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1970/03/10 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第8号
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1970/03/10 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第8号

#1
第063回国会 本会議 第8号
昭和四十五年三月十日(火曜日)
    ―――――――――――――
昭和四十五年三月十日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出)及
  び農業協同組合法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明及び質疑
 福田大蔵大臣の昭和四十三年度決算の概要につ
  いての発言及び質疑
    午後二時五分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出)及
  び農業協同組合法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明
#3
○議長(船田中君) 内閣提出、農地法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。農林大臣倉石忠雄君。
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#4
○国務大臣(倉石忠雄君) 農地法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 戦後の農地改革により自作農が創設され、これによってわが国の農業生産力は画期的な発展を遂げ、農業者の経済的社会的地位の向上をもたらしたのみならず、戦後における日本経済の復興と繁栄に寄与したことは申し上げるまでもありません。現行農地法は、このような農地改革の成果を維持するという使命をになってきたものであります。
 しかしながら、わが国の農業の現状は、いまだ経営規模が零細であり、このため、生産性の向上をはかるにもおのずから限界があることを否定し得ません。したがいまして、農政の基本目標を実現するためには、農業を取り巻く諸情勢の進展に対応して、生産、価格、流通、構造に関する各般の施策を総合的に推進する必要がありますことはもちろんでありますが、とりわけ、農地がより生産性の高い経営によって効率的に利用されるようその流動化を促進し、農業構造の改善をはかることが肝要であります。政府といたしましては、このような観点から農地法の改正をいたすこととした次第であります。
 なお、この法律案は、前国会に提出し、審議未了となりましたものと同じ内容のものでありまして、本国会に再度提出いたしたものであります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一は、以上述べました趣旨に基づき、農地法の目的に「土地の農業上の効率的な利用を図る」ことを追加することであります。
 第二は、農地等の権利移動の制限の改正であります。近年における農業技術の進歩、兼業化の進行に照応して、上限面積の制限の廃止と下限面積制限の引き上げを行なうこととし、また、国が売り渡した農地につきましては、売り渡し後十年を経過したものは貸し付けることができることとし、さらに農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人が農地の権利を取得することができることとしております。
 第三は、集団的生産組織の育成と土地の効率的利用に資するため、農業生産法人の要件を実情に即して緩和するとともに、農業協同組合が委託を受けて農業経営を行なう場合には、農地の権利の取得を認めることとしております。
 第四は、小作地の所有制限についてでありますが、農業生産法人に貸し付けられている小作地、農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人に貸し付けられている小作地等につきましては、その所有制限をしないこととするほか、農業をやめて住所を他へ移した場合にも在村の場合と同じ面積まで小作地の所有を認めることとしております。
 第五は、農地を貸しやすくするため農地等の賃貸借の規制を緩和することとし、合意により解約する場合及び十年以上の期間の定めのある契約等についてその更新をしない場合には許可を要しないこととしております。
 また、小作料の統制につきましては、農業者の地位が向上し、雇用の機会が増大した現在では、戦前のような高率の小作料が発生する余地は一般的にはないものと判断されますので、これを廃止することとしております。しかし、現に存する小作地につきましては、十年をこえない範囲内においてなお小作料の統制を続けることといたしております。
 第六は、草地利用権設定制度の新設であります。これは、飼料の生産基盤の拡大強化をはかるため、未利用の里山等について、市町村または農業協同組合が草地造成をする必要がある場合には、都道府県知事の裁定により草地利用権を設定することができる制度であります。
 以上が農地法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 農業協同組合は、農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上をはかることを目的とする農民の協同組織として、昭和二十二年に発足して以来、わが国経済及び農業の歩みとともに発展してまいりました。
 しかしながら、近年における農業及び農業協同組合をめぐる諸情勢の変化には著しいものがあり、このような事態に対応して農業構造の改善をはかるためには、農地保有の合理化を促進するとともに、協業など生産の集団的な組織を育成することがきわめて肝要でありますが、また、一方においては、最近における米の過剰問題をも配慮して、転用を目的とする農地等の計画的利用をはかることもまた重要となっております。
 また、農業協同組合自体につきましても、組合をめぐる諸情勢に対処し得るよう、昭和三十六年以来進めてまいりました農協合併の進展の結果、組合の規模が拡大し、その経営基盤が充実しつつありますが、合併後における組合の組織管理面、事業運営面などにつきまして、なお改善を要する点も少なくなく、また、系統組織の運営面におきましても、解決を要する問題が生じてきております。
 このような情勢にかんがみ、農業協同組合法の改正を提案する次第であります。
 なお、この法律案は、前国会において審議未了となりましたものに一部修正を加え、再提出したものであります。
 以下、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
 改正の第一点は、集団的生産組織に関連する制度面の改善措置であります。
 その内容といたしましては、まず農業協同組合に組合員から委託を受けて行なう農業経営の事業を認めることであります。これは、就業構造の変化と機械化の進展に伴い、さらに農業経営自体を組合に委託するような必要が生じつつありますので、組合が組合員の要望にこたえて、このような事業を行ない得る道を開こうとするものであります。
 次に、農業経営を行なう農事組合法人につきまして、その経営の合理化や就業事情の変化に対応して、組合員資格等に関する制限を緩和して経営の安定向上をはかるとともに、設立の円滑化に資そうとするものであります。
 改正の第二点は、農業構造の改善及び米の生産調整の必要性等に対応して、組合の事業範囲の拡充をはかる措置であります。
 まず、組合が農業の目的に供するための土地の供給の事業ができることとするものであります。農地の流動化を促進して、組合員の経営規模の拡大をはかり、もって農業構造の改善に資することは、組合としても当然意を用うべきことでありますので、組合の事業として、農地法の規制のもとに、農業の目的に供するための土地の売り渡し、貸し付け及び交換の事業を行ない得るようにしようとするものであります。
 次は、組合による転用相当農地等の売り渡し、区画形質の変更の事業等を認めることであります。
 米をめぐる最近の情勢に対応し、かつ農地転用の計画化による土地の効率的な利用を促進する等の観点から、組合に対し、組合員の委託等により、農地法による農地転用の規制のもとに転用を目的とする農地その他の土地の売り渡し、区画形質の変更等の事業を行ない得る道を開こうとするものであります。
 改正の第三点は、農協合併の進展による農業協同組合の規模の変化に対処するための総代会制度の権限の拡大、農業協同組合連合会の会員議決権の特例等の措置であります。
 これらは、いずれも、農協合併の進展に伴い、組合または連合会の運営に困難な面を生じておりますので、これに対処するとともに、運営につき組合員または会員の適正な意見の反映に遺憾なきを期そうとするためのものであります。
 以上のほか、農業協同組合の事業運営の現状にかんがみまして、信用事業につきまして若干の規定の整備を行なおうとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出)及
  び農業協同組合法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#5
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松沢俊昭君。
  〔松沢俊昭君登壇〕
#6
○松沢俊昭君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました二法案、すなわち、農地法の一部を改正する法律案、並びに農業協同組合法の一部を改正する法律案に対して、御質問をいたしたいと思うのであります。
 まず、佐藤総理大臣にお伺いしたいのであります。
 先日、私の郷里の新潟県では、県下の農民代表約一万人が結集いたしまして、佐藤内閣の打ち出した米の減産、減反政策に反対する農民大会が開かれたので、私も出席をいたしたのであります。総理はなかなか御多忙で、農民のなまの声をゆっくりとお聞きになる機会もないと思いますので、そのうちの一人の農民の訴えをこの際私のほうから御紹介をし、総理の御所見をお伺いいたしたいのであります。
 その要旨は次のようなものでありました。「わずか二、三年先のやりくりも満足にできず、農政の不手ぎわにより全国の農民をここまで不安のどん底におとしいれた佐藤総理の罪は非常に大きいといわなければならないし、いままで国家のためだと信じ込んで、命がけで米の増産に取り組み、馬車馬のごとく働き続けてきた農民の努力も考えず、アメリカからバターの製造かすである脱脂粉乳をはじめ、手当たり次第に食糧を輸入し、われわれのつくった栄養価の高い貴重な米をまま子扱いにして、無理に余し、やれ減反だ、休耕だ、据え置きだと、うろたえ騒ぐ佐藤内閣は、われわれ農民を親のかたきとでも勘違いしているのではないか」と叫んでいるのであります。(拍手)
 佐藤総理は、このように百万トンの減産、十一万八千ヘクタールの減反で全国の農村は大混乱をし、そして肥料も種もみも準備し、苗しろづくりを目前に控えたいま、いまだに市町村段階ではその目標の割り当てすらできない状態をどう認識し、この農民大衆にどうおこたえになるのか、明快にお答えを願いたいのであります。(拍手)
 さて、日本の経済が今日まで高度に発展したのは、日本の農業と農民が多大なる寄与をしてきたことには間違いがございません。そうしてこの農業は、農地法と食管法の二つにささえられてきているのであります。その二つを空洞化、改廃の方向に持っていき、かくのごとき農民に不安と動揺を与えてきたのがいままでの一貫した政府の農政であったではありませんか。今回提案されました農地法の一部を改正する法律案は、すでに第四十八回通常国会での農地管理事業団法をも含めれば、毎年提案され、毎回廃案になる札つき法案なのであります。このような農政の混乱期において、それほど重要な法案であるならば、それこそあなたの好きな党首会談を開いて、意見の一致を見てから提案されたらどうかと思うのでありますが、総理の御所見を伺いたいと思うのであります。
 第三に、私は、いままでの政府の農政をずばり批判すれば、全く場当たり農政の一語に尽きると思うのであります。ほんとうに佐藤内閣に農政があるとするならば、総理から、七十年代の日本農業はどうあるべきであるかという明快なビジョンを示していただき、その中で農地行政のあり方を明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、農林大臣に御質問を申し上げます。
 昭和三十六年農業基本法の制定以来、日本農業についていろいろな名論卓説が出ております。そうして自立経営農家とか、協業あるいは農業従事者などということばがやたらに使われております。しかし、私は、土地と水を使って自己の労働力を投下投入して農業生産物を生産する層が農民であると考えておるのであります。この考え方に基づく農民のための農政を考えるのが農林大臣の責務であると考えますが、大臣はこの点どうお考えになっておるのか、まずもってお尋ねをいたしたいのであります。
 そこで、今回提案されました二つの法案が、この農民の生活にとりましてプラスするのかマイナスするのかを中心に御質問を申し上げたいのであります。
 私は、農民あっての日本農業であり、日本農業を守るためにはその農民生活が保障されなければならないと思うのであります。その立場で現行農地法は重要な役割りを果たしてきたと信ずるのであります。
 最近、都市周辺では農地のスプロール現象が起きており、山間僻村におきましては過疎の現象が起こっておるのであります。つまり農地の流動化は、都市周辺では農業の規模拡大の方向で進んでいるのではなくして、農業外への流動化が進行しているのであります。このようなとき、本案がきまれば、かかる事態は一そう深刻になり、いまですら公認、非公認の土地ブローカーが暗躍しているその活動の場を、さらに一そう広げてやることになると考えるのであります。つまり、工業化の促進によって農業が押しつぶされていっているのが今日の現状であります。このスプロール現象を、それでも防ぎ、食いとめる役割りを果たしてまいりましたのは現行農地法であることに間違いないところであります。大臣はこの点どうお考えになっておられるか、これが第二番目にお伺いいたしたい点であります。
 また、自作農主義で進んでまいりました日本農業でありまするがゆえに、どんなに機械化が進もうとも、どんなに過疎化が進もうとも、経営そのものの本質が変わっていないことは、農林省の統計によって明らかであります。
 しかるに、所有制限の撤廃、農地保有合理化法人の構想や農業生産法人の条件緩和、さらに不在地主の容認や小作料の最高限度額の廃止など一連の改正は、農外資本の導入を認め、自作農主義を根底からくつがえすということが明らかなのでありますが、この点をどう理解されておられるか、第三番目としてお伺いを申し上げる次第でございます。
 また、農地局の資料によりますと、昭和三十年から四十年までの十カ年間で、農家戸数は六・一%減少しておりまするけれども、依然として、五反歩未満の農家が農家構成の約四割近くを占めているのであります。
 しかるに、昭和四十四年度から調査に入った第二次構造改善事業は、実施計画の時期を迎えておりまするが、その計画の中で、自立経営農家育成の名で離農候補の選定までもきめさせ、そうして、本法律案ではそれを農家として認めないという小農切り捨て選別政策を強行することは、まさに日本農業の根幹をゆさぶる大問題であるといわなければならないのであります。(拍手)この切り捨てられるところの農民をどのように始末をされるというのでしょうか。三十五万円の農業年金という名の首切り退職金で、三くだり半を突きつけて、はいさよならと言われるのであるかどうか、この点を明快に御答弁をいただきたいのであります。これが第四の質問であります。
 次にお尋ねしたいのは、農地と水の問題であります。
 流動化という名のもとで、労働力と農地を切り離し、また、先日の建設大臣構想からいたしまするならば、従来の慣行水利権を農民から奪い取ることを表明されておるのであります。この構想と本農地法の改正案をあわせ考えますと、水と農地を切り離し、結局は農業をばらばらにして、農業を破壊し、農民を農村から追い出す日本農業の解体を意味する重大なる問題になると思うのでありますが、その点についてどうお考えになっておられるか。特にこの際、農林大臣に、慣行水利権の建設大臣構想と、将来の農業用水確保の点について、明快なる見解を求めるものであります。
 次に、特に土地に関係のあるところの関係各大臣にお伺いをいたしたいのであります。通産大臣、建設大臣、それに自治大臣であります。
 あなた方の所管する産業あるいは施設などで、今後十年間でどのくらいの土地が必要であり、そのうち農地をどれくらい予定されておられるか。また、昨年一年間におけるところの農地のうちで、水田はどの程度がそれらの用地に転用されておるか、さらに、本年度はどの程度の水田転用を考えておられるのか。その資金計画をあわせて各大臣ごとにお答えを願いたいのであります。
 また、農林大臣にお伺いいたしたいのでありまするが、減反、減産によって、さしあたり本年は水田約十一万八千ヘクタールの転用計画を立てておられますが、各省庁の必要とする総面積との食い違いが起きてくると思いますが、その場合でも水田転用の自信が持てるのかどうか。もし、できなかった場合、だれがどのように責任をとるのかをはっきりとして御答弁をお願いいたしたいのであります。
 さらに大臣に御質問を申し上げますが、現行農地法では、その目的ではっきりしておりまするように、「耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護」するたてまえになっておることは御承知のとおりであります。しかるに、去る二月十九日付農林事務次官通達で、「水田転用についての農地転用許可に関する暫定基準の制定について」なるものが出されておりまするが、これは一体いかなる法律根拠に基づいて出されたものなのであるか、これを明確にしていただきたいのであります。
 次に、農協法の一部改正についてお尋ねを申し上げたいのであります。
 農業協同組合は、その設立の趣旨からいたしましても、農民の経済的社会的地位の向上をはかるべきものであることは明らかでありまするが、それが本案によりまするならば、反動的農業政策によって転落を余儀なくされる農民の土地を買い上げ、転売するという、農協が土地ブローカー的行為をやるということは、全く農協本来の使命を放棄させるものであるといわなければなりません。また、これまで幾多の監査の際に指摘され、不正、腐敗が農協運営の中に蔓延しているとき、かかるブローカー的行為をやらせることは、一そう農民から農協不信の声が高まり、ひいては農協の崩壊につながると思うのでありまするが、大臣はどうお考えになっているのでありましょうか。その点を御質問申し上げます。
 さらには、連合会の民主的運営をはかると称して、一参加団体一議決権制を否定しようという改正案になっておりまするが、いまの農協は必ずしもそのようなことが民主的な運営にはつながらないと思うのであります。むしろ段階的選挙方法を廃しまして、参加団体の組合員一人一人に公職選挙法に準じて連合会の理事選挙権を与えたほうが、より民主的方法になると思うのでありまするが、この点もあわせて農林大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
 なお、詳細な点につきましては常任委員会に譲ることといたしまして、以上申し上げました各点に、具体的かつ明確な御答弁を期待いたしまして、私の質問を終わる次第でございます。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 松沢君にお答えいたします。
 米の生産調整の問題でありますが、農民諸君もこの措置が日本農業の自衛の方策であることをよく理解して、この方針に協力されることを私は心から期待するものであります。
 ただいまも農民大会におけるその一場面を御紹介になりましたが、私どもは、ただいま申し上げるような期待を持って、ただいま施策を進めておる次第であります。政府、地方団体、農業団体、農民諸君の一致した協力があれば、多少の困難も必ず乗り切れるものと、かように確信しております。
 次に、農地法の改正は、農地の流動化を促進して、農業に専念しようとする農家の経営規模を拡大し、今後総合農政を展開していく上での基本的な条件を整備するため、必要不可欠のものと考えられるので、今回はぜひとも成立させたいと考えております。
 松沢君からは党首会談を御提案になりましたが、農地法につきましては、すでにたびたび国会の議論の対象となったところであり、各党の御意見も十分承知しておりますので、本件につきましては、あらためて党首会談を開くつもりはございません。しかし、必要に応じて今後とも党首会談をいたしたい、かように考えますので、そういう際には、どうか積極的に御協力くださいますようお願いを申し上げておきます。
 次に、日本農業の将来のビジョンについてお尋ねがありましたが、一口に言えば、農業を近代化し、農村社会を魅力ある生活環境に整備して、農業従事者が他産業従事者と均衡のとれた生活水準を確保することにあると考えます。
 そのためには、当面の課題として、米の生産過剰問題の解決に全力をあげていかねばなりません。そこにまた、成長農産物の選択的拡大、適地適産の方向があらわれてこようと思います。
 今回御審議を願うこの法案も、以上申し上げた方向に大きく寄与するものと考えておりますので、何ぶんよろしく御審議をお願いいたしたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#8
○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。
 第一の点は、総理大臣から詳しくお話がございました。
 要するに、私どもは、農業者の所得と福祉の向上をはかり、農村の恒久的繁栄を期するため、今後とも努力いたします。農政はこういう考え方でやってまいるつもりであります。
 農地の無秩序な壊廃を不十分ながらとめているのは農地法ではないか。私は、農地法というのは、そういう役割りが十分あると思いますが、先ほど提案理由の説明でも申し上げましたように、今日のように、規模拡大をして国際競争に立ち向かって、なおかつ勝ち抜ける農業体質を改善してまいりますためには、このたびのような農地法及び農協法の改正が必要であるということで提案をいたしておるのでありますから、どうぞその辺を、法案を十分ひとつ御検討いただければ御理解願えると思います。
 それから、農業外の資本が農業を支配するような結果になるではないかという御心配でございますが、現行法における農業を行なわないものが農地を取得することを認めないという基本原則は、少しもこのたびも変更いたしておらないのでありまして、農外の資本が農業を支配することはあり得ないことでありまして、自作農を中心とするわが国の農業の基本は変わるわけではございません。
 第二次農業構造改善についてのお話がございました。農業といえども、わが国の産業構造の中で、やはり同じような生産性を持ち続けていく必要があるのでありますから、そういう見地から考えれば、いまのような社会において、農業が古くさい旧態依然たる経営で勝ら抜けるはずはないのでございますから、そういう面においては、農業の規模を広げて、りっぱな農業になるように育成すると同時に、また、そういうことが自分の状況に合わないと考えられるような方は離農しやすくしてあげるために、農業者年金制度もいたしますし、他に転職される場合には、親切にやはり転職に関するお世話をいたしてあげるということは当然なことでございまして、そういう意味で近代的な農業をやっていこうというわけであります。第二次農業構造改善事業におきましては、規模の大きく、生産性の高い農業経営を育成するとともに、零細農家を含めた各種の集団的生産組織を助成することといたしておるものでありますから、御心配のように零細農家を排除するようなことはないように私どもは考えております。
 それから、下限面積のことでございましたが、これはもう最近における兼業化の進展によりまして、五十アール程度の経営階層まで、そのほとんどがいわゆる第二種兼業農家になっておる状況でございますので、その実情に即して、下限面積制限を、取得後五十アール以上に改めようといたしておるのでありますから、このことによっても、零細農を農政から除外するようなことにはならないと確信しております。
 長い間の慣行水利権のことにお話がございましたが、これは建設大臣がおっしゃったので、いろいろ問題があったようでありますが、まだ政府部内といたしましては、総理府総務長官の手元で十分こういうことを検討していこうということになっておる段階でございますので、私ども、このことが日本農業営農に支障のないように努力いたすことは当然なことでございます。
 それから、水田の転用許可につきまして緩和措置をいたしましたことは、これもいま御存じのように、だいぶ地方に進出していこうとするいろいろな事業もございますし、それから自治体が先行投資をいたそうとしても、なかなか転用がきびしくなっておりますので、困難であるという訴えもございますので、暫定的に農林省といたしましてはこれを緩和をいたしたのでありまして、もちろん、先ほど御指摘のように、優良な農地がスプロール化することのないように、農林省がつとめることは当然なことでございます。その点について御了承願いたいと思います。
 農協法の改正案でありますが、これはいろいろ相談をいたしました。農協といえども、やはり旧態依然たる古くさい状態では、いまの時勢に一緒に歩調を合わせていくことはなかなかできませんので、農協もやはりこれから生きていくべき方法についていろいろ御検討のようであります。したがって、農協もまた現状に合うように、農協が土地を取得して、そのために農業の進展にかえって貢献できるような目的でその土地の取得をいたしたい、こういう熱心な御要望がございますので、農業協同組合というものが経済単位として大きく発展していくことは、全体の農村経営に利益であると私どもは判断をいたしましたので、こういう希望も取り入れて法律を改正することにいたしたような次第でございます。
 大体お答えいたしたと思いますが、そういう事情であります。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) 最近における農地の工場用地への転用はどのくらいかというお尋ねでございました。昭和四十三年には六千ヘクタール、そのうち水田は六割ぐらいと推定されます。四十四年はこれよりかなり上回ったと思われますが、まだ統計が出ておりません。本年につきましては、需要面と供給面両方から、ただいま私どもの役所で調査をいたしております。
 今後十年間にどうかという御質問でございますが、従来一般に十年間の工業用地の必要量は十万ヘクタールといわれておりまして、そのうち農地が六、七割であろうと推定されておりますが、ただ企業側の事情から申しますと、今回立地条件のよいところの農地の転用が、暫定的になりと容易になるということになりますと、相当の希望がございますので、この数字はかなりふえるのではないかと想像されます。(拍手)
  〔国務大臣秋田大助君登壇〕
#10
○国務大臣(秋田大助君) ただいま松沢議員から私に御要求の各種の数字につきましては、御承知のとおり、ただいま土地需要に関する緊急調査をいたしておりますので、その結果をひとつ待たさしていただきたいと思うのでございます。
 なお、これに関する資金計画につきましては、御承知のとおり、地方公共団体にただいま土地開発基金なるものがございますので、これの活動に期待するとともに、既定の地方債計画ともにらみ合わせまして、必要に応じましてはワク外債を認める等、別途弾力的運用を期してこれに対処いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣根本龍太郎君登壇〕
#11
○国務大臣(根本龍太郎君) 建設省所管の公共事業等において水田はどれくらい従来つぶれておるか、あるいはまた十年後どの程度までこれが予想されるかということでございまするが、現在これに対する的確な数字は建設省としてはないのでございます。現在は、各都道府県並びに関係方面に連絡をいたしまして、三月末日をもってこの集計を終わりたいと思っています。
 長期については、四十八年度を目標としておりまして、その後につきましては、さらに検討を加えなければならないと存じております。
 集計ができますれば、書類をもって御報告申し上げたいと存じます。(拍手)
#12
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 福田大蔵大臣の昭和四十三年度決算の概要に
  ついての発言
#13
○議長(船田中君) 大蔵大臣から、昭和四十三年度決算の概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣福田赳夫君。
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#14
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十三年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 昭和四十三年度予算は、昭和四十三年四月十五日に成立いたしました本予算と、昭和四十四年二月二十二日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。
 昭和四十三年度本予算は、財政による景気抑制機能の実効を期するとともに、総合予算主義をとり、恒例的な予算補正の慣行を排除し、もって財政体質改善の第一歩を踏み出すことによって、財政が本来の機能を十分発揮し得る基盤を確立することを基本とし、一般会計予算の規模を極力圧縮すること、一般会計の公債依存度を引き下げること、総合予算主義の原則により、公務員給与改定に備えて予備費の充実をはかるとともに、食糧管理特別会計への繰り入れについては、年度途中における米価改定等、事情の変化があっても、これにより補正財源を必要としない方式を確立すること、財源の適正かつ効率的な配分につとめ、国民福祉向上のための諸施策をきめこまかな配慮をもって推進することとし、編成されたものであります。
 なお、本予算成立後、国内米の政府買い入れ数量が著しく増加し、食糧管理特別会計の損失額が大幅に増加するという異常な事態に対処する等のため、食糧管理特別会計への繰り入れの追加等、当初予算作成後に生じた事由に基づき特に緊急に措置を要するもの、その他公債の減額等につきまして、所要の予算補正を行なったものであります。
 昭和四十三年度におけるわが国の経済を顧みますと、昭和四十二年後半からの景気調整の影響も比較的軽微に終わり、昭和四十三年度中、全体として大幅な拡大を続け、その実質成長率は一三・八%に達しました。また、昭和四十二年中、毎期赤字幅を拡大していた国際収支も昭和四十二年に入って急速な改善を遂げ、以後、総合収支は大幅な黒字基調となったのであります。この結果、昭和四十三年度を通じてみますと、総合収支は前年度の大幅赤字から一転して十六億二千七百万ドルの黒字となり、外貨準備高も初めて三十億ドルをこえるに至ったのであります。このような経済環境の中で、日本銀行は、昭和四十三年八月に公定歩合を一厘引き下げ、同年十月から窓口規制も撤廃いたしました。財政支出面でも、上期においては警戒的に運営されておりましたが、下期に入って漸次その支出が進捗してまいったのであります。
 国内経済の拡大を需要面から見ますと、その主役は民間企業設備投資及び輸出と海外からの所得でありましたが、個人消費も堅調に伸び、民間住宅投資も大幅に伸びました。このような国内需要の堅調と輸出の好調を反映して、鉱工業生産指数は、前年度に比べて一七・二%の伸びを示し、企業収益も好調に推移し、昭和四十四年三月期で七期連続の増収増益と相なったのであります。
 このようなわが国経済の状況を背景として、昭和四十三年度予算が執行されたのでありますが、以下、その決算の内容を、数字をあげて御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は六兆五百九十八億円余、歳出の決算額は五兆九千三百七十億円余でありまして、差し引き千二百二十七億円余の剰余を生じました。この剰余金のうち五千万円余は国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律附則第五項の規定によりまして、特定国有財産整備特別会計の昭和四十四年度の歳入に繰り入れ、残額千二百二十七億円余は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和四十四年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、昭和四十三年度における財政法第六条の純剰余金は百五十三億円余であります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額五兆九千百七十三億円余に比べて、千四百二十五億円余の増加と相なるのでありますが、このうちには、昭和四十二年度の剰余金の受け入れが、予算額に比べて千三百四十二億円余増加したものを含んでおりまするので、これを差し引きいたしますと、昭和四十三年度の歳入の純増加額は、八十二億円余と相なるのであります。これは雑収入等におきまして三百八十四億円余を増加しましたが、公債金等におきまして三百一億円余を減少したためであります。
 一方、歳出につきましては、予算額五兆九千百七十三億円余に、昭和四十二年度からの繰り越し額千六十八億円余を加えました歳出予算現額六兆二百四十二億円余に対しまして、支出済み歳出額は五兆九千三百七十億円余でありまして、その差額八百七十一億円余のうち、昭和四十四年度に繰り越しました額は七百三十五億円余となっており、不用額となりましたものは百三十五億円余となるのであります。
 次に、昭和四十四年度への繰り越し額の内訳を申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定によりあらかじめ国会の議決を経て繰り越しましたものが六百九十億円余、財政法第四十二条ただし書きの規定により避けがたい事故のため繰り越しましたものが二十九億円余、財政法第四十三条の二第一項の規定により継続費の年割り額を繰り越しましたものが十五億円余であります。
 次に、予備費でありますが、昭和四十三年度一般会計における予備費予算額は千二百億円でありまして、その使用総額は千百九十九億円余であります。
 次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し述べます。
 財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は、二千二百四十億円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は、二千百七十六億円余でありまして、これに既往年度からの繰り越し債務額千五百三十九億円余を加え、昭和四十三年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額千四百六億円余を差し引きいたしました額二千三百九億円余が、翌年度以降に繰り越された債務額に相なります。
 財政法第十五条第二項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は五十一億円余でありまして、既往年度からの繰り越し債務額及び昭和四十三年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額はありませんので、五十一億円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。
 次に、昭和四十三年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十三でありまして、これらの特別会計の歳入歳出の決算額を合計しますと、歳入決算において十三兆四千八十九億円余、歳出決算において十一兆九千二十七億円余であります。
 次に、昭和四十三年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、資金への収納済み額は五兆五百六億円余でありまして、この資金からの支払い命令済み額及び歳入への組み入れ額は五兆四百億円余でありますので、差し引き百五億円余が昭和四十三年度末の資金残額となるのであります。これは主として国税にかかわる還付金の支払い決定済み支払い命令未済のものであります。
 次に、昭和四十三年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。
 以上、昭和四十三年度の一般会計、特別会計、国税収納金整理資金及び政府関係機関の決算につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和四十三年度決算の概要についての発言に
  対する質疑
#15
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。華山親義君。
  〔華山親義君登壇〕
#16
○華山親義君 日本社会党を代表し、決算及び予備費支出に関連し、若干の質問をいたします。
 まず、総理大臣及び文部大臣に伺いたいのでありますが、会計検査院の検査報告の中に、私立学校に対する国の助成費の使い方について不当なものとして指摘されたものがあります。これは一部私立学校経理のずさんさを示したものでありましょう。今年までの私立学校助成は教育設備費であって、文部省の監督も、会計検査院の検査も、物件に限られておりました。しかし、明年度予算では、人件費を含む一般経費にまで拡大され、監督、検査は経理の全般に及ぶわけであります。これと私立学校の特色、権力と離れた自主独立、これとをいかに調整していくか、困難な問題があると思います。これについて文部大臣の考えの基本を伺っておきたい。
 これについて、さらに深く考えられますことは、政治・宗教分離の原則と、いわゆる宗教学校に対する財政援助の問題であります。具体的には、憲法第八十九条に規定する宗教に対する公金及び公有財産の使用禁止と、宗教学校に対する助成金交付との関係であります。憲法学説には、一般私立学校に対する補助を認めつつも、宗教に関する分野については、消極的見解を示しておるのであります。この問題を、助成は宗教団体に対するものではなくて、学校法人に対するものであるというふうな形式論をもって割り切ることはできません。宗教法人が強く学校法人を支配している場合は、どうなるのか。宗教法人が宗教活動の一分野として、学校法人を単なる特別会計的なものとして置く場合には、一体どうなるのか。憲法の政教分離の精神に照らして、深い考えがここになければなりません。宗教と教育とは切り離すことのできない関係において、生々発展を今日まで遂げてまいりました。現在、宗教学校の教育に対する貢献の広さを考えますときに、私は、ここで一がいに宗教学校に補助をすべきでないとは断定し得ないものがあります。しかし、入学について、信徒及びその子弟に限り、またはこれを優先するとか、学校内の宗教上の行事に生徒に義務的に参加させるとか、卒業後の宗教的義務を課するとか、このような諸点があった場合に、補助を求める学校についてはある種の規制がなされるべきではないか。または補助対象の範囲をある程度に限定すべきではないか。これらの措置があってしかるべきだと思うのであります。文部大臣の御答弁をお願いいたします。
 この際、総理大臣にも政教分離の理念について伺っておきたい。
 国政の基本は国民全体の連帯の確立、これが基本であります。この連帯を阻害する最大の、そして運命的な要因は、国民の間の人種、宗教の争いであります。わが国にはこの要因がありません。わが国民は悠久の単一民族としてこの島国に生活をともにし、アメリカのような人種問題はここに起こり得べくもないのであります。また今日まで日本人は、各人その信ずる宗教は違っていても、その間にほとんど反発相克はなかったのであります。南ベトナムの今日の紛乱のもとを顧みるまでもなく、今後も日本に宗教上の争いがあってはなりません。憲法の定める政教分離の精神は、この日本民族、日本国民の立場から理解されなければならないと思うのであります。
 日本憲法第二十条は、国民に信教の自由を保障するとともに、いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないと規定してあります。第八十九条は、国民の公金及び財産を宗教上に使用させてはならないと規定してあります。政治と宗教を、このように日本国憲法はきびしく区別しているのであります。そして、憲法は最後に、「最高法規」として三条を掲げ、第九十七条に基本的人権の尊厳を強調し、第九十九条に、国会議員には憲法の尊重、擁護の義務を課しているのであります。宗教界出身国会議員の方々が、以上の憲法の最高法規を、信ぜられる宗教の最高経典とともに読んでおられたならば、今日のような言論圧迫、出版圧迫のような問題は国会では起きなかったと思うのであります。
 私は、党派を問わず、国会議員全体の反省のために絶好の機会として、事の真相を明らかにしていただきたい。そして、総理大臣の、日本民族の最も重大な理念、政教文離の観念につきまして、その所見を伺いたいのであります。
 次に、大蔵大臣に予備費使用の限界についてお伺いいたしたい。
 過日成立した補正予算に給与改善費と銘打つものがありますが、給与改善は、すでに昨年十二月に、また、本年一月、二月の給与に含まれて実施済みなのであります。三月に多少残っている程度であります。したがって、このたびの予算は、このようなことによって前借りされた、前食いをした三月分給与の不足を補てんするものなのであります。このようなことからいいますれば、正直には給与費不足補てん費とでも銘打つべきものであって、看板に偽りがあります。また、これは、総合予算主義のもとに、給与改善は予備費をふくらまして、この中で行なうとたびたび言ってきた政府の予算に対する説明をみずから裏切ったものであります。
 このようなことが生じたのは、昨年十一月、給与改善のためにふくらましておいた予備費の膨大になったことに乗じて、稲作対策特別事業費二百二十六億を予備費から支出したからであります。
 私は、この事業費の適当であるかどうかについてはここで論議いたしません。予備費支出承諾の審議の際にとくと承ります。しかし問題は、これを予備費から支出したことにあります。憲法第八十七条は、予見しがたい予算の不足に充てるため予備費を設けると書いてある。この予見しがたいとは、災害、法律条約の制定改正、事務量の増大、義務的経費の増大、事実は予見されても経費見込み額不確定など、客観的の事実に基づかなければなりません。それを全く主観的な政策によって支出をするというふうなことは、これは国会の議決を経た本予算、補正予算になさるべきものであって、この事実は議会の予算審議権を侵犯したものであります。
 しかし、この予算は決して急ぐものではなかった。結局、この政策を決定してから半年近くもたって、十二月の選挙のさなかに農民に配られた。これは政府・自民党の国費による選挙運動といわれてもしかたがないと思うのであります。予備費の使用を政府のほしいままにまかせる、その弊害がここに出たものといわなければなりません。(拍手)
 次に武器の輸出についてお聞きいたします。
 毎年の決算によれば、武器の国内生産の割合は次第に高まっております。生産量も急速に伸びて、政府は今後ますますこれを伸ばそうといたしております。この傾向が武器の輸出に連なることをおそれ、私は執拗にこれまで数年の間、武器輸出について政府にただしてまいりました。たまたま、昨日、哨戒飛行艇の対米輸出のことが新聞に出ておりましたので、重ねてここでお聞きいたします。
 初めに通産大臣に個条書きに申し上げますから、お答えを願いたい。
 一、武器は共産国、国際連合の定めた国、国際紛争の当事国及び国際紛争の起こるおそれのある国には輸出しないことにきめているのでありますが、この三原則に該当しない国は、申請があればいつでもどこにでも輸出されていいということなのか。
 二、ベトナム戦争参加七カ国には、アメリカをも含めて国際紛争当事国に該当すると椎名元通産大臣は私にお答えになったのであるが、宮澤通産大臣もこれを確認されるかどうか。
 三、武器とは何か、その範囲は必ずしも明らかでありません。破壊力を持つものだけを武器とはいえない。破壊から守るものもこれは武器であります。刀は武器であります。とともに、よろい、かぶとも武器であります。その点についての限界が明白でない。あるものは武器でないといい、そういうふうなごまかしをする場合がある。通産大臣は現在の管理令を改正して、もっと武器の範囲というものを明確にすべきではないのか。この点についてお伺いいたしたい。(拍手)
 次に、哨戒飛行艇が輸出されるというが、常識的にも、すなおに考えたならば、これは武器の輸出ではないのか。
 次に、総理大臣に伺いたいのでありますが、大平通産大臣は、私に、国際紛争のおそれのある国であるかどうかは外務省の意見を聞いて判定すると答えられましたが、韓国及び台湾は現実からも、佐藤・ニクソン共同声明から見ても、その紛争のおそれある国と考えられますが、この点につきましては、総理大臣はアメリカに行って出された声明にも関係がありますので、佐藤総理大臣から承りたい。
 最後に、総理大臣に伺いたいのでありますが、共産国には、武器も、またココムリストによって戦略物資を必要なまでに拡大して輸出をしようとしない。一方、これらを囲む自由諸国には、武器の輸出が盛んになろうといたしております。近接局地戦において、攻撃用武器とか、防御用武器とかいう限界はありません。この推移の中で、共産国家は、日本をアジアの兵器廠と考えるようになったならば、これは大問題であります。平和に徹するとか、あらゆる国と仲よくしていくというようなことも、これはから念仏に終わってしまう。総理大臣、あなたは一切の国に、一切の武器を輸出しないという方針を立てて、世界に宣明される気持ちはないのか。これが世界平和に対する日本の基本姿勢を示すものだと思うのであります。外国に武器を輸出しなくても、日本には何の害もありません。総理の御所見を伺いたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 華山君にお答えをいたします。
 信教の自由、政教の分離、これはあらためて申すまでもなく、憲法の保障する最も基本的なものであり、宗教団体もこの精神を順守すべきことは当然であります。もちろん、政府としても、国政の運営にあたり、この原則を忠実に守ってまいらねばならぬことは言うまでもありません。また、このことは、宗教界の指導者各位もよく理解されていることと信ずるものであります。いまさら申すまでもないことでございますが、お尋ねがありましたから、華山君に以上お答えをいたします。
 次に、武器輸出の問題についてのお尋ねがありました。大部分は通産大臣からお答えをいたしますが、この武器輸出について、日本が武器を輸出しないと世界に対して宣言せよとの御提案でございましたが、わが国自体が、平和憲法のもと、これは、平和憲法を守っておりますが、わが国の平和と安全を守るための武器の輸入を行なっていることから見ましても、武器の輸出は一切しないということにはなるまいか、かように考えます。
 なお、お尋ねになりました韓国、中華民国につきましては、現在のところ武器の輸出を差し控えておりますが、これは、武器に関する輸出の三原則――いずれは宮澤君からお答えするだろうと思いますが、その三原則、この方針をきびしく実行している一つのあらわれとして御理解いただきたいと思います。しかし、当面国際紛争のおそれがあると考えているわけではありません。
 以上、私に対するお尋ねのお答えといたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#18
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 人事院勧告による給与費の増額につきまして、あれは十二月にもうすでに実施済みではないか、それをいまごろ補正予算を出すとはどういうことだ、こういうお話でございますが、十二月に確かに実施をいたしましたが、あれはことし残っておる人件費を繰り上げ、差し繰り使用をいたしたわけでありまして、あのときの政情からやむを得なかった次第でございます。
 また、今度の補正予算措置が会計法、財政法違反ではないかというようなお話でございますが、これは、人事院の勧告が、政府が予想しました額よりも大幅に上回ったことは御承知のとおりでありまして、これは、財政法にいうところの予算作成後に生じた事由にまさしく該当するものと考えておる次第でございます。したがって、財政法、会計法の違反ではございません。
 また、さらに、稲作対策特別事業費、これは政府が予算編成後に政府の主観に基づいて支出したものであり、これまた財政法違反ではないかということでございますが、御承知のように、稲作対策特別事業費は、米価を十数年ぶりに据え置きといたしました、その措置に伴いまして、その影響を緩和し、また、稲作農家経営の合理化をはかろうという事情が生じたことに基づくものでありまして、それは政府の政策的決定ではございませんけれども、これは放置できなかった、予備費支出の、予見しがたい経費の不足に充てるためという事由にまさしく該当するものと考えております。(拍手)
  〔国務大臣坂田道太君登壇〕
#19
○国務大臣(坂田道太君) お答えをいたします。
 昭和四十三年度におきまして、補助対象設備の購入額等を過大にして事業費を清算した不当事例一件があったことは御指摘のとおりであり、まことに遺憾に思います。このような事例が生ずることのないよう、今後とも監督等を通じ、補助金の適正な経理について、学校法人に対し十分指導助言を行なってまいりたいと考えます。
 昭和四十五年度からは、私立大学等の専任教員の給与費を含む経常費に対する補助をする予定にいたしておりまするが、これは私立大学といえども、その社会的貢献度にかんがみまして、あるいは国立との格差があまりにも大きいということにかんがみまして、教育と研究の質的向上を目的といたしておるわけでございます。しかしながら、いやしくも納税者の税金を使うわけでございますから、これを私立学校におきましては適正な会計経理が行なわれるということ、あるいはその社会的役割りの重要性にかんがみまして、教育、研究の一そうの充実向上につとめることが望まれますので、このたび学校法人の会計経理に関する事項と、私立学校の公共性を高めるための必要最小限度の法律の規定の整備を行ないたいと考えておる次第でございます。
 次に、二番目のお尋ねでございますが、もともと学校法人は、御案内のとおりに私立学校の設置を目的として、私立学校法の定めるところによって設立される法人でございます。特定の宗教の精神に基づく宗教教育を行なう私立学校にございましても、その私立学校は教育基本法、学校教育法の定めるところに従って教育を行なうものでございますから、その私立学校の教育に着目をいたしまして、その振興上必要と認められる補助を行ないますることは差しつかえないと考えるのでございます。しかしながら、この学校法人に対しまする補助金は、あくまでも教育振興上必要と認められる場合に支出されるものでございまして、いやしくも教育基本法、学校教育法に定める学校教育の目的をはなはだしく逸脱した宗教教育を行なう私立学校がもしかりにあるといたしますならば、そのような学校を設置する学校法人に対しましては補助金を支出すべきではないと考えるのでございます。
 最後のお尋ねでございますが、私立学校では特定の宗教の精神に基づく宗教教育を行なうととができることになっておりますので、その学校に入学する者がその宗教の信徒であり、また卒業後はその宗教関係の仕事につくという場合もございますが、これはその学生の自由意思に基づく結果でございまして、別段差しつかえないものと考えます。
 なお、私立学校は、先ほども申しましたように、教育基本法、学校教育法、あるいは私立学校法等の定めるところに従って運営をしなければならないことは当然でございますので、したがいまして、その公共性を確保するために宗教団体の役員がそのまま学校法人の役員となるようなことは、公の制度としての学校を経営する上からできるだけ避けるべきものと考え、そのように指導しておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#20
○国務大臣(宮澤喜一君) 武器輸出につきまして、三原則に該当しないものはいつ、どこへでも武器を出すのかというお尋ねでございましたが、さようではございません。御承知のように貿易管理令のもとで一つ一つケース・バイ・ケースで認可する、認可しないをきめておりまして、事実問題として政府の認可にあたっての態度は、在来かなり消極的でございます。この数年の実績を見ておりますと、許しましたものは大部分が護身用の拳銃でございまして、その金額も大きなものではございません。たとえば昭和四十四年度では、ただいままでのところ四百万円ほどでございます。
 それから、この三原則との関係で、ベトナム戦争の参加国は、アメリカを含めて、武器三原則との関連では、紛争当事国と考えるかというお尋ねでございますが、さように考えるべきものと思います。
 次に、武器とは何かとお尋ねでございましたが、軍隊が使用して直接戦闘の用に供するものと考えておりますが、それとの関連で、貿易管理令を改正すべきではないか、その意思があるかというお尋ねでございましたが、貿易管理令には、御承知のように別表第一に詳しく武器の名前を具体的にあげて例示をいたしておりますので、私はそれで十分だと思っております。
 それから、最近報道されました哨戒飛行艇の輸出云々は、私どもまだ何も聞いておりません。かりにそういう問題がございましたときには、明細に見てきめなければなりませんが、その際に、たとえば武器に類するものを一切装備していないか、それからほんとうにもっぱら海難救助に使われるものであるかどうかといったようなことをよく確かめませんと、結論を出せない問題だというふうに考えます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(船田中君) 鳥居一雄君。
  〔鳥居一雄君登壇〕
#22
○鳥居一雄君 私は、公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十三年度決算等について、佐藤総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
 質問の第一は、憲法第八十三条と第九十条の関係から見まして、決算を議案とすることについてであります。
 わが党は、決算を議案とすることをかねてから主張してまいりました。
 決算審査のあり方は、予算の使用実績や事業の施行実績、その効率性などが審議の俎上にのせられ、文字どおり政府の実績が明確にされるべきであります。憲法第九十条を根拠とする現行の決算審議は、会計検査院の報告を中心にした審査となり、検査報告の取り上げている不当事項が、行政の末端での事項に傾き、その指摘が行政面で大きな効果を生むことは期待できないのであります。佐藤総理は、予算執行と会計検査は車の両輪として機能するとの期待を示されておりますが、現状では十分な効果は期待できないと考えるものであります。憲法第八十三条は、国会中心財政主義を認めたものであり、国の財政処理に関する最高の議決権を国会に与えたものである以上、国会が予算の議決で定めたことについて、決算は国の財政処理に最後の締めくくりをするという意味合いから、議決の対象とすることは当然の帰結であると解釈するものであります。したがいまして、憲法第九十条において決算をその検査報告とともに国会に提出しなければならないとしてあることは、第八十三条の原則から見て、決算が一種の報告として解釈され、九十条の規定が国会の決算審議についてただ一つの根拠とすることにはならないと考えるもので、むしろ九十条を第二次的な規定と解釈するものであります。以上から、決算を議案化することについて、佐藤総理の御見解を求めるものであります。
 質問の第二は、会計検査院の職員が検査に臨む姿勢についてであります。
 会計検査院は、院法第一条により、内閣に対して独立の地位を有していることは言うまでもありません。しかし、現実の問題として、検査に際し、検査するほうとされる側の間に儀礼として接待の慣習があり、それが国民の常識から見て、検査の厳正に疑惑を抱かせ、ひいては行政に対する不信感となってあらわれております。
 具体的な問題として、昨年十二月十二日、新聞紙上に報道されました、地方公共団体が会計検査院の調査官に対し、敬意を表する意味で好ましからざる接待、しかもこの種の接待は各県とも行なっていると当事者が述べていることについてであります。決算審査に入る以前の問題として、これを提起するものであります。これについては、本件当事者に対する処置云々ではなく、常にどのような指導がなされてきたか、また公になったとの種の事実に対し、具体的な指導をどのようにされたのか。本院の会議には、会計検査院の長は、院法第三十条の規定にもかかわらず、出席しないことになっておるようでありますので、国政全般を統括する最高責任者として、佐藤総理大臣及び各都道府県行政の全般を指導する主務官庁の長である自治大臣から、具体的な御答弁をお願いいたします。
 質問の第三は、実地検査個所についてのことであります。
 昭和四十三年度決算では、検査を要する対象数は三万九千二十九カ所になっておりますが、そのうち実地検査を行なったものは三千百三十二カ所になっており、実施率は約八%であります。したがって、現在の検査能力をもって検査を要する個所の全部を一とおり検査すると、十数年に一度という割合になります。これに対し佐藤総理は、重点検査対象については大体三年に一度という基本線は維持しているという御答弁をしておられます。なるほど主要な検査対象個所は、四十三年度決算では全体の三万九千二十九カ所のうち六千六百七十カ所で、今回の決算ではその三四・一%の個所の実地検査を実施しております。それはそれとして、主要検査対象個所を除きました三万二千三百五十九カ所につきましては実地検査の実施率はわずか二・六%にすぎないのであります。このような検査結果から指摘されました不当事項は百七十七件、その金額は十二億円を突破しております。しかし、その不当件数の発生個所が主要検査個所とその他の検査個所のいずれに該当するのか、この明細を掌握することは困難であります。不当不正件数は四十二年と比べかなりの減少を示しておりますが、その金額において四十二年度の検査とほぼ同額になっております。この数字を見る限り、私は検査の効果があったとは容易に判断できないのであります。
 以上の点から考えた場合、厳正な予算執行を行なう本来の目的から見て、主要な検査個所以外の要検査個所の機動的、計画的な実地検査がぜひとも必要であると考えるものでありますが、これらにつきまして総理のお考えをお示し願いたいと思います。
 質問の第四は、昭和四十三年度における公営住宅の戸数についてであります。
 昭和四十三年度における公営住宅の現況、これを自治省は「公共施設の現況」の中で明記しており、第一種、第二種住宅の合計九十九万二千四百九十六戸としております。ところが、同年の建設省の「国土建設の現況」におきましては、第一種、第二種合計戸数百十三万九百戸としております。すなわち、自治省と建設省が公表いたしました公営住宅管理戸数の差は十三万八千四百四戸もあり、その数は住宅建設五カ年計画における公営住宅四十八万戸の二八・八%にも相当する数であります。まずこの住宅管理の現況につきまして、なぜこの差があるか、自治大臣並びに建設大臣の御所見をお伺いいたします。
 また、調査基準に何らかの違いがあるとしても、公表されましたこの二様の数字は、国民に誤った認識を与えるものであり、政府機関の調査として、なぜ同一調査基準による公表をしないのか。なおまた、建設計画において、建設省がこの数字をもって計画される場合、実在戸数との間に膨大な差を生じ、国民を欺瞞するものとなりますけれども、建設大臣はどのように考えておられるか、御所見をお尋ねいたします。
 最後に、国有地、公有地の活用についてであります。
 政府は、昭和四十三年十一月、地価対策閣僚会議で、都市地域における国有地、公有地の民間への払い下げを原則として停止するとともに、その合理的活用をはかると決定しております。また、第六十一国会における国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の成立に対し、衆参両院で、「都市開発、土地対策問題の解決のため、未利用国有財産をできるだけ活用し得るよう留意すること」と決議がなされております。
 しかるに、四十四年七月三十日、東京都に所在する大蔵省普通財産、元東京陸軍第一造兵廠の用地一万五千百四十三平方メートルが民間に払い下げられております。これは前述の方針と矛盾するものでありますが、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、未利用地の利活用につきまして、四十二年二月四日の行政管理庁の勧告に対する大蔵省の回答は、「未利用地の転活用計画の通達で、主要未利用地について、長期的な見通しのもとに、総合的な判断に立った転活用計画を定め、これに基づき計画的処理を進めることにした。」としておりますけれども、四十三年度における日本住宅公団に対する土地による現物出資は三万九千平方メートルとなっております。さきの行政管理庁への回答の趣旨からいって、むしろこれは公営住宅用地として、地方公共団体に払い下げを行なうべきであると考えるものであります。また、四十四年一月十四日現在、大蔵省の調査による東京都所在の未利用地は、利用計画策定済みを含めまして八十二万四千平方メートルとなっていますが、これらを公営住宅用の宅地として転利用する具体的な計画があるか、大蔵大臣並びに建設大臣の御答弁をお願いいたします。
 以上について、総理並びに関係各大臣の明快なる答弁をお願いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 鳥居君にお答えいたします。
 決算を、予算と同様に、国会の議決事項議案とすべきであるとの御提案でございましたが、現行憲法は、予算については議決、決算については提出、それぞれ九十条あるいは八十六条等でそのことばを使い分けをしておるところからもおわかりいただけるように、事柄の性格上、国会の議決対象となることはなじまないものと、かように考えます。
 次に、検査担当官がいろいろ地方で供応を受けるというような御批判がございましたが、このことはまことに遺憾に私は思います。しかし、会計検査院は内閣に対して独立の地位にあるものでございますから、政府からとかく申し出をするということはいかがかと思います。それを政府から言うまでもなく、会計検査院自体におきまして十分自省自戒すべきところと考えます。政府全体としては、国民に信頼される行政を行なうため、国民の批判を受けることのないよう、一そう注意してまいります。
 次に、検査のやり方について御意見がありました。御意見につきましては検査院でも十分検討されることと思いますが、政府としても、基準の作成はともかく、できるだけ充実、徹底した検査がなされることを希望するものであります。さような意味で、いろいろ検討を加えられることと思います。
 私に対するお尋ねの、以上でお答えといたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君君登壇〕
#24
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 国有財産は大事な国民の財産でございますので、その処理は真に適正、厳正でなければならぬ、さように考えております。
 未利用地である国有地を活用せよというようなお話でございまするが、私は、まとまった国有財産、未利用国有財産、これはみだりに売却とか、貸し付けを今後はいたさない方針であります。国で保有いたしておりますれば、何らかの用途がそのうちに出てくるだろう、またそれを有効に活用いたしたい、そういう考え方を持っておるのでありますが、しかし、これを他に活用方を考えていいという場合におきましても、なるべく公共用、また国の用途に使う、こういうふうにいたしたいと考えております。
 なお、具体的な事例をあげまして、東京の陸軍第一造兵廠、第二造兵廠の敷地を最近売り払ったというお話がありますが、いま調べてみますと、確かにそのようになっております。これは、売り払いの相手方に終戦後長い時間にわたりまして貸し付けをしておったので、どうもこれを召し上げるというわけにもまいらぬ、さようなことから払い下げをいたしたものである、さように了承しております。(拍手)
  〔国務大臣秋田大助君登壇〕
#25
○国務大臣(秋田大助君) 監査、検査その他の用務で中央官庁の職員が地方に出張の際の接遇についてでございますが、地方団体において十分自粛自戒されたい旨を従来から指導してまいったのでありますが、今後はいやしくも疑惑を招くことのないよう、一そう指導を徹底してまいりたいと存じております。
 次に、公営住宅の管理戸数の点でございますが、昭和四十四年三月末日現在における第一種及び第二種公営住宅の地方団体における管理戸数でございますが、都道府県分は三十六万四千三十七戸市町村分が六十二万八千四百五十九戸、合わせて九十九万二千四百九十六戸でございます。この管理戸数は、地方団体が公営住宅法に基づきまして国から補助金をもらいまして、それによって建設し、かつ地方住民に賃貸しをしておる分の現在の管理戸数でございます。
 そこで当初、自治省といたしましては、一つには、地方団体における公営施設の現況をしっかり把握しておきたい、二つには、地方住民の福祉を向上する資料をしっかり握っておきたい、第三には、地方公共団体における地方行政の能率をあげるための資料を求めておきたい、こういうような目的から、各会計年度末における管理公営住宅数の調査をしておるのでございますが、建設省との数字が、この点狂いがあるということはまことに遺憾でございまして、今後建設省との連絡を密にするとともに、両省ともにますますその調査を徹底、正確を期してまいりたいと存じております。(拍手)
  〔国務大臣根本龍太郎君登壇〕
#26
○国務大臣(根本龍太郎君) 建設省の報告戸数と自治省の報告戸数が違っておるのは、国民を欺瞞するからいかぬということでございます。報告された戸数が違っておることは御指摘のとおりでございます。
 ところで、建設省におきましては、公営住宅法の施行される前に、すでに昭和二十六年まで、公営住宅法の施行によって公営住宅とみなすことに実はこれは制定されておりますので、その分が入っておるのでございます。ところが自治省のほうは、公営住宅法がきまってからの数字を基本としているようでございます。
 それから、この管理の状況も、各市町村が管理しているものも相当ございまして、これらが、はっきり処分したものもあるいは処分しないものも、正確に報告してない向きがあるようでございます。こういう観点からいたしまして、今後的確なる数字を求めるために、自治省と共同でいま的確なる帳簿調べをいたしまして、廃棄処分並びに老朽となったものをそのまま載せておるのは全部削除して、はっきりいたしたいと思います。
 第二番目の御質問は、国並びに公有地を活用して、特に住宅政策等、公共の用に留意して使えということでございます。そのとおりでございます。今日まで建設省といたしましては、特に都市地帯における公用地については、原則として大蔵大臣その他の官庁と連絡の上、民間に払い下げすることは停止してもらいまして、そこに高層もしくは中層の住宅をつくって、国民の要望にこたえるとともに、公園あるいは児童の遊び場等、都市生活に必要なところに極力利用して、要望にこたえる措置をとっている次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(船田中君) 吉田賢一君。
  〔吉田賢一君登壇〕
#28
○吉田賢一君 ただいま説明のありました昭和四十三年度各決算に対し、民社党を代表しまして、以下三点につき、幾つかの提案をしながら、佐藤総理と関係閣僚の所信をただしたいと存じます。
 第一点は、政治の姿勢を正すことであります。
 国会は、申し上げるまでもなく、憲法機能の中枢でございます。戦後、民主主義が政治の基本原理となりましたが、その成長は容易でありません。特に、政治において至難です。現に、国会は、権力を錯倒誤解し、ときには多数の暴力、少数の腕力さえ支配しまして、言論と公正の運営を失いまして、また政界の官僚の力は諸国に比類を見ません。ことに、国民は権力に弱く、政府への年じゅうの陳情、予算を既得権化する官僚、こういうことを通じて見ましても、そこから行政の停滞が生じまして、綱紀は乱れ、汚職の手が伸びていきます。国会としては、まさにき然として権威を守り、行財政を監督して職責を尽くし、政府またこれに承応しなければなりますまい。
 次は、国会の運営です。
 この際、国政審議の高度化と効率化をはかりまして、国会法の改正はもちろん、慣例の再検討、各般の機構改革と政府の行財政の活動につき的確な情報の収集、処理、なお図書館を積極的に活用するなど、新時代にふさわしい能率的な機能の整備こそ急がねばなりません。当然政府は協力すべきです。
 以上、政治批判の基本課題としまして、佐藤総理の所信を伺いたいのであります。
 第二点は、行財政制度の改革です。
 その一は、内閣機能の強化。
 行政の統一性の保持は内閣の重要任務であるが、現制度は、国務大臣が各省行政長官を兼務しまして、重要政策の決定で、自省長官の立場にとらわれる傾向が強い。したがって、しばしば閣内不統一、総理の調整機能にまつ実情であります。
 そこで、特に国務大臣を選任し、内閣補佐官を設けて、これに補佐せしめ、主要政策につき、各省庁の意見調整、行政の統一、一本化をなさしむることであります。
 他面、大臣の任期は、戦後、十カ月に足りません。うち、半年は国会である。これでは担当省庁の行政実態に精通することは不可能です。よって、在任期間を長期化して、行政運営に具体的、有力な指導をなし得るようにすべきではありませんか。
 こうして、総理大臣の内閣統括の機能を強化することが重要です。
 その二は、予算財政制度の改革です。
 予算は政府活動の管理手段であり、その機能は経費と成果の関連で把握し、効率を高め、国会の財政監督に正確な情報を提供すべきでありますが、現状は、予算編成に客観的基準、合理的原則が整っておりません。したがって、圧力団体に左右せられたり、執行と決算が軽視され、効率、実績の検討が行なわれません。しばしば政策の決定を誤り、予算乱費の弊害さえ生じております。これを決算本位の予算に改め、原価重視、効率と経済性の尊重へと、組織と機能を改めねばなりますまい。事業別予算制度、PPBSの導入によりまして、事業計画と業績の予定、実施の区分、政策決定の合理化などを期しまして、能率主義の原則、責任体制の明確化などを規定すべきではありませんか。大蔵省、企画庁の調査研究もなお省庁内の限度にあるようです。可能な限り、広く予算作成にこれら新制度の導入を企画すべきではありますまいか。この項は大蔵大臣、企画庁長官の御答弁をぜひお願いしたい。
 その三は、公務員制度の改革です。
 行政運用は人にあります。公務員制度を改革して、新時代即応の体質となすことは焦眉の急務です。公務員は全体の奉仕者です。そして、重要な行政の実務者です。その地位と責任はまことに重いが、一面、非能率とその欠陥を指摘されまして、たとえば臨調は広範な改革の提案をしました。すなわち人事管理、セクショナリズムの打破、政治的人事介入の排除、天下り人事の規制より、さらに信賞必罰、能率化、専門化から職階制の実施、あるいはまた処遇の改善、給与、福利施設など、勤務条件を整備いたしまして、言うならば生涯安んじて公務に専念し得るよう、待遇改善と向上へ、また定年制の実施を柱としたのであります。新時代は、人が科学と技術を駆使すべきときです。公務員制度の改革こそ、最大の課題の一つではないでしょうか。
 その四は、閣議決定の第一・二次行政改革三カ年計画であります。
 これは、ウエートは小さいが、しかし、行政改革への前進に間違いありません。そこで、すみやかにその完全実現を期していきたい。また、一昨年のこと、自治省は百余のアンケート質問を行ないました。これは地方行政改革の目標でありましたが、行くえは不明です。すみやかにいずれかの結論を出すべきではないでしょうか。その他、臨調答申の実現のみで一兆円の経費節約になります。これは国民負担の軽減あるいはまた財源配分の問題にもつながっています。総理の勇断を求めること切であります。佐藤総理の御所見はいかがです。
 なお、行管長官の答弁もあわせ求めたいのであります。
 第三点は、以下の重要国策が何ゆえ実行せられなかったかについてです。
 一つは物価問題。
 最近の物価高は、暮らしを窒息せしむるようです。天井知らずに上がる物価問題は、差し迫った重大課題です。その安定対策は、数年来、たとえば物価懇談会、物価安定推進会議からすでに提案二十余項目にわたっておる。これが政府の総合調整力の欠如、推進力の不足で施策の実行がないところに、物価高の原因があります。物価安定は、公約よりも実行です。全国の主婦のため、また、給与がふえても物価高で帳消しになっておるサラリーマンと労働者のため、政府は、断固その安定対策を実行すべきではないでしょうか。
 その二は、教育不在の問題です。
 大学紛争のつめあとを見まして、最近の少年の殺人、夫殺し、首切断事件など、戦慄すべき凶悪犯罪の続出の世相に、いまさらのごとく教育の重要性を思い、教育全体への反省を訴えたいのです。現状は、初等、中等教育も形骸化、空洞化への危険さえあります。これは、言うならば、長年の間の適切なる文教施策の貧困によるのではないでしょうか。この際、母の胎児から、すなわち新しい時代の胎教を起点といたしまして、教育の全体系の総反省の上に立って、少年に未来の正しい夢と希望を与え、適切な教育環境を整備し、最善の施策をなすべきではないでしょうか。
 三は、交通禍です。
 いまや、交通禍は、おそるべき生存上の恐怖でさえあります。この際、いたずらに法規の末にとらわれず、生命と社会秩序の尊重を基調に、科学と英知と良心を用いまして、交通禍絶滅への対策を立て、さらにまた、陸、海、空の総合的なる施策へ発展せしむべきではないでしょうか。
 四は、公害禍です。
 社会、経済の発達、生活の複雑多様化に伴いまして、一面、政治貧困、行政停滞とも相まって、全国民は公害の続出と惨禍におののいています。しかし、国策は公害現象をあとから追っかける現状です。すべての国民の命と安全としあわせを守りますため、すみやかにあらゆる角度から調査と対策を実施することが、政治の重大な責任でなければなりません。
 五は、福祉乏しい社会の谷間の問題です。
 わが国の人口動態は、少死長命となりました。したがって、老人の激増、病気の多発、寡婦、未亡人、身障者、また児童福祉の問題等、暗い谷間の生活にあえいでいる同胞への福祉の対策は、その充実、前進が強く要請せられておりますとき、特に人間疎外の風潮の社会で、高次の福祉国家を建設することは、新日本の将来への重大な指標でなければなりますまい。
 以上述べましたこの緊急、重要な政策の実行が、日本の国力、財政力等々からいたしまして、なぜ一体できないのでしょうか。その病源は共通であります。すなわち、冒頭述べましたように、国会を中心に政治姿勢を正すこと、勇断をもって行財政の改革を断行することによって、これら重要諸問題の解決は可能となります。いな、不可欠の要件であります。
 佐藤総理も、国民の国会信頼を取り戻すこと、そして平和と繁栄と進歩への大道を歩む、このため、国政の基本的原理と実情に即しまして、私、幾つかの項目の提案をいたしましたが、その実行に強く邁進せられてはいかがでしょう。佐藤総理の所信を伺い、なお、所管事項につきましては大蔵大臣、企画庁長官の答弁をあわせていただきたいのであります。
 以上をもちまして私の質問は終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 吉田君にお答えいたします。
 多岐にわたっての、また重要な問題についてのお尋ねでございますが、私も一応まとめたつもりですが、なかなかまとめにくかったので、たいへん失礼があるかと思いますが、そういうことがありましたらお許しを得たいと思いますし、また、それぞれの担当大臣からもお答えしたいと思います。
 まず第一に、行政府、国会のあり方について、御意見をまじえてのお尋ねがございました。私も、趣旨におきましては全く同感でございます。さきの施政方針演説の中におきまして、特に私が立法、司法、行政それぞれの立場から考えるべき点について触れたのも、全く同様の趣旨からであります。これは、ややよけいなことではあったのではないかと思って、行政の長でありながら、あえて国民の声をそれぞれの立法、司法の方々にも伝えたつもりでございます。
 また、その次に、財政上の問題についていろいろお話がございましたが、予算に関する問題は、これはまとめて大蔵大臣からお答えすることにいたしまして、内閣の機能、これも行政管理庁長官がお答えするのが適当かと思いますが、そうでない部分について私からお答えしてみたいと思います。
 内閣機能の強化、これについての具体的な御提案がございました。これはもちろん、軽々しく返事のできる問題ではございませんので、今後慎重に検討してまいるつもりでございます。
 制度問題としての内閣機能の問題もありますが、それはともかくとして、内閣の調整機能につきましては、いままでもいろいろ関係閣僚協議会等を通じて努力しておりますが、一そうその効果があがるように、これからも一そう努力してまいるつもりでございます。御了承いただきたいと思います。
 次に、行政改革についてのいろいろの問題をも含めて、問題は、国会を中心にして、同時にまた、行政府が勇断をもって事に当たるべきだ、こういう意味で、これは私に対するおしかりであると同時に鞭撻を受けた、かように思って、ただいまのことばをそのまま受け取っておるわけでございます。一そう勇断をもって国民の利益を増進するようにしたいものだ、かように思いますから、何とぞよろしく御支援のほどをお願いいたします。
 次に、内政問題についていろいろお話がございました。物価、あるいは公害、あるいは教育問題等、数点についてそれぞれございましたが、そのうらでも特に教育問題については、母の胎内、いわゆる胎教から始めるべきだという、非常にいまの教育に欠くる点について御指摘があったように思います。私は、生涯教育とでも申しますか、いわゆる胎教から始まって死ぬるまでが教育の場だ、かように考えておりますので、これらの点では吉田君と同じような考え方を持つものだろうと思いますが、しかし、具体的にしからばどうしたらいいか、こういう点になりますと、ただいま中央教育審議会等におきましても、教育の問題に積極的に取り組んでおる最中でございます。私は、これらから答申を得て、しかる上で政府の態度を決定したい、かように考えております。問題は、幾らわかりましても、これこそ実行、それあるのみだ、かように考えておる次第であります。
 また、交通禍について、最近の災害等から考えて、陸、海、空、この三つの分野からいろいろお取り上げになって、この交通禍を見過ごしてはいかぬという御注意がございました。私はこれこそ公害の最もはなはだしいものだ、かように考えておりますし、かつて、まだいまも、今日主張しておりますいわゆる社会開発の推進こそ、これらの点についての解決の方向ではないか、かように思って、この問題も御鞭撻をいただきましただけに、積極的に取り組むつもりでございます。
 その他、一般の工業発達から生ずる公害等についても、具体的な問題よりも、いまのような文明のもとにいわゆるかもし出される災害、そういうものこそ、われわれがこれから積極的に取り組まなければならない問題だろう、かように思います。
 いわゆる谷間の問題、そういうように文明から取り残されたものというものと取り組む必要があるだろう、かように思います。
 そういう場合に、どこまでも私どもは民主主義、議会政治のもとにおいて国政の運営をはかっていく、これが基本でございますから、御指摘になったように、国会を中心にそれぞれの機関が勇断をもって事に当たれ、こういうお話、これもしごくもっともなことだ。私も御鞭撻を受けながら、ただいまのようなお話をありがたく拝聴した次第でございます。
 なお、公務員の制度改革その他については、いずれ行管庁長官からもお答えがあるだろうと思います。
 以上で私は御答弁を終わります。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#30
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 決算をもっと適正にして、国費の効率をあげるように努力すべしという御意見は全く同感でございまして、それには御説のとおり、予算の編成のそもそもからこれを適正にしていかなければならないと考えます。そのために、いま吉田さんは予算の編成の方針をもっと早目にきめられたらどうだ、こういう御提案でございますが、私もそうは思います。ただ、予算を編成いたしますとなりますと、その翌年の当該年度の経済がどうなるだろうかという問題、また財源の見通しがどういうふうになるだろうか、こういうようなこと、さようなことを考えあわせる必要がありますので、そうそう早目にというわけにもまいらぬかと存じますか、御趣旨の方向で努力をいたしたいと存じます。また、事業別予算主義をとられたらどうだというようなお話でございますが、これはいま所管別でやっておるのです。しかし、横の連絡は十分に事業別的にとっておるわけでございますが、事業別にやるというととは一つの考え方ではございますが、実際問題といたしますと、国会に御説明を申し上げるとか、そういう関係を考えますと、なかなかむずかしいのではあるまいかと考えますが、しかし、御趣旨のような趣旨で運営はいたしていきたい、かように考えます。
 また、PPBS方式を大いに活用すべしというお話でありますが、これもさように存じます。いまその方向で努力をいたしておるのでありますが、何ぶんにもこの要員を養成するということにも相当の時間がかかりますので、これを全面的に活用するまでにはなかなかの時間がかかると思いまするけれども、逐次これをやっていきたい。現に、非常に部分的ではございまするが、これが活用をいたしておる、こういう状況でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#31
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 吉田さんにお答え申し上げます。
 一つには、行政改革三年計画、これをしっかりやれという御激励を兼ねてのお尋ねでございました。お尋ねの行政改革三年計画のうち、二つに分けておりますが、その第一は実施事項であります。
 まず、許認可報告の整理を年次計画に従って逐次進めつつあります。そのうち法律事項に関しましては、今国会において許認可等の一括整理法案として御審議をお願いすべく準備をいたしておる次第であります。
 次に、機構の簡素合理化につきましては、審議会等十五の整理統合について関係法案を提出しております。また、地方支分部局の整理につきましても、すでに本年度に一部分実施したところでございますが、残余のものにつきましても、逐次実現すべく所要の措置を講ずることといたしております。
 さらに、補助金につきましては、四十四年度四百十七件、金額にいたしまして百五十五億円に引き続きまして、四十五年度は三百二十六件、金額で二百九十三億円の合理化を予定しているところでございます。
 また、共管競合行政につきましても、今国会に提出を予定しております交通安全対策基本法案におきまして、中央交通安全対策会議の設置を予定しておることも御案内のことと存じます。
 次に、行政改革の検討事項につきましては、昨年八月六日に行政改革本部としての今後の推進方策を決定しまして、以後関係各省庁において鋭意協議、検討を進めておる次第でございます。
 次に、いわゆる赤澤自治大臣当時の行政改革についての地方公共団体からのアンケート、この合理化に関するアンケートをどうしておるかというお尋ねもあったかと思いますが、このアンケートは、中身は九十一件ございまして、従来から行管といたしまして監察をいたし、その結果に基づく勧告の趣旨にもあるものでございます。また、自治省意見に対する各省庁の意見、行政監理委員会の意見などを参考としながら、関係省庁を調査中でございますが、現在までのところ、すでに改善を済ませたものが六件、そのほか十九件が自治省意見の趣旨に沿って改善できる見込みでございます。
 なお、臨調答申ないしは行政監理委員会の意見等があるのでありますが、それについても、これを尊重してしっかりやれという御趣旨の御意見とお尋ねがあったと思います。答申以来今日まで、また、おりに触れての行政監理委員会の意見等も念頭に置きながら、微力ながら、歴代の長官ともども、努力し続けてまいっておるところであります。今後も微力ながら一生懸命がんばりたいと思います。
 なお、行政改革ないしは公務員の国民に対する全体の奉仕者としての責任を果たすべくしっかりやれという御意見もございましたが、総理からもお答えがございましたとおりであります。それに関しましては、御案内のとおり、過ぐる通常国会でいわゆる総定員法というのを通していただきました。これは、明治以来百年、毎年役人はふえる一方であった。言うところのパーキンソンの法則に大手を広げてこれを食いとめるという性格のものをおつくりいただきまして、これを今後有効に活用しながら、いたずらに役人の数がふえないようにという考えに立って運用してまいりたいと存じますことを申し添えさしていただきます。(拍手)
  〔国務大臣佐藤一郎君登壇〕
#32
○国務大臣(佐藤一郎君) 吉田さんにお答えいたします。
 財政の効率化あるいは政策決定の合理化、あるいはまた縦割り行政弊害の是正、こういうような観点から、PPBSというような手法を予算、決算にも適用したらどうか、こういう御提言でございまして、私どもも非常に賛成でございます。
 御存じのように、現在経済企画庁におきましても、経済政策の合理化、科学化、こういう見地からシステム分析手法の研究を進めております。これは特にPPBSのための基礎的条件をつくるものでございますからして、この研究開発にはできるだけ多くの力をさいておるのが現状でございます。日本はアメリカとともにPPBSの研究では最も進んでおるということになっておりますが、なおこの研究を深めまして、そして、今後各省庁あるいは自治体の予算、決算に、こうした手法が一日も早く採用されるように進めたいと思います。最終的にはこれは財政当局の判断によることでございますが、私たちも非常に希望しておるところでございまして、御意見ことごとく賛成いたすものでございます。
 それから、最後に、物価の問題につきましては、毎々のことでございますけれども、御激励をいただいたようなわけでございます。
 縦割り行政が、現在の事態になかなか適用するのにいろいろと問題が起こっておることを私は痛感いたしております。物価もその一つの大きな問題であろうと思っております。農林省は同時に食糧供給省である、あるいは通産省は同時に公害省である、こうした意識の統一、意識の変革が非常に重要であろうと思います。少しずつでありますが、現在それが行なわれておると思いますが、なお十分であるとは思われません。そうした点をひとつ十分に、いわゆる先ほど御指摘のありました総合調整、こういうことによりまして意識統一をはかり、その上で政策の推進をはかっていく、それには総合調整が大事である、全く御指摘のとおりでございます。微力でありますが、一生懸命やりたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)
#33
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#34
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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