には、これは貿易及び関税に関する協定という名前が示しますように、貿易に関する基本的な条項を含んでいるわけでございます。特に関税についての最恵国待遇あるいは輸入した貨物の国内における内国民待遇というような基本的な待遇を含んでおりますので、ガット加盟国と日本との関係におきましては、かりに二国間条約がなくても、そういった基本的な問題についてはガットの加盟国ということでお互いにそのルールに従っておるわけでございますが、ガットに加盟しておらない国との関係におきましては、そういった基本的な待遇を二国間条約ではっきりときめない限り法的な保証は得られないわけでございます。
 特に東欧諸国との関係におきましては、必ずしも関税制度が自由貿易圏と同じように完備したものを持っておらないとか、あるいは貿易が国営であるとかいうような観点から言いますと、そういった点についての保証をやはりこの二国間条約で結ぶことが非常に大事になろうかと思います。特に相手の国がガットに入っておらない場合においては、ますますその重要性は大きいんじゃないかというふうに考えております。
#30
○戸叶委員 それで、加盟している国との通商航海条約、加盟していない国との通商航海条約の場合にはよくわかりました。たとえば加盟していない国のときは、二国間の条約で一つの基準をきめるのだということでわかったのです。
 そこで私、ちょっとふしぎに思うのは、ガットの中には輸入制限の禁止というものがきめられてあるわけですね。そういう条項があるにもかかわらず、それに関連してアメリカが今回繊維製品についての規制をしてきたというようなことは、ガットの方面から見ますと、少しおかしいのじゃないかというふうにしろうと考えで考えるのですけれども、この点はどういうふうに解釈したらよろしいのでしょうか。
#31
○鈴木説明員 ガットの規定に関する限りにおきましてはガットの十一条に、数量制限の一般的廃止という規定がございます。数量制限をやってはいかぬ。しかしそのあとのほうに出てくる条文との関係においては、国際収支上の困難があります場合にはやむを得ずやってもよろしい。しかし、やる場合にも無差別にやりなさいという規定になっております。したがって、ガットの仕組みにおきましては、一般原則、大原則はやってはいかぬけれども、国際収支上の理由がある場合には無差別にやりなさいということで、若干そこにフレキシビリティーを残しておるわけでございます。
 ただいま御質問のありました、アメリカの繊維製品に対する輸入制限あるいは自主規制の要望という点につきましては、ガットの規定に関する限り、ある国からの輸出、逆に輸入国から見ました場合にある商品の輸入が急激に増大して国内産業に損害を与える、あるいは与えるおそれがある場合には、このガットの仕組みによって協議して、当事国間の合意で解決する。あるいは解決できない場合には、相手国が一方的にその措置を継続し、他方の国がこれに見合う一種の対抗措置をとるということでバランスをとっておるのがガットの仕組みでございます。
#32
○戸叶委員 そうすると、アメリカの場合には、十一条では禁止しているけれども、しかし国際収支上の問題があるからこれはしかたがないのだというふうに政府としては解釈なさるわけですか。
#33
○鈴木説明員 アメリカの場合は、国際収支上の困難があって十一条の例外を認められている状態にはございません。ことばを変えて言いますと、アメリカは、国際収支上の理由ということで輸入制限はできない国になっております。
#34
○戸叶委員 そうすると、端的に言うならばいまのアメリカの繊維の輸入制限の問題はどういうふうに解釈したらいいわけですか。ちょっと理解に苦しむものですから、はっきりさせていただきたい。
#35
○鈴木説明員 十一条の関係では確かにアメリカの言い分に理由はないと思います。ただ先ほど条文を申し上げませんでしたけれども、輸入の急増によりまして国内産業に重大な損害あるいはその脅威がある場合におきましては関係国間で協議するという十九条の手続がございますが、その損害があるかないかという、つまり措置をとる前提としての事態の認識についての意見の相違があろうかと思います。これが現在の繊維問題について日米間の話し合いの一番大きな問題ではないかと私は考えております。
#36
○戸叶委員 そういうふうなところを見ますと、ガットの体制というものも十一条で禁止をしてはいけないとしてみたり、また十九条で検討する、いうことでうまく逃げておりますので、ガットの体制というものも最近はある程度考えていかなければならないような情勢になってきているんじゃないですか。ガット体制というのはこのままでいいというふうにお考えになっていますか。いまみたいなことが出てきますと、私どものようなしろうと考えですと、一体ガット体制というものをしておいても、たとえばいまの質疑の中の日米間の例ですね。日米間の例などを見ても、十一条で輸入の禁止ということはいけないということが書いてありながら、今度は十九条で再検討することができる、そういうふうなことになっていますと、いつでも自分の国に有利なような形で解釈をしていくので、ガットの体制というのはそういうような問題点を含んでいるから、やはりそういうことをもう一度考え直していかなければならないような情勢にきていないかということを私は思いますけれども、その点はどういうふうにお考えになりますか。
#37
○鈴木説明員 確かに御指摘のとおり、大原則は掲げますけれども、そのあとの事情によって、いろいろとそれに対する例外といいますか、ある程度の弾力的な措置を認めている点、これはガットの仕組みでございますけれども、ただ、その運用の点におきまして、従来から問題が発生いたしますごとに、いわゆるガットの主催の会議というかっこうで関係国が集まりまして、貿易を実施する準則としてのガットの重要性ということから、できるだけこれを国際貿易における一種のディシプリンと申しますか、導入する意味から、その運用についてはできるだけ厳格なルールをきめる必要がある。とかく一たびある程度例外的な措置を認めますと、ほかの国がこれにならうというような例もございますので、その点、従来のガットの諸会議の経験から申しますと、その運用自体はわりにシビアに実施されてきているんじゃないかと思います。特に、何年か前にイギリスが課徴金を導入しました際に、その会議における各国の発言は相当シビアなもので、結局当初提案しましたイギリスの案が半分ぐらいに、つまり撤回したかっこうでようやく、しかも常にレビューするということで通っているような経緯もありますように、それぞれの国の事情はありましても、それがそのままなかなか通らないというのが実はガットの運用で、その点で必ずしも現在のガット体制が非常に弱いといいますか、国際貿易のディシプリンの上でそれはたよりにならぬということは必ずしもないと存じます。
#38
○戸叶委員 一般の人が考えますと、今度のアメリカとの繊維の問題ではそういったような考え方を持つ人もなきにしもあらずだ、私はそういうふうに考えたものですから、いま質問をしたわけでございます。この繊維問題は別にほかの方がほかの機会におやりになるからこの程度にいたします。
 そこで、通商航海条約の中にはガットの規定を範として盛り込んだものがたくさんあるんじゃないかと思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
#39
○山崎説明員 ガットとの関係でございますが、この条約では大体最恵国待遇を締約国にと書いてあるわけでございますが、輸出入関係の規定を書いてございますところは仰せのとおりガットの規定と似たような形になっております、たとえば第四条でございますが。そういう意味で、ガットの規定の書き方を利用しているところもございます。ただガットは何といいましても非常に特殊ないろいろな規定もございますし、関税を相互に引き下げるという非常にこまかい規定も設けられておりますので、そのガットとこの通商航海条約の関係がはっきりしなくなる可能性もあるわけでございます。そこで、日本はガット加盟国でもございますから、その点この議定書の第一項に、ルーマニア、ブルガリアのほうにもございますが、第一項に両方の関係を明らかにする規定が設けてございます。趣旨は、要するにこまかいそういう特別な規定についてはガット規定のほうが優先するという趣旨でございます。そういうふうにしてとの通商航海条約とガットの関係が明確にされております。
#40
○戸叶委員 そうすると、大体通商航海条約にはガットの規定のほうが優先するという形で、そういう趣旨が盛られて締結されるというのが通常の例でございますか。
#41
○山崎説明員 さようでございます。
#42
○戸叶委員 わかりました。
 ちょっと通商航海条約に関連して伺いたいのですが、何か聞くところによりますと、タイのほうが通商航海条約を破棄してきたというようなことも聞くのですけれども、もしそういうふうに破棄してきたならば日本はこれをお認めになるのかどうか、そうして一方的に条約上破棄できるものかどうかということを伺っておきたい。というのは、いろいろな国と通商航海条約を結ぶわけですけれども、かってに先方から制限をしてくるとかそれから破棄するということが有効になるならば、そういう点も私たちは考えておかなければいけないと思うのですが、この点条約上どういうふうに理解したらいいかということと具体的なタイの問題とを説明していただきたい。
#43
○山崎説明員 タイは御案内のとおり、ことしの二月二十七日に戦前からありました日タイ友好通商航海条約を廃棄する旨を通告してきたわけでございます。これはその条約の三十条に一年の予告期間をもって破棄できるという規定があるのでございます。ですからこれは条約上の権利として破棄通告はできるわけでございます。このルーマニアとブルガリアとの通商航海条約にもそういう廃棄終了条項は書いてあるわけでございまして、たとえばルーマニアの場合には、第十二条の二項には条約は発効後に五年間効力を有する。「その後は、この条に定めるところによって終了する時まで効力を存続する。」とありますが、第三項で「いずれの一方の締約国も、六箇月前に他方の締約国に対して文書による予告を与えることにより、最初の五年の期間の終りに又はその後いつでもこの条約を終了させることができる。」となっております。したがいまして、このルーマニア及びブルガリアとの通商航海条約につきましても、この規定に従う限りもちろん一方的な廃棄通告はできるわけでございます。ただしこれは五年間据え置くということになっております。
#44
○戸叶委員 私、タイのことをちょっと知らなかったものですから伺ったのですが、そこでタイにも一年の予告期間で廃棄条項があるということがいまわかったのです。
 ついでですから伺いますけれども、タイがそういうふうに廃棄するということを言ってきて、日本との貿易関係はどういうことになりますか。たいへんに日本にとっても不利になる面がございますか、この点だけをちょっと伺っておきたい。
#45
○山崎説明員 これは何と申しましても戦前の一九三七年に結ばれた条約でございまして、タイのほうから見れば非常に旧式だと言っておるわけでございます。したがいまして、別にわが国だけではなくて、イギリスとかドイツとか十五、六カ国に対して一律に現状に適しなくなったという理由のもとに廃棄通告をしてきたわけでございます。しかし、あと一年間有効でございますから、その間に新たな交渉をしてやることは、向こうもその用意があるということでございますし、すでにわがほうではタイに対して、新しい条約の締結交渉を開始したいということを申し入れております。さらに、先ごろ愛知大臣がバンコクで行なわれましたエカフェ総会に出席されました際に、タナット外務大臣に対して早急にやりたいというふうに申し入れ、向こう側も了承しております。ですから、もしその間に間に合えば、無条約状態なしにつなげるのではないかと思います。もしかりに若干の空白機関ができましても、通商後悔関係がお互いの信頼関係で運用されていく限りにおいては、あまりにそうすぐに問題が起こることはなと了解いたします。
#46
○戸叶委員 条約の案文に入りまして、ちょっと一、二点伺いたいのです。
 一条の三項、四項に軍事的な条項が入っているわけですけれども、これは日本にとっては必要ないのじゃないかと思うのです。これを入れた理由を伺いたいと思います。
#47
○山崎説明員 これは日本にとっては必要ないというお話でございますが、むしろ、日本人が向こうに行ったときに必要がありますので、日本にとっては利益がある条項だと思います。つまり、強制軍事服役とか、それにかわるような租税だとか、軍事課徴金を免除されるという保証がこれであるわけであります。そういうことはあまりないと思いますけれども、ルーマニアに行って、徴兵されるとかあるいはそれにかわる金を出せと言われるようなことが万一あった場合には、この条約の規定によってそれは免除されておるはずだということが言えるわけでございます。
 第四項の規定に関しましては、これは一種の最恵国待遇でございますから、強制戦時公債というものをみな応募しなければならぬということになりました場合には、どういう外国人であってもある程度のことはしなければならないかもしれませんが、それも一種の最恵国待遇で、「第三国の国民に与えられる待進よりも不利でない待遇を与えられる。」という保証がなされておるわけで、これは、ルーマニアないしブルガリアに行った日本国民には非常に意味のある規定だと思います。
 ただ、向こうから来た場合にはこれはほとんど空文でございましょう。私は自衛隊の法の規定はよく存じませんけれども、第四項の強制宿営くらいのことはあるいは緊急事態にあり得るのかもしれないと思っております。しかしその点は私もまだ詳しく存じません。
#48
○戸叶委員 そうですが、自衛隊のようなときに考えられるわけですか。これはそこまで想定しておくわけですか。
#49
○山崎説明員 いま申し上げましたように、これはわがほうにとって非常に一方的に有利な規定という意味で入れてあるわけでございまして、一般的に申せば、もちろんブルガリア人やルーマニア人が来たときにこういうものが適用あるとはほとんど考えられないわけでございますが、強制宿営については、どういう形であれあり得るであろうと思っておるわけでございます。
#50
○戸叶委員 これはこのくらいにしておきましょう。
 それでは第七条の四項ですが、それの内容がちょっとわからないのです。たとえば「積量測度に関する証書」こういうものがどういうものであるか、具体的に説明していただきたいのと、もう一つは、ここでの「権限のある当局」というのが何をさすのか、この二点を御説明いただきたいと思います。
#51
○山崎説明員 積量測度の証書、これはちょっとわかりにくいのでございますが、要するにその船のトン数というものを測定するわけでございます。日本の場合、船舶法の第四条第一項に、日本の船舶の所有者は日本に船籍港を定めまして、その船籍港を管轄する官庁、地方海運局だと思いますが、そこに船舶の積量の測度を申請する必要があるのでございます。これに基づいてその船の重さが何トンということが定められるわけでございます。それでその証書を持って相手の、たとえばルーマニア港に入ったといたしますと、その相手の国の海運局なり港の当局は、その発給した証書と同等のものとして認める。つまり日本の当局が発給した証書のトン数が千トンであれば、それをそのまま千トンとして認める。その認めることが一体どういう効果があるかといいますと、やはり船が港に入ればいろいろなチャージ、課徴金とか入港税とか払わなければならないわけですが、それがトン数によって計算される場合が多いわけでございます。したがいまして、その船が千トンといえば千トンを基準にチャージを払えばいいという意味で、非常に簡便でございます。そうでなければ、おまえの船は千トンでなくて千二百トンだといわれれば、その分だけ二割よけいに払わなければならないことになりましていろいろめんどうなことが起きますし、そういうことをお互いに認め合うことによって非常に簡便にできるということでございます。
#52
○戸叶委員 いま「権限のある当局」はどこですかということを伺ったのですが、それにお答えがなかったのです。それと、それから、そうするといまのは、結局これは幾トンの船ですということの証書を持っていけば、すぐそれを信じてそれによってチャージしますというように、非常に簡単にできるという意味でこれを入れたわけですね。
#53
○山崎説明員 そうでございます。
 それから、最初に出てまいります「一方の締約国の権限のある当局」という場合は、わがほうに関しましては、先ほど申し上げました船舶法第四条第一項に書いてありますとおり、船籍港を管轄する管海官庁でございまして、具体的には地方の海運局でございます。さらにルーマニアの船が日本に参りました場合、その積量測度の証書を認めるほうの当局は、とん税法の関係におきましては関税当局でございます。
 ルーマニアの、向こう側の認める当局がどこであるか、ちょっと私たちもそこまで調べておりません。
#54
○戸叶委員 まあそれほど重要でないといえば重要でないかもしれませんが、条約が出ているのですから、一体相手のほうはどういうところかくらいのことは調べておいていただきたいと思うのです。相手側がどこであるかわからないというのじゃ、条約を審議していく上においてもあまり無責任のように思いますから、その点どうぞお調べになってはっきりさせておいていただきたいと思います。
 それからルーマニアとブルガリアの通商航海条約を比べますとほとんど文章で変わりがないように思います。そこで違っているところは八条で、端的に申しますと、たとえば遭難したような場合にはその国で助けてあげるというようなことだろうと思うのですけれども、その場合にブルガリアの場合には「その沿岸における難破」というふうに「その沿岸」というのが入っていますね。ところが、ルーマニアのほうにはその沿岸ということが入ってない。この辺は何か特別な違いがあるのでしょうか。
#55
○山崎説明員 これは内容的にはそう違いはないのでございますけれども、結局難破した場合にお互いにこれを助け合うということについて、この点だけは普通のほかの規定の最恵国待遇とは違いまして、内国民待遇も入ってございまして、自国船と同じように助けるというふうにわりあい手厚くはなっているわけでございますが、助け合う範囲が、あまり海の向こうの範囲では助けるといっても能力に限界があるということで、内容的にはそう変わらないと思います。ブルガリアの場合には、特にあんまり遠いところまではちょっと手が回らぬかもしれぬという心配を向こうは若干いたしまして「沿岸における」ということばを入れたんだと思います。しかし趣旨におきましては、お互いにそれはできる範囲において海難にあった船を助けるわけでございますから、内容としてはそう変わらないと思います。
#56
○戸叶委員 内容としてはそんなに変わらないでしょうか。ある程度変わってませんか。たとえばブルガリアの場合には、なるべく近い範囲内のときには何とかするけれども、そんなに遠くまで手が届きませんよというようなことですね。それからルーマニアの場合には、その辺なるべく近くというよりも遠くのほうまでもある程度はやってあげましょうというのとで区別してあるんじゃないでしょうか。
#57
○馬淵説明員 条約交渉のときの経緯を申し上げますと、ルーマニアは海域ということで臨んだわけでございますけれども、ブルガリアのほうはこの交渉の過程におきまして、どうもブルガリア側の海難救助体制が非常に限られている、そしてまた自分のつくった条約でも全部沿岸ということばになっておるし、あまり遠くまで行って救助する体制にはないので、ひとつ沿岸ということでかんべんしてもらえないか、こういう話がございました。わがほうといたしましても、ソ連が世界と結んでいる条約は全部沿岸となっておりますし、この条約の主体は、要するに難破した場合、日本に対してブルガリア船に対すると同様の待遇を与えるという人道的な趣旨でございますので、一応そういう先例もあることでございますので、われわれはブルガリアの趣旨等入れまして、こういう規定を入れた次第でございます。
#58
○戸叶委員 人道的な問題ですから、難破していればできる範囲内でやるということはどこの国でもあたりまえだと思うのです。ただこういういまおっしゃったような面から見れば、ブルガリアのほうでたいへんに控え目な表現をしているんだというふうに解釈できるわけですけれども、たとえばあまり遠くのほうまでできませんけれどもというふうなことをいっているけれども、実際問題としてはやはり人道上の問題ですから、見えるところでやっていればこれを救助しなければならない。しかしそんなに大きなことまでいっちゃっても、自分のところは限度があるからできないんじゃないかというふうな表現で、これが入ったというふうに理解してもよろしゅうございますね。
#59
○馬淵説明員 そのとおりでございます。
#60
○戸叶委員 わかりました。
 そこでもう一つの教育的、科学的、文化的資材の輸入に関する協定について二、三点だけ御質問をしたいと思います。
 この協定はだいぶ前から発効されておりますけれども、日本ではなかなか入らなかったようですが、なかなか入らないで今回踏み切った理由というものは――これはたいへんいい条約といいますか、協定のように私は思いますけれども、今回踏み切った理由はどういうわけでございましょうか。
#61
○池部説明員 この協定は、教育的、科学的、文化的資材につきまして関税を免除すること、それから外貨の割り当て、輸入数量制限等をしないことを定めてあります。この協定ができました当時は、戦後でございまして、日本の経済状態も非常に悪かったということで、この協定に書いてありますような広範囲の関税の譲許でありますとか、数量制限の撤廃でありますとか、外国為替の割り当ての制限をなくしてしまうということは、非常にむずかしい状態にございました。それから次第に日本の経済力も向上いたしまして、大体そういう制限をやめていくことができるようになりましたものから、逐次そういう制限をやめてまいりまして、それで現在残っておりますのはニュース映画用フィルムに関する制限のみでございますけれども、これもこのたび制限をはずしても差しつかえないという状態になりました。他方また日本から外国に輸出されます文化的、教育的、科学的資材の輸出というものも次第にふえてまいりました。最近ではかなり使われるようになっておりますので、この協定に入りますと、逆に日本のものが外国に輸出されますときに、外国からこういう制限を受けないでいいという利益を受ける面が非常にふえてきたということもございまして、そういう利害得失を勘案いたしまして、今回批准をお願いするようにした次第であります。
#62
○戸叶委員 いままで入らなかった理由の一つとして外貨の割り当ての問題等もいまおっしゃったわけですけれども、いま大体これの外貨はどのくらい使っていらっしゃるんでしょうか。
#63
○池部説明員 外貨の額が正確にわかっておりませんけれども、ここにございます資料によりますと、大体輸入額――日本の貿易統計の分類とこの協定の附属書の分類と多少違っておりますのでぴたりとまいりませんけれども、大体この附属書Aに当たります印刷物につきましては、四十四年、昨年度の輸入が総額約二百億でございますね、二百十七億千二百万円、それから附属書Bの関係の美術品等につきましては八十三億五千五百万円、それから附属書Cの関係の映画用フィルム等につきましては十二億八千四百万円となっております。それから附属書Dの教育用、科学機器につきましては、約九十億円となっております。それから附属書Eの盲人用の物品につきましては、約三百万円となっております。
#64
○戸叶委員 こういう問題は、私たちもある程度興味を持っておるのですけれども、大体ワクをおきめになって、このくらいを輸入するとか、このくらいを輸出するということでなしに、もう行き当たりばったりにおやりになっていらっしゃるのですか。その辺をちょっとはっきりさしてもらいたいのと、それからいま説明があったのですけれども、あとでちょっと表にして出していただけないでしょうか。参考にしたいと思うので、こういうことを資料として出していただきたい。私、最初に申し上げたのですが、そうすれば、条約を審議する上においては、それだけ時間が省けると思うのです。ですから、こういうことを、もう少し条約をお出しになる御当局はお考えいただきたいと思います。私たちも真剣に勉強するのですから、そちらのほうも、やはり真剣な態度でやっていただきたいと思うのです。
#65
○池部説明員 ただいまの資料は、後ほどお届けいたしたいと思います。
 それから輸入のやり方につきましては、詳しいことは、通産省のほうが御説明するのが適当かと思いますが、ここに書いてあります物品の大部分は、自動承認制と申しますか、申請すれば認可されるようになっておると了解しております。
#66
○戸叶委員 さっきちょっと出たのですが、附属書Eの盲人用の物品のところ、この中には、いま問題になっている盲導犬というのは入っておりますか。ちょっと参考のために伺いたい。盲人の方がたいへんに盲導犬のことを重宝がって、いろいろな角度から心配していらっしゃるのですが、私、いまふっと盲人というところで思い出したので、盲導犬が入っているか入っていないか、念のために教えていただきたいと思います。
#67
○池部説明員 附属書Eには、書籍及び物品という規定になっておりまして、盲導犬は、附属書Eには含まれません。しかし現在、関税定率表によりますと、盲導犬は無税になっておるわけでございます。したがいまして、この協定の適用を受けなくても、輸入されるときには無税になっております。
#68
○戸叶委員 ちょっとそれを知っておきたかったものですから……。
 そこで条約に署名した国は、ここに出ておりますけれども、批准した国は一体どれくらいか、おわかりでございましょうか。
#69
○山崎説明員 全部で五十九カ国でございます。
#70
○戸叶委員 社会主義国は入っておりませんね。そういう国から、こういうふうな資材の輸入をする場合には、どういうふうな態度をとられるわけでございますか。
#71
○山崎説明員 社会主義国も入っておりますが、実はソ連がまだそれに入っておりません。ただ入っておりませんでも、わがほうとしては、関税定率表のたてまえ上平等に扱うわけでございます。向こう側としては、自由にやっていただきたいわけでございますが、しかし、いまあちらの社会体制の相違その他もございまして、簡単ではございませんので、御承知のとおり、たとえばソ連との間では、具体的にこういう書籍の問題その他も含めて一種の文化取りきめを、いま交渉しておるわけでございます。
#72
○戸叶委員 いまのこれに入っていないから、たとえば入っていない国との間のそういうものの輸入に対しては、何か特別に考えなければ税がかかるということになるわけですか。
#73
○山崎説明員 ただいま申し上げましたとおり、わがほうに関する限りは、この条約に入っていようといまいと、全部無税でございます。向こう側のほうは、向こうの制度でございますので、その国のその制度、制度で処理されるということになります。ただ実際問題としては、なかなか自由には入れていただけないようでございますから、これはやはり個別な文化交換協定とか、いろいろなものをつくっていかなければならないと思っております。
#74
○戸叶委員 そうすると、日本の場合は無税というのは国内法か何かで無税にしているわけですか。大蔵省と通産省か何かとの話し合いでおやりになるのでしょうか、この点もはっきりさせていただきたい。
#75
○池部説明員 関税定率表にございますもので大部分のものが無税になっております。それから関税定率表で無税になっていないものにつきましても、関税法で申します特定用途免税、特定の方が特定の目的のために使うものについては無税にしておりますし、それから包括的な免税規定では、この条約に基づいて輸入したものにつきましては免税になるという規定がございまして、そういう規定で免税になるわけでございます。
#76
○山崎説明員 ちょっと私、いまソ連との関係について、個別に交渉していかなければならぬということを申しましたが、ただ、いまやっております日ソの文化取りきめには、免税問題までは、実はまだ扱っていないのでございますが、ただ入れる数量その他について、いろいろと話し合いをしているわけでございます。ちょっと訂正させていただきます。
#77
○戸叶委員 けっこうです。
#78
○田中委員長 大久保直彦君。
#79
○大久保(直)委員 通商航海条約のほうでございますけれども、特にブルガリアでございますが、ブルガリアとの通商航海条約を批准しようということでございますけれども、最近ブルガリア国内におきまして、外国企業の商業活動に対する規制の問題が発生いたしております。特に長期にわたる駐在を認めずに、三カ月以内のビザで行なう商業活動のみ認める、こういったことが、日本の外国企業とブルガリアとのダイレクトな取引を向こうは好まない。何かそこに――あそこは外国貿易省でございますか、エージェントなりインタープレットを置いて、そこで一切の管理並びに運営をしていきたい、こういう動きがあるわけでありますけれども、これは外国企業の中には、当然日本も含まれているわけでありますが、これは日本だけではなく、イギリス、ドイツも、こういった規制がとられて、最近、日本の商社においても、駐在員が他国にスライドしたというようなことが伝えられているわけでございますが、この実態は――ドイツにしましても、イギリスにしましても、貿易支払い協定という規定のもとにブルガリアとの商業活動が行なわれている。いま日本が通商航海条約をこれから批准しようとするわけでございますが、この後もいままでと同じような扱いを受けるのか、それとも通商航海条約を結んだ後は、日本だけは外国企業の中でも特別な待遇を受けるのか、この辺について初めにお聞きをしておきたいと思います。
#80
○馬淵説明員 お答え申し上げます。
 現在ブルガリアで、日本の商社も含めて外国商社が貿易活動に従事する方式には二つございます。一つは、いま先生御指摘になりましたとおり、たとえば事務所、住所を持ってあるいはテレックスを使用する、そういうような長期的な活動をいたします場合には、昨年来法律によりまして、向こう側のエージェント公団と契約を結ぶということが必要になっております。こういうことが必要になっておりますゆえんのものは、先方が一応貿易の国家独占というたてまえをとっておりまして、そこに住所を持っている私人は貿易はできない。したがいまして、そういう貿易公団と契約を結んでそのかさのもとで長期的な貿易活動を営むということでございまして、たとえば外国では西独のフォルクスワーゲンでございますとかシーメンスでございますとか、あるいはイギリスのブリティッシュペトローリアムなどはこういう代理店を持って、一応事務所を設定でき得る態勢にあると存じております。
 そのほかにもう一つの方法は、いわゆる一般旅行者の資格で、いま先生御指摘になりましたとおり三カ月のビザを積み重ねていくことによって商談を行なうという二つの方法があるわけでございまして、現在のところこの二つの形式は外国に対して無差別に適用になっております。
 そこで御指摘のございました条約との関係でございますけれども、先生御指摘のとおり西独あるいは西欧諸国というのはそういうような条約がございませんので、現在のところそういうことを事実上やっておるわけでございますけれども、われわれがこういう条約をつくることによりまして、今後この代理店の契約も含めまして、ブルガリアが最もよい待遇を与えている国に対する待遇に日本は当然法的に均てんすることになります。その反面、こういう条約を持っていない西欧諸国に対しましては、論理的にはそれを差別するということはでき得るわけでございますけれども、日本に対してはそれを差別することはできない、こういうことになるわけでございます。
#81
○大久保(直)委員 ブルガリア駐在の商社の数はそんなに多くはないと思うのですけれども、ただこの長期滞在が認められずに三カ月のビザの積み重ねで商業活動を行なうということは、わが国にとっては非常に不利の状態ではないか、こういうことを感ずるわけなんです。
 そこで関連しましてこの二条一項に定められてあります「当該一方の締約国内に住所を有するものは、他方の締約国の領域内においても法人として認められる。」と、こういった一項があるわけですけれども、この辺に抵触しないかという感じがあるわけなんです。
#82
○山崎説明員 この一項の規定は、たとえば日本の国内に住所を有するものは一つの法人として認められるということでございますけれども、ただ完全に相手国の中において外国法人の認許ということによって、完全な法人活動ができるというわけでは実はないのでございます。日本の民法の三十六条の一項ただし書きというところに、外国法人の認許という問題があるのでございますが、そこまでを規定したものではございませんで、これはあくまで会社を、法人を相互に認めるということでございます。
#83
○大久保(直)委員 ただいま民法三十六条の解釈は存じておりますけれども、ただこの通商航海条約の中に第二条第一項としてここに取り上げたことにつきましては、この冒頭にもありますように「経済活動に従事する法人であって」と、その経済活動に従事することを目的とした法人に対する、ただいまの結文の「他方の締約国の領域内においても法人として認められる。」というこの文は、まことにこの本文どおり明快であると思うのですけれども、ただこういう一項が載せられておりながら、ブルガリアのそうしたエージェント並びにインタープレットの制度によって、日本がこういう条約を取りきめながら実際上はこれが行なわれないということになるのではないか、こういう懸念があるわけですが、いかがですか。
#84
○馬淵説明員 経済活動ができないということではなくて、要するに長期的な活動をするためには向こうのインタープレットの傘下の十二の公団と代理店契約をする必要がある、そういう条件がついているというだけでございまして、別に禁止されているとかそういうことはございませんで、ただすでに私が申し上げましたとおり、フォルクスワーゲンでございますとかシーメンスでございますとかあるいはブリティッシュペトローリアムでございますとか、すでに契約を結んでおりまして、日本におきましてもこの種の契約を結んだ会社があると聞き及んでおります。
#85
○大久保(直)委員 日本がブルガリアで商業活動を行なう場合三カ月のビザの積み重ねというのは、これも住所を有するという範疇に該当するわけですか。
#86
○馬淵説明員 該当いたしません。
#87
○大久保(直)委員 該当しないような現実の事態にぶつかっていながら、こういったことをこのまま黙認というのですか、載せたままでかわすということはどうなんでしょうか。
#88
○馬淵説明員 御承知のとおり、いま申し上げましたとおり、長期的な滞在ができないということではございませんで、一応代理店契約というものも結べば事務所も設置できるし現地人も使用できるということでございます。もちろん先生御指摘のとおりでございまして、たとえば東欧諸国にはこの種のエージェント契約を、そういうシステムを持っていながら、必ずしもそういうものが厳格に適用されていない、たとえばポーランド、チェコというような国もございまして、われわれといたしましても今後機会を通じて、できればそういうふうに、たとえばエージェント契約がなくても長期的な滞在ができるという方向で先方と話し合っていきたいと考えております。
#89
○大久保(直)委員 この問題はこの程度にしておきたいと思いますが、ただ最恵国待遇ということだけで、やはり具体的な問題についてもう少し煮詰める必要があるのではないか、そういう感じがいたしますので、その点ではより積極的な努力をお願いしたいと思います。
 先ほど戸叶先生から質問がありましたけれども、タイからの通商条約の破棄の問題でございますが、先ほど山崎さんの答弁で、一九三七年ですか、以来非常に古いものであるからという理由で向こうが破棄をしてきた、こういうことでございますけれども、日本側としてこの古いものの通商航海条約に対する不足はいままでは感じなかったのでしょうか。
#90
○山崎説明員 もちろん古いものでございますから若干現状に合わないところもございますけれども、実際上日本商社のタイにおける活動については特に支障を生じたことはございません。
#91
○大久保(直)委員 そうすると向こうの不足の事態が重視されなければならないと思うのですが、タイ側の不足によってこの日タイ通商航海条約の、うまくいけば改定、更新ということになるのだと思うのですけれども、この辺が、日本がもし不足を感じてないとすると向こう側の意向がかなり強く盛り込まれた新しい条約になる可能性も十分に考えられると思うのです。私たちは、ただ古いということだけでこの一方的な通告がなされたのであればけっこうでございますけれども、何かほかに日本に対する向こう側の不足の要素が盛り込まれてこの通告がなされたのではないかという懸念を持つわけですが、この辺はいかがでございますか。
#92
○鈴木説明員 いま山崎参事官が御説明申し上げましたように、一般的に条約の内容が、現在の非常に広範な経済関係の実態に合わなくなったということから、タイ側が、日本との条約のみならずタイが一九三〇年代に結びました諸外国との条約を一斉に一年の予告期間をもって廃棄するという措置に出ましたようでありますけれども、内容をまだしさいに検討してコメントを申し上げるあれではございませんけれども、全体を通観しました感じでは、やはり戦後の世界経済の基軸になりましたガット、IMF体制と申しますか、それに比べますと、条約が非常に古く、特に足りない部分が相当多いということを、感じとして持ちました。こうした国際貿易が非常に複雑多岐にわたっております現状におきましては、これに合わせて貿易上のルールと申しますか準則をできるだけ明確に盛り込む、かたがたそれに対する基本的な待遇をはっきりと書き入れるということが、おそらくタイ側が日本を含めて相当数のものを一斉にやめようとした、新しい条約を結ぼうという背景にあったのではないかと思いました。
#93
○山崎説明員 ちょっと補足して申し上げますが、タイ側がそのときに言いましたことは、アメリカとタイとの間の通商航海条約が最近、たしか一九六四年だと思いますが結ばれておりまして、大体それをモデルにしてやりたいということでございまして、内容についてはいま鈴木参事官からお話ありましたように、検討中でございます。アメリカとタイとの間をモデルにしてやるということでございますから、特にシビアにしようとか、そういうことではない。むしろやはりアップ・ツー・デートにしようということに主眼が置かれているんだと了解しております。
#94
○大久保(直)委員 日本の立場から不足がなければいいわけなんですけれども、タイだけに限らず、こういったケースが今後も予想されるんではないかというような意見もあるわけなんですが、むしろ向こうから言われる前に、こちらからイニシアチブをとって積極的にこういったアップ・ツー・デートのものにするとかしないとか、そういった論議がなされてしかるべきではないかと思いますが、その辺はいかがでございますか。
#95
○山崎説明員 仰せのとおり、そういうふうなものがありました場合には、こっちから積極的にアプローチしてもいいんでございますが、東南アジアの、わがほうと非常に関係の深いあの辺では、戦前のものがそのまま生き残っておるのは大体タイだけでございます。
#96
○大久保(直)委員 通商航海条約のほうは以上で終わりたいと思いますが、教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定、ここで二点ほどお伺いいたします。
 第五条の「この協定のいかなる規定も、締約国が、国家の安全、公の秩序又は公衆道徳に直接に関連する事由によって物品の輸入又は輸入後の流通を禁止し又は制限する措置を自国の法令に従ってとる権利に影響を及ぼすものではない。」という、こういう一条があるわけでございますが、このうちで、教育科学の資材について国家の安全に関係するというものはあり得るのかということなんですけれども、あり得るという想定に立ってこういう一節があるんだと思いますが、これはどういうことを意味して国家の安全云々というあれがございますか、その点をひとつお願いしたいと思います。
#97
○山崎説明員 具体的に国家の安全に関連して、何かそういうものを規制するということを聞いております。法律といたしましては、関税定率法の第二十一条の三号に「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」という、輸入禁止という条項がございますが、これは一つの例であろうと思います。
#98
○大久保(直)委員 国家の安全を害する教育及び科学の資材というのは、どういうものを意味しているか、具体的に何か想定されているわけですか。
#99
○山崎説明員 いまのところ具体的に想定しているものはございません。
#100
○大久保(直)委員 すると、将来何かあるであろうということを想定してこういう一節が入っているわけですか。
#101
○山崎説明員 こういう規定は、こういうものの輸出入に関する規定を設ける際に通常入れる規定でございまして、ガットにも同種の規定が入っております。
#102
○大久保(直)委員 慣例であることはわかるのですけれども、現時点でそういうことが何か想定されるのかということを伺っているのです。
#103
○山崎説明員 先ほども申し上げたましたように、具体的に想定しておりませんけれども、この協定自体がつまり教育的、科学的及び文化的ということで、非常に次元の高い、いいものを入れようという趣旨でございますが、ただ、そういう名をかりて、変なものがといいますか、国家の安全を署するようなものが入ってきては困るので、念のために入れておるわけでございます。
#104
○大久保(直)委員 十三条についてお願いしたいと思いますけれども、「署名の時若しくは批准書若しくは加入書の寄託の時に又はその後いつでも、国際連合事務総長にあてた通告により、自国が国際関係の処理に関して責任を負う地域の全部又は一部」云々とあります。その「責任を負う」というのは、植民地的な要素も多分に含まれていると思いますけれども、こういった教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する件について、沖繩をどういうふうに見ておられるのか。
#105
○山崎説明員 この協定は、わがほうとの関係におきましては、現実の施政権がわがほうにございませんので、日本側の立場に立って考えれば、沖繩はこれに入っていないわけでございます。
#106
○大久保(直)委員 ただ沖繩は、いま御答弁がありましたように、日本の施政権下ではありませんが、復帰という問題が決定して、沖繩にこそこういった協定が適用されるべきではないか。非常に文化水準が低い現状でありますので、むしろこういった協定に加入する際に、アメリカ側に何か申し入れなど接触が行なわれてよろしいのではないか、何か日本側としての意思表示があってもいいのではないか、こういった気持ちを持つわけですけれども、この点はいかがでございましょう。
#107
○池部説明員 沖繩につきましては、アメリカが本協定を沖繩に適用しているかどうかにつきまして、アメリカ側に問い合わせたのですが、アメリカ本国では沖繩について適用になっているかどうかわからない。それは沖繩の米施策当局に直接聞いてくれという返事がございましたので、現在照会中でございます。その結果、この協定をアメリカが適用しておりますれば、そういう問題がなくなると思います。
#108
○大久保(直)委員 照会されたことは非常にけっこうだと思うのでございますけれども、私は適用されていないのではないかと思っていま伺っているのであります。沖繩当局に照会いただいて、もし適用されていないということであれば、ぜひ積極内にこの問題を推進していただきたいと思うのです。
 最後に、こまかい問題で恐縮でありますけれども、附属書Bの中で、美術品、収集品の内容がずっと列記してありますが、その第四のところに、「収集品及び美術品であって、その免税輸入を」云々とございまして、第六のところに「製作後百年をこえるこっとう」というふうに書き分けてございますが、この美術品と、百年をこえる骨とうの区別はどういうふうについているのでしょうか。
#109
○廣長説明員 実は私もあまりよくわかりませんけれども、調べましたところでは、骨とうというのは、国内的に文化財保護関係の法規等で定義している事例はないのだそうです。一般的に芸術的、歴史的その他の観点から価値のある古い道具などをいうというのが一般的な考え方だそうでございますけれども、どうもこの点は判然としておりません。要するに、骨とうのほうは美術品以外のものというのが一般的な概念のようでございます。
#110
○大久保(直)委員 そうすると、「百年をこえる」というのがありますけれども……。
#111
○廣長説明員 期間が違いまして…。それから美術品のほうは別に規定がございます。それで骨とうの中にももちろん美術的な価値のあるものもあるわけです。しかし、美術品のほうはカテゴリーがはっきりしておりますが、その美術品のカテゴリーに入らないもので、百年をこえて価値のあるものというのをさしておるわけであります。
#112
○大久保(直)委員 以上で終わります。
#113
○田中委員長 以上六件に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時二十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十九分開議
#114
○田中委員長 休憩前に続き引き会議を開きます。
 民事訴訟手続に関する条約の締結について承認を求めるの件、民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の締結について承認を求めるの件、外国公文書の認証を不要とする条約の締結について承認を求めるの件、日本国とルーマニア社会主義共和国との閥の通商航海条約の締結について承認を求めるの件、日本国とブルガリア人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件及び教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定の締結について承認を求めるの件、以上六件を一括議題といたします。
 各件につきましては、休憩前の会議で質疑を終了いたしておりますから、これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 まず、民事訴訟手続に関する条約の締結について承認を求めるの件、民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の締結について承認を求めるの件及び外国公文書の認証を不要とする条約の締結について承認を求めるの件、以上三件について採決いたします。
 右三件は、いずれも承認すべきものと決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、三件はいずれも承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#116
○田中委員長 次に、日本国とルーマニア社会主義共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件、日本国とブルガリア人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件及び教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定の締結について承認を求めるの件、以上三件について採決いたします。
 右三件は、いずれも承認すべきものと決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、三件はいずれも承認すべきものと決しました。
 おはかりいたします。ただいま議決いたしました六件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#118
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#119
○田中委員長 次回は、明二十四日午前十時から理事会、十時十五分から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
    午後三時四十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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