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1970/03/12 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第9号
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1970/03/12 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第9号

#1
第063回国会 本会議 第9号
昭和四十五年三月十二日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和四十五年三月十二日
   午後二時開議
 第一 新東京国際空港公団法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)、所得税法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)及び法人税法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
 日程第一 新東京国際空港公団法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のた
  めの国の財政上の特別措置に関する法律の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
   午後二時三分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 議員田川誠一君から、三月十八日より三十一日まで十四日間、議員大橋武夫君、同木部佳昭君、同中馬辰猪君、同長谷川峻君、同福永一臣君及び同箕輪登君から、三月二十八日より四月四日まで八日間、議員河村勝君から、三月二十八日より四月五日まで九日間、議員松本忠助君から、三月二十八日より四月八日まで十二日間、議員楯兼次郎君及び同日野吉夫君から、三月二十八日より四月九日まで十三日間、右いずれも海外旅行のため請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)、所得税法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)及び法人税法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)の趣旨説明
#5
○議長(船田中君) 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、及び法人税法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#6
○国務大臣(福田赳夫君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、本年一月税制調査会から提出された「昭和四十五年度の税制改正に関する答申」に基づき検討を重ねた結果、昭和四十五年度の税制改正におきましては、最近における国民の税負担の状況にかんがみ、給与所得者を中心とする中小所得者の負担軽減を主眼として、平年度約三千五十億円にのぼる大幅な所得税の減税を行なう一方、当面の経済社会情勢に即応して、法人税の負担を引き上げるとともに、利子・配当課税の特例について漸進的な改善合理化措置を講ずるほか、企業体質の強化、中小企業対策、公害防止、過密過疎対策等に資するため所要の措置を講じ、あわせて既存の租税特別措置について整理合理化をはかることといたしておるのであります。
 初めに、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず第一は、現下の経済財政事情にかんがみ、法人税負担の引き上げを行なうことであります。すなわち、二年間の臨時措置として、普通法人の所得のうち留保分に対する法人税負担を現行の五%増に引き上げることといたしております。ただ、中小法人の所得のうち年三百万円以下の部分の税負担につきましては、特に現状のまま据え置くことといたしております。
 第二は、利子・配当課税の特例について、国民の貯蓄態度に与える心理的影響をも考慮して、漸進的な改善合理化の措置を講ずることといたしておるのであります。
 まず、利子課税につきましては、定期預金その他資産性の強い預金等の利子について源泉分離選択課税制度を創設し、他方、普通預金等要求払い預金の利子については、新たに申告不要制度を創設することといたしておるのであります。
 次に、配当課税につきましては、利子課税の改正に見合った措置を講ずるほか、配当控除率につき、所得税法の改正に関連して、所要の経過的調整措置を定めておるのであります。
 第三は、企業体質の強化、中小企業対策等に資するための措置を講ずることであります。
 その一は、企業体質の強化をはかるための措置でありまして、法人が産業体制の整備に資する合併をいたしました場合について割り増し償却制度を創設するとともに、合併登記の登録免許税軽減の特例の適用期限を延長することといたしております。
 その二は、中小企業対策のための措置でありまして、下請中小企業振興法の制定に伴ない、下請中小企業振興準備金制度及び共同利用施設の特別償却制度を創設するほか、中小企業構造改善準備金、中小企業の貸し倒れ引当金の特例等、中小企業に関する課税の特例の適用期限を延長することといたしておるのであります。
 その三は、過密過疎対策に資するための措置でありまして、ガス事業者の特定ガス供給設備について、特定ガス導管工事償却準備金制度を創設するとともに、産炭地域の工業用機械等について、特別償却制度の対象となる事業及び資産の範囲を拡大することといたしております。
 その四は、基礎資源の開発を促進するための措置でありまして、石油開発法人の発行する株式について石油開発投資損失準備金制度を創設するとともに、探鉱準備金及び新鉱床探鉱費の特別控除制度の適用期限を延長することといたしておるのであります。
 その五は、情報化の促進に資するための措置でありまして、一定の電子計算機につきまして特別償却制度を創設するほか、電子計算機買い戻し損失準備金の積み立て限度額を引き上げることといたしております。
 そのほか、住宅貯蓄控除制度等の住宅対策のための措置、株式売買損失準備金制度、試験研究費の特別税額控除制度及び民間外貨債の利子の非課税措置等について適用期限を延長することといたしておるのであります。
 第四は、既存の特別措置につきまして、実情に応じた整理合理化を行なうことであります。
 すなわち、特別措置のうち、すでにその政策目的を果たしたと認められるもの、または政策手段として期待された効果をあげていないと認められるものにつきましては、その適用期限の到来とともにこれを廃止することといたしております。
 以上のほか、相続財産を譲渡した場合の譲渡所得の計算方法を合理化する等所要の規定の整備をはかることといたしておるのであります。
 次に、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 まず、中小所得者の所得税負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうことといたしておるのであります。すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ現在の十七万円から十八万円に引き上げるとともに、扶養控除を現在の十万円から十二万円に引き上げることといたしております。この結果、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限は、現在の九十三万五千円から百二万九千円に引き上げられることと相なるのであります。
 次に、給与所得者の給与所得控除を拡充することといたしております。すなわち、その控除率を引き上げるとともに適用範囲も拡大し、十万円の定額控除後の給与の収入金額百万円までは二〇%、二百万円までは一〇%、四百万円までは五%を控除することといたしておるのであります。さらに、税率につきまして、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかる見地から、税率の刻みとその適用区分の大幅な緩和を行なうことといたしておるのであります。
 以上のほか、障害者控除等の特別な人的控除の引き上げを行なうとともに、医療費控除について実情に即するよう改善をはかる等所要の規定の整備を行なうことといたしております。
 なお、配当控除につきましては、課税総所得金額一千万円以下の部分の控除率を一〇%、同じく一千万円をこえる部分については五%に引き下げることといたしておりますが、これに関する経過措置は、さきに述べました租税特別措置法の改正案に織り込んでおるのであります。
 最後に、法人税法の一部を改正する法律案につきましては、中小法人の税負担の軽減とその内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税についての控除額を引き上げるほか、同族会社の範囲の縮減簡素化、完成工事補償引当金制度の創設、中間申告書の提出不要限度額の引き上げ等所要の規定の整備合理化をはかることといたしておるのであります。
 以上、三法案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)、所得税法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)及び法人税法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質
  疑
#7
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。阿部助哉君。
  〔阿部助哉君登壇〕
#8
○阿部助哉君 私は、日本社会党を代表し、ただいま趣旨説明のありました租税特別措置法の一部改正に関して質問を行ないたいと思います。
 税金がいかに不公平に取り立てられているか、だれの目にもはっきりわかるのが利子・配当優遇措置であります。政府は、勤労大衆の期待に反して、またぞろ悪名高い利子・配当に対する特別措置の延長を提案してきました。
 まず、配当控除制度について見ると、給与所得者の場合の課税最低限は、五人世帯で約百万円、事業所得者では七十五万円にすぎず、中でも事業所得の課税最低限は、生活保護世帯が受ける給付額すれすれであります。このような、きわめて低い課税最低限を勤労者に押しつけ、生計費に食い込む課税を強行しておりながら、配当所得のみによって生活する者には、四十四年度の約二百八十万円からさらに大きく引き上げられまして、三百五万円までびた一文所得税がかからないのであります。
 さらに、利子・配当の分離課税制度についても、五年間にわたる長期延長を提案しました。いかに膨大な利子・配当所得があろうとも、税率二〇%ですべて終わりということであります。
 一例をあげると、元大臣をやられたある著名な実業家の持ち株は、四千五百八十三万五千株、この会社の配当率は四十四年三月期は四〇%であります。したがって、配当所得約十三億円と推計されるのであります。もし、総合課税ならば、九億円以上の所得税を課税されます。ところが、この制度のおかげで二億六千万円、わずかに三分の一であり、減税額は実に六億数千万にのぼるのであります。このように、世界の近代民主国家に例を見ない野蛮な制度が十七年間も、延長に延長を重ねて生き続けておるのであります。
 一方、現行所得税法の最低税率は一〇%であり、新制中学や高校を終えたばかりの、選挙権さえもまだ持たぬ多くの若い労働者が、この税率で課税されておるのであります。所得税の累進制は完全に破壊されておるではありませんか。しかも、これは単に量的な計算上の不公平だけではなく、不労所得者には重く、勤労所得には軽くという、今日常識となっておる公平の原則をさか立ちさせ、一握りの金持ちのためにのみ存在する政府自体の姿を天下にさらすものといわねばなりませ
 ん。(拍手)
 総理は、提案を撤回し、進んで、一、利子・配当特別措置をやめる。二、勤労所得には軽く、不労所得には重い税法につくりかえる。三、高度な累進所得税法を打ち立て租税民主主義の回復につとめる御意思があるかどうか、お伺いしたいのであります。
 なお、この特別措置の存在理由に関して、大蔵省主税局では、貯蓄増進の目的を果たしていないと否定的見解を持っておると聞いております。従来、大蔵委員会における論議などによって、貯蓄とは無関係だという点で一致した見解に達していると思うが、総理は御存じないのか。参議院予算委員会で、「税の公平という原則に反するが、貯蓄をふやすためだ」などと、かびのはえた論法で弁解しておるではありませんか。貯蓄というものは、可処分所得がふえる場合に、これまたふえる。ところが、わが国のように可処分所得の貧弱な国柄で貯蓄がふえているのは、一口で言えば、皮肉にも、政府に対する勤労大衆の不信にほかなりません。すなわち、病気、老後の生活、子供の教育などに関しまして、政府の保障が劣悪であるから、生計費に食い込む貯蓄を行なっているのが現実であります。総理はこの実情を認識しているかどうか、承りたいのであります。
 従来、税制改正にあたって、大蔵当局の投げかけた原案を、税調が政府に打ち返しまして政府案になるといったルールであったものが、今回は、税調の審議に先がけ、自民党案なるものが出た。そうしてこれが政府案にまとめられた。つまり金融、証券業界の圧力が、かねて四〇%の分離課税を考えておった大蔵省案をやみに葬ってしまったという、この不明朗きわまるいきさつを総理はどのようにお考えになり、責任を感じておるかを承りたいのであります。
 このように税体系を乱し、利潤の費用化を促す特別措置は、本法の規定に限らず、法人税などにも多数見られるのであります。
 一例を引当金制度にとるならば、引当金制度は、その性格から見て、かりに全額費用として実際に支出されましても、それを積み立てた企業には減税をもたらすものであります。減価償却制度と並んで利潤の過小表示による合法的脱税を許すものであります。労働者の賃上げ抑制や独占価格の引き上げの口実をつくり出す制度でもあります。さらに、年々引き当て額が累増し、実際に支出がない場合、利潤費用化による減税額の年々の増加をもたらし、合法的な恒常的脱税装置となるのであります。
 その代表的な例をあげますれば、銀行の貸し倒れ引当金であります。大蔵省作成の資料によりますると、全国銀行の貸し出し額は、昭和三十五年上期七兆七千億、それが四十四年度上期には四・二倍増の三十二兆四千億に達しておるのであります。この貸し出し額の増加に伴って、貸し倒れ引当金もまた一千六百六十一億円から六千五百三十六億円と、法人税法の積み立て限度額をこえて、約四倍に増加をいたしております。ところが、四十四年上期の実際の貸し倒れ額は、貸し付け額のわずかの〇・一%強、四百十一億円にすぎない。過去十四年間の数字に目を通してみても、貸し倒れ額が貸し付け額の〇・二%をこえたことは一回も、これないのであります。貸し倒れ引き当て額については法人税法、政令で貸し出し額の千分の十五までを認めることになっております。銀行はこの千分の十五の限度をこえて積み立てを行なっており、四十四年下期について試算をいたしてみますと、実に五千五百億円にのぼる利潤が隠蔽されておるのであります。そうして、約四千億円の利益が課税対象からはずされるというごまかしが行なわれているわけであります。
 そこでお尋ねをいたしたい。このように不正な、不公正な引当金制度は廃止してはどうか。百歩譲って、引当金制度を続けるといたしましても、現行の引当金は貸し倒れそのものの実態に即して大幅に制限すべきではないか。(拍手)なおまた、引き当て限度額は租税法律主義によって本法に明文化すべきだと思いますが、総理の御所見を承りたいのであります。
 私は、以上二つの具体例をあげて総理の所信をただしましたが、この二つは租税の特別措置が持つ不公平かつ不公正を典型的に示すものであって、ほとんどすべての特別措置についても言い得るところであります。私は、昨年二月、この本会議場において、同様の案件に関して総理に質問を行ないました。その際、租税の特別措置をめぐる問題点を網羅的に提起いたしましたが、残念ながら、満足な答弁を得ることができませんでした。今日企業は、ことに巨大企業は、会計制度に極力利潤の費用化方式を取り入れ、国家権力をフルに活用し、とどまるところを知らぬ利潤の拡大、急速な資本の蓄積に狂奔いたしております。政府はみずからつくり上げた税体系を、元も子もないほどにくずし去るような特別措置を固守し、新設して、提案をしております。これはどう考えても、国民全体に奉仕する政府の態度ではありません。エコノミックアニマルと呼ばれる国の、巨大独占資本にのみ存在する政府といわれても、弁解の余地がないではありませんか。(拍手)
 総理は、前通常国会において、私に対する答弁で、租税の特別措置は既得権化するか、あるいはまた慢性化しやすい、ややともすればそのようなおそれがあると考え、制度は流動的にその改廃を常に検討しなければならない、と答弁されておるのであります。ところが、この慢性化、既得権化と漢字の熟語を並べてはおりまするが、これをくだいて読めば、ぬけぬけとずうずうしくも特権の上にあぐらをかいておるということにほかなりません。しかも、巨大企業は、たとえば石炭開発開拓準備金など、さらに多くの特別措置を要求して、はばからないのであります。総理は、一体どのように流動的改廃のための検討を行なったか、行なわせたか、具体的にこれを示していただきたいのであります。(拍手)
 施政演説では自画自賛、大いにこれを誇っておりまするけれども、総理が、税制の問題になりますると、また、企業の力が弱い、などと泣き言をおっしゃる。私には非常にこっけいに見えるが、総理は、この際、国民の全体の奉仕者として、近代的、民主的税制を回復するために、勇気をふるって、ほんとうに特別措置の廃止に踏み切るつもりはあるかないか、重ねて承りまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 阿部君にお答えいたします。
 まず、租税特別措置を全廃せよとの御提言でございましたが、そう一挙に極端な措置をとるわけにはまいりません。課税の公平の原則と特別措置のねらいとしている政策目標との調和をはかりつつ、実情に即した改善を行なっていくべきであり、今回の改正におきましても、適切な、ただいま申し上げるような態度で、改善をはかったものでございます。
 利子・配当の課税についても、ただいま申し上げたような趣旨におきまして、所要の改正を行なったものであります。
 今後におきましても、総合課税の原則に帰することを基本的方向としながら、国民の貯蓄の動向や、税制に対する国民の気持ちを十分くみ取りながら、実情に即した改定を考えてまいりたい、かように考えております。
 次に、銀行の貸し倒れ引当金に対する課税が、特に金融機関において有利であり過ぎるとの御指摘でありました。銀行の貸し倒れ引当金の繰り入れ率は、一般的に貸し倒れの実情から見て、かなり高い水準になっており、それだけ課税が甘くなっているという意見もあるように見受けられますので、税制調査会にも御検討願い、十分検討してみたいと、かように考えております。
 以上、簡単なお答えをいたしましたが、残余の問題につきましては、委員会等におきまして十分御審議をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(船田中君) 美濃政市君。
  〔美濃政市君登壇〕
#11
○美濃政市君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました、所得税法、法人税法の一部を改正する法律案について、佐藤総理並びに大蔵大臣に質問をいたし、その所信をたださんとするものであります。(拍手)
 わが党は、従来、所得税、法人税、その他租税につきましても、国民の生活を圧迫しないように、均衡のとれた負担になるようつとめてまいったところであります。
 昭和四十四年の勤労者世帯の生計費は、総理府統計局の調査によりましても、百十万円をこえておりまして、四十五年はさらに景気刺激型の予算であり、政府みずからが物価の上昇を宣伝しておるのでありますから、百二十万円をこえることは確実なものと推定をいたします。
 今回の所得税法改正案は、この点の政策上の配慮が欠けているため、低所得課税対象者は、実質四十四年を上回り、生活費に食い込む重税となることは明らかであります。このような低所得者の担税力を無視し、負担の均衡について国民生活の実態を軽視したものであり、再考を求めたいと考えますが、総理の所信をお尋ねいたしたいのであります。
 第二は、法人税についてであります。
 本年度予算を分析いたしますと、社会保障や教育費は実質低下であり、予算額に比例しまことに遺憾であります。結果は、国民の要求が無視され、反面、防衛費は、国民世論を無視して年々増加を強行し、さらに今後も増加を強行しようとしていると思うのであります。このことは国民大衆、特に低所得者の生活に食い込む重税を強要し、これらの国民階層の希望しない支出が増大するということは、国民不在の最たるものといわざるを得ないと思うのであります。
 先進諸国の法人税率は、現在、大体五〇%であります。わが国では、昭和四十一年に不況対策として法人税率を大幅に緩和し、現行は地方税を含めて四〇%ときわめて低率であります。今回の改正案で二%を引き上げても、四二%と低率であり、不況を回復し、工業の生産は今日世界第二位となった現在、あるいは国際収支も好転した現在、法人税率は先進諸国並みに引き上げ、国民の税負担の均衡をはかるとともに、あわせてインフレ防止の効果とすべきであります。
 第三は、企業の交際費、接待費についてであります。昭和四十三年度の国税庁の調査によりましても、総額七千八百億円が支出されており、昭和四十五年度においては一兆円と予想されておるのであります。物価高騰の一大要因をなしておるといわねばならないと思います。さらに、この支出を通じて供応に該当する行為の疑いもあり、あるいは綱紀の紊乱の発生源との疑いも持てるのであります。したがって、この支出については最低限度を明確にして、これを超過したもの、特に、政治資金に該当する支出も一部見受けられるのでありますから、これらの全額を損金不算入の措置をとり、課税の対象とすべきであると思います。このことは、現況の社会秩序の乱れを回復し、その健全化をはかるためには、総理大臣は、道徳教育を公言する前に実行しなければならない重要な政治課題であると考えるのであります。
 以上の点について、総理大臣の所信を承りたいと考える次第であります。(拍手)
 次に、今回の改正案の具体的な問題点につきまして、二、三大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 すでに申し上げましたとおり、改正案の課税最低限と基準生活費には大幅な格差がついておるのであります。国民の担税力の限界を緩和することは、人間尊重の基本であり、さらに、税に対する国民の合意を得る基本と考えます。したがって、税率の緩和よりも、課税最低限の引き上げをはかり、引き続き実行すべきであると考えるのであります。
 次に、税制度の考え方と態度についてであります。
 今回の改正案は、きわめて客観的に判断して、国民生活の実態把握に欠けていると思うのであります。たとえば、生活費と課税最低限との均衡についても最大の努力を払わず、減税目標の範囲で多少でも緩和すれば国民は喜びなさい、こういう姿勢であり、当然引き上げるべき法人税については、すでに申し上げましたとおり消極的であります。租税につきましても、国民の負担の実態把握についてはきわめて不十分なものがあり、抜本的な均衡対策ではなく、現象のみにとらわれた認識で判断されていると考えられるのであります。国民の担税力を客観的に評価し、財源確保のためには手段を選ばずといった、税法にあぐらをかいた権力的収奪行為が行なわれていると思うのであります。現在市町村の自主財源の多くは、農地、宅地等の固定資産税であります。しかるに、地方財政に対する国民の大きな負担を無視して、公開の席上で、農民は少ない所得税しか負担していないと与党の代表が暴言を吐くに至っては、言語道断といわざるを得ないのであります。大蔵大臣は国民負担均衡を正当に把握してこの改正案を提出したのであるか、とお尋ねを申し上げる次第であります。
 勤労所得に対する源泉徴収方式は、租税がすべて申告納税をたてまえとしておることから、勤労者に対し平等の原則を欠いており、申告納税に改めるべきであると考えますが、大臣の所信を伺いたいのであります。
 最後に、私は、所得税の税率は税法で拘束できると思います。しかしながら、所得を得るための生活費は当然必要経費として認めるべきであり、課税の対象外とすべきであると思います。したがって、課税最低限の設定については、国民の合意が必要であると考えます。
 最近の異常な物価高、特に地代、家賃の高騰は、公社宅あるいは持ち家等との間に異常な格差が発生しておることは御存じのとおりであります。実質生活費が課税最低限を上回っている者は、その実額の控除を要求する権利があると考えます。
 特に、憲法第二十五条との関連においても、実態を無視して、一方的に税法で拘束することは間違いであると考えますが、この点いかようにお考えになりますか。
 国民から確定申告で実質生活費の控除申告が行なわれた場合、また、勤労者についても、給与外の所得のある場合には、確定申告の義務提出を求め、通例は申告を行なわないこととなっておりますが、給与所得者についても、自主申告のたてまえから、その実態に基づいて申告をする権利があると考えます。
 以上の二点の申告が行なわれたとき、どう取り扱う方針であるのか、この際大臣の明快なる御答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 税は、もちろん軽く、公平でなければならない、これらの点は、先ほど阿部君からもお尋ねがあったと思います。しかし、その公平の原則が、一方で、ある政策目標、これを達するために調和をとるという、そういうことも必要でございます。このような点について、詳しくは大蔵大臣からお答えすることにいたします。
 次に、法人税についての税率の引き上げ方が過小だとか、法人税の今後の方針についてどうするかというようなお話がありましたので、お答えをいたします。
 法人税の税率引き上げについてでありますが、今回の改定は、過去における法人税率改定の経過を、主要諸外国の法人税率の水準を考慮し、さらに、現下の財政経済事情を総合的に判断して決定したものであり、必要にして妥当な改定であると、かように考えております。今後におきましても、財政経済事情や法人の企業活動状況等を総合的に判断しながら、弾力的に対処してまいる所存であります。
 次に、交際費課税については、昨年度の税制改正でその強化をはかったものでありますが、なお問題を残していることは、御指摘のとおりと考えますので、来年度の税制改正の際の課題として、税制調査会の御検討を願うことといたしたいと思っております。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#13
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、課税最低限が非常に大事だ、税率引き下げもさることながら、下層の所得者の対策を重視すべしという御意見でございまするが、まことに御意見としては私もそのとおりに考えます。
 しかし、この税率改正が過去十三年間も行なわれなかったわけであります。その結果、まあ子供がやっと一人できました、二人できましたといういわゆる中堅階層、この方々の負担が非常に重くなってきておる。いわゆるサラリーマン課税問題、そういう背景から出ているのだろうと思います。そういうことに着目いたしまして、今回は課税最低限の引き上げ、これもいたしまするけれども、同時に税率の調整もいたしまして、これら中堅階層の生活の安定をはかるという考え方を打ち出したわけでありまして、しかし、今後なお、これらの問題は、将来の問題としてさらに検討をいたしたいと、かように考えます。
 課税最低限につきまして、標準生活費とどういう関連をとったのかというお話でございますが、もう生活がいかにあるべきかということは、これはそのときの経済情勢によることだと思います。しかし、百二万円課税最低限というのは、これは国際水準からいいましてまことに妥当な水準である。大体近代先進諸国の水準に来たものであるということを見ますときに、私は必ずしも当を得ないものとは考えておりません。
 最後に、給与所得者のただいまの源泉徴収制度を申告納税に改めたらどうだと、こういうお話でございますが、そういうことも理論上考えられないわけではございませんけれども、実際問題といたしますと、これは非常に繁雑な納税制度になるわけであります。今日のような源泉制度、そうして一定の控除を設けるというこの行き方、これは私は、国にとりましても、また納税者にとりましても、非常に当を得た妥当な考え方である、かように考えまして、これを改正するという考え方は持っておりませんでございます。(拍手)
#14
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 新東京国際空港公団法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
#15
○議長(船田中君) 日程第一、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#16
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長福井勇君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔福井勇君登壇〕
#17
○福井勇君 ただいま議題となりました新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、新東京国際空港の建設に資するため、新東京国際空港公団に対して、政府が土地または土地の定着物を追加して出資することができることとし、土地または土地の定着物が出資された場合における空港公団の資本金に関する規定、出資の目的とする土地等の評価に関する規定その他の関係規定を整備しようとするものであります。
 本法案は、二月十七日当委員会に付託され、二月二十日運輸大臣より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、三月六日質疑を終了いたしましたが、その内容は会議録により御承知願います。
 かくて、三月十日討論に入りましたところ、日本社会党を代表して内藤委員から反対の意見が述べられ、自由民主党、公明党、民社党の三党を代表して、宇田委員から賛成の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#19
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備の
  ための国の財政上の特別措置に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出)
#20
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#21
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#23
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長菅太郎君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔菅太郎君登壇〕
#24
○菅太郎君 ただいま議題となりました首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、中部圏の都市整備区域及び都市開発区域にかかる建設計画の実施の円滑化をはかるため、首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等に準じて、関係地方公共団体に対して国の財政上の特別措置を講じようとするものであります。
 本案は、二月十七日本委員会に付託され、三月十日大石自治政務次官から提案理由の説明を聴取いたしました。
 本十二日、質疑を終了し、討論の申し出もなく、直ちに採決を行ないましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しまして、中部圏の保全区域の施設の整備のための財政上の特例措置及び指定区域以外の地域に対する区域指定の追加について附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#25
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#26
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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#27
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時五十一分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      荒井  勇君
        運輸政務次官  山村新治郎君
ソース: 国立国会図書館
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