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1970/03/26 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第13号
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1970/03/26 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第13号

#1
第063回国会 本会議 第13号
昭和四十五年三月二十六日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  昭和四十五年三月二十六日
   午後二時開議
 第一 引揚者等に対する特別交付金の支給に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣委員
  長提出)
 第二 自動車損害賠償保障法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 第三 ガス事業法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第四 経済及び技術協力のため必要な物品の外
  国政府等に対する譲与等に関する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 第五 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への
  加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 引揚者等に対する特別交付金の支給
  に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
  委員長提出)
 日程第二 自動車損害賠償保障法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日程第四 経済及び技術協力のため必要な物品
  の外国政府等に対する譲与等に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 国際通貨基金及び国際復興開発銀行
  への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 日程第三 ガス事業法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後二時七分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(船田中君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。
 石田博英君、岡田利春君、田中昭二君、八百板正君、山口敏夫君及び吉田泰造君から、海外旅行のため、三月二十九日から四月七日まで十日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 引揚者等に対する特別交付金の支
  給に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣委員長提出)
#5
○議長(船田中君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#7
○議長(船田中君) 委員長の趣旨弁明を許します。内閣委員長天野公義君。
  〔天野公義君登壇〕
#8
○天野公義君 ただいま議題となりました引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律は、長年の懸案であった在外財産問題の最終的解決をはかるため、引き揚げ者、その遺族及び引き揚げ前死亡者の遺族に対して、特別の措置として特別交付金を支給する趣旨により昭和四十二年に制定されたものであります。
 この特別交付金は、原則として本年三月三十一日まで請求しなかった者に対しては支給しないこととなっており、大部分の方々はすでにその請求手続を終了いたしているのであります。
 しかしながら、戦後二十余年を経過しておりますため、請求に必要な資料の収集などの理由により、いまだ請求されない方々もあるように考えられます。
 そこで、この際、この法律制定の趣旨からして、一人でも多くの方々がその利益に均てんできるようその請求の期限を一年延長し、昭和四十六年三月三十一日までとするとともに、引き揚げ者の引き揚げの日または死亡者の死亡の事実が判明した日が昭和四十三年四月二日以後である場合におけるその請求の期限についても一年延長して、それぞれそれらの日から起算して三年を経過する日に改めようとするものであります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#10
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 自動車損害賠償保障法の一部を改
 正する法律案(内閣提出)
#11
○議長(船田中君) 日程第二、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#12
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長福井勇君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔福井勇君登壇〕
#13
○福井勇君 ただいま議題となりました自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における自動車数の激増に伴い、自動車事故による被害者も年々増加の一途をたどっており、また、自動車損害賠償保障制度発足以来の社会情勢の変化にかんがみ、本制度の改善をはかろうとするものでありまして、そのおもな内容は、
 第一に、自家保障制度を廃止するとともに、国その他の適用除外の範囲を縮小する。
 第二に、休業による損害にかかる保険金等の支払いについて、限度を設けることができることとする。
 第三に、自動車の運行によって他人を死亡させたときは、保険契約者に追加保険料を支払う義務を負わせることとする。
 第四に、農業協同組合等が行なう責任共済の事業によって負う共済責任の六割を政府が保険することとする。
 第五に、一両の自動車について重複する二以上の責任保険の契約が締結されている場合であっても、支払われる保険金は一契約分と同様とすること。などであります。
 本案は、去る三月九日当委員会に付託され、翌十日運輸大臣から提案理由の説明を聴取し、三回にわたり質疑を行ない、なお、参考人の意見を聞く等、慎重審議を行ないましたが、その内容は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 三月二十四日、質疑を終了し、討論の申し出もなく、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案による附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#16
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 日程第三は、これをあと回しとすることに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程第三はあと回しといたします。
    ―――――――――――――
#18
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長毛利松平君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔毛利松平君登壇〕
#19
○毛利松平君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、経済及び技術協力を効果的に実施するため、物品のほかに船舶、建物等についても譲与等ができることとするとともに、相手方についても、外国政府とその機関、国際連合とその専門機関のほかに、一定の国際機関に対しましても譲与等ができるものとするものであります。
 本案につきましては、去る三月二十四日質疑を終了し、二十五日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決いたしました。
 なお、本案に対しましては、長期的視野に立って経済及び技術協力を推進するとともに、あわせて譲与等を行なうことができる物品等の範囲の拡大につとめることなど、三項目にわたり多数をもって附帯決議を付することに決しました。
 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、次の諸点について改正を行なおうとするものであります。
 すなわち、
 まず第一に、政府は、国際通貨基金に対しては四億七千五百万ドル、国際復興開発銀行に対しては二億五千四十万ドルの追加出資をすること。
 第二に、政府は、基金に対し外為会計の負担において出資することができること。
 第三に、政府は、基金に出資するため、外為会計の負担において基金通貨代用証券を発行することができ、また、基金よりその償還の請求を受けたときは、日本銀行に買い取りを命ずること。さらに、基金通貨代用証券により、基金の保有する本邦通貨を取得することができること。
 第四に、大蔵大臣は、外為会計の負担において、日本銀行に対し基金に対する貸し付けにかかる債権を譲り渡し、また、これを日本銀行から譲り受けることができること。
 その他、外国為替資金特別会計法等について、所要の規定の整備を行なうこととしております。
 本案につきましては、去る三月二十四日質疑を終了し、二十五日採決いたましたところ、多数をもって原案のとおり可決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(船田中君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#21
○議長(船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 ガス事業法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#22
○議長(船田中君) 先ほどあと回しといたしました日程第三のガス事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#23
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員会理事武藤嘉文君。
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔武藤嘉文君登壇〕
    ―――――――――――――
#24
○武藤嘉文君 ただいま議題となりました、ガス事業法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、最近におけるガス事業は、ガス需要の激増とガス工作物の大型化、高圧化並びに各種ガス用品の普及等に加えて、いわゆるLPガス等、小規模導管供給事業の出現により、これを取り巻く環境が大きく変化してきております。
 本案は、このような情勢に対処して、公共の安全を確保し、消費者の利益を保護するという見地から、ガス事業法について所要の改正を行なおうとするもので、そのおもな内容は次のとおりであります。
 第一は、一般ガス事業に対する保安規制の強化でありまして、事業の遂行上重要なガス工作物について、工事計画の認可及び使用前検査の制度を設けるとともに、定期検査の実施、保安規程の届け出義務を課したこと等であります。
 第二は、ガス用品に対する取り締まりでありまして、都市ガス用のガス用品について、製造事業者登録等の制度を新設し、表示のないガス用品は販売できないこととするとともに、ガス事業者に対し危険防止義務を課したことであります。
 第三は、簡易ガス事業を新設したことでありまして、いわゆるLPガス等小規模導管供給事業のうち、供給の相手方の数が七十以上のものを簡易ガス事業として公益事業規制を行なうこととし、一般ガス事業に準じた規制を加えることとしたのであります。
 なお、通商産業局ごとに、地方ガス事業調整協議会を設置し、重要事項について調査、審議及び建議をすることとしております。
 本案は、二月十八日当委員会に付託され、三月三日通産大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、慎重に審査を重ねましたが、その詳細は会議録を御参照願いたいと存じます。
 去る二十四日、質疑を終了し、引き続き採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の共同提案にかかる附帯決議が付されたことを申し添えて、報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)の趣旨説明
#27
○議長(船田中君) 内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣中曽根康弘君。
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#28
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法のほか、自衛隊法並びに防衛庁職員給与法の一部改正を内容としております。
 法律案の概要を申し上げますと、防衛庁設置法の一部改正は、自衛官の増員及び審議会等の統合、改組のためのものであり、自衛隊法の一部改正は、准尉制度を新設し、予備自衛官を増員するためのものであり、防衛庁職員給与法の一部改正は、准尉の俸給月額を定めるためのものであります。
 さらに、法律案の具体的内容について、御説明いたします。
 防衛庁設置法の一部改正は、
 第一は、自衛官の定数を、海上自衛隊五百十人、航空自衛隊四百七十四人、計九百八十四人増員するための改正であります。海上自衛官の増員は、艦船の増加に伴い必要となる人員並びに航空関係の部隊、後方支援部隊等の充実のため必要となる人員であり、また、航空自衛官の増員は、ナイキ部隊の新編並びに航空保安管制等の部隊の充実のため必要となる人員であります。
 第二は、現在、防衛施設庁の附属機関として置かれている中央調達不動産審議会と、被害者給付金審査会とを統合して防衛施設中央審議会とし、その組織、所掌事務等を整備するとともに、防衛施設局の附属機関として置かれている地方調達不動産審議会を防衛施設地方審議会に改めるための改正であります。これは、政府の行なう行政改革の一環として審議会等の統合を行なうとともに、防衛施設の運用による障害に関する事項についても広く学識経験者の意見を徴し、民意を反映させることをねらいとしているものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について、御説明いたします。
 その一は、自衛官の階級として、一曹と三尉の間に、准尉の階級を設けるための改正であります。この准尉制度の新設は、自衛隊の部隊等の効率的な運用と、人事の適正な管理とをはかる必要から行なうものであり、あわせて曹の階級の自衛官の処遇改善を目的とするものであります。
 その二は、自衛隊の予備勢力確保のため、陸上自衛隊の予備自衛官三千人、海上自衛隊の予備自衛官三百人、計三千三百人を増員して、予備自衛官の員数を三万六千三百人とするための改正であります。なお、海上自衛隊の予備自衛官は、今回新しく設けられる制度であります。
 最後に、防衛庁職員給与法の一部改正について御説明いたします。
 これは、准尉制度の新設に伴い、准尉の俸給月額を定めるための改正であります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#29
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。大出俊君。
  〔大出俊君登壇〕
#30
○大出俊君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法、自衛隊法、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対しまして、わが国防衛の基本に触れて、以下若干の質問を行ないます。
 佐藤総理、あなたの今年一月一日における年頭の所感によりますと、「七〇年問題は昨年暮れの総選挙で済んでしまった」と言っておられますが、このことばを文字どおり受け取るわけにはまいりません。
 一九七〇年代において、日本政府に対してアメリカが抱いている期待はいろいろあろうとは存じますが、とりわけ日本の軍事力、つまり自衛隊のアジアにおいて果たす役割りについてであろうといわなければなりませんし、それはかかって今後の問題となっているからであります。
 その証拠に、昨年四月三十日ワシントン発APには、「米国務省当局者は、三十日、財界との会談の席上、日本が安全のために、アジア諸国に戦闘部隊を派遣することが政治的に可能になるには、あと十年から十五年かかるであろう。第二次大戦を経験した日本の近隣諸国が、日本の軍隊を受け入れる気になるまでにも同じ年月が必要であろう。日本、韓国、その他東北アジア諸国間では、ある種の安全のための取りきめをしようという要素が少しずつ育っている、と語った」と報じており、この会議では、国務省のロジャース国務長官、リチャードソン次官、ジョンソン次官が演説を行なったともつけ加えられております。十年という歳月は、そう遠い先のことではないのであります。
 このアメリカの期待は、今日、佐藤・ジョンソン会談を経て、佐藤総理の言う国を守る気概、つまり自主防衛の発想を生み、さらに自前防衛の構想を背景としながら、佐藤・ニクソン共同声明となったわけでありますが、「韓国の安全は日本の安全にとって緊要である。」「台湾地域における平和と安全の維持もまた日本の安全にとって重要な要素である。」と述べて、日米の集団的自衛の一致範囲を、韓国、台湾まで広げてしまったわけであります。しかし、ふしぎなことに、求められているはずの自衛隊の役割り、分担が、この声明には全くあらわされていないことであります。
 そこで総理に質問いたします。グアム・ドクトリン、さらにはニクソン外交教書にいう一連の政策は、一体軍事的に日本に何を期待しているとお考えになりますか。アメリカは、条約上の公約は守る、同盟国に核の傘を提供する、戦争の場合はそれぞれ自国の軍隊が第一義的に責任を負う自助の原則をとれというグアム・ドクトリン、そして「極東の安全は日本の責任、米大統領沖繩以後で語る」という昨年末の新聞報道等は、単なる自主防衛だけのものではなく、経済援助はもちろんのこと、将来の展望に立って、武器援助、さらには武力援助を含むものと解すべきだと思いますが、共同声明における隠された部分の一つとして明確にお答えをいただきたい。
 昨年六月二十九日の毎日新聞によりますと、「随時協議、フル活用、日米軍事機関の新設も」という見出しで、「愛知外相訪米の最大の焦点である沖繩基地機能をそこなわないための事前協議の弾力的な運用につき、政府はイエスと言う場合に備えて、随時協議のフル活用と、在日米軍と自衛隊の軍事統合機関の新設を検討している。これは日米間の軍事情報交換をより緊密化する必要に基づくもの」と報ぜられておりますが、軍事統合機関の新設を考えておられるのかどうか。昨年六月二十六日の内閣委員会におきましては、必要あらばつくるという趣旨の答弁を総理はされておられますけれども、この点をつけ加えて、この際、明確にしていただきたいと存じます。
 さらに、事前協議においてイエスと言う場合についての今国会における答弁を要約すると、朝鮮半島で侵略があった場合、国連の認定がなくても、時期を失せず日本の態度決定をしなければならないことがあり得る、米韓条約が発動されるような場合には、在日米軍の戦闘作戦行動の事前協議でイエスという場合が多いであろうということになりますが、この場合、在日米軍が発進をするわけでございますから、当然日本本土が攻撃を受ける場合があり得ると考えなければなりません。理の当然でございます。総理はこの点、相手が侵略をしてきたのだから報復などはあり得ないとか、報復攻撃ということばには抵抗を感ずるなどと今国会で答弁をしておられますが、ことばのあやでごまかすことの許される問題ではありません。国際法上も、日本の基地から発進する以上、この基地を含む日本の区域が攻撃を受ける可能性があることは認めざるを得ないはずであります。この点、明確にしていただきたいと存じます。
 またこの場合、日本の施政のもとにおける領域である限り、安保条約第五条に基づく日米共同戦闘になる。つまり日本は戦争に巻き込まれるこしになると考えますが、あわせて明確な御答弁をいただきたいのであります。
 次に、国防の基本方針について、中曽根長官に承りたい。
 中曽根長官の言う自主防衛の五原則、つまり、平和憲法を守り、国土防衛に徹する、外交と一体となって諸国との調和をはかる、文民統制を貫く、非核三原則を全うする、日米安保で補完する、でありますが、新聞の報ずるところ、受け取り方がそれぞれ異なるように見えるわけでありますが、この五原則は、一体四次防策定にあたっての単なる長官の心がまえを述べたものにすぎないのか、あるいは国防の基本方針を変更して、たとえば非核三原則を全うする、外部からの攻撃に対しては自主防衛を基調として安保体制を補完とするというように、新国防の基本方針中に明定されるおつもりでの発言か、承りたいのであります。
 さらに、国防の基本方針にいう国力とは何であり、国情とは何をさすのかを明らかにされたい。
 中曽根長官は、国力、国情を削り、必要度を第一とすると答えておられるようでありますが、単に自衛のため必要な限度においてということになるとすれば、かつての松野長官の答弁のように、向こう岸が高くなればこちらの岸も高くしなければならないという流儀のように、政治的選択だけになり、財界の強要と相まって、いわゆる軍事大国への前進を早める結果になると考えますが、この点明確にされたいわけでございます。
 さらにまた、かくも重大な発言をする以上は、当然財政当局あるいは国防会議あるいは幹事会等との詳細な相談の上であろうとは存じますが、この点、長官、さらにまた大蔵大臣に承りたいのであります。また、財政当局として、国力、国情がなくなるわけでございますから、年間二兆円の防衛費、つまり西独、フランスの国防軍並みの予算にしろなどという財界の主張、また、そのために経済のバランスをくずすようなことに将来なるとしても、何ら理論的な制約、歯どめがないわけでありますから、この点、財政当局は一体いかにお考えかをあわせてお答えをいただきたいのであります。
 次に、第四次防について承ります。
 特に、国会における長官の答弁によりますと、本土防衛上必要な制空権、を持つ。その範囲は、装備や科学技術の発達などできまる。また、本土周辺の一定の距離における制海権も必要である、と新聞は報じております。これはまことに穏やかならぬ発言といわなければなりません。旧来、航空作戦の見地からする日本の防空態勢は、これは制空権ではございません、Aレーダーサイト捜索範囲、これは高々度で敵機が侵入するときをさします、さらにBレーダーサイト、超低空で敵機が侵入するときをさしております、この二つに分かれております。Aレーダーサイトは、韓国、樺太を含むソビエトの一部にまで及んでおります。この場合、マッハ一・五で中国より東京に至る時間は三十五分から四十分、二マッハの場合には三十分ないし三十五分程度であり、九州の場合を例にとりまして二十五分ないし三十分程度かかります。したがって、侵入機の捕捉は二十分以内となり、比較的本土に近い。しかしこれを広げた場合、当然北朝鮮、中国、ソビエト領を含む結果となるわけでありまして、これは理の当然であります。今月二十三日の人民日報が報ずるように、松村訪中の記事は片すみに追いやられまして、「軍拡進める佐藤政権、日本反動派、軍国主義復活と軍拡戦備促進に狂気」、気違いじみているというわけであります。こう書いておりますのも、これまた当然の結果と、ある意味ではいわなければならぬと存じます。
 昨年八月二十九日に、旧来、韓国、ソビエトを含むことになっておりまして、日米韓共同作戦になるのではないかという追及を受けておりました防空識別圏を公示して、外国に及ばない中身に改めておりますことと比較いたしまして、一体何を考えているのかを疑いたくなるわけであります。加えてAEW、早期警戒機、つまり空飛ぶレーダーを持ち、制海権をというのでありますが、この点まず総理から、最近の国防づいた中曽根長官の御発言について、近隣諸国の批判をも含めまして、これがほんとうに平和外交に徹するという総理の方針に合致するものかどうか、いささか慎重を欠くきらいがないか、私は、この点を明確に伺いたいわけであります。(拍手)
 さらに制空権、今日制空権ということばはなく、航空優勢などと称しておりますが、さらに制海権、これについて中曽根長官より、どういうことを言っておられるのか、納得のいくような御答弁を賜わりたいのであります。
 次に、この法案によると、海上自衛隊五百十人、航空自衛隊四百七十四人、計九百八十四人増員となっておりますが、四次防を前提として以下具体的に中曽根長官に質問をいたします。
 三月一日現在、陸上自衛隊定数十七万九千人、現在員十五万六千五百七十九人、充足率八七・五%、つまり欠員が二万二千四百二十一人あるのであります。海上自衛隊定数三万七千八百十三人、現在員三万五千六百十五人、充足率九四・二%、欠員二千百九十八人。航空自衛隊定数四万一千百八十三人、現在員三万九千四百六十三人、充足率九五・八%、したがって欠員千七百二十人になると存じますが、三月一日でございますが、この数字に間違いがないかどうか。ないとすれば、将来の充足見通しは、一体これはどういうことになるのか。適齢人口十八歳から二十四歳までが大きく減少をし、経済的な伸び、進学率の向上とあわせ考えるときに、今日の制度においてこれ以上望むことには全く無理があるわけであります。
 昨年は、隊員募集、この関係で広報費を含めまして何と四億四千万円にのぼる金を使っているわけであります。また女性の人気歌手まで動員をして募集をしているわけでありますが、明らかに邪道といわなければなりません。定員増をやめていただきまして、現状凍結をおはかりを願い、国民にこれ以上不信を買わぬ方法を御考究願いたいと存じます。お答えをいただきます。
 さらに、陸上において戦車定数千百十両ございますが、現在数はわずかに六百七十一両しかございません。これも実は予算ではなくて、人の問題であります。航空のナイキをとってみましても、スキル、これは熟練度をさしますが、スキル七レベル百九十人ないし百九十五人の要員に対しまして、現在員百八十五人、五レベル五百人の要員に対しまして四百人、三レベルになってようやく千二百人の定員に対しまして千三百人であります。ナイキの国際射撃競技で一位を占めたなどといっておる段階ではございません。総体的に満足なものではないわけであります。四次防を声を大にして云々する前に、足元をまず見ていただかなければならぬということになろうと存じます。(拍手)
 さらに、予備自衛官についてでありますが、今日陸のみ三万三千人の定数でございますが、現在員三万一千五百九十九人で、ここにも千四百一人の欠員を持っております。にもかかわらず、今回この法案は、陸上三千人の増員の提案であります。さらに今回初めて海上三百人をつくるというのでありますが、郷土防衛隊百万人をつくれ、とても人が集まらないと提唱されたのは、ほかならぬここにおいでになります船田さんでございます。現行制度でこれ以上ふやすことは、明らかに無理でございます。やめるべしと考えますが、お答えをいただきたいのであります。
 さらに、准陸尉、准海尉、准空尉の制度の新設でございます。略称准尉であります。かつて兵籍にあった私たちには、略称准尉なるものはなつかしい名前ではあります。しかし、世間一般の人たちは、必ずしも自然体とはいえない直立不動型で勇ましくラッパをお吹きになっておられます中曽根さんの御姿勢とあわせまして、いよいよ旧軍復活近しと受け取りかねぬ今日的事情にあります。まして、先般防衛大学の大森寛校長の卒業式式辞に見られるように、新しい軍人像、軍人勅論の徳目の推奨など、国民のコンセンサスを求める方向では断じてないと存じます。准尉制度をやめて、世間の誤解を解き、別途人間性尊重なり処遇の改善を考えられてはどうか、お答えをいただきたいのであります。
 次に、外務大臣に国連協力について承りたい。
 かつて、国連協力法案が新聞をにぎわしたことがございます。国会論争におきましては、派兵はできないが派遣はできるというニュアンスの答弁まで出ております。
 本年一月三日のサンケイ新聞によりますと、一九七〇年代のわが国外交の柱として国連中心外交を掲げ、「わが国の国連軍派兵とそのための国内世論の啓発を提起しているが、まず自衛隊法の改正をしなければならず、たいへんな政治問題になるため、外務省内でも極秘案の段階だが、政府首脳は国連で発言権をより強力にするためには絶対必要不可欠な措置だと認めており、国会論議を通じてその方向を次第に明らかにしていくものと見られる」、こう本年一月三日のサンケイに書いてあります。
 ウ・タント事務総長が参ります。その新聞の報ずるごとく、この辺で政府の国連強化のその内容、国連軍の派兵の構想を表に出していただきたいと存じます。
 これに関連して総理に御質問をいたしますが、昨年の十月八日、ベトナムから韓国を回りまして日本にやってまいりまして、佐藤総理にお会いになりましたアメリカの統合参謀本部議長ホイーラー氏は、総理と一時間半にわたりまして秘密会談を持っておりますが、この中でホイーラー氏は、ハワイの太平洋統合軍司令部への自衛隊の参加の要請を総理にいたしております。韓国にいる国連軍としての米軍の一個師団が来年撤収をすることについて、これはすでにレアード国防長官がアメリカにおいて明らかにいたしておりますが、韓国は日本がかわって安全保障に努力してくれるならば了承すると言っている、この旨を総理に伝えて、総理はこれを両方とも了承をしたというきわめて確実なる情報を入手いたしておりますが、ホイーラー会談のこの部分について明確なお答えをいただきたいのであります。
 最後に、外務大臣、防衛庁長官に質問をいたします。
 去る三日、リーサー米陸軍長官が議会に提出をいたしました声明によりますと、在日米陸軍の太平洋地域における補給中継基地、これを沖繩に集中するというものであったわけでございますが、東郷アメリカ局長は、沖繩の補給基地化は不可能であると述べております。太平洋全域にわたる補給基地という意味において、安保との関係上この答弁になったものと思いますが、外務大臣よりあらためてこれについての経過と御所見をいただきたいのであります。
 これに関連をいたしまして、防衛庁長官に承りたいのでございますが、前回、私、予算分科会におきまして質問を申し上げましたが、リーサー声明を御存じかと申し上げましたら、情報程度に入手していると言われましたが、今回在日米軍司令部、座間にございますが、これは近く神奈川県の渉外部長に対しまして、県下の陸軍基地に働く三百五十人にのぼる人員整理を通告する確たるニュースが入っております。このうち、旧来問題となっておりました岸根の陸軍病院は全面閉鎖、二百名をこえる解雇、これが見込まれております。さらに小柴の貯油施設なりミルクプラントなり等を含めて、陸軍基地の大半が空海に移管をされるということもほぼ明確になっております。責任のある御答弁を承りたいわけであります。
 また、この例に見られますように、施設庁の情報入手、防衛庁の情報入手がおくれている結果、全く突然、唐突に解雇が続き、昨年末三千人、本年一月以降四千四百人をこえるわけであります。しかも、事前調整期間三カ月が全く無視をされ、生活保障対策は確立されておらず、雇用転用も全く不十分なままであるわけでありまして、まさに人道問題といわなければならぬと存じます。基本労務契約の変更、特別給付金の特例措置、雇用安定法の制定、他産業等への優先就職、政府自治体への優先雇用あるいは全駐労離職者センターへの助成等々、当然責任ある措置をとってしかるべきものと考えるわけでございますが、この点特に明確なお答えをいただきたいのであります。
 二月十八日のニクソン外交教書には、日本ということばが何と六カ所も出てくるわけでございます。まさに真珠湾以来であろうと存じます。
#31
○議長(船田中君) 大出君、時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#32
○大出俊君(続) しかも、米国がそのエネルギーをこれほど使った地域はどこにもない。一世代に三度も太平洋を渡ってアジアで戦うことを要求されたとこの教書は述べております。しかも、アメリカにとってその第一の敵は、いまユニークな役割りが期待されている日本であるはずであります。その日本が、米国の力不足を補う肩がわり役として登場するとすれば、まさに皮肉に満ちた歴史のいたずらといわなければならぬと存じますが、しかし決してこれは他人事ではありません。アメリカの誤算と失敗を繰り返さないために、わが国は何をなすべきか、この問いから目をそむけては七〇年問題は語れないと考えるわけであります。七〇年問題はその意味で決して終わったわけではありません。単なる大国主義や古い釜山赤旗論的発想では、七〇年の国家目標と総理の言う世界文明史的意義が泣くのではないかと思うわけでありますが、この点を申し添えまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 大出君にお答えをいたします。
 ニクソン米大統領は、アジア政策の指針として、米国が条約上の公約のすべてを守ることを明確にしていることは御承知のとおりであります。と同時に、核保有国が米国と集団安全保障条約を締結している国の自由を脅かす場合には、米国は防御手段を提供することも明らかにしており、その他の型の侵略の場合には、米国は条約上の公約に従って、軍事的、経済的援助を行なうが、その場合、直接脅威を受けている国が、自国の防衛のため、第一義的責任を負うことを期待しているものと考えます。お尋ねの趣旨で申せば、米国政府が、わが国の防衛に関し、わが国に期待するところもまた同様であろうと考えるものであります。政府がつとにわが国の防衛に関して考えていたところと異なるものではございません。みずからの手で自国を守るという、この考え方と米国の考え方は一緒でございます。
 次に、しばしばお答えしているとおり、韓国や中華民国のような近隣諸国の安全は、わが国の安全にとって重大な関心事であり、万一これが侵されるような事態が発生すれば、まさしくわが国の安全にとってもゆゆしきことであります。したがって、そのような場合には、事前協議を適正に運用し、前向きの態度をもって事態に対処すべきものと考えております。しかしながら、万一韓国または中華民国における事態のため事前協議にイエスと言うような場合におきましても、自衛隊の行動は憲法の許容する範囲内であることは言うまでもありません。また、自衛隊の海外派遣も含めて、これら諸国に対する軍事による援助を行なうこともあり得ないのでありますから、この点重ねて申し上げておきます。
 次に、みずからの国はみずからの手で守るべきであるという自主防衛の趣旨は、本来独立国の国民として当然持つべき心がまえを説いたものであります。他国の要請にこたえるというものでないことは、理論的にも観念的にもすでに御理解を得ているものと私は確信しております。
 次に、万一韓国に対する武力攻撃が発生し、これに対処するために、米軍が戦闘作戦行動の基地としてわが国の施設、区域を使用することに対し、報復の名においてわが国に武力攻撃が加えられた場合、戦争に巻き込まれるのではないかとのお尋ねがありました。これは申すまでもなく、第二の侵略行為、それにほかなりません。かかる場合に、日米安全保障条約第五条が発動されるのは当然であり、このような仕組みになっていることがわが国に対する侵略を抑止し、わが国の安全を保障する役割りを果たすのであります。この点は重ねて御理解いただくようお願いしておきます。
 次に、中曽根防衛庁長官の発言についてのお尋ねにお答えいたします。
 私は、中曽根長官が真剣にその職責に取り組んでいる姿を見て、たいへん心強く感じているものであります。中曽根君は参議院の予算委員会で、わが国の防衛についての五原則を述べておりますが、いずれも妥当なものであり、平和に徹するわが国の防衛の心がまえを明確に打ち出しております。私は、中曽根長官を全面的に信頼していることを重ねて申し述べてお答えといたします。(拍手)
 次に、ホイーラー統合参謀本部議長との会談についてのお尋ねがありましたが、どういうところから情報をとられましたか、それが明らかでございませんけれども、御質問のようなことを二人で話し合った事実はございません。はっきり否定しておきます。その情報のとり方が間違ったと、私はかように考えます。(拍手)
 最後に、一九七〇年代のアジアにおきまして、わが国の果たすべき役割りはますます重要になるものと考えます。したがって、国際協力によって国連強化のための外交、軍縮外交の推進、南北問題の解決、緊張緩和など、一般的外交施策の中でアジアの平和と安定をはかる努力をいたさなければなりません。この意味からも、軍事的以外の面で日本がますますアジアにおける主体的役割りを果たすことが望まれていると、かように私は考えております。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#34
○国務大臣(中曽根康弘君) 自主防衛五原則についてまずお尋ねがございましたが、正確に申し上げますと、私が参議院で申し上げましたのは、まず、憲法を守り、国土防衛に徹する。次に、外交と一体、諸国策と調和を保つ。諸国間という意味ではございません、諸国策と調和を保つ。第三番目が、文民統制を全うする。次に、非核三原則を維持する。最後は、日米安全保障体制で補充する。これが私の申し上げた五原則でございます。
 これは、四次防を編成するに際しまして、私個人の心組みとしていろいろ考え、またいままで申し上げたことを整理して、こういう心組みでやってみたいと申し上げたのでございます。したがいまして、この議場を通じまして、議会の皆さま方や国民の皆さま方にいろいろ御批判をしていただき、足らざるところがあれば指摘していただき、改めるべきところがあれば改めたいと思っております。
 国防基本方針との関係はどうかという御質問でございますが、国防基本方針検討の際の一つの資料として私は考えております。したがいまして、積極的な御批判をお願いいたしたいと思うわけであります。
 次に、国力、国情に関する御質問がございました。私は、国力とは、その国の経済力あるいは科学技術力あるいは教育の程度、こういうものが指摘されると思いますし、国情とは、憲法そのほかの法令による条件あるいは政治の情勢、あるいは国民的コンセンサスや世論の動向、こういうもの昭和四十五年三月二十六日 衆議院会議録第十一を国情というのではないかと思います。
 この国力、国情に対して言及いたしましたのは、国力、国情という考えを四次防から将来にかけて持続してよろしいかどうか、多少疑問があるからであります。と申しますのは、日本は御存じのように経済力が非常に伸びて、GNPが、ある説によれば、十年後には百四十兆くらいになるとすら見込まれております。国力に応じということになりますと、たとえば経済力というものを例にとりますれば、これに比例してとられるおそれもあります。そうしますと、GNPがこれだけぐんぐん伸びていくときに、ただ比例して防衛力や費用をふやしていいかどうか、そういう意味において、ブレーキ的意味において検討する必要があると私考えたのでございます。
 そこで、外交と一体、諸国策と調和を保つという意味は、社会保障費とか教育費とか、あるいは公共事業費とか、そういう諸国策の中における防衛費というものを考える必要がある。そして、政治の側において、経済力の増大とかなにかというものに必ずしも比例しないで、むしろ選択の主体性を持つ、政治の側における意思と選択を非常に重要視して、この調和を保つという表現を考えたわけでございます。
 それから、四次防についてのお話がございましたが、私は、日本の防衛というものは、日本の自主的防衛プラス集団安全保障という組み合わせで行なわれていると考えます。これが妥当であると考えるのであります。したがいまして、日本の防衛に関しては、日米安全保障体制との関係においても考えなければならぬと思うのです。それで、日米安全保障体制と日本の防衛との関係をいろいろ分析してみますと、たとえば昭和二十七年に日本が独立しましたときは、日本の防衛力はほとんどゼロです。したがって、ほとんど大部分はアメリカに依存いたしました。そのために、条約その他で不平等なところがございました。たとえば裁判権がないとか、地位協定がNATO諸国と比べて不平等であるとか、あるいは内乱条項があるとか、いろいろございました。そこで、昭和三十年代に国力がだんだん伸びてきまして、昭和三十五年の新安保条約に改定されたと思います。新安保条約によりまして、内乱条項を削除する、事前協議をつくる、地位協定を改革する、あるいは期限を十年にして再検討のチャンスを設ける、こういうふうにして日本の発言権がかなり出てきて、日本の自主性は一歩前進したと思うのであります。
 その後さらにまた日本の経済力が上昇してまいり、国民的コンセンサスもだんだん固まってまいりまして、今度は十年目になって、六月二十三日に安全保障条約のおそらく自動継続が行なわれるだろうと思われます。そうなりますと、一年の予告でいつでも安保条約は一方的にやめられるということになります。こういうような情勢を控えて、日本がみずから行なうべき分野をさらにつとめていくという段階に日本の情勢は入ってきていると思うのであります。
 そういうようにして、日本が本来あるべき姿に返っていく、自分の国は自分で守るべきである、足りないところは友好国と協力し合う。自分の国は自分で守るべきであるという自然体に必ずしも日本はいままで完全になっていなかったわけであります。アメリカに依存する部分がかなりあったわけであります。したがいまして、このようにある程度国民的な充実を示してきましたおりから、自分で行なうべき分野を回復して、そしてアメリカと協力すべき分界点を明確にして、いままでのようにややもすればアメリカに対してばく然と期待するとか、無原則的に依存するとか、そういうものを一掃して、日本としてなすべき分界点をある程度国民の前にも明確にすることが望ましいと思うのであります。
 そういう基本線に立ちまして第四次防というものを考えていってみたいと思うわけであります。
 その際に、制空権とか制海権というおことばが出ましたが、制空権というのは、昔、第二次世界大戦ごろ使われたことばでありますが、このことばが適切であるかどうかは疑問であります。要するに、たとえば日本の領域の上空、日本本土の上空、この上空に敵の飛行機が乱舞して、日本人がなすことを知らずという状態では防衛は全うできない。そういう意味において、日本の本土及びその周辺において、日本の航空優勢を確保しておく地域、そういうふうに考えていいと思うのです。権といって、何か特定の地域を設定して、ほかに絶対入れないというような、そういう固定したものではなくして、要するに、日本の本土防衛のために、領土の上空を中心にして、日本の航空優勢を防衛のために確保しておくべき地帯、周辺地域、そういうように考えて、それは国土防衛のために当然必要であると私は考えるのであります。
 制海権という考え方につきましては、たとえば港湾であるとか、海峡であるとか、あるいは近海航路であるとか、そういうような日本として存立していく上に必要な領海並びにその周辺地域に関しても、やはり日本の海上優勢を確保しておく必要があります。本土防衛に必要な範囲内において、そのような地帯における優勢を確保しておくという考えを申し上げたのでございます。これは防空識別圏とは別であります。防空識別圏は、領空侵犯に対処するために、たとえば日本海の特定の地域について敵、味方の飛行機が何であるかということを識別する、その識別に必要なためにつくられた線が防空識別圏でありまして、これは制海権や制空権とは関係ございません。
 次に、定員の充足の問題でございますが、大出議員が申されました数字は間違いございません。しかし、確かに御指摘のように、充員は非常にむずかしいのであります。経済成長につれて産業方面に要員がみんなとられておる情勢でもあります。そこで、やはり自衛隊の自衛官というものは、日本の若い技術者群としてこれをとらえたほうがよろしい。現在は航空要員にいたしましても、海上要員にいたしましても、ほとんどコンピューターを使ったり、電子計算機を使っていろいろやっておるわけです。陸上要員にいたしましても、ホークを使うとか、あるいは戦車やその他も非常に高度の技術を要する部隊になっております。それが望ましいわけであります。
 現在、日本の自衛隊の構成を見ますと、人件費プラス糧食費が全経費の五一%ぐらいです。しかし、アメリカ軍になると、それが三〇%台です。イギリスやドイツでも四二、三%台です。そういう点からしましても、資本装備率をもっとふやして、機械化して、人力を少なくしていく、つまり省力化ということが自衛隊にも非常に必要であると思うのです。日本の若者を、できるだけ効率をよくして、そしていい気分で自衛隊で働いてもらう、そういう環境をつくるように、頭の切りかえもやっていきたいと思います。
 また、自衛隊というものは、ある意味においては国民教育の場でもあります。自衛官は各方面で引っぱりだこでありますけれども、そういう意味において、国民教育の場としてもわれわれは考えていきたいと思います。そういう問題のために、待遇を改善して、魅力ある自衛隊にしていきたいと思います。私は、着任以来このために、自衛官の人間尊重とか、あるいは隊舎、官舎その他の待遇改善に努力いたしまして、約十七億円、去年から見ますとその部分だけの予算も増加しておりますが、そのような人間尊重は、さらに徹底してまいりたいと思います。
 戦車の不足について御指摘がありましたけれども、これは操縦員の不足ではなくして、米軍から貸与された戦車の大幅な更新期に入っております。操縦員はございますけれども、戦車がそのために足りないというのが実際の状態でありまして、操縦員の不足という点はございません。予備自衛官につきましては、これは防衛出動が下令されましたときに後方勤務を行なってもらう、あるいは損耗した場合の補充に使う、こういう考えで、せっかく自衛隊で働いてくだすった皆さま方にそのような御労苦を願うという考えでつくられたのでありまして、現有勢力を多数かかえておるよりも、このほうが頭のいいやり方である、こう考えます。
 准尉制度につきましては、これは曹クラスの待遇改善を含めまして、尉官に準ずる地位を与えて士気を鼓舞しようという考え方でもつくられておるのであります。
 リーサー長官の言明につきまして、沖繩に兵たんを集中する云々ということは、正式にそういう報告はまだございません。しかし、想像するに、そういう方向にいく傾向ではないかと私は考えております。
 人員整理の問題につきましては、岸根の陸軍病院の廃止についてはそういう徴候は少しございます。しかし、正式に廃止するということはまだわれわれのほうには参っておりません。
 それから、いろいろな人員整理の問題につきまして、予告期間三カ月を確保するとか、いろいろ御指摘がございました。その点につきましては今後も努力してまいりますが、この暮れに差し上げました特別給付金は、去年、年末を差し控えて急遽整理されたという特殊事情がありましたので差し上げましたので、今日これを復活して差し上げるということはかなりむずかしい情勢にございます。なお、その中でも期日が非常に短くして整理されるという人もございます。こういう人たちのためには、整理の時期をさらに延ばしてもらうように、それから再就職につきましては万全を期すように、目下努力している最中でございます。いずれにせよ、整理に当たられる方々は非常な犠牲を負担されることでございますから、われわれも親身になって、いろいろできるだけの努力をさしていただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#35
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対するお尋ねは二つでございますが、第一に国連協力の問題、申すまでもなく国連に対する協力は、日本外交の基本方針の一つでございます。この国連協力を強化いたしたいと考えておりますけれども、そのことといわゆる海外派兵問題とを直ちに結びつけて考えるのは、私は当を得ているとは思われないのであります。政府といたしましては、国連の活動がきわめて広範多岐にわたっております以上、これに協力するしかたにも多種多様の方法があるのは当然であると考えております。たとえば、国連の現在の機構におきましても、国際平和維持の活動の改善のために平和維持活動特別委員会というものがございますが、この活動を、日本ができれば指導的な立場に立って活発な活動をしてもらいたい、あるいは現在わが国が立候補いたしましたが、安保の非常任理事国に当選することができますれば、積極的な貢献を行なうことにいたしたい、あるいは軍縮委員会におきましては、すでに相当積極的な努力を傾けておりますが、こういったようないろいろの場において、従来に増してより積極的な態度で臨むということが適当であろうと思っております。いずれにいたしましても、平和国家として平和憲法を守り、これを順守するというそのワク内で国連の活動に一そうの協力をいたしたい、これが基本の姿勢でなければならないと思います。先ほどおあげになりました新聞の記事は、そういうわけでございますから、政府の方針を伝えたものではございません。
 それから第二は、アメリカの陸軍長官のリーサー氏の発言の問題でありますが、これは三月三日に上院の軍事委員会で発言されたものの中の一節でございますが、要するに、この考え方は、情勢の推移に対応してアメリカ陸軍の補給機能を簡素化する、効率化したい、こういう発想に出ているもののように私は理解いたしております。ただいま防衛庁長官から御答弁いたしましたように、政府としては、こうした考え方に基づくアメリカ側の見解あるいは協力の要請というものを受けておりませんけれども、ただいま申しましたように、この発言の内容はそういうことをねらっているものではなかろうかと、現在分析をしておるわけでございます。しかし、この点についても、先ほど政府委員の答弁を御引用になりましたが、政府といたしましては、安保条約の目的あるいは範囲、そういうことを越えての、かりに計画がありといたしましても、それを越えるようなものでございますれば、これに同意する考えはございませんということを明らかにいたしておきたいと思います。
 以上、御答弁申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#36
○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
 私に対しましては、まず第一に、中曽根防衛庁長官のいわゆる防衛五原則、これは事前に相談があったかというお話でございますが、これは事前には何の相談もございません。しかし私は、参議院の予算委員会においてこの問題に関する中曽根長官の発言を聞きました。まことにりっぱな内容のものである、かような感想でございます。長官は、いままで国力、国情に応じて漸進国に自衛力を増強する、これがわが国の方針だったが、その国力というのがひっかかる、国力というとGNPの増加、これが含まれるじゃないか、そうすると経済が伸びさえすれば防衛力は幾らでも大きくしていいんだ、こういう印象になっちゃ困るといって、歯どめとして各政策の中の総合的バランス、また内外の情勢判断、こういうことを加えよう、こういうことで、まことに私は適切な発言であった、さように感じました。まあ、これはむしろ大蔵大臣の発言としても不自然ではないというくらいに存じた次第でございます。(拍手)私は、この発言を尊重して、この趣旨に沿って第四次防に臨むべきものであると、財政当局においてすらそう考えます。(拍手)
#37
○議長(船田中君) 鬼木勝利君。
  〔鬼木勝利君登壇〕
#38
○鬼木勝利君 私は、公明党を代表いたしまして、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案等、いわゆる防衛三法について、総理並びに防衛庁長官に対し若干の質疑を行なうものであります。
 まず、一九七〇年代のわが国の安全保障政策のビジョンについて、総理にお伺いをいたしたいと思うのであります。
 まさに一九七〇年代は軍縮の時代であるといわれておりまして、アメリカにおきましても、七一年度予算教書で、国家目標を、大砲よりも生活優先へ、と大きく方向を転換させ、予算総額に対する国防費の割合を一九五〇年の第二次大戦動員解除時以来の最低とし、防衛費の大削減をはかっております。社会環境の整備、人間優先の政策へと方向を変えつつある現状でございます。これは単にアメリカのみならず、イギリス、フランスあるいはソ連においても、防衛費の削減が行なわれておるのであります。かくのごとく、世界各国が軍縮の七〇年代という強い意識の上に立っていることは、周知の事実であります。
 こうした情勢下におきまして、ひとりわが国のみがそれとは逆に、軍事力を増強しようとする傾向が顕著となってきておることは、まさに時代に逆行するものといわざるを得ないのであります。(拍手)
 本年度の防衛関係予算は、自衛隊発足以来の大幅な伸びを示し、その増加率は、軍事費を削減し、抑制せんとしている米ソ両国はもちろんのこと、ヨーロッパ各国の増加率をはるかにしのいでおるのであります。
 わが国の安全を保障するためには、まず第一に、日本の周辺に戦争が起こらないようにすることであります。第二に、かりに戦争が起こっても、絶対にこれに巻き込まれない。第三は、敵対国をつくらない。こうしたことでございます。国際緊張の緩和をはかる多面的な平和外交こそがまさに重要でありまして、いたずらに軍事力偏重の安全保障政策は、最も当を得ていないものだと私は申し上げたいのであります。
 こうした観点に立って、政府は、一九七〇年の現下の国際情勢について、どのように分析しておられるか、またどのようにして、わが国の安全保障を進めていこうとしておられるのか、一九七〇年代の安全保障政策のビジョンを明らかにしていただきたい。総理並びに防衛庁長官の御見解を承りたいのであります。
 次に、第四次防整備計画でございます。長官にお尋ねをいたしたい。
 四次防の総経費を国民総生産の〇・八%から一%の範囲にとどめ、六兆円前後と発言しておられますが、わが党は、政府の四次防策定の基本政策には反対するものであります。むしろ七〇年代は、内政の充実、すなわち、国民生活の向上と安定をはかる生活防衛を最優先させるべきであると考えますが、総理並びに長官の御所信を承りたいと思うものであります。
 また、四次防の策定基準は、国民の納得するものでなければならない。その算定基準が、海外に派兵している国、あるいは分裂国家、国情不安定な国等の各国に比較して決定するということは、これは誤りであります。国民総生産で判断ができないところであります。こうした観点より、長官の御説明を承りたいと思うものであります。
 次に、政府の防衛計画に対する基本政策は、今日まですこぶる断片的で、しかも不明確でありまするが、最近、長官は、自主防衛五原則なるものを発表されました。先ほどお話があったとおりでございます。しかし、これは従来からの総理並びに歴代長官の発言をただまとめ上げたものにすぎない。
 そこで、私は長官にお伺いしたい。国土防衛に徹する防衛が近隣諸国に脅威を与え、なおかつ、アジア第一の大規模な武力増強で一体よいのか。
 第二に、外交と一体となって調和をはかると言われるが、いかなる外交のビジョンとスケジュールをお持ちであるか。
 第三点に、非核三原則を全うするならば、なぜこの国会で決議をされないのか。
 第四に、日米安保はいつまで補完するのか。国民の前にこの点を明瞭にしていただきたい。
 次に、三次防の進展状況と四次防の構想との関係についてでありまするが、長官は、今秋までに第三次防の総点検を終え、四次防の原案作成を終了したいとの考えをお持ちのようでございまするが、今秋までに原案を作成完了したいとする長官の御意図はそもそも那辺にあるか、その点をお伺いいたしたい。
 次に、自主防衛力の強化と四次防との国連についてお尋ねをいたしたい。
 過日の衆院予算分科会で、長官は、制海、制空権の確保、戦闘機によるパトロール体制の確立、公海上における侵略排除のための対艦爆撃機、対潜水艦作戦用空母、これらの必要性を述べておられますが、これは明らかに自主防衛に名をかりた軍備拡張であり、攻撃的兵器を自主防衛の中に取り入れることでありまして、明らかに五原則に反するものであり、われわれといたしましては、断じて承認できないところであります。
 また、長官、貴職は参院予算委員会で、攻撃力は日本としては持てないと明言をしておられる。しかるに、実態は五原則と相反して、まことにもって不可解千万でございます。こうした矛盾点について明確にお答えを願いたい。
 そもそも、自主防衛という表現は何を意味するのか。佐藤総理が常に強調されております、みずからの国をみずから守る気概だ、これを自主というならば、わが国の防衛義務を定めた日米安保条約は当然解消されてしかるべきではないか。この点、総理並びに長官にお尋ねをいたしたい。
 さらにまた、自主防衛の許される範囲は、領空何キロ、領海何海里のものか、その限界を明確に、長官、お答えを願いたい。
 次に、自主防衛と防衛産業についてお伺いをいたします。
 長官は、かつて、財界との懇親会の席上、防衛庁としても総合的防衛力をさらに充実するために兵器の技術開発、国産化に格段の努力を払うと発言をされております。本年度予算にもわが国初の国産揚陸艦建造費が計上されており、また対潜飛行艇等も計上されておるわけでございます。長官が常に強調されるところの自主防衛の強化、四次防における空、海力の強化等まことに符節を合わせており、今後一そうの国産兵器、武器等の大量生産が行なわれることは必定であり、いわゆる産軍一体化問題は、今後財界の強い要請となって政府に迫ることも予想されるのであります。世界各国においてもその弊害が見られ、こうした一体化を防ぐ歯どめとしていかなる方策を考えておられるか、総理並びに長官にお尋ねをいたしたいと思います。もし、これを可とするならば、政府のいう自主防衛とは事実上再軍備であり、いつか来たみちに逆戻りするものといわざるを得ないのであります。
 従来の微温的な武器輸出三原則は承知いたしておりますが、今後はいかなる国にも武器輸出を禁止するの法を制定する用意が、あるいは御意思がおありであるやいなや、その点を総理にお尋ねをいたします。
 陸上自衛隊は、昨年六千名の大量定員増加が強行され、現在十七万九千名を数えるに至っております。しかし、その充足率は四十四年十二月末八七・五%、二万二千四百余名の欠員であります。実質的には二、三個師団分不足している実情であります。諸種の事情からいたしまして、七〇年代の欠員状況を考えたとき、その募集について、現状よりさらに困難になることは、火を見るより明らかであります。隊員募集に万策を用いるのは最も拙策であります。私は、人間尊重の立場から、隊員の最高の待遇改善こそが急務であり、たとえば医官の充足、訓練時の事故補償等の処遇改善こそ先決であると主張するものでありまするが、長官の勇断にして、かつ温情をもって、隊員の処遇をより以上に改善をされるお考えはなきや、その点をお伺いいたしたいのであります。
 長官は、去る三月七日の衆院予算委員会において、「自衛隊員の完全充足は必ずしも必要ではない。少数精鋭主義で、隊員の質の向上をはかることに重点を置く一方、予備自衛官など潜在力を強めることが必要だ」と、自衛隊についての基本的な考え方を述べておられます。したがって、長官自身、十八万体制の限界を感じられているのではないか。私は、池田・ロバートソン会談によって、十八万体制の推進がはかられてきた整備計画自体を抜本的に再考慮するときがきているのではないか、この点について、長官に明確にお答えを願いたいのであります。
 なお、予備自衛官三千三百名の増員をせんとしておられます。先ほど御説明のあったとおりであります。隊員の充足にやっきとなり、しかも、その補充もできない、そういう事情のもとに、そういう未解決の諸問題をかかえておりながら、予備自衛官の増員を強行しようとする理由は、十八万体制を確保することによって、わが国の防衛のためという名目において、やがては国民皆兵への布石となる危険きわまりなきものであるといわざるを得ないのであります。
#39
○議長(船田中君) 鬼木君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#40
○鬼木勝利君(続) 自衛隊十八万体制をさらに増強するならば、もはや徴兵制をしく以外にないと判断するものでありますが、長官は、この十八万体制をあくまで強行しようとするのか、徴兵制をしく考えは全くないとお考えになっておるのか、貴職の見解を明確に御答弁願いたい。
 最後に、わが国の安全保障の基盤は、国民生活の向上、政治的、経済的、社会的な安定と発展であり、社会保障の充実等を基盤としない自衛力は、真の安全保障力とはなり得ないということをわが党は強く主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#41
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 鬼木君にお答えをいたします。
 御指摘のように、わが国のなし得る範囲で軍縮外交の推進をはかっていくのは当然であります。しかしながら、理想を高く掲げると同時に、現実のわが国の安全保障政策としては、国力に応じた防衛力の整備をはからなければならないこともまた明らかであります。
 国際情勢の分析につきましては、施政方針演説で明らかにしたとおりであります。
 日米安保条約を引き続き堅持するという方針は、さきの総選挙、これで国民の圧倒的支持を受けたものと私は確信しております。
 申し上げるまでもなく、自主防衛とは、国民の一人一人が自主独立の気概を持ち、国の防衛は、第一次的にはみずからの力で行なうというものであります。しかし、このことは、集団安全保障体制を否定するものではありません。今日の国際情勢、軍事事情を勘案し、また、わが国の憲法上のたてまえや防衛力の現状を考慮した場合、自主的な防衛努力を行なうとともに、わが防衛力の足りないところにつきましては、日米安保条約による米国の協力を期待するという従来からの政府の方針は最も現実的なものである、かように私は確信しております。
 次に、武器輸出についてお尋ねがありました。政府としては、いわゆる三原則で武器輸出規制の目的が達せられているものと考えており、今後ともこの三原則により従来どおり対処する考えであります。
 なお、御指摘のありましたような、いわゆる産軍一体化という現象は、現在のところ存在しておりません。また、政府としては将来ともかかる弊害が生じないよう努力する所存であります。
 以下の点につきましては、中曽根長官からお答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#42
○国務大臣(中曽根康弘君) 一九七〇年代の情勢について述べよとまず御質問なさいましたが、簡単に見通しを申し上げますと、世界大戦はないだろうと見通されております。しかし、局地戦争とか代理戦争とかいうものは、現在中近東やベトナムに行なわれているように、十分可能性があると思います。最近の情勢から見ますと、大きな核戦争というものはないとしますと、やはり政治と軍事が混在いたしまして、政治的な軍事、あるいは軍事的な政治というような形で国際情勢は流れていくと思います。片一方で戦争したり、片一方で和平会談をやったりというのが現在の情勢でございますが、日本の場合も、敵の大艦隊が舳艦相含んで日本に上陸作戦を敢行するというようなことは、ちょっといまのところ考えられないと思います。それよりも、やはり国民の合意、国政の安定ということが現代においては非常に重要であると思います。特に、そういう意味におきましては間接侵略、これに対応する間接戦略というようなものが、政治としては非常に重要視さるべきであると考えます。
 次に、四次防の基準についてお尋ねがございましたが、目下のところ、先ほど申し上げましたような五原則を考えて心組みにしておるわけです。それでやはり防衛というものは、客観情勢に応じて行なわれるものでございますから、環境がどういうふうに推移していくか、またそれに応じて日本の必要度がどの程度あるのか、それに伴う経済力や国民の世論の反応というものはどういうところにあるのか、社会保障や教育研究費とのバランスはどうであるか、そういう総合的な、多元的な判定をしながら、防衛のあり方というものをきめていきたいと思います。数量もさることながら、数量よりも、その運用する思想あるいは考え方の基準というものが非常に大事ではないかと思います。
 次に、自主防衛につきまして幾つか御質問がございましたが、私は、安全保障条約と自主防衛の結合というやり方は、当分日本にとって必要ではないかと思うのであります。そうして、特にことし以降、一年の予告で安全保障条約がいつでも一方的に廃止できるという段階になりますと、やはり日本としても、かなりの部分、本土防衛に関することはできるだけ日本でやるように国民として努力して、日本を本来あり得べき姿に戻していくべきである。もちろん憲法の範囲内においてやるべきでありますが、そういう努力を国民としてやらなければならぬと思います。特に外国に依存する部分が非常に多い場合には、いざというときに外国に引きずられる要素が非常に多くなるわけであります。自分でやれる部分が非常に多ければ、それだけ自主性が確保されるわけであります。そういう点からいたしましても、外国に引きずられる可能性をなくしておくということは、われわれとしては非常な努力をしなければならぬと考えております。
 外交との関係におきましては、わが国は一貫して国連中心の平和外交を唱えておるのでありまして、防衛もこの外交方針と一体になって、外交に追随していくべきものである、このように考えます。
 安保条約をいつまでやるかという御質問でございますが、現在の国際情勢を見ておりますと、核兵器による抑止力というものはアメリカに依存せざるを得ません。日本が核兵器にまで手を延ばして大量の国費を乱費するとか、国民的コンセンサスを崩壊させるとかいうようなばかな政治はやれないと思います。そうして、攻撃的兵器は日本は持てません。そういう意味からも、核兵器や攻撃的兵器は安全保障条約を通じてアメリカに期待せざるを得ぬのでありまして、現在の情勢が続く限り、私はアメリカと日本との安全保障体制による提携は、半永久的に必要ではないか、特に太平洋を平和な海にしておくということが、アジアの安定のためにも非常に重要であると私は感じております。
 四次防の時期につきましては、四次防は四十七年から開始する予定でありますので、来年の夏ごろまでに国防会議で決定し、閣議で決定したいと思っております。そのために、ことしの秋ぐらいまでに防衛庁内部の考えをきめたいと考えておるわけであります。
 制空権や制海権につきましては、先ほど御説明を申し上げました。われわれは、攻撃的空母とか、中長距離ミサイルとか、あるいは他国の領土まで爆撃するB52の爆撃機のような、ああいうものは持たない方針であることは、前から申し上げたとおりでありまして、自主防衛と何ら矛盾するところはございません。
 防衛産業につきましては、私は、防衛というものは国民全体でやることであって、主力は国民の心にある。防衛庁や自衛隊はその最前線の一部を負担して、分担しているところである。国民の心が崩壊したらすべては崩壊する。そういう考えに立ち、その国民の全体の力の中には、経済力や工業力や産業力も入っておると思います。そういう意味におきまして、兵器を供給したり、弾薬を供給するという防衛産業もまた大事であり、必要であると私は考えます。しかし、これが必要以上に膨張したり、政治に対して圧力を加えるということは堕落でありまして、このようなことは断じて行なわないようにわれわれは戒心し、また、防衛産業当局に対しても、そのように私は厳重に申し渡しているところでございます。
 しかし、日本の経済力や民間の技術開発能力を最大限に活用するということは必要であるだろうと思います。官庁で全部やるということはできません。むしろ民間の技術力を活用するということを考えていきたいと思います。
 また、産軍コンプレックスを防ぐための天下りの規制ということも非常に重要であると考えます。そこで、防衛庁設置法のワク内におきまして、第三者の審査機関を立法によってつくろう、このようにいま考えて、法案を策定している最中でございます。
 定員充足の問題につきまして、待遇改善を御主張していただきましたが、まことに同感でありまして、御協力を心から感謝する次第でございます。
 予備自衛官につきましては、いま予備自衛官の充足率は一〇〇%でございまして、このやり方が賢明であると思います。
 国民皆兵であるがゆえに徴兵するのではないかという御質問がありましたが、現憲法下徴兵はできないことでありまして、徴兵はいたしません。
 さらに、国民生活の安定、社会保障の重要性を御指摘なさいましたが、まさに同感でありまして、社会保障とのバランスも十分に考えてやっていく予定でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#43
○議長(船田中君) 渡辺武三君。
  〔渡辺武三君登壇〕
#44
○渡辺武三君 私は、民社党を代表して、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に関連いたしまして、若干の質問をいたしたいと思います。
 特に、私は、この際、わが国の防衛の基本に触れる幾つかの問題点について、以下順次お伺いをしたいと存じます。
 質問の第一点は、自主防衛の基本についてであります。
 われわれ民社党は、すでに四十二年以来、みずからの国はみずからの手で守る、いわゆる自主防衛体制の確立を主張いたしてまいりました。最近に至って、政府も、自主防衛こそがわが国防衛の基本であるとの姿勢を示し出したことは、そのこと自体はわれわれも率直に評価をするものであります。特に総理は、今国会冒頭の施政方針演説において、国力、国情に応じて自衛力を整備し、その足らざるところを日米安保条約によって補完する政策を述べ、自衛力が主、安保が従という立場を正式に認めたことは、一歩前進といわなければなりません。これまで政府は、三十二年閣議決定された国防の基本方針において、米国との安全保障体制をわが国防衛の基調とする方針を明らかにし、これを堅持してきました。したがって、自衛力が主、安保が従という今回の方針は、その意味でわが国防衛の基本政策を大転換したものといわなければなりません。
 そこで、佐藤総理にお伺いをしたい。本年に入ってこのような防衛の基本政策を変更した理由は那辺にあるのか、まず国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 質問の第二点は、政府のいう自主防衛の具体的な中身についてであります。
 特に、自衛力の内容を推しはかる一つの重要なポイントは、防衛予算の額とその内容であることは多言を要しません。この観点から、四十五年度の防衛予算案を評価しますと、確かに額としては大幅にふえ、予算額の伸び率は一七・七%と、これまでの最高の伸び率を示しております。むしろ、このままの伸びでは、七〇年代半ばにして、わが国の防衛費は、五大核保有国に次ぐものとなり、わが国が軍事大国への道を再び歩む危険性すら生じております。
 そこで、お伺いをしたい。政府のいう自主防衛とは、防衛予算の中にどのように具体化をされたのでしょうか。防衛予算の増額など、量的な拡大をはかることだけが、政府のいう自主防衛の中身なのか、それとも、質的な面で変更があるのか、あるとすれば、四十五年度の防衛予算案にどのように具体化されたのか、明確にお答えをいただきたい。
 質問の第三点は、自主防衛の前提となるわが国防衛体制の質的再編についてであります。
 われわれは、自主防衛とは単なる量的なものではなく、わが国防衛体制の質的再編を前提とするものでなければならぬと確信をいたすものであります。この見地から、われわれは、その具体的方途として、すでに幾つかの提案をいたしております。しかし、時間の関係もございますので、ここではそのうちの一点についてのみ、政府にそれを具体化する決意ありやなしやについてお伺いをしたい。
 それは自衛隊の質的再編についてであります。すでにアメリカ、イギリス、カナダ等の諸国に見られるように、いまや防衛体制は陸、海、空という三軍縦割りの防衛体制から、任務別の部隊編世による合理的、効率的な防衛体制へと移っているのが現状であります。しかしながら、わが国は旧軍以来の伝統をそのまま受け継ぎ、三自衛隊縦割りのまま、しかも三自衛隊のバランスの上に防衛体制が築かれているのがその現状であります。たとえば、わが国の防空体制一つを見てみましても、同じ防空兵器でありながらも、ナイキ、ホークは陸上自衛隊、ナイキJは航空自衛隊というぐあいに、防空という任務が陸、空ばらばらに行なわれているという姿であります。そこで、われわれば、このような三自衛隊縦割りの防衛体制を改め、三自衛隊の任務別再編を断行し、わが国防衛体制の効率化、近代化を行なうべきであると考えますが、総理並びに防衛庁長官の所見を伺いたいと思います。
 質問の第四点は、自主防衛と在日米軍基地との関係についてであります。
 すでに政府は、在日米軍基地の自衛隊移管について、積極的な姿勢を示されていますが、われわれとしても、この方向は当然であろうと考えます。しかし、なお、その基本方針ともなるべき在日米軍基地の存在そのものに対する今後の位置づけ並びに整理、移管の方針が明らかにされておりません。米軍基地の今後の取り扱いいかんは、わが国の自主防衛体制の確立と不可分の関係にあることは間違いありません。すなわち、それはわが国防衛体制のうち、米軍にはどこまでを依存し、どこまで自主防衛の範囲とするかの問題にほかならないからであります。その意味で、政府が自主防衛体制の確立をいわれる以上、この際、米軍基地の今後の取り扱い方針をここに明らかにすべきであると考えますが、総理並びに防衛庁長官の所見をお伺いしたい。(拍手)
 質問の第五点は、自主防衛を主、安保を従とする、政府のいうわが国防衛体制は、今後考えられる限り、これを基本として一歩も出ないのか、それともそれを乗り越えるビジョンを持っているのかであります。特にここでは、国連に対する政府の姿勢と関連をしてお伺いをしたい。
 すなわち、わが国は、今日まで外交方針の重要な柱として国連中心主義を常に口にしてまいりました。また、わが国の防衛に関連して、日米安保条約を乗り越えるものは国連の安全保障機能の充実であることを差し示しております。この見地に立って、政府の国連に対する今後の取り組み方についてお伺いをしたい。
 この点について、総理は去る三月十三日、大阪での記者会見において、今日の国連のあり方はいまの時勢に合わないと発言をされております。われわれも、旧敵国条項のあるこの国連機構は、確かに再検討すべき点があると考えます。しかし、国連の改組となると、これはわが国一国だけの問題ではおさまらない重大な問題で、しかも慎重な検討を要する問題であります。したがって、ここでは国連改組の詳細ではなく国連に対する評価と基本姿勢をまずお伺いしたいと思うのであります。
 同時にお伺いをしたい点は、われわれは自主防衛プラス日米安保の防衛体制を乗り越えるものは、国連による安全保障体制の確立しかないと考えますが、この点について、政府は今後いかなる努力を払おうとしているのかをお伺いをしたい。
 私は、この際、その一つの手がかりとして、北欧諸国やカナダ等が行なっている国連用待機軍の配備を取り上げたいと思います。すでに御承知のように、カナダ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン等の諸国においては、志願制度あるいは国防軍一部をさいて国連用待機軍が編成をされ、また、現に国連軍として国連の平和維持活動に具体的な貢献をいたしております。これはまだ国連が本来意図しておりました常設国連軍とはほど遠い性格のものではありますが、しかし、これだけでも具体的な役割りをりっぱに果たしている事実は、率直に評価すべきであると考えます。わが国としましても、国連中心主義をうたい、また、日米安保は国連の安全保障機能確立までの過渡的措置であるというならば、こうした各国の行なっている活動をどのように評価されているのか、お伺いをしたいのであります。
 同時に、わが国としては、こうした活動に取り組む決意があるのか、もしあるとすれば、憲法等による法的ネックはあるのかないのか、あわせてお答えを願いたいと思います。
 質問の第六点は、自衛力の中心となるべき自衛隊の定員確保についてであります。
 ただいま説明をされました法律案におきまして、自衛官並びに予備自衛官の増加がもくろまれております。しかしながら、現状の定員すら十分確保できず、現在約二万数千名にも及ぶ欠員が存在する中で、定員のワクだけ拡大していくのはいかがかと思われます。特に昨年末の充足率は九〇%を割り、ここ数年来の最悪の状態となるに至っております。しかも、今後一そう著しくなる若年労働力不足の状況の中にあっては、定員確保はますます困難となり、現状以上の大幅な欠員が生ずる危険性は、きわめて大といわなければなりません。
 こうした情勢の中にあって、政府は、自衛官の確保についてどのような見通しを持ち、そのため、今後いかなる措置をとろうとしておるのか、明確なる答弁を望むものであります。
 以上、六点にわたって御質問を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#45
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 渡辺君にお答えいたします。
 国防の基本方針におきまして、米国との安全保障体制を基調とすると言っているのは、国際連合が国際紛争を有効に解決し得るようになるまでの間は、世界的な意味において米国の軍事力が果たしている戦争抑止力というものを前提としてわが国の防衛を考えるということであります。国の防衛は、本来みずからの国はみずからの手で守るという自主防衛のたてまえで進むべきであり、また、最近、国力の充実も著しいので、国の防衛は極力わが国自身の防衛力をもってこれに当たり、その足りないところを米国の協力に期待するという考え方を述べているわけであります。在来からの方針が別に最近になって変わったと、こういうものではございません。
 次に、本年は国連の二十五周年に当たるので、いろいろな角度から国連が見直されております。二十五年の国連の歩みを振り返ってみると、国連は多岐にわたる分野で、じみながらもそれ相応の成果をあげてきたことは明らかであります。
 まず第一に、われわれは、国連がこれまでの幾多の地域的紛争において武力衝突を未然に防いだり、あるいは流血の惨事の拡大を防止する上に有効な活動を行なってきたことに注目すべきであります。
 また、国連は、植民地諸国民の宿望にこたえ、その独立のために大きく貢献してきました。さらに、国連が、現在の世界の直面する最大問題の一つである南北問題の解決に積極的に取り組んでいることも、周知のとおりであります。
 同時に、国連は、宇宙開発、海底、海洋開発、あるいは人間環境の問題などの新しい分野における国際協力をも進め、未来に生きるべき国際機関たるべきにふさわしい実績をあげております。
 このように、私は、国連は現状においてもなかなかよくやってきたと思っておりますが、もちろん、われわれといたしましても、現在の国連に決して満足しているものではありません。また、二十五年という歳月の間に、国連の現状と世界の現状との間にひずみが出てきていることも見のがせないところであります。
 特に、組織上の問題として、いまなお敵国条項の存在は、日本の国民感情から見てもそぐわないものがあります。私は、かかる現実を踏まえて、国連の平和維持機能の強化及び改組を積極的に進めていかなければならないものと、かように考えてお乙のであります。
 次に、国連憲章第四十三条に触れられましたが、この四十三条に基づく常設的な国連軍が実際には設置されていない現在、いわば次善の策として、カナダや北欧諸国等がいわゆる国連待機軍という制度を持って、国連の平和維持の活動に参加するため、前もって訓練し、待機せしめていることは御承知のとおりであります。また、御指摘になったとおりであります。かかる制度は、国連の平和維持活動を少しでも円滑に機能せしめるための現実的な考え方と思います。しかし、かかる制度を設定するかどうかにつきましては、わが国としても、国内法制止その他の見地からこれを慎重に検討する必要があると、かように考えております。
 次に、国際間に紛争が発生した際に、どうすれば平和維持活動を遅滞なく効率的に機能せしめることができるか、また、その経費負担をどのように定めるかといった問題は、国連の平和維持活動特別委員会におきまして審議されております。わが国も平和維持活動特別委員会のメンバーとして、実際的見地から国連の平和維持機能の強化への努力をじみちに行なってきており、今後とも各国との協力のもとに、かかる努力を忍耐強く継続していく考えでございます。
 その他の点につきましては中値根長官からお答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#46
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、自主防衛が予算にどの程度盛られているかという御質問でございますが、現在は三次防計画の第四年目に当たっておりまして、それらの蓄積自体が自主防衛の一つの有力な力になっておるわけであります。なお、ことしは特に自衛官の待遇改善、それから自主開発の予算をかなり大幅にふやしました。
 第二に、自衛隊の再編の問題でございますが、主用縦割りから任務別編成を考えろというお話は、非常に傾聴すべき御議論でもあると思います。これは、戦前、日本の陸軍と海軍がけんかした例を見ましても、われわれは真剣に検討を要すると思いますが、しかし、いろいろわれわれのほうでも検討しました結果、現在そのように改編することは、むしろロスが大きい。それよりも、防衛庁設置法及び自衛隊法ができるときに、そのような考慮でいまの法律ができておりまして、統合幕僚会議の設置、あるいは内局による陸海空の統合、あるいは防衛大学のようなものも三軍の士官の卵が一緒に生活して、一緒にやらしているわけであります。こういう点も考慮した点であります。しかし、御議論の筋は傾聴に値するところもあり、われわれとしては、現状を改良しながら適応してまいりたいと思います。
 次に、在日米軍基地の処理の問題でありますが、元来、防衛ということはその国の専管事項であって、その国がみずから責任を負うべきことであります。したがいまして、基地のようなものも、当然その国が管轄すべきものなのであります。そういう意味で、自衛隊によって米軍基地を管理する方向に、先方と協議しながら徐々に、段階的にこれを実行していく。そうして、その上に立って先方と協議して、これを共同使用にするか、一時使用にするか、ある期間使用させるか等々の態様は、基地基地の状況に応じて実現してまいりたいと考えております。
 最後に、定員確保の問題でございますが、私は、一番大事なことは、自衛官になる人がその使命感を持つことであるだろうと思うのです。そういう意味において、次の日本を背負う若者たちが、日本をどうするかという使命感を自分で考えていただいて、むしろ積極的に日本を防衛する任務を入ってきていただくように、切にお願いしたいのです。そういう意味において、われわれは青年の皆さんとよく話し合って、そういう考え方について検討していただく機会をつくっていきたいと思います。
 それと同時に、待遇を改善し、教育内容、あるいは居住性、あるいは就職問題等につき幸しても、できるだけの努力をして、日本の若い諸君に自衛隊に来ていただくようにいたしたいと思います。(拍手)
#47
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)の趣旨説明
#48
○議長(船田中君) 内閣提出、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。建設大臣根本龍太郎君。
  〔国務大臣根本龍太郎君登壇〕
#49
○国務大臣(根本龍太郎君) 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府におきましては、現行の道路整備緊急措置法に基づきまして、昭和四十二年度を初年度とする道路整備五カ年計画を策定し、これにより道路整備事業を推進し、今日まで相当の成果をあげてまいりましたことは御承知のとおりであります。
 しかしながら、道路交通需要は予想をはるかに上回って増大しており、これが交通混雑の激化、交通事故の増大などを招き、経済活動と国民生活に著しい支障を及ぼしていることも事実であります。このため、今後とも増大が予想される道路交通需要に対処するとともに、あわせて国土の総合的な開発と普遍的な利用を確保するため、道路投資の画期的拡大をはかり、道路整備事業をさらに推進することが必要となってまいりました。
 このような観点から、政府といたしましては、現行の道路整備五カ年計画を発展的に改定して、昭和四十五年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を樹立することとするため、ここに道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の要旨を申し上げます。
 第一に、現在実施しております道路整備五カ年計画を改定して、新たに昭和四十五年度を初年度とする道路整備五カ年計画を策定することといたしました。
 第二、積雪寒冷特別地域の道路交通の確保に関する現行の計画につきましては、新たな道路整備五カ年計画とあわせて、昭和四十五年度を初年度とする積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画に改定することといたしました。
 第三に、奥地等産業開発道路整備臨時措置法につきましても、同様の理由により、その有効期限を昭和五十年三月三十一日まで延長することといたしました。
 その他これに関連いたしまして、道路整備特別会計法の関係規定の整備を行なうことといたしております。
 以上が道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#50
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松浦利尚君。
  〔松浦利尚君登壇〕
#51
○松浦利尚君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案について若干の質問をいたします。(拍手)
 およそ近代社会におけるあらゆる分野の長期計画は、的確な予測のもとに、重点的かつ先行的に実施されなければなりません。このことは、いまさら議論の余地のないところだと存じます。なかんずく社会資本の整備は、総合的プロジェクトとしてとらえ、効率的な整備が実施されるよう配慮されなければならないと存じます。
 しかし、遺憾ながら、民間設備投資主導型の高度経済成長政策は、その見通しに狂いを生じたばかりでなく、物価上昇をはじめ公害の深刻化、社会資本の立ちおくれ、不十分な社会保障など、大なひずみをつくり出しておるのであります。そのため政府の発表するあらゆる長期計画は、ただいま趣旨説明のありました防衛計画以外は、手直しに次ぐ手直しと、全く計画倒れに終わり、国民をして、政府の計画は願望、希望であって、具体的な政策ではないとまで言わしめておるのであります。
 したがって、私は、まず、内政の年を主張される総理大臣にたいへん失礼な質問になりますが、お許しをいただいて、政治の基本姿勢として政府が示されたすべての計画や目標は、それをどのようにして、どのような手段で達成しようとするのかを国民の前に明らかにし、必ず実現することをお約束いただきたいと存じます。(拍手)
 それと同時に、今回提案になりました昭和四十五年度を初年度とする第六次道路五カ年計画は、新全総計画に従ったものであり、年度途中で変更せず、必ず一〇〇%達成しますと国民にお約束をしていただきたいと存じます。
 また、道路、治山、治水、住宅、下水道等の公共事業について五カ年計画を策定し、実施していますが、これらの計画の進捗がいずれも相当おくれていることは、総理御自身十分御承知のことと思います。国民の要望にこたえ、法律の規定に基づいて閣議決定した計画の目標が達成されないということについて、どのような責任を感じておられるか、総理の御所見を承りたいと存じます。(拍手)
 さらに、十兆三千五百億の財源については、一説として、不足分を特定財源に求め、自動車新税とか、自動車公債発行論があります。私は、財源があって計画があり、計画と財源は無関係ではいと存じます。したがって、この計画の不足分財源措置はどうなるのでしょうか。第六次五カ年計画の達成上たいへん重要な問題でありますから、責任者である総理大臣より明確に国民にお答えをいただきたいと存じます。
 また、わが国の爆発的な自動車台数の増加は、十年以内に三千万台を突破するだろうと予測されております。これが道路整備の能力を越え、道路交通量、道路施設のアンバランスから、交通事故の増加、道路混雑による渋滞の激化、砂じん、騒音の公害等を生み出している以上、何らかの方法で抑制すべきであるという意見がちまたにあります。この点について総理はどのようにお考えになりますか、お伺をいたします。
 次いで建設大臣にお尋ねをいたします。
 過去の第一次から本年の第五次まで、その計画はすべて年度途中で新計画に変更され、実質は三カ年計画としかいえない実情であります。特に第五次五カ年計画の進捗率は、四十四年度までの三カ年間で一般道路五〇・三%、有料道路四一・九%と、たいへん低い結果に終わっております。かりにそのまま継続されたと仮定をしても、四十五年度までの四カ年間の進捗率は、一般道路事業にあっては七二%、有料道路事業にあっては五九%と見込まれており、残り一年間で五カ年間の計画目標を達成することがほとんど不可能であることは、火を見るよりも明らかであります。
 その理由として、五カ年計画が実際には年度ごとの予算編成に災いされて進捗率に支障があったのか、あるいはその他の理由があったのでしょうか。事実第五次計画をそのまま延長しても、四十九年には十兆三千五百億という数字が出ます。つまり、予算規模は新たに拡大するのではなくて、第五次計画の延長であり、実際には計画の変更は必要なかったのではないでしょうか。第六次五カ年計画を発足させることは、事業の進捗に対する政府の怠慢を事業規模の拡大によって糊塗し、国民の目をそらすものであります。なぜ計画を変更されたのか、その理由をお伺いいたします。
 また、第六次五カ年計画による経済効果は、最終年度の昭和四十九年度末に直接効果は幾らと計測できるのか、明らかにしていただきたいと存じます。
 さらに、わが国の道路総延長は約百万キロ、そのうち地方道、都道府県道、市町村道の合計は約九十七万キロと、その大部分を占めております。しかし、大臣も御承知のとおり、そのうち地方道、なかんずく市町村道の改良率は一三・四%、舗装率は六・八%と、全くおくれております。一昭和四十五年三月二十六日 衆議院会議録第十一方では、モータリゼーションの爆発的な進行は地方にも波及しております。私は、高速道路を骨格とする幹線道、地域的な連絡網としての都道府県道との総合交通網体系から見て、生活環境そのものである市町村道の整備を急がなければならないと存じます。このアンバランスをどうなさるのか。地方生活圏構想も出されていますが、今後、第六次五カ年計画以降の長期ビジョンを達成するために、早急に検討すべきであります。御所見を伺いたいと存じます。
 同時に、第六次五カ年計画においては、地方単独事業は、旧計画に比し実に二倍をこえる規模にまで急速に拡大されています。現在の著しく立ちおくれておる地方道の整備を促進するために、地方単独事業が大幅に増加されることについては、異議をさしはさむものではありませんが、一方では、国が計画的に行なうべき一般道路事業の規模が過小に押えられておるため、国の責任において行なうべき事業の一部を、地方公共団体が単独事業としてその負担を肩がわりして行なうことになるのではないかと存じます。政府は、一般道路事業と地方単独事業のそれぞれの規模を定めるにあたって、どのような基本的方針をもって臨んでおられるのでしょうか、お伺いいたしたいと存じます。
 また、地方単独事業は、一般道路事業の計画とは全く無関係に、地方公共団体の自主的判断に基づいて実施されるものなのか、あるいは国の計画に即応して効果的に実施されるよう行政指導を行なうのか、見解をお伺いをいたします。
 また、高速自動車道の早期完成が望まれておりますが、キロ当たりの建設費は八億七千百万円と、諸外国に比べてたいへん高いコストになっております。高いといわれるアメリカが五億八千万、ドイツ五億一千万、イタリア三億三千万、フランスのごときは二億九千万の建設費となっているのであります。わが国の場合、その約三割が用地買収費に支出されているわけでありますが、このことは、高速道路に限らず、一般道路についても全く同様であり、このまま放置すれば、かりに五カ年計画の金額だけを消化したとしても、目標とする事業量の達成にはほど遠いものになると存じます。フランスの例に見られるように、工事の二年半分を先行取得し、地価の抑制、技術開発といった方法がとられるべきだと存じますが、大臣はどのように考えられますか。また、建設コストを引き下げる努力によって、従来の有料道路並みの採算性を期待できない国土開発的要素を持った路線にも、有効的な財源措置がとられるべきだと思いますが、その具体的な方策、さらに償還を前提としない政策料金制度等についても見解をお伺いをいたしたいと存じます。
 また、直接交通安全行政に携わる国家公安委員長は、急激な自動車の増加に対して、もはや今日では交通安全教育、交通道徳の発揚だけでは済まされない人命優先の道路行政を重視しなければならないときに来ていると思うのであります。交通安全対策事業の進行状況は、道路行政の中でバランスしておると思われますか、また、第二次三カ年計画を変更する必要はないと判断されますか、お伺いをいたします。
 最後に、今日の高度経済成長は、国土の全域にわたって地域経済社会を大きく変えたばかりでなく、過密問題と過疎問題をつくり出しています。こうした国土に、道路行政は抜本的な変化を計画的に、かつ合理的に誘導するものでなければならぬと存じます。
 各大臣の明快な御答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#52
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 松浦君にお答えをいたします。
 いまさら申すまでもないことでありますが、わが国の経済は、競争を基本的原理とするいわゆる自由経済体制であります。政府の計画は、経済社会の活動を厳密に律すると、こういうような性格のものではありません。そのため、従来とかく予想を上回る旺盛な民間の経済活動によりまして、政府の策定した経済見通しをかなり上回る経済成長が続けられてきたことは、御指摘のとおりであります。私は、これまでの経済見通しや長期の経済計画は、いずれも経済政策の基本的方向を示すとともに、民間企業や国民の活動の指針として、それなりに十分役立ったものとは思いますが、計画が実態と大きく乖離することは、決して望ましいところではありませんので、計画作成にあたっては、将来に対する精度を高めるために努力し、計画の実行過程におきましても、計画性の確保について一そう留意してまいりたいと考えます。
 また、現在策定中の新経済社会発展計画は、以上の意味合いにおいて、十分御期待に沿い得るものと考えております。
 また、各種の公共事業について、策定された計、画目標が完全に達成されていないとのおしかりでありました。確かに、いままで一部の事業の進捗が、計画に比べておくれを見ていることは否定できませんが、政府としては、経済事情を勘案し、他の諸施策との均衡をはかりつつ、最善を尽くしてきたところであり、この間の事情については、よろしく御理解いただきたいと存じます。
 第六次道路整備五カ年計画も、十兆三千五百億という巨額の計画であるだけに、その達成には容易ならざるものがありますが、国上総合開発の基幹的事業として、その達成には十分努力してまいります。
 なお、この新道路五カ年計画を遂行するためには、現行制度を前提とすると相当の財源不足が予想されることは、御指摘のとおりであり、政府としては、四十六年度予算の編成時をめどに、財源調達の方法について慎重に検討してまいりたいと考えております。現段階では、その内容について確たることは申し上げかねますが、明確な財源の裏づけをもって、計画達成につとめてまいる決意だけを明らかにしておきたいと存じます。
 次に、道路の過密対策として、自動車の生産規制についての所見を求められました。四輪車についての国内の新車需要台数は、昭和五十年に近づくにつれて、年間五百万台程度で横ばいに転ずるという試算があり、保有台数について見れば、現在の約千五百万台が、五十年には二倍の約三千万台にのぼるものと想像されております。これでは道路の整備が追いついていけないおそれは十分にあり得るので、そのような趣旨における御提案として、十分検討してみたいと考えます。
 ただ、私の率直な感じといたしましては、生産規制にはいろいろマイナスの事態が考えられるので、むしろ考えられるとすれば、自動車の一定の利用規制ではなかろうかと、かように考えますいずれにせよ、その影響するところは大きく、かつ、円滑な実効の確保には困難な問題を伴うので、今後の検討課題として慎重に取り組んでまいりたいと考えます。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣根本龍太郎君登壇〕
#53
○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたします。
 五カ年計画を変更した理由は、これは今日までの計画が達成できないのをごまかすためではないかということでございますが、さようではございません。ただいま総理が大綱についてお話ししたとおりでございます。
 なお、建設省が今回道路五カ年計画を改定いたしました理由を二、三具体的に申し上げます。
 御承知のように、日本の経済発展に伴いまして、道路需要が、従来策定しておったこととだいぶ様相が変わってきたのでございます。この意味におきまして、この新全総あるいは新しい経済社会発展計画に対応する計画を策定する必要ができたということが第一点でございます。すなわち、これは過疎過密現象が今日なお続いておるのでございます。この道路政策を改定することによりまして、過密の状況からできる得るだけ地方の産業並びに文化を定着させまして、この現象を軽減するということも一つの目的でございます。
 それから、もう一つは御承知のように、新しい都市計画法、これができました。これに基づきまして、今度は街路の整備、計画的な宅地開発等も、道路を伴ってこれを実施するということが第二点でございます。
 それから、もう一つは、現在かなり道路を使うところの車の規格が変わってきまして、特にコンテナリゼーションと申しますか、コンテナがたいへん多くなりまして、これに適応するところの道路規格をつくるとともに、従来の国道、地方道等も、こういう状況に応じたところの改定をしなければならない、これが一つの事実でございます。
 それからもう一つは、本四連絡橋の問題もございます。
 なおまた、財源問題について総理からお話がありましたが、現在は経過地点におけるところの道路需要が非常に大きくなりまして、このために地昭和四十五年三月二十六日 衆議院会議録第十二方自治体が負担するところの非常な困難性が出てきました。そのために、今回は地方道路公社法をつくりまして、これによって地方自治体自身が相当の財源を自主的に得て、しかも道路整備をはかるというような、こういう諸点を総合判断して、このような改定をした次第でございます。
 その次に、道路五カ年計画が達成した時点において、どの程度の直接効果が認められるかということでございます。道路が生活並びに生産活動に影響すること非常に大でありまして、この効果を貨幣単位だけで想定することは困難でございまするが、われわれといたしましては、道路整備による経済効果のうち走行便益と申しまして、いわゆる走行費用の節減、その次には時間便益、輸送時間の短縮による便益、こういうものを他の諸国におけるところの計算方法で一応出たってみておりますと、第六次五カ年計画達成時における試算によりますれば、年間おおむね一兆六千億程度の利益がなされる、こう見られております。したがいまして、完成後約十年間で、これに投資した金額が十分に回収される、こういうふうに算定をしておる次第でございます。
 その次に、道路五カ年計画において地方道のワクが非常に多いではないか。国道、有料道路、一般道路に比較して、地方単独道路が非常にワクが大きい。これは、地方財政の状況からして、国で負担すべきものを地方に転嫁したではないか、こういうような御指摘でございます。これは、今日までの過去数年間の実績によりまして、地方単独でやったそのものを、大体延長した程度でございます。そういう意味におきまして、これは決して国が負担すべきものを地方に転嫁したということにはならないのでございます。
 その次に、地方単独道路の計画を、地方自治体だけにまかしておるではないか、もっとこれは交通全体の体系的な観点から、政府も適当なる行政指導をすべきではないかというような御指摘でありますが、そのとおりでございます。その意味におきまして、御承知のように生活圏構想なるものを出しました。この生活圏構想は、都市の過疎過密の問題をもあわせ解決するために、各都市を中心とするところの道路網を整備しようとするものでございます。これにつきましては、従来各町村が単独でやったことに対して十分なる行政措置を講じようとするものでございます。
 なおまた、今回総合農政の立場からして、農村に対し集団営農団地あるいは工場等が参りました場合、それに必要な道路については、たとえ市町村道といえども政府が補助助成をする、こういうような制度をとることにいたしたのでございます。
 次に、日本の道路経費は非常に高いではないか、これは欧米について見てたいへんに高いという御指摘でございまするが、御承知のように、日本の地勢の関係から、丘陵部あるいは山岳部を通るものが相当多いのでございます。さらにまた、平たん地におきましても、御承知のように、水路とかあるいは鉄道等と交差する場面が多いので、これのために高架道その他の設備が必要なので若干高くなるのはやむを得ないと存じます。
 それから、土地の費用が非常に多いではないか、そのとおりでございます。これは従来に例を見られるように、年々高くなっておりまして、二四%も高くなったような状況もございまするが、今回御承知のように地価公示法あるいは収用法の改正、こういうような措置を講ずると同時に、土地の先行取得について、地方自治体に土地基金制度を設けまして、先行投資等をやることによって、この弊害をなるべく軽減してまいりたい、かように感ずる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#54
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 松浦さんにお答えします。
 第一点は、第六次道路五カ年計画にあわせて第二次交通安全施設計画を手直しする考えはないかというお尋ねであります。
 御指摘の第二次交通安全施設計画とは、昭和四十四年度から昭和四十六年度に至るまでの三カ年にわたる交通安全施設の緊急整備計画をさすものと考えますが、警察といたしましては、その後の交通事情の著しい悪化と今後の見通しを勘案した場合、三カ年計画のみでは十分ではないと考えまして、昭和五十年度を目標年度とする長期の交通安全対策を策定し、交通事故の防止に成果をあげるべく努力しているところであります。
 第二の点は、道路計画は進んでいるが、交通安全施設は進んでいない、この点について人命尊重の立場からどう考えるかというお尋ねであります。今日のごとき自動車時代におきましては、道路は、自動車が安全かつ円滑に走り得る道路でなければならず、また同時に、歩く人が自動車にはねられることなく、安心して歩くことのできる道路でなければならないのであります。この観点からわが国の現状をながめますとき、残念ながら整備不十分なところが少なくないのであります。したがいまして、私は人命尊重の立場から、道路の整備と並行して、道路交通の安全と円滑をはかるための諸施設、たとえば歩道やガードレールのほか、信号機その他の交通管制施設、道路標識等も当然に整備していかなければならないと考えているのであります。(拍手)
#55
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#56
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        総理府総務副長
        官       湊  徹郎君
        防衛庁長官官房
        長       島田  豊君
        防衛施設庁長官 山上 信重君
        通商産業政務次
        官      小宮山重四郎君
ソース: 国立国会図書館
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