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1970/04/07 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第17号
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1970/04/07 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第17号

#1
第063回国会 本会議 第17号
昭和四十五年四月七日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十五号
  昭和四十五年四月七日
   午後二時開議
 第一 海上運送法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第二 沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁
  護士資格等の付与に関する特別措置法案(内
  閣提出)
 第三 地方財政法及び公営企業金融公庫法の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 橋本運輸大臣の日航機乗取り事件に関する報告
  及び質疑
 日程第一 海上運送法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第二 沖繩の弁護士資格者等に対する本邦
  の弁護士資格等の付与に関する特別措置法案
  (内閣提出)
 日程第三 地方財政法及び公営企業金融公庫法
  の一部を改正する法律案(内閣提出)
   午後二時五分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 橋本運輸大臣の日航機乗取り事件に関する報
  告
#3
○議長(船田中君) 運輸大臣から、日航機乗取り事件に関する報告のため、発言を求められております。これを許します。運輸大臣橋本登美三郎君。
  〔国務大臣橋本登美三郎君登壇〕
#4
○国務大臣(橋本登美三郎君) 日航機乗っ取り事
 件について御報告申し上げます。
 去る三月三十一日発生いたしました日本航空機「よど号」乗っ取り事件は、御承知のとおり、関係者の努力により、同日板付飛行場において老人、女子、子供ら二十三人が救出され、続いて四月三日、韓国金浦空港において、山村運輸政務次官が身がわりとなることを条件に、残りの九十九人の乗客全員とスチュワーデス四人が救出され、さらに四月五日には、北朝鮮から山村運輸政務次官及び機長をはじめ三人の乗務員が「よど号」とともに帰国し、今後の犯人の取り扱いを別にいたしますと、一応の解決を見た次第でございます。(拍手)
 本事件の解決に至りまするまでの間における各党各派こぞっての御協力、御支援に対しまして、深く感謝いたす次第でございます。(拍手)
 私は、事件発生後、即日、山村運輸政務次官を韓国に派遣し、乗客及び乗務員の救出に当たらせることといたしましたが、私自身も四月一日、政府の方針により、韓国へ運輸省の特別機で十七時十分金浦空港に到着し、同日夜から直ちに韓国当局と協議しつつ、みずから事態の処理に当たることとなりました。
 私は、韓国に出発するに際し、総理大臣、官房長官、外務大臣らと協議し、乗客の安全を何よりも優先させるという人道主義の立場を政府の絶対的基本方針とすることを確認いたしました。
 このような基本方針に基づき、金浦空港においては、四月一日及び二日の両日にわたり、犯人たちに対し、「乗客を安全におろせば、希望の場所に飛行させる。したがって、何とか乗客をおろしてもらいたい」旨の懸命の説得を続けさせました。
 一方、この間、犯人たちの興奮状態をなだめて落ちつかせるように努力するとともに、当方の最後の提案を受け入れさせる素地をつくるための懸命の努力も続けたのであります。
 まず、食料等をはじめくだもの、ジュース、たばこなどの嗜好品を、犯人の要求どおりの差し入れを遅滞なく続け、犯人が心やすく気楽に申し出るような状態をつくることに努力し、毛布、薬など平常の状態に近いまでに飛行機内の空気を緩和することにやや成功してまいりました。
 翌日もまた、たばこ、ジュース、チューインガム等の嗜好品を要求するなど、いわゆる休戦的状態となり、犯人がやや平静を取り戻したと思われる状態になりましたので、この時機を逸せず、最後の説得を行ならとともに、無条件では乗客をどうしてもおろさない犯人たちのかたい決心がわかりましたので、最後の手段である山村次官を身がわりとして、乗客全員をおろすことを提案させ、これが犯人たちの受け入れるところとなったのであります。これが二日午後五時ごろであります。私といたしましては、山村政務次官の申し入れでありましても、最愛の部下を人質に出すことには断腸の思いでありますが、百余名の乗客を救出するためにやむを得ない措置であることを御了承願いたいのであります。(拍手)
 犯人たちはこの真実を込めました提案を承諾し、一挙に解決の方向に向かったのが十七時、私が金浦空港に到着して二十三時間と五十分目であります。金山大使、山村政務次官、韓国政府当局との水も漏らさぬ協力一致の体制が、この結果を生んだことと確信いたします。
 この間、韓国当局は、軍事的にもきわめて緊迫した状況下にあるにかかわらず、このような日本の立場を理解され、最大限の協力をしていただいたのでありまして、この点、深甚なる謝意を表するものであります。
 特に、韓国閣僚が空港に詰めかけて、乗客全員をおろすため不眠不休の説得を行なわれたこと、人道主義的立場からこの問題の解決に努力され、また北朝鮮に向け出発することに同意をされ、旅客に水、食料、ジュース、薬品等の支給を行なったこと、あるいはわれわれに対して事務所、秘書を提供されたことにつきましては、まことに感謝にたえません。
 さらに、北朝鮮を含めまして、ことに今回の事件について全く関係のない北朝鮮の方々が、政府当局、関係当局が、人道主義の立場からこれらを十分に御理解くださいまして、そうして円満にこの問題を解決することに御協力くださったことに対しましても、心から感謝と御礼を申し上げる次第であります。
 各国がそれぞれの立場において、乗客の救出のために御尽力いただき、ついに事件の無事解決を見るに至りましたことは、人道主義の強さ、正しさを示したものとして、真に意義深く、また教えられるところが多いのであります。
 なお、今回の事件が、このような形で解決を見るに至りましたのは、先に述べました関係者の人道主義に対する理解とともに、機長をはじめ乗務員の冷静沈着な判断及び行動が大きな要因をなしております。
 今回の事件に関し、関係者一同は、心身ともに極限を越えて、冷静に、最大、最善の措置を講じました。いま私は当時を思い、りつ然たる思いであります。
 今後、かかる事件の再発を防止するためには、政府といたしましては、直ちにやれるものは最善を尽くし、その上、法的に必要なことがありますれば、それらを含めまして、諸般の対策を早急に講じてまいりたい所存であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日航機乗取り事件に関する報告に対する質疑
#5
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。長谷川峻君。
  〔長谷川峻君登壇〕
#6
○長谷川峻君 私は、自由民主党を代表して、ただいま橋本運輸大臣より報告のあった日航機「よど号」の乗っ取り事件について、政府の所信をたださんとするものであります。
 「よど号」は赤軍派と称する過激派集団によって乗っ取られましたが、彼らが日本刀を振り回して脅迫する狂気ざたにおびえる乗客が百名以上もあったこと、さらに板付から韓国の金浦、さては北鮮の平壌と、舞台が三カ国に及んだこと、しかも百二十二時間という長い時間であったことなどの深刻な事態を誘発したため、その家族はもちろん、全国民が無事に帰るのを祈りつつ、事件の推移をテレビの前で案じ、新聞に注目して、犯人たちの狂暴な反社会的行動を憤っておったのであります。単に日本だけではありません。まさに、人類の進歩と調和をテーマとして開かれている万国博以上に、世界のマスコミに、大きく関心が寄せられておりました。真に恥ずべき事件でした。しかし、乗客は言うに及ばず、乗務員も、身がわりとなった山村政務次官も、無事であったことは何よりだったと、国民がひとしくほっとしている心情であります。(拍手)
 わが国航空が国際的にも伸びつつあるとき、初めてのハイジャックではありましたが、このような形で解決されるに至ったのは、わが国内はもとより、韓国の非常な協力、北鮮の措置その他の善意によるものと思うのでありますが、これらに対する総理の所見をお伺いするものであります。
 次に、犯人たちの身柄であります。
 彼らは当初から北鮮を目ざしておりました。それまでの四日間、罪なき老若男女の多数の乗客に、死の恐怖と、むごい精神的圧迫を加え、ついに犯人たちは、わが国の秩序も法律も破ってその目的を達したのであります。犯罪の目的を達して何の刑罰も受けずに、のうのうと生きることが許されるならば、どうなるでしょう。現に彼らは、金浦空港で、われらは第一陣だ、これが成功すれば第二、第三が続くのだから、どうしても平壌に行くのだと豪語したといいます。
 法律は、それを防ぐためにあるのです。犯罪者をこらしめるためにあります。彼らの反社会的行為を否定することが必要でしょう。こうしたことがやすやすと実行されて、黙認されるようでは、国家の体をなしていないと言えるでしょう。
 乗っ取り犯人がよく逃げ込むキューバでは、とどまりたい者は労働せよ、さもないと直ちに国外追放の方針をとっており、重罰を周知させることによってハイジャックが減少しているのであります。北鮮は、これらの犯人にいかなる措置をとるか承知しませんが、わが政府が北鮮に交渉して身柄を引き取り、暴挙の目的が達成しなかったことを知らせるとともに、処罰する手段を講ずる御意思はありませんか、お尋ねいたすものであります。(拍手)
 第三には、防止法案の設定であります。
 かつて商船が盛んな時代には海賊が生まれ、航空界の発達に伴い空賊というか、ハイジャックが累増しております。一昨年は二十七件、昨年は八十六件でした。世界的なものとしては、スイス航空の爆弾による全員死亡、TWAがロスアンゼルスからアメリカ大陸と、大西洋を横断してローマまで乗っ取られた事件があります。「よど号」が国内に一つの流行をつくってはいけません。
 航空機上での犯罪を防ぐ東京条約には、わが国は、署名はしていても、まだ批准をしておりません。すでに四十二カ国が署名し、二十一カ国が批准しているのであります。しかも、昨年十二月に条約は発効しているのであります。国際条約に憶病であってはいけないと思います。政府は直ちに批准する御意思はありませんか。
 きのうの参議院の委員会において、外務、運輸両大臣は、超党派でハイジャック防止法案を整備してほしいと要望されたと聞きますが、鉄は熱いうちのほうがよい、政府が単独立法としてこの種の法案を今国会中に提出する意思ありやいなや、お伺いするものであります。(拍手)
 以上が総理大臣に対する御質問であります。
 次に、荒木国家公安委員長に質問いたします。
 文部大臣として大学問題にも詳しいあなたが治安を担当されて、国民の信頼深い荒木大臣も、今度の赤軍派の奇想天外な「よど号」乗っ取りでは「抜かった」と述懐されておりますが、赤軍派にのさばられる原因はどこにあるのですか。大菩薩峠なら中里介山の机竜之介と思っていたら、あそこで赤軍派が検挙されて以来、手抜かりなく警戒していたと思うのですが、事前に彼らの企図を察知することはできませんでしたか。ことさらに言をなす者は、政府・自民党がこうした過激派学生を泳がせているなどと宣伝する者がありますが、大臣はいかに見ておられますか。
 さらに、事件が冷静になった今日、世論の中には、彼らの資金源を突きとめるべきだといっております。相次ぐ逮捕者の保釈金のために、その資金は枯渇しているといわれているのに、「よど号」の乗客に、二百万の逃走資金を用意したと話しているのを見ても、彼らの活動を事前に封ずる意味でも、この究明は重大な捜査上の課題と思うのでありますが、いかがでしょう。(拍手)
 中曽根防衛庁長官に対しては、弱い動物は耳が長くないとだめだといわれる長官、今度の事件のミステリーは、板付を離陸した「よど号」が平壌のつもりで飛び立ち、金浦に着いたことであります。防衛庁しか「よど号」に連絡とれない韓国上空だが、このようなフライトをすることをあらかじめ知っておられたかどうかが一点。
 さらに、「よど号」が北鮮領内において、対空砲火や北鮮機の要撃を受けたという情報があの当時流れましたが、帰国した乗務員はこれを否定しております。長官が未確認情報として流したともいわれ、きのうの参議院の委員会でも、そのような印象を与えているが、その真相はどうでしょう。
 本質的なものとしては、米軍と平素どういう情報連絡体制にあるのか、お答えを願いたいのであります。
 私は、わが国の国際環境が、長く平静であってほしいと衷心から祈っている一人でありますが、今後万が一にも、本格的な国際的な危機が朝鮮半島上空で発生するような場合を仮定してみますと、その際、わが国がいささかでもつんぼさじきに置かれるごとき結果におちいることのないように、今日から十分措置しておく必要を思わずにはおられません。その点についても御意見をお伺いしたいと思うのであります。
 愛知外務大臣にお尋ねいたします。
 一、外相は「よど号」が平壌に行かず、金浦空港に着陸することをあらかじめ知っておられましたかどうか。
 一、新聞及び放送によりますと、韓国政府が、乗客全員を釈放しなければ「よど号」は絶対に出発させないと、強い態度に出たと伝えております。私は、大韓航空が、昨年十二月十一日、日本からリースしているYS11と乗員十一名が、いまでも北鮮に抑留されている苦い経験から、善意の忠告をしたとも聞いているのですが、その真相はどうでしょう。
 一、「よど号」が山村政務次官らを乗せて平壌到着後、国交のない北鮮のこととて、政府はいかなる措置をとられたか、であります。
 一、東京条約は、乗っ取り防止については十分でないと聞いております。防止についての国際協力は大いに進展をさせ、積極的に活用しなければいけないと思います。たとえば、今日、IATAのハマーショルド事務総長が来日しておりますが、国際民間航空機構に、日本も二十一カ国の理事国になっております。しかし、日本の理事は年々人が新しくなり、発言が消極的だといわれます。モントリオールの本部で、ことしの六月の理事会では、このたびの日本の乗っ取り事件を議題として報告を求め、処罰は重くする方針で新しく法案をつくりたい意向であることを示し、日本の重要な役割りを示唆しているのですが、外務大臣は、あらかじめよい人選を進めるとともに、テーマの御研究をお願いしたいと思うのであります。
 小林法務大臣に二つお尋ねいたします。
 一つは、あんな乱暴なことをする狂人グループは、一体どれだけの刑事責任を負うのであるか、こういうことです。石田機長の談話ではありませんが、内心ぶち殺してやりたいというのが、乗客はじめ国民の偽らざる気持ちであったろうと思います。(拍手)
 さらに、北鮮とは国交がありません。途中の経過はありましたが、「よど号」の人道的見地からといって、山村政務次官、乗員、機体ともどもに返してくれました。ほんとうによかったと思うのです。国交のない国とても、世界は狭いのですから、人道的なことはお互いに措置すべきだと思うのであります。その意味で、わが国が、長年にわたって北鮮に対して、人道的措置として北鮮帰還を実施してきました。約八万ぐらいの諸君が、わが国の国費と待遇で故国への思いを達してきたと思います。この際、あらためてこの業務の実施状況を御報告願うものであります。
 橋本運輸大臣、ほんとうに陣頭指揮御苦労さまでした。
 金浦空港での幾折衝、しかも、中学後輩の山村政務次官を死地に投じてまでも乗客をおろす決断は、政治的生涯を飾るものと思うのであります。(拍手)御報告は先ほどお伺いいたしました。大臣、国内の板付空港で成功せず、わが国は、恥ずべき犯人を乗せたままの「よど号」を前にして、韓国政界指導者らと不眠の交渉を通じての感懐を、この際あらためてお伺いしたい。
 これまでの他の閣僚に御質問申し上げたことは、いずれも橋本大臣に関係あることであり、また、その責任の一つでございましょう。事件は一応落着しましたが、落とした名誉はこれから挽回しなければなりません。今後改善すべき航空政策を、気魄と勇断をもって実行されんことを願うものであります。
 人間の鍛錬は、非常の際に発揮されます。そこに人生の潤いを発見するものであり、救いでもあります。どこの世界にもいれられない赤軍派の狂暴の中で、このごろとんと聞かれない、見られない勇気、犠牲、誠実、沈着ということばを人々は見出したことでありましょう。(拍手)山村運輸政務次官、石田機長、江崎副操縦士、相原機関士、そしてスチュワーデスの諸君、人間尊重の実践者として、国民は清風に接する思いであります。(拍手)
 赤軍派の性格の中に、現代青年の特色があると憂えております。あたたかさときびしさを兼ね備えなければならない教育から、きびしさが忘れ去られ、家庭のしつけなどは時代に逆行するものとして敬遠する風潮が背景になっているのではありますまいか。家庭、教室、社会の温床の中に芽ばえているむしばまれたものを洗うために、それぞれが一隅をになうことこそが根本対策の一つではないかと思うのであります。(拍手)あんな気違い青年をわが家から出さないようにしよう、自分の教室からもそうしよう、という国民の御理解をお願いいたしまして、私の質問を終わるものであります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私は、今回の事件が、紆余曲折を経ながらも、政府及び国民の一致した願望どおり、乗客及び乗務員の安全をそこなうことなく解決されたことを、心から喜んでおきます。(拍手)
 特に、社会党はじめ各政党が、超党派で問題解決に協力していただいたことを、この機会に心から感謝申し上げるものであります。(拍手)
 また、本件の発生によって、近隣諸国に思わざる御迷惑をおかけしたことを深くおわびいたします。特に、問題の「よど号」が金浦空港に到着してからの韓国政府の御努力と御理解とには深く感謝している次第であります。(拍手)
 さらに、軍事休戦委員会のルートを使用できたことは、米国政府の協力によるものでもあり、同政府に対しても謝意を表するものであります。(拍手)
 「よど号」は、最終的には、乗客の身がわりとなった山村運輸政務次官を乗せて、平壌に着陸したのでありますが、北朝鮮当局が、人道的見地から、同次官と乗務員及び「よど号」をすみやかに送還されたことに、深い感謝の意を表明いたします。(拍手)
 かかる事件が再び発生しないよう、政府としては万全の措置を講じていく所存であります。
 いわゆる赤軍派と称する暴徒が重大犯罪人であることは、申すまでもありません。政府が、たてまえとして身柄引き渡しを要求することは可能であります。しかしながら、現実にいかなる措置をとるかは、現在捜査中でもあり、その結果を待って、引き渡しの要否について検討する考えであります。
 今回の日航機乗っ取り事件は、現行刑法のもとにおきましても、強盗罪あるいは国外移送目的略取罪等の重い罪に当たると思われますが、この種犯罪の重大性にかんがみ、同種事犯の再発を防止するという観点から、特別の罰則を設けるべきであると考えます。また、機内へ凶器や危険物を持ち込ませないようにする効果的措置がとられることが必要であり、昭和三十八年の東京条約の批准とも関連して、機長の権限を強化するなど、法律改正を早急に行なわなければならないと思います。
 法案の内容や法案提出の時期につきましては、まだ確定的なことは申し上げられませんが、今一会で成立するよう期待しております。
 いずれにいたしましても、情報化時代の今日、航空機の利用は国民生活にとって必要不可欠のものとなっておりますから、国民が安心して空の旅ができるよう、超党派的な御協力をお願いいたします。
 最後に、ただいま長谷川君から感想を述べられました、そうして指摘されましたが、いわゆる教育の問題であります。家庭教育、家庭におけるしつけの問題等につきまして、私も全面的に同感であります。わが国の経済が幾ら発展しても、それに人間の心が、豊かさが伴わなければ意味はないと思うのであります。そのためには、家庭のしつけ、家庭のしつけに始まる人間形成の教育ということに、あらためて国民の目を向けていただきたいと思います。
 今回の事件は、日本国民としてきわめて恥ずべき事件でありましたが、山村運輸政務次官の勇気ある行動をはじめ、乗務員の沈着な行動は、一服の清涼剤であり、せめてもの救いであった、かように考えます。
 以上、私の所感をまじえてお答えといたします。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#8
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。
 警察は、赤軍派の不法行為を未然に防止するため、従来から活動家の行動を把握することにつとめるとともに、必要な情報の入手につとめておったところであります。その結果、昨年十一月の総理訪米阻止闘争の際、総理官邸襲撃を企図して、大菩薩峠で爆発物を投げるなどの訓練をした一味五十三人を現行犯逮捕するなど、本件発生までに四十四件、延べ二百八十人を検挙し、四月五日現在、五十四人を勾留中であります。本年三月に入ってからも、赤軍派最高指導者である塩見孝也議長ら四人の幹部を検挙しております。
 赤軍派は、相次ぐ検挙によって、最近では幹部らを地下にもぐらせて、非公然活動を強めており、この種の地下活動を事前にキャッチすることは、かなり困難な状況になっているが、鋭意努力しているところであります。
 ハイジャックのうわさは、一部週刊誌に掲載され、警察としても真相の究明につとめてまいりましたが、今回の日航機乗っ取り事件に関しては、具体的な動きを把握することはできなかったのであります。
 警察は赤軍派などを泳がせているという説があるということでありますが、そのようなことは全くございません。言うまでもなく、警察は公共の安全と秩序の維持を責務としていますから、不法行為もこれを取り締まってきており、極左暴力集団の不法行為に対しても、断固たる取り締まりを行ない、これを放置しているということは絶対にございません。
 引き続き、これら極左暴力集団の不穏動向の把握と取り締まりに、万全を期する所存であります。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#9
○国務大臣(中曽根康弘君) 板付から金浦飛行場に対する飛行は、全く防衛庁としては関知しませんでした。当方といたしましては、韓国の領海付近を通過するものでありますから、安全飛行を米軍を通じて、韓国に強くお願いをしておったのであります。私も、米軍を通じて、飛行経路が刻々私のところに通報されてまいりましたが、三十八度線付近まで行ったときには、清浄のほうへ行くのではないかと実は思っておったくらいであります。それが西のほうに転換しましたので、非常に驚きました。
 第二に、対空砲火の問題でございますが、当時はいろいろ断片的な情報が、米軍等を通じて入っておりました。その中に、そういうような断片的情報がございまして、新聞記者の皆さんから、何か情報はないかないかと盛んに言われまして、未確認のものだがこういうものもあった、そういうことを参考までに申し上げたのであります。
 これは韓国から、米軍を通じて日本の航空自衛隊に入ってきたものでございますが、対空砲火があったかなかったかという事実は、いまでもよくわからぬと思います。と申しますのは、飛行士、パイロットはそういうことを言っておりますけれども、あの当時は、一万九千フィートの高度から、九千五百フィートの高度にずっと落としてきておるわけです。そして、飛行士は前方を非常に注視しておるのでありまして、後方とかその他のことはよくわかりません。その後、米軍からの情報等を見ましても、やはり五十発ぐらいの対空砲火が三十八度線付近にあったという韓国軍の報告もまた入っておりました。したがって、あるとも言えないし、ないとも言えない、未確認の状態であるだろうと私は思います。
 次に、米軍との情報連絡でございますが、日米安全保障条約によりまして、情報交換は緊密にやっております。しかし、われわれと米軍との間にそれはあるのでありまして、韓国軍との間にはございません。お互いに指揮権は独立に別系統でやっておりますので、自主性が侵されるということはございません。
 情報の強化につきましては、自主防衛を全うしていくためには、どうしても自主的な情報の収集が必要であります。そういう意味において、法の範囲内において充実していくようにいたしたいと思っております。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#10
○国務大臣(愛知揆一君) 御質問の第一点は、金浦飛行場に着陸することを、あらかじめ外務省は知っておったかどうかというお尋ねでございますが、これは全然承知しておりませんでした。実は、板付を発進したということを承知いたしまして、直ちに平壌に本飛行機は向かうものと想定をいたしまして、まず韓国に対しましては、いずれにしても朝鮮半島あるいはその沿岸を北上することになりますから、その航行の途上において、これに攻撃を加えたり、安全を侵すようなことのないようにということを、大至急、即刻に依頼をいたしますと同時に、ソ連政府、赤十字等を通じまして、平壌に向かう、よろしく頼むと、安全を保証してくれるようにという措置を、できるだけ手を回して要請をいたしますと同時に、NHKの海外放送をも活用いたしまして、その旨を関係の方面に即刻連絡することにつとめたくらいでございます。このことは、金浦に着陸したということを承知いたしまして、これらの要請や連絡について中断したり、あるいはこういう事情に変更があったということを通報したくらいでございますから、金浦に着くことをわれわれ承知したということは全然ございません。
 次の御質問は、韓国政府の態度でございまして、たとえば、金浦に着いて以来「よど号」はいかなる場合におきましても北鮮向けに向けることは容認しなかった、こういう態度をかたくとっていたのではないか、こういうお尋ねでございますけれども、これは金浦に出向かれた橋本運輸大臣その他の御説明でもわかりますように、朴大統領がほんとうに先頭に立って心配をされて、人命の尊重に徹してすみやかに救出するということに、あらゆる努力を傾けていただいたわけでございますが、同時に、情勢のいかんによっては、柔軟的な態度もあるいはやむを得ないではないか、この点につきましては、日本側の希望する考え方と全く一致をしておった。それ以外のことは、韓国政府としては考えておられなかったと、私は、外交機関を通じ、また私の得ている報告によりまして、確認をいたしておる次第でございます。
 第三の点は、山村政務次官の英雄的な行動によって、いよいよ人質として出発されるということになってからあとの措置の問題でございます、実は、いよいよ北鮮向けに金浦から発進されることの可能性が濃厚になってきたとその前に判断をいたしましたので、やはりソ連、赤十字その他を通じまして、平壌に向けて発進することもあり得ること、そうしてその場合におきましては、人命の安全はもちろん、航行の安全、着陸の安全、そうして機体を含めて乗員の返還ということについて、北鮮側の保証を求める措置を講じたわけでございます。その中で、いわゆるマクといわれておりますが、軍事休戦委員会は、本来この委員会の職分は全然別でございまして、これを利用することについてはいかがかとも思ったのでございますが、人命救助という崇高な目的のために、軍事委員会に対しましても、これは国連軍当局を通して依頼要請をいたしましたところが、この線がこの要請に対して時間的には一番早く通じまして、北鮮に行く場合においては、いま申しましたいろいろの点において保証をするということの回答がございまして、安堵をいたしておったわけでございます。
 同時に、三日の日に、いよいよ山村政務次官一が人質となって、百名の方々にかわって出かけられるということが確定いたしましたその瞬間におきまして、かくかくの事情になったので、平壌に到着したならば即時日本向けに帰国できるように取り計らってもらいたいという、その一点にしぼって北鮮側に要請をいたしました。時間的に申しますと、山村政務次官がちょうど平壌に着陸されたころの時間に、このマク、軍事休戦委員会を通じまして、即時返還については保証ができない、事情が変更したから、こういう回答がございまして、非常に心配をいたしたわけでございます。また赤十字を通じましても、同様の趣旨の連絡がその後にございました。この点につきましては、私どもとしては、万全のなし得る限りの措置を講じたつもりでございますけれども、山村政務次官に対しまして、また乗員の方々に対しまして、非常な御迷惑、御心配をかけましたことを、私はたいへん申しわけなく思っておるのでございます。政府といたしましては、人質として行かれたのであるから事情は変更しない、かような観点に立って保証をお願いをし、また即時返還をお願いしたつもりでございますし、全般的な保証は取りつけてあるという、さような考え方のもとに山村政務次官一行が出発をされたわけでございますが、幸いにして、北鮮側の好意ある人道的な立場によって、すみやかに御帰国いただいたことを私はたいへん喜びとするものであり、またこの点について、北鮮側の人道的立場に立った御協力に対しては、私も感謝申し上げる次第でございます。
 最後の御質疑は、東京条約、この関連の御質疑でございます。東京条約につきましては、日本政府は調印をし、署名をしているわけでございますが、批准をいたそう、国会の御審議を願うにつきましては、航空法の若干の改正等の問題もあるようでございますから、それらの点について検討いたしておるさなかに、この事件が起きたわけでございます。
 東京条約の内容は、現在の条約の内容をもってしては、いわゆるハイジャックの対策として私は万全でないと思います。しかし、ともかくも、ただいまの御質疑にありましたように、多くの国々が調印し、あるいは相当の国々が批准もして条約の効力を発生いたしておりますから、とりあえずこの条約の批准、国会の御審議をお願いをいたしまして、同時に、今回のこの経験をもとにいたしまして、御質疑にありましたように、日航といたしましても今回の事件については、詳細な報告を国際会議、国際機関等にもしてもらって、国際的にこの条約がよりよき形に今後改善されるように、並行的にあるいは今後すみやかにその努力を傾倒いたして対策を講じたい、かように考えておる次第でございますが、これらの点につきまして引き続き御協力をいただきたいことを、あわせてお願いする次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣小林武治君登壇〕
#11
○国務大臣(小林武治君) 航空機乗っ取りのごとき凶悪なる犯罪に対しては厳罰をもって臨むべきものと考えるのでございまして、現行の刑法等におきましても、これに適用し得る強盗罪その他の罰があるのでございますが、いまの法制においてはこの乗っ取りそのものを対象とする適当な規定がございませんので、この点は、私は、刑法犯としての一つの欠陥である、かように考え、この際の問題といたしまして、国会の御意向あるいは世論の動向等もあり、これに該当するいわゆる航空機等の奪取を処罰する、かような意味の単行法律を制定いたしたい、かように考えておるのでございまして、この国会での成立をひとつ期待をいたしまして、私ども法務当局といたしましては、二十日前後までにひとつこの成案を得て、皆さまの御審議を願いたい、かように考えておるところでございます。
 なお、ただいまお尋ねの北鮮の帰還の問題につきましては、御承知のように、昭和三十四年から四十二年まで八万八千人余の北鮮の帰還が実現されておるのでありますが、これらの協定は、四十二年に失効をし停止をされておりますので、その後一万数千人の帰還希望者がある、こういう現況にかんがみまして、私どもも、人道的の立場からお帰りを願うということが適当である、かように考えまして、これらの問題は北朝鮮の赤十字と日本の赤十字社との間の協定を期待し、日本赤十字に委任をいたしまして相談をいたしておるのでありますが、御承知のように、昨年のコロンボの会議におきまして、手続上の問題につきましてまだ合意に達せず、そのままになっておるのでありますが、私どもは、この合意を、現在北朝鮮側からの回答を待っておる、こういうことでありまして、この協定が実施のできることを心から希望しておる段階であることを申し上げておきます。(拍手)
  〔国務大臣橋本登美三郎君登壇〕
#12
○国務大臣(橋本登美三郎君) まことに長谷川議員からお話がありましたように、この二カ年間に約二百件近いハイジャックが行なわれております。ただ、そのハイジャックにいたしましても、その原因等に幾多の事情の違いがあります。あるいは政治亡命を目的としたり、強盗を目的としたり、いろいろ事情が違いますので、これが一概の措置につきましてはなかなかむずかしい問題がありまするが、今回日本において全くなかったことが起きたのでありますからして、われわれは非常に面くらったわけであります。
 この問題につきましては、当然運輸省が中心になりまして、法律の問題はまた別の問題でありまするが、とりあえず緊急措置といたしまして、私は、事件が起きた当時、直ちに航空局長にこれらの緊急措置を命じましたが、昨日、松尾日航社長をまずとりあえず呼びまして、そこで、航空会社としてやるべき措置を十分に研究してもらいたい、たとえば操縦席といわゆる乗客とのとびらを厳重に処理するなり、その付近に人を配する場合において安全の人を十分に配置するとか、そういうような航空会社としてやるべき措置を考えてもらいたい。またもう一つは、犯人らしき者、あるいは犯人が何とかして入らないようにくふうをしなければなりません。しかし、松尾社長に聞きますと、何といってもバス同様に国内飛行機というものは動いておる。発車三分前までは現在は乗れるわけであります。したがって、なかなかその点については非常にむずかしい点があるけれども、これらについては、航空会社としても十分に配慮をいたしたい。
 また、われわれ運輸省なり治安当局の面から考えますれば、いわゆる飛行場を中心にした対お客さんの問題もありますけれども、これを一元にした整備といいましょうか警備、あるいはそういう犯人等に対するこの一元化の方法をひとつ行政的に考えたい。おまわりさんはおまわりさん、こっちはこっち、こういう別々ではなくて、何か一元的にこれが、いわゆる取り締まりというと語弊がありますけれども、何らかそこで有機的に動いて、そうして十分なる効果をあげるような措置も考えなければならぬ。
 第三には、先ほど法務大臣からお話がありましたように、現在、機長のいわゆる機内におけるところの権限、治安上、秩序上、機内の秩序を保つための権限が明確でありません。こういう意味、において、機長に対してやはりこの機内の治安及び秩序に対する権限の明確化、これを法律によって明らかにする必要があろう。
 その他いろいろの問題がありましょうが、ただ問題は、厳罰だけがいいのでもありませんので、それらをいろいろ勘案しながら、また各方面の意見を聞きながら万全の措置を講じたい、かように考えておる次第であります。(拍手)
#13
○議長(船田中君) 石橋政嗣君。
  〔石橋政嗣君登壇〕
#14
○石橋政嗣君 私は、日本社会党を代表いたしまして、国民の大半が数日間テレビの前にくぎづけになり、新聞をむさぼり読み、一喜一憂した今回の不幸な日航機「よど号」乗っ取り事件に関する運輸大臣報告について、総理以下関係閣僚に対し、若干の質問を行ないたいと思います。
 この事件は、まさに不幸中の幸いとでもいうのでしょうか、一名の死傷者もなく、一応の落着もを見ました。その限りにおいては、全く喜ばしいことといわなければなりません。(拍手)しかしながら、結果がよかったからといって、それに至るまでの経緯のすべてが合理化されたり、あるいは問題点、疑問の点がたな上げされるようなことがあっては断じてならないのであります。(拍手)
 なぜならば、このほぼ満足すべき結果は、政府の正しい判断と適切な指導によってもたらされたものではないからであります。それは全く、個人的な献身などを含めて、僥幸といってもいいような条件の積み重ねの中から、思わぬ形で生み出されたと見るほうが正しいからであります。したがって、われわれは、今後再びこの種の事件が起きないようにするためにも、まず第一に真相を究明し、何が不足していたのか、何が間違っていたのかを、しっかりと把握する必要があると思います。私は、それなくして再発の防止はないと思いますので、政府も包み隠すことなく、ともに真実を追求するという立場で私の質問にお答えくださるよう、冒頭にお願いしておきたいと思います。(拍手)
 われわれが、政府の責任を追及してこと足れりとするものでないことは、乗客などの生命の安全が確保されるまで、政府に対する批判を差し控え、できるだけの協力をしてきた一事をもってしても、十分に御理解願えることと思いますので、重ねて誠意ある答弁をお願いするものです。
 問題の第一は、今回の事件を必要以上に複雑にし、解決をおくらせた最大の原因は、政府が人命尊重を第一義とすると言いながら、実際には政治を不当に介入させ、時としては、逆に政治を優先させたのではないかとすら思われるような措置をとったことにあると思います。その代表的なものは、もちろん「よど号」を板付から直接平壌に向かわせず、金浦空港に着陸させたことでありますから、まずこの点からお尋ねしてまいりたいと思います。
 第一の質問は、「よど号」を金浦空港に行かせたのはだれかということです。日本の政府機関ですか、機長を含めた日航自体ですか、米軍ですか、それとも韓国の政府機関ですか。これらの組み合わせ、すなわち合意に基づくものである場合は、どことどこが協議し、直接にはどこが指示した、そういうように具体的にお答えを願いたいと思います。関係閣僚の本日までの説明によりますと、だれも金浦に行けと言った者はいないということであります。石田機長も、最後まで平壌に行くつもりだったというのであります。それなのに、「よど号」は現実に金浦空港に着陸しております。これは一体どういうことですか。まさか「よど号」の操縦桿が平壌行きの拒絶反応を示し、ひとりでに金浦空港に導いたわけではありますまい。当の金浦空港では非常に手回しよく擬装工作が行なわれていた事実を念頭に置いた上で、明確な答弁をしていただきたいと思います。納得のいく説明がない場合は、金浦空港着陸は全く一方的な韓国側の独断によるものと理解せざるを得ないということを申し添えておきたいと思います。
 なお、この問題に関連して、事件発生直後、警察庁が福岡県警に対し、福岡引きとめに失敗したらソウルか日本国内の他の空港に着陸させよ等、四項目の基本方針を指示したと伝えられておるのでありますが、その事実の有無をも国家公安委員長に説明していただきたいと思います。これは警備局長の指示に先立って警備課長と現地係員との間において話し合われたもので、何の影響も与えていないというつもりでありましょうが、それならば、局長が正式に指示を出す際に、この事実は確認されており、明確に打ち消されていたものかどうかもあわせてお答え願いたいと思います。
 次に、「よど号」が北朝鮮に向かって飛んだらどうなるかという日航側の質問に対し、防衛庁の航空幕僚監部は、領空侵犯でスクランブルをかけられ、悪くすれば撃墜されるおそれがあると答えたといわれておる点についても、防衛庁長官から真偽のほどをお答え願いたいと思います。
 さらに、福岡空港で離陸の引き延ばしを策している間に、日航側が米軍に対し、北朝鮮に入る前にインターセプト、すなわち進路妨害をしてもらいたい、威嚇射撃をするときは空砲にしてもらいたいと、具体的な要請を行なったといわれておるのでありますが、この点も運輸大臣からお答えを願いたいと思います。
 ともかく、金浦行きはだれも指示しなかったというのでありますが、あなた方閣僚を含めて関係者のほとんどすべての胸の中に、何とかして平壌に行かせたくないという気持ちがあったことは、以上、質問の形でお尋ねした幾つかのことばの中ににじみ出ていると思います。あくまでもそんなことはないとおっしゃるのならば、私はあえてお尋ねいたします。今回の事件対策の総括的な責任者は一体だれですか。最高の統括責任者がいないとは言わせません。おそらく総理みずからが、この不幸な事件を心配してその任に当たったのではないかと思いますが、もし平壌にだけは行かせたくないなどという気持ちは毛頭なかったというのならば、なぜに事件発生直後なるべく早い機会に、国際的常識ともなっている目的地、平壌行きを関係機関に指示し、各国に対してもその線に沿った協力を要請しなかったのでありますか。そのような大局的な立場に立っての判断と指導がないために、それぞれの機関がばらばらの発言をし、ばらばらの行動をし、だれも知らないうちに「よど号」が金浦空港に着いていたなどというような、理解しがたいことが起こったのではないのですか。それでも政府は、情報の一元的収集、情勢の分析と判断、統制と指導の面で粗漏はなかったと言い張るつもりか。この点は総理にお伺いしたいと思います。
 問題の第二は、朝鮮民主主義人民共和国との関係についてであります。
 事件を必要以上にこじらせ、解決をおくらせたいま一つの大きな原因が、この国との間に国交のないことにあったことは言うまでもありません。そのことが、ひいてはこの国に対するいわれのない不信と敵意に近いものをすら抱かせることになっていたために、すべてが後手に回る結果になったのだと思うのであります。そんなことはないというのであれば、まことにけっこうなことでありますから、それを立証するつもりで次の質問に答えていただきたいと思います。
 質問の第一は、「よど号」が北上している際、朝鮮側の対空砲火を受けたと愛知外務大臣が国会において述べた点であります。中曽根防衛庁長官は、それのみか、ミグ21が八機も出てきたと、まさに見てきたような何とやらを堂々と発表したのでありますが、このような事実が全くなかったことは、その後の石田機長、乗客の言明でも明らかなところであります。
 そこで、まず伺いたいのは、これらはどこから得た情報であったかということです。このようなあやふやな情報を直ちに公表したあなた方の気持ちの中には、まず第一に、情報の出所、おそらく米軍でありましょうが、それに対する無条件の信頼があったのではありませんか。それが事態によってはどんなに危険なものを含んでいるか、考えたことがございますか。あわせて御意見を承りたいのです。
 第二には、だから平壌には行きたくても行けなかったのだということを国民に納得させようという意図があったと思うのでありますが、いかがですか。これまた、そんなことはないというのであるならば、あの時点でこのような怪しげな情報を直ちに国民の前に公表した理由を、納得のいくように説明していただきたいと思います。
 質問の第二は、「よど」号が金浦空港から離陸する際の経緯についてであります。
 朝鮮民主主義人民共和国政府は、四月三日午後、朝鮮軍事休戦委員会連合軍側代表を通じて、情勢が変化したので安全を保証することはできない旨通告してきたのでありますが、これを無視して金浦空港を飛び立たせたのはなぜかということであります。石田機長はこの事実を知らなかったようでありますが、これは故意に知らせなかったとしか思えないのでありますが、いかがです。
 それだけではありません。金浦空港から平壌までの飛行経路は、状況が変化する前に、同じく軍事休戦委員会を通じて朝鮮政府から示されていたにもかかわらず、これを無視し、全く逆の日本海回りのコースをとっているのでありますが、これは、だれが、どのような理由から機長に指示したものであるかを運輸大臣に伺いたいと思います。
 かかる一連の行為がいかに朝鮮民主主義人民共和国側をして憤激させるものであるかは、容易に想像できるところです。(発言する者あり)政府は、これらについても、全く知らぬ存ぜぬというのでありましょうか。それとも運輸大臣は、ルートは出発させる空港が決定すべき事項だという韓国の主張を支持なさるつもりですか。帰りもこのコースを飛んでいるのを見ればこのルートが適当だったのだろうという、不遜な言辞を再び弄するつもりか、お伺いしたいのであります。
 このような、二重の朝鮮民主主義人民共和国無視ないしは軽視のあらわれとしてとられた措置が……
  〔発言する者多し〕
#15
○議長(船田中君) 静粛に願います。
#16
○石橋政嗣君(続) 結果的には、「よど号」が不案内の空における誘導なしの飛行、薄暮時における、それもほとんど使用していないと思われる空港への無謀に近いといわれる着陸という、二重の危険この上ない行為を余儀なくされたことを知るだけに、許すことができないのであります。事故が起きなかったからいいようなものの、もしものことがあったときに、運輸大臣、あなたは、韓国のしたことだからしかたがないと言い切る自信がございますか。おそらく朝鮮側に責任を転嫁するようなことになっていたのではないかと思うのでありますが、責任ある答弁をお願いいたしたいと思います。
 ともあれ、政府のとった行為は、結果的に朝鮮民主主義人民共和国政府をいたく刺激するものであったことは、以上の事実からでも明らかであります。にもかかわらず、かの国は、人道上の立場を貫き、日本国民との友好を願い、温情ある取り扱いを行なったものと思われます。この際、政府は、心から非礼を反省し、誠意には誠意をもってこたえるべきだと思いますが、いかがでありますか。(拍手)そして、その誠意は、一応の一片の謝辞で終わるのではなく、両国の間に横たわっている幾多の諸懸案に積極的に取り組み、前向きで解決することによって初めてあらわすことができるものと思うのでありますが、その決意のほどを外務大臣にお伺いしたいのであります。(拍手)
 なお、近隣諸国との友好関係の確立は、次に述べる再発防止という観点からみても、絶対的な条件だと思いますが、この点についてもあわせて御意見を承っておきたいと思います。
 問題の第三は、この種乗っ取り事件の再発防止策についてであります。
 この点に関し、すでに政府は、航空機上で行なわれた犯罪及びその他のある種の行為に関する条約、いわゆる東京条約を今国会中に提案し、承認を求める意向を明らかにしているのでありますが、そのとおりであるのか、お伺いしたいと思います。同時に、本条約の提案国であり、しかも早くから調印しておきながら、今日まで放置していた理由もあわせて伺いたいと思うのであります。
 なぜ私がこの点を重視するかといいますと、今回のこの事件にあたって、乗っ取りに何の備えもなかったという政府の無策ぶりが、条約の批准を数年間も放置してきた態度の中にそのままあらわれていると思うからであります。政府は、世界のどこかで行なわれていることは、やがて日本でも行なわれる可能性を持っているのだということをこの際はっきりと認識し、未然に対策を講じておくことの必要性を肝に銘じていただきたいと思います。
 なお、国内法の面では、これまた、今国会において特例法を制定したいというのでありますが、この点については、いたずらに刑罰を重くするというだけでは済まないと思います。刑罰を重くすればするほど犯罪者も必死になる側面のあることを認識し、必ずや一方においては、人質などを無事に送還するなどした場合には情状によって刑の軽減をはかる措置をとるべきだと思うのでありますが、この点についての見解をお聞きしたいと思います。
 さらに、私が強調したいことは……
  〔発言する者あり〕
#17
○議長(船田中君) 御静粛に願います。
#18
○石橋政嗣君(続) この種犯罪は、特に政治に対する信頼を回復することこそが、真の、唯一の解決策であるという点であります。
 最後に、第四の問題として、重大な犯罪を犯した暴力学生をどうするかという問題が残っています。この問題は、まず何よりも朝鮮民主主義人民共和国の国内法に基づく措置が優先するものと思いますが、この点についての見解をも含め、今後どのような態度をとるつもりであるか、お答え願いたいと思います。
 以上をもちまして私の質問を終わるわけでありますが、いままで申し上げたことのほかに、今回の経験の中からわれわれが確認できたことの一つに、日米韓三国のみごとな連係ぶり、それも政治を離れた軍事レベルでの一体ぶりがあります。次に、朝鮮民主主義人民共和国の、原則にはきびしくとも、具体的な処理にあたって柔軟性を示すということが明らかになったという点があります。私たちは、この二つの中からも教訓を得なければなりません。前者の危険性を除去し、後者を生かし、日朝の国交回復を目ざして着実に前進することを真剣に考えなければならないと思う次第であります。(拍手)そして、それをなし遂げることこそが、真に緊張を緩和する道であり、極東の平和と日本の安全保障を確保する道であることを指摘し、この点についての総理の見解をお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 「よど号」は、機長の判断によりまして、一たん福岡空港に着陸いたしました。その時点において、政府及び日航関係者の努力は、乗客及び乗員の安全を確保するという一点に集中されたのであります。しかし、機長は、犯人の脅迫によって、空港の許可なくして板付を離陸し、「よど号」は平壌に向かったのであります。先ほどもお答えをいたしたのでございますが、私どもは国内においてこの問題をぜひとも解決したい、かように思うたのでありますけれども、そのことができず、ただいまのように空港の許可なくして機長が飛び立った、そういうような状態に機内で脅迫を受けていた。この点を御理解いただきたいのでございます。(拍手)だれも金浦へ着陸するよう指示した者はありません。機長自身、無線の誘導によって平壌に着陸したものと思ったようであります。この間の……(「違うよ」と呼び、その他発言す者あり)ちょっとよく聞いてください、あまりやじらないで。この間の事情は記者会見ですでに明らかにされたとおりであります。この記者会見を無視なさればこれは別でございますが、記者会見で、はっきり申しております。
 政府は、「よど号」が板付を離陸したあと、いずこへ行くか全く明らかでなかったので、そこで韓国政府及び北朝鮮当局に対し、その事情を説明し、いずれにおりるにしても無事着陸できるよう協力要請を行なったのであります。(拍手)この点は重ねて御理解を得たいと思いますから、私からもつけ加えておきます。先ほどその間の事情は詳しく外務大臣が説明したばかりであります。
 次に、事件発生後、運輸、防衛、警察、外務など関係各省は相互に緊密な連絡をとって、乗客の救出に全力をあげたことは御承知のとおりであります。その後「よど号」が金浦空港に到着したことが判明し、政府は橋本運輸大臣を現地に急派いたしました。もちろん、いかなる場合といえども最終的な責任者は私自身にあることは申すまでもありません。今回の事件が特殊な事件であったため、特に政府としては、別にいわゆる対策本部などを設けるということはいたしませんでした。ただ、関係各大臣の有機的な連係によって処理したものであります。したがって、責任の所在は明確でございます。
 次に、いろいろ御意見をまじえてのお尋ねでございましたが、御承知のように、最近航空機乗り取り事件が国際的に頻発していることは、すでによく御承知のことだと思います。しかし、今回の事件は、乗り取られた航空機が一たん福岡、いわゆる国内航空の形で福岡に着陸したという点において、類似の事件とはやや異なる点があるのではないかと思います。この間ニュースは全世界に報道され、近隣諸国は、乗客の安全を確保するという人道主義的な見地から積極的に国際的な協力体制をとってくれたのであります。わが国と国交のない北朝鮮当局におきましても、かかる見地から柔軟に対処されたことは、たびたび申すように、政府として深く感謝しているところであります。以上お答えしたとおり、いずれの国民といえども、航空機を利用した犯罪を憎む気持ちに変わりはなく、またこのような事件が発生した場合、関係する国々に多大の迷惑をかけるのでありますから、政府としては、二度とこのような事件の起こりないよう最善の努力を講ずる考えでありますかり、国会におきましても、党派を越えた御協力をお願いをいたします。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#20
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。
 警察庁及び福岡県警が、今事案の処理について、日航機を韓国に着陸させるなどということを方針としたことはないし、ましてや関係機関に対しそのようなことを要請したことは全くございません。
 警察庁としましては、事件発生の第一報を受けた警備局長が、午前八時二十分、福岡県警本部長に対し事案処理の方針をただすとともに、乗客の安全救出を第一とし、板付に着陸したならば、あらゆる手段を尽くして離陸を阻止することの方針をもって臨むこととしました。自後、警察としては一貫してこの方針により措置してきたところであります。
 なお、警察庁のいわゆる四項目の指示と伝えられるものは、福岡県警からの電話連絡があった際に、赤木警備課長が警備局長の指示を受けるまでの間に、とりあえず県警の係員との間において、乗客の安全救出を期すること、給油の引き延ばし、タイヤの空気抜きなどの発進阻止をはかること、やむを得ずして離陸した場合でも、乗客の早期安全救出をはかるために、近くの飛行場、たとえば国内か韓国の空港への着陸を検討できないかどうか、などの点を打ち合わせたことが伝えられているのではないかと思います。このことは、指示ということではなく、折り返し上司にその内容を報告した際に、すでに警察庁の方針は明確であるので、そのような考えはとる余地がないものであり、自後の警察処置には何らの影響も及ぼしてはいないのでございます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#21
○国務大臣(中曽根康弘君) 石橋さんにお答え申し上げます前に、山村君の確認のためにわざわざ韓国へお越しいただいた阿部議員の御協力に、私は心から御礼申し上げたいと思います。(拍手)
 御質問の中で日航と空幕との関係の御質問がありましたが、三月三十一日午前十一時四十分ごろ、日航本社の管理部企画課の川田係員から、空幕運用課の運用第二班長原田一佐に対して質問がございました。その内容は、空幕から韓国に通ずる直通電話があるかどうかということ、第二番目は、被災機「よど号」が板付を離陸して北鮮に向かった場合に予想される韓国側の対応行動について御質問がありました。これに対して原田班長は、空幕は韓国への直通電話は持っていない、米軍ならば持っている、第二に、「よど号」はフライトプランを出さずに飛行することになろうから、韓国空軍の要撃を受けることもあり得る、場合によっては信号射撃等を受けることもあり得ると思うが、当方には韓国の航空情報出版物がないのでよくわからない、このように回答しております。それから、対空砲火及びミグの問題でございますが、当時いろいろ御質問がございまして、われわれのほうで持っておる手持ちの情報はできるだけ報道機関にお知らせしたほうがいいと思いまして、手の内を全部さらけ出して見せたというのが真相であります。秘密主義はとらぬほうがいい、そういうふうに思ったわけであります。
 それから、ミグ八機があらわれたというのも、実は米軍を通じて情報が入りまして、「よど号」が金浦に向かったあと、三十八度線の向こう側に、高いところにミグ八機がレーダーに映った。これは、実際あったかどうか、わかりませんが、情報としては入っております。この可能性は、おそらくあのとき、一万五千フィートから八千フィートぐらいのところから、九千五百フィートぐらいに高度を落として、着陸の準備に入っておるものですから、ミグはおそらく一万数千フィートの上空に、しかもかなり平壌寄りにあるいはおったのではないか、それが韓国側のレーダーに映ったのではないか。もしそうであれば、機長にはわかりません。そういう意味で、有無ということはまだ未確認の状態でございます。
 情報につきましては、米軍とは安保条約によりまして緊密な連係をしておりますが、指揮権は相互に独立でありますので、お互いは相侵されないように努力してまいります。なお、御趣旨を体しまして、自主的情報機能を強化するように、これからやってまいりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣橋本登美三郎君登壇〕
#22
○国務大臣(橋本登美三郎君) 石橋さんの御質問は、運輸省は金浦におりることを指示したのではないかということが主のようであります。
 金浦飛行場に、運輸省といたしましても、これを指示したことはありません。それらの問題は、機長がきのうのテレビ会見等で詳しく言っておるようでありますから、御承知と存じます。
 ただ、私は、御承知のように、今回の措置が、私たちが皆さんにいろいろ情報を提供する上において不十分であった。これは、私が現地におきまして、韓国記者団、日本人記者団、外国人記者さんと、約二、三百名という多数の人に対して、しかも、三いろの会見をしなくちゃなりませんし、情報を提供しなければならぬわけでありまするが、それに対して、突然のことであって、十分の措置ができなかった。それで、刻々のいわゆる比較的正しい情報といいましょうか、資料を皆さんにお届けできなかったことにつきましては、心からおわびを申し上げます。
 しかし、私は、現地におりまして、韓国政府あるいはソ連政府、あるいは軍事委員会及び北朝鮮当局、これらの方々が、もちろん、直接にあるいは通信等を経て、ほんとうに真剣に、人道主義の立場に立って御協力くださった。私は、石橋さんにもお聞き願いたいのでありまするが、何らかの政治的意図をもって行なわれた事件ではありません。(拍手)真剣に人道問題として、ほんとうに心から、われわれは涙を流して、私は乗客の諸君に訴えました。ほんとうに今回の事件は、日本政府は当然のことであるけれども、あの戦時下における軍用飛行場であります、その軍用飛行場において、韓国政府はもちろんでありまするが、米軍あるいは軍事委員会、北朝鮮当局、ソ連当局が、ほんとうに人道主義的立場に立って、この問題は救ってやらなければならない――この金浦飛行場に、何の理由があったかわかりませんけれども、おりてしまった。であるからして、これを何としても救ってやらなければならないというその人道主義的な各国の誠意、善意というものを、お互いに信じなければならないと私は強く感じました。(拍手)私は、このように関係者の善意を信頼し、真剣にわれわれが考えることが、世界平和に貢献し、近隣との友好に尽くすゆえんであると考えるのであります。(拍手)どうぞ、石橋さん、この点は、阿部さんもおいでになりまして、ほんとうに真剣に、私たちと手を握りながらやってくれました。これも人道主義的に、政治的見解を越えた協力であります。どうぞこの点を十分に心から御理解を願いたい。これが私が、世界に訴え、日本の国民に訴えたい最大の理由であります。どうぞ御了承願います。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#23
○国務大臣(愛知揆一君) 私も、この機会を拝借いたしまして、今回の事件の処理にあたりまして、阿部助哉議員に四月の二日の夜お願いをいたしました、その当の人間といたしまして、この議場をかりまして、御協力に対しまして、心から厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 その当時いろいろの情報がありましたことは、ただいま防衛庁長官からも率直な御説明がございましたが、そのとおりでございます。同時に、ただいま御質疑がございましたが、私を名ざしで、北鮮が対空砲撃を加えた云々という点にお触れになりましたが、これは実は四月の一日あるいは四月の二日、参議院予算委員会におきまして、北鮮が対空砲撃を加えたという新聞記事が出ておるが、この記事のようなことが事実なのであろうかという趣旨の御質疑がございましたので、政府といたしましては、確認された情報ではございませんので事実であるかどうかさだかではございませんということを前置きにして、御答弁いたしましたことを、御承知をお願いいたしたいと思います。
 また、その次に、北鮮側の態度でございますけれども、御承知のように、率直にいってわれわれが一喜一憂したことは、よく御理解いただけると思いますけれども、人道的な立場に立って、われわれの全国民的な気持をよく理解してくれ、すみやかに迅速な措置をとって、乗機ともども山村政務次官一行を帰してくれたことは、私は、先ほど申し上げましたように、感謝にたえないのであります。したがいまして、北鮮側に対しまして、本件が起こりましてから、各種のルートを通してお願いをいたしておりましたので、そのルートを通しまして、私といたしましても十分の謝意は表しておるつもりでございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣小林武治君登壇〕
#24
○国務大臣(小林武治君) 航空機の乗っ取り罪に対する刑の定め方についての御意見のほどは、立案にあたり配意いたしたいと存じます。(拍手)
#25
○議長(船田中君) 伊藤惣助丸君。
  〔伊藤惣助丸君登壇〕
#26
○伊藤惣助丸君 私は、公明党を代表して、ただいま報告のありました日航機「よど号」乗っ取り事件に関し、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 質問の前に、今回の事件が、一人の犠牲者もなく、全員無事に帰国することができましたことを心から喜ぶとともに、乗客の安全を守り抜いた山村政務次官、阿部助哉代議士の犠牲的行為と、日航機石田機長以下乗務員の沈着かつ勇気ある行為に、深く敬意を表するものであります。(拍手)
 また、乗客の救出にあたっての大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、ソビエト連邦共和国、アメリカなどの各国の協力並びに好意的な措置に対し、あわせて感謝の意を表するものであります。(拍手)
 かかる不幸な事件が、再び繰り返されてはならないことは言うまでもありません。そのためには、まず今回の事件の徹底的究明がなされねばならないと同時に、国際関係の重要性をあらためて痛感する次第であります。
 そこで、私は、まずアジアにおける未承認国に対する政府の姿勢について伺いたいのであります。
 わが国は、アジアの分裂国家に対しては、すべて西側の韓国、国府、南ベトナムなどを承認し、中国、朝鮮民主主義人民共和国、北ベトナムなどに対しては、事実上独立国家として認めないという基本姿勢をとってまいりましたが、今回の事件ですでに明らかなように、現実に存在する朝鮮民主主義人民共和国と交渉せざるを得なかったのであります。現実に存在する権威、隣接国に対し従来の政府のとってきた政策が、いかに不自然なものであるかは言うまでもありません。このたび、総理は、特に朝鮮民主主義人民共和国の示した誠意に対しては、誠意をもってこたえるべきが当然のことでありますが、今後、朝鮮民主主義人民共和国とわが国、あるいは他の未承認国との関係をどうするのか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 直ちに国交回復は不可能としても、政府間貿易、漁業、航空協定など、経済交流や人事交流など、積極的な姿勢で臨むべきであると思うが、この点についての見解を伺いたいのであります。
 また、この際、万国博の入国、往来の自由、在日朝鮮人の待遇をどうするのかも、あわせて明らかにしていただきたいのであります。
 次に、今回の事件の経過を振り返ってみますと、明らかにされていない重要問題がきわめて多いのであります。
 その第一は、「よど号」が金浦空港へおりた事実についてであります。
 石田機長は、板付空港から平壌へ行くと言っておりました。政府は金浦へおりることを全く知らなかったということも明らかになっております。それでは、金浦へ着陸させたのは、どこの国のだれによって指示がなされたのかということであります。このことを明らかにしなければ、この疑問は解決しないのであります。
 帰国後、石田機長の記者会見によりますと、三十八度線を越えた時点で、一二一・五メガサイクルで連絡した際、別の一三四・五メガサイクルの周波数に指定され、その後、明らかに金浦の韓国空軍あるいは米軍によるレーダーの誘導によって着陸しているのであります。しかも、金浦空港では、あらかじめ平壌であるかのような偽装工作がなされていたということも事実であります。このことは、日米韓の軍事発動がすでにとられていたことを示すものであり、日本政府はこれを知らなかったということになっているのであります。それでは、米軍が独自でやったのか、あるいは韓国空軍がやったのか、米韓作戦で行なわれたのかを明らかにすべきでありますが、この事実関係はどうなっているのか、明確にしていただきたいのであります。
 一方、愛知外務大臣は、先日の国会答弁で、「よど号」の進路が北鮮の砲火によって変えられた旨の発言をいたしておりますが、この事実がなかったことがすでに明らかにされております。韓国の安全が日本の安全にとって緊要であるという日米共同声明からも、このような不正確な情報、あるいは政府が全く確認できなかった情報によって、わが国が戦争に巻き込まれる危険が十分に存在すること、並びに、日米安保体制が単なる日米間のものではなく、日米韓三国が連動するものであることが、米韓に依存する防空情報からも明瞭になったと思うが、この点をどう考えておられるか、伺いたいのであります。
 しかも、日本政府が知らないうちに具体的な行動がとられているという事態は、きわめて重大であると思うのであります。この事件で、日米韓三軍の間に緊急連絡がとられている感じが強いが、米軍の行動、韓国空軍の行動、自衛隊との連絡、指揮系統はどうなっていたかを明らかにしていただきたいのであります。また、いわゆる有事の際における日米韓三軍の体制、連絡、指揮系統はどうなっているのかも、あわせて明らかにしていただきたいのであります。
 これらの点が明らかにされないとするならば、日米安保における事前協議が戦争歯どめ論として論議されていることさえ、全く無意味なものであり、政治の介入がなされる前に、軍人の判断、行動によって戦争が起こるという危険性は十分にあり得るものと考えざるを得ないのでありますが、総理の見解を伺いたいのであります。また、シビリアンコントロールという問題に対しどう考えているのかも、明らかにしていただきたいのであります。
 次に、航空機上で行なわれる犯罪は、世界的に激増の傾向にあります。日本においても、ついに憂慮していた事実が現実となってあらわれたわけでありますが、外務大臣は、通称東京条約の批准をいつを目途に行なう考えか。また、ICAOにおいて、この東京条約を補うハイジャッキング防止条約を現在検討中でありますが、本年末、オランダのへーグで開かれる国際会議において条約が採択される見通しであると聞いておりますが、日本も、今回の日航機乗っ取り事件を機会に、この種の問題解決のために、国際会議に政府閣僚の派遣を行なうか、また、わが国のハイジャック防止の基本対策を明確に示す考えはないかを伺いたいのであります。
 さらに、この国際民間航空機構には、社会主義国がほとんど加盟していないが、わが国からハイジャックによって逃亡する可能性のある国は、未承認社会主義国がほとんどであると思われます。したがって、条約の実効性はきわめて疑問が残るが、この点をどうするのか、明らかにしていただきたい。
 次に、航空法の改正並びに保安体制についてであります。
 昨今の国際的航空機乗っ取り事件は、航空機の発達に伴って、今後ますますエスカレートしている現状であります。
 そこで、航空機の犯罪の防止対策が世界的に問題になっているにもかかわらず、わが国政府が事前の防止対策を怠り、現在まできたことは、ゆゆしき問題であり、大きな政治的責任であるといわねばなりません。ゆえに、これら情勢に応じた国際的条約、協定の締結は言うまでもありません。
 同時に、わが国においても、航空法に規定されている航空機の安全、航空従事者の権限、航空機の運航などについて、安全と秩序をモットーとする航空運航の上から、また、ハイジャック行為防止の上からも、当然航空法の改正が急務だと思いますが、その具体的な考え方を伺いたいのであります。
 その中で、特に、現在の航空法で規定されている機長の権限は、乗務員の指揮監督など権限の低いものにとどまっております。この際、機長の権限については、司法、警察権を付与するなど、大幅な強化、充実が必要であると考えますが、この点はどう考えておられるか。
 また、ハイジャック行為を未然に防止する最も効果ある処置は、犯罪者の乗り込み及び危険物の航空機持ち込みを防ぐことであります。しかしながら、羽田空港内の税関では、人員不足のため効果は半減している状態であります。特に国内線の場合は、ほとんどノーチェックであるといわれております。
 そこで、磁気探知器の開発などの科学的探知方法を充実し、空港内外の警備の強化、税関のチェックを強化するための人員の増加、さらに爆発物、銃砲刀剣など危険物の機内持ち込みの禁止を強化すべきであると思うが、政府の考えはどうか、伺っておきたいのであります。
 さらに、航空機上の保安体制については、国内線の航空機にも、国際線同様に、機内の操縦室のドアにかぎをつけるなどの保安施設の強化、また、鉄道公安官と同じように、航空機にも警備員の搭乗を義務づけるなど、空港の内外並びに航空機内の保安体制を万全にするための法的義務づけを行なう必要があると思うのであります。この点について、公安委員長並びに運輸大臣から、具体的な対策をどのように行なうかを伺いたいのであります。
 政府は、今回の「よど号」乗っ取りのような事件の再発を防ぐため、今国会に航空機等の危険防止特例法といった特別立法を提出するやに聞いておりますが、この際、佐藤総理より、この問題を具体的に説明していただきたい。
 さらに、法務省は、刑法全面改正を待たずに、航空機不法奪取罪とも呼ぶべき刑法新設をお考えであるそうでありますが、法務大臣は、先ほどの質問に答えて、今国会に提案すると述べられましたが、その内容はいかなるものか、刑罰はどのようになるのか、お伺いいたします。
 また、わが国には亡命罪的なものはありませんが、この際、政治亡命についても、新たな角度から検討を加える必要があると考えますが、法務大臣の所信を明らかにしていただきたいのであります。
 以上、最後に、政府の明快な答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 今回の日航機乗っ取り事件で、いわゆる分裂国家の問題があらためて国民の関心を集めましたが、国際政治上の要因でいわゆる分裂国家が存在することは、その民族にとりましてきわめて不幸な事態であるといわざるを得ません。私どもは、近隣諸国との友好関係を可能な限り増進することを基本方針としており、未承認国といえども、いまだかつて一度も敵視政策などをとったことはありません。しかしながら、今回の事件の解決の経緯に照らして、直ちにわが国の外交姿勢を百八十度転換することは、国際情勢に照らしましても現実的ではないと思います。(「百八十度じゃない、一歩前進と言っているのだ。」と呼ぶ者あり)政府としては、国際信義を貫きつつ、相互の立場を尊重し合って交流を積み重ねていく考えでございます。ただいま不規則発言で、一歩前進と言っているのだというお話でございますが、私どもも、さような立場でこういう問題と取り組んでおります。御了承を願います。
 次に、先ほどの長谷川君や石橋君のお尋ねにお答えいたしましたとおり、政府としては、今回の事件に際しまして、北朝鮮当局が、人道的見地から国民的な要望にこたえられたことを、深く感謝しております。このことも重ねて申し上げておきます。
 次に、今回の事件における自衛隊と韓国軍や米軍との連絡などにつきましては、いままですでに防衛庁長官から御説明いたしましたところで御了解を願います。出先機関で独断で処理したというような事実はございません。
 また、シビリアンコントロールについてお尋ねがありましたが、申すまでもなく、自衛隊は政治優先のシビリアンコントロールの原則が貫かれております。そしてその背景には、戦前の苦い経験があることを忘れてはなりません。現在、自衛隊のシビリアンコントロールは、国会の統制、内閣の統制、防衛庁内部における文官統制、及び国防会議の統制による四つの面から構成されておりまして、制度として確立されているものでございまして、この点では不安はない、かように私は思います。
 また、その他の事案につきまして、それぞれ広くお尋ねがございました。また、私を指名して、これこれに答えろというような点もございましたが、それらの点はいずれ、それぞれの所管大臣からお答えいたしますので、御了承願います。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#28
○国務大臣(愛知揆一君) お答え申し上げます。
 いろいろの未確認情報というものについてのいきさつは、先ほどお答え申し上げましたとおりでございますので、御了承いただきたいと存じます。
 次に、東京条約でございますけれども、これは今国会中に御審議を願いまして、批准をし、加盟をすることに、とりあえずいたしたいと考えております。
 それから、へーグで開催を予定されておりますハイジャック防止条約についての態度でございますが、本年の十二月にへーグで、条約のための国際会議が開催される運びと相なっております。わが国は、法律小委員会、法律委員会、理事会に代表を参加させ、条約案作成のために、積極的に協力を従来も行なってまいりましたが、今後とも、早期にりっぱなものができるように努力いたしまして、その成立をはかりたいと考えております。
 それから最後に、東京条約がたとえば成立したとしても、承認していない国との関係において実効をあげることはできないではないかという御趣旨にお触れになりましたが、それはそういうことも言えると思いますけれども、この種の条約に基づく場合、未承認の国は条約の当事国となることができて、一般的には条約に基づく義務を負うことになる、いわゆるオールステーツ・フォーミュラというものが考えられると思いますので、相当の効果というものは期待できるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣小林武治君登壇〕
#29
○国務大臣(小林武治君) 航空機乗っ取りの罪に対する大体の考えといたしましては、まあ七年以上の有期懲役と無期懲役、こういうふうなことを考えておりますし、なお、これによって人を死に至らしめた場合に刑を加重するかどうか、こういう問題をいま検討いたしております。
 なお、この罪につきましては、未遂罪も罰する、同時に予備罪についても罰する、こういうふうなことを考えておるのでございます。(拍手)
  〔国務大臣橋本登美三郎君登壇〕
#30
○国務大臣(橋本登美三郎君) 伊藤さんの御質問は、現在の国際線、国内線の旅客及び安全飛行等に関してどういう措置をとっておるか、また、将来の機長等の権限についてどう考えているかというお話であります。
 この予防措置につきましては、二通りの考え方があります。いわゆる一般的な社会の問題、これは根本的問題であります。それから、直接の運輸省といたしましては、空港内における事前の予備調査あるいは機内におけるところの検査といいましょうか、さようなものが二つ分かれると思います。
 ただ、国際線の場合は、かなり、いわゆる旅券等によって事前にこれを相当にチェックする可能性があると思いますが、荷物等については、やはり現在考えておりますように、機械等を十分に活用し、また、人手をふやして綿密なる調査をする必要があると思います。
 ただ、国内線になりますと、先ほど申し上げましたように、これは回数も非常に多い、時間も切迫しておるという点で、非常に困難ではありますけれども、これら手荷物、小荷物に対する検査、しかしながら、人権の問題もありますので、これらのかね合い等を考えまして、そして万全を期していきたい、かように考えております。
 機長並びに副操縦士あるいは機関士、あるいは保安要員等の問題、これらの問題は、法務省と十分に協議を重ね、運輸省からの希望等も十分に申し上げて、そうして万全の態勢を尽くしたい、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#31
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁は、米軍を通じまして、安全飛行の要請を韓国軍にお願いをいたしましたが、それ以上は何もいたしません。飛行場に対する誘導とか擬装ということは、当方は全く関知しないことでございます。
 日米韓三国の連係につきましては、「よど」の安全飛行について、米軍を仲介して連絡はいたしました。それ以上については何もございません。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#32
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。
 今回のような航空機乗っ取り事案の再発を防止する見地から、事件発生直後、即日全国各空港の警戒措置をとるとともに、四月一日、全国の都道府県警察に対し、事案処理の基本方針は、乗客などの安全救出を第一義とし、あわせて被疑者の早期検挙をはかること。次に、空港事務所、税関、各航空会社など、関係機関と十分に連係をはかり、人権上の配慮を加えながら、一般乗客の協力を得て、凶器、危険物の機内への持ち込みをさせないよう的確な検索措置をとること。さらに、航空機乗っ取りを企図するおそれのある者などに対する情報活動を強化して、事案未然防止につとめること、などについて通達したところであります。
 なお、関係各省庁はじめ関係機関と緊密な連係を保ち、いわゆるこの種事案の未然防止について効果的な措置を検討してまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(船田中君) 和田春生君。
  〔和田春生君登壇〕
#34
○和田春生君 私は、民社党を代表いたしまして、日航機乗っ取り事件に関し、佐藤総理及び関係各大臣の所信と見解をただしたいと思います。
 今度の事件を結果的に見ますなら、乗客は全員救助をされ、山村政務次官や乗務員、そして「よど号」も無事帰還をいたしまして、一応うまくおさまったかっこうであります。しかし、その間に、首尾一貫した政府の対処方針があったとは思えません。むしろ、政府の姿勢や治安対策上、多くの問題を今後に残したと思うわけであります。複雑な国際関係と、確信犯または狂信的ともいえる犯人たちとのからみ合うこの種の事件につきまして、人道主義という観念にのみ多くの期待をかけることも、今後同様に事なき解決を約束する道ではございません。
 そこで、まず、佐藤総理と荒木国家公安委員長にお伺いをいたしたいと思います。
 金浦空港では、韓国政府の非常な努力と山村政務次官の英雄的な行為によりまして、乗客全員の救出に成功いたしました。しかし、長時間乗客を極度の不安におとしいれ、韓国側には多くの負担をかけ、また、北鮮との関係でも、かえって問題を複雑にしたわけであります。
 この際、韓国政府と国民各位には深甚な感謝を表明し、山村次官の一身を顧みない犠牲的精神や、現地における橋本運輸大臣の決断には、心より敬意を表したいと思います。(拍手)
 しかし、そのことによって、事の次第の究明がおろそかにされてはなりません。あの際、この種事件の前例や、人命尊重第一の見地にかんがみまして、わが国の主権下にある福岡空港において、もっと時間をかけ、ねばり強く犯人の説得に当たるとともに、他方、北鮮当局との折衝等に手段を尽くしまして、なお万策尽きたと認められた際には、ハイジャックに関する国際的な常識の線に沿いまして、平壌に向けて飛ばせるようになぜ事を運ばなかったのでございましょうか。(拍手)今度の場合、「よど号」の金浦空港への迂回着陸につきまして、政府の諸機関が意思不統一のまま介入したような事実は全くなかったのかどうか、疑問が残ることは、国民として否定できないところであります。
 そこで、このような航空機乗っ取りが、未承認国をも含む外国とのかかわり合いを持つ事件の場合、政府の基本的な姿勢と治安当局の対策のあり方について、はっきりした見解をお伺いいたしたいと思います。これが質問の第一でございます。
 次に、愛知外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 事件の経過を通じ、空の強盗といわれるハイジャック、特にかなり綿密な計画的犯行に対する政府の判断の甘さと、関係者の対策の手抜かりが目立ったことは、否定できない事実であります。ハイジャックに関しては、すでに国際的に相当多くの経験があるにもかかわらず、日本政府がそれらに何を学び、どう対処してきたのか、まことにたよりないものを感ずる次第でございます。この国際的経験にかんがみまして、いわゆる東京条約がつくられました。これは六三年九月に調印をされ、六九年十二月に発効をいたしておりますが、わが国も、先ほど外務大臣もお認めになったとおり、同条約に署名をしているわけでございます。しかるに、日本政府は、この東京の地で成案を得ました同条約の批准の手続を、いまに至るまで七年間もの長い間、特別の手だてを尽くさずに放置してきたということについて、その理由が明らかではございませんので、一体いかなる理由によるか、お伺いをいたしたいと思います。(拍手)
 また、今国会で批准を期待するという佐藤総理のお話もございましたが、政府として批准の手続を相違なくとられるのかどうか、この点を確認をいたしたいと思います。以上が質問の第二であります。
 さらに、昨年第二十四回国連総会におきまして、議題百五号にかかる決議は次のことを各国に勧告をしているわけであります。
 その一は、航空機に関する不法行為について有効な国内法を整備することであります。その二は、特に不法行為については、国内法により訴追する必要があることであります。その三は、不法行為を防止するため、犯人引き渡しを含む国際条約、これは航空機不法奪取防止条約草案としてすでに出されておりまして、本年十二月にへーグで採択会議が開かれる予定になっておりますが、これを成立させるよう、ICAO、すなわち国際民間航空機構の努力を全面的に支持することを求めているのであります。その四は、六三年東京条約のすみやかな批准と参加を促進すべきことであります。
 この国連の決議にはわが国政府代表も賛成をしている由でございますけれども、もしそうであるといたしますなら、賛成した以上、決議実行の国際的、国内的な政治責任があると存ずるわけであります。政府関係各省は、本決議に基づき、これまでいかなる対処策をとってこられたのか、関係各大臣にそれぞれ具体的にお答えをいただきたいと存じます。これが質問の第三であります。(拍手)
 以上と関連をいたしまして、佐藤総理、また小林法務大臣にも重ねてお伺いをいたしたいと思います。先ほど来の答弁にもいろいろ述べられておりますが、わが国の航空法、刑法など関係法令が、ハイジャックという新しい犯罪に対しましてきわめて不備であることは事実でございます。航空機不法奪取罪を新設して重刑を科することについあては、すでにお答えがございました。また、航空機の機長にある程度の権限を持たせることについても政府は触れられました。さらに、常時警察が関与しなくても、善良な乗客と航空機の安全を守るために、運航管理者に一定の保安指揮権を与えるか、もしくは航空公安官のごとき制度を設けることや、また乗客の手荷物、携行物、身体等について科学的な探索をも可能とするような道を講ずることなど、少なくとも以上のような総合的立法をはかる必要があると思われます。これらの関係法令の改正と、要すれば新規特別立法について、本国会で緊急に成立をはかる必要があると考えるわけであります。わが党も全面的に協力するにやぶさかではございませんが、政府の見解と決意のほどを重ねて確認をいたしたいと思います。これが質問の第四であります。
 次に、本事件にかんがみ、政府の外交方針について佐藤総理と愛知外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 金浦空港において、北鮮政府との十分な詰めが行なわれないまま「よど号」を飛び立たせたことにつきましては、韓国との関係もこれあり、単純なものではございませんけれども、日本政府として、その判断と手続の上において詰めが甘かったとのそしりを免れないと思います。
 石田機長や乗務員各位の沈着果断な、敬服すべき措置によりまして、幸い事なきを得ましたが、飛行及び平壌空港におきまする着、離陸につきまして、いまにして思えば冷汗三斗、生死をかけた冒険を乗務員と山村運輸次官にしいたわけであったのであります。また、北鮮当局の人道的かつ好意ある取り扱いに助けられまして、事なきを得たわけでございますが、このようなことは断じて先例とすべきものではないと考えるわけであります。(拍手)
 ところで、わが国が国連決議に沿い大韓民国を朝鮮半島における唯一の合法政府と認め、国交関係を正常に樹立していることは、これまでの経緯を踏んまえ、正しいものと考えます。わが民社党は、この見地に立って、さきの日韓条約については、賛成の立場をとった次第であります。いまこの状態のもとで、朝鮮民主主義人民共和国政府を法的に承認することは、南北両朝鮮ともに受けつけようとしていないところの朝鮮における二つの主権を同時に認める結果となり、外交関係を著しく混乱させ、わが国自身を窮地に追い込むことになるでありましょう。しかし、だからといって、現状このままでよいとは考えられません。決して百八十度転換しろとは申しません。現に北鮮に存在をしているオーソリティーを事実として認め、人事交流や通商などの面におきまして、柔軟で幅のある態度のもとに改善策を進め、北に対しもっと自主的な外交方針をとるべきであると考えますが、政府の基本的な考え方と今後の具体的な対処方針を問いたいと思います。(拍手)これが質問の第五であります。
 最後に、第六といたしまして、本事件の犯人らとも関連のある政府の文教政策について、質問をいたしたいと思います。(拍手)
 今回の日航機乗っ取り事件のみならず、いわゆる赤軍派の犯罪行為は、平和な市民生活の敵であり、学生運動の全くらち外のものというべき凶行であります。しかし、その遠因、誘因を尋ねまするに、最近における学園の荒廃と無関係ではありません。欠陥学生は、戦後における欠陥教育の所産でもあると思います。(拍手)
 昨年の通常国会で強行採決をされました大学臨時措置法は、当時わが党が批判をいたしましたように、もっぱら紛争大学の封鎖解除をねらいとした治安対策的な色彩の濃いものでございました。そのねらいの限りでは、一応目的を達成しつつあるかに見えますけれども、その反面、大学の管理運営、学生の地位及び自治組織のあり方など、当面緊要と認められる大学改革の具体的方策については、臨時措置法の陰に押しやられ、すべて中教審待ちの形で無策のまま、今日に至っているわけであります。政権担当の衝にある責任ある政治家として、御反省あってしかるべきものと考えるわけであります。(拍手)
 そのために、封鎖解除等は進んだものの、大学の荒廃は高校にまで累を及ぼし、追い詰められた思慮浅き一部の学生群は、絶望と誤った英雄心にかられ、一そう過激な狂的闘争に走りつつあるのが今日の状況でございます。
 とのような事態を抜本的に改めるために、好ましい教育環境の整備と、大学、高校を通ずる学制の大胆な改革を目ざし、この際政府は、積極的にイニシアティブをとる考えはございませんでしょうか。
 教育は、国家百年の大計といわれております。許されてはならない反抗には、一罰百戒、罪刑ももとより必要でございますが、もっぱら治安対策にたよっているだけでは、青少年の健全な成長を期待することはできません。新しい時代に処するこれからの日本を考え、特に佐藤総理の所信と坂田文部大臣の見解をただしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 和田君御指摘のように、板付空港では空港の関係機関や現地の警察当局等で相互に緊密な連係をとって、まず乗客を安全に救出することを最重点として犯人を説得いたしたのであります。このため「よど号」を発進させないという方針で種々対策を講じたのでありますが、しかし犯人たちは、老人や子供など一部の乗客をおろすことには同意したものの、残りの乗客や乗務員を人質として、凶器を用いて発進を迫ったのであります。乗客の安全確保を第一とする機長としては、状況から見て、犯人の言うとおり発進せざるを得なかったものと思います。先ほども申しましたように、この際には空港の許可はございません。脅迫のもとに発進した、かように私は考えます。このために、結果的には本事件を日本国内で解決することができないで、日数もかかりましたし、またその間いろいろの誤解も受けたり、あるいはまた他国にもいろいろ迷惑をかけた、こういう事態になったのであります。しかし、私はそれらのことはまことに残念でありますけれども、機長がとったこの措置は、乗客の安全を確保するという見地からやむを得なかった点がある、かように私は思いますので、この点もまた、和田君にも御理解をいただきたい、かように思います。
 次に、先のお尋ねにもお答えいたしましたとおり、政府としては、この種事件の再発を防止するという見地から、関係法令の改正をはじめあらゆる必要な措置をとる方針であります。しかし、そのためには広く国民の理解と超党派的な御協力が必要であります。国際化時代に即応した条件整備がすみやかに行なえるよう御協力を切望いたす次第でございます。
 今回の日航機乗っ取り事件に関し、北朝鮮当局におきましてとられた人道的措置につきましては、深い敬意を表し、同時に感謝するものであります。
 政府としては、世界のあらゆる国、特にアジアの近隣諸国との友好関係を可能な限り維持増進する方針であることは、かねてしばしば申し述べているとおりであります。国交のない北朝鮮との各種交流につきましては、日韓関係を含む諸般の国際情勢を考慮しつつ、慎重に今後とも対処してまいりたいと考えております。御了承をお願いいたします。
 最後に、赤軍派と称する暴徒の日航機乗っ取り事件は、人間性を無視した反社会的かつ反人道的な全く異例の事件で、いわゆる大学紛争とは性質の全く異なるきわめて遺憾なできごとであります。和田君御指摘の大学制度の改革問題は、国の将来にかかわる重要な課題でありますから、政府としては各界、各層の意見を十分に聞き、国民的合意と理解のもとに行なう必要があると考えております。このため中教審を中心に検討を進めておりますので、今後とも積極的な御協力を得たいと念願しております。
 以上、私からお答えいたしますが、その他の点につきましては、それぞれ所管大臣からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#36
○国務大臣(愛知揆一君) 第一の東京条約の問題でございますが、七年間も批准が延び延びになっていた理由は何かというお尋ねでございます。これは先ほども触れましたが、この東京条約の内容について必ずしも十分でないという点についての多少の戸惑いがありましたことと、国内の航空法等との調整の関係などで意外に日にちが延びておりましたことを率直に申し上げる次第でございますが、こうした大事件が起こりましたことにもかんがみまして、とりあえずこの条約は批准をすることが妥当である。この国会中にお願いをいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 第二の国連の決議の問題でございますが、これはただいまお話しのとおりで、わが国は賛成いたしておりますので、それをもとにいたしまして、国際ハイジャック防止協定、これは本年の十二月に、先ほど申しましたようにへーグにおいて条約採択のための会議が開催される運びになっております。わが国は従来もこの考え方や会議に積極的に協力をしておりましたが、今後本条約を早期に成立させることに努力をして、条約が採択された場合には関係各省とも協議の上、早期批准をはかる所存でございます。
 第三に、金浦から平壌への飛行につきまして、山村政務次官の一行が飛ばれたときの政府の措置でございますが、この点につきましては、「よど号」が金浦到着後、四月一日に在韓米国大使館を通じ、休戦委員会を経て、平壌までの安全飛行を申し入れたわけでございますが、北鮮側から、北鮮領空における飛行の安全と搭乗している者に対する人道的待遇を保証する旨の回答を得ていたわけでございます。この点は同日、日本赤十字に対する朝鮮赤十字の回答によっても裏づけられたのでございます。四月三日、山村次官及び乗務員三名の出発がいよいよ確定いたしました時点におきましては、その早期帰還の確保を最大の関心事といたしまして、日航機が平壌に到着したならば、山村氏及び乗務員を乗せて同地から直ちに日本向け出発できるように、同じく休戦委員会を通じまして、北朝鮮側に申し入れますことを、在韓日本大使館から在韓米大使館経由で即時要請いたしたのでございます。この要請に対する北鮮側の回答が、先ほど申し上げましたように、この「よど号」がちょうど平壌に到着するころに当方に伝えられたのでありまして、それは、変化した状況のもとにおいては貴方のメッセージに述べられた内容は保証することができない、というものであったのでございます。なお、これと並行いたしまして、ソ連政府に対し、あっせん方も要請いたしましたし、日赤からも朝赤に対しまして、山村次官ほかの早期帰還の保証を要望していた次第でございます。
 政府としては、あの環境下、条件下におきましてとり得る手段はすべて尽くしたと考えたわけでございますが、これらの点につきまして、先ほど申し上げましたように、山村次官はじめ、皆さまに多大の御心配をかけました点については、私としても非常に申しわけなく存じておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣小林武治君登壇〕
#37
○国務大臣(小林武治君) 航空機の乗っ取り罪につきましては、実は法務省所管の法制審議会におきまして審議中の、刑法改正草案の中にその一条が加えられておるのでありますが、これが今日実現の運びにならぬということはまことに残念でございますので、今回これを取り出しまして、単行法としてこの国会において成立を期待し、準備をいたしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣橋本登美三郎君登壇〕
#38
○国務大臣(橋本登美三郎君) 和田さんからわれわれに、現地におきましてやりましたことについて、丁重なるねぎらいのことばをいただきまして、厚く御礼を申し上げます。まことに恐縮であります。
 また、和田さんがおっしゃったように、韓国政府が心から、非常にすべてのことに対して配慮をされまして、たいへんなお世話になりました。また、北朝鮮当局には山村次官及び機長らがたいへん人道的な扱いを受けて、これまた和田さんがおっしゃるように、感謝にたえません。
 お話しの航空機における不法奪取、これに対する対策ですが、御意見のように、現在の状態では機長の権限がほとんどありません。これはああいう大きな飛行機になりますというと、三百人、将来は五百人という大きな社会をなすわけでありますから、これに対して、機長に対するやはり強力な秩序維持の権限を付与する必要があろうと思います。かつまた副操縦士、機関士、これにもどういう形でかこれを補佐する権限を与える必要があるのではないだろうか。保安官と申しますか、保安員のようなものにつきましては、またいろいろの意見もあるようでありますので、これらも中に考えながら検討してまいりたい。
 手荷物の検査及び身体検査。手荷物につきましては、せんだっても飛行機会社の当事者とお話をしたのでありまするが、できるだけひとつ機械化をして、非常に多くのものを処理する上にはどうしてもこれは機械化せざるを得ない。そのような意味で十分に機械化の設備をしてもらいたいし、かつまた、ものによっては機械によって探知し得ないものもありますので、技術開発によってこれらを促進するようにお願いをして、また運輸省当局もやる方針であります。
 問題は身体検査、これらは御承知のように、人権尊重の上ではなかなかむずかしい点がありますけれども、直接からだに触れないで、そうしてその持っておるものが、凶器があるかないか、かようなことにつきましても、これは十分に検討しなければなりませんので、これらを含めまして、法務省当局なり、あるいは警察当局等と十分に打ち合わせまして、これら間違いが今後二度とないように、全力を尽くして善後策を講じたい、かように考えておりますので、御支援のほどお願い申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣坂田道太君登壇〕
#39
○国務大臣(坂田道太君) 今回の事件は、全く人間性を無視した反社会的行為であって、もはや学生運動とか一般の大学紛争とかとは全く性質の異なるきわめて悪質な犯罪であると考えます。
 大学立法なるがゆえに――この大学立法がもしなかったといたしましたならば、昨年のあのような暴力学生による学内紛争というもの、不法、不当な紛争というものはなお続いておったと私は思うのでございます。学問の自由と大学の自治は侵されっぱなしであったと思うのでございまして、やはりこの大学立法というのは、どうしても大学改革をやる前にやらなければならない第一の関門であったと私は確信をいたしておる次第でございます。(拍手)
 大学の改革そのものにつきましては、単に大学紛争対策という観点からのみでなく、社会の進展、大学の変化に対応して新しい高等教育のあり方を確立する必要があると考えております。さらに、高等教育のみならず、初等、中等教育を含めまして、学校制度の改革はわが国の運命を決定する重要な課題でありますので、国民的な合意と理解のもとに行なう必要があると考えます。
 現在そのような立場から、中央教育審議会では本年一月に公表いたしました改革の基本構想試案を中心として、大学関係者をはじめ広く各界、各層の意見を求めているところでございますし、文部省におきましても、積極的に、また具体的に検討を進めておる次第でございます。
 また、従来ややもいたしますると軽視されがちな豊かな人間性回復の問題、あるいはまた入学試験制度改善の問題、こういうような関係者の間におきまして意見の一致を見ている問題につきましては、中央教育審議会の最終答申を待つまでもなく、積極的に改革を進めていきたいと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#40
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。
 人命をもっと尊重するならば、福岡空港でもっと時間をかけて引きとめに全力を尽くし、警察措置をとるべきだったと思うがどうかというお尋ねだと思います。
 この種事案に対する警察の基本方針は、乗客の安全救出を第一義とし、あわせて犯人の早期検挙をはかることにあることは言うまでもありません。今回の日航機乗っ取り事案についても、板付空港においては、空港関係機関や現地警察当局では、相互に緊密な連係のもとに、まず乗客の安全救出を最重点に犯人を説得する。このために、「よど号」の発進をさせないという方針で種々対策を講じたのでありますが、犯人たちは、乗客、乗務員を人質として、凶器を使用しての脅迫態度を変えず、また、老人、子供など一部乗客をおろすや突然の発進をしたため、結果的には本事案を国内で解決することはできず、乗客の安全救出が国外において行なわれたことはまことに残念に存じておる次第であります。(拍手)
#41
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 海上運送法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#42
○議長(船田中君) 日程第一、海上運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#43
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長福井勇君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔福井勇君登壇〕
#44
○福井勇君 ただいま議題となりました海上運送法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近発展の著しい自動車航送船など、わが国旅客船の輸送の安全を確保するため、旅客輸送の安全の確保について、事業者の責任体制に関する規定を設けるとともに、旅客の安全を害するおそれのある行為を禁止する等の措置を講じようとするものでありまして、
 その内容の第一点は、旅客定期航路事業等の免許基準に、新たに、事業の計画が安全を確保するため適切なものであること及び港湾以外の海上における船舶交通の安全に支障を生ずるおそれがないものであることを加えること。
 第二に、旅客定期航路事業者等に運航管理規程の作成を義務づけ、その規程に基づいて、運航管理者の選任等安全の確保に関する事業者の体制づくりをさせること。
 第三に、輸送の安全の確保に関し、運輸大臣は、事業者に対し、輸送施設の改善、事業計画の変更等必要な措置をとるべきことを命ずることができることとすること。
 第四に、操舵設備をみだりに操作する等旅客の安全を害するおそれのある行為を禁止すること。
等であります。
 本案は、去る三月二十四日当委員会に付託され、二十七日運輸大臣より提案理由の説明を聴取し、四月一日及び三日質疑を行ないましたが、その内容は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、四月三日、質疑を終了し、討論の申し出もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#45
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 沖繩の弁護士資格者等に対する本
  邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置
  法案(内閣提出)
#47
○議長(船田中君) 日程第二、沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#48
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。法務委員長高橋英吉君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔高橋英吉君登壇〕
#49
○高橋英吉君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、近く沖繩の復帰が実現されることとなったことに伴い、沖繩の弁護士資格者等に本土の弁護士資格等を付与するための特別の措置を講じようとするものでありまして、そのおもなる内容は次のとおりであります。
 第一は、沖繩の弁護士資格を有する者で、政令で定める日までに三年以上沖繩の裁判官、検察官または弁護士の職にある者及び沖繩の司法試験に合格し本土で司法修習生の修習と同一の課程を終えた者について、本土の法曹として必要な能力を有するかどうかを判定するための選考を行ない、この選考に合格した者に本土の弁護士、判事補及び二級の検事となる資格を付与することであり、
 第二は、沖繩の弁護士資格を有する者で、右以外の者及び沖繩の司法修習生となる資格を有し目下弁護士資格を取得する過程にある者について、民事及び刑事の実務に関する基礎的素養についての試験を行ない、この試験に合格した者に限り右の選考を受けることができるようにすること、等であります。
 当委員会におきましては、三月二十四日提案理由の説明を聴取した後、慎重審査を行ない、四月三日、質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#50
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 地方財政法及び公営企業金融公庫
  法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#52
○議長(船田中君) 日程第三、地方財政法及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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    ―――――――――――――
#53
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事砂田重民君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔砂田重民君登壇〕
#54
○砂田重民君 ただいま議題となりました地方財政法及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、地方公共団体が行なう公営競技の収益の均てん化をはかるとともに、地方公営企業の経営基盤の強化に資するため、公営競技を行なう地方公共団体からその売り上げ金の一部を公営企業金融公庫に納付させることとし、これをもって同公庫に公営企業健全化基金を設け、その貸し付けにかかわる利子を軽減する措置を講じようとするものであります。
 本案は、三月九日本委員会に付託され、三月三十一日秋田自治大臣より提案理由の説明を聴取、四月三日、本案に対する質疑を終了し、討論の通告もなく、採決を行ないましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、公営企業金融公庫に対する政府出資の増額等について附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#55
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#56
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#57
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時四十分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 小林 武治君
        外 務 大臣  愛知 揆一君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      真田 秀夫君
        警察庁警備局長 川島 広守君
        外務省条約局長 井川 克一君
        運輸省航空局長 手塚 良成君
ソース: 国立国会図書館
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