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1970/05/11 第63回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第26号
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1970/05/11 第63回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第063回国会 本会議 第26号

#1
第063回国会 本会議 第26号
昭和四十五年五月十一日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十四号
  昭和四十五年五月十一日
   午後二時開議
 第一 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 第二 法務省設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 旅館業法の一部を改正する法律案(社会労働委
  員長提出)
 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  参議院送付)
 検疫法の一部を改正する法律案(内閣提出、参
  議院送付)
 日程第二 法務省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 倉石農林大臣の林業基本法に基づく昭和四十四
  年度年次報告及び昭和四十五年度林業施策に
  ついての発言及び質疑
    午後二時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 旅館業法の一部を改正する法律案(社会労働委員長提出)
 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 検疫法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#3
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、日程第一とともに、社会労働委員長提出、旅館業法の一部を改正する法律案を委員会の審査を省略して追加し、また、内閣提出、参議院送付、自然公園法の一部を改正する法律案、及び検疫法の一部を改正する法律案の両案を追加して四案を一括議題となし、委員長の報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 日程第一、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案、旅館業法の一部を改正する法律案、自然公園法の一部を改正する法律案、検疫法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
#6
○議長(船田中君) 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。社会労働委員長倉成正君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔倉成正君登壇〕
#7
○倉成正君 ただいま議題となりました三法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げますとともに、旅館業法の一部を改正する法律案の趣旨弁明を申し上げます。
 まず、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、看護婦及び准看護婦の資質の向上をはかるとともに、その養成施設を一そう強化充実する措置を講じようとするもので、そのおもな内容は、
 第一に、准看護婦の基礎学力の水準を引き上げるため、准看護婦試験の規定を改正し、従来の中学卒業後二年の養成制度にかえて、新たに高等学校卒業後一年の養成制度を設けること。
 第二に、養成施設の内容の充実をはかるため、指定の基準等に関して規定を設けること。
 第三に、国または地方公共団体は、民法法人その他政令で定める法人で、看護婦等養成施設を設置するものに対し、補助することができることとし、この場合、補助の目的を達成するため、必要な監督を行なうこと。等であります。
 本案は、三月十九日本委員会に付託となり、八日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、「昭和五十年末までに成果を得ることを目途として、保健婦、助産婦、看護婦及び准看護婦の業務内容、免許の資格要件等について調査研究を行ない、看護体制を確立する」ことについての修正案が提出され、採決の結果、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 次に、旅館業法の一部を改正する法律案の趣旨弁明を申し上げます。
 本案は、旅館業法の施行状況にかんがみ、旅館業の施設の設置により児童福祉施設等の清純な環境が著しく害されることのないようにしようとするもので、そのおもな内容は、
 第一に、児童福祉施設、社会教育施設等の清純な施設環境が著しく害されるおそれがある場合には、旅館営業の許可を与えないことができること。
 第二に、旅館営業の許可には、善良の風俗の保持上必要な条件を付することができること。
 なお、本案施行前の許可についても、施行の日から二カ月以内の期間に限り、善良の風俗の保持上必要な条件を付することができること。等であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、自然公園法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、国立公園または国定公園の海中の景観を保護するため、その区域内に海中公園地区を設けて必要な規制を行なおうとするもので、そのおもな内容は、
 第一に、厚生大臣は、すぐれた海中の景観を維持するため、海中公園地区を指定することができること。
 第二に、海中公園地区においては、熱帯魚、サンゴ、海藻等海中の主要な景観要素である動植物の採捕、工作物の新築、海面の埋め立て等を行なうときは、厚生大臣または都道府県知事の許可を受けなければならないこと。
 第三に、海中公園地区の周辺一キロメートルの海面の普通地域内において、鉱物、土石の採取及び海底の形状変更を行なうときは、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならないこと。等であります。
 本案は、去る三月三十一日本委員会に付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 次に、検疫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、世界保健総会において国際保健規則が採択されたのに伴い、検疫の効率的な実施をはかろうとするもので、その要旨は、
 第一に、発しんチフス及び回帰熱を検疫伝染病から除くこと。
 第二に、検疫所長は、検査を行なうことが困難な貨物については、陸揚げすること等の指示を行なうことができること。
 第三に、検疫所長は、衛生上安全な船舶と認めるときは、検疫済証を交付する旨の通知を行なうこと。
 第四に、検疫港及び検疫飛行場の衛生管理を強化すること。等であります。
 本案は、去る四月八日本委員会に付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#8
○議長(船田中君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#9
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
 次に、旅館業法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 次に、自然公園法の一部を改正する法律案、及び検疫法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 法務省設置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#12
○議長(船田中君) 日程第二、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#13
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長天野公義君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔天野公義君登壇〕
#14
○天野公義君 ただいま議題となりました法務少設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、黒羽刑務所及び岡崎医療刑務所を設置し、小菅刑務所及び宇都宮刑務所を廃止するとともに、東京拘置所の位置を小菅刑務所の現在地に改めること、宮古市ほか四カ所に入国管理事務所の出張所を設置すること等であります。
 本案は、二月二十七日本委員会に付託、三月五日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、五月八日質疑を終了いたしましたところ、塩谷委員外三名より、原案中、昭和四十五年五月一日から施行することとしている部分を公布の日から施行することに改める旨の自由民主党、日本社会党、公明党、民社党四党共同提案にかかる修正案が提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#15
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#17
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、建設業法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#18
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 建設業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#20
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。建設委員長金丸信君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔金丸信君登壇〕
#21
○金丸信君 ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進するため所要の措置を講ずることを目的といたしましたもので、おもな内容は次のとおりであります。
 第一は、登録制度を業種別の許可制度に改めたことであります。
 第二は、不当に低い請負代金の禁止をする等、請負契約に関する規定を整備したことであります。
 第三は、元請負人は、注文者から出来高払い等を受けたときは、当該支払いに相応する下請代金を一月以内に下請人に支払うものとする等、下請保護に関する規定を整備したことであります。
 本案は、去る四月六日本委員会に付託され、四月八日根本建設大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、審査を進めてきたのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 かくて、五月十一日本案に対する質疑を終了しましたところ、自由民主党及び民社党より、下請負人が他人に損害を加えた場合の、特定建設業者に対する勧告等を内容とする修正案が提出されました。
 次いで、討論の後、採決を行ないましたところ、本案は賛成多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対して、建設業の許可の適用除外の金額等を内容とする附帯決議が付されました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#22
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#23
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 倉石農林大臣の林業基本法に基づく昭和四十
  四年度年次報告及び昭和四十五年度林業施策についての発言
#24
○議長(船田中君) 農林大臣から、林業基本法に基づく昭和四十四年度年次報告及び昭和四十五年度林業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣倉石忠雄君。
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#25
○国務大臣(倉石忠雄君) 昭和四十四年度林業の動向に関する年次報告及び昭和四十五年度において講じようとする林業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十四年度林業の動向に関する年次報告について申し上げます。
 木材の需要は、引き続き増加傾向にありますが、一方、国内の用材供給量は、四十三年には前年に比べ七・二%の減少を示しました。また、外材の輸入量は逐年増加し、四十三年には用材総供給量の四六・七%を占めるに至っております。
 次に、林業経営の動向について見ますと、その大宗を占める私有林経営におきましては、経営規模の零細なものがきわめて多く、四十三年における生産活動や林業所得は前年に比べ停滞ないし減少しております。
 さらに、近年の林業労働の動向を見ますと、林業就業者の他産業への流出により、その量的不足とともに質的低下の傾向が見られます。
 このような諸情勢に対処して、林業の発展と林業従事者の所得の増大をはかるためには、林業振興のための諸施策を充実する必要がありますが、同時に、社会経済の発展に即応し、森林の持つ経済的機能と公益的機能との調和をはかることが重要であります。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、第二部におきましては、四十四年度を中心といたしまして、林業に関して講じた施策につき記述しております。
 最後に、昭和四十五年度において講じようとする林業施策について申し上げます。
 ただいま御説明いたしました林業の動向に対処するため、政府といたしましては、四十五年度において、計画的な森林施業の推進、林道の整備拡充、造林の推進、里山の再開発、林業構造の改善、林業従事者の養成確保、治山事業の拡充など所要の施策の推進をはかることといたしております。
 以上、昭和四十四年度林業の動向に関する年次報告及び昭和四十五年度において講じようとする林業施策につき、その概要を御説明いたした次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 林業基本法に基づく昭和四十四年度年次報告
  及び昭和四十五年度林業施策についての発言に対する質疑
#26
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。川俣健二郎君。
  〔川俣健二郎君登壇〕
#27
○川俣健二郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま農林大臣から説明のありました昭和四十四年度林業年次報告及び昭和四十五年度において講じようとする林業施策に関し、総理並びに関係大臣に対し、主要な点を取り上げ、質問いたしたいと思います。
 わが国の林野面積は、国土総面積の六八%、約三分の二を占めており、したがって、世界有数の森林国、豊かな資源を有しておると自負してまいりました。ところが、その日本は、いまや世界第一位の木材輸入国に転落してしまいました。人は山村から流れ、木材は海からやってくる時代となってしまいました。
 一方、経済の高度成長下、いたずらに木材需要を満たすその場主義に走り、樹木の生長度を無視しての切り過ぎは、山を荒らし、自然をこわす結果をもたらしました。山が荒れれば、台風、豪雨の多いわが国の災害激しく、反対に、雨が少なければ極度に干ばつを招き、治山治水のすべがなく、加えて人口が都市に集中する、いわゆる過疎化の政策のあおりを受けて、ますますわが国林業にとって深刻な事態に直面しておるのでございます。
 このように、わが国の林業の置かれている実態はまことに悪化の一途をたどり、まさしく危機といわざるを得ません。進歩と調和を口にする佐藤総理の見解を承りたいと存じます。(拍手)
 さらにお尋ねいたします。今日、住宅産業、紙パルプ産業等の発展に伴い、用材の需要量は飛躍的に増大してまいりました。すなわち、昭和四十三年度現在において、前十年に比べてみると、建築用材一・六倍、パルプ用材一・九倍、合板材二・八倍と増大し、用材の総需要量は五千六百万立米から九千二百万立米へと約二倍に膨張いたしました。反面、この需要に対応すべく国内生産は五千万立米前後を低迷し続けております。そして、四十三年度における用材の需要量は、前年比六・八%増加しましたのに対し、国内生産は逆に七・二%の減、この白書によれば、四十三年度は過去にない最低を記録したといわれております。
 このように国内生産停滞の原因は、一つには、利益本位、財産をかかえ込もうとする山村大地主の切り惜しみ、二つには、林道不備による切り出しの困難性、そして三つには、過疎化政策による労働力流出、さらには伐採後の放置、放任がこのような結果をもたらしたと指摘せざるを得ません。戦前の保守、軍部による乱伐、戦後の生長度無視の過伐に次ぐ過伐、そうして植樹、造林の立ちおくれに拍車をかけるがごとく、居すわり続ける保守党内閣の自由放任主義の政策がもたらしたものと再び指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 国有林、公有林、そしてまた民有林、すべてその生産活動は全く旧態依然たるものがあり、また、将来の林業生産の基盤となる造林は、昭和三十六年度三十四万ヘクタールがピークであって、その後、年々減少いたし、四十三年度には二十六万ヘクタールと大きく落ち込んでおります。
 以上が示すごとく、林業生産をめぐる情勢は、六年前の林業基本法制定当時に比べて、はるかに事態は悪化してまいりました。これらはすべて林業基本法をないがしろにし、それに基づく諸施策、特に関連立法の整理を怠った結果にほかなりません。わが国林業が直面している諸課題、諸問題と今後どのように取り組んでいかれようとしておるのか。特に基本法に基づく関連立法についてどのような用意があるのか、あるとすれば、ここに披瀝されたく、総理の責任ある答弁をいただきたいと思います。
 次に、農林大臣にお尋ねいたします。
 政府は、昭和四十一年四月、林業基本法第十条に基づいて、木材の需要と供給の長期見通しを御発表になられました。この長期見通しによれば、用材の需要量は、昭和五十年は一億立米、六十年は一億二千万立米、九十年には一億四千万立米となっており、外材依存率は昭和五十年がピークであって、二九%だと断定予測いたしております。しかしながら、これまでの実績で、すでに外材依存率が、四十二年には三九%、四十三年には四七%、そして四十四年には五〇%と、年々高まっているわけであります。また長期見通しによれば、輸入量のピークは、六十年に三千万立米とうたってあるが、実績は、四十二年に三千三百万立米、四十三年は四千三百万立米、四十四年には四千八百万立米となっております。数字が何よりも正しく示しておるごとく、御発表になられた長期見通しは、早くも大きくくずれてしまいました。のみならず、昨年九月、林政審議会の建議による「わが国における木材需要について」、これにも同じように指摘されておるのでございます。
 以上のように、昭和四十一年に公表された政府の見通しは、早くも、しかも大きくくずれ去るとは一体いかなることか。無責任であり、かつ乱雑きわまりないといわざるを得ません。(拍手)わが国には林学あって林業政策がないのだろうか、農林大臣から納得し得る説明を求めたいと思います。
 また、私は、ここで単に見通し違いのみを追及するものではありません。すなわち、公表される長期見通しなるものは、国及び自治体、そして林業団体、山林所有者等の生産と需要の指標、目標となるということでございます。さらには、国民経済、特に外材輸入量の増大は国際収支を大きく圧迫する要因となるだけに、さきに発表された見通しは誤りであることを率直にお認めになり、むしろ、すみやかにここで改めるべきであると考えますが、農林大臣いかがでございましょう。
 次に、経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 先ほど申し述べましたように、木材の輸入増加による国際収支に及ぼす影響大なるものがありましょう。昭和四十三年度の輸入額は、白書によりますと、第一位の石油に次いで木材は第二位を占め、ここ数年にして石油をも追い越し、昭和五十年には二十億ドルを突破するのではないかとさえいわれております。しかも、この輸入材のほとんどが国内消費のためのものであり、加工の上、製品として逆輸出されるものは微々たるものであります。これは外貨事情の悪化を招き、ひいては、わが国経済の発展にとって問題を残していくと考えられます。さらに、外材依存度が年々高まっていくのは、価格政策の欠除からもくるのではないかと考えられます。経済企画庁長官の所信をお聞かせ願いたいと思うのでございます。
 さらにお尋ねいたします。外材輸入をめぐる情勢は、そう甘いものではないと私は思います。すなわち、アメリカ、フィリピンにおける丸太輸出制限措置、マレーシア、インドネシア等における自国での木材加工の動き、近くは韓国、台湾等の外材輸入国との競合激化等々、わが国を取り巻く丸太輸入事情は決して楽観を許さない情勢となっております。このことは白書にも示されているところであります。そして一方、木材の輸出国における人口増加、経済成長、低開発国の産業、文化の発展等から見まして、それらの国での国内消費量が大きく伸びることが当然推測され、その結果輸出量が大きく制約されてくるであろうし、これまでどおり大量の外材を他に依存することは困難になりはしないか。また、丸太輸出制限の動きの中で、近年、製材品、チップの輸入にまつこと年々ふえてきていることから、わが国木材産業、特に中小企業のそれに対して大きな打撃となると考えられます。その影響と施策について、経済企画庁長官並びに農林大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 次に、農林大臣にお尋ねいたします。
 一体、林業生産は、ほかの産業のように、ことし植林して、すぐさま来年役立つというものではありません。四十年も五十年もの長年月を要する、いわば土地を相手に、自然をたよりに初めて生産される特殊産業である。ここを施策の出発点とすべきであると考えます。それだけに、当面の外材依存はやむを得ないとしましても、将来、自給率を高める施策を急ぐ必要があるとは思いませんか。
 その林業施策の基本課題は、何と申しましても、造林の拡大と林道の開発でありましょう。今日、林業生産性の最も高い里山は、薪炭材のなごりのまま、活用されずに放置され、これらの大部分が市町村所有の公有林であり、また民有林といわれております。現行の自立経営育成のための補助及び融資制度、これだけではとうてい造林が進まないし、林道が開発され得ないところに落ち込んでおるのではありませんか。したがって、社会資本充実の観点と相まって、国営による民有林に対するいわゆる分収造林制度、並びに国庫負担による林道開設に、いまこそ踏み切るべきではありませんか。農林大臣の御所見を伺いたいと思います。
 最後に、林業と労働政策について、総理並びに関係大臣にお尋ねいたします。
 林業の危機が叫ばれる要因の一つとして、林業労働者に対する行政の立ちおくれが糾明されると思います。すなわち、労働力の量的不足と質的低下の問題であります。この白書によれば、昭和四十二年から四十三年の一年間に、実に三万人もの林業労働者の減少を見たことを指摘されております。その分析を見ますと、なぜだろうの検討はなく、そして、どうしたらよいのかの対策もなく、ただ単に評論家のように、林業労働の特殊性を列挙しているにすぎません。はなはだ遺憾であります。要は、のうのうと今日まで、農村、山村の安手間の労働力の上にあぐらをかいて、低賃金と危険な環境、腰痛症、白ろう病、さらには二十年も三十年もの反復雇用、反復首切り、これが現世の労働政策か。総理の言われる人間尊重どこへやら、労働基準法あるでなし、失業保険、健康保険、はては厚生年金等々、社会保険何一つ満足に適用されるものなく、いまどき、佐藤榮作総理大臣、林業の労働問題を何と心得ていらっしゃるか。(拍手)その数実に二十七万人、自営業者を除いても十七万人を数えるではありませんか。しかも、この労働力こそがわが国の林業施策の底力であり、国を守り、自然をつくり、林野行政の切り羽の力となっていることを御認識されておられるだろうか。林業の危機打開のための労働力を定着させるためには、まずもってこれらの事実と、よって来たる原因を明らかにし、根本的な手だてを断行する以外に道はないと考えられます。
 すなわち、第一に、国有林にあっては雇用安定法の早期実現、また、民有林にあっては行政指導の育成強化、第二に、労働基準法及び社会保険法の完全適用、第三に、職業病の予防、治療、そして補償制度の確立、第四には、労働災害の防止対策等々でありましょう。
 総理並びに関係大臣の所信をお伺いいたします。
 結論を急ぎます。
 七〇年代の林業施策、国有林、公有林、私有大山林、豊かな自然を肥やし、資源を確保して、わが社会党は、国をあげて国土をハゲタカから守り、自然の破壊者を敵として、いまこそ林業と取り組むことを提唱しながら、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 川俣君にお答えいたします。
 まず、用材供給の中に占める輸入材の比率が非常に高まってきたことは、白書の指摘するとおりであります。この傾向は、今後一そう強くなることも予想されます。国土の六八%を占める森林王国日本といわれておりますが、絶対面積の狭隘はいかんともすることができません。この点に、わが国の森林資源では、世界に例を見ない高密度経済下における木材需要の急速な増大を充足することが困難であります。戦中戦後の乱伐の影響を考えると、いまはむしろ外材依存度をふやし、国内資源の生長を待つべきときともいうべきではないかと思います。
 もちろん、かように申したからといって、このような傾向を放置しようと考えているのではありません。木材供給の隘路となっている林道等の生産基盤の整備、林業構造の改善を進め、労働力不足対策、流通機構の改善、合理化策を推進して、国内生産体制の強化をはかってまいりますが、一面においては、外材依存の現実を踏まえ、外材の供給ルートを適正に確保し、木材の需給と価格を安定させることに十分留意してまいりたい、かように考えております。
 次に、林業基本法の関連立法についてでありますが、基本法制定以後、入会林野近代化法、山村振興法の制定をはじめとして、森林法、森林病害虫等防除法の改正を行なってきており、また、今国会におきましても、優良種苗の確保の観点から林業種苗法案を、また、林業基本法第四条の趣旨に即し、国有林野の活用に関する法律案の提案を行なっております。今後とも、林業をめぐる諸情勢の推移に対応しつつ、必要な法制の整備につとめてまいる決意でございます。
 最後に、林業労働力についてでありますが、本年度から新たに林業労働者通年就労促進対策を講ずるなど、直接的な対策を進める反面、林業の省力化、合理化を契機として、所要の施策を進めてまいる考えであります。
 また、今後の方向としては、新全国総合開発計画の示している酪農の大型プロジェクトあるいは大規模なリクリエーション構想と、森林の機能である国土の保全と水源の涵養という保安林の公益機能なり木材の供給機能と、調和を確保しつつ、どのように山村を広域的に再編成していくかが重要な課題であり、さきに成立した過疎地域対策緊急措置法のもとに、魅力ある林業の育成につとめてまいりたいと考えております。
 その他の問題につきましては、それぞれの大臣からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#29
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。
 長期見通しにつきましてのお話がございましたが、御存じのように、木材の需要は、経済の著しい成長を背景といたしまして、需要構造の変化を伴いながら、建築用材、パルプ用材を中心として、たいへんな増大を見ておるとおりであります。一方、国内供給につきましては、資源的制約によりますほか、労働力不足等によりまして、またさらに一般に、御指摘のように、需要の外材への傾斜が非常に行なわれるようになりましたので、いま伸び悩んでおるということは御存じのとおりでありますが、このような事情を背景といたしまして、外材輸入が、長期見通しによる数値をだんだん上回ってまいったという、これは御指摘のような事実であります。
 そこで、そういう長期見通しは、木材関連団体に対する指標ともなるべきものであるから、手直しをしたらどうかというお話でございますが、林産物の需給の長期の見通しは、当時の中期経済計画における経済指標に基づいて作成したものでございますが、経済成長率をはじめとして、林業を取り巻く経済社会情勢の変化には、きわめて著しいものがございました。したがって、そういう意味で、長期見通しにつきましても、これらの諸条件の推移によって若干の変化を見ておるわけでありますが、これにつきましては、慎重に今後とも対処してまいりたいと思っております。
 第三には、日本を取り巻くアメリカをはじめ、フィリピン、インドネシア等の東南アジア諸国においても、丸太の輸出について、台湾のお話もございましたが、制限をいたしておるというお話でございましたが、米国及びフィリピンにおける丸太輸出制限措置につきましては、今後の動きに注目しつつ、今後における制限の拡大の防止につとめます。
 原料確保競争が次第に激化いたしております南方地域につきましては、最大の取引国といたしておるわが国の立場から、開発輸入の積極化、技術援助の強化等の措置を講じて、また、ソ連材の安定的輸入と相まちまして、必要な輸入量の確保につとめてまいりたいと思っております。
 また、これらの対外的措置と相まって、国内的には、受け入れ体制の整備等により外材輸入の円滑化をはかるとともに、木材関連産業の近代化につとめてまいりたいと思っております。
 最後に、造林の推進、林道の開発を積極的にやるべきではないか、分収造林制度を大いに進めるべきではないか、全く私どもも同感でございまして、政府もこういうことに非常に力を入れておることは、四十五年度予算をごらんくださっても御理解がいけることだと思います。最近における木材需給の動向にかんがみまして、国内生産の強化をはかるために、造林の推進、林道網の整備等基盤の拡充に、政府は非常に努力をいたしておるわけであります。そこで、労賃の高騰、低質効用地の処分困難は、川俣さん、よく御存じの傾向でございます。事業個所の奥地化等、最近における林業生産の諸条件に対処いたしまして、造林については所要事業量の確保につとめており、林道につきましては、林道網の計画的整備を推進してまいるということで努力をいたしております。
 なお、森林開発公団、造林公社、地方公共団体によります分収造林が増加いたしておる現状でございますので、これらによる分収造林につきましては、拡大造林の推進をはかるために、今後とも、お話のございましたように、大いに育成をはかってまいりたいと思っております。(拍手)
  〔国務大臣佐藤一郎君登壇〕
#30
○国務大臣(佐藤一郎君) 外材の輸入確保がだんだん困難になってくるという問題につきましては、すでに農林大臣の御答弁がございましたから、重ねて申し上げなくてよろしいと思いますが、確かに、御指摘のように、外材の輸入は、最近相当大きな伸びを示してきておることは事実でございます。ただ、昨年あたりから、そのテンポがだいぶ落ちてきております。われわれといたしましては、もちろん国内生産の長期的な施策の推進、あるいはまた、最近見のがしてならないのは、需要の側面におきまして、新建材その他のいろいろなものが出てきております。そういうようなことで、今後の木材の需要につきましては、輸入がそう急激にふえるということはないと思っておりますが、いずれにしましても、今日の国際収支の状況は、御存じのように相当ゆとりのある状況でございます。輸入の幅は、すでに百五十億ドルをこえる、こういう状況でございますから、木材の輸入については、国際収支上何ら心配する点がないものと、こういうふうに考えております。(拍手)
  〔国務大臣野原正勝君登壇〕
#31
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたします。
 林業においては、作業の季節的な関係、非常に不安定な状態があるわけでございますが、御指摘のとおりでありまして、農林省と緊密な連絡をとりながら、その雇用の安定について検討いたしておるところであります。
 国有林の労働者については、農林省と密接な連携のもとに、事業実施期間の延長、各種作業の組み合わせ等によりまして、雇用期間の長期化の実現等について、目下検討しておるところであります。
 また、民有林労働者については、雇用の安定の見地から、農林省と協力して、昭和四十年度から、林業労働力対策を策定して実施しているところでありますが、四十五年度においてはこれを拡充強化することにいたしまして、新たに林業労働者通年就労促進対策及び林業事業体の生産活動の計画的、継続的実施を促進することにより、林業労働者の就労の長期化、安定化の措置の強化をはかってまいりたいと思います。労働省としましては、今後とも農林省と連携を密にいたしまして、林業労働者の通年雇用の促進につとめる考えでございます。
 また、林業労働者に失業保険その他の問題はどうかということでございましたが、現在失業保険につきましては、林業労働者は任意適用となっておるが、先般の臨時国会において、失業保険法の改正によりまして、当然被保険者とするための適切な方策について調査研究を行ない、その結果に基づいて、昭和五十一年一月末日までに必要な措置を講ずることにしております。当面は雇用の実態を十分に考慮の上、任意加入制度の活用をはかるとともに、関係行政機関との密接な連携のもとに、関係事業主等に対して、適用基準を醸成するための指導に努力しておるところであります。
 なお、労災保険については、常時労働者を使用しておる事業についてはすべて強制適用となっており、事業主についても特別加入の道を開いているところであります。
 職業病の対策でありますが、林業労働者のチェーンソー等による振動障害、すなわち、いわゆる白ろう病については、これを予防するために、労働省においては専門家による委員会を設けまして、種々検討を行なっておるところでありますが、当面の対策といたしましては、今年二月に、チェーンソー使用等に伴う振動障害の予防について、都道府県労働基準局を通じまして関係業界の指導をはかろうとするとともに、林業労働災害防止協会にも協力を呼びかけまして、振動障害の予防対策に徹底をはかっておるところであります。
 また、腰痛病につきましては、作業に応じた作業姿勢、その他の作業管理及び労務管理について指導し、労働事情の変化に伴いまして発生しているといわれております腰痛病の予防をはかってまいります。
 最近、技術革新の進展等によりまして、職業病の発生も多種多様となってきておりますが、その予防をはかるための研究体制を整備し、科学的な予防対策を確立してまいりたいと考えております。
 なおまた、この補償についてでありますが、新しい職業性疾患について、そのつど医学的、専門的知識を有する方々の御意見を伺いながら、その取り扱いを定めてまいっておりますけれども、なかんずく、白ろう病につきましては、昭和四十年以来、職業性疾患として取り扱っておるところであります。なお、腰痛病につきましては、従来打撲その他によるものについて補償の対象としておりましたが、昭和四十三年以来、労働の状況等からくる腰痛病についても、補償の対象として取り扱っております。今後とも、職場の事情等に応じまして、補償のあり方について漸次整備をはかってまいりたいと考えております。
 次に、社会党がお出しになりました国有林労働者の雇用の安定に関する法案についての意見を徴されましたが、これは、法案に盛り込まれている個々の規定の内容には、他との均衡上問題もあると考えられますので、慎重に検討を要するところでありますが、なお年末、季節的に雇用と失業を繰り返すような状態というものは、決して正常なものとはいえませんので、一般的に通年雇用を行なうことが望ましいことは言うまでもない。労働省としましては、農林省と緊密な連絡をとりながら、その雇用の長期化の実現に努力いたしまして、雇用の安定につとめることにいたしております。
 以上、お答えいたします。(拍手)
#32
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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#33
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十三分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 小林 武治君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        労 働 大 臣 野原 正勝君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
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ソース: 国立国会図書館
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