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1970/07/13 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 法務委員会 第28号
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1970/07/13 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 法務委員会 第28号

#1
第063回国会 法務委員会 第28号
昭和四十五年七月十三日(月曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 田中伊三次君 理事 畑   和君
   理事 林  孝矩君
      石井  桂君    江藤 隆美君
      河本 敏夫君    島村 一郎君
      千葉 三郎君    登坂重次郎君
      中村 梅吉君    羽田野忠文君
      村上  勇君    沖本 泰幸君
      岡沢 完治君    松本 善明君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 小林 武治君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   田村 宣明君
        警察庁警備局長 山口 広司君
        法務大臣官房長 安原 美穂君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 影山  勇君
        法務大臣官房訟
        務部長     香川 保一君
        公安調査庁長官 川口光太郎君
        郵政大臣官房電
        気通信参事官  橋口  守君
        郵政省電波監理
        局法規課長   鴨 光一郎君
        最高裁判所事務
        総長      岸  盛一君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  矢崎 憲正君
        法務委員会調査
        室長      福山 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十三日
 辞任         補欠選任
  永田 亮一君     登坂重次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  登坂重次郎君     永田 亮一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政に関する件
 法務行政に関する件
 検察行政に関する件
 人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政に関する件、法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。畑和君。
#3
○畑委員 私は、この前、司法修習生の分離修習の問題につきまして、ほかの各党の代表の諸君と一緒に小林法務大臣に質問をいたしたのでありますが、その日は大臣が検察官の会同だったか何かで、非常に多忙でありまして、時間が非常に少なかったというようなこともございまして、十分に意見を戦わす時間がなかった。したがって、きょうまたこの問題を取り上げて、非常に重要な問題でございますから、さらに大臣とじっくりとひとつ議論をしてみたい、そして考え方を変えていただくことができればということで実は用意をしておったのでありますけれども、先ほど理事会での話によると、初め法務委員会が十日だったという予定が、連絡が若干不十分であったという関係で、十三日になったことが、大臣のほうのほかの予定とぶつかってしまったというようなことも聞きまして、そのほうの時間もできるだけ詰めてもらって、こちらのわれわれ三人でこの問題について質問したい、それにはわれわれのほうとしては大いに時間を切り詰めてやらなければならぬ、大臣のほうは初めの予定よりも詰めてできるだけ長くおってもらうようにするということで妥協したわけです。ところで、私が大臣に対して質問する持ち時間は三十五分ということにきまったわけです。したがって、ほんとうに十分な議論はできないと思うのでありますが、また次の機会に残りはいたしたいと思っております。
 この前は大体ほんとの入り口だけでとどめたのでありまして、小林法務大臣が五月の二十七日に現行司法修習制度に関する分離修習の重要な発言をなさっておるわけです。このことが新聞紙上に取り上げられた。そこで、われわれこの前その大ざっぱな構想について質問をいたしたのでありますけれども、さらにまた詳しくお聞きしたい。
 この前の私と大臣との間の質疑をずっと顧みてみますと、大臣のお考えの中には、法曹一元化というものはもう望みないのだ、こういったようなどうも根本的な考え方が前提になっておるような気がするのであります。なるほど法曹の一元化というものはなかなかむずかしい。しかしながら、今度新しい制度になって、どうしても司法の民主化をやるためには、弁護士で相当な経験のある者から判検事を主として採用していきたいというような新しい考え方に基づきまして、法曹一元というような根本精神が今度の全司法の問題について横たわっておるわけであります。ただそれが、実際の問題については給与の問題、収入の問題等も相当大きな隘路にもなっておるというようなことで、実際には実現がむずかしいということは私も十分に承知をいたしておるのでありますけれども、しかし、一番の法曹一元化を目ざす法曹の養成という点について、その法曹一元化を目ざして法曹養成も一元化して統一的に平等に教育をするという趣旨で司法修習の統一修習、平等修習、干して各志望を修習生おのおのが一番最後にきめるということの現行の修習制度ができたのでありまして、あくまでも法曹一元化ということの展望に立って、法曹養成そのものの出発点においてそういった展望を持っていまの制度ができたと私は信じておるわけであります。
 ところで、大臣のほうでは、いままでの経過をもってしては法曹一元化そのものがなかなかむずかしいというか、もうだめなんだといったような、むしろ絶望的な考えをもとにしているのではなかろうか、こういう感じがするのであります。したがって、先ほど申し上げましたような修習を統一的に平等にやるということはやってもむだなんだ、判検事は判検事として弁護士とは初めから修習を別にしたほうがいいという考えがあるようです。と同時に、また弁護士に対して貴重な国費を投入するのはむだである、それよりも初めからもう判検事に集中をして、判検事として初めから養成をするほうがよろしいというようなふうに考えておられるように思うのであります。そういう点でも弁護士の仕事と判検事の仕事というものをやはり初めからいろいろ区別して考えておられる。むしろ修習の段階等においては、これはやはり全部法曹としての使命は共通なんだから、その共通の目的に向かって法曹三者を平等に教育していくのがいまの制度だということに対する御認識が足りないように私は思うのであります。
 歴史的に見ましても、実は私などはいま六十歳になろうといたしておるのでありますが、高等文官試験の司法科試験をパスをして登録しさえすれば、そうすればいつからでも法服をつけて弁護士になれる制度の一番終わりの時期に当たっておりました。私のすぐあとからは、いわゆる弁護士試補といって、弁護士さんのところへ一年半どこへでもいいから行って修習をしなさい、その証明があれば弁護士になれる、こういう制度が始まった。また私のずっと前には、大正十二年を境として、東大に限らず、帝国大学の法科を出さえすれば司法試験は免除、いわゆる第一回試験は免除されまして、東大の法科あるいは東北大の法科等を出ればすぐ判事にも検事にもなれた、こういう時代があったわけであります。そういういろいろな前の時代からずっと推移してきた歴史を私たちはたずねてみたいのであります。そして戦争後になって司法の民主化ということが強く叫ばれまして、その目的を達するためには任用制度も変えなければいかぬ。そしてあくまでも法曹としての教育を統一的に受けた者が最後に判事、検事、弁護士になるというようなことによって初めて日本の司法の民主化ができるというような考え方に基づいていまの制度になってまいったと思うのであります。こういう点から申しましても、ひとつ歴史的に十分考えていただかなければならぬのではないかと思うのであります。
 そこで、私が法務大臣にお伺いしたいのは、分離修習をすれば判検事のなり手が一体ふえるのかどうか、どうも法務大臣の発想の中には、いま判検事のなり手が少ないということは、いまの修習制度に問題があるからなんだ、こういう考え方が横たわっておるように思うのでありますが、この点について、実は私は根本的に疑問を持っておるのですが、法務大臣はどうお考えですか。やはり分離修習をすれば判検事がふえるというふうにお考えでございますか、まずこの点をお聞きしたい。
#4
○小林国務大臣 いまいろいろお話がありましたが、いまのに単にお答えするということでありますれば、私はやはり相当ふえるだろう、こういうふうに思っております。これはうわさであるからよくわかりませんが、判検事を志望して入っても、修習中の過程でもうこれはやめたというふうな方がある程度出ておる、こういうことさえいわれております。これは私は事実かどうか知りません。
 それで、いまいろいろお話がありましたことを、私、二、三申し上げますれば、理想としては法曹一元化はまことにけっこうであろうと思います。しかし、実際問題としては、おっしゃるように私はある程度絶望をしておる、こういうことも事実でありますし、このことについて一番考えてもらわなければならぬのは、やはり弁護士会の方々だろうと思うのであります。これらを解消するためには――法曹一元化の一番の眼目は、とにかくある程度経験を積んだ弁護士さんが判事なり検事なりになる、こういうことに重点が置かれたのであるが、もう二十年以上の実績においてほとんどこれが認められない。最近の機会においても、私は、何とか弁護士会としてもよい人を判事に推薦していただけないか、こう言うと、との前の席でもここで申し上げたように、六十歳以上で月給を五十万円ぐらい出せばどうか、こういうお話なんです。その際の五十万円の話は、最近成富会長が見えまして、ただ弁護士出身だけに五十万円やればいいと言ったんじゃなくて、他の判事も同様な待遇をしてもらいたい、そのことが抜けておったからそれを訂正してもらいたい、こういうお話がありましたが、それはそれでけっこうでございます。ただ、裁判官といえども他の公務員とのある程度の権衡というものは考えざるを得ない、このことはやはり公務員制度と非常に大きな関係がある、こういうわけで、要するに私どもが判事になっていただきたいというのは、六十歳以上の方にと、こういうことではあるまい。むしろ十年、十五年の経験を積んだ優秀な方々になっていただけるのが一番よろしい、こういうふうに私は思っておりますが、いまそういうお話をしても私の申し上げたような御回答しかありません。これでは私はできない相談であるというふうにも思うのでありますし、また御案内のように、アメリカにおいてもイギリスにおいても、国が修習制度をやっておるところはないんで、これは日本独特の制度でございますし、アメリカでもイギリスでも、裁判官にはみな弁護士の方がおなりになる、こういうことでありまして、日本ではもう御承知のように判事や検事をやめて弁護士になったり、定年になった者が弁護士になるという、いわゆるわれわれの法曹一元化の流れとは逆流をしておるのでありまして、順な流れというものはほとんどない、こういうことでございます。
 またいろいろお尋ねがあるでしょうから、この程度のことを私はいま申し上げておきます。
#5
○畑委員 一体いまの制度下において判検事の志望者が少ないという問題は、私は判検事といういまの職責に対して魅力を感ずる人が少ないのじゃなかろうかと思う。これはやはり裁判所あるいは検察庁の姿勢そのものの中からそういうことが出てくるのだ。初めは判事あるいは検事になろうと思って司法修習生に採用をされた。ところが、修習している間に、特に裁判所においては裁判所での修習のとき、検察庁におきましては検察庁での修習のときに、逆に弁護士のほうになりたいというようなふうに変わっていく傾向がどうもあるようだと思う。これはやはりよほど反省してもらわなければならぬと思う。これはやはり自分の進むべき道が裁判所あるいは検察庁のいずれかであると最初はきめておったのに、むしろその当該の実務修習のときに弁護士の修習のほうに変わったというのが、どうもアンケートなどを見ると出てくる模様であります。
 現に実はこういうデータがあるのでありますが、これはひとつ十分参考にしてもらいたい。日本弁護士連合会の法曹養成制度研究特別委員会が昭和四十二年五月十日に司法研修所出身十五期から十九期までの千四百八十一名の弁護士に対してアンケートをとった結果、回答率が五四・四%であった。これは「自由と正義」の十八巻の十二号に掲載してあるのでありますが、その結果によりますと――これはあくまで弁護士になった人たちに対するアンケートですから、誤解のないようにお願いしますけれども、一体「裁判官のあるべき姿と現実の姿は一致していましたか」という質問に対して、「相違していた」と答えた者が五〇%、「相違していなかった」と答えた者が二八%にしかすぎなかったというデータが出ておる。さらに具体的にいかなる点で一体自分で描いておったあるべき姿と現実の姿が違っておったか、その具体的な点はどうかという質問に対して、主として、意に反する転任が行なわれておる、それから職場の雰囲気が民主的でない、それから勤務評定によって独立が脅かされておる、司法行政によって独立が脅かされ、使命が果たせない、また裁判官について主観的、独善的傾向がある、官僚主義、権力主義的傾向の強い者がいる、出世主義的傾向が強い、多忙である、待遇が悪い、こういうことなどが、自分の考えと、あるいは自分の描いておった理想と違っておったという具体的な答えなんです。また検察官についてもほぼ同様な回答が寄せられておる。私はこのアンケートは相当重要視すべきものじゃないかと思う。これは判検事になった者ではなく弁護士になった者なんですが、初めは判検事になるつもりで一おったけれども、それが実際にそこで修習してみると、だいぶ自分の描いておった、あるいはあるべき姿と思っておったものとは姿が違う、したがって志望を変更した、こういう人が相当多いのでありまして、しかもいま申しました具体的な理由等も、われわれからもやはりずいぶん首肯のできる、裏づけのできる理由ばかりだと私は思うのです。しかも志望変更の時期が、先ほど申し上げましたような、おのおのの裁判所なり検察庁なりでの修習の期間にちょうど自分の考え方が変わった、こう言っておるのが圧倒的に多いということは、なぜ裁判所や検察庁への志望する者が少ないか、初めはそれらが多かったのであるけれども、なぜ途中で変更するのかということについて、やはり裁判所、検察庁の姿勢というものを大いに考えてみる必要があるのではないかと思うのです。
 裁判所のあり方についても、裁判官会議というものがあるけれども、それがほとんど形骸化されておる、司法行政が非民主的な方向へ進みつつある、裁判官の独立が脅かされようとしておる、こういうことが任官志望を減少させておるのであります。また検察庁の方面についても、やはりかつてありました造船疑獄への犬養法相の指揮権発動、こういったものもやはり相当響いておる。あるいは汚職事件あるいは選挙違反事件、こういった政治が介入をする危険のある事件に対する政治的介入の疑惑がまだあとを断っておりませんけれども、そういうものがやはり検察官を志望しようとした者がやめて弁護士になるという傾向になっておるようであります。
 したがって、やはり任官することに生き生きとした使命感を感ずるような姿勢を、まず裁判所あるいは検察部内に要求したいと私は思っておるのです。それをやらぬでおいて、何とかして判検事にさせよう、そのためにはまず修習生に採用して、採用したばかりならばそういったぼろも出てこないから、先のうちに判検事だけつまんじゃって、そしてそれだけ分離修習をして、そして弁護士のほうには国費はむだだから使わせない、判検事だけは優遇するということにすれば判検事がふえるであろう、そして一度志望したらもう動かさせない。あなた方はこういうようなやり方をしているのじゃないか、私はかようにすら思うのです。無理に判検事を志望しても、最後になって、私は弁護士になりますと言えば、そういう分離修習の事態になっても、私はそういうことをやめさせるわけにはいかぬと思うのです。判検事の修習をやっても、最後になって、あくまで私は判検事をやりませんと一声えば、やはり弁護士にさせざるを得ないでしょう。これは一応の義務づけみたいなものはあるでしょうけれども、しかし、それも強制的なものとしてやるわけにはまいらぬのではないかと思うのです。やはりあくまで進んで判検事になり、おもしろい職場だ、意義ある職場である、あるいは検察官にしても意義ある職場だというふうな魅力を感じさせることが、まず第一に必要だと思うのです。そうでなくて、判検事になる者が少ないというのは、あとになってからきめさせるからそういうことになるのだ、初めにきめさせて、それで弁護士については国費も使わせないということで差別をすれば、そうすれば判検事になる者が多くなるだろうというのは、私はこの制度の本末を転倒したものではないか、かように考えるのですが、いかがでございましょうか。
#6
○小林国務大臣 私は、別に本末を転倒したとは思っておりません。また、いまの法曹一元化というのは、いま申すように、弁護士をやってからある経験を積んで司法官になる、こういうことが一番大きな動機ではないかと思うのに、修習生の初めから、おれは絶対弁護士だ、こういう人がたくさん入ってきて、私はこんなことはうそだと思いますが、その中でも弁護士を強く志望している方々が、中には、たとえば判事や検事を志望する人に対して、おまえは権力の手先になるのか、おかしいじゃないかとひやかす、こういうような問題も、私はあるかどうかは知りませんが、うわさは聞いておるのでございまして、こんなことだって、みな若い人に必ずしも影響がないとは私は考えないのでございます。
 それで、いま法曹一元化と申しまするが、弁護士の職業倫理と、それから公務員になる判検事の考え方、こういうものにはやはり相当距離があり過ぎはせぬか。距離があり過ぎるからなかなか弁護士さんがなってくれない。こういうふうなことも考えまするし、それから私どもも、裁判所にしても法務省にしても、いまお話しのようなことは十分ひとつ反省すべきことだ。判事も検事も魅力ある一つの職業だというふうに、われわれも十分な反省をし、努力をしなければなりません。実は裁判官などでも、たとえば裁判官の家には電話がない、あるいは雨が降ってもかさをさして自転車に乗っていく、こういうふうなことは裁判官の待遇としても非常に困るということを、私も地元で始終お聞きしております。これらはどうしても直してあげなければ、単なる給与の問題ではないというふうに思うのでございますして、私どもそういうことをやかましく申しましたが、やっとことし、今度は裁判官の家にも電話がみな引かれるようになった。それから自動車の送り迎えもようやくできるようになった。私は最近静岡に帰ってそういうことをお聞きしてきておりますが、こんなことにもやはり政府としては十分気をつけてあげなければならぬ。ただ毎日の生活上のそういう卑近な問題についても、これらの方々も相当不平を持っておられたことも私どもは知っておりますが、こんなことをぜひ直してあげなければならぬと思います。
 いまお話しのように、いまのアンケートにいろいろ出ておりますが、そういうことはわれわれとしても十分反省をして、そういうことのないようにしなければならぬ、こういうふうに思いまするが、何としても私は、いわゆる法曹一元化というものは日本には定着できないのだ、こういうふうに思っておるのでございまして、裁判官、検察官から逆流はしても順流はもうなかなか困難だ。一番致命的と申しますのは、やはり何といたしましても弁護士は自由業だから、どこへ行こうが行くまいがかってで、一番問題になる転任ということがない。司法官のほうにはこれだけはどうしてもやむを得ざることとして転任の問題がある。そしてこのことを一番きらうのはそれぞれの御本人よりか、このごろは家族が、たとえば学齢に達すればまことにお困りになる。こういうことは全体の問題として考えなければなりませんが、同じ法曹を扱う者で、弁護士さんと判検事さんとは、この点はどうしても飛び越えることのできない難問題であるとさえ私どもは考えております。
 いずれにしましても、おっしゃられるようなことについてわれわれが反省をして、そういうふうなことに対処しなければならぬことは当然でございます。
#7
○高橋委員長 畑君、時間が少なくなっております。
#8
○畑委員 どうも大臣の頭の中には、法曹一元というものはとても見込みがない、こういうお考えだと思う。なかなかむずかしい問題であるけれども、それに一歩一歩近づけなければならぬ。近づくための一番最初の入り口というのは、法曹三者、いずれの道を進むを問わず、まず司法修習を統一的にやる、そして法曹の一体感というものを植えつけるという制度にあると私は思う。判検事になる人が弁護士の事務所で一定期間、短い期間ではありますけれども修習をする、また弁護士になる人も判事あるいは検事の仕事を見習うということが、これはもう絶対必要だ。いまの日本の修習制度というものは私は非常にいい制度だと思う。これを絶対にくずしてはならぬ。判事、検事が足りないからというような視点だけに立って、これをくずすべきではないと私は思う。やはり検察官あるいは裁判官になる人も弁護士のところで修習をして、そして広く一般の人たちと接触をする、見識ある社会人としての一応の、少ない経験ではあるけれども、そういった経験をして、それから判検事になるということは、私は有能な判検事を生む一つの道だと思う。狭い限られた官界だけではぐくまれ、その中で得た識見というものだけによってやっておったのではいけないというのが、いまの司法修習制度の一体的な教育のねらいだと私は思っておるのです。これをくずしたら、もう法曹の一元化というのは、全然できないと思う。法曹の一元化を目ざすがゆえにこそ、まず最初に、そうしたおのおの志望と別の修習をする必要があるのだ、かように思うのです。ところが、どうもあなたのお考えによると、やはり弁護士は自由業だ、自由業だ、この前も私の質問に対して自由業だということを何度も言われた。医者と比較しての御説明など承りましたが、どうもその中には、弁護士の仕事というものに対する理解が足りないのだと私は思う。私は旧制度下において弁護士になったのでありますが、いまの制度で岡沢君なり松本君なりが経験してこられたことは、弁護士としての非常に貴重な経験だと思うのです。判事さんのところで判決書の起案を覚え、また検事さんのところでいろいろ被疑者の取り調べも見習い、そして最後に起訴状を書く、こういったことを一度みなやるということは、非常に貴重な経験だと思う。それが、かつての古い弁護士、われわれの時代にはできなかったのです。いまは、それができる、非常に広い視野に立ってお互いの勉強ができるということで、また法曹一体感という感じが生まれてくる。そして弁護士も判事も検事も同等なんだ。いままでは、とかく弁護士は下に見られておった。明治憲法時代はそうでした。ところが、新しい日本憲法になって、そうしたことではいけないということで、裁判官も検事も弁護士も同じ、対等である。ただ裁判官は、最後に裁判するから一段高いところにすわっておりますけれども、今度は弁護士も検事も同じ席につくようになったわけです。こうして弁護士の地位も自然と高まってきたのでありまして、そうすることによって法曹の一元化の交流ができる。なかなかむずかしいけれども、その素地が生まれてきたのですから、これをここで判検事が足りないからというような官僚的な視野に立って、役人的な役所的な視野に立つべきではないと私は思う。
 総国家予算のうちで裁判所の予算というのは〇・六一%、四百八十億くらいの金だったと思うのでありますが、またその中で司法修習生に使う旅費とか給与とか、こういうものの数字は、驚くなかれその中の一・六六%だ。約八億円にしかす、きない。戦闘機一機二十億しているでしょう。戦闘機一機二十億の半分もしないのですよ。司法修習生全体に対する旅費と給与とそのほかにもかかるでしょうが……。こういうように幾らでもないのです。結局は大きな立場では、弁護士もやはり国家の司法の一部であります。弁護士なしには日本の司法はあり得ないのですから、そういう公の立場に弁護士も立つのだということで、やはり弁護士をほかの志望者と同じように教育をして、最後にその志望によって分けさせる制度はどうしても維持しなければならぬ。判検事が足りないとすれば、先ほど私が言ったような判事、検事の職域の裁判所ないしは検察庁の姿勢そのものに魅力がない。これを根本的に反省することなしに、小手先だけでいじろうとすることは、私は大きな間違いだと思う。これはひとつぜひ考え直してもらいたい。
 われわれは弁護士として法曹の一員であるから、身をもってそのことをはっきり言い切ることができるのでありますが、どうも小林法務大臣は、法曹の出身者じゃない、したがって、それに対するほんとうの理解をしておらない。それで国務大臣の一人として、とにかく官費を使って、あとはもうける商売の自由業の弁護士をやるのだ、それに国費を何も投ずる必要はないだろう、それより判検事だけ分離修習をして初めのうちに採用してしまえば、途中で弁護士になる人はいないだろう、途中からかわる傾向は、先ほどの私のデータによっても明らかなんですから、早くから判検事だけつみ取って、そして無理往生に判検事としての特殊な修習だけをやらせよう、こういう発想に基づくものだと思いまして、いかに司法の独立というものが大事であるかということに対する根本的な認識が、法務大臣でありながら欠けているというふうに私は考える。ひとつこの点を十分再考していただきたい。これは、もう法曹としては、弁護士会はもちろん今度のあなたの考えには全部反対です。さらにまた、おそらく裁判所といえども――私はあとで聞きますけれども、もろ手をあげて賛成なんて言う人はあまりいないと思う。なるほど一部には判事が足りないから行き方を変えなければならぬと言う人もあるかもしれませんが、裁判所のほうは必ずしもそうではないと思う。したがって、どうしてもここで考え直して、この構想を撤回してもらいたいと思う、七月一ぱいに下僚に命じて案を作成させるというふうな話でありましたけれども、どういうところまでいっているのか、また構想を撤回する考えはないかどうかを最後に伺って、私の大臣に対する質問を終わりたいと思います。
#9
○小林国務大臣 畑委員は多少誤解されていると思うのでありますが、いまの修習のしかたなどは――弁護士志願者が検察庁、裁判所で修習をする、また判検事志願者も弁護士と一緒に修習をするというこういう方法は、非常にけっこうな方法であって、私どもは、その方法を変えるなんていうことは考えておりません。やはりいずれの職域のことも十分に修習をしていただく必要がある、そのことをもう変えるなどということは私は考えておりません。
 それから、単に金を惜しむからの問題ではありません。たとえば、もし分離して、弁護士会が弁護士の修習をやるにしましても、これは、もう金などを惜しむ必要はないから、政府が適当な助成なり何なり幾らでもできると思うのでありまして、金を節約するなんていうことからではありません。ただ、これは御承知のように、どこの国でも弁護士の修習を国でやっているというところはないように思うので、いわゆる先進国ではそうだということも、これは御承知のとおりでありまして、これは日本のいまの独特な方法であります。
 だから、誤解のないように願いたいことは、修習の方法などを、いまのようなことを大きく変えようなどという考え方はありませんし、弁護士さんの修習に金を惜しむ、こういう趣旨でもございません。これは、要するにどこでやっても、金銭の問題等については、あまり御心配なく、いまより大きく後退するなんていうことも考えておりません。ただ私がどう考えても、このことは私一人の考えできまることではございません。法務省にも練達の士があり、最高裁とも御相談の上でいくことでありますから、私一人の考え方でどうこういうことではありませんから、その点はひとつさよう御了承願っておきます。
 いずれにいたしましても、畑委員おっしゃることは、非常に傾聴すべきことと思いますので、これからまた案の作成にあたっても十分に参考にいたしたい、かように考えております。
#10
○畑委員 委員長、一つ……。金は節約するつもりじゃないのだ、それから修習の方法、もいま言ったような判検事志望者が弁護士の修習をするというようなこともいいのだということなんですけれども、私がいろいろ問い詰めてくるとそうなるのですが、それでは一体どういうふうにやるのだ。いまの制度であれば、どこに行くかわからない者を弁護士会なり判検事なりで教える、そういうことにこそ意義があるけれども、判検事になることがきまってしまった者を弁護士会で修習させるということとは私は違うと思うのです。これはなかなか議論しても時間がかかってしまいますからそれぐらいにしておきます。誤解だと言われるけれども、どうもそうではない。やはり大臣には根本的にひとつよくいまの制度の実態を見ていただいて、それでいまの制度を生かすようにしてもらいたい。どうしても専門教育が必要だとすれば、統一修習をしたあとで専門教育をすればいい。前にも申し上げたように、いまの場合は普通教育ですからね。それからあとはおのおののところで専門教育をやればよろしいんだ。いまの制度はみんなわからないうちに全部一緒にやるというところに意味があるのだと私は思う。初めからきまっちゃってからそういういまのようなやり方を国費でやるというのはきわめて無意味だ。
 以上で、私は時間が来ましたから終わります。
#11
○高橋委員長 またあとで答弁してもらうことにして、岡沢君。
#12
○岡沢委員 法務大臣は十二時に退席されるということで、あと松本委員も質問があるようでございますから、私は約三十分足らず、いま畑委員の御質問になりました分離修習の問題を中心にして、ひとつ大臣にお尋ねしたいと思います。
 最初に、六月十日の当委員会における私の質問に対する小林法務大臣の答弁の中で、日弁連の成富会長のおことばに関することで事実に反することがあるということで、成富会長から私のほうに電話がございまして、ぜひ法務委員会でもその点について明らかにしてほしいという希望がございましたので、その点について最初にお尋ねをいたします。
 六月十日の法務委員会で小林法務大臣は、「実は最近日弁連の会長が私のところにおいでになりまして、弁護士を幾らでも判事に採用したらよかろう、こういうことを言いますが、それについてはいまの待遇じゃ困る、弁護士がなるなら三十万円、五十万円出してくれなければ困る、ほかの判事はいまの状態でいいが、弁護士から行く者はそうしてもらわねばならぬ……。こんなことを言われたって、とうてい実現性のない問題。要するに判事は弁護士からなろうが何からなろうが、やはり同じ接遇、待遇、処遇でなければならない、こういうふうに思います。実際問題として、たとえば修習を終わって弁護士を五年なり十年習熟されて判事になっていただこうと思っても、いまの制度ではこれは無理です。弁護士から行った者だけ月給を上げろ、そんなことを言われたって、それだけの話です。」こういう御答弁がございます。成富会長はそんな趣旨のことは絶対に言ってない、そんなことを言えば裁判官に対する侮辱にもなるし、自分は判検事も含めて、別に弁護士からなった者だけではなしに、待遇全体をよくせよという意味のことを言ったのだというようにおっしゃっておられますが、先ほどの畑委員の質問に対する御答弁中でも、成富会長はそのあと弁護士からの出身者以外の者も待遇をよくする意味だったという法務大臣の御答弁でございました。六月十日の私に対する答弁は間違っておったという趣旨のお答えでは必ずしもなかったと思います。その点、法務大臣の成富会長との談話の真実を私はやはり明らかにしていただきたい。成富会長は日弁連の会長でもあるわけです。公的な立場の御発言であるだけに、部内でも問題を起こしているわけでございますので、法務大臣の真意をお尋ねいたします。
#13
○小林国務大臣 私は、この前、弁護士出身の判事の待遇だけのようにここで言うたそうでありますが、この点はちょっと誤解をしておりましたから、成富会長はそういう意味じゃない、全体の判事もそうしてもらうのを前提としての発言である、こういうことであるそうでありますから、さように理解をいたすことにします。
#14
○岡沢委員 まあことばの問題、ここで真実を出すということはむずかしいと思いますが、一応それではその問題はそれだけにいたしまして、六月十日の法務大臣の御答弁、そしていまの畑委員の質問に対する答弁を通じましても、法務大臣は、いわゆる法曹一元化は理想であっても実現性に乏しい、日本では定着しないんだという結論をお持ちのようでございますが、そういうふうに解してよろしゅうございますか。
#15
○小林国務大臣 絶対不可能とは申しませんが、きわめて困難であるという見通しを持っております。
#16
○岡沢委員 絶対ということばはめったに使えないことばであるだけに、きわめて困難ということばは、法務大臣としては、いわゆる法曹一元化ということに大きな疑問を持っておられると解すべきだと思いますが、どういう理由で法曹一元化は日本では不可能だ、あるいは実現性に乏しい、定着しないんだというふうに分析しておられるのか、その原因、背景についての法務大臣の見解を聞きます。
#17
○小林国務大臣 これはいろいろの問題がありますが、一番の問題は、要するに弁護士と判検事との待遇というと、これはもう外から与えられたようなことに聞こえますが、立場が非常に相違し過ぎておる。こういうことが原因であろうと思います。
#18
○岡沢委員 いまのおことばであれば、待遇が一番大きなことだとおっしゃる。先ほど金の問題ではない一これはまあ弁護士になる者を国費で養成することについてのおことばかもしれませんが、待遇だけの問題であれば、先ほどの問答のように、弁護士出身者だけ判検事の待遇をよくするということは考えるべきでもないし、またそれこそ実現性のないことでありますけれども、判検事全体の待遇をよくすれば法曹一元化できるとすれば、きわめて簡単に――先ほど畑委員がおっしゃいました戦闘機一機で二十億もする、二十億の待遇改善を判検事に与えた場合に相当な改善をされることは明らかであります。そういうことを考えれば、この高い理想、そしてまたメリットの大きい法曹一元化の問題が、待遇の問題だけが原因であるために日本では実現不可能だという御判断は、あまりにも一面的過ぎる、納得できないというふうに私は感じますけれども、待遇が主たるものだという法務大臣の御解釈は間違いありませんか、もう一度確認したいと思います。
#19
○小林国務大臣 判検事が公務員組織の全く別途のものであるということになれば別でありますが、やはり全体、ある程度横の権衡も考えなければならぬとすれば、弁護士をやった方が判検事になるについての待遇を考えるということはきわめて困難ではないか、こういうように私は思います。それはもう金全体が政府にあるないの問題ではありません。主とした問題は公務員全体の権衡もある程度考えなければならない、こういうことじゃないかと思います。
#20
○岡沢委員 判検事が一種の公務員であることは否定しませんけれども、特別の公務員であることも、憲法上も各種の法令上も、これは確認できるところであります。また一般の公務員と違いまして、年齢だけを考えてみましても、修習生から判検事になる方々は平均的に、私の理解が間違っておらなければ二十七、八歳。原則として大学を出られて二年も修習をされて、そしてまた妻帯者が多いということを考えました場合に、また戦前の待遇等を考えました場合に、一般の大学卒が、これは年度によりますけれども、五十円の初任給のときに大体判検事は七十五円程度だったということもよく聞かされた問題でございますし、判事補なり検事に任官してすぐにでもりっぱな家と女中さんを雇えたというようなことも聞いております。社会の諸事情も変化がございますから、簡単にそれだけで比較するわけにはまいりませんけれども、私は修習生出身の判事補あるいは検事の任官者に一般公務員を基準にした、そのワク内に縛られた待遇しかできないという解釈のほうがおかしいので、憲法上も法律上も、あるいは大蔵省に対する折衝の材料としても、判検事の待遇をよくするということは、また特別待遇するということについては、十分理由も説得力もあり得ると私は思います。確かに私が聞いた範囲でも、修習生出身者で任官希望者が少ないというのは、初任給があまりに低過ぎるというのが大きな理由のようでもあります。そうすれば、この初任給を上げるという一つの努力といいますか、改正によってかなりの判検事不足を補う成果があげられるのではないか。
 前回の委員会における法務大臣の答弁、それから本日の答弁を聞きましても、結局分離修習等についての法務大臣の発想の出発点は、修習生を終わった中で判検事希望者が少ない、判検事の不足ということが大きな理由になっているようでございますが、それならばこの待遇問題、大臣もおっしゃるように、金の問題ではないとおっしゃりながら結局金の問題。そうであれば私は別途に、この法曹一元の理想は確保しながら、またいまの判検事不足を補う道は十分に考えられるのではないかと思いますけれども、重ねて大臣の見解を聞きます。
#21
○小林国務大臣 畑委員に対して金の問題と申しましたのは、この修習費用の問題のことを申したのでありまして、いまの待遇問題ではありません。しかし、ここでこういう議論がされることは私は非常に有益であると思います。いまでも判検事必ずしも一般公務員と同じ待遇をしておるわけではありません。ある程度の優位が認められておるということでもありまするし、私どもはこれからもやはり判検事の待遇というものは何とかしてひとつ、一般公務員に対して優位性なんというような問題でなくて、一種の職責の特異性、そういうことからして上げていきたい。ここでこういう議論をされることは私ども非常にありがたいことでありまして、御期待に沿えるようなことはなかなか全体の権衡問題がありますが、やはり判検事の待遇、給与というものは政府部内においてもできるだけの努力をしてまいりたい、かように考えております。
#22
○岡沢委員 先ほどの畑委員との問答を通じましても、一つの着眼点は、判検事をして魅力ある職場にさすということにあるというお答えがございました。私もそうだと思います。六月十日の法務委員会における松本委員もその発言中で、犬養法相の指揮権発動を転機にして検事志望者が非常に減ったというお話がございました。また畑委員からも過去のデータに基づいて、これは弁護士になった者の調査でございますけれども、初めは判検事になるつもりでおったのが、裁判所修習あるいは検察修習のときにむしろ判検事志望から変えたというお話がございました。私はやはり、なぜそれじゃ判検事に魅力がないか、待遇だけの問題かということをあらためてこの辺で考え直す必要があるんではないか。
 私の持論でございますけれども、たとえば自民党御出身の法務大臣を前にして言いにくいわけでございますが、憲法上も大臣は半分までは別に国会議員でなくてもいいわけでございます。常に法務大臣が自民党の国会議員から選ばれたというようなところにも、やはり大きな検事志望者を少なくする理由、いわゆる政党の意のままに検察が動くんではないかというような誤解がその背景にあるというのも一因だと見ることもできるのではないか。現に法制上も法務大臣は検事総長を指揮できるわけでございます。そういう点から、制度を変えないで運用の問題で検事志望者あるいは裁判官志望者をふやすというような方法も十分に考えられるし、そのほかにもいろいろ制度上、運用上、判検事を魅力ある職場にさす、そしてまた判検事に誇りを持って仕事をしていただけるような社会的な役割りを果たしていただき、社会的な評価が与えられるような処遇も考えるということも必要と思いますけれども、そういういわゆる待遇以外に魅力ある職場に判検事の職をするということについて法務大臣は何かお考えがございませんか。
#23
○小林国務大臣 これは御意見もあろう、こういうふうに思います。法務大臣が冷静に行動する必要があるということは、もう法務大臣の倫理としても当然なことでございまして、さようなことは十分運用上気をつけていかなければならぬと思っております。ただ、いまの制度上の問題につきましては、これは御意見がありますが、ある程度やむを得ない。たとえば法務大臣は党人がなるということもある程度やむを得ない現状ではないか。ただ、なった者が十分に気をつけてまいるべき問題であるというふうに考えます。
#24
○岡沢委員 法務大臣に政党人からなることはやむを得ない。私はやむを得ないことではなくして、総理大臣の見識一つで、法務大臣なり文部大臣という大臣はむしろ政党出身以外の見識者を充てるということのほうが、それこそ私は見識だと思う。法制上も何ら制約はないと考えるものでございます。ここにいわゆる裁判官、検察官を途中でやめて弁護士になるという人が非常に多いという傾向があるわけでございます。逆に弁護士から検事志望が年間一人というような御答弁もございました。これについてはどういう理由があると法務大臣はお考えでございますか。
#25
○小林国務大臣 これは先ほども申し上げましたが、役人というものは転任が不可避だ。どうしても昇進とか栄転とかいろいろな問題があって、この問題が自由にされておる弁護士の立場からいえば非常に大きな問題ではないか。しかし、このことはもう不可避の問題だ、やむを得ざる問題だ。ところが、いまいずれの社会においても転任というものは非常に大きな問題になっておりますので、これをいまどうしようとかこうしようとか、なるべく少なくするということは考え直さなければなりませんが、全部やめるというわけにはいかない。このことが非常に大きな障害に私はやはりなっておるというふうに考えております。それで魅力ある職業にするというようなことは十分考えなければならない。しかし、弁護士と違って、裁判官なりあるいは検事なりが本質的な制約があるということも、これはもう事実であろうというふうに思っております。
#26
○岡沢委員 しかし、同じ役人で転勤もあるほかの省の役人の方々、定年間ぎわに天下りで過去の役所と関係のある公団や公社あるいは民間会社にかわられる方はよくありますけれども、途中で役人をやめられるという例は特に有資格者の場合に非常に少ない。ところが、判検事の場合にそれが多いということについて、やはり法務大臣として、所管大臣としてぜひ御検討になる必要があろうと思います。
 時間の関係でこの問題についてはあと一点。先ほど畑委員も御質問になって、大臣お答えになりませんでしたけれども、七月一ぱいくらいにはこの法曹養成制度についての案をまとめたいというようなことを御発言になったこともございますが、この分離修習を中心にした法曹養成制度の改正問題について、あるいは改悪問題について、法務大臣としてはどういうスケジュールをお持ちか。前回の委員会におきましても、最高裁等とも相談をしてということばがあり、あとの私の質問に対しては、日弁連を含めて相談するというような意味のお話もございました。どの段階までこの作業が進んでおるのか、あるいは今後の見通しについてどういう腹案をお持ちか、お尋ねします。
#27
○小林国務大臣 これは、私は前から申し上げておるように、七月一ぱいで法務省の意見というものを取りまとめをしてもらいたい、こういうことを事務当局に指示をしております。まだ中間的な報告を受けておりません。私は私の意見も申しておりますが、これは広く皆の意見を結集してひとつやってもらいたい、こういうことを申しております。これは皆さんお考えのように、非常に重大な問題でありますから、なかなか簡単に進む問題ではありません。まずもってやはりわれわれの意見をまとめて、たたき台と申しましょうか、これについてまた各界の御批判をいただいて考える、こういう意味の案を今月中にひとつまとめたい、かように考えております。その中にはいろいろなことが入っておりましょうが、私はどの程度にまとまってきているかまだ聞いておりませんが、これからの問題でございます。これからひとつそういう試案をまとめたいということがそのままになっておりますから、今月中にそういうものができる、かように考えております。
#28
○岡沢委員 そうすると、その問題は今月中に法務省としての案をおまとめになって、そして最高裁、日弁連とも相談をなさる、あるいは法制審議会へも諮問をなさるというように解してよろしゅうございますか。
#29
○小林国務大臣 おそらく最高裁方面にも御相談をされておると思いますし、弁護士会のほうでも御意見があったら十分承りたい、こういうことも申しております。
 実は、これは非常な大きな問題でありまして、私は、必ずしもこれはこうだということでなくて、いまの制度のワク内においても改良すべきことがありはせぬか、すなわちいわゆる応急的な措置と恒久的な措置と、一種の二段がまえの考え方を持っておりまして、いまの法律の範囲内において修習の方法等についてある程度改革を加えるべきことがないか、このことが一つ、それから恒久的に制度として、すなわち法律を改正してまでやるべきことがあるかどうか、あればどういうことか、こういうふうな二段がまえで検討してもらっております。すなわち国会にかけぬでもやれることと、国会にかけなければやれないことと、こういう二つの方法があろうというふうな考え方をいたしております。
#30
○岡沢委員 時間の関係でこの問題はこれで終わりまして、最後に、例の福島裁判長に対する忌避申し立て事件、これは札幌地裁に続いて札幌高裁においても七月十日、武藤英一裁判長係で国の即時抗告が棄却されております。これについて新聞の報ずるところでは、法務省としては上告はしないと御内定になったようでございますけれども、どういう理由で上告をされないのか。私は上告されないのが当然だと思いますけれども、一応この問題についての法務省側の真意をただしたい。
 それから、四月の忌避申し立て当時にも当委員会でもすでに何回か指摘されましたように、国が忌避の申し立ての当事者になることは、国内においてはもとより国際的にもきわめて異例の措置をおとりになったわけですが、それが一審、二審とも国側のいわば敗訴に終わったということについて、法務省としてはどういう御見解あるいはまた反省、あるいはまた御不満といいますか、やはりこれを国民も納得する必要があると思いますので、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
#31
○小林国務大臣 私どもはあの忌避をしたことはきわめて妥当なことであるということを確信しておりますが、裁判所は裁判所の判断があってああいう決定を下された。したがって、今度の棄却に対しても私どもは非常な不満を持っております。しかし、決定をした以上、これに従うことは当然であるということと同時に、私は特別抗告の問題も検討したのでありますが、民事訴訟法の手続の上では憲法の解釈とかいろいろ制約がありますから、私は実はこの委員会に出席する前に、抗告はいたさない、こういうことをきめてまいったことを申し上げておきます。したがって、いまいろいろなことをこの際ここで申し上げることはいたさない、こういうふうにします。
#32
○岡沢委員 せっかく御担当になった香川さんがおいででありますので、許される範囲で――法務大臣がこの席で明らかにしないと、国民に対して明らかにしないということになるので、なぜ特別抗告をなさらないのか、むしろ明らかにされる義務があるのではないか。これは特別抗告をなさる場合には理由が出ますけれども、なさらない場合には公にされないわけでありますから、国が異例の忌避申し立てをなさって、しかも第一審、第二審とも国側の主張が通らないという結論が出た場合、理由を明らかにされないままでうやむやにされるということについては、むしろ国民が納得しないのではないか。この機会を通じて、一応最も適当な場所だと思いますので、明らかにされるほうが当然だと思いますけれども、重ねて法務大臣あるいは香川さんの御意見を聞きたいと思います。
#33
○香川説明員 これは私どもの考えでは全く法律上の制約でございまして、御承知だと思いますが、最高裁判所に抗告することができますのは、訴訟法で特に最高裁に抗告できるというふうになっている場合に限るということになっておるわけでございます。つまり、最高裁に抗告できますのは憲法問題についてしかできない、かように訴訟法はなっておりますので、今回の棄却決定については、法令の解釈なりあるいは事実の認定等につきましては私ども不服の点が多々ございますけれども、いずれも憲法問題ではございませんので、したがって、法律上最高裁に抗告できない、かような結論でございます。
#34
○岡沢委員 持ち時間が参りましたので、これで終わりますけれども、きょう実は私、検事の偽証問題についても質問するつもりでございましたが、法務大臣が午前中しか御出席ができないということでございますので、非常に残念でございます。前回の法務委員会でも問題になりましたが、ぜひ八月の法務委員会――先ほどの理事会で八月の十二日と内定いたしておりますけれども、大臣はせめて月一回のこの法務委員会にはわれわれの要求する範囲内で御出席をいただくように希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
#35
○高橋委員長 松本善明君。
#36
○松本(善)委員 いま長沼事件の忌避の問題が最後に出ましたので、そこから伺っておこうと思うのであります。
 いまお聞きいたしますと、法律上特別抗告はできないからやめるということでありますが、法務大臣のお話では非常な不満を持っておる。私は、いまほかの委員も問題にいたしました裁判官、検察官になる人が少ないという問題とこの問題も関係をしておるのだ、こういうことについての法務省の態度、そういうことが影響する。忌避の問題については、法曹の中ではほとんどの人が、これは法務省のめちゃである、通るわけがない、みなそういうふうに言っておりました。それが強行され、そして一審、二審で負けても、いまなお不満である。法律上できないということは、高裁の決定は法的な裁判所の意思表示だと受け取らなければならない。それを政府のほうが、あれは不満で、裁判所は裁判所の考えだ、こういうことでありますと、これは裁判官になっても、なるほど政府はそういうふうに考えているのか、あるいは検察官になっても、あのめちゃな忌避をしなければならぬ、こういうことになるから、それが同僚委員も先ほどから指摘をしている裁判所の姿勢の問題や、法務省あるいは検察庁の姿勢の問題、こう言われておるわけです。私は当然に法務大臣はこの忌避の結果について反省をされるべきだ、この高裁の決定は尊重していくということを答弁されるのが当然だろうと思いますが、この点について何らの反省もされないのかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
#37
○小林国務大臣 尊重していくということはいま申しております。これはもう判決全体について、たとえばあらゆる判決について、まことに満足だと服する人もあります。そうでない人もあることは当然でありますが、判決が出た以上は服する、こういうことであります。
#38
○松本(善)委員 この点については反省はされないのでありますか。
#39
○小林国務大臣 反省といっても、私どもはあの主張が間違っておらなかったと思っておるということ、しかし裁判所がおきめになったんだから、これは見解というか、平等じゃありませんから、われわれの見解が否定されたということになればそれに従う、しかし、その見解はわれわれは持っておった、こういうことでございます。
#40
○松本(善)委員 私は、そういう姿勢こそ反省さるべきだということを申し上げて、さらにこの分離修習問題について伺っておこうと思います。
 先ほど同僚委員にお答えになった中では、修習のやり方を変える考えはないというお話だった。そういうことでありますと、何を変えることをお考えになっているのか、その点ちょっと詳しく伺いたいのであります。修習のやり方は変えない。そうすると、何を変えるお考えでいらっしゃいますか。
#41
○小林国務大臣 いまお答え申し上げましたように、私どもがいま検討をしておるので、そしてその結論はまだ出ておらぬから、いまの御質問にはまだお答えできない。ただ全体としてあのやり方がよいかどうかという再検討の時期であるということで、検討しております。その中にはいろいろなことがあります。いま冒頭に申したように、初めからもう弁護士以外には絶対ならぬぞ、こういう人も一緒にみな――先ほどのお話のように星雲状態というか、初めから法曹一元だから何になるかわからない、とにかく三つのうち何かになる、こういうことで、みんな志願をされておられるから、一番いいのは、しまいになっておきめになれば一番いいと思いますが、どうも近来は初めからおれは何だ、こういうふうなことを言っておるから、またいろいろの問題が出てくるというふうに考えるのであります。
 いずれにいたしましても、どういう方法の改革案が出るかということは、もうしばらくひとつお待ちを願いたい。しかも、これは法務省が一つの試案をつくる、こういうことでございますから、そういうことで御了承願います。
#42
○松本(善)委員 そういたしますと、修習のやり方を変えるという考え方は一応撤回する、あらためていま考えている、こういうふうに伺ってよろしいのでしょうか。
#43
○小林国務大臣 修習のやり方を撤回することも何もございません。みんな判事になる人も検事になる人も弁護士になる人も、その三つの業務をみなやはり修習をされることは、私は今後といえども必要だ、そういうことで修習制度と申しますか、個々の方法論の問題は、そういうふうな三つの職域についてみな勉強されることはけっこうだろうということは変わりません。
#44
○松本(善)委員 大臣、これは私と大臣との間のやりとりだけでなくて、国民みんなが注目をしておることなんで、これははっきりさせようじゃありませんか。大臣が修習のやり方を変えようということを発言され出したから、日本弁護士連合会も反対決議をする、各地の各単位弁護士会も反対決議をするということになってきているわけですよ。その修習のやり方を変えるということはもう考えてないんだ、これは誤解なんだということになれば、これは撤回ですよ。しかし、ほかの方法を考えているのだが、いまは言えない、こういうことかどうか、この点はっきりさしていただきたいのです。
#45
○小林国務大臣 いまもうあちこちでいろいろ問題になっておるので、弁護士、判検事を分離するかどうかということが一番の問題になっているんじゃないですか。いまの各職域の勉強方法がどうのこうのというのはだれも問題にしていない。一番重点にして反対をされておることは、この制度として判検事と弁護士を別途に修習するかどうかというようなことを、そういう意見もあるということを私が言ったことが一番問題になっておる。したがって、修習のやり方を――やり方といったっていろいろ方法があります。どこへ行って勉強するかというようなこともあるし、制度としてどうやってやるかということも問題になる、こういうことじゃありませんか。
#46
○松本(善)委員 法務大臣、御存じかどうかわかりませんが、いま弁護士と裁判官、検察官になる人は、みな同じ修習課程で修習しているのですよ。その修習のやり方を変える考えはないのだということになれば、これは一応決着なんですよ。撤回なんですよ。しかし、ほかの方法を考えておるのだというならば、何を考えておるのかということを聞いておる。それは言えないというなら、一応とにかくいま考えていることはやめたということなのかどうか、はっきりしてもらいたい。
#47
○小林国務大臣 修習のやり方といえばいろいろ高いあるいはごく卑近な問題、いろいろあります。弁護士事務所で勉強する、裁判所で勉強する、こういうふうなことはやはり制度が変わってもやらなければならぬでしょう。だからして、私は、前のことをいま変えておるつもりはない。すなわち、たとえば分離制度の問題もあるというようなことをここで変えたということを申し上げるのではございません。
#48
○松本(善)委員 そうすると、やはり分離修習を考えているということですか。そういうことですか。
#49
○小林国務大臣 そういうことも検討の対象になっておるということは事実でございます。
#50
○松本(善)委員 そうすると、少し動揺したということですね。しかし、私どもは、それは撤回しないとまた法務大臣の黒星になるというふうに思います。法務大臣、日本弁護士連合会が修習分離に反対するという文書をつくっているのを御存じですか。
#51
○小林国務大臣 存じません。
#52
○松本(善)委員 このくらいはやはりお読みにならなければならないと私は思います。先ほど来同僚委員も、これは裁判所、検察庁の姿勢の問題なんだということを言っております。この日弁連のつくりました書類によりますと、「任官志望者が少ない根本的な原因は、裁判所・検察庁の姿勢、あり方の中にあるのであって、現行司法修習制度にあるのではないということができるのであります。したがって、裁判所・検察庁がその姿勢を正し、その雰囲気を民主的な明るいものに改め、任官することに生き生きとした使命感をもたせるようにすることこそが、この問題を解決する正しい道であるといっても過言ではありません。」先ほど同僚委員も、修習生の中でのアンケートの結果でありますとか、いろいろ紹介をいたしました。そういうことを述べた上で、この結論を日弁連は出しているわけです。
 待遇の問題や転任の問題が問題にされていますけれども、転任というのはなくすことはできないことです。この問題を論じてもどうにもならぬことです。それから待遇がよくなったから裁判官がふえた、これは日本の法曹に対するたいへんな侮辱であります。私は、待遇問題も決して軽視はしませんけれども、しかし、それがおもなことだ、それでこの問題が解決したということになったら、それから裁判官になった人は立つ瀬がないでしょう。私はそう思います。そういうところではない。裁判所や検察庁の根本的な姿勢の問題にあるから、これだけ大問題なんだ。待遇だけの問題ならこんな大問題にならぬ。わが国司法の根本問題だから問題になるのです。
 そういう問題だと、私が先ほど読みました日弁連の指摘、これは単に何人かの国会議員の意見ではない。日弁連として出している書面の意見です。この問題について、法務大臣はどうお考えになりますか。
#53
○小林国務大臣 それぞれの立場によって言い分がございまして、みな人のせいのようなことを言う人もあります。自分のことはさっぱり考えないで、人のせいのようなことを言う人もありますし、先ほどからの根本姿勢の問題にも問題があることは私も認めます。したがって、これらを十分反省していかなければならないと思います。ただ、ここが悪いからという一つの原因でできておるわけではありませんから、これはみんなが考えるべき問題だというように私は思います。
#54
○松本(善)委員 この裁判所、検察庁の根本姿勢ということであるならば、そこにほんとうに法務大臣が思いをいたされるならば、これは修習制度を変えようということを考えるのはさっぱりと撤回をして、裁判所と検察庁の姿勢をどうやって変えられるのか、そういうことに考えをめぐらしていくべきではなかろうかと私は思いますが、いかがでしょうか。
#55
○小林国務大臣 私は、いまの裁判所や検察庁の姿勢だけが原因だとは思っていません。それもある程度あるでしょう。しかし、修習制度そのものにも欠陥がある、このことは私は確信をしております。したがって、いまここでひとつ撤回いたしましょう、おまえの黒星になるから、そういうつもりはないこともはっきり申し上げておきます。
#56
○松本(善)委員 ここで時間の短いところで押し問答をしても始まりませんが、引くべきところはいさぎよく引いてもらいたいと私は思います。
 法務大臣、間もなく出られるようでありますので、別のことを少し伺っておきます。最近行なわれました日本共産党の第十一回党大会での代議員の宿舎に、盗聴器がしかけられてありました。それからわが党の宮本幹部会委員長の自宅の電話線にも盗聴器がしかけられていた。これはいずれも新聞その他で報道されておりますので、法務大臣も御存じと思いますが、こういうことは、いままでに宮本委員長宅についてはかって一度、当時書記長でありました。それから党大会については二度ありました。こういう盗聴というようなことは、憲法の二十一条にも明白に反することである、民主主義に反することであると私どもは思いますが、法務大臣はこのようなことが行なわれてよいとお考えでありましょうか。
#57
○小林国務大臣 これはもうえらいやさしい御質問でございますが、好ましくないと思います。
#58
○松本(善)委員 ところで、御存じと思いますが、通信の秘密ということにつきましては、これは刑法で信書を開披をするというのは処罰をされるわけであります。それから郵便法で、この信書の秘密については郵便法でもやはり処罰をされます。七十七条、これは法務大臣は御専門だから御存じと思いますが、七十七条、八十条、八十五条というようなことで、信書の秘密を侵す場合は処罰されます。電報、電話につきましても、公衆電気通信法五条、それから百十一条、百十二条、有線電気通信法十六条、二十一条、二十三条、こういうことで電報、電話に関しても通信の秘密は保護されておるわけであります。それから無線通信の秘密ですね、これも電波法百九条で保護されておる。
 ところが、会話の盗聴、盗聴器をしかけておる。これは、この盗聴器が有線であろうと無線であろうと、そのままの郵政関係の法規での処罰法規というものはないようであります。もちろん、だからといって野放しというわけではなくて、私どもは私人がやった場合に業務妨害に当たる、政党の活動を妨害するというような場合には業務妨害に当たると思いますし、公務員が行なった場合には当然職権乱用ということになると思います。しかし、こういう盗聴行為そのものを処罰する法条というのはどうもないようであります。こういう現状で、この民主主義に根本的に反する、それから法務大臣も好ましくないと言われておるこの事態をなくすために、どのようにやられるかということについての所信を伺いたいのであります。
#59
○小林国務大臣 これはもうお話しの盗聴器というのは、盗むというのだからこれはよくありません。わざわざ盗むということばさえ使っておるのですね。したがって郵便でもいろいろなことが規定されておりますが、ただ電気通信については、一体技術上正確にこれが防止できるかどうか、こういう問題があるので、いまのようないいかげんというか、なまぬるいきめ方にしておると思うのでありますが、しかし、それの弊害いかんによってはやっぱり何かの規制をしなければならぬと思うのでございまして、これらはやっぱり今後の新しい技術の進歩にも適応して考えていかなければならぬ。通信の秘密をとるのはよくありません。したがって、松本委員のほうにおいてもいろいろお考えがあろうから、あるいは告発するとかいろいろなことで、一つのケースとしておやりになってみるのも方法じゃないか。やはり今後の問題としていまのように全然の無規定であることがよいか悪いかということは問題になる、かように考えます。
#60
○松本(善)委員 そういたしますと、砕いて申し上げるまでもないと思うのですけれども、手紙を開くことは処罰されるけれども、お互いに話をしている、夫婦が話をしている、それを盗聴してもいいということにはどうしてもならぬというふうに思うわけでありますが、この問題については立法を含めて検討をするというふうに伺ってよろしいでしょうか。
#61
○小林国務大臣 これはもうよくありませんから、よくないことを法的に規制するか、単なる道徳問題にするかという、こういう問題でありますが、しかし、いずれにしましても、社会通念上よろしくないことは何らかの規制をするということも考えざるを得ないということでございます。
#62
○松本(善)委員 規制ということは立法も含めてという意味でございますね。ことばでお答えいただきたいと思います。
#63
○小林国務大臣 これは私は、電信電話公社にもひとつ申し入れをして、これは再考をする必要はないかということをまずもって注意をしたい、かように考えます。
#64
○松本(善)委員 それからもう一つは、現行法のもとにおいても、これは先ほど申しましたように、業務妨害、それからもし公務員がやっていれば、これは職権乱用ということになりますが、そういう点での処罰ということについても、きびしくやっていただけるでありましょうか。
#65
○小林国務大臣 これはまあ具体的の問題として検討しなければなりませんから、問題が提起されてからひとつ考える、こういうことでございます。
#66
○松本(善)委員 それから、この際注意を喚起しておきたいのでございますが、最後に伺っておきます。これから法務大臣が退席をされてから詳しく聞くつもりでありますが、名古屋では公安調査庁及び警察が使っていたスパイ、横井という女スパイが公判廷でスパイであることを自認をいたしました。そうしてこれは大量の窃盗をやっております。それを警察やその他に渡しております。これはまさに贓物罪を警察みずからが犯しておるという結果に、私はあとから詳しく聞きますけれども、そういう結果にならざるを得ないというふうに思うのであります。
 それからまた、ことしの五月の十四日に仙台地方裁判所において一つの判決が出ました。これは警察官が共産党をスパイをするためのスパイになれということを言って、その人がこれはいやだ、そんなことはいやだと言って退去をしようとすると、その人に暴行を加えて、そうして監禁をして暴行を加えた、こういう事件であります。これは警察官に有罪の判決が出ております。執行猶予つきでありますけれども、禁錮六カ月ということになっております。
 こういうような公安スパイがみずから犯罪を犯すということが次々と出ておる。これは政府当局においても、私はスパイ行為そのものが禁止さるべきであるというふうに考えますけれども、このあらわれた事象だけ見ましても、まことに遺憾なことが起こっています。この問題について法務大臣は法務大臣としての、それからまた閣僚、それは警察の点について閣僚の一人としてもどういうふうに対処をされるか、所信を伺いたいと思います。
#67
○小林国務大臣 これはもう一がいに私がお答えできません。スパイ問題などは国際的にもどこの国でもそういうことがあるようにも聞いております。ことにいまは情報化時代あるいは産業情報、いろいろな問題がありますから、ある程度社会通念によって律していくべきもので、これは具体的の問題についての話であって、一般的にそれがいい悪いと――まあ概括的に答えろといえば、これはよくないでしょうね、こういうことを申し上げざるを得ませんが、その程度しか私からお答えできません。
 なお、私ここで申し上げておきますが、私は実は月曜日には御審議があるまいと思っていろいろな先約をいたして、きょうは皆さんに非常な御迷惑をおかけいたしましたことをおわびをいたしておきます。
#68
○松本(善)委員 もう一つだけ結論をしておきますが、私はこの盗聴器問題で警察庁とそれから公安調査庁に行きました。これはもし内部でそういうことがあったら処分するということを言われたのです。私は法務大臣が、よくないでしょうねというようなお話では、多少納得がいきかねるのです。いま私のあげた例は窃盗をやっているのですよ。暴行をやっている。有罪の判決が出ている。これだけの事例を出されても、それはよくないでしょうねとこういう態度だから、次から次へとそういう事件が頻発をする。厳重に処分をするとは言えませんか。私は、その点についての法務大臣の意見を聞きたいと思います。
#69
○小林国務大臣 これは行政的な立場において非違があればこれをただすということは当然であります。
#70
○松本(善)委員 終わります。
#71
○高橋委員長 畑和君。
#72
○畑委員 司法分離修習の問題について、最高裁にお伺いいたしたい。
 先ほども言ったような事情で、法務大臣がずっとおられるのならばよかったのですが、早く引き揚げられるということで、法務大臣のほうにだけ質問を先に集中してしまった関係で、最高裁にはずっとそこで聞いておいてもらったのであります。これから最高裁のほうにお聞きいたしたいと思います。この問題は法務大臣が言い出したのですから、法務大臣に質問して、それをずっと最高裁にも聞いていてもらって最高裁の意見を聞こう、こういう算段だったのですが、全然別になってしまって――また別になったから言いやすくなったから、忌憚ない意見がありましたらお吐きいただきたいと思います。
 この問題は、先ほどから私だけでなくて同僚議員からも申されましたが、全司法に及ぼす根幹に触れる非常に重要な問題だという観点から、在野法曹もあげて反対をしておるわけです。ところで、最高裁が決してこれを言い出したわけじゃない。法務大臣が言い出したのだけれども、最高裁は一体どういうふうに考えておられるのか。判事さんが足りない、検事さんが足りないというようなことについては、裁判所としても判事が足りないという立場で、やはりこの問題は、何とか判事の志望者をふやすということについては御関心があると思うのです。しかし、最高裁も法務大臣と同じような考え方でおられるのかどうかということが実は心配なんです。最高裁が、私のほうはそういう考えは全然持ちません、こういうことであれば、法務大臣が孤立するのですからあれですけれども、法務大臣を応援するということになると、われわれも大いに最高裁と議論をしなければならぬわけです。そういう観点で、法務大臣が投げかけた分離修習の問題に対する大ざっぱな最高裁としての考え方、これを事務総長からまずお伺いをしてみたいと思います。
#73
○岸最高裁判所長官代理者 司法研修所における修習生の修習問題につきましては、昨今突如として問題が起きたわけではなくて、もうだいぶ前から、修習のあり方はあれでいいかということは問題になっておりましたが、そういう関係もありまして、最高裁判所では、数年前に司法修習運営諮問委員会というものを設けまして、そうして司法修習はいかにあるべきか、どういう点が現段階において問題点になるかということを諮問いたしたのであります。その委員会が約二年間続きまして、四十三年の九月二十四日に委員会の委員長から当時の長官に対して答申が出ております。
 この答申の中に、十二項目の問題があげられております。その中には、別に分離ということは取り上げておりません。けれども、もう少しそれぞれの志望別分野の修習を加味した制度にしてはどうかというような問題、しかし、これも問題点として取り上げられておるだけで、そういうことをいま取り上げていいかどうかということについてはまた別問題で、この答申の中でも「将来において答申事項の実施のいかんが取り上げられる際は、法曹各分野および関係各界の意見を十分に徴することとされたい。」ということが特につけ加えられております。ですから、裁判所といたしましては、その問題は慎重に扱わなければならない問題でありまして、今日の段階では、裁判官会議の考えも全然出ておりませんし、私、途中からここに出席しましたから、もし法務省のほうにおかれて、この問題を検討されて案を示されるということでしたら、それを謙虚に受けとめ、そして十分に検討したい。これは現段階では公式の意見として、こうやりますとかこうやりませんとかは申し上げることができない状態であるということを御理解願いたいと思います。
#74
○畑委員 最高裁としては、先ほど御答弁ございましたように、一体司法修習の制度がこのままでよろしいのかどうかということについて検討するために、司法修習運営諮問委員会というものを発足させて、そこで二年余にわたっていろいろ審議をしてもらった。もちろん裁判所側あるいは法務省側あるいは日弁連側、こういったおのおのの分野から意見を出しておられたと思うのでありますが、その委員会の審議の結果は、別に分離修習というような問題は出ていない。ただ分野別の専門教育を加味するということについて、それを問題として取り上げる――それを検討することがいいか悪いか検討するというのでなくて、専門修習ですが、「志望分野を重んじた修習を加味することを検討すること」がいいか悪いかという問題が答申に出ておるだけ、こういうことだ。私の承知しておる限りは、やはり事務総長の御答弁のとおりで終わっておるというふうに思うのであります。これはいまの修習はあくまでも法曹の教育としての普通教育である。専門教育は専門教育として最高裁判所司法研修所で判事になった人だけの教育をしておられるというふうなことでありますが、最初の修習課程でも専門分野の修習を加味したらどうかというようなことを検討することの可否だけを結論として言われておるにとどまっておる、こういうことなんであります。
 ところで、法務大臣のあの構想が発表されたのでありますが、いずれ法務省で案をお示しになれば、その上で検討をする、したがって、いままだ出てない段階であるから、それに対してどうこうというような批判ないし考え方というものはいまこの段階では出せない、こういうことの御答弁でございました。しかも、その答申の中にも、「実施のいかんが取り上げられる際は、法曹各分野および関係各界の意見を十分徴することとされたい。」というような意見がつけられておるということを先ほど総長も答えられたのでありますが、そのとおりでございます。
 ところで、先ほど来大臣のお話を聞いておられたと思うのでありますが、判検事の志望者が少ない。これはどうもいまの統一修習のせいである。統一修習をやめて、そして判検事、弁護士おのおの、修習生の最初から分野を分けてしまって、それで分離修習をするということにすれば、判事なり検事なりへの志望ないし任官者がふえる、こういうことがどうも法務大臣の構想の一番中心のようであります。同時にまた、どうも公務員になる可能性のない人が多い。すなわち、五百人採用した修習生のうちで約百人足らずの人しか判検事にならない。大体公務員になろうとする者だからこそ国家で金を出すのだけれども、そういう可能性の数が非常に少ないのに、五百名全部に対して国庫補助をしてやるということはどうもぐあいが悪いというようなことが法務大臣の考え方の、また構想の一端をになっておるということも事実だと思うのであります。私の質問に対しては、どうも戦闘機一機の例を出したものですから、金の問題はそうたいした問題じゃない、金の問題じゃないんだというようなことも言われたけれども、しかし、新聞記者等に発表された大臣の話によると、どうも役人になろうとする人でない、自由業を目ざしておるような人に国の金を使うのはぐあいが悪い、こういうことをはっきり言うておられるので、だいぶ先ほどの答弁はごまかしのような気がするのでありますけれども、そういう点で、最高裁としてはいま公式の答弁はできないかもしらぬけれども、公式的にはそうは言えないかもしらぬけれども、しかし、その問題に限って全然いまのあれを考えずに、事務総長として何か考えがありそうなものだと思う。あまり公式的な答弁でなくて、個人的な考えなり何か、ひとつ示してもらいたいと思うのですが、どうでしょうかね。
#75
○岸最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたが、修習制度につきまして、最高裁として裁判官会議におはかりしたことはまだございません。法務大臣は法務大臣として、そういうことをおっしゃったのであろうと思いますが、法務省からはまだ何ら公式の連絡も受けておりません。そういう段階では、やはり意見を申し上げることはちょっと遠慮しなければいかぬと思いますが、はたしてどういう案が正式に連絡されるかどうか、これは全く不明でありますので、そういう点についてはいまこの段階で裁判所が意見を申し上げることはやはり差し控えなければならぬ、かように考えます。
#76
○畑委員 どうもえらい警戒をしたお役所的な答弁で、私としては非常に不満でありますけれども、もっとずばり言うたらどうでしょうか。裁判所もあんなことが出るとかえって迷惑なんだ、こういったところが私はほんとうは正直なところだと思いたいのです。しかし、この段階で、事務総長のほうもなかなかそうも答えられないのだろうと思うのでありますが、一体統一修習をやめれば判事、検事になる人が多いという発想はほんとうにいただけないので、裁判所が同じような考え方にまさかなろうとは思いたくないのでありますけれども、まあここではなかなか言えないだろうから、もし法務省の案が出たらひとつ裁判所として、先ほど来私たちが考えておることを十分に頭に入れて、ひとつはっきりした態度を打ち出してもらいたい、こう思うのです。最初からあなたにうまく逃げられてしまったもんだからどうもそれから先いろいろ聞こうと思っても、なかなか聞き出すことができないということになってしまったわけでありますけれども、先ほど来の問答、じっとお聞きになっておられたと思うのでありますけれども、そういう段階になりましたらひとつ最高裁としてもはっきりした態度を打ち出してもらいたい。やはり近視眼的な考え方でやってもらっては困る。せっかくここまで、法曹三者の一元化を目ざすその一つの展望の上に立った統一修習のいい制度であるわけですから、これをここで切りくずすということになると、禍根を将来にわたって残すことになるというふうに考えますので、ひとつそういうき然たる態度を要望いたしておきます。
 ほかの委員の方の質問もありましょうから、事務総長に対する私の質問はこれで終わりにいたします。
 それから、法務省の司法法制調査部長に関連して聞きたいのですが、どんな程度まで構想を考えているのか。
#77
○影山説明員 現在のところ、先ほども大臣の申しましたように、構想というものにまとまってはおりませんので、関係部局寄りましていろいろな視野から議論をしているという段階でございます。
#78
○畑委員 そんな程度の段階ですか。実はあなた方も困っているんじゃないのですか、大臣が一人独走するものだから。
#79
○影山説明員 先ほど来議論がありましたような重大な問題でございますので、司法制度の一環として十分検討したいというふうに考えておるわけでございます。
#80
○畑委員 私はあなた方にも十分に考えてもらいたいのは、いままでの議論でおわかりだと思う。幾ら大臣が一人でしろうと考えで考えたってずいぶん間違いもあるのだから、司法部に身を置く者として十分考えて、これは大臣いきませんよ、えらい逆の方向に向いていますよ、というような意見ぐらいは大臣に意見具申してもらわないと困るのです。十分ひとつ気をつけてやってもらいたい。
#81
○高橋委員長 岡沢君。
#82
○岡沢委員 事務総長ちょっと……。岸事務総長お急ぎのようでございますので、分離修習の問題について、私からも最高裁の御見解、現在におけるお考えをただしたいと思います。
 裁判所法六十六条によりましても、司法修習生は最高裁が命ずる。法曹養成制度は法務省よりむしろ最高裁が主管ではないかというふうに考えるわけでございますが、この問題について法務大臣からああいう発言があったということ自体、それはまあ言論の自由は法務大臣にも保障されているとは思いますけれども、少し先ばしりの、あるいは軽率のそしりを免れないような感じが私はいたします。最高裁にも何の話もなかったということは、先委員会におきましても今度の委員会におきましてもすでにお答えになっておると思いますが、法務大臣の五月の末の分離修習等に関する発言以来、最高裁には公式の御相談はまだ法務省からございませんか。
#83
○岸最高裁判所長官代理者 まだ公式な連絡というものはございません。
#84
○岡沢委員 けさの法務大臣の御答弁を事務総長もお聞きになっておったと思いますけれども、法務大臣は、いまの制度のワク内で変えられることも考えてみたい、まあ法曹養成制度あるいは分離制度については応急措置と恒久措置とがあるというお答えがございまして、国会にかけないで法務大臣の思っておられる方向に変える道があればやってみたいというふうな御意向と私は聞いたわけでございますけれども、最高裁のほうでも、いまの法制を変えないままで、現在行なわれております司法修習生の取り扱いとして、二年間の研修内容あるいは研修課程等について変更あるいは改正等についてお考えになっている問題があるかどうか、この段階でお尋ねいたします。
#85
○岸最高裁判所長官代理者 いまのワク内で云々という問題でございますが、前の司法修習運営諮問委員会はそういう問題をも含めて論議され、問題提起がなされたわけでございます。先ほど志望分野別修習を加味するという問題点があげられたことを申しましたが、なおその際にはまたこういう意見も出ております。
 御承知かと思いますが、「大学の法学教育と法曹養成の実務教育との相関関係は考慮しなければならないが、司法修習を実務修習のみに、または司法研修所における修習のみに、または司法研修所の修習はいわゆる後期修習のみに改めることを検討することの可否。」こういうふうな問題も提起されておりまして、このように非常に幅広くあらゆる方面から検討しようというのが、私どもの司法修習運営についての態度であります。
 この制度は、現在の制度ができましたときは、これは世界に類例のない理想的なものだということが言われておりました。まさにそういう面もあると思います。しかし、実際の運用がはたして理想どおりにいっておるかどうかということを十分に検討するということもまた必要であろうと思います。いずれにしましても、先ほどのお尋ねの問題については、最高裁としての公式な見解というものは何らまとまってはおりません。
#86
○岡沢委員 私も一たんきまった制度は絶対に変えてはいけないとも思いませんし、また改善をする必要のある部門については勇気をもって改善することも、またこれは時期を失せずに改善することも必要だと思います。ただまあ臨時司法制度調査会の意見書等によりましても、法曹一元について、その「長所を念頭に置きながら」、その「基盤の培養についても十分の考慮を払う」ようにという趣旨もございます。そういう方向でのこまかい手続なりあるいは教習内容の改善についてはもちろん異議はございませんけれども、法務大臣が考えておられるような、法曹一元は日本には何もないのだ、あるいは理想と現実は合わないのだということを前提にして、いわゆる分離修習の方向に一歩踏み出すような、しかもそれは法の改正を要しない範囲内においてなしくずし的になされるという懸念を日弁連もしておるようでございますし、われわれにも一まつのそういう不安があるわけでございます。岸総長は、この問題について法曹三者の司法協議会というようなものを構成して、忌憚のない意見の交換を第三者間でやって、制度改正上あるいは運用上考慮していきたいという御答弁を前回の委員会でもなさっておられます。法務大臣も、きょうおられなくて欠席裁判になって恐縮でありますけれども、相談をするならば最高裁ということが常に出ますけれども、ときどき日弁連のほうをお忘れになる。しかし、法曹一元とかあるいは法律制度全体の運用を行ないます場合に、弁護士の存在を無視して法の公正な運用はあり得ないということを考えましたときに、私は、在野法曹としての日弁連の意見を、また国民の意見等をあわせてお聞きいただくということは当然の措置だと思います。
 細部のことは別といたしまして、少なくとも法曹一元に逆行するような改正、しかもそれは法律改正を要しない改正についても、最高裁として日弁連にはかることなしにされるというようなこしのないようにしていただきたいと私は希望するしけでございますけれども、これについて事務総目の見解をお聞きします。
#87
○岸最高裁判所長官代理者 この問題に限らず、すべての司法制度に関する問題につきましては、法曹三者が十分に協議を遂げることが必要であるということは、国会開会中の御質問に対しても申し上げたとおりであります。従来いろいろいきさつがありましたけれども、裁判所はそういうことには少しもこだわることなく、法曹三者間で十分な協議を遂げるような機運になることを非常に望んでおります。その意味におきましては、私どもも弁護士会に対してそういう点を非常に強く要望いたしたいと思います。
#88
○岡沢委員 前回の第六十三国会で、例の裁判所法の改正を通じまして、最高裁と日弁連とのいわゆる断絶云々が論議されました。その改善の方向についても努力したい――いまの事務総長の御答弁はそれと符節を合するわけでございます。わわわれとしては当然だと思いますし、またその見解を支持したいと思いますが、法務大臣は、どういたしましても法曹御出身でないだけに、(畑委員「暴走だ」と呼ぶ)第三者の見解としてのよさもありますかわりに、いま畑委員が不規則発言をされておりますように、暴走のおそれもあるわけでございますので、ぜひ私は、先ほど申し上げましたように、法曹養成制度の主管官庁は最高裁であるということの誇りと責任を感じていただきまして、いまの御方針で善処していただきたい。
 それから、この機会に重ねてお尋ねいたしておきたいと思いますけれども、法務大臣のこの問題に対する発想の一番大きな背景をなしておりますのは、裁判官、検察官への任官希望者が少ないということだと解釈しても間違いないと思いますが、そういう点も含め、特にわが国の法曹人口が国民の人口に比較してわりと少ないという点も考慮して、司法試験の合格者をふやす、あるいは司法修習生の採用者をふやすという方向で御検討いただく御用意があるかどうか。まあ、私たちが修習生に採用されました二十年近く前と比較いたしまして、当時三百名のものがいまは五百名ぐらいになっているということを聞いておりますけれども、私は近代国家の法の支配ということを考えた場合、法曹人口は、それは粗製乱造的な無責任な養成になってはいけませんし、限界はあると思いますけれども、わが国の場合いささか少な過ぎるという感じを持ちますし、また一方で、きびしい司法試験を通った者は、少々なまけましても、二回試験は安易に通すという傾向があります。これは日本の大学全体が、試験はむずかしいけれども入学するとほとんど勉強しないでも卒業さすというような弊害があるというような感じを私は持っておりますけれども、司法修習生につきましても、司法試験はある程度幅を広くして採用人員をふやす、しかし、修習期間中その実をあげない者、努力をしない者についてはきびしくと申しますか、適正に、その資格を与えない、いわゆる二回試験をきびしくするということは、私はある意味では正しい改正への道ではないかと考えるわけでございますけれども、その辺について、これは事務局長としてはもちろん個人見解しか伺えないと思いますけれども、許せる範囲で、御抱負、御意見がありましたら聞かせていただきたいと思います。
#89
○岸最高裁判所長官代理者 法曹の質を低下することなしに法曹人口をふやす、これはかねてからの課題でありまして、私どももそういう点については日ごろからいろいろ検討しております。ただ、試験を甘くしてどんどん合格させろという考え方には賛成いたしかねるわけでありますが、しかし、ただただ法技術的な問題だけでその人の優劣をきめてしまうということに堕して、法律職人を養成するといったようなことになってはこれはまたいけないので、非常にそこにはいろいろな複雑な問題がありますので、そういう点は十分に検討していきたい、かように考えております。
#90
○岡沢委員 終わります。
#91
○高橋委員長 松本君。
#92
○松本(善)委員 盗聴器の問題について聞きたいと思います。
 先ほど法務大臣に一般的なことを聞きましたが、まず警察庁来ておりますか。――この前にありました四十年三月三日の当時のわが党の書記長であります宮本顕治氏宅の電話線に盗聴器をしかけられた事件、これの捜査がどうなったかということと、四十一年十月のわが党の十回大会の会場でもって発見された盗聴事件、これについての捜査がどうなったか、この点についての報告をまず聞きたいと思います。
#93
○山口説明員 今回、警察庁の警備局長を命ぜられました山口でございます。
 まず、四十年の三月三日に宮本書記長宅に通ずる電話線になされていた盗聴事案の捜査でございますが、これが実は私ちょうど警察庁で公安一課長を担当いたしておりました末期のことでございました。これは宮本顕治氏宅に通ずる電話線の屋敷の外の部分にいわゆる盗聴器らしきものが設置されていたというのでありますが、本件につきましては、荻窪電報電話局長から所轄署長に告発がなされましたので、直ちに捜査を行ない、実はこれは相当な人手をかけて、それから二百メートル周辺をくまなく地取り捜査をやって調べたわけでございますが、結局被疑者がわからないままに、この有線電気通信法二十一条違反、つまり有線電信施設に妨害を与えたということで、証拠品とともに東京地検に送付をいたしております。これは発見されました器材につきまして鑑定を行ない、また犯行に使用されたビニールテープの鑑定を行なうなどの捜査をいたしましたけれども、証拠品からはっきりした指紋が検出されないということで、被疑者を割り出すというところまでは至りませんでした。なお、これにつきましていろいろ被害者宮本顕治氏宅の関係の方から私ども事情聴取をいたしたいと思ってお願いをいたしたわけでありますけれども、残念ながら応じてもらえなかったような状況でございます。
 次に、第十回党大会におけるいわゆる盗聴事案でございますが、これは、四十一年十月の共産党第十回党大会におきまして、十月二十六日、十月二十九日、いずれも会場であります世田谷区民会館の場内からいわゆる盗聴器が発見されたということでございますが、本件につきましては、会館の管理責任者である世田谷区長から届け出がなされ、捜査願いが提出されたものであります。警察庁としましては、住居侵入及び建造物損壊の容疑で捜査を行ないましたが、これまた遺憾ながら犯人を特定するまでに至りませんので、その立件送致をいたしておりません。なお、本件につきましても、証拠物件である盗聴器が私どものほうに提出もされておりませんし、またこの盗聴器を発見された方からの事情聴取もできないということで、関係者の十分な協力が得られなかったということは、私どもまことに残念に存じております。
 以上でございます。
#94
○松本(善)委員 こういう盗聴事件について、私どもは、今度の党大会の代議員の宿舎の場合もそれから宮本委員長宅の場合も、公安調査庁であるとか警察の中であるという疑いもきわめて強く持っておるわけであります。万一そういうことが内部であった場合に、公安調査庁あるいは警察庁において刑事上の処分を含めて処分をすることを考えているかどうか、この点についてそれぞれお伺いしたいと思います。
#95
○山口説明員 申し上げるまでもなく、警察は法を守り法を執行する立場でございますから、このような違法なことをもしやった者があるとすれば、当然刑事処分としてはっきりした処置をしなければならない、こういうように思っております。
#96
○川口説明員 公安調査庁といたしましても、盗聴器を使用するというようなことは現在は考えておりませんので、法律に違反してもしそういう事実があるならば、適当な処分をしたいと考えております。
#97
○松本(善)委員 公安調査庁と警察庁とそれぞれ両方に聞きたいのでありますが、情報収集に際して、盗聴による情報を入手をするということがあるかどうか、この点についてそれぞれ伺いたいと思います。直接公安調査庁やあるいは警察はやってない、やっていたら処分をするというお話を聞いたわけですけれども、ほかから盗聴したものを入手をするということがあるかどうか。
#98
○川口説明員 公安調査庁の調査の方法といたしましては、公安調査官は直接自分の耳目を用いてものを見たり聞いたりあるいは資料を読んだりする。それからいろんな人の協力を得るわけで、情報を提供する人がございます。その出所が盗聴かどうかということはわからないでその情報を得る場合もあると思います。そういう出所を明らかにした場合についてはちょっとその例が最近ありませんので、いまここではお答えできかねます。
#99
○松本(善)委員 警察のほうはあとから伺うとしまして、盗聴というのはこれは違法だという話で、いまのそういう違法な、内部でやっていれば処分をするというようなもの、そういうような情報であるかどうかということは確かめないで入手をしておられるという趣旨でありましょうか。
#100
○川口説明員 私の先ほどの答弁をちょっと拡張されたんじゃないかと思いますが、盗聴が絶対的に違法というようにはお答えしないはずです。法律に違反して盗聴した場合――私たち盗聴ということばを使いません。秘聴、ひそかに聞く、たとえば人の話を道から立ち聞きする、これは不道徳ではありますが、現在の法律では違法にならないわけですね。それと同じとは言えませんが、秘聴についても、そういう場合もあり得るんじゃないかというように私たち考えております。
#101
○松本(善)委員 じゃ、警察のほうの話をまず聞いておきましょう。
#102
○山口説明員 私からも少し補足して申し上げたいんですが、盗聴一般がすべて違法ということは、これはないと思います。かつて警察でも、追放幹部の捜査のときに盗聴器を使いまして、これは新潟の裁判所で合法であるという判決も出ておりますので、ただ、情報収集の手段としてはそういうことをするといろことはいけない、こういうふうにお考えをいただきたいと思います。
 なお、そういう盗聴されたようなものを私どもが情報として入手することがあるかということでございますが、今日までのところでは、そういうものはございませんし、また、そういうことを私どもはやりたいというふうにも考えておりません。
#103
○松本(善)委員 違法でない場合というのは、いま警察庁の答弁では、それは犯罪捜査の場合ということですね。それから公安調査庁長官の答弁では、そうでない場合もありそうな話ですが、違法でないスパイ行為、盗聴行為というのは、一体どういう場合であるか、もうちょっと伺いたいと思います。
#104
○川口説明員 この秘聴につきましては、御承知のように、東京高裁とそれから広島地裁ですね、東京高裁の昭和二十八年の七月十七日の決定、それから昭和三十四年三月二十四日の広島地裁の決定がございまして、この中で、これは両方とも、一方は警察官、一方は公安調査官の秘聴の事件に関する刑事事件の決定でございますが、この判決の要旨ですね、それがこの答えになるんじゃないか、かように考えております。
#105
○松本(善)委員 ここでちゃんと言ってください。
#106
○川口説明員 結局、抽象的な言い方でございますが、基本的人権の保護との調和をはかりながら、公共の福祉と安全を確保するために必要な最小限度の秘聴は許される、この決定はこういう趣旨をうたっているのであります。表現はもっと詳しいですけれども……。だから、犯罪の捜査という公共の目的、それからその被害者といいますか、その侵されるほうの基本的人権の侵害が非常に小さいという場合ですね、それを比較検討して、結局許される場合、許されない場合があるんじゃないか。で、犯罪の捜査以外の場合についてもいろいろあるんじゃないでしょうか。ちょっと一がいには言えないと思います。
#107
○松本(善)委員 そうすると、公安調査庁は、盗聴は先ほどはしてないという話ですね。それは公安調査庁としてはやるというのはよくない、あるいは違法だ、そういうふうに考えているからではないんですか。
#108
○川口説明員 現在はしていません。それは違法だから――一般的にはよくないことだというふうに、先ほど大臣も答弁されましたが、そういう感じですね。その必要が現在はない、いろいろな資料もありますし、そういう意味で申し上げたのです。
#109
○松本(善)委員 そうすると、やる場合もあるということですね。
#110
○川口説明員 私が長官の間はやらせないつもりですが……。
#111
○松本(善)委員 非常に国民を不安におとしいれることになろうと思いますが、次の質問をしたいと思います。
 いま盗聴の設備を公安調査庁、それから警察は持っておりますか。
#112
○川口説明員 公安調査庁は現在そういうものは持っておりません。
#113
○山口説明員 警察庁も持っておりません。
#114
○松本(善)委員 「警備警察全書」の抜粋が「法律時報」の六月臨時増刊に出ております。その「警備警察全書」の内容によれば「秘聴器を」――これは盗聴器と同じことです。「秘聴器を使用したりカメラを使用するばあいは、とくに慎重な配慮が必要であろう」盗聴器を使うことを前提とした記載がありますけれども、ほんとうにないのですか。
#115
○山口説明員 現在持っておりません。
#116
○松本(善)委員 現在持っていないということは、持っていた時期があったわけですか。
#117
○山口説明員 先ほど申し上げたとおり、追放幹部の捜査のときには持っておりました。ただ、そのころのものはもう古くて、すでに廃棄処分にしておりますので、現在は一つもございません。
#118
○松本(善)委員 そうすると、こまかいですが、いつでもうなくなったのですか。
#119
○山口説明員 実は私、まだその点について必ずしも詳細には存じませんが、現在は一つもないことは事実でございます。
#120
○松本(善)委員 それから、郵政省は来ておりますね。郵政省に伺いたいのでありますが、これは電電公社が、宮本委員長宅の場合には、有線電気通信法二十一条で告発したということでありますが、私どもは、こういう電話盗聴がやられていないという保障はないと思うのです。郵政省のほうで、全国的にこういうことをなくすために点検したりするというような考えがないかどうか、この点について伺いたいと思います。
#121
○橋口説明員 御承知のとおりに、電信電話サービス、電信電話施設の建設、保持、補修は電電公社がやっているわけでありますが、私ども電電公社を監督しております郵政省といたしましては、通信の秘密の保持につきましては、かねがねから十分配意するように指導しているところでございます。
 そこで、御意見でございますが、電話線から盗聴器などによりまして通信の秘密が盗まれるということは、何とかして避けたい気持ちはやまやまでございますけれども、御承知のとおりに、電話線は、全国膨大な量の電話線が張りめぐらされておりまして、これから技術的に通信が盗まれないようにするということは、これはなかなか非常に困難な問題でございます。たとえば電話線をシールドをやりますと、盗聴しにくくはなるわけでございますが、それでも、それで絶対に保持できるかというと、必ずしもそうではない、しかも非常にばく大な金がかかるということでございまして、非常に問題はあるわけでございますけれども、経済の面あるいは技術の面におきまして、なかなか簡単にこれを阻止する方法がないということであります。
#122
○松本(善)委員 これは念のためにというか、万一の場合ということを考えて聞くわけでありますが、電電公社が警察または公安調査庁その他の国家機関と協力して電話盗聴をするというようなことは絶対ないでしょうね。
#123
○橋口説明員 絶対にあり得ないと考えます。
#124
○松本(善)委員 その保障は何かありますか。
#125
○橋口説明員 保障と申しますと、御説明しにくいわけでございますが、私ども電電公社を監督している立場としましては、電電公社がそういうことをすることはあり得ないというふうに考えております。
#126
○松本(善)委員 それからもう一つ伺いたいのは、先ほど法務大臣にも聞いたのですが、無線あるいは有線による会話の盗聴あるいはその他集会の盗聴、これについては、先ほども申しましたように、刑法条項にある業務妨害とか職権乱用とか、そういうことに当たることはもちろんあると思いますけれども、盗聴そのものを処罰するということがやはり必要になってきているのじゃないかというふうに思うのですけれども、その点については郵政省のほうではどういうふうに考えているのでしょうか。
#127
○鴨説明員 現在の電波法の規定では、先生御承知のとおり、五十九条の規定がございまして、「何人も法律に別段の定がある場合を除く外、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」という秘密の保護の規定がございまして、同時に、先ほど先生のおっしゃいました第百九条によります罰則の適用もあるわけでございますが、いま御指摘の会話の秘密をどうするかという点につきましては、先ほど法務大臣のお答えにもございましたように、それがよくないことであるという点では、私どもも同じ理解に立つわけでございますけれども、現在の電波法というもののたてまえと申しますか、いわゆる電気通信の通信の秘密を守るという立場、あるいはさらに言いますならば、電波監理といいますか、ある特定の人の通信が他人の通信に対して妨害を与えるというふうな場合を現行の電波法はたてまえにしているという点がございまして、その点、私、一課長でございますので、まことに申しわけございませんが、将来その辺を、法務省のほうとの、いわばプライバシーの侵害の問題ということとの関連で、電波法的なたてまえで処理をするのかどうかというふうな点、ちょっとただいまこの場では直ちにお答えをいたしかねますけれども、先ほどの法務大臣の御答弁の趣旨につきましては、郵政省といたしましても検討させていただきたい、このように考えております。
 ただ、先ほど申しましたような現行電波法のたてまえといいますか、原則的な問題との関連あるいは一般のプライバシー保護ということになりますと、いささか現行のたてまえからははずれてくるような気もするわけでございますけれども、検討はさせていただきたいと考えております。
#128
○松本(善)委員 法規課長だからあらためて言うまでもないかと思いますけれども、憲法二十一条では通信の秘密を侵してはならぬ、それは手紙の場合あるいは電報電話の場合、それぞれ処罰法規があるわけですね。それから盗聴の場合には、単にプライバシーの問題だけにとどまらないで、やはり二十一条の結社の自由の侵害になったりあるいは集会の自由の侵害になったりするわけです。しかし、現行刑法やその他は、そういう盗聴器の発達ということがまだ十分考えられない時期のものですね、それが出てきているわけなんです。だから、そういう問題を憲法二十一条の問題としてとらえるかどうか、そういう問題であろうかと思います。まああらためてですが、憲法二十一条の問題だという認識をしているかどうか、その点を伺いたいと思います。
#129
○鴨説明員 実は、本日突然のお呼び出しでございまして、省内的にと申しますか、上司とも、いま先生の御質問の御趣旨で現在の電波法、そういったものを考えるかどうかということについて、十分打ち合わせをしてまいっておりませんので、たいへん失礼でございますけれども、いまの御指摘の点については即答いたしかねる状態であります。ごかんべん願いたいと思います。
#130
○松本(善)委員 それでは、先ほどの法務大臣の答弁もあったので今後検討する、こういうことですね。
#131
○鴨説明員 先ほどの法務大臣の御答弁もございますので、いま先生のおっしゃったようなことで検討させていただきたいと思います。
#132
○松本(善)委員 それから、警察に伺いたいのでありますが、先ほど申しましたように、わが党の大会については三回、それから宮本顕治氏宅についても二回あるわけだ。そうしてこれは公安調査庁も警察も、うちではない、こう言っておる。一体だれがやったというふうに思われますか。警察庁にお聞きしたい。
#133
○山口説明員 そういう点については、どうも軽々しく御答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
#134
○松本(善)委員 軽々しくと言ったって、捜査をするのに一体だれがやっただろうかということを考えないで、そういう見当もつかないで――全部捜査が完了していないから、だれがやったというところまで言わせようというふうには思っていません。しかし、だれがやったということについても軽々しくお答えできませんでは、率直にいえば、それはお答えできませんというよりも答弁に困っているのじゃないですか。私はむしろ、やはり警察や公安調査庁という可能性は非常に強いのじゃないか。警察庁のほうで、いやそうじゃない、こういうのがあるのだ、こういうところが問題なんですと言うのなら、それは別ですよ。しかし、いまのような答弁では、警察じゃないだろうか、場合によっては公安調査庁じゃないだろうかという疑いはますます強くなる。ほんとうに見当はつかないのですか。
#135
○高橋委員長 捜査中の問題だからなかなか言えないと思いますが、適当にひとつ……。
#136
○山口説明員 いまおっしゃったように、今日まで五回、いわゆる盗聴事案が発生しておるわけでありますが、その一つ一つについて慎重に捜査なり調査をいたしてきておりますけれども、どうもかいもく見当がつかない。
 私ども実はお願いしたいことは、私のほうでも一生懸命やりますけれども、ひとつ党のほうにおかれても、これは捜査をするためにはどうしても現場保存というのが必要なわけであります。そういうことがありましたら、あまりかってにそういうものを取っちゃって、私どものほうに全然見せていただけないということでも困りますし、また関係者の事情をいろいろ聴取したいということもございますので、これは一緒になってこういう事件の解明に努力をしてまいりたいと思いますから、私どもはむしろ御協力をお願いしたい、こういうことでございます。
#137
○松本(善)委員 それは被害者ですから、捜査をするについて必要な協力、努力はしますけれども、しかし、いまのように見当もつかぬ、私はそのことばを聞けば、多くの人はやはり警察じゃなかろうか、共産党が協力しないのはもっともじゃないだろうかと思う人もいるのじゃないかと思いますよ。私は、ほかにどういう人があるかほんとうに見当がつかない、やはり公安調査庁か警察じゃなかろうかとほんとうに思うのです。そういう事件が幾つも起こっていますからね。それがそうでないというならば、いままで十年ぐらいの間にこれだけあるわけです、それについて、やはり犯人があがってないということについて警察は責任を感ずべきだと思う。
 警察がなぜそういうふうに疑われるかということについて申しますと、先日、新聞に出ておりましたように、名古屋の市立大学での連続放火事件、これは本委員会でも問題になりました。このスパイであった婦人が七月十日の公判廷で、連続放火の動機について、「名古屋市立大学祭、実行委員会室などに火をつければ、学生たちが騒ぎ出し、消火作業などをするすきに、警察から頼まれていた共産党や民青のビラなどをかばんの中から盗み出せるだろうと思ってやった」ということを供述している。
 これは公安調査庁が最初に接触を持ち、それから、公安調査庁が接触を切ってからあらためて警察が接触をしだしたスパイであるということでありますが、この横井というスパイとの関係について、公安調査庁及び警察から伺いたいと思います。
#138
○川口説明員 この件につきましては、今年四月八日の当委員会で、公安調査庁の内田次長からお答えしてあるとおりでございまして、昭和四十一年の十一月ごろ、この横井久子という女性が自分のほうから名古屋にありまする私どもの下部機関である中部公安調査局にたずねてきまして、学生運動に関する情報を提供したいという申し入れをしてきたのであります。そこで中部公安調査局では、本人がどういう者か、それまで全然関係がないので何も知らなかったのでございますが、学生運動に関する民青のビラとかそういうものを持ってくるというので数回にわたってそれを受け取っておりました。ところが、どうも内容といいますか、彼女の情報に信用できないものもあるということで、そのうちに何か窃盗事件でどこかの警察に検挙されたということがわかりまして、それで本人との接触を断った、こういうことになっております。
 以上のとおりでございまして、それ以後は何の関係もないということになっております。
#139
○山口説明員 警察の関係について申し上げます。
 昭和四十三年の一月ごろ、この横井久子なる女性と顔見知りの名古屋の瑞穂警察の警察官、これは生田巡査と申しますが、これが学生運動に関する話を聞かせてほしいと依頼をいたしましたところ、本人から快く承諾するということの返事がございまして、その後月一回ないし三回ぐらい会って、過激派学生集団などに関する情報、資料を提供してくれと頼んで会った。実はこの女性と生田巡査が知り合ったということは、これは女性が学生当時、学生運動をやっておりましたので生田巡査が顔を知っておったということでございまして、生田巡査がこの女性に四十二年の八月十六日に瑞穂警察署内でばったり出会った。君、どうしたのだ、こういうふうに聞いたときに、実は私はちょっとした事件を起こして取り調べを受けて、いま帰るところだ、こういうことで、そんなことをやってはいかぬのだと言って注意して別れた。その後、昭和四十三年の一月、エンプラ入港阻止闘争のころから名古屋でも学生運動が次第に盛り上がってきましたので、この巡査はその女性を思い出しまして、窃盗事件をこの女性がやったわけでございますから、その事件の処分の結果を確かめましたところ、すでに起訴猶予の処分になっておりましたので、それならば協力者として頼んでもいいだろうということで同嬢に電話連絡をしましたところが、同嬢のほうは快く応じてくれまして、その女性のほうから日時、場所を指定してきて会った、こういうことでございます。それからずっと最近まで、本年の三月まででございますが、接触回数計五十数回ということになっております。
 なお、この協力というものは、警察ではあくまで本人の任意の意思に基づくものでありまして、これまで強要あるいは強制したということは絶対にございません。
#140
○松本(善)委員 この女性は高校一年のときから五十件以上の連続窃盗事件を起こしております。高校時代にですよ、公安調査庁の接触する前に。こういうまさに盗癖のある女性です。そうしていま貯金は百五十万というのです。出入りを考えたら二百万くらいのスパイをしてどろぼうをして、それを公安調査庁やあるいは警察に売った金、あるいは古本屋に売った金もあるかもしれませんが、それ以外に職業はないのですから。そういう人間であるということを知らないで、一体公安調査庁や警察はスパイとして利用していたのですか。両方聞きたいですね。
#141
○川口説明員 私、ことしの三月に公安調査庁長官に着任したばかりで、四十一年から二年にかけてのことで、着任後初めてこの事件のことを聞いたので、もちろんそういう素性がわかっておったならばこの協力者にはしなかったのではないかと思います。
#142
○山口説明員 おっしゃるとおり、こういうような窃盗の常習癖のあるような女性を協力者に頼んだということは、どうも私どもとしては不手ぎわでございまして、今後協力者を得る場合には慎重に考えなければならぬ。この事件に対する反省であります。
#143
○松本(善)委員 そうすると、知っていてやったということでありますね。
#144
○山口説明員 先ほど申しましたとおり、窃盗をやったということは、いまおっしゃるように何十回もやったということは必ずしも存じませんでしたけれども、先ほど申しましたように、窃盗事件があったということは承知いたしておったわけでありますが、その姉が弁償をしたというようなこともありまして起訴猶予になってしまった、そういうわけで協力者に頼んだわけでございます。
#145
○松本(善)委員 冗談じゃないですよ。――もうちょっとやります。もう少しであれしますが、これは警察が五十件もあったことを知らぬということは言わせないですよ。窃盗事件が起こったら全部指紋をとってわかっておるでしょう、犯歴については。五十件もやっておったのを知らぬとは言わせない。しかも公安調査庁が関係を切ったというのは、四十二年八月に窃盗現行犯として逮捕され、同年六月に二件、同大学で一万八千円近くの窃盗をしたということがわかった。それがはっきりして公安調査庁が切った。それからあとずっと五十回にわたって接触しておるというのです。あなた窃盗してきなさい、それで警察のほうはノートをもらう、ビラをもらっていたのでしょう。これは窃盗教唆ではないですか。贓物罪を警察が犯しておるということと違いますか。そんなことを知らぬでやっておりました、この人間がどろぼうしてくるはずはないと思っておりました、それで世の中通るかね。どう思いますか。
#146
○山口説明員 この女性との関係は、この女性がそういう学生運動家であったというようなことから友人、知人も多いわけです。ですから、そういう関係でいろいろ知り得たこと、あるいは普通に頒布されておるビラなどを持ってきた。したがって、何回も接触しておりますけれども、そのつどの報酬といいますか謝金というものは大体わずか千円程度であって、これは交通費等の実費弁償と申しますか、そういうことであって、先ほどノートなどとおっしゃいましたけれども、警察はノートなどもらったことはございません。したがって、彼女がそういう盗んだものを警察に提供するということは、全然こちらは考えないで接触いたしておったのでございます。
#147
○松本(善)委員 ノートなどもらったことないと言うけれども、ほんとうですか。もう一ぺん確かめておきましょう。
#148
○山口説明員 私の知る限りにおいてはもらっておりません。
#149
○松本(善)委員 だいぶ逃げたね。この問題については、名古屋で公安警備スパイ糾弾各界連絡会議というものができておる。これが公開質問状を出しておる。それに対して警察のほうで答えたのは、そういうもらったもの、横井というスパイからもらったものについてなぜ返さぬ、本人に返せ、なぜ返さぬという質問に対して、同僚、後輩、知人などからもらったものだと言っておるので、特に返還の必要はないという答えをしておるのですよ。返す必要はないと言っておるのですよ。これは贓物をそのまま持っているということですよ。これでいいんですかね。警察は横井からもらったものを持っておっていいですか。
#150
○山口説明員 私の知る限りでは、そういう贓物なんというものを警察が預かっておったことは全然ございません。大体物としてはビラ程度であるというふうに私は承知いたしております。
#151
○松本(善)委員 本人は、そういうビラなんかを、かばんの中から盗みやすいから放火をしたと言っているんですよ。放火は、そのスパイとしての窃盗目的のためにやったんだ、そういうことになっていても、これは本人が警察に渡したものは返さなくていいんですか、いま現在どう考えますか。横井から渡されたものは警察がそのまま持っておってよいと考えるかどうか。
#152
○山口説明員 何度も申しますとおり、私の聞いたのではビラ程度のものであるということでございますので、返す必要はないと思います。
#153
○松本(善)委員 ビラ程度のものであっても、人のかばんから盗み出してきたものを持っておっていいんですか。
#154
○山口説明員 それは盗んだものであるという認識は私どもには全然ございません。
#155
○松本(善)委員 だから言っているんですよ。横井というのは高校時代に五十回もの窃盗をやっている窃盗常習者です。そして学校の中でも、民主団体の中でも、札つきだということで警戒していたそんな人間に渡すばかはいないですよ。それだけわかってきていても、客観的には贓物であることは明らかである、そう思っていても――あらためて聞きます、もうこれ以上聞きません。横井からもらったものは返す必要がないと考えているかどうか、一言だけ聞きましょう。それを世論がどう判断するか、警察はどういうものかということをみんながわかると思います。
#156
○山口説明員 どうも私は必ずしも詳しい話を聞いておりませんので……。
#157
○松本(善)委員 無責任なことを言っちゃ困るよ。
#158
○山口説明員 それが証拠品になるものであれば、やはり私どものほうとしては、しかるべき手続によって返さなければならないということになるかと思います。
#159
○松本(善)委員 そうすると、あなたはもらったものだなんて言っているんだけれども、とんでもないんですよ。警察が捜査関係事項照会書ということで名古屋大学の学長にあてた書面の中では、黄色表紙のノート記載内容は民青の会議録、民青の会議の通知ビラ、学習会のビラ、これを横井久子が窃取したと言っている、これについての事情を聞きたい、こう警察は言っているんですよ。贓品ということははっきり承知しての話です。この関係者を厳重に調べて、私は当然に処分さるべきだと思います。窃盗教唆だとか、場合によっては贓物罪の疑いがありますよ。厳重に調査をして、もしそういうことがあれば処分をする考えがあるかどうか聞きたいと思います。
#160
○田村説明員 ただいまの点についてちょっとお答えを申し上げたいと思います。
 いまのビラとか図書などにつきまして、当時情報関係の――当時のことは私ども捜査の観点で調べました限りでは、当時はこういうことは承知しておらなかった、こういうふうに聞いております。ただ今回逮捕をいたしまして取り調べをいたしましたところでは、本人がとってきたというようなことを言っておるものもございますが、しかし、これは現在裏づけ捜査をやっておりまして、裏がついて被害品であるということがはっきりいたしますれば、これは証拠品として検察庁に追送致していく、こういう段取りになると思います。
#161
○松本(善)委員 そういう態度が――こういう公安スパイが犯罪を犯しているということについて、そしてそれに接触していた警察官、公務員について厳重な処分をするという態度をとらない限り、こういうことはなくならないと思います。
 そして、もう一つの例を先ほど法務大臣にもお話ししましたけれども、今度は暴行をやっている。共産党をスパイするためのスパイになれということをやらせるために、監禁をして暴行をしている。そして警察官が有罪で処罰をされている。こういう事態が起こっていることについては、警察庁はどういうふうに考えていますか。事件の内容はお話しするまでもないと思いますが、岩崎という宮城県の巡査部長です。いわゆるやぐら荘事件というのですが、この点についての警察庁の考えを聞きたいと思います。
#162
○山口説明員 この事件につきましても、私まだ詳しくは承知いたしておりませんが、仙台の地裁で有罪の判決があったということは承知をいたしております。このことにつきまして、実は岩崎という巡査部長の言っておることと、本舘氏と申しましたか、その言っておることとどうも食い違っておりまして、もしその本舘氏の言っておるとおりでありますならば、いまおっしゃるようなことであり、また一審の判決もそういうことで出されたと思いますが、しかし、私どものほうとしては必ずしもそれに承服できない面もございますので、ただいま被告の巡査部長も、それから弁護団も、指定弁護人も、いずれもそれぞれ若干時期は違いますが控訴をいたしておりますので、私どもとしてはその控訴審の推移を見守っていきたい、こういうふうに考えております。
#163
○松本(善)委員 公安調査庁長官に伺いたいのでありますが、私どもは破防法そのものを憲法違反であると思っておるし、公安調査庁がやっておることそのものについて否定的な考えを持っておるのでありますが、それとは別に、いま幾つかの例を盗聴器問題から、名古屋市大のスパイ事件、それからいわゆるやぐら荘事件とお話ししまして、最後の問題は直接には警察の問題ではありますけれども、こういうような公安スパイがいろいろの犯罪を犯しているという事態の中で、公安調査庁としては、長官は新任されたわけでありますが、どういう考えで事に当たろうとされますか、その一般的な考え方を伺いたいと思います。
#164
○川口説明員 私、着任後まだ三カ月ばかりで、現在公安調査庁のあり方、従来のあり方、現在のあり方、将来のあり方というものを考えているところでございます。
 共産党も、御承知のように戦後何回か方針が変わりまして、愛される共産党から火炎びん時代、それからまた最近ソフトムードの戦術というように変わっておられます。それぞれの時代に応じた調査の方法というものがあるのではないか、私こういう前提で、こまかいことはまだ申し上げる段階じゃございませんが、従来公安調査庁といいますと暗い印象を受けられた方もあると思いますが、しかし、もっとフェアな明るい庁に仕立てたいと考えております。これがまあ一般的な方針であります。個々につきましては、まだ現在申し上げる段階じゃございませんが……。
#165
○松本(善)委員 一般的な論議はきょうはやめます。詳しいことはやめますが、そうすると、共産党を調査をするということが前提になっておる役所であるならば、これは絶対に明るくはならないのですよ。それが仕事なんだ、そのやり方をそのときどきによって変えるということであれば、これはスパイということが仕事になっている。私はそれはとうてい明るくなるわけがないと思います。その点について一言伺いたい。もうこれもこれ以上はやりません。
#166
○川口説明員 秘密時代とそれから公然化した時代いろいろ――私たち必ずしもスパイばかりが仕事じゃございませんので、公然資料を分析したり研究したり何かする仕事も非常に多いわけでございまして、だから公然活動が多くなれば、したがって公然たる調査という範囲はふえるわけであります。だから、やりようによってはそんなに暗い印象を与えないで公安調査、それから結局規制が目的でございますが、そのための調査ができると考えております。
#167
○松本(善)委員 先ほど来、検事になる人が少ないという問題も問題になっておりますが、こういう仕事も検事にさせられるのじゃたまったものじゃない、こう思う人はたくさんいると思う。公安調査庁に検事の資格のある方は何人おられますか。
#168
○川口説明員 本庁とそれから地方の公安調査局を入れまして全部で二十人くらいおります。二千名くらいの間の二十名でございます。
#169
○松本(善)委員 明るくやる調査と言われますけれども、あるいは違法でない調査と言われるけれども、一体それはどんなやり方がありますか。私はスパイというのはどうしても人の権利を侵していくということにならざるを得ないと思いますが、正当だ、あるいは違法でない、あるいは明るい、こういうスパイのしかたというものは一体どういうものがあるのですか、それをちょっと伺わせていただきたいと思います。
#170
○川口説明員 スパイと言われますが、そういうことばをそちらで使われるので、私、スパイという用語が適切かどうかはちょっとわかりかねますが、いろいろな文書とか何かを分析したり読んだり、あるいは先ほど問題になりました電波を聞いたり、そういうことによっていろいろな情報が得られるわけでございまして、公安調査庁というのは規制が目的の官庁でございます、暴力主義的破壊活動をする団体の規制をする、そのために必要な調査をしているのでございまして、必ずしもそういう違法に近いような手段による調査まで、もしあるとしてもごく一部でございまして、公然資料とか公安調査官みずからの耳目による調査によりまして大部分の目的を達しております。それから警察や検察庁からの捜査の結果を提供を受けまして、これもやはり利用しております。
#171
○高橋委員長 松本君、こまかいことばかりで、いずれゆっくりした日に……。
#172
○松本(善)委員 もう五分ばかりで終わりますから。ちょっと長官、聞きとがめたのですが、さっきの電波を聞くというふうなことを言われましたけれども、これはどういう意味なんですか。
#173
○川口説明員 直接公安調査庁が聞いておるという意味で言ったのではありません。現在通信が非常に盛んですね、それを聞いて、それを資料にして公安調査庁に売り込んでくるような民間の機関とか、あるいは情報の通信社、そういうのがたくさんあるわけでございまして、そういうのが一つの調査の方法になるということを申し上げたのです。
#174
○松本(善)委員 そうすると、盗聴させておる、あるいはさせたものを受け取る。これはまことに問題があると私は思います。きょうはやめます。あらためてやりますが、これは先ほどの違法行為を結局は教唆することになる。
 それから、警察に最後に聞いておきますが、いま例をあげたように、盗聴もこれは犯罪捜査の場合にしかやらない。それからスパイになれと言って暴行をやらせる。これはそういう事実はないだろうということ、これは不服だ、裁判の結果が不服だということは、それはやらしたくない、やるのは間違っておるということであろうと思います。それから窃盗をやる、これも当然のことですが、一体警察の情報収集活動で正当なやり方というのはどういうものですか。いま言っておる、私どもがるる違法な例をあげました。あなたが認める認めないにかかわらず、一体そのほかの一そういうことはいたしません、やりません。物を取ってこさせたり何かしない、盗聴させることもいたしません、スパイさせるために暴行なんかやらせるのはやりません。一体どんなことをやるのですか。私はスパイというやり方では必ず犯罪がつきまとってきておると思いますけれども、一体そうでないやり方というものは何かあるのですか。警察はどう考えておるか、その点も伺いたいと思います。
#175
○山口説明員 いろいろスパイ、スパイとおっしゃいますけれども、警察の言っておる情報収集というのは、これは職権に基づいて行なっておるものでありまして、御承知のとおり警察法二条に基づいて、公共の秩序維持のためにやっておることでございまして、当然これは法律の許された範囲内でやっておるわけでございます。そのやり方というのは、もちろん先ほどから問題になっておりますように、協力者を利用することもその一つでございましょう。あるいは公刊物の資料から情報を得ることもその一つでございましょう。問題は、結局情報を得る手段とのかね合いにおいて、違法でない限りのことは私どもとしては何でも積極的にやってまいらなければ警察の職責が果たせないというふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
#176
○松本(善)委員 警察は警察法二条の問題をあげた。これもあらためてやりましょう。これは犯罪捜査ならまだしも、しかし、共産党の調査と称して、そしていま言ったようなことをいろいろやる。これは絶対に世論は許さないだろうと思います。その点についてはあらためて――私は警察の考えておる警察法二条の考え方はとんでもないことである。犯罪捜査でもないのに個人のいろいろなスパイ活動をやるということはとんでもないことだというふうに思いますけれども、この点についてはあらためてやることにして、そしてこれらの事件について警察が厳重な反省をすべきだ。それから公安調査庁と警察については、これらの問題点について厳重な検討をし、そして処分すべきものは処分する姿勢を正すべきであるということを言って、私は質問を終わりたいと思います。
#177
○高橋委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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