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1970/03/02 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第6号
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1970/03/02 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第6号

#1
第063回国会 本会議 第6号
昭和四十五年三月二日(月曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十五年三月二日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 人事官任命につき同意を求めるの件
 宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 公正取引委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求め
  るの件
 昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1号)
 地方自治法の一部を改正する法律案(地方行政
  委員長提出)
 地方公営企業法の一部を改正する法律案(地方
  行政委員長提出)
 昭和四十四年度衆議院予備金支出の件(承諾を
  求めるの件)
    午後四時三十五分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 人事官任命につき同意を求めるの件
 宇宙開発委員会委員任命につき同意を求める
  の件
 公正取引委員会委員任命につき同意を求める
  の件
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求
  めるの件
#3
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、人事官に佐藤正典君を、宇宙開発委員会委員に山縣昌夫君、吉識雅夫君を、公正取引委員会委員に柿沼幸一郎君、高橋勝好君を、日本銀行政策委員会委員に小島新一君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 これより採決に入ります。
 まず、人事官、宇宙開発委員会委員及び日本銀行政策委員会委員の任命について申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#4
○議長(船田中君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
 次に、公正取引委員会委員の任命について申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1
  号)
#6
○加藤六月君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1号)、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#7
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1号)、右両件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)
 右
 国会に提出する。
  昭和四十五年二月十四日
         内閣総理大臣 佐藤 榮作
    ―――――――――――――
#9
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。予算委員長中野四郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に揚載〕
    ―――――――――――――
  〔中野四郎君登壇〕
#10
○中野四郎君 ただいま議題となりました昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)、及び昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1号)の二案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この補正予算二案は、去る二月十四日に予算委員会に付託され、二十日に提案理由の説明があり、二月二十八日と本三月二日との二日間質疑を行ない、本日質疑終了後、討論、採決をいたしましたものであります。
 まず、補正予算の概要を簡単に申し上げます。
 一般会計は、歳入歳出ともそれぞれ千九百十三億円を追加するものでありまして、歳入におきましては、租税の自然増収等、総額二千三百十三億円を追加するとともに、公債金四百億円を減額することとし、歳出におきましては、公務員給与改善等の経費五百六十七億円、食糧管理特別会計への繰り入れ五百六十億円、地方交付税九百九十五億円等、総額二千四百八十億円を追加するとともに、予備費を含む既定経費を五百六十七億円減額することといたしております。
 また、特別会計におきましては、一般会計予算の補正に関連して、交付税及び譲与税配付金ほか六特別会計に所要の補正を講ずることといたしております。
 次に、質疑について申し上げます。
 まず、最近の著しい物価上昇につきましては、「本年一月の全国消費者物価指数は、前年同月比七・八%の上昇であり、このままでは、本年度の上昇率は、先ごろの改訂見込みをさらに大幅に上回り、六%をこえると思われるが、その原因は何か、対策はどうか。また、このような状況で、来年度は見通しどおり四・八%に押えることができるか」という趣旨の質疑があり、これに対し、政府から、「最近の消費者物価の著しい上昇は、生鮮食料品の値上がり、ことに異常乾燥による野菜の高騰が大きく影響したためであって、これに対しては、野菜の輸入、出荷督励をするなど、対策に努力している。来年度においては、金融引き締めに加え、中立警戒型の予算により総需要の抑制をはかり、公共料金もつとめて抑制するから、野菜等の異常な値上がりのない限り、見通しの四・八%に押えるつもりである」という趣旨の答弁がありました。
 次に、今後の税制につきまして、「わが国の会社交際費は、昭和四十三年度に七千七百億円に達しているのに、その二一%しか課税対象となっていない。諸外国の交際費課税強化の状況に照らしても、課税のあり方を根本的に考え直すべきではないか。さらに、妻に対する贈与は、現在二十五年以上結婚している者に二百万円まで非課税としているが、これを結婚十五年、非課税限度五百万円として、妻の座を守る税制を確立すべきではないか。准看護学院の学生についても勤労学生控除を認めるべきではないか。勤労未成年者の所得については免税とすべきではないか。なお、従来非課税限度を示すのに五人家族によっているが、最近の統計によれば一世帯四人以下となっているから、実情に合わせて四人家族を標準とすべきではないか」という趣旨の質疑があり、これに対し、政府から、「交際費課税については税制調査会に諮問し、答申を待って検討したい。妻に対する贈与税については、年限短縮は同感だが、金額限度は相続税との関連で検討を要すると思う。これも税制調査会の答申を待って処理したい。准看護学院の学生の勤労学生控除については、関係各省で協議して、その実現につとめたい。勤労未成年者の免税については、むしろ一般の課税最低限の引き上げにより対処するのが適当と思うが、なお検討したい。なお、いわゆる標準世帯については、実情に合うよう今後検討する」という趣旨の答弁がありました。
 次に、加工原料乳不足払いに関する畜産事業団交付金については、「今次の補正予算に交付金を二十五億円追加した理由は何か。四十五年度においても同様な追加要因が生ずると思われるが、それでは総合予算主義は守られないではないか。なお、四十四年度における生乳の生産は、当初計画分を上回ると思われるが、超過分は不足払いの対象となるか」という趣旨の質疑があり、これに対して、政府から、「交付金の追加は、四十三年度における予想外の生乳生産の増加と、輸入差益の減少とにより生じた事業団の財源不足を補足するもので、やむを得なかったものである。四十五年度において不足を生じたならば、予備費の使用等により対処することとし、総合予算主義は守りたい。なお、四十四年度において計画限度超過が生じたときの処理は、その段階できめたい」という趣旨の答弁がありました。
 質疑は、このほかに、繊維製品対米輸出規制問題に対する態度、特定政党または特定宗教団体の言論・出版の自由妨害問題に対する所見、銚子沖に投棄されたイペリット毒ガスかんによる被害及びその掃海対策、最近の血漿中毒事件の対策、教員養成政策の確立及び「教師の船」の構想、大学制度のあり方及び国際大学の誘致、その他国政の各般にわたり、きわめて熱心に行なわれ、政府から、それぞれ答弁がありましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
 本日、質疑終了後、補正予算二案を一括して討論に付しましたるところ、政府原案に対し、日本社会党は反対、自由民主党は賛成、公明党、民社党及び日本共産党は、それぞれ反対の討論を行ない、採決の結果、補正予算二案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(船田中君) 両件につき討論の通告があります。順次これを許します。西宮弘君。
  〔西宮弘君登壇〕
#12
○西宮弘君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております昭和四十四年度の追加補正予算に対しまして、反対討論を行なおうといたすものであります。
 反対の第一の理由は、政府の言行不一致にあります。
 すなわち、昭和四十四年度の予算編成にあたりましては、あくまでも総合予算主義を主張し、年度内に追加補正は一切行なわないことを言明してまいりました。私どもは、それが経済の変動、国民生活の実態を無視したものとして、その不合理を強く指摘をしてまいりましたが、政府は、これを強行する姿勢を変えなかったのであります。しかるに、いまここに増額補正案の提出を見て、その態度の豹変にあ然たらざるを得ないのであります。
 実は、この総合予算主義を唱え出したのは、昭和四十三年からでありまするが、この年も年度内に増額補正が行なわれまして、総合予算主義はあえなくついえ去ったのであります。振り返ってみますると、昭和四十二年の秋ごろから、政府は、財政硬直化の一大キャンペーンを展開いたしまして、その打開の急を訴えたのでありました。しかし結局、その宣伝のねらいは、減税の実施、公務員給与の改定あるいは米価の引き上げ、その他各般の民生安定施策のための財政需要を牽制するための謀略にすぎなかったことが明らかになったのであります。つまり、年度間には膨大な税の自然増収があるのでありまするが、予算編成時において、しいてこれを過小に見積もり、財政需要を押えるために、この総合予算主義なるものを極力利用してまいったのであります。
 しかして、これらは初年度においてすでに馬脚をあらわし、第二年目の昭和四十四年度は、また同じ轍を踏んだのでありまするから、来たるべき昭和四十五年度も完全に同様なコースをたどるであろうことは、火を見るよりも明らかであります。
 反対する第二の理由は、この自然増収によって得られた金の使い方が当を得ないからであります。
 今回は千九百六十八億の自然増が見込まれておるのでありまするが、一体、税の自然増とは、要するに税の取り過ぎであります。年度間の税収を正確に予測をし、それによって税を賦課する率を決定すべきであるにもかかわらず、必要以上に高い税率で課税をする結果、このような事態を招いたのであります。取り過ぎた税金は、当然に国民に還元すべき性質のものであります。総合予算主義をたてまえとする限り、それは当然に講ぜらるべき措置であります。
 しかし、もしもそれを行なわないといたしまするならば、少なくともこの自然増収分は、国債の減額に充てらるべきであります。これは国債発行当初からのきびしい条件であったはずであります。
 しかるに、今回二千億近い自然増があるにもかかわらず、それに振り向けられるのは、わずかに四百億しかないのであります。前年度の昭和四十三年度には、ほぼ同額の自然増収の中から一千六百二十三億を国債の減額に充当したことを思えば、今回はきわめて少額であり、したがって、財政規模の縮小による景気刺激抑制などの考えが全く見られないことは、きわめて遺憾なことであります。
 反対する第三の理由は、今回の補正は財政法二十九条に違反するおそれがきわめて濃厚だからであります。
 すなわち、財政法は補正予算の作成、提出を予算編成後における緊要な事態に限ることを条件といたしております。しかるに、今回の補正の中には何らの緊急性も認められず、しかも、元来は昭和四十五年度予算に計上すべきものを便宜本年度予算に計上し、四十五年度の負担を軽減するためと見られるものが数項目含まれているのであります。それでは財政法の趣旨を完全に没却するだけではなしに、国の財政状況を不明確にするおそれが多分にあります。なぜならば、このような方法で四十四年度に盛り込まれた分は、実質的には四十五年度の分でありまするので、これを四十五年度の予算に合算をしてその財政規模を論ずるのでなければ、判断を誤るおそれが多分にあるのであります。
 ちなみに、四十五年度予算においては、地方交付税交付金の一部を国が借用する措置を講じておりまするが、これは当然四十六年度以降において返済すべき財政負担をしょったことになり、ますますもって財政を複雑にし、その不健全さを加えておるのであります。
 以上は、今回の補正予算に賛成し得ない理由でありまするが、かくのごとぎ不合理な補正を行なわざるを得なかったのは、もともと当初予算の不当性から出発したことは申すまでもありません。
 わが党は、昨年の予算審議に際しまして、組みかえ動議を提出をいたしまして、強く政府の反省を求めたのでありまするが、これが全く顧みられなかったところに根本の原因があるのであります。
 かつて、池田内閣の高度成長政策をきびしく批判をし、安定成長を唱えた福田氏が、その後、両度にわたり佐藤内閣に蔵相として入閣をされまするや、一面、税制面から資本蓄積を補強すると同時に、他面、産業基盤整備のための公共投資に毎年巨額の財政支出を振り向け、一貫して経済の成長を追い続けてまいりました。それがため次第にインフレ傾向を強め、いまやまさに本格的インフレの様相が日増しに濃くなってまいったのであります。
 わが党は、昨年の予算審議に際しまして、物価の安定を第一義の必須要件として、組みかえ動議を行なったのでありまするが、いささかの未練もなしに、にべもなく葬り去られてしまったことは、返す返すも残念なことであります。(拍手)
 しかも、今回の補正において、これらをチェックする何らの措置が講ぜられないことを重ねて強く指摘をしなければなりません。
 今回の補正予算には、米の減産や農地取りつぶしのための経費が計上されておりまするが、これは農村破壊、農業破壊以外の何ものでもなく、農民への無慈悲な手切れ金であります。いま日本の農業にとって必要なことは、米をはじめ、牛乳にしても、野菜にしても、その生産コストを引き下げることであります。
 たとえば、国の責任において、全面的な土地改良を実施をいたしますならば、米の生産費を引き下げるとともに、田畑輪換が可能となり、酪農、野菜等の農業を育成することが十分にできるのであります。同時に、何らの摩擦なしに米の生産量はひとりでに減少してまいります。需要のない商品については困難なことではありまするが、たん白質食品あるいはビタミン食品には、きわめて旺盛な需要があるのでありまするから、そのコストダウンをはかりさえすれば、日本の農業には洋々たる前途があり、しかも、価格の引き下げは、まさに全国民的課題であります。たとえ一時的には財政支出を伴っても、それが物価引き下げに大きく役立つならば、思い切って断行すべきであります。私は、今回の補正予算に見るような、与しろ向きな農業破壊政策には、強い憤りをもって反対しないわけにはまいりません。
 次は、地方交付税交付金でありまするが、年度をまたがっての借りたり返したりが、財政の実態を不明確にすることは、前述したとおりでありますが、さらに見のがすことのできないのは、繰り上げ返済分について、土地基金への組み込みを行なわせ、要するに、ひもつき財源としようとしておる点であります。自主財源たる交付税交付金の使途を制約するがごときは、絶対に許し得ないところであります。
 次に、給与改善費の五百六十六億でありますが、これはもとより公務員のベースアップのためのものでありまするが、本年もまた人事院勧告は無視されたのでありまして、その責任はきわめて重大だと考えます。今日の人事院制度のもとにおいて、勧告の完全実施は政府の最低限度の義務であります。しかも、巨額の自然増収が見込まれる中で、足切りが実施をされるというようなことは、何としても納得できないところであります。
 次には、医療診療報酬の改正に伴う義務的経費は計上されてはおるものの、国民健康保険事務費補助金をはじめ、地方団体の深刻な悩みでありまするところの超過負担の解消には、何らの配慮もなされておらないのであります。物価高の中で生活苦にあえぐ生活保護家庭に対しては一片の思いやりも見られないことは、全く残酷と評するほかはありません。
 この補正予算は、一面、国の当然の義務費さえ計上せず、その反面、物価抑制をねらいとする財政規模縮小にも全然何の配慮も行なわれず、しかも地方交付税交付金に見るように、財政の年度間の区別も混乱させているのであります。
 とのことは、一九七〇年代の財政が、何らの歯どめのない膨張政策に向かう契機となることを暗示するものでありまして、全く危険な方向を差し示しているのであります。
 私は、以上の理由のもとに、この補正予算には強く反対するものであります。(拍手)
#13
○議長(船田中君) 中野明君。
  〔中野明君登壇〕
#14
○中野明君 私は、公明党を代表いたしまして、政府提案の昭和四十四年度補正予算二案について反対の討論を行ないます。
 政府は、四十二年度予算編成以来総合予算主義を標榜、年度間において追加補正をしないことを強く主張してまいりました。
 ところが、同年度においてすでにこの原則は破られ、続いて本年度も追加補正をしなければならなくなり、政府のかげ声にもかかわらず、この原則は貫き通すことはできず、あえなく挫折するに至ったのであります。
 元来、予算は、あらかじめ見込み得るすべての経費を、これを支弁する財源と対照して、各費目の相互バランスをはかって計上するものであります。もし年度途中情勢に変化を生じ、当初予見し得なかった経費の必要を生じ、当初予算のワク内で処理し得ない場合、追加補正を講ずることは、けだし当然の措置であり、法律もまたこれを認めておるところであります。
 しかるに、政府は、毎回予算編成方針において、総合予算主義の原則を堅持するとうたい、これに固執し、われわれ国民を惑わせているのであります。この真意は、生産者米価や公務員給与を押えることをねらっているものと解せざるを得ないのであります。したがって、かかる意図のもとに打ち立てられた総合予算主義の原則は、不当なものといわなければなりません。本補正予算は、政府の固執する総合予算主義が完全に破綻したことを示すもので、政策の失敗をすりかえるための補正予算であるというべきであります。
 以下、内容について、反対の理由を述べたいと思います。
 その反対の理由の第一は、昭和四十四年度補正二案は、財政法二十九条が規定している補正予算編成の要件を満たしていないことを指摘しなければなりません。
 その一つは、補正予算に計上されている地方交付税交付金三百八十億円の減額修正の措置であります。この三百八十億円の減額は、政府がいかように強弁しようとも、その実態が、四十五年度に国が地方から借り入れる三百十億円の見返りの措置であることは、あまりにもはっきりしているのであります。したがいまして、この補正は、四十十年度の補正であるよりも、四十五年度予算編成り段階で、与党や圧力団体等による財源食い荒らしのしわ寄せの補正であり、しりぬぐいのための補正であるといわなければなりません。しかりとすれば、この補正予算は、目下予算委員会において審議中の四十五年度予算の先食い的性格の補正であります。このように見る場合、この補正予算の真の性格は、財政法に違反する補正であると疑わざるを得ません。法律違反の内容を持った補正に賛成できないことは言うをまたないところであります。
 財政法違反の疑いを持つその第二は、この補正に計上された米の生産調整特別対策事業費二十億円についてであります。政府の説明によりますと、四十五年度からの米の生産調整対策の実施を円滑に行なうために、都道府県が四十四年度においてあらかじめ実施するための事業補助だとしておりますけれども、この費目には翌年度に繰り越して使える繰り越し明許をつけております。補正予算の提出を認めている財政法には、緊急性が要件となっていることは、政府も、よもやお忘れではないと思います。補正予算提出のときからすでに翌年度に繰り越して使うことを予定している費目が、どうして緊急性があると言えましょうか。したがって、こうした財政法を無視した経費を計上している本補正に反対するものであります。
 反対理由の第二は、公務員給与の改善であります。
 このたびの措置は、例によって、またもや人事院勧告の完全実施を怠り、公務員の生活や要求を無視している態度は、明らかに国家公務員法違反の行為であって、絶対に許すことはできません。特に、本年度は経済の好況を反映して、民間給与が一六ないしは一七%も上昇しているおりから、人事院の勧告一〇・二%アップそれ自体、必ずしも十分なものと言うことはできません。にもかかわらず、それすらもカットするに至っては、多数の公務員の雇用者であるとは言えないのではないでしょうか。
 元来、人事院の給与勧告は、公務員の労働基本権制限の代償として設けられたものであって、勧告の完全実施は政府の法律的義務なのであります。しかるに、政府は口を開けば、賃金の上昇は物価の騰貴をもたらすと宣伝しておられるが、物価が上がるから賃金のアップを要求せざるを得ないのが実情であります。また、公務員のベースアップは、民間賃金の上昇に刺激を与えるというが、事実はその逆でありまして、給与の勧告は常に民間給与の水準に追いつかせる趣旨のもとで行なうものであります。私はこの意味から、あくまで人事院勧告の完全実施をすべきであると主張するものであります。
 反対理由の第三は、政府の税収見積もり過小の責任を見のがすわけにはいかないからであります。
 わが党は、四十四年度当初予算審議の際、政府の租税収入予算は、最大限の安全度を見ても、一千億円余の税の過小見積もりがあることを強く指摘し、適当な税収見積もりに改むべきことを内容とした組みかえ予算を提案したのであります。
 当時、政府は、租税収入の見積もりは適正であると強弁していたのでありますが、この補正の財源に一千九百六十八億円の租税の増収分を計上しているではありませんか。当初予算で意識的に過小な見積もりをしたことによって、国民的要望である四十四年度の減税を少なく押えたばかりでなく、財源配分の適正を欠くに至った政府の責任は、まことに重大であるといわなければなりません。
 さらに、年度途中で行なわれた公務員給与の改善も、尊重を口にしながら不完全実施するなど、法制を無視するにひとしい財政運営を強行し、国民生活の実情を無視する政策を行なってきたことは容認されるべきではありません。
 このように、意識的に租税の過小見積もりを行ないながら、年度途中に生じた税金の取り過ぎ分を政府の都合でかってに歳出に充てようとする本補正に強く反対するものであります。
 以上、本案に反対する理由を明らかにして、私
 の反対討論を終わります。(拍手)
#15
○議長(船田中君) 河村勝君。
   〔河村勝君登壇〕
#16
○河村勝君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されております昭和四十四年度一般会計並びに特別会計補正予算案に対し、反対の討論を行なうものであります。
 反対の第一の理由は、政府の予算に対する無責任な態度についてであります。
 すでに前の討論者から述べておりますように、政府は一昨年われわれの反対を押して総合予算主義を採用したのでありますが、早くも昨年にして補正予算の提案を余儀なくされ、総合予算主義は崩壊したのであります。にもかかわらず、政府は、今年度の当初予算においても総合予算主義の堅持を予算編成の基本方針としているのであります。この観点から政府は、公務員給与費、食糧管理特別会計繰り入れ等の追加補正をなくすることとし、ために予備費を例年になく大幅に増額する等の措置を講じているのであります。それが、またしても今年度補正予算を出さざるを得なくなったということは、政府の財政に対する無計画性、無責任性を如実に示しているものといわなければなりません。かくのごとく、ことばあって実行なく、公約あって実現なしというべき無責任な政治姿勢こそ、佐藤内閣の象徴であり、まさに、国民の政治不信を招く根源であるといわなければなりません。(拍手)
 この際、政府は、言行不一致の財政政策を改めるために、いわゆる総合予算主義を放棄するか、しからずんば、今後補正予算は絶対に出さないと確約するか、その態度を明確にすべきであります。
 私が反対する第二の理由は、大幅な租税増収とその背景にある経済見通しの根本的な誤りについてであります。
 今回の補正予算を見ますると、租税及び印紙収入は、当初予算に比較して、実に千九百六十九億円の増収を予定しております。このうち、所得税の増収額は九百四十億円にのぼっております。なぜかくのごとき大幅増収額が年度末に出るのでありましょうか。このなぞこそ、政府の租税政策並びに政府の経済見通しの作為的姿勢が明らかに示されているのであります。
 すなわち、政府は、当初経済見通しにおいて、それがあたかも客観的予測であるがごとく国民に発表しながら、その実、過去の例でも明らかなように、いつも経済実態とかけ離れた過小見通しをしてきたのであります。かくして、いまや政府経済見通しの信用たるや、全くゼロといっても過言ではありません。
 この政府の過小見通しの意図は、当初予算において租税及び印紙収入を必要以上に過小に見積もることを容易にし、それをたてにして、国民の切実な要求である大幅減税を阻止する口実に使うことにあると断言して差しつかえないのであります。もしこの補正予算案に計上されている千九百六十九億円の租税収入の増を当初見通しにおいて正しく見積もるならば、国民の念願である大幅減税は今年度においてすでに実現できたはずであります。かくのごとき政府の作為的なやり方は、国民の期待を裏切るほか何ものでもないのであります。
 このような弊害をなくし、政府の経済政策の責任を明確にするため、経済見通しのあり方を根本的に改変するとともに、事後的な税の自然増収については、その翌年度に自動的に国民に還元する方途が講じられてしかるべきであります。
 反対理由の第三は、既定経費の節減のあり方についてであります。
 補正予算案において、既定経費の節減は三百八十三億円行なわれております。そのこと自体については何ら異議を差しはさむものではありません。ところが、この行政事務費の節減は当初予算において当然きびしくなされているものと考えられるのでありますが、なぜ毎年のごとく補正予算において既定経費の節減が事もなげになされておるのか、全く理解に苦しまざるを得ないのであります。昭和四十二年度には二百九十二億円の節減、昭和四十二年度は二百九十三億円、そして昭和四十四年度は三百八十三億円の既定経費の節減がそれであります。これは明らかに既定経費の節減がいまなお、なまぬるいということを示しております。予算の効率的な配分について、政府はより強い責任を負わなければならないのであります。
 第四の反対の理由は、農業政策の失敗についてであります。
 今回の補正予算案において、政府は、食管会計へ五百六十億円の追加繰り入れを行なっているのでありますが、その原因の大半は、政府が当初提唱していた自主流通米制度の破綻を示す以外何ものでもないのであります。政府は、今年度自主流通米として百七十万トンを見込んでいたのでありますが、これがきわめて不評であり、そのしりぬぐいが、食管会計では予定せざる米の買い入れ増になっているのであります。現在の場当たり農政の欠陥が、ここに象徴的にあらわされているといわざるを得ないのであります。
 さらに、本補正予算において、地方交付税交付金の借り入れ分三百八十億円を繰り上げ償還することとしていますが、うち二百八十二億円を、昭和四十五年度において実行せんとしている十一万八千ヘクタールの水田買い上げ財源の一部に充当しようとしております。これは本来地方自治体の自由財源たるべき交付金を、事実上ひもつきにせんとする不当な行為であるばかりでなく、全くの思いつきでスタートした農地転用計画に対して何らかの裏づけをしなければならないというだけの理由で、国費を不明確きわまる目的のために消費しようとする許しがたい行為であります。休耕、作付転換、農地転用、すべてが農政近代化の長期展望を持たないままに漫然としてスタートすることは、日本農業の将来にとってはもとより、国民経済的見地から見ても、真に憂慮すべきことであります。少なくとも本補正予算において無計画、かつ漫然と予算措置を講ずるがごときは、断じて許されないのであります。
 以上の理由をあげて、補正予算に対する反対の態度を明らかにしてきたのでありますが、最後に私は、政府に対して、今後これらの欠陥を真剣に検討され、改革ざれんことを求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)
#17
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 両件を一括して採決いたします。
 両件の委員長の報告はいずれも可決であります。両件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#18
○議長(船田中君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方自治法の一部を改正する法律案(地方行
  政委員長提出)
 地方公営企業法の一部を改正する法律案(地
  方行政委員長提出)
#19
○加藤六月君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、地方行政委員長提出、地方自治法の一部を改正する法律案、及び地方公営企業法の一部を改正する法律案の両案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#20
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 地方自治法の一部を改正する法律案、地方公営企業法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#22
○議長(船田中君) 委員長の趣旨弁明を許します。地方行政委員長菅太郎君。
  〔菅太郎君登壇〕
#23
○菅太郎君 ただいま議題となりました地方行政委員長提出の二法案について、提案の理由を御説明いたします。
 両案は、各党の合意に基づき、本日成案を得、国会法第五十条の二の規定により、地方行政委員会の提出にかかる法律案として提出されたものであります。
 まず、地方自治法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 あらためて申し上げるまでもなく、現行の地方自治法のもとにおける全国の市の人口の実態は、五百六十四市のうち人口五万未満のものが二百六十四市であり、しかも三万未満で市を称しているところが二十六を数えております。
 他方、最近の人口の都市集中などにより、人口三万以上であって都市的形態を備えた数多くの町村の出現を見るに至っております。
 この法律案は、このような最近の市町村の人口の実態や、過去における特例措置の経過などを考慮し、特に市街地的要素の強い町村について、市となるべき普通地方公共団体の人口要件などにつき、特例を設けようとするものであります。
 次に、本案の内容について申し上げます。
 その第一は、人口が五万未満であっても、三万をこえ、かつ、特に都市的要件の備わっている町村については、市と町村の別に関する制度の改正が行なわれるまでの間で、政令で定める期間中に申請がなされた場合は、暫定措置としてこれを市とすることができるものとすることであります。
 その第二は、この人口は、最近に行なわれた統計法の規定による指定統計調査の結果による人口とすることであります。
 なお、本法の施行にあたりましては、本法制定の趣旨にかんがみ、都市的要件について、実情に即し適切な配慮を行なうとともに、当該町村の人口の増加傾向に特に留意するよう要望いたしております。
 次に、地方公営企業法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 御承知のとおり、昭和四十一年の地方公営企業法の一部を改正する法律により、地方公営企業を経営する一部事務組合を能率的かつ機動的なものとするため、その名称を企業団とし、企業団の議会の議員の定数は十五人以内と定められております。
 しかしながら、最近における人口の都市集中や広域的処理の要請などから、企業団の規模は年々拡大の傾向にあり、とりわけ大規模な企業団の運営等の実態にかんがみまして、その能率的な経営を確保しつつ、地域住民の意思を十分に反映させ、より一そう円滑に事業の遂行をはかる必要があると考えられるのであります。
 本案は、このような趣旨から、企業団の議会の議員の定数について、現行法における十五人以内の原則を堅持しつつ、その経営する事業が大規模な企業団につきましては、その事業規模に応じ、政令で定める基準により、三十人を限度としてその議会の議員の定数を増加することができるものとしております。
 なお、本法施行の際、現に企業団の議会の議員の定数が十五人をこえているものにつきましては、昭和四十五年十二月三十一日までの間は従前の例によることができるものとしております。
 以上が両案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
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#24
○議長(船田中君) 両案を一括して採決いたします。
 両案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。
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昭和四十四年度衆議院予備金支出の件(承諾を求めるの件)
#26
○加藤六月君 予備金支出の件上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和四十四年度衆議院予備金支出の件を議題となし、議院運営委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#27
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 昭和四十四年度衆議院予備金支出の件を議題といたします。
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#29
○議長(船田中君) 議院運営委員長の報告を求めます。議院運営委員会理事海部俊樹君。
  〔海部俊樹君登壇〕
#30
○海部俊樹君 ただいま議題になりました昭和四十四年度衆議院予備金支出の件について御報告申し上げます。
 今回承諾をお願いいたしますのは、昭和四十三年十二月二十七日から昭和四十四年十二月二日までの間に、本院で支出した予備金七百万円であります。その所属年度は全額昭和四十四年度分でありまして、使途は、すべて在職中なくなられました議員の遺族に贈った弔慰金であります。
 これらの支出につきましては、そのつど議院運営委員会の承認を経たものでありますから、御承諾をお願いいたします。(拍手)
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#31
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本件は承諾を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
#32
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、承諾を与えるに決しました。
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#33
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 小林 武治君
        外 務 大 臣 愛知 一揆君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
        郵 政 大 臣 井出一太郎君
        労 働 大 臣 野原 正勝君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
        国 務 大 臣 西田 信一君
        国 務 大 臣 保利 茂君君
        国 務 大 臣 山中貞則君君
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ソース: 国立国会図書館
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