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1970/04/23 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第21号
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1970/04/23 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第21号

#1
第063回国会 本会議 第21号
昭和四十五年四月二十三日(木曜日)

 ―――――――――――――
 議事日程 第十九号
  昭和四十五年四月二十三日
   午後二時開議
 第一 沖繩住民の国政参加特別措置法案(議院
  運営委員長提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を
  求めるの件
 日程第一 沖繩住民の国政参加特別措置法案
  (議院運営委員長提出)
 秋田自治大臣の地方財政法第三十条の二の規定
  に基づく地方財政の状況報告についての発言
  及び質疑
   午後二時三十六分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
#3
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、中央社会保険医療協議会委員に篠原三代平君、土屋清君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#4
○議長(船田中君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 沖繩住民の国政参加特別措置法案
  (議院運営委員長提出)
#5
○議長(船田中君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、沖繩住民の国政参加特別措置法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#7
○議長(船田中君) 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事田澤吉郎君。
  〔田澤吉郎君登壇〕
#8
○田澤吉郎君 ただいま議題となりました沖繩住民の国政参加特別措置法案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 沖繩がわが国の施政権のもとから離れて、今日まで四半世紀を経過しました。その間、沖繩の施政権の返還を実現することは日本国民一致の願望であり、沖繩同胞の切なる悲願であったとともに、返還実現の日をこいねがいつつ、それまでの間、沖繩住民の意思を直接本土の施策に反映させるための国政参加が、早くから、国会においても、また沖繩側においても、強く要望されてきたことは、すでに皆さま御承知のとおりであります。
 すなわち、わが国会におきましては、すでに第五十九回国会の昭和四十三年八月十日、沖繩及び北方問題に関する特別委員会におきまして、自民、社会、民社、公明の四党共同提案をもって、「沖繩住民の望む国政参加は、極めて緊要と認められる。よって、速やかにその実現を期すべきである。」との趣旨の決議がなされておるのであります。
 一方、現地沖繩側といたしましても、昭和三十六年四月、沖繩立法院において国政参加要請決議がなされて以来、数回にわたり同趣旨の決議が行なわれ、これに基づいて本院に対してもしばしば要請がなされてきたのでありまして、沖繩の国政参加の実現については、わが国会においても、早くから多大の関心を持ってきたところであります。
 その後、昭和四十三年十月九日には、日米協議委員会におきまして、沖繩代表の国政参加について日米両国の合意がなされ、さらに、昨年十一月、佐藤総理がアメリカを訪問し、ニクソン大統領との会談の結果、一九七二年中に沖繩の復帰が実現される運びとなり、かかる情勢等にかんがみ、日本国民である沖繩住民の意思をわが国のあらゆる施策に反映させることが喫緊の必要となってまいったのであります。
 かくして、各党が一致して、いわゆる本土並みの国政参加実現に踏み切ることになり、今日、議院運営委員会の全会一致の決定をもって本法案を提出するに至った次第でありますが、この法案につきまして、私がここに説明を申し上げることになりましたことは、まことに光栄であり、日本国民として喜びにたえないところであります。(拍手)とともに、戦後今日までの各般の情勢の変化や沖繩同胞の心情に思いをいたすとき、感慨無量なものがあるわけでございます。
 以下、本案の起草、提出に至りますまでの経過と法案の内容について御説明いたします。
 昨年の通常国会において、本問題については各党とも議院運営委員会で取り扱うことに決定を見まして以来、議院運営委員会の理事会あるいは議会制度協議会、さらに国会法改正等に関する小委員会などにおきまして、各党一致協力して、慎重に、かつひんぱんに協議検討を重ね、その間、各党の試案の提出や調整、努力を積み重ねたのでありましたが、第六十一回国会があのような会期の幕切れのため、結論が出ないまま終わった次第であります。
 その後、昨年十一月の佐藤・ニクソン会談によって、沖繩の復帰が近く実現の運びとなったのでありますが、これらの情勢の変化等にかんがみ、総選挙後の今国会の召集後、諸般の体制が整うのを待って、議院運営委員会といたしましては、本土並みの国政参加を実現する方向で検討することになったのであります。
 かくて、国会法改正等小委員会を中心に、精力的にこれに取り組むとともに、屡次の協議の後、特に起草小委員会を設けて本法案の起草に当たりました。
 この小委員会の起草にかかる要綱に基づいて、各党間の意見の調整をはかるとともに、たびたび沖繩及び北方問題に関する特別委員会、公職選挙法改正に関する調査特別委員会等との合同打ち合わせ会を開いて協議検討を尽くし、また、憲法上、法律上の諸問題の解明に、党派を離れて、十分の時間をかけて努力を傾けたのであります。
 かくて、去る十七日、議院運営委員会におきまして、全会一致をもって本法案を委員会提出の法律案と決定いたした次第であります。
 次に、本法案の内容につき御説明いたします。
 第一条は、この法律の目的といたしまして、沖繩住民の意思をわが国のあらゆる施策に反映させるため、沖繩住民の選挙した代表者が国会議員として国会の審議に参加するための特別の措置を定めることといたしております。
 第二条で、沖繩住民は、沖繩を選挙区として、公職選挙法に準じて沖繩の立法院が制定する選挙法によって、衆議院及び参議院の審議に参加すべき者を選挙することといたしております。
 第三条で、こうして選ばれた者は、衆議院議員あるいは参議院議員とすることにいたしております。
 第四条で、その定数を衆議院は五人、参議院は二人と規定しております。
 第五条では、任期の起算について、公職選挙法における衆参両院議員の例による旨を定めております。
 第六条では、当選人の通知、告示及びこれらの議員がその資格を失った場合の通知、告示等の関係について規定しております。
 第七条では、この法律の施行に関し必要な事項は政令で定めることにいたしております。
 次に、附則におきまして、まず、この法律は政令で定める日から施行することと定めるとともに、当分の間、衆議院議員の定数は四百九十一人、参議院議員の定数は二百五十二人とすることにいたしております。
 また、この法律により最初に選挙された者の任期を、それぞれ現在の衆議院議員または参議院議員の任期によることといたしております。この場合、参議院議員の任期につきましては、得票数の多い者については任期満了までの期間が長いほう、また、得票数の少ない者についてはその期間の短いほうの任期によることといたしております。
 以上がこの法律案の概要でありますが、次に、この法律案の作成の過程において問題となったおもな事項について申し上げます。
 その第一は、参議院全国区の問題であります。本土並みというわれわれの願望を満たすためにも、何とかして全国区についてもこの法律案に取り込みたいと念願して、真剣に検討したのでありますが、適用される法令の異なる本土と沖繩の両地域にまたがり、これを一つの選挙区として一本の選挙を行なうことが、法理論的にも、また選挙の執行という点からも、きわめて困難であることがわかりました。また、本来、全国区、地方区の区別は、憲法に定めたものではなく、公職選挙法において定められているものでありますから、この法律案では、この区別と関係なく、単に参議院議員二人を出すということにいたしました。
 次に、この法律による選挙を行なうにあたっては、沖繩と本土との間の渡航の自由が確保されることが望ましいことは言うまでもありません。また、本法によって国会議員となった者に対しては、沖繩においても不逮捕特権及び免責特権の保障がされるよう努力されるべきでありますが、この問題につきましては、渡航の問題とともに、政府において適切な措置を講ずべきものとし、このため、この法案を委員会提出の法案として決定する際に、その趣旨を法案提出に伴う決議といたした次第であります。
 この際、その決議を朗読いたします。
    沖繩住民の国政参加特別措置法案の提出に伴う決議
  政府は、沖繩住民の国政参加に当たり、左の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
 一、本法第二条の規定に基づく選挙が沖繩において実施されることになることにかんがみ本土と沖繩との渡航の自由が確保されるよう努めること。
 二、本法によって衆議院議員及び参議院議員となつた者の沖繩における不逮捕特権及び免責特権が保障されるよう努めること。
 なお、本法案決定の前に、衆議院規則第四十八条の二の規定により内閣の意見を聴取いたしましたところ、山中総務長官より内閣を代表して、全面的に賛成である旨の発言がありました。
 また、本法案提出に伴う決議に対しましては、保利内閣官房長官より、決議の趣旨を体して最善の努力をいたす所存である旨の発言がありました。
 戦後最大の懸案であり、国民の待望久しかった沖繩の本土へ復帰する日も、いまや遠からず、今日この画期的な法案により、日本民族が一体となって国政に当たる体制が整いましたことは、まさに戦後がここに終わったと申しても過言ではないのであります。(拍手)
 私は、この法律がすみやかに施行され、沖繩から選ばれた住民の代表を国会議員としてあたたかく迎え、沖繩の現地の意向が国政に直接反映できる日の一日も早からんことを衷心より念願いたしまして、本法案の趣旨弁明を終わります。
 切に、議員各位の御賛同をお願いする次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(船田中君) 討論の通告があります。これを許します。安宅常彦君。
  〔安宅常彦君登壇〕
#10
○安宅常彦君 私は、ただいま議題となりました沖繩住民の国政参加特別措置法案につき、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の各党を代表いたしまして、賛成の討論をいたします。(拍手)
 申すまでもなく、沖繩はあの無謀な太平洋戦の不幸な結果として、わが国の施政権のもとから引き離されたのでありますが、何よりもまず、沖繩住民の方々が日本の国籍を持っている、すなわち、われわれと同じ日本国民であるということは、終始一貫変わることのない明らかな事実であります。したがいまして、沖繩における多数の同胞が、本土への復帰が実現することを悲願とし、またそれとともに、沖繩住民の意思を直接に本土の政治に反映させるため、わが国会の審議への参加を熱望してやまなかったのは、当然過ぎるほど当然のことであります。
 二十有余年にわたる異民族の支配のもとに、祖国の政治への直接参加を待ち焦がれている沖繩の人々のこのような熱望に沿うべく、われわれもまた、各党それぞれ思想、政策等の違いはあっても、お互いに真剣な検討を進めてまいったのでありましたが、本日ここに、施政権の返還に先立ち、日本国の最高議決機関の権威にかけて、沖繩住民の方々の代表を国会議員として迎え入れることが、まさに歴史的な法律をもって決定されるのでありまして、私は百万の沖繩同胞とともに、心からの喜びをもって、本特別措置法案に満腔の賛意を表するものであります。(拍手)
 沖繩は、今日依然としてアメリカの施政権のもとにあることは現実でありますが、沖繩県民の続けてきた長年にわたる苦難に満ちた祖国復帰運動の成果はもちろんのこと、本土の人々の階層を越えた理解と努力によって、単にいわゆる施政権下においての沖繩と本土との関係とは著しく事情が変化していることは、だれしもいなむことのできない事実であります。
 すなわち、やがてはわれわれと完全に同一の地位に立つことが確実となった日本国民たる沖繩の方々が、直接にわが国会の審議に参加し、その意思をわが国のあらゆる施策に反映せしむるよう措置することは、喫緊の課題であるのみならず、これはわれわれの義務であるといわなければなりません。(拍手)
 いまや、沖繩を取り巻く情勢が、沖繩住民の国政参加について積極的な措置をとることに何らの障害が存在しなくなった今日、沖繩住民が日本国民であるという厳然たる事実にかんがみ、現在の情勢のもとにおいて、沖繩の代表の資格、選出方法及び法的地位を定める琉球政府の法律の規定が、本土国会議員に関する日本本土の法律に沿ったものであるならば、それによって選挙された者は、憲法第四十三条にいう「全国民を代表する選挙された議員」として受け入れることは当然のことといわなければなりません。
 このような事態を踏まえて、これを現実のものとするための立法措置を講ずることなく、返還の実現まで放置することは、現状においてはむしろわれわれ国会の怠慢とさえいわなければなりません。
 今回の特別措置法案は、以上述べましたような考え方を実施に移そうというものでありまして、第二条及び第三条においてこのことがはっきりと規定されておりますことは、本案の眼目であるとともに、私が本案に対して心から賛成の意を表するゆえんのものであります。
 この特別措置法案立案の過程におきまして、参議院議員の全国区の問題がありました。適用される法が異なる本土と沖繩との地域を通じて、一体の選挙としてこれを執行しようというものでありますから、たとえば裁判権の問題など、法理上、技術上きわめて困難な問題があり、これが解決には最大の努力が傾けられたのでありますが、委員長の趣旨弁明にもありましたように、参議院については全国区、地方区を区別することなく、参議院議員二人を選出することといたしましたことは、現実の解決策としては適切のものといわなければなりません。
 なお、議院運営委員会における本案提出に伴う決議にも明らかにしているところでありますが、現実には、渡航の自由の確保、特権の保障の問題があります。沖繩における選挙においては、政党活動などの点から見ても、渡航の自由確保の措置が必要であることは言うまでもありませんし、また、国会議員となった方々が、国会議員としてふさわしい活動をするためには、沖繩においても身分が保障されていることが要請されるのであります。これらの点については、政府において特に善処されるよう期待してやまないものであります。
 木特別措置法案は、沖繩住民の方々を含め、われわれ全日本国民が長い間待ち望んでいた沖繩住民の国政参加を、国会議員という姿で実現するものでありまして、私は、いま、戦後二十有余年の長きにわたって沖繩同胞が苦難の道に耐えられたことに日本国民の一人として最大の敬意を表しつつ、ここに全面的に賛成の意を表するものであります。
 最後に、世紀の法案といわれる本法案が一日も早く成立し、沖繩においてりっぱな選挙が行なわれ、代表の方々を心からの祝福をもって迎えられる日の早からんことを期待し、かつ沖繩県民の皆さまの上に平和と独立と民主主義の栄光が輝き、さらには、真にすべての国民を主権者とするこの祖国の発展を祈念しつつ、沖繩住民の国政参加特別措置法案に対しましての賛成討論を終わるものであります。(拍手)
#11
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#12
○議長(船田中君) 起立総員。よって、本案は可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
 秋田自治大臣の地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告についての発言
#13
○議長(船田中君) 自治大臣から、地方財政法三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告について発言を求められております。これを許します。自治大臣秋田大助君。
  〔国務大臣秋田大助君登壇〕
#14
○国務大臣(秋田大助君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づき、地方財政の状況を御報告申し上げます。
 まず、昭和四十三年度の地方財政のうち、普通会計の決算について申し上げますと、決算規模は、歳入六兆九千五百八十九億円、歳出六兆七工二百九十六億円でありまして、前年度に比べますと、歳入において一兆三百二十六億円、一七・四%、歳出において一兆四十一億円、一七・五%、それぞれ増加しております。
 収支状況について見ますと、全体では千九十八億円の黒字であります。その内訳は、黒字団体は三千百二十九団体で、その黒字額は千三百三億円、赤字団体は二百十八団体で、その赤字額は二百四億円であります。
 地方公営企業会計につきましては、全体として収支の均衡を回復するまでには至っておりませんが、前年度に比べますと、やや収支均衡点に近づいております。
 昭和四十三年度の地方財政は、歳出面におきましては、生活基盤及び生産基盤の整備に重点的な投資が行なわれており、また、公害対策、道路交通安全対策等の新しい財政需要の動向も反映しております。これに対して、歳入面におきましては、わが国経済の好況を反映して、地方税、地方交付税等の一般財源の伸びも順調に推移し、おおむね健全な運営が行なわれたものと存じます。
 しかしながら、今日、地方公共団体は、急激な社会経済情勢の変動に直面して、過密、過疎地域における生活環境、産業基盤等の施設整備をはじめとして、各種の行政施設の整備を推進するとともに、広域市町村圏の振興整備、総合農政の展開、公害対策、道路交通安全対策等、新たな行政にも対処していかなければならない立場にあります。
 地方行政が、このような状況に対処して、住民の生活の場を整備し、住民生活の向上をはかっていくためには、歳入面では、財源の確保につとめるとともに、歳出面では、従来にも増して行政経費の合理化と効率化を推進し、財源配分の重点化をはかりつつ、計画的な財政運営について一そう配慮していく必要があると存じます。
 以上、地方財政の状況につきまして、その要旨を御報告いたした次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告についての発言に対する質疑
#15
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。土井たか子君。
  〔土井たか子君登壇〕
#16
○土井たか子君 私は、さきに内閣から提出され、ただいま自治大臣の御説明がございました昭和四十五年地方財政白書に対しまして、日本社会党を代表し、三つの基本的な問題にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。(拍手)
 まず第一点は、いわゆる地方財政裕福論を背景として、地方自治が侵害されているのではないかという疑いがきわめて濃くなっているという問題でございます。
 確かに、地方財政は、現象的には黒字を示しております。しかし、その実体は、よく知られておりますように、住民に対しては高い税金を押しつけ、住民の要求する仕事はたな上げをして、行政のつじつまを合わせてきた結果であります。
 このことは、住民税の課税最低限に見られますように、きわめて低い所得者にまで課税され、地方税収入のパターンが、次第にいわゆる逆進的な構造を強めていることに示されております。他方、住民の自治体に対する要求は増大する一方で、高度経済成長とはうらはらに、あらゆる分野でひずみが激化し、新たな貧困を招いております。特に、上下水道、公園など、生活環境の著しい立ちおくれ、住宅、交通、公害等、社会的矛盾は住民の生活をむしばんでおります。これらは何一つ解決されず、地方財政計画による対策程度では、全く焼け石に水の状況であります。(拍手)
 こうした事実は、まさに七〇年代地方財政をどのように人間回復の方向へ転換させるかの重大な選択を迫っているといわなければなりません。しかるに政府は、大衆負担の軽減と、地方財源の充実という国民的な課題に背を向けて、地方自治法の精神に反する三百億円の地方交付税のピンはねをはじめ、地方自主財源を圧迫する方向を一貫してとり続け、住民にそのしわ寄せを持ってまいりました。これに対し、過疎債百三十億円の計上を誇らしげに宣伝していますが、これでは、あめを与えてむちでなぐるという状況ではないでしょうか。(拍手)
 この際、特にお伺いしたいのは、政府は、人間優先へ地方財政を転換させるための基本は何かを、明確に国民に示していただきたいということであります。(拍手)
 もう一つは、地方交付税は明らかに地方自主財源であり、国が財政調整を理由として左右すべきものではありません。自治省も主張しておりますように、少なくとも地方交付税を特別会計に入れることが先決であり、その上に地方の自主的な運用にゆだねるべきであると思うのでありますが、総理の明確な御見解を承りたいのであります。(拍手)
 さらに、地方財政の好転は、むしろ府県財政において言い得るとしても、市町村財政においては、新たな需要の増大と相まって、むしろ、実質的には逼迫の度を強めているといわねばなりません。問題とすべきは、かえって、県と市町村とのアンバランスの問題であります。この際、国と地方はもとより、県と市町村の間の財政のアンバランスを重視し、思い切った税財源の再配分を行なう新しい財政構想を打ち出すべきではないかと思うのでありますが、関係大臣の御所見を承りたいのであります。(拍手)
 また、地方税制度においても、財政裕福論をことあげする前に、何より地方税負担の逆進的構造を改め、正しい意味での税の公平を実現することが肝要と存じます。特に、住民税負担については、課税最低限を所得税に近づけるよう、少なくとも三カ年計画程度で積極的な取り組みを具体的に示していただきたいと思います。これは、総理からはっきり聞かせていただきたいと存じます。(拍手)
 第二の大きな問題は、いわゆる地方財政に企業化の方向が見られるということであります。
 四十五年度の政府予算及び地方財政計画を見ましても、すでに民間デベロッパー導入の芽があらわれてきているのであります。しかも、この民間デベロッパーの財政への組み込みは、今後、社会開発、社会資本充実といったような面で非常に大きなウエートを占めていく可能性があります。これは、国と自治体との当然の仕事を企業化する方向と見なければなりません。他の一つは、民間デベロッパーが自治体の仕事に入ってくるとすれば、当然に利潤が問題になりますから、利潤分を含めた住民負担への転化という心配が起きてきます。
 さらに、民間資本の導入と引きかえに、政府は、すでに、国の補助金とか、あるいは当然国なり自治体が負担しなければならない分を節減する方向を打ち出しております。その意味では、よく使われる受益者負担の原則ということは一体何かが問い直されているのではありませんか。受益者負担は、明確に利用者負担とは区別すべきであります。しかも、財政の企業化の方向が、国あるいは地方団体の固有の事務分野にまでわたって、広範に拡大される心配が出てきております。特に、公営企業の場合、赤字は年々大きくなっております。というよりは、むしろ赤字構造が公営企業会計に住みついて、定着化してきています。このことは、いわゆる独立採算制のワクの中で、もはや処理できなくなってきていることを、はっきりさせているのではありませんか。(拍手)
 今後、上下水道から屎尿処理、道路、病院、学校、公害、交通安全対策といったようなものが過密都市、過密地域では問題になってくると、受益者負担の原則という名による住民負担の傾向が、ますます拡大してくる傾向にあると見なければなりません。それらが民間デベロッパーとの利益共同体のもとで進められることになりますと、その中で本来の受益者は負担を免れ、すでに重税に苦しんでいる大衆に一そうの負担がしわ寄せされるのであります。地方自治の本旨は、この状況の中では、もはや気息えんえんとしているといわねばなりません。
 そこで、問題の第一として申し上げたいことは、毎年本院において指摘されてきていますように、国の仕事と地方の仕事の区分をして、負担関係を明確にしなければならないのではないかということであります。すでに、第十回地方制度調査会から地方財政制度の改革が答申されているにもかかわらず、これには全然手がつけられていないありさまです。直轄事業は直轄事業、地方の仕事は地方の仕事というふうに明確にしてやるべきだと考えますが、この点の御所見をお伺いいたします。
 第二には、それに必要な財源は、受益者負担に転化すべきではないという問題です。従来の政府の行き方は、前の経済社会発展計画といい、また、現在進められている新経済社会発展計画といい、すべて、住民生活に奉仕するよりも、財政効率化を理由として、地方財政を産業基盤整備に奉仕させるための高負担化の意図が明らかなんです。(拍手)
 これと関連して、土地問題のあり方を、ここで根本的に考え直してみなければならないと思うのです。その意味では、公共的にどう土地を管理していくかを明確にしないと、ますます民間デベロッパーが悪用され、受益者負担に転化される心配があります。ことし六百億円の土地開発基金の追加がございましたが、それ自体は一方的なひもつき財源であり、交付税法違反のそしりを免れません。そこで、むしろ、思い切って、国とか公共の機関とか、地方自治体が土地を大量に取得して、その利用を思い切って規制していくという方向に踏み切っていくべきではないでしょうか。
 政府は、ことしに入って、昨年土地税制を実施し、土地価格公示制度もやっと制度化され、新都市計画法により市街化区域、市街化調整区域との区分けができまして、新しい試みはスタートはしているのですが、何ら実効がないのです。これをばらばらにやっては意味がありません。また、現在では、もう税だけに期待するのではだめであります。土地の一括買い上げと、土地の利用の規制を考えていくべきではありませんか。そういうことなしに、増大する社会資本需要とか、あるいは社会的なアンバランスのコントロールはできないと考えます。
 さて、大きな問題の第三点は、いわゆる超過負担の問題です。
 昭和四十二年に一千億の超過負担があり、これを三年間の間に解消するはずでございました。ことしは、それからすれば、解消済みのはずであるところが、その後の建設費の値上がりと、単価見積もりが少な過ぎるということとで、相変わらず赤字と超過負担のイタチごっこを繰り返し、超過負担は解消されるどころか、逆にますます拡大する傾向すら見られます。その意味では、ますます地方財政負担がふえ、特に公共事業の仕事のうち、地方独自の仕事より国の仕事が多い中で、国の仕事のための地方の持ち出しがふえてきているのであります。
 国民健康保険についても、掛け金の引き上げがあたりまえのようになった背後には、事務費の持ち出しが大きな問題になってきております。国民健康保険制度は、本来全額国が負担しなければならないことになっているわけですから、累積赤字分にさかのぼって、少なくとも事務費の完全赤字解消の予算措置を講ずる必要があります。この赤字解消のために政府はどのような財政対策をとろうとされているのか、あらためてお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 最後に申し上げたいことは、七〇年代の地方財政が、どう人間福祉優先の方向で確保されていくかということこそ、住民の要求にこたえる行政の基本的問題と考えるのでありますが、この方向で、国の行政が立ちおくれております部分を、地方は、財政の不備にあえぎながら補てんをしてきているのであります。多年の念願でございました児童手当を、東京都をはじめ八十八市、町村を合わせれば百三十四自治体が実施に踏み切っております。また、老齢者に対する医療費を無償にする制度にも、東京都、京都府の場合は踏み切っているのであります。これらの制度は、本来民意を反映した国の責任において果たされるべきはずのものであります。日本国憲法十三条、二十五条、九十九条はそれを命じております。児童手当一ついまだ実現させていない国の行政がどうして民意に沿ったものと言えましょう。
 七〇年は内政の年と言われる総理のおことばどおり、責任ある国の行政水準を問題とされるならば、現在進められている経済社会発展計画の中で、少なくとも人間福祉優先が、ナショナルミニマムの要件として保障されていなければならないはずであります。総理は、新経済社会発展計画の中で、あるべき行政水準をいかようにお考えになっていられるのか、お伺いしたいと存じます。
 また、厚生大臣から、すでに公約済みの児童手当について、これを実行する御意思がおありになるのかないのか、どのような計画で実現されるか、明確にお答えいただきたいと思います。
 老人医療費についても、これを国庫負担で実施するお考えがおありになるのか、あわせてお伺いいたします。
 以上、私は三つの観点にしぼってお尋ねをいたしましたが、表通りの官僚的答弁でなく、住民の琴線に触れるような親切な御答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 土井君にお答えいたします。
 まず、地方団体が、国の行なうべき行政を補完的に、あるいは先行的に実施している面が多いとの御指摘でありました。国としても、限られた財源のもとで、これを最も有効適切に配分するよう最善の努力を払っているものでありますが、古くからの数多くの懸案が、一挙に解決されることは不可能なことであります。そこにある程度の行政のおくれとか、ひずみが残ることは、真にやむを得ないことであり、地方団体が、その判断において、その欠陥を最小限にとどめるべく、それぞれの地域の実情に応じた特色ある行政を展開されることは、これこそ地方自治行政の一つのメリットであり、むしろ率直に申して歓迎するところであります。
 国と地方がそれぞれ協力し、助け合いながら行政を進めてこそ、国民の福祉が大きく確保されるのであり、いたずらに国と地方を対立的な角度から論ずることは、あまり益するところはないものと考えます。ただし、かように申したからといって、私は、国の行なうべき行政の責任を避けるつもりは毛頭ございません。児童手当の問題についても、その実現につきましては最善の努力を払ってまいるつもりでございます。
 次に、地方財政計画は、私が申し上げるまでもなく、もとより地方団体ないし地方住民のために策定されるものであり、地方行政の一つの指標として、また、公経済の中における地方行財政の立場を確認する機能を果たすものであります。土井君は、そこにビジョンがないとの御意見でありましたが、地方財政計画に盛られている個々の施策は、いずれもそれぞれのビジョンのもとに、当該年度に実施さるべき事業量を示したものであります。また、昨今の地方財政がシビルミニマムを確保できないような弱体なものとは私は考えませんが、地方といわず、国といわず、多くの行政課題を残していることは先ほども申し上げたとおりであります。今後とも適切な資源の配分をはかって、国民経済全体の均衡のとれた発展と、国民福祉の向上につとめてまいりたいと考えます。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣秋田大助君登壇〕
#18
○国務大臣(秋田大助君) まず第一に、今回地方交付税増額の問題につきまして特例措置を講じたことが不都合ではないかというお話でございます。万やむを得ざる措置でございますが、地方行財政運用の面において差しつかえない範囲に十分考慮し、諸般の事情からとり行なったものでありますが、今後はかようなことは好ましくないので、いたさないようにつとめてまいりたいと考えております。
 市町村財政の将来を考慮して、これに十分財源措置を講ずべきであるという御趣旨ごもっともでございまして、市町村は基本的な地方公共団体でございまして、これが仕事も、社会経済の激変、発展とに応じまして、非常に複雑多岐なものがございます。これに応ずる財政措置といたしまして、今回法人税の増徴分によるところの法人税割りの増徴を全額市町村に振り向けるような措置をとりました。また、交付税の基準財政需要額の措置におきましても、地方債の配分におきましても、過疎対策等、それぞれ措置をいたしております。また、過密大都市における中、小学校の用地取得債につきましても、それぞれ手配をいたしておるのでありまして、今後市町村行財政の運用に支障のないよう、十分手配をいたすつもりであります。
 住民税の課税最低額の引き上げにつきましては、毎々申し上げておりまするとおり、所得税と住民税との税質の差がございまして、必ずしもこれを一致さすべきだという理論上の理由はないと存じますけれども、もちろん低額所得階級の税負担を軽減する意味におきましても、なるべく住民税の課税最低限を引き上げまして、所得税のそれとの差を縮めることに、今後ますますつとめてまいる所存でございます。
 また、地方行政事務が一般的に企業化していはしないか、土地問題等に関連して民間デベロッパーの跳梁ばっこを許しているような傾向、その他受益者負担に関する措置について非常に遺憾の点がありはしないかというような御指摘でございましたが、この点につきましては、住民の負担すべきもの、すべからざるもの、十分これを区分いたしまして、いやしくも民間デベロッパーの跳梁ばっこ等は十分警戒する措置をとりまして、同時に、ただいまも問題となっております国と民間との行政の合理的配分、それに対応する合理的な税収、その他財政収入上の配分措置を講ずることによりまして、今後ますます住民福祉の向上につとめてまいりたいと存じております。
 土地購入に際して、公共団体の公共用地等の取得につきましては、政府は土地開発基金等の運用を期しておりますが、将来これが実績に応じまして、またいろいろ方法等を適当に善処、検討してまいりたいと考えております。
 超過負担の解消につきましては、昭和四十年度からその実態を調査いたしまして、四十三年度には一般会計におきまして三百二十億円、四十四年度におきましては三百十二億円、公営住宅用地費のことを考慮しますと四百十七億円という数字になるのでございまして、昭和四十五年度につきましても四百五十三億円の措置を講じております。今後物価の上昇、その他人件費の高騰等を十分考慮しながら、今後も適切な措置を講じて、超過負担の解消に邁進をいたしたいと思います。
 国民健康保険の事務費についても同様でございまして、昭和四十三年度十六億円、四十四年度十八億円、四十五年度は二十億円、この点については負担の解消措置を講じておるのでございまして、この点につきましても適切な措置を講じてまいりたいと存じております。
 以上でございます。(拍手)
  〔国務大臣佐藤一郎君登壇〕
#19
○国務大臣(佐藤一郎君) 私に対する御質問の趣旨が必ずしもはっきりしておりませんが、社会資本の充実の点についてお話がございました。それとあわせまして、今後の全総計画その他との関係、それからまた、あるいは受益者負担の点について御質問があったかと思うのでありますが、この点は御存じのように、一つには新しい計画におきまして、いわゆる高福祉高負担という問題をうたっております。名目的な国民所得の上昇ばかりをいたずらに追うよりは、もっと実質的な所得の充実をはかっていくことが今後の重要な課題ではないか。そういう意味において、ただ名目的な所得を追うかわりに、もっとある意味においては、その名目所得の一部をさいて、そうして多少の高負担をあえてしても、公害の問題、あるいはまた、その他生活関連の問題等の投資を充実してまいる、こうした方向に向かっていくのが適当ではないだろうか、こういう提言がなされております。
 そうしてまた、それとの関連におきまして、受益者負担の問題が一般的にもしばしば論ぜられております。受益者負担と利用者負担との混同がしばしば行なわれておりまして、御質問にありましたように、利用者負担ということについては、これはもう問題のない点であろうと思います。
 さらに、それでは利用者負担以外の、いわゆるもっと広範な受益者負担というものをどういうふうに扱うかということであります。これは私たちがいま考えております土地政策その他との関係、あるいは公共事業の施行の際に、それによって受益をする者に相当の負担を課していいんではないかというような問題等を考えますと、一がいにこの受益者負担というものを否定するわけにはまいらないと思います。今後各種の土地開発を行ない、市街地の開発を行なう過程で、この受益者負担というものがどうしても生じてまいると思います。問題は、それが過度になり、超過的になること、これは避けなければならないと思っておるわけであります。いずれにしましても、これらの方法を使いまして、社会資本の充実をはかってまいりたい、こう考えております。(拍手)
  〔国務大臣内田常雄君登壇〕
#20
○国務大臣(内田常雄君) 国民健康保険の医療費に対する国庫負担につきましては、いろいろ議論もございましたが、土井さん御承知のとおり、とどのつまりは四五%を国が負担するという、その本則を本年も堅持いたしてまいりました。
 また、事務費の公共団体における超過負担につきましては、ただいま自治大臣から御説明がございましたとおり、昭和四十三年度以降本年まで三カ年計画をもちまして、通例の事務に要する経費につきましては、この超過負担を解消することにいたして、予算を組んでおる次第でございます。
 老人医療のお尋ねがございましたが、現在におきましても、老人の健康診査とか、あるいは白内障の手術などにつきましては、国費負担の制度を取り入れてまいっておりますこと御承知のとおりでございますけれども、根本的には、老人を対象とする新しい医療保険の制度の導入につきまして、目下関係の審議会に諮問中でございますので、その方向を見きわめました上で対処をいたすことにいたしております。
 児童手当につきましては、この制度と現行の他の社会保障制度との関係でありますとか、賃金体系、税制等の関係など、いろいろの問題がありまして、ただいませっかく児童手当審議会におきまして、各方面を代表する委員の方々の間で検討中でございまして、私といたしましては、既定のスケジュールによってその審議を促進して、制度の実現に努力をいたしてまいる所存に変わりはございません。(拍手)
#21
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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#22
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
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ソース: 国立国会図書館
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